くにさくロゴ
1950/12/08 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 地方行政・人事・文部・労働連合委員会 第5号
姉妹サイト
 
1950/12/08 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 地方行政・人事・文部・労働連合委員会 第5号

#1
第009回国会 地方行政・人事・文部・労働連合委員会 第5号
昭和二十五年十二月八日(金曜日)
   午前十時四十九分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○地方公務員法案(内閣提出・衆議院
 送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(岡本愛祐君) これより地方行政、人事、文部、労働連合委員会を開会いたします。地方公務員法案について審議を続行いたします。先ず岡野国務大臣より原委員に対する保留した答弁があるそうですからその答弁をいたします。
#3
○原虎一君 答弁して頂いて結構ですけれども、連合委員会にしてはあまりにも出席が悪いんです。少くとも各会派の代表と、各委員会のほうから御出席してないんで、進行されることは如何かと思うのです。出席を促されて、その上で、と申しますのは事柄は非常に重要なんです。昨日委員長は関係方面においでになりまして出席なかつたのでございますけれども、私ども質問するに対して与党側と見られる諸君からヤジが飛んで、法案の重要性をわきまえられないと言われても仕方がない。ヤジが飛ぶということは、法案の重要性を知らないから、何か審議を我我が、妨害しておるかのことく考える人がある。それは甚だ遺憾であります。如何にこの法案が重要性を持つておるかということは、各党の諸君に私どもが質問いたし、又当局の答弁等について相当関心を持たれて然るべきだと思う。どうか出席を促がされて、もつと多数の出席を得て進行しなければならんことを希望します。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#4
○委員長(岡本愛祐君) 委員長はしばしば皆様の御出席を慫慂いたしておるのでありますが、なかなか御出席がないのです。時間が経つばかりで困るのですが、お話によりますがちよつとそれならば休憩をいたしましてもう一度招集いたします。速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#5
○委員長(岡本愛祐君) 速記を始め下さい。では岡野国務大臣。
#6
○国務大臣(岡野清豪君) 昨日問題になりました点を速記録でよく調べて来ました。つきましてはその速記録について読み上げます。こういうことでございます。「若し勧告があるにもかかわらず、又その勧告が條例にも違反しませんし、又正当である、又納得の行く勧告であるという場合に、これを地方の理事者が執行しないということが、一万数百の公共団体の中には或いはないとも限りません。併しながらその点においてこそ私はこの地方自治に非常に依存しておるわけでありまして、若しそういうことが度重つてあるとしますれば地方のことでございまするから、條例を作り、規則を作ることができる権能をその地方自治体が持つておりますから、地方議会において條例を作つて、勧告があつたにもかかわらず、これをしないときにはどうする、こうするというふうなことは、自主性を尊重しまして地方公共団体の議会、即ち地方公共団体の最高機関がこれを適当に処理する條例になり規則なりを作つてくれるだろう、こう考え、又作らせていいと私は考えております。」以上が速記録でございます。以上の通りでございまして、表現の方法についてやや御疑問の点を生じましたことは誠に恐縮でありますが、私の申上げました意味を具体的な例で申上げますと、例えば人事委員会が給与ベースの引上げを勧告したが、知事がこれを実施して行くために必要な給与條例案を議会に出して来ないというようなとき、議会が勧告を妥当と認めるときはその勧告の内容を実施するために必要な給与條例案を議会に出してこれを可決するであろう、これをするかどうか、これは地方自治に信頼してやつて行けばよい。こういう意味で申上げた次第でございます。何とぞ御了承を願います。
#7
○原虎一君 今御説明がありました、例えば人事委員会が知事に対して給与ベース引上げを勧告したその場合に、知事がその引上げ勧告を履行する、実施する手続をとらぬ場合に、地方議会が実施さすような條例を作つたらいいというような意味と言われましたが、実施させるような條例はどういう形で作られますか。その点を御説明願いたいと思います。
#8
○政府委員(鈴木俊一君) 勧告がございました場合には、例えば今回の国家公務員の場合のように、一千円、ベースを上げるということでございますならば、現在の給料表を定めておりまする給与條例を、それに相応するように改正する條例案を長が作りまして、その際には人事委員会の意見を聞かなければならんと思いまするが、作りましてそうして議会に提案をする。議会がこれを決定する。こういうかつこうになるわでございます。
#9
○原虎一君 ちよつと、私が聞き落したかも知れませんが、大臣の御答弁は人事委員会の勧告を知事が聞かない場合においては、議会が條例を、実施できるような條例を作ればいいと、鈴木政府委員の御答弁は知事が千円なら千円のベース引上げの議案を出して議会に諮る。こういうふうに私は聞こえらのでありますが、その点を御説明願いたい。
#10
○政府委員(鈴木俊一君) 只今申上げましたのは、要するに人事委員会がいたします勧告は、長なり議会なりにいたす、両方合せていたすことになつております。給与につきましての勧告は……。そこで今申しましたのは長がその勧告に基きまして、例えば千円のベース引上げをするというようなことになりますれば、先ほど申しましたような長の側から提案をすることに相成りまするし、又長の提案を待ちませんで、議会が自主的に勧告に従つて処置しようということでございますならば、議会がみずから給与條例を改正をする。こういう措置を自主的にとつてもいいわけでございます。このいずれかの方法によつて勧告が実現するわけでございまするが、若し長も、或いは議会も共に現在の状況においてはそれは困難であるということでございますならば、その勧告が実行できないというようなことにもなろうかと思います。
#11
○原虎一君 議会が給与ベースの引上げを條例によつて変える。それは予算の伴うものであります。要するに県の追加予算であります。條例だけでは、予算の伴う條例は議会がどういう形でなし得るものか。それから地方自治法によりましてどの法律とどの法律によつてなし得るということを明確にして頂きたいと思います。
#12
○政府委員(鈴木俊一君) 只今の地方自治法の解釈といたしましては、議会が、仮に予算を伴うものでございましても、條例を以て一定の事項をその団体が負担すると、或いは一定の金額を特殊の経費のために支出しなければならないというふうに、條例を以て規定をいたしました場合におきましては、予算の編成権者である地方公共団体の長は、その條例を以て履行する義務がございますので、その條例、規則に従つて、予算案を、その議会中、可能でございまするならばその議会中に、間に合わなければ次の臨時会を招集する等の措置によりまして、條例が定めてある通りの予算を編成、提案しなければならない義務を生ずるものと、かように解釈いたしております。
#13
○原虎一君 その解釈に対して、法制当局も間違いないのか。その点を明確に願います。
#14
○政府委員(林修三君) 只今鈴木次長の答弁された通りでございます。
#15
○原虎一君 そうしますと、明確になりましたことは、国の場合においては、政府が予算を提出しなければ不可能であるが、地方議会における場合においては、明確に、地方議会が給与ベースを引上げる條例を作れば、予算の伴う條例であつても差支えない。こういう御解釈である、と承わつてよろしうございますか。
#16
○政府委員(鈴木俊一君) この点は、従来の地方制度から一貫した解釈でございます。
#17
○原虎一君 そうしますと、先ほど岡野大臣から、速記録による御答弁がありましたが、ところが今お読みになりました点で私どもが疑惑を持つたことは、直接人事委員会の勧告を実施するような條例を作つてくれるだろう。又作らしていいと私は考えております。こう言われておりますが、これは給与の問題でありまするが、その他の勧告も、すべて今御説明のように、條例によつてやればいいと、こういう御説明、こういう御意思と承わつてよろしいのでありますか。
#18
○政府委員(鈴木俊一君) 勧告につきましては、いろいろの内容の勧告が人事委員会としてはなし得るようになつております。従つてその勧告の内容によりまして、條例を以て規定をしなければならない事項がございまするならば、これは條例によることを必要といたしまするが、例えば人事委員の規則、或いは地方公共団体の長の規則、或いは予算等の措置を必要とするものとか、勧告の内容によつてそれぞれ違うわけでございまして、それに応じた手続をとらなければならん、とられるであろうということになつております。
#19
○原虎一君 そこで大臣の御答弁は、今御説明があつた通りでありますが、鈴木政府委員はこうお答えになつております。というのは、相馬君が関連質問しまして、即ち岡野大臣御答弁のように、人事委員会の勧告を履行する積極的な地方條例を作ることは本法案に抵触しやしないかというのが原委員の質問である。政府委員は具体的に明確な答弁をされたいという意味の質問をしたのに対し、政府委員は今の人事委員会の勧告につきまして、その勧告を必ず実施しなければならないという條例を作りますことは、この趣旨から、先ほど御説明申上げましたような趣旨から申しまして適当でない。又法律上の問題といたしましては、この地方公務員法案におきまして、必要な勧告をしなければならないと規定し、その勧告について、更に拘束力を与えるような規定を設けておりませんので、やはりこの法律案の趣旨といたしましては、御指摘のような具体的の條例を設けることはやはり法律上も可能でない。不可能であるというふうに解釈すべきではないかと考えておりますと、即ちそういう点は、我々の質問に岡野国務大臣はこう言われておるのです。若しそういうことがたびたび重なつてあるとしますれば、地方のことでございますから、條例を作り、規則を作ることができる権能をその地方自治体が持つておりますから、地方議会において條例を作つて、勧告があつたにもかかわらず、これをしないときにはどうするこうするというようなことは、自治性を尊重しまして、地方公共団体の議会、即ち地方公共団体の最高機関がこれを適当に処理する條例なり規則なりを作つてくれるだろう、こう言つておる。この点の説明を願います。
#20
○政府委員(鈴木俊一君) 大臣が仰せられましたことは、勧告がございました場合に、その勧告を如何に具体化するかについて御答弁があつたわけでございまして、要するにこの勧告に対して條例を或いは作り、或いは條例を作らないというようなことがあろうけれども、とにかくそれは地方自治の自主的な決定によつて勧告か、或いは何らかの形で実行されて行くであろうとこういう意味の勧告がありました際に、その処置のこと言つておるわけであります。私が相馬さんからでしたか、お尋ねがございましたことにつきまして、只今御朗読になりましたこの点は、人事委員会の勧告を必ず実施しなければならないという條例を作ることが法律上可能かどうかと、こういう点のお尋ねでございましたから、これはこの内容の問題ではなくして、勧告文の一つの事後の手続の問題として、必ず勧告を実行しなければならないという意味の條例を作ることは、この地方公務員法案の趣旨から申しまして、又法律の規定の上から不可能である、かように申し上げたのであります。と申しまするのは、只今いろいろ論議がございまするのは、「勤務條件に関する措置の要求」というところの第四十七條の規定の解釈の問題でございまして、必要な勧告をしなければならない。若しも法律が個々に勧告があつたらそれを実行しなければならないと、こう書いてございまするならばこれは問題がないわけでございまするか。そういうふうに明確に書いてないのみならず、次の「不利益処分に関する審査」の請求という規定が第五十條にございまするが、この五十條の第二項におきましては、審査の結果に基いて処置すべきことをこのように明確に規定をいたしております。これは要するに法律上取消したり、承認をしたり、或いは指示するというようなことをきちつときめておるわけでございまして、こういう方法で不利益処分を飽くまでも是正するということを、法律は要求する趣旨であると考えて立案をいたしておるのでございまするが、四十七條のほうは、要するに勧告までが人事委員会の権限であり、その勧告を又必ず実行しなければならないということを法律が要求することは適当でないと、かように考えておるわけでございまして、従つて勧告をどのように扱うかということは、その勧告の個々の具体的結果によつて、條例なりその他の議会の手続を要するものは議会の手続で処置をする。長だけでやつて行けるものは長だけでやつて行く、こういうことでございまして、而も長なり、議会の議事手れになつておりまするものは、それぞれの各種の手続がございまして、それぞれの手続によらなければこれはできないわけでございまして、それを無視して必ず勧告の通りにすべて行わなければならないということは、これはそのような自治制度の手続の建前から申しましても適当でないとかように考えておるわけであります。
#21
○原虎一君 その点は大分明確になりましたからその程度にいたしまして、次は昨日法制局から答弁がありました、四十八頁五十五條の第二項の問題であります。即ち前項の、第一項の末尾におきましては「但し、これらの交渉は、当該地方公共団体の当局と団体協約を締結する権利を含まないものとする。」第二項におきまして「前項の場合において、職員団体は、法令、條例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程にてい触しない限りにおいて、当該地方公共団体の当局と書面による申合せを結ぶごとができる。」即ち申合せをした場合において、その申合せを履行しない一方に対して、これを一方が迫り或いは実行せしめる法的処置等がなし得るかどうかということについての御答弁があつた。昨日の御答弁で行きますれば、申合せの事柄によつては裁判所の扱う問題でもあろうという意味の御説明があつたわけであります。そういう場合を仮に一つの例を挙げて説明して頂きたいと思うのです。
#22
○政府委員(林修三君) 私昨日御答弁いたしましたことは、この五十五條の第一項におきまして、団体協約を締結する権利を含まない、かように現定しております関係上、これは国家公務員法と大体同様の規定があるのでございますが、職員団体とそれから地方団体当局との間の交渉は一応はいわゆる拘束的性質と申しますか、罷業権等を背景といたしまして、必ず相手方に義務の履行を迫るような団体協約ではない。こういうことを一方では謳つているわけであります。二項におきまして、そういう條件の下において職員団体と地方公共団体の当局が交渉をいたしましたその交渉の結果がまとまつたか、双方の意思が合致いたしました場合に、この書面による申合せができるということに規定しております。その條件といたしまして法令、條令、地方公共団体の規則、それから機関の定める規程に牴触しない限り、かように相成つております関係上、そこで両者の交渉の結果として書面による申合せをする範囲はおのずから相当制限があるわけでございます。昨日も二つばかり例を申上げたわけでありますが、大体考えられますことは、一つといたしましては例えば組合のほうから給与べースを上げてくれ、こういう交渉がありました場合に、長といたしましては、これは條例で給与がきめてあります関係上、当然それを上げてやるという約束をするわけに行かない。上げるべく努力しよう、そういう條例が議会を通るべく努力しよう、こういうことに相成るかと思います。そういうような申合せがありましても、これはその事柄の性質上おのずから道義的責任をお互いが負うということになるのではなかろうかと思うのであります。ただもう少し問題を変えまして、昨日ちよつと例を申上げましたけれども、予算で、例えば厚生施設をする予算がきまつている、例えば或る職員の庁舎なり宿舎に風呂場なら風出場を幾つか作るという予算が條例できまつておる、そういう場合に、その予算の執行方法、これは何らか條例或いは規則等にその風呂場の建て方等について規定がない場合、それをどういうふうに建てるか、どういうような構造で建てるかというようなことにつきまして交渉があつた、両者の意見がまとまつたという場合におきましては、もう少し拘束力が具体化するのではなかろうか。この地方公務員法は別段その履行を相手方に強制する規定は地方公務員法ではございません。ございませんが、その事柄の性質によりましては、一般の法理によつて解決すべき問題もあるのではなかろうか、かようなことを申した次第でありまして、その交渉の事柄の内容におきまして、多少そこに拘束力が違つてくる場合もあるのではなかろうかと考えております。
#23
○原虎一君 どうも明確を次くのでありますが、例えば今例にとられました給与の引上げのために努力をするということを長が約束した場合、それは議会が承認しない場合においては当然この約束は反故になるわけです。これは明確であります。なるように努力するという、すでに契約、申合せをするときに條件が附いているわけです。併し次の例の、例えば浴場を設置するということは、すでに長の、地方公共団体の長の権限で予算の範囲内においてなし得る問題を仮に約束する。そういう約束を長の権限においてなし得るということは明確になつておるものを申合せをしたにもかかわらず、これを履行しない場合において、履行しないということに対して履行せよという強制力があるや否や。履行しないものに法的処置をなし得るや否や、この点をお伺いしたい。
#24
○政府委員(林修三君) 只今もお答えいたしました通りに、その場合の協定、申合せを強制する方法はその地方公務員法自体には何ら規定いたしておりません。これは要するに団体協約でないという考え方から何らの規定をいたしておりませんけれども、おのずからそこにお互いの申合せができて、それが文言で確認されておるというという場合にそれの履行を、例えば職員団体側で裁判所に提起する、こういう場合に裁判所がそれを取上げて処置するということは、これは裁判所の問題でございまして、私たちはつきり申上げかねます。一般の法令によつて解釈されることじやなかろうかと思つております。
#25
○委員長(岡本愛祐君) 原君に申し上げますが、労働大臣が見えております。
#26
○原虎一君 労働大臣は今日は私はよろしうございます。
#27
○委員長(岡本愛祐君) 時間は五十分間。
#28
○原虎一君 そこで今法制局の御説明ではこの申合せは何ら双方に対して強制力を持たないのだ、従つて文書であろうと、口頭であろうとこの申合せをしたということはすべてその履行、不履行の問題は道義によるよりほかはない、こういう結論になると思いますが、その点はどうでありますか。
#29
○政府委員(林修三君) 先ほど申上げました通りに、そのお互いの申合せの内容によりまして、内容が相当具体的に、当局が義務を履行することが申合わされておつたというような場合におきましては、仮に地方団体が裁判所にそれを提起するというようなことがあつた場合に一般の法によつて解決することはあろうかと思います。この地方公務員法自体にはその点について規定はございません。
#30
○原虎一君 それでは協約の内容というものによつて履行する義務が生じて来るということはあり得るというあなたのお考えでありますが、そうしますと前の団体協約を締結する場合を含まないものであるという場合であれば、要するに団体協約は協約に基いて履行の義務を負わすのだ、あとの第二項の申合せは申合せ、義務をないものとする、併し申合せの内容によつてはまあ義務が生じて来るのだと、こういう解釈ですか。
#31
○政府委員(林修三君) この二項の申合せは、要するに両方の意思の合致でございまして、二項の内容といたしましては先ほど申上げました通りに、大体がお互いに道義的責任を負い合うような事項が多いと思うのです。併し事柄の内容によりましてもう少しこの拘束力が強くなるという場合もあり得るかと存じます。
#32
○原虎一君 実にあいまいでありますが、鈴木政府委員はどう御解釈をとられておられますか。私は団体協約を締結する権利は含まないとここに強く謳つておる以上は、その申合せの内容の如何を問わず強制力がないものと解釈すべきものである。この申合せそれ自体からそれは合意の上の契約であるから履行すべきものであるということにはなつて来ない、ただ道義上の責任だけであると、こういう解釈を私は持つ。団体協約を締結しないということは何を意味するかといえば、申合せに対して履行の義務を持たさんということであると私は解釈するのでありますが、鈴木政府委員はどう解釈されますか。
#33
○政府委員(鈴木俊一君) この第一項の但書のほうの「団体協約を締結する権利を含まない」と申しまするのは、只今林政府委員も申上げましたように、要するに拘束的性質を持つた団体協約を締結する権利を含まないと、こういう趣旨に解しております。
 第二項の点になりますると、多くの場合は大体努力するというような形のものが多いと思います。條例なり規則で定められておる事項が相当多うございますから努力するというものが多いと思いまするが、そういうものに対しましてはいろいろ今林政府委員から御説明申上げましたように、法律上の拘束力というようなものは全然問題になつて来ないと思いまするが、先ほどからいろいろお話のございました厚生的な施設等につきまして、予算もあり條例でも何かそういうような厚生施設をその地方団体として設置するというようなことがきまつておりまして、ただどういうかつこうの厚生施設を作るか、向きをどうするのか、風呂場をどこに作るか、どういうふうな医者を連れて来るかといつたようなことに関しまして当局との間に話合いがつきました場合におきましては、これを法律上の拘束力と申しますかどうか、法律学上の極くむずかしい意味におきましては、私、ちよつと明確に申上げかねまするけれども、先ほど林政府委員が申上げましたように、そういうような事項をやはり裁判所も取り上げられまして、一つの問題になるということは私はあり得ることであるというふうに考えております。
#34
○原虎一君 時間がだんだんなくなつて来ました。大体私の見解と政府の見解とは明らかになつたと思いますので、その程度にいたしまして、但し、もう少しありますので、若木君の手持時間を私に或る程度讓つて貰うことになつておりますから、委員長御了解の上に私が時間を超過しましても発言を禁止しないように願います。
 罰則の問題をお伺いいたしたいと思いまするが、五十二頁の六十一條であります。「左の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」「第五十條第一項に規定する権限の行使に関し、第八條第五項の規定により人事委員会若しくは公平委員会から証人として喚問を受け、正当な理由がなくてこれに応ぜず……」云々とこうなつておりますが、この点を御説明願いたい。
#35
○政府委員(鈴木俊一君) 人事委員会の権限の一つといたしまして、この法案におきましては証人を喚問いたしまするとか、或いは一定の証明を求めまするとか、書類を提出せしめるとかいうようなことを一つの権限として書いておりまするが、それは人事委員会がいろいろ調査研究をいたし、或いは不利益処分の審査をするといつたような場合におきまして、必要がございまする場合に、このような権限を行使するわけでございまするが、この場合のすべてにつきまして、必ず刑罰を以てこれを要求するというふうに励行いたしますることは、地方団体の他の各種の執行機関との関係から考えて見ましても、そこまで行きますることはどうも全体の地方団体の機構として相互彼此権衡をとれない虞れがございまするので、ただ人事委員会の権限として証人喚問権、或いは書類の提出権というものを規定することにいたしたのでございまするが、職員の地位を保障いたします最も重要なる手段の一つでございまするところの不利益処分の審査に関しましては、これはやはり一種の裁判的なる行為でございまするので、この審査に当りましては、やはりどうしても必要なる証人を喚問し、必要なる書類の提出を求めなければならんわけでございまして、若しこれに応じないということになりますると、その貴重なる裁判的行為が完全に行えないことになりまするために、不利益処分の審査に関する権限を行使するために必要がございまする場合におきましては、飽くまでも証人の喚問、或いは書類の提出を励行することができまするように、特に刑罰を以てこれを保障することにいたしたのでございまして、要は不利益処分の審査を真に裁判的な行為として価値あらしめようとするものでございます。
   〔委員長退席、地方行政委員会理事竹中七郎君委員長席に着く〕
#36
○原虎一君 そこで私はその六十一條の第一号、「第五十條第一項に規定する権限の行使」、これは今御説明のように喚問を受けてこれを理由なく拒否した者に対しては三年以下、十万円以下の罰金に処せられるわけです。そこで「第八條第五項の規定により」ということになりますと……ここは訂正になつていないでしような。そのままでしよう。
#37
○政府委員(鈴木俊一君) なつておりません。
#38
○原虎一君 「第八條第五項の規定により人事委員会若しくは」とこうなつておるのでありますが、第八條第五項は私が見たところでは「職員の競争試験及び選考並びにこれらに関する事務を行うこと。」こうなつていますが、これとこの「第五項の規定により人事委員会若しくは公平委員会から証人として喚問を受け、」るということはどういう場合ですか。
#39
○政府委員(鈴木俊一君) 只今原委員のお読み下さいましたのは、八條の第一項の第五号でございますが、第五項と申しますのは、十頁のしまいから三行目の「5」と書いてある以下の條文でございます。
#40
○原虎一君 それではそこを説明して下さい。
#41
○政府委員(鈴木俊一君) 十頁のしまいから三行目は「人事委員会又は公平委員会は、法律又は條例に基くその権限の行使に関し必要があるときは、証人を喚問し、又は書類若しくはその写の提出を求めることができる。」
#42
○原虎一君 それで明確になりました。
 それでは三十二頁の三十五條です。「職員は、法律又は條例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。」この点一つ御説明願いたい。
#43
○政府委員(鈴木俊一君) これは職務専念義務を規定いたしたものでございすまが、要するに職員といたしましては、その勤務時間中並びに職務上の注意力を、その職責遂行のために用いて行かなければならない。又地方団体がやるべき任事にのみ従事しなければならん、専念しなければならんという職務の専念義務の一般的な規定を規定いたしたわけでございます。ただこれにつきましては、その前のほうに「法律又は條例に特別の定がある場合を除く」とこういうふうに規定をいたしておりまするが、例えば五十五條におきまして登録を受けた職員団体のために職員が当局と交渉をするというような場合はこれはまさに法律で定がある場合でありまして、そういう場合は職務専念義務の例外ということになるのでございます。更に條例等の例として考えられますことは、例えば休暇をとりまして一時的に組合の業務に従事いたしまするとか、或いは非常災害の場合に他の地方公共団体等に応援に参りますとかいつたようなことが條例で特別の例として置くことが考えられます。
#44
○原虎一君 こういう場合はどうなりますか。団体を作りて、団体が晝の休憩時間に団体の総会を開く、或いは役員会を開く場合、これが一つです。それから地方公務員が夜学の講師をやる、勤務外において夜学の講師をやる、これが第二の質問であります。以上二つについて御答弁願います。
#45
○政府委員(鈴木俊一君) 職員団体の役員会をやるということでございまするが、これはこの規定だけから申しますると、條例でそのような規定を設ければ形式的には可能であろうと思います。ただ国の場合におきましては、そのような場合についての例外を人事院規則等において認めておらんようでございまして、これらとの権衡の問題として多少問題があろうと存じております。それから夜学に行くことはどうかということでございますが、これは勿論勤務時間外でございまするならば問題はないわけでございます。
#46
○原虎一君 その団体の役員会、或いは総会を休憩時間中にやるというようなことは地方の條例によつて定めることは差支えない、こう解釈してよろしいですか。
#47
○政府委員(鈴木俊一君) その通り、休憩時間中にやりますることは一向差支えないと思います。
#48
○原虎一君 それでは次の三十六條の、政治的行為の制限の問題でありまするが、基本的にこれがいいとか悪いとかいう問題は別といたして「職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、若しくはこれらの団体の役員となつてはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない。」この勧誘運動の限界であります。これを御説明願いたいと思います。
#49
○政府委員(鈴木俊一君) この勧誘運動というのは、要するに或る党の党員になるように勧誘をする場合におきまして、ただ個人的に一人、二人に対してそういうようなことをやるということはこれには当りません。やはり組織性を持ち計画性を持つて行うということが勧誘運動という、運動というものの一つの概念に入るかと思つております。従つて相当の範囲に亘つてそれが行われるということを前提として考えております。
#50
○原虎一君 そういたしますと、組織的、計画的という前提があるのでありまするが、例えば私が地方公務員だといたします。その同僚に何々党に加入したらどうかということを個人的に勧めることは差支えないわけですか。
#51
○政府委員(鈴木俊一君) それが組織性、計画性を持たないものならば差支えないわけです。
#52
○委員長代理(竹中七郎君) 労働大臣は衆議院のほうに呼ばれておられますので、労働大臣に御質問のある方は先に願いたいと思います。
#53
○高田なほ子君 前提を申上げないで突如として労働大臣に質問をいたしますのは、言葉が足りなくなると思うのですけれども、本法案は非常に科学的な近代的なスタイルを持つ法案でおるということを説明の中で言われておるのであります。そのうちで一番問題になるのは、労働問題に対する罰則の問題ではないかと思うのでございまするが、特に私は労働問題について労使間の紛争の解決というものについては、よほどこれは本法案が誇る近代的な感覚を持たなければならないというふうに考えておるわけであります。私が考えますのは、労使間の紛争というもの根本的な解決の方法は、労働組合において自主的に解決がされ、又社会の輿論がこれを解決の方向に向かせて行くというふうになつ行くのが正しいのではないかというふうに考えているのでございます。併しながら本法案が、恐らくこれも国家公務員法に準拠して立案されたものでございましようけれども、国家公務員法のあの立法当時におきます客観的な情勢と、現在の情勢というものは非常に違つているということは、これは何人も否み得ない現実ではないかと思うのでございます。曾つて吉田首相は労働者に対して不逞の輩という言葉を以て遇したのでありますが、今日吉田さんが如何に時代感覚に乏しいとはいいながら労働者を不逞の輩というようなことをおつしやろうはずはないし、又世間の輿論もこういうような考え方に対しては恐らく真向から反対するのではないだろうか。こういう工合に客観的な情勢というものは非常に変つて来ているにもかかわりませず、一方においては法の適用範囲などについても前質問者から縷々質問がありまして、幾多の矛盾を衝かれておるさ中に罷業とか怠業、或いはその他の労働問題について罰則を与えるというようなやり方は、これは近代的スタイルを誇る地方公務員法における大きな欠陷であろうと私は思うのです。更にこういう罰則を以て遇した場合に、特に私は婦人の面から主張したいのでありますが、日本の婦人労働の問題というのは、曾つてから、世界の国際労働会議においても、この日本の婦人労働者に対する無理解、全く野放しの状態にあることは、痛烈に批判され、労働運動が日本に始まつてから日本の働く婦人の労働條件というものは格段に改善され、そうしてその中において初めて婦人みずからが自分の社会的な地位を向上させるということで、大きな目覚めを持つて来たわけでございます。併しながらこの労働問題に対してこのような苛酷な罰則が現実に行われるとしたならば、一番社会の弱層にあるところの働く婦人の労働條件の改善、或いは婦人の地位の向上、経済的な地位の向上というものは非常に阻害されると、私はこう思うのでございます。そこでお伺いしたいことは、外国にこのような労使間の紛争の解決方法において、これに罰則を適用する例が一体あるのかどうかという点でございますが、この点をお伺いしたいのでございます。
#54
○国務大臣(保利茂君) 労使関係と申しますか、労働関係と申しますか、ここにこの調整のために、或いは安定のために、罰則を以て臨むというような行き方は、高田さんの御意見の通り私は決して正しい行き方ではないと存じます。飽くまで労使の自主的な良識と、そして措置によりまして、さような仮に罰則がありましても、罰則の適用が行われないような状態に是非自主性を以つて御処置を頂きますように、私は御期待をいたしたいのであります。なお只今御質問の、外国の立法例はどうなつておるかという御質問でございますが、法律違反について罰則が用いられておる事例は相当数多いように伺つておりますが、これは私が申上げるよりも労政局長からお答えを申上げたほうがいいと思います。
#55
○政府委員(賀來才二郎君) 先ずアメリカのタフト・ハートレー法におきましては、現行制度ではストライキをやつてはならない、ストライキをやれば罰せられるという罰則があります。それから前の例でありますが、イギリスの争議制限にもそういう例はあるのであります。
#56
○高田なほ子君 御承知の通りに、タフト・ハートレー法というものが一つの罰則の規定を設けたということは承知しておるのでありますが、併しながらあの民主国家のアメリカにおいて、このタフト・ハートレー法が上程されたときに、上院議員の中においてどのように深刻な論議が交わされ、又院外の組織されたA・F・L並びにC・I・
○というふうな民主的な労働組合が、あのタフト・ハートレー法が上程されたときに、上院議員の周囲を三万、五万の大デモンストレーシヨンが敢行されて、このタフト・ハートレー法の非民主的なところを衝いて、而もこれがよつて来たるところのトルーマンの再選というような形になつて現われて来たことを考えたときに、このタフト・ハートレー法案の持つ非民主性というものについては、アメリカ自体のみならず、世界の各国がこの非民主性を衝いておるのでございますが、本法案の罰則規定というものは、それ以上に苛酷なものであつて、誠にこれは日本の最近の国家総動員法によるところの労働者を彈圧する惡法にほかならない、私はかく考えるのであります。
 更に近代国家においてもナチスにおいて、或いはイタリアのフアシズム擡頭のあのときにおいて、丁度このような恐ろしい、労働者に対する彈圧が行われたのでございますが、更にこういう前提の下に立つてお伺いしたいことは、民主主義発展のこの段階において、このような罰則を設けるという、労働問題について罰則を設けるということは、この民主国家の発展の段階においてどのようなプラスがあり、どのようなマイナスがあるか、プラス、マイナスの面について明確にお答えを願いたいのであります。
#57
○政府委員(賀來才二郎君) タフト・ハートレー法の成立の経過については私もよく承知いたしておりますが、アメリカにおきましては現在もなおこの法律は施行されておるのであります。ただこの際申上げて置きたいと思いますことは、御承知と思いますが、タフト・ハートレー法におきましては争議行為をしたもの自体も罰せられるので、併し本法案におきます地方公務員の場合におきましては、この行為の遂行をそそのかし、又はあおり、又はこれらの行為を企てた者というふうにしぼつて書かれてあるのであります。
#58
○高田なほ子君 私のお尋ねしておるところはそういうところではないので、民主主義発展の段階において、こういうような方法がどういうふうなプラスと、どういうマイナスを持つか、私は寡聞にしてよくわかりませんので、どうぞ親切にお答えを願いたいと思うのです。
#59
○政府委員(鈴木俊一君) 只今この罷業をいたしました者に対しまして、或いは罷業を共謀し、そそのかした者に対しての制裁の問題について、これは非民主的ではないかというお尋ねでございますが、今労政局長からも申上げましたように、この法案におきましては争議行為をいたしました職員自身を処罰することにはいたしておりませんので、これは單に懲戒処分による処置を必要とする場合においては懲戒処分においてこれを処置するというようなこういうような服務上の制裁にとどめております。これに反してこういう争議行為を外部からするようにそそのかし、或いはあおり、或いはそういうことを企てる、又これを共謀するような者につきましては、これを処罰することにいたしておるのでございまして、公務員が忠実に職務に專念いたしておりまする場合におきまして、そういうような状態を破壊し、争議行為にこれを導くというようなことは、これはやはり公務員の基本的な性格から申しまして適当でないと思うのでございます。このような制限を設けますること自体は憲法の公共の福祉の原則、或いは公務員の全体の住民の奉仕者であるというような原則からいたしますところの一つの原則上の問題に相成つて来るのでございまして、その故にこれを非民主的であるということには申し得ないように考えておるのでございます。
#60
○高田なほ子君 御答弁によりますと、この法案によつて非常にこれはまあ公共の福祉を民主的に守つているのだから誠にそれはプラスであると、プラスの面だけをお挙げになつたわけですね。
#61
○政府委員(鈴木俊一君) プラスとかマイナスとか申しまするよりはやはり公務員としての性格からこのような争議行為、或いは争議に関連するような行為が一面公務員に対して禁止せられますると共に、他面公務員に対してそういうようなことを要求いたしまする側に対しても、これは刑罰を以てそういうことがないようにこれを保障すると、かような考え方でございまして、そういうふうにいたしますることがやはり地方自治行政の公正なる運営を確保するということに相成りまするし、又職員の利益をそういう意味において保護できることになると思うのでございまして、そういうことは結局において地方自治の本旨を実現することに副うことに相成りまするし、延いてはこれが民主主義全体の進展に寄与するものであるというふうに考えておるのでございます。
#62
○高田なほ子君 そこでこれは公共の福祉と個人の価値というような最も本質的な問題に触れなければならないと思うし、私はこの点については堀議員から先日御質問があつたのですが、どうしても納得が行かない。公共の福祉ということは地方公務員が公共性の立場に立つて受ける制限、人間としての基本的な権利を保障されなければならないというこの立場と、この二つの面が相対的に考えられなければならない問題になつて来るので、今あなたとここで公共の福祉と個人の完成という問題について詳しい討論を避けたいと思うのでありまするけれども、公共の福祉の前には個人の受ける権利というものがこれが全く考えられないでもよろしいというようなふうには私は考えられないのです。私が個人の完成ということを申上げますのはこれは決して野放しの自由を指しているのではなく、民主主義的な原則として飽くまでも憲法で保障された個人の権利というものは国家が保障して行かなければならない。併しそこには一定の制限があるということも私は認めます。又個人の権利の尊重ということが自我の幸福のこれは最高度の追求ではないか。飽くまでも一つの秩序の中に置かれたところの個人の完成ということを私は考えているのでありますけれども、その秩序ということとそれから不当な枠ということとはおのずからこれは本質的に違うと思うので、そこでこれはあとでゆつくりと国務大臣にお尋ねをするわけでございますので、あなたにお聞きしたいことはマッカーサーの書簡が日本の民主化の五原則に副いまして、マツカーサーのたびたびの忠告がごさいました。そのマッカーサーの御忠告の中には日本の民主化を推進させるためには、正しい日本の国の労働運動というものをこれを発展させて行かなければならない、こういうことが明白に書れてございますけれども、この精神をどの程度までこの罰則の中に生かしておるか、私は甚だ疑問の点があるのでございますが、この調節をどういうような面で一体とつておられるのか、特に御説明を願いたいのでございまして、附加えまして、なおこの中にそそのかすとか、あおるとかいうような、字引を引きましてもどうも明確を欠く言葉がございますので、この点も併せて御答弁を願いたいのでございます。
#63
○政府委員(鈴木俊一君) 只今のお尋ねの点でございますが、今のマツカーサー元帥の、労働運動を促進することが日本の民主化を促進することであるというような点についてこの罰則の規定等におきまして、どういうふうに調和を図つておるかというお尋ねでございますが、労働運動の進展推進ということが日本の民主化に寄与いたしますることは、これは全くお説の通りでございます。ただそういういわゆる私企業の場合におきますところの勤労者と労働者と、企業主との間のいわゆる債権債務の関係から派生をいたして参りますところの、いろいろの労働運動というような、その形のものをそのまま公務員の体系のうちに取入りますることは、公務員がやはり全住民の奉仕者であるという、そういう性格からいたしまして、これはどうしても或る種の制約を受けることになるのでございまして、この点は一面それぞれの公務員が、自己の生涯の職業といたしましてそういう全住民の奉仕者であるという地位を選び、そこに自己の身を投ずるということを了承いたしまして入つて来ておるわけでございまするし、又根本的な職員の性格から申しまして、そういうような一種の制約が附着しているということは、これは憲法の規定からいたしましても当然の容認をせられるわけでございまして、従つてそういう意味で本来の労働運動の姿が公務員の体系のうちにおいては非常に形を変えて来ているということは、これは止むを得ない結果であろうと思うのであります。その点は要するに、いわゆる交渉権の問題、或いは団体協約、或いは職員団体罷業権といつたようないろいろいわゆる労働者の団結権でございまするとか、罷業権というような点については相当の変つた姿になつておることは先般来いろいろ御説明を申上げました通りでございます。今の罰則自体の問題といたしましては、要するにそういうふうに形の変つて参りました体系のうちにおきましてこの秩序を維持して行かなければならんために特にとつておるわけでありましで、先ほど申上げましたように、罷業の場合においても全面的にすべてこれを罰則を以て臨むという形でございませんで、職員自体に対しましては單に懲戒処分を以て臨むにとどめているわけなのでございまして、この六十一條の第五号のそそのかし、或いはあおるということでございますが、これは要するに「そそのかし」というのはそういう争議行為を行うような決意を生ぜしめるということが「そそのかし」ということでありまするし、「あおり」というのは現在争議行為をやろうという意思を持つておる者に対しましてそれを更にあおつて煽動をして行くと、これが「あおり」ということでございます。
#64
○高田なほ子君 「そそのかし」と「あおり」について今御説明がありましたのですが、そういう決意を生ぜしめるようなことをした者がそそのかしたことになるのだという御説明があつたのですが、決意を生じたか生じさせないかというその判定はどういう具体的な事実できめて行くのでしようか。
#65
○政府委員(鈴木俊一君) すべてこの刑罰は裁判所が決定をするわけでございますから、一応検察官がこの條項に該当するということで起訴し、裁判におきましてそれが終局的にそういうような規定に該当するや否やの審査が行われるわけでございまして、その結果処罰せられるか否かということがきまるわけでございます。
#66
○高田なほ子君 そうすると裁判がそういうことをきめるというわけでございますが、その次の「あおり」ということの御説明でございますが、争議行為をしようとする意思を持つている者に対して、更にこれに積極的に働きかけるというこういうことでありますが、本人がそういう意思を持つていなかつたとすれば、これはあおつたということにはならないということになりますね。そういう一体判定はどこできめるのですか。
#67
○政府委員(鈴木俊一君) その点もすべて裁判によつて終局的に決定せられるわけでございます。
#68
○高田なほ子君 最終に私は申上げますが、「そそのかし」とか「あおり」というようなことは、今巧みな言葉でお逃げになつたようですが、こういうようなことは如何なる名裁判官であろうともなかなか判定のつく筋合のものではない。こういうようないかがわしい言葉を以て「三年以上の懲役又は十万円以下の罰金」というようなこの重い刑罰を強いるということ、この法文それ自体に私はもう疑義があるので、これ以上この問題について質問を進めようとは思いませんけれども、こういう点はもつと明確にされて、然る後にこの裁判官任せでなく、やはり「あおり」とか「そそのかし」というようなあいまい模糊とした言葉を以て、解釈によつてはどういうことをしても「そそのかし」になり、或いはときには全部これがあおつたことになつて、それらのものがすべて罰則規定にはまつてしまうということになれば、日本の現段階において民主化の過程における労働運動というものの重要性と非常な矛盾を来たして来ることになると思うので、この点は法の精神というところをどういうふうにきめて解明して行くかということが根本的に解決されなければ、運営の面において非常な非民主的な過程を踏むということは火を見るよりも明らかであろうと思うので、警告を発して私はここで質問を終ります。
#69
○成瀬幡治君 私も労働省が設けられた一つの根本的な理由というものが奈辺にあるかというその立場に立つて私は大臣に御質問申上げるわけでございますが、職員の不当処分のことでございますが、今度のやはり地公法を見ても国家公務員法と大体同じ段階にあると思うのであります。そうしてその不利益処分に対しましてどんなふうになつておるということに対しまして、ここに二つほどのデータを頂いておるわけでございますが、不利益処分の審査を要求しておる者が一千二百二十七人ある。そしてその処理した者が二百九十七人というように非常に少ないものでございます。データを見ますと…。若しこのデータを私たちが今まで考えておつたことが丁度このデータで裏付されたと私たちは考えておるわけであります。なぜならば不利益処分を受けた者が、実際を申しますと辞表を出さずにおつて提訴することはできるわけですが、出してしまうと提訴できない。使用者側はどんなことをするかと申上げますと、今君がここで辞表を受ければ退職金をかくかくやる、併し出さなければその退職金はやらないのだと、こういうふうに責めつけて来るのであります。そこで薄給であるその職員の人は否応なしに辞表を出してしまう。そういたしますと、提訴することができないからやらないというようなことで、そういう泣き寢入りをしておる人たちが非常に多いのであります。泣き寢入りせずに強引に提訴した人たちの状態は今のような状態でこれが一年も二年もかかつて来るというようなことになつて来たときに、労働省としてこれに対して本当に労働者の不当処分に対するところのこういうものが守られておるとお考えになつておるのか。そこのところの御見解を真先にお伺いいたしたいと思います。
#70
○国務大臣(保利茂君) 国家公務員の人事管理を扱つておる人事院の機構において、私は人事院の性格からいたしましても、非常に多数の国家公務員の中におきまして、今御指摘の数字は必ずしも多いとは言えないのじやないかと思いますが、ただ公務員の立場が人事院設置の目的に照らして保護せられておるかどうか。私は大体人事院の人事管理によりまして公務員の立場は保護せられておると、そういうふうに思つております。
#71
○成瀬幡治君 そうすると労働大臣としてはこの不当処分のことに関する国家公務員の條文は完全なものである。従つてこれも地公法においてそういうふうにとつておる。こういう御見解でございますか。
#72
○国務大臣(保利茂君) 人事院においてこの扱いは公正妥当に運営をせられておるということは認めて差支えないではないか。そういう意味からいたしまして地方公務員におきましても同様の方法をとることが妥当であろう、というふうには思つております。
#73
○成瀬幡治君 労働大臣は人事院の取扱は云々と、こうおつしやるのですが、私がお聞きしたいのは、労働大臣として国家公務員法に基くところの、その法自体でやつて来たときにそれで十分であるかどうかという点を私はお尋ねしたいのです。
#74
○国務大臣(保利茂君) 只今私どもはそれ以上のことは考えておらないのであります。
#75
○成瀬幡治君 そうすると労働大臣としては、只今これ以上のことは考えておらないということは、これを承認されたものと私はこういうように解釈したいと思います。それに対して私は非常に異議があるわけでございますが、これ以上これは追及しても止むを得ないものでございますから、ここでやめたいのですが、実は淺井人事院総裁としては国務公務員の自覚に待つて辞表を出すことをやめて、そうして提訴して、そこにおいていろいろなことをやつて頂かなければ、今の法規で以ては実際に労働者の権利というものは守られないのだというような、こういうような御見解を私は昨日承わつておりますが、そういうことについてお考えになつておりますか、どうですか。
#76
○国務大臣(保利茂君) 私も同様に何人も権利の上にみずから眠るということのないように冀うものであります。
#77
○成瀬幡治君 そうしますと、労働大臣も国家公務員の自覚を促すような方法をとり、法のことについては完全である、こういうような御見解であると思います。それではもう一点お尋ねしたいことは、地方公務員の中立性というものが非常に要求されておるために、單純労務者が持つておるところの労働基本権というようなものが全部失われておる。併し申訳には五十七條に少しは書いてあるわけでございますが、これは暫定的でございます。ほんの僅かであつても、そういうことに対して不当な制限を受けるということは、私は最もいかないことだと思うのでございます。それを労働相としては私は恐らくこの点については私と同意見かと思うのです。それをなぜここに削られたのか、そこのいきさつを一つ御説明を願いたいと思います。
#78
○国務大臣(保利茂君) 岡野国務大臣からも御説明になつていることと思うのでありますが、その点につきましては国家公務員におきまして、例えば單純労務者で而も国家公務員法の適用を受けられておるそれらの方々の今の御所見については当然重要な懸案の一つになつている。従いまして一応国家公務員との釣合いから、一応單純労務者の相当部分の方々を地方公務員法の適用の中に入れておりますけれども、これは残されております政府及び国会の一つの懸案として、單純労務者と言える方々に対する取扱は、私は国家公務員法における同様の人々と一緒に解決をするので、これは国会並びに政府自体の前にある一つの懸案として、どうしても早い機会に実行措置を講じて行きたいというふうに考えております。
#79
○成瀬幡治君 そうすると労務大臣は我々と考えが同じでございまして、非常に悪いものであるけれども止むを得ず暫定的に入れたのだと、こういうふうにこの法律案のいけないところを御承認になつておると、お気付きになつておると、こういうふうに解釈したいのですが、それでよろしうございますか。
#80
○国務大臣(保利茂君) いいとか悪いとかという問題でなしに、いわゆる行政権の運営それ自体にあまり関係のない單純労務を提供されている、そういう人々に対して適切妥当な労働関係の制度を設けることは更に私は必要ではないか、そういうふうに考えております。
#81
○成瀬幡治君 ちよつと私は今のお答えが受取りにくいのですが、もう一度お願いしたいのですが。
#82
○国務大臣(保利茂君) 国家公務員の中に国家公務員法の適用を受けておられる單純労務者といつたいわば現業の方々、それらとこの地方公務員の適用を受けられる單純労務者と言つていいような方々対にしては、私は中央地方を通じての同様の均整のとれた労働関係法を持つことが非常に望ましいと、こういうふうに考えております。
#83
○成瀬幡治君 それはわかるのですが、私のほうとしても私は基本的な、我々の基本的人権をどんな場合があつても、それを便法的に都合によつて制限をするということが私は悪いと、こういうふうに考えておるわけです。労働大臣もそれは同じだと思うのです。ですからそれを或る機会において外すというようなことはそれは当然と思う。併し立法する立法府にあるところの、立案をせられるあなた方はそういうことについて初めからそれは除外して私はやらなければならない、それがあなた方の任務だとこういうふうに考えておるわけです。ですからそれを労働大臣は私は何かの圧力によつて讓られたのだろうと思うのです。そのところをもう少し正直に述べて頂きたい。
#84
○国務大臣(保利茂君) これは正直に申しますけれども、決して圧力をかけられて讓つたとか讓らないとかいう問題じやございません。私は良心的に地方公務員法においてこれをやるならば、当然この国家公務員法のそれに手を着けずしてやることはできるのじやないか。それは決してどつかから圧力がかかつて来て曲げたという、これは私正直に言つてそういうことはございませんので、できるだけ早く妥当の、双方に通ずるところの案を得たい、こういうふうに思つております。
#85
○成瀬幡治君 そうすると労働大臣個人の見解かも知れませんが、とにかく国家公務員法にも不備な点があつた。地方公務員法にも今言つたような矛盾点がある。この点を除外することについては、政府の一員として早急に努力されるということを、こういうことをお約束したと、こういうように受取つてよいのですね。
#86
○国務大臣(保利茂君) どうぞそういうふうにお取り下さつて結構だと思います。分はそのつもりでおります。
#87
○成瀬幡治君 そうしますと、いろいろな私はそういうことを言われましても、荏苒とされて二年三年おつぽつておかれるのか。これをいつかの機会というように、矛盾点があることは、国家公務員法ができてから二年半も三年も経つている。十分私たちは準備ができておるから、来国会あたりにそういう提案をされる準備があるかということを一つ伺いたい。
#88
○国務大臣(保利茂君) 只今それまでの準備はいたしておりません。
#89
○成瀬幡治君 そうするとこれはいつ頃あなたのほうは全体やるのか。その不備のあるということを知りつつも、そのままずつと流して行くつもりなのか。大よその目処を言つて頂けなければ、今申しましたように、とにかく今の監獄とか或いは拘置を食つておるような人たちと同じだと思うのです。基本的人権を制限されているということは私は重大問題だと思うのです。それを三年も頬被りをして過ごしておる。尚又地方公務員法を出して置いて又頬被りをして行こうというようなことで、あなたは口でこそそういうことを言われるけれども、誠意が奈辺にあるかということを疑わざるを得ないのでございます。そこで一つ労働大臣としては大体基本的人権を守るという立場を明確なる御決意をここで一つ述べて頂きたい。
#90
○国務大臣(保利茂君) 恐らく岡野国務大臣からもお話があつたと思いますけれども、單に私は私個人の気持のみならず、これは他の国務大臣ともよく話をしているわけでございます。誠意を盡して対処しているのであります。
#91
○高田なほ子君 お許しを得まして、一つだけ今のことに関連してお伺いしますが、十二月四日の連合委員会の矢嶋さんの御質問にこれがあつたのでございますが、附則二十項の地方財政法の第六條に規定するところの公営企業の内容の問題について、法律の適用範囲の矛盾を衝かれたわけであります。端的に言うと、企業体に含まれない現業関係の取扱を除外例としてこれをどういうふうに取扱うか。その取扱の仕方について端的な御質問があつたと私は記憶しておる。これに対して、私の速記が大変明確を欠いて申訳ないのですが、通常国会で出すつもりであるという御答弁をなすつたのは多分国務大臣であつたと思うのでございますが、今の労働大臣の御答弁と私は時期において矛盾を感ずる。用意がされていない、一方は通常国会に出すつもりである、これは非常なズレであると思う。ですが、どちらが本当ですか。どちらからでもよろしうございますが、一つ責任のある御答弁をもう一度お願いしたい。
#92
○政府委員(鈴木俊一君) 只今高田委員の仰せになりました地方財政法第六條に基く公営企業に従事する職員の身分、取扱につきましての法律でございますが、これに関しましては、目下鋭意立案中でございまして、準備が完了いたし、関係方面との交渉が完了いたしますならば、次の通常国会に出したいと考えております。現業のほうに関しましては只今労働大臣からも仰せになりましたように、政府としてはその職務と責任につきまして一般の行政職員と、確かに特殊性があると存じておりますので、この点に関しまして今後考究を続けて結論に到達いたしましたならば関係の法案を国会に提案したい、かように考えております。
#93
○高田なほ子君 お説御尤もでありますが、曾つて国家公務員法と同時に地方公務員法案は立案すべきものである、一連の連関において同時にこれは出されなければならないものであつたということを、この立案過程の御説明にしばしばであつたのでございますが、このように一連した問題について一方は通常国会で出し、一方は全くそれに関連したものを、考究中であるから早急に出すつもりであるというように逃げないで、これはやはり同時に通常国会に出すというような御答弁を私は頂きたいのですけれども、そういう意味とは違うのですか。
#94
○政府委員(鈴木俊一君) 地方公務員法は地方公務員全体の基礎法、根拠法でございまして、先ず基礎が打立てられませんというと、その特例を如何に規定するかということが具体的に定まらないわけでございます。従つて政府といたしましては、地方公務員法案を先ず国会に提案いたしまして御審議を頂き、それが確定したところに従つてこれに附帶いたしますところの各種の、例えば教育公務員の特例法案でございまするとか、その他の関係法令の改正法案、今申上げました公営企業の法案等を提案する順序で参りたいと、かように考えておるのでございます。
#95
○成瀬幡治君 まあ非常に私としては誠意がある、精一ぱいの御誠意だろうというような御答弁を聞きましたから、私のほうは不満足でございますが、これでまあ労働大臣の質問は打切ります。
 次に文部大臣にお伺いします。教員の教育公務員特例法が施行されまして教員の恩給というものが加算されないことになつておるわけでございます。それに対して文部省としましては、それが惡いということはわかつておりますから、それに対しての事後処置をどんなようなふうにお考えになつておるか。
#96
○国務大臣(天野貞祐君) これは政府委員からお答えいたします。
#97
○政府委員(稻田清助君) 只今のお尋ねでございますが、お言葉にありましたように昨年教育公務員特例法が施行せられましてから同時に再就職いたしました公立学校教員は、引続いて地方公務員になりました後におきましても恩給法の準用がございますけれども、その後において新たに採用せられた者については恩給法の準用がなくなりました。従いまして、それぞれ地方公共団体におきまして退隠料條例を作りまして、退隠料を支給して頂くことを期待いたしておるわけであります。それぞれ地方公共団体においてもその財源によつてこうした退隠料を研究せられておるとは存ずるのでありますけれども、文部省といたしましても、全国的にこうした方々が退隠料を確保するために何か必要なる措置をとることが適当であるかどうか、目下研究中でございます。
#98
○成瀬幡治君 すると只今研究中、こういうことで言われると、これはとりつく島がないわけでありますが、私がお伺いしたいことは、実は恩給が加算されずに、加算されない人もあるわけですね。例えば十四年ぐらいやつておつて、そうして再就職をして来た。その方たちが三年もやれば以前だと恩給になつた人ですが、そういう人たちが加算されず非常に不安がつておるわけです。それに対してもう少しそういう人たちが不安がつておることを除去されるというような御答弁をここで私は期待するのですが……。
#99
○政府委員(稻田清助君) 前に十四年やつている方はあと三年すれば加算されますが、その他そうした不公平な方につきましては退隠料條例を制定せられる地方公共団体においてともかく御考究になるということが建前であると思います。我々としてはその各地方公共団体におけるそうした御措置をよく見まして、その上においてなお何か中央において考慮する必要があれば適切な処置を講じたい、こういう意味で申上げたわけであります。
#100
○成瀬幡治君 まあこれを文部省が地方に対してかれこれすることはこれはできないと思うのでございます。併し私はいろいろな全国の教育長会議とか、或いは教育委員長会議とか、或いは代表者会議というようなものがあると思うのです。そのときに一つ文部省のほうとしてはこういう人たちが不利にならないように、そうして再就職した人たちが安心して一つ職に就けるような形がお願いしたいと、こういうふうに思いますが、これはよろしうございますか。
#101
○政府委員(稻田清助君) 誠にお言葉のように私どもも考えまするので、十分善処いたしたいと思います。
#102
○成瀬幡治君 次にこの地公法によりますと、営利企業等の従事制限というのがこの法案の三十八條にございますが、これと、教員の場合を言うのでございますが、御承知の教育公務員特例法によりますと、そこには他の職務の従事ということで二十一條に規定しておるのがあるのです。それを両者比較して見ますと、今度の地公法では一切従事してはならない。第二項では人事委員会は規則で以て基準を定めることができると、こういうふうになつておるわけです。特例法のほうでは、「本務の遂行に支障がないと認める場合のほかは、」これをやつてはいけないのだとこういうふうになつておりまして、教員の例で言いますと、非常に制限が強化されておる。現在のごとく教員と申すよりも、すべての働く人たちが給料が低い場合に直接勤務に支障のない、本務の遂行に支障がないと認める場合は許可するのが私は当然だと思うのです。それを何故にこういうふうに強化して来たか。その点について一つ文部省の御見解を承わりたいと思います。
#103
○国務大臣(天野貞祐君) その点については特例法の改正をいたしたいと思つております。早急にいたしたいと思つております。それから又先ほど成瀬さんのおつしやつた点はよく教育委員会とか、或いは又教育長などに会うことがありますからして、その席で私からよくそういうことを申したいと思つております。
#104
○成瀬幡治君 大臣は教育公務員特例法を改正するというのですが、この地公法に合せるほうに改正するというのですか。文部省は……。
#105
○政府委員(稻田清助君) 特例法が優先いたしまするように特例法を改正いたしたいと考えております。特例法が例外的規定でございますから、例外規定のほうがはつきり優先するように特例法を改正いたしたいと思います。
#106
○成瀬幡治君 そうすると、私はこれは非常に満足な答弁を頂いたと、こういうふうに解釈していいわけですね。ちよつともう一度……。これはごまかされちや大変なことなんですが、特例法が優先するように、地公法に特例法を生かして行くわけですね。
#107
○政府委員(稻田清助君) 特例法第二十一條の規定を改正いたしまして、その趣旨を明らかにいたしたいと思います。二十一條のほうが優先するという趣旨を明らかにしたいと思います。
#108
○成瀬幡治君 これは私は非常に文部省として満足な答弁を頂きまして有難うございました。
 それからそれと同じようなふうでこの研修の問題も考えてよろしうございましようか。地公法とそれから教育公務員特例法の研修、この二つの項があるわけでございますが、その点もそういうふうに解釈してよろしうございますか。
#109
○政府委員(稻田清助君) これは実際問題でございまして、別段法律を改正することも必要ないかと考えております。
#110
○成瀬幡治君 私の申上げたいことは、例えば、教員の研修の場合は県でこれを立案して行く、そういうふうに考えていいわけでございますか。市町村でやつて行くか、そこのところを……。
#111
○政府委員(稻田清助君) 任命権者であります教育委員会が営むわけでございます。
#112
○成瀬幡治君 それでは私は只今の文部省の答弁は非常に満足でございますから、文部大臣に対する質問は私は打切ります。
#113
○国務大臣(天野貞祐君) 成瀬さんのお尋ねに対してちよつと申上げますが、教育委員会がすべてそういうことを立案したり、又実施したりするのですけれども、それに対して無関心というわけではない。現職教育とか、科学研究費の補助とか、免許を受けに出る場合の補助とか、何と言いますか、ワーク・シヨツプと言われておるような言葉で中央がそれに補助したいという考えを持つております。ただそこに任せていいという意味ではございません。
#114
○成瀬幡治君 私は文部大臣の言われるそのことは非常に賛成なんですよ。ところが財政の裏付がいつでも問題になるわけです。そこで文部大臣がその締めくくりと申しますか、止めを刺すことをお忘れないようにお願いしたいと思います。
#115
○国務大臣(天野貞祐君) それは十分承知しております。
   〔委員長代理竹中七郎君退席、委員長着席〕
#116
○委員長(岡本愛祐君) 岩間君は文部大臣に質問はございませんか。
#117
○岩間正男君 ありません。
#118
○原虎一君 十二時を三十三分過きましたから一時間ぐらい休憩されることを望みます。
#119
○委員長(岡本愛祐君) お続け願つたらどうでしよう。
#120
○原虎一君 まだ一時間ありますよ。
#121
○高田なほ子君 只今の動議に賛成いたします。
#122
○委員長(岡本愛祐君) それでは一時半まで休憩いたします。
   午後零時三十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十一分開会
#123
○委員長(岡本愛祐君) 休憩前に引続きまして連合委員会を開会いたします。
#124
○原虎一君 午前中の質問に引続きまして質問をいたします。政治的行為の制限の第三十六條関係であります。午前中におきまして鈴木政府委員は、いわゆる勧誘運動をしてはならない、これが組織的、計画的でない限りには差支えないと……。然らば組織的、計画的とは如何なるものであるか。この点を明確に、或いは実例を示して答弁願いたいと思います。
#125
○政府委員(藤井貞夫君) お答えいたします。三十六條には勧誘運動ということが二個所に使われておりますが、第一項におきましては、即ち政党その他の政治的団体の結成に関与したり、或いは団体の役員となり、或いは団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をするということが一点であります。第二の点は、今までいろいろ論議されて参つたのでありますが、第二項の第一号におきまして「公の選挙又は投票において投票をするように、又はしないように勧誘運動をすること。」というこの二つの場合を規定いたしておるのであります。勧誘運動というふうになつておりますからして、当然にその点は次長が先ほど御説明を申上げましたように、第一に組織性を持ち、又計画性を持つてなされるということが一つの前提になると思います。又第二にはこれも極く相対的の問題ではございますけれども、相当広範囲を目指して行われるということが必要であろうと思うのであります。この組織的であり、又計画的であり、それから相当広範囲のものである二つの要件で勧誘運動の前提として考えられなければならないと思うのでありまして、單に個人たる職員が自分の肉身、家内というような者に対して働きかけるというようなことは、勿論この勧誘運動の中には入りませんし、又一、二の友人に対しまして何らかそういう目的を以て働きかけるというようなことも、今申上げましたような意味では、その要件に該当いたしませんので、これは勧誘運動に入らないというふうに申さなければならないと思います。で、計画性を持ち、組織性を持ち、或いは相対的に相当広範囲でなければならんというような事柄に関しましては、その限界点をどこにおくかということは、これは一々数字を以て挙げることは到底不可能な事柄でありまして、具体的な事例に関しましてこの本法の精神に基いて客観的に妥当な線を出して参らなければならないということに考える次第であります。
#126
○原虎一君 そこで第三十六條第二項の一のいわゆる「公の選挙又は投票において投票するように、又はしないように勧誘運動をすること。」というこの「公の選挙又は投票」の場合にあらずして勧誘運動をする場合、例えば地方公共団体職員が休憩時間を利用して一つの政党の宣伝をする、演説をする、この政党が正しいと思うという演説をした場合には、これは勧誘ではない演説であるが、どうなるか、この法律によりますと抵触するかしないか。
#127
○政府委員(藤井貞夫君) お答えいたします。この三十六條の第二項で制限をいたしております政治的行為は、二つの要件を具備したものであることを必要とするのであります。その一つは政治的目的を持つていなければならないということが最初の点でございます。それから第二は、この第二項に五つの項目に分つて掲げております一号乃至五号の規定によつて定められまする行為であることを必要とするわけであります。従いまして政治的目的を以てなされない行為でありますならば、たとえ一号乃至五号に規定いたしております行為をいたしましても、これは本法の適用を受けないということに相成るのでありますし、一方政治的目的を以てなされたものでございましても、それが一号乃至五号の規定に該当する行為でなければ、これ又いわゆる政治的行為の制限にはひつかからないということに相成るわけでございます。即ち政治的行為の制限は、ここにございます「特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する」ということが一つの目的、それから第二は、「公の選挙又は投票において特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的」、この二つの目的を持ちまして、そうして一号乃至五号に掲げられた行為をなす、この二つの要件に該当いたしました場合に初めて政治的行為の制限に触れて参るということに相成るわけでございます。従いまして今原委員から御質問のございました、職員が休憩時間において特定の政党支持の演説をやるということでございますが、これは成るほど特定の政党を支持するということで、政治的目的を持つておりますることは明らかでございまするが、演説をする、單にその政党支持の演説をするということは、一号から五号までには一応かからないわけでございます。ただ第二項の五号におきまして、條例で規定する政治的行為というふうにございまするので、ここで若し当該地方公共団体がそれらの行為を規定いたしまするならば、これは該当することも出て参るわけでございます。更に三十六條の一項の場合に規定がございますが、この規定ににおきまして若しそれが單なる政党支持の宣伝、その趣旨をただ説明するというようなことの意図にとどまつておりまする場合は格別なことはございませんと思いまするが、それが若し集まつた人々に対しましてその団体に賛成する、その団体を支持する、従つてその団体に入るように勧誘するというような仕組を持つておるものでございますれば、それは第二項にはかかりませんでも、三十六條の第一項の規定に該当する虞れがある場合が多いかと考える次第であります。
#128
○原虎一君 大分明確になりかけて来ましたが、こういう場合を想定いたします。甲はAという政党が正しいと考えてその意見を発表する、乙はBという政党が正しいという意見を発表するが、この地方公務員が休憩時間を利用し、大衆にそういう一種の討論をする、こういう場合はどういうふうに考えるか、この法律から見て差支えないかどうか。この点をお聞きしたい。
#129
○政府委員(鈴木俊一君) 休憩時間中におきまして、職員の或る者が特定の政党の綱領その他の主張をし、或いは支持をいたしまして、その可否を論ずる、こういう場合におきましては、只今藤井政府委員から申上げましたような、それぞれの各條に該当する虞れのある場合が出て来るわけでございまするが、只今御指摘のような場合におきましては、多くはその特定の党の政策を支持いたしますることの結果として、その団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をするという、この第一項の規定に触れる場合が多くなつて来るのではないかと思います。
#130
○原虎一君 そこに疑問が出て来るのです。であるからこの條文に照らして見ますれば、特定の政党を支持し、又は支持しないようにという勧誘的な言辞、行動がなければ差支えないのである、そういう討論会を、政党の可否について意見を発表し合う一種の討論会的なものがされるのであつても、政党を支持する、或いはしないという勧誘にならない限りは差支えないと、こう解釈していいのじやないですか。
#131
○政府委員(鈴木俊一君) 今のような御指摘になりました事例におきまして、特定の内閣或いは特定の団体の執行機関を支持したり反対したりしない、或いは特定の政党を支持したり反対したりしないということだけでなく、全く学究的なる討論或いは社会人としての単なる討論ということで、そういうような目的がそこに全然ないということでございますれば、第二項には該当いたさないこととなります。又同時に第一項との関係におきましては、今のような場合におきましては、そこに全然団体の構成員となるように、要するに党員獲得或いは他の党の党員になることを抑える、こういうような意図が窺われない限りは差支えない、かように考えます。
#132
○原虎一君 それでは次に進みまして、第三十六條第二項の中頃から「地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する目的をもつて」とあるのであります。地方公共団体の執行機関といいますと、出張所或いは部、局、課等をも含むように思われますが、この執行機関はどの定義によるものか、この点を明らかにして頂きたい。
#133
○政府委員(鈴木俊一君) この執行機関と申しまするのは、地方公共団体の議決機関に対します執行機関、かように申しておるのでございまして、中央の組織の体系におきましては、特定の内閣ということで執行機関の全体を押えておるのでございまするが、それに対応いたしまして、地方では地方公共団体の執行機関を支持するか支持しないか、反対するか、反対しないかということで、政治的目的を有するか有しないかの一つの判断をする基準にいたしておるわけでありまして、具体的にその執行機関とは何かと申しますれば、知事、市町村長或いは特定の自然人が構成しておる教育委員会、或いは特定の自然人が構成してある選挙管理委員会ということでありまして、その機構自身の問題ではなくて、やはり特定の者の満たしておりまするそういう執行機関に反対するか賛成するか、こういう意味でございます。
#134
○原虎一君 そういたしますと、くどいようでありますけれども、一つの執行機関の一部であるところの出張所、市役所出張所というようなものは、この場合における執行機関ではない。課もこれは機構であつて執行機関ではない、こういう解釈ですか。
#135
○政府委員(鈴木俊一君) 知事の補助機関であるところの或る部、或いは或る地方事務所といつたようなもののやつておりまする施策に反対し、或いは支持することの結果として、その執行機関全体をたばねておりまする知事なり市町村長のやりますことを反対し支持する、こういうことになりますれば、それはやはりこれに該当するわらであります。
#136
○原虎一君 それは非常な問題であると思うのです。最初の説明では明確であつたが、二度目の御説明ではますます不明確になつて来たと思いまするが、それで具体的に申しまするが、例えば地方におきまする労政事務所の出張所長に対する攻撃、極端に申しますれば排撃的な運動を、弾劾的な運動をやつた、こういう場合にはどうなりますか。
#137
○政府委員(鈴木俊一君) それが單にそこの事務処理とかそういうようなことについての一つの批判であつて、地方団体の執行機関自身に対する反対、支持ということを含んでおらない限りは差支えないと思います。
#138
○原虎一君 そういたしますと、一の局長を弾劾したような場合においても、それが地方公共団体の執行機関の支持或いは反対という事柄を含まない、その場合においては差支えないと解釈してよろしいのですか。
#139
○政府委員(鈴木俊一君) 多くは今の知事、市町村長の非常に高級なる幕僚と申しますか、高級な地位にあります者で政策の決定等に参加いたしまするような地位にあります者を攻撃することの結果といたしまして、やはりその知事なり市町村長自体に対する反対支持ということに相成りますので、そういうことになりますれば、やはりそれに該当すると存じます。
#140
○原虎一君 そこでこの三十六條に関係いたしますというと、人事委員会が審査して決定しなければならんような重大なる問題だと思いますが、今鈴木政府委員の御説明では甚だ明確を欠く。法制局が見えておりますれば、これに対する見解を明らかに願いたい。
#141
○委員長(岡本愛祐君) 只今参ります。
#142
○原虎一君 それではお見えになるまでに次の項に移ります。罰則でありますが、同じ三十六條の関係の中から申上げますが、六十一條の罰則で三十六條の三号即ち「寄附金その他の金品の募集に関与すること。」とこれが罰金の場合はたしか三年以下の懲役、十万円以下の罰金になりますが、この点を一つ説明願いたいと思います。
#143
○政府委員(藤井貞夫君) お答えいたします。六十一條の四号に「第三十六條第三項の規定による禁止に違反した者」とございますが、今御指摘の寄附金その他の金品の募集に関与すると申しますのは二項の三号でございます。従つて第六十一條の四号で禁止いたしておりまする行為は、その次の三十四頁の3とございまするこのほうであります。
#144
○原虎一君 はい、わかりました。それから午前中の大臣の答弁並びに法制局の答弁に関連してもう一点明らかにして置きたいと思うのであります。と申しますのは、本法律によりまして人事委員会の勧告を実施しない場合、この場合におきましては午前中に質疑いたしまして相当に明らかになりましたが、結局勧告を実施しない公共団体の長に対して勧告を実施するように運動を起す、いま一つは申合わせ不履行の責を団体協約にあらざる、即ち申合せでありますが、この申合せの不履行に対してやはり履行を迫る運動は当然起り得るのであります。こういう場合におきますところの地方公共団体の執行機関を支持し、或いはこれに反対するということの関係を明らかに御説明願いたいと思います。
#145
○政府委員(鈴木俊一君) この書面による申合せを結びまして、その内容において例えば給料表を定めている條例を改正するように努力しようということが申合せの内容でございました場合におきまして、それをやつて貰いたいということを單に要望いたしまするだけでございまするならば、特定の執行機関に反対するということには相成らんと思います。
#146
○原虎一君 私の申しますのはそういう場合條例にも法律にも違反しない、而も合意による申合せをしたところが、或る力が加わつてその地方団体の、公共団体の長は約束を履行しない、こういう場合におきまして職員団体が輿論に訴えるということはこれは午前中の大臣の答弁にもあるのでありますから、当然職員団体は輿論に訴えなければならん。この輿論に訴えるという行為が当然約束を履行しないのであるから、その長に向つて弾劾的な運動になることは理の当然であります。これは第三十六條第二項との関連はどうであるのか。
#147
○政府委員(鈴木俊一君) この書面による申合せ、或いは口頭でもいいわけでございますが、長との間に給料表を改訂して千円ベース・アップすることに努力しよう、こういう意思の合致がございました場合に、それを履行しないという場合においては、この地方公務員法においてとらるべき方法といたしましては、例の勤務條件に関する措置の要求という方式があるわけでございます。そこへ持出しまして人事委員会において審査をし、これを又この法律に基きまして正当に勧告をして貰う。そうして長なり、議会なりに法律上の勧告としてこれを取上げて貰う、こういう方式があるわけでございまして、そういう方式があるのにかかわらず、今お話のように弾劾をする、或いは輿論に訴えて一つの政治運動で行くと、こういうことに相成りますればこれはまさにこの三十六條の第二項の特定の地方公共団体の執行機関を支持し、又は反対するということに該当することになると思います。
#148
○原虎一君 これは大変な問題だと思います。午前中、又昨日の答弁におきましても大臣がそういうことは輿論が起きて来て……、申合せを履行しない場合には輿論が起きて来る、或いは勧告が履行されるまでには輿論が起きる。現に昨晩のデモンストレーシヨン、こういうことが起きて来ること、即ち私が心配いたしましたように裁定、裁定でありません、勧告を実施するための適当な措置を講じなければならんという法律になつていないために起きて来る問題であります。従つて申合せの場合においても、申合せを履行しないということは道義的責任だという法律的解釈が大体結論付けられているわけです。道義的責任を責めるのにはただ人事委員会に申出るだけで誠に弱いものです。実際のこの処理ができて行くか。誠にそれは昨日私の質問の最初に、公務員の給与に対してこの法律は給与改善と福祉を確保するために必要な法律だと当局は御説明なさつたけれども、誠に今の御答弁によりますと怪しいものだ。でありますから今の政府委員の答弁によりますと、申合せ事項を公共団体の長が履行しない場合にはこれは輿論に訴えるという行為、ただこの公共団体の長を弾劾しない場合において宣伝をする、こういう事実が生じたという宣伝をする範囲においては差支えないのですか。
#149
○政府委員(鈴木俊一君) 昨日大臣が輿論に訴えるということを仰せられた。それが今の場合に該当するかのごとくお話でございまするが、大臣はそういう意味で仰せになつたのではないと思うのでありまして、要するに人事委員会の勧告が実現できるか、できないかということは地方議会の決定なり、又地方議会の背後にありますところの住民全体のその輿論によつて究極的にはきまることであるそういう意味で輿論が、地方自治の輿論というものが勧告が受入れられるか、受入れられないかということをきめる、こういう意味で仰せられたと思うのでございまして、只今御指摘の申合せによりまして、或いは意思の合致によりまして給与の引上げという問題につきまして長が努力すると言つたが、その努力が不十分である。そこで申合せの趣旨が十分満たされていないというような場合におきまして、地方公共団体の職員がそういうことに対して不満を表明し、或いは意見を申出るという自由、この法律案にも書いてございまする通り、これは勿論できるわけでございまするし、又そういう事実のみを外部に公表し、そういう意味のことについておのずから輿論が起るというようなことは、これは一向差支えないのでございまするが、ただその問題が発展し進みまして、單なる不満の表明、意見の申出という、その自由の本来の限界を越え、又公務員としての性格を越えまして、第三十六條第二項に規定してございまするように、特定の現在の知事或いは市町村長の彈劾、或いはそれに反対するという具体的な政治的意思を明確に目的として持つて来るように相成りまするならば、これはどうしても第三十六條第二項に該当する、かように考えておるのであります。
#150
○原虎一君 そこで第二項第四号の「文書又は図画を地方公共団体の庁舎、施設等に掲示し、又は掲示させ、その他地方公共団体の庁舎、施設、資材、又は資金を利用し、又は利用させること。」といたしますと、これ以外に個人の家屋、或いは電燈会社の電柱、こういうものに意思を表示する、例えば今申しました人事委員会の勧告を聞き入れない、我々は不満である、要するに地方公共団体の執行機関に反対しない範囲において意思を表明することは差支えないかどうか、差支えないと私は解釈いたしまするが、どうでありましようか。
#151
○政府委員(鈴木俊一君) この第四号は要するに、地方公共団体の庁舎とか、施設とか、それに類似するところに掲示をしてはいけないということを書いてあるわけでありまして、只今のようなこと自体は、三十六條のこの法案に触れるところはないと思うのであります。
#152
○原虎一君 法制局は見えましたか。
#153
○委員長(岡本愛祐君) 今衆議院の予算委員会に出ております。今呼びに行つております。原君に申しますが、時間がもう過ぎました。予定の時間よりも十五分過ぎたのです。
#154
○原虎一君 総理大臣が見えなければ、岩間君の三十分の持時間を私に讓つてもいいと申しましたが、総理大臣が見えるのなら、私はいつでも、やめていいわけです。
#155
○岩間正男君 私は総理大臣に質問するのは五、六分あればいいのです。ですからその持時間を原君に讓ることをお認め願います。
#156
○委員長(岡本愛祐君) この際岩間君に申上げますが、岩間君の御要求によりまして、今日も総理大臣に対して岡野国務大臣を通じ、又自由党の地方行政委員の方々を通じ、是非出席せられるよう強く要望いたしました。ところが、今日は何分発熱をしておられるそうですから、閣議にも欠席せらた、併し予算委員会だけは約束になつているので、どうしても二時年頃には出なきあならんということで苦慮しておられるようですが、こちらにはどうしても残念ながら今日は出られないということを、誠に残念ながら御了承願いたいと思います。(「異議あり」と呼ぶ者あり)その代り、地方行政委員会におきまして、この地方公務員法案の審議の際に、時間の許す限り都合を見計らいまして、委員外の質問を許可することに取計らいたいと思つております。枉げて御了承願います。
#157
○岩間正男君 只今の委員長のお話は、一応承わるところもあるのでありますけれども、私としましては、これは総理の出席を求めたのは、多分四日、五日前になつておると思う。その間にこれは総理が一度も当委員会に出席されない。而もこの法案を審議する一番根本の問題として実に重大な問題について、これは明らかにしなければ、この審議は実際非常に差支える問題に関係する。ところが未だこれが委員会に出席されん。だからそれでまあ便法としてそういうふうに持込めと、こうおつしやいますけれども、どうしてもその点明らかにするというのが建前だというふうに考えられますので、今のお話でありますけれども、どうしてもやはり総理の出席をこれは要求いたしたいと思うのであります。予算委員会には今日一応出席される、それから総理は病気だとおつしやいますが、我々ももう殆んど半病人に近いようなかつこうで注射を打ち続けてこの際審議に当つておるようなわけであります。併しその中でも重大な、この前のようなポ政令を出すことによつて、未だ国会史上ないような大騒ぎをしたのでありまするから、こういうことを再び繰返さないよう、私はその職責を盡すために頑張つているのでありますから、総理大臣は御老体であり、国務多端であるということは、我々も十分認めるのであります。併しそういう問題と公の問題というものは明らかに区別されなければならない種類の問題だ、こういうふうに考えます。私は予算委員会におきましても、今日病気で最初の予定の三分の一も出席できないということに対して、只今理事会において同じような趣旨から公私の別を明らかにすべきであると主張して参つたものでありますけれども、この点に関して委員長は、本委員会の権威におきましてもう一度出席を求めることを切望する。
#158
○原虎一君 ちよつと聞き漏らしましたのですが、今日は総理はお加減が惡いので御出席にならない、併し明日はやはりこれに関連いたしまして、地方行政の委員会が主たる委員会としてやられる、その場合には総理が出て来られる可能性があつて、そのときに岩間君の質問は時間を限つてできる、こういう御説明のようにも承わつたのですが、この点はどうでしようか。
#159
○委員長(岡本愛祐君) そういうふうに取計らいたいと思つております。
#160
○原虎一君 取計らうだけで、できるというところまでは来ていないわけでありますか。
#161
○委員長(岡本愛祐君) 極力総理大臣に交渉いたしまして、出て頂くつもりにいたしております。出て来られたならば、岩間君の委員外質問を許可いたしたいと思つております。
#162
○原虎一君 そういたしますと、委員長のお考えは極力総理の出席を要求する、これに対して岩間君は委員長に質問し、或いは委員長に請求するというための出席発言権は認められるわけですか。
#163
○委員長(岡本愛祐君) 認めます。
#164
○岩間正男君 ただ私が心配しているのは、この問題は事前にやはり明らかにすべきであるということが一点、それからもう一つは、総理が未だに本委員会に出席していない状況を見ますと、明日出席するというような当ては果してあり得るのであるか、若しそうでない場合に、私の職責を果すことができないので、その場合におけるところの責任はどうされるのであるか、こういうことを考えますと、私は本日やはり合同委員会において、その出席をもう一度要求して頂きたいというふうに念願するものであります。
#165
○相馬助治君 同僚岩間君の要求は極めて尤もだと思う。というのは、四日ほど前から是非とも内閣総理大臣の出席を要求して、そしてその答弁次第によつては自分は次の質問をするという意思を二回かに互つて岩間君は発表しておるわけです。そこで今委員長が議事進行の都合上から、内閣総理大臣の出られない理由を述べられたのでありまするが、それは内閣総理大臣の都合であつて、私はこの際むしろ委員長としては、どの程度に内閣総理大臣の出席要求について誠意を盡されたかをもう一度ここで述べられて、そうして不満でもあろうが、それで承諾すると岩間君が言えばよし、そうでない場合は又別途これは考えなければならんという意味合からも、一つ委員長この際、総理大臣に対して出席を要求した経緯等について、もう少し具体的に説明されて、この議事が円満に進行するようにして貰いたいと、こう考えるのであります。
#166
○委員長(岡本愛祐君) 相馬君にお答え申上げます。岩間君から総理大臣の出席を要求せられました以後、毎日のように出席の要求をいたしておりました。殊に今日もお見えになりませんので、岩間君から強い出席の御要求がありました。それで原君から午前に休憩の動議が出ました。実は私はそのときも申上げたのですが、続けてやつて頂きたいと言つた。併し総理大臣の出席をもう一度強く休憩中に要求しようと思いまして一時間余要求のため休憩にいたしまして、その間に岡野国務大臣に来て頂き、又自由党の保利君、西村君等を通じまして、是非出席をして貰うように、そうしないとこの議事の進行にも困るから是非出席して貰いたいということを切に要求したのであります。併し何分にも今申上げましたように、発熱をして午前は寢ておられて閣議にも出られないし、それから登院もしておられない。併し予算委員会だけはこれはどうしても熱をおして出なければならん。併しこの委員会には残念ながら……、予算委員会も遂に出られないそうです。そういうような状況ですからこれは御了承を頂きたい。
#167
○相馬助治君 私なぜうるさくこういうことを述べたかと申しますると、委員長が、先ほど報告した前段の風邪熱のために出られない。そうならばもう何をか言わんで、これは人道主義的立場からも了解せざるを得ないのです。ところが後の予算委員会には出るということをおつしやつておるので、私はたたみかけたので、今保利さんからちよつと耳打ちがあつて、予算委員会にも出られん、こういうことになれば、岩間君了承されて委員外発言を明日とるという了解の下にこれを了承されるようにして貰いたいと、こう思いますし、それを委員長に諮つて頂きたい。こう思います。
#168
○岩間正男君 私は今予算理事会から出て参つたばかりでありますが、そのときは十分前では出られると一時間半……、それで私は丁度質問の順番になつておりますので、そのほうの準備を今進めているのですが、それは事実なんですか、それを確かめて頂きたい。予算委員会にも出られないというのなら相馬君の言われる通りにそこまで私は出てくれと言つておるわけではございません。確かめて下さい。
#169
○委員長(岡本愛祐君) 確かめに行つております。それでは原さんに申上げますが、林法制意見第二局長並びに労働大臣が参りました。それで労働大臣に対して高田委員から御質問がありますから、それを先に済ましたいと思います。御異議ございませんか。
#170
○原虎一君 ちよつとさつきのやつと関係しておりますが、私のは五分か十分で済むかと思いますが、法制局も見えておりますのでもう一度午前中の問題を明確に願いたいと思います。と申しますのは、五十五條の関係であります。五十五條の関係はくどいようでありまするが、団体協約の締結する権利を含まない、この交渉権の問題であります。相当に午前の質問で明確になつたつもりでありまするが、こういう次のような具体的事実が生じた場合にはどうなるかという問題であります。と申しますのは、成る市の市長と、職員団体が條例にも法律にも、勿論條例に反しない申合せをいたします。仮に市長は自分の権限で行える自転車置場、或いは浴場を本年なら本年中に作るということを固く約束し、その代りに職員はこれが実現を見る以上は、休暇、一斉賜暇休暇等をとらない、こういう申合せを仮にいたしたとします。その場合に市長のほうは二つとも申合せを履行した。併しながら職員のほうは何かの行き違いを生じて賜暇休暇をとつた。こういう場合においてはこの申合せに違反しまするが、法的の処置を受けるかどうか、こういう問題について御説明願いたいと思います。
#171
○政府委員(林修三君) ちよつと実は私或いは了解しなかつたところがあるかも存じませんけれども、只今の御質問でございますと、市の当局と職員団体の間で自転車置場を一方で作る代りに一方で賜暇休暇をとらないというような申合せをするというようなお話であつたと思うのでありますが、どうもお互いの條件が少し合わないような、事柄が少し合わないような事柄に考えられますので、そういう自転車置場を作れば賜暇休暇をとらないというような申合せが成立し得るかどうかについて多少疑問を持つ次第でございます。
#172
○原虎一君 それは私は賜暇休暇をとらないということは一時の例でありまして、何かそこに職員団体は市長との約束の中に自分たちの責任範囲の問題を、責任の問題を申合せをした、それに違反した場合、それを履行しなかつた場合、片一方は市長側は履行したが、職員側は履行しない。こういうことが生じた場合においては、一体この五十五條によりましては、何ら契約不履行ということについての問題は生じないのでありますから、他の條例、ただこの法律に違反しない限り何らの処置もできない、こう解釈いたしまするが、この点はどうか。
#173
○政府委員(林修三君) 重ねてのお尋ねでございますが、只今のお話でございますと、市の当局側が何らかの一応の約束をする、これに対して職員団体側がその契約に何らかの反対給付の約束をするといつた例をおとりになつたようでありますが、この五十五條の交渉事項は大体におきまして、職員団体側から市町村の当局に対していろいろ要望をするために交渉することが主でありまして、その代償として、職員側が何らかの行為なり不行為を約束することはあまりないのではないかと存ずるわけであります。ただ問題は別としまして、この五十五條二項で市の当局と職員団体の間で何らかの交渉の結果意思が合致した、従つてそれを申合せとして文書にした、こういうのでございますが、一般的に申しまして、反対給付ということは拔きにいたしまして、その市町村の当局が自分の権限内において予算もあり、條例等にも違反しないということについて一応の申合せをした、こういう場合にそれを履行しない、こういう場合の法的効果の問題でございますが、これはこの地方公務員法上におきましては、その履行を強制する手段として、例えば一般の労働組合法上の、或いは労働関係調整法等に規定しておりますような、そういう契約上の団体協約的の履行方法は規定いたしておりませんで、そういう方法はないわけでございます。併し午前中にもお答えいたしました通り、その約束をいたしました事柄の内容によりましては、一般の民法なり何なりの法理によりまして、もう少し別な拘束力が生ずることもあり得る場合がなかろうかとかように考えます。
#174
○原虎一君 そこで地方自治庁当局にお伺いするのでありますが、申合せ事項を市側は履行し、職員側は履行しないということが起つた場合に、今法制局の政府委員が御説明の通りである。そこでこの法律によりまして、そういう事態が起つた場合において、市の長が約束を違えたものとして処置を講ずることは、どの條章からもできないかどうか、そういうことができ得るかどうか、この点を明らかに願いたいと思います。
#175
○政府委員(鈴木俊一君) 地方公共団体の当局と、職員団体との間に意思の合致がございますして、それに基きます事項を当局側が履行しない場合、或いは職員団体側が履行の責を負うような申合せなり意思の合致なりというものは、あまり私もあり得ないのではなかろうかと思いまするが、仮にそういうようなものがございました場合に、それを実現をする手段、或いはそれを実現しなかつたものを更に強制をする手段はこの法案で考えておらんかと、こういう趣旨でございますと存じますが、そういう強制をする趣旨の規定は直接にはございませんけれども、先般来申上げましたように、勤務條件に関する措置の要求という形でこれを人事委員会に持出しまして、そうして人事委員会においてこれを審査し、その審査の結果に基いてこれを勧告という形で、長なり議会なりに出しまして、そこで最終的に決めて貰う、こういう法的の手段が一つあるわけでございまするが、もう一つこれはむしろ法上の問題と申しますよりも、一般的な自治行政の問題として人事委員会がそういう職員団体が、長と約束をいたしました事項について、長がそれに応ずべき行為をしなかつたということは、おのずからその地方団体の全住民にも明確になりまするし、或いは議会にも明確になりますので、若しもそれが非常に長の側に大きな重大なる責があるというような場合でございましたならば、そこに或いはリコールという問題が起るかも知れませんし、或いは議会で不信任決議というものが起るかも知れないのでございます。それは地方自治の一般的な政治問題としてやはり解決せられるであろう、かように考えておるわけであります。
#176
○原虎一君 私のお聞きしているのは、むしろ理事者当局が履行しなかつたというよりも、職員団体が長と申合せした事柄を履行しないという場合において 職員団体の幹部が長を欺瞞したものとしてこの法律の中において処置をするということが起り得るのじやないか。そして申合せそれ自体に違反したということでなしに、長との契約を欺瞞したという事柄が起きて来た場合において、この法文の中において処置がなされるか、こういうことをお伺いしているのであります。少し誤解されているのじやないかと思います。
#177
○政府委員(鈴木俊一君) 只今の御指摘の点でございまするが、先ほどもちよつと申上げましたように、職員団体が当局と交渉いたしまして、要するに職員団体の要望する事項について、長との間に意思の合致がある場合が問題になるわけでございまして、長のほうから職員団体に対して成る要求をいたすというようなことは、どういう事例がございまするかちよつと私ここで想像いたしかねるのでございまするが、仮に長といたしましては、この地方公務員法に基きまして、職務上のいろいろな命令とか指示とかいうようなことは当然いたすわけでございまするが、そういうようなことは、いわゆる交渉の結果に基く要求ということではないわけでありまして、これは公務員法上の当然の一つの権限として法律上定められたものでございまするから、そういうようなことは交渉の対象になりませんし、そういたしまするというと、一体どのようなことが御指摘のような団体側が履行する責として起つて参りまするか、ちよつと想像に苦しむのでございます。併し仮に何がそういうようなものがありましたといたしましても、それに対しまして、この法案が特に職員団体に対して、何らかの行政的措置を講ずるというようなことは、必要を認めませんかつた関係もございまするが、法の上では何ら規定をいたしておりません。そのような行為が今欺瞞とかいうようなことで刑法上の問題になる場合は別でございますけれども、地方公務員法案自体におきましてはそういうようなことは何も予想いたしていないのでございます。
#178
○原虎一君 法制局はどうです。
#179
○政府委員(林修三君) 今鈴木次長が答弁されておつたと同様に考えております。
#180
○委員長(岡本愛祐君) 原君に申上げますが、予約の時間は過ぎました。
#181
○原虎一君 もう二つばかりありまするが、それでは又文書によつて質問いたしますから私の質問は打切ります。
#182
○委員長(岡本愛祐君) それでは高田君、五分あなたの時間が残つておりますから、五分の範囲でお願いいたします。
#183
○高田なほ子君 それでは緊急な、重大な問題でございまして、先ほど資料が揃いませんでしたために、労働大臣への質問を差控えましたが労働大臣に質問いたします。一九五〇年十一月の九日から十一日までブラツセルで開かれた国際自由労連執行委員会は、アジア並びに極東代表からの報告並びに極めて新らしいこの日本の情報によつて非常に重要な問題について決議をしたのでございますが、これについて労働大臣は御存じでございましようか、どうですか、その点。
#184
○国務大臣(保利茂君) 正式には何らの通報にも接しておりませんけれども、情報としては承知をいたしております。
#185
○高田なほ子君 そこでこの決議の内容につきましては、本法案の制定に当りまして、極めて重要な関連性を持つものでございまするので、私はその点をお伺いしたいと思うのでありますが、先ず第一に公務員の選挙に関する法律の修正案の提出に反対する決議の内容として、教員の選挙運動を禁止することは、基本的人権の侵害であり、自由の抑圧であり、憲法違反以外の何ものでもない。これを決議しております。第二項に教員の合法的行動に基く選挙運動の禁止は、一般的に教育の破壊をもたらす。第三項、教員組合は労働組合である。従つて労働組合の政治活動禁止は、民主主義の原則に反する。第四項、教員の選挙活動の禁止にはGHQのSCAPの指示、方針に矛盾する。第五項、現存世界中どこにも教員の選挙運動を束縛しようとする非民主的な国を発見することはできない。この五項目の決議をしているのでございますが、少くとも世界の自由な、而も民主的な五十数ヵ国の労働組合の結集しているこの世界自由労連の決議を、現下の日本の民主革命の段階においてこれを今次の法案と一体どのようにマッチさせるお考えでございましようか。その点をお伺いしたいのであります。
#186
○国務大臣(保利茂君) 只今のことは、この委員会に提案せられたということは伺つておりますが、決議として採択せられたということは伺つておりません。
#187
○高田なほ子君 これは明らかに決議として採択されたのでございますので、若し決議として採択されたものであれば、取入れる、つまり法案再検討の意思がおありになるかならないか、こういう問題であります。
#188
○国務大臣(保利茂君) 決議になつていないと私は承知しておりますので、どうも……決議となつていればどうするかということですが、決議としては採択せられていないというふうに聞き及んでおります。
#189
○高田なほ子君 労働大臣の見解と私の見解が根本的に、この決議である決議でないというところに相違があるのですが、若し仮に一歩譲りまして決議でないとしても、決議であつたとしてもです、これは極めて重要な問題でございまして、この法案に直接関係のある大きな世界の目がこれに向つて注がれているということを考えられましたときに、更にこの法案というものについてこの世界の意思をどういうふうに酌み入れて行くかということは極めて現下の政府の特に労働大臣の重要な課題ではないかと私は思うのです。その点どうお考えでございますか。
#190
○国務大臣(保利茂君) 国際自由労連において採択せられました決議の後半において決議せられておりますることにつきましては、私どもも政府として一応御尤もなことであると考えているのでございます。従いまして公務員につきましても、全体の奉仕者であるという地位に鑑みまして、公共の福祉に反せざる限りその自由を尊重して参るということで進まなければならない、かように考えております。
#191
○高田なほ子君 結局まあ原則論に入るわけでございますので、私はこの原則的な問題は国務大臣に御質問申上げようと思つていたわけですが、そうすると私の質問の要旨に対しまして再検討の意思はないと、若し仮にこれが決議であつた場合でも再検討の意思はないというお考えなのでしようか。
#192
○国務大臣(保利茂君) 只今提案せられておりまする地方公務員法、この法案につきましては全体の奉仕者でありまするその公務員の地位に鑑みましていろいろの規律を求めておりますけれども、公共の福祉に反せざる限りはこれを、その自由を尊重して参るというその線は堅持して参らなければならない。そういうふうに考えております。
#193
○高田なほ子君 あなたのおつしやることはもうよくわかるのですが、これを取入れるか取入れないかということが非常に私は大きな問題であろうと思うのです。そして今ここで決議であるとかないということで壁に当つておるような形になつておるのでございまして、私の伺いたいことは、結局法律というものが国民を拘束するものではなくて、飽くまで法律というものは国民を保護するものである。公共の福祉の増進のために福利を保護するものである、こういうふうに考えておるわけでありますけれども、御承知のように本法案は各委員から幾多の矛盾がすでに指摘されておる。私が特にここに申上げたいことは、近代の法律の中で公共の福祉とか或いは治安の維持とかいうような美名に隠れてどのように我々国民の人権を無視して来たかという近代の日本の歴史を考えるときに、やはりこれは法の精神というものをはつきりもう解明しなければならない段階に来ておるのではないかと思うのです。思いまするに治安維持法は、国家の治安の維持のために、国民の福祉を守るために治安維持法が制定されたのでありますが、治安維持の名において無事の国民の言論の自由を彈圧して、畏怖と恐怖のどん底に国民を陥れたというあの法律の施行された日本の姿から考えるとき、私は公共の福祉という美名に隠れて幾多の矛盾点をそのままにこれを進めようとするような考え方に対してはどうしても納得が行かないわけなのでございます。そこで私は質問の時間が許されておりませんで、誠に残念でございますので、せめて基本的な問題の一、二を労働大臣にお尋ねしたいのですけれども、公共の福祉と基本的な人権ということをどういう一体繋りにおいて調節して行くか、これが非常に問題だろうと思うのです。社会の公共の福祉ということは、これは社会というものと切離してあるものでないということは今更申上げるまでもないので、社会機構の個人の権利をどのように活用して行くか、個人の権利を守り、そうしてその権利を更に増進させるためにこそ公共の福祉ということが考えられなければならないのに、本法案はそういうような点を全く主客顛倒いたしまして、基本的な人権を侵害している部面が各所に現われているのでございますが、特に本法案の重要点である政治活動の禁止の面などはその最たるものではないかと思うのです。公共の福祉が保たれるために政治活動を禁止し、自分を保障するために政治活動を禁止し、言論の自由を抑えようとするならば、先頃の公聽会にも公述人から言われたように、そういうようなことが公共の福祉を増進するというならば、今日監獄に繋がれているあの囚人は言論の自由、思想の自由、行動の自由というものをこれは全く失われておる。あの囚人の生活が最上の公務員としての生活環境にあるというな極論すらもせざるを得ないことになろうと思うのであります。然るにイギリスとかアメリカとかこういうような民主的な先進国家において、公共の福祉と個人の権利ということの調節がかなり高度に行われているのでありますが、このことは文化の水準を測る一つのバロメーターのように私は考えられるのです。更にこのような基本的な政治活動を彈圧することによつて、果してこの多くの地方公務員各位が本当に忠実にその業務に服し、忠実に人間としての責任を果して行くことができるかというと、過去の歴史は決してそういうことを証明していない。極端に言うならば、非常に尖鋭化するものと非常に隷属的な地位に陥れられるものとまあ二つに分れて、結局そういう社会の情勢というものは日本の曾つての軍国主義戰争に追込んだフアシズムの擡頭の素地になるようなことになるのではないかということを私は非常に懸念するものでございます。更に私はこの問題について先頃五日、六日の公聽会に国家公務員であられます東大の教授の富原誠一さん、辻清明さんの御両氏がこの本決案に対する公述人として御出席の御予定でありまして、少くとも私はこの近代の、本法案に対する最も進歩的な御意見を承わるために、非常な期待をしていたにかかわらず、病気とかその他の、これは個人の自由な御意思で欠席なされたと思うのでありまするけれども、仄聞するところによれば、御両氏共にこれは日頃から政府の反動的な御意見というものに対しては終始反対の意思を表明しておられるので、御自分のお立場もお考えになられて御出席がなされなかつたのではないだろうか、こういうようなことを仄聞いたし、想像いたしますときに、今の日本の民主革命の段階において、誠に言論の自由、思想の自由を飽くまでも拘束をするといういわゆる基本的人権を縛り上げるという方向は、決して広汎な意味における公共の福祉増進ということにはならない、こういうふうに考えるのでありますが、こういうような点の矛盾をどういうふうにしてコントーロールして行かれるであろうか。私は国務大臣並びに労働大臣の率直な御見解を伺いたいのでございます。
#194
○国務大臣(保利茂君) 御意見は伺いましたが、併しながらこの地方公務員法が曾つての治安維持法的な性格と、或いは将来への虞れがあるという御見解に、私はどうも御同意いたしかねるのでございまして、地方公務員は要するに国家公務員と同様に全体の奉仕者としての特殊の立場と地位を持つておられる。その地方公務員の人事管理を合理化すると同時に、併せて地方公務員の立場を保護して参るというところに、法の精神があると私は存じておる次第でございます。もとより基本的人権の尊重、特に政治的自由というものはこれは例外なしに尊重せられなければならんという御説に対しては、私は全然同感でございます。従いましてその政治的活動、或いは政治的自由を制限するという場合においては、これはそれに対する特殊なやはり理由がなければならない。地方公務員法におきましては政治活動の自由を成る程度制限いたそうとしておる理由はこれは全く全体の奉仕者としての、その特殊の地位と任務に鑑みて、最小止むを得ざる程度の、市も国家公務員法においていたしておる程度の制限を行なつておる、こういうふうに私は考えております。
#195
○高田なほ子君 ちよつと時間をお許し願いたいのですが。
#196
○委員長(岡本愛祐君) 五分間、もう五分になりましたから御勘弁願います。
#197
○高田なほ子君 非常に関連を持つのですが、私は非常に発言時間が少いのですがね。
#198
○委員長(岡本愛祐君) 初め二十五分過ぎて、もう五分しかないところを……。
#199
○高田なほ子君 それではもう一言だけ……。
#200
○委員長(岡本愛祐君) もうこの程度で労働委員会のほうへお帰り願いたい。
#201
○高田なほ子君 これは連合委員会です。ですから労働委員会でなくて、連合委員会で発言したいのですが……。
#202
○委員長(岡本愛祐君) お約束ですから、どうか一つこの程度にお願いしたい。
#203
○高田なほ子君 婦人の発言をもう少しお許し願いたい。
#204
○委員長(岡本愛祐君) どうかこの程度でお願いしたいと思います。岩間君にお答え申上げます。総理大臣は病を押して予算委員会に出ておられます。それで今堀委員から御交渉を願いまして予算委員会が済みましたならば、こちらに、地方行政委員会のほうへおいでを願うことに今お願いをしております。そのときに委員外の発言を許します。
#205
○岩間正男君 私は非常に奇怪だと思うのであります。若し私自身がさつき相馬君の発言によつて人道的な立場からあれをあのままに承認したとなつたらどうなりますか。そのことを考えて下さい。本委員会の運営について私は疑問を持つものであります。誰が、何人が吉田総理が今日出られないという中間放送をしたかという点についてはつきり確かめて責任のある答弁を願いたい。
#206
○委員長(岡本愛祐君) それは堀理事からお話があつた……。
#207
○岩間正男君 堀理事はここにいられますか。
#208
○委員長(岡本愛祐君) それで私はそう思つたのですが、すぐあなたの御注意によつて調べさせましたところが、そのあと間もなく出られた。こういうことです。
#209
○岩間正男君 私はこういうことが繰返されておることは私の四年間の議員生活において今まで私は体験しておる。だから私はこれに対して最後の確認を得ないうちは動かない、こう考えたのであります。この点私は不満の意を表せざるを得ない。それからもう一点は、間もなく総理大臣が見えるのでありましたならば、やはりこの席上でやらして頂きたい。私今のような情勢では非常に疑問を感ぜざるを得ないから、この点改めて要求したい。
#210
○委員長(岡本愛祐君) 岩間君の先ほどの御発言では、自分の質問は、五、六分で済むのだから、その残りを原委員に差上げるというお話でした。五、六分で足るのですから、この連合委員会はこれで打切りまして、委員外発言で、五、六分なら許せると思いますから、そのときお願いします。
#211
○岩間正男君 私は第一この委員会が、四日五日に互つて、吉田総理の出席を求めておつたのに対して、総理は遂に一回もこの連合委員会に出席されない、この事実をはつきり確認されなくてはならないと思うのであります。而も今のような時期に、あいまいな、不明朗な形で以つてこの委員会を打切られようとしておるのでありますけれども、私自身としてはやはりこの連合委員会において飽くまでも質すのが本筋である。成るほど委員外発言という方法はございます。これは、本委員として発言するのでありませんから、これは相当権限において違うところもあるのであります。私自身はそう考えますから、これは私の意思を委員長において実現されるよう御努力願いたい。
#212
○高橋進太郎君 連合委員会がずつと引続きありまして、本来の地方行政委員会が最終日になつてもまだ開けない、それで昨日いろいろすつたもんだで漸くきめて、それも今日は一体午前中から始まるわけでしたけれども、皆さん十時からお揃いにならないので、実はお待ちかねして我々控室へ帰つたような次第でありますから、これ以上延ばすということは、我々の本来の地方行政委員会の審議が殆んど無視されるということになりますので、これは直ちにこれで打切つて頂きまして、そうして地方行政委員会を再開して頂きたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#213
○委員長(岡本愛祐君) 岩間さん御了承願います。
#214
○石川清一君 連合委員会の運営については連合委員会の委員長並びに理事によつて決定されておるのでありまして、その間におけるいろいろな中で、岩間委員の質問も確かにずつと引続いてあつたと存じております。従つてこの決定についてはこの連合委員会の最終段階でございますので、委員長において当然他の連合委員長と相談すべきだというようにお考えになれば、そういうように計らつて置かなければ私はならないのではないかと思います。
#215
○高橋進太郎君 私の承知しておりまするのは、今日午前十時から始めまして十二時半で終るこういう各理事の申合せ、その決定に従つたわけでありますから、その線はもう打合せる必要はないと思います。速かに地方行政委員会を再開せらんことをお願いいたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#216
○原虎一君 二つの意見が出た場合には、これはやはり委員長は先ず連合の委員長と御相談になつて問題を処理されませんと進まないのじないかと思います。我々は成るほど今日の運営については、昨日四委員長と関係理事が集つて、質問時間は二時間半とし、五名が行う、その間の譲り合いは許すということになつたが、それには、今岩間君が言われるように、総理の出席が要求され、総理が出られて初めてこの昨日の運営決定が生きるのでありますが、遺憾ながら総理がそれまでに出られなかつたために、昨日の決定を実際九分までは実行したが、あと一分が、残つて、而もこれは、こういう重要なる法案に総理の出席を議員が求めて、それが今日始まつてでなくて、数日前に求められておるのでありまして運営を決定したからという理由で押切ることは、これはできないのであります。ただ私どもは、あえて時間を空費しようとか、或いは議事を未了に終らせようという考えは持つておりません。従つて委員長は休憩を宣せられて、速かにこの問題を処理されることが妥当であり、或いは総理が今おいでになれば、五分間で昨日の申合せ通りに済むわけであります。
#217
○高橋進太郎君 私は重ねて申上げたいと思うのでありますが、全然これは総理の質問を許さないというのならあれですが、とにかく委員外でお許しをしようというのですから、そのために、僅かの時間のために地方行政の本来の委員会が開けないということは、非常に形式的じやないかと思うのであります。ですから速かに実態を考えられまして、再開せられんことをお願いいたします。
#218
○原虎一君 折角の御意見でありますけれども、議論しておると、三十分や四十分はすぐ経つてしまう。今まで言われたところの議論で行きますならば、委員外質問では、言葉だけのやり取りならそれでも済みますけれども、やはり連合委員会における総理に対する質問と、それから地方行政委員会において委員外議員としての発言とは違うのであります。岩間君が連合委員会において、連合委員会構成分子として総理に対する質問というものと、それから委員外議員としての質問とは違うのであります。その点は私が申上げなくてもおわかりのはずであります。これを議論しておりますれば、三時開議論したつて、この議題は盡きない。一番急がれるならば、与党の方々が予算委員会へおいでになつて、総理に五分か三分おいで下さいとお連れになれば議題は解決する。それをあなた方がやらないで、ただ発言を、自分らの審議権が縮小されるからと言うが、あなたの審議権を縮小する意味じやありませんから、やはり議員としての職責を果そうとすれば、幾らでも立派な理由があるのであります。これはやはり委員長及び理事会を開いて、然るべく処理することが妥当であると思います。
#219
○委員長(岡本愛祐君) それでは速記を止めまして、懇談にいたしたいと思います。
   〔速記中止〕
#220
○委員長(岡本愛祐君) 速記を始めて。
 それでは本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時三十七分散会
 出席者は左の通り。
  地方行政委員
   委員長     岡本 愛祐君
   理事
           堀  末治君
           吉川末次郎君
           竹中 七郎君
   委員
           石村 幸作君
           高橋進太郎君
           安井  謙君
          小笠原二三男君
           相馬 助治君
           中田 吉雄君
           鈴木 直人君
           岩木 哲夫君
           石川 清一君
  人事委員
   委員長     木下 源吾君
   理事
           森田 豊壽君
           小野  哲君
           早川 愼一君
           紅露 みつ君
  文部委員
   委員長     堀越 儀郎君
   理事
           成瀬 幡治君
           若木 勝藏君
           木内キヤウ君
   委員
           木村 守江君
           荒木正三郎君
           高田なほ子君
           和田 博雄君
           矢嶋 三義君
           岩間 正男君
  労働委員
   委員長     赤松 常子君
   理事
           原  虎一君
   委員
           宮田 重文君
           山花 秀雄君
           堀  眞琴君
  国務大臣
   文 部 大 臣 天野 貞祐君
   労 働 大 臣 保利  茂君
   国 務 大 臣 岡野 清豪君
  政府委員
   地方自治政務次
   官       小野  哲君
   地方自治庁次官 鈴木 俊一君
   地方自治庁公務
   員課長     藤井 貞夫君
   法務府法制意見
   第二局長    林  修三君
   文部省大学学術
   局長      稻田 清助君
   労働省労政局長 賀來才二郎君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト