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1950/11/27 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 農林委員会 第1号
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1950/11/27 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 農林委員会 第1号

#1
第009回国会 農林委員会 第1号
昭和二十五年十一月二十七日(月曜
日)
   午後二時三十八分開会
  ―――――――――――――
 委員氏名
   委員長     岡田 宗司君
   理事      西山 龜七君
   理事      片柳 眞吉君
   理事      岩男 仁藏君
   理事      岡村文四郎君
          池田宇右衞門君
           白波瀬米吉君
           瀧井治三郎君
           平沼彌太郎君
           宮本 邦彦君
           門田 定藏君
           小林 孝平君
           三橋八次郎君
           三輪 貞治君
           赤澤 與仁君
           飯島連次郎君
           加賀  操君
           溝口 三郎君
           三好  始君
           三浦 辰雄君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○本委員会の運営に関する件
○新農業政策の確立に関する調査の件
○小委員会設置の件
○小委員の選任の件
○競馬法の一部を改正する法律案(衆
 議院提出)(第八回國会継続)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(岡田宗司君) それでは農林委員会を開会いたします。
 去る二十日の委員会におきまして皆さんの御了承を得ました議事日程に基きまして、差当りの議事日程をお配りしましたように、作成いたしまして、これを本朝理事会で諮りまして、承諾を得ましたので、暫らくこの日程に従いまして議事を進めて参りたいと思います。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(岡田宗司君) 異議なければさようにいたします。
 次に前國会におきましてやつておりました新農業政策の確立に関する調査でございますが、去る二十日の委員会におきまして、これも一応御了承を得ておりますので、本國会も本調査を継続して行うことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(岡田宗司君) それではさようにいたします。
#5
○委員長(岡田宗司君) 次にやはり二日の委員会において一応御了承を得て置きました通り、新農業政策確立に関する調査の一環として、当面喫緊の問題でありますところの食糧統制に関する小委員会を設置したいとこう思つておりますが、この点御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(岡田宗司君) それではさようにいたします。その小委員の決定は如何にいたしましようか。
#7
○池田宇右衞門君 委員長の指名といたし、委員長において指名に当りまして各派の意向を体して御指名下さるようにお願いいたしたいという動議を提出いたします。
#8
○委員長(岡田宗司君) 只今池田さんのほうから委員長の指名にせよと、こういう御意見がございましたが、さようにいたしてよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(岡田宗司君) それではさようにいたします。各会派二名ずつでよろしうございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(岡田宗司君) それでは各会派二名といたしまして、自由党は西山龜七君、池田宇右衞門君、それから社会党は小林孝平君、三輸貞治君、それから緑風会は片柳眞吉君、飯島連次郎君、それから民主党は三好始君、それから第一クラブは岡村文四郎君、合計八名を以て構成いたすことにいたします。尚小委員会の委員長は互選にいたしまして、これは小委員会をお開きになつてお決めを願いたいと存じます。
  ―――――――――――――
#11
○委員長(岡田宗司君) 次に前國会におきまして衆議院議員の提出になり継続審査になつておりますところの競馬法の一部を改正する法律案の審議に移りたいと思います。過般農林委員長からいたしまして、別紙に配付しておりますような趣旨で、提案者、それから内閣総理大臣、文部大臣、通産大臣、法務総裁、農林大臣の出席を求めまして、御意見や御説明を伺い、次いで質疑に入りたいと存じております。又この件につきましては、当農林委員会に陳情がございますので、これを審議に入ります前にちよつと御紹介を申上げて置きます。その陳情につきましては、專門員をして朗読して頂くことにいたします。
#12
○專門員(案樂城敏男君) 朗読いたします。
     愛知県知事 青柳 秀夫
   参議院農林委員長 岡田 宗司殿
   國営競馬場設置に関する申合せ申達について去る七月二十五日首題に関する打合会を開催したる結果、各候補地代表者において、別紙の通り申合せられ、それぞれ提出があつたので取りまとめ申達するから、よろしく御取計らい願いたい。
   申合せ
  競馬法を改正し、新たに中京地区に國営競馬場を設置せんとするに当り当市町に設置せられたき旨関係筋に陳情いたし置きたるも、新設競馬場の競馬経営の責任は政府に存するに鑑み、これが設置場所の選定は農林省当局並びに衆議院、参議院農林委員長に一任することとし、設置に関する運動は今後一切行わないことを設置方希望の市町代表において申合せる。
  昭和二十五年七月二十七日
      一宮市長 伊藤  一
   参議院農林委員長 岡田 宗司殿
 同文で、大府町長、春日井市長、守山町長、鳴海町長。
 それからもう一つは、
   陳情書
  愛知県知多郡上野町中京國営競馬場設置反対期成同盟会
        会長 花井 金作
  上野町東山開拓農業協同組合
       代表者 加藤 金平
  昭和二十五年十月三日
   参議院農林委員長殿
  愛知県知多郡上野町(旧三菱飛行場跡)に中京國営競馬場設置の問題が起つてから、上野町東山開拓農業協同組合においてたびたび設置反対運動や陳情書を提出いたしましたが、本年より一段と拡充強化を図るため中京國営競馬場設置反対期成同盟会を組織し、一切の事業を引継ぎ運動を続けて来ましたが、最近に候補地を決定されるとのこと、ここに重ねて設置反対陳情書を提出してお願いします。
 一、耕地は農民の生活のため絶対必要なものでありますので、これを競馬場のために取上げられることは絶対に反対であります。
 一、特にこの土地は父祖伝来の大切な農地を戰争のため強制的に買上げられたのです。これが終戰後再び我々農民の手に返り、喜んで多大の労力と多額の経費を投じて漸く立派な耕地にしたのであります。これを再び競馬場に取上げられることは我々農民は絶対に承知ができません。
 一、この土地を一日も早く我々農民
  に売渡して下さるようお願いします。
 以上であります。
#13
○委員長(岡田宗司君) 只今のような陳情が参つておりましたので、御報告申上げました。
 本日提案者の一人であられます衆議院農林委員長の千賀さんがお見えになつておりますので、千賀さんに対しまして競馬法の一部を改正する法律案がその後のいろいろな事情で以て大分様子が変つて参りましたが、それでも尚この競馬法の一部を改正することが必要であるかどうかというような点につきまして、改めて御説明をお煩らわしいたしたいと思いますが、一つどうぞその点につきまして……。
#14
○衆議院議員(千賀康治君) 只今御指名を頂きました衆議院農林委員長の千賀康治でございます。中京競馬場の問題は、すでに衆議院で三回決議になつて、こちらに送付されております。私が農林委員長になりましてから、只今送付になつておりまする法律案を衆議院で上程をいたしたのでございまして、農林委員会の全員でございまして、二十一名、ただ共産党の方だけがこのメンバーに入つておりません。共産党を除く他の諸会派ことごとく一致で提案をいたしました。本会議を通過いたしましたときの状況も、共産党を除く全員の賛成でございまして、その前の二回も同様であつたそうでありまするが、すでにこの問題は殆んど衆議院の大部分に等しい数の賛成で決議をされておる問題でございます。この中には春の選挙で御当選になりました前のいきさつを余り身近に知つておいでにならない方もありますので、多少蛇足でありましても、前の関係も一緒に説明をさせて頂きます。
 中京競馬場を新説したいという議は、只今の日本の競馬場は全國で十一でございまして、過去におきましてはこれを公認競馬と称し、公法人のような団体でこれを経営しておつたのでございまするが、戰争の頃から軍馬補充というような関係に結び付きまして、大変に競馬場は國策的に重く見られておつたのでございます。その後敗戰になりまして、いろいろな追放団体が出ましたり、かれこれいたしまして、競馬も曾ては軍馬補充部と深い関係があつたのだから、これも追放団体にするのがいいじやないか、いやこれは産業団体であつて、決して軍の出先ではないのだ、だから追放の必要がないというようないろいろな問題が錯綜いたしまして、追放の指定を受けたのではございませんが、当時の関係者の諸君が関係方面の御指導もあつたと思いまするが、これを國営競馬にする、公認競馬を國営競馬にするということになりまして、依然として十一個所の國営競馬がここにできたのでございます。私共は地方競馬の関係でございましたが、すでに二、三十年競馬に関係をいたしております。殊に私は地方競馬に関係をいたしておつたので、公認には一切関係はなかつたのでございまするが、その当時から日本に公認競馬が十一あるのにその中で收支償つて毎回開催せられるものは、半数をやや越す程度でありまして、辺陬の地にありまする公認競馬は收支不採算のために停止になつたり、或いは開催不能であつたり、非常に惨憺たるものもあつたのでございます。なぜかようになるかと言えば、大体競馬の栄えて参りまするのには、沢山の民衆が競馬場に出入りができる、その民衆も相当に富んでおる民衆でなければならんというようなことから、京浜地方であるとか、或いは京阪地方であるとか、こういうところにありまするものが栄え、この両方面から隔つておるものは距離に反比例をしてこれが衰えて行く、こういうような状況になつておつたのでございます。中京地方に公認競馬場、今申せば國営競馬場、これが一つなければならんというその説は、この頃起つたものではなくして、すでに私が競馬に関係をします頃、三十年、四十年という歴史を以てさような説はそれぞれの関係の者に言い伝えられておつたのでございまするが、なかなかそのよい機会が見つからなかつたのでございます。こうした古い歴史を持つた中京競馬場一個増設ということは、戰後に至りまして、この民主國会というような一つの刺戟もあつたのでございまするが、急速にこれが進展をして参りまして、只今先ほど申上げましたように衆議院ですでに三回も議決をせられておるのでございます。ところが三回も議決をされて参議院で握りつぶしになりましたり、今回のように継続審議になりましたり、とにかく衆議院四百六十名の大多数の者が総意を以て意思表示をしたものが軽く扱われるというようなことが、どこに起因しているかと言えば、我々の見るところではその候補地が一つでなかつた、各競争の候補地を挙げつらねておつたということが、非常に大きな問題であろうと思います。只今から見ますると、必ずしも競馬場、公認競馬場を経営いたしましても儲かるに決まつておるものではない、経営よろしきを得れば儲かる、又中京のごとき人口稠密なる地方を元としてやればこれも儲かり得る。但し世間の民衆一般が競馬場さえ作つてくれたならば、これがその土地の繁栄策の根源になるのだ、衰えかかつた土地の勢いも競馬場の設置が機となつて、これが俄然繁栄にひつくり返るのだ、こういうような甘い考えは今日ではそのまま通用しないような時代になつて参りましたが、過去三回の衆議院の決議を目の前に見ながら、大体地方の人が候補地の競争をいたしましたその観念というものは、只今申しましたように、無條件に競馬さえ作れば、俺の土地は幾らでも財源ができるのだ、繁栄に赴くのだというような、そうしたものであつたのにこれは間違いなかつたのであります。さればこそ五つの候補地がここに挙がつております。猛烈な競争が起りつつあつたのでございます。私は幸いにもこの競争地に関係のない、この競争地はいずれも愛知県の中で尾張の國の区域に属しておりまするが、私は三河でございまして、その競争地には一切利害関係も何の関係もないのでございます。で我々は三河の人間としてこれを見ておりますると、余りにもその競争が執拗である、執拗であるということは、甘い見方をいたしまして、競馬さえ作つてくれれば、俺の土地は飛躍して繁栄するのだというような、そんな考えが基になつているということを観取をいたしまして、非常ににがにがしく考えておつたのでございまするが、幸いにも私は農林委員長になりまして、三河出身の代議士青木前安本長官以下三河に六名私共の同志の代議士がいるのでありまするが、尤も六名と言いましても、他に誰があるかと言えば、一人中野四郎君があるきりで大部分であります。この人々と懇談をいたしまして、あれをただ争わして置くだけで我々は能事終れりとするわけに行かない。愛知県にはやはり競馬が一つ欲しいじやないか、この國営競馬を欲しいじやないか、当然かような人口稠密なるところで確実に競馬が経営ができ、相当な利益も挙がるというものが、あの人達に任して置けばいつまでもあの姿でいることは残念である、これはどうしても中京地方のために是非これは競馬場を実現をさせようじやないか、かようなことも申合せまして、只今委員長のほうに県知事から陳情書が来ておりまするが、ああいう思想が県内に瀰漫して圧倒的になつて参りましたのは、我々の三河の衆議院議員が大いに活躍をいたしました一つの反映であると考えておりまするけれども、とにもかくにもだんだん県内の情勢は好転をされつありまして、競馬の受入体制が進展をして参つたのでございます。今日は情勢が変つたから今まで欲しいと思つておつたものは、もう今日ではその考えが変つたんではないかというような委員長に只今御説明の趣旨を拝聴したのでありまするが、絶対に今日もその方向は変つておりません。やはり愛知県では正しい意味で、正しい方法で國営競馬場が一つできるのは、これは確かに中京のために必要なことでもあり、又國家のためにもこれは結構なことであると、こういうことは我我の信念も変らなければ、愛知県方面の情勢も絶対に変つておりません。又財界にもいろいろな変動が起きましたが、私はまだ余り古くならない過去でありまするが、名古屋の経済界の代表の人々に会いまして、若しも愛知県に、殊に名古屋の周辺に一つの國営競馬ができたならば、この経済的の面倒はあなた方は確かにこれは責任を持つて見られるかということを聞いてみたのでありまするが、皆その方々は決めてくれたならば、確かに俺達は御趣旨に副うと、こういう返答をしておられます。競馬が民営になるというような空気も確かにこれは醸成をいたしております。私共も競馬は國営と言わず、地方競馬と言わず、これは民営にすべきものであるという信念を持つております。何と言いましてもあんなに人の沢山かかるもの、而もこれが常時でなくて、ときどき開催されるので、そのために予備軍を沢山持つということになりまするというと、非常な公の者がやつておりますと、冗費がかかります。どう考えましても、競馬等は地方が施設団体としてやるべきものであつて、役人がこれをやるということになりまするというと、殆んどそのほうの係の役人は大部分がこの競馬にかかつておる。その間に……大体畜産行政の主要な人々がかかるのでありますが、本当に畜産行政は止つておる。例えば県で申しましても、県の畜産課のごときは、競馬開催中は総員挙げてそちらで手伝つておりまして、畜産行政は止つておる。又地方競馬で、戰災都市とか、何とかでやつておりまして、その市役所の大部分の人力はそちらに注がれて、その間町政、市政の進展が阻まれておるというようなことでありまして、これは何としても民営でなすべきが当然である。國家は公認競馬をみずから開催して、この予算上から得まするところの利益、これは競馬の税金として或る比率を賦課すればよろしい。又地方、町村、県で、競馬によつて利益を挙げたければ、これは税金として賦課されればよろしい。後の細々したことは、何としても民営でなければならないという私は思想を包懐しております。併しながらかような思想を持つ者は私一人ではあるまいと思います。殖えておると思います。或いは実現されることも遠くはない将来のような気もするのでありまするが、さればと言つてそれでは愛知県に國営競馬を一個増設をするということを止めてはよいのではないかという考えには、どちらの方角から検討いたしましても、さようには考えられません。國営競馬ができておれば、直ちに民営になるだけで、中京地方に國営競馬を作つたりいたしましても、馬主、その関係者、すべての希望はどうなりましても同じでありましようし、又國家といたしましてもみずから競馬を、例えて言えば、非常に非能率であつて、恐らく國家でやる事業のうちで、このくらい人と利益の比率から言つて非能率なものはないと思いますが、かような非能率なことをみずからやつて迷惑をかけて行かなくても民営会社がこれを執行いたしまして、もつと楽に税金としてその收益が挙げられるということになれば、尚更國家としてもこれは結構なことであろうと思つております。かたがたいたしまして今日の情勢はどう考えましても名古屋を中心とするところに競馬場を一個新設をするということを止めたほうがいいという考えは、私共はどうも首肯のできないところであります。成るほど競輪も検討を受けております。強い検討を受けておりまするが、競馬と競輪というものは何と言つても違います。これには歴史が第一に物をいつておりまするし、興味からいいましても競輪というものはどんなにあれは公正にやりましても人間と人間でやるのでありますから、疑い出せばきりがない、正しい勝負をいたしたと思つてもあれは八百長であるというようなことを断定されても、これをはつきり立証的に打ち砕く方法がなかなかないのでございまするが、競馬に至りますると全くこれは線を異にいたしまして、若干の八百長でも人間が馬を馭して行くのでありまするから、ここにその逆な力が加わることは專門家から見れば誠にこれは見易いものでありまして、自転車の競走を見るのと違いまして、興味も違い、又その不正なことを見破ることも頗る容易でありまして、これはもう全く競輪が検討を受けたといいましても、競馬も同時に検討を受けるべきものでない、非常にこれは根本が違う、この点で御安心になつていいのではないかと思います。過去におきまして三回すでに衆議院の総意は参議院において敢えなくも蹂躙せられておるのでございまするが、私は皆様にお願いいたします。もうすでにお願いをいたしましてももう駄目なことは分りましたから、重ねて可決をお願いをする時期は過ぎておると思いますから、それは御自由で結構であります。但し蛇の生殺しのように、先会も継続審査でまあこの國会に入られたのでありまするから、更に又同じようなことで次の國会に入られる、いつでも継続審査で國会から國会へ送られるというようなことになりますると、衆議院はもうどうにもやりようがないので、むしろこれは反対であるならば反対で結構であります。勇敢にこれは否決をしておしまいになれば又我々は我々として考えもあると思つております。どうかさような点がございまするので、もう余り右顧左眄なさらずにどちらでも一つお決めを願いたいと思います。それから前に大変あなた方に御迷惑をかけたらしいのでありますが、どうも千賀は鳴海と臭いぞ、この問題を急に決めてやつたんじや千賀がいい顏をするのだ、千賀が金儲けをするのだというような噂が立つたという話でありますが、誠にこれは以ての外でありまして、我々は全く五つの候補地、どこに対しましても何の関係も持つておりません。その点は全く皆様御安心を願いたいと思います。そうして県知事が衆議院と参議院の農林委員長と政府に任すと言つて参りましたことは、これはまだ私らが紐を付けておるとお考えになる必要は決してありません。これはただ政府の当局が独自の立場でこの五つの候補地の中から最も適当なものを選び出されるときに多少なりともそこに手落があつてもいけない、又等閑にされるようなことがあつてはいけない、衆参両農林委員長は協力をしてその監視をしてくれろ、こういうことと私は解釈をいたしております。愛知県知事とも話しました。こんな要らんことを入れんでもいいのではないかと言つたら、今私が申しましたような意味を申しましたので、それでは一応参議院の農林委員長さんと御相談をして、将来この條項を履み行う必要があるときになつたならばただ政府の監視をするということで一つ了解をいたしましよう、こういう話合いをした事実はございます。過去において立ちましたような噂は決してこれは御心配がありません。全く無根のことでございますから、これも重ねて蛇足でありましても申添えて置きます。どうか、私の申上げましたことは若干皆様のお気に障るようなことを申上げましたか知れませんけれども、全く公明正大であり、尚且つ私といたしましては何らその情勢の変化等において過去におきまするところの信念が動揺していないんだということをはつきり申上げまして、お願いに代えます。暴言は多謝いたします。
#15
○委員長(岡田宗司君) 只今千賀さんの御説明の中に、衆議院の大多数の意向でこれは衆議院でも通過して参議院に廻されたところが軽く扱われた、こういう御言葉があつたのでありますが、私が委員長になります前に楠見義男さんが委員長でありまして、その頃に廻つて参つたのでありますが、その際におきましても、決して軽くは扱つておらないのです。廻つて参りましたのが大概会期の難きる前の日あたりに廻つて参りまして、何ともしようがなくて大体審議未了になつたのでございます。そういう事情でありまして、決して参議院の農林委員会がこの衆議院提出法律案を軽く扱つたことはないのでありまして、そのことは一つ千賀さんのほうにおきましても御含みを願いたいと思います。
 千賀さんにこれは私から一つお伺いしたいのでありますけれども、今千賀さんの御説明によりまして、御趣旨はよく分りましたのですが、尚二、三私からお伺いして置きたいと思いますことは、御承知のように競輪が行われましてから非常に競輪が盛大になりました。その競輪が盛大になると共に、それの社会的影響と申しますか、それが非常にいろいろな形で現われて参りました。特にそのために競輪場において大きな騒ぎが起りまして、治安上の問題が幾多起つております。そうして國家公安委員会におきましては廃止の決議をしておるような状況であります。これから起りましたことといたしまして、例えば犯罪者が非常に殖えておるというような事実、或いは又家庭争議がそのために起つて来る。それから競輪が始まりますというと、工場を休む者も非常に沢山出て来ており、産業上にも影響がある。こういうような状態でこういう一種の賭博的なものが非常に社会に大きな禍害を及ぼしておるこの際に、尚且つ競馬場を一個所殖やす必要があるかどうか、この点についての千賀さんの御意見を先ず伺いたいと思います。
#16
○衆議院議員(千賀康治君) 競輪のために家庭争議が起きるか、社会の風教を害しておるか、その点は競輪関係者がそれぞれ考えも持つていましようし、又私共といたしましてははつきりこれは競輪のことが分りません。併しながら競馬は殆んど日本の過去何十年でございましようか、明治政府のできまして以来日本の発達すると共に競馬場は発達をして参つたものでございまして、過去の日本が、敗戰だけは別でありまするが、敗戰の悲惨な目に遭う前までは日本で非常に栄えておつた。こういう見方が、これが國民の正しい認識であるならば、常に日本人の生活には地方競馬、公認競馬、かようなものが織り込まれておつた。かような点からいたしましても競馬が中京に一つできるということから、日本の風教を害する、さような考え方は如何であろうかと思います。又競馬というものを一個所ここで殖やさなくても、そのために風教が助かるのだから、醇風美俗が一層拍車をかけて完成するであろうというようなお考え方、これこそさような甘い考え方はできるものでなかろうと思います。私はこの点委員長がお考えになることは全く杞憂に属しまして、競馬をやろうが、或いは競輪がこのまま廃止をされなくて継続をされて参りましても、日本民族の良識というものは、必ずこれは進むべきよき途を選んで進み、一方に邪惡はありながら、又他方において日本の民族生活はますます今後よきほうに向つて発展をする、かようなことを信じて疑いません。どうか競輪に今多少の不祥事が起つたと言いながら、競馬のように、根本的に競輪とはその興味においても違うし、全く構成においても違うようなものを、十杷一からげに賭博の対象であつて、かようなものが社会風教を害するであろう、だから一つ殖やすことは余分だ、こういうふうなお考えは御修正を願いたいと思います。
#17
○委員長(岡田宗司君) もう一つ次にお伺いしたいのですが、戰前におきまして競馬がありましたときには、これは馬匹改良というようなことの目的が相当大きかつたのであります。特にそれによりまして、軍馬を養成するというようなことに非常に重きを置かれておつた。國営競馬におきましては、それで畜産を振興するというような金にしておるわけでありますが、実際におきまして、予算の建前等から見まして、この競馬の利益によりまして、十分に畜産が振興できるというような点も余り認められない。今國営競馬場が一個所殖えまして、さつきの千賀さんのお話ですと、それによりまして非常に多くの收入が得られるかどうかということも尚はつきりしておらないようでございますが、新たに競馬場を附加いたしますことによつて、何かそういうふうな、そこに特に積極的に寄與するものがあるかどうか、その点をお伺いして置きたいと思います。
#18
○衆議院議員(千賀康治君) お答えします。競馬の利益が畜産の方面にことごとく注がれることを、私共畜産人は心から冀つておりまするけれども、現在は國営競馬の主催者である中央におきましても、又地方競馬の主催者である地方におきましても、思うように、これが畜産振興のほうに注がれておりません。それは私共が非常に遺憾といたしますが、是非とも将来におきましてはもつと大幅に畜産のほうに入れるようにさせたい。この希望は相変らず旺盛に持つております。それから過去におきましては、競馬というものが軍馬養成ということで相当に肩幅を利かしたことだけは委員長のおつしやる通り間違いありません。併しながら今後におきましても、日本の國民生活から馬を抹殺していいという時代は恐らく来ないと思います。馬が要ると言えば、すぐそれならば速力のある動物でそれは軍馬に一番いいのじやないか、好戰的だということを極端に言われますならば、それはおしまいでありまするけれども、たとえ好戰であるとか、好戰でないとかということは別にいたしましても、牛は同じ本型の家畜のうちでも速力がないけれども力があつて肉がある。馬は大型の動物のうち牛に比べて甚だしく力があつて運送力、引かせても耕作をさせても能率が上がる。いつの時代と雖も世界いずれの民族と雖も牛と馬とを比べまして、片方は速力を主といたしましてこれを採用し、両方これは車の両輪のごとく今日まで発達して参つて、将来も戰争の有無に拘わらず、これは世界の各民族間におきまして牛と馬との関係は同様に進んで行くものと考えております。かような意味で私共が競馬によつて馬の速力を向上いたし、而もこれが國民の娯楽に寄與いたし、あまつさえ財政を豊かにする一つの根源になるということであるならば、これは尚更私は結構であつて、これは末長く競馬のごときものはすべきものである、採用すべきであるとこんなふうに考えておる次第であります。
#19
○委員長(岡田宗司君) それからもう一つお伺いして置きたいのは、先ほど千賀さんは競馬を民営にすべきである、こういう御意見があつたのであります。で、近い将来においてそれが実現されることを希望するというふうに言われておつたのでありますが、聞くところによりますと、衆議院のほうに、おきまして競馬の民営の議員提出法律案を出されるように聞いておるのでありますが、そういうふうなことは近く起るのでございましようか。
#20
○衆議院議員(千賀康治君) 非常に私共は信念を持つて、これはしかあるべきものであると思つておりまするから、できるだけ早く法案を完成いたして提出の運びにいたしたいと考えておりますが、これは相当に大きな法案でもあり、而も十二分に検討を加えてから皆さんに呼びかけることにいたしたいと考えておりますので、この臨時國会には恐らく間に合いません。次の通常國会に間に合うことになれば非常に結構であると思いまするが、併しこれとても決して間に合うかどうかも分らないのであります。それには受入団体を整備するという大きな問題がありまするので、あちらこちらにはねつ返りのない、最も國民の大多数が納得してくれる公正妥当な法案を手にしたいと考えておりますので、今は十分研究の最中でございます。
#21
○三輪貞治君 一言お伺いいたしたいと思いまするが、それはたまたま最近の國際情勢の変化によりまして日本の食糧自給態勢の強化ということが非常に要請をされて参つているわけであります。たびたびこの競馬法の一部を改正する法律案は衆議院において通過して、参議院で審議未了に相成つているようでありまするが、只今のお話を承わつておりますると、提案者並びにこれを審議されました農林委員会においてはその後の情勢の変化等においていささかも信念が変つていないという御説明でありましたが、今農林省におきましてもそのような國際情勢の変化に対応いたしまして食糧の増産対策をば愼重に御樹立に相成つておる際に、たとえ僅少なる土地でありましても一方食糧自給態勢に僅かながらも影響をもたらすところのこの農地を競馬場に変更するということは、これは問題は僅少の面積でありましても、そこに一つの大きな政策の上の影響があるということを我々は考えるのでおります。こういうような食糧政策と畜産奨励のための競馬場の新設ということにおきまして、軽重緩急等についてどのようなる御審議をされましたか、この点をお伺いいたします。
#22
○衆議院議員(千賀康治君) 御尤もでございます。私共も農林委員会に席を置く者といたしまして、この日本の食糧事情下におきまして競馬場のように広大な面積を要するものに農地をつぶしていいなどということは毛頭考えておりません。そこで五つの競馬場の候補地の中には三つぐらいは殆んど農地をつぶさなくてもいいようなものがあるようでございます。さような意味におきましてあの五つを政府が審議をせられるならば今御心配の点は決してこれは心配なしに解決をせられる問題であると思います。更に競馬などは、食糧問題のために馬を殖やせば人間の食糧を圧迫しやしないかというような若しも御疑念があるならばこれも御心配はないと思うので、人間の消化液が受付けまするところの植物性の食餌、澱粉を主といたしまするところのもの、これは馬には必要がないので、人間の胃腸では消化できない繊維の多いものを馬は相当にこれを消化し切るだけの彼らは能力を持つておりまするので、むしろその損失よりも彼らが排泄物として出しますところのものは牛のそれよりももつと分解が早い非常に優良な堆厩肥としてこれは人間に返してくれる、かような意味で馬の殖えることも、直接食糧的の圧迫もないと、両面におきまして御心配のような点はないと思います。
#23
○委員長(岡田宗司君) 外にございませんか。
#24
○三輪貞治君 具体的にこの五つの中の三箇所というのはどことどこですか。農地をつぶさないで済むという三個所でございますね。
#25
○衆議院議員(千賀康治君) その点は私は説明することはできないことはありませんけれども、成るべく私が説明することは、五つの候補地の中に、すでに私が何か運命を予告するような感じがしますので、それは政府がいよいよ決めるならば、あなた方は直接政府と御検討を頂きたいと考えております。
#26
○三輪貞治君 私の今聞きましたのは、そういつたようなものは私も知つておるのです。人間の攝取する営養と動物の攝取する栄養が違つておるとか……。私はたとえ具体的にこれは分りませんが、その場所について。併しながら一つの土地をつぶして、ここに競馬場を新設するのですけれども、競馬にしますれば、競馬が畜産奨励に非常に大切だということも分りますが、併しながら、今そういうように一方では一坪の土地も拓いて非常に大切な、木の生えておるところまで耕して農地を作つておる状態であるのです。或る場所においては、非常に得難いところの椿の山をばつぶしてまで開墾しておる。こういうような場合に、広い土地をば競馬場に新設する。今までのものに附加えて作るということが緩急軽重め考え方から言つて、どのような影響を持つかということについて、農林委員会は御審議をされたか、こういうことについてお伺いしております。
#27
○衆議院議員(千賀康治君) それは十二分の審議をいたしておりまして、先ほども申しましたが、三個所ぐらいを、あなたのおつしやる條件に抵触しない候補地がこのうちに含まれておる。そういうことを申上げて、どうか御信用を願います。
#28
○委員長(岡田宗司君) よろしうございますか。御質問ございませんか。
 ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#29
○委員長(岡田宗司君) 速記を始めて下さい。
 大橋法務総裁が御出席になつております。大橋法務総裁に対しましては、一つ十分にお聞き取りを願いたいと思います。
 では私から一つお伺いしたいと思いますが、競輪が行われましてから犯罪が相当増加しておりますか。
#30
○國務大臣(大橋武夫君) 競輪と犯罪との関係でございまするが、これにつきましては、一つは競輪場において、或いは競輪場を中心として発生いたしました特殊の犯罪、これについては私共相当愼重に詳しい調査をいたしております。それはいわゆる競輪をめぐる不法な暴行事件であります。この点につきまして先ず申上げまするというと、競馬或いは競輪をめぐりまして、かような不法な暴力事件がしばしば発生いたしておりますることは事実であり、又これは甚だ遺憾に堪えないところでありまして、本年九月以後競輪の開催を停止せられましたのも、結局ここに原因があつたと存ずるのでございます。この度関係者の自粛自衛の措置が実施せられるごとになりまして、再開の運びになつたのでありまして、今後は開催者側の適切な措置によつて、従前のような紛争はなくなるものと期待をいたしておるのであります。この状況を振り返つて見まするというと、昨年度におきましては競輪をめぐる紛争といたしまして、昨年四月以降十二月までの間に、二十二件の紛争事件が発生をいたし、これがために六十三名の人が検挙せられておるのであります。今年に入りましてからは、一月以降九月までの間に二十四件の事故が発生いたしておりまして、三百七十七名が検挙せられるという状態になつておるわけであります。かくのごとき事態は競輪の開催せられる都度地元の警察力をその方面に集中しなければならんということに当然相成りまするので、地元の警察といたしましても、競輪のために奔命に疲れるというような結果にもなつておるのでございます。但しこれらは競輪関係の事故でありまして、この期間内におきまする競馬上の紛争といたしましては、本年二月以降十月八日までの間におきまして、全國におきまして四件の紛争が発生しており、そうしてこのうち三回は警察力の行使をいたすということになつております。尤もこれは地方競馬と申すようなものでございまして、國営競馬につきましては、幸いにいたしましてかような事態は未だ発生いたしておりません。これらの事件はいずれも競輪場に起りました、或いは競馬場で起りましたる犯罪でございまするが、併し只今委員長から御質問に相成りました点は、ひとりかような競輪場、競馬場において発生をした特殊の事件ばかりでなく、競輪が盛んになつた結果として一般の犯罪が増加するような傾向にあるのではないか、こういう御質問の意味をも含んでおると存ずるのでありますが、実はこの点につきましては世上いろいろ実例を聞いておるようなことはございまするが、併し只今警察、或いは検察庁といたしまして、特に競馬が発生したために幾ばくの犯罪が出ておるといつたような、この個々の犯罪についての総計というものは取調べをいたしておりません。従いましてさようなことは傾向として一応私共も聞いておりまするが、併し具体的に、競輪が盛んになつたために一般犯罪が増加しておるというような結論をつけるところまでは至つておらないのがこの間の状態であります。
#31
○委員長(岡田宗司君) 次にお伺いしたいのは、競馬及び競輪等が行われます場合の取締の責任当局ですね。これの今おつしやられましたところでは、相当奔命に疲れておる、こういうことでございますが、今の自治体警察ではなかなか取締り切れないものがある。そこで競輪では今度自転車振興会等のほうで、みずから取締ることについて、人をば入れておる。ところがその人たちが聞くところによるというと、いわゆる與太者なんかが非常に多い。却つてそういうものにそういう取締等の責任の一端を負わせるということは、今後更に大きな弊害をもたらすのではないかというように私共は考えておるのでありますが、競輪及び競馬場の取締当局は勿論命令でやつておるわけでありましようが、果して今の力で、殊に大きな問題が起りましたときに、これを抑えて行くことができるかどうか。それから今後一体政府のほうでは、こういう競輪とか競馬とかというものに対する取締方針をどういうふうにおとりになるおつもりか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
#32
○國務大臣(大橋武夫君) 競馬、競輪等に関しまして、不法な暴行その他の犯罪事件が発生いたしておりましたことは、先ほど申上げた通りでございまするが、これの取締の責任者といたしましては、現在の制度といたしまして、警察及び検察庁がその責任者であることは申すまでもありません。而して、これにつきまして、大都市にございまする警察におきましては、自治警察において相当の人員を持つておりまするので、従来から十分なる取締能力を持つておつたのでございます。併し小都市にございまする場合におきましては、こそらの小都市は自治体が小さいために、その警察の定員も非常に少い。それがために、その自治体警察それ自身の人員を以て十分なる取締を実行いたして行くということには頗る困難があつたわけでございまして、止むを得ずこれら小自治体におきましては、取締のために國家警察に対して応援を要請するという措置をとつておつたような次第であります。本年一月から最近九月九日までの状態を見まするというと、この期間内におきまして、約二十四個所において、紛争をあらかじめ予想し、或いは紛争が発生いたしましたる後に警察官を出動せしむるというような措置をとつておりまするが、これを見まするというと、この二十四個所におきまして、当初千九百十名、これ各地によつてそれぞれ人数が違いまするが、それを合計いたしますと、千九百名ばかりの警察力を初めに警備のために派遣いたしておる。併し、その後の事態の推移を勘案いたしまして応援を求めましたるその応援の警察官の数は約五千名というような状態でございます。従つて、本来の地元において準備しておりまする警察力として出動せしめましたる者二千名弱、これに対しまして、応援のために他から応援をして貰つて出動させた者が約その倍数であるというような状態でございます。即ち、地元の警察力一に対して、応援のために要請した警察力が二と、こういうような状態に相成つておるのでございまして、これを以ちましても、小都市におきまする競輪場の取締のためには、地元の警察力だけではなかなか処置ができないというような実情にあつたのだということが言えると思うのであります。かような事情でございまするので、この度競輪の再開に当りましては、先ず場内取締は、できるだけ従来のごとく警察力に依存するというような必要のないように、開催者自体におきまして取締の人員を準備する、こういうふうな措置を講ずることになつたと聞いておるのでございます。もとよりこの場内取締というものは、管理者としての場内の群衆の整理その他の場内整理をいたすのでございまして、これは勿論警察取締というような、実力を行使する、或いは権力を行使するというような性質を持つたものではないのでございまするから、従いまして、警察取締を警察力が不足をいたしたるためにいわゆる地方ボスに委ねておるというような事実は毛頭ないのでありまして、これは管理者の自衛措置として、警察にばかり依頼せずに、場内の整理についてはできるだけ自分の側において人員を準備するという措置がとられることに相成つたというふうに理解をいたしておる次第でございます。そこで将来の問題といたしまして、現任の警察力において取締ができるかどうかという問題でございまするが、かように小自治体におきましては、自分の自治警察の固有の人員を以て取締をなすということは、従来の実績から申しまして非常に困難があつたのでありまして、それがために他からの応援によつてやつておつたという実情でございまするが、恐らくかような方法は今後におきましても相当必要ではないかと、こういうふうに予想をいたしております。併しこれはただその自治体の警察力だけでは取締れないということでございまして、國の全体の警察力という國の警察制度全体から見ましたならば、この競輪場に発生いたします事故の取締ということは、これは勿論なし得るというふうに考えております。
 尚又今後の取締方針につきまして御質疑がございましたのでございますが、従来とても当局といたしましては、競輪場、競馬場等に発生いたしまする刑法犯その他の犯罪事件につきましては、國警、自治警協力いたしまして、嚴重に取締を励行いたして参つたのでございまして、この方針は今後においても変更するつもりはございませんようなわけでございます。
#33
○委員長(岡田宗司君) もう一つお伺いしたいと思いますが、地方競馬はだんだん殖えて参つております。競輪場はまだこれからも殖えるような状況になつております。特に小型自動車競走法が成立いたしまして、小型自動車競走場も更に今後殖えるかと思うのであります。それから何か動物競技法というようなものも、議員提出法律案で衆議院のほうに出るような話も聞いておるのであります。そういうものがだんだん殖えて行くと、ますますこれは取締のために多くの費用と労力をかけなければならんようなことになつて来るのであります。又それが及ぼすところの社会的影響というものも非常に大きいと思いますが、法務総裁といたしましては、そういうものが殖えて行くことに対しまして、これを好ましいこととお考えになるか、或いは好ましからざることとお考えになるか、その点を一つ法務総裁の立場で明らかにいたして頂きたいと思います。
#34
○國務大臣(大橋武夫君) いろいろな競技場の新設に関連いたしまして、犯罪が殖えて行くではないかというような点が御質問の中心であつたと存じますが、只今までに申上げましたように、競技場で行われますいろいろな暴行その他の事犯、これは私必ずしも競技場の性質上避け得られない犯罪であるとは考えておりませんのでございまして、従来におきまする競技場の管理の不十分、或いはそれにおいて行われましたる競技が不正であつたというようなことが原因になつて、これらの事故が発生いたしたのであろう、かように存じます。従いまして、今後これらの競技場の新設、或いは継続というような場合に当りましても、これらの争議の原因となりまするような根本を正して参るということが可能でありますならば、決して競技場が増加したから犯罪が増加するというようなことにはなるまい、むしろそれよりもつと大きな問題として私共が考えなければならんという点は、かような競技場がどんどん殖えて行く、そうしてその競技場においてかくのごとき好ましからざるいろいろな紛争が生じて行くという、そういうことを発生させるところの、もつと大きな國民の雰囲気と申しますか、或いは社会的雰囲気と申しますか、そういうもののほうが遥かに重大な問題でありまして、この点につきましては、いろいろ今後の犯罪の処理に当りまして、私共としても十分に注意をしなければならん問題であると、かように考えている次第であります。
#35
○委員長(岡田宗司君) 今私お尋ねしたのは、單に競技場に関連する犯罪だけじやないのでありまして、先ほど法務総裁のほうから、統計上はつきり分らないと言われた競輪等から受ける影響によつて生じた犯罪ですね。そういうものが競技がどんどん殖えればやはり殖えて行く、それを法務総裁はどう考えるかという点をお伺いしたのです。
#36
○國務大臣(大橋武夫君) 実は競技が殖えたために犯罪が殖えるということは、数字的には明らかになつておりません。又私共の従来までの取扱の実例としては、さような結論を出すところまでは参つておりません。むしろ犯罪が殖えるということ、これ自体は私共は現在の傾向としては認めておりますが、それが競技場が殖えたために殖えているのであるというふうには考えておらないわけでございます。
#37
○三輪貞治君 今の点に関してですが、私たちはこういつたようなこの種の競技場、或いは競技場に限らず終戰後非常に國民の射倖心を利用したところのいろいろな行為が非常に多いのです。宝くじにしても同じであります。何か堅実な気持じやなしに、ふとした僥倖を頼みにして、何か一儲けしよう、一攫千金の夢を見る、これは人間の心理であり、尚終戰後のような國民精神の動揺いたした場合におきましては、これはいずこの國でも起つていることであります。それを巧みに利用いたしまして、地方公共団体その他が財政上の目的を以てこれに乗じていろいろな経営をして行くということは、私は非常にそういう点から國民の軽佻浮薄なる思想を培養するものとして非常に寒心に堪えなく思つておつたのです。こういう点からこれが原因いたしまして、或る場合には直接的な暴行となり、或る場合にはそういつたような犯罪を間接的に生んで行くところの原因になつている。即ち法務総裁が言われたところの一つの國民的な雰囲気、社会的な惡い雰囲気を作つて行くということになつて参るのでありますから、そのことについてはどうもこれは将来の取締に待たなければならんというふうにおつしやつたのでありますからして、そういつたような射倖心を得ることによつて國民の軽佻浮薄な情勢を作つて行くところの行為に対してはこれは好ましくないというふうにお考えになつておる。かように解釈してよろしうございますか。
#38
○國務大臣(大橋武夫君) 御説の通り、終戰後におきまして國民の思想が非常に安定を欠いておる。又それがためにいろいろな犯罪も殖えておるということは事実でございます。そうして又その風潮に乘じましていろいろ射倖心をそそり上げるようないろいろな施設が行われつあるということも事実であります。併しながらこれらの射倖心を利用したところのいろいろな施設というものの増加によつて犯罪が何ほど増加しておるかということにつきましては、私共といたしましては未だ結論を得るに至つておらないわけであります。要するに犯罪の増加というものと、それからかような射倖心を利用するようないろいろな施設が増加しておるということは、これは一種の社会不安と申しましようか、或いは國民思想の動揺と申しましようか、この戰後の我が國の一つの雰囲気という、一つの親から出た二つの現象であると、こう見ておるのでありまして、この犯罪の増加、それからいろいろの射倖的な施設の増加、この間に如何なる因果関係があるかということにつきましては、未だ結論を得るに至つておりません。これは同じ雰囲気から出た二つの現象であつて、非常にこれはそういう意味において関係が深いものであるということを申上げた次第でございます。
#39
○委員長(岡田宗司君) 只今法務総裁の言ですと、統計上そういうことが現われていないからないのだというようなふうなことを言われておるように私共にはとられるのです。これはどうも法務総裁ともあろうものの言葉と私共には受取れない。まあ事実いろいろ裁判の審理過程等において競輪等のために或いは窃盗を働き、親の金を持ち出す不良少年が沢山出て来たということは事実現われておる。ただ大量的に統計に現われていないかも知れないけれども、そういう事実があるということは御認識になつておると思う。そうしますと恐らくそれをただ統計に現われておらんからこれはそういうことが立証できないのだということで、まあそのために今後そういう射倖心をそそるような競技場が殖えることに対して、いいとも惡いとも判定が下せないというふうにお逃げになることは、どうも私共としては法務総裁として余りにも責任がないのじやないか。やはり法務総裁としてはそういうようなことについてはもつとはつきりしたお考えを持つておられたほうがいいと思うのですが、如何なものでしようか。もう一度はつきりしたお答えをお伺いしたい。
#40
○國務大臣(大橋武夫君) 射倖的な施設によつて犯罪が現実に、只今委員長が例をお挙げになりましたようなものとして発生をいたしておる、これは実際さような実例はございます。併しながら今日の犯罪の増加というものがこういう射倖的な施設が増加したからであるかという点につきましては、私はもとより否定はいたしておりませんが、併し明らかにこれを実証的に肯定することも今の段階としては私共としてはいたしかねるということを申上げたわけでありまして、競馬、競輪が殖えれば犯罪が殖えるということは、これは一応言われております。これについて私共はもとより否定をすることはできませんが、併し明らかにそういう傾向があるということをはつきり申上げるような程度には至つておらない。肯定も否定もいたさないということを申上げた次第でございます。
 尚又法務総裁としてはむしろはつきりした考えをすべきではないかというお言葉がございましたが、これはお言葉として拝承いたします。
#41
○加賀操君 先ほどどなたかの発言で、競馬と競輪とは根本的に競技が違うから競輪のような騒擾は起らないというような御発言がありましたが、又ずつと前の委員会で或る方面から競輪が盛んになつたので、競馬の騒擾がそつちに移つたのだというような発言もあつたわけでございます。法務庁としては実際において競輪と競馬の騒擾が根本的に違つているかどうかということを実例について一つ御説明願いたい。
#42
○國務大臣(大橋武夫君) 先ほども御説明の中にちよつと申上げました通り、本年の統計について見まするというと、一月以降九月までのうちに競輪場に発生いたしましたる事件の数は、二十四件ということであります。同一期間内におきまして競馬場に発生いたしましたものは、これは十月八日までとつてありまするが四件、このうち警察が出動いたしましたものは三件、まあ大体警察の出た程度というものは、片方は二十四件、片方は三件である。而してこれは地方競馬だけでありまして、國営競馬についてはさような事態は発生いたしておりません。こういう点から見まするというと、明らかに現実の数字においては、競馬場のほうが如何にも物靜かになつておる。こういう状態でございます。その理由は、本来競馬と競輪とは本質的に違うものであるかどうであるか、或いは又競馬場に入るべき者がむしろ競輪のほうへ廻つたから、それがために競馬のほうは助かつているというような見方もあるがどうかというこの点につきましては、実は特別な調べを持つておらないわけであります。ただ考えられますることは、所在地それから観衆の層などの相違が相当あるのでありまして、競輪場においていろいろ紛争を起している連中は、これは競輪がなくなれば、それじや競馬へ行つてやるかというと、必ずしもそうではない。競輪だから特に出かけて行つたのだという人も相当あるのではないかと想像されます。
#43
○委員長(岡田宗司君) 外にございませんか。
#44
○池田宇右衞門君 本日はこの程度で……。
#45
○委員長(岡田宗司君) 今池田さんのほうから、本日はこの程度でという、こういうお話がございましたが、今日の委員会はこれで閉じることにいたしてよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○委員長(岡田宗司君) それでは今日はこれを以ちまして散会いたします。
   午後四時四分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     岡田 宗司君
   理事
           西山 龜七君
           片柳 眞吉君
           岩男 仁藏君
   委員
          池田宇右衞門君
           瀧井治三郎君
           平沼彌太郎君
           宮本 邦彦君
           小林 孝平君
           三橋八次郎君
           三輪 貞治君
           飯島連次郎君
           加賀  操君
           溝口 三郎君
           三好  始君
           三浦 辰雄君
  衆議院議員
   農林委員長   千賀 康治君
  國務大臣
   國 務 大 臣 大橋 武夫君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       案樂城敏男君
ソース: 国立国会図書館
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