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2000/11/30 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 国民福祉委員会 第7号
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2000/11/30 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 国民福祉委員会 第7号

#1
第150回国会 国民福祉委員会 第7号
平成十二年十一月三十日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中島 眞人君
    理 事
                亀谷 博昭君
                田浦  直君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                小池  晃君
    委 員
                入澤  肇君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                狩野  安君
                武見 敬三君
                南野知惠子君
                今井  澄君
                小宮山洋子君
                堀  利和君
                松崎 俊久君
                山本  保君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       内閣総理大臣   森  喜朗君
       厚生大臣     津島 雄二君
   政務次官
       厚生政務次官   福島  豊君
       通商産業政務次
       官        伊藤 達也君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       厚生大臣官房障
       害保健福祉部長  今田 寛睦君
       厚生省健康政策
       局長       伊藤 雅治君
       厚生省老人保健
       福祉局長     大塚 義治君
       厚生省保険局長  近藤純五郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○男性助産婦導入反対に関する請願(第二号外一
 一件)
○婦人保護事業にかかわる社会福祉法改正に関す
 る請願(第一三号)
○患者負担の再引上げ反対、安心してかかりやす
 い医療に関する請願(第二一号外二六件)
○介護保険の緊急な改善に関する請願(第四四号
 外二五件)
○介護保険の緊急改善、医療費自己負担引上げ反
 対に関する請願(第六七号外二六件)
○遺族年金の併給に関する請願(第一五九号)
○国立療養所恵那病院の存続・拡充に関する請願
 (第一六二号)
○高齢者定率一割負担、医療費負担限度額の引上
 げなど患者負担増の中止に関する請願(第一九
 一号外一〇件)
○患者負担増反対及び介護保険の改善に関する請
 願(第二〇二号外五三件)
○遺伝子組換え作物・食品の安全性の審査に関す
 る請願(第二〇四号外二一件)
○介護保険の改善及び医療保険の改悪計画反対に
 関する請願(第二一一号外一三〇件)
○医療費負担の引上げ反対、患者負担の軽減に関
 する請願(第二七五号外二四件)
○ウイルス肝炎の総合的対策に関する請願(第三
 〇〇号外一七件)
○てんかんの総合対策に関する請願(第三〇二号
 外七件)
○小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願
 (第三四五号外一九二件)
○介護保険の緊急改善に関する請願(第三七九号
 外五件)
○国立ハンセン病療養所の存続等に関する請願(
 第三九二号外三一件)
○年金・医療・福祉等の制度改革に関する請願(
 第四二二号外二件)
○国立病院及び療養所の廃止、移譲及び独立行政
 法人化反対等に関する請願(第六〇二号外四一
 件)
○医療費負担増反対、患者負担の軽減に関する請
 願(第七一六号外三件)
○国立病院及び療養所における院内保育所の改善
 等に関する請願(第七七八号外二九件)
○在宅介護利用料の引下げ等介護保険の緊急改善
 に関する請願(第八〇一号)
○ゴーシェ病における長期高額療養費の指定に関
 する請願(第九三八号)
○患者負担増反対に関する請願(第九五六号外七
 件)
○医療費負担の引上げ反対、介護保険の緊急改善
 に関する請願(第一〇〇七号外一件)
○腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(第一
 二三九号外七件)
○保険による良い歯科医療の実現に関する請願(
 第一二四七号外一件)
○介護保険及び国民健康保険の改善に関する請願
 (第一二七四号外二二件)
○保育制度の改善及び充実に関する請願(第一三
 〇六号)
○安心して暮らせる老後を保障するための年金制
 度の改善に関する請願(第一三四五号外二二件
 )
○総合的難病対策の早期確立に関する請願(第一
 三七〇号外六〇件)
○国民の暮らしを守るための社会保障の拡充に関
 する請願(第一四五九号外八件)
○患者の安全確保のための看護婦大幅増員及び介
 護保障の確立等に関する請願(第一四七六号外
 二六件)
○保育制度における緊急課題への対応及び改善に
 関する請願(第一五四一号)
○准看護婦・准看護士の養成停止及び看護婦・看
 護士への移行教育の早期実現に関する請願(第
 一五九一号)
○保育・学童保育予算の大幅増額等に関する請願
 (第一五九二号外二一件)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(中島眞人君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に厚生大臣官房障害保健福祉部長今田寛睦君、厚生省健康政策局長伊藤雅治君、厚生省老人保健福祉局長大塚義治君及び厚生省保険局長近藤純五郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(中島眞人君) 次に、健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。
 本日は森総理にお越しいただきまして、国民生活に重大な影響のある健保法等、それから医療法等の改正案に関連して質疑をさせていただきたいと思います。
 不覚にもちょっと風邪を引きまして、まだ治り切らないので、お聞き苦しい点があることをお許しいただきたいと思います。
 現在、この医療の問題、大変厳しい議論がされているわけでありますが、医療に限らず、年金、介護あるいは子育て支援の問題、また一方で雇用の問題もありますが、この社会保障全体についての国民の不安というのは非常に高まっているわけであります。
 そこで、私どももいろいろな提案をしているわけでありますが、政府の方でも総理大臣の私的諮問機関である社会保障構造の在り方について考える有識者会議というのをことし初めにつくられまして、半年余りかけて検討してこられ、そしてこの十月に報告が出されたわけであります。また、総理も厚生大臣もこの有識者会議の構成メンバーの一員でいらっしゃると思います。
 ところで、この有識者会議の十月に出された報告書というのは国民の期待に反するものだったと私は思っているわけですが、さまざまな評価がなされていると思います。プラスの面の評価も私も確かに見聞きしておりますけれども、マイナスの面の評価も大変多い。
 そこで、この有識者会議の報告について、そういったプラス面、マイナス面でのさまざまな評価を、総理としてはどのように認識し、また受けとめておられるのか。特にこれは、この経緯としては、昨年、前厚生大臣丹羽雄哉さんが厚生大臣に就任されたときに、総合的な社会保障の将来ビジョンをつくるということで、当初は厚生大臣の諮問機関としてつくろうというふうにお考えになったと思います。それが、当時の小渕総理がこれは内閣全体で取り組むことだからというので、そちらの方につくられたと思います。
 そもそもの発案者である前丹羽厚生大臣は、たしかこの有識者会議のスタートの時点で、国民に安心のメッセージを与える、そういう報告あるいはビジョンをつくってほしいと、こういうことを期待していたと思いますし、この報告を受けて前丹羽厚生大臣は、これは安心のメッセージを与えるものではないという厳しい評価をされているというふうに私は聞いておりますので、その辺も含めて総理の御認識をお聞かせいただきたいと思います。
#6
○国務大臣(森喜朗君) 御熱心に御議論をいただいておりますことにまずお礼を申し上げたいと思います。
 今、今井委員から御指摘をいただきました点でございますが、この有識者会議、これからたびたび御答弁申し上げますから全部読み上げますと長くなりますので有識者会議というふうにお答えをさせていただきたいと思いますが、有識者会議につきましては、これからの社会保障改革の基本的な方向を示していただくために、個別の制度のあり方ではなくて、社会保障全般にわたりまして総合的に、また給付と負担について一体的に御議論をいただくというようにお願いを申し上げてきたところでございます。
 御承知のように、先月末に有識者会議から御報告書をいただきました。まず第一に、社会保障の役割を明確にいたした上で、二十一世紀において社会保障を持続可能なものとしていくための方策が示され、給付や負担につきましては国民が選択するための判断材料が提示されており、これからの社会保障に関して有意義な提言をいただいたと、このように考えております。
 国民が社会保障に対し持っている不安を解消していくためには、報告書で示されておりますように、給付と負担のバランスを図ることによって、国民生活に不可欠なセーフティーネットとしての社会保障が将来においても持続的に維持発展できるように着実に改革を進めていくことが必要であると、このように考えております。
 政府としましては、これを受けまして、一体となって社会保障改革に取り組んでいくことといたしておりまして、先般、社会保障改革関係閣僚会議、一昨日でございますが、第一回の会合を開催したわけでございます。
 今後、与党におきます検討体制の整備を待ちまして、政府、与党連携のもとで社会保障改革の全体像を明らかにいたします大綱とも言うべきものをぜひ取りまとめていきたい、そしてこれに基づいて具体的推進方策の協議を進めてまいりたいと、このように考えております。
 丹羽前大臣の御発言については、私、詳細承知をいたしておりませんが、今御指摘ございましたように、当時、前小渕総理のお考えで総理の諮問機関として全体的な討議をしようと、先ほど申し上げましたようなことの趣旨であったかというふうに、私はお仕事を継承させていただく中でそのようなお考えを伺っております。
#7
○今井澄君 いや、私はそういうことをお聞きしたんではないんです。
 例えば、あの報告が出た後、新聞各社あるいはテレビ、これがすべて世論だとは申しませんけれども、やっぱり国民の意見を代表しているわけですが、私は率直に言って二分する報道がなされたと思うんです、例えば社説ははっきり二つに分かれていたと。ある一方の流れの社説は、やっぱりこういう厳しい少子高齢化の時代にお年寄りにも応分の負担をしていただかなければならないんだ、そのことをはっきり国民にメッセージを送ったという点で評価できると、こういう流れもあったわけですよ。もう一方で、そうじゃなくて、そんなことはもうわかっている。もう一歩進めて、じゃどういう安心を与えてくれるのかということが大事なので、それにこたえるものではないんだということで、これはもうがっかりだ、期待外れだという論評もあったわけです。要するに両極端に分かれていたんです。
 私は、そのことを総理がどういうふうに受けとめられているのかと。例えば、どちらも正しいとか、どちらが間違っているとか、いや、この有識者会議というのはこの程度のものでしかないんだよとか、そういうことをお聞きしたんです。
 例えば、次の質問としてあらかじめお知らせしてありますが、ある論評によれば、こんなのは去年の厚生白書の焼き直しにすぎないじゃないかと。お年寄りも平均すれば豊かになってきているんだからお年寄りにも保険料や自己負担をしていただきましょう、応分の負担をしていただきましょうというのはもう出ているわけですよ。だから、こんなのは厚生白書の焼き直しにすぎない、わざわざ総理の諮問機関と称して天下の有識者を集めておきながら、厚生白書の権威づけをするようなこんなことをやって一体何の意味があるんだという、こういう厳しい批判があったわけですよ。それをどうお考えになっているのか。
 またもう一つ、例えば介護保険制度はこの四月一日から始まっているわけです。そして、これはお年寄りからも自己負担をいただくという制度なんです。画期的な制度なんです、ある意味では。ある意味ではひどい制度なんですよね、ある意味の言い方で言われるとすると。だけれども、それが現に始まってもう半年以上たつ、しかもこの十月一日からはそのお年寄りから保険料もいただいているわけです。今さらお年寄りに応分の負担をこれからは求めるなんという時代じゃなくて、もう求めている時代なんですよ。そのときに、この有識者会議がそんな負担の問題だけを言っているのは、これは時代おくれじゃないか、期待外れじゃないかという批判があるんですよ。その点をどうお考えかなんですね。
 先ほどの総理の御答弁によれば、給付と負担を一体的に論じ明らかにしてほしいと。そういうものとして期待されたわけですね。負担の方は出ていますよ、負担をしてくださいねと、メッセージは。非常に厳しいメッセージが出ています。ところが、給付の方のメッセージが出ていないじゃないですか。そこのところを、私はそういう批判についてどう答えるのかということをお聞きしたんです。
#8
○国務大臣(森喜朗君) 今井委員は一番よく御存じの方のお一人でもあるわけですが、有識者会議はそれぞれの分野の方々、給付を受ける立場の気持ちの方々、あるいは負担をどのようにしてつくり上げていくかということを考える方々、いろんな皆さんのお集まりでの議論でありますから、これをまとめた一つの考え方として、一つの結論はやっぱりなかなか出にくいだろうと思います。そのことをむしろこれからしっかり考えなさい、政府としてもしっかりそれに取り組みなさいと。また、国民の皆様には、こういう考え方もある、ぜひ一緒になって考えてください、大事なものですと。
 だから、先ほど申し上げましたように、将来においてこれが持続的にずっと発展をしていく、その可能性をみんなでひとつ考えようじゃないですかという私は国民に対する一つのメッセージでもあろうというふうに思いますし、また、我々政府にとりましても非常に大事な問題でありますから、これももう待ったなしですよ、今度はできるだけ早く真剣にこの具体的な方策を考えなさいという、そういうまた政府に対する考えを示されたと、このように私は受けとめております。
#9
○今井澄君 わかりました。
 そうしますと、こういうふうに受け取ってよろしいでしょうか。有識者会議の中でいろいろ御議論いただいたと。いろいろな各界のトップクラスの方ですからそれぞれの御意見もあったでしょう、そういうところでやっぱりまとまり切らない意見もあったと。
 そうすると、先ほどの給付と負担の一体的なという意味で言うと、一体的にはならなかったと。少なくとも負担の点については、制度を安定させるためにも、こういう少子高齢化という厳しい状況の中でも、財政が厳しい折からも、高齢者にも応分の負担を求めるということ、負担の面は一致した、だけれども給付の方ではこれだけは保障しますよというところまでは意見の一致ができなかった、こういうふうに総理としては受けとめておられるというふうに理解してよろしいでしょうか。
 と申しますのは、総理、確かに総理は別に社会保障の専門家でもないし、また総理がその専門家である必要はないと思うんですよ、私は。だけれども、全体として総理大臣たるものは、国民の安心というのをどうしたら担保できるのかということについてだけはやはり基本は押さえていただかなければいけない。社会保障というのは、年金にしろ医療にしろ介護にしろ、幾ら負担するとどういう見返りがあるのか、これが一体ですよ、総理が先ほど言われたように。
 そうすると、今の総理の御答弁としては、これだけ保障しますというところは一致しなかった、だけれども、これだけ負担は厳しくなりますよという点だけは一致してそういうメッセージが出せた、その厳しい認識だけは国民に持っていただけたということだったというふうに理解してよろしいですか。大臣、ちょっと待ってください。これは総理に答弁していただきたい。
#10
○国務大臣(森喜朗君) 先ほども申し上げましたが、社会保障の役割を明確にして、そして社会保障というものを二十一世紀においても持続可能なものとしていくための方策は一応示されている。それに対して給付と負担というものが、当然これは明確にしていかなきゃならぬわけでありますから、この給付と負担について国民が選択するための判断材料が提示されているというふうに、私はそういう意味では大変有意義な提言をいただいたというふうに考えているわけです。
 先ほど、二回目に申し上げましたように、そのことを国民全体で考える、とりわけ政府はそのことについてやはりできるだけ前向きに、そして本当に皆さんに御納得いただけるような仕組みをしっかり考えろという、政府に対するまた強いメッセージでもあるというふうに考えております。
#11
○今井澄君 わかりました。
 国民に判断材料を与えた、私はそのとおりだと思います。判断材料という意味で、残念ながら負担と給付、どれだけ負担しなきゃならないかということとサービスをどれだけ受けられるかについては、負担の方についてははっきり確かに示されたと思うんです。
 そこで、私はこの間、この委員会で有識者会議のこの報告書を議論させていただきましたが、厚生大臣がこの有識者会議の報告を評価する中で、やはり国も、地方も含めてでしょうか、要するに公の負担、責任というのがかなり前面に出ているというふうに評価しておられたと思います。
 私もそれは一つの評価すべき点かなと思うんですが、例えばこの中で、四番の「社会保障の財源の調達」の中で「公費負担の在り方」という項目があるわけですね。そこにこういう表現が盛り込まれております。「今後、所得水準の上昇以上に保険料水準の上昇が避けられない」、つまり、所得は余り上がらないけれども保険料負担は上がるというふうな状況が避けられない「ならば、相対的に拠出が困難な者が増えることとなり、これらに着目した公費負担の必要性も高まる」。つまり、保険料を払うのがだんだん難しくなっていく人もふえるから公費負担を今以上にふやさなければならないかもしれないですねという、公費負担をふやす方向を示唆しているように思うんですが、総理のお考えはまさにこういうところは我が意を得たりという形でこの報告書を受け取っておられるのかどうか、御返事をお願いしたいと思います。
#12
○国務大臣(森喜朗君) 有識者会議におきましては、社会保障における公費負担のあり方についても今御指摘がございましたように議論をされました。そして、報告書では、これまでの社会保険制度におきます公費負担投入の考え方を整理した上で、今後、所得水準以上に保険料水準の上昇が避けられないならば相対的に拠出が困難な者がふえることになり、これらに着目した公費負担の必要性も高まるとされているところであろうと思います。
 具体的な問題としても、基礎年金に関して、年金改正法附則では、「当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとする」とされており、これをどのように行っていくかが課題となっているとされておりますが、この問題につきましては、安定した財源確保のための具体的方策と一体として検討する必要があると考えております。
 また、報告書では、給付の増加を抑える見直しを行ったといたしましても、なお増加する公費負担につきましては、財政全体を見直していく中で検討をする必要があるというふうに指摘されております。
 いずれにいたしましても、社会保障につきましては、報告書におきますさまざまな指摘などを踏まえて、少子高齢化の進行など経済社会の構造変化等の中で、将来にわたり安定した効率的なものとなりますように、今後、政府、与党連携のもとで持続可能な社会保障としていくための総合的、包括的な改革を進めてまいりたい、このように考えております。
#13
○今井澄君 わかりました。
 基礎年金の問題だけではなく、やはり公費がそれなりに負担をふやさなければならないという御認識を持たれているというふうに受け取らせていただきました。
 その際、国庫負担割合の引き上げについて、この報告書の中には、さらに「財源として国民が薄く広く負担し、経済活動に比較的中立的な消費税をどのように活用すべきか検討する必要があるとの意見がある。」としておりますけれども、安定的な財源としてこの消費税というものについて総理はどうお考えでしょうか。
#14
○国務大臣(森喜朗君) 基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引き上げにつきましては、年金改正法の附則にありますとおり、安定した財源確保のための具体的方法と一体として検討の必要があるというふうに考えております。
 なお、御指摘ございました消費税の使途を含めました将来の税制、財政のあり方につきましては、今後の少子高齢化の進展など経済社会の構造変化や財政状況等を踏まえつつ、国民的な議論によって検討されるべき課題でありますが、いずれにいたしましても国民の理解を得ることなしに増税を行うことは適切ではないと、このように考えております。
#15
○今井澄君 時間がなくなってきましたので、今回の健保法、医療法等の改正につきまして四問事前にお願いをしてありましたが、その第一問と第四問だけをくっつけて御質問をして、総理の御答弁をいただきたいと思います。
 まず第一には、一九九七年に患者の一部自己負担を上げる改正に際しまして、政府及び与党は二〇〇〇年度、今年度までに抜本改革を行うと約束をしたけれども、それが果たされないまま延ばされております。この責任についてはどう総理として、あるいはずっと与党の責任ある立場をやってきた森総理としてどうお考えになるか。
 そして、今度こそ抜本改革は二〇〇二年度まで、平成十四年度までに行うと厚生大臣は繰り返し答弁しておられますし、さらに具体的に来年度、二〇〇一年度、平成十三年度ということは二〇〇二年の三月三十一日までの間には必要な法改正の提案もされるということを明言されたというふうに受け取っておりますが、その点について総理からも、必ず平成十四年度まで、二〇〇二年度までに抜本改革を行うという決意、約束をいただきたいと思います。
#16
○国務大臣(森喜朗君) 急速な高齢化の進展などに伴いまして医療費が増大する中で、制度を将来にわたりまして持続可能な安定的なものとするために、医療制度の抜本改革は避けて通れない課題、このように認識をいたしております。
 これまで薬価制度、診療報酬体系、高齢者医療制度、そして医療提供体制という四つの課題について改革に取り組んでまいりました。今年度はその一環として、薬価や診療報酬の改定に際しまして、薬価差の縮小や診療報酬の包括化などを行ったところでございます。
 今回の健康保険法や医療法の改正は、若年者と高齢者の負担のバランス等の観点から、高齢者の定率一割負担制を導入するとともに、患者の病態にふさわしい医療を提供するという観点から病床区分の見直し等を行うものでございまして、抜本改革に向けて第一歩を踏み出すというものでございます。
 高齢者医療制度の見直しにつきましては、これまで鋭意検討を進めてまいりましたが、現段階では各保険者の負担のあり方をどう見直すかなどにつきましては、考え方を一つに集約するまでには至っておりません。医療制度は国民生活に密接にかかわる問題でありまして、利害や立場を超えた国民的な合意なくしてその大きな改革は困難であろうと思います。国民的な合意が得られますように引き続き粘り強く努力する必要があると考えております。
 政府といたしましては、さきの有識者会議の御報告を受けまして、本格的に社会保障改革に取り組むための関係閣僚会議も一昨日設置したところでありまして、この中で残された高齢者医療制度の見直しにも取り組みまして、平成十四年度をめどにその実現を図ることで責めを果たしてまいりたい、こう考えております。
 また、政府といたしましては、この中で残されました高齢者医療制度の見直しにも今取り組むと申し上げましたが、平成十四年度をめどにその実現を図ること、法律的なことも提出をいたすという、そういうめどで努力していきたいと、厚生大臣もこの委員会でも御答弁を申し上げたと思いますが、そのような方向で努力してまいりたい、こう考えております。
#17
○今井澄君 ありがとうございました。
#18
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 今回の健康保険法改悪の高齢者への定率負担の導入でどういう負担増になるか。負担増の総額は千四百六十億円だと。医療を受ける人も受けない人もひっくるめて一人当たり年間一万円の負担増になるということが明らかになったわけです。これはあくまで平均でありますから、ケースによってはもっともっと負担がふえる場合もある。例えば、気管支ぜんそくと脳梗塞で月一回往診を受けている患者さんは五百三十円から二千六百三十円、五倍になるんだと。あるいは糖尿病と高血圧で月一回二百床以上の病院に通っている患者さんは五百三十円から五千円へ、九・四倍であります。入院の場合も短期間の場合は四倍、五倍という負担増がある。
 総理にお聞きしたいんですが、総理はこの健保法の参議院本会議の質疑で高齢者への定率負担導入、これらの負担はお年寄りにとって無理のない範囲のものというふうにお答えになっているんですが、今でも今回の負担増は高齢者にとって無理のないものだとお考えなのかどうか、お答えいただきたい。
#19
○国務大臣(森喜朗君) 今回の定率一割負担制の導入は、高齢者の方々に医療費に対するコスト意識を持っていただくとともに、定率負担になっております若年者とのバランスを図るという観点から行うものでございます。
 導入に当たりましては、外来について比較的低い月額の上限を設けますとともに、低所得の方々の入院時の負担の限度額を引き下げるなど、高齢者の方々の状況に応じたきめ細かな配慮を行うことといたしております。
 負担の方式が変更されることによりまして、個々のケースで見れば現行制度に比べて負担が増加することもあれば軽減されることもありますが、いずれにいたしましても無理のない範囲のものでございまして、十分に国民の皆様の御理解をいただけるものではないか、このように考えております。
#20
○小池晃君 今のこのケースというのは上限を設定した上でのケースなんですよ。例えば五千円というのは上限なんです。それが九倍の負担になったりあるいは四倍、五倍の負担になったりするんだと。これは上限があっても負担増になるじゃないですか。この上限があっても全く負担の軽減になっていないじゃないかということははっきりしていると私は思うんです。無理のない負担だと、四倍、五倍あるいは九倍の負担が高齢者にとってなぜ無理がないと言えるのか、もう一度お答えいただきたい。
 総理、自分の答弁ですよ、これは。自分の答弁を聞いているんですよ。
#21
○国務大臣(森喜朗君) 先ほど申し上げましたように、現行制度に比べて負担が増加するということもあれば軽減されるということもございます。
 いずれにいたしましても、この制度の趣旨を十分に皆さんに御理解をいただいて、そして無理のない範囲のものであるというふうに私どもも十分考えて、きめの細やかな配慮をしていくように、こういうふうに指示をしていきたい。そういう意味で十分国民の御理解をいただけるものではないか、このように考えております。
#22
○小池晃君 国民が理解できないからこそ二百十万人もの署名が今国会に寄せられているんですよ。
 社会保障の負担増というのは医療だけじゃないんだと。例えば先ほどお話があった介護。介護保険の保険料は来年度満額で七千七百億円になります、お年寄りの分だけで。利用料六千億円だと。年金の改悪もされた、そしてこの上に医療の負担増だと。
 総理、この間、景気が持続的な回復軌道に乗らないのはやはり個人消費の伸び悩みにあるんだというふうに何度もお答えになってきたと思うんです。年金、介護、医療、こういう負担増というのはまさに個人消費の足を引っ張る、立て続けの負担増が私は景気の回復に明らかに逆行すると思うんですが、いかがですか。
#23
○国務大臣(森喜朗君) 今回の健康保険法等の改正は、医療保険制度を持続可能な安定的な制度とするための抜本改革の第一歩として行うものである、このように先ほどからも申し上げております。
 医療保険制度は国民の負担に支えられて成り立つものでございまして、改革を進めて、国民が安心して良質な医療サービスを必要なときに受けられることなどを保障することによりまして国民の不安を払拭することが、経済の安定といった観点からも私は重要であるというふうに考えております。残されました高齢者医療制度の見直しといった課題に取り組みまして、制度に対します国民の信頼の確保を図ってまいりたい、このように考えております。
 なお、今回の改正では負担額の上限を設けるなどいたしまして、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、きめ細やかな配慮を行っておりまして国民の皆様の御理解をいただけるものである、このように考えております。
#24
○小池晃君 国民が将来に不安を持っているのはなぜか。これは、介護保険の今の実態を見て、そして年金がどんどん削られている実態を見て、そして医療もまた負担増が襲いかかってくるという実態を見てお年寄りは生活不安を強めているし、そういう実態を見て若者は将来への不安を高めているんですよ。
 例えば経済企画庁の調査では、老後に明るい見通しを持っていると答えた人のピークはいつかというと、これは八四年なんです。老人医療費の有料化が導入された翌年です。このときをピークとしてどんどん下がっている。そして九九年、直近では一七・四%と過去最低にまでなっているんですよ。まさにこういう社会保障の負担増というものが、社会保障に対する将来不安、これから本当に老後暮らしていけるんだろうかという不安をあおり立てているんです。
 さらにお聞きしたいんですけれども、政府は、健保財政が危機だから制度改正が必要だというふうにおっしゃってきました。ところが、国は健保財政を支える責任を果たしてきたんだろうか。医療費に対する国庫負担は八〇年の三〇・四%から九七年は二四・四%に低下しております。こうした国庫負担の削減をやめて、公共事業優先の国の財政を改めて、医療に対する国庫負担を増加させることが今必要になってきているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#25
○国務大臣(森喜朗君) 年々増大をしてまいります医療費につきましては、保険料、そして公費、患者負担、この組み合わせによって賄われてきたところでございます。
 このうち国庫負担につきましては、保険料等の拠出が困難な者にも適切な保障を及ぼすという観点などからこれまで適切に確保してきたところでございまして、二十年前と比較すると国の一般歳出の予算額は約一・五倍しか伸びていないという厳しい財政状況の中で約二倍の約七兆円、平成十二年度予算でありますが、となっているわけであります。
 今後、高齢化の急速な進展に伴いまして医療に要する費用のさらなる増大が見込まれますが、医療費の伸びができる限り経済の動向とバランスのとれたものとなるように給付の適正化等を図りながら、必要な財源につきましては今後とも保険料、公費、そして患者負担の組み合わせによって確保してまいりたい、このように考えております。
#26
○小池晃君 医療に対する国庫負担は一般歳出予算額に比べて伸びている、一般歳出は一・五倍だけれども医療は二倍になっているとおっしゃるけれども、これはそれぞれの額を別々に比較しているだけの話なんですよ。大事なのは、一般歳出予算の中で医療費に対する国庫負担がどうなっているのかというところ、ここを見ないといけない。
 国の一般歳出予算に占める医療費の国庫負担の比率はどうなっているか。一九八〇年には一一・七%だった。これが二〇〇〇年には一四・一%です。ほんのわずかしか伸びていない。そして、この間、高齢者は二倍にふえているんです、この二十年間で。高齢者は二倍にふえているというのに、一般歳出に占める医療費の国庫負担がほとんどふえていない。だから一人当たりの給付水準が低下する、負担増を押しつけられているんじゃないですか。これでは国庫負担をふやしたからといって責任を果たしたことにならないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
 総理、答えてくださいよ。
#27
○国務大臣(津島雄二君) まず、数字について正確に理解をしていただきたいのでありますが、二十年前の国庫負担の基礎になる制度がどうなっていたか。例えば、老人医療に対して自己負担がどうなっていたか……
#28
○小池晃君 そんなことはわかっています。
#29
○国務大臣(津島雄二君) そういうすべてを考えた上で国庫負担のあり方を議論していただきたい。二十年前の状態をそのままにしていれば……
#30
○小池晃君 総理が言ったんでしょう、二十年前の比較を。いいかげんなこと言わないでくださいよ。
#31
○委員長(中島眞人君) お静かに願います。
#32
○国務大臣(津島雄二君) どういう制度になっていたか、どういう医療費の状態になっていたか、そのことを中身に立ち入って議論をしていただきたいというのが私の答弁であります。
#33
○小池晃君 だから、総理が言ったから私聞いているんです。二十年前の比較を総理が言ったんですから。お答えください。
#34
○国務大臣(森喜朗君) 制度はやっぱり年々いろんな状況の変化というのはあるわけであります。当然、税収入の変化もあれば国民の人口の変動もあればあるいはまた老人のいわゆる増加等も考える、増減もいろいろ、減はありませんが増加はございますが、そういうものを皆しんしゃくしながら、その年その年いろんな角度でできるだけ国民に御負担をいただかないような形でそういう負担の確保というものを賄っているわけでありまして、これにつきましては数字だけで見ればそれなりの政府としても努力をしておるということもぜひ御理解をいただけるんだろうと思います。
 ぜひその面について、委員は御専門家でもありますから、いろんな見方、切り口はあろうと思いますが、政府といたしましてもこれはさらに国民の多くの皆さんの理解が得られるようなそういう仕組みにさらに改善をしていきたい、このように先ほどから申し上げているところであります。
#35
○国務大臣(津島雄二君) 今の総理の御答弁をもう少し正確に申しますと、二十年前は高齢者医療制度はございませんでした。そのことが単純に予算の国庫負担の比率を比べる場合に非常に大きな誤解を招くわけであります。制度が基本的に違います。このことだけ申し上げておきます。
#36
○委員長(中島眞人君) 時間が参っておりますので……
#37
○小池晃君 一言。
 制度を国庫負担を削減する方向に変えてきたからそういうことになっているんじゃないですか。いいかげんなこと言わないでください。あなた方、社会保障に対する国庫負担をこの間どんどん削ってきた、その矛盾が今まさに国民に負担増となって襲いかかってきているし、それが将来不安をあおっているんですよ。
 森政権なんというのは国民の支持を全く得ていないということがこの間明らかになったんだ、そういう政権が国民に負担増を押しつけるこんな法案を提案するなんというのは、私、到底許されないというふうに思います。しかも、この大変な負担増であります。
 私は、到底このことを認められない、断固これは廃案にすべきだということを改めて申し上げて、私の質問を終わります。
#38
○清水澄子君 社会民主党の清水です。
 総理に二十一世紀の社会保障について総理自身の生の声でひとつ国民にアピールしていただきたいと思います。
 今、我が国が経済の低迷から抜け出せない背景には、やはり国民の将来不安があると思います。特に社会保障に対する不安が国民の個人消費を回復させていない大きな原因であると考えているわけですけれども、小渕前総理は、その国民の将来不安を解消するためだということで社会保障構造の在り方について考える有識者会議を設けられたと思います。先ごろその有識者会議から森総理に「二十一世紀に向けての社会保障」と題する報告書が提出されています。
 この報告書には、一般論として公費負担をふやす必要があると随所に説かれておりますが、基礎年金、高齢者の医療制度をどうするかとか、社会保障に関する今当面している課題に対しては明確な方針や具体的な制度設計が示されておりません。残念ながら国民に安心のメッセージを伝えるという所期の目的を達成していないわけでございます。
 そこで、森総理にお尋ねいたします。
 政府はこの報告書を受けて社会保障改革関係閣僚会議を設置されてはいるんですけれども、来年には社会保障改革大綱を策定すると伺っているわけですけれども、その大綱は今後どのような段取りで進められるか、これが一点。
 それから、社会保障改革大綱をまとめるに当たっての基本方針を明らかにしていただきたい。特に、公費負担をふやすには財源の確保や財政当局に対する強力なリーダーシップが必要だと思うわけですけれども、総理自身のお言葉で社会保障に対する姿勢と決意をお述べいただきたいと思います。
#39
○国務大臣(森喜朗君) 政府といたしましては、いわゆる有識者会議の御報告を受けまして、一体となって社会保障改革に取り組んでいくことといたしておりまして、先般、一昨日でありますが、この関係閣僚会議の第一回の会合を開催いたしました。今後、繰り返しになりますが、与党におきます検討体制の整備を待ちまして、政府、与党連携のもとで社会保障改革の全体像を明らかにする大綱とも言うべきものを取りまとめて、これに基づきまして具体的な推進方策の協議を進めてまいりたいと、こう考えております。
 大綱の内容やスケジュールにつきましての御指摘もございましたが、今後まだ与党とも相談する必要があると考えておりますが、国民に対しましてできる限り早く具体的な改革の方向性とスケジュールを明らかにしていきたい、こう考えております。そしてその上で国民的な議論を喚起し、巻き起こしながら、将来にわたって持続可能で安定的、効率的な社会保障制度の構築に政府を挙げて、全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えております。
 社会保障におきます公費負担のあり方についても御議論をいただきまして、報告書ではこれまでの社会保険制度におきます公費負担投入の考え方を整理した上で、「今後、所得水準の上昇以上に保険料水準の上昇が避けられないならば、相対的に拠出が困難な者が増えることとなり、これらに着目した公費負担の必要性も高まる」というふうにされているところでございます。
 なお、具体的な問題といたしましては、基礎年金に関し、年金改正法附則では「当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引き上げを図るもの」とされておりますので、これをどのように行っていくかが課題ということになるというふうにされておりますが、この問題につきましては、安定した財源確保のための具体的方策と一体として検討する必要がある、こう考えております。
 また、報告書では、給付の増加を抑える見直しを行ったといたしましてもなお増加する公費負担については、「財政全体を見直していく中で検討する必要がある。」、このように指摘をされております。
 いずれにいたしましても、社会保障につきましては、報告書におきますさまざまな指摘なども踏まえ、少子高齢化の進行など経済社会の構造変化等の中で、将来にわたり安定した効率的なものとなりますように、今後、政府、与党連携のもとで持続可能な社会保障としていくための総合的、包括的な改革を全力を挙げて進めてまいりたい、こう考えております。
#40
○清水澄子君 私は、国民の皆さんは聞いていて余りわからなかったと思います、非常に抽象的で。端的に総理自身の本当の決意を伺いたかったんですが、もう私は非常に短い時間なので。
 次に、医療制度の抜本改革と今回の改正案ですけれども、まず医療保険制度の抜本改革は、森総理御自身が御存じのように一九九七年、自社さのときですね、そのときに抜本改革をしない上では負担増はしないという合意をしたはずですね。そのとき森総理は自民党の当時総務会長であったわけで、その責任者のお一人だったわけです。それらを全部、今回も抜本改革二〇〇〇年実施は先送りをして、国民の負担増だけを先行させた。こういうふうに公党間の信義を破っていくということについてどのようにお考えになっているか、これが一点。
 そして、総理は、二〇〇二年には本当に医療制度の抜本改革を実施するということをこの場でお約束していただけるかどうか、この二点をお伺いします。
#41
○国務大臣(森喜朗君) 医療制度の抜本改革につきましては、先ほどからの各委員の御質問の際にも申し上げておりますが、四つの課題に取り組んできたわけでありまして、今年度はその一環として、薬価や医療報酬の改定に際して薬価差の縮小や診療報酬の包括化などを行ったわけであります。
 また、今回の高齢者の定率一割負担の導入等を内容とする改正案は、若年者の患者負担とのバランスや介護保険の利用者負担とのバランス、医療費に対するコスト意識の喚起、そういう観点を踏まえまして導入したものでありまして、医療制度の抜本改革に向けた第一歩である、このように考えております。
 その導入に当たりましては、お年寄りにとって無理のない負担となりますように低所得者への配慮など十分な措置を講じておりまして、全体として現行制度とほぼ同水準の御負担をお願い申し上げることといたしております。
 いずれにいたしましても、社会保障につきましては、報告書におきますさまざまな指摘などを踏まえ、少子高齢化の進展など経済社会の構造変化等の中で、将来にわたりまして安定した効率的なものとなるように、今後、政府、与党連携のもとで持続可能な社会保障としていくための総合的、包括的な改革を進めてまいりたい、こう考えております。
 この自社さ合意を踏みにじるというふうな御指摘がございましたけれども、一つ一つ改革を進めていく中において、必ずしも私はこの自社さ合意につきましては、一つ一つ解決していくための努力をしているというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。
 さらに、高齢者医療制度の見直しにつきまして、先ほども申し上げましたように、平成十四年をめどにその実現を図ってまいりたい、このように申し上げているところでございます。
#42
○堂本暁子君 無所属の会の堂本暁子です。
 四番目になりますと、私がお願いした質問はもう出切ってしまいましたので、通告ではなく、今、総理のお答えになったことから私は質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。
 今、総理は、今回の社会保障改革関連閣僚会議は抜本改革の第一歩とおっしゃったんです。でも、今、清水議員もおっしゃったように、私も自社さの医療協の一人でございまして、もう何十回となく会議を持ち、合意もいたしました。同時に今、総理は、国民的な合意を得たいとおっしゃった。自社さの合意が二〇〇〇年までに実現するはずだったのがなぜしなかったのかということを考えますと、総理、一番の問題は、やはり国民的合意というのをたった三回か四回の公聴会でお茶を濁してきたということの自己反省がございます。
 それで、提案でございますけれども、これから実際にこういった閣僚会議に与党のメンバーも加わってなさるんだったら、終わってからマスコミに記者会見をするという形でやるから都合のいいことだけを私たちも実は記者会見してきたかもしれない。そうではなくて、毎回の会議を公開していくということで本当に議論ができるんじゃないかと思うんですね。
 これは、厚生省や何かの資料ではなくて、総理のお考えを伺いたい。書いたもの、紙なんかやめてください。厚生大臣、そういうものを渡しちゃいけない。やめてください、それは。そうではなくて、総理に、国民の合意を得るためにはやはりもっと公開するべきだと。公開という方法は、やはりメディアの方たちに公開することです。いかがでしょうか。
#43
○国務大臣(森喜朗君) この閣僚会議と政府・与党のどういう協議をこれから進めていくかは、まだ率直に申し上げて決めているわけではございません。しかし、委員も自社さでいろいろと専門的にいろんな政策について御参画いただいたことは、私もよく承知をいたしております。
 我が党の議論も御承知だと思いますが、閉鎖的にやっているケースはございません。それぞれ専門の委員が決まりましても、部会や調査会は皆オープンでありまして、もういろんな方が入っております。秘書さんまで入っておりますし、正確に言えばどういう方かなどということを一々氏素性まで調べないでみんな入っていらっしゃいます。そういう中でオープンにした議論をいたしておりますから、その中で多くの方々の、それぞれの立場の方の御意見を反映しながら意見の交換をしておるというふうに考えております。
 今後のあり方についても、今、堂本委員のおっしゃいましたことなども十分参考にしてやっていく方向を考えてもいいのではないかというふうに思っております。
#44
○堂本暁子君 秘書さんやそういう一般の方ではなくて、総理もマスコミ出身なら私もマスコミ出身です。マスコミが入るかどうかということを伺っているので、それは秘密会議もあるかもしれませんが、こういう公の会はマスコミの方が後ろにいらっしゃる、そういう意味でマスコミをぜひとも入れていただきたいというお願いをしておきます。そのことで本当に国民の合意を得ることができるんだと思いますが、最後にそのことについてお答えいただけたら大変うれしいです。
 次の質問に移りますけれども、女性の、中学生ですね。総理は教育のことを大変考えていらっしゃいますけれども、中学生が妊娠する、中絶も大変ふえております。それから、例えば乳がんとか子宮内膜症もふえています。環境汚染が原因だということもございますね。それから、やはり更年期に関しては全く日本は研究がない。これは、この間厚生大臣にもお答えをいただきましたけれども、これからやらなきゃいけない。そして、八十歳まで私たちは平均寿命があるという時代になりました。
 そういった妊娠の機能を持つ女性の視点から、リプロダクティブヘルスと私たちは言っておりますが、やはり医療行政を見直すこと、これが一つの抜本的な改革につながると思いますが、その点について、もう官僚の書いたことは読んでいただかなくて結構です、女の健康というのをきちんと考えるということだけの御答弁をぜひいただきたい。
#45
○国務大臣(森喜朗君) 私は余り専門的なことは承知をいたしておりませんが、女性の立場、女性の健康というのは、私は人一倍自分なりに留意をしているというふうに考えております。
 今回、厚生省と労働省が一緒になるわけでありますし、そういう意味では、勤労者の女性の立場なども十分一体的な政策が進められていくのではないかということを期待しておりますし、また新しく大臣の任に当たられる方には、そうした意識を十分持って進めるように私からもお話を申し上げたいというふうに思っております。
 最初の御質問のマスコミを入れるかどうかということについては、これはメリットもありますしデメリットもあるんじゃないでしょうか。十分考えて、その方法はどういうやり方がいいだろうかということをやっぱり十分考えてみる必要があると思っています。
#46
○堂本暁子君 私は両方の側におりましたけれども、一年半も医療協をやっている中でマスコミの入ったことは一回もありませんでした。ずっと間接的な記者会見だけにこちらは臨んでいたわけですね。逆の方に座りますと、全部じゃないまでも、やはりもっと公開性があっていい。これはアメリカやヨーロッパのプロセスから考えれば、非常に日本は閉鎖的です。ですから、そこでいろんな利権の問題とか、それから一番この医療のことで、本当は十年前に改革しなきゃいけないのになぜ改革されずに来たかといえば、中医協の場もそうですけれども、やはり医師会の側とか日経連の側とか、そういう方たちとの対立がずっとあるからこそ、それにまた政治家が絡んで、もう先へ行かないということはだれでもわかっていることなんです。それを改革していくためには国民の合意を得る以外にない。国民の総意がそこへ結集して、本当に国民が安全で安心な生き方ができるために政治家よ頑張ってください。それをつなぐのはマスメディアの人しかいないんです。ですから、そこは何年間もマスメディアをああいう形で、私たちの場合そうだったんですが、間接的な記者会見しかやらないという形だったら、私は本当の意味の国民的な合意を得ることは難しいと思うわけです。
 今、総理も国民的な合意を得ながらとか、そういうことを何度もおっしゃった。ですから、今までの議事録にもたくさんございます。それは形式であってはいけない。実質的にはどうすればいいかということは、マスメディア御出身の総理、もう本当に真剣に考えていただきたいと思います。
 そして、もう一つだけ質問したいんですが。
#47
○委員長(中島眞人君) 堂本委員、時間が来ていますから、簡潔に願います。
#48
○堂本暁子君 はい、それじゃもう短く。
 やはり、抜本改革の基礎は何よりもみんなができるだけ健康に生涯を全うすることだと思っております。ですから、もっとやはり予防医学、寝たきりにならない、そして安らかに死を迎えられるような、そういったところまで思い切った抜本改革をしていただきたい、そういうことを視点に入れてやっていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#49
○国務大臣(森喜朗君) まさに堂本委員のおっしゃるとおりでありまして、そういう人生というものを本当に健康に全うでき得る、そのための施策のためにみんなが今努力しているんだろうと思うし、また日本がその取り組みを非常に私はやっぱり真摯に積極的にやってきたからこそ、こうして短期間の間に世界一の長寿国になったんだろうと思いますから、その努力はやはり怠らずにさらに前進をさせていくようにみんなで知恵を働かせていくことが大事だというふうに考えております。
#50
○堂本暁子君 ありがとうございました。
#51
○西川きよし君 おはようございます。御苦労さまでございます。
 私も老人ホームだとか病院だとか刑務所だとか拘置所とか、いろいろなところへ寄せていただくんですが、そんなところで、今後の医療制度の抜本改革に向けて政府全体としてどういうふうに考えておられるか、まず総理にお伺いしたいと思います。
 この医療改革について、厚生省を初めといたしまして他の省庁におきましても、それぞれの分野においてもさまざまな検討が行われております。例えば、通産省においては産業構造改革という視点からの改革への検討ということも進められております。これは読ませていただいたんですが、大変びっくりいたしました。また後ほど質問させていただきたいと思うんですが、まず総理が掲げられる将来の医療改革というものは何か、またその中で厚生省の役割あるいは通産省の役割というものをどういうふうにお考えになってこれから検討を進められていくのか、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。
#52
○国務大臣(森喜朗君) それぞれの委員の皆様にも申し上げてまいりましたので、重複して時間をとることをできるだけ避けたいと思いますが、まさに今、その前に堂本委員が御質問になりましたように、その際申し上げたように、世界最高水準の平均寿命やあるいは低い乳児死亡率など、今日までのいわゆる我が国の国民皆保険制度によって国民がひとしく良質な医療が提供されてきたということで、そういうすばらしい私は成果を上げてきたと、このように考えております。
 このような世界的に見ても高い水準にあります我が国のこの医療制度を、二十一世紀においても引き続きこれをしっかりと継承させていって、そしてそのことが我々に課せられた大事な使命だというふうに考えております。
 今後、急速に少子高齢化が進展することなどを考えますと、医療の効率化を図って、たびたび申し上げておりますように、持続可能で安定的な制度にすることが大事だと、このように考えて、今回さらにこうした答申をいただいてこれに取り組んでいきたい、こういうふうに考えているところでございます。
 厚生省と通産省の役割はどうかと言われると、これは大変また幅広いものでございますが、あえて委員の御指摘になりたい国民の健康保険という見地からのことであろうというふうに考えますと、厚生省は国民の健康確保を図って安定的な社会保障制度を確立する、そういう役割を担っているわけでありまして、医療制度につきましても、国民の生命、健康に直接かかわるという医療の特性、国民の医療に対するニーズの動向、そして医療保険財政の状況などを総合的に勘案して改革を進めていく責任を持っている、このように考えます。
 通商産業省は、産業構造改革の視点から、医療サービスが国民ニーズに応じた公益的な産業として発展していけるように諸課題の整備を行っている、このように考えております。
 いずれにいたしましても、この医療制度改革は政府が一体となって取り組むべき重要課題である、このように深く認識をいたしておりまして、さまざまな観点からの御議論を踏まえながら、国民各層の幅広い御意見を伺いながら進めていくことが大事であるというふうに考えております。
#53
○西川きよし君 ありがとうございました。
 そこで通産省にお伺いしたいんですけれども、通産省では産業構造審議会、この中で少子高齢化に向けた医療、介護制度改革、そして例えば市場原理の活用、あるいは情報の非対称性の解消を改革の基本的な方向として検討されておられますが、通産省といたしましては、現状のこの医療分野におきましてどういった点を課題としてお考えになっておられるのか、今後どういった分野の改革を必要と考えておられるのか、御答弁をいただきます。
#54
○政務次官(伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。
 医療分野については、これまで社会保障政策の一環として、国民皆保険制度のもと、国民全員に対して平等な医療サービスの確実な提供が行われてきたところであり、高い医療水準が達成されてきたものと考えております。しかしながら、少子高齢化の本格的な進展に伴って国民のニーズの多様化など医療分野を取り巻く環境に変化が生じております。こうした環境変化に的確に対応していくためには、基本的な医療サービスの確実な提供に加え、国民のニーズに合った良質かつ多様な医療サービスを効率的に提供していくことが大変重要であると考えております。そのためには、患者に対してできるだけ多くの情報を提供し、そして自分に合った医療サービスを選択できるようにすることとともに、病院の皆様方にも患者本位のサービスを提供していく、そういう努力をしていくことが期待されているところであり、こうした観点から、現在、産業構造審議会においてさまざまな論点について御審議をいただいているところでございます。
#55
○西川きよし君 今回のこの医療法の改正の中で広告の規制緩和が盛り込まれているわけです。一方、通産省の検討資料を拝見いたしますと、規制の緩和について、例えば医療広告規制の撤廃、病床規制の撤廃、さらには経営形態制限の撤廃とかなり踏み込んだ、切り込んだ内容でございますけれども、医療広告、病床規制、そしてまた経営形態の制限、こういう現状について今度どのような問題意識に立って検討されるのか、将来に向けての方向性をもう一度お伺いしたいと思います。
#56
○政務次官(伊藤達也君) 今お話をさせていただきましたように、国民にとってよりよい医療体制を模索するという観点から、先生御指摘の医療広告、病床規制、経営形態制限など、幅広い論点について現在検討を行っているところであります。
 医療広告については、現在御審議いただいている医療法等一部改正案の中で広告できる事項が新たに追加されているところであり、これは患者による医療サービスの的確な選択を促進する流れに沿ったものであるというふうに考えております。
#57
○西川きよし君 時間が短いですのでテンポアップで行きますが、厚生大臣にお伺いします。
 この例えば医療広告については、今回まさに緩和策をとられたわけですけれども、今後もこの緩和の方向で進めていかれるかと思うんですけれども、病床規制を緩和していくか、そして民間企業による医療機関の経営を認めるのかという、こういった点についての方向性はいかがでしょうか。
#58
○国務大臣(津島雄二君) 医療の規制緩和につきましては、国民の生命、健康に直接かかわるわけでございまして、医療の特性に配慮しつつ進めていかなければならない、しかし社会経済状況の変化を踏まえた規制の見直しは絶えずやっていくことが必要だと思っております。
 そこで、医療計画制度における病床規制や営利を目的とした病院等の開設の制限等の緩和につきましては、すべての国民に公平で適正な医療を提供していく必要があるということ、我が国の医療は公的財源に基づく医療保険制度により費用負担がされていることなどから、引き続き慎重な検討が必要だと思っております。
 しかしながら、現在の医療計画制度のもとでは、病床が過剰な地域において一たん許可を受けた病床が長期にわたり十分利用されないという問題がありますし、また医療供給体制がきちっと機能別に組み合わされていないというような問題がございますので、今回の改正案におきまして、医療機関が一年間以上にわたり正当な理由なく休止しているような場合には、開設許可の取り消し等を行うといった見直しを図っておりますけれども、今後とも良質な医療を効率的に提供することができるよう規制の見直しを進めてまいりたいと思っております。
#59
○委員長(中島眞人君) 時間が参っております。
#60
○西川きよし君 済みません。
 総理に最後に医療改革の今後の基本的な考え、規制の緩和について一言お伺いして、終わりたいと思います。
#61
○国務大臣(森喜朗君) 今後とも良質な医療というものを効率的に提供ができるようにしていくためには、医療分野におきます必要な規制をやはり見直していくということは、これは時代の流れでもあろうと思います。そういう方向に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#62
○西川きよし君 ありがとうございました。終わります。
#63
○委員長(中島眞人君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
 内閣総理大臣は御退席いただいて結構です。
 両案について、引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕

#64
○柳田稔君 臨時国会もあしたで最後と。この両法案も質疑時間はきょうを含めて十九時間半と。我々としてはまだまだ質疑をしたいな、いろんなことをお聞かせ願いたいなと、そういう思いもあるのでありますけれども、きょう採決という運びになりました。今回の医療、そして健保は大変大きな問題が残っている。二十世紀ももう最後だなと、その大きな問題に対して解決が今世紀中にできなかった。私は残念だなと、そういう思いがあります。そういうことも含みながら、来世紀に大きな課題を残したわけでありますけれども、厚生省の最後の、将来に対する今の考えをしかと聞かせてもらって採決に入っていければなと、そういう思いがありますので、津島大臣、厚生省が考えている以上にひとつ踏み込んだ答弁を、やるのは次の大臣ですから、もしかしたら大臣もう一回やられるかもしれませんけれども、こういうことをやれと、世紀末にこういう答弁をしておいたから頑張ってやってくれという意味も込めて、いい答弁を期待しますので、お願いいたします。
 まず最初に、健保法関係でありますけれども、御承知のとおり、我が国の医療保険制度は国民皆保険制度を採用し、国民にひとしく良質な医療が提供されてきました。これにより世界最高水準の平均寿命、低い乳児死亡率など高い成果を上げてきたことは、当委員会でも何度か話題になりました。
 しかしながら、近年、急速な高齢化の進展に伴って、医療費は老人医療費を中心に急速に増加しており、昨年度はついに三十兆円を超えるに至りました。一方、昨今の経済の低迷などによって賃金も上がらず、医療保険財政が厳しい状況になっております。また、医療費増加の主要な要因が老人医療費であること、一人当たり老人医療費が若年者の約五倍と先進国に比べて著しく高いこと、豊かになったとはいえ高齢者の間では貧富の格差も大きいことなど解決すべき課題が数多くあり、国民が安心して良質な医療を受けられる体制を維持するためには、高齢者医療制度の見直しを初めとした医療制度の抜本改革は避けて通れない課題でございます。
 抜本改革について、これまで政府は二〇〇〇年度までに行うと再三約束をしてきました。しかし、二〇〇〇年になって出てきたのは抜本改革というにはほど遠い内容のものでございました。破綻に瀕した医療保険財政を、このような小手先の法律改正で当座をしのぐことはもう既に限界であり、抜本改革を一日も早く実現する必要があると考えます。
 政府は、二〇〇二年度を目途に抜本改革を進めると説明していますが、今回の改正法案の附則には、抜本改革を行うことは明記されておりますけれども、いつまでに行うか明記されておりません。また、仮に抜本改革を実施するのが二〇〇二年度であるにしても、国民的議論を行うためには一日も早くその基本的方向性が示される必要があると考えます。
 医療制度の抜本改革について、今後どのような視点から見直すつもりなのか、また本当に二〇〇二年度に抜本改革を実現する気持ちがおありなのか、厚生大臣の決意を改めて伺わせていただきたいと思います。
#65
○国務大臣(津島雄二君) 御承知のとおり、我が国の医療保険制度は国民皆保険制度のもと、国民にひとしく良質な医療を提供してきたところでございます。この制度の抜本改革は、国民皆保険制度を維持しつつ、二十一世紀の高齢社会においても医療保険制度を将来にわたって持続可能で安定的なものとするという要請にこたえる必要がございます。
 これまでも薬価制度、診療報酬体系、高齢者医療制度、医療提供体制といった四つの課題について改革に取り組んできたわけでありますが、今年度はその一環として、薬価や診療報酬の改定に際して薬価差の縮小や診療報酬の包括化などを行ったところでございます。
 また、今回の健康保険法や医療法の改正は、御審議をいただいておるわけでありますが、若年者と高齢者の負担のバランス等の観点から、高齢者の定率一割負担制を導入するとともに、患者の病態にふさわしい医療を提供する観点から病床区分の見直し等を行うものであり、抜本改革に向けて第一歩を踏み出すものでございます。
 そこで、残された高齢者医療制度の見直しに当たりましては、老人医療費の伸びを抑制する枠組みづくり、高齢者と若年者との間の負担の公平、保険者間の負担の公平、安定財源の確保といった視点を中心に検討を進める必要があると考えております。
 今後、具体的な措置について検討を進め、成案を得た上で、平成十四年の通常国会に所要の法案を提出し、その実現を図る方針でございます。
#66
○柳田稔君 法案を平成十四年度に提出し、日にちは別として平成十四年度から実施すると御答弁いただきましたので、今度は実現をしていただきたい、もう裏切らないでほしいという思いをいたしております。よろしくお願いします。
 次に、老人に係る外来の一部負担と高額療養費、これについて質問させていただきたいと思うのでありますけれども、前もっていろいろと厚生省なりに話もしましたし、当委員会でも大分質疑をしたのでありますが、いい答弁が聞かれないなと。ただ、我々の意思というものは十分大臣初め厚生省の皆さんに聞いてもらいたいので、考えを述べさせてもらいます。
 二〇〇〇年に行うとされていた医療制度の抜本改革が二〇〇二年に先延ばしされた中で、当面の財政対策として打ち出されたのが今回の健康保険法の改正案であります。高齢者に定率一割負担制を導入することなどを内容とした今回の改革は、抜本改革を行わぬまま負担を患者に押しつけようとするものであり、特に負担が困難な低所得者の方々には大きな打撃となります。抜本改革を行わぬままに患者負担のみを引き上げるような今回の措置は、国民の医療保険制度への信頼を傷つけるものであり、残念ながら賛成できるものではございません。
 まず、老人に係る外来の一部負担の見直しについてでございますが、確かに増加する医療費を若人と老人の間で公平に分かち合うという視点は重要でございます。その意味で定率制の採用を頭から否定するものではありませんけれども、高齢者の利用者負担の見直しは、新しい高齢者医療制度の全体像を検討する中で総合的に考えられるべきだと思います。
 その意味で、仮に今回定率一割負担制を導入するにしても、施行後の制度の運用や定着状況などを把握し、二〇〇二年の抜本改革の際に改めて検討することが必要と考えます。また、その際、負担が困難な低所得者については、その生活状況や経済実態を十分に把握し、低所得者の範囲やその方々が負担可能な水準について改めて真剣に検討すべきと考えます。
 次に、高額療養費の見直しについてであります。
 今回の改正案では、新たにかかった医療費に応じて自己負担限度額が上がっていく仕組みが導入されることになっております。大臣答弁の中で、私は払いたいんだというお答えもありましたけれども、わずか一%ではないか、そういった指摘もありますが、一%だとはいっても医療費が高額となった場合には、その負担も相当なものとなります。
 そもそも高額療養費制度は、高額な医療費が生じることにより家計が破綻することを防ぐという意味で、大きな安心感につながる公的医療保険制度においても最も重要な部分であると考えます。医療費の公平な負担という観点から高額な医療費への対応が必要との問題意識は理解できますが、しかしながらその見直しは極力慎重であるべきと考えます。
 そこで、今回の高額療養費制度への上乗せ定率一%の導入については、施行後、家計に与える影響、医療費の動向、医療保険財政の推移等を見きわめ、改めて二〇〇二年度に再検討することが必要だと考えます。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
 大臣の答弁は先ほども申しましたように求めませんけれども、以上二点については後ほど附帯決議が当委員会で採決されます。議員各位の賛同を得て、国会の決議として国会の意思を確認したいと思います。大臣におかれましてはこの国会の意思を尊重していただきたい、そのことを申し上げておきます。
 次に、介護保険料について質問させてもらいますけれども、この介護保険が創設された際、政府は、医療で賄っていた社会的入院などの費用は介護保険に移行するので、医療費が減少し、医療保険料が下がり、また二〇〇〇年度までに医療制度の抜本改革を行うために医療費が抑制されるので、介護保険料と医療保険料を合算しても法定上限におさまるものと説明してまいりました。
 しかし、その後の経済状況などの見通しが甘かったがために、保険料率を見直し、介護保険料率を別建てとしなくてはならなくなりました。しかも、この別建てとなった介護保険料率には上限が設けられていないため、青天井となることが懸念されております。これまで医療保険料と介護保険料とを合わせて上限が設けられていたにもかかわらず、介護保険料を別建てにした途端に介護保険料が無限定に上昇するというのでは、国民や保険者の理解を得るのは難しいのではないかと考えます。
 そこで、今回の改正により介護保険料が無限定に上昇することはないのか、政府の考えを厚生大臣にお伺いいたします。
#67
○国務大臣(津島雄二君) 介護保険の第二号被保険者に係る保険料につきましては、介護給付の水準によってその多寡が決定されるわけでございますが、この介護給付につきましては、介護の必要度を客観的に判定するよう要介護認定という仕組みが導入されていることは御承知のとおりであります。また、在宅サービスにつきましては、要介護度に応じた支給限度額が設けられております。また、施設サービスにつきましては、市町村の事業計画をもとに都道府県が策定する介護保険事業支援計画において施設の整備枠が定められておりますとともに、介護報酬も包括的な評価によることを原則としております。
 これらのことを勘案しますと、それが適正なものとなるための、つまり介護給付が適正なものになるためのさまざまな仕組みが設けられており、介護保険料が無限定に上昇することはないと考えております。第一号及び第二号被保険者のいずれの保険料につきましても、過重な負担とならないよう今後とも適正な制度運営に努めてまいりたいと存じます。
#68
○柳田稔君 次に、医療法関係に移ります。
 まず、看護職員の人員配置基準について質問させてもらいます。
 今回の医療法等の改正は、高齢化に伴う疾病構造の変化や医療の高度化、さらに医療についての情報提供のあり方などの医療を取り巻く環境変化を踏まえ、今後とも良質な医療を効率的に提供することができるよう入院医療の提供体制を見直すとともに、医療における情報提供の推進、さらに医療従事者の資質の向上を図るということが趣旨と説明されております。しかしながら、こうした改正の趣旨や方向性はともかくとしても、個々の改正案の内容については不十分であると言わざるを得ません。
 まず、病床区分の見直しと看護職員の配置基準の問題でございます。
 急性期の患者と慢性期の患者が混在して入院しているという状況を解消するため、現行のその他の病床を、長期療養のための療養病床と看護職員の配置を手厚くした一般病床に区分し、それぞれの機能にふさわしい基準を定めることとされておりますが、一般病床の看護職員の配置基準については、現行のその他の病床の患者四人に対して一人以上から、患者三人に対し一人以上に改善すると説明されております。
 しかしながら、審議の中でも明らかにされましたように、我が国の医療提供体制については、諸外国に比べて病床当たりの看護職員数が少ない、平均在院日数が長いといった問題が指摘されております。こうした問題を解決するためには、看護職員の配置基準を三対一に引き上げるという今回の対応では不十分だと思います。いろいろと海外と比較しても、その数値は、先日来同僚議員の方から説明をされており、大臣も納得されておると思います。
 こうした状況を見ても、我が国では看護職員の配置が少ないという医療の提供体制が医療の非効率につながり、結果的に患者も満足できないことは明らかです。医療費の増大を防ぎむだを省くなど医療保険の財政問題に対応するためにも、病床数を合理化するとともに、看護職員の配置の改善を図っていくことが医療の効率化につながると考えます。
 我が国の医療の抱える問題点を解決し、病床当たりの看護職員数の充実を図り、手厚い看護体制のもとに傷病を治癒されることに重点を置いた医療を提供するという今回の病床区分の見直しの趣旨を真に実現するためには、今後とも看護職員配置基準の見直しを行うとともに、診療報酬においてもさらに充実した対応を行うべきと考えますけれども、大臣のお考えをお願いします。
#69
○国務大臣(津島雄二君) ただいま柳田委員御指摘のとおり、我が国の医療提供体制につきましては、病床当たりの看護婦数が不足しているという一方、平均入院日数が諸外国に比べて長いといった問題点が指摘され、当委員会でもしばしば御議論があったところでございます。
 今後、病床数は合理化をして、真に患者の特性に適合した医療供給体制が保障されるように進めるとともに、良質な医療を提供するための看護婦配置の充実もあわせて進めていく、そのために診療報酬上の措置も進めていく、総合的な対策を進めて積極的に取り組んでまいりたいと思います。
#70
○柳田稔君 次に、広告規制の緩和についてお伺いいたします。
 こうした医療提供体制の整備とあわせて、個々の医療サービスが患者の立場に立って提供されていくことが医療の質の向上や効率化のために必要です。医療現場でもできる限り医療機関側の情報を患者に提供、開示して、患者が適切に医療機関を選択できるようにするとともに、実際の医療サービスの提供に際しては、カルテの開示ということも含めてインフォームド・コンセントの実施が徹底されていくことが重要であります。
 今回の改正案では、診療録などの情報を提供することができる旨を広告できる事項として追加するなど、情報開示を進めるという姿勢はうかがえるわけでありますが、この広告規制の緩和についてもさらに見直しが必要であると考えております。いろいろな項目があるわけでありますけれども、患者がどのような情報を求めているかという視点から十分な検討を行うことが必要と考えます。
 広告規制の見直しについて、厚生省の基本的な考え方、そして検討の方向を、大臣、お答えいただきたいと思います。
#71
○国務大臣(津島雄二君) 広告規制のあり方につきましては、医療審議会において審議をしていただいた結果、客観性がある情報や事実に関する事項については幅広く広告することができるようにする、その一方で診療内容に関する事項等の検証が困難なものにつきましては広告の可否について慎重な検討を加える、こういう考え方に基づいて見直しを行うこととされております。
 御指摘の各事項につきましては、このような見地から、医療審議会の御意見を聞きながら、法施行までの間に検討を行ってまいりたいと存じます。
#72
○柳田稔君 法案に関しての最後の質問になりますけれども、医療機関の情報開示という点でさらに重要な事項は、カルテ開示の法制化を行うことです。今回の改正案においてそれが見送られたことは残念でございます。
 平成十年六月の厚生省のカルテ等の診療情報の活用に関する検討会報告書では、諸外国の対応状況もまとめた上で、医療法等を改正し、「診療情報の提供に関しては、医療従事者の職業上の積極的な責務であることを明らかにする。」とともに、「患者の求めがあったときは、医療従事者は、治療効果に悪影響があることが明らかな場合を除き、診療記録又はこれに代わる文書を開示するべきことを規定する。」とされていました。
 諸外国の動向を見ても、カルテ開示の法制化を行うことが大勢となっております。アメリカでは、既に三十を超える州において診療記録に対する開示請求権等を認める法律が制定され、さらに連邦政府としての対応も検討されているものと聞いております。また、欧州の状況を見ても、英国では一九九〇年に保健記録アクセス法において診療記録に対する開示請求権が認められておりますし、このほかフランス、スウェーデンなどにおいてもそれぞれの対応がなされているものと承知しております。
 先ほど看護職員の配置基準など我が国医療の問題点を指摘しましたが、カルテ開示の推進という点でも、情報開示とそれに基づく患者と医師の信頼関係の確立についても諸外国の動向におくれることなく進めていかなければならない、そうすることが我が国における医療サービスの質の向上、ひいては効率化を図ることができるものと考えております。
 最近、医療事故が頻発し、国民の医療に対する信頼は揺らいでおります。国民皆保険という理念のもと、幾ら制度を整備しても国民が安心して医療機関にかかることができないということでは意味がございません。この際、カルテ開示の法制化について、カルテを開示するという原則を法的に確立することが医療に対する国民の信頼回復につながるものと考えます。
 もし、今回法制化はできないにしても、現在進められている医療従事者側の自主的取り組みを厚生省としても支援し、さらにその状況を見ながら再度三年後に法制化の検討を行うべきと考えますが、大臣のお考えをお願いします。
#73
○国務大臣(津島雄二君) 診療録の開示につきましては、医療審議会で御議論いただきました結果、現在進められつつある医療従事者の自主的な取り組みが医療現場に定着することが必要であり、法制化につきましては、今後の患者の側の認識や意向の推移、医療従事者の自主的な取り組みの状況、そして診療情報の提供及び診療記録の開示についての環境整備の状況を見つつ、さらに検討すべきとされたところでございます。
 厚生省といたしましては、この審議結果を踏まえ、三年を目途に診療録等の記載の適正化や用語の標準化、医療機関における診療記録管理体制の充実など診療情報の提供及び診療記録の開示の普及、定着に向けた環境整備を推進するとともに、診療録の開示の法制化についても、環境整備の状況等を見つつ、もう一度判断したいと考えております。
#74
○柳田稔君 いろいろありがとうございました。
 まだ時間が数分あります。
 実は私が初当選したとき、最初に入ったのが社労委員会でありまして、最初の厚生大臣が津島先生で、当時から厚生行政、いろいろと指導を賜ってまいりました。もう十年前ですけれども、あれから十年たちまして、いろんな状況が変わったなという思いが強いんです。
 十年前というと、まだまだ成長が続く、バブルがはじける寸前ということで、やっていればうまくいくのかなという感じがしていたのは私だけではないと思うんですけれども、それからたった十年で大変だ、大変だという時代になりました。
 大臣もこういう仕事をされてもう二十何年たたれるかと思うんですけれども、今世紀が終わるに当たって、今日までの厚生行政、そして来世紀に対する厚生行政、大臣のお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
#75
○国務大臣(津島雄二君) ちょうど十年前、委員が初めて国会の論議に参画をされましたとき、私はちょうど高齢者対策、いわゆるゴールドプランを打ち出し、これを予算化し、関連の八本の法律をお認めいただくということに苦闘をしておりました。その仕事に積極的に参加していただいた若い柳田委員の姿、今でもよく覚えておるところであります。
 当時を振り返ってみまして一つ言えますことは、この国会における、委員会における議論、それぞれの立場がございまして、甲論乙駁ありますけれども次第に収れんをしてきている。賛否はあるにいたしましても、ここで取り上げられたことは何らかの形で厚生行政の前進につながっているという感を私は深くしておるところでございます。
 その背景は何かと申しますと、十年前、あるいは大体一九八〇年代はそうであったと思いますが、まだ我が国の経済社会は全体としていわば楽観的な雰囲気に満たされておりまして、こういう状況でいけばおのずから難しい問題も解決していくはずだ、そういう気持ちで物事が扱われていたと思います。しかし、そうでなくて、やはりこの高齢社会あるいは少子高齢社会が極めて速いスピードで進んでいく中で、もはや我々としては避けて通れない問題が目の前にあるなという意味で、私たちの間に共通の認識が生まれてきたのではないかと思っております。
 率直に申し上げますと、総理からも御答弁がございました、社会保障制度にかかわる閣僚会議を設定していただきましたときに、内部の議論ではございましたけれども、もう大きい問題は避けて通れないところへ来ているなという御発言が何人かからございまして、これは政府の内部にもだんだんと定着をしてきていると思います。
 このような基本的な問題について今世紀中に片がつけられなかったということについては内心じくじたるものを感じますし、委員の皆様方から抜本改革がおくれたと言われた声、御批判には私どもも謙虚におこたえしなきゃならないと思いますが、今ここに立ちまして、今回の法案を処理をしていただくに当たりまして、平成十四年度の通常国会にはやはりもう避けて通れない問題についてこたえられるものを提出し、みんなで考え、議論をしていく。そのことが二十一世紀の日本の社会の本当の繁栄につながると私は痛感をしているところでございます。
 今後の委員を初め与野党問わず先生方の御協力に心から御期待を申し上げて、答弁といたしたいと思います。
#76
○柳田稔君 あと二年先、大きな問題を解決するに当たって、我々、そのとき野党か与党かわかりませんけれども、一緒になって議論をしていいものをつくりたい、そういう思いは大臣と一緒でありますので頑張っていきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#77
○小池晃君 十月から介護保険の一号保険料の徴収が始まりました。この徴収は、月一万五千円以上の年金は天引きでありますから、それ以外の方は基本的に個別の普通徴収となるわけです。この普通徴収の収納率、厚生省としてどのように把握していらっしゃいますか。
#78
○政府参考人(大塚義治君) お話しございましたように、介護保険の一号保険料が十月から徴収が始まりました。
 普通徴収につきましてでございますけれども、これは納期が市町村によって異なるというような事情もございまして、現時点では全国的な状況を把握いたしておりません。
#79
○小池晃君 多くの方は一万五千円に満たない年金ですから大変負担が重いんですね。私どもの調査では、熊本市では七〇・七%、茨城県六十六市町村では六〇・四%、それから京都市では五六・二五%、これは極めて低いわけであります。
 これは半額徴収ですから、しかも低所得者が多いですから、もう本当に五百円、六百円あるいは千円ぐらい、本当にわずかな保険料であっても払えない、これが実態だと思うんですが、大臣、どう考えますか。
#80
○国務大臣(津島雄二君) 高齢者の介護保険料につきましては、十月から、年金からの天引きによる方々が多いわけでありますが、市町村の普通徴収による納付も始まっておるわけであります。市町村におかれましては、対象となる方への連絡や広報などに多大の御努力をしておられることは御承知のとおりでございます。
 普通徴収につきましては、納期が市町村によって異なっておりまして、現時点におきまして全国的な状況をしかと総括できる状態ではございませんが、介護保険料については初めての徴収であることとか、一般に国民健康保険などの収納状態を参考にすると、納期後の収納により収納率が相当リカバーされるという現象があることなどから、今お示しの事例から直ちに収納率の見通しを判断することはできないと思っております。
 いずれにいたしましても、厚生省としましては、介護保険制度の定着を図るとともに、保険料の意義や必要性について引き続き周知、広報に努め、国民の御理解を求めてまいりたいと思います。
#81
○小池晃君 普通徴収には遺族年金とか障害年金の方も含まれるし、ことしの四月以降に六十五歳になった人も普通徴収なんです。だから、本当に低額の年金しかもらっていない人の徴収率というのはもっともっと恐らく低いだろう。例えば京都の中京区なんて五二%です。恐らく、半分も払っていないという実態があるんじゃないだろうか。
 大臣、いろいろおっしゃいましたけれども、厚生省として調べもしないでそんなことを言えないと思いますよ。こういう実態に厚生省は目を向けるべきだし、徹底的に調べるべきだと。そうでないならば、そういうこともせずに、医療保険の負担増、これは負担可能な範囲だなどとなぜ言えるのかというふうに私は思うんです。
 上限設定しているといっても、この保険料の徴収の実態を見れば、五百円でも千円でも払えないというのが私は本当に低所得の、高齢者の実態だと思うんですね。やはりそういう実態を今度の医療保険の定率負担というのが私は直撃するんだというふうに思うんです。
 さらにお聞きしたいんですけれども、この介護保険の利用料の負担の問題です。
 これは、利用料負担が大変重いという声が各地で上がっている。厚生省の調査でも一七・七%の人が利用を減らしている。恐らく、いや、ふやしている人もいるんだというふうにおっしゃると思うんです。それはそうで、もちろん一定の収入がある人にとってみれば確かにこれは介護保険で利用拡大するケースもあることはある。しかし、私が問題にしているのは、五百円あるいは千円以下の保険料も払えない人が現実にいるわけであります。そういう人にとって、介護保険の利用料も払えない、さらにこれが医療保険も定率負担ということになっていった場合に大変深刻な事態が起こるんじゃないだろうか、実証済みなんじゃないだろうかと、そう思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#82
○国務大臣(津島雄二君) 委員の方のいつもの姿勢でありますけれども、大変決めつけた言い方をなさいますので、ちょっと前の、まず保険料の方について、何にも実態を調べていないとおっしゃいましたが、そんなことはありません。私どもは、関係の市町村長と話をするときは必ずそれを話題にしておるから、調べていないという、それだけはひとつ撤回をしていただきたいと思います。まだ納期が来ていないのが多いわけであります。
 それからもう一つ申し上げたいのは、四月から既に介護保険を払っておられる大多数の若者がいる、それから天引きで払っている方もいると。今、委員のおっしゃった普通徴収の方は大体四分の一以下であるということもこの際申し上げて、やっぱりバランスのとれた行政でないといけないということをまず申し上げさせていただきたいと思います。
 次に、利用料の方でございますけれども、もう毎度御答弁しておりますように、低所得者の方に大きな負担とならないように月々の利用者負担の上限額を低く設定しますとともに、社会福祉法人を通じた利用者負担の軽減措置を講じて、できるだけこれを利用していただくようなきめ細かな配慮を行っているところでございます。
 介護サービスの利用状態につきましては、私どもが自治体を通じたアンケート調査によりますと、利用料の負担が重いため従来よりもサービスの利用を減らしたという方は少なく、むしろ介護保険の導入によりこの四月時点でサービス利用者が新たに二割以上増加するとともに、従来からのサービスの利用者の六割以上がサービスの利用をふやしているという結果になってございます。
 今回、高齢者医療に定率一割負担制を導入するに当たりましては、定額の月額上限を設け、低所得者の方々の入院時の負担については負担の限度額を引き下げることなどをしており、多様な高齢者の生活に配慮した措置を講じ、お年寄りに無理のない範囲内で御負担をお願いすることとしているわけであります。
 このように、今回の改正におきましては高齢者の状況に応じた配慮を行っており、お年寄りにとって必要な受診が抑制されるといったことも医療保険の方にはないと考えております。
#83
○小池晃君 実態を目にしても、一年間、二年間ずっと同じようなことしか答弁しない。本当に国民の深刻な生活実態に目を向けようとしない。厚生省の姿勢が私ははっきりあらわれていると思うんです。
 九七年に医療抜本改革の問題、これは厚生省案が出されました。そのときの問題をちょっとお聞きしたいんですが、ここでは被用者保険は三割負担、それから大病院の外来は五割負担だということが出されました。政府が今二〇〇二年に実施しようというふうにおっしゃっている医療抜本改革の中身について、この被用者保険の負担増というのは今のところその四本柱というのを見ても見当たらないわけでありますけれども、この九七年のときに打ち出された被用者保険の負担増ということもいろんな検討課題の中の一つとして残っているというふうに理解してよろしいんでしょうか。
#84
○国務大臣(津島雄二君) 医療制度の抜本改革は、二十一世紀においても医療保険制度を持続可能で安定的なものとするために行うものでございまして、毎度御答弁しておりますように、薬価制度、診療報酬体系、高齢者医療制度、医療提供体制という四つの課題を中心に総合的に検討しておるところでございます。
 平成十四年度を目途に残された高齢者医療制度の見直しなどの課題を精力的に検討して結論を得たいと思いますが、この検討に当たって、平成九年の「二十一世紀の医療保険制度」というあの文書をもとにするものではございません。
#85
○小池晃君 ということは、被用者保険の負担増ということは二〇〇二年の抜本改革の課題ではないということですね。
#86
○国務大臣(津島雄二君) これは全体としての今後の検討課題でございます。
#87
○小池晃君 ということは、検討課題として残っていると。ですから、これからも抜本改革で負担増だと、若年者の負担増も検討課題としては残ると。まさに私は将来不安をかき立てるやり方だというふうに思う。
 さらに、高額療養費の問題について取り上げたいんですが、現在の公的医療保険制度のもとでもヨーロッパに比べて日本は自己負担比率が高い、一五・四%だということが言われています。しかし、これは保険でカバーされている範囲の話でありまして、医療経済研究機構で保険外の負担も含めた患者負担比率について日本とアメリカとドイツ、示されていると思うんですが、いかがでしょうか。
#88
○政府参考人(近藤純五郎君) 医療経済研究機構の調査研究でございますけれども、これは普通の国民医療費に加えまして、差額ベッドでございますとか正常分娩、それから眼鏡とか体温計、こういった医療用具、それから大衆薬、売薬でございますとかこういったもの、それから人間ドック、こういった費用、さらには健康保険組合等の人件費も含める。こういうふうに非常に広い意味での国民総医療費支出、こういうものを把握いたしているわけでございます。
 ただ、こういうものについては統計的なものが十分備わっていないものもございますので、正確な把握というのは非常に厳しいというふうに思っておりますけれども、特に外国の関係では難しいと思っております。ただ、それを前提に、端的に数字だけ申し上げますと、日本では二一%、それから米国では二〇・二%、ドイツでは一〇・一%ということになっているわけでございます。
 各国の医療制度が違うわけでございまして、日本は皆保険、外国では、米国とかドイツでは皆保険ではないわけでございますし、医療機関のアクセスの関係とか保険料の水準、こういったものも違うわけでございますので、一概にこれだけで比較するというのは難しいのかなというふうに考えております。
#89
○小池晃君 一つの研究であるけれども、日本の保険外の自己負担の額というのはアメリカ──アメリカというのは国民皆保険ではない国ですから、そこよりも高いんだという一つの研究なわけです。こういう負担がある上で、高額療養費の負担。高額療養費がかかるときというのは、大体例えば差額ベッドに入っていたりするケースが多いわけですよね。そういう負担の上にさらに上限まで、一%とはいえ外れていくということの負担増というのは極めて私は大きいというふうに思うんです。
 それから、ちょっと時間がないのでもう一つお聞きしたいんですが、薬剤費の問題です。
 大手製薬企業十五社の最近三年間の経常利益の推移、これを示していただきたい。
#90
○政府参考人(伊藤雅治君) 製薬企業大手十五社の経常利益を合計いたしますと、平成九年度が七千四百六十億円、平成十年度が七千二百七十億円、平成十一年度八千百九十億円となっております。平成十一年度は、薬価改定が行われていなかったことや新薬の発売が相次いだこともございまして、平成九年度と比較すると七百三十億円、九・七%の増益となっております。
 一言つけ加えますと、我が国の医薬品産業の研究開発につきましては、欧米と比較しますと比率、絶対額とも低いとの指摘があることも事実でございます。
#91
○小池晃君 製薬企業を連結ベースで見ると約九千億円。だから、国民医療費の三%に相当するような経常利益を上げている。一方で、お年寄りにも、それから現役世代にも大変な負担増を今回の医療保険、健康保険法改悪が押しつけるわけです。負担を分かち合う、分かち合うというふうに大臣はおっしゃるけれども、こういう実態を見た場合、果たしてこういう製薬会社の経常利益、莫大な利益にメスが入っているんだろうか。そういう意味では本当に平等に負担を分かち合うという形になっているんだろうか。
 国庫負担の問題も先ほど総理と議論いたしました。やはり、本当に負担を分かち合うということであれば、こういう製薬会社の莫大な経常利益にメスが入ってしかるべきじゃないですか。大臣、いかがですか。
#92
○国務大臣(津島雄二君) 医薬品産業は、医薬品を安定的に供給するとともに、新薬の研究開発、実用化を行うことにより国民の健康の維持向上に貢献することがその責務であり、研究開発に膨大な投資が必要でございます。
 利益が出ているではないかということでありますが、その利益がどういうふうに使われているかもまた問題でございます。特に、最近のゲノム研究等による新薬開発の世界的競争の中で、我が国の製薬企業が画期的医薬品を開発して国民により質の高い医療を提供していくためには、不確実性を伴う研究開発に多額の費用を継続的に投資していかなければならない。先ほど参考人から答弁がございましたように外国のメーカーとの競争もやっていかなければならない。外国のメーカーに比べても、日本の製薬企業の利益率が高いという結果は出ておりません。むしろ低い方でございます。
 厚生省におきましては、数次にわたる薬価引き下げ等、過去八年間で合計約三五%引き下げましたが、薬価引き下げ等により薬剤費の適正化を行ってきたところでございまして、こうした状況の中で各企業が経営努力をして利益を上げて、それを将来の新薬開発に投入していただくということを私どもは期待しているわけであります。
#93
○委員長(中島眞人君) 時間が来ています。
#94
○小池晃君 一言だけ。
 海外の製薬企業と比べれば利益率は高くないと言うかもしれませんけれども、一般製造業と比べれば圧倒的に利益率は高いですよ。さらに、研究開発費が多いと言うけれども、日本の製薬企業が開発した医薬品の中で国際的に利用されているベストテンの中に一つも入っていないんです。そういう実態なんですよ。
 私、製薬会社の利益を問うとそれはいろんな形で弁護をされる、国民の実態を問うとあれこれあれこれ弁解をする、そして実態には目を向けようともしない、調査すらしない。ここに今の厚生省の大変国民不在の、国民に背を向けた姿勢が私ははっきり出ているというふうに思います。
 今回の改悪、抜本改革の第一歩と言いますけれども、自民党政治のもとでの抜本改革というのは国民に負担増をもたらすだけだ、国民に未来のない選択を押しつけるだけだというふうに思っております。破綻した自民党政治のツケを国民に押しつけるような健康保険法と医療法の改悪には、これは廃案にすることが唯一の国民に対する正しい解決であるということを申し上げて、私の質問を終わります。
#95
○清水澄子君 非常に時間が短うございますので、ちょっと順番を変えるかもしれません。
 まず最初に、今回の医療法の改正で研修医の研修を義務化することとしていますけれども、実態というんですか、研修中に生活保障がない、このために先輩等からアルバイトとして派遣されるんだと。そのアルバイト先の中小病院とか診療所には研修指導医というのがいないことが多い、そこで研修中の医師が一人で患者を診療する状態がしばしばあるということは、これは参考人のところでも証言されたわけです。
 こうした研修医の単独診療の実態というのを厚生省は把握しているかどうか。そして、このような場で事故が発生した場合、その責任はだれにあると言えるんでしょうか。そして、この危険な状態をやめさせるために厚生省はこの実態を把握する意思があるか、そしてその具体的な方策というのをどのように考えているか、お示しいただきたいと思います。
#96
○政府参考人(伊藤雅治君) 臨床研修につきましては指導医の適切な指導のもとで行われることが重要であると考えているわけでございますが、一方、研修医に対する指導医の関与は直接監視下の指導あるいは指示、助言などさまざまな形態があること、また技術の習得状況によっては一部の医療行為については主体的に行うことにより研修の効果を上げる場合があることなどから、実際の研修に当たりましてはさまざまな形態があるのではないかと考えております。したがいまして、研修医の単独研修に何らかの定義づけを行いまして、その実態を把握するということは極めて難しいわけでございます。また、研修医の単独研修を一律に法律で禁止するということも難しいと考えられるわけでございます。
 そういうことから、医療事故を起こした場合の法的責任につきましては、臨床研修は医師免許取得後に行うこととされていることから、研修医につきましては医師法上の責務を負うこととなると考えておりますが、医療事故が起こった場合の法的責任につきましては事故の態様によりましてケース・バイ・ケースであると考えられるわけでございます。
 いずれにいたしましても、二年間の臨床研修の必修化に当たりましては、研修医がアルバイトをしなくても研修に専念できるような身分保障、経済保障をするということが先決であると考えておりまして、法律上も、努力義務規定でございますが、研修医に対しましては研修に専念する義務を課すということと、身分保障、経済保障によってアルバイトをしなくていい、そういう方向で検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
#97
○清水澄子君 ぜひ、まずアルバイトをしなくていいというところに、それを実行していただきたいと思います。
 次に、准看護婦、准看護士制度の廃止なんですけれども、厚生省は平成八年十二月の報告書で、二十一世紀初頭の早い段階で看護婦養成制度の統合に努めるということにしていたはずですね。この早い時期というのはいつを指していますか。
 それからまた、平成十一年四月の移行教育に関する検討会では、十年以上の准看護婦に移行教育を実施するとしているわけです。これを受けて厚生省が実施したことしのアンケートでは、准看護婦の七三%が移行教育の受講を希望しておるわけですね。看護協会は准看護婦の養成停止が明確にならない限り移行教育は行うべきでないと言っていますし、一方で医師会は准看護婦という身分制度を存続しようとしているわけです。
 これではいつまでたっても実行は不可能だと思うんですけれども、四十万人いる准看護婦は看護婦不足の解消の最大の最短距離の人的資源であると思いますし、医療の質を高めるためにも良質な看護婦さんを養成するということは非常に基本的な条件だと思います。
 そういう意味で、厚生省はこの移行教育の早期実施、それから准看護婦養成の停止、看護婦制度の統合を直ちに進めるべきだと思いますが、それに対して端的にその決断をお答えいただきたいと思います。大臣、よろしく。
#98
○国務大臣(津島雄二君) 准看問題調査検討会の報告書では「二十一世紀初頭の早い段階を目途に、看護婦養成制度の統合に努める。」と提言されていることは委員御指摘のとおりであります。現在四十万人を超える准看護婦が就業しているという実態がございますが、直ちに准看護婦制度を廃止するということは現実的に不可能なことは御理解をいただけると思います。
 私も看護議連の会長を最近までやっておりましたので、専門家の方々の御意見は十分理解をしているつもりでございますけれども、まず准看護婦の資質の向上を図る観点から、厚生省としては昨年十二月に准看護婦の教育カリキュラムの時間数を増加する等の改正を行いまして、これを十四年の四月から実施するということにしております。
 移行教育につきましては、平成十一年四月に取りまとめられました准看護婦の移行教育に関する検討会の報告を受け、現在その開始時期について関係者との調整を図っているところでございまして、鋭意努力をしてまいりたいと思います。
#99
○清水澄子君 ぜひこれは本当に早く実現をしていただきたいと思います。
 そこで、次に薬価制度なんですが、やはり医療費の適正化というのは高齢者とかその他の患者の受診抑制によって図るだけでは私は問題が多いと思います。やはり薬価とか診療報酬など抜本改革全体を通じて達成されるものだと考えますけれども、薬価制度についてR幅を二%まで縮小したわけですけれども、さらに不当な利益をどう抑制していくのか。
 第一に、さらに市場価格に近づけていくためにどうするか。第二に、保険者が地域ごとに薬を買い付けて医療機関に引き渡すといった取引権限を与えるシステムについてどう考えるか。第三に、いわゆるゾロ新と言われている新薬の規制、こういうことが必要だと思いますけれども、厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
#100
○国務大臣(津島雄二君) 薬価制度、いろいろ努力してまいりましたが、R幅が二%とはいえあるのは問題じゃないかという御指摘でございます。私もその経済の方の問題についてかなり実態を知っている立場から申しまして、流通にはいろいろな形態がございますものですから、二%というのは恐らく極限まで抑制をしているというのが私の感じでございます。これをゼロにするというのは極めて難しいと思いますが、今後のあり方については今回の二%の決定後の推移を見ながら、さらに検討を進めてまいりたいと思います。
 次に、保険者が医薬品を購入して医療機関に現物納付するという考え方、前に御提案する向きもございましたけれども、二十万を超える医療機関等が日々用いる医薬品の供給を一元的に一つの機関がやるというのは、実際は実現が難しいと考えております。
 次に、いわゆるゾロ新の問題でございますけれども、平成八年より類似した医薬品の価格の平均を超えない水準に価格を設定するというルールを導入し、価格の抑制を図っているところでございますが、この点もさらに改善の余地がないかどうか検討をしたいと思っております。
 いずれにいたしましても、薬価制度については、残された課題に関し、中医協における議論を踏まえ、さらに検討を進めてまいりたいと思います。
#101
○清水澄子君 時間がありませんので、飛ばします。
 まず、私は医療制度の抜本改革に当たっては、やはり患者の権利、患者の人権を尊重するというこの基本的な姿勢が日本の医療行政には欠けていると思うんです。けさもレセプト開示で歯科医師会は、医者の方に大幅な裁量権を認める内部指導を出しておりましたけれども、そういう意味で、大臣は患者の人権や保険者の機能強化についてどのようなお考えをお持ちなのか、このことが一点。
 そして、もう一つだけやらせてください。この委員会で、この採決の後、附帯決議が採択されると思います。そうしましたとき、附帯決議は与野党が一生懸命協議して、もちろん自分たちの意見が全部入りません。しかし、それを協議して委員会の意思をここで決議するわけですね。にもかかわらず、六月の通常国会の本委員会で決めた附帯決議についてある全国の会議で厚生省のある係長が、名前は今言いません、附帯決議なんてあんなもの意味がありませんと、こういうふうに全国の代表者のところで答えているわけです。ですから、そういうものですかという問い合わせがありましたけれども、ここで大臣がいつも尊重いたしますという形式じゃなくて、本当にこのことについて尊重をしていくべきであると思いますので、その点についても大臣のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
 以上です。
#102
○国務大臣(津島雄二君) 二点にわたる御質問がございました。
 第一点の、あくまでも医療制度を考える場合に患者の人権と患者の利益を優先に考えるべきであると、それは全くそのとおりだと思っております。
 それから、第二点の附帯決議でございますが、私も長く国会の中で与野党の議論を行い、その結果、大切なことを与野党の合意のもとで取りまとめていくということがどんなに大切か理解をしているつもりでございます。今回におきましても、附帯決議の趣旨は大事にいただきたいというふうに考えております。
#103
○堂本暁子君 医療の抜本改革の視点から質問させていただきます。
 まず、診療報酬体系が看護婦やそれから保健婦、そしてPT、OTという方たち、薬剤師も含んでいいと思いますけれども、などの給料が適正に評価されていないのではないかというふうに考えます。これからは病院であれ地域であれチーム医療あるいはチーム介護を展開すべきときなのに、こういう状況では大変問題がある。
 そこで、抜本的な意識改革と体系の見直しと両方をぜひともやるべきだと考えますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#104
○国務大臣(津島雄二君) 御指摘のとおり、今の医療制度を支えておりますのは、医師を初めとするコメディカルの皆様方の力がチームとして発揮されることが大事でございまして、現行の診療報酬体系におきましても、手術等の大半の医療行為に関する診療報酬点数の設定に当たりましては、複数の医療関係職種の方がチームとして実施することを念頭に置いて評価をしておるところでございます。
 今後とも、チーム医療の評価のあり方に関しましては、中医協で御議論いただきながら適切に対応してまいりたいと思います。
#105
○堂本暁子君 通告させていただいていない質問ですけれども、大臣にもう一つ。
 先般、この前の会議のときに介護ミスが多いということの質問をさせていただきました。今、清水議員も質問されましたけれども、医療の場での患者の権利を守ることと確立することは今やもう緊急の課題になってきていると思います。そのための方策を検討するべきときに来ていると思いますが、いかがでしょうか。
#106
○国務大臣(津島雄二君) 今のお話は医療ミスの問題と理解してよろしいでしょうか。
#107
○堂本暁子君 患者の権利の問題でございます。
#108
○国務大臣(津島雄二君) 患者の権利を守っていくためには、まず患者にしっかりした情報を送り、インフォームド・コンセントの趣旨を徹底し、そして医療ミスがないようにしていく、こういうことであろうかと思います。
 最近、医療ミスが多発しているという御指摘もございますので、総理からの御指示もございまして、これに取り組み、また予算措置もお願いをしておるところでございまして、こういうことが患者の人権を守るということにつながっていくことを期待しているところでございます。
#109
○堂本暁子君 インフォームド・コンセントその他という大変間接的な御答弁で、私はちょっと残念に思います。もっと積極的に患者の人権がいろいろな形で医療の場で侵害されないような、そういった網を張ることの重要性というのが今あるのではないかと思いますが、次の質問に政務次官にお答えいただきたいと思います。
 更年期障害の実態が把握されていない、それに対する施策もないということで、早急に何らかの手を打つ必要があるというふうに思っております。例えば、日本更年期学会というのがありますので、そういうところで実態の把握調査を依頼するとか、実態を把握した上で積極的な政策実現をしていただきたいと思います。
 そのことが一つと、次の質問は、先般も申し上げましたリプロダクティブヘルスの観点からいいまして、女性の疾病予防、診断、治療の向上ということでジェンダー・スペシフィック・メディスンに関して具体的にどのような施策をこれからなさるのか、その取り組みについてお答えいただきたいと思います。
#110
○政務次官(福島豊君) まず初めに更年期障害についてでございますけれども、症状が重い場合には社会生活や家庭生活にも影響を与えるおそれがあるというふうに厚生省も考えております。厚生省としましても研究班を設置いたしましてその実態把握に努めておりますけれども、先生御指摘のように今後とも努力をしてまいりたいというふうに思っております。
 そしてまた、実態認識とともに、どのように支援をしていくのかということも大切でございます。昨年の七月に生涯を通じた女性の健康施策に関する研究会の報告をいたしましたけれども、その中で、更年期障害について適切な医療、そしてまた相談を受けることによって改善をされる場合もある、その対応をしっかりとすべきであるということが盛り込まれております。生涯を通じた女性の健康支援事業というものを実施しておりますけれども、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
 さらに、健康日本21、本年の四月からスタートいたしましたけれども、その中でも更年期障害を含めました女性の健康施策というものの充実に努めてまいりたいというふうに思っております。
 そして、厚生科学研究でございますけれども、先生御指摘のジェンダー・スペシフィック・メディスン、性特異的生物医学研究、これが必要であるという御指摘、先般の委員会でもちょうだいをいたしました。そういった視点で厚生科学研究というものを今後も進めていく必要があるというふうに思っております。
 直ちにどの研究をするのかということはなかなかお答えにくいところでございますけれども、現在もさまざまな課題に厚生科学として取り組んでおりますけれども、二十一世紀の厚生科学の展開の中で先生の御指摘というものを反映させていきたいと思っております。
#111
○堂本暁子君 私も、そのリプロダクティブヘルスの検討会はそれこそ津島厚生大臣がスタートしてくだすった会でございまして、いろいろ成果を上げていると思いますけれども非常に漠としておりまして、科学的な研究がその中に入っているわけではなくて、むしろ社会的な指摘にとどまっています。
 日本更年期学会というドクターの学会があるわけですから、そういったところでやっぱり医学的な研究が必要。今までは、更年期に関してのそういう研究なり施策が必要だというところの指摘はございますけれども、研究自体がない。ですから、もう一歩進んで研究をしていただきたいということをお願いして、次に大臣に伺います。
 年金受給者のうちで、政管健保六十二万人、それから組合健保四十万人、任意継続加入者は百二万人ですが、基本的には現役世代と同じ保険料を払っています。私もそのうちの一人です。
 今回の改革案では、傷病手当制度の趣旨が労働者の所得保障であるということからして、年金受給者に対しては支給しないということになすった。これは、同一の負担に対して公平な給付という保険の原理には反しているのではないか。給付を取りやめるのであれば負担も軽くすべきだというふうに考えますが、大臣はこの点についていかがお考えでしょうか。
#112
○国務大臣(津島雄二君) 退職して任意継続被保険者となっておられる方に対して、現在、老齢厚生年金等と傷病手当金が併給されているわけでございますが、所得保障という制度の趣旨から見ますと、実質的に給付が重複しているために、制度の効率性を確保する観点からその見直しを行い、傷病手当金を支給しないということにしたところでございます。
 社会保険制度におきましては、能力に応じて保険料負担をお願いするとともに、必要性に応じて保険給付を行っておりまして、年金制度と医療保険制度を通じて給付が実質的に重複するような場合にはその調整を行う、これが所得保障という制度の趣旨に反するものではないと考えております。
 ちなみに、障害者年金につきましては既にそのような改正を行っております。
#113
○堂本暁子君 もう仕事をやめていて、同じだけの額を払っていながらそれでなおかつということはとても私はおかしいと思うんです。私自身、今元気でございますのでその対象にはなっていないんですけれども、もう収入があるわけではない、そして納めているという状況、年金を取りながら。どうしてもこれは納得がいかないところです。
 もうちょうど時間が来たので、最後に、同僚議員の柳田さんも言われましたけれども、私は医療の透明性と申しますか、もっと国民にわかりやすくなるためにはカルテ開示の法制化が大変重要だと思います。それがなされないことが大変残念に思っております。
 それからもう一つは、今臨時にというか御質問申し上げた、附帯決議にも入れることができなかったのであえて質問させていただいておりますけれども、やはり患者の人権の視点が必要だというふうに思います。入院しますとどうしてもドクターが上、そして患者は従という立場にありますので、やはり医師の方が支配的、そして患者が被支配的な立場に立つわけです。ですから、そこでどうやって患者の側の人権をきちっと確保するかということがこれからは抜本改革の一つの基礎になるというふうに思っております。
 もう一つは、やはりそれを確保するためにはカルテの開示というのが法制化されることが基本だというふうに思っております。もし御答弁いただければ大変うれしく思います。
#114
○国務大臣(津島雄二君) カルテ開示の問題につきましては、先ほど御答弁いたしましたように、今後の普及の状況を見ながら改めて検討するという姿勢でございます。
#115
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 一昨日は高額医療費につきまして大変前向きな御答弁をいただきましてありがとうございました。そうした配慮によりまして、いざ入院となったときには負担に対する心配というのも随分和らぐと思います。
 ただ、そうした高齢者からたびたび、家族の方々からもそうですけれども、耳にいたします、委員会でも議論になっておりますのは、入院をした場合の経済的な負担というのは、窓口に支払う一部負担だけでなく、実はおむつ代などのいわゆる保険外負担というものが大変大きいです。そうしたトータルの負担で考えてくれないと西川さん困りますよというような声もたびたび耳にいたします。
 この保険外負担については、先日、厚生省といたしまして考え方が整理をされましたと、そういうふうにお伺いをいたしておりますが、その中でおむつ代についてはどのように整理をされましたのか、まず政務次官にお願いいたします。
#116
○政務次官(福島豊君) お答えいたします。
 おむつに係る費用につきましては、診療行為とは直接関係のない日常生活上必要な費用として、一部負担金とは別に患者から実費を徴収できる取り扱いといたしております。
 ただいま先生から御指摘いただきましたように、この実費徴収につきましては、先般、患者に対し料金等について明確かつ懇切に説明すること、文書で同意を確認すること等、取り扱いについてその明確化を行い、そして各保険医療機関等に対して周知徹底を行ったところでございます。
#117
○西川きよし君 厚生省が出している通知の中で、家庭においても日常生活上の利便として必要なサービスまたは物の実費で「社会常識上妥当適正な額」と、こういうふうになっているわけですけれども、この実費の解釈、そして「社会常識上妥当適正な額」、この「額」というのは非常にあいまいではないかなというふうに思うんですけれども、病院から実費と言われれば、患者の方といたしましてはそれはもう不満があっても払わなくてはいけないと思います。
 そこでお伺いしたいんですけれども、例えば介護保険ではこのおむつ代は介護報酬に包括されているわけですけれども、この中でおむつ代はどのような額が設定をされているのか、また生活保護者、生活保護受給者が入院をした場合に一カ月のおむつ代の加算はどのようになっているのかをもう一度御答弁いただきたいと思います。
#118
○政府参考人(大塚義治君) 介護施設につきましては、基本的に介護サービスを提供するという性格でございますので、ただいまお話ございましたように、介護報酬の中にいわゆるおむつ代を含めて報酬単価を設定しておるところでございます。
 具体的に申し上げますと、実態的な調査に基づきまして、入院患者一人当たり、これはおむつを使われる方、使われない方両方含めて、ならしてということでございますが、入院患者さん一人当たり約八千六百円という金額で設定をいたして報酬単価の中に含めてございます。
 それから、生活保護受給者の方が医療保険適用の病院に入院した場合につきましては、おむつにつきましていわば実費相当が支給されるわけでございますけれども、その限度額を申し上げますと、布おむつが月額一万五千九百円、紙おむつは月額二万四千円、これが限度額として定められているところでございます。
#119
○西川きよし君 わかりました。今それぞれのおむつ代、具体的な金額をお伺いしたわけですけれども、恐らくその程度が常識の範囲ではないかなと思うわけです。
 いつもお話しさせていただくんですが、うちも年寄りが三人おりますから、だれかが入院をするわけです。そんな中で見たりあるいは関係者にお伺いするわけですけれども、おむつにしても、リースによる布おむつを使うことが珍しくないわけです。布ですから何度も何度も使い、洗濯をいたしますとだんだん薄くなってまいります。そして、一枚でお手当てをすると尿が漏れますから二枚、三枚おしめを重ねて使うそうです。それが、一枚が幾ら幾らになりますから、枚数がふえると高くなるわけですけれども、月々の負担は五万円ではきかなくなるそうです。
 そうした実情につきまして、これは日経ヘルスケアの二月号の特集の中ですけれども、少しお聞きいただきたいと思います。
 「ほとんどの病院が「おむつ代」と称して徴収している保険外負担で一定の利益幅を見込んでいるのは常識。おむつの値段は全国どこでもそう変わらない。東京に行くほどおむつ代が高いのは、そこで人件費や地価の差を吸収しているため」と解説する。
  要するに、おむつの仕入れ値と患者から取る「おむつ代」との差益が、旧来のお世話料の役割を果たしているのだ。九二年四月の通知で、保険医療機関が「お世話料」、「管理協力費」など、あいまいな名目で費用を徴収することが禁止された。それ以降、おむつ代が使いやすい「名目」として利用されてきたわけだ。
  通知では、病院が徴収できる保険外負担は、「家庭においても日常生活上の利便として必要な「サービス」または「物」の実費」で「社会常識上妥当適正な額」とされている。しかし、届け出や報告の義務は一切なく、現在、金額設定は病院側の裁量に任されている
というふうにコメントが紹介されているわけですけれども、こういった点で厚生省といたしましてはどのような認識をお持ちであるのか。また、厚生省がお考えになるこの「社会常識上妥当適正な額」というのはずばりお幾らぐらいだとお思いでしょうか。これは政務次官にお伺いしたいと思います。
#120
○政務次官(福島豊君) 基本的な考え方を御説明したいと思います。
 先ほども答弁いたしましたように、おむつに係る費用というのは保険診療とは直接関係のないサービスでございます。保険診療の世界でございますと公定の価格というのが全部決まるわけでございますけれども、その世界ではないと。したがって、その額というのは基本的に各医療機関ごとに設定されるものとならざるを得ないものというふうに考えております。
 そして、その価格につきましても、地域や医療機関の規模等によりさまざまに条件が異なっていると思います。したがって、一律に示すということは困難であるというふうに考えておりますけれども、基本的には市場価格というものをもとにするべきである、そのように厚生省としては判断をいたしております。
#121
○西川きよし君 本当に払わざるを得ない。変に問いただすと、じゃほかの病院に行ってくださいみたいなことが現場では多々あるわけですけれども、こうした問題につきまして、一方の病院の経営者側の声といたしましては、診療報酬も介護報酬も病院の事務管理費などを認めていない、あるいは人件費などが高い都市部への配慮がない。つまり、診療報酬の水準こそが問題なんだといったことが言われております。しかし、患者の側からいたしますと、これこそそういった矛盾を患者に転嫁するということでは、到底納得ができることではないと思います。
 このお世話料的なものがなくならない背景には、診療報酬の水準にやはり問題があるとお考えであるのか、これは続いて政務次官にお伺いしたいと思います。
#122
○政務次官(福島豊君) 診療報酬につきましては、先生もよく御承知のとおり、個々の診療行為に対する評価として設定をいたしておりますけれども、経済の動向や医療機関の経営状況というものを総合的に勘案しながら適時適切な改定を行っているものでございます。
 今後とも良質な医療サービスの提供が行われるように、中央社会保険医療協議会における議論を踏まえて、診療報酬の設定のあり方について検討をしてまいりたいというふうに考えております。
#123
○西川きよし君 どうぞよろしくお願い申し上げます。
 あと二分でございますので、最後の質問にいたします。
 最近の報道等々を見ますと、既に介護保険適用の療養型でこうした不透明な費用負担を患者に求めているということが半ば常識のようになっているような印象も持ちますけれども、やはりその背景には、どうしてもおむつ代で利益が出せないから、そのかわりにさまざまな名目でお世話料を求めるということがあるんだと思うわけですけれども、そういう意味では、先ほどの規制緩和という点でも考えますと、情報の開示なり第三者の評価によって、消費者としての観点からよりよい病院を選択できるという状況が望ましいのではないかなと思います。
 しかし、現状では受け入れてもらえる病院を探すのが目いっぱいで、おかしいな、不思議だなと思いながらでもこれは払わざるを得ない、これが実情だと思うわけですけれども、今後、抜本改革に向けてこうした実情についても十分な実態の調査をしていただきまして、患者負担のあり方についての御検討もぜひお願いしたいと思います。
 最後は、厚生大臣にお答えをいただいて、終わります。
#124
○国務大臣(津島雄二君) いわゆる保険外負担の問題でございますが、おむつ等が保険診療の対象になっていないところから問題が出ておるわけでございますが、こういう保険診療と直接関係ないサービスについて実費徴収されているが、それは無関心でいていいかというと決してそうではないのでございまして、厚生省といたしましても、必要に応じてその実態を把握し、患者さんの立場についても何か改善の余地があれば改善をしていくということが必要であろうと思います。
 このようなサービスについて、現状では保険診療の対象外でございますから、基本的には各医療機関と患者との間の契約で料金が定められているわけでございますから、その契約が適正に行われるということ、現状ではまずそれをやらなきゃいけないと思います。そのため、先般、実費徴収を行うに当たっては、患者に対してちゃんと説明すること、文書による同意の確認をすること、領収証の発行等の適正な手続がとられるよう明確化し、各保険医療機関に対して周知徹底を図ったところでございます。今後ともそのような配慮を行ってまいりたいと思います。
#125
○委員長(中島眞人君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#126
○井上美代君 私は、日本共産党を代表し、健康保険法等の一部改正案及び医療法等の一部改正案について反対討論を行います。
 健康保険法についての反対理由の第一は、高齢者の医療費の自己負担を定額制から一割の定率制に変更することで、総額一千四百六十億円、平均で今までの一・五倍の患者負担増をもたらし、深刻な受診抑制を引き起こすものです。診療前に幾らかかるか全くわからないというのも不安です。低所得者対策はなおざりにされ、介護保険の負担や年金改悪による給付削減と相まって、生存さえ脅かされかねないということが心配されます。
 反対理由の第二は、高額療養費制度に新たな医療費に応じた負担増の仕組みを導入することです。医療費負担の歯どめがあることで安心をもたらしていた制度は、根本的に変質をします。心ならずも重病になった患者に、コスト意識を持てと負担を押しつけるやり方は到底認めることはできません。
 医療法についての反対理由の第一は、医療費の抑制、削減で国民医療の後退に拍車をかけるものだからです。現在の療養型病床群の看護職員、患者六人に対し一人の配置基準のもと、夜勤一人勤務など、医療の空白実態にメスを入れるどころか、現行病床の患者四人に一人の看護職員配置基準を、一般病床三対一に、そして療養病床六対一に区分をいたしました。そのことによって、全体として看護職員配置は後退をし、夜勤、複数月八日以内達成、これも困難になると思います。
 反対理由の第二は、精神科特例の廃止を二十一世紀に引き延ばしたことです。社会復帰施設の充実も大幅におくれています。医療、福祉の両面からの施策を求める声に大臣はこたえるべきだと思います。
 反対理由の第三は、卒後臨床研修の必修化の問題で、経済的保障や教育内容の改善など、国の責任が明確でありませんでした。国民と患者の立場に立つ医師の養成はなかなか図れないと思います。
 あと一カ月で二十一世紀。きょうもこの一枚に十人も書いてありますけれども、たくさんの要請をいただいております。来年、初めての正月のお年玉に、余りにもこれはひどいではありませんか。私は、ファクスでいただいた多くのことを思っております。年寄りにとって、生きていくことへの夢が何もなくなるような今の政府のやり方には納得がいきませんと訴えておられます。
 国民医療の前進のために、薬価や医療機器の高価格構造にメスを入れ、むだな公共事業をやめて、そして社会保障への国庫負担をふやすなど、財政構造をヨーロッパ並みに転換することを強く求めて、反対討論を終わります。
#127
○委員長(中島眞人君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次両案の採決に入ります。
 まず、健康保険法等の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#128
○委員長(中島眞人君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、医療法等の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#129
○委員長(中島眞人君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、柳田君から発言を求められておりますので、これを許します。柳田稔君。
#130
○柳田稔君 私は、ただいま可決されました健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、無所属の会及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、抜本改革の重要な柱である老人保健制度に代わる新たな高齢者医療制度等の創設については、早急に検討し、平成十四年度に必ず実施すること。その際、制度の効率化に努めるとともに、年金制度、介護保険制度など関連する制度との整合性や連携等を図りつつ、患者や国民の負担等を考慮して、低所得者対策を充実するなどの検討を総合的に進めること。また、生涯を通じた健康づくり、特に女性の生涯にわたる健康に関する政策の推進と老人医学・予防医学の研究を進め、健康寿命の延伸をめざすこと。
 二、老人の上限付き定率一割負担制導入に当たっては、制度の運用及び定着状況等を把握し、平成十四年度の抜本改革の際に再検討すること。さらに、支払いが困難な低所得者層の実態を把握し、十分な対策を講ずること。
 三、高額療養費制度への上乗せ定率「一パーセント」負担制については、今後の家計に与える影響、医療費の動向、医療保険財政の推移等を見て、平成十四年度の抜本改革の際に再検討すること。
 四、診療報酬体系、薬価基準制度及び医療提供体制については、引き続き検討を進め、平成十四年度までに所要の措置を講ずること。特に、老人医療及び慢性期医療については、包括・定額化を更に進めること。
 五、医薬分業の推進のため、今後も所要の措置をとること。
 六、医療保険制度運営の安定化と保険者機能の強化を図るため、保険集団の規模を適正化すること。また、レセプト点検の強化と体制整備、被保険者への情報提供の充実、健康づくりなどを進めるとともに、被保険者の立場に立った機能強化の在り方について検討すること。
 七、医療費の不正請求を防止するため、審査及び指導監査の充実等医療費の適正化を図るための対策を強化すること。また、医療費の不正請求や指導監査に係る情報については、情報公開法に基づき国民に開示すること。
 八、新たな病床区分に当たっては、その具体的な目的や効果を明確にするとともに、看護婦等の配置基準及び構造設備基準については、今回の措置の実施状況を踏まえ、今後更なる改善を検討し、医療の質の確保・向上に努めること。同時に、平均在院日数の短縮を実現するなど、社会的入院の解消に努めること。
 九、精神病院の職員配置基準及び構造設備基準を可能な限り一般病床並みに引き上げるとともに、国際人権規約及び国連原則等の規定に従い、当事者の意見を聴いて処遇を改善すること。その際、診療報酬においても必要な措置を講ずること。
 十、精神保健福祉施策を充実するために、障害保健福祉圏域や二次医療圏を視野に入れて医療計画を策定するとともに、新たな障害者プランの策定に取り組むなどの必要な措置を講ずること。その際、社会的入院に関する実態把握に努めつつ、適正な精神病床数への是正に取り組むとともに、各医療機関の情報公開や政策決定プロセスにおける当事者の参画の下、ノーマライゼーションの理念に基づき、今後の精神保健福祉施策を推進すること。
 十一、地域における小児医療の重要性にかんがみ、小児科専門医の確保に努めるとともに、小児救急医療の充実に向けた取組を強化すること。
 十二、カルテの開示については、環境整備の状況を見て法制化を検討するとともに、十分な医療情報の開示を行い、インフォームドコンセントの実が上がるように努めること。なお、カルテについては、遺族の申請による開示も検討すること。
 十三、医療の質を確保し、患者の立場を尊重するために、各医療機関の情報公開を更に進めていくとともに、医療機関等の第三者評価の内容等及び苦情解決機関の設置等について充実を図ること。
 十四、医師及び歯科医師の臨床研修については、インフォームドコンセントなどの取組や人権教育を通じて医療倫理の確立を図るとともに、精神障害や感染症への理解を進め、更にプライマリーケアやへき地医療への理解を深めることなど全人的、総合的な制度へと充実すること。その際、臨床研修を効果的に進めるために指導体制の充実、研修医の身分の安定及び労働条件の向上に努めること。
 十五、医療制度の抜本改革を論議し、その推進を図る際に、国民がこの論議に参加できるよう、看護婦等の医療従事者の労働実態、病院経営に要する経費及び特定療養費等に係る患者負担の実態などの医療・保健の実態を示すデータ、高齢者とりわけ高齢女性を始めとする国民の所得、生活実態等負担能力を判断するために必要なデータなどについて、情報の収集及び公開を進めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 十五という大変膨大な附帯決議になりましたけれども、何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#131
○委員長(中島眞人君) ただいま柳田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#132
○委員長(中島眞人君) 多数と認めます。よって、柳田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、津島厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。津島厚生大臣。
#133
○国務大臣(津島雄二君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重して努力いたします。
#134
○委員長(中島眞人君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#135
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#136
○委員長(中島眞人君) 次に、請願の審査を行います。
 第二号男性助産婦導入反対に関する請願外八百六十三件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第二〇四号遺伝子組換え作物・食品の安全性の審査に関する請願外三十一件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第二号男性助産婦導入反対に関する請願外八百三十一件は保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#137
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#138
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#139
○委員長(中島眞人君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#140
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#141
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#142
○委員長(中島眞人君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#143
○委員長(中島眞人君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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