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2000/11/27 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 農林水産委員会 第7号
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2000/11/27 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 農林水産委員会 第7号

#1
第150回国会 農林水産委員会 第7号
平成十二年十一月二十七日(月曜日)
   正午開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 豊秋君
    理 事
                金田 勝年君
                岸  宏一君
                郡司  彰君
                須藤美也子君
                谷本  巍君
    委 員
                岩永 浩美君
                佐藤 昭郎君
                鶴保 庸介君
                中川 義雄君
                三浦 一水君
                森下 博之君
                若林 正俊君
                小川 勝也君
                高橋 千秋君
                谷林 正昭君
                羽田雄一郎君
                渡辺 孝男君
                大沢 辰美君
                石井 一二君
   国務大臣
       農林水産大臣   谷  洋一君
   政務次官
       農林水産政務次
       官        三浦 一水君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田 榮司君
   政府参考人
       農林水産省経済
       局長       石原  葵君
       農林水産省構造
       改善局長     渡辺 好明君
       農林水産省農産
       園芸局長     木下 寛之君
       農林水産省食品
       流通局長     西藤 久三君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農地法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農地法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に農林水産省経済局長石原葵君、同構造改善局長渡辺好明君、同じく農産園芸局長木下寛之君及び食品流通局長西藤久三君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(太田豊秋君) 農地法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○若林正俊君 農地法の一部を改正する法律案につきまして質疑を行います。若林正俊です。
 申すまでもなく、農地法は、戦後の農地改革の成果を維持し、そこで創設されました自作農が再び借地農に転落をするようなことがないように、旧地主制に戻ることがないようにという趣旨で制定されたものであります。その後、昭和三十六年の農業基本法の制定に伴い三十七年に改正が行われて以来、農政が壁にぶつかり、転換期になるたびに農地法改正が論じられてまいりました。そして、規模拡大など、農業構造の改善が進まないのは農地法のせいだと、いわば農地法悪者論みたいなものがいつも議論されるわけでございます。しかし、私は、そのことは間違っているとまず申し上げておきたいと思います。
 農地法は、農地法制の中の中核をなす基本の法制ですけれども、これはあくまで統制法でありますから、農地の権利移動を初めとする農地の権利関係の調整についての規制をいたしております。この規制をそのときの農業情勢に応じながら見直して緩和するということをいたしますけれども、積極的に農地の流動化を促進し、農地の規模拡大を図るということは農地法自身に求められるものではありません。
 これは関連の諸法制、例えば昭和五十五年の農用地利用増進法でありますとか基盤整備でありますとか、各種の推進法制が相伴い、またこれを促進するための金融、税制等の措置が行われて、これらが推進する役割を担っているものだと思うのでございます。申すまでもなく、この農地法制というのは、農地法を中心といたしまして農業振興地域の整備に関する法律、農業経営基盤強化促進法、土地改良法などの農地法制によって組み立てられているものでございます。
 私は農林省に在職中に、農地法の大きな改正でございました四十五年改正と五十五年改正に農地法担当者としてかかわってまいりました。そういう意味で、幾つかの点について明らかにしていただきたいと思うのであります。
 まず第一は、経済界などからいつも農地法について種々批判が行われております。今回も新しい農業基本法の制定に関しまして経済界から提言がなされました。経済団体連合会など財界は、農地法の役割は既に終わったということを述べまして、農地法そのものを抜本的に見直して、優良農地の保全とその有効利用という農業経営の視点を柱に据えた法律とすべきであるというふうに提案をしております。私は、これは農地法に対する無理解だと言うべきだと思っております。
 その理由は先ほど申し上げたとおりでございまして、農地の有効な利用を促進するという観点で規模拡大に結びつけていく流動化の施策といったようなものは、農地法を取り巻く他の諸法制あるいは施策によって行われていくものだと、このように思っておりますが、これにつきまして一言まず見解を伺っておきたいと思います。
#6
○国務大臣(谷洋一君) ただいま御質問を聞きながら、私、思い出したことがございます。それは、衆議院におきまして天野光晴という先生がおられまして、大臣をしておられました。質問がございましたときに、質問に答えて、質問というのは知らない者が知った者に聞くのが質問である、だけれども、君は知っておっておれの知らないものを質問するとは何事だと、こうおっしゃったそうであります。これは失言ではなく、議事録に残っておるそうでございます。
 今のお話を聞きながら、専門のことをやっておられた議員が我々に質問されるのはおかしいかもしれませんけれども、私は全く同じように思っております。それ以外言うことはございません。そのとおりでございます。
#7
○若林正俊君 質問を封じられたような感じがして困りました。大臣以外、政務次官あるいは担当の局長さんたちから今後いろいろと御意見を伺いたいと思います。
 そこで、有力な財界人が今なおこのような考え方を持ってこれを公言するということは、現場の農業経営者はもとよりでありますが、農業委員会とかJAなど農業関係者が、例えば株式会社がこのたび農地の取得ができるようになりますが、その農業参入などに必要以上に反発をし、農業への関連産業や資本の参加が円滑に進まないということにつながっていくと私は思います。
 そこで、農林水産省として、また政府として、経団連に代表される財界に対して正しい農地法制、正しい農地法の理解を求め、そしてまた農業の構造改善に対して積極的な協力を求めていくべきだと、私はそう思いますが、その姿勢についてどうですか、政務次官。
#8
○政務次官(三浦一水君) 農地法は、転用規制によりまして優良農地を確保するとともに、農地の権利取得時に農地を適正かつ効率的に耕作するか等をチェックして、投機的な農地の取得等を防止する上で大きな役割を果たしてきていると考えております。
 土地利用型農業における経営拡大の状況としましては、昭和三十五年と平成十一年の一戸当たりの平均経営耕地面積を比較しますと、北海道では四・六倍と規模が伸展しているものの、都府県におきましては一・六倍と規模拡大のテンポは緩やかなものとなっております。これは、その理由としまして、兼業農家の経営維持を可能とする農業技術の普及、また農地の受け手の不足、さらに農地利用の条件の未整備等の要因が複合的に関係しているためと考えられます。
 農地制度につきましてはこれまでも規模拡大を促進するために必要な見直しを行ってきているところでございますが、農地法の規制があるために経営規模の拡大が進んでいないとは考えておりません。むしろ、制度面での対応と相まって、担い手の利用集積を促進するための施策、運動を着実に推進していくことが重要と考えております。
#9
○若林正俊君 昭和四十五年の改正までは、いわゆる自作農主義と言われます考え方が基本になりまして、借地による規模拡大が大変やりにくい状況であったのは事実でございます。そこで、農業構造政策を進めるに当たって農地法の改正を行い、四十五年改正で小作料の統制の廃止とか賃貸借規制を緩和し、一定の限度において不在村者の小作所有を容認するとか、あるいは定期賃貸借につきましては期限満了とともに賃貸借関係が切れるとか、いろいろな手当てを講じたところでございます。これらによって、今政務次官が言われたように、農地法自身が規模拡大を阻害するといったようなことでなくなったように思います。
 しかし、なかなか借地による規模拡大が進みませんでした。当時は、そういうことを進めていく、なじみをつけるという意味で、土地所有者に対して賃貸借奨励金、三年の定期賃貸借を講じた場合には一万円とか、あるいは六年以上であれば二万円とか、そういった賃貸借を奨励するための奨励措置なども講じたところであります。しかしながら、なかなか借地による規模拡大が進まなかった。その事情については今政務次官が御説明されたとおりだと私も考えておりますが、そういう進まない状況を受けまして、一つは、四十五年改正で農地保有合理化法人による事業の実施というのを導入いたしました。
 農地保有合理化法人による事業の進展というのはその後どんな状況になっているのか、簡単で結構ですが御説明いただいて、今後、農地保有合理化法人をどう位置づけていくのか、評価するのかというのをまず伺いたいと思います。
#10
○政府参考人(渡辺好明君) 四十五年の制度改正から御質問がございましたけれども、事業発足当初の昭和四十六年で、この農地保有合理化事業の実績は買い入れ面積約九百ヘクタール、介入率といいますか、関与した率でいいますと一・三%でございました。平成十年には買い入れ面積が一万ヘクタールまで上昇しておりまして、合理化法人が関与をした割合は約三二%になっております。
 また実績を見ますと、取り扱う農地の一件当たりの面積が合理化法人経由のものは非常に大きい、規模拡大面積一ヘクタールという状況にございますし、大規模層への集積率が高いということで、構造改革の面で大きな役割を果たしているというのが私どもの評価でございます。
 これから先の推進方策でありますけれども、私ども農業構造の展望をこの春に出しましたが、その中で約六割程度の農地を効率的かつ安定的な経営体に集積をするということになっておりますので、そういう面でいえば、流動化率に大きく関与をする、それから一件当たりの規模も大きい、そして、担い手に集積をするというこの合理化事業の役割は今後も重要であり、私どもは大いに推進をしていきたいと思っております。
#11
○若林正俊君 この農地保有合理化法人が関与をします農地の移動は主として所有権の有償移動にどうしても傾斜しているように思います、やむを得ないところでありますが。なかなか思うようにいかないことから、昭和五十五年の改正で農用地利用増進法を制定いたしました。賃貸借その他の使用収益の権利の設定を容易にしようとする趣旨のもので、現在これは経営基盤強化法に引き継がれておりますが、この農用地利用増進法は主として借地、賃貸借による規模拡大をねらったものですけれども、これの最近の状況はどうですか、またどのように評価していますか。
#12
○政府参考人(渡辺好明君) 今、御指摘がございました利用権設定等促進事業ということでございますが、結論から申し上げて、平成十年の農地の権利移動面積における借地のシェアは七四%、四分の三が借地で行われているというのが現状でございます。実面積では十二万ヘクタールの中で九割が基盤強化促進法による移動面積、そのうち七四%がこの借地のシェアということでございますので、五十年当時の一〇%そこそこから相当大きく前進をしておりまして、今後もこうした方向が農地の流動化と集積の主流になるというふうに私どもは考えております。
 先ほど、御指摘にもありましたけれども、貸しやすく返しやすい、それから、借りた方がむしろ農地をいい状態にしてもとの地主に戻すというふうなことを積み重ねていきますと、やはりこの事業に乗って大いに農地が動くのではないかと期待しているところでございます。
#13
○若林正俊君 そこで、先ほど局長が説明をしておられましたけれども、新しい食料・農業・農村基本法の制定に伴いまして将来の農業構造の姿を描いております。
 今お話がありましたように、平成二十二年の目標年度で家族経営は三十三万から三十七万戸、経営体、法人生産組織は三万ないし四万経営体を見込んでおりまして、これらの経営によって全農用地面積の、これは四百七十万ヘクタールですが、その六割に当たります二百八十二万ヘクタールの農地の利用がこれらの経営に集積されるという目標を立てています。そのためには、七十八万ヘクタール、年間七万ヘクタール強の農地がこれらの経営に利用されるように集積されていかなければならないわけであります。
 しかし、これはよほどの政策努力、お話しいただきました現行農地保有合理化事業なり農用地利用増進事業なりよほどの強化拡充がなければ私は達成は難しいんじゃないか。特に昭和一けた台、私たちですが、昭和一けた台が次々にリタイアの時代に入っていきます。これらの中には後継者のいない経営体が多いわけでありますが、こういうリタイアをしていく一けた台の利用をしていた、耕作をしていた農用地をどのような形で今目標としていますすぐれた経営体に持っていくのかということをしっかりとやらなければ私は目標の達成は難しいと、このように思いますので、より一層の積極的な移動、流動化促進施策、そして方向づけをするような施策を求めておきたいと思います。
 そこで、農業生産法人の問題に移りたいと思います。
 これは、説明にもございましたが、昭和三十七年、農業基本法の制定に伴って創設された制度でございます。その後、昭和四十五年改正、五十五年改正、そして平成五年改正と、その要件を緩和してきましたが、私に言わせると期待したほどの法人化は進んでいないというふうに思います。進んでいないのは、行政当局が法人化を推進するという観点に余り熱心でなかったからじゃないかと、こんなように思うのでございます。
 今回の生産法人の要件緩和は、新しい基本法二十二条ですけれども、「家族農業経営の活性化を図るとともに、農業経営の法人化を推進するために必要な施策を講ずる」というふうに明記されたのを受けまして、事業要件、構成員要件、業務執行役員要件などを緩和して、農業生産法人の一形態として株式会社にも参入を認めようとするものでございます。
 そこで、お伺いしますけれども、現在、農業生産法人の数は五千五百八十七法人と聞いておりますけれども、これらの農業生産に占める割合はどの程度になっておりますか。
#14
○政府参考人(渡辺好明君) 販売農家の数でいいますと、新しいデータで二百三十四万戸、それから、いわゆる主業農家が五十万戸ぐらいの水準であります。したがって、その中で生産法人も含めて農業法人が約一万、その一万の中に先生のおっしゃられた約五千六百というものが入っているわけでございます。したがって、シェアとしては確かに非常に小さいわけであります。
 その経営実態を考えますと、農業生産法人五千五百八十七のうち、その経営面積は一法人当たりで二十七ヘクタール、所有地は十四、借地が十三という感じでございますけれども、これは都府県のベースでいいますとかなり大きな農業が行われているということで、生産性の高い農業を行う上で非常に大きな貢献をするのではないかというふうに考えている次第であります。
#15
○若林正俊君 今お話がありました経営体によります生産額の中で、シェアはどのくらいになっていますか。
#16
○政府参考人(渡辺好明君) ちょっと手元にデータを持ち合わせておりません。
#17
○若林正俊君 じゃ、結構です。
 基本計画、目標年度平成二十二年度には、この農業生産法人の経営の全体の中に占めるシェアといいますか、位置づけというのはどの程度と展望しておりますか。
#18
○政府参考人(渡辺好明君) 構造展望では、三十五万ないし四十万というのが言ってみると個別経営を中心とした数字でございますが、それに加えて法人とそれから生産組織、これで三万ないし四万と、この両者を合わせて日本の農業生産の相当部分を占める、こういう展望を出しているところでございます。
#19
○若林正俊君 今、相当部分を占めるというお話がありましたけれども、おおよそどの程度の部分を占めると考えていますか。
#20
○政府参考人(渡辺好明君) ちょっとこれも手元に数字がないんですが、たしか私の記憶では六、七割だと思います。
#21
○若林正俊君 欧米諸国でも同様なんですけれども、農業の特質から農業の経営は家族経営が中心でございます。私は今後とも家族経営が日本農業の中心にあるというふうに考えているわけですけれども、その家族経営が中心であるということと法人化の問題とは相対立する概念ではないと考えています。一戸一法人を含めまして、法人形態による農業経営というのはもっと積極的に推進すべきだというふうに考えております。農業生産法人を中心とした法人化を推進するという観点で、今回の各種要件の緩和というものを私は高く評価をいたしております。
 そこで、農業生産法人の問題に入る前に、かねて農林水産省では家族経営の合理化、近代化のために家族協定を推進する、そのことによって家族経営の基盤をしっかりするとともに、将来の経営の継承についても資することにしたいということで、旧基本法時代からかなり熱心に推進してきたと思うんですけれども、この実績は、状況はどうなっていますか。
#22
○政府参考人(木下寛之君) 平成七年から家族経営協定を推進しているところでございますけれども、平成十一年八月の締結状況ですけれども、全国で一万二千三十戸ということでございまして、前年に比べまして二割程度増加をしている状況でございます。
 協定された内容でございますけれども、個々の農業経営の方針をどうするかという決定の中身、それから労働報酬あるいは労働時間、休日、それから各構成員の農業面での役割分担等々が取り決め内容でございます。
#23
○若林正俊君 そこで、個人経営であります家族経営と、それを法人化した場合の、一戸一法人にした場合とのいわば優劣といいますか、メリット、デメリット、そんなものを比較してみて政策的にどう考えていますか。
#24
○政府参考人(渡辺好明君) もちろん、家族経営の場合でもそこでいわば家計と経営を分離するというところから始まりまして、簿記をつける、それからこれは任意でありますけれども、社会保険等に入るといったようなところまでは可能であります。
 ただ、そこから一歩進みまして法人化をいたしますと、やはり保険は場合によれば強制適用にもなります。それから、簿記記帳によって経営管理能力は複式簿記のもとで向上いたします。それから法人ということで、例えて言いますとスーパーL資金、農地等取得資金もそうなりますけれども、融資額の限度額が相当ダイナミックに上げられているということがございます。最も特徴的なことは、やはり法人化をすることによって経営が途切れることなく、一家の主ににわかのことがございましても経営として継続する。したがって、農業の持続的発展という点では非常にすぐれている。それ以外に、税制面での損金の問題等もございますけれども、法人としてのメリットはかなり大きいものがございます。
#25
○若林正俊君 今お話がありましたけれども、私なりに整理してみますと、農業経営の法人化というのは、まず第一に、経営計画、経営管理などの経営力を高めることに有効だというふうに思います。
 二番目は、経営の多角化といった技術。経営に対応した多様な人材を確保、活用しやすいんじゃないかと思います。
 三番目は、加工、流通、さらには冬場の造園事業とか通年の民宿事業、こういった農業生産部門外との連携、結合が図りやすくなる。
 四番目は、高齢化が進行していきます。また、後継者不足、相続問題といったようなことを考えますと、農業経営と農地を一体として継承していくということに有効ではないかと思います。
 また五番目は、今、局長おっしゃられましたけれども、雇用保険とか労災保険の適用などにつきましてきちっとした定めがありますから、新規就農者を確保しやすいというメリットがあるように思います。
 そして六番目は、新規就農者、農業をやりたいという希望者が非常にふえてきておる昨今の状況を考えますと、こういう農業を志す人が直ちに経営を開始することは困難でありますし、個別経営のところに入って勉強するということもその間の身分保障その他が不十分であることもありますから、農業を志す若者について体験的な研修の場としても大変有効なのではないか。新しい担い手対策としてこれは有効のように思います。
 そしてさらに、農作業の状況を考えますと、農村におきます雇用の受け皿としても今後生産法人に期待するところが大きいんじゃないか、私はそんなふうに考えております。
 昨年ですけれども、全国の農業法人を会員としまして社団法人日本農業法人協会が設立をされました。大変心強いことだと思います。全国農業会議所の中に事務所を置きまして、既に活発な活動を開始しております。この協会で、現在、農業法人が直面している、当面している経営問題、どんなことに悩み、どんなことが問題があるのか、こういったようなことを既に取りまとめて提言も行われております。
 農林水産省として、農業法人が当面している問題をどのようにとらえて、これに対して金融、税制、新規就労者の育成支援等、どんな対策を講じようとしているのかお聞きしたいと思います。
 特に、このすぐれた農業生産法人の人たちが新しく農業をやりたい人たちを受け入れております。そこでいわば賃金をもらいながら、各種の保障措置をもらいながら体験的学習を通じて農業に対する意欲を持ってきています。これらの人は、いずれ、三年なり五年しますと自立していきたいわけです。離れていく。そうすると、その間の研修教育の費用というものを生産法人は回収できない、投資を回収できないと言ったら変な言い方ですけれども、熱心に育て上げて、その人たちが新たに農業を始めるということになっていきます。巣立っていくわけであります。
 そういう意味で、全国農業会議所もかかわっておりますけれども、社団法人日本農業法人協会を通じて、すぐれた農業生産法人について、研修に対して国はもっと助成措置を講じて、これがニューエントリー、新しい農業を育てることに非常に有効に作用していくと私は思うんです。だから、組織的な新規就農希望の人たちに対する教育的、研修的機能としてこの農業法人協会などを活用して研修費用を助成するといったようなことも考えたらどうかと思うんですけれども、いかがでございますか。
#26
○政府参考人(渡辺好明君) 幾つかの指摘がございました。もちろん税制上の優遇措置等は個別経営に比べれば法人としてかなりのものがございます。それから、農地の取得資金等につきましても、法人でありますと、現在でいえば農地等取得資金の最高限度額がたしか一億八千万円、そういうこともございます。
 そして、最後に御指摘がございました法人への新規就農、トレーニングを兼ねて新規就農をし、技術を習得した後巣立っていくというふうなケースへの助成の問題であります。もちろん、いわばのれん分け、分社化、独立ということでありますので、後押しは当該法人もしなきゃいけませんし、それから国としてもそのバックアップという点につきましては御指摘のとおりであります。
 今、実は学生の就農体験ということで、言ってみると、インターンシップという形で法人にトレーニングに入っていくというふうなケースにつきましては助成事業がございますし、情報交換につきましての農業法人等のリストアップ、あるいは就業体験や経営内の研修、オン・ザ・ジョブ・トレーニングといいますか、そういうものに対しましては会議所と法人協会の連携によって実施をする。これに対して国は支援をするという形になっております。
 先生の御議論の中でございました、二年目になります法人協会から具体的に新規就農者育成支援対策の整備ということで、農業法人への就職が一つのステップとして評価されつつある現状を踏まえて、農業法人への就職を経て独立し、新規就農する者に対する支援措置が必要であるということをこの協会も言っておりますので、このビジョンを踏まえまして、何が具体的に支援策として可能か、今後前向きに検討したいと考えております。
#27
○若林正俊君 新しい意欲のある農業者を育て、ふやしていくという意味で農業法人が果たしている役割に着目をして、ぜひ一層の助成策も検討していただきたい、このように思います。
 農業生産法人が直面している問題の中に、どうしても借入地で拡大をしているということが多いからだと思いますし、相当量の関連事業投資をしようとしますと、担保不足といいますか、信用保証の問題、農業の投資資金を農林公庫なりあるいは農協から借り入れをする際に、せっかく法人をつくっても担保力がないということが言われております。こういう人たち、こういう意味で、私は新たな信用補完制度というようなものをしっかりと拡充していくべきだと、こう思っておりますけれども、時間がありませんので具体的なことはまた今後論議をしていきたいと思います。
 さてそこで、株式会社の農業参入を今回認めるということを含めまして農業生産法人の要件を大幅に緩和いたしました。今までこれにちゅうちょがありましたのは、何といっても農地の投機的な取得あるいは資産保有目的での取得が障害になっていたわけであります。
 今回、思い切ってこの要件を緩和いたしました。この緩和がそのような問題を生じないかどうか、今後、同僚議員の中からいろいろ質疑、意見があると思いますのでそれに譲ることとしますけれども、歯どめといいますか、これが果たしてきちっと目的どおりに動くかどうか、これを担保するのは、農業委員会がその役割と責任を果たしているわけでございます。
 もう時間がありませんので、私の方で調べて感じたところを申し上げますと、農業委員会の委員は全国で六万人強でございます。一農業委員会で一八・六人、そして農業委員一人当たり兼業農家も含めまして何戸の農家とかかわっているか単純に平均してみますと、一農業委員で五十七戸、農地面積で六十八ヘクタール、これが一農業委員がかかわっている平均の規模でございます。しかし、これからだんだん町村合併が進んでまいったりいたしますと、多分その持ち分、範囲というのは広がっていくと思います。
 私が問題にしたいのは、農業委員の皆さん方の行動に対して低い手当といいますか、実費弁償で大変御苦労いただいているということでございます。一農業委員の平均の手当は、これも平成九年度決算の委員手当総額を委員数で割っただけでありますけれども、二十八万三千円ということになります、年間であります。このうち、国庫補助金なり国庫交付金は六万五千円にすぎない。もちろん、いろいろ行動費に対する活動実費弁償というのは別途行われているわけでございますけれども、農業委員会が農地法制の中で占める役割というのは大変大きな役割でございます。私はそういう意味で、助成のあり方も含めて農業委員会組織、農業委員会に対しましてどういうふうな方針で臨んでいくのかということを注目しております。
 基本法の三十八条で触れておりますが、それを受けた基本計画では、「農業委員会系統組織が、優良農地の確保及びその有効利用、担い手の育成及び確保等の役割を効率的かつ十分に果たすことができるよう、組織体制の適正化や組織の効率的な再編整備に必要な施策を推進する。」、こういうふうに書かれております。農業委員会の組織整備について一体どういう考え方で臨もうとしておられるのか、そのことをお伺いしておきたいと思います。
#28
○政府参考人(石原葵君) お答え申し上げます。
 ただいま委員の方から農業委員会の問題につきましてるる御説明がございました。
 御指摘のとおり、農業委員の手当は必ずしも十分なものではないと思っております。そのような低い手当のもとで農業委員の皆様方に頑張っていただいているということでございます。
 そして、農業委員会の今後の問題でございますが、この二月に、農業委員会等制度研究会というので検討してまいりまして、その研究会の方から報告書を出しております。この農業委員会系統組織は構造政策の推進に重点的に取り組むべきだという方向が出されているところでございまして、農林水産省といたしましては、この報告書を受けまして、現在、全国農業会議所等農業委員会系統組織と一体となりまして、組織・体制の見直しに関する改革プログラムをつくろう、これもできるだけ早くつくろうということで今検討を進めているところでございます。その中で、農業委員会の機能強化の方策につきましても方向を打ち出してまいりたいと考えているところでございます。
#29
○若林正俊君 時間が参りましたのでもう質問は打ち切りまして、私の要望、考え方を二、三申し上げて終わりたいと思います。
 定額金納制との関係でありますが、この廃止は結構なことだと思います。問題は、実際の小作料の水準の問題で、標準小作料制度というのを設けております。かつて実勢小作料と標準小作料との間には大変大きな乖離がありました。標準小作料の持つ指導的な役割、意味合いというものが問われていたわけでありますが、昨今、非常に実勢小作料の水準が低下してきておりまして、ほぼ標準小作料水準と見合ってきておりますが、聞くところによれば、どうも標準小作料が小作料の低下の下支えになってしまっていると。農業委員会は標準小作料について常時見直しをしながら、耕作者側の負担が大きな負担にならないように、標準小作料制度が実勢小作料の下支えになっている、下げどまりになるんだというようなことが言われないように、この標準小作料制度の設定についてはもっと積極的な地域の農業委員会の指導を求めるものでございます。
 そして、最後に、かつて自作地による規模拡大を図るために土地利用型農業、水田耕作でありますが、意欲的な農家がかなり農地を買いました。そのときの農地取得資金の金利は三・五%であります。そして、かなり大規模化を図ったわけですが、その後生産調整の強化だとか米価の低落だとかいうようなことで、こういう優良な土地利用型の水田経営農家が経営に大変苦しんでおります。苦境に立っていると思います。こういう農家に対しまして、高金利時代の金融を借りかえる意味で、土地取得に伴って過大な負債を負っており高い金利で償還に苦しんでいる、こういう農業者に対して積極的な経営再建の資金制度で対応すべきだと私は思うんです。
 来年度そのような資金の要求をしておることは承知しておりますが、私はこれは不十分だと、今の要求では完全にこれに対応できないんじゃないかという心配をしておりますので、その点について今後さらに検討をしてもらいたい、こういう要望を申し上げまして質問を終わりたいと思います。
 終わります。
#30
○岩永浩美君 自由民主党の岩永浩美でございます。
 今、同僚議員の若林委員の方からそれぞれ御指摘がございました。特に若林委員は、先ほど谷農林水産大臣からもお話がありましたが、農林省構造改善局の農政課長として農地法の改正に以前は携わった方であり、専門的なお話もお聞きいたしました。
 既に三十年の歳月が過ぎ、農業のありようが随分変わってきた昨今、今まで党の中でいろいろこの農地法の一部改正について議論をしてまいりましたし、自民党並びに与党の中で提案をされておる農地法を審議していく過程の中で、それぞれの委員各位からいろいろ御指摘もありました。ただ、農家の皆さん方と役所の考え方の中に今後乖離がないように、そのことを数点において今からただしてみたいと思っております。
 まず、農地法改正の前に、昨今、米並びに野菜が大変急落をいたしております。目を覆うほどの野菜の下落について、農家の皆さん方は大変悲観をしています。これは何が原因なのか。ただ天候に恵まれて豊作だということで済まされるのか。それだけではなくて、日本の技術が東南アジアあるいは韓国、中国、そういう営農の指導あるいは技術指導によって向こうで生産されたものが大変安い価格で日本に輸入されている、そのことが日本の農家を直撃していると言っても言い過ぎではない現状があるのではないだろうか、そんな思いを私は正直にいたしております。
 ことしの三月に制定された食料・農業・農村基本法においては、効率的かつ安定的な農業経営を育成するということがその一つの基本になっています。それが今のような形で推移していくならば、何か日本における施設園芸、耕種農家の皆さん方が農業の将来に対する不安を抱いてくるのではないかという心配がしてなりません。
 私は、まず初めに、野菜のこの急激な下落について農林省はどういう見解を今お持ちなのか、そのことをお伺いしたいと思います。
#31
○政府参考人(西藤久三君) 先生から今ございましたように、野菜の価格は平成十二年に入りまして、二月下旬から三月にかけて一時的に価格は回復いたしましたが、その後総じて価格は平年を下回る水準で推移をいたしております。
 一方、御指摘がありました輸入動向につきましては、これは年々の変動はございましたが、平成十年産の価格が高かった状況の中でその後輸入が増嵩しております。為替が円高に振れてきているのもその背景にあろうかと思います。本年に入りましても、特に北海道のタマネギの不作等もあり、総じて輸入が前年を上回るという状況で推移しております。
 輸入の動向、それと国内産も非常に天候に恵まれて総じて安定供給されている、そういう状況の中で、先ほども申しましたように価格は総じて平年を下回る水準で推移している状況にございます。
#32
○岩永浩美君 ただいま局長から御指摘があったように、今輸入が増大をし、かつまた価格は平年に比べて低水準にあるという御指摘、今からもっともっと輸入量がふえてくるとしたら、日本の野菜農家の皆さん方は価格が高騰する期待というのは抱けなくなるのではないかという思いがいたしますが、そのことについての政策の誘導は今後どういうふうに進めていこうとされているのか、それを伺います。
#33
○政府参考人(西藤久三君) 価格及び輸入の状況については先ほど御説明させていただいた状況ですが、国内の野菜の供給の全体の状況が、国内産と輸入の割合、自給率でございますけれども、それがどういう状況にあるかということで見ますと、平成十年の数字で国内産の割合が自給率という点で八四%という水準にございます。輸入の状況、先ほど申しましたように十年、十一年と増加傾向で推移してきておりますが、直近の状況を見ますと、やや鈍化するという状況もございます。
 そういう中で、今後とも、輸入の形態が変化してきていることは私どもも承知をいたしておりますけれども、その動向は注視する必要がございますが、国内価格の動向等の状況も踏まえれば従来のような、価格が高騰した十年産のときのような、十年は生鮮野菜で前年を約三割上回る輸入が生じているんですけれども、そのような事態にはないのではないかというふうに思っております。
#34
○岩永浩美君 八四%の自給率をもって事が進んでいけば、農畜産物の価格の下落を急激に招くということはあり得ないと思うんです。
 実際問題として今野菜価格がこれだけ低迷し、そしてまた、生産した野菜を廃棄しなければいけないような現実が新聞やテレビ等々で報道されるたびに、農家の皆さん方の生産意欲が減退していることはもう御承知だと私は思う。今、それぞれの地方自治体並びにJA等々から野菜のセーフガードの発動をぜひお願いしたいという強い要請や意見が出ていることはもう承知しておられると思う。野菜のセーフガードの発動について、それではどういうふうにお考えになっていますか。
#35
○政府参考人(西藤久三君) 先生、今御指摘ございましたように、県からの地方自治法に基づく意見書を私ども十一県からいただいております。それと、先ほど来御説明いたしました最近の野菜の輸入をめぐる現状把握に努めてきたところでございますけれども、その結果を踏まえまして、先週でございますが、十一月二十四日、ネギ、トマト、ピーマン、タマネギの四品目について政府としてのセーフガードの発動に向けた調査を開始するよう、農林水産大臣から大蔵省、通産省に対して要請を行った状況にございます。
#36
○岩永浩美君 今、十一県の地方自治体から意見書が出ているということですが、それぞれの地方議会の中で十二月はもっと多くの自治体、恐らく全国各地からそのセーフガードの発動要請が強く来ると私は思いますよ。
 皆さん方は、十一県の都道府県しか来ていないからまだそういう認識は軽く考えていていいという考え方をお持ちなんですか。もっともっと深刻な状況にあって、既に生産されたタマネギ等々については廃棄されている現状を認識しておられるわけでしょう。だから、意見書がその分だけ出てくればセーフガードの発動について緊急かつ速やかに対応するという考えなのか、そうじゃなければまだしばらくは待つということですか。
#37
○政府参考人(西藤久三君) 私、県の数を申し上げたのは、その多寡で何かということで申し上げたつもりはございませんで、委員から要請があっただろうということで御指摘を受けたものですから、手元にその数字がございましたので申し上げました。
 私ども、最近の野菜の輸入をめぐる状況の現状把握にずっと努めてきたわけでございますけれども、そういう状況を踏まえて、先ほども申しましたように、四品目について政府としてのセーフガードの発動に向けた調査を開始するよう関係省庁等に要請を行っているという状況でございます。
#38
○岩永浩美君 四品目は、生産量が多いということで四品目ですね。まだそれ以外の農産物も全体としてやっぱり価格はすごく低いんですよ。それは四品目だけをセーフガードの発動の準備ということですか。そのほかのことについては、野菜全体ということは言いませんけれども、主要作物四品目で限定をするんですか。
#39
○政府参考人(西藤久三君) 私ども、輸入の状況等について各品目ごとに最近の状況を精査させていただいております。そういう中で、輸入の絶対値が多いだけじゃなくてシェアと申しますか、市場占有率等の状況も見ながら、先ほど申しました四品目を選定させていただいた状況にございます。
 野菜輸入の動向等常に私ども注視しながら、今後も輸入動向の的確な把握、あるいは産地動向の的確な把握に努めていく必要があるというふうに思っております。
#40
○岩永浩美君 それは国別に作物はどういう状況で輸入されていますか、四品目。
#41
○政府参考人(西藤久三君) ネギにつきましては、本年の九月まで二万七千トン輸入されておりますが、そのうちの二万六千トンが中国からの輸入になっております。
 タマネギにつきましては、九月まで十七万二千トンの輸入が行われておりますが、アメリカから八万四千トン、ニュージーランドから五万三千トン、中国から二万三千トンという状況にございます。
 また、トマトにつきましては九千トンの輸入実績になっておりますが、韓国から八千トン、アメリカその他で千トン強という状況になっております。
 ピーマンは手元に今申し上げたようなきちっとした数字はございませんが、韓国とオランダからの輸入が大宗を占めていたのではないかというふうに記憶をいたしております。
#42
○岩永浩美君 もし仮に野菜のセーフガードの発動をするとすれば国別に発動しますか。総量でやって、例えば複数の国から来ているピーマンとかそういうものについては、複数の国に対してその品目を全部セーフガードの発動ということになりますか。
#43
○政府参考人(西藤久三君) 野菜一般ということではなくて今申し上げた品目について、セーフガード措置自体は関税の引き上げまたは数量の制限。それで、どういう状況というのは、今後さらにその発動の要件の状況を含めてあれすることになりますが、品目に対する発動ということに相なるかと思います。
#44
○岩永浩美君 発動するまでのプロセスはどういう形を踏みますか。
#45
○政府参考人(西藤久三君) 今回、私ども検討いたしておりますのは一般セーフガードの発動でございまして、一般セーフガードを発動するに当たりましては、WTO協定において、外国における価格の低落その他予想されなかった事情の変化による輸入の増加があったこと、輸入の増加により国内産業に重大な損害またはそのおそれが生じていることが客観的な証拠に基づいて立証されることが必要であるということになっております。
 そういう中で、私ども、具体的な客観的な証拠の指標ということで、輸入の増加に係る評価項目として、輸入の増加率、輸入の増加量、増加した輸入産品の国内市場占有率、あるいは国内産業の損害に係る評価項目といたしまして、販売、生産、生産性、操業度、損益、雇用についての水準の変化を評価することが求められておりまして、現在そういう数字の整理を私ども了しておりまして、関係省庁と協議、検討いたしているという状況にございます。
#46
○岩永浩美君 そういう基本的なことについては私どもわかっています。
 ただ、そのセーフガードを発動するに当たって、大体どこをスタートにしてセーフガードの発動になるんですかということをお聞きしているんです。
#47
○政府参考人(石原葵君) ただいま食品流通局長からお答えしたとおりでございますけれども、現段階は、農林水産大臣から大蔵大臣及び通商産業大臣に対しまして調査開始についての要請を行ったという状況でございます。
 今後、この三省間でいろいろデータ等につきましてきめ細かく審査いたしまして、調査開始が決定されますと、その後、正式にこの三省合同で調査する、政府による調査を行うということになります。
 この調査期間は原則一年以内ということでございますので、原則一年以内に調査を終えまして、この中で予想されなかった事情の変化による輸入の増加がある、また国内産業への重大な損害の発生がある、また国民経済上緊急の必要性があるということになりますと、WTOへの通報等の所要の手続を経ましてセーフガード措置の発動ということになります。
#48
○国務大臣(谷洋一君) ただいまの御質問に対しまして、非常に重大なことでございますので、セーフガードの発動について私の考え方、農林省としての考え方を申し上げたいと存じます。
 先ほど両局長からお話がございました。そのとおりでございますけれども、私が七月に就任させていただきまして以来きょうまでの間に、衆議院、参議院の農林水産委員会で御質問があり、また党におきましてもいろいろと厳しい議論があったことをよく聞かされております。
 その段階におきまして、皆さん方から、地方における現状、すなわち米の下落であるとか野菜の下落であるとか、そういう現実の問題についての御質問がございました。その都度、政府といたしましては十分検討して調査いたしますという言葉に終始しておったわけでございますが、農林省といたしましても、情報収集の機関はあるわけでございますが、実際問題として、現実の問題として考えてみますと、それは十分やっていなかったと私は思うんです。
 それはどういう意味かといいますと、皆さんからいろいろと御質問があると、その都度都道府県に問い合わせて十分その情報を聞くということでございました。私は、これはことしの状況だけを判断して言うようで悪いんですが、やはり常日ごろから、年に四回とか何回かを決めまして絶えず情報をキャッチしておくことが必要であると。それによって、皆さん方からの御質問があったときに、この状況ではまだ発動することは早いと思いますとか、あるいはもう少し状況を見て発動する可能性もありますとか、また、そういうことをこの衆参の委員会だけでなくて、むしろ農業団体自身も十分そういうことを意識する必要はあろうと思うんです。
 しかし、困っておる、困っておるということだけ農業団体も言ってくる。これじゃ困るので、私は、もっと農林水産省としての情報収集をすることを必要とするし、その権威を高めるためには、その都度やるということでなくして絶えずやっぱり情報を収集することが必要だろうと思うんです。今、IT時代と言い、IT戦略と言われておりますが、それが私は今の時代にふさわしい戦略じゃなかろうかと考えております。
 そういうことでございまして、今野菜につきましては四品目ございましたが、それに加えましてシイタケ、イグサ、それから別途の問題として木材と、こういうふうな問題について取り上げるべきだという結論を農林水産省としては出しております。
 そこで、先般大蔵省並びに通産省に対しまして、私の名前で文書でその意思を表明しております。なるほど大蔵省、通産省、農林水産省と三省合意でしなきゃならぬことはわかっておりますものの、やはり我々が、農林水産省自身が最高責任者の立場でございますから、我々の意思を両省とも酌んでもらわなきゃいかぬし、そのためには我々もかっちりとした資料を持って説明しなきゃならぬ、こう思っておりますので、先ほど来長々と申し上げましたとおりに、やはりこの際省内の今後の体制もかっちりしたものをつくっていかなきゃならぬ、こう思っております。
 そこで、今後の問題でございますが、今、従前から資料を取り寄せる、資料を集めると、こういう言い方をしましたが、それは実行段階になるための手段という意味において、ある意味じゃ格の高い資料の収集をして、そして三省の話し合いに入ろうと、こう思っております。
 そういうことでございまするので、我々は、新聞報道等々いろいろとされておりますけれども、決意を固めたという以上はどんなことがあっても農民の皆さん、国民の皆さんから理解を受けるような立場に立つことが必要だと、この意味において決意をかたくしておるわけでございます。
#49
○岩永浩美君 大臣から早々と決意の表明がありましたが、もう少し経済局長に具体的なことをお話をして、再度大臣の決意もお聞きしたいと思います。
 農産物については他の鉱工業品と同様な取り扱いができないと私は思います。発動に当たってさまざまな立法あるいは調査を十分にしていかなければいけないことは私自身もよくわかります。ただ、鉱工業生産品と同様な取り扱いを農産物にした場合、それは矛盾が出てくるだろう。しかし、鉱工業生産品と同じようなデータが今の農林省の中にあるかというと甚だ疑問に私は思う。
 今、大臣はそのことを正直に、今までの農林水産省の統計のとり方あるいはあり方として不十分であったことをお認めになりました。そして今後セーフガードを発動するに当たっては、生産団体や農家の皆さん方の理解を得て今度はやっていくというかたい決意のようでありますが、今回、野菜のセーフガードの発動に当たって具体的に決意をされたということは、来年度に向けて、ことしの下落はそのままにして、農家の人に安心感を与えていくことができる計画生産可能な措置を講じるということで決意を新たにしているというふうに理解していいんですか。
#50
○政府参考人(石原葵君) 今、大臣からお話があったとおりでございますけれども、我々この農産物につきましては、ただいま委員の方からお話がございましたように、鉱工業品と違いまして季節性があり、また腐敗しやすいという特徴がございます。こういうものにつきましては鉱工業品と違うセーフガードの措置が必要ではないかと考えているところでございます。現在行われておりますWTOの交渉の中では、そういう趣旨から農産物特有の措置を要求していきたいと考えておりますけれども、今当面している問題につきましては、三省間の協議を速やかに行いまして所要の措置を講じてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 そして、現在の問題といたしましては農林水産省内の体制、それからデータ収集の体制といいますか、この二つが課題であろうかと思っております。
 農林水産省内の体制といたしましては、私を部会長とするようなセーフガード部会というのを設置いたしまして、このもとでやっていくということを既に先週の水曜日に決定いたしております。
 それからまた、データの収集の体制につきましては、ただいま大臣からお話のあったとおりでございますけれども、今回の問題は団体、それから地方公共団体、そして加えまして我が方の統計組織ということで情報データを集めたわけでございますけれども、必ずしも十分なデータ収集になっていないという指摘もございます。我々、来年もこれまた野菜の問題がございますので、きちっとした体制ときちっとしたデータ収集方法、これを速やかに確立したいということで今検討を進めておるところでございます。
#51
○岩永浩美君 石原経済局長は衆議院の農林水産委員会の中で、WTOの農業交渉が今行われているさなか、このセーフガードの発動について、「輸入急増等の事態に機動的、効果的に発動できるよう、運用の透明性を高めましたセーフガード措置を、WTO農業交渉における我が国の提案の一部とすることにつきまして、検討してまいる考えでございます。」と答弁をしておる。それは、今答弁をされた具体的な一つの資料を開示して、そういう統計をもっと明らかにして具体的にその交渉に入っていくということを意味しているんですか。衆議院で御答弁をされたその趣旨はどういうことですか。
#52
○政府参考人(石原葵君) 現在行われておりますWTOの農業交渉、この中で我が国から提案してまいりたいというのは、先ほどの体制、それからデータ収集、これとは直接に結びつくものではございません。
 しかしながら、このWTOの交渉の中で我が方が提案していきたいと考えておりますのは、例えば今議論は一般セーフガードの議論をしておりますけれども、現行のWTOの規定の中でも一般セーフガードと並びまして特別セーフガードというのがございます。この特別セーフガードといいますのは、輸入がどれだけ伸びた、価格がどれだけ下がったというそれだけの客観的な指標ですぐセーフガードが発動できるということになっておるわけでございます。我々といたしましてはそういうものを念頭に置いて要求を行っていきたいということでございます。
#53
○岩永浩美君 今、経済局長からお示しいただいたその発動について、WTO交渉の中で具体的にそのことを具現化をしてもらいたい。特に、今農家の皆さん方がこぞって期待しておられるのは何とかして野菜の下落の歯どめをしてほしい、それは素朴な農家の一つの願いとして、それはただ単に国内の景気が冷え切っているとかあるいは天候に恵まれたとかいう理由ではなくて、輸入増に伴う農産物の下落だという意味合いと認識が大変強いと思う。それに対して具体的にこたえていただく、役所の姿勢を示していただくことをこの件については要望をいたしておきたいと思います。
 大臣、お答えいただけますか。
#54
○国務大臣(谷洋一君) 先ほど私、農林省が資料不足だという意味のことを言いましたけれども、調べますと調べるほど難しいんですね。今まで五年間というものの資料を集めるというふうに今計画はしております。ところが、輸入量は六、七年前にぐっと伸びておって、その後はぼつぼつしか伸びていないというものもありましょう。それから、ここ三年間にぐっと伸びたというのもありましょう。
 それから、ついこの間、私、淡路に行ったんですが、非常に親しい町長から、関空にどんどんと花が入ってきて大変だと、私のところはこれだけ大きなガラスのハウスをつくっておるにかかわらずもう大変だと言うんです。どうもぴんとこないところがあったので役場の課長さんに詳しく聞きましたら、一本が四十円、五十円ふだんはしておると、しかし母の日とかクリスマスとか、あるいは正月にはどんと上がって一本が百二、三十円から四十円ぐらいすると。ところが、その高くなったときに限ってどっと入ってくる、それでもう困っておるんだと、こういうことを言う。結局、特別需要のときに入ってくるのが一番困る、ふだんは入っても何ともないと。もともとが今安いんだから、それはもう予定した三十円、五十円の価格だからいいけれども、しかし百円、百二十円になるときに入ってくるのは困るんだと、こういう問題もあります。
 ですから、作物によってどうもわかりにくいというところもあろうと思うんです。そこらあたり考えてみますと、この問題は単純な計算で上がった下がったと言うだけではわかりにくい。
 私もある程度ほかの外国も調べましたけれども、日本の商社ほどきめ細やかに、まあ言うと大商社であろうとも、その子会社、孫会社が積極的に第三者の国に行きまして買い付けをやっておる。日本人自身が買ってきておるというふうなことはほかの国では余り見られない様子のようです。ということですから、日本の現状を十分把握した上で、ある意味じゃ輸入商社に対しても、これだけ自給力を失っておる産業を回復させるためにはこうしなきゃならぬというふうなことも理解をさせなかったら、商売だからといってむやみやたらに輸入することは相ならぬというふうな気持ちも我々にはあるわけです。
 ですから、そういう点の詳細にわたったところを最後の詰めの調査をやって、そして機敏な反応をしなきゃならぬということはわかるんですが、やはり調査ということを十分やらなければWTOに提訴したときも力不足になってきたら困ると、こういうふうに思います。そういう意味で、今までの提訴した実績から見ますと、シロで通ったのもありますし、クロになったのもありますし、両国間の話し合いをやって、それじゃまあここでおさめようなんということも多くあります。
 そういうことでございますから、ただ我々が厳しいことを言ってこれで済まされる問題じゃない。最後の最後、農民の皆さん方の気持ち、また消費者の気持ち、ともに考えながらやらなきゃならぬと、こう思っております。
#55
○岩永浩美君 大変御丁寧な御答弁をいただきましたが、どうか大臣は決意を新たにしてセーフガードの発動に向け御活躍いただくことを期待したいと思います。
 引き続いて、農地法の今回の改正点を中心にしながら少しお伺いをしてみたいと思います。
 今回の農地法の改正の大きな焦点の一つは、農業生産法人制度の見直しであると私は思います。先ほど同僚の若林議員の方からもいろいろ御指摘がありました。既に五千五百七十八法人が設立されて、それぞれの分野で活躍をしていただいていること、それは十分私自身も承知をいたしております。特に農業生産法人に対する政府、農業団体の認識、それも昭和四十五年以来随分変化をしてきたことを私自身も認めます。農業法人が我が国の農業における十分な担い手に位置づけられてきたこと、それは今まで担い手を中心とした専業農家の育成を農林省を中心として推し進めてこられたその一つの成果であることは言うまでもありません。
 私は今、農業生産法人の現状について伺いたいのは、土地利用型の農業生産法人がどれぐらいなのか、施設園芸を中心とした農業生産法人がどれぐらいなのか、畜産を中心とした生産法人がどれぐらいなのか、あるいは全国、北海道から西南暖地までどういう形で生産法人としての特色が出ているのか、そのことを伺いたいと思います。
#56
○政府参考人(渡辺好明君) 御指摘のとおり、平成十一年には約五千六百の農業生産法人がございます。もちろん農地に関する権利を取得しない農業法人というのもございますので、農業法人全体としては約一万、そのうち五千六百ほどが農地に関する権利を持った農業生産法人ということでございます。地域別には北海道が三割、都府県が七割という状況でございます。
 それから、農業部門別で見ますと、畜産では、これはどちらかというと大家畜になると思います、中小家畜の場合には農地が必要でございませんケースもありますので大家畜を中心とした畜産でありますが、畜産を主とする法人が約三割、米麦作を主とする法人が二割、それから果樹と野菜でそれぞれ一割というふうな状況にございます。
 会社の組織からいいますと、有限会社が四分の三、それから農事組合法人が四分の一という状況でございます。
 それから、先ほど若林先生の御質問にお答えしたのですが、平均で見れば経営規模は二十七ヘクタールです。都府県の平均経営規模は約二十ヘクタール、北海道では五十三ヘクタールとなっております。したがって、現在の農家の平均規模からいえば、都府県は一ヘクタールですから二十倍の規模、北海道は十三ヘクタールですから約四倍と、相当大きなものという感じが見てとれるというふうに思います。
#57
○岩永浩美君 今、それぞれの分野について御説明をいただきました。
 ただ、今回の農業生産法人の見直しは、農業経営の法人化を推進するということが私は大きな方策だと思います。今、局長の方からもお話があったように、北海道と都府県とは土地の面積そのものが随分違ってきています。
 そういう意味で、今約六千件になろうとする法人が、今度の農地法改正に伴ってどういう形で法人化になっていくというふうに考えておられるのか。そういう法人化を目指していくことが日本農業の担い手育成につながっていくという考え方を持って、そういうふうに進めていくべきだという一つの方向性を示すために、主たる観点をそこに置いて今回の農地法改正をやられたのか、そこら辺をちょっと伺いたいと思います。
#58
○政府参考人(渡辺好明君) 二つのことを申し上げたいんですが、農業経営を進展させる場合にはいろいろな選択肢が準備をされているということが大事です。
 ですから、構造展望の中でも、個別経営による部分がもちろん大宗を占めますけれども、それ以外に法人と生産組織ということを言っておりまして、三万ないし四万という法人ないし生産組織の間にはいろいろな選択肢があるわけでございます。もちろん農業生産法人も、有限会社をとるのか株式会社をとるのかというのは、その地域なり農業経営の実情に応じて選択をしていただければいいというふうに考えております。
 ただ、これまでの農業生産法人につきましてはかなりいろいろな制約がございまして、一つだけ申し上げれば、農業と農業関連業以外は一切やってはいけないというふうになっております。これでいきますと、労働力もあり機械もあり技術もあるといったときに、農閑期にそれを使えば経営がもっとよくなるのにというふうなこともございますので、選択肢の幅と深みを大きくしてやろうというのが今回の法人化の推進、農業生産法人の要件の見直しということに、つづめて言えばなろうかと思います。
#59
○岩永浩美君 今まで農家の皆さん方には株式会社の法人を認めていなかったその理由、今後認めるに至ったその経緯については今局長からお話になったとおりだと私は思います。当初、株式会社方式の導入について農業団体も相当の反対がありました。今回、それぞれの懸念を払拭される措置を十分に講じられたので株式会社形態の導入が一応認められる形になってきたわけでありますが、農家の皆さん方にとって株式会社導入に伴うことによってのメリットとデメリットというのをもう少し具体的にお示しいただくことがいいのではないかと私は思う。
 特に、今まで家族経営を中心としてきた農業経営、家族経営を中心とした地域社会の中では異質の株式会社方式をもって参入をしてこられると、高齢化、過疎化が進んでいる現在の農家の中には大変なじまない部分というのが出てこないのか、そういう懸念を強く私はいたします。そういう問題について、今でも条件のいい地域と条件不利地域との間で、同じ町内、同じ郡内、同じ県内の中でも格差があります。そういう格差が助長されて農村の一つの集落が荒廃していくというようなことにならないか、そういう心配は杞憂で終わってしまうのか、そういうことは憂慮しなくていいというふうにお考えなのか、そこら辺はどうお考えなのかお尋ねしたい。
#60
○政府参考人(渡辺好明君) 俗に株式会社の参入という言葉がしばしば使われるわけですが、私どもは、参入という形で上から何らかの株式会社がやってきて農地を取得し、農業を支配するというふうな方向を描いているわけではありません。また、システムとしても、現に有限会社でやっておられる農業者の方々がもっと機動性を持った経営を行いたい、もっと大規模になりたいというふうなときに会社の組織を変える、あるいは個別の農業者の方々が寄り集まって、一層マーケティング等を意識しながら会社組織でやっていきたいというときに株式会社という形態も一つの選択肢としてとれるということを想定いたしておりまして、そのために、外からやってきた者が支配をするという構造については完全に払拭ができるようにしているわけでございます。
 ただ、今、先生がおっしゃいましたように、浸透が足らないのではないかという点につきましては、まだまだこれから工夫をする余地があろうかと思っております。実際上、いろいろなアンケートを見ましても、農業生産法人の経営者からはこの株式会社形態というのは資金調達や人材確保や販路の開拓で非常に有利だという実感が伝えられておりますし、有限会社と比べましてその組織の機動性という面につきましては一段まさっております。何よりも大事なことは、地域農業にとって活性化の道をこの農業生産法人制度の改善によって得られるのではないかということであります。
 御指摘がありましたように、とりわけ中山間地域等で農業ないしは集落がもう待ったなしの状態になっておりますけれども、そういった中で例えば、今回の改正で地方公共団体が出資をできるというふうな方策であるとか、あるいは集落全体を引き受ける特定農業法人の中核にこうした方々が座るとか、そういったこともございますし、経営が機動的になれば販路の拡大、雇用創出ということにもつながるわけでございます。今回の改正は、経営をよくするということと同時に地域農業の活性化ということを大きな眼目にしております。
 懸念の点につきましては、投機的な農地の取得や地域の水管理、土地利用の混乱ということがないようにということを十分措置をいたしましたので、ここを徹底的にPRをしたいと思います。
#61
○岩永浩美君 株式会社形態の導入に一番懸念されたことは、今局長から御答弁のあったとおりであります。特に、株式形態を導入することに対する農家の皆さん方の不安、そしてまた懸念は、株式会社法人がその資金力に物を言わせて農地の投機的な取得やあるいは転用目的で農地取得が行われるのではないかという不安があったこと、これはもうまさに事実です。
 そこで、今回、具体的なそういう懸念払拭措置というものを講じていただきましたが、具体的にそういう転用の目的を規制していくこと、あるいはその役員の構成上において農業以外ではある一定の規制を講じられてきていますが、そのことを具体的にもっとやっぱり浸透させてそういう不安を払拭をしていく努力がまだ十分になされていないような気がいたしますが、それに対する対応を今後どう進めていこうとなさるのかお尋ねをしたい。
#62
○政府参考人(渡辺好明君) 実は、今回の改正とあわせまして、地域に協議の場というものをつくろうと思っております。これは必ずつくりたいと思っております。
 協議の場におきましては市町村、農協、農業委員会、それから地域を代表するような農業者の方々、これらの方々に加わっていただきまして、そうした協議会で、その地域地域で具体的に農業生産法人がどういう活動をしているか、農地がどういうふうに使われているか、そしてどういう指導をしたらいいかというふうなことを話し合っていただくことになっておりますので、そうした場も十分活用したいと思っておりますし、当然一般的なPRも、これからブロック会議あるいはホームページ、そういうものを通じてやりたいと思っております。
 懸念ということで、支配されるのではないか、転用目的ではないかというふうなことが言われました。転用のケースにつきましては、農地法を既にさきの国会で改正をしていただきまして転用の基準というものを明確にいたしました。農振法の改正もいたしましたので、これらの運用と相まって、転用目的での参入と俗に言われるようなそういうことは決してあり得ないという方向を浸透させたいと思っております。
#63
○岩永浩美君 通告をした数点がまだ残っておりますが、時間厳守を言い渡されておりますので、ここで私自身は一つ要望をいたしておきたいと思います。
 今、当局からそれぞれの分野における御答弁をいただきました。特に最後に、農地法の一部改正に伴って、今後、農地の転用等々について十分な監視体制が必要だと私は思います。今までそれぞれの分野の中において農業委員会がそれぞれの地域の農業委員会の役割を果たしてきたことは多としたいと思いますが、今後、農家以外の株式法人の方の農地あるいは土地の取得等々についての十分な監視がないと優良農地も崩壊していくであろう。そのためには、農業委員会そのものの組織のあり方について十分な指導体制がなされないと地域の環境の保全もできないし、優良農地の崩壊にもつながり、あるいは中山間地域の条件不利地域と優良農地との格差を助長することになっていき、農村の集落社会が崩壊していくことにつながっていくことを懸念するものであります。
 どうかその点について、農地法の今度の改正は、農業委員会系統組織のあり方を十分に監視していき、農業委員会を強化していくことによってこれが遵守されていくことにつながっていくと思いますから、当局の今後のますますの行政指導をお願いして、私の質問を終わります。
#64
○羽田雄一郎君 民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。
 まず、農業経営の法人化の推進の観点より谷大臣にお聞きをいたします。
 今回の農地法改正の柱は農業生産法人の要件の見直しでありますけれども、新農業基本法の第二十二条においても「農業経営の法人化を推進する」としております。このように農業経営の法人化を推進するねらいは何でございましょうか、まずお聞きをさせていただきます。
#65
○国務大臣(谷洋一君) 新しい農業基本法におきましては、食料自給率の向上を図るということが大きな目標になっております。そのためには、今審議していただいておりますように、農地法の改正、特に法人化の問題等についての議論もあるわけでございます。そういうふうに、日本の農業をただ戦後の農地解放だけでなくて今の時代にふさわしい体制に持っていくためにはやはり近代化を急ぐ必要があるというふうに思いまして、農地法を初めとする改革に取り組んでおるわけでございます。
 今後の問題といたしましては、やはり専業農家また家族農業等々を初めとして、法人化に積極的に取り組んで地域農業の掘り起こしをしていきたい、そして自給率を高めたい、こう思っております。
#66
○羽田雄一郎君 法人化推進のためにどのような支援策をこれから講じていくのか、お伺いをいたします。
#67
○政府参考人(渡辺好明君) ただいま大臣からもお答え申し上げましたが、法人化というのは、経営をよくするという意味で、経営管理能力あるいは雇用者の福祉の向上、新規就農の受け皿、経営の円滑な継承という点で大変メリットがあるわけでございます。したがって、これを推進をする、支援をするということで、設立から拡大、発展といったそれぞれの段階に応じて支援をしていくというふうに私どもは心がけております。
 具体的な支援策としては、まず法人をつくろうというときには相談なり指導事業というものがございます。それから経営改善につきましては、経営改善支援センター等を通じて御相談にあずかるということでありますし、一番大事な簿記記帳であるとか労務管理であるとかマーケティング、こういう部分については研修会を開催しております。それから、これからは加工、販売、サービス部門へ出ていくわけでありますから、異業種との交流という機会をつくる必要があろうと思っておりますし、先ほど来御質問にもございましたが、新規就農者がここへ入ってくるときの就職の説明会であったり、トレーニングの仕方であったり、そういうことに対しても支援をしたいと思っております。
 それから最後に、一番大きな問題としてやはりお金が必要でございますので、法人の場合には個別経営よりは数段に有利な融資限度枠といったようなものを例えばスーパーL資金でも設けているところでございます。
#68
○羽田雄一郎君 法人化の推進とあわせて、今後とも中心となっていく家族農業経営の活性化が重要と考えております。
 家族農業経営の活性化と法人化の推進とはどのような関係になっているのか、お考えをお伺いさせていただければと思います。私は両者は矛盾するものではないと考えておりますが、いかがでしょうか。
#69
○政府参考人(渡辺好明君) 結論部分から申し上げまして、全く先生の御指摘のとおりであります。
 私たちも家族経営の経営改善を促進するための有効策の一つとして法人化というものを掲げたわけでございます。現実の数字といたしましても、一戸一法人というのが五千六百の法人のうち二千数百を占めているというふうな現状もございますので、私も家族経営と法人化というものは矛盾するものではないと思っております。
 家族経営自身もやはりステップを踏んで経営改善をしなければなりません。先ほど申し上げました家計と経営の分離の問題、あるいは各種の社会保険への加入の問題、安心、安定の問題だろうと思います。そして、家族協定等を通じまして妻の地位の確定といいましょうか、パートナーがそれぞれきちんと位置づけをされていくというふうな方向を指導したいと思っておりますけれども、これをさらに一層発展させていく手法が法人化だというふうに思っております。
#70
○羽田雄一郎君 そういう中で、家族農業経営の皆様方に関しては、大企業の参入、大企業が攻めてくるような感じを受けられている、また株式会社が大きな資本を持って攻めてきて、そして利益が得られない場合撤退してしまうんではないか。農地の荒廃、地域とのコミュニケーション等の懸念を表明されている方々がまだまだ多くいらっしゃると思います。本法制度の改正の実効性確保のため、農業従事者にその趣旨を周知徹底する必要があると私は考えております。この質問に関しては、先ほど岩永委員が懸念を申されまして、それについて見解を伺いました。私もそのとおりだと思います。ぜひその周知徹底をしっかりとしていただきたいと思います。
 また農業委員会の機能、これがこれからますます重要になってくると私も考えております。十分に発揮されるためには、農業委員の手当等を引き上げるなど、人的また予算的な措置が必要と考えております。これは参考人の皆さんのお話を聞いても、今でも十分に機能し切れていないのではないかというお話がございました。これについても先ほど若林委員の方から質問がございまして、お答えをいただきました。私も十分に措置をしていただきたいということを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 農地法改正の観点から幾つかお伺いいたします。
 農業生産法人の要件のうち、事業要件を改正し、農業及び農業関連事業以外の事業も実施できるようになっておりますが、どのような効果を期待しているのか。例えば、民宿と体験農園を組み合わせたような事業を実施することも可能であるかどうか等をお伺いできればと思います。
#71
○政府参考人(渡辺好明君) まず現行制度の御説明をさせていただきたいんですが、現行制度では農業生産法人が行い得る事業というのは農業と農業関連業にとどまっております。その意味で極めて限定的でございます。
 ところが、人がいて、機械があって、技術があるわけでございますので、こういったものをやはり有効に活用していくということが必要になりましょうし、それから、御承知のとおり、農作物というのは作柄変動、価格の変動というものがあるわけでございます。作業も季節性がございます。そういうものをならして、やはり農業生産法人の事業を安定させていくということが必要でございます。経営の多角化を通じて経営の安定、発展を図るということもできますし、周年雇用を保障することによって、より質の高い労働力を安定的に確保できるということが非常に大事な問題でございます。
 こういうことを考えまして、今回、農業、農業関連業以外に、その販売高の半分以下という点に着目をして事業要件を変更させていただきたいと思っているわけでありますが、先生御指摘になりましたように、この農業と農業関連事業以外の残りの半分の分野であれば、今おっしゃられたような民宿と体験農園にとどまらずいろいろなことがダイナミックにできるということを期待しております。
#72
○羽田雄一郎君 今回、構成要件も改正をして、地方公共団体が構成員となれることとしていますが、どのような効果を期待しておられるのか。
 私が考えるに、例えば地方公共団体が農業体験学習を推進していこうとする場合、農業体験の場を提供している農業生産法人に対して地方公共団体の出資が可能になるのかどうかというようなことも教えていただければと思います。
#73
○政府参考人(渡辺好明君) 地方公共団体の役割ですが、二つございます。一つは、農業生産法人の下支えをするというサポーターの機能です。もう一つは、今、先生がおっしゃられたような農業生産、農業経営ということになじまない分野が含まれているようなケースにおいては、その意義に着目をして参加をできるということでございます。
 一つ中山間地域の例を挙げますと、既に地方公共団体は第三セクターなどでいろいろなことをやっているわけでございます。そういうことを考えますと、これが農地を取得することによってより一層活動の幅が広がる。中山間地域の農業というのは待ったなしの状況になっておりますので、そういった下支え、あるいは不利を若干緩和するというふうな役割も可能であります。
 それから、二つ目に申し上げた農業生産、農業経営そのものではないけれども、もう少し社会的にいろいろなことをしなければならないものが含まれているようなケースにおきましては、農業生産法人に対して出資をするということを通じて農業体験の場の推進に寄与することができるというふうに思います。
#74
○羽田雄一郎君 次に、都市住民など農業関係者以外の者が農業生産法人に出資して法人の構成員となることは農業との触れ合いという点で意義があると思いますが、現在、どの程度の農業生産法人に農業関係者以外からの出資が行われているのかお答えいただければと思います。
#75
○政府参考人(渡辺好明君) 現行制度で農業関係者以外の者というのは政令で定めることになっておりまして、その視点は、物資の供給それから役務の提供、あるいは事業の円滑化に寄与する者と、こういうふうになっております。ただ、まだスタートしたばかりでありますので、非常に限定的に縛りがかかっておりまして、政令では、実際には産地直送契約などを締結している個人、それから、これはライセンス契約ということになりますが、新技術等の提供契約を結んでいる者というふうにされております。
 今、私が申し上げました二つの項目について農業関係者以外の方が構成員となっておりますのは現状四十四法人ございます。その中で、もう少し絞り込んでまいりますと、都市住民等が構成員となっているのは産地直結取引契約ということで二十法人でございます。
 こういうふうな形で参加されている方々というのは、やはり消費者のサイドからも農業生産法人とのきずなを強めて、農業生産法人の応援団として農業と触れ合う機会も多いというふうなことから参加をされておりますので、今回の改正におきましては政令を一部手直しさせていただきまして、生協であるとか消費者グループが構成員となることによりまして都市と農村の交流ということが一層推進されるように措置をいたしたいと思っております。
#76
○羽田雄一郎君 そうしますと、この改正によってどのような効果を期待しているのか、また、新たな構成員としてどのような方を想定しておられるのかお答えいただければと思います。
#77
○政府参考人(渡辺好明君) 先ほどの答弁では都市、農村という視点から申し上げましたけれども、今回の構成員要件の改正では法人と継続的取引関係にある者が構成員になれるように措置をすることとしております。
 想定される者といたしましては四項目ぐらいございますけれども、一つは農畜産物の販売契約を締結している、言ってみれば生協など消費者のグループ、原料となる農畜産物の栽培契約を締結している食品加工業者、それから農畜産物の宅配をするというふうな場合の運送業者、さらには肥料、農薬などの購入契約をしている資材業者といったものが考えられるわけでございます。
 先ほどの消費者グループの方々も含めまして、こういった方々が新たな構成員となることによりまして、生協その他の消費者グループとの提携の場合であれば生産物が販路としてきちんと確保されることになりますし、それから、いわゆる加工とか流通の方々と提携をいたしました場合には生産物の高付加価値化、事業の多角化ということで、そういった流通加工業者のノウハウを法人の経営にも生かすことができるということになろうかと思います。
#78
○羽田雄一郎君 将来的には農業生産法人の要件はさらに緩和すべきだと私は考えておりますけれども、いかがでしょうか。
#79
○政府参考人(渡辺好明君) そのところはいろいろ議論がございました。ただ、私どもは現状で今回の改正をさせていただくという提案をしております経緯から申しましても、当面、すぐにそういうことをという議論にはちょっとなかなかなりにくいのではないかなというふうに思います。
 といいますのは、今回の改正は内閣総理大臣の諮問機関であります食料・農業・農村基本問題調査会で相当激しい議論がございました。その場合に、株式会社一般の農地取得については合意が得がたいという結論が出ておりまして、あくまでも耕作者主義に立った農地法の基本的枠組みを維持することを前提として関係者の結論が得られたわけでございます。
 私どもといたしましては、この改正案を成立させていただきまして、まずはこの改正の普及、定着を図るということが最重要課題と思っております。
#80
○羽田雄一郎君 優良農地の確保という点から幾つかお伺いをいたしたいと思います。
 私が毎回質問に取り入れております農業体験学習を推進していく場合、農地の確保が大前提となります。そして、食料・農業・農村基本計画では、自給率の向上を図る前提として、平成二十二年には四百七十万ヘクタールの農地を見込んでおります。今後、優良農地の確保をいかにして行っていくおつもりでしょうか。
#81
○政府参考人(渡辺好明君) 実は、平成二十二年の四百七十万ヘクタールという数字は自給率四五%との兼ね合いで出した数字でありますけれども、耕地利用率一〇五%ということが前提になっております。ですから、農地は絶対的面積が物を言うのではなくて、それをどう使っていくかということとの兼ね合いであります。
 一方、現状のトレンドでいきますとどうなるかということも私どもは計算をいたしました。このまま事態を放置いたしますと、四百七十万ではなくて四百四十二万ヘクタールになってしまうと。ですから、その差をどうやって埋めていくかということに行き着いたわけでありまして、その中で最も肝要なことは、結局、耕作放棄を抑制する、それから場合によっては一たん耕作放棄されたところを復活する、多少ながらも農地の造成をする、この組み合わせで何とかその四百四十二万と四百七十万のギャップを埋めるということでございます。
 四百七十万の農地の中には、四百十七万という農振農用地区域内の優良農地が含まれております。とりわけここは、とにかく各種の手法を総動員して確保をしていかなければならないと思っておりますが、先ほど申し上げた耕作放棄の問題などは、例えば中山間地域で非常に耕作放棄が多いものですから、十二年度から始まりました直接支払いという手法を通じて不利の補整をする、それによって耕作放棄が出ないような形にする、場合によれば、周辺の農地ともう一度組み合わせて農地が農地として効率的に使われるような手入れをするといったようなことを考えておりますが、とにかく具体的には、これから先、市町村はそれぞれ一定の目標をきちんと掲げてそれに向かって邁進をするという方向で私どもも支援をしたいと思っております。
#82
○羽田雄一郎君 耕作放棄地の問題は、特に中山間地域で深刻であります。耕作放棄地の発生防止の観点からも、ことしからスタートした中山間地域等直接支払い制度は重要だと認識しております。この直接支払い制度の取り組み状況をお教えください。
   〔委員長退席、理事金田勝年君着席〕
#83
○政府参考人(渡辺好明君) 中山間地域等直接支払い、これまでなじみのない政策手法でありますけれども、総事業費七百億円ということで十二年度から始まったわけでございます。都道府県は一体どれほどの面積に対して直接支払いをやってほしいかという面積が八十万ヘクタールございます。ただ、それにつきまして具体的に集落協定等が結ばれましたのが約六十万ヘクタールという状況でございまして、まだもう少しそのすき間があるというのが現状でございます。
 これは実は総平均で申し上げましたけれども、県や市町村によって大分取り組み方が違っております。同じような状況にある都道府県、同じような状況にある市町村の間でも、その市町村や都道府県の意気込みによりまして、片や八割から十割近くを占めております締結見込みのところもあれば、五割を切るようなところもございまして、もう少し詳しくありていに申し上げますと、新しい制度なものだから、どうも取り組みにくいというふうに思っておられるところと、それからもう一つは、なかなか難しい条件がつけられているのではないかと思っておられるようなところは浸透率が低く、片や、これはいい制度だからとにかくみんなでもらうような方向に行こうじゃないかといったようなところは、知事さんが直接号令をかけて振興管理をするというふうなこともバックに協定の締結状況がよろしいと、きれいに分かれていると言ったら変ですけれども、二分をされているような状況にございます。
#84
○羽田雄一郎君 今言われたように、ばらつきがあるという話もございました。直接支払い制度がもっと活用されるためにどのように対応していくおつもりか、お聞かせください。
#85
○政府参考人(渡辺好明君) 初年度ということもございまして現場段階への浸透がいま一つということは否めないところでございます。それぞれの村には難しい事情があるとか、直接支払いを受けるには難しい条件があるのではないかといったことを今申し上げましたけれども、そういったことも背景にいたしまして、不安なり面倒くさがるというふうな点、言葉を選ばずに申し上げますとそういう点が見られますので、私どもは、この直接支払いというのは相当に柔軟な制度であるということをもう一度徹底をしたいと思っております。
 何よりも、この政策手法が上意下達ではなくて、言ってみると、これは集落裁量主義といいますか、そういうふうな制度であるものですから、集落さえその気になれば、そして一つの集落がだめであれば二つの集落、三つの集落がまとまって対応すればというふうなことを浸透させたいと思っておりまして、各地で非常に難しく考えずに易しく対応したというふうな事例を例えば農林水産省のホームページに載せるとか、例えば山口県のホームページ、これはなかなかよくできていますので、そういったものを紹介するとか、さらには、地域住民だけではなくて農協や農業委員会もこれを支えているわけですから、そういった方々の担当の会議の場でもう一度やるとかということで臨みたいと思っております。
 いずれにしても、締結期限ぎりぎりまで延ばしてまいりまして、何とかせっかくのお金が有効に使われるようにもう一つ努力をしたいと思っております。
#86
○羽田雄一郎君 農村において適正な土地利用を確保するためには、都市計画法また農振法、農地法などの土地利用法制の一元的整備を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#87
○政府参考人(渡辺好明君) この問題については、例えば都市計画法も農振法も昭和四十年代の初めからスタートをして相当定着をしております。それから農地法に至りましては昭和二十七年からで、かなり制度全体が地域地域に定着をしているという実情があるものですから、なかなか難しい点がございます。
 国土利用計画法という大きな傘がその上にかぶっていることや、あるいは都市計画法の中に農林水産業の健全な発展との調和という項目が入っていまして、運用の面で農林水産大臣と建設大臣、あるいは県の土木開発サイドと農林サイドがきちんと調和をとって調整をして進めるようにということは指導しているわけでございます。
 一つ一つ手は打ってきたとは思っておりますが、これは衆議院でもこの法案について修正がなされ、優良農地の確保のための方策についてさらに検討すべしということになっておりますので、私どもこれから先どのようなことができるか、もちろんその視点は食料自給率の向上ということでありますが、深く考えてみたいというふうに思います。
#88
○羽田雄一郎君 農地の確保のためには農地転用の規制強化、これが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
#89
○政府参考人(渡辺好明君) 規制強化と言うべきか、あるいは厳正な運用をということかと思いますけれども、実はこの二つの国会で農地法については転用基準を法定化して透明性のあるものにしていただきました。それから、農振法につきましても国の指針というものを定めまして、その大きな傘のもとで優良農地確保の方向を明らかにするということもさせていただきましたので、これら二つの制度を十分に浸透させて運用に厳正を期する、恣意的なことがないようにするということでいきたいと思っております。
 ただ、そうはいいましても、日本のように可住地面積が少ない、活用できる土地が小さい、そこで稠密なる経済活動が行われているわけでありますので、この転用というものは公共の問題も含めましてなかなか難しい点でございますけれども、そこは一つ一つきちんとしたチェックをするということで、まずは現場の運用を厳正に行うということでやりたいと思っておりますし、将来的な問題としては、先ほど申し上げました衆議院での修正の趣旨を踏まえまして、優良農地の確保の方策につきましてさらに検討したいと考えます。
#90
○羽田雄一郎君 都市住民の農業に対する理解を深め、また、農業の体験ができるよう市民農園の整備などを積極的に推進していくべきだと私は常々考えております。農業体験の観点からお答えいただければと思います。
#91
○政府参考人(渡辺好明君) 市民農園の問題も随分時がたちまして、制度的にも二つほどの法律を背景にやっているわけでありますけれども、まず現況から申し上げますと、年々増加の方向にあります。市民農園整備促進法という法律に基づき、あるいはそれとの関連した法律もございますが、開設されております農園は平成十二年の三月現在で二千三百という数字に上がっております。
 もちろん市民農園という性格上、面積は大したことはないわけでありますが、この二千三百の市民農園の中で、都市住民の農作業に親しみたいというニーズにこたえながら農業に対する理解を深める、あるいは市民農園に都市の生活者が訪れることによって都市と農村の交流が図られるというふうなことで地域が活性化をするということもございますので、私どもとしては、農地の貸し付けの問題それから遊休農地の活用の問題等々を行うほかに、各種の補助事業の実施もいたしております。ニーズが高まって数もふえておりますので、これから先もう少し助成を強化していくという方向で考えたいと思います。
#92
○羽田雄一郎君 農業や農村を体験してもらうためにグリーンツーリズムの振興も重要と考えております。予算委員会の席でも教育改革の一環として取り上げられました。どのように今後取り組んでいくのか、お教えいただきたいと思います。
#93
○政府参考人(渡辺好明君) グリーンツーリズムの問題につきましては、基本法を審議する過程で非常に議論がございました。新しい基本法には、第三十六条におきまして、都市と農村の交流、それから都市農業の振興というのが、これまでにはなかった視点として、今後の重要な施策課題の一つとして位置づけをされているところでございます。
 国民のニーズは先生御指摘のとおり非常に高まってきておりますので、交流というのはこれから農業の持続的発展のみならず農村の振興という観点からも必要なことだろうと思っております。近々小中学校も週休二日制というふうなことになりますので、家族そろって農村地域に出かけていくということも可能になります。
 私たちは、現在のグリーンツーリズムの集客数というんでしょうか、入れ込み客というんでしょうか、それが八百万ないし九百万という状況でございますので、十年後にはこれを倍増させる、二千万の大台に乗せる、その中間の時期としての平成十六年には千二百万ないし千四百万人の集客を見込むというふうな目標を掲げまして、都市住民に対しては情報提供、それから市民農園の整備、農業者に対しましては農家民宿の開業や展開を支援するための条件整備、そして都市サイドと農村サイドの関係者、産地と消費地、生産者と消費者の団体が、NPOなども含めまして協議会を設立し交流を活発にするというふうな方向を目指しております。
#94
○羽田雄一郎君 農業体験学習について、これまでにも農林水産委員会等でその重要性を訴えてまいりました。去る五月二十三日の国土・環境委員会においては、玉沢前農林水産大臣から、食生活指針の普及、定着についてではありますけれども、文部省のみならず厚生省とも連携して対応していくとの答弁をいただいているところであります。
 そこで、その後、関係省庁との間でどのような対応がなされてきているのか、お伺いいたします。
#95
○政府参考人(西藤久三君) 食生活指針の普及、定着に向けての取り組み状況についての御質問でございます。
 食生活指針、先生もう御案内のところでございますけれども、脂質のとり過ぎ等の栄養バランスの崩れ、具体的に、平均で見ても既に脂質の摂取比率が二六%を超える、成人男子の適正比率二〇%から二五%の上を行っている、あるいは生活習慣病の増加、治療中の糖尿病患者の方がこの十年間で二倍になっているというような状況、私ども本年度調査をかけておりますけれども、食料資源の浪費、廃棄等のそういう問題点を踏まえまして、この三月に厚生省、文部省と共同で食生活指針の策定をさせていただきました。
 当然、先生御指摘のとおり、この食生活指針の普及、定着は関係省庁が一体となって取り組むことが重要でして、私ども、厚生省、文部省と連絡会議の開催を通じまして現在さらなる連携方策を協議いたしております。
 これまでも、食を考える国民会議の活動、保健所、保健センター、厚生省関係になりますが、これを通じた取り組み、学校教育における食に関する指導ということを行うとともに、食を考える国民会議、これは木村尚三郎先生が代表を務めていただいておりますが、食を考える国民会議と三省のシンポジウムの共同開催、あるいは私ども食生活指針ということでポスターの作成、具体的に申し上げるとちょっとあれですが、NHKの朝のドラマ「私の青空」の主人公だった田畑智子さんをモデルにしたポスターを作成いたしました。これを学校、医療現場に同時に張っていただいて普及、定着に努める。
 あるいは、そのパンフレット等もつくっておりますけれども、これらをつくるに当たっても共同でつくり、共同で配布していく。さらに、現在食生活指針についての解説資料を共同で作成しておりまして、これらも関係機関へ共同配布していくというようなことで、緊密な連携のもとで相互の連絡調整に十分努めながら、トータルとして普及、定着効果が出ていくということで取り組みたいというふうに思っております。
#96
○羽田雄一郎君 私は、今までも教育の中に農業体験学習、これが必要であるし、そのことによって命の大切さ、また物の大切さを学ぶことにより子供の心を育てることができる、また農業への理解が深まることによって、それがひいては日本の農業を守ることにもつながると申し上げてまいりました。
 谷大臣も、先般の委員会で、全国民が農業を大切に思うことが大切であるという発言もされております。私は農林省と文部省だけが連携してもなかなか進んでいかないんではないか。
 先ほど構造改善局長は週休二日制になると申されましたけれども、学校五日制でありまして、地域に子供たちを返し、地域で子供たちを教育していくというのが文部省の見解であります。休みにするわけではない。それを踏まえても、その二日間というのは地域で子供たちを育てていかなければならない。そういう中で農業体験学習も取り入れていく。
 そのためには、児童館を主管している厚生省、また保育園を主管している厚生省を含めた形での、この三省が一体となってやっていくことが大切であるといつも申し上げております。ぜひこの三省が連携して進めていかれることを、谷大臣におかれましても決意を述べていただきたいなと思っておりますので、谷大臣の見解をお伺いさせていただければと思います。
#97
○国務大臣(谷洋一君) 先ほど来お話を聞いておりまして、グリーンツーリズムの問題だとか、あるいは学校教育に積極的に実学を取り入れるとか、いろんな方途のお話がございました。全く私も同感でございます。
 しかし、私も現実に地元の小学校あるいは中学校の状態を見ますと、なかなか障害があるんですね。農村、まあ私は山村に住んでおりますけれども、八七%の林野率のそういう山村でございます。ところが、そういうところですら父兄の方々が実際に農業に携わっている方は少ないということで、月曜日から土曜日までの生徒が学校に出ているときにそういうことをやろうと思ってもできないと、こうおっしゃるんですね。そうすると、農業をやっている方ばかりにいわゆる耕運機を使っていただいて子供たちに農業を教えるようなことになる、これじゃとてもかなわぬというふうなお話が出ましたり、現実に私も町村のお話を聞きますと、そう簡単なことでないようです。
 しかし、それを乗り越えてやることによって私は自然に親しむということが非常に濃厚になっていいことだと思いますし、さらに何といっても体位の向上が非常にすばらしく育っていくんじゃないかと思うんです。私ども子供のときを考えますと山を相手に遊んだものだと思うんです。ところが、テレビを見る時間がある、スポーツをする時間がある。スポーツは体位向上だとおっしゃいますかもしれませんが、なかなかそうではなくて、遊びに興じておるけれども体位の向上にならない。私の家のすぐそばが中学校、小学校でございますから、体育会も時々のぞいてみますけれども、倒れるのがいるんですからね。
 そういうことを考えてみると、本当に国民全体の体位向上はどうしなきゃならないかということになりますと、やはり私は自然に親しむこと、山野を駆けずり回ること、そういうことが結構だと思う、それをもう一度取り戻さなきゃならない、こういう気持ちでいっぱいでございます。今、御指摘のとおりだと私は思っております。
#98
○羽田雄一郎君 私は、これからもこのことについてはいろいろなところで申し上げていきたいと考えております。私は、たまたま共生社会調査会にも入っておりまして、そこでも農林省、厚生省、文部省が一体となって子供たちの教育の中に農業体験学習、これが今家庭の中の教育が危機に陥っている、また学校教育が危機に陥っている中で有効であるということも訴えてまいりました。今後ともいろいろなところで発言させていただきます。ぜひ、農林省としてもこれを推進していただくよう要望をさせていただきます。
 最後に、これは質問ではなく私ども民主党としては、民主党の基本姿勢、この農地法の改正についてでありますけれども、参入については規制緩和の立場をとっております。もっともっと緩和をしていくことを考えていかなければならない、今後の日本の農業を考えたときに考えられないのかどうかということを検討していきたいということ、また農地転用については規制の強化と言っていいのか、規制をしながらきちんと農地が確保されていくということが大切であるという立場をとっております。そして、もっとめり張りのある農政を進めていくべきだと考えております。
 今回の政府案については、修正案も衆議院で通っているということで半歩前進という評価をさせていただき、私の質問を終わらせていただきます。
#99
○谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭でございます。
 三十五分の質問時間をいただいておったんですが、十分間早く終わりまして、四十五分間やらせていただきます。
 きょうの質問に当たりまして、実は考えました。というのは、前回質問に立たせていただいたときに大臣に、豊作貧乏というものをぜひ解消する具体的な政策を出してください、一緒に考えていきましょう、こういうふうに質問をさせていただきました。そのときに、セーフガードという一つの大きな伝家の宝刀、そのときには言えなかったというふうに思いますが、私は、今まさに伝家の宝刀を抜くべきだというふうに思います。それが具体的に信頼される農政になりますし、本当に農業に携わっている人たちが農家のことを考えてくれている農林水産省である、信頼を寄せる切り札だというふうに思います。
 一方では、ヨーロッパ、イギリスを中心にしながら、セーフガードを、伝家の宝刀を抜くことによって自分たちの国の自給率を大幅に高めていったという歴史経過も教わりました。そういう意味では、この伝家の宝刀を抜くに当たって、まさに将来に向けての政策、将来に向けての農業政策、意欲ある農業に向けての一つの大きなステップにぜひしていただきたいということを冒頭申し上げさせていただきます。
 あわせまして、きょうの質問に当たりまして、農地法とは一体どういうものなのかというよりも、実際に生産に当たっている人たち、いろんな形で生産に当たっている人たちの声を聞いてみようと思いまして、富山県でありますけれども、富山県の一個人の農家の方、それから集落営農を四人、五人でやっておいでになる方、あるいは二十五名の従業員を採用して二百四十六ヘクタールを耕しているリーダーの方、こういう方々に実はお会いしていろいろ話を聞いてまいりました。
 それを実は質問に生かしたいなと思ったんですが、先週に質問の通告をしてしまいました。正直言いましてしまったと思いました。したがいまして、その課題についてはぜひ大臣に聞いていただきたい。せっかく話を聞いてきたんですから、聞いていただきたいということで、聞きとどめおくということではなくて、ああ、現場の人たちがそう思っているのかというふうなお気持ちで真摯に受けとめていただきたいなというふうに思います。
 そこで、具体的には、いろんな方がおいでになりましたけれども、代表して三名の方に聞いてきました。それは、一つはサカタニ農産と言いまして、今ほど言いましたように、二十五名の従業員を採用して二百四十六ヘクタールの、全部借地です、放棄地になるようなところを全部人から借りて、そして米作を中心にしてやっている。しかし、減反政策ということもありまして、五十四ヘクタールが減反で大豆を植えている、残りを米でやっている、こういう方でございます。五十四歳の方でございます。
 この方がおっしゃったのは、非常に前向きな姿勢、今の農林水産省の政策を全面的に支援しながら、より一層活性化をしてもらいたい、こういう姿勢を持っておいでになりました。それは、農業の根幹は農地である、これを絶対忘れてもらっては困る、こういう意見でありました。当たり前の話かもわかりませんけれども、それを正々堂々と述べられる。これが大事だなというふうに私は感動いたしました。
 そして、これまでは農業に経営概念というものがなかった、これからはそうではない、農業というものもやっぱり経営概念というのが大事である、そういう意味では、これまでは農地を農家が守ってきた、これはほのぼのとしていい政策であったけれども、本当に二十一世紀に向けてそれでいいのかどうか、私は人から借りた田んぼを耕しながら頑張っている、ぜひ政府としてもそういう方向を、あるいはそういうことをやっている人たちをもっと応援してもらいたい、こういう声が出てまいりました。
 ところが、じゃこの農地法改正にもろ手を挙げて賛成か、そう聞きました。谷林さん、いや、心配がありますと。それはどういうことかといいましたら、いわゆる株式会社参入の、宣伝不足といいますかアピール不足といいますか、そういうこともあって、ひょっとしたら外資系までがこの農地法に基づいて入り込んでくるんではないか、そうなったときには大変なことになる、こういう心配も聞いてきました。これはしっかりきょうは大臣に聞きますよ、こう言って帰ってまいりました。
 それからもう一つ、今度は農業委員をなさっている、福光町にありますが、個人の農家四軒で有限会社をつくって、そして共同経営をなさっています。従業員といいますか、七名であります。そのリーダーの広川さんという方に聞いてきたんですが、七十一ヘクタールを全部稲作でやっているが、減反が厳しいので、減反は四十五ヘクタール、大豆を植えた、こういうふうに聞いてきました。四名の中核農家でやっています。家族でやっています。その家族を従業員としてやっている。
 その方のおっしゃっていることは、自分は農業委員をしている、しかし農業委員の今の形態はまさに形骸化をしてしまっているんではないかと。というのは、優良な農地が次から次と転用されていく、しかし農業委員に報告をされるのは転用の一番最後の部分であって、許可するかしないかだけを求められる、これじゃ優良農地がますます減っていってしまうという状況をぜひ認識していただきたい、このように聞いてきました。
 農業委員の皆さんも一生懸命やっておいでになりますし、先ほども地位の向上、権限の強さ、こういうものも見直していかねばならぬというふうにありましたけれども、その方がおっしゃるのは、専業農家の方が農業委員に、それは地域地域あります、地域地域ありますが、専業農家のその耕作者で農業委員になっている人が余りにも少ない、富山県を見ていても私の調べたところによると余りにも少ない、こうおっしゃっておいでになりました。これじゃ、今の農地法で一番重要な役割を果たすであろう農業委員、農業委員会、こういうものの将来が非常に心配である、したがってそういう農業委員会というものを強化する意味でもっと改革をするべきではないかというふうにおっしゃいました。
 それからもう一つは、今ほど言いましたように、地主と、ブローカーと言ったら失礼かもわかりませんが、パチンコ店業者とかスーパー業者とか用地を探している工場だとか、そういう人たちが地主のところに入ってきて直接地主と交渉をしてしまって、そしてそれがあっという間に金でたたかれて優良農地が消えていく、こういう状況をやっぱり政策でストップするべきだ、基本法で示している二十二年度四百七十万ヘクタールはこのままでいったら守れませんよ、谷林さん、こういうふうに言われてきました。ぜひそこらあたりの声もくみ上げていかなければならぬのではないかなというふうに思っております。
 それから今度は、福光町というところがございます。ここは農業を非常に大切にしております。中山間地です。その中山間地の福光町で今どういう取り組みをしているかといいましたら、今度の農地法改正にも十分かかわってくると思いますけれども、一町一農場という理想を掲げて、その計画に基づいて実は頑張っております。今のところはまだそこまで行っておりませんけれども、一集落一農場、いわば経営企業体のようなものをつくって、あるいは農業法人のようなものをつくって、その地域地域に合った農業経営を目指そうではないか、あくまでも個人は個人でやっていく、個人の土地は個人で守る、これじゃ本当に多面的機能を求められている今の農業には合わない、だから福光町というところは自治体も一緒になってその農業経営について研究、検討をしている、こういうことも実は聞いてまいりました。
 そのときに一番大切なのは何か。おっしゃったのは人材の育成であります。その地域、その集落で中心になる人を育てていかなかったらその構想は成り立たない。したがって、福光町ではそういう人が一人でも多く育ってもらうために今一生懸命努力をしている最中だと、こういうことも実は聞いてまいりました。そういう意味では、まさにこの農地法とあわせた、そういう集落営農にふさわしい人材あるいは法人にふさわしい人材、そういう人たちがこれから大事になる、そういう人たちを育てる政策も必要だというふうに思っております。
 それからもう一つ考えてくださいと言われたのは、幾ら農家が頑張っても、生産を上げても、大事なのは、消費をしてもらえない、いわゆる需要の拡大が全く今の政策では見てとれない、需要の拡大があってこそ初めて自給率の向上も必要になってくる、このように言われました。
 みんな当たり前のことかもわかりません。しかし、大臣がさっきおっしゃいましたように、知らない者が知っている人に聞く、これが質問だというふうなさっきのお話もありましたように、私は知らないものですから、こういうことをすべて感動を受けて帰ってきたわけでございます。
 そういう意味で、生産者の、現場の人たちがいろんな経営形態を模索しながら頑張っておいでになるということをぜひ認識をしていただきたいな、そして政策に生かしていただきたいなというふうに思いますが、一つだけふんまんやるせない気持ちを聞いてくれと言われました。それは何か。
 先ほど、減反をして大豆を生産した、天候のせいもあって大豆が豊作になった。ところが、一生懸命頑張っていい大豆をつくろう、いい商品をつくろうと思ってやった大豆が、物すごく暴落をしてしまった。これは一体どういうことですか。日本の大豆の自給率は三%、基本法では一五%にまで持っていこうという方針を打ち立てながら、一方で、大豆が豊作になったらその大豆の値段がどんと落ちてしまうというような政策だけは我慢できないというふうに言っておりましたので、ぜひ聞いておいていただきたいし、今後の政策につなげていきたいなというふうに思っております。
 一気呵成に十三分ほどしゃべらせていただきました。これはまさに現場の声でございますので、聞きおく程度ではなくて、ぜひ政策に生かしていただきたいというふうに思っております。
 そこで、法案の質問に入らせていただきますが、若干ダブる部分もございますので、ダブる部分は先ほどお答えをいただきましたので割愛をさせていただきながら、まず一点目には、耕作者主義というのをこの農地法で貫いておると私は思います。この改正によって耕作者主義、これが守れるのかどうか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。経済界からは、もう耕作者主義の農地法というものを見直すべきではないか、こういう声も聞こえてまいります。そういう意味で、耕作者主義というのはこの農地法改正で守れるのかどうかお聞きをいたしたいと思います。
#100
○政府参考人(渡辺好明君) 耕作者主義の問題でありますが、確かに経団連から平成七年十月に、農地法のよって立つ耕作者主義の見直しに着手すべきであるという、そういう主張がございました。
 私どもは、農地法の第一条で農地を適正かつ効率的に耕作する者に権利の取得を認めるというふうに書いてありまして、その要件として、農地のすべてについて耕作をする、効率的に利用して耕作をする、それから、必要な農作業に従事すると、これが三条二項に書いてあるわけであります。これはやはり、我が国の農業の発展のみならず、地域の活性化という点でも不可欠な要素であるというふうに思っております。農業経営の発展というのは、日本のように水や農地を合理的に利用しながら集落単位で、先ほど集落営農という話もございましたが、やっていくわけでありますので、こういった農地法のいってみると基本的な枠組みをなしております耕作者主義は今回の農地法改正でも変更しないということにしております。
 株式会社の話が出ますが、株式会社形態の法人につきましても、今申し上げました三原則につきましては、これを貫く形で耕作者主義にのっとった株式会社形態を認めようということでございます。
#101
○谷林正昭君 耕作者主義というのは貫けるというふうに認識をさせていただきます。
 ということは、今ほどありましたが、なぜ経済界から規制緩和を言われているのかというのがポイントになってくるというふうに思います。私は、これまでの政策でいえば、本当に農地が減少している実態、これをどう認識しているのかというのがポイントだというふうに思っております。
 先ほど言いましたように、現場で頑張っている生産者の方は、農地こそ基本である、農業政策の根幹である、そういうことをおっしゃっているように、農地の減少が非常に心配だ、あるいは厳格な転用規制、こういうものが非常に大事だということを方針として出しております。
 そういう意味で、もう一度お聞かせいただきますけれども、なぜ経済界から規制緩和を言われなければならないのか、ここらあたりしっかりとした答弁をお願いしたいというふうに思います。
#102
○政府参考人(渡辺好明君) 経済界からの規制緩和によって今回の農地法を改正しようとするものでは決してないんです。
 私たちは、農地法が二十七年にできて、それ以来いろいろな手当てをしてまいりましたけれども、今日の農業実態が、担い手が減少し老齢化をしているとか、耕作放棄がふえているとか、地域の集落がなかなか維持できないとか、そういうふうな状況の中でこれから日本の農業を自給率を高めながら持続的に発展をさせて農村地域も振興しようと、こういうことなわけでございますので、いわば農業内部から具体的に盛り上がってきた要請に応じて農地法の基本理念である耕作者主義の範囲内において法人化の推進をしようとするものでございます。
 もちろん経団連、今、私、平成七年の耕作者主義の見直し着手という話を申し上げましたが、それ以外にも、平成十年に思い切った緩和ということで事業の自由化、出資の総量規制の緩和、株式会社を認めることなどなど出てまいりましたけれども、私たちがここまでたどりついた経緯は、もう五年、六年になりましょうか、一番大きなのは基本問題調査会の検討も経まして今日ここにたどりついたわけでございます。地域の実情に即した農業経営の法人化の一層の推進ということで、株式会社一般は認めずに、より集落に根差した耕作者主義のもとでの農業生産法人制度の拡充強化ということになったわけでございます。
#103
○谷林正昭君 農地、農業を守るというのがやっぱり基本でありまして、基本法もしっかりしたものができたというふうに思いますので、ぜひそういう観点で今後も進めていかなければならないというふうに思います。
 それでは、この農地法改正によりまして、端的に申し上げますが、この法律は中山間地の放棄地に具体的に役に立つのか、そういうふうに率直に申し上げたいというふうに思います。直接支払い制度だとかいろいろございます。ございますが、まさに中山間地で意欲を持って農業をやっていくための役に立つ法律でなかったら私はだめだというふうに思いますので、そこらあたりを端的にお答えいただきたいと思います。
#104
○政府参考人(渡辺好明君) 中山間地域農業の問題は、もう古くなりますけれども、特定農山村法を国会で御審議いただきましたときにもかなり突っ込んだ討論が行われました。その中で、やはり中山間地域等は、清浄な水、冷涼な気候などを生かして新規作物を導入する、あるいは有機農産物その他の生産、加工、販売を通じて特徴のある農業の生産が可能なんだということが一つの結論になっております。可能なんだということと、それを可能ならしめるための手法。そして一方、現実は平地地域に比べれば耕作放棄率が二倍ぐらいになっているわけです。ですから、ここをやはり抜本的に手を入れていかなければならない時期に来たということでございます。
 そのうちの一つが基本法をよりどころとした生産格差の不利の補整ということでありまして、これはいわゆる直接支払いということで、条件不利地域に対してコストの格差の範囲内において交付金を支出するということでございます。これはかなりの効き目があると思います。
 それから、中山間地域ではやはりどこでも非常に苦労しておりまして、地方公共団体がそこで第三セクターをつくったりすることによって何とか農地を守っているという現状がございますので、これが農地の管理をするだけではなくてみずから農地を保有する、そしてそれを法人化するということで、より一層手法が拡大をするということも考えられます。
   〔理事金田勝年君退席、委員長着席〕
 この中山間地域において法人化をされた方々に、例えば地方公共団体が一定の出資をして下支えする、そういうふうなこともやはり持続ある生産をもたらす、そしてそこで一生懸命我慢をすれば先ほど申し上げた特徴ある農業生産に移っていける道を切り開くという点で、もちろんこれ単独ではありませんけれども、効果はかなりあるのではないかと私どもは期待しております。
#105
○谷林正昭君 今ほど局長おっしゃいましたように、私もまさにこの法律を起爆剤として、地方公共団体も積極的に下支えをする役割に、政策誘導も必要ではないかなというふうに私は思います。
 次に、ちょっと角度を変えまして質問をさせていただきますが、この法律は言ってみれば大規模営農を促す方向の法律改正ではないかなというふうに一方では受け取りました。そういったときに土地の売買というのが必ず絡んでくると思います。悪徳不動産ブローカー、こういうものが入る余地はあってはならないというふうに思いますので、そういう入り込む余地をゼロにする担保がどこにあるのかお聞かせいただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事金田勝年君着席〕
#106
○政府参考人(渡辺好明君) まず第一の前提として、いかなるケースであっても農地の権利取得に当たりましては農地法の許可が必要であります。したがって、この許可を厳正に行っていくということが第一条件でございます。
 それから、さっき先生のお話の中に農業委員会に持ち込まれるときにはもう手おくれだという話もございました。ですから、常日ごろからそういった状況を情報交換したり話し合ったり、あるいは農業委員だけで足りない巡回みたいなこともやっていくようなシステムがこれからは必要なのだろうと思います。
 私たちは、今回のこの改正にあわせまして、地域における協議の場ということで、農業委員会系統組織も農協系統組織も、ぜひそういうものをつくってくれという要請のもとにスタートしたわけでありますけれども、市町村、農協、農業委員会、農業者の代表の方々を入れた地域協議の場を地域の実情に応じてつくることになっております。こういったところがやはり農地の隅々にまで目を配ってやっていくこと、その上で今おっしゃられた懸念の一つについては農地法の厳正な運用でやっていくということでございます。
 今回、特に農地の権利移動に関しましては、農業生産法人制度の見直しにあわせてかなりチェック機能を強化いたしておりますので、これを厳正に取り扱うこと、そしてさらに、その入り口だけではなくて、農地を取得した後もしっかり見ていくというふうなことで対応したいと考えます。
#107
○谷林正昭君 ぜひその対応をこれからやっていかなきゃならぬというふうに私は思います。
 もう一つ、大きく角度を変えまして干拓地についてお尋ねをいたします。
 干拓地というのは農地にするために干拓をして、これまでも非常に多く頑張ってこられた、そのように思います。政策としては必要な政策だったというふうに思います。
   〔理事金田勝年君退席、委員長着席〕
 ところが、今ある干拓地の中で、いわゆる農地として活用されずに、わかりやすい言葉で言いますと、売れ残っているといいますか農作物が生産されていない土地、こういうのはどれぐらい全国にあるか教えていただきたいと思います。
#108
○政府参考人(渡辺好明君) これは国営干拓に限った話でありますけれども、国営干拓の事業地区で造成された農地、これを通称配分農地と言っておりますが、配分農地は二つの手法がありまして、一つは希望する農業者の方々へ直接配分をする、これは一般配分と言っております。それから、とりあえず農地保有合理化法人に配分をして、その後農業者に売り渡しをするということでありますので、制度的に申し上げますと、国段階では国に所有権が残っている農地というのはゼロです。
 ただ、農地保有合理化法人に対しては、代表例で言いますと、八郎潟、河北潟、中海、笠岡湾の四つの干拓地区で千四百ヘクタール余を配分いたしておりますが、その農地保有合理化法人から実際に農業者に売り渡されましたのは七割の九百九十七ヘクタール、したがって千四百五ヘクタールから九百九十七ヘクタールを差し引きますと四百八ヘクタール、総配分面積の三%がまだ農地保有合理化法人の手に、つまり県の農業公社の手にあるということでございます。
#109
○谷林正昭君 それから、諫早湾の干拓が今実施をされております。これは千五百ヘクタールというふうに聞いておりますが、完成といいますか、配分できるのは何年ですか。
#110
○政府参考人(渡辺好明君) 年次ですか。
#111
○谷林正昭君 年度。
#112
○政府参考人(渡辺好明君) 実は、諫早の干拓は工区を二つに分けまして、早いものは十五年、つまり平成十四年度末に仕上げる予定にしております。それから遅いものは、これは東の工区になりますけれども、平成十八年度に完成をさせることになっておりますので、二段で完成をさせて売り渡すということになります。総面積は、農地としてのベースで千三百ヘクタール、農業用施設用地や宅地等を含めますと千四百ヘクタールという面積になります。
#113
○谷林正昭君 そうしますと、平成十八年までに約二千二百ヘクタールがあるというふうな計算ができます。
 私の言いたいのは、この農地の活用こそまさに食料の自給率を高める切り札になる、あるいは低コスト化に向けての切り札になるのではないかというふうに思いますが、干拓地に対して、この今の農地法改正で株式会社の参入というのが適用されるのかどうか、ここをしっかりお聞かせいただきたいというふうに思いますので、お答えいただきます。
#114
○政府参考人(渡辺好明君) 干拓の場合の農地の配分なんですが、これは実は、初期の配分というのは土地改良法に基づいて配分をされることになります。したがって、農地法ではないわけです。ただし、農地保有合理化法人、つまり県の公社に売り渡したものが次に農業者に渡りますときには農地法の手続で配分をされることになります。これは配分というか売り渡しということになります。
 その場合の売り渡し相手先というのは、当然地域の農業の実態やアンケートをとりながらやるわけであります。これまでは一般農家が中心でありましたけれども、現在、諫早地区について何回かアンケートをやっておりますが、近隣の農業生産法人からぜひ大規模な営農をしたいというふうな御希望もございます。農地法上の手続としては、個人であると法人であるとを問わず、農地法上の条件をクリアすれば売却が可能でありますので、今後は農業生産法人に対する売り渡しということも当然地域の実態に応じ視野に入れていかなければならないと思っております。
#115
○谷林正昭君 今ほど答弁ありましたように、私も、土地条件のよいところにはまさに農業生産法人などのいわゆる担い手がいる、農業をこれから頑張っていきたい、こういう人たちがそこに入っていって、そして効率的な農業経営あるいはそういうものを実現していくべきだというふうに思いますが、今ほど局長の方から答弁いただきましたので、私もそういうふうに思っておりますので、ぜひそういう一つの政策としてつくり上げていただきたいなというふうに思っております。
 次に、この法律、賛成、反対いろいろございます。参考人の方々の意見も聞かせていただきました。
 そこで、この法律施行を一番待ち望んでいたといいますか、一番歓迎をするといいますか、こういう方々がどういう方々なのか、ぜひそれをお聞かせいただきたい。これが非常に賛成、反対、民主党は賛成をしたいというふうな態度表明もさせていただきましたけれども、一番目安になるのがどういう方々が本当にこれを待ち望んでいるのかということだというふうに思いますので、率直にお答えいただきたいと思います。
#116
○政府参考人(渡辺好明君) 事務当局にそういう御質問をいただきますとなかなか苦労するわけでございまして、私どもはいろいろな方々、多くの方々それぞれに歓迎をされるというふうに思っておりますけれども、やはり一つは経営をこれから大きくしてマーケットの需要に積極的にこたえたいという、現に農業生産法人である有限会社を営んでおられる方々がかなりこれから手足が伸ばせるなと、こういう感じで歓迎の声が高いと思っております。
 それから、割方農業者の中でも、これから法人化をしようというときに、法人化をする場合にお金も借りなきゃいけない、人も来てもらわなきゃいけないということで、ここまで例えば株式会社の形態が認められるのであるならばということで、農業をやっている仲間がこれから法人をつくるときにはなかなか道が開けたなという感じがすると思います。
 そして三番目には、耕作放棄地などが多い中山間地域における活動、これは多分市町村や都道府県からかなり歓迎の声が上がるのではないかなというふうに思っております。
 参考人の意見陳述も聞かせていただきましたが、まだ私どもの考え方の浸透が足らないというふうに思っておりまして、相当その不安も残っているというふうに思われますので、そういったところは一つ一つ解きほぐしていきたい、これによって歓迎の輪も広がるのではないかなと思います。
#117
○谷林正昭君 局長、勘違いしてもらっちゃ困りますけれども、私は事務当局に聞いているんじゃないんで、政府に聞いておりますので、それは勘違いしていただくとちょっと困ります。
 大体、私もこういう方々が今の法律をもとに、また一段意欲を持って頑張られる、あるいはそういう組織をつくろうという仲間をふやす、こういうふうに向いていくんではないかと思っておりますし、先ほど御紹介いたしましたように、実際に携わっている人たちも新しい方策を考えている。
 そしてまた、先週の金曜日の日にもっと多くのこういう中核農家の方々が集まりまして、もしこの法律を使って法人化したり有限会社をつくったり、あるいは市町村にも入っていただいてつくった場合、集落営農に協力していただいた場合、税制がどうなるのかとか帳簿のつけ方がどうなるのかとか、こういう勉強会を開いておいでになりました。そこへも行ってきました。
 非常に前向きな考え方で、多くの若い人たちが、若いといっても一番働き盛りの四十から五十代の方々です、こういう方々が本気になって農地法改正に向けてそういう勉強をしながら、いざ法律が動き出すときに仲間づくりをして新しい農業経営形態を考えよう、そういう準備もしてきた真っただ中に実は行ってまいったということも御紹介させていただきます。
 そこで、先ほども言いましたように、そういう方々であってもやはり心配しているのは、投機的に農地が取得をされ、それがいつの間にか農地外に転用されていく、あるいは投機的に取得され、いわゆる利益が上がらなくなったらその大きな会社が撤退をしてしまう、そしてそこが放棄地になってしまう、このようなことが一番心配だと、こうおっしゃっておりました。
 そういうことで、ここらあたりはポイントだというふうに思いますので、大臣にこの懸念を払拭できるのかというところをぜひお聞かせいただきたいと思いますし、先ほどいろいろな方々の声を聞いてきて私の方から例を挙げさせていただいたり心配な問題を述べさせていただきましたが、もしそのことについて感想があれば大臣の方からお聞かせいただいて、大臣に言ったら大臣はこういう答弁をしたよ、こういう考えを示してくれたといってまた行けるようなひとつ配慮もお願いしたいなというふうに思います。
#118
○国務大臣(谷洋一君) きょうは、当初に十三分間にわたりまして現地の声を聞かせていただきましてありがとうございました。ここは参議院の農林水産委員会でございますけれども、何か農家の軒先でお話を聞かせていただいておるような感じを受けました。
 私自身もよく農家に参りましてお話を聞くんですが、ちょっと経営規模が私どもの選挙区とはけたが違いまして、本当に大きい経営を意欲的にやっていらっしゃるなという感じを受けましたが、そういう方々の危惧されることにつきましては我々も真剣にきょうまで考えてきましたし、万が一のことがあっては大変でございますから、今の声を十分尊重したいと思います。
 それから、ただいまのお話でございましたが、この議論は与党三党におきましてもそういう議論は強くございましたし、また衆議院の委員会でも危惧するところがございました。心配していただくのは本当にありがたいわけでございますけれども、私どもは絶対にそういうことがないという前提に立ってこの法律をつくりましたので、その点、御信用いただき、我々にも心配するところはないと言うだけの自信がございます。
#119
○谷林正昭君 どうもありがとうございました。大臣の前向きな考え方を早速帰ってそういう頑張っている人たちに伝えて、この後も農業を守っていっていただきたい、このようにお伝えさせていただくことをお誓いして、若干時間が残りましたが、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#120
○谷本巍君 初めに構造改善局長に伺います。局長よろしいですか。
 株式会社参入のメリットについては、規模拡大と農業の活性化、信用力が株式会社で増す、経営の多角化への道も開くことができる等々のことを政府は挙げてこられました。どれを見ても全部が全部経営効率上の話ですね。
 そこで私、伺いたいと思いますのは、新しい基本法は古い基本法とどう違うのか。違ってきておりますのは農業の多面的役割を重視していくということであります。農業の多面的役割を重視するということは、国土や環境や地域社会の形成等々、これをやり得るのは土地や労働や経営が地域に根差した家族経営なればこそやれることであります。そうであるにもかかわらず、なぜ新基本法実施の柱ともいうべき地域農業づくりに向けての構造政策のトップに株式会社参入問題が出てきたのか、その理由を承りたい。
#121
○政府参考人(渡辺好明君) これまでも御説明をいたしてきておりますけれども、今回の農地法の改正の目指すところは、効率的かつ安定的な農業経営の育成と並んで地域農業の活性化というところにございます。また、今回の改正内容は、とかく株式会社の部分のみが強調、喧伝をされておりますけれども、生産法人制度全般にわたりまして時代の変化に即応した大きな改善がなされるわけでございます。
 他方、新しい基本法では、食料の安定的供給の確保ということと同時に、農村で農業生産活動が行われて持続的にそれが振興するということを通じて多面的な機能が発揮され、したがって地域が振興するというふうに位置づけをされております。
 現実を見ましても、高齢化によって耕作放棄や過疎化がかなり進展をいたしております。今回の改正を踏まえまして、こういった地域におきましては、担い手の農業者の方々が中心となって組織をする生産法人が活躍をすれば、耕作放棄地の解消であるとか雇用の創出を通じて地域の農業が持続的に発展をし、多面的機能の発揮、そして農村地域の振興が図られると、それを目指したものでございます。
#122
○谷本巍君 ちょっと今のお話だけでは納得いかぬのでありますが、話は先に進めていきましょう。
 構造改善局長は、十一月二日の衆議院の農林水産委員会で、株式会社の新規の参入はないというぐあいに言いながら、既存の有限会社や個人経営が株式会社化することが考えられるということを述べておられます。とするなら、株式会社形態を農業法人に追加するメリットは一体何なのか。しかも、農業法人の要件緩和とあわせ、農業法人の適合性を担保するためとして、既存の農業法人にも毎年事業報告義務を課すことにしております。これはなぜなのか。株式会社の新規参入はないとする理由も含めお答えいただきたい。
#123
○政府参考人(渡辺好明君) 株式会社の参入という意味合いをもう少し具体的に申し上げますと、一般の株式会社が農業生産法人になる、こういうことになります。農業生産法人になるためにはどういうことが必要かといいますと、みずからの事業内容につきまして株式の譲渡制限をしなければならないとか、それから幾つかの農地の全面耕作あるいは効率的利用、さらには農作業従事といったいろいろな要件が付されるわけでございます。言ってみれば、みずからをかなり縛って窮屈にして初めて可能になるということでございますので、こういった事態はまずは考えられないだろうと、ここが一般の株式会社の新規参入はないというところの論拠でございます。
 それから、ではなぜそういう状況の中で株式会社を農業生産法人の一形態として認めるかという点でありますけれども、二つございます。
 一つは、現場からかなりの声が上がっております。経営者の意見を聞いたところ、資金調達、人材確保、販路の開拓の面で株式会社が有利だと、これは言ってみれば感覚の問題でありましょう。
 それから二つ目には、制度上の問題があります。有限会社までの形態要件を株式会社にするということでありますが、制度的に考えまして有限会社と株式会社の間には、株式会社の場合には構成員の数に制限がないから多くの人々に参加を求めることができる、それから定款を変更しなくても資本の増額が柔軟に可能だ、取締役会の権限が大きいので機動的な運営が可能だと、こういうふうな制度上のメリットがあるわけでございます。
 したがって、ここからがポイントでありますけれども、すべての農業生産法人がそれを志向するかどうかは別であります。ただ、選択肢の幅は広げたいということでこういうふうな改正を提案させていただきました。
 その結果、この農業生産法人につきましては既存のものも含めまして報告義務を課すわけでありますけれども、この点についても二つ申し上げますと、一つは実績がございます。これまでの農業生産法人も、農地法の三条許可を出す場合には十年間実施状況の報告義務を課することができるという規定がございまして、この実績は一定程度ございます。それから、今回、この組織形態のほかに構成員要件、事業要件等々大きく改正をいたしておりますので、その状況をチェックするためにはやはりこうした報告義務その他が必要ではないかというふうに考えた次第でございます。
#124
○谷本巍君 局長と後でまた少し議論をさせてもらいたいと思うんですが、確かに法律上、制度上の問題としては株式会社の一般的な参入は私もないと思います。ただ、私が言うのは経済上の問題です。今、株式会社が農業生産に投資をして今の高い地価のもとでやっていけるかというと、そうではない。ですから、経団連は黙っているんですよ。
 現行の農業政策というのは、家族農業政策を前提にして、家族農業を守るという立場でもって、貿易政策も含め、農政全般がそういうことで行われている。ですから、株式会社が入れるような条件が整備されていないと、こういうふうに言ってよいのです。
 そういう経済上の問題と制度上の問題というのは相関連し合うものであります。この点については後で議論させていただきますので、先に議論を進めさせていただきたいと思います。
 この際、最後にもう一つ局長に聞いておきたいのは、新しい基本法をつくるに際して、先ほど申し上げたような農業の多面的役割をどう重視するかということとの関連で、例えば構造政策について言うならば、規模拡大についてはどの程度が限界なのかといったような議論等々がこの委員会でもなされてきておるところであります。その種の考え方というのは局長から全く出てこない。これは一体どういうことなんですか。
#125
○政府参考人(渡辺好明君) 質問の趣旨を必ずしもきちんと掌握しているかどうかでありますけれども、多面的機能の発揮というのは、結局のところ、日本の農業では農業生産が持続をするということが前提であります。全くの自然の状態にほうっておけばいいということではなくて、農業生産がそこで行われていることが多面的機能の発揮につながり、農村が振興するという、そういう文脈なんだろうと思います。
 そうなりますと、農業生産活動を良好な状態で継続をさせるにはどうしたらいいかというところを一番最初に考えなければならないわけであります。現状を見ますと、中山間地域等を中心に農業生産活動の持続が困難になっている、集落の維持が難しくなっているという地域があるわけでございますので、そこにやはり活力を与えるということ。そのためには、そこで活動をする方々に、個人であろうと法人であろうと、もちろん集落との調和をきちんと考えなければいけませんが、個人であろうと法人であろうと、活動の幅、選択肢を広げてやるということが大事だということに私どもは結論がなったわけでございます。
 ただ、また後ほど御議論がありましょうが、その場合に生じるであろう、あるいは認識されるであろう懸念については十分なる払拭措置をとらなければならないということで検討をスタートいたしました。
#126
○谷本巍君 さて、そこで大臣に伺いたいのでありますが、農業のあり方を規定するのは、基本的には、一番重要なのは農地制度のあり方であります。そして、日本では家族経営ということを基本にした農地制度がつくられてまいりました。こうしたあり方は、地域社会の形成から国民生活と文化の形成等々にさまざまな関連性と影響を及ぼしてまいりました。そんな意味では、新しい基本法が食料・農業だけじゃなくて農村という文字をタイトルに入れたことを私は重視すべきだろうと思います。
 といいますのは、市場原理が徹底されていきますと、人と人との関係がばらばらにされていく。容赦なく人減らしが進んでいく。また他方では、家庭や地域が崩壊状況にさらされていくというような状況が今顕著になりつつあります。
 日本の地域社会を形成してきたものは農村における家族農業でありました。都市部の場合には、それの延長として商店街等々がその重要な役割等々を演じてまいりました。そんな中で今、商店街が閉店街と化すという状況が各地に発生してくる中で、次は農村がそうなってくるのではないかということが言われ始めております。それだけに、農村社会をこれからどう守っていくのか。
 その意味で、農地制度のあるべき姿というのをどういうふうに描いていくかということは極めて重要なことだと思います。ここで大臣の所見を承りたい。
#127
○国務大臣(谷洋一君) ただいま経験に基づく私にとりましては非常に有益なお話をお聞かせ願ったんですが、私はやはり時代の変遷によって農業の形態も変わってくると思うんです。いわば、戦中の向こう三軒両隣といった隣組組織というのが今は崩壊しておると思います。しかし、崩壊ということが実に情けないことかというと、やっぱり今は今の取り組み方をやっていらっしゃることがだんだんとわかってまいりました。そういう意味におきまして、農地法を戦後つくられた当時は、地主、小作という関係からああいう制度ができて、そして自作農という言葉がはやりました。しかし、今度は耕作主義になっております。そういうことから考えると、自作農のときにはいわゆる家族労働、家族主義というものが言われましたが、私は、やっぱり家族主義、家族労働というのも今の時代におきましては最も大切なことだと思います。
 なぜなら、北海道が大規模農業といいますけれども、しかし今女性の方でもどんどんと大きな機械を使われる時代になってまいりました。これは、私が一昨年アメリカに参りまして、農村を視察し、農家に行きましたときにも、やはり大きな農機具を女の方が使っていらっしゃる。しかも五十前後の女の方が使っていらっしゃるのを見て、若い人ならわかるけれども、かなりお年の方が使っていらっしゃるなという私は感を受けました。しかし、それはアメリカにはもう定着しておるんだと、こういうことをおっしゃいました。それと同じように、日本にも家族農業というのがまた専業農家と一体のものになっていくと私は思っておるんです。
 そういう意味におきまして、変化はあります。変化は確かにありますけれども、その変化というのが、崩壊という意味でなくて変化だというふうに思っておりますので、私は、今の農村の姿が、兼業農家が多くなって困るということもよく聞きますけれども、ある社会の一端では困るところもあるかもしれません。しかし、私は、農村という立場から、いわゆる農業という立場から農村を考えた場合にはやむを得ないことではなかろうかというふうに思っております。
#128
○谷本巍君 次に、同じような質問になろうかと思いますが、政務次官に伺います。
   〔委員長退席、理事金田勝年君着席〕
 日本の農業は、申し上げるまでもなく、水の共同管理や労働力の結いを通して、そこに相互補助的農村社会を形成してまいりました。そういうあり方は、日本の社会と文化の形成について独自なものを生み出してきたと私は思うのです。
 数年前、アメリカからお帰りになったある著名な方がこう言っておりました。東京じゃ、新宿にしても六本木にしても夜遅くまでにぎやかだが、犯罪がほとんど起こらない。アメリカへ行ってごらんなさいよ、ラスベガスを除いて、大体、大抵普通の都市だったら夜八時過ぎは一人で歩かぬでくれと言われると、こうおっしゃっておりました。なぜそれじゃラスベガスが安全なのか。暴力団が仕切っている町だからですよ。そして、その先生はこう言いました。早くから家族農業をつぶしてきたところと家族農業が今なお生きているところの違いでしょうなと。これは社会形成上の問題ですね。こういう話をしておられました。
 私どもが世界に誇れるものは一体何なのか。世論調査でトップどころに出てくるのは、治安のよさ、それからもう一つは風景が出てまいります、景観が。二つともこれは日本の農地制度、家族農業が生み出したものだと私は言っていいと思うんです。
 世界に冠たる日本の中小企業にしたって同じようなことが言えるんじゃないでしょうか。大型の自動車を輸入して、今度は小型で勝負をしていく。テレビがそうですね。ラジオもそうだ。つまり、日本農業におけるきめの細かな小農技術、その延長線上に中小企業のそれが見られるとする見方が多いのであります。バブルの前に日本を訪問した、企業視察に来られた外国の皆さんが一様に言われたのは何なのか。中小企業の絶妙なネットワークですよ。例えば、不況のときにはお互いに協力し合う。大企業の縦割りの系列化されたそれとは違った、もっと弾力のある、そういうものが物づくりにおける日本の中小企業の強さなんだという指摘がありました。
 二十一世紀はさらなる市場原理の徹底とグローバル化が進む時代だと思います。しかし、それ以上に強まるのは、共存と助け合うこと、地域と人の思いをつなぐネットワークの形成、これが私は重視されていく時代に入っていくと思います。
 その意味で、日本の農業が生み出してきた独自の文化を私は大事にしていくべきだろうと思うんです。アングロサクソン文化に押されて、農業も米国小型版ではこれはおかしいんです。そういう意味では、農地制度論議には日本農業のあり方、農の持つ文化を大事にしていく論議というものもこれまであったと思うのですが、その点いかがでしょうか。
#129
○政務次官(三浦一水君) お答えいたします。
 谷本委員御指摘のとおり、農村におきましては、農業の水管理あるいは農地利用等の面で地域の農業者がお互いに助け合い、これによりまして社会が成り立ってきたという歴史が厳然としてあります。また、農村における農地制度の役割も非常に大きいものがあると考えております。
 私自身も国際企業と言われます電機メーカーに勤めの経験を持ちまして、その際に何が一番我々の武器かということ、これは私見ながら感じたのは、お互いやっぱりきついところは、残業の手当がどうあれというと語弊がありますが、そういう気持ちで協力をし合って、実は国際企業と言われる企業でありましたが、一番の強みはそういう協調的な会社の中での取り組みではないか、そのもとも農村社会に根づくものだろうと実感をした経験がございます。
   〔理事金田勝年君退席、委員長着席〕
 そういう中で、食料・農業・農村基本問題調査会におきましても、株式会社の土地利用型農業への参入について議論があった際に、委員御指摘のとおりの株式会社一般について、周辺の家族農業経営と調和した経営が行われず、集団的な活動によって成り立っている水管理あるいは土地利用を混乱させるおそれがあるんではないかとの懸念も指摘をされております。
 農業者が中心となって組織する地域に根差した法人であることを今回のこの改正案は基本原則といたしております。農業生産法人の一形態として株式会社を加えるということであります。あわせて、水管理あるいは農地利用等の農村をめぐる問題について地域の関係者が情報交換や意見を交換する協議の場を設けることとして、そのまた歯どめとするものであります。
#130
○谷本巍君 どうも農業問題をめぐる哲学的な議論というのはほとんどなされないままに来ているなというような印象を受けるのでありますが、ともかくも御丁寧な政務次官の答弁に感謝をしながら、続いて個別的な問題の質問に入らせていただきたいと存じます。
 生産法人の側からは安定的な売り上げをねらい、企業の側からは安定的調達を図っていきたい、そのために企業も出資をするというような状況になっていくだろうと思います。こうした中で、最大の出資者は企業になっていく可能性というのがかなりあるのではないか。企業は農業に、生産に直接参入はしてこないけれども、流通関係は極めて熱心であります。最近の西武流通の動きを見ても明らかであります。
 それからまた、企業から融資を受けますというと、そのためにまた企業支配というのが起こってきやしないかという気がいたします。これは杞憂ではありません。これまでの例を見ましても、技術提供や販路、あるいはまた肥料や種子の提供等々を通しての系列化の例が見られるからであります。
 そういう状況になってきますと、私がこれは困る状況が起こりはしないかなと思うことの一つは、法人の構成員や役員の要件緩和の要求が出てくる。これが出てくると、また耕作者主義は守れるかどうかという問題が出てきやすいですね。こうした事態が発生する可能性があるという状況の中で議決権の制限、これがあることは私もよく知っておりますが、こういう懸念を防ぐのにはそれだけしかないのでしょうか、いかがでしょうか。
#131
○政府参考人(渡辺好明君) 幾つかの御指摘があって、実質支配というお話が大項目なんだろうと思うんですけれども、支配ということを競争政策上分類しますと、構造的にどうであるか、それから行動がどうであるか、結果がどうであるか、この三つに分かれるわけであります。
 その構造部分につきましては、今回、譲渡制限のある株式会社であるとか、出資が二五%以内、しかも一出資者当たりでは一〇%以下であるというふうなことで、構造面ではきちんと縛っているわけでございます。したがって、出資の額が多額に上るかどうかというのはシェアの問題でありますので、農業者の支配権は厳然としてあるというふうに私は思います。
 二点目は、行動の問題であります。今先生が融資ということをおっしゃられましたが、この点につきましては、今回の改正がその道を開くとかどうとかというふうなことではなくて、現に個人であっても法人であっても、さらに有限会社であっても株式会社であってもそうしたことは起き得るわけでございます。したがって、それはむしろどういうふうに監視をするか、我々の場合には農地法でありますので、農地がきちんと利用されているかどうかという側面から監視をするかということでございます。
 そこで、政務次官からもお答えをいたしましたけれども、農業委員会の機能強化と並んで地域の協議の場を設けたいということでございます。そうしたことによりまして、あくまでも懸念をされている支配、転用、偽装参入という、この三つのうち支配部分については懸念を払拭するということでございます。
 要件緩和の問題は、これは法定化されておりますので、国会で御議論をいただきました制度をきちんと運用するのが私どもの務めでございます。
#132
○谷本巍君 どうもあなたの話は制度論というか法律論だけの話なんですがね。私が心配するのは、もっと実態論的な見方をしてほしいと思うんですよ。
 ここでもう一つ伺いたいのは、他部門が肥大化していった場合はどうなのかということであります。この肥大化によって、例えば雇用もふえるというような状況も起こってくるだろうと思います。それが地域経済の振興に結びつくのかどうなのかということが心配であります。
 例えば、北海道農業を見ていただきたいわけです。近代化、合理化、単作政策の先頭を走ってまいりました。そこでは単なる原料生産基地に徹するよう指導されてきた。生産と同時に加工が行われ、みずからの手で流通もやるといったような状況等々がありますというと、付加価値のかなりの部分というのが地域におりるような状況になってまいります。
 ところが、農業近代化のために相当の資本装備をする、そして外部支払いを行っていく、そして付加価値のほとんどを資本の側にささげていくというような形でありましたから、したがって近代化が進めば進むほど地域経済が逆に疲弊せざるを得ないとか地域社会が維持できるような状況ではない、過疎に似た現象等々が広がるような状況になってまいりました。
 そういう点で、他部門が肥大化してきた場合、これを地域の経済メリットということと結びつける手法についてどのようにお考えになっておるか、いかがでしょうか。
#133
○政府参考人(渡辺好明君) 二つぐらいのことを申し上げたいんですが、まず他部門が肥大化をするとということでありますが、他部門のシェアというのは売上高で半分というところに抑えられておりますので、あくまでも農業と農業関連業を中心とした農業が安定的に維持発展をされる、そのためにやはり経営の効率かつ安定をもたらす手法が必要だということであります。
 農業が持続的に農業関連業も含めて進みませんと、やはりこれがへたったのでは地域経済にも悪い影響を与えるということであります。流通、加工、販売部門に出ることによって雇用もまた生まれてくるわけでありますので、その点では私はむしろ地域社会の発展に寄与するのではないかなと思っております。
 例えば、基盤整備をして規模が拡大する、生産性が上がるために農業に従事をする人間の数が、これは雇いでもいいんですけれども少なくて済むといったようなときに、では浮いた労働力はいつどういう形で活用すればいいのかということになれば、それは事業要件が改定をされていればそこの分野に人を使っていくこともできる。むしろ、地域の雇用の是正、改善につながるのではないかなというふうに私は考えております。
 いずれにいたしましても、そのベースには農地を農地として効率的に全面的に利用するということがついておりますので、そこのチェックをきちんとしておけば地域に根差した土地を使った農業生産法人という性格は薄れないし、地域に貢献できるのではないかなと私は思います。
#134
○谷本巍君 次に、農地の国家買収の問題について伺います。
 農業生産法人が法人としての要件を満たさなくなった場合、最終的には国が農地を買収することになります。この措置は、株式会社等の安易な農地取得の歯どめとして、また法人撤退後の農地の有効利用を図ることからも重要だとされておりますが、もう一つ大事なことは、農地法の基本をなす耕作者主義を守る上でこの措置が極めて重大な意味を持つということであります。
 しかし、この措置は今までにはほとんど行われておりません。だから、多くの人は名ばかりの措置と呼んでまいりました。近年のような厳しい財政事情のもとでなおそうなりはしないかという心配があるのだが、その点、局長はどうお考えになっておりますか。
#135
○政府参考人(渡辺好明君) 実は、この国家買収というのは是正プロセスの一番最後に来る、先ほど来の答弁でいえば伝家の宝刀というふうなことに確かになります。
 それ以前に、随分いろいろな丁寧な手続を踏んで、先生おっしゃいましたように耕作者主義の大原則に立ち戻って、現に農地を効率的に耕作する方にあっせんをしたり勧告をしたりして渡していくということの方が、国が買収をしたとしても、いずれはそれをまた農業者にやらなきゃならないわけでありますので、その最終プロセス、プロセスの重視という点で設けられているものでありますから、そうしばしば発生をするものではない、過去の例は一例しかございませんけれども。予算の面でいえば、もしそうした事態が発生をすれば、必ずそれが実効あらしめられるように予算は確保する考えでおります。
#136
○谷本巍君 この問題は極めて耕作者主義が守れるかどうかという意味で重大な意味を持っておりますから重ねて伺っておきますが、今、局長が言われたのは最終プロセスのそれとしてというお話でしたね。それだけに、安い農地じゃない、どうしても高くならざるを得ないという条件が出やすいと思うんです。
 ですから、その点では価格問題には余りこだわらないでおやりになりますね。
#137
○政府参考人(渡辺好明君) 制度問題を申し上げますと、この買収は強制的に行われる性格のものでございまして、国が買収令書を交付いたしまして、対価は支払いまたは供託することになっております。近隣の農地価額を基準にいたしまして対価は国が決めることになりますので、そうした御心配はないのではないかなというふうに思いますが。
#138
○谷本巍君 それでは、もう一つ伺っておきます。
 今の時代というのは価格が低落していく時代であります。例えば米価で申し上げますというと、一割ずつ二年続けて仮に下がったとしますというと、生産性が非常に高くて所得率が六割の農業生産法人であったとしても、所得の方は三分の一減になります。これは大変なことですよ。ですから、これからの農産物価格の動向いかんによっては農業生産法人が一斉にもたなくなるという状況等々が出てくる可能性が高いんですね。全国にぽつりぽつりじゃなくて、一気に出てくるという場合だってあり得ると思うんですよ。
 そういう場合にもきちんとこの制度が備えることができるというぐあいに御答弁いただけますね、イエスかノーかだけで結構ですから。
#139
○政府参考人(渡辺好明君) 農業生産法人の育成、推進は農政の最重要課題でありますので、そうした決意で臨みます。
#140
○谷本巍君 次に、農業委員会の機能充実について伺いたいと存じます。
 先ほどの若林先生の質問に対して経済局長がお答えになっておりましたのは、農業委員会の制度研究会の制度の見直し改革プログラム、これを見て対処していきたいという意味のことを述べておられました。
 株式会社の農業への参入というやつは、株の譲渡制限に始まって多くの規制と新しいルールを設けております。農業委員会でいえば、株式会社の参入生産法人に対しての関連だけでいいましても、農地取得、これについての審査を行う、事業報告について必要あれば指導を行っていく、時によっては勧告も行う、さらにはまた立入検査も行うとしております。
 これを行い得るような農業委員会が果たしてこの日本にどれだけあるでしょうか。それは集落代表的な委員の皆さんがお集まりになっておるわけでありまして、法律上の問題についてはそんなに詳しい方はおりません。農地法は知っておりましても、農業生産法人に関連する法律や商法等々に詳しい方というのはそんなにいるものじゃありませんよ。つまり、今のままでは農業生産法人が私は対応ができないだろうと思うのです。ところが、先ほどの答弁ですというと、農業委員会の制度研究会、それの報告を待ってというお話ですよね。制度研究会がやっているのは何なんですか。基本にあるのは制度の再編合理化、これが基本でしょう。こういうことじゃ困るんですよ。
 私ども、この法案審議をやっていく中で一番重要なのは、この場合は株式会社の農業参入について、規制とルールというのはきちんと守ることができるようになるのかどうなのか、そのために農業委員会の機能がきちんと充実されるようになっているのかいないのか、ここのところなんですよ。ここのところが不明なんです。これでは法案の審議だってしようがないですよ。どうお考えになっておるのでしょうか。
#141
○政府参考人(石原葵君) 農業委員会の系統組織は二つ大きな仕事があろうかと思っておりますけれども、一つは、優良農地の確保及びその有効利用ということでございます。もう一つは、担い手の育成及び確保ということでございまして、これらの役割を重点的に果たすということが農業委員会系統組織に求められている第一の課題であろうかと思っております。
 我々、こういう系統組織、農業委員会系統組織がこういう役割を十分に果たせるようにということで、近年必要な補助事業の拡充を行ってきたところでございますし、今回の農地法の改正に当たりましても、農業委員会が農業生産法人に関する要件のチェック、その活動を強化できるようにということで、農業生産法人に対する指導、審査等の研修、それから巡回指導の増加等、こういうものを行ってまいりたいと考えているところでございます。十三年度予算要求におきましても、そのような考え方のもとに対応しているところでございます。
 なお、先ほど農業委員会の体制強化、それを越えて体制強化をどうするのかという御指摘がございましたので、この点につきましては、ことし二月の農業委員会等制度研究会、これを踏まえまして、全体としてこの農業委員会をどうするかということにつきまして、現在、系統組織と一体となりまして改革プログラムの策定をしていると。その中でも、農業委員会の機能強化の方策について検討してまいりたいということを申し上げたものでございます。
#142
○谷本巍君 それじゃ話になりませんよ。農業委員会周辺にやっぱり弁護士さんをどう組織化するか。それから、税理士だって必要ですよね。そういう組織化というのは私はあってしかるべきだろうと思うんですよ。それにまた、専門的に当たれる職員、これがなきゃならぬですよ。
 ところが、どうなんですか、四月一日、市町村に置く農地主事ですか、これは必置義務になっているのが解かれましたよね。この間参考人の皆さんを招致したときに、皆さんが共通的におっしゃっていたのは、やっぱりそういう専門的な職員がいなきゃやれませんよということでありました。ところが、政府はそいつをやめてしまっているんですよ。これは一体どういう考え方でそうなさっておるんでしょうか。
#143
○政府参考人(石原葵君) 農地主事の問題につきましては、そもそも農地主事を設けた趣旨といいますのは、農地にかかわる業務というのは非常に専門的なものだということで、ある程度の学歴を持った人を配置したいということでこの農地主事というものがもともと認められたということでございます。
 しかしながら、現在の市町村の職員の学歴、こういうのを見ましても、かなり高い学歴の人がそろってきているということで、農地にかかわるかなり複雑な問題につきましてもこなせるような体制が成ってきているのではないかということでございます。
 それともう一つは、この農地主事の問題につきましては、地方分権の中で町村会の方から、そういう人たちが育ってきていることもあろうかと思いますが、農地主事につきまして必置規制を廃止してほしいという要望があったものですから、この農地主事を置かなくてもいいよと、置かないということを地方分権の一環として行ったものでございます。
#144
○谷本巍君 どういう理由でやったかということは、それは分権でやったという話は私だって知っていますよ。だけれども、どうしてそういうことをやったんですかと言っているんですよ。だって、あなた、先国会からこの農地法というのは衆議院に出ていたんですからね。そして、農業委員会の機能充実というのが決定的に大事だということだってあなた方知っているでしょう。にもかかわらずそれを解いたというのはやっぱり問題ですね。そうじゃありませんか。
#145
○政府参考人(石原葵君) 先ほど来お話が出ておりますが、この参議院の農水の参考人質疑におきましてもこのような議論があったと聞いておりますけれども、御指摘のような株式会社形態の農業生産法人、これは必ずしも市町村で一気に設立されることにならないのではないか、それから一市町村当たり一人から二人程度で、この点は心配のように一気に増加することにはならないという、これは全国農業会議所の専務さんの意見陳述があったと聞いております。
 我々も問題は、そういう農業生産、一気に株式会社形態の法人がふえるということはないと考えておりますし、それに加えまして、先ほど委員の方から専門的な知識が必要ではないかという御指摘がございました。
 この点につきましては、別途の予算でございますけれども、十三年度予算要求の中で都道府県、これは県の農業会議というのがございますが、農業会議に経営改善支援センターというのがございまして、これを強化する予算も要求しているところでございます。この中では、このセンターにおきまして普及センター、農協、それから融資機関、各分野の民間専門家等の連携と役割分担のもとにいろんな農業に係ります経営診断、それから専門的な経営相談等を実施する体制を整備するというものでございますけれども、この中に、民間の専門家の中に税理士さんとか、弁護士さんというのはなかなかいないかと思いますが、公認会計士とか、そういう人たちを置くことによりまして、こういう人たちとの連携のもとにいろんな経営相談、経営診断を行っていきたい、こう考えているところでございます。
#146
○谷本巍君 構造改善局長の話は、話としてはつじつまは合っているんですよ。ところが、そういうつじつまを合わせることができるような実施主体の話になってくるというと、今のような話ではそれはとてもとても安心というわけにはいきませんね。このことを申し上げながら、先に進ませていただきます。
 時間が残り少なくなっておりますので、あとは結びという意味で若干の点を伺いたいと思います。
#147
○委員長(太田豊秋君) 大臣の答弁は結構ですか。
#148
○谷本巍君 大臣の答弁は結構です、時間がありませんから。遠慮いたします。
 構造改善局長に伺います。
 先ほども申し上げましたように、農業生産法人の一形態としての株式会社は耕作者主義の範囲であるというぐあいに局長は答弁しておられます。ということは、あくまでも家族農業が基本であって農業法人は補完的なものでしかないというぐあいに受け取っておいてよろしいですか。──大臣、それでは端的にお願いします。時間がありませんから。
#149
○国務大臣(谷洋一君) そのとおりに思っております。
 それから、先ほどの農業委員会の関係につきましては、経済局長としては自分の責任分担の立場から先ほどの答弁のとおりに答えておりますけれども、私どもから見ますと、例えて言えば私の選挙区では三市二十五町ございます。その中には、実際二千九百の町もあれば、あるいは一番多いのが三万何千、平均が一万ちょっとであります。 そういうことを考えてみると、今御指摘のように農業委員会がしっかりしておるかなどと言われたら、とても人員配置でしっかりした農業委員会はないんですよ。だけれども、市町村に一つずつつくるということになっているからつくっているだけなんですよ。こんなばかな話はないんです。だから私はかねがねから、(発言する者あり)いやいや、だから、真剣な話だ。だから私はこの農業委員会の改革については積極的にやれと、今度、将来は一郡に一と、こういうことを自治省の方では言っておりますけれども、それはできた暁の話であって、我々はそれに対応するものをどうしなきゃいかぬかというのを経済局長にも私は指示しておるんです。だけれども、そのことは私の指示ですからちょっと言えないというので言っておりません。だからややこしいんです、これは。そういうことでございます。
#150
○谷本巍君 現在の農地制度が基本であって、株式会社農業というのは補完的なものだということを大臣に肯定していただきまして、私、ほっといたしました。といいますのは、これまで局長の話を聞いてみるというと、あいまいなんですよ。多様化というもとで、これは家族農業もやっていきますよ、株式会社が入った法人化された農業もやっていきますよと、こういう話なんですね。それを素直に聞きますと、ははあ、そういうことで片一方で大きいのをつくって家族農業をつぶしていくんだなと。家族農業が成り立たなくなったら一番喜ぶのはだれなのか。地価が暴落しますから、そのときですよ、外部資本が入ってくるのは。それが一番怖いんです。どんなに制度が完備されていても、そういう条件が起こったときにこの制度が崩壊を余儀なくされる場合なしとしないのです。
 そこで、この際局長にもう一つ伺っておきたいと思うのでありますが、局長は先ほど家族経営から法人、これは農業生産法人のことですよ、法人へというのが一つの発展形態であると、こう言っていましたね。という考え方からしますと、その延長線上にある経営形態は株式会社一般ということになりはしないのでしょうか。あなたも御存じのように、現代社会は資本主義経済の社会ですから、それからすると、論理的には私はそういうことになると思うのだが、その点いかがでしょうか。
#151
○政府参考人(渡辺好明君) 家族経営の発展形の一つというふうに申し上げましたけれども、それは地域により、経営の内容によってやり方は違うわけであります。
 例えば、先ほどの富山県の例にもありましたけれども、農業生産法人がかなり活躍しているところもあれば、一集落一農場というやり方をしているところもございます。大臣の御出身のところでは一農業生産法人が集落全部を引き受けるというふうな特定農業法人というやり方をしているものもございます。発展というのは、いろいろな複線形で発展をしていくわけであります。そういう点で、株式会社もある経営にとっては到達点かもしれませんけれども、ある経営にとってはそうした道を選ばない発展の仕方もあるわけでございます。
 それから同時に、株式会社というのも種々ございます。参考人の意見聴取の中で株式会社を一つに定義するような御発言もありましたけれども、日本の株式会社百十万ありますけれども、そのうち百万は株式の譲渡制限がついた同族会社です。家族経営が失われないように措置をしているというのも実態でありますので、私は株式会社一般に最終的にはなるというふうには決して思いません。
#152
○谷本巍君 そうしますと、局長の答弁と基本問題調査会の言っていることは違ってくるんですよ。確かに農林水産省は、株式会社一般ということについてはかなり明確な考え方、判断を出してきた。ところが基本問題調査会は、株式会社一般の参入を認めることは合意が得がたいと、こう言っているんですね。合意が得られるなら株式会社一般も参入があり得るということなんですよ、この意味は。
 そこで私が思うのは、局長が言うように、家族農業の位置づけをあいまいにしたまま選択の幅を広げるということでやっていったら、先ほど申し上げたように、法人の株式会社農業生産法人と家族農業との競争関係になっていくでしょう。そこで淘汰の関係が生まれてくるでしょう。そしてまた自由化の圧力、これに屈すればなおそういうことになっていきますね。家族農業が滅んで地価が暴落したら、価格下落の先も読めるということになってきますよ。となったらどういうことになってくるのか。経団連は黙ってはいませんよ。そのとき経団連は恐らくこう言うでしょう。農業者内部からの株式会社はオーケーと言う、外部からの参入が何でノーなんだと。これに答えることができるでしょうか。そして、そういう状況がまさしく予測されるような時代に今はなってきているんですよ。そうじゃありませんか。
#153
○政府参考人(渡辺好明君) まず、前段の基本問題調査会の答申でありますが、これは随分いろいろな議論がございました。激しい議論がなされた結果の合意点でありますので、「合意は得難い。」という表現は非常に苦心の作だと思います。強い推進論があったこともまた事実であります。しかし、大多数はこれは合意できないということでありましたのでこういう表現になったと思っております。
 それから、今先生の御指摘になりましたことを進めてまいりますと、これは農地法の限界を超えます。農地法の限界を超えます。したがって、耕作者主義という理念を超えるわけでありますので、先ほど来耕作者主義は失わないと申し上げているわけでありますから、そこにきちんとした哲学上の歯どめがあると存じます。
 最後に、法人経営と家族経営相対立するかといえば、地域社会においては水と土地を合理的に利用するという関係が必ず必要であります。これがなければ多面的機能の発揮も農村や農業の持続もないわけでありますので、その際には、そこに居住をする大規模な農家、法人であるか個別経営であるか家族経営であるか兼業農家それから土地持ち非農家も含めて、地域社会全体が助け合い、調和をして社会が維持をされるという方向だろうと私は思います。そうでなければ農村地域は復活できないというふうに思います。
#154
○谷本巍君 局長、今農地法の限界を超える話だと、こうおっしゃいましたね。私は、そういう限界を超えるような状況が予測されるから、それなるがゆえに家族農業を基本とした農政をきちんとやっていく、そしてそのためにWTO交渉等々外交交渉もきちんとやっていく、その路線を明確に出していくことこそが今大事なことなんじゃないんですか。
#155
○政府参考人(渡辺好明君) その点につきましては、先ほど来大臣から再三御答弁申し上げておりますように、今までも、また今後も我が国においては家族経営が基本であるということは明確に私どもは思っております。そして、それを支えるものの一番重要な要素が農地法の耕作者主義でありますので、そこの点につきましては政府としては考え方は変わっておりません。
#156
○谷本巍君 衆議院での議事録から見ますと大分局長は答弁が明確になってまいりましたね。
 次に、MAIと農地自然資源の問題について伺いたいと存じます。これは経済局長になりますか。
 かつてOECDで秘密裏に進められた多国間協定づくりは、世界じゅうの市民団体とフランス政府等々の反対でアメリカの意のままにならず日の目を見ないままに終わりました。その後、アメリカの側は、この考え方は二国間交渉でもって生かしていくんだという判断を示しております。日本やEU等は、WTOの中でこの種の交渉をやっていこうというふうに言われております。
 それだけに、この多国間投資協定の中の農業問題で見てみますというと、天然資源、それから土地資源、これの完全自由化、投資の自由化、投資の補償をしなさいということがうたわれております。そして他方では、徹底した内国民待遇を要求しております。ということは、日本が国内の農業を守るための助成政策、これは自治体段階も含めてですが、これをやっていったら多国間投資協定違反になるんですね。違反の場合には外国資本が当事国の政府を相手取って裁判に付することができるというようなことになっておりました。
 そういう仕組みの中で天然資源の問題やそれからまた農地を含む都市の土地の問題が出ておりまして、これらの点について農林水産省はどのように対応してこられたか伺いたいと思うんです。
#157
○政府参考人(石原葵君) 多国間投資協定の問題でございますけれども、ただいま委員の方から御説明があったとおりでございます。
 OECDでこの投資協定の策定交渉が行われてまいりまして、九八年の十月に至りまして、交渉の中で検討される規律が主権を侵害するのではないか、これは特にフランス等が主張したものでございまして、そういう理由で一部の国、フランス等が離脱したということで中断している状況でございます。
 これまでのところ、この多国間の投資協定の交渉の中で農林水産業がどのように取り扱われるかにつきましては具体的に議論されたことがございません。今後、WTOの場を含めまして、関連する議論が行われる場合には、農林水産業に悪影響を及ぼすことがないよう関係省庁と連携をとりつつ、これは外務省はもちろんでございますけれども、建設省等も関係する問題であろうかと思います。こういう関係省庁と連携をとりつつ適切に対応していく考えでございます。
 いずれにしましても、先ほどお話がございましたように、今回のこの協定というのは、投資の自由化という観点から、外国からの投資家及び投資に対しまして内国民待遇あるいは最恵国待遇を付与するという、非常に我々農林水産業に関係する者としてはよく注意しなきゃならない事柄であろうかと思っております。この点、先生の御指摘も踏まえまして対応していきたいというふうに考えているところでございます。
#158
○谷本巍君 私、以前この多国間投資協定問題、外務省をここに呼んで質問したこともございました。それから、前の前の経済局長だったかにも質問したことがございました。答弁が大体あいまいもことしておりまして、何を言っているんだかさっぱりわからぬような答弁でした。あなたの答弁を聞いて大分変わったな、よくなったなというふうに私は思いました。
 そこで、局長にお願いをしておきたいのは、情報公開です。WTO交渉に向けてもそうでありますけれども、二国間投資協定の場合についても、農林水産関係の情報についてはやはりきちっと農林水産省が掌握をして、きちっと公開してやっていただきたい、このことをお願いしておきたいんですが、いかがでしょうか。
#159
○政府参考人(石原葵君) 現在は中断した状況でございますけれども、九八年の十月及び十二月に非公式の協議が行われております。その非公式の協議の中で幾つかの点、意見の一致を見た点がございますが、「今後の作業においては透明性を確保し、全てのOECD加盟国と関心を有する非加盟国の参加を得て取り進めて行くべき。」というのが一項入っております。我々、この透明性の確保というのは非常に重要な事柄であろうと思っておりますので、その点は十分留意してまいりたいと考えております。
#160
○谷本巍君 最後に、政務次官にお伺いいたします。
 巨大開発外資への対応についてであります。
 数年前からアメリカの巨大開発外資が日本参入をねらって上陸しようとしているというような話が広がっておりました。その巨大開発外資がやる手口というのは、車の便がいいところで畑などをごっそり買収して全く新しい町をつくっていくというやり方であります。そして、大抵は中心街に巨大なショッピングモールをつくるということを特徴としております。被災地の神戸をねらったがうまくいかなかったようであります。
 その後、茨城県の守谷町などがねらわれていると言われてきました。政府はこの動きにどう対処してきたか、またこれからどう対処していくかについて伺っておきたいと思います。
#161
○政務次官(三浦一水君) お答えします。
 茨城県守谷町で外国資本の企業が出店を計画した地区につきましては、約百五十ヘクタールの集団的な優良農地でありまして、次に、ほぼ全域が県営圃場整備事業の完了直後の地区でありました。これから積極的な農業振興を図ろうとしている地区であります。
 このような土地は、従来から農振法の運用上農用地区域に設定すべき土地とされまして、また本件の場合は民間の商業施設であり、公共施設等例外的に農用地区域からの除外が可能な場合にも該当しないものであります。このようなことから、農業上の利用に支障が生じるものとして農用地区域からの除外は認められないものとしてきたところであります。今後も認められないものと考えております。
 なお、昨年の農振法の改正において、これまで通達により運用されてきた農用地区域の設定の基準を法定化したところであり、この法定化された基準に基づき農業振興地域制度の適切な運用を図っているところであります。
#162
○谷本巍君 極めて明快な答弁であります。これもやっぱり農地法の耕作者主義が生きていたからだと言ってよいのではないでしょうか。
 最後に申し上げておきたいと思いますのは、資本主義経済にはバブルというのが、これは回避しようがない宿命的なものなのかもしれません。数年前に起こったバブル経済のときに日本にこの農地法がなかったならばどういう事態になっていたであろうか。日本の経済は今立ち上がることができないようなもっともっとひどい目に遭っていたはずであります。私は、そういう意味では農地法が日本の経済危機を大変緩和した、救ったというぐあいに認識をしております。その意味でも農地法の耕作者主義をきちんと守っていただきたいということを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#163
○委員長(太田豊秋君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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