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2000/11/02 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 労働・社会政策委員会 第2号
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2000/11/02 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 労働・社会政策委員会 第2号

#1
第150回国会 労働・社会政策委員会 第2号
平成十二年十一月二日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月一日
    辞任         補欠選任
     笹野 貞子君     谷林 正昭君
 十一月二日
    辞任         補欠選任
     山崎 正昭君     佐藤 昭郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉岡 吉典君
    理 事
                斉藤 滋宣君
                清水嘉与子君
                日出 英輔君
                木俣 佳丈君
                長谷川 清君
    委 員
                釜本 邦茂君
                国井 正幸君
                佐藤 昭郎君
                成瀬 守重君
                山崎 正昭君
                川橋 幸子君
                谷林 正昭君
                前川 忠夫君
                但馬 久美君
                浜四津敏子君
                八田ひろ子君
                大脇 雅子君
                高橋紀世子君
                魚住 汎英君
   国務大臣
       労働大臣     吉川 芳男君
   政務次官
       法務政務次官   上田  勇君
       大蔵政務次官   七条  明君
       労働政務次官   釜本 邦茂君
       金融再生政務次
       官        宮本 一三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山岸 完治君
   政府参考人
       国税庁課税部長  村上 喜堂君
       労働省労働基準
       局長       野寺 康幸君
       労働省女性局長  藤井 龍子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
〇労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の
 徴収等に関する法律の一部を改正する法律案(
 内閣提出)

    ─────────────
#2
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、笹野貞子君が委員を辞任され、その補欠として谷林正昭君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(吉岡吉典君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に国税庁課税部長村上喜堂君、労働省労働基準局長野寺康幸君及び労働省女性局長藤井龍子君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(吉岡吉典君) 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○日出英輔君 自由民主党の日出でございます。
 当委員会、私は全くの初めてでございますし、労働問題につきましては全くの素人でございます。それに引きかえまして、きょうおいでの与党、野党の先生方はそれぞれの専門というふうに伺っておりまして、素人でちょっと恐縮でございますが三十分ほどおつき合いをいただきたいと思っております。
 また、こんなところでこういうことを申し上げていいかどうかわかりませんが、先般、理事会で長谷川先生から、やっぱり全会一致の法案でも逐条審議をするぐらいしっかり審議すべきであるということを言われましたので、夕べ一生懸命勉強してみましたがとても歯が立ちませんので、素人論で恐縮でございますが、それでやらせていただきたいと思っております。
 この労災保険法の歴史等も少し大急ぎで見てみましたら、二十二年の労働基準法とあわせて制定され、その後の特別加入制度でありますとか通勤災害補償制度の新設等々、制度が逐次拡充強化をされ、大変なるもう堂々たる大制度でありますし、ここまでにこの制度が育ってきましたことにつきまして、労働省の当局なり、あるいは衆参の先生方のいろんな御尽力があるということをよくよくと理解できたわけでございます。
 私は、こういった堂々たる大制度でありますが、ちょっと気になることが幾つかございますので、少しお伺いをしたいというふうに思っております。
 この法案につきましては、各種の健康診断結果を見ると、脳とか心臓疾患等につながる所見を有する労働者の割合が四割を超えるといったことで、二次健康診断給付の創設でありますとか、あるいは建設業の災害発生率が低下傾向にあるということもあり、有期事業に係るメリット制の改正ということも出ており、これは中身としては大いに結構だというふうに思っておる次第でございますが、私はちょっと、こういった主としてフィジカルな災害ではなくてメンタルな方で気になることがありましたものですから、二、三御質問をさせていただきたいと思っております。
 いただきました資料を見せていただきましたら、精神障害等の労災認定状況が実は大変少ないわけでございます。今の一番新しい三年でいいましても、平成九年度で請求件数が四十一件、認定件数が二件、十年度で請求件数が四十二件、認定件数が四件、平成十一年度が請求件数が百五十五件で認定件数が十四件ということでございまして、私はこの数字を見まして少し違和感を感じたわけでございます。近年、リストラでありますとか倒産でありますとか、今までの我が国でいう労使慣行、そういったことがどんどん音を立てて崩れてきている状況の中で、こういったメンタル面について私は非常に気になるわけでございます。
 私も公務員生活を三十年ほどやっておりまして、その中で先輩、同僚、後輩が、大変惜しい人材が心身疾患といいますか、心の健康問題を抱えて脱落していったり、あるいはなかなか三十年たちましても治っていない方すら実はおります。
 そういう意味でいいますと、聞くところによりますと、一番最初の軽度の状態においてやはりきちんとした対応をするというのが大事だということを聞いておりますので、そういう点から伺いたいわけでございます。
 最初に労働省の方に伺いたいわけでございますが、こういった心の健康問題を抱えている労働者が増加しているのではないかというふうにいろんなところで言われているわけでありますが、正体がしっかりわかっておりません。具体的な人数などというのはそう簡単にはわからないと思いますが、大体、この労災保険でいいますと約五千万人、労働省ので六千万人でございましょうか、この中でこういった心の健康問題を抱えているような労働者数というのは一体どのぐらいというふうに見込んでおられるのか。これは、労働省に先に伺いたいと思っております。
#7
○政府参考人(野寺康幸君) 職場におきましていろんな強い不安、悩み、ストレスといったようなものを感じております労働者の割合は、先生御指摘のとおり、年々増加しております。平成九年の労働者健康状況調査によりますと、六二・八%の者がそういった何らかの意味での不安を感じているという状況でございます。
#8
○日出英輔君 六二・八%というのは、やはりある種のストレス、かなり重度のストレスを感じているといったような人たちを挙げているのではないかと思いますが、そこからもう少し進んで、何というんでしょうか、私、専門的な用語はわかりませんが、躁うつ病的な症状あるいは精神分裂症的な症状、こういった軽いものが出てくるというのがその次の段階だろうと思いますが、そういう方たちのためにより機動的に対応するというのがやっぱり大事だろうと。これは労災保険制度だけじゃなく、あらゆる制度を駆使してということだとは思いますが。
 そこで、これは労働省だけじゃなくて厚生省なんかにもまたがると思いますが、世に言われている、こういう場合に利用できる例えばカウンセラーでありますとか精神科医とか、こういう方たちに早く相談をして適切な治療を受けることだというふうによく言われているわけでありますが、こういった労働者の方々が利用できるカウンセラー、これも正式な言葉なのかちょっとはっきりしません、私は申し上げられませんが、そこはよく知りませんけれども、カウンセラーでありますとか精神科医の方々がどのぐらい人数がおって、この方たちをうまく利用できるような体制になっているのかどうか。その辺についてはいかがでしょうか。
#9
○政府参考人(野寺康幸君) 労災病院のケースでお答えさせていただきたいと思うんですが、労災病院は全国に三十七ございます。メンタルヘルスに対する相談や治療を行う精神科あるいは神経科、心療内科といったような科目の医師が三十七名合計でおります。このほかに、先生御指摘の心理カウンセラーあるいは心理判定員といったような専門職が四十二名全部で配置されております。
 なお、労働者の側からこういったメンタルヘルスに関します御相談を受ける体制をとっておりますが、三十八都道府県に設けられております産業保健推進センターというところでメンタルヘルスにかかわります産業保健の相談員として、精神科のお医者さんを週一回配置しているといったような体制もとっております。
 なお、事業者、労働者に対しましてこういった産業保健サービスを提供する目的で、全国三百四十七カ所に、つまり監督署のあるところに全部、地域産業保健センターというものを、これは医師会の方と協力して置かせていただいておりますが、ここにおきましても、お医者さん、保健婦によりますメンタルヘルスの相談体制を設けております。
#10
○日出英輔君 今の数字は、労働省としてはそこそこの体制になっていると、そこそこの人員が置かれているというような評価で今局長はお話しになっているんでしょうか、それとも足りないということでおっしゃっているのか。そこをちょっとつけ加えて御答弁願います。
#11
○政府参考人(野寺康幸君) なかなか難しい問題でございますけれども、傾向的にはこういったメンタルヘルスの御相談は今後もふえるのではないかと思います。
 そういう意味では、今後ともこういった政策を十分慎重に考えて、場合によっては再考することも必要だと思っております。
#12
○日出英輔君 私は、制度としては詳しく知りませんが、いろいろな外国の小説でありますとか映画とか等々見ておりますと、いろんなところにカウンセラーという方が登場してきまして、かなりいろんな症状の軽いときから相談に乗っているというのはよく出てまいるわけであります。
 これから、こういった労働者の方々の環境というのはなかなか日本的な労使慣行が崩れていく中で厳しくなってくるだろうというふうに思います。私は、この体制についての一日も早い強化が必要だというふうに思っている次第でございます。
 そこで、続けて局長にちょっと伺いたいんですが、私がさっき申し上げた認定の件数が非常に少ないということなんですが、これについては労働基準監督署でやっております認定が厳しいということはないんでしょうか。あるいはどういう形でやっておられるのか、ちょっと簡潔に御説明をいただきたいと思います。
#13
○政府参考人(野寺康幸君) 若干詳しく申し上げさせていただきたいと思うんですが、近年、こういった先生御指摘の精神障害等に関します労災の請求件数が増加していることは御指摘のとおりでございまして、昨年の九月に実は心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針、労災保険の保険給付が出るかどうかの判断をする基準でございますが、こういったものを作成して全国に通達してございます。
 なかなか判定が難しいわけでございますけれども、新たに設けました判断指針の中では、業務による心理的な負担、それから業務外の、例えば家族であるとかそういった業務外の心理的負担、あるいは個別的な要因、例えば精神障害がもともとあるとか、そういったようなもののすべてについて評価する方法をとっております。その結果、業務による心理的負荷がそういった精神障害を発病させる程度の有力な原因になっているといったような場合には業務上と判定するという具体的な判定の仕方をかなり細かく指針として全国に示しております。
 確かに、認定件数、少ないというお話ですが、若干ずつ、やはり特に判断指針を出した後ふえてございますので、今後場合によってはまたふえていくんではないかと思っております。
#14
○日出英輔君 私も、十一年の九月に労働基準局長が各都道府県の労働基準局長あてに出しましたこの業務上外の判断指針というのを読ませていただきました。
 ちょっと今の説明でもう少しつけ加えていただきたいのは、去年の九月に出しました通知というか通達ですね、これ以前はどういう形でやっておられたのか。あるいは、先ほど私は請求件数と認定件数を申し上げましたが、十一年度が急に、前年度が四十二件に対して百五十五件と請求件数が急にふえておりますし、認定もそれなりに四から十四というんですか、ふえているのはふえていますが、これはこの通達といいますか通知と関係あるのかどうか。こういうこと、新しくしたということと関係あるのかどうか。ちょっとつけ加えて御説明いただきたいと思います。
#15
○政府参考人(野寺康幸君) 今のまず判断指針ができる前の話でございますけれども、これはこの精神障害だけに限った判断指針というのは特になくて、一般的に病気であるとかそういった判断指針の中で、特に精神障害だけの判断指針じゃない一般的な判断指針の中で判断していたわけでございます。
 それから、この判断指針の前後で確かに請求件数の方がふえていることは、特にこの判断指針によって、この判断指針がかなり大きく報道されたというふうに思っておりますし、また監督署を通じましてかなり広くこういった判断指針の概要についてPRもさせていただいておりますので、従来はなかなか出しにくかったものがそれによって若干認められる可能性があるというふうに判断なさった方が申請してこられるということはあると思います。
#16
○日出英輔君 私は、やっぱりこういう判断指針をかなりきちんとつくられたということは大いに評価すべきものだというふうに思います。行政としてこういった判断指針がないとやはり現場の方はより判断がしにくくなって、何かこういった精神障害ということによるものが変にニュースになったりするようなことではやっぱりいけないのでありまして、これが事務的に粛々と行われるぐらいでないといけないんだろうというふうに思います。そういう意味で、この判断指針を出されたこと自体は行政の透明化という面でも私はいいことだと思っています。
 ただ、これちょっと私の意見ですが、この判断指針の基本的考え方のところで、例えばこの「心理的負荷による精神障害の業務上外の判断に当たっては、」云々と書いてある中で、「労働者災害補償保険制度の性格上、本人がその心理的負荷の原因となった出来事をどのように受け止めたかではなく、多くの人々が一般的にはどう受け止めるかという客観的な基準によって評価する必要がある。」といった、この「多くの人々が」というのは、過去における障害を持った方じゃなくて何か平常人のような感じがちょっと読めるんですが、そういったことでありますとか、あるいは判断要件のところで、今のような「客観的に」という言葉で、「客観的に当該精神障害を発病させるおそれのある業務による強い心理的負荷が認められること。」でありますとか、あるいはさらに今の続けて申し上げますと、判断要件三つのうちの最後の方に、「業務以外の心理的負荷及び個体的要因により当該精神障害を発病したとは認められないこと。」ということで、何か一切こういう業務以外のものは入ってはいけないんだというふうに一見読めるようなところがあります。この基本方針のところは私は読み方によっては相当厳しく読めるような気がします。
 ただ、後ろを読みますと、例えば今の業務以外の心理的負荷のところについても言及が当然あって、要因が複雑に絡み合っているので慎重にやれとか書いておられますね。そういったところとか、こういった度数を、強度というものをちゃんと客観的に書くとか、私はこういう意味でよくできているというふうに思いますが、ただこの精神的な障害の話は、私はやっぱり客観的にというか、通常人が感じるということがこの制度の性格に合っているかどうかということについて、やや疑問があります。ただ、これはきょうは議論ができませんので申し上げませんが、百歩譲っても、やはりこのメンタルなものについては当該人がどういうふうに感じたかというのを相当程度取り入れないとうかがい知れないんではないかということ、あるいはなかなか認定できないんではないかということがあります。
 さらに申し上げれば、行政サイドでいいますと、私も公務員の仕事をいたしましたが、中央では割合弾力的に判断をすることでも、現場に行きますとやっぱりこういった判断指針を金科玉条として見ます、入り口のところはかなり強く書いてあります。私、後ろを読むと、入り口のところがちょっと書き方が原則だけが書いてあるんじゃないかという感じがありまして、どうもやはり現場の方々はこれを見ますと少し金科玉条なのでかなり硬直的な判断をなさるおそれがあるんではないかという感じがいたします、これは私の危惧だといいんですが。そういう意味で、これまで請求された案件なりあるいは認定された案件につきまして、事後的に症例をよくお調べいただいて、よりその事案に合ったような判断ができるようこれは御努力を賜りたいというふうに思っている次第でございます。
 そこで、大臣にちょっと伺いたいのでございますが、労働省はことしの八月にこういった何といいますか、メンタルヘルスケアと横文字が出ておりましたが、事業場における労働者の心の健康づくりのための指針というのを公表しているわけであります。私はこういったことについて少し何か物足りない感じもしないではないんですが、こういったメンタルヘルスケア対策について、大臣として今後どのようにお進めになっていくおつもりなのか、そういったお気持ち、抱負等を伺いたいと存じます。
#17
○国務大臣(吉川芳男君) 近年、仕事や職業生活に関連してストレス等を感じる労働者の割合が増加しているところでありますが、このため本年八月に事業場における心の健康づくりのための計画の策定や、メンタルヘルスケアの具体的進め方を内容とする事業場における労働者の心の健康づくりのための指針を策定したところであります。
 労働省といたしましては、本指針の普及啓発を図るとともに、労災病院を活用したメンタルヘルスに関する相談体制の整備等の施策を通じ、職場のメンタルヘルス対策の推進に努めてまいりたいと思っている次第であります。
#18
○日出英輔君 今のメンタルヘルスケアの話につきまして、労働省のこの指針では、労働者自身によるセルフケア、管理監督者によるラインによるケア、事業場内の健康管理担当者による事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外の専門家による事業場外資源によるケアと四つに分かれて書いておられます。
 私は、事業者の健康管理ということについては当然気を使っていかなければいけない、これからは今まで以上に気を使っていただかなきゃいけないことはそのとおりだと思うんですが、特にやはり事業場外の専門の方々のケアというものもよりよく活用できるような体制をつくっていっていただきたいということをお願いいたしたいと思っております。
 次に、ちょっと今のメンタルヘルスケアの後に、過労死の話について法案でも出ておりますので一言二言触れてみたいと思っております。
 何か過労死について国際的な比較ができるのかという話を担当の方に実はきのう伺いましたら、そういうのはないらしい、過労死というのはどうも何か日本語が国際語になっているのじゃないかというようなことまで聞きまして実はびっくりしたわけでございます。
 この資料等で、一次健康診断で異常所見が見られたということで、ちょっと私もややびっくりしたといいますか、この中に、所見ありと言われた方が、対象者が三十万人だと、その内訳として肥満、血圧、血糖、血中脂質、すべてに有所見となることというのがちょっとメモ書きで書いてありました。こういうことを方針として省令でお決めになるということだと思いますが、肥満というと私当たりそうな気がいたしますし、肥満、血圧、血糖、血中脂質ですと、国会議員の先生方相当当たるんじゃないかと思いますが、これはやっぱりおっしゃるように何か死の四重奏ということを書いていましたのでますますびっくりしたわけであります。
 こういった健康診断の過程でより具体的に、個体差もありましょうけれども、よりきちんと合った健康診断の過程で過労死予備軍みたいな方をしっかりとつかまえるようなことをしていただきたいと思いますし、さらには、健康診断以外の世界でも過労死予備軍をぜひとも減らしていく、予防的に先に減らしていくというところが大事だというふうに思っております。
 ところで、政務次官に、これは当然この過労死予備軍を減らすという意味で今度の法律改正が行われるわけでありますが、当然それはそれとして、そのほかも何かあればつけ加えて御答弁をいただきたいと思います。
#19
○政務次官(釜本邦茂君) 労働者の健康を確保するための施策としては、従来より労働安全衛生法に基づき、定期健康診断等の実施や当該健康診断の結果、有所見の者に対する適切な就業上の措置等の実施を事業主に義務づけております。こうした対策に加え、今般の労災保険法等の改正により二次健康診断等給付を創設したいと考えています。
 その内容は、定期健康診断等の結果、脳・心臓疾患の発症にかかわる項目に異常の所見が見つかった者に対し、脳及び心臓の状態を把握するためにさらに詳細な二次健康診断を実施するとともに、当該健康診断の結果を踏まえ、運動、栄養、生活全般にわたる保健指導を行おうとするものであります。
 この二次健康診断についても、その結果を踏まえ、事業主は適切な就業上の措置を行う仕組みをとっており、これにより定期健康診断等と相まって過労死等の予防対策の一層の徹底が図られるものと考えております。
#20
○日出英輔君 過労死の話については大変身につまされる話でございます。これは私の意見でありますが、先ほどの精神障害の話と同じように、過労死に係る労災補償状況の推移を見ましても、これも何といいますか、件数がそれほど多くない、多いことがいいというふうには思いませんが、ほかの療養給付件数なんかと比べますと格段の差があったりしまして、これもぜひしっかりとした体制をとっていただきたいと思っております。
 そこで、私は、先ほどのメンタルの話もまたフィジカルの話も、なかなかに職場の中で言いますと個人のプライベートな部分にかかわるというのがあります。自分の弱点をなかなか職場の中で言いにくいという雰囲気が当然どこの職場でも多かれ少なかれあろうかと思いますが、ただ、これは事業者の都合だけじゃなくて労働者個人の問題として大変大きな問題でありますので、しっかりとした体制をとっていただきたいと思っております。
 そういう意味で、最後に大臣にちょっと伺いたいわけでありますが、過労死の予防対策について、こういった労災の問題も当然ありますが、それよりもっと場を広げて、内閣全体として過労死の予防対策に取り組んでいただきたいということが私の気持ちでございます。
 労働省でも伺いましたら、テレワーク普及事業、これは伺っていましたら、私は最初は、SOHO、最近のスモールオフィス・ホームオフィスの活用かと思っていましたら、少し違ったところもありましたが、同じような概念かもしれませんけれども、そういうこととか、労働省でやっておりますのはサービス残業をなるべく少なくしようということとかございますが、もっと幅広く、やっぱり何といいますか、長期休暇みたいなことをしっかりとるような体制だとかということになりますと、これは労働省の行政でもありますし、また内閣挙げて労働者の健康づくりのためのこういった長期的な休暇制度を普及していくということもあろうかと思います。
 こういった過労死の問題が私はますますこれからもふえていくんじゃないかという心配をしている一人でございます。そういう意味で、大臣から最後に過労死の予防対策について、労働省のやっているお話も含め、また国務大臣として全体的な広い視野で御抱負を伺いたいと思っております。
#21
○国務大臣(吉川芳男君) 過労死等の防止を図ることは労働行政の重要な課題と認識しております。このため、長時間残業の抑制や年次有給休暇の取得促進による労働時間の短縮に取り組むとともに、職場の健康確保対策の充実強化を目的として健康診断の徹底及び適切な事後措置の実施、心身両面にわたる健康づくり、トータル・ヘルス・プロモーション・プランの推進等を推進しているところでございます。
 また、今ほどお述べになりましたけれども、二次健康診断等給付の創設に加えて、いわゆる死の四重奏の四つの危険因子のいずれかの危険因子を持つ労働者についても、労災病院等の活用によりその健康確保を図りたいと考えております。さらには、在宅勤務の普及促進や非雇用型の在宅就業に係る健全な市場の整備を図るとともに、時差通勤、出勤等により通勤負担の軽減を進めているところであります。
 なお、内閣を挙げての施策とか運動に持ち上げないかというお話がございましたが、大変傾聴に値する意見だと思いまして、検討させていただきます。
#22
○日出英輔君 ありがとうございました。
 この労災保険法、堂々たる大制度でありますので、これを逐次充実強化をすることは当然でございますが、さらにやはり今申し上げましたようなメンタルな問題等もぜひとも大いなる力を注いでいただきたいと思っております。
 質問を終わります。ありがとうございました。
#23
○前川忠夫君 民主党・新緑風会の前川でございます。
 最初に、今回の法改正の問題に入ります前に、現在の労災保険法とKSDの関係について最初に少しお伺いをしておきたいと思います。
 現在の労災保険の中にある特別加入制度は、昭和四十年に労災保険の制度の中に組み入れられた制度というふうに承知をしておりますが、たまたまなんでしょうけれども、あるいはたまたまではなくて何かの事情があったのか、今話題になっておりますKSDの前身であります中小企業者の災害補償共済会というのが昭和三十九年に設立をされ、その当時の、その以前のですか、労働事務次官であった中西さんがたしか理事長、会長でしょうか、就任をされたというお話を私は承知をいたしております。
 私は、確かに経営者の皆さん方には労災保険の適用がないということについては、労働者という概念から考えると、経営者と労働者という関係から考えれば、ある意味では当然だなという思いがある反面、経営者といえどもさまざまな仕事上の災害というのは常に起こり得る。そういう意味では四十年という、この労災保険制度が二十二年からできたわけですけれども、それに比べて少し遅きに失したとはいうものの、こういう特別加入の制度ができた、そのことについては評価をしたいと思いますが、その当時、労働省として、三十九年に、ある意味では身内ですね、当時の古関さんは基準監督署の監督官を経験された方であり、なおかつ会長に就任をされたのが事務次官であった中西さんということになりますと、KSDの前身であるこういう組織ができたことがこの特別加入制度が導入をされる、あるいは制度化をされることと何らかの因果関係があるんじゃないかというふうに、タイミング的には考えざるを得ないわけですけれども、この特別加入制度の本来の意義等々について、導入の経過について最初にお伺いをしたいと思います。
#24
○政府参考人(野寺康幸君) 労災保険は、先生御指摘のとおり、基準法に基づきます事業主責任を災害に関して果たすという、そういう意味で全額事業主の負担で制度は成り立っているわけでございます。したがって、基本的に労働基準法上の労働者であるということがその対象である基本的な要件になるわけです。
 ただ、基準法上の労働者でない方であっても、業務の実態としてあるいは災害の発生状況などから見て、労働者と同じように保護を与えた方がいいんではないかといったような方も見られるわけでございます。特別加入制度は、こういった観点から、そういった方々に対しまして労災保険への加入を特別に認めるというような制度でございます。
 今、先生、導入の経緯というふうにお話しになりましたが、そういう意味で労災保険はできておりますけれども、こういった労災保険のいわば外側にこぼれている、保険をした方がいいような方々に対しまして、四十年に法改正をして導入したということです。したがって、KSDとの関係等々については当方は全く存知しておりません。
#25
○前川忠夫君 多分そういうお答えが返ってくるだろうということは実は承知をしておったんですが、しかし、身内の監督官であった古関さんや、あるいは結果としてこれは要請をされて会長に就任をされたんだと思いますけれども事務次官であった中西さん、恐らくその当時の事情を調べれば、労災保険制度の持つある意味では欠点のような部分が逆にこういう事業、つまり共済会というようなものをスタートさせた根にあるんじゃないかというふうに考えるわけですけれども、この点についてはどうお考えになりますか。
#26
○政府参考人(野寺康幸君) 確かに、労災保険制度の趣旨あるいは制度の建前からいっての限界と申しますか、保険の対象が及ばない部分というふうな見方はできると思うんですが、もともとは労災保険の趣旨に近い部分を救うということで特別加入を認めたわけでございます。
 一方で、私どもが存知している限り、KSDの方の補償は、これは法人の、中小企業の規模についても限定がございませんで、特別加入の方は一方で原則三百人以下の企業というような明確な基準を設けておりますけれども、KSDの方の補償対象はそういう規模の制限はございませんし、例えばKSDの方では、法人の事業主以外の役員でございますとかあるいは個人事業所の事業主等を対象に広く、しかもその災害が業務上発生したものか否かを問わず広く補償するという、かなり幅広い体制でございますので、基本的に特別加入とは異なる制度というふうに理解しております。
#27
○前川忠夫君 制度の問題の比較は後ほどお聞きしようかと思ったんですが、今局長の方からお答えいただきましたので。
 私は、今現在の特別加入の方々が百七万人というふうに報告を受けているんですが、これはたまたま偶然でしょうが、KSDの加入件数が百七万人ということですからたまたまこれは偶然なんでしょうが、全体として、労働省として、これは特別加入の場合任意加入ですね、大体その母数といいますか、申請があれば認められる加入者というのは一体大体どのくらいあるというふうに考えておられますか。
#28
○政府参考人(野寺康幸君) 特別加入の方についてのお尋ねだと理解しておりますけれども、特別加入の現在におきます加入者は百五十万人でございます。うち中小企業、零細が多いんですけれども、中小企業の事業主と言われる方は百万人程度で先生御指摘のとおりですが、これらはかなり零細の方でございまして、これ以外の主な対象として、例えば一人親方といったような、特に建設業に多いわけでございますけれども、そういった方々でございますとか、タクシーの運転手、個人タクシーのいわば経営者に近い運転手の方々、あるいは農業の関係で入っている方もいらっしゃいますし、さらに家内労働者の方も入っておられます。
 そういったようにかなり幅広い部分でございますので、これはもちろん保険料を払うという負担があるわけですから、入るかどうかについてはそういう負担を覚悟して入るわけでございますけれども、適用を受けたいという方はもっといらっしゃるのではないかと思っております。
#29
○前川忠夫君 実は、KSDの場合には月二千円の掛け捨て、年間二万四千円の掛金ですが、KSDの場合には会費という言い方をしておられるようですが、それに比較をしまして現在の労災保険の特別加入の特に中小事業主用の掛金を見ておりますと、例えば建設事業の場合は、例えばこれは給付基礎日額が仮に一万円といたしますと年間の掛金が五万四千七百五十円なんですね。もちろんKSDがカバーをするさまざまな補償の内容とそれから労災保険でカバーする内容との違いはあります。
 ですから、一律に私は比較をするのではなくて、なぜ労災保険という制度の中でやるにもかかわらずこれだけ多額の掛金が必要になってくるのか。労災保険全体としての会計、これは見せていただいていますが、特別加入の部分についてどのような収支計算になっているのか。あるいは、これはきょう事前にこの数字については通告してありませんから、もしわかったらお答えをいただきたい、もしわからなければ後ほどできればデータを出していただきたいと思うんですが、この数字、つまり掛金の根拠になっているものは何なのだろうか。
 それに比較をしますと、もちろん補償の内容の違いはありますけれども、KSDの場合にはわずか、わずかという表現はいけないのかもしれませんが、労災特別加入の掛金に比べれば半分以下の掛金で死亡の場合には二千万円、そのほかさまざまな入院やあるいはその他の補償を含めますと最終的には六千万円の補償がありますというのがKSDの売りになっているわけですね。
 こういったような制度と労災保険の特別加入の制度との間に何か、経営者の皆さん方、つまり加入を求めておられる、あるいは加入をしたいというふうに考えておられる経営者の皆さん方、あるいは一人親方や特別加入の対象になり得る皆さん方の中に何か欠陥が、つまり特別加入の制度に欠陥があるからKSDという共済に加入をしているんではないかという一つの側面、別な側面もありますよ。後ほどその点についてはお伺いをしたいと思っていますが、この点についてはどんなふうにお考えになりますか。掛金の問題と制度の内容について。
#30
○政府参考人(野寺康幸君) まず、特別加入の場合の保険料でございますけれども、給付基礎日額というのを選択することができます。幅があるわけですね。それは、給付基礎日額は三百六十五日分を年間の賃金総額として擬制して計算するわけでございますけれども、御本人の選択に係る給付金基礎日額に労災保険の業種におきます保険料率を掛けて自動的に計算しているということで、原則としてその負担と給付の割合がバランスするという保険数理上の計算にのっとって計算されているものでございます。
 ただ、詳しくは、数字等は別途御提出させていただきたいと思います。
#31
○前川忠夫君 これまでもたびたび議論になっていましたから御存じだと思いますが、例えばKSDの月二千円の掛金、年間二万四千円という掛金、会費のうち、実際の給付に充当されている掛金の内訳というのは約三〇%というふうに言われておるんですね。二千円の三〇%ですからせいぜい七百円、月七百円程度。それに比べて労災保険の制度というのは、逆に言うと高過ぎるのか。高過ぎるがゆえに加入者がふえない、あるいは別な面での欠点があってKSDのようなこういう共済に経営者の皆さん方が流れているのか、この辺についてはどうお考えになりますか。
 私から言わせれば、掛金のわずか三割で事業が成り立つなんという制度はまさにぼろもうけの制度だと。結局、ぼろもうけをしたことが後に触れますようなさまざまな問題を起こしているということにつながるんじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
#32
○政府参考人(野寺康幸君) お答えの順番が逆になるかもしれませんが、KSDの制度と労災保険の特別加入の制度、いずれも御本人の意思で入るわけでございます。したがって、KSDの方の掛金と受けるサービスのバランスがよりいいと思えば、そちらを選択されているんだろうと私どもは理解しております。
 ただ、先生今御指摘の二千円のうち三割しか補償に使っていないじゃないかという問題でございますが、これはKSDは「寄附行為」の中で、明らかに労災補償の共済事業以外にも災害防止の事業でございますとか福利厚生の事業でございますとか緊急防災事業等の多岐にわたる事業を行うということを定めてございます。それら全体の料金といたしまして月二千円を徴収されているというふうに伺っております。
 現に、全体の収入の中での災害補償は確かに三〇%でございますが、福利厚生に一四%、災害防止に四%、人材育成に六%それぞれ使われているというふうに承知しております。
#33
○前川忠夫君 今、局長が言われた内容はKSDのパンフレットの中にも出ているわけですから、私はそのことは承知をいたしています。
 ただ、先ほどから申し上げているように、KSDがやっている本体の事業というのは、よく言われますように今の労災保険やそういう保険制度のすき間をついているというふうに私は考えるんですね。とすると、もちろん国がかかわれない部分というのは当然あります。ありますけれども、労災保険の中に特別加入という制度を認めた以上は、逆に言いますけれども、もし民間の事業でなるほどというものがあれば、もちろん国が民間の事業を圧迫してはいけません。しかし、スタートが先ほどから申し上げているように三十九年のスタート、しかも四十年にこの特別加入という制度ができたわけですよ。
 ですから、もともといわゆるKSDが本来求めていたものを国の制度でもやろうというふうに考えたわけですから、今お話がありましたように、例えばKSDがさまざまな事業をやっていることは私も承知をしていますけれども、なぜ今の労災保険の制度の中でカバーし切れないのか、あるいはしてはいけないのか、この辺についてはどんなお考えをお持ちですか。
#34
○政府参考人(野寺康幸君) 確かに、現在ある特別加入制度が、先生御指摘のような論拠の中で一部入りにくいとかあるいは保険料が高過ぎるとかそういった問題はあると思いますけれども、特別加入制度全体の問題については必ずしも現在のままが一番ベストだというふうには考えておりませんで、これは現状、今後もにらみながら必要な検討をしていくことは必要だろうと思っております。
 ただ、現在は今申しましたようにある数式にのっとってそれぞれ業種ごとに保険料率を定めておりますので、そういう意味では計算上バランスがとれる金額というのをいただいている制度だということだけは申し上げておきたいと思います。
#35
○前川忠夫君 局長がおっしゃるように、私もその資料を見ておりますが、掛金のわずか三〇%で事実上、本体の事業の方は賄える。もちろん、そのほかに福利厚生事業ですとか人材育成だとかさまざまな防災事業ですとかいろいろやっていますね。そうしますと、数理計算上では労災というのは高いんだなというふうに思いませんか、一般の皆さんから見た場合に。確かに仕組みは違いますよ。KSDがやっている内容とは違いますけれども、やっぱり一番のスタートのところは、例えば働いているときに、つまり労災ですね、事故の補償という点でスタートをした制度として考えるならば、なぜこんな違いが出てしまったのか。
 大変勘ぐった言い方をしますけれども、この事業、つまり共済、KSDそのものを存続させるために、もっとはっきり言いますと、労働省の所管の財団法人として存続をさせるために、競合するようなあるいはそちらの方が不利になるような制度は労災保険上は導入できない、制度化できないということがあったんじゃないかという勘ぐりさえできるんですね。そんな思いはありませんか。
#36
○政府参考人(野寺康幸君) 昔の先輩たちが実際に何を考えていたか私は知る由もございませんが、少なくとも私ども現在、民業圧迫ということを除いては、このKSDを存続させるために特別加入を拡大しないといったような考えは全くございません。
#37
○前川忠夫君 当然のお答えだろうというふうに思いますが、しかし、これまでもたびたび指摘をされましたように、KSDにはさまざまな労働省の関連の皆さん方が天下っているということを考えますと、やはりそういう誤解を受けるんです。そのことについてはしっかりと踏まえておいていただきたい。
 そこで、KSDの問題について、きょう国税庁の課税部長さんにお見えをいただいておりますが、お見えいただいておりますか。
 これは一般論としてお伺いをするわけですが、この種の事業、いわゆる会員制をとって会費を集めて、その会費の中で運営をするというやり方、公益法人の中でもよくあるケースだと思いますが、こういうケースの場合には課税の対象になるんでしょうか。
#38
○政府参考人(村上喜堂君) お答えいたします。
 KSDはいわゆる財団法人だと思いますが、これらの財団法人あるいは社団法人は、公益法人に該当し、かつ法人税法で特掲化されております三十三種類の収益事業を営んでいる場合に限りまして、その収益事業から生じた所得につき法人税の納税義務がございます。したがいまして、収益事業を営んでない場合には法人税の納税義務はないということになります。
 今、会費というお尋ねなんですが、これは会費もいろいろ性格がございますので、ちょっと一般論としか申し上げられないんですが、財団法人とか社団法人などこういった公益法人が会員から徴収する会費は、通常公益法人の業務運営のための経常的な費用の分担金として徴収するということでありますので、通常は収益事業に該当する収入には該当しないと思われます。
 ただし、例えば公益法人等が出版物の配付を行いまして、その出版物の対価を会費として徴収する場合にはこれは収益事業になるんではないかと思います。
 いずれにいたしましても、事実関係に即して収益事業に該当するかどうかを判断せざるを得ないと思います。
#39
○前川忠夫君 KSD本体については確かに会員という形で会費で中身の運営をしている。そうしますと、例えば、これまでも議論になって、つい先ごろ解散をされたというお話ですが、KSD豊明会のような任意団体の場合はKSDからの寄附金が主たる財源として運営をされたという話を聞いています。さらにKSDはさまざまな事業を展開していますね。それらについては実態に応じて課税をされるというふうに考えていいんでしょうか。
#40
○政府参考人(村上喜堂君) 必ずしも、補助金とか寄附金とか名目いかんはともかくでございますけれども、公益法人から、これが収益事業を営んでいるか非収益事業かによって違ってくるんですが、非収益事業、公益事業から支出したお金、それを人格なき社団が受け入れられてもこれは全然課税関係は生じません。もしそれが収益事業からの支出であれば、収益事業、これは寄附金課税、出した方は寄附金課税の限度額計算がありますし、受け入れられた方は収入になると。個々の事実関係に即してやはりこれも判断せざるを得ない問題だと思います。
#41
○前川忠夫君 いずれ、このKSD全体の問題についてはまた別の機会にこれは議論をしなければならないというふうに私も考えていますし、後ほど若干関連をして木俣議員にも質問をしていただきたいと思いますが。
 私は、KSD本体の問題について、今国税庁の方からもお聞きをしましたように、税制上のある意味では優遇を受ける、公益法人というのはそういう性格を持っている団体だというふうに考えるわけです。
 先ほどから申し上げていますように、今の労災保険のある意味ではすき間を埋めるというのかあるいは間隙をつくようなこういう制度、しかも掛金のわずか三〇%しか本来スタートのときに考えていた補償がしなくて済むような、先ほどぼろもうけというふうに言いましたけれども、こういう法人を労働省の認可法人として放置をしているということに私は基本的な問題があると。
 課税をされないということは、裏返せば間接的には国の優遇を受けていると。もっとはっきり言えば間接的な補助を受けていると同じことになるんじゃないかというふうに私は考えるんです。
 確かに、税制上は今課税部長からのお話のような仕組みになっていること、これは否定できません。しかし、トンネル機関として次々と新しい事業を展開して、別会社なのか子会社なのかあるいは別法人なのかは知りませんが、そういうところまで恐らく手がつかないような状態になっている。それは本体のKSDが労働省の認可法人であって、ある意味では労働省がきちっとチェックをしているよという前提があるから、逆に言うとそこから派生をするさまざまなものについてもなかなか手がつかない。
 したがって、その金が一部政界に流れていっても、伏魔殿のようになかなか中の状態がわからない、ようやく検察の手が入りましたけれども。こういう実態を考えますと、私は労働省の責任というのは極めて重いと。しかも、中小事業者の労災が適用されないという不安をある意味では逆手にとった事業というふうに言えるわけですよ。
 したがって、労災保険そのもののある意味では欠陥がここにあるんじゃないか。特別加入を認めていないのなら別ですけれども、少なくとも特別加入という制度を認めて、いわゆるKSDの求めている、あるいはKSDが対象としている中小事業者やあるいは一人親方、そういう方々に対して本来国がやらなければいけないことをKSDが結果的に肩がわりをして、しかもそれで巨大な、利益を上げるという表現は適切ではないかもしれません、政界に金をばらまくだけの資金が恐らくそこから生み出される、こういう仕組みそのものがやっぱり問題になっているんだというふうに私は思うんです。
 恐らくこの後も信用金庫やあるいは信用組合を使っての加入のやり方ですとか、あるいは今埼玉に建設中でありますものつくり大学へのこのKSDの介入の問題ですとか、さまざまな問題がこれからいろんな場で明らかにされていくと思いますが、この根っこに実は労働省があるんだということについて、労働大臣、どうお考えになりますか。
#42
○国務大臣(吉川芳男君) KSDは、中小企業の健全な発展と福祉の増進に寄与することを目的として、中小企業における災害防止活動に対する指導、援助等の災害防止事業、中小企業の経営者等が災害をこうむった際の補償の共済事業、中小企業の福利厚生事業等の諸事業を行っていることから労働省所管となっているものでございます。
 今般、KSDが捜索を受けたことは、その管理運営体制に問題があったものと真摯に受けとめております。今後は捜査の推移を見守りつつ、これまで労働省が改善を勧告してきた事項やKSDが本年十月十八日に発表した改革方針等の必要な改革をKSDが確実に実施し、公益法人として適正な運営が行われるよう厳しく指導していく必要があると考えております。
 以上です。
#43
○前川忠夫君 労働大臣の気持ちが全然伝わってこないんです。今も申し上げましたように、恐らく今回の問題の根っこにあるのはやっぱり労働省なんですよ。労働省がしっかり管理をして監督をしてさまざまな事業についてのフォローをしていれば恐らくこんな問題は出なかったと思うんですよ。あるいは、古関さんという理事長もこんな勝手放題はできなかったはずなんです。あるいは、勝手放題をさせるためにこのKSDを存続したのかというふうにさえ言われるんですよね。その根っこに労働省があるということのその思いが、今大臣が文書をお読みになりました、自分でお書きになったのではないだろうと思いますけれども、全くその思いが伝わってきません。
 そういう点では、この後もこの問題はこの労働・社会政策委員会以外でも質問させていただく機会が多分あるだろうと思います。あるいは後ほど、私のちょっと残した分がありますので、木俣議員にこの部分については少し、委員長のお許しをいただいて質問を継続させていただきたい。
 ちょっと質問を変えさせていただいて、今回の法改正の本体についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず最初にお伺いをしたいのは、先ほども日出議員からも御指摘がございましたが、労働省としてできるだけ過労死を減らすといいますか過労死の原因になるような状況をできるだけ少なくしていこうと、この趣旨については私ども基本的に賛成であります。ある意味では当然だというふうに考えるわけです。
 今回、二次健診への給付という形でこれを導入した背景についてどのようなお考えをお持ちなのか。さらには、四大因子、死の四重奏と言われていますが、この四つの因子を取り上げた理由というのは一体どこにあるのか、最初にそのことについてお伺いをしたいと思います。
#44
○政府参考人(野寺康幸君) 最近の社会情勢の変化が根底にあるわけでございますが、労働者が業務上の事由によって脳・心臓疾患を発症して突然亡くなられるといったような重大な災害がふえている傾向にあるんだというふうに思います。特に、働き盛りの方がこういった脳・心疾患の発症に至るケースが多いわけでございまして、これは言うまでもないことですが、御本人はもとより、御家族、さらにひいては企業全体にとっても優秀な働き盛りの方を失うということは全体として大変大きな損害であろうというふうに思います。
 こういった基本的認識があるわけでございまして、一方では医療の分野では最近の問題は予防でございます。予防によってかなりこういった過労死も防ぐことができるのではないかという発想に立っておりまして、特に脳・心臓疾患については先生も御指摘の危険因子、これを明確に認識して、そして適切な指導を行えばある程度発症を予防することができるのではないかというふうに考えた次第でございます。
 そういう意味で、一次健康診断の結果で四つの項目に一遍に該当する方をいわば過労死の予備軍というふうに考えて、その方々により詳しい健康診断を二次的にやろうということでございます。
 四つの要因は、これはもう先生御案内かと思うんですが、高血圧、高血糖、高脂質、それから肥満、この四つの危険因子が一遍に該当する方、専門家の方では死の四重奏というふうに呼んでおられるようですが、これはほっておきますとかなりの確率で過労死に至るということが専門家の間で言われているわけでございます。
 そのかなりの確率で過労死に至るというところをとらえまして、こういった方々については最小限その予防策を講じていくべきではないか、しかもそれを労災保険の保険給付としてやることはできないだろうかというのが発想の根本でございます。
#45
○前川忠夫君 先ほどから死の四重奏と言われておりまして、私も人間ドックでは必ず肥満を言われますし、最近少し太り過ぎのせいか血圧も少し高目になってきました。あとほかの二つは今のところ心配はないんですが、こういう委員会で少しかっとしますと血圧がすっと上がっておかしくなるんじゃないかと余計な心配を実はしながら質問をさせていただいているんですが、この四つの要因がそろわなければ給付の対象にしないという理由は何ですか。
#46
○政府参考人(野寺康幸君) もちろんこの四つはいずれも単独でも危険なものでございます。ただ、その確率との関係で、これは専門家の御意見でございますので私ども詳しく御説明することはなかなか難しいんですが、四つ一遍に該当すると飛躍的にこの危険性が高まるということに基づいております。
#47
○前川忠夫君 確かに一つ一つがいろんな病気を併発する、誘発すると言われていますから、どこかで線を引かなければならない、これはわかるんですけれども、四つがそろわなければというのはなかなか説得力がないんです、はっきり申し上げまして。例えば三つならばだめなのか、あるいは二つならだめなのか、先ほど言いましたように、そういうふうに聞きたくなるんです。
 ですから、新しい制度を導入するわけですから、際限なく拡大をするわけにはいかぬということなんだろうというふうに考えますが、例えば今度といいますか、十三年度の予算に労働省が要求をされている今回の給付にかかわる予算がたしか百十九億円というふうにお聞きをいたしておりますが、これの積算をした根拠の数字を見ておりましても、本当にこんなにたくさんあるんだろうかなという思いがします。と同時に、例えば四つすべてではなくて、例えば三つの要因が重なった場合にはどうだったんだろうかということも私たちは知りたいわけです。
 もちろん、制度としてでき上がっていない、あるいは制度として考えていないものですから、そう計数上恐らく算出をしたということは多分ないのかもしれません。しかし、できるだけ過労死をなくしていきましょうということであるならば、可能な限りの手は打つというのが本来の私は基本的なスタンスでなければならないんじゃないかというふうに思うんです。とりあえずという考え方は私は余り賛成できないなという思いがします。
 ただ、新しい制度ですから、なかなか、どこまでというふうに言われてここまでと言ったら、いや、それじゃ不足だよというのが私たちの立場ですから、それは記憶しておいていただきたいとは思うんですが、四つに限定をするということについては少し問題があるということは今申し上げておきたいと思います。
 そこで、これまでの過労死というふうに認定をされた、あるいは認定はできなかったけれども労災の過労死の申請があったということを含めて、今回こういう健診を行うことによってどの程度の抑制効果があるというふうに考えておられますか。
#48
○政府参考人(野寺康幸君) これはなかなか難しい問題であろうと思います。先ほど先生百十九億というふうにおっしゃいました。その算定の基礎にこの対象となる者の数は約三十万人というふうに推計いたしておりますけれども、この方たちのすべてを過労死に至らないようにするのがもちろんいいわけでございますけれども、例えば御本人の都合で二次健診を受けないとかいろんな方がいらっしゃいます。
 例えば保健指導というものもこの給付の中でやることになっておりますが、喫煙をするなとか飲酒をするなとか、あるいは適度な運動をしろといったような御注意を与えることもあるんですが、そういったことはひいては御本人がどれだけ真剣にそれを守っていただけるかということにかかわるものですから、最終的にこの三十万人の対象のうち何人が過労死から救われるか、それはなかなか難しいと思います。ただ、できるだけそこに至るように行政としては努力するというふうに申し上げるしかないと思います。
#49
○前川忠夫君 そこで、今局長のお答えの中にもありましたように、例えば二次健診を受けなかった、四つの要因が重なった、ぜひ二次健診受けなさいと言っても受けなかった、あるいは受けるチャンスがなかったという方が例えば倒れられたという場合に、あなたは二次健診を受けなかったから労災の認定はできませんということはないでしょうね。
#50
○政府参考人(野寺康幸君) 労災保険はもともと、先ほど最初の方で申し上げました労働基準法に基づきます事業主の労働者に対する災害補償の責任を全うする制度であります。したがって、業務上の災害についてはこれは補償するという建前でございますので、二次健診を仮に受けなかったということであっても、結果として脳・心疾患を発症し、それが業務上の事由によるというふうに判定されれば当然労災保険の対象になるわけでございます。
#51
○前川忠夫君 そこで、先ほどもちょっと指摘をさせていただいた特別加入者、たしか三種類ございますね。中小事業者、あるいは一人親方、あるいは特定の職業といいますか、例えば農業や何かの場合、それから海外に派遣されている人、これらすべてを今回のこの二次健診の対象から外したのはなぜですか。
#52
○政府参考人(野寺康幸君) これも先ほど特別加入の制度を申し上げたときに若干申し上げておりますが、特別加入制度がそもそも業務の実態であるとかあるいは災害の発生状況等から見まして、災害が起こった場合の保護をいわば労働者に準じて補償するという制度でございます。したがって、二次健康診断給付は、事業主によりまして業務を軽減することができるとか、つまり事後措置が必要な場合に残業を減らすとか、そういった業務を軽減することができるとか、そういった予防対策に結果として結びつけられることを想定しているわけです。
 ところが、先生御指摘の特別加入者のうち、中小企業の事業主であるとかあるいは一人親方であるとか、さらには先ほど農業というふうに例をとりましたけれども、特定作業の従事者につきましては、事業主の指揮命令権にすっぽり入っているという方々ではございませんので、こういった予防の措置がとりにくいということがあるわけでございます。
 基本的にはこういった方々は、おおむね御自分の裁量で労働時間、あるいは御自分のやる業務の内容を決めてやっておられる、いわば自主管理をされている方々でございますので、今般創設する二次健康診断給付がそういった事後措置との関連で設定されていることを考えると、制度になじまないというふうに判断したわけでございます。
#53
○前川忠夫君 ちょっとその説明は納得がいかないんです。確かに事業主、あるいは企業に勤めて管理監督下にされていて、例えば長時間労働であったり深夜労働であったり、そういうものを規制ができる、あるいは規制がされるといういわゆる一般的な労働者と、確かに個人事業者あるいは一人親方等々の場合は違いがあります。
 しかし、ここで取り上げている、少なくとも四大因子と言われている肥満だとか、あるいは血圧ですとか血中脂質とか、そういったものについては、身体の問題ですから全く同じ条件で私は起きると思うんです。むしろ、今お話しのように、個人管理ができるからという考え方は、特別加入そのものの考え方、特別加入という形でそういう人たちもカバーしましょうといった考え方から私は外れていると思うんです。
 過労死を少なくしたい、あるいは予防をしたいということであるならば、私は、今の局長のなじまないというのではなくて、やはりこの人たちも含めて制度というのは設計をすべきなんではないか。この点については大変疑問を持ちます。もう一度お答えいただけますか。
#54
○政府参考人(野寺康幸君) 例えばこの二次健康診断の前提として一次健康診断というのが当然あることを予想しているわけです。これは安全衛生法上の義務として、労働者を雇う事業主が自前の健康診断を自分の労働者にしなきゃいけない、こういう義務でございます。これは違反すれば罰則があるというかなりきつい義務でございまして、その一次健康診断があるということを前提にして、そこでこういう四つの因子に該当した方を二次健康診断と、こういう建前でございますので、こちら側から見ましても、この現在創設しようとする制度の中にはなじまないというふうに思います。
 ただ、先生御指摘のように、中小企業の事業主はじゃ過労死にならないか、これはなるわけでございましょうし、そういうこともあると思います。ただ、こちらの方につきましては、恐らく民間のいろいろな保険制度がございますし、そういった制度でカバーされている面が多々あると思うので、民業圧迫という言葉を先ほど申し上げましたけれども、官がそこまで制度の趣旨を広げて曲げなくても民業の方でカバーされるんじゃないかという判断も一方ではございます。
#55
○前川忠夫君 先ほどKSDの問題に絡んで申し上げましたけれども、一つ一つ新しい制度をつくるときに何かどこか一つ外すと、結局その部分はどこかでカバーをしなければならないという仕組みになってしまうんですね。ですから、私は先ほども申し上げたように、例えば本体の労災保険の対象者である一般労働者とは違うけれども特別加入を認めたんだよということである以上は、制度全体について私は認めるようにすべきだと。例えば、中小事業者の場合もそうだと思いますが、加入に際しては必ず健康診断をということになっているんではないでしょうか。とすれば、今お話しのように、その部分については民間のさまざまな仕組みの中でカバーされているんじゃないかというのは、私はお答えとしては必ずしも適切ではないというふうに思います。
 今回、こういう形で出されていますので、ぜひできるだけ早い時期に特別加入者についても対象にするような検討をいただきたいと思いますが、いかがですか。
#56
○政府参考人(野寺康幸君) 現在の特別加入制度が現在のままでいいというふうには思っておりません。特別加入制度には、先生御指摘の問題以外にもいろんな問題があるというふうに私どもも思っておりまして、これはこれとして、今後必要な検討を加えていかなければいけないというふうに思っております。そういった中で、ただいまの先生の御指摘も頭の中に入れておきたいというふうに思っております。
#57
○前川忠夫君 ぜひ積極的に検討いただきたいと思います。
 そこで、大臣にお伺いをしたいんですが、今、健康上の、肉体上の問題、これを誘発する原因、つまりさまざまな職場におけるストレス、この原因として、人間関係であったり、最近は企業のリストラの中で、働いている皆さん方というのはさまざまな不安を抱えておられる。こういう問題について、確かに今二次健診という形でのカバーはありますけれども、職場におけるメンタルヘルスの問題について労働省はどんなふうなお考えをお持ちなのか、これからこの問題についてどう対処していこうとされているのか。
 さらには、私は今、健康診断からさらには二次健診の新しい仕組みの法改正の議論ですが、大変不安がありますのは、確かに二次健診、労災保険の給付にしてくれるのはありがたい。しかし、個人の健康情報というのは個人にとってはまさにトップシークレットですね。これが例えばAという会社の労務管理の方の目に触れるというようなことになりますと、あれはそろそろやめてもらおうかという話になりかねないんですね。そういった不安についてどんなお答えが今用意をされているのか、あるいは、もしないとすればこれからどんな対策を考えておられるのか、具体的にお聞かせをいただきたいと思います。大臣、お願いします。
#58
○国務大臣(吉川芳男君) 二つの問いに対しましてお答えさせてもらいます。
 まず、私は、安全、安心、安定ということは非常に大事だということを常日ごろ言っているわけでございまして、国民生活の中に十分これは取り入れるべきだということを信条としております。働く人たちの安全と健康を確保することが極めて重要と考えておりますので、その実現のためにもメンタルヘルス対策は最も重要な施策の一つと考えております。今後とも、健康で安心して働き続けられる職場づくりを目指して、事業所におきましても、メンタルヘルスケアが適切に実施されるよう総合的に推進をしてまいりたいと思っております。
 なお、個人の健康管理の情報はどのように管理されるかという問題につきましては、労働者の健康に関する個人情報の保護については、労働安全衛生法において、健康診断の実施に従事した者に対し秘密の保持が義務づけられております。また、同法による健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針に基づきまして、個々の労働者の健康に関する情報の保護には特に留意するよう指導しているところであります。さらに、近年の個人情報の保護に関する関心の高まり等を踏まえまして、労働者の健康情報に係るプライバシーの保護に関する検討会を開催いたしまして、本年七月にこれまでの検討結果を中間的に公表したところであります。
 今後、個人情報保護基本法令が確立された段階で、労働省といたしましても最終的な取りまとめを行い、労働者の健康情報に係るプライバシーの保護のため具体的な対応を図っていくことといたしております。
 以上であります。
#59
○前川忠夫君 個人の健康情報というのは大変大事なものであると同時に、万が一を考えてさまざまな手だてをとりたい、そしてその仕組みの中に今度の新しい制度が位置づけられるということですから、このことが逆にマイナス要素になるようなことにならないように、今大臣からお答えをいただきましたが、しっかりとした個人情報保護の仕組みを導入していただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。
 次に、メリット制についてお伺いをしたいと思います。
 建設業の一部でメリット制の拡大をして、三〇%から三五%にという内容でありますが、メリット制を拡大する根拠になった災害の実態が今どうなのか。
 私も労働省の方からいただいた資料を持っておりますが、これは労働省も監修をしているんでしょうか、労働時報ですね、この中に、これはつい先日いただいたんですが、例えば平成十年と平成十一年度の比較が出ておりますが、いわゆるその他の産業との比較ではないですよ、建設業における災害はむしろ平成十年から平成十一年にかけてはふえているんですね。こういう実態の中でメリット制を拡大するということの意義はどういうことなのか。
 念のため申し上げます。建設業、これは職別は設備工事業をとっておられますが、平成十年度の度数率は〇・八四、これが十一年には〇・七四、これは減っています。ところが、強度率の方は〇・一七から〇・二四にふえています。それから、死者一人当たり平均労働損失日数は、平成十年が百九十九・三日であったのが、三百二十七・二日という形で、倍近くふえているわけです。
 こういう実態を考えますと、ここでメリット制を拡大することによって労働災害の防止をする、努力をしてもらうということは、確かにねらいとしては私は間違いではないと思いますが、結果として、後ほどもお聞きをしたいと思います労災隠しをむしろ誘発するんじゃないかという懸念があるんですが、いかがですか。
#60
○政府参考人(野寺康幸君) まず、建設業の災害の状況だけお答え申し上げたいと思うんですが、建設業におきます強度率、度数率の関係は先生のおっしゃったとおりです。
 ただ、休業四日以上の死傷者数、つまり労災の対象になる死傷者数ですね、五十三年以降一貫して減少傾向にあるのは事実でございます。平成十一年にはこれが三万五千三百十人という数でございます。死亡災害の方は、昭和六十年代から一貫して年間一千人前後で推移しておりましたが、平成九年以降一千人を下回っておりまして、平成十一年は七百九十四人でございます。
 したがって、多少年によって上下があるところもないではないわけですけれども、建設業全体として、傾向的に見ますと災害は減っているというのは事実であろうと思います。
#61
○前川忠夫君 災害の度数率としては確かに減っていまして、むしろ一般産業とそう遜色のない数字になっていると私も思います。ただ、強度率という点では問題ありますね、はっきり申し上げまして。この点だけは一つ指摘をしておきたい。
 そこで、平成三年に労働省が局長通達を出して、労災隠しについて指導されていますが、その後、実際に労災隠しと言われるような実態についてこの通達が効果があったか、労働省はどんな検証をしておられますか。
#62
○政府参考人(野寺康幸君) なかなか数字的に検証するというのは難しい問題だと思います。というのは、労災隠しというのは基本的に隠すものでございますので、労災隠し、改めて言うまでもないのですけれども、労働災害の発生事案を故意に隠ぺいするという目的で安全衛生法百条に基づきます労働者の死傷病報告を出さないといったように定義をさせていただきますと、労災隠しが横行することは、労働災害の防止という観点から見ますと非常に基準行政の根幹を揺るがす問題であるというふうに考えておりまして、そういう意味で、先生御指摘の平成三年の労災隠しの排除についての通達を局長名で出させていただいたわけでございます。
 この労災隠しにつきましては、司法処分も含めて厳正に対処するということで全国の監督署に通達いたしておりますし、またこれによってメリット制をいわば悪用して負担を免れているといったような場合には、当然ながら再計算をして厳正に還付金を回収するといったような措置も織り込んでございます。
 数字はなかなか今難しいというふうに申し上げておりますが、ただ安全衛生法百条及び関連する百二十条の違反という形式的な観点からとらえますと、平成元年に千百七十一件総件数があったものが、その後ピーク時が平成八年の千四百十一件、そしてその後、平成九年、十年、十一年と若干ずつながら減少して現在に至っております。
#63
○前川忠夫君 ここに平成三年十二月に出された局長通達、課長通達の文書を私も持っておりますが、その後も実は各地の医師会、日本医師会や大阪、広島の医師会の調査等で、依然として労災隠しはある、あるいはそういう経験があるという病院の数は後を絶たないんですね。
 さらには、つい先日、十月に入ってからのようですが、全国安全センターの方でいわゆるホットラインで調査をしましたところ、これはある寄せられた内容ですが、中堅ゼネコンの下請工務店で大工として作業中に左手親指、人さし指を切断して一週間の入院をした、工務店の社長の頼みで健康保険で治療中に会社が倒産をして社長が行方不明になってしまったと。もう労災の申請も何もしようがないわけですね、こうなってまいりますと。こういう事例が寄せられているわけですよ。
 さらには、さまざまな要望の中に、これは社会保険庁が調べた資料の中でも、一たんは健康保険で給付を行ったけれども後で調べてみたら労働災害という形で判明したのは、九八年だけでも五万一千件に上るというふうに言われているんですね。全く減っていないんです。
 そういう中で、例えばメリット制を拡大するということ、それからもう一つ私は提起をしておきたいと思うんですが、例えば今でも労働省は、無災害記録についての、無災害記録時間というんでしょうか、達成競争をやっていますね。百万時間、二百万時間、中には一千万を超えるような時間に到達をしますと局長表彰があったりあるいは大臣表彰があったりという制度がありますね。
 私も実は職場で経験があるんですけれども、こういう制度があるがために、例えば本来は休まなければいけないんだけれども休まずに、休業災害にはしない、不休災害で処理をしてしまう。あるいは、近くに知り合いの病院、その工場の近くに病院がある。私の経験では自分のところの工場の附属の病院でしたが、病院へ行って結果的には健康診断、健康保険で処理をしてしまうというケースが実はあるんです、現実に。まだ消えていません、そういう事実は。
 私は、メリット制を拡大することによっていわゆる当該業種、産業にさらに労働災害防止の努力をしてもらうというものと、それからいわゆるゼロ災害達成のためのさまざまな努力というものは、常にもろ刃のやいば、裏腹の関係にあるというふうに考えるんです。したがって、この種の問題をやる場合に、それを防止するための手だてを何らかの形で歯どめをかけておかないといけないというふうに私は考えるんですが、その点について、今回の改正に伴って労働省はどんなことを考えておられるか。ぜひこれについては、最初に局長の方からお答えをいただいて、トータル的な労働災害防止のための仕組みについては大臣の方から所見をきちっとお伺いしておきたいと思います。
#64
○政府参考人(野寺康幸君) メリット制、確かにマイナスの点だけを挙げると先生おっしゃったとおりでございますが、先生ももろ刃のやいばというふうにおっしゃいましたように、メリットの方もあるわけでございまして、性善説に立てば事業主が災害防止に努力する、無災害を目指して努力するというふうにあらわれるわけでございますので、これは確かにもろ刃のやいばの面があると思います。
 そういう意味では、デメリットの方をできるだけ少なくする、先生御指摘の例えば労災隠しの面をできるだけ減らすといったようなことも今後考えていかなきゃいけないというふうに考えております。
#65
○国務大臣(吉川芳男君) いわゆる労災隠しの防止につきましては、これまでも労働基準監督機関において、臨検監督、集団指導等あらゆる機会を通じまして、事業者に対しこのようなことが行われることのないように指導を徹底したところでありますが、仮に労災隠しの存在が明らかとなった場合には司法処分も含めて厳正に対処してきているところであります。
 今後とも、あらゆる機会を通じまして事業者に対し指導を徹底するとともに、新たに建設業等の関係団体に対する指導文書の発出、医療機関用ポスター等の作成、配付、安全パトロール等を活用した啓発等の労災隠し防止の取り組みを積極的に行うこととしております。さらに、労災隠しの対策について行政と労使がともに検討を行う場を設けることも考えていきたいと思っております。
#66
○前川忠夫君 私は、メリット制というのはある意味では努力をすればこうなるよということですから、それぞれの業界ごとの事情の違いはありますし、できるだけそれは事業者が努力をして保険料が安く済むという表現でいいんでしょうか、これはある意味では必要なことなのかもしれません。しかし、その裏に今申し上げたような労災隠しという事態が依然として根を絶たないということであるならば、今大臣からお答えをいただいたようにしっかりとその業界の中で防止策について話し合う、と同時に、第三者も入れたきちっとした協議会をつくって常に点検を怠らない、こういう仕組みはきちっとつくっておいていただきたい。
 それから、この席であえて申し上げておきますが、私は労働災害の無災害記録競争をやめてほしい。まあ大臣の表彰状を出したいのかもしれませんけれども、そのためにさまざまなむしろ弊害の方が大きいと私は職場で実感をしてきています。これについては、今回の法案との関係はないのかもしれませんけれども、見直しをひとつぜひお願いしたいということを最後に申し上げて、先ほどお願いをしましたように、委員長、ぜひ関連の質問を木俣議員にお許しをいただきたいと思います。
 終わります。
#67
○木俣佳丈君 おはようございます。木俣でございます。
 きょうは労災法の改正ということでございまして、本当に私ども民主党も、私も中小企業政策、これ座長になりまして、今練っているところでございます。中小企業、全企業数の大体九九・八%になったわけでございますが、そういったやっぱり弱い立場に立って考えていく党としてこれから頑張りたい、このように思うわけでございます。
 そしてまた、きょう私の前に質問されました前川議員におかれましては、JAM連合の御出身ということでございまして、まさに中小企業、今までの日本を支えてきた方々の思いを込めた御発言に続いて私も質問を続けさせていただきたい、このように思うわけでございます。
 労災の適用ということでございますが、先ほどKSDのお話がございました。先般も質問をさせていただきましたけれども、私も温和な性格ではございますけれども、もう温和でいられない、こういう思いで、ちょっとこの質問時間中に倒れて死んだ場合には、これは労災保険適用になるのかななんて、そんなことを考えながら質問を続けたい、まさに殉死をする思いで質問をさせていただきたい。こんな思いでございますので、労働大臣、二日間あれからたったわけでございますので、相当御認識も深くなられたと思いますので、何とぞそのあたり御配慮をいただきますようによろしくお願い申し上げます。
 まず冒頭、時間もきょうは三十分しかございませんので、私ども、今この現時点でも党内のワーキングチーム、プロジェクトチームということでKSD追及の委員会が実は党内で開かれている最中でございます。それに先立ちまして、十月六日に捜査が入った。その後、我々としてはすぐに、やはり現場主義である。他党の方も最近行かれたそうでございますが、我々はもう十月二十日には現地に一番乗りで行ってまいりました。余り報道の方々にはこれはお知らせしてありませんでしたけれども、とにかく現場へ行って、現場の、古関さんいないのか、いないなら理事でいいじゃないか、いや、担当課長でいいじゃないか、そしてまた労働省の方も一緒に行ってもらおうじゃないか、こういう中で行ったわけでございます。そこで出てきた方が山根さんという理事、そしてまた宮本さんという総務の課長、そしてまた労働省の方も御陪席いただきまして、事情聴取を私じかにさせていただいたんです。
 そのときに、もう報道を各社がされておりますように、会員の勧誘は窓口が信金であるということはどうなのか、実績はどうなんだということを言いましたら、課長さんが、いや、窓口がそうなっていることは認識している、しかし会員の伸びは鈍化しているんだ。そしてまた理事が、信金には会費の振りかえをお願いしている、預金者である事業者は制度をよく理解していたと考えたからとか、そしてまた労働省も、政治家への金をつかんでいるのかと私が問うたのに対しまして、しっかりつかんでいると、このようにお答えをその場ではいただいております。
 そしてまた、豊明会の名簿が流用されたんじゃないのか、流用されたのなら、これはまさしく詐欺じゃないのか、こういうことに対しまして理事が、そうなった場合には責任はある、このようにお答えになっているわけであります。そしてまた、資料で、関連会社の役員、古関さんの息子さん、奥さん、役員になっているんだから経歴書を出してほしい、こういったものを言ったところ、出せますとはっきりと理事が言われておりました。
 そしてまた、信金の実績ベストトゥエンティーなんて出して、堂々とKSDの中で、またはその信金の中で勧誘を行っている。このデータ出ますね、はい、すぐ出ます、このように言われました。そしてまた、じゃ、それぞれの三千三百市町村単位で、この市ではどのぐらいの会員がいますか、こういったものが出せますか、こういうことを言ったら、数だったらばすぐ出ます。こういうお話を受けて、私はなるほどなと。KSDの中の方でも、もうこれは捜査が入ったんだから、もうがたがた言わずにとにかく出せるものを国会に出していこう、こういう答えだと私は思ったんです。
 しかしながら、十月二十二日、これは御丁寧にKSDの判こも押した資料を持ってきまして、一切、だから要は出てきません、出せません。一昨日、先生より御提供の依頼のありました各種資料につきまして、下記のとおり、その御提供の可否を取り急ぎ御報告申し上げますと、こうありますね。会員事業所情報、会員名簿、これは御要望に沿いかねます。地域別会員数に関するデータ、同様に御要望に沿いかねます。そしてまた、広報宣伝費の内訳、これも出ると言ったのにもかかわらず、これは不明でございまして、御要望に沿いかねます。役員名簿、これも提出できません。財産目録、これも一切押収されて御提供できません。役員の経歴書、当財団とは別法人の資料でありますので御要望に沿いかねます。中元、歳暮のリスト、これも押収され、御提供できません。
 すべてだめ、こういう答えが返ってまいりましたが、これを大臣、どのように御認識されますか。
#68
○国務大臣(吉川芳男君) 今、木俣委員の、この問題が起きてから早速に行動に移されたということについては評価させてもらいます。
 ただし、KSDの職員あるいは役員が、今委員からの説明でございますと、かなりいろんな資料も出せるような物言いをされておきながら、結果的には出せないということについての御不満も私はわかるような気がいたしますけれども、やっぱり組織は組織なりの決定機関もあろうと思うのでございまして、どのような理由によりまして御指摘のような回答になったのか承知していないところでありますので、そういうことについてはKSDの独自の判断によって行われたものと了知しています。
#69
○木俣佳丈君 とんでもない答えをまたあれですね。KSDの独自の判断じゃなくて、労働省が認可を与えて、そのもとにあるから財団法人格を与えているんでしょう。それについてどう思いますか。──いや、大臣に、大臣が答えてください。いや、大臣ですよ、こんなのは。
#70
○委員長(吉岡吉典君) 今、指名しましたから、終わってからもう一回言います。
#71
○政府参考人(野寺康幸君) 問題が少し違うんだと思いますが、KSDに対する指揮監督の問題は確かにございますが、今先生は、先生が現場においでになっていろんな資料を要求なさったということについてのKSDの御回答でございますので、KSDの御判断でそうなさったというふうに考えております。
#72
○委員長(吉岡吉典君) 吉川労働大臣の答弁もお願いします。
#73
○国務大臣(吉川芳男君) 重ねての答弁要求でございますけれども、同じことしか申し上げられないので、ひとつ……。
#74
○木俣佳丈君 KSDは労働省の認可の財団法人ですよ。そういった責任がないとおっしゃりたいんですか。ちょっと答えてください。
#75
○国務大臣(吉川芳男君) それはもう今までの審議の過程の中でも私はそういうことは否定したことはございません。ですから、どうしてもこういうことが知りたいということになれば、どうすればいいかということについてはまた御相談をさせてもらうこともあると思っております。
#76
○木俣佳丈君 だれと相談するんですか。労働省が、だから、やらせているんじゃないの、大臣。労働省が、そんな資料出さなくていいと。今、裁判中でも何でもないんですよ。要するに、捜査が入った、それだけですよ。今、捜査中だから何も出ませんと、そんなことはないですよ。
 法務政務次官、どうですか。捜査が入ったらすべてその団体から資料を出すことはできませんか。法務政務次官。いや、法務政務次官。
#77
○政務次官(上田勇君) 個別の事件のお尋ねでありますので、法務省としてそのことについて答弁させていただくことはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
#78
○木俣佳丈君 じゃ、一般論として、だって政務次官、答えられるでしょう。そんなことをやっていたらあれですよ、特捜が泣くよ、本当に。
 大臣、もう一度言いますが、何でこれ出ないの。KSDの独自の判断、だから、労働省の方も同伴してもらってはっきりと要は聞いていただいて、議事録まで我々は書いた。それを、だからこうやってKSDが判こを押して、割り印を押して、こうやって資料を持ってきたんですよ。これについてどう思うんですか。
#79
○国務大臣(吉川芳男君) 一たんはあなたに資料を出しましょうと言っておいて、そして会議をした結果、出せないということは、やっぱりそれなりの理由もあったのでございましょうから、私は……
#80
○木俣佳丈君 監督責任がないかということ。
#81
○国務大臣(吉川芳男君) いや、監督責任はありますよ。それはもう何回となく私も答弁させてもらったけれども、私の記憶だけでも平成五年から四回にわたって監督責任を行使しております、労働省は。
#82
○木俣佳丈君 だから、この間言ったように、そんなのが監督したことになっていますか、そんなのが。監督したことになっていないから、だからでたらめなことをやっているじゃないですか。豊明会へ流して、この間言ったとおりですよ。きょうは時間がありませんから。
 こういったものを、これは捜査でいえば証拠隠滅と言うんだと思うんですよ。要は捜査が六日に入ってまさに捜査が行われている。しかしながらこういったものを、これを出さなかったら証拠隠滅でしょう。そしてまた、そのついていった労働省の方だって教唆でしょう、共犯でしょう。これは即刻逮捕じゃないのかな、私が思うには。証拠を隠滅するんだから、結局。全くだから隠滅じゃないですか。どうですか、法務政務次官。
#83
○政務次官(上田勇君) 木俣先生、先日来この問題に大変御熱心に取り組んでいることはよく理解できますが、木俣先生、また民主党の皆様が行っている調査について法務省としてそれをお答えする立場にはないのかもしれませんけれども、今ちょっと証拠隠滅というお話がありましたが、一般論として申し上げれば、刑法百四条の証拠隠滅というのは、「他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者」に対して適用されるというふうに規定されているところでございます。
#84
○木俣佳丈君 いや、そうじゃない。こちらに対する証拠隠滅もそうだけれども、捜査上そういうことがあったらまさしく証拠隠滅になるでしょう、こういうことを言っているんですよ。そんな刑法のことは知っていますよ。
 それから、これは直告二班だと思うんですが、特捜の中でやっているのが。よく週末に大事件で逮捕されて、週末に何かぐちゃぐちゃとなって終わっちゃうんだけれども、十一月の初めに何か古関逮捕なんという話がありますが、週末逮捕なんてことはないでしょうね。ちょっと政務次官に。
#85
○政務次官(上田勇君) また繰り返しで恐縮でございますけれども、捜査の内容にかかわることについては答弁を差し控えさせていただきます。
#86
○木俣佳丈君 このテレビを直告班の方も見ていただいておるならば、ぜひこれはもう赤裸々に週明けの月曜あたりにやってもらいたい、このような要望をしたいと私は思います。
 それから、現場主義でございまして、きのうも我々の仲間が古関さんの自宅を調べに行ってまいりました。これは千葉県の市川でございまして、登記簿もこうやってとってまいりました。これが大体どのぐらいの価値か、大臣御存じですか。
#87
○国務大臣(吉川芳男君) わかりませんから、局長から答弁させていただきます。
#88
○政府参考人(野寺康幸君) ちょっと古い資料になるんですけれども、建設した請負金額で申しますと、六億二千万強だというふうに承知いたしております。
#89
○木俣佳丈君 いや、だから、土地代も含めると約八億と言われているんですよね、ちゃんと調べてきましたし。国税の方ではわからないのかな、まあいいや。
 大体八億と言われています。これは、KSD会館とも別称呼ばれているのは御存じですか。局長でいいや。
#90
○政府参考人(野寺康幸君) 承知いたしております。
#91
○木俣佳丈君 お金のうちどのぐらいがKSDから出ていますか。
#92
○政府参考人(野寺康幸君) 正確なことは後で御報告したいと思うんですけれども、所有区分の割合からいきまして、KSDのものが八一%、古関個人のものが一九%でございますので、そういった割合でKSDが負担しているというふうに思います。
#93
○木俣佳丈君 急な通告にもかかわらず、本当にありがとうございます。
 そのとおりで、所有部分というのが一八・四%、正確に言うと。それだけお金を出しているんですね、八億。そして、占拠しているのは、独占占拠しているんです。八一%KSDが出しながら、何で古関が住むの、会長宅になるんですか。労働大臣、それをどう思いますか、こういったものについて。
#94
○国務大臣(吉川芳男君) 今の御指摘は私もいささか腑に落ちないなと。やっぱりもう少しすっきりはっきりさせなきゃならぬというふうには思っております。
#95
○木俣佳丈君 いや、すっきりはっきりは八月十日の勧告で出しているじゃないか。それがいまだに、きのうとった登記簿だよ、これは。まだ所有権は古関にあるんじゃないか、そしてその息子に。これはおかしいじゃないのか。勧告後もなっていないよ、さっき言われたような。いや、局長はいい、大臣。
#96
○政府参考人(野寺康幸君) 済みません。事実関係だけちょっと申し上げます。
 八月に改善勧告を出した中にこのKSD会館についての指摘もございます。それを受けて、KSDの方からこれを処分するという御回答をいただいております。いまだ現在の時点ではまだ処分されておりませんけれども、公売とか売買の手続、いろいろございますので、今後しかるべき段階では処分されるというふうに考えております。
#97
○木俣佳丈君 いやいや、処分する前にまず所有権を移してちゃんとしなきゃだめと、そういうことを言っているんですよ。これはまた追って言いますが、とにかくでたらめなこと。八億円の家に住んでいるんですよ、古関さんは。八億円の。
 それで、こういう仕組みを、先ほど資料が出ませんから、きょうは金融関係、金融庁の総括政務次官にも来ていただいておりますが、どういう仕組みでこれをやり出したか。
 つまり、これは信金が要するに代理業務といってどんどんどんどん集めた現状があるわけですね。これは政務次官も大体御認識いただいておると思うんですが、これは、大臣告知によってこのパンフレットにももう明確にこう書いてあります。
 この大臣告知の看板、これってとりにくいという話ですよね。だって、これは中小企業事業団代理店、中小企業退職金共済事業団代理店、こういったいわゆる公庫や公団の代理店という金看板ですよ、信金の前に立つ。その一番下にKSD代理業務取扱店と、こうなっている。大蔵省絡みじゃないの、全く。金融庁も絡んでKSDに、これをサポートしようと、こういうことじゃないんですか。ちょっと答えてください。
#98
○政務次官(宮本一三君) お答えを申し上げたいと思いますが、平成七年三月の大蔵大臣の告示というのがございまして、信用金庫及び信用金庫連合会が業務の代理を行うことができる者を指定する件と、それから信用協同組合並びに信用協同組合連合会が業務の代理を行うことができる者を指定する件、これの改正がございまして、信用金庫それから信用組合はKSDの業務の代理ができることとなりました。
 当然のことながら、法令上、信金それから信用組合が代理業務として行い得る業務というのは、これは何でもやれるというわけじゃございませんで、あくまでも信用金庫それから信用組合がみずから業務として行っている業務、言うなれば金融的な業務ですね、そういった業務に限られておりまして、業務代理の対象として告示で指定されている者が行っているすべての業務をやれるものではないということでございます。
 そういう形で、代理業務ができるように平成七年の告示でなりましたことは事実でございます。
#99
○木俣佳丈君 信金法、業法の中のどういった業務ですか、これは。
#100
○政務次官(宮本一三君) これは、信用金庫の業務として行い得る業務はいろいろずっと、預金を集めたり、いろんな業務がございます。その中でそれに付随する業務ということでございます。
#101
○木俣佳丈君 具体的に言ってください。
#102
○政務次官(宮本一三君) 付随業務の中で、「国民生活金融公庫その他金融再生委員会の指定する者の業務の代理」ということで指定いたしております。
#103
○木俣佳丈君 ちょっと聞こえません。
#104
○委員長(吉岡吉典君) もう一度読んでください。
#105
○政務次官(宮本一三君) もう一遍読みます。
 付随業務ということでずっと列記がございます。その中の七号でございますが、「国民生活金融公庫その他金融再生委員会の指定する者の業務の代理」ということでございます。
#106
○木俣佳丈君 何業務かと聞いているんです。
#107
○政務次官(宮本一三君) これは付随業務……
#108
○木俣佳丈君 付随業務の中の何業務というあれがあるんです。四つあるわけだから、信金業務は。信金法に書いてあるじゃないですか。
#109
○政務次官(宮本一三君) はい。それは代理業務で指定する中で……
#110
○木俣佳丈君 政務次官、私も先輩だからあんまりなことを言いたくないんだけれども、信金法の中に四つの業務があって、要するに四番目の為替取引、その範囲に入るんじゃないですか、これ、たしか。しかしながら、これが全く口座開設や取引、そういった取引だったらば信金というのは何でもできるんですよ。例えば、健康食品の販売とか。健康食品の販売を信金が代理業務でやったらこれは信金法違反にならないのか、ちょっと言ってくださいよ。
#111
○政務次官(宮本一三君) 今のお話でございますけれども、口座振替の話ですと、これは今言われる信用金庫業務の規定の中の第四号になりますか、為替取引というのは、今先生御指摘のように指定されております。これでカバーはいたしておりますけれども、保証業務の代理といいますか、これに関しましては、やはり今私が申し述べました「国民生活金融公庫その他金融再生委員会の指定する者の業務の代理」ということで読むわけでございます。
#112
○木俣佳丈君 これは金融庁としてしっかりと、前金融監督庁としてしっかりと調査した結果ですね、それは。よろしいですか。これは国会の場ですから、正式に答えてください。調査をした結果ですね、それが。
#113
○政務次官(宮本一三君) 何の調査を言っておられるんでしょうか。今言っているのは法令の解釈でございますか。
#114
○木俣佳丈君 業法違反にならないかという調査をしましたかということですよ。
#115
○政務次官(宮本一三君) ちょっと最初の質問の意味が誤解されていたかもしれませんが、業法違反ではないかという御質問でございますれば、これは勧誘というふうに言われましても態様はいろいろございますので、業法上の判断は異なってくると思うのでございますが、個別の事案、具体的な事実関係、これも承知しておりませんので、これについてコメントは差し控えたいと私は思います。
 しかし、一般論として言えば、先生言われるようにいろいろな問題がございまして、金融機関の勧誘等、これはどういうふうに解釈するか問題でございますけれども、勧誘ということになりますと、その勧誘が積極的なものであって組織的、集団的に反復継続して行われており、かつ支払いを受ける奨励金が当該勧誘行為の対価であるということが明らかであるような場合には、これは他業禁止に違反する可能性が高いと思われるわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、業法上行うことができるとされている業務の範囲を逸脱しているかどうかについては、具体的にやはり事案ごとに事実関係に即して判断をする必要があろうと思います。
#116
○木俣佳丈君 今、政務次官の方からもほのめかされた意見が出て、私もそうだと思うんですよ。結局、もう反復継続的に販売促進をやっていて、しかもこれは読売新聞でもありますよね。調査の結果だと、九七年から三年間で、バックマージン、新規一人当たり三千円が支払われて、十億円信金に払われた。
 私伺いたいのは、KSDとの契約、業務提携をして信金がもうでたらめなことをやっているわけだけれども、この募集を行った信金の数、これをちょっと挙げていただけますか。どのぐらいの信金がこれに参加したか。それと全体の信金の中での比率。
#117
○政務次官(宮本一三君) 信用金庫でKSDとの口座振替契約を結んでいる信用金庫、これは二百三十二行ございます。
#118
○木俣佳丈君 これ、支店も全部集めて一行、二行ね、何々信金で一つですよね。じゃ全体は何行ありますか、信金。信金だけですか、この二百三十二というのは。
#119
○政務次官(宮本一三君) 信用金庫全体の数は三百八十一行でございます。
#120
○木俣佳丈君 三百八十一行のうち二百三十二行がぐるになって、これは九割近いんじゃないの、八割か、ちょっと八割行かないか、でも八割近くですよね、ぐるになって信金ぐるみでこれはやっている。金融庁、調べてくださいよ。調べますか。
#121
○政務次官(宮本一三君) 三百八十一の中の二百三十二でございます。六割ぐらいかなと思いますが、ぐるになっていると言われると困るのでございますが、確かにかなりの数の信用金庫が絡んでおりますけれども、これはあくまでも信用金庫の業務と、そしてその代理行為といいますか、業務としてやっている話でございます。
 そういう意味では、信用金庫としての本来の業務を逸脱しているわけでもございませんし、数が六割に及んだからといって問題視ということにはならないと理解いたしております。
#122
○木俣佳丈君 いや、先ほど政務次官が言われたように問題があるわけですよ。だから、何で調査すると言わないのですか。
 二十年前に二万五千人の被共済者がいたのが、今や百七万人ですよ。それを組織ぐるみで、要は大蔵がくるんで、そして信金がそれに絡んで、そして大臣のこういった認証があって、それでやっぱりできたことでしょう。それをなぜ調べないんですか。調べてくださいよ。
#123
○政務次官(宮本一三君) 確かに、御指摘のような点について十分我々も関心を持っておりますが、個別の金融機関に関して調査を行うかどうかについて申し上げることは、やはり風評等の問題もありますのでどうしてもこれは差し控えたいと思います。
 ただ、一般論として申し上げますれば、個別の金融機関の個々の取引でございます。いろいろな御指摘があろうと思いますし、国会の場でこうして御指摘を受けるというような場合には、それはその内容について検討もし、必要に応じては事実関係についてヒアリングをすることもやぶさかではないというふうに思います。
#124
○木俣佳丈君 金融庁というのは何ですか、一体。私がこの質問をするのでということで来た担当者は、いや、業法の中でやっていますとはっきり言われて、今言われたらチェックもしていないじゃないですか。では、金融庁というのは何のためにあるんだ、一体それは。こういったことが起きないようにするために、だからやるんでしょうが。それをやらないんだったら何のためにあるんですか。もうレゾンデートルがないですよ、全然。もう存在意義が全くない、金融庁自体が。司直の手にゆだねた、そんなのでは監督できません、では何のための監督責任、企画責任ですか。
 十月六日に、KSDがおかしい、KSD豊明会がおかしいと、そしてまたこれ信金が絡んでいると。絡んでいるのがもう八割になっているというのに、それを調査しないなんてばかな話がありますか。調査してください。
#125
○政務次官(宮本一三君) 今の御指摘でございますけれども、我々としては、金融機関が金融機関としての業務を適正にやっているかどうかということを監督いたしております。
 したがって、それの業務の範囲を逸脱するような行為があるかどうか、そういうことがありますれば、これは法理に則しまして適切に対処いたしておきます。
#126
○木俣佳丈君 いや、本当にしっかりこれはやっていただかないと、泣くのは中小企業の方々ですよ、本当に。知らないで、信金からお金を貸すからというので、だからこれへ入ってくださいよと言われたら、しようがないや、おつき合いで二万四千円払いましょうと、こうなるんですよ。それを全国ざあっとやっているわけだ、もう八割の信金がそんなことを。信金が全部悪いわけじゃない。しかしながら、そういったものをぐるみでやるのはもう絶対にやめてほしい。本当に必要な共済はやっぱりやるべきですよ。そういった意味でも、これは徹底的に究明していただきたいと思います。
 最後に、労働大臣にもう一度伺いますが、疑惑追及はこれから予算委員会の方にも入っていきながら、徹底的に、だから大臣に私、伺いたい。我々は伺いたいと思っていますよ。
 そんな、監督責任がないとかあるとかいう段階じゃない。あるに決まっているんだから。あるから、だから大臣を呼んで、あなたが答えているわけでしょう。あるから答えているんだから。
 これは徹底的にやります。徹底的にやりますが、今のお気持ちはいかがですか。どんな気持ちで、このKSD事件について大臣自体が思っているのか。
 おとといの答弁で、マスコミなんかもうとにかく、大臣というのは何なんだと、飾りじゃないかと。私だって恥ずかしいですよ。地元から電話がかかってきて、あんな追及の仕方は恥ずかしいじゃないかと、逆に言われた。
 しかし、同じ国会議員、議院内閣制で国会議員の一人として大臣になられて、大臣といったら物すごい偉い方でしょう。その方がうろうろされて、周りの方に指導されて、一つ一つの問題、一つも答えられない、こういう姿、どう思いますか、御自分が。
#127
○国務大臣(吉川芳男君) この問題の勃発に当たりましては、私も、かなりこれは根の深い問題だし、長期間にわたっている問題だなという感じは持っております。
 そして、私もたまたまこの時期に労働大臣をさせてもらっているわけでございまするから、このことについては司直の手に、今調べられているわけでございますから、それと並行して、労働省も監督責任を十分感じてひとつ調査していきたいと思っております。
#128
○木俣佳丈君 ちょっともう一点お願いします。
 だから、さっき、労働省の方々、末端の方々というのか、責任者の方かな、一緒に行くんだから、その方々は全部わかっていると言ったんです。わかっていると言った。しかしながら、それを国会の場で赤裸々に述べられないという理由は何ですか、一体それは。ちょっと答えてください。
#129
○委員長(吉岡吉典君) 吉川労働大臣、最後の答弁、お願いします。
#130
○国務大臣(吉川芳男君) 一たんは資料は出します、お教えしますと言っておきながら、出られなかったことについては非常に御不満であろうと思いまするけれども、やっぱり向こうは向こうなりの組織もあり、そういうことで、相談した結果、資料は出せないということになったんだと思いますから、これに対してどういうふうに考えるかということについては部内で検討してみましょう。
#131
○木俣佳丈君 終わります。
#132
○委員長(吉岡吉典君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#133
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#134
○但馬久美君 公明党の但馬久美でございます。
 今回のこの労災保険法の改正は、過労死の増加を抑制することが主たる目的であると聞いております。二次健康診断に対してこの労災保険から給付を行うということで、その実施の促進を図り、そしてまた過労死を未然に防止しようとする考え方はもう十分評価できると思います。
 しかし同時に、この過労死を防止するためのそのほかの施策についても、もう少し細かくその充実や運用の強化を行うことがさらに必要なことと考えております。その中でも最も重要な課題は労働時間を短縮することであり、働き過ぎを防止することを強く求めていると思うんです。
 私は、このような労働時間短縮について、以下何点か質問させていただきます。
 そこでまず、いつも問題になるのは千八百時間達成についてでありますが、平成四年六月の経済計画で明確に千八百時間を達成することを目標とすると。また、あるいは労働基準法の改正で早期に週四十時間労働制に移行すると打ち出したのが起点となっているようであります。
 その後いろいろと達成のために施策が講じられてきておりますけれども、一つ目は、この達成目標年次がいつに設定されているのか。また、現在の労働時間はどういう状況なのか。またさらに、果たしてその目標が達成できるのかどうか。この三点について、見通しと今後の取り組みについてお伺いいたします。
#135
○国務大臣(吉川芳男君) 年間総労働時間につきましては、労使による真摯な取り組みと、こうした取り組みに対する行政の指導、援助によりまして、平成四年度には千九百五十八時間であったものが平成十一年度には千八百四十八時間と着実に短縮が進んできているところでございますが、いまだ政府目標は未達成となっております。
 二十一世紀初頭までの十年間程度における経済運営の指針として昨年七月に策定された現行の経済計画においても、引き続き年間総労働時間は千八百時間の達成、定着が掲げられており、この政府目標の達成に向けて引き続き労働時間短縮のための施策を講じてまいります。
 このため、平成十三年三月三十一日で廃止期限を迎える時短促進法の廃止期限を延長するための改正法案を次期通常国会に提出したいと考えております。
 以上です。
#136
○但馬久美君 大臣の御答弁から、労働時間の短縮が進んでいることは私も否定しませんけれども、その一方で気になることは、近年パートタイム労働者の方々がふえております。労働力調査においてもこの短時間雇用者、その割合が常用雇用者の二割を超える状況に至っております。こうした短時間雇用者の増加や、また景気低迷による時間外労働の減少が一つの要因となって労働時間の短縮が見かけ上進んでいるように思われますけれども、これちょっとまだはっきりしていないんじゃないでしょうかということを思っているわけです。
 平成十一年の毎勤統計によりますと、パートを除く一般労働者の月間総実労働時間は百六十七・四時間となっており、これを年に換算しますと二千八時間となっております。また、これは二千時間を超えているというわけですから、ちなみにパート労働は月間で九十四・九時間で、年換算しますと千百三十八時間となっております。事業所の規模が五人以上においては、全産業平均で千八百四十時間の先ほどおっしゃった年間総実労働時間になっているのは、こうした短時間労働者も含めた実態はやはり二千時間を超えているハードな状況にあると思うんですけれども、この点についてどういう感想を持っていらっしゃるかお伺いいたします。
#137
○国務大臣(吉川芳男君) 一般労働者の労働時間は、平成五年度においては二千六時間であったものが平成十一年度には千九百九十時間と十六時間短縮しています。
 このように一般労働者における時短も確実に進んでいるところでありますが、平成五年度以降の年間総労働時間の減少は、パートタイム労働者の増加の影響だけでなく、一般労働者の労働時間の短縮が進んだ結果であると考えております。
 今後とも一般労働者の労働時間の短縮を図るため、所定外労働の削減や年次有給休暇の取得促進等、引き続き労働時間短縮の施策を講じてまいります。
#138
○但馬久美君 今のお話でやはり二千時間を超えている、つまり先ほどの計算によりますと、一カ月分以上の時間がオーバーしているわけなんですね。私は短時間労働者と一般労働者を別々に換算すべきだと思うんですけれども、この点、どういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
#139
○政府参考人(野寺康幸君) 先生御指摘の問題は確かに一つの観点でございます。確かに一般の労働者とパート労働者でもともとベースが違うわけですから、これを区別して考えるというのは一つの理屈があることでございますが、国の目標として掲げておりますのは、両者も含めた数字で千八百時間というふうに打ち出しておりまして、その中で、先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたように、一般労働者の方もそれなりに減少しているという実態を踏まえますと、当面この千八百時間を政府としては追求していきたいというふうに思います。
#140
○但馬久美君 では、国としては両方一緒に合わせた労働時間をということなんですか。
 そこで、一般労働者の労働時間が短縮しているとはいえ、本当に多くの労働者が実際額面どおり恩恵を受けているのか、これが疑問に残るわけなんです。
 週四十時間制がほぼ定着してきた現在、さらなる労働時間の短縮には時間外労働の一層の削減が求められております。さきの基本法改正ではこの時間外労働の上限について大臣が定めると規定されており、その規定に基づき基準が示されることになっております。しかし、そうした大臣の規定にもかかわらず、その実効性が懸念されてきたのも私は指摘したいと思っております。果たして、改正法の実施状況はどのようになっているのか。例えば改正施行後、基準を超える三六協定を締結したものが減少してきたのかどうか、その辺、お聞かせください。
#141
○政府参考人(野寺康幸君) 先生御指摘の基準法三十六条に基づきます時間外労働の限度に関する基準、これは基準法の改正によって設けられたわけでございますけれども、平成十二年度の調査によりますと、時間外労働協定におきまして、今御指摘の労働基準法に基づきます時間外労働の限度基準、この限度基準についての状況ですが、一週間ごとの限度基準につきましては八七・六%がこれを満たしている、一カ月については九三・二%、一年については九四・六%が満たしているという状況でございます。若干ながら満たしていないところがあるということにもなるわけでございまして、労働省としましては、こういった時間外協定の届け出の際、あるいはこういった調査を行う、監督署で調査を行っておりますけれども、そういう調査の際に限度基準を守るように指導してまいっております。
#142
○但馬久美君 ありがとうございました。
 では、もう一歩、特定労働者の時間外労働についてお伺いいたします。
 特に、育児、介護を行う女性労働者が長時間労働を行うということは、もう仕事と家庭の両立に大変大きな支障が生ずると言われておりまして、いわゆる激変緩和措置が去年、平成十一年にたしか通りまして、平成十四年の三月三十一日までということでこの三年間、百五十時間が行われているわけなんですけれども、それは今現在調査しながらどのような状況になっているのか、またそれ以後、十四年後どのような措置をとられていこうとしていらっしゃるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#143
○政府参考人(藤井龍子君) 委員御指摘の激変緩和措置でございますが、これにつきましてはちょっと協定の締結状況が手元にございませんので、それはまた後ほど協定の締結状況についてはお答えさせていただきたいと思いますけれども、大体締結しているところは年間百五十時間という形になっておると承知しているところでございます。
 それから、この激変緩和措置が平成十三年度末で終了するわけでございまして、これにつきましては労働基準法の附則十一条で、その期間が終了するまでの間に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるようにと、男女労働者についてです、子育て、介護を行っている家庭責任のある方々の時間外労働が長時間にわたる場合の時間外労働の免除請求といった制度について検討しろというふうに定められているわけでございます。また同時に、衆参の委員会附帯決議で、その水準については激変緩和措置との連続性に留意すべしという趣旨の決議をいただいているというところでございます。
 現在、この問題を含めまして、少子化が進行する中で仕事と家庭の両立支援対策の充実はどうすべきであるかということ、労働大臣の諮問機関でございます女性少年問題審議会において審議をいただいているところでございまして、ことしの七月から始めていただきまして、今鋭意御検討いただいているところでございますので、その審議会の結果も踏まえまして、次期通常国会に育児介護休業法の改正という形で改正法案を提出させていただきたいと思っておりまして、検討を進めているところでございます。
#144
○但馬久美君 ありがとうございました。
 そのように目に見える労働時間については指導を行うことは可能なんでしょうけれども、いわゆるサービス残業というものの存在も見逃せません。統計的には労働時間が短縮している状況にあるとはいえ、その一方では仕事に追われて深夜帰宅が常態化している人たちが多くいることをよく聞きます。
 例えば、ある労働組合のアンケート調査によりますと、この調査は昨年の十月からことしの一月にかけて企業と労働者を対象に実施しました。ソフトウエア業やまた情報処理サービスの企業百十一社が、労働者七百六十六人の回答をまとめたものであります。
 例えば、サービス残業月平均十時間という結果があり、またよい会社があればかわりたいと思っている人が五割、要員が少なく、仕事のし過ぎで逃げ出したくなるという人が三割、年齢の限界が四十歳から四十五歳と考えていると。このように、日本の経済を引っ張っていく産業界の労働者の方々は大変な状況にあるということがわかるんですね。こうした実態を見ますと、働く者の全体に本当の意味で労働時間の短縮が行き渡っているのか、これはやはり疑問に思います。
 さらに問題なのは、統計上あらわれない残業であるがゆえに、残業手当が支払われていないという点です。この統計上あらわれないサービス残業の実態について、労働省はどのように認識していらっしゃるのか、また対応を講じていらっしゃるのか、お聞かせください。
#145
○政府参考人(野寺康幸君) サービス残業とは一体何かということでございますが、確かに統計的に的確に把握することはいずれにしても困難でございます。私どもは、これは労働基準法の第三十七条というところで、残業には割り増し賃金を払うということを定めておりますが、この三十七条に違反して賃金の全部または一部を払っていないというのをサービス残業というふうに考えております。こういう意味では法違反でございますが、こういった違反を仮に発見しました場合には厳しく払うように指導するわけでございますが、平成十一年において約一万一千五百件、事業場に対しましてこの三十七条違反を摘発いたしております。
#146
○但馬久美君 そのように数多くあるわけですけれども、ぜひこの点しっかり労働省といたしましては対応を講じていただきたいと思います。
 最近の事例に、大手の中間管理職の過労自殺に伴う和解成立が報じられておりましたけれども、過労死による和解成立は、大手広告会社の事例に続く二件目となっております。特に私が感じる点は、中間管理職の方で労働時間管理に裁量制をもう持たない人たちがこの三六協定の対象から除外され長時間働かされているような状態がないとは言えないと思うんですね。そして、中間管理職だから長時間働くのは当然だという時代はもうとっくに過ぎております。
 労働省は、こうした中間管理職の長時間労働についてどのように考えておられるか、御見解をお伺いいたしたいと思います。
#147
○政府参考人(野寺康幸君) まず原則論を申しますと、いわゆる管理監督の地位にある者、管理監督者につきましては、労働時間に関します規定が原則として適用除外ということになっているわけでございます。これは労働時間に関します規制を超えて活動することがそもそもその立場として要請されている重要な職務という意味で、勤務体系もこういった規制になじまないという考えから除外しているわけでございます。
 管理監督者というのは、名称にとらわれずに実態に即して基準法上は判断するということにいたしておりまして、職制上の役付者であれば必ずその管理監督者として適用除外になるかというと、そういうことではないわけです。実態に応じて判断しているということでございます。
 いずれにしましても、管理監督者の扱いが適正に行われるように、必要な指導を労働省としては基準法に基づきまして厳格に実施してまいりたいというふうに思っております。
#148
○但馬久美君 私は、サービス残業における給与の未払いも問題であると思うんです。でも、より問題なのは健康面の問題であると思います。統計にあらわれないために健康への対策も不十分となることは必然的な結果と思いますし、したがって、このサービス残業のような働き方を余儀なくされている方々の健康は、知らず知らずのうちにやっぱりむしばまれていくのではないかと危惧しております。
 こうした事態を速やかに解消する必要があり、例えば一定の労働時間を超える労働者に対しては別途健康診断を行えるような措置を講ずるべきであると思うんですけれども、労働省はこれをどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
#149
○政府参考人(野寺康幸君) 残業等によりまして深夜にわたる業務につかれる方が結構あるわけでございますが、こういった業務は健康に重大な影響を及ぼす可能性があるというふうに考えております。そういった観点から、昨年労働安全衛生法を改正いたしまして、深夜業に従事される方につきまして自発的に健康診断を受けられるといったようなものを制度化いたしたわけでございます。
 具体的には、過去六カ月間を平均して、一カ月当たり四回以上の深夜業務に従事した労働者につきまして、健康不安というものをお感じになった場合に自発的に健康診断の結果を事業主に提出して、そして事業主の側はその提出を受けた場合にその結果に基づいて適切な措置を講じなきゃいかぬと、こういう内容になっているわけでございます。自発的健康診断の利用促進を図るために、受診に要した費用の一部につきまして労働者に助成すると、こういった制度も実施いたしているわけでございます。
 いずれにしましても、残業等によります深夜業に従事される方々に対します健康管理につきまして、なお一層充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
#150
○但馬久美君 ちょっとわずか進歩的な答えをいただいたんですけれども、やはりこの深夜業に従事する者に対しましては、去年、そうです、自発的に健康診断を行うようになりましたけれども、やはりこれに準じて同様にすべきではないかと思うんですけれども、もう一歩踏み込んだところでお伺いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#151
○政府参考人(野寺康幸君) 今申しました自発的健康診断の制度は、とりあえずこの深夜業ということでございます。
 一般的に残業が多い方等々につきましては、これは安全衛生法全体の体系の中で健康診断も事業主に義務づけられておりますし、またその結果を尊重いたしました事後措置というものも法律の中に義務づけられておるわけでございます。
 当面は、こういった施策を着実に実施することによって対応してまいりたいというふうに思います。
#152
○但馬久美君 ありがとうございました。
 この夏、労働省は、大手電機メーカーなどで取り入れていますフレックスタイム制が実質的なサービス残業に当たるとして、残業代を支払うよう労働基準局から是正勧告がなされました。この事件の概要とその後の処理経過、そして各企業の対応について説明をお願いいたしたいと思います。
#153
○政府参考人(野寺康幸君) 御指摘のとおり、ことしの四月から五月にかけまして、電気機械器具製造業におきますフレックスタイム制の導入の中で、労働者の自己申告制という形で労働時間を把握しているという制度を実施している事業場があるわけでございますが、そういった事業場に対しまして、労働時間管理が適正に行われているかどうかといったような観点からの監督指導を行ったところでございます。
 法違反が認められました事業場に対しましては、その際に是正勧告を行いまして改善を求めている状況でございます。是正勧告を行った事業場では、時間外労働時間数を適正に把握し、未払いとなっておりました割り増し賃金を支払った、あるいは労働時間管理者を定めて適正な労働時間管理を行ったといったような具体的な改善が報告されております。
 今後とも、こういった制度に伴います問題点につきましては、法律にのっとりまして厳格に実施してまいりたいというふうに思います。
#154
○但馬久美君 ぜひこの点をしっかりと監督していただきたいと思います。
 話は変わりますけれども、今度は労働大臣にお伺いいたします。
 昨年、新裁量労働制が導入され、ことし四月一日から実施されておりますけれども、この新裁量労働制が導入されて日が浅く、その導入の効果についてはしばらくは様子を見るというような必要があると思うんですけれども、しかしくれぐれも、こうした新裁量労働制がサービス残業隠しに利用されないかということを危惧するわけです。また、過労死を招くような働き方につながらないように、この制度の正しい趣旨とそして活用の仕方を周知徹底するとともに、しっかり調査を実施し、また監督指導を行うよう私は要望いたしますけれども、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
#155
○国務大臣(吉川芳男君) 企画業務型の裁量労働制の導入につきましては、事業場ごとに労使委員会を設置して、労働時間や休日などの労働条件について十分話し合いを行った上で、委員の全員一致で決めることが要件とされております。また、この制度のもとで働いたとみなされる労働時間については適切な水準でなければならないと、労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針において定めております。
 労働省といたしましては、こうした制度の内容や指針が十分守られるように周知徹底を図りますとともに、労働基準監督機関を通じて厳正に監督指導を行うこととしております。
#156
○但馬久美君 過労死についてもう一つお伺いいたします。
 昨年九月でしたか、仕事上のストレスや過労で心を病んだり、高じて自殺した場合に出される労災申請について規定基準がつくられました。過労による自殺や精神疾患の労災申請に道が開かれたということは評価するに値します。
 例えば、この新認定基準のもとでは、その申請状況はどう進んでいるのか、またこうした過労、自殺関係の労災認定はどうなのか、またその申請や認定の処理は時間がかかるのが一般でありますけれども、この処理の迅速性が図られているのかどうか、その三点についてお伺いいたします。
#157
○国務大臣(吉川芳男君) 業務によるストレスを原因として精神障害を発病し、自殺に至ったとして労災請求が行われている件数は、平成九年度三十件、平成十年度二十九件でありましたが、平成十一年度には九十三件と大幅に増加したところです。また、業務上として労災認定が行われた件数は、平成九年度には二件、平成十年度には三件でありましたが、平成十一年度には十一件と大幅に増加したところであります。
 業務による精神障害を発病したり自殺をするということは本来あってはならないことでありますが、不幸にしてこのような事態になった場合には、昨年九月に策定いたしました精神障害の業務上外の判断指針によりまして、労災補償の面で迅速適正に対処してまいりたいと思っております。
#158
○但馬久美君 非常にふえてきているわけです。当事者にとってはもう本当に申請や認定がもっと簡単に処理できるようにぜひやっていただきたいと思います。
 時間が参りましてもうあと少ししかありませんけれども、労働時間と過労死の問題の最後にもう一点お伺いいたします。
 さきの労働基準法改正のときに、労働者の健康に重大な影響を及ぼすと見られて、深夜労働制を規制することにおいて多くの議論がありました。それは非常に私もこの委員会でいろいろ質問させていただきましたけれども、この議論の結果、委員会採決に当たって附帯決議が付されました。
 その附帯決議が次のようにあります。「将来における深夜業の総合的なガイドラインの策定に資するため、主要業種ごとの労使による自主的なガイドラインの適切な設定に向け、労使が参考とすべき事項を明らかにしつつ実態調査や労使の話合いの場の設定等、労使の取組に対する必要な援助を行うとともに、ILO第百七十一号条約の趣旨を踏まえた深夜業の実効ある抑制方策について検討すること。」、「深夜業の実効ある抑制方策について検討すること。」と、この事項が載っております。
 過労死を防止するためにも深夜業が規制されるべきであり、早期に抑制策が検討されるべきであると考えております。この附帯決議の事項に関しまして、政府はどういうふうに対応を行ってきたのか、また今後どのような対応措置をとろうとしていらっしゃるのか、これを最後に政務次官にお伺いして、私の質問を終わります。
#159
○政務次官(釜本邦茂君) 労働省といたしましては、御指摘の附帯決議を踏まえ、平成十一年度に労使による深夜業に関する自主的ガイドライン作成支援事業を創設し、主要業種において職場の実態を熟知した労使による自主的取り組みを支援しているところであります。この事業は二カ年度にわたって実施されたものでありますが、平成十一年度においては化学工業など四業種を指定し、現在労使による話し合いが行われているところであります。また、本年度においても既に紡績業を新たに指定し、今後についてもさらに一業種の指定を予定しております。
 この事業が将来における深夜業に係る総合的なガイドラインの策定や深夜業の実効ある抑制方策の検討に資するよう、今後とも円滑な実施に努めてまいりたいと思っております。
#160
○但馬久美君 ありがとうございました。
 過労死の問題について数々質問させていただきましたけれども、非常に今ふえてきておりますし、またストレスも非常に大きな社会になってきております。そういう意味ではぜひ努力をよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
#161
○八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。
 まず最初に、私は労働保険法の改正の問題について、法案の改正案について伺います。
 過労死を予防するための施策の一つとして労働災害補償保険に二次健康診断等の給付の創設をする、こういうことでありますが、現在、労働安全衛生法におきましても事業者は定期健康診断の実施が義務づけられておりまして、その結果に基づいて医師の意見を聞いて就業上の事後措置がとられる、こういうふうになっておりますが、定期健康診断において異常の所見があって二次健康診断が必要ということになれば当然労働安全衛生法において措置される、事業者の義務づけというんですか、責任というのが大きく問われるというふうに思うんですが、これはどういうことでしょうか。
#162
○政府参考人(野寺康幸君) 今回、二次健診の給付を労災の方でやるという発想の中には、これは先生御質問の中でおっしゃいましたように、安全衛生法で現在第一次的な健診については事業主の義務と定められておりまして、これは違反すれば罰則が科せられる強い義務でございます。そういう意味では、これは必要最小限のものに限るべきというふうに考えております。
 実際問題として、一律に個々の事業主に対して二次健康診断までを義務づけるということになりますと、現実問題として中小零細企業に過度な負担になりかねないというふうに考えております。そういう方法よりは、労災保険の給付の中で、広い意味で事業主が負担して面倒を見るという方法の方が施策としては適当ではないかというふうに考えております。
#163
○八田ひろ子君 いろいろ意見があったというふうに聞いておりますが、要は実効性が必要だというふうに思います。二次健康診断の受診は、聞くところによりますと働く人の自主性だけに任せられるようにも受け取られるんですけれども、働く人が受診に当たって、さっき私伺ったのは事業主の役割、責任の範囲ですね、そういうのが実は明確に問われるのではないかと。
 ですから、働く人が二次健診を受けるときには、休暇をきちんと保障できるような職場の体制をつくるとか、とりやすいような環境をつくるとか、あるいは労働者に対するいかに重要かということの周知徹底とか、実効性を上げる措置がなければだめなんじゃないかと思いますが、その面ではどうでしょうか。
#164
○政府参考人(野寺康幸君) 確かにこの制度を設ける以上、その実効性をいかに上げるかというのは大変な課題であろうと思います。
 ただ、この二次健診の中身、つまり結果として上がってくる肥満であるとか高血圧、中性脂質、血糖値といったような症状については、生活習慣の中でこれが原因となってこういう結果になるという部分もあるわけでございます。業務上の仕事によってそうなるということももちろんあるでしょうが、そういった私的な面もあるという現実を考えますと、これに要します時間でございますとか賃金でございますとか休暇を与えるとか、そういったところまで事業主の負担というふうに義務づけてしまうのはどうかなという感じがするわけでございます。
 ただ、先生御指摘のように、この制度の実効性をいかに上げるかということは大きな課題でございまして、一般的労働者の健康確保、それ自体が事業の円滑に非常に重要な要素になるわけでございますから、制度ができます以上は、この制度のPRを十分することによりまして制度の実効性を上げていきたいというふうに思います。
#165
○八田ひろ子君 PRだけでなく現実的な措置、例えば医療機関は事業所の近くで受けることができるようにとか、いろいろなことがあると思うんです。
 とりわけ、朝からも話題になっておりますが、中小企業の問題、今も中小企業主に過大な負担にならないようにというふうに言われましたが、そこで働く方々にとっては定期健康診断を受けるにもいろいろ困難が伴っているようで、実際に私見ましたら、五十人以下の小規模事業所における健康診断の実施率というのが八二・九%。これは義務で、もしこれを受けさせないと罰則もあるというところからすると非常に実施率が低いんではないか。一方、低い実施率なんですが、有所見率、異常があったというのが四三・九%と、大規模の事業所と比べて高い結果になっています。
 こういう小規模事業所における健康診断の徹底というのが重要だと思いますし、一次健診を受けなければ二次健診まで行かないということが実際にあるものですから、そういう面で労働省はどのような具体的な手だてをお考えなんでしょうか。
#166
○政府参考人(野寺康幸君) 確かに、先生御指摘のとおり、定期健康診断それ自体が全体で八五・一%の受診率ですが、事業の規模が小さいほど受診率は低いという傾向にございます。
 受診率の向上のために何をすべきかという問題ですが、健診の実施と徹底した労働者による受診がこの制度全体で不可欠でございますので、事業所に対しまして健康診断実施のための徹底的な指導、それから側面援助になりますが、地域産業保健センターにおきます特に中小企業をターゲットにした支援といったようなものを行ってまいりたいというふうに思います。
 また、現在、小規模事業場における健康確保方策の在り方に関する検討会という形で検討を実際に行っている状況でございますので、今後、その結果が出次第、これを踏まえまして、特に小規模零細事業にターゲットを当てました健康診断の実施の徹底を図る方策を考えてまいりたいというふうに思います。
#167
○八田ひろ子君 事業主も含めて、やはりこういった問題、先ほどありました一人親方とかそういうところも重要ですし、また深刻だというふうに思いますので、ぜひそういった結果を待つまでもなく取り組んでいただきたいと思います。
 次に、二次健診の結果が出たという事態がもしあったとして、事業者の就業上の措置ですね、こういうのをとるために無論やっていただくわけですけれども、今回の法の中身を見ますと、労働者の側からの結果の提出があった場合ということで、無論結果の提出がなければわからないということなんでしょうけれども、提出をちゅうちょしたり、いろいろな理由で提出ができないとか、いろいろあると思いますが、そういう場合の就業上の措置は図られないというふうに思えるんです。
 それは、こういった健康診断の結果を何らかの形で就業上の措置に反映できるような、命を守るという目的でやっているわけですから、そういう面ではどういうことをお考えになっているんでしょうか。
#168
○政府参考人(野寺康幸君) これは大変微妙な問題があるわけでございます。もちろん二次健康診断給付につきまして、事業主が労働者からその結果をいただいた場合には、その結果をお医者さんと相談いたしまして個々の労働者ごとに必要な措置を講ずるということになるわけでございますが、果たして二次健康診断を受け取った御本人自身がそれを事業主の方に渡すかどうか。例えば、非常に血圧が高かったとかそういったような場合に、労働者の側では、例えば残業を減らされる、あるいは賃金の安い職場に回されるといったようなおそれもございましょうし、あるいは単にプライバシーの問題として提出されないといったようなこともあるんではないかと思います。したがいまして、そういった場合には現実問題として、二次健診の結果に基づく措置というのは事業主の側ではとりようがないわけです。
 ただ、私どもは、この制度を設けたいと思う背景には広い意味での過労死予防ということがあるわけでございますので、結果としてもし過労死になった場合の損害ということに比べて、二次健診の結果を出すということの意味を改めて労働者の方にも十分PRしたいというふうに思います。
#169
○八田ひろ子君 これは健診をするだけでなく、保健相談、指導というのもありますし、そういう面で労働者の心配をクリアできるようなやり方を考えておられるのかどうか。それから、事業主の就業上の措置に当たっては、二次健診の結果から今言われたような不利益な取り扱いを受けるというふうに労働者が心配しないような万全な措置が必要ではないかと思うんです。歯どめが要ると思います。それと、やはり一番大きな個人の守らなければならないデータの一つでもありますので、プライバシーの保護。今、安衛法のガイドラインの拡充なども考えられておると思いますが、そういったもので万全を期すという姿勢をお示しいただき、それを労働者にも事業主にもきちんと伝えるということが必要かと思いますけれども、それはどうなんでしょうか。
#170
○政府参考人(野寺康幸君) 事後措置の中身は、まずこの就業上の措置なわけですけれども、それ以外に健康診断の給付の中身として、保健指導であるとか、あるいは栄養とか運動とか、あるいは喫煙をやめなさいとか、そういった指導もなされることになっております。
 そして、この二次健診の結果についての秘密の保持の問題でございますけれども、書面の提出を受けた事業主は、お医者さんの意見を聴取する、そして必要があるときは当該労働者の実情を考慮して作業の転換、労働時間の短縮等々をやるわけでございますが、こういった際の秘密の保持につきましては十分制度上担保されるようにいたしたいというふうに思います。
#171
○八田ひろ子君 実際には、夜勤勤務に転勤する、あるいは従来夜勤がなかったところに夜勤を導入されるというときに、労働者に提示されたときに、健康不安などを理由にしてそれを断った場合、明らかな不利益変更というんですか、関連会社に出向、転籍をさせられたりとか、そういうことが実際に今起こっておりますので、ぜひそういった面ではきっちりした御指導をいただきたいというふうに思うんです。
 最近の定期健康診断における有所見率の推移というのを私見ましたけれども、急速に上昇をして、これから四、五年で五割も超していくんではないかというふうに思うんですね。健診を受けたら五割が所見という事態は深刻だと思うんですけれども、労働省としてはこれはどういうふうにお考えなんでしょうか。
#172
○政府参考人(野寺康幸君) 確かに、定期健康診断において何らかの所見を有するいわゆる有所見者の割合は年々増加しておりまして、非常に憂慮すべき事態だというふうに思っております。そういう意味でも、健康確保という観点からいろいろな手を打っていく必要があるわけでございまして、今回の二次健康診断というものを労災保険上ではございますが制度化するということも、非常にこれにあずかって力あるというふうに思っております。
 ただ、これにとどまらず、広く健康確保につきましては、労働省は、ここで一々申しませんが大変広くやっておりまして、例えばトータル・ヘルス・プロモーション・プランといったような中小企業の事業所にターゲットを当てました、事業場の外のいろんな企業体を仲間に入れました健康確保対策もやっておりますし、あるいは先般来御質問にお答え申し上げておりますけれども、メンタルヘルス関係につきましても最近力を入れているところでございます。
#173
○八田ひろ子君 不利益扱いが行われないという、そういった強い指導の方はどうでしょうか。
#174
○政府参考人(野寺康幸君) 先ほどちょっと答弁漏れがありまして大変申しわけございません。
 就業上の措置は、当該労働者の健康保持を必要とするという目的の範囲内でやるわけでございますので、医師の意見を尊重してこれをやるということはございます。その際に、安易に解雇をするべきではないといったようなこともこの制度の中に盛り込んでまいりたいというふうに思っております。
#175
○八田ひろ子君 解雇だけでなく、今ですと転籍とか全く違う業種に、労働条件が、とりわけ賃金が変わるところに移されるとか、そういった問題もぜひお考えに入れていただきたいというふうに思います。
 次に、大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、今回の法案は、省令で定められる肥満、血圧、血糖、血中脂質の四項目すべてで異常所見があったと、この四要件を満たしているのみということなんですけれども、過労死の実態からすると四要件がすべてそろうのはまれだと、こういう意見があります。
 午前中から、一つでも危険だと、こういう答弁があったわけでありますけれども、労働省は具体的には、今局長がざざっといろいろやっておりますと、こういうふうにおっしゃっているんですけれども、労災保険の中で今回見るけれども、労災をとめるための総合的な対策というのがどういうところでどういう部署できちんと行われるように総合的に考えられているのか、それをひとつお聞かせください。
#176
○国務大臣(吉川芳男君) お説のように、近年、過労死の事案が増加傾向にありまして、労働者やその家族に甚大な被害を及ぼす過労死等の予防は非常に重要な課題と認識しております。
 このために、健康診断の実施と適切な事後措置の徹底、心身両面にわたる健康づくり、これはトータル・ヘルス・プロモーション・プランと言われておりますけれども、推進、それから長時間残業の抑制や年次有給休暇の取得促進による労働時間の短縮等の取り組みを推進してきたところであります。
 今般のこの改正法案につきましては、二次健康診断等給付は、過労死をより効率的に予防するため、支給対象を四項目のすべてについて異常の所見があると診断された過労死のリスクの高い健康状態にある労働者に限定しておりますが、これは、俗に言われています死の四重奏の四つの危険因子のいずれかの危険因子を持つ労働者についても、労災病院の活用により労働者の健康確保を図りたいと考えております。
 また、労働者の自殺の予防につきましては、メンタルヘルス対策の積極的な推進、相談体制の整備とともに、厚生省との統合に伴い、職域及び地域両面からの施策として総合的な調査研究、啓発活動等の防止対策を進めてまいります。
#177
○八田ひろ子君 今、概括的な御説明をいただいたんですけれども、例えば、先ほどから局長が必ずしも生活習慣病は事業主だけの責任ではないということなんですけれども、実際には、労災病院に生活習慣病予防センターをつくっていただくとかいろんな面でやっていただいていると思うんです。
 私、この労災の問題では、メンタルヘルスの面でもあるいはこういった生活習慣病の予防の面でも、あるいは実際にやけどをするとか手足がもがれるとか、それぞれの専門的な問題ということで労災病院が各地にございまして、あるいは内部疾患、けい肺、じん肺などの専門病院とか、そういうところの充実というのがあわせて必要ではないか、今後労災病院の果たす役割というのも非常に大きくなるんではないかというふうに考えておりますけれども、大臣、この労災病院を今後も充実していく方向で整備をされる、こういうお考えなんでしょうか。
#178
○国務大臣(吉川芳男君) 私も、この地位につかせていただきましてから、いわゆる労災病院の存続を願う陳情客に何件か私お会いさせてもらっておりますけれども、正式に、我が省といたしましては、昨年の十二月に総務庁から、労災病院の機能の再構築を進めるとともに、統合等を進めるための再編整備計画を策定すべきであることが勧告されてきているわけでございます。
 労災病院の再編整備計画については、地域関係者の意見を十分に踏まえ、労災病院の配置状況、地域の医療供給体制等を総合的に考慮いたしまして、本年十二月をめどに取りまとめていく予定であります。
 この再編整備計画につきましては、地域の医療機関等と連携しつつ、メンタルヘルスや過労死など労働者の健康問題に対する取り組みを図るなど、労災病院の機能の強化についても盛り込みたいと考えております。
 以上です。
#179
○八田ひろ子君 機能の強化、整備というのは私は大歓迎でございますけれども、例えば私の住んでおります愛知県では、名古屋南部工業地帯の真ん中に中部労災病院というのがございまして、ここは労働災害が大変多い地域でもあるわけなんです。また、大変離れたところに旭労災病院というのがございまして、ここは瀬戸の陶磁器産業などの関係もあって、じん肺、けい肺の非常に優秀な病院であります。
 ところが、こういうところを一緒にして統廃合でなくしてしまおうという話も出て、実際にはもう旭労災病院の地域の自治体からは、議会からもまた行政からも存続の声が上がっておりますが、そういった地域の要望だけでなく、オールジャパンで労災病院がどういう役割を果たしてきたか、そういったことを今本当にもっと充実させるべきだというふうに思いますし、とりわけこの中部労災と旭労災では医療圏も二つに分かれて、非常に大変なところを、統廃合ということにもしなるようでしたら、労働省が幾らこれからなくなるからといっても余りにも無責任ではないか、こういうふうに思うわけであります。
 続きまして、その労働災害について、労働災害防止の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
 まず、大臣にお尋ねをしたいと思うんですけれども、委員の皆さんにもお配りさせていただきましたのは、これは名古屋市にあります住友軽金属工業株式会社名古屋製造所に働く人たちがつくっておられる職場新聞の一部をコピーして皆さんにお届けしたものであります。
 これは、ここの製造所というのは五百五十名を超えるリストラを強行した昨年の九月から、これは昨年の九月からここにあるんですけれども、一年の間に二十六件の労災事故がごらんのとおり発生をしています。これは前年比で倍増でありまして、この二十六件の被災者の方の中では二人の方が亡くなっている。また、ここの経験年数というところをごらんいただくとわかるんですけれども、作業経験が一年未満の未熟な労働者の方の労災事故というのも十件に上っているわけなんですね。
 そこで大臣、一般的に言って一つの事業所においてこういうような事態というのは、私は大変異常で深刻な事態だというふうに思いますけれども、大臣はどのようにこれをごらんになってお考えになりましたでしょうか。
#180
○国務大臣(吉川芳男君) 労働災害を防止することは事業所の責務であります。
 御指摘のように、一つの事業所で労働災害が多発している状況につきましては、当該事業所において労働災害の発生の防止に向けての取り組みをより一層強化させる必要があると考えております。
#181
○八田ひろ子君 本当に私も異常で余りにもひどいというふうに思うんですが、ここに、ことしの三月七日と八月五日に死亡災害が起こっておりますけれども、その概要と原因についてどう把握しておいでになるのか伺います。
#182
○政府参考人(野寺康幸君) 具体的なお話でございますのでお答え申し上げます。
 本年三月七日に発生いたしました死亡災害でございますが、アルミニウムの鋳造過程におきまして、溶解したアルミの入った槽からアルミが流れ出して、そして付近にありました油圧リフトのゴムホースにかかりました。その結果、ホースが溶けまして、その中に油が入っておりますから、これに引火して火災が発生したということがございました。流出したアルミの除去作業をしておりました被災者がこれによりましてやけどを負って、全身やけどを負って亡くなられた、こういうことでございます。この災害は、溶解アルミの槽の栓が外れてしまったということによって生じたものというふうに報告されております。
 また、八月五日の方でございますが、こちらはアルミ板の塗装作業の最中、点検のためにこの被災された方が塗装用の機械に近づきましたところ、その機械の塗装用ロールを駆動する回転軸に巻き込まれてしまったということでございます。この災害の場合は、回転軸とロールの連結部分に出っ張った突起物があったわけでございまして、これに被災者の衣服がひっかかったことにより生じた災害であるというふうに報告を受けております。
#183
○八田ひろ子君 本当に悲惨な災害なんですね。
 日本アルミニウム協会は、ことし六月二十九日に緊急通達を出しまして、会員の各社に安全への取り組みを強化するように要請をしました。ちなみに、この日本アルミニウム協会の会長というのは住友軽金属の社長さんであります。これは、ことしに入ってアルミ関連企業の死亡事故が五月の末までに三件四名発生して、労働災害発生状況が最悪となっているからだというふうに書かれています。この住友軽金属の名古屋製造所における八月五日、今御説明があったんですけれども、この死亡事故というのはこの緊急通達の後に起きておりまして、この協会の通達も生かされなかったということです。
 なお、死亡災害では、この後十月にも住軽金の関連企業で死亡災害が起こっておりますし、その他の災害はまだここに書いてありませんが、九月も十月もあるわけなんですね。
 そこで、労働省としまして、この死亡災害を受けて、そうした事故の再発防止策としてこれまでどういう指導をされてこられたんでしょうか。
#184
○政府参考人(野寺康幸君) 住友軽金属工業の名古屋製造所に関します件でございますけれども、名古屋南監督署というのが所轄でございますが、所轄の監督署におきまして適宜臨検監督を実施いたしております。回数で申しますと、平成元年以降、延べ二十八回臨検監督をいたしておりまして、その際、機械設備の安全装置あるいは衛生管理者等、安全管理体制が十分であるか、さらに有機溶剤等に係ります環境の測定等に問題が認められないかどうか、こういった観点からの指導を行いまして、そして問題点については指導に努めているところでございます。
 また、平成五年あるいは平成九年に発生しました死亡災害でございますが、災害の原因に重大な法違反がございました。そういう意味で、安全衛生法違反被疑事件としてこれは検察の方に送致いたしております。
 ことしになりましても御指摘のような死亡災害が発生しておるところでございまして、いわば要注意事業所として現場におきまして厳重に今後とも監督してまいりたいというふうに思っております。
#185
○八田ひろ子君 局長は答弁ですからさらさらとお読みになったというふうに思うんですが、異常な企業ですね。
 それで、今、平成元年から二十八回の指導に入ったというふうに言われて、また平成六年、八年には安全管理の集中指導という指定をしてやってこられたわけですよね。しかし、これだけの労働災害が起き続けている。
 労働省として、労働災害の度数率とか強度率など、統計的に見て異常であるという認識はあるんでしょうか。また、そういうふうに指導されているんでしょうか。
#186
○政府参考人(野寺康幸君) 災害が多過ぎるという認識は持っております。
#187
○八田ひろ子君 災害が多過ぎる、見ただけでだれもがそう思うんです。それに対して労働省が何をするのかということなんですよね。
 繰り返し繰り返し同じような事故が起きておりまして、私はこの労働災害、いろいろな部署がありますけれども、どの部署も繰り返し起きているんですが、事故の要因の大きなものとして長時間過密労働、深夜作業の連続があるんじゃないか。ここは三直二交代制の二十四時間連続操業というのに変わったわけですね。この三直二交代というのは、御承知のように労働者を三つのグループに分けまして、二つのグループが交代で昼と夜三日間ずつの勤務で恒常的な残業で二十四時間をつないでいる。昼勤の方は朝八時に出てきて夜の九時までの勤務ですね。それで、夜勤の方は夜九時に出てきて朝の八時までの勤務ですね。これは多少ずれはそれぞれあるんですが、正式な勤務は違います。これは早出と残業を足して、こういう勤務に実質なっているということです。
 しかし、これは先ほど来お話があるように、例えば一年間で言うと二千時間を超える長時間労働になるんですけれども、法違反ではないということでこういうことができるわけなんですけれども、さっき御説明をいただいたスラブ鋳造の現場では、これは室温が四十度から四十五度常時あるところです。ここで十三時間仕事をし続けるということ。途中で食事の時間が入りますけれども、その食事の時間でも、横になる休憩室のスペースの問題もあるんでしょうけれども、休憩所に行かないで、比較的暑くないところに段ボールなどを敷いて完全に皆さん寝ちゃっているんです。
 職場からの声をここに持ってまいりましたが、三・二連操職場では早く帰れない、順番に帰るので自分の都合では帰れない、体もくたくただ、昼休みはみんな寝ている、こんな勤務やめさせてほしいと、こういう切実な声が出ています。
 こういう劣悪な環境のもとで危険な作業をやっているんですから、三直二交代制の二十四時間連続操業を行うという勤務体制は、働く人の健康保持とか災害防止にとって非常に大問題ではないか。十三時間の連続の拘束時間というのは通勤時間を当然含んでいませんので、通勤しますと昼勤の方は十五時間かそれ以上会社のために時間を使うわけなんですよね。そういう労働環境の中でこれだけの災害が起きているんですけれども、局長、どういうふうにお考えですか。
#188
○政府参考人(野寺康幸君) 先生のお話はよくわかるのでございますが、届け出られております協定の中身の二交代勤務制につきましては、これは法律上の問題は少なくとも形式上はないというふうに承知いたしております。
 ただ、だからといってこの事業所を放置しておくというつもりは毛頭ございませんので、先生の方の御指摘にもございましたが、安全管理の面では平成八年度に安全管理特別指導事業所に、あるいは衛生管理の面では平成七年度に同じような指定をしておりますし、先ほど来申しておりますように、災害が多過ぎるという認識に立ちまして、現地の監督署、さらに愛知の労働局、連携してこの事業所の監督に今後とも注意を払っていきたいというふうに考えております。
#189
○八田ひろ子君 注意を払っていただくのは当然です。
 しかし、これは亡くなった方でいいますと、ことしの三月七日に亡くなった方は、二十五歳の方が全身やけどで亡くなっています。どうして火がつくかといえば、アルミが溶けた温度というのは六百八十度にもなるそうです。だから、そういうところで油と接触すれば当然火がつくし、アルミは鉄と違って、こういった煮えたぎったアルミが飛び散りますと、鉄だと丸くなるんですけれども、ぱっと飛び散るという性格があるんです。
 しかも、同じスラブの事業所で何度もこういう同じような事故があって、それをとめられないとか注目していますとかいろいろ言われるけれども、なぜこういうふうに同じ事故が連続して起こるかというところまで踏み込んで指導をされないと、幾ら労働安全上の重点の指導の企業にしますとかそういうふうにおっしゃっても、直らないというのはどういうことなんですか。
#190
○政府参考人(野寺康幸君) 基本的には法違反があれば私どもはいつでも摘発する態勢でおるわけでございますけれども、形の上で法違反がなければこれは残念ながら見守るしかないわけでございます。
 ただ、事故がありました場合には、先ほど申し上げましたが、二件の死亡事故について、先生の御指摘にもございましたが、こういった事故の場合に法律の違反がないかどうかという観点から適切に対応してまいっているというふうに思っております。
#191
○八田ひろ子君 法律の違反がないかで適切にやっていただくのは当然です。先ほどの御答弁でも、平成九年のときにはこれは地検に送られている案件もあるわけですよね。ですから、何度も同じようなことで、どういう指導をしてもこれが直らないということは、このような法違反ではない、労働時間だけで見れば法違反じゃありません。しかし、それは皆さんも長時間労働をやっているというふうに思われるかもしれませんけれども、朝八時から出てきて夜九時まで拘束されるという十三時間の昼勤を十三時間、十三時間、十三時間とやって、四日目には夜勤で十一時間拘束の十一時間、十一時間、十一時間と、こういうふうにやるんですよ。確かにトータルですればその次に二日ないし三日の休みがあるんだから労働基準法違反では当然ないですし、労働時間もクリアするというんですけれども、こんな労働状況だったら普通の労働者、普通の人間だったら危険なところでも正常な判断ができると思いますか。私はそれを局長に聞きたいんです。
#192
○政府参考人(野寺康幸君) 先生の御指摘の点については私自身非常に重く受けとめておるつもりでございます。軽い印象を与えたとしたら大変申しわけないと思います。
 今後の対応でございますけれども、既に検察の方に送致しているものについては、これは検察の方の進捗状況を待ちたいと思いますけれども、それ以外に現場の監督署、名古屋南の監督署でございますが、特別の監督をかなり頻繁に実施することによりまして、事前予防も含めまして対応していきたいというふうに思っております。
#193
○八田ひろ子君 労働安全上の問題もそうですけれども、労働時間とか作業環境、実際に聞いてみえると思いますけれども、ここは立ち作業が多いものですから、しばしば座ることのできるようにと、当然のことですけれども、いすを置けという指導があったんです。それで、違う建屋の休憩所にいすばっかりの部屋があるんです、いすばっかりを置いてあるんです。
 だけれども、さっきも言いましたように、十三時間続いている勤務というのは、なぜ二十四時間を全然間なくというのかというと、機械をとめたりすると、さっきのコーティング工場でいいますと、とまったらそこに印がついちゃうもので、ロールはいつも動かしていなくちゃいけないというようなところなんです。だから、休憩所まで行けなくて皆さんが休憩できないという、いすを置けばいいとかそういう指導で済ませているからきちんとした判断ができないような過密労働になっているというふうに思うんです。そういうところまできちんと、ロールでも巻き込まれ事故がいっぱいございますでしょう。これなんかでも、私なんかだったら本来カバーがあるべきじゃないかというふうに思います。
 この三十一歳の方が機械に巻き込まれたとおっしゃいましたが、頭蓋骨も壊れちゃうような大変な事故なんですね、これは。だから、こういうのでも巻き込まれ事故がどんどんと、これは一年間を見ただけでも六件あるんですよ。このコーティングの工場というのは四十三人しか現場で働いていない、四十三人でやっている現場なんですよ。そのうちにこの一年間に六件。十月には、ここに書いてありませんが、もう一件事故があるんですけれども、こうやって続いているということに対する指導がどうなっているのかということ。
 これは重点的にやっているとか重大だと思っているというのは無論同じ認識だとは思うんですが、そういうのをやっていても、何でですか、この亡くなったスラブ鋳造工場でも一年間に五件もありますよ。六百八十度のアルミの中に足を突っ込む人が二人も出ているんですよ。そんなことだれもしたくないのに足を突っ込む、なぜ突っ込むのかということも、私は、これは死亡災害じゃないからというんじゃなくて、きちんと原因究明をしなければいけない、こういう事故があってはならないという前提に立てばそういうことができると思うんですけれども、なぜこんなにここは続いているのかというのは、私はどうしても労働省の責任として解明していただきたいんです。どうですか。
#194
○政府参考人(野寺康幸君) 事故の背景に一体どういう大問題が潜んでいるか、これはなかなか難しい問題であろうと思いますが、具体的に事故を防止するという観点からの監督はこれは厳しくやってまいりたいというふうに思います。
#195
○八田ひろ子君 大変事務的な答弁で残念ですけれども、大臣、資料をごらんいただいているというふうに思うんですけれども、三月七日に亡くなったスラブ鋳造の職場の方、二十五歳でこれから人生という方ですよね。この方、朝八時に出勤して、夕方六時半に全身やけどです。これ、会社は労基署に通告はしなくて、労基署は明くる日の新聞を見て重傷だというのを知って問い合わせをしたんです。結果的にこの方は亡くなりました。また、八月五日に亡くなりましたコーティング工場の方、この方も三十一歳、働き盛りですよ。朝八時からの勤務で、夜の八時四十五分に巻き込まれて、全身砕けて亡くなっています。
 こういう、二月に一回はだれかが巻き込まれたりするような職場なんですよ、このコーティング職場というのは。ですから、ほかの部門で合わせて年間二十六件。私は、この長時間と過密労働と、四十度、四十五度という室内の温度の中、休むところもままならない、休憩時間はもうみんなぐっすり寝ているような、もう人間の限界を超えているような労働現場だと思うんです。精神的にも肉体的にも追い詰められている。
 きょうは、過労死の問題も大きな問題なんですけれども、ここでは過労死の裁判に訴えている方もあるんですね。だから、こういうのを労働大臣、どう思われますか。
#196
○国務大臣(吉川芳男君) 先ほど来、委員の事実に即しての御披瀝がありまして、私もまことに残念な災害であるなというふうに思っている次第でございます。
 作業環境のことについては、現場を見ていない私でございますから、どこをどうすればいいなんということは言われませんけれども、ただ、お昼休みに皆さんが前後不覚に横になって寝ていらっしゃるというお話もありまして、そのときは、さっき、いすを並べただけの、そこでとまり木的に寝ていればいいなんというものではないんで、やっぱりきちんと三十分なり一時間なりぐっすり、かえって寝てもらった方が疲労も回復して、また注意も散漫にならずにやれるのでなかろうかなと。話を聞いただけでしかございませんけれども、そんなことも思った次第でございます。
 今、局長から、非常に重く受けとめて、委員の言葉を重く受けとめて今後とも処していきたいという答弁がありましたから、その内容を十分聞かせていただきまして、報告を受けたいと思っております。
#197
○八田ひろ子君 私は、このような企業は、操業停止も含めて厳しい態度で臨むべきだと、そうしていただきたいというふうに思うんです。
 きょう、一年間の総労働時間を目標では千八百時間にしようとか、そういう御努力があるというお話もあるんですけれども、ここのような本当に人間性を無視するような働かせ方、その中で労働災害が多発しているというのは本当に許せないと思います。働く人を使い捨てにしている考え方があるのではないか。
 今、一部上場の会社では、八社に一社が史上最高の利益を上げているというふうに報道されています。その一方で、働く人はリストラの首切りとか実質収入が減っているという、こういうことも報道されているんですけれども、労働者の健康や命を犠牲にしてまで利益追求であってはならないというふうに私は思いますし、おのずからルールをしっかりとつくること、このただ働き残業をやめることもそうですけれども、長時間超過密労働という、こんなことを規制できなかったら、私は、日本の中にこの労働関係の省庁というのは一体どこにあるのかと言われると思います。ですから、そういった問題もしっかりと検討をしていただいて、この問題、たまたま一つの企業ですが、日本のアルミ工業の業界ではトップの企業です。二五%の生産を上げています。そういうところがこういった働く人の命や健康を粗末にしているという、こういうことを受けとめて、ぜひ厳しく対処していただくことをお願いして、質問を終わります。
#198
○大脇雅子君 法案の改正点に先立ちまして、先回に引き続きまして、財団法人KSDの問題について二、三お伺いをしてから、法案の改正の問題点に触れさせていただきたいと思います。
 まず、労働省が監督官庁として是正措置を講じるようにとKSDに対しては指導されていると思うのですが、どのような内容で、いつから、具体的などのような問題に対して指導をされていたのか。そして、それに対してKSDはどのように是正を行ってきたのか。さらに、労働省としてはそれをどのようにして確認してきたのか、明らかにしていただきたいと思います。
#199
○政府参考人(野寺康幸君) 少し長くなりますけれども、お許しを願いたいと思います。
 KSDに対します主な指導監督の状況でございますが、平成五年の三月に立入検査をいたしたわけでございます。災害補償の事務処理要領の策定が、これがきちんとできておりませんでしたので、この点について指導をいたしました。同年五月に指導項目を改善してまいりまして、報告がございました。
 また、ちょっと飛びますが、平成十年七月には評議員会の設置、これが内閣の方で各公益法人が設けるべしということが決まっておりまして、そういう意味でこの評議員会の設置、あるいは役員数が余り肥大化しないようにと、抑制しろといったような趣旨の改善勧告をいたしております。
 さらには、同年の、平成十年の十一月には、豊明会におきます補助金の使途が不明確であると。つまり、豊明会に出しております補助金と豊明会の自前収入のどちらでどの事業をやっているのか明確に区分されていないという点につきまして、区分経理を明確にするように指導したところでございます。これについては、残念ながら、是正が確認されていないこともございました。
 そういう意味で、本年五月になりまして立入検査を行いまして、八月の十日に、一つは評議員会、それから評議員会の設置を「寄附行為」の中で明確に定めるといったような問題。それから、豊明会に対しますKSD自身の補助金の審査体制。それから、補助金の使途の明確化並びに組織、職員、場所について豊明会といったようなところとKSD本体を明確に区分しろといったような区分の問題。それから、経理を明確に区分しろという問題。さらに、先ほども御指摘がございましたが、KSD会館の使用を適正化する。それから、KSDの行います事業を、例えば、本来公益法人としてあるべきではない宗教法人への融資であるとか、あるいは株式会社ケーエスデーブライダルへの便宜供与であるとか、そういった点につきまして改善をするように勧告いたしたところでございます。
 今般の改善勧告に対しましてKSD側からは、九月八日の日付で文書によりまして、これら指摘した事項について大部分につきまして改善する旨の報告をいただいておるわけでございます。
 ただ、私どもとしては、この結果を徹底するために、改めまして九月の二十九日付で、期限を付して、その期限までに改善しろといったような形の勧告を出してございます。
 以上、概略でございますが。
#200
○大脇雅子君 そうしますと、平成五年の三月二十五日に立入検査を最初されているわけですが、この場合に何か広報誌の掲載における関係会社や団体との関係を一層明確化するようにという指導もしておられると思うんですが、これは先回問題になりました自由民主党の機関紙への広報というような問題も入っていたわけでしょうか。
#201
○政府参考人(野寺康幸君) 先ほどの経過の中で概略を申し上げたので、そういった抜けた点があった点をお許し願いたいと思うんですが、先生御指摘のその点は、平成五年三月三十一日の文書の中で指摘している問題でございます。これはKSDの広報誌、「沙羅双樹」というものがあるわけでございますが、その中に事業広告を載せておりますが、その広告の中でKSD本体がやっている事業と、例えば関連会社ケーエスデーブライダルであるとかそういった別会社、営利法人がやっている事業とをごっちゃにして載せていたということがございますので、そこの点を、本体がやっている事業なのか、あるいは営利事業から広告料を取って、そしてこの機関誌に載せているのか、そこを明確に区分しろと、こういった指摘をしたわけでございます。
#202
○大脇雅子君 そうすると、まずその関連事業の営利事業の広告というのはここで、この勧告でとまったわけですか。
#203
○政府参考人(野寺康幸君) 今申しましたように、KSD本体の事業と関連企業、要するに一般的な民間企業の広告とがどっちがどっちなんだかごっちゃになっていたわけですね。営利企業の広告は営利企業の広告、KSD本体の事業の広告は本体の事業の広告、そこを明確にしろと、こういう指摘でございまして、それはその後是正されております。
#204
○大脇雅子君 そうすると、今、私がお尋ねした自由民主党の機関紙への広告等その他はどうなったわけですか。その点は問題にならなかったんですか。
#205
○政府参考人(野寺康幸君) この平成五年の指摘の中では、そういったことを問題にしたわけではございません。
#206
○大脇雅子君 それから、平成十年の七月三十日は文書を交付して評議会の設置等されておりますが、それとともに役職員数や組織の肥大化の抑制というようなことを指導しておられると思うんですが、このとき、役員報酬の非常に大きい額ということについてはどのように認識されていたんでしょうか。
#207
○政府参考人(野寺康幸君) これも前に御答弁申し上げたわけでございますが、この平成十年の際に役員報酬のことを問題にしたわけではございません。ただ、こういった時点、ごく最近に至るまで私ども、私どもの所管の公益法人につきまして役員報酬全体の額を把握しているという形で監督をしてまいりました。
 KSDの場合には、たしか二十三人の役員で二億八千万か九千万ぐらいの額でございますので、これを二十三で割りますと一人当たり一千万ちょっとと、こういう額でございますので、その中でもちろん例えば理事長の方は若干高いでしょうし、そういった高低はあるんだという前提でございますが、全体として平均がその辺であればそれほど高くはないんではないかと、こういう認識であったわけでございます。
#208
○大脇雅子君 そうすると、最近になって七千万という役員報酬を取っておられますし、それからアイム・ジャパンにおいては二千万近い報酬を取っておられて、合計一億円というようなことが報道されているわけですが、これについての是正勧告などをなさるおつもりはありますか。
#209
○政府参考人(野寺康幸君) 先ほど申しましたように、私どもが古関理事長個人の年俸が七千二百万であるということを認識いたしましたのは、この事件がこういう形をとりまして大々的に報道された後であるというふうに御認識いただいたと思いますけれども、今後につきまして、こういった金額というのは社会的に見まして不当である、不当に高額であるというふうに思っております。
 現在、理事長は職を辞しまして、空席でございますので給与は払っていないわけでございますけれども、仮に今後、理事長といったようなものが存在する場合には、世間的な常識の範囲内と、当然内閣におきます決定事項もございますが、そういった範囲内におさまるように指導はするつもりでございます。
#210
○大脇雅子君 それから、平成十年十一月に、いわゆる豊明会におけるKSDからの補助金の使途の明確化について、そして補助金と他の経理との区分の経理の明確化について指導をしておられるわけですが、このとき、村上議員などの党費を肩がわりしているというような実態については労働省としては認識があったのでしょうか。それから、その補助金というものが明らかに豊明会に流れているという認識があったわけですか。
#211
○政府参考人(野寺康幸君) 改めて申しますが、KSD本体から特に福利厚生事業を補助金の範囲内でやるようにということで豊明会が請け負っているわけでございますので、私どもの所管公益法人でございますKSDから出ているその補助金の額の範囲内でそれが適正に使われているかということを私どもは監督する義務があるわけでございます。
 その意味で、この補助金が適正に使われているか、あるいは補助金を使ったと称するその項目について、果たしてそれが補助金で賄われたのか、あるいは豊明会の独自収入で賄われたのか、その区分が明確でないという認識を持っておりましたので、その区分を明確化しろと、こういう要求をしているわけでございます。
 国会の先生方に豊明会としてどのようなアクションをとられたか、それは私どもの関知するところではないというふうに思っております。
#212
○大脇雅子君 そうすると、最近また、平成十二年五月に立入検査をされたと。この場合には「寄附行為」の所要の改正を求められたということですが、これはどういう改正を求められたんでしょうか。
#213
○政府参考人(野寺康幸君) 一つには、一つにはというか、前々から指摘してございますこの評議員会、これを政府の決定として各公益法人に設けさせろと、こういうことになっておりますので、この点を、評議員、評議員会を設けるという趣旨を「寄附行為」の中に明記しろと、こういう趣旨の要求をしたわけでございます。
#214
○大脇雅子君 それから、この豊明会との関係における審査、検査体制を確立するように、そして補助金の使途の明確化等、その組織、職員、場所について明確な区分をするようにと。机が二つ並んでいるとか云々というようなことが新聞紙上言われているんですが、この豊明会との関係における審査体制の確立、補助金の使途の明確化というのは一体、もう少し具体的にどんな指導をなさったんでしょうか。
#215
○政府参考人(野寺康幸君) 先ほど申しましたように、豊明会という任意団体にKSDの方から補助金が流れておりまして、それが福利厚生事業に使うということで流れているわけですが、これは、まずもって行政が使途をチェックするという以前にKSD本体の中で果たしてそれが福利厚生事業にちゃんと使われているかどうか、こういう審査体制をつくれと、こういう要求をしているわけでございます。
 それから、使途の明確化の問題でございますが、これも先ほど申しました豊明会がやっておる福利厚生事業の中で果たしてその支出が、その費用がKSD本体から来た補助金で賄われたのか、あるいは豊明会の独自収入、これは主として会員の分担金あるいは雑収入といったようなものでございますが、こちらの方で賄われたのか、そこが書類上明確に区分されていないという点、これを明確にしろと、こういう要求であったわけでございます。
#216
○大脇雅子君 そうすると、先回もさまざまに言われたように、会費とか雑収入が非常に少ないにもかかわらず補助金が非常に過大であるということで問題になっているわけですが、最初は平成十年十一月に指導しておられて、十二年五月にさらに立入検査をして改善勧告書を交付されたと。どうしてこれがなかなか改善されなかったのか、余りにもずさんなまま今日まで至ったということについて非常に大きな疑問があるわけです。
 指導体制が甘かったのではないか、あるいはまたいわゆる理事長の政治的な力が強かったのかどうかわかりませんが、余りにも勧告に対して不遜というか、そういう改善の傾向がずっと続いていて司直の手が入ったということに対して納得がいかないんですが、その点はどういうふうに考えたらいいんでしょうか。
#217
○政府参考人(野寺康幸君) 今の点でございますが、順を追ってお話ししますと、平成十年の指摘の際には、これは口頭で指導しております。その際に、KSDの側からは、平成十一年度においてこれは改善する、こういう御回答をいただいているわけです。しかしながら、平成十一年度になりまして是正されていなかったわけでございますので、翌年の、ことしの平成十二年度に当初の立入検査でこの結果を、口頭指導よりは若干強いと私ども思っておりますが、文書で勧告したわけでございます。
#218
○大脇雅子君 そうしますと、これは九月八日付で指摘した部分は改善すると言っているわけですが、現在に至るもどのような対応をKSDはとっているんでしょうか。
#219
○政府参考人(野寺康幸君) これは、この文書を交付した後に、KSDの幹部の方から今度はちゃんとやりますというお話をいただいていたところ、今般のスキャンダルと申しますか、捜査当局が入った、こういう事態になって、正直申しまして現在KSDは混乱状態にあるわけでございます。
 ただ、私どもは、行いました改善勧告が今後早急に適切に実施されるように厳しく監督してまいりたいというふうに思います。
#220
○大脇雅子君 平成十二年五月にKSD会館の使用の適正化ということが改善勧告に入っているわけですが、先ほど木俣議員も質問されましたけれども、本来ならばKSD会館というのは会員のために使われるべきものであり、登記もしっかりKSDのものにしなければならないというわけですけれども、使用の適正化という場合に、やはりここから私は古関一家は退去するということが必要だと思うんですが、こういう点についてはどのように指導しておられますか。
#221
○政府参考人(野寺康幸君) この会館については、要するに最初KSDにいらっしゃるお客様をお迎えする迎賓館というような御説明があって、その後にKSD会館ということで広く会員の方がいろんなイベントの際に使う、こういう趣旨で私ども聞いておるわけでございます。もちろん、これは部分的に個人所有の部分がございまして、それぞれKSDの所有財産として登記されている部分と古関何がしの個人財産として登記されている部分に登記上分かれているわけでございます。
 ところが、ことしの五月の実態調査、この会館の中に入りまして実態を見ましたところ、どうも一般の会員が使っているような形跡がないということがあったものですから、それではまず会員が使うというふうに言っている以上は会員が使える体制をきちんととる必要があるんではないか、これはまず規定をつくって会員が利用することができるようにすべきではないか、こういうふうに考えたわけでございますけれども、その後いろんな事情がマスコミ等で報道されております。
 現在のところ、KSDの方でみずから改革案を出しておりますが、その中でもこのKSD会館については早急に処分するということを表明しておりますので、今後はその辺を十分見守ってまいりたいというふうに思っております。
#222
○大脇雅子君 それからさらに、KSDの行う事業の適正化で、宗教法人へ霊園開発の融資とか、あるいはケーエスデーブライダル、関係会社への便宜供与の是正、KSDからここへ出た資金というのは回収が可能だと考えていらっしゃるかどうか、お尋ねします。
#223
○政府参考人(野寺康幸君) 例えば、御指摘のうち霊園の方でございますが、正善院というお寺がお墓の分譲をしたいということで造成をしたいわけですが、その費用がないということで金融機関から借りようとした場合に、担保が十分でないので借りられない、こういう事情があったようでございまして、そのときにKSDが担保を提供して銀行から借り、これを又貸しした、こういうことになっているようでございます。
 私どもとしては、こういった営利企業に便宜を図るということは公益法人としてはあってはならないというふうに考えておりまして、そういう意味でこれをやめろと、こういうことを言っているわけでございます。契約というものもございますので、若干改善に時間はかかるかもしれませんけれども、こういった営利企業に便宜を図ることをやめさせるというつもりでおります。
#224
○大脇雅子君 「寄附行為」の違反行為というのがさまざまあったわけですが、これを是正するというのはかかってKSDに加入した会員のいわば権利というものを回復するということが必要だと思うわけですが、これに対して、解約をしたいんだけれどもなかなか応じられないというような不満も私ども社会民主党のKSD問題ホットラインなどの訴えではあるわけであります。会員に対して収支報告も一切行われていないということもありますが、この点についてはどのような指導を行っていかれるつもりでしょうか。
#225
○政府参考人(野寺康幸君) 私どもとしては、KSD本体について会員の方から解約したいということが事実上難しいというお話は届いておりませんが、万一そのようなことがあるとすればそれは大変な問題でございますので、今後そういった点に注意しながら指導してまいりたいというふうに思います。
#226
○大脇雅子君 収支報告の点はどうでしょうか。
#227
○政府参考人(野寺康幸君) 御指摘の点も含めまして、ほかの点も経営上のいろいろな問題につきまして今後情報公開がもっと図られるべきだというふうに私どもは考えております。
 それにつきましても、KSDのみずからの改革案の中に、会員等に対して透明性を確保すること等、運営についての情報を開示するといったような一項を入れておりますので、今後この点が十分に担保されるかどうか見守ってまいりたいというふうに思います。
#228
○大脇雅子君 実は、十一月一日に実施いたしました社会民主党議員団によるKSD調査におきましても、KSDは、「寄附行為」や各年度の収支報告書等、KSDの事業活動を確認する基礎資料の提供を請求したところ、すべて霞が関の方に差し出しているという回答でありました。この霞が関が警察庁をいうのか労働省をいうのか明確ではありませんけれども、今回のKSDに関する捜査を進めるためにも、労働省は情報公開を誠実にKSDに行わせるべく対応をしていただきたいと思います。労働大臣の御見解を伺いたいと思います。
#229
○国務大臣(吉川芳男君) KSDが十月十八日に発表したKSDの改革においては、会員等に対し透明性を確保するため、運営についての情報の開示を徹底することが盛り込まれているところでありまして、労働省といたしましては、今後、これまで労働省が改善を勧告してきた事項やKSDが発表したKSDの改革に基づき、KSDに早急に改革の実現を図らせるとともに、捜査の推移を見守りつつ、公益法人として適正な運営が行われるよう十分指導していく必要があると考えております。
 さらに、社民党議員団に対して、基礎資料は霞が関に差し出しているという回答をしたとのことでありますが、これは、現在、KSDに対しては東京地検特捜部の捜査が行われ、同特捜部により関係書類が押収されていることからそのような回答になったのではないかと推測しております。
#230
○大脇雅子君 それでは、法案について一、二点お尋ねをしたいと思います。
 二次健康診断等給付について、これまでいわゆる死の四重奏と言われている肥満、血糖、血圧、血中脂肪の四項目すべてに該当しなければできないのではないかというような点について疑問が提示されて、四項目の中では例えば並列ではなくて、さらに危険度が一つでも非常に高いという場合、あるいは二項目が該当すれば労働者の請求を認めるということにすれば、労働者の健康維持のためには非常にこの制度が資すると考えますが、いかがでしょうか。
#231
○政府参考人(野寺康幸君) これは専門家の御意見を十分尊重しなきゃいけない分野であると私ども思っておりまして、専門家の、お医者さん方でございますけれども、検討の結果を踏まえまして、高血圧、高血糖、高脂質、さらに肥満、この四項目に該当する場合に、ほっておきますと飛躍的に過労死の危険が高まる、こういう状況の報告をいただきましたので、これを踏まえまして、この四項目に該当する場合に二次健康診断給付を支給しよう、こういうふうにしたわけでございます。
 逆に、一項目でも二項目でも該当すればやってもいいんではないかというお考えがあるかと思いますけれども、他方で、先ほど来申しておりますように、こういった四つの項目はいずれも御本人の生活習慣に原因がある部分を否定できないわけでございますので、一方で労災保険の給付が事業主のみの保険料で成り立っている現状を考えますと、全面的に事業主に負担をさせるには、これはやはり相当過労死との関連性がより強い場合というふうに限定すべきではないか、こういう考えに基づいているわけでございます。
 ただ、四つに該当せず三つにしか該当しない場合、あるいは二つにしか該当しない場合に、ほっておくということではございませんので、そもそも安全衛生法の中に一次健康診断の結果を尊重して事後措置を講ずるという規定がございますので、こういった中で問題は解決されているというふうに理解しております。
#232
○大脇雅子君 法案の第二十六条二項に厚生労働省令で定めるということになっておりますが、この内容はどのようなものになるのでしょうか。
#233
○政府参考人(野寺康幸君) これは、御指摘のように、二十六条二項で二次健康診断の検査内容を厚生労働省令で定めるということにしているわけですが、この際の考えなければいけない判断基準が三つあると存じます。一つは、脳血管疾患及び心臓疾患の発症のリスクを客観的に評価できる検査であるということが必要でございますし、二番目に、検査結果の評価方法が医学的に確立されておりまして、事業主がその結果でどういった就業上の措置が必要かを判断できる適切なものであるということが必要であると思います。最後に、全国の診療所等において広く実態問題として実施できる検査でなければ現実には受診が無理でございますので、そういった三つの条件を満たすような健診の結果というものを今後必要な検討を行って詰めてまいりたいというふうに思っております。
#234
○大脇雅子君 法第六十六条の五というのは健康診断実施後の措置というのを定めておりますが、労働者の健康診断の結果の内容というのは重大なプライバシーであり、十分な保護がなされなければならないと考えます。
 まず、そのためにどのような施策がとられているのか。さらに、適切な対処の方法として、配置転換その他で健康状態を理由として不利益取り扱いがあってはならないので、その点の配慮義務を使用者に義務づけるべきであると考えますが、いかがでしょうか。
#235
○政務次官(釜本邦茂君) 労働安全衛生法第百四条におきましては、健康診断の実施の事務に従事した者に対して秘密の保持が義務づけられており、これに違反した場合には罰則が科せられることとなっております。
 また、同法に基づき定められた健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針においては、事業者は個々の労働者の健康に関する情報についてその保護に特に留意する必要があり、また就業上の措置の実施に当たって関係者へ提供する情報の範囲は必要最小限とする必要があるとしております。またさらに、労働者の健康状態を理由とした不利益な取り扱いにつきましては、同指針において、健康診断の結果に基づき就業上の措置等を決定することに当たっては、事業者はあらかじめ当該労働者の意見を聞き了解を得ること、医師等の意見を理由に安易に解雇等をすることは避けるべきであるなどとしております。
 今後とも、同指針の周知徹底を図ることにより、労働者の健康情報にかかわるプライバシー保護を図りつつ、適切な就業上の措置がなされるよう引き続き事業者等に対する指導に努めてまいりたいと思っております。
#236
○大脇雅子君 メリット制を適用することによって労災隠しがあってはならないという指摘などされておりますが、今回の改正の意義を踏まえて、実施のための決意について労働大臣にお伺いして、質問を終わります。
#237
○国務大臣(吉川芳男君) いわゆる労災隠しの防止につきましては、これまでも労働基準監督機関において、臨検監督、集団指導等あらゆる機会を通じまして事業者に対しそのようなことが行われることがないよう指導を徹底してきたところでありますが、仮に労災隠しの存在が明らかとなった場合には、司法処分も含めて厳正に対処してきているところであります。
 今後とも、あらゆる機会を通じまして事業者に対する指導を徹底するとともに、新たに建設業等の関係団体に対する指導文書の発出、医療機関用ポスター等の作成、配付、安全パトロール等を活用した啓発等の労災隠しの防止の取り組みを積極的に行うこととしております。さらに、労災隠し対策について、行政と労使がともに検討を行う場を設けることも考えております。
 以上です。
#238
○大脇雅子君 ありがとうございました。
    ─────────────
#239
○委員長(吉岡吉典君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、山崎正昭君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭郎君が選任されました。
    ─────────────
#240
○高橋紀世子君 労災法改正案について質問させていただきます。
 この労災法改正案に対する具体的な質問に入る前に、日本の労災保険の基本的なあり方についてお聞きしたいと思います。
 労働者が病気にかかったときに、労災法でカバーされるものなのか、それとも健康保険でカバーされるものか、その決定はどの機関が、そしてどの人物がしてくれるものなのでしょうか。そして、その基準はどんなところにあるのでしょうか。大変基本的なことですが、お尋ねしたいと思います。
#241
○政務次官(釜本邦茂君) 労災保険における業務上外の認定は、労災請求がなされて労働基準監督署長がこれを行うこととなっております。この認定に当たっては、最適な判断がなされるよう労働省において認定基準を策定しているところであり、この認定基準に基づき業務上外の判断を行っているところであります。
#242
○高橋紀世子君 ということは、経済的な負担をする、お金の出どころである労働省が決める権限を持っていらっしゃることです。やはり、私はこれにはいろんな問題があると思うし、第三者的機関があってしかるべきだと思います。そして、それにはだれがそれを決めるかという見直しが必要と思われますが、大臣、どういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
#243
○政府参考人(野寺康幸君) 事実関係のところだけ。
#244
○委員長(吉岡吉典君) 吉川労働大臣、その旨をあれしてください。
#245
○国務大臣(吉川芳男君) 局長に答弁いたさせます。
#246
○政府参考人(野寺康幸君) 大変微妙な問題でございます。
 私どもは、国で労災保険を主管しておりますので、この労災保険を主管しているという性格上、労災保険の給付の決定は行政官庁、つまり先ほど総括政務次官が御説明しましたように、具体的には労働基準監督署長が行うと、こういうことになるわけでございます。
 ただ、この決定がいかに客観性を担保するかという問題であろうかと思いますが、こういった基準につきましては常日ごろから公正な判断基準というものを目指しておりますし、またこういった一度つくった基準も時々刻々変化していく社会情勢に合わせるように適宜改正をしているわけでございます。
 ただ、一方で、具体的な請求にありまして御不満の方があるわけでございまして、そういった不満を行政内部で処理する方法として二重の審査体制というのをしいているわけでございます。
 ただ、それにもやはり御不満がある場合には、裁判所に訴えられるというケースも多々ございます。
#247
○高橋紀世子君 ありがとうございました。
 脳や心疾患の患者は労災ではどのように認定されるのか。この改正案導入後、どういうふうに変化していったのか、変化していくのか、いくとお考えになるのか、お話しいただきたいと思います。
#248
○政府参考人(野寺康幸君) まず、脳・心疾患の問題でございますが、これにつきまして請求がなされました場合には、先ほど申しましたように、監督署におきまして、その方の業務量あるいは仕事の中身、それからもともと基礎疾患がおありになったかどうかといったような多角的な観点について調査をさせていただきまして、そして認定基準に照らして業務上外の判断をすると、こういう方法をとっております。
 御指摘の中にございました脳・心疾患にかかわる認定基準を平成七年二月、それから平成八年一月に改正してございまして、その中で、業務上による明らかな過重の負荷を発症前に受けたといったような場合、あるいは過重負荷を受けてから症状の出現まで時間的経過が医学上妥当なものであるかどうかといったような観点もこの認定の中に入れるということにしたわけでございます。
 最近におきましては、こういった認定基準の改定の結果もございまして、例えば過労死という形の事案も申請がふえてございます。
#249
○高橋紀世子君 私はクモ膜下出血という病気になり、昨年倒れました。その前に人間ドックにも入りましたし、健康診断はいろいろしていたつもりだったのですが、予知することができず、突然出血してしまいました。
 後から伺うと、これは今では、脳ドックに入れば、そしてそれなりに診断をすれば予知できる病気だと聞いております。
 今度の労災法改正案ですけれども、やはり死に至るような危険な病気については、少し費用がかかっても健康診断の中にそういう診断のあれを入れた方がいいのではないかと思いますが、いかがなものでございましょうか。
#250
○国務大臣(吉川芳男君) 労働安全衛生法に基づく健康診断は、業務に関連する健康障害の防止を図る観点からその項目が定められています。
 クモ膜下出血を含む脳・心臓疾患については、業務に関連して急速に悪化するおそれがあることから、その予防と早期発見のために、平成元年に心電図検査等の健診項目の追加を行い、また平成十年にも血糖検査等の健診項目の追加を行ったところであります。
 今後ともこれらの健康診断が適切に実施されるように努めてまいりたいと思っています。
#251
○高橋紀世子君 ありがとうございました。
 今回創設される二次健康診断等の給付の内容はどのようなものかお聞きしたいと思います。
 それは、私は健康診断の給付として、社会問題になっている精神障害についてもその対象とすべきではないかと考えているからであります。
#252
○政務次官(釜本邦茂君) 二次健康診断等給付として、事業主が実施する労働安全衛生法の規定に基づく定期健康診断等の結果、脳・心臓疾患に関する一定の項目について異常の所見があると診断された労働者に対し、脳血管及び心臓の状態に関する検査である二次健康診断と脳・心臓疾患の発症の予防を図るため医師等により行われる保健指導である特定保健指導とを支給することとしています。
 二次健康診断については、脳血管疾患及び心臓疾患の発症のリスク評価ができる検査であること、検査結果の評価方法が医学的に確立しており、事業主がどのような就業上の措置をとるべきかの判断が適切にできるものであること、全国の診療所などにおいて広く実施できる検査であるとともに受診者に身体的な負担の少ない検査であることなどの条件を満たす検査を行うことを考えており、具体的には、負荷心電図検査等を行うことを予定しています。
 特定保健指導については、医師または保健婦、保健士が適切なカロリーの摂取等食生活上の指針を示す栄養指導、必要な運動の指針を示す運動指導、飲酒、喫煙、睡眠等の生活習慣に関する生活指導を行うことを予定としております。
#253
○政府参考人(野寺康幸君) 委員長、補足的な部分を。
 先生の御指摘の精神障害の部分についてお答え申し上げます。
 精神障害についても対応すべきではないかという御趣旨かと思いますが、精神障害を含めましたメンタルヘルス全体の問題として考えますと、現在の段階では、多くの事業場で行われております集団健診の中では、個別に対応が必要なものの把握というものは大変難しいわけでございます。
 といいますのは、御本人の側も精神障害があるということについて人に知られたくないといったようなこともございますし、こういった問題のプライバシーに対する配慮の必要性が高いということを私どもは考えております。そういう意味で、現在御提案申し上げている仕組みの脳・心臓疾患と同じような形でこれに対応するのはどうもなじまないのではないか。
 ただ、これを放置するつもりはもちろんございませんので、本日の御答弁でも何度か申し上げましたメンタルヘルスに関する事業場内のガイドラインといったような形、あるいは全国に三十七ございます労災病院の拠点病院には、こういったメンタルヘルスの相談体制も開設いたしております。そういった包括的な方法によりまして当面メンタルヘルスに対応してまいりたいというふうに考えております。
#254
○高橋紀世子君 それでは、メンタルヘルスについて診断していただいて、労災で治療するというようなことが実際にはあり得ることでございますか。
#255
○政府参考人(野寺康幸君) メンタルヘルスでありましょうとも、それが業務上の原因によってそういう状態になったということが認定できれば、労災保険の対象には当然なるわけでございます。
#256
○高橋紀世子君 大変職業的なあれでノイローゼや自殺者もふえておりますので、大変デリケートなことだとは思いますけれども、体の病気と同じようにメンタルの方もこの労災改正の中にぜひ入れていただきたいと思います。
 私は、この法律には基本的には本当に賛成ですし、労災法の改正は大変うれしいことだと思いますけれども、市民がよりよく活用できるためにはやはり包括的な法整備が求められていると思います。
 どうもありがとうございました。
#257
○委員長(吉岡吉典君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#258
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#259
○委員長(吉岡吉典君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、長谷川清君から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川清君。
#260
○長谷川清君 私は、ただいま可決されました労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び無所属の会の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一、中小企業における健康診断の実施状況が十分でないことにかんがみ、特に中小事業主に対し健康診断の必要性について周知徹底を図るとともに、指導・監督に努めること。
 二、二次健康診断等給付制度の運用にあたっては、その対象となる労働者が確実に受給できるよう適切な処置を講ずること。
 三、職務の高度化・複雑化に伴い、精神的ストレスや悩みを抱えている労働者が増えていることにかんがみ、事業主に対しメンタルヘルス対策を講ずるよう指導するとともに、その支援対策等についても早急に検討すること。
 四、建設業等の有期事業におけるメリット制の改正にあたっては、いわゆる労災かくしの増加につながることのないように、災害発生率の確実な把握に努めるとともに、建設業の元請けの安全管理体制の強化・徹底等の措置を図るなど、制度運用に万全を尽くすこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ御賛同いただきますようお願いを申し上げます。
#261
○委員長(吉岡吉典君) ただいま長谷川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#262
○委員長(吉岡吉典君) 全会一致と認めます。よって、長谷川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、吉川労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。吉川労働大臣。
#263
○国務大臣(吉川芳男君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。
#264
○委員長(吉岡吉典君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#265
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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