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2000/11/07 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 文教・科学委員会 第3号
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2000/11/07 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 文教・科学委員会 第3号

#1
第150回国会 文教・科学委員会 第3号
平成十二年十一月七日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         市川 一朗君
    理 事
                岩瀬 良三君
                亀井 郁夫君
                佐藤 泰介君
                松 あきら君
               日下部禧代子君
    委 員
                阿南 一成君
                有馬 朗人君
                佐藤 泰三君
                中曽根弘文君
                松村 龍二君
                水島  裕君
                小林  元君
                佐藤 雄平君
                本岡 昭次君
                福本 潤一君
                畑野 君枝君
                林  紀子君
                田名部匡省君
   国務大臣
       文部大臣     大島 理森君
   政務次官
       文部政務次官   松村 龍二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   政府参考人
       内閣総理大臣官
       房管理室長    坂東眞理子君
       公正取引委員会
       事務総局経済取
       引局長      鈴木 孝之君
       文部省初等中等
       教育局長     御手洗 康君
       文部省体育局長  遠藤純一郎君
       文化庁次長    伊勢呂裕史君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○著作権等管理事業法案(内閣提出)

    ─────────────
#2
○委員長(市川一朗君) ただいまから文教・科学委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 著作権等管理事業法案の審査のため、本日の委員会に内閣総理大臣官房管理室長坂東眞理子君、公正取引委員会事務総局経済取引局長鈴木孝之君、文部省初等中等教育局長御手洗康君、文部省体育局長遠藤純一郎君及び文化庁次長伊勢呂裕史君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(市川一朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(市川一朗君) 著作権等管理事業法案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○阿南一成君 自由民主党の阿南一成であります。
 当委員会における大島大臣の所信あいさつに対しまして、前回の質問に引き続き、本日も自由民主党を代表して私が質問をさせていただきます。
 本日、審議に係ります著作権等管理事業法案はその内容がすぐれて技術的なものを多く含んでおりますので、政府参考人を中心に質問をさせていただきたいと思っております。しかしながら、とりあえずはまず大臣にお尋ねしておきたいと思います。
 本法案提出の趣旨及びその理由、そして本法案に対する関係団体等について、その反応をお聞かせいただければと思います。
#6
○国務大臣(大島理森君) この法案の趣旨あるいはまた理由はいかんという御質問であったと思いますが、先生御承知のように、今次、IT革命と称されることを中心に、情報の伝達方式あるいはまた内容が非常に多様になってまいりました。そういうことを踏まえながら、昭和十四年制定の仲介業務法を見直して、まさにIT時代における多様な社会的要請に対応した新たな著作権の管理に関する法的基盤を確立しよう、こういうことでございます。
 そして、この内容は、いずれ御質問があろうかと思いますけれども、その多様性に対応するということでございますが、当然に今次まで御努力いただいた各団体がございます。例えば、JASRACの皆さんがそうでございますが、そういう既存の仲介業務団体、レコード会社、放送局などの利用者団体との意見交換を積み上げてまいったところでございますけれども、この法案に反対をしているというふうな団体はおられないということを私自身は承知しておりますし、そういう皆さんの今日までの努力も踏まえつつ新たな時代に対応したい、そして日本の文化を向上させていきたい、これが法案の趣旨でございます。
#7
○阿南一成君 ありがとうございました。
 現行のいわゆる仲介業務法のもとで許可を受けている著作権管理事業者はすべて非営利法人として業務を行っていると承知をいたしております。しかしながら、この法案によりますと、著作権等管理事業者の中に営利法人の参入が認められることになっております。規制緩和という観点からは好ましいことであると思うのでありますが、そもそも利潤追求を本来の存在理由とする営利法人に我が国の文化の発展に寄与するということが果たして期待できるのか、いささか不安を感じるのは私一人ではないと思うのであります。
 特に、日本音楽著作権協会、いわゆるJASRACは、公益法人としてこれまで六十年有余にわたりまして著作権管理事業を行ってきたと承知をいたしております。著作権管理事業は、著作者の権利を守り、利用者の利便を図ることを通じて文化の発展に寄与するという公益性の高い事業であろうかと思うのであります。
 著作権協会国際連合、いわゆるCISACというのがありますが、このCISAC憲章の第十三条において、管理団体は商業的または利潤の獲得を目的とする組織であってはならないと規定をいたしておりますことは、この著作権管理事業は営利目的になじむものではないということの国際的なコンセンサスができておるのではないかと私は理解をいたしております。我が国においても、昭和四十二年の著作権制度審議会の答申におきましては公益法人によって営まれることが望ましいとの報告があり、文化庁もこれまでそのように指導を行ってきたものと私は理解をしておるところであります。
 ところが、今回の法案では株式会社などの営利法人が著作権管理事業に参入することを可能としているのであります。株式会社などは株主に対しまして多くの配当を行うことが最大の目的であろうかと思います。文化の振興や著作権者の保護よりも株主の利益を優先した運営を行うことにもし仮に走るとするならば、これは大変だなというふうに心配をしておるところであります。
 例えば、一部の売れ筋の作品のみの管理を引き受けるとすれば、余り売れない作品というのは市場原理によって自然淘汰をされる運命にあると思います。また、無断利用があってもそのチェックに費用がかかり過ぎ、採算がとれないということであれば、営利法人としては放置をするということにもなりかねない。それは、ひいては著作権を尊重するという土壌の崩壊にもつながりかねないのではなかろうかというふうに愚考するところであります。
 著作物というものは、経済的価値と芸術的価値が必ずしも一致するものではないと思います。一般の人には理解されにくい作品の中にも次の世代に残していくべき価値のあるすぐれた作品が存在することもあり得ようかと思います。営利法人が著作権等管理事業に参入することは、結果的に著作者の不利益につながり、我が国の文化に損失を招くことにならないか、その歯どめ策をどのように考えているかについて文化庁の見解を確認しておきたいと思います。
#8
○政府参考人(伊勢呂裕史君) この法律案は、分野ごとの単一団体による管理を前提としております現行の仲介業務法の考え方を転換いたしまして、権利者に権利の管理方法や管理事業者を選択する自由を保障するため多様な管理事業者の参入を認めているわけでございます。株式会社などの営利法人の管理事業につきましても、権利者の選択の自由を広く認める立場からはこれを法律上禁止することは適当でないと考えておるわけでございます。
 関係者の一部には、営利法人の参入によりまして経済的価値の高い作品が優先され、芸術性の高い作品の管理がなおざりにされるのではないかというような懸念があることは承知しておりますけれども、著作物の経済的価値というのはある程度長期にわたって判断しなければならないということ、あるいは在庫管理というのは非常に容易であるということ、一定の需要のある作品であれば管理が拒否されるということは想定されにくいということなどから経済的価値の高い作品のみが優先されるという事態は想定しにくいわけでございまして、著作権保護あるいは文化振興に重大な支障が出るということはないというふうに考えております。
 ただし、文部省といたしましても、御指摘の懸念にも配慮いたしまして、著作権等管理事業者の実施状況を十分把握いたしまして、必要に応じて適切な指導を行ってまいりたいと考えておるわけでございます。
#9
○阿南一成君 大変御丁寧に御答弁をいただき、ありがとうございました。
 なお、私は三十五分の持ち時間でありますので、以後、行政の側の御答弁はできますれば簡明にお願いいただければと思います。
 近年、アジア地域では音楽や映画を中心に我が国の著作物が広く受け入れられております。しかしながら、これらの地域ではいまだに著作権に対する認識が十分でなく、関係国及び関係団体による熱心な対応にもかかわりませず、多くの海賊版が横行しておるのが現状であろうかと思います。著作物に係りますネットワーク化、グローバル化の波は、一国の中での著作権思想の普及運動ではもはや十分な対応はできない状況になりつつある、このように私は認識をしております。このような意味において、アジア地域における著作権思想の普及啓蒙や著作権管理団体の育成は、我が国の著作権者の保護のためにも緊急の課題であろうかと思っておるところであります。
 こうした中におきまして、JASRACが著作権に関する実務研修にアジア地域から研修生を受け入れ、あるいは専門家を派遣するなど、アジア地域における著作権思想の普及啓蒙のための活動を行ってきたという実績は高く評価をされていいのではないかと思う次第であります。
 ところが、このたびの法案では、例えば音楽の分野におきましてJASRAC以外の営利法人の参入が認められることになるわけでありますので、JASRACは公益法人としての著作権思想の普及啓蒙活動を行いながら新規参入の営利法人と同じ土俵でしのぎを削らなければならないことが予想されると思うのであります。音楽著作権協会が公益法人としての著作権思想の普及啓蒙活動を行いつつ営利法人と競争をしなさいということは、市場の競争原理とは無関係に公益事業の展開を進めるという公益法人の本質とも相入れないことになるのではないかと愚考するところでありますが、この点について公益法人一般の総合調整担当官庁であります総理府の御見解を確認いたしておきたいと思います。
#10
○政府参考人(坂東眞理子君) お答えいたします。
 公益法人の設立当時には公益目的として社会的に評価されていた事業でも、社会経済情勢の変化により、公益法人の事業内容が営利企業の事業と競合しまたは競合し得る状況となることも考えられます。このような場合におきましては、公益法人の設立許可及び指導監督基準、これは平成八年九月二十日閣議決定でございますが、この監督基準に基づきまして公益法人としてふさわしいと認められる事業内容への改善等に向けまして、一、事業の運営等について、対価を引き下げる、不特定多数の者を対象とする等により公益性を高める、二、新たに公益性の高い事業を付加するといった措置を講ずることとし、そのような措置が講じられない場合においては営利法人等への転換を行うよう所管官庁が指導監督することとされているところでございます。
 総理府としては、この閣議決定に従いまして所管官庁において適切な指導監督がなされるものと考えております。
#11
○阿南一成君 ありがとうございました。
 次に、本年一月に公表されました著作権審議会権利の集中管理小委員会の報告では、円滑な使用料秩序を形成する上で著作権管理団体と利用者団体等の協議は有効かつ不可欠なものである点を考慮して、立法化の段階では、このような協議を含め、著作権管理団体または利用者団体の行動と独占禁止法の関係を明確に整理しておくことが必要であると指摘をされております。しかしながら、本日提案のこの法案を見ますと、独占禁止法適用除外の規定はどこにも見当たりません。
 そこでお伺いをいたしますが、公正取引委員会と文化庁との間でこの小委員会報告の指摘についてどのように整理をして結論を出されたかということについて、公正取引委員会の見解をお尋ねしておきたいと思います。
#12
○政府参考人(鈴木孝之君) お答え申し上げます。
 著作権等管理事業法案におきましては、利用者代表が指定管理事業者に対し使用料に係る協議を求めた際には指定管理事業者はこれを応諾しなければならず、また協議不調の場合には文化庁長官が裁定を行う制度が設けられております。
 公正取引委員会といたしましては、御指摘の小委員会報告を受けて、文化庁との間で著作権管理事業者と利用者団体との使用料に係る協議の問題について、独占禁止法適用除外規定を設ける必要性の有無も含め独占禁止法との関係について検討を行いまして、これから申し上げます結論を得たところでございます。
 一般論でございますが、一般的に申しまして、事業者団体による価格交渉は、その事業者団体の統制力を用いますとき、価格カルテルあるいは構成員の事業者活動の制限として独占禁止法上問題となり得る行為でございますが、今回の法案におきましては、まず第一に、協議の当事者でございますが、一方の当事者であります著作権管理事業者、これは事業者でございまして事業者団体ではございませんので、まず独占禁止法適用除外の問題は起きないところでございます。
 もう一方の利用者代表の問題でございますが、この点につきましては、一定の要件に該当します著作権管理事業者に対し利用者代表の求めにより協議に応じる義務を課すにとどまり、利用者代表との協議は必ず行わなければならないというような、特に統制力に結びつくようなところはまずないということ。
 それから二つ目に、著作物等は個性のあるものでございますので、例えば協議に際しまして、調わなければ自分のところとは取引しないといってもこれはほかから調達するようなことはできませんので、いわゆるボイコットのようなそういった統制力を用いたことはできない。さらに、利用者は指定管理事業者と個別に交渉が可能になっております。
 加えて、著作権の管理事業者は第三者に対しまして管理著作物等の利用の許諾を拒んではならない、したがいまして独占の問題も起きないということで、そのような観点からいたしますれば、著作権等管理事業法に基づいて利用者代表が指定管理事業者と協議を行うこと自体は独占禁止法上問題とならないと整理いたしまして、適用除外規定を置かなかったところでございます。
#13
○阿南一成君 ありがとうございました。
 本法案によりますと、文化庁長官は、一つの利用区分のうちで徴収をする使用料の額が相当の割合を占める事業者を指定著作権等管理事業者として指定することができることになっております。この指定著作権等管理事業者は、利用区分ごとに利用者の利益を代表すると認められる団体や個人を利用者代表といたしまして、この利用者代表との間で協議を行って使用料を決めることになっております。
 ところが、この利用者代表がどのような基準によって決められるのかがこの法律を読む限りでは判然といたしません。一たん利用者代表と協議が調って使用料が決まりましても、同じ業界の中でこの使用料に納得しない人たちが別のグループをつくって利用者代表となることも考えられるのではないかと思うところであります。利用者代表との協議が調わない場合には文化庁長官が裁定を行う仕組みをとっておりますが、頻繁に使用料に関する協議や裁定が行われて、そのたびに使用料が変わることになりますと、利用者も安心して著作物を利用することができないのではなかろうかと思う次第であります。
 使用料規程の安定性や信頼性を維持するためには利用者代表の基準をもっと明確にする必要があると考えるのでありますが、政令、省令または告示行為等において明らかにする用意があるのか、文化庁の答弁を求めます。
#14
○政府参考人(伊勢呂裕史君) 利用者代表とは、ある利用区分におきます利用者数それから使用料の額等から見まして利用者の利益を代表していると認められる者をいうわけでございます。利用者代表の基準といたしましては、ある利用区分におきまして利用者数、使用料の額ともに半数を超えることが望ましいわけでございますが、そういった団体が存在しない場合には、協議・裁定制度というのを生かすためにある程度半数を下回ってもやむを得ないものもあるというふうに考えております。
 先生御指摘のとおり、利用者代表の具体的な基準につきましてはこの法案だけでは必ずしも明らかではないということのため、実態を調査いたしまして、省令、運用基準を作成して公表することによって明確にしてまいりたいというふうに考えております。
#15
○阿南一成君 よくわかりました。
 次に、利用者という立場からこの法案の内容について考えてみたいと思います。
 利用者としては、指定著作権等管理事業者でない著作権等管理事業者との間の使用料規程の内容がいかに不当なものであっても、本法案においては協議及び裁定制度を求めることはできない仕組みになっております。
 そこで、指定著作権等管理事業者でない事業者、例えば宇多田ヒカルちゃんの作品を独占的に管理している場合、仮にその事業者が一方的な使用料規程に基づいて不当に高額の使用料を請求するというようなことがあった場合には利用者はそれを受けざるを得ないではないかと、この法案を見る限りは思うのであります。このような不当請求から利用者を守るための手段として本法案はどのような制度を用意しておるのかが見えてきません。文化庁にお伺いしておきたいと思います。
#16
○政府参考人(伊勢呂裕史君) 先生御指摘のとおり、円満な利用秩序を形成するためには、指定管理事業者だけでなく一般の管理事業者につきましても利用者側の意見を十分尊重した使用料規程というのを作成する必要があるというふうに考えております。
 この法案では、全管理事業者につきまして使用料規程の届け出前に利用者または利用者団体から意見を聴取する努力義務というのが課されております。また、指定管理事業者以外の管理事業者が仮に不当に高額の使用料を定めた使用料規程を届け出た場合などで文化庁が利用の円滑化を阻害するおそれがあると認めたときには、届け出から三月を限度といたしまして使用料規程の実施を延長することができますし、また必要に応じて業務改善命令というのを出して是正措置ができるようになっております。
 こういったように、この法案では指定管理事業者以外の管理事業者からの不当な高額の使用料の要求などに対しまして利用者側の利益を保護する仕組みというのが整備されているというふうに考えておりまして、円満な利用秩序の形成は可能であるというふうに考えております。
#17
○阿南一成君 ありがとうございました。
 次に、本法案の施行日でありますが、その附則において平成十三年十月一日とされております。そういたしますと、現在は平成十二年の十一月でありまするので、施行日までに既に一年を切っているということに相なろうかと思うところであります。
 本法案は、昭和十四年制定以来一度も改正が行われなかったいわゆる仲介業務法の全面改正であるわけであります。それにしては施行日までの期間が少し短いのではなかろうかというふうに思うのでありますが、本法案の仕組みを、著作権等管理事業者になろうとする団体、著作権者、著作隣接権者、そしてその利用者等に十分理解をしていただくためには、政府としては相当の努力が必要であろうかと思うのであります。
 今、政府が推進をしておりますIT革命の波は、日本社会のあらゆる分野に押し寄せ、日本の社会経済構造を大きく変革させていくと考えるのであります。そして、当然著作物やそれを取り巻く著作権等の分野にも新しい波が押し寄せてくるものと思うところであります。
 そこでお願いをしたいのでありますが、昭和十四年に制定されたいわゆる仲介業務法の初めての全面改正ということを頭に置いていただいて、もし仮に今国会でこの法律が通るとすれば、既に施行期日までに一年を切っているということでありまするので、そしてまたさらにこの法案が一般国民には極めて理解のしにくいといいますか、極めて技術的な法律条項がたくさんありまするので、国民の皆さんに十分に理解していただくために政府として啓蒙広報活動に相当のエネルギーをつぎ込んでいただきたいというふうに思います。そうして、せっかくつくった法律でありますので、国民の皆さんにもよく理解をいただき、活用していただきたいと思うところであります。
 この点に関しまして、大島大臣の決意をお伺いしておきたいと思います。
#18
○国務大臣(大島理森君) 今、阿南先生からこの法案についての心配な点あるいはまた問題点を克明に御質問いただき、そのやりとりを伺いながら、最後に、六十年ぶりの改正でございますのでいかに国民の皆さんに御理解いただけるかというのが一番のポイントだという御質問でございます。全くそのとおりだと思っております。
 それと同時に、先ほど御質問もございましたが、国際社会、特にアジアに対する理解、今までもやってまいったところでございますけれども、そういうふうなことに対しても御理解をいただくように、あるいはしなさいということでございますから、私ども、今の先生の御意見もまさにそのとおりだと思い、全力を尽くして、法案を成立させていただいた暁、国民の皆さん、関係団体の皆さん、またプレーヤーの皆さん、多くの人々に理解ができる、そして広報活動こそが一番これからの大事な点だという思いを持って全力を尽くしてまいりたいと、このように思います。
#19
○阿南一成君 ありがとうございました。
 大臣及び行政の皆様方の御協力によりまして若干時間が余っておりますので、質問通告はしておりませんが、答えられるだろうと思いますので、若干の質問をさせていただきます。
 まず一つは、先ほど総理府の坂東さんから御答弁を賜ったところでありますが、日本音楽著作権協会が公益法人としての著作権思想の普及啓蒙活動を行いつつ営利法人と競合しなさいということは、市場の競争原理とは無関係、公益事業の展開を進めるという公益法人の本質にも相入れない云々という質問をいたしまして、総理府からの御見解を賜ったところでありますが、本法案の所管官庁である文化庁の御見解もこの際伺っておこうかと思う次第であります。
#20
○政府参考人(伊勢呂裕史君) 著作権等の管理団体というのは著作者等が自己の権利を守るために創設して発展してきたという歴史的経緯がありますために、諸外国も含めまして実態として管理団体というのは権利者団体でございます。非営利団体であることが多いわけでございます。また、世界の管理団体の国際連合でございますCISACでも管理団体は非営利法人でなければならないというふうにしております。我が国におきましても、権利者の中には権利者によって構成された公益法人などの非営利法人が管理事業を行うべきであるという意見を有する者も多いわけでございます。
 この法案では、権利者に権利の管理方法や管理事業者についての選択権を認めることとの関連から、原則として法人であれば根拠法にかかわらず管理事業者としての適格性を認めるというふうにしておるわけでございますけれども、文化庁といたしましては公益法人よりも営利法人を優先させるべきというふうには考えておりませんで、また営利法人におきましても著作権等管理事業の公益的な性格に配慮した運営が必要であるというふうに考えております。
 意思決定の方法あるいは会計処理、税制上の取り扱いなどにおきまして公益法人と営利法人では異なる点も多いわけでございますが、この法案ではそれぞれの長所短所を踏まえた上で権利者の選択の自由を確保しようというものでございます。
 先ほど総理府の方から答弁がございました公益法人の運営に当たっての平成八年の閣議決定による基準によりましても、こういう場合には公益性の高い事業を付加する、あるいはそうならない場合には営利法人への転換を行うという話がございましたけれども、この著作権等管理事業が本来有しております公益的な性格あるいはJASRACの行っております著作権思想普及事業の公益性に照らしまして、JASRACが直ちに営利法人に転換すべきというふうには考えておりません。
 以上でございます。
#21
○阿南一成君 ありがとうございました。
 IT革命の波が進展していく中にあって、大島大臣も指摘しておりましたとおりでありますが、本法案もその見直し規定をこの附則第七条でセットをしてあるようであります。したがいまして、文化庁においてはしっかりと実態をフォローしていただいて対応していただくことを期待をいたしまして、若干の時間を余して私の質問を終わります。
#22
○佐藤泰介君 佐藤でございます。よろしくお願いします。
 まず、文化全般について大臣に伺いたいというふうに思います。
 著作権法はその第一条で、著作物、著作権、著作隣接権の有する文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とすると規定をしております。本法案もその第一条で、著作権等の権利を保護し、その円滑な利用を確保することによって文化の発展に寄与することを目的とすると規定しております。
 著作権法、今提案されています本法案の規定は、我が国が世界に向けて我が国の文化の発展にどれだけ関心を示しているのか、あるいは示さなければならないのか、いわば著作権制度のあり方は我が国の文化レベルを示すバロメーターであるとも言えると私は思っております。
 国の存立基盤を文化に求める場合、我が国の文化予算がどの程度のものであるか、そしてそれを諸外国等、特に先進国と比べてどの程度のものであるかを知る必要があると私は思います。ただ、この比較は各国の文化行政の組織や制度、文化関係予算の範囲、内容等が異なることから、国家予算に占める比率を単純に国際比較することは困難だとは思います。
 しかし、文化庁の資料によると、昨年、十二年度の文化庁予算は前年度比二億八千七百万円増の八百七億九千百万円であり、文部省一般会計予算の一・三七%で、国の一般会計予算の〇・一〇%を占めているというその程度であります。著作権等を初めとする文化に非常に関心を示していると言われるイギリス、フランス、ドイツそしてアメリカ等の文化関係予算と比較しても、我が国の芸術文化振興支出はまだまだ少ないものと言わざるを得ない、このように私は認識をいたしております。
 そこで、お伺いいたしますけれども、著作権法そしてこのたび提案されている本法案、どちらも我が国の文化の発展に資することを目的とするものであると、このように目的に述べられております。
 確かに、こうした法律による著作物等の利用についてのルールを設定することは重要だと考えます。しかし、我が国の文化にかかわるものについて法律によるルールを整備する前に、国として行うべき文化保護のための政策をさらに私は充実する必要があるのではないかと考えております。
 この点について、さきにも述べましたけれども、我が国の文化予算、芸術文化等の振興策は諸外国に比べて、どう表現したらいいかわかりませんが、かなり私自身は見劣りをするのではないかと、このように思っております。
 そんな点をまず大臣の所見を伺うと同時に、また今後の我が国の文化行政のあるべき姿についても大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。
#23
○国務大臣(大島理森君) ただいま佐藤先生から国際比較の観点からの御指摘がございました。単純には比較はできませんけれども、先生の御指摘いただきましたように、予算総額の中におけるいわゆる文化予算というものを比較いたしますと、確かに日本は〇・一%、イギリスは〇・四二%、フランスは〇・九四%、あるいはドイツは〇・二七%、アメリカは〇・〇一%と、こうなっております。それぞれの事情がそれぞれにあります。例えば、アメリカなんかはむしろ民間の支援というものが非常に盛んな国でございます。そういうふうに比較をいたしますと、日本の文化予算というのは国際比較論からしても決して多いとは言えない、むしろもっと充実すべきであるという御指摘は全く同感でございます。
 一方、国内あちこち回りましても、いわゆるハードとしての文化を供給する建物が相当できてきたというふうな感じがいたします。しかし、その中身をいろいろ分析させていただきますと、先般も御指摘いただきましたが、やはりこの中身をどうこれから詰めていくか。地方は地方の文化というものが育っておりますし、あるいはまた本物の、本物と言うといろいろ語弊があるかもしれませんが、東京、大都市でやるそういういろんな芸術文化のものを地方にも分散していって見てもらおうじゃないか。そういうふうないろんな建物の中身を詰めていくという我々はこれから大きな役割また仕事、政策としてやらなきゃならぬのではないか。
 そういう観点から、平成十三年度の概算要求におきまして、私どもは日本新生特別枠及びその留保枠分を含めて総額九百五十四億円を要求いたしております。これは対前年度百四十五億円の増でございまして、一七・九%の増を要求しております。そういうことを通じながら、芸術文化や伝統文化を通じた地域の活性化の支援を行っていきたい。大きな柱を立てて、そういうふうな予算をこれからしっかりと裏づけをさせていただきながら、文化振興を推進してまいりたい。
 一つは、伝統文化というものもきちっとして継承しなければなりませんし、先ほど申し上げましたように、すぐれた芸術文化の創造発展というそういう観点からの実行もしていかなきゃなりませんし、また国際貢献という観点、国際交流という観点、そういうものをもろもろ含めた予算を私どもは今立てて平成十三年度に向かおうとしているところでございます。
 文化という問題は、私はそこの国民あるいはそこの人々の教養につながる大きな柱である、このように認識しておりますし、先生の御指摘のとおり、我々はいろんな法律をつくる、その目標はあくまでも文化の発展に寄与するということからも、文化そのものを充実発展させていくことがこれからの大きな政策の課題であるとの認識のもとに努力してまいりますので、御支援と御協力をまたお願いしたい、こう思っております。
#24
○佐藤泰介君 一足飛びにとはいかないと思いますけれども、一七・九%増の要求ということでございますので、ぜひ実現できるように、我々も頑張りたいと思いますので、大臣も全力を挙げていただきたい。
 と同時に、ハードの中身と、それから伝統文化、地域の活性化、国際交流、三点ぐらいにわたって今話をされたと思いますが、私も多少、ことし夏、いろんな地域で盆踊りなんかやりますと、子供たちもそれに参加をして、伝統文化といいますか、地域の活性化につながっているような地域がたくさんあるんですよね。しかし、そういうところで太鼓が買えないとかばちが買えないとかというような声もあるわけで、そういった点にもきめの細かい、何といいますか、文化予算等々を振興のためにお使いくだされば、そういうニーズは結構整いつつあるんではないかというふうに私は思っております。
 限られた時間ですので、大臣もお思いがあると思いますけれども、次の質問に移りますが、よろしくお願いします。
 私は、芸術文化等がさらに振興し、そうした芸術文化等に国民が関心を示せば、著作物や著作権等の利用等に関する理解も深まり、本法案のような著作物等を管理する団体に係る法律の制定などの、遠い将来かもしれませんけれども、必要はなくなるんではないか。既存の公益法人等に係る法律の規制だけで十分になるのではないかということも将来的には政策としてあり得るのではないか。むしろ、そういう方向に進むべきではないだろうかと、こんな感想を持っているのでございますが、大臣、いかがでございましょうか。
#25
○国務大臣(大島理森君) いろんな考え方があると思うんですが、やはり文化のオリジナリティーというのは大変クリエイティブなものだと思うのでございます。そして、そのことがやはり価値として評価しなければならない。価値として評価するには、その価値をやはり流通させる。あるいは多くの人に知ってもらうためには、そこにはきちっとしたルールをつくっておくことの方が文化の発展になるのではないかな、このように思っておりますし、そういう観点から今度の法改正を行ったところでございます。
 それが答えでございますが、なお、先ほど先生からちょっと御提案がございましたので、そのことにちょっと触れさせていただきますが、私どもは芸術文化新生プランという中で、まさに伝統文化にもそういうふうな、補助というとまた怒られるかもしれませんが、そういうことも考えていると、先生が御提案されたことに対してもお答えできるようなことも考えているということを最後にちょっとつけ加えさせていただきます。
#26
○佐藤泰介君 ルールが発展につながっていくという話もありましたが、それと同時に、私は、もっともっとこれからのいろんな場で芸術家を尊重するような教育、あるいは芸術を社会的に保護する仕組みだとか、そういった思想を醸成することも、ルールをつくっていくと同時に、ルールのみが私は文化が発展するというふうには思いませんので、芸術家を尊重するとか、そういう教育の充実、あるいは芸術を社会的に保護する、そういった仕組みや思想を片一方では醸成していく。
 今、大臣、ルールのことだけ言われましたので……
#27
○国務大臣(大島理森君) ちょっとお答え、よろしいでしょうか。
 大変失礼しました。先生、全くそのとおりだと思うんです。それで、実は、小学生や中学生に「著作権ってなに?」という、こういう本もつくりまして、つまり、精神、スピリットで物をつくるというものがどんなにすばらしいことかということをしっかりと皆さんに知ってもらう、子どものときから知ってもらう。そういうことがとっても大事だと思いますし、先ほど御質問もございましたが、著作権というものの普及というものがどんなに大事かということの広報活動の必要性、それから文化活動をすることに対する評価、文化そのものに対する評価ということが問われているということは同じ認識を持っておることも申し上げたいと思います。
#28
○佐藤泰介君 ありがとうございます。共通認識に立てたようでございますので、次の質問に移ります。
 私は、芸術文化等の振興策等が発展していけば、おのずと著作権者の権利の保護が、先ほど私が申し上げたような形で発展していければ保護が図られる、また著作物等の円滑な利用が確保されれば我が国の文化は発展していくものだと、このように思っております、基本的には。したがって、著作権等に関する法律による規制は必要最低限にとどめるべき、その方がより理想的ではないかなというふうに個人的には思っているんです。
 この点について何か御所見があったらお伺いをしたいと思いますし、それでもやはり法によって権利の囲い込みだとか権利の管理が強化されていくようになると、これはもはや著作権法及び本法案が規定する文化の発展に資するという目的が逆に薄れていくというか変質して、新たな秩序管理、秩序形成という目的につながりかねぬのではないか、このようなことを常日ごろ思っているわけでございますけれども、今後、情報化社会の基盤整備がますます充実していくとともに、著作権に対する考え方、著作物の利用に対する考え方も変質していくことが予想される現在、著作権法及び本法案の所管行政庁である文化庁の来るべき二十一世紀における著作権等にかかわっての取り組む姿勢、それからビジョン等をお示しいただければというふうに思います。
#29
○政府参考人(伊勢呂裕史君) 二十一世紀における取り組む姿勢及びビジョンということでございますと、著作権制度につきましては、今後のインターネットなどの技術の発達等によりまして著作物の利用形態が多様化する、あるいは社会経済情勢の変化や国際的動向を考慮いたしまして適時適切に改善を図るということが必要になってまいりますし、国益にかなう国際秩序の形成に努めていくことが重要になってくるわけでございます。また、著作権の実効的な保護のためには、国民一人一人が著作権を尊重するよう意識を高める必要があるわけでございます。
 文化庁におきましては、以上のような観点から、著作権制度の改善、著作物の新たな利用形態に対応した権利処理ルールの確立、権利処理体制の整備、著作権保護思想の普及啓発、それから国際的協力の推進に努めているところでございまして、特に最近の技術の発達には目覚ましいものがございますので、時期を失することなく適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
 それから、その前に言われた先生の考え方の、我が国の文化の発展と著作権の保護、利用との関係でございますけれども、先生の御指摘のとおりとは思いますが、ただ著作権制度というのは国際的なかかわりの中でいろいろ条約とかそういう関係で保護されてきているものでございまして、我が国だけその保護水準を下げるというのはこれはなかなか難しいのではないかというように考えておるわけでございます。
 以上でございます。
#30
○佐藤泰介君 最後に言われました点は、私も十分踏まえてこれから考えていきたいというふうに思います。
 私は、基本的には著作権管理というのは著作者と受け手の間をできるだけ近づける、遠ざけるものではあってはならないというふうに個人的には考えております。創作者と受け手が相互に信頼をし合えるような関係をつくり上げていく。それは国内的にも、今言われたように国際的にもそうなんだろうというふうに思いますが、著作権等にかかわる制度をそんな形で二十一世紀に向けてデザインしていけたらなというようなことを考えていることを申し上げながら、著作権等に関する制度の中に創作者と受け手の間に余り高い関所があるということは、これからできるだけその関所というものは緩やかで文化の発展に資するような形で、これは国内的にも国際的にもそんな方向に進んでいくべきであろうし、そういう方向に進めていきたいなというのが私の考えでございます。今、次長が言われた国際的な問題も、その中であわせて私は考えていきたいなということを申し上げて、次の質問に入らせていただきます。
 この法案の提出までの経過についてお伺いをしたいと思います。
 本法案は、当初、さきの通常国会に提出される予定であったと聞いております。本院においても関係者によりその旨の説明がされたと聞いておりますが、しかしながら法案提出は見送られ、今国会に提出の運びとなった、このように聞いております。こうしたことは過去に余り例がないとも聞いております。今回の提出に際しても、先ほど阿南委員の方からも質問がありましたが、関係団体等への事前説明が十分でなく、法案の内容についても春先の段階とかなり異なるという話も漏れ聞いております。
 この法案の国会提出に際しては、著作権等管理事業にかかわる関係団体、利用者等との意見交換が十分に行われてきたのか。また、この法案提出について全般的には歓迎されていると私も思っておりますが、先ほど来話があるように、法案そのものについてはなかなか理解できない点がある。
 政府としてはこんな点を踏まえて、この国会に提出されたそんな理由、ちょっと急いだんではないかと私は思いますけれども、何か理由がございましたらお伺いします。
#31
○政府参考人(伊勢呂裕史君) この問題につきまして、関係者、関係団体、利用者との意見交換の話でございますけれども、著作権審議会におきまして著作権の集中管理委員会というのを設けまして、そこで検討している段階から関係団体の代表には委員として加わっていただきまして議論を積み重ねてきたところでございます。この審議会の報告が出ました後、ことしの三月には著作権等管理事業法の文化庁試案というのを作成いたしまして、関係団体の意見を聴取いたしました。さらに、この九月に内閣法制局による法案審査のめどがついた時点で改めてこの法案の文化庁試案を作成いたしまして関係団体から意見聴取をしたところでございまして、この段階において関係団体の意見を踏まえまして幾つかの点については条文を修正いたしております。こういうことから、文化庁といたしましては、関係団体、利用者等との意見交換は十分に行われたというふうに考えているところでございます。
 また、この法案をこの臨時国会に提出いたしましたことにつきましては、一つには、IT革命を推進し、ITを利用したコンテンツ産業の発展を促進するためには著作権処理の新たなビジネスルールの確立が望まれておりまして、そのためには時代の変化を踏まえた著作権等の管理制度を早急に整備する必要があるということ。二つ目には、著作権の管理事業を規制しております現行の仲介業務法というのは独占団体による管理を予定しておりまして、権利者、利用者の選択権の制限などに対する批判があるということでございまして、新規参入の容易化が緊急の課題になっているということ。三つ目は、仲介業務法の見直しにつきましては、権利者団体それから利用者団体から新法の早急な制定が要望されておりまして、この新法の制定を前提に管理事業の実施に向けて準備中の団体もあるということでございます。
 ということで、早期の国会提出が必要と考えまして、この臨時国会に提出した次第でございます。
#32
○佐藤泰介君 今の御説明、理解はさせていただきますけれども、法律に照らしてみますと、本法案、本則の条文数が三十四カ条だろうというふうに思います。そのうちに委任規定が十二、全体的に行政サイドの裁量が私は多くなっているんではないかという部分もちょっと疑問に思っております。これは、行政手続法が実施され、また来年には情報公開法が実施される予定である現在、ちょっと行政サイドの裁量が多過ぎるこの法案は時代の流れに逆行するものではないかという疑問もあり、この法案の不明瞭さをより引き出している。今、答弁ございましたけれども、そんなことを思っております。
 附則の七条で、閣法でありながら、あえて言わせていただくと、国会の立法制定権を拘束する検討条項が明確に盛り込まれているのも私が先ほど申し上げたような点を踏まえてではないかと思うんですけれども、そんな私の疑問に対して文化庁としてお答えいただければと思います。
#33
○政府参考人(伊勢呂裕史君) 行政の裁量というふうに言われましたけれども、中身としては専門的、技術的な部分が多くて、これは裁量になるのかどうか。専門的、技術的なある程度一応決まったものになるんだろうと私ども考えておりまして、行政庁が裁量によってどうこうするというものではないというふうに思っております。
 それから、見直し条項の話につきましては、近年新しい、要するに六十年間続きました仲介業務法を今度新たに見直して新しい法律をつくるということでございますので、やはり最初のうちなかなかうまくいかない部分もあるということもあって、何年か後には見直してみたらどうだということで入れたものでございまして、そういう懸念があるからということもあるのかもしれませんけれども、そういうのはこういう法律なんかにはつくのが通常の形であるというふうに思っております。
#34
○佐藤泰介君 運用上の問題でございますので、今答弁されたような方向できっちりと運用をお願いしておきたいというふうに思います。
 それから、独禁法との関係でちょっとお聞きしたいと思いましたけれども、一つ目にお聞きしたかった独禁法二十三条、適用しない旨を規定しているが、本法案についてはという質問を用意しました。これは先ほど阿南委員がお聞きになりましたので飛ばさせていただきますが、現行法上では著作権法上の商業CDの二次使用料に係る協議制度には独占禁止法上の適用除外が認められているが、本法案が成立し施行された後、利用者団体または利用者代表による使用料等に関する協議が行われた場合は独禁法上の問題は生じないのか。また、この独禁法上の問題が生じないための要件等があれば、これは公取の方と文化庁の方、両方にお聞きをしたいと思います。
#35
○政府参考人(鈴木孝之君) お答え申し上げます。
 この著作権等管理事業法案におきましては、利用者代表が指定管理事業者に対し使用料に係る協議を求めた際には指定管理事業者はこれを応諾しなければならず、または協議不調の場合には文化庁長官が裁定を行う制度が設けられております。
 そこで、一般的には、独占禁止法の観点からいいますと、この協議の両当事者において、例えば団体で行われたときにその団体の統制力が使われるかどうかという懸念がございます。そのような統制力が使われて事業者団体による価格カルテルあるいは構成員の事業活動の制限となりました場合、独占禁止法上問題となり得るものでございます。
 今回の法案におきましては、先ほど先生御指摘ありました商業用レコードの二次使用料に関する協議と異なりますのは、まず、一方の当事者であります著作権等管理事業者、これは本法案の方では事業者でございまして事業者団体ではございません。商業レコードの二次使用料に関する協議においては指定団体と、団体が一方の当事者になっているという違いがございます。したがいまして、まず、一方の当事者であります著作権等管理事業者に関しましては独占禁止法の問題は生じないことになります。
 もう一方の当事者であります利用者代表、これが利用者団体でございますときに団体の統制力が使われて協議が行われるかというところでございますが、この点につきましては、一定の要件に該当する著作権等管理事業者に対し利用者代表の求めにより協議に応じる義務を課すにとどまり、利用者代表との協議は必ず行わなければならないということではございませんので、まずその点で統制力が使われる懸念が薄いということでございます。
 それから次に、著作物等は個性のあります創作作品でございますので、これにつきましては、自分のところと協議が調わなければ使えないということではございませんで、そのような代替の作品がほかに求められるわけでございませんので、これについてボイコットのような統制力を使うこともまたできないと。
 さらには、利用者は指定管理事業者と個別に交渉が可能となっておりますし、また著作権等管理事業者は正当な理由がなければ取り扱っている著作物等の利用の許諾を拒んではならないということでございますので、何か有利な条件をもって自分のところで独占するとか、そういうこともできないということで、著作権等管理事業法に基づいて利用者代表が指定管理事業者と協議を行うこと自体は独占禁止法上の問題とならないと整理いたしておるところでございます。
#36
○佐藤泰介君 ちょっともう時間がないので、いいです。
 ということは、利用者団体が集まって使用料について協議しても、それは独占禁止法上の問題は生じないということでいいですか、今の答弁は。
#37
○政府参考人(鈴木孝之君) ただいま申し上げました要件を満たしておりますれば問題は生じない、つまり競争を制限するような事態は生じない。ただし、そのほかの面で、例えば利用者団体が、構成事業者が指定管理事業者と個別に交渉を行うことを制限いたして……
#38
○佐藤泰介君 そこはいいんでしょう。その辺はいいんでしょう。
#39
○政府参考人(鈴木孝之君) そういうことを制限──いいことになっているわけです。
#40
○佐藤泰介君 まとまってというときはどうなるんですか。まとまってというときは、利用者団体が。
#41
○政府参考人(鈴木孝之君) まとまってというところは、そのような協議を行いましてもその後で、例えば先生がおっしゃいますのは価格カルテルのような形になるかと思いますのですが、使用料が定まりましても、その使用料を用いまして自分のところにだけ取引を集中させるというような、普通の工業製品とは異なりまして、ほかの人も他の使用料でまた個別に使えるわけでございますので、競争がなくなる、そういうことはないということでございます。
#42
○佐藤泰介君 ちょっとわかりにくいので、もうちょっと私も整理してまた伺いたいと思います。
 ちょっと時間がないので次へ飛ばしますけれども、言いたいことは、やっぱり管理団体の方が力が強いわけで、利用者団体の方がむしろ弱い立場に置かれるわけだから、どうしても管理団体から借りなきゃならないわけなんで、利用者団体の方がかなり弱い立場に置かれるということで、私はこの問題をちょっと取り上げたかったという意図だけ御理解をいただいておきたいというふうに思います。
 時間があと二、三分になりましたので、後のところをちょっと飛ばさせていただいて、本法の施行によりJASRACの音楽分野における独占の事業形態は変化すると見ているのか。そして、JASRACの独占している分野において新たな管理事業を行おうとする者が円滑に事業に参加することができるよう行政サイドとして見守る必要があると私は考えておりますが、どのようにお考えでございましょうか。
#43
○政府参考人(伊勢呂裕史君) 仲介業務法におきましては、仲介業務の許可につきまして一分野一団体を予定しておりましたために、音楽の著作権を管理する団体はJASRACしか認めておらずに独占状態にあったわけでございます。
 この法案におきましては、事業の実施について許可制を登録制に改めたということで、JASRAC以外の団体の新規参入は自由になるということになるわけでございます。また、この法律のもとでは、作詞家、作曲家などから著作権を譲り受けました音楽出版社がみずから保有する著作権について直接権利行使をすること、すなわち自己管理といいますか、自己管理も管理業務ではないため可能になるわけでございます。
 音楽の利用につきましては、演奏、放送などの利用のように集中管理が適当と考えられる分野がある一方で、例えばネットワーク上における音楽の利用やビデオ、CDなどへの録音等のように分散管理が可能な分野もございまして、JASRAC以外の団体が管理したり、あるいは音楽出版社が自己管理を行うケースが出てくることも予想されるわけでございます。
 このため、音楽著作権の管理がすべてJASRACにおいて行われるというこれまでの状況は変化するものと思われるわけでございますが、しかしJASRACの方には経験なり実績というものもございまして、また今後委託者や利用者に対するサービスの向上も検討しているということから、引き続き当面はJASRACが最大の管理事業者として中心的な役割を果たすというふうに考えております。
 いずれにしましても、この法案におきましては、権利者が著作権管理の方法あるいは管理事業者を選択する自由を尊重するという観点から、事業の実施について登録制をとりまして新規参入を容易にしたところではございますけれども、この制度を活用してどのような事業者が参入するのか、また既存の団体との関係はどのようになっていくかにつきまして、文化庁といたしましては、この法律の円滑な運用の観点から注意深く見守ってまいりたいと考えております。
#44
○佐藤泰介君 注意深く見守っていきたい、JASRACが今後も中心になりそうだというような話がございましたけれども、やっぱりこの法案では公正競争条件がなかなか確保されていないという部分も私は残っていると思います。いわゆるJASRACの優越的地位が残っているという気が私はいたしております。したがって、新規参入はなかなか不可能ではないかなという気が私自身はいたしております。したがって、JASRACから競争の妨害がされた場合の行政的な対応というものは、やはりこれからも注意深く見守っていただきたいということを申し上げながら、あと一つだけお許しください、最後の質問をさせていただきます。
 アメリカで話題となっているナップスター、グヌーテラといった音楽ソフトの交換問題について、現行の著作権法上規制の対象となり得るのか、また回線の技術的な問題が解決されると将来的には日本でも起こり得ると私は考えますが、この点について御答弁をお願いしたいと思います。
#45
○政府参考人(伊勢呂裕史君) ナップスターやグヌーテラといいましたソフトウエアは、これをダウンロードすることによりまして音楽などの著作物をパソコンの利用者同士が無料で交換することを可能にするものであると承知いたしております。今後、我が国におきましても、回線等についての技術の進展に伴いまして、同種のファイル交換ソフトというのが出現する可能性があるものと思っております。
 これは、著作権法上で申し上げますと、権利者に無断で音楽ファイル等インターネット上で交換可能にした送信側のユーザーは、複製権、公衆送信権等の侵害によりまして不法行為責任、損害賠償責任でございますが、問われることになるわけでございます。一方、音楽ファイル等を受信したユーザーの方につきましては、私的使用の目的でダウンロードすることにつきましては自由に行うことが認められておりまして、これは著作権侵害行為に当たりません。
 ナップスターの場合には、ナップスター社みずからが複製とか送信などの著作権侵害行為を行っているわけではないんですが、著作物の違法な利用に積極的に関与しているということから、ユーザーとの共同不法行為責任を問われることがあり得るものと考えております。
 これらの交換ソフトファイルを活用するなどしてインターネット上で著作権侵害が行われている場合のサービスプロバイダー、ナップスターなんかが当たりますが、サービスプロバイダーの法的責任の明確化につきましては、現在、著作権審議会において検討を進めているところでございまして、またこの問題につきましては、名誉毀損あるいはプライバシーといったネット上の他の権利侵害との均衡にも配慮しつつ、関係省庁とも連携を図りながら本年中には対処方針を取りまとめたいと考えております。
 以上でございます。
#46
○委員長(市川一朗君) もう時間ですので。
#47
○佐藤泰介君 はい、済みません。
 ありがとうございました。
 最後に、大臣、なお一層文化振興に御努力いただくことをお願いし、三分オーバーしたことをおわびして、終わります。
#48
○松あきら君 私は、著作権法の質疑に入ります前に二点ほどお伺いしたいことがございます。それは、今大きな衝撃が走っております発掘捏造の件でございます。やはり今これを伺わないと、大変なことであるというふうに思います。
 学者や専門家がなぜ捏造を見抜けなかったのか、これも厳しく議論をされる必要があるというふうに思います。また、過去の調査の検証に加えて、鑑定の手法の確立も目指さなければいけないのではないかと思います。やはり自己申告だけに頼っているという、今回、こういう考古学という点、また発掘という点、いろいろ考慮されるべき点はあるかとは思いますけれども、一般の国民にとっては、え、そうだったの、もう少し科学的な何か検証もあわせて行われているのではなかったのかなというふうに私は思うわけでございます。私だけでなく、思っていらっしゃる方は多いのではないかと思います。
 そしてまた、もちろんこれは大変なことで、在野の方でもこつこつと研究なさっていらっしゃる方、あるいは若手の研究者、学生の方にも大きな衝撃が走ったと。そしてまた、これは日本のみならず、もちろん大臣はよくそれはおわかりのことと思いますけれども、世界的なやはりこれは発掘に対する非常に大きな危機であるというふうに言われておりまして、簡単にこれは何か魔が差したなんということでは到底片づけられない件であるというふうに私は思います。
 この点に関しまして、九月五日に不審な作業を写真撮影していたという、こういう報道ももう過去に、九月の時点であったわけです。しかし、これは御本人が記者会見するまで本当かどうかわからないということで見過ごしていたのかどうか、この辺も踏まえてお伺いをいたしたいと思います。
#49
○国務大臣(大島理森君) 先般報道されました旧石器発掘捏造事件につきまして、今、松委員から内外の信頼を失っているものであって、そういう意味で大変深刻な問題ではないか、こういう御指摘であったと思います。
 あの報道にもございましたが、九月五日のあれは不審な作業があって、当然私どもも九月五日にそういうことを知っておったかというと、全く知らないわけでございまして、あの十一月六日の報道で初めて報道されたものでございます。まず、まことに遺憾で本当に残念だなと、こう思っております。
 どのように客観的に、特に考古学だけではありませんが、一つの新しい事実を発見する、あるいはまた科学的な実績というものを評価するかというのはなかなか難しい問題でございますが、いずれにしても、これは科学的な検証、どうあるべきかというのは、文部省がこうあるべきだというふうに技術的なことも決めてやるべきものというよりは、むしろ学界においての、今度の事件を踏まえて学界の中における自律的な結論を出していただくことが私は一番いいのではないか、このように思っております。
 しかし、私どもとしても、先ほど来松先生から御指摘いただきましたように、文化庁としてかかわった部分、あるいはまたそのこととして教科書にもいろんな形で記載されていること、そういうことを踏まえながら、文化庁としても文部省としても精査すべきものは精査しなさいというふうに申し上げているところでございます。
 いずれにしても、このことによって日本の考古学の内外の信頼が失われたということを重く受けとめながら、関係者各位の御努力と同時に、精査した事実を踏まえて、文部省として文化庁としてどのような点をこれから考えていかなければならないということは、やはり宿題は私どもにも全くないというわけではない、このような思いでこれから努力してまいりたい、こう思っております。
#50
○松あきら君 大臣のお気持ちは痛いほどよくわかります。
 二つだけですというふうにおっしゃっておられますけれども、彼が過去にかかわった百八十ですか、すべてきちんと検証し直すというふうに私も伺いたいと思います。
 もう一点なんですけれども、この間の委員会で田名部先生もそして日下部先生のお話にも出ましたオリンピックとパラリンピックという点について、ちょっと私、さだまさしさんの記事を読みまして私自身も本当にそうだという思いでいるわけでございます。
 国民栄誉賞が高橋選手に贈られたと、すばらしいことですし、昨日はヤワラちゃんに総理大臣顕彰ですか、贈られたということで、これも本当に喜ばしいことだと思っております。
 実は、日本の成田真由美選手がパラリンピックで金メダルを六個、銀メダルを一個とりました。私、実は個人的にも成田選手はよく存じ上げております。私の地元にお住まいなんですけれども、本当に彼女はすばらしい方なんですね。要するに、障害をいろいろお持ちで、しかも今回のパラリンピックの三月前まではさらに内臓疾患が重くなって、もう手も上げられなくなって、全く普通に生きていること自体が大変なさらに重い病状になられていたわけでございます。ですから、シドニーのパラリンピックに出るということ自体が、お医者様が何でそこまでするんだと、命を縮めるぞとお医者様に言われたほどの障害を持っていた。それをいろいろな、もちろんお医者様等の御協力もあって障害を乗り越えて今回パラリンピックへ出られて、前回よりもまたさらに多い賞をいただいたわけです。
 さだまさしさんが「この国の心の価値観を、成田選手で測れる」と。オリンピックはすばらしいけれども、こういう障害を持っていらっしゃる方が乗り越えてこういうふうに大きな快挙を遂げられる、こういうことに対してやはりもうちょっときちんと国として評価をすべきではないかと、こういうふうにおっしゃっておられるわけでございます。
 私も、障害は持っていらっしゃるにしても、競技自体はスポーツの競技で贈られたわけですから、違う競技で贈られたわけじゃないんですから、パラリンピックは厚生省、オリンピックは文部省という垣根もおかしいと思いますし、これは大臣が総理にこういうふうになさったらいいでしょうという御進言ができるかどうかは別といたしましても、ぜひこういうことも文部大臣としてきちんと閣議等の中で私は訴えられるべきではないかと思います。この点について、いかがでございましょうか。
#51
○国務大臣(大島理森君) 閣議という中で議論するか、あるいは閣僚懇談会で議論するか、文部大臣として、個人として総理に物を言うかは別にいたしまして、今、松先生がお話しされた御意見というものをしかと受けとめながら、国会の中でもこういう御議論がありましたということは御報告してまいりたい、このように思っております。
#52
○松あきら君 ちょっと短い御答弁だったなという気が個人的にはいたしますけれども、しっかりとやはり国民にアピールをしていただきたい。そして、障害を持っていらっしゃる方にも、そして一般の国民にもきちんとこういうことを伝えることによって心の教育の役にも立つというふうに私は思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
#53
○国務大臣(大島理森君) 短過ぎて大変失礼したと、こういう御意見ですが、成田選手を初め、パラリンピックでのあの御活躍というものは国民の皆さんに私は勇気を与えたものだと、こう思っております。
 加えて、今、松先生から成田選手のお体の現状、経過のお話を伺いまして、そういうことも踏まえまして、総理にはこういう御議論もありましたということを踏まえて御報告をしてまいりたい、このように思っております。
#54
○松あきら君 大変にありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、著作権法に移りたいと思います。
 著作権を装って詐欺の疑いがあると発明学会らを弁理士会が告発するということがございました。本来は工業所有権で保護されるべき発明や工業デザインを著作権として保護できるかのように装いまして、一般から登録を募って一件当たり二千円の登録料を取っていたと。十七万件というんですから、これは物すごいお金だと思うんです。
 株式会社知的所有権協会が行っている事業は今回の法案が対象とする著作権等管理事業に該当するのでしょうか。
#55
○政府参考人(伊勢呂裕史君) 知的所有権協会が行っております、これは発明などのアイデアを登録すれば著作権として保護されるということで登録料を得ていたという話でございますけれども、著作権の対象となります著作物というのは「思想又は感情を創作的に表現したもの」というのを指しまして、また、その権利の発生には登録等のいかなる手続も要しないというもののため、この協会の登録によって著作権法上何らの効果も生ずるものではございません。
 今回の法案では、著作権等管理事業を行おうとする者について登録制を導入するものではございますが、ここの協会が行っている登録とは全く異なるものでございますため、この協会が著作権等管理事業者になるものではございません。
#56
○松あきら君 とんでもないですね、この十七万件、二千円なんということで、これは詐欺だというわけでございます。
 新規参入の道が開かれることによって利用者の選択の自由が尊重される、これはすばらしいんですけれども、今のような一方で知的所有権協会のような団体が参入することになる可能性もあるんではないかと。また、先ほど同僚議員からお話が出ました、例えば宇多田ヒカルちゃんのようなビッグアーティストあるいはタレントを抱えた団体が法外な値段を設定して、そうするとやはり聞きたいあるいは使いたいということでどうなるのか。
 やはり私は、利用者の利益を害することも考えられるんじゃないか。そのような場合、きちんとチェックできる仕組みは設けられているのか、あるいは設けられているとしたらどんな仕組みになっているのか、お伺いしたいと思います。
#57
○政府参考人(伊勢呂裕史君) 今の協会については本法案の対象ではございませんが、この今回の法案におきましては、登録制によりまして最小限度のチェックを行うということとともに、著作権等管理事業の適切な運用のために、文化庁といたしまして、著作権等管理事業者に対して報告を求めたり立入検査を行うことができるというふうにしております。さらに、著作権等管理事業の運営に関しまして、委託者または利用者の利益を害すると認められるときには、著作権等管理事業者に対して業務運営の改善に必要な措置をとるよう業務改善命令を発することができるというふうにされているところでございます。
   〔委員長退席、理事岩瀬良三君着席〕
 文化庁といたしましては、著作権の保護と著作物等の円滑な利用が図られますよう関係者に対しまして適切な指導、助言を行うとともに、問題がある場合には必要な措置を講じてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
#58
○松あきら君 ITが進んでおりますし、IT化をどんどん進めるということでございますけれども、このITが教育に果たす役割は今後ますます大きくなるというふうに思います。そしてまた、現場でも重点的な取り組みが必要になるかと思われますけれども、学校で著作物を利用する場合については著作権法上どのような規定が設けられているのか、つまりインターネット等で。
 教師が自分の担当する授業のためにその情報をプリントアウト、コピーすること、作成することは自由にできるわけでございます、今現在。児童生徒が自主的な学習を行う過程で、今は作成することは認められていないんですね。ですけれども、今後どんどんこれが進んできまして、また授業等であるいは教育の状況の中でこういうことが必要であるということになってくると思うわけです。
 ですから、今後、生徒が学習を行う過程で、例えばプリントアウトすることについて見直しがあるのかどうか、またどういうふうに今後考えていらっしゃるのか、この点をお伺いしたいと思います。
#59
○政府参考人(伊勢呂裕史君) 学校現場での著作物の利用につきましては、先生御指摘のとおり、現在の法律では教育を担任する者が授業で使用することを目的として行う複製について、著作者の利益を不当に害することがない範囲内で自由に行えるというふうになっております。生徒がみずから複製するという行為は今の著作権法上は行えないことになっております。
 ただ、先生御指摘のように、最近のIT、インターネット、いろんなそういう情報化の進展に伴いまして教育分野でも著作物の利用形態が変化しているということに伴いまして、利用者の側から生徒自身が著作物を複製する行為についても権利を認めるべきではないかという意見があるところでございます。そのため、著作権審議会ではマルチメディア小委員会の中に著作物等の教育目的の利用に関するワーキンググループというのを設置いたしまして、このような意見があることを踏まえつつ検討を進めていくというふうにしております。
 文化庁といたしましては、この検討を踏まえまして、著作権者と利用者双方の利益の保護の観点から適宜適切な措置を講じてまいる所存でございます。
#60
○松あきら君 適宜適切な、ぜひそういうふうにしていただきたいというふうに思いますけれども、インターネットなどを活用した著作物をネット送信することについて、やはりこれは教育という点でなくても、すべての点で著作物問題、公衆送信権の問題、これが生じるわけですね。
   〔理事岩瀬良三君退席、委員長着席〕
 今、やはりインターネット上のいろいろな問題が起きておりまして、難しい問題だと思いますけれども、その点に関して、これをどう守るか、今後制度的な対応を行うことが必要だと思いますけれども、この点について、いかがでございましょうか。
#61
○政府参考人(伊勢呂裕史君) インターネットの普及に伴いまして、著作物を容易にかつ大量に利用することが可能になってきているわけでございますが、そういうことからさらなる権利保護の実効性の確保というのが求められているというふうに承知しております。
 こういったインターネットの普及に対応いたしまして、文化庁といたしましてはこれまでも必要な法的整備、例えば平成九年にはインターネットによる送信に関する権利を著作権者等に付与いたしましたし、平成十一年にはコピープロテクション等を回避することを目的といたします装置の販売を刑事罰によって禁止する、さらに利用実態の把握のために著作物に付される著作権利者名の権利管理情報の改変といいますか、そういうものも権利侵害とみなす改正も行っております。
 また、インターネット上の著作権侵害に関するサービスプロバイダー等ネット上の情報仲介者の法的責任の明確化につきましては現在著作権審議会において検討を進めているところでございまして、この問題はただ名誉毀損とかプライバシー等ネット上のほかの権利侵害との均衡もございますので、関係省庁とも連携を図りながら、ことしじゅうには対処方針を取りまとめたいというふうに考えております。
 文化庁といたしましては、今後ともインターネットの普及に対応して、著作物の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利、利益を適正に確保するために著作権施策の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
#62
○松あきら君 著作権等管理事業法案、著作権の管理業者が定める使用料規程が認可制から届け出制になるということで、これは権利者側が基本的には自由に料金を決定できることになり、市場メカニズムを機能させるためには利用者側もそれに対抗できる仕組みが不可欠。これは先ほどもちょっと出ておりましたと思いますけれども、私はやはり著作権というのは権利者と利用者のバランスが大事だというふうに思います。
 先ほど伺っておりました中で、利用者側が団体で交渉するのは独禁法に当たらないということだったというふうに思いますけれども、やはり使用料規程の事前協議、例えば権利者側と利用者側がきちんと話し合う、これについてはそれで大丈夫なんですね。その点をきちんと私はやはり話し合わなければならないのではないかな、話し合う場も必要なのではないかなというふうに思いますけれども、この点について、いかがでございましょうか。
#63
○政府参考人(伊勢呂裕史君) 今回の法案では、管理事業者に対しまして使用料規程を届け出る際にはあらかじめ利用者または利用者団体の意見を聴取するよう努めなければならないということを義務づけております。これは、管理事業者が定める使用料規程の内容というのは著作物等の円滑な利用に大きな影響を与える可能性があるため、利用の円滑化を図る観点から事前協議によりまして利用者の意見を踏まえた上で使用料規程が定められるようにという趣旨に立つものでございます。この法律の運用に当たりましても、この点には十分留意してまいりたいと考えております。
#64
○松あきら君 どうぞよろしくお願いいたします。
 終わります。
#65
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 今回の著作権等管理事業法案では、著作権管理団体の適用対象の範囲が見直されて、俳優や歌手といった実演家などの権利である著作隣接権まで広げられたことは重要なことだと思います。しかし、意見のある点もございますので、疑問点を含めて質問をいたします。
 まず、今回の法案に関係する方々に私もいろいろ伺いましたけれども、例えば日本音楽著作権協会、JASRACの方からは、営利法人の参入で、文化の振興や著作権の保護より利益優先の運営になりかねない、この結果、経済効率優先で、一部の売れ筋の作品以外の管理を引き受けなかったり、無断利用があっても採算がとれなければ放置するということが起こるのではないかという危惧の声も寄せられております。
 先ほども委員からもお話がありましたが、著作権協会国際連合、CISACの憲章では、十三条に、管理団体は商業上または利潤の獲得を目的とする組織であってはならないと規定をしております。フランスやイタリアなど、著作権法などの法律で、著作権管理団体は営利法人であってはならない旨を規定しているというふうにも伺っております。アメリカに著作権を管理する営利法人があるぐらいだということで、そこでも株主配当は行わず、総収入から運営経費を差し引いた金額を分配している。実態は非営利の音楽著作権管理団体と変わらないというふうにも聞いております。
 そこで伺いたいのですが、いろいろ心配する声があるように、例えば無断利用があっても採算がとれなければ放置する、こういう事態が起きたときに文化庁としてはどのように対処されるのか、伺います。
#66
○政府参考人(伊勢呂裕史君) この法律の運用に当たりましては、権利者の保護と利用の円滑化という趣旨を生かすために、文化庁といたしまして、著作権等管理事業者の業務が適正に行われるよう、日常の指導、助言あるいは実態把握などに努めてまいりたいと考えております。
 無断利用を放置するといったような権利者の権利を適切に管理しない管理事業者につきましては、第一義的には権利者が委託契約を解除することによって対抗措置を講じるものでございまして、そういった管理事業者は社会的信用を失いまして淘汰されていくことになると考えますけれども、文化庁といたしましては、権利者に重大な不利益が生じないよう、業務の適正化についても指導をしてまいりたいと考えております。
#67
○畑野君枝君 大島大臣には出してなかったんですが、ちょっと御確認をさせていただくんですが、著作権保護や権利者擁護ということを管理事業者に文化庁としてきちっと徹底するというのは当然のことだというふうに思うんです。ぜひ、そういう点で心配のないように進めていただきたいということを御確認したいと思いますが、いかがでしょうか。
#68
○国務大臣(大島理森君) 当然のことと思っております。
#69
○畑野君枝君 次に、使用料規程についての紛争の問題ですが、その際、権利者と利用者が十分納得できる裁定にする必要があると思います。
 法案二十四条では「文化庁長官は、裁定をしようとするときは、文化審議会に諮問しなければならない。」とされております。今回、新しく文化審議会がつくられるということですが、そうした審議会やその下部機関に、例えば法律家や学識経験者だけではなくて、利用の実態や著作権管理の実務に詳しい専門家についても入れていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#70
○政府参考人(伊勢呂裕史君) この法律が予定いたしております裁定制度の適切な運用を図るために、文化審議会にその裁定が諮問されるということになっております。その専門性にかんがみまして、文化審議会の下に実質的な審議を行う下部機関を置くことが必要であると考えております。その場合には、著作権に関する学識経験者によりまして構成することを想定いたしております。
 この下部機関の具体的な構成員というのは、法案成立後、その人選などの検討を行うことになるわけですが、特定分野に偏らず幅広い分野の使用料について諮問されることが考えられますので、著作物等の利用の実態あるいは著作権管理の実務についても幅広い知識を持って、かつ中立公正な判断の行える人を委員として選びたいと考えております。
 また、裁定に際して審議を行う際には、必要に応じて著作権管理に関する実務家の意見も聴取するなど、適切な結論が得られるように十分配慮したいと考えております。
#71
○畑野君枝君 その下部機関というのは、具体的にどのようなものをつくっていくということになりますか。
#72
○政府参考人(伊勢呂裕史君) 文化審議会の中に著作権分科会というのができるわけでございまして、その下に、今も著作権審議会には使用料部会がございますが、そういったものをつくるということになると思います。
#73
○畑野君枝君 これまで以上に分野も広がるわけですので、権利者においても、また利用者においても、実態や実務に詳しい人の意見をよく聞いていただいて、きめ細やかな対応をしていただきたいというふうに思います。
 見直し規定も三年後ということでございますので、本当によく意見を聞いていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。
 次に、今回、先ほども申し上げましたように、俳優など実演家を含む著作隣接権にまで管理事業者が広げられたということは、関係者の方の長年の要望の反映だというふうに思います。同時に、デジタル化、ネットワーク化に伴い、一層の今後の対応が求められているというふうに思います。
 例えば、映画の俳優の場合ですけれども、何万本もビデオやDVDが売れても、世界じゅうでテレビ放映されても一切報酬がありません。二次使用の報酬権がないからであります。
 一方、同じ実演家である歌手の場合、商業用レコードについての二次使用の報酬権はございます。今回、JASRAC賞というのが二〇〇〇年度の金賞というのを発表しまして、著作物使用料の分配額が多かった作品に贈られておりますが、先ほどから言われている宇多田ヒカルさんが金賞を受賞されております。作詞・作曲家としてだけでなく、CDが放送されれば歌手としての二次使用の報酬もあるわけです。しかし、その歌手の方もビデオといった映像になると二次使用の報酬権はない。音にはあって映像にはないというのが実態です。
 今後、ITと言われておりますが、ブロードバンド時代、高速インターネット時代にあって、世界で映画のDVDが売れても、その俳優には直接は一円も入らない。特に、主役クラスでない俳優さんは超有名でも悲惨な状況になるわけです。
 私が日本俳優連合の方に伺った話ですけれども、税務署員の人から、あんなに有名なのに税金の申告はこれだけですかと言われた方もいらっしゃるというほど実態は知られていない。入っているはずだと思うけれども入っていないということです。
 これは芸団協実演家著作隣接権センターの広告ですけれども、森繁久彌さんは、僕はただじゃないですよ、こうおっしゃっているんですね。デジタル時代にふさわしい著作権法が今必要ですというふうにうたわれております。
 この点で、映像についても、二次使用の実演家の権利を擁護する、二次使用についての実演家の報酬請求権を実現していくべきではないかと思いますが、いかがですか。
#74
○政府参考人(伊勢呂裕史君) 先生御指摘のように、近ごろのさまざまな利用手段の発達に伴いまして、映画の利用が拡大、多様化しているということは確かでございまして、実演家の団体からは実演家の権利を充実すべきであるという意見があることは承知いたしております。一方で、映画製作者などは、映画の円滑な利用に対する影響などから、映画に関する実演家の権利強化について慎重な意見を持っているわけでございます。
 国際的にはWIPO、世界知的所有権機関におきまして、映画に関する実演家の権利保護に関して、ことし十二月の外交会議における条約の採択を目指しまして今検討がなされておりまして、八月には条約の草案が提示されております。
 文化庁におきましては、こういった状況を踏まえまして、利害関係者や学識経験者らによる映像分野の著作権等に係る諸問題に関する懇談会、映像懇と呼んでおりますけれども、ここにおきまして、映画に係る実演家の権利保護のあり方について、条約の草案への対応を含めまして、どういった権利を認めるべきなのか、またその権利行使の方法はどのようにすべきなのか、その論点に沿って具体的な検討を進めておるところでございます。
 そういったことで、国際的動向あるいは関係者間の協議の進捗状況を踏まえつつ、引き続き鋭意検討を行ってまいりたいということでございます。
#75
○畑野君枝君 文化庁からも伺いましたけれども、十二月のWIPO外交会議に向けて日本の政府案というのも伺っております。検討中だということだと思いますが。
 それで、当該実演家の公平な報酬を請求する権利を創設することができると。つまり、国内法で自由に決定できるよう多様性を認めるという点では私は評価できるというふうに思うんです。しかし、今お話があった映像懇でもいろんな立場があるわけですね。結局、国内法というふうになれば、製作者側と実演家の力関係によって、じゃ日本はどうなるのかということの決定になるわけです。ですから、今おっしゃったように、実演家の皆さんの願いがこれだけ多く寄せられる状況で、ぜひ権利を守る立場で進めていただきたいと思うんです。
 その点で、映画製作者側の収益のリスクの問題もあるというふうに聞いているんですが、例えばアメリカでは、リスクがあったとしても、スクリーン・アクターズ・ギルドという組合と製作者側との契約によって二次使用についての報酬請求がされております。これはその一部分ですけれども、これもIT時代ですのでインターネットでアメリカから直接取り寄せました。例えば、ビデオカセット、ディスクの場合は、百万ドルまでは四・五%、百万ドルを超すと五・四%というふうに契約で決められております。
 私、二次使用に限ってみれば、映像懇での議論も、もう本当に映画が大変になっている、小さくなっているパイをどう分配するかという話のようにも見えるわけですね。ですから、私たちの党も以前から取り上げている、例えば日本映画振興基金、こういうのを進めながら、二次使用の報酬請求権ともリンクして、それぞれ全体が納得できるということの検討を進めてはどうかということを私、提案を申し上げたいと思うんです。
 ここに、日本映画振興基金、二〇〇〇年の七月に日本映画撮影監督協会や日本俳優連合など九団体が提案しているものがございますけれども、文化庁としては検討されたことはありますか。
#76
○政府参考人(伊勢呂裕史君) この七月に日本映画撮影監督協会や日本俳優連合など九団体から提言のございましたこの日本映画振興基金設立につきましては一つの御提案と受けとめてはおりますけれども、国も相当財政支出をする、あるいは映画の収入から三%を取るといったような、厳しい財政状況あるいは現下の経済状況の中で勘案いたしますと、なかなか解決すべき課題は多いものではないかというふうに考えております。
#77
○畑野君枝君 内容としては、一つの提案ですから、いろいろと検討していくことは大事だというふうに思いますけれども、映画の制作を助成することで底上げを図って収益のミニマムを当面つくることで、一定のリスクを取り除きながら著作隣接権の二次使用についても報酬請求権を保障する、こういうリンク論など、ぜひ柔軟な発想で考えていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
#78
○政府参考人(伊勢呂裕史君) 実演家の権利を強化することについて映画製作者が慎重な態度をとっている理由というものの中には、資金の問題だけではなくて、実演家に与えられる権利の性質やその権利行使のあり方によって映画の円滑な利用が阻害されるおそれがあるということに対する懸念というのもあるというふうに受けとめております。基金の実現については解決すべき課題が多いと認識しておりますけれども、仮にその基金等による映画からの最低限の収益が保障されまして映画制作にかかるリスクがある程度除去された場合でありましても、そのことによりまして直ちに映画製作者等の懸念が払拭されるものではなくて、映画の円滑な利用に対する影響などを見きわめながら、さらに検討ということが必要であると考えられるわけでございます。
 いずれにしましても、文化庁といたしましては、国際的な議論の動向を踏まえながら、映像懇において今後とも関係者の合意形成に努めてまいりたいと考えております。
#79
○畑野君枝君 いろいろな問題も、今後、今回の法案も含めて進んでいくというふうに私は思うんです。
 それで、映画への支援というお話がありましたけれども、神奈川県にあります松竹の大船撮影所が昨年の十月二十七日に売却発表がされて、ことしの六月三十日、六十五年の歴史を閉じたわけです。この撮影所は、世界の映画人からは大変敬愛されている小津安二郎監督を初め多くの才能ある映画人を輩出し、一千六百本もの秀作、名作を生み出した撮影所であるというふうに伺っております。
 今、映画会社が映画づくりの命と言える撮影所をつぶす一方で、シネコン、こういうもので市場競争力の強いハリウッド映画の上映で収益を上げようとしているという実態もあるわけですね。
 この大船撮影所を残してという声は、署名が五万一千人、八百十七団体。それから、今映画やテレビでも活躍されている俳優さん初め、著名な映画人や文化人からのメッセージは二百通に上ったと。こうした中で、映画会社側も運動に、声に押されて新しい撮影所を建設するというのを社長さんが約束をされる、ここにありますけれども、松竹は新撮影所を必ず建設いたしますということもあったわけですけれども、また技術、職能や雇用も守るという方向になったわけですけれども、やっぱりゼロからのスタートなわけですから、本当にいろんな御苦労があるというふうに思うんです。こういう状況を見たあるほかの映画会社の重役さんも、普通の工場を売るのと違う反応があるとおっしゃっているわけで、いかに日本映画と撮影所が国民から愛されてきたかということだと思います。
 こうした大船撮影所が百八億円で売却されるということに手が打てないというのが今の日本の文化政策の状況を物語っているというふうに思うんですが、例えば日本では芸術文化振興基金による映画作成への助成が行われております。一年平均二億六千万円。今、金利が低下してなかなか収益も上がらない。一方、ヨーロッパでは、国会図書館のレファレンスを見ましたけれども、フランスでは、九六年、約五百三十六億円、イタリアは、九五年、約百四十六億円という状況で、映画は文化であるという意識を大切にしていると思うんですね。世界文化遺産の中でも映画を含めた都市が指定されているという状況も、シネマ・リガということであります。もちろん、日本も世界に誇る映画をつくってきたということは論をまちません。
 そこで、文部大臣に伺いますけれども、芸術文化振興基金による映画作成への助成の大幅拡大はもちろんなんですが、予算増額を含めて抜本的な支援策を持つべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
#80
○国務大臣(大島理森君) 映画という文化について畑野委員から今さまざまな観点から御指摘をいただきました。映画も大いなる文化の一つであるという認識は私ども持っております。そういう中にあって、今お話しされたような、予算をもう少しふやせ、いろんな各国の事情等も今お示しをいただきました。
 文化政策の難しい点は、一つ踏まえておかなければいけないのは、国が金を出すということと同時に、また意見も出すということがあってはならないわけでございます。そういうことを踏まえながらも、振興のために努力していくということは必要だなという思いを持ちつつ、平成十三年の概算要求について、足りないぞと言われれば、またおしかりをいただくかもしれませんが、映画芸術振興事業として五億円ほど要求しておりまして、今まで五本の支援事業を二本プラスして七本ぐらいにしていきたいという思いで今頑張っております。
 要は、すばらしい中身を持った映画を国民の皆さんが育てていこうという国民的映画に対する理解と、また協力というものがやっぱり根底になければいかぬのじゃないか、そういうことにおいて、そういう政策もきっちりしていかなきゃならぬのじゃないかという思いを持っております。
#81
○畑野君枝君 そういう点では、文化予算の大幅増額という点で、文化の経済効果、これもぜひ検討していただきたい。既に文化庁が文化振興マスタープラン、九八年の三月に経済と文化の問題について言っておられますし、また文化庁の委託調査でも文化の経済効果に関する調査研究というのが九七年の三月に出されております。
 この主査をされた研究者の方が発表した論文が九八年十月の文化経済学会の雑誌「文化経済学」に掲載されているんですね。そこでは、東京都内の芸術文化活動による経済波及効果を産業連関表を用いて分析したところ、東京都地域内では、建設工事や土木工事に投資するよりも芸術文化に投資した方が大きな効果を持つことが判明したと報告されております。その論文は、加えて、文化というのは崇高な価値を持っているので、経済への貢献を問題とすることはないと言うこともできようけれども、こういう研究も文化経済学に必要だというふうにおっしゃっているわけですね。つまり、芸術文化というのは公共事業より経済効果があると、東京地域では、こういう研究も出ております。
 そこで大臣に伺いたいんですが、長引く不況で雇用不安もある今日の社会、こういう文化の経済効果についても考慮して、東京だけと言わず、全国的に調査研究もして文化予算の増額を要望していくというときだと思いますけれども、いかがでしょうか。
#82
○国務大臣(大島理森君) 産業連関表を使って文化の経済的波及効果を調査しろ、分析しろというのは傾聴に値する意見の一つかなとも思いますが、この波及効果、産業連関表を使って議論をいたしますと、いろんなデータのとり方によって逆手に使われる場合があるのでございます。自分の都合のいいところばかりの数字を要素としてとりますと、いいような結果が出る場合もありますが、それは客観的な分析じゃないと言われるかもしれません。
 いずれにしても大事なことは、もちろんそういう数値的な根拠を持ちながらも、我々は文化というものが、本当に二十一世紀において、その国その国民の品位というものが国際社会の中でますますもって大事になってくる、自分の言葉で自分の文化を発信していくことの重要性というのは国際社会だからこそ必要だ、そういう認識に基づいて文化の向上というものが必要だということを私どもは国民に訴え、国民の意見も聞き、そして先生方の御意見等々も拝聴しながら一歩一歩着実に努力していくことが一番肝要だと、このように思っております。
#83
○畑野君枝君 調査研究はどうですか。
#84
○国務大臣(大島理森君) それなりに勉強はしてみたいと思いますが、調査研究した結果、逆にいろんな比較をとられてというおそれも若干私の中にはあるかなという思いも持ちながら、こそこそと勉強してみたい、こう思っております。
#85
○畑野君枝君 終わります。
#86
○日下部禧代子君 社会民主党の日下部禧代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 冒頭に一言申し上げたいと思います。
 十一月二日の本委員会で、インターネットの文部省のホームページに掲載されております文部大臣のお言葉について議論をさせていただきました。委員会終了直後に、大臣御自身から、私が御指摘させていただきました箇所、特に個人の尊重の行き過ぎというその箇所については訂正するというお電話をじきじきいただきました。そこで、早速検索いたしましたところ、個人主義の行き過ぎというふうに訂正がなされておりました。改めまして大臣に対する尊敬の念を深めたところでございます。
 さて、本法案の第一条に権利者の保護と著作物、実演、放送等の利用の円滑化によって文化の発展に寄与するというふうにうたっております。
 そこで、単刀直入にお伺いいたします。権利者にとってのメリット、デメリット及び利用者にとってのメリット、デメリットというのは何なのか、具体的にお伺いしたいのでございます。例えば、権利者にとっては選択肢が広がるということがメリットと考えられると思いますし、また一方、利用者にとって権利処理がスムーズに行われ、あるいはまた利用料金が下がるということなどもメリットというふうにも考えられるわけでございますが、この法案によりまして果たしてそれは実現することになるのでしょうかということも含めましてお伺いしたいのでございます。
#87
○政府参考人(伊勢呂裕史君) 仲介業務法の対象でございました音楽、小説、脚本におきましては、この法案によります登録制の導入によりまして管理事業者の新規参入が容易になるということになりまして、より多様な管理事業者が登場いたします。それぞれサービス向上等に努めることによりまして、権利者、利用者双方の選択の幅が広がるということが大きなメリットでございます。それから、仲介業務法の対象外であった分野につきましては、この法律に基づいて新たに著作権等管理事業というのが発展することによりまして、権利者の保護、利用の円滑化が進められるということになるものと考えられるわけです。これもメリットの一つと考えられます。
 一方、デメリットといたしましては、管理事業者が同一分野に複数あるということによりまして、利用者の事務手続の増加といいますか、煩瑣な部分の可能性が懸念されるわけでございますけれども、この法案では利用者の利便のために管理事業者が取り扱っております著作物の情報提供義務、これを規定いたしておりまして、このデメリットを最小化することも可能であるというふうに考えております。
#88
○日下部禧代子君 やはり本当にメリットにするためには、今最後につけ加えた情報公開ということ、それから情報提供、これが非常に重要なことだというふうに思いますので、徹底していただきたいというふうに思います。
 次に、裁定制度についてお伺いいたしますが、著作物というのはいずれもすべてが代替のきかないものであるがゆえにとうといわけでございますが、そういたしますと、利用料金の設定ということにつきましても比較対象物がないということですね。そうなりますと、権利者側の意向というのがどうしても前面に出やすいということになるのではないかなというふうに思うのですが、客観的な指標の設定ということは非常に困難だろうというふうに想像されます。
 そこで、文化庁の裁定制度の運用ということが重要になってくると思うのでございますが、一方で文化の育成、そして同時に利用者の利便を拡充するというこの二つの目的をどのようにバランスをとっていこうとなさっているのか、そしてどのように文化庁としては運用していこうとなさるのか、その点につきましてお伺いしたいと存じます。
#89
○政府参考人(伊勢呂裕史君) この法律では、業務実施に関しまして、登録制あるいは使用料規程に関する届け出制、協議・裁定制度の採用、あるいは対象分野の拡大など、従来の仲介業務法の仕組みとは大きく変わった点が多いということから、施行後におきましても、権利者、利用者、管理事業者の意見を適宜聴取するなど、状況の把握に努めて適切な運用を図ってまいりたいと考えております。
 現行の仲介業務法の認可制のもとにおきましても、文化庁では権利者と利用者との利益の調整につきまして多くの経験を積んできているところでございまして、その経験も生かしてまいりたいと考えております。また、施行後の状況を勘案いたしまして、必要があると認めるときは審議会等において検討を加えまして、その結果に基づいて制度や運用の改善を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
#90
○日下部禧代子君 文化庁の現行の体制でこういうことは可能でしょうか。また、新たなシステムというのを、体制を整えるということも含めてでございますか。
#91
○政府参考人(伊勢呂裕史君) この法案が通りましてから細かい中身を決めていくと。その段階で、どういう人が要るのか要らないのかということについても検討して今後に備えていきたいと考えております。
#92
○日下部禧代子君 大変重要なことなので、慎重にお願いしたいなというふうに思うわけであります。
 ところで次に、今回の法律に直接ではございませんが、これは障害者の問題でございますけれども、著作権法の第三十七条には視覚障害者のために点字図書館及び政令で定められた施設においては著作権者の許諾なしに点訳あるいは音声訳をすることが認められております。しかしながら、公共図書館あるいは民間ボランティアがその本を録音するとか拡大写本にする、あるいはテキストデータに複製するといった場合には、これは著作権法によりますと、著者の許諾というのを個別で得なければならないということになっておりまして、膨大な手間と時間がかかるわけです。数カ月だけではなくて数年かかるというような例もあるというふうに聞いております。
 この点字ということ、点字本というのがあるわけでございますけれども、視覚障害者の四分の一の方が中途失明者なんです。ですから、点字が自由にまだお使いになれない。だから、音声によるということは非常に重要な情報を得る機会になるわけであります。あるいはまた、拡大写本ということでございますが、これは視覚障害者の三分の二が弱視者なんですね。そうしますと、点字を使えなくても、活字が拡大されている本であるとお読みになることもできるというような状況があるわけです。
 しかしながら、今私は現状を申し上げましたけれども、音声訳とか拡大写本というのは公共の図書館あるいは民間ボランティアではお一人お一人の著者に許可を得なければならないということでございます。どうしてもやはりこれは法改正が必要だなという声が上がってきているんです。これは視覚障害者だけではなくて、本のページを繰ることができない肢体不自由者、あるいは高齢になってくると、程度の差こそありますけれども、やはりなかなか本をお読みになることも困難な方々というのが増加してくるわけであります。
 現在、法改正というものがなされていないがゆえに、そのつなぎの形として、このようなマークをごらんになった方、御本をお読みになるときにお気づきになった方いらっしゃいますでしょうか。これはEYEマークといいまして、目のマークでございます。(資料を示す)これを本の奥付のところに最初からつけておきますと、今私が申し上げたような手続を経ないで、著者が福祉目的ということで著作権の一部を開放するという、そのことをお認めになるということを意味するわけであります。
 ここにいらっしゃる委員の先生方、御本をお出しになる方は私たくさんいらっしゃると思うんですが、こういうEYEマークをおつけになって御本を出版なさった方はいらっしゃいますでしょうか。いらっしゃいませんでしたら、法改正になるまではぜひこのEYEマークをおつけくださいますと、大変に民間ボランティアもそれから公共図書館もうれしいと思いますでしょうし、そしてまた利用なさる方々にも大変益するところでございます。
 このEYEマーク運動、これは一九九二年からスタートしたものでございます。こういうつなぎのことをボランティアの方々あるいは公共図書館の方々は御努力なさって、そこから音訳など、あるいは拡大写本などをつくっていらっしゃるのでございますが、こういう事情にかんがみてやはり法改正というのが必要だと思うのでございますが、その点、文化庁あるいは文部省のお考えはいかがでございましょうか。
#93
○国務大臣(大島理森君) 今御指摘をいただいた点でございますが、確かに現行法では点字図書館に限って権利者の許諾なく行うことができる、狭過ぎないかという今の御指摘であろうと思います。
 問題は、そういうことをやることによってますますもってメディアが発達して、人間でございますからさまざまな人がいて、あるいは転用される、そして著作権者の利益が損なわれるんじゃないかというまた問題点も一つあるわけでございます。
 しかし、いずれにしても、今のような御指摘をちょうだいしながら、そういう大きな問題点を考えながら、関係者の意見を聞きながら、引き続き検討してまいりたいと、このように思っております。
#94
○日下部禧代子君 法改正とまでいかないにしても、何らかの運用ということも考えられるかなというふうに思うわけでございますが、何らかの対策をぜひとも早急にお考えいただきたいなというふうに強くお願いをさせていただきたいと思います。
 もし私が突然目が不自由になって、そして点字もまだ覚えられないという状況になったときに、やはり音声で録音したものを聞くということ、これは大変大きな恩恵だろうというふうに思います。ラジオなどでよく朗読の時間がございますけれども、私、時間があれば聞いております。目から読むのとはまた違ったすばらしさがあるようにも思うわけでございます。いつか松先生、読み聞かせのことについて御紹介がございましたけれども、やはりこれは私たち目の不自由でない者にとってはわからないことじゃないかなとも思うわけでございます。ぜひとも私たち晴眼者と同じ文化を享受する、そういう機会を差し上げたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 次にお伺いしたいのでございますが、今後、高度情報社会あるいはIT革命ということが言われておりますし、またさまざまな点でメディア、あらゆる面で国際化、グローバル化が進んでまいります。そういう中で、この著作権の政策ということに関してもさまざまな新しい課題が出てくるのではないかと思うわけでございますが、今後の著作権政策についてどのようなお考えをお持ちでいらっしゃいましょうか。その点について、新しい課題もどのようなものだというふうにとらえていらっしゃるのかを含めましてお考えをいただきたいと存じます。
#95
○国務大臣(大島理森君) まさに情報伝達の大変な進展というのは、予測できる部分もあれば、どういうものが生まれてくるかわからない部分もあります。
 御承知かと思いますが、現在、WIPOにおいて検討中の主な条約というのは、視聴覚的実演に係る実演家の権利に関する条約でございますとか放送事業者の権利の保護に関する条約でございますとか、あるいは編集物・データに関する投資の保護に関する条約とか、しかしこのWIPOにおいて今検討しているだけではなくて、我が国においても、先ほどから議論がございましたが、サービスプロバイダーの法的責任の問題とか、もういろんな問題がこれから議論し検討されていく、いかなければならぬと思っております。
 いずれにしても、著作権保護の実効性の確保という観点、あるいは今までも御議論がありましたように、利用者が自由に利用できるという観点、また文化がさらに発展するという大きな基本的な観点から、これからもいろんな形で一つ一つ対応していかなければならないと思いますし、特に著作権といういわば知的財産権の問題は、世界的、国際的なルールというものがますますもって重要になるという認識を持っております。
 先ほど申し上げたような、今までWIPOの中でやってきて、その結論を出したもの、それに合わせて国内法をこうしていろいろ考えていくと同時に、これからの、先ほど申し上げた数点の議論についても、積極的に我々は議論に参加をし、また国民の皆さんに対しても理解を得られるようにしていかなければならないと、このように思っております。
 IT社会における著作権の適切な保護と円滑な利用、そこに留意しつつ真剣に、これからもう日々に変わってまいりますので、そういう社会の変化を考えながら努力していきたいと、このように思っております。
#96
○日下部禧代子君 この著作権についての考え方というのは、他の先進国と、日本も先進国の一つでございますが、比較いたしまして、どうもこの著作権の考え方についてだけはまだ先進国とはなかなか言いがたいのではないかなというふうに思うのです。例えば、仲介業務法が昭和十四年に制定されておりますけれども、それもいわゆるプラーゲ旋風と言われるような、いわば外圧によってこの法律ができたというようなこともその辺のところを物語っているような気がするわけでございます。
 昨年が著作権法百年でございましたね。さまざまな記念行事が行われたようでございます。しかしながら、なかなか残念なことでございますが、一般の方々の関心を引くというところにまではいかなかったような気がするわけでございます。文部省のところに垂れ幕がずっと下がっておりまして、私は毎日国会に来るときに必ず目にしておりました。著作権法百年という大きな垂れ幕が下がっておりましたが、一般の方がどのくらいそれに注目なさったのかなというふうにも思ったわけでございます。
 なぜ日本でこの著作権という考え方というのが他の欧米に比べて遅かったのかというような背景というのをどのように分析していらっしゃるのか。やっぱり権利意識の問題でしょうか。さまざまな観点が考えられると思うのですが、それをどのように分析なさっていらっしゃるか、そしてまた今後どのような啓蒙活動、これは教育の中でも必要だというふうに思うわけでございますが、その点も含めまして御見解を承って、私の質問を終わりたいと存じます。
#97
○国務大臣(大島理森君) 余り日本人とはとか、そういうふうなものを語ることはいいのかどうかわかりませんが、目に見えないものに対する価値をきちっとつけるということにどうも日本の歴史を見ますと余りなかった歴史があったんじゃないだろうか。しかし、今次知的財産というものに対してどのように考えていくかということは物すごく大きな問いかけのように思われます。特に、そのことについて大きなきっかけになったのは、やはりIT技術のみならず、情報技術の発展と同時に国際化ということがあって、そしてそこに文化というものが世界じゅうに流通し合える、そういうふうな状況の中で今我々はそのことに対して気がついている。しかし、急がなければならない。
 二十一世紀というのはまさにスタンダードの勝負だと言う人もいますけれども、そういう意味で、その中心である知的財産の中の著作権という問題について、国民に対して我々は、こういう「著作権なんでも博士」という中学生のためのこういう本もつくったりしておりますが、やはりそういうことがとても大変大事な価値であるということを教え、認識し、そしてやっていくことが一番大事なことだと。
 一方、先ほど来御指摘いただきましたように、六十年ぶりのこの改正という問題についていかに国民の皆さんの理解と信頼を得られるかというのが最大の問題だという認識に基づいて、成立をさせていただけたならば大変な広報活動をしっかりやって御理解いただく。しかしまた、やりながら、走りながら考えなきゃならぬところもあるだろう、それが見直し条項の一つだというふうに私は思っておりますが、そういう教育の観点から、あるいはパブリシティーの問題から全力を尽くしていかなければならない、そういうことがあいまいながら日本人の中にもかなり高まってきたと思いますが、知的財産権、特に著作権という問題の重要性、大事さを国民の意識として育てることが大事だと、このように思っております。
#98
○日下部禧代子君 ありがとうございます。
#99
○田名部匡省君 最後ですのでもう大体先生方からいろんな質問がありましたから、私は基本的なことをちょっと伺いたいと思うんです。
 先ほどから我が国は先進国だとかいろんな話がありますけれども、何か戦後、繁栄を求めて一生懸命努力してきた、なりふりを構わず頑張ったと、こう言ってもいいと思うんですが、その結果としてこれは達成できてきたが、大きなものを失ってきたと。文化、文化と、文化というのは一体何だろう。私は余りよくわかっていないんです。何となく文化というのはこんなものかなということで。
 私は、アメリカ映画なんかを見ておって、すごいなと。お金もかけているんだろうけれども、すばらしい映画をつくりますよね。日本は、さっきもあったように、もう楽屋の方が見えるようなスタジオでやっているから迫力も何も出てこない。そういうところに文化が、もう何にも生まれてこない。音楽でも演劇でも映画でも、何でも私はそうだろうと思うんです。さっき子供たちに著作権の本つくってと、こういっても、大臣がよく言う心ということ、その心がないんですから、子供たちが著作権のことを私は理解できないと思う。夜桜能といって靖国神社で毎年桜の時期にお能をやるんです。私は実行委員長をやっているんです。ああいうのを見ても、例えば音楽をやる人、映画をやる人、演劇をやる人、そういうさまざまな分野があるけれども、これは全部違うんですね。
 よく見ておると、私も著作権のことはよくはわかりません。説明に来たときは、著作権及び著作隣接権と、隣接権とは何だろうなと思って後から聞いてみました。その管理事業の重要性が増大していることを踏まえ、管理事業の健全な発達並びに著作権者及び利用者の双方の保護、こういうことが書いてあって、本当にそういう仕組みになっているのかな、そう思うんですね。国民に理解と、こう言うんですけれども、国民は私は理解できないと思うんです、著作権というのは一体何なのかということを。漠然とはわかっても、具体的にはわからぬ。
 私は、身近なことで、我々は飲むとよくカラオケへ行きますよね。レコードを入れてやっている店があるんですね、昔の。そうすると、歌ったのか歌わないのか、お金をどうやって取るんだろうと思って、そうでない第一興商とかなんとかという機械でいくやつはわかるんだそうですけれども、こっちはわからない。どうやって金を払うんだといったら、いや、店の大きさで払っているんですと。店が大きいから歌うというわけでもないのに、そんな程度なんですね。
 それから、皆さん外国へ行ってみてそうでしょう。海賊版のビデオとかCDというのがはんらんしていますよね。ああいうのを見ながら、こういう法律が出てきても本当に守られるのかなという気がしてならないんです。特に、これからインターネットだ、もう携帯電話でも音楽が聞けるという時代になった。昔はアナログだったものですから、テープにとってもいい音はしなかったけれども、今はデジタルだと全くいい音が録音できるんですね。そういう時代になってきたから、いろいろやっていかなきゃならぬと、こういう気持ちはわかるんです。
 私も、著作権者、管理事業者、利用者、そして一般の国民と、こう四つに分かれておって、この間ちょっと聞いてみたんです。私もこれ不勉強、大臣も恐らくわからないと思うんですが、音楽の場合、作曲家と作詞家というのがおる。これで音楽はできて、もうその辺でばっとやっているんだろうと思ったら、そうじゃないんです。アレンジャーというのがいて、そのできたものをちゃんとやっぱり音楽の格好になるようにする人がおるというんです。それでできるのかといったら、それを今度は音符にして、どこで何の楽器が入るかというのをやる人がおると。それで終わりかというと、今度はバンドの人たちもおるというんですね。この人たちも隣接権者ですか、に全部なっている。商売をやるにはスタジオを借りて、そこで歌手がいて吹き込むわけですね。そこに、よくわからないけれども、ミキサーというそれがあって、それでそこに原版権というのがあって、オケ取りというのをやるというんですね、歌手が来て。このバンドの人たちは直接そこでお金をもらっちゃうから、ここはもう外れていますと。いろいろもらう人ともらわない人と、何かごっちゃになっていまして、そこからマスタリングというのがあって、工場に行って流通に回ると。
 ですから、舞台でやるのとレコードでやるのと、あっちでやるのと、これをだれがやるかというと、JASRACが全部やってくれていると、こういう組織になっているんです。それで、そのJASRACも今度は音楽の出版社、ここに金をやったり、そういう仕事をやっているというんですね。
 アメリカでは、これはえらいものですよ、複数の管理団体が存在する世界でも特異な国の一つであって、文化支援事業をやるんですね。そして、若い音楽家育成のために奨学金までこういうところが出しながら育てている、こういうシステムになっているんです。このことはわかっておったですか、まず。
#100
○国務大臣(大島理森君) アイスホッケーのことは田名部先輩よりずっとわけはわからないと思いますが、私は音楽について、ちょっと私の周りに音楽にかかわっているのがおりますので、今、先生がお話しされたいろいろな作業工程はおおよそ聞いて、ミキシングがどうだ、何がどうだというのは聞いたことがございます。そういう経過を経ていわゆる市販される音楽ができてくるということは、私の友人にもちょっとおりますし、伺ったことがございます。
 そういう多くの人がかかわってそういうものができて、そして今の隣接権がどこまでかというのはレクチャーを受けておるところでございますが、国際比較との関係の中でのお話も、その国々によっていろいろな著作権を保護し、流通させていくという仕組みがあることもある程度は理解させていただいておるところでございます。
#101
○田名部匡省君 そこで、さっきから著作権者を守り、いろいろ発展させるためにはと、こういう説明を受けました。
 そこへいって今度は、今言ったように、出版社もある、JASRACもある、いや、あれもある、ところが全部もうけの方に絡んじゃっているんですね。文化を守ったり育成したり、みんなをこうやるためにというよりも、むしろNHKを初め、今度は放送局は全部子会社をつくって、そこでいろんなことをやるわけです。そうすると、強い立場と弱い立場が出てくるんです。例えば、ラジオでどんどん放送してもらわぬと、あるいはテレビにうんと出してもらわぬとその歌手というのは出てこない。強い歌手もいますよ、出ないというと、あれ、あの人に出てもらわぬと困るというスターもおるけれども、そうでない人たちはその売り込みのためにもういろんなことをしなきゃならない。だから、そういうことが果たして本当にいいのかどうか。放送事業者がそういう仕事を子会社を持ってやるということは何かアンフェアのような気がして私はならないんです。
 ですから、いろんなことがあろうとも、まず仕組みから、みんながこういうことによって、映画俳優も歌手も、あるいは演劇をやる人たちも、その人たちが本当に守られるということならばわかるんですけれども、その間に食い物に、食い物と言えば失礼ですけれども、いろんなことをやる。
 私は、ここには文部大臣二人おるんで、中曽根大臣のときにも質問したんですけれども、文部省に社団、財団が一体幾つありますかと。文部省だけで千八百あるというんです。全部の役所の下にぶら下がっているのはどれだけあるかといったら六千何ぼあるんですね。そのほかに県に一万九千ぐらいあるんです。そこへ皆天下っているわけですよ。私は、そのことを言ったときに、行政監視委員会でもやったんですが、役所はどういうことをしているんですか、いや、ちゃんと監視してよく見ていますと。そんなに見ておったら法の華やオウムというのはあそこまでなるというのはわからなかったんですかと、あなたたちは。やっていないんですよ。ですから、いろんなことをおつくりになってやるのは結構ですけれども、実態がどうなっているかということをわかるような体制というものも必要です。
 だから、さっきの捏造の話もあったでしょう。それを学界の中で結論を出してもらうようにと大臣言っておったけれども、無責任なんですよ、みんな。しょせん人のことだ、だから責任持ってやるようなことをこの著作権でもきちっとしておかないと、結局今みたいなことで泣き寝入りをしたり商売に使われたりということが文化の世界にあってはならないというふうに私は思います。どうですか、この考え方。
#102
○国務大臣(大島理森君) 田名部委員おっしゃることは、結局、著作権という文化のたまものを経済行為の論理展開だけの世界にぶち込むのではなくて、要するに守るべきものはきちっと守っていかなきゃいかぬぞと。ですから、強者と弱者がある世界の中でいろんな経済行為が行われる可能性もある、そういうところについてはきちっと文化庁はこの法に基づいてウオッチし、あるいはまた調整するべきことはしなさい、大事なことは著作権を守りながら文化を向上させることだというふうに受けとめさせていただきました。
 そういうふうな視点で今までもたくさん御議論いただきましたし、私どもは市場マーケットそれのみにこの著作権という問題を投げ込むということではなくて、あくまでもこの問題は著作権を守り、利用者にも利便性を持ち、そして文化の向上に発展するという法の趣旨を大事にしながら、きちっと見守りながら調整すべきことはしていくという気構えでいかなきゃならぬ、このように思っております。
#103
○田名部匡省君 有馬元文部大臣もいらっしゃいまして、私は質問したんですが、世の中には有馬文部大臣のように物理学者も必要ですと。しかし、国民に感動を与えているのは、音楽だ、スポーツだ、絵だ、書道だ、いろんなもので国民に感動を与えていますよ。さっきのパラリンピックだってそうです。偉いもんですよ。健常者がだらしないことをやっているときに、あの人たちがあれだけ頑張る。この感動というものは国民みんなやっぱり涙を流して見ていますよ。
 だから、そういう能力のある子供たちを育てたらどうですか、能力に応じて。それから、ボランティアも日本は不得意だから、これは強制的にやるんではなくて、この三つが高校の入試や大学の入試にあったら、みんな塾ばかり行っていなくて、ボランティアもやるし自分の好きな得意な分野で伸びるし、総合評価をやる以外にいい子供をつくることはできませんよと。そういう基本的な考え方が、子供たちを文化活動にもスポーツ活動にもみんな心が動いていくというのが基本的に私は大事だと、このことを申し上げたくて言っているわけです。
 この間もオリンピックの高橋さんの国民栄誉賞の話も言いました。全部調べていませんが、スピードスケートだって、有史以来初めて金メダルをとった選手がおるんです。そういうのは国民栄誉賞をもらっていないんですから、だからそういう公平さを欠く対応をしちゃだめですよ。すべてルールに基づいて、こういうときにはこういう賞を上げますということにしないと、国民から見て何だと。せっかくやっていながら評価されないということであってはいかぬ、こう思います。
 どうぞ、この著作権法、ただ著作権ということではなくて、日本の文化がどう育つかという視点からしっかり対応していただきたい、このことをお願いして、何かあれば一言承って、終わります。
#104
○国務大臣(大島理森君) 所見を承って、生かしてまいりたいと思っております。
#105
○委員長(市川一朗君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#106
○委員長(市川一朗君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 著作権等管理事業法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#107
○委員長(市川一朗君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、佐藤泰介君から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤泰介君。
#108
○佐藤泰介君 私は、ただいま可決されました著作権等管理事業法案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び無所属の会の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    著作権等管理事業法案に関する附帯決議(案)
  政府は、本法を施行するに当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一、文化の発展にとどまらず、IT時代のコンテンツ産業発展の基盤となる著作権制度の重要性にかんがみ、著作権思想の普及・啓発に一層努めるとともに、著作権等管理事業者の健全な育成が図られるようその環境の整備に努めること。
 二、本法の立法主旨、条項の解釈等、当委員会の審議を通じて明らかにされた内容について、委託者、利用者及び著作権等管理事業者の関係者に十分周知徹底するよう努めること。
 三、著作権等管理事業者の使用料規程の届出に際しては、著作権等管理事業者があらかじめ利用者又は利用者団体から意見聴取を行うよう努めなければならない旨の規定が尊重されるよう指導すること。
 四、著作権等管理事業者と利用者又は利用者団体との使用料規程に関する協議については、委託者と利用者の利益の適切な均衡を図るため、公正な取引・競争環境の確保や関係者間の話合いの促進など必要な諸条件の整備に努めるとともに、必要に応じて適切な指導を行うこと。
 五、指定著作権等管理事業者に関する協議・裁定制度の運用に当たっては、当事者間で円滑な協議が行われ、実態の変化に即した円滑な利用秩序が形成されるよう配慮すること。
 指定著作権等管理事業者以外の著作権等管理事業者についても円滑な利用の確保の観点から、使用料の設定等を含め、運用に当たって適切な対応を行うこと。
 六、著作物のデジタル化・ネットワーク化に伴う著作物等の利用形態の広域化、多様化に対応して、著作権等の保護と著作物等の利用の円滑化を図るため、著作物等の利用技術の発展・普及に十分対応できるよう配慮し、検討するとともに、国際的連携を推進し、著作権制度の改善・充実に努めること。
 七、著作権等管理事業者間の公正な競争の確保及び著作権等管理事業者の利用者に対する優越的地位の濫用の防止を図るため、独占禁止法に基づき公正取引委員会を始めとする関係省庁が協力して適切な措置を講ずるよう指導すること。
 八、著作権等管理事業の実施に際しては、著作権者等の保護という公益性を踏まえた運営がなされ、また、著作物等の経済的価値のみが優先され、文化的価値の高い著作物等が不利益な取扱いを受けることのないよう、著作権等管理事業の実施状況を的確に把握し、必要に応じて適切な指導を行う等、運用に当たって配慮すること。
 九、多彩で豊かな文化的所産の創造と継承を図るため、総合的な文化振興方策を推進し、芸術創造活動等に対する支援の充実に努めること。
 十、障害者が著作物を享受する機会等が十分に確保されるよう制度の見直しを含め、積極的に取り組むこと。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#109
○委員長(市川一朗君) ただいま佐藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#110
○委員長(市川一朗君) 全会一致と認めます。よって、佐藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、大島文部大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大島文部大臣。
#111
○国務大臣(大島理森君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
#112
○委員長(市川一朗君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#113
○委員長(市川一朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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