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2000/11/09 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 国民福祉委員会 第2号
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2000/11/09 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 国民福祉委員会 第2号

#1
第150回国会 国民福祉委員会 第2号
平成十二年十一月九日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月九日
    辞任         補欠選任   
     小宮山洋子君     櫻井  充君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中島 眞人君
    理 事
                亀谷 博昭君
                田浦  直君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                小池  晃君
    委 員
                入澤  肇君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                狩野  安君
                武見 敬三君
                南野知惠子君
                今井  澄君
                櫻井  充君
                堀  利和君
                松崎 俊久君
                山本  保君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生大臣     津島 雄二君
   政務次官
       厚生政務次官   福島  豊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       厚生大臣官房障
       害保健福祉部長  今田 寛睦君
       厚生省健康政策
       局長       伊藤 雅治君
       厚生省保健医療
       局長       篠崎 英夫君
       厚生省保健医療
       局国立病院部長  河村 博江君
       厚生省医薬安全
       局長       丸田 和夫君
       厚生省老人保健
       福祉局長     大塚 義治君
       厚生省児童家庭
       局長       真野  章君
       厚生省保険局長  近藤純五郎君
       社会保険庁運営
       部長       小島比登志君
       労働省労働基準
       局長       野寺 康幸君
       労働省職業安定
       局次長      青木  功君
       自治大臣官房審
       議官       伊藤祐一郎君
       自治省行政局公
       務員部長     木寺  久君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障等に関する調査
 (社会保障構造の在り方について考える有識者
 会議報告書に対する評価と今後の政府の対応に
 関する件)
 (障害者福祉施策の充実に関する件)
 (クロイツフェルト・ヤコブ病及び代用心膜使
 用症例に関する件)
 (ホームヘルパーの待遇改善に関する件)
 (国民年金第三号被保険者の届出制度に関する
 件)
 (ポリオの予防接種に関する件)
〇健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(中島眞人君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、小宮山洋子君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(中島眞人君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障等に関する調査のため、本日の委員会に厚生大臣官房障害保健福祉部長今田寛睦君、厚生省健康政策局長伊藤雅治君、厚生省保健医療局長篠崎英夫君、厚生省医薬安全局長丸田和夫君、厚生省老人保健福祉局長大塚義治君、厚生省児童家庭局長真野章君、厚生省保険局長近藤純五郎君、社会保険庁運営部長小島比登志君、労働省労働基準局長野寺康幸君、労働省職業安定局次長青木功君、自治大臣官房審議官伊藤祐一郎君及び自治省行政局公務員部長木寺久君を、また健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に厚生省健康政策局長伊藤雅治君、厚生省保健医療局国立病院部長河村博江君、厚生省老人保健福祉局長大塚義治君、厚生省保険局長近藤純五郎君及び社会保険庁運営部長小島比登志君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(中島眞人君) 次に、社会保障等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○今井澄君 おはようございます。
 民主党・新緑風会の今井澄でございます。
 本日、一般質疑の冒頭を私が担当させていただきましたが、去る二十四日、例の総理大臣の私的諮問機関である社会保障の在り方に関する有識者会議が報告書を出されて、二十七日に総理に手渡されたと聞いておりますが、私も早速それを入手して読ませていただきました。津島大臣もこの有識者会議のメンバーでいらっしゃるわけですが、まずこの報告をどのように評価されるかお聞きしたいと思います。あわせて、点数をつけるとすれば百点満点で何点かということをお尋ねしたいんです。
 委員の一人で有識者の一人でもあった堀田力さんは四十点ということをさる新聞紙上で言っておられます。それから、与党の有志の皆さんでつくっておられる社会保障を考える会、この会で前厚生大臣の丹羽雄哉さん、それから公明党の坂口先生、保守党の野田先生は合格点を上げるわけにはいかないと。合格点が何点とお考えかわかりませんが、不合格だということを言っておられるわけですね。
 私は、民主党のネクスト・キャビネットというのをつくっておりまして、その社会保障担当、括弧つきの大臣として一応このことについての見解、談話を発表し、記者会見をしたわけですが、そのとき口頭で私は点数をつけるとすれば三十点だというふうに申し上げたんです。大臣はどのように御評価でしょうか。
#7
○国務大臣(津島雄二君) 私は、試験の答案であれ何であれ、点数をつけることは余り好きでございません。国家試験の試験委員はやったことがございますけれども、点数をつけるということはどんなにデリケートなことかよくわかっておるつもりであります。
 この有識者会議の報告書についていろいろな論評がございましたのは委員御指摘のとおりでございますが、私は、報告書をどういう点数をつけるかということよりも、その中に書かれていることをどういうふうに考えるか、それからその中に将来に向けていい問題点の指摘があればこれをどのように生かしていくかということの方が大事だと思っております。
 もとより、有識者会議には私ばかりでなくて大蔵大臣も入っておる。自治大臣、経済企画庁長官も入っております。ですから、これを特定の行政官庁の意見として受けとめることは到底できないわけでありますし、それから行政側でない方にもいろいろな立場の方がお入りになっておりまして、そういう方々の多様な御意見の最大公約数としてまとめざるを得ないということは御理解をいただきたいと思います。
 あえて評価をいたしますと、もう少し触れていただきたいなという点は多々ございますという意味で不満は私にとってもございますけれども、しかし将来に向けて議論の材料はしかと提供されているという意味で、私はいい報告書であるというふうに評価をさせていただいております。
#8
○今井澄君 確かに、今、大臣も言われましたように、これ各紙いろいろ見てみますと、共通して報道している記事ですね。一面、総合面あるいは社会面も含めまして「高齢者も応分の負担」、高齢者にも負担してもらうんだというような大見出しで各社共通です。
 しかし一方、社説を見ますと、期待外れだとか問題があるという社説のほかに、厳しい選択を覚悟してもらわなきゃならないとか、負担を分かち合おうとか、その内容のことに触れて評価している社説もあるわけですね。大臣が言われたのは後者の方だと思いますし、私も高齢者にも応分の負担をしていただく、これはちょっと誤解の多い言葉ですので私自身として余り言いたくないんですけれども。
 しかし、この中に触れられているように、少子高齢社会の中で持続可能な社会保障制度にしていくためには、支え手をふやすとか、それからそういう意味では高齢者にも応分の負担をしていただく、それからもう一つ、給付についてもそう多くは望めませんよ、ある程度見直しをせざるを得ないという、これが三本柱だということは大体評価は大臣もそうだと思うんですけれども、こういう厳しい現実の中で、しかも安心の社会保障をつくり上げようとするためにはこの三点を確認しようと。このこと自身は私自身も基本的には異論がないわけです。
 ただ問題なのは、私がなぜさっき三十点と申し上げたか、それから与党の幹部の皆さん、社会保障の専門家の皆さん三人そろって不合格点をなぜつけたのかということの問題があると思うんですね。それは、これはある社説にも出ていたんですけれども、この有識者会議はそもそも前厚生大臣の丹羽雄哉さんが厚生大臣になられたときに、二十一世紀の社会保障ビジョンをつくるためにそういう有識者の会議をつくりたいとおっしゃった。その後、小渕総理がそれは政府のレベルでやっていきたいと。そうすると、丹羽厚生大臣が、政府のレベルでやっていただければありがたいということでつくられたという経緯があったと思いますが、そのときにこういうことを丹羽前厚生大臣が言われたそうですね。国民に安心のメッセージを伝えたい、そういう趣旨でぜひ有識者会議には御議論をいただきたいと。
 では、安心のメッセージはここから発せられたのか、有識者会議の。私は、そこが一番実はこの報告を評価するポイントだと思うんです。今国民が求めているのは何かというと、安心と信頼なんです。政治に対してもそうです。社会保障についても安心、それを求めていると思うんです。
 それで、これは各種の世論調査によりますと、どの程度年金がもらえるのか、あるいは医療の自己負担はどの程度に抑えられるのか、介護保険でどの程度サービスが受けられるのか、そういう給付、受けられるものがどの程度かによって、ああ、それだったらこれだけは負担してもいいよ、いや、そんなサービスじゃこういう負担は嫌だよという判断をするところに国民は来ているんですね。
 介護保険だって、いろいろな経過がありましたけれども、結局のところ、私は基本的には順調にスタートしていると思っているんです。あれだけの厳しい高齢者の一割負担、高齢者から保険料をいただくという、社会保障制度とすれば全くこれまでと違うような高齢者に応分の負担を求める制度が既にスタートしているわけです。それはいろんな問題点が出てきていますよ。いろんな不満も出てきています。だけれども、基本的にはこの制度がスタートして半年、保険料の徴収も既に始まって、国民からは大反乱も大暴動も起きていないわけです。そのぐらい国民はある意味で今はクールになっていると思うんですね。だから、問題は、今国民に示さなければならないのは安心だと思うんです。
 そこで、私はきょう資料を配らせていただきました。実は資料を配らせていただいた1は去る通常国会の年金審議のときにも出しましたので、そのとき委員だった皆さんにはまたこれかとお笑いかもしれませんが、これは朝日新聞の三月三十日号に出た小島功さんの漫画です。(資料を示す)
 五年ごとに年金の支給開始年齢は延長され、給付水準は下げられ、その理由が、これ以上負担をふやさないために、特に若い世代の負担をふやさないためにということで、五年ごとにそうやってこられた。結局、今度の年金もまた変わるだろう、追いつけないバスだ、我々は結局乗れないんじゃないか、こういう不安があるわけですね。
 ちょうど今、年金週間ですね。十一月六日から十二日まで年金週間。厚生省、社会保険庁で新聞にこういう一面広告を出していますね。(資料を示す)この中身も、保険料を納めてもらえればちゃんと老後こういう安心が得られますよということは、はっきり言ってここからは伝わってこないんです。年金はありがたいものですよ、年金を納めてくださいよということしか書いていない。保険料を納めてくださいよということしか書いていない。
 国民は、人によって価値観あるいは考え方は違うでしょうけれども、年金の額を示されれば、ああ、これだけか、これだけだったらちょっとためなきゃならないなと思う人もいるでしょうし、ああ、これだけもらえるんだったら安心して老後を暮らせるなという人もいるかもしれない。問題は、幾らもらえるかということが確かであることが大事なんですよ。今、日本の社会保障に求められているのはそれじゃないですか。医療だってそうじゃないですか。自己負担はどんどん際限なく上がる、一体どこまで上がるんだろうと、この心配なんですね。だから、例えば自己負担は二割でとめですよ、あるいは将来三割ですけれども三割以上には上げませんよとか、実は一番大事なのはそこのところだと思うんです。
 その安心が伝わらない。この報告書は負担をしてもらいますよということだけを言っている。安心が伝わりますか、大臣。どうでしょう。
#9
○国務大臣(津島雄二君) まず最初に申し上げますが、今、今井委員がこの報告書について、どちらかというと批判的な御意見が多いとおっしゃった。それは全部マスコミの報道であります。
 私に言わせていただきますと、今の与党のお名前を挙げられたような方々、私は直接個々に会ってお話を聞いております。そして、報告書の内容についてお互いに論評、評価をいたしました。マスコミが十把一からげに三人がどうこうおっしゃったとは非常にニュアンスが違っておる。少なくとも私が個々にお会いした御意見はそうであったと。
 つまり、私として申し上げたいのは、報告書の中身をちゃんと読んでいただいて、その中で示されている事実についてきちっとした御議論をいただきたい。マスコミがこういう論調をしたからどうこうという次元の議論は、国会の議論としては必ずしも適当ではない。それは、先生を含めてここは大専門家がみんなそろっていただいているわけですから、そういう議論を私は御期待したいし、私の立場からはそういう御議論に対しては真剣にお答えをしていきたいということをまず申し上げておきます。
 さて、それでは安心のメッセージであったかどうかと。私は、私なりに受けとめますと、安心のメッセージであったと思っております。
 ちょうど高齢化の一番ピークの二〇二五年ごろについて、かつて平成九年に出されました将来見通しというものとはいささか違った、当時、その時期の社会保障給付金の金額は二百兆をちょっと超える程度であるという数字を示し、そういう世界に行くために我々が今やらなければならないことは、まずその制度の中身について不断の見直し、改善を図っていくべきこと、それからその制度を支える担い手をできるだけふやして支えられる人はみんなで支えていただくことだ、そしてその結果として国民にとって必要なセーフティーネットはしっかり守っていくことだ、この三つのことについては私は的確に触れられていると思っております。
 ただ、それが可能になるためには、この社会保障制度を支えられる方がみんなで支え得るという気持ちになっていただくかどうか、国民の選択はどこにあるかということをきちっと担保しなければならない。それが私ども政治家の使命であるというふうに私は報告書は言っておると思っております。例えば、これから高齢化がずっと進んでまいります場合に、当然その間は今よりも公費の負担をふやしていただく必要があるということも触れている。その公費の負担をふやしていく場合に、これは安定財源でなければなりませんから、どのような安定財源がいいか、適切であるかということも国民的な議論をやってひとつ結論を出していこうじゃありませんかということを言っている。
 私は、そういう意味では、これは安全につながるメッセージを送ってくれたというふうに受けとめております。
#10
○今井澄君 いや、大臣、そういういいかげんな答弁をしないでくださいよ。
 私は具体的に例を挙げて言ったんです。安心のメッセージを出すというのはどういうことかということは、年金はこのぐらいですよと。それはいろいろ考えはあるでしょう。これだけしか出せませんよでもいいんです。どんどんこれから制度が変わるだろう、減るだろうということがいけないと言っているんですよ。だから、今わざわざ資料を持ってきたのは、こういう漫画であっても、これは非常に国民の気持ちをあらわしていると思うから言ったわけです。
 どうなんですか、そういう意味で。だから安心のメッセージじゃないと私は言っているんですよ。
#11
○国務大臣(津島雄二君) 本当に安心のメッセージを出すためには責任のある態度でいかなきゃならない。仮に、今の給付を守る、あるいはさらに国民が望んでいるあるべき給付を全部保障する場合には、それなりの負担はこうですよと。それから、国民が仮に一定以上の負担は適当でないとおっしゃるのであれば、それは給付はそういう姿に改めていかなければならない、こういうことを申し上げておるわけであります。
 委員は具体的におっしゃったと言いますから申し上げますが、例えば今の基礎年金水準を守っていく。私どもはこれは守りたいと思っておるし、それから守るという方向は報告書では示唆をされておりますが、その場合に何が必要かといいますと、恐らく高齢化が進んでいくときには公費をもう少し入れてもらう必要があるという結論にこれは当然つながっていくわけであります。ですから、そのことを抜きにして公費をどこかから持ってくるから今の基礎年金水準を守ろうというだけでは、私はこれは本当の安心につながらないと思うのであります。
 ですから、そこのところを公費で賄うのならば、どういう安定財源を求めるかという税制と社会保障とあわせた議論をやってくれという、極めて私はそういう意味では真剣な問いかけをしているというふうに受けとめておるところであります。
#12
○今井澄君 だから、先ほどから言っておりますように、この報告書でも三本柱と言われる、支え手をふやさなきゃいけないとか、高齢者にも応分の負担をしてもらわなきゃいけないとか、給付水準も今のままではいけませんよという、そのことはいいと言っているんですよ、私も基本的には。
 問題は、それでどうなのかということが安心のメッセージなんですよ。それは有識者会議ではそこまで出し切れなかったと。時間がなかったとか意見が分かれたとか能力がなかったというのなら、そういうふうにおっしゃればいいわけですよ。有識者会議の報告はそういうところまで出せるものではなかったのだったらそうですよ。期待が大き過ぎるから落第点をつけるのはやめてくれと、そうおっしゃればいいんです。
 今の大臣のお話をお聞きしていて安心しましたか、委員の皆様方は。何か社会保障の姿が見えてきましたか。こんなことはこの何年間か言われてきたことの繰り返しじゃないですか、まさに。私は、有識者会議は、率直に言えば、約一年といいますか、一月から十月までかけた時間のむだだったというふうに言わざるを得ないんです、そういうことだとすれば。この間言われてきたことをもう一度オウム返しに言っただけじゃないですか。そういう論評だってありますよ。
 マスコミについて先ほど大臣はかなり否定的なことを言われましたけれども、それは大見出しになる部分はマスコミはマスコミなりに、我々も納得できないところもありますけれども、しかし彼らは彼らなりにそれぞれ専門で、論説委員なり編集委員なりいろいろやってきて、そういう人たちあるいは学者の見解もマスコミに出ているわけですね、そういう中にはっきり。一番手厳しい論評は、これではまるで厚生白書のコピーではないかと。つまり、厚生省がこれまでやってきたことをこれからやろうとすることの正当化で、これでは国民が一層せっせと老後に備えた貯蓄に励むしかなくなる内容なのであると、非常に厳しい論評も出ているわけです。私どもは、もう厚生白書でこの中身のことはほとんど聞いているわけですよ。
 私は、そういう意味で、今、大臣がおっしゃるようなことはもう厚生白書に出ていることだ、何も今さらこんな有識者会議なんてやって報告書をつくる必要はない、そういうふうに思っているんです。有識者会議に期待したのは、だからどうなんだと。負担は負担で、先ほども言いましたでしょう、介護保険。介護保険というのは本当に高齢者に厳しい負担を求める制度なんです。それが始まって、はんらんが起こっていないんですよ。国民はある程度このことに対して評価をしているわけですね。その上に立って次を示すのが我々の責任じゃないんですかということ、そのことを申し上げている。
 新聞の中にもなかなか私は鋭い論評をするなと思ったのは、ある新聞では介護保険制度のことがこの有識者会議で全然議論されていなかったというのは一体何だという論評もあるんですよ。それは先ほど言った趣旨です。ここに書かれているようなことは介護保険制度でもう既に半年以上もやってきているじゃないか。その検証も抜きにして同じことをオウム返しに言って、何だと。
 どうですか、大臣。有識者会議は期待外れ、むだだったんじゃないですか。
#13
○国務大臣(津島雄二君) 今井委員は全体をわかりながらいろいろおっしゃっているんだと思うんです。もしかすると、いろいろと議論しておりますけれども私どもと、つまり委員と私どもの間に事実認識ではそんな大きな違いはないというふうに今感じておるところであります。つまり、恐らく我々の前にある問題は、このつくってきた日本の社会保障制度というものをどうやって二十一世紀に向けて守っていくのか。守っていくという姿をはっきり出したらどうだというのが恐らく委員のお立場だと思うんです。それがはっきり出ていないよと、こういうことをおっしゃっているんだと思うんです。
 私どもは、そうではなくて、それを守っていくためにやはり国民に大きな選択をしていただく必要が前提としてあるよと。それは、高齢化に向けて進んでいくときに、年金につきましても医療保険、わけても高齢者医療制度につきましてあるいは介護保険制度につきまして一定の公的な助成が必要であろう。その助成について一緒になって議論をし、国民の皆さんがこういう形でその助成を担保していこうということをおっしゃっていただけるような議論をしていこうではありませんかと、こういうことを言っておるわけでありまして、恐らく私どもの間には事実認識についてそんな大きな違いはない。
 ただ、それを有識者会議でどこまではっきり言えたかということについて、委員もちょっとお触れになりましたけれども、委員の中にはいろいろな立場の方がおられる、それから行政の側においても何人かの大臣が入っているということで、これが私は可能な最善の報告書と受けとめて、受けとめざるを得ないということを申し上げたわけでございます。
#14
○今井澄君 事実認識として、今どういうふうに少子高齢化が進んでいるのかとか、社会保障制度がどういう現状にあるのか、財政的にどうなのか、そういうことについてはそれは一致するかもしれません。
 もうこれは水かけ論になるから言ってもしようがないかもしれませんが、何回御答弁をお聞きしても、厚生白書から一歩進んだ、二十一世紀が開けてきた、ビジョンが見えてきたとか少し安心できたといったことが全くないということを先ほどから申し上げているんですよ。
 私はある意味で言ったら、これは有識者会議といいながら有識者の人たちもだらしないなという感じがしないわけではないんですが、そう言うのは大変失礼だと思うんですね。
 私もかつて厚生省の検討会の委員をさせていただいて、起草委員までさせていただいたことがありますので、どうやって報告書が出てくるかという経過を、こういうものができ上がってくる経過をつぶさに見せていただいたこともあります。また一方、社会保障制度調査会、これは来年なくなっちゃうんですが、非常に残念ですけれども、その委員も国会議員になってからさせていただいたことがありました。この社会保障制度調査会は委員が起草するんですね。委員の中で文章を書きます。決して、事務局、官僚の皆さんに書いていただかないんですよ。私も出るたびに、帰りますと夜ワープロを打って、ここはこういうふうに文章を変えてほしい、こういう文章を挿入してほしい、これは削除してほしいというのを、当時、隅谷先生が会長でしたけれども、出しました。そうすると、入れてくれたり、また反対意見が出て削除されたり、非常に楽しい経験をさせていただきました。
 この報告書を見ますと、これを私は早速手に入れてずっと本文を読んだのですけれども、あるページなどは脚注が三分の二以上というところもあるんです。おやおやと思ってね。結局、これを書いたのは事務局、厚生省ですね。先ほどもちょっと引用しましたけれども、起草委員になったある先生ですら四十点の評価しかつけていない。結局、時間を切られてこういう報告書を出さざるを得なかった。さぞかし有識者の皆さんは無念な方もおられたと思うんです。
 私は、そういう意味で、さっきから繰り返して申し上げているように、まさにこれは今批判されている官僚主導の審議会方式を首相の私的諮問機関ということで繰り返しただけだ、だから新しいものが全く何にも出ていない、ある意味でいったら厚生白書にお墨つきを与えたものでしかないという意味で先ほどから批判を申し上げているんです。全然国民に対してはメッセージがない。
 しかも、私はこの中でもう一つ非常に腹が立っている。腹が立っているというのは言い方がおかしいかもしれません。ほかにも、新聞でも学者の皆さんが何人も腹を立てて論評しておられます。
 先ほどから厚生大臣が言っておられる応分の負担をしてもらうにしても、公費も入れないとやっぱりやっていけないですよね。そこのことにまた悩んでいるし、好意的に解釈すれば、今こういう厳しい財政状況のもとで、公費をどのぐらい入れます、どこから公費を持ってこられますと言えないものだからあいまいな表現にしかならないということも私もわからないわけじゃないんです。
 だけれども、その公費の持っていき方について今大きな議論があるわけでしょう。いわゆる税方式という問題です、基礎年金の税方式。さらには、老人医療から介護保険までそういう議論があって、予算総則にまで与党の皆さんは今それを書き込んでいるんです。ところが、厚生省と大蔵省は一貫して税方式は否定してきているわけです。私も随分長い間議論してきました。厚生省や大蔵省の言う税方式の否定の理論はここに書いてありますけれども、十年一日何ら状況の変化に対応した新しい論理というのはないんです。
 それと、現状を見ていないんです。例えば、基礎年金が空洞化しているということについても殊さらに無視しようとしている。そして、結局社会保険方式ということにお墨つきを与える報告書にしてしまった。
 これがねらいだったんじゃないですか、厚生省や大蔵省の。それに手をかしたとすれば、私は、有識者会議の皆さん方、あるいはそれに参加しておられた津島厚生大臣を初め閣僚の皆さん方も大きな責任があると思うんですけれども、いかがですか。
#15
○国務大臣(津島雄二君) ようやく幾らか議論がかみ合ってきたと思っておるわけであります。
 まず、厚生白書の巻き直しだという御指摘に対しては、はっきり申し上げておきますが、厚生白書では有識者会議報告書のように明確に公的な負担をふやしていかなければならないということは言っておりませんし、そのためには財源は安定財源を求めなければならないから、税制とあわせて、つまり、今、委員が言われた税方式の議論の本質的な部分を参考にしながら議論をしてくださいと、こういうことを申し上げておる。
 したがって、私は、有識者会議の報告書というのは、いわゆる保険制度はあくまでも唯一至上のものという考え方に立っているものではなくて、今の保険制度と一般財源、その財源のもとにある税、これを合わせて社会保障を支えていくという混合方式を提案したというふうに考えておるわけであります。報告書のまとめに当たって貝塚座長が、これは記者会見でも言っておられますが、これは明らかに混合方式というものをはっきりと打ち出したというところに意義があります、こういうことを言っておられていたことは御承知かと思いますが、そういう意味で、厚生白書の巻き直しであるという点については、どうかひとつもう一遍読んでいただいて、評価を改めていただきたいと思います。
 次に、それでは税方式というものは何か。
 私は、この点については一家言ございます。私も長い間税制にかかわってまいりました。それで、税方式と一言で言うと何かみんなわかっちゃったような方が世の中にいっぱいいることを私は非常に危惧しております。税といいましても、所得に対する課税、消費に対する課税、資産に対する課税、それぞれにおいて特色がございます。いわゆる税方式という場合に、その組み合わせをどうするのか、あるいは特定の税目だけに財源を求めるのかということについて議論が欠落をしております。
 有識者会議の報告書が我々に提起した問題というのは、そういうことについても一緒にきちっと議論をしてもらいたいと。社会保障を支える安定財源として何がいいのか、そういう制度の枠組みについてきちっと議論してほしいという提案をしておりまして、私は税方式と言っておられる方々の主張に対してもかなり大きな議論の材料を提供しているというふうに受けとめておるところであります。
#16
○今井澄君 私どもは、年金の審議のときにその税方式の問題についてかなり掘り下げた議論をしてきたつもりでおります。きょうこの場では時間も限られておりますし、もう一つ質問もしなければなりませんので、その議論はまたいずれさせていただきたいと思いますけれども、そういう意味で、今、大臣が言われた混合方式というのは、現実が混合方式なんですね。これは日本独自の、独特の方式ですよね。それを認めたというか、それは現実でありまして、そこの中で出てきたほころびをどうするかということで、公費の負担をさらにふやすのかどうか、あるいは全額税方式で目的税的なことにするか、そういう議論がもう今随分学者の間にも国民の間にも広がっている。
 そのことよりもむしろ社会保険方式であくまでもいくんだということで議論を閉ざそうとする意図がありありと見えるんですよ。まさにこういう社会的な役割を持ったところにこの報告書の犯罪性があるということを私は言わざるを得ないというふうに思っております。
 大臣は、先ほど実はその辺についても透けて見えるというお話をされましたので、そういういろんな中におられた方としては、そういう経過があったのでここまでしかできなかったというお話かもしれませんが、社会的にはこういうふうに出てきたものがそういうふうになる、だから与党の中からも不合格だという評価が出てこざるを得ないと私は思うんです。私は、やっぱりこれが徹頭徹尾官僚主導で、有識者の皆さんもかなり腹に据えかねながらそうなってしまった今の日本の政治の実態について非常に憂うものであります。
 実は私は、長野県で今度の県知事選を裏方として田中康夫さんを応援して全力を挙げて戦いました。大変おもしろい経験をいたしまして、ああいう選挙もあるんだなと、もう何回も選挙を経験した者としては目を覚まされる思いでした。
 その後もずっと報道されているので皆さんも御承知だろうと思うんですが、佐々木毅さんという、今東大の法学部長でしょうか、政治学者が地元の信濃毎日新聞の十月二十三日号に、今度のことは、一体長野県で起こったことは何なのかということについて非常に鋭い指摘をしておりますので、ちょっと読み上げさせていただきたいと思います。
 「古い仕組みの骨格をつくってきたのは官僚制であり、これは中央から地方に至るまで統治を実質的、日常的に取り仕切ってきた。官僚制は「行政の中立性」という表看板を外すことはできず、従って、自ら政党をつくることはできなかったが、民主政治の下にあっては自らを政治的に覆ってくれる政治勢力を必要とした。自民党は長い間にわたってこの政治的覆いの役割を果たし、それによって自らの政権を維持してきた。」云々とありまして、「現在起こっていることは、官僚制の地盤沈下とその政治的覆いの役割を続けようとする政治勢力の衰弱現象である。」。さらに、「長野県の場合、民主党が強力であるという事態がそれに加わり、この衰弱現象に拍車がかかることになった」。民主党も自主投票を決めて動けなかったわけですね。まさに政治的な覆いに過ぎなかった。
 「今や、有権者を官僚制の周辺につくられた組織によってまとめあげることが困難であることははっきりしたが、これが選挙を通して明確に示されたことは、ますますこうした「古い仕組み」を終わらせる結果になる。」と。
 まさに私どもはそういうところにいると思うんです。政治主導というのは、本当に政治が官僚主導から脱却できるのかどうかというところにあると思うんですね。今、大臣の苦しい御答弁を伺っても、ああ、やっぱりそうだったんだな、それぞれの皆さん、思いがありながらこんな文章をまとめられちゃったんだなというふうに同情せざるを得ないわけです。
 さて、これを受けて、聞くところによりますと、政府・与党の合同協議会をおつくりになるとか、あるいはきのうのある夕刊によりますと、社会保障関係閣僚会議というものをつくることがきのう決まったとかいうことなんですが、この辺はどういうふうにしてやっていかれるのか、それで何か社会保障制度改革大綱というふうなものを二〇〇一年夏をめどに策定するとかいろんな記事があるんですが、どういうふうにしていかれるおつもりかをお聞きしたいと思います。
#17
○国務大臣(津島雄二君) 委員が御指摘になったある教授の御発言について、官僚が国民世論をまとめられない時代になったという点、私も全く同感でございます。私も二十五年国会におりますが、もともとは官界出身でございましたが、本当に大きく変わったと。そして、その変化というものを背景として、今度の報告書が委員御指摘のような隔靴掻痒の感を免れないところにとまったなと、これは私も認めるにやぶさかじゃございません。
 というのは、そこから一歩踏み出すときに、まず国民の皆さんがこういうふうに行きたいということを言っていただかないと官僚は動けない。逆に言うと、政治家がその大きな一歩を進めるためのお手伝いをしっかりしているかと言われれば、私ども内心じくじたるものがあるというところまできょうはまず今井先生にお答えして、恭順の意を表したいとは思います。
 それでは、将来どうするかということにつきましては、今度の報告書が社会保障分野のみならず、社会全体、財政全体を視野に入れた幅広い観点から提言をしたことは事実でございまして、政府において実効ある体制を整備し、社会保障制度について税制など関連する諸制度の検討を含め、総合的、包括的に取り組んでほしいと指摘をしているわけであります。これを受けまして、政府として社会保障改革の全体像を明らかにする義務があると思っております。それが今、委員が御指摘になりました大綱というべきものの取りまとめということでございまして、この作業は総理からも近く発足をしたいから準備をしてくれと言われております。
 私どもとしては、政府・与党の連携のもと、必要な体制を整備し、国民的な議論をやっていただいて、その理解を得ながら、将来にわたり持続可能で安定的、効率的な社会保障制度の構築に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
#18
○今井澄君 この質疑を終わりたいと思います。
 最後に、資料の2でお配りしましたが、私、きのう厚生省の方から有識者会議の報告の説明を受けたときに、改めておやっと思ったんです。この二十八ページに出ている一部を持ってきたんですが、「@の選択が意味すること」、その上段の方に「負担を増大させても給付を確保していく」という選択肢なんですね。その場合にこうなるという図なんです。
 今、日本はまだ高齢化がそれほどでもないということもあって、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンに比べると、一番左下のところにアメリカと並んである。国民負担率も低い、国民所得に対する給付比率も低い。今のままいくと給付費の比率は真ん中のところにある「日本(二〇二五)三一カ二分の一」、ここになりますよと。それで、ドイツ、フランスとイギリスの間だというんですが、イギリスに近いわけですね。このイギリス、ドイツ、フランスの数字は、日本の現在の数字と大体年代は同じなんです。それじゃ、国民に示す選択としては、今のままの給付水準を続けて、負担はふえるけれども、負担がふえたところでドイツ、フランス、スウェーデンほど行かないんだ、なるほどもう一度これも考え直してみていいんじゃないかなと。
 この報告書はこれを否定していますけれども、これだって一つの選択肢なんです。フランスなんかは今失業率がどんどん減っているそうですし、ドイツもまあまあ、いろいろ苦労しているけれども、これは東ドイツの問題もありますし、スウェーデンなんて結構ITで頑張っていますよね。そうすると、日本はこの道を選んだっていいんだなと、改めて国民にこれを率直に示していただくとありがたいなと思います。
 さて、時間がなくなってきたんですが、もう一つ、私はC型肝炎の問題を御質問させていただきたいと思います。
 このC型肝炎の問題、夏の臨時国会のときに、大臣の所信表明の中に大事なことがないじゃないかと言ったときに、福島先生から、いや、高齢者のインフルエンザの予防接種のことが今当面の課題なので落としただけで、実は大事な問題と考えていると御返事をいただきましたが、早速厚生省の中に対策本部が十一月一日付でできたということを大変喜んでいるわけですし、厚生省のお取り組みに感謝を申し上げるわけであります。しかし、どうも私が質問したからとかそういうわけじゃなくて、この原因は、十月二十九日の各紙に、静岡で新生児の治療に非加熱製剤を使った、いわゆるエイズの原因と同じものですね、それでC型肝炎に八人感染したことがわかったというようなことがざっと取り上げられて、それで厚生省は慌てたのかなと思うんですけれども。
 その辺の経緯はともかく、前回もちょっと質問したんですが、このC型肝炎はとにかく肝がんの最大の原因であるということと、何しろ二百万人ぐらいこのウイルスを持っている人がいるということから非常に国民的な大きな問題だと思っているわけですが、厚生省としてはこれまでの対策が不十分だったという反省の上に立って、今度の合同チームですか、取り組みというのを進めなければならないんじゃないかというふうに思っております。
 それで、実は私、全国肝臓病患者連合会という人たちが、毎年、厚生省、労働省、文部省等に対して要望を行うのに、その場を設定して、二時間余りですけれども、そのうちのかなりの時間立ち会ってまいりました。その中で、例えばようやくインターフェロンの再投与もことしの四月から認められたわけですが、長い間インターフェロンの再投与を厚生省は認めてこなかったわけですね。そのことは専門の学者からも批判されているんです。そういうことや、それからこの患者団体が検診ということを呼びかけているんですが、それに対しても非常に対応がおくれていると思うんです。
 それで、厚生省にお尋ねしたいんですが、インターフェロンの再投与の承認がおくれた理由は何かということです。
 もう一つは、厚生省はインターフェロンの有効性は三〇%と言うけれども、確かにウイルスが消えるのは三〇%かもしれませんけれども、肝機能が正常化する例が一〇%あるんです。そうすると肝がんになりにくいわけです。さらに、正常化はしないけれども肝機能が改善する例がさらに三〇%あれば、七〇%は少なくとも肝がんで死ぬのを防ぐことに役立つかもしれないと見るべきなんですが、そういうふうに思わないかどうかということです。
 それから、検診を、特にこれは今度の非加熱製剤を受けた、病院側はもうわかっているわけですね、全国の病院を厚生省は発表しています、エイズのときに。そういうところの患者さんを調べないか。あるいは、肝炎の多発地帯があるわけです。それは、その地域である時期、予防接種なり、あるお医者さん、ある病院で注射を受けた人を中心に広がっているというところがあるので、そういう地域を中心としながら検診をして、一日も早くウイルスを持っている人を見つけて、そして肝硬変、肝がんに行かないように国を挙げてやるおつもりはないか。その辺をちょっとお尋ねしたいと思います。
#19
○政府参考人(近藤純五郎君) 私の方からインターフェロンの関係をお答えしたいと思います。
 御承知のとおり、C型慢性肝炎に対しますインターフェロン療法につきましては、平成四年の二月に保険適用が初めて認められたわけでございまして、そのときには初回投与だけであると、こういうことであったわけでございます。今、先生御指摘のように、このインターフェロンというのが三割程度しか効かない、こういう学界の定説を踏まえて初回投与だけということであったわけでございますが、ことしの四月の改定におきまして、御専門の先生方の御意見あるいは社会的な要請、こういったものも踏まえまして、初回投与において一定の効果があったと見られたケースにつきましては再投与も認める、こういうふうなことで保険適用の拡大を行ったわけでございます。
 今後とも、こういった専門家の先生方の御意見でございますとか社会的要請、こういったものにこたえまして、中医協におきます御議論を踏まえまして引き続き検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。
#20
○政務次官(福島豊君) 今回、省内にプロジェクトチームを設置いたしまして有識者の方々からの幅広い御意見を伺って検討を進めてまいりたいと思っておりますが、その検討に当たりましては、先生から御指摘ございましたように、有効な治療法の開発をどうしていくのか、そしてまた潜在的な持続感染者の方々への検査やその広報をどうしていくのかということが重要な課題になると考えております。
#21
○今井澄君 検診のことは。
#22
○政府参考人(篠崎英夫君) ただいま政務次官からお答えいたしましたように、今、先生の御指摘の面も含めて、こういう中で検討をさせていただきたいと思っております。
#23
○今井澄君 この検診の問題は、私はなかなか難しい問題だと思うんです。
 私も実はB型肝炎に医者の時代取り組んできた経験があります。自慢話もなんですけれども、長野県でB型肝炎の母子感染防御第一例は、私が信州大学の先生や東京都の臨床研の先生方とチームを組んでやった例であります。こちらとしてはよかれと思ってやるんですが、検査をして、その妊婦さんが、その例は妊婦さんじゃなかったんですが、奥さんがB型のウイルスを持っている、したがってもし赤ちゃんが生まれるときにはこういうふうに注射をすれば防げますよというような話をしたところが、離婚になっちゃったなんという例もあるんです。
 だから、そういうこともありまして、まだ肝炎に対しても非常に差別があったり、そういうことがありますし、また本人にとっても確実に治るという方法がないと不安が出るということがありますから、私はこれはかなり教育、宣伝をあわせてやらなきゃいけないと思うんですね。そういう意味では、今まだまだ国民に対する教育、宣伝というのが極めて不十分だと思うんです、この肝炎について。
 しかし、今の時代は、知らせたら差別が起こるとか、不安を拡大するから知らせないという時代ではもうなくなってきたわけです、情報公開の時代で。むしろ、そういう中で、差別をなくし、また強い患者さんにも育っていただかないといい治療もできない、共同した治療もできないということがありますから、私は検診をやる際にあわせてきっちりした広報宣伝活動をやってもらいたいと思います。
 肝臓財団という財団があります。ですから、そういうところを使うのもなんでしょうし、専門の先生方に宣伝してもらう。あるいは、私なども医者時代は肝臓病の話ということで地域に出かけていって、一生懸命誤解を解くような話をしたりしました。そういう現場で保健婦さんとかお医者さんとかにやってもらう、市町村の皆さんにも協力をしてもらう、医療機関にも協力してもらうと同時に、もう一つはやっぱり患者団体、これを重視すべきだと思うんです。自分たちが抱えている問題なんです。これを一生懸命頑張ってやろうとしているんです。
 例えば、つい最近も全国断酒連合会の全国大会というのが福岡であって、私も行ってきたんですが、断酒会の皆さん方も、酒をやめようという活動から、今、自分たちで青少年を中心に酒の害について宣伝する活動を始めているんです。おかげさまで厚生省から予算をいただきまして、中高生向けのアルコールの害のパンフレットを患者団体がつくって、地域で、そんなに酒を飲むとおじさんみたいになっちゃうよというふうな苦労話をしながらやっている。
 今、NPOの時代だと言われていますけれども、実はこれは非常に大事なことなんで、ぜひ患者団体というものを、これまで何か面倒くさい要求ばかりするとか、どうもそういうふうに扱ってきた嫌いがあると思うんですけれども、仲間としてぜひ一緒にこの問題に取り組むという姿勢をお願いしたいと思っております。
 あと一、二分、済みません。
 それで、もう一つ、実はC型肝炎がなぜ広がったか。この前のときもちょっと申し上げましたが、一つは、戦後の混乱期にヒロポンとかああいう覚せい剤をみんなで回し打ちしたりした。そういうところで広がったというのが一つのルートというか、時期でした。それから二番目が、ライシャワー・アメリカ駐日大使が刺されて、その後輸血をして黄疸になったというので有名になって、それで売血だったのが献血に急遽そこで取り組まれましたけれども、いわゆる売血の中にそういう、その後献血になってももちろんなくなったわけではありませんけれども、そういう輸血後肝炎というのが一つのルートでありました。
 もう一つは、先ほどもちょっと言いましたが、ある町に非常に感染力の強いC型肝炎のウイルスを持った人がいた。その人が患者さんである医療機関にかかった。そうすると、昔は針をかえないで次の人に注射したり、針をかえても注射器はかえないで注射したり、静脈注射なんというときは一たん血液を吸い込むわけですから、それで血液に入っていることを確認してからやるわけですから、その患者さんの血液を吸い込んだ注射器で次の人に回し打ちをしたり、そういうことがあったり、いまだに人工透析などで起こっていることがあります。医療が原因で起こっている。そういうルートがあるわけです。
 特に血液、輸血で起こっていることについては、これは検査の問題もあります。厚生省も努力していると思うんですが、やはり日本は売血から献血に移るのがおくれたんですね。あれで駐日アメリカ大使のライシャワーさんが輸血後肝炎にならなかったらもっと、五年も十年もおくれたんじゃないだろうか。やはりこれは日本の行政の姿勢の問題があると思うんですけれども、その辺についての反省はあるのかないのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
 最後に、大臣でも政務次官でも結構ですが、これらのことについての御感想をお聞かせいただいて、その取り組みの御決意をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
#24
○政府参考人(丸田和夫君) 輸血用血液に関する献血者数のことから話していきたいと思います。
 御指摘のように、昭和三十九年以前は年間五、六万人という状況でございましたが、昭和三十九年の閣議決定によりまして国民運動の盛り上がりを見せまして、四十八年には三百二十六万人に至るという状況でございました。
 こういったことによりまして、先生御指摘のように、昭和四十三年には買血由来の輸血用血液が全廃されましたし、また四十八年には民間の血液銀行で血液を預かって運用いたします預血制度、これも廃止されまして、輸血用血液のすべてを国内の献血で賄えるという体制が確立されたところでございます。
 御指摘のC型肝炎に関します安全対策としましては、従来から肝機能の検査、問診のほかに、昭和六十三年にC型の肝炎ウイルスが発見されたことを受けまして、平成元年に抗体検査を導入しまして、平成四年にはさらに精度を上げた検査方法に切りかえてきております。それから、平成十一年にはC型肝炎等三つのウイルスにつきまして最新の検査法であります核酸増幅検査法を世界に先駆けて導入する、こういったことで、その時点における最新の科学的知見に基づきまして安全性確保に努力してまいりたいと考えているところでございます。
#25
○国務大臣(津島雄二君) C型肝炎につきましては、感染者が多いことに加えまして、その感染者の中から肝硬変や肝がんが発生する可能性があることから、国民の大きな健康問題であり、国民の関心も高いものと認識をしております。
 今後、早急に検討を進め、委員御指摘の適切なPRのあり方などを含め、着実な対策につなげることにより、国民の方々に安心していただけるようにと考えております。
#26
○今井澄君 先ほどの御答弁で、なぜ売血から献血に行くのがおくれたかという御答弁がなかったんですが、時間がないからもう結構です。
 私のお聞きしたところでは、ライシャワーさんも最終的には肝臓がんで亡くなられたと聞いております。
#27
○堀利和君 おはようございます。堀利和でございます。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 ただいまの社会保障制度にかかわる今井議員と大臣とのやりとりを聞いておりまして、私はこのように思っております。つまり、経済戦略会議が社会保障の未来像、将来像を示す中で、特に年金のところでは、いわゆる一階部分のところは税による公的年金で、比例報酬の現行の厚生年金のところはもう民間に任せようというようなものを出したわけです、私はこの考え方にはくみしませんが。
 そこで、厚生省としては、この経済戦略会議の方針、報告を厚生省にもう一度引き戻そうということでこの社会保障を考える有識者会議を設置して、当然それに基づいて報告書がつくられたのだろうと見ております。ですから、今井議員が官僚主導だと言われたのは全くそのとおりで、官僚主導で厚生省の考えに戻すためにやったものだというふうに私は理解しているんです。
 私は、それはそれで厚生省のお考えだろうと思うんですが、簡単に申し上げますと、年金でいうと、私は国民年金の一階は税でやるべきだ、税方式で。その他、二階部分は現行のままでいいし、介護保険なり医療は社会保険、保険でやるべきだという私なりの考え方を持っております。総理の諮問機関なり厚生省内の審議会等でこういう重要な問題を議論されるのは結構なんですが、私は国民から選ばれた国民の代表のこの国会でまさにそういった重要な案件を徹底的に議論すべきだろうというように思うんですね。どうも私たちの頭越しでそういうものが進められていってしまうという焦燥感を持ちますので、ぜひこういう委員会で徹底審議をしていただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。
 そういう大上段の問題から若干具体的な問題に、つまり障害者の問題を議論させていただくんですが、国民の皆さんは二十一世紀はどうなるのかということで、期待と不安があるわけです。言うまでもなく本年はミレニアムということで二十世紀最後の年でありまして、来年からは二十一世紀になります。ただ、私は、障害者の施策といいますか問題を見るときに、障害者にとっての二十世紀は二〇〇二年までだ、二十一世紀はまさに二〇〇三年から始まるというふうに私自身は思っているんです。
 それはどういうことかといいますと、例えばアジア障害者の十年が二〇〇二年で終わります。障害者基本法もおおむね十年たって、改正が必要だろうという時期を迎えるでしょう。そこにおいての国の基本計画、これも新長期計画が二〇〇二年で終わる。関連して障害者プラン七カ年戦略も二〇〇二年で終わる。さらに、先般の大きな改正の中で、これまで現行制度の措置制度が障害者にとっては二〇〇二年まで、三年からは利用型制度になるわけです。
 おとといですか、文部省の方でも、これまでいわゆる障害児と健常児を分けた分離教育をずっと基本にしてきて、これに対して私は再三批判してきたんですけれども、ようやく協力者会議の特殊教育のあり方の検討の中で、中間報告ですけれども、障害を持った子も普通の学校に行けるように弾力的な運用をしていこうという報告が出されて、新聞報道によりますと、二〇〇三年度の入学の子供たちからやっていくというのもあるんですね。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
 さらには、国際会議も二〇〇二年に大きなものが二つ三つありまして、これは厚生省にもまたお願い、御支援をしていただきたいところなんですが、今申し上げたように、二〇〇二年度までに大きな節目を迎えるわけです。そして、まさに新しい制度なり政策が二〇〇三年から始まるということで、そういう意味で先ほど申し上げたように障害者にとっての二十世紀は二〇〇二年だと。二十一世紀は二〇〇三年からで、新しい二十一世紀を迎えるには、この二〇〇二年度までにやるべきことはきちんとやっておかないと、安心のできる、期待のできる二十一世紀が来ないのかなと思っております。そういう意味でも、ぜひ厚生省としても、大臣、二〇〇二年というものを目途に全力で、前向きに取り組んでいただきたいことをまずお願い申し上げます。
 そこの関連で、政府が既に障害を理由とした欠格条項、つまり免許なり資格を取る際に障害が理由で資格や免許が取れないということの見直しを今進めておりまして、当初六十三制度、実はその半分以上が厚生省なんですね。現在、改正されてきた中で五十九制度が残って、うち厚生省が二十九本あるようです。
 つい先ほど、医師法、歯科医師法も含めての欠格条項の見直しをということで、医療関係者審議会の小委員会の中で、中間的ですが報告がまとめられたと聞いております。まず、このまとめられた内容の方向性についてお伺いしたいと思います。
#28
○政府参考人(伊藤雅治君) お尋ねの医師法における欠格条項見直し作業の状況でございますが、平成十一年八月に、障害者施策推進本部におきまして、障害者が社会活動に参加することを不当に阻む要因とならないよう平成十四年度までに障害者に係る欠格条項を見直すことと決定されたことを受けまして、医師法における欠格条項につきましても、その見直しにつきまして、現在、医療関係者審議会の合同部会において御検討いただいているところでございます。
 先月三十日に開催されました同部会の小委員会におきましては、障害を特定した欠格条項を廃止して、障害を特定しない相対的欠格事由に改めるなどの見直しの方向が示されたところでございます。
 具体的に申し上げますと、一般的に、心身に障害のある者につきましては、業務の一部を適正に行うことが可能である場合があることから、現行の障害者を特定した欠格事由でございます、目が見えない者、耳が聞こえない者、口がきけない者及び精神病者の条項は廃止をいたしまして、障害者を特定しない相対的欠格事由に改めることとするというのが小委員会の示された方向でございます。
 今後の予定でございますが、さらに合同部会で御審議をお願いする予定でございまして、厚生省といたしましては、その結論を踏まえ、適切な見直しを進めていきたいと考えております。
#29
○堀利和君 確かに、総理府に置かれている障害者施策推進本部が昨年八月に対処方針を示して、絶対的なものは相対的にというようなものがまずあって、それに基づいているとは思うんですね。
 大臣、政府の文書でもバリアフリーという、つまりハード面の物理的な障壁、制度の障壁、情報の障壁、意識の障壁という四つの障壁を挙げて、まさにこの欠格条項は制度の障壁なんですね。
 この欠格条項の問題について申し上げますと、各省庁、政府は、厚生省はもちろん障害者の施策を主にやっているところであり、ある意味でこれにかなり力を入れてやってきたんだから、厚生省の持っている欠格条項を見ているわけです。それで、厚生省の中では、医療関係のところが重要で、医事課の所管の法律も十本ほどありますけれども、まさに頂点の医師法がどうなるかというのを厚生省の中でまた見ていると思うんです。つまり、医師法を頂点にした見直しが本当にどこまで進むのかが、他の欠格条項に対して影響力が大変あるわけなんですね。
 ですから、単に相対的にして書きぶりを、見えない者とか耳の聞こえない者をやめて心身の状態というように書きぶりを変えただけではなくて、本当に教育養成課程なり、国家試験を受ける際の要件なり、あるいは実際に職務ができるサポートなり、こういうことでやっていかないと、何だか文字面だけでごまかされてしまうような不安もありますので、大臣、そこらあたりをしっかりやっていただきたいんですが、決意のほどをお聞かせください。
#30
○国務大臣(津島雄二君) 委員御指摘のとおり、障害のあることを理由として一律に免許取得を制限するような欠格条項は、これは見直すべきでございます。障害者がその能力を十分に発揮できるようにするということは、ノーマライゼーションの考え方からいってももう当然のことだと思っております。
 問題は、この見直しを進めるに当たって、御指摘もございましたが、資格試験の際の配慮や業務におけるサポートなどによって見直しの実効が上がるようにしなければならない。今後、養成機関や働く現場の方々などの関係者の協力も得ながら、障害者がその能力をさらに発揮できる社会づくりに努めてまいる決意でございます。
 委員におかれましても、お立場からいろいろ御提言がございましたら、どんどん私どもの方にお寄せいただければありがたいと思っております。
#31
○堀利和君 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 次に、先日、名古屋に住んでいる車いすの障害者から相談を受けまして、私も実は経験がないものですから、果たしてどうだったんだろうとわからなかったんですけれども、九月に東海地区の集中豪雨がありまして、その方も水没という被害を受けて障害者手帳も使えなくなったということで、電車に乗ろうとして駅に行って障害者割引を申し込んだところ、手帳を持っていませんので、駅員からこれはだめだと。車いすですから障害者と大体わかるので、しゃくし定規過ぎるかなと思うんですけれども、決まりは決まりで、手帳がなければ割引は使えませんので、その辺のトラブルがあったということなんですね。
 それじゃ、遺失、紛失した際の再発行の手続がどうなっているんだろうか、どの程度の期間で再発行ができるんだろうか、もしないときに何か証明する仮証明が出されるものなのか。私も手帳の再発行というのは経験したことがないものですからわからないんですが、そういう手続なりそういった失った際の期間はどんなふうな手だてがされているのかお聞きしたいと思うんです。
#32
○政府参考人(今田寛睦君) まず、一般論的に申し上げますと、身体障害者手帳等をなくされた場合に、手帳を交付した都道府県等に対しまして再交付申請を行うこととなっております。都道府県は、それに基づきまして、交付台帳を確認した上で再発行するという手続となっております。したがって、このためには若干の期間を要するということはやむを得ないことかとも思っております。
 ただ、再交付を受けるまでの間に、例えば在宅サービスなどの障害者のための幾つかのサービスがございます。こういったものを受けることにつきましては、一時的に手帳が手元になくともサービスを受けることができるようにしているところであります。
 また、今回水害がございました愛知県等におきまして、再交付申請者からの要望があればということで、手帳のかわりとなるものとしての証明書を発行するといったような運用によりまして支障のない配慮をしてきていると、このようにお聞きをしております。ただ、このような取り扱いがそういった災害の場面でちゃんと周知されていたかという点につきましては、さらにこれを徹底する必要があるんだろうと思います。
 厚生省といたしましては、このような災害時において障害者の方々にそういったきめ細かな配慮、こういったものをしていただくよう今後ともお願いしていきたいと考えております。
#33
○堀利和君 何分、日本の場合は手帳がないと障害者でないという規定ですので、同じ障害の程度でも手帳を持っていると持っていないとでは全く違いますので、そういうきめ細かな配慮を前向きによろしくお願いしたいと思います。
 次に、さきの通常国会で大きな改正をしました社会福祉法、社会福祉の基礎構造改革としての大きな改革がされる中で、障害者の制度も措置制度から利用制度へと二〇〇三年から変わるわけですけれども、その際の、利用制度になるに当たって、どうもサービス費用の支給期間が別途定められるという話が伝わってくるんです。つまり、措置制度の方がいいと言われた方々の中には、やっぱり公的責任が見える、はっきりするんだ、利用制度になるとどうも本人責任で公的責任があやふやになるんじゃないかという不安があって、今申し上げたようなことが伝わってくると、どうなるんだということで、大変不安にもなります。
 そういう意味で、この辺がどういうものなのかも含めて、やはり障害者等に明確に丁寧な情報、説明というのが今後必要ではないかと思うんですが、とりあえずそのことについてお伺いしたいと思います。
#34
○政府参考人(今田寛睦君) 御指摘のように、平成十五年度から支援費支給方式に変わるわけでありますが、その際、市町村が支援費の支給を決定するときに支給期間を定めまして、その上限について、つまり何年という上限につきましては厚生労働省令で定めるということになっております。
 この支給期間の上限につきましては、利用者の障害の程度でありますとか介護を行う者の状況等に変化があることも考えられる。例えば、障害の程度が軽減されて施設入所から地域生活へ移行することが可能になるような場合、あるいは更生施設でリハビリテーションによって障害が軽減された場合に、これを授産施設あるいは在宅における通所授産にといったことが適当な場合もあるだろうと。このような変化が考えられることから、一定期間が経過したところでもう一度支給の必要性を見直す趣旨で設けられているわけであります。この厚生労働省令に定められる具体的な支給期間の上限については、このような趣旨を勘案して定めることになろうかと思います。
 ただ、支給期間が満了しても、必要な場合には当然引き続き支援費の支給決定が受けられるわけでありますが、その際、サービスの提供が円滑に継続されるよう、つまり満了日と再認定の期間にすき間が生じるということでは迷惑がかかるわけでありますので、そういった意味では前もって支給申請を行っていただくなど制度運営上の工夫は今後していかなければならない、このように考えております。
#35
○堀利和君 満了日と新たに支給する切れ目のないようにと、まさにそこのところが心配になっておられるんですね。例えば、授産施設にいてその期間の何年か過ぎたら出されてしまうんじゃないかという、そんな話さえ飛び交っておりますので、決してそういうことはないというのであれば丁寧な説明をお願いしたいというように思います。
 次に、何回か取り上げてもいるんですけれども、障害者プランの中で、身体障害者もそうなんですが、特に知的障害者あるいは精神障害者も、つまりどうしても施設入所を中心に施策を進めてきたということで、プランの中も達成の一番いいのが施設の方なんですね。それに引きかえて、地域で自立生活するための支援システムがどうもお寒いということがございまして、この点について、やはり親御さんの方も、親の亡き後も含めて、そして社会福祉法の一つの大きなテーマも地域福祉ですから、そのことを考えて、今後いっそどういうふうに対策を講じていくのかお伺いしたいと思います。
#36
○政府参考人(今田寛睦君) ノーマライゼーションの理念というのは、まさに施設内処遇から地域での自立、社会参加を支えるという理念に基づいて施策を進めなければならない、こういうつもりで私どもも努力をしているわけでありますが、地域生活を望まれます例えば知的障害者の方々につきましては、グループホームやホームヘルプサービス、デイサービスなどの在宅サービスが適切に利用できるよう、障害者プランに基づきまして関連施策の充実に努めているところであります。
 平成十二年度からは、ホームヘルプサービスの派遣対象者を重度者から中軽度者まで拡大いたしまして、ひとり暮らしをしている知的障害者本人も支援できるようにするとともに、グループホームあるいは福祉ホームの利用者にもホームヘルパーを派遣できると、こういった制度の見直しも行ったところであります。
 また、地域で生活する知的障害者等の相談、支援を行います各種福祉サービスの提供に係る援助や調整等を行う担当者、つまりコーディネーター、あるいは地域生活での支援を担当する生活支援ワーカー、こういったものにつきまして障害者保健福祉圏域を念頭に計画的な配置を進めているところであります。
 さらに、知的障害者につきましては、就業面、生活面をあわせて総合的に支援する事業でありますとか、あるいは地域で必要な福祉サービスが適切に提供されるよう調整するケアマネジメント体制整備推進事業を今試行的に実施しているところであります。
 このような取り組みによりまして、地域における各種サービスのネットワーク化、システム化を通じて、知的障害者が地域で安心して普通に生活できるような体制づくりに努めていきたいと考えております。
#37
○堀利和君 福祉サービスはやはり現物給付あるいは人的サービスということで賄っていくべきで、その厚みがどこまであるかで実際に障害者が地域で暮らせるかどうかということにかかっているわけです。身体障害者もそうなんですけれども、先ほど申し上げたように、特に知的障害者なり精神障害者の環境というのは脆弱ですので、この辺は一生懸命やらないと理念倒れしてしまう、こんなふうに思うわけです。
 さらに、具体的な問題に入り込んでいきますけれども、知的障害者が地域で暮らす場合、当然所得保障というのが重要になるわけです。知的障害者の定義というのが法律でも定められておりませんけれども、福祉的なところでの知的障害の重度、軽度の程度と、所得保障としての障害基礎年金のところに焦点を合わせてお伺いしたいんです。
 いわゆる軽度の知的障害者の場合、何とか働こうと思えば働ける、あるいは小規模作業所に通うということで社会活動するわけですが、といいましても、労働行政の方でいいますと、最賃法の最低賃金の除外という規定がありまして、その中で、私の知るところでは、三千人程度の知的障害者を中心にして最賃の除外ということになっているんです。つまり、最賃というのはもちろん保障しなきゃいけないんだけれども、身体または精神上という文言のところで知的障害者は最賃以下でもいいよと。もちろんこれは労働基準法のもとできちっとするんですけれども、働いても言うなれば満足のいく給与というのはなかなかいただけない。そういう方の中に軽度であるために障害基礎年金も受けられないという方がいるんです。
 そういう意味で、もちろん重度の方の問題というのは大きいんですが、軽度であるがゆえにそこのはざまで十分な給与ももらえない、基礎年金、障害年金もないというところで大変苦労している方々がいるわけですけれども、この点についての御認識なりお考えをお伺いしたいと思います。
#38
○政務次官(福島豊君) 先生御指摘の問題につきまして、私どもとしましては、就労に向けての訓練、また就労の場の確保などの就労支援を生活支援とあわせ総合的に推進していくことが重要であるというふうに考えております。
 比較的軽度の知的障害の方でありまして一般の企業での就業が困難な方につきましては、授産施設等におきまして就労に向けた訓練を行う、また福祉工場において保護的な雇用の場を提供する、さらに地域生活に必要な専門的な支援を行う生活支援ワーカーの配置を計画的に進めているところでございます。
 また、これに加え、昨年度より、労働省とも連携をいたしまして、生活支援と就業支援を一体的に行う拠点を社会福祉法人等に整備し、生活と就業の両面から生活を支援する事業、これは障害者就業・生活総合支援事業でございますけれども、試行的に実施をしているところでございます。
 今後とも、労働行政と一層の連携を図りつつこの取り組みを充実させるということが重要であるというふうに考えておりまして、努力をしてまいる所存でございます。
#39
○堀利和君 もう少しお伺いしたいのは、要するにそういう方々にも、障害の認定と年金給付の障害の認定は違いますから、そういう点では、障害基礎年金の給付認定のところでは今申し上げたような方々に十分配慮して、安心して社会活動ができるようにしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
 大臣、今のことについての御所見をお伺いしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
#40
○国務大臣(津島雄二君) せっかくの御質問でございますが、総括政務次官から御答弁された線で努力をしてまいりたいと思います。
 障害基礎年金の問題はちょっと勉強させていただきます。
#41
○堀利和君 ぜひ前向きによろしくお願いしたいと思います。
 次に、障害者の在宅福祉サービスについてお伺いします。
 施設に入所されている方が一時帰宅をする、その際、やはり在宅サービスとしてのホームヘルパーなりガイドヘルパーがあれば帰宅した際にも大変安心した暮らしができるわけでございます。ただ、以前にも私がこれを問題にしたときに、言うまでもなく措置制度のもとでは施設給付と在宅給付、つまり措置二重給付はできないと。制度論では私ももちろん百も承知でわかっております。
 しかし、例えばある自治体では、そうは言っても、一時帰宅が一日、二日で済むのか、あるいは一週間、十日なのか。そうすると、やっぱりホームヘルパーなりガイドヘルパーがないと困るということで単独事業もやっているんですけれども、そういう点で、現在の措置制度ではなく利用契約制度になったときに、当然これは支援費ということになります。
 こういう新しい制度になったときに果たしてどうなるんだろうかという、期待もあるんですけれども、この辺の配慮も含めて、現行制度あるいは利用制度に当たってどんなふうになっていくのか、お伺いしたいと思います。
#42
○国務大臣(津島雄二君) ホームヘルパーの派遣などの在宅福祉サービスは、居宅等を拠点として生活している障害者の日常生活を支援するものであることは御承知のとおりです。施設入所者が一時帰宅するような場合に在宅サービスを利用したいなという声もございますが、委員が言及されたとおり、二重の措置となるという基本的な難点がございます。それから、平成十五年度に措置制度から利用契約制度に移行することになっておりますけれども、ここも新しい制度にはなるけれども二重の給付という問題は残るわけでございます。
 そういう難しい問題がございますけれども、今後、新しい制度の詳細を定めていく過程で、議員が御指摘のような点について、二重給付を何とか避けながら何か対応できないかどうか、研究をさせていただきます。
#43
○堀利和君 大臣、逃げで研究をと言わないで、本当に研究してくださいね。
 つまり、介護保険との並びでもこれは難しいと思いますが、まさか大臣は、障害者なり高齢者、お年寄りが施設に入ったらずっと入りっ放しというふうには思わないと思うんです。やはり一時帰宅ということで、一日、二日であろうが、一週間か十日であろうが、そういうふうにして家に帰るということがあって初めて利用選択として自分は施設に入所するんだという自覚が出るんですね。これが実際帰宅もままならないとなったら、やっぱり家族に、地域に捨てられて施設に入れられてしまったという認識なんです。
 今般の生活保護法も収容という文言を変えました、なくしました。文言を変えても、今申し上げたように施設に入ったら家になかなか帰れない。というのは、家族にとっては、施設に入ってしまうと、その後の家族の生活、ライフスタイルというのはそれなりにつくっていくんですね。そうすると、一日か二日ならいいかもしれないけれども、仮に一週間家に戻ったときに対応できないんだというふうになると戻ってくれるなという気持ちが出てくるわけです。やっぱり家族に捨てられたなという、収容の文言がなくなっても実は収容という感覚になっていくんですね。
 ですから、在宅サービス系でショートステイというのがありますけれども、これを逆転して、施設にいる方がショートホームステイという、つまり一時家に帰ったときに家族では今やケアし切れない部分はホームヘルパーだとかガイドヘルパーでやるというショートのホームステイ制度というのを、いわゆるショートステイの逆を、私はぜひ二重給付の制度を何とかそこを乗り越えてやっていただきたいということを切に思うわけです。
 制度のために高齢者、障害者があるわけじゃないですから、高齢者、障害者が施設で生き生きと生活して、そして、たまには家にも戻りたい、このために制度をどうするかというのを、制度を変えるべきだというように思いますので、ぜひそこは本当の意味で研究をしていただきたいというふうに思います。
 次に、ガイドヘルパーのことについてお伺いしますけれども、七月に要綱が変わりました。古いというかそれまでの要綱ですと、私の耳にも入ってくるんですが、市町村が実施すべきガイドヘルパーを、古い要綱ですとガイドヘルプサービスをやっていない自治体もあるし、仮にやっていても公的なお役所だとか病院に行くだけに限られてしまって、いわゆる社会活動にサービスを提供してくれないという、そういう声も聞くんですね。
 今回、その辺が大分見直されたように思いますけれども、そのことと、そういうふうに変わることで自治体に徹底した指導といいますか、これは自治事務、分権ですから市町村がやるべきといっても、要綱を変えたのにはそれなりのやはり厚生省としての思いがあると思いますけれども、その辺をどうお考えかお伺いしたいと思います。
#44
○政府参考人(今田寛睦君) ガイドヘルプサービス事業の実施につきましては、社会生活上不可欠な外出等を対象といたしておりますが、従来の実施要綱におきましてはこれを例示的に示していたわけであります。ところが、この例示そのものが抽象的であるいは非常に限定的であるという、こういう御指摘をいただきました。そういった点も踏まえて、社会生活上不可欠な外出等を対象としている趣旨に照らして、適切な場合には必要に応じて対応できるようことしの七月に実施要綱を改正したところであります。
 この趣旨につきましては関係の会議でも申し述べておりますけれども、機会あるごとに地方公共団体に対しましてこの改正の趣旨が徹底されるよう引き続き努めていきたいと考えております。
#45
○堀利和君 今回の要綱を見ましても、公的機関とか医療機関に必要不可欠なガイドヘルプサービスというようなところが削除されたり、あるいは社会活動もかなり幅が広がって余暇活動も認めていくという、かつ市町村がその辺のやるかやらないかを決めるということがかなり強調された内容だったのが、これも削除されていますので私は一歩前進と思っています。そういう点で、何とかこれを実効あるものとして厚生省に強く要望しておきたいと思います。
 次に、同じガイドヘルプサービスの件なんですが、これは今申し上げた市町村が、自治体がやることですから、そのガイドヘルプサービスの範囲といいますか、市町村、行政区域あるいは都道府県ということで決まっておりますが、実は視覚障害者を初め身体障害者も含めて、例えば北海道から東京に来る、鹿児島から東京に来る、あるいは仙台から東京に来るという場合に、手引き、ガイドヘルパーを同行していくというのが制度上無理なところもありますし、仮にボランティアも含めてやった場合、飛行機代なり新幹線の運賃も高いですから、割引制度があるにしても高いですから、なかなか難しいんですね。ボランティアの活動も含めて、例えば北海道から飛行機で羽田に着けば、今度は東京のボランティアの方に羽田まで迎えに来ていただいて、そして会議をするとなるとその会場なりにガイドで連れていっていただける。つまり、現地調達といいますか、こういうことも今動きがあるんですが、そういう意味で、どうしても現行ガイドヘルプ制度では市町村なりの実施ではカバーできない、こういった広域のあり方というものを充実していただきたいわけです。
 確かに、メニュー事業でも広域のガイドヘルパーネットワーク事業というのがございますけれども、果たしてこれが実効力あるものとして進んでいるのかの進捗状況なり、また、今私が申し上げたように、ここのところはやはり国が何とかしないと、厚生省が何とかしないと、もう市町村でやるのは限界です。そこをどういうふうにお考えか、お伺いしたいと思います。
#46
○政府参考人(今田寛睦君) 重度の障害者の方々が遠隔地を移動する場合に、その目的地において必要なガイドヘルパーの確保を図るということにつきましては、大変大事だという御指摘は私どももそのように認識をいたしております。
 厚生省の方では、重度の視覚障害者などの方々が他の都道府県に移動する場合に、目的地においてガイドヘルプサービスを円滑に受けることができるようガイドヘルパーネットワーク事業というものを行っておりまして、都道府県あるいは指定都市に対しまして補助を行っているところであります。
 この事業の実施状況でありますが、平成十一年度におきましては全体の約九割に当たります五十二の都道府県、指定都市が実施されていると承知いたしております。
 ただ、この制度の周知も当然図っていかなければなりませんし、また、これがいわゆる使い勝手のよい、利用しやすいものとして機能するということが大変大事であろうかと思います。今後、そういった点にも目を向けまして、充実に努めていきたいと考えております。
#47
○堀利和君 もう時間もなくなりまして、実はいわゆる脱法ドラッグの問題あるいは結核感染症の問題も質問する予定でありましたけれども、時間がありませんので、大変申しわけございません。
 最後に、とにかく、制度のために障害者や高齢者があるのじゃなくて、障害者、高齢者が本当に生き生きとして暮らせるために制度を障害者に合わせていく、高齢者に合わせていくという観点で、しかも、分権は分権で福祉は進めていかなきゃいけないけれども、そこにおける限界がありますので、そのときにはぜひ厚生省が乗り出していくような形でやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#48
○櫻井充君 きょうは、クロイツフェルト・ヤコブ病と、それからシェルハイノーリアクトパッチに関して質問させていただきますが、その質問の前に、実は先日、十月十四日、クロイツフェルト・ヤコブ病で亡くなりました御遺族の方からメールをいただきましたので、その一部を紹介させていただきたい。
 「先生のお力で、厚生省の権限と責任を明確にし、今後、このような悲劇が繰り返されないよう組織的反省を促して下さい。 (厚生省は薬害エイズだけでなく薬害ヤコブ病を引き起こし、このまま反省及び対策を行わず組織が継続すれば被害者は犬死のようなものです。)」、こういうメールをいただきました。
 通告していないんで大変申しわけございませんが、この御遺族の思いに対して、厚生大臣、どのように思われますでしょうか。
#49
○国務大臣(津島雄二君) CJD、クロイツフェルト・ヤコブ病は大変重篤な病気でございまして、これにかかられた方々、関係者、御遺族の方々は本当にお気の毒だと、私どもは行政の許す範囲内で最大限のサポートをしなきゃならないと、かように思っております。
#50
○櫻井充君 そうしますと、この薬害ヤコブ病を引き起こした原因というのは厚生省にもおありだというふうにお考えですか。
#51
○国務大臣(津島雄二君) 現在、ヒト乾燥硬膜の移植によってクロイツフェルト・ヤコブ病を発症したとする患者、遺族等の方々から国等に対して損害賠償を求める訴訟が提起されていることは御承知のとおりでございまして、厚生省といたしましては、過去の事実を客観的に見詰めた上で国の法的責任の有無を議論すべきものと考えております。
#52
○櫻井充君 厚生省は、そうしますと、裁判次第で認めるか認めないかは決めるということですよ。つまり、厚生省は御自身でみずからその責任を認めるということはされないということですか。
#53
○国務大臣(津島雄二君) 日本は法治国家でございますから、法律に照らして司法が判断をされることを尊重いたしたいと思っております。
#54
○櫻井充君 それでは、厚生省は薬害ヤコブ病は存在すると、そういう御認識でございますか。
#55
○政務次官(福島豊君) ヒト乾燥硬膜の移植によりましてクロイツフェルト・ヤコブ病を発症し、現在もそのヤコブ病によりまして治療といいますか入院しておられる方も含めて御苦労されておられる方がおるということは承知をいたしております。
#56
○櫻井充君 薬害ヤコブ病と認めているか認めていないかという質問です。
#57
○政務次官(福島豊君) 事実として、ヒト乾燥硬膜の移植によりましてクロイツフェルト・ヤコブ病を発症した患者さん方がおられる、そしてまた、現に罹患し、御苦労されておる方がおられるということは存知をいたしております。
#58
○櫻井充君 そうしますと、因果関係は明確であるというふうに御認識ですか。
#59
○政務次官(福島豊君) 疫学的には、ヒト乾燥硬膜の移植とヤコブ病の発症ということが関係があるというふうに推定をされるわけでございますけれども、個々の事例につきまして直接に因果関係があるということが立証されておるというわけではないと思います。それは、先生も御専門でございますので、散発例ということも当然あるわけでございまして、一つ一つの事例についてそのように申し上げることができるかということは、医学的に必ずしも明らかではないと思います。
#60
○櫻井充君 厚生省は九六年に緊急全国調査の班を設けたかと思います。その班長は何とおっしゃっていますか。
#61
○委員長(中島眞人君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#62
○委員長(中島眞人君) 速記を起こしてください。
#63
○政務次官(福島豊君) 当時のこのクロイツフェルト・ヤコブ病等に関する緊急全国調査研究班研究報告書、班長は佐藤猛先生でございますけれども、佐藤猛先生のお言葉は、一般集団よりも硬膜移植歴を有する者にCJD、クロイツフェルト・ヤコブ・ディジーズ発症率が極めて高いことから、疫学的には両者の間に因果関係が存在すること、このように述べられております。
#64
○櫻井充君 そういうふうに委員長は言っているわけです。先ほどの厚生省の見解と違うじゃないですか。なぜ、委員長はそう言っているのにもかかわらず、厚生省はそれをお認めにならないんですか。
#65
○政務次官(福島豊君) 私が先ほど申し上げましたのは、疫学的には両者の間に因果関係が存在するということは申し上げました。
 個々の事例につきましては散発例という、これはこの委員長の報告に追加しての発言となりますけれども、個々の事例について直接的に因果関係ということは立証されているわけではないというふうに申し上げた次第でございます。
#66
○櫻井充君 そうしますと、再度確認ですが、疫学的には因果関係があるという立場でよろしいわけですね。
#67
○政務次官(福島豊君) 佐藤班長の報告では、疫学的には両者の間に因果関係が存在するという報告でございます。
#68
○櫻井充君 今聞いたのは厚生省の立場です。
#69
○政務次官(福島豊君) 医学的なこれは観点での報告だと思いますが、その観点に立ちますと、疫学的には両者の間に因果関係が存在するということになろうかと思います。
#70
○櫻井充君 それからもう一つ、八月八日の予算委員会での津島厚生大臣の答弁でちょっと気になったところがございましたが、日本全体で七十四例報告されている、しかしこれはその臨床症状から見てクロイツフェルト・ヤコブの疑いのある症例まで含んでいるので、必ずしも病理学的に診断が確定されたものではないという答弁をいただいております。
 これは七十四例すべてがクロイツフェルト・ヤコブではないという認識なんでしょうか、厚生省の認識は。
#71
○国務大臣(津島雄二君) 一九九六年に作成されたWHOのクロイツフェルト・ヤコブ病に関する診断基準によりますと、確実例とは、つまり確実なものとは、神経病理学的検査において海綿状変性が認められる等、特徴的な病理学所見が認められること、異常プリオンたんぱくが検出されることの双方または一方を満たすこととされております。
 その一方、我が国において報告のあった硬膜移植歴を有するクロイツフェルト・ヤコブ病患者、七十例と言われておりますが、そのうちで確実例、前に申し上げました確実例とされている、これは判定委員会によって確実例とされているものは二十二例でございまして、残りの例すべてをどう判断するかは、私が判断できる立場にはございません。
#72
○櫻井充君 それでは、ちょっと観点を変えて、こちらの報告書についてお伺いしたいんですけれども、こちらの報告書の中に、結論は結局はこの時点でわからなかったということなんですが、要するに六十二年度に報告されない理由として、立石班長からですけれども、なぜそうなったのかと言いますと、結局一九八七年に米国で発表されたとしても、当然起こり得る悲劇として我々は受け取ったと思います、ですから六十二年度の報告書にも書いていない理由だったろうと思いますと、この十一ページに書いてあるわけですけれども、これは厚生省の見解もまさしくそのとおりなんでしょうか。
#73
○政務次官(福島豊君) 報告書に立石元班長のそのような御発言が記載をされているわけでございますけれども、第一症例報告、八七年でございますが、以前には、ヒト乾燥硬膜によるクロイツフェルト・ヤコブ病感染の危険性を具体的に指摘した文献等もなく、また各国の規制当局でもヒト乾燥硬膜によるクロイツフェルト・ヤコブ病感染の危険性を前提とした措置を講じている国はなかったものであり、このような状況にかんがみれば、当時厚生省がヒト乾燥硬膜の危険性を認識できたとは言いがたいと考えております。
#74
○櫻井充君 そんなことは聞いていません。私が聞いているのは、ここにある文章は厚生省の認識と一致しているのかと聞いているだけです。どうなんですか。
#75
○政務次官(福島豊君) それはあくまで立石元班長の御発言でございまして、厚生省の認識は先ほど申し上げたとおりでございます。
#76
○櫻井充君 そうすると、この時点で厚生省は当然起こり得る悲劇としては思っていなかったということですね。つまり、硬膜の移植によってCJDの第一症例がアメリカで発表されたと。これは当然起こるものではなくて、これは驚くべき事実だという認識になるわけですね。
#77
○政務次官(福島豊君) 再度、繰り返しになりますけれども、当時、厚生省がヒト乾燥硬膜の危険性を認識できる状況になかったと思います。
#78
○櫻井充君 それでは、なぜ認識できなかったのかといいますと、勉強不足じゃないんですか、じゃ。
 例えば、一九七七年にガジュセックさんというんでしょうか、論文、プレコーションの中で、患者からとった器官及び組織は移植に使用されてはならないと、七七年の十二月の時点でもうこう言っているわけです。しかし、厚生省の立場は、八〇年の三月の時点で、三年後です、ここの中で、CJDでは患者脳組織に直接接することによってのみ伝達が可能なのでというふうに言っているわけです。三年前にプレコーションでこういう指摘があったことを御存じですか。
#79
○政務次官(福島豊君) 現時点におきまして、ガイジュセックのそのような記載があるということは確認をいたしております。
#80
○櫻井充君 その時点で知っていたか知らないかです。
#81
○政務次官(福島豊君) ガイジュセックのそうした記載というものがあることは事実でございますけれども、研究者の立場からのそうした認識と行政当局としての認識というものは直ちに結びつくものではないと私は思います。
#82
○櫻井充君 アメリカから比べれば十年おくれちゃったわけです。十年おくれたということに対して、厚生省は反省されていますか。
#83
○政務次官(福島豊君) 十年のおくれという御指摘でございますけれども、再度、私どもの認識としましては、八七年の当時、厚生省がヒト乾燥硬膜の危険性を認識できる状況にはなかったと、再度繰り返させていただきたいと思います。
#84
○櫻井充君 要するに反省はないということですね。反省は、先ほどのメールにありました、反省していただきたいと書いてあるわけです。反省はないんですか、あるんですか。反省しているんですか、していないんですか。私はその一点だけです。
#85
○国務大臣(津島雄二君) 問題は、重篤な病気ではございますが、その原因がいつ特定をされ、行政として予見可能な状態になったかということでございまして、今、司法において判断を待っておるのもその点であります。私どもはそれがポイントだと思っております。
#86
○櫻井充君 反省されていないということなんだろうと思いますが、そうしますと、今度もう一つ、これは私は第三の薬害エイズだと思っていますけれども、シェルハイノーリアクトパッチを使用して、今わかっているだけでも七十例近くの患者さんが、これは今度は心膜です、心臓を包んでいる膜ですけれども、硬膜、このクロイツフェルト・ヤコブというのは頭を包んでいる膜でして、それは手術した後にそれを使ったために起こっているわけですが、今度は結核菌と思われる、抗酸菌なんでしょうか、それに汚染されている心膜を使ったゆえに、今のところ大体七十例ぐらいの皮下膿症及び縦隔炎の患者さんが報告されているわけです。
 この事実をまず厚生省はいつ一番最初お知りになりましたか。
#87
○政務次官(福島豊君) 事実関係につきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、このシェルハイノーリアクトパッチでございますけれども、本製品は術後の心筋保護または再開胸時の癒着を防止することを目的として開胸術時に使用する医療用具であり、昭和六十二年三月に輸入承認を受けております。
#88
○櫻井充君 いつ知ったかだけで結構です。端的にお願いします。
#89
○政務次官(福島豊君) 昨年十月、代用心膜として使用した患者において遅発性の無菌性皮下膿症、縦隔炎の発症例があったとの報告が医療機関よりなされたことを受けました。
 厚生省では、この報告を受けまして、輸入販売業者に対し同様な症例の調査を指示したところでございます。その結果として、輸入販売業者は同施設を含む三施設において同様の症例があることを確認し、厚生省に報告をしたわけでございます。
#90
○櫻井充君 第一例はいつお知りになったんですか。何月何日ですか。
#91
○政務次官(福島豊君) 手元にあります資料では何日まで記載されておりませんけれども、昨年の十月のことでございます。
#92
○櫻井充君 昨年の十月ですか。本当にそうですか。
#93
○政務次官(福島豊君) 遅発性の無菌性皮下膿症の発症例があったという報告を医療機関よりなされたのは、昨年の十月でございます。
#94
○櫻井充君 その心膜を使用したために縦隔炎なり皮下膿症なりが、無菌性とおっしゃいました、無菌性じゃなくても結構ですが、何かおかしそうだという報告も受けていませんか。
#95
○政務次官(福島豊君) 私は存知をいたしておりません。
#96
○櫻井充君 ぜひヨストラジャパン、これが輸入元ですけれども、参考人として呼んでいただきたい。なぜならば、このヨストラジャパンは、私が調べた範囲では八月に厚生省に相談していると言っています。しかも、ヨストラジャパンに対しての報告書は、厚生省は第一例とは書いていない。しかし、十月だと書いているわけです。これは明らかに情報操作じゃないですか。
 ですから、私はこのことをまずはっきりさせるために、ぜひ委員長にお願いでございますけれども、株式会社のヨストラジャパン、この代表の方をぜひ呼んでいただきたいと思います。
#97
○委員長(中島眞人君) ただいまの件につきましては、その取り扱いについて後刻理事会において協議いたします。
#98
○櫻井充君 改めて、そうしますと、十月にわかった時点で、十月でも結構ですよ、十月にわかった時点で厚生省はどういう対応をとられましたか。
#99
○政務次官(福島豊君) その後の経過について御説明をさせていただきたいと思います。
#100
○櫻井充君 その時点でどうだったかだけで結構です。
#101
○政務次官(福島豊君) この報告を受けまして、厚生省では、製品と遅発性の無菌性皮下膿症、縦隔炎との関連は必ずしも明らかではなかったものの、同年十二月に輸入販売業者に対して、納品したすべての医療機関に対して代用心膜として使用しないように注意喚起を行わせました。
 その後、本年二月になりまして、輸入販売業者から、保存されていた製品の一部から抗酸菌が検出をされたという報告があり、そしてまた直ちに全製品の回収を開始したという報告を受けました。厚生省では、同日、輸入販売業者に対して、改めて同様な症例の調査を徹底するとともに医療機関に対して使用患者の状況のフォローアップを依頼するよう指示したところでございます。
#102
○櫻井充君 今、医療機関、医療機関とおっしゃっています。厚生省は医療機関に直接お話しされたんですか。
#103
○政務次官(福島豊君) 厚生省はあくまで行政の立場で、輸入販売業者に対しまして先ほど申し上げたような対応を指示をしたわけでございます。
#104
○櫻井充君 それでは、ちょっとお伺いしたいんですが、厚生省が要するに全国の医療機関に医薬品・医療用具等安全性情報というのを提供していると思います。これは何のために提供しているんですか。
#105
○政務次官(福島豊君) 先ほども申し上げましたように、昨年の十月には無菌性皮下膿症の発症例があったという報告が医療機関よりこれはなされたわけでございます。そしてまた、本年の二月の対応は、輸入販売業者に対して行政として指示をしたと、そういうことでございます。
#106
○櫻井充君 私が聞いた医療機関の方は、そういう報告はなかったというのは、これはじゃ医療機関の方が知らなかっただけなんでしょうか。その事実はもう一度確認させていただきたいんですけれども。
 そうしますと、医療機関から、もう一つ問題点があるんですけれども、なぜ厚生省が直接関連病院に調査をするように依頼しないのかなんです。つまり、これはヨストラの方も困っておられたわけですけれども、自分たちが医者のところに行ってもなかなか情報を提供してくれないとか、そういうことがあって、本当に手間取って大変だったということだったわけです。
 なぜ、こういう疑わしい症例があった際に厚生省がもっと早く対応できないんですか、直接です。
#107
○政務次官(福島豊君) 行政としての対応は一定の客観性を持って行われるべきであると私は思っておりますが、先ほど二月までの対応を申し上げましたが、先生には三月以降の対応についても重ねて御説明をしたいと思います。
 三月になりまして、輸入販売業者から国内一施設で二症例の患者の浸出液より抗酸菌が検出されたという報告を受けまして、厚生省では、輸入販売業者に対してさらに医療機関への情報提供、そしてまた患者のフォローアップの徹底、因果関係の調査徹底について重ねて指示をしました。そしてまた、八月になりまして、厚生省としては、専門家の意見を聞いた上で製品と症例との因果関係は否定ができないとの検討結果を取りまとめ、医療機関に対する情報提供を行うとともに、本年九月に医薬品・医療用具等安全性情報に掲載し、広く周知を図ったところでございます。
 一連の経過というのは適切に進められていると考えております。
#108
○櫻井充君 アメリカだったらどうなるんでしょうか。アメリカは、クロイツフェルト・ヤコブの際にですけれども、レポートが出たときにFDAはもう同一ロット番号の製品が輸出されているそのほかの国に情報提供を依頼しているわけです。
 本来であれば、そういうことを直接的に厚生省がやるべきなんじゃないでしょうか。情報提供の依頼を速やかに行っているからこそ、たった二カ月の間に廃棄勧告ができたんだろうと思うんです。ですから、今回の一件に関しても、その業者に直接やらせるということではなくて、なぜ厚生省が、こういうことがあって、その情報をその施設から下さいということを流さないんでしょうか。そこがよく理解できないんですよ。
#109
○政務次官(福島豊君) 諸外国での状況についても若干御説明をしたいと思いますが、米国、ドイツ、イタリア、あとイスラエルでこの製品につきましては現在でも販売中でございます。そしてまた、業者としまして、薬事法上の規定にのっとれば、その輸入販売業者に対して当初指示をするということは適切な対応であろうと思っておりますし、そしてまた専門家の意見を踏まえて、製品と症例との因果関係が否定できないという検討結果を踏まえた上で、医療機関に対して情報提供を医薬品・医療用具等安全性情報によりまして周知をしたということも適切な対応ではないかと思います。
#110
○櫻井充君 危機管理の差だと思うんですよ。アメリカは疑わしきものは全部まず、罰するとは言いませんけれども、そこで一度とめてしまう。日本の場合は、疑わしいのはとりあえずきちんとするまでほっておきましょうということになるわけです。
 なぜこんなことを言っているかといいますと、私の知っている施設は去年の六月から使い始めているんですよ、これを。そしてその間に、十二月まで使い続けて七十一例使われました、六月からです。このお医者さんが言っていたのは、情報が一つあったらその時点で使わなかったろうとおっしゃっているわけです。そして、現在発症されているのが実は十六人です。七十一例中十六例発症しているわけです。本来であれば、こんなことを何回も繰り返しているのは、もっと早く情報を発信してもらえば患者さんの数は防げるんですよ。
 この先生はもう一つこういうふうにも言っていました。全く症状のない二人を連れてきて、そしてCTを撮ってみたときに、そこの部分のところに、肥厚とまでは言っておりませんでしたが、ちょっと影でおかしい、恐らく七十一例の方、全例発症するんじゃないだろうか、そういうふうな不安感をお持ちなわけです。
 ですから、一日でも早くそこの部分を対応していくということは大事なことだろうと思うし、今そういうシステムがないんだとすれば、そこはちょっと変えていくべきことではないかと思うんです、つまり、くどいようですけれども。
 それから、もう一つ言っておきます。ある県立病院ですけれども、これは厚生省から直接何も来ていないからおれたちは報告しなくていいんだと言って、これは五例の患者さんがいらっしゃるそうですけれども、全く報告していないところもあるんです。そういうような対応になっているわけであって、ですから、もう少しきちんと行政側で、厚生省で対応すべきではないんですかというふうにお話ししているんです。それでも十分的確にやられたというふうにお考えですか。
#111
○政務次官(福島豊君) 若干追加してまた御説明をしたいと思いますが、輸入販売業者から確認した報告では、本製品は百三十七施設で使用され、使用総数は三千百五十六枚に及んでおります。遅発性の無菌性皮下膿症が報告されている施設数は十三施設で症例数は六十五例、これは報告書の数字よりも以後の増加を踏まえて増加した数字になっております。
 行政が一定の対応をするということに当たりましては、その根拠となる事柄ということが存するということが大事だと私は思います。この縦隔炎というのも、自然にといいますか、それ以外の原因で発生をしない疾患ではないと私は理解をいたしております。
 したがって、製品との因果関係というものがあるのかないのかということについて、一定の客観的な判断を踏まえた上で厚生省として対応するということが適切だろうと私は現時点でも思います。
#112
○櫻井充君 しかし、情報を求めるということはすぐにされてもよかったと思うんですよ。
 つまり、私が知っているのは八月ですから、八月に相談を受けたときに、施設に対して、医療現場に対してこういう症例はないですかということを聞くのが本筋じゃないですか。
#113
○政務次官(福島豊君) 情報収集ということにつきましては、当該製品につきましてどの医療機関に納入をし、その状況ということについて収集しやすい立場にあるのはまず輸入販売業者があろうかと思いますけれども、その輸入販売業者に対しまして、第一例の報告がありましたときに調査の指示をしたわけでございます。
 情報収集ということを放置したという先生の御指摘は私は当たらないというふうに思いますし、そしてまた医療機関から情報を収集するという法的な枠組みというのは現時点でも存在をいたしております。
#114
○櫻井充君 そうしますと、今後も厚生省は、こういうことがあった場合にはみずから調査するのではなくて、業者にすべて任せるということなんですね。そういう理解でよろしゅうございますか。
#115
○政務次官(福島豊君) そういうことを申し上げているのではございませんで、現在の薬事法上の規定の中で、さまざまな医薬品によりまして被害が発生した場合にそれを報告する仕組みというのは既に法律の枠組みの中で存在をいたしております。
#116
○櫻井充君 それじゃ、もう一度お伺いしますけれども、今回の件は厚生省はみずから動かなくていいと判断されているわけですね。
 薬事法上は、もう一回繰り返してお伺いしたいのは、厚生省がみずから調査することもできるわけでしょう。まずそれだけ確認させてください。確認することが、そういう調査をすることはできるわけでしょう。
#117
○政務次官(福島豊君) 今回の事例におきましては、私どもの判断としましては、まず輸入販売業者からその情報を収集するということが最初のステップとして適切であると判断をしたということでございます。
#118
○櫻井充君 それでは、その輸入業者を使って情報提供をしてもらったと。どのぐらいの期間がかかりましたか。
#119
○政務次官(福島豊君) 十月に指示をいたしまして、十一月に報告をちょうだいいたしております。
#120
○櫻井充君 十月のいつでしょうか。これは期日によって大分違います。十月のいつ指示して、十一月のいつ報告をもらったんでしょうか。
#121
○政務次官(福島豊君) 十月二十五日に報告が医療機関からございまして、同日に輸入販売業者に対して調査の指示をいたしました。そして、同業者から報告をいただきましたのが十一月四日でございまして、国内三施設において二十三例の無菌性皮下膿症の発生が報告されている、その旨の報告があったわけでございます。そして、同日、輸入販売業者に対しまして因果関係についての調査を再度指示いたしました。
#122
○櫻井充君 今、三施設というお話でしたか。その輸入業者さんが全部の施設をきちんと調査した上で報告が行ったんですか。
#123
○政務次官(福島豊君) 私どもとしましては、十月二十五日の段階で全施設の調査を指示し、それに対して十一月四日に三施設においての同様の症例の発生ということの報告を受けたわけでございます。
#124
○櫻井充君 しかし、そこの中で、先ほども申しましたけれども、厚生省から指示がないのになぜそんな報告をしなきゃいけないんだと、そういう病院もあるわけですよ、これは病院が悪いのかもしれませんけれども。
 ですから、実際、こうやってきちんと本来であれば厚生省が調べる権限もあるんだとすれば、なぜお調べにならないんですか。
 そして、もう一つは、今度は菌が出たからといって、今度はその原因菌の同定まで全部業者にやらせているわけですよね。そういう菌を調べるとか調べないとかいうこと自体はなぜ厚生省が直接やられないんですか。そういう機関がないんですか。
#125
○政務次官(福島豊君) この事例に関して、先ほども先生に御説明をいたしましたけれども、第一ステップとしては、輸入販売業者に情報の収集をお願いするのが最も効率的であろうというふうに判断をいたしました。そしてまた、検査につきましても、さまざまな検査機関がございますので、当該の輸入販売に責任を持っておる業者に対してその検査の指示を行ったわけでございます。
#126
○櫻井充君 業者の方は、そういう検査するところ、検査してもらうところを探すのも随分御苦労されたようです。ですからもっと、厚生省が感染症なら感染症で国の機関をお持ちなんですから、そこを使って調べれば簡単なことなんじゃないですか。なぜそういうことまですべて業者に任せるんでしょうか。
#127
○政務次官(福島豊君) 当該製品の安全性について一義的に責任を有するのは輸入販売業者であると考えます。
#128
○櫻井充君 認可はだれがしているんですか。
#129
○政務次官(福島豊君) 私どもは、輸入販売業者から申請を受け、そしてその申請について審査をし、そしてそのことによって輸入の承認を行うわけでございます。行政の立場はこの輸入の承認を行う、そこにあるわけでございます。
#130
○櫻井充君 この会社はアメリカの会社なんですけれども、FDAに問い合わせたのはいつですか。
#131
○政務次官(福島豊君) FDAに対して問い合わせをしたということは承知をしておるようでございますが、いつ問い合わせをしたかということについてつまびらかではございません。
#132
○櫻井充君 厚生省がFDAに照会したわけじゃないんですか。
#133
○政務次官(福島豊君) 厚生省もFDAに対して照会をいたしております。
#134
○櫻井充君 それはいつですか。
#135
○政務次官(福島豊君) ちょっと待ってください。
#136
○櫻井充君 時間がかかるんだったら、ちょっといい。ちゃんと計画的に聞いていますよ、これは。
#137
○委員長(中島眞人君) これはお調べいただいて、後で報告をしてください。
 質問を続けてください。
#138
○櫻井充君 しようがないんでしょうけれども。
 それからもう一つは、これは患者さんに使っていないで回収したものに関しては検査されているんですか。
#139
○政務次官(福島豊君) 検査をしているというふうに報告をいただいておるようでございます。
#140
○櫻井充君 それも業者がやっているんですか。厚生省が把握しているわけじゃないんですか。
#141
○政務次官(福島豊君) この点につきましては、先ほどからの御説明と一緒でございますが、当該輸入販売の責任を持っております業者が検査をいたしております。
#142
○櫻井充君 要するに、厚生省は何もしていないわけですよね。こういうことをやれとだけ言って、実際自分たちで何もしていないんじゃないだろうかという感じがいたします。
 もう一つ申しておきますと、本当に安全情報だって随分遅くに出ているわけですよ、最終的なものは。回収するんだったとすれば、何で回収する時点に厚生省が直接安全情報を流さないのかです。この安全情報だって、うがった見方をすれば、だれかから言われたので仕方なく、この時期にもう出さなきゃいけないもので出したような、これは九月ぐらいに出ているんでしょうか、非常に遅く出ているわけです。
 つまり、何でこんなことをぐちゃぐちゃ言っているかといいますと、先ほども言いましたけれども、対応がおくれることによって患者さんがどんどんふえていくわけです。クロイツフェルト・ヤコブのときもそうだったわけです。十年間対応がおくれた。それはあの時点で予見し得なかったというのであれば、予見できるようなシステムをつくってもらいたいと思います。
 それは、津島厚生大臣は二十二例だとおっしゃっています。アメリカはだから五例で、せいぜいそんなものなんだとおっしゃるのかもしれないけれども、困るのは患者さんたちなんですよ。最初にEメールを御紹介したけれども、ああいう思いで皆さんいらっしゃるわけであって、人の命を預かっている厚生省としてもう少しきちんと責任を持って対応していただきたい、そういうふうに思います。
 そのことだけ要望いたしまして、時間になりましたので質問を終わらせていただきますが、あと二、三ちょっと合点のいかないところがございますので、後ほどまた質問させていただきます。
 どうもありがとうございました。
#143
○委員長(中島眞人君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開会
#144
○委員長(中島眞人君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、社会保障等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#145
○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。
 きょうは、DNA鑑定それから保育、ホームヘルパーなど、幾つかの問題で御質問をさせていただきます。
 まず最初に、DNA鑑定ですけれども、厚生省は戦没者のDNA鑑定について来年度の概算要求で一千三百万円を要求しておられます。これは有識者を集めて検討会を行う費用だということです。この検討会で検討をしようとしておられる中身というのは、DNA鑑定で個人が特定できるのかということ、鑑定費用を公費で負担すべきかどうかということ、そしてまたプライバシーの観点から遺骨のDNA鑑定を行ってよいか、このようなことについて検討をするというふうに聞いております。
 DNA鑑定で戦没者と御遺族が特定できるかという問題ですけれども、厚生省は、これまでに収集した遺骨のうち、ロシアのチタ州とハカシア共和国の百六十八体については埋葬状況と記録がほぼ一致した収集となっているということです。さらに、そのうちの百三十体は、日本側の資料もあり、遺族もほぼ絞り込むことができた、そういう条件を持っています。だからこそ、厚生省は、希望する遺族について、DNA鑑定は約五万円費用がかかるんですけれども、自費で行うなら認めると、そういう措置をとられました。
 この措置を受けて、宇都宮の藤田けい子さんは、ハカシア共和国から収集した遺骨を帝京大学の法医学室で鑑定されました。その結果、九九・七%藤田さんの父親であるということが判明をいたしております。この例から、DNA鑑定は遺骨と遺族を特定することができる極めて信頼度の高い判定方法だということが明らかになっております。
 また、厚生省は、モンゴルのダンバダルジャで死亡されました人の遺族名簿がある八百七体の遺骨の一部を保存しておられます。この遺族のうち、現在二百八十人がDNA鑑定に賛同をしておられます。モンゴルの場合は死亡者の名前もはっきりしておりますし、政府がここでやらなければいけないことは、私は遺骨と遺族を特定してあげるという、このことを政府としてはやってあげなければいけないというふうに思います。
 私は、第二次大戦の犠牲者でもある御遺族が自己負担で自分の親兄弟を捜しに捜して、そして鑑定するのではなく、持ち帰ってきている遺骨をDNA鑑定してデータベース化し、そして希望する遺族のもとに一刻も早くお返しするのが政府の責任だというふうに考えております。
 厚生省は、現在の時点でまずその二百八十人の要望にこたえて今すぐDNA鑑定に踏み切るべきだと思っておりますけれども、大臣、この件についてはいかがでございましょうか。
#146
○国務大臣(津島雄二君) 御指摘のように、平成十一年度に旧ソ連地域から収集した遺骨のうち、一柱について、先般、戦没者遺族がDNA鑑定を受けられましたところ、親子関係が存在するとの判定がなされたところでございまして、DNA鑑定は遺骨の身元を特定するための有力な方法であると考えられます。
 しかし、戦没者遺骨のDNA鑑定の結果、血縁関係があると判定された事例はこれが初めてでございまして、これまで行われた四例においてはすべて血縁関係が否定されてございます。したがって、今後御希望のある戦没者遺骨についてDNA鑑定を円滑に実施するためには、戦没者遺骨のDNA鑑定に当たって、技術的側面を含め、さまざまな観点から検討を深める必要があると考えております。
 また、委員も触れておられましたが、DNA鑑定については、戦没者本人の尊厳やプライバシー、倫理上の問題があることから、一律に実施するのではなく、身元確認につながる蓋然性が高い場合に必要な範囲内で実施されるべきものと考えております。このため、まずはこれらの技術的、倫理的課題について検討、整理を行う必要があると考えており、平成十三年度予算要求におきましては有識者による検討会経費を要求いたしたところでございます。
#147
○井上美代君 検討会議をつくるということですけれども、遺族の方々は昨年、この厚生省のDNA鑑定を行いたいという話を信頼して遺骨収集に参加しておられるんです。だから、大きな期待を持っておられます。
 今、大臣が言われましたように、厚生省は倫理とかプライバシーの問題ということを言っておられます。そしてまた、検討会を開いてからということも言っておられますけれども、それは私、この倫理とかプライバシーの問題というのは厚生省がそれを守るように措置をされれば可能なんだというふうに思うわけなんです。
 御遺族と厚生省の努力で持ち帰ってきているあの遺骨も、DNA鑑定がされなければ焼骨をして千鳥ケ淵に一括埋葬することになるというふうに思いますが、そのようなことをしてはいけないというふうに思います。これから研究もしとおっしゃっているんですけれども、今、本当にもう一日一日と科学が進んでいる今日だからこそ私は、この藤田さんの例のようにDNA鑑定の技術というのも進んでおりますし、やはり遺骨を鑑定して遺族のもとにお返しするということを急がなければいけないというふうに思うんです。
 きょうも御遺族の方が傍聴席においでになっております。私は、鹿児島の八十四歳の女性のお手紙をここに持っております。この方が言われるには、主人の遺骨がない、本人の髪の毛とつめを納骨している、自分は病魔に取りつかれ余命幾らもない、ふがいない妻と悲しいですと、こういうふうに書いておられます。
 御遺族の気持ちとしては、検討会を待っていてはもう間に合わないという、そんな気持ちです。のんびりしてはいられないという、そんな気持ちを持っておられます。
 私は、御遺族の方々にかわって政府が国の費用でDNA鑑定に早く踏み切ってくださいますことを強く求めておきます。ここまで引きずってきた戦後を終わらせていくためには、厚生省にも私たちにも努力が要るというふうに思っております。私は、このような御遺族の気持ちを思うときに、大臣がどのようにお考えになっているのか、急ぐということでなければ、もう命ももたないというような方々が何人もいらっしゃるわけなんです。大臣の気持ちを聞かせていただきたい。そして、もう本当に一日でも早く実現できるように前向きの御答弁をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
#148
○国務大臣(津島雄二君) 御遺族のお気持ちは全くそのとおりで、私もよく理解をいたしております。それだけに、できるだけ早くどういうふうにDNA鑑定を生かすか、専門家によって検討して結論を出していただきたいと思っております。
#149
○井上美代君 概算要求が出されたということを聞いたときに、私はこのDNA鑑定の概算要求が出されたと思って非常に喜んだんですが、これからさらに検討を続けるということを聞いて、これでは間に合わないというふうに思いますので、ぜひ頑張って早くこれをやってくださるようにお願いをして、私はこの質問を終わります。
 次に、私は保育問題について質問をいたします。働く女性たちがふえておりますが、延長保育について質問をいたします。
 二〇〇〇年三月、厚生省は延長保育促進事業及び長時間延長保育促進基盤整備事業実施要綱を発表されました。十一時間保育所を開所しているその前後三十分、一時間、さらには二時間、三時間、四時間と延長保育をする際、補助を行うというものです。その際に示された補助金、これは延長保育促進事業の推進では、延長を三十分、そして一時間の場合、基準額で年額はおおむね幾らになるのか、そしてまた国庫負担分は幾らになるのかということをまずお示しいただきたいと思います。参考人、お願いします。
#150
○政府参考人(真野章君) 平成十二年度におきます延長保育促進事業の、ちょっと長いんですが、十一時間の開所時間の始期及び終期前後の保育需要への対応の推進分、いわゆる推進分と言っておりますが、それの一カ所当たりの国庫補助の単価は四百五十四万三千二百円でございまして、国庫負担はその二分の一ということでございます。
#151
○井上美代君 今言われたことなんですけれども、八月四日付で通知書を厚生省が出されております、事務連絡で。その延長保育促進事業について補助金の大幅な減額がされているわけなんです。二〇〇〇年度に新しく実施する保育所の場合、六カ月分や三カ月分に減額するという、そういう通知書であります。減額は大変な額です。開所時間を十一時間三十分以上にしたところで基準額で二百二十七万円、そしてまた開所時間を十一時間十五分以上にしたところで基準額で三百四十一万円もの減額ということになるのであります。既に三月の時点で、実施要綱に基づいて四月から保育所などを複数で新たに廃止して実施しているところがあるわけなんです。
 これはある東北の保育園ですけれども、ここでは四月から保育科を卒業した二十歳の臨時職員を複数配置して、そして延長保育をしようというのでスタートさせた園があります。しかし、今回、減額がされ、補助金が四分の一の百十三万五千八百円となれば、単純に計算して職員一人当たり年額賃金で六十万円も支払えなくなってしまうわけなんです。最低賃金も問題にならない。年度途中で解雇するか、短時間パートにしてほかの職員に限度を超えた長時間労働を恒常化させるか、それとも父母負担を児童一人当たりで何万円もふやすか、いずれにしても大変な事態になっているわけなんです。
 それが突然この八月四日付の通知書で国の補助金が減額されているわけなんですが、なぜ半分だとか四分の一などという大幅な削減をされ、実施時期を先送りするのか。当然四月から実施できることを前提に各保育所それから県は進めているわけなんですね。それを四月からやらないで先に延ばしたということは一体どういうことなのかということを御答弁願います。参考人、お願いします。
#152
○政府参考人(真野章君) 延長保育促進事業、ただいまのいわゆる推進分でございますが、的確な予算執行を図るという観点から、年度当初に対象見込み箇所数につきまして都道府県などから協議書をお出しいただいております。
 平成十二年度の予算におきましては四千八百カ所が継続分でございます。これは丸々十二カ月分と。それから三千二百カ所、これを新規分、新しくやっていただく分ということで三カ月分の予算を計上いたしました。従来の予算の執行状況その他を勘案いたしまして、十二年度におきましてとにかくやっていただく保育所をふやしたいということから、こういう予算を計上いたしたわけでございます。
 ここ十年、十一年ごろにおきましては、私ども、延長保育をぜひやってほしいということをお願いしてきたわけですけれども、執行に当たりまして、予算額と自治体からの協議の数、新しく実施しようという協議の数にいわば若干の余裕がございまして、そういう意味では新しく開所していただくところも年度当初から補助ができたわけでございますけれども、今年度におきましては大変制度の周知が徹底されたというようなこともございまして多く協議が上がってきたということから、私どもとしては予算の積算上の新しく開所していただく分については三カ月でお願いをしたいと。
 しかし、延長保育は重要でございまして、その中でも特におおむね一時間以上、いわば長時間延長をやっていただくというところにつきましては、新規は三カ月でございますけれども、半年分補助をするということで、予算の積算上をいわば上回る形で補助をするということでございまして、新しい状況、そしていろんな取り組みをしていただくということについて、私どもとしては最大限の配慮をしてお願いしているということでございます。
#153
○井上美代君 延長保育についていろいろ考えていただくということは、今後の問題としても非常に重要だと思っております。そして、このたびは見込み違いをしていたということを言われたんですけれども、その周知が進んだから言われるんですけれども、やはり要求が強いんですね。そういう今の保育状況を見まして、やはり最初からこれはきちんとしていなければいけなかったというふうに思うんです。
 新エンゼルプランをつくっておられますけれども、今年度の延長保育園を昨年よりも一千カ所ふやすというので八千カ所にしておられますね。これを目標として設定しておられるんですけれども、そもそもが予算をつくるときにその八千カ所で予算を組まなければならなかったというふうに思うんですよ。それを新規分については三カ月分を組んだというふうに言われましたか、そういうふうに言われたんですけれども、そんなもので予算が足りるわけはないんですね。
 だから、私はこの見込み違いについては何らかの形でやってもらわなければいけないというふうに思うんですけれども、ではこの見込み違いということでここまで希望が出てくるというふうには思われなかったということですね。
#154
○政府参考人(真野章君) 正直申し上げまして、例えば平成九年から十年は六百七カ所の増でございました。それから、十年から十一年は六百二十四カ所の増でございまして、私どもといたしましては、十二年度予算を組みましたときに新規でやっていただけるところは大体六百前後というふうな見通しのもとに、しかしやはりこの問題に取り組んでほしい、そして三千二百カ所を新規にというふうに申し上げましたけれども、それは十三年度からは満年度化するわけでございますので、早くいろんな保育所で実施をしてほしいということで、期間ではなくて箇所数の確保を考えたわけでございます。十一年度から十二年度を今集計中でございますが、千六百から千七百ぐらいの申請が、協議が上がってきております。そういう意味では、私どもが想定したところよりはいわば二・五倍ぐらいの申請が来ているという状況でございます。
#155
○井上美代君 そもそもが私、先ほど申し上げましたんですけれども、これは四月から出るというふうに自治体も現場も思っているんですね。それが見込み違いでこういうふうになってきているということは、これは現場は知らないことでしょう。自治体も知らないことです。しかし、新規が六百ぐらいだろうと思っていたけれども、でも出てきてみたら相当だ、予算が組み切れていないということでこれを減額されたということですけれども、受ける方はそれだけの要求があって申し込んできているわけですから、私はこれは厚生省は見込み違いをしたと皆さんにやっぱり一言言ってほしいというふうに思うんです。
#156
○政府参考人(真野章君) 当初申し上げましたように、年度当初に協議を受け付けております。そういうときに、正直どの程度手が挙がるかというのはなかなか見きわめが難しゅうございます。そういう状況の中で協議を締めたところ、非常に多かったということでございます。
 これは、従来は既定経費の中で新規開設分についても年度当初から対応がそういう枠の中でできたわけでございますが、需要が非常に上がってきたということから、どうしても予算どおりの積算に基づいた執行をせざるを得ないという状況になっているということでございます。
#157
○井上美代君 私が言っているのは、厚生省の立場はそういうことですけれども、現場は求めてもおりますし、そしてまた最初から出るように要綱は出ているわけですから、やはり現場と自治体に混乱をもたらしたというふうに思います。そういう混乱について責任をどのように感じておられるんでしょうか。
#158
○政府参考人(真野章君) 私どももできる限りこの予算の確保ということを行ったわけでございますが、また延長保育、各自治体での取り組みを私どももお願いしてまいりました。そういう意味では、年度当初からということでできれば一番よかったわけでございますが、申し上げましたように、予算上そういう積算をしているということと、それからそれに基づいた執行をせざるを得ないということで御理解をいただきたいと思います。
#159
○井上美代君 私は、このように自治体や現場に混乱をもたらしながらそういうふうに言い続けられるということについて疑問を持ちます。保育所に延長してほしいというのは、待機児童が非常に多いということでもはっきりしているわけです。そして、その待機児童は減っていないんです。そのことを思うときに、四月から出すように言いながら出さない、しかも新規は三カ月分しか組んでいなかったということを自治体に知らせていないこと自体だって問題じゃありませんか。私は了解いただきたいというようなそういうことでは済まないと思うんですが、もう一度お願いします。
#160
○政府参考人(真野章君) 先ほど来申し上げておりますように、十年度、十一年度の状況を見ますと、私どもとしては、この予算の枠の中で従来どおり年度当初ということも可能ではないかということで思っておりました。しかしながら、自治体での取り組み、関係者の御熱意が実るという格好で非常に多くの申請が上がってきたということでございます。
 私どもといたしましては、満年度化をするために箇所数を減らすというよりは、先ほど申し上げましたように、今年度やっていただけましたら来年度は当然のことながら満年度補助ができるわけでございますので、そういう意味では実施していただく保育所の数の確保ということを最優先して今回そういうお願いをしているということでございます。
#161
○井上美代君 この十三年度というのは大幅に伸ばしてそれにこたえたいということでしょうか。
#162
○政府参考人(真野章君) 私ども、十三年度、新エンゼルプランにも入っておりますし、新エンゼルプランは五年計画でございますので、十六年度の目標値と現在との間を単純に五分の一したのが当該年度の伸び率だということではないのでございますが、来年度、十三年度はそれのいわば二年分前倒しで私どもとしては平成十三年度の概算要求を行うということで、こういう新たな事業への取り組みに対して助成が十分できるように、概算要求の中ではそういう予算要求をいたしております。
#163
○井上美代君 ここで私は大臣にお尋ねをしたいのですけれども、このような混乱が起きたということにつきましては今質問をしている中で理解していただいたと思いますが、現場は混乱しております。そして、これは例えば福島ですけれども、地元の新聞も「国の延長保育補助金減額 十九市町村補てんに苦慮 十二月補正予算計上も検討」、こういうふうに報道もされているんですね。だから、だれも知らないというような一部の人の問題ではないんです。
 こういう問題が起きているわけなんですけれども、大臣の責任できちんと予算化をすべきだというふうに思うんです。そして、十三年度予算化をきちんとして要求にこたえていくことが重要であると思いますが、いかがでしょうか。
#164
○国務大臣(津島雄二君) 保育所の延長保育への補助でございますが、今年度予算から三十分間の延長も認めるというような要件緩和も行いまして、それもございまして年度当初の段階において今までよりもかなり多くの要望が出てきたということで、私は大変ありがたいことだと思っております。
 それで、こういう意欲的な取り組みをやはり我々としては大事にしていかなければならないので、今後、来年度予算においては相当の増額を見込んで概算要求も行っておりますけれども、このような取り組みがさらに進んでまいりますように最大限の努力をいたしたいと思います。
#165
○井上美代君 十三年度の要求にしましても、厚生省はそういう事態になったということを歓迎するようなことを今言われたんですけれども、そもそもそういう見込み違いをしたのは、現場また自治体の、そして女性たちの願いをつかんでいなかったということでしょう。そこに問題があるんです。
 だから、私は、厚生省が本当に今の保育の現場のことを思いながら、女性労働者のことを考えながらやっていただかなければ、今度の十三年度の予算化だって十分できないというふうに思うんです。そこのところはいかがですか。こういう混乱が起きたことについても、あわせて大臣は決意をして、ぜひ十三年に実現させてほしいというふうに思っているんです、今の現状は大変ですから。
#166
○国務大臣(津島雄二君) 保育行政は、御承知のとおり自治事務としてそれぞれの自治体で組み立てていただいて、それを私ども国がバックアップするという形になっております。ですから、どうしても国の側からの概算、積算というものがある意味では不足になるということ、これはある意味ではやむを得ない。しかし、子育てということの重要性にかんがみて、今後はこういうことがないように全力を挙げてやりたいと思っております。
#167
○井上美代君 時間もありませんので、私は今後またこの問題については取り上げもしていきたいというふうに思っておりますけれども、やはりやむを得ないというような問題ではないんです。だから、そこのところを大臣にぜひ認識していただきながら、女性労働者がもっと働きやすくなるように、そして待機児童をなくしていくということを本当に念頭に入れながらやってほしい。
 八月四日に出されているその通達については、私はどうしても撤回に近づくというような、そういう施策を今後のところで示してほしいというふうに思うんです。そもそもが、配置基準問題についても決して改善されていないし、三歳児で二十人に一人の保育士、そしてまた四歳、五歳児で三十人に一人というような、もう国際的に見ても物すごくおくれている基準なんです。
 だから、そういう問題も含めまして、少子化対策だとか新エンゼルプランだとか物すごいキャンペーンをやられるんですけれども、実を、質を上げていくという、そこに力を出してほしいというふうにお願いをいたしまして、先へ進ませていただきます。
 次は私、ホームヘルパーの問題について取り上げたいと思います。
 介護保険制度が導入されましてから七カ月、利用料が高過ぎる問題とともに、十月から高齢者の保険料の年金からの天引きが始まる中で、これもまたさまざまな現場の混乱というのが起きております。大手の事業者のホームヘルパーの大量解雇がマスコミでも大きく取り上げられました。労働条件の劣悪化の問題がほっておけない状態です。
 私は、非常にこの問題について真剣に考えております。介護の質を保証するためには、一つは、パート型になっております、登録型になっておりますホームヘルパーが急増している、正社員になりたくても多くの人がその願いを踏みにじられているという問題の改善がどうしても必要だと思うんです。ホームヘルパーの人たちというのは女性が圧倒的に多いわけなんですけれども、そういう女性の労働条件を改善していくという点でも重要だと思っています。
 第二に、常勤、非常勤を問わず余りに低い賃金の抜本的な改善、介護報酬の引き上げ、これが必要だと思います。
 生活できる賃金が欲しい、本当にプロとして自立したいという、これはホームヘルパーさんの切なる願いです。
 介護事業従事者の労働組合のゼンセン同盟の日本介護クラフトユニオンのアンケートの結果があります。これはマスコミでも取り上げられておりましたけれども、介護保険実施以後の六月、七月に行われたものです。そのうち、在宅介護従事者八百十九人のものがそこに出されているわけなんですけれども、この調査でいきますと、全体の九五%が女性労働者なんです。まさに女性労働者によって介護制度が支えられているということです。
 そして、この雇用形態を見ますと、常勤は二一・四%、パート労働者が三一・四%、登録が二六・四%と、不安定雇用が大部分を占めているというのがこの六、七月の調査で出ている中身です。時間給で働いている人の五割は千円から千百円未満の時給であり、それ以上の人は三割、千円未満というのは二割います。日給制では一日三千円、月の出来高制で十五万から二十万円未満がトップです。十五万円に満たない人たちというのが圧倒的に多いです。
 また、ここに私は一九九八年の国民生活センターのホームヘルプの活動実態調査の声を持っております。一カ月二十日間勤務、税込みで十五万円。ボランティア精神を求められ、賃金が低く、働き続ける自信がない、こういうふうに言っておられる。三十六歳の民間企業の方です。それだとか、週四十時間以上働き、深夜勤務が多い。明け休みが十分とれないばかりか給料も安い。月に十六万円、この方も民間企業ですけれども、もらっています。常勤でもこんな実態なんです。
 ヘルパーは安上がり、本当に安上がりに使われていると思うんです。まともな生活ができる職業として成り立たないというのが、私はこの質問をしたいということで随分いろいろなものを調べましたけれども、そこに出てきているものは全く職業としては成り立たない人たちがたくさんいるということです。
 私は、どうしてもこの職場を魅力的な職場にしなければ、二十一世紀の福祉というものはないというふうに思います。ゴールドプラン21では、四年後には三十五万人のホームヘルパーの確保を目標とされておりますけれども、これは現在の二倍の数字です。ヘルパーが低賃金の使い捨て労働と位置づけられている状況では、私は継続的に質の高いサービスを続けるのは困難だというふうに思っております。
 現在、パートや登録のヘルパーも常勤になりたいと希望している人がたくさんいます。意欲もあり、能力もあるホームヘルパーを確保するためには、魅力ある職場にしなければなりません。そのためにも、私は、賃金を全体として引き上げるとともに、常勤ヘルパーをふやす施策を政府として進める必要があるのではないかということを考えております。
 こういったヘルパーの実態についてどういう認識を厚生省が持っておられるか、まず大臣にお聞きしたいと思います。
#168
○国務大臣(津島雄二君) 介護の現場におきまして、これを担っておられるヘルパーさんを中心としてお働きの方々にとって魅力のある職場にしたい、その気持ちは私たちも委員といささかも違うところはございません。
 今、新しい介護保険の制度が始まったばかりでございまして、私どもが各地におじゃまをして実態を聞かせていただき、またヘルパーさん方の御意見にも耳を傾けてまいりましたのは、その方々の御意見に真摯に耳を傾け、改善すべきものは改善したいということでございます。
 制度が発足してまだ半年ちょっとでございますので、介護保険の報酬単価、それから勤務の実態というものをよく実態調査いたしまして、今、標準的に設定をいたしました条件について、事業の安定的な運営も配慮しながら、これからも検討を続けてまいりたいと思っております。
#169
○井上美代君 私は、今、ヘルパーさんの現状を若干話したんですけれども、大変な中身だということをもう少し私は訴えさせていただきたいと思います。
 これは、介護クラフトユニオンの調査では、ヘルパーさんが介護に行くときに利用者宅から利用者宅へ移動する移動時間が無給という人が五九・一%。そして、待機時間が無給というのが五〇・二%。ヘルパーさんたちは外の仕事ですから打ち合わせをしますが、打ち合わせ時間が無給というのが二六・二%。そして、行ったら必ず報告書をつくらなきゃいけないですね。報告書作成時間が無給になっているというのが四六・四%なんですね。お年寄りにいろいろ支援をしてやっているときだけを見ているということがこの調査の中でもはっきりいたします。
 そして、介護の種類がありますが、正規社員だとか男性職員の比率がヘルパー全体の平均よりも高くなっている。例えば、巡回の入浴従事者の場合にはいずれも八割から九割強が支払われており、圧倒的に女性が働く在宅のヘルパーのところでは非常に劣悪な労働条件になっているということを見ることができました。
 厚生省は、厚生省令で指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準というのを出しておられます。その中には、打ち合わせや報告書をつくるということについてはきちんと義務づけておられるわけです。移動時間、待機時間、打ち合わせ時間、報告書作成時間は労働時間と見てきちんと賃金を払うべきだというふうに思っているんですけれども、その点は参考人、どうでしょうか。
#170
○政府参考人(大塚義治君) 訪問介護事業に対する報酬の話と関連をするわけでございますので、報酬の点について申し上げますと、現在の介護報酬につきましては、介護保険制度を実施する前にヘルパーさんが既におられたわけですから、そうした方々の実態でありますとか、さらには平成十一年に実態調査を行いまして、標準的な事業所の収入、支出、そうしたものを調査いたしまして、これをもとに安定的な事業が運営できるようにという観点から、関連の審議会でも御議論いただいて単価を設定いたしました。
 したがいまして、一連の訪問介護員の方々の労働は、必要なさまざまな移動もございましょうし、おっしゃいましたような会議、調査といったものもございます。これらを一体の労働という形で評価いたしまして、個々具体的にはこれは事業者と被用者の方の間でお決めになることでございますけれども、全体として訪問介護員の業務が円滑にできるように、そういう観点で私どもも報酬を設定いたしておるつもりでございますので、当事者間で十分なお話し合いがされることを期待いたしたいと思っております。
#171
○井上美代君 今の御答弁で、何か介護報酬の点では一定のものを出しているということを言われているんですけれども、その一定のものについて出しているということは自治体なり事業所のところはわかっておりませんよね。その辺はどうなんですか。
#172
○政府参考人(大塚義治君) これは介護報酬の性格にも関連するわけでございますけれども、個別の経費を積み上げましてこれは幾らこれは幾らというような、いわば積み上げ方式では必ずしもございません。そうしたものを総合的に勘案し、そして標準的な、なおかつ全体としては事業が安定的に運営できるような、そういう水準を決めようということでございますから、個々の費目が幾ら入っていると、そういう性格ではございませんけれども、一定の訪問介護員の労働に見合った単価として事業者にまとめて支払われると、こういう仕組みでございます。その点につきましては、関係者は当然のことながら御理解を賜っているというふうに考えております。
#173
○井上美代君 今のような厚生省の御答弁ですけれども、私はこの点、労働省がどういうふうに考えておられるのかお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。
#174
○政府参考人(野寺康幸君) 先生のお尋ねは、具体的に移動であるとか待機であるとか打ち合わせであるとかあるいは報告書の記載というふうにおっしゃいましたので、そういったものが労働時間に入るかと、こういう趣旨だと考えさせていただきましてお答え申し上げます。
 労働時間は、一般論でございますけれども、使用者の明示または黙示の指揮監督にある時間というものを指すわけでございまして、必ずしも現実に精神または肉体を具体的に活動させているといったことは要件とされておりません。したがって、いわゆる手持ち時間なんかも労働時間に入る場合があるわけでございます。
 移動等につきましても、使用者の指揮命令下にあると認められる場合には当然これは労働時間に該当するわけでございます。さらに、打ち合わせあるいは報告書の記載といったような、業務上そういったことが義務づけられているという場合にはやはり労働時間に入るというふうに考えております。
#175
○井上美代君 私は、移動時間や打ち合わせ、そして報告書作成時間は、その雇用形態がどうであっても労働時間として時給賃金をきちんと支払っていかなければいけないということだと思うんですね。
 東京労連が十月の初めに行った介護労働者の一一〇番相談があるんですけれども、そこに寄せられたAさんのケースですが、都内の民間の企業の介護ステーションでヘルパーとして働いています。ここでは身体介護型は千二百円、家事援助型は一千円、複合型は一千百円の時給になっています。彼女は一日三回、同じ利用者のところに行っています。朝の九時二十分には家を出て十時から十一時半まで、そして二時から二時半まで、さらに四時半から六時まで複合型の介護を行っています。自宅から利用者宅までは電車の乗りかえを入れて四十分は見なければならない。移動費も出ないので空き時間は居場所がなく、公園だとか図書館を探して過ごすようにしている。居場所がないと訴えております。
 また、八時間拘束だが三時間半しか時給に算定されず、交通費を自己負担したとすると結局時給は四百六十六円となり、最低賃金を大きく下回る計算になります。彼女は、事務系の正規の社員をしていたのをやめて、自分の資格を生かして生活のできる職を求めてヘルパーになったということなんです。正職員になりたいが、その願いはかなえられず、月に五万円ほどしかならない。そのためにこれでは生活できない。ヘルパーは結局ボランティアとしてやる人でないとできないのかなと、こういうふうに言っておられるんです。
 このAさんのように三往復したり、それから午前と夕方二往復したりするケースが大変多くなっております。細切れのために中途半端な空き時間ができたり、また往復に時間がかかったりして、拘束時間はとても長いのに労働時間とみなされないという、こういう例が多くなっているわけなんです。利用者宅への往復にかかる移動時間をサラリーマンの朝夕の通勤の時間と同じに見るというのは違うというふうに思うんですね。
 労働省は先ほど、利用者宅から利用者宅への移動の際の時間、こういうのを労働時間とみなすということですよね。違いますか。
 では、ちょっと労働時間のところをもう一遍。
#176
○政府参考人(野寺康幸君) 先ほどお答えしましたとおりでございますが、一般的に使用者の明示または黙示の指揮監督のもとにある時間というのが労働時間でございまして、介護サービスの、先生御指摘の利用者宅間の移動というものを使用者が命じて当該時間を自由に労働者が利用することができないといったような場合には、これは当然労働時間に該当するわけでございますが、具体的にはその実態を見まして判断させていただいております。
#177
○井上美代君 現場ではやはり今労働省が言われましたようなことではなかなか判断が難しいんですね。だから、やはりそういうものをはっきりさせていくというのには私はルールが必要であるというふうに思うわけなんです。ルールをつくらなければこれはなかなか大変だというふうに思っておりますけれども、その点はいかがですか。労働省。
#178
○政府参考人(野寺康幸君) 労働省としては、先ほど申したとおり、具体的実態に即して判断するということで、これは一貫しております。
#179
○井上美代君 今出てきている福祉労働者についての介護労働者についてはどのように考えておられますか。
#180
○政府参考人(野寺康幸君) 介護労働者であろうとヘルパーさんであろうと、具体的に今申しましたような定義に当てはまるものであれば労働時間でございます。
#181
○井上美代君 私は、さまざまな雇用形態が今広がってきている中で、労働法学会の中でも言われておりますけれども、事業所外の労働について、それが使用者の指揮命令を受けていることをできるだけ実態に即して広くとらえるべきであるという見解が発表されているんですね。こういう主張があるということに注目をしてほしいと思うんです。まさにヘルパーの仕事は事業所外の労働なんです。だから、そういう意味では、今後ふえていきますこうした福祉労働者に対して、実態に即した対応をすべきだというふうに思います。
 次の質問に移りますが、次にその移動のための交通費についてお聞きしたいわけなんです。
 介護報酬単価を決める際に、通勤や移動にかかわる交通費はどのように反映されたのか、算定されていないのかいるのか。これは厚生省、先ほど一定の報酬の計算を言われたんですけれども、ここはどうでしょうか。
#182
○政府参考人(大塚義治君) 先ほど申し上げたことと重なりますけれども、介護報酬単価の設定の際に収入と支出を実態的な例から把握するという調査をしたわけでございます。お尋ねの場合には支出の方に当たるわけでございますが、支出の項目の中に交通費、業務のための交通費を支払っている場合にはそれを支出として調査の数字に上げていただきまして、それをベースに議論をした上で介護報酬を設定いたしたわけでございます。したがいまして、交通費は事業実施に伴って生じる支出、経費ということで算定の基礎に含まれているというのが私どもの理解でございます。
#183
○井上美代君 そういうことでありましたら、支出の中に交通費というのが出ているかどうかということが関係してくるんでしょうか。
#184
○政府参考人(大塚義治君) 実態調査の際に、支出、経費の中に交通費という項目がございます。したがいまして、その事業運営の中の経費としてそれをカウントして、その上で介護報酬単価、それだけではございませんが、さまざまな支出がございますから、そのうちの一項目として交通費というものも算定した上で介護報酬単価を設定したと、こういうことでございます。
#185
○井上美代君 厚生省は平成十一年の三月時点での営利事業所の平均で単価を出したということなんですが、平成十一年に株式会社が出した募集広告を見ることができるんですけれども、四件中二件が交通費全額支給と、こういうふうに明記をしているんですね。ほかの二件についても出さないということではないわけですね。つまり、多くの事業所で交通費を負担してきているんです。介護報酬にも一定含まれているということは今御答弁いただいたとおりなんですけれども、ほかの業種では実態として支給されているところが言ってみれば圧倒的なんですね。
 先ほどのゼンセン同盟の調査なんですけれども、これで見ますと、交通費は、五三・三%は支給されていますが、支給されていないという人と一部負担があるという人を合わせて四六・七%というふうになるわけなんですね。半数が自己負担があるということなんです。そして、車で行ってもガソリン代が出ないとか、交通費は四百円まで自己負担しているとかということで、一部負担しているという人たちも大変いるわけなんです。
 そこで、今の介護報酬にも反映された交通費が、介護労働者を犠牲にしないできちんと払われるようにしなければいけないし、低賃金に追い打ちをかける今の事態、これについて私はどうしても調査が必要だというふうに思っております。
 先ほど大臣は実態調査をしていきたい、事実をきちんととらえていきたいというふうに言われました。実態調査をし、ルールをやっぱりきちんと、労働省が、今後厚生労働省というふうになっていくわけなんですけれども、ぜひつくっていただきたいというふうに思っておりますけれども、大臣、御答弁をお願いします。
#186
○国務大臣(津島雄二君) 参考人からの御答弁でおわかりのとおり、いわゆる交通費、ヘルパーさんならヘルパーさんが職場と自宅、それから職場の間を動くコストについては定型的な形でしんしゃくをされている、私は一言で言えばそういうことだと思うんです。
 ただ、現実にある特定のヘルパーさんが職場と自宅あるいは職場の間を動く実態がその定型に合うかどうかは、これは千差万別だと思うんですね。ですから、これはルールとおっしゃいますけれども、どのルールをつくっても、やっぱり現実にお一人お一人の方と、それからその方を雇用する事業主との間で実態に合った取り決めをし、納得をして働いていただくというこの原則は、これは崩すわけにはいかぬと思うわけであります。
 ただ、委員がおっしゃったような物すごく劣悪な厳しい条件で働けと言っても、そういう労働は長続きしないわけでありますから、だから事業主においても関係者においても、それはヘルパーさんにはきちっと職場で働けるような条件を出すのは、これはもうイロハだと私は思っておりますよ。
#187
○井上美代君 私は、かなり大変な中で働いている介護労働者の問題をもう一つ出していきたいというふうに思います。それは低賃金の上に、言ってみれば交通費まで負担できないと、本当にヘルパーさんは今悲鳴を上げているわけなんですね。そして、ボランティア精神に任せるようなこのようなやり方は、私は改善していかなければいけないというふうに思うわけなんです。そういう中に、深夜の訪問介護について質問があります。
 現在、深夜に訪問介護を行うサービスがだんだん広がっているんです。それは、言ってみれば二十四時間介護というのがうたい文句になりながら民間企業の中でもやってきておりますので、それが広がっているんですけれども、ある大手の企業は二十四時間巡回介護、これを売り物にしている会社ですけれども、主におむつ交換だとかそれから排せつ介助を中心に短時間の介護サービスを何軒も利用者のお宅をずっと回るわけなんです。
 この深夜の訪問介護について、女性が一人でやるのは危険だからやめさせてくれという、そういう声が上がっているんですね。私も少なくとも女性の場合二人で回っているとばかり思っていたんですけれども、実際には先ほどからいろんな経費が節約されて大変な労働条件になっているんですけれども、やはり一人で回っている人たちがかなりいるわけなんですね。声として出てきているのも、酔っぱらいや暴走族に絡まれそうになって本当に怖かったとか、深夜の同じ時刻に同じコースを走るのでストーカーの危険もあるのではないかと、こういう心配がされているんです。利用者のお宅にもお年寄りのほかに人がいらっしゃるんですね。その人がどういう方かよくわからないというときに、夜中に自分が一人で行くということは、これはやはり非常に緊張をするということなんです。
 だから、女性が深夜に一人で夜道を巡回するという、これももう常識から考えれば非常に危険なことだというふうに思うんです。介護は人の体重を抱えたりして作業をやるわけなんですけれども、二人勤務というのが非常に重要ではないか、財政的にもそれを保障していくということが重要ではないかというふうに思っているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
#188
○政務次官(福島豊君) 従業員の就業における安全を確保するのは事業主の責任であるということが基本的な考え方だと私は思います。
 ですから、深夜にサービス提供を行う世帯や地域の状況を踏まえて、女性の訪問介護員を一人で派遣した場合に危険があると判断される場合には、必要に応じて、介護は行わないけれども安全確保のための随行者をつけるとか、そしてまた男性の訪問介護員の活用を図るなどの措置を事業主の責任として講ずることが必要であると考えます。
#189
○井上美代君 もう時間になっておりますけれども、最後に私は、こういう実態が次々に出てきているんですけれども、調査が必要だというふうに思いますので、聞き取り調査も含めて早急に労働省の方でも行ってくださることをお願い申し上げて、私の質問を終わります。
#190
○清水澄子君 社会民主党の清水です。
 まず最初に、医原性クロイツフェルト・ヤコブ病の感染問題について質問いたします。
 この問題については、先ほど午前中も櫻井議員が質問をされておりましたが、私は、我が党の中川議員が衆議院の厚生委員会で、また多くの議員が厚生省の対応について非常に厳しくこれまでも追及してきていると思うんです。特に医師でもある福島総括政務次官は、早くからこの問題を取り上げて熱心に質問されておられました。私もその議事録を読ませていただきました。
 ことしの九月十二日には衆議院において予備的調査報告書が提出されて、二十日には閉会中にもかかわらず集中審議が行われております。その報告書とか議事録等を読ませていただきましたので、特に私は二、三疑問点を伺いたいと思います。
 まず、政務次官はいろいろ質問をされていたから御存じだと思いますが、一九七三年のヒト乾燥硬膜を輸入承認したときの問題でございますけれども、厚生省は西ドイツのB・ブラウン社製ヒト乾燥硬膜ライオデュラの輸入を七三年に承認しておられますね。人の死体から採取して製造した初めての医療用具であったにもかかわらず、これを何か羊の腸線縫合の糸というんですか、縫合糸が承認されているので別に問題はないというような理由で、厚生省は専門家の意見を聞くこともなく、事務方だけで申請からわずか三カ月の早さで承認をしている。そして、それはドナーチェックの必要性や病原体付着の危険性の評価も行われなかったということが厚生委員会で明らかになっていると思います。
 また、ライオデュラの承認申請者というのが山本和雄という個人であります。その申請手続を代行していたのは元厚生省の薬務局薬事監視員だったことが厚生省の資料に記載をされています。元厚生省薬務局職員が申請をして、そして薬務局が三カ月で承認をしているわけですから、それは非常に早く簡単に承認されたんだろうというふうに想像をいたします。
 しかし、もしこの承認のときに厚生省の薬務局が専門家の意見を聞いていれば、たとえ承認時に危険性は認識できなかったとしても、その後数々の危険性の報告がいろんな医学雑誌で早くから報告をされていたわけですから、それを九六年まで知らなかったというふうに、さっきもそういうふうなお答えでしたけれども、そういうことにはならなかったのではないかと思います。
 そこで、私は福島総括政務次官にお伺いしたいんですけれども、この最初の承認のあり方というのは実にずさんといいますか、こういうやり方で厚生省はいつでもやるというふうにお認めになるのでしょうか。そして、事務方だけで、自分で出して自分で承認したということで全く瑕疵はなかったとお考えでしょうか。このことについて政務次官の方からお答えいただきます。
#191
○政務次官(福島豊君) ライオデュラの輸入承認に際しまして、その審査の手続がずさんであったのではないかという御指摘でございますけれども、輸入承認に際しましては、無菌性につきまして承認書に記載されている規格及び試験方法による滅菌条件が十分な効果が見込めるレベルにあることを厚生省が確認し、また滅菌が確実に行われているかどうかを確認するため企業は無菌試験を実施し、さらに国立衛生試験所においても無菌試験を実施し、その結果を確認していたものでございます。
 そしてまた、承認申請に当たりましては、東京医科大学病院そして東京医科歯科大学病院の二施設における計三百五十名の患者についての臨床使用結果の提出があり、その中に問題となるようなデータはなかったとされております。
 そしてまた、無菌試験以外にも安全性にかかわる規格試験方法として、外観試験や引っ張り強さ試験、発熱性物質試験、急性毒性試験、溶血性及び血液凝固試験、抗原抗体反応、包装等が設定されており、当時制定されておりました医療用具の各種基準と比較しても適切な審査がなされたというふうに判断をいたしております。
 そして、審査期間が短かったのではないかという御指摘でございますけれども、当時承認した医療用具の審査期間例を申し上げますと、人工骨頭が約四カ月、そしてまたジッケル氏髄内釘、くぎでございますけれども、これが約二・五カ月と、他の例に比較しましても特段短い期間ではなかったと思います。
 そしてまた、専門家に意見を求めなかったということにつきましては、先生からも御指摘がございましたように、既に生体由来の医療用具として腸線縫合糸が認められていたということもあり、新規性の高い医療用具には該当しないというふうに判断したからでございます。
#192
○清水澄子君 随分質問されているときとは態度が変わられたわけですね。わかりました。そういう立場に立たれるんだということを、今、目の前で教えていただきました。
 この問題は、そういうことを改めておっしゃるんじゃなくて、では二・五カ月で内部の人が代行で手続をしたら、すぐ薬務局は自分のところの人たちでやれるんですね、二・五カ月で許可が。わかりました。これは全部これからはそういう輸入のヒト硬膜のようなものを使っても二・五カ月あればすべて許可がおりる、こういうふうに証明をされて、決してこれは特段短いことではないとおっしゃいましたから、そのことははっきり記憶させていただきます。
 そこでその次に、九七年五月六日の厚生委員会で福島委員の質問のとき、保健医療局長は、CDCレポートのうち重要な案件については抄訳して「病原微生物検出情報」に取りまとめているけれども、八七年当時のCDCの硬膜に関する報告がこれに掲載されたことはなかったと答弁しているわけです。それは、当時は今おっしゃったように余りこの問題は重要な情報としては考えていなかったというふうに当時の福島委員の質問に対して厚生省が答弁をしているわけです。八九年四月号の「病原微生物検出情報」にはこの第二症例及び第一症例が報告されているわけですけれども、前にお尋ねになったときは二年前なんですけれども、そのときはこれは重要な情報ではなかったと答弁されているんですね。
 では、その二年後にはなぜそういう情報が掲載されたのか。そのことについて、福島委員は自分の質問に対する当時の答弁であったわけですけれども、その後に掲載された理由をどのように御認識されているでしょうか。
#193
○政務次官(福島豊君) 第二症例がなぜ掲載をされたのかという御質問でございますけれども、ヒト乾燥硬膜の移植歴のあるクロイツフェルト・ヤコブ病についての第二症例に関する記事が米国疾病対策予防センターの週報に掲載された平成元年当時においてもプリオン仮説というものは定説化されておらず、クロイツフェルト・ヤコブ病の原因因子及び感染機序は明らかでなかったということがございます。しかしながら、第二例目の症例報告であったということも踏まえて、その要約を平成元年四月の「病原微生物検出情報」に掲載したものと考えております。
#194
○清水澄子君 私は時間がないけれども、その内容を全部お話ししたら非常に矛盾が多いことだと思います。
 当時、福島委員は、逆にこのことを私が今聞いたように質問しておられて、安全を確保する責任があるのになぜわかりませんと言うのかということで、どこがこれをチェックする責任があるのかということをただしておられるんですが、では現在そのチェックできる体制はどのようにおつくりになったんでしょうか。
 そして、こういう問題は、やはりいろんな情報をもっと的確に知らせるべきだ、そういう意味でも厚生省はこの情報を収集するに当たって瑕疵があった場合にはちゃんと責任を持たなきゃいけないと、こういうふうにおっしゃって質問をされているんですが、今、私はそのとおりお聞きしたわけです。
 ですから、それは全くもう何の瑕疵もありませんか。責任もありませんでしょうか。
#195
○政務次官(福島豊君) まず、先生の御質問の前半は、現在さまざまな感染症の危機情報というものがどういうふうに収集されているのかということであろうかと思いますけれども、現在では、厚生大臣に対して副作用・感染症報告を医薬品の製造業者等に義務づけるとともに、また製造業者等による医療用医薬品の情報収集・提供の体制、社内教育等を規定する市販後調査の実施に関する基準というものを制定いたしております。
 そしてまた、すべての医療機関及び薬局からの副作用・感染症情報の報告を厚生省が直接受ける制度を整備いたしております。
 そしてまた、そうした感染症情報を集約化するための拠点となる感染症情報センターを設置いたしております。
 また、医薬品等健康危機管理実施要領の制定によりまして、厚生省内の情報の共有化と迅速かつ総合的な対応を図るための体制整備というものを整えております。このMMWRにつきましても、それ以外の雑誌も含め、各種の国内外の学術誌について医薬品等の安全対策の参考とすべき情報がないかどうか確認をする情報収集体制というものを整備いたしております。
 そしてまた、諸外国の機関との連携ということが必要であるという御指摘がございましたけれども、WHOの医薬品副作用モニタリング制度等を通じた諸外国当局と厚生省との安全情報の随時交換ということも行っております。
 当時、認識がどうだったのかということでございますけれども、これは当時の研究班の調査報告、そしてまた研究班の問題の取り上げ方等々を踏まえまして、ヒト乾燥硬膜が直ちにクロイツフェルト・ヤコブ病に結びつくという認識というものが専門家の中においても十分には確立をされていない、そういう状況であったと認識をいたしております。
#196
○清水澄子君 今のお答えは全然私が聞いていないことをずっと答えておられました。
 時間がないのでいずれまた聞かなきゃいけないんですけれども、CDCの週報のMMWRでも初症例が報告されたり、FDAがライオデュラの処分を勧告したり、諸外国では八七年には非常に具体的にそういう問題が明らかに情報としても出されていて、ですから八九年に慌ててこれを載せられたんだと思います。
 それは、やっぱりこれは大変な問題だということに気づかれたんだと思いますが、厚生省はそういう情報のキャッチが遅れた。しかも、それはなぜそうなるかというのは、非常に不思議なのは、一方では、保健医療局の方は研究班をつくっているんですけれども、そこでは危ないと言っていながら薬務局の方は何も、お互いに連携をとれない。これは、縦割りの中のさらに縦割りの問題が起きていると思いますけれども、そういうことを気づいていても役人が書かれたのをそのままお読みになるんですから、全部隠ぺいされているわけですね。ですから、この問題はやはり厚生省が一度自分たちで何が問題だったか、はっきり調査される必要があると思います。
 そこで、私は最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、九月二十日の衆議院の集中審議の答弁で、医学の技術がどんどん進歩してくれば新しい処方を始めるとき必ずリスクがあると答弁されておりますね。そうすると、この問題はリスクであったんでしょうか。リスクだとお考えでしょうか。
 これは、今、私は二つか三つお聞きしただけですけれども、厚生省自身の内部のお互いの行政の間のそれぞれの課の連携というものも行われていなかった、それからやはりこの許可の仕方の不明瞭さという、いろんな問題があります。そして、国際的にはいろんな情報があったのにかかわらず、それをキャッチしていなかったという問題がありますし、使用禁止の措置を早くとらなかったという、こういう問題もあるんじゃないかと思うんですけれども、それは一切厚生省の責任ではなく、それは新しい医療用具であったからリスクだというふうに厚生大臣はお考えでしょうか。
#197
○国務大臣(津島雄二君) 私があのときに申し上げましたのは当然のことを申し上げたわけで、医学の進歩の歴史の中では当初わからなかったことが後になって明らかになることは常にあるという事実だけを申し上げたわけであります。
 そこで、今、清水委員の御質問を聞いていますと、最初の認可の段階から問題があるとおっしゃった。それに関連をして申し上げますが、今、厚生省の薬務行政に対して絶えず寄せられている批判は、何で認可がこんなに遅いんだ、外国で使われている薬はいっぱいあるじゃないか、医療用具はいっぱいあるじゃないか、早くやれという声ばかり受け続けてきたのでございます。そうして、今大体の基準にしておりますのは、医療用具では四カ月、それから薬品については一年、こういうことで大体まあ一般の御了解を得ているんだと、そういうことをまず申し上げなければならない。
 さて、その次に、委員は当然のようにおっしゃった、日本の厚生省の対応が非常に遅かったとおっしゃいましたけれども、私はこれは裁判でもだんだん明らかになってくると思いますが、アメリカ初めヨーロッパの対応に比べて厚生省の対応は遅過ぎも早過ぎもしなかったと、そういう認識を持っております。
 そして最後に国の責任について。
 FDA、FDAと随分おっしゃる方は多い。アメリカのFDAの医薬品の承認審査についての責任について、連邦不法行為賠償請求法という法律がございまして、これでやっているんです。ここに何と書いてあるかといいますと、FDAは正当な注意のもとで連邦政府職員が法令の執行のために行った行為または不作為により生じた被害については国は責任を負わないと。ここに書かれている正当な注意というのは、私どもの今議論しているところでは、要するに予見が可能であったかどうかということは大きなポイントなんです。ここが今裁判で争われているわけでありまして、日本における議論というのはアメリカのFDAの議論と全く軌を一にしている議論をやっておるんだと、このことだけ申し上げておきます。
#198
○清水澄子君 それは開き直りということだと私は思います。
 やはりこういう被害を受けた人の立場に立ったときに、それはそういう立場に、ではなぜお見舞いに行かれたんですか、政務次官は。──いや、そのことを今、私の質問の方を先に優先させてください。私は時間がありません。
 ですから、やはりそれはそういう被害を受けた方に対してお見舞いはしなければという気持ちだったと思います。
 そういう中で、例えば予備的調査の報告書を読みますと、そのときの研究班の立石さんなどは、この当時はこういう「CJD患者材料が危険なことは、当時すでに、かなり知られていたと思います」ということを言っていますね。それから、自分が一番疑問に思うのは、「当時、厚生省の輸入製品の安全対策を担当された課にはCDCやFDAとの連絡がなかったのでしょうか。これが私の最大の疑問点です。」ということも言っておられますし、やはりそういう担当課のもっと重要な、特に感染症にかかわる問題ですから、当時の難病対策課や我々にも相談をしてもらっていたらよかったのではないだろうかと。これは後の問題になりますけれども、そういう報告があるわけです。
 ですから、私はこれをぜひ委員長に、私どもはこのヤコブの問題について集中審議を要求していましたけれども、研究班の中からいろんな方をお呼びして、参考人を呼んで、私はぜひ審議をすることを委員長にお取り計らい願いたいと思います。
 そして、大臣には、私はもう一つお聞きしたいのは、丹羽厚生大臣は、昨年十一月十六日の衆議院の厚生委員会で「ヒトの由来から発生するような医療用具に対して、私どもがどういうような監視なり指導ができるかを含めて十分に検討しなければならない」と答弁をされております。
 そこで私は、今どのような検討が行われているのか、その進捗状況をお伺いしたいと思います。
#199
○国務大臣(津島雄二君) まず、お答えをいたしますが、私が患者の関係者の方にお会いをいたしましたのは、何度も御答弁をしておりますが、クロイツフェルト・ヤコブ病というのは重篤な病でございまして、これに罹患をされた方々には、本当にお気の毒である、厚生省として行政の許す範囲内でできるだけのことをしてあげたいという私の素直な気持ちで申し上げている次第でございます。
 その次に、お話がございましたように、いろんな方がいろいろ言っておることについて厚生省はどうだという御意見がありましたが、だからこそ、日本は法治国家でございますから、法に照らして責任の所在はどこにあるかというのを司法で今ちゃんと争っていただいているんですから、だから私どもは素直に司法判断を今待っておる、こういうことをひとつぜひとも、清水委員も法秩序をつかさどる立法府の一員でいらっしゃるわけでありますから、御理解をお願い申し上げたいと思います。
 最後に、丹羽厚生大臣の御答弁に関連して申し上げますと、バイオテクノロジー等の技術革新に伴い、今後、医療上有用なヒトの細胞組織に由来する医薬品や医療用具の開発の進展が見込まれるところでございますが、これらの製品については、ヒトの細胞組織が有している感染症を伝播するおそれを完全には否定できないことから、その安全性の確保が特に重要であると考えられます。
 このため、昨年四月以来、中央薬事審議会バイオテクノロジー特別部会におきまして、これらの製品に対する規制のあり方について審議を進めているところでございます。このようなヒトの細胞組織に由来する製品に対する新たな規制を行った上でなお感染による健康被害が不可避的に生ずるとした場合、通常の感染による健康被害とは異なる面もあると考えているところでございます。
 このため、新たな規制のあり方を踏まえつつ、今後、感染による健康被害の対応についてその救済の必要性を含め、法律的観点から幅広く研究をしていくところでございます。
#200
○清水澄子君 大臣、勘違いしていらっしゃいませんか。裁判で司法の判断を待つというのは、今、被害者たちが裁判を起こされたわけであって、議会というところは、こういう問題の背景とか何が原因であったか、厚生行政の問題点というのを大いに議論していいと思います。それを法秩序に従いなさいというのは、私すごく間違っていらっしゃるんじゃないかなと思いますけれども、きょうはもう私はこれだけで時間がなくなりましたので、あと一つぐらいしかもうできないんですが、次に行きます。
 一つは、介護保険のことをきょういろいろお聞きしたかったんですが、特に私はその中で、介護保険がスタートして七カ月以上過ぎたわけですけれども、非常にさまざまな問題が起きております。その中で私は一つだけ言いますが、特にヘルパーさんの身体介護と家事援助の単価の違いとかそれの運用、これについて非常にいろんな問題が起きています。
 特に、私は現場のヘルパーさんたちから直接お話を伺いましたけれども、例えば現場へ行ってお茶わんを二つ洗ったら、これは家事援助ということで一時間千五百三十円にされてしまった。体の方の介護をすると四千二十円になるというんですね。これはお金の問題だけではない、一級、二級といった資格を持ったヘルパーさんが家事使用人のように扱われているという面もあると。それは私はやっぱり変えなきゃいけないと思います。
 しかし、その背景にはやっぱり家庭それぞれの、要介護者の家庭の事情というものがあると思うんです。その要介護高齢者が家族とかに気を使う余りにヘルパーさんに何でもやってくれという場合もあるわけです。しかし、それも本人の自立のためとは無縁の家事労働をやらせているわけではないことになるんですね。ですから、これは利用者だけの問題ではなくて、根本に制度の不備が非常にあると。
 例えば、ケアプランは形式的につくられたけれども、それは余り機能していない。訪問介護計画書、これが何と事業者の手に渡っていない、あるいは事業者が見ても現場のヘルパーさんに見せないという例が非常に多いんだと。事業者は、ヘルパーに給付管理表だけで仕事を指示してきて、何日の何時に行けと言うだけであって、ヘルパーさんが雇い主である事業者にこの人はどういう状態でどういうケアをしたらいいんですかと聞いても、そんなことはお客の言うとおり仕事をやれというふうに言われてしまう。現場に行くと、今度はあなたに金を払ってあるんだと、こう言われると。
 ですから、ヘルパーさんは自分たちはケアプランに基づいて介護者の正しいニーズ、いわば診断に沿って自立に導いていきたいという、そういう情熱を持って仕事についているんだけれども、今の状況であれば、身体介護と家事援助という形で区分されたこの制度では非常にいろんな混乱があるということを言っているわけです。これは現場の声なんです。
 私もこの点では、私は家政婦さんのように扱ったらいいということは支持しませんけれども、ただ問題は、やっぱり人間の生身の介護について家事援助と身体介護を分けるというのは、介護そのものというのは非常に家事というのは何なのかと。食事もあるでしょうし、そういうようなものとこれは一体のものなんですね。そうしないと、自立といったって、そこを区分して自立はなかなか難しいと思うわけです。
 ですから、やはりそういう中で、何か特に家事を家族が放棄しているとか、それをやらないのは家族の美風が壊れるとか変な、このスタートの前に政治的な発言がありましたけれども、そういう発想でいったら私は介護のこの状況はただせないと思うんです。ですから、家事というのは女がすればいいとか家族がすればいいという問題ではなくて、その本人がどのように自分がどういう介護を受けたいか、やはり本人の、利用者の自己決定権というものを最大に尊重していけるようなシステム、そして家事援助と身体介護というのは一体化した単価にしていきながら、その内容はケアマネジャーとかまた地方自治体がもう少しこの制度を柔軟に運用できるようなそういう裁量権を与えていく、そして本当にこの制度が使いやすいようにしていくべきだと思いますが、その点について御答弁いただきたいと思います。
#201
○政務次官(福島豊君) 訪問介護につきましては、先生も御案内のように、提供されるサービス内容から身体介護中心型と家事援助中心型に分けた上で一体的なサービスの提供ということも想定をいたしまして、両者の折衷的な類型として複合型を設定したわけでございます。
 この三分類につきましてもさまざまな意見があるということは承知をいたしておりますけれども、その適切な運用を図るための対応は事例集というものをお配りしたりというようなことで行っておりますけれども、当面は、制度が定着しつつある状況でございますから、サービスの利用動向の把握に努めたいと考えております。
 ケアマネジャーにつきましては参考人の方から答弁をさせていただきます。
#202
○政府参考人(大塚義治君) ケアマネジャーが介護保険制度の運用の中核的な役割を担うということにつきましては、私どももそのとおりだと思っておりますし、先生の御指摘の中に出てまいりました、私どもから見ましても必ずしも適当でないような事業者とケアマネジャーと現場の職員の関係というのが御指摘ございましたけれども、こうした点につきましてもさまざまな研修あるいは私どもからの情報提供を通じて改善に努める必要があろうと思います。
 ケアマネジャーにつきましては、その中核的な役割ということに思いをいたしまして、これを行政的にもできる限りバックアップしていこうと。今、いろんな御意見を賜っておりますけれども、報酬の問題なども出てまいりますけれども、そのほかにやっぱり現場で、専門家と言いながらまだ制度も始まって日も浅いということで、現場でさまざまな迷い、苦労というのがあるようでございまして、そうした観点での情報交換だとか、あるいはお互いに相談をしたりとかというような御希望も非常に強うございます。そういった点にも思いをいたしまして、ケアマネジャーの支援体制というのも今後さらに強化をしてまいりたいというふうに考えております。
#203
○堂本暁子君 私は、女性と年金ということで、連続質問に近いんですが、ずっと問題にしてまいりました。
 きょうもその関連で質問させていただきたいんですが、まず厚生大臣に、一九九七年に基礎年金番号が導入されました。大臣はこの基礎年金番号を一人が二つ持ってもいいと、あるいは一つしか持ってはいけないのか、その点はどうお考えでしょうか。
#204
○国務大臣(津島雄二君) 私も複数持っておりまして、つまり共済に属しておった立場がございますから、年金関係の書類が参りますと番号の別々なやつがぽつぽつと入ってくるわけです。つまり、国家公務員共済の分野の話と、それからもう一つは今のJTにしばらく出向しておりましたから、そっちも来る。
 そういうことで、この年金関係の番号が統一されるのはいいことだなとかねがね思っておったわけでございまして、委員の御指摘が基礎年金番号というものをきちっと一つに統一すべきではないかということでございますと、方向としては私はその方がいいなというふうに思っております。
#205
○堂本暁子君 私は、基礎年金というのは一人が二つも三つも給付されるものだというふうにはちょっと理解していなかったので大変御答弁がわかりにくいんですが、これは後から伺うことといたします。
 これは社会保険庁に伺いたいんですけれども、この基礎年金番号は現在幾つぐらい出されておりますでしょうか。
#206
○政府参考人(小島比登志君) 基礎年金番号でございますが、平成九年一月の月末時点におきまして基礎年金番号が導入されたわけでございますけれども、各公的年金制度の被保険者及び受給権者に対しまして基礎年金番号、延べ約一億百五十六万件を付番しておるところでございます。
 以後、加入者がふえてまいりますからこの件数はふえているわけですが、この基礎年金番号の付番件数につきましては、現在社会保険オンラインシステムが件数把握等の統計分析に対応できる仕組みをとっていないため、現在幾つかということはちょっとわからない状況でございます。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
#207
○堂本暁子君 社会保険庁がことし公的年金制度の一元化に関する懇談会にお示しになった数字ですと一億九百五十五万人というふうになっていますね。きょうの数字とちょっと違うということと、それから、今はっきりしないというお返事だったのでそこはともかくといたしまして、現在、成人の数が九千六百九十万人、これは九五年の国勢調査ですが、一億九百五十五万人という勘定からいたしますと千二百六十五万人違うわけですね、人数が。およそ一割、一〇%、大変な数だと思うんですけれども、こういうことはなぜ起こっているんですか。
#208
○政府参考人(小島比登志君) 一つには、やっぱり一番大きいのは複数の年金制度の被保険者として記録をされていた方や、あるいはまた受給権者も同様ですがこれに重複して付番をしていること、それからまた二十歳未満の厚生年金の被保険者にも付番が行われていることによるものだと考えております。
#209
○堂本暁子君 余り明確なお返事じゃないと思うんですが、大臣も今二つ持っていらっしゃるとおっしゃいましたけれども、基礎年金の数が九千万ぐらいの成人がいる中でおよそ一〇%ぐらいオーバーした数が出ている。大臣の場合はそういう二つの勤め先の二つの番号を持っていらっしゃるということですけれども、問題は自分が知らない間に二つ番号を持ってしまう。これだけ大勢の人が、今の大臣のようなケースなのか、それとも違った形でそういう二つの年金番号を持ってしまうとすればこれはおかしいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#210
○国務大臣(津島雄二君) 私の場合は、恐らく基礎年金としてはきちっと総合管理はされていると思うんです。ただ、年金番号は両方持っている、これが正確な言い方だと思います。そのほかに、あるいは委員御指摘のように、そこのところもあいまいなまま違った制度で付番をされていると、相互の調整も十分に行われていない場合もありはしないかと思っておりますが、この辺は参考人の方から答弁をしてもらうのがいいと思います。
#211
○堂本暁子君 まさにそこの問題でございまして、今問題になっていますけれども、短期間のアルバイトをしたために、本人が厚生年金の加入を知らされない、あるいは健康保険証さえ渡されないままいわゆる三号の未納扱いにされている実例が今次々と問題になってきています。私は、女性と年金のことを問題にしてまいりましたので、これはまさにおかしいと思うわけですね。
 厚生年金法の第二十九条、そして百二条では、本人が加入したことを通知しない事業主は懲役六カ月または二十万円以下の罰金に処するということがこの法律に書いてありますけれども、今までにこの罰則は何回ぐらい適用されたでしょうか。そのことをお答えください。
#212
○政府参考人(小島比登志君) 委員御指摘のように、厚生年金保険法第二十九条及び百二条に基づきまして、適用事業所の事業主は、社会保険事務所長から被保険者資格の確認または標準報酬の決定等に関する通知を受けたときは、これを速やかに被保険者に通知することとされております。これには罰則もあるわけでございますが、現在のところ実際に罰則が適用されたということはないと承知しております。
 社会保険庁といたしましては、事業主……
#213
○堂本暁子君 そこまでで結構です。結論だけ言っていただければ結構です。
 そのようにして基礎年金番号の統合作業が今進んでいますけれども、三号で未納期間が存在していることがはっきりしたケース、それは何件ぐらいありますか。
#214
○政府参考人(小島比登志君) 過去記録の整理を年金番号につきまして進めているわけでございますが、これは確定した年金期間ということでございますので、三号の未納期間がどこに相当するかというのは現在のところわからないということでございます。
#215
○堂本暁子君 一千万人以上の成人の方と、それから基礎年金番号との誤差と申しますか、ずれがあるわけですけれども、この一千万というのは二万、三万の数ではないわけです。大変に大きな、大体三号だけで千三百万しかいないんですから、それに匹敵するぐらいの数字のずれがあると。それに対して、全く保険庁ではこれをつかんでいない、計算もできない。これではもういろんな形での被害と申しますか犠牲者が出てくるのも当然じゃないかと思うんですね。こういうことではとても国民の信用を得られないというふうに思います。
 大臣に伺いたいんですけれども、三号は必ず届け出をしなければ三号として認められないというふうになっているんです、現行法では。この三号は一銭も保険料を払っていない制度ですけれども、その方たちが一々役場へ行って、あるいは市役所へ行って届けるということはどういう意味があるというふうに、これは質問通告はしていませんけれども、どういうふうに大臣はそのことの必要性を感じておられますか。
#216
○国務大臣(津島雄二君) 一番問題なのは、三号と二号の間を行ったり来たりするケースですね。これをきちっと把握して実態に合った年金計算をしてあげるということが基本にあるんだろうと思います。ただ、委員が御指摘のとおり、個々の被保険者がそういう意識を持っていないとすれば、随分それは戸惑う方もいるんじゃないかなと、私は庶民としてそういうふうに思っております。
#217
○堂本暁子君 大臣、その届け出というのは、やはり行う必要というか、それはどういうふうに解釈していらっしゃいますか。払う人が届け出るのはわかるんですよ。払わない人の届け出についてはどのようなお考えでしょうか。
#218
○国務大臣(津島雄二君) 保険者の方でその実態をずっとフォローしていくためには、やっぱりどの時点でどういうステータスになったかということをフォローしておかなきゃいけないだろうと、そういうことからきているんだろうと思います。
#219
○堂本暁子君 問題は二つあると思うんですね。
 というのは、本人が厚生年金に入ったということを自覚していれば、また抜けたときには届け出るでしょう。それを自覚していなければそういうことは起こり得ないことです。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
 それからもう一つは、きょうはあえて自治省にもおいでいただきましたけれども、国民年金法の第十二条では、地方公務員の被扶養者、三号の届け出は本人が行わなくてもよいことになっている。こちらの方の趣旨をお答えいただきたいのです。
#220
○政府参考人(木寺久君) 国民年金法の第十二条第三項の規定によりまして、これは昭和六十年の改正によりまして、共済組合等の組合員の被扶養配偶者を第三号被保険者としたことに伴い、社会保険庁長官が指定する共済組合等の組合員の被扶養配偶者であります第三号被保険者につきましては、その届け出を当該組合等が代行できるという制度でございます。
 地方公務員共済組合におきましては、組合員及びその被扶養配偶者の負担を軽減する観点から、事務上の負担も勘案した上で本制度を活用することとし、昭和六十一年の四月に社会保険庁長官の指定を受けまして届け出を代行しているものであります。
#221
○堂本暁子君 これは組合員の負担を軽減するという意図ですね。答えていただけますか。そうですね。はいだけでも結構ですが。
#222
○政府参考人(木寺久君) そうでございます。
#223
○堂本暁子君 この辺も結局大変な不公平があるわけですね。一方では本人の届け出を義務づけていない、一方では本人が届け出をしないとどういうことになるかということです。
 今一番多いのは生命保険のようですけれども、生命保険、毎年どのぐらいの人が入れかわるかというと、実に十五万人です。そして、しかもその厚生年金の加入を知らないケースが圧倒的に多い。しかも、その後の届け出を本人がしない限り第三号として未納扱いになっている。九八年からは勧奨状、いわゆる通知が本人に届くようになりました。ですから、これは本人が届け出なければ本人の責任ということも言えるかもしれませんけれども、それ以前についていえば、三号の被保険者制度が導入されて以来実に十三年間こういう事態が続いているわけです。
 無年金を救済するためにわざわざ八五年には三号というのをつくられた。私は三号制度には反対ですけれども、厚生省の意図としてはそういうことでありました。一方で、こういう無年金者をどんどん排出するようなやり方というのは私はおかしいと思うんですね。非常に多くの方が犠牲になっています。
 例えば、私がここにいただいたお手紙があるんですけれども、たった三カ月働いた。ずっと専業主婦でやってきたけれども、一体私の人生は何だったんでしょうかと。ずっと親の介護をし、しゅうとの介護をし、そして痴呆だったりした。もう本当に苦労してきて、そしたら自分が無知だったがゆえに年金通知というのが来た。だけれども、その年金通知が自分が無年金になっているということすらわからない年金通知だった。しかも、この方は年金の相談で三回も銀行に行ったけれども、何にも言われなかった。実質三カ月だけのために一体どうしたらいいんでしょう。助けてくださいと。
 その気持ちはわかります。みんな自分が年をとったときには最低基礎年金なり、夫が亡くなった場合は遺族年金もあると当てにしてきた人たちが、あるとき突然無年金だと言われる。これはやはり制度がおかしいんじゃないかと思うんですね。こういうことが今続出してきている。大臣はこのことをどうお考えになりますか。
#224
○国務大臣(津島雄二君) 第三号被保険者は、せんじ詰めれば、その配偶者が加入している厚生年金や共済年金などの年金制度がその方、つまり第三号の方の基礎年金の給付に必要な費用も一緒に負担する仕組みになっている。それがいいか悪いか、委員の御指摘のとおりでございますが、したがって御本人からの届け出があって初めて第三号被保険者であるということが確認される、またそれが必要だということで今の制度は組み立てられているわけであります。また、それを基礎として年金運用が図られているわけであります。
 しかし、本人に知らされないまま資格が変動しているなど届け出がなされなかったことについて、常識的に本人に責任があるとはなかなか言えないケースもあるのではないかと。こういうことで、実態をよく把握した上で、主婦の方、配偶者の方、本人に全く責任があるとは言えないようなケースをどう考えるか、これは検討課題だと思っております。
 なお、平成十年四月以降は、厚生年金適用事業所を退職してから一定期間がたっても新たな届け出がない場合には個別に届け出の勧奨を行うということで、届け出漏れの防止はかなり前進をしていると思いますが、根本的にこれを解決するには僕は二つの問題があると思います。
 一つは、やっぱり年金の立て方、これを変える。いわば第三号の方も個別の年金者にするということがこれは制度論としてありますけれども、これをやる上では大変な問題があり、場合によっては税制までかかわってくるということで、今、委員も御承知のとおり、省内に検討委員会をつくって勉強させていただいております。
 もう一つは、この基礎年金ばかりでなくて、IT技術が進んできた場合に行政のワンストップサービスをさせる。同じ番号で同じところにお願いをすればいろいろな行政サービスが受けられるという今流れになってきている。その中からICカードをつくろうというような動きもある。そういうことからいいますと、やっぱりここのところはもう少しきれいにして一連番号がつくようになればいいんだなと私は思っております。
#225
○堂本暁子君 長期的には私は大臣がおっしゃったように三号はなくしていいというふうに思っていますが、直近の場合、今実際に何万人いるかわからない人が無年金者になるということの方が大問題だと思います。
 大臣も認められたように、やはり制度におかしいところがある。大体、自分が登録しなくても、その人の名前のところにまた厚生年金がかぶさったら二重になっているんだということがわかるような制度になっていない。これはもう本当に社会保険庁に私は責任があると思うんですが、そういうふうになっていない。
 それからもう一つは、やっぱり運用に問題があると思います。今の二十九条、これを一回も使っていない。これだけ何回も何回も何十万人という人がそういうことをやられていながら、事業所に対して何にも役所はやっていない。これは社会保険庁の怠慢ということ以外に何も言えないと思います。あえてそれの答弁なんて要りません。もうそれは断じて怠慢である。
 それからもう一つは、今おっしゃったように制度の設定自体に無理がある。複雑過ぎる。だからこそ、市役所や何かの担当窓口で正確な情報を実際に提供することすらできない。ですから、特例措置中でも、いろいろ報道もされたりして、心配して役所へ行った方もあるわけです。
 ここにある方なんというのは、これ、紙を実際にいただきましたが、特例期間中にその方が行って、納付月数は二百七十六カ月と言われ、安心して、それでいざ年金をくださいと言ったら、あなたは途中で厚生年金になっていましたと。今度は何と言ってきたかというと、百七十六カ月しかあなたは保険料を払ってなかったんですと。こんな変な対応というのは許されるものですか。本当におかしい。こういうことが続発しているから、みんな女の人たちが泣いているんですよ、今。これはおかしいです。どんなことをしても役所が信頼されない、日本の保険制度が、年金制度が信頼されない。当然です。私は、社会保険庁が物すごく怠慢だと思う。
 小さいことで言わせていただければ、十二時から一時までは問い合わせにさえ応じていない。こんな行政サービスの怠慢というのはないと思いますね。──やっていますか。であるとすればそれはまたあれですが、やっていないとすればきちっとやってほしい。
 それから、温情的な措置というのを考えなければならないとおっしゃった。実際にこの方の場合にはだめなんですけれども、もうむしろそういう同じ役場の窓口が、いや、こっちのミスだった、あのときああは言ったけれども実際はということで温情的な措置をやった。それはそうですよ。それまでに、例えば二十年払った自分の厚生年金さえ全部ふいになってしまう。結婚して、しばらく子育てして、それでほんの二、三カ月働いて、そのおかげで自分の厚生年金も基礎年金も何もかも全部だめになってしまう。こんな矛盾は考えられないことですね。
 ですから、そのことに窓口の役場が温情的な措置をとる、このことは私は大事なことだと思うんです。さもなければ泣くに泣けない。許されないことだと思います、これだけ皆年金と日本で言いながらそういう犠牲者が出るというのは許されないと思いますが、この温情措置については大事にされるでしょうか、いかがでしょうか。大臣の御答弁を求めます。
#226
○国務大臣(津島雄二君) 大変に強く胸を打たれるところもございますので、真剣に検討させていただきます。
#227
○堂本暁子君 でも、これなんか明らかにそうでしょう。その時点でもし二百六十七なんて書き方をしなければ、えっ、どうしてだろうと。そうすれば、その間は二年間の救済措置というのがあったわけです、特例措置が。そのときに役所が間違えて、それで本人にそれはあなたが間違っていると言われても、それは本人の責任ですか。違うんじゃないでしょうか。
#228
○国務大臣(津島雄二君) 今のお話を伺う範囲内では、これはちょっと厳しいな、きついなという感じであります。
 非常に深く感銘を受けましたので、真剣に勉強させていただきます。
#229
○堂本暁子君 私がきちっとお願いしたいのは、やはりそういう本人も知らない間に厚生年金手帳ももらわず、それから健康保険証も手渡されず、一方の事業主の都合でそういうことになっている。それを本来は全部役所の方で、本当は社会保険庁がチェックして通知すべきことなんです、今やっているように。それを十三年間空白があったというのは、これは行政の怠慢なんです。
 だとすれば、そこのところについては行政が責任をとるべきだし、一人二人の役場の人がたまたまこれはこちらのミスだったと言って温情的な措置をとるだけではなくて、やはりそういうことを届け出た場合に、こっちの人は温情措置がある、こっちはないということでも困るんです。ですから、きちっとした救済的な措置をお考えいただきたい。
 しかも、一千万人以上のこの数、誤差。はっきりした数字すら出せないというふうに今社会保険庁はお答えになりました。要するに、そこのところは何もつかんでいないということなんです、はっきりひっくり返した言い方をすれば。つかんでいないから答えられないとおっしゃった。しかも、その一億九百五十五万という数ときょうおっしゃった数とまたそれもずれがある。何百万人という数のずれがある。私たちの年金という大事なことでこれだけずれていくということは大変おかしいと思います。
 このことは、その十三年間のことを救うには、私は政治家でいらっしゃる大臣の御英断、今前向きに御検討くださるというお返事でしたから期待をさせていただきますけれども、これは政治家が責任を持つべきことだと思いますが、もう一度大臣にそのことを確認させていただきたい。
#230
○国務大臣(津島雄二君) 尊敬する堂本先生の重ねてのお話でありますので、本当に真剣に考えます。
 それで、なぜ歯切れが少し悪いのかといえば、公平にしなきゃいかぬということ、それは委員おっしゃったから私もそこで救われたような気になるわけですが、とにかく公平ということを頭に置きながら真剣に検討して、できれば早く結論を出したいと思っております。
#231
○堂本暁子君 最後に、私は制度のことに触れたいと思いますが、大臣おっしゃったように、今、二回、女性と年金検討会が開かれました。また近く三回目が開かれます。
 これは厚生省にも私は申し上げたんですけれども、大変私が不思議に思いますのは、年金の研究者、それから女性と年金について本当に深い研究をしている方が入っていない。特に、世帯単位から個人単位というのは一つ大きな課題で、この国会の場ではずっと、ここに女性議員が並んでいまして、そのことを大変問題にしてきましたけれども、個人単位について主張している学者の方は、全部もうお考えがわかっておりますからということで、どうして省いてあるんですかと聞いたら、こういう方たちはお考えがわかっている方ということで最初から省いている。
 ということは、国会の場でさんざん審議をして、もう女性議員がこぞってもう一度女性の年金の問題を検討してくださいということでおつくりくださった検討会に、この国会の場で一番多く問題になった世帯単位と個人単位との問題、まさに個人単位になればきょうのような問題は解消するわけでございます。そうですよね。こういう変な形でやって、しかもそれが自治省の方はそういった手間を省くために自分でやらなくていい。ですから間違いは起きないでしょう、共済組合の方は。
 しかし、厚生年金の方は、きょうの社会保険庁の御答弁は私はあいまいだと思います。そのことは、計算ができないとか、私の持っている数字とそちらの数字とも違う。そのことはまだできない。これじゃやっぱり役所として責任が持てない。やはり、どこまでも女性と年金、あるいは年金制度そのものが複雑過ぎます。こんな複雑なものを私たち女の人が一人ずつ、それは厚生省の年金の課長でもなければ担当官でもない人がそうやって自分が生保に、生保だけじゃないです、国家公務員だった夫が民間に移った、そういう場合にでも起こっているんです。何百というケースがあるわけです、具体的に。そういったときに、本人の知らない間に無年金になる。これでは何のために、三百万人の女性を救おうと思って厚生省がなさったことが逆のもっともっと悲惨を生んでいる。しかも、それは年をとって六十五歳になって気がついて、いや、あなたは未納者です、十年間。そう言われたってそれは泣くに泣けないです。
 ここは、やはり私は社会保険庁とそれから役所、市役所なり区役所なりとの連携も非常に悪いというふうに聞いています。区役所では本当のことがわからない。三百幾つしか全国にない社会保険庁がどこまでそれにきちっと対応しているのか、それから働いている人にしろ主婦にしろ、社会保険庁まで足を運んで熱心にそれを調べ切るということがどれだけの人がやるかということです。
 私も相当年金では制度を知らないために損をした一人ですけれども、やはりそういう複雑さがなくてもっと明快に、これこそが、複雑さが今不公平と不公正を生んでいるとしか申し上げようがない。この制度の複雑さゆえに、三号被保険者のこのからくりのために、そしてもう一つは行政の怠慢としか言いようのない、それは窓口よりもむしろもとの社会保険庁の怠慢のために私はみんな、一人一人の被保険者が犠牲になっているとしか申し上げようがない。
 そのために泣いていて、この方の、私は本当に愚か者でした、どうしていいかわからない、母が亡くなったらまた働き始めようかと思っていますと。こんな情けない思いを一人一人の、ずっと介護で忙しい思いをしてきた、気がついてみたらそういうことだったと、こういう人をそこらじゅうに何万人もつくっていいんでしょうか。絶対よくないと思いますね。そこはもう大臣の、きょうは前向きの御答弁をいただいたので、あとは期待をさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#232
○西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。
 午前中から諸先生方がいろんな角度で御質問をされております。私は、予防接種について本日はお伺いをしたいと思います。
 ポリオの予防接種につきまして、この春のポリオの予防接種の見合わせの背景とその後の経過について、これまでの厚生省の対応、そしてまた今後のあり方、そういうお考えを本日は多岐にわたってお伺いしたいと思うんです。
 まず、先日、京都におきましてWHOより西太平洋地域からポリオが根絶したとの宣言が行われました。その内容と、今日の我が国、あるいは世界におけるポリオの状況についてこの京都会議に出席をされました福島総括政務次官より御答弁をいただきたいと思います。
#233
○政務次官(福島豊君) ただいま先生から御指摘いただきましたポリオ根絶京都会議でございますけれども、先般無事終了いたしました。その経緯につきまして御報告をさせていただきたいと思います。
 WHO西太平洋地域事務局は、同地域における野生株由来のポリオウイルスによる患者の発生状況について、ポリオ根絶認定委員会というものを設置いたしまして、検討、評価を今まで行ってきたわけでございます。そして、今回、京都におきまして、二〇〇〇年十月二十九日をもって同地域内におけるポリオの終息が宣言できると結論するという同委員会の検討結果が報告されまして、これを受けまして尾身WHO西太平洋地域事務局長より、同地域内における野生株由来のポリオウイルスによる患者発生の終息が宣言をされたところでございます。この終息宣言は、WHOの六地域の中ではアメリカ地域に次ぐ二番目の終息宣言地域となったわけでございます。
 また、我が国におきまして、一九八〇年以降、野生株由来のポリオウイルスによる患者の発生はございません。
 一方、世界の状況はどうかということでございますけれども、インドなどの南東アジア地域、また東地中海地域やアフリカ地域を中心としまして、全世界ではいまだ年間約六千人以上の患者が発生をいたしております。国際交流が活発な現状を考えれば、これらの地域からのウイルスの侵入が、日本に対しての侵入ということが引き続き危惧される状況というものは変わりがありません。
 我が国としましては、今後とも全世界的なポリオの根絶に向けたWHOの取り組みに対して積極的な支援を行っていくことが必要であると、そのように考えております。
#234
○西川きよし君 ありがとうございました。
 このポリオにつきましては、昭和三十五年に我が国におきましても患者さんの数が五千人を超える大流行となった時代もございました。先日の新聞の囲み記事にもございましたけれども、当時の生ワクチンの開発に携われた方々の記事も紹介しておられました。世界各国の政府はもちろんのことですけれども、多くの研究者やボランティアの方々の御苦労の成果であったと思います。感謝の念を強く持つわけです。
 今回のこの根絶宣言が行われたことによりまして、今後のポリオの予防接種の必要性についてはどのようにお考えなのか、よろしくお願いいたします。
#235
○政務次官(福島豊君) 先ほども申し上げましたが、西太平洋地域でのポリオの終息宣言がなされましたけれども、近隣の南東アジア地域を初めといたしまして、東地中海地域、アフリカ地域を中心に、全世界ではいまだに年間六千人を超える多数の患者が発生しているという状況がございます。したがって、国際交流ということがこれだけ広がった世界でございますので、いつ何どきポリオが外国から国内に運び込まれるという可能性は否定ができないわけでございます。
 したがって、全世界のポリオの根絶というものが宣言されるまでの期間、WHOは二〇〇五年に全世界での根絶を目標といたしておりますけれども、それまでの期間というものは予防接種の必要性というものはいまだ続くと、そのように考えております。
#236
○西川きよし君 御答弁の中にもございました、世界根絶が達成されるまではワクチンの接種はもちろん必要でありますけれども、そういったことを前提といたしまして、今後のポリオワクチンの接種のあり方について今度はお伺いをしたいと思います。
 このポリオの予防接種につきましては、以前より昭和五十年から五十二年生まれの方々の抗体保有率が低い問題について、広報体制の整備、そして接種を希望される方々に対しまして接種できる機会の確保、整備等々、これを何回となく私も要望させていただきました。その後の対応状況についてもぜひきょうはお伺いしたいと思います。
#237
○政府参考人(篠崎英夫君) 先生御指摘の件でございますが、本年八月の公衆衛生審議会感染症部会のポリオ予防接種検討小委員会におきましていろいろ議論がされました。
 おっしゃるように、昭和五十年から五十二年生まれの方はポリオのT型の抗体保有率が低いと言われておりますが、U型に対する免疫は十分残っているということでございまして、これはT型に対してもある程度の感染予防効果はありますので、全員に再接種というような必要はない。ただ、ポリオの流行地等に行く場合には念のためにポリオの予防接種を受けておくことが望ましいというような意見でございました。
 さらには、昨年の十一月に、都道府県あるいは市町村長に対しまして、これらの方々に対する情報提供ですとか、あるいは予防接種を希望する方が予防接種を受けることができる実施機関の確保等について指導をしてまいりました。さらに、平成十一年の五月に都道府県あてに再度こういうものについて指導したところでございます。
#238
○西川きよし君 このポリオの予防接種につきまして、この春、福岡県で予防接種を受けた後に亡くなられた子供さんがいらっしゃいます。そしてまた、手足に麻痺の症状が出た子供さんもいらっしゃいます。さらに、宮崎県ではポリオの予防接種を受けたお子さんのお父さんにポリオの麻痺の症状があらわれました。この短期間にワクチンの影響が疑われる事例が相次いだということは大変心配でありますし、接種時期の子供さんをお持ちの親御さんにとりましては本当に不安なことだと思います。
 その後、厚生省としては予防接種を見合わせるという対応をとられましたが、それまでの背景と経緯について御答弁をいただきたいと思います。
#239
○政府参考人(篠崎英夫君) 福岡県におきまして、ポリオの予防接種を受けた二人の子供さんが比較的短い期間に脳炎による死亡、それから手足の麻痺や無菌性髄膜炎の出現という報告が相次いでございました。
 県は予防接種との関係を疑いまして、五月十六日に県下のポリオの予防接種を見合わせる決定を行いました。厚生省では、同日、県より連絡を受けましたが、この時点では完全に安全であるとの確認ができないと判断をいたしまして、全国的に同じ製造番号のワクチンを使用した予防接種の見合わせを行ったところでございます。これが経緯でございます。
#240
○西川きよし君 そこで、今回この予防接種を見合わせたことで、子供を持つ親御さんにとりましては大変不安だと思いますし、その一つには、この時期に使われていたワクチンそのものに問題があるのか、ないのか。そしてまた、今回の接種の見合わせによりまして多くの子供さんが予防接種を受けていないわけですから極めてまれなことである、そして自然感染の心配はないのか、大変な心配だと思います。
 そうした心配があると思うわけですけれども、まず今回問題となりましたこのワクチンの安全性についてはどういう調査結果でございましょうか。
#241
○政府参考人(篠崎英夫君) 厚生省といたしましては、福岡県における事例発生後、直ちに複数の専門家による調査団を派遣して現地調査を行いましたが、その際、ワクチンの搬送や保管の状況についても調査を行いまして、特別な異常や問題点がないことを確認いたしております。
 一方、福岡県における二児及び宮崎県の父親のお子さんに使用されていた同じ製造番号のワクチンにつきまして、念のためその製造過程の再調査を行いましたが、特別な異常や問題点がないことが判明をいたしております。
 また同様に、同じ製造番号のワクチンに起因すると思われる健康被害がないかどうか、緊急に全国の各都道府県にも調査を行いましたが、特別な事例は認められておりません。
#242
○西川きよし君 ありがとうございました。
 そこで、今回のこの事例の子供さんについてですが、結果的にはポリオワクチンとの関連が否定されたわけですが、一方で、接種を見合わせたことによりまして、その期間、ポリオワクチンの接種を受けない方が当然ふえることになります。ポリオ感染の危険性が高まることにもなりかねませんし、そうした中で、今回の事例ではまず福岡県が見合わせた、この決定をしたわけですけれども、その後、厚生省が追随をする形で見合わせを決定したというわけでございます。
 この見合わせによる社会的な影響が大変に大きい中で、それぞれの関係機関の対応のあり方について、まず今回のケースについてはどのような検証が行われたのか。
 そしてまた、八月三十一日ですけれども、ポリオワクチン接種後の健康障害報告への対応マニュアルというものを作成されておりますけれども、その趣旨と内容についても御答弁をいただきたいと思います。
#243
○政府参考人(篠崎英夫君) 今回の関係機関における対応のあり方につきましては、関係機関の間での情報の共有方法、あるいは対応の決定方法等に問題がなかったかどうかにつきまして、公衆衛生審議会感染症部会にポリオ予防接種検討小委員会を設置いたしまして詳細な検討を行っていただきました。
 この小委員会でポリオワクチン接種後の健康障害報告への対応マニュアルというものが作成をされました。この中で、ワクチン接種後の健康被害が今のように疑われた際に、今後は関係機関の間で正確な情報のまず共有を行い、そして適切な対応の決定がなされるように、対応の判断の根拠となる情報収集の仕方ですとか、あるいは判断の手順などを示しました。
 また、このマニュアル作成に当たりまして、予防接種専門家諮問グループというものを編成いたしまして、お問い合わせがあったときには迅速に専門家に意見を聞く体制の整備を図ったところでございます。
#244
○西川きよし君 そこで、当面の課題ということでお伺いしたいんですけれども、今回のことで低くなっている接種率ですけれども、いかにして今度は回復をさせるかということが大変大切になってまいります。この点につきましては具体的にどういうふうにお考えでございましょうか。
#245
○政府参考人(篠崎英夫君) ポリオの予防接種につきましては、多くの市町村において春と秋に実施をいたしております。また、このポリオのワクチンは非常に接種率が高いワクチンでございましたが、今般、春の時期にこのロット三九のワクチンを使った予防接種の実施を見合わせたために、この時点での接種率は六割程度に落ち込んだのではないかと考えております。私どもの推定でございますが、六〇・四%ぐらいのところではないかなというふうに考えております。
 そこで、再開をしたわけでございますが、再開に当たりましては、これも小委員会での御議論であったわけでございますが、国民への啓発、先ほど先生御指摘のように不安をお持ちのお母様が多いわけでございますから、そういう国民への啓発、それから今後同様な事態が発生した場合の対処などにつきまして国民の理解を十分に得ることが必要であるという意見が多数出されました。それを受けまして、ポリオ予防接種の円滑な再開のため、国民の不安感の解消に以来努めてまいったところでございます。この結果、この秋の接種につきましては、各市町村におきましておおむね円滑に実施をされているものと理解をいたしております。
#246
○西川きよし君 ありがとうございました。
 次に、不活化ワクチンの導入についてお伺いをしたいと思うんですけれども、現在、日本では生ワクチンが使われているわけですけれども、諸外国の事例を見てみますと、生ワクチンを使っている国、あるいは不活化ワクチンを使っている国、さらには両方もちろん併用している国々もございます。それぞれメリットだとかデメリットがある中で今後どのような観点から接種の方法をお考えになっていくのか。あわせて、将来の展望についてもぜひお答えをいただきたいと思います。
#247
○政府参考人(篠崎英夫君) 現在、我が国では、昭和三十五年の大流行時に導入され、そして急速に蔓延の制圧に有効でありました生ワクチンが使われておりますが、これは弱毒化したポリオウイルスを経口で投与するために、四百四十万回の接種に一回程度ではございますが、ポリオ様の麻痺が生じるということが知られております。
 そこで、専門家の中には、このような麻痺を生じることのない不活化ワクチンの導入を早急に進めるべきという声もあるわけでございます。しかし、不活化ワクチンの場合には注射による投与になりまして簡便性に欠けることもございますし、また蔓延の際に迅速に対応することができないというような問題等もございまして、今後の研究課題であると認識をいたしております。
 例えば米国の場合も、先ほど政務次官から御答弁のございましたWHOの地域で真っ先に終息宣言をしたところでございますが、米国の場合も南北アメリカ大陸における野生株由来ポリオ患者の発生の終息から相当の期間を、大体六年ぐらいでございますが経過して、終息したのが一九九四年ということになっておりますが、本年からようやく不活化ワクチンに切りかえたというふうに聞いております。
 ただ、私どもは、アジア地域でまだポリオが根絶されておらないということもございますので、その進捗状況なども確認しながら慎重に対応を図ってまいりたいと考えております。
#248
○西川きよし君 ありがとうございました。
 子供さんがこうした予防接種の時期に当たるというのは、お父さん、お母さんもその大半がお若い方々ばかりですので、それぞれの予防接種の必要性であるとか副反応に対する知識、また接種を受ける際に注意をしなければいけないことなど心配や不安を持つことがたくさんあると思います。そうした場合に、十分な相談に乗ってもらえる窓口というんでしょうか、そういうところがあれば非常に心強いなと思うわけです。
 厚生省では既に予防接種センターの整備に取り組まれているというふうにお聞きをいたしておりますが、そうした整備も含め、そしてまた今後の予防接種行政についてどのような基本方針で対応されていくのか、これはぜひ厚生大臣にお伺いをしたいと思います。
#249
○国務大臣(津島雄二君) 予防接種は、子供さんばかりでなく国民全体を疾病から守るための基本的な手段として非常に重要と認識をいたしております。このため、接種を希望されるできるだけ多くの方が円滑に予防接種を受けられるよう、心疾患等の基礎疾患を有している方などの予防接種の要注意者に対する接種を推進するとともに、予防接種に関する知識や情報を広く国民に提供するための予防接種センター機能について全都道府県における整備を進めておるところでございます。
 予防接種法に基づく予防接種は、対象疾病の流行状況、ワクチンの安全性、有効性等を総合的、科学的に判断して決めているものでございます。今後とも国民が正しい理解のもとに予防接種を受けられるよう、知識の普及を図ること等により適切な予防接種の推進に取り組んでまいりたいと存じます。
#250
○西川きよし君 どうもありがとうございました。
 まだまだ、先ほどの答弁の中にも、アジアはもとより、世界じゅうポリオのないという、こういう資料もいただきました。西太平洋地域ポリオ根絶京都会議、これの表紙がぜひ世界になるようにお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#251
○委員長(中島眞人君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#252
○委員長(中島眞人君) 次に、健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 両案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#253
○大島慶久君 自民党の大島慶久でございます。
 津島大臣におかれましては、今、日本全体が大変厳しい状況の中で、国民の期待する抜本改革の突破口として今回の健保法、医療法の改正に着手をされるわけでございます。
 質問の前にぜひお願いをしておきたいことは、津島大臣、昨日の参議院本会議でも各会派の代表質問にお答えになられました。我々国会議員というのは、いろんな立場でこういった難しい問題も議論をする機会がたくさんございます。大まかなことは理解をいたしていると自負いたすところでございます。ただ、抜本改革、抜本改革といいましても、こういう情報化社会であるだけにいろんな情報が多過ぎるとむしろ申し上げた方がいいのかもしれませんが、何年か前からいろんな医療にかかわる諸問題はテレビあるいは新聞でかなり報道されております。むしろ、国民の皆さん方は一体どういうことなのかということがわかるようでわからない。
 きょう私が質問をさせていただく内容は、そういう国民の皆さん方が今までの情報をすっきりと頭の整理をしていただいて、今度の改正がなされたときに、一体自分たちの立場はどうなるのか、ややもすれば負担ばかりが多いと。ちまたには今回の健保法の改正は改悪法案だというようなことも情報としては流れるわけでございますけれども、私どもは決してそうは思っておりません。日本が世界に誇るべき皆保険制度、これから二十一世紀にも我々の子孫にもしっかりと伝えていきたい、引き継いでいきたい、こういう思いで議論をしてまいったわけでございます。
 いよいよその本格的な参議院の議論がきょうから始まります。大臣、政務次官あるいは政府参考人の皆さん方も、国民の皆さん方にできるだけわかりやすい簡単な言葉で結構でございますから、お答えをいただけると大変ありがたいと思います。
 そして、私、津島厚生大臣には厚生行政に非常に明るい、高い見識を持っておられる大臣だという反面、また財政だとか税制、そういった方面にも大変詳しい大臣でございますので、財政抜きにして語れない今回の医療法の改正、そういったことにも私なりに大きな期待を持っております。どうぞ先頭に立ってそういった道筋をぜひおつけいただきたい、このことをお願いいたしまして、具体的な質問に入らせていただきます。
 まず、医療制度の抜本改革についてでございますけれども、医療保険制度の抜本改革の方向についてお伺いをしたいと思います。
 抜本改革については、厚生省の審議会の意見書が出されているほか、関係団体からさまざまな案が示されております。先ほど申し上げましたように、非常に混乱した状況にあると私は考えております。特に、国民一人一人や現場の医療関係者にとっては今後どのような方向で改革が進められていくのか全くわかりません。そして、大きな不安を感じているんではないか、こんなふうにも思うわけでございます。
 そこで、抜本改革に対する取り組みの現状と今後の見通しについてお伺いをしたいと思います。
 抜本改革は、私が申すまでもございませんけれども、薬価制度の見直し、診療報酬体系の見直し、そして高齢者医療制度の見直し、さらには医療提供体制の見直しと、大きな四つの柱で取り組まれていると私は理解をいたしております。
 まず、薬価制度の見直しについては、保険から医療機関に支払われる額と医療機関が実際に購入する医薬品の価格との間に薬価差益があり、これが薬の使い過ぎにつながっているとの批判が過去にはございました。薬価制度の見直しに取り組まれていると考えておりますが、これまでの取り組みの現状と今後の方向性についてまずお伺いをいたします。
#254
○政府参考人(近藤純五郎君) 薬価制度でございますけれども、先生御指摘のように薬価差があるんではないかと、こういうふうなことで社会問題にもなったわけでございます。それで、市場の実勢価格を用いまして薬価を算定する、こういう適正化努力はしてきたわけでございますが、いわゆる日本型の参照価格というものが当時の与党の協議会の方で提案されたわけでございまして、審議会の方でもこの問題について大変な御議論をいただいたわけでございます。
 具体案をまとめるべく関係者の御意見を伺うなど、いろいろな角度から検討したわけでございますけれども、これにつきましては、参照価格を上回る部分につきましてこれを自己負担とする、患者負担にするという案でございましたので、これについては反対する意見が非常に強かったわけでございます。それから、この制度を導入しても薬剤費の削減効果というのは余りないのではないか、こういうふうな御意見も出まして、まとまるに至らなかったわけでございまして、昨年四月に白紙になったわけでございます。
 それで、その後、政府・与党におきまして検討を進めまして、本年の四月の薬価改定におきまして薬価差の縮小を図る、こういうことで、R幅を二%にするという価格ルールの見直しを行いました。それから、価格決定の透明化を図る、こういうふうなことで、そのための組織もつくったわけでございます。
 これからの課題でございますけれども、先発品と後発品、同じような成分を持った中で競争していただこう、こういうことで、この先発品と後発品の薬価算定ルールのあり方あるいは画期的な新薬とか希少疾病用の医薬品等の薬価算定ルールなどにつきまして、これは平成十四年度を目途にいたしまして改革を図りたい、こういうことで臨んでいるわけでございます。
#255
○大島慶久君 続きまして、診療報酬体系の見直しについても、今の質問と同じように、今までの取り組み方と今後の方向性について御説明を願いたいと思います。
#256
○政府参考人(近藤純五郎君) 診療報酬の課題につきましてはつとに言われてきたわけでございますけれども、それを具体化したのがことしの四月の改定であったわけでございまして、医療機関の機能分担と連携を促進する、あるいは慢性期の入院医療につきまして包括払いを推進するとか、こういった観点から改定を行ったわけでございます。
 具体的に申し上げますと、病棟の種類ごとに基本的な入院医療を総合的に評価する入院基本料、いわゆるホスピタルフィー的なものをつくったわけでございます。それから、大病院から診療所に患者を紹介した場合についての評価を充実するということで機能分担を図ったわけでございます。それから、一般病棟におきまして三カ月以上超えて入院をされている御老人につきまして原則として包括化した点数を設定する。こういうふうなほかに、小児医療それから救急医療、こういったものが大変社会的な要請もございますので、こういった面の充実も図っているところでございます。
 それから、歯科につきましては、歯科用の貴金属材料の国際価格の変動に対応する、こういうことで六カ月ごとの随時改定を行う新しい仕組みを導入いたしております。そのほかにも、歯科診療におきます機能分化を促進する、それから歯科医療技術の適正化の評価ということで齲蝕治療に関します技術や義歯を初めとした補綴物の製作に係る技術評価を見直したと、こういうことでございます。
 今後とも、医療機関の機能分化の促進でございますとか、あるいは医療技術を適正に評価する、こういった観点から中医協でさらに御議論いただきたい、こういうふうに考えております。
#257
○大島慶久君 今、歯科のことも触れていただきましたけれども、確認でございます。
 全体医療の流れの中では包括医療というものがいろいろ議論されてまいりましたけれども、歯科の場合はやはり技術中心でございますので、今、文言にはなかったわけでございますけれども、あくまでもそういったことも、包括的な分野も歯科医療の中には現実問題ございます。けれども、やはりその中で出来高払いというものは歯科医療にとっては欠かせない方向だと私は思いますので、そこら辺を再度確認をさせていただきたいと思います。
#258
○政府参考人(近藤純五郎君) 私が先ほど申し上げましたのは、慢性期の医療を中心にして包括化というふうなことを考えてきたわけでございまして、出来高払いがいい面と包括払いがいい面とあるわけでございますので、その辺は十分見きわめた上で点数設定をしたいと、こういうふうに考えております。
#259
○大島慶久君 続きまして、高齢者医療制度の見直しにつきましては関係者からさまざまな案が提案され、最も混乱をしている分野ではないかと、こんなふうに思っております。この問題についても、これからの取り組みの現状と今後どのような視点から見直しを進めていくお考えなのか、またその際どのような点に留意する必要があると考えておられるのか、できるだけわかりやすく御説明を願いたいと思います。
#260
○政府参考人(近藤純五郎君) 高齢者医療制度の見直しにつきましては、これまでも医療保険福祉審議会の制度企画部会でございますとか、それから先般の有識者会議、こういったところでも御議論をお願いしているわけでございますが、私ども行政当局といたしましては、本年の三月に高齢者医療制度等改革推進本部、こういうものを設置いたしまして検討を進めているところでございます。
 この本部におきましては、これまで二回の本部会合を開いたわけでございますが、本部のもとに医療提供体制に関する検討チーム、それから高齢者医療制度の見直しに関する検討チーム、二つの検討チームを設けましてさまざまな、高齢者医療制度の改革案の分析でございますとか、諸外国の制度改革の事例の研究でございますとか、あるいは医療の質の向上に向けました方策、こういったものにつきましてこれまで三十回程度検討会議を開いているわけでございます。
 特に、高齢者医療の関係でございますけれども、この検討に当たりましては、今後、老人医療費が増大する中で持続可能な制度をつくらなきゃいかぬ、こういう視点から検討しているわけでございまして、老人医療費の伸びをいかに適正なものにとどめるかとか、高齢者と若年者の負担のバランスあるいは保険者間の負担の公平、こういうふうなことで、これはつとに言われたテーマでございますけれども、こういったものをもう一度実務的に見直しをしていると、こういうことでございます。
 それで、財源の関係もあるわけでございますけれども、有識者会議の報告でも指摘されていますように、今後、医療リスクに比べまして保険料の負担能力が非常に低い方々、高齢者でございますが、こういう高齢者の割合がふえてくるのが現実的な姿であるわけでございます。それに伴いまして老人保健の拠出金、これは各制度で分担して負担しているわけでございますけれども、ふえた分を保険者の方の財政負担と、こういう形になるものですからこれがどんどんふえてくる。こういった現実を踏まえつつ、制度全体が持続可能であるためにはどうしたらいいか、こういうことで保険料、公費、それから患者負担、この三つで支えるわけでございますので、この割合をどうしたらいいかということを検討しているということでございます。
 大変難しい課題がたくさんあるわけでございますけれども、実務上とか実施上の詰め、こういうものを行いまして、平成十四年度を目途に改革が進められるように精力的に検討しているというのが現状でございます。
#261
○大島慶久君 日付はいつだったかちょっと記憶にございませんが、新聞で医療関係団体から七十五歳以上の老人医療制度というものが今提起をされているというような記事を見たことがございます、中身は全然承知をいたしておりませんが。それに関しては、厚生省はある程度そういう接触を持たれて検討されているのか。簡単で結構でございますから、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。
#262
○政府参考人(近藤純五郎君) 恐らく日本医師会の案だと思いますけれども、これは制度企画部会のころからも提案されていますし、今回の日医のグランドデザインの中でも提起されているわけでございますが、これは一つの大きな視点だというふうに思っております。
 ただ、いろいろ問題もございます。特に、増大する公費負担をどうするのか、こういった大きな問題、それから御老人を分けるという形になりますので分けることがいいのかどうかという基本的な問題も含んでいる、こういうふうに思っております。
#263
○大島慶久君 医療提供体制の見直しについては、今回は医療法の改正案として提出されているわけであります。同じように、今回の法案が目指すところについて、わかりやすく御説明をいただきたいと思います。
#264
○政府参考人(伊藤雅治君) 今回の医療法等の改正案の目指すところは何かということでございますが、高齢化の進展等に伴う疾病構造の変化などを踏まえまして、良質な医療を効率的に提供する体制を確立するため、医療提供体制の見直しの一環といたしまして法案の提出をしたところでございます。
 具体的には、三本の柱がございまして、一つは入院医療を提供する体制の整備、二点目といたしまして医療におきます情報提供の推進、三点目といたしまして医療従事者の資質の向上を図る観点から医師、歯科医師の臨床研修の必修化でございます。
 そこで、まず入院医療を提供する体制の整備でございますが、現在、結核、精神、感染症以外につきましてはその他の病床という区分になっておりますが、これを患者さんの病態にふさわしい医療を提供するという観点から、その他の病床を療養病床と一般病床に区分をいたしまして、患者さんの状態にふさわしい構造設備基準、人員配置基準を整備しようというものでございます。具体的には、一般病床につきましては、入院患者四人に看護婦一人の基準を三人に一人に引き上げると同時に、病床面積につきましても患者一人当たり六・四平米以上に引き上げるということが主な内容でございます。
 それから、二点目の医療におきます情報提供の推進でございますが、これは患者さんにより多くの医療機関情報を提供いたしまして、そしてより適切な医療機関の選択に役立てていただこうという観点から、今回広告規制の緩和をすることにしておりまして、具体的には診療録その他の診療に関する諸記録に関する情報を提供することができる旨広告できる事項として追加をするというものでございます。
 三点目といたしまして、医療従事者の資質の向上という観点から、これは医療法ではございませんが、医師法、歯科医師法の改正になるわけでございますが、全人的な診療能力を取得していただくという観点から、現在努力義務規定になっております医師、歯科医師の臨床研修につきまして、診療に従事しようとする医師、歯科医師につきましては、医師については二年以上、歯科医師につきましては一年以上の臨床研修を必修化いたしまして、その間、臨床研修に専念をし、資質の向上を図っていただくというのが改正の趣旨でございます。
 あわせまして、臨床研修を修了していない医師、歯科医師の取り扱いについても、医療法で今回病院、診療所の管理者は臨床研修を修了した医師、歯科医師でなければならないこととするという内容となっております。
 以上でございます。
#265
○大島慶久君 それでは、健保法の改正について具体的にお伺いをしてまいりたいと思います。
 まず、高齢者の患者負担についてでありますけれども、今回の健保法の改正については国庫負担や医療給付への財政的影響についてはよく説明がされております。けれども、国民の立場に立って負担がどのように変わるかについては十分に説明がされていないように思うわけでございます。
 そこで、まず老人の患者負担についてお聞きをいたします。
 老人の患者負担については、負担が極端にふえる特定のケースだけを取り出して、昨日の本会議でもそうでございましたけれども、大幅な負担増だという議論があることは事実であります。こうした議論は不必要に国民の不安をあおり立てるのではないか、こんなふうに私は危惧する者の一人でございます。
 今回の改正では、三千円、五千円という月額の負担上限が設けられ、負担が急激にふえないように配慮はされているというふうに思いますし、また定額負担から一割負担となることにより負担が減少するようなケースも一方では私はあるんだろうというふうに考えております。
 老人の患者負担の見直しの趣旨及びその内容について、高齢者の方々が安心できる情報が一番よろしいのでありますけれども、なかなか安心というのはそんなに私は言葉で片づけられるほど簡単なことじゃないと思います。少なくとも余り不安にならないようなわかりやすい御説明がいただけたらと思います。
#266
○政府参考人(近藤純五郎君) 今回の改正の趣旨でございますが、高齢者の患者負担、現在定額制であるわけでございますが、これは若年者の患者負担とのバランス、若い人には二割なり三割の定率の負担をお願いしているわけでございます。それから、介護保険の利用者の方々、大変苦しい中、定率の一割負担をしていただいているわけでございます。それから、医療費に対しますコスト意識というものが定率制にすれば高まる、こういうのがつとに言われているわけでございまして、こういった観点も踏まえまして定率の一割の負担制を導入したい、こういうものでございます。
 ただ、一律に一割ということになりますとかなりな高額なケースも出てまいりますので、お年寄りに過度な負担が生じない、こういうふうなことで、先生御指摘のように、外来につきましては三千円、それから二百床以上の大きな病院につきましては五千円、こういった比較的低い額の月額上限を設けているわけでございます。
 それから、低所得の方の入院時の負担につきましては、負担の限度額というのがこれまで月額三万五千四百円であったわけでございますが、これを二万四千六百円に引き下げをする。こういうことで、多様な高齢者の生活実態に配慮いたしているわけでございます。
 確かに、定額制を定率制に変えるわけでございますので上がったり下がったりするケースも当然あるわけでございますが、こういう月額上限を設ける、あるいは入院の限度額を下げる、こういったような措置によりまして今回の定率一割負担の導入をいたしましても無理がない範囲で御負担をいただけるのではないか、こういうふうに私どもは考えているわけでございます。
#267
○大島慶久君 ありがとうございます。
 今回の改正では、老人の患者負担について、病床の規模あるいは定額制の選択、また院外処方の場合などで非常に複雑な仕組みになっている、こんなふうに私は受けとめております。こういった今回の改正の変化を医療機関も把握していただかなきゃいけない。そして、実際受診される患者さんたちも、今までと負担がどう変わったのか、これからはどうなるか、そこら辺は現場では一番私は大切な点だと思います。
 ということになれば、それを周知徹底する方法というのは医療機関でもやらなきゃいけないでしょうし、またそれぞれの地方自治体も県民、市民の方たちにそれ相応のアピールをしていただかなきゃいけない。どんなふうに取り組まれようとしているのか、私は非常にそこら辺が大切だと思っておりますので、あえてお伺いをさせていただきます。
#268
○政府参考人(近藤純五郎君) 今回の改正におきましては、先ほど御説明申し上げましたように、定額の月額上限、しかも比較的低い金額で設定したと、こういうことできめ細かな措置を講じたわけでございますので、制度的にそのために細かな仕組みになっているのは否定できないわけでございます。いずれにいたしましても、特に御老人の方にこの改正の趣旨とか内容を十分御理解していただく必要があるわけでございますので、的確にそういう趣旨とか内容が伝わるように努力しなきゃいかぬというふうに考えているわけでございまして、関係団体ともよく相談いたしまして患者の方々に的確に御理解をいただけるようにしたいと思っております。
 具体的に現在考えていることを若干申し上げますと、当然のことながら我々厚生省が先頭に立って、いろいろな媒体を使いまして、政府広報も使わせていただきまして広報に努めたいというふうに考えております。それから、やはり地元がやっていただく必要があるわけでございますので、地方公共団体、各保険者、それから老人クラブなどの関係団体、こういったものにも御協力をいただきまして、地域ごとあるいは職域ごとにきめ細かく広報活動をやらなきゃいかぬというふうに思っているわけでございます。
 それから、まさに受診を受ける場所であります医療機関におきまして周知徹底を図る必要があるわけでございます。医療機関とか薬局の中の見やすいところに月額の上限でございますとかあるいは定額、定率の負担の別、こういったものを掲示していただくことを考えているわけでございます。
 それから、かかりつけ医というのをお持ちの方が多いわけでございますので、そういう面で直接医療機関に問い合わせというのも当然できるわけでございますけれども、そうでない方もいらっしゃいますので、個々の医療機関ごとの一部負担に関する情報につきまして市町村等の窓口でもわかるような一覧表みたいなものをつくっていただく、こういったことも考えているわけでございまして、市町村の窓口でかなりの情報が集まるように私どもとして努力してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございまして、関係者の御協力を得まして最善を尽くしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
#269
○大島慶久君 今回の改正が国民の皆さん方にとりましてはよかったと評価をいただけるのも、やはりそういう周知徹底が極めて大切でございます。今の御説明はよくわかります。徹底方をお願い申し上げたいと思います。
 高額療養費制度について少しお伺いをいたします。
 高額療養費制度の見直しについても、医療費の一%の負担が追加されることにより青天井になるのではないか、こういう見方ばかりが情報の中では私は強調され過ぎているのじゃないか、こんなふうに思います。むしろ、こうしたケースは極めてまれなケースだと思いますし、低所得者や長期にわたる場合には配慮がなされていると思います。患者の立場に立って、全体としてどのような負担の姿になっているのか、これもわかりやすく説明をいただきたいと思います。
#270
○政府参考人(近藤純五郎君) 高額療養費の関係でございます。
 患者の一部負担というのは何のためにあるかということでございますけれども、これは一義的には給付を受ける方とこれを支える方との負担の公平ということで、いわゆる受益者負担ということではないかと思うわけでございまして、医療費が一定になった場合には高額療養費が支給されるということで、それを超えた部分につきましてはその趣旨が全く消える、こういう形になっているわけでございます。特に、高額療養費の限度額の水準が制度発足のときよりかなり実質的に低くなっておりますので、そういう面でもその一部負担のそもそもの考え方というのが減殺される、こういう状況になっているわけでございます。
 それから、高額になりました医療費、全体から見ると非常に数は少ないわけではございますけれども、医療機関等におきましては場合によってはもうコスト意識がないのではないか、こういう事例も散見されますし、そういう指摘もあるわけでございます。そういったことで、一定の医療費を超えた部分につきまして一%の負担をお願いする、こういうことで、本来ですと二割なり三割、こういうことであるわけでございますけれども、一%という比較的低い額を設定させていただいたと、こういうことでございます。
 全体のうち九九・九%が一カ月の医療費というのが百万円未満でございます。したがって、〇・一%程度の件数が一月百万円を超えるような医療費、こういうことであるわけでございまして、この百万円の医療費の場合で月額でふえるのが大体七千円程度、こういうことでございます。
 それからまた、こうした一%の負担というのが非常に重く感ずるような層も当然あるわけでございます。したがって、過度な負担が生じることがないように、低所得者の方、それから高額の自己負担というのが四回以上続いているような方、それから長期にわたりまして高額な医療費を必要とする血友病等の方にはこの一%負担というのは求めない、こういう形にしているわけでございます。
#271
○大島慶久君 それでは、国民皆保険の維持について、これはぜひ大臣にお答えをいただきたいと思うのであります。
 現在の医療保険制度についてはさまざまな問題の指摘があることは事実でございます。けれども、全体として見れば、すべての国民の皆さん方が極めて安い負担で患者が医療機関にかかりやすい、また国民皆保険制度として運営されており、多くの国民の支持を得ていると私は高く評価をしていいんじゃないか、こういうふうに考える者の一人でございます。
 今回の改正や抜本改革は、こうした医療保険制度のよさを守るために行うものであり、またぜひそうあるべきだと考えております。大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
#272
○国務大臣(津島雄二君) 我が国の医療制度は、委員御指摘のとおり、国民皆保険のもとで患者が自由に医療機関にかかることができるということで、その結果として世界最高水準の平均寿命などの成果を実現し、WHOからも全体としては世界で最高の水準の医療であるという評価を受けているところでございます。
 しかしながら、急速な高齢化の進展などに伴い医療費が増大をします一方、また経済が低迷していることなどに起因いたしまして、医療保険の財政が厳しい状況になっていることもまた否定できない事実でございます。こうした中で抜本改革の必要性が唱えられているわけでございますが、私どもはその第一歩として今回の健保法と医療法の改正をお願いしているところでございます。
 いずれにいたしましても、我が国の誇るべき医療制度、そして医療保険制度を将来にわたって持続可能な安定的なものにするためには、医療保険制度を全体として見直し、抜本改革を行わなければならないと考えております。
 先般、総理のもとに設けられて検討してまいりました社会保障の在り方についての有識者会議におきましてもそのようなことが述べられているわけでございます。この場合に、制度を二十一世紀においても支えていく、特に高齢化が非常なスピードで進んでいく中で支えていくためには、社会保険の仕組みのほかに、やはり公費の負担というものをもう少し考えるべきであるという御指摘もなされているところでございまして、そのために私どもは安定した財源を求めていただきたいとお願いをしておるところでございます。
 今後とも、世界に誇れる我が国の医療制度を維持し、国民が安心して医療を受けられる体制を守っていくために、医療制度の抜本改革に全力を傾注し、国民の御期待にこたえてまいりたいと思っております。
#273
○大島慶久君 大臣の強い御決意をお伺いさせていただきました。
 私は、歯科界の組織代表として参議院で働かせていただいております。そういう観点から、歯科の問題について数点お伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、八〇二〇運動。これは随分日本全体に周知徹底が図られているということで喜んでいる者の一人でございますけれども、歯科保健医療対策予算については、平成十一年度予算が九億四千百万円、これが平成十二年度には倍額の二十億四千七百万円と大幅な増額となっておりまして、大変ありがたい、歯科保健医療対策としては画期的なことであったというふうに私は認識をいたしております。
 この平成十二年度予算に係る新規事業の一つとして八〇二〇運動推進特別事業が創設されており、約五億円の予算額に基づいて四十四都道府県においてこの事業を実施したところでございます。引き続いて平成十三年度予算概算要求においてもこの特別事業の継続が要求されていると私も認識をいたしております。年末の予算編成に向けて大臣の格別の御配慮をお願いしたいと思います。
 八〇二〇運動は、平成元年、当時の厚生省の成人歯科保健対策検討会が二十一世紀における歯科保健の到達目標として中間報告の形で提案されたものであります。現在、生活習慣病予防のために二十一世紀における国民健康づくり運動として健康日本21計画が新たに策定されております。八〇二〇運動と健康日本21計画とをどのように関係づけ、今後歯科保健における予防対策の充実についてどのように取り組んでいくお考えなのかをお尋ねいたします。
 そしてまた、八〇二〇運動に関しましては、かねてよりその推進主体として財団法人の設立を望む声が関係者から上がっているところでございます。口腔の健康が全身の健康において有する重要性を考えても、八〇二〇運動は、歯科関係者に限らず、医療、老人保健等の各分野の関係者の協力を得て国民的運動として展開をしていく必要があると考えております。そのために財団法人を設立することは大きな意義を有するものと考えておりますが、その設立の見通しについてぜひお伺いをさせていただきたいと思います。
#274
○国務大臣(津島雄二君) 最近におきまして、国民の健康を守っていく上で歯科保健医療が極めて重要であるという認識が定着をしておりますことは喜ばしいことだと思っております。特に、本格的な高齢社会を控えまして、歯科保健分野においても予防対策を効果的に推進していくことが重要でございまして、このためには具体的な目標を設定する必要があるということでございました。
 八〇二〇運動は、このような観点から、平成元年十二月の成人歯科保健対策検討会中間報告の提言として出され、そして厚生省と日本歯科医師会などが連携しながら、八十歳で自分の歯を二十本以上残すという目標を掲げて国民の歯の健康づくり運動を推進してまいりました。私は、平成二年に今の厚生大臣のポストをいただいておりましたが、平成元年に出されましたこの運動を最初に予算化し、推進したことを今思い出しておるところでございます。
 これまでに実施された数々の健康づくりの運動の中でも最も八〇二〇運動は広く普及し、成果が期待されているところであり、喜ばしいことと感じております。本年三月に策定をいたしました健康日本21におきましても、新たに二〇一〇年までにとの目標年次を設定するとともに、八十歳で二十歯以上自分の歯を有する者を二〇%以上とするという目標を定めさせていただきました。
 この目標を達成するためには、今後とも関係団体とも連携しつつ、八〇二〇運動の一層の推進を図る必要があると認識しております。今年度から開始した八〇二〇運動推進特別事業等を通じて、各都道府県にも創意工夫を凝らしていただきながら歯科保健における予防対策の推進に努めてまいりますし、来年度予算においても積極的に予算の獲得を図ってまいりたいと思っております。
 次いで、八〇二〇運動の推進のための財団法人の設立の御質問がございました。
 口腔の健康は全身の健康にとって重要であり、歯科医療、保健関係者に限らず、幅広い分野の関係者の方々の御協力をいただきながら八〇二〇運動を推進することが必要だと認識をいたしております。この運動を推進する財団法人の設立認可につきましては、正式認可申請があり次第、できるだけ早期に対応したいと考えております。
#275
○大島慶久君 御答弁ありがとうございました。どうぞぜひ、できるだけ早い時期に、書類が調いましたら御認可をいただきたいと私からもお願いを申し上げておきたいと思います。
 続きまして、歯科医療材料の研究開発についてお伺いをいたします。
 平成十二年四月実施の歯科診療報酬改定につきましては、二・〇%の改定に合わせて〇・五%の歯科用貴金属材料の国際価格変動分に対応する改定率とされました。さらに、歯科用貴金属材料の国際的価格変動への対応として六カ月ごとの随時改定という新たな価格方式が設定をされました。そして、パラジウムの国際価格が上昇する中で、十月には歯科用貴金属材料の価格が改定をされ、制度が円滑に運用されていると承知をいたしております。これにより、従来、歯科医療の事情ではないにもかかわらず、国際価格変動により高騰した歯科用貴金属材料を逆ざやで輸入せざるを得ない状態が解消されたということになりまして、画期的な制度改善であると高く評価をいたしますし、大変ありがたいと思っております。
 しかし、この貴金属材料としての金パラジウムは、自動車の排気ガス処理の触媒あるいは電子部品素材としての需要が非常に多く、また主要輸出国であるロシアとの間で日本の購入は平成十二年内でわずか六カ月分の契約しか行われていない、こういう現状でございます。
 一方、歯科用医療材料全体の約六割を占めるシェアをこの金パラというものは占めております。安定的な供給が不可欠でありますし、またそのような意味ではいまだ歯科医療関係者にとってその不安な点が残されていることも事実でございます。つまり、今後この金パラジウム合金に代替としてできるような歯科用品材料の開発のための研究が私は将来的には必要になる時期があるんじゃないか、こんな懸念から質問をいたしているわけでございますけれども、医薬品の新規開発とあわせて歯科用医療材料の開発研究についても厚生省として積極的に取り組む必要があると私は考えておりますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
#276
○国務大臣(津島雄二君) 前回の診療報酬の改定におきまして、技術料の評価はもとより、医療材料の価格の変動が与える影響について私どもは初めて注目をいたしました。そして、今、委員御指摘のとおり、歯科用の医療材料として用いられている金銀パラジウム合金が高騰している、その対策を考えるべきであるという結論に達したわけでございますが、その対応策について所期の効果をもたらしているという御意見をいただいて、大変ありがたいと思っております。
 良質な歯科医療サービスを効率的かつ安定的に供給していく上で、引き続き歯科用の医療材料の安定的な供給を確保することが極めて重要であると認識いたしております。このためには、現在主要な医療材料となっている金銀パラジウム合金以外の材料を用いた治療技術を開発していくことも必要と考えておりまして、平成十二年度から開始される歯を長もちさせる予防・治療技術の開発等に関する厚生科学研究におきまして研究を進めているところでございます。
 今後、その研究成果を踏まえまして必要な対応を行ってまいりたいと思っております。
#277
○大島慶久君 大変ありがとうございます。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それでは次に、これは医療法の改正にかかわりがございますが、先ほども少しそれに触れていただきましたけれども、歯科医師の臨床研修についてお伺いをいたします。
 医療の高度化等に対応した資質の向上を図るため、医師、歯科医師の臨床研修を必修化することを内容とする今回の医療法等の改正は、私は極めて評価をしたいと思っております。しかし、歯科医師の研修については、研修先によりその報酬に差があります。現状では、国立大学系では文部省の予算で行われておりますし、公立・私立系では厚生省予算で賄われているわけでございます。今回の改正により、今後実施までの間に財政支援など適切な身分保障措置を行うことが必要であると考えるわけであります。
 そこで、国立系と公立・私立系との不平等の現状をお伺いするとともに、今後この点も含めて研修歯科医師の身分保障のあり方についてどう取り組んでいかれるのか、御説明を願いたいと思います。
#278
○国務大臣(津島雄二君) 医療の質の向上のために医師及び歯科医師の研修の必修化の方向が打ち出されております。そういう中で、研修歯科医の給与について見てみますと、臨床研修施設である国立と、公立大学、そして私立大学、それぞれの間において格差があることは、今、委員御指摘のとおりでございます。従来より、研修歯科医の図書購入費など臨床研修施設の経費につきましては国の補助により手当てするとともに、研修歯科医の給与については診療行為の対価として診療報酬が支払われているところでございます。
 平成十一年二月の医療関係者審議会歯科医師臨床研修部会の取りまとめによりますと、「研修中の歯科医師に対して、その手当てが適切に支払われるよう必要な措置を講ずるとともに、指導歯科医等の処遇の在り方についても検討する。具体的な費用負担については、国及び医療保険の双方が負担している現状を踏まえ、今後その在り方を整理する。」とされているところでございます。
 今後、給与も含めまして、研修歯科医の身分保障のあり方についてさらに実態把握を行った上、関係審議会等で議論を深め、社会的な合意を形成してまいりたいと考えております。
#279
○大島慶久君 ありがとうございます。
 かねがねこの問題は大変大きな問題となっておりまして、そういった身分保障がなされないために研修先が非常に偏ったところ、あえて申し上げれば国立系のところへみんな押し寄せてしまう。これでは研修制度のバランスが非常にとりにくくなりますので、今、大臣が御答弁いただいた内容については私よく理解ができます。どうぞひとつよろしく御検討をお願い申し上げたいと思います。
 次に、歯科医師の需給についてお伺いをしたいと思います。
 医療経営の厳しさというのは、我々歯科界のみならず、医療界全体が大変厳しいところにいるということは十分認識をいたしております。一番根幹にかかわるのは、やはり医師も歯科医師もそうでございますけれども、需給のバランスというものが非常に今は崩れかけている。極端に申し上げれば、医師も歯科医師も数が多過ぎるようになってしまったんじゃないか、これが議論の中心的なテーマになります。
 そこで、平成十年五月に出されました歯科医師の需給に関する検討会の報告書は、将来的に歯科医師が過剰になることが推測をされ、需給の均衡を図っていくことを提言いたしております。関係者は、この問題に対して極めて強い関心を持っております。この問題に対する厚生省の今後の取り組みの方向についてぜひお考え方をお聞かせ願いたいと思います。
#280
○国務大臣(津島雄二君) 昭和六十一年七月に取りまとめられました将来の歯科医師需給に関する検討委員会最終意見に基づきまして、平成六年までに歯科大学の定員は一九・七%削減されておりますが、良質な歯科医療サービスを効率的に提供していく上で歯科医師の需給問題は引き続き重要な課題になってございます。
 このため、歯科医師需給に関する検討会をさらに開催いたしまして、平成十年五月に、新規参入歯科医師が一〇%削減されるためには、大学の入学定員削減や臨床研修の必修化等、中長期的なものを含め種々の対策を講じることが必要と提言なされているところでございます。
 厚生省では、これを受けまして、歯科大学及び大学歯科部の定員削減につきましては文部省に対して要請を行いまして、既に国立大学の二校で十五名の入学定員の削減がなされたと承知をいたしております。また、臨床研修の必修化については、現在御審議いただいておる医療法等の改正案に盛り込まれているところでございます。
 今後とも、この問題につきましては、関係省庁とも連携しながら、関係大学の取り組みの促進を求めるなど、需給問題に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#281
○大島慶久君 御答弁ありがとうございました。
 最後になりますけれども、最近、日本の長寿社会、超高齢化社会、こういう言葉が至るところで躍っておりますけれども、そういう中で健康年齢を上げていく、これが注目をされているところでございます。愛知県にナショナルセンターの構想ができて久しくなるわけでございますけれども、長寿医療に関する研究を推進するため愛知県に設置予定のナショナルセンターについてお伺いをしたいわけでございます。
 昨年末に策定されたゴールドプラン21では、高齢者の保健福祉の質的向上を図るため、その基盤を支える科学技術の研究を推進するという施策の方向性が示されております。そのため、具体策の一つとして、長寿医療に関する診療・研究体制の充実等のためのナショナルセンターを整備することが挙げられております。これは立地的に、中部新国際空港が二〇〇五年に完成をいたしますと極めて立地的によろしいところに設置をされますし、愛知県行政も健康の森という設置の中でこのナショナルセンターとの兼ね合いの期待が非常に大きいわけでございます。この中で、わずかではありますけれども歯科のそしゃくに対する全身症状との因果関係、こういった論文もこのところはいろいろ出ております。そういった意味で、医療費を抑えていくためにはやはり歯の健康も予防を兼ねてこれからしっかりとこういった中で、国際センターでありますから中身のことがしばらく私もわかっておりません。ぜひこの内容についておわかりになる範囲でお話をお伺いさせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#282
○政府参考人(河村博江君) 国立長寿医療センター、仮称でありますが、それにつきましては、高齢者の保健福祉の質的向上及びその基礎を支える科学技術の研究を推進するという施策の方向性に基づきまして、高齢者の特有の疾病に関します包括的な医療及び研究体制の充実、そういうことをねらいといたしまして、先生御指摘のとおり、国立療養所中部病院をナショナルセンターとして整備することといたしておるところでございます。
 厚生省におきましては、このセンターの設置に向けまして、既に国立療養所中部病院、東海北陸地方医務局等の関係者による構成委員会において具体的な基本構想案あるいは整備の方針、それから設置の時期等につきまして検討を開始いたしておるところでございまして、引き続き同センターの整備に向けまして鋭意検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
#283
○大島慶久君 終わります。
#284
○入澤肇君 きょうは最初の日ですので、若干総論的な質問をさせていただきたいと思っております。
 衆議院の議事録も読んでまいったのでございますけれども、今回の医療保険制度についての位置づけでございますが、厚生省では、当面の医療保険の安定的運営を図るんだということが一つ。二つ目は、これからの抜本的改革の第一歩とするんだというふうなことを繰り返し言われております。ただいま大島先生の質問を聞いておりましても、大臣の方から医療保険制度を全体として見直す、抜本改革を行うんだというふうなことを答弁されておりますけれども、私はどうも抜本的改革という意味がよくわからないんです。
 と申しますのは、今までの仕組みをどういう問題があるから基本的に変えるんだと。抜本というとやっぱり基本的に変えるということが言葉の正確な意味では通用するんじゃないかと思うんですけれども、何をどう具体的に抜本的に変えるのかということにつきまして局長から答弁願いたいと思うんです。薬価制度あるいは診療報酬体系の見直し、高齢者医療制度、医療提供体制、これについてはもういろんな意見が出ているわけです。その争点をもっと摘出して、そして今まではこうだったんだけれども基本的にこう変わるんだということを明確に説明していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
#285
○国務大臣(津島雄二君) 我が国では、国民皆保険制度により国民にひとしく良質な医療が提供されてきたところでございまして、その結果、他国よりも長い平均寿命を実現する等、WHOにおいても高く評価をされていることは先ほど御答弁したとおりでございます。
 しかし、急速な高齢化の進展などに伴い医療費がどんどん増大をしています一方、経済の低迷によって医療保険財政が極めて厳しい状況になっており、今後とも良質な医療を確保していくためには今のままではやっていけない、医療の効率化は避けて通れない、こういう課題が指摘されておるわけでございます。
 そのような見地から、薬価制度、診療報酬体系、高齢者医療制度及び医療提供体制といった四つの課題を中心として、どうしたら良質な医療を効率的に提供できるか議論を続けてまいりまして、その第一歩として今回の健保法、医療法の改正をお願いしておるわけでございます。
 委員御質問の、それじゃ抜本改革とは一体何だということに私が端的にお答えいたしますと、二十一世紀の高齢化がうんと進んだときにもこの今の日本の良質な医療制度は持続可能であると、こういうことを国民に示すことが私は要点であろうと思っております。
 最も重要な課題として、私どもの前に高齢者医療制度というものがございます。これは医療のコストが最もふえてくる部分でございまして、この点について老人医療費の伸びをどのように適当な範囲内にとどめていけるかどうか。この点については、幸いなことに医療専門家の方にもだんだんと合意ができつつございますし、それから高齢者と若年者との間の負担のバランスをとって若い人もお年寄りもひとしくこの制度を支えていこうという形をつくっていく。
 それから、保険者の間の負担のあり方もこれは見直して、ここでもやはり公平を担保していかなければならないと思いますが、この問題をずっと突き詰めてまいりますと、高齢化が急速に進んでいくこれから直近の二、三十年間を乗り切っていくためには、保険制度は大事だけれども社会保険制度だけではやっていけないのではないか、公的な負担をもう少ししていただく必要があるのではないかという意見があり、このたびの有識者会議の報告書でもそれが示されていることに私どもは注目をしておるところであります。
 社会保障制度の財源といたしましては、やはり安定財源でなければならない。ある年に公共事業費を切っちゃってそれを財源にするなんというわけにはいかないわけでございまして、安定財源として一体何が求められるかということを私どもは真剣に議論するというのが今回の改正の後の重要課題である、かように考えているところでございます。
#286
○入澤肇君 非常に明快な御答弁ではあるんです。ねらいは医療費の抑制あるいは高齢者と若年者の負担のバランスをとること、保険者間の負担のバランスをとること、そして最後には持続可能な制度を維持するために安定財源を求めると。
 これは、今の制度でも公費負担もあるんですし、今の制度を拡充強化する、ステップ・バイ・ステップでその時々の状況に応じて改善していけばいいんであって、果たして抜本改革と言えるのかどうかということに対して疑問を持っているものですから、もっと大きな、要するにイノシシが出てくるような大きな期待をかけて、どうも問題を先送りしているような印象を与えるものですから、国民の皆さん方が、抜本改革、抜本改革と言っているけれども一体何が出てくるのかねといって、逆に不信感を持たれちゃっている。
 私は、今の厚生省がやっている制度の運営は非常に一生懸命やっていると思うんですよ。まじめに一生懸命やっている。これをもっと前面に出して、そういう中で安定的、持続的にやるためにはこういう点についてもう少し議論を深めていくんだと具体的に言った方がいいのであって、抜本的改革という抽象的な言葉で逃げない方が世論の説得のためにはいいんじゃないかと思っておりますので、あえて聞いているわけであります。
 そこで、私なりに言わせれば、良質な医療サービスを効率的に提供できるか、あるいは応益負担と応能負担の組み合わせが適切であるか、それから公的負担の限度というのは大方の国民の納得のいくものであるか、これは税と保険料を含めまして。それから、医療関係の事務的コストは最少の原則は貫かれているかどうか。こういうふうな視点から、先ほどの薬価制度、診療報酬体系の見直し、高齢者医療制度あるいは医療提供体制について具体的な争点をもっと明確にして、そしてそれについてこういう意見があるんだけれどもこちらの方が現時点においてはより具体的な可能性があるし妥当性があるんじゃないかなというふうな問題の提起の仕方をぜひしていただきたいと思っているわけであります。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
 そこで、この調査室がつくられました資料もよく読ませてもらったんですけれども、ここに医療改革をやるために一番基本的な問題がちょっと抜けているんじゃないかと思ったんですが、それは病院経営のコストの問題ですね。これについては何も触れていない。医療コストだとか、部分的には触れているんです。コストという言葉が入っている。しかし、例えば二次医療圏で診療所と病院とが役割分担をして、二百床以上のベッドがあって、そして総合科目がそこで受診できるようになっていて、そういうところでお医者さんがどのくらいで、それから今回の看護婦さんの配置の見直しもございますね。そういうことをやった場合に、標準的な病院経営をやる場合には一体どのくらいのコストがかかっているのかと。そういうことの積み重ねの上に総医療費の抑制とかという議論が出てきてしかるべきじゃないかと思っているんですけれども、いかがでしょうか。
#287
○政府参考人(近藤純五郎君) 先生の御指摘もよくわかるわけでございますけれども、現在の診療報酬の決め方は、医療経済実態調査というのをやりまして、これで経営状態がどうなっているのか、こういうものを踏まえて、さらに個々の小児医療でございますとか救急医療とか、こういったものが非常に足りないとか、そういうふうなことで限られた財源の中で調整をしている、こういうことであるわけでございますが、当然のことながらそういう研究、そういう調査というのは必要だと、こういうふうに考えております。
#288
○入澤肇君 私のところにいろんなお医者さんから手紙が来まして、特に救急病院の指定を東京で受けているところなんですが、救急指定を受けても月に二、三十万きり補助金が来ない、必要ない器具まで設置しろというふうに、東京都の衛生局ですか、そこから指示がある。診療所の経営が非常に難しくなっている。そこは十九床のベッドがあると言っていましたけれども赤字で大変だ、近所の診療所はどんどんつぶれていくと。これは決してイデオロギーとかに関係ない、偏った意見の持ち主でない普通の病院の経営者の手紙でございますけれども、そういうふうに病院の経営が今の診療報酬体系の中で十分やっていけないと悲鳴を上げている方もいらっしゃるんですね。
 ですから、私は総医療費の抑制をするという考え方の前提として、通常の病院経営だったらこのくらいのコストがかかるんだということがあって、そのために必要な診療報酬体系はこうだとかという問題の立て方をもう少し変えて検討することも必要じゃないかなというふうに考えているんです。ぜひ病院経営の実態について調査をしていただきたいというふうに思うわけです。
 そこで、先ほども答弁がありましたけれども、厚生省が高齢者医療制度改革推進本部というのをつくって今検討している、何回か検討会も行われているということでございますけれども、現在の実施状況、検討項目、それからどんな意見が闘わされているかについて、もしこの時点で御披露できるものがありましたら教えていただきたいと思います。
#289
○政府参考人(近藤純五郎君) 先ほどもお話し申し上げましたけれども、大きな検討項目で若干申し上げますと、保険者のあり方、医療給付と負担のあり方、財源のあり方、老人医療の効率化と医療提供体制のあり方とか、それから健康管理・健康増進、これは健康日本21とかといったような関係でございますが、それから社会保障全体の中での位置づけ、こんなような大きな項目のもとで行っているわけでございます。主として高齢者医療制度はいかにあるべきか、こういう議論をしているわけですが、それにとどまらず医療保険全体についての意見も闘わせているわけでございます。
 今までの大きな議論というのは私どもももう承知いたしておりますので、実務的に可能かどうか、こういうふうなものを中心に、各国の事例、こういったものも踏まえつつ検討している。こういうことでございますので、はっきり言えばできるかできないか、こういうふうな実務的な面を中心に議論はしております。大きな議論としては、先ほど来ありましたように、制度企画部会の方からいろいろそのときの議論というのは当然承知した上で、その上でどうかと、こういう議論をいたしているわけでございます。
#290
○入澤肇君 そうなりますと、ちょっと酷な質問かもしれませんけれども、平成十一年八月に出ました医療保険福祉審議会の制度企画部会の考え方、「新たな高齢者医療制度のあり方について」、第一案から第四案まで四つありましたね。これについて一つ一つ厚生省は今の時点ではこう考えているというコメントがありましたらこの場で教えていただきたいんです。
#291
○政府参考人(近藤純五郎君) ちょっと長くなりますが申し上げたいと存じます。
 制度企画部会におきましては、昨年の八月に意見書が出たわけでございまして、四つの案というだけでなくて六つの視点から検討すると。こういうふうなことで、高齢者の位置づけ、高齢者を別にする方がいいのか、あるいは一緒にする方がいいのか、こういう議論は本質的にございます。あるいは財源法、それから保険者のあり方とか制度間調整、世代間の公平とか医療費の効率化、こういった先ほど来出ている項目に議論もありました。そういう基本的な視点そのものについても委員の意見が分かれたわけでございます。
 それから四つの制度的な枠組み、こういったものが示されたわけでございまして、一つは独立保険方式、一つは突き抜け方式、それから年齢リスク構造調整、一本化、こういう四つがあったわけでございます。
 例えば独立保険方式でございますけれども、これは高齢者をはっきり言えば弱者とみなして分ける、こういうことで、一方ではエージズムというふうな批判もあるわけでございますし、この案は実質的には公費負担医療である。こういうふうな形で巨額な財源をここに投入するということですからその財源問題が当然問題になろうかと、こういうふうに考えているわけでございますし、保険者をだれにするかと。保険者の引き受け手というのはなかなか難しいんではないかなと、こんなような感じもいたしているわけでございます。
 それから突き抜け方式。これは、健保と国保、被用者保険と自営業者を中心とする国保を分ける、OBになっても分けると、こういう案でございますので、これはこのままやりますと国民健康保険の方はしりすぼみみたいな形になっておりますので、先輩が多くて後輩が少ない、こういう形ですので、そういう意味で大変な負担増になると、こういうことでございます。
 それから年齢リスク構造調整。これは理論的にはかなり正しいんではないかというふうに思っているわけでございますけれども、現在でも被用者保険サイドと自営業者サイドで拠出金を出すということについてかなりアレルギーがあるわけでございまして、その拠出金方式をさらに拡大するということでございますから、そういう面での批判がございます。
 それから一本化方式でございますが、これはまさにガラガラポンということでございますので、保険者をどうするとか、非常に大きな変動を伴うまさに抜本的な案でございますので、これについてすぐ現実的にできるかどうかと、こういう問題があろうかと思うわけでございます。
 以上でございます。
#292
○入澤肇君 私は、この検討は非常によくいろんな角度からされていると思うんです。ただ、これを受けて、やはりもっと具体的な項目を掘り下げて議論していただいて、その結果を私は聞きたかったんですけれどもね。
 例えば、最初の公費を主な財源としてすべての高齢者を対象とした地域単位の新たな保険制度を設けるという考え方は、今も局長が答弁になりましたけれども、高齢者は弱者であるという発想に立つと。そうじゃないんですよね。高齢者は弱者だからこういう制度をつくるというんじゃなくて、高齢者は当然高齢になればなるほどいろんな病気が併合して、そして病院に通うことが多くなる、医療費もかかると。そういう実態に着目して、それに対応するために公費を主な財源としというふうなことを提案しているのであって、高齢者は弱者であるからこういうことをしろと言っているんじゃないんですね。
 だから、私は、何か知らないけれども、最初から高齢者は弱者であるという発想に立つのはいかぬとか、それから社会連帯の理念を持つか持たないかとか、そういうふうな既成の観念にとらわれてこの制度を受け取っているんじゃないかと思っているんですよ、このコメントを見ますと。どうしてこういう四案が出てきたのかということをもう少し冷静に客観的に受けとめてやると、私は、今実行可能性という、実務的に可能な案というふうなことを検討してという話がございましたけれども、そういう案が出てくるんじゃないかなと思っているんです。ぜひ鋭意検討してもらいたいと思うんです。
#293
○政府参考人(近藤純五郎君) 確かに、先生がおっしゃいますように、独立方式の提案者は先生がおっしゃるようなことを言っているわけですが、私どもが今申し上げましたのは反対論の面で問題点を指摘したということでございまして、提案者はまさにそういうふうに、医療のリスクが高くなってこういう方については当然のことながら特別の配慮が必要であると、こういう観点に立っていると思いますが、これが保険制度であるかどうか、こういう点についてはいろいろ御議論があるんじゃないかと、こういうふうに考えています。
 私ども、全部がだめとかなんとか言うんではなくて、恐らく典型的な例では、パターンとしてはこれでほとんど尽きているんじゃないかと思っています。これをモディファイするのはいろいろあろうかと思いますけれども、基本パターンというのはこれで尽きているんではないかと、こういうふうに思っておりますので、こういうものの中で現実可能なものを見つけていくというのが私どもの責務ではないかと、こういうふうに考えております。
#294
○入澤肇君 ぜひこういう中から現実的な案を一刻も早く出して、そして一歩前進という姿勢を明確にしていただきたいと思うのであります。
 そこで、具体的な細かい質問になるかもしれませんけれども、高齢者医療費について、いわゆる自由診療の医療費というのはどのくらいなのか。要するに、全体の医療費があって、それに対して高齢者医療費が三〇%ぐらいという数字が出ますね。ところが、その保険にのらない自由診療分野の医療費というのはどのくらいになっているか、把握しているかどうかお聞きしたいと思います。
#295
○政府参考人(近藤純五郎君) 高齢者だけについて自由診療が幾らかというのははっきり言って把握いたしておりません。ただ、国民医療費の推計の中に全額自費という項目がございます。これがいわゆる自由診療だろうと思っておりますが、これが約三千八百億円ございます、これは若い人も老人も含めてでございますが。
 ただ、これらの実態を申し上げますと、この約七割弱、三分の二程度でございましょうか、これは交通事故によるものでありまして、自賠責で支払われているものでございますので、したがいましてその残りが自由診療分ではないかなと思っておりますので、恐らく一千億を若干超える程度ではないのかなと、こういうふうに推測いたしております。
 それから、歯科の関係ではかなり多額になっているわけでございまして、これは統計的な数字じゃないんですが、医療経済研究機構という財団法人がやりました研究報告では、平成九年度に歯科の自由診療分というのは約四千億円というふうに推計されております。これも若い人の分も含んでおりますので、大部分が若い人の分ではないのかなと、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、高齢者の自由診療というのは極めて限られた範囲で行われているんではないかと考えております。
#296
○入澤肇君 そうすると、もし今回の抜本改革というのが、厚生省がねらっている改革というのが実現したときに、今行われている数千億に上る自由診療というのはみんな保険の中に入ってきちゃうのか、いわゆる制度の枠組みに入ってきてしまうのか、自由診療はさらにふえるのか、ここら辺についての見通しはどうでしょうか。
#297
○政府参考人(近藤純五郎君) 今度の改革で自由診療に影響を与える部分というのはほとんどないんではないかと考えております。先ほどの全額自費という統計もこの数年来ずっと三千八百億円前後で推移いたしておりますのでほとんど動いていないわけでございますので、今回の改正によってもほとんど影響はないんじゃないかと、こういうふうに考えております。
#298
○入澤肇君 もう一、二問、細かい質問で申しわけないんですけれども。
 高齢者医療費が増嵩しているのは先ほどから説明がございますけれども、その要因について、調査室がつくった資料の百二十八ページには、一人当たり老人医療費というのはそんなに伸びていない。例えば、平成九年度は対前年度比一・一%、診療費はマイナス〇・六%、薬剤費が一六%、非常にふているんですね。それから、一人当たり医療費の支給額はマイナス六・三%、こうなっている。経年的にこうやって見てみますと、薬剤費の伸び率が非常に高い。
 高齢者医療費が増嵩している要因を細かく分析して、さらにそれに対する対応を考えてみたことがありましたら、その内容を教えていただきたいと思います。
#299
○政府参考人(近藤純五郎君) 先生御指摘の資料、ちょっと手元にございませんが、十一年の老人医療費の数字で実績で申し上げますと、老人医療費の伸びは全体で八・四%でございます。そのうちで、老人の数が伸びるというので伸びたのが四・三%でございます。それから、老人の一人当たりの受診日数の伸びということで、月のうちどのぐらいの日数を受けるかということでございますけれども、これで〇・九%ふえております。それから、一日にかかったときの医療費というのがどうかということでございますが、その残りでございまして、三・一%が一日当たりの医療費の伸びでございます。
 いわゆる自然増というのはこの中に含まれているわけでございまして、定量的にお示しするのは難しいわけでございますけれども、やはり薬剤費の増加というのが大きな要因ではないのかなというふうに推測しているわけですが、そのほかにも医療内容の高度化でございますとか医療機器が普及するとか検査がふえるとか、こんなような要素があろうと思いますし、現在では介護保険に移ったのでこれからの医療費には余り関係ないわけでございますけれども、これまでは訪問看護がふえるとか老人保健施設がふえるとか、こういった供給体制の整備、こういうものも大きな要因であったというふうに考えております。
#300
○入澤肇君 これで終わりますけれども、高齢者医療対策を本当にやるとすれば、やはりその増嵩している原因を、老人人口が伸びるのはしようがないけれども、薬剤費だとか医療機器の高度化だとか診療内容、医療内容が高度化しているとか、こういうことについては手の打ちようがあると思うんです。
 要するに、一つは、保険の制度、医療の制度から外に追い出してしまうということもあるんですね。例えば、新薬の開発に相当お金をかけておると。そういうものが全部薬剤費に入ってくるとすれば、それについては公的な助成をうんとふやして保険の世界の中では安くするように手当てするとか、それから医療機械、これも大変な進歩ですが、これについても思い切って公的助成をして保険の体系の中では安く適用できるようにするとか、いろんな工夫があると思うんです。要するに、医療費全体を圧縮するために、一般会計の財源のあり方なんかも含めて、それから既存の研究機関の活用の仕方も含めていろんな工夫をして抑制すること、それによって保険料を上げなくて済むというふうな方法をとることも考えていただきたいと思うんです。
 きょうは時間が参りましたので、また続けて質問させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#301
○沢たまき君 長時間ありがとうございます。アンカーでございます、よろしくお願いいたします。
 今回の健康保険法の一部を改正する法律案並びに医療法の一部を改正する法律案は、抜本的改革に向けての第一歩と位置づけられた法律案です。抜本的な改革というのは、国民的課題である医療保険制度の安定的運営を確保するという極めて困難な作業であります。保険制度の継続を望んでいることは、国民共通の認識であると思います。したがって、厚生省の責任、また私たち政治家の果たさなければならない役割は極めて重いものだと思っております。
 平成十四年度の抜本的改正に向けての決意と今回の法案の位置づけについて、まず厚生大臣にお伺いをいたします。
#302
○国務大臣(津島雄二君) ずっと御答弁申し上げておりますように、これまで我が国の医療制度また医療保険制度は国民に長寿社会を実現するというような成果をもたらしまして、その意味では高く評価をされておりますけれども、しかし急速に高齢化が進んでまいりまして、医療費が高騰する一方で経済の低迷に直面をして、医療保険財政が極めて厳しいところにあることは否定できないわけでございます。こうした中で、医療制度の抜本改革は待ったなしと言われておりますのは一体どういうことかという御質問に答えるとすれば、私なりに言えば、持続可能な安定的な医療制度と医療保険制度を構築するということであろうと思います。
 これまでにもいろいろな改革の努力はやってまいりまして、薬価差の縮小、診療報酬の包括化なども推進してまいりましたが、今回の健康保険法や医療法の改正は、若年者と高齢者の負担のバランスなどの観点から、高齢者に定率一割負担制を導入して高齢者にも可能な範囲内で負担を分かち合っていただくということ、それから患者の病態にふさわしい医療を提供する観点から病床区分を一般病床と療養型病床に分ける、こういうような抜本改革に向けての第一歩をしるそうというものでございます。
 これらの改正に引き続きまして、平成十四年度に向けてさらに大きな課題がございますのは、高齢者医療制度をどうするのか、これが今の保険財政にとって一番大きな問題点になっているとすれば、これをしっかりと安定させ、引き続いて国民が安心して良質な医療が受けられる体制を確立するということでございます。
 この点についてあえて申し上げますと、これまでの手法で目的が果たせればいいわけでありますが、急速な高齢化が今後二十年、三十年進んでまいります間は、社会保険で、保険料で増嵩する医療費を賄うということには限度がございまして、私はやはり一定の公的助成が必要であるというふうに感じており、また今回、有識者会議の報告書でもそのような御指摘を受けたところでございます。問題は、そうであるとすれば、安定的財源としてどのようにしてこれを賄うかということは国民的な議論をやっていただかなければならないし、また当委員会における率直な御議論にも私は期待をしたいと思っておるところでございます。
#303
○沢たまき君 平成十一年度の政府管掌保険、政管健保の収支決算によりますと、その赤字は約三千億円にも達していると伺っております。この背景は、高齢化が急速に進むことによってお年寄りにかかる医療費が年々増加している一方、支えている若年層の方々について、長引く不況の中で給料が上がらないあるいは給料が下がる、あるいは企業の倒産、リストラに遭って解雇されてしまう、こういう状況の中での赤字の発生だろうとは思っておりますが、まずはこの政管健保の赤字の原因について厚生省より御説明をいただければと思っております。
#304
○政府参考人(小島比登志君) 平成十一年度におきます政府管掌健康保険の収支でございますが、決算の結果、歳入六兆九千九十一億円に対しまして歳出七兆二千二百五十四億円ということで、単年度で三千百六十三億円の赤字となってございます。これは、平成五年度以降実質七年連続の赤字決算ということでございます。
 この主たる要因といたしましては、先生御指摘になりましたように、近年の中小企業を取り巻きます厳しい経済環境を反映いたしまして二年連続の被保険者数の減、それから戦後初めての標準報酬月額の減によりまして保険料収入が千二百三十億円、対前年から減少したということが歳入面の特徴でございます。一方、歳出で見ますと、老人医療費の増加に伴います老人保健拠出金の増が二千六百三億円、それから退職者給付拠出金の増が五百三十九億円ということで、この両拠出金の増加だけで三千億を超えるという大きな伸びを示しております。これらが原因であると考えているところでございます。
#305
○沢たまき君 こうした社会状況の中で政管健保の赤字もやむを得ないものとは思いますが、こうした政管健保の赤字の報道を耳にいたしますと、国民は今後の医療制度に大きな不安を感じるのではないかと思います。今、何よりこうした不安を取り払って国民に安心してもらうことが政治に求められている課題であろうかと思います。そのため、今回の改正を抜本改革の第一歩と位置づけているゆえんでもあるでしょう。
 安定した医療制度を築いていくためには国民みんなが、今、大臣がおっしゃったように、医療費の負担を公平に分かち合っていくということが大切だろうと思います。いわゆる自助と共助と公助のベストミックスです。この分かち合いのルールをどのように定め、増加していく医療費をどのように公平に分担するのか、これを国民的な議論のもとで決めていくことが医療制度の抜本改革の主要課題と認識しておりますが、厚生大臣の御見解を伺いたいと思います。
#306
○国務大臣(津島雄二君) 今の沢委員の御指摘、全く私は同感でございます。
 先ほど御答弁いたしましたように、医療保険は急速な高齢化の進展に応ずる高齢者医療の拠出金で大変に苦しんでおりますが、これをどのようにして将来賄うか、そして、そういうことであればこの制度は持続可能であるなと国民に思っていただくためには格段のまた工夫が要ると思っております。今度の御提案の改正はそのための第一歩でありますけれども、しかし高齢者医療制度について全体像をもう少ししっかりと把握して、特に高齢者と若年者との間あるいは各保険者の間で公平にみんなで負担を分かち合うという姿をつくっていく必要があると思います。
 そして、その分かち合いの中に、私の意見でございますけれども、保険ばかりでなくて一般財源による公費の助成も当然議論の中に入れていただくのが至当ではないか。なぜならば、保険というのは、御承知のとおり、これは所得に比準しますから、ある意味でいいますと所得に応じて一定の累進構造を持っておりますが、これにはやはり限度があると。したがって、一般的な財源によってこれを助成していくということも当然議論の中に入れていただきたい。これも国民の分かち合いの中に入っているのではないだろうかと私は思っておるところであります。
#307
○沢たまき君 そのように思いますが、急速な高齢化という状況に対して、医療制度を持続可能で確固としたものにしていくためには、制度の改正のみで抜本改革の目的を達することは極めて難しいと大臣もおっしゃっておりますが、医療費の財源としても、現在議論の俎上にのせられている消費税というだけではなく、ほかにもさまざまなものを考えていく必要があるのではないかと思っています。
 この点については、私としてもかなりのヘビースモーカーなのでございますので、たばこと健康の関係についてはかなり科学的な研究もなされており、喫煙を原因とする医療費もかなりの額に上ると聞いております。医療費の財源として例えばたばこ税のようなもの、私は払っても差し支えないと思っているんですが、厚生大臣の御見解はいかがなものでございましょうか。
#308
○国務大臣(津島雄二君) 医療保険制度を支えていくためには、先ほども御答弁いたしましたように、保険料と公費と患者負担を適切に組み合わせていくことが適当でありますが、その公費の財源をどうするかということについて、安定的であり、かつ制度の目的にかなうものであることが望ましいと。そういう観点からまいりますと、WHOも指摘しておりますように、たばこの喫煙習慣というものと疾病とはかなり深い関係があると。また、そのことを念頭に置けば、たばこについて増税をしてでも喫煙習慣に影響を与える必要があるという意見も強く出されているところでございます。
 私どもも関心を持ち、また昨年は医療保険福祉審議会でもそういう議論が出されているところでございますが、昨年は私は大変この点について痛い思い出がございまして、一部の報道で御承知のとおり、党の税制調査会の幹部をいたしておりましたときに私はその考え方をちらっと出しましたところ、これが逆に強い反対運動によって撤回せざるを得なかったという経験もございます。
 なかなか難しいところでございますけれども、医療保険制度について、財源面を含めて制度全体が持続可能で安定的なものにする、その一つとしていろいろな税源というものも当然視野に入れていただくのが至当だなと私は考えております。
#309
○沢たまき君 ぜひ医療費の特定財源として、柳田委員は値上げはだめだとおっしゃいましたけれども、いただきたいと思います。(「一箱五百円なんて嫌だよ」と呼ぶ者あり)そんなにはならないでしょう。そうしたらやめます、私も。
 ところで、抜本改革について、政府は当初、平成十二年度に実施という目標を掲げていらしたのにもかかわらず、その最も大きな課題である高齢者医療制度の見直しなどについては平成十四年度とその目標年度が先延ばしされました。その理由を率直に聞かせていただきたいと思います。
#310
○政府参考人(近藤純五郎君) 高齢者医療制度の見直しにつきましては、かねてからの課題であったわけでございますが、直近では医療保険福祉審議会の制度企画部会の方で御議論をお願いしたわけでございます。この審議会におきましては、高齢者の位置づけでございますとか財源のあり方、保険集団のあり方、保険者間の負担の調整のあり方、世代間の連帯と公平、それから医療費の適正化・効率化と、こういう六つの基本的な視点につきましていろいろ御議論をいただいたわけでございます。この六つの視点につきましても、いろいろ甲論乙駁があったわけでございます。
 それからさらに、先ほど申し上げましたけれども、制度の具体的な枠組みということで、独立制度から一本化まで四つのパターンが示されたわけでございます。この四つの類型につきまして、財政試算も含めまして種々検討いたしたわけでございますけれども、関係者の利害が錯綜する課題でございまして、委員の間でも意見を一つにするということができなかった、こういうことで終わったわけでございます。これを受けまして、私どもの方でも種々検討いたしたわけでございますけれども、遺憾ながらまとめるには至らなかったわけでございます。
 今回の健保法の改正案では、審議会でも大方の意見が一致いたしました老人の定率負担、これにつきましては導入を図ったわけでございまして、十二年度できなかったわけでございますので、十四年度を目途にいたしまして、改革の具体的な案、措置、こういったものについてさらに検討を進めているというのが現状でございます。
#311
○沢たまき君 高齢者医療制度、今伺いましたけれども、医療制度には医療機関と保険者、それに保険料の負担者としての企業などさまざまなところが関係しています。抜本改革が容易に進まないのも関係者の利害が錯綜しているとおっしゃいましたけれども、このような複雑な調整をすべて政府に押しつけるというのではなくて、それぞれの当事者である関係者のトップレベルの方々がみずからの利害を離れて、日本の将来とか日本の医療のためという立場で話し合って改革に向けてのコンセンサスをつくっていくということが大切ではないかと思います。
 本格的な抜本的な改革に向けて進むときに、関係者の利害が錯綜したから延びてしまったと言われると、国民のための安定した医療制度をつくるなんというのはとても難しいんだろうと思いまして、どちらかといいますと、この場をおかりして関係団体の方に強くお願いしたいのは、やっぱり小異を捨てて大同に、おれがおれがの、おれのところの利害だけではなく、将来の日本を見据えていただきたいなと、このように思います。この場をおかりいたしまして強く関係団体の方々にお願いを申し上げたいと思います。
 厚生省は、高齢者医療制度等改革推進本部で平成十四年度をめどに厚生省の考え方を示すということになっておりますが、抜本改革に当たって関係団体から要望を受けるばかりじゃなくて、当事者の方にも少しは痛みをわかっていただいて、関係者間の当事者の方々にも努力をしていただく、分かち合っていただきたいと思うんですが、これが一番大事だと思うんです。これはそのとおりと大臣もおっしゃってくださったので、ぜひこれを進めて、関係の方々に申し上げたいと思います。
 一方、医療制度の抜本改革については、関係者の間の話し合いだけではなくて、国民全体で問題を考えていこうという雰囲気をつくっていくことも大切だろうと思います。今後の抜本改革の検討に当たっては、ぜひとも国民的な議論が行われるような環境づくりをしていただきたいと思うんですが、厚生省のお考えを伺います。
#312
○国務大臣(津島雄二君) 医療制度の抜本改革について、関係者の利害が錯綜するから困難が伴ってだめだというようなことでは私はいけないと思います。当然これだけの大改革については困難は伴いますけれども、最近、関係者の間でもこのままではいけないという雰囲気が随分強く出てきていることを私は評価させていただきたいと思います。例えば医療費でも、これから日本の経済社会が受け入れられる範囲内にとどめていくことが必要だということについては、一昔前とは随分違った認識が生まれてきております。
 関係者の方はそれぞれのお立場でお考えや御主張があるのは当然ですが、しかしそれを乗り越えて事をなし遂げていくのは、やはり国民の理解を得なきゃいけない。その国民の理解を得るために、私ども政治家が、そして国会が責任を持っているという御指摘として、今の沢委員のお話は私は重く受けとめさせていただきます。
 先般、総理の諮問機関の有識者会議から報告書をいただきまして、今のこの問題についても触れておるわけでありますけれども、これをやはり政治の場でもしっかりと受けとめてフォローアップをしていこうという立場に立ちまして、近く総理の御指示によりまして、私ども関係閣僚を中心とする検討の舞台がつくられる段取りになっておりますので、そういうことを出発点として、国民の期待にこたえていきたいと思っております。
#313
○沢たまき君 よろしくお願いします。
 もともと、医療機関、保険者にしてもだれのために存在するのか。どこまでも我々国民、患者でございますから、患者中心の医療でなければなりませんし、患者中心の医療体制を拡充した上で国民同士の助け合いの仕組みというわけです。
 高齢化などによって若い人の負担が本当に大変になっているという現状は、国民の共通した認識だと思います。したがって、高齢者でも負担ができる方には応分の負担をしていただくことは、社会保障制度にとって大切な若い世代と高齢者世代の連帯感を強化していくことにもつながると思います。私は常々、高齢者も含め現在世代は次世代の負担も共有しなければいけないと申し上げております。当然その場合、次の世代との負担の共有は明確に示すことが条件であります。
 こうした意味で、今回の老人の患者一部負担の定率負担制の導入は、負担を分かち合うとともに、医療にかかるコストの意識を喚起するという意味で医療制度の抜本改革の第一歩だと評価はできると思います。
 しかしながら、お年寄りにも相応の御負担をいただくということであれば、納得していただいた上での負担ということでなければならないと思います。このためには、それぞれの医療機関が事前に医療の内容、それからその費用そのほかの選択肢などについてきちんと患者さんに説明して、納得した上で医療を受けてもらうということが大変大事だろうと思います。
 このような医療機関の患者への情報提供についてさらに進めていくべきだと思うんですけれども、厚生省の御見解はいかがでしょうか。
#314
○政務次官(福島豊君) 先生御指摘のように、医療を提供するに当たりまして、患者さんに対して適切な説明を行い、そして理解を得ながら医療を進めるというインフォームド・コンセントの考え方に基づく医療の推進が必要であると、そのように私ども考えております。そして、こうしたインフォームド・コンセントの理念に基づく医療によって、医療従事者と患者の信頼関係というものが強化されますし、そしてまた情報が医療提供者と患者さんの間で共有化されるということによりまして医療の質も同時に向上するということが得られることと考えております。
 こうした情報提供というものを進めるに当たって、厚生省としての取り組みとしまして、一つは、医療従事者の自主的な取り組みを支援するとともに、そして今回の医療法の改正案におきまして国民が各医療機関の診療情報の提供及び診療記録の開示に関する取り組みについて十分に理解し認識できるように診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報を提供することができる旨を広告できる事項として追加することといたしております。
 今後、こうした取り組みを通じまして、医療機関から患者さんへの必要な情報提供がさらに促進されるように努めてまいりたいと考えております。
#315
○沢たまき君 納得できる負担、また社会保障という助け合いにお年寄りにも積極的に主体的に参加していただくという面からも、負担の内容についてはできる限りわかりやすい仕組みとしなければいけないと思います。お年寄りの方に負担の考え方とか具体的な内容を御理解していただく、わかりやすくしていただく、先ほど入澤委員もおっしゃっていらっしゃいましたが、御理解をいただくことが大切であろうと思います。
 そこで伺いますが、衆議院厚生委員会において我が党の江田議員より、今回の改正案における院外処方の場合の月額上限の負担について、政府が当初提案していた医療機関ごとに上限を設定するという仕組みはお年寄りの方にわかりにくいと思いますので、これを改めて患者単位での月額上限を設定する方法とすべきではないかとの質問に対して、大臣から患者ごとに上限を設定するという方向で関係団体と調整をするという御答弁をいただいております。この点、お年寄りの方々にできる限りわかりやすい仕組みをするという観点から、患者さんごとに上限を設定する方向に改めるべきだと私も思うんですが、改めて大臣の御所見を伺いたいと思います。
#316
○国務大臣(津島雄二君) 今御指摘の点、また衆議院厚生委員会で江田議員から御指摘を受けました点は、大変に私どもにとって悩ましい問題でございます。
 つまり、患者の一部負担について月額の上限をつくって、そして過度にわたらないようにするということにしたのでございますが、その患者負担を支払う相手がいろんな医療機関や薬局にまたがった場合に、これはもう患者ごとに管理をしませんと、果たしてその患者さんが月に三千円でとどまったかどうかということがなかなか確認できない。そこの一番難しいところを実は今、沢委員からも江田委員からも御指摘を受けているわけでございますが、院外処方をした場合に医療機関と薬局の月額上限を、どのような場合も窓口での患者負担が三千円を超えないようにする、そしてお年寄りの償還の手間や医療現場で無理な事務負担を課さないようにするという難しい課題があるわけです。これは償還払いにするんだったら簡単なんですよ、払っておいて後で精算をするという。しかし、その手間もかけさせたくないと。
 そこで、今の法律の改正案では、主として院外処方を行っている医療機関であるか否かに応じて医療機関ごとに月額上限を設定する案となっておるわけでありますが、この原案では、同じ医療内容であっても医療機関によって患者負担が結果として変わってしまう、それからまたお年寄りについてはわかりにくいという御指摘はまことにそのとおりでございます。
 今の委員の御指摘を受けまして、同一の医療内容で医療機関ごとに負担が異なる事態ができるだけ生じないようにするために、患者ごとに院外処方があったか否かに着目して月額上限を設定する方法をする。つまり、患者ごとに上限が決まってくるようにしたいと。
 具体的には、その月に院外処方があった患者の方は医療機関と薬局での上限をそれぞれ千五百円、二百床以上の場合二千五百円でございますが、千五百円ずつとし、院外処方のなかった患者の方は医療機関の月額上限を今の千五百、千五百と分けずに三千円とするというような考えで今関係団体と協議を進めておりまして、ぜひともこの方向で実現をいたしたい。これは関係の方の御協力がないとできないわけでございまして、委員の御指摘の方向でできるだけ実現を図りたいと思っております。
#317
○沢たまき君 よろしくお願いを申し上げます。
 今回の老人の患者負担の見直しについては、低所得者の方々にもきめ細やかに配慮がなされていることから、やや内容が複雑であるとの声も聞かれますが、政府は具体的な内容をお年寄りの方々に御理解いただくため、どのような取り組み、周知あるいは広報をしていくのか、お伺いいたします。
#318
○政務次官(福島豊君) 先生御指摘のように、今回の健康保険法の改正で盛り込まれました定率一割負担というのは、それ自体では非常に単純な制度なんです、それ自体では。ただしかし、我々はこの制度を導入するに当たりまして、高齢者の方の御負担が現在の御負担からかけ離れないように、同じぐらいの水準にしたい、そしてまた所得の低い方にはそれに対しての対応をしたいということで、定額の上限を設けたりとかさまざまな対応をさせていただきました。
 その結果として、わかりにくいといいますか、さまざまな例がありまして複雑になったという御指摘はあろうかと思いますけれども、しかしながら高齢者の方の御負担というものを高齢者の多様な生活実態に合わせて適切な水準にとどめるために行われた対応であるというふうにまず御理解をいただきたいと思っております。そしてその上で、高齢者の方々そしてまた医療機関の方々に十分に今回の制度改正というものを御理解していただく必要があると考えております。
 まず、みずから厚生省がさまざまな媒体を通じて今回の改正の内容について情報の提供をしていきたい、そう思っております。そしてまた、地方公共団体や各保険者、さらには老人クラブを初めとした地域の団体等を含めて情報の提供を図ってまいりたいと思っております。
 そして、最も大切なことは、実際に御負担をいただく患者さんが、どの医療機関に行けばどういう負担になるのかということについて十分理解をいただくということであろうかと思います。そのためには、まず医療機関や薬局の中の見やすい場所に月額上限や定額なのか定率なのかということについて、負担のあり方についてわかりやすく掲示をしていただくということがまず一つあると思います。そしてまた、医療機関の選択ということに資するため、個々の医療機関ごとの一部負担金に関しての情報について市町村の広報等に掲示をしていただく、そしてまた市町村等の窓口に必要な情報を閲覧できるようにする、このような対応をしてまいりたいというふうに考えております。
 いずれにしましても、できる限りの努力をいたしまして、患者さん、そしてまた医療を提供される皆様に混乱が起きないように努力してまいりたいと思います。
#319
○沢たまき君 よろしくお願いいたします。わかりやすく大きな字で、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、抜本改革の一つである医療提供体制の見直しについては医療法等の一部を改正する法律案が提出されているところですが、これに関連いたしまして、小児医療の提供体制について何点か御質問させていただきます。
 まず、二十一世紀の高齢社会を目前にして高齢者医療の問題が議論の中心となっておりますが、あわせて未来を担う子供たちの問題、少子化対策も重要な課題ではないかと思っております。安心して子供を産み、健やかに子供を育てることは国民だれもが望んでいることであり、そのためには特に小児医療の提供体制を充実させることが喫緊の課題ではないかと考えます。この問題については、私はこれまでも何度か国会で取り上げてまいりましたけれども、厚生省において現在策定作業が進められている健やか親子21の中でも取り上げられていると聞いております。
 小児医療体制の充実についてどのように取り組まれるのか、まず大臣に基本的なお考えを伺わせていただこうと思います。
#320
○国務大臣(津島雄二君) 沢委員御指摘のとおり、小児医療は、安心して子供を産み、健やかに育てる基礎となるものでございまして、当面最大の課題の一つでございます少子化対策としても極めて重要なものであると認識しております。その一方で、現場においては大変過酷なお仕事でございまして、小児科のお医者さんは朝昼晩待ったなしの状態でおられる、ややもすると経営が赤字になるおそれもあるということも指摘をされているところでございます。
 このため、厚生省といたしましては、平成十三年度までに小児、周産期の医療のナショナルセンターとして国立成育医療センターを整備することとし、また小児専門の救急医療体制を全国的に整備することといたし、また平成十二年度の診療報酬改定において小児医療に関する評価の充実も行ったところでございます。また、各都道府県において地域の拠点となるような小児医療施設の整備を行う場合には補助を行うこととしております。
 さらに、現在、二十一世紀に向けた母子保健分野の国民運動として沢委員御指摘の健やか親子21の検討を進めておりまして、近日中にその取りまとめを行うこととしております。この中でも、小児保健医療水準を維持向上させるための環境整備が主要な柱の一つとなっておりまして、この検討結果を踏まえて、今後とも小児医療体制の確保に努めてまいりたいと思っております。
#321
○沢たまき君 よろしくお願いします。
 小さい子供を持つお母さん方にとっては、ちょっと困ったときに相談できる、子供が夜間や休日に熱を出したときなど気軽に往診をしてくれる、昔、私どもが子供のころはよく往診してくれるお医者さんが大勢いたんですが、何分にも子供というのはお医者さんが休みの土曜日とか日曜日によく熱を出しますので、そういう子供のかかりつけ医というのを持ちたいと、これはみんな若いお母さんは思っております。このようなことから、小児医療体制を考えるときのポイントは子供のかかりつけ医ではないかなと思っております。
 ところが、関係者の指摘あるいはマスコミの報道などによりますと、小児科医が減少している、小児科を志す医者が少ないという声をよく聞きます。この問題は、さまざまあると思いますけれども、一つには、今、大臣がおっしゃったように、小児医療が不採算であるということが指摘をされております。
 小児医療について、診療報酬上、今足したとおっしゃいますけれども、それは〇・二%の中に含まれてしまって、小児科医だけが〇・二%ふえたわけじゃないと伺っておりますが、診療報酬上もっと評価をすべきだと考えております。また、私の知り合いが東京とアメリカとを行き来しておりますが、小児科医というのはアメリカでは牧師の次に尊敬されている、このようにおっしゃっておりました。大変に過酷な診療をしていただく割には余りに評価が少ない。とにかく、診療の報酬をもっと評価すべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
#322
○政府参考人(近藤純五郎君) 先生御指摘のように小児医療というのが危機に瀕していると、こういうふうな社会的な要請もあったわけでございます。
 限られた財源の中であったわけでございますが、合理化財源という中で小児科の関係は重点的に評価するということで、ことしの四月の診療報酬改定では小児医療につきましてかなりの評価の充実を図っているわけでございます。
 一つは、小児科の入院医療の管理料として包括の点数、かなり高額な包括点数を新設いたしております。それから、出来高でやっていく、こういう医療機関におきましても、入院基本料の乳幼児加算でございますとか幼児加算、こういったもので入院についての評価をいたしているわけでございます。それから、外来でございます。先生が御指摘の、特に夜間の場合の対応というのが大変難しいということでございますので、夜間等の場合での初診料とか再診料につきましては乳幼児加算というのをかなり大幅に上げております。大体倍ぐらいの値段に上げているわけでございます。
 こういうことでございますけれども、まだまだ足りないという御指摘はあろうかと思うわけでございまして、今後とも中医協におきます御議論を踏まえまして検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#323
○沢たまき君 もうどのお医者様もそれは大切でございますが、小児科を志す先生方は本当に尊敬を申し上げるという時代になりました。将来は、小児科を志望する医師をふやす、あるいはまた小児科を全く診察できないというようなことがないように、これからの医療を担う若手の医師にぜひ小児科の研修を受けさせるべきだと考えております。
 このようなことから、今回の医師法改正案で必修化されます医師の臨床研修におきまして小児医療の研修を必ず受けていただきたいと考えておりますが、御所見はいかがでございましょうか。
#324
○政務次官(福島豊君) 先生の御指摘には私も深く共感をいたします。
 小児医療に係る研修の重要性については、これまで医療関係者審議会の議論、また大学病院、臨床研修病院関係者の意見でも指摘をされてきたところでございます。臨床研修におきまして研修医が学ぶべき事項については、研修施設の特色や多様性というものを尊重しながら、研修医に応じた研修プログラムというものを作成していくような仕組みが適当だろうというふうに私どもは考えております。今後、臨床研修の必修化に向けまして、医療関係者審議会のもとに大学病院や臨床研修病院等の関係者から成る検討会を設置し、検討を進めてまいりますけれども、先生の御指摘も踏まえながら具体的な検討を進めてまいりたいと思っております。
#325
○沢たまき君 どうぞ、今本当に少ないわけですので、特別に報酬でありますとか不採算にならないような、勉強する方も研修していて食べられないというふうにならないように、特別の御配慮を願いたいと思っております。
 また、先ほど私は小児のかかりつけ医の必要性について申し上げましたが、現実には、夜間、休日の救急時の医療についてかかりつけ医がすべて対応することは困難でございます。小児救急医療について、保護者から見れば夜間や休日に診てくれる小児科医が近くにいないという問題と、医療機関側から見れば子供の重症度にかかわらず専門の医療機関に対するニーズが非常に高いという傾向があるわけですが、これらに対応した小児救急医療体制の充実についての現在まで及び今後の取り組みについて伺いたいなと思います。
#326
○政府参考人(伊藤雅治君) 救急医療につきましては、休日、夜間の診療所それから病院群輪番制でございますとか救命救急センターなど一次から三次の体制の整備に従来取り組んできたわけでございますが、こういう一般の救急医療の体制の整備のみでは、特にこの小児科の特有の問題がございまして、なかなか対応し切れない面があるというのは事実でございます。そのため、小児救急専門の体制を整備するということから、平成十一年度に小児救急医療支援事業というものを創設したわけでございます。
 具体的に申し上げますと、おおむね二次医療圏内の小児科を標榜する病院群が当番制により夜間における小児科医を確保する事業、また小児科の基幹となる病院などで地域の病院、診療所の小児科医の協力によりまして夜間における小児科医を確保する事業、これを始めたわけでございます。これはつまり、二次医療圏として夜間も含めて体制を整備していこうという考え方でございます。
 この事業につきまして、平成十一年度より国の補助を開始したところでございまして、平成十二年度におきまして箇所数の増等により予算額の増額を図ったところでございます。さらに、現在お願いしております平成十三年度の予算概算要求におきましては、事業の普及促進を図るために、小児科医や消防機関等が意見交換や調整を行うための経費でございますとか、この事業そのものの予算の増額をお願いしているところでございまして、今後とも小児救急医療の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。
#327
○沢たまき君 どうぞよろしくお願いいたします。
 専門医が少なくて、大体内科の先生のところに小児科と書いてあるんですね。しかし、やっぱり専門医でないとわからないです。ですから、この間みたいな事故が起こってしまった。私の孫なんかも、すぐ近くに病院がありますが、夜間に行きますと頓服みたいなものを出しておいて、あしたもう一回来なさいと言うんですけれども、親が何十度も熱が出てはらはらしているのに、当直の先生はあしたの朝来いなんて、そんなの病院の役に立たないねというところがございますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 では次に、国民健康保険について伺わせていただきます。
 今回の改正案では、国民健康保険についても健康保険法と同様の改正がなされると伺っております。そこで、まず国民健康保険の現状についてお尋ねをしたいと思います。
 全国三千二百四十九の市町村国保と百六十六の国保組合の財政状況はどうなっているのか。また、財政赤字の原因をどのように分析しているのか。さらに、最近増加傾向であるという滞納世帯の動向とその対策についてもお伺いしたいと思います。
#328
○政府参考人(近藤純五郎君) 現在は医療保険全体が大変危機的な状況になっているわけでございますが、国民健康保険も例外ではないわけでございます。
 直近の決算はまだ十年度しか出てまいりませんので十年度で御説明をいたしますと、単年度の経常収支が赤字である保険者の数でございますが、市町村国保、三千二百四十九市町村のうち千八百十七、五六%の市町村が赤字になっております。それから国保組合、全体で百六十六組合ございますが、五十九組合、三六%の組合が赤字になっているわけでございます。全国の市町村国保の単年度の経常収支の合計額でございますけれども、赤字額というのが前年度より七百二十八億円ふえて一千二十億円になっているわけでございまして、国民健康保険も非常に厳しい財政状況が続いているという実態があるわけでございます。
 こうした悪化の原因でございますけれども、これはもともとでございますけれども、産業構造の変化とか高齢化がさらに進む、こういうことで無職の方それから低所得者の方、低所得者の方は最近の経済の低迷によりまして失業者の方が国民健康保険の方に入ってくる、こういうふうな実態もあろうかと思うわけでございます。それから、これも経済情勢と関係するわけでございますけれども、所得水準がやはり低下をいたしております。自営業者、それから零細な被用者につきましても所得水準が落ちてきているわけでございます。それから、これは共通的な話でございますけれども、老人医療費の拠出金が増大してきている。このようなことが原因というふうに考えられるわけでございまして、国保の安定的な運営のためにはやっぱり制度改革が必要である、こういうふうに考えているわけでございます。
 それから、滞納問題でございます。滞納世帯が年々ふえてきているわけでございます。先ほど申し上げましたように、経済が低迷しまして所得水準も落ちてきている、もともと失業になった人が国保に加入している、こんな状況もございまして、保険料の収納率というのはこのところ低下傾向にあるわけでございます。
 国民健康保険というのは国民皆保険の最後のとりでであるわけでございますので、ぜひともこの制度を維持していく必要があるわけでございますけれども、そういう意味で滞納者がふえるというのはこの制度を維持していくためには大変深刻な問題でございますので、これまでも市町村が懸命に努力をしていただいているわけでございますけれども、徴収員の確保を図る等の努力、あるいは資格証明書等を活用する、こういった収納対策を一層強化していただく必要がある、こういうふうに考えているわけでございまして、私どももできるだけ市町村を支援してまいりたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
#329
○沢たまき君 次に、国民健康保険の保険料についてお尋ねします。
 保険料は、平成十年度の統計によりますと全国平均で七万五千九百十八円ということであります。市町村間では最高の十一万七千七十三円から最低の一万六千六百八十二円までばらつきがありまして、その地域格差は実に七倍になっておりますが、厚生省はこの地域格差の原因をどのように分析されているか、またどのような対策を講じようとされているのか、お尋ねいたします。
#330
○政府参考人(近藤純五郎君) 確かに、御指摘のとおり市町村間でかなりの格差があるわけでございます。
 この原因でございますが、これは一つはやっぱり一人当たりの診療費にかなりの格差があるわけでございまして、いわばたくさんの医療機関があればふえる、なければ非常に医療費が低い、こういう関係になるわけでございます。それからもう一つは、これは所得状況にかなり差がある、こういうことであるわけでございまして、やむを得ない面もあるわけでございますが、不合理な格差是正というのはしなければいけないということでこれまでも努力いたしているわけでございます。
 一つの方法としては、従来から行われております調整交付金というのがございますので、これによって財政力の不均衡を是正してきているわけでございます。それから、高額医療費が出ますと小さな保険者では大変な負担になるわけでございますので、これをみんなで共同して行うというふうなことでございますとか、低所得者が多い保険者につきましては公費によって一部補てんするとか、あるいは地方財政措置によりまして医療費の増加に対応するとか、こういったようなことをやってきたわけでございます。
 こういうことで保険料格差というのも是正してきているわけでございますけれども、まだまだそういうのが十分できていないわけでございます。医療保険改革の議論の中でもこの問題というのは一つの問題点であろうと、こういうふうにも考えているわけでございます。
 特に、老人医療費の問題、それから市町村の規模、非常に小さな市町村から多額の医療費を使う人が出ますとすぐ医療費に反映する、こういうことにもなっているわけでございますので、そういう規模の問題、それから高齢者医療制度の問題、こういったことで対応していく必要があるのではないかと、こういうふうに考えております。
#331
○沢たまき君 地方財政措置については、昨年の十二月に大蔵と厚生と自治の三大臣によって合意が図られておりますが、その合意文書には「高齢者医療制度の見直し等医療保険制度の抜本改革の検討に併せて、安定した財政運営が図られるよう国民健康保険制度のあり方についても検討を行う。」と明記されております。
 この国民健康保険のあり方について、厚生大臣の御認識、それから政府としての検討に向けた取り組みについてお尋ねいたします。
#332
○国務大臣(津島雄二君) 国民健康保険の問題は、医療保険の抜本改革とあわせて極めて重要な課題になっております。
 今日のこういう厳しい状況になるにつきましては、参考人から御答弁申しましたように、産業構造の変化や高齢化の進展あるいは低所得者の増加等々、構造的な問題を抱えているわけでございます。それから、現下の経済状況を背景として被保険者の所得全体が低下をしておりますし、老人医療費が高齢化に伴って医療費の急増をもたらしているということでございます。
 しかしながら、この国民健康保険というものは我が国の皆保険の非常に大事な最後のとりでだと私は思っておりまして、今思い出しておりますけれども、日本の皆保険というものに注目した外国の専門家が私のところにもよくおいでになる。御承知かと思いますが、ドイツでもフランスでもほとんど皆保険でありますが、数%の人口はどうしてもカバーできない。そのかぎは何かと。いろいろ御質問を受けて、彼らがわかるのは、実は市町村単位の国民健康保険、これができないからであると。もとより、アメリカもそうでございます。ですから、我が国の皆保険制度を大事にするときには、ここのところは本当に大事だと私は思っております。
 国民健康保険の今の問題というのは、結局は高齢者医療制度が経済状況の変化の中でも、また高齢化が進む中でもちゃんともっていくかどうかということでありますから、先ほどから御議論いただいております高齢者医療制度の持続的に維持可能な姿を求めていく中で、国民健康保険のあり方についてもやはり抜本的に議論をして適切な結論を一緒に出すべきである、かように私は考えておるところであります。
#333
○沢たまき君 もう時間がないので、あと一つ伺います。改正案の内容の中で、海外療養費の創設について伺わせていただきます。
 国民健康保険の被保険者が海外において治療を受けた場合に、健康保険と違って現在のところ保険給付は受けられませんが、今回の改正案では国民健康保険においても、海外渡航中の治療について同様に保険給付の対象とすることとされております。海外渡航が一般的になっている現状で妥当な措置とは考えますが、今後、国保の加入者が海外療養費の支給を受けようとする場合、どのような手続が必要となるんでしょうか。御説明いただきたいと思います。
#334
○政府参考人(近藤純五郎君) 海外療養費の具体的な手続でございますが、今でも通常の療養費払いというのが国内の関係ではあるわけでございます。それと同じような手続を踏んでいただくということでございます。
 まず、一たんかかった医療費というのは全額海外の医療機関に払っていただく必要があるわけでございまして、その担当の医師等から治療内容とかかかった金額について証明をいただかなきゃいかぬということになっております。それから、その証明書をもらった上で、帰国後に保険者に対して、保険者の窓口でございます市町村の窓口になろうかと思いますが、保険者に対して申請手続をしていただく、それで償還を受けるという形になるわけでございます。
 その際に必要になる書類でございますが、これは今でも被用者保険で行われているのと同じやり方でございますけれども、療養支給申請書というのを出していただきます。それから、これが一番問題になるんですが、診療内容がわかる海外のお医者さんの領収明細書、こういったものをいただかなきゃいかぬわけでございますが、これは様式が決まっていないと実際問題なかなか動かないと思っておりますので、あらかじめ海外に行くときにはこういう領収明細書の様式みたいなものを私どもつくりたいと思っておりますので、これを持って行っていただくという形をとらないといかぬと思っております。
 それを海外に行く人が持っていけるようなシステムをどう考えるか。例えば、旅行業者の方に頼むとか、市町村の窓口に置いておくとか、こういうことをちょっと工夫せぬといかぬと思っておりますけれども、いずれにいたしましても被保険者の方々の便宜というものを考えまして工夫をいたしたい、こういうふうに考えております。
#335
○沢たまき君 長時間ありがとうございました。
 終わります。
#336
○委員長(中島眞人君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後五時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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