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2000/11/07 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 経済・産業委員会 第1号
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2000/11/07 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 経済・産業委員会 第1号

#1
第150回国会 経済・産業委員会 第1号
平成十二年十一月七日(火曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         成瀬 守重君
    理 事         加藤 紀文君
    理 事         畑   恵君
    理 事         円 より子君
    理 事         山下 芳生君
    理 事         梶原 敬義君
                加納 時男君
                倉田 寛之君
                陣内 孝雄君
                須藤良太郎君
                保坂 三蔵君
                真鍋 賢二君
                足立 良平君
                平田 健二君
                本田 良一君
                藁科 滿治君
                加藤 修一君
                続  訓弘君
                西山登紀子君
                水野 誠一君
                渡辺 秀央君
    ─────────────
   委員長の異動
 九月二十一日成瀬守重君委員長辞任につき、そ
 の補欠として加藤紀文君を議院において委員長
 に選任した。
    ─────────────
   委員の異動
 九月二十一日
    辞任         補欠選任   
     畑   恵君     小山 孝雄君
     加藤 修一君     山下 栄一君
 九月二十二日
    辞任         補欠選任   
     小山 孝雄君     畑   恵君
     成瀬 守重君     山下 善彦君
 九月二十七日
    辞任         補欠選任   
     須藤良太郎君     吉村剛太郎君
 十一月六日
    辞任         補欠選任   
     平田 健二君     櫻井  充君
 十一月七日
    辞任         補欠選任   
     櫻井  充君     平田 健二君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         加藤 紀文君
    理 事
                保坂 三蔵君
                山下 善彦君
                円 より子君
                山下 芳生君
                梶原 敬義君
    委 員
                加納 時男君
                陣内 孝雄君
                畑   恵君
                真鍋 賢二君
                吉村剛太郎君
                足立 良平君
                櫻井  充君
                平田 健二君
                本田 良一君
                藁科 滿治君
                山下 栄一君
                西山登紀子君
                水野 誠一君
                渡辺 秀央君
   国務大臣
       通商産業大臣   平沼 赳夫君
       国務大臣
       (経済企画庁長
       官)       堺屋 太一君
   政務次官
       農林水産政務次
       官        石破  茂君
       通商産業政務次
       官        坂本 剛二君
       通商産業政務次
       官        伊藤 達也君
       経済企画政務次
       官        小野 晋也君
       科学技術政務次
       官        渡海紀三朗君
   政府特別補佐人
       公正取引委員会
       委員長      根來 泰周君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        塩入 武三君
   政府参考人
       公正取引委員会
       事務総局経済取
       引局取引部長   楢崎 憲安君
       農林水産省食品
       流通局長     西藤 久三君
       通商産業省機械
       情報産業局長   太田信一郎君
       資源エネルギー
       庁石油部長    松永 和夫君
       中小企業庁長官  中村 利雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査
 (原子力事故後の医療対策に関する件)
 (中小企業対策に関する件)
 (流通業の不公正取引に関する件)
 (IT革命に関する件)
 (流通政策に関する件)
 (石油開発政策に関する件)
○訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)



    ─────────────
#2
○委員長(加藤紀文君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 去る九月二十一日の本会議におきまして経済・産業委員長に選任されました加藤紀文でございます。
 理事及び委員の皆様方の御支援、御協力を賜りまして、公正な委員会運営に努めてまいりたいと存じます。
 何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)
    ─────────────
#3
○委員長(加藤紀文君) 委員の異動について御報告いたします。
 去る八月十日、高橋千秋君及び川橋幸子君が委員を辞任され、その補欠として平田健二君及び本田良一君が選任されました。
 また、去る九月二十一日、加藤修一君が委員を辞任され、その補欠として山下栄一君が選任されました。
 また、去る九月二十二日、成瀬守重君が委員を辞任され、その補欠として山下善彦君が選任されました。
 また、去る九月二十七日、須藤良太郎君が委員を辞任され、その補欠として吉村剛太郎君が選任されました。
 また、昨日、平田健二君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。
    ─────────────
#4
○委員長(加藤紀文君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(加藤紀文君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に保坂三蔵君及び山下善彦君を指名いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(加藤紀文君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(加藤紀文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○委員長(加藤紀文君) この際、平沼通商産業大臣及び堺屋経済企画庁長官から発言を求められておりますので、順次これを許します。平沼通商産業大臣。
#9
○国務大臣(平沼赳夫君) 第百五十回国会における経済・産業委員会の御審議に先立ちまして、経済認識や諸課題について一言申し述べさせていただきます。
 我が国経済は、企業収益が回復する等、緩やかな改善が続いておりますが、雇用情勢は依然として厳しく、個人消費についても力強さを欠いております。民需主導の自律的回復及び新たな発展基盤の構築を実現するためには、先月決定した経済対策に示された諸施策の早期実現に努めるとともに、産業新生会議における議論を踏まえ、経済構造改革のための行動計画を年内に取りまとめるべく努力してまいる所存であります。
 また、近年の情報通信技術の発達に伴い、我が国経済社会の変化が急速に進行する中でさまざまな課題が顕在化しており、現在、IT戦略会議で検討が行われているところであります。
 今国会では、民―民間の書面の交付あるいは書面による手続の義務について電子的手段を認めるため、書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律案を提出いたしております。また、内閣としてさらに、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案を提出しており、政府一丸となってIT革命の推進に向けて努力してまいる所存であります。
 一方、今日の中小企業をめぐる金融情勢は、改善してきているものの、金融システム改革や金融機関の再編強化は道半ばであり、いまだ厳しい状況から脱却したとは言い切れない状況にあります。中小企業金融安定化特別保証制度の期限が来年三月に到来することも踏まえ、中小企業信用補完制度の充実を図ることにより円滑な資金供給を確保するため、中小企業信用保険法及び中小企業総合事業団法の一部を改正する法律案を提出する予定であります。
 加えて、最近の悪質な内職・モニター商法等に係る消費者トラブルの急増に対応すべく、悪質商法に関する情報提供を拡充するなどして消費者に対し注意を促し、被害の未然防止に一層努力してまいる所存でありますが、さらに取引の公正及び消費者の利益の保護を図るため、訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案を提出しております。
 以上のように当面の課題を述べさせていただきましたが、私といたしましては、国民各位の御理解のもと、通商産業行政の推進に全力を挙げてまいる所存でありますので、委員長を初め委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 以上であります。
#10
○委員長(加藤紀文君) 堺屋経済企画庁長官。
#11
○国務大臣(堺屋太一君) 経済企画庁長官の堺屋太一でございます。経済運営のかじ取りが極めて重要なこの時期、経済企画庁長官、新千年紀記念行事担当大臣という重責とともに、IT担当大臣、高度情報ネットワークに関する各省庁の業務の調整を担当する大臣を拝命いたしまして、改めて心身ともに引き締まる思いをしております。委員長の加藤先生を初め委員会の皆様方には従前より御高配を賜っているところでございますが、今後とも一層の御支援方よろしくお願いいたします。
 我が国の景気は、完全失業率が高水準で推移し、個人消費もおおむね横ばいの状態にあるなど、厳しい状況をなお脱しておりません。しかし、全体としては企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが続いており、緩やかながらも改善してきておると申せましょう。企業収益の増加と設備投資の拡大が見られる一方、企業の倒産や負債額の増加もある今は、景気回復の最後の難所、いわば七合目、胸突き八丁といったところでございます。
 政府といたしましては、経済を本格的な自律的回復軌道に乗せるため、引き続き景気回復に軸足を置きつつ、我が国経済を二十一世紀にふさわしい構造に改革する方針のもと、去る十月十九日に「日本新生のための新発展政策」を決定いたしました。
 今回の対策は、規制改革など法制度の整備、二十一世紀の新たな発展基盤の整備など、時代を先取りした経済構造改革を推進する包括的な政策となっております。特に、IT革命の飛躍的推進、循環型社会の構築などの環境対応、活力と楽しみに満ちた未来社会を目指す高齢化対策、便利で住みやすい町づくりを目指す都市基盤整備の四分野に重点を置き、社会資本整備の三分の二以上をここに集中させております。また、防災、災害復旧、中小企業金融対策等にも配慮し、全体としての事業費は十一兆円程度になります。本対策の効果が着実に、かつ早期にあらわれますよう、委員の皆様方の特段の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
 以上のような当面の最重要課題に加え、今後とも次の四つの課題に取り組んでまいりたいと考えております。
 第一は、経済社会のあるべき姿に向けた構造改革の積極的な推進です。経済審議会報告、「「あるべき姿」の実現に向けて」に基づき、IT革命を起爆剤とした新しい経済発展に取り組むため、政策運営の方向性等必要な検討を行い、施策の推進を図ってまいります。また、今後の少子高齢化のもとでの経済社会及び循環型経済社会のグランドデザインを描くことを目的に、国際的な共同研究を進めるとともに、知恵の時代の都市のあり方を検討するための研究会を開催しております。
 第二に、景気の監視体制、情報収集・提供体制の強化です。このため、景気ウオッチャー調査について、調査対象ウオッチャーを拡充するなどの所要の努力を続けており、今後も情報収集・提供体制を強化してまいります。
 第三に、新たな国民生活行政の推進です。先般御尽力いただきました消費者契約法に関し、その実効性確保のための取り組みを進めるとともに、税制上の優遇措置の創設を含むNPOの活動促進のための条件整備など、新しいニーズに的確にこたえる国民生活行政を推進してまいります。
 最後に、内閣府の発足に向けた体制整備であります。特に、その中核ともいうべき経済財政諮問会議は、総理大臣のリーダーシップを支える中枢的機能であり、経済企画庁の機能の中核部分はその事務局に吸収されることとなっています。当庁の経済研究所も内閣府経済社会総合研究所となり、機能、組織を大幅に強化することになります。今後、内閣府内に設けられる国民生活局等による生活行政とともに、内閣府の機能充実に向け一層の努力を続けていく所存であります。
 以上、経済政策及び国民生活行政全般について所信の一端を申し述べさせていただきました。本委員会の皆様の御指導と御協力を重ねてお願い申し上げるものであります。
    ─────────────
#12
○委員長(加藤紀文君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のため、本日の委員会に公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長楢崎憲安君、農林水産省食品流通局長西藤久三君、通商産業省機械情報産業局長太田信一郎君、資源エネルギー庁石油部長松永和夫君及び中小企業庁長官中村利雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(加藤紀文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#14
○委員長(加藤紀文君) 経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#15
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。
 昨年のこの委員会でジェー・シー・オーの問題について質問させていただきました。あの事故から一年たちまして、健康被害を中心にきょうはお伺いさせていただきたいと思いますけれども、チェルノブイリの事故でもそうなんですけれども、ああいう事故の後に心的外傷を負った方々の心の問題というのが非常に大きな問題になっているわけです。
 今回、そのジェー・シー・オー関連の事故において、心の病というか心的外傷を負った人はどのぐらいいるというふうに科学技術庁は把握されているんでしょうか。
#16
○政務次官(渡海紀三朗君) 科学技術庁の総括政務次官の渡海紀三朗でございますが、櫻井先生の御質問にお答えをさせていただきます。
 臨界事故による周辺住民への心のケアにつきましては、国から茨城県へ委託事業として現在行っているところでございます。心のケアの相談窓口を開設いたしまして現在まで対応をしてきておりますが、調査によりますと、茨城県によれば、事故後約百十件、これは窓口そして電話相談合わせてでございますけれども、相談がございまして、これらの相談者の中でその後のフォローを要するというふうに考えられた方が若干名いらっしゃいましたが、その後、保健所等のフォローで安定をされておりまして、PTSD、外傷後ストレス障害と診断をされた方はいないという報告を受けておるところでございます。
 しかしながら、身体症状を訴えておられる方もいらっしゃいまして、今後とも茨城県の協力を得つつ、心のケアの問題は大変重要な問題だと我々も認識をいたしておりますので、長期的な健康管理に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#17
○櫻井充君 今いないとおっしゃいましたけれども、実は私、十月の上旬に東海村を訪ねまして、ジェー・シー・オーの周りを一回りしまして、住民の方々と話をしてまいりました。その中で、私が医者の立場で診断した中で少なくとも三名の方はPTSDではないかと思う方がいらっしゃいました。
 まず一人は、六十一歳の女性ですけれども、ジェー・シー・オーの事故があって、その後五日間下痢が続きまして、体重が六キロ減りました。その後ずっとだるさなどを訴えておりまして、多分抗うつ剤だと思いますけれども、抗うつ剤とそれから安定剤を服用されております。それから、六十歳の女性ですけれども、この方は事故のことを考えると動悸がして眠れないということでいろいろ検査されているようですが、今でも安定剤を飲まないと眠れないという方もいらっしゃいます。それから、あとは四十歳代の男性だと思いますけれども、事故のことを考えると不安であると。その事故の直後から円形脱毛になりまして、それがいまだに解決していない、治っていないと。
 少なくとも私が一日ジェー・シー・オーの周りを回っただけでこれだけの方がいらっしゃったわけです。なぜ国でPTSDの方が一名もいらっしゃらない、現時点でいらっしゃらないと言い切れるんでしょうか。きちんとした調査をされていないんじゃないですか。
#18
○政務次官(渡海紀三朗君) そういう症状があるという報告はいただいておるようでございますが、今先生がおっしゃったようなそういう診断といいますか、医学的な見地からの診断をしたという報告は受けていないところでございます。
 なお、今お話をお聞きいたしておりまして、必要でございましたらより詳細な調査をやらせていただきたいというふうに考えております。
#19
○櫻井充君 済みません、医学的診断をしないで心的外傷を負った人がいないと先ほどおっしゃったじゃないですか。じゃ、医学的診断をしていないんでしょう。していないということじゃないですか。
#20
○政務次官(渡海紀三朗君) 私は医者ではございませんのでちょっと言葉が不適当だったかもしれませんが、そういう診断をされてそういう症状であるという、診断というか判断をされたといった意味で報告はいただいていないというつもりで申し上げたつもりでございます。
#21
○櫻井充君 心の外傷を負っている人というか、心的外傷を負って、要するに、もう一度言いますが、PTSDだというふうに診断するかしないかというのはこれは医学的な見地で診断することじゃないんですか。まず基本的なところからお伺いしたいんですが。
#22
○政務次官(渡海紀三朗君) 先生がおっしゃるとおりだというふうに認識をいたしております。
#23
○櫻井充君 そうしますと、医学的な診断をしていない上でだれもいませんということをおっしゃるのはおかしな話じゃないですか。
#24
○政務次官(渡海紀三朗君) いや、診断をしていないというんじゃなくて……
#25
○櫻井充君 では、もう一つお伺いしますが、先ほど県の方で心のケア相談窓口があったと。そのフォローを要する者は若干名だったけれども結果的にはいなかったと、そういうふうにおっしゃっているじゃないですか。
#26
○政務次官(渡海紀三朗君) 私が受けておる報告はそういうことでございますけれども、先ほども申し上げましたように、言葉を的確に言わせていただきますと、そういう診断、診断ということはそういういわゆる医学的な判断がなされたという報告は聞いておりません。診断をするというのは、当然心のケアでありますから、これは私の私見で申し上げておりますが、要はそういう相談をちゃんと受けて、そしてそのもとで結局そのフォローをやった上で診断、医学的な診断としてはそういう症状ではないというふうに判断をされたということだと考えております。
#27
○櫻井充君 なぜこういうことを申しているかと申しますと、大体九八%の補償は終わったんだと、被害に対しての九八%の補償は終わったんだとおっしゃっていますけれども、今回もう一つは、住民の方々でつくっています臨界事故被害者の会というのがございまして、そこの方々がいまだにかなりの人数の方が健康のことについて心配されているわけです。先ほど十数人と申しましたけれども、その中で全く私は心配していませんというのは七十歳代か八十歳前後ぐらいの女性の方がいらっしゃったんですけれども、その方以外皆さん心配されていると。しかし、もう国でこういうふうに言われてしまえばあきらめるしかないんだという方々が大半でした。
 それから、もう一つ申しておきますと、茨城県の病院に行った際に、こういういわば不定愁訴と我々は呼んでいますけれども、そういうものを訴えた際に、ジェー・シー・オーのジェーの字を出すと、心配するな、大丈夫だと、その一点張りだというふうなことで、正確な診断や治療を受けられないということをおっしゃっておりますけれども、その辺の現状も御存じなんでしょうか。
#28
○政務次官(渡海紀三朗君) 最後の御質問については後でお答えをさせていただきますが、先ほどの件につきましては、そういう報告、身体的な症状を訴える方ということを先ほども申し上げましたけれども、そういう方々につきましては、なお心のケアの問題を含めて長期的な健康管理ということで、その方々をどういうふうに診断し、どういうふうにケアをしていくかということに現在取り組んでいるという状況でございます。
 多分、先生がおっしゃっている、こういう方がいる、こういう方がいる、その方々に対してその方々が今十分御満足いくような対応がされているのかどうか。例えばされていたとしても、まだまだこれは心のケアの問題でございますから、こういう点が足りないよという点が指摘をされているということでございますので、そういった点については十分、もう一度きょう御指摘がございましたので、調査をさせていただいて、対応させていただきたいというふうに思っております。
#29
○櫻井充君 ありがとうございます。
 ぜひきちんともう一度調査していただきたいと思います。そして、その上でなんですけれども、その被害者の会の方々が要望されているのは、今回被曝したのだということをおっしゃっているわけですけれども、その方々が健康手帳を交付してほしいと。自分たちはそういう被曝を受けたのだということを、例えばどこかほかの土地に行ったとしても、何か病気になった際にそういう経験があったんだということを証明するような意味で健康手帳を交付してほしいということを要望されておりますけれども、この点に関してどうお考えでしょうか。
#30
○政務次官(渡海紀三朗君) そういう御要望があることは承知をいたしております。
 そういう中で、先ほど来いろいろとどういう影響が出ているかということを判断するかということについて、例えばこれは私も勉強したばかりでございますけれども、医学的に確定的な影響であるとか確率的影響であるとか、さまざまな考え方があるわけでございますが、原子力安全委員会の健康管理検討委員会としては、そういった上で、周辺住民等に対して放射線の身体的な影響の有無を確認するための特別な健康診断は考えられないが、周辺住民等の健康に対する不安に適切な対応をとる必要があると。こういうことから、希望者に対して、将来にわたり日常的に健康的な生活を過ごすための一般的な助言に資するための独自の健康診断を当分の間行う、幅広く健康相談を行うことが適切であるという、こういう報告をいただいております。
 その報告を踏まえまして、周辺住民の方々に、健康管理に関しましては、健康診断の実施主体である、先ほどからお話し申し上げております茨城県が情報を一元的に管理することによって、先生御指摘がございました、将来住民の方が他県に移転された場合にも健康診断がちゃんと受けられるように対応をすることとして、現在実施をさせていただいておるところでございます。したがって、御指摘のように健康手帳を出せ、交付しろという御要望もあるところでございますが、今そのことの予定はいたしておりません。
 いずれにいたしましても、健康診断の対象となる方々が将来の居住場所によらず、確実な、かつ継続的に健康診断が受けられるように今後とも措置を講じていきたいというふうに考えておるところでございます。
#31
○櫻井充君 その方々がどこに行ってもきちんと検査できるようにはしますと。しかし、こういう人たちがそういう経験をしたんですよと、その手帳は交付できないというその差は一体どこから生じてくるんでしょうか。
#32
○政務次官(渡海紀三朗君) これは冒頭少し簡単にお話をさせていただきましたが、この影響レベルということについて、その確定的な影響とか、これは先生の方がよく多分御存じだろうと思うんですが、影響が発生する線量レベルではないということが第一点。それからまた、確率的影響については、放射線が原因となる影響の発生の可能性は極めて小さく、影響を検出することができないという点が第二点。こういった判断に基づいて、しかし先ほど来心のケアといいますか、さまざまな御心配があるわけでありますから、手帳は交付することまでは考えていないけれども健康相談に応じられる、必要に応じて。そして、因果関係等が恐らく、これは私の独断で申し上げておりますが、確定をすればちゃんとした対応をとるということではないでしょうか。
#33
○櫻井充君 今まさしくおっしゃったとおりで、実は被曝認定されないから手帳が交付されないんだというふうにおっしゃっておられました。
 その被曝認定に関して、推定線量を出されているわけですけれども、その推定線量が低いんではないかという議論がございます。それで、最初は中性子線がはかられておりませんで、ガンマ線から推察されているわけですけれども、科学技術庁は、ガンマ線に対する中性子線の危険性を何倍程度と見込んでおられるのか、まずその点について教えていただきたいと思います。
#34
○政務次官(渡海紀三朗君) かなり専門的なお話でございますのでちょっと知恵をかりたいと思いますが、一九八五年にICRPのパリ声明の取り入れ、これは多分委員はよく御存じだと思いますが、中性子線量の線質係数を二倍にすべきという、こういう声明があったわけでございます。しかしながら、当時の議論として、国内では放射線審議会において議論がされたところでありますけれども、国内法令には取り入れないということで我が国では対応をしてきておるところでございます。このために、現行の法令の中で中性子線の線質係数を二倍というふうにすることは取り入れておらず、今回の線量評価にもその中性子線の二倍という、こういうことは採用をしておりません。
 なお、その後ICRPは中性子の影響に関する検討をそちらの方でも進めておられまして、線質係数、これは放射線加重係数でございますけれども、見直しにより、エネルギーによりこれは異なっているので必ずしも二倍とはなっていないというふうな新たな見解を出されておるところでございます。
 なお、エネルギーによっていろいろと違うという見解でございますから、特に特殊な、例えば倍にするとかいうような見解はとっていない、そういう計算方式でやっているということであります。
#35
○櫻井充君 ICRPというのは国際放射線防護委員会ですよね。原子力を進めていきましょうという委員会から出されているその値よりも、日本で計算したりするときに、少なくとも世界ではそういうことでやっていきましょうと言っておきながら、日本でなぜそれを批准しないんですか。批准という言葉が正しいのかどうかわかりませんが、それをなぜ適用しようとしないんでしょうか。
 つまり、こういうことがあるからその推定線量が低く出されているんじゃないかという疑いを持たれるわけですけれども、その点についていかがでございましょうか。
#36
○政務次官(渡海紀三朗君) 委員がおっしゃっている質問の趣旨は理解をしておるつもりでございます。
 私が知るところでは、実はそういった問題について現在検討が進められておるところでございます。そして、これまでの見解では、先ほど申し上げました一九八五年以降、そういう議論がありまして、我が国では採用をしなかったわけであります。
 そのときの理由について今お聞きいただいたわけでありますが、もし必要であれば改めて私は検証をいたしましてお答えをさせていただきたい。その取り入れなかった経緯については、今承知をいたしておりません、申しわけありませんが。しかし、現在のところ国内ではこの実効線量は取り入れられておらず、実効線量当量ということでやっているというのが現状でございます。
 しかしながら、やはりこの問題点については私どもも問題意識を持っておりまして、現在、有識者等も含め、新たな基準をつくるのかつくらないのかということも含めて検討をさせていただいておるところであるというふうにお考えをいただきたいというふうに思います。
#37
○櫻井充君 世界でそういう基準を設けているにもかかわらず、日本でその基準を取り入れないこと自体が私はおかしいと思っていますので、早急に検討していただきたいと思います。
 そこで問題なんですけれども、これがもし二倍だったとすると、それだけで単純に言いますと被曝線量が倍になるわけです。そのほかに、科技庁が出されました線量評価閾値がございます。
 その線量評価閾値ですけれども、確かにきちんとしたプロットがあって、その多分平均値のところをこういう形で引かれたんだと思います。確かに、平均値を出されることは意味がないわけではありませんが、しかし、一定条件で被曝されているわけではありませんから、本来であれば最大値と最低値と出してくるべきだと思うんです。
 つまりは、この方は例えば十ミリシーベルトですよと断定できないと思うんです、私は。この線量から見たときにですよ。そして、いろんな遮へい効果があったから十ミリだとか何とかだとおっしゃっているわけですけれども、しかしながら、本来であれば、これだけのばらつきがあって分散があるということは、科学からいったら、平均値プラスマイナス幾らという形で出してくるのが本来だと思うんですよ。そうしますと、あなたは大体平均でこのぐらいだけれども、最大だとこのぐらい、最低だとこのぐらいの被曝線量なんだと、そういう形で私は出すのが当然なんじゃないかと思うんですけれども、これも要するにまた一つ最大値の人から見たときに低く出る要因になっているんです。
 その辺に関してどうお考えですか。
#38
○政務次官(渡海紀三朗君) これは報告を受けているということでしかお答えできないと思いますね。
 行動調査につきましては、放射線医学研、放医研の専門家等が各家庭とか事業所に訪問して時間をかけて聞き取り調査を行っております。線量推定に当たってもし不明な点がありました場合は、基本的には線量が高くなるように計算をしているということでございますから、過小評価にはなっていないということであろうと考えております。
#39
○櫻井充君 そうだとおっしゃっても、これ後でもう一度本物をごらんになっていただきたいんですけれども、少なくともこれだけの要するにばらつきがあるわけです、同じメーターのところで。その中間のところをとっているわけですから、決してその最大値をとっているわけじゃない。おのおのの計算値、これはおのおののプロットは確かに最大値をとっているかもしれませんけれども、はかっているところは中間値ですから、今おっしゃっていることと若干違うと思います。科学というのは、ちゃんとこれだけのばらつきがあった場合にはプラスマイナス幾つで出してくるのが私は当然だと思うんですよ。
 なぜそんなことを申しているかといいますと、どうやっても、今の科学技術庁のこれまでのやり方を見ていますと、被曝者として認定したくないんじゃないかと思うぐらい低く設定してきているわけです。ですから、健康被害に遭われている方々も、なぜ健康被害だと認められないのか、ジェー・シー・オーがなぜ補償しないのかというと、国が認めていないから我々は認めてもらっていないんですという主張をしているわけです。
 そしてもう一つは、五十ミリシーベルトだというその値が出ているのは、実はこれは広島、長崎で原爆が落ちたときのあれをまだいつまでも参考にしているわけです。しかし、あの値が本当に正しいんでしょうか。世界で認められているのかどうかです。もしこれが世界で認められているのであれば半ばあきらめるところはありますけれども、先ほど世界で認められている値はそういう場合には使わなくて、倍の値は使わなくて都合のいいところだけとってきて低く見積もってこようとしている意図が見えるからなんです。
 もう一つ申しておきますと、あれだけの町の中で中性子線がばらまかれたなんという事故はないわけです、本来は。その場合、国はきちんと、今後もしああいう事故が起こったときどうなるのかということをフォローするための、いわば参考資料というと実験台だとか何とかという誤解を受けるかもしれませんけれども、しかし、今後何かが起こったときのためにきちんとした情報を把握しておく、データをとっておくということが非常に大事なことになるんだと思います。それをやらないということは日本の恥だと思いますよ、私は。
 いかがですか。
#40
○政務次官(渡海紀三朗君) 委員最後の点については、私個人も全く同じだと思います。要は、起こったことに対してきっちりと検証して、そして今後そういうことが二度と起こらないようにするというのは、これは国の政策としては当たり前のことでありますし、また政治の責任としても大変大事なことだというふうに思います。
 一部こちらがお答えしたことで御納得が、数字の上でとか先ほどの技術的な面で御納得がいかない点につきましては、再度私個人としても検証いたしましてもう一度お答えをさせていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、やはり今回の事故というのは原子力にとっては大変大きな事故でございますから、きょうは経済企画庁長官それから通産大臣、エネルギーの所管の大臣も出席をされておるわけでありますが、今後大事なエネルギーを担っていく一端であるこの原子力の問題で、国民が不安感を抱かない、そして国民の皆さんに信頼をしていただける行政をきっちりとやっていく。
 我が庁は、開発とそして後のいわゆる安全政策に責任を持っておるわけでございますから、その点を踏まえてきっちりと検証すべきところは必要があれば再度検証させていただいて、今後の対策に取り組んでいきたいというふうにお答えをさせていただきたいと思います。
#41
○櫻井充君 どうもありがとうございます。ぜひそうしていただきたいと思います。
 特に、被害者の会の方ともう一度きちんと話し合いをしていただきたいと思います。
 それで、もう一つ、住民の方と話をしたときに、これは去年の委員会でかなり議論になりましたけれども、遺伝子に傷がついているかついていないかという判定のときに、尿中の8ヒドロキシル2デオキシグアノシンを測定すればわかり得る可能性があるのではないかということを、これは聖マリアンナの医学部の助教授の方がおっしゃっていました。科技庁は、これは役に立たないとおっしゃった京大の教授の意見を取り入れておりましたけれども。
 しかし、私は、その地域の皆さんと話をした中で、こういう検査があった場合にはやりたかったですかと聞いたら、わかる可能性があるのであればとにかく受けたかったと。しかも、これはおしっこ一ccとれば済むわけですから、しかも費用も一万円もかからないでできる検査であって非侵襲的な検査ですから、ぜひ受けたかったと。つまりは、何でもいいから自分の体を検証してくれる道具があるのであれば、少しでも安心感を得られるものがあるのだとすればそういう検査を受けたかったということをおっしゃっておりました。これは十数人お伺いした中で一人だけです、自分でお金を払うんであれば嫌だけれどもお金を払わないんであれば受けたいという方が。あとは一万円ぐらいだったら払ってもとにかく安心を買いたかったとおっしゃっておりました。
 これは、私がちゃんと現場に行って説明するからと言ったときに科技庁は何と言ったかというと、頼むから行かないでくれ、混乱するので行かないでくれとおっしゃっていました。しかし、きちんと情報公開して説明すれば納得していただけたんじゃないだろうかというふうに思います。
 最後にですけれども、今回の原子炉等規制法の六十六条の二に非常にいいことが書いてあります。これはいわゆる公益開示法でして、イギリスやアメリカにはこういう法律がございますけれども、今回の六十六条の二に、「この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反する事実がある場合においては、これらの者の従業者は、その事実を主務大臣に申告することができる。」と、いわば言葉を悪く言えば密告ということになるのかもしれませんけれども、いわば内部告発でしょう、こういうことをやっていくことによって未然に事故が防げてくるということがある意味で、この法律は非常に有用な法律だと思います。
 しかし、これがどこまで実行されるのかどうか。そしてもう一つは、実行されるためには、今回私もこれは新聞記事を読んで初めてわかったんですが、どのくらいの人が今これを知っていらっしゃるのか。つまり、これだけのいい法律があったとしても、しかもこの後、雇用が守られるという条文もきちんとついているわけであって、非常にすばらしく法文ができております。このことがどれだけの方が御理解されているのか、その点について最後に教えていただきたいと思います。
#42
○政務次官(渡海紀三朗君) この法律につきまして、私もちょっと勉強させていただきました。
 委員おっしゃるとおり、この法律を実行するために私は二つの大きな要素があると思います。
 一つは、この従業者が主務大臣に密告とおっしゃいましたけれども訴えるわけでありますから、いわゆる自分の身分が大丈夫かという心配をしなくていいかという点が一つ。それからもう一点は、やはり報告をするからには、違反の事実といいますか、物事についてきっちりと従業者が判断するということができるかどうか。この二点だというふうに思っております。
 前者の方につきましては、法律上も解雇等の不利益な取り扱いをしてはならないというふうになっておりますし、仮にそのような違法な処分が行われた場合には、これはしっかりと罰則規定もあるわけでございますから、このことによって、完全にとはなかなか言いにくいかもしれませんが、かなりの部分担保されるのではないかなと。また、申告がされた場合、単にいわゆる名前のある申告だけではなくて、匿名の場合であっても具体的事実の指摘がある程度はっきりしている場合には、信憑性の高い場合には制度の趣旨に基づいて受けるということも考えておるところでございます。
 それからもう一点の、やはりこの違反事実をちゃんと従業者が認知できるかどうか。この点につきましては、法令等の適切な知識を習得していただくために従業者に対する保安教育の充実ということを図ることが重要でございまして、これはまた保安検査等の機会をとらえて教育を適正に科学技術庁としても行うということをやっていきたい。この二つによって実効性を上げていきたいというふうに考えておるところでございます。
#43
○櫻井充君 どうもありがとうございました。
 最後にもう一度お願いしたいんですけれども、この事件に関して、この事件でまだ苦しんでいる方々が数多くいらっしゃいます。これを救えるのはやはり政治の力しかないんだと思います。国の信用を取り戻すために、ぜひ科学技術庁で努力をしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#44
○円より子君 おはようございます。民主党・新緑風会の円より子でございます。
 先ほど、通産大臣と堺屋経企庁長官、お二人からごあいさつをいただきましたが、お二方とも雇用情勢が厳しいこと、完全失業率が高水準で推移していること、そして個人消費は力強さを欠いているとお一人はおっしゃり、お一方はおおむね横ばいの状況にあるなど厳しい状況を脱していないというふうにおっしゃっております。実際に私たち、大企業がどんどん倒産しておりまして、えっまたかというような感じにもうずっとなっておりますが、まず九七年の十一月に北海道拓殖銀行が倒産し、同じく山一が倒産、また九八年の十一月には長銀の国有化、十二月には日債銀が国有化され、銀行やそういったものじゃなくても、ことしに入って二月には長崎屋、五月にライフ、また第一ホテル、そして七月にそごうとなっております。生命保険会社に関しても、九七年には日産生命が戦後初の生保の破綻として衝撃を与えましたし、また提携戦略の失敗で東邦生命は九九年に行き詰まり、ことしに入ってからも第百生命、大正生命、そして千代田生命、協栄生命と連続破綻が起きております。
 こうした状況をいつもテレビのニュースや新聞等で人々が見ているときに、最初の北海道拓殖銀行とか山一、長銀のあたりはえっという大衝撃が走ったわけですけれども、だんだんまたかというぐらいに、本当は大変な問題ですのに、何か麻痺してしまっているようなそんな状況になっている。人間といいますのは、余りにも大変なことが起きておりますと、その後一体どうなるのかという不安に駆られ、その後始末を考えたり、恐慌が起きることを考えると、恐ろしくて心にバリアをつくってしまいまして、余り考えないようにしようという、それが麻痺のような状態になっていく。これは人々それぞれ個人がそうかもしれませんし、私は国全体が今そのような麻痺している危機状態に陥っているんじゃないかという、大変怖いことだと思っております。
 内閣の支持率がこんなに下がっておりますのも、何か国民が麻痺状態になっていて余りそこに対して何も起こさないのかなと、これも似たような状況かしらと思うんですけれども。
 倒産がふえているだけじゃありませんで、死因についても、皆さん御存じだと思いますけれども、一九九九年、昨年の死因は、一番ががん、二番が心疾患、脳血管疾患、それから肺炎、不慮の事故に次いで、自殺というのは六番目になっております。三万三千人で、交通事故の何と二・四倍になっているわけですね。そうしますと、自殺に対しての死亡保険金の支払いも五・七%、これは九八年の統計ですが、これも過去最高になっているという、これも異常な事態だと思います。
 五十歳代のちょうど働き盛りは、八八年ごろからの十年と比べても七〇%もふえているということで、働き盛りの大黒柱を失った家族や、またその友人、知人、この一人の自殺が周りに与える影響というのは大変なものだと思いまして、自殺率と失業率の変動もこの推移が重なっているということを考えますと、失業者が多いこと、八月の完全失業者は三百十万ですけれども、何とそれ以上に大幅に上回っておりますのが非労働力人口の増加、つまり大変雇用環境が厳しいために就職をあきらめている人も四百四十五万人もいるという、こういう状況でございます。
 また、ちょっと失業率が四・六とかに落ちていたのが、今また四・七に上がっているということで、これも倒産が多いのが麻痺してしまっているのと同じように、この二年余り失業率が四%台に乗ってずっと推移しているんですが、四%台がまたこれも当たり前みたいに感じられる。これもまた大変異常なことで、せめてやはり三%台に下げる努力を必死で私たちはやらなきゃいけないんじゃないかと思っているわけですが、こういった自殺者が多い、失業者が多いというような状況を今どうとらえていらっしゃるか、両大臣にお聞きしたいと思います。
#45
○国務大臣(平沼赳夫君) 委員が具体的な数字をお挙げになられて、そして現在の状況が非常に憂慮すべきだと、こういうお話でございました。私どもも、同様にこの問題は非常に深刻に受けとめております。
 失業率に関しましても、今御指摘のように、四・六でございましたのが、直近では四・七に上がっている、また自殺者の数も御指摘のように三万三千人を超えるようなそういう水準になっている。そういう問題が、やはり消費がいわゆるGDPの六割を占めていて、そしてその消費がなかなか回復をしない、個人消費が回復をしない、こういうことにも私ども結びついていると思います。
 そういう現状の中で、やはりその厳しい状況を打開するためにいろいろ手を打たなければならない。こういうような形で、通商産業省といたしましても、中小企業に対する特別保証制度は来年の三月までですけれども、既に実施をしてまいりまして、これはある意味では三十兆の保証に対して二十三兆今まで実績を持ち、百四十万社の中小企業の方々が利用していただく。
 私は、非常に日本の中小企業の経営者の方々というのは立派だなと思っておりますのは、事故率は一〇%に想定しておりましたけれども、現段階で一・八四というようなそういうデータになっておりまして、苦しい中ででも一生懸命頑張って返済に努めてくださっている。こういった方々にも報いなきゃならないということで、来年の三月、これは異例、特例の措置で特別保証制度をやってきましたけれども、今度は一般保証で、思い切ってセーフティーネットを含めて規模を拡大して、そして安心していただく、そういう状況をつくっていこうと。
 それから、産業新生という形で四つのテーマの中で今一生懸命に景気拡大、そして皆様方の不安を払拭するための積極的な経済政策もやっていこうと。その中で、IT革命ですとか、今お話がございました高齢者の対策でございますとか、あるいはまた景気を喚起する意味で都市基盤の整備でございますとか、また二十一世紀に希望が持てるように環境保全、循環型社会の構築と、こういった四つの柱で力強い施策を今一生懸命講じていこうと。
 そしてまた、この臨時国会でもいろいろお願いをしておりますけれども、そういう御指摘の非常に厳しい局面を打開するためにできるだけの手を打って、そして国民の皆様方の本当に不安というものを取り除いていく、このことに全力を尽くしてまいりたい。委員と同じ認識の中で最大限頑張らせていただきたい、こういうふうに思っております。
#46
○国務大臣(堺屋太一君) 景気動向につきましては、私がこの職につきまして二年三カ月たつわけでございますけれども、最初、一昨年の秋には非常に厳しい情勢でございまして、委員御指摘になりましたように、銀行の倒産等が相次ぎ、貸し渋りが非常に極端で、中小企業の倒産も大変たくさん出ましたし、企業の利益も悪く、設備投資も急減しておりました。失業者も、水準はまだ低かったんですが、急速に増加している状態でございました。
 そこで、政府といたしましては一昨年の秋に緊急経済対策をとらせていただきまして、デフレスパイラルに経済が落ち込むことを何とか防止しなきゃいけないというので、かなり大型の、総事業費で二十七兆円に上るような大きな対策をとらせていただきました。その効果もございまして、大体昨年の四月ごろをどん底といたしまして景気は少し改善しているんじゃないかと思われております。特に、企業部門につきましては収益が増加し、また設備投資も徐々にふえてまいりまして、回復の兆しが見られております。
 しかしながら、経済の回復ではいつもそうなのでございますけれども、企業収益が増加し、設備投資がふえましてから、これが雇用に反映され消費に移るまでには少し時間がかかります。それで、現在のところ、雇用情勢が一番悪かったところは少し抜け出て完全失業率も少し下がった。四・九%まで上がったんですが、一時四・六、最近また四・七になっておりますが、少しまし。その一方、求人数あるいは有効求人倍率はかなり顕著に回復いたしまして、〇・六二ぐらいまで上がってきております。そういう兆しもございますし、また残業手当がふえている、所定外労働賃金がふえているとか求人広告数がふえているとかいうような明るさも幾らか見えます。しかし、消費の方は依然として低迷をしておりまして、一進一退といいますか、大体横ばい程度の状況が続いておりまして、まだ景気は本格的な自律回復とは言えないような状態でございます。
 したがいまして、この国会にもやがて提出させていただきますけれども、補正予算その他によってさらに景気の回復を確実にするような手だてを打ちたいと考えておるところでございます。
 そういうように、企業部門を中心によくなっているという反面、委員御指摘のように倒産件数は非常に増加しております。千五百件ぐらいの水準、千五百、千六百という水準が毎月続いております。
 それからもう一つは倒産負債額、倒産による負債の額でございますけれども、これが、七月にはそごうグループ等の大型倒産がございまして、それからまたこの十月には御指摘の生命保険の二社の倒産あるいは石油開発会社の倒産などがございまして非常に増加しています。一方で企業収益が全体として増加し、他方で倒産件数がふえているというのは、ある意味でいいますと構造改革、オールドエコノミーとニューエコノミーの入れかわりという現象で、通り越さねばならない胸突き八丁といいますか厳しい状況でございます。今、この景気回復の非常に避けられない厳しい状況を通り越しているところであろうかと思います。
 そういうきめ細かな対策を通産省の方にお願いすると同時に、経済企画庁といたしましても、マクロの観点から補正予算その他の手を打ちまして、これを来年度には本格的な回復軌道に乗せるように総力を挙げているところでございます。
#47
○円より子君 今、通産大臣から特別保証制度のお話がございました。これは確かに、この導入によりまして平成十一年度には約七千八百社の倒産が回避されたのではないかということも言われておりますし、一昨年十月の発足時点では三五%の中小企業の方が貸し渋りがあって大変だとおっしゃっていましたけれども、ことしの九月では一九・四%と一貫して減少傾向にある。これはこの間大臣の御答弁にもありましたけれども、私は、やはりこの特別保証制度というのは大変よかったと思っているんです。
 でも、それにもかかわらず、今、中小企業の状態が悪いというときにこの融資保証が食い物にされまして、いろいろ不正な仲介や口ききの声などがありまして、そういった声に惑わされない厳正公正な審査を求めることが大事だと思いますけれども、どうも中小企業の窮状につけ入る人々がいるということは、その奥には中小企業の人たちが本当にまだまだ大変な状況にあるということでも、そういう裏返しでもあるわけで、そうしますと、ばらまき批判とかこうした窮状につけ入る人々がいるということから、一年延期したというか、また十兆ふやしたこの特別保証を、来年三月で期限が切れるわけですが、それでおやめになるのか。まだ大変だったら私は続けてもいいのかなという気がしないではないんです。
 それで、ばらまき批判のために回避しておやめになるのか、それとも、かつては一月に二十万件ぐらいの申し込みがあったのが今は減っておりますから、これは一巡したということで、一回限り、リピーターもあるということですが、ほとんど枠を借りてしまえばもう借りられないということでもうこれは必要性がないということか。であれば、枠を広げるとか、それから三月の期限切れのところからの返却ですが、この返却を延ばすということとか、そういったことはお考えにならないのか。
 来年の三月以降、一般保証制度の枠の拡大をなさるということですが、それでこの中小企業の実態、融資の状況が十分改善されるのか、そのあたり、大臣、お願いいたします。
#48
○国務大臣(平沼赳夫君) 委員、冒頭御指摘のように、この特別保証制度、それを悪用して、そして本当の一部ですけれども、そういう不祥事があったことは非常に残念なことだと思っています。それは、保証をつけるに当たって一応ネガティブリストというのを用意して、そしてその中で慎重を期してやってきたわけですけれども、今委員がおっしゃられたように、二十万件も当初は殺到いたしました。そういう中で、限られた人数の中でいわゆる審査をする、そういう網をくぐってこういう不祥事が出たということは非常に私は残念だったと思っておりますし、この是正に努めてきたところであります。
 そして、一年延長したと、こういうことに象徴されるように、やはり一年延長してでもやろう、こういうことでございました。これは、その一年延長したということにもあらわれておりますとおり、あくまでも特例の措置だったわけであります。そして、今委員がさらに数字を出して御指摘いただきましたけれども、今は三万件、こういうような形で、そして中小企業の皆様方も、貸し渋りに対しても二〇%を切る、一九%台で、貸し渋りは非常に皆様方の認識の中でも落ちてきた、こういうことがございます。
 そういう中で、この臨時国会でもお願いをしておりますけれども、一般保証ではありますけれども、さらに中小企業の皆様方に活力を持っていただくために法律を用意いたしまして、そして今までは一般保証の枠が五千万でございましたけれども、これも八千万円に拡大をする。さらに、例えば天然災害に遭われたとか、あるいはまた取引先の金融機関が破綻をしたと、こういうような非常に厳しい状況になったときにはその保証枠も倍増をして一億六千万までの保証をちゃんとさせていただこう。
 それから、特別保証で既往の債務を持っておられる方々に対して、その返済に関して御質問がありましたけれども、そういう形に関して実情をよく見て、しゃくし定規じゃなくて、返済方法にも弾力を考えるとか、あるいはまたそれぞれの中小企業に対して、特に零細小企業というのは担保というものがありませんから、そういう意味でしっかりと状況を把握するようなそういうシステムも構築をして、そして借りやすい状況もつくっていく。
 今までは担保がないと貸さないというようなことが日本の金融の一つの土台にございましたけれども、その辺も少し柔軟性を持たせて、政府系金融機関で弾力性を持たせて、そして日本の経済の基盤を支えていただいている中小零細企業に対して温かいそういう制度としてつくっていこう。
 こういうことで、三月で特別保証は打ち切ることに相なりますけれども、さらに安心していただけるそういう新たな保証制度、そういうものを構築していこう、こういうふうに思っております。
#49
○円より子君 中小企業が今最も資金繰りに苦しんでいるというのは両大臣とも認識なさっていることでございますけれども、そもそも日本経済の根本の問題が解決しておりませんから、さまざまな手を打ちましてもなかなか中小企業の人たちの方にも明るい兆しが見えませんし、個人消費もなかなか回復しないというところがあると思うんですが、その根本の問題というのはバランスシートの問題だと私は思っているんです。
 法人企業や金融機関、家計、それぞれがバブル崩壊以来の資産価格が下落してバランスシートに毀損を来していることは御存じのとおりで、民間部門が身ぎれいにならないうちは日本経済には薄日どころか青空は絶対に差さないんじゃないかというふうに考えておりまして、この間、森総理の所信演説に対して代表質問させていただいたそのときにも、不良債権の処理の峠は越したと何度もいろんなところで聞いておりますけれども、現実には不良債権をいまだに先送りして問題解決がされていないと私は思っております。
 そもそも、バブルの発生と崩壊という現象は過去に何度か繰り返されてきたのでメカニズム自体はよく知られておりますけれども、その後に残るバランスシート問題につきましては経済学は真正面から取り上げたことがないわけです。試しにサミュエルソンの経済学の事項索引を見ましても、バブルもバランスシートも出ておりません。
 一つには、資産デフレ状態が十年も続くという例は一九三〇年代の大恐慌以外には例が余りないわけで、この一九九〇年代、失われた十年なんと言われますが、この間の日本経済というのは大変珍しい症状なんだと私は思うんです。それだけではなくて、経済データと呼ばれるものの大部分はGDP統計などフローに関するもので占められていますけれども、ストックに関するデータということを集めるのが難しいわけで、これは経済政策についても同様だと思います。そこで、財政政策にせよ金融政策にせよ、発想の軸足がどうもフローに置かれ過ぎておりまして、公的資金の投入といったストックに着眼した政策というのはなかなか実行が難しいということがございます。
 ところが、バブルの崩壊という現象は今の日本に住んでいる人々のほとんどが切実に影響をこうむり、実感した出来事ではなかったかと思うんです。八〇年代後半のピーク時に比べまして、まず住宅用不動産は二分の一、それから株価は三分の一、商業用不動産は八分の一、ゴルフ会員権に至っては十分の一に下落したと言われております。
 ですから、全くこの間影響を受けなかった人はいないのではないかというような、こういった状況の中でバランスシートが大きく破損した場合、どういうことを人々がするかといいますと、個人でも企業でも最初に考えるのは消費や投資を抑えることだと思うんです。そして、必死で返済をする。ところが、これをみんなが同じことを考えて、全員が同じことをしますと、当然、経済は停滞しますし、資産価格はさらに下落する、これは当然のことだと思います。そして、その先に何があるかといいますと、バランスシートがさらに悪化するわけでございますけれども、こういった合成の誤謬を招いているのが現在の日本だと思うんです。
 このバランスシートが悪化した銀行に対して国は公的資金を注入したわけです。ところが、その銀行は貸し渋りや貸しはがしをして、現実に、先ほど言いました合成の誤謬じゃありませんが、当然バランスシートの毀損を何とか回復しなければいけないと思ってしまい、そうすると中小企業は貸しはがしや貸し渋りによってますますバランスシートが悪化するという、こんな悪循環が起きているわけです。
 土地の担保とかだけで銀行が融資をだんだんしない方向になることはいいことなんですが、バランスシートでもし評価されればほとんどの企業は融資を受けられない、そんな状況になるんじゃないかという気がするんですけれども、貸し渋りというのが、これは宮澤大蔵大臣が前回の国会で、衆議院の予算委員会で答弁なさっているんですが、実は貸し渋りというのが、その前の年に始まりました中小金融機関の早期是正措置というものがあって、早期是正措置で中小金融機関が融資を引き揚げたというところから事が始まって、行政がそれに十分注意をいたしませんうちに急速に悪化しましたとおっしゃっています。これは大蔵大臣ではなくてどこかの経済評論家が言っていらっしゃるのかと思うような御答弁だと。私は宮澤大蔵大臣を大変尊敬しておりますけれども、このごろの御答弁を聞いておりますと、もうまるっきり行政の当事者というよりは評論家みたいなことをちょっとおっしゃっていて困るなという気がしないではないんです。
 話を戻しますと、そういった状況の中で、当然バランスシートだけで審査の判断をしていては不完全ではないかという気がするんです。なかなか中小企業がうまくいかない。このときに中小企業、中小だけじゃなくて零細企業等の信用リスクについては何らかの私はデータベースをつくる必要があると思うんです。
 それで、非財務データを入れるとかそういった取り組みを通産ではしていらっしゃると聞いていますが、いつごろからそういったものを実際にお使いになるのか、その辺をお聞かせいただければと思います。
#50
○政務次官(坂本剛二君) 先生おっしゃいますように、通産省ではいろいろやっておりますが、ただいまの、民間金融機関が中小企業のリスク評価を行う際の一つのよりどころとなるように、あるいはまた担保至上主義を脱却するために、信用保証協会や政府系金融機関の保有する取引先企業のデータを活用して信用リスクの定量的評価を行うためのデータベースの構築などを行っておるわけでございます。これは、今年度中にそれらのデータを作成いたしまして来年度夏ごろから活用していきたい、この予定でおるわけでございます。
#51
○円より子君 ぜひともバランスシートのもちろん毀損を、何とか不良債権の処理をしながら日本全体をよくしていくことと同時に、中小企業への融資をそうした非財務データなどを入れながらきちんと融資ができる状況に持っていっていただきたいなというふうに思っておりますけれども、間接金融から直接金融にという過渡期にある今としては、間接金融が十分まだ機能する必要性もあると思うんですが、公的資金を投入された大手銀行の中小企業向け貸し出しが今どうなっているかということは、金融再生委員会、今の金融庁の現実には担当になるんですけれども、六月に発表された数字、この以後の新しい数字がないんですけれども、これでは九九年三月、公的資金を注入された大手銀行十五行の中小企業向け貸し出し状況というのは百十五兆九千二百十三億なんですが、前年に比べますと四兆二千五百二十五億増加しています。ところが、この四月に全国銀行協会が国会に報告した増加見込み額はもっと多くて、これを下回っているわけで、なかなか中小企業の方に行っていない。
 そこで、例えば一時期はリストラの対象のようになっておりました公的金融機関が今大活躍をしているというのも随分皮肉な話なんですけれども、この中小企業向け貸し出しは今どんなふうになっていてどうすべきかというふうに中小企業庁を抱えられる通産省としては思っていらっしゃるでしょうか。
#52
○政務次官(坂本剛二君) 中小企業をめぐる金融情勢は、一昨年の未曾有の貸し渋りの時期と比べれば顕著に改善をいたしております。これは、先ほど先生おっしゃったように、平成十年十月には三五%の貸し渋りがあり、十二年十月には一九・九%となっておるわけでございます。そして、いまだ厳しい状況から脱却したとは言い切れません。
 通産省としましては、今後とも民間金融機関の融資態度を注視しつつ、信用保証制度や政府系中小企業金融機関の融資制度の適切な運用等を通じて、中小企業に対する円滑な資金供給を引き続き確保してまいりたいと考えております。
#53
○円より子君 これは、私がことしの八月二十九日に決算委員会で大蔵大臣にお伺いしたことなんですけれども、実は国内銀行の貸し出し伸び率というのは九八年にはマイナス〇・九、それから九九年にはマイナス四・一%になっているんですね。国内銀行の国債保有率の方は、九八年に二千九十二億の増、また前年比これはプラス〇・七%なんですが、九九年には前年比プラス何と四一・九%という、金額にして十三兆一千百四十三億円もふえておりまして、これは七兆四千億もの公的資金が投入された銀行が国債を買うだけに回ったのではないかと。
 金融機関は中小企業等からの借り入れ需要がないから国債を買い続けていると言っているんですが、銀行は民間に貸したくない。それは不良債権がふえるのを恐れるからで、国債を買うということはリスクテークがゼロですから、国債ばかりを買っているんじゃないかという、こういったことを大蔵大臣に申し上げましたが、そのとおりだというふうにおっしゃったんですね。
 ところが、この国債の増発に対して都銀も嫌気が差しているというようなことが新聞記事にも出ておりますが、これも大蔵省に確かめたというか、あれなんですが、十一月国債の発行をめぐっては、銀行の方ももうこれ以上国債を持つのは抵抗があるというふうにおっしゃっている。今度は国債を買い控えるようになった。では、その潤沢な資金は、中小企業には貸し渋りをいまだにしながらどこへ回っているのかといいますと、交付税及び譲与税配付金特別会計というのがあるのを御存じだと思いますが、国債の乱発を避けようとしている国が、国債ではなくて、今度はこの特別会計を利用して銀行から借金をしている。つまり、銀行に金利何%で貸すか入札をさせて、低いところから順番に借りているわけです。
 七月三十一日には〇・三四%で一兆円を借り、八月三十一日には〇・五五%で二兆五百八十七億を借り、九月二十九日には〇・六二%で、最高利率ですが、二兆円を借り、十二月末までだけで八兆円を借りる予定だというんですけれども、銀行にとりましては、国債もリスクテークゼロですけれども、政府への貸し付けというのは大変うまみの大きな短期運用と言えるわけで、今までに短期運用といいながら返していなくて、三十八兆も借りているという状況にあるわけですね。金利は銀行間の取引レートより〇・一%ほど高いですけれども、資金がだぶついている地銀などからどんどんお金を集めて政府に貸せば幾らでも利ざやを稼げるというような、そういった状況がございます。
 なぜこんな話を私がしているかといいますと、金融システムの安定化が大事ということで銀行に大量の公的資金を投入したんですが、その銀行が、まじめに必死で物づくりをしたり働いている中小企業や人々のため、また地域のためにもならずに、国債を買うとか政府にお金を貸すとかということは別に銀行だけの問題ではなくて、銀行と政府とのなれ合いなんと言うといけませんけれども、両方の要求があってのことなんですけれども、そのために貸し渋りを一層加速しているとしたら、こういったことは随分人々の恨みを買うし、ますます日本の国民の閉塞状況が深くなるんじゃないかというようなことを思いまして、そこでちょっと堺屋大臣にお聞きしたいんです。
 堺屋経企庁長官はお家が堺屋という両替屋さん、つまり銀行をやっていらしたということをお聞きしておりますが、銀行というのは、今こういうことを、今の銀行がやむを得ずということがありましても、本来もっと違った、裁量行政のいろいろ悪いところもありますけれども、例えば地銀が合併をするときに、その合併の間、せっかくちゃんと資金もあったのに不渡りが出たときに、新しい銀行に合併された人が、支店長が、そこで本来だったら首を切られていたかもしれないのに、新しい銀行の中で何とかやらなきゃいけないということで今までの取引先をどんどん切ってしまうようなことがあったり、かなり今までの日本にあったいい部分がなくなってきているような気がしております。
 本当に構造改革、さっき、それが必要だからやむを得ず倒産も起きて、そこからだんだんいい形になっていくというようなお話もありましたけれども、本当に日産のようにフランスの人が来て、資産を売って、会社の利益は出たってどんどん人は切られていく、こういうあり方がいいのかどうかということも含めて、少し堺屋長官の御意見を聞かせていただきたいと思うんです。
#54
○国務大臣(堺屋太一君) 金融機関というのは幾つもの種類がございまして、例えば郵便局のような金融機関、これは零細な資金をできるだけ安全に、低利でも安全に運用しようという趣旨でございます。一方においては商業銀行、投資銀行というような、ある程度リスクテーキングな銀行もある。そういう各種の銀行がバランスをとるようになっておりました。
 ところが、戦争前から戦後にかけまして、国の護送船団方式というような言われ方をするんですが、金融機関はつぶしちゃいけないということを前提にして、すべての金融機関が安全第一で運行しろということになったわけです。そして、それ相応の保護を政府は与えておりました。その結果、各銀行がリスクテーキングでハイリスク・ハイリターンな投融資はしない、できるだけ安全第一でやっていこうということになったんですが、実はこの安全第一が大変安全でなかったというところが今日の問題なんです。
 それで、銀行はどう考えたかといいますと、事業評価、この中小企業、この新興創業者、そういった人々の持っている事業計画や経営者の能力、人柄、そういうものを判断して、多少リスクはあっても金利が高かったら貸してみよう、それが百、二百とたくさん貸すと、中につぶれるのがあっても大きく成長するのがあってバランスするという、そういうような金融機関の本来の審査能力というのを放棄いたしまして、専ら担保評価能力だけになってしまったわけです。
 幸いにも、戦後は土地も株も上がりましたから、今の値段で担保を評価して、それの八掛けとか七掛けとか貸しておりますと絶対大丈夫だという形になって、ずっとそれが土地が上がれば貸し付けをふやす、貸し付けをふやせばまた土地が上がるという循環でどんどんバブルになってきたわけです。
 ところが、委員御指摘のように、バブルが崩壊いたしますと今度は逆現象が起こって、土地の値段が下がると担保価値が下がってお金を引き揚げなきゃいけない。引き揚げると土地を売られる、設備投資がされないからまた下がる、それでまた引き揚げるという悪循環が起こり出したんです。
 そういたしますと、設備投資が少なくなるものですから、全体のマクロバランスとして見ますと貯蓄と投資が見合わなきゃいけないんですが、貯蓄はどんどんと皆さんが老後に備えて、住宅に備えて、あるいは将来の不安に備えてなさるのに、投資の方は減ってしまいますから景気は需要が少なくて資金が余ると。
 それで金利がどんどん下がったわけですが、金利が下がると銀行としてはますますリスクのあるところへ貸して、安い金利でリスクのあるところへ貸してはいけないというので、国債のような安全第一なものへの投資になった。この一番悪循環が発揮されたのが九八年、あの九七年から九八年のころでございました。その後遺症といいますか、バブル後遺症はいまだに色濃く残っておりまして、なおたくさんの、大企業も中小企業もそこは問わないんですけれども、たくさんのまだバランスシート赤字が残っているというのが現状でございます。
 大体において、政府の公的資金の増加とそれから低金利によります銀行の経常利益の上昇による償却等々がございまして、ようやくバランスシート不況の原因となっておりました累積赤字も七割方は解消したんじゃないかと言われておりますけれども、その辺はまだよくわかりません。どの企業にどれぐらいのものがあるのか十分にわかりませんけれども、大体七割ぐらい処理できた。だから、この辺で、もう二年余りたちまして、救いのないところはそろそろ処理せにゃいかぬなというような感じが産業界全体に、これは政府ではございません、経済界全体に漂ってまいりました。
 それともう一つ、先ほど御指摘のございました保険会社の件は、全く逆ざやという別の現象が起こっておりまして、これも何らかの対応を考えなければならない問題ではないかと思っております。
 日本の金融機関、金融システムというのは、そういう安全第一の護送船団方式から、いよいよ多様な知恵の時代にふさわしいリスクテークもするような金融機関に生まれ変わる、それが今の再編成の一つの目的でございますし、また中小企業基本法を改正いたしまして創業を支援するという形にしたねらいでもございます。
 したがいまして、これからITなど新しい産業あるいは高齢者マーケットなどというものが生まれてまいりましたら、それに対応した金融業がついてまいりまして、またイトーヨーカ堂が出るそうでございますが、新しい金融の方式も生まれてくるだろう。そういう中で、ことし、来年ぐらいからはいよいよ新発展段階に入れるんじゃないか、そういう期待を持っている次第でございます。
#55
○円より子君 本当におっしゃるとおりだと思うんです。
 銀行が今までの護送船団方式に守られてきて、そして土地を担保にしての融資しかやってこなかったというところから変わらなければいけない。それはもう銀行自体もそう思っていらっしゃると思うんですが、ずっとなれ親しんできたやり方から変わるというのはなかなか人々というのはできないようで、私のこの何カ月だけでも周りで聞いておりましたら、それこそ皆さん銀行の支店長クラスの人たちが萎縮していて、どういう形で審査をしていいかわからないでいるようなそんな状況がたくさんあって、今まで例えば何億というものをメーンバンクが貸してくれていたのを全部引き揚げて、その後をそれこそ商工ファンドだとか何だとか高金利で何とかやりくりをしなきゃいけない中小企業の人たちの悲鳴をもうあちらこちらで聞いているものですから、理論的にはこうしていけばうまくいくとはわかっていても、その過渡期の間というのは本当に大変だなと思いまして、ぜひともその九九・七%ですか、そこまで占めている、日本の経済のダイナミズムを負っている中小企業に何とか立ち直ってもらうような温かい政策を考えていかなきゃいけないなと思っているところなんです。
 その一つで、間接金融を中心とする資金調達から直接金融へということで、経済企画庁が経済新生対策の進捗状況というのをお出しになっておりますけれども、ここで例えば私募債のこととかいろいろ対策が出て、その進捗状況も書かれているんですが、新規株式公開企業数を増加させたいということが出ております。
 これは大変いいことだと私も思いますが、ただ十二年、ことしの九月末までの新規株式公開企業は中小企業も含めて六十五社、これは私はいかにも少ないんじゃないかという気がいたしておりまして、もっと大幅にふやすことや、それからスピードをアップさせなきゃいけないという、そのためには例えば投資家の関心をどう呼ぶかというようなノウハウ、そういったことをするために今コンサルタント会社も随分たくさんあってもてはやされていると聞いておりますけれども、こういったことや、公認会計士の審査等いろいろ考えると結構時間も手間暇もかかって大変だということも聞いております。
 こういったことを簡潔にしていくとか、何かもっと株式公開企業をふやすために、そのスピードアップのためにはどんなことを考えていらっしゃるか、お聞きしたいと思うんです。
#56
○国務大臣(堺屋太一君) 直接金融から間接金融にかえていかなければならないということは、昨年七月に閣議決定いたしました「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」においても述べておるところでございます。実際、東京証券市場にマザーズという市場ができたり、大阪の方にナスダックというのができたりいたしまして、さまざまな、リスクが高いけれども成長性のある企業というので上場をいたしました。
 ところが、マザーズを見ますと、最初の公開から値段が上がっているのは現在四社か、余りございません。中には大変下落しているのもございます。そういうような状況もございまして、期待したほどの効果は上がっていない。
 これは、あくまでもやっぱり民間がおやりになることでございまして、政府が市場に介入するわけにまいりませんが、徐々にそういったもののなれが出てまいりまして、情報公開が進み、それに対する評価、そして何よりもそれを評価する人材、人が育つことが第一でございまして、そういうことが起こってまいりますと、このITなどの、インターネットなどの情報の伝播と相まって上がってくるだろうと考えております。
 何しろ、長らく半世紀にわたって続いた護送船団方式でございますので、新しい人材、制度、そして社会慣習が定着するのに一年二年ではまだ入り口だというのは委員御指摘のとおりでございますが、できるだけそういうことを努力して、健全な形で投資家の方々が決して後悔をしないような、みずから判断なされるような健全な形でこれを育てていきたいと努力しているところでございます。
#57
○円より子君 最後になりましたけれども、先ほど来、日本の今の経済状況といいますのは、景気は企業収益の増加と設備投資の拡大は見られる一方、倒産や負債額が増加し、何より一番大事なGDPの六割を占めます個人消費がなかなか回復しないという、そこに問題があると皆さんおっしゃっているんですが、企業収益が増加し設備投資が拡大しても、個人消費までとか家計にまで景気のあれが及ぶのはその後になるから、徐々にだというふうなことも皆さんおっしゃっているんですが、実は今大きく景気政策等は転換しなきゃいけないんじゃないかというふうに私は思っているんです。
 といいますのは、国民経済が一年間に生産する財とサービスのうちの六〇から六五%を家計や個人が消費するという先進社会に日本はいると思うんですけれども、そうしますと、企業体が活性化するよりも個人消費が活性化する方が重要だという、そうした消費主体社会というんでしょうか、そういったときにどういう政策をしなければいけないかというのは、今までとはもう視点を変えなきゃいけないんじゃないかなという気がするんです。ですから、建設業や工業、製造業といった第二次産業を活性化するということで莫大な公共予算を投入しなきゃいけませんけれども、それはもう有効には作用しないと私は思います。そうしたときに、消費主体社会の中では個人の消費と消費産業を刺激する以外に不況からの脱出策はないと思うんですが、この個人消費についてどう回復していくか、刺激していくかということをお二人の大臣からお聞きしたいんです。
 このときに、所信表明演説の中で森総理は少子社会についてはたった二行しか触れられておりませんでしたし、経企庁の新生経済対策、新生プランの具体化の中にも楽しい老後のようなことは書かれてありましたが、どうも少子化対応というのは政府は及び腰になっているんじゃないかという気がするんです。といいますのも、昔の産めよふやせよ対策のように、子供をもう少し産んでほしいというようなことは大変なお節介、介入みたいになってしまうような形で、何か少子化対応というと厚生省の保育所のサービスですとかそういったことだけに尽きるような気がするんですが、実は職住近接都市の造成にこの戦後行政が失敗してきたことのツケが回ってきていると私は思っておりまして、東京などでは一・〇四とか一・〇三という出生率ですし、それから働いている女性と専業主婦の女性との間では合計特殊出生率に五倍の差があります。
 こういったことを考えますと、いかに住みやすいところで、そして働きやすい職住近接の都市をつくっていくかということが大課題になりまして、それは企業のあり方と産業のあり方にも影響するんじゃないかということで、ぜひ経企庁や通商産業省にこの少子化対応、住宅対応を考えていただきたいと思っているんです。
 ちなみに、それから教育もそうなんです。教育コストが高いことも、ノルウェーはGDPに占める公教育費は六・八%ですが、日本はたった三・六%ですし、住宅事情なんていうと、三十代では賃貸住宅が最も多くて、狭くて子供に跳びはねたり走ったりするなという環境で育てなきゃいけませんし、そういったことを考えますと、ぜひ個人消費を刺激する対策として住宅状況等も考えながら二大臣にぜひこれから頑張っていただきたいということで、短くて結構ですので、お二方から御意見を伺いたいと思います。
#58
○国務大臣(堺屋太一君) 確かに消費の振興が一番大事なことでございまして、それには一方では消費者の収入をふやすというのでいろいろと税制その他の点も考慮しております。
 もう一つは、消費者の消費態度、つまり消費性向を高めるということなんでございますけれども、現在非常に貯金が盛んでございまして、あっという間に貯金がふえるんですね。昨年に比べましてことしで一世帯当たりの貯蓄が百二十万円ぐらいふえているんですね。驚くべきことに七十歳以上の世帯主のところが一番たくさんふえておりまして、一軒当たりの金融資産が千九百四十三万円、七十歳以上の方が一年間に平均いたしまして百八十五万円も貯金がふえている、こんな現実でございます。
 これは二つございまして、確かに子供さんが少ないということ、これを振興するために私どもも昨年から歩いて暮らせる町づくりということをやっております。そして、できるだけ歩いて暮らせる範囲、一・五キロ掛ける八百メーターぐらいの間で住宅もあれば商店街もあれば医療施設もあれば教育機関、娯楽機関もあるというような形のものにいたしますと、高齢者も一緒に住みやすい、また高齢になっても働きやすい、男女共働きの方々も暮らしやすいというような形ができる。今までの長距離通勤を前提とした都市計画から変えていこうというのを一つの政策として考えております。
 もう一つは、高齢者の人たちが本当に楽しく喜んで消費していただけるようなそういった市場転換を考えなきゃいけないんじゃないか。どうも戦後ずっと若者のマーケット、よく商店、広告でいいますとF1という十八歳から三十前半までの女性を中心としたターゲットに絞ってきたのでございますけれども、この豊かな高齢者の方々にも本当に生きがいのある楽しい消費生活をしていただけるような構造をつくりたい。そんなことも今、国際的なプロジェクトとして、経済企画庁の研究所で研究しているところでございます。
 消費の問題というのは大事なことなんですが、やはり社会全体の転換がございまして、すぐには解決できない問題がございますが、我々もその方向に努力しておるところでございます。
#59
○国務大臣(平沼赳夫君) 時間だと思いますので、簡潔に申し上げさせていただきます。
 やはり消費を伸ばすというのは、今、堺屋長官が挙げられた数字の中でも、個人金融資産というのは日本は世界一持っております。これがなぜ消費に回らないかというと、この先行きを覆っている暗雲があると、こういうことだと思うんです。それを払拭するために、構造改革を含め、我々少子化の問題を含めて、関係省庁と連携をとって力強い政策を進めてまいりたいと思います。
 以上です。
#60
○円より子君 ありがとうございました。
 終わります。
    ─────────────
#61
○委員長(加藤紀文君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として平田健二君が選任されました。
    ─────────────
#62
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
 きょうは、卸売市場で重要な役割を担っている仲卸業者と大型店、量販店との取引実態について質問をしたいと思います。きょうは農水省の政務次官初め関係者の方にも来ていただいております。
 まず、卸売市場の国民生活から見た、あるいは流通機構全体から見た役割について御説明いただけますでしょうか。
#63
○政務次官(石破茂君) お答え申し上げます。
 あるいは今先生が各委員のお手元にペーパーをお配りかと存じます。恐らく、東京都中央卸売市場から出ておりますこれからお引きになったものかと思います。今の御質問はそこの左下の部分でしょうか、「中央卸売市場の機能」というふうに書いてございますが、それが機能でございます。
 念のため簡潔に御説明をさせていただきます。
 委員御案内のとおりかと存じますが、卸売市場の主要な機能といたしましては、多様な品目、品質の品ぞろえを確保するという品ぞろえ確保機能、あるいは全国から大量、単品目で物は集まってまいります。一つの物がいっぱいやってくるということでございますが、それを逆の少量、多品目へ分荷し配送いたします集分荷物流機能というものが二番目でございます。三番目は価格を形成する機能でございまして、いろんな需給情報をもとに公正な評価によって透明性の高い価格形成を行うという価格形成機能でございます。そしてまた、主要な役割であります第四番目は、販売代金の迅速確実な決済を確保するという決済確保機能というものが挙げられようかというふうに思っておる次第でございます。
 なお、仲卸業者の果たす役割でございますが、仲卸業者とは、卸売市場内の店舗で卸売業者から卸売を受けた生鮮食料品を仕分けし、小売業者に販売する業務を行う者ということに相なっております。したがいまして、彼らの場合には生鮮食料品に関します専門的な評価能力、これを有しておるわけでございますから、卸売業者との間で売買を行うとともに、買い入れました生鮮食料品につきまして小売の皆様方が取り扱いやすいように仕分けを行い、小売業者への円滑な流通に寄与している、かように承知をいたしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、これは生鮮食料品の特性であります産地が全国に広がっておるということ、そして品質の劣化が早いということ、そのことに着目をしてそのような機能をそれぞれ果たしておる、そのように承知をいたしておるところでございます。
#64
○山下芳生君 おっしゃるとおり、私も、野菜、果実あるいは水産物、食肉など生鮮食料品の流通で、生産者とそれから消費者を結ぶ中心に位置するのが卸売市場だと、こう思っております。扱い高、生鮮品のうち七割がこの中央卸売市場を通っているということも伺っておりますから、比重としても大変大きい役割を担っているんだと思うんです。
 その中で、きょう伺いたい仲卸業者ですが、これももう御答弁がありました。私もある中央卸売市場の仲卸業者の方々にお話を聞きまして大変感心をいたしましたのは、多様な生鮮食品それぞれに専門特化をして業を営んでおられる。したがって、取扱商品を熟知されております。果物、野菜などを扱う業者の方は生産地まで下見に出向かれて、そこでできぐあいを確認した上で仕入れるなどの努力をされております。そのために迅速で的確な商品の評価ができ、適切な価格も決められる。日もちのしない保存性を欠く生鮮食料品の流通にとって仲卸業者は重要な役割を担われていると思います。また、納入先も大型店だけではなくて、中小の小売店にも対等、平等の質と値段で納入に努力をされている。二時、三時という早朝から市場に出かけて結構夜も遅くまで働いておられるということで、私も大変敬意を表したいと思っているんです。
 そこで、その仲卸業者の経営の実態について伺いたいんですが、まず仲卸業者の企業規模は、平均的な数字で結構ですが、どうなっているでしょうか。
#65
○政府参考人(西藤久三君) 御説明いたします。
 中央卸売市場におけます仲卸業者、青果、水産を含めて全国で約六千弱の業者数を数えておりますが、平均的な規模ということでありましたので御説明いたしますと、青果、野菜・果物で取扱金額、平均で年間十二億、従業員数が十五人、水産物で取扱金額が年間十一億、従業員数で平均で十二人程度という状況になっております。
#66
○山下芳生君 圧倒的に中小零細企業だということだと思います。
 そういう仲卸業者の皆さんのこの間の経営状況について、どうなっているでしょうか。
#67
○政府参考人(西藤久三君) 先生御指摘のとおり、仲卸業者は小規模のものが大変多うございます。先ほども申しましたように、従業員規模は平均して十数人でございますし、年間取扱高も五億円未満のものが過半という状況にあります。その経営状況を見ますと、年々の変動ございますけれども、営業利益率は非常に低水準でありますし、経常損益で赤字を計上するものも半分近くに達するという状況にございます。
 このような状況にあるのは、先ほど来当委員会でも御論議されておりますように、消費が近年非常に低迷しているということが大きな背景である一方、仲卸業者の方が今までお得意先としてきた専門店、八百屋さんでありますとか魚屋さんという専門店が減少しているということ、それと市場流通、先ほど先生から生鮮食料品の七割程度が市場を流通して生産から消費に渡っているという御指摘がございましたが、この市場経由率がいろんな形の市場外流通といわば競争関係にございまして、市場経由率が低下傾向であるということ、このような中で、当然のことながら競争が非常に激しい、そういう中で経営環境に対応した経営規模の拡大等がなかなか円滑に進んでいないという状況にあるかというふうに理解をいたしております。
#68
○山下芳生君 今御報告があったとおり、なかなか大事な役割は担っているんだけれども、経営状況は半分の仲卸業者さんが赤字という状況で苦しんでおられるわけです。
 私はその上に立って、きょう問題提起をしたいのは、専門店が、先ほどの議論の中でもありました大型店の影響もありまして、どんどん今減少しております。勢い仲卸業者の皆さんも大型店との取引が比重としてはふえてこざるを得ない。その大型店の取引が、私が聞き及びますところによりますと、仲卸業者さんの経営をさらに圧迫するような取引の実態もあるというふうに聞いたわけです。
 そこで、その問題について聞きたいわけですが、その前に、前提として確認をしておきたいと思うんですが、公正取引委員会は流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針、いわゆるガイドラインを定めております。その第二部第五に、小売業者による優越的地位の乱用行為が示されております。
 これが定められた背景について説明をいただけますか。
#69
○政府特別補佐人(根來泰周君) 御承知のように、独占禁止法では不公正な取引方法を用いるということは禁止されているわけでございまして、その独占禁止法の二条には不公正な取引方法の類型が並べられているわけでございます。
 さらに、私どもの不公正な取引方法の告示というので具体的に定めているわけでございますけれども、なかなか抽象的で、一般の方にはわかりにくいという一つの問題がございます。
 それから、ただいま御指摘のありましたガイドラインの当時は、大型店、スーパーとかコンビニという系統の大型店が続出いたしまして、そういう優越的地位を背景にしましていろいろ不公正な取引方法が行われる可能性があるということで、そういうガイドラインを定めたわけでございます。
#70
○山下芳生君 スーパー、コンビニなど、小売業者における大規模化、組織化が進展し、優越的地位に立つケースがふえてきている、おそれがあるということが背景にあるということでした。
 そこで、この公取の指針には、私も見せていただきましたら、大型店による押しつけ販売でありますとか、返品などについて記述があります。おのおのごとに「独占禁止法上問題となる場合」という記述が明記されております。
 そこで伺うんですが、この「独占禁止法上問題となる場合」に該当する場合、これは独禁法上違反となるんでしょうか。
#71
○政府参考人(楢崎憲安君) 御説明いたします。
 ガイドラインでは行為類型を挙げているわけでございますけれども、押しつけ販売という行為類型ごとに一般的な考え方を示すと同時に、問題となる場合を挙げているわけでございますけれども、どういう場合に問題となるかどうかという具体的なケースごとに書いているわけでございます。ですから、ケースごとに独禁法違反となる場合を記載しているものでございます。
#72
○山下芳生君 つまり、ケースごとに独禁法違反となる事例を挙げている、基準を示しているということで、そうすると、これは書いてあることはやってもいいとかいうんじゃなくて、書いてあること自身やってはならないと、独禁法上。そう理解していいですね。
#73
○政府参考人(楢崎憲安君) 独禁法違反であるということを書いているわけですから、やってはならぬことを書いてあるわけでございます。
#74
○山下芳生君 そこで、公取に伺いますが、このガイドラインは仲卸業者と大型店、量販店との取引においても適用されますか。
#75
○政府参考人(楢崎憲安君) 取引上優越した地位にある小売業者と仲卸業者との取引にも適用されるものでございます。
#76
○山下芳生君 適用されるということであります。
 そこで、農水省に伺いますが、農水省はこの間、中央卸売市場仲卸業者の取引実態調査をされまして、ことしの三月にその報告書をまとめられました。この調査と報告書の概要と結論について報告をいただけますか。
#77
○政府参考人(西藤久三君) 先ほども御説明いたしましたが、近年の卸売市場を取り巻く環境を見ますと、卸売市場の取扱高が伸び悩んでいる、市場外流通との関係、消費低迷との関係、そういう中で仲卸業者の経営が厳しさを増していると。
 一方、小売段階においては、八百屋さん、魚屋さん等の専門小売店が減少し、量販店のシェアが大きくなってきていると。そこで、仲卸業者の経営における量販店との取引の重要性が高まってきているという状況にございます。このため、仲卸業者の経営改善、卸売市場における取引の円滑化を図っていくという観点から、中央卸売市場における仲卸業者を対象といたしまして、仲卸業者と量販店の間の取引実態について、アンケートでございますけれども、調査を実施している状況にございます。
 調査自体は、五十六都市八十七市場の仲卸業者約六千でございますが、六千業者にすべてアンケートを送付いたしましたが、回答を得たものが約七割、四千余でございます。四千余のうち、正確には四千九十五でございますが、このうち量販店と取引があると回答した者が半分弱の千九百一でございます。主にその千九百一の量販店と取引がある仲卸業者の方にいろいろアンケートに答えていただいたと。もちろん、一番最初にあります調査の中の経営概況等はすべてからお答えをいただいているわけですけれども、量販店と仲卸業者における取引の価格、数量の決め方や、量販店からの要請に応じて加工、パッキングやあるいは配送等の業務についての対応、従業員派遣等への対応等について調べたものでございます。
 いわば、仲卸業者からだけのアンケートでございますので、ある面では量販店側の意向を何も聞いていない状況の調査の制約はございますけれども、その結果、先ほど来公正取引委員会の方からお答えになっているようなガイドラインから見て、私どもなかなか判断できないところはあるんですけれども、抵触する可能性のあるものも見受けられたという状況にあろうかと思っております。
#78
○山下芳生君 そういう結果を踏まえたまとめを書かれていますね、報告書は。そのまとめについても簡潔に御報告ください。
#79
○政府参考人(西藤久三君) この調査は、私ども委託をして実施した委託先の調査結果のまとめでございますが、一つは、調査結果には優越的地位の乱用に該当すると考える事例が見られるということ。優越的地位の乱用による不正取引については、関係機関、関係団体の努力により是正するとともに、ガイドラインについての共通認識を醸成して、個々の取引実態を踏まえて食料品の取引にふさわしい取引のルールに関する関係者の取り組みが必要であること。そのためにはガイドラインの普及啓発がやっぱり重要だろうということ。これが二つ目でございます。
 仲卸業者と量販店の取引が多様化する中で、調査結果では、ガイドラインで挙げられている以外にも優越的地位の乱用と見られる事項があると。したがって、ガイドラインを優越的地位の乱用防止、かつ自由で公正な取引を促進するための指針とするためにはさらに実態把握に努める必要があるのではないかという趣旨のまとめを行っているというふうに理解しております。
#80
○山下芳生君 ありがとうございました。
 三点です。優越的地位の乱用に該当すると考えられる事例が見られたと。それから、それを是正するように努力しなければならない。そしてさらに、ガイドラインの実効性を高めるよう調査等をやる必要があると。非常にわかりやすいまとめだと思います。
 農水省は、この調査結果、こういうふうにおまとめになった結果をどうされましたか。
#81
○政府参考人(西藤久三君) この調査結果、中央卸売市場仲卸業者の取引等実態調査という調査でございますが、この結果につきましては公正取引委員会の方に説明させていただくとともに、当該アンケート調査の回答の中には、公正取引委員会が作成されました、先ほど来議論になっておりますガイドラインに抵触している可能性のあるものも見受けられることから、公正取引委員会に対し、これらにつき公正な取引が損なわれることのないよう指導をお願いしております。
 また、日本スーパーマーケット協会等、量販店の団体、七団体あろうかと思いますが、この団体の方にもお集まりいただいて調査結果を説明するとともに、この実態を会員各社に周知徹底していただくようにお願いをしてきている状況にございます。
#82
○山下芳生君 公取に伺いますが、公取は農水省から説明を聞いて指導を要請されているわけですが、どうされましたか。
#83
○政府参考人(楢崎憲安君) 農水省から調査結果について報告を受けたわけでございます。しかし、先ほど農水省の方から説明がございましたけれども、この調査はあくまでも無記名のアンケート調査結果でございます。一般的な傾向はわかりますけれども、私どもとして欲しい情報は、具体的にどのような行為がどのように行われていたかということでございまして、調査先でございます委託調査先等に対しましてももう少し具体的な中身の情報提供を求めているところでございます。
#84
○山下芳生君 何もしないということですか。
#85
○政府参考人(楢崎憲安君) 具体的な事例を収集して、問題があれば是正指導等を行うと。そのために委託調査先等に具体的な問題事例の収集を求めているところでございます。
#86
○山下芳生君 私は、これだけ大規模な調査がやられたと。先ほど説明がありました。全国の中央卸売市場で活動されているすべての仲卸業者にアンケートを送付して、七割から回答があったんですよ。公取もいろんな調査をされていますが、これほどほぼ全数に近い調査をやったということはないと思います。
 したがって、本当にこれまでにない集中した調査なんですね。その調査の結果が先ほど申しました三点にまとめられて、具体的にガイドラインに沿ってそういう問題があるというふうに、これはだれか別にボランティアがやっているわけじゃないですよ、同じ政府の、行政機関の農水省が委託調査したものですから。にもかかわらず、またどんな具体的なものがあるか今から聞きますわというんだったら、これは何のために調査したのかということになりますよ。
 私は、もう少し認識を深めていただくために、さらに公取のガイドラインと農水省の報告書に沿って具体的に聞いていきたいと思います。
 ガイドラインでは、大型店からの押しつけ販売について、どういう場合に問題があるというふうに規定していますか。
#87
○政府参考人(西藤久三君) 御説明させていただきます。
 調査によれば、先ほど申しましたように、四千九十五の仲卸業者から回答をいただいておりますが、うち量販店等の取引があると答えた仲卸業者の方は全体の四六%の千九百一社でございまして、かつその中で押しつけ販売の実態があると答えているものが約五〇%でございます。中元、お歳暮などの購入の要請を受けたことがあるといたしております。これらの要請を受けたことのある仲卸業者、九百五十余でございますが、断ったら取引に影響があったと回答しているものが九%、取引に影響がありそうなので断り切れなかったと言っているものが六二%あったと承知をいたしております。
#88
○山下芳生君 公取に伺いますが、こういう公取のガイドライン、もう少し説明を公取からもしていただければいいと思うんですが、に照らして見て、五割が押しつけ販売の要請を受けている、六割が取引に影響がありそうなので断れなかった、こうなっているんですが、これでも私は常態化しているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#89
○政府参考人(楢崎憲安君) ガイドラインでは、独占禁止法上違法となる押しつけ販売につきまして四つのケースを挙げているところでございます。
 一つは、担当者等の仕入れ取引に影響を及ぼし得る者が購入を要請する場合でございます。それから、納入業者に対しまして組織的または計画的に購入を要請する場合でございます。三つ目は、購入する意思がないとの表明があった場合等に重ねて購入を要請して、あるいは商品を一方的に送付するという類型でございます。四番目が、購入しなければ今後の納入取引に影響すると受け取られるような要請をし、またはそのように受け取られるような販売の方法を用いる場合を挙げているわけでございます。
 先ほど農水省の調査結果では取引に影響があるような形で要請を受けたという方がかなり多くあったわけでございますけれども、一般的な傾向といたしましては、ガイドライン上問題のありそうな可能性のあるような行為が行われている状況はうかがわれるわけでございますけれども、ただ、先ほど申しましたように、具体的にどういうふうな事例が示されているわけではないということをつけ加えさせていただきます。
#90
○山下芳生君 そんなことでいいのかと私は言いたいんですよ。
 では、具体的な事例を少し紹介したいと思います。私も具体的に聞いてまいりました。
 例えば、ある仲卸業者さんは押しつけ販売の実態についてこう言うんですね。クリスマスケーキ、たばこ、米、そうめん、ビール、こういうものが取引先のバイヤーなどから押しつけ販売の要請があると。大体二月と八月、二八といってスーパーの業績が上がらないときに押しつけられる。大体ビールはその押しつけ販売の典型的な商品らしいですが、その時期になりますと、中央卸売市場の中の仲卸業者さんの店舗の前に、どの店にもビールケースがずらっと積まれるという実態があるというんですね。大体百ケースですよ。
 ビールならまだいいと言うんですよ。なぜなら、三千九百八十円で買わされても、三千円ぐらいで買うてくれへんかと言ったら大体ビールははけるというんですね。千円ぐらい損しただけで後は換金性があると。しかし、例えば健康器具、マッサージ器とか座いすだとか、これは一つ三万円もする、そんなものまで押しつけ販売されて、これはもうだれにも買うてもらうわけにいきませんから、長いこと仲卸をやっている方は自宅にそんな器具がいっぱいごろごろしている、家電店が開けるぐらいやと、こんなふうにおっしゃる方もあるわけですね。これが実態なんですよ。これはどうですか、公取。
#91
○政府参考人(楢崎憲安君) 委託調査先だけじゃなくて仲卸等の業界からもヒアリングをして具体的な事実関係、情報収集に努めていきたいと。また、そのための努力を委託先等を通じてやっているところでございます。
#92
○山下芳生君 しっかりやっていただきたいんですけれども、早くやらないとこれは三月の調査ですからね。
 それから、これは今、押しつけ販売について、中には車の押しつけ販売もあるんですよ、ベンツ。例えば、大型店の役員の知り合いからベンツ一台どうやと言われたと。これは無言の圧力になるんですよ。もう大変な経営実態の中小企業の社長ですけれども、そう言われたら買わざるを得ないで、ベンツに乗っているというんですね。
 そんな実態まであるんですから、これは一般的、個々の具体的な例がないから何もできないということではもう済まない実態にあるということを御認識いただきたいと思います。
 次に、返品についても聞きたいと思うんですが、まず公取から、返品について優越的地位の乱用に当たるということについての規定はどうなっていますか。
#93
○政府参考人(楢崎憲安君) 返品につきましても同様に違法となるケースを例示しているところでございますけれども、生鮮食品につきましては、例えば納入業者の責めに帰するべき事由によらない汚損商品等の例を挙げているところでございます。
#94
○山下芳生君 農水省の調査ではどのような実態になっていますか。
#95
○政府参考人(西藤久三君) 調査によりますと、量販店と取引のある仲卸業者のうち、自己に責任のない返品がよくあると答えた業者は三%、時々あると答えた業者が三五%で、全体の四割弱の業者が自己の責任のない返品がある、千九百社のうち七百社強がそういうふうに答えているという状況にございます。
#96
○山下芳生君 これも自己に責めのない返品が四割近くあるわけですね。これも私は半ばあってはならないことが、違法行為が常態化しているのではないかと言わざるを得ないと思うんですが、公取にこの状況をどう思うかと聞いても、また先ほどの答弁でしょうから。私、この問題でも具体的な事例を聞いてまいりました。実態はひどいですよ。
 例えば、ある仲卸業者さんですが、雪印の食中毒事件の直後で国民的にいろんなその問題が敏感になっているときに、チリメンジャコを納品したところ、あるチェーンの店舗から異臭が出たとしてチェーンの本部から呼び出され、私の会社をつぶす気か、廃棄処分にせよと一方的に言われたと。回収命令なら商品は返ってくるが、廃棄とはどういうことだということで、これは伝票からも抹消されるわけで、被害はチリメンジャコ何万パック、数百万円になったそうです。しかも、この仲卸業者の方は材料だけを提供したわけで、そのチリメンジャコをパック詰めしたのはスーパーがやったと。しかし、事情の説明はないわけです。ただ、お客から異臭が出たという苦情が来ただけだということで、現品も見せられずにもう廃棄処分だということにされちゃったわけですね。税務報告もあるので廃棄処分の証明書が欲しいと言いますと、前例がないので出せない、こう言われたと。
 ここまで来ますと、これはどう考えても優越的地位の乱用、違法行為じゃありませんか。
#97
○政府参考人(楢崎憲安君) 納入業者の責めに帰すべきかどうかということにつきましても、納入業者の言い分もあるでしょうし、量販店等の言い分もあるでしょうし、具体的ケースにおきましては、両者の言い分等を勘案して、公正取引委員会として優越的地位の乱用に当たる行為であるかどうかというのを判断すべきものだと思っております。
#98
○山下芳生君 書いてあることを読むような答弁では困るんですよ、私は今具体的に提起しましたから。
 もう一つ確認しますけれども、ということは、自己の責任に帰すかどうかを判断するのはだれですか。
#99
○政府参考人(楢崎憲安君) 公正取引委員会が判断するべき事項でございます。
#100
○山下芳生君 といいますと、先ほどの私が紹介した事例は公正取引委員会が判断したんじゃないんです。スーパーが判断して、おまえが悪いということで納入業者に対して責めを負わせているわけですね。これは違法じゃないんですか。
#101
○政府参考人(楢崎憲安君) 納入業者の責めに帰すべき事由の判断はあくまでも公正取引委員会がやることでございます。スーパーの方がそういうことを名目に返品するということがあれば、それは納入業者の責めに帰すものじゃないかどうかを、事実の問題とスーパーがそういうふうなことを名目に返品するということはまた別の問題でございます。
#102
○山下芳生君 別の問題と言っている間にもうそうやってやられているんですよ、納入業者の側は、公取が関与する前に。それを何とかしなけりゃならないんじゃないのという問題提起を私はしているんです。
 それから、生鮮食品ですから普通のほかの商品と違います。これは返品されたらもうほかの店に出荷するということはできません。全部ロスになる可能性が極めて高い。そういうものに対する返品について、公取は何らかの特別な基準を持っていますか。
#103
○政府参考人(楢崎憲安君) ガイドラインで特別に記載しているわけじゃございませんですけれども、先生おっしゃいましたように生鮮食料品というものは鮮度が重要でございまして、一たん返品されると代替的なことはないわけでございますので、大きな不利益を及ぼし得るものだというふうに考えております。
#104
○山下芳生君 本当にそういう実態があるんですよね。それが常態化している。
 もう一つだけ紹介しますと、別の業者の方ですが、エビを納入したが、少しにおいがしたといって相談なしに廃棄処分にされた、返品扱いにされたと。すぐ飛んでいって受け取ろうと思ったけれども、もうごみ箱にほうられていたという実態もあるんですね。これも丸々もう一方的な廃棄処分、返品、返品というより返品もされないような廃棄処分ですよ。
 冒頭言われたようななかなか今仲卸業者さんの経営実態が苦しい中で、大型店との取引がふえていく中でこういうことが常態化しているということになりますと、大変大事な役割を担っていただいている方々の機能が喪失されると、国民経済全体にとっても私は大変大きな打撃を及ぼしかねない問題だと思います。
 これはここまで具体的に明らかになり、全数調査に近い形でやられているにもかかわらず、公取としてはまだ何もしないおつもりですか。何か積極的にやるべきじゃありませんか。
#105
○政府特別補佐人(根來泰周君) こういう言い方をするとおしかりを受けると思いますけれども、今のお話を聞いていると大変ひどい話だと、こういうふうに思うのでありますが、どうして先生にお話しになって公正取引委員会に申告がないかという点について極めて遺憾に思うわけであります。
 というのは、こういう優越的地位の乱用とか下請問題というのはなかなか端緒がとりにくい。といいますのは、要するに優越的な地位にある者が上の者についてのいろいろの具体的な事案を提供しにくいという事実があるわけでございまして、それが私どもの一番悩みであるわけでございます。そういう話は私どもが具体的に、あるいはそういう嫌疑が具体的にありますれば、これは当然審査をするわけでございますので、そういう点はひとつ私どもへどしどしお申し入れ願いたいというのが一つの希望でございます。
 それから、一般的調査でございますが、これも一般的調査をしましてもなかなか具体的な点がとれないというところがございます。農林省からこういう報告書をいただいていることも事実でございますが、こういう事実をどういうふうに我々が解明していくかということについては、またこれは別の観点があるわけでございますので、引き続きいろいろの状況を考えながらどういうふうに取り組んでいくかということも考えて、なるべく御期待に沿うようにいたしたい、こういうふうに考えております。
#106
○山下芳生君 私は、今の公取委員長の発言としては、最初の段は大変これは認識を改めていただかなければならないと思いますよ。私には言えて公取になぜ言えないのかと、当たり前じゃないですか。公取に言ったら、それはもう間違いなく相手、取引先、大型店、量販店から何らかの報復措置があるんじゃないかとおそれているんですよ。私は聞きました。言いたいんだと、言いたいんだけれども首の皮一枚つながっているんだと。だから、もう公取に言いたくても言えないんだという声が一般的でしたよ。だから、そこは私は公取委員長の認識を改めていただかないと、待っていても申告は来ませんよ。そういう優越的地位にある者から不当な取引を強いられているわけですからね。どんどん言えるんだったらもっと出てきますよ。言ったら何かあるんじゃないかということがあるから言えないんですよね。
 ですから、私は、これは公取が申告を待っていたのでは解決しないと。やはり、ここまで問題が明らかになっているんですから、これで指導もできないんなら何のために公取があるのかということにならざるを得ませんので、公正取引委員会自身が仲卸業者とそれから大型店との取引実態の一般調査をやはり私はやるべきだと思うんです。その中で具体的な事例が、農水省の委託調査先から間接的にというんじゃなくて、公取自身が直接つかむことができる、そういうことをやるべきだと思いますが、いかがですか。
#107
○政府特別補佐人(根來泰周君) その今のおっしゃったことを何も否定するわけではありませんけれども、それから先を見通して返答するわけではありませんけれども、一般調査をしてもなかなか公取に協力してくれないという実態があるわけであります。だから、一般調査をしながら具体的な案件を見出すということについて我々どういうふうにしていいか、それが一番問題でございます。
 それは、ここですぐ一般調査をして事実を解明するという安受け合いはなかなかできないわけでございまして、その辺私ども十分きょうの御議論を踏まえまして、どういうふうにやるかということについても農林省のお考えも聞きまして適切に対処したい、こういうふうに考えております。
#108
○山下芳生君 私、今二つの問題について紹介いたしましたけれども、それだけじゃありません。
 例えば、価格決定の問題も、これはきょうスーパーのチラシを幾つか持ってまいりましたけれども、百円均一セールということでサンマだとかスルメイカが載っております。あるいはこれも百円均一でエノキダケとか白菜とかシメジとか菊菜、白ネギと。本来これ生鮮食品ですから、いつどれぐらいとれるか、どのぐらいの値段になるかわからない。しかし、特売という形で先に広告を印刷してセールすると、それに合わせて仲卸業者さんが値決めを強いられるということもあります。大体これはもう損を強いられているということもこの報告書にもありますし、それから大型店が配送センターをつくった場合、そのセンターの経費を一方的に一%上乗せされただとか三%払わされただとか、その上に各店の陳列台の前まで配送させられているとかということも具体的に聞いております。
 したがって、いろんな形で優越的地位の乱用と言われる事態が私はあると思いますから、公取委員長は今この報告書を踏まえてどうできるのかということを検討されるということですから、私は真剣に検討することを改めて求めたいと思います。
 もう一度最後、決意を聞かせてください。
#109
○政府特別補佐人(根來泰周君) 先ほど申しましたように、適切に対処したい、こういうふうに考えております。
#110
○山下芳生君 最後に、通産大臣にも一つだけお伺いします。
 大型店の不公正な取引のおそれというのは仲卸業者だけではありません。昨年九月にまとめられた中小企業政策審議会の答申の中にも、優越的地位の乱用が増大している、問題の適切な解決が図られていないという指摘があって、この答申では、トラブルの実態を把握、監視し、弱い立場にある事業者による問題提起を可能とし得るような仕組みの検討が必要だということがまとめられております。通産大臣としてどう対応されますか。
#111
○国務大臣(平沼赳夫君) 委員御指摘のとおり、昨年の九月、審議会からそういう問題がある、こういう問題提起がございました。
 通産省といたしましては、この答申を踏まえまして、今必要な施策の展開に努めているところでございます。
 まず、実態把握についてでございますけれども、ことし三月、卸売業、これは加工食品でございますとか日用品雑貨、菓子、こういったものを対象に販売先小売業との取引において独占禁止法上問題となり得る取引慣行について実態調査を行っております。
 また、中小企業者による問題提起を先ほどからの御指摘のように円滑化しなければならないと思っておりまして、今年度より設置した都道府県等中小企業支援センターにおいて、弁護士等専門家を活用した取引にかかわる苦情処理、相談体制を整備したところであります。
 さらに、中小企業取引にかかわる各種トラブルの解決手段の多様化を図るとの観点から、訴訟のみならず、あっせん、調停、仲裁など裁判外での紛争処理が中小企業にとってより円滑に利用されるよう、必要な普及策についても今検討をしております。
 今後とも、中小企業が公正な取引環境で健全な発展が遂げられるよう、通産省といたしましても公取の皆さん方と連携をとりながら万全を期していきたい、このように思っております。
#112
○山下芳生君 終わります。
#113
○梶原敬義君 私は持ち時間が二十分でありますから、二つのことについてお尋ねをいたします。一つはIT革命、それからもう一つは地場中小企業の状況、この二つについて質問をさせていただきたいと思います。
 きょうの通産大臣のあいさつ、それから堺屋経済企画庁長官のあいさつの中にIT革命について触れられておりますが、私はこのIT革命という、この革命という政府の言い方がもう繰り返し出てきておりますが、どうもいまだぴんとこないのであります。
 産業革命の場合は、十八世紀後半ですか、イギリスで自動織機が発明をされまして、そして産業全体が非常に発展をした。同時に蒸気機関車の発明、これらが産業の生産形態を非常に発展をさせたと、これが第一次産業革命。それから、第二次産業革命と言われているのは、十九世紀後半に鉄鋼を中心とする重工業の進展をいわば第二次産業革命、これらをひっくるめていわゆる産業革命と、こういうような言い方をされているのが通例ではないかと思うんです。
 今言うこのITの関係でありますが、今始まったわけではなくて、一九四七年にトランジスタが発明されまして、一九五九年に集積回路が発明された。そしてその後、驚異的なスピードでLSI、大規模集積回路ですね、それから超LSI、そういう状況がどんどん進んできて、コンピューターも小型化されてきた。そういう流れの中にカラーテレビも出てきたし、あるいは電車に乗るときに切符を買うのに昔は大変問題があったんですが、どこへ行ってもコンピューターで中央に問い合わせしなくてもすぐわかるような時代になった。そういう長い流れの中で、トランジスタの発明から今日に至っておるわけですから、なぜ急に今情報通信革命ということを言わなきゃならないかと。
 先ほど長官のお話の中ではIT産業という表現も出てきておりましたが、今IT革命という政治的な表現でこれらを位置づけて国民をリードしていくというやり方については、どうもそこは少し日本的であるし、物の考え方がずれているんではないか、そんな気がしてなりません。私は、これから情報通信産業が一層発展するだろうし、それをどんどん発展させていってもらうということは賛成でありますが、何もIT革命という言い方までしてやるんじゃなくて、もっと民間とタイアップした発展をどうさせていくかという地道な努力が要るんではないか。
 テレビが普及するときには、自然に民間の力を中心にして、本当に生活様式も相当変わって、家で野球が見れるしオリンピックが見れるし映画が見れるし、そういう大変大きな変革をしたわけですから。このIT革命、私もちょっと三菱総研の本やいろいろIT革命というのを少し勉強したんですよ。しょせんはインターネットが中心だと、ITは、こういうことを牧野昇さんあたりが書かれておりますが、私もそう思うんですが、IT革命が進んできた場合に、国民の社会的な生活というのは一体どう変わるのか、その辺について、通産大臣、お尋ねしたいと思います。
#114
○国務大臣(平沼赳夫君) 私はIT担当の副本部長をしておりますけれども、IT担当大臣の前にお答えをさせていただきたいと思います。
 先生御指摘のように、革命という言葉を使うにはいささか立ち上がりが古いんではないかと、こういう御認識の御披瀝がありました。しかし、やはり特に九〇年代以降、その進捗というのは大変なスピードになってまいりました。特に、その原点はトランジスタにあるということに関しては、私も異論はございませんけれども、コンピューターを駆使してインターネット網を整備して、そしてそういう形で新たな一つの大きな情報社会が構築される。こういうことは大変大きな変革でありまして、また国民の皆様方にも関心を呼んでいただく、こういう見地から革命という言葉が使われているんじゃないかと思っています。したがって、ヨーロッパ等でもEヨーロッパという構想ができて、これはEU全体で取り組んでいこうと、こういう形であります。
 そういう中で、IT革命はもう先生御承知のとおり、経済活動や国民生活の観点から多大な変革を社会に対してもたらすものだと、こういうふうに認識しています。例えば、既存産業が効率化される、そしてそれだけじゃなくて、それがさらに生産性の向上をもたらして、ネットワークを利用した新しいビジネス形態も、これはアメリカなんかでどんどん出てきておりますけれども、日本でも同様であります。そして、さらに新たな雇用を創出する。こういうことでありまして、インターネットのショッピングやあるいは遠隔の教育、さらには遠隔の医療、そういうことを可能にして生活の利便性というのを大変向上させるものだと思っています。また、都市と地方部の関係の変化とか、あるいはグローバル化といって、地球全体が一つの大きなネットで取り結ばれる、そういうことで社会全般に大きな変革をもたらすものだと思っています。
 したがって、利便性ということに関しては大変大きなものがありますけれども、これも先生がもうよくおわかりだと思いますが、やはり光と影の部分がありまして、デジタルディバイドに代表されるようなそういう影の部分にも我々は着目してやっていかなければならないと思っています。
 例えば、具体的にどういう生活になるのかというようなことがありましたけれども、非常に便利になるかわりに、人間生活にとってこれがこのまま進むとちょっと不便な面もあるんじゃないかなというのは、ある電気会社が二〇〇三年を想定して新しい家というものをつくっておりました。私もそこを見学しましたら、朝トイレに行きますと、すべての体の状況が瞬時にわかってそれが主治医に直結する、こういう生活が本当にいいのかなというような感じもいたしましたけれども、そういうことに代表されるように非常に便利で可能性がある、そういう社会が構築される、こういうふうに思っております。
#115
○国務大臣(堺屋太一君) 梶原先生の歴史観でございますけれども、このIT革命という言葉を使うとき、非常に歴史認識の問題がございます。
 といいますのは、そもそも産業革命が何であるかということで、歴史学会で論争がございまして、我々経済学の観点の者が扱いますときには、産業革命というのは十八世紀の後半から十九世紀にかけてイギリスで始まり、ヨーロッパ、北アメリカ、そして後に日本に伝わった一連の改革を言うのでございます。
 もちろん、バナールのような科学の歴史をやっている科学史家の間には、イギリスで始まって十九世紀のうちに伝わった蒸気機関をもととした改革を第一次産業革命、そして十九世紀の末から二十世紀にかけて電気機械と内燃機関によって起こった革命を第二次産業革命、そして一九二〇年代に広まった化学による改革を第三次産業革命、そして一九七〇年代のコンピューターを中心とするものを第四次産業革命というような呼び方をしている人もおりますけれども、まともな経済学者はそうは言いません。産業革命というのは、ただ一回、十八世紀の後半にイギリスで始まって十九世紀のうちにアメリカや西ヨーロッパに広まったことを指しております。それはなぜかといいますと、単なる技術開発や産業構造の変化を指すのではなくして、労働力と生産手段の分離した世の中が始まったということに着目をしておるわけでございます。
 それまでの中世の世の中は、土地と人間とが一体化しておりまして、その土地に対して農民は耕作権を持っており、種や農機具を持っている。職人は職場を持っていて、そこで働く。あるいは商人は商品あるいは行商の地域というような権利を持っている、そしてそこで働く。労働力と生産手段が一体化していた社会、いわば地縁社会というものを指している。
 ところが、産業革命が起こったことによりまして、動力によって蒸気機関によって動かされる大型の機械が投入をされたことによって、労働力の持ち主である労働者、もしくはその家族でコントロールできないほどの規模の施設が生まれ、これが労働力と自立して存在するようになった。そのおかげで勤労者はどこにでも住め、どこででも働ける、いわゆる自由なる労働者になった。この傾向は、電気が発明され内燃機関が生まれ、化学工業ができても変わることなくますますその方向に進んだのである、この社会変革の流れの始まりを産業革命と呼ぶんだと、こう定義しているのが経済学の立場でございまして、ちょっとそこは科学史の方と観点が違うのでございます。したがいまして、産業革命というのは大体十八世紀の七〇年代から十九世紀の二〇年代まで、穀物条例ができますまでの間の大体五十年間を指しております。
 それと同じ観点でこのITの問題を申しますと、トランジスタあるいはICのときはIT革命とは呼んでおりません。IT革命と言うようになりましたのは、一九八五年から大体二十年間ほどの間、二〇〇五年ぐらいまでで終わるだろうと言われておりますが、そういう期間を呼んでおるのであります。
 この間に何が一番ポイントになったかといいますと、労働力と生産手段が再び合体し出した、だんだんとパソコンが生まれ、どんどんと機械が大型化し、工場が大規模化し、ますます分離するだろうと思われていた社会が、ここへ来ましてパソコンが発達し、さらにインターネットが発達することによって労働力と生産手段が一体化するような傾向が生まれてきた。そのことによって、単に産業構造や技術構造が変わっただけではなしに、人間の生活様式あるいは地域社会、コミュニティーの構造、そういったもの全部が変わるのではないか、こういうような議論をしておるわけでございます。そういう意味で、昔の農業革命、産業革命に匹敵する社会変化を呼ぶだろう、こういう議論をしておるわけです。
 そういう中で、じゃどんな社会が生まれてくるかということを申し上げますと、一言で言いますと、昔の人類の始まりは血縁社会でございました。皆先祖を共通にすると思われていた血族で社会をつくっていた。それがやがて地縁社会になって、同じ土地を耕す者が村落共同体をつくった。それが産業革命によって、職場に所属する職縁社会、職場のえにしでつながる社会になった。
 今度は、その職場の流動性が出てくる、ここが一番今問題なところでございまして、労働力の流動化とも関係してくるわけですが、その結果、好みのえにし、情報のえにしでつながる社会に変わっていくんじゃないか、そういった社会組織、人間生活の価値観から社会組織の変革が生じるだろう、こんなことを指してこれをIT革命とか知価革命とか、そういうような使い方をしておる、こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。
#116
○梶原敬義君 ちょっと時間がなくなりましたのですが、私が言いたいのは、パソコンにしても、あの大きなコンピューターが小さなパソコンになった、そのもとはトランジスタの発明であるし、ICから経由してLSIに行って超LSIに行って、それがもとになってインターネットが発展してくる、もっとその前から、これはトランジスタの発明の時代から今日に流れているわけですから、ひっくるめてこれは今すぐのような話ではない、こういうことを言いたかったわけであります。
 次に移ります。ちょっと時間がありませんが、先ほど円議員の方からも言われたことで尽きるんですけれども、中小企業の問題です。特に地場。
 私は、十一月六日の地元の新聞を持ってきておりますが、「県内で相次いだ大型倒産」と、これは私の県ですが、十月末に長久堂というお菓子屋が十二億八千万円の負債を抱えて倒産、それからそれに関連する王子紙工という箱をつくる会社が八億四千万円で倒産、それからその後、これは別な話ですが、安藤製麺というめんをつくる会社が十五億四千万で倒産、それから増井海運という海運会社が、これは全国的にも大きい国内海運ですが、七十億円の負債を抱えて倒産。もう既に、この十一月六日現在で去年の倒産件数も倒産額もオーバーをした。
 そして、帝国データバンクの支店の話では、企業倒産の動向については、これから年末にかけての話でありますが、経費削減や発注減など経営が好転し始めている中央の大企業のしわ寄せが地方の中小企業に波及、金融機関もみずからの生き残りから取引先の選別を強化する傾向にあり、これからさらに体力の弱った企業は取り残される可能性があると、こう言っているんです。
 もう私は大体わかっています、本当に大体いいところはないんですよ、皆厳しいんです、今。それにもかかわらず、やっぱり銀行は金融庁の枠がありまして、健全化の枠を越えていくわけにはいかないということでなかなか厳しい状況で、貸しますよ、しかし金利はべらぼうに高い、そういうこともあるようなんですね。
 それで、今何を言っているかというと、大手の金融機関とかあるいは生命保険とかあるいはそごうとか、そういうところがつぶれたら国は応援をするけれども、私ども中小がつぶれる、そういう状況になったら、金融がとまればもう即倒産、こういうことに対する、何というか悩みというか不満というか、それが渦巻いておりますよね。だから、努力をされていると言っているけれども、このまま今のような消費傾向、消費が落ち込んでおる状況が長く続くとしたら、これまた年末も大変なことになる。
 だから、私は、今政府は本当に金をどんどん投入してきたけれども、どうもどこかつぼに当たっていない、急所に当たっていないことが多いんじゃないか、急所を外しているんじゃないか、そんな感さえ今厳しく言えばしているんですが、両大臣の決意を聞いて、もう時間がありませんから、またの機会にしておきたいと思います。
#117
○国務大臣(平沼赳夫君) 確かに、委員御指摘のように、中小企業の倒産件数というのは増加をしております。
 そういう中で、日本の経済の基盤を支えている中小零細企業に対しては銀行の貸し渋り、本当にこういう被害をこうむっている、そういう業者の皆さん方のために、もう委員御承知のように特別保証制度をつくりまして、これも一年延長して十兆円上乗せをして、そして実施をしてまいりました。現時点では二十三兆を超える保証をさせていただき、中小企業白書によっても、これによって約八千社に近い中小企業が救われたと、こういうふうになっております。これは、来年の三月までしっかりと持続をして、この年末を控えて中小企業の皆様方がお困りにならないような万全の措置を講じていきたいと思っております。
 また、来年の三月からは、これは円委員の御質問にもございましたけれども、新しい一般保証の制度をつくりまして、この臨時国会でお願いをするわけですけれども、さらに今まで五千万円でございましたのを八千万円にし、またいろいろ厳しい、例えば取引先の倒産ですとか金融機関の破綻ですとかあるいは災害に遭われたとか、そういう方々のためには倍額の保証をさせていただく。また、既往の債務についてはきめ細かくその企業の実態に応じて、あるいは支払い方法を延引するですとか、そういうことまで含めてきめ細かく対応させていただきたいと思っておりますし、全国の商工会議所の中にもそういった相談窓口を設定して、そして皆様方の相談に応じて、機動的に対応をする、こういうことでやらせていただきたい、こういうふうに思っております。
#118
○国務大臣(堺屋太一君) まさに、中小企業は非常に難しい段階に来ているところでございますが、政府といたしまして、まず金融システムというものに着目をしてこの金融再生を行いました。そして、中小企業もこの二年間、一番厳しいところを乗り切っていただくような五千万円の特別保証枠を設けたわけでございます。これはいつまでも続けるわけにいかない政策でございまして、徐々にこれの時間的余裕の間に立ち直っていただきたいということで、一方でマクロ政策といたしまして需要創造を行うとともに、他方で中小企業の中で時間的余裕で立ち直っていただくところを期待してきたわけでございます。
 そういう段階の中で、かなりの企業は収益を上げましてこの危機からはい上がっていただいたと思っておりますけれども、なお厳しいところがございます。そういうところはきめ細かな方策を通産省の方でもおとりいただいておりますし、地方自治体でもいろいろとお考えでございましょうけれども、やはりある程度といいますか、先生にはある程度を超えているとおっしゃるかもしれませんけれども、痛みを伴う転換が避けられないところへ来ているということも御了承いただきたいと思っております。
#119
○水野誠一君 無所属の会の水野でございます。
 本日は、先ほど円委員の質問にもあったことですが、中小企業金融安定化特別保証制度、いわゆる特別信用保証制度について伺いたいと思います。
 九八年十月に実施されたこの制度は、中小企業に対する金融機関の貸し渋りが深刻化していた当時、二十兆円という大変大きな保証枠を政府が用意したものであります。その後、当初はことしの三月までとしていた制度の期限を一年延長しまして二〇〇一年三月までとしまして、さらに保証枠も十兆円上乗せした、こういった措置をとられてまいりました。
 この制度について、昨年秋の中小企業国会において二回ほど当時の深谷通商産業大臣に質問をさせていただきましていろいろな御答弁をいただいたんですが、今回は、この特別信用保証制度による融資がその後どういう経過をたどっているのか、この辺について伺いたいと思います。
 最新の中小企業白書にこの特別信用保証制度に対する政府の評価が出ておりました。それによりますと、倒産回避効果は推計で七千八百件、もし政策が実施されなかった場合には平成十一年度においての実績の一・七倍の倒産が発生しただろう、また雇用者数でも七・七万人が維持されたということが書かれております。
 そこで伺いたいんですが、ことし四月からは保証を受けるに当たって経営改善計画の提出を企業に義務づけているはずでありますが、まずこの点について伺いたいと思います。
 先ほどの質問にもありましたが、ばらまき行政になるんではないか、こういう危惧もありまして、昨年秋の国会では単に枠を広げるということだけではなくて質的な問題についてしっかり目配りをしてほしい、こういうことを申し上げました。そして、それに伴って経営改善計画の提出義務づけについて質問をさせていただいたところ、大臣からは、例えば販売だとか仕入れ面における建設的な考え方を出していただくことが必要ではないのじゃないか、こういう御答弁をいただきました。実際、この四月からどのような計画の提出がなされていて、そのことがどのように機能しているのか、その点についてまず伺いたいと思います。
#120
○政府参考人(中村利雄君) お答え申し上げます。
 まず、特別保証制度の現状でございますけれども、これは平成十年十月に創設されまして、本年十月末現在でございますが、百四十三万件、二十四兆一千億円の保証をいたしておりまして、大変多くの中小企業者に御利用をいただいて、貸し渋りにも多大の効果があったというふうに考えております。
 現在、保証承諾額に対しまして代位弁済に至った割合は、十月末現在でございますが、一・八二%となっておりまして、本制度はもともと最終事故率一〇%というものを想定したわけでございますけれども、それ以下ではございますけれども、今後とも注視が必要である、適切な制度の運用が必要であるというふうに考えております。
 御指摘のように、ことしの四月から建設的要件というのを加えたわけでございます。具体的には、売り上げ等の事業規模の拡大を通じまして雇用の維持増加を図る、あるいは生産、販売、経費、財務などの面での改善を通じまして収益性の向上を図るという観点から、中小企業者の方にみずから取り組みの意欲を宣言していただく、こういうことで事業改善計画書を提出していただくことにしたわけでございます。
 これは、まじめに前向きな努力を行う企業を排除するものではなくて、貸し渋りを受けている中小企業者を対象に積極的な保証を行うという特別保証制度の趣旨には変わりございませんので、従来のネガティブリスト方式の要件というものは変更いたしておりません。
 ただ、保証利用に当たってこのような宣言をしていただくことによりまして、非常に中小企業者それぞれが我が国の経済活力の維持向上に寄与することを促す、あるいは制度の悪用や、いわゆるモラルハザードを防止する上での効果も期待したものでございまして、信用保証協会の対応状況とかを見ましてそうした効果があったものと考えているわけでございます。
#121
○水野誠一君 その効果に期待したいところであります。
 次に、回収率の問題についてお尋ねしたいと思うんですが、この特別信用保証制度が倒産件数を劇的に減らす効果があったという点については私もある程度認めております。
 また、ほとんど無審査とまでやゆされた融資基準の緩さということが将来の事故率を一体どの程度まで膨らませるかが制度スタート当初懸念された点でありまして、私もそのことは昨年の中小企業特で触れさせていただきました。これも今の説明によると一・八%というふうなところにとどまっているということであります。よかったと言うべきかもしれませんが、これは単純にこれまでのところという数字でございまして、信用保証制度の性質上、事故率というものは数年後に急速にふえるということもあり得るわけでありまして、十分その点も認識をし、注意をしていかなければいけないと考えています。
 そこで、最近の報道を拝見しておりますと、焦げつき回収四%、国民負担増のおそれという記事を拝見しましたので、この点について少しお尋ねしたいと思います。
 従来の政府の説明では、三十兆円の融資のうち一〇%を倒産などの事故率と見込み、その場合の債権の回収率を五〇%、すなわち一兆五千億と想定したということであります。ところが、その記事によりますと、本年の九月までの実績では、回収率は四%弱にしかすぎない、今後回収率が伸びたとしても予定の五〇%を大きく下回る可能性が強い、恐らく二〇%程度じゃないかということでありまして、結果として最終的に国が負担する分が増大する見通しと、こういう指摘がありました。これを単純に二〇%として仮定しますと、予定の一兆五千億を九千億も上回る見通しになるということでありまして、これは見過ごすわけにはいかない数字になると思います。
 先ほど保証額と事故率の推移を御説明いただいたわけでありますが、この事故となった債権の回収率の問題について、記事には、会計検査院もこの事実を把握しているなどと書かれておりますが、通産省としてはこの点をどういうふうに把握されているのか、もしこれが極めて低い数字で推移しているとすれば、その原因をどのように考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
#122
○政府参考人(中村利雄君) 債権の回収でございますけれども、これまでの経験から見まして、回収には時間を要するわけでございまして、通常、数年ないし長いものですと十年近くかかるということでございます。そういう意味で、現時点で回収できているものというのが低いというのは事実でございますけれども、現時点で最終的な回収額とか回収率を予測する、あるいは評価するというのはやや時期尚早であると思っておりますけれども、これは国民の負担という観点からゆるがせにできないものだと考えております。
 とりわけ、今回の特別保証につきましては、大半が無担保、九〇%以上が無担保保証でございまして、なかなか回収が難しいものが多いということでございます。今後、国民の負担は代位弁済率と回収率との積で出てくるものでございまして、代位弁済率の推移ともあわせまして十分注意していかなきゃいけないと考えております。
 また、私どもとしては、回収にやはり最大限の努力を払うべきであるというふうに考えておりまして、回収体制を強化いたしたいというふうに考えております。既に保証協会におきましては、回収担当の人員増強とか研修の充実等に取り組んでおりますが、今後さらなる強化を図るために、いわゆるサービサー、債権回収会社の活用についても検討を行っているところでございます。
#123
○水野誠一君 今、サービサーの話が出てまいりました。これは、確かに民間でもサービサーということが機能し始めているということを聞いておりますが、このために、特に信用保証協会が債権回収業務を行うサービサーをつくるに当たって、通産省もこれに法的根拠を与える信用保険法などの関連法案を今国会に提出しているということもございます。
 そこで、いわゆる民間といいますか、今まで我々が抱いているサービサーのイメージと今回お考えになっているサービサーというもののイメージ、これはどの程度違うものなのか、あるいは全く同じものなのか、その辺についてちょっとお尋ねしたいと思うんです。と申しますのは、債権の回収は主に倒産経営者からということになるわけでありますが、その倒産した経営者のその後の勤労所得などから得るしかほかに道がないと。つまり、担保とかそういうものがないわけでありますから、そうなるとかなり困難な作業になるんじゃないかなと思うんです。
 ですから、そのサービサーというものに期待されるということなんですが、具体的にどんな機能、役割を期待されているのか、まずその点についてお答えいただければと思います。
#124
○政府参考人(中村利雄君) 回収業務は本来的に信用保証協会の業務であるわけでございまして、これは中小企業政策の一環として回収を行っていく必要があると思います。つまり、債務者の状況を踏まえて適正な回収を行うということでございます。
 したがいまして、これは委託という形でやるわけでございますが、委託先となりますサービサー会社につきましては、保証協会との連携を十分保ちつつ回収業務を行う必要がある。つまり、代位弁済を受けた中小企業がまた再建をされていくというようなこともあるわけでございますので、そうした中小企業者の動向というものも十分把握しながら、どのように回収していくかということを考えなければいけないんではないかというふうに考えているわけでございます。
 こうした考え方に基づきまして、現在、各保証協会におきましては共同出資によりましてサービサー会社を設立し、これを活用するということを考えております。もちろん、民間のサービサー等のノウハウ、人員等についても活用するということは大いに考えられるところでございます。
 このようなサービサーを設立いたしました場合には、回収の委託費用をサービサーに支払う必要があるわけでございます。これは回収金の中から支払うわけでございますが、このためには法的な根拠が必要でございますので、今国会に提出をいたしたいと考えております中小企業信用保険法の改正案の中にそのような規定を設けたいということで検討いたしております。
#125
○水野誠一君 確かに、最終的には国が負担をする、つまり国民が負担をするというスキームが含まれている以上、その不良債権回収率、これを低いまま放置することは問題だと思いますから、いろいろな手だては必要だと思うんですが、しかし本当にこのサービサーというような考え方が機能するのかどうか、私はちょっとその辺は疑問も感じている点でありますので、今後成り行きを見て、また再度お尋ねしていきたいと思っております。
 それから次に、来年度からの新支援策についてちょっと幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 この特別信用保証というものが予定どおり来年三月で終わるわけでありますが、通産省はこれを打ち切るだけではなくて従来の一般保証を拡大する新たな支援策を講じる方向で関連法案を提出するとともに、その財源も補正に盛り込む、こういうことをおっしゃっておるわけであります。特別信用保証は、従来機能すべき民間の融資機能が危機的に落ち込む中での貸し渋り対策で、まさに強力な一種のモルヒネだったと私は思うわけでありますが、来年四月以降の新たな施策の中身というものはどういうものなんでしょうか。従来の保証の上限五千万を八千万に拡大すると、こんなことも伺っているんですが、保証を与える基準については、特に今までの特別信用保証とどう違うのか、こんなことも含めてお答えいただければと思います。
#126
○国務大臣(平沼赳夫君) 中小企業をめぐる現状というのは、まだまだ委員御承知のとおり厳しい状況にあると思っております。その厳しい状況から完全に脱却したとは言い切れない中で、中小企業金融安定化特別保証制度の期限が来年三月に到来することを踏まえて、中小企業者の資金ニーズに十分対応できるように、今御指摘の一般信用保証制度の無担保保証の限度額、現在は御指摘のように五千万円でございましたけれども、これを八千万円に引き上げることにいたしました。また、取引先企業の倒産や取引先金融機関の破綻、さらには災害等によって経営の安定に支障を生じる中小企業者に対しては、セーフティーネットとしての信用保証制度と政府系金融機関の貸付制度を充実強化するといった対応を講じていきたいと思っています。例えば担保徴取の弾力化というようなことも含めてやっていきたいと思います。
 また、従来、特別保証制度でやっていたネガティブリスト、こういう方式はなくなりますけれども、例えば欠損が生じていても早期に業況が回復するでありますとか利益計上ができる、こういうようなことが見込まれる場合には、欠損が生じていることのみを問題としてこの保証対象外とはしていかない、個々の中小企業の実情に即したきめ細かい対応を私どもはやってまいりたい、そういうふうに考えております。
#127
○水野誠一君 今の大臣の答弁、大変結構だと思います。
 私は、今までも単に額的な問題あるいは今利益が出ているかどうかということよりも、質的な問題、特にその企業の意欲あるいはいわゆる構造改善的な取り組みがしっかりとなされているかどうかというような経営改善計画のやっぱり質的判断というものが非常に私は大事だと思うんです。でありますから、これが単にばらまきだというふうなことにならないように、しっかりとした質的把握をして優秀な中小企業に対して支援の手を差し伸べる、これが大事な方策だと思いますので、ひとつしっかりとまた運用はお願いをしたい。また、その後の、先ほど中小企業庁の方にもお願いしました特に回収の問題等のウオッチ、これはしっかりとお願いをしたいというふうに思っております。
 質問を終わります。
#128
○山下善彦君 自由民主党の山下善彦でございます。中心市街地活性化問題について数点伺ってみたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず最初に、中心市街地活性化対策についての評価を伺いたいと思うわけですが、この法律が平成十年七月に施行をされましてから二年余りがたったわけでございます。通産省の中心市街地活性化推進室の資料を見させていただきました。基本計画がことしの十月二十七日現在で三百四十四市町村、三百四十九地区ですか、中小小売商業高度化事業、いわゆるTMO、これが十一月二日現在で百五というふうになっておるわけで、ようやくこの問題も出そろってきたなという感じが今日するわけでございます。
 そこで伺いたいのですが、この施行から二年以上経過してまいりまして、今申し上げたようなこの数字を見て、大臣はどのような評価を下しておられるのか、まずその点についてお伺いをいたします。
#129
○国務大臣(平沼赳夫君) 山下委員御指摘のとおり、中心市街地活性化法の施行から二年が経過をいたしました。これまでに約三百五十の市町村から基本計画が出されました。私の地元の津山市なんかもそうなんでありますけれども、活性化のための事業がそれに基づいて行われています。
 これまでの進捗状況を見ますと、各省庁の支援策をうまく組み合わせて効果的に事業を行うことにより成果を上げつつある市町村もございます。また一方では、一部市町村においては合意形成不足、こういった理由から御指摘のように具体的な事業実施に結びついていないところもあると聞いています。
 本年二月のアンケート調査では、約半分がどちらかといえば順調に推移している、約二割が順調でない、こういったアンケート調査も出ておりますけれども、このような中で市町村等に対するヒアリング調査を本年四月に実施しました。その結果、国の支援等実施に係る関係省庁の連携強化とそれから情報提供の充実といった点に要望が寄せられているところであります。
 これまで政府といたしましては、各省統一窓口である中心市街地活性化推進室を設けて、市町村からの相談への対応、情報提供に努めてきたところであります。パンフレットなんかは延べ十二万余部出させていただいておりますし、直接の相談、問い合わせが延べ約六千件、ホームページでは約九万件、こういうことで、この推進室にいろいろな意見が寄せられております。
 今後は、さらに中心市街地活性化事業の本格化が見込まれる中で、これまでの課題さらに要望を踏まえて、各市町村における活性化事業が円滑かつ効果的に実施されるように、各省連携のもとに、個々の市町村の活性化の取り組みに対しその評価を行い、必ずしも成功していない場合にはその要因を分析しつつ助言を行って、そういうことを通じて収集される成功事例などについて効果的な情報の提供に努めるなど、きめ細かい対応をしてまいりたいと思っています。
 したがいまして、本当に一部、約二割弱ですけれども、なかなかうまく進捗していない、こういう状況をよく踏まえまして、きめ細かい対応の中でやはりそれぞれの地域が活性化するように我々としても努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
#130
○山下善彦君 ありがとうございます。
 先ほど申し上げました数字、これを少ないと見るかまた多いと考えるかはなかなか難しいと思います。いろんな実情があると思います。
 そんな中で、この基本計画の内容についても、今大臣も触れられておりましたけれども、各市町村、いろいろ多種多様な出し方というか多種多様なものになっておりまして、私どもがこの中身を若干見させていただくと、この制度に対する戸惑いもあるのかなと、そんなような懸念もしているようなわけでございます。
 昨年の臨時国会で私も当時の深谷通産大臣に質問をさせていただいた折に、国も市町村も商工会議所また商工会もこの活性化対策や基本計画のPRが不足しているのではないか、こんなような質問を投げかけたわけでございますが、まだまだいわゆる中小小売商業者への周知が足りないのではないかなと、そんな気持ちも私自身持っておるわけですが、その点について、このPRという点について、大臣、いかが御見解を持っておられるか、伺いたいと思います。
 それともう一つ、商工会議所、商工会のこの中心市街地活性化対策またTMO上の役割と活動状況について、これも含めてお伺いをしたいと思います。
#131
○国務大臣(平沼赳夫君) 山下先生がさきの臨時国会で当時の深谷通産大臣に対してそういう趣旨の御質問をされたということも私承知をいたしております。
 中心市街地活性化計画は、御承知のように市町村がそれぞれ地域特性を考慮して独自に策定するものでありますけれども、通産省といたしましては、関係省庁と連携をして設けました、先ほど申し上げた中心市街地活性化推進室を中心に市町村からの相談に応じるとともに、さまざまな情報提供、PRを行っているところであります。
 先ほどもちょっと数字を出しましたけれども、六千件寄せられている市町村からの相談への対応を積極的に行う、それからホームページへのアクセス約九万件、これは一日にしますと百五十件ですから、こういうものに対してもこれだけ関心を持っておられると、そういう形で充実をしていく。パンフレットも、前後二回に分けて十二万部配布をさせていただきました。
 確かに、各省庁の施策をうまく活用して具体的事業を進めていく積極的な市町村がある一方で、活性化施策がまだ浸透していない、戸惑いと、こういう言葉を使われましたけれども、そういう戸惑っている市町村もあることは十分認識をしております。
 そのため、我々としては、今後とも関係省庁と連携して、当然、積極的なPRを行っていかなければならない、そして市町村等の活性化の取り組みに対して、ある意味では直接現地に出向いて診断、助言を行う、こういったことも積極的にやっていかなければならない、こういうふうに思っておりまして、一生懸命にPRをさせていただいて、そういう戸惑いが起こらないようなきめ細かい対応をさせていただかなければならない、こういうふうに思っております。
 それから、続いて商工会議所、商工会のTMO上の役割と活動状況について、この御質問に対しては、この推進に当たっては地域の中小小売商業者の一体的、主体的な町づくりへの取り組みが不可欠だと思っております。商工会議所、商工会は、地域に密着して、地域の実情に応じて中小小売商業等の活性化を図る役割を担う組織として、こうした地域の主体的な取り組みを促して、中心市街地活性化対策を推進していく上で当然中心的な役割を果たしていくことが期待されております。実際、地域の商業活性化を総合的に推進すべきTMOを見ても、その設立母体の大半が商工会議所そして商工会であるということを見ても、中心市街地活性化の中心となって活動しているということは事実であります。
 今後とも、商工会議所、商工会が地域の中小小売商業者と一体となって中心市街地活性化対策に大きな役割を果たすことを期待するとともに、政府といたしましても、TMOを中心とした中心市街地活性化への取り組みを積極的に支援してまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
#132
○山下善彦君 ありがとうございます。
 このTMOに関してでございますけれども、これも昨年の臨時国会で私の質問に対しまして、当時の深谷通産大臣からアメリカの事例などを参考にしながらこの制度を導入したということを言われておりました。ただ、アメリカのようにTMOに強力な執行権限が日本の場合には与えられていない、この点で関係者の合意形成が非常に難しいんじゃないかと、こんなような感想を当時の通産大臣は述べられておりました。
 また、このTMOそのものが法律の制定前からいろいろ全国各地で町づくりを積極的に推進されている地域もあるわけでございます。また、その当時、この法律以前に一生懸命頑張ってきたその成果が実を結んで活性化に成功した事例なんかも幾つかあるわけでございます。これらの特徴を見てみますと、その地域の実情に合った、地域の特性を生かした町づくりをしているということ、また、すぐれた指導者がいて、関係者の町づくりへの大変な熱意がある、そういうようなところなどがしっかりした町づくり推進ができているということになっていると思います。
 そこで、今後、この町づくりを推進するTMOが実効性ある活動を行っていくためにどのような点に注意をしていけばよろしいか、その点について伺いたいと同時に、国はどういう支援を行っていく必要があるのか。先ほどいろいろPRの問題もお伺いいたしましたけれども、さらにこんなところもしていく必要があるんじゃないかな、そんなことがございましたら、お考えを聞かせていただきたいと思います。
 それと、昨年の中小企業基本法、ことしの中小企業指導法改正によって設立をされる地域中小企業支援センターの機能をこの町づくりの点でどのように活用していくのか、その点についてあわせて伺いたいと思います。
#133
○政務次官(伊藤達也君) 先生御承知のとおり、この制度というのは、先ほどお触れになられましたけれども、アメリカやカナダで行われたCRMという制度を参考にしながら、日本独自の中心市街地の商業の活性化のための整備をこのような形で進めてきたところであります。
 特にTMOは、中心市街地の商業全体を一体としてとらえて、そして中長期的ビジョンを策定して、そして先生が先ほど御指摘されたように、関係者のコンセンサスを形成し、また各種のハード、ソフト事業の企画実施などを通じて中心市街地における商業の総合的かつ計画的な活性化を図る役割を担っており、そのためにはすぐれた企画力、人材等の確保、組織の整備などが必要とされているわけであります。
 これらのTMOに期待される役割をより実効性ある形で実施することができるように、国やあるいは地方公共団体においては、ビジョン策定、そしてコンセンサス形成事業への補助あるいは専門家派遣、研修事業を通じた人材面での支援、TMOが実施するソフト、ハード事業への補助など各種の支援措置を講じているところであり、平成十三年度の概算要求においてもTMOに対する支援の強化を盛り込んでいるところであります。
 また、御指摘がございました中小企業支援センターにおいては、個々の事業者に対して相談事業、専門家派遣事業や情報提供事業などを行っておりますが、これらの支援事業とTMOの行われている事業というものが相まって中心市街地の商業全体の活性化が一層図られるものと考えておりまして、今後ともこれらの支援策の効果的な推進に努めてまいりたいと考えているところであります。
#134
○山下善彦君 ありがとうございます。
 この中心市街地活性化対策として予算を見てみますと、各省庁が連携をされて総額が一兆円規模の大変な財政支援が行われることになっているわけでございますが、その中で通産省関係予算を見てみますと、平成十二年度と同程度の三百三十億円がこの十日ぐらいに発表される平成十三年度の概算要求に計上されているわけですが、この内容を見てみますと、どちらかというと、ソフトの関係の支援策というか支援強化というか、そういう傾向が見られるのではないかな、こんなふうに私自身思うわけです。
 一つ例を申し上げますと、十二年度に創設された中心市街地商業活性化基金が十二年度二百七十一億円に対して十三年度は三百三十四億円、タウンマネージャー派遣事業が二・八億円から何と七・二億円、空き店舗対策等商店街活性化に向けたソフト事業への支援が十三・六億円から十七・四億円と、こういうような増額をされているわけでございます。また、そのほか新規のソフト面での事業もうたわれておるわけでございます。
 これはこれで大変結構なことと思うわけですが、一方、ハードの面の支援が減ってきているんじゃないかな、こんな懸念を持ちますが、この点について、なぜ減ってきているか、どんな理由があるのか教えていただきたいし、まだまだ立ち上げの大変重要な段階の町づくり事業でありますが、当面この点も、ハード面も重視していく必要があると私は思うわけでございます。その点についての御見解を伺いたいと思います。
#135
○政務次官(伊藤達也君) 山下先生が御指摘のように、私どももハード事業の重要性については十分認識しているところでございまして、従来からTMOやあるいは商店街が行うアーケードやあるいはカラー舗装などのハード整備事業に対しては必要な支援に努めてきたところであります。
 一方で、商店街等はやはりソフトに重視した施策展開をしていかなければいけないということで、IT技術を導入した形で多機能カードというものを使っていこうという試みや、あるいは高齢者向けの宅配事業などをやっていきたい、こういう多様な試みが行われているところでありますし、また、こうした形で地域に密着をした事業展開をしていかなければいけないということでソフトに対するニーズというものが非常に強く出てきております。そうした意味から、先生が先ほど御指摘をされましたように、平成十三年度の概算要求の中でこうした面についての拡充に努めてきているところであります。
 先生御指摘のように、平成十三年度の概算要求においては、ハード面の事業が十二年度と比較をしてみると少し減額をしているのではないかというような御心配がございますけれども、最近の事業実施動向等の実需を踏まえた上で必要額を十分に確保するように配慮をしておりますので、今後とも、そうした意味からハードとソフトのバランスがとれた形の施策というものをしっかり展開していきたいというふうに考えているところであります。
#136
○山下善彦君 終わります。
#137
○山下栄一君 お昼休みのど真ん中で大変申しわけございません。これで終わりでございますので、私の方から質問させていただきます。
 一週間前に通産大臣とイランの石油相と基本合意されたというふうに聞いておりますイランの石油開発問題でお聞きしたいと思うんです。この基本合意の内容、それから正式の契約はまた別のところでされるとは思うんですけれども、どういう形で今後この油田開発の交渉が進められていくのかという点についてお聞きしたいと思います。
#138
○国務大臣(平沼赳夫君) お答えをいたします。
 今般のハタミ大統領の訪日に際して、私、ザンギャネ石油大臣と会談をいたしました。
 エネルギー関連分野における両国関係の強化を図っていくべきという共通の認識に基づいて、油価の安定でありますとかあるいはエネルギー協議の推進に加えて、石油そして天然ガス開発にかかわる重要性についてお互いに合意をしたところであります。それに基づいて、特に石油・天然ガス開発については、石油の中東依存度の低減という政策目標もあるものの、世界の石油埋蔵量の大半が御承知のように中東諸国に偏在をしていることから、引き続き中東諸国における石油開発プロジェクトは石油安定供給の実現の観点から重要である、こういうふうに考えられます。
 このような中で、通産省といたしましては、我が国企業によるイランの石油開発事業への参入は歓迎すべきもの、こういうふうに考えておりまして、ハタミ大統領の訪日時に、我が国の石油会社、イラン国営石油会社との間で、具体的に申しますと、もう御承知だと思いますが、アザデガン油田の特定地域の評価及び開発に関して我が国が優先的に交渉を開始することで合意をいたしまして、私と、そしてザンギャネ石油大臣の間でその合意書に調印をしたところであります。今後、我が国の石油会社とイラン側との間で交渉を行い、具体的な契約を締結することになる、こういうふうに思っております。
 また、その他の油田への参加についても適宜情報交換を行って、日本企業が外国企業と交渉することをイランが慫慂し支持することに関して合意に至りました。今後、我が国の石油会社とイラン側との間で鉱区の特定やその評価、契約条件にかかわる交渉を行い、実際の事業に関する契約を締結することになると思っています。
 大体、以上がそういう内容でございます。
#139
○山下栄一君 これは、新聞報道で埋蔵量等も数字で言われているわけですけれども、この埋蔵量の信頼性、それと、イランという国そのものも久しぶりの正式のこういう交渉合意ということでもございますし、非常に地域的にも不安定な要素も将来的にあるというふうに認識しておるわけです。
 こういうところに、基本的な合意でこれから具体的な交渉段階でいろいろやりとりがあると思うんですけれども、国家がこういう形で介入して国家的プロジェクトという形で進めていくわけですから非常に責任も伴うわけですし、これは、石油公団の経営問題等も堀内元通産大臣が指摘されてからいろんな改善の努力もされているわけですけれども、こういう自主開発原油に手を出していくということについても、確かにエネルギーの安定供給ということも大事ですけれども、もう一面、やはり国のお金を投入するということから、そういう事業リスクの評価をどうするかとか採算性はどうかということもあわせて問われるわけでございまして、この辺の状況はどうなっておるのかということを確認させていただきたいというふうに思います。
#140
○国務大臣(平沼赳夫君) そのアザデガン油田については、イランの国営石油会社がこれまでの二本の坑井、これを掘削しまして評価したところ、新聞等にも出ておりますけれども、埋蔵量を二百六十億バレル、こういうふうに推定しているところであります。
 今後、我が国の石油会社がイラン側と契約を締結しまして、さらなる坑井の掘削等、評価作業を進めることにより、より確度の高い埋蔵量の推定がなされるものと考えております。
 二本の坑井を掘削した結果、非常に少なく見積もっても二百六十億バレルと、こういうことで、確かに、国のお金もつぎ込む、こういう形になりますと、その確度、そういうものが問題になりますけれども、やはり今の埋蔵量を推定する技術等を踏まえて、これは非常に間違いないと、こういう考え方に立っておりまして、私どもとしては、場合によってはその二百六十億バレルがさらにふえる可能性もあるのではないか、そんなふうに思っています。
 また、契約期間については、今後、我が国の石油会社とイラン側が交渉して決定されるということになると思っておりまして、事業の確実性、将来性については、我が国の石油会社が行う評価作業の結果を踏まえて会社自身が最終的には判断をする、こういうふうに思っておりますけれども、我々としては、そういう確度の高いアザデガン油田に対して、イラン国営石油会社と、そして民間の我が国の石油会社としっかりとした交渉をしていくことを見守りながら支援をしていきたい、こういうふうに思っております。
#141
○山下栄一君 今ちょっと具体的な実施主体というか、民間会社が実際されていくんだと思うんです。この会社の選定なんですけれども、新聞でも幾つか会社が書いてありましたけれども、国がまだこれ基本的合意をした段階で、具体的に本当にこれが進んでいくかどうかもまだ不安定な部分もあると思うんですけれども、既に幾つか言われて報道されておると。この民間会社の選定がちょっと不透明ではないかなと思うんですが、この点どうなっているんでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
#142
○政務次官(坂本剛二君) お答えいたします。
 これまでインドネシア石油と石油資源開発株式会社がイラン側と交渉を進めてきたというふうに承知をいたしております。また、そのほかにもイランの石油ポテンシャルの高さに大きな関心を持っている会社が存在していると承知しております。
 イランの石油・天然ガス開発に参入する石油会社につきましては、政府が選定するわけではありません。今後のインドネシア石油及び石油資源開発株式会社とイラン側との交渉の中で、これらの会社以外の参加も含め商業ベースで決まっていくものと考えられます。また、私は、日本の企業だけで本案件を進めなければならないとは考えておりません。場合によっては外国企業の参加もあり得るものと考えておるわけでございます。
 ちなみに、インドネシア石油は財務内容が大変いい会社です。それから、石油資源開発株式会社は技術力がずば抜けておると、こんなふうに言われておる企業でございます。
#143
○山下栄一君 さっきちょっと触れましたけれども、今おっしゃった二つの会社、ともにこれ石油公団が大変かかわっておる、ひいては通産省もかかわっておる会社である、OBもたくさんいらっしゃっていると、こういうことであるわけですから、いずれにしても民間会社が表に出るけれども、実質は石油公団そして通産省、国の資金もさまざまな形で融資もされていくんだろうと思いますし、この辺は透明性そして国民への説明責任というのはやはり通産省としても問われると私は思うわけです。
 それで、ちょっと確認させていただきたいんですけれども、これは去年の石油審議会の報告書なんですけれども、石油開発事業について次のように書いてあります。石油開発への支援は通産省、石油公団それから民間会社、要するに出融資先会社相互の役割負担を明確にしろ、そして政策決定及び実施プロセスについて透明性を確保して国民の理解を得ながら進めなきゃならないと、こういうふうに書いてあるわけです。
 まさに今回の、国が、通産大臣も直接乗り出されてのこの合意からスタートする、正式には国民はそういう形で感じると思うんですけれども、今の話じゃ何か前から交渉をやっていたという話だったわけですけれども、これはやはり大きな、元通産大臣みずから指摘された石油公団の経営のあり方、国のお金の健全な使い方、採算性、この辺はやっぱり重視して石油開発を行うべきだという声が大変大きく広がっておるわけでございますので、今私読み上げましたけれども、通産省、石油公団、民間会社の役割分担を明確にするという観点、それから政策決定及び実施プロセスについて透明性を確保して国民の理解を得ろという石油審議会のこの報告書、今回の事業に当てはめてどのように通産大臣はお考えかということを確認させていただきたいと思います。
#144
○国務大臣(平沼赳夫君) 石油公団のお話が出たわけでありますけれども、もちろんこれは国が関与しているプロジェクトでございますし、今御指摘がありました透明性それから信頼性、こういったことは我々はきっちりと担保しなければならないと思っております。
 石油公団によるこのプロジェクトの支援につきましては、企業が実際の事業に関する契約の締結に至るのを待って、通常の案件と同様に、企業から投融資の申請があった時点で厳格な審査を行い、その採択基準を満たしていれば投融資による支援を行うと、こういうことに相なると思います。
 その際、今委員御指摘の透明性や信頼性、これをやはり通産省としてもきっちりと担保して、国民の皆様方に不安を抱いていただかないようなそういう体制で臨んでまいりたい、こういうふうに思っております。
#145
○山下栄一君 ちょっと一つ確認させていただくのを忘れましたんですけれども、この自主開発原油の輸入全体に占める比率をどれだけ確保するかということも大きな課題であると思うんですけれども、一応全輸入量の三割ということをめどに今まで数値目標を掲げてきたと思うんですけれども、今回のイランとの基本的合意を踏まえて、現時点でというか、この自主開発原油の輸入量の割合、通産省としてどのようにお考えになっておられるのかということをお聞きしたい。
#146
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 我が国の原油の輸入量は四百三十万バレル・パー・デーぐらいでございまして、そのうちイランからの輸入は、現在第三番目の国でございますけれども、五十万BDでございます。
 御指摘の自主開発原油でございますけれども、これは現在のところ六十五万BDにとどまっておりまして、これまで目標とされておりました三分の一程度まで達しておりません。
 アザデガン油田の今回の合意を踏まえて交渉が妥結をされ、具体的な生産あるいは日本への引き取りというような形になりますれば、その部分ふえることは期待できるわけでございますけれども、まだどのぐらいの量、開発、生産されるのかというところは確かになっておりません。今後の日本の民間企業とイラン国政府関係会社との交渉、その後の具体的な開発、それによって具体的な数字が出てくる、こういうふうに期待をしているところでございます。
#147
○山下栄一君 もう終わりたいと思いますけれども、最後に一問だけ、国内石油開発の観点なんですけれども、いろいろお聞きしたいところがありますけれども、あと一つだけで終わりたいと思います。
 ここ数年間は百五十億円前後で年間調査費を計上してきたわけですね。これが今年度半分に減っているわけですが、国内石油開発につきましてもいろいろ調査されながら、有望なところも日本全国幾つかあるという。ただ、商業ベースに乗るかどうかは別といたしまして、その辺の調査は必要であるという観点からずっと調査費が計上され続けてきたと、ここ数十年。急激に減った理由だけちょっとお聞かせ願いたいというふうに思います。
#148
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 国内石油天然ガス基礎調査委託費の予算額でございますけれども、御指摘のとおり、平成九年度から平成十一年度までおおむね百四十億円超の予算でございましたけれども、平成十二年度は七十一億円超の予算になっております。
 この国内石油天然ガス基礎調査の目的でございますけれども、国内の石油、天然ガスの埋蔵の可能性を把握し開発していくことで、民間企業では実施できないような探鉱リスクの高い地域を先行的に調査してきております。
 その成果につきましては、リスクの高い地域における調査を行う結果といたしまして、直接油が出たりガスが出たりした坑井は八十一坑中六坑にとどまっておりますけれども、必ずしも油、ガスが産出しなかったものにつきましても民間企業が石油開発事業を実施するために有用な情報をこれまで提供してきております。
 具体的には、伝統的に生産が行われております新潟県、秋田県の陸域のみならず、新潟県沖、福島県沖あるいは北海道の陸域など、多くの新規の油田、ガス田の発見、開発に貢献してきております。ちなみに昨年度、十一年度におきまして実施した調査におきましては、三陸沖において相当量の天然ガスが発見されたり、あるいは御前崎沖でメタンハイドレートが発見されるなどの成果を得ております。
 しかし、御指摘のとおり、石油開発政策全体の見直しを進めておりまして、その一環といたしまして、昨年の石油審議会の開発部会におきまして今後の進め方につきまして検討が行われました。この検討成果を踏まえまして、石油公団から委託をいたします石油開発会社の具体的な選定方法等につきまして、入札の導入等、競争的な仕組みを実施するべきだ、こういう答申をいただきまして、本十二年度からその方向で進めております。
 こうした石油開発政策全体の見直しの中で予算額につきましても厳しく見直した、こういうことでございます。
#149
○山下栄一君 余りわかりませんけれども、終わります。
#150
○委員長(加藤紀文君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#151
○委員長(加藤紀文君) 次に、訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。平沼通商産業大臣。
#152
○国務大臣(平沼赳夫君) 訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨の御説明を申し上げます。
 近時、悪質ないわゆる内職・モニター商法やマルチ商法に係る消費者トラブルが急増し、全国の消費生活センター等に苦情相談が多数寄せられている状況にあります。
 政府といたしましては、こうした状況にかんがみ、消費者団体等とも連携をとりつつ、悪質商法に関する情報提供を拡充するなどして、消費者に対し注意を促し、被害の未然防止に一層努力してまいる所存でありますが、さらに取引の公正及び消費者の利益の保護を図るため、本法律案を提案することとした次第であります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、訪問販売等に関する法律の一部改正であります。
 この改正におきましては、内職・モニター商法に対応する業務提供誘引販売取引について、契約締結時における書面交付の義務づけ、消費者による契約の解除等の措置を講ずるとともに、連鎖販売取引について、脱法行為を防止するための定義の変更、広告規制の強化等の措置を講ずることとしております。また、あわせて、インターネット通販におけるパソコンの誤操作によるトラブルの発生防止など、通信販売について顧客の意に反した申し込みを防止するための措置を加え、法律の題名を法律の内容により整合したものに変更するなど所要の措置を講ずることとしております。
 第二に、割賦販売法の一部改正であります。
 この改正におきましては、業務提供誘引販売取引に係る割賦販売等に関し、割賦購入あっせん業者に対する抗弁を認める等の措置を講ずることとしております。
 以上が本法律案の提案理由及び要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようにお願いを申し上げます。
 以上であります。
#153
○委員長(加藤紀文君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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