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2000/11/15 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 共生社会に関する調査会 第3号
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2000/11/15 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 共生社会に関する調査会 第3号

#1
第150回国会 共生社会に関する調査会 第3号
平成十二年十一月十五日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         石井 道子君
    理 事
                南野知惠子君
                水島  裕君
                本田 良一君
                大森 礼子君
                林  紀子君
                三重野栄子君
    委 員
                岩永 浩美君
                大島 慶久君
                竹山  裕君
                鶴保 庸介君
                仲道 俊哉君
                橋本 聖子君
                森下 博之君
                岡崎トミ子君
                木俣 佳丈君
                小宮山洋子君
                高橋 千秋君
                羽田雄一郎君
                渡辺 孝男君
                小池  晃君
                八田ひろ子君
                堂本 暁子君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        岩波 成行君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○共生社会に関する調査
 (男女等共生社会の構築に向けてのうち女性の
 自立のための環境整備に関する件)

    ─────────────
#2
○会長(石井道子君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。
 共生社会に関する調査のうち、「男女等共生社会の構築に向けて」を議題といたします。
 女性の自立のための環境整備に関する件のうち、生涯にわたる女性の健康支援について、本日は二時間程度、おおむね午後三時をめどに委員各位の御意見を伺いたいと存じます。
 この件につきましては、これまで参考人からの意見聴取及び質疑、政府からの説明聴取及び質疑を行ってまいりましたが、本日は、お手元に配付したテーマに沿って委員間で御議論いただきたいと存じます。
 なお、皆様のお手元に、これまで行いました参考人の意見陳述の概要、政府の説明の概要及びこれらに対する主な質疑項目をまとめたものを参考資料として配付しております。
 議事の進め方でございますが、まず、各会派から大会派順にそれぞれ五分程度御意見をお述べいただきまして、その後、委員相互間で自由に意見交換を行っていただきたいと存じます。
 なお、御意見は着席のままで結構でございます。
 それでは、御意見のある方は順次御発言願います。
#3
○南野知惠子君 ありがとうございます。南野でございます。自民党を代表してという形になろうかと思いますが、私は、生涯にわたる女性の健康支援につきまして意見を表明させていただきたいと思っております。
 生涯にわたる女性の健康と権利、いわゆるリプロダクティブヘルス・ライツは、一九九四年のカイロで開かれた国連の国際人口・開発会議で初めて公に提唱され、翌年、北京で開かれました第四回世界女性会議で重要な女性の人権の一つであると認識されたと思っております。
 女性が子供を産む産まないは、これまでとかく人口政策や少子化問題と関連づけて考えられてきておりましたけれども、カイロ会議ではそのような国家の人口政策に対する反省からリプロダクティブヘルス・ライツが提唱されており、女性が子供を持つかどうか、あるいは何人出産するかということは、人口問題とは別に女性自身の健康上の個人的な権利として確立されるべきものであります。これに付随した妊娠の問題、中絶の問題も、その女性の健康上の観点から女性自身が決定するのが本来の姿であろうというふうに思っております。
 女性の生涯は結婚、妊娠、出産、育児などによって男性と違って大きく環境が変わり、出産、育児による退職など、その変化に女性が自分の意思によって適切に対応しなければならないというものだと思っております。
 このためには、女性のみならず、男性の理解と協力が不可欠であります。これまでの男性中心の社会システムや、女性を産む性としか見てこなかった社会の意識や男性自身の生活スタイルを変えていかない限り、真の意味での男女平等の社会は実現されない、また女性のリプロダクティブヘルス・ライツの確立も困難であろうかと思っております。
 少子化の問題は我が国の社会にとって大きな課題でありますが、女性が子供を産まないことを問題とするのではなく、出産を女性自身の固有の健康上の権利としてとらえ、女性が出産しやすいような状況を整備し、働きながら子供を産み育てることができるような環境づくりというのが重要であると思います。
 あわせて、女性の生涯にわたる健康を支援するような体制づくりも重要であり、そのためには各世代、各年代の女性が気軽に受診、相談できる場の確保、また病院などでのカウンセリング、情報提供を行っていくなど、女性のトータルとしての医療体制の充実が必要であろうかと思います。
 また、不妊治療の進展などにより、昔であるならば宿命として産むことをあきらめざるを得なかった女性の妊娠も可能となってまいりましたが、この不妊治療は女性にとって肉体的、精神的にも大きな負担となるほか、現在は治療費が健康保険の対象となっていないために、経済的にも負担を強いられることになります。そのため、不妊治療につきましても一定の条件をつけて、健康保険の対象としていくことも考えていかなければならないのではないかと思っております。
 さらに、リプロダクティブヘルス・ケアを行う助産婦などの専門職が不足しており、これらの専門家をふやすとともに、保健所または女性センターの助産婦、看護婦などの看護職の常勤枠を拡大するなど、その人材の確保が必要であろうかと思っております。
 我が国におきましては、避妊の七割近くがコンドームを使用しておりますが、一般にピルを初めとして避妊法についての正確な情報が提供されていない、また情報が少ないように思われます。こうした面での情報の的確な提供が必要であり、同時に十代の女性の人工妊娠中絶が増加しているもとでは、学校または社会における適切な性教育の充実、これはもう喫緊の課題であろうかと思っております。
 今なお世界では中絶が非合法とされ、十分な避妊手段も持たないまま性行為の危険にさらされ、生命や健康が脅かされる女性が多く存在しておりますが、そのためにも、リプロダクティブヘルス・ライツは先進国だけの問題ではなく、途上国も含めた世界のすべての国、地域の女性に保障されなければならない国際的な権利であることも最後に強調しておきたいと思っております。
 以上でございます。
#4
○羽田雄一郎君 民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。今国会より調査会に出席をさせていただいており、新参者ではありますが、ここ二回、参考人意見陳述、政府の説明を聞いて思ったことを意見発表させていただきます。
 高度情報化社会、IT革命などと言われている現在、正確な情報と教育が最も大切なことだと考えております。そして、二十一世紀は教育、福祉、環境問題がどのような分野においてもかかわってくると思っております。
 そのような中で、共生社会というのはすべてにおいて平等であれということではなく、人それぞれが思いやりを持って、ともに生きていくことではないかと思っております。特に子供は、大人や環境等によって大きく左右されてしまうので目を配らなければならないと考えますし、障害を持った方々に対しても同様であると思います。そして女性に対しても、男性にはない妊娠、出産、そしてそのための準備と、性差があることを、我々男性は物事を進めるとき、また決定するときにきちんと頭に置いておく必要があるのではないかと思っております。
 私は、先日、参考人の話の中で、堕胎罪というのが今現在も存在していることに一番の驚きを感じました。
 人工妊娠中絶の件数は、昭和三十年と比較しても平成十一年では三分の一以下に減少しているようですが、いまだに三十三万件を上回り、二十歳未満の女性の人工妊娠中絶は増加しているようであります。地域差はあるものの、平成十一年の調べでは、高校三年生の性交経験率は男子が三七%、女子が三九%に達しているという調査結果も出ております。私の感覚や知る限りでいえば、調査よりも経験率は高く、また年齢も低年齢化していると考えております。
 望んで妊娠したとは思えない中絶に対して、女性にだけ責任を負わせるような堕胎罪については早急に対応する必要があると考えております。そして、産む産まないは親となる者を中心によく話し合い、考えながら、最終的には女性に決める権利を確立することが必要ではないかと考えました。
 そして私は、女性が安心して子供を産み育てる環境をつくることが、産もうと決心できる大切な要因だと考えます。
 例えば、共働きをする家庭が多くなっている中で保育所の充実が一つ挙げられますが、実際には、平成十一年四月の調べでは、待機児童が東京では四千二百八十二人、横浜では千六百二十九人、川崎では千四百九人等、地域差があるにしても充実しているとは思えませんし、ベビーホテルの事件や虐待の話などが横行している中で、安心できると言うにはほど遠いような気がしております。また、育児休暇をとりやすくするための施策等も強化し、事業主に対する関係のものが必要であると考えております。
 そのような中で、私は小中高の性教育、健康教育こそが一番大切なことだと思っています。
 小学生には、一人一人個性ある者が思いやりを持ってともに生きていること、命の大切さなどをあらゆる場面で気づかせていくことが大切であると考えます。中学生では、避妊について正確な情報の提供、妊娠や中絶が心身に及ぼす影響等についての知識を身につけることが大切ではないかと考えます。また高校生では、安易な性交経験によって起こってくることを正確に教えておく必要があると思います。
 先日の調査会で話の出ていたアメリカで使っている中絶の生々しい教育ビデオ、これは日本でも見せるようにした方がいいと私は考えております。実は、私も高校生のときにこのビデオを女子生徒の要望によりまして見せられましたけれども、これを見ただけでも中絶の恐ろしさ、また、これは殺人ではないかと思うような映像で、少なくとも避妊について真剣に考えさせられました。
 あと、多数の人との安易な性交経験によりクラミジアのような感染症も増加していると、先日、テレビで特番を組んで報道されているのを見て、教育現場においてもきちんと情報として教える必要があると考えます。
 私は、教育の必要性を強く感じている者として最後に申し上げたいのは、なぜもっと学校の中に医師、助産婦等の専門家を非常勤でもいいので入れていかないのか。文部省、厚生省と、省庁が違うという高い垣根があるのか、または教師の方でよそ者を入れるのを嫌っているのか、それは知り得ることではありませんが、私は早急に教育現場での専門家も含めた教育が取り入れられるようにする必要があることを申し上げ、意見発表を終わらせていただきます。
#5
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。公明党の本調査会の委員として意見を述べさせていただきたいと思います。
 リプロダクティブヘルス・ライツは、一九九四年、カイロでの国際人口・開発会議にて提唱され、一九九五年、北京での第四回世界女性会議で女性の重要な基本的権利の一つとして確認されました。「リプロダクティブヘルスとは、人間の生殖システム、その機能と(活動)過程のすべての側面において、単に疾病、障害がないというばかりでなく、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態にあること」と定義されており、「したがって、リプロダクティブヘルスは、人々が安全で満ち足りた性生活を営むことができ、生殖能力をもち、子どもを産むか産まないか、いつ産むか、何人産むかを決める自由を持つことを意味する。」としております。
 このような権利を守る視点に立って、政府は、一、リプロダクティブヘルス・ライツに関する意識の浸透、二、生涯を通じた女性の健康の保持増進対策の推進、三、女性の健康を脅かす問題についての対策の推進を重点とする男女共同参画二〇〇〇年プランを策定し、これらに基づく施策を総合的に推進していますが、十一月一日に本調査会で行われた参考人の意見陳述、それに対する質疑、さらに十一月八日に行われた政府の取り組みの説明、それに対する質疑を受けて、次のような対策を政府に求めたいと思います。
 まず第一点は、リプロダクティブヘルス・ライツの視点に立った不妊相談事業の展開をさらに推進することを政府に求めます。
 具体的には、相談される方に対して、リプロダクティブヘルス・ライツに関しての十分な理解を持ち、しかもカウンセリングの技術を持っている方が相談担当に当たることが重要でありますので、そのための人材確保を図るよう政府に求めたいと思います。また、医療機関で不妊相談のカウンセリングを受ける場合には、これに対する医療保険の適用を認めるよう厚生省に取り組んでいただきたいと思います。
 第二点は、不妊相談が適切に行われた上で、妊娠、出産を希望される方には、安全で有効な医療サービスが過重な経済的負担や精神的ストレスなしに受けられるよう受療環境を整備すべきことを政府に求めます。
 具体的には、不妊治療に対する医療保険の適用あるいは医療費控除を行い、経済的負担を軽減することを求めます。また、受療の精神的ストレスを軽減するために行われるカウンセリングなどに対して医療保険の適用を政府に求めます。また、生まれてくる子供の権利を守るために、子供の身分を保障する法整備、特に父と母を確定するための法整備や、出自を知る権利を確保するための法整備の検討を早めるよう関連省庁に求めます。
 第三点は、子供を希望するカップルが安心して子供を産み育てられる環境を整備するために、一、さらなる児童手当の拡充、二、多様なニーズにこたえられる保育所の整備、三、育児休業の所得保障のさらなる充実、四、妊産婦健診や乳幼児健診の充実、並びに乳幼児健診や予防接種時に付き添う親や保護者の休暇取得に対する支援策の策定、五、妊産婦や乳幼児の救急体制の整備など、総合的な子育て支援策を行うよう政府に求めます。
 第四点として、生涯にわたる女性の健康支援に関しては、特に、一、好まざる妊娠や性感染症などを防ぐための性教育の推進と、それを側面から支える安全で軽負担で適切な医療サービスの提供を政府が支援するよう求めます。二、乳がんや子宮がんなど女性に特有の疾患の治療、検診体制の整備や予防対策の推進を積極的に図ること、並びに治療に伴う身体的、精神的ストレスを軽減するためのさまざまな支援もあわせて行うことを求めます。
 具体的事例として、乳がんや子宮がんの摘出後にリンパ浮腫で大変苦労されている方がおられることから、これに対する根本的治療法の研究を進めるとともに、次善の策として行われる対症療法としてのマッサージや特製ストッキングの着用に対する医療保険上の支援や、経済的負担軽減策の検討を行うよう求めます。
 以上でございます。
#6
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
 今までの皆様の御発言とも重なる部分もあると思いますが、私も生涯にわたる女性の健康支援に女性の自己決定権を貫く重要性について意見を申し上げたいと思います。
 カイロ人口会議、北京女性会議以降、性と生殖に関する健康・権利、いわゆるリプロダクティブヘルス・ライツという考え方に立って、いつ何人子供を産むか、または産まないかなどは女性が決めることであり、女性の自己決定権を保障することが大きな流れになっています。男女平等な社会がその前提ですが、参考人の方々も説明されましたが、男女共同参画審議会の答申でも指摘されておりますし、今後政府の施策にこの視点を全面的に反映させていくことが求められます。
 まず、最重要課題として望まぬ妊娠をいかに減らすかという問題があります。年間約三十四万件に上る人工妊娠中絶を厚生省は向こう十年間に半減させる目標を立てていますが、早期に達成して限りなく減少させていく必要があると思います。そのために、女性の健康支援にかかわる相談窓口、避妊や不妊や中絶にかかわる相談ができる窓口、また情報窓口を多数開設し、女性が身近でいつでも利用しやすいようにすること。
 例えば、保健所だけではなく各地の女性センター、女性教育センターなどで既に行われているところもあるということですが、そうした窓口を全国に用意していくことは可能ではないかと思います。同時に、とりわけ地方で中心的にこうした業務を担っている国立病院や保健所を統廃合するというのは、まさに逆行そのものではないでしょうか。避妊具を安価で手に入りやすいものにすることも必要だと思います。
 次に、社会教育、学校教育で女性の自己決定権を保障すること、それを基本に両性の平等な関係を築くことの取り組みを強める必要があると思います。学校教育では現在四十カ所が実践研究の指定地域となっているというお話ですが、この地域をもっとふやして力を入れる必要があります。十代の人工妊娠中絶は急増していることから、さらに積極的な対応が必要です。
 社会的な環境づくりとしては、メディアの影響というのが非常に大きいと思います。ポルノグラフィーや暴力的な映像などが子供たちに否定的な影響を与えることは、総務庁の調査でも指摘されているところです。出版物、映像、インターネットなど、あらゆるメディアについて自主規制を促進し徹底させる必要があります。
 不妊の問題については、不妊治療に保険適用をという要求が関係者から出されておりますが、これはもっともな要求だと思います。
 リプロダクティブヘルス・ライツの問題で、女性の自己決定権を保障する法整備の問題も重要だと考えます。その内容としては、どれだけ避妊技術が進んでも思わぬ妊娠や望まぬ妊娠をする可能性はあるわけですから、人工妊娠中絶ということを法的にきちんと位置づける必要があります。
 そのためには、まず刑法の堕胎罪は女性の自己決定権を阻害するものであり、廃止するのが当然と考えます。また、参考人からも説明されましたが、人工妊娠中絶を行う際、配偶者や相手と十分話し合うことは必要であっても、どうしても同意が得られないとき最終的な決定権は女性にあるので、配偶者の同意を法的な要件とすることは不適切ではないでしょうか。
 現状ではほとんどが経済的理由による中絶ですが、参考人のお話で、オランダでは女性にとって妊娠を継続することがストレスであるとされる場合は、胎児が母体外で生存できない時期は中絶ができるということを伺いました。こうした面からの法の見直しも必要ではないかと思いました。
 最後に、働く女性の健康を保障するという観点から、ILO母性保護条約を早期に批准し、その内容に即した母性保護の拡充、産前産後休暇の長期化と所得保障の引き上げを要求いたしまして、私の討論を終わります。
#7
○堂本暁子君 私はきょうは、リプロダクティブヘルス・ライツが日本の行政システムの中に十分に取り入れられていないということをテーマに意見を述べたいと存じます。
 北京の行動綱領は、女性は心と体の健康を享受する権利があるということを採択しています。その内容は、身体的、精神的、社会的に女性の健康が保障されるというものです。日本国は、カイロの行動計画ももちろんですが、北京の行動綱領も採択し承認しているにもかかわらず、国内的にはそれが行政にきちっと、法的にもそれからシステムとしても取り入れられていません。
 生涯にわたる女性の健康というふうに言うことができると思いますが、正確にはリプロダクティブヘルス・ライツというのは、性と生殖に関する健康と権利と最初には訳されていました。それが、なぜかこの翻訳が母性の保護というふうにとかくとられています。先週行われました労働省の発表でも、全く労働の中の母性保護ということだけに特化していたことでもそのことはよくわかると思います。それから、次は、妊娠と出産に限定していることです。そして三番目には、中絶と重ねてこの言葉を日本では理解する人たちが多くいます。
 しかし、正確な翻訳は、女性の性あるいは妊娠、出産といった生殖に関する健康と権利、日本の中でわかりやすくするためには女性の健康と権利というふうに表現することが最も適当かと私は最近思っております。生まれたときから、思春期、出産可能期、そして閉経後の老年期に至るまで、妊娠の機能を持った女性が健康に過ごす、そのことのための権利であるというふうに理解するのが最も適当だというふうに思っております。
 ところが、これが行政の中では全くばらばらに扱われています。母子保健課が厚生省にありますけれども、それは母子手帳を持っている間だけ母性についての福祉サービスが与えられています。その前の、いわゆる思春期に十分な避妊に対しての知識あるいは相談、カウンセリングがきちっと福祉のサービスとして行われていません。さらに、妊娠、出産についても同じことが言えます。十分なカウンセリングのサービスがありません。また、主婦が出産し、次に避妊なり自分の出産あるいは子供の数を決めようと思うようなことについてのカウンセリングやサービス、そういったものもシステムとしてきちっと厚生行政の中には位置づけられておりません。
 さらに、今は多くの女性固有の病気があります。例えば子宮内膜症ですとか乳がんですとか、さまざまな女性の病気がありますけれども、これも例えば子宮内膜症だったら産婦人科、乳がんだったら外科というふうにみんなばらばらになっています。女性は一人の人間として生まれてから死ぬまで生きるのですから、その女性の健康について十分な研究が必要です。
 更年期障害についても、日本では十分な研究がなされていません。そのために、更年期に大変苦しんでいる女性たちが、がんと診断されたり結核と診断されたり、全く思いもよらない病気だと診断されているケースがたくさんあるということを最近知りました。きちっと更年期障害についての研究、そこに対しての福祉のサービス、医療のサービスというのがないために、むしろ誤診を受けてしまう、無理な病名をドクターたちがつけてしまうというような現実があります。
 そういった意味で、生まれたときから死ぬまでの女性の健康をきちっと保障するシステムを日本は確立する必要があるし、そのことが日本の政府の責任だというふうに思っております。
 そのことがなされていないこと、九四年にカイロの人口会議で国際的に合意してから、そしてさらに九五年に北京でそのことの合意を重ねてから、それでもなおかつ日本ではそういった行政的な対応をしていないということが大変女性の健康、あるいは女性の子供を産む意欲といったものすらそいでいるのではないか、少子化の原因にすらなっているのではないかというふうに思っています。この会で議論したことが行政に大いに反映されることを強く望みます。
 これで終わります。ありがとうございました。
#8
○三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。
 今までの御発表なさいました方といろいろ重複するところはできるだけ避けたいと思いながら、意見を述べさせていただきます。
 まず第一点の、女性の健康と自己決定権についてでございますが、特にリプロダクティブヘルス・ライツの問題については今まで重々ございましたように、九四年、九五年の国際会議の中で、本当に私たちも日常的に議論ができる状況になりましたけれども、その層といいましょうか、それは大変まだ少ないというふうに思っておりますから、この動きをもっともっと広めていかなくてはならないというふうに思います。
 特に、女性自身の健康と権利を社会が保障し、女性がみずから判断できる社会をつくっていくということはまだまだ難しいと思います。しかし、その前提として自己決定権を保障し、女性みずからが正しい判断をするための正確な情報や説明が与えられていない、そのことをこれからも拡大していかなくてはならないというふうに思うわけであります。
 それと、女性の健康といいますと、私自身もそうでしたけれども、とにかく出産できる年齢、四十歳、五十歳、そこらぐらいを思うわけですけれども、この女性の健康と自己決定権については、女性が生まれたときから、出産ではなくて生まれたときから生涯を終わるまでの各年代ごとの女性の条件があるわけですから、そのことを本当に十分理解できるような教育といいましょうか、そういうことが必要であろうと思います。
 もともと男性と女性の差というと、妊娠と出産、それから授乳、そこから一番差が出てくるわけでありますけれども、それだけの問題にしないで、生まれたときから生涯を終わる状況の中で、男性と女性とどこが違うのかということも含めながら、女性の決定権を徹底できるように教育していかなくてはならないというふうに思います。
 ところが、教育というと学校教育にかかわるわけですけれども、私は自分が産んだ子供をどのように育てていくのかというそこから教育というのは始まるだろうというふうに思いますので、今までは教育といえば学校でということが重点ですから、今後の課題としては教育の期間をもっと広げていく必要があろうというふうに思います。
 けさほどのニュースでしたか、三十二歳のお母さんが二、三歳の子供をぶって、そして死んだと、結局は殺したことになるんですけれども。本来そういうことはあってはいけないことですが、ただ母親の子供に対する暴力ということではなくて、やはり人間をどのように育てていくのかというところからの出発が必要だろうというふうに思ったりしました。
 女性の健康支援のための啓蒙、教育、研修等につきましては先ほどからも言われておるわけでありますが、特に啓蒙の問題は、女性の妊娠、出産、そういう問題だけにかかわるようですけれども、もっと幅広く考えていくことは今申しましたとおりです。
 それと、働く女性の健康については、雇用主に対する指導の問題と、それから政府が雇用主をどのようにリードしていくかというような指導と法律が必要だろうというふうに思います。特に、職場における男女の差というと、生理休暇をとるとかあるいは産前産後の問題とかかわりやすいですけれども、やっぱり私は、できるだけ一日の労働時間を短くする、それは女性だけじゃなくて男性も含めて労働時間を短縮していく。そして、超過労働については別にまた働く人を採用しながらやっていく。別ではなくてもいいんですが、同じ人が超過労働するというような制度をできるだけやめて、一日の労働時間、一カ月の労働時間を短縮するようなことをやっていかなければ、なかなか男女がともに働いていく、家庭生活を豊かにすることにはならないだろうというふうに思いますので、雇用主に対する条件というところについては特に私はそのことを強調したいと思います。
 それから、労働条件につきましては、休憩所が必要だとかあるいは女性の働いている間に対する施策だけではなくて、男性も含めて労働が軽くなっていく、そのようなことをやるべきだというふうに思います。
 最後の、女性の健康支援のための法整備につきましては、先ほどから言われておりましたから特に申し上げることはありません。
 大変不十分ですけれども、以上で終わります。
#9
○会長(石井道子君) ありがとうございました。
 次に、お手元のテーマに沿いまして委員相互間の意見交換を行います。
 御発言のある方は挙手をしていただきまして、会長の指名を待って発言されますようにお願いいたします。
 なお、多くの方が御発言できますように、一回の発言はおおむね三分程度とさせていただきます。
 まず最初に、女性の健康と自己決定権について御意見のある方は挙手をお願いいたします。
#10
○大森礼子君 公明党の大森礼子です。
 ちょっと三分で終わるかわからぬですが、問題提起を一つさせていただきたい。
 民主党の羽田委員、それから共産党の林委員の方から自己決定権に基づいて堕胎罪が存在しているということ、これは女性にだけ責任を負わせるので堕胎罪は廃止すべきであると、こういう御意見がありました。この考え方自体があることはわかっておりますが、ただこの問題を論ずるときにどうしてもクリアしなくてはいけない論点があると思います。
 これは、この堕胎罪という場合に、おっしゃる方が自己堕胎罪のみを考えておられるのか、それとも不同意堕胎罪も含めて刑法二十九章の「堕胎の罪」、これをすべてなくすということを考えておられるのか、この点も知りたいところです。といいますのは、堕胎罪が認められているというのは、保護法益として自己堕胎罪の場合には胎児の生命というものが保護法益となっています。
 先ほど羽田委員は中絶ビデオを見せるべきであると。それで、中絶の恐ろしさを知って、これは殺人ではないかという印象を持ったと。この殺人という印象を持ったその対象は多分胎児だと思います。刑法上、胎児は人ではないとされておりますので、胎児の生命については堕胎のところで保護法益としてこういう罪が認められているわけなんですね。それから、自己堕胎罪、行為をだれかが手伝ったならばやっぱり共犯関係、同意堕胎罪となるわけです。ですから、男性が関与した場合には、理屈的には刑法上も処罰されると私は思っているんですね。
 ですから、この論点をするときに考えられることは、堕胎罪全部を削除するのか、もしこの考えに立つならば、刑法上、胎児の命、生命というものを保護法益として認めないという、これを確定しなくてはいけないと思います。そうした場合に、それ以外の不同意堕胎罪というもの、この不同意堕胎罪の場合の保護法益は胎児の生命及びその妊婦の、女性の生命、身体ですから、その中から胎児の生命というものが保護法益から除かれるとなると、例えばこの不同意堕胎のような行為は刑法上の傷害罪で扱うことができる。これは法体系上、傷害罪で扱ってもおかしくないと思います。いずれにせよ、胎児の生命を刑法上の保護法益として認めないのかどうか、これに決着をつける必要があると思います。
 それから、もし自己堕胎罪のみ削除をするのだとするのであれば、つまり不同意堕胎罪等はそのまま刑法上の犯罪として残すのだとするのであるならば、不同意堕胎罪の場合には女性の嘱託とか同意がなくてする場合には胎児の命、生命が刑法上の保護法益になることを認め、そして自己堕胎罪、女性がするときには胎児の命を保護法益として認めないとするならば、胎児の命については母親、妊婦に処分権があるんだということを宣言することになりますね。
 だから、これがここで言う女性の自己決定権だというのであればそれでいいのですが、そういう非常にドラスチックな問題になると思うんですが、ただ、ここの論点に決着をつけないと次へ進まないのではないかなと思うんです。
 それで、私個人としては一概に、堕胎罪を廃止すべきという、これは反対するものではありません。というのは、実際、自己堕胎罪という刑法上のあれはありますけれども、余り検挙例がないと思いますし、これからもないだろうと思うんですね。そういった意味でなくてもいいのかなと思うのですけれども、ただ、いずれにしても保護法益の関係で胎児の生命、これをやっぱり論じないと次のステップへ行かないのではないかと思います。
 ちょっと時間がオーバーして申しわけないのですけれども、少し実りある議論にするためには、この点についてもしお考えがあれば羽田委員の方から聞きたいし、また林委員、今いらっしゃいませんけれども、少し御意見を伺うと、これについても積極的に進むべき方向へ進めることができるのではないかなと思い、ちょっと時間オーバーしましたけれども、意見を言わせていただきました。
#11
○羽田雄一郎君 私は、堕胎罪についてはなくてもいいんじゃないかという感覚的なもので、この間の説明で初めて聞いたぐらいなことだったものですから、一番初めに驚いたというところなんですね。ですから、そこまで深く追求はしておりません。
 先ほどのビデオの話ですけれども、高校のときに見せられたビデオというのは、妊娠がわかった時点で中絶をする場合、掃除機みたいなものを突っ込んでそれで吸引するというような、三カ月程度ですとそういうふうな形でやられて、それをアップにすると血の海の中にばらばら死体のような形で、もう既に指もあって目もあってという本当に子供の形をしているわけですよね。そういう形で、血の海の中にばらばら死体のような形で映像が映されていたと。
 また、八カ月とかそのぐらいたったときには帝王切開しなければならないような、青いポリバケツの中に何体も胎児が山積みのようにされている映像なんですね。ですから、そういうのを見たときに、本当にひどい状況であるなと。
 ですから、今は情報化社会でとにかくいろいろな映像が流れている中で、それぐらいのものは高校生であれば見せても理解はできるし、きちんと考えることができるんじゃないかなという意味で、高校生と私が限定したのは、中学じゃちょっと早いだろうと。高校生であればこれを理解して、私も高校生のときに見て、仲間で話し合いなどを持ちながら考えさせられたことがありまして、ショックは受けましたけれども、きちんと把握し、考えることができる年齢ではないかなと思いまして、今回、発表の機会で発言をさせていただきました。
#12
○水島裕君 私も多少新参者なので、今自己決定権というのが問題になっていますけれども、これは人工流産についてのみ言っているんですか、それともほかのことも、健康も含めてか、一般的な全体のことも含めてなんでしょうか。これは会長にお聞きしてよろしいですか、いろいろなことを含めていいんですね。
#13
○会長(石井道子君) いいです。全体でよろしいです。
#14
○水島裕君 そうしますと、今の人工流産に関しましては皆さんのいろんな言っていることでいいと思いますけれども、ほかの健康に対しての自己決定権も関係します。それから、社会一般についてもあるんですけれども、私は、この場合非常に大切なのは、やっぱり自己で正確な決定をするためにはちゃんとした知識とちゃんとした判断力を持っているということが一番大切で、その場合、私もこういうところでこういう問題について言うと何かすぐ失言しそうな気がいたしますけれども。
 よくインタビューでも欧米、日本人、あるいはこの間、香港の例なんかもちょっと聞いてみますと、どうしても日本の女性は、これは一般的な、平均の問題ですけれども、どうしても知識と判断力において、少なくとも聞いている範囲では外国からかなり劣るようなところがあるので、やはり私は、ぜひ女性は頑張ってちゃんとした知識も得て、ちゃんとした判断力も得て、それで自己決定権と言っていただかないと、自分で決定したことがかえってよそで決定したことよりか結果としてまずいことにもなるというので、その辺をぜひ強調しておきたい。
 ついでに少し総論的なことを言わせていただきますと、私は、もちろん女性の権利があるというのは当然ですけれども、それが余り意味のない男女平等とか、それから行き過ぎたりなんかするとかえって女性にとってマイナスになる。時々お聞きすると、何でも女性が決めるものであるというようなことにすると、もうかえってマイナスになるんじゃないかと思います。
 ですから、私は、特に男性ですけれども、人間がちゃんとした哲学を持って、女性は社会としては種族保存のために直接的に非常な労力と時間を割くわけです、男性ももちろん間接的には関係しますけれども。それから、家庭とすれば大切な子供をつくってくれるわけですから、尊敬の念とかそういうところを非常に持って、ほかのことではちょっと何かマイナスがあったって差し引きゼロぐらいのつもりでいると、そういう哲学を持つのが一番大切じゃないかなと思います。
 これは後で申し上げた方がいいのかもしれませんけれども、この法整備、権利ということでも、機会はもう絶対均等じゃなくちゃいけないけれども、といって、やっていくうちに女性の方が実力がなくて進級しなかったり偉くならないというのは、これはもうやむを得ないことでありますけれども、そのときにもし同じ能力があったら、女性に一〇%とか二〇%、この間もちょっと申しましたけれども、給料は高くしたって早く偉くさせたって私はいいと思うので、そういうふうに、余りぎすぎすというよりかは、女性に感謝して、それだけ何かの形でプラスを与える、与えると言うとまた問題かもしれませんけれども、そういうことを申し上げたいと思います。
#15
○三重野栄子君 質問ですけれども、このテーマ、女性の自立のための環境整備で生涯の健康の問題ですから、その場合の健康というのは、元気な方々というのか、あるいは健康といっても身体に障害をお持ちの方だとか、同性愛とかあるいは高齢者とかあるわけですけれども、そういうのを全部含んでとすると、後の政府に対する問題等々もございますね、法令の問題等々も含めてこれは議論されていくというふうに考えてよろしいんですか。
#16
○会長(石井道子君) はい、よろしいと思います。
#17
○小宮山洋子君 先ほどせっかく生産的に議論を進めるためにということで大森委員がおっしゃったことについて、ちょっと私の考えていることを申し上げたいというふうに思います。
 これは女性の自己決定ということで問題提起をされたわけですけれども、私はやはり、羽田委員も驚いたような堕胎罪というのは廃止すべきだというふうに思っています。
 それで、先ほどもおっしゃった不同意堕胎罪については傷害罪で対応すればいいのではないかということを含めて、すべて堕胎罪というのは廃止をして、母体保護法を見直すことで新しいリプロを守る法律をつくるべきではないかというふうに思っています。
 先ほど大森委員の方から、今堕胎罪があってもそれで処罰される人はそんなにいないんだから問題は余りないのではないかといったニュアンスに私はとったんですけれども、これは母体保護法の中の経済的な理由というところでやっている人が多い。だから、こちらの母体保護法も改正しようという動きが一部にあるやにも聞いていますので、これはここでそこが担保されているのであって、母体保護法の要件を変えてしまえば、これは明らかに罪になるわけですよね。
 それで、刑法の「堕胎の罪」、第二百十二条というところに、「妊娠中の女子が薬物を用い、又はその他の方法により、堕胎したときは、一年以下の懲役に処する。」と。以前のヒアリングのときにも出ていたように、女性の方にだけ罪を与えるということは、これは違うのではないかということで、ずっとヒアリングの中にもありましたように、女性差別撤廃条約とか北京会議の行動綱領とかカイロでの合意とか、あるいはさきのニューヨークでの女性会議でも成果文書の中に、女性に対する懲罰措置を含んでいる法律の見直しということがきちんと言われていて、日本もそれに合意をしているわけですから、これはやはりそういう方向で検討をしていくべきなのではないかというふうに思っています。
 その中に、もちろん自己決定をするためには、情報があり判断能力がなければいけない。決して私、女性だけが劣っているとは思いませんで、健康に関しては男性の方がもっと知識などはないのではないかというふうに、お言葉を返すようですけれども、思っております。
 それはちょっとさておき、そうした情報提供体制とか教育ということも含んだようなリプロの法律をつくっていくということが必要なのではないか。これは文部省だけに任せておいても、性教育についてそういうことが盛り込まれるというのは望み薄だと思いますので、ここでやはり女性の自己決定を守るというか、リプロの観点でもって、そういうどうしようもないときには自己決定によって中絶ができるという中絶の法律に加えて、情報提供体制、相談体制、あるいは教育なども含めた法律にしていくのがいいのではないかと思っています。
 長くなって済みません、一言。
 先ほど羽田委員が言われて話題になっていますビデオのことなんですけれども、これはやはり避妊の必要性とかそういう意味で見るのはいいんですが、それだけすごく中絶が怖いことだ、恐ろしいことだという印象だけを強くすると、それはやむを得ない場合の中絶の自己決定という面に対してマイナスに働くおそれも私はあるのではないかと思います。アメリカなどでも、プロライフ、胎児の命を守る派と、プロチョイス、女性の選択を守るというので共和党と民主党で分かれているようなケースもありますけれども、どちらかというと、アメリカでつくられたそれはプロライフ系のビデオというのが結構多いというふうにも聞いています。その場合、どういう観点で、どの程度のものを見せて、そのことによって本当に自己決定を助けるという教材でなければならないのではないかと、幾つか申し上げましたけれども、そんなことを思っております。
#18
○八田ひろ子君 私も今の意見に賛成でありまして、堕胎罪の問題は、一八八〇年に制定をされて、一九〇七年に一部修正をされていますけれども、人工妊娠中絶に関しては、女性とそれから医師などの施術者が処罰される規定があるということで国際的にも問題になっているというふうに伺っております。また、今経済的な理由で実際に罪にならないのではないかというのが一般に言われておりますけれども、先ほどお話があったように、やはり妊娠中絶に対する、何というのですか、犯罪である、悪いことであるという学校教育ではない教育が実際にはありますし、それが妊娠中絶の機会を失わせて、望まぬ出産ということにもなっているやにも聞いております。
 ですから、教育とか啓蒙、そういったものとあわせながら、男女平等が本当に実現できる、先ほどはポジティブアクションのことをおっしゃって、ポジティブアクションは本当に必要だと思いますけれども、真に男女平等という、そういった人権問題としてとらえるという教育や啓蒙の上に立ってこういった刑法そのものを変えることが今必要ではないか、そんなふうに思っております。
#19
○大森礼子君 さっきの小宮山委員のお話で、要するに堕胎罪は全部削除という立場がわかりました。それで、私さっき検挙は余りないんじゃないかと言ったのも数値に基づいて言っていることではありません。
 それから、感覚というのは、私、羽田委員おっしゃるとおり大事だと思うんですね。昔の産めよふやせよの時代であるならば、堕胎するとは何事かとか、お前の自由にはならないというのはわかるんですが、今非常に数もふえているということで、これを処罰しようという社会感情といいますか、これは低下しているんではないかと。こういった意味で、そういう観点から見直すということは少しも構わないんではないかと思いました。
 それで、二百十二条、女性にだけ罪を与えるということですが、ちょっとこれにつけ加えますと、刑法の場合にはその人の行為を処罰するわけでありまして、多分、これはもし男性が一緒に相談した場合でしたら、刑法の六十五条一項、総論の部分がありまして、身分なき者といえどもなお共犯とする、ちょっと条文を明確に思い出せませんが、多分理屈としては、男性が一緒に相談したような場合は、これは共犯関係になるのだろうと思います。
 いずれにしても、この問題を積極的に議論して結論を出すためには、さっき言いましたように胎児の生命の保護法益、これは譲歩させるんだということをこちらも言っていかないと先へ進まないのかなと思いますので、私はこの問題についてそういった議論を前提にして考えていきたいと思います。
 以上です。
#20
○堂本暁子君 自己決定権のことで、先ほど水島先生が日本の女性の知識は劣っているように感じるとおっしゃいました。そういう面もあるのかもしれませんが、では問題はなぜ劣っているのかということだと思います。
 私がるるこの前のときから問題にしていることは、やはりきちっとした正確な知識を教えるシステムがないということだろうというふうに思うんです。とかく文部省の性教育というような形で言われていますけれども、リプロに関して申しますと、あらゆる政策をリプロの視点からきちっと見直すということがなされないと、正確な情報が入らない。今、性に関しての情報は本当にはんらんしていますので、大変間違った乱暴な情報が子供たち、それから女性たちにも伝わってきているというその現状自体が問題じゃないかというふうに思います。
 中絶をしたいと思う女性はだれ一人いないということは、これはもう言う必要のないことなんですが、なぜ中絶が多いのかというと、やはり望まない妊娠をしてしまう。なぜ望まない妊娠をするのかといえば、やはり今、先生がおっしゃったように十分な正しい知識が男女ともにないというふうに思います。
 ですから、私はビデオというのはある意味では危険だというふうに思います。きちっとした知識を幼いときから、人間の両性の尊厳という形で心と体の両方をお互いに敬い、大事にし、健康にし合っていかなければいけないというその土台があった上でなお、現実には女性がもし中絶をするとこんなにつらい思いをするのだということで見せられればいいのですが、それをセンチメンタルに映像のショッキングな部分だけを感じ取るということでは不十分だろうと思います。
 その意味では、北欧に限らずですが、大変進んだ教育のシステムが欧米にはあるのですけれども、日本ではそういったリプロの精神なり思想なり、それから政策なりに基づいた教育のシステムがまだつくられていない。それをきちっとつくること。学校であれ地域であれそれから家庭であれ、そういう教育をきちっとなしていくことが一番先決で、そのことによって正しい知識を得ることで中絶は可能な限り減らさなければいけないのだと。
 だから、日本の女性の知識が劣っているようだということは、私は日本の大人、特に私たちこういう立法府にいるような人間の責任というのは非常に大きいのではないかというふうに思いますので、今一番肝心なことは、やはり総合的な政策としてリプロを、厚生行政はもちろんですが、あらゆる日本の制度の中に、あるいは教育の中に取り込んでいく、そういったことで包括的にアプローチすることが大事ではないかというふうに思っております。
 以上です。
#21
○水島裕君 ちょっと誤解があるといけませんので。
 もちろん私が申し上げているのはすべて平均論でございまして、ここにいらっしゃる女性は知識も判断力もきっと大変すぐれていらっしゃるんじゃないかと思います。
 それから、一般論としましても、私も大学の教員をやっておりましたけれども、学校を卒業するまではとても知識があるんですね。それから、特に知識が必要な仕事を持ったりする方は持っているので、そうじゃない方にそういう傾向がある。そういう人たちは、ワイドショーなんかに出てくることはよく知っていても、本当に世の中で問題になっていることとか、最低限知らなくちゃいけないサイエンスのこととか、そういうことは外国人と比べて、これはあくまでも平均ですから、本当に知らない。
 それから、先ほど小宮山さんの方から、男性も知らないじゃないかと。私は、男性が一番知らないのは女性の健康に関してのことだと思うのです。ですから、私は女性の健康支援のための啓蒙、教育というのは必ず男性にもやっていただきたいということを強調しておきたいと思います。
#22
○堂本暁子君 一言だけ。
 先生、私は、別に一般的な知識ということではなくて、あくまでも妊娠、出産に関しての知識。それが男性と女性に行き渡っていないのは、大人の方のそういう制度をつくっていないことに相当責任もあるというふうに思っています。ですから、先生が男性にとおっしゃってくださると大変心強いです。ありがとうございました。
#23
○水島裕君 ぜひそうしないと、私も含め、皆さん。
#24
○渡辺孝男君 自己決定権というのは非常に難しいので、先ほどおっしゃいましたけれども、どれくらい自分が決定能力があるのか。
 堕胎といいますか、中絶する場合には法律で認めます、罪はないんですと言っても、これはいろんなジェンダーとか文化もあるんですが、やはり精神的に非常に罪の意識を持ってしまうという方もおられるんではないか。そういう場合に、それをアシストしてあげられるカウンセリング体制というのはどうしても必要なのではないか。本当に気丈な方でも妊娠等々になりますと非常に精神的に不安定になるということで、そういう周りから支える体制というのは大事だというふうに思います。
 そしてまた、自分が自分の意志で決定しているように思っても、潜在意識として、いろんなことをほかから教えられて、それがあたかも自分の意志であるというふうに思い込んでしまうという人も中にはいると思うので、そういう意味で本当に周りから支えていく、また罪の意識等を解いてあげられるような、そういうカウンセリング体制というのがやはりどうしても必要なのではないかというふうに思っております。
 以上でございます。
#25
○三重野栄子君 今まで堂本議員もおっしゃいました総合的政策というのを、中身はいろいろあると思いますから、年代の問題をずっと細かくして、そして総合的にあらゆるところで勉強できるような方法をとっていかないと、今まだ日本は随分おくれていると思うんですね、これらの問題について。
 ですから、テレビもあるし雑誌もあるしいろんなものがあるけれども、それをオーバーするぐらいのいろんな手段でもって、教育期間を五年なり十年なり、どれかわかりませんけれども、非常に集中して、ある一定やった後、少し延びてもいいんじゃないかと思ったりするんですけれども、そういう方策が必要じゃないか。
 それで、幼児がそれを見る場合にはこういうもの、小学生が見るときはこういうもの、やっぱり年代によって違うと思います。それから、親が教える場合はこうというような、いろんなことを考えた総合政策をとることが必要だろうと思います。
#26
○会長(石井道子君) それでは、次に行かせていただきますが、次の項目は、女性の健康支援のための啓蒙、教育、研修等についてでございまして、御意見のある方は挙手をお願いいたします。
#27
○岡崎トミ子君 先週の共生社会調査会で質問をさせていただきましたが、男女共同参画基本計画を策定するために審議会の報告があって、その中で人権ということが大変大事であるということについて報告書が出されているわけなんですね。
 権利ということを大切にしなければいけないというふうに出されておりますのに、二十八ページにありますリプロダクティブヘルス・ライツのところの考え方において、「ライツの概念については、種々の議論があるため、世論の動向を踏まえた検討が必要である。」ということで、生涯の女性の健康支援というところに厚生省もとどめており、教育の現場においても、文部省も大体そういうところにとどめていると。それらが出されましたのはこの審議会の報告が出される前でしたので、これからは変わっていかなければならないという視点でこの間は質問をしたつもりでございました。
 そして、前段の、教育がどんな進め方であるかを見ましたときに、暴力行為や自殺、売買春と並列的にこの人工妊娠中絶があったということで大変驚いて、文部政務次官は、私が発言した方向で検討していきたいというような、そういうお答えをいただいたわけなんです。
 それらを考えながら、これまで厚生省が取り組んできて、今これは新しい内容の視点として、資料を持ってきたんですけれども、結局、各省庁が総合的に横断的に計画的な、生涯を通じた女性の健康施策の推進体制をつくらなければいけないということで書かれているわけなんです。
 そうした中に、広く情報提供を行って全国民にリプロダクティブヘルス・ライツの意識の浸透を図っていくんだということで、知識の普及のことについても触れているんです。そういう状況の中にあって、文部省も厚生省もこれはきちんとしたものをまずは思春期の子供たちに対してやらなければいけないというふうに思って、この思春期に対することについては世界共通の課題というふうになっております。
 実は、ことしの八月、文部省と厚生省は連携をして思春期ハンドブックというものをつくろうとして、中学二年生を対象に六十万冊をやろうと大蔵省に出しましたけれども、残念ながら却下されました。ですから、私はこの省庁の中で、これは厚生省、文部省、労働省、警察庁、総理府等の関係省庁というふうになっておりますけれども、そのときにきちんと大蔵省にこのことをわかってもらわないと、どれだけ重要性を説いて言っても、残念ながら縦割りで、そのところで結果としてはこれが通らなかったんだなと。これが出された後ですから、これからは変わっていってもらわなければいけないというふうに思っているんです。
 焦点の当て方、先ほど思春期についてというふうに申し上げました。厚生省は生涯の女性の健康と権利ということでとらえておりますけれども、やはり性の行動が若年化しておりますし、そこが一番活発化しているという点におきましては、相談所は若い人にまずはターゲットを絞ってみるということをこの間提案申し上げました。
 そのことは物すごく大事だというふうに思うんですね。若い人たち向けの相談所をつくって、その人たちがきちんとした情報を得ることができるということが、親になったときに適切に子供たちにもそのことを教育できるという仕組みをつくっていくこと、女性センターや女性支援センターは当然のことでありますけれども、それらが男女共同参画支援センターというような形で、男性と女性表裏一体となってこれは大事なことになってきますので、そういう形に変わっていく相談所をこれからぜひつくっていっていただきたいと思いますし、若い人に焦点を当てたそういう相談ということを繰り返しやっていただきたい。
 実は、厚生省はどこでどういうふうにしているかを伺ったときに、母子保健課が担当になっておりまして、ここで確かに間もなくリプロダクティブヘルス・ライツについての研修会をするんです。だけれども、とてもかたいんですよね。きちんとした履歴書を出さなければいけませんし、研修会への推薦というものを保健婦さんそのものがもらわないとこれを受けられないんですよ。
 ですから、幅広い国民に対するというときに、もちろん専門家にきちんとわかってもらうことは大事なんですけれども、もっと幅広くいろんなところで講演会を行うというところも同時にぜひ行っていただきたい。そういうことによって健康支援のための啓蒙、教育、研修ということを充実させていっていただきたいなというふうに思います。
#28
○林紀子君 今のお話に関連をいたしますので先にさせていただきます。
 私も今の世の中を見ていますと、コンビニなんかでそれはもう小学生でもすぐ手にとるような、目を背けたくなるような雑誌や何かが売られているということでは、性の間違った情報というのは本当に小さなときから洪水のようにあふれて、それを受け取るような状況になっているんじゃないかと思うんですね。だから、そういう意味では今お話がありました社会的な教育も、それから学校の教育というのも本当に小学生のときから必要だなというふうに思うんです。
 この前の文部省への質問も大変興味深く聞かせていただいたんですが、私たちがまだ子供のころというのは、保健体育で体の問題とかというのを教えてもらっても、体育の先生がちょっと、余暇にと言ってはいけないんですけれども、実技じゃなくてたまに授業でやるというような状況だったけれども、文部省はそれではいけないということで、いろいろな科目でやるけれども、このごろは養護の先生に来てもらって、そこで授業ができるように改正をされた、おととしからでしょうか、ということなんですね。それは非常にいいことだと思うんです。
 性の問題ということについて非常に基本的な、一般的な心の問題、体の問題、男女の本当に人間としてお互いを尊重してという、そういうところから大きく網をかけて教えることが必要なんだけれども、今のお話のように個別の相談というのもぜひやっていかないと、個々に悩んでいる子供たちというのがいるというんですね。そういう子供たちにも養護の先生が対応できるようになっているわけなんです。
 そう考えますと、性の問題とそれから心の問題、いじめの問題いろいろあるかもしれませんが、養護の先生の数が絶対的に足らないんじゃないかと思うんです。今まではたしか中学校でも三十クラス以上の学校じゃないと養護の先生がいなかったと思うんです。それがようやく改正されて、今度はそれ以下の学校でもつけることができるし、大きい学校には複数でつくということになったんですが、今みたいな、授業もして個別の話にも加わって、しかも不登校寸前の子供で保健室登校というのもあるというような話も聞きますので、きちんと整備をしていくという意味では、もうちょっとそういうところを担当する学校の中での体制というのもぜひ整えていく必要があるんじゃないかなというふうに思っております。
#29
○本田良一君 私も教育のところで、実は私、先ほど林先生がおっしゃった性のはんらんといいますか、県議会のころ、私は厚生常任委員長をやっておりまして、有害図書の出版とかそういうものを、これは有害図書だとか認定する、そういうことをやってきました。そのときに私が言ったのは、いろんな屋外広告あるいは週刊誌、ビデオ、こういう本当に性をあおるような、欲望をますますあおるような、そういうのがはんらんをしているときに、私たちが中学、高校、そういうときからすれば数千倍とはんらんしている。
 それにしても、今の中学生、高校生、非常に性の年齢は低学年になったといいますけれども、私たちが中学、高校のとき、今ほどはんらんをしていたら性の欲望に我々はどう対応していったかなと考えると、恐ろしくなるほど今の人は強いと。そういう自己の性の欲望にみずから太刀打って、抑えて行動しているということでは、我々の時代よりもっと強くなったなと、こういうことを感じました。
 今回、この共生社会調査会に入って非常に勉強になりました。この自己決定権、これはもうもちろん私どもも男性として認めます。そして、そうあるべきだと思いました。
 ただ、学校教育の中でやっぱり教育が重要だと。それと一つは家庭ですね。学校教育の中で基本的に避妊とかそういうことを教える前にもう一つ重要なことは、大和なでしこ的な女性になれとか男性になれとか、そういうことではないけれども、性行為というものがどういうものかということをしっかり私は位置づけて教えていくべきじゃないかと。
 それは、性行為は愛が基本だと、その愛の延長には出産というものがあるんですよと。ここを踏まえた上で、本当に愛する人があらわれてこの人の子供を産みたいと思ったときに、みだらな性行為をやっていたときの過去を振り返って後悔をするということを私は一番基本に教えていくべきではないかなと。
 大宅映子さんが、少子化社会のときに産めよふやせよという教育などはもうもってのほかだ、女性は本当に愛する人の子供であればどんな環境であっても産みたいんだと、これをしっかりと踏まえて教育をすべきだということを言っておられました。私もそのことに同感でして、私は娘、これは家庭となりましょうか、学校では性教育をもちろんやるけれども、家庭でも特に男親が子供たちに、今さっき言ったように、本当に愛する人の子供を産むときに後悔はしないようにちゃんと身を守っておけよと、これを私は言いましたね。ところが、これがきき過ぎてまだ独身を通しておりますが、結婚の適齢期に来ながらも、だからちょっと心配でございます。
 そういうふうで、私は教育に、性ということの愛を基本にした教育をきちんと位置づけていただきたい、これを申し上げておきます。
#30
○南野知惠子君 支援の問題に入っておりますが、その前の自己決定権のことについてもちょっと触れてみたいと思うんですが、私は看護婦であり助産婦であるという観点から、中絶その他のものについてもどっぷりつかってきた。悲しみもいっぱい見てまいりましたし、また診察台に乗って即手術に取りかかろうとその準備をしているときにいろいろ会話することがありまして、診察台からおりて、この子を産みますとおっしゃってくださった方もいるくらいに私たちはどっぷりつかっていたわけでございます。
 特にその中で、中絶が合法であるということの観点から考えていくというところに一つのいやし的なものがあるのではないか。例えば、宗教でその教えに忠実な方の場合には、やはり自分はその教理に従うというふうな形の決定をする方もありますし、それを我々他者がいいとか悪いとかと言うことはできないのであって、それはその人を尊重するというような形で展開してまいりました。そういうような意味では、決定に至らすまでにいろいろな問題をはらんでいるだろうと。それはその人の人生そのものを見ていくような感じになってきているというふうに思っております。
 それから、今お話が出ました教育、研修ということにつきましては、一番必要なのは愛であると。これはもう当然であろうかと思っておりますけれども、どこで教育するのかということにつきまして、羽田先生が中絶のビデオもごらんになったというんですが、山のように死体があったというのはこれは否定していただきたい。我々はそういう現場にいて、そんな山のような死体が中絶のところであったということはちょっと悲し過ぎます。また、そういう現状はないのではないかなと。それは適切に処理されていくし、ドクターもつらいんですね、そしてそれを援助する我々もつらいわけですので、そういう意味では必ず慰霊の気持ちを持って、我々、心が休まるようにお寺にお参りしたりしているわけでございます。
 さらに、これは話をさかのぼれば、解剖に体を提供してくださった方、また実験に使われた動物に対しても、我々は慰霊の念を持って臨床では処しているということもお考えいただきたいなと思っております。
 それから教育の場面では、家庭教育をだれがするのといったときに、今学校教育の中で対象とする子供たちはいいんですけれども、それを超えた部分のPTAの人たち、これを私は対象とすべきであるということで、現場にいたときにはお話の場面を持たせていただいておりますけれども、子供たちには生命の誕生というところを中心にお話をしてまいりました。そして、その中で中絶という問題にも触れますけれども、それはもう少し年齢の行った人たちにその話はすべきではないかな、そのようなことを思いました。
 それから、今、林先生がおっしゃっていた養護教諭の話でございますけれども、養護教諭は、三十クラス以上には複数ということの確約をとったのが平成十二年度の予算でありまして、十三年度に向けては、八百人以上子供がいる学校は複数化しようという文部省の計画が今ございます。これはもちろん皆様方の御賛同を得て予算が通らなければそうならないわけですが、私としてはもっと学生の数を減らしてほしい、減らして複数化してほしいということをお願いしております。
 その養護教諭の資質でありますけれども、ただカウンセリングができる方に来てもらったのでは、これは性教育というのはできません。そういう意味で、看護の背景のある、そして養護の資格を持った者が二人のうちの一人には必ず入っていてほしいということを願いながら、今御要望させていただいている事項ではございます。
 学校で体育の先生とか生物の先生が性教育をされていた過去の出来事としていただいてもいいんですけれども、あるとき子供が、自分の友達には妹ができた、自分も妹が欲しい、弟が欲しい、だから、おうちに帰ってきてお父さん、お母さんに向かって交尾してよという言葉がぽんと出る、その感覚でしかとれない性教育というのは本当に乏しいなというふうに思っております。
 性教育についての逸話はいっぱいございますけれども、養護教諭のお話が出ましたので、そういう意味で、そのことも含めながら御報告させていただこうかなと思っております。
#31
○堂本暁子君 岡崎トミ子さんがとても大事な指摘をなさってくださったと思いました。というのは、「男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」というのが九月二十六日に出されているのですが、それのリプロダクティブヘルスのところの一番最後に、今、岡崎さんが指摘された「リプロダクティブ・ヘルス/ライツのうちのライツの概念については、種々の議論があるため、世論の動向を踏まえた検討が必要である。」と。私ちょっと気がつきませんで、今改めてまたこれを出して見たらそのとおりに書いてあるのですけれども、これはとても大事な部分だと思っております。
 と申しますのは、ライツについてはということは、これは中絶についてはというのと同義語にここでは解釈されているのではないかと思うんです。プロライフとプロライツの議論、そういうものがあるので、「世論の動向を踏まえ」ということで避けている。しかし、本当の意味のライツというのは、そういった単に中絶の是とか非とかいうことよりももっと深いことでございまして、今、南野先生がおっしゃった、女性は最後の最後まで恐らく自己決定できない、妊娠した場合、本当に一度は中絶しようと思っても最後にやはり産む決心をするというような、だれしもが迷うんだろうと思います。
 またビデオの話になりますけれども、私も南野先生と同じで、どうしても、胎児がいっぱいのような映像というのは、どういう意図でだれがつくったのかと思わざるを得ません。
 と申しますのは、私も実はテレビの仕事をしておりましたから、アボーションという映画を少しだけ手伝って、それは、カナダの女性のディレクターと女性のカメラマン、録音もすべて女性のチームが世界じゅうを歩いて中絶という映画をつくっていたんですね。それが日本に来たときにその手伝いをし、それからそれの日本語版を私は演出してつくり上げたんですけれども、そこにはただのワンカットも胎児などは出てこない。
 なぜならば、その必要がないわけなんです。本当に中絶の悲惨、自己決定の苦しさ、そして中絶をしてはならないのだと。ならないという意味は、中絶をいかに避妊という形で避けるかとか、それから正しい性のあり方によって中絶をしなくて済むための啓蒙の映画なんですね。ですから、そのためには胎児を出す必要など全くない。
 そこでは、特に中南米で堕胎罪がある国の人たちが中絶をしたために刑務所につながれている絵なども出てくるんですけれども、一番最後のカットというのは、二百五十ドルの中絶をするための費用がなかったがゆえに、自分で自己中絶をして亡くなったお母さんのお棺をお墓に運ぶ、そして、その女性の命が二百五十ドルの命であるというのがラストカットなんですが、それがすべてを物語っていたと思います。いかに安い命であるか、妊娠ということによって一人の女性が命を落とすということの危険、あるいはそのことの人権と申しますか、そういったことを表現した映画です。
 やはりこのライツというのは、別にプロライフ、プロチョイスのそういった中絶賛成、反対ということの宗教的あるいは倫理的な対立の問題以上に、一人の女性が妊娠した場合に、その女性自身がみずからの命も落とさなければならないような局面が、日本であろうと、世界じゅういかに多いか。
 今、数字は覚えていませんが、たしか五十万件とかそういった大変大勢の女性たちがまだ世界で妊娠のために命を落としています。それも、わずか二百五十ドルというお金がないがゆえに命を落としている女性たちがいるということを考えたときに、日本は一見豊かなようですけれども、やはりこういった女性の健康と、そして本当の意味の、深い意味の女性の権利ということが国の中できちっと浸透し、政策化されるなり行政がシステム化されていないがゆえに、日本でも大勢の女性たちがそのために泣いているというのが現実だというふうに私は思っています。
 世界に目を向ければもっとそれが強いわけでございまして、ライツを単に「世論の動向を踏まえ」ということでわきに置くということは私は大変間違っているというふうに思うので、岡崎さんがおっしゃってくださったことから今のようなことを改めて、またビデオの話があったものですから、私は、中絶の映画、一時間物なので羽田さんにぜひ見ていただきたいと思いますけれども。
 胎児など一つも必要ない。アイルランドで、やっぱり中絶が禁止されている国で、妊娠してしまった女の子が公衆電話のところで、イギリスへ行って中絶をするということで大きな涙をぽろぽろ流しているアップの絵があるんですが、そういったところこそが本当に、いかに中絶というか妊娠すること、そして自己決定の難しさ、すべて表現していたと思いますので、そういう見方をぜひしていただきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
#32
○羽田雄一郎君 皆さんからビデオのことで再三いろんなお話がありました。実際に私が見たものですから、例ということでお話をしたわけですけれども。
 私が見たのは、青いポリバケツの中に実際に何体かを入れていく映像というのがあったんですね。これは日本のものではないです。ただ、きちんと日本語で解説もついていましたし、説明がしてあったので、その後に、中絶をすることが悪いことだというふうに思った人間は実際にはいないです。
 我々の学校の全員が見ましたけれども、実際に中絶が悪いものだというふうに感じて性行為に関して拒絶反応を示したとか、そういう例は一切なくて、どちらかというと避妊についてしっかりと考えるようなきっかけにはなっていったビデオであったことだけはきちんと御報告をさせていただきたいということと、こういうビデオを見せる、センセーショナルなものでなくてももちろん私はいいと思いますし、日本には日本の形での避妊に対するビデオなどをつくった方がいいとは思います。
 そして、僕はこれを高校生でと言ったのは、私は今農林水産委員会におりまして、文部省と厚生省と農林水産省、この三省が一緒になって農業体験学習をしながら命の大切さとか物の大切さを教えていかなくちゃいけないんじゃないかというようなことも進めておりますし、そういう中で命の大切さなんかを小学生では教えていきながら、また中学生では避妊についてとか、ピルとかコンドームとか、フィーメールのコンドーム等、そういうものがきちんとあるんだよということ、また妊娠や中絶が心身に及ぼす影響についての勉強をしないと、中学生の帰国子女の方なんかで日本の学校に入って、保健室に行ってピルをくださいと言われてびっくりする養護教員の方がいるんですね。実際に私の弟のクラスでも、ピルをくださいと言った女性の生徒がいたということで、中学生の中ではそういうことをきちんと教えていかなくちゃいけないんじゃないか、国際的な水準に合わせていかなくちゃいけないんじゃないかと。
 そういう中で、高校に入っては先ほど言いましたような、どういうことが起きていくのか、また感染症の問題等きちんと教えていかなくちゃいけないという例で、私はビデオを見た経験の中で避妊というものをきちんと考えられたということで御報告をさせていただきました。
#33
○岡崎トミ子君 このリプロダクティブヘルス・ライツの中の重要な考え方の一つに、芦野参考人がセクシュアリティーの多様性ということも一つの目標に入っているのだというふうにおっしゃいまして、正しい異性観という形だけで物を考えるのではない、モラルだけではないと。結局、対等な人間関係をどういうふうにつくっていくのかというときに、性の認識をどのようにするのかということで昨年八月二十六日に世界性科学学会で性の権利宣言というのを出していて、当然これが性の健康と権利という意味で大事な視点だということで出されているんですね。
 その中で記されておりますのは、セクシュアルライツというのは、いわゆる人間が持っている生まれながらの自由、尊厳、平等に基づく普遍的な人権だというふうに位置づけております。そして、セクシュアルライツが認知されて、尊重されて、実践される環境を生み出していかなければいけない。この中に、自分が生涯何人子供を持つか持たないかも含めて、どのぐらいの間隔で産むか決定する権利とか、そういうことについて、もちろん生殖に関する自由である、責任ある選択への権利ということで記されており、それから先週、私はジェンダーと性的志向という問題でも性的平等への権利があるという点で触れましたけれども、これもやはり宗教とか身体的あるいは情緒的な障害にかかわらず、いかなる差別からも解放されることについて述べております。
 ここでまた大事なのは、先ほど本田さんが愛ということをおっしゃって、その延長線上に出産があるんだというふうに考えなければいけないとおっしゃったんですけれども、そのことはとても大事だと思うんですが、もっと私は性というのは幅広くとらえて子供たちに教えていかなければいけないんじゃないかなというふうに思っているんですね。
 ここでもやはり、性の自由な性的関係の権利ということで、結婚するかしないかということ、離婚するということ、あるいは他の責任ある性的関係を結ぶという可能性をも意味しているということについて触れておりますし、また性的な表現の権利というところで、さまざまな自分自身のスピリチュアルとか、心理的な、知的な、身体的な、そういう性の喜びというのは一体どういうものであるかということについても含めて考えていこうということで性の権利宣言というのがされておりますので、私は幅広くそうした教育をしていくことが大事ではないかなというふうに思っています。
#34
○渡辺孝男君 性の問題、それから健康、自分の病気の問題等、身近な人に相談できる人とできない人というのはいろいろあると思うんです。だから、学校で性教育をする、あるいは家庭でする。そういう中で、本当にコミュニケーションがよければ、信頼する人がいれば相談できると思うんですが、そういう方がない場合というのも当然あると思うんですね。養護教員の方に皆さんが相談するわけではないと思うんです。そういう意味では、最初のスクリーニングといいますか、一般的なことを聞ける、相談するというのは匿名の電話相談とか、そういうシステムというのが一番大事なのではないかなと思います。
 そういう中で、これは心配しなきゃならない問題なのか、これは余り心配しなくてもいい問題なのかというのはある程度振り分けられて、その次により専門的なお話を聞くようなシステムができている、さらにもっとごく専門的なことになると、そういう何段階かの教育システムというものがないと余り機能しないんじゃないかなというふうに思っています。
 そういう意味で、いじめとかほかの問題も電話相談等々のシステムが大分民間の中でもできていますし、政府としても、そういう民間の相談、一人だけの答えで決めるということもいけないと思うので、何種類かのそういう情報提供をするようなものがあれば、こっちを聞いて、ああ僕とちょっと合わないから今度は違う方で聞いてみようと、その中で本当の意味で自分の望む回答が得られる、よい意味での質のよい情報が得られる、そういうものをつくっていくことが大事なのかなと思うんです。
 私も学校の現場を離れているからわからないんですが、本当に養護教員の方に皆さんが相談できる体制というのが望ましいんですけれども、身近ですとその秘密の保持等々でやはり大変心配されてなかなか相談しないという方もいるんじゃないか、そのように思いまして、何種類かの、多層の階のこういう相談システムをつくることが大事なのではないか、そのように思います。
#35
○会長(石井道子君) 時間の関係もございますので、次のテーマに移らせていただきます。
 次は、女性の健康支援のための政府の取り組み及び働く女性の健康支援策についてでございます。
 御意見のある方は挙手をお願いいたします。
#36
○八田ひろ子君 女性の健康支援のための政府の取り組みでは予算配分の問題と、それから、働く女性の健康支援策では長時間労働や深夜労働、また出産手当の問題でちょっと意見を申し上げたいと思います。
 この前私は労働省に対して、生涯の女性の健康支援というテーマでやっているんですけれども、実際に出産に直接かかわる前後しか施策の説明がありませんでして、それは堂本さんもおっしゃったとおりなんですね。
 どうしてこうなるのかというのを考えたんですが、予算配分でも労働省の予算がそういうふうに使われているということもありますけれども、この前は質問しませんでしたが、厚生省でもそうで、母子手帳とか子供を中心とした予算配分、これが生涯を通じた女性の健康支援というところに入っているわけで、やっぱり北京行動綱領とか今度の成果文書が十分に我が国の予算配分の中で反映されていないんじゃないかなというふうに思うんです。厚生省の女性関係というと、高齢者の骨密度検査に予算が配分された程度とか、これではやっぱり生涯にわたる女性の健康支援というのに政府が本腰を入れて取り組んでいるというふうにはなかなか見られないのではないかなというふうに思います。
 それから、働く女性の健康の問題でも、この前私は業者婦人の問題を質問したんですけれども、林議員が指摘をしましたように、ILOの母性保護条約を早期に批准して、産前産後休暇の長期化と所得保障の引き上げというのがどの分野の女性にとっても必要ではないか。
 先ほど、愛する男性のためにはどんな条件でも出産ができるというお話もありましたが、精神的には確かにそうなんですけれども、実際にはそうでないのがこの業者婦人の実態調査の中で明らかになっておりまして、私、きょうこれを持ってきたんですけれども、これを見ますと、労働基準法では産前産後の休暇が義務づけられていますが、産後でいっても五十日も休めない業者の方というのは半分以上なんですね。それで、二十代では二十日未満で働き出さなければいけないというのが二四・七%もある。妊娠、出産の時期の健康だけの問題ではなく、これが一生涯の健康にかかわってきますので、とりわけ産前産後の休みを保障する手だてとしての所得保障、出産手当などの経済的支援がどうしても必要ではないかというふうに私は思いました。
 それから、深夜とか長時間労働の問題ですが、これは最近の愛知県の調査なんですけれども、女性の深夜労働が一七%の企業で行われて、従業員数が千人以上のところでは三六%が夜の十時から午前五時まで女性が働いている企業だということで、男性と比べても非常に高いのではないかと。これは県が調べた調査なんですけれども。
 こういった問題で、私は、母性の保護を前提にした男女平等を貫いて働く女性の母性と健康を守るというのが本当に大事で、そういった意味でも、女子差別撤廃条約の第四条では「母性を保護することを目的とする特別措置をとることは、差別と解してはならない。」というふうに明記をしてあるんですが、日本のこの女子保護規定撤廃というのがどうだったのかというのが大変大きな問題だと思います。
 それからもう一つ、働く女性の長時間労働が問題になっておりますが、短時間労働と言われているパート労働者も、実はダブルジョブ、トリプルジョブという形で実際には長時間労働となって、これは深夜にもわたる時間も含めますので、健康問題を含めてきちんとした調査を行い、それが働く女性の健康支援策に反映されるということが非常に大事ではないかなと、こんなふうに思っております。
#37
○小宮山洋子君 今の八田委員の意見と大体同じなのですけれども、厚生省の取り組みなどを見ましても、相変わらずまだ母子保健、母子と、子と一緒の母の部分だけは守られているけれども、あとはどちらかというと不妊治療とかそういうところにしかいかなくて、先ほどから話のあるような性教育からずっとトータルに更年期まで含めた、全体を見通した政策ということにはなっていないということがあると思いますので、今度省庁再編もあって新たな考え方でいろいろ取り組むときに、先ほどからお話にあるように、いろいろな政策の中にこのリプロの視点が正しい方向で入っていくということがぜひ必要なのではないかと思っています。
 それから、先ほどからILOの話も出ていますけれども、その女子保護規定を緩和する、撤廃してやるときにも母性の部分は守るということがちゃんとあるわけですよね。そのあたりのことも含めて、ILOの条約を批准したから守るというのでもないのが日本の政府の困ったところではありますが、とりあえず批准をすべきものはきちんと国際的なレベルで批准をしてもらって、あとはそれを批准しっ放しではなくて実行していくようにやっていく必要が、今全体の女性の半分が働いているわけですし、二十一世紀には七割以上が働く、先進国並みに、M字形ではなくてなるべく馬の背形、食パン形、働きたいと思う人は働きながらちゃんと子供を持てる、そういう状況をつくっていくということが必要なんじゃないかというふうに思っております。
 それから、先ほど性教育のところで発言のチャンスがなかったので一言だけ触れさせていただきたいんですが、日本の場合は、最初がエイズにかからないようにというような、どうしても何々しないようにという性教育で入ってしまったのが、どうも人間教育としての性教育にならないことにつながっているんじゃないかという感じがしています。
 養護教諭の方の中にはすごく先進的に取り組んでいるグループとかがありまして、私が以前に話を聞いたのは福岡のグループなんですが、そのときでもう十五年ぐらい取り組んで、いろいろな学年による方法論をきれいに持っていますので、そういった先進的な例をなるべく取り上げて全国に紹介するというようなことも含めて、人間教育としての性教育が行き渡るようにしてほしいと。ちょっとそちらも加えて。
#38
○水島裕君 自民党は二人だけになっちゃいましたので、少し頑張って発言しないとと思います。
 法整備にしましても、その一つ前の政府の取り組みにしましても、女性が生まれてから死ぬまでとかそういうことがよく出てくると思うんですけれども、私は性生活と妊娠、出産とせいぜい子育て、その辺に限って重点的にするのがいいんじゃないかと思います。
 というのは、大体女性の方が約十歳ぐらい長生きですし、男の方が早く死んで、もう少し健康の支援をしてもらいたいと、年寄りなんかはそうだと思いますし、特にこれは精神的なことが関係するんでしょうけれども、ちょっと前の統計ですと、男性は配偶者がいなくなると大体二年ぐらいで死んでしまう。女性はずうずうしい。そういうのと関係なしにいつまでも生きているということもありますので、上の方は男性の健康支援ということを考えていただいた方がむしろいいので、女性の健康支援は大変大切ですけれども、若い方を中心にいろいろしたらいいんじゃないかなと思います。
#39
○堂本暁子君 もうそれにはとても反論があります。
#40
○水島裕君 そうですか。じゃちょっと聞かせてください。
#41
○堂本暁子君 申し上げてしまいましたけれども、やっぱり更年期は昔は……
#42
○水島裕君 だから、骨粗鬆症とかもちろん女性に特有なのはいろいろありますけれども、それはもう逆に男性に特有なのもあるわけですので、その辺からいくと女性の方が少なくとも長生きですし……
#43
○堂本暁子君 人生五十年のときにはそんなに骨粗鬆症も問題にならなかったと思うんですね。ですけれども、女性が長生き、それから三十年間健康寿命が延びておりますでしょう。ですからこそ、妊娠、出産という機能を持った女性が、骨粗鬆症だけではないですね、関節炎とかリューマチとかいろいろそういった病気もたくさんありますし、それ以外に子宮がん、乳がんとか、いろいろなもので女性固有のものがいっぱいあります。
 残念なことに、日本ではそういうものについての研究すらないんですね。更年期障害についての研究すらない。ですから、さっき申し上げたように、がんとの誤診なんというのは考えられないんですけれども、実際は更年期障害だった方ががんと診断されていたというようなことも起こってくるわけです。
 ここに私、きょうたまたま持ってきたんですが、大阪のウィメンズセンター大阪、「女のからだ一一〇番」というのがございまして、去年は七百件ぐらいの相談があった。ことしもこれから十一月にそういう電話相談をなさいますけれども、結局そういった若者だけではなくて、この相談で一番多いのは三十代、四十代の方たちなんですね。それから、高齢者もあります。そういった方たちが今相談をするところがない。
 もっと言えば、これは国民福祉委員会でも問題にしたいと思っておりますが、そういったカウンセリングについて保険が適用されていないというようなことで、結論だけ言わせていただくと、私は母子保健課ではなくて、あくまでも女性健康課とか女性保健課というのを厚生行政の中にぜひ位置づけていただきたいと思いますし、法律としては、女性の健康基本法のような、生まれてから死ぬまでのリプロの視点からの法律、それは大変大事だろうと思います。
 前回も申し上げましたけれども、そういったことがきちんとなされていないからこの国はどんどん少子化が進んでしまう。それは、女性が本当に産みやすい環境が整備されていないということと同じだと思います。ですから、保育所とかそういった物理的な環境よりも、むしろ精神的な環境とか、それからカウンセリングとか、そういったような女性の性の問題についてのまさにセクシュアルヘルス、セクシュアルライツと言うことができますけれども、そういった性の側の問題としていかにポジティブに健康に生きるかということの総合的な政策が非常に遅れているのが日本ということが言えると思うんですね。そこのところを十分に整備しない限り、やはり日本ではなかなか女性がそういった意味で真の幸福、真の人権というのを持つことができない。それと同時に、社会全体としても、男女が住むこの社会自体もなかなかそういった性の面では健康ではない。
 今、性情報のはんらんとおっしゃいましたけれども、はんらんだけではなくて性暴力とかセクシュアルハラスメントなんかが大変ふえてきているのも、そういった本当の意味でのリプロダクティブヘルス・ライツといった政策が社会全般に、男に対しても女に対しても広がっていない、浸透していないからだというふうに私はリプロの立場から思っていますので、とても生涯のある一時期なのではなくて、女性が生まれてから死ぬまでの健康というふうに、特に水島先生はドクターでいらっしゃいますから、日本のすべてのドクターにそのことをぜひ理解していただきたいなというのが本当のところです。行政の方にもぜひ理解していただきたい、男の政治家にも理解していただきたいというふうに思っております。
 ありがとうございました。
#44
○八田ひろ子君 私も今のお話を聞いて、堂本先生と全く同じ意見で、無論反論というのではなく、ぜひ御理解をいただきたいなということで発言をしたいと思います。
 きょうの討議は女性の自立のための環境整備に関する件ということで、リプロダクティブヘルス・ライツを議題とされているわけでありますけれども、先日も私は、労働のステージの問題で、母性を持つがゆえに女性特有のいろいろな病気があって、それを職場の健診の中では全く重視されていないので、職場の健診の中に入れるべきではないかというふうに提案をしたんですが、労働省は業務との関連性がないからなかなかできないという言い方をされたわけですけれども、私はこれは全く認識が間違っているというふうに今でも思っております。実際に業務に支障を来していますし、それでは女性はそういった病気は自費で検診をして、病気が重くなって仕事につけなくなるということをみすみすほかっておくのか。
 今の健診そのものが、特に男性の中年以降の皆さんを中心とした生活習慣病、そういうところが相当重視されているものですから、そういった問題を取り上げました。
 男性も女性も一緒に幸せになるような社会をつくっていこうということで私どもこの調査会で論議をしているわけなんですけれども、女性は思春期以降、それ以前もそうですけれども、死ぬまで女性であるわけですね。それは、母性によるいろいろな障害、先ほど更年期障害のことを言われましたけれども、産めなくなってもそういう障害はまた来るわけなんです。だから、産む時期だけ大事にしましょうというのでは一緒に幸せになるという観点からは全く違うんではないかなというふうに思いますし、今先進諸国だけでなく、世界的にもこの問題を論議されているというのは、そういう考え方をとりわけ男性にも持っていただいて、世の中の社会のすべてのところを、ジェンダーのバイアスを避けながらよいものに変えていく。それが、女性を大事にするだけでなくて男性も大事にされる、そういった世の中づくりではないかなと私は思うものですから、ぜひ御理解をしていただきたいなと思います。
#45
○水島裕君 私は臨床家でもありますので、大概妥協して、よくわかりましたと、そう言いたいんですけれども、先ほどから、育児も含めて、私はもう十分出産、妊娠その他でもって女性に敬意を払うべきだということは申しておりますけれども、医学的に言いますと、リプロダクションの能力がなくなった後は、男性も女性も大体同じになるんです。早く死ぬようにうまくできている。免役機能も落ちて早くがんになったりなんかするように、そういうふうになっていて、大体同じみたいになってきてしまうんです。そのなり方がちょっと女性の方が遅いので、恐らく女性の方が長生きするんだと思います。
 ですから、余り人生の後半のことについて、もちろん細かいことは違いますし、それから女性だということで差別したり、そういうことはもちろんいけないんですけれども、事健康に関して、ある時期から上で女性の方をちゃんと面倒を見ろ見ろというのはやはり医学的にもおかしいので、余りそういうことを強くおっしゃると、ほかのところもということになるので、その辺、きょう、もう時間もなくなりますので、また次回にでもゆっくりと。
#46
○南野知惠子君 健康支援のための問題でございますけれども、ぜひこれ、私、皆さん方に御理解いただきたいんですが、骨粗鬆症などの検査については、これはドックなどでもオプションでしていますよね。それが項目の中に入らないのかなと思うことがありますし、健康保険の適用ということにもしてもらいたいなと思っております。
 これは妊産婦健診もそのような健康保険の適用ということも考えられるのではないか。また、妊産婦健診が今二回だけがフリーでありますので、これは地方財政の問題ですけれども、もう少し回数をふやしていけないのかな。
 それから、病院などで保健指導をしますけれども、病院は医療、治療であればお金が取れます。けれども、保健指導の部分を幾らあれしてもお金にならない。その部分がもう少しあるならば、簡単に人工透析というような形にいって医療費を上げるようなことがなくなるのではないか。そのような保健指導にもう少し目を向けてほしい。と同時に、思春期の相談というものもその中に入れてもらえないだろうか。
 そういう意味では、運動に関して、食に関して、心と体の健康、そういうものの保健指導が大きな目玉になってくるんじゃないかなと、そんなふうに思いますので、お願いしたいなと思います。
#47
○会長(石井道子君) それでは、最後のテーマになりますけれども、女性の健康支援のための法整備について、御意見がございましたら挙手をお願いいたします。
#48
○渡辺孝男君 先ほどから女性のいろんな健康問題等、あるいは産む、産まない等に関してカウンセリングが非常に大事だというようなお話もございまして、私は、そういうカウンセリング等々を専門にやれるように心理士といいますか、僕らの場合、臨床にかかわってきたわけですが、そういう臨床心理士の国家資格化を進めて、そういう専門家の方を養成することが大事ではないかというふうに一つは考えます。
 あともう一つ、これは直には絡まないんですが、女性の精神的な健康という意味では関係してくるんですが、最近、親子鑑定というものが民間でもやられるようになってまいりまして、やはり生まれる子供さんの身分をきちんと保障するということと同時に、親子鑑定もある程度当事者の了解を得る、そういう規定というものが必要になってくるんじゃないか。今はいろいろな意味で、内緒で調べられたとかというようなこともあるようですので、そういう意味でのガイドライン等をつくっていくことが大事なのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
#49
○小宮山洋子君 法整備については、一番最初の自己決定のところで堕胎罪などを話したことがそのことに当たるのだと思います。
 それで、きょうはちょうど時間にもなるようでございますし、以前、一年目にDVのことをずっとやって、それで法整備のため、今超党派のプロジェクトでやっておりますので、このことも三年の周期が来年で終わりますので、せっかく芽出しをしているのですから、何らかの形で今後検討していくということで、今ここからまた堕胎罪どうのこうのとやり出しますとどんどん時間が延びますので、また次回にしていただければいいのではないかと思います。
#50
○本田良一君 これは政府委員がおられたときに言えばよかったんだけれども、さっきエイズの話もありましたが、私たちが外国に行くときに、ボランティアの方だと思いますが、空港でエイズの予防関係のパンフレットを配られるんですね。あるときたまたま外人がおりまして、この外人がどうするかなと思って後ろで並びながら私見ていたけれども、外国に行けばエイズになりますよというパンフレットのようなんですね。だものだから外人は受け取らなかった。私も受け取らなかった。だから、非常に国際感情を逆なでするようなエイズに対するそういう空港でのボランティア活動、これはちょっと疑問を投げかけておきます。
#51
○会長(石井道子君) それでは、御意見も尽きないようでございますが、予定の時間を少しオーバーしてしまいました。本日の意見交換はこの程度とさせていただきたいと存じます。
 委員各位におかれましては、大変貴重な御意見をいただきましてまことにありがとうございました。本日の御意見も含めまして、これまでの調査の論点を整理し、各理事さんとも御相談をいたしまして今後対応してまいりたいと存じます。
 最後に、南野委員から発言を求められております。それは、九月十八日から二十二日にかけて行われたジュネーブのWHOの会議、専門家協議会に行っていらしたそうでございまして、テーマは安全な中絶ということでございまして、簡単に御説明をいたしたいということでございますので、よろしくお願いいたします。
#52
○南野知惠子君 ありがとうございました。頭の方はもう会長がおっしゃっていただきましたので。
 大体三十カ国の代表が集まりました。団体も九団体、IPPFなどもその中でございまして、人口問題だとか中絶に関する現状というような問題で講演またはグループワークなどがございました。
 この前の森参考人が話していたと思うんですが、吸引による中絶。普通の掻爬と言われているのは子宮をせん孔したりするようなこともあるので、それよりももっともっと優しい、体に優しいというような意味での吸引における中絶をどのようにしようかということで、一応各国の意見が出されて、その取り組み、人材育成、そういった問題も出されておりました。
 これは十二週以内というようなところに一つの限定があるわけですが、その中で、地球上には毎年推定二億一千万件の妊娠が見られている、そのうち五〇%近くは無計画または望まない妊娠であり、そのうち二二%は中絶に至っていると。多くの女性は生涯において少なくとも一度は中絶を経験するほどの数であるということで、男性の大多数がその必要な原因となっているようだと。安全な中絶のためのサービス提供は中絶件数を高めてはいない、安全な中絶への障害こそが死亡率、罹病率を高めているというふうな話があり、人権や法と政策など、地方、国レベルでの取り組み方や、またWHOは、安全な中絶サービスの維持に必要な設備とか医薬品に関しての規定問題を克服する上で支援する役割を演ずべきであるというWHOの見方も示されていました。
 それから、もう一つはエイズ感染についての問題でございますけれども、この前、ナフィス・サディックという事務局長が日本に来られました。これは七月のことでございますが、東京で開催されたシンポジウム「二十一世紀の人口と女性」に、女性の生命は危険にさらされているというようなメッセージが寄せられました。その中での事務局長の言葉ですが、毎分一人の女性が妊娠の結果死亡しており、女性はHIVやほかの性感染症に感染する危険性がより大きいということで、これは国際的な問題でございますが、アフリカではHIVに感染している女性は男性より二百万人多いというようなものが報告されました。
 それを受けてであろうかと思いますけれども、感染症対策沖縄国際会議という、このたびの沖縄の会議の日程がもう既に組まれており、十二月七日、十二月八日は沖縄でそういう国際会議が持たれるようになっております。ちなみに十二月七日はHIV、エイズについてのセッションがあり、感染症という形では、結核、マラリア、小児期の疾病という三つのアイテムが持たれており、十二月八日には健康への包括的アプローチというものが国際会議場のテーブルにのるということでございますので、御報告かたがた会の経過を報告させていただきます。
#53
○会長(石井道子君) ありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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