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2001/01/31 第151回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第151回国会 本会議 第1号
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2001/01/31 第151回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第151回国会 本会議 第1号

#1
第151回国会 本会議 第1号
平成十三年一月三十一日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第一号
  平成十三年一月三十一日
    午前十時開議
 第一 議席の指定
 第二 常任委員の選任
 第三 常任委員長の選挙
 第四 特別委員会設置の件
    …………………………………
  一 国務大臣の演説
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 議席の指定
 日程第二 常任委員の選任
 日程第三 常任委員長の選挙
 日程第四 特別委員会設置の件
 森内閣総理大臣の施政方針に関する演説
 河野外務大臣の外交に関する演説
 宮澤財務大臣の財政に関する演説
 麻生国務大臣の経済に関する演説

    午後零時三分開議
#2
○議長(綿貫民輔君) 諸君、第百五十一回国会は本日召集されました。
 これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 議席の指定
#3
○議長(綿貫民輔君) 日程第一、議席の指定を行います。
 衆議院規則第十四条によりまして、諸君の議席は、議長において、ただいまの仮議席のとおりに指定いたします。
     ――――◇―――――
 日程第二 常任委員の選任
#4
○議長(綿貫民輔君) 日程第二に入ります。
 今般、中央省庁の再編に合わせて、国会法及び衆議院規則が改正され、常任委員会が再編されましたので、新たに全常任委員の選任を行います。
 衆議院規則第三十七条により、議長において、各会派から申し出のとおり指名いたします。
    ―――――――――――――
  内閣委員
      岩崎 忠夫君    植竹 繁雄君
      小野 晋也君    亀井 久興君
      川崎 二郎君    小西  哲君
      古賀 正浩君    阪上 善秀君
      谷川 和穗君    近岡理一郎君
      西川 公也君    根本  匠君
      平沢 勝栄君    三ッ林隆志君
      横内 正明君    渡辺 具能君
      井上 和雄君    石毛えい子君
      大畠 章宏君    島   聡君
      中沢 健次君    細川 律夫君
      山花 郁夫君    山元  勉君
      横路 孝弘君    太田 昭宏君
      河合 正智君    塩田  晋君
      松本 善明君    北川れん子君
  総務委員
      赤城 徳彦君    浅野 勝人君
      荒井 広幸君    河野 太郎君
      左藤  章君    佐田玄一郎君
      佐藤  勉君    阪上 善秀君
      滝   実君    橘 康太郎君
      谷  洋一君    渡海紀三朗君
      野中 広務君    菱田 嘉明君
      平井 卓也君    平林 鴻三君
      御法川英文君    宮路 和明君
      山本 公一君    荒井  聰君
      伊藤 忠治君    大出  彰君
      玄葉光一郎君    田並 胤明君
      武正 公一君    中村 哲治君
      松崎 公昭君    松原  仁君
      山井 和則君    山村  健君
      高木 陽介君    山名 靖英君
      若松 謙維君    黄川田 徹君
      佐藤 公治君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    重野 安正君
      横光 克彦君    野田  毅君
  法務委員
      荒井 広幸君    太田 誠一君
      奥谷  通君    熊代 昭彦君
      左藤  章君    塩崎 恭久君
      新藤 義孝君    杉浦 正健君
      鈴木 恒夫君    田村 憲久君
      棚橋 泰文君    谷川 和穗君
      中川 昭一君    保利 耕輔君
      松宮  勲君    山本 明彦君
      横内 正明君    吉野 正芳君
      渡辺 喜美君    枝野 幸男君
      佐々木秀典君    野田 佳彦君
      日野 市朗君    平岡 秀夫君
      水島 広子君    山内  功君
      山花 郁夫君    上田  勇君
      漆原 良夫君    西村 眞悟君
      藤井 裕久君    木島日出夫君
      不破 哲三君    植田 至紀君
      徳田 虎雄君
  外務委員
      池田 行彦君    小島 敏男君
      河野 太郎君    桜田 義孝君
      下地 幹郎君    下村 博文君
      鈴木 宗男君    虎島 和夫君
      中本 太衛君    野田 聖子君
      原田 義昭君    平沢 勝栄君
      水野 賢一君    宮澤 洋一君
      望月 義夫君    安住  淳君
      伊藤 英成君    木下  厚君
      桑原  豊君    首藤 信彦君
      土肥 隆一君    中野 寛成君
      細野 豪志君    前田 雄吉君
      上田  勇君    丸谷 佳織君
      土田 龍司君    赤嶺 政賢君
      東門美津子君    柿澤 弘治君
  財務金融委員
      伊藤 公介君    大木  浩君
      大野 松茂君    倉田 雅年君
      小泉 龍司君    佐藤 剛男君
      七条  明君    砂田 圭佑君
      竹下  亘君    中野  清君
      中村正三郎君    根本  匠君
      萩山 教嚴君    林田  彪君
      増原 義剛君    村田 吉隆君
      山口 俊一君    山本 明彦君
      山本 幸三君    渡辺 喜美君
      五十嵐文彦君    江崎洋一郎君
      岡田 克也君    海江田万里君
      河村たかし君    小泉 俊明君
      中川 正春君    長妻  昭君
      原口 一博君    日野 市朗君
      松本 剛明君    石井 啓一君
      谷口 隆義君    若松 謙維君
      鈴木 淑夫君    中塚 一宏君
      佐々木憲昭君    吉井 英勝君
      阿部 知子君    植田 至紀君
  文部科学委員
      青山  丘君    岩永 峯一君
      小渕 優子君    岡下 信子君
      嘉数 知賢君    杉山 憲夫君
      鈴木 恒夫君   田野瀬良太郎君
      高市 早苗君    谷垣 禎一君
      谷田 武彦君    谷本 龍哉君
      馳   浩君    林 省之介君
      水野 賢一君    宮澤 洋一君
      森岡 正宏君    森山 眞弓君
      渡辺 博道君    大石 尚子君
      鎌田さゆり君    葉山  峻君
      肥田美代子君    平野 博文君
      藤村  修君    牧  義夫君
      松沢 成文君    山口  壯君
      山谷えり子君    山元  勉君
      池坊 保子君    斉藤 鉄夫君
      西  博義君    武山百合子君
      都築  譲君    石井 郁子君
      児玉 健次君    中西 績介君
      山内 惠子君    松浪健四郎君
  厚生労働委員
      遠藤 武彦君    奥山 茂彦君
      上川 陽子君    鴨下 一郎君
      木村 義雄君    熊代 昭彦君
      鈴木 俊一君    田中眞紀子君
      田村 憲久君    竹下  亘君
      棚橋 泰文君    谷畑  孝君
      西川 京子君    林 省之介君
      松島みどり君    三ッ林隆志君
      宮腰 光寛君    宮澤 洋一君
      森  英介君    森山 眞弓君
      山本 幸三君    吉田 幸弘君
      吉野 正芳君    家西  悟君
      大石 正光君    大島  敦君
      加藤 公一君    鍵田 節哉君
      金田 誠一君    釘宮  磐君
      古川 元久君    三井 辨雄君
      水島 広子君    山井 和則君
      青山 二三君    江田 康幸君
      福島  豊君    佐藤 公治君
      樋高  剛君    小沢 和秋君
      木島日出夫君    阿部 知子君
      中川 智子君    小池百合子君
      川田 悦子君
  農林水産委員
      相沢 英之君    岩倉 博文君
      岩崎 忠夫君    金田 英行君
      上川 陽子君    木村 太郎君
      岸本 光造君    北村 誠吾君
      栗原 博久君    小島 敏男君
      後藤田正純君    七条  明君
      園田 博之君    高木  毅君
      西田  司君    浜田 靖一君
      福井  照君    二田 孝治君
      松下 忠洋君    小平 忠正君
      古賀 一成君    後藤 茂之君
      佐藤謙一郎君    津川 祥吾君
      筒井 信隆君    永田 寿康君
      楢崎 欣弥君    鉢呂 吉雄君
      堀込 征雄君    三村 申吾君
      江田 康幸君    白保 台一君
      一川 保夫君    高橋 嘉信君
      中林よし子君    松本 善明君
      菅野 哲雄君    山口わか子君
      金子 恭之君    藤波 孝生君
  経済産業委員
      青山  丘君    伊藤 達也君
      石原 伸晃君    小此木八郎君
      梶山 弘志君    岸田 文雄君
      新藤 義孝君    高木  毅君
      竹本 直一君    中馬 弘毅君
      中野  清君    馳   浩君
      林  義郎君    松野 博一君
      松宮  勲君    茂木 敏充君
      保岡 興治君    山口 泰明君
      山本 有二君    北橋 健治君
      後藤 茂之君    後藤  斎君
      鈴木 康友君    田中 慶秋君
      中津川博郷君    中山 義活君
      肥田美代子君    松本  龍君
      山内  功君    山田 敏雅君
      赤羽 一嘉君    石井 啓一君
      久保 哲司君    達増 拓也君
      土田 龍司君    大森  猛君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      西川太一郎君    宇田川芳雄君
  国土交通委員
      赤城 徳彦君    今村 雅弘君
      大村 秀章君    木村 太郎君
      木村 隆秀君    倉田 雅年君
      佐藤 静雄君    坂本 剛二君
      実川 幸夫君    菅  義偉君
      田中 和徳君    橘 康太郎君
      中馬 弘毅君    中本 太衛君
      西野あきら君    林  幹雄君
      福井  照君    古屋 圭司君
      堀内 光雄君    松野 博一君
      松本 和那君   吉田六左エ門君
      阿久津幸彦君    大谷 信盛君
      川内 博史君    今田 保典君
      佐藤 敬夫君    玉置 一弥君
      樽床 伸二君    永井 英慈君
      伴野  豊君    細川 律夫君
      前原 誠司君    吉田 公一君
      赤松 正雄君    井上 義久君
      河上 覃雄君    山岡 賢次君
      山田 正彦君    大幡 基夫君
      瀬古由起子君    日森 文尋君
      保坂 展人君    二階 俊博君
      森田 健作君
  環境委員
      伊藤 達也君    稲葉 大和君
      植竹 繁雄君    小渕 優子君
      岡下 信子君    熊谷 市雄君
      小泉 龍司君    河野 太郎君
      下村 博文君    谷本 龍哉君
      鳩山 邦夫君    原田昇左右君
      平井 卓也君    増原 義剛君
      柳本 卓治君    山本 公一君
      奥田  建君    鎌田さゆり君
      小林  守君    五島 正規君
      近藤 昭一君    佐藤謙一郎君
      鮫島 宗明君    長浜 博行君
      青山 二三君    田端 正広君
      樋高  剛君    藤木 洋子君
      金子 哲夫君    原  陽子君
  安全保障委員
      岩屋  毅君    臼井日出男君
      嘉数 知賢君    金子 一義君
      瓦   力君    下地 幹郎君
      中谷  元君    中山 利生君
      浜田 靖一君    水野 賢一君
      宮下 創平君    山口 泰明君
      山崎  拓君    吉川 貴盛君
      米田 建三君    伊藤 英成君
      川端 達夫君    小林 憲司君
      今野  東君    首藤 信彦君
      高木 義明君    牧野 聖修君
      渡辺  周君    河合 正智君
      田端 正広君    藤島 正之君
      赤嶺 政賢君    今川 正美君
      小池百合子君    粟屋 敏信君
  国家基本政策委員
      甘利  明君    岩倉 博文君
      尾身 幸次君    大島 理森君
      亀井 静香君    古賀  誠君
      谷田 武彦君    中山 太郎君
      蓮実  進君    林田  彪君
      菱田 嘉明君    堀内 光雄君
      堀之内久男君    牧野 隆守君
      松本 和那君    村田 吉隆君
      石井  一君    小沢 鋭仁君
      大石 正光君    桑原  豊君
      鮫島 宗明君    仙谷 由人君
      田中  甲君    手塚 仁雄君
      北側 一雄君    冬柴 鐵三君
      東  祥三君    志位 和夫君
      土井たか子君    海部 俊樹君
  予算委員
      池田 行彦君    石川 要三君
      大原 一三君    奥野 誠亮君
      亀井 善之君    北村 直人君
      久間 章生君    栗原 博久君
      小林 興起君    自見庄三郎君
      塩川正十郎君    七条  明君
      田中眞紀子君    高鳥  修君
      津島 雄二君    中山 正暉君
      丹羽 雄哉君    野呂田芳成君
      葉梨 信行君    萩野 浩基君
      細田 博之君    牧野 隆守君
      三塚  博君    宮本 一三君
      八代 英太君    五十嵐文彦君
      池田 元久君    岩國 哲人君
      生方 幸夫君    海江田万里君
      金子善次郎君    佐藤 観樹君
      城島 正光君    仙谷 由人君
      中田  宏君    原口 一博君
      平岡 秀夫君    松野 頼久君
      白保 台一君    谷口 隆義君
      若松 謙維君    鈴木 淑夫君
      達増 拓也君    中井  洽君
      佐々木憲昭君    山口 富男君
      辻元 清美君    横光 克彦君
      井上 喜一君    森田 健作君
  決算行政監視委員
      相沢 英之君    逢沢 一郎君
      浅野 勝人君    臼井日出男君
      江藤 隆美君    遠藤 武彦君
      木村 隆秀君    木村 義雄君
      小西  哲君    後藤田正純君
      菅  義偉君    杉浦 正健君
      谷  洋一君    中川 秀直君
      中村正三郎君    額賀福志郎君
      武藤 嘉文君    持永 和見君
      森岡 正宏君    森田  一君
      石井 紘基君    上田 清司君
      鹿野 道彦君    金子善次郎君
      金田 誠一君    今野  東君
      葉山  峻君    松崎 公昭君
      松本 剛明君    山田 敏雅君
      渡辺  周君    神崎 武法君
      高木 陽介君    中塚 一宏君
      大森  猛君    穀田 恵二君
      山口わか子君    近藤 基彦君
      土屋 品子君    中村喜四郎君
  議院運営委員
      小此木八郎君    梶山 弘志君
      上川 陽子君    佐田玄一郎君
      佐藤 静雄君    坂本 剛二君
      七条  明君    武部  勤君
      福井  照君    藤井 孝男君
      増原 義剛君    松島みどり君
      伊藤 忠治君    今田 保典君
      末松 義規君    手塚 仁雄君
      永田 寿康君    松野 頼久君
      三井 辨雄君    漆原 良夫君
      東  順治君    工藤堅太郎君
      児玉 健次君    保坂 展人君
      小池百合子君
  懲罰委員
      伊藤宗一郎君    小里 貞利君
      加藤 紘一君    小泉純一郎君
      中曽根康弘君    中山 利生君
      三塚  博君    村岡 兼造君
      山中 貞則君    赤松 広隆君
      菅  直人君    熊谷  弘君
      羽田  孜君    鳩山由紀夫君
      市川 雄一君    小沢 一郎君
      菅原喜重郎君    中西 績介君
     ――――◇―――――
 日程第三 常任委員長の選挙
#5
○議長(綿貫民輔君) 日程第三に入ります。
 ただいま常任委員を指名いたしましたので、この際、常任委員長の選挙を行います。
#6
○小此木八郎君 各常任委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
#7
○議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 議長は、各常任委員長を指名いたします。
        議院運営委員長 藤井 孝男君
            〔拍手〕
          内閣委員長 横路 孝弘君
            〔拍手〕
          総務委員長 御法川英文君
            〔拍手〕
          法務委員長 保利 耕輔君
            〔拍手〕
          外務委員長 土肥 隆一君
            〔拍手〕
        財務金融委員長 山口 俊一君
            〔拍手〕
        文部科学委員長 高市 早苗君
            〔拍手〕
        厚生労働委員長 鈴木 俊一君
            〔拍手〕
        農林水産委員長 堀込 征雄君
            〔拍手〕
        経済産業委員長 山本 有二君
            〔拍手〕
        国土交通委員長 赤松 正雄君
            〔拍手〕
          環境委員長 五島 正規君
            〔拍手〕
        安全保障委員長 川端 達夫君
            〔拍手〕
      国家基本政策委員長 堀之内久男君
            〔拍手〕
          予算委員長 野呂田芳成君
            〔拍手〕
      決算行政監視委員長 持永 和見君
            〔拍手〕
          懲罰委員長 菅原喜重郎君
            〔拍手〕
     ――――◇―――――
 日程第四 特別委員会設置の件
#9
○議長(綿貫民輔君) 日程第四、特別委員会設置の件につきお諮りいたします。
 災害対策を樹立するため委員四十人よりなる災害対策特別委員会
 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する調査を行うため委員四十人よりなる政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会
 石炭に関する対策を樹立するため委員二十五人よりなる石炭対策特別委員会
及び
 沖縄及び北方問題に関する対策樹立のため委員二十五人よりなる沖縄及び北方問題に関する特別委員会
を設置いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
 次に、国会等の移転に関する調査を行うため委員二十五人よりなる国会等の移転に関する特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#11
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、そのとおり決まりました。
 ただいま議決されました五特別委員会の委員は追って指名いたします。
     ――――◇―――――
#12
○議長(綿貫民輔君) この際、暫時休憩いたします。
    午後零時九分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三分開議
#13
○議長(綿貫民輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説
#14
○議長(綿貫民輔君) 内閣総理大臣から施政方針に関する演説、外務大臣から外交に関する演説、財務大臣から財政に関する演説、麻生国務大臣から経済に関する演説のため、発言を求められております。順次これを許します。内閣総理大臣森喜朗君。
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(森喜朗君) 第百五十一回国会の開会に当たり、世紀の変わり目に国政を預かる内閣総理大臣として、歴史のめぐり合わせに改めてその重責をかみしめつつ、所信を申し述べたいと思います。
 このような重要な国会の冒頭に、財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団をめぐり、受託収賄容疑により議員が逮捕されたことから申し上げなければならないのは、まことに残念のきわみであります。また、本件に関連して閣僚が辞任いたしました。政治倫理の確立については、政治家一人一人が厳しく身を律していくことが何より重要です。こうしたことが再び起きないように、改めて気を引き締め、信頼回復に全力を尽くしてまいります。
 また、歴代内閣総理大臣の外国出張経費に関して、外務省職員による業務上横領容疑により告発がなされたことは、極めて遺憾であります。この事態を厳粛に受けとめ、国民の皆様に深くおわびを申し上げますとともに、今後、捜査当局による真相解明の進展を見ながら、政府として原因の解明と再発防止に万全を期してまいります。
 昨年は大規模な災害が相次ぎましたが、それらの災害により、新しい年を迎えてもなお不安を抱え、不自由な生活を余儀なくされている方々に、心からお見舞いを申し上げます。被災者の方々の生活支援に万全を期するとともに、中央防災会議を活用し、政府一体となって災害に強い国づくりを目指してまいります。
 二十一世紀の幕あけの新年、国民の皆様への年頭のごあいさつの中で、二十世紀は世界にとって栄光と悔恨の百年であったと申し上げました。科学技術の発達によって得られた繁栄の陰で、二度の世界大戦やさまざまな紛争によって払われた大きな犠牲を決して忘れてはならないと考えたからであります。美しい自然や環境の破壊という高い代償も忘れてはなりません。
 我が国は、こうした二十世紀の経験の中から自由と民主主義のとうとさを学び、平和を手に入れました。これらの国民的な合意は、国づくりを進める上での基本であります。私たちは、日本固有の伝統や文化、美しい自然を我が国の子や孫たちにしっかりと引き継ぐとともに、この合意を一層確かなものとして、二十一世紀こそ豊かな環境に恵まれた平和な日本、そして世界を築いていかなければなりません。(拍手)
 私は、我が国の総理大臣として初めてサハラ以南のアフリカ諸国を訪問いたしました。アフリカは、自然の豊かさ、活力のある人々に恵まれた大陸である一方、今もなお、貧困、紛争、感染症といった課題に直面しております。五人に一人が紛争の被害を受け、難民、避難民は六百二十五万人に達するとの報告もあります。しかし、そこで出会った難民の子供たちは、自分たちの未来に大きな希望を持ち、その目は屈託なく生き生きと輝いており、私は強く胸を打たれました。
 アフリカが直面する課題は、いずれも人間の存在それ自体に対する脅威であります。こうした脅威からすべての人々を解放する人間の安全保障を確立し、二十一世紀を世界じゅうの人々にとって輝かしい時代にしなければならないとの思いを強くいたしました。そして、そのために日本が責任とリーダーシップを果たしていくとの決意を新たにしたのであります。(拍手)
 私は、日本の活力を創出していく原動力は人であると考えております。先般、ギリシャを訪れましたが、ギリシャ文明の根幹にあるものは、人間の尊重であり、人間の躍動であります。イタリアのルネサンスがギリシャに戻れと訴えたように、二十一世紀の今日もまた人間のルネサンスが重要であると私は考えております。
 これからの社会では、個人の嗜好や価値観の多様化が進み、さまざまな生き方が認知され、無数の可能性が生まれる一方で、自分の生き方に対する責任が従来以上に求められることが予想されます。そこでは、豊かな個性と創造性を持ち、さまざまな可能性に果敢に挑戦していく人を育てていくことが極めて重要となります。そして、こうした人が存分にその力を発揮し、自己実現を図ることができる環境を整備することによって、日本の新生に向けた歩みを大きく進めていきたいと考えております。
 人を育てるに当たっては、心の面を忘れてはなりません。私たちは、物質的な豊かさを享受できるようになった一方で、心の豊かさを失いがちであると感じています。今、改めて心の問題について真剣に考え、豊かな心を見失わない人を育てていかなければなりません。学校や家庭のみならず、社会全体でこの問題に取り組んでいかなければならないと考えております。
 我が国の発展を支えてきた経済社会システムは、経済のグローバル化、世界規模で生じているIT革命、少子高齢化など、内外の厳しい情勢変化により、従来のような役割を果たせなくなってきております。時代の新たな変化を、日本の発展システムに対する危機としてではなく、新たなチャンスととらえ、改革によって日本らしさを生かした新たな発展の道筋をつくり、世界じゅうの人々が日本で夢を実現したいと思える国家をつくっていきたいと考えております。
 二十一世紀をこのような時代にしていくためには、既存の施策の発想を超えて、過去との訣別による改革を避けて通ることはできません。今こそ、新たな国づくりに向け、この国に何が必要なのかという原点に立ち返って、明治維新、戦後改革に次ぐ第三の抜本的改革を実行し、日本の新生を図っていくことが必要であります。私は、この国会を日本新生のための改革国会と位置づけ、先人たちが国づくりにかけた情熱を受け継ぎ、新たな時代の知恵を生かしつつ、改革の実行に向けて全力を尽くしてまいる決意であります。(拍手)
 こうした改革を断行することによって、私は、二十一世紀を、「希望の世紀」、「人間の世紀」、「信頼の世紀」、「地球の世紀」とするべく、第一歩を踏み出してまいります。
 二十世紀の終わりにかけて、我が国は、経済活動が停滞し、社会全体が将来に対する不安の中で自信を喪失し、国民の間には閉塞感が充満しておりました。しかし、二十一世紀は、こうした状況からいち早く脱却し、国民一人一人が夢と希望を持って生きられる「希望の世紀」にしなければなりません。そのためには、個人も企業も多様な選択肢のもとで、自由濶達に活動できる社会を実現するとともに、先導的、創造的な研究開発を推進することによって、輝かしい未来を切り開かなければなりません。
 健全で活気にあふれた経済は、「希望の世紀」実現のためには不可欠であります。このため、経済の新生に向けて全力を注いでまいります。(拍手)
 我が国の経済は、緩やかな改善を続けておりますが、依然として厳しい状況にあり、また、米国経済の減速など、懸念すべき点も見られます。こうした中で、引き続き、景気に軸足を置いて、経済を一日も早く本格的な回復軌道に乗せることが最重要課題であると考えており、まずは、昨年十月に決定した日本新生のための新発展政策を着実に実行に移し、今年度の補正予算の迅速的確な執行に努めてまいります。
 さらに、平成十三年度予算編成に当たっては、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行うとの観点から、公共事業等に十分な対応を行うとともに、総額七千億円の日本新生特別枠を初め、IT革命の推進など二十一世紀の新たな発展基盤の構築に必要とされる分野に重点的、効率的に資金を配分することとし、新世紀のスタートにふさわしい予算といたしました。税制面では、企業組織再編成に係る税制を整備するほか、住宅投資及び中小企業の設備投資の促進などを図ることにいたしております。
 こうした我が国経済を新たなる発展へと飛躍させる取り組みとともに、主要先進国の中でとりわけ厳しい状況にある我が国の財政について、将来にわたって持続可能な仕組みをつくり上げる準備として、平成十三年度予算においては、公共事業の抜本的見直しや中央省庁再編による施策の融合化と効率化を図る等、財政の効率化と質的改善を図りつつ、国債の新規発行額を減少させたところであります。
 さらに、我が国経済を自律的回復軌道に乗せつつ、財政構造改革について、その実現に向けて議論を進めてまいります。その際には、新世紀における我が国の経済、社会のあり方を展望し、望ましい税制の構築や社会保障制度改革、中央と地方との関係まで幅広く視野に入れる必要があると考えております。
 今般の中央省庁再編において、有識者の参加を得て、内閣府に経済財政諮問会議を設置しました。景気を着実な自律的回復軌道に乗せるための経済財政運営とともに、財政を含む我が国の経済社会全体の構造改革に向けた諸課題について、具体的な政策を主導するとの決意を持って、実質的かつ包括的な検討を行うことといたしております。会議では、マクロ経済モデル等も活用し、中長期的な経済社会全体の姿を展望しつつ議論を行い、国民が安心と希望を持てる処方せんを示してまいります。
 私は、我が国には大きな潜在力があると考えております。企業の創造的な経済活動を促進し、新規産業を創出することなどにより、停滞と閉塞を打破し、日本経済の新たな成長と発展を実現するため、経済構造改革に果敢に取り組んでまいります。産業新生会議での議論を通じて策定した行動計画にのっとり、株主総会のIT化などに向けた会社法制の抜本的な見直し、雇用システム改革など、我が国の産業競争力を向上させるために不可欠な措置について強力に推進し、力強い成長と活力にあふれた経済社会を現実のものとしていく考えであります。(拍手)
 雇用システム改革については、円滑な労働移動を実現し、個人の主体的な能力開発を促進する観点から、現行の雇用対策の総合的な見直しを行い、今国会に、離職を余儀なくされる労働者に対する在職中からの計画的な再就職支援の促進、職業能力評価制度の整備等を図るための法案を提出いたします。
 日本経済がその潜在力を発揮するためには、金融システムの一層の安定化と金融仲介機能の強化を図り、我が国金融システムに対する内外の信頼をより強固なものとすることが不可欠であります。各金融機関においては、不良債権に対する適切な手当てを行っており、金融機関の健全性について、かつてのような問題があるわけではありません。政府としては、平成十四年四月のペイオフ解禁を控え、引き続き、金融機関に対する検査、監督等金融システムの安定化に万全を期するとともに、借り手である産業の構造改革等を同時に進めるための環境整備を図ることにより、不良債権問題を抜本的に解決し、健全な中小企業や次代を担う新規産業等に対する円滑な資金供与を可能とする金融の再構築を図るなど、一層の努力をしてまいります。
 IT革命の推進は、二十一世紀における我が国の発展、そして「希望の世紀」の実現のかぎとなるものであります。先般、IT基本法に基づいて設置されました高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部において、我が国の官民が総力を挙げて取り組むべき国家戦略であるe―Japan戦略を決定したところであります。今後は、具体的なアクションプランである重点計画を三月末をめどに策定し、五年以内に世界最先端のIT国家となることを目指し、全力で取り組んでまいります。(拍手)
 ITの利便性を向上させるため、世界最高水準のインターネット網をだれもが必要なときに低廉な料金で利用できるよう、光ファイバー網を初めとする超高速ネットワークインフラの整備を推進するとともに、競争による通信料金の一層の低廉化等のため、支配的事業者制度の導入を初めとする電気通信分野の新たな政策を樹立してまいります。あわせて、放送のデジタル化を推進するとともに、通信・放送融合サービスの健全な発展を促す政策を展開してまいります。
 だれもが安心して参加できる制度基盤と市場ルールを整備するため、電子商取引の特質に応じた新たなルールを定めるとともに、個人情報の取り扱いに関する基本原則、取扱事業者の義務等を定める個人情報の保護のための法律案を提出いたします。さらに、セキュリティー確保のための技術開発や安全性、信頼性確保策を推進し、ハイテク犯罪への対応を含め、情報セキュリティー対策を強力に推進してまいります。
 電子政府については、国民との間の約一万件の行政手続を原則として平成十五年度までのできるだけ早期にインターネットで行えるようにするなど、積極的に取り組んでまいります。
 科学技術は尽きることのない知的資源であり、その振興は、「希望の世紀」実現に向けた未来への先行投資と言えるものであります。このため、内閣府に総合科学技術会議を設置したところであり、有識者の意見を伺いつつ、二十一世紀における我が国の科学技術振興の基本となる総合戦略を策定してまいります。三月までに科学技術基本計画を策定し、科学技術創造立国の実現に向け、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料等、我が国の新生に貢献する研究開発を重点的に推進いたします。同時に、研究開発システムの改革や科学技術振興のための基盤の整備も進めてまいります。
 二十一世紀の我が国の力強い発展は、豊かな個性と創造性を持ち、さまざまな可能性に果敢に挑戦していく人が存分にその力を発揮できるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。二十一世紀は、まさに「人間の世紀」と言えます。
 「人間の世紀」実現のためには、教育の新生を推進し、人間性、創造性に富んだ人づくりに取り組むとともに、社会保障の新生を着実に進め、だれもが生活に対する不安を持つことなく、さまざまな活動に取り組むことができる社会を実現していかなければなりません。
 教育にとっても、二十世紀は二つの側面を持っておりました。成績を重視した教育制度は、国全体の平均レベルを向上させ、経済の発展、物質的豊かさの実現に大きく貢献しました。他方、最近、青少年による不幸な事件が相次いでおりますが、自分で考える力を身につけ、善悪をわきまえる心や命の大切さなどを学ぶという点では、教育は、必ずしも十分な役割を果たすことができませんでした。私は、心の豊かな美しい国家を築くため、その礎となる教育の新生に全力で取り組んでまいります。(拍手)
 教育改革国民会議の最終報告では、人間性豊かな日本人の育成、一人一人の才能を伸ばし、創造性に富む人間の育成、新しい学校づくり、教育施策の総合的推進のための教育振興基本計画の策定、新しい時代にふさわしい教育基本法の見直しなど、教育各般にわたる御提言をいただきました。
 私は、この国会において、まず、子供一人一人、国民一人一人が、学校がよくなる、教育が変わるという実感が持てるような本格的な教育改革に取り組んでまいります。
 具体的には、基礎学力の向上ときめ細かな指導のための少人数指導等の実施、教員として十分な適格性を有しない者の教員以外の職への円滑な異動、授業妨害やいじめへのきちんとした対応、家庭教育の充実、奉仕活動や体験活動の促進、教育委員会の活性化、子供たちの体験活動や読書などを振興する子どもゆめ基金の創設、大学改革の推進など、直ちに取り組むべき改革を実行するため、学校教育法や公立学校の学級編制、教職員定数の標準などに関する法律の改正など、一連の教育改革関連法案を提出してまいります。
 教育基本法の見直しについては、教育改革国民会議の最終報告において、新しい時代の教育基本法を考える際の観点として、新しい時代を生きる日本人の育成、伝統、文化など次代に継承すべきものの尊重、教育振興基本計画の策定等を規定することの三点が示されたところであります。これを踏まえ、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んで成果を得てまいります。(拍手)
 社会保障制度は、老齢期を迎え、また、疾病、失業などの人生の困難に直面したときに社会全体で支え合う仕組みとして、国民の安心や社会経済の安定に欠かせないものとなっております。今世紀、我が国は世界でも類を見ない急速な少子高齢化に直面し、経済の伸びを大きく上回って社会保障の給付と負担が増大することが見込まれておりますが、このような中にあって、持続可能な社会保障制度を再構築し、後代に継承していくことは、我々に課された重要な務めであると考えます。
 昨年十月には、社会保障構造の在り方について考える有識者会議から、二十一世紀の持続可能な社会保障を形づくるための貴重な御提言をいただきました。これを受けて、今般、政府・与党社会保障改革協議会を発足させたところであり、政府・与党連携のもとで、関連する諸制度の検討を含め、総合的、包括的な改革に取り組むことといたしました。今後、本協議会において、改革の理念や基本的な考え方を明らかにする大綱を三月末をめどに取りまとめるとともに、これに基づく具体的推進方策を協議してまいります。そして、国民的な議論のもとで着実に改革を推し進め、自己責任の原則に立った社会保険方式を基本に、将来にわたり持続可能で安定的、効率的な社会保障制度を構築してまいります。
 年金制度については、少子高齢化の進展、高齢期の生活需要の多様化、労働移動の増加など社会経済情勢が大きく変化をいたしており、公的年金を土台としつつ、国民の自助努力を支援する仕組みを整備することが必要であります。このため、国会で継続審査中の確定拠出年金法案の一日も早い成立をお願いするとともに、企業年金において受給権保護を図るための統一的制度を創設する法案を今国会に提出してまいります。
 近年の急速な少子化の進行は、我が国の経済社会に広く影響を与えることが懸念されており、二十一世紀の我が国が家庭や子育てに夢や希望を持つことができる社会となるよう、政府が一体となって総合的な取り組みを行うことが重要であります。このため、少子化対策推進基本方針等に基づき、育児・介護休業法の改正法案を今国会に提出し、働きながら子供を産み育てやすい雇用環境の整備を進めるとともに、保育所における低年齢児の受け入れ枠の拡大等により保育サービスの充実を図るなど、福祉、雇用、教育、住宅などの幅広い分野にわたる総合的な少子化対策を推進してまいります。
 男女共同参画社会の実現は、我が国社会のあり方を決定する重要課題の一つであり、昨年十二月に決定された男女共同参画基本計画を着実に推進し、一層の努力を継続してまいります。また、新たに設置された男女共同参画会議において、仕事と子育ての両立支援策について早急に取りまとめ、子供を産むというとうとい役割を果たす女性が社会で活躍できる可能性を広げ、女性にとっても男性にとっても、家庭と仕事が両立し、安心して子育てができる社会を築いてまいります。(拍手)
 「人間の世紀」を支えるためには、便利で暮らしに楽しさがある都市づくりを目指すことは極めて重要であります。国境を越えた都市間競争の時代を迎えた今、世界に誇れる都市づくりを国家的課題として明確に位置づけ、官民の力を結集して、生き生きとした都市生活や経済活動を支える都市基盤を整備してまいります。特に、大規模な工場跡地を活用した拠点づくりや、町の中心となるターミナル駅などの交通結節点の総合的整備など、魅力的な都市拠点の創造に努めてまいります。また、高齢者が安心して生活できる居住環境を実現するため、高齢者の居住安定確保に関する法律案を提出するとともに、生活空間、公共交通機関のバリアフリー化を推進してまいります。
 食料の安定供給の機能や国土、自然環境の保全等の多面的な機能を有している我が国農林水産業と農山漁村について、食料自給率の向上等を目指し、その健全な発展に取り組んでまいります。また、今国会に、森林の多様な機能の持続的な発揮を図ることを基本理念とする林業基本法改正案と、水産資源の適切な保存管理と持続的利用を基本とした新たな水産政策を構築していくための水産基本法を提出することといたしております。
 二十一世紀の幕あけに当たり、我が国経済社会の展望を開き、国民本位の行政を確立していく上で、政府の新生を初めとする行政改革は何としても果たさなければならない重要課題であります。国民から信頼される行政を実現し、「信頼の世紀」とできるよう最大限の努力をしてまいります。
 中央省庁改革については、橋本内閣以来、内閣の最重要課題の一つと位置づけ、精力的に取り組んでまいりましたが、一月六日、いよいよ新たな府省体制が発足いたしました。この改革は、国民の立場に立った総合的、機動的かつ透明な行政を目指し、二十一世紀の我が国にふさわしい行政を構築する歴史的な改革であり、改革のメリットを国民にとって確かなものとするように、全力を挙げて新たな体制に魂を吹き込んでまいります。(拍手)
 昨年十二月に決定いたしました行政改革大綱は、まさに二十一世紀の行政のあり方を示す指針であり、平成十七年までを集中改革期間として、特殊法人、公務員を初めとする行政制度や組織の改革のみならず、規制改革や地方分権の推進など、我が国の行政の構造に踏み込んだ本格的な改革を進めてまいります。このため、先般、新たな行政改革推進本部を設置するとともに、行政改革担当大臣のもと、内閣官房に事務局を発足させたところであります。
 公務員制度改革につきましては、三月までに大枠を示し、六月中には基本設計について成案を得て、秋以降、法制化を含む具体的な作業に入るというスケジュールで進めてまいります。特殊法人等改革及び公益法人改革については、平成十三年度中に整理合理化計画を策定することを目指して、できるだけ見直しのスピードを速め、早期に改革の方向性を明らかにしてまいります。
 規制改革につきましては、IT、医療・福祉、雇用・労働、教育、環境などの各分野に積極的に取り組むとともに、競争政策の積極的展開を図るため、平成十三年度を初年度とする新たな規制改革推進三カ年計画を三月までに策定いたします。
 また、この計画の実施状況を監視するとともに、経済社会の構造改革の視点も含めて幅広く規制改革を推進していくため、民間人を主体とする新たな審議機関を内閣府に設置することについて検討し、三月末までに具体的成案を得てまいります。
 国民本位の効率的で質の高い行政の実現のために、全府省において政策評価制度を着実に実施するとともに、その実効性を高め、これに対する国民の信頼を一層向上させるため、所要の法律案を今国会に提出いたします。
 地方分権の推進につきましては、今後とも、国と地方の役割分担に応じた地方税財源の充実確保や国庫補助負担金の整理合理化等、さらなる推進に強い決意で取り組むとともに、市町村合併の推進など、新たな役割を担うにふさわしい行政体制のあり方の問題についても真正面から取り組んでまいります。(拍手)
 司法制度改革については、我が国が透明なルールと自己責任の原則に貫かれた事後監視・救済型社会への転換を図り、大いなる発展を遂げていくために不可欠であり、国民的議論の動向や司法制度改革審議会における調査審議の状況を踏まえつつ推進してまいります。また、民事、刑事の基本法制の集中的整備についても、直ちに所要の体制を整えるなどして、断固たる決意で取り組んでまいります。(拍手)
 二十一世紀は、あらゆる活動のボーダーレス化が進展し、ますますグローバルな視点が要求される「地球の世紀」になると予想されます。「地球の世紀」を迎え、外交の新生を図り、我が国の主体性を発揮し、国際的に貢献していかなければなりません。
 二十一世紀を迎えた今、日本外交に求められているものは、日本が平和と繁栄という恩恵を最大限に享受してきた国際的なシステムをみずから支えていこうとする責任感とリーダーシップであります。
 二十世紀後半、我が国は、先進民主主義国家として、また、世界第二位の経済大国として生まれ変わりました。軍事大国たることを放棄し、資源に恵まれない我が国が二十一世紀にさらなる発展を実現するためには、国連憲章や多角的自由貿易体制を基礎とする国際的なシステムが効果的に機能することが必要であります。我が国は、新世紀の国際協調の波頭に立って、安保理改革を初めとする国連システムの強化や、WTO新ラウンドの本年中の立ち上げに全力を尽くし、普遍的な価値観やルールの創設、強化に努めなければなりません。
 私は、国際的な協調行動を導く日本外交の理念として、人間の安全保障を掲げました。人間の安全保障は、この地球にともに住む人間一人一人の生存、安寧、尊厳の確保を目的とするものであります。貿易、開発、環境など、さまざまな分野で地球的規模の取り組みが必要であります。
 私は、また、九州・沖縄サミットの議長として、他の首脳とともに英知を絞った具体的諸施策を着実に実施してまいります。
 ITが人類を繁栄と貧困の間で分断してしまわないように、ITに関する包括的協力策を着実に実施するとともに、人間の安全保障に対する直接の脅威となっている感染症問題に対し、国際的な取り組みの一層の強化に努めてまいります。さらに、グローバリゼーションによる繁栄の果実をより多くの人々とともに分かち合い、市場経済や多角的自由貿易体制に対する信頼を堅持するため、我が国の重要な外交手段である政府開発援助をさらに効果的、効率的に活用してまいります。
 我が国の外交は、自由、民主主義、人権、市場経済という普遍的な価値観のもとで、アジア太平洋地域の平和と繁栄を確保することを引き続き優先課題としなければなりません。
 二十一世紀前半のアジア太平洋地域における日本外交の基本戦略は、日米同盟関係を基軸として、隣国韓国と堅固な友好のきずなを強化し、中国及びロシアとの間に信頼に基づく協調関係を構築することによって、アジア太平洋地域における安定の枠組みを堅持することにあります。
 その中で、北東アジア地域の平和と安定に資するよう、韓米両国と密接に協調して、対北朝鮮政策に取り組んでいかなければなりません。また、APEC、ARF、ASEANプラス3などの重層的な地域の対話と協力を推進し、自由で民主的で安定し繁栄する強靱なアジア太平洋圏の創出を目指さなければなりません。
 同盟国たる米国との関係については、ブッシュ新政権との間に早期に確固たる信頼関係を構築してまいります。そのためにも、日米間の戦略対話を強化し、日米安保体制の信頼性を向上させていくとともに、日米両国がともに繁栄を享受し得るような新しい経済関係の枠組みを探求していきたいと考えます。
 また、今後とも、沖縄の特性を生かした振興開発の推進に努めていくとともに、沖縄県民の負担を軽減すべく、引き続き、SACO最終報告の着実な実施に全力で取り組みます。特に、普天間飛行場の移設、返還については、沖縄県及び地元地方公共団体との代替施設協議会等において、できるだけ早く成案を得るべく努力してまいります。(拍手)
 二十一世紀のアジア太平洋地域の平和と繁栄のため、中国との間で相互に協力し合う安定的な協調関係を構築していかなければなりません。このため、私は、平和と発展のための友好協力パートナーシップを基礎に、新しい世代のために、地域及び世界における日中両国の協力関係の深化と拡大に邁進してまいります。
 朝鮮半島では、昨年、金大中大統領の英断のもとで、緊張緩和に向けて一連の動きがありました。
 私は、我が国にとって最も近く、かつ重要な地域である朝鮮半島に真の平和と和解がもたらされるように積極的に努力してまいります。そのため、まず、韓国との緊密で強力な関係を堅持し、韓米両国と密接に連携して、日朝国交正常化交渉の新たなページをめくりたいと考えておるのであります。
 北朝鮮との人道的問題及び安全保障上の問題については、対話を進める中で、解決に向けて全力を傾けてまいります。(拍手)
 最後に、ロシアとの間では、戦略的、地政学的提携、幅広い経済的協力、平和条約の締結という三つの課題を同時に前進させることが重要であります。
 平和条約交渉については、プーチン大統領との信頼関係に立ちつつ、北方四島の帰属の問題を解決する平和条約の締結に向け、日ロ双方が全力を尽くして努力することが必要と考えております。
 国民の生命財産を守るのは、政治の崇高な使命であります。我が国の防衛については、防衛計画の大綱のもと、昨年末に策定された新中期防衛力整備計画に従い、節度ある防衛力の整備に努めます。特に、IT革命への対応、災害派遣能力の充実強化等に留意してまいります。有事法制は、自衛隊が文民統制のもとで、国家、国民の安全を確保するために必要であります。昨年の与党の考え方を十分に受けとめて、検討を開始してまいります。(拍手)
 「地球の世紀」たる二十一世紀において、国民が真に豊かで安心できる暮らしを実現していく上で、その基盤となる恵み豊かな環境を守り、我々の子孫に引き継いでいくことは、我が国のみならず世界においても最も重要な課題の一つであります。地球温暖化問題については、二〇〇二年までの京都議定書発効を目指し、本年開催が予定されておりますCOP6再会合に向け、最大限努力するとともに、国際交渉の進捗状況も踏まえつつ、国民の理解と協力を得て、温室効果ガスの六%削減目標を達成するための国内制度に総力で取り組んでまいります。さらに、大量生産、大量消費、大量廃棄という経済社会のあり方から脱却するため、循環型社会の構築に向け、関連する法律の施行を通じ、具体的な取り組みを進めてまいります。これらの課題を着実に解決し、二十一世紀において地球との共生を実現してまいります。(拍手)
 新世紀を迎えた今、国政のかじ取りを担う責任の重さを痛切に感じております。
 新しい世紀を希望に満ちあふれたものにするためには、最初の十年が極めて重要であると考えます。古い殻を破り、大きく羽ばたくためには、乗り越えなければならない痛みや苦しみがあります。安住してきた古い慣習を断ち切り、未知なる未来へと飛び出すには、強い勇気が必要であります。
 しかし、もうちゅうちょしたり、先送りすることは許されません。
 私は、自由民主党、公明党、保守党三党の結束のもとで、協力して政治の安定を図り、確固たる意志と強い情熱を持って、二十一世紀最初の十年を、今後百年の大計を律する十年と位置づけ、その最初の年となる本年、より一層気を引き締めて、この国の改革に臨んでいく決意であります。(拍手)
  私たちは ひとつの海の いくつかのしずく
  私たちは ひとつの大洋の いくつかの波
  ともに探そう 協調への道
  それが あなたと私の生きる道
(発言する者あり)厳しく悲惨な生活を強いられているケニアの難民キャンプに住む子供たちが私のために歌ってくれた歌であります。笑って済ませる歌ではありません。
 この平和への願いと、子供たちの希望に輝いた目は、世界のどの国でも同じです。厳しい改革の先にある、豊かな環境に恵まれた平和な日本、そして世界をしっかりと見据え、国民の皆様の声に耳を傾け、国民の皆様とともにこの国をつくっていきたいと考えております。
 国民の皆様並びに議員各位の御理解と御協力を心からお願いを申し上げて、私の施政に関する演説を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(綿貫民輔君) 外務大臣河野洋平君。
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#17
○国務大臣(河野洋平君) 第百五十一回国会の開会に当たり、我が国外交の基本方針について所信を申し述べます。
 冒頭、まず申し上げなければならないのは、今回の外務省内におきます公金横領問題であります。
 本件については、先般、省内で調査を行った結果、松尾克俊前要人外国訪問支援室長が公金を横領し、私的目的に使用した明白な疑いがあることが判明をしたため、同人を警視庁に対し告発をいたしました。
 問題となっている公金の管理を六年近くの長きにわたり一人の人間に任せ、組織としてのチェック体制に不備があったため、問題の発生を未然に防げなかったことについては、外務省の責任を痛感いたしております。ここに改めて、国民の皆様の信頼を傷つけたことに心からおわびを申し上げます。
 今後はこうしたことが二度と起こらないよう、既に要人外国訪問支援室を廃止し、同業務を大臣官房総務課長の責任のもとで行うといった再発防止のための抜本的改善策を講じつつあるところであります。さらに、この関連での金銭の出納に関しては、二重、三重の監査体制を導入することを検討いたしております。今後は、事件の捜査に対して外務省としても全面的に協力するとともに、外務省の調査委員会に対し、継続して必要な内部調査を行うよう指示する考えであります。
 私としては、今回の事件に対する厳しい反省に立ち、襟を正して真相究明と抜本的な再発防止に取り組むことによって、外交に対する国民の信頼を回復するよう全力を尽くす所存であります。
 新世紀の初めに当たることしは、サンフランシスコ講和会議からちょうど五十周年目の節目に当たっております。
 戦後、我が国は、日本国憲法のもと、アメリカとの協力関係を基軸にし、国際協調路線を歩んでまいりました。また、我が国は、自由、民主主義、基本的人権の尊重といった、人類が歴史の中でかち取ってきた価値を国の基本に据えてまいりました。このような方針のもと、国づくりに努めた結果、経済面では、欧米先進国に肩を並べる繁栄を実現し、国際政治においては、主要国首脳会議のメンバーとして世界の政治、経済に大きな責任を担うこととなりました。
 私は、今日の我が国のこのような国際的地位の基礎を築かれた先輩世代の御努力、特に、額に汗して必死に頑張ってこられた勤勉な市井の方々、あるいは戦場において犠牲を払われた方々に心から敬意を表したいと存じます。私は、戦後の残された問題の解決も含め、全力を挙げて日本国民の利益と名誉を守っていく決意を改めて表明したいと存じます。
 また、我が国は、平和外交を掲げる経済大国として、経済協力を重視し、さらに、欧米ではない先進民主主義国家として、途上国に対し民主主義的価値を訴えかけるとともに、同時に、異なった民族、宗教間で文明間の対話を推進すべき位置を占めております。
 今日の我が国の平和と繁栄は、近隣諸国との強い信頼の上にこそ築かれるものであり、これら諸国との友好関係を一層強固なものとすることが我が国外交の第一の柱であります。
 自由、民主主義といった価値を共有する日米の緊密な関係は、アジア太平洋地域の平和と安定に大きな役割を果たしてきました。我が国としては、日米同盟関係の強化に積極的なアメリカ新政権との間で、あらゆる問題について十分な政策対話を行ってまいります。
 そのためにも、先般私はアメリカを訪問し、パウエル国務長官、ライス大統領補佐官と会談をし、日米同盟関係の重要性を確認するとともに、政治、安全保障、経済の分野、さらにはグローバルな課題につき、日米両国が緊密な対話を行い、密接に協力していくことで意見が一致いたしました。
 また、沖縄の米軍施設・区域の問題についても、パウエル国務長官と話し合いましたが、引き続き、普天間飛行場の移設、返還を初めとするSACO最終報告の着実な実施に取り組むなど、沖縄県の方々が我が国全体の平和と安全のために背負っておられる多大な御負担を軽減していくため、誠心誠意努力をしてまいります。
 二十一世紀の東アジアで、中国の存在はますます注目を集めることになると思われます。日中両国が安定した友好協力関係を構築、発展させることは、それ自体、アジア太平洋地域、ひいては世界の平和と発展への大きな貢献につながります。このため、お互いに歴史を踏まえつつ、主張すべきは主張し、相互理解と相互信頼を一層発展させていきたいと考えます。また、中国がさらなる改革を進め、中国国民の生活が向上し、社会が安定することは、この地域の平和と繁栄にとり不可欠な要素であります。このような観点から、我が国は、過去二十年余り、中国に対する政府開発援助を実施してまいりました。今後は、両国をめぐる経済社会状況などの変化を踏まえ、国民の理解と支持を得て、重要課題、分野をより明確にした支援を実施していく考えであります。
 日韓の友好協力関係は近年一段と強化され、今や日本外交の重要な財産となっています。今後とも、政府間の協力を強化し、幅広く両国民の交流を促進し、決して歴史を忘れず、日韓両国間の信頼のきずなを強固なものとするよう、不断の努力を傾けてまいります。
 また、日本外交には、戦後の半世紀、積み残されてきた課題として、日朝国交正常化交渉及び日ロ平和条約交渉があります。私は、これらの問題に取り組むことが自分自身の重大な責務であると考えております。
 北朝鮮は、最近になって国際社会との接触を急速に深めており、昨年の南北首脳会談の実現など、朝鮮半島をめぐって、これまでになかった大きな動きが見られました。我が国としても、第二次世界大戦後の正常でない日朝関係を正すことが極めて重要であると考えています。今後とも、韓米両国と緊密に連携し、北東アジアの平和と安定に資する形で、日朝国交正常化交渉に粘り強く取り組んでまいります。また、そのような対話を通じて、日朝間に存在するさまざまな人道問題や安全保障問題についても、解決に向け進展を見られるよう、全力を傾ける考えであります。
 ロシアとの間では、私は、最近、イワノフ外務大臣との間で平和条約締結問題を中心に率直な意見交換を行いました。今後とも、北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結するとの一貫した方針のもと、交渉を進めてまいります。
 我が国としては、さらに、ASEAN地域フォーラム、アジア太平洋経済協力、ASEANプラス3、日中韓などの枠組みを重層的に発展させ、二十一世紀における東アジアの平和と繁栄を確固たるものにしていく決意であります。
 第二に、軍縮・不拡散を中心とするグローバルな平和への取り組みであります。軍縮・不拡散こそは、日本が国際社会の協調を主導すべき分野であり、この問題に果敢に取り組むことが私の使命と考えております。
 二十一世紀に入っても、広島と長崎の惨禍の記憶を風化させてはなりません。我が国は、核兵器及びミサイルの拡散に歯どめをかけ、これを削減するため、積極的にイニシアチブを発揮していく考えであります。特に、核のない世界の実現のため、昨年秋に我が国が国連総会に提出し、圧倒的多数をもって採択された核兵器の全面的廃絶への道程決議で示されている核軍縮・不拡散に関する現実的措置の実現に向けて、積極的に取り組んでまいります。
 二十一世紀の国際社会の平和と安定の実現のためには、紛争予防が重要な課題であります。昨年の宮崎G8外相会合を取り組みの第一歩として、今後とも地道な努力を積み重ねていくことが肝要であります。特に、多くの地域紛争において主要武器として使用されている小型武器については、その回収、廃棄及び非合法取引の防止を含む対策がとられるよう、本年七月の国連会議に向けて努力をしていくべきであります。また、紛争の当事国のみならず、紛争により多大な影響を受ける周辺国に対しても十分な支援と協力を行っていくことが重要です。
 紛争予防との関連で申し上げれば、中東和平については、当事者双方が和平実現に向けて取り組みを強めることが重要であります。我が国としても、アメリカを初めとする国際社会と協調しつつ、積極的に関係国への働きかけなどの和平支援を行っていく考えであります。
 このような国際社会にあって、唯一の普遍的、包括的機関である国連が、ますます多様化、複雑化する国際社会の課題に対応できるよう、安保理改革を含む国連の体制強化が必要であります。我が国は、安保理において我が国の能力と経験を生かすために、常任理事国となって一層の責任を果たしたいと考えております。
 第三に、世界の繁栄に向けた取り組みであります。
 多角的な自由貿易体制の強化のために、WTOにおいて各国の幅広い関心に対応する新ラウンドを本年開始するべく、アメリカ、EUなどの先進国のみならず、途上国とともに最大限の努力をいたします。
 地球温暖化問題につきましては、先般のCOP6では合意に至りませんでしたが、建設的な形で早期に国際的合意が形成されるよう、引き続き努力を続けます。
 次に、経済協力について申し上げます。
 途上国に対する支援は、まず第一に、貧困や飢餓に見舞われている人々に手を差し伸べるという人道的な目的があります。また、冷戦終えん後も多発する民族・宗教紛争も、その背後には貧困や経済格差の問題がある場合が多く、途上国支援は国際平和を実現するための最も現実的な方策であります。同時に、途上国の経済発展は市場を育てるという側面があり、長い目で見れば日本企業、日本国民にとっても利益になる政策であります。事実、我が国の援助の多くが向けられた東アジアは安定と繁栄を享受し、我が国の努力に対しては高い評価が与えられております。
 政府としては、極めて厳しい経済財政状況のもと、ODAの実施に当たっては、国際社会で我が国が果たすべき役割とともに、我が国の国益という観点をも忘れることなく、国民の皆様のより一層の御理解と御支持を得て、引き続き効果的、効率的な実施に努めていく考えであります。
 アフリカなどの開発途上国に見られるように、貧困や情報格差、感染症などの問題は、二十一世紀の国際社会の直面する重要な課題であります。我が国としては、人間の安全保障の視点からも、九州・沖縄サミットにおいて表明したIT、感染症対策の支援策などを着実に実施してまいります。
 長期的視野に立った人と人、国と国との間の信頼関係の構築には、他国の人々が築き上げてきた文化や歴史への深い敬意と、お互いの差異を積極的に受けとめ尊重する心を持ちながら、共通の価値を見出し、国民の間での相互理解への道を切り開く努力が必要であります。世界の平和を考える上でも、例えば異なる宗教や民族間の対話を深めることは、貧困の克服と並んで極めて重要な課題であると考えます。
 私は、第四の取り組みとして、文化外交を展開し、異なる文明の間の対話を促進してまいります。とりわけ、本年は文明間の対話国連年でもあり、私は、文明間の対話のための新たな施策を展開して、この問題にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 二〇〇二年の日韓国民交流年、日中国交正常化三十周年、あるいは南西アジア諸国との外交関係樹立五十周年などの記念交流事業は、私たち一人一人がより深くアジアを知ろうとするときに、極めて意義深いと思います。豊かな文化的接触は、平和で活力ある人類社会の構築に向けた推進力であり、我が国としても、そのための場を積極的に提供してまいります。中でも、私は、世界のあすを担う青年層の交流や草の根の交流に一層力を注いでまいります。
 先般、私は、湾岸諸国を訪問し、文明間の対話の促進などを訴え、ともすれば原油の輸出入に関係の重点が置かれがちであった湾岸諸国との間で、重層的な関係を築いていく必要性を強調してまいりました。また、引き続き訪問したスウェーデンにおきましては、本年からの日欧協力の十年開始に当たり、EUとの政治対話、協力の強化を含む関係強化のための具体策などにつきまして、ことしの議長国スウェーデンの外相、そしてEUの共通外交・安全保障政策上級代表などと忌憚のない意見交換を行ってまいりました。
 我々は、二十一世紀に生まれてくる子供たちに、平和で安定し、豊かな世界を引き継ぐという重大な責務を負っております。そのため、戦後の外交路線をしっかりと継承するとともに、新しい時代に対応した外交を力強く展開してまいりたいと存じます。また、重要性を増している市民社会の自発的な行動とも引き続き建設的な連携関係を築いてまいりたいと思います。新世紀の日本外交に国民の皆様と御臨席の議員各位の御支援と御協力を心からお願いを申し上げる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(綿貫民輔君) 財務大臣宮澤喜一君。
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#19
○国務大臣(宮澤喜一君) 平成十三年度予算の御審議に当たりまして、今後の財政政策等の基本的な考え方について所信を申し上げますとともに、予算の大要を御説明いたします。
 我が国は、戦後半世紀の間に敗戦の荒涼からの復興と高度成長をなし遂げ、世界経済におけるその地位を築き上げましたが、二十世紀末に至りまして、内外情勢の大きな変化に直面することとなりました。すなわち、バブル経済の崩壊及びその後の景気の長期的な低迷により、それまでの右肩上がりの経済は変容を余儀なくされ、また、少子高齢化の進展、経済のグローバル化やソフト化、情報化といった構造変化も急速に進んでおります。
 このような状況のもと、我が国経済社会が、新しく迎えた二十一世紀において安定的に発展するためには、まず我が国経済を自律的回復軌道に乗せることが重要でありますが、同時に、我が国経済社会の抱える構造的諸課題に対処していくことが求められております。
 このような努力を通じ、我々は二十一世紀における我が国の繁栄を築いていかなければならないと考えておりまして、今後の財政政策等の運営に当たっては、以下に申し述べます諸課題に、全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 第一の課題は、二十一世紀の新たな発展基盤を構築しつつ、景気を自律的回復軌道に乗せることであります。
 我が国経済の現状を見ますと、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが継続し、全体としては緩やかな改善が続いております。しかしながら、依然として雇用情勢は厳しく、個人消費もおおむね横ばいの状態が続いておりまして、公需から民需への円滑なバトンタッチに万全を尽くす必要がございます。
 こうした認識のもとに、まずは、さきの国会において成立いたしました平成十二年度補正予算の円滑かつ着実な執行に努めております。
 また、平成十三年度予算におきまして、総額七千億円の日本新生特別枠を活用し、IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備の四つの分野を中心に、我が国の新たな発展基盤の構築に資する施策に重点的な予算配分を行いつつ、公共事業につきましては、平成十一年度以降三年連続となる高い水準の公共事業関係費を確保いたしますとともに、公共事業等予備費三千億円を計上するなど、自律的な景気回復の実現に向けて十分な対応を行うことといたしました。
 税制につきましては、我が国企業の経営環境の変化を踏まえ、企業組織再編成にかかわる税制を整備するほか、景気回復に配慮して、新たな住宅ローン減税制度を創設するとともに、中小企業投資促進税制を継続するなどの措置を講じております。また、株式等の譲渡益についての申告分離課税への一本化を二年延期するほか、電子計算機の耐用年数の見直しや、特定非営利活動法人を支援するための措置等を講ずることといたしております。
 なお、一昨年から実施しております個人所得課税及び法人課税の減税は、景気の改善に寄与しているものと考えております。
 第二の課題は、財政の効率化と質的改善を進めることであります。
 平成十三年度予算におきましては、厳しさを増している財政状況にかんがみ、財政の効率化と質的改善を図るため、次のような措置を講じたところであります。まず、公共事業につきまして、個々の事業の徹底した見直しにより、投資効率の乏しい事業を中止いたしました。また、地方財政対策において、新たに特例地方債を発行し、あわせて交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入額を増額するなどの制度改正を行うことによりまして、国、地方を通ずる財政のさらなる透明化を推進することといたしました。さらに、中央省庁等の改革を機に、施策の融合化と連携を図る等の取り組みを行ったところであります。
 また、公債発行額につきましては、一方で、金融破綻への備えのための国債の償還費の手当てを行う必要がなくなったという減の要因がございますが、他方で、ただいま申し述べました地方財政対策に伴う増の要因がございます。このような状況のもとで、可能な限りの縮減を図ることといたしました。
 これらの結果、平成十三年度の公債発行額は、前年度当初予算より四兆二千九百二十億円減額をいたしました。また、公債依存度は、四・一ポイント減少して三四・三%となる見込みであります。
 しかしながら、平成十三年度末の国、地方の長期債務残高が六百六十六兆円に達する見込みであるなど、我が国財政は依然として極めて厳しい状況にあり、今後、我が国が安定的に発展するためには、財政構造改革は必ずなし遂げなければならない課題であります。
 財政構造改革に当たっては、あるべき経済社会の姿を展望しつつ、望ましい税制の構築や、社会保障制度改革、中央と地方との関係まで幅広く視野に入れて議論していく必要があると考えております。今後、経済財政諮問会議などの場において、ただいま申し述べました問題意識も念頭に置いて、経済、財政の構造改革に向けた諸課題について検討を行ってまいります。
 第三の課題は、世界経済の安定的発展に貢献することであります。
 経済のグローバル化が進む中で、自由かつ公正な国際経済社会の実現やその安定的発展に向けて、世界経済の中で大きな地位を占める我が国が主体的な役割を果たすことが求められていることは論をまちません。アジア通貨危機の経験から、我が国がアジア地域との連携を強化し、その経済安定に積極的に寄与していく必要性も一層高まっております。このような認識のもと、国際通貨システムの安定に取り組むとともに、昨年五月にASEAN諸国及び日本、中国、韓国の財務大臣間で合意されましたチェンマイ・イニシアチブの推進など、アジアにおける地域協力の一層の強化に努力をしてまいります。
 また、多角的自由貿易体制の維持強化の観点から、我が国は、WTOにおける新ラウンドの早期立ち上げのため、引き続き努力してまいる所存であります。あわせて、これを補完する観点から、二国間の自由貿易協定にも取り組むことといたしまして、現在、シンガポールとの間で、本年末までの終了を目指して協定交渉を進めております。さらに、平成十三年度関税改正において、開発途上国からの輸入品に対して低い関税率を適用する特恵関税制度の改善等を行うことといたしております。
 次に、今国会に提出しております平成十三年度予算の大要について御説明いたします。
 まず、歳出面については、一般歳出の規模は四十八兆六千五百八十九億円となり、前年度当初予算に対して一・二%の増加となっております。
 国家公務員の定員については、五千九百八十八人に上る行政機関職員の定員の縮減を図ってまいります。補助金についても、その整理合理化を積極的に推進しております。
 一般会計全体の予算規模は八十二兆六千五百二十四億円、前年度当初予算に対して二・七%の減少となっております。
 次に、歳入面について申し上げます。
 租税等については、さきに申し述べました税制改正を織り込み、五十兆七千二百七十億円を見込んでおります。
 公債発行額は、前年度当初予算より四兆二千九百二十億円減額し、二十八兆三千百八十億円となっております。特例公債の発行につきましては、別途所要の法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。
 財政投融資計画については、財政投融資改革の趣旨にのっとり、資金の重点的、効率的な配分を図ることとしたところであり、その規模は三十二兆五千四百七十二億円となり、前年度当初計画に対して一五%の減少となっております。
 次に、主要な経費について申し述べます。
 社会保障関係費については、将来にわたり持続可能で安定的、効率的な社会保障制度の構築に向けた取り組みを行いつつ、メディカル・フロンティア戦略の推進等を図ることとしております。
 公共事業関係費については、効率化と質的改善を進めることとし、具体的には、再評価制度の厳格な適用により、二百七十二件の事業を中止するとともに、IT革命の推進等我が国経済社会の新生に資する施策に対し、最大限の重点化を行っております。
 文教及び科学振興費については、創造的で活力に富んだ国家を目指して、少人数指導の実施等教育改革の推進のための環境整備、高等教育、学術研究の充実、競争的資金の拡充等による科学技術の振興等の施策の推進に努めております。
 防衛関係費については、新たな中期防衛力整備計画の初年度予算として、効率的で節度ある防衛力整備を行うこととしております。
 農林水産関係予算については、新たな基本法に基づく食料・農業・農村基本計画の着実な推進や、林野、水産分野における担い手の確保、育成等に重点を置いた施策の推進等に努めております。
 経済協力費については、さらなる効率化、重点化を促進しつつ、国際社会の安定と発展に貢献するための諸施策を推進しております。
 エネルギー対策費については、地球温暖化問題への対応等総合的なエネルギー対策を着実に進めております。
 中小企業対策費については、IT革命への対応を初め、中小企業者のニーズにきめ細かくこたえる経営支援体制の充実、創業、経営革新等への重点化を図っております。
 地方財政については、財政のさらなる透明化を図る等の観点から、従来の方式にかえ、平成十三年度から三年間新たに特例地方債を発行する等の制度改正を、地方財政対策において行うことといたしました。地方公共団体におかれましても、歳出全般にわたる見直し、合理化、効率化に積極的に取り組まれるよう要請するものであります。
 以上、平成十三年度予算の大要について御説明いたしました。
 国民の皆様の御理解と御協力をいただき、自律的な景気回復の実現に向けて経済運営を行いつつ、新たな時代を迎えた我が国の経済、財政の諸課題に対処していく所存であります。
 関係法律案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いを申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(綿貫民輔君) 国務大臣麻生太郎君。
    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
#21
○国務大臣(麻生太郎君) 経済財政政策担当大臣として、我が国経済の課題と政策運営の基本的考え方について、その所信を申し述べます。
 まず初めに、去る一月六日、今回の中央省庁再編の眼目の一つである経済財政諮問会議が発足したことを御報告申し上げます。この諮問会議は、経済財政政策にかかわる各閣僚に加え、経済の現場の実態や経済に対する深い洞察力を有する有識者を構成員とし、内閣総理大臣を議長として、日本経済全般の運営基本方針、予算編成の基本方針及び財政運営の基本を初めとする経済財政政策に関する重要事項について調査審議し、具体的な建議を行うことなどを主な任務といたしております。政治が責任を持って政策決定をリードし、国民に明確なメッセージを伝え、的確な政策運営を通じて国民の期待にこたえるためには、諮問会議において包括的かつ実質的な検討を行い、その成果を上げていくことが重要であります。私は、この目的のために全力を挙げて取り組んでまいる覚悟であります。(拍手)
 諮問会議にとっての第一の課題は、経済を着実な自律的回復軌道に乗せることであります。このため、現状及び今後の見通しを含めた的確な景気判断が必要であり、それを前提に財政金融政策など経済財政運営のあり方について検討を行っていかなければなりません。また、予算編成に当たりましては、歳出の重点分野、景気との関連など、経済運営の基本的考え方について検討を行い、もって効果的な経済財政政策の実施に寄与することが重要であります。
 第二の課題は、財政も含め経済社会全体をどのような理念に基づきどのような社会に構築していくのか、すなわち、経済社会の構造改革をどう進めていくかということであると考えております。その際、重要なことは、日本経済の潜在的な発展可能性を十分に開花させるための施策と、国民が将来に安心感を持てる経済社会の実現を目指した制度の確立であります。
 その検討に当たっては、国、地方の役割分担、社会保障制度、社会資本整備や税制などさまざまな制度的課題について、中長期的な経済社会全体の姿を描いた上で、マクロ経済のバランスを観点に加え、整合的に検討を進めていくことが必要であります。
 当面、具体的には、中長期的な経済財政の運営に関する議論を進めていく中で、経済や財政に与える影響の大きい社会保障制度の問題など制度的諸課題に関する改革の方向性について取りまとめていかなければならないと考えております。
 これまでの経済運営を振り返ると、我が国経済は、御承知のとおり、平成十年秋にはデフレスパイラルに陥りかねない危機的状況にありました。幸い、同年十一月に決定した緊急経済対策により危機的状況からの脱却には成功し、その後、平成十一年十一月に決定した経済新生対策の推進を通じ、景気回復の一段の推進と経済社会構造の改革の実現に努めてまいりました。さらに、昨年十月、急激な公需の落ち込みを回避し、我が国経済を自律的回復軌道に確実に乗せるとともに、二十一世紀にふさわしい経済社会の構築を目指し、日本新生のための新発展政策を決定し、現在、これを強力に推進しているところであります。
 現在、景気は企業収益や設備投資など企業部門を中心に緩やかな改善を続けております。しかしながら、雇用情勢は改善がおくれており、個人消費もおおむね横ばいで推移するなど、厳しい状況を今なお脱し切れておりません。また、米国経済の減速、株価の下落など、景気の先行きに警戒すべき要素が出てきております。
 政府としては、このような景気の現状認識に立ち、引き続き景気回復に軸足を置いた経済財政運営を行い、日本経済の自律的回復を軌道に乗せていくことを第一の重要課題として取り組んでまいります。
 また同時に、二十一世紀を迎え、情報化、高齢化、グローバル化などが急速に進展する中で、情報通信技術による産業・社会構造の変革、いわゆるIT革命の推進を初めとして、我が国経済を新しい時代にふさわしい構造に改革し、新たなる発展へと飛躍させる取り組みが急務であると認識をいたしております。
 以上のような基本的考え方を踏まえ、政府としては、平成十三年度において、以下に申し上げる三項目を重点項目として経済運営を行ってまいります。
 まず第一は、自律的な景気回復の実現であります。
 日本経済を自律的回復軌道に確実に乗せるため、日本新生のための新発展政策の着実かつ円滑な実施を図るとともに、平成十三年度においては、公共事業は前年度当初予算と同程度の規模を確保し、地方財政にも配慮して、その適切な執行を図ります。また、税制面においては、住宅減税等の措置を講じます。
 また、日本銀行に対しましても、経済の自律的回復を確実なものとするため、金融・為替市場の動向も注意しつつ、豊富で弾力的な資金供給を行うなど、適切かつ機動的に金融政策を運用されるよう要請いたします。
 第二は、時代を先取りした経済構造改革を推進し、中長期的な経済成長力の向上を目指すことであります。
 景気を自律的な回復軌道に乗せ、再び力強い日本経済を創出するためには、短期的な対策のみならず、我が国経済社会の構造改革を大胆に推進していかなければなりません。その際、IT革命の飛躍的推進、環境問題への対応、少子高齢化対策、都市基盤、生活基盤の整備、産業新生のための事業環境整備などに重点を置いてまいります。
 IT革命の飛躍的推進については、光ファイバーなど超高速ネットワーク網の整備及びその競争政策、電子商取引ルールなどへの新たな環境整備、電子政府の実現、人材の育成強化、以上四つを重点分野として集中的に取り組んでまいります。
 環境問題への対応については、循環型社会形成の推進、地球温暖化対策、有害化学物質対策に取り組むとともに、地球環境との調和を促進してまいります。
 少子高齢化対策につきましては、総合的、包括的に社会保障制度改革に取り組むとともに、公共空間などのバリアフリー化、高齢者雇用の促進や仕事と子育ての両立を可能にするための就労環境整備、預かり保育サービスの充実などに取り組みます。
 都市基盤、生活基盤の整備につきましては、交通渋滞の解消や快適かつ活力ある都市空間の創出を図るとともに、生活基盤充実、防災対策に取り組みます。
 産業新生のための事業環境整備につきましては、企業法制などの整備、企業組織再編に係る税制の整備、創造的技術革新のための基盤整備、中小企業対策、金融システムの安定化、金融市場の活性化、債権流動化の促進などに取り組みます。
 平成十三年度の経済運営の基本的態度の第三は、世界経済の持続的発展への貢献であります。
 世界経済の持続的発展のためには、多角的貿易体制の維持強化は不可欠であります。この観点から、本年中に各国の幅広い関心にこたえる形でWTO新ラウンドを立ち上げるべく、我が国としては引き続き努力してまいります。また、APEC、ASEANプラス3などのアジア太平洋地域における地域協力の枠組みの構築を一層図ってまいるところです。さらに、現在、日本とシンガポールとの間で経済連携協定交渉が進められておりますが、WTO協定に整合的な地域貿易協定は、多角的貿易体制の枠組みの中での世界的な自由化やルールづくりを加速させる触媒として、その役割を果たし得るものと考えております。
 なお、先般発足いたしました米国のブッシュ新政権との間では、アジア太平洋地域のみならず、世界の平和と繁栄を確保していくための経済面における協力のあり方につき、緊密な対話を通じた協力を行ってまいりたいと考えております。
 以上の三つの重点項目を達成することにより、平成十三年度については、個人消費、設備投資などの民需を中心とした経済成長を続ける姿が定着し、自律的回復軌道をたどるものと考えております。この結果、平成十三年度の実質経済成長率は一・七%程度になるものと見通しております。
 さて、日本経済の潜在可能性を開花させる施策として、また、経済の構造改革を推進する起爆剤として、IT革命の持つ意味は極めて大きいと考えております。IT革命の推進は、森内閣発足当初から、日本新生の最も重要な柱として位置づけられてまいりました。今回の景気回復局面においても、ITは、実際に極めて大きな役割を果たしております。現在、インターネットの国民全般への普及、利用の促進などを目的とし、インターネット博覧会、インパクを開催いたしておりますが、今後、政府といたしましては、先般決定したe―Japan戦略を踏まえ、五年以内に世界最先端のIT国家になることを目指し、政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策などを定める重点計画を三月末を目途に策定することといたしております。また、本年度末までに策定予定の新たな規制改革推進三カ年計画においては、IT革命推進などのための規制改革を積極的に推進することといたしております。
 国民がITを利用し、そのメリットを十分に享受するためには、電子商取引などに対する消費者の信頼の確立が極めて重要であります。このため、個人情報の保護に関する基本法制の整備を初め、消費者保護の推進に努めてまいる所存であります。また、本年四月に施行される消費者契約法の実効性確保にも取り組んでまいります。さらに、IT革命、構造改革の推進を通じて我が国の高コスト構造を是正するとともに、ボランティア活動を初めとするNPOの活動を促進することにより、国民が生活の豊かさをより一層実感できるような経済社会の実現に努めてまいります。
 現在、我が国が求められている変革の方向性は、官から民へ、あるいは行政による規制、保護から市場メカニズム、自己責任原則へというものであると認識いたしております。このような中で、政治に求められていることは、政治が責任を持って政策決定をリードし、国民に将来に対する明確なメッセージを伝え、的確な政策運営を通じ国民の期待にこたえていくことであります。民間の英知を生かしつつ政治主導で経済財政の政策運営を担う経済財政諮問会議は、その実現のため最も重要な役割を担うものであります。
 バブル崩壊後の我が国経済は、その対応、対策に取り組んでまいりました。二十一世紀を迎えた今、現状と今後の見通しを含めた的確な情勢認識をもとに、将来を見据えた効果的な経済財政運営を実現し、我が国の進むべき方向とビジョンを示していくことが必要であると考えます。
 幸い、我々日本人には、明治維新や戦後の例は言うに及ばず、オイルショックや急激な円高など、国家が非常事態に陥るなどの国難に直面するとき、その困難を乗り切れる強い精神とすぐれた能力があります。今日、日本が置かれている現状を正しく認識し、この能力を十分発揮できる環境さえ構築されれば、現状の困難は必ずや乗り越えられるものと確信をいたしております。(拍手)
 昔より、絶望は愚者の結論と言われます。二十一世紀という新しい時代の幕あけに当たり、私は、やればできると日本の将来に希望を持ち、経済財政運営に万全を期する決意であります。国民の皆様、また議員各位の御理解と御協力を切にお願いを申し上げる次第です。(拍手)
     ――――◇―――――
#22
○小此木八郎君 国務大臣の演説に対する質疑は延期し、来る二月五日午後一時から本会議を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#23
○議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十一分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  森  喜朗君
        総務大臣    片山虎之助君
        法務大臣    高村 正彦君
        外務大臣    河野 洋平君
        財務大臣    宮澤 喜一君
        文部科学大臣  町村 信孝君
        厚生労働大臣  坂口  力君
        農林水産大臣  谷津 義男君
        経済産業大臣  平沼 赳夫君
        国土交通大臣  扇  千景君
        国務大臣    麻生 太郎君
        国務大臣    伊吹 文明君
        国務大臣    斉藤斗志二君
        国務大臣    笹川  堯君
        国務大臣    橋本龍太郎君
        国務大臣    福田 康夫君
        国務大臣    柳澤 伯夫君
 出席副大臣
        環境副大臣   沓掛 哲男君

ソース: 国立国会図書館
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