くにさくロゴ
2000/11/30 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 農林水産委員会 第9号
姉妹サイト
 
2000/11/30 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 農林水産委員会 第9号

#1
第150回国会 農林水産委員会 第9号
平成十二年十一月三十日(木曜日)
   午後零時四十五分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十九日
    辞任         補欠選任
     鶴保 庸介君     扇  千景君
     森下 博之君     阿南 一成君
     渡辺 孝男君     白浜 一良君
 十一月三十日
    辞任         補欠選任
     阿南 一成君     森下 博之君
     扇  千景君     鶴保 庸介君
     白浜 一良君     渡辺 孝男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 豊秋君
    理 事
                金田 勝年君
                岸  宏一君
                郡司  彰君
                須藤美也子君
                谷本  巍君
    委 員
                岩永 浩美君
                佐藤 昭郎君
                鶴保 庸介君
                三浦 一水君
                森下 博之君
                若林 正俊君
                小川 勝也君
                高橋 千秋君
                谷林 正昭君
                羽田雄一郎君
                渡辺 孝男君
                石井 一二君
   国務大臣
       農林水産大臣   谷  洋一君
   政務次官
       農林水産政務次
       官        三浦 一水君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田 榮司君
   政府参考人
       外務省経済局長  田中  均君
       大蔵省関税局長  寺澤 辰麿君
       農林水産省経済
       局長       石原  葵君
       農林水産省経済
       局統計情報部長  田家 邦明君
       農林水産省農産
       園芸局長     木下 寛之君
       農林水産省畜産
       局長       樋口 久俊君
       農林水産省食品
       流通局長     西藤 久三君
       農林水産技術会
       議事務局長    小林 新一君
       食糧庁長官    高木  賢君
       林野庁長官    伴  次雄君
       水産庁長官    中須 勇雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○すべての遺伝子組換え原料の表示義務化等に関
 する請願(第二〇五号外二〇件)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (WTO農業交渉に関する件)

    ─────────────
#2
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 これより請願の審査を行います。
 第二〇五号すべての遺伝子組換え原料の表示義務化等に関する請願外二十件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、いずれも保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(太田豊秋君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(太田豊秋君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
#9
○委員長(太田豊秋君) この際、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査のため、本日の委員会に農林水産省経済局長石原葵君、同経済局統計情報部長田家邦明君、同農産園芸局長木下寛之君、同畜産局長樋口久俊君、同食品流通局長西藤久三君、農林水産技術会議事務局長小林新一君、食糧庁長官高木賢君、林野庁長官伴次雄君、水産庁長官中須勇雄君、外務省経済局長田中均君及び大蔵省関税局長寺澤辰麿君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#11
○委員長(太田豊秋君) 農林水産に関する調査のうち、WTO農業交渉に関する件を議題といたします。
 まず、政府から説明を聴取いたします。三浦農林水産政務次官。
#12
○政務次官(三浦一水君) WTO農業交渉の状況と提案の検討経過について御説明申し上げます。
 WTO農業交渉は、WTO農業委員会特別会合で行うことが合意され、本年は、三月、六月、九月、十一月の四回、この特別会合が開催されました。
 三月の特別会合において、各国は原則として二〇〇〇年末までに交渉に臨むスタンスを明らかにした交渉提案を提出することとされ、これまでに米国やEU、その他ケアンズ・グループや複数の途上国グループから提案が出されております。
 我が国におきましても、本年末までに提案を提出すべく検討を進めてきたところでございますが、特に今回の農業提案については、国民的な合意を得つつ取りまとめることが何よりも重要と考えております。このような認識のもと、本年春以降、農林水産省のホームページ等を通じた情報提供、地方レベルでの意見を聞く会の開催、Eメール、投書等を通じての意見募集を行い、農業関係者のみならず各界各層の御意見を聴取してきたところであります。
 本日、御説明する「農業提案の基本的方向」は、これらを通じて寄せられた御意見や本委員会を初めとする国会での御議論、農業団体における検討等を踏まえて整理したものであり、現在、この基本方向に基づき提案取りまとめに向けて詰めの作業を行っているところであります。
 それでは、お手元に配付しております「農業提案の基本的方向」に沿って御説明いたします。
 今回の農業交渉は、単にUR合意の継続としてとらえるのではなく、二十一世紀の世界の農政全体を方向づける極めて重要な交渉と考えております。このような観点から、UR合意後の実施状況についての検証を行い、各国の食料政策、農業政策上の困難の解決に資する交渉を行うこと、農業の多面的機能、食料安全保障の追求を我が国のみならず世界的な農政上の課題として認識することを交渉に際しての基本的な重要事項とすべきと考えております。
 その上で、交渉に臨む基本的姿勢として多様な農業の共存を基本的な目標とし、農業の多面的機能への配慮、食料安全保障の確保、農産物輸出国と輸入国に適用されるルールの不均衡の是正、開発途上国への配慮、消費者・市民社会の関心への配慮の五点を追求していくこととしております。
 次に、交渉上の論点ごとの基本的方針について御説明いたします。
 まず、市場アクセスについてでありますが、これについては、関税水準、アクセス数量について品目ごとの生産・消費の実績、国際需給等を踏まえた柔軟性を確保して適切に設定すべきと考えております。
 また、セーフガードについては、季節性があり腐敗しやすい等の特性を持った農産物について、機動的、効果的に発動できるセーフガードの創設を求めていきたいと考えております。
 次に、国内支持についてであります。
 まず、国内支持に関する規律につきましては、現行の規律の基本的枠組みを維持した上で、UR農業合意の実施の経験にかんがみ、農業の実態に即した農政改革を推進する観点から、削減対象外の緑の政策について必要な見直しを行うべきと考えております。また、国内支持の水準については、農業の多面的機能の発現を損なうことのないよう、農政改革の進捗状況に合わせた現実的なものとすべきと考えております。
 次に、輸出規律のあり方についてであります。
 これについては、輸出入国間の権利義務バランスの回復、食料輸入国の食料安全保障の観点から、輸出補助金等の輸出奨励措置に対する規律の強化並びに原則輸出税化など輸出制限措置に対する規律の確立を求めていきたいと考えております。
 次に、国家貿易についてであります。
 これについては、市場に対する影響力や現行規律の内容を踏まえ、輸出国家貿易と輸入国家貿易を明確に区別した上で、輸出国家貿易について、行動の透明性確保、政府助成の禁止等、規律を強化すべきと考えております。
 次に、発展途上国への配慮についてであります。
 これについては、途上国における飢餓、栄養不足問題の自助努力による解決に資するため、国境措置、国内支持、輸出規律、国家貿易に関する規律や水準について柔軟性を確保するとともに、二国間や多国間の食糧援助のスキームを補完し、一時的な不足等の状況に際して現物の融資を行い得る国際備蓄の枠組みを検討すべきと考えております。
 次に、消費者・市民社会の関心への対応についてであります。
 これについては、消費者団体を初め国民各層から寄せられた御意見を踏まえ、食料の安定的な供給、食品の安全性の確保を第一義とした貿易ルールの検討、食品に関する消費者の選択を可能とする情報の提供、WTO農業交渉に関する情報の積極的な開示、提供を提案していきたいと考えております。
 最後に、米に係る交渉スタンスについて御説明申し上げます。
 米については特に国民各層の関心も高く、政府としても、米に係る提案内容の議論に資するため、お手元に配付しております「コメに係る検討の視点」を整理し検討を進めるとともに、幅広く情報提供、説明を行ってきたところであります。
 現在、米については、資料の二ページにあるように、高水準の枠外税率の設定、マークアップ、売買差益の徴収、国家貿易による一元的輸入・供給管理という総合的な国境措置、輸入管理体制をとっております。輸入米が国産米に与える影響を最小限に緩和するために、今後とも総合的な国境措置、輸入管理体制を守ることが極めて重要であると考えております。
 したがって、米のミニマムアクセスのみ着目して具体的に何%という数量を挙げて交渉に臨むのではなく、ミニマムアクセス制度が有する規律、枠組み上の種々の問題点を指摘していくことが適切であると考えております。
 具体的な問題点については現在検討を進めているところですが、次のような点があると考えております。
 まず、輸出国には輸出する自由、輸出しない自由があるのに対して、輸入国にはそのような自由が認められておらず、一定のアクセス機会の提供を義務づけられているという輸出入国間の規律のアンバランスがあることであります。
 二点目として、アクセス数量の設定について品目ごとの柔軟性がないということであります。
 三点目として、国内消費量を基準としてアクセス数量を設定されておりますが、最新の消費動向が勘案されていないということであります。
 四点目として、関税化の特例措置を講じた場合に適用されるアクセス数量の加重という代償的措置について期限が設定されていないということであります。
 このような諸点を十分勘案して、米に係る提案内容を取りまとめていきたいと考えております。
 政府といたしましては、本日の御議論も踏まえ早急に提案を取りまとめ、今後、提案の実現に向けて関係省庁一体となり、まさに国を挙げて取り組んでいく所存でございます。
#13
○委員長(太田豊秋君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#14
○鶴保庸介君 自由民主党・保守党を代表いたしまして、二、三質問をさせていただきたいと思います。
 開会当初の委員各位の出席率の低さとは裏腹に、このことに対する国民の関心の程度は物すごく高いと思います。したがって、時間もございませんので、テンポよくお話をさせていただきたい、御協力をお願いいたしたいと思います。
 幾つか予定しておった質問もありますが、ちょっとはしょらせていただきます。
 農業提案の取りまとめについては、やはり国民的合意の形成の重要性といったことを先ほど政務次官の方からお話がございました。これは、やはり今までのウルグアイ・ラウンドでの交渉結果を踏まえ、その反省に立ってこれからの戦略であったというふうに思います。国民的議論がなかった、あるいは交渉方針を公開したというところに新しい新機軸を打ち立てたんだろうなというふうに私は理解をしておるところなんです。
今後のWTOの農業交渉の意義と、それから交渉の基本方針については多々これまでも議論のあったところでございます。基本的なことについてお伺いをする時間はございませんが、ここで私が聞きたいのは、その交渉のスタイルにおいて、どういう方針、といいますよりはむしろ技術的なことに近いことなんでございますが、どういうスタイルをとっておるかというあたりが私は実は気になっておるところでございます。
 まず、包括交渉、日本はそもそも包括交渉を前提として主張されておられるというふうに聞いておりますけれども、これが果たしてじゃ国益のためになっておるのかと。いろいろ段々のお話を聞いておると、多少私なりに矛盾を感じる部分もございまして、その辺ちょっと議論をさせていただきたいと思うんです。
 私の問題意識といいますのは、例えば米のミニマムアクセス米についての議論、これを交渉しなければならないと。しかし、このことを余り深く突っ込み過ぎると代償措置をとられるんではないか、あるいは日本のこれまでの約束についての信用を失うんではないかというような、やや及び腰と言っては言い過ぎかもしれませんが、そういう印象を受ける。個別品目で代償措置を恐れておったんでは、私に言わせるとこれは交渉にはならないんではないか。
 そもそも、日本の主張、この米についての、品目についての交渉をするわけでありますから、その米について代償措置を恐れておったんではいけない。ほかの品目についてどうとか、あるいはほかの鉱工業製品についてどういうふうな措置があるというような話があるんであれば別ですが、その辺について、このスタイルを含めて御意見、御所見があればお伺いをしたいと思います。
#15
○政府参考人(石原葵君) スタイルというお話がございましたけれども、我が国は新ラウンドを包括交渉にいたしたいと考えているところでございます。
 この点は、基本的に農産物輸出国、これは農産物の交渉におきまして、農業交渉におきましてはとる方だけでございます。とる方だけでございまして、結局農産物の交渉では失うものがないということで、この分野が農業だけに限られるということになりますと、いわば農産物輸出国が農業の自由化のみをつまみ食いする、言葉は悪いんですけれども、つまみ食いする結果になるんではないかというふうに考えられます。
 そういうこともありまして、我々は、あくまでも国益に沿ったバランスのとれた交渉成果を獲得することが大事だと思っておりますので、そういう意味でも、包括交渉ということで、農業以外にもほかの分野、それを幅広く入れて交渉することが重要であろうかと考えているところでございます。
#16
○鶴保庸介君 とすれば、いわゆる代償措置を恐れているというようなことで、米以外の部分についての代償措置を恐れていると私は理解をしておるんですが、その理解でいいんですか。
#17
○政府参考人(石原葵君) 米、それから農産物という、要するに例えば農産物、具体的に米の交渉とかいうことですね、それを具体的にイメージしているわけじゃありません。一方的に農産物、我が国にとってとられるだけの交渉は避けたいということで包括的な交渉をしたいと。それからまた、農産物の交渉におきまして、要求してくる国、それに要求の歯どめをかけたいと。
 そういう例えばオーストラリアとかカナダとか、農産物の貿易につきましては大きなメリットを感じる国があります。そういうところが、自分たちがとられるものがある、ほかの分野で、工業品とかほかのものでとられるものがあるということになりますと、自然と交渉の姿勢等についてブレーキがかかるだろうと、そういうことを期待しているということでございます。
#18
○国務大臣(谷洋一君) 午前中、長い質問がございましたので私が答えたら、あんたは長いと言われました。その意味を込めて今御質問があったんじゃないかと思います。簡潔に申し上げます。
 食料自給率が四〇%になりまして、このままほっておったら三五%になりますよ、自然に。こういう状況から考えると、食料安保、あるいは多面的とかいろんなことを言っておりますけれども、そういうことを考えてみると、これ以上は、四〇%から下がるわけにいかない、もう絶体絶命のところに来ておると思います。
 そのことを込めると、やっぱり国益というのは食料を含めての国益であって、日本の経済が伸びることが国益じゃないと私ははっきり思っております。
#19
○鶴保庸介君 よくわかりました。短く議論をいただきましてありがとうございます。
 それではもう一点、日本は自由貿易協定をシンガポールとの間で来年一月から始める、協定の協議に向かわれるということで合意したといいますが、これはWTO交渉のあくまで補完的な作業というふうな位置づけで理解をしておっていいんだろうと思うんです。
 ただ、それはいいんですが、そういう日本の主張とは裏腹に、十一月七日でしたか、発表されたWTOの貿易政策検討制度に基づく日本に関する報告書というので、日本は従来の政策を変更し、地域貿易協定やFTA、自由貿易協定ですね、に関心を示すようになっていると、これまでの政策変更があったみたいなことが世界で書かれている。WTOの発表の報告書に書かれている。この辺の、日本の思いとちょっと乖離があるんではないか、この辺について御意見を伺いたいと思います。
#20
○国務大臣(谷洋一君) シンガポールの自由貿易に関しまして外務大臣や通産大臣からお話がございました。そのときに、閣議におきまして、私は、シンガポールとは農産物の問題がないからそこはいいんだということは、そういう意味のことを言いたいけれども、やはり次の舞台は韓国にあると言われておると。そういうときには、必ず両国の国益のためには農産物を除外してもらいたいと、こういうことを強く言っております。それは、南米の方でも次の自由貿易をやりたいという意向があるようでございますが、それも同様だと、こう言っております。
#21
○鶴保庸介君 方針に変更はないというふうに理解をしていいんですか。もう一度お伺いします。
#22
○国務大臣(谷洋一君) そのとおりであります。
#23
○鶴保庸介君 よくわかりました。
 もう時間がございません。それでは、最後の質問にさせていただきたいと思います。
 一番重要な話だと思うんです。やはり今大臣がみずから労をとってお話をいただきました米のことでございます。米といいますか、一般のことでございます。
 多面的機能ということをこれから主軸に主張をしていかれるというお話でございますが、そもそも多面的機能という概念はまだまだこれからの作業であるというふうに聞いておるんですね。いろいろな支持、理解をしていただくグループもあるというふうに聞いておりますが、このグループへの理解の浸透、またそれ以外のグループへの努力、それから定義化の作業を進めておられるというふうに仄聞するんですが、その辺の今の進捗状況等々を含めて、一括して農業の多面的機能についての理解の進め方の努力についてぜひお伺いをしておきたいと思います。
#24
○政府参考人(石原葵君) 多面的機能について各国からどの程度理解を得ているかという御質問でございますが、また、その多面的機能の概念を普遍化するためにどのような取り組みを行っているかという御質問でございます。
 多面的機能の問題につきましては、先般、七月でございますが、EU、韓国、ノルウェー、スイス、モーリシャス、こういう国とともに我が国は多面的機能フレンズ国というのを形成しておりますが、そういう国々が中心となりまして、七月にノルウェーで非貿易的関心事項に関する国際会議というのを開催したところでございます。
 この国際会議には世界から四十カ国、これはEUは一カ国、ただ、議長国が二カ国入っていたと思いますが、それをEUを一、二、三と数えた上で四十カ国ということで、実質の国では五十カ国以上になります。こういう国々が参加したということで、この国の数の多さから、我が国の主張はある程度の広がりは見せ始めたのではないかと考えているところでございます。
 もちろん、これらの国々の中にも市場アクセスの改善を言う国がございます。それを強く求める国もございますし、それから食料安全保障や農村の開発、こういうものはわかるけれども、多面的機能そのものについては否定的だという、これは特に途上国でございますけれども、そういう国もございます。我々は、これらの国々も我が国の立場を理解してもらうよう、こういう国々に対して粘り強く交渉していくことが大事だろうかと思っております。
 そして、この多面的機能の問題につきましては、先ほどもお話の中にございましたように、これを批判する国々からは概念規定が明確ではないという指摘があるところでございます。この点に配慮いたしまして、我が国あるいは我が国と同じ考えの国々が一緒になりまして、OECDでこの多面的機能の内容と概念規定の明確化、この分析作業をやっていただいておるところでございまして、この作業を早期に終了するとともに、他方、FAOが途上国に対しまして多面的機能の果たす役割に関する分析検討の会議をいろいろ開催しておるところでございます。
 こういう会議等に日本が積極的に参加する、また日本がしかるべく助成も行うということで、この多面的機能の理解を深めて我が国等の考え方に賛同する国をふやしていきたいと考えているところでございます。
#25
○鶴保庸介君 ありがとうございました。
   〔委員長退席、理事金田勝年君着席〕
#26
○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司でございます。
 外務省、おいでをいただいておりますでしょうか。よろしくお願いします。
 早速質問に入らせていただきますが、時あたかもアメリカの大統領選挙が混沌とした状況でございますけれども、八年前、ウルグアイ・ラウンド交渉の最終局面におきましても、今回と同様、政権がブッシュさんからクリントン、共和党から民主党へとかわった経過がございます。
 今回のことにかんがみまして、八年前のそうした政権の交代時にアメリカのWTOに対する考え方そのものがどのように変わったか、あるいは変わらなかったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#27
○政府参考人(田中均君) 今御指摘がございましたように、九三年に政権交代がございました。ウルグアイ・ラウンド自身は八七年から始まっておりまして、実は九三年というのはもう交渉の最終局面ということでございまして、後から考えてみましても、基本的に米国の交渉のスタンスというものに大きな変化はなかったというふうに考えております。
#28
○郡司彰君 当時、政権交代のときにコミットメントを尊重していこうと、そういうような姿勢だったと思いますけれども、年が明けまして、例外なき関税化という原則のみをという強硬路線から、米問題までもかなり柔軟に対応しようというような姿勢に変わったというようなこともあったんではないかと思います。
 今回、予断を許さないわけでありますけれども、例えば、今回のまた民主党から共和党へというような変化が起こった場合に、予測されるような変化というものがこのWTOの交渉に関してあり得るというような予測が立つのか、あるいはそのような情報等をつかんでいればお聞かせをいただきたいと思います。
#29
○政府参考人(田中均君) アメリカの大統領選挙につきましては、御案内のような事情でございまして、どちらが最終的に新しい大統領になられるかということを予断を持ってお答えすることはできないということでございます。仮に、ブッシュ政権ということになりましても、今のこういう状況を踏まえながら新しい政権の布陣というものをつくっていくということなので、余り今の段階でどうなるということを断定的に申し上げることはできないというふうに思います。
 その上で、共和党の例えば綱領その他から拾ってみますと、基本的な考え方として綱領等で述べられているのは、米国が国際経済交渉、国際経済関係について主導権を持たなければいけない、ある程度強い姿勢で臨まなきゃいけないということは冒頭に書かれているわけでございます。その上で、市場開放に焦点を当てた野心的な新ラウンドの立ち上げを行いたいと。それから、WTO農業・サービス交渉の再活性化を図りたいと。それから、新しい大統領に対するファストトラック、交渉権限の付与というのは必要であるということ。それから、米国製品の外国市場参入に資する関税引き下げ及び貿易障壁の撤廃ということもやっていかなければいけないということでございます。
 これもまだ、綱領から推しはかるということでございますし、今後、私どもも情報の収集に努めてまいりたいと思いますし、なおかつ日本の基本的な立場というのは、幅広い議題で関係国の関心にこたえた形でのラウンドの立ち上げということでございますので、この面でアメリカの新政権とも協議をしてまいりたいというふうに考えております。
#30
○郡司彰君 いろいろと予断を許さない中で、しかしながら予測をされるそれぞれのことに、物事の流れについても判断をできるだけの情報というものをつかんでいただきたいと思いますし、そのような形で行われているんだと思います。
 一つお願いでございますけれども、いろいろな形の分野の交渉もこれから始まるわけでございますので、外務省におきましても、この農業の分野が特に日本の国益にとっても大事だというような視点でもって引き続きお願いをしたいと思います。
 続きまして、農水省の方に、大臣の方にもお伺いをしたいと思いますが、これまでも私、質問の中で、包括的な交渉というものを日本が言っているけれども、それは大丈夫か、担保されるのかということをお聞きしてまいりました。日本の姿勢としてはもちろんそのとおりだという答弁をいただいておりますけれども、それだけではなくて、客観的に、間違いなくそのような形の交渉になり得る、あるいは今後の閣僚会議等の開催がまだ未定であったりいろんなことがありますけれども、日本としてはあくまでも輸出国の思惑にとらわれないような形での交渉をきちんと担保していくという決意も含めて、現状の認識をお答えいただきたいと思います。
#31
○政府参考人(石原葵君) 包括的交渉の立ち上げをめぐる状況につきまして私の方から御説明をさせていただきたいと思いますけれども、御案内のとおり、我が国は包括的な新ラウンドの早期立ち上げを求めてきているところでございます。
 この点につきましては、さきのAPECの首脳会議におきましても二〇〇一年における立ち上げが宣言に盛り込まれたという、我が国等の努力の結果そういうのが盛り込まれたということを申し上げたいと思っております。
   〔理事金田勝年君退席、委員長着席〕
 それから、WTOの閣僚会議につきましては、新ラウンドの立ち上げにかかわりませず、一年半から二年に一度開催されております。そういうことで、二〇〇一年末まで、来年の年末までの次回開催に向けた加盟国間の調整が現在行われていると、そういう状況でございますので、事務的にちょっと御説明をさせていただきます。
#32
○国務大臣(谷洋一君) ただいま事務的には局長からいろいろとお話をいたしました。そのとおりでございますけれども、我々といたしましては、今までWTOに話し合いを持ち込んだ国はございますけれども、そう多くの国はございません。しかし、その中でシロになるかクロになるかということが、クロになるのも相当あるわけでございまして、そういう点でちゅうちょしておったことも、ある意味では事実かもしれません。しかし私は、ここまで参りましたら、やっぱり日本の主張ははっきりすべきであると、こう思っておりまして、そこでやはり我が国の毅然とした態度が一番大事だと、そういうことで我が国の立場を十分各国にも了解してもらう必要があろうと、こう思っております。
#33
○郡司彰君 思いのほどは常々お聞きしておりまして、その思いが客観的な流れの中にきちんと沿うような形をきちんと形の上でも整えていただきたい、そのように申し添えておきたいと思います。
 それから、具体的な交渉の経過の中で、ことしの三月段階でブラジル代表が議長にということで一応過半をとったということだったんですけれども、EUの方の合意が得られずに流れ、その後、ペルーの方の大使が議長の方に就任をし、日本からも副議長と、そういう立場になっているかと思いますけれども、前回三月の時点で議長が就任に至らなかった、合意に至らなかったというのはどのようなEUとの考え方の相違なのか。あるいは、今回の就任をされた議長の考え方、日本の交渉の進め方にとって合致をするような議長の考え方であるというふうに評価をしているか、お聞きをしたいと思います。
#34
○政府参考人(石原葵君) WTO農業委員会の議長につきましては、いろんな候補者が出まして、これの調整が行われ、非常に調整に時間を要したということでございます。
 どういうことが問題になったかといいますと、中立性、それから能力、経験等の観点から適切な人であるかどうかという点と、それからジュネーブ駐在大使から選ぶのか、それとも本国の人材を含めた幅広い人材から選ぶのか。特に、途上国は常時議長に接することを求めておりまして、本国の人ですとなかなかそういう方に接することはできない、やはりジュネーブ駐在の大使から選んでほしいということを常々言っております。こういうことが争点になったということでございます。そして、五月八日のWTOの一般理事会でペルーの大使が選ばれたということでございます。
 このペルーの大使でございますけれども、あくまでペルーは非ケアンズ国です。議長をめぐりましては、ケアンズ諸国は当然、日本とかEUとかそういうところとかかわりのある方は嫌だと言いますし、他方、日本それからEU、こういうような国はケアンズ・グループ出身の方は嫌だと言うわけでございまして、そういう意味で、ペルーはあくまで非ケアンズ国でございますので、そういうところから議長が選ばれたことは、交渉をバランスよく進めるという観点から非常に適切なものではないかと。
 先ほどお話しございましたように、副議長が日本のジュネーブ駐在の公使でございますので、そういう意味でも今回の議長、副議長の選出はよかったのではないかと評価しているところでございます。
#35
○郡司彰君 余計な話をしてしまってはいけないわけでありますけれども、大変ペルーそのものも政情の不安定な要因も抱えているようでありますから、日本側の趣旨が徹底できるような、そんなフォローアップというものもしていっていただければと思います。
 外務省の方、大変ありがとうございました。
 それから、今回、この時期に行われたといいますのは、十二月にも提案をしようと。その中身について最終的な骨子がまとまり、あるいは五日とも六日とも言われているようでありますけれども、提案内容が報告をされるということの時期で行われているわけであります。
 昨日も読売新聞等にはかなり大きく出ておりまして、その中にはMA米の扱いについて、日本が現在の七・二から五%というような要求の中身でまとまるのではないかというようなことがありました。この報道については、報告の内容と合致をするということでしょうか。
#36
○政府参考人(高木賢君) そのような報道内容につきましては、我々はそうではないというふうに思っております。
 と申しますのは、今我々が検討しておりますのは、数字の議論ではございません。先ほど政務次官から御説明申し上げましたが、私どもとしては、現在とられている総合的な国境措置、輸入管理体制を維持するということが極めて基本的に重要だと思っております。具体的に申し上げれば、ミニマムアクセスについては、国家貿易による一元的な輸入管理を行い、かつマークアップを徴収する、またミニマムアクセスを超える米の輸入につきましては高水準の枠外税率を設定する、こういった基本的な仕組み、体制を維持するということが大事だと思っております。米のミニマムアクセスにつきましても、このような総合的な枠組みを維持するという目標達成の一環として取り組むべきものというふうに考えております。
 現段階での提案といたしまして我々が今検討しているところは、いきなり数量の議論を行うというのは得策ではない、やはりまず我が国として受け入れ可能な交渉の枠組みを確保するという観点から、今ミニマムアクセス制度が持っているさまざまな問題点、これを指摘していくことが重要だというふうに考えております。
#37
○郡司彰君 マスコミの報道が出て、その後、後追いのような形での質問をするときに、大体お答えいただくのは、私どもの方で関知をするものではないというような中身が出ている、そういう答弁を今までも何回も聞かされてまいりました。結果はどうだったかということもありましょうけれども、よしんばそのような形が検討されている内容と違うということであれば、きのうのきょうで、きちんときょうの新聞に出るぐらいの農水省としての見解をきちんと出しておくべきだろうと思うんですね。
 国民の方は、昨日の新聞を読んで、これは農水省の言っていることと違うんだなんということを感ずるような人というのはほとんど皆無なわけでありますから、だとすれば国民の方はそのような形でもって流されたものを一定程度信用する方が多いわけであります。
 しかも、今長官が言われましたように、交渉の手のうちを最初から見せているような形を、これは国益に反するようなことを含めてであります。だとすると、これは新聞記者の方が勝手に想像を膨らませて書いたのかというと、何がしかの情報を、だれかがリークをしたのかどうかということは別にしても、それなりの取材に基づいて書いているんだというふうに思うわけですね。
 こういうようなことがずっと続きますと、一方では農水省のマスコミに対する、危機管理という言葉ではちょっとおかしいのかもしれませんけれども、そういう対応の甘さということも指摘をされても仕方がないんじゃないかと思いますけれども、大臣、このような、今回だけではなくていつもそういうことがあるわけでありますけれども、こういうことに対してどういう感想をお持ちでしょうか。
#38
○国務大臣(谷洋一君) ただいまの御質問は読売新聞の昨日の五%の問題だと思うんですね。我々も全く知りません。そんなことを議論したこともありません。そして、私も食糧庁長官にお聞きしましたけれども、そんなことは全くないと、こう言っております。
 そういうことでございますから、こういうことを言うとマスコミに失礼かもしれませんけれども、私もマスコミに書かれたことについて随分個人的な迷惑を感じたことは何回もあります。そういうことでございますから、国益に関することをマスコミが勝手なことを書くとはけしからぬと私は思っております。ましてや、今申し上げたように、署名入りで出しておるというのならわかりますけれども、署名がないからだれが書いたかわからぬということでございます。そういうことですから、残念なことです。
#39
○郡司彰君 大臣、プライベートの問題もそれはまた人権の問題を含めてありましょうけれども、例えば昨日の記事は大きさにしてこの大きさの、(資料を示す)何段抜きになるんでしょうか、かなりの扱いの分量で出ているわけですね。
 それを次の日に農水省からの答弁で、それはまるきり関知をしない内容であるというようなことであるとすれば、これはやっぱり農水省として、この記事についてはこれは違いますよということをきちんとやるべきだろうと思うんですね。そうでないと、その後国民的な合意形成ということも出てまいりますけれども、このような形が先行している中で最終的に国民的な合意形成はできるんでしょうか。どうでしょう。
#40
○国務大臣(谷洋一君) 農林水産省の立場としましては、まことに困った問題というのか、失礼な問題だと思うんです。
 しかし、これを取り上げておったら、今の日本のマスコミの状態からいえばもう幾らでもありまして、本当に私も中海の問題では随分迷惑したんです。そういうことで、何か農林省がもう予算化するとか、いや、もう農林省は裏ではこういうことをやっておるとかいろんなことを言われまして、随分迷惑したんですが、これは黙して語らずで、もう言わない方がいいと思って私は何ら言わなかったわけです。そういうことでございますから、そう言われましても、どうしようもないですね。
#41
○郡司彰君 農水省の方でアンケート調査を行った結果も見させていただきました。大変私どもからするとありがたいような結果が出ているわけでありまして、農業の将来への不安が八割あったり、あるいはWTOの交渉に関しますと、交渉開始の周知というものが、知らないという方が六七・一%、提案の周知度ということに関しては、知らないという方が八三・二%という数字が出ているわけであります。では、農水省の方が多くの国民に向かって内容はこんなふうですよということを周知をする方法がどれほどあるのかというと、これはなかなか難しいわけですね。
 一方、昨日出た新聞が日刊で全国で六百万ぐらいの部数だとかというふうな形を言われていますけれども、だとするとやっぱり国民はこちらの方の内容をそのまま受け入れるということになるわけですね。
 これは、前回のときもそうでありましたけれども、私自身はマスコミの方に対してどうのこうのという悪感情を持っているわけでもありませんけれども、大分国民の間の理解を助けるということもありましたけれども、逆な意味で、本当に日本の国益に沿ったような姿勢でもって前回のUR交渉のときも書かれていたのかというと、非常な疑問を持っているわけであります。
 今、大臣のお答えの中で、言っても仕方ないというような話がございましたけれども、では、このままの形の報道が何回か続くことによって、先ほどの知らないという方が八三・二%おりますけれども、別な意味での理解をする方が逆にふえるということに対して、これ、農水省はどのような形でもって、先ほど言いましたけれども、国民的合意を図っていく上で考えていらっしゃるんでしょうか。
#42
○政府参考人(石原葵君) 先ほど来、国民的合意というお話がございます。農林水産省といたしましては、今回の交渉に当たりまして、国民的合意を得た上で交渉に臨むことが、先ほどのウルグアイ・ラウンドの交渉の結果を踏まえた反省の一つでございます。
 そういうこともありまして、国民的な合意を得るという努力をいろいろしてきておるところでございます。ホームページを活用したEメールあるいは投書、そして地方農政局単位で意見を聞く会を開催する、それから、総理府にお願いいたしまして農産物貿易に関する世論調査、今お話しありましたことであろうかと思いますが、そういう世論調査による国民の意識調査とか、あるいは交渉提案の基本的な方向を示しながらの第二次の意見募集、こういうことをいろいろやってきたつもりでございます。
 今回、残念ながら一部の新聞がそのような誤った報道をいたしましたけれども、我々、現在、最後の交渉提案の取りまとめの作業をしておりまして、近々にこれは我々公表できるものと思っておりますので、一時的に誤解される方がいらっしゃるかもしれませんが、これは当該新聞社に、ダメージというとちょっと言葉があれでございますけれども、正しく訂正されるものと考えているところでございます。
#43
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。
 WTO交渉に関する件について、ただいま御説明があった日本側提案の基本的方向に関連して質問をさせていただきたいと思います。
 WTO農業交渉に関しましては、基本的重要事項として、各国におけるウルグアイ・ラウンド合意の実施状況等の十分な検証が挙げられております。日本は各国におけるウルグアイ・ラウンド合意の実施状況をどのように把握して、それをもとにどのような交渉を展開していく方針か、まず三浦政務次官にお伺いしたいと思います。
#44
○政務次官(三浦一水君) 今次の農業交渉に臨むに当たりまして、ウルグアイ・ラウンド合意の各国における実施状況等の検証を行い、各国の抱えます食料政策、農業政策の困難を踏まえ、その解決に貢献するような交渉を行うことが重要であると考えております。
 渡辺委員御指摘のとおり、米国等の農産物の輸出国においても、農業経営の直面する困難に際しまして追加的な国内助成が講じられたりしております。また、特定の農産物の輸入増加に対しましてセーフガード措置等の輸入歯どめ措置が講じられているところもあるわけでございます。以上のような動向につきましては、今後とも、交渉を進める上で十分に活用する必要があると考えております。
 農林水産省においては、外務省の協力を得ながら、本年十月から十一月の間、各国のUR合意の実施状況について全面的な調査を行ったところでございます。
 今後とも、交渉を進める過程で、各国の政策動向やWTO規律の運用状況について継続的に注意をし、そしてこれを交渉に生かしてまいりたいと考えております。
#45
○渡辺孝男君 各国でそれぞれの農業政策があって、生産現場の方々は輸出国でもいろいろな悩みを抱えているということでありますので、その点、やはり農業生産をしていく立場の方々ともいろいろ意見交換しながら、日本の農業の立場を理解していただけるように頑張っていただきたい、そのように思います。
 米国とかEU、そしてASEAN諸国などの国々からは既にその国の提案というのが提出されているわけでありますけれども、日本側が主張している農業の多面的機能への配慮、それから食料安全保障の確保等に関しまして、これらの国々ではどのような理解をされているのか、その点に関してお伺いをしたいと思います。
#46
○政府参考人(石原葵君) この農業の多面的機能の問題につきましては、我が国、それからEU、韓国、ノルウェー、スイス、モーリシャス、こういう国々が中心となりまして多面的機能フレンズ国というのを形成いたしまして、随時意見交換を行ったり途上国に対する働きかけを行ってきているということは先ほど申し上げたとおりでございます。その成果といたしまして、ことしの七月にノルウェーで非貿易的関心事項に関する国際会議が開催されまして、四十カ国の参加を見たということでございます。
 我々、このような政府間のこういう働きかけ、それだけではありませんで、農業団体間でも、こういう多面的機能の重要性、それから食料安全保障の重要性、こういうものにつきまして農業団体間でも働きかけをしていくことが重要であろうかと思っております。
 幸い、我が国の農協系統はこの点必死になって頑張ってくれております。EUの農業団体との関係、あるいは韓国の農業団体とのおつき合い、あるいは東南アジアの農業団体に対する働きかけ、こういう働きかけをいろいろやっていただいておりまして、こういう中で徐々に多面的機能あるいは食料安全保障、こういうものの重要性に対する各国の理解、認識が高まってきているものと思っております。
 もちろん、それぞれの国がそれぞれの農業生産の状況、あるいはその国のいろんな社会の条件が違うということもありまして全く一致ということではありませんが、こういう粘り強い働きかけをすることが我々の交渉の目的からして非常にプラスになるのではないかということで、引き続き努力していきたいと考えているところでございます。
#47
○渡辺孝男君 この点は日本の農業が二十一世紀発展していけるかどうか命運を決するような問題でありますので、ここは十分にこれから交渉に当たって主張していっていただきたい、そのように思います。
 次に、谷農林水産大臣にお伺いしたいんですけれども、一九九六年のFAOの世界食糧サミットで食料安全保障のためのローマ宣言が出されたわけでありますけれども、目標として、八億人以上の飢餓あるいは栄養不足人口を二〇一五年までに半減をすると、その目標に向かって頑張っているわけでありますけれども、日本はこれから国際的な食糧支援を推進すべきである、そのように思いますけれども、このWTO交渉の中で食糧援助の取り組みについてどのような主張をしていかれるつもりか、その点をお伺いしたいと思います。今回も北朝鮮に対しまして人道的な立場から食糧援助をしたわけでございますけれども、そのような点も含めまして、今後どのような対応をしていくのか、お伺いをしたいと思います。
#48
○国務大臣(谷洋一君) このたびの我が国の五十万トンの北朝鮮に対する援助ということにつきましては、人道的な見地というのが第一でございます。
 それに加えて、国際的に、北朝鮮と韓国との関係とか北朝鮮とアメリカとの関係とかそれから日本との関係等々の問題がありまして、そういう国際的な状況も判断して五十万トンにしたということになるかと思います。しかし、いずれにしても、本年中で十九万トン、そして来年のことを加えると相当の米が必要だというふうな北朝鮮のお話も外務省当局が聞かれてそういう判断をされたと思います。
 しかし、我が国の立場から考えますと、本年度の備蓄の状況については、海外援助七十万トンという数字を示しましたけれども、これは初めての海外援助という立場の数字を示したものであります。
 しかし、考えてみますと、世界の八億五千万という大きな人口が飢餓線上にあるというふうに聞かされておりますし、そういう立場を考えてみると、やはり世界の備蓄機構をつくる必要があろうと、こういうふうに強く思っております。そして、備蓄をしてその備蓄の中で援助をしていくということも大変必要なことだと思います。
 第二番目には、その食料不足をしておる国々に対しまして、努力をすることも必要だろうと。それぞれの国が自分の国の生産量をふやすということも必要だろうと。
 私は、たまたま北朝鮮には何回もお伺いしたものですから、農業事情をお伺いに行ったつもりはなかったんですけれども、行けばやはり、そういう田園風景も眺めてみますと、気候が日本よりもさらに厳しいということもありましょうけれども、まだまだ十分な稲作もできていないというふうな機運を見ております。
 そういうことからいいますと、やはり北朝鮮の農業がますます発展するようなことを期待しなければ、いつまでも我々は援助をしなきゃならぬというふうなことにもなると大変でございますし、また独立国の北朝鮮の立場からいえばやはり自立をすることが大切だと、こういうふうに考えておりまして、日本も、そういう世界の体勢を眺めながら、しっかりと世界の八億五千万の皆さん方の援助をしていく必要があろうと、こう思っております。
#49
○渡辺孝男君 ミニマムアクセス米の問題、関税化の問題等についても質問させていただく予定でありましたが、先ほど質問がございましたので、重複しますので質問は割愛させていただきます。
 どうもありがとうございました。
#50
○須藤美也子君 先ほど冒頭に政務次官の方から御報告がありましたけれども、今回の「農業提案の基本的方向」の冒頭に、各国におけるウルグアイ・ラウンド合意の実施状況等の十分な検証とあります。
 私は、発足後六年間ですか、この間のきちんとした点検と総括がまず第一だと思います。この六年間、WTO農業協定は、アメリカなど輸出大国と多国籍企業に利益をもたらす一方で、大多数の国の農業、家族経営、食の安全、環境に深刻な困難と矛盾を引き起こしています。この間、日本農業に与えてきた影響、これもまた深刻であります。
 二十八日、私も世界食糧サミット・ローマ宣言の問題について触れました。このローマ宣言の目標はもう十五年たたなければこれを達成することができない、こういうふうに言われております。
 そういう中で、世界第一の輸入大国としての日本の責任というのは非常に重要だと思います。この六年間、WTOルールのもとに米を初め農畜産物の輸入が増大しました。自給率は年々減少している中で、今回の交渉の基本姿勢の中に、自給率向上など我が国の自由な意思でできる食料主権の確立を追求することが非常に重要だと思いますが、基本姿勢の中にこの点が含まれているのでしょうか。
#51
○政府参考人(石原葵君) 今回の提案に当たりまして我々が現在の段階でまとめております、またきょう政務次官の方から御説明させていただきました基本的な考え方、この中には、大きく言いまして食料の安全保障が農業の多面的機能の重要性と並びます重要な柱として盛り込まれているものと考えているところでございます。
#52
○須藤美也子君 世界の流れはこの間、随分六年前と変化していると思います。この間、各国で食料自給と食料主権が各国の共通の世論になっていると思います。ローマ食糧サミットのNGOフォーラム、さらには三月のWTOに関する国際市民声明、八月のFAOアジア太平洋地域総会の際のNGO協議会、WTOが食料主権や自給率向上に障害にならないよう、こういう国々の方々が強力に求めております。この点を基本姿勢に明確にした交渉を提案すべきだと思います。この点を強く求めて、次の質問に移りたいと思います。
 まず、一定の輸入を押しつけられるミニマムアクセス制度、このもとで自給率向上はできないと思います。その点で農水省の「コメに係る検討の視点」、先ほどどなたか冒頭におっしゃいましたけれども、この中に、「ミニマム・アクセス数量についての考え方」の項目に、約束の変更要求を行うことは、各国から強い非難や反発を招く。さらに、代償要求の可能性として、数量の見直しを主張した場合、代償を求められて国境措置、輸入管理体制を維持できない、こういうふうにあります。
 事実上、この見直し変更はできないと、こういう立場に立っているんでしょうか。ミニマムアクセス米をなくすとかあるいは減らすとか、そういう姿勢はないのでしょうか。
#53
○政府参考人(高木賢君) 今回の提案に当たりまして検討しておりますことは、やはり先ほど政務次官から御説明を申し上げましたが、総合的な国境措置、輸入管理体制を維持するということがまず基本的な考え方でございます。米のミニマムアクセスにつきましても、このような総合的な枠組みを維持するという目標の達成の一環として位置づけております。
 今、検討の視点の資料の方を引用されましたけれども、これはだからやらないということを言っているのではなくて、こういう問題があるということは認識していただかないといかぬという意味で整理しているわけでございまして、こういうことがあるから我が国の主張をしないということではございません。
 具体的に申し上げますと、やはりまずこの交渉に当たりましては、ミニマムアクセス制度が持っているさまざまな問題点を指摘する、そして我が国として受け入れ可能な交渉の枠組みを確保すると、こういう基本的態度で臨むことが現段階の提案として重要であるというふうに考えているわけでございます。
#54
○須藤美也子君 最初から現行の枠組みの範囲内でやるといっても解決にならないと思うんです。多くの、世界の方々もそうですけれども、国民の皆さんの要望に対してもこたえられることはできないと思うんですが、その点はいかがですか。
#55
○政府参考人(高木賢君) ですから、現在の制度の枠組みには問題があるということを指摘して、我が国として受け入れ可能な交渉の枠組みを確保する、こういうことで臨むわけです。
 具体的に申し上げますと、先ほど政務次官からも御説明申し上げておりますけれども、基本的にミニマムアクセスの制度そのものが輸入国側に対する義務のみを定めるものである、つまりそれは輸出国と輸入国との間の規律にアンバランスがあるという、まず基本的な問題を指摘をするということを考えております。それから、アクセス数量が各国の農業の現状とか構造改革の進展などによる品目ごとの相違を考慮せず一律に定められていて柔軟性がないと、こういうことを指摘しなければいけないというふうに考えております。
 これらが基本でありまして、さらにあわせて個別の問題としては、国内消費量を基準としてアクセス数量が設定されておりますけれども、最新の消費動向が勘案されていないとか、あるいは関税化の特例措置を講じた場合に適用されるアクセス数量の加重という措置が無期限で設定されるということになっているというようなこともあわせて指摘をするということで、こうした現行の制度の問題、これを指摘して我が国として受け入れ可能な交渉の枠組みをつくっていこう、こういう姿勢でありますから、現在のものを是認するということでは全くございません。
#56
○須藤美也子君 必要でもないミニマムアクセス米を輸入し、国内の水田は三分の一以上も減反している。水田は荒廃しております。農地は荒廃している。十分生産できます。米は日本国民の主食であります。米は一〇〇%自国で生産することができます。それなのに七十数万トンも輸入している。この米の撤廃、主食である米は自由化から外せ、こう主張するのが食料自給の根幹であると思います。私どもは一貫してこれまでもこのことを強く主張してまいりました。
 それと同時に、国土環境を保全する米を守る道、こうしたことを提起しないで農業の多面的機能を追求する、こういうことが非常に矛盾していると思うんです。与党の皆さんも、韓国で国際議員連盟の設立総会のときに、与党の方は多面的機能とは水田が生かされてこそ初めて実現できるんだ、こう主張いたしました。ミニマムアクセス米は改めなければならない、こういうことを強く主張をしておられました。
 こういう立場からいっても、農業の多面的機能を追求する、同時に、国民の主食である米、この米は輸入自由化から外す、これが基本だと思うんです。この立場に立って私は、今回いろいろ枠を変えていこうとおっしゃいましたけれども、こういう立場で要求をすべきではないのか、交渉すべきではないのか、このように思いますが、いかがでしょうか。
#57
○政府参考人(高木賢君) 我が国はやはり基本的に自由貿易体制ですから、その大きな枠組みを外せというのは私どもはのめないわけでございます。その枠の中ではありますけれども、今とっている総合的な国境措置あるいは輸入管理体制、これもできる限りの主張をし、直すべきものは直しという主張をしたいと、こういうことが基本的態度でございます。
#58
○須藤美也子君 初めから腰砕けのような交渉でないように、ひとつ日本国民の食料主権の立場から交渉していただきたい、強く申し上げたいと思います。
 さらに、三点目は国内支持の問題であります。
 国内支持の問題で、現行の規律の基本的枠組みを維持、これが前提となっています。生産拡大につながる助成や価格補償を一律に削減するというのが現行の枠組みです。しかし、自給率が低くその引き上げが求められている国、農産物輸出国も一律に削減する、この現行の枠組みをそのままにしておいてどうして基本姿勢で言う「多様な農業の共存」を目標と言えるのか。ここに「多様な農業の共存」とありますが、こういうことが言えるのか。
 それぞれの国々がいろいろな歴史と条件を持っています。そういう中で、その国々に見合った助成とか支援が必要だと思うんです。それを輸出国も輸入国も一律に削減させる、こういう問題についてどうお考えでしょうか。
#59
○政府参考人(石原葵君) この国内支持に関します規律につきましては、先ほどの政務次官の御説明の中にもありましたように、我々は現行の規律の基本的な枠組みは維持した上で、削減対象外の緑の政策について必要な見直しを行うということにいたしたいというふうに考えておるところでございます。
 といいますのは、既に御案内のとおり、現行の規律、これは我が国の場合、約九割部分がもう既に緑、要するに削減対象外として救われておるわけでございます。非常に我が国にとっては、もちろんそういう、どういいますか、規律がないというのも、もちろんそれが望ましいわけでございますけれども、現在のWTOの体制のもとではなかなかそういうことは言えない。そういう状況の中では、九割部分が削減対象外として救われるというのは、現在の枠組みは我々にとって決して不利な取り決めじゃないという判断のもとに、基本的な枠組みは維持したいというのを第一に置いているわけでございます。
 それから、ただし、これからは農政改革をいろいろ進めていく必要がございます。その際には、緑としてカウントしてもらうような、そういう仕掛けが必要でございますけれども、現行の緑の政策として適用してもらうためには要件が非常に厳しゅうございます。そういう意味で、この緑の要件、こういうものの見直しもあわせて要求していきたいと考えておるところでございます。
#60
○須藤美也子君 今の枠組みの中で緑の政策とか一定の緩和措置をとっていきたいということですね。それではだめだと思うんです。今の農村の現状を見れば、そんなことでどんどんどんどん価格補償やあるいは助成を削っていく、こういう中では農業は発展していかない、こういうふうに思うんです。
 時間がありませんので、この問題でだらだら言っておられませんけれども、この枠組みをやっぱり変えていくという積極性を持った姿勢が必要だ、このことを申し上げたいと思います。
 最後になりますけれども、この「基本的姿勢」の五番目に、「消費者・市民社会の関心への配慮」とあります。これは、七月の調査では、どなたかもおっしゃいました、郡司さんですか、八四%が国内で食料供給、こう願っています。三月発表の調査では、関税等の国境措置、補助金、農家の育成政策を組み合わせて農業を守るべきだ、これが最も多い意見です。そのためにはミニマムアクセス制度や農業育成の助成、補助金の一律削減といった現行ルールの改定が必要だと思います。
 世界の世論も協定改定を求めていると思います。シアトルの閣僚会議の決裂あるいはその後の動きを見ても、世界の流れは、繰り返しますけれども、この六年間に随分変わってきている。それぞれの国の食料主権を主張しているわけです。
 そういう点で、私は、ひとつ大きな立場に立って、日本もあるいは途上国もあるいは先進国の中でも、食料主権を守る、そういう立場で交渉に臨みたいという国々があるわけですから、その国々の方々とも連携をとりながら、今私が申し上げましたように、消費者や市民社会の関心への配慮というのであれば、大きな点で交渉をしていく提案が必要であって、それが国民の声、世界の世論にこたえるものだと思うんですけれども、最後ですので大臣の方から答弁をいただきたいと思います。
#61
○国務大臣(谷洋一君) 食料安保ということが私は余り使いなれておりませんので、それがいいか悪いかはあれですが、我々、食料安保という言葉はしょっちゅう使っております。そういう意味では、食料は何よりも我々人類にとっては大事なことでございますので、しかも日本の食料自給率が四割ということを考えてみますと、最後の土壇場に来ておると思います。
 そこで、我々はしっかり我が国の食料を確保するための努力をする、そのためには、今、WTOの問題についても積極的に取り組むということを申し上げたいと思います。
#62
○須藤美也子君 終わります。
#63
○谷本巍君 初めにセーフガードの問題について伺います。
 きょう、ここでいただきました文書、政府提案の基本的方向のセーフガードの方での政府の「対応方針」は次のように述べております。「農産物の特性に応じ、輸入急増等の事態に機動的、効果的に発動できるよう、運用の透明性を高めたセーフガードの検討。」ということであります。現行のセーフガードは緊急輸入制限措置として体をなしていない、こういうふうな意味合いを持った政府の考え方と私は受け取りました。
 初めに伺いたいのは、そういう現行法のもとでセーフガードを今発動するかどうかということが問題になっておるわけです。これを発動していく上には、一つは国内手続の問題、それからもう一つは対外関係の問題、この二つの枠組みを尊重しながらも、どう効率化するかという観点なくしては現行制度は生かすことはできないと、こう申し上げてよかろうと存じます。
 そういう点で重視していかなきゃならぬのは、ともかくも発動しますというと三年間は輸出国も対抗措置はとれない、ですからそこのところをどう生かすかという、そういう工夫というのがあっていいのではないかと私は思います。その辺の思い切った政治判断を含んだ判断がないというと、輸入国に与えられた数少ない権利ともいうべきものを生かすことができないのではないかと私は思うんだが、どのようにお考えでしょうか。
#64
○政府参考人(石原葵君) 我が国はまさしく国際社会の中で生きておるわけでございます。特に、WTOの体制のもとで経済活動をやっているわけでございまして、そういう我が国が一般セーフガードにつきまして、各国との約束といいますか協定からしますといかがかと思われるような発動行為に及ぶということは、なかなかとり得る道じゃないのではないか。あくまでも協定で定められました要件、それにぴたっと合うような形でしかるべく権利を活用していくことが我が国のとるべき姿ではないかと考えるところでございます。
#65
○谷本巍君 何といいましょうか、WTO模範生の答弁みたいな感じがいたしました。それじゃやっぱり発動できませんよ、はっきり申し上げて。
 これまで発動された例を見てみますと、百点満点の答案じゃなくて八十点のところでもってどうやっていくかというやり方ですよ、みんな。ぎりぎりいっぱいですよ。そういう考え方ではこれはちょっと発動を期待ができないということを私は言わざるを得ない。いかがですか。
#66
○政府参考人(石原葵君) これまで、WTOの体制になりましてから、農産物に関しましてセーフガードを発動した件数は八件ございます。
 その八件のうち四件が完全な途上国といいますか、でございまして、これは輸出国が必ずしも当該セーフガードを発動した国に対する輸出関心が余りなかったということで、そのまま放置されたというのは四件でございます。
 それから、あと残る四件は、二件がアメリカのケースでございます。アメリカはこれはパネルで訴えられまして、一件は既にもうクロの、いわゆるクロの判定が下っております。あと残る一件は、我々にはまだ公表されておりませんが、もう実質クロということが間もなく判定が下るというものでございます。
 他方、あと残る二件は韓国の発動でございますけれども、一件はパネルに訴えられましてもう既にクロという判定が下っております。もう一件は、既にこの委員会でも申し上げたと思いますけれども、対抗措置を中国がとって腰砕けになったという案件でございます。
 我々、こういう既に先例がございます。先例も十分踏まえた上で、我々何も、一般セーフガードを活用するのは権利でございますから、我々これを使わないと言っているわけじゃありません、あくまでも十分審査してやることはやるということを申し上げたいと思います。
#67
○谷本巍君 答えは一言でいいんですよ。そういう先例を踏まえてそれはうまくやっていくという、工夫をいたしますという答弁ならそれでいいんですよ。ここは国会ですから、ルール無視でやりますなんというようなことは政府自身言えっこないんだから、それは承知の上で聞いているんですから。
 それからもう一つは、ここに書いてある「対応方針」、これは具体的に言うとどういうことになるのか。局長はこの委員会で、客観的な指数で自動的に発動できる仕組み、こういう意味のことを言われましたね。例えば、輸入量が一定の水準を超えたときとか、輸入価格が一定水準以下になった際とか、何かそういうふうなことなどを念頭に置かれたわかりやすいものを想定していることでしょうか。
#68
○政府参考人(石原葵君) 先ほどまでお話ししていたのは一般セーフガードでございます。これは発動の基準につきましては抽象的な文句になっておりまして、具体的な数値で決まっているとか、そういうものじゃございません。
 他方、この一般セーフガードと並ぶものといたしまして、特別セーフガードというものがございます。これはさきの交渉で関税化した品目につきまして認められている制度でございます。
 これは今委員の方からもお話ありましたように、輸入量がどれだけ伸びる、あるいは価格がどれだけ下がるという、そういう指標に合致しますと自動的に発動されるものでございまして、我々は農産物につきまして全くもちろん特別セーフガードと同じような仕組みというのはなかなか難しいかとも思いますが、交渉の過程でそれに倣ったような形のものが実現できないかなと。これについて、日本だけじゃありません、アメリカのフロリダのかんきつ農家も非常にメキシコからの輸入に悩まされております。そういうところも連携して何とか実現できないかなという努力をしていくということでございます。
#69
○谷本巍君 ありがとうございました。
 続きまして、ハイファットチーズの問題について伺いたいと存じます。
 大蔵省の寺澤関税局長に伺いたいのでありますが、御承知のようにハイファットチーズ関税分類、世界税関機構はことしの三月の判断と同じようなバター類似品という判断を示しました。新関税分類の施行はどうなるのかということについて、新聞情報ではおおむね三カ月から四カ月間の周知期間等を必要とするであろうというような報道が流れております。
 ちょっと私、不思議に思いましたのは、これはちょっと長過ぎるなと。といいますのは、これまでもよく駆け込み輸入などがあるんですよね。そういうふうな点からいっても長過ぎると思いましたし、それにもう一つは、相手国の異議申し立てについての一定の期間を必要とすると。これはわかるんです。今度の場合は二度目ですから、同じことを世界税関機構は示しているわけですから、その辺の点がどうなるか、どうして三、四カ月かかるのか、そこについて考え方があったら御説明いただきたいと思います。
#70
○政府参考人(寺澤辰麿君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、ハイファットクリームチーズにつきましては、十一月二十一日の世界税関機構、WCOと言っておりますが、の統一システム委員会、HS委員会におきまして我が国の主張が認められ、デイリースプレッド、これはバターのカテゴリーに属する物品ということでございますが、に分類する旨、多数決で採決をされました。
 なお、商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約がございまして、これをHS条約と言っておりますが、この条約上異議申し立て期間が設定されておりまして、本件につきましては、来年の一月三十一日までに関係加盟国から異議申し立てが行われない場合に、今回の多数決で採決されましたことが正式に承認されたということになる条約上の規定でございます。
 私ども関税局といたしましては、分類変更が正式に承認された後に速やかに分類変更のための手続をとりたいと考えておりますが、その実施につきましては、分類変更により輸入者の利益が不当に損なわれることのないよう、実際の契約状況等を考慮して適切な周知期間を設ける必要があると考えております。
 今、先生がおっしゃいました三、四カ月というのは、周知期間ではなくて、恐らく今から異議申し立て期間も含めたようなことを考えていらっしゃるのではないかと思いますけれども、周知期間はそんなに四カ月もかかるようなことはないと思いますが、この適切な周知期間をどうするか協議して、なるべく適正に決めたいと考えております。
 なお、その間に駆け込み輸入があるのではないかという御指摘でございますが、ハイファットクリームチーズにつきましては製造者も限られておりますので、輸入が急増することはないのではないかと我々は見ております。
#71
○谷本巍君 ありがとうございました。
 そこで、畜産局長に伺いたいのです。
 駆け込み輸入というのは、役所の立場からしますというと、そういうものがありましたと、これは言いようがないだろうと私は思いますよ。しかし、民間の段階で言いますというと、今までにも、この種の問題に限ったことじゃないですが、随分例はあります。これは前に契約をしましたというやつ、文書をつくればいいんですから、やれないことはないですよ。調べる方は書類が整っていれば通さざるを得ないんですから。それだけに、そういう駆け込み輸入のようなものがないようにしていく必要があるだろうと思います。
 そういうルール破りをさせないようにしていくのにはどうすればいいのか、そこのところを畜産局長、どんなふうにお考えになっておるでしょうか。
#72
○政府参考人(樋口久俊君) 先ほどからお話しございましたように、外交当局と関税当局の大変な御協力、御支援によりまして私どもの主張が国際的に認められたわけでございまして、これは大変私どもとしては大事なことじゃないかと思っておるところでございます。せっかく我が国の主張が認められましたので、次の段階、これを本当に実効あるものにしていかぬといかぬ、これは先生のお話のとおりでございます。
 その中で、駆け込み防止というお話だと思いますが、二つほどあるのではないかと思います。
 先ほどから関税局長の御答弁ございましたように、とにかくできるだけ私どもとしては早く実施に移すということがまず第一じゃないかということで、そういうことをお願いし、またできるだけの御協力をしていきたい、これが第一点でございます。
 第二点目が、業界の皆さんに今回なぜこうなったか、どういう議論があったか、農林水産省あるいは畜産局は何を考えているか、こういうことを正確にお伝えをして、乳製品あるいは畜産をめぐります全体の事情を十分御理解いただけるように話をして、とにかく業界自身がどういうお考えになるかということがまず第一でございますので、そこのところをしっかりと私どもとしては入り込んでいって、理解を得た上で適切な対応をお願いしたい。
 役所としては正直に言いますとそこまででございますので、御理解をいただきたいと思います。できるだけのことはしたいと思っておりますけれども。
#73
○谷本巍君 寺澤局長、今畜産局長から答弁がございましたが、やっぱりきちっとした判断が出ているわけでありますから、これは実効性がきちっと出るようにするのには、その周知期間の問題についてもどのような対応をすればいいかということはもう既に大体おつかみになっておると思いますが、ぜひひとつその辺の対応をうまくやるようにお願いをしておきたいと存じます。
 次に伺いたいのは、セーフガードの問題で農林水産大臣が林産物についてもセーフガードの問題を検討していきたい旨御発言になっております。具体的に申しますとどういうものを想定しておられるのか、お示しいただけませんか。
#74
○国務大臣(谷洋一君) ただいまお話のございました木材につきましては、木材と集成材、この二つについてのガードを発動したいと思っております。
 これはもう長い話でございますけれども、先般、岐阜県で林業危機突破大会がございまして、六千人以上の方々がお集まりいただいたと思うんですが、そのときにもセーフガードを適用せいという表題はありませんでした。というのは、もう長い間疲れ切ってしまって、幾ら外材輸入を減らせ減らせとおっしゃっても一向に外材の輸入は減らない、そういうことであきらめ顔じゃなかったかと、こう言うことは失礼でございますけれども、私は思いました。
 そういうことでございますから、今回、野菜とか生シイタケとかというものの六品目についてやるにつきましては、木材の不況というよりもどん底に沈み切っておる状態を何とか呼び起こしていくことが必要だろう、こういうことを考えまして、木材と集成材の問題について取り上げたわけでございまして、これを実は一昨日まとめまして、それで農林省部内の話をまとめまして、そして大蔵省並びに通産省の方にもそれぞれ大臣あてに農林省の考え方を伝えたわけでございます。
 そういうことでございますので、今後、この問題についても積極的に取り組んでいきたいと思っております。
#75
○政府参考人(石原葵君) ちょっと補足させていただきたいと思いますけれども、六品目につきまして要請を行いましたときに、木材につきましても引き続き要請させていただきますということを申し上げておったわけでございますけれども、具体的には、本日中に製材品と集成材につきまして調査を開始するよう大蔵大臣及び通産大臣に対し要請を行いたいということでございます。
#76
○谷本巍君 そのことを伺おうと思っていたんですよ。ありがとうございました。
 何か時間もなくなってきましたが、先ほど須藤委員の方からお話のありましたMA米問題について若干伺いたいと存じます。
 国内では四割に近い生産調整をやっておりますから、そこへMA米が入ってくる、これはもうどの農家もみんな理解をしておりません、反対だということを言っております。それからもう一つの問題では、関税化に切りかえる際に政府自身もおっしゃったのは、MA米の消費量に占めるパーセンテージの問題とそれから関税化の場合の基本数量というのと対比しながら、関税化の方が合理的でありますというような御説明を私どもは聞いてまいりました。言うならばこれは政府公約のようなものですよ。ですから、今度のWTO交渉に向けては、少なくともその辺の是正だけはやってもらわにゃならぬことになるんです。いかがお考えでしょうか。
#77
○国務大臣(谷洋一君) 御指摘のとおりに、昭和三十七年の我が国の一人当たりの米の消費量は百十八キロと思っております。いわゆる昔でいえば二俵分食べた。ところが、今は六十キロから六十五キロ程度ですから、約半分に落ち込んでおる。だから、農家の方々も今までどおりの生産をすれば米は余るということは十分御存じなはずなんです。しかしながら、外国米が七十万トンも七十五万トンも入るということについては、減反をお願いしながらこれだけのものを輸入するとは何事だという、ふんまんやる方ないところがあるということは十分わかります。
 そこで、今御指摘のとおりに、強い立場で、そしてよく日本の立場を理解するように各国の皆さん方にお話を申し上げて、積極的な立場で取り組んでいきたいと思っております。
#78
○谷本巍君 ありがとうございました。終わります。
#79
○石井一二君 時計の針は二時十二、三分でございまして、本来ならば須藤美也子議員が御質問をされておる時間かと思いますが、きょうは三時から本会議ということで、時間を延長しないように言われておりますので、与えられた時間内で質問を終えたいと思いますが、殊のほか全体の流れが速く進んでおるようでございます。
 さて、余談はさておきまして、WTOのいろんな交渉がなされておりますが、何となく、世界の声を聞いておりますと、双務交渉じゃなくて片務交渉、日本がかなり大きく一方的に譲歩をして、輸出国の意見ばっかり聞いておるのではないか、それが、今も谷大臣が言われましたように、減反を強く強いながら米を輸入せにゃいかぬというような形になっておると思うんです。攻撃は最大の防御と申しますけれども、日本は他の国に対してどのような面でやや攻撃的な発言をしておられるのか。石原局長、いかがですか。
#80
○政府参考人(石原葵君) 我が国は諸外国と農業交渉を行うに当たりまして、要するに相手国にとっての弱点といいますか、他方弱点でもあり、日本が主張するに当たって日本の主張にも協力を得られるのではないかという点は活用していきたいということでございます。
 ちょっと抽象的に申し上げましたけれども、具体的に言いますと、アメリカ等の農産物輸出国につきましては、農業経営の直面する困難に対しまして追加的な国内助成を行っております。こういうものは、我が国が交渉の過程でアメリカもこういうことをやっているじゃないですかと言うことで弱点として追及できます。他方、アメリカ自身もそういう追加的な助成をするということは、やはり現在の国内支持の仕組み、これに問題があるんでしょうと、むしろ日本の主張に乗ってきませんかということで引き入れる道でもあります。
 それからもう一つの点は、アメリカがまた同じくやっておりますけれども、セーフガードの問題でございます。全体の動きは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、アメリカのフロリダ州のかんきつ農家等、これは非常にメキシコ等からの輸入で悩まされております。それで、特別な我が国が今回の提案で盛り込もうとしますセーフガード措置につきまして、フロリダのかんきつ農家自身も求めているということでございます。こういうことが、我々交渉の過程でアメリカのそういう農家と手を組む、農業団体から働きかけて手を組むということが考えられますので、こういうものを活用して我が国の主張を実現し、また他方、諸外国、特に輸出国の主張に対してダメージを与えるということをやっていきたいということでございます。
#81
○石井一二君 私は今ここに一枚の黄色い紙を持っています。(資料を示す)これは全国農業協同組合中央会が出しております「国際農業・食料レター」というものでありますが、その中で、米国の隠れた農業補助金として、トウモロコシを原料とするエタノールの生産振興策とカリフォルニア州における農業用水への補助金というものが出ていますが、こういったことに対して主張されておりますか。
#82
○政府参考人(石原葵君) その情報は我々得ておりますけれども、交渉の過程でその問題についてはまだ使うところまで至っておりません。
#83
○石井一二君 もう一つは、これから留意してやっていこうというようなお気持ちかと思いますが、石原局長、いろいろ頭の痛いWTOを抱えておられますが、あなたは今農政を遂行される上において、特にいろいろ問題点として一番苦悩に満ちた問題点というのはどんな問題をお持ちなんですか。
#84
○政府参考人(石原葵君) 現下の一番の課題は、私の担当の仕事からしますと、とにかく早く提案をまとめて諸外国に打って出たいということでございます。
#85
○石井一二君 ちょっと何を聞いているのかわからないなというような顔をされましたけれども、実は、どうもこのところ農業関係者で自殺者が割と多いんですよね。
 例えば十二年の十月二十五日に千葉県信連の会長が自殺された。これは、不良債権処理に基づく、県信連が赤字を出すと各地の農協へ配当金がもたらすいろいろと問題点があるということが波及したと言われておりますし、その少し前には食糧庁の元総務部長、生産調整の大幅強化に対する問題で自殺がなされておるということであります。それから、九州においては、熊本県の八代で中国産のイグサの輸入をめぐって三十名とも四十名とも言われる自殺者が出ておるという話も聞いております。
 こういった中で、私は、谷大臣の懸命の御努力にもかかわらず、農政は余りにも多くの問題を抱えておると、そう思うんです。農政というと、我々はすぐ米や畑やと言いますけれども、漁業も同じようにいろいろと苦しい一面がございます。例えば、ここに十月二十六日付の新聞を持っておりますが、これは南海新聞ですが、南の方の島々では漁業の依存度というものが三〇%を割って、もう漁業従事者が漁業では飯を食っていけなくなっていっておるという事実の指摘もございますし、週刊ダイヤモンドの十一月一日号には、昔日の漁船向け融資で九百億円が焦げついた農林漁業金融公庫の話も出ております。
 こういう中で、私は農林水産省に課せられた行政指導の重要性というものは極めて大なるものがあると思うんですが、そういう中で、WTOは同僚議員がいろいろ聞きましたのでやや問題も出尽くした感もございますので、漁業区域における保護区域設定等について基本的にどのような姿勢で今日行政をやっておられるのか。水産庁長官、よろしくお願いします。
#86
○政府参考人(中須勇雄君) 我が国の周辺海域、従来から世界の四大漁場と言われている漁場でありまして、豊富な資源に本来恵まれた水域でございます。そこで各種の漁業が行われる。その場合には、当然資源保護のためにどういう措置をとらなければならないか、あるいは二種類以上の漁業が同一の漁場を使うということに伴っていろいろな紛争も起きる。
 そういうものを防ぐ一つの手段といたしまして、ただいま先生が御指摘になりましたような操業の禁止区域を個々の漁業種類ごとに、あるいは魚種ごとに、あるいは本当に重要な場合には全漁業にわたって一定の区域では操業を禁止する、そういうような形をとりまして、いわゆる資源の保護または漁業の調整を図っていく、こういう仕組みがあるわけでございまして、その趣旨に沿って関係者の意見を聞きながら適切な区域の設定に努めているということでございます。
#87
○石井一二君 長官に確認しますけれども、基本的な考え方は、例えば元金があって利子を稼いでくれるとすれば、その利子を食っておる分には元金はそのまま残るからずっと継続しますが、元金を食べていき出すといつかゼロになりますね。そういう面で、魚のいわゆる基本的な量というものを保存しつつ、ふえた分を食べていくというような考え方でこういったいろんな区域設定等もなされるべきだと思うんですが、そういった考え方が基本だと考えていいんですか。
#88
○政府参考人(中須勇雄君) ただいまのお話のとおりだろうと、基本はそういうことだと思っております。
 ただ、先ほどちょっと申しましたように、量的にとることは問題がなくても、二つの漁業種類、例えば沿岸の漁業と沖合漁業というものが同一漁場で競合する場合には、漁具被害とかさまざまな問題が出てまいります。そういうときには、お互いのルールをつくるという意味で一定の操業禁止区域をつくると、こういうこともございますし、それから、同じ魚でも、例えば長年かけて大きくなるような魚の場合には、若いうちにとると大変もったいないわけでございます。あるいは子供のときにとればもっともったいないということで、産卵場の保護とかあるいは小さい時期はとらない、そういうような意味で保護区域を設定すると、そういうようなことも含まれているわけでございます。
#89
○石井一二君 過去の経緯を見てみますと、沖縄沖で二十キロメートルという立入禁止区域の設定がなされて、極めてこれは大きな範囲をカバーしているんですけれども、ほかの海域に比べて。これの過去の経緯と設定の理由をちょっと簡単に述べていただければありがたいんですが。
#90
○政府参考人(中須勇雄君) 沖縄沖では御指摘のとおり、大中型まき網漁業について二十キロメートルの禁止区域ということを設定しております。
 これは、そもそも沖縄県沖では率直に言って余りいい漁場というか、いい魚が比較的少ないということでまき網等の操業がもともと少なかった。それがちょうど復帰のときにそういう状況を固定しておこうではないかという意味で二十キロの立入禁止区域設定が行われたと、こういうふうに私どもは承知をしております。
#91
○石井一二君 その沖縄に比べまして、すぐ上の奄美大島では約四キロと、非常に沖縄に対して区域の指定が狭くなっているんですね。
 それで、一般論として、離島とか奄美大島、沖縄等に対する国の行政というのは補助率ということでいろいろ沖縄を優遇しております。それは、いろんな第二次世界大戦の経緯とかそういうことがございますけれども。見てみますと、道路とか港湾、漁港、ごみ処理、簡易水道、農業・農村整備等によって補助率が違うんですが、沖縄は日本一高いんですね、補助率が。奄美がそれに次いで、一般離島がその次になっておる。特に今問題になっておる漁業関係では、港湾の整備も漁港の改修もすべて沖縄と奄美は同等の扱いになっているんです。ほかは差がついておりますよ。
 そういう面から見て、私は、海域の指定も沖縄並みに奄美がなぜ広いいわゆる操業禁止の指定を受けられないのかという気がしてならないんですが、何か御意見ございますか。
#92
○政府参考人(中須勇雄君) 率直に申しまして、今先生のおっしゃったような切り口で問題を余り考えたことはございませんでしたので、的確なお答えになるかどうかわかりませんが、奄美の場合には、もともと鹿児島県に属しているわけではございますが、鹿児島県に籍を持つまき網漁業というのが古くから行われてきたと、こういう経緯がございまして、漁場自体が長い間使われてきた、岸に近い部分を含めて、そういう経過があったと。
 それで、先ほど言いましたように、沖縄では周辺の海況なり漁況というか魚の集まってくる場所というか、そういうものに余り恵まれないという意味においてそういう漁業の実績がなかった。そういうことがこういうことの一つの差になっている背景にある、そういうふうに私どもは承知をしております。
#93
○石井一二君 長官のお話を聞いておりますと、もうしょっちゅう海へ行って潜って魚を見ておられるような気がするんですが、恐らく机上論で論じておられるんではないかと思います。魚は、海はつながっていますから、泳いで移動しますのでね。
 私はそういう意味で、二〇〇二年には業者同士の新たな協議等も正式にもう一遍行われるように聞いておりますけれども、指導の方向としては、大型漁船が沿岸へやってきて沿岸漁船の方々の領域を荒らし出すと非常に大きな被害といいますか、そういうネタがなくなってしまうということもございますので、今後の指導の方向としては大型漁船のいわゆる沿岸での漁業について、どちらもそういうことをしないようにとか、公正な立場での御指導をしていただきたいように思うんですけれども、何か御所見があれば伺いたいと思います。
#94
○政府参考人(中須勇雄君) この奄美周辺海域における保護区域の設定というか、このことに関しましては、以前に石井先生からも御要請を受けましたし、実は昨日も奄美の漁業者の皆さんがお見えになって大臣以下に、いろいろ実情をお聞きしたところでございます。それはそれなりによく沿岸漁業者としての立場からのお話は理解をしたところでございます。
 お話しのとおり、二年後に許可漁業についての一斉更新がございます。その際には改めて、特にこれからというか、今ちょうど水産基本法ということを含めて議論をしておりますが、資源をしっかり管理していく、先ほどの先生の言葉で言えば元金は海に置いておいて利子を使っていくんだと、そういう体制をつくるということで、関係都道府県あるいは漁業者の皆さんの意見というものを十分聞いた上で、資源保護あるいは漁業調整上十分な措置がとれるようにそこは努力をしていきたいと思います。
 また、それと、現在ももちろんまだ途中段階でございますけれども、まき網漁業者と奄美の沿岸の漁業者の間で、現状でも自主的にある程度のルールをつくろう、あるいは改善をしようということでの話し合いも私どもも仲立ちになって進めております。そういうものが早く適正な結論を得られるように努力をしてまいりたいと、こう思っております。
#95
○石井一二君 もちろん当事者同士の話し合いということは極めていいんです。そこで話がつけばそれにこしたことはありませんが、なかなか利害が相反する場合は、ともすればけんか腰になったりしてなかなか話がつかないと思うんですね。そのために私は行政というものがあると思うんです。何となく話し合いを、我々は当事者じゃないよということで逃げていてはいつまでたってもいかない。現在の九州の調整事務所はややそういうやり方で、とにかく話し合いで適当に決めてくれというような格好で逃げているように思えてしようがないんですね。
 もう少し、一つの哲学とビジョンを持って、今後前向きに御指導をお願いいたしまして質問を終えたいと思いますが、大臣、もしこの件に関して何か御所見がございましたら賜りたいと思います。
#96
○国務大臣(谷洋一君) 目前に水産基本法というのを審議していただくことになっております。その新しい水産基本法によりますと、従前の日本の、日本で行われました権益というものを十分見直すという時期に来ておるということをはっきりと言っております。それは、水産日本として世界をまたにかけて動き回った時代と、今は二百海里時代になって非常に狭められた漁場であるということを考えてみると、従前の経緯のことばかりを言っておったんでは、これはつくり育てる漁業はできません。
 ですから、ここ十年、二十年、三十年と振り返ってみましても、もう物すごい、地獄網と言ってもいいような漁具でもってどんどんとりまくったらどうしようもないわけでございますから、規律のある、規制のあることを実行に移すことが大事だと思っております。
#97
○石井一二君 質問を終わります。
#98
○委員長(太田豊秋君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト