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2000/11/09 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 農林水産委員会 第4号
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2000/11/09 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 農林水産委員会 第4号

#1
第150回国会 農林水産委員会 第4号
平成十二年十一月九日(木曜日)
   午後一時三十二分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 豊秋君
    理 事
                金田 勝年君
                岸  宏一君
                郡司  彰君
                須藤美也子君
                谷本  巍君
    委 員
                岩永 浩美君
                佐藤 昭郎君
                鶴保 庸介君
                中川 義雄君
                三浦 一水君
                森下 博之君
                小川 勝也君
                高橋 千秋君
                谷林 正昭君
                羽田雄一郎君
                渡辺 孝男君
                大沢 辰美君
                石井 一二君
   国務大臣
       農林水産大臣   谷  洋一君
   政務次官
       農林水産政務次
       官        三浦 一水君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田 榮司君
   政府参考人
       文部省体育局長  遠藤純一郎君
       厚生大臣官房審
       議官       堺  宣道君
       厚生省生活衛生
       局長       西本  至君
       農林水産大臣官
       房審議官     永村 武美君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (畜産物等の価格安定等に関する件)
 (畜産物価格等に関する決議の件)
    ─────────────
#2
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査のため、本日の委員会に農林水産大臣官房審議官永村武美君、文部省体育局長遠藤純一郎君、厚生大臣官房審議官堺宣道君及び厚生省生活衛生局長西本至君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(太田豊秋君) 農林水産に関する調査のうち、畜産物等の価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○岸宏一君 ことしも残すところあとわずか二カ月となりましたが、谷農林大臣、三浦政務次官には、日夜を分かたぬ御活躍、農家の皆さんを代表しまして心から感謝を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
 さて、この一年を振り返ってみますというと、我が国の特に農業、農村、農家の皆さんの一年というのはどんなものであったか、こういうことを今思い返しているわけでございますが、どうもことしも、農家の皆さんにとってはすばらしい年とは言えない、そういう一年であったように私には思えるわけでございます。
 それは、私は山形県でございますから、山形県は稲作のいわば単作地帯ということでございますから、何を申しましてもお米の問題が私には一番頭に残っていることでございます。ことしも大変豊作であったわけでございます。豊作であったがために、お米が余った、そして市場価格が大幅に下落をしたと。ひところから見ますというと、大体三割以上お米の値段が下がっておりまして、山形県の農家の皆さんからは悲痛な声が聞こえてくるわけでございます。
 お米の値段が三〇%以上も下がったし、それから転作も三〇%を超した。そして農業者年金の問題も、最初の案というんでしょうか、原案の原案というのは三〇%だったわけですけれども、これは何とか一〇%以内にとどまったことでありますけれども、稲作農家は、完全にコストを割っている、こんな悲痛な声が聞こえるわけでございます。
 しかも、豊作でありながら豊作を素直に喜べない、これはゆゆしき問題だというふうに私も思いますし、我が県の高橋知事は、豊作を素直に喜べないというのは農家の皆さんの精神的な退廃を生む、そんな心配すらある、何としても国において豊作を素直に喜べる農政をやっていただきたい、こういう発言を県議会でしたか記者会見でしたか忘れましたがなさっておるわけでございます。私もそのとおりだというふうに思うわけでございます。
 そういう観点から、いろいろ御苦労されて今回、十月でしたか、米の緊急対策が打ち出されたわけでございます。この結果はことしの米の値段には余りプラスに働いたとは思えないわけでございますけれども、ぜひ来年度のお米の需給の安定あるいは価格の安定に大いに役立つことを祈るばかりでございます。
 さて、畜産の問題でございますけれども、酪農の問題でございますけれども、この問題もなかなか困難な年であったような気がいたします。従来から続いた問題は問題として、例えば担い手の問題でありますとか畜産物の輸入の増大でありますとか、あるいは高齢化、それから畜産の環境対策、こういった大きな問題が引き続き私たちあるいは酪農家の、畜産家の皆さんに大きなプレッシャーとなってきたことはそのとおりでございます。
 それに加えまして、口蹄疫、これは三月でしたか、それから六月には雪印の問題がありまして、農林水産省は大変忙しかったというふうに思うんです。特に大臣、それから政務次官、樋口畜産局長さん、大変な御苦労をされたようでございますけれども、ぜひ審議官、ひとつ畜産局長に私からくれぐれも御苦労を感謝しておったというふうにお伝えいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 ところで、昨日は畜産の価格が審議会から示され、本日は加工原料乳の問題が結論づけられるという非常に大事な時期でございますけれども、これらの問題に当たりまして、農林大臣として基本的にどんなことを今考えておられるか、ひとつお答えをいただきたい。
#6
○国務大臣(谷洋一君) ただいま本年を反省されましていろいろと課題が多かったことを御指摘いただいたんですが、私も七月四日に就任いたしまして、それまでに宮崎並びに北海道における口蹄疫の問題が起きておりまして、まだまだ終結に対しましての努力をする最中でございました。また、牛乳の問題もまだ紛糾の最中でございまして、社長が三回四回訪ねてこられましたが、会社の責任だ、何としてでも終末処理をきちっとしなさいということをいつも強く申し上げておりました。
 そういうことで万事難問題ばかりでございますけれども、この畜産にいたしましても、例年にない特別な問題が、口蹄疫で言えば九十二年ぶり、また、あの有名なメーカーが何でこんなことをしたんだと我々がびっくりするような事態が起きておったわけでございますから、二度と起きないようにしたいということで、この口蹄疫問題につきましては法案を提出して成立させていただいたわけでございます。
 そういうことで、農業にいたしましても、今、新しい農業基本法をつくりまして、意欲に燃える農家をつくりたい、活力のある農村づくりをやるためにはという気持ちで、一定の条件のもとに株式会社を認めるというふうなことも決めておりまして、ぜひとも御可決をいただきたい、こう思っております。
 そういう多事多難な年ではございましたけれども、米価の決定、また今回の畜産価格の決定、いろいろな課題が含まれておりますけれども、しかし畜産の場合は、新しい価格体系に持っていきたい、市場を反映するようなものにしたい、しかし、畜産農家が意欲を燃やすようにしむけていくようなことを考えたい、こういう考えのもとに今取りまとめておるわけでございまして、どうか皆さん方の畜産に関する真摯な、積極的な要望をいただきまして、私どももこれをしかと受けとめまして頑張っていきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
#7
○岸宏一君 ひとつ大臣よろしくお願いをいたします。
 さて、この畜産の問題でございますが、ただいまお話を申し上げましたように農村の、特にお米に関して農家の所得が著しく下がっているわけでございますから、畜産に対する期待というんでしょうか、その比重というんでしょうか、こういうものは今後ますます高くなってくるというふうに思うわけです。
 しかも、この基本計画によりますと、食料の望ましい消費の姿などというものを示しておるわけでございますけれども、これも平成九年に対してかなり大幅な消費の増加を見込んでおられる。さらに生産の努力目標にいたしましても、例えば牛肉なんかでは五十三万トンから六十三万トンへ生産を伸ばさなきゃいけない。しかし一方で、統計調査を見ますというと、だんだん飼養農家は減ってきているわけでございます。
 そういうことで、平成二十二年までにこういった新しい計画が実現できるかどうかというのは非常に私は困難だと思っております。そういう困難を克服するためには、さまざまな飼養農家に勇気を与えるような諸施策を講じていかなければ到底これは実現できるものでないというふうに思っているわけです。今回の畜産価格の決定に際しまして、どうも豚肉の価格とか何かも余りよろしくないという話もございます。
 そんなことで、これからの対策をどのように考えておられるか。これは審議官ですか、ひとつお願いいたします。
#8
○政府参考人(永村武美君) お答えをさせていただきます。
 今先生御指摘になりました平成二十二年を目標にいたしました畜産物の生産努力目標、御指摘のとおり、牛肉につきましてもかなりの増加を見込んでいるところでございます。ただ、この目標自体が、達成する上でそう簡単ではないことを私どもも強く認識をいたしております。ただ、この目標に向けまして三つほど大きなポイントがあろうかと思っております。
 一つは、牛肉の消費につきましても、もはや国内生産は四割を切っておるわけでございますけれども、六割を超える輸入牛肉の部分、これをどうやって国産牛肉で置きかえていくかと。これは、国産食肉の安全性の問題をもちろん消費者に理解していただくことも大事でございますけれども、あわせて、消費者に受け入れられる一定程度の価格での生産、コスト低減、これを図っていくことがまず第一のポイントであろうかと思っております。
 それから、第二のポイントは担い手の確保でございます。私ども畜産の分野でさまざまな担い手、特に後継者と言ったらよろしいでしょうか、これはほかの畑作あるいは稲作部門と比べましてかなり後継者を確保している分野ではあります。しかしながら、それでも先生御指摘のとおり戸数が減少しておるというようなことがあらゆる畜種において見られるわけでございまして、それに対しても、どうやって戸数の減少を食いとめていくかと。
 例えば、これは和牛の繁殖経営の事例を一つ申し上げたいわけでございますけれども、和牛の繁殖経営の担い手はかなり高齢化が進んでおります。畜産の中でも最も高齢化が進んでおります。そこで、私ども数年前に新たな事業として起こしましたのが、通常、和牛は十カ月ぐらいで子牛を売るわけでございますけれども、十カ月間飼うのがとてももう大変だと、高齢化しますと。したがって、高齢化された担い手の方々にはせいぜい三、四カ月飼っていただいて、四、五カ月たったら、農協がつくった子牛の団地、哺育センター、そちらで預かっていただく。それによって個々の農家は、今まで三頭飼っておった農家が五頭、六頭と規模を拡大していく、こういったこともやっておりますし、要するに、若い担い手だけではない、高齢者もしっかりした担い手として位置づけるということ。
 あるいはまた、都会に出られて六十を境に国に帰ってこられる、かといってまだ六十過ぎでは十分仕事ができるというような方々には、例えば農協が簡易な、コストをかけない牛舎をつくって、それを高齢者の方に、Uターンされた方にリースをする、そこで牛を飼っていただくと、こういった非常にきめ細かな対応策を講じておるところであります。
 さらにまた、先ほど御指摘の豚肉等の価格の下落に際しましても、一定水準を下回った場合は国からその補てんをする措置等々、価格政策についても相応の対策を講じておるところでございまして、あらゆる分野から、あらゆる角度からもろもろきめの細かい対策を講じながら、少しでもこの生産努力目標に近づけるように努力をしてまいりたいと考えております。
#9
○岸宏一君 ただいま審議官のお答えになったことは、すなわち我が国の畜産・酪農の重要な課題であるということは確かだと思います。今申されたことに対してあらゆる手だてを尽くしてやっていかないとなかなかうまくいかないだろうということは私もそう考えておりますが、例えば飼料の自給率なんかを見ますと、これは昭和四十年で九二%、繁殖牛の場合は自給率があったんですが、これが農水省の統計だと五九%に下がっておる。それから肉牛の肥育、これなんかでは四・四%というふうな落ち込みになっておるわけでございます。これらについても基本計画に、草地を何万ヘクタールでしたか、ふやすといった計画もあるにはあるわけですけれども、なかなかもってこれは難しいんですね。
 私、実は山形県で町長をやっていまして、私も実は畜産をぜひ振興したいということでかねと太鼓で頑張らせようと思ったんですが、結局、農家の人に怒られたんです。何と言われたかといいますと、いや、町長、おまえそんなこと言うけれども、口のついたものを育てるということは大変なんだ、机の上で考えているのと実際やるのとは全然違うぞということを言われたことを今、審議官の御答弁をいただいて思い出したわけでございますけれども、どうかひとつそういうことのないように、いつも実際働いている、実際やっておられる飼養農家の気持ちになってさまざまな施策を考えるということが大事ではないかというふうに思いますが、いかがですか。
#10
○政府参考人(永村武美君) 今、先生は自給率の向上のためにえさの問題を御指摘なさったわけでございまして、先ほど私の答弁から漏れておった部分でございました。
 御指摘のとおり、飼料の自給率が大変下がってきております。これは一つには、今私ども年間に一千数百万トンのトウモロコシを中心に穀類、家畜のえさを輸入しておりますけれども、これを国内で生産するなどということになりますと数百万ヘクタール要るわけですからおよそ不可能でございますが、国内に賦存をしておる草資源、これについてはまだまだ利用の率が低いという状況がございます。
 例えば、先ほど先生が御指摘の口蹄疫問題が三月に起きましたけれども、その原因はどうも中国大陸から入ってきた麦わらに口蹄疫ウイルスが付着をしておったのではないかという可能性が最も強いとされておりますけれども、なぜわざわざ中国とか韓国から稲わら、麦わらが入ってきておるかと。これは、国内で生産される稲わらを十分利用していなかったからということでございまして、大体年間九百万トンとれる稲わらのうち、国内で家畜の胃袋に入っておりますものが百万トンちょっとでございまして、その結果、二十五、六万トンの稲わらの輸入をするという非常におかしな現象が起きてきたわけでございます。
 これは一つには、非常にこれは難しい問題でございますが、稲わらがたくさん生産をされる例えば北陸とか東北とか、東北は別ですけれども、お米の地帯に昔は牛もたくさんおったんですけれども、お米の地帯に牛がいなくなった。そうしますと、遠くに稲わらを運ばざるを得ない。どうしてもコストがかかると。こういった問題もございますけれども、何とかそこも、せっかく九百万トンもある貴重な資源をみすみす今は田んぼにすき込んでおるわけでございますから、これを何とか牛の胃袋に持っていきたいということでさまざまな手だてをやっておるところでございます。
 それと同時に、もう一点、私ども常々申し上げておりますことは、本当に今給与しておる穀物が、例えば二十カ月穀物を給与するというようなことを牛に対してやっておりますけれども、本当に二十カ月丸々給与する必要があるのかと。例えばそれを十カ月とか十五カ月まで減らしまして、その減らした五カ月についてはより粗飼料を多給するような飼養管理の技術もあるんだよというようなことは啓蒙普及しておりますけれども、いま一つそこが手が届かないところでありまして、私ども反省しておるところでございます。
#11
○岸宏一君 さて、コストの問題ということも審議官おっしゃったわけですけれども、コストといいますと非常に心配になってくるのは、例の家畜排せつ物の法律ですか、これによって飼養農家は新たな投資をしなきゃいけない、こういうふうになってくるわけでございます。けさほどの自民党本部での総合農政の会議でも、ここにいらっしゃる中川さんがそのことを発言されておられましたけれども、私もこれは非常に大きな問題であろうと思います。
 酪農あるいは畜産の農家にとってこれは頭の痛い問題だと思うんですが、この問題で、さきの三月十六日の衆議院の農林水産委員会で谷津政務次官は質問にこういうふうに答えておられます。「現在、本法に基づきまして、都道府県において、今後五年間の施設整備の目標や、畜産と耕種の連携による堆肥の利用促進等を内容とする計画を策定中であります。」と。まず一点ですね、策定されたかどうか。
 それから、「今後、この都道府県計画に基づいた施策の計画的な整備や堆肥の円滑な流通促進を図るため、補助事業、これには公共と非公共がございます、それから補助つきリース事業、融資、税制等、地域の実情に合った支援措置を講じていきたいと考えております。」。それから、ずっと下りまして、「畜産農家が適正なコストで施設整備を行うことができるよう、施設整備の方法、建設コスト等必要な情報を積極的に提供することを、都道府県あるいはメーカー等に通知」していきたい。それから、「四月を目途に、建築基準法に基づく堆肥舎の設計規準の緩和を図ること」にしたいと、こういうふうに述べておられますが、これは三月から大分日がたっておりますのでかなり前進があったものというふうに思うわけですが、この点についてひとつお答えをいただきたいです。
#12
○政府参考人(永村武美君) お答えを申し上げます。
 まず、五カ年計画を策定したかどうかというお尋ねでございますが、私ども、全国四十七都道府県から、五カ年間で野積みとか素掘りとか非常に不適切な処理をしておる部分をどう解消していくか、その計画を今手元にいただいたところでございます。
 概略をざっと御説明いたしますと、全国で十数万戸の牛豚畜産農家、養鶏農家がおりますけれども、その中で不適切な処理とみなされたものが全国レベルで約四万戸の農家でございます。この四万戸の農家のうち、ある程度共同でふん尿処理をする施設をつくって、いろんな補助事業、先生さっきおっしゃいました公共事業なり非公共事業なりを使いまして共同でふん尿処理をしていこうという農家が一万七千六百戸でございまして、この一万七千戸の農家が約三千九百カ所の共同施設をつくっていく、こういう一つの姿。あるいはまた、畜産農家が散り散りになって分布をしておるところでは共同施設がなかなか難しいというようなことがございまして、それにつきましては、先生御指摘の個人に対する二分の一の補助つきリース事業、これで解消していくというものが一万一千五百戸と、こういう数字になっております。そして、残りの一万五百戸という部分が出てきたわけでございますけれども、これは、先生が御指摘のふん尿処理施設のコスト問題と絡みまして、そんなにお金をかけなくても、例えばある程度耐久性のある防水シートのような安価なものでこの野積み、素掘りを解消できる農家が一万戸ちょっとあります。こういうことで、合わせてこの四万戸につきまして五カ年できちっとした整備をしていきたい、こういうふうな計画が今上がってきておるわけでございます。
 私ども、この五カ年計画、各都道府県から上がってきた計画に基づきまして、緊急度の高いものからどんどん補助事業の対象にしたり二分の一リース事業の対象にしたりして、できる限り速やかにこのふん尿処理の施設整備をやっていきたいということを考えております。
 それから最後に、コストにつきまして、先生御指摘の件につきましては、堆肥舎というのは牛舎よりもはるかに人の出入りが少ない施設でございますから、建築基準法の建築強度みたいなものははるかに弱くていいわけでございまして、強度が弱ければコストが安いということで、去る九月に、堆肥施設整備の目安となります堆肥舎等建築コストガイドラインというものを示しまして、大体一平米当たりこれぐらいのコストが妥当ですよ、これを超える部分については過剰投資になりますよというようなものを都道府県とか関係団体に通知をいたしております。
 さらに、いろんな環境関係団体のホームページを通じまして、ふん尿処理施設の機械メーカー、これはたくさん今ございますけれども、本当に適切な機械を販売しておるのかどうか、こういったことも可能な限りの情報を仕入れまして、畜産農家の方がこのホームページにアクセスをして、これはいい機械だな、これはだめだなという判断ができるような形の条件整備に努めておるところでございます。
#13
○岸宏一君 この環境問題、ふん尿の処理のやり方は、これはかなり農家のコストに影響を与えることはもう火を見るよりも明らかでありまして、けさほどの自民党の会議でも、団地化を進めてできるだけ共同でその処理施設をつくるようにすべきだという、そういう研究委員会、小委員会を設けようなどという話が出たくらいでございますから、非常に困難な問題だという認識は一致したところだと思うんですね。
 それで、いろんな点から考えまして、やっぱり補助率などを思い切って上げてやるということも考えの中に入れる必要があるのではないかという気がいたしております。確かに国の財政云々の問題はありましょうが、やはり食料という最も我々に身近でもってしかも大切なものをきっちりとしていく上では、この対策を間違ったらば大変なことになる、こういう思いでひとつ審議官として努力していただきたいという気がいたしますが、御決意のほどはいかがですか。
#14
○政府参考人(永村武美君) 確かに、ふん尿処理施設をつくることによって個々の畜産農家には投資という形でコストにはね返ってくるわけでございます。御指摘のとおりでございます。
 これに関連をいたしまして、コストの増加だけになるということでは、これは当然、堆肥施設を整備をしていくという意味でインセンティブに欠けるわけでございまして、例えばこういう話が一つございます。
 全国に今、堆肥センターというものが二千数百カ所ございます。これは町営であったり農協営であったりいろんな運営形態がありますが、そこで農家から集まってくるふん尿を処理はするのでございますけれども、堆肥として十分に売れない、したがって収入が十分にないということで赤字になってしまう、こういうような問題があちこちから指摘をされております。
 したがって私ども、今般のふん尿処理問題、従来からもやっておるものに加えまして、例えばある程度の広域流通ができるように、かなり大型の堆肥を入れるバッグの助成でありますとか、あるいは、耕種農家から見ますと、ただふん尿を原料とした堆肥であればいいということではなくて、どの程度の養分を含んだものであるのか、やはりその養分を分析してくれないとなかなか使いにくいという問題もございます。
 あるいはまた、耕種部門でも高齢化が進んでおりますから、わざわざその堆肥をまく労力がないというようなこともございますので、堆肥センターが耕種農家のところに行きまして自分のところで製造した堆肥をまく際には、それについても助成をしていこうと。
 あるいはまた、耕種農家Aさんがいつごろどれだけ堆肥を必要とするかという需要者側のニーズと、近くにおります畜産農家のBさんがどういう品質の堆肥を供給できるかという、この需給のマップといいましょうか、ユーザーと供給者の相互連携を図るための需給マップの作成等々、こういったきめ細かなこともやっていかなければならないと考えております。
 ただ、先生おっしゃいました補助率を引き上げるべきではないかということにつきましては、これは臨調答申にもうたわれておりますように、二分の一というのは私どもにとっては原則的に一つの大きな壁でございます。したがって、今、私どもは自治省にお願いをいたしまして、より積極的にこの国の事業に上乗せ負担をしていただく自治体については、交付税の世界で少しバックアップをいただけないかということで自治省に御検討をいただいておるところでございます。
#15
○岸宏一君 堆肥センターを有効に活用、しかも広域的に活用するというお考えは正しいと思います。しかし、九州の調査によりますと、九州では堆肥センターの運営で赤字のセンターが六四%だと出ておりますから、こういう問題も含めて、やはり広域的に、しかも機能的というんでしょうか、適切な運営管理をされるようにお願いをいたしたいと思います。
 時間になりましたので、最後に大臣に、酪農の経営の安定、所得の向上、そういったことをいろいろ考えますというと、海外からの乳製品、そういった畜産物の輸入問題というのは非常に農家にとっても大きな関心事でありますけれども、今後本格化するWTOの交渉に臨んで、この乳製品の問題、どのようなスタンスで臨まれるおつもりか、その決意のほどをお聞かせいただくことにいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#16
○国務大臣(谷洋一君) WTOの問題につきましては、御存じのとおりに、日本の多面的な利用、国土保全の関係、また環境問題等々、農業が持ついろんなそういう機能を生かして日本の立場というものを生かしていこうというので、海外の国々に対しましても、私自身も、また政務次官もそれぞれ各国に派遣し、また、省の中におきまして課長クラス、審議官クラスを各国に派遣してやっております。
 家畜の問題につきましては、酪農の、先ほども出ましたようにトウモロコシ等はもうほとんどが外国から入ってくるという現状でございますから、これをどういうふうにして安く仕上げるか。また、日本の水田のわら活用というものをいかにするか。これは、わら活用と申しましても、要するに機械化になっておりますので、もう水田にすき込むというふうな事態が多うございます。そういう点をどういうふうに活用していくか。即時に解決するという問題よりも、これからの農林省の畜産問題に対する姿勢として、それをどういう方向に持っていくかということを示しまして、何年もかかってこれをいい傾向に持っていきたいと、こう考えております。
 一つの例を申し上げたわけでございますが、飼料の問題等々を初めとして、また国内問題としては環境の問題からふん尿処理の問題等々ございます。そういう問題をあわせまして、そして結論的には畜産の振興をいかにやろうか、それはひいて自給率を高めることになるんだと、こういう気持ちで頑張っていきたいと思っております。
#17
○岸宏一君 ありがとうございました。
 終わります。
#18
○谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭でございます。
 伝統ある農林水産委員会に初めて配属になりました。一生懸命勉強させていただきながら少し頑張らせていただきたいなというふうに思いますので、各委員の御指導、大臣並びに政務次官の御指導をひとつよろしくお願いいたします。
 ところで、これは通告はしておりませんでしたけれども、大臣にお伺いいたしますが、昔の言葉で士農工商という階級制をあらわした言葉がありまして、小学校のときにちょっと聞いたような気がいたします。この士農工商の農というのがなぜ二番目に来たのか、御存じでしたらちょっと教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#19
○国務大臣(谷洋一君) 言葉の起源ということを申し上げるよりも、今の時代からいいますと、農というのは我々人間社会にとりまして、どうしても食料というものが大事だ、食料がなければ我々は生きていけない、そういう意味において、何といっても農は大事なものだという表現で士農工商と言ったと思います。
#20
○谷林正昭君 私もおっしゃるとおりだと思います。
 ところが、同僚議員に聞きましたら、羽田雄一郎同僚議員でありますが、いや、それは先輩違いますよ、これは農民一揆を抑えるために二番目に持ってきた、これが本当じゃないか、こういうふうに学のある羽田雄一郎委員が教えてくれました。
 私は、まさに今の農家、農業に携わる人たち、その一揆寸前、爆発寸前、なぜおれたちはこれだけ頑張っても報われないんだ、こういう思いがあるような気がしてなりません。
 しかしながら、今、農水省として、そういう言葉に、あるいはそういう思いにできるだけ頑張ってこたえるような努力をされている、こういう気持ちも十分勉強させていただいてわかってまいりました。
 そこで、きょうは酪農・畜産関係の価格安定あるいは経営安定の議論の場というふうに思いますので、その方面で少し議論をさせていただきますが、まさに今の農業に携わる人たち、あるいは畜産・酪農に携わる人たちの思いは、このまま続けてもいいのかどうか、もし続けるならば展望があるのかどうか非常に心配だと思いますし、国としてこの後も応援してもらえるのかどうか非常に心配だというふうに思っております。
 そういう意味で、ぜひ大臣の口から、二十一世紀に向けた、畜産農家が将来展望の持てる、そして意欲を持って頑張れるような施策を国として今後どう考えていくのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
#21
○国務大臣(谷洋一君) 今の御質問に対しまして私がお答えするわけでございますけれども、考えてみますと、古い言葉のようでございますが、戦前派とか戦中派とかまた戦後派とか、そういう言葉がはやったときもございました。私はまさに戦中派でございまして、あの戦争中の食糧難で苦しんだとき、また昭和二十年代のアメリカの放出物資をいただいた当時、また窓を壊して国鉄に乗った思い出等々を考えますと、食糧というものがいかに大事かということがわかります。
 しかし、日本の経済が高度成長いたしまして、今、豊かな経済になった。今は景気が悪い時期でございますけれども、そういいながらも、私、ついせんだって、日韓漁業交渉で十一月三日から四日に行きましたが、何と日本からの航空路は全部満員でございます。とうとう普通の常識ではとれずに、公務だからということで運輸省の方にお願いして無理にやっと席をとっていただいたということでございまして、これは考えてみたら、成田からだけの便でなくて、福岡もあれば関空もある、名古屋もあれば新潟もある、岡山もある、そういうふうな空路があるにかかわらずとれない。景気が悪いといいながらどうだろうと。私は、三、四十分でしたが、ロッテホテルに泊まってロッテ百貨店を歩いてみましたら、しゃべる言葉は日本語ばかりであります。えらいこったな、これは本当に、と思いました。
 だけれども、私も漁業交渉で水産大臣とお会いして、二回にわたって延々四時間半やりまして、私が八割しゃべったんじゃないかと思っておるんですが、その後また水産庁長官は向こうの水産庁の大臣以外の責任者の方との二時間の交渉をしました。しかし、結末はつかずに帰ってまいりました。これからの問題だと思っております。
 そういうことでございまして、本当に今の社会というのは何か矛盾しているんじゃないか、もっとなぜ農業を大切にしてもらえないんだろう。しかしこれは、農業者の奮起を促したい前に、やっぱり全国民がその気持ちになって、消費者であろうと生産者の農民であろうと、今は農民といえども、今から四十年前の生活のようにみそをつくり、しょうゆをつくるという時代じゃないことはみんなが知っております。そういうことから考えると、なぜ外国から物を入れることを当たり前のように思っているんだろうと。日本は戦争を放棄しておる立場でございますから戦争しないことは当然としても、外国が戦争すれば我々はその難を免れることはできない、食糧が入ってこないことは当然であります。
 そういうことを考えると、もっと真剣に国民全体がこの食糧というものに対する考え方を改めてもらいたいと強く思っておりますが、ここでは農に熱心な、農林水産省に熱心な委員の方々ばかりでございますから、ここで私自身が申してもどうしようもありません。やっぱり社会に向かって強く言いたいと思っておるところでございます。
#22
○谷林正昭君 そういう意味でも、大臣に強いリーダーシップをぜひ発揮していただきたいなというふうに思いますし、そこに政策が伴わなかったらやはりただの空文句になってしまう、こういうように思います。したがいまして、この後具体的な政策なども含めながら少し質問をさせていただきたいというふうに思います。
 方針だとか計画だとかを読んでおりますと、意欲という言葉と再生産という言葉がよく出てまいります。意欲を持って再生産ができる、そういう農業。そのためには、価格の安定、価格の確保といいますか、これを担保する政策が必要だというふうに思います。そういう意味では、再生産そして意欲を持てる価格の担保というのはどこにあるのかというふうに少し勉強させていただきましたけれども、全く見えないような気がいたしました。
 というのも、先日も北海道からおいでになりました皆さん方から生の声を聞かせていただきました。一千万の収入があるというふうに政府の統計では言われている、しかしそれは、いわゆる専従者、二・九から三・一人、これだけの人がかかって一千万。いや谷林先生、そのほかに、一千万で全部生活するんじゃないんです、設備の借金を六百万ぐらい毎年返していかなかったらこれだけの規模の酪農・畜産はやっていけません、そうすると手取りが、というよりも残るのが四百数十万になってしまいます。ということは、三人がずっと年がら年じゅう一日も休まないで頑張っても、いわゆる可処分所得といいますか生活所得といいますか、これが四百五、六十万になってしまう。これが本当に意欲のある、そして再生産を確保できる農業だというふうに私は思いません。それを聞いたときには、何としてでもその話をまず議論させていただきたいと思いました。
 意欲の持てる、そして再生産が確保できるというこの理念を示していただきたいと思います。
#23
○政府参考人(永村武美君) 先生がおっしゃいました、今、主に酪農について御意見でございましたが、もちろん、より営農意欲のある担い手を次の世代に確保していきたいということ、これはもう私どもの強い念願でございますし、先生の認識と変わるものではないと思いますが、もう一つの再生産の確保という点について申し上げますと、今まで加工原料乳の再生産を確保するためにいわゆる不足払い制度を維持してきたわけでございますけれども、来年度から法律を変えまして新たな制度に移行するということになっております。
 ただ、従来の制度につきましても、新たに変わる制度につきましても、加工原料乳地域における生乳の再生産はきちっと確保する、これを条件にきちんと生産者の補給金の単価を決める、これは法律にしっかり書いてあるわけでございまして、これを守らなければ当然法律違反になるわけでございますから、再生産の確保ということには最も強く意を用いてこの補給金の算定をしていきたい、こういう気持ちでございます。
 また、先生おっしゃいましたそれぞれの所得問題、酪農家の所得問題、勤労者と比較して云々、いろんな形での議論があるのは承知をいたしております。ただ、私ども、この補給金の単価だけをもって日本の酪農経営を支えておるというふうには理解をしておりません。例えば、大ざっぱな話で恐縮でございますけれども、約二百四十万トンに上る加工原料乳の補給金が約二百五、六十億円になっておりますけれども、それ以外にも、酪農経営から生産をされるいわゆる雄の子牛、ぬれ子、これは乳を搾りませんから酪農経営の手を一週齢あるいは二週齢で離れたり、三カ月齢まで飼われて離れたりいろいろしますけれども、こういった生まれてくる副産物に対するいろんな手当て、これはいわゆる乳肉複合経営という事業をこれまた数十億で展開しておりますし、あるいは、最近需要が伸びております生クリームに牛乳が回った場合の助成事業、需要が伸びておるチーズに原料乳が回ったときのチーズの生産増大のための事業もろもろ、今申し上げた二百五、六十億の加工原料乳だけに投入しております財政負担のほぼ倍以上のほかの事業でいろんな角度から酪農経営を支えておるということを御理解賜りたいと思っております。
#24
○谷林正昭君 その補助事業、あるいはそれを支える事業、直接の補てんではなくて。いろいろそういうものがあるということも今伺いましたし、生産者の方々にも聞きました。
 私の言いたいことは、再生産というのは少しでも拡大していくべきではないか。例えば、来年は牛三頭ふやしたい、あるいは牛舎も新しくしたいというような気持ちが意欲につながるというふうに私は思います。ところが、いろんな計算式を勉強させていただきましたところ、全くそういうものが含まれていない、拡大再生産というための補助金ではないんだ、いわゆる利潤というものは見ないんだというような話も聞きました。
 そういったときに、私はこの意欲ということを考えたときには、やはり牛一頭、二頭ずつでもふやしていけるようなシステムをつくるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#25
○政府参考人(永村武美君) 先生は、再生産、中でも拡大再生産という方向を目指すべきだと。これは一つの考え方であろうと思いますが、規模の拡大というのは、非常にスムーズに、なだらかに拡大するのはなかなか難しい。
 例えば、一定の設備、施設、いわゆるハード部門の水準がございます。そのキャパシティーに合わせて牛の数をふやしていくわけですけれども、一定程度以上の頭数になりますと新たなシステムに移行した方が経営としてはコストが下がる、しかしその移行期に一定の投資をしないとなかなか拡大再生産につながらないという問題があるわけでございまして、一部の農家でいっときかなりの負債を抱えるという、現に我々も負債を抱えている農家をたくさん知っておりますけれども、一たん抱える負債という問題はあるにしても、それが将来の資産として残っていくのも事実でございます。
 ですから、この拡大再生産のために必要なもろもろの事業、新しい飼養管理方式でございますとか、それについても我々は、例えばゆとりある酪農経営とよく呼んでおりますけれども、以前は、牛が一頭一頭全部つながれておりまして、酪農家がその牛のところに行って一頭一頭搾乳をしていたわけです。したがって、かがんでは搾るかがんでは搾るということで大変過重な労働をやっておったわけですが、今は、例えば六十頭とか七十頭とか非常に大規模になりますと、夫婦二人でもとても労働力がきつくてできない。そこで、ふだんは牛をほったらかしにして放しっ放しにしておく。朝、時間を決めておいて穀物飼料をやりますと、えさに引かれて牛は参ります。乳を搾るパーラーがございまして、ミルキングパーラーに牛が自動的に来てくれる、そこで搾るといった省力機械施設。これも先生、三十頭とか四十頭の規模では過重投資になるんです。したがって、五十とか六十まで行って初めて切りかえる。
 その辺のところをできるだけうまいぐあいに、スムーズにいくように私どもも研究はいたしておりますけれども、そういった補助事業もあわせながら、伸びていけるところについては、先生がおっしゃる拡大再生産、これを目指していっていただきたいと思います。
 ただし、これとちょっと考え方が違いまして、拡大しなくてもコストを下げて、例えば安いえさとして放牧を利用して、普通の酪農家が七千キロの乳を搾るのであれば、私はコストをかけないで四千五百キロでもいい、こういう山地酪農というようなことで、最近、低投入型の生産というような名称で呼んでおりますけれども、そういった行き方も一つあるということでございまして、必ずしも一つの形態だけを追求するという必要もなかろうとも思っております。
#26
○谷林正昭君 私も、画一的なものじゃなくて、その地域や土地に、あるいは条件に合ったようなことを含めたそういう施策が必要ではないかというふうな思いでございます。
 次に、畜産安定対策についてお尋ねいたしますが、現行、マル緊事業というのが行われておりますが、これが十二年度で終わるということになりますと、今後の制度のあり方、あるいは継続的にどういう新たな制度をつくるのか、こういうものを少しお聞かせいただきたいと思います。
#27
○政府参考人(永村武美君) 先生御指摘のとおり、我が国の肉用牛の肥育経営農家にとりましては、このマル緊事業が一つの所得安定、所得確保のための支えの事業になっておったわけでございます。
 この事業は平成三年の牛肉の自由化に伴いまして私ども措置をした事業でございますが、考え方といたしましては、牛肉の自由化に伴いましてどうしても海外から牛肉がどんどん入ってくる、そうなりますと国内の牛肉の価格も当然下がっていくだろう、その場合に肥育農家は所得を確保できなくなるんじゃないかということで、現在、肥育牛一頭を出荷するために大体一年半とか二年かかるわけでございますけれども、この間、肥育農家が一頭当たりに投入する自分の労働費、これを金額に換算すると大体九万円でございます。これは和牛で申し上げますけれども、和牛の肥育で一頭当たり九万円の家族労働費がかかっております。
 このマル緊事業と申しますものは、この一頭当たり九万円の家族労働費よりも所得が少ないとき、例えば六万とかぐらいの所得でありますと、九万と六万の差、この三万円分はただ働きをしたということになるわけでございまして、そういった状況が生まれたときには補てんをする。これは国が全額補てんをする事業と、国が補てんをするだけでは足りない部分は県と生産者が積み立てた地域の基金で補てんをする二本立ての事業になっておりました。
 ただ、この二本立ての事業をこれまで運営してまいりましたけれども、一頭当たりの補てん額の上限が四万円ということでございまして、肥育農家の多くの方々からもう少し所得が深く割り込んだときに柔軟に対応できるような事業に仕組みを変えてくれないかということで、今回の価格決定に際しまして、従来の国の事業と県の事業、この二本立てでやっておりましたものを一本化いたしまして、できるだけ肥育農家の御要望に沿うような弾力的な運用ができる事業に見直しをしたい、かように考えております。
#28
○谷林正昭君 ぜひそういう営農の皆さんの要請にこたえられるような、弾力的というのが一番いい言葉じゃないかなというふうに思います。そういう制度を期待しております。よろしくお願いをいたします。
 続いて質問させていただきますけれども、今、国の補助というのが直接農家の皆さんに、簡単に言うと相談ができるようなシステムになっているというふうに思います。それもいいんですが、これからは、例えば飼料の自給率を上げるとか、あるいはふん尿処理問題、こういうことを考えたときに、地域の自主性あるいは自立性、そういうものを尊重したような、あるいはそういう人たちの考えに沿って、国が農家を直接支援するのではなくて、そういう地域を支援するというようなシステムを私は取り入れるべきではないかというふうに思いますが、こういう考えはいかがでしょうか。
#29
○政府参考人(永村武美君) お答え申し上げます。
 今先生がおっしゃいました地域ぐるみの取り組み、これはおっしゃるとおりでございます。その典型的な問題が、多くの畜産農家が現在直面をしておりますふん尿処理の問題でございます。
 畜産農家の側からいたしますと、日本の畜産農家のかなりの部分、酪農なんかは一定の土地を持っておるわけですが、豚とか鶏を飼っている農家というのはほとんど土地を持っておりません。したがって、出てくるふん尿というのは自分の水田、畑に還元できないわけでございまして、どうしても自分が生活をしておる、営農を営んでおる地域の耕種農家に自分たちがつくった堆肥を投入していただかないと地域の循環がうまくいかないということでございます。
 片や飼料の問題もございます。例えば、畜産経営の多くが高齢化が進んだりというような問題に直面しておりますけれども、高齢化が進んでも、ある程度担い手としてもっと頑張っていただきたい農家はたくさんいるわけでございます。そういった方々には飼料の生産まで力が回らないとすれば、飼料の生産に力が回る農家が組織をつくって、地域ぐるみで飼料生産を高齢者の方々も含めてやっていただく。
 こういった地域ぐるみの組織づくりのための支援事業、これはコントラクター、あるいは酪農ヘルパーもそういう意味では一種の地域ぐるみの活動でございますが、そういったものに対しても従来から私ども支援措置を講じておりまして、その点につきましては、先生の御指摘のとおりのことを今までどおりさらに拡充して措置を講じていきたい、こういう考えでおるところでございます。
#30
○谷林正昭君 ぜひ拡充強化していただきたいと思います。
 たまたまここに地図を持ってきましたが、ここに北海道のサロマ湖という湖があります。網走の近くでありますけれども、そこに流れ込む川が幾つも幾つもあります。その上流に牧場が幾つかあります。そういう方々が、この五年の間にやればいいのではなくて、サロマ湖で漁業をしている人々のことを考えたら、一日でも早くふん尿処理の法律に基づいたやり方をしたい、屋根をかけたい、こういうことをおっしゃっておいでになりました。ところが、なかなかそれが財政的な問題も含めてできない、非常にジレンマに陥っている、そういうことも実は直接聞かせていただきました。
 それを思ったときに、その地域全体で何とかそういうことができないかというふうに思いましたので、ぜひ拡充策、あるいはそういう地域の相談に乗りやすいシステムをつくっていただきたいなというふうに思いますし、自給率の向上なども考えますときに、今審議官がおっしゃいましたように、飼料の問題などもあろうかと思っております。
 次に、一番心配をされておりました、私もこの後どうなっていくのか心配な問題はいわゆる後継者の問題であります。よく議事録なども読みましたら、稲経だとかあるいは畑作だとか、そういう農業に比べたら、この畜産・酪農の方はまだいいんだ、後継者が育っているんだ、こういうお話が答弁として出てまいります。
 ところが、直接聞いたりあるいは統計なども見ましたところ、専従人員といいますか、先ほど言いましたように二・九人から三・一人。じゃ、この二・九人、三・一人というのはどういう方々ですかとお聞きしましたところ、大体、六十前後の夫婦、それに三十から四十の息子一人が平均だと、こういうふうなお話を聞きました。
 そういったときに、この息子が本当にこの後、後を継いでくれるのか心配だというふうな話を聞きました。それは一つは、頑張って頑張って肥えた土地を後世、次世代に残したいという思い、あるいは自分の足跡をそこに残したい、こういう思いもあって借り入れをしながら頑張ってきた。その借り入れが今の国際的な問題も含めてなかなか償還ができない、また新たな借り入れをしなきゃならぬ、こういうことになってきて、本当に息子が借入金を受け継いでくれるのかどうか非常に心配だ。そして今、新たな課題としてふん尿処理問題も出てきた。これを機会にやめてしまうのではないか、こういうような心配が出てきて、この後継者問題の原因の一つ、借入金問題をまず政策的に何かしなきゃならぬのではないかというふうに提起をさせていただきますし、もう一つは、年間通して働かなければならない、休む暇がない、過重労働になる、こういったときに、大変失礼な言い方になるかもわかりませんけれども、そこにお嫁さんが来ない。うちの息子は四十になる。しかし、借金の金額と働き方を聞いたら、息子を連れて札幌へ出たい、こういうようなことを言い出した。親として、その結婚は我慢をしてくれ、こう言わざるを得なかった。そういうような息子さんもまた、好きな子ができたけれども農業を継いでくれない、嫌だと言った。こういうような切実な声も実は聞きました。
 この、年間を通して休めないという問題、それから借入金が非常に大きいという問題、こういうことを含めた後継者問題の解決は、ただ漠然と解決をするということではなくて、問題を一つ一つつぶすことによってやっぱり後継者というのが育っていくのではないか、このように思いますので、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#31
○政務次官(三浦一水君) お答えいたします。
 酪農経営について申しますと、比較的後継者が確保されている部門ではある、先生の御認識のとおりだと思っております。そういう中で、今後の生乳生産の安定的拡大を図るためには、後継者が希望を持って酪農経営に取り組める条件整備が重要と考えております。
 先ほどの先生の御質問に戻らざるを得ないわけでありますが、何をもって意欲的な者ととらえていくかということに尽きるわけでございます。農林水産省としましては、少なくとも他産業並みの所得を確保するんだということを一つの大きな目標としながら各施策の取り組みをしているというところでございます。
 私は、自分の思い入れで申しますならば、いいよと言うことができなければ農業後継者というのはなかなか生み出すことはできない、であれば、やはり他産業を超えなければそういう面ではいけないのではなかろうかというふうに思っております。
 経営管理技術や飼養管理技術の改善、あるいは新生産方式、新技術導入等々のための施策、さらに、定期的な休日を確保するための酪農ヘルパー制度の充実、このこともそれを達成していく一つの手段ではなかろうかと思っております。
 さらに、借入金の問題についてお触れがございましたが、借入金の償還が困難となっている経営者が、後継者への経営継承に支障を来すことがないよう、既往の負債を一括して長期低利の資金で借りかえる資金の融通、このような施策を図っているところでございます。
 これらの対策の着実な推進と充実によりまして、酪農後継者の確保をさらに図っていく所存でございます。
#32
○谷林正昭君 非常に難しい問題だとは思います。しかし、ぜひそこらあたりに日を当てないと後継者というのは、本当の意味での後継者というのが育たないと思いますし、意欲ある者が出てこないというふうに思います。
 一つ提案をいたしますけれども、今盛んにベンチャー企業の育成ということが他産業で言われております。そういう意味では、やっぱりこの農業、畜産・酪農、こういうところにもベンチャー的発想といいますか、ベンチャー的支援といいますか、そういうものも私は取り入れていく余地があるのではないか、あるいは研究する余地があるのではないか。
 他産業から、あるいは他の仕事から酪農をやってみようという意欲ある人を育てていくといいますか、応援をするといいますか、そういう政策も農水省として、政府として必要ではないかというふうに思いますので、御見解があればお聞かせいただきたいと思います。
#33
○政府参考人(永村武美君) 先生御指摘の、要は他の部門からこの畜産に飛び込んできて事業を起こすというようなことがあってもいいではないか、こういう御意見でございます。
 先ほど来、私はお答えの中で、畜産ほとんどすべての部門におきまして毎年毎年戸数が減少しておるというようなことを申し上げてきたところでございますが、実は酪農につきまして、これは特に北海道において進んでおる事業でございますが、昭和五十年代の半ばからだったと思いますが、どうしても経営者が病気で酪農をリタイアせざるを得ない、あるいは事故で経営を中止せざるを得ない、もろもろの理由によりまして離農がかなり進んできておるという実態がございます。片や、全く農家の子弟でなくても、いわゆる都会のサラリーマンの子弟であってもどうしても北海道で酪農をやりたい、こういった若い新たな、ニューカマーといいましょうか新規就農者があるわけでございまして、土地も畜舎もそれなりに整備をして、また搾乳牛の導入に対する助成も行いながら、年間大体十戸ないし十五戸、北海道において離農跡地等を利用しながら酪農経営に新規就農いたしております。そういった形で今までの酪農経営に新しい血を入れる。またそれも、地域地域の酪農家がそういった新規就農者を受け入れるような、例えば研修施設でありますとか、そういったものを整備する事業も実施をしておりますので、そういう意味では、特に北海道におきまして新しい若い血が毎年毎年入ってきておる、こういう状況については御理解を賜りたいと思っております。
#34
○谷林正昭君 ぜひそういう方向性を少し国民に大きくアピールする必要もあるのではないかなというふうに思いますので、要望させていただきます。
 先ほど岸委員の方から酪農ヘルパーの問題が出ましたので、重複を避けまして、次の質問に行きたいと思います。
 ふん尿処理対策でございます。
 ふん尿処理対策についてやはり皆さんが非常に御心配をされておるのは、一つは、また新たな多額な投資をしなきゃならない、こういうことを思ったときに非常に心配だというお話を先ほどさせていただきました。そのときに、やっぱり政府としてもう少し抜本的な対策、施策を示すべきではないか、このように思いますので、これは簡単に、もし御見解があれば聞かせていただきたいと思います。
#35
○政府参考人(永村武美君) 先生おっしゃるとおりでございまして、ふん尿処理施設に余計なコストをかける、決してこれは畜産農家にとってよいことではないというのは常々私どもも申し上げておるところでございます。
 したがいまして、補助事業なりリース事業にどんどん助成額をふやすということとは別に、できるだけ低コストで簡単な施設をつくったらどうかという観点から、私ども建設省に働きかけをいたしまして、堆肥舎というのは牛舎なんかよりも人の出入りが少ないんですからもっと簡単な設計できるようにしてくれないかということで、建築基準法の面からのいろんな緩和をしておりますし、今年五月、堆肥舎の設計基準というものを大幅に緩和いたしました。そうしますと、基本構造部分で大体二、三割のコストダウンになる、こういった問題もございます。あるいはまた、堆肥舎については平米当たりこれ以上かけたらむだな投資ですよというガイドラインも示しております。
 したがいまして、今申し上げたとおり、農家が必要とする助成財源を確保しながら、片やこういったいろんな規制を緩めて低コスト化に向けて努力をしたい、かように考えております。
#36
○谷林正昭君 金をかけないで、自分で丸太を組んでトタンを張って雨水をしのぐ、こういうことでもいいのかといって実は聞かれました。私はそれはだめですと言いましたが、いいんでしょうか。
#37
○政府参考人(永村武美君) 私ども、このふん尿処理の問題の重要性にかんがみまして、ふん尿処理に関するあらゆる農家からの相談を受け付けるアドバイザーというものを専門的に育成をしてきております。ほとんどの都道府県の畜産のセクションにそういうアドバイザーがいるはずでございます。もし先生の方で個別具体的にそういった農家の方々からの御相談を受けておられるのであれば、私どももそういった窓口を御紹介をいたす用意はございます。
#38
○谷林正昭君 ありがとうございました。
 次に、この基本方針にも出ておりますが、土、草、牛、このバランスのとれた酪農経営というものをやっていかなければならない、こういうふうに述べております。そういう意味では私は、このふん尿処理とかかわって循環型農業、堆肥を利用促進をする、こういうのが大事ではないかというふうに思いますので、この促進事業について新たな展開をやるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#39
○政府参考人(永村武美君) 先生おっしゃるとおり、私ども、畜産農家から出てくるふん尿は、基本的にきっちり堆肥に還元をし、畑地あるいは水田にきちんと有機質として還元をする、これがまず原点だというふうに考えております。
 ただ、それだけではなくて、例えばもっと広範な地域を考えましたときに、畜産農家あるいは耕種農家のほかに、一般の家庭といいましょうか、そういったところから出てくる生ごみも実は地域の有機資源なのでございまして、私ども今、その地域から出てくる家庭の生ごみもあわせて堆肥化を進めるような事業、あるいは、もっと条件が許せば、ふん尿をエネルギー源としてメタン発酵させまして、場合によっては電力利用まで考えるような地域システムづくり、こういったことを含めて、地域における資源の循環システム、これをつくっていく一つの核になればということで畜産を位置づけていきたい、かように考えておるところでございます。
#40
○谷林正昭君 具体的な予算づけはどうなりますか。
#41
○政府参考人(永村武美君) 御質問でございますが、今個別のどういった事業についてどれだけの予算があって、どこにどういうふうにつけておるかというのは今手持ちにございませんけれども、少なくとも私が承知しておる限りでは、可能な限り各地域の御要望に沿った予算額の確保、今回の補正でも大変このふん尿処理に比重をのせて私ども要求をしておりますので、それなりの財源は確保しつつあるというふうに御理解をいただければと思っております。
#42
○谷林正昭君 ぜひ期待をさせていただきます。
 最後になりましたが、──済みません、最後の前でありますけれども、私はこの農水委員会に配属になりましてまず勉強させていただいて思ったのは、豊作貧乏という言葉があるということを、これはもちろん言葉としては知っておりました。しかし、需要と供給のバランスということだけは、頭の中ではわかるんですけれども、この農業や畜産・酪農、こういうものに限って言うならば、一生懸命働いて頑張って、それこそ子供を育てるように苗を育て、稲を育て、野菜を育て、牛を育て、それが結果的に、生産過剰だから捨てなさいとか、あるいは倒しなさいとか、こういうようなことになる、これは非常に問題があるというふうに私は思いました。
 大臣、ぜひこの豊作貧乏という言葉を農業の世界からなくすことが、私は、意欲ある農業というものに明るい、まさに展望ある農業につながるのではないかなというふうに思いますが、この豊作貧乏ということに関して大臣の所感をお聞きしたいと思います。
#43
○国務大臣(谷洋一君) 豊作貧乏ということは、昔の言葉のようで、現在にも通用する言葉でございます。
 残念なことでございますが、ことしの野菜等の下落にいたしましても、一年じゅう下落というよりも一時下落という問題もありますし、各地方の実情を私もつぶさに聞いてみますと、その様子は非常に変化がありますし、また、輸入量がふえたから下落したのでなくて豊作で下落したという点もあるようでございますし、千差万別と言ってもいいほどいろんな問題を加味しておるのが我々の農林水産省のそれぞれの立場であろうかと思います。
 そういうことで、きょうは畜産でございますから林業とか水産のことは申し上げませんけれども、いずれにしても、そういう要素も含まれておりますから、豊年満作ということがあるとおり、やはり非常に作物のできがよかったらみんなで喜ぶような農村であってこそ初めて農村が活気づくと思っておりますので、何とか我々も政策の面でそういう点を十分打ち出していくようなことを考えたい、こう思っております。
#44
○谷林正昭君 いろんな研究が必要だというふうに思いますので、農水省として、政府として、総合的な力を発揮していただきたいなというふうに思います。
 最後になりますが、きのうおとついの新聞に出ましたが、遺伝子組みかえトウモロコシ、スターリンク、これが日本に入ってきていたということがわかりました。
 心配されるのは、飼料としてアメリカではそれが使われている、日本ではそれが承認になっていない、したがって入ってくるはずがないというふうに思っていたわけでございますけれども、農水省としてこのスターリンクを水際でとめられていたのかどうか。ひょっとしたら入ってしまっているんではないか。アメリカ側からのトウモロコシの輸入が約千万トンぐらいあるというふうに聞いております。その千万トンの中にスターリンクが入っていたとしたら大変だというふうに思いますので、その辺の確信のある答弁をお願いいたします。
#45
○政府参考人(永村武美君) お答えを申し上げます。
 現在、私ども今年度から、肥飼料検査所という検査所がございますが、ここで港の船舶からあるいはえさ工場に入ったサイロからサンプルをとりまして、その中にスターリンクが入っておるかどうか今チェックをしておるところでございます。結果がわかり次第これは公表するつもりでございます。
 ただ、このスターリンクに関して若干申し上げますと、アメリカでは、先生御指摘のとおり食用としては認めないということで、えさとしては認めておるわけでございます。要すれば、家畜に食べさせても今のところアメリカは、私ども得ている情報では家畜に全く被害はない、こういう結果が得られております。
 ただ、私ども、万が一スターリンクが日本の輸入えさ用のトウモロコシに入っていては、また入る可能性が今後もあるとすればこれは大きな問題でありますから、先般、アメリカの国務省の次官が農水省の方に参りまして、大体国務省の次官が農水省に来るということ自体結構異例なことでございますけれども、それだけアメリカにとっては非常に神経質な問題になっておるというあかしだろうと思いますが、私どもはアメリカ側に対しまして、どうやったらスターリンクが日本向けのえさ用トウモロコシにまざらないか、まざらないことを保証できるか、それをあなた方つくってきなさいと今アメリカに球を投げております。それについて我々は協議をしながら、決して日本の輸入えさ用のトウモロコシにも入らないような手だてを担保したい、かように考えておるところでございます。
 いずれにいたしましても、この遺伝子組みかえのトウモロコシにつきましては、私ども農水省がつくっております安全チェックのためのガイドライン、これに基づいて安全性が確認されない限り、国内では流通させないという原則を堅持してまいりたいと思っております。
#46
○谷林正昭君 終わります。
#47
○渡辺孝男君 農林水産に関して、特に畜産物価格関連の問題を中心に、また国民の生活の現場からいただいた課題をも含めまして質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、雪印乳業中毒事故後の改善状況について質問させていただきたいと思います。
 雪印乳業中毒事故後に、乳業の衛生管理、危機管理、それから企業の倫理の面でどのような改善策がとられ、そしてその結果としてどのような成果が得られているのか、厚生省と農林水産省にお伺いしたいと思います。
#48
○政務次官(三浦一水君) お答えします。
 先般の雪印乳業中毒事故等によりまして牛乳・乳製品全体の信頼が損なわれ、消費者への影響が危惧されるところであり、厚生省と連携を図りまして、乳業の衛生管理及び危機管理につきましての徹底、さらに良質で安全な牛乳・乳製品の製造、供給が行われるよう指導しているところでございます。
 また、乳業の再編合理化を促進するに当たりまして、HACCP手法等に対応しました高度な衛生管理水準を備えた乳業施設の整備等、ハード面での支援を一方で実施しているところでございます。
 今後とも、このような対策を通じまして乳業施設における衛生管理体制の徹底を図りまして、牛乳・乳製品の信頼の確保を図ってまいりたいと考えております。
#49
○政府参考人(西本至君) 乳業の衛生管理の問題でございますが、私どもは、関係都道府県を通じまして全国の乳処理施設の一斉点検を既に実施いたしました。そして、衛生管理上の指導を行いました施設について、既にその改善内容の確認を終了しているところでございます。
 それから、乳及び乳製品に対するいわゆるHACCPの承認でございますが、今回の事件を通じていろいろな問題点が明らかになりました。そのために、専門的な立場からの助言を審査する、それから、私どもの職員が直接現地に調査に参る、そしてまた承認後の監視につきましても、従前よりは厳しく監視をするというようなことを取り決めたところでございます。
 さらに、営業者自身に対する食品等の日常的な衛生的な取り扱いにつきましては、まず食中毒等の事故が発生した場合の危機管理のあり方、それから企業の社会的な使命に基づく企業のモラル、こういったようなものが極めて重要であるということを認識したところでございまして、せんだって乳業の経営トップの方々にお集まりをいただきまして、一つは経営者の衛生管理に対する意識改革の必要性、二つは経営者からの末端への情報伝達の重要性、さらには情報公開の重要性というようなことについて、十月二十三日でございますが、直接指導をいたしたところでございます。
 これらの施策を通じまして乳業の衛生管理の向上を図っているところでございまして、今後とも食品衛生の向上に努めてまいりたいと考えております。
#50
○渡辺孝男君 企業倫理の面の確立でも努力しているということでございますので、この点やはり国民の信頼をかち得るような、やはりそういう企業であっていただきたいと私も思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
 二番目の質問でございますけれども、本事件後、消費者から未出荷製品を食品に再利用することに関しまして安全性に対する不安が起こったわけでございますけれども、食品への再利用に関しての新しいガイドラインづくりの検討状況について厚生省にお伺いいたします。
#51
○政府参考人(西本至君) 加工乳等の再利用の実態というものが今回の事件を通じてかなり明らかになったところでございます。そして、その是非につきまして各方面からさまざまな指摘をいただいたわけでございます。このため、学識経験者、消費者、それから流通関係者、乳業者、生産者等から構成されます有識者懇談会を設置いたしまして、加工乳等の再利用のあり方について公開の場で種々御議論をいただいているところでございます。
 現在、この懇談会、八月二十九日の第一回目から起算をいたしまして第三回目に入っておりまして、先日第三回目が終了いたしました。加工乳の再利用の基本的な考え方、あるいはまた加工乳を加工乳の原料として使用することの是非等につきまして実態調査の結果をもとに検討しているところでございます。本年中をめどにその検討結果をとりまとめたいと、このように考えております。
#52
○渡辺孝男君 この点もやはりきちんとしまして、国民の、また消費者の理解も得られるようにしていただきたいと思います。
 三番目の質問でございますけれども、本事故が生乳生産あるいは配乳、そしてまた牛乳や乳製品の消費構造に及ぼした変化と、その後の回復状況につきまして農林水産省にお伺いしたいと思います。
#53
○政府参考人(永村武美君) お答えをいたします。
 雪印乳業の食中毒事故が起こりましてから雪印乳業の工場の操業が一部ストップをしたわけでございまして、当然、毎日毎日その工場が存在する周辺地域の酪農家からは牛乳が生産をされておったわけでございます。したがって、どうしてもほかのメーカーにこの原料乳を配乳変更しなければいけない、こういう事態が生じました。
   〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
 これに対応いたしまして、個々の生産者団体と全国連、いわゆる全農とか全酪連という団体がございますが、こういった全国団体と乳業メーカーが一緒に連係プレーをやりまして、今日までこの配乳調整によって個々の酪農家に大きな被害を生じたということは全く聞いておりません。したがいまして、そういう意味では、今回、メーカーと生産者の間の連係が功を奏したということになっておろうかと思っております。
 ただ、今後、年末年始、やや牛乳の、例えば飲用乳の需要が停滞する時期になりますので、今まではスムーズにいったわけですが、今後も余乳というようなものを出さないようにさらに配乳調整をきっちりやるよう、この需給調整連絡会議、メーカー、団体の協調体制を維持していただきたいということを指導しております。
 なお、先生御指摘の、牛乳とか加工乳、乳飲料の消費構造は一体どうなったかということでございますが、食中毒が起こりまして以降、七月以降の状況を御説明いたしますと、バターとか脱脂粉乳とか、ある程度乳製品を原料として製造されております加工乳とか乳飲料の国内シェアが雪印乳業は大変大きゅうございます。ここがストップしたということもございまして、加工乳とか乳飲料の消費はかなりダウンしております。
 その反面、いわゆる牛乳、飲用乳につきましては、雪印製品の代替といいましょうか、これを供給したメーカーが自分たちの製造ラインを効率的に利用できたということもございまして、これはかなりふえておる。こういう従来のパターンとやや逆転したような現象も見られておるところでございます。
#54
○渡辺孝男君 今回のことで一番大きな打撃を受けたのは雪印関連の牛乳販売店の経営状況ではないかと思うんですが、その後回復に向かっているのかどうか、現状についてお伺いしたいと思います。
#55
○政府参考人(永村武美君) お答えをいたします。
 雪印乳業と牛乳あるいは一部の乳製品の宅配あるいは卸売をする契約を結んでおる販売店でございますけれども、事故が発生した時点で全国で三千二百四十店ございました。それが九月末には約一%、三十二店減少しておりまして、三千二百八店となっております。
 それから、これまで雪印乳業、先生おっしゃるとおり販売店の打撃が大変大きかったものでございまして、特に影響の大きかった六月から八月までの期間、ただし関西は、もともと事故の起きたところでございますから九月までさらに延長をして、例えば決済期間の延長でありますとか、事故が起こる前に売り上げておりました利益を補償する対策でありますとか、あるいは、一たん離れたお客さんがまたカムバックしてくる、復帰した場合幾らというような奨励金を出す対策でございますとか、もろもろの販売店対策をやっております。
 いずれにしても、雪印の事故前の販売量と比較して、販売店の売り上げが大体八割、あるいは地域によっては、特に北海道とか東北ではほぼ前年並みまで回復しておりますが、残念ながら関西ではまだ五割程度にとどまっておると、こういう状況でございます。
#56
○渡辺孝男君 今回の問題、第一義的には雪印乳業さんの方に問題があったということで、その対応は企業にしていただくのが第一義的とは思いますけれども、まだこのように五割、あるいは平均で八割ぐらいというような経営の低下を招いている方々もおられるので、これに対してはやはり政府としても今後とも注意深く話を聞きながら対策を練っていただきたい、そのように思います。
 次の質問に入らせていただきたいと思います。
 今回の事故を契機にしまして消費者の乳製品に対する関心が非常に高まりまして、これまで牛乳の表示がわかりにくいので改善してほしいというような声も大きくなってきたわけでございます。そういう意味で、この牛乳の表示のあり方を改善するための取り組みがどこまで進んでいるのか、谷農林水産大臣にお伺いしたいと思います。
#57
○国務大臣(谷洋一君) ただいまの牛乳の表示問題でございますが、この問題につきましては、消費者の方々、また専門家の方々等で委員会をつくりまして議論を重ねてまいりました。そして、もう今月中に結論を出そうというところまで参っております。
 今私がお伺いしておるところでは、生乳という表示をする、その問題と、一般牛乳というのはもう表示をしないというふうなことで、明確に消費者が判断できるようにすべきではなかろうかという議論が強いようでございますが、いずれにしても今月中に結論を出すということにしております。
#58
○渡辺孝男君 今月中ということでございますので、これによって消費者の方もきちんと選択できるようになりますので大変いいことかと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
 次に、学校給食のための牛乳配送に関しましてお伺いしたいと思います。
 文部省になりますけれども、学校給食への牛乳配送は、学校により毎日配送するところもあれば隔日配送のところもあるというように聞いております。この現状についてどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
#59
○政府参考人(遠藤純一郎君) 学校給食用の牛乳の配送についてでございますけれども、私ども悉皆で調査をしたわけではございませんけれども、大体の大まかな傾向といたしましては、隔日配送が大体一割かそれを切る程度で、あとは大体毎日配送というふうに理解しております。
#60
○渡辺孝男君 隔日配送より毎日配送する方が当然配送費用が大きくなることは明らかでございまして、冷蔵庫保管であれば牛乳そのものは品質低下等は起こらないと思いますし、隔日配送と毎日配送の場合を比較しますと、コストの面では当然隔日配送の方が安いわけでございまして、学校の状況が許せば、隔日配送によってコストの削減が図られ、めぐりめぐって生徒さんの牛乳のそういう負担というものも軽減されるのではないかというふうに考えるわけでございます。今後、私としましては、学校の方に冷蔵庫等々の設備も必要となるかもしれませんが、その点を考えてよく協議していただきたいなと、そのように思っております。
 次に、加工原料乳生産者補給金制度に関しまして質問させていただきたいと思います。
 まず、加工原料乳の需給状況につきまして簡潔にお伺いしたいと思います。
#61
○政府参考人(永村武美君) 加工原料乳のいわゆる限度数量ということで毎年二百四十万トン程度実は枠を設定いたしております。しかしながら、昨年あるいは一昨年、おおむね十万トン程度枠の達成がございません。未消化に終わっております。
 要すれば、加工原料乳といいますものが、生産される牛乳の中で最も価格の安いものでございますから、この加工原料乳が二百三十万トンにとどまっておること自体、農家の手取り水準にはプラスに働くというふうに御理解いただければと思います。
 いずれにしても、最近における数年間のベースで申し上げると、十万トンの未達という状況。さらに短期的に申し上げますと、先ほども若干触れましたけれども、雪印の事故を契機として、いわゆる脱脂粉乳とかバターを使った加工乳とか乳飲料の消費が落ちまして、逆に生乳を使った牛乳がふえてきている、こういうことがございますから、ますます加工原料乳は減ってきておると、こういうふうに理解していただければと思います。
#62
○渡辺孝男君 今もお話しありましたけれども、加工原料乳の方の補給金の対象限度数をここ数年続けて未達成である、そういう状況になっているということでございますけれども、この原因としましてはどういうことが、先ほども少し触れられてはおりましたが、もう一度お伺いしたいと思います。
#63
○政府参考人(永村武美君) 短期的な話は今申し上げたとおりでございますが、ある程度長期的なトレンドを見ますと、やはり生クリームの需要が大変伸びておるということとチーズの需要でございます。乳製品の中でもこの生クリームとチーズというものの需要が伸びておりますので、いわゆる脱脂粉乳とかバターに回る加工原料乳がこちらに来ておる、基本的に申し上げるとそれが一番大きな理由だと考えております。
#64
○渡辺孝男君 今回のこの価格決定に関しまして私の考えを少し述べさせていただきたいんですが、今回の雪印乳業の事故という特殊な因子が働きまして、本年度の生乳需給等にも変動が起こっているわけでありますけれども、私はこのような変化が生産コスト変動率にも影響を与えるのではないかと素朴な疑問を抱いているわけでございますけれども、この点どうなのかということをお伺いしたいんです。
 もしこれが影響を与えるとすれば、平成十三年度から始まる、変動率方式により助成単価を決める新しい加工原料乳生産者補給金制度に用いる算定ルールにもこの特殊な年度のデータが入り込んでしまいますので、少なくとも今後三年間はこのような特殊な影響を受けてしまうということでございまして、もしそういうことであれば何らかの特別な配慮が必要になるのではないか、そのように考えるわけでございますけれども、この点はいかがでしょうか、お伺いしたいと思います。
#65
○政府参考人(永村武美君) お答えを申し上げます。
 私、先ほども御説明をいたしましたけれども、雪印乳業の食中毒が原因となって、少なくとも酪農家のところに直接悪い影響が生じたという現状認識は現在持っておりません。したがいまして、本年五月に改正をされました加工原料乳の法律に基づきまして、生乳の生産費その他の生産条件、あるいは需給事情等、あるいは物価その他の経済事情、さらに加工原料乳地域の再生産を確保するという観点、また酪農経営の合理化に配慮するという観点、この法律に定められたこういった観点に立って補給金単価を算定していきたいと考えております。
#66
○渡辺孝男君 予想外のいろんな出来事というものが起こって市場価格等に影響を与える、生産者あるいはメーカーの方にも影響を与えることもございますので、一応きちんとした算定方式といいますか、助成単価の算定方式がありますけれども、これに、時々のいろんな影響といいますか、状況も加味してやれるようにしまして、生産者が経営を維持できるような、そういう配慮というものが必要なのではないかというふうに私も考えまして、今回の事件も多少なりの影響があるとすれば、やはりこの数年間は、その影響がとれて中長期的に適正なデータのもとに価格算定ができるということが必要なのではないかということで、素朴な疑問でございましたけれども、今質問させていただいたわけでございます。
 次に、畜産環境問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。
 先ほどもいろいろ委員の方々から同様の質問がございましたけれども、今回、家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律が施行されておりまして、都道府県におきましても、今後五年間の施設整備の目標等を内容とする都道府県計画を取りまとめました。その結果としまして、施設改善を行う約三万九千六百戸中の一万五百戸、全体の約四分の一に当たるわけでございますけれども、こちらが簡易対応を行う農家というふうに分類されているわけでございます。私、素朴な考え方としましては、簡易対応をとる農家さんの率が四分の一というのは多いんじゃないかというふうに考えるわけでございますけれども、この原因についてお伺いしたいと思います。
 そしてまた、もし経営的な理由でこれを農家さんが選択しているとすれば、政府の方は今、循環型社会の推進や国土の環境保全に一生懸命努力しているわけでございまして、そういう理由であれば、やはり経営支援を強化すべきではないかというふうに考えるわけでございますけれども、その現状につきましてお伺いしたいと思います。
#67
○政府参考人(永村武美君) お答え申し上げます。
 先生おっしゃるとおり、全国で野積みとか素掘りとかというふん尿の不適切な処理を何とか五年間で解消していかなければならない農家が約四万戸ということで都道府県から計画が上がってきております。その中で、先生おっしゃるとおり、簡易施設で対応したいというものが一万五百戸、約四分の一でございます。
 その原因は何かというお尋ねでございますが、一つは、自分の経営の中で長期間ふん尿を保管する必要がない経営。簡単に申し上げると、必要最小限、堆肥をつくる期間だけ保存し、堆肥をつくったらすぐまける、自分の経営の経営耕地内に。あるいは近所にまかせてもらえるといいましょうか、たくさんの農地がふんだんにあるようなケースが一つでございます。要すれば、重装備をして大量の堆肥を抱える必要がないという意味が一つございます。
 それからもう一つは、ほんの少量たまれば、たまったものをすぐ共同の堆肥センターに持っていけるような、要すれば地域ぐるみの堆肥センターがきっちり機能しているような地域にある農家。あるいはまた、既にある程度基礎的な整備がございまして、それに若干の簡易の附属的な設備をすれば、十分我々が求めておる水準の堆肥施設になるようなケース。いずれも、一万戸の簡易対応があるということ自体、安いコストでできるということも含めまして、むしろ我々は歓迎しておる数字でございます。
#68
○渡辺孝男君 そういう意味では、経営的にコストがかかり過ぎて大変だから簡易対応を行うというよりは、そういう畜産家の方々の状況が、別な意味でこちらを選んだ方が適切である、そういう方々の方が多いのでこういう四分の一になったという今のお答えかと思うんですけれども、そうであれば多少とも安心もするわけでありますけれども、経営的な面で残念ながらこういう形をとらざるを得ないという方が多いのであれば、これはやはりきちんと政府として支援を強化していく必要があるのではないかというふうに思っております。
 やはり地域住民も、環境問題等々できちんと処理していただきたい、そういう環境に配慮した畜産経営をしていただきたいと。消費者の方もそういうことに対しましては大分理解がふえてきておりますので、そういう意味で、地域ぐるみで畜産関係の、あるいは酪農関係の方々の経営を理解をしていただきながら、そしてまた喜ばれるような産業となって、後継者もどんどんふえてくるというふうになっていただくことを願っておるわけでございます。
 これで質問を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
#69
○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。よろしくお願いします。
 日本の酪農の現状というのは、今ずっと質問の中で出されてきたわけですけれども、私は極めて厳しいと指摘せざるを得ないと思うんです。それは、やはり酪農家の離農が後を絶ちません。国民の食料の安全確保という点でも不安を持たざるを得ないからです。
 私は、数字をちょっと提示しまして現状を具体的に見ていきたいと思うんですけれども、この間、酪農家戸数は減少を続けて三万四千戸になっています。ちょうど十年前のおよそ半分になっています。飼養頭数も七年連続減少しています。ずっと二百万頭以上を維持していましたけれども、昨年、百七十万頭台に落ち込んでいます。生乳の生産量も三年連続でマイナスになって、ここ七年間では五年間がマイナスという事態になっています。飲用乳の消費量も五年連続の減少。これはことしは、牛乳については雪印の問題がありましたけれども、国民一人当たりの一日の消費量はわずか百t余りになってしまいました。
 一方で、ふえ続けているものがあります。これは、先ほども指摘がありましたが、酪農家の負債額です。全国平均が千四百二十三万円、そして北海道では三千万円を超えています。もう一つふえているのが乳製品の輸入です。昨年度は生乳換算すると三百六十八万トンを超えました。これも十年前の一・五倍になっています。国内の生乳の生産が八百五十一万トンですから、その四三%相当が輸入をしているという現状です。
 やはり私は、日本の酪農は大丈夫なんだろうか、酪農家は本当に崩壊の危機に直面していると、先日来、北海道から酪農家の皆さんが多く陳情に来られていますが、その思いを私は強くいたしました。この現状をどう受けとめているのか、まず大臣にお伺いしたいと思います。
#70
○国務大臣(谷洋一君) 今御指摘いただきましたが、酪農の本場は北海道と言われますが、北海道の現状を見ますと、過疎町村が百五十もありますけれども、酪農をやっておられた方がおやめになって札幌周辺に過密的に行かれるという傾向がございます。内地の場合でございましたら、山村から引き揚げて都会に出る、あるいは町の中心部に出るとした場合には農地はほとんど売らずに出るという傾向ですが、北海道の場合は、酪農で面積を持っておられた方はほとんど売って出られる。だから次の後継者ができる。ですから、いわゆる多頭飼育に踏み切られた方もたくさんいらっしゃるということですから、今数字を並べておっしゃいましたけれども、これは全国的な平均であって、北海道のように専業酪農家が多いところはなかなかしっかりと頑張っていらっしゃる人も多いわけであります。
 統計というのは見方でございまして、表現によっては非常に厳しいということでございますが、私は、後継者という立場からいったら酪農あたりは、農林水産省全体の立場からいえば、これはもう御の字のところじゃなかろうかと思っております。そういうことですから、これで安心することではなくて、むしろ酪農家の皆さん方の非常に意欲的な取り組みをしていらっしゃる人を手本にして、酪農家の方々がしっかりやっていただく、それに続いてほかの第一次産業も興していくという考え方が非常に大事じゃなかろうかと思っております。
#71
○大沢辰美君 私は随分ひどい指摘だなと言わざるを得ません。
 北海道庁の農政部の調査でも明らかになっています。酪農家の離農の原因は、経営不振、将来不安という内容が六割前後を占めているんです。ですから、確かにいろんな要素はありますけれども、大半がこういう状態の中で酪農経営を離れざるを得ないという状況に今の酪農政策が追い込んでいると、私はそう指摘せざるを得ません。ですから、これは一例ですけれども、破綻している一つのあらわれではないかと思うんです。
 政府の酪農政策の破綻を示している一つの例として、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針というのが出されていますね。生乳生産の目標一つ見ましても、九六年につくられた第三次方針、これが二〇〇五年、千十万トンと書いていますけれども、この四月の方針では、今度は二〇一〇年度の目標は九百九十三万トンと、こういう形で下方修正されていますね。
 こういう一例を見ても、私は、この基本方針で酪農家の皆さんが展望が持てるのかどうか、その心配がありますが、それはいかがですか。
#72
○政府参考人(永村武美君) 酪農についての私どもいわゆる酪肉基本方針を持っております。先生御指摘のとおりであります。
 これが今回、新たな基本法のもとで私どもつくりました生産努力目標におきまして、前回つくりました平成十七年度の目標より確かに、わずかに一・七%でございますけれども下回っておると。これ自体は先生おっしゃるとおり事実でございます。ただ、私ども、今回この計画を立てるに当たりまして、当然前回もそうでございますけれども、いろんな面からの検討をいたしております。
 例えば、いわば頭数規模別に戸数がどのように変化をしていくかとか、あるいは乳牛一頭当たりの乳量の改良自体がどのように進んでいくであろうかとか、あるいはまたえさがどういうふうな形で給与されていくべきであろうかとか、あるいはまたふん尿処理の問題、これがどういうふうな形でコストに上乗せされたりあるいは地域として解決されたりしていくか、あるいは新たな施設、機械を導入して労働力がどういうふうに軽減をして多頭化が図られるかとか、もろもろの要因を踏まえた上で、トータルとして平成二十二年にどの程度の生乳が生産されるかということをはじいたものが今回の生産努力目標の九百九十三万トンでございます。
 いずれにしても、前回の目標より下がっておることは事実でございますけれども、現状を踏まえて新たに法律をつくったということもございますし、乳量はさらに増加をするということもございます、もろもろ勘案した上で新たな目標を定めたということで御理解を賜りたいと思います。
#73
○大沢辰美君 では、酪農を続けられるために、先ほども出ておりました再生産可能な乳価の問題についてお聞きしたいと思います。
 今まで、ことしまでですけれども、政府は決定をしておりました。それは、加工原料乳の基準取引価格を決めていたわけですが、来年度からは生産者と乳業メーカーの相対取引にすると。いわゆる市場原理にゆだねることになってしまいました。そのための新たな補給金単価がきょう諮問されたわけですけれども、内容は現行の乳業メーカーへの販売価格である基準取引価格をそのまま適用されました。しかし、市場原理にゆだねるということは、今までの米や大豆のように、価格の下落は明らかに予想されます。
 今後、乳価の下落はしないという担保はありますか。
#74
○政府参考人(永村武美君) まず、私ども、国内の牛乳生産についての大変大きな特徴といたしまして、非常にがっちりした枠組みの需給調整、計画生産が昭和五十年代からなされておる。要すれば、全国の生産者の団体が一丸となりましてこの計画生産に取り組む体制を構築しておる。これはまず第一点、大変大きな要素であろうかと思っております。
 それからもう一点、新たな制度に移行するに際しまして、今先生おっしゃいました基準取引価格を一つの発動の基準価格に今回置くことにいたしましたが、それを下回って加工原料乳が取引されることになった場合は、生産者と国とで積みました基金をもとに、その差額の八割を埋める補てん金の制度を新たに経営安定対策として講じたいと、これが第二点でございます。
 それから、制度自体変わるという御指摘でございますけれども、従来の不足払い額にほぼ相当する補給金の単価、十三年度は十円三十銭ということになっておりますけれども、この生産者の補給金は今後も継続して交付をされるということ。
 さらに申し上げれば、乳製品に関する国境措置、これも堅持をしてまいる。
 こういった四点を主な柱として、今後の我が国の酪農はきっちりと存続をしていくだろうというふうに考えておるところであります。
#75
○大沢辰美君 差額が出た場合は、八割は補てんするから大丈夫だと。きょうも報道されていましたが、補てんされない二割については来年度の関連対策で倍返しすると、そういう提案がされているわけですけれども、私は、この差額の八割の補償財源、これは生産者も四分の一拠出するわけですから、補てんと言えるものではないと思うんですね。
 御存じのように、今までの、今もやられているわけですが、稲作の経営安定対策、その大規模農家に与えた影響というのはもう御存じだと思うんですね。この稲経が大変な制度であって、農家に大変打撃を与えていると。私は、この乳価の問題も、今そのように対策を講じるんだと言うけれども、こういう事態になるのではないかということを危惧しているわけです。
 だから、今日の不足払い、ことしまでの不足払い制度がいかに大事であったかということを指摘し、この延長も求めていきたいと思いますが、米だとか大豆だとかこういう乳価、主要な農産物を市場原理にゆだねてはいけない。政府の責任ある酪農政策で再生産可能な酪農が続けられる体制をつくるということを指摘して、次の質問に入らせていただきたいと思います。
 次の質問については、牛乳の飲用促進の問題についてですが、脱脂粉乳問題についてお聞きしたいと思います。
 私の地元の兵庫県、これは大臣もそうですが、淡路島は酪農の盛んなところです。酪農の健全な発展とともに、飲用乳ですけれども、児童だとか幼児の体力の向上に牛乳の促進にも力を入れています。全国的にこの点はどうなのか、特に保育所給食での牛乳と脱脂粉乳の使用の状況について厚生省にまずお聞きしたいと思います。
#76
○政府参考人(堺宣道君) 保育所関係でございますが、まず、乳幼児の食事というのは、生涯の健康に関係しまして、順調な発育、発達に欠くことができない重要なものだと認識してございます。
 全国の保育所における生乳の使用実態については把握しておりませんが、脱脂粉乳に関してでございますが、飲用だけではなくて、例えばドーナツやらケーキをつくるとかおやつ関係をつくるとか、あるいは調理に使うというような調理材料用も含めまして、平成十二年度の使用見込み量は児童福祉施設全体で一千七百三十一トンとなっております。
 脱脂粉乳は、児童の体の発達あるいは健康にとって重要なたんぱく質あるいはカルシウムというものが多く、脂肪分が少ないということ、それから、価格が安いというだけではないという、先ほども申し上げたような利点がございます。このような中で、個々の保育所が自主的に判断した上で生乳または脱脂粉乳を利用しているというふうに承知しております。なお、脱脂粉乳の使用量あるいは使用施設数というのは近年漸減傾向でございます。
 今後とも、適正な栄養素量の提供の観点から、一人一人の子供の状態に応じた適切な給食が保育所において実施されるように配慮していきたいというふうに考えております。
#77
○大沢辰美君 給食、おやつに使われているわけですけれども、栄養面で比較したらという点も出されましたが、やはり私は価格だと思うんですね、安いわけですからね。脱脂粉乳で外国から入ってきている、ニュージーランドから入ってきている。毎年注文があるようですけれども、やはり価格の安い方に注文が行っているという現状があります。
 その一例として、兵庫県、大臣のところですけれども、五百七十七保育所がございますが、そのうちの半分が脱脂粉乳、これは人数が小規模保育所だとか大きな保育所もありますけれども、脱脂粉乳で賄われています。
 私は、子供たちが輸入の脱脂粉乳を飲んでいることには非常に胸が痛みます。子供たちのためにも、また酪農の発展のためにも、ぜひ牛乳で給食を実施するように厚生省も努力をしていただきたいと思うんですけれども、農水省はやはり酪農の振興、発展という立場から支援、助成すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#78
○政府参考人(永村武美君) お答えいたします。
 私ども従来から、学校給食を実施いたしまして国内の牛乳、国産の乳製品の消費拡大に資するという観点から、現在におきましても、牛乳の供給経費の低減のための予算、あるいは消費量の拡大、あるいは、学校によっては大変供給条件が不利な地域にある学校もございますので、そういったところには、輸送費等のかかり増し経費の負担軽減等々、学校給食が少しでも継続できるような対策を講じておりまして、今後とも、これらの対策を通じまして、牛乳を中心とした国産の牛乳・乳製品の消費拡大を図ってまいりたいと考えております。
#79
○大沢辰美君 もちろん学校、児童にもその対応は求めたいと思うんですが、今私が述べました保育所に対しても、厚生省と連携をして援助をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 次に、先ほどからふん尿処理についての質問が多々ありましたので、大体数字的には、五年間で法律に基づいて共同利用とリース事業とその他についてやることができるという数字の提示はございました。でも私たちには、現場で、財政的な問題、そして場所の選定などで非常に困難だという訴えも寄せられています。
 ことしに入って、私の兵庫県の地元で、四百五十平米、六十頭を飼っている酪農家が千五百万円で建設をした。補助は、リース事業ですから七百五十万いただきました。そして、個人はこれから十三年間返済することになった。だから、補助に対する評価はもちろんしています。だけれども返済の困難さを訴えているわけですけれども、今ずっと答弁を聞いておりますと、建設省の設計基準の指導だとかさまざまな対応をされていることは私も知っているわけですが、こういう補助事業であって、そして国が二分の一をして、自治体がまた四分の一をしているところもあれば、全くしていないところ、さまざまあるんですね。
 私は、今、自治省に対して働きかけたということをおっしゃいましたけれども、このことは、助成をした場合は交付金を出していくということを早急にやっていただく、そうしたら自治体も相当進めることができるんじゃないかと思います。個人も進めることが可能になってきます。ですから、数字のテンポは大体書くことはできますけれども、やはり財政的な裏づけがあって初めてこの事業が推進すると思いますので、予算の充実とその交付金のあり方を、早急に実施の踏み切りを要請し、実現をしていただきたいと思います。
#80
○政府参考人(永村武美君) お答えいたします。
 先ほど来御説明をいたしておりますけれども、もろもろの補助事業、リース事業に合わせまして、先生今御指摘のように県によって自治体の上乗せが相当ばらつきがございます。したがって、高いレベルで自治体が上乗せをしているところについては、例えば特別交付税というような形できっちりその裏づけができるように今までも自治省にしっかりこれをお願いをしているところでございまして、さらにできるだけ早目にそういったことを講ずることができるよう働きかけをしてまいりたいと、かように考えております。
#81
○大沢辰美君 これは、早い時期にというより、もう来年度実施できるようにぜひ頑張っていただきたいということを要請しておきたいと思います。
 最後に、私は一昨日の質問で時間切れとなって再質問ができなかったんですけれども、先ほども質問がございましたけれども、雪印の問題で、特に販売店の営業回復が大変だということを指摘しました。しかし、農水省の答弁は非常に冷たいものでした。企業の問題だという指摘をされたように思います。
 先ほど大臣は、就任をした直後からこの問題に取り組んできた、農水省は対策本部もつくって最初からかかわってきた、だから終末まできちんとしなさいということを企業に申し上げたという答弁をされたと思うんです。ところが、どうでしょうか。この雪印の担当をして販売している販売店、特に西日本、関西になるわけですけれども、今私たちの調査でもその営業の回復率は五〇%しかなっていない。もうつぶれるところが何軒か見えるということをその会長さんが言われておりました。
 ですから私は、この雪印問題というのは、酪農家から販売者、消費者、これが被害者なんですから、農水省はやはり最後までここに重点を置きながら対策を講じる。まして、販売店の九月までの営業補償をやったけれども、十月からはいわゆる奨励金に変えたということを言われていますけれども、やはり販売店の回復率の見通しがつくまで補償していくという対策を講じなければ、この人たちはもう営業ができないということを言っていらっしゃるわけですから、もう一度調査をしていただいてその指導をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#82
○国務大臣(谷洋一君) 私が就任いたしましてから大臣室で社長とお会いしたのは四回だと思います。その都度、会社の責任として、つまり雪印のこの事件は会社自身が起こしたことでございますから、だから会社自身の責任だと。特に農林水産省の立場からいえば、酪農家の皆さん方が迷惑をこうむることは本当に論外のことで困ったことだと、だからこの問題にはしっかり責任を持ってやれということを申しましたし、それから販売店も、今後の販売店というものが、この雪印のみならずほかの会社でも、いわゆる労働力のかかるものでございますから、どういう方向になるか我々はわかりません。しかし、今の現実の問題として、今御指摘の問題についてはやっぱり補償をしっかりやって、そして皆さんがさすが雪印と言われるほど適切にやってもらいたいということは言ってございます。
 しかし問題は、雪印という会社が、大きい小さいは別として私企業の問題でございますから、我々はそういうことを強く言っておりますけれども、やはりその会社の内部においてやられることであって、国自身の補助金を出す問題じゃないと考えておりますので、会社自身に今後とも言うことはやぶさかではございませんし、もちろん適切には言おうと思っておりますけれども、しかし国が補助をするものじゃないということは、我々は考えております。
#83
○大沢辰美君 私は、国が補助しなさいということは一言も申し上げておりません。
 やはり、先ほどから言っておりますように企業の責任です。だけれども、被害をこうむったのは酪農家であり、販売者であり、消費者です。だから、特に今私は、販売店の皆さんが営業の見通しがつくまで企業に対してちゃんと対応しなさいという指導をしてくださいということを言っているわけですから、もう一度その点を指摘して、質問を終わります。
#84
○国務大臣(谷洋一君) その点は一致しておりまして、あくまでも雪印という我が国では一番大きな会社であったことには間違いございません。その会社が犯した罪と言った方がはっきりするんですが、罪のところはやっぱり自分の会社で責任を持つべきであるということは、これは一致しておったわけですね。
 ですから、その後の問題については会社に対して厳しく我々は言ってきましたので、今後とも様子を見て言いたいと思っております。
#85
○谷本巍君 初めに、家畜ふん尿処理問題について伺いたいと存じます。
 永村審議官、今度上京されました北海道の皆さんに伺いますというと、畜産環境整備管理基準をクリアしているのが一割強だというんですね。五年間で大体全部行きますかと聞いたら、どこもほとんどの皆さんがノーであります。一番大きな問題は、累積負債を抱えている中でふん尿処理費を出しようがないという話がまず出てまいります。二つ目の問題として出てまいりますのが、事業単価の問題が出てまいります。そこで今、農民団体が出しているのが二つの要求であります。
 一つは、共同設置の助成事業であります。全額国、公負担とし、事業費単価の見直しで低コスト化を図っていく、これが一つであります。もう一つが、個人設置助成へのリース事業でありますが、思い切った予算の拡充をしてほしいということでありますが、いかがでしょうか。
#86
○政府参考人(永村武美君) お答えをいたします。
 負債を抱えている農家がふん尿処理施設に新たな投資をするということは大変難しい、こういう御指摘が一つございました。これにつきましては私ども、酪農あるいは肉用牛、いわゆる大家畜の経営におきまして、例えば農協等からかなり高い金利で借入金をしておった場合、その金利あるいは元本の返済にかなり困ってきたというような農家に対して、いわゆる大家畜の負債の整理資金、養豚についても同様でございますが、そういった整理資金を用意しております。そういった低利長期の借りかえ資金によって、例えばふん尿処理の施設もしなければいけないというような農家が出た場合、これは当然、この資金の借りかえを行う場合は営農計画、改善計画を立てさせるわけでございまして、その改善計画の中できっちり投資ができる水準のふん尿処理施設をつくるようにと、当然計画の中に織り込んでいかなければならない問題かと思っております。
 ただ、いずれにしても、私ども今回ふん尿処理の法律をあえてつくりましたのは、実は畜産農家の野積み、素掘りによりましてふん尿の汚水が一部河川に流れ込んでしまう。そうしますと、クリプトスポリジウムという一種の原虫でございますけれども、これが上水、飲料水に入りますと大変な下痢を起こすということで、一つ大きな問題になっておると。また、地下に浸透いたしますと、硝酸性の窒素というものが大量に含まれるということで、チアノーゼ、貧血みたいなことが幼児に起こると。
 もろもろの問題がございまして、このまま野積み、素掘りを放置する限り……
#87
○谷本巍君 質問に答えてください、時間がないんですから。
#88
○政府参考人(永村武美君) いずれにしても、そういうことでございまして、あえて私ども、酪農経営も含めて経営の存続にとってはふん尿処理施設は不可欠であるということで対応しているものでございまして、個人リースについても昨年、百五十億から二百十億に財源を確保したところでございます。
#89
○谷本巍君 私が伺っているのは、共同設置の助成事業と個人設置助成のリース事業、この二つのことを聞いているんですよ。それに答えてください。
 話が全然違いますよ。
#90
○政府参考人(永村武美君) わかりました。お答え申し上げます。
 国の補助は、先ほど先生、全額負担というようなことをおっしゃっておりましたけれども、昭和五十八年の臨調答申、これを踏まえまして従来から国の補助率というのは二分の一が基本というふうにされておるわけでございます。さらにこれに対して、地元自治体である都道府県、いわゆる市町村が畜産環境対策の観点から上乗せをいたしまして農家負担の軽減を図っておる、これは先ほど申し上げたところでございます。いずれにしても、これ以上の国費の上乗せ、これは極めて困難だと私ども考えております。
 さらに、事業費の単価についてでございますけれども、施設の低コスト化による畜産農家の負担軽減を図るという観点から、農家が適正なコストで施設整備ができるよう、施設整備の方法の必要な情報の提供、あるいは、導入するときはメーカーの見積もり合わせをやりなさいとか、こういったことを都道府県、メーカーに対して指導しておりますし、先ほど来申し上げておりますような堆肥舎の設計基準の緩和あるいはガイドラインの設定等々講じておるところでございます。
 ダブりますが、リース事業の枠は、十一年度百五十億から十二年度二百十億というふうに拡大をいたしております。なお、十三年度の扱いにつきましては、畜産物の価格トータルとあわせて決定をする予定になっております。
 以上でございます。
#91
○谷本巍君 どうも現場との距離があり過ぎる答弁ですよ。
 ふん尿問題がなぜ深刻なのか。北海道の上京団の皆さんに聞きますと、ふん尿処理問題で恐らく三割の酪農家がアウトになるだろう、廃業に追い込まれるだろうと、こういう話が出てきました。私、一瞬耳を疑いました。話を聞いてみますとそうなんですよ。
 一つは、北海道農民連盟がちゃんと調査をやった。そうしますというと、それに出てくるのは、約三割、廃業に追い込まれる状況が出てくる。それとともに、具体的に申し上げますというと、農協に金を借りに行っても貸してもらえないというんです、負債がありますから。今までは農協はどんどん使ってくれ使ってくれと貸してきたでしょう。今は回収ですよ。だから、新たな借金については非常に冷たいですよ、農協は。そういう状況がある。そうすると、その先どうなるんだと聞けば、五年たったらペナルティーが来るわい、そのときがやっぱりやめどきということになっちゃうのかなといったような声も出てきました。
 それに、もう一つ言っておきますよ。生活や経営実態の問題について簡単に申し上げますと、今の乳価では生活費が出ないという声が多いんです。じゃ、何であんたたち食っているんだといったら、償却費で食っているというんです。償却費で食っているということは、先は設備の更新が不可能だということです。タコの共食いの状況ですよ。
 そういうふうな状況が出始めてきておりますから、専門家の間では、北海道の乳量の維持は難しい時代に入り始めたという声すら出始めてきております。
 先の先を読んでみますと、非常に深刻な状態がそこにあるんです。今の審議官のお答えは、ふん尿処理の農家負担については軽減するのは困難だと、この一言ですよ。それにまた、補助つきリース事業については予算措置の拡充ということをこっちは言っているんだが、十一年と十二年の予算の話が出たきりですよ。そして、これから先どうするという話が出てこないんですよ。おかしいじゃありませんか。
#92
○国務大臣(谷洋一君) 今、ふん尿処理の問題でいろいろとお話を聞かせていただきました。私は、当初予算でこのふん尿問題を予算化すること、また補正予算でさらに加えること等々をやってまいりまして、ことしの補正予算、目前に提出されようとしておりますけれども、私どもはこれにも大幅な期待を持って考えております。そういうことで、ほかの予算から比べますと抜群の予算は計上しておるわけでございますが、いずれにしても、北海道の場合は野積みできょうまでこられたということ。それは直接川に流れる、あるいは地下をくぐって相当遠方にまで流れていくというふうなことを私もお聞きしております。
 そういう意味におきまして、正直な言い方をしますと、先ほどの審議官の五割が限度だという言い方もあります。しかし、またこれは都道府県に対しまして、そういう処理をして都道府県が支出した場合には交付税で見てほしいということを自治省の方にも強く言っております。
 しかし、この交付税算定というのは、自治省の方も、お願いする方も、また都道府県にしても、この三者がお互いに理解して、そして十分得心をしなかったら、交付税に算入したよ、そんなことをしたって、交付税は何でもかんでもいっぱい詰め込んでおるからその内容はわからぬ、こういう言い方をされる市町村長もございますし、都道府県もございます。
 そういうことはお互いの信頼関係でいかなきゃいけないと私は思っておりますので、先ほど審議官が他の先生の御質問に対して答えましたけれども、やはり交付税措置をお願いして、それを十分のみ込んでいただいて、そして都道府県にしても市町村にしてもそういうことを緊急的にやる、それはいつまでもだらだらとやることでなくて、急速にやってもらわなきゃいかぬということを理解していただきたいと思っております。
#93
○谷本巍君 あともう一つ、リース事業ですね、これの予算の拡充はどうなんでしょうか。
 過去の話は聞きましたよ。私はこれから先のことを聞いておるんですよ。
#94
○政府参考人(永村武美君) 先ほども申し上げましたとおり、畜産物の価格あるいは限度数量と一体的に決めたいと思っておりますが、今の段階で、昨年百五十から二百十というふうに大幅な拡充をいたしましたけれども、極力、十二年度の二百十という額を下回らないように努力をしてまいりたいと思っております。
#95
○谷本巍君 次に、負債対策の問題について伺います。
 平成五年度にスタートしました畜特資金は、二度の改正を経て平成十二年で終了することになっております。この後をどうするのかということについてお尋ねしたいわけです。
 農民団体が今、一つは、無利子への一括借りかえ資金制度がつくれないかどうかという問題とともに、二つ目には、民事再生法に準じた農業再建法をつくることについて検討していただけないかという要求を出しております。これらの点を含めてどんなお考えでしょうか、簡潔にお答えいただきたい。
#96
○政府参考人(永村武美君) 先生御指摘のとおり、畜産特別資金、大家畜経営活性化資金と養豚経営活性化資金は平成十二年度が終期でございます。十三年度以降のこれらの特別資金につきましては、これも現在畜産物価格決定の最中でございますが、この過程でどういった見直し、改善も含めた見直しができるか、目下検討をしておるところでございます。
 二番目の御指摘でございます、民事再生法に準じたいわゆる農業再建法というようなものの制定についてでございますけれども、民事再生法というものが、農家も現在その対象になっているということ、それから現在私どもが実施をしております畜産特別資金がございますので、この法律自体、農家も対象となっているということから、我が省として農家向けの特別立法をする必要性は乏しいのではないかという理解をいたしております。
 また、畜特資金によりまして現在でも償還条件がかなり緩和をされますし、民事再生手続による経営再建の選択というのは、むしろ農家の方からは少ないのではないかと私ども考えておるところでございます。
#97
○谷本巍君 ポスト畜特資金の問題、目下検討中という話ですが、どんな検討をされておるか、その一端だけでも教えていただけませんか。
#98
○政府参考人(永村武美君) 申し上げます。
 私ども、かねてからこの畜産特別資金に対する生産者の方々の要望をたくさんいただいておりますが、その中でかねてからございますのは、保証基盤をもう少し強くしてくれないか、こういうことでございます。私ども、それらの生産者の方々の要望を受けて、できることであれば、現在よりもその保証基盤の部分で拡充をできたらなということでございます。
#99
○谷本巍君 次に、三浦政務次官に伺います。補給金算定に関連してのことであります。
 酪農家の不安は、新制度で一番不安なのが補給金単価が年々下がっていくのではないのかということであります。そういう中から出てくる声は、労働費の見方についてこれまで、酪農については男女格差が製造業のように大きくはない、そこを改善してほしいという声が出ておりましたが、最近は、周年拘束で長時間労働という実態を労働費の算定で参酌してもらえないかという声が強くなってきております。
 それからもう一つの問題は、新しい基本法の言う自給率引き上げを可能とする視点、これを盛り込んでもらうことはできないか。例えば自給率向上係数といったようなものも考えられるのではないかといったような問題提起等々が出ております。
 こうした問題提起について、ひとつどのように検討していただけるか、考え方をお聞かせいただきたい。
#100
○政務次官(三浦一水君) 先生御指摘の視点に立ちまして、従来より加工原料乳の保証価格におきましては、酪農労働の周年拘束性に配慮して、生産費調査における三業種、製造業、建設業、運輸通信業、これの規模規定を、五人から二十九人の男女の区別のない平均労賃単価、これを製造業五人以上の規模の男女の区別のない平均労賃単価に置きかえて算定を行ってきたところでございます。
 平成十四年度以降の具体的な単価の算定につきましては、他作目における算定方式も踏まえながら今後検討していくこととしております。一方で、その際、労働評価についても従来の評価を基本としながら慎重に検討を進めていきたいと考えております。
 また、御指摘いただきました自給率引き上げの視点の織り込みについてでございますが、生産者補給金は、加工原料乳地域の生乳の再生産を確保することを旨として定めることとされております。その視点から、生乳の再生産を通じて自給率の向上が図られるものと考えているところでございます。
 また、自給率の具体的な向上を図るためには、第一点、生産コストの低減を図っていきたい。中身はもう割愛をしたいと思います。それから、酪農ヘルパー等の支援組織のさらなる活用により、労働の軽減を図りたい。三点目には、先ほど来御議論いただいております家畜排せつ物の適正な管理と有効利用を考えていきたいということで考えております。
#101
○谷本巍君 最後の方で政務次官がおっしゃった、規模拡大の支障となっている長時間労働の解消、これをやるんだということで今三つの点をお挙げになりました。私はそこまでお尋ねをしていなかったのでありますから、話が出たから申し上げておきたいと思うんですが、まず第一点の技術の向上、これはよくわかります。それから、三番目の家畜排せつ物の処理問題、これは先ほど申し上げたように非常に問題点が多い。それだけにやっぱり、そういう問題点を踏まえた解消努力が必要だということを申し上げておきたい。
 それから、二番目の酪農ヘルパーの活用、これは非常に大事なことです。ところが残念なことに、きのう私もそれを北海道の皆さんに申し上げたんですが、直ちに反論が出てきました。牛乳生産の労働所得は一時間当たり千三百円だ、ヘルパーの場合は一時間当たり三千円弱であります、この格差を何とかしないと、これはやっぱりどうにもなりませんという問題が提起されてまいりました。また同時に、ヘルパーを使えなくても、病気になったときぐらい使いたいものだ、そのために何かひとつ新しく基金制度でも考えてくれませんかという発言もありました。でありますので、そういう点も含めてひとつ御検討いただきたいということをお願いして、私の発言を終わります。
#102
○委員長(太田豊秋君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。
 郡司君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。郡司彰君。
#103
○郡司彰君 私は、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による畜産物価格等に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    畜産物価格等に関する決議(案)
  政府は、食料・農業・農村基本計画等で設定された目標の実現に向けて、我が国の畜産・酪農の健全で持続的な発展、畜産物及び牛乳・乳製品の国内生産の拡大と自給率の向上及び安定的な供給の確保を図るため、平成十三年度畜産物価格等の決定に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
 一 加工原料乳生産者補給金の単価は、現行補給金を基本に適正に決定すること。また、次年度以降の単価の算定に当たっては、酪農の生産実態に即し、かつ、生産者の努力が報われるよう十分配慮した方式とすること。
   さらに、加工原料乳限度数量については、牛乳・乳製品の自給率向上を旨とし、生乳の生産事情、牛乳・乳製品の需給動向を踏まえて適正に決定すること。
 二 加工原料乳生産者経営安定対策における補てん基準価格、補てん率及び拠出金水準については、生産者の所得の変動を緩和しつつ、生産者の過重な負担とならないよう適切に決定するとともに、適宜必要な見直し・改善を図ること。
 三 新制度下における生乳の需給と価格の安定を確保するため、用途別計画生産の推進、指定生乳生産者団体の広域化及びその機能の強化を支援するとともに、公正かつ適正な取引価格の決定に資するよう、生産者と乳業者間の透明性の高い取引を推進するための条件整備を図ること。
   また、乳製品需給を改善するため、総合的なバターの過剰在庫解消策を緊急に講ずるとともに、ハイファット・クリームチーズの関税分類の見直しについて国際的な同意が得られるよう引き続き努めること。
 四 牛肉・豚肉の安定価格及び肉用子牛の保証基準価格等については、再生産の確保を図ることを旨として、生産の実態に十分配慮し、畜産農家の経営の安定に資するよう適正に決定すること。
   また、肉用牛肥育農家及び養豚農家が意欲と展望を持って生産に取り組めるよう経営安定対策を確立すること。
 五 飼料自給率の向上等を計画的に図るため、自給飼料基盤の強化等各般の施策を講ずるとともに、国産稲わらの自給体制の構築、その円滑な流通及び利用促進のための対策を充実・強化すること。
   また、配合飼料価格安定制度についてその適切な運用を図るとともに、組換え体利用飼料について監視体制の整備を図ること。
 六 地域と経営の実態に応じた家畜排せつ物処理施設の計画的整備が進められるよう一層農家の負担軽減を図るとともに、たい肥センターの機能強化、耕種農業との連携強化によるたい肥利用の促進や生ごみ等地域資源との一体的な処理を図るなど有機性資源の循環的利用を推進すること。
 七 ゆとりある畜産業の実現とその安定的発展に資するため、経営継承対策、負債対策等畜産経営に対する支援措置を講ずるとともに、ヘルパー及びコントラクターの積極的活用等を推進すること。
 八 畜産物の生産・加工・流通過程における衛生・品質管理対策を強力に推進するとともに、食肉処理施設及び乳業施設については、地域の実態等を勘案しつつその再編整備を促進すること。
 九 学校給食への活用等国産畜産物の消費拡大対策を強化するとともに、生クリームやナチュラルチーズ等を含め国内畜産物の生産振興を図るほか、消費者の適切な商品選択に資する観点から表示の適正化を推進すること。
 十 WTO農業交渉における我が国の提案においては、食料安全保障や農業の多面的機能の重要性等について積極的な主張を行い、適切な国境措置と国内支持政策の確保に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#104
○委員長(太田豊秋君) ただいま郡司君から提出されました決議案を議題とし、採決を行います。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#105
○委員長(太田豊秋君) 全会一致と認めます。よって、郡司君提出の決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、谷農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。谷農林水産大臣。
#106
○国務大臣(谷洋一君) 本日は、三時間にわたりまして畜産等の価格の決定の問題についていろいろと皆さん方の御意見をいただき、ありがとうございました。
 また、決議をいただきましたが、詳細にわたりましていろいろと皆さん方の意をまとめたものをいただきました。これを検討いたしまして、我々も善処していきたいと思っております。
 ありがとうございました。
#107
○委員長(太田豊秋君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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