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1950/11/25 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 通商産業委員会 第2号
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1950/11/25 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 通商産業委員会 第2号

#1
第009回国会 通商産業委員会 第2号
昭和二十五年十一月二十五日(土曜
日)
   午後一時三十二分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○鉱業法案(内閣送付)(第八回国会
 継続)
○採石法案(内閣送付)(第八回国会
 継続)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(深川榮左エ門君) 只今より通産委員会を開会いたします。
 前回までは委員長が代表して質問をいたしましたのですが、本委員会より各委員の御質問がやございましたら御発言をお願いいたします。
#3
○西田隆男君 御答弁はどなたでも結構ですから……。先ず第一にお尋ねしたいことは、この法律の第十四條鉱区の面積の件ですが、現在では十五ヘクタール程度で企業單位としては何ら操業に差支えはないと言われているのですが、これを三十ヘクタールを最小面積として規定された理由はどこにあるのか、又三十ヘクタールを最小面積として規定された場合、現行法と異なる面積としたことによつて生ずる鉱区の交換分合、公共行政上の整理統合等をどう解決される予定でおられるか、この点について一つお伺いいたします。
#4
○説明員(讃岐喜八君) お答えいたします。鉱区面積は現在五万坪でございますが、石炭につきましては約十万坪ということにしてございますわけは、石炭の合理的脇発上必要であるというふうに考えまして土地調整委員会におきましてもこれが合理的であるということでさよう決めたような次第であります。これは現在採掘権の統計を見ますと約一割が五万坪程度でございまして、九〇%以上が五万坪を超えているわけであります。現状から見ましてもこれはさしたる問題とはない、こういうふうに考えた次第でございます。それから甚だ恐れ入りますが、今御質問の鉱区の交換分合との関係でございますが、ちよつとお伺いしたいのですが、その面積と交換分合との関係とおつしやいますとどういう意味ですか、ちよつと……。
#5
○西田隆男君 それは現在の鉱区は五万坪を單位としてありますが、ところがこの法律に、よると三十ヘクタールで十万坪になる、この法律が効力を発生するときには現在の五万坪程度の鉱区というものは鉱区として認められないことになるわけですか。
#6
○説明員(讃岐喜八君) これは施行法の問題でございますが……。
#7
○西田隆男君 それで依然として存續して行くのですか。
#8
○説明員(讃岐喜八君) そうでございます。
#9
○西田隆男君 それでは、その意や味でしたら結構です。今三十ヘクタールに鉱区面積をしたことが合理的な企業計画によつてしたという意味と、それから現在一〇%程度しか五万坪の鉱区はないというお言葉でしたが、実際にこの鉱区を設定する場合に五万坪にならないにも拘わらず五万坪の鉱区を設定しなければならないということが実際問題として生じて来ると思いますが、そういう点はどうなりますか。
#10
○説明員(徳永久次君) 極端な申方をするようでございますが、或る鉱区の端つこの辺になつておりまして、鉱区と申しますか鉱床の状況で端つこの方なもんですから五万坪くらいのものしか石炭がない。後は他のあれになつているという場合に、單位を五万坪という鉱区の最低面積にしてあれば五万坪で鉱業権を設定すればいいじやないか。十万坪にじて行くと無駄があるから困るじやないかという場合ですが、これを似たようなケースは現行法でも恐らくございまして、五万坪を最低限にして置きますと、端つこの方の三万坪なら丁度鉱物があるが、石炭もあるが五万坪の分はないというようなときにおかしいじやないかということと同じような御趣旨のことになるのではないかと思うのですが、鉱業法の中ではそういう場合の処理の仕方といたしまして、鉱業権の設定の申請がございました場合に、それを登録いたします場合に、鉱床の状況と合わしていない場合に、と申しますと端つこの方を切捨てておる、鉱床としてはその辺にあるのだが切捨ててしまつている。その結果切捨てられた部分というものが單位面積にならないから困るのだというようなことがありますので、そういう場合にその申請のありました鉱区につきまして鉱区の変更と申しますか、鉱床に合わした範囲まで拡げて貰うということを鉱業権者に対して国が言えるという仕組にしてあるわけであります。ですから同じテクニツクになるわけでありますが、仮に最低限を新規のものといたしましては十万坪を最低限ということにいたしました場合に、鉱床の状況で丁度石炭の場合ですと、端つこの方にあるが十万坪にならない。従つて一鉱区としては設定できないということになるというような場所については、その近くの鉱業権に対しまして鉱床に合わして変更するというような操作でその資源が永久に掘り残りのないようにという措置をとらざるを得ないかと思います。従いまして十万坪にしたら今の五万坪の場合より不合理が多くなりはしないか、五万坪の場合でも、五万坪に満たない、三万坪、二万坪というような場合のケースもあり得るわけでありますが、十万―坪を最低限とした結果として、そういう中途半端になるものが多くなりはしないかという意味においては、多少の意味があると思いますが、法律の建前の問題といたしましては現行法でも起る問題で、そういう措置の仕方で処理し得るのではないかと考えております。
#11
○西田隆男君 今御説明のあつた中にもありますように、仮に実際鉱区で石炭の埋蔵する坪数が一万坪か二万坪か三万坪かあると、併しその取つて見ても全部出ても、十万坪にならないというような場所があつた。それを出願を五万坪が最低面積であれば、申請すれば許可になる可能性がある、十万坪とした場合には申請することもできないという結果になるわけですね。面積が広くなればなる程全国的に見ると、そういう出願可能な鉱区がどれぐらいあるか存じませんが、実際問題として広くなれば広くなる程そういうふうな出願すらできないという場合が多く考えられる。そういう場合に対してこの法律では何とも規定していないようですね。設定されておる鉱区間においては、正常な企業の運営ができるため、或いは公共の目的に達するために、通産局長は勧告を命ずることになつておる。新しく出願する場合においては、坪数が十万坪未満の措置その他については何とも規定がしてないと私はこう見ておりますが……。
#12
○説明員(徳永久次君) 只今お尋ねの通りでございまして、十万坪ということから見ますれば、十万坪未満という場合には新規の設定、その十万坪に満たない、最低面積に満たないところについてはできないということになるわけでやございまして、増区という形で調整して、そこにあることが分つておりながら鉱業権の対象にならないということにならないような措置をとる増区の措置しかできないということになるのであります。
#13
○西田隆男君 私がお尋ねしておりますのは、増区の形ではこの法律はできるようになつておりますが、新しく申請をすることができなくなると、そういう場合に、申請があるか、或いは通産局で最初からそういう御認識を持つておられれば増区の形になり得るものですか。この鉱業法の精神から言つて、新らしい権利を平等に、公平に、鉱業権の、石炭なら石炭の採堀を賦與するというこの法律の本旨から、僅かに坪数が足りないために鉱区の申請ができないというような点に関して、聊かも除外例を設けてないということが私は腑に落ちない。又十万坪という一定の数字はここに限定されても、そういうふうに九万八千坪あるとか、或いは採掘しても差支ない八万坪で十分できるのだというような鉱区があつた場合にも、何らこれでは設定できないという結果になる。そういう点について何ら考慮を拂わんでもいいかどうか。
#14
○説明員(徳永久次君) 非常にぎりぎりの線を考えますと、お話のような不合理じやないかというようなことも、考え方としては出て来るのでありますが、併し鉱区の面積につきましては、最低面積をとるというふうな考え方をとつておるわけでございます。最低面積という考え方が、今の採鉱技術その他から見ましてその程度よりも以下の規模であることは適当でないのだというような意味に最低面積を考えたわけでございまして、早低面積とは言いながら、最低面積よりちよつと五十坪、百坪足らなくてもこれに除外例を設けないのはおかしいじやないかというようなことは確かにおかしいと言えばおかしいということになるかと思いますけれども、最低面積として考えました場合、どこかに線を引きますれば、その線の引き方に問題が起るのでありまして、最低面積の額、面積坪数そのものの広さというものが適当かどうかということで、その辺はまあ割り切らざるを得ないのじやなかと思います。
#15
○西田隆男君 この法律言に規定してあること以外の方法で、若しそういうふうなことが起きた場合、これを許可するというふうな方法が適当であると思われることに対して、何か特別な措置についてお考えになつておりませんか。
#16
○説明員(徳永久次君) 先程も申しましたように、同じようなケースは現行法でも実は起るわけでありまして、石炭で申しますと五万坪ということは、最低坪数にしてあるわけでありますから、四万八千坪の場合は五万坪で申請できなくなつた場合には不都合じやないか。確かに理論的にそういうことには相成るわけでございますが、私共も現実の問題としてそういう例もあまり起きもしておりませんでしたし、何十年間やりました結果として増区という形で、鉱床に合わした形でやつて行くということで進んでおつたのであります。今回はこれを五万坪を十万坪という見当に最低を引上げようというように考えておるわけであります。
#17
○西田隆男君 具体的な例を申しますと、抽象的にはあなたの説明の通りでありますが、具体的に申しますと、二つの鉱区がある。一つの鉱区は百ヘクタールある。然るにここに九万八千坪の鉱区の石炭の採掘ができるという場合があると仮定する。この鉱区を海産局長の勧告によつて合わせ十万坪の鉱区にしてこの鉱区を作業させるという方法を免れないし、こういう鉱区があつても差支ないと思いますが、その点についても何らお考えはありませんか。
#18
○政府委員(首藤新八君) 西田委員の只今の御質問は衆議院の方でも非常に問題になつた問題でありまして、五万坪にしたらどうかという強い御意見もあつたのであります。丁度この問題は参議院の方でもさような御意見が強くあるといたしますれば、両院協議会でもお聞き願つて五万坪が適当だということになりますれば、我々の方といたしまして、強いてこれを固持しようとする意思ではないのであります。審議会にこれを討議して頂いた場合、十万坪程度が最近の状態から見て穏当じやないかというような御意見もありましたので、一応十万坪としたのであります。決してこれは我々は強いて十万坪でなければならんとは考えていないのであります。衆議院なり参議院の方で本当にそのようにした方がよいという御結論であれば、そのようにしてよいと思つております。
#19
○西田隆男君 次の質問に移ります。第十九條ですが、鉱業権の存續期間を三十年と制限された理由を伺いたい。
#20
○説明員(徳永久次君) 御承知のように鉱業権は従来無期限のものであつたわけでありまして、審議会の結論というものも一応無期限でよいのじやないかという御趣旨であつたのであります。ところが鉱業権の権利なり業務の内容というものを明確にするというような考え方から、それに外国におきます法制等から見まして、一応鉱業権の生命というものを三十年くらいを目途とじて鉱業が行われるというふうに考えました場合に、その際に更にその鉱区につきまして鉱物の残りはないかどうかということを面検討するというふうの制度に変えた方がむしろ合理的ではなかろうかというような趣旨から実は期限を決めることに相成つたわけでございます。但しこの鉱物が残つております際に、期限が切れたからといいましてその鉱業権を他人に……その人はもうできなくなつて外の人でないとできないというようなことは申しておるわけじやありませんので、やはり前からやつておつた人が引續いて残つておるものを掘り出すということにして置いた方が妥当でございますので、一応の期限を付しておりまするが、資源として掘り残しのものが残つております限りにおきましては、何度も繰返して三十年、三十年でできるという制度にはしてあるのでありまして、実害として……無期限のものを三十年に切つたようで非常に制限したようでございますが、実質的には制限にならない。ただ三十年という期限を與え、目標を置くことにいたしまして、鉱業経営の一つの目標ともなりますし、又その時期に後の仕事の工合を再検討して貰うという一つのそういう意味合いのチヤンスを設けるということが適当ではなかろうかと、まあそれだけの意味で実は設けられたのであります。
#21
○西田隆男君 この鉱業権の制限の本質的な問題は、今あなたがおつしやつたようなことでなくて、鉱区の面積、それから埋蔵炭量その他ともこれは非常に密接な関連性を持つたものど考えるのでありますが、仮にここに二百万ヘクタールなら二百万ヘクタール、最大限は二百五十万ヘクタールですが、鉱区を持つておる。埋蔵炭層は数層入つておる、炭量計算をすれば当然これは三十年では掘れない。もう五十年も百年もかかるのだ。又百年もやる。埋蔵炭層を令部開発するのだという計画で、設備その他をやつておる炭鉱の鉱区でも、三十年で制限しなければならんということになると、本質的にもつとしつかりした理由がなければ制限しない方が却つて結果としてはいいのでないかというふうにも考えられますが、今あなたのおつしやつた御説明で一応は分りますけれども、何だかあまり御言明が軽過ぎるようで、もう少し基本的な問題についての考え方をもう一遍お話願いたいと思います。
#22
○説明員(徳永久次君) 速記をちよつと……。
#23
○委員長(深川榮左エ門君) 速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#24
○委員長(深川榮左エ門君) 速記を始めて……。
#25
○西田隆男君 今の説明で大体分りましたが、そうしますと、この鉱業権の制限に関しては、この法律の中には一定の期間を入れて出願しなければならん。出願しなければ無効になるのだというふうな規定のような趣旨に私は見ているのですが、仮にそのままであるとすれば、今あなたのおつしやつたような何年も継續できるのだということは、いわゆる手續を怠らなかつた場合であつて、優先的に手續をすれば、試掘権の設定、鉱区の設定も優先的に確定手續をやつたものが勝つのだということが後の條文にあるのですが、片一方は六ケ月なら六ケ月、この間は現鉱業権者が優先的に出願の権利を持つておるのだということに解釈して差支ありませんか。
#26
○説明員(徳永久次君) 今お尋ねのように三十年の期限が切れました場合に、現鉱業権者が出願しました場合に最優先するということでございまして、その点につきましては先願主義ではございませんので、現在の鉱業権者が優先権を持つておるわけであります。
#27
○西田隆男君 その次は第六十二條ですが、六十二條に鉱業権者に対する事業着手の義務が負わされているようですが、これは制限は旧法では一年になりておつたけれども、六ケ月に訂正しておるようですが、これはどういう理由か。大体六ケ月に訂正されたのですが……。「鉱業権者は、鉱業権の設定又は移転の登録があつた日から六箇月以内に、事業に着手しなければならない。」という規定ですね。これは旧法では一年であつたはずですが、六ケ月にされた理由……。
#28
○説明員(徳永久次君) この点も先程の鉱業権の責任を明確にするという考え方と若干一連の繋りがあるわけであります。現行法の一年というのは少し長過ぎるであろうということから一応の標準は六ケ月ということに、半分に短くなつたわけであります。但し二項の方で、六ケ月に着手しなかつた場合にはどうにもならないということではございませんので、緩和規定は置いてありますので、止むを得ない事情というものを述べて頂きまして認可を受けるというようなことによりまして、調節を図るようにしてあるわけであります。
#29
○西田隆男君 あなたのおつしやる通りに、第二項では緩和規定があるのはありますが、私のお尋ねしておりますのは、一年であつたものを六ケ月にしたいという原則的な理由、それをお尋ねしておるのであります。緩和規定があるからいいじやないかという御説明ではちつと納得できんのです。
#30
○説明員(讃岐喜八君) 先程の局長から申されました権利義務の内容を明確にするという御説明があつたのでございますが、結局鉱業をやる人に鉱業権を賦興する、つまりそういう原則的な考え方から行きまして、鉱業権の設定を受けたり移転を受けるというような人は、当然六ケ月以内に仕事に着手すべきだということで、一ケ年も待つ必要はないというふうに強く考えておるわけであります。結局鉱業権が與えられた者は、一日も早く事業に着手して貰うということを理想とする法の建前から、そういうふうに変えておるのでございます。
#31
○西田隆男君 今の六十二條に関連してですが、事業着手の意義は、條文に書いてあるようにいろいろあるようですが、事務所を設置することが着手になるのか、主要坑道の掘進を始めるのが事業着手になるのか、或いは土工を始めることが事業着手になるのか、その最小限度の線、どの線を大体事業着手とみなされるおつもりですか。
#32
○説明員(讃岐喜八君) 事務所を建てることも、土工に着手することも、何でも皆結構であると考えております。
#33
○西田隆男君 極端に言いますと、六十二條の六ケ月以内に云々ということは、六ケ月内に單に鉱区の所在地の近くにこの鉱区を開発するのだというための事務所を設置しておればこれを事業着手とみなされるわけですね。
#34
○説明員(讃岐喜八君) はあ。
#35
○西田隆男君 それではその次に移ります。租鉱権の存續期間を五年とされた理由、これを承わりたい。
#36
○説明員(讃岐喜八君) 租鉱権を認めますケースが、一応ここに出ておりますように、若干目的は絞つてございまして、例示としましては、残炭炭鉱という形にしておるわけであります。租鉱権を認めますケースというものが、非常に広いということであるわけじやないので、地域で相当限られるであろうというようなことを考えましてそれの仕事のバランス、見当としてどの辺が適当であろうかというようなことから、本法におきまして、租鉱権を認めようとしておる目的の範囲にふさわしい期間を選びたいという考えでございます。一鉱区の中に数個の租鉱権を認められたもの、一租鉱権については五年とすれば十分ではなかろうか、そういうような意味合いでございます。
#37
○西田隆男君 そうしますと、租鉱権を認める場合の決定をする場合に、非常に広い鉱区があつて、君業主自身が開発され得ないというふうな場合に、外の人が開発できるという場合、十年の事業計画を立てるとする、これは又再び申請しなければならないことになつておる。その申請には租鉱権者と鉱業権者の合意が前提となつて延長ができると思いますが、そういう場合の租鉱権は認めないという建前で五年という、五年以内に採掘し得るものに関してだけ認めるという原則的な考え方から期限を五年と決めたわけですか。
#38
○説明員(徳永久次君) 私共の考えは極端な例で申しますと、鉱区全体を租鉱権の対象にするというようなことになることは好ましくないじやないか、そういうことに相成りますると、鉱業権の売買という形でなしに、鉱業権者は権だけ持つておつてそれを皆他人にして貰うというようなふうの弊風が出て参りまするので、一つの眠り口銭をとる人ならば、租鉱権を大幅に認めました結果として、鉱業全体の開発の経費が総体的に見ますと割高になるというような弊害というようなものを考え得るかと思うわけです。そういうような気持からいたしまして、全面的に全鉱区を対象にするよな租鉱権というようなものは適当でないじやないか、然らばどういうことになるかということになるわけでありますが、鉱業権をお取りになつた人は自分でそれをおやりになるというのが本則だというふうに考えまして、併し非常に広い鉱区を取りますと、それを大規模に開発するというようなことをいたしました際に、その技術的な点と申しますか、大筋としてはそれで結構合理的に開始されるわけですが、組かい端つこの方が十分取れないというような現象も現実に起つて来るわけであります。そういうものにつきまして、租鉱権制度というものを認めれば、いわゆる鉱物資源が無駄なく採掘されるというような意味になると思います。そういう点鉱権者が自分でやるのが本筋だといろ考え方、それを全部を租鉱権ということにしたならばマイナスの弊害が出て来る。だから租鉱権を認めるのは例外であるというような考え方の下に租鉱権というものを考えたわけであります。それからその規模が幾らか適当かということ、それもはつきりこの中で表明しておるわけではありませんが、その一つの基準と申しますか、五年間かかつて掘るくらいというような、逆に申せば、今お話になつたような、そういうことに相成るかと思いますが、租鉱権が例外的なものであるということから、五年もあればその対象になつておる広さのものは取れるじやないか。極端に申して一つの見通しになるかと思いますが、その考え方の基本は只今申しましたような気分から例外的なものであるという、従つてそう広いものではあり得ないはずだということから年限を五年を適当と考えたわけであります。
#39
○西田隆男君 この租鉱権がこの法律に規定されておりますのは、昔から俗に言われておる斤先掘、その他臨時措置等による使用権設定の代りとして生れて来たものだろうと思うのですが、合あなたの御答弁がありましたが、そういうものと同じように考えることだけが租鉱権であるのか、或いは租鉱権というのは、本当に設定すればやはり鉱業権の期間中でもやつて行けるような、例えて言えば、ここに百万坪の鉱区がある。断層の関係でどうしても九万坪ばかりはこの鉱区は採掘できないというような場合に租鉱権を設定することによつて鉱業権者でない他の者に採掘させるということも、私は非常に石炭の生産の面から言つて、狙いとして無駄ではないと考える。それに対してこれは通産局長が命令するわけでも何でもない。当事者円上双方の合意によつてしかできないということにこの規定がなつておりますので、そういう場合若し無駄でないと考えられたならば何とかこれは年限をもう少し増されるということもお考えになつていいのではないか。十万坪で三十年という鉱業権自体には存續期間が認めてあるし、而も今言う久万坪、九万坪の断層の石炭を取るというものは殆んどそれと変らないような状態下において採掘される石炭がある。その基本的な観念から言えばそういうことは鉱業権でやつたらいいじやないかということになるかも分らんと思うのですが、実際問題としてはそういうことが起り得るので、こういう点についてもう少し御理解を願いたい。これは希望を申上げて置きます。
 次の質問に移ります。八十八條ですが、鉱業權の交換及び売渡し等に関しては通産局長は勧告することができると規定をされておりますが、これは実際問題から考えまして、通産局長が各稼行をしておる鉱区、その他についての深い認識を、企業をやつておる者と同じような程度まで持つということは我々においては考えられたいことなので、非常にこれは強く通産局長に責任を持たしておるようですが、これはむしろ鉱区の交換若しくは売渡しをしなければならんというような関係に立つておる当事者の双方、若しくは一方から通産局長に申請がなされた場合には通産局長は勧告をしなければならないというふうな條文に書換えることの方が妥当だと考えておりますが、この点に関して御意見を一つ伺いたい。
#40
○説明員(徳永久次君) この八十八條の規定は、八十九條と若干異なつておりまして、八十九條の方になりますと、勧告いたしますと同時に、最後は協議、それから決定というふうな手續を経るということになつておるわけであります。八十八條は勧告のしつ放しの規定に相成つておるわけであります。と申しますのは、考え方の問題といたしまして、一度法律で認めておりまする適正な規模の鉱区としてでき上つておりますもの、これはいわば一つの国が與えました財産権でありまするので、一度與えました財産権の所有の変事ということは、そう疎かにやるべき筋合のものではないのではないかというような考えから、私有財産権の尊重という点にウエイトを甘きまして、勧告のしつ放しというような程度の規定にいたしておるわけであります。そこでそういう今のお尋ねの点でございますが、勧告という政府が直接積極的に勧告ということでなしに、両当事者のどちらからか要求があつて、その際にそれに基いて必要があれば勧告するというふうに改めた方が適当ではないかというような御質問でございまするが、今お話にございましたように鉱業権の企業の実態そのものにつきましては、両当事者が一番詳細に事情を御承知になつておるということも確かではございますけれども、同時にまあこういう勧告をいたします際の政府の立場としまするならば、最も事態を公平に、どちらにも偏らないで公平に見るというのがいわゆる役所の、役人の最大の心掛けにすべきものだと思うわけであります。現実にこの規定を置きます際に何も当事者間に問題のない際にいきなり勧告ということは実際問題としてはなかろうかと思います。併しながらどちらからか要求がありまして、それに基いて、手續的に要求があつて、それを基として勧告するというよう制度は、いわば何と申しますか、要求に拘泥するというと語弊がございますが、片方の要求だけを基とするというような印象を受けることになりますので、法文の建前なり、或いは役所、政府というものの建前から見て少し不穏当ではなかろうかという感じを持つわけであります。実際問題としてはトラブルが起つてこの辺を何とかする必要があるのじやないかという、ふうに当事者、或いははたからも問題にされた場所についてしか発生しないであろうということは明らかでございます。考え方の筋としましては、それらの諸般の状況を公平に見まして、本当に業者間で鉱区の交換分合を図ることが経済的に大切であり、鉱業の利益になるということをよくよく確信しました場合について勧告をするという仕組、これの方が妥当ではなかろうかと考えたわけであります。
#41
○西田隆男君 今の御説明一応御尤もと思いますが、この法案のうちの他の條文で、通産局長はこういう問題に、この通りの條文ではありませんが、これと殆んど変つていないような問題について勧告ではなくて命令することができるような規定があるのですが、特にこの問題だけ当事者の意思を、実際問題としては尊重するであろうけれども、何ら当事者の意思を徴しなくても一方的に勧告をしてどうこうするということができる規定になつておる。又仮にこういう勧告を当事者口士が事前に何らの意思表示のないときに勧告をされた場合、結果としては通産局長の言うようにしなければならんという羽目に追い込まれると思いますので、規定そのものとしての意味は今あなたが御説明になつたような意味であると思いますが、あまり面白くない。官僚の命令通りに動かなければならんのだというように解釈されるので質問したのですが、外の條文との関連性はどうなんですか。外にこのような問題に対する通産局長の命令権が規定されておるのがありますが、それとの関連はどうなんですか。
#42
○説明員(徳永久次君) 外の條文との関連でございますが、條文としまして命令することができるという條文が、あつちこつちにあるということでございますが、その際には殆んど全部命令の前の段階としまして、勧告なりそれから当事者同士の協議なり、公聽会というような手續を経ることにいたしてありまして、最後に命令を以てやるというようなやり方で、この新法におきましては、国の命令を民主的且つ合理的にみんなが納得する範囲で行うというようなつもりで、実は作り上げてあるわけであります。ただこの條文は、先程もちよつと申しましたように、勧告のしつ放しになつておりまして、外の條文と考え合せまして、一応励告から決定まで持つて行くというケースと、ボーダー・ラインのケースになるわけでありますが、ここまでは外の條文、例えば次の條文で考えますと、鉱床が鉱区の位置形状と合つていないという場合には、個々の鉱区の鉱床に合わして貰うということは、鉱業というものの特殊性から見て、是非やらなければ、鉱物が掘り残されるというようなこともあつてまずいというような鉱業の特殊性からなる、止むを得ないケースで、ここまで国が介入しなければ、資源の合理的な開発にならんではないかというので、決定まで持つて行くという仕組にしてあるわけであります。八十八條のケースにつきましては、その單位としてそれを広く総合的に考えますると、交換分合をやつた方がよりいいということも言えるわけでありますけれども、この鉱区自身として、法律で認めた最大限度の要件を満たして設定された権利でもございまするので、いわばそれはその人の鉱業権者の権利となりました一つの財産を、国がお前はやらないで外の人にやつて貰えというようなことにも相成りまするので、聊か八十九條の趣旨と違うということで勧告のしつ放しという線に止まつておるわけであります。
#43
○西田隆男君 それでは具体的な問題としてお伺いいたしますが、この條文に鉱物の鉱区が錯綜する地域というのは具体的にどういうことを言うのか、又鉱業権の交換又は売渡しを行わせることによつてその地域の鉱床を経済的且つ能率的に開発し云々と書いてありますが、これは具体的にどういう場合に売渡しの勧告をすることになつておりますか、具体的な問題として一つ説明して貰いたい。
#44
○説明員(讃岐喜八君) これは図面を書いて説明した方がいいんじやないかと思いますが、一応宙で申上げます。一つの炭田に数百の鉱区があると仮定いたしまして、その炭田の中間部分をAの会社が持つている。それから又飛び飛びにいろいろな鉱区がその炭田の中にあるというような場合に、その飛び飛びになつている殆んど全部を又B会社が持つている。こういうふうなことで炭田全体の開発をするためにはその中の一つ、二つをAとBの社会で交換して貰つてやれば坑道の進め方なり何なりが非常に便利になるというように役所側から考えましてそういう場合があり得ると思う。こういう場合を想定してここに書いてあるわけでございます。お分りになりましたでしようか。
#45
○説明員(岡田秀男君) 一つの例として、過去におきましてやつたことを一つ出上げて見ますと、例えば常磐地区におきまして、入山炭田株式会社と磐城炭鉱という会社がある。この鉱床は隣接しておりますが、こういうふうな恰好になつておりまして、両方で鉱区を維持しておつた場合におきまして、非常に末端の錯綜した区域におきましては保護炭壁を残すというような関係から合理的な採掘に非常に支障を来たす。これがこの場合には、どちらか一つに吸收するという形はとりませんで合併という形をとりましたけれども、仮にあの場合にどちらかの炭鉱が片一方の鉱区を買收したというような形で考えて見ますると、ああいう場合はまさに勧告の対象になり得るのではなかろうかと思います。
#46
○西田隆男君 今御説明を開きましたような、そういうような石炭鉱業の生殖の面において非常に重大な関連性を持つておる問題に対して、今鉱山局長が説明になつたように勧告のしつ放しというのはどうもおかしいのです。勧告をした以上何とかこれをまとめなければならんと思うのですが、勧告のしつ放しで又それに応じなかつた場合に何らか運営面を考えると、この條文と外の條文の命令することができるということとの関連性はどうなつておるかをお聞きしたいのです。今鉱山局長がこの前の御説明では関連性については説明しておらんと思います。
#47
○説明員(徳永久次君) この聽かなかつた場合は、この條文によりますと全然処置がないわけであります。従いまして全体的に見ますと、その地帶と言いますかその鉱床の合理的な開発という面の利益を相互的に受けることができないというようなことに確かになろうかと思いますが、個々の鉱区につきましての鉱業権はこの法律の中で定めておりまする最低の要件を満たしてできました権利でありますから、それを広く総合的に見た場合には交換分合をやつた方がより合理的ではないかということが言えると思います。それの方に重点を置きまして、その一人心々の人の財商権を勝手に国が関與じて動かすということは私有財産権の尊重という見地から相当疑問があるのではなかろうかということから、実はこの八十九條の線で止まつたというようなことになつておるわけであります。
#48
○西田隆男君 今の問題ですが、八十九條以下の條文を読んで見ますと、隣接する鉱区において鉱区の位置形状がどうなつておるとか、併合した方が開発のために便利でいい、こういうような簡單な問題で通産局長は命令が翻せる。然るに今岡山次長の御説明になつたような大きな開発の困難であろうというような問題に対しては、勧告のしつ放しで知らん顔をしておるということは、実際の運営の面において非常にまずい方法なので、当局としてもこの八十八條の條文の後始末をつけるために何らか一つ善処する條文をお入れになつて頂きたいと、私は希望いたしております。
#49
○政府委員(首藤新八君) この問題は実は先程の問題と同じように、衆議院の方で非常に問題になりまして、丁度西田委員が指摘された通り、通産局長に決定権を與うべきではないか。これの方が目的を達成する上において効果的であるという御議論が非常に強いのでありまして、修正したらどうかということに今なつておるのであります。多分参議院の方でもやはり同じ御意見かと思いますので、改めて政府の方にこの旨を折衝して頂きたいと思います。
#50
○西田隆男君 第百四條と農地調整法の関係について一つ御説明を願いたい。
#51
○説明員(讃岐喜八君) 農地調整法の第四條だと思いますが、今公文書を持つておりませんのではつきり申上げられませんがそれによりますと、農地調整法によりまして許可を要する事項が掲げておるのですが、その場合に土地收用法又はその他の法律によつて收用した場合は許可を要しないという條文がございますが、使用の場合は許可を要するのであります。従いまして第百四條の規定及び土地收用法の規定によりまして土地收用の問題が片付きましたとしましても農地調整法上の手續は必要でございます。
#52
○西田隆男君 そういたしますと、百四條に規定してあることに対して、農地調整法の方が優先されることになるので、農地調整法による協議、或いは承諾を求めるということが、現在の状況では非常に困難な状態に置かれておると思うのですが、これを農地調整法に優先するような條文にお書換えにならないでもお差支えないという御見解ですか、伺います。
#53
○説明員(讃岐喜八君) その点につきましては随分政府部内におきましても議論があつたのでございますが、結論的にはこうなつております。土地調整委員会設置法というものが近く提案になるはずでございますが、この百四條の規定によりまする土地の使用について紛争が起りました場合には、土地調整委員会に裁定を求めることができるわけでございます。そこでその裁定によつて決まつた場合には農地調整法の許可あつたものとみなすというような規定がございまして、而も第一段階におきましては農地調整法が優先して行いますが、土地調整委員会で裁定があつた場合には、土地調整委員会の裁定が農地調整法より優先するというふうになるわけであります。
#54
○西田隆男君 第百九條以下の鉱害賠償についてお尋ねいたします。いろいろこれは資源庁においては腹案を持つておられるというお話を承わつておりますから、総括的に質問をして御答弁を得たいと思うのでありますが、第百十一條に「損害は、公正且つ適切に賠償されなければならない。」と、こう規定されております。併しながら現状復旧に対しては賠償金額に比し著しく多額の費用を要しないときに限り、原状復旧に対する被害者の請求権が認められているだけであります。で、鉱害賠償というものは当事者樹における金銭賠償を基本としてこの法律案は規定されているのでありますが、本法の第二條において、「国は、まだ掘採されない鉱物について、これを掘採し、及び取得する権利を賦興する権能を有する」と、まあ、基本原則は大体規定されております。この考え方からこの條文を見てみますと、鉱物の掘採による被害に対しては、国が何らの責任も分担しないということは私としては誠に理解し難いことでございます。鉱業権者の仕事として、その掘採による被害の賠償を行わしめるということに関しては異論はございませんが、極めて貧弱な我が国の地下資源を掘つて第一條の目的達成のために掘採するためには、個々の鉱業権者の負担に耐えないような被害、言い換えますれば本法に規定されている方法では賠償され難き被害、又は天災等のために生じた被害等については、少くもその被害の賠償につき、国が何らかの方法によつて補償をするという規定を設けることが、農地計画の上からも、公共の利益の面からも絶対不可欠の要件であると私は考えておりますが、この注律の中にはそういう規定が一つも見出せません。この理由を一つ承わりたい。
#55
○説明員(徳永久次君) この鉱害賠償について金銭賠償を原則にいたしまして、原状回復を原則にいたしていないという点につきましての考え方を申上げたいと存じます。鉱業をやりました際に、農地その他にいろいろな土地の陥落その他の迷惑を及ぼすということは、これはお話のごとく当然日本のように特に平地の下を掘つておりますような場合には非常に多いわけであります。鉱業法ではその際に鉱業権者にどこまでの責任を負わすべきであるかということをこの法案作成に当りまして検討したのであります。その考え方はそれによりまして農民が受けました損失をカバーすると申しますが、農民の受けました経済的な損失は、これは鉱業権者が仕事をいたしましてそれによりまして或る利益を受けておらず、それに與えた損害をカバーし得ないような事業であれば、これは国全体として見た場合に、事業としてまあ不適当な仕事だというような見方もできるかと思いますが、鉱業によりまして成る程度利益を受けているわけでありまして、その程度は当然にまあ計算に入れてそれはやつて貰わなければならんというような考え方で、まあできているわけであります。そこでその損失はこの法律によりましても農民の受けました経済的な損失はこれによりまして十分に回復可能なことに相成るかとも思われるわけであります。ただ飜つて考えまして、農民が受けました経済的な損失というものはそれによつてカバーされ、従つて農民としてはそれが農業の面でこうむつた損失は鉱業権者から貰つたということにはなるわけでございますが、併しながら広く飜つて考えますると、農民が今まで仕事をしておりました農地、その農地の生産力というものが低下した損失というものは国として残つておるわけでありまして、その生産力の低下した分に応じまして農民は経済的にはカバーされたけれども、土地は陥落し放しという形になりまして、今まで米が沢山取れておつた場所が、美田が、米ができなくなつてしまつたというような損失というものは別途起つて来るわけであります。そこでこの法案は、ではそれを原状回復にいたしますならば農民も経済的な損失を受けることなしに農地を元通りにして貰うわけでありますから、それによつて生産力も落ちない。従つて国全体として見た場合に生産力も落ちなくて済むし、又農民自身も昔通りの生産なり、農業による利益を受け得るということになるのでいいじやないかということに相成るかと思うわけでありますが、ところがそうなりますると実際問題といたしまして、農地につきまして原状回復をいたしますことの負担と申しますものは、先程の農地の生産力の低下した分の農民の受けました経済的な損失をカバーする限度は鉱業権者としてやつても鉱業とまあ両立して成立つといたしましても、原状回復を原則とすることにいたしました場合には、それは遥かに鉱業権者の負担が前の場合よりも非常に大きなものになりまして、その結果延いては鉱業自身が成立たなくなつて、みすみす大事な地不資源というものを掘り出せないということに相成るのではなかろうか。さような考え方の下に、鉱業権者は鉱業によつて人に迷惑をかけたわけでありますから、迷惑をかけた限度は必ず何とか始末をしなさい。被害者としては迷惑を受けた限度それを金銭で見積りますと幾らになりますか、その限度は鉱業権者へ請求する権利があるのだとしう建前の下に法案を作つてあるわけであります。それによりまして鉱業も成立ち、農民も一応受けました損失はカバーし得るということに相成るかと思うわけであります。ただ残ります問題は、そういうことによつて農地を持つている農民はそれで経済的な損失はカバーされるわけでありますが、国会体として生産力が低下した分は、国家的に見た場合に美田であつたところが駄目になつてしまつたというよう状況が残るということに相成るわけであります。この点につきましてはその鉱業法の体系全体から見まして、鉱業権者の賠償責任の範囲を決めるより以上の問題に相成りまするし、又それを国として農地が潰れましたものをどうするかというような問題は、潰れたものを全部元に戻すというのも理想でありましようが、そう行き得るものでなし、場所によりましては、そこは放置してもよろしいというような場所もなきにしもあらず、それは別途考え方としましては国土の総合的な開発利用というものと、生産力なり利用度の向上というような見地、或いは財政なりの関連も考えらるべき問題で、恒久法でありまする法文にそれを切り盛りするのは、聊か不適当な事項ではないかというような考の下に、そのようにいたして行きたいという考え方であります。
#56
○西田隆男君 私のお尋ねしておるのは、必ずしもこの鉱業法の鉱害賠償の規定を原状復旧を原則として決めろと言つておるものではなくて、今あなたが御答弁になつた御答命の中の矛盾を指摘したいと思いますが、あなたは民事訴訟法の損害賠償の原則から金銭賠償の問題をお話になつたように考えますが、被害者の外に農民の立場からそれを申しますと、被害というものについては鉱害によつて或る程度陷沒した、そのために今まで十俵取れておつたものが八俵になつた。この二俵の被害を受けるということはこれは被害の一つではありますが、併しながらその農地地自身が以前採掘をされる前に持つておつたと同じような地方を持つように回復して貰うということが、これは終局の目的でありますが、便法として一時金銭賠償をするという建前をとつて貰わないと、被害者、農民の方では納得が行かんと思います。何故かと申しますと、自分の持つておりますが、例えば三町歩持つておるうちの、仮に一反歩とか、二反歩というものがそうなつたということであれば又考えられますけれども、三町歩全部がそうなつてしまつた、耕作農民としては結局農業に従事することすらできなくなるという最後の段階に追い込まれた場合、あなたのような考え方で来して農民に対して採掘の被害による損害が賠償されたという結論が生れるかどうか。国土計画の面とか、或いは国がこれを補償せんならんという立場は、そういう立場から考えるべきものであつて、あなたのおつしやつたような、ただ当面の損害に関する被害が一時的に金銭によつてその対価が支拂われたということだけでは必ずしも拡害賠償の全部ではないと、私はそう考えておりますので、そういう場合が生じたときは、国がいやしくも第二條で掘採及び收得する権能を賦與するという基本的な立場、而も鉱業権なるものは三十年に制限されました基本的な考え方、どこまでも鉱業権者がやらななければならん、円その他公共の利益に反してはいかんというこの法案自体の立案当時の考え方、そういうことを総合的に考えて見ますと、当然これは国自身が鉱害に対する損害が鉱業権者の負担分については負担をして、何らかの保障をすることによつて鉱害の賠償を未然に防止したり、予防したり、或いは発生した場合に完全に復旧するという考え方をとられるのが本当じやないか、それが何故この法律はそうなつておらんかということを私はあなたに御質問しておるのです。資源庁方面でもこの問題については御研究になつておるということでありますけれども、これは旧なる鉱業法の改正ではなくて、新しい鉱業法がここに生れて来るのであります。新しい鉱業法が生れて来る際には、今まで考えられなかつたような点に対しても十二分に対策を講ずることによつて、初めてこの法律の目的が十二分に達成されると考えておりますので、当局においては是非そういう考え方の下に鉱害賠償の問題を考えて頂きたいと思います。特にこれは一例を取つて申しますならば、この法律に規定してあります鉱害の賠償の対象は直接の被害しか見てありません。本年山口県に起きました宇部炭鉱の問題、相手方が採掘を止めたために陥落が收まつておる。採掘終了後自然にできたウオター・フラツシングによつて、被害の弁償はその当時水が溜ることによつて陥落が防がれる以前の賠償しか農民にはしていない。ところが隣接坑口を掘鑿することによつて、たまたま隣接鉱区に満水しておる水をこれに引出した、従つて水がなくなつたから、土地が急速に陷落した。この陷落の被害の補償は一体誰がやるか。この鉱業法によれば、その被害は、被害を受けたものの損失である、誰も請求する請求権の対象になるものはいない、若しこれを全鉱業権者にその鉱害を賠償せよということになれば、この鉱業法の趣旨にも根本的に反することになる。たまたま本年はこういう関連現象があつたのですが、こういうことが本年だけでなくて、これ又将来起り得る可能性は私は随時あると思います。こういう問題の解決をつけるためにも、この鉱業法の鉱害賠償の規定だけでは十分でない、こういうふうに私は考えております。この点に対して資源庁は何か、具体的に若し鉱害賠償の本法の規定による以外に何らかの対策についてお考えになつておつたらお話を願いたい、これだけでは我慢できません。
#57
○政府委員(首藤新八君) 只今の鉱害復旧の問題でありまするが、全く西田委員のおつしやる通りであります。鉱業法に対しまする法的考え方からいたしましても、又実際問題としてこの鉱害復旧の負担が、鉱業権者には出せないという面から考えましても、どうしてもこれは国がやるべきである、こういうふうに我々も考えておるのであります。従つて国家財政の面において多少でも余裕ができるような事態に相成つた場合には、国土総合開発の一環にこれを取入れまして、そうして国家がこれを原状復旧の処置をいたしたいと、実は庁内でもその意見に一致しておるのでありまして、具体的な措置を講ずべく現在準備を進めておるわけでありますので、あまり遠くないうちに適当な措置をとりたいと、かように考えております。
#58
○西田隆男君 あまり遠くないときに何とかしたいという政務次官の御答弁ですが、私はこの鉱業法が成立するのと並行しそういう措置を講じて頂くことを希望する。なぜかと申しますならば、この鉱業法による損害賠償の対象は個々の鉱業権を対象としておる。従つて被害のない鉱業権者は損害は一銭も拂わん、被害があつたものはべら棒の負担をしなければならんということに、私の鉱害賠償の基本観念から行けばそうなるだろうと考えます。然るに国としては国全体の地下資源というものに対して個々の鉱業権そのものを対象とせずに、国全体の地下資源というものを対象にして先ず第一に基本的にお考えにならなければいかん。これは国の地下資源が公共の利益のために採掘されるということは地下資源のあるところに申請をすることによつて国が権利を賦與するのである、この賦與する権利というものは平等でなければいかん、或る鉱区については損害は一銭も拂わない、他の鉱区については一トンにつき二十円では済まないような金額を拂わなければならんというような考え方を離れて国全体として、例えばメタンならメタン、石炭なら石炭一トンに幾ら幾らという大よその計算を立てて今まで数十年間採掘された地下資源の採掘の損害の発生の状況をお調べになれば分るはずだと思います。大よそどれくらいの石炭なら石炭を国が必要とするか、それによつてその石炭を日本全体の立場から考えて、地下資源の保存状態によつて判断した場合にはどんな損害が起るであろうかという予想が政府当局も一応つくはずだと思います。そうすればそれについて個々の鉱業権者を対象に重点を置かないで、日本全体の鉱業権者、企業者というものを一応対象に考えて、そうして鉱害に対する賠償をもう少し被害民の納得する形において、或いは日本の農地が荒廃しないように被害の復旧をやるように鉱実賠償の問題をお考えになるのが私は至当であると考えます。従つてさつき申しました通り、この鉱業法の成立と並行してそういう問題について政府当局が十分に考えて頂きたいと同時に、若しこの法律の中にそういうふうな條文を組入れることに何らかの支障があるとするならば、この法律以外の法律でも差支えありませんから、その以外の法律によつてでも鉱害の賠償が完全にされるように被害人が納得の行くような方法を急速に講じて頂きたい。政務次官からでも結構でございますからお答え願いたいと思います。
#59
○政府委員(首藤新八君) できるだけ御趣旨に副うように努力いたします。
#60
○西田隆男君 もう一つ二つお尋ねしたいのですが、この法律によりますと毎トン当り二十円の範囲内において供託をするということになつておりますが、鉱業権者の供託によつてどの程度の被害の賠償ができるというお見通しであるか、これを一つ御説明をお願いいたします。
#61
○説明員(徳永久次君) この規定は、実はこれによつて幾らの補償ができるということから割り出したものでございませんので、これはいわば鉱害賠償金の、何といいますか、担保金のようなつもりで鉱害賠償が発生しないでも、常時石鉱業炭によりまして発生することは大体目に見えておるのだから、発生したときに金がなくて困つたということもありましようし、被害者側に安心感を法律によりまして持たすというような意味から実は作つたのであります。この数字的な根拠につきましては、最近の状況につきまして石炭鉱業によりまする鉱害賠償がどれくらいに相成つておりまするかということをいろいろ統計的に調べたのでありますが、その統計的な数字の結果が一応平均で見ましてトン当り三十六円くらいの賠償金が支拂われておる、というような数字が出て参つたわけです。具体的にはそれは平均でございますので、六十円、或は七十円というようなケースもありまして、一概に参らないのであります。そこで法律におきましてはトン当り三十六円くらいが平均率として出ているわけですが、それの担保金というようなつもりのものを設けたわけでありますが、まあ外の法令等のバランスからいいまして、概ね三分の一を目途にしたものを平均の額にしたのが適当であらうというように考えたわけであります。平均で見まして、三十六円の三分の一と申しますると十二円ということに相成ろうかと思います。それを目安にいたしまして最高二十円ということにいたしたのであります。
#62
○西田隆男君 今の御説明を聞きますると、ますます私は分らなくなるのですが、供託金というものは、被害が起きた場合に被害者に安心感を持たせるために今の金額にしたと、実際賠償金はトン当り三十六円になつておる、トン当り三十六円平均の賠償金を拂いながら尚日本国内には二百数十億に匹敵する鉱害の復旧のできないものが残つておる。この三十六円というものは皆鉱害の復旧になつたかどうかということは問題でありましようが、あんな大きな鉱害が現在残つておるに拘わらず二十円以内、大体三分の一の十二円でよろしいというような考え方では鉱害賠償に対するあなた方の熱意が足らん、鉱害賠償の実体を認識しておられん、そういうふうにしか私は受取れんのですが、どうしてもこの法律の條文をお守りになるために御弁解をなさるという立場でなくて、本当に鉱害をどうするか、この問題をどう解決づけるかという観点からお考えになつて、やはり国が何とか介入する、これを補償するという建前をとらざる限り日本の鉱害の復旧は完全に行われないという結論があなたの御答弁によつて生れて来ておると思います。だから一つこの問題に対してはもう少し強い熱意を持つてこの問題の解決に当つて貰いたい。それからもう一つは鉱害は必ずしも結果だけから考えるべきものではない。できるだけ鉱害の発生するのは事前に予防しなければならん。こういうことも一応考えられるわけですが、この條文のいずれを見ても鉱害の予防に関しては抽象的のことが規定してあるだけであつて、本当に現実に起りつつある問題に対しては全く目を覆つているという感じがする。仮に一例を引きまするとすでにその鉱区は採掘を開始しておる、而も採掘した跡というような場所に学校とか教会とかいうような大きな建物が建てられることに対して鉱業権者は一言も発言を認められていない。すでに被害の発生したという実情において鉱業権者は被害賠償の責任を負わなければならない。而も国は地上権をお考えになつておると思いますが、地上権を制限しないという建前から、何も介入していないという状態は現実の状態ですが、この條文の中にでき得れば鉱害が発生しつつある所、若しくは鉱害が発生するであろう恐れの非常に強い所に、そういう建造物を若し建てられる場合には、事前に鉱業権者に相談するとか、或いは法律その他によつて損害は少くても済むように鉱害の拡大を未然に防ぐという意味合いにおける條文を挿入するというようなことについてあなた方はどうお考えになつておりますか。
#63
○説明員(徳永久次君) 只今のお尋ねには二つの点があつたと思いますが、一つは鉱害の発生を未然に防止するためのいろいろな規定が不十分ではないかというお尋ねでありますが、この点は実は御承知のように、この鉱山保安法が別になり、その方の領分に相成りまして、昔は鉱業法と保安法が一体でありますが、これは別の体系でありまして、その方の内容になりますので、従つてその方にその点は殆んど出ていないということになつております。それから第二のお尋ねでありますが、すでに鉱害が発生しつつある場所に新たな建造物が造られるということは、みすみす損害が生じ、建物が傷むということになるので、従つてそういう建てる人達は予め鉱業権者に相談するというような規定を設けたらどうかという御趣旨のように聞くのですが、同様なことは衆議院の公聽会でもそういう御意見が出ておりましたし、まあ衆議院の方からお尋ねを受けた際にも私はお答えしたのでありますが、実際問題といたしまして、今のお話のような運びに相成ることは極めて損害を未然に防ぐということで実際的だと思いますが、先だ家を建てる、或いは建造物を造ろうという人が法律で鉱業権者へ予めそれを申出なければという規定を置くということは、何と言いますか、第一そういう人達はその場所の下が石炭が掘られてしまつておる場所かどうかということを知りませんので、その面でそういう規定を入れても励行上、励行し得るかどうかということについても疑問もございますし、又これは理窟になつたと思いますが、被害の責任者は鉱業権者の方でありますが、その人の方に被害を受けるであろう人から予め断わらなければならないというように、法文に入れるとそういうような関係になります。それは聊か不穏当ではないかというような感じがいたしますが、いずれにしてもその問題は事実問題として鉱業権者のためにこそ、どの辺はどの程度陷落するであろうという予想についてよく御存じのわけでありまするし、従つてそこで新たに建造物がなされようとする場合に事実問題としてそこに家を建てたつて陥落するに決まつておる。或いは学校みたいなものを建てても、家が傾いて子供が怪我したら大変なことになるのじやないかというような場合に措置して頂くというより外に手がないのじやなかろうかというふうに考えたわけでございます。
#64
○西田隆男君 今の鉱山局長の御答弁では鉱業権者の方から家を建てるのに相談しろというようなお話もありましたが、私が申し上げておりまするのは、あなたの御意見ではどこが陥没するか分らないという、まあ鉱区を設定している以上、少くとも鉱区内は石炭なら石炭を掘つて陥落するということは一応考えられる。せめて鉱区内に対する、これは山その他は大した問題でもないでしようが、鉱区内で未だ建物も何も建つておらないような場所に、当然これは掘るつもりで鉱区を出願しておるが、掘れば陷落するということは分り切つているというような場所に対して、地上権と鉱業権との関係を調整することによつて、何らかの鉱業の被害を未然に防ぐような手はないのかということをお尋ねしておる。あなたの御答弁の趣旨、と私の質問とが大分違うのですが、できないというお考え方ですか。
#65
○説明員(徳永久次君) 法律的に確かにお話のごとく鉱業権を設定している以上、いずれ掘るに決まつておるということは明らかだと思うのですが、どの場所がいつ頃掘ることになつておるか、鉱区は設定してありましても、極端な例を申上げますと、十数年掘られない場所もございましようし、まあ法律で鉱区になつておる場所の地上権者が鉱業権者に一々それを事前に協議した上でなければ地上権に基いてその上に家を建てることはできないのだというような仕組にすることは、柳か法律の体系としても行過ぎになるのじやなかろうか。まあ九州の北九州のような陷落の地帶の激しい場所には、おのずからその辺に陷沒の、状況等も分つて来ることでありまするし、実際問題として片付けて頂くことが最も賢明な又実際に合うものではないか。どうも法律でそれを料理しようといたしますと、非常に行過ぎになつて実情に合うようなことはいたしかねるのじやないかと思います。
#66
○西田隆男君 おかしな話を聞くものでして、法律ですることはどうだこうだということはどういうわけですか。必ずしも法律の條文を作つて、そういう規定をせよという意味ではなしに、そういうように通産局なり委員会でやるのだ。そうして決定した場合は農地調整法に優先するのだという規定が作られ、委員会が運用されるということであれば、せめて今申上げた基本的な考え方に基いて、鉱業権の設定されておる、これは山の上とか何とかいうことは別ですが、早急に掘られそうな場所に、建物の存續が掘る間には持ちそうな、そういうふうな條件のところに対しては、そういう委員会なり通産局なり設けられて、そこで取上げて、そうして事前に鉱害の起きないような予防的な措置を講ずるという考え方をし、そういうふうな措置はとられないというふうには私は考えないのですがね。現在の鉱業被害者の発生の実態から考えて、現在もうすでに起きている問題は仕方がないのですが、新しく掘るのでも、これから先のことを考えますと、そういうふうな措置は当然とらるべきだと思います。
#67
○委員長(深川榮左エ門君) ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#68
○委員長(深川榮左エ門君) これにて委員会を散会し、懇談会に移ります。
   午後三時十三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長    深川榮左エ門君
   理事      廣瀬與兵衞君
   委員
           上原 正吉君
           重宗 雄三君
           松本  昇君
           小松 正雄君
           島   清君
           吉田 法晴君
           加藤 正人君
           山川 良一君
           駒井 藤平君
           境野 清雄君
           西田 隆男君
  政府委員
   通商産業政務次
   官       首藤 新八君
  説明員
   資源庁次長   岡田 秀男君
   資源庁鉱山局長 徳永 久次君
   資源庁鉱山局鉱
   政課長     讃岐 喜八君
ソース: 国立国会図書館
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