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1950/12/02 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 図書館運営委員会 第2号
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1950/12/02 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 図書館運営委員会 第2号

#1
第009回国会 図書館運営委員会 第2号
昭和二十五年十二月二日(土曜日)
   午後一時四十八分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十六年度国立国会図書館の予
 算に関する件
○国立国会図書館の経過報告に関する
 件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(徳川宗敬君) それではこれから委員会を開会いたします。
 本日の議題は、昭和二十六年度国立国会図書館の予算に関する件と、国立国会図書館の経過報告に関する件のこの二つでありますが、先ず初めに、昭和二十六年度の予算に関しまして館長から御説明を願います。
#3
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 昭和二十六年度の予算について御説明を申上げます。
 私どもの国立国会図書館といたしましては考うべきことが山ほど沢山ございまして、その中でも一番私のほうで計画として考えなければなりませんのは、本当の図書館の建物を持つことでありまして、これができませんければ、如何に努力をいたしましても、図書館活動は円満には行きかねるものと思つております。
 第二は、内部の機構を充実させまして、與えられた法律から生ずる責任を完全に果すというような点で、あります。この二件につきまして、いろいろと努力をしておりましたけれども、建築の問題はいろいろな事情を考えまして、思うに任せぬ姿でありますから、今回の予算の中からはその点を止むを得ず外すことにいたしまして、内部の機構を拡充するという面に、先ず注意を向けたのであります。それにつきまして、私のほうの仕事のうち、大体二つの大きな面がある。一つは国会に対しまして、十分なる調査事務を担任する。これが一番大きな仕事で羽ろうかと思います。
 それから次は、国のすべての書物の利用者に対しまして、よく整つた図書館施設をするということであります。この二つの問題については、いろいろ思うに任せぬのでありまするので、今回は特に重点を国会に対する調査事務を一歩でも完全ならしむるという考えを以ちまして、今回の予算の主眼点をなしておりまするのは、調査立法考査局の中に六十人の人員を新たに増加することにいたしまして、その六十人の人員を現在のものに差し加えまして、およそ百二十名の形にして局内の課の整備等も併せ企てまして、できるだけ立法調査を完備せしめたいという考えを持つております。そのほかの点につきましては、まだ細かいことは沢山ございまするが、先にも申しましたように、何しろ場所的な設備がなくては図書館の仕事はよくできません。けれども思うようにはならないといたしますれば、過渡的にこれに応ずる施設をしなければならぬのであります。その中で、この上野図書館、これは私どものほうの手に移るまで数千年の歴史を経過しておりましたものを、その間に、どちらかと言えば建物が小さくて仕事が多過ぎる、又材料が多過ぎる。それがために動きのつかないようなところまで行つております。そこで、もうどうしても書庫の増設をしなければならぬ。書庫の増設をいたしますれば今まで塞がつておつた他の空間にも幾らか余裕ができまするので、暫らくは事業を遂行して行くことができる。この見地からおよそ二百五十坪の不燃性の書庫を作るために一千三百万円の予算をこれに計上したいというのが一つの希望であります。上野図書館の建物は、当初からそういうふうにだんだん書庫を増設して行くようにプランされておつたのでありますけれども、それが実行されていなかつたのを幾らか今回実現するのであります。次に、この本館の仕事でありますが、旧赤坂離宮のあとで仕事をしておりましては、とても国会の要望にかなうことができないのみならず、書物を入れる所もないようなわけでありまして、そこでこれも、ただ仮の書庫といたしまして三宅坂に二百四十坪の鉄筋コンクリートの書庫を設けたいというふうに計画をしております。これが九百七十二万円くらいかかるという予想を持つております。九体この三宅坂の附近の所にだんだん鉄筋コンクリートの建物を加えて行きまして、一応必要な仕事をやつて行こうと考えております。但し、これは年々予算に盛つて行くことでありまするから、根本的の計画は立ちません。それを以て永久の施設とする考えは毛頭ございません。木造ではとても危なくてしようがないというために、不燃性にして行くというわけであります。大体この二つを主眼点といたしまして、予算の数字について御説明を申上げます。
 本年度の予算はこれを二つに分けまして、一つは職員の給與改善を図つておるのです。これは世間一般の給與改善の線に沿つて行くものでありまして、この図書館特有のものではございません。この図書館の予算を二つに分けて数字にお示ししておるのでありますが、一般的のほうを申上げますると、一応一億八千六十五万四千円という要求額になつております。これは前年度の額に比べますると四千万円ほど増加をしておりまして、二割八分の増加になつております。給與改善のほうの予算はこれと別の計算になりまして、今できました数字を元としてその上に俸給増加、手当増加というような考慮をしております。一般的な図書館の予算つきましていろいろ細かいことは沢山ございまして、数字のうちにも現われておりまするけれども、要するに大きいものとしては、調査立法考査局の拡大強化、そうして必要なる営繕の費用をこれに計算するということであります。なおそのほかに、金額としては少さいのでありまするが、やや事柄として大きいものがございますのに、横浜市にありまする大倉山の図書館が従来懸案になつておりまして、国立国会図書館でこれを全部運営管理するというような希望もあり、今まで事実上各方面にお話を申上げてその準備をしておりまして、大体、話もまとまるということになりましたので、来年度予算から正規にこの大倉山図書館を我々のほうの管理に移すものとして予算の計上をしております。それは金額として、人件費としては六人だけ、それから人件費以外のものは二十二万七千という程度のものでございます。数字に現わしますると非常にちつぽけなことになりまするけれども、この図書館は、およそ蔵書八万、而もその八万冊は哲学、宗教、倫理、歴史というようなふうの面に限られておるのでありまして、内容も、外国の書物も相当含み、写本等も含んでおりまして、相当価値あるものであります。一般の用途になるか、ならないかということは疑問でありまするが、私どものほうのやりかたといたしましては、特殊なる図書は特殊なる所に集めて、特殊な人の利用に向けるということも二つの方法ではないか。こういう考えを持つております。東洋文庫、静嘉堂文庫もその方針でやつておりまするから、大倉山の図書館もそういうふうにして管理ができるのではないかと思つております。只今のところでは別段正式に開館しておるわけでございません。その財産を保全して、だんだん正式な図書館を開きまするときの準備となりまする意味を以つて、ほんの僅かの人に対して事実上門を開いております。
 なお、私どもの図書館の仕事のなかで通常考えられておりまする総合カタログ、それから印刷カード、この二つの面がございます。総合カタログのほうは、つまり全国の書物、或いは支部図書館の書物を一つの目録に作り上げるという作業は漸次やつておりますけれども、何分にもこれは大仕掛けのことでありますし、予算の面にも頭を強く出すことのできない事情がありまして、じりじりとやつておる状況であります。それから印刷カードを作りまして、日本で新らしく発行せられまするすべての書物について、図書館カードを印刷いたしまして、これを実費で売る。その実費で売ると申しまするのも編纂の費用は全然見込みません。紙と印刷費だけを基準として実費で配る。こういう計画を立てており、内部的には実行をしておりますけれども、今度一般に購入の宣伝をいたしまして、希望する人にはこれを売るという態度で、この暮ぐらいからやつておるのでありもまするが、来たるべき年次におきましては、それにつきましてもできるだけ予算を完備いたしまして、合理的にやつて行く。総合カタログは百三十八万円の予算、印刷カードは三百七十八万円の予算を以て計画をしております。これは実はこういうふうに予算が少いというと、いろいろのやり繰りをしなければならない。その結果理想的なものができない。理想的なものができませんければ、結局日本中の図書館に普及する力もない。普及する力がなければその利益が行き渡らない。こういうような関係になつております。あと、ここにいろいろ費目が挙げてございますけれども、重要なる点はそれだけでございまして、次に給與改善の問題に移ります。これは図書館に従事しておりまする公務員の給與をどういうふうに改善したならばいいかということですが、図書館といたしましては格別はつきりした意見はございません。これは一般の公務員の待遇の原理に従つて処置されて行くものであろうと思つております。従つて予算の面におきましてもその線を守つております。いわば人さまがおやりになるのであろうところの線を見込みつつ、自分に必要なる予算をお願いをする。こういう立場であります。それは別の印刷物に出ております職員の基本給六千三百余万円が七千五百万円に増額ぜられまして、従つて千二百万円余の基本給予算の増額があり、超過勤務手当、諸手当その他によつて影響せられます結果、この給與の経費が七千二百万円から九千万円になりまして、千七百八十七万円が増加額となるわけです。まあ世間並にこれは計上しておるわけであります。以上を合計いたしますると、全体の予算は殆んど二億に近い額、少しそれから切れておるというのがこの数字の表に現われております。
 以上のようでありますから、何分よろしく御審議を願います。
#4
○委員長(徳川宗敬君) それでは、只今の御説明に対しまして御質問がございましたら御発言を願います。
#5
○岡田信次君 三枚目の表の二という所に館員訓育研修に要する経費として十四万六千円とありますが、これは一体十四万ばかりでどういうふうに研修ができるのですか。
#6
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) これは、こういういきさつになつております。私どもの図書館を作りましたのは二年半ばかり前でありますが、そのと雪に図書館の職員となるには相当の資格閲歴が要る。こういうことは誰も認むるところでありますけれども、日本でもそういう資格閲歴のある人が得られるかということになりますと、なかなか困難であります。又古い人には幾らかそういう経験のある人もありまするけれども、それらは又一つの特色のある知識を持つておりまするために、新らしい時代の図書館にはそのままでは必ずしも当てはまりません。そこでこの法律を作るときに外国側の人の専門家の助言等もありまして、できるだけ早く図書館の知識を人々に得しむるということで、世間にはそういう学校でもあればよろしうございますけれども、なかなかございません。そこで私どものほうでは、一応一般の教養について審査をして採用いたしまして、つまり専門学校、大学の程度を出た人を採用いたしまして、それに基いてまあ図書館に必要な知識を授けますために、いろいろな方法で内部で講習会を開いております。大体は一日二時間くらい、一週間に五時間くらい、そうして三カ月くらいを一期といたしまして必要な即位の知識を授ける。それが済むと又次に第二期の知識を授ける。二期くらいやりますとおよそ、必要な知識は一応得られるということになつております。場所は図書館の地下室を使つて、毎日原則として朝のうちに、仕事をする前の時間を利用してやつておりますし、それからその次に教える人たちも大部分は中の人を使つております。そうして都合によりましては、専門の知識の外の人も頼んでいるのでありますから、比較的金は要りませんので、結局教材の費用でありまして、ガリ版でありますが、いろいろ教科書みたいなものを配る。その教材の費用が千二百九十六万円かかる。それにいろいろ講習いたしますれば旅費などもかかりますし、その他見学をさせるというようなこともございますし、まあ調査の人を集めるというようなこともございまして、そうすると十四万六千円ということになります。これは最低限のものでありまして、決して十分とは思つておりません。
#7
○岡田信次君 大体この程度の輩出で従来目的を達しておられたのですか。
#8
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) これで目的を達するということは非常に困難でありますけれども、大体操用いたしますときに幕末能力と言いますか、相当の者を採つております。大学、専門学校を出ておりますとおよそ書物とか、知識ということにつきましての感覚はあるのであります。ここで特に授けますのは、カードをどういうふうに作るとか、分類をするときの原理はどうであるか、書物を出し入れして人に貸付けるその心がまえはどうであるか、外国の図書館の実際の有様はどうであるか。こういうような十單位くらいの項目につきましてやつておりまして、理想的とはもとより言われませんが、結局足らんところは中に優れた知識を持つておる人もありますから、見よう見真似の自学独習という点も手伝つておりますけれども、どうにか動いております。
#9
○羽仁五郎君 只今館長から御説明がめつたわけでございますが、その一番最初に、この国立国会図書館がその本来期待されておるところの機能を果すためには、どうしてもその目的に合致した建物を持たなければならないということは、十分御認識になつておられる。併しそうした本建築に着手するということには多大の困難があつて、容易にこれに着手しかねておる。従つて只今議題となつておる二十六年度の予定経費要求書の中で、それについては全然触れていないという御説明であつたのですが、この点についてもう少し詳しく伺わせて頂きたいと思うのでありますが、事実館長初め諸君の非常な努力にもかかわらず、現在のように元来図館館の目的を以て建築したものでない建築物の中に図書館を赴き、そうして又議院との距離などは全く不適当である。そういうところでお仕事をなすつておられるのであるから、非常な御努力にもかかわらず所期の機能を発揮し得ないということは非常な問題であります。どうか一刻も早く本建築に着手するようにしたいというふうに希望しておるのでありますが、今までのところ、どの程度までその御計画をお立てになつておられるのか。そうしてこの図書館運営委員会としてもその御説明をいろいろ伺いますと、今年も、二十六年度は無理だから要求しない。二十七年度も無理だから要求しないというように毎年延しにしないで、何年計画かで以て一歩だけでも踏み出して行くように、委員各位の御壷力が願わしいと思うのでありますが、そういう意味からも、先ず館長から本建築についてどんなふうにお考えになつておられるか。その概要を伺わして頂きたいと思います。
#10
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 図書館の本建築をいたしますために実際私どもの微力を常々感じておりまして、図書館問題を提げて世の中に対しまするときに、非常に相手が茫漠としておりまして、それを一つ一つ解決するのになかなか捗らない。こういうような破目になつておりますが、その第一に考えましたのはどこに造るかという問題であります。これは何としても国会に近い所に造りまして、国会に対するサービスが万全に行くようにしなければならぬ。その敷地を一応考えて見ますると、いろいろの考え方がございましたが、国会の建物はもとより動かないものと考えるのが正当でございます。従つてこの建物の前のほうに置くか、或いは横のほうに置くか、或いはうしろのほうに置くか。こういう問題が起りまして、いろいろ考究をいたしますと、この附近全般の道路の形、建物の在り所というものも或る程度変更を加えるものとして、かつこうよく設けるように考えますると、今の国会の横でありまするところの旧ドイツ大使館のあつた所が一番適当であろうと、こういうふうに考えたわけであります。ところが、ドイツ大使館の敷地というものは戰争前からのいろいろな経過によりまして、直ちに我々がここならば確保することができるということにもなりませんので、各方面と相談をいたしまして、いろいろあの土地を目がけておつたのでありますが、一応目鼻がつきまして、この敷地を大蔵省の手に移して貰いまして、そうして更に適当な時期に国会自身の管理の下に置きたいというように考えておりましたが、今日は大蔵省の手に移るという段階にまでしか行つておりません。それから、あの跡にいろいろ建物のこわれたものが残つておりまして、これを整地しなければ何の計画もできんのでありますか、その整地は或る程度まで図書館のほうの手によつて現実をしております。念に完備するわけではございませんが、とにかくやつております。大よそこの方針によりまして、今日まだはつきりすべてのところの同意を得ておるとは言い切れませんけれども、その方向に進行しております。ところが私どもの考えておりまするところの図書館の計画は、アメリカへ行つた使節の言つたところを或る程度取入れておりまするので、相当規模の大きいものであります。大体建坪五万坪というものでありまするから、敷地といたしまして相当の面積がなくてはなりません。ところがドイツ大使館の跡は六千坪しかございません。それで六千坪の上に延五万坪の建物を作るということは相当無理があろうと思います。でありまするから廻りの土地を手に入れなければならない。大体官有地が八千坪ばかりありますので、これを寄せますると、一万四千坪ばかりになる、そのうちの一万坪を敷地として五階建にしても五万坪できる。こういう計算になりますが、それとても非常に不自然なものでありまして、何しろ高い建物を造るので、もつと敷地がなければならない。合計二万坪くらいの土地が欲しいと思います。で、それがために民有地を相当買入れをしなければならない。六千坪くらいは買入れしなければならないと思つております。従来、この六千坪の民有地を買入れするということの予算を大蔵省と交渉しておりまするけれども、遺憾ながらその予算を得ることができません。その間に、民有地というものはそれぞれ人が勝手に物を造つていいのであるから、敷地の中に永久性の建物ができつつある状態であります。併しそれに対して異議を述べるにも国会図書館の敷地計画というものがもとより確定しておりませんので、異議も述べられない。実に心配をしておる事情であります。そこで今度、建物のほうに移つて、建物の建設をしますときに、これは私ども専門の建築家ではございませんが、ただ建築家の意見を質しつつ、現に考えておるのでありますが、一万坪の土地を基本として、その上に五階建の物を造れば五万坪の物ができる。それで国会そのものの形との調和もありますので、非常に背の高い物を造つては面白くないと思いますが、大体延面積にして、この国会の三倍以上になるのであります。国会の建物が大体一万五千坪と聞いております。それで五万坪の物にすると相当大きな物ができますが、図書館のことでありますから、天井は高くする必要はないし、いろいろ質素にできるとは思いますが、そんなことも考えて建築の設計等については万全の注意をしなければならない。殊に近代図書館として相当の工夫がされまして……、外国の図書館というものもいろいろな構造はありますけれども、結局威嚇的に非常に嚴然たる図書館ができるのと、丸尾根が輝いて窓がきれいに並んで如何にも図書館らしく立派であるのと、表を通る人はそう思うでありましようけれども、実際はそういうふうに造りましても、図書館は古代の図書館で、近代的な能率を発揮することができないということになりますと、それと違つたところの、もつと新らしい姿を持つておつて、嚴めしい所は一つもない。而も実用の見地から言えば非常によくできておる。中は議員のために用うる研究室等も相当に大きい。場合によつてはいろいろな図書館らしい会合もできるように空室も持たなければならないということを考えて行きますと、この設計はなかなか簡單な智慧ではできないのでありまして、この図書館建設に関する特別な調査機関が必要になつて来ると思います。これをやらなければ五万坪の図書館ができた時分には、時代遅れになる。役に立たないということにもなろうと思います。そこで先ず何よりも、この図書館の建築自身について調査研究をする。その他技術的なものがあつて、それが図書館建築委員会とタイ・アツプすることによつて、いい結果がでるのでははいか。こういうことを考えて、その図書館建築の設計に関する経費について大蔵省に話を進めております。
 以上いろいろ申上げましたが、そのいずれの予算、土地買入の予算も、図書館建設に関する予算もまだ認められていないのであります。のみならず、と申しまするか、実は極く嚴密な理窟をとりますと、図書館の建築委員会というものがありまして、それは図書館と独立しておるものであります。まあ経費の要るものというのではございませんが、理論的には多少の経費の要るものであります。その図書館建築委員会というものに独立の一つの項目を設けて、これに経費を割当てて貰いたいという希望を大蔵省に対して述べたことは一再にとどまりませんけれども、結局今のところは思うように行つておりません。そこで今お示しになりましたように、我々は図書館を運営しており、その予算は頂いておりますけれども、将来の建物に必要なる計画及び実現の手段は極めて僅かしか持つていないという立場にあるのであります。
#11
○羽仁五郎君 只今館長から非常に御苦心の御説明があつたのでありまするが、どうでしようか、参議院の図書館運営委員会の皆様の御討議を頂いて、少くともこの二十六年度要求書と同時に、五ケ年計画なり、或いは十ケ年計画なり、今日の状況ですから、決してすぐその三分の一建てろとか、或いは土台を作れとかいうほどにも行かないのですから、只今館長の御説明になつた程度の、せめて新らしい国立国会図書館としてはどういうような建築物を建てるべきかという準備、コングレス・ライブラリとして世界の模範的な図書館建築について十分に調査をし、その立案の基礎となるべき資料を收集する。或いは只今お話のような予定敷地の周囲、又はその内部にある民営地について妥当な措置を講ぜられるとか、その程度のほんの着手的なことでも結構ですから、その計画を立てられて、そうして五ケ年計画なり十カ年計画なり、幸い只今の両院の議長の御名誉にもなることであるから、同院の議長に向つて国立国会図書館の五カ年計画なり、十カ年計画の御承認と、それからその着手ということに是非進めて頂いたらどうかというふうに思うのです。殊に国立国会図書館の発足に当つて、現館長のような非常に立派な閲歴と識見とをお持ちの館長をお迎えしたことは、国立国会図書館の創立に当つて、各方面の認識を得るためにも是非とも必要であるという考えで、両院の議長が特に辞を低うして御就任を願つたというふうに拜察するものでありますが、どうかもうすでに発足して数年にもなりますし、いろいろな国内及び国際関係もありますが、併し或る意味において日本が講和会議を迎えようとする場合に、国立国会図書館の建設の五カ年計画なり、或いは十カ年計画に着手するということも、決して妥当でないと言えないように思うので、どうか委員各位の御高見を承わつて、そういう方向に進み得れば誠に仕合せと思いますが、如何でございましようか。
#12
○委員長(徳川宗敬君) 只今の羽仁さんの御発言は非常に御尤もだと存じますが、それにつきまして何か御発言はございませんか。
#13
○森崎隆君 館長さんにお聞きいたしますが、本建築の予算について、これを研究する臨時措置としての研究機関について、一応折衝された上で予算に入れなかつたのでございますね。それで準備機関、研究機関としてそれには大体どのくらいの予算が要るか。御計画なさつて、折衝なさつたのでございましようか。若しその計画がございましたら大体どのくらいの予算であるか、お話し頂けますか。
#14
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 今まで大蔵省側と交渉いたしました計画では、土地の買收費、それからそんなに大きな構造も要りませんので、四十人ばかりの專門家を集めて図書館の基本計画をする。これだけの予算を実は持ち出したのでありますけれども、事務当局によつて削られたわけであります。
#15
○森崎隆君 そういうことは、是非とも一つ本委員会で、館長の言われる通り貫徹したいと思います。
#16
○羽仁五郎君 只今館長の言われた二つの項目ですね、土地の買收と、建築に関する調査、それを特に両院の議長の力を持つて五カ年計画なり、十ケ年計画の発足として実現するということについての可能性はどうでございますか。願えれば是非そういうことにして頂きたいと思うのですが、まあ大館長、大議長の手で一つ是非発足して頂きたいと、衷心から願うのでありますが……。
#17
○森崎隆君 今の研究機関は四十人程度ですから、大した予算ではないと思います。これだけでも何とかここで決議でもいたしまして、再交渉にでもならんですか。そうしませんと、いつまでたつてもスタートできないというような非常に残念なことになりまして、現状打開、進展が一歩もできない。研究機関だけでも、取りあえず若し四十人が不可能なら三十人でも、三十人が駄目なら二十八人でも、多少下りましても一応研究機関を作るということを強力に一つ、我々も微力でございますが、一致いたしまして皆の総意を以て館長が再交渉されまして、大した金ではないと思いますから……。大体どのくらいになりますか。八十万か百万くらいもあればできるのではないでしようか。
#18
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 実は、そういう交渉をいたしましたのは、結局この問題は予算で一つ頭を出して置かなければ、あとの発展がむずかしい、そこでまあその方法を講じたのですが、大蔵省のほうもそこのところはきつと見抜いておるのでございまして、将来に影響を生ずるようなものについては極力防止せられるわけであります。なお、ちよつと申し残しましたが、国会図書館をドイツ大使館のあとに造るという計画を持つておる点は、両院自身にちやんと通知してあるのでありまして、私どもが意見を作つたのではなくて、建築委員会の意見としてきまつておるのでありますが、ただあの敷地につきましては、両院のみずからの運営委員会によりまして、他のものに充てるというような計画も曽つてきめられたことがありまして、その点の関係がやはりあいまいになつておりまして、私どもやはり、何とか一歩一歩はつきりした形にその姿を持つて行きたいというので、大蔵省に申したのでありますが、予算といたしましては四十人おりますと、その機関の費用として五百万円くらいは要るだろうと思いますが、それとても我々の心がけさえこれに向けられれば、できることではなかろうかと思つております。只今のところでは、むしろ逆に現在細細ながら建設の調査に従事しておる者を減らすようにというふうに勧告されておる状況であります。
#19
○委員長(徳川宗敬君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#20
○委員長(徳川宗敬君) 速記を始めて。
#21
○羽仁五郎君 館長の非常な御苦心に対して我々図書館運営委員会として、是非次のような勧告を議長に向つてして頂きたいというふうに思いまして、ほんの私案でありますが、動議を提出いたします。
  国会は民主主義日本建設の最高機関としての自己の職責を果たすために、先に非常の決意をもつて国立国会図書館法を制定し、国立国会図書館に創立したのであるが、今やその本格的なる建設計画を樹立すべき時期に到達した。以上の理由に基いて本委員会は議長が国立国会図書館の本格的建設計画を採択され、昭和二十六年度予算にその第一着手の実現として、一、敷地の確保、二、建築計画調査機構に要する経費の措置をとられるよう勧告する。
 どうか各位の御批判を頂きたいと思います。
#22
○岡田信次君 私は只今の羽仁さんの動議に心から賛成いたします。
#23
○委員長(徳川宗敬君) それでは御異議もないようでありますから、只今羽仁さんの御提案になりました勧告書を附することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○委員長(徳川宗敬君) それでは昭和二十六年度国会所管国立国会図書館予定経費要求書は、只今の勧告書を附して御承認頂くことにいたしてよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○委員長(徳川宗敬君) それでは御異議がないようでありますから、さように決定いたします。
  ―――――――――――――
#26
○委員長(徳川宗敬君) 次は国立国会図書館の経過報告に関する件であります。
#27
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 本年の四月から九月に亘る六カ月間の国会図書館の運営の状況につきまして御報告を申上げたいと思います。非常に細かいいろいろなことに亘つておりまするので、大体の数字は謄写してお渡ししてありまする国立国会図書館経過報告資料について御理解を願いたいと思います。大体の問題といたしまして図書館の組立、つまり法律上の組織という点につきましては、別に特別の変化はございません。今の実情におきましては、中央の一つの図書館は一局、六部、一分館で、できておりまするし、それから支部の図書館につきましては、数は全部では二十五ございまするが、そのうち三つだけが特殊なものでありまして、他の二十二は、行政、司法各部の官庁に置かれておる図書館であります。そのほかになお、実質上分離したもののように見えまするのは、労働科学図書館という俗名で祖師ケ谷大蔵に分室がございまするし、それから先に申しました大倉山の図書館は、この期間に表面に現われておりませんけれども、潜在的に中に含まれておるということにもなろうと思います。
 次に人事の問題でありまするが、人事は九月一日現在におきましては、制度の上では五百十六名置くことにかつておりますけれども、実際では五百十五名だけ置いておりまして、大体は充実しておると言つてもよかろうと存じます。細かく申しますれば、始終職員に変化しておりまするし、殊に支部の図書館の館長をされておる各行政、司法の部局の職員は、どうしても更迭せられがちで、長く支部図書館長をやつて下されないというような状況になつておりまするが、その点は今日特に触れません。次に働きの面でありまするが、働きの面は幾つもに分れまするが、この議会に対する働きはどんなふうであるかと申しますると、国会に対しまする働きの主なものは調査立法考査局の所管と範囲を同じうしております。いろいろのお尋ねに応じて報告書を出す、或いはお尋ねがなくても予想して報告書を出すということになつておりまするか、そのうち件数だけを示しますると、表の一のところにございまするが、お尋ねによつて答えたものは六ケ月間に百四十件ございます。簡單にすぐに答えたというようなものが二百十八件ということになつております。この数は非常に少いのでありまして、外国の事例などのように何十万件の質問に応ずるということと比べますると、相当比較にならないと言つてよかろうと思います。アメリカ辺りでは一人の上院議員が一年に八十何件図書館に質問しておる、こういうことから見ますると、これは一人半分ぐらいの質問にしかなつていないということにもなろうかと思います。次に書類にいたしましても、殊にそれを印刷物、或いは謄写刷りにいたしまして発表したものが、この六ケ月間にどれだけあるかということが、この第二の表の中に現われております。これはいろいろな標準で項目をとつておりまして、大体必要であるようなものを選び、又はしつかりした材料が得られたものについてやつておりますが、この期はここに出ておりまするような程度であります。今後、若し立法調査の部局が増員せられました暁には、もつと合理的にちやんと項目の範囲を幾つもに分けまして、種々なる項目に亘つて不釣合いの起らんように、各範囲に行き亘つた調査を進めたいものと思つております。なお、この調査の中で一部分は町に売出しております。それはつまり個々の調査をいたしましたその結果、一般向であり、且つ有益であろうかと思わるるものを選んで市販に付しておるのでありまするが、そのうちでも世界人権宣言、この調査表のうしろのほうから三枚目くらいに出ております世界人権宣言などは、現に世界人権宣言が作られましてから二年目に当つておるので、今日多少世の中でも広く読まれそうなもののように思つております。
 次に、国会分館の有様を申上げまするが、国会分館と申しますのがこの国会の建物の四階に、私のほうの一部であるのがございます。設備は不十分でありまするが、案外書物は沢山入つておりまして、この需要の程度も相度多いのでありまするが、図書貸出者四千四百二十七、貸出図書数六千八百三十四、こういう計数になつておりますが、自由に入つて、自由に読むという形になつておりまするから、本当のことはこの数字の中には現われておりません。いろいろ推測すれば実際はこの何倍の人、何倍の書物が計上せられると思います。なお、国会分館には実は少し違つた仕事が含まれておりまして、それは日本の憲政資料を蓄積しているということであります。明治時代の憲政の発達に貢献したいろいろの人々、例えば伊藤博文、岩倉具視、西周、津田眞道というような人々のお宅にあるところの文献の中には、将来の歴史の編纂に参考になり得るものが含まれていると思いまするが、併しいろいろな事情によつて、分散しないとも限りませんので、先ず一応ここの国会の建物の四階の一つの部屋に、いろいろな資料を集めて保存しております。その中の一部分は図書館のいわば財産になつておるのでありまするが、一部分は元の所有者のものになつております。伊藤博文の家にあつた物や、岩倉具視さんの資料も含めましての計算でありますが、冊数にして六千七百七十冊がこの四階に保存せられております。こういう仕事が余り激しくなつて、図書館の活動を害してはならんと思いますが、何分にも散逸の危險が非常にあるのでありますから、現在保管を注意しておるのであります。それから表の五に「行政司法各部門支部図書館の閲覽の統計」というものがございまするが、これは各官庁にありまする図書館と、又その図書館と本館との関係をできるだけ示すように考えでおりますが、我我としても甚だ不明を謝さなければなりませんが、各官庁にありまする支部図書館というものにつきましては、初めそんなに大きな期待を持つておりませんでした。法律に出ておるから、その法律の線に従つてこれを尊重、発達せしめるというくらいに私は考えておりましたけれども、やつて見ますると、非常にこれが誤りであることを発見をいたしました。何しろ各官庁はその本来の働きに応じまして特殊な書物を持つておられまして、その特殊な書物を利用するのでありまするから、ほかの図書館では到底代用のできないものがあるはずであります。ところが戰争による災厄、或いは火災による災厄等によりまして、貴重文献がかなり失われております。過去のことは仕方がないので、将来はこれをしつかり集めて行く。こういう必要がございます。それから又どうも日本の行政というものが何しろ腰だめ流と申しますか、余り正確な資料に基かずして、関係者の考えによつて簡單に片付けられておつた弊害も非常に現われております。併しやはり各官庁がしつかりした資料をお持ちにならなければならぬ。こんなことも考えております。それから又、各官庁がつい図書館というと広く考えまして、一般の図書館と違わないような措置を講ぜられる傾向があります。それは余りいいことではないと思います。それを改めまするためには、一般向きの書物は支部図書館でお買いにならないで、それは中央図書館で買い、そうしてそちらに廻す。支部図書館は本来の機能を続けてやられるほうがよかろう。こんなふうなこともだんだんはつきりして参りまして、それが統計の上に一部分現われておりますが、書物の数、書物の利用率などを見まするとき、中央図書館よりもむしろよく伸びておるのではないかと、こんな気がいたします。今後この面に努力をして行きますれば、日本の図書館の働きに非常に貢献するのではないか。そういう気持を持つております。そのほかいろいろ細かいこともございまするけれども、それは又必要に応じていたすことにいたしまして、目ぼしいものと言いまするか、一つ二つを拾つて言いますると、ちよつて支部図書館に又関連して申上げますが、支部図書館は皆様がたが実際御覽頂きますとよくわかりますけれども、例えば外務省の支部図書館に行きますれば、世界の外交上の参考になりまする長年続いたシリーズ物があるのでございまして、こういうようなものは相当よく保存せられておるような気がいたします。統計局とか特許局とかいう所は、これ又本来の仕事によりまして、一種特別の支部図書館機能を持つておられまして、これはそこの役人が使う。こういう趣旨じやないのでありまして、国家全般の図書館の中で統計に関するもの、特許に関するものを持つておるというような所でありまして、なかなか面白いのでありますが、その関係から、私どもはこの図書館運営委員会等の御盡力を得まして、支部図書館というものがしつかりした存在を持つて来るように努めて行きたいと考えております。
 それから次に、中央図書館の一般図書館向きの仕事における利用の程度でありますが、これは先ず普通に動いていると言つてもいいと思います。上野の図書館が一番多いということでありまして、国会図書館もそれ相応に動いておりまするが、実際これは今日のところ中央の公共図書館が発達しておりませんから、その図書館利用の負担が国のほうの図書館にひつかぶつているのでありまして、むしろ国の図書館としては、その利用率の大きさよりも中身の整頓しておることと、利用者の質等に注意すべきものであり、数で行くということは公共図書館のほうに委せるほうがいいと思つておりますが、今のところでは、国の図書館に読書の要求がかぶさつて来ておるという傾きを持つております。
 それから次に十四表のところに行きまして、「刊行物一覽表」というものがございますが、国会図書館では法律によりまして刊行しなければならないものもありまするし、又自分たちの図書館サービスの一環として刊行するものもございまするが、十四の表の中に出ておりますうちで、国内出版物目録、これは法律上の義務としてこれを出す必要があるのでございます。それからもう一つ。ここには書いてございませんけれども、日本の法律等の動き方が一目瞭然とわかる表、日本の法律がいつできて、どういうふうに変つて、いつ廃止になつたかということがよくわかるインデツクスを作るということが、我々のほうの、恐らくは重要な刊行物の一として法律で決められています。そうしてこの二つはまだ改善の余地はありまするけれども現在これをこしらえております。同じ十四表の初めの「雑誌記事索引」のところに、「人文科学篇」「自然科学篇」というものがございますが、この雑誌の記事と申しますのは沢山の雑誌の中の項目のインデツクスを作りまして、あとから繰つて見れば、いつどういう論文が、どういう雑誌にあつたかがすぐわかるというものを作りますことは、日本でもたびたび企てられており、個人的な経営、或いは何かの会でこれを作つておるということもございまするが、包括的にやつたのは少いと思つております。私のほうでこれをやり、だんだん町の中に売出すという方向に進んでおりまして、今日余り誇るべき結果に至つておりませんが、外国側でも相当に注目をして、それを送つてくれという希望も出ておるのであります。「收書通報」については別に特に申上げることはございません。
 次にやはり十七表の印刷カード製品数というところがございますが、先にも少しく申上げたいと思いますが、中央図書館の仕事といたしまして一冊新らしい本が出ますればそれに応ずるカードを作つて置けば、日本全国の誰もがこれを買つて利用することができる。だからこういたしますと、人を雇えば一日に五百円も千円もかかるというのが、カード数枚で五円、六円で処理ができるということになりまして非常に能率が上るものと思つております。先ほど出ました予算の中にもその点は多少織込んで置きましたが、実際は予算が不足でありまして、冒險的に広く売出すこともできない状況でございます。売り余つたら処置に困るということになりますので、非常に安全をとつておりますが、これは今が試験時期であるからそうであつて、将来はそうでないように行こう。こう思つております。併しこの表に示されておりますような僅かな時期ではありましたけれども、相当の数をやつておりまして、これが将来うまく行つたら日本の図書館の役に立つであろう。
 それから次に、十八のところに行きまして、写真複製業務状況というのが出ておりますが、これは皆さんも御承知の通り、今までは書物と言えば活版の印刷というのが普通でありましたけれども、それが持つておりますいろいろの欠点もあります。と言うのは書物を置くと嵩ばつてしようがございません。書物を入れる本箱を作らなければならない。一班の書物を本箱に入れますと、どうしてもそれに該当する本箱の金が六十円もかかります。だから三十円の木だとすれば本箱の金が倍になるということでありまして、木箱を入れる建物の敷地がないというようなことから、いろいろな角度からこれを映画のフイルムに納めて軽便に扱う。これが段々と発達して行くと思います。私のほうではこれに対してまだ若干疑いを持つておりますので、先走つてこれに従うだけの勇気もございませんけれども、併し補助的なものとしてこれをやつております。これがこの四月から九月までの間におきまして、ここに出ておりますのは一万四千九百三コマ、コマというのはフイルムに写つた一つ一つの部分を言うのでありますが、まあ相当これでやつております。つまり一万五千のコマをこしらえたということになるのでありますが、どこの注文でやつたかと言いますと、大体あちらこちらで注文がございます。例えばアメリカのフーバー・ライブラリーから頼まれて、日本の戰争中のいろいろな思想問題に関するマイクロフイルムを作つたということもございます。或いは、ハーバード大学のほうから頼まれて、日本の徳川期の小説類のマイクロフイルムを作つたということもございます。或いは建設省から頼まれて、建設に必要な資料を複製したという面もございます。かなりこれは拡まつて行くものと思つておりますが、今のところその写真機を持つておりませんので、非常に情ない話でありますが、その写真機を自分で買うわけに行かない。アメリカの図書館から一つ借りて使つているわけでありまして、思うに任せないのであります。まあこのような程度でございます。それから国際的交換というこの仕事が案外大きなことになつて参りまして、現在のところ十九表にございますけれども、送るものと送られるものの分量が非常に殖えまして、こちらから外国に送りました出版物がこの六カ月の間に三万一千以上に及んでおります。それから書物の印刷カードなんかも送つてやりますために、六万九千余枚の印刷カードを送つております。大体はアメリカであります。それから外国から受付けまするものも同じように多いのでありまして、計算はいろいろ物によつて扱い方が違つておりまするが、書物だけでも三千六百九十七冊というくらいに出ておりまするし、雑誌も相当出ております。なお、その他に政府と政府との間ではなくて、学界と学界というようなこと、或いは大学と大学という関係で日本と外国との間に本の運搬をするというところの仲立の仕事をしております。そんな面倒臭いことをしなくてもいいじやないか。直接に送つたらいいじやないか。こういうことも考えましようけれども、一冊々々送りますと、とても郵便料が嵩むのであります。これを集めてまとめて箱に入れて送りますれば、郵便料でなく船舶の運送料になるということになります、この運賃が非常に軽減される。アメリカのスミソニアン・インスチチユートと我々との関係におきましてその世話をしている。その分量が外国に送つたものだけでも三万以上に上つておる。これは見極めて言えませんけれども、国際的文化與隆の上に大きな影響を持つております。
 それから次に、図書館がこの六カ月の間にどのくらい書物を手に入れたか。こうふう問題がございまして、図書館としては大きな問題になりまするが、これはいろいろな段階で数字がつかまえられまするので、一概に言い切ることはできません。書物が入つたという登録の関係におきましては、この期におきまして三万四千六百三十五冊、この三万四千という数は理想ではございませんが、とにかくそこまでは行つておるということを申上げて置きたいと思います。
 それから次に私どものほうでは納本と言いますが、日本中で出版いたしました書物は全部、一部を図書館に納める。その代りこれに対しまして実費を拂う。こういう制度になつておりまするが、この行き方が果して円滑に動いておるかどうかということになお研究の余地が残つております。今のところは大体は我々のはうに納付せられております。そうしてその極めて僅かな部分に対して実費を拂つております。あとは大体寄贈せられておる、つまりただで貰つておる。こういう状況になつておりまして円満に行つております。納付しない人はつまりそういう制度があることを知らないという場合が多いようであります。
 それから「国及び地方公共団体の出版物の納本統計」というのがありますが、これが二十六表、これはまだいろいろ研究の余地が幾つておりますが、私どもの図書館では公の出版物は或る分量ただでここに納付して貰うということになつております。政府官庁の出版物はいろいろな標準によりまして納付せしめまするし、地方の府県庁というような所もございまするし、その地市町村というような所の物も入れておるのでありまして、どこの村にどういう條例ができたか。この点を調べたいときに、国会図書館に来ればその公報があり、すぐにわかる。こういうふうにやろうと思つておりますが、まだやりかけてから間もないと申しますか、もう一年たつておりますが、どうもこういうことが地方の町村まで行渡つておりません。催促してもくれない。法律に書いてある、こう言つても、くれないというような状況になつて、相当迷いはしておりますけれども、大体順調にその納付の物が出て来ておるという状況であります。
 いろいろ申上げたいことは、まだ多くございますけれども、大体こんな程度において不完全ながらも、すべての者が努力をしておる。こう申上げて私の報告を終りたいと思います。
#28
○委員長(徳川宗敬君) それでは御質問を願います。
#29
○羽仁五郎君 支部図書館の関係で一つ伺いたいのですが、支部図書館では国立国会図書館法及びその制定の精神に伴つて、單にいわゆる單行本だけでなく、ドキュメントと言いますか、文書のようなものの整理、或いはその保管ということをして頂かなければならないわけなんですが、その問題はどんなふうに現状ではなつておりますか。
#30
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) これは私自身、非常に疑問を持つておる点でありますけれども、日本では在来、書物とドキュメントというものを別物のように心得えてやつておりました。併し実際考えて行きますると、手で書いたのと版で刷つたのとで扱いかたが変るわけでございませんからして、殊に支部図書館におきましては両方のものを殆んど同じ形に見るということがいいのではないかと思つております。けれども、沿革が久しいと申しまするか、なかなかそうは行きません。私ども中央図書館でも実はドキュメントのほうに繰り出して行くというような気持でやつておりまして、そうして実際は日本のドキュメントは、多くは文部省の所管であるかのことくに行政実例なんかが進行しておるという形がありまして、研究問題として、実は図書の中に入れております。そこで支部図書館がどういうふうにやつておるかということは、この間支部図書館の一部を拜見さして頂きましたけれども、どうもドキュメントというのは文書課の系統で別個に管理せられて、図書館のほうには移されていないのが実状のように思います。これがいいか、悪いかというところに今後に問題が残つておる気がしております。
#31
○羽仁五郎君 その点についてなお十分御研究下さり、又御努力願いまして、やはり大体の基準を御研究下すつて、その基準を各支部図書館が了解され協力せられるというふうに、是非して頂きたいと思います。それと関連しましてもう一つ伺いたいのは。例えば例を挙げますと、最近社会保障制度審議会が勧告をされたわけですが、社会保障制度審議会があの勧告に到達されるまでには、相当の資料などを收集されたものと考えます。ドキュメントのようなものを收集されたと思うのですが、そうするとあれは所管が内閣ですか。
#32
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 厚生省……。
#33
○羽仁五郎君 厚生省ですか。そうすると、厚生省の支部図書館がそれを保管して下さるということになれば非常にいいと思うのですが、最近の実例なので、あれの場合にはどういうふうになつておるのか。なかなか大変ですが、ああいう審議会のようなものが集めた資料、そういうドキュメントというようなものは一応まとまつていますし、従つてそれが支部図書館に保管され、国立国会図書館がそれを管理されるというようになると大変いいのじやないかと思いますが、その場合はどうでしようか。
#34
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 今の点は支部図書館で極めて重要なことであるばかりでなく、私のほうの図書館も実はその点において重要な利害関係を持つておりまして、調査をするときに、完全なものばかり貰つておつては役に立ちません。そういうがり版刷とか、何とかいう極く生の資料が非常に欲しいのでありますが、私のほうでもどうもよくわかりませんけれども、或る程度までまとまつたものは、確かにその官庁から送つて下さいますけれども、途中の段階のものは自然失せがちでありまして、必要な場合には人を出して貰いに歩くというようなこともやつておりますが、或る支部図書館でもそういうことは非常に気にしておられるようでありまして、いろいろやかましく言つてもなかなか集まつて来ないというようなことになつて、それで私のほうから各支部図書館に対して一つの割合というか、注文を付けるのがありまして、そういうものは集めて下さい。いろいろな調査資料は、それが印刷されたものと謄写とを問わず、何でもかでも図書館資料と思われそうなものは、支部図書館で集めることが希望であるということだけは、実は文書で申し勧めておりますが、まあ進行途中のところじやないかと思つております。
#35
○羽仁五郎君 只今申上げましたのは、一般の点は只今の御説明で了承いたしますが、その審議会とか何とかというふうに一応ややまとまつておるものの場合には、それの審議会が結論に到達するまでに收集した資料、材料、そういうふうなものが散逸しないように御配慮を願いたいと思います。
#36
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 承知しました。今のお話の点は、私どもも支部図書館に正式に文書で注意を喚起しようと思つております。
#37
○羽仁五郎君 それからあとは細かい問題ですが二、三ちよつと……。第一の議員の立法のための調査及び考査の件数ですが、アメリカの議員の一人半分くらいにしかなつていないということなんですが、議員に向つて、殊に改選されて新らしい議員のかたもお見えになつておるわけですが、議員の方々に向つて、国立国会図書館が立法関係のさまざまの質問を歓迎するというようなプロパガンダは出しておられるのですか。
#38
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 私のほうで調査立法考査局をお使い下さる方法、つまり使用の手引きというものをこしらえまして議員の方々にお配りしておるのでございますけれども、その結局少しずつ調査要求が殖えておると考えております。
#39
○羽仁五郎君 院内の放送なんかも利用して、なかなか手引きをお読みになるのも御面倒ですから、「こちらは国会図書館の立法考査局であります。さまざまな質問をどうか寄せて下さい。」こういうような放送も考えて頂くとどうかと思います。
#40
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) せいぜいそういうふうに一つ努力いたします。
#41
○羽仁五郎君 それからマイクロフイルムのととも議員のかたの御了解が恐らくないのじやないか。これについても、殊に先ほどの御説明のようなアーバー・ライブラリーからですかの注文で、こういうものをお作りになつたというふうなことを、院内の分館なり何なりに展覽されるということを考えて頂いたらどうかと思います。マイクロフイルムの事業がなお伸びて行くために、そういつた意味の啓蒙をして頂いたほうがよくはないか。
#42
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) マイクロフイルムのことを啓蒙したいのですけれども、何しろ機械はないし、いろいろなフイルムを……。
#43
○羽仁五郎君 啓蒙しないと機械も買えない。
#44
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 今やつておりまして、院内もそうでございますけれども、今名古屋で国立国会図書館の展覽会というものをやりまして、そこへフイルムだの、マイクロカードだの、これを読む道具などを持つて行つてやつておりますが、そういうふうなものを一遍この院内で、一つ皆様に実物を見て頂いたらいいのじやないかと考えております。
#45
○羽仁五郎君 最後にもう一つ伺いたいのは、交換図書のことでありますが、私の知る限りでも、国立国会図書館にロツクフエラーのフアース君とか、或いは図書館使節として来られたブラウンさん、ああいうかたからアメリカのアメリカン・ポリテイカル・サイエンス・レヴユーなどを寄贈して頂い大ようですが、今日も引続いておることと思うのですが、これに対してこちらから適当なものを必ず交換にお贈り下すつておるのですか。
#46
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 今の点はブラウンさんから我々に雑誌を下すつたのは、実は個人的な好意で来ておりまして、これに対しまして図書館としては特別の交換をするということは困難であります。従つてそのほかの方法で成る程度の敬意を表しておる。私がアメリカあたりへ参りましたときも、そういうような心持は表明をしておりましたが、それからフアースざんのほうは、これは公のロックフエラーの仕事をしておる、その仕事として書物を送つて下すつたので、これは交換というわけに行かないので、ロツクフエラーには正式の受取、その他の感謝状を出し、又こちらではおの書物を特別に丁寧に利用させておるというところの写真等を向うへ送つて置きました。フアースさん個人に対しましては又個人の問題として考えております。
#47
○岡田信次君 巡回文庫はどういう方法でおやりですか。
#48
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 巡回文庫は、説明が不十分だつたですが、二組ここの中にございまして、一つは国会の関係で議員会館、議員宿舎、両方を入れて四つございます。そこへ巡回文庫一と称して本を出しておる。今一つは各官庁に対する問題でありまして、本館から各官庁の支部図書館へ巡回文庫を出しております。幾らか意味は違つております。各官庁の支部図書館に出しておりますのは、私どもの希望としては、支部図書館は、やはり専門の本を買つて貰いたいのです。一般的な読物はお買いにならないようにしたい。けれども実際今の状況からは、そこに勤めておる人が一般的なもの、例えは経済学の総論とか、文学的な概説とかいうようなものを読みたいのも事実であろうと思います。そのときにどうするかといえば、私のほうは納本もあり、いろいろ本の余裕もあるのですからして、それで先ず固くないものを二十冊ずつ一つのセットにいたしまして、それを大体一月に五組ぐらい支部図書館へ持つて行く。そうすると支部図書館を利用する人々は、それを自由に読まれまして、又返して貰うと、その書物は他の又支部図書館へ持つて行くということで、月百冊ぐらいの割で各支部図書館にぐるぐると中央から本を出しております。そういたしますと支部図書館は結局専門の本をお買いになつて、一般的なものは国会図書館のサービス用の本で間に合せると、こういうことにしております。経済的によほど減るんです。二十三の図書館で一セットでいいわけですからそれをやつております。
#49
○委員長(徳川宗敬君) ほかに御意見もないようでありますから、館長の経過報告を承認することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○委員長(徳川宗敬君) それでは承認することに決定いたします。なお本会議におきまして委員長がこの経過を口頭報告することになつておりますが、その内容につきましては委員長のほうで只今の審議の経過をよく勘考いたしまして、作成いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○委員長(徳川宗敬君) それではそのように取計らいいたします。
 なお、今日は支部図書館の方々がおいでになつておるんでおりますが、只今おいでになつておるのは、文部省、農林省、通産省、特許庁、運輸省、郵政省、電通省、それから労働省の方々でありまして、建設省と最高裁判所のかたはおいでになつておりませんが、なお、多少の時間がございますから御懇談を願つたらどうかと思いますが、如何でしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○委員長(徳川宗敬君) それでは委員会は散会いたします。
   午後二時二十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     徳川 宗敬君
   理事
           平沼彌太郎君
           羽仁 五郎君
   委員
           岡田 信次君
           森崎  隆君
  国立国会図書館側
   国立国会図書館
   長       金森徳次郎君
ソース: 国立国会図書館
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