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1950/12/05 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 農林委員会 第4号
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1950/12/05 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 農林委員会 第4号

#1
第009回国会 農林委員会 第4号
昭和二十五年十二月五日(火曜日)
   午後三時二分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員門田定藏君辞任につき、その
補欠として江田三郎君を議長において
指名した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○新農業政策確立に関する調査の件
 (食糧政策に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(岡田宗司君) これより農林委員会を開会いたします。
 農林大臣がお見えになつておりますので、農林大臣に対する御質疑をお願いいたしまするが、先ず食糧統制関係の問題についての御質疑からお願いいたします。
#3
○小林孝平君 先般米価審議会が開催されたのでございまするけれども、米価審議会は各界の代表者から十分意見を聞きまして、政治の上に正しく民間各界の意見を反映するという目的で置かれてあると考えておるものでございます。ところが政府のほうにおいては、大体原案ができ、関係方面との折衝も済んだ後において、この米価審議会が開催されたのでございまするが、こういうことでは政府の米価決定に対して各界の意見を正しく反映するということはできないと思うのでございます。又この米価審議会の設置の趣旨にも反すると思います。その米価審議会の答申の取扱いかたについても、政府のほうにおいて却つていろいろ御苦心が払われなければならないというような実情になると思うのでございまするが、この点について今後もこういう独善的、非民主的な方法を以て米価審議会を開催されるのでございますかどうか、お伺いいたしたいと思います。
#4
○國務大臣(廣川弘禪君) 今回の米価審議会の遅れたことにつきましては、我々非常に恐縮している次第でございますが、この米価審議会をこういうふうな形でやつていかんということは、これは万人が認めるところでありますので、我々といたしましては、本年度からは是非ああいう事態にならないように、もう少し早くやりたい、こう考えております。
#5
○小林孝平君 今回甚だそういうことになつたのは残念であるというようなお話でございまするけれども、生産者も消費者も、なぜ米価審議会がこういうように開催するのが遅れたか、適期に開催するのはそうむずかしいことでないと思うのでございますが、その理由をはつきりお聞かせ願いたいと思います。
#6
○國務大臣(廣川弘禪君) これは表から見ると、極く簡單にいつでも開けばよろしいじやないかという御質問、その通りでございますが、併し審議会を開くについては政府が何か一つ案を持たなければならんという苦心のあるところも是非御了解を願いたいと思うのでありまして、何か一つ案を持つて行かないと、どうも恰好が付きませんので、その政府の一つの案を作ることに非常に苦心したことを御了解願いたいと思うのであります。
#7
○小林孝平君 従来の戰前の審議会或いは委員会というものは、すべて今大臣がおつしやつたように、政府の案を作つてただ單に意見を聞くというような審議会、委員会の形式だつたのでございまするけれども、戰後においてはそういうような形式は甚だ民主的でないと思うのであります。今回も單に一つの案ができてからというようなことではなくて、最終的に関係方面との折衝も済んで、殆んどそれを変更する余地はないというようになつてから、審議会をお聞きになつたようでございますが、この点を重ねてお尋ねいたします。
#8
○國務大臣(廣川弘禪君) さように見られても決して我々は弁解できないような御質問でありますが、実際その点については苦労のあるところを一つ御了解願いたいと思います。(笑声)
#9
○岡村文四郎君 米価審議会の遅くなつたことも誠に遺憾でありますが、それより先に、なぜ一体米の価格をもう少し早くきめることができなかつたか、これは非常に下のほうでは無駄な手数がかかり、無駄な経費がかかりますので、これまで押詰めなくてもきめられると思うのですが、政府のほうで單に延ばしたというのではなくて、何か理由があつたと思うのですが、どういう理由で今まで米の価格をきめないで来たかということを一応聞きたい。
#10
○國務大臣(廣川弘禪君) これは実は予算編成と非常に関係があることでありまして、予算編成の中に捲き込まれましたので、その中からなかなか脱却できなかつたのでありますが、それを基礎にしての予算編成であり、又それに附随しての財政計画が非常に重複いたすものでありますから、かようになつたのであります。でこの価格決定の間においても、いろいろな問題の折衝が重なつてああいうことになつたようなわけであります。
#11
○小林孝平君 先ほどの米価審議会のことに関連いたしまして、米価審議会の答申は五千八百円となつております。農林大臣の何とか一つ案を……という案は、五千五百二十九円、こういうふうになつておりますが、この答申の取扱いかたですね、今後の政府の案との開きをどういうふうにおやりになる意思であるか、お伺いいたしたい。
#12
○國務大臣(廣川弘禪君) この審議会の決定答申に敬意を表するために、実は今我々といたしましては苦心いたしておるところであるのでありまして、これを軍に我々が参考とするのでなく、どうにかしたいということで、特にむずかしい註文でありまするので、米価を上げろ、消費者の価格は据置けという非常なむずかしい問題なので、これをどう解決したらいいか、我々として今苦心惨憺しておるところです。
#13
○小林孝平君 この問題についてはなお甚だ不満の点がございまするけれども、時間の関係がありますので、次の問題に移りたいと思います。今の政府は自由経済を政策の基調としておられます関係上、漸次食糧の統制を緩和して自由にするという方向をとつておられるということはおられるのでありまするけれども、私は現在のこの緊迫せる國際情勢をどういうふうに政府は御覧になるか。先般も政府は大幅に統制の緩和をするという案を作られたのに対して、ドツジ氏から相当強く批判を受けておる様子でもあります。然るにドツジ氏から指摘されました以後におきましても、國際諸勢は一層緊迫の度を加えておる、こういうような情勢に対して農林大臣はこの國際情勢と國内の自給度を高めるという点と、食糧の統制という問題とをどういうふうにお考えになるかという点をお尋ねいたしたいのでございます。これに関連いたしまして、私は第二次世界大戰において、イギリス本國はアメリカから四千海里の距離を食糧を運ぶのに非常に苦心をした。今度仮にアメリカと日本との距離を八千海里ということを考え併せますと、非常にこの食糧の確保ということは現在の國際情勢と考え併せると、重要な問題である。單に自由党が食糧の統制緩和ということを公約したと言われますけれども、この選挙の際の公約という以後の二ヶ年近くの間に非常に情勢が変つておる。現在すでに自由党の公約の食糧の統制緩和ということを喜ぶのは、一部の米穀商以外は、消費者も生産者もそう喜ばない。こういうふうに私たちは考えておるのでございまするが、この点に対する農林大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
#14
○國務大臣(廣川弘禪君) 我が政府が帰属している政党が自由主義経済を基調とするということは、これは御了承を頂けると思うのであります。ただ今度のこの朝鮮事変を契機として、あれがどのようになるかということは、これは見通しは我々にも、又誰にもわからないと思います。けれども、どうなるかわからぬときに、どうして統制を外すかということでありますが、私としてはこの戰争が第三次戰争になろうとは現在の場合思つておりませんし、現在の段階においては輸入食糧も相当入り、而も又國内の麦その他の貯蔵も相当できておりまするので、この段階においては一部緩和し、一部これを統制して行くのがよろしいと考えてやつたような次第であります。
#15
○小林孝平君 現在の朝鮮事変が第三次世界大戰に発展するということを予測しない。こういうふうに御答弁があつたのでございまするけれども、朝鮮事変の勃発のその日まで、我々は朝鮮事変のごときは勃発することを夢想だにしなかつたのであります。なお今回朝鮮におきまして、北鮮において非常にその戰況が変化を来たしておる、こういうことも数日前までは我々は予想しなかつた。こういう予想しない事変が次々と起つて来る。更にトルーマン大統領は原子爆弾の使用も場合によつては行われるというような声明も出されておるようなこの國際情勢で、單に我々は第三次世界大戰に発展しないであろうというような簡單なことで統制を緩和するということは、甚だ國民全体に対しで無責任であると私は思うのでございまするが、もう一度農林大臣のお考えを伺いたいと思います。
#16
○國務大臣(廣川弘禪君) 國内生産が足りなくて、これは平時であろうと、事変であろうと、海外から食糧を求めなければ、我々の実際の量は満たされないということは御承知の通りでありますので、それとなお又國内の麦等を外してましても、これが外國に行くものでもありませんので、適当な数量は政府が確保できるということで、我々は統制を緩和しておるわけであります。
#17
○小林孝平君 甚だ揚げ足をとるようで農林大臣に失礼とは存じまするけれども、國内にできる麦は外國に出るのでないから大丈夫だ、こういうことをおつしやいますけれども、統制をいたしておりました際にも、國内の麦も米も外國には出なかつたのでございます。國内に僅かしかないから外國にまで行かないけれども、これを統制するという考え方のようでありまして、只今の農林大臣のおつしやることは少し腑に落ちないのでございますけれども、これに対しては御答弁を期待しないことにしたいと存じます。その次にもう一つお尋ねしたいのは、こういうように食糧事情が非常に緊迫した情勢にある、必ずしも根本的には日本の食糧問題は解決しておらない、こういうふうに我々考えておるのでありますが、政府は来年度におきまして早場米奨励金の六十億を三十億に削減されておるのであります。早場米奨励金は端境期の食糧の需給を垂り切るという趣旨において設定されたことは申すまでもないのでありますけれども、その裏面の理由の一つといたしましては、寒冷積雪地帯の單作地帯に対しまして保護を加えるという趣旨が当初からあつたことは、農林大臣も御承知の通りだと思うのであります。こういうような情勢下におきまして、食糧の需給関係から見ましても、更に今後國内において食糧を増産するという意味から行きましても、この六十億を三十億に削られたということは、農林大臣の農業政策が何か一貫しておらないという感じを与えるのでございますが、六十億に復活される御意思はありませんか、お伺いしたいと思います。
#18
○國務大臣(廣川弘禪君) これはあなたと全く私は気持を同じくいたしておるのでありますが、この早場米奨励金が端境期の危機を乗り切るために起きたということはわかるのでありますが、但しその裏の單作地帯の奨励金としても重要な意味を付けられておることもその通りであります。この六十億については私も十分話をいたし、又強く要求をいたしたのでありますが、予算編成上こういう三十億という数字になつたのであります。なお又今まで報奨されておつたものが成る程度米価に織り込まれましたので、その点で相殺されて来ておるのでありますが、先ほど申上げた後段の單作地帯につきましては、別途何らかの法律を作ることを考えたいと思つて研究を進めておるところであります。
#19
○小林孝平君 後段の別途考慮を願うということは、三十億を單作地帯に対する特別の農業の振興費というようなものにお使いになる、こういう意味でございますか。
#20
○國務大臣(廣川弘禪君) 金額内容その他はまだはつきりいたしませんが、そういうふうなことが、どうしても國会あたりの空気を見まして、又單作地帯に参りましても、何らかの方策を講じて欲しいという声があるのでありまして、これは我々といたしまして看過できませんので、一つの方途を考えたい。こう思つておるのであります。
#21
○小林孝平君 最後にお尋ねいたしたいのは、農林大臣のお話を承わりますと、單作地帯の特殊事情を非常に御考慮の模様で、我々は非常に喜んでおるのでありますが、この積雪寒冷地帯の單作地帯に対しまして、早場米奨励金のみならず、もつと根本的な單作地帯の、いわゆる農業振興の基本法のごときものが我々としてはどうしても必要であると考えておるのでございますけれども、政府においてもそういう單作地帯農業振興基本法のごときものを國会に提出される御意思がありますかどうか、お伺いしたいと思います。
#22
○國務大臣(廣川弘禪君) あなたのおつしやるようなことを我々今考えております。私のほうの党にも話しまして、党のほうでも今研究をしてもらつておりますし、なお我々といたしましても、十分それを検討いたしまして、一つの基本法と言いましようか、單作地帯の特別なものを作りたいと考えてやつておるのであります。
#23
○江田三郎君 米価審議会を無視して米価を決定したというこの点については、今農林大臣のほうから遺憾なこととして弁明があつたわけですが、そういう弁明は何にもならぬことであつて、なお重ねてこれに質問いたしましたところで、恐らくいい加減な答弁しかできないと思いますので、こういうやりかたは現在の政府が行なつているところの民主主義を蹂躙するやりかたのたくさんある中の一つの例だということを我々は記憶にとどめまして、一般國民の批判に待つということだけで、この問題については回答を要求しないことにいたしますが、ただ米価の決定の基準、更に麦の対米比価の決定の方針、これについてお伺いしたいのでありまして、今度の米価は大臣が事前に各地で放送されておつたように、価格パリティ・プラス・エックスという方法でやられたと思うのでありますが、そういうエックスというようなやりかたで、一体将来の日本の農業経営を安定さすことができるかどうかということであります、エックスというものがどういうような内容を持つているのか、この基準をはつきりしてもらいたいと思うのでありまして、若しこのエックスがそのときの財政的な理由からどう変更されるかわからないというようなものであつては、これは農民としましては、来年度の生産計画を立てる上におきまして、大きな不安を覚えるわけであり、従つて今後の食糧自給というものに対して、いろいろな好ましからざる影響を与えると思う。そこでこのエックスというものは何であるかということをはつきりしてもらいたい。或いは価格パリティ・プラス・エックスという方式をやめて、別な方式を立てられるならば、その問題についてはつきりしてもらいたいということであります。第二の問題は、麦の対米比価というものをどう決定されるか。先ほど大臣の答弁の中には、麦の統制を外したところで、これが國外へ出て行くものでないからして差支えないということでありますが、併し統制を外した後にどれだけの生産高が上るかどうかということは、主としてこれは価格のありかたによつてきまるわけなんでして、外國に逃げて行かなくても、麦の生産数量というものはこの価格によつて非常に違つて来るわけです。そこで一体政府は対米比価を幾らにきめようとするのか。その幾らにきめるという場合の理論的な根拠はどうであるか。戰前の対米比価というようなおのもありますけれども、戰前の外國食糧の輸入の状態と今日の輸入の状態、輸入する数量だけでなしに、どういう品質の食糧が輸入されるかという問題、そういう点から考えまして、非常に農業を取巻くところの条件というものは違つて来ているわけなんだから、その点についてどういうような理論的根拠を以て麦の対比価をきめようとするのか、その麦の対比価をきめた場合にどういうような生産状況を予想しておるのか、輸入状況を予想しておるのか、こういう点を何もこれは大臣でなくてもいいのでありまして、大臣の甚だいつもきまつたような答弁よりも、むしろ事務当局の答弁でも結構であります。
#24
○國務大臣(廣川弘禪君) 今度の米価をきめた基準についてのお話でありますが、アルフアーはやはりどこまで行つてもこれはアルフアーでありまして、実際この方程式が、アルフアーを加えたことによつてあの算定方式が壊れたとは私は見ておらないのであります。実はこの米価審議会決定後、関係のものと相談いたしまして、来年度におきましては、本年度も我々の農林省ではやつたことでありますが、飽くまでもこの生産費を正確に出して、これを基底としたものによつてやりたいという感を深くしたようなわけであるのでありましては、相当広範囲に生産高を調査いたしまして、それを積み上げてみたい。そしてそれを基底として行くことが正しい。こういうようなことを考え、周東君とも話合い、又池田君とも話合つているのであります。この間の米価審議会のかたがたのやつておるのを見まするというと、非常に高い生産費を払つておるようでありますが、そうでなく、もう少しあの狭い範囲でなく、もつと広い範囲でこれをきめて、これを基底として行きまして、米作農家に不安を与えないように一つ固いものにしたい、こう考えておるのであります。又これを今度の米価審議会を振返つて見まして、生産費で行こうか、或いは國際価格に鞘寄せして行こうか、或いは。パリティ指数で行こうというようなことで、相談に日を暮しました一つの原因にもなつておりますが、これは一つ私たちとして明確ににしたい、こう考えて相談しておるようなわけであります。それから麦の対米比の問題でありますが、これは要するに日本人の嗜好の問題もあり、又戰前における対米比もありますので、主に戰前の対米比にこれをしわ寄せして行つたほうがいいのじやないかというような考えから、かようにしておるのであります。又この価格が非常に生産の上に影響を及ぼすということですが、これは全くその通りであります。併し最低価格を作つた例で申しますというと、このようにして最低価格より下がるということは殆んど私聞かない。最低価格を作りますと、その上を飛んで行くようになる。又最低価格に置いて最低価格で落着いたら、政府で少し買つて刺戟を与えると、私はこれは値が上つて行くと考えている。なお細かい点は政府委員から答弁させます。
#25
○江田三郎君 米価の決定について、価格パリティ・プラス・エックスでありますか、アルフアでありますか、この方式は今の大臣の答弁ではなおもう一点はつきりしないのでありますが、すでにアルフアというものを付けた以上は、価格パリテイだけでは適応性を失つておるということになると思うのでありまして、アルフアがたとえ十円であつても千円であつても、アルフアを付ける以上は、価格パリティという方式は適応性を失つておる。今大臣のお話になつた、安本のほうとも相談して来年度の生産費の調査をもつと積極的にやろうということは、もはや価格パリテイの方式が適応性を失つておるから、生産費計算に切替えるという原則がきまつたのかということをはつきりしてもらいたいということ、更に生産費計算をとる場合に、労賃というものについてどういう考え方を持つておられるか。今日の農村が行詰つておるということは、今更私が言うまでもないことでありまして、従つて農村が行詰つて来るということは、農村の実際の支払う賃金が下がるということであつて、そうして若しこれを現実に支払つた生頭費の中に繰入れられる労賃が現実に支払われた労賃であるということになると、一旦農村が不況の状態に落ち込むというと、惡循環でいよいよ惡い状態に落ち込んで来る。もともと価格パリティをきめる場合に、なぜ価格パリティをきめたかということは、やはり各生産部門間の所得の均衡をとつて行くことが狙いになつておると私は了解しておるのでありまして、そういう点から行けば、この生産費計算をとる場合の労賃の計算は、少くとも他の産業部門の労働賃金と均衡をとつたものでなければならんという結論が出て来ると思うのでありまして、その点をどういうように考えられるかということが第一点、それから第二点のこの麦の対米比価の問題でありますが、これは今の大臣の考え方では、主として戰前の対米比価或いは國民の嗜好と、こういうものを考えたということでありますが、これは先ほど申しましたように、戰前に自由に食糧が輸入されておつたときと、今日の状態とは非常に条件が違つて来たということ、先ほど小林君が言いましたような世界情勢に、我々の予期したことが起るか起らないかということはわかりませんが、仮に起らなくても今日の日本農業を取巻くところの、この世界経済情勢、或いは世界の食糧情勢というものは非常に違があるわけなんです。特に戰前主として朝鮮、台湾その他の米の移入に待つておつたものが、今後朝鮮の今度の事件から見ましても、米の輸入というものはいよいよこれは窮屈になつて、従つて多くを麦に依存しなければならんというので、そこから考えるというと、好むと好まざるとにかかわらず、國民の食生活の内容というものは変らざるを得ないわけです。そのときに戰前の対米比価或いは戰前の國民の嗜好というもので、これを計算するということは非常に乱暴な話であると思う。尤も農林省のほうで、この対米比価の決定によつて、日本の農業構造がどう変つても構わないのだ、食糧が如何に生産が減つても、他の作物に転換してもそれは勝手なんだ、それに対してなお成算があるというなら別問題でありますけれども、恐らくそういうような確信は農林大臣の政治家というよりも、何というのですか、宗教的な信念から言つても出て来ないと思うのです。
#26
○國務大臣(廣川弘禪君) この価格決定におきます場合に労賃の重要な位置を占めることは、これは事実でありますが、今度経験いたしましたことは、私たちのほうの農林省の統計によつて、一般工場労働者の賃金と農村の労賃を比較して見た場合に、非常に農村の労賃が下つておる、これはあなたの只今御指摘の通りでありまして、この失業者が農村において吸收されておるということが端的に現われて参つて来ておることなんであります。これを正常化せなければならんのでありまするので、このことについては我々といたしましても、十分考えなければならんと思つております。それから次の今後の価格決定について生産費を規定とするということに決定いたしたかということでありますが、今話合い中でありまして、いろいろ相談いたしておるのであります。我々三人の間ではそういつたような方向に進むごとがよいのじやないかということに相談しておりますが、未だそれが最終段階ということではないのであります。我々のほうで十分準備をする考えております。それから麦の対米比率の問題でありますが、食生活の戰前に比して変つて来ておること、又朝鮮、台湾を失つた後における輸入食糧の変りかた、これはよくわかるのでありますが、併し現在までの日本人の平常な場合の変化はあつたと申しましても、平常の場合の対米比価に持つて行くことがいいのじやないかということで我々はやつております。それから又もう一つは、麦の価格を下げて生産を落してよいのかということでありますが、我々といたしましては、先ほど申上げたように最低価格を付けて置きまするというと、必らず我々はその上を上廻ると、こう信じておりますので、若し最低の場合には、これを政府で買上げれば必らず刺戟を受けて上つて行く。こういうふうに見ております。それから又外國食糧はこれを一応國で管理いたしておりますので、それのあおりを食つて外國で安くなつたからよいと言つて、それにあまり農村をその風に当てないようにしたい。こういうふうに考えておる次第であります。
#27
○江田三郎君 今の生産費計算で行つて、而もその場合の労賃については、他の産業の労働賃金と同じような考え方で行かなければならんということについては、三人の意見が一致して、又大体意見は一致しておるけれども、決定までに至らぬということでありますが、私はこの際一つの順序を逆にするのでありますが、事務当局の答えを、農林大臣の裏付けを得るというのでなしに、只今の農林大臣の答えに対して、事務当局は裏付けできるかどうかということを、はつきり確認を求めるわけであります。それからもう一つ、麦の対米比価の問題については、大臣の答えは、これは私が心配しておることに対する答えとは、非常に違うのであります。現在でも麦の生産費は、これは明らかに赤字になり、麦の価格は赤字になる。然るにこれが今後対米比価が切下げられた場合に、一体どうなるかということは、我々がくどくど言う必要がないのです。そうなると、而も生産に対して、統制がないという以上は、どうしたところで日本の農業構造が変らなければならんということは、これは誰しも常識的に考え得ることなんでありまして、一体事務当局は、かような対米比価で以て将来の食糧自給をどう予測しておるのか、その点をお伺いしたい、これは大臣よりもむしろ事務当局のほうに伺いたい。
#28
○政府委員(安孫子藤吉君) 対米比価の問題でありますが、先ほど来、縷々お話がございましたように、現在は八
○台の対米価比をやつております。戰前におきまして、大麦において大体四八、裸麦では六三・五、小麦では六二・三、こういうような比較であつた。生産費調査の面から観察をいたしますと、場合によりましては、小麦よりも生産費が高く付いているという事情もございます。これは労力費その他の点からさような結論が出ておるのだろうと思います。そうした生産費計算によるコスト高のものでありますにかかわらず、戰前から対米価比は六〇或いは四〇というような、四〇台というような比価で以て取引をされて来ておるのであります。その当時は小麦増産計画が相当成功した当時の状況であります。物の価格は申上げるまでもありません。仮に生産費だけというわけに参りませんで、一つの消費生活と、そういうものをやはり織込んできめざるを得ない事情があると存じます。二十六年度の予算で一応考えておりますものは、六四という指数を考えて予算を弾いております。これは戰前の対米価比の外に、國際的の米と麦との比価というようなものも睨み合して、予算を推算いたしております。私は麦の価格は対米価比を八〇台にいつまでも止めるのは適当じやなかろう。こういうふうに思つております。一挙に変革をいたしますことは、生産に惡い影響を与えますから、除々に下げて行くほうがいいだろうというふうには考えております。これは麦の生産の保持の上から申しましても、そう対米価比をくずしたくない。それによつて非常に麦の増産が大きい阻害を受けるものではないと存じております。対米比価を六四に弾きましても、絶対価格におきましては、本年の麦の価格よりも若干上廻るというような価格も出ます関係を見ますれば、その点は増産上も大きな支障を来たさないで、今後の食糧需給の上にも麦は行くものだというふうに考えております。
#29
○江田三郎君 最後にこれはもう少し議論をしなくちやならないのでありますが、折角大臣に対する質問の時間になつておりますので、私ばかりが時間をとりましてもいけませんから、最後に一つだけお尋ねして置きますが、今の御答弁は、恐らく腹の中では確信を持つておらぬと思うのであります。いやしくも常識を以て日本の農業のことをかりそめにも知つておるものであつたら、そういう答えは出ないと思うのでありまして、例えば米麦の國際的な価格の比率というようなことを考えるといつたところで、米というものは、例えばアメリカにおける米の食生活におけるウエート、日本におきまするウエート、いろいろ國によつて米を特に愛好する國があり、そうでない國があり、いろいろなことが変つて来るわけだし、生産費の問題についても、戰前に麦の奨励をやつたときと、今の状態とはどうだという問題もあり、恐らくいろいろ変つて来るわけで、絶対価格はこの対米価比を下げましても、来年度の絶対価格は今より上つて来ると言つたところで、その上りかたというものは極めて知れたものです。今農民が果して附いて来るかどうかということは、もう少し靜かに考えたらわかるはずなんだ。今の農民がそうでなくて、行き詰つた経営から現金收入を求めておる。何か特産物に走ろうとしておる。特産物に走ろうということが必ずしも惡いことではないのでありまして、例えば特殊作物を作つてそれが新らしい食糧を買入れる代金に使われるというのならば、それも結構でありますけれども、併しながら特産には非常な危険の面があるということ、更にそういうような危険を度外視いたしましても、今日の世界情勢からして、そう自由な食糧輸入がいつまでもできるかどうか、その点はあなたがたが、私のような立場でなしに、ドツジ氏のような権威のある立場の人からも相当に突込まれたはずでありまして、私がこれ以上お聞きしなくとも、恐らく食糧庁長官といえども、腹の中には自信がないと思いますが、私はそう断定いたしまして、この問題につきましては、後日ゆつくり議論することにしまして、たださつきもう一つ残つておるこの生産費計算で行くということ、それからその際の労賃は他の労働部門における労賃を下廻らないという原則で行こうということに対して、最終決定でなくとも、そういう行きかたに対しまして、事務当局も同意しておるかどうかということをお答え願いたいと思います。
#30
○政府委員(安孫子藤吉君) 私どもは昨年来、やはり穀物価格の決定については、生産費主義で行くことが正しい方法であると思つて、そういう線で努力をしておるのであります。その際に一番問題になるのは、労力費の算定の基準でありますが、これをそのときの労賃で見るか、或いは他産業とのバランスにおいて考えるかということがむずかしい問題になる。外の産業部門の一体どれをとればいいか、又どういう性格、性質のものとこれを均等に保たせたらいいかという点については、農業生産の特殊性もございますし、又他産業の特殊性もございます。その間の調整をどうとるかということが相当むつかしい問題だと思います。勿論労力費の算定につきましては、そういう点も十分検討を加えまして、やはり生産主義の算定方式を確立して参りたいというふうに存じております。
#31
○委員長(岡田宗司君) ちよつとさつきの雑穀の質問に関連して、農林大臣にお伺いしたいのですが、先ほど麦の価格が成る一定の基準より下つた場合には、政府がこれを買上げるようにしたい、いわゆる指示価格をきめる。こういうことだつたのですが、そういたしますと、これはそういうような法律を作らなければならんと思うのですが、その点について政府はこの通常國会にそういう指示価格制による食糧の買上げの統制を外した後の食糧買上げの法律案をすでに用意されつあるのですか。
#32
○國務大臣(廣川弘禪君) 用意しております。
#33
○委員長(岡田宗司君) そういたしますと、今度すぐに麦から始まるわけですが、これは大体においてアメリカの例等を見ましても、一般会計から金を出して買上げておるのですが、その場合に、後の場合におきましても、そうすることになるのですか。
#34
○國務大臣(廣川弘禪君) 特別会計……。
#35
○委員長(岡田宗司君) 特別会計。そうすると、大体その予算はすでに組込んである、今度の二十六年度の食管特別会計に組込んでおるのですか。
#36
○政府委員(安孫子藤吉君) 二十六年度予算に編成しております。
#37
○岡村文四郎君 小林委員から統制についての話があり、お答えがありましたが、どうも根本方針があれで、私は朝鮮動乱が起きたとか、第二次大戰が起るのじやないかという、こういう情報を別にして、そうでなく、日本が島國で、いつでもそういうことがあることを考えてなくても、ある気持で食糧政策を立てるのでなければいかんと考えておりますが、現在の政府は食糧統制の政策をはつきりせんがために、実は殊に百姓は困つております。これは一刻も早く安心をして農業にいそしむようにすることが、政府の責任でありますが、なかなかはつきりといたしませんが、今どこまで農作物の中の食糧を統制しようとお考えになつておるか、これを一つはつきり伺いたいと思います。
#38
○國務大臣(廣川弘禪君) これは最終は米のみにとどめたい、こう思つております。
#39
○岡村文四郎君 どうも日本の政府は、統制のために統制をするようなきらいが非常に多いのでありまして、誠に遺憾といたしておりますが、米、麦とはつきりいたしますることが、それが結構なことで、それで惡いということにはならんと思いますが、私は今統制をするといつておるから、現在二十五年度産のものも、統制のための統制をするようなことはおやめになつたほうがいい、こういつた考えであります。と申上げますことは、日本の國内で食糧に使うのはほんの少部分であつて、特殊なものでありながら、生産されて、輸出で非常な価格に売れるものも、まだ統制の枠に入れてやつて行ごうというように聞いておりますが、而もその買上げたものをそのまま輸出業者に払下げるのは、それでもよろしいのでありますが、それでなくて、これを入札に付して、そうして下げて行こう、こういうことも聞いておりまするが、それが事実かどうかお伺いしたいと思います。
#40
○政府委員(安孫子藤吉君) 只今入札の話がありましたが、入札の点はですね、食管特別会計で持つておりまする配給辞退等に適合しないものがあります、昨年の「とうもろこし」でありますとか、或いは輸入したコンスターチ、マイロスターチという性質のものがございます。こういうものは持てば持つほど保管料金利がかかります、品傷みもいたしますので、これはできるだけ早く整理をいたしまして、健全な特別会計にしたい。こういう趣旨で処分を実は急いでおります。勿論この処分に当りましては、例えて申しますると、北海道の澱粉の価格等に惡影響がないように、その辺の事情も十分考慮いたして処分をいたしておるのでありますが、処分の方法といたしましては、特定的なものに対する売却というようなことは、いろいろ問題を起しやすい性質のものもございます。従つてそうした場合は、会計法上入札という制度によるのが最も適当であろうというので、入札によつてこれを処分しているものも相当あるわけであります。そういう実情になつております。
#41
○岡村文四郎君 大臣も食糧長官も御存じだと思いますが、実は北海道には特殊な作物が相当にあり、又盛んにそれを註文され、狙つておりますものに手芒があります。量は僅か本年恐らく一万二、三千俵とか、一万四、五千俵となつておりますが、これを殆んど全部いいものは輸出をし、惡いものの屑にひとしいものは製とうに残るだけであります。私はこれを今のお話のように、入札で高いほうに向ける。こういうようなやりかたにするらしいことを承わりましたが、甚だ遺憾であります。若しそういう御趣旨として、初めから決して不都合でないから、これだけは統制外においてやることが何ら不都合でないと思いますが、長官はどうお考えになつておりますか。
#42
○政府委員(安孫子藤吉君) 本年度産の手芒の問題かと存じます。丁度統制を解きます過渡期にありまするので、いろいろの問題がございまして、手芒その他北海道の特産の輸出品のものにつきましては、従来の対米比価ということを考慮いたしませんで、主として輸出額というようなものを頭の中に置きまして、実はこの価格をきめる予定でおりました。その点からいたしますと、これもいろいろ御議論があろうかと思いますが、手芒は輸出価格というものよりも、むしろ國内産のとうの原料といたしましての特殊の価格が従来出ております。その点から輸出価格というものを基準にして考えました場合に、手芒については合わない部分が価格上出て参りす。この点は北海道方面からのいろいろの御指摘もございますし、丁度道庁の責任者も今上京されておりますので、もう一度原案を再考いたしまして決定したいという考えを持つております。
#43
○委員長(岡田宗司君) ちよつと岡村さんに申上げますが、細かい事務的なそういう問題はいずれ後でもう一遍食糧関係についての問題をやることにしておりますから、一つ大局的な問題で大臣の出席がありますので、大臣に御質疑願いたいと思います。
#44
○片柳眞吉君 私は第一点は食糧確保臨時措置法の関係でありますが、大体来年の麦からは供出制を外すということ、それから米につきましても、事前割当をやめるような方針のようでありますが、法律を見て参りますると、来年の米のほうは多少これは問題はないと思いまするが、今蒔いてすでに生えておりますところの麦につきまして、事前割当をやらないということは、まだこの法律が生きておりまするから、多少疑義があると思いますが、その辺どんなふうにお考えになつておりますかが。
#45
○政府委員(安孫子藤吉君) 私からお答え申上げます。食糧管理臨時措置法の建前から申しまして、私どもも若干の疑義があると存じます。併しながらこの事前割当の指示は農林大臣の一つの権限事項であるという解釈の下に、案は昨年「いも」の自由販売と申しますか、統制におけるその措置を講じて参つておりますので、そうした考え方で麦も扱つて行きたいと存じております。併しながら食確法の根本に触れる麦或いは米というものに手を付けますと、根本に影響する問題でありますので、この点も通常國会の際には原案を御審議願うことが適当じやないかということで準備をいたしております。
#46
○片柳眞吉君 第三条に、農林大臣はいろいろな議会の意見を聞いて都道府県知事に指示するとなつておりまして、これを指示しないでよろしいという解釈は多少どうかと思います。これはできるだけ、法則的に完備されることを希望いたします。その次にこれは小林君の質問に関連する問題でありますが、今回の米価決定の方法で参りますと、特別加算額が早場米の奨励金と米麦の超過供出の奨励金と合せてパリテイ価格の一五%になるということになつております。私は審議会で一応質問申上げたのでありますが、この機会に又質問いたしたいと思います。超過供出のほうは一応観念的には全國的に起る事項でありますから、この超過供出の奨励金を基本価格に振替えるということは一つの方法と存じますが、早場米奨励のほうは地域が限定されておりまして、従いまして一部に限定されておりまする早場米奨励金を全國の農家に亘る基本価格に振替えるということは、早場米地帯の犠牲において一般の米価を上げる、こういうことになると思います。或る程度早場米地帯の救済対策はできておるようでありますが、到底数十億の予算をとることは困難と思います。従つてこの早場米地帯の犠牲において一般米価を上げる。その早場米地帯の犠牲をどの程度に救つてやる御方針でありますか、これは小林君の質問とも関連する問題でありますが、御意見を伺います。
#47
○國務大臣(廣川弘禪君) これは御指摘の通りでありまして、この寒冷單作地帯の犠牲において一般米価を上げるというふうに見られるのであります。さようにいたしまして、犠牲を受けた特殊地帯であり、而も又米においては非常な生産地帯であるこの地方に対しましては、この差額の三十億はとても望めないことはあなたの御指摘の通りでありますが、でき得る限りこれを予算化し、或いは又これに法制的な基礎を持たせるように努力したいと思つております。
#48
○片柳眞吉君 それからその次は極めて焦眉の問題と私は思いますが、これはこの前の國会でも私は実は御質問申上げた事項でありますが、食糧公団が現在解散途上にあります。小売のほうは何とか運営ができるようでありますが、卸の機構について非常にトラブルが多い。而もそれが主として金融関係でおれのほうにあるから附つて来い、というような意向が多いようであります。そこで現在のテンポで参りまして果して卸機構が完全に切換えができるかどうか、相当私は心配しております。ほかのものと違いまして、途中の機構が紛争しておりますと、折角のものが消費者に渡らないという重大な問題がありまして、特にこの卸が数個の関ができるようでありますが、そうしますと、運賃プールがなかなかむずかしいような情勢のようであります。民間企業では運賃のプールをすることはでき得ない、こういうようなことでありまして、非常に問題のようであります。実は私のところには毎日附近の米屋さんが参りまして、どうしたらいいかということを、実は悲痛な陳情等を受けておりますので、この運賃のプールがどういうふうにやる御方針でありますか。これは頗る急を要する問題でありますので、御方針を一つ承わりたい。
#49
○政府委員(安孫子藤吉君) 卸が複数制になりまして、その結果運賃プールの問題が非常にむずかしくなります。これについていろいろ庁内においても検討を続け、又計算もいたしておりますが、なかなか煩雑であります。従いましてでき得れば單行法を出しまして、プールするという一つの法案の御審議を願つたらどうかというふうに、実は考えておるわけであります。その点は少し公取の関係もあることでありまと、司令部のアンタイトラストの関係もありますので、最終的に申上げるわけにも参りませんけれども、でき得れば運賃プールの特別の立法をするほうが食糧の配給操作の上には都合がいいのじやないかという考えで、その方面も併せて検討を続けております。それができません場合には、何とかして事実上の運賃プールに相当するような、食糧庁として非常に煩瑣でありますけれども、価格差等を一々設定をしてやらざるを得なくなるだろうと思います。実は両建にいたしまして、只今早急に検討を続けておる際であります。
#50
○片柳眞吉君 最後に御質問いたしたい点は、これは実は本会議で御質問いたしましたが、はつきりいたしませんので、この機会に御質問いたしいたいと思いまするが、麦の問題で来年からは供出制を外す、それに対応いたしまして、一応無制限で政府は麦を買う。こういう方針のようでありまして、これは先ほど江田さんの言われましたような、或いは委員長の言われましたような、一つの価格新政策と見て行きますれば、私は非常に賛成であります。ただその場合に問題になります点は、恐らく政府に売つて来る場合には非常に売つて来るだろう。一般市価が高い場合には殆んど政府には入つて来ない、こういうことになるだろうと思うのであります。そこで政府に行くほうが有利である、その場合にはどんどん政府に持ち込むと思いまするが、そうなつて参りますると、政務次官の御答弁では八百数十万石の予定をしておるから、これをオーバーすることはないであろうという御答弁でありましたが、併し情勢如何では、政府の価格が相当有利でありますければ、これは予算額をオーバーするということも起り得ると思いまするが、そうなつて参りますると、いろいろ御苦心を願つておる例のインべントリ・ファイナンスとの関係が相当起きて来ると思いますが、これをどういうふうにお考えになりますか。それからもう一つは、政府がどんどん麦を買うという場合におきましては、別の面から見て参りますれば、一般市価のほうが安いということがバツクになると思いますが、そうしますると、政府の買つた麦の処理につきまして、相当やはり損失が起きはせぬだろうかということを実は心配するのでございます。この大方向には賛成でありまするが、これらの点にどういうふうなお考えを持つておりますか。これは重ねて明快な御答弁を頂きたいといます。
#51
○政府委員(安孫子藤吉君) 明快にはならないかと思いますけれども私どもの考えている点を申上げまして、又御批判を得たいと思います。結局麦の価格を幾らにきめるかという点が非常に大きな問題になると思います。一定価格をきめまして、物が殺到して来る、或いは全然売込みがないというように、いずれかの極端な現象しか現われないのであつて、然らざる現象はそう望み得ないのじやないかという点がお尋ねの要点のように存じます。これに関しまする私どもの経験といたしましては、米穀統制法を実施いたしました際に、政府がそれほど買わないで済むであろうと思いました最低価格による米の買入れというものが、法律の実施に当りまして、非常に大量のものが政府に殺到して来まして、大きな政治問題になつたことを記憶いたしておるのでありますが、その当時の情勢といしましては、國内産の米のみでなく、台湾米、朝鮮米というような大きな給源のものが無制限に殺到して来るという前提においての最低価格の維持ということでありましたために、なお更その情勢が激化されたものだと思います。今後は國外から入ります食糧は、政府が一手にこれを管理するという前提の下に、國内産の麦というものの買入れを考えますれば、米穀統制法初期において苦杯を嘗めましたような、ああした事態というものはよほど変つて来るのではなかろうか、勿論それには前に申上げましたように価格を如何に出すかという点が、これは大きな問題になろうと思いますけれども、そういう点が一つ情勢上変つておるように私は考えます。それからなかなか買えないであろうと申す場合にも、然らばどこが買うかというようなことになりますと、大きな買手は製粉資本になろうかと存じます。製粉資本の現在の資力を以ていたしましても、そう無制限に大量のものを買えるような金融力を持つておりませんので、この辺からも政府には相当大量に持込まれて来る。併しその持込まれましたものを農業生産の維持の上において適切な価格というようなもので買うという方針をとりますれば、その辺はお話のような両極端の事態だけでなく緩和した状態において麦の買入れというものが円滑に進められるのじやなかろうかというふうにも実は考えておるわけであります。この辺はいろいろ想定の問題でもございますし、又今後の価格その他の立て方、買入れの方法等とも関係して参りますので、なお一層よく御意見等を承わりまして検討することにいたします。
#52
○委員長(岡田宗司君) 農林大臣はこれから司令部のほうへ行かれますので、これで御退席されるそうでありますが、なお農林大臣は明日の午後御出席になりますので、農林大臣に対する質疑は明日航行して頂きます。それから食糧政策の問題につきまして、なお安孫子長官がおられますので、安孫子長官に対して御質疑をなさるかたはお続け願いたいと存じます。
#53
○三好始君 先ほど来の質疑応答で、明年から米以外の食糧の完全な統制撤廃が予定されておるようなことは明らかになつたのでありますが、
   〔委員長退席、理事岡村文四郎君委員長席に着く〕
 米の統制は明年産から割当方式が事後割当になる以外は現行通りになると考えていいのか、或いは軍に事後割当になる以外に現行統制方式と何らか異なつた方法をお考えになつておるのか、この点を承わりたいと思います。
#54
○政府委員(安孫子藤吉君) いろいろ利害得失があるわけでありますけれども、結局来年の米の供出制度につきましては、事後割当制度という根本的な方針で参りたいと思つております。これを実際にどういう方法で下ろすかという点につきましては、或いは又如何なる時期に如何なる資料に基いてそうしたことをやるかというような点については、いろいろ検討を加えておりますが、まあ大体から申しますと、今の割当制度と非常に違つたものになるというようなことは考えられないと思います。今の制度で若干運用いたしました結果、是正をすべき点がいろいろあります。そうした点を是正をいたしまして、事後割当制度という形に組替えて見たらということで検討しております。
#55
○三好始君 事後割当制度になりまして、作付も自由であるということになるわけでありますが、そうしますというと、農家によつては米作をしないで全面的に作付転換をするような場合も起り得ると思うのでありますが、その場合に保有食糧の問題をどうするか、転換しても、保有食糧という表現は或いは正確でなくて、農家に対する配給食糧と言い直したほうが適当かと思いますが、その問題をどういうふうにお考えになつているかということを承わりたいのであります。麦以下の主食が完全に統制撤廃になりますというと、結局米だけになるわけでありますが、従来米作をしておつた農家が全然米作をしないで、他の作物に転換したという場合に、その農家に対して米の配給をどういうふうに保障して行くか。これは例えば一般消費者並みの米の配給は保障するというような考え方もありましようし、又一般消費者以上に農家並みの配給をするという考え方もあり得ると思うのであります。その辺の計画について承おりたいと思います。
#56
○政府委員(安孫子藤吉君) 統制を外して参りますと、常に当面いたします困難な問題は、今まで積上げて参りました保有食糧算定に関する基本的な問題をどうほどいて参るかという点がいろいろ問題が出て来るのであります。「いも」を外しました際も、その点で随分苦慮いたしましたが、これから麦を外し、米だけにするというようなことになりますと、そこに非常に大きな問題があることは私どもも了承いたしているのであります。その点について甚だ遺憾でございますけれども、ただ今これこれの方式で、こういう保有計算をやるという結論を出しておりませんので、目下検討を加えておりますけれども、この次の通常國会等でこの問題を御審議を願いますまでには、十分検討をした結論を御審議を願いまして御批判を得たい、こういうふうになつております。只今のところは、その辺をどう弾いて行くかということを研究中であるという状況でございます。
#57
○三好始君 農業経営に自主性を回復させるという意味で作付が自由になることは、一つの大きな意味を持つておると思うのでありますが、その場合に農家だけから食糧の配給のほうは保障しないという方針が若しとられたといたしますと、経営の自主性、作物選択の自主性という問題は成り立たないことにもなるのじやないかというふうに考えるのであります。従つて若し完全に作付転換を認めて行こう、経営の自主性を認めて行こうという立場に立つのであつたならば、やはり主食の配給について面倒を見る、保障するという方針を立てて頂かなければいけないのではないかというふうに思うのであります。この点につきましては、まだはつきり具体的な計画はない模様でありますので、希望として申上げて置きたいと思うのであります。
#58
○理事(岡村文四郎君) お諮りしますが、実は今日はあとに用があるので、非常に遅くなつて残念ですが、明日午後に大臣もおいでになるようですから今日はこの程度で散会したいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○理事(岡村文四郎君) 御異議ないと認めます。それでは本日は散会いたします。
   午後四時十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     岡田 宗司君
   理事
           西山 龜七君
           片柳 眞吉君
           岩男 仁藏君
           岡村文四郎君
   委員
          池田宇右衞門君
           白波瀬米吉君
           瀧井治三郎君
           平沼彌太郎君
           江田 三郎君
           小林 孝平君
           三橋八次郎君
           三輪 貞治君
           赤澤 與仁君
           飯島連次郎君
           加賀  操君
           三好  始君
           三浦 辰雄君
  國務大臣
   農 林 大 臣 廣川 弘禪君
  政府委員
   食糧庁長官   安孫子藤吉君
ソース: 国立国会図書館
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