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2000/11/21 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 交通・情報通信委員会 第5号
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2000/11/21 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 交通・情報通信委員会 第5号

#1
第150回国会 交通・情報通信委員会 第5号
平成十二年十一月二十一日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十六日
    辞任         補欠選任
     世耕 弘成君     鹿熊 安正君
     福本 潤一君     弘友 和夫君
 十一月二十日
    辞任         補欠選任
     常田 享詳君     世耕 弘成君
 十一月二十一日
    辞任         補欠選任
     筆坂 秀世君     八田ひろ子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         今泉  昭君
    理 事
                景山俊太郎君
                鈴木 政二君
                寺崎 昭久君
                森本 晃司君
                渕上 貞雄君
    委 員
                鹿熊 安正君
                世耕 弘成君
                田中 直紀君
                中島 啓雄君
                野沢 太三君
                山内 俊夫君
                齋藤  勁君
                内藤 正光君
                山下八洲夫君
                弘友 和夫君
                八田ひろ子君
                宮本 岳志君
                岩本 荘太君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        舘野 忠男君
   参考人
       日本電気株式会
       社代表取締役社
       長        西垣 浩司君
       岐阜県知事    梶原  拓君
       東京工科大学メ
       ディア学部教授  清原 慶子君
       弁護士
       近畿大学産業法
       律情報研究所講
       師        岡村 久道君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案(
 内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(今泉昭君) ただいまから交通・情報通信委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、福本潤一君及び世耕弘成君が委員を辞任され、その補欠として弘友和夫君及び鹿熊安正君が選任されました。
 また、昨二十日、常田享詳君が委員を辞任され、その補欠として世耕弘成君が選任されました。
 また、本日、筆坂秀世君が委員を辞任され、その補欠として八田ひろ子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(今泉昭君) 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案を議題といたします。
 本日は、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案の審査のため、日本電気株式会社代表取締役社長西垣浩司君、岐阜県知事梶原拓君、東京工科大学メディア学部教授清原慶子君及び弁護士・近畿大学産業法律情報研究所講師岡村久道君の四名の参考人の御出席をいただき、御意見を聴取し、質疑を行います。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本案審査の参考にしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
 本日の議事の進め方について申し上げます。
 まず、西垣参考人、梶原参考人、清原参考人及び岡村参考人の順序でお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 なお、参考人の御発言は御着席のままで結構でございますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おき願いたいと存じます。
 また、恐縮ではございますが、時間が限られておりますので、なるべく簡潔に御発言いただければありがたく存じます。よろしくお願いをしたいと思います。
 それでは、まず西垣参考人からお願いをいたします。西垣参考人。
#4
○参考人(西垣浩司君) ただいま御紹介賜りました西垣でございます。私は、御紹介のようにNECの代表取締役社長を務めておりますので、本日は企業経営者という立場からIT基本法案に関する意見を申し述べます。
 お手元に九ページにわたる資料を用意いたしましたので、これをぜひ御参照いただけたらというふうに思います。
 まず、二枚目の表でございますが、この表は国際経営研究所が各国の競争力を比較して順位をつけたものであります。総合力では米国が一位であり、シンガポール、フィンランド、オランダと続いておりますが、日本は十七位ということ、これは全四十七カ国中でございますが、決してトップクラスではないということを御認識いただけると思います。
 この国際競争力の低下が、短期的には景気の本格的な回復のおくれ、そして中長期的には我が国のプレゼンスの低下につながるものであります。現在、我が国は絶対値においては米国に次ぐ経済大国ですが、今の競争力比較を見るとき、決して安閑としていられないということがおわかりいただけるかと思います。
 三枚目をおあけいただきたいと思います。
 その背景ということでございますが、私どもの考え方では、これは日本社会全体の高コスト体質、特に日本の高賃金であるというふうに思っております。例えば、私どもでもタイ、フィリピン、中国等に現場を持っておりますが、これらの現場では、大体賃金百ドルから二百ドル、月給一万円から二万円という目安で大変優秀な中学卒の労働者、ワーカーが働いております。さらに、従来、単純労働はこういうところでという観点があったんですが、私ども現に回ってみますと、こういうクラスの人たちが、実は小集団活動といいますか、日本でやっている生産革新あるいは品質管理運動等々を大変熱心にやっておりまして、私どもが行きますと一生懸命グラフを示しながら説明をする。その姿を見ると大変感動的ですらあるわけでございます。
 したがいまして、これだけ賃金格差があるこの日本、これを競争力を維持向上させていくためには、何といってもITの力をフルに活用して社会全体の生産性を上げるということとともに、産業全体をソフト、サービスを中心とする高付加価値型に転換していくしかない。もちろん製造業がだめということじゃございませんが、日本でしかできないような高度な製造業並びにソフト、サービスを中心とする高付加価値型の社会に転換をしていく必要があり、そのためにもIT社会への早期変換は必須であると、このように考えておるわけでございます。
 次のページでございますが、三ページ、高速ネットワークの加入者数というページでございます。
 しかしながら、IT戦略会議で問題意識が出されましたように、我が国のITの活用はおくれておるわけでございます。原因の所在は、情報ネットワークの構築側と利用側、双方にあるわけでございますが、特に問題点は、ラストワンマイルといいます最終の需要者につながる線が大変遅いということでございます。この加入者線の高速化ということが実際にインターネットを使うときに大変な不便をもたらすということでございます。
 一方では、iモードを中心としたいわゆる移動体通信に関しては、これは世界に冠たる技術力並びにアプリケーションの広がりを見せておりまして、これからのビジネス転用ということは大変有望であろうと、このように私は認識をいたしております。
 次のページでございますが、一方、情報ネットワークの利用者側にもこれは問題があるわけでございまして、もちろんネットワークの利用料金が高いという問題もあるわけでございますが、まだまだ企業のネットワークの利用の中心はこの図にあるように電子メールという段階にとどまっておりまして、本格的な電子商取引を行うには至っていないということでございます。
 これは甚だ私見ではございますが、どうも日本の社会というのは、大変大きな変革に対して内からの変換といいますか、これがおくれがちになるというそういう特性があろうかというふうに感じておりますが、これが少し悪くこの変革に対して作用をしておると、このように認識をいたしております。
 次のページでございます。
 このBツーCということでございますが、いわゆる企業とそれから最終需要者、この間をつなぐBツーCの電子取引ということ、これの規模を比較いたしましても、日米間で大変大きな差があるわけでございます。経済規模が倍だというふうに考えましてもこの差は非常に大きいし、先行きもその差が縮まらない、こんな予測になっております。
 こういう状況を打破するために、IT戦略会議では、超高速ネットワークの整備のほかに、電子商取引を推進するために電子商取引の特質に応じたルール整備、例えば書面交付義務を緩和するための一括法案、これは現在審議中であるとお伺いしておりますが、このようなこととか、あるいは電子商取引を支える制度基盤の整備、知的財産の保護、個人情報の保護等が推進されることになっております。その早期実行が必要であるというふうに考えております。
 こうした基盤整備とともに重要なのが、やはり日本全体がITをもっと活用するというドライブをかけることでございまして、私は戦略会議でもそのための有力な手段の一つとして電子政府の推進ということを常に発言をいたしております。
 次のページでございますが、IT活用でおくれをとった我が国がこれをキャッチアップを図っていく、そのためには政府が率先してIT活用を進めることが非常に有効であろうと私は考えております。特に電子政府、これは中央はもとよりのこと、地方公共団体に至る電子政府の展開、それからそれに伴う電子調達、これはIT革命を推進する上で特に重要であるというふうに考えております。
 その理由としては、申請作業とか受付作業等の負担減によりまして企業や行政の効率が上がるということ、それからGツーB、いわゆる政府あるいは地方公共団体と企業との取引を通じて中小企業にもインターネットの利用を広げることができるということでございまして、それはBツーB、さらにはBツーCと展開してまいると思います。電子調達ということになりますと、インターネットを使わないと商売に参加できないということになりますので、これは大変速い広がりを見せるというふうに思っております。さらに、ワンストップ化とか処理の迅速化等によりまして行政サービスが向上する、このように考えております。
 このように、電子政府あるいは電子調達は、民間への波及を含めますと、ITの活用、推進にとって即効性があり、日本政府、経済全体に大きな波及効果をもたらすというふうに考えておりまして、政府においても現在鋭意実行に移される計画がございますが、私ども拝見しておりますと、甚だ僣越ではございますが、そのスピードがもうちょっと上がらないかなと。現在の計画では平成十五年度に九五%という目標が設定されておりますが、平成十四年度までには九%ということでございます。ラストヘビーということで計画がなされておりますが、このシステム化という仕事の性格からいって、おくれる理由はたくさんございますが早まる理由はないと私ども経験で思っておりますので、ぜひこれの前倒し、積極化が必要かというふうに考えております。
 次のページでございますが、建設省では既に二〇〇一年の四月、電子納品の一部開始、十月、電子入札の一部開始、それから二〇〇四年の四月に電子入札、電子調達の完全実施、こういうことで電子調達を始めることになっております。
 これに伴いまして、次のページにございますように、まずは大手建設会社では既にこれに対応するさまざまな手段が打たれておるわけでございます。この関係が地方公共団体にまで及びますと、当然中堅中小企業もこのような構えを進めていく、こういうことになると思います。
 米国におくれている、おくれていると言っておりますが、民間では米国とも組みまして、マーケットプレースの展開、あるいはサプライ・チェーン・マネジメントという流通の効率化、こういうことが既に始まっておるわけでございまして、ここで加速をつけて、このIT基本法を成立させて、戦略会議で議論された諸施策の実行、これが極めて重要と考えております。ぜひよろしくお願いをいたします。
 以上で私の意見陳述を終わります。
 ありがとうございました。
#5
○委員長(今泉昭君) ありがとうございました。
 次に、梶原参考人にお願いをいたします。梶原参考人。
#6
○参考人(梶原拓君) お手元にメモ書きで「IT基本法案について」という一枚紙をお渡ししております。このIT時代にこういうメモ、まことに恐縮でございますが、お許しを願いたいと思います。
 第一に、行政の立場から申し上げまして、あるいは地方自治体の立場から申し上げまして、このIT基本法を早く制定をお願いしたいと思います。そして、早く具体策も決めて実行をしていただきたい、かように念願をいたしております。
 今、西垣参考人がおっしゃったように、日本はかなりIT戦略におくれをとりまして、残念ではございますが、おくればせながらでも国の姿勢をこういう形で明確にして、どんどん各種施策を展開していただきたい。それが地域の中小企業だとかあるいは地域住民だとかあるいは地方自治体のためである、こんなふうに思います。
 そこで、岐阜県の取り組みでございますが、もう十年以上前から行政の情報化を進めておりまして、RENTAIという情報システムを構築しまして、さらにインターネットを通じまして県民の皆様にもつながる県民情報ネットワーク、KJNでございますが、それで県民の皆さんにオープンにしている。
 それから、教育の情報化もSMILEという情報システムを構築しまして、学校間とかあるいは図書館とかいろんなところのネットワークを組んでおります。そして、パソコンとかインターネットに接続、そういった面で日本で一番進んでおるという評価をいただいておりまして、この二、三年、私立幼稚園の方もパソコン教育を始めていただいております。
 それから、これからはソフトウエアが大きなかぎになるということで県下大垣市にソフトピアジャパンという拠点をつくりまして、そして物づくりといかに連携させるかということが大事だということで、バーチャルリアリティー、VR技術を活用するVRテクノジャパンというものを県下各務原市に設置してございます。
 国のIT戦略会議に呼応いたしまして、岐阜県もIT戦略会議というものを立ち上げまして、市町村の情報化、中小企業の情報化、こういうものにこれから重点的に取り組むということでいろんな施策を具体的に進めております。
 そして、そういう取り組みをしていく上での岐阜県なりの考え方でございますが、IT革命をどう認識するか、歴史的に大きな流れとして認識をしていく必要があろうかと思うわけでございまして、IT革命は三つの革命から成っておる、こんなふうに思っております。
 一つは、人類第二の頭脳革命である。
 人類が百七十万年前に直立歩行を始めまして、背骨で頭脳を支えることによって脳細胞が大きく進化した、あるいは道具を使ってそれによって脳細胞も刺激された、こういうふうに言われておりますが、現代はコンピューターという人工の第二の頭脳を一部専門家だけではなくて大衆が使える、こういうことになったということで、中国語でコンピューターを電脳と言われておりますが、この電脳をいかに大衆が共有していくかということが課題である。それから、人類は群れをなして進化してきたと言われておりますが、インターネットのネットワークはまさに現代的な人類の群れでございまして、我々これを電群と呼んでおりますが、そういう全く新しい時代に入ったということで、だれでもいつでも安く簡単に電脳を使える、こういうことにしていくことが課題ではないかと思っております。
 それから、人類第三の産業革命が進行中である。
 土地とか太陽エネルギーに依存した農業社会から工場と筋肉労働者から成る生産メカニズムの工業社会、それから今進行中の革命はコンピューターと頭脳労働によって生産をしていく、こういう仕組みに変わりつつあるという認識をしております。
 それから、第四のネットワーク革命が進行中である。
 四百年前ないし五百年前、大航海時代というものがございましたが、船舶と航路の開発によって大きく世界が変わりました。それから次に、機関車と鉄道の整備普及によってこれまた世界が大きく変わった。それから第二次大戦後、自動車が大衆化し、そして道路の整備が進むことによって大きなネットワーク革命が起こった、このように認識しております。
 現在は自動車に相当するマルチメディアと道路に相当するインターネット、このネットワーク革命が進行中でございまして、この三つの大きな革命が重層的に進行している、こういう時代認識を持ってITの諸問題に取り組まなきゃいけないと。単なるパソコンブームだとかインターネットブームだとか、そういう浅はかな認識では取り返しがつかないことになるということで、先ほど申し上げましたように、十年以上にわたって岐阜県はこの情報政策を進めてまいりました。
 そこで、ITを行政の上でどう使うかという行政上のITの役割でございますが、一つは電子政府という課題がございまして、これによって行政サービスを高度化していく。岐阜県は行政改革を早い、安い、ガラス張り、説明責任という四つの柱で進めておりますが、こういうものに大きくITが貢献すると考えております。一例を挙げますと、建設事業、透明性が問われておりますが、建設CALS・ECというものを全国に先駆けて取り組んでおります。
 それから、二番目が非常に重要でございまして、機会の均等化作用というものが極めて重要である。弱い者は強くなるし、小さな者でも大きな仕事ができるという機能をITが持っているということでございまして、障害者も高齢者も若者も女性もひとしく機会を与えられて自己の能力を発揮できる。辺地、過疎地にありましても高度医療の機会を与えられる、あるいは低所得者でも学歴が余りない人でも零細業者でもITを活用することによって大きな恩恵を受けることができる、こういうことでございます。
 それから、格差の防止でございますが、民間活力の活用だとか市場原理ということが言われておりますが、それも限界がある。市場原理のまま放置しますと弱者にしわ寄せが来るということでございまして、やはり公共の論理というものも併存していく必要があろうかと、こんなふうに考えます。特に、インフラ整備、今、西垣参考人がおっしゃったラストワンマイルを含めて、インフラ整備というものに公的に関与していく必要がある。それから、コストを極力低廉にするということも重要な課題である。
 それから、操作性をよくする。これは随分改良が進んでおりますけれども、障害者でもあるいは高齢者でもだれでも簡単に端末を操作できるということが機会均等化作用を高める上で極めて欠くことができないことである、こんなふうに考えております。
 そういう意味におきまして、財政における支援ということも十分考えていただかなきゃいけない。公共事業はだめだとか、そういう単純な論理だけでは大きなひずみをもたらす、かように考えておりまして、私ども全国知事会でもIT戦略会議に対する意見をまとめて提出いたしております。きょうは資料としてお届けしておりませんが、ぜひそういう点も御配慮をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
#7
○委員長(今泉昭君) ありがとうございました。
 次に、清原参考人にお願いいたします。清原参考人。
#8
○参考人(清原慶子君) このたびは意見陳述の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。
 私は、情報通信ネットワークやメディアと私たち国民のライフスタイル、ワークスタイルの関連性につきまして、メディアの利用者の視点から、最近では特に高齢者、障害者を対象にいたしました調査研究をし、そして政策研究をさせていただいている立場から意見を申し上げたいと思います。
 まず、日本が望ましい高度情報通信ネットワーク社会形成の方針を示すことの意義について意見を申し上げたいと思います。
 申すまでもなく、国際的な情報通信ネットワークが普及いたしまして、国際的に情報交流や電子商取引、あるいは仮想的な地域社会とでも申しましょうか、バーチャル・コミュニティーが拡大してきておりまして、まさに国境を越えたいろいろな交流が進んでおります。しかしながら、国際的なデジタルディバイド、情報格差問題もまた顕在化しております。
 そのような状況を認識いたしますと、私たちは情報通信技術の革新と関連し合いながら変動しております国際社会において、日本が情報通信政策についての基本方針を明確に示すことは意義あることと考えます。
 とりわけ、日本は少子高齢化が急速に進展しておりまして、それに対応する情報通信政策のあり方を具体的に示すことは、今後、少子高齢化の後を追いかけてきます世界に先駆けてモデルを提示するという社会的、国際的な意義もあると考えます。
 政府がIT戦略本部を置かれ、IT戦略会議とともにITをめぐる政策を進めていらっしゃる中で、確かに国民のITへの関心というものは高まってまいりまして、いろいろな側面に浸透してきております。けれども、ともすると経済政策の側面のみに注目が集まっているようなところがございまして、幅広く社会政策としての取り組みを明確に示すことは、政府が主導するというのではなくて、国民主導と国民参加による高度情報通信ネットワーク社会の形成が具体的に見えてくるという意味で意義があると考えます。
 国民の視点に立ちまして、創造性豊かな高質の高度情報通信ネットワーク社会の施策を各省庁、自治体が連携して推進していくために、基本法の策定には積極的な意義が存在すると認識します。
 それでは、具体的に少子高齢化に生かす情報通信ネットワークのあり方でございますが、これを国としては提示していただきたいと思うのですが、まず私たちの身近になっておりますインターネットと携帯電話の爆発的とも言える普及、また特にNTTドコモさんのiモードに代表される携帯端末によるインターネット利用者が増大してきております。しかし、今の現状は、幼児期に主として接触するメディアが異なる世代が同時に生きる希有な時代ということも言えます。白黒テレビもなかった世代と、生まれながらにしてテレビの主人公としてVTRなどに収録された自分の映像を見ることができる世代が共存しているわけです。
 急速な高齢化の進展、核家族化の定着と、過疎地のみならず、都市部に増加する高齢者のひとり暮らし、二人暮らしという問題は、安全の保障の面でも重要な課題を私たちに提示しております。退職後の人生をいかに健康に、安全に、生きがいを持って生きていくかが共通の課題でございます。
 特に、中高年期に加齢や疾病、事故等によりまして中途障害を得る者が増加しております。この中途障害者は点字や手話などを身につけることが困難でございますので、障害種別による利用にはバリアが存在します。ITを使う有効性と、しかしそれを生かすためには操作性や料金等で課題も存在します。
 「シニアSOHO普及サロン三鷹」、「仙台シニアネットクラブ」などの実践は、私たちに高齢者もまたコンピューターリテラシーを持つことにより相互に学び合ったり、若い人たちに教えることを通して世代間交流も始まっております。社会人や学生によるパソコンボランティア活動や、企業が積極的にパソコン講習会やサポート活動を並立的に行うことによって、とりわけ高齢者や障害者、移動に困難のある人、不登校や病気療養中の児童生徒もフォローアップがなされております。
 医療、保健、福祉の連携、防災基盤などを推進していくためにも、効率的で開かれた小さな政府の基盤としてITを活用していただきたいと思います。
 高齢者、障害者にとって、ITは移動を代替する機能を基礎にしながら、教育、就労等社会参加のために必要な情報提供や交流手段としての光の面の有効性が期待されております。また、テレワーク、SOHO、スモールオフィス、ホームオフィスと言われるものは、雇用を削減するという部分ではなくて、むしろ新しい雇用や企業の創業などワークスタイルの創出の効果が期待されております。この意味で、私たちは情報バリアフリーの方向性を推進しつつ、参加の拡大のためにITを使いたいと思います。
 情報保障はIT時代の基本的な人権として共通認識を持つべきと考えます。
 通産省、郵政省等が機器等のアクセシビリティーの指針を示してくださっていますし、いろいろな取り組みをされていますが、さらにそうした取り組みに高齢者、障害者等利用者一般の参加が保障されて、よりよい使い勝手が目指されることが重要だと思います。
 こうしたデジタルディバイドに配慮しつつ、情報格差に配慮しつつ、だれもがITの利便性を享受できますように、情報機器のユニバーサルデザイン化をメーカーの方に御協力いただくとともに、地域社会でもITに関する学習機会の整備等、学校を新たな拠点として取り組んでいただくことが有効と思います。
 三点目としまして、先導的な取り組みとしての電子政府推進の意義を申し述べたいと思います。
 政府は、ミレニアムプロジェクトとして電子政府の実現を進められています。行政情報を利用しやすくする総合クリアリングシステムや自治体との接続を推進する総合行政ネットワークの実験も実施されております。電子政府の構想が霞が関の中から自治体、地域に広がりつつありますけれども、これはいろいろな効果が見えております。
 審議会、委員会等の公開について、インターネット放送を含む新しい手法によりまして、国民はリアルタイムに、即時的に国の動向、国会の動向等を知るということは、まさに民主主義として行政そして議会を身近なものに感じさせるという意義があるでしょう。
 国民の参加の前提である公開と透明性を推進するということは、今後も積極的に果たしていただきたいと思います。
 特に、税の電子申告による利便性というのは、今後、自治省による法人住民税や個人住民税の電子申告に向けてのモデル事業が推進されると伺っておりますけれども、実感として多くの国民に電子的な国とのやりとり、役所とのやりとりが効率的で信頼性のあるという実感を得ることになるでしょうし、電子申請や電子決済等電子商取引として有効なものを公的な信頼性のある機関とやることによってそのメリットを実感するという可能性を秘めております。
 ただ、もちろん税の申告を初め許認可申請手段として直ちに電子申告・申請のみを唯一の手段とするということは望ましくないでしょう。私たちは、多様な世代が多様なメディア利用を行っておりますので、ぜひ多元性を確保するという御配慮もいただきたいと思っております。
 終わりに、情報通信技術に依存しました情報利用とコミュニケーションというのはいわばバーチャルな、仮想的な社会をつくり出すわけですが、私たちが五感で人間関係を持ち、感じ取ることができる現実の社会とのバランスが保たれませんと、国においては安全保障、企業等においては危機管理、個人においては健全な身体と精神とのバランスの保持が困難になるおそれがあります。ITのみが推進されることが私たちの幸福を招くということはございませんので、ITを賢く使いながら、私たちが精神的にも豊かな暮らしをつくっていかなければなりません。
 このような技術の変化が激しい中、子供だけでなく大人も新たな社会への適応を求められております。高度情報通信社会基本法におきましても、時間的に硬直的な法律ではなく、変動を調査研究しつつ、適合的に修正や補強をしていく必要があると思います。また、時限的に目標を具体的に定めた重点計画の実施に際しましては、ぜひ国民、民間の主体的な活動と国等の取り組みとの関連づけを有効に図っていく仕組みをつくっていただければと思います。
 私たちは、情報通信技術に翻弄されることなく、広い意味で少子高齢社会における国民の生活、とりわけ人間のコミュニケーションや人間関係に与える影響を踏まえた取り組みを強く求められていると思います。
 以上、早口で申し上げましたが、参考にしていただければありがたいと思います。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(今泉昭君) ありがとうございました。
 次に、岡村参考人にお願いいたします。岡村参考人。
#10
○参考人(岡村久道君) ただいま御紹介にあずかりました岡村でございます。
 私は、我が国の中では比較的早い時期から、情報通信ネットワーク関係の法律に弁護士及び大学教員という立場から実務と研究の両面で携わってまいりました。本日は、こうした立場から参考人として率直に意見を申し述べたいと思います。
 まず最初に、今回、この基本法が立法の運びに至りましたことにつきまして積極的に評価申し上げるものであり、政府関係者の御尽力に対し深く敬意を表するものであります。
 法的側面から見た背景及び現状ということについて簡単に申し述べます。
 インターネットは、つい十年ほど前までは理科系の研究者を中心といたしました、ある意味では閉鎖的な学術ネットワークでございました。その後、急速に九〇年代に入りましてから商用化が進められるとともに、商業利用を含めてだれでも自由かつ比較的簡単に利用できる本当の意味でのオープンなネットワークとして一般大衆に開放されるようになりました。その反面、実社会におけるさまざまな問題が一気にインターネットに流入し始めたことも事実でございます。
 この商用化の結果、国境の壁を越えた大衆のデジタル情報が行き交う公道としての存在へと性格を変容させた現在におきましては、法的な基盤整備が各国で議論されるに至りましたのは、その意味では必然的な流れにほかならないと考えております。一種の比喩のような言い方をいたしますと、公道という存在でございますので、未成年者も通りますれば交通事故なども発生するということも十分に考えられます。したがいまして、これを国際的なハーモナイゼーションに配慮しつつ、総合的な政策づくりが必要となったわけでございます。
 インターネットを中心とするIT革命には、光の面だけでなく影の面があると指摘されることがございますが、以上のような背景がその重要な要因の一つとなっているように思われてなりません。
 こうした見地から、本法案を光のみならず影の双方の部分から検討したいと思いますが、時間の関係もございますので、本日御配付いただいております「意見陳述の詳細」ということを詳しい部分については読んでいただきたいと思います。
 次に、情報通信ネットワークと消費者保護という観点から申し述べます。
 ネットの世界は実社会の合わせ鏡であると指摘されることが少なくございません。インターネットの商用化以降、いわゆるネズミ講あるいはマルチ商法といった悪質商法が電子メールなどを媒介してネットの世界に流れ込んできており、警察庁のウェブなどでも注意が呼びかけられております。また、東京証券取引所のいわゆるホームページの中でも、インターネットのメリットは詐欺師も受けておりますという甚だショッキングな呼びかけが消費者に対して行われております。
 さらに、国民生活センターがつい最近公表しました調査結果によりますれば、全国の消費者から寄せられたネット関連の苦情件数は、九五年度はわずか六十三件にすぎなかったところ、その後毎年倍増し続けて、昨年度はインターネット便乗商法を初め実に六千件を超える状況へと急増している状況でございます。もとより、母数でありますネット利用者の急速な増加という点が被害者件数の急増の原因となっているということは否定できない事実でございますが、それにいたしましても、何らかの対処が必要であるということは否定できない事実であると存じます。
 こうした背景のもとで、昨年十二月にはOECD理事会がガイドライン、電子商取引についての消費者保護ガイドラインというものでございますが、それが承認されておりまして、諸点に触れられております。
 本法案でも、電子商取引等の促進という条項中で消費者保護に言及されているということだけでなくて、衆議院で可決された際の附帯決議にもその旨が出てまいります。
 本法案に至りますまでの我が国の現状を検討いたしますと、今春成立の電子署名法では、例えば第三者が勝手に他人名義を使って成り済ましをした場合とか、あるいは認証機関の認証が誤って、請求を受けたような場合については、何ら触れられているところがございません。電子署名は今後不可欠の技術になると思われますので、消費者保護の見地から不安が残る状況でございます。
 また、最近成立いたしました書面交付利用整備法におきましても、これまで書面の交付が要求されてきたものを消費者の同意を条件に電子メッセージで代替できるということになっておりますけれども、やはり消費者保護という観点からは不安が残ることも事実でございます。
 その一方、訪問販売法の改正などで、最近もなされましたけれどもいろいろと御努力がなされており、また公正取引委員会もネットへの対応策を打ち出しておられるところでございます。しかしながら、例えばネット上でのソフトウエアとかコンテンツの通信販売などについては、訪問販売法、今回変わりました特定商取引法ですが、その対象から除外されている等、まだまだ十分な状況ではございません。こうした点の御配慮を強くお願いするものでございます。
 次に、行政の情報化という点について申し上げます。
 今回の法案中にも出てまいりまして、これは非常に大きな意義を有するものと考えてはおります。しかしながら、電子化されることの結果といたしまして、例えば電子署名あるいは事前のユーザー登録を必要とするなどかえって煩雑な手続が要求されるということになりますと、結局のところ、国民みずからが独力で手続を行うことが困難になりかねないところがございます。さらには、手続の説明をウェブで閲覧しても非常にわかりにくい専門用語が並んでいるということでは、国民はみずからのそういう手続を行うことを事実上断念せざるを得ないということにもなりかねません。
 国民の利便性の向上という観点から考えるならば、そうした面でも利便性のよい、本当に使い勝手のいいシステムの構築ということが同時に必要になろうかと存じますし、そうして初めてデジタルディバイドの是正ということが可能になると思われます。
 さらに、電子情報公開ですが、米国の場合は、今回の資料にもついておりますけれども、九五年に文書削減法というのができておりまして、電子データ化が促進されております。こうした点が今回の法案では、あるいは方向性では示されておりません。行政の効率化のみならず、情報公開の電子化という側面からいたしましても、こういう点にもぜひ御配慮いただければと存じます。
 さらに、オンラインプライバシーの保護の問題について申し述べます。
 我が国では、昨年の京都府宇治市の漏えい事件等々、漏えいという問題が中心になっております。しかしながら、アメリカの場合には、むしろネットを介して無断で個人情報を積極的に吸い上げるという非常に深刻な社会問題となるべき事件が発生しておりまして、我が国でも今後さらに重大になるものと思われます。
 我が国では、現在、個人情報保護基本法制に関する大綱が決定され、立法作業が進められております。しかしながら、こうした大綱を拝見する限り、最新のネットワークへの対応という問題が甚だ不十分な嫌いがあるように思われてなりません。こうした最新の状況を踏まえながら立法化が進められていくことを強く望むところでございます。
 さらに、総合的な政策などの必要性ということでございます。
 我が国の場合は、大学教育におきましても、大学の研究におきましても非常に強い縦割りの法学教育となっております。しかしながら、現状のようなネットワークの問題を申し述べますと、今も申し述べましたとおり、プライバシー、知的財産権あるいは商事取引、民事訴訟法など、極めて学際的な、学問の領域を超えた状態になっております。
 アメリカのロースクールの場合には、コンピューターテクノロジー関係の法律講座が数多く設置されるなど、これに対応している状況でございます。我が国におきましても、大学教育でこうした縦割りを除去した新しい枠組みのもとで研究が進められ、産業等と一体となって、真に国際競争力がある人材の輩出ということができるように思えてなりません。そういうような形の要望の方もお願いしておきたいと思います。
 また、ドッグイヤーという状況でございますので、三年以内の見直しと今回の法案では規定されておりますけれども、ぜひとも常に見直しを続ける体制づくりということをお願いしたいと思います。
 最後に、ほかの方からも出ましたけれども、我が国は、アメリカはもとより、アジアの諸国などと比べましても総合的な政策が立ちおくれた状況であることは否めません。したがいまして、本法案が速やかに成立に至ることを願うとともに、本法案成立後、これに基づいて一層迅速かつ積極的で大胆な政策を御推進願いますよう要望いたすものです。
 御清聴ありがとうございました。
#11
○委員長(今泉昭君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○世耕弘成君 自由民主党・保守党の世耕弘成でございます。
 きょうは四人の参考人の先生方、本当に御多忙の中御出席をいただきまして、大変ありがとうございました。
 きのう衆議院で不信任案の否決が本会議で行われたわけですけれども、ちょうどそれと同時にインターネットで、いろんなところの掲示板でその状況を見ながら意見交換なんかが行われていまして、やはり世の中、民主主義のあり方自体も変わってくるんじゃないかなという予感をしながら、きのう深夜まであのやりとりを見ておったわけであります。
 きょう四人の参考人の先生方がまず共通して非常に力点を置いておっしゃったのは、やはり電子政府の問題であったと思います。これは四人の方々すべてお触れになりました。そしてまた、今回のIT基本法案でも十九条、二十条でやはり電子政府を実現していくんだということを高らかにうたっております。
 私も当然電子政府は実施に移していかなきゃいけないと思うものでありますけれども、突き詰めて電子政府を進めていくと、私は最後はある一個の大きな問題にぶち当たると思っているんです。それはIDの管理だと思っています。
 最終的に究極の電子政府を実施していくには、やはり個人の通し番号、これを活用して効率的に行政を展開していくということがかなり重要なポイントになってくるんじゃないか。もちろんセキュリティーとかプライバシーへの配慮というのは、これはまず最大限配慮されなきゃいけない問題であることは当然でありますけれども、個人のIDを使って効率的な政府をやっていく。
 例えば、納税に関してもIDを使ってやっていくとか、あるいは例えば、今ではとても実現不可能ですけれども、IDを使うことによって所得レベルに応じて消費税が高かったり安かったりするとか、あるいは一カ月にお米一袋までは消費税がかからないとか、そういったこともできるようになって、かなり国民の利便に役立つのではないかと思います。ただ、一方でセキュリティー、プライバシーの問題も心配です。
 このことについて、まず行政のトップとして梶原知事はどうお考えになっているか、そしてまたきょうの陳述の中でもプライバシーについてお触れになった清原参考人と岡村参考人はどうお考えになっているかについて、まずお伺いしたいと思います。
#13
○参考人(梶原拓君) その問題は、かつて住民基本台帳法案の審議のときに大きな問題になりまして、私たち自治体の立場といたしましては、住民基本台帳というのは確かに本人の認証、確認していく上で大変基礎的なシステムだと思います。
 これをいろんな方面で活用するという案も確かにございますが、住民基本台帳の仕事は市町村の固有事務なんですね。したがって、その住民番号というものをどう使うかということは、まずは市町村の意見を優先すべきだと。そして、市町村の意見は地域住民の意見を反映したものでなきゃいけない、こういうことでございまして、住民基本台帳の基礎的なネットワークの上に何をプラスアルファで加えていくかということは、やはりまず市町村レベルで論議されるべきではないかと思います。住民基本台帳のサービスだけでは物足りないという市町村が岐阜県の場合も随分多いんですね。
 御指摘のような行政サービスをプラスアルファするかどうか、これはこれから大いに市町村レベルで論議して決めていくべきことではないか、こんなふうに思っております。
#14
○参考人(清原慶子君) 今の御質問に関しまして、私もIDの管理というのは極めて重要なテーマだと思います。
 ただ、国民の率直な感情から申し上げますと、例えば納税者の番号は納税者の番号、保険、年金の番号は保険、年金の番号、今まで別にございましたし、新たに住民基本台帳の、住基のネットワークの番号十けたということが出てまいりましたが、統合化されるよりは多元的に存在した方がそれはそれで国民としての義務を果たしやすいというような認識が強いような感触を得ております。
 それは、一方で、国民感情もございますが、他方で、例えば仮に一つの通し番号が国民に割り振られた場合、それを保証する例えばカードなりなんなりを持っておりましたときに、それを紛失したときどうしようかであるとか、あるいは単一になったことの利便性もありますけれども、自分をいつも保証するものがカードになってしまっているということに関する素朴な違和感というのも示されておりまして、そういう意味で、今、梶原知事がおっしゃいましたように、私も効率性、利便性の影の部分というのも認識しておりまして、国民的議論をもう少し重ねないといけないなというふうに思っております。
 住基のネットワークはそのよいきっかけを住民にも与えてくれていると思いますので、ぜひ自治体の範域の中で住民を交えた議論をしていただければと。
 あわせて、それ以外に、電子政府の取り組みの中では、いずれにしてもIDの管理というのはどの分野の対応でも必要になってまいりますので、今、先生おっしゃいましたようなセキュリティーとプライバシーの問題については、先取りして常に安全なように取り組んでいただく、これは言うまでもないことだと思います。
 以上です。
#15
○参考人(岡村久道君) 今のプライバシーの件でございますけれども、先ほども申し述べましたとおり、昨年、京都府宇治市の住民基本台帳データの大量漏えい事件がございましたところも記憶に新しいところでございます。したがいまして、漏えいという点からも非常に重大に考えなければならない点であると思います。
 他方で、これをもとにして、例えば電子の印鑑証明、電子認証というものが想定されておりまして、今、自治省さんなんかも報告書等々の中で、自治体レベルで進めるのであるということをおっしゃっておられるわけです。ところが、通常、リアルワールド、つまり実社会における印鑑証明なんというのはよほど大きな取引のときしか使わない。ところが、電子の場合は非常に使い勝手がよいものですから、一々簡単な取引に要求する、あるいは会員登録等に要求するということになりますと、通常の取引では要求されない生年月日あるいは住所等々をいろんなところへ流すということになってしまう。そうすると、そういう世界がこれまであったのかなかったのかというと、人類初めての取り組みでございますので、非常にこれまでとは違った側面でプライバシーということを問題にせざるを得ないだろうと。そういうネット特有のプライバシーのあり方ということの研究ということを非常に重視をお願いしたく存じます。
 それと、もう一点だけつけ加えますと、個人情報保護基本法でございますけれども、あれに関しましては、行政関係につきましてかつての法律がどう改正されるのかということが非常に重要になってくると思います。すなわち、今回の法案の大綱では民間部門が中心になっておりますけれども、やはりそうした電子政府構想を前提にしますと、行政部門に関しましてもより強力な個人情報保護法を改定という形でお願いしたく存じ上げるところでございます。
 以上でございます。
#16
○世耕弘成君 大変示唆に富んだ意見をいただいたと思っております。
 非常に、電子政府、電子政府という言葉ばかりが先行しておるわけですけれども、その中でやはり私はセキュリティー問題、プライバシー問題もしっかり考えていかなきゃいけないし、あるいは電子政府のメリットを最大限生かすという意味で、IDをどう使っていくかということを、やはり便利な部分と危険な部分とそこをよく比較して議論をしていかないと、電子政府といっても絵にかいたもちになってしまうのではないかという危惧を持っております。
 もう一つ、岡村参考人、きょう御発言はなさらなかったんですが、この資料の中にクッキーということを書いておられます。これは御存じの委員もいらっしゃると思うんですけれども、要するに、ホームページをふだん我々見ますよね、見たホームページのその履歴をホームページの主宰者側が一種のぞく、把握することができる、簡単に言ってしまえばそういう技術であります。
 便利に使えば、例えば自分がふだん見ているホームページの傾向なんかが相手にわかりますから、ああ、この人は科学技術に関心があるから科学技術の情報を中心に提供してあげようとか、そういうことも便利に使うという意味でメリットもあるんですが、一方で、これ、悪用し出すと切りがなくて、私なんかはこのクッキーの記録というのは常に毎日自分のブラウザーからは落とすようにして、人に見られないように注意を払っているわけです。
 現実に、例えばこれは九月の新聞記事に出ていますが、アマゾン・ドット・コムという会社が、要するにデジタルビデオディスク、DVDの電子販売、インターネット上での販売をしているときに、アクセスしてくる人のクッキーデータを使って、よく買ってくれる人には安い値段で提供をして、初めての人には結構高い値段で提供をするなんということがあって、アメリカでちょっと物議を醸した例なんかももう既に出ております。
 ところが、クッキーといっても非常に難しいですよね。クッキーの履歴の消し方をどうすればいいんだなんということもなかなかわからない。あるいはもっと近い例で言いますと、例えば買い物をするのにクレジットカードをインターネットに入れる。これが本当に安全なんだろうかどうだろうか。SSLで保護されていますなんということが文字では出てきますけれども、本当に大丈夫なんだろうか。その辺かなり、これ、消費者の側に技術の知識がないと、電子商取引の安全性の確保というのが非常に難しいと思うんですね。
 一方で、この法律の中では十四条で、国民に対する一種広報の義務というのがうたわれているわけですけれども、この辺、具体的に、この難しい技術をどうやって国民に理解してもらえばいいのか、岡村参考人、ちょっと御意見を伺いたいと思います。
#17
○参考人(岡村久道君) 今御指摘いただきましたのは、私の資料の五ページ目の「オンライン・プライバシー保護」というところに書いてあるクッキーという点でございまして、これはネットを介した情報の自動収集技術でございます。
 なかなか時間の関係で説明をするのは難しいところがございますけれども、今御紹介になりましたアマゾンの事案以外にも、米国ではこの一、二年のところ、例えば音楽の自動配信ソフトを使ったところ、当該自動配信ソフトを使って聞いていた音楽の種類、内容等が勝手にその業者のサーバーに送られる、そして蓄えられる、そういう事件が起こりましたり、あるいは、とあるソフトのネットを介した登録をいたしましたところ、ハードディスクの中身が無断で吸い上げられるというような、そういう事件が起こっております。
 我が国ではこうした問題は表面化しておりませんけれども、大手の電子モールと言われるサイトの中には、ホームページの閲覧者がどのページを何分ほど見て、次にどのページへ行ったのかということを詳細に無断でデータとして吸い上げているような、そういうような事業者もございます。
 私は、こういう点に関して一番重要な点といたしましては、これを同意を得た上で収集するという原則を、今回の大綱案でも出ておりますけれども、より徹底する方向で電子ネットワーク上ではすべきではなかろうか。それが今の欧州連合等々の国際的な方向性にも合致するものではなかろうかと考えております。
 以上でございます。
#18
○世耕弘成君 ちょっと時間が限られていて皆さんに伺えなくて大変残念なんですが、最後に西垣参考人にお伺いしたいと思います。
 今回、総理は所信表明演説でIPバージョン6に真剣に国として取り組んでいくんだということを高らかにうたい上げているわけですが、決して国でIPv6の機械をつくれるわけではなくて、最終的にはNECさんのようなメーカーさんにIPバージョン6をつくっていっていただかなきゃいけない。そこで、そういった製品が世界のデファクトを押さえるかどうかが、私はIPv6において日本が主導権をとれるかどうか非常に重要なポイントになってくると思います。
 しかし一方で、今IPバージョン6、売れ行きがどうかということも含めてお伺いしたいんですけれども、現実に使うメリットはほとんどないですよね。そういう中で、メーカーさんとして今どういうお気持ちでIPv6にお取り組みになられているのか、あるいは国として何かこういうところで助けてくれないかというところがおありになるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#19
○参考人(西垣浩司君) お答え申し上げます。
 先生の御指摘のとおり、IPv6というのは、次世代のインターネットのアドレスといいますか、これにとって大変重要なキーファクターになります。
 特に米国の場合、現在v4で展開し切っておりますので、v6に対してはややコンサバティブだという情報が入っておりまして、日本がアメリカに勝つ一つの大きな方法論としてこのv6を取り上げるという方法論があります。特に、日本ではiモードが展開した結果、人だけではなくて、犬猫というと問題があるんですが、冷蔵庫とかそういう機械にもアドレスをつけてインターネットを通してコントロールしていこうと。こうなりますと、今のv4では完全にアドレスが足りなくなりますので、そういう意味ではv6に積極的に取り組むということは大変いいことだと思っております。既に私どもも、一部ビッグローブというポータルの中で部分的にv6を使っているお客様もありますし、そういう実験もしております。技術的には十分確立できるものであります。
 さらに、先ほど来いろいろ御心配がございましたセキュリティーに関しましても、v6になりますと大変ロバストなセキュリティーをしくことができるわけでございまして、これは技術開発としてはぜひ私ども先行して手がけていきたいと思いますし、日本全体としてもぜひ手がけるべきだと思います。
 そういった意味では、大学、研究所等を含めて、ぜひ御推進方の政策を展開していただければ大変国益にかなうのではないか、このように考えます。
 以上でございます。
#20
○世耕弘成君 では、以上で終わります。
#21
○山下八洲夫君 民主党・新緑風会の山下八洲夫でございます。
 きょうは、四人の参考人の先生の皆様方、本当にありがとうございます。貴重な御意見を賜りまして、何点かまたお話を聞かせていただきたいなというふうに思っている次第でございます。
 森内閣は大変国民に人気がないわけでございますが、私は個人的には森内閣でこのIT基本法だけはいいことをやったなと。まだまだ不十分な内容ではございますが、これだけはいいことをやったなというふうに思っている一人でございます。なぜかと申しますと、アジアの国々はもちろんのこと、多分世界の国々も、日本も本気になって情報技術に取り組んできたということで注視をしているんだろうというふうに判断をさせていただいている次第です。それだけに、このIT革命と、大変大きなスケールになっているわけでございますが、これだけは成功させないと、それこそ日本は大きく立ちおくれていくというふうに思うからでございます。
 そういう中で、まず影の部分からちょっとお尋ねしたいなと思います。特に、IT戦略会議のメンバーでございます西垣さん、あるいは梶原さんにお尋ねしたいと思うんです。
 結論を申し上げますと、雇用の問題でございます。高度情報通信ネットワーク社会が形成されまして、いろいろと今雇用問題で言われております。例えば中間管理者がほとんど要らなくなるのではないかとか、あるいはアンダーセンコンサルティングのこの資料を見ましても、アメリカにおきましては一九九一年に百十五万人の純減を見たわけでございますが、三年後にはもう百三十一万人の雇用の純増を得たと。短期間でぐっとまた純増を得ているんですね。日本も、この資料でいきますと、純減を見ますけれども、五年後には十三万人ぐらいの純増になってくるというようなことがうたわれております。
 西垣先生のちょっとインタビューの資料を見させていただきましたが、社長交代と同時に発表をいたしましたリストラ計画では順調に進んでいるかというようなインタビューで、三年間で一万五千人の削減計画を立て順調にいっていらっしゃるというようなインタビューもあるわけでございますが、日本の場合はアメリカと違いまして、率直に申し上げましてかなりいろんな面で規制がされている。そのことを考えますと、アメリカは三年でぐっと純増になりましたけれども、日本の場合は実際そう簡単に純増になるんだろうかということを一つ心配いたします。
 もう一つは、中間管理者の皆さん方というのは比較的優秀な人材だと思います。そういう皆さん方の雇用をどこへ持っていったらいいんだろうということについて、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
#22
○参考人(西垣浩司君) お答え申し上げます。
 この大きな変革に際して、雇用の問題に一部流動化が起こることは確かでございます。ただ、私どもといたしましては、一万五千人の削減ということを申し上げたんですが、内容的には海外が六千、国内は九千、しかも国内も毎年定年になる方が三千名以上おられますので、雇用の方を少しセーブすることによってこれは達成可能だ、現に達成しつつあると、このような状況でございます。
 幸い、私どもはある意味で成長産業でございますので、全体的には大変雇用という意味では強い立場にあります。特に、日本の方に関しては、終身雇用制というのは一種の社会の暗黙の契約だというふうに私も公言をいたしております。したがって、雇用はぜひキープをしていきたいということですが、ただ企業の中で必要とされる機能はだんだん変わっていきます。したがって、企業も最大限努力をしますが、従業員の方にも努力をしていただいて、ハードのエンジニアからソフトのエンジニアに転換していただく、あるいは場合によっては事務をやっていた方もロジスティックの仕事に変わってもらう、こういうことはやらざるを得ないわけでございますが、雇用の維持という点では私どもは全力を挙げてこれをキープするようにしております。
 ただ、私どもの場合は成長産業ですからよろしいんですが、成長をしない産業あるいは非常に中抜き的な意味で困難になっていく事業体というのがあると思います。これは経済原則でございますから、会社がつぶれてしまうと完全に雇用の維持ということは不可能でございますので、それに先立ってやはりセーフティーネットの拡充ということがこれはどうしても必要だと思います。
 私は、社会全体から見ますと、特に老人福祉を中心とした、人間でなければできない、そういう部分のリクワイアメントというのは非常に大きなものがあります。しかしながら、企業が人をリテインして最後まで苦しんでつぶれちゃうという状況ではスムーズなそういう人材の有効活用というものは不可能でございますので、ぜひこの辺は政治的ないろんな御配慮の中で、社会全体として本当に有効に人的資源が使われるような工夫をしていくべきではないかと思います。
 それから、新しい産業が立ち上がって雇用がふえないんじゃないかということですが、これはもう鶏と卵だと思います。やはり変革を逡巡していればふえません。逆に、変革を推進すれば次の立ち上がりも早いというのは、これはもう私ども経済をやっております者の原則でございますので、その辺、ひとつ御勘案いただけたらというふうに思います。
 以上でございます。
#23
○参考人(梶原拓君) 今、岐阜県も、市町村を重点に、電子政府を早く軌道に乗せようと思ってやっておりますが、そういう観点から申し上げますと、市町村がIT化を進める上で三つの不足があると思うんですね。一つは認識不足、二つ目は能力不足、三つ目は財源不足と、三つの不足がございますが、最初の認識不足は、国がIT戦略を打ち出したということによってかなり問題は解消されつつある。それから財源不足は、やはり何らかの措置が必要だと、県独自でもいろいろ考えておりますが。問題は二番目の能力不足。これはイコール人材不足でございまして、いかに人材をIT化のために確保するかということでございます。
 そこで、中小企業の皆さんに申し上げているんですが、日本の場合、アメリカ的なベンチャーがうまく育つかどうか、むしろ既存の企業が多角化あるいは分社化していくという中でIT需要にこたえていくというようなことも一つの有力な方法じゃないかと思うんですね。そういう意味におきまして、今、西垣参考人がおっしゃったように、職種転換といいますか、そのためのリカレントといいますか、研修というものを大いにやっていくべきじゃないか、こんなふうに思うんですね。それによって雇用の問題を解決していくと。
 もう一つ、この間ある福祉施設に行きましてお話を聞いたんですが、障害者の方がパチンコ屋の店員さんで働かせてもらっておったけれども、最近短大出の女性なんかに職場を奪われてしまっている、困ったものだという話を聞いたんです。
 この問題は、一つは大学、短大でIT需要にこたえるようなそういう教育をしていない、相変わらず家庭科だとか旧態依然たる教育をしている、そこに問題点があるということと、仮に女性がITに関して能力があった場合でも働き場所がない、やむなくそういう弱者の職場に進出していく、こういう現象が起きているのではないかということで、そういう教育制度というものを変えていくことも必要でございます。
 それから、地域に若い人たちの職場をつくっていくという努力。これは、電子政府なんかとても役場の職員だけでは賄い切れない面がございまして、私たちは地域住民の皆さんに応援してもらおうと、こういうことでございまして、そういう中で、今申し上げたような短大出の女性の方なんかは少し研修をやれば、もともとパソコンができるわけですから、電子政府の仕事を十分分担できると、そういうことも必要なことではないか、こんなふうに考えております。
#24
○山下八洲夫君 時間がありませんもので端的にお伺いさせていただきたいと思いますが、ITリテラシーの向上について、梶原参考人と清原参考人にお尋ねさせていただきたいと思います。
 国民のITリテラシーの向上は大変重要だと思っています。特に、地域住民の方々でふだんパソコンなどに触れていらっしゃらない高齢者の皆さんやあるいは主婦の皆さん方にもどんどん触れていただく、こういう機会をつくらないといけないと思っています。特に、IT基本法案でも第三条において、すべての国民が情報通新技術の恵沢を享受できる社会の実現を唱えていますし、また、政府の補正予算にも自治体の交付金なんかもIT講習の実施を盛り込んだりしているわけですが、地域住民の高齢者の皆さんやあるいは主婦の皆さんにどのようにやっていけばこういう向上が図れるようになっていくのか、その辺の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#25
○参考人(清原慶子君) ただいまのITリテラシーの問題ですが、特にパソコンの利用能力、操作能力ということに限って申し上げますと、例えば地域社会では学校教育へのパソコン教室の増加とインターネット接続が非常に注目されております。
 そこで、専業主婦の方でありますとかあるいは退職後の高齢者の方など非常に不安感を持っておりますけれども、例えば先ほど御紹介しました仙台市や三鷹市の事例の場合には、高齢者の方が講習をして、そのリテラシーを持って小学生に教えるとか地域で講習会を主催するとか、つまり行政やあるいは一定のただ条件整備をするということではなくて、むしろその自治体の事情に応じて自治体の人材を活用してこうした講習機会というものをつくっていくというのは有効だと思います。
 ですから、これは全国一律ではなくて、例えば非常に退職者が多くて、そして地域に久しぶりに戻ってきて居場所がない中高年の雇用、退職後の方が生かされる場面もあるでしょうし、中山間地で高齢者が点在して住んでいらして、本当はそういうところでネットワークを使っていただけたら助かるのに、教える方がいらっしゃらないのだったら、近くの例えば工科系の大学などと連携していただいて大学生が出張で講習をしてもよろしいでしょうし、それは地域の、都市型の地域と中山間地の地域、そしてまた自治体でそういう取り組みをかねてからしていらっしゃるところとこれからのところとで随分事情が違うようでございます。したがいまして、一律ではなくて、かなり事情に応じた個別の取り組みを自治体中心でしていただくというのは一つ大事だと思います。
 加えてもう一つだけ、NPO、非営利法人、民間非営利組織の活躍というのもかなり見えておりまして、そういうところとのアウトソーシング、連携というのも有効だと思います。
 以上です。
#26
○参考人(梶原拓君) 岐阜県の垂井町という町があるんですが、そこでは、夏休みに中学生が社会人にパソコンの研修をやって、大変好評だったと聞いております。今までは先に生まれたから先生という字を当てるんですが、ITの世界では後から生まれた方が先生だと、こういうことがあってもいいんじゃないかと思うんです。初歩的なパソコン研修に関しては、今、清原参考人がおっしゃったように、いろんな方法でかなりできるわけなんですね。問題は、それよりちょっと進んだパソコン操作技術あるいはインターネット活用技術、これを教える人が要るのじゃないか。
 世耕委員がおっしゃったように、プライバシーとかセキュリティーを考えながらインターネットを使うというようなレベルの知識、技術、これを教える、我々はITリーダーとかITインストラクターと呼んでおりますが、一般の方々に普通のパソコン操作よりもちょっと上のレベルのことを教える人材を育成するということが大事ではないか。
 今回、政府の方で講習の予算を組んでいただいておりますが、岐阜県の場合は約十億円ぐらいに相当すると思うんです。したがって、初歩的なパソコン研修もさることながら、ちょっと進んだリーダー的な人材を養成する方に重点的にお金を充てたい、こんなふうに思っております。
#27
○山下八洲夫君 時間になりましたから、終わります。
 ありがとうございました。
#28
○森本晃司君 公明党の森本でございます。
 きょうは、参考人の先生方、御臨席いただき、また御意見を述べていただき、心から感謝申し上げる次第でございます。
 私の方から数点質問をさせていただきたいと思いますが、まず、岐阜県知事の梶原さんに御質問をさせていただきたい。また、同時に清原参考人にもお答えいただきたいと思うんです。
 二〇〇三年に全国の自治体が、中央省庁、霞が関、これはきょう清原参考人の中でもお述べいただきましたけれども、それと光ファイバーで結ばれるということになって、世界最大の電子政府を目指すということになりますと、中央省庁と地方自治体、これはやはり先導的な役割をしていかなければならないと思っています。
 ところが、霞が関にはそれぞれ各省庁があるわけでございまして、この障壁という問題が何かにつけて言われるわけでございます。政府から送られてくる情報がそれぞればらばらの情報で地方自治体等々に流れたり、あるいは違う様式で流れていったりすると、それを受けとめた地方自治体が、また国民の生活に直結しているだけに、どんな形でどうやっていくのか、また一つ一つ国民の皆さんにもいろんなことを説明をしなければならないということになっていくわけでございまして、私ども党内に情報委員会を設けているわけですけれども、この中で特にそういった問題、一元化をしていく必要はないのではないか、統一様式の義務づけが必要になってくるのではないだろうかということに焦点を当てているわけです。
 早期普及への一つの流れとして、こういった問題について両参考人はどのような御意見を今お持ちなのか、現状をどう見られてどういう思いでいらっしゃるのか、お尋ねを申し上げたいと思います。
#29
○参考人(梶原拓君) IT戦略会議に対する全国知事会の意見等でも今委員御指摘の問題を御提案しておりますが、今の仕組みのままでオンライン化していくというだけでは意味もないし、うまくいかない。したがって、仕組みを変えてつないでいくということが必要だということで、まず地方自治体と国との連結、これも今のままではなかなか難しい問題がございます。
 一つは、縦割りで横割りになっていない、その辺の課題を解決していかなきゃいけないということと、私が主張しておりますのは、より住民に近いところで行政事務を処理するということが望ましいので地方分権を同時にどんどん進めてほしい、こういうことを主張いたしております。
 以上でございます。
#30
○参考人(清原慶子君) ただいまの全国の自治体とそれから省庁とのネットワークのあり方についてでございますが、私は、一つには、霞が関の場合には省庁が縦割りでございますけれども、このところの推進政策によってかなりWAN、ワイドエリアネットワークということでネットワークが短時間に構築されましたし、それなりのメリットが見えて、今後、電子申請とか電子的な申告制度とかというふうに展開していくと思うんです。
 全国の自治体、三千三百余りございますが、やはり自治体はかなり情報化に向けての取り組みには差がございます。そういう意味で、一つの目標として、自治体の業務も電子化することによって効率性でありますとか透明度が上がるということなどがこのような取り組みによってまず認識されるという啓発的な意味も大きいというふうに思います。
 ただ、二点目には、今もお話がありましたように、自治体の業務というのは、基礎的自治体になりますとかなり細かく生活に入っていくものですから、どうしても個別の縦割りでは応じ切れない横割りの部分というものがございます。そういったものをいかに省庁のネットワークと結びつけて有効に生かしていくかというと、利用者が国の職員や自治体の職員の場合と一般国民、住民の場合とではまた使い勝手が違ってまいりますので、そういう意味では、今御指摘ありましたように、まずは統一的な見やすい様式、モデル的なものをどのようにつくっていくかという基本的な取り組みがまだ求められている段階ではないかと思います。
 そして、幾つかの自治体でまずモデル的な取り組みをお示しいただいて、そして国とつなぐことの有効性ですとかほかの自治体と結ぶことの有効性がもう少し見える形で検証されますと、ほかの自治体にも取り組む動機づけというかインセンティブが起こるのではないかというふうに思います。
 あわせて、御懸念のように、いろいろただつなぐということでは問題があって、何のためにつなぐかということが明確になっていなければいけないと思うんですが、やはり一点、これだけの災害国家でございますので、防災、安全の面でつなぐことのメリットは優先順位を高く進めていただくと、より暮らしに密着したネットワークの意義が国民にも自治体にもわかりやすいのではないかなと思います。
 以上です。
#31
○森本晃司君 梶原知事さんにまた続いてお尋ねを申し上げたいわけでございます。
 先ほど山下議員の御質問の中で、今度の講習会のことについて非常に進んだ御意見をおっしゃっていただいたわけでございますが、今度の補正予算で、講習を受ける対象人数を五百五十万人という一つのめどを立てているわけでございます。
 サラリーマンとか社会に出ている人は、比較的こういったインターネットを使ったりあるいはパソコンに触れたりする機会が多いわけでございますが、先ほど来出た話の中で、山間地の皆さんや高齢の皆さん、それから家庭の主婦の皆さんがなかなかそういう機会がないということでございます。
 僕は、この講習会が一体どんな形で進んでいけば五百五十万人に相当する人たちが行けるかと思っておりまして、一つは、これは各自治体が手を挙げないとなかなかそういう機会が、今度五百五十万人というのを設けても手を挙げないとその講習会は開かれないという形です。私は女房にも、あなたも友達をいっぱい誘って講習会に行ってしっかりやれというふうに今から申し上げているところなんです。
 岐阜県ではもうほとんどの自治体が手を挙げるとお思いでしょうか。殊に必要なのは、山間地の人に、清原参考人もおっしゃったけれども、そういったところの人たちにそういう機会を与えることが大事だといいながら、ひょっとしたらそういう地域が何となく距離感を持っていて、それで手を挙げないんじゃないかということも危惧するわけでございますが、今度の岐阜県の取り組みはどのように考えておられるか、お伺いいたします。
#32
○参考人(梶原拓君) 岐阜県の場合は市町村全部手をお挙げになると思います。既に、先ほど申し上げましたように、学校とか公民館でいろんなパソコン研修のようなことをやっておりまして、素地はあるというふうに思います。したがって、初歩的なパソコン研修に関して岐阜県が仮に十億円で進めるとすると、十万人ぐらいの規模ですが、十分対象人員は確保できるんじゃないかと思います。
 ただパソコンを扱えるというだけではなくて、もう一歩進んだ知識、技能を持った人を、リーダー的な人を養成したい。そこで今いろいろ工夫をしている。清原参考人がおっしゃったように、何のためにパソコン、インターネットを使うかという目的意識、ここをやはりもっと認識してもらわなければいけないんじゃないか。
 私たちは、安全、安心、便利、快適、活力という五つのネットを構築するということにいたしておりまして、安全については災害とか治安、それから安心については福祉、そういうような内容でITの普及の構図といいますか、そういうものを一般の方にわかりやすいように提示して、かつ市町村レベルで住民参加のもとにそういうネットづくりをやっていただくということによって関心が高まっていくんじゃないか、そういう期待をいたしております。
#33
○森本晃司君 西垣参考人にお尋ねさせていただきたいと思います。
 基本法では、民間が主導的な役割を担う、そのために公正な競争を促すという原則がうたわれているわけでございますけれども、競争力国際比較というのを見ますと、企業経営というのは世界の中で二十四位。私はもっと高いランクに日本の企業がいるものだとばかり思いまして、改めて二十四位なのかということを私自身が確認をしたような状況でございます。
 これを推し進めていくには、やはり日本の中にあるいろんな規制、これを大胆に規制緩和しなければ、自由で公正な競争条件を整備することが不可欠だと私は思うところでございますが、IT社会の先駆的な役割を担ってこられました西垣社長さんにお伺いをしたいと思います。
 なお、プライバシーの問題で岡村先生にもお伺いしようと思っておりましたが、先ほど来いろいろと議論が出てまいりましたので、御質問を岡村先生にできないことをお許しいただきたいと思います。
 最後に西垣参考人の御意見を聞かせていただいて、私の質問の最後にさせていただきます。
#34
○参考人(西垣浩司君) この表をあえて出しましたのは、ぜひ今の日本の競争力の立場を御認識いただきたいということで出したわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、やはり社会全体の高コスト体質ということが日本の競争力を大変弱めております。したがって、従来と違ってなかなか景気が本格的に立ち上がってこないというのは、やはり国際的に見て競争力が弱いというところに私は起因しているというふうに考えております。
 何で高コストかというと、先生御指摘のように、やはり規制緩和による自由な競争ということが非常に大事な状況ではないかというふうに私は考えております。特に、こういう技術の変わり目とか新しいビジネスモデルが出てくるときには、規制とかあるいは古い形での法律のディスターブということがありますと民間の活力というものが十分に発揮できません。したがいまして、今回も法律の大幅な改正もお願いはいたしておるわけでございますが、同時に、かねて言われている規制緩和、自由な競争をさせるということをぜひ御配慮いただけたらというふうに思います。
 変な例ですが、例えばiモードが去年の二月に四千九百人から出発して、年末に一千万、今は一千何百万に広がって、その周りを取り巻く勝手サイトというベンチャービジネスが二万を超えるという。やはり自由な競争の中でそういう場を提供すれば、いろんな工夫が起こって、そこに新しい便益性も出てきます。モデルも出てきます。また、雇用の機会もふえるというふうに考えておりますので、ぜひこの規制の緩和というか撤廃に関して精力的にお進めいただけたらと、このように思います。
#35
○森本晃司君 終わります。
#36
○宮本岳志君 本日はありがとうございます。
 まず、清原参考人にお伺いしたいと思います。
 先ほどお話の中で、情報保障はIT時代の基本的人権としての共通認識を持つべきだとお述べになりました。我が党は、インターネットへのアクセスをユニバーサルサービスとして、また権利として保障することは時代の流れだというふうに考えておるわけですけれども、清原参考人のお考えをひとつお聞かせください。
#37
○参考人(清原慶子君) 確かに御指摘のとおり、私は強く情報をすべての国民が利用することを保障するのがIT時代の基本的人権だと思っております。そのためには、例えばユニバーサルサービスというのは音声の電話、あるいは公衆電話、あるいは緊急電話ということで保障されているわけでございますけれども、次世代型のユニバーサルサービスとしましては、先生御指摘のように、インターネット、あるいは地域によっては音声の電話については携帯電話がより有効性を持つならば、そういうところには携帯電話もまたユニバーサル性を持ってくるかなというふうに認識しております。
#38
○宮本岳志君 次に、電子商取引について岡村参考人にお伺いしたいと思うんです。
 電子商取引への参加が、先ほどお話にあったように、詐欺に出会うリスクをも覚悟しなければならないものとなっておれば、これはやはりEコマースは広がらないと思うんです。そういう点では、消費者の利益を断固守り抜くという政府の姿勢が極めて大切だと私どもは考えております。ところが、今の議論を見ておりますと、規制というものをEコマースの障害とみなして緩和するという議論が非常に前に出ていると思うんですね。
 それで、参考人の「インターネット訴訟二〇〇〇」という著書を読ませていただきましたら、インターネットサーフデーなどを紹介されて、訪問販売法が定める表示項目はどれを見ても常識的なものだと、こう述べておられます。
 もちろん無意味な規制はなくさなければならないんですけれども、日本はむしろ必要なネット上の消費者保護のルール整備がおくれていると私どもは思うんですが、岡村参考人の御意見をお伺いいたします。
#39
○参考人(岡村久道君) 確かに、詐欺的な事件が多発しているというのは事実でございます。どうしても今までインターネットというと技術的な側面に重点が置かれていたわけですが、もちろんこれが実体的な経済ということに非常に大きな効力、影響を与えるということになると、そこで法律というものの役割ということは非常に重要になると思うんです。
 ただ、やはり電子時代には電子時代に合ったような法律のあり方ということがあってもいいんじゃなかろうかと思う次第でございまして、先ほども御紹介がございましたけれども、例えば通産省あるいは証券取引等監視委員会が現実に行っておられるインターネットサーフデー、すなわち霞が関からインターネットブラウザ経由に、各ホームページに違法あるいは消費者の利益を損なうようなものがないかどうか等々を見て、チェックをして、そして違法なページに関しては広い意味での行政指導的なものを加えていくというような形はますます重要になってくるというような気がいたしております。
 以上でございます。
#40
○宮本岳志君 そこで、この政策をどのように進めるかということが問われてくると思うんですね。
 それで、先ほど清原参考人は、国民主導と国民参加による高度情報通信ネットワーク社会形成を推進する、あるいは経済政策の側面のみでなく社会政策としての取り組みを明確に示すことが大切だとお述べになりました。
 今回の法律で設置される推進戦略本部、私どもは、この推進戦略本部には、これはもちろん閣僚もお入りになるんですが、民間人は本部長一任となっておりますけれども、やはり教育、文化、科学、産業界、それぞれバランスのとれた構成をとるべきではないかと考えておりますし、また消費者の代表などの声も反映できるように、また障害者の代表の声なども反映できるようにすべきだと考えております。
 この点について、清原参考人と、もう一度岡村参考人に簡単に御意見をお伺いします。
#41
○参考人(清原慶子君) ただいまの高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部の体制についてどのように考えるかということでございますが、私もぜひこういった取り組みについては多角的な視点で取り組んでいくことを期待しております。
 ただ、本部という組織なんでございますけれども、私、その構成メンバーとまた別に、ワーキンググループとかあるいはタスクフォースとかという形でまた機動的にテーマに即した体制がとられるのではないかなとも期待しておりまして、そういうところで幅広く視野を広げていただきつつ、あるテーマにつきましてはかなり突っ込んだ取り組みが、消費者問題でありますとか電子政府の問題ですとか個別に必要になってくると思いますので、そういうときのメンバーにぜひ意識的に高齢者当事者の方、障害者当事者の方、あるいは研究者でもいろいろな領域の研究者がおりますので、多角的に協力の広がりを求めていただければありがたいというふうに思います。
 ですから、このようなことで取り組んでいただけると期待しておりますし、またとりわけ、地域で実際に動かしていくときには、ひょっとしたら大いに自治体の方ですとか地域の活動をしていらっしゃる方の声も有効だと思いますので、ぜひ実態的に実効性のある組織づくりをしていただくように願っております。
 以上です。
#42
○参考人(岡村久道君) 基本的に清原参考人がおっしゃったことに賛成でございます。
 ただ、一、二点だけつけ加えるならば、先ほど意見陳述の際に申し述べましたように、本分野は非常に速い流れの領域でございます。したがいまして、そういうおっしゃった研究的な機関も含めて常設をして、かつてアメリカがそうやったように、かなり詳しい研究とかあるいは現実の推進という体制を整えていくということが大切じゃなかろうかと思います。
 以上でございます。
#43
○宮本岳志君 清原参考人から情報機器のユニバーサルデザイン化というものをメーカーに求めたいというお話がございました。きょうはメーカーの参考人もお見えですのでひとつお伺いしたいんですが、まず、清原参考人はどのようなことをメーカーに求めたいと、具体的にぜひ例示していただきたい。
 そして、NECの西垣参考人からは、メーカーとしてはどうこの問題に取り組もうとしているか、どうぞひとつお答えいただきたいと思います。
#44
○参考人(清原慶子君) 私、六年ほど前からこのことについて研究しておりますが、おかげさまで、そのような研究を通じまして、かなりメーカーの方が開発時に高齢者や障害者の方に実際にかかわっていただくとかあるいはテストをしていただくとか、そういう実証性が高まってきていると伺っております。これをさらに進めていただきまして、機器の使い勝手というのは、特に視覚障害、聴覚障害の方にとってはパソコン、インターネットというのは非常に有効でもあるのにかかわらず使いにくいという面もございますので、そのような面について開発の段階で当事者の方に参加していただくプロセスをとっていただきたいというのが一点あります。
 二点目でございますが、さらに、機器に求めるだけではいけないのでございまして、表示の仕方ですとかそういうところでも実は、ソフトウエアの面でしょうか、工夫が必要でございまして、例えば字の大きさにつきましても、大きく拡大できたり、あるいは印刷の仕方についても工夫ができたりということで、いわゆる機器の形、形状だけではなくて使い勝手の点につきましてもメーカーの方に工夫をしていただきたい、このようなことを望んでおります。
#45
○参考人(西垣浩司君) お答え申し上げます。
 私どもメーカーといたしましても、社会のいわゆる福祉活動の一環として、そういう特に障害をお持ちの方に対する機器の開発ということは相当精力的に進めているつもりでございます。
 例えば、森首相が八月に弊社に御来訪されましたときに、いすに座って非常に大きな文字でインプットできるような機械を実際に操作していただきましたし、またいわゆる点字をプリントアウトするようなプリンターですとか、今の技術をもってしますと非常に高度ないろいろな工夫ができるというふうに考えております。
 ただ問題は、企業でございますから片方ではやはり収益性ということが常につきまといますので、何かこれが、社会的にバックアップをしていただけるような手段があれば、よりこういったことが促進されるというふうに思いますので、その辺はぜひ政治の役割ということを期待していきたい、このように考えております。
#46
○宮本岳志君 アメリカなどではそういう開発義務ということも法定されていると聞いております。私もNECのパソコンを使っている一人ですから、どうぞ頑張っていただきたいと思っております。
 梶原参考人にお伺いをいたします。
 参考人は、「国土情報学」という著書の中で、公的セクターの情報技術は何のためにあるべきか、こう論じて、高齢者や障害者、さらには過疎地に住んでいる人といったハンディを持つ社会的弱者がむしろ逆に有利になるように使われるべきではないだろうかと述べておられます。そういった方々に対する自治体の役割についてお述べいただきたいと思います。
#47
○参考人(梶原拓君) 行政としてITをどう活用するかといった場合に、弱者対策というものは非常に重要なことの一つではないかと思っておりまして、ITは使いようによって機会均等化作用があるということでございます。
 それで、私どもは福祉メディアステーションというものを大垣市のソフトピアジャパンに設置しておりまして、その福祉メディアステーションでは、交通事故で首から下の神経が麻痺してしまった上村数洋さんという方がリーダーで指導をしていただいておりまして、いろんな障害を持つ方がそこに集まってパソコン技術を習得して、そしてやがてひとり立ちしていこうと、こういうことでございまして、既にそういう実績も出ておりますが、今出ましたような障害者向けの機器の開発とかそういうことも大いに自治体としてもこれから促進をしていきたいと。
 スウェーデンのマルメという市にことしの一月に行ってきましたけれども、非常にきめ細かな対応がされている。企業ベースだけではなかなかできない、そういう点を地方自治体も大いにカバーしていかなきゃいけない。あるいは過疎地の方とかそういう方々に着目して、そういう方々がITを使って本当によかったなと、こういうように持っていくのが行政の重要な役割だと考えております。
#48
○宮本岳志君 あとわずか、時間がございません、最後に御質問を申し上げます。
 清原参考人は、国際的なデジタルディバイドについてもお触れになりました。先日、APECの会議で森総理が、電力がなくとも携帯電話は使えるという発言をされたということがニュースに流れておりました。
 そこで、清原参考人とそしてNECの西垣社長にお伺いしたいんですが、この発言について、これが国際的にどのような意味を持つ発言だとお感じになるかという点、そしてNECの西垣社長には、電力のないところにもIT機器は売り込めるとお考えになっているかどうか、お答えいただきたいと思います。
#49
○参考人(清原慶子君) そのことにつきましては、私、不案内でよくその背景とか事情とか承知しておりませんので、今の宮本先生の御質問の範囲内でお答えいたしますけれども、世界には本当にまだインターネットの接続率が零コンマ幾つという地域がございますし、また、過半数を超えていて、それが有力な基盤になっている国とがございます。
 そういった国々の事情に応じて、インターネットが普及することが望ましいのかあるいは携帯電話が普及することが望ましいのかという一元的な物の考え方ではなくて、その国や地域の課題に応じたITの生かし方が尊重される、これがとても大切なことだと思っておりまして、デジタルディバイドに関しましても、単にインターネット接続率とか携帯電話普及率だけを指標としない質的な観点から取り組むことが国際関係の上では特に必要だというふうに思っております。
 以上です。
#50
○参考人(西垣浩司君) 私も、ちょっと寡聞にしてどういう状況でどういう御発言があったか、正直言ってよくわかりませんのであれでございますが、御案内のように携帯用パソコンで今最長でもウェイティング含めて一週間とか五日とか、そんなものだと思います。したがって、その後電力がなくて充電池の充電ができないということになりますと、売り込みという点ではこれは甚だ困難であるというふうに認識をいたします。
 ただ、使うという点では、一時的にそういうところでも使えるということも確かだと思います。
 以上でございます。
#51
○宮本岳志君 ありがとうございました。
#52
○渕上貞雄君 四人の参考人の方、大変お忙しい中お出ましいただきましてありがとうございました。
 今まで同僚議員のそれぞれの御意見を伺っておりまして、また先生方の答弁をお伺いしておりまして、大体ITにかかわる光と影の部分というのもだんだん明らかになってきたと思うんです。
 ですから、光のところは、私はかなり経済的な政策面においては光の部分というのは大変当たるかもしれない。しかし、じゃこれを一般的な社会的政策面から考えて一体どうなのかなというところに少し心配を持つわけでございまして、ここで高度情報通信ネットワーク社会形成基本法というふうにうたわれておりますけれども、今までのお話をお伺いして、私はやはり電子取引推進法みたいな感じでいいのかなというふうに実は思って、多少この問題について疑問に思っておるところでございます。
 その中でうたわれていることは、結局どういうことが基本的にうたわれているかというと、「経済構造改革の推進」、「産業国際競争力の強化」、ここまでは私も案外わかるような気がするわけです。そこから先、「ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現」、したがって、このITがあたかも国民生活を非常に豊かにするような印象というものを先に宣伝をしながら行われている。果たしてそうなのかというところに私、実は疑問を持っておるわけでして、国民の所得というのは大変水準、世界的に見ても高くなってきている。しかし、では生活水準というのは一体どうなっているかということを考えますと、このITというのが本当に私どもの個人の生活にとって、どのところを改善し豊かさを実感できるようになっていくのか。
 それぞれの分野で四人の参考人の方々に、このITで本当に国を豊かにしよう、その豊かにしようとする部分はどこなのか、豊かにしようとするときに障害になるものは一体何なのか。それから、これを豊かにするために実現していく、こういう問題というのはかなりの時間が私は必要だと思うんです。最低限どこまでぐらい、何年ぐらいかかればこういう社会が実現できるとお思いになっておるのか、それぞれの先生方に御意見をお伺いしたいと思っています。
#53
○参考人(西垣浩司君) 大変難しい問題でございますが、まず一つ言えるのは、技術的に見ますと、今インターネットを中心とした情報化社会というのは第二の波の上にあるということを常に申し上げております。すなわち、メーンフレーム時代の第一の波、パソコンが第二、第三の波が今まさに来ようとしているんですが、これはブロードバンド・アンド・モバイルということで格段に速い光の通信網、どこでも受けられる共通的な移動体通信、携帯電話、あるいは携帯電話そのものがテレビになっていく、そういう非常に大きなこれから変革が起こっていくということでございます。
 先ほど梶原知事が御説明されましたように、やはり人間の筋肉労働にかわるエンジンが発明されて産業革命が起こった、しかしそれが本当に普及したのは、T型フォードでモータリゼーションということで我々の生活は非常に変わったと。それと同じことが実は今ここに起こっている。
 すなわち、デジタルコンピューターが発明されたときに、ちょうど筋肉労働と同じように人間のブレーンパワーというものが初めて外から増強された、エンパワーされた、ただし大変それは高いものであってなかなか使えなかった、それがインターネットによってモータリゼーションと同じように社会全体の変革を起こしているというのが私どもの認識であり、現実にそのように動いておるというふうに考えております。
 したがって、第三の波のブロード・バンド・アンドモバイルになりますと、例えば遠隔教育あるいは遠隔医療、それから先ほど来ある、家庭にいながら行政機関への諸手続、ショッピング、ビデオオンラインでダウンロードして映画がいつでも見られる等々、単なる電子取引だけではなくて非常に多様な変化が起こるであろうというふうに考えております。
 ただ、どれがヒットしてどれが本当に人間の幸せにつながるかというのは、これはサービスを受ける側が決めることでございますので、非常にそういう多様な選択肢を提供することができるというところが一番大きな変化だというふうに考えておるわけでございます。
 それから、影の部分でもいろいろ先ほど来議論がございますが、これもある程度トライ・アンド・エラーという面がありまして、例えば物品の受け渡しに関してセキュリティーが守れない。アメリカの場合、エスクローサービスという預託サービスがどんどん発達して、今日本でもこれを取り入れつつあります。したがって、そういうことを言うと不謹慎かもしれませんが、ある程度トライをして問題が起きたらそれをつぶしていくという、そういう進歩の仕方というか、それがこのインターネット社会の一つの特色ではないか、私どもそのように考えておるわけでございます。
 そういった線からいくと、ちょうど電話機が我々の社会に入ってきたと同様に、すべての人がこれを使い、すべての企業が使い、またすべての政府が使っていくものになっていく。ただ、電話が入っていつからどういうふうに社会がどう変わったかとおっしゃられると甚だ難しいのでございまして、ある日目が覚めたらすべて変わったということは決してございません、徐々にそれを使いながら変化していくものだというふうに私は認識をいたしております。
 以上でございます。
#54
○参考人(梶原拓君) 私の身近な若い家庭の主婦ですが、百科事典を買おうと思ったけれども結局インターネットを利用することで百科事典を買うことをやめたという話がございました。お金もかかる、かさばる百科事典を購入しなくてもインターネットにアクセスすれば求める情報が得られる、こういう現象が起きていると。
 あるいは、私たちが今進めております県立の美術館を家庭にいながらにして見られるというふうなことにするとか、独居老人の方々がいろんな生活上の便宜をインターネットを通じて解決できるとか、そういうようなこととか、それから子育ての悩みが若い母親の皆さんにありまして、それが児童虐待とかそういうことにつながっている、そういう事例もふえておるんですが、子育ての悩みをインターネットのネットワークを通じてお互いに情報交換する。あるいは、私たち子育て相談センターというようなものを持っていますが、そういうところで双方向でいろいろ悩みを解決してもらう。具体的な事例がどんどんふえているというような感じがいたします。
#55
○参考人(清原慶子君) 高度情報通信ネットワーク社会は、まず、西垣参考人もおっしゃいましたが、やはり私たちの選択肢が拡大するという意味で非常に有効な技術じゃないかと思っております。
 その意味では、例えば従来、教育でありますとか就業でありますとか、参加しにくかった層が参加機会を拡大いたしますし、集権的な土地とか場所に拘束されていた仕組みが分散的になっていって、時間におきましても空間におきましても私たちに自由度が増すというメリットがございます。そのことが中央集権から多極分散の国家にというようなことにも貢献する可能性もあるわけでございますし、このことによって私たちが公平性ですとかあるいは自己決定力の意義を教育あるいは消費生活、あるいは社会福祉、就業のようなところでも発揮できる、そういうことでございますので、高度情報通信ネットワーク社会が電子商取引だけの問題にとらえられていないというふうに私は信じております。
 しかしながら、私たちの難しさというのは、合理的にIT技術によってそうした面を進めていける分野と、やはり相変わらずヒューマンな人間的なコミュニケーションやかかわりが必要な問題がございまして、少子高齢化社会と申しますのは、先ほど梶原知事さんがおっしゃいましたように、子育ての悩みですとか、あるいは高齢者への適切な介護や人間関係という非常にごくごく人間的な問題も同時に提起しておりますから、御指摘のようにぜひ社会的な面でこのIT社会の持つメリットを生かしていくということが私たちにとっては有効な方向性ではないかと思います。
 将来どのぐらいで実現するのだろうかというお問いかけでございますが、一九八五年に初めて当時の電信電話公社が光ファイバーを活用したネットワークの実験をいたしましたときには、まさにこれは何に生かせるのかということでかなり難しい局面がございました。けれども、十五年たちました今でございますけれども、より私たちは高速で安全で安価なネットワークというものを期待しておりますので、光ファイバーなるものへのニーズも明らかになりつつございます。
 というわけで、時間というのは読みにくいところがございますし、私は、技術は一つの論理で展開していきますけれども、私たち利用者がぜひ利用者の視点からそれを使う使わない、使った方がよい、望ましい、いやこれは控えた方がいい、そのあたりを考えながら使っていくことになりますので、徐々にじわりじわりと実感を持って広がっていくのが何年先かということについては明確にお答えを申し上げられませんし、私たちはさらにその先の望ましい未来像を描きながら生活していくものでございますので、この法案にございますように絶えず見直しをしていくということが求められるゆえんではないかと考えております。
 以上です。
#56
○参考人(岡村久道君) 私は法律家でございますので、法律家としてのちょっと卑近な面から説明させていただきたいと思います。
 例えば我々が新しい法律を知ろうと思った場合、新聞なんかで見ることは可能でございましたけれども、全文が出ているわけではございません。何らかの雑誌等々に出てくるのを待っておりますと数カ月の間かかってしまいます。あるいは六法全書、次の年のものが出て初めてそれがわかるというような場合もございました。
 ところが、最近の場合には、例えば当両院のサイト関係を見ますと法案段階でわかる、あるいはその審議過程もわかるような形になっている。アメリカなんかの場合にはさらに詳しいレポートがございます、アメリカの議会なんかでは。さらに最高裁判例なんかでも、これまでは大体判例誌に掲載されるまでに大体早くて三カ月、遅いと半年、一年ぐらいかかるような可能性もございました。ところが今は、最高裁のサイトを訪れますと大体一週間ぐらいのおくれで見ることができる場合が多うございます。中には三日前のものがもう既に載っておるという場合もございますし、知的財産権なんかの判例なんかも同様でございます。
 我々は法治主義とか国民主権と申しますけれども、肝心の国民がどういう法律が今上程されているのか、審議されているのか、あるいはどういう内容になっているのかということが全然わからない状態でございます。また、法律を法治主義の前提として国民は知って初めて守れることになるわけでございますけれども、それもだれでも見られなければそんなものを守れという方がある意味では困難な部分になってくると思います。そういうものが少なくとも法律家には見られるようになったと。
 では次の段階は何かというと、国民の皆さんにそれが見られるようになるような形になっていただきたいと。ただし、極めて法律というのは専門的でございますので、それをだれでもが理解できるような簡単な形のもので提示していただいたらありがたいと思いますし、さらには、先ほど御案内の電子商取引を推進させるという面から考えましても、例えば、ホームページの広告に関してはどういう表示を書けばいいのかということをウェブ上で簡単に見ることができるような形をどんどんお出しいただきたい。そして、それでこそ初めて実際に実効性のある遵守ということが期待できるわけでございますし、法律というものの意味が出てくると。そういうような意味からも、いろいろな可能性が法律家という側面から見ただけであろうかと存じます。
 以上でございます。
#57
○渕上貞雄君 先生には消費者の面から、言うなら出す側より受け手の側の問題点が、今後どういうところが一番大きな問題点になっているのか、簡単で結構ですから御説明いただければと思います。
#58
○参考人(岡村久道君) では、簡単に申し上げますと、消費者という面から見ましたときには、アクセスをしている人がだれかわからないという匿名性が今問題になっておりますけれども、その反面、電子店舗と言われるものの側も、果たして信頼できるものなのかどうか消費者には非常にわかりにくうございまして、それを自主的な取り組みで、マーク制度等々で認証をして、果たしてここが信頼性があるかどうかという形のものを今後つくっていくということがひとつ必要になろうかと思っております。
 簡単に申し上げるとそういう点になります。
#59
○渕上貞雄君 ありがとうございました。
 終わります。
#60
○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。最後の質疑者でございますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 四人の先生方、本当に先ほどの最初の御説明あるいは質疑の中でいろいろと勉強させていただきまして、私、どちらかというとデジタル社会にディバイドされている方じゃないかと思うのでございますが、ただ、IT社会、これは先ほど梶原参考人がおっしゃっておられた農業革命、産業革命、そしてIT革命という、アルビン・トフラーが言っておりました第三の波ということで当然の流れでございますし、これが今後どんどん発展していくだろうと。
 そういう現場におられる参考人の方々のお話で、いろんな課題とか問題点とか御指摘いただきまして大変勉強になったんですが、先般、当委員会で堺屋大臣がお見えになったときの質問でもいたしたんですけれども、私は、どうもそういう、IT社会が進んでいくというのはわかるんですけれども、IT基本法といいますか、基本法がなぜ必要なのかというのが非常にわからなかったのでございますが、いまだに余りわからないんですが、なぜ必要なのか、どう機能させているのかということが非常にわからない、わかりづらい。
 ただ、お話を伺っていましたら、一番私が理解したところでは、IT社会というのは今までと違った新しい社会になる、そうすると当然秩序なんかも変わるんじゃないか、そういう新しい秩序にどうこたえていくかというようなことであろうというふうに理解したわけです。
 そういう意味で、どんどん産業の振興もございますでしょうけれども、先ほどから出ておりますマイナス面というのがあるわけでございまして、これは、先ほどから出ておりますのは、雇用の面あるいはセキュリティーの面、これは当然いろいろ皆さん御関心あるんですが、私は前回も質問したんですけれども、それと先ほど清原先生は御指摘いただいたんですけれども、どうもITというのは視聴覚、視覚と聴覚、この二覚だけでコミュニケーションしようというところが、将来の日本の社会に対して非常に不安を感じておりまして、これはこのIT基本法に限らず、高度情報化社会ということでこの委員会でたびたび大臣がかわるごとに御質問させてもらっているんですけれども、皆さん御不安に思われるということで、御不安というか、そういうことに対してある程度危惧を持たれるということは大体そのようなんですが、じゃどうしようかということはなかなか難しい面もあると思うんですね。
 だから、いろんな機会を見つけてそういうことを指摘するのがやっぱり一番いいんじゃないかなというような感じもいたしますし、できれば私は、そういう基本的なものが本当は基本法の中に入ったらいいんじゃないかなと思うんですが、それも基本法本体に入れるのかどこで入れるのか。
 何しろ、日本国民、二十一世紀の健全な精神を保つためにそういうことをみんなで注目しなきゃいかぬと思うんですが、そういうことについて、大変横着なんですけれども、清原先生は先ほどの御説明でわかりましたので清原先生はもし何か補足することがありましたら、ほかの先生方はひとつその辺についてお考え方、あるいは実際にどういうことをやっておられるか、あるいは何かこれからやるようなことがあるか、御指示いただければと思っております。
#61
○参考人(西垣浩司君) 大変難しいテーマでございますが、視聴覚にディペンドし過ぎるというのはインターネットだけではなくて、恐らく電話からテレビが入ってきたときにそういうシフトが起こっていると思うんですね。現に、テレビ世代と言われている子供たちの中で、ある意味ではいろんな弊害も起きているというふうに思います。
 したがいまして、これから視聴覚シフトがインターネットでもっと進むと、先生御心配のような点は確かに私はあると思います。ただ問題は、だからといってそれをとめていいのかということになりますと、これまた大変な議論が必要ですし、日本の社会あるいは日本という国をどうするのかというスタンスを決めてからでないと、なかなかそれをとめるわけにはいかないというふうに思います。
 したがって、先生御指摘のように、やはり常に反省というのでございますか、本当にこれでいいのかということを考えながら物事を進めていくということが私は大変重要だと思います。
 それから、基本法に関しては、これだけの大変革でございますので、関連する法律等もたくさん直していかなきゃいけない。そういう中で、やはり全体の骨格、考え方を明示するという意味で私は大変意義があるんではないか、このように考えておるわけでございます。
 そんなことでよろしゅうございましょうか。
#62
○参考人(梶原拓君) 私たち、岐阜県IT戦略会議というのを立ち上げまして、障害者の方にも入っていただくようになっております。障害者の方にいかにこのITがプラスをもたらすかという観点でIT戦略を進めていかなきゃいけないと思っております。
 私たちは、例えば聴覚障害者の方には、もう三年ぐらい前でしょうか、災害のときに聴覚に障害がある方は情報が伝わらないという問題がございます。そこで、ザウルスという携帯端末で、画面表示でどこに避難したらいいかとか、そういう情報を伝達できるようにする。そのための聴覚障害者に対する研修もやったところなんです。視覚障害者の場合は、今度、音声で伝えるとか、そういうふうにきめ細かに対応していくことが必要だと。そうしないと、あまねくITの恵沢を行き渡らせることができないということで、私たちはそういう点に重点を置いてIT戦略を進めていきたいと思っております。
#63
○参考人(清原慶子君) 先ほど冒頭に、基本法の必要性、意義について申し述べさせていただきましたが、確認の意味でもう二点だけ申し上げます。
 今回の法案の第三条のところで、「すべての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現」ということが明記されましたし、第八条にも「利用の機会等の格差の是正」ということが明記されております。
 私は、やはり情報通信技術が先行しておりますので、それを用いてどのような社会を構築していこうとしているのかということを日本がきちんと国際的にも提案していくということは意義がある責任のとり方だと思っております。
 さらに、「国際的な協調及び貢献」という条文も明記されておりますので、この点につきましても国際的な責任の観点からも日本が考えていると、こういった姿勢をきちんと示すということは極めて大切でございまして、そうでありませんと日本はIT技術のもとにどこへ行ってしまうかわからないという、そういうことはあってはいけないわけで、改めてITというものの力を認識するならば、それをどう社会に生かそうとしているのかという姿勢を示すということは国として必要なことだと、こういうふうに思っております。
 以上です。
#64
○参考人(岡村久道君) まず、基本法がなぜ必要かということでございまして、それに対して一部マスコミの中には国民をどういう方向へ導こうとするのか見えてこないというような意見があることも存じ上げております。
 しかしながら、本法案が示すとおり、この領域はやはりまずは民間主導ということが要請されると思いますし、人類がまず未体験の領域でございますので、いたずらに一定の方向へ導こうということはどうも本来無理があるんじゃなかろうかと。また、基本法としての性格上、ある程度やはり抽象的にならざるを得ないということはいたし方ないところじゃなかろうかと思っております。
 二点目に、視聴覚だけで行う点が不安であるという点でございますけれども、西垣参考人がおっしゃいましたように、テレビとか電話だけでなく、よく考えると手紙というもの自体がもう視聴覚だけで行われているものであると思います。かつて英国のチャーチル元首相が、今は忙しいので短い手紙を書けないので長い手紙を書くんだというようなことをおっしゃった、たしかチャーチルさんだったと思いましたけれども。
 ただ、現実の問題とすれば、ネット上でいろんな言い争いが起こるような形、これフレームと申しますが、そういうことがあって、それが名誉毀損等に発展するような場合もないではないということは認識しております。
 しかしながら、よく考えると手紙でも一つ書き方を間違えるとそうなるわけでございまして、また現在若い人は手紙を書かなくなった、文字を書かなくなったということがございましたけれども、逆に今回のIT、特にインターネットで、電子メールという形で、もう一度文字離れした皆さんが、若い方が文字に戻ってきたというような利点は指摘することができると思います。
 その場合に、やはり文字メディアの持つ限界あるいはその難しさというところ等々も含めて、やはりメディアリテラシー教育ということを我々はもう一度考えていかなければならないと考えております。
 以上でございます。
#65
○岩本荘太君 どうもありがとうございました。
 私、全然IT社会を否定しているものでもございませんし、先ほど、基本法、必要ないと言っているんじゃなくて、必要性がよく理解されない、それは今国民の皆さんにこうなんだということを余りうまく説明できないんじゃないかということを御指摘させてもらったのと、ちょっと長々しましたけれども、私の質問の趣旨は、西垣参考人にお答えいただいた、要するに視聴覚、視覚と聴覚ということだけで、今までもそういう教育は随分ございましたけれども、今まではどちらかというと従でしたよね。これは単純に考えると、一つの接触、コミュニケーションを図る場合、やっぱり見て聞くだけじゃない、面と向かえば何か別の関係が出てくる、これが今までの人間社会だったんだろうなと僕は思うんです。
 そういう意味で非常に不安を申し述べたので、これは議論する問題でもないと思いますし、皆さんに少しでもおわかりいただければと思っておりますのでこれ以上質問は差し控えますが、そういう問題提起としてさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#66
○委員長(今泉昭君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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