くにさくロゴ
1950/11/27 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 労働委員会 第2号
姉妹サイト
 
1950/11/27 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 労働委員会 第2号

#1
第009回国会 労働委員会 第2号
昭和二十五年十一月二十七日(月曜
日)
   午後二時五十九分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○公共企業体労働関係法の改正に関す
 る件
○レツド・パージ問題に関する件
○連合委員会開会の件
○労働関係問題の継続調査に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(赤松常子君) 只今より労働委員会を開会いたします。
 公労法改正案を如何に取扱うかということを皆様に御相談いたしたいのでございますが、この前皆様がたに御研究願うつもりで案をお渡しいたしましたが、それに附け加えて追加の案が出ておりまし、いろいろと字句の表現上不備な点もあるように考えておりますので、もつと完璧にいたしたいと考えて、もう一度皆様にこの改正案の取扱についての御相談をいたしておるわけでございます。
#3
○山花秀雄君 この改正案は小委員会でいろいろ審議されて成文化されたと思うのでありますが、先だつて私どもの頂いた改正案に本日追加の案が出ておるのでありますが、その案も小委員会において協議された結果出たのかどうかということをお聞きしたいと思います。
#4
○專門員(磯部巖君) 私からお答え申し上げます。先だつて差上げました案も法制局のほうで当委員会で作成せられました改正試案を基礎にして、法制局としての案を作つて頂いたその案でございますが、その案の更に追加として頂いておるものを今日配付したのでございます。法制局から参つたわけでございます。
#5
○山花秀雄君 只今の説明によりましすと、法制局から追加の案としてここに配付された文案があるのでありますが、この文案を法制局から追加として出すために、小委員会において協議した文案が、法制局のほうでこういうような文案にしたらいいという意味で追加されたものであるか、それとも先だつて配付されたのは小委員会において協議された結果の文章であつて、これだけが切り離して法制局から出されたようにも受取れるのですが、その間の事情はどうなるのでございましようか。
#6
○專門員(磯部巖君) その点は結局先だつて最初に配付いたしました法制局案の不備と申しますか、それに今日配付いたしました部分を附け加えたほうが、より完全であるという意味で追加して頂いたものと了解いたします。
#7
○山花秀雄君 これは小委員会の委員のかたにお尋ねしたいと思うのですが、この追加案を含めて一応成文化されたこの文案は、小委員会において協議されて大体異議のないものであるかどうかということを小委員会のかたにお答え願いたいと思います。
#8
○原虎一君 それは困るですよ。小委員会は一応答申を本委員会にしてそうして小委員会というものは大体使命が終つて自然に解消した形になつておる。そうしてその小委員会の作つた案を本委員会で認めて、それに基いて公聴会を開いて、その上でなお技術的に検討を法制局でやつて、法制局が第一次の試案として持つて来たわけであります。それを先日各委員に渡されて今各委員が検討中なんです。検討中に本日のこの追加條項を附け加えて検討すればいいのであります。山花委員はその点を誤解されているのです。従つて私に言わせれば、今日までの経過から言えば、これを加えたものを検討するかしないか、検討の中にこれを加えるかどうかを今日御決定なさればいいんで、今実は全委員が法制局の第一次試案を貰つて検討しているわけです。従つて先ほど懇談の形であるけれども、一松さんが自由党としての態度を表明されているのであります。我々はまだ態度を表明していないわけであります。今日の会議はこれを加えることに異議があるかないか、そうしてそれを加えて検討して、いつまでに検討を終るかということをおきめ願えればいいのであります。
#9
○委員長(赤松常子君) 小委員会は先ほどもおつしやつたように一応使命を終つて解散いたしておりますので。
#10
○山花秀雄君 そうすると、こういうふうに理解していいのかということをお尋ねしたいのですが、先だつて配られた改正案と本日追加された文案とは、一つのものと考えて間違いありませんか。
#11
○專門員(磯部巖君) その通りに考えます。
#12
○山花秀雄君 それではよくわかりました。何か別のものが突然追加されたというふうにちよつと聞えましたからお尋ねしたのであります。
#13
○委員長(赤松常子君) 改めて申上げます。この間お手許に配付いたしました改正案に、今日の追加されたものを加えて御検討願うことにいたしたひと存じます。
#14
○原虎一君 それは異議ありません。賛成です。
#15
○委員長(赤松常子君) それで、その他御検討の結果御発表願います。
#16
○原虎一君 結論をいつ出すかという問題ですね。
#17
○一松政二君 只今の改正案の第三項を初めて頂いたわけでありますが、元来この十六條の改正案は、現行の公共企業体労働関係法を筋道を立てて手續を明らかにするためにやつたやに承わつておつたのでありますが、第一項を加えてかくはつきりいたしますると、殆んど政府はこれに対して何ら裁定そのものに対しては、もうただ單にこれを予算化する義務だけを負わされているように思われるのであります。で国の政治をあずかり財政とその行政面を担当している政府が、ただ仲裁委員会の裁定のまにまにその数字を如何にして捻出するかということだけに終ることであるとすれば、仲裁委員会なるものは絶大なつまり判決機関になつてしまうと思うのであります。これが元来そういう意味で仲裁委員会があることは承知いたしまするが、犯罪か何かのように非常に国民が批判してもはつきりした問題であるならば、これはいともやさしく結論が出るわけであります。国の複雑な財政或いは経済その他諸般の問題に関係を及ぼす公共企業体の仲裁制度が、現行法のままでよいか悪いか、これが最終判決を下し得るだけ完璧なものであるかどうかということも、もう一度考えて見る必要がありはしないかというので、私の自由党といたしましては、この改正案に対して賛否を申述べることを差控えたいと考えるわけであります。今暫く時期をかして頂きたい。かように考える次第であります。
#18
○原虎一君 今自由党の一松さんから御意見があつたのでありますが、私ども社会党としては党の態度がまだ決定をしていないわけであります。殊に社会党としては、もつと罷業権をも一定の制限をつけて認めるべき條項を入れるべきだという修正案を、党の中央委員会で決定しているわけであります。従つて討論をいたすわけではありませんが、今日はまだその機会になつておりませんけれども、大体公労法というものが、公共企業体の労働者の罷業権を剥奪する、それに代るべき仲裁、裁定という機関を設けたのでありますし、法もその精神を現わして仲裁は最終の決定であつて、労使双万はこれに従わなければならんと、法律の基本にあるわけでありまして、ですからその精神を飽くまで活かすべきだという参議院運営委員会の決定を以て労働委員会に廻して来ているのです。従つてその罷業権を剥奪した関連にあるこの條文の十六條及びその関係の條文を改正するということについては、社会党の罷業権を條件附で認めるべきだという問題と非常に関連性が強いのです。二、三日のうちに党はそれぞれの機関にかけてこの改正案に対する態度を決定すると思いますから、少くとも次回の委員会まで検討することをですね、又本日もこの追加の第三項というものが出て来ておりますから、二、三日間研究の余裕を與えるようにして、次の委員会において御決定を願いたい。
 なお申添えて置きますがいろいろ御意見もあろうと思いますけれども、非常にこの公労法十六條の関係は速かに参議院としては運営委員会に取上げられ、労働委員会に付託されたような形になつておりますから。本臨時国会には報告は勿論しなければなりませんし、議長の許に報告すると同時にできれば法案修正の議案提出まで運びたいという考えの方が多数あるように思いますからそういうふうにできるように議長のもとに報告が速かになされるように希望して置きます。
#19
○委員長(赤松常子君) 外に如何でございましようか。……それでは皆様の御発言もそれぞれ承わりましたし、できるだけその御要望に副うように委員会は進めたいと存じております。
  ―――――――――――――
#20
○委員長(赤松常子君) もう一つお諮りしたいことりは、実はレッド・パージの行過ぎに対しまして上條愛一議員から委員外の質問の御要望がございますが、これに対して発言を許可することに御異議はございませんか。
#21
○原虎一君 レツド・パージの問題については、私どもも多少質問したいことがありますから賛成します。
  ―――――――――――――
#22
○委員長(赤松常子君) 皆さんに御相談したいのでありますが、地方公務員法が提出いたされておりますが、これに対しまして人事、文部、地方行政の連合委員会を明日午後一時に開かれるということでございます。でこれに対しましてやはり労働部門にも関係のあることでありますので、連合委員会に参加するのが至当と存じますが、皆さん如何でございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○委員長(赤松常子君) それでは明日開かれる連合委員会に参加することを決定いたします。
  ―――――――――――――
#24
○委員長(赤松常子君) 労働大臣は外に答弁中だそうでございますので、賀来労政局長の御出席を得ましたので、續行いたすことといたします。でば先ほど委員外質問の許可を頂いておりますので、上條愛一議員の発言を許可いたします。
#25
○委員外議員(上條愛一君) それではお許しを得まして私からレッド・パージの問題について御質問を申上げて見たいと思います。レツド・パージの問題は、御承知のように本年の八月以来新聞、放送その他をきつかけといたしまして、今日まで公務員の追放者は一千二百名になつております。民間の基幹産業の方面は一万余者になつておるわけであります。而も私どもの問題にいたしたいことは、このレッド・パージの問題に便乗いたし又は悪用いたしまして、不当解雇の事実が随所に起つておるわけであります。今日は單に不当解雇というだけでなしに、この機会に御用組合化を図らんとする経営者も出て参つておるのであります。
 一例を申上げますと、四国の徳島にありまする東邦レーヨン株式会社の徳島工場の従業員が約三千名あるのでありますが、ここにおいて十一月十四日に九質のレッド・パージの実施が行われたのであります。それでこの東邦レーヨンについて問題になります点はその追放のやり方というものが、労働協約の第二十五條には、あらかじめ従業員を解雇する場合には組合に内示いたしまして、協議を経るという規定があるにかかわらず、この組合の追放は個人勧告をいたしまして何ら勧告の場合においてもその理由を明示いたしておらんのであります。それから第二の問題は、この九名の追放者の実情を調査いたしますると共産党員は現在一名であります。それから元共産党員であつて、今日は、いわゆる共産党から脱退しておる者が四名あります。それから他の四名は何ら共産党に関連を持つておりませんし同調者という関係もない人々であるのであります。それからその次に第三に問題となります点は、この個人勧告をいたしました直後において徳島の工場長は全組合員、従業員に向いまして、今回のレツド・パージは最小限の線であるから、若しこれに反対する者があるならば第二、第三のレツド・パージを重ねて断行するつもりであるということを通達いたしまして、一種の組合員に威嚇的態度に出ておるのであります。而も勧告は十一月十四日にやつたのでありますが、すでに十一月五日に用意いたしました今申上げました趣旨のビラを全従業員に流しておるのであります。これは明らかに会社がレッド・パージに便乗いたしまして、労働組合の御用化を図らんとする態度であるということは明白な事実であると考えるのであります。
 そこで私が政府当局に御質問を申上げたい点は、一つば、この九名のレツド・パージは明らかに不当解雇であるということは明瞭であるのであります。殊にこの共産党に何らの関係のない四名の中の大西という方部長のごときは、現在徳島の地方労働委員会の委員でありまして、この地方労働委員に任命をする場合においては、詳細共産党に関係があろうかどうかというようなことについて検討を加えていることは、明瞭な事実である。それから又一人の婦人の組合員は、寄宿舎の自治委員会の委員であります。他の一名は東邦レーヨン全体の連合会の執行委員長であります。いま一人は前の書記長であります。そういう点から考えて見まして今回のレッド・パージは、政府がしばしば言明しております通り、全米を破壊から防衛する、共産党員及び同調者の追放であるけれども、これは十月九日に賀來労政局長の名前を以て都道府県知事に対して通牒をいたしました、その中にも明瞭にあるのでありまして、今回の追放というものは、例えば曾て共産党員であつてもその後反省の実が挙がつたところの者は追放する必要がない。それから又兵艦党員であつても、アクチーブのものでなければこれを追放する必要がないということを明確にいたしておるのであります。従つてこの九名の解雇はこのような立場から申しますれば、全然該当しないところの人々であるということは明瞭であると考えるのであります。そこで問題は、労政局長の通牒によりましても、こういうような人々に対しては労政当局は直ちに反省或いは取消を求めるべきである、こういうふうに通達をいたしておるのでありますが、そこで東邦レーヨンの場合におきまして、政府当局は反省或いは取消を求むる処置をおとりになつたと考えるのでありますが、私のお尋ねいたしたい問題は、單に取消を求めた場合に、その政府の勧告を経営者が入れない場合においては、この通牒にも、單に労組法、労規法等関係労働法規の定める手續に従い断固たる処置をとるべきである、こう記載されておるのでありますが、ただ軍にこういう政府の指示によりましてレツド・パージというものが行われて、而もそのレツド・パージに便乗して不当な馘首が現実に行われつある場合において、勧告をしても勧告を入れないという場合は、現在の法律によつて規定されたる手段に訴えても外に途がないということであれば、労働者にとつては甚だ迷惑な問題であると考えざるを得ないのであります。
 例えば新聞関係のレツド・パージの場合において、原状復帰の仮処分の申請をいたした場合において、福岡、札幌、東京等の地裁におきましては、この申請を却下いたしておるのであります。そういたしますると労働者といたしましては、この仮処分の申請をするか、或いは地方労働委員会に訴えるかよりほかに途がないのでありますが、かくのごときことはその間にその従業員の生活問題をどうするかという問題、或いは相当な期間を要することでありますが、こういう実情でありますので、政府はレッド・パージの指示によつてかくのごとき不当労働行為が実施せられておりますに対して、ただ單に勧告程度で勧告が入れられなければ止むを得ないというような態度であられるかどうかというこの点を第一にお尋ねいたしたいのであります。
 それから第二にお尋ねいたしたい問題は、今日まで自主的に、民主的な労働組合は反共の態度を明確にいたしまして、相当共産党或いは赤色労働組合とは戰つて参つておるのであります。従つて若し共産主義の破壊的影響が組合にありまする場合におきましては、民主的労働組合は、みずからの力によりまして組合の統制を乱したり、或いは秩序を破壊したり、或いは産業に悪影響を及ぼすというような事案がありまする場合におきましては、断固としてこれを排除いたして参つておるのであります。然るに今回経営卒倒は、このレッド、パージの問題に便乗いたしまして、不当馘首をするということのみならず、この際に正当なる労働組合運動をいたしまして組合の健実なる発展に寄與して参つた人々をも追放いたしまして、労働組合の御用化を画らんといたして参つておるのであります。東邦レーヨンの場合を申上げましても、執行委員長、支部長、或いは奇宿舎の自治委員会の婦人組合員、或いは前書記長、何ら共産党に関係がなく、或いは同調者でもない人を馘首いたしたことは、これは明らかにこの際に組合の指導をして参つたところの人々を追放して、そうして組合を弱体化する、成しはこれを御用組合化しようとする意図であるということは明瞭であるのであります。そこで私の問題といたしたいことは、共産党の影響力を従業員から排除し、共産主義を防ごうといたしまする場合においては、我我の考えから申しますれば、これは民主的の労働組合運動を発展せしめるということ棄本であると考えるのであります。労働組合法第一條にも明らかに、労使対等の地化に立つて労働條件の問題を解決するということが調われておるのでありまして、若し日本において民主的に労使対等の地位に立つて労働條件の問題を解決するという健全なる労働組合運動を破壊いたしまして、そうして御用組合のような不健全なるものを再び日本に招来するということになりますならば、これこそ共産主義の食い込むところの温床であると我々は考えざるを得ないのであります。従つて今回のレッド・パージにつきまして政府は、かくのごとき経営者側のレツド・パージに便乗して労働組合を御用化せんとするようなこの態度に対して、如何なる御処置をなさろうとせられて、おるかという点が第二点であります。
 最後の第三点は、御承知の通りレツド・パージによりまして馘首されるということになりますれば、これは労働者といたしましては容易に新らしき職業を見つけることが不可能であるということは明瞭であるのであります。そこで何ら共産党の運動に関係のない、同調者でもない、こういう善良なる労働者がレッド・パージによつて首切られて、而もこれに対する適当なる処罰が講ぜられなくして涙を呑んでこれを忍ばなければならんということになりまするならば、これは健全なる国民、健全なる労働者をして却つて政府のレツド・パージと相反するところの、共産主義に走る糸口を作るものではないかと我々は考えるのであります。殊に我々の見るところによりますれば、今日一万以上の人々がレツド・パージによつてその生活権を奪われておるのあります。而もこの一万以上のレツド・パージの追放舎のうちには、何らみずから顧みて共産党の運動に関係せず、或いはその同調者にもあらず、企業を破壊するがごとき態度をとつて来ておらない人々が追放せられるということになりますれば、これらの人々がこの態度に対して反感を持ち、不満を持つて遂にレツド・パージの目的と相反する共産主義の運動に却つて走るという危険が十分に存在しておると考えるのでありますが、こういうことに対する政府のお考えとこれに対する処置をどうしようと考えておくられるのであるか。こういう点についてお尋ねを申上げたいと考えるのであります。
#26
○政府委員(賀来才二郎君) 今度の八月以来行われましたレッド・パージは、日本の経済再建という立場から見まして産業経済の安全と安定を維持することが最も必要である。さような立場から申しますると本年一月コミンフオルムの批判に屈しまして以後の共産党の現地の企業におるような諸君の行動というものを考えて見ますれば、企業防衛の立場から、或いは企業内におきまする労働秩序の維持、確立という建前からいたしまして、どうしても企業外に出てもらわなければならない、産業防衛の立場から止むを得ない措置として経営者側の自覚と背任において行われて参つたものでございます。労働省といたしましては、このレッド。パージを如何なる方法でどういう程度にやるべきであるというような建前で、企業者を指導するというような立場をとるべきではないと考えておつたのでありますけれども、併しながらこのレッド・パージのやり方が程度を越しまして只今申しましたような範囲を逸脱るようなことがありますと、却つて逆の結果を来す慮れもありますし、特に只今上條委員から御指摘のありましたごとく、労働組合運動を萎醸沈滞させるような結果も出る喋れもありますし、或いは労働組合を御用化する結果毒来す虜れもあると考えましたので、労働組合運動が民主的な健全な組合運動として発達するように、助長する立場にあります労働行政の立場にある者に対しまして、かようなことが行われないように十分注意をするようにという考え方から、今次のレッド・パージが行われますに際しましては、常時やり方に注意をいたして参つたような次第でございます。
 その一つの措置といたしまして、先ほど御指摘のありましたように、労政局長通牒という形を以ちまして、各地方の知事に対しまして注意をいたしますとともに、中央におきましては労働省みずから業者、域いは組合と密接な連絡を保ちつやつて参りました結果とも思いますが、大体最近に至りまして一段落を告げました。その総数は、基幹産業におきまして約一万八百数十名という状態で終りました。レッド・パージの行われました業種の総従業員に対しまして比率は〇・四%という程度で終つたのであります。さように注意をいたして参つておりましたところ、只今上條委員の御指摘の東邦レーヨンの鱒島工場におきまする問題が出て参りまして、組合から我々に対しまして実情の陳情がございました。そこで我々といたしましては使用者側に来てもらいまして、事実を一々聴取いたしたのであります。いずれが確実に真実であるかどうかということにつきましては、いずれもう少しあとで申しますような方法をとらなければ確定的には申上げられませんけれども、我々の調査をいたしたところでは、大体上條委員の御指摘のような状況が事実に近いのではないかというふうに考えたのであります。と申しますのは会社側では組合の申しますことについて、そうでないという資料の提出をいたしませんのでありまして、いずれ又労働省といたしまして法律上の根拠に基いて資料の提供を要求されるならば、それは提出しなければならないと思いまするが、そういう権限もお持もでないと思うというふうな態度を以ちまして資料の提供をやらないのであります。
 で我々労働省といたしましては、只今申しましたような考え方からいたしまして、経営者に対しまして、少くとも委員長、連合会長及び支部長、只今支部長が徳島県の労働委員をやつておるのでありますが、この二人については取りあえず取消にしてもらうべきではないか。そうしてなお組合とよく話合いをしてできるだけ我々の通牒の趣旨にも副うようにやつてもちいたいということを、数度に亙つて勧告をいたしたので、あります。併し経営者側は只今申しましたように反対資料の提出もいたしませんのみならず、現に徳島の工場の組合は経営者側と話合をつけて、この九名の馘首に対しましては組合は了承をしたという態度をとつているからというので、経営者側は我々の勧告に応じようといたしません。更に実状を調べて見ますると、或いは組合を御用化するという面につきましてもいろいろ措置をとつているのではないかという疑いも持つたのでありまするが、労働省自体としてこれに強権を以て措置せしめる気持はございませんので、止むを得ず会社側が勧告を聞きませんので、中労委、地労委とも連絡をいたしまして、組合側とも話合をいたしまして、目下組合側及び馘首をされました本人といたしまして、地労委及び中労委に組合法第七條によりまする不当労働行為の提訴をいたしたと聞いているのであります。なお組合といたしまして事情によりましては裁判所に対しまして身分保全の仮処分の訴えをやるのではないかということも聞いているわけであります。只今御指摘のように地労委、中労委の取扱は、従来の実績から見ますると非常に時間がかかる例が多かつたのでありますが、今回度の場合は事柄の性質にも鑑みまして、徳日県の地労委は速かにこの処置を決定いたしたいということを言つているようでございます。繰返して申しますならば、我々は全体としての行過ぎにつきましては十分注意をいたして参りましたし、特に組合運動の萎靡沈滞或いは御用化の防止ということについてやつて参りました。おおむねこの効果は挙げ得たと思つておりますが、最後に至りましてかようなことが起りましたことは非常に遺憾に考えているのでありますが、労働省自体としての処置のことは非常にむずかしいので目下地労委、中労委を通じまして、或いは裁判所の処置によりまして、この問題が解決されんことを期待をいたしているような次第でございます。
 次に第二点の御質問でございまするが、御指摘のように特にこの東邦レーヨンがとりましたように、先ず数名を馘首いたしましれ、これに反対をする者は同調者とみなし、更に馘首をするであろうというふうな態度をとりますと、組合運動といたしましてはやはり非常に影響を受ける虞れがあるのであります。特にそういう点に関連いたしまして先ほど申しましたように我々といたしましては、組合運動がこのような態度によつて萎靡沈帶し或いは御用化することを極度に警戒をいたして参つたのであります。今後今度行われましたようなレツド・パージというふうな形のものが再度繰返されるということがありましては、非常に我々といたしましても、これを防止しなければならない。それがためには今後経営者自体にありましても、かような破壊的分子が工場内に再び出て参らないように十分労務管理をやつてもらいたいと考えておりまするし、労働組合自体といたしましてもかような破壊的分子が出ましたならば、経営者の手によつてこれを排除するというのでなしに、民主的に、組合員みずからがかような破壊的分子を排除するというふうな態度に出るような、高度の民主化を図つて貰いたい。かようなことを我々といたしましては念願をいたしておるのでありまして、労働省といたしましては御用化を防止する、又組合運動が萎靡沈滞することのないようにという線は、従来からもずつとやつて参つておる線でございましてさようなことが再び今度のようなレッド・パージの行われかたによつて行われないように今後一層注意いたしまして、それがためにはあらゆる方法を以て措置して行きたい。かように考えておるわけでございます。
 第三点は、成るほど御指摘の通り非常にこの点は最も市々な問題でありまして、今日まで一万数百名の者が出ておりまするが、先ほど私から申しましたようにこれを行われまする間、常時我々といたしましては経営者、組合と密接な連絡を保つて参りまして、最小限度に止まるように又あの我々の涌牒の趣旨に反するようなことが行われないように十分努力をして参つたのでございますから、今日追放されました一万数百名の中には、さような切り杉の者というものは余りない。極めて例外的なものであろうと思つております。と申しますのはこの行われまする途中におきまして一々注意をして参つたようなこともございますので、目下のところまだ具体的にどれだけの者が切り過ぎになつておるというふうな問題、紛争を余り聞いていないのであります。併しながらこのレッド・パージ自体の大きな目的はこれによりまして今後さようなことが再び起らないように、又今度追放された諸君におきましてもみずから反省をいたしまして、再び真の産業人として破壊性を一擁して、真の産業人として社会に再度復帰されるようになることができ得ましたならば、今度の追放の効果の一つとして喜ばなければならないと考えておるようなわけでありまして、若しさような者が出て参りました場合には、この人々に対しましては我々といたしましても再度社会に復帰して日本の復興のために盡力をして貰えるように十分努力をしなければならないと考えておりますし、社会におきましてもこの方向に向いまして努力されんことを期待いたしておるような次第でございます。
#27
○委員外議員(上條愛一君) 今賀來労政局長からも御答弁がありましたが、私としてなお一点遺憾な点はこのレッド・パージの問題が起りまして、これについては表面は経営者みずから自発的にやれということでありますけれども、このレッド・パージは事実は政府の一つの慫慂と申しますか、裏書と申しますかによつて行われたということは否めない事実であると我々は考えておるのであります、従つてこういうレッド・パージの問題を行いまする場合においては、それより生ずるところの幾多の弊害、悪用に対しては相当なこれは準備を以て臨むのが当然ではないかと考えざるを得ないのであります。然るにこのレツド・パージにより今私が申上げたような事実が発生して参りましても、單にこれに対して勧告を與えて、勧告を聞かなければこれはどうにもならんということであれば、賀來労政局長の通牒にある無用の争議を発生せしむるということになるのでありまして、そういうことであれば我々労働組合なり労働者は、力を以てこれは対抗する以外にこういう不当なレッド・パージに対抗する途がないということになりまして、これは結局は無用の争議を激発するという結果に終らざるを得ないと考えざるを得ないのであります。我々は仮処分或いは労働委員会の提訴、こういうことについては、法律に許されたる手續によつて戰うことは勿論でありまして、ただ我々労働組合としては、政府みずからがこれを指干してそしてそこから起つて来る不当たるこの労働者に対する弾圧、不利というものに対して、政府は何らこれに付して今日の許されたる法律の範囲以外に権威ある対策が講ぜられないということは、甚だ我々民主的の労組といたしまして不満に堪えないのであります。併しこれは今賀來労政局長のお話によりまして、何らのこれに対する権威ある対策がないということでありますれば、これは止むを得ないことで煮ると考えるのでありまするが、我々労働組合としては幾多の不満があるということだけは申上げて置きたいとこのように考えます。
#28
○原虎一君  レツド・パージのの問題につきましては、国会休会中にも委員会を開き労働大臣にも質問いたしたのでありますが、なおここでもう一度お伺いしたいのであります。と申しますのは労働大臣の談話におい、レツド・パージをすることは法的に何ら違反ではないという意味のことを発表されておるわけであります。それは大体前里には共産党に対する社会的評価が変化して、いれゆる共産党は産業破壊、暴力革命を意図するものであるということが明確な社会評価になつたという意味の表現をされておる。従つてその党員である者は産業防衛のために事業家が解雇するということは、これは何ら違反でないということを言つておる。そのとき私は一般に今日こういうことが起きるだろうということを想像できますので、その産業破壊をする者を解雇していいというふうには、労働大臣は勿論言つていないのであるが、産業を破壊することを意図する者、或いは産業破壊をなさんとする者を、産業防衛上から解雇していいという立場になりますとこれは由々しき問題起つて来る。資本家は組合を狙うのであります。その労働大臣の談話発表は、前提に共産党員ということが明確になつたときに初めて、産業破壊をする者は首切つても法律違反ではないと、こういう趣旨の談話を発表しておる。ところが事業家は、前提の共産党員であるということを無視して共産党員であろうがなかろうが、産業を破壊する者は切つていいと、こういうところに来ておる。
 更に私がお聞きしたいのは、共産党員以外の者が産業破壊をする者である、レッドパージとして首切るというのでは認めもれないものであると、共産党員にあらざる者をレッドパージにかけるということはこれは間違いであるということが明確にされなければなもない。共産党員なるが故に首切ると言つたんでは、いろいろの点に差さわるものがあるから、それを避けるために産業破壊を首切るということを言つておる。共産党員であるからこれは産業を破壊するから首切つても法律違反ではないと言つておるならば、党員にあらざる者を産業破壊、レツドパージで首切るということは違反であるということは明らかにされなければならない。その点、私はとの前の質問においても、労働当局も労働大臣も弱いようだから東邦レーヨンのような事業家にやられて、法律からは逃れられ、或いは労働組合が弱ければ恬として恥じないという事業家が出て来る、これは一番私は大事なことであると思う。従つて私のお聞きしたい点はそこです。共産党員にあらざる者をレツド・パージにすることは間違いである、私はこう考える。その点は労働省はどうお考えになりますか。
#29
○政府委員(賀来才二郎君) この前の委員会で原委員からの御質問がその点に触れましたことは我々も記憶いたしておりますし、それに対する労働大臣の答弁につきましても、一応あのときは御了解を願つておつたと考えるのでありますが、我々の考えも原委員のお考えの通りでありまして、今度のパージはいわゆるレッド・パージでありまして、共産党員といたしまして破壊的な行動をなし、又はなす慮れある者及びそれと一体となり同等の活動をする同調者に限られるべきであるけれども、その根抵といたしましては、先ほども申しましたように、この一月以来のコミンフォルム批判以降の共産党員の中の一部では産業破壊的な行動をなし又はなす虞れある者である、これを経営者が解雇する。こういうことで行われます限り基準淡違反でもなければ組合法違反でもない。かようなことは申上げた通りであります。やはりその通りに現在でも考えておるものであります
#30
○原虎一君 もう一点お伺いしたいのでありますが、その東邦レーヨンの問題についてすでに労政局としても、労政省としても事実調査をされて、然るべき勧告も事業主になされておるのでありますが、この場合に会社自体はこの組合或いは個人が抗議を申込んであるのに対しても、やはり九名全部をレツド・パージとして解雇しておる、それは間違いないと、会社はそのレッド・パージにはいわゆる政府の示唆、或いはGHQの示唆に基いたものであつて間違いないと、こういうふうに言明しておるのであります。
#31
○政府委員(賀来才二郎君) 我々まあ会社の代表者を招致いたしまして、先ほど申しましたような共産党員であつて破壊的行動をなし、又なす慮れある者、又これを一体となり同時の活動をするアクティブなトラブル・メーカーであるかどうか。或いは組合の陳情するところによれば、さようなものでない、只今上條委員の御指摘のようなことと同じようなことを組合も言つておるが、その点について反証があるかということを聞きました。ところが反証はあると、然らばその反証を見せて貰いたいということを申しましたところが、それはお見せするわけには参りません。こういうことを言つて突ぱねておるのであります。で我々といたしましては、八月以来行われましたレツド・パージで、各事業主と連絡を保ちました上で、これは少し行過ぎの虞れがある、或いは又その事実があるように思うというので、労働省といたしまして勧告をいたしました使用者で、労働省の勧告に対し、只今東邦レーヨンがとりましたような態度をとつた業者は一名もなかつたのであります。今度初めて東邦レーヨンはよほど自分の処置に対して自信があると見えまして、頑固に我々の勧告を拒否いたしておるようなわけであります。で、この上は業者の意向も酌んで見ますると、労働委員会或いは裁判所においてその法律の権限に従つて調査をされる場合に、資料を出して必ず会社側のとつた処置は相当なものとされるということを言つておりますので、この処置を待ちたい。かように考えておるわけであります。
#32
○原虎一君 私もう一点お聞きしたい点は、御答弁によりますと、そういたしますとこれは他の理由で首切つたものではない、要するにレツド・パージで切つたということを会社が言つておるのであつて、九人は一体であり、九人の中で一人も他の理由によつて解雇されたのではないということを、労働省自身が会社の答弁、全社の行為によつて判定されておるかどうか、こういうことを開きたい。
#33
○政府委員(賀来才二郎君) いずれこの問題は労働委員会或いは裁判所において、真実が判定をされると思います。労働省がその前後のことをこう判定しておるということを責任を持つて申上げる段階でもございませんし、又そのことは適当でないと考えておりますが、この調べと申しますか、実価聽取に当りました私自身の感じといたしましては、この九人全部を今度のレッド・パージの標準で律するということは、いろいろむずかしい條件が加わらなければならないのではないか。言い換えますと、二・三の人については少し無理ではないかという感じを持つたということだけを、個人的な立場において申上げて置きたいと思います。
#34
○原虎一君 質問は私はこれでよろしうございますが、本労働委員会で先般労働問題の一般調査を行う決議をいたしておるわけでありますが、今賀來労政局長からも御答弁がありましたのですが、この東邦レーヨン以外にはこうした例も今日まで報告を受けておる中にはないというお話のようであります。本労働委員会としまして、これに非常に重大なレッド・パージの問題だと思いますが、これを中心に今後調査を進めて行くような御決定を願つて置きたいと思います。その道義を出しまして御賛成を得たいと思います。
#35
○委員長(赤松常子君) では只今原委員の提出されました動議、即ち本委員会で労働関係問題の継續調査を決議いたしておりますのでそれに含めまして、今の問題は非常に重要でございますから、この問題を含めて調査いたすことの御動議でございまするが、皆様御異議ございませんでしようか。
#36
○早川愼一君 今日は出席が少いから次回にお諮り願います
#37
○原虎一君 調査の問題は決定しておるのですから、或るいはそのほうから進めて行つたら……、理事会で相談願つたらよいと思います。
#38
○委員長(赤松常子君) 一応それではさよう御了承頂いて置いてよろしうございますか。
#39
○委員外議員(上條愛一君) 大変時間をお借り頂きましてお許し願いまして有難うございました。どうぞよろしく。
#40
○委員長(赤松常子君) では本日はこれにて閉会いたします。どうも御苦労でございました。
   午後四時八分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     赤松 常子君
   理事
           一松 政二君
           原  虎一君
           波多野林一君
   委員
           宮田 重文君
           山花 秀雄君
           早川 愼一君
           堀木 鎌三君
           堀  眞琴君
  委員外議員
           上條 愛一君
  政府委員
   労働事務官   寺本 広作君
   労働省労政局長 賀来才二郎君
   常任委員会專門
   員       磯部  巖君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト