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2000/11/28 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 農林水産委員会 第8号
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2000/11/28 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 農林水産委員会 第8号

#1
第150回国会 農林水産委員会 第8号
平成十二年十一月二十八日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 豊秋君
    理 事
                金田 勝年君
                岸  宏一君
                郡司  彰君
                須藤美也子君
                谷本  巍君
    委 員
                岩永 浩美君
                佐藤 昭郎君
                鶴保 庸介君
                中川 義雄君
                三浦 一水君
                森下 博之君
                若林 正俊君
                小川 勝也君
                高橋 千秋君
                谷林 正昭君
                羽田雄一郎君
                鶴岡  洋君
                渡辺 孝男君
                大沢 辰美君
                石井 一二君
   国務大臣
       農林水産大臣   谷  洋一君
   政務次官
       農林水産政務次
       官        三浦 一水君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田 榮司君
   政府参考人
       厚生大臣官房障
       害保健福祉部長  今田 寛睦君
       厚生省生活衛生
       局長       西本  至君
       農林水産大臣官
       房長       竹中 美晴君
       農林水産省経済
       局長       石原  葵君
       農林水産省経済
       局統計情報部長  田家 邦明君
       農林水産省構造
       改善局長     渡辺 好明君
       農林水産省農産
       園芸局長     木下 寛之君
       農林水産省畜産
       局長       樋口 久俊君
       農林水産省食品
       流通局長     西藤 久三君
       水産庁長官    中須 勇雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農地法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農地法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に農林水産大臣官房長竹中美晴君、農林水産省経済局長石原葵君、同経済局統計情報部長田家邦明君、同構造改善局長渡辺好明君、同農産園芸局長木下寛之君、同畜産局長樋口久俊君、同食品流通局長西藤久三君、水産庁長官中須勇雄君、厚生大臣官房障害保健福祉部長今田寛睦君及び厚生省生活衛生局長西本至君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(太田豊秋君) 農地法の一部を改正する法律案を議題とし、昨日に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○佐藤昭郎君 おはようございます。自由民主党の佐藤昭郎でございます。
 農地法の一部を改正する法律案も、審議をずっと重ねてまいりまして、いよいよ千秋楽ではないか、こんなふうに思っておるわけでございますが、ひとつきょうは一日よろしくお願いいたします。
 衆議院でも熱心な審議が行われましたが、衆議院における修正、附則第七条でございますが、私はこれは非常にいい修正が入ったのではないかと思っております。五年目を目途として、実施状況を勘案しながら政府は検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるというのが入りました。したがって、いろいろな議論をここで一回見直せるという条項も入ったと、これは非常に私は評価したいと思っております。それから、参議院におきましても、きのう、岩永、若林両委員、そして同僚の委員からも話が、審議が出ました。いろんな論点は衆議院、そして昨日の審議で大分出たと思います。
 私も質問の予定をずっと書いてまいったんですけれども、かなり明らかにされたということで、きょうは、少しダブるかもしれませんが、再確認といったような感じ、あるいは農林水産省の現在の認識といった点を中心に少し質疑をさせていただきたい、こんなふうに思っております。
 まず、基本的な認識でございますが、私は、やはりこの今回の農地法の一部改正というのは、内外の情勢から見て非常に私は適切な改正ではなかろうかと思っております。外の状況でございますけれども、実はきょうも自由民主党の基本政策小委員会の方で野菜のセーフガード、この発動問題について熱心な議論が、何回目になりましょうか、五回目でございましょうか、なされておりました。
 農業を取り巻く情勢というのは、野菜の輸入の状況一つとりましても非常に厳しい状況であるのは、この委員会でも質疑が行われたところでございますけれども、全くそのとおりでございます。念のために少し情勢、野菜について申し上げますと、九八年の野菜の輸入量というのは生鮮が七十三万トンも含めて二百二十三万トン、ここ十五年間で十倍になったというような状況、こういった状況というのを認識しながら我が国の自給率をどう高めていくか、こういう状況でございます。
 政府の方はこの三月に食料・農業・農村基本計画を策定されたわけでございますが、野菜の平成二十二年度の目標について見ますと、九八年が千三百六十四万トンの生産、これを、このままの趨勢といいますから、今の政策をしっかりやっていったとしても二十二年には千二百五十五万トンまで落ちてしまう。それを、あらゆる政策を展開して、これは私は農地法の改正もそうだと思いますよ、何とか千四百九十八万トンに持っていくというのが政府の方針でありまして、国会もこれを承認したわけでございます。
 こういった状況について、いろんな解決しなきゃならない状況がいろいろあるわけでございますが、国境措置をしっかりとっていって何とかこれを、水際で国産の野菜を守るという政策も大事でございます。それと同時に、どうしても国内の野菜生産をいいものにしていかなきゃいけない。生産コストの低減、高品質や安定供給、そして出荷や販売といったものも対応しながら対応していかなきゃいけない、こういった状況にあるのではないかと思います。あらゆる知恵を絞って、野菜を例にとりましたけれども、国内の農産物が消費者の方に届くような努力をしていかなきゃいけない、こういった状況にあると思います。
 それから、国内の情勢でございますけれども、全体的な情勢、二〇〇〇年のセンサスの中間結果というのがこの十月六日、農林水産省の統計情報部から発表されましたけれども、政府が平成二十二年度をにらんで趨勢というのを出されておりましたけれども、これは平成十一年時点のデータで公表されたわけでございますが、やはり二〇〇〇年のセンサスのまさに速報値を見ましても、我が国の農業・農村というのは厳しい状況にあるなというのを改めて感じたわけでございます。
 農家戸数というのは、前回の五年前の調査に比べまして、九五年のセンサスに比べまして、総農家数三百十二万戸、五年間で三十二万四千戸減っておりまして、九%落ちている。それから、販売農家は一二%数が落ちている。あらゆる、農家戸数、それから販売農家のそういったデータも、やはり政府が想定したと同じかあるいはそれ以上のペースで落ちてきているというような状況でございます。
 ここで一つ、もう少し先の日本の農業・農村の将来展望ということで予測したデータがありますのでちょっと御披露したいんですが、これは農水省の農業総研の橋詰さんという方が「日本農業・農村の将来展望」ということで、二〇一五年、二〇一五年といいますからさらに十五年後です、これは政府が予想したときよりさらに五年後を見据えて、一体我が国の農業・農村というのはどんなになっているかということを、これは趨勢でございますから今のトレンドが続くとどんなことになるかということを予想されたわけでございます。
 やはりこの内容というのは相当厳しい、あるいはショッキングなデータが出ております。農家人口率というのは一二%から六・四%に半減するといったような状況。そして、二〇一五年には、総人口というのは二〇〇八年で、我が国の総人口というのは二〇〇八年がピークになって伸びていくんですけれども、中山間地を見てみますと二〇%ぐらい人口が減っていくのではないかと。それから、特にやはり目を引きましたのは北海道、今我が国の食料基地として非常に期待の大きい北海道でやはり一番大きな農家の戸数が減少していく、四割以上減っていく。担い手農家というのは特に五〇%以上も減っていく。耕地の減少というのは二〇%。農家数の減少というのは四〇%ですから、その分農地の利用集積が進んでいくということでございます。しかし、なかなか厳しい数字。そして、耕作放棄はこのままのトレンドでいくとやっぱり五十万ヘクタールを超えるのではないかと、こういった数字が出されておるわけでございます。
 こういった将来を見据えた一つの趨勢が出ている中で、ひとつ今回幅広く担い手を確保するということからこの農地法の一部改正を出されたわけでございますが、その基本的な認識、そして特に農業生産法人の現状とか期待される役割について構造改善局長に伺いたいと思います。
#6
○政府参考人(渡辺好明君) 農業生産法人についてのお尋ねでございます。
 現況を申し上げますと、平成十一年現在で農業生産法人の数は五千五百八十七法人でございます。このうち有限会社が七割を超え、農事組合法人が三割弱というふうな状況でございまして、主流は有限会社になっております。
 業種別には、主たる作目によりまして、一番多いのが畜産三一%、米と麦の法人が二二%、それから果樹と野菜、これがそれぞれ約一割ずつというふうな状況にございます。ただ、経営面積からいいますと、一法人当たりの経営面積は二十七ヘクタールということでございますので、一農家当たりの平均一・二ヘクタールに比べまして二十倍以上という規模になっております。
 法人形態での農業経営は、経営管理能力の向上あるいは新規就農の受け皿、そして経営の円滑な継承という点で非常に利点がございます。地域農業にとりましても、農業生産法人みずから地域農業の中心的な担い手になることが役割として期待をされますほかに、雇用の場あるいは研修の場というふうなものを通じまして地域のために農業者の育成という点で大きな役割を果たすことを私どもは期待しているところでございます。
#7
○佐藤昭郎君 衆議院の審議それから昨日の審議を伺ってまいりまして、今御説明で、そしてまた法人の状況、そして将来の方向については伺ったわけですが、やはりちょっと平成二十二年の展望の中の具体的な位置づけというのを少し明らかにしていくことで、この法改正に対するいろんな不安を払拭しまた期待を盛り上げていけるんじゃないかと思うので、その点少し官房長に伺いたいんですが。
 食料・農業・農村基本計画、ことしの三月に策定された基本計画、これは農業構造の展望というものの中で、どういう担い手が日本の農業を担っていくか、そしてその経営形態とは一体どういうものかということで示されたわけなんですが、この中身についてはきのうの質疑で明らかになりました。
 そこで、ちょっとこれはこういうことでいいのかどうか伺いたいんですけれども、具体的な効率的かつ安定的な農業経営を担う農家、これは三十三万から三十七万というのが家族経営、法人生産組織が三万から四万という数字を二十二年の目標にするのだと示されたわけですけれども、これと経営基盤強化法に基づきます認定農家、これは市町村の基本構想に基づく認定農業者を各市町村でずっと認定していかれた、これが今十五万六千ですか、そのうち法人が五千三百四十二という数字が出ておりますけれども、大体これと一致するといいますか、認定農家というのは今の効率的、安定的な農業経営の目指す数と大体合うんだという認識でよろしいのでございましょうか。それともまた別な目標というのを、具体的に市町村レベルで何かしようとするものを示すものがあればひとつ伺いたいと思います。
#8
○政府参考人(渡辺好明君) 今、先生から御指摘がありましたように、認定農業者の認定の数は十五万余でございます。ただ、各市町村が出しております構想では、トータルで三十万、この経営体を認定農業者として育成していこうということになっております。認定農業者になろうと、そしてなっているという方々のほかに、もう既に認定農業者がつくっております経営改善計画のような内容を達成しておられる農家もこのほかにございます。それが大体私どもの感じでは五万ぐらいあろうかと思いますので、トータルで言いますと三十五万ぐらいが効率的、安定的な経営体ということになりますので、その意味では今回出しております構造展望と大きな差はないと、基本的には一致をするというふうに考えてよろしいかと思います。
#9
○佐藤昭郎君 やはりそうしますと、この新政策時点に出しました、平成四年でございますか、農業構造の展望、そして今の市町村基本構想というのは非常に重要になってくるわけですが、七年たちましたか、経営基盤強化法に基づく市町村の構想の管理状況というのはどういうふうな状況になっておるでしょうか。
#10
○政府参考人(渡辺好明君) 一斉に認定をされたわけではございませんので、五年ごとにこれはローリングしていくことになっております。
 今、先生おっしゃいましたように、もう七年目を迎えましたので、一部再認定をするかどうかという作業に各市町村入っておりまして、中には、認定はしたけれども、その後リタイアをされたとか、やむを得ざる病気等の事情で数が減っているところもございますけれども、かなりの方々は再認定をされているというふうに私ども認識をしております。
#11
○佐藤昭郎君 それでは、この農地法の一部改正で、大分議論が出ましたので、少し抜け落ちているところ、あと私が確認したい点について若干お尋ねしたいんですが。
 この法人の形態要件でございますね。そこで、今回、地域からの法人組織の活性化ということから、地域から、地域の法人が株式会社に移行したいと、その方がいろんな点で活性化しやすいんだという希望、それを受け入れる方策も今回とられるようになりました。
 いろいろな懸念の払拭措置については、私はこれ、万全の構えをなされている。そして、しかも五年たったら、これはもし不都合があれば見直すということで万全だと思うんですけれども、ひとつ株式会社、善意の株式会社といったら語弊がありますけれども、ちょっと正確じゃないかもしれませんが、株式会社自身が株式の譲渡につきましても定款で取締役会の承認を要する旨を限定するわけですが、法人としての取締役会自身がこの構成員として好ましくないものに譲渡するというのも将来ないとは限らない。あるいは、株式会社が自分の農業生産法人が有する農地をいろんな形で自己転用していくというようなケースも想定の上では入ってくるわけです。
 こういった点について、株式会社自身が、当初はいい株式会社として認可を受けた場合、それが変質していっていろんなことをしていく、そういう場合についてのひとつ歯どめといいますか、場合というのはどういう形で対応できるのか、その点、伺いたいと思います。
#12
○政府参考人(渡辺好明君) ポイントはやはり農業者に支配権が常にあるということでございます。この点で、今回の一定の株式会社ということでありますけれども、まず取締役会としてこの株の譲渡を承認する、その適否を決める取締役会の中で多数派はだれであるかということになりますと、農業関係者ということになります。それから、その取締役を選任する総会、ここは農業関係者が四分の三という多数を占めるわけでございますので、法人にとってふさわしくない相手への株式の譲渡というのは、先生が御指摘になりましたように、通常はあり得ないということでございます。ただ、万々が一、取締役会がそうした相手に株式の譲渡を認めてしまったということになりますと、これは結果として構成員要件を充足しなくなるということが起こってまいります。つまり、農業生産法人としての要件を欠くということになりますので、その時点で農業委員会は是正の指導を行い、場合によってはあっせんに努める。そして、プロセスの最終段階の措置として国が農地の買収をすることもあり得るということで、何段階かの歯どめも用意をいたしております。
 それから、二つ目にお話しございました農地転用の問題でございますが、これは個人たると法人たると、農業生産法人であるとないとでかかわりなく、大原則として農地法上の農地転用の許可が農林水産大臣または都道府県知事から必要でございます。ここは釈迦に説法になりますけれども、転用の基準につきましては法定をきちんとされておりまして、農用地区域内の農地など効率的な農業生産の基盤となるような高い生産性の農地につきましては原則として転用を認めない。それから、転用する場合にあっては、市街地に近接した農地など、効率的な農業生産に支障の少ない農地から順次転用するという原則がいかなる場合におきましても適用されるということでございます。
#13
○佐藤昭郎君 この要件の適合性についての担保するための措置が万全だということを伺いました。
 農業者が株式会社の意思決定の大半を握るということは、そういう農地の有効利用という面から非常に結構だという前提の上に立つ話でございます。ただ、どうしてもやはりこれは農業委員会等のこれからの機能が大事になってくるわけですけれども、今回の農地法の改正、耕作者主義、耕作権の保護という点からかなりスポットが当たっているわけですけれども、一方で農地というのはやはり利用や活用があってこその農地、公的側面を持つわけでございます。ですから、株式会社が経営する農地が利用されない場合、やはり一番問題があるわけでございますので、そういった点しっかりと見ていく方策、これは別に株式会社に限らないわけでございますけれども、農地法の精神はそこにあるということをひとつ置いていただいて適切な処置をとっていただきたい、こういうふうに思っております。
 それからもう一つ、事業要件でございますが、結果的に今回関連事業そして農業以外の拡大事業が認められたわけでございますが、最初スタートするときはある一定の要件の中に入っている。拡大事業については将来伸びていってもこれはノーとは言えないわけですが、やはり関連事業と拡大事業が純粋な農業部門を大きく上回るような場合、この点が想定されるわけで、これは今回の場合、活性化ということで了とされることになるのでございましょうか。
#14
○政府参考人(渡辺好明君) 今、先生からの御指摘が農業関連事業と農業以外の事業というふうに足されたわけですけれども、私たちの考えておりますことは、農業本体とそれから農業関連事業、これは一体不可分のものであるというふうに思っております。農業関連事業というのはあくまでも農業生産の振興、維持にとって不可欠な事業ということでとらえておりますし、それ以外のいわゆる拡大される事業という部分は経営にとっての安定というふうにとらえております。したがって、農業本体が小さくなったからというふうな判断ではなくて、農業と農業関連事業を一体として、これが半分を超えるという考え方であり、取り扱いであるというふうに思っております。
 ただ、この真ん中の仕切り線というものは、やはり農業は豊凶変動がございます、それから価格の変動もございますので、単年で判断をすることなく、一定期間ならして、異常な年を除去した上でこの真ん中の線というものを判断したいと思っております。
#15
○佐藤昭郎君 次に、今回の背景でございます農地、優良農地の確保という点から一つ伺いたいんですが、食料・農業・農村基本計画の中で、平成二十二年の必要な農地面積四百七十万ヘクタール、これを見込まれました。そして、農振法に基づく基本指針におきましては、農用地区域内の農地面積四百十七万ヘクタール、こういうふうな数字が掲げられました。
 こういう状況の中で、私冒頭、この農業総研の方から出ました二〇一五年の予測を見ますと、四割減る、このままの趨勢でいきますと。非常に厳しいですね。二〇〇〇年の速報値を見ましても、既に十一年の出ました基準値からもさらに下がっている、二ポイントほど。
 この確保する方策ですね。そして、それをじゃ具体的な地域におろしていったときに、支えがあれば、わかったと、政府の掲げる目標というのは非常に現実性を帯びてくるわけですが、食料・農業・農村基本計画においても地域段階の生産努力目標を策定する。そのときに、農地面積の目標もやはり裏づけがあると政府の平成二十二年の確保目標というのは具体性を帯びてくるわけですが、そこらあたり、どういうふうになっているでしょうか。
#16
○政府参考人(竹中美晴君) 地域段階の生産努力目標についてのお尋ねでございますが、食料・農業・農村基本計画におきます食料自給率の目標の達成のためには、地域段階での関係者の努力も大変重要でありますし、期待されるところでございます。
 地域段階におきましても、関係者の参加のもとに全国段階の目標とあるいは方向性を一にした生産努力目標が策定され、自主的な地域農業づくりに向けた取り組みが行われることが大変重要であると考えております。
 地域段階の生産努力目標の策定状況でございますが、現時点では十一県が策定済みということでございますが、残りの都道府県につきましても大部分は本年度中に策定されるであろうというふうに伺っております。
 その中で、農業生産の重要な前提になります農地面積についてでありますけれども、現在策定済みの十一県におきましても、そのうち九県につきましては農地面積の目標が策定されておるという状況でございます。今後策定される県におきましても、恐らく同様な扱いになるのではないかというふうに考えております。
#17
○佐藤昭郎君 状況はわかったんですが、大体の、国が考えました十一年と二十二年の趨勢を食いとめるそういった方策ですね、それと、各県が、ただ、多分今定められたところというのは割と熱心な県じゃないかと思うんですけれども、各県の傾向といいますか、それは大体国の定めた全体の方針の中に入るというか、各県そうやって努力していけば国全体としては四百七十万ヘクタールを守れるという形になりそうですか。そこら辺はどうでしょうか。
#18
○政府参考人(竹中美晴君) 現在策定されておりますのが先ほど申しましたように十一県ということでございますので、それだけからなかなか全体の傾向を推しはかるということは難しい面もございますが、現在策定されている県の状況を見ますと、おおむね国の方向と軌を一にした意欲的な内容になっているのではないかというふうに考えております。
#19
○佐藤昭郎君 いずれにしましても、なかなかこの国の目標を確保するというのは大変なことだと思います。耕作放棄地に加えて、新しい農用地の造成というのも私は非常に大事なポイントになってくるんじゃないかと、こんなふうに思っております。
 次に、今回の改正の中でのこの構成員要件、これ今回法人の中に地方公共団体を追加できることになりました。これは私、非常に大きい。特に中山間地域の農業、農地管理にとっては非常にこれ期待しているんです。
 冒頭申したように、二〇一五年の推計でいくと、中山間地の農業というのは非常に難しい。耕作放棄地も、現在御案内のように土地持ち非農家の分も含めますと二十四万ヘクタールという一応センサス上の数字は出ておるんですけれども、しかしこれ、御承知かと思いますけれども、昭和六十年代の農地面積から今の面積を引きまして、拡張と壊廃を引いたらですね、実は五十万から六十万ヘクタールぐらいが農地でなくなっているんじゃないか。これは耕作放棄地というのは、耕作放棄が長く続いて原野化してしまったやつというのは、これはカウント上がってきませんから、相当大きな耕作放棄が起こっている。そして、これからも起こる中で、中山間地域の特に山間地域、中山間地域のこの農地管理というのは、本当に各地域で物すごく苦労しているわけですね。
 今回、公共団体、これを追加していただいたということで、どうやってこれを活用していく、その青写真といいますか、政府としては期待しているのか、伺いたいと思います。
#20
○政府参考人(渡辺好明君) 今御指摘がありましたように、中山間地域では耕作放棄の割合が平地地域に比べれば約二倍というふうな状況でございます。全国でも年間一万ぐらいのペースで耕作放棄がふえておりますから、これを抑制するというのがやはり農地の総量をきちんと確保する最大の効き目だろうと思っております。
 今回の制度改正によりまして、地方公共団体が出資をすることができるという規定が盛り込まれますので、そうなりますと、現に市町村が農地の管理をするあるいは農作業の受託をするというふうな形で行っております第三セクター、これがみずから農地を所有するというふうな形で農業生産法人に発展をしていく、つまり活動の幅が広がる、行政手法が多様になるという点で効果があるのではないかなというふうに思います。
 ただ、これは全面的に市町村が出るわけではなくて、やはり下支えといいますか、そういうサポート役をするというのが私は望ましい状態ではないかなというふうに思っております。
 もちろん、耕作放棄はこれだけで解消するわけではございません。直接支払いというふうな形での不利の補正であるとか、棚田のようなものについてはソフト活動も含めて総合的な中山間地対策をやることでこういった条件不利地域の農地が守られていくわけでございますから、そういう総合、あわせわざで行いますときに有力な手法の一つというふうに認識をしております。
#21
○佐藤昭郎君 今、局長さんの方から、市町村が出資する第三セクター、農業公社、これは農地保有合理化法人の機能を持った今ところもあるわけですが。これは今の、現在の法人化と少し役割分担というのがあるのかもしれません。しかし、非常に、この公的な機関が前面に出ていかないと、耕作放棄、中山間の農地管理というのは難しいんじゃないだろうかという地域もあることは確かでございます。
 もちろん、これが永遠に、農地保有合理化法人が永遠に耕作を続けるわけにはいきませんから、何とかしてそこで先ほどの法人、株式会社もその一手でしょう、そういった方に、法人化のところに移していくという点も必要でございましょう。あるいは担い手に移していく。そのバッファーとしてのこの農地保有合理化法人、これは非常に私は大事な役割を担ってくると思います。
 そこで、私がいつも市町村の方々から伺った点は、やはり農地保有合理化法人の持つ、市町村レベルの農地保有合理化法人、都道府県でも結構ですけれども、農地のやっぱり中間保有ですね、特に昨今のような農地価格が下落していく中で、また市町村財政が非常に厳しい中で農地を中間保有するということはリスクがありますね、これは経済的な。それにやはりヘジテートしてなかなか農地管理がうまくいかないという事例も聞くわけですが、こういった点、思い切った農地保有合理化法人に対する支援、こういったものについてお考えの点があればお聞かせ願いたいと思います。
#22
○政府参考人(渡辺好明君) 農地保有合理化法人、都道府県の公社が今までは主として大きな活動をしてきましたけれども、市町村の公社などにつきましても業務範囲を実は最近拡大をいたしまして、買い入れ・売り渡しというふうなこともできるような道も開いております。この農地保有合理化法人が買い入れ・売り渡しをする際には、その期間に応じまして一定の管理耕作等への経費助成を行っております。
 それに加えまして、今先生から御指摘がございました地価の下落局面においては、買い入れ価格と売り渡し価格との間に差が出るわけでございます。言ってみると、そうした差額につきましてやはり国が一定の補てんをするというふうなことが必要な時期に来ております。
 十三年度から格差の補てん、その差額の補てんにつきましては十分の九を国が補てんするような事業をスタートさせることとしているところでございます。
#23
○佐藤昭郎君 そういう制度をひとつぜひ利用して、県のレベルからやはり市町村の公社も地域の農地の中間保有をきちっとやっていただいて、意欲のある担い手や、これはもう法人も含めてでございますが渡していくという一つ制度が非常に大事になってくるのではないかと思います。
 それから、これはちょっと通告がないけれども、局長さんはよく御存じな分野なのでちょっと伺いますが、集落機能の問題ですね。
 これは、農地保有合理化法人、そしてさらに今回の農業生産法人のいろんな活性化を行うわけですけれども、現地でやはり一番困っているといいますか、次の課題として悩んでいるというのは、農作業は受託できても中山間地域の例えば水利施設の管理、これは大きな水路は土地改良区、末端に行きますとこれは集落機能ですよね。これがやはりないとできない。ですから、ここの集落機能と今言ったような経営体との、あるいは農地保有合理化法人とのマッチングといいますか、うまい組み合わせが非常に大事になってくると思うんですが、その点、政府としてどういう認識を持っておられるか、伺いたいと思います。
#24
○政府参考人(渡辺好明君) 土地改良区なり水利組合が土地改良施設の維持管理に非常に御苦労されているということは私どもも認識をしております。
 この土地改良区、それぞれ実力の差がございますので、相当ダイナミックなことをやっておられるところもございますし、それなりの情報がそこに集まっているというところもございます。
 これからの課題なんですけれども、やはり土地改良施設、水利施設がやはり農業者の施設であると同時に地域の住民全体にとっての資産であるという認識に立ちまして、ここにやはり一定の公的支援を強めていくような方向、これが必要なんだろうと思います。
 そういった方向につきまして、現在いろいろな工夫をしておりますし、これからもそこに意を注がなければならないと思っておりますが、集落の維持という点では、今回、直接支払い制度の中で、管理施設にいろいろと手間をかけたりお金をかけたりした場合には、その状況に応じて集落の中での話し合いの中から直接支払いのお金を回すことも大いに考えられるということで、実際に農業生産、それから農地の管理のほかに、水利施設の管理について直接支払いのお金のかなりの程度を充てていくというふうな協定の結ばれた地域も承知をいたしておりますので、全体的にそういうふうな総合的な対策をとると同時に、公的支援についての国民一般の感覚を、認識を高めていくということがこれからは必要かなと思っております。
#25
○佐藤昭郎君 土地改良区の活用についての踏み込んだ、焦点を当てたお話を伺いました。それと同時に、集落機能を維持しながら農地の有効利用を図っていくための担い手の育成、法人化ということをうまく、どうやってその地域で取り組んでいけるかが一つやはり課題ではないかと思いますので、その点ひとつ政府の力強い支援をお願いしたい、こんなふうに思っております。
 それから、最後に政務次官の方に少し伺いたいんですが、これは構造改善局、経済局共通の問題になろうかと思います。
 先ほどの法人の構成要件についての要件適合性のタイムリーな審査、それから農地というのはやはり耕作者の、農地法の理念たる耕作者の耕作権の保護、転用規制、小作地所有制限とありますけれども、やはり農地を有効に利活用するための一つの手段としてのやはり耕作者の権利などの保護だと思うんですね。そういう点で、地域内の農地がどうやって有効利用されているか、これは大事になってきます。そこも農業委員会はしっかり見ていかなきゃいけない。
 農業委員会のところに来られる方々で、やはり転用とか開発ということで来られる方がやはり多かったんではないかと思うわけですが、これからはやはり利用集積なり、またこの法人の構成員要件、こういうものを審査していかなきゃならない。先般来、大変な御議論が出ていたわけでございます、農業委員会の強化という面につきましては。なかなか難しいと思います。全国で、今、一農業委員会、全国で三千二百三十五委員会があるという資料をいただいたんですけれども、一カ所当たり職員が三・四名、兼任の方も合わせてでございますね、三・四人。それでやはり今のような業務をしていかなければならない。農業委員会をひとつ強化していかなきゃいけない、その強化策。
 それと、これは先ほど農地保有合理化なり中山間地域の農地管理の点で、水利施設が壊れると一発でその下流の水田というのは耕作放棄になってしまうわけですから、非常に水利施設の管理というのが大事だということで土地改良区のひとつ活用をしっかりしたらどうかと申し上げたんですけれども、この農業委員会系統組織のやはり見直しを十分していただくと同時に、その中でひとつ地域の圃場整備や換地計画、それから日々の水管理を通じて農地をよく掌握している改良区、これは全国に七千三百あって、管理する農地というのが、重複もありますけれども三百四十万ヘクタール持っている。一生懸命これ農地管理について貢献したいと考えている改良区も多いわけでございますが、農業委員会の委員としての土地改良区の活用等も含めた農業委員会全体のひとつ強化策、これについて伺いたい、こういうふうに思います。
#26
○政務次官(三浦一水君) 農業委員会の運営の中で土地改良区をもっと活用すべきという御趣旨の御質問だったと思います。
 土地改良区につきましては、農村地域における水と農地の管理を担う主要な主体であり、その業務として、換地に伴う農地の権利や利用の調整、水利用の調整等において重要な役割を担い、また水と農地に関する専門的な能力やさまざまな情報を有しております。委員御指摘の状況であります。
 今後とも、地域農業の活性化、構造政策の推進等のため、関係機関との連携のもと、土地改良区の積極的な活用を図ってまいりたいと考えております。
#27
○佐藤昭郎君 今、土地改良区に絞ったお答えをいただいたんですけれども、もしその点にやはり絞るとすれば、今非常に行政改革やいろんな地方分権の動きの中で、委員会の定数自体、その中に改良区を選任委員として入れていくというのが難しければ、やはり委員会に水利や農地に詳しい方を要するに任用することをもう一度政府の方でリマインドするという、これは昭和二十六年に通達が実は出ているわけですけれども、随分昔の通達ですよね。二十六年というと五十年以上前ですか、四十五年ぐらいになりましょうか。やはりそういった措置も考えられると思います。
 市町村長さん方にも伺って、例の選任委員の五人の枠があるわけですけれども、やはりそういった何かの、自分たちがそういうものを任命したいと思っても、やはり議会から上がってくるリストをやはり第一に考えざるを得ないと。そのときに、もしそういった通達等なりそういった政府の試みがあれば非常に動きやすいんだがということがございました。
 これは要望でございますので、これから土地改良法の改正も控えておりまして、こういった団体間のやはり連携というのは非常に大事になってきますので、またその場でいろんな御意見を申し上げて知恵を出していきたい、こんなふうに考えております。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。
#28
○高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋千秋でございます。
 もうかなりの審議がこれまで行われてきておりますのでダブるところもあるかもわかりませんが、私も、昨日、同僚議員の谷林議員の方から、あちこちの農家へ行ってお話を聞いてきたということだったんですが、私も、この前の休みを利用しまして何軒かのそういう法人化をしている農家、そういうようなところも伺ったりとか、インターネットを通じまして農地法の改正について皆さんの聞きたいこと等あれば教えてほしいということを流しましたところ、十人ほどからいろいろな意見が参りました。
 それをもとに質問させていただきたいと思うんですが、実際行かせていただいて、いろいろ意見が出ているのは、農家サイドからは、農家含めて農業関係者からは、この農地法の改正についてかなり多くの懸念を持ってみえる。一方で、それ以外の方々からは期待を持ってこの改正ということを見られているということがわかりました。
 その中でも、農家サイドからはやっぱりかなり多くの懸念というものを持ってみえるというのをつくづくと感じたんですけれども、今回、農地法のこの改正について、耕作者主義という言葉がずっと頻繁に出てまいります。この耕作者主義、よく理念はわかるんですけれども、今回のこの農地法の改正の目的自体が、農地の財産的な所有ということを目的として、保全ということを目的としているのか、もしくは農業の発展ということを目的としているのかなかなかわかりづらい、農家にとってわかりづらい部分があるんではないかなということがまず懸念の第一だと思います。その意味でも、今回のこの農地法の改正の目的を、一番重要な部分についてのみで結構でございますので、改めてお聞きをしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
#29
○国務大臣(谷洋一君) 何回も申し上げておるとおりでございますが、足腰の強い農業をするということ、また自立的な農業経営をやるということ、そして専業農家をでき得る限りつくるように努力しなきゃならぬということ、こういうふうなことを羅列してみますと、やはり法人格のしっかりしたものをつくるべきであると、こう考えておりまして、それのためには何といっても優良農地を転用するようなことがあってはならないと、こういうことを随分と議論いたしまして、その結果としてこういうふうな考え方でまとめたわけでございます。
#30
○高橋千秋君 改めてその理解をしたわけでありますけれども、これからの農業を考えていくと、やはりこの法人化というのは避けられないというふうに思います。
 私の地元でも、若い農家がやはり法人をつくって頑張っていこうということで今頑張ってくれています。しかし、今回のこの農地法の改正の中にあるこの法人化を進めていくに当たって、限りなく家族経営に近い株式会社、法人化、そういうものが前提にあるんではないかなというふうに思うんですが、農業の発展、これからの日本の農業の発展ということを考えていくとちょっと中途半端じゃないかなというふうに思うんですね。さまざまな制限が今回の法改正にもあります。農家を安心させる意味もあるかと思うんですが、どうもこの法人化についてちょっと中途半端過ぎて、もっと大胆な改正があってもいいんじゃないかなと思うんですが、いかがでございましょうか。
#31
○政府参考人(渡辺好明君) これは、確かにそういう御議論はあろうかと思います。
 ただ、私たちは、やはり農地法の第一条に規定をされております農地は耕作者みずからが所有することが最も適当と認めというくだりと、それから、農地を効率的に耕作をする者に農地に関する権利を認めるというこの理念のもとで行う、その範囲でやはり物事を進めるということではないかなというふうに思います。
 その際、では中途半端かと、メリットが生きないのかということでありますけれども、やはり法人化をするということ、場合によれば今回お願いをしておりますような株式会社という形態も選択肢として一つ示すということで法人の持っているダイナミズムを発揮させる、消費者であるとかあるいはマーケットのシグナルを鋭敏に感じる、そういう点ではやはり法人化というのはすぐれたメリットを持っているわけでありますので、メリットと懸念と耕作者主義という理念、この三つを調和させる観点から今回の改正を提案させていただいている次第でございます。
#32
○高橋千秋君 株式会社のダイナミズムという部分があると思うんですが、現実問題、日本の商社やいろんな会社がアメリカ等では現実に農業をやっている例というのはたくさんあるのは既に御存じだと思います。
 その意味で、農家の懸念とは別に、逆に、これは例としてでありますが、トヨタとかソニーとかそういう、そこが農業をやるかどうかは別としてでありますが、そういう大きな会社が農地を所有して農業を、そういう経営ノウハウをきっちり持ったところがそういうところに参入するということを考えてもいいんではないかなというふうに思うんですが、その点についてはいかがでありましょうか。
#33
○政務次官(三浦一水君) お答えします。
 農地がむやみに投機やその他の目的に簡単に転用されないよう厳しく管理した上で、日本を代表する大企業の参入を認めてはどうかという御意見も一つの考え方であろうとは思います。
 しかし、御指摘の考え方につきましては、食料・農業・農村基本問題調査会において指摘された懸念、すなわち農村の集団的活動によって成り立っている水管理、土地利用を混乱させるおそれがある、二番目に、農地の投機的な取得につながるおそれがあるといった点を一体具体的にどのようなやり方で解決できるかという点において問題が大きいところであり、また、現に農村現場で農場を営み居住している農家等の農業関係者の理解が得られるかといった問題もあると考えております。
#34
○高橋千秋君 そういう意見もごもっともだと思うんですが、逆に、そういう株式会社ではなくても、今有限会社化して所有をしているところも現実問題あって、私も何人かから聞いたんですが、有限会社で既にやっているところありますよと、何でわざわざ株式会社にするのか、どうも中途半端でわかりづらいなというお声もいただきました。
 それと、逆に、そういう大企業の場合、きっちりとした管理をしていただけるようであればむしろ投機的な部分というのは避けられて、今そういう中途半端にすることによって逆に変な企業、語弊があるかもわかりませんが、変な企業が入って投機的目的にそういう所有をしてしまうおそれが逆にないのかなと。
 それと、そういうきっちりとした管理、規制が一方であれば、大企業が入ることによって地元のそういう、今雇用が大変厳しい状況でありますから、そういう企業に雇用をさせて雇用拡大ということが可能になるんではないかなということも考えられると思うんですが、いかがでございましょうか。
#35
○政府参考人(渡辺好明君) 法人化の推進の中でこの農業生産法人制度の枠組みを使うということは、やっぱり私たちは、一番大事なのは地域に根差したというところだと思うんです。確かに単独の経営体を考えた場合にはそうした大企業による経営というのもあるいはあり得るかと思います。しかし、日本の集落というのはやはり多くの農家によって、大小相補という言葉もありますけれども、大きいものと小さいものとが相補いながら地域の水や土地、そういったものをきちんと管理をし、集落を維持させていくわけでございますので、そういった点について無条件に、いわゆる例えばゾーニングなどだけで大企業にそれをゆだねることができるかといいますと、やはり現在の世論の大宗は、それでは集落の機能の維持発展にまだ自信が持てないというところなんだろうと思います。基本問題調査会の結論の中でそういうふうな答申をいただきましたのは、やはりそうした日本の地域社会ということを十分念頭に置いた上でのことだと思います。
 ただ、雇用の問題について申し上げますと、今回、組織形態要件のみならず、構成員要件、さらには事業要件も大きく変えておりますので、その中でやはり地域の雇用が事業の拡大によって量的に膨らみ、それから、そこでトレーニングなどをする形で新しくまた発展をする新規就農等に対して非常に大きなメリットを与えるというふうに認識をしております。
#36
○高橋千秋君 私が言いたかったのは、今回の改正の部分、法人化の要件の部分でちょっと中途半端じゃないかなという部分を言いたかったんですけれども、現実に私の地元の三重県で農協が今有限会社化している生産法人、そこのアンケート等をとりまして、株式会社にする意向がありますかというアンケートをとったそうであります。そうすると、三重県全体でいうと二社しかなかったと。あえて株式会社にする意味がないんじゃないかなと。特に今回のこういう生産法人の要件の制限の中でいうと、あえて株式会社ということについてのメリットがないんじゃないかなということを言われたんですが、その点についてはいかがでございましょうか。
#37
○政府参考人(渡辺好明君) 二つ申し上げたいんですけれども、第一点目の、現に農業生産法人として活動されている方々のこれからの意向の問題であります。その点につきましては私どももアンケート調査をいたしました。ただ、これはちょっと時期がまだ十分認識が浸透していない時期でありましたので、数字については少し控え目かなと思いますけれども、検討してみたいというのも含めますと、全国ベースでは三割近い方々が株式会社という形態をとることについて興味を示しております。
 私たちは、二点目の問題として申し上げたんですけれども、これはすべての方々がそういうふうになるということではなくて、選択肢を広げるということであって、もし自分の経営内容をさらに大きくする、機動的にするという必要が出たときに株式会社という組織形態もとり得るというところを目指したわけでございます。
 現実に制度面での問題といたしまして、有限会社にはない利点が株式会社にはございます。例えて言えば、構成員の数に制限がない、したがって多くの方々に参加を求めることができる。二つ目には、定款を変更しなくても資本の増額が可能である。そして三つ目には、取締役会の権限が大きいので機動的な運営が可能だと。そういうメリットは株式の譲渡制限がついている株式会社であっても十分発揮できる。したがって、地域の農業者の方々の意向にこたえることができるというふうに思います。
#38
○高橋千秋君 冒頭言いました耕作者主義ということを考えますと、今回の参入できる株式会社、この株主の資格という部分についてどのようにお考えでありましょうか。
 農業従事者という部分から考えると、株主ということはいろいろあいまいな部分があるかと思うんですが、この資格についてどういうふうにお考えでありましょうか。
#39
○政府参考人(渡辺好明君) 株式会社形態をとりますと、法人の構成員は株主ということになるわけでございます。
 この場合、重要なことは、農業関係者が株主の中心をなし、農業関係者が支配権を持つということでございます。これまで具体的には、農業関係者として農地の権利を提供した個人、つまり農地を出資した個人、それから、その事業に常時従事をしている、働いている方、それから、そのほかに農業協同組合であるとか農業協同組合連合会といったものが入っておりますが、今回はそこにまず地方公共団体を加えます。それ以外に、これから先は言ってみると非農業者でありますけれども、ここはシェアを四分の一以下、一株主当たり十分の一以下という範囲内で継続的取引にある方を新たに認めるということでございます。
 これまでも、これは念のために申し上げるわけでありますけれども、有限会社組織の農業生産法人の中で、農業者以外の方として、産地直結取引の契約をしている個人あるいはライセンス契約をしている種苗会社といったものが認められてまいりました。
#40
○高橋千秋君 先ほど、その出資者に地方公共団体を入れるというお話がありました。
 私の地元でも、全国的に見てもそうだと思うんですが、第三セクター化してさまざまな事業をやっております。地方公共団体が主となってやっている場合が多いと思うんですけれども、そういう方々に御意見を聞くと、全国のそういう第三セクターとして経営している部分の大体八割ぐらいが赤字になっているというのを聞いています。何で赤字になっているのかというのを聞くと、やっぱりその地方公共団体に物すごく依存をしてしまう、経営的に依存をしてしまうという、ぬるま湯的な体質がどうしても出てしまう。
 今回のこの農地法の改正の中で、地方公共団体が出資者として入れるということについての意味と、それから逆に、農地法の観点で、農地というか、そういういろんな田んぼだとかそういうところの転用のことを考えると、今までそういう地域の環境破壊を一番してきたのは地方公共団体じゃないかと。例えば、田んぼの中に大きな施設を地方公共団体が第三セクターのような形にして建てたりとか、普通の人だったら農地転用、そんなものを建てられないような中でも地方公共団体がホールを田んぼの中につくったりとか、そういうことをずっとやってきている。その意味で、地方公共団体がそういう地域のそういう環境破壊を一番やってきているのではないかという意見もあるんですが、その両方についていかがお考えでありましょうか。
#41
○政府参考人(渡辺好明君) 二点御質問がありました。
 最初の第一点でありますけれども、地方公共団体に期待するところは何かということなんですけれども、私たちは、支援もしくは補完という形で参加をしてもらいたいと思っております。
 今先生御指摘ありましたように、地方公共団体がイニシアチブを持ってみずから経営に当たるというふうな方向ではなくて、むしろ、経営管理能力を発揮する担い手としての農業生産法人をサポートする、下支えをする、機能を補完するというふうな形での参加を期待しているところでございます。
 いずれにいたしましても、今回の改正のポイントが、経営の改善ということと同時に、地域農業の維持発展ということにございますので、地域農業の維持発展という点では、農業生産法人への出資という選択肢は行政手法の多様化という点で意義が深いものと思います。
 それから二つ目の、いわゆる公共転用の問題でございます。
 御指摘ありましたような点につきまして、大きな批判もこれまで幾つかございました。現実問題として、公共転用というのは転用全体の一五%というシェアを占めておりますので、必ずしも小さいものではありません。これは、これまでの指導の中で、通常の転用と同じ基準を適用してやってくれということを通達等で指導し、県や市町村でいえば開発部局と農林部局とが調整をして行うということにしてまいりましたけれども、今回、農業振興地域制度の大改革の中で国が基本指針を示しましたが、その中に、通常の一般の農地転用と同じ基準で運用するということを明確にいたしましたので、今後その基準に従いまして、御批判のあるような転用はしないという方向での対応をいたしたいと考えております。
#42
○高橋千秋君 一方で、地方公共団体の方からは、先日も要請を受けたんですが、直接地方公共団体が買収できるようにしてほしいという要請も来ているかと思うんですが、それについてはいかがでありましょうか。
#43
○政府参考人(渡辺好明君) 農地の買収ということは、結局のところ、農地を効率的に活用して耕作をするということでありますので、みずから農業生産を行うということになります。公営企業ないし公益性の高いものを営むケースはほかの事業でもあるわけでありますけれども、私たちは、農作物を生産して収入を得るという事業はやはりこれは民間の農家等の国民であるべきだというふうに考えておりまして、地方公共団体はあくまでもこれを支援する立場にあるわけでありますから、直接農地を取得するということは適当ではないというふうに思っております。出資という形を通じて応援ないし補完をするというのが望ましい方向であります。
 ただ、農業生産事業ということではなくて、学童農園であるとかあるいは体験農園、そういった経営とは離れた世界で農地を取得しようとする場合には一定の権利取得というものを認めているところでございます。
#44
○高橋千秋君 農地が今回、下限面積を弾力化するという話が出ていると思うんですが、これもEメールで来たある方が、自分の町から別の町へ山の奥の方へ入って、退職したということで入って、農業をやりたいということで移ったそうなんです。そこで農地を買って実際に夫婦で老後の農業にいそしむ、そういうことをやりたいということで行ったそうなんですが、やっぱり下限面積があって、初めて農業をやるという、そういうもともとサラリーマンをやっていた夫婦にとっては非常に厳しいと。その意味で、この下限面積というのが逆に、そういう都会からUターンのような形で田舎へ帰って地域で、中山間地で老後を過ごそうというような、そういう方々にとっては非常に阻害になっているのではないかなという話がありますけれども、それについてはいかがでありましょうか。
#45
○政府参考人(渡辺好明君) おっしゃるとおりだと思います。こういう世の中でありますので、地域の実情なり農業生産の実態に応じて面積というものは定めるべきでありまして、その裁量権をいわば地方公共団体のサイドに、都道府県知事ということになりますけれども、ゆだねたいというのが今回の改革の趣旨でございます。
 零細規模の農家が多いような地域では下限面積が大きい場合に今おっしゃったような事態が生じますので、そこは機動的に対応するということで、現在でもかなりの地域で下限面積十アールというふうな特例を定めているところもございます。ただ、手続上、この下限面積を定めようとする場合には農林水産大臣が承認をしなければいけないという、そういう手続になっておりますので、そこはちょっともう時代が違うのではないだろうかということで、機動的かつ柔軟に下限面積を実態に応じて定めることができるという方向を目指しているわけでございます。
#46
○高橋千秋君 今回のこの改正で非常に重要になってきている部分で、先日の参考人の方の中にもありましたが、農業委員会というものが非常に重要な位置を占めてくるというふうに思います。
 その意味で、私の父親も地元で今農業委員をやっておるんですが、農業委員会というのはその村の第二村議会的な要素が非常に強い、この前、参考人で来られた方もむしろ自慢げにその辺を言っていたのかなというふうに思うんですが、第二村議会的な要素が強くて、今回株式会社が入ってくるという非常に厳しいチェックをしなきゃいけない、その経営についても非常に厳しいチェックをしていかなきゃいけないと思うんですが、それだけのチェックをできる体制になっているのかどうか、非常に懸念があると思うんですね。今の状態ではその中身をきっちりと判断できるような、こう言っては語弊があるかもわかりませんが、能力があるのかどうか非常に心配をしているんですが、この点についてはいかがでございましょうか。
#47
○政府参考人(渡辺好明君) 率直に申しまして、農業委員会の実力には相当差異があることは間違いございません。参考人からもお話を聞かせていただいたんですけれども、たしか私の記憶ではあそこの町には農業生産法人はないですね。ですから、そのチェック能力という点では、これまで有限会社を含めた農業生産法人をチェックしてきた農業委員会、これはそれなりの実力を持っております。農地取得後十カ年間は報告書を出させて監視をするということに道が開かれておりますし、それから一年に一回、一月一日付で台帳を整理するというようなこともやっていますので、農業生産法人があるところではそれなりの実力もついているんだろうと思います。
 ただ、今回これだけの改正をするわけでありますから、この際やはりきちんとした研修を行って能力を高めていくということ、それから農業委員会だけではなくて農業委員会を支えるサポート体、地域の協議会と言っておりますけれども、市町村や農協や農業委員会や農業者の代表が入って下からそれを支えていくということで、何でもかんでも農業委員会がやるということではないような、そういう全体としての取り組みを進めていきたいというふうに思います。
#48
○高橋千秋君 今お答えありましたけれども、やはりこの農業委員会のあり方、それから農業委員の選出の方法とか、そういう部分についてやっぱりもう一度見直さなければいけないんじゃないかなというふうに思います。
 その農業委員会に関していえば、先ほども申しましたように第二村議会的な要素が結構強いんですが、六万人お見えになるということなんですけれども、もう少し能力を高めるという意味でも、合併等を進めて中身をもう少し磨き上げる必要があるんではないかなと思うんですが、いかがでございますか。
#49
○政務次官(三浦一水君) お答えいたします。
 農業委員会は市町村に置かれる行政委員会でありまして、また農業委員会が構造政策を積極的に推進していくためには、市町村の農業振興政策と整合性を図る必要があると考えております。
 農業委員会が市町村の区域を越えて合併することは、農業委員会等に関する法律においては事実上認められておりません。しかしながら、農地の利用調整の広域化に対し農業委員会が的確に対応していく必要性は今後増加することが考えられますので、このような場合においては、関係市町村の農業委員会間で例えば連絡会議を設置する、あるいは広域連携等を推進していくことによりまして業務の円滑な推進を図っていく必要があると考えております。
 なお、市町村合併が行われる場合には、各市町村の農業委員会は合併市町村を区域とする農業委員会に統合されることになります。このため、市町村合併の推進に伴い農業委員会の統合が進捗していくこととなると考えております。
#50
○高橋千秋君 合併については、市町村の合併という話も出ておりますので、それに伴っていくということなんですが、むしろそういう周りの部分から進めていくという方法もあると思いますので、御検討いただきたいなというふうに思います。
 それと、もう時間がなくなってまいりましたので最後にしたいと思うんですが、今回、農地を農業委員会があっせんするということが出ております。この中で、国が買収すべき農地等の公示を三カ月間しないということになっているんですが、その目的というのはどういうことなのかということと、私はむしろ情報はきっちりと公開をしていくべきだと、その意味で、地元の方々にそういう農地の買収を優先させる方策だとか、そういうことをとっていくべきだというふうに思うんですが、その情報公開という部分についてはいかがでありましょうか。
#51
○政府参考人(渡辺好明君) 情報公開は積極的にやっていきたいと思っておりますし、それから、地元の農家や農業生産法人を優先してその農地を移していくというふうなことは必要なことだろうと思います。
 ただ、農業生産法人が要件を欠くような事態になったときに農業委員会が勧告をします。必要な措置をとりなさいという勧告になるわけですけれども、その場合、その要件の是正を行うという方法もありますし、もう一つは、これは寂しい話ですけれども、もう営農はやめる、他の農業者の方々に農地を譲渡したいという希望が出てくる場合もあります。譲渡したいということになりますと、今度は農業委員会があっせんをするわけであります。法人が営農継続を断念して農地の譲渡のあっせんを申し出ているにもかかわらず即買収手続に入るということになりますと、そこは穏やかではないということで、あっせんの状況を見守る、そのために必要な期間として三カ月間を確保したというのが法制度上のプロセスでございます。
#52
○高橋千秋君 終わります。
#53
○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司でございます。
 二日目でございますので、若干重複する場合のこともございますので、お許しを願いたいと思います。
 昨日、構造改善局長の方から、この法案、選択肢の幅と深みをもたらすというようなお答えがありました。私自身は、今回の改正は担い手の多様な確保、さらには農地の総合的といいますか複合的な活用、つまり耕地利用率の向上というものが必要といいますか、出てくるんだろうと思っております。そこで、私自身は、即実効性というよりも、農業が国民に対してアピールをするというような側面も強いのではないかなというふうにも考えております。
 質問に入らせていただきますけれども、そこでまず耕作放棄地面積及び農業従事者の年齢構成及び耕地利用率について現状をお知らせいただきたいのと同時に、それらがそれぞれどのような関係を持つとお考えなのか、お聞きをしたいと思います。
#54
○政府参考人(田家邦明君) 統計情報部長の田家でございます。
 御質問の三点、耕作放棄地につきましては、農業センサスによりますと、平成七年で十六万二千ヘクタールでございます。それから、農業従事者の高齢化でございますけれど、六十五歳以上は、七年のセンサスによりますと二八・四%ということになっております。
 なお、同じときのセンサスによる耕地利用率の統計はございません。センサスによってはとっておりません、調べておりませんけれど、別途耕地面積統計というものがございまして、耕地利用率は平成十一年で九四・四%ということになっております。
 それから、二点目の御質問でございますけれど、相互の関係でございますけれど、個々の耕作放棄地についての個別具体的な要因についての全国的調査というものをやってはおりませんけれど、一般的にマクロ的に言えば、耕作放棄の発生の理由というものは、就業者の高齢化あるいは担い手の不足、それから土地条件が平地に比べて不利とか、それから農地の整備率が低いというような、いろんな要因が地域ごとに発現して結果的には耕作放棄というような現象になっているのではないかと思います。
 なお、近々、平成十二年におけるセンサスの結果を発表すべく最終的に取りまとめ中でございます。そこで耕作放棄の面積が出てまいりますけれど、さらに今度は一つ一つ精査いたしまして、どういう状況になっているかということをよく調べまして、そして各地域における耕作放棄の抑制の取り組みに活用していただくように統計情報部としてもデータ提供に努めてまいりたいと考えております。
#55
○郡司彰君 今、部長からお答えをいただきましたように、それぞれの資料はでき上がっているわけでありますけれども、今回のこともかんがみて、このようなものが総合的に判断できるようなポジションというか部署がやっぱり農水省の中にあって企画を行うということが必要なんだろうというふうに思っております。
 今、部長からありましたように、多分に高齢化をする地域、中山間地が多いのではないか、そこにおいて離農が多く発生をし耕作放棄地が生まれ、そこでは同様に利用率の低下ということが当然これは起こってきているんだろうというふうに思います。
 そこで、この利用率でありますけれども、基本計画の中では一〇五%というようなことが出ておりまして、きのうの局長の答弁ですと四百四十万ぐらいの数字に下方に変わるかもしれないと。これが一一〇になるのと九〇になるのでは九十万ヘクタールぐらいの実質的な差が出てくると思いますので、それらも、今後その方策の中にこの利用率というものも十分に生かしていただきたいなというふうに思っております。
 それで、これは部長の方で、ちょっと通告になかったかもしれませんが、十年間のいただいた資料の中で、歴年大体下がってきておったんですけれども、十年から十一年にかけて耕地利用率が若干上がっておりますね。この主たる要因というものがわかればちょっとお知らせをいただきたいと思います。
#56
○政府参考人(田家邦明君) 御承知のように、耕地利用率につきましては、五年が一〇〇で、六年が一〇〇を切りまして、一貫して十年まで九四・一%に下がっておりまして、十一年に九四・四%になっております。耕地利用率は定義からいって耕地面積分の延べ作付面積によります。したがいまして、耕地面積の動向とそれから耕地の作付面積の動向の相対関係によって決まるんですけれど、今回、特に延べ作付面積につきまして、麦、大豆等やはり水田を本作、麦、大豆等の水田を活用した水田農業の振興を図っていこうという動きもございまして、相対的に作付面積の幅は、絶対面積は減ってはおりますけれども、耕地面積の減りより相対的に少なくて、耕地利用率が上昇いたしております。
 なお、今後の、私ども、この傾向が続けば望ましいことではないかと思っておりますけれども、注意深く今後の推移を見て耕地利用率の向上ということに努めてまいりたいと考えております。
#57
○郡司彰君 次に、昨日、岩永委員の質問に答えまして構造改善局長、中山間地は待ったなしの状態である、今回の改正が地域の活性化につながるのではないかという答弁がございました。
 そこで、今回の法改正が中山間地にどのように寄与するかというような一般的なお答えとしていただいたかと思いますけれども、この中で、例えば耕作放棄地が多いところ、先ほど全体で十六万一千七百七十一ヘクタールということでございましたが、委員長のおひざ元でございます福島が一番多くて一万二千、その次が長野そして北海道、茨城、千葉ということで、大きく数字が減じているところがあるわけであります。
 このような地域に対して、例えば今後経済活動でございますから農水省が意図的に、あるいは指導という形は難しいのかもしれませんが、それなりの地域等あるいは形態等も含めて、基本的にこういう地域をまずこういう法人化をすべきではないかというような具体的な方策というものがあってしかるべきかなと思いますが、局長のお考えを聞かせていただきたいと思います。
#58
○政府参考人(渡辺好明君) 中山間地域において耕作放棄を極力起こさないようにする、そしてそこへの定住を図るという点では、やはり三つの課題があると思うんです。一つはやはり所得の機会がなければ人が住めない、それから二つ目には生活環境が中都市並みぐらいまでいかなければ人は住まない、そして多面的機能が発揮できるようなそういう支えがなければ人は住めない、農業生産活動が行えない、こういうことでございますので、その三つの目標に向かって、今総合対策というものを実は十三年度からやろうと思っております。いろいろな政策を重点的に中山間地域に落としていく、目標なり計画を立てますと、それに沿って事業を優先的に行っていくというふうなことを考えております。
   〔委員長退席、理事金田勝年君着席〕
 ただ、農業生産法人制度の活用による中山間地域の対策というのは、今回の目標が選択肢の幅を広げるということでございますので、むしろ市町村の出資等によりまして下支えをするということの効果を待ちたいと思っております。もちろん、中山間地域というのは結局のところ条件が不利なわけですから、条件の不利の補正というものが一番重要な政策となります。中山間地域直接支払い、始まったばかりでございますので、その状況も見ながらそうした総合対策の中でさらに必要な手だては講じたいと思います。
#59
○郡司彰君 今のようなお答えをいただくのではないかと思って、冒頭、昨日の答弁を改めて読まさせていただきました。今回の改正が地域の活性化につながるというような発言がございまして、だとすれば今のようなお答えではなくて、この生産法人そのものを意識的に例えば設置をしていく、そのようなことがなければ、これは具体的な進展というものがなかなか見られないのではないかというふうに思っております。
 今、生産法人、昨日の答弁の中でまた五千六百ぐらいという数字が出されまして、三、四万程度のものを将来的に見込んでいるということがございました。例えばで結構でございますが、三年とか五年とか今後の予測の中で、そのうち中山間地については三年後、五年後、どのぐらいの数字が先ほど言った地域の活性化に伴う法人として予測をされていらっしゃいますでしょうか。
#60
○政府参考人(渡辺好明君) これは昨日の答弁でもお話し申し上げたんですけれども、法人化、法人や生産組織で三万ないし四万ということでございますので、どういった形態をとるのかというのはいろいろな組織のあり方があります。集落営農、特定農業法人もあれば、この農業生産法人を使うやり方もあります。したがって、どの法人をどれだけということには数字は出ないわけでございますけれども、私の記憶では中山間地域で農地保全活動を行っている農業公社というのが現在でも既に百五十ぐらいの市町村でございます。
   〔理事金田勝年君退席、委員長着席〕
 したがって、そういうところは、もし必要があれば農地を取得してこの農業生産法人制度を活用しながらその保全活動を行うというふうな方向に行く可能性を持っているというふうに思います。
#61
○郡司彰君 私はこれまでもこの委員会の中で、都度、この農水省が出してきた政策がそういう意味ではきちんとした総括がなされずに次々に新しい政策が打ち出されてきた。今回も今のその局長の答弁でまいりますと、結果は何年かたってみないとわからないよということにもなりかねない。そういう意味であえて質問をしたわけでありまして、意識的に、今回の政策は本当にもう正念場で、これをきちんとやるんだというような気持ちでもって取り組んでいただきたいということで質問させていただきました。
 次に、時間がございませんので、法人がどのような農業を行っていくかということについてお聞きをしたいと思いますけれども、基本法の中で環境保全型農業あるいは多面的な機能ということがうたわれてまいりました。日本の農業を、今例えば一部有機農法などが行われている、これは少数者の運動として守っていかなければならないという意見がございますけれども、私自身は、日本の農業そのものを環境保全型に切りかえていく、そちらがベースになるというような形をしなければ、これ対外的に国際的にも淘汰をされてしまうのではないか、そういうような認識を持っております。
 そういう意味につきまして、例えば昨日もセーフガードというような話がございました。畑作の関係一つを見ましても、ことしの特例的なものとしてセーフガードを考えるというような認識もあろうかと思いますけれども、私自身は相当構造的な形にまでなってきているのではないか、そういう認識がございますので、今後この法人を環境保全型農業を行うような法人に指導する、そのようなお考えがありますかどうか、お聞きをしたいと思います。
#62
○政務次官(三浦一水君) お答えします。
 今回の農地法改正による新たな要件が適用される農業生産法人についても、環境保全型農業への取り組みを推進することは重要と考えております。このため、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律に基づいた堆肥等による土づくりや化学肥料、農薬の低減に一体的に取り組む農業生産法人に対しても金融・税制上の支援措置を講ずるとともに、堆肥供給施設の整備等を推進してまいる考えであります。
#63
○郡司彰君 私の方でちょっと調べさせていただいた中で、例えば中国は、これ御存じのことかと思いますけれども、一九九〇年に緑色食品の生産振興宣言、そして九二年の十一月からはそれをもとにした中国緑色食品発展センターというものを設立したと。現状はどうなっているかといいますと、緑色の栽培面積で二百二十六万ヘクタール、これは日本の畑作面積とほぼ匹敵をするような面積でありまして、生産量が約八百五十万トン程度、そのうち六割ぐらいの五百万ドルぐらいが日本の方に輸入をされている。
 一方、アメリカの方はといいますと、これもオーガニックという形で進めておりまして、日本については、気候が高温多湿、有機栽培は事実上極めて困難な地域だと、だからこそJAS法その他を制定させてというようなレポートがFASの方で出されているようでありますけれども、いずれにしましても、ここでも相当程度のものが日本に入ってくるような機会をねらっている。
 一方、オーストラリアは、米あるいはフルーツ等を中心だということでありますけれども、面積で約五百三十万ヘクタール、世界全体の有機農法の畑作の約半分近くをつくっているわけでありまして、またニュージーランドは、やはり同じように六〇%が日本に輸出といいますか輸入、日本からいえば輸入をされている。
 そういう現状の中で、日本についても昨年持続型の農業を目指す法案等ができ上がってまいりましたけれども、一方、同じように多面的機能という言葉をほかの国に発しております韓国においても新しく、これまでの環境農業育成法にかわりまして親環境農業育成法、これが施行されているというふうに聞いております。この韓国の多面的機能あるいはその環境保全型農業、これに対する新しい法律の特色についてお知らせいただきたいと思います。
#64
○政府参考人(石原葵君) お答え申し上げます。
 ただいま先生の方からお話がございましたように、韓国では農薬及び肥料の投入を一定基準以下に抑えることによりまして、農業・農村の環境保全と安全な農産物の生産を行うことを目的といたしました親環境農業直接支払い制度を一九九九年、昨年から実施しているところでございます。
 これは、具体的に申し上げますと、自然公園の地域とか水道の上水源保護地域、こういうものを環境規制地域ということで定めまして、当該地域におきまして、一つは農薬及び肥料の使用に係る一定基準を満たす、一定量肥料、農薬を一定以下に抑えるということでございます。それからもう一つは、耕地面積が十アール以上の農業者という、こういう条件がございます。こういう農業者を対象といたしまして政府が一定額の直接支払いを行うものでございます。これは、五ヘクタールを上限といたしまして、一ヘクタール当たり五十二万四千ウォン、邦貨にいたしまして約五万円ということでございます。
 昨年からこの事業は実施されておりますが、昨年の事業計画は、事業規模が一万五百ヘクタール、それから事業費が五十五億四千万ウォン、邦貨で約五億三千万ということでございまして、これは二〇〇一年までの三年間継続して実施されることになっていると承知しております。
#65
○郡司彰君 私自身の感覚かもしれませんが、同じように多面的機能という言葉を世界に発信する日本と韓国について、どうも韓国の方がフットワークが軽い。しかも、中身を見ますと、日本のでき上がってきたものを幾つかまとめたような総合的な法案にもなってきているのではないかなという感じがしております。
 結果として、先ほどの中国の野菜が韓国にも相当入る、韓国の方は、国内農業を守るということも含めてでありますけれども、押し出されるような形でもって韓国のものが日本の方にまた輸入といいますか輸出といいますか入ってきている現状があるんだろうと思います。この韓国のフットワークの軽さといいますか、セーフガードの発動にしても、結果としては、いろいろなことがございましたけれども、素早く行った。このような姿勢に対して、政務次官で結構でありますが、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
#66
○政務次官(三浦一水君) まず、中国から韓国へ製品が入って押し出されるように我が国へという御指摘がございましたが、その点につきましては、韓国側も生鮮野菜に関しては、野菜、果実すべてを植物防疫法上の観点から中国からの輸入禁止措置をとっていると聞いております。そういうことではないかと思っております。
 環境に配慮しました農業生産を対象とする直接支払い制度につきましては、導入の必要性、対象の区域について国民の理解と支持を得ていくことが重要であると考えております。このため、環境保全型農業など自然生態系の保全に対する取り組みを対象とする直接支払いにつきましては、中山間地域等の条件不利地域を対象とした直接支払い制度の実施状況、諸外国の施策の動向や国際規律の動向等を踏まえつつ、十分な時間をかけて検討することが必要だと考えております。
#67
○郡司彰君 いずれにしましても、日本の国において有機農法を行うというのはこれは大変な努力が必要だろうと思いますけれども、世界の流れとしてどうしてもそういうような形をきちんと行っていかなければならない、それについては今回の農地法の改正とも関連をして強力に推し進めていただきたいなということを申し添えておきたいと思います。
 次に、担い手ということについてお聞かせをいただきたいと思いますが、いただいた資料の中で、担い手は規模拡大、資本整備の近代化等の経営改善をしていこうとする者だというふうに述べられておりまして、これは特に日本国籍を有する者というようなところの言及はないようであります。
 人口の今後の予測等もございますし、農業に対する労働力の確保という観点から、現在の、ちょっとこれは労働力という形では違うわけでありますけれども、例えば各国からの研修生の受け入れの実態、それから実習生という形でもって、これはまた新たに労働法制に関係するというようなことでございますから、より労働力としての質が違ってくるのかなというふうに思いますが、いずれにしましても、今後の予測として担い手というものが国内のそうした形だけで本当に賄えるというふうな形でお考えになっているのか、よしんばそれと違う形をとらざるを得ないとすれば、これは今、関係省庁がございますから農水省だけの問題で結論が出るわけではございませんが、考え方として、中長期的に農水省としての考え方をしっかりとしておく必要もあるのではないかと思いますが、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
#68
○政府参考人(渡辺好明君) 今、先生からまさに単なる労働力とは違うというお話が出ました。現在でも外国人研修、受け入れ研修生、農業分野に限っても三千三百名、実務に入っておられる方が千五百名というふうな状況であります。ただ、やはりこれは送り出しをしている国へ技術移転をする、それを通じて日本国が国際貢献をするというのが大きな目的でありますので、担い手の確保、育成とは観点が違うのかなというふうに思っております。出入国管理政策の観点からここは議論すべきものと思っておりまして、私たちも構造展望やその他でどれぐらい、言ってみると効率的、安定的な経営体をつくるかというふうなことも出しております。
 要は、それが実現するかしないかということは、結局、農業なり農業経営がそれだけの魅力を持つかどうかということにかかってくるわけでありますので、そこをしっかりと対策を拡充強化していくことで、担い手もまた私たちが展望した数が確保できるというふうに思っております。
#69
○郡司彰君 局長の今の答弁で私自身は納得をしたいと思います。
 たまたま私自身は茨城の出身ということで、数字をいただいたものを見ますと、東京を例外として茨城だけが突出して多いということで、そのような中で、私自身は相当見聞きをしているというような認識がございました。それと同時に、今回この中でお答えをいただくわけにはいかないと思いますけれども、実はこれらの数字に含まれていない、現実的に労働力として農業を営んでいるといいますか、している外国人の労働力を提供している方がいらっしゃいます。これらも早晩いろんなところでもって問題が出てくるのではないか、そういうようなことを考えておりまして、これらについての対策というものは、これは農水委員会の範疇ではございませんけれども、そのようなことも今後の中で頭に入れておく必要があるのかなというふうに思っております。
 最後になりますけれども、新しい基本法、そして農地法、間に基本計画等ができ上がってまいりました。残されている基本法に関連する法案というものが、どのような形のものが幾つほど残っていらっしゃるのか、まず最初にお聞きをしたいと思います。
#70
○政府参考人(竹中美晴君) 食料自給率の目標の実現という観点からは、生産、消費、両面にわたる各般の努力が必要でございます。そういう中で行政といたしましても、食生活の見直し・改善に向けた国民的な運動を展開いたしますとともに、これまで生産基盤の整備あるいは技術の開発普及、消費者のニーズに応じた生産の推進、また価格政策の見直しに伴う経営安定対策等の施策を推進してきているところでございます。
 特に消費面では、食生活の見直し・改善等に向けまして、厚生省、文部省とも一体となりまして食生活指針を策定したところでありますし、平成十二年度予算におきましても関連施策の充実等を図っております。
 また、生産面では、特に自給率の低い麦、大豆、飼料作物の本格的な生産に向けまして、麦につきましては新たな麦政策大綱に即しまして平成十二年度から、十二年産の麦から民間流通へ移行いたしますとともに、生産者の経営安定等を図るための麦作経営安定資金を創設いたしております。
 また、大豆につきましては、市場評価が生産者の手取りに適切に反映するようにするという観点から、さきの通常国会におきまして法律改正を行いまして、大豆交付金制度の見直しを行い、また大豆の経営安定対策を創設しているところでございます。
 こういった施策を着実に推進していきたいというふうに考えておりますが、今後必要に応じて制度、施策の見直し等も図りながら、食料自給率目標等の達成に向けて努力をしていきたいと考えております。
#71
○郡司彰君 冒頭、耕地利用率が上がったという数字を聞きましたが、これは分子分母の関係で、実質的には面積としては減っているという話もございました。
 最後に、大臣の方にお聞かせをいただきたいと思いますけれども、基本法が制定をして既に一年半ほどが経過をしているわけであります。今後、こうした施策が期するところは自給率の向上にどうつながっていくかということだろうと思いますが、こうした施策を積み重ねることによって、今現在まだ下降線をたどっているものが維持に、そしてそれから向上に向かうのはどの程度の時点、何年後ぐらい、どのような形でを想定していらっしゃるか、お聞かせをいただきたいと思います。
#72
○国務大臣(谷洋一君) ただいまの御質問につきましては、大変、我々が目標を持っていつまでにどうしてできるかということは難しい問題だと思います。
 ただ、我々は最善の努力を絶えず続けていくことが大事だと、こう考えておるようなことでございまして、いつどうしてできるのかということはちょっと今の段階ではなかなか難しい問題だと思います。
#73
○郡司彰君 大臣、もう少し元気よく、もうこの辺ぐらいから上向きに転ずるぞというような御発言をいただきませんと、全国の農業者は大変苦労しておりますので、今後とも一層精励いただきますように。
 これで終わらせていただきます。
#74
○委員長(太田豊秋君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時四十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#75
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農地法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#76
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。
 農地法の一部を改正する法律案について質問を行いたいと思います。
 まず最初に、農地の確保等農地制度についてお伺いをしたいと思います。これまでいろいろな質疑の中で、重複するところもあるかもしれませんが、公明党としては最初でございますので、その分どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず最初に、谷農林水産大臣にお伺いしたいと思います。
 日本の農地は昭和三十六年の六百九万ヘクタールをピークに年々減少を続けておりまして、平成九年には五百万ヘクタールを割り込み、そして近年も年間二万ヘクタールぐらいずつ減少しております。そして、平成十二年では四百三十八万ヘクタールとなっております。
 本年三月に閣議決定されました食料・農業・農村基本計画では平成二十二年の農地面積を四百七十万ヘクタールと見込んでおりますけれども、このペースで維持ができるのかどうか、若干危惧の念を抱いております。
 そこで、まず谷農林水産大臣に、今後の農地の確保と有効利用についてどのように取り組まれていくのか、お考えをお聞きしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
#77
○国務大臣(谷洋一君) 農地の確保の問題でございますが、我が国の経済の成長に伴いまして工場群があちこちにでき、農地を減少させたという大きな原因になりました。その後、今度は住宅事情がどんどんよくなってまいりましたので、その住宅地にも提供されるようになりました。そういうことから、都市を中心として農地がどんどん減ったわけでございますが、一方、山村、農村の地域におきましては過疎化の現象がすこぶる顕著になりまして、また高齢化率が高くなると、こういうことからだんだんと、農地を手放すというよりも放置するというふうな傾向が強くなってまいりました。
 そういうことから、農地は一年一年減ってきたようなことでございますが、今のところ、やはり農地をほかの使用目的に転ずるということと、それから放棄田をつくるというふうな傾向と、それが相半ばしておるというのが今の現状でございます。
 そういう点、何としてでも今後は優良農地を確保することによって農地を減らさないように努力しなきゃならない。今度の新しい農業基本法におきましては自給率を高めようと、こういうことを強く言っておりますけれども、自給率を高めるためにはやはり農地の確保ということが絶対条件でございますので、その点、我々としては最善の努力をして優良農地の確保を図っていきたいと、こう思っております。
#78
○渡辺孝男君 確かに、自給率の向上のためには優良農地をきちんと確保していくということが非常に大事であると、そのように私も思います。
 農地の減少というものが日本だけの特有なものなのかどうか、私、ちょっとその辺もお聞きしたいと思うんですけれども、世界のレベルで農地というものが減少しているのか、それとも例えば英国、フランス、米国の方、それからオーストラリア等で、そのような主要諸国で農地はふえているのか減っているのか、その辺をお伺いしたいということと、もし欧米諸国において農地の減少を防ぐためにいろいろな施策がとられているとすれば、その点をお伺いしたいと思います。
#79
○政府参考人(石原葵君) まず私の方から、世界及び欧米の主要国での農地の増減の状況につきましてお答え申し上げます。
 世界全体の農地面積は、二十年前、一九七八年の約四十六億九千万ヘクタールに対しまして、一九九八年は四十九億四千万ヘクタールとなっておりまして、二十年間で約五%増加しているということでございます。
 これを主要各国別に見てみますと、英国では約一千八百五十万ヘクタールから約一千七百五十万ヘクタールに約五%の減少、それからフランスでは約三千二百万ヘクタールから約三千万ヘクタールに約六%の減少、そして米国では約四億三千万ヘクタールから約四億二千万ヘクタールに約二%の減少、そして最後に豪州では約四億八千万ヘクタールから約四億七千万ヘクタールに約一%の減少と、いずれも減少ということになっております。
 なお、世界全体がふえておりますのは、中国、ブラジル等がふえていることによるものでございます。
#80
○政府参考人(渡辺好明君) 二点目の御質問でありますけれども、農地の減少に歯どめをかけるという意味で、欧米における規制のあり方でありますけれども、一言で申しまして、特にヨーロッパの規制のあり方というのは、ゾーニングとそれから計画に基づく開発、あるいはそれ以外の地域の保全という制度になっております。個別の転用許可というふうな政策はとられておりません。これは、それぞれの国が歴史的な背景を持っているからではないかと思います。
 我が国では、御承知のとおり、戦後、農地解放が行われて、各農家にそれぞれ、言ってみれば平等に小規模な農地が分散をされたというふうないきさつもございまして、農地の移動そのものを転用とゾーニング、つまり農振法と農地法でやっているわけでございます。
 いずれにしても、参考になるべきはやはりドイツでやっておりますような計画なければ開発なしと、こういった精神は学ぶべきものであるというふうに思います。
#81
○渡辺孝男君 去る十一月二十一日に、本委員会では参考人の意見を聴取したわけでございますけれども、おいでいただきました全国農業会議所専務理事の中村裕参考人は、いただいた資料の中で、農地の確保、有効利用あるいは担い手の確保を進める上でゾーニング手法の活用が有効であると述べられております。具体的な案としては、三つのゾーンに分けてそれらについて検討してはどうかと、そのような提案をしておられました。
 第一、三つのゾーンの一つは、効率的な生産を図る区域としまして、ここでは圃場整備が済みまとまった農地で、認定農業者等担い手への利用集積を通じて有効利用を図る優良農地の区域と。そこで、どのような経営体が担っていくかを含め区域を明確にするというような考えを述べております。
 第二番目のゾーンとしましては、自給的農業利用の区域というふうに定めておりまして、高齢農家や兼業農家が自家の食べる米や野菜などを確保したり、あるいは市民農園などで都市との交流を図る、そうしながら、一定の生産を継続しながら農地として保全、確保し、将来的には有効利用につなげられるように、そういう幅の広い考え方を持った区域ということであります。
 三つ目のゾーンとしましては、環境保全の区域というふうに考えておりまして、生産・生活環境や景観を保全するために生産基盤と生活基盤を一体的に整備するとともに、景観作物を計画的に植栽するなど多面的利用を図る区域と、そのように考えておられまして、ここでは場合によっては広葉樹などの林地化も可能とすると。そのように三つのゾーンに分けてやっていったらどうかと、そのような提案をされておったわけであります。
 私も、農業・農村の持つ多面的機能をやはり配慮しまして、このような考え方に基づいてゾーニングをして、公的支援もそれに基づいて行うことがよいのではないかというふうに考えているわけでありますけれども、農水省としては、このようなゾーニングの考え方等、どのように考えておられるか、また今後それを取り入れてどのように取り組まれていくのか、お考えをお聞きしたいと思います。
#82
○政府参考人(渡辺好明君) 今御指摘がありました中村参考人がお配りになった会議所の提言でありますけれども、これは新しい、ある意味では望ましい方向だというふうに私ども思っております。
 これまで農用地区域内の土地につきましては、農業上の効率的利用という観点から、農地、採草放牧地、混牧林地、農業用施設用地という四つの用途だったんですけれども、昨年の農振法の改正で、もう少しその各地域の特性にふさわしい農業の振興を図るという観点から、市町村の判断でさらにきめ細かい区分をして指定をすることができるというふうになっております。中村参考人のことと共通をするわけでありますが、例えて言いますと、大規模な農業経営に適する土地、それから都市と農村の交流に資する土地、それから棚田として保全・整備をする土地などに細分化が可能でございます。現在、市町村がその作業中でありますので、これもどういう用途というふうに定めますとまた前と同じでありますから、地域ごとに特性を出した再区分ということで、その区分の状況を待ちたいなと思っております。
#83
○渡辺孝男君 やはり今おっしゃいましたように、地域でいろいろな考え方もございますし、それに適した農地というものもあると考えますので、今後そのようなゾーニングの考え方を取り入れながら優良農地を確保していく、あるいは多面的機能を発揮するためのそういう農地のあり方等を検討していただきたいなと、そのように思っております。
 二番目に、法人化推進の目的についてお伺いしたいと思います。
 最初、大臣にお伺いしたいんですが、今回の農地法改正は、日本の農業の持続的発展を図るために、自立できる農業の担い手を育成するという最重要課題への取り組みの一環として農業生産法人の活性化を図ろうとするものであろうと、そのように思っております。
 そこで、まず谷農林水産大臣に農業経営の法人化を推進するねらいについてお伺いしたいと思います。
#84
○国務大臣(谷洋一君) 新しい農業基本法に基づきまして、何よりも足腰の強い農業をやっていただくような人をふやしていきたい、こう考えておりますし、ふやすことによってまたその地域の活性化にも農業の活性化にもなると、こういう考えでございます。そのためには、やはり農業法人をどんどんつくって規模を拡大し、また経営を拡大するというふうなことを考えていただくことが一番いいじゃなかろうかと、そこに今回の農地法改正の意義があると、こう思っておるようなことでございます。
#85
○渡辺孝男君 この点に関しましていろんな、法人化する、あるいは株式会社が参入することによって投機的な土地の取得等も心配されるというようなこともありますが、この点に関しまして、まず三浦政務次官にお伺いしたいんですけれども、この本改正が農地耕作者主義という農地法の根幹の考え方に反するものでないという、そういう根拠についてお伺いをしたいと思います。
#86
○政務次官(三浦一水君) お答えします。
 農地法は、農地を適正かつ効率的に耕作する者に権利取得を認めるという、いわゆる耕作者主義の考え方をとっております。このため、農地の権利取得が認められる要件としまして、取得後のすべての農地について耕作または養畜の事業を行うこと、二番目に、農地を効率的に利用して耕作または養畜の事業を行うこと、三番目に、個人による取得の場合には本人またはその世帯員が必要な農作業に従事することを規定しておりますが、一方で、法人による取得の場合には農作業に従事する構成員が役員の中で一定の比重を占めること等を規定しているところでございます。
 今回の農地法改正におきましても、このような基本的な枠組みは維持をすることとしておりまして、耕作者主義の考え方に沿ったものと考えております。
#87
○渡辺孝男君 いろいろ耕作放棄の農地が出てきている、あるいは担い手が少なくなってどうしても耕作を続けていけないというようなところもあるわけでございますけれども、日本ではそういう状況にあるということで今回の法改正にもつながってきたわけでありますが、欧米諸国でこういう法人形態による農業生産の状況というものがどのようになっているのか、その点をお伺いしたいと思います。
#88
○政府参考人(渡辺好明君) 欧米諸国における法人経営の実態でありますけれども、アメリカの場合とフランスの場合をお話をしたいと思うんですけれども、アメリカの場合は大部分は個人・家族経営、あるいはその共同経営ということになっていますが、法人の経営体は数でいいますと約四%です。ただ、その四%でありますけれども、そのほとんどがファミリー・ヘルド・コーポレーションということで、まあ言ってみると家族会社であります。ですから、純粋な意味での法人、会社といいますと〇・四%ぐらいという状況にございます。ただ、この両者を合わせまして、法人が面積でいいますと約一二%、農業総生産額では二七%を占めているというのがアメリカの実態でございます。
 フランスは、やはり個人経営が中心でありますけれども、最近増加をしてきておりまして、経営体の数でいいますと全体の約一三%、それで一農場当たりの平均経営規模は八十ヘクタールですからかなり大きいですけれども、どういう作目をやっているかといいますと、やはり畜産と大規模畑作、これは麦が中心ですが、それとブドウなどの永年性作物、そういう分野に法人経営が率が高いという状況にございます。
#89
○渡辺孝男君 欧米諸国でもフランスと米国の例を引いていただきましたけれども、法人形態、米国においてはまだまだ家族形態の延長という形でやっておられるということで、日本とそういう意味では似ているのかなと、ただ、かなり規模の面では大きいというような今印象を受けました。
 今後の農業の経済構造がどのようになっていくのかという点で次に質問をさせていただきたいんですが、三浦政務次官にお伺いいたします。
 農業経営の法人化は、農業の担い手の確保、育成の観点から今後ますます重要な課題であると思います。一方で、我が国の農業はこれまで家族経営を中心に行われてきましたし、今後もしばらくその傾向というものは変わらないのではないかというふうに私も思っております。食料・農業・農村基本法でも、第二十二条で、「家族農業経営の活性化を図る」というふうに規定をしております。
 我が国の農業の維持発展のために、一方では法人化の推進、またもう一方では家族農業の農業経営の活性化ということが大事だと思うんですが、それをどう今後位置づけていこうとして、考えを持っているのか、農水省の考え方をお聞きしたいと思います。
#90
○政務次官(三浦一水君) 家族経営は今後とも我が国農業の主流であると考えております。同時に、家族経営でありましても、その経営の近代化を図るためには、今後は家計と経営の分離や、あるいはまた休日や給料の取り決めなどが必要であると考えております。
 二番目に、農業経営の法人化につきましては、家族経営の経営改善を促進する有効な手段の一つであると考えております。まず、経営管理能力や雇用者の福祉の向上を図ることができると思っておりますし、もう一点は、新規就農の受け皿、経営の円滑な継承を図るという点等におきまして、そのメリットもあることから、農業経営の改善と農村社会の活性化がより一層図られるものと考えております。
#91
○渡辺孝男君 今回、農業生産法人に株式会社形態の導入を認めることになるわけでありますけれども、その株式会社形態の導入に関しましてはこれまでもいろいろな議論が行われ、そして今回の法改正に至ったわけですが、その背景について伺いたいと思います。
#92
○政府参考人(渡辺好明君) 御案内のとおり、昭和一けた代の農業の担い手というのはもうそろそろリタイアの時期が近づいております。各地でやはり高齢化と担い手不足という状況が深刻であります。もう一方で、やはり国民の食生活の向上等によってマーケットは非常に活発な動きをしております。消費者が非常に多様なものを求める傾向にございますので、そのマーケットに対して鋭敏に反応し、そのシグナルを受けてみずからの生産や流通や加工をダイナミックにやっていく、機動的にやっていくということが必要になってまいりました。
 今、政務次官からもお話し申し上げましたように、いろいろなメリットを株式会社といった形態は持っております。もちろん制約つきでありますけれども、株式会社自身が持っておりますメリットというのは依然としてあるわけでありますので、それを生かすことによって農業者自身も経営が効率化をいたしますし、地域農業も担い手ができてくるということで活性化をするということであります。また同時に、これと結びついた、今回構成員要件の変更をいたしますので、生協など消費者グループにとってみれば有機栽培あるいは無農薬栽培、安心、安全な食料を安定的に確保できる、それから加工・販売業者にとってみればみずからの商材の確保というふうなこともございまして、それぞれこういう一定の活発なマーケットを前提にした生産、流通、加工の面で大きなメリットが生ずる、恩恵が出ると思っております。
#93
○渡辺孝男君 株式会社形態の農業生産法人への導入ということに関しましては、本当にこれまで長い間議論が行われてまいりまして、どうしても土地の投機的な取得にかかわってくるのではないかというような疑念もまだ残っているところでございますので、今後法改正がされた暁には、そういう農地がきちんと有効利用できるように、耕作者主義というこれまでの根幹の精神を保ちながら運営できるように、農林水産省としてもしっかりこの点は見ていっていただきたいなと、そのように思っております。
 次に、今もお話にありましたように、株式会社形態、こういうものの導入もやはり新規就農者の獲得にも資するのではないかというような話もありましたが、新規就農者の確保、育成について次にお伺いしたいと思います。
 日本の農業が持続的に発展するためには、法人化による農業経営の円滑な継承、家族農業経営の後継者の育成、そしてまた農外からの就農希望者など、新規就農者の確保・育成対策を強化することが必要ではないかと、そのように思われるわけでございます。
 そこで、新規就農者の現状についてどのようになっているのか、お伺いをしたいと思います。
#94
○政府参考人(木下寛之君) 新規就農者の現状でございますけれども、まず相談件数について見ますと、全国段階の全国新規就農ガイドセンターがございますけれども、これが大体三千六百人、十一年度の実績でございます。また、このほかに都道府県段階でもガイドセンターがございますけれども、それが一万四千四百人ということで、十一年度全体で見ますと一万八千人余りの方が相談に訪れたという状況でございます。
 また、新規就農の数でございますけれども、このような相談活動あるいは技術研修などを受け実際に就農した三十九歳以下の新規就農者の数でございますけれども、近年増加傾向で推移いたしておりまして、平成十年には一万一千人というような状況でございます。この中で女性の数は三千百人ということで、三〇%弱という水準でございます。
 また、就農された方がどういうような形態かということについて調査いたしておりますけれども、農家としての就農は約九割、それから先ほど話題になってございます法人等農業事業体への就職が約一割というような状況でございます。
 また、就農後の経営内容でございますけれども、施設野菜が一八%、また露地野菜が一四、花卉・花木が一四ということで、野菜あるいは花卉農業につく人が多いというような状況でございます。
 以上でございます。
#95
○渡辺孝男君 このように新規就農者もふえてきているということでありまして、新規就農者がそのまま農業に従事されて、その後そのまま継続されている方も多いとは思うんですけれども、その後継続できないで違う方面に行った方というのもあるとは思うんです。
 そういう意味で、新規就農者を支援するために、また就農後の課題の克服に向けて今後政府としてどのような取り組みを行っていくのか。また、もし地方自治体でもこういう試みが、いろんな試みをしていると思うんですが、そういう代表的な試みの状況についてお伺いしたいと思います。
#96
○国務大臣(谷洋一君) ただいまおっしゃいました農業の持続性を高めるということは、何といっても後継者がしっかりやってもらわなきゃいけないということは言うまでもございません。その意味におきまして、本年の天皇杯を受賞された方もやはり、九名のグループの方でございますが、そのうち二名は都市からの入ってこられたと。全く農業を知らなかった人が意欲的に皆さんのやっていらっしゃるところを見て、そして新しい農業に取り組もうと、こういう気概を込めてやっていらっしゃると。私は、最近の都市から農村に入ってこられる方々は相当意欲を燃やしてやっていらっしゃるというふうに思いまして、いい傾向になっておるなというふうに見ております。
#97
○政府参考人(木下寛之君) 渡辺委員からの御質問の中で地方自治体での取り組みについてのお尋ねがございました。
 私ども、各県あるいは市町村でどのような取り組みが行われているかということについて調査をいたしておりますけれども、まず一つが研修を受ける際の研修費の助成を行っている市町村が相当ございます。それから第二点目といたしまして、それぞれの市町村への定住促進対策という点もございますけれども、実際に就農した場合の助成金の交付、それから地域外から転居してくる人のための住居等の手当て等々につきまして、それぞれの自治体の状況等を踏まえた施策が講じられているというふうに承知をいたしております。
#98
○渡辺孝男君 先ほど谷農林水産大臣から新規参入者が非常に頑張っているというような御紹介もありまして、本当にそういう意味では大変うれしく思っているわけであります。
 先ほど御紹介いただいた新規就農者の中で女性が三〇%弱あるというようなお話もございました。女性の新規就農者もそのように非常に大事でありまして、今後とも農業分野での女性の就業者は現在も含めまして多いというふうに推測されるわけであります。
 現在、政府の方は男女共同参画社会の推進に努力しているわけでありますけれども、今後、女性の農業経営者の役割を適正に評価するために政府はどのような取り組みをしていく方針か、お伺いしたいと思います。
#99
○政府参考人(木下寛之君) 農業就業人口の中で女性が既に六割を占めているという状況でございます。そういう意味で、農業経営の重要な担い手でございますし、女性が意欲を持って農業に取り組めるという環境づくりが重要だというふうに考えております。
 私ども、こういうような観点から、一つは十一年度、昨年度でございますけれども、各都道府県の中で農業委員あるいは農業協同組合の役員への女性の参画目標を策定したところでございます。現在、各県で策定されました参画目標を踏まえまして、市町村レベルで女性の参画目標の策定あるいは達成に向けてのいろいろな啓発活動を行っているところでございます。また、女性の経営におきます役割分担あるいは休日等の就業条件につきまして文書により取り決める家族経営協定、もう既に一万を超えているような状況でございますけれども、このような家族経営協定を推進している。また第三点といたしましては、女性農業経営者としての能力の開発あるいは労働環境の改善など男女共同参画社会の形成に向けた普及活動の効果的な展開を進めているところでございます。
 このような結果、例えば女性農業委員でございますけれども、まだ全体のレベルは低いわけでございますけれども、平成九年が四百五十一名というところが昨年の改選によりまして九百八十四名ということで倍増したというわけでございます。
 私ども、このような取り組みを踏まえながら、女性の参画促進を今後とも進めていきたいというふうに考えております。
#100
○渡辺孝男君 私も参議院の方の共生社会の調査会の一員でございまして、調査に行ったときに農業委員の方、女性の方がおられまして、まだ数は少ないんですが、農業委員に女性の方が選ばれて活動に参加している中で農業委員会の方も活性化してきたというような、そういうお話も聞いておりまして、今後ともそういう意味では女性の役割を適正に評価していくように進めていただきたいと、そのように思います。
 次に、先ほども中村裕参考人のお話をしましたけれども、中村裕参考人からいただいた資料の中で、農業者と地域住民が協力して農地の確保、保全、有効利用を図っていくことの重要性を述べられておられまして、その中で、中村さんの言葉では、地域における「ふるさとの農地を活かす国民運動」、仮称でございますが、これを進めていったらどうかというような提唱もございました。その具体例としましては、農業体験の場としての市民農園や園芸療法等を行う福祉農園を挙げておられました。
 そこで、市民農園の普及状況について、どのようになっているのかお伺いをしたいと思います。
#101
○政府参考人(渡辺好明君) 市民農園整備促進法等に基づいて開設されました農園でありますけれども、平成十二年三月現在で約二千三百ございます。この二千三百という数字は、大体一年間に二百ずつふえてここまで来たということで、まだこれからも私たちは、都市住民の需要が高まっておりますのでふえていくというふうに思っております。
 もちろん、農作業に親しみたいというニーズがあって、農業に対する理解を深めてもらって、そして都市と農村が交流することによって農村地域も活性化をすると、こういういい循環に入ればなと思いまして、いろいろ助成もしているところでございます。
#102
○渡辺孝男君 また、先ほども挙げましたけれども、福祉農園というのも盛んになってきているようなお話も聞いておるんですが、この福祉農園の現状についてもお伺いしたいと思います。
#103
○政府参考人(渡辺好明君) 福祉農園というのは、先ほどの市民農園のように明確な法律上の定義があるわけじゃありませんが、一般的には、土に親しんで農作業を行うことが人間の心身をいやす効果があるというセラピー、これに着目をして園芸作業を通じた療養を行うということを一つの概念といたしますと、この概念で全国農業会議所が平成十一年に調査をいたしておりますが、二百九市町村、五百三十八農園と、こういう状況にございます。
#104
○渡辺孝男君 きょう、厚生省の方からも来ていただいておるんですが、こういう園芸療法を行ってどういう治療効果が得られているのか、そういう検討状況についてお伺いをしたいと思います。
#105
○政府参考人(今田寛睦君) 委員御指摘の園芸療法でありますけれども、精神的、身体的あるいは社会的にリハビリテーションが必要な方々に、園芸を行いながらみずからの心をいやし、あるいは病を回復し、あるいは社会復帰を目指す、こういった形で取り組まれている、このように承知をいたしております。これらについては、身体障害者、知的障害者あるいは老人等におかれても活用されているわけでありますが、精神病院などにおきましても、患者の社会性の回復といったことから作業療法の一部として取り入れられております。
 この園芸を用いたいわゆる医学的な意味での作業療法でありますが、専門性あるいは適応、それから具体的なプログラムなどについてはまだ医学的な評価が必ずしも十分に行われていない現況にございます。したがいまして、今後その実施状況あるいは研究実績などの基本的な事項についてその治験の集積をしていきたいと、このように考えている状況であります。
#106
○渡辺孝男君 福祉農園というものも盛んになってきているということでありますので、我々、やはりいろんな植物等が育っていくということで、生きる喜びとか生きる強さといいますか力強さ等をやはり目の当たりにすることによって自分も生きていく力というのが出てくるというようなことも非常に、自分としてはそういう体験もあるわけでございまして、それはやはりそういういろんな方々にも共通するものではないかというふうに思います。
 そういう意味では、園芸療法等でそういう農地を利用していくということも非常に大事な流れでありまして、そういう中でやはり人々の心身をいやす効果がやはりあるのではないかというふうに私は考えておりますので、その点、厚生省もそういう園芸療法等をきちんと評価していただいて、もしそういう、確かにそういう効果があるということであれば、農林水産省とも連携してこういう農地の利用法というものも推進していただきたい、そのように思っております。
 次に、農業生産法人はそれ自体が多様な担い手の一つでありますが、同時に、農家の後継者、また後継者でない学卒あるいは定年後の方などの就農者が、将来独立に向けて研修をする場あるいは雇用の場としての役割も担っていると思います。農業生産法人にとって新規就農者の育成にはやはり多くの時間と経費がかかるというのが現実ではないかというふうに思っております。これら新規就農者への教育訓練について、そういう国がどのような支援をしていく方針なのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
#107
○政府参考人(渡辺好明君) 今、先生から御指摘がありましたように、この法人というのは、みずからの経営の改善と同時に、雇用の受け皿であったり、あるいは新規就農の第一ステップというふうにも位置づけられるわけであります。
 先ごろ誕生した日本農業法人協会、ことしの三月に「ビジョンと提案」という形で取りまとめをしておりますが、その中でも、就農・担い手の受け入れ、育成基盤の確立といったことを言っておりまして、私たちもこの法人協会の活動を支援していきたいと思っております。
 法人へ就職しますと、農地の取得なり資金調達なり技術習得というのが一時的に緩和をされて、なだらかに次の農業展開につながるというわけでございますので、そこは大いに意義もありますし、支援をしたいと思っております。
 やはり法人側にとって一定の負担がありますから、ここを緩和するという意味で、就農の可能性のある大学生と農業法人の間を農業インターンシップというふうな形で結びつけをしたり、あるいはどの法人でどれだけ受け入れの可能性があるというのを希望を持つ方の方に伝える、あるいは経営体の中でのオン・ザ・ジョブ・トレーニングといいますか経営内研修といったことに対し、会議所とも連携をしながら支援をしていきたいというふうに思っております。
#108
○渡辺孝男君 やはり農業を自分もやってみたいという方はこれからも多く出てくるんではないかと。しかし、やはり現実に農業に従事するとなると、今までの自分の描いていたものとまた違うという面もいろいろ出てくると思うんです。
 そういう意味では、現実に就職をするためにはさまざまな教育訓練というのが必要であるということは論をまたないところでありまして、これが余りそういう農業法人等に大きな負担になり過ぎないように、そういう意味では政府としてもきちんと支援をしていくことが大事だなというふうに私は思っておりますので、この点も十分考慮していただきたい、そのように思います。
 次に、今回、法改正に伴いまして農業委員会が非常に大きな役割を果たしてまいりますので、その点に関しましてお伺いをしたいと思います。
 今回の法改正に伴いまして、農業委員会は、農業生産法人が農地を獲得する段階での審査や活動段階での調査、勧告、場合によってはあっせんなど、ますます重要な役割を担うことになってまいります。この農業委員会の機能強化や委員の人材育成を含めまして、農林水産省としてどのような支援を行っていくのか、この点をお伺いしたいと思います。
#109
○国務大臣(谷洋一君) ただいま農業委員会のことに関しまして御質問がございましたが、私どもは今農業委員会の改革に取りかかりたい、こういう考えのもとに鋭意努めております。
 私は、率直なことを申し上げますと、きょうもいろいろと委員の皆さん方からの御質問がございましたが、一町に一農業委員会という形態をとっておること自身が間違っておったんじゃないか。一時、それは了解できた行為としてこれはよかったけれども、今のような農業情勢になってくると、一市町村で一農業委員会を持つというよりも、もっと大きい立場でやる方が本当の農業の振興になるんじゃないかということも思うんです。そういうことを含めまして、農業委員会の実質的な力をつけるようなことをやりたい。優良農地の確保ということが、先ほど来私も言っておりますけれども、その条件は何といっても農業委員会がしっかりしてもらわなきゃ困るわけです。
 そういう意味で、教育委員会の場合は郡で一つの教育委員会をつくって、そして一町村に一中学と一小学校で教育委員会をつくるというよりも、郡でつくった方がいいという見解のもとにやっていらっしゃるところもございます。そういうことを考えますと、町村によりましては、小さい町村であっても農業委員会を持つ、そうすれば職員が二名か三名というふうなことではなかなか本来の農業委員会の活動がしにくいというふうなこともございますので、私は、今回の農業委員会の改正に当たっては、広く大勢の方々の御意見を聞きながら、また農業者の意見も聞きながら、そして先駆的な役割で新しい農業委員会をつくり上げたいなと、こう思っております。
#110
○渡辺孝男君 補足があれば。
#111
○政府参考人(石原葵君) 農業委員会全体の問題は今大臣からお答えしたとおりでございますけれども、少し細かな問題といたしましては、農業委員の人材育成の問題が御指摘ございました。
 この点につきましては、今回の農地法の改正に当たりましても、農業委員会が農業生産法人に関する要件のチェック、こういう活動をきちっとできるようにということで、農業生産法人に対する指導・審査等の研修、巡回指導の増加等を図ってまいる必要があると考えております。十三年度予算要求におきましても、この点、各種研修の充実を図ってまいる考えでございます。
#112
○渡辺孝男君 どうもありがとうございました。
 次に、今回の法改正の一つとして小作料の定額金納義務づけの廃止があるわけでございますけれども、この小作料について定額金納を義務づける規定を廃止する理由について三浦政務次官にお伺いをしたいと思います。
#113
○政務次官(三浦一水君) お答えします。
 農地法においては小作料の支払いは定額金納を原則とし、農業委員会の承認を得た場合にその例外が認められることとなっていますが、今回の改正におきまして、この定額金納を義務づける規定を廃止することといたしております。
 定額金納の義務づけは、第二次大戦前における大地主のもとで、零細小作農が米などの現物形態の支払いにより著しく高い小作料に苦しんでいた状態を解消するため創設されたものであります。今日ではこのような状態は見られなくなっております。
 また、貸し手農家には、自家消費用の米は自分の水田から得たいなどさまざまな意向がございまして、このような意向に担い手農家が小作料という形でこたえられるようにすることが重要であると考えております。
 さらに、農地の賃貸借の部分は、定額金納を義務づける規定の対象外である農業経営基盤強化促進法の農用地利用集積計画により行われておりまして、実際にも物納などが広範に現状として行われていることから、この規定を廃止しても特に問題は生じないものと考えております。
#114
○渡辺孝男君 これまでも、先ほどお述べになられたように、農業委員会が認めれば例外的に定額金納以外の形で小作料支払いが許可されていたということでありますが、これまでそのような形で小作料が支払われていたのはどの程度あったんでしょうか。また、もしそういう形の方でよかったというような効果があれば、効果の面についてもお伺いをしたいと思います。
#115
○政府参考人(渡辺好明君) 原則定額金納制ということで、例外は二つあります。
 一つは、今先生がおっしゃられた農業委員会の承認ということですが、この農業委員会の承認は、この平成十年の賃借権の設定の中で約一八%、これは主力は米で払われているということでございます。
 ところが、この賃借権の世界というのは比較的小さくて、今は農業経営基盤強化促進法に基づく賃借権の設定ですから、ここはそもそも定額金納制の対象外ということで、トータルしますと、全賃借権設定件数の中で承認を得て、失礼、逆にその定額金納が義務づけられているという裏側からいいますと、定額金納の世界というのは四%にすぎないわけでございます。その残りはいわば物納その他でありますけれども、主力は、やはり自分の田んぼでできた米が、貸してはいるけれども、自分の田んぼでできた米を食べたいということでございます。
#116
○渡辺孝男君 法案に即したものとしては最後の質問になるわけですけれども、今回の法改正で農業生産法人に地方自治体の出資を認めることになるわけでございます。
 中山間地等、担い手が不足しておって、耕作放棄地の発生が深刻な問題になっている地域などにおいて、市町村がイニシアチブをとって農業生産法人をつくったりあるいは出資という形で農業生産法人を支援する、そういう機能も今回の法改正で期待されているところでありますけれども、農林水産省としてこれがどのように推進されていくと考えておられるのか、この点、お伺いをしたいと思います。
#117
○政府参考人(渡辺好明君) 今回の制度改正の趣旨の二本柱の一つが地域農業の維持発展ということでありますので、地方公共団体にとって、こういった出資を認めるということは行政手法の多様化につながると思います。
 現在、農業生産法人には出資ができませんが、それ以外の事業体、個別農家を除きまして、それに対して地方公共団体は、件数でいいますと百八十八件出資を行っております。つまり、私どもが聴取をいたしました意見でも、中山間地域の市町村から農業生産法人の構成員になれるようにしてほしいという声が聞かれるところでございます。
 今回の制度改正によりまして、こうした方向が、選択肢が広がるということで、現在まで百八十八件という、地方公共団体の出資状況がこれまた相当広範に広がっていくことを期待しております。
#118
○国務大臣(谷洋一君) ただいま構造改善局長の方から詳細なお話がございました。
 私はちょっと立場を変えてこの問題をとらえてみたいと思うんですが、今、中山間地域というところはほとんどが過疎地域、全国に千二百になんなんとする過疎町村が多いと思うんです。そういうことから考えてみますと、過疎町村の過疎債の執行に当たりましては出資という問題がありまして、こういう町村が出資をしていただいて農産加工をやっていくとかあるいは生産物の販売等をやるとか、そういうふうなことにまで積極的に行政が取り組んでいただくことは非常にありがたいことだというふうに思っておりまして、そういう意味におきましても、今御質問のあった問題とちょっと一致するんじゃなかろうかと、こう考えております。
#119
○渡辺孝男君 どうもありがとうございました。
 やはり最初のころにゾーニングのお話もしましたけれども、やはり多面的機能を守っていくということで、中山間地もこれからもやはり農村としてきちんと維持できるように頑張っていきたいと私は考えておるわけですが、今の谷農林水産大臣のお話のように、いろいろな形で活性化のために働いていくということが大事であるというふうに私も思っております。ありがとうございました。
 法案に関しては以上の質問で終わらせていただきたいんですが、基本的に我が党としてもこの法改正には賛成でございます。
 次に、別件としまして、今年あと委員会が何回開かれるのかどうかわからないのでここで質問を、別件ですが、質問をさせていただきたいと思います。
 前回の十一月七日にも質問をさせていただいたんですが、狂牛病対策について質問させていただきました。その後、フランスの方で狂牛病の牛を原料とした食品が店頭で市販された疑いがあるということで、フランス国民の間に、中に非常な不安が走りまして、これに対してフランス政府もさまざまな対応を行っていると聞いております。
 それに対して、農林水産省、厚生省、どういう対策をとっているのか、質問をしたいと思っております。
 まず第一番目ですね。前回の質問で食品から人への感染のおそれがないかどうかを情報収集することが非常に大事であるというふうにお話を、主張をしたわけでございますけれども、このフランスでの事件を踏まえて、日本としてはその後どのような対策を検討しているのか、厚生省、農林水産省にお伺いしたいと思います。
#120
○政府参考人(西本至君) 牛海綿状脳症いわゆる狂牛病についてでございますが、私どもといたしましては、EUにおける発生状況等を踏まえまして、従来から外務省あるいは在京公館を通じまして情報収集に努めてまいったところでございます。
 お尋ねの今般のフランスにおける牛での発生につきましては、フランスからの牛肉の輸入が現在年間三百五十トン、これは牛肉の全輸入量の約〇・四%に相当いたしますが、その程度ございますことから、詳細な情報の収集を行いまして現地での発生状況あるいは政府の対応等を確認してまいったところでございます。
 こうした確認結果あるいは農水省におけます家畜衛生上の対応から、我が国に輸出されておりますフランス産牛肉に問題はないという判断をいたしております。なお、念のために検疫所の輸入食品・検疫検査センターにおきましてもモニタリング検査を実施しておりますが、いずれの検体からも病原体は検出をされておりません。
#121
○政府参考人(樋口久俊君) 今、厚生省さんからお話がありましたが、若干私の方から補足をして申し上げますと、病気のことを先生にお話しするのは若干釈迦に説法でございますけれども、こういうことは科学技術的に対応するのが第一だと思っておりまして、これまで、OIEというところがございまして、そこのコードで狂牛病については取り扱いが一応国際的に決まっております。
 まず、イギリスの場合は非常に高発生国という範疇に入っておりまして、ここから、生きた牛、牛肉、それから牛肉加工品の輸入ということはもう禁止をいたしております。それから、今回お話がございましたフランス、ここはOIEの扱いでは低発生国ということになっておりまして、生きた牛については輸入禁止の措置ということでございますが、牛肉あるいは牛肉の加工品等につきましてはいろんな条件がございます、ちょっと細かいことがありますので省きますけれども、そういう条件を満たしたもの以外は輸入を認めないという扱いになっております。
 ただ、今回発生をしたという情報が来ましたので、私どもとしてはとりあえず一たんとめまして、フランスからの輸入を、もう一回フランスの方に確認をいたしまして二つのことを確認いたしました。それは、狂牛病に汚染した疑いのある牛を処分した施設がわかりましたものですから、そこから日本向けに処理施設として指定されて輸出されていることはないだろうかということをチェックして、ないということが一点。それから、疑いのある牛肉がフランスで流通しているということでございましたが、疑いのあるものは全部回収をされたということでございますので、その後私どもとしては輸入を再開いたしております。
 ただ、一つだけつけ加えておきますと、先ほどお話をしました高発生国あるいは低発生国、それぞれきちっとした条件がございますけれども、私どもの方で輸入する場合の条件としては、さらにそれ以上の厳しい条件になっているということをつけ加えておきたいと思います。
#122
○渡辺孝男君 ことしに入りまして、九十二年ぶりの口蹄疫の発生もございましたし、そういう意味では、通常であれば検疫等々でそういう病原体を含んだものは日本に入ってこないということでありますが、たまたまそういう飼料等々で口蹄疫の場合は入ってきた疑いがあるということがございまして、やはりまだまだこのプリオン病というのは本当に食品から人間に感染するのかどうか。また、これは科学的に今調べているところということでありまして、余りこれを危険だ危険だと言うことも、またこれも逆に不安をかき立てるということになるとは思うんですが、やはり情報収集だけはきちんとしていただいて、日本国内で、万一これが食品から感染するということが明らかになった場合にも、日本国内ではきちんとそれの予防ができていたというようにできるようにきちんと対応をしていただきたいというふうに思っております。
 フランスでは、牛とか羊とかそういう反すう、本来動物性の飼料を食べない動物に対してそういう動物性飼料を与えることを今回は暫定的に禁止するというような処置をとっているというような話も聞いておるんですが、日本では海外から輸入されているそういう動物性飼料というものがどの程度現場で使われているのか、その点をお伺いしたいと思います。牛とか羊とかそういう動物に対して与えられているのかどうかということをお伺いしたいと思います。
   〔委員長退席、理事金田勝年君着席〕
#123
○政府参考人(樋口久俊君) 二つお答えをいたします。
 一つは、海外から配合飼料原料としていわゆる肉骨粉ですね、そういう動物性由来の飼料原料でございますが、それは国産と輸入を合わせて約四十万トン強と私どもは見ておりますけれども、そのうち輸入の割合が大体三割程度だということで、十三万トン程度と推計をいたしているところでございます。
 なお、これは先生から反すう動物に使われているかどうかというお話ございましたので、これは全体、基本的には豚とか鶏の方に使うということになっておりまして、反すう動物には、御心配のようなことがございますから、由来の国にもよりますけれども、基本的には反すう動物の組織を用いた飼料原料を反すう動物へ給与しないというふうにして指導しているところでございます。
#124
○渡辺孝男君 今のところ狂牛病は牛とか羊とかに好発するということでありますので、少なくともそういうものに対してはそういう動物性の飼料というものは、魚とか何かは別にしましても、同種のものから飼料をとる、とって与えるというようなことはやはり禁止していった方がいいのではないかというふうに私は思っているわけであります。
 最後に、厚生省の方にお伺いしたいんですけれども、食品の中にプリオン病の原因となる異常プリオンたんぱくが含まれているか否かを検査する方法というのがもう確立されているのかどうか。確立されているとすれば、日本でも何か事があったときにすぐにそういう検査体制をきちんと行う、実施できる体制が整っているのかどうか、この点に関してお伺いをしたいと思います。
#125
○政府参考人(西本至君) 検査方法の開発につきましては、平成八年のイギリスにおけます牛海綿状脳症、これの発生が一つの契機となったわけでございまして、それで、私どもはその時点から都道府県等の屠畜検査員あるいはまた検疫所の職員を対象といたしまして技術研修等を行ってまいっております。また、検疫所の輸入食品・検疫検査センターというところがございますが、ここにおきましても輸入牛肉についてのモニタリングの検査を実施しているというところでございます。先ほど申し上げましたように、今般のフランス産牛肉の検査につきましても同センターにおいて対応させていただいているところでございます。
#126
○渡辺孝男君 どうもありがとうございました。
 次の質問をさせていただきたいと思います。
 農林水産大臣、セーフガードの関係でございますけれども、農林水産大臣は十一月二十四日に、北海道等が主産地でありますタマネギとか生シイタケなどを含めまして六品目について、セーフガードの発動に向けた調査を開始するように大蔵大臣及び通商産業大臣に対して要請したということでありまして、その後、政府の中でどういう検討が進んでいるのか、その点をお伺いしたいということと、また省内でこのセーフガードについて検討を行う体制を整備したということでありますので、それはどのような形で整備されたのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
#127
○国務大臣(谷洋一君) ただいまセーフガードの問題について御質問でございますが、これはもう既にこの質問もございましたけれども、野菜については四品目、それからシイタケ、それから政務次官の地元のイグサ、そして木材と、この六品目につきまして大蔵大臣並びに通産大臣に対しまして文書で農林省の考え方を言っております。いわば正式に調査をして、そして両省の理解を深めて、責任者は何といっても農林水産省の立場でございますから、大蔵、通産に対しまして十分な説明をして、それでWTOに対しまして申し入れをしようというふうな考えを持っております。
 いろいろと話が出ておるようでございます。各政党においてもいろいろなお話を聞かせてはいただいておりますけれども、やはり今の野菜価格の下落を初め、中国からのシイタケとかイグサであるとか、木材はもう万年化したような停滞の状態でございまして、こういうことをほっておいてはもう国土の保全の関係からも困るというふうに思いまして、こういうふうな決意を固めたわけでございますので、これを中途半端に終えることはむしろ農民の方々から失笑を買うようなことになりはしないかと、こう思いまして、この問題は慎重にかつ徹底的にやっていくようにしたいと、こう思っております。
#128
○政府参考人(石原葵君) 具体的な検討状況でございますけれども、大臣の要請を受けまして、三省でこれから協議していくということになります。
 これは、農林水産省といたしましては、大臣がただいま申し上げましたように、大臣の強い指示でもございますので、我々といたしましてはできるだけ早く結論が得られるよう努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 また、省内の検討体制でございますけれども、十一月二十一日に関係局長をメンバーといたしますセーフガードに関する検討開始基準、こういうものの決定等セーフガードに係る問題を全省的に検討を行うセーフガード検討部会というのを設置したところでございます。翌二十二日に同部会におきまして、今回の要請の根拠となりましたセーフガードの検討開始に係る暫定的な基準の整備、こういうものを図ったところでございます。
#129
○渡辺孝男君 私ども公明党も、この間の食料・農業・農村基本法の成立に当たりましては、自給率の向上とそれから国内生産の増大を図るというような修正案を加えて通したわけでございまして、やはり国内のそういう生産現場の方々が輸入で困っているというようなこともあるわけでございまして、こういう場合にはやはりきちんと調査をしていただいて、そして権利として我が国が持っておりますそういうセーフガードの発動ということができるわけでございますから、野菜等々そういう生ものの関係でやはり迅速に、発動する場合は調査をして迅速にやらなきゃならないというそういう特殊性もございますので、そういうセーフガード発動に関しての調査、それから手続等をきちんと迅速にできるように定めていただいて、そしてやはり生産現場の声そして国民の声を聞きながら適正に迅速にできるように検討を進めていただきたいと、そのように思っております。
 最後の質問になりますけれども、去る十一月の二十日から二十四日までモスクワで行われました日本国政府とロシア連邦政府との間の海洋生物資源についての操業の分野における協力の若干の項目に関する協定、いわゆる北方四島操業枠組み協定に基づく政府間協議及び民間交渉の結果が示されたわけですが、この結果についてとそれから今後の展望について水産庁長官にお伺いをしたいと思います。
#130
○政府参考人(中須勇雄君) ただいま御指摘のいわゆる北方四島操業枠組み協定に基づく政府間協議、そして民間協議が先週月曜から金曜までモスクワにおいて行われました。
 この協議におきましては、この本協定に基づいて行われる北方四島周辺水域における日本漁船の操業等に関しましていろいろ協議を行いまして、一つは、この協定、三年の固定期限が明年五月に来るわけでありますが、自動延長ということでさらに一年延長するということをお互いに確認いたしました。
 そのもとで、明年の操業内容、それから協力の中身ということにつきましては、三つの漁業種類あるわけでございますが、資源量に若干余裕があって、我が国の漁業者、増枠を要望しておりましたタコについて漁獲枠を本年よりも七十八トン増加するということで、三魚種合計いたしまして二千三百三十トンということが取り決められました。
 二点目といたしましては、協力の分野でありますが、協力金それから機材供与、その総額をことしより一千万円増額して合計四千五百万円とすると。
 以上によりまして、明年の操業の中身につきましても、また協力の中身についても合意を見たところでございます。
 私どもといたしましては、この合意に基づきまして、明年も本協定による操業、協力が円滑に実施されるということを期待したいというふうに思っておりますし、今後とも北方四島周辺水域における安定的な我が国漁船の操業が確保されるよう引き続き努力をしていきたいと、こういうふうに思っております。
#131
○渡辺孝男君 やはり北方四島周辺の漁場も大変大切なところでございますので、また日本の漁民の方々が安全操業するという意味でも、両国のやはり信頼関係をきちんとしていくということでも、この協定、非常に大事なものではないかというふうに思っております。
 幸い、今回はタコの漁獲量がふえるということになりましたので、その周辺のそういう調査等も含めまして漁獲をきちんと維持できるように、また海洋資源をきちんと長期間保てるように、日ロの関係者の方々と友好的に協議を進めていただきたいと、そのように思います。どうもありがとうございました。
 以上で、ちょっと短目になりましたが、質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#132
○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。
 私は、今回の農地法の改正に当たりまして、特に農業生産法人の要件の規制緩和の問題についてお聞きしたいと思います。
 今回の改正については、先日の参考人質疑で、田代参考人から、戦後農地の根本理念である農地の耕作者主義にとどまるものなのか、はみ出す一歩になるものなのかが最大の問題とした上で、次に求められるのはもっと縛りを緩めてくれという要望が出てくるだろうと。だから、農地法の今回の改正はここが最後のぎりぎりのところにあるという指摘をされましたけれども、この点について大臣の認識をまずお伺いしたいと思います。
#133
○国務大臣(谷洋一君) ただいまの御質問でございますが、我々は今後この問題について緩めるつもりはございません。きょうもほかの委員の方からの御質問で、大企業を入れるべきだというふうなお話も出ましたけれども、そんなことは全く考えておりません。
 やはり、農業というのは昔からそんなにどんどん収益の上がるというものじゃないというふうによくわかっておりまして、その意味におきましては、昔は小作制度で地主が略奪したというふうな言い方も聞かされておりましたけれども、今の世の中はやはり、先ほど来お話がございますように、やはり家族農業というものを中心として専業農家も育成するというふうな意味合いにおいて頑張っていきたいと思っております。
#134
○大沢辰美君 大臣は、衆議院での質疑の中で、我が党の松本議員が、株式会社の参入を自由にするように規制緩和を進めていくということが大臣の見解かという趣旨の質問をしました。そのことは御記憶だと思うんですが、そのときに大臣は、「担い手の確保と株式会社の問題と両方あるわけでございますから、規制緩和は当然、我々は考えております。」と公言されています。
 再度私は確認しますが、大臣は将来的にこれ以上の農地法、農地制度の規制緩和を進めることが必要だと考えておられるのか、明確にお答えいただきたいと思います。
#135
○国務大臣(谷洋一君) 私は、規制緩和のことは言いましたけれども、この一部条件つきで株式会社をやるということにつきましての考え方は規制緩和とは関係ないと思っております。
#136
○大沢辰美君 私はそこはやっぱり関係ないとは言えないと思うんですよ。規制緩和を進めていくということは、やはり次に、今農家の方が心配している、私たちも心配していることが起こり得るのではないかという、その点を私は大臣にもう一度お尋ねしたいと思うんですけれども。
 松本議員が質問をし、それは規制緩和は当然だということを大臣は言っていらっしゃるし、他の無所属クラブの方の議員の質問に対しても、さらなる規制緩和を考えているという答弁をされているわけですから。私は、今回の農業生産法人の形態緩和という形で株式会社の参入を認めているわけですけれども、それがずっと進めばやっぱり株式会社が農地を取得できるようにすることになると思うんです。
   〔理事金田勝年君退席、委員長着席〕
 だから、農業生産法人の要件のこれ以上の規制緩和は耕作者主義を放棄することにならないかと、そういう心配をしているわけですから、今、会社の参入とは違うんだという答弁をされましたけれども、それならばやはり農地法、農地制度についてさらなる規制緩和を行うという発言をした衆議院での答弁は撤回されますか。
#137
○政府参考人(渡辺好明君) 事実関係ですから、私から申し上げます。
 規制緩和は必要というその話を今先生おっしゃられましたけれども、衆議院の農林水産委員会で大臣がおっしゃっておられることは二項目四点にわたります。
 第一は、大資本の商業資本に農地を提供するつもりで今回の法律をつくったわけではない。それから、法人化して力強く頑張ってみようとする青年等に門戸を開くことはよいことだと考えている。将来についての発言の趣旨は、農地法だけが絶対に変えることのないものであるとはとても言えない、高齢化、過疎化の時代の様子を見て、その都度見直しを行うことはあるだろう。
 衆議院におかれても、同じような考えで、多様な担い手の確保や優良な農地の確保のための検討について修正をお決めいただいた、こういう、ちょっと要約ですけれども、ことでございます。
#138
○大沢辰美君 私はここに今議事録を持っているわけですが、なぜここにこだわるかといったら、やはり規制緩和は当然だと我々は考えておりますと大臣は言っているんですよ。「担い手の確保と株式会社の問題と両方あるわけでございますから、規制緩和は当然、我々は考えております。」と、松本、私たちの代表の質問に対して言われているわけですから、この点については違うという今の局長の説明とやはり大臣の考え方が違うわけです。
 だから、私は、この規制緩和は当然考えていますという点を撤回なさいますかということを大臣にお聞きしているわけです。
#139
○国務大臣(谷洋一君) 私は、規制緩和はするということは今も変わりありません。だけど、この株式会社を一部条件つきで許可するということについてと規制緩和とは話が違うんですよ、これは。違うんです。それを一緒にしてつかまえてしまうということはおかしいと私は思っております。(「そんなことはないでしょう」と呼ぶ者あり)いや、だからですね、そんなことないとおっしゃるけれども、私はそう思っておるんですから、それをはっきりした言葉で言えばそういうことになっていると、こう思うんです。
#140
○大沢辰美君 さらなる規制緩和を進めるということを撤回しないということは、私は農地法として最後のぎりぎりのところを乗り越えようとしていることだと指摘せざるを得ません。私は、この要件緩和についてはもう、全く、御存じだと思いますけれども、本当に何度も確認させていただきたいんですけれども、やはりこれは事業の要件の緩和が一つありますし、これだったら、農業と関連事業の売り上げの過半をという縛りを外してほしい、次に構成員要件なんかで出資の制限を外してほしいということになる。役員要件の緩和についても、農作業に従事しない者が役員に占める割合がこれ以上緩和されると、規制がなくなると、こういうことを私たちは心配しているわけです。
 ですから、株式会社と規制緩和と違うんだと、問題は違うんだということは言えないわけですね。私は、田代参考人はこのことを述べて強く指摘をされたんだと思います。だから、絶対に耕作者主義を守っていただきたいと思いますが、どうですか。
#141
○国務大臣(谷洋一君) 耕作者主義を今後も続けるという考え方は、私は全くそのとおりです。だけど、一部条件つきの株式会社化をするということについて、それでは規制緩和につながるんだということをおっしゃることは全く筋違いだと私は思っております。
#142
○大沢辰美君 何度も申し上げますけれども、耕作者主義を守ると言いながら、規制緩和を進めるという公言は、やはり農家の皆さん、私たちも含めて非常に不安を持つということを強く指摘をして、次の質問に移りたいと思います。
 今回の法案に対する批判を避けるために、農水省は衆議院の質疑でも、また私たちのきのう、きょうの委員会の質疑でも、株式会社の参入ではないと、農業者が家庭経営の発展の形としてこの形態も選択肢としてとれるということを考えたことでありますと、外から何かやってきて支配するということではないと、農外資本の参入を否定しております。しかし、本当に今回の改正がそれだけで済むのかと。農外資本が農業生産法人の要件を満たす株式会社をつくり農業に参入すれば、やはり大企業、株式会社が事実上無制限に、私は、農地を取得することができるのではないかと。私は、この改正の中で一番の重要な問題点だと思うんですが、これを制限する手だてはあるのですか。
#143
○政府参考人(渡辺好明君) まず、前段の大企業が要件を整えてということなんですが、これは常識的に考えてあり得ないことだと思います。
 つまり、大企業といいますと、株式市場に上場されて、株式は転々流通が自由であります。そういうものを譲渡制限をかけて、しかもいろいろな農地法上の農業生産法人の要件を満たして入ってくるというのは極めて非現実的であります。大会社のビヘービアとして、そういうことは一般常識としてあり得ないというふうに思っております。
 それから、農業者が支配権を持つというのは、私どももこれは絶対的なことだと思っております。その意味から、今回、万全の防止策ということで、支配の問題についていえば、昨日も申し上げましたが、構造上の支配、行動上の支配、それから結果としての支配、これが競争政策上の支配の三様でありますけれども、法律上書くとすれば、構造上の支配の問題でありますから、その点については四分の一の範囲内、そして一構成員、つまり一株主は一〇%以内ということで支配権を握れないようにしているわけでございます。
 それから、行動上の問題に関しましては、結局のところ、第三者がチェックをしなければなりませんので、農業委員会にチェックをさせ、それをサポートする地域の協議会というものを別途設けると。こういうことで、二重三重の手だてを講じた上で、さらに農地が農地として利用されないような状況であれば国も買収をするということで、三重の網をかけて、言ってみれば、農外資本による支配とそして転用の目的というものを排除しようとしているものであります。
#144
○大沢辰美君 企業の参入はあり得ないということを言われたわけですけれども、私は、現在でも株式会社である食品メーカーや流通の大企業が農業生産法人の要件を満たす農業生産法人をつくって農地を取得していると。
 農業に参入するということが行われている例ですけれども、これはカゴメなんですけれども、全国を対象にして大型温室産地ネットワーク構想を打ち出しています。第一弾となる一・三ヘクタールですけれども、温室を茨城県で建設しています。トマトの栽培なんですが、これは未経験の農家三人が農業生産法人をつくって事業に当たろうとしています。
 温室建設には大体一ヘクタール当たり三億五千万円がかかるそうですが、今回に限りカゴメが建設して法人にリースすると。これがモデルで全国で展開を図るという構想なんですけれども、この構想は一法人三人の農家なんですが、二ヘクタールの温室を建てて、一日三トンのトマトを栽培してこれを周辺で五棟建てていくと。このように温室群ですね、こういうチェーンの農場を全国に十カ所、五十法人つくれば年間四万トン近いトマトの生産が可能となると言われています。
 全国の今トマトの生産量というのは七十万トンですから、約六%弱をカゴメの大型温室で生産しようというものなんです。だから、この構想は、私は、各地域の温室を中央本部が管理して、本部が全国を統括するもので、別名アグリ・フランチャイズ・チェーン構想と言うそうですけれども、コンビニのように農業生産法人をフランチャイズ化していこうというものなんです。
 だから、構成員要件が緩和されれば、国籍を問わずあらゆる大企業が直接出資もできることになるわけですから、私は法改正を見越した動きが出てきていると思うんですね。
 ですから、農業生産法人が株式会社の農地取得の抜け道になる、土地利用型農業を直営するために農家を抱き込んだダミー的な農業生産法人をつくらせて役員を送り込み、系列下に置くことが放任されて促進されることになるのではないかという大きな視野に立っての私は指摘をしたわけですが、そういう心配はないんですか。
#145
○国務大臣(谷洋一君) 今、事例を示されましたので私も、ことしの育樹祭が福島県で行われました。そして、行きましたから、ついでに私はトマトのところを見せていただきましたが、それは地元の造船会社に働いておられた方が三人さん、農業をやったことのない方が今トマトの経営をやっていらっしゃると。たしかオランダの方から機具も買ってやっていらっしゃるということで、四ヘクタールを借りていらっしゃる。そして、四十人の女の方がそこで働いていらっしゃるというふうなことも聞かせていただきました。非常に規模の大きい経営だなと思いましたが、それを農地を取得してするということになりますと、また、私がその現場を見たときに感じましたことは、これはもし土地を売っておるとすれば、外国からトマトが入ってくるとか、そういうことがあった場合には、たちどころに商売をおやめになるだろうと。それは、決して農業というものが収益性の高いものじゃないというふうに私は理解しております。私自身が昭和二十年三十年代に農業をやってみた経験から考えましても、そんなにどうも収益性のいいものじゃないというふうに思っております。
 そういうことから考えまして、こういう大規模な、質問書を見ましたらトヨタとかという名前まで挙げて、そういう大企業の方に農地を持たせてもいいじゃないか、もっと前進してもいいじゃないかというふうなきょうも御質問がございましたが、そういうことまで考えたら日本の農業というのはもう破壊されてしまうと私は完全に思っております。ですから、そんなに、今危惧されるようなことは我々は全く考えていないということをはっきりと申し上げておきます。
#146
○大沢辰美君 私たちは、今の段階はそうではないと言っているんです。今後、この規制緩和が進むことによってこういうことが起こりますよと。全くないとおっしゃるけれども、あなたは規制緩和は当然だと言っているからこの指摘をしているわけです。
 ですから、トマトの問題を例に挙げられましたけれども、確かに今の野菜価格からすればそんなに利益は上がらない。だけれど、やはり会社は計算をして年間販売を四億円以上上げるというような構想も持っているわけです。ですから、本当にこういう心配を取り除くべき担保がないという中で、私は、今回の株式会社導入を目的とする農地法改正は、やはり企業の進出で農業・農村の破壊に道を開くと今大臣もみずから言ったわけですが、私はまさにそのとおりだと思うんです。
 ですから、耕作者主義、家族経営を基本とした農政のあり方を大きく変えないためにもこの農地法の改正は私たちは認められないということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。
#147
○須藤美也子君 ただいま大沢議員の質問に対する答弁がございましたので、それにかかわり合いがありますので、通告が後先になるかもしれません。
 私は、ただいま局長が三段階にも縛りをかけているから大企業なんか入ってくる心配は絶対ないと、大臣もそうおっしゃいました。
 そこで私は、今回の農地法は二十世紀最後の、農業、農水関係で言えば最後の法案の、私たちにとってはこれは反対、でき得るならばこれはやめてほしいという法案でありますので、その点では最後の法案だと、重要法案である、そういう立場から見ますと、この農地法は言ってみれば規制緩和の歴史であった、こう言わざるを得ません。
 しかも私は、昨年七月、基本問題調査会で株式会社参入について質問いたしました。今回の法改正に至る経過と財界との関係を見ますと、一九九六年五月に経団連から農業生産法人の要件見直し、こういう要望が出されております。農水省のそのときの回答は、株式会社の農業経営のかかわり方、事業要件のあり方等について関係者からのヒアリングを行うなど幅広い検討を行う、こう回答したんですよ。そして、経団連の要望に沿う方向で幅広く検討するという内容のもとで検討会が開かれてきた。さらに一九九八年、農地の転用統制は許可権限を地方に委譲させるように求め、この財界の要望に沿った農地法の改正が一九九八年、これは行われました。
 株式会社の参入について言えば、経団連は、一九九七年に出した農業基本法の見直しに関する提言で、農業生産法人制度を見直し、株式会社を加えるべきだ、こうはっきり要求しているんです。当時、農業者や生産団体は株式会社参入に全部反対だったんです。一千万署名を集めたのはもう最近のことですよ。そういう中で、株式会社導入を一貫して主張してきたのが財界です。
 ですから、そういう点で、規制緩和の農地法の歴史を踏まえて、今後、将来的にこういう今回の農業生産法人に株式会社の参入を認める、こういうことはだれもが農村部を歩けば、これはこの後全面的な開放につながっていくのではないかという心配をしているんですよ、多くの農業者が。このことはぜひ覚えていただきたいと思うんですけれども、局長、いかがですか、この問題について。
#148
○政府参考人(渡辺好明君) 初めに申し上げておきたいんですが、経済界が言ったから改正をするというものでは決してありません。今回の改正は、農業内部からの事情、農業者からの要望、それから農業経営の発展、これを目指すものとして必要な限度において耕作者主義の範囲内において行おうとするものでございます。
 一つ一つの事象は、確かに先生がおっしゃいましたように提言や要望を経団連がするというのは、これは団体としてそれぞれの行動があるわけでございますので、それに対して私どもがそれに沿った方向を出すというふうなことでは全くありません。私どもは常々、どこへ行っても説明をしておりますけれども、経済界からの要望に応じてこういうことをするわけではないんだということは常々公言をいたしております。
 基本問題調査会の答申の中でも、そういった議論を相当やった上で、一番象徴的なところとしては、株式会社一般に土地利用型農業への参入を認めることについては合意は得がたいということをはっきり言っているわけでございます。耕作者主義の範囲内において、集落主義の範囲内において一定の条件のついた株式会社を選択肢の一つとして認めるということでございます。
 それから、もう一つだけ申し上げておきますと、農地法の九八年改正のことをおっしゃいましたが、これは規制緩和の要望にこたえてやったわけではございません。やはり地方分権という社会全体の流れの中で、国がすべてを取り仕切るということではなくて、地方公共団体がそれぞれ御判断をされるという前提で改正を国会に諮ってお願いをしたわけでございます。
 いずれにいたしましても、今回、私どもはこの改正を行うに際しまして、農業団体からも御意見をちょうだいしました。農業団体もアンケートをとられました。その中で、株式会社制度の形態としての導入については相当メリットが感じられるというアンケートも半数以上あったわけでございます。
#149
○須藤美也子君 何か私が聞こえるのでしょうか、局長がどうしても経団連とか財界の立場で弁護している、こういうふうにしか受けとめられないんですよ。そして、そのメリットがあるあると先ほど来答弁なさっておりますが、その第一のメリットというのは何ですか。
#150
○政府参考人(渡辺好明君) 生産法人全体の話でしょうか、株式会社。
#151
○須藤美也子君 株式会社です。
#152
○政府参考人(渡辺好明君) 株式会社については、るる御説明申し上げておりますように、株式会社という形態をとることがいろいろな意味で自分たちの仕事がやりやすくなるという、現に農業生産法人、有限会社等でやっておられる方の現場の感覚がございます。
 それに、制度面におきましては、今許されております有限会社、これと比べて多数の方々の御参加を仰ぐことができる、それから定款の変更をしなくても資本金の増額ができる、さらに取締役会の権限が強いので機動的な経営ができるという、農業者、農業者の組織する法人にとってはマーケットのシグナルに鋭敏にこたえて機動的に活動することができ、みずからの経営が向上し、地域の農業を活性化をする、これが具体的なメリットでございます。
#153
○須藤美也子君 この間の、先ほど大沢議員は田代参考人の陳述を引用されました。私は小松参考人の陳述をここで紹介したいと思うんですが、今回の改正は、今ある農業生産法人の要件緩和だが、この次の段階ではいよいよ乗り出してくるだろう、つまり企業が乗り出してくるだろうと、そのときには家族農業は業として全く立ち行かなくなるだろうという心配は多数の農業者が持っている、こう答えているわけです。
 ですから、多大なメリットが、先ほど来私もほかの方々に対する答弁をお聞きしておりましたが、特に多くの人が構成員に入る、つまり多くの方々が株主になれるということなんですね。それと、定款を変えなくともいい、選択肢の幅が広がる、こういうことですね。
 ここには大きな抜け穴があるんじゃないですか、落とし穴があるんじゃないですか。つまり、多くの構成員を入れることができるということは、四分の一以上要件があれば株主がいろいろ多くの人方が入ってこれる、そういう要件ですよね、要件さえ認めれば、構成員に。四分の一要件を満たせばそうでしょう。そうでしょう。そうすると、非常に私は、株主に、つまり株主が、四分の一を超える人が農業に従事すればいいわけですから……(「違うよ」と呼ぶ者あり)構成員、そうでしょう。役員はそうでしょう。四分の一過半でしょう。過半の過半だから四分の一でしょう。その多数の構成員が入れるというのはどういうことなんですか、そうすると。
#154
○政府参考人(渡辺好明君) まず、トータルの話をしますと、百株なら百株あったとします。そのうちの二十五株までが農外資本のトータルの参入の障壁です。ですから、残りの七十五は農業者、農業関連者でなければならないわけです。しかも、その四分の一、二十五というふうにトータルを抑えましたけれども、一人の株主は十株以上は買えないということになっているわけです。したがって、その株主としての権限の行使は支配に至らないだろうと、構造上、そういうことをまず申し上げております。
 それから、多数の参加を求めるということは、これはもう先生御承知だと思いますけれども、今の日本の農業の実情というのは、戦前のことを話して恐縮ですが、大規模少数の地主と零細多数の小作人という世界ではなくて、零細多数の土地所有者と、かなり規模の大きい借地農というふうな構造に変わってきております。そういう多くの土地を持っておられる方々が出資をする形で参画をしますと、土地が有意義に生きます。地域農業で、農地は全然荒らしている、都会に住んでいるというふうな方々の農地も、そういう担い手のところに集まる可能性を持っております、出資を土地で行うということになれば。ですから、今の日本の農業構造にとってみれば、多数の方々の参加を得るということは、規模拡大をし、そして農業経営を効率化することができるということにもつながるわけでございます。
#155
○須藤美也子君 そうしましたら、有限会社、私はある有限会社の法人に行って調査をしてまいりました。
 この有限会社は、数十軒農地を借りて、その地域の農業を守っているわけです。地権者には水管理等々の共同作業をお願いしています。パートは延べ千名を超えています。そして、その地域の七十軒の農家、中高年の女性も含めて、方々がつくった農産物の直売もして大変喜ばれております。この有限会社は、その地域、なくてはならないその地域の農業を守っているわけです。地域に根差しているわけです。
 しかし、この有限会社の方は農業生産法人ですけれども、有限会社なわけですけれども、要望は、再生産できる価格の安定と減反の問題をこれを解決してほしいと。二つ目は販路の拡大です。そして、三つ目は資金と経営安定策を求めています。株式会社にしてほしいというような要望はございません。こういう中で、こういう切実な要求を持っているわけです。
 さらに、農業生産法人の要件の見直しの内容、これは確かに十分の一の株、一構成員は。さらに売上高、過半の売上高、こういう主な事業ですね。こういう問題もありますよ、要件。しかし、この中で、例えば売上高で過半を占める、農業が、あるいは関連事業が過半を占める、その他の事業は民宿でもキャンプ場でも造園でも除雪でもいい、こういうふうな要件があるわけです。
 そうしますと、今どんどんどんどん例えば農業生産高が落ちております。この有限会社は年間一億数千万円の売上高です。ところが年間百六十万円の利益しかありません。人件費を払い、約二千万円の地代を払っているわけです。この有限会社ですね、地域に根差した組織で利益組織とは全く違うわけです。本質的に違うわけです。株式会社の容認はこうした農業生産法人を中から変質させるものではないのだろうか、こう思わざるを得ないのですが、その点はどうですか。
#156
○政府参考人(渡辺好明君) 幾つかのことをおっしゃられました。大きく三つだろうと思うんですが、一番最後の点から申し上げたいんですが、利益を追求しないというのは、ちょっと私は、現在の農業生産法人あるいは個別経営でも、やはり自分の家族にいい生活をさせる、自分の雇っている人たちに給与を払っていくという点に立てば、やはり利潤を追求しなければいけないというふうに思います。そのためにマーケットに鋭敏にこたえるわけでありまして、それは合資会社であろうと有限会社であろうと同じだろうと思います。
 それから、最初のお話でありますけれども、広範に農地を借りてという事例を出されました。私は、この農地を出資の形で出した方がもっと安定すると思うんです、その方の経営はですね。しかも、今おっしゃられました事例でもそうでしたけれども、販路が欲しい、加工をどうするというふうなことになりますと、この事業要件のところのうち関連事業の部分になりますけれども、そういうところに人を雇っていくことができて地域の雇用の安定にも寄与ができるわけであります。
 それから、農業、農業関連業以外の事例についていえば、これはいい事例として雪かきがあります。冬の間の除雪です。これは人がいて機械があって技術があれば、冬の間その生産法人の労働力は余っているわけであります、機械も浮いているわけでありますから、積極的に除雪作業をすることによって経営の安定が可能になる、そして雇用される方々の立場も守られるということになるわけでありますので、私はそういう意味で今よりももっと地域農業にとって貢献することができるのではないかというふうに思います。
 私たちは、農業生産法人というのは地域に根差した法人であるというふうに位置づけをいたしまして、その範囲内において株式会社、制限つきでありますけれども導入を認めたいというふうにしているわけでございます。
 また、生産高と他の事業との関係でありますけれども、確かに豊凶変動や価格変動によって農業生産そのものは動きます。しかし、関連事業で補うこともできますし、場合によっては分社化をすることで大きくなりつつある事業部門を独立をさせるというふうなことも可能なのでありまして、あくまでも農業と農業関連業を基盤とした農業生産法人の継続というのは可能であるというふうに考えます。
#157
○須藤美也子君 ただいま、そういう人たちがむしろ株式企業に入った方がいいというふうにおっしゃいましたけれども、農地を持っている数十軒の方々は大体高齢者ですよね。高齢者になって担い手はいない、こういう状況になっています。ですから、その地域の農地をそのままにしないで、自分たちが今地域農業ということで一生懸命頑張っているわけです。
 しかし、利益追求はわかります。ところが、利益追求どころか、ある県では法人の半分は赤字、農水省の先ほどの答弁でも三割は赤字だと、こういうふうにおっしゃっていますよね。ほとんどが赤字の中でやっているわけです。その中で、今度の株式会社の参入の要件は、つまり農業及び農業関連事業、これは売上高の半分まではそれでいいと、その他の事業をあとは認める、その他の事業の中身はさっき言ったように何も問わない、何をしてもいい。
 そうしますと、価格変動にさらされ採算割れに落ち込む農業よりも、安定したその他の事業、兼営の方にその資力が行くのではないか、そこに力を入れるのではないのか。その他の事業を行うために農地をその他の事業に利用する、そういうことも考えられるわけです。その結果農地が縮小していくのではないか。この点についてはどうですか。
#158
○政府参考人(渡辺好明君) 最初に申し上げたいんですが、議論が株式会社のところに集中しておりますけれども、株式会社という形態は選択肢の一つでありまして、地域地域、集落集落でそこの地域の営農の形というのはいろいろございます。集落農場化というふうな形で集落営農されるのもよろしいですし、それから農業生産法人が中核になって特定農業法人という形で集落全体を引き受け、人を雇用していくというやり方もあるわけです。いろいろなパターンがございます。これは地域に合わせて選択をされればいいというふうに思いますし、これからは特にそういう時代であろうと思います。
 それから、赤字の問題につきましてちょっと一言だけ申し上げたいんですけれども、確かに経理上赤字というのが今先生がおっしゃられたような数字ですけれども、これは法人の場合には非常に特徴がございまして、地代とか労務費、これはきちんと払った上での経理処分なんですね。個別経営ですと、きちんとしたところは違いますが、家計と経営が不分離ということで価格の低落その他をそのまま家計がかぶってしまうというふうなこともございます。そういう点でいえば、表面的には赤字三割ということかもしれませんけれども、そこのところはきちんと払うべきものは払った上での話ということは大きな特徴だろうと思います。
 それから最後に、兼営部門というお言葉を使われましたが、そこに主力が行ってしまって農地がほかに使われることになるのではないかという点ですが、ここは農地法の転用の原則は個人であろうと法人であろうと同じように貫徹をされますので、他用途への転用その他は農地法の手続に従ってきちんと審査をされた上で、優良農地は転用させないということでございます。
 また、その他事業が半分を超えるということになりますと、それが通常化をすることが予想されれば、当然のことながらその部分は分社化をして切り離すというふうなことが、現在、農業生産法人ではありませんが、施設型等の農業法人で行われている通例でございます。こういう手法は、そこに就農された若い人たちの独立という意味でも意義のあることではないかなというふうに考えます。
#159
○須藤美也子君 先ほど役員の問題について、構成の問題ですね、これは役員の半分以上が常時農作業に従事しなければならない、これまではそうでしたよね。そうですよね。ところが、経営の主力を今度は、今までは農業者に置いていた。先ほど支配力は絶対農業者だと、こういうふうに御答弁されました。
 改正案は、農作業に従事している役員は四分の一以上でよいと、こういうことでしょう。そうすると、これでは農業者の経営支配力が一気に弱まるのではないか。株式会社の役員が資金調達を求める農業生産法人に資金を持って集まる。農作業に従事しないまま農業生産法人の運営が可能になるのではないかということで、地域の耕作者主義、それから家族経営を絶対に守っていくということを先ほど大臣おっしゃいましたけれども、そういう内部から、農業生産法人も含めてその地域の農村・農業が変質していくのではないか、骨抜きになっていくのではないかということを先ほど私問うたはずなんですけれども、ぜひその問題、重要ですので、お答え願いたいと思います。
#160
○政府参考人(渡辺好明君) 農業経営が発展をしてまいりますと、企画、販売、資金調達などなど、企画管理業務は当然比重が増大してまいります。この増大をしていくという現状に対応するために、今回その部分の要件の見直しをしたわけでございます。あくまでも企画管理労働のウエートを増加し得るようにするという現実論への対応でございます。
 その場合、それでは役員がどういう構成になるかということなんですけれども、大前提として、業務執行役員の過半は農業関係者ということは今後も続きます。農業ないし農業関連業ということになりますけれども、農業に関連する業務に常時従事する業務執行役員が過半を占める、したがって取締役会における、株式会社でいえば取締役会における発言権はあくまでも農業関係者が中心であって、農業関係者が業務執行の中核になるということでございます。その農業関係の業務執行役員のうち半分が農作業に従事をするということで、業務執行役員の中でも農作業従事役員の影響力はきちんと確保されているということでございます。
 これちょっとつけ足しで申しわけないんですけれども、個別農家の場合には一人でいいんですね、どんなに大きな農家でも。世帯主でも世帯員のだれかでもいいわけですから。そういうことを考えますと、この農作業従事要件が、先生のおっしゃる過半の過半ということは決してバランスから言っておかしいものであるというふうには私は考えません。
#161
○須藤美也子君 それがおかしいと思うんですよ。つまり、耕作者主義、それから今までの農業生産法人の関係は農業及び附帯事業を行う法人であったわけです。農業者が主体の法人であったわけです。役員もですから農業者が過半を占める、そういうことで耕作者主義と調整を行っていたわけです。
 ところが、今度の改正案はこの規定を緩めているわけですよ。農業以外の事業を認めるわけでしょう。さらに農作業を行う役員は過半から四分の一以上に緩める。役員が七名なら農作業従事者は三名でいい、五名ならば二名でいい、こういうことでしょう。これで耕作者主義は形骸化していくのではないかということを先ほどから私繰り返し言っているんです。そこはどうなんですか。
#162
○政府参考人(渡辺好明君) 主として農作業に従事するというふうに農地法には今は書いてあります。
 それで、今先生は七人から三人にすとんと落とされましたけれども、まず七人の執行役員のうち四人が農業関係者でなければならないというのが前提にあって、その四人の中の過半ですから三人と、こういうことになるわけです。ですから、イニシアチブはどこまでも農業者にあり、そして農作業に従事する人に一番大きなイニシアチブがあるということになります。これは現行農地法上の規定からいっても、主として農作業に従事という法律上の文言からおかしいことではないと思われますし、現に経営が発展する段階でそういう企画管理労働に対する需要がふえていることに対応しないということ自体が、やはりこれから農業者の方々の手足を必要以上に縛ることになるのではないかなというふうに思います。
#163
○須藤美也子君 先ほど分社化の問題が出ましたね。この分社化の問題について各地区の法人の方々から伺いました、今回の改正案に対して。そのときに、附帯事業の収入がふえて要件を満たさないために分社化を考えた、しかし農産物価格の低下で農業部門だけでは採算が合わないために分社化はやめた、あきらめた、その他の事業が認められても農業部門だけで採算が合う状況にないために同様のケースが生まれている、こう言われたわけです。
 ですから、要件を欠く事態が続けば、その一年後には農地を、その土地を買収するわけですね、満たなければ。そういう規定が今回改正案の中にあるわけです。ですから、そういう点で今までの農業生産法人の方々は非常に悩んでいるわけです。ですから、計画を持っている方がわずか七・何%でしょう、株式会社の計画を持っている方。検討しているという方を合わせると三割弱。先ほどおっしゃったとおりだと思うんです。こういう状況なんですよね。その以前に、株式会社参入以前に今の農業生産法人の実態が深刻な事態に陥っているということなんです。その点についてどう考えているのかということなんです。どうでしょうか。
#164
○政府参考人(渡辺好明君) 後先になって恐縮でありますけれども、先生がおっしゃられた数字、私たちはまだこの農地法改正の議論がきちんと煮詰まる前にそういったアンケートをとりました、大体こんな方向でという検討会の報告を経てですね。そのときに、検討してみたいとおっしゃった方は相当いるんです。ですから、やりたい、検討したいというのを合わせると三割近くになるわけです。それから、農業者団体のアンケートによってもメリットがあるというのは五割以上ありますから、私はそれは、これからこの改正が国会を通り、周知徹底が行われると随分変わってくるというふうに思います。ただ、では現実にそっちへ行くかどうかは、これはまた選択肢の拡大の問題でありますから、自分の会社の規模によってやればいいというふうに思います。
 それから分社化の話について、農業生産部門がというお話をされましたけれども、まだその他事業のところは法律が改正されておりませんので全く架空の議論ではないかなというふうに思います。農産物の価格低落は非常に深刻でありますけれども、今の産業連関表を見ても、農業者に帰属することが可能な経済効果としては、マーケットを一〇〇とすると農場段階では二〇です。加工なり販売なり流通なりサービスという分野に出ていって農業と農業関連業の分野をふやすことだってできるわけです。分社化はまた別の議論として、そこで育った人たちが独立をしていくという意味で担い手の数をふやすという効果もあるわけでございますので、工夫はいろいろあり得るというふうに思います。
 問題は、支配のところをきちんと押さえておく、これに尽きると思います。
#165
○須藤美也子君 もう一度繰り返しますけれども、農地法の一条、三条、これは先ほど大臣が耕作者主義、それから農地法の目的、三条を守る、こういう立場で答弁なさったと思うんですが、農地法の第一条、第三条では耕作者主義をきちんと定めている。三条では、みずからが家族と一緒に農作業に常時従事する者だけに農地の権利移動を認めています。こうした定義は農地を守るとともに家族経営を守る、これを支える柱になってきた、こう思います。
 そういう点で、先ほど大臣はこの農地法の第一条、第三条はどんなことがあっても守る、こういう決意を込めて先ほど答弁なさったんだと思うんですけれども、その点もう一度確認したいと思います。
#166
○国務大臣(谷洋一君) この議論は幾ら言っても尽きないと思うんです。こうなったらああなる、ああなったらこうなる、推定の話ばかりなんですよ。ですから私は、今、仮に役員が外部から入った役員にたぶらかされて、いい月給を上げますよというようなことを言ってみたり、どういう方法か知りませんけれども、そういうことを言って籠絡しておったとしても、農地法というものが厳然とあるんですから転用はできないんですよ、これは。転用はできないんです。だから私は何ら心配ないと思っておるんです。
 そして私は、大会社だったらしっかり守ってくれると思ったら大きな大間違いだと私は思いますね。私の経験からいったら、だから例えて言うと、昭和三十三、四年ころは王子製紙とかそういう日本でも有数の製紙会社が分収造林ということをやり始めました。そうしたら、今はどうしていますか。全然山をほったらかしですよ。何ら手入れしておりません。分収造林した以上は責任があるはずなんだ。だけれども、もうそろばんに合わぬから全くほったらかしですよ。
 それから、私は地元の森林組合の組合長を十数年、国会に出てからもやっておりました。ところが、チップ工場を森林組合が始めた。そのときにはほかにも六つ七つの工場が、私、昔の国でいうと但馬の国にありました。ところが、それが今どうなっていますか。もう一つですよ、森林組合一つ。六つも七つもあったが一つ。全部やめさせちゃった。そして、どうするかといったら、外材を買っているんです。外国からチップを買ってきて、そして日本で製紙しているんですよ。そういうことが本当に地元のためにやってくれたのか。全く関係ないんですよ、自分の会社のためにやっているんですよ。そんなものは実例があるんです。だから、私は大会社だからと思って信用しない。ということは、現実の問題としてそういうことがあるから、私は大会社だから大丈夫だと、そんなことはよう言いませんよ。
 だから、今の話にしても、農地法が厳然としてあるんですから、この狂いのない厳然とある以上は、今幾らこれから一時間の御質問をなさいましても同じ答弁しかできませんよ、これは。
#167
○須藤美也子君 そこはちょっと一言多いんじゃないですか。これから何時間質問しても同じだという、それはちょっと言い過ぎだと思いますよ、大臣。
#168
○国務大臣(谷洋一君) いや、私の答弁は、ここの二人の答弁は一緒ですよ。同じことですよ。
#169
○須藤美也子君 じゃ、大変熱弁を振るっていただきましたけれども、農地法は守ると。
 しかし、私が心配しているのは、先ほど来言っているように、例えば一九六二年、大臣は長い歴史を背負っているようですから申し上げますけれども、農業生産法人制度を制定したときの政府の説明は、法人組織を認める理由として、資本家的経営と申しますよりは共同経営的な色彩の濃い性格のものである、だから株式会社は排除した、こう答弁しているんです。
 ところが、今二〇〇〇年になって、法人の株式会社の参入を認める、こういうふうに変わってくるわけですから、そういう点で、(「まだ変わる」と呼ぶ者あり)まだ変わると言っている人もいらっしゃいますから、与党の中でですよ。ですから、そういう点で心配をしているわけですよ。農民の皆さんが心配し懸念を持っているから、それを代弁して私がここでその解明を問うているわけです。ですから、そんな失礼な答弁はないと思いますよ、大臣。私の質問に対してきちんと答弁していただければ結構なんです。
 そういう点で、そう言うのであれば、心配がないというのであれば、次は農業委員会の問題なんですよ。
 それを検査監督する農業委員会が、今度の改正案では物すごい農業委員会のこの条項が盛り込まれました。この農業委員会の検査体制についてはもろもろの方々が質問なさっております。私はここでダブった質問はいたしませんけれども、まず農業委員会が、今度は立ち入りをしたり帳簿を見たり、要件に合っているかどうか、さらには農地まで買収しなければならないという大変なことを農業委員会がしなくちゃならない。こうなりますと、専門知識や監査能力、これがますます重要になってくるわけです。
 ところが、七年間で農業委員会予算は、交付金は十四億八千百万円削減されました。そして、専任職員は五百五名削減され、主事は、ここにありますけれども、随分これも削減されているわけですよ。
 こういう点で、農業委員会の予算、交付金、さらには専任職員、これを増員する、こういう要望を出したいんですけれども、政務次官、いかがですか。
#170
○政務次官(三浦一水君) お答えします。
 農業委員会系統組織につきましては、優良農地の確保及びその有効利用、担い手の育成及び確保等の役割を重点的に果たしてきております。
 近年、予算の効果的、重点的活用を図る観点から交付金の削減を行ってきているものの、必要な補助事業の拡充を一方で行ってきたところであります。今回の農地法の改正に当たりましても、農業委員会が農業生産法人に関する要件のチェック等その活動を強化できるよう、十三年度予算要求において農業生産法人に対する指導、審査等の研修、巡回指導の増加等について拡充を要求しているところであります。厳しい財政事情のもとではありますが、農業委員会が新たな制度に的確に対応できるよう必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
 また、農業委員会事務局の専任職員につきましては、近年の地方における行政改革の進展の中で若干の減少を見ておりますが、市町村長部局と農業委員会事務局との協力関係の拡大の中で、全体としての事務局の職員数は維持されているものと承知をしております。
 今後とも、農業委員会の業務の推進に必要な要員が確保されるよう、市町村の協力を求めていきたいと考えております。
#171
○須藤美也子君 専任職員が先ほど言いましたように五百五名削減されて現在六千百八十八名です。これは増員するんですね。強化するんですね。予算もこれに対応できる予算に組むわけですね。
#172
○政府参考人(石原葵君) 数字のことでございますのでちょっとこちらから御説明させていただきたいと思いますけれども、専任職員、これは平成二年度には六千六百六十一名おりました。これが十年度は六千百八十八ということで、平成二年度と十年度を比べますと九三%、七%減っております。他方で、兼務職員は四千五百二十三名から四千七百四十九ということで、これは五%ふえております。トータルいたしまして一万一千百八十四名から一万九百三十七ということで二%の減ということでございます。
 我々といたしましては、そういう意味で、専任職員は減っておりますが兼務職員はそれなりに確保されているということで、全体としての業務の遂行に支障がないものと考えております。
 それからもう一点、予算につきましても、先ほど交付金の減のお話がございました。他方でその間、先ほどお話しございましたけれども、何年と比べられたかわかりませんが、平成七年と平成十三年を比べますと十数億、十七億ほど予算減になっておりますが、他方で、先ほど政務次官がお答え申し上げましたように、補助金の方は十億ふえております。我々、財政が厳しい中で、交付金の減は補助金の方で予算の有効な活用を図るということで努めているところでございまして、事業の執行に遺憾ないようにしていると考えているところでございます。
#173
○須藤美也子君 私はむしろ、兼任の方々は兼任でいいですけれども、大変ですよ、地方も。ですから、専任職員をふやすように強く要望したいと思います。検討していただきたいと思います。そこまで考え、そこまで予算化もし、そして体制を強化しなくちゃならない、そういうお気持ちがあるのであれば専任職員の強化を進めていただきたい。それをこのまま維持するということじゃなくて、増員をしていただきたいというふうに要望をしておきたいと思います。
 最後に、最後ではないです、まだもう一つ聞きたいんですが、(「最後でいいですよ」と呼ぶ者あり)いいえ、そうはいきません。そうはいきませんので、質問が逆になりましたので、通告をした分について質問したいと思います。
 間もなく二十一世紀を迎えるわけです。二十一世紀は世界的な食料不足の時代と言われております。
 一九九六年ローマで開かれた世界食糧サミットで、二〇一五年までに世界の飢餓人口を半減することを宣言しました。ところが、先月十六日のFAOの年次報告によりますと、この計画は、現在世界の栄養不足人口が八億二千六百万人、それに対して十五年後は五億八千万人、ですから、このローマ宣言の計画は実現するのが不可能だという警告を発しています。
 それに対して日本はどうなのか。日本はWTO農業協定のときに四六%だったのが、食料自給率ですね、それが今現在四〇%、穀物自給率では二五%。これは百七十八カ国・地域の中で百三十番目、しかも穀物自給率で世界の一億人を抱える国十カ国の中で最下位です。一方で経済大国といいながら、一方で国民の命を守る農業・食料、これは世界最低の水準になっている。しかも、この九〇年代、農業の危機的な状況はさらに深まっている、こう言わざるを得ません。
 そういう中で、今回二十一世紀を迎えるに当たって農地法のこういう問題、改正案も出されているわけですけれども、そのためには食料自給率十カ年計画、四五%にする、これは努力目標として掲げました。これにあわせて、農地の確保は最も重要な問題だと思うんです。この農地の確保が非常におざなりになっているのではないか。つまり、一九六〇年、六百七万ヘクタールにして現在では五百万ヘクタールを切っている。これで食料の自給率、これを向上させる、こういう基本計画を実現できるのかどうか。二十一世紀の日本民族の存立にかかわる問題であります。六割の国民が外国の食料にゆだねなければ生きていけないということはそういうことでしょう。
 しかも、多面的機能の問題等々も出ました。国土を守り、環境を守る、こういう農業に対して、今現在こういう深刻な事態になって離農もふえている、農地も減っている。こういう現状を大臣はどのように認識しているのか、それこそきっぱりと先ほどのように元気よく答弁していただきたい。
#174
○国務大臣(谷洋一君) ただいまお話のございましたように、日本の自給率四〇%というのは私は危機的状態にあると言ってもいいと思うんです。それも人口が二千万、三千万というなら別として、一億二千六百万も日本にはいるにかかわらず、自給率が四〇%ということは余りにもひど過ぎると思います。
 これはどういうふうに表現していいのか、ともかく日本の米の生産が三割から五割減反政策をとっておる。しかし、それは昭和三十七年には百十八キロ食べていた日本人が、今や六十キロから六十五キロぐらいしか食べないということになると、半分に減っておる。それは、肉類を初め副食物をたくさんとっておるに違いないわけです。だけれども、その反面、それでは体位は向上しておるかというと、なるほど背は高くなり健康そうに見えるけれども、しかし小学校、中学校の子供たちもばたばた倒れるような運動会を見せつけられる。いや、本当の話ですよ、これは。そういうことを考えますと、本当に日本人の食生活というものが改善されたのか改悪されたのか、私にはわからぬと思うんです。
 そういうことを考えてみると、我々農林水産省の立場からいえば、やっぱりこれは本当に日本人が健康で働くということをモットーにしなかったら、今のように食べておるように見えておって実際は栄養過多になっておるとかあるいは栄養が十分でないとか、そういうふうなことを考えますと、私は今の日本の食料自給率を向上させるだけでなくて、本当に日本人の健康というものをどうして維持するかということが大事なことだと思っております。
 その意味において、これからの食料自給率というものをしっかり我々が考えていかなきゃならないと、こう思っております。
#175
○須藤美也子君 ちょっと質問に対して少しずれているようですけれども、これからその点についてお聞きしたいと思います。
 私は、食料自給率を、食べた食べないの話でなくて、生産するためには何としてでも農地の確保が必要だと言っているんです。その農地の確保が今どういうふうになっているのか、ここでちょっとお尋ねします。
 「農産物の需要と生産の長期見通し」、これを閣議決定していますが、一九八〇年以降、閣議決定で、耕地面積の見通し、一九九〇年と二〇〇〇年に対する見通しと実績について、数字だけでいいです。お尋ねします。
#176
○政府参考人(渡辺好明君) 一九八〇年の長期見通しにおきましては、目標年次一九九〇年を五百五十万ヘクタールと見通しまして、実態は五百二十四万ヘクタール、平成二年の二〇〇〇年見通しでは五百ないし五百二十万ヘクタール、これが実態は四百八十三万ヘクタール、平成七年の長期見通しでは二〇〇五年を見通しまして四百八十ないし四百九十万ヘクタールということになっております。
#177
○須藤美也子君 見通しから見ると、実態は大幅に減っているわけですね。農地が減少しているわけです。しかも荒廃している。とりわけ、一九九〇年からこの十年間を見ますと、最高四十一万三千ヘクタールも減少しています。今まで、異常に激しい減少と荒廃がこの九〇年代に進んでいるわけです。
 この原因はどこにあるのか、その点を局長に答弁していただきます。
#178
○政府参考人(渡辺好明君) 今御指摘がありました九〇年から十年間の減少面積四十一万三千ヘクタール、年間ベースにしますと四万ないし五万ヘクタールの改廃であります。この改廃の中身は、半分が転用、半分が耕作放棄であります。
 もちろん、耕作放棄の原因といたしましては、これまでしばしば議論がございましたけれども、農業従事者が高齢化をする、担い手が不足をするという状況の中で、条件が不利な中山間地域を中心に耕作放棄が年々生じているということでございます。
 また、転用の問題は、これは社会経済情勢と非常に密接な関係がございますけれども、我が国のように、やはり狭隘な可住地面積の中で他の需要との間に競合が生じている、一定の転用が年々避けられないという状況にございます。
#179
○須藤美也子君 確かに高齢化とか耕作放棄地があるでしょう。しかし、農業白書では、短期的に見ると国内生産の減少の影響が大きいと。つまり生産をしない。これは、何をつくっても採算がとれないから生産意欲を失って離農が進んでいる、このあらわれだと思うんです。ですから、食料自給率を、農地は、低下させるだけでなくて、食料生産を支える生産基盤、農地の減少に結びついているのではないかと思うんです。
 そういう点で、本気になって食料自給率を向上させるのであれば、それも本気になって農地の確保を進めなくちゃならない、こう思います。それなのに、十年後、食料自給率四五%に努力目標を掲げながら、十年後、二〇一〇年には農地の見通しは四百七十万ヘクタールです。現在の四百八十三万ヘクタールよりも減少の目標を掲げているのはなぜなんですか。
#180
○政府参考人(渡辺好明君) やはり現実的な目標を掲げるということが努力目標であっても必要なことだろうと思います。
 四百七十万という数字は、食料自給率四五%を前提にいたしまして、耕地利用率を一〇五%ということで算出をした努力目標でございます。
 午前中の委員会でもお話を申しましたとおり、トレンドでまいりますと四百三十ないし四百四十万ヘクタールというところに落ちる。これを何とか耕作放棄の抑制であるとか耕作放棄の回復であるとかあるいは農地の造成、こういうことで歯どめをかけまして、四百三十ないし四百四十になるところを四百七十まで引き戻して、何とか耕地利用率一〇五%、現在九〇%台でありますが、これで食料自給率四五%を実現せんとするものでございます。
#181
○須藤美也子君 少なくとも、十年後には食料自給率努力目標四五%を実現するために、確かに一〇五%の利用率、こういうことで四百七十万ヘクタール、こういうことで計算したのだとすれば、何としてもこれはやっていただかなくちゃならないと思うんです。今九五%でしょう、利用率が。ですから、そのためには、価格の安定と、そして減反、大幅減反なんかはやっぱりこれはやめるべきだと思うんです。そうしないと、生産意欲を持って農業に励むことができない、こういうふうに言わざるを得ません。
 そこで、今回の農地法の改正案に対してこれまで何点かお聞きをしました。ちょっと冒頭に、大沢議員の質問に対して大臣や局長が、それに対する答弁が少し偏った答弁を私はしてきたと思うんです。そういう点で、ちょっと質問の順序があべこべになって申しわけなかったんですが、最後に、日本の農業の発展にこの法改正案がつながるのかどうか。今回の委員会の討論を見ても、私は懸念を払拭することはできません。株式会社の参入が今の日本農業に本当に必要なのか、こういう点で納得できません。そういう私が納得する答弁もありませんでした、残念ながら。
 そういう点で、ある農業生産法人協会の方は、農業生産法人の半分近くが赤字で、その原因が農産物価格の低下にあると言われました。農業生産法人で一生懸命働いている農業者の方々が今望んでいることは、株式会社の参入ではなくて、価格対策や販路の確保。株式会社の参入はこういう日本農業の行き詰まりを打開する何の根拠もない、こういうことが今回のいろいろな当局の答弁の中でも一層明らかになったと、こういうふうに言わざるを得ません。そういう点で、この問題についてはこれからもっと深刻ないろいろな具体的な問題が出てくると思います。そのときにまた質問をさせていただきたいと思いますが、時間がまだあるんです。
 最後に、私は、セーフガードの問題について質問をいたします。
 これは、何回も私は委員会のあるたびにセーフガードの発動について要求をしてまいりました。そして、昨日、予算委員会でもそうでしたけれども、大臣は、大蔵、通産にセーフガード発動の意思を表明したと、こういう決意を示しました。決意を固めた以上は農民の皆さんからも理解していただいてセーフガードの発動を進めていきたいと、このようにきのうお述べになったと思います。
 そういう中で、私は、現在、地方議会、自治体からセーフガード発動の意見書、これ十一月二十二日の予算委員会では三百九十七地方議会からの意見書、こういうことで私記憶しているんですが、十一月二日に質問したときは二百六十でした。今現在、三百九十七でいいのかどうか、もっとふえているのかどうか、その数字を教えていただきたいと思います。
#182
○政府参考人(石原葵君) 農産物につきましてのセーフガード措置の発動を求める地方自治法第九十九条に基づく意見書でございます。
 この意見書を採択いたしまして、これを政府に提出した地方公共団体の議会の数は、平成十二年一月一日から十一月二十七日までの間で三百九十五というぐあいになっております。よろしゅうございますか。
 ただ、意見書ということになれば三百九十五でございますけれども、このほかに請願が二件ございまして、これを合わせますと三百九十七ということになります。
#183
○須藤美也子君 これは十一月二十七日までの数でございますね。そうすると、十二月議会ではもっとふえる可能性もあるわけですね。これだけ国民世論が大きく広がっている、こういうことをしっかり受けとめた上での決断だというふうに私はきのう思いました。そういう点からすれば、自治体、農家の声、国民の声を聞く、そのためにも四年前のニンニク、ショウガの二の舞はしてほしくない、こういうふうに思うんです。
 そういう点で、先ほどどなたかもおっしゃいましたが、大蔵省、通産省に通告をしたと。三省間の今度はいろいろな協議に入るわけです。その協議のめどというのは今まだ定かでないということを石原さんおっしゃいましたよね、先ほど。そうですか。
#184
○政府参考人(石原葵君) 先ほど申し上げましたように、三省で協議していくということでございまして、大臣の強い指示もあり、我々といたしましてはできるだけ早く結論を得るべく努力していきたいということでございます。
#185
○須藤美也子君 そうしますと、大蔵省、通産省と農水省の三省で協議は始まっているんですか。
#186
○政府参考人(石原葵君) 調査の開始を要請いたしまして、その開始に向けた協議は始まっているということでございます。
#187
○須藤美也子君 もう一つ確認したいんですけれども、この品目は、岩永議員に対して、この間、四品目、ネギ、トマト、タマネギ、ピーマン、この四品目しかここで言わなかったんですが、これにシイタケとイグサが入るわけですね。そうすると、どうなんですか、そこをはっきりしてください。何品目になるんですか。
#188
○政府参考人(石原葵君) ネギ、トマト、タマネギ、ピーマン、生シイタケ及びイグサの六品目でございます。
#189
○須藤美也子君 そうすると、その六品目について大蔵省と通産省と今度これから協議をされ、そこで合意すればWTOに発動を通告するわけですね。そうですね。
#190
○政府参考人(石原葵君) あくまでこれはセーフガード発動に向けた調査についての要請でございまして、三省間で協議が調いますと、調査について開始するということでございます。
 これまでいろいろ実態把握とか調査、農林水産省が言っていたじゃないかという御指摘があろうかと思いますけれども、これまでは、どういいますか、発動の開始に向けた一段今回は次元の高い調査だとお考えいただいたらと思います。
#191
○須藤美也子君 そうすると、次元が高いとか低いとかの話ではなくて、つまり大蔵省、通産省にそれを納得させるだけの調査はもう完了したと、農水省として。現地調査もして、それはやったと。そのバックにはこの三百九十五の地方議会の皆さんの声が入っていると思うんですけれども、そういう立場で、これは大臣がおっしゃったように、決断した以上はこれを絶対に発動を実現させていただきたい。一回もしていないんですよ、日本は。ですから、四年前、ニンニク、ショウガ、あれが腰砕けになった、その二の舞にならないようにこれをきちんとやり遂げる。そのためには、私は、この参議院の農水委員会として、自民党も言った、公明党さんも言った、社民党さんも言った、みんな言っているわけですから、セーフガード発動の決議をこの委員会としてやるべきだということを委員長に要請したいんですけれども、委員長いかがでしょうか。
#192
○委員長(太田豊秋君) 後ほど理事会で協議いたします。
#193
○須藤美也子君 では、そういうことでセーフガードを進めていただきたいと思います。
 そしてもう一つだけ、まだ時間がありますので、もう一つだけ申し上げたいことは、きのうですか、WTOに対する見直しを進めたいと、こういうことが新聞に載っていましたね、経済局長の、農水省の。しかし、私は、WTOにそれを見直しをする前に、大蔵省とか通産省、三省合意でやるというのは日本の国内法なんですね、関税定率法によって縛りがかけられている。これをまず見直すべきだと思うんですね。そういう点で、その点は今すぐというふうにはならないと思いますけれども、その点はどうなんでしょうか。
#194
○政府参考人(石原葵君) 現在の国内法、これにつきましては、いろいろ先生方からも御指摘がございますように、現行のWTOの規定で決められたものと比べますと日本の国内法の規定が加重された、要件が加重されているのではないかという御指摘がございます。
 もちろん、これは所管が大蔵省それから通産省でございまして、それぞれの部局からはそういう、これはこういうことだという説明はあるわけでございますけれども、我々といたしましては、実際上発動に向けていろいろ問題がある問題につきましては我々所要のお願いはしていきたいというふうに考えているところでございます。
#195
○須藤美也子君 終わります。
#196
○委員長(太田豊秋君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#197
○大沢辰美君 私は、日本共産党を代表して、農地法の一部改正案に対して反対の討論を行います。
 現在、我が国の農地は五百万ヘクタールを下回り、その減少に歯どめがかからない状況にあります。国民の命を支える食料の自給率が四〇%を切るという事態の中で、農地を農地として守り、農地が農民家族によって農業・食料生産に使われることこそが重要です。しかしながら、本法案はその方向と逆行するものであると言わざるを得ません。
 本法案に反対する最大の理由は、農業生産法人の要件緩和は、株式会社、法人大企業の農地取得、農業支配への確実な一歩を踏み出すものであるという点です。
 第一に、農業生産法人の法人形態として株式会社を認めることにより、株式会社による農地所有を合法化することになります。
 第二に、農業生産法人の事業要件の緩和は、一定面積の農地による農業生産と加工、運搬などの関連事業が売り上げの過半を占めてさえいれば、その他の事業は自由に行えることになります。それは農業生産法人の変質を招くことになります。また、どのような事業でも兼業自由となれば、事業展開に必要な用地取得のために農地転用を一層促すものとなります。農地の減少に拍車をかけることになりかねません。
 第三に、構成員要件の緩和は、業種、国籍を問わず農業とは全く関係のない企業にも農業生産法人参入の道を開くもので、その経済力により農業・農村に大きな支配力を広げることは間違いありません。
 第四に、役員要件の緩和は、農業生産法人の経営支配力を農業者に確保するための要件を投げ捨て、農外の大企業による経営支配を可能とするものです。
 私は、批判を抑えるために農業生産法人要件の適合性確保措置を講ずるとしていますが、その実効性が期待できないことは明らかだと思います。
 これらの規制緩和は、日本農業の家族経営を守る柱となってきた耕作者主義、つまり実際に耕作に従事する者が農地についての権利を有するという原則に真っ向から反するものであり、家族経営を基本とした農政のあり方を大きく転換するものであると言わざるを得ません。
 農業生産法人の困難の最も大きな原因は、農作物価格の暴落による所得減少にあることは明白であり、今農政に求められているのは、株式会社の導入でなく、輸入自由化や市場原理最優先の農政の転換であることを指摘して、討論を終わります。
 議員の御賛同、よろしくお願いします。
#198
○谷本巍君 社会民主党を代表して、農地法一部改正案に反対の意見を述べます。
 かつて、バブル経済のもとで金融機関などを先頭に土地投機が行われたとき、私たちが知ったのは、耕作者主義に立つ農地法の存在でありました。この法律がなかったなら、あのときの土地投機はさらにさらに広がり、日本経済が受けた打撃は想像を絶する甚大なものとなったはずであります。
 その耕作者主義に立つ農地法が、株式会社の農業への参入の道を開くための改正によって揺さぶられようとしております。確かに、農地法改正案は、株式会社一般の農業参入は認めずに、農業生産法人と農業者などによる株式会社に限定しました。また、それとともに、株式の譲渡制限の措置を初め、農業委員会による審査と状況掌握、勧告、立入調査などにより懸念される事態発生の防止措置を講ずることにしております。
 しかし、それは、新業務を遂行し得る農業委員会の機能強化があって初めて可能となることであります。しかるに、それについては見るべき具体策も示されておりません。これでは、改正案の言う歯どめ措置は絵にかいたもちも同然と化すおそれさえ禁じ得ません。
 さらには、法人の倒産に際しての農地の国家買収にしても、確実に実施されるかどうかの不安も残ります。農業生産法人の構成員の要件緩和などの面からの耕作者主義崩しが進むおそれもあります。農地所有の耕作者主義が崩されていくとき、農地はだれでも所有することができる道が開かれます。そして、株式会社の農地所有も転用も自由とされ、農地は農地法の規制から外され、食料の生産と環境保全の手段としての永遠性も失われることになっていきます。
 既に、農政のあり方は、市場開放と市場原理の徹底のもとで家族農業の存立を危うくしつつあります。また、それと並行するかのように、土建業者などの農地買いあさりと農業参入も現に一部地方で進んでおります。経団連など財界がこぞって要求してきた株式会社の農業参入への条件は、そうした意味合いでは整えられつつあると言っても過言ではありません。
 今回の農地法の改正による株式会社の農業への参入は、農業生産法人など農業内部からのみと限定していても、家族農業の崩壊と農地価格の暴落など、事態の変転につれ、次の段階には、経団連などから、外部からの参入禁止は論理的にも現実的にもおかしいとの恐るべき改悪への攻撃が開始されるものと思われます。
 今回の農地法改正案は、規制緩和の大きな流れの中での経団連等とのひとときの妥協ではあっても、それがアリの一穴と化す可能性はあってもそうはならぬ保証はないのであります。
 二十一世紀は、紛れもなく食料と環境の時代となります。今私たちが問われているのは、そのために、農地も環境も資本のための商品化にさらす道を選ぶのではなく、それを阻止する立場に立ち、農地の耕作者主義を守り、株式会社の農業参入に安易な道を開くべきではないということです。
 そして、それと同時に忘れてならないのは、資本主義経済にはバブル化はつきものであって、いつまたその再燃がなしとしないということであります。
 以上を申し上げ、私の反対討論を終わります。
#199
○委員長(太田豊秋君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 農地法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#200
○委員長(太田豊秋君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、郡司君から発言を求められておりますので、これを許します。郡司彰君。
#201
○郡司彰君 私は、ただいま可決されました農地法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    農地法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、我が国農業の持続的な発展及び食料・農業・農村基本計画の実現に向けて、次の事項の実現に万全を期すべきである。
 一 農業経営の法人化の推進に当たっては、我が国農業が家族農業経営を中心に展開されている状況にかんがみ、家族農業経営の活性化、集落営農等の活動に必要な施策を強化するとともに、地域農業の関係者による協議の場を設けるなど地域農業との調和を図りつつ、適切な支援措置を講ずること。
 二 株式会社形態の導入等農業生産法人の要件見直しに伴う農地の投機的取得等の懸念を払拭するため、農業委員会による審査、勧告、担い手や農地保有合理化法人へのあっせん等並びに国による買収を厳正に実施すること。
   また、農業委員会がその任務を的確かつ円滑に遂行できるよう、農業委員の資質の向上、専門的職員の養成確保等その機能の充実を図るとともに、農業委員会系統組織並びに国及び地方公共団体の支援体制を整備すること。
 三 国内農業生産の増大と多面的機能の十全な発揮を図るため、公共転用等が安易に行われることのないよう、農業振興地域制度や農地転用許可制度の厳正な運用に努め、農地の確保に万全を期すること。
 四 農地は公共性の高い財であるとの認識の下に、農地の利用や必要な農地の確保等に関連する諸制度について、総合的かつ一体的な実施を図る視点に立って検討を行うこと。
 五 耕作放棄地の発生防止及びその解消を図る観点から、地域の実態に応じた農地の有効利用を促進するため、都道府県知事が独自に定める農地等の権利移動の下限面積を弾力的に設定するよう指導するとともに、市民農園の整備による農地の市民的利用などの活用策を講ずること。
 六 小作料の定額金納制の廃止に当たっては、地域の実情に即して適正な小作料が設定されるよう、的確な指導を行うこと。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#202
○委員長(太田豊秋君) ただいま郡司君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#203
○委員長(太田豊秋君) 多数と認めます。よって、郡司君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、谷農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。谷農林水産大臣。
#204
○国務大臣(谷洋一君) ただいまは農地法の一部改正につきまして御可決をいただき、ありがとうございました。
 なお、附帯決議を賜りましたが、十分これを尊重して、検討をし、実行に移したいと思います。
#205
○委員長(太田豊秋君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#206
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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