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1950/12/01 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 通商産業委員会 第5号
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1950/12/01 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 通商産業委員会 第5号

#1
第009回国会 通商産業委員会 第5号
昭和二十五年十二月一日(金曜日)午後
  一時五十九分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○鉱業法案(内閣送付)(第八回国会継続)
○採石法案(内閣送付)(第八回国会継続)
○鉱業法施行法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(深川榮左エ門君) 只今から委員会を開きます。
 本日の議題は、あらかじめ公報で御通知申上げました通り鉱業法案、同施行法案並びに採石法案についてでございます。御質疑のかたは御発言をお願いいたします。
#3
○西田隆男君 この前から施行法案の第四條の問題をやつておるのですが、政府当局の考え方は、一般原則については一応了解ができたのですが、私の考え方が絶対に間違っておるのか、或いはそういうふうな考え方を持たれても差支えないのか、鉱政課長でも結構ですが……。
#4
○説明員(讃岐喜八君) 私この前出席いたしませんでしたが、御質問の点は追加鉱物を現に掘採しておる者と土地所有者との関係、土地所有者と現に掘採しておる者と共同鉱業権者にしてはどうかというように伺いましたが、その通りですか。
#5
○西田隆男君 そうです。
#6
○説明員(讃岐喜八君) 原則的には御賛成のように今伺いましたのでございますが、鉱業法は、土地の所有者には特別に六ヵ月間に優先権を與えておりますが、これに法律上当然には出て来與る性質のものではございませんので、むしろ法律的には今まで土地所有者に任せておったものを、今度はつきり国のものとして取上げるということでございます。取上げました以上、これは土地所有者とは関係なく、先願省に鉱業権を付與すべきであるということになると思います。これは本法施行後六カ月以後はそういうふうになつて行くのでございますから、それまでの経過的な措置としまして、土地所有者につきまして、六ヵ月間は現にやっておる人の次に優先権を認めたということでございまして、現にやつでおる人を優先させるということは、今まで本当にその鉱物を開発する意思で以て設備をし、やつておるわけでございますから、これは法律の根本精神でありまする先願の主義に最も適しておる。而も鉱物を開発するために非常に経済的な投資をやつておるという関係で、これは土地所有者よりも優先さしておるわけでございます。若し西田先生のおつしゃるように、これを共同鉱業権として取扱うとすれば、六ヵ月経過後もこれと同じような考えを盛らなければいけないのじやないか、そういうふうに考えられるわけでございます。この点につきまして、我々西田先生のおっしゃるようなアイデアは実に余り考えておりませんでして、初めて国会の席で聞かされたわけでありまして、その後考えて見ましても、そういうふうな結論にもなると思うのでございます。
#7
○西田隆男君 私にさつき申しましたように、一般原則として、あなたがたが法理論をお説きになることには反対じやない。併し現実の問題として、この前も例を引いたつもりですが、一つの石灰石の山がある。地方公共団体が所有しておつた、或いに個人の所有であつたという場合に、今までは石灰石の掘探業沓はそれに逐次対価を支払うか、若しくは一時に対価を支払うことによつて掘採権を取得しておつた。百万円で過去において一つの石灰石の山 の掘採権を取るために買取しておつたということがありますね、そうすると今のあなたがたの六ヵ月云々といつた場合、今まだ着手したばかりだ、併し対価はすでに支払済みだという場合に、これはどういうふうに解決されるか。一般原則によつて、法律によつて国が土地の所有権を取上げたという考えからいえば、当然新らしく出願して掘探権を獲得した鉱業権者は、地方団体に対しては、六ヵ月という期間の損害というものを償つても、全額を……、買収しておつたものを、これを返せという請求権が当然起きて来ると思う。
#8
○政府委員(徳永久次君) その点につきまして、実は私この前の説明で不十分な点がありましたが、今ざでは採石料として考えられたのですね。ところがその内容を、全部を調べたわけではございませんが、いろいろ聞いて見ますると、結局採石料という形で出しておつたものの中身に包含しているものを分析して考えますと、土地の使用料というものは、地表鉱物ですから、地上が使えなくなるわけです。土地の使用料という形、それを実質的に翻訳しますれば、地上が迷惑をこうむる分ですが、その分と、それから取った後又昔のように植林できたり、或いは畑ができたりというようなふうにして貰わなければいけません。そういう費用というものをまあ見積りまして、それな坪当り幾ら、或いは一段歩当り幾らとかいうようなやり方もございましようが、そういうものを事業者のほうは、仕事に応じて収入も入るわけですからトン当り幾らというようなやり方が適当だという形で、大体今まで来ておるというふうに見れるわけです。勿論、その中に石代トンにつき幾らとしておりますから、石代という観念も入つておつたかと思うわけです。それで今度のこういう法律になりました場合に、結果がどう相成りまするかということでありまするが、私この前御説明申上げました際に、土地所有者に御迷惑になつた場合には損害を賠償しますというふうにお話したわけですが、それは私は條文の読み方が少し不正確であつたわけですが、この法律で言いますと、地表の鉱物ですから、土地の使用権を設定しなければ、或いは契約で済むか、或いは強制という形になりますか、そういう形にならなければ、実際上それは取れないということになるわけであります。それから更にこの法律に、掘りましたあとに原形に復旧するか、原形に復旧できなければ、それによる損害を賠償しろというように規定いたしであるわけであります。そこでその土地所有者は、土地を森林その他に利用いたしておりまして、それをまあ地表鉱物の場合には、使用権を設定する場合にあらかじめ賠償をきめられるというような形に相成るように思われるわけであります。それでただ現実問題として、この使用権の設定に際しましての使用料を幾らにするかということは段当り幾らということにしないで、やはり今後もトン当り幾らというほうがお互いに好都合だということになるというように考えますが、この実質関係から考えますと、この鉱物の所有権の内容として、鉱物を売つた代金だという観念に入りませんが、土地所有者としては、地上の損害を受ける分は実質的にはカバーされる、使用権の使用料の中でカパーされる、又あとにおきましても、壊された土地も作り直し、原形復旧の費用、そういう形においてカバーされるということに相成つておりますので、如何にもこの土地所有者として、土地所有者権の内容として自分の石を売つておつたのだという点がなくなるように見えますけれども、実質的に、土地所有者としては、地上の利用によつて得ておつた価値、又将来得べき利益というものは、十分に償いを受けるということに相成っておりますので、今まで自分のものらしき顔をして売つておつたのだから、それを保護するというようなふうにお考えになるのも御尤もでありまするが、国のものだという考えで、鉱業権の本則に悖つて処置いたしましても、土地所有者に必要以上の御迷惑をかけるという制度ではないという工合に考えます。
#9
○西田隆男君 私がお尋ねしているのは、あなたの御答弁の半分ぐらいであろうと思うのですが、今日はこの前よりも一歩前進した御答弁がありましたので、今まで言われたこの地上権を買収するという形になると思うというふうな御答弁がありましたね、私が懸念しておつたのはその点で、露出しておる石灰石の山というものは非常に土砂にしても、表土にしても薄い。薄いから結局露天掘をやらざるを得ない。露天掘をやる場合においては、結局あなたの御答弁によると、山があると、この山を露出しておる石灰石を掘るために土砂、表土が薄い、だから非常に坑道を掘進して掘ると同時に、利用価値は最初からなくなつてしまうという場合には、地上権を評価して当然鉱業権とは離れた問題として、鉱業権者はその山の所有者に対して地上権を使う対価を支払うべきだという御議論なんで否すか。
#10
○政府委員(徳永久次君) はあ、私非常に迂闊だつたわけでありますが、との百四條に、土地使用権を認めます場合が挙げてあるわけでありますが、その中の二号に、今のような場合を予想しまして「露天掘による鉱物の掘採」というのがあります。
#11
○小野義夫君 何條ですか。
#12
○政府委員(徳永久次君) 鉱業法の百四條であります。この地表鉱物の場合に、上を壊さないで下を掘れと言われましても事実上できないととに相成りまするので、結局上を壊さざるを得ないことに相成りますので、その場合に土地を、その土地自身を使用できるという規定がまあ入っておるわけであります。
#13
○西田隆男君 土地を使用することはできるという規定になつておるが、損害賠償の規定はどこにあるのです。
#14
○政府委員(徳永久次君) これは包括いたしまして、この土地を使用いたします場合に、土地収用法によりましてこの使用の対価の條件というものは当事者同士で協議して頂きます。協議で済む場合はよろしいのでありますが、済まない場合には収用審査会が裁定するということに相成つておるわけであります。
#15
○西田隆男君 そうしますと、この鉱業法施行法第十三條の第一項の後段にある「当該追加鉱物の掘採について相当の補償金を請求することができる。」というこの表現と、今の関係はどうなるのですか。
#16
○政府委員(徳永久次君) 非常に割切つて考えますと、土地所有者は地表鉱物の場合に、これによりまして地上に受けまする損害、地上の土地の利用によつて受くべかりし利益、それをなくすることの損害は、土地使用によってカバーされるのだという関係に相成ります。それから尚先ほども申しましたように、土地使用の目的が必要なくなつてしまつたら元のようにして戻しなさいというのが、この規定にあるわけであります。そとでそうなりますると、極端に申しますれば、鉱物は国のもので土地所有者のものではないのだという考え方から言いまして、土地所有者には、極端に申しますると、鉱業法の法定鉱物に追加いたしました途端から一文も払えないという仕組みにいたしましても、土地所有者としてはそれの今までは探石料の、石代という形で掘採する人たちから何らかの対価を得ておったのが、対価の得方が違うということになるものだと考えるわけであります。そう見ますと、極端に申しますれば、施行法に出ておりまする相当の補償を払えという規定は、非常に極端な言い方をすれば、なくてもよろしいというふうにも言い切れるのだと思うのであります。ただ現実の問題として、この今まで石代という形でおおむね契約ができておつたことではありますし、実際を分析すれば、今のように相成るのかと思いまするが、そこに明日から石代を貰えなくなるのだという形が余りにはつきりし過ぎるということから、過去におきましても極めて常識的に、こういう規定を結局規定として入れておつたのではないかというふうにも私ども了解するわけです。現実にそれにつきまして、この前申上げましたように、政府まで持ち上げて来て紛争が起つているということは、結局切替の際に、今までの石代の形では貰えなかつたけれども、今度は土地の使用料とか或いは最後の場合の石代とか、そういう形の規定として結局相当継続して貰えることに相成る。そういう話合いが比較的円満に行つて、石代というものが紛争の対象になつて、政府が中に立つというようないわゆる問題が起つて来た、起らざるをを得なかつた原因ではなかろうか、そういうふうに理解しているわけなんです。
#17
○西田隆男君 はつきりしないのですが、今の鉱業法の百四條の規定と施行法の十三條との関係ですね、鉱山局長のお話によると、これはなくてもいいのだという話でありましたね、そうするとなくてもいいということは、鉱業法の百四條のことだけで十分なのだと併しこれは今まで石代として払われておったであろう形が想像されるから、すぐに打切ることは困難だから、こういう旧規定があるのだという御説明があつたわけですが、條文の建前から読んで行きますと、やはり相当の対価を支払わねばならぬということになつているのであつて、今あなたが御解釈になつたようなことでは、條文の解釈は不適当だと考える。そこで問題が起きて来るのが、一番最初に申上げた露出している山の石灰石、これを全部買収される。今いわゆる地上権も含まれているであろうし、石代も含まれているであろうし、相当の対価を出して買収をして一部分しか掘つてないという、実際のものがあつた場合、鉱業権が設定された場合において、山代は、地上権の百四條による使用料を支払えば、あとの石代と目されておつたものは返還せよということが起り得る可能性があるのだが、これは請求されたら返さねばならぬことになるのか、それとも返さぬでもいいことになるのか、こういう問題についてあなたの御見解を承わりたい。
#18
○政府委員(徳永久次君) 非常にむずかしい問題でございまするが、具体的な場合といたしまして、土地の使用権と石代を買つたような契約があった場合に、今のお話のようなことに相成るかと考えますが、今まで買いました場合、そういう場合に、いわば土地使用権そのものを買つてしまつておるという、使用権と同時に、中の石も含めて、即ち土地そのものを買つてしまつておるといような契約ではないかと、通常の場合は考えるわけであります。それを分析いたしますると、今のお話のように、土地の所有権を売つたのではない、土地の使用権と石だけを売つたのだというような契約をいたしておる場合に、今まで掘つた所はそれでいいかも知れぬが、まだ掘り残しの点についてこの法律が施行になつた場合に、その石代を、買つたものを返さんならぬという問題になると思うのであります。これは私経過的にお答えするわけでありますが、最初がどういうことになりますか、私自身としては恐らく返さなければならないという結論になるのではないかと思います。但し今後、先ほど申しましたように、次々に掘るわけでありますので、その場合の使用料その他と相殺といいますか、そういうかつこうになるのではないか、経理関係としては返すのではないかというような方面として、そういう気がするわけであります。
#19
○西田隆男君 それにあなたのおつしやるような結果にならぬ。実際山を買うということは、これを分析して考えたなら、地上権の使用権と石代と二つが含まつております。そうすると今度は鉱業法が発足すれば、一つの地上権の使用料を差引いた石代というものは払わなくてもいいという結論になるわけなんですね、そうですね。そう結論が出たならば、結局石代の部分として対価を支払つておつたものは返還せよという要求が当然出て来るでしよう、條文の建前から……。そうした場合には返さなければならんということになる。そうすると、あなたの御議論のように返さねばならぬというのが立法の建前であるということになれば、この第十三條の相当の対価を払うということの関連性が非常に大きく取上げられなければならぬことになる。返さなければならぬという議論であるならば、鉱業法の百四條と施行法の十三條の関係を、そう余り重視しなくてもいいと考える、返さなければならぬという前提に立つならば、十三條の相当の対価を払わねばならぬという條文が非常に大きく扱われなければならぬことになると思う。何百万円も金をとつて使つてしまつて、あとで返せと言われても返されぬ、そうすれば六ヵ月であるとか、或いは一年であるとか、それは今後の問題として、相当の対価を支払うという部分に含めて、そういうものを帳消しにすることはできなくても、帳消しにできればそれはいいのですが、できなくても相手方に対する支払が或る程度狭められて、そうして立法の精神が大した障害なしにとり行われるであろうと思われるけれども、このまま今の條文解釈から行けば、そういうことが随所に起る。先ほども申上げておるのは、私の県の田川郡の香春岳という大きな石灰石の山ある。浅野セメントがやっておるのですが、すでに対価を支払済なんです。山はまだ大部分残つておる。これは地上権の使用料だけを払つて、原石代を払わなくてよろしいのだということになれば、香春町といいます町の所有ですが、返さなければならぬことになる。法の建前から行けば返さぎるを得ないという結論になるわけです。
#20
○政府委員(徳永久次君) 今の場合でございますね、返す、法の建前からいえば返さなければならないのだという解釈をとつたほうが、相当の対価を払つて、今まで石代をとつておつたから、明日から地代は払わぬでもよろしいということでなく、対価を払えという規定があつたほうが却つて相殺の対象になるのではないかと思う。払わなくてもよろしい、返さなくてもよろしいという、そういう建前のものでございましたら、石代は前以てとつてしまつた。なお相当の石代は払わなければならぬということに相成りますので、無論理屈からいえば返すべきものだ。而も経過規定として相当の補償を払えということもあるので、ここで適当な、具体的な事情に応じて相殺なりなんなり話ができはせんかということになるのじやないかと思います。
#21
○西田隆男君 それは全く反対の考え方です。対価を支払つてしまつておる山には、今あなたの言うようなことにはならぬ。第十三條で規定してあることは、探掘しておる部分に対してだけ対価が払われておる場合に、これをぽんと法ができたと言つて打切つたんではかわいそうだから、六ヵ月間だけは対価を払えということで、親心で規定されておると思う。あなたのような御趣旨ではないと、立法的には考えますが、今の問題は、その問題に片を付けるために相当の対価を払うということに重点を置いて解決が幾らかつく可能性ができ得るというだけのものである。考えられておる期間は六ヵ月ですか、六ヵ月でしようね、相当の対価を支払う期間は……。それは採石されたものに対して相当の対価を払えという、地上権を持つておつた全部に対して相当の対価を払えという規定では十三條の規定はないと考える。
#22
○政府委員(徳永久次君) 一昨日でございましたか、半年とか一年とか申しました基本は、今まで掘つた所は問題はない、対価を払いましても……。今から鉱業法で追加鉱物に指定されて、施行になつてから掘る時に、もう今日から鉱業法の鉱物になったから今までは一トン当り幾ら二円とか三円とかという規定があるから払えよと言つても、もう払わないということにはしないで、今まで払いよったのであるので、経過的の施行になっておるにしても、半年或いは一年はやはり昔通り金を払うということにしたほうがいいじやないか。土地所有者としましては、今申しましたような理屈でありますが、税金のことを考えて見ましても、税金は、前年度にかかるということになるので、来年もその収入がなければ、収入の分に対して税金を払えないということになつて来る立場になる事情もございますし、そこらのことを考えても、今後掘る分については払わなくてもいいのが建前であるが、そういう補償を払えということで、半年なり一年分を継続して払うというようなことが実際的ではないかというような趣旨でございます。
#23
○西田隆男君 今あなたとのお話の通りにすれば、さつきから私が申上げておるように、山全体を買つてしまつておるものは、結局六ヵ月か一年か、今から掘出すのに対する対価を支払う金額を引いた残金は払わなければならぬという結論になりますね。その請求権を仮に山そのものを買つておった者が持つておる、請求するかせんかは、それは別問題ですが、恐らく請求するだろうと思われますが、そういうふうになりますね。
#24
○政府委員(徳永久次君) 私法律の問題と実際問題と分けて逃げるつもりではございませんけれども、先ほどの例で申しますと、半年、一年というのは、一つの感じを申上げておるわけです。どの辺で線を引いたらよかろうかという感じの線として昔の見当でその辺の数字を申上げておる一わけであります。法律にははつきりと半年とか一年とかいうことは現われていない。個々の具体的の事情によりまして、相当の補償というものはきめるという建前に相成つておるわけであります。それからもう一つ今の非常に御心配になつておりまする香春岳が、過去において町が売払つてしまつたという場合に、返せということに、仮に純法律的に考えました場合に相成る。それが十年分を新たに売つてしまつたというようなことに相成るわけでありますが、そういうものの補償としては多過ぎるという意味で、相殺すれば、理屈としては両方から争いの対象になろうかと思うのでありますが、実際問題といたしまして、極く最近売られたものでない限り、貨幣価値の変化もありますし、今後の分の、今の採石権なりを設定いたしまして掘るとします場合の、トン当り幾らの値段というものと、昔売つた対価というものを考えて見ますと、そう問題にならないで済む場合が、インフレーシヨンの結果出ると思いますが、法律観念としては、相殺の対象にされますが、貨幣価値の問題として、実際問題としては問題にならぬという場合の方が多いじやないかと私思うわけであります。
#25
○西田隆男君 それは買われておるということが、ずつと普に売買されておるということが前提條件にならなければ、そういう議論は成立ためので、終戰後インフレの進行しておる過程において或る程度のアンバランスのあつたときに売買できておつたというようなことがないということにこれは言えないので、そういう過程において、法律の條文を作つたり、解釈したりするということは、私は條文の解釈の逆だと思うわけですね。私が言いたいことは、そういうことが懸念されれば、そういうふうなことも何とか解消されるような程度まで條文の修正をするかどうかしなければ、そういう羽目に陥った人は非常に迷惑です。それはそれで、今もう一つ、第十三條の六カ月か一年かということは、適当な期間にきめるというわけですけれども、適当な期間とは、当事者同士できめるのですかどうですか。
#26
○政府委員(徳永久次君) この法自身ほ、最後のところだけお答え申上げますと、当事者同士できめるというととになっております。当事者でどうしても話がつかない時には役所に持込むことになる。その場合に役所で決定するという仕組みに作られておるわけであります。今回は中央で指定する鉱物の関係が非常に多いので、従来と異なつた規定を以て、その間割切るようなことを考えたらどうだろうということで、実は我々も研究いたしたのでありますが、今例に拳げますような複雑な事情がありまして、どういう契約になつているかということを想定し、いろいろな方法を想定して線の引き方を、との場合はどういう線が一番いい、この場合はどういう線が一番いいのだというようなことを書くことが、すでに仮定に基いて書くということに相成りまするし、一昨日も申上げましたように、過去において、この計画的なやり方で問題が政府まで来ないで円満に済んでおる事例もございますので、これで当事者の話合いで経過措置は円満に行くのではなかろうかと考えまして、従来尚幾度かそういうチヤンスがあつたが、同じ方式にしてやつております。
#27
○西田隆男君 採掘期間の短いことは私は問題にならぬと思います。埋蔵量の非常に多い、採掘期間の非常に長期な大規模な設備を持つておるところにこの問題が起つて来る。今あなたのおっしゃるように、当事者同士で期間をきめれば、五年とも十年ともきめるところもございましよう、或いは二十年ときめるところもございましよう。で各場所々々、企業場所如何によつては五年でも十年でも、三年でも、一年であろうとも何らかまわない。最後は通産局長が決定しなければならぬという條文が第何條かにあるんですから、当事者同士に任して、通産局長は何にも介入しないわけですね。
#28
○政府委員(徳永久次君) きまればそうです。
#29
○西田隆男君 きまらなかつた場合はどうするんですか。
#30
○政府委員(徳永久次君) このきまりません場合が十三條の四項でございます。結局通産局長が申請を受けて、それに対して処置しなければならぬということになるわけであります。今お話がございましたが、私も実例を以てお答え申上げますけれども、三年なり五年なり十年なりということがあるではないか。あつてもいいのかというお話でございますが、私どもは二、三の山について話を聞いておるのでありますが、採石料のきめ方、先ほどお話いたしましたように、インフレの関係もございますので、十年前にきめたところもあり、五年前にきめたところもあり非常にむらがございます。それから或る会社のごときは、残存期間がまだ十五年も残つておるのでございます。その場合トン当り、はっきり記憶いたしませんが、二円ぐらいだつたろうと思いいます。それをこういうふうになつたからと言つて、もう明日から払えませんというようなことでなく、二円ぐらいなら払つても差支えない。契約のある期間は払うつもりだというようなことを言つておる会社もあります。それは採石料が名義的といいますが、地上のあれを補うに相当するくらいだということで比較的低くきめられておる。中には儲けの半分よこせというような意味で採石料を高くきめておるところもある。それらのきめ方次第で、今後の相当の補償が何年分というように見当付けるということは、料金そのものによつて異なつた結論を出さなければ妥当でないというふうに考えられるわけであります。今申上げましたように、契約そのものが非常に複雑でございまして、一律に法律できめ難い。私どもは半年なり一年なりと言われておりますげれども、相当程度の補償料といいますか採石料を払うということにしておる。それを永久に継続することが、その事業に相当の負担になって必ずしも合理的でないというふうに考えた場合に、一年くらいのととろを目安に相当な補償額を算定しで行くというようなことが考えられるという意味で申上げておるのであります。個々の具体的な採石料のこと自体は、繰返して申しますが、儲の半分よこせというようなことで高くついたというような場合とか、非常に合理的に採掘者の邪魔にならぬ程度にきめられておるところとか、いろいろございますが、具体的にどのぐらいの期間が正当かというようなことは、実体を見なければむずかしいのじやないかと考えております。
#31
○西田隆男君 今のようなあなたのお話であると、又非常に複雑な問題が起つて来ると思う。当事者同士というのは、次から次へと争いが起きて来る。使用料がトン当り安くきめてある場合、恐らく期間が決定していないから通産局長の指示によつてきめるということになると、値上げを要求するだろう。又高くきめられておるところは、これは通産局長のところに持って行つて、当事者で話がつかぬものだから通産局長に訴える。そうした場合、通産局長が何か目安がないと、お前のところは一円のものを三円にやれ、お前のところは五十円のところを二十円でやれという措置をしなければならぬが、その通産局長の指定する目安というのが、何でもかでも個々まちまちで紛争の解決はできやしませんよ、実際問題として……。
#32
○政府委員(徳永久次君) 私どもは具体的に、仮に役所で指定しなければならん場合に、具体的に一番妥当と思われる線というものは実は作上げておりません。これはもう少し各ケースの事例を広く拾つて見て出したいと考えておるわけであります。併し常識的に申上げますと、鉱物によりましていろいろ値段が違いますので、鉱物の値段というものも一つの目安になろうと思います。それから鉱物の値段と一定の割合を持つた採石料、石代の何%以下にきめられておるならば、何年ぐらいという弾き方が、非常に抽象的の言い方でありますが、或る程度統一し得る基準枠が生れるのではなかろうかと思うわけであります。併し具体的に石灰石の場合はどう、耐火粘土の場合はどうというようなケースは我々十分整理いたしておりませんものですから、過去の実情等もやはり尊重しなければいかぬと思います。どの辺が妥当な線であるかということは、もう少しデータを整理してから考えたいというふうに思つております。併し今のような目安は、石代なり鉱石の販売価格がどのくらいであるか、それとどのくらいな割合できめられておる採石料の場合、それは高いとか安いとか、それと相当して期間はどの程度というととはおのずから弾き出せるのではないか。そういうようなつもりで抽象的にはそうまちまちにならぬ目安が付けられるのではなかろうかと考えるのであります。
#33
○西田隆男君 大体今の話で基本的な考え方はだんだんでつち上げられつつあるやに感ぜられます。今の問題に対しては、法案のうちには何も規定してありませんが、そういう紛争を解決するために、十三條なり本法の第四條の対価を公正適正にきめる意味において、具体的にどういう方法を、いつ頃までにおとりになる予定ですか。
#34
○政府委員(徳永久次君) 何も逃げる意味ではございませんが、非常に率直に私どもの気持を申上げますと、これは前から繰返し申上げでおるように、この條文は非常にまあ漠としてできておるのでありますが、漠としてできておりますが、過去におきまして、それが政府まで持上げられなかつたということも明らかな事実であります。当事者間に非常に紛争の起つたという記録も幸か不幸か役所の記録にないようなわけでありまして、他の人にも聞いて見ると、記録がなかつたばかりでなく、話にも出なかつたということでありますから、そういう意味で或る程度私どもほ楽観いたしておるわけであります。併し今回の場合は、中央で指定する鉱物が一度に出ましたというようなこともありますので、問題が持上げられてからあわてて資料を収集する、それでどの辺が合理的かということを用意するというのも遅過ぎますが、紛争が来るということは間違いないというように想定して準備をしなければならないというようには考えておりません。そういうのが率直な気持であります。この資料の収集には今からぽつぽつかかりますが、どの辺に基準を作上げるかという問題は、法の施行頃までの間に、成るべく広くデータを集めて見て、それから基準を出していいのじやかかろうか、まあそういうような考えで率直に考えております。
#35
○西田隆男君 私は鉱山局長のお話を聞いて誠に潰憾に考えますが、準備ができていないのを、やつていないのだからできていないことを追及しておこつてもこれは無駄だと思いますが、あなたがたが追加鉱物の指定をされて、新らしい鉱業法の中に追加鉱物として規定されるということを、この前の委員会からあなたの所論を聞いておりますと、鉱物は国家のものだ、明治初年からそうなつておるのだということで、国家が今まで追加しなかつたこと自体に関しては何らの責任も感ぜられず、ただ国家が鉱物の権利の主体なんだから、やるのに文句があるかというような一方的な感覚に基いてそういうものをお取扱になるということは、過去の慣習も、現在の実情も無視せられて扱われるということには、私どもは根本的に非常な異議を持つておる。政治というものは、立法とは別かも知れませんが、立法によつて政治は行われるのでありますが、政治とはそう無感覚なものではなく、政治というものは生きておる、生きて動いておるという感覚に基いて、今の十三條に関する問題も紛争を予測しなかつたということ自体が問題なので、当然いろくの権利関係があつて、今までは当事者間で円満な妥結があつたということだけでありまして、情勢のいろいろな展開があれば、紛争はいろいろ起きるので、若し起きなかつた場合には、儲けであつて、起きるものという予想の下に詳細な調査が行われて、通産局のほうで一種の目安の点ぐらいはあなたがたのほうで確信を持つて答弁されるという状態下において、この法律の條文をお考えになつて頂きたい。余り無雑作に過去の習慣も、現在の情勢も無視して、権利の主体は国であるからと言つて一方的な、独断な解釈で、法律解釈しては間違いでないかも知れませんが、解釈で法律の條文を作るということは、これは今後愼重に十分一つ考えて頂きたいということを附加いたしまして、早急にこの十三條の紛争解決をするための方法を一つお考えになって、急速に実施の運びにお願いいたしたい。これをお願いして私の質問は今日はこれで打切って置きます。
#36
○吉田法晴君 まあ原則的なものからお願いしたいと思いますが、一応提案理由の中で説明を伺いましたが、條文を読み法案を研究すればするほどはつきりいたしませんので伺って置きたいと思うのでありますが、この新鉱業法のまあ指導理念と申しますか、こういう理念は、まああつた、なかつたということになるかも知れんと思うのでありますけれども、具体的に申しますと、例えばこの今度の鉱業法を、前の今までの歴史がある鉱業法、たびたび改正して参りましたが、それの改正という手続をとらないで、新らしい鉱業法を作つたと、その理由もその中に含まれると思うのですが、例えば民主的機構を作るということもその一つであるように思います。或いは法益といいますか、鉱業権と対比せられる農業、林業その他の利益との調整というものも考えられているように考えるのでありますが、併しなおあれが出てからその後の経過を見ていると、やはり昔の鉱業法自体の考え方に、鉱業権が中心になつているのではないかと、こういうような点も考えられて、どこに新鉱業法の第一点とする、独立した、或いは指導理念と申しますか、目標がどこにあつたかということがぼやけて、と申しますか、なぜ新らしい法体系をとつたのか、そのためには幾つの目標がそれぞれどういう工合にあつたか、その点を伺いたいと思います。
#37
○政府委員(徳永久次君) 非常に基本的な元に戻りました御質問でございますが、この全面改正の形をとりましたのは、まあ率直に申上げまして、全然新らしい柄の変つたものを作るということから、全部改正しなければならなくなつたという程度には実は理解いたしておりません。むしろ半分以上は、技術的にと申しますか、難点があるわけであります。即ち砂鉱法と一緒にいたしましたり、戰時中の鉱業所有権今度ででいいますと租鉱権、そういうものを考えまして修正いたしましたり、一部修正というような形をとりますには、余りにもあちこちで変更が出て参るというよらな意味があるわけであります。そういう点から、まあ一部改正で行きますと非常にきたならしいものができる、まあ終戰後初めて根本的に振り返つて改正するのでありますから、大筋は変っていないにしても、全文改正のほうがしつくりしていいのじやないかというつもりがあるわけであ。ります。ですから大筋は変つておりませんが、相当変つたという意味において、きれいに終戰後の新らしい法律ということにしたいというような気分で、全面改正といたしたというようなことでございます。基本的な点が全然変つてない点と、変りました主な点というものは、提案理由の際にいろいろ申上げてあるわけでありますが、変つていない基本的な点を念のために拾つて申上げますると、この鉱物を、前から問題になつておりまする国有の観念で行くという考え方、これは昔からあつたものをそのまま踏襲をいたしているのであります。それから又鉱業法を適用しますのに、その一部にありますが、法定鉱物主義で行く、列挙主義で行くということを踏襲いたしているわけであります。鉱業権を何人に賦與するかという考え方につきまして先願主議によつてやるのだという基本原則、これも従来のものを踏襲いたしているわけであります。それから今度は一つの特権なり、制限なりになりますが、特権といたしまして、鉱業権者に対して、鉱業施行上必要な限度において使用権を認める。そして今回の場合に、併せて使用権を認めておるわけでありますが、そういう特権を與えるということも、その内容は時勢に応じて再検討いたしてありますが、その基本的な建前は変つていないわけであります。それから鉱業権を設定いたします際に、国の立場におきまして鉱業権の出願の内容に、一口に言えば、文句を付けるというような建前も、これは鉱利保講に遺利なく採掘するというようなことが出願事項の條件に合つていなかつた場合には、それに合うように勧奨するというような原則は、やはり依然として昔の通りに考え方としては踏襲いたしでおるわけであります。従いまして鉱業法は鉱山の基礎的なものであります。鉱業権の権利の設定或いは権利の性質、それに関連いたします業務、或いは特権、或いは制限というようなものをきめておるわけでありますけれども、その大筋におきましては現行法とそう変つていないわけであります。変りました主な点は、提案理由の中に要点をかいつまみまして挙げてありますから省略いたします。
#38
○吉田法晴君 質問の要点をぼかされたのですけれども、変らなかつたところだけを挙げて頂いたのですが、新らしい鉱業法にした理由の中で、私どもが見ておって、従来の鉱業法は、鉱業の開発助成といいますか、鉱業が中心に考えられておったという感じがするのです。新らしい鉱業法の中に、一つの要素として鉱業権と、それから他の農業、林業、その他法益といつたものとの調整というのが一つの眼目であるような、これは少くも法の上から言つてそういう感じがする。或いは民主的な機構なら民主的な機構を作ろうというような要素も一つあると思う。そういう点について、これは條文上ではなくて、法を新らしくしたときの中の何といいますか、狙い、いわゆる主要な制度上の狙いというものについては、どういうものがあるのでしようか、先ほど申しましたようなことでいいのかどうか、その点を伺つておるのであります。
#39
○政府委員(徳永久次君) 先ほど私申しましたように、鉱業法の新法と、それから現行法とは、この規行法にありまする大組みの骨筋は、新法におぎましてそのまま継承しておるということを申上げたわけでありますが、新法におきまして、鉱業法に規定しておる点の、まあ変つた点を提案理由の中では入つほど項目を挙げたわけでありますが、この中の目ぼしいものを拾えということに相成りますれば、今御指摘のございました鉱業と他の産業との調整につきまして、現行法によりますれば、その調整は通産局長なり、通産大臣が判断するという建前になつておるわけでありますが、それを鉱業と他の産業との調整だということになるので、そういう通産大臣なり通産局長というのは、国の一部とは言いながら、職掌柄鉱業のほうに味方をしやすい立場で、そういろ建前は適当でなかろうというので、土地調整委員会という、最終的にはどこにも属しない、中立な立場の人がきめるという仕組に変えたのであります。これは戰前なかった新らしい構想であります。大きく新法の特色というふうに見られて差支えない点じやないかと考えます。それから今の御指摘になりました第二の点は、鉱業法の中に、国家権力の発動のケースがいろいろあるわけであります。その発動の場合におきまして、それの運営を民主的にする、今までの現行法によりますれば、極めて簡單に、政府はこれこれの必要があるときは何々を命ずることができるという、一行に書きつ放しというような書き方になつておるわけでありますが、それを極めて愼重な手続をとつてやるごとくしますために、次善の措置として、必ずそういう国家的な見地から何らかの制限なり、干渉なりというものの必要のありました場合には、勧告の手続をとりまするし、又更に公聴会を開くというような手続をとりまして、その上でなければ国の権力は最終的に発動できないという工合にしたというわけで、いわゆる戰後の法令の民主化の精神に副いましてやりましたのは、第二に大きく挙げられて然るべき点じやないかと思うわけであります。あとの点は、いろいろございますが、いわば、長年の経験等によりまして、よりいいものに少しでも手直しをしたというふうに、極言すれば見てもいいんじやないかというふうに考えるのであります。振り返りまして念のために申上げますると、改正の要点の一つに挙げております新鉱種の追加、これは制度的に考えますれぽ、昔もあつたことでございまするし、その後の状況によつて、こういうものを法律扱いする必要が出て来たということで追加したわけであります。これは何も法の体系としては新らしい問題ではないのでありますし、それから第二の点として挙げております鉱業権の存続期間の点でありますが、これは形式的には大きな改正だと思います。無期限のものを三十年にしたという点はございますが、これは前から御説明しておりますごとく、実質的には制限するようにはきめておりませんし、鉱物がある限り何度もできるということにしてあるが、形式的には大きな改正でありますが、実質的には大した改正ではないわけであります。それから改正の第三点として挙げております租鉱権という制度、これは従来ありました使用権とか或いは現実に石炭の斤先掘、或いは石油の場合の共同用井というものの妥協を図つたということでございまして、そう新法の全然新らしいアイデアというわけのものではございません。併し基本法の中に租鉱権を入れたということは、一つの大きな改正点であります。まあそう見ていいわけではないかと思うわけであります。それから土地の使用の外に、収用を一部を限つて認めましたが、これも鉱業のために、土地の形状を根本的に変えなければ使えないというものを使用権で取得することは、極端に言えば無駄な話である、その範囲で使用を認めたという程度でございます。それから鉱害補償につきまして、若干の改正点がありますので、これも現行法の点から見て一歩前進した考えだという程度で、全然新らしいものではないということであります。そういう工合に言えるのじやないかと思うわけであります。
#40
○吉田法晴君 御説明は簡單明瞭で結構でありますが、そこで今のお話の点で、もう一つ念を押して置きたいと思いますけれども、新法の大きな狙いである鉱業権と、他の産業或いは他の権利との調整という点が大きな狙いではありましようが、議論を具体的にしておりますと、昏迷をするのですが、併し新鉱業法の狙いとしては、他の権利との調整を図りながら、鉱業権の実施といいますか、或いは鉱業の進展を図る、この点については間違がないことだと思うのでありますが、その点にどうなんですか。
#41
○政府委員(徳永久次君) この他産業との調整という問題が、今後新法によつて鉱業の発展が非常に制約を受けることになりはしないかという意味のお尋ねじやないかと思うのでありますが、これは私ども先ほども申しましたが、現行法によりましても、新法で考えました鉱区の禁止区域の指定とか、或いば紛争を土地調整委員会に持って行くというふうに、制度的に非常に新らしくなつております。制度としまして、進歩的な中立のものによって最後は裁かれるということになつておりますが、現行法自体によつてもあり得ることでありまして、禁止区域の指定は、行政運用として鉱害地を各通産局が内定して持つておるわけであります。ただそれを制度的に非常に合理的な形のものにしたというふうに、まあ極端な言い方をすれば見てもいいのじやないか。だから制度としてに非常に進歩したわけでありますが、実質的には、これによりまして鉱業が非常に阻害を受けるというような懸念は実は私どもは余り持つていないのであります。
#42
○吉田法晴君 これは全然新らしい法律、或いは法体系をとられたので伺うのでありますが、実は先般鉱業行政序説という局長の本を頂いたのであります。その序文に、これは小野さんの序文が載つておるのでありますが、配つて貰いましたのが、委員として貰つたわけです。それから序文も、これは著者の精神をくまれて書かれておるということでありますので、お尋ねするのでありますが、その序文の中に「著者徳永久次君はこの鉱業界の現状を「石が流れて木の葉が沈む」と喝破して居る。(中略)著者は今鉱業行政の責任者として本書を刊行し広く朝野の識者に訴えんとする所以は何処にあるであろう乎。蓋し遠く都市文化を離れて深山幽谷の地下千丈の暗黒世界に働く吾々同胞の生活と幸福と、又我国産業経済の根本を左右するものが鉱業政策であり、」云々と書いてあるのでございます。そこでこの新らしい鉱業法の制定をせられるに当りまして、今この局長が書かれました著書の中に流れておると考えられる精神、それが如何ように現われておりますかということを一つお尋ねをいたしたいのであります。例えばここに「遠く都市文化を離れて深山幽谷の地下千丈の暗黒世界に働く吾吾同胞の生活と幸福」を考えることが鉱業政策の一環であると言われますならば、或いはこれは鉱山保安法の問題であると逃げられるかも知れませんけれども、或いは例えば積年問題になつております珪肺対策のごとき、これは具体的な事例でありますが、その一つであろう。それから衆議院の公聽会で述べられております鉱山、炭鉱の労働組合の代表が述べました労働者の民主的行政機構への参加の要望、これを地方鉱業審査会に対する参加という言葉で述べておりますが、そういうものについてどういう工合に考えられるか。この立派な著書の中を流れております精神が、新法の中で具体的に現われておりますか、一つお尋ねして置きます。
#43
○政府委員(徳永久次君) どうも、率直に申上げまして、この鉱業法の中にも、資源の貴重性――代替性を持ち得ないという点から、いろいろな特殊性が、ほかの法令にない特殊性があるわけでございまして、その限りにおきまして、或る程度の政策というものも織り込まれた法律であるということも言えると思いますが、併し大雑把に申しまして、鉱業法というのは、鉱業権を中心とした規定でございまして、鉱業の全体としての基本法でございますので、まあ甚だ恥しい話でありますが、只今引用されました私の書きました鉱業行政というものは、この鉱業権を基として成り立つておりまする鉱業の、殊に金属鉱業が、その本を書きました当時、当面しておりました問題なのであり、或いは基本的な問題をとりまして書きました本でございます。そう関連は、極端に言えば殆んどないというふうに、申上げ得るのじやないかと思うのであります。それから具体的に、只今最後に御指摘ございました、民主的な運営という点から、その法案が例えば地方における鉱害賠償基準協議会というものに、民間人の関與を許していないではないかというような見地から、それなどう考えるかという点でございまするが、これは実は仰せのごとく、鉱業法の改正、審議会が作りました案におきまして、鉱害賠償基準をきめる、或いは鉱害賠償の仲裁に当るとか、或いは更にこの中にあります国家権力の発動の際の諮問にあずかるものとして、地方鉱業審議会というようなものを作りまして、そこには官のみならず、関係深い民間のかたがたにも御参加願つて委員会を構成して行くというような構想が、当初に審議会にあつたそうですが、併しこれはひとり鉱業ばかりにおきまして認められました制度ではないのでありますが、終戰後の全体の体系といたしまして、個々の行政に干與する虞れのあるような面につきまして、民間人の入りました或る種の委員会というものの、制度としてはつきり諮問するというような仕組みというものは、あらゆる部面において実はとられていないわけでございます。その基本的な考え方は、戰争中に日本がやりました行政というのは、餅は餅屋にという意味で、專門的な事項に関しては、專門家の参加を待ち、そこでおきめ願つたことに従つて、役所はそれを行うという方式、その極端な例が統合會というようにも言えると思います。そういう方式をとつていたわけであります。そういう方式が、いわば一見民間人の專門的知識を利用したということで、民主的であるというふうにも見られるかも知れないが、併し戰時中に本当に発達したそういう形というものを振り返つて考えました場合に、それはいわば民間における、まあ俗な言葉で申上げますれば、ボスに行政を任したというような批判の仕方が生れるわけでありまして、それが戰後解体を命ぜられました財閥とも関連いたしまして、そういう各種委員会において牛耳を取つていたものが財閥であるというような観念、そういうことからそういう形というものは好ましくないのだということが、関係方面から強力に示竣されたわけであります。さような意味から、行政の直接の面に利害関係を持つ限りにおいて、民間人を入れてそれに必ず相談しなければならないという仕組というものは一切取るべからずというふうに相成りまして、その一つの適用として、鉱業法におきましても、当初の構想が実現されなかつたという事情でございます。
#44
○吉田法晴君 折角立派な書物を書かれ、理想を鉱業行政の上に実現したいということで書かれたのだと思うのでありますが、説明を聞いておりますとただ事実を羅列したにとどまる。この民主的な機構の考え方についてのいきさつはこうだという御説明を承わつたのですが、無論理論にいたしましても理想にいたしましても、たとえ鉱業行政を担当されておる責任者でありましようとも、これは理想と自信とを持つて前進して行くことが必要なんです。ただ文字の上の理想だけではなく、それを現実に一つ実現するために御努力を頂きたい。折角立派な本であり、折角立派な條文が書かれてあるそれを活かして頂くことをお願いして、その点はやめにいたしますが、今民主的機構の点についても触れられましたが、これに資料をお願いしたのであとから若干出て来るかと思いますが、いずれにしましても説明が必要であると思いますので、お尋をしたいのでありますが鉱業法改正の審議の今までの経過の中で二つの点だけ、原状回復か金銭賠償かという考え方がどういう工合に変ったか、こういう点について先般我妻先生がちよつと触れられましたけれども政府のほうからお述べを願いたい。
 もう一つは、民主的な機構と考えられるもののこの段階における考え方と申しますのは、それは今出されておる法案にいびつになつて出て来ておる。従つて過去における審議の過程が必要だと考えられます。私から申すまでもなく、私どもが貰った資料の中で、民主的な機構と考えられるものの言葉だけを拾いましても、地方鉱業委員会という言葉で呼ばれておるということが一つ、それから答申案にに鉱業委員会という言葉が使ってあります。それからダンカン氏の書簡の中には、内閣直属の委員会で衡平裁定委員会という言葉を使つておる。それから先ほどの局長の著書の中に言われておること、それから司令部のコメントの中に入つておる言葉で言えぱ地方鉱業審議会というこういう言葉で呼ばれておる。少くとも四つのものが出ておつて、それぞれ審議の段階において名前も違うが、或る程度構想も違つて今日に来ておる。そうして尻つぼが今日の原案に土地調整委員会と、それから鉱害賠償基準協議会と、この二つになつておる。こういう工合に考えられる。そこで今日までの経過を一つ御説明願いたい。
#45
○政府委員(徳永久次君) 最初のお尋ねの、この鉱害賠償の基準の問題はあとで、私古いことになりますので承知いたさない問題がございまするが、あとで、鉱政課長からお答えいたさせます。
 第二のお尋ねの点でございますが、ちよつと速記をとめて頂きたいと存じますが。
#46
○委員長(深川榮左エ門君) ちよつと速記をとめて下さい。
 〔速記中止〕
#47
○委員長(深川榮左エ門君) 速記を始めて下さい。
#48
○吉田法晴君 それでにこの土地調整委員会と、それから我々の貰つておりまする原案との各條文の関係ですが、第十五條の鉱区の禁止区域を設定する場合には、土地調整委員会にかける、ところがこの條文の体裁を見てもわかりますけれども、同じように農業、林業その他公益と矛盾するから許さないという第十九條の鉱業権延長の場合の不許可の場合、それから三十五條の鉱区を許可しない場合、それから五十三條の鉱区の減少、鉱業権の取満し、この場合にはかけないということにになつておりますが、これは鉱業権を何といいますか、特定の地域について禁止する或いは許すと、こういう点においては、実際は同じだと思うのですが私は同じように土地調整委員会にかけるべきではないか。土地調整委員会というものを作るならば、同じようにかけるべきではないかと思うのですが、それを十五條だけに限りました理由にどういうところにあるのですか。
#49
○政府委員(徳永久次君) この十五條のほうは、ここにございます土地調整委員会が積極的に一定の場所を設定いたしまして、ここにはしてはいかぬというととをきめるわけです。三十五條の場合と土地調整委員会の関係を申上げますと、一応この三十五條に、鉱業権の出願を許可しないということがあり得るケースを挙げておる。これは第一段階として通産局長が、鉱害地というように指定されている場所ではないが、併し他産業との調整、或いは公益上の関係から認めない、支障のあるような場所については、出願を認めないというような仕組にしてあります。この処分にこういう出願者のほうから不服がございました場合は、土地調整委員会のほうにかけるということに相成つております。個々の問題として土地調整委員会に上げて来るのでありますが、第一段階の問題としては、責任者が一応の裁きをするという仕組にしてあるわけです。
#50
○吉田法晴君 説明を聞いておるのではない。その通りになつておることは條文を読めばわかるのですが、なぜそういう区別をつけたか。権利の附與或いに剥奪といいますか、禁止、この点からいえば実態は同じじやないか。然るにとにかくこの十五條だけ、初めから土地調整委員会にかけて、あとの場合には今言われましたが、十九條と三十五條と五十三條ですか、その場合にだけは、これは本人が不服を申出て来なければやらん。実際問題としては、大部分不服を申立てて土地調整委員会を煩わすことをしないでそのまま通るであろう。折角土地調整委員会というものを作つて、その土地調整委員会というものは、恐らく公益を代表するという立場でその問題にタッチする、こういう制度をこしらえる建前をとるならば、鉱業権の禁止区域設定だけではなくして、同じ……体容は違つても鉱業権の賦與はしない、或いは禁止する、こういう場合には、なぜ土地調整委員会にかけるということをしないかという立法上の議論をしておる。説明を聞いておるのではない。
#51
○政府委員(徳永久次君) これは一つの便宜論に相成るわけでありまして、三十五條のようなケースにつきましては、今の御趣旨のごとくに言いますと、まあ通産局長が疑問を持つたら、一遍土地調整委員会に相談をして、その上で成否を決するという仕組も制度としてはあり得ると思います。あり得ると思いますが、この考え方は、まあ問題を二段階にするといいますか、二段階にするというようなメリットというものもやはりあり得るものと考えまして、第一線部隊が一応の判断をして、それでも紛争があつた場合には土地調整委員会が裁く、第二審的な考え方にしたわけです。この十五條の問題につきましては、実は現行法自身には、こういうはつきりしたものはないのでありますが、現行法の運用におきましては、第一審に該当する通産局長が、先ほどもちよつと申しましたが、内規的に持つておるわけです。こことここは出願があつても認めないということをきめておるわけであります。それをまあこういう制度を作るとして、誰がやれば適当だというふうに考えますと、どうも内規的の問題というよりも、第三者がきめたという形が適当であろうというので、土地調整委員会に、現在の通産局長が持つておる権利をそのまま返上した、差上げたというかつこうに相成つておるわけであります。
#52
○吉田法晴君 十分に満足せられぬのですが、これは先ほど新法を作つた大きな目標がどこにあるかと尋ねたときには、民主的な機構を作ることが、新らしい法律を作つた基本的な目標の一つだというお話だつたのですが、そうするならば、従来の制度では、これはこういうものはなくて、通産局長がみんな鉱業権を賦與する、こういう建前をとって貫いておる。それについて不服な場合は行政訴訟なり、その他の手続もありましようけれども、そういう手続一本で通つておる。今度の場合には、十五條の点だけ土地調整委員会にかける、あとのものは不服を申出たときだけかける、いわばそのときは土地調整委員会が裁判所的な関係になります。初めの十五條の場合には、これは行政委員会的な、行政機構の一部として、そこで梅利の賦與……賦與じやない、これは禁止区域を設けるわけですから、土地調整委員その他のために、一つの権利の設定、変更を土地調整委員会自身がやつておる、こういうことになつておるとして、それならばこういう制度になつておるならば、どこがそういう措置を講ずるのか、鉱業権の設定、変更は誰がやるのか、それからそれを制限する場合には、それじや誰がやるのか、こういう疑問を提出した場合には、今のこの法文の模様では、趣旨一貫しておらんじやないか、こういう点を申上げているわけです。
#53
○政府委員(徳永久次君) 私どもは趣旨一貫していないとは実は考えていないわけでありまして、十五條の場合は、積極的に土地調整委員会が区域を指定してやるというやり方で、それを通産局長が先にやつて、それでも紛争があつたら土地調整委員会で裁くという仕組をとつていないのは適当じゃないじやないかというふうにも受取れるわけでありますが、これは現行法におきましても、先ほど申しますように、内規でありますが、半公知のものでございます。ここの場所は出願した場合に許されない、例えば水道のある近くだとか、町の下だとかいうようなものは半公知になつておる制度でございます。ただ條文によつてそれをはつきりしないというだけのものでございまして、そういうものを、土地調整委員会というものを折角設けた以上、そういう仕事は、今後は土地調整委員会がおやりになったほうが適当じやなかろうかというふうに考えたわけでございます。その他の事項は、この三十五條の問題とか、或いは使用とか、収用の問題に関連しまして、鉱業とその他における行政的な問題で紛争が起り得るわけでありますので、一応第一段階として、通産局長が処分いたしまして、それに対する両当事者から仮に不服がありました場合には、公平な第三者の所へ持つて行く、そして裁きをつけて貰うという仕組として土地調整委員会を考えたわけであります。今もお話がございましたように、従来でも或いは行政訴訟としてあつたと思いますが、今は行政訴訟という制度はないわけであります。特殊の行政裁判所というものはないわけであります。鉱業法をめぐつて土地調整委員会というものが行政裁判所的な機能を持つというようなことに相成つておるわけでありますが、私ども趣旨一貫せぬとまでは考えないわけであります。
#54
○吉田法晴君 そうすると今のお話では、土地調整委員会は、鉱業旛の設定その他に関連しまして、今は勿論ありませんが、昔の行政裁判所的な役割を果すのだ、こういうことでありますならば、それじや十五條のこれは何だということになるわけで、土地調整委員会の性格というものは、行政裁判所的な性格でありましたならば、それなら十五條にあるようなこれは何であるか。私は鉱業権賦與に関連いたします一つの行政措置だと、行政措置をやる行政委員会的なものとしてここに十五條が出で来ておる、やはり役割ができておるように思います。そこで私の言いますのは、十五條なり、その他のものと一本に貫いて、土地調整委員会というものはどういう機関である、どういう組織であるということにするためには、これは統一して同じ……多少事務上の関係は私の考えは違つておりましたけれども、鉱業権の賦與、或いは設定、変更……設定も賦與も同じですが、鉱業権の設定、変更、廃止について干與せしめるというような建前にしたほうが、土地調整委員会の性格としても私はすつきりするのじやないかこういう感じがするわけであります。
#55
○政府委員(徳永久次君) 今非常にはつきりされましたように、土地調整委員会は、内容的に申しますと、二つの仕事を持つておる次第であります。この十五條の仕事は、鉱業権の設定を認める場所と、認めない場所ということを積極的に自分できめるという仕組ですから、一つの行政処分を直接やるというようなかつとうにあるわけであります。それから第二の大きな任務というものは、鉱業権に関連して起ります、殊に鉱業と他産業との調整に関連して起る紛争の裁定という二つの面に実は考えられておるわけであります。この十五條の点は、ここの中身自身が、こういう鉱区の禁止区域というものをきめる判断それ自身というものが、鉱業の立場から判断するというよりも、むしろ他産業との関連ということで判断してきめる性質のものになりまするので、今までは通産局長だけでやつておることでありますが、折角土地調整委員会を作りまして、紛争の裁決に当つて貰う役所を作つたのならば、この仕事は土地調整委員会に併せて持つて貰つたほうが適当であろうということで、土地調整委員会のほうに持ち込んだわけであります。だから結果としまして、土地調整委員会はお話のごとく二つの性絡を持つということに相成つておるわけであります。併し共通する面はあるわけであります。
#56
○吉田法晴君 共通する面は、條文の上にも現われておるように、公益或いは農業、林業その他の産業と鉱業との利害の調整という任務、それからもう少し行きますならば、そこで機関として公益を代表するような役割を果そう、それはわかるのです。大体どういう利害を代表するか、どういう任務を持つかということにおいて、十五條の場合もその他の場合も同じであるならば、一つは行政委員会的な性格を持つ、他の場合においては裁判所的な性格を持つ、こういうのでは、局長も言つておられましたけれども、実際の運営の場合に、理論的にもはつきりしませんが、問題が起つて、来やせんかという気がする。そこで例えば最初に考えられましたように、鉱山行政について諮問機関的なもので一本で貫くならば、その両者が解決し得るのじやないか、それには私が言うように、十五條以外の場合には、申出があつた場合、文句があつた場合にかけるというのじやなくて、初めの行政措置の場合にも諮問するという態度をとるならば、その辺が一貫するのじやないかこういうことを申上げておるわけです。
#57
○政府委員(徳永久次君) 今最後におつしやいました諮問する際にこの委員会にかけるというような形をやりますと、むしろ非常に異なったものに相成ると思います。その結果は、率直に申しまして、誰が諮問するかということになりますと、通産局長とか、或いは通産大臣が諮問するということになると思います。それでは農業、林業その他の公益との調整は公平なものじやないということに相成るのではなかろうかというふうに私たちは考えまするし、適当でないというふうに思うわけであります。如何にもこの二つの任務を持つておるので、不統一じゃないかというふうに言われろわけでありますが、十五條の場合は、包括的な或る地位を指定する問題でございます。その他のケースは、個々のケースの問題になりますので、個々のケースの問題については一応責任者が或る裁きをつけて、それについて紛争がありました場合に裁定するというほうが、むしろペターじやないかというふうに考えるわけであります。
#58
○吉田法晴君 條文でそうなつておる、結論がそうなつておるからそれがいいのだ、とういうまあ御説明でしかないと思うのです。諮問委員会というのは、十分考えた上での発言でないのですが、実際にはこれけ名前を何とつけるかというよりも、あとは運用の問題になると思うのですけれども御説明で、土地調整委員会というものはどういう機関だ、こういう説明を求めますと、その点は二つの役割があるということではつきりしない。ほかに今までできました委員会で、こういう二つの役割をし、こういういわばぬえ的な機関というのが別にございますならば、参考に一つ承わつておきたいと思います。
#59
○政府委員(徳永久次君) 私正確な名前を覚えていなくて恐縮でございますが、極く最近できました放送関係のあれは……(「電波監理委員会」と呼ぶものあり)電波監理委員会ですか、あれは個々の新らしい認可もするように聞いておりますし、それからそのための放送事業の監督もするということになつておるかと思いますが、私どもこれを何も参考に作つたわけではないのでございます。こういう制度が実際一番いいと考えたわけであります。
 なお念のためでございますが、先ほどのダンカン氏のノートにございます衡平裁定委員会というものがあるのを、諮問機関と若し誤解されたとすれげ、ダンカン氏のノートは、諮問委員会として完全なものを作れということを指したわけではないのでございまして、明らかにことに書いてございますような両者に跨がる問題だから、第三者が判断するという中立のものを設けるということで、ここの法案にありますようなものをサジエストしたという性質のものでございますから、念のため補足かたがた申上げます。
#60
○吉田法晴君 それでは資料に頂いております司令部のこメントの要点という中に、八、地方鉱業審議会の設置は司令部の政策に反する、違反である、というふうに簡單に書いてございますが、その何と申しますか、中身を少し詳しく御説明を頂けないでしようか。それは例えば今の諮問機関といつたような機関の性質に関連して言われておるのでありますかどうか。
#61
○政府委員(徳永久次君) その点は、この土地調整委員会なり、衡平裁定委員会は全然別な問題でございます。先ほど分けて申上げました地方鉱業審議会、諮問機関として設けようとした地方鉱業審議会というものが司令部の基本方針に反するということを指摘されたわけであります。その司令部の基本方針と申しますのは、先ほども申上げましたが、行政に干與する委員会について民間人の参加する者を認めないという基本方針でございます。原案によりますると、地方鉱業審議会というものが、繰返しになりますが、この鉱業法に基きまして通産大臣なり、通産局長が持つております権限、各種の命令、変更命令その他の命令権がございます。そういうものを発動する際に、地方鉱業審議会に諮問してからやるほうが民主的ではなかろうかと、私どもは昔の常識でそう考えたのでありますが、そういうことは以てのほかだ、それは国が国の責任においてやるべきことであつて、そこに民間人が入って下相談にあずかるというこさになれば、行政の運用が民間人によつて左右されることになるから適当でない、さような基本方針が各種の面にとられておるわけでありますが、その適用として簡潔に表明されたわけであります。
#62
○吉田法晴君 それじや今の説明に関連してお尋ねをいたしますが、実際的にそういうものがあるからお尋ねするのですが、福岡県には福岡県鉱害対策協議会というのがある。これは沿革的に言いますならば、今度の條文にあります鉱害賠償の基準を相談する、それは加害者と被害者との間に紛争があつて、金銭賠償の形をとっておつた、その賠償の額について争いがある場合に、調停をするという形で、双方の言い分を聞いで賠償基準を出しておる。そういう鉱害賠償基準協議会的な性格であつたものが歴史的に発展して参りまして、最近の鉱害復旧問題が非常にやかましくかつて来ておりますので、その鉱害復旧の問題についても協議する機関に多少性質が変つております。そういうものが現にあるのですが、御承知のように、これと似たようなものが各鉱山局單位に、名前は忘れましたが、地方鉱害協議会か、そういつた名前のものができております。それは福岡県の鉱害対策協議会というものが、沿革的にそうであるようなものを多少含んでおる。これは法律も何もできておりませんが、制度上各地方に、昔の石炭局、今で言うと地方通産局管内になお残っておるのではないかと私は考えておるのでありますが、そういうものと関連して見て、そういう制度、例えば地方鉱害賠償基準審議会か、それはよろしいのですが、併しながらその中に民間人を入れていかぬと、こういう御精神だと言われるけれども、現状はその辺多少違つておるように思うのであります。それらの点について、どういうようにお考えですか。
#63
○政府委員(徳永久次君) 今御指摘ございましたのは、いわゆるオフィシヤルな審議会、諮問機関では全然ないわけでございまして、この法案の中に織り込もうといたしましたものは、法律によつて裏付けられた権限なり地位なリというものを持つたオフィシヤルな制度である、そういうものについては、先ほどのコメントに出ておりますところの基本的な方針として認められない。又既往のものは修正しろという強い線が示めされておるわけであります。現実にこのオフィシヤルなものでなくて、各協議会というものを設けてある例はほかにいろいろあります。併しながら実際の行政の運用の適正を図るという意味でやっておりますから、制度としてそれに拘束されるという性質のものではない建前になっておる。法律の中に出ておりますのは、それが法律で與えられました任務、要件に基いて、特に政府の行動を法律によつて拘束するということに相成るので、その点においては大きな違いがあると思います。
#64
○吉田法晴君 局長にこの前西田さんが質問されでおりました従来の石灰石の山にある石灰石に関する諸権利、それと新法が実施された今後の権利の調整問顯について非常に権威主義的な御説明をなさいましたけれども、今の御説明にはそういう精神が流れておると考えます。私はその点、これに重要な問題だと考えますが、私の考えでは、法律の任務、これは今までありました社会関係を国家的に保護する法律の建前、或いは国家の任務にしても、事実関係を保護するところに、少くとも法律の任務があるように考える。実際問題としてはこうこういう問題がある。それを法律的ににどう認めたらいいか、どう取扱つたらいいかということが、立法の趣旨だと思う。これに例えば別の例でありますが、斤先掘というものが実際にある、それが法律がなくて非常に困つた。そこで使用権というものが認められ、或いは今度は租鉱権として認められた。鉱害の問題、特に福岡県の鉱害というものは全国的に見て大きいと思うのでありますが、そこで自然発生的にそういう制度が設けられた。これは日本のように頭から国家的な権力で法律をかぶせるのではなぐ、英米法の慣習法を中心にするとするならば、それが法律の中心になつて行くと思います。少くともこの立法をやつて参ります場合に、そういう現実、或いは自然の間に歴史的にできた基準というものを無視して、権威的にこういう説明がなされるということはいけない。こういう御説明は、立法の場合の建前ではなかろうと思うのであります。日本の実態に沿つてそれを法律的にどう取扱うかということによつて立法を考えなければならぬ、そういう工合に考えるが、その辺は如何でありますか。
#65
○委員長(深川榮左エ門君) 速記をとめて下さい。
 〔速記中止〕
#66
○委員長(深川榮左エ門君) 速記を始めて。
#67
○吉田法晴君 十五條その他の問題に関連しましては、私として納得いたしかねるものがございます。それからこれはやはり行政機構の改革とか何とか言われておりますときに、論理的に制度として一貫しないものがいろいろ複雑にできるということは、そういう点からもむしろ考えなければならん問題でありますので、今後御研究を願うということにいたしまして、その條文の中に盛られております一般の公益又は農業、林業若しくはその他の産業と対比して、適当でないと認めるとき、同じような言葉でありますが、保健衛生上害があり、公共の用に供する施設を破壊し、或いは公共の福祉に反する、こういう言葉が使つてありますが、その具体的な何といいますか、程度といいますか、これを今考えられておりますところをお話を願いたいと思います。これは今後問題になるだろうと思います。なおそれは或いは土地調整委員会の判断、今度の制度によるいわば判決事例と申しますか、それぞれの判断による事例を積み重ねて明らかになつて行くのだということは、これは明らかでありますが、併しながらこれは相当紛争の種になると考えます。それから又コメントの中にも、通産局長の基準が明確でないという言葉もあつたようであります。その辺について考えられる実例だけでも承りたい。
#68
○政府委員(徳永久次君) 一々の具体的な例を挙げろというお話でございますが、実は先ほどのコメントのあれから、それの関係と申しますか、従来こういう場合というものはまあ何といいますか、非常にあつさり書いてあるのが従来の例でございますが、コメントとか何とかいう程度にあつさりと書いて、その中にもいろいろなケースを含めておるというのが従来の法律の書き方でございます。ダンカン氏のコメントの御指摘によつて、正式の案につきまして政府が出しました際に、コメントに書いた要件が明確でないということで、予想されるようなケースを、従来の法案に比べまして実は詳しく書いたというのが、この各條の書いた気持でございます。例えば十五條の場合の鉱害地をどう考えでおるかというようなことになりますと、例えぽ貯水地のあります場所につきましては、その周辺何里かを含めましてやらないことにいたしておるわけであります。それから国立公園或いは温泉につきましても、そういう場所をきめております。それからまあ温泉といえば湯の出るところぼかりでございますので、町全体を含めておるわけであります。それから保安林の場合は必ずしもそうはなつていないそうでありますが、現行法でも、正式には鉱害地という名前でございませんで、俗に鉱害地と呼んでおるのでありますが、鉱害地として指定してある場合が通例でございます。それから地方で例えば北海道でございますが、牧草地帯というようなことで農林省の関係で特殊の地帯が設けられておるような場合があります。牧草地帯の下を掘つてしまうと、牧草がなくなるという場合もあつて困りますのでそういう場所が鉱区設定禁止区域としてあることがあるわけであります。今思いつきで申上げておりますので、網羅してございませんが、時間の余裕を頂きましたら少し組織的に現在鉱害地としてきめております場所をもう少し詳細に例示できるだろうと思います。
#69
○吉田法晴君 その点は、今の説明を聞いておりますと、実際大変なことだという印象を受けるのであります。例えば牧草地帯までも、とにかくその下を掘られると云々ということになると或いは町全体ということになりますと、そうすると耕地の下も全部掘るなこういう話になるようですが、今挙げられました点或いは貯水地の周辺何里という、これは到底現在における妥当な御意見であると私どもは思わぬのですが、例えばこれは今旧鉱業法を持つておりませんけれども、鉱業権設定の場合のいろいろの制限があつたようでありますが、それらに比べて非常に、むしろ無制限に拡大されておるような感じがするのです。実際には、例えばこれはそういう点で一番地上の権利と地下の鉱業権の交錯しておりますのは福岡県だと思いますが、福岡県等におきましても、そういうことではなかつたかと思います。それを一方的に今のような、これは実際には通産大臣がおやりなるのじやなくて、土地調整委員会なりがおやりになるのでありましようが、それが併し、今のような御意見が参考になるとするならば、これは相当大きな問題だと思うのですが、もう少しそういうものについて妥当な結論を見出す、妥当な基準を見出す努力なり、方法について一つお考えを願いたいと思うのですが、今の御説明でにあとが続かぬということになる。
#70
○政府委員(徳永久次君) 先ども申しましたように、詳細の点は重ねて次の機会に用意させて頂きましてお答え申上げますが、牧草地帯といいましても、私今言葉が足りませんでしたのでそこだけ申上げますが、牧草地帯全部駄目だというふうに考えておるわけではございませんので、まあたまたま知つた記憶でございますけれども、農林省が特定の地帯に牧草地帯を作つて農林省の特殊な政策のために設けられた地帯があるわけでございますが、そういう特殊の政策から認められておる地帯、それを壊してしまうということも適当でないという意味で、鉱害地に内規として定めておるような次第であります。それから国立公園と申しましても国立公園にもいろいろ幅がございまして、その国立公園法の中に指定されておりますが、絶対禁止区域と、それから地上にあります各種の工作物その他の地設について美観を損じないような制限をつけてあるのでありますが、ただ今御心配になりましたように、この規定が非常に濫用されておるわけでございます。他産業本位に考えられますと鉱業を認める場所がなくなつてしまうということがございまして、その点については実は非常に重大な関心を私どもとしては持つておるわけであります。まあ土地調整委員会ができましても、一遍に十五條の地域が指定されるとは考えられぬのでありまして、逐次指定されて行くと思うわけでありますが順序としまして、私どもが現在鉱害地に指定しておる場所、それの候補地につきまして土地調整委員が再検討して、その区域等を正確に定めるなり、或いは認めないことにするなりというふうに順を追うて行くのではないかというふうにも考えておりますが、作文に書きますと、現在やつておりますケースを拾って抽象論で書いて見ますとこういうふうな書き方にならざるを得ないということになります。私ども現実の運用におきましても、他産業のことも考えまして、相当まあ世間的に広く鉱害地にきめておるのでございますが、法律が変りました結果として、それが今までの非公式のものが正式になるということは或る程度覚悟いたしておりますが、十五條というものが生れた結果として、鉱業のことが非常にネグレクトされるということのないように……或る種の不安は持つておりますがないように運用面でいろいろ実情を説明することによつて、そういうことのないようにできやしないかと考えております。併し文書で書きますと、こういうことにならざるを得ないというところでございます。
#71
○吉田法晴君 文書で書くとこういうようにならざるを得ないということは十分認めておりますが、ただ実際にこれが実施をしたときにどういうふうになるだうろかということを想像し、心配してお尋ねしたわけでありますが、先ほどの御説明で、恐らくそれはまあ一応農林省で考えておるところ、或いはその他の考えておるところだと思うのでありますが、先ほどのような御説明明を聞きますと、これがきまつておらぬ。勿論考えられておるだけで、農林省なら農林省、他産業を考えておるところはこういうところだ、通産省が考えておるところは別だという御説明に開いたのでありますが、それにいたしましても、挙げられましたような点になりますと、相当これはなお愼重に検討を要する問題で、これは国会がここできめる問題でなくて、これは勿論土地調整委員会、その他いろいろな利害を代表したところで、個々の問題について判例的に積み重ねられる問題とは思いますけれども、それにしましてももう少し論議をして公平な水準、方向だけは出して置かなければ、これはいかぬと考えます。その点についてなお他の機会に論議をすることにいたして置きたいと思います。
#72
○山川良一君 今のに関連がありますから一言希望を申上げて置きます。それに農林省あたりが、耕地なら耕地を維持したい等の考えで一応お考えになるのは或る程度至当かも知れませんが結局、そういう制限を加えますというと、採掘を制限されて、採掘費が高くなる、そうなると国民は高い石炭を買うか、それとも炭鉱を潰すか、或いは肥料の原料たる石炭の生産を抑えてしまつて、農家自身が困つてしまう、そういうことになる結果を考えられて、もう少し総合的にどうしたらいいかという立場をお考えになることを希望して置く。先ほど鉱山局長からも、他の産業の立場を考えればと言われましたが、考えてもなお日本の石炭をどうして出したらいいかということを考えますと、私はおのずから国家として結論が出ると思う。ただ何かしら目先の産業を守るとか、或いは目先の他産業を守るとかいう狭い考えでいろいろなことを立案されるということは非常に危険でありますので、私にそういう希望を申上げて置きます。
#73
○吉田法晴君 まだ質問はたくさん持つておりますが、すでに四時半に近いので、今日はこの辺で私はやめて置きたいと思います。なお残つておりますのは他の機会に譲りたいと思います。
#74
○委員長(深川榮左エ門君) 本日はこれで委員会を閉会いたしまして、明日は午前十時から開きたいと思います。但し同時刻に電力特別委員会を開く予定になっておりますので、両委員会の調整は委員長で適宜計らいたいと思つておりますから、さようお含み置きをお願いいたします。
   午後四時二十四分散会
 出席者は左の通り。
   委員長    深川榮左エ門君君
   理事
            廣瀬與兵衞君
            結城 安次君
   委員
            上原 正吉君
            小野 義夫君
            松本  昇君
            小松 正雄君
            下條 恭兵君
            島   清君
            吉田 法晴君
            加藤 正人君
            山川 良一君
            西田 隆男君
   政府委員
    資源庁鉱山局長 徳永 久次君
   説明員資源庁鉱山局鉱政課長  讃岐 喜八君
ソース: 国立国会図書館
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