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2000/11/28 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 外交・防衛委員会 第5号
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2000/11/28 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 外交・防衛委員会 第5号

#1
第150回国会 外交・防衛委員会 第5号
平成十二年十一月二十八日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十二日
    辞任         補欠選任   
     益田 洋介君     福本 潤一君
 十一月二十四日
    辞任         補欠選任   
     矢野 哲朗君     岡野  裕君
     福本 潤一君     益田 洋介君
 十一月二十七日
    辞任         補欠選任   
     岡野  裕君     矢野 哲朗君
     立木  洋君     笠井  亮君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         服部三男雄君
    理 事
                山本 一太君
                依田 智治君
                海野  徹君
                益田 洋介君
                小泉 親司君
    委 員
                須藤良太郎君
                鈴木 正孝君
                松田 岩夫君
                森山  裕君
                矢野 哲朗君
                山崎  力君
                江本 孟紀君
                松前 達郎君
                吉田 之久君
                荒木 清寛君
                笠井  亮君
                田  英夫君
                田村 秀昭君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外務大臣     河野 洋平君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  虎島 和夫君
   政務次官
       外務政務次官   荒木 清寛君
       防衛政務次官   鈴木 正孝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻川 明巧君
   政府参考人
       防衛庁防衛局長  首藤 新悟君
       防衛庁運用局長  北原 巖男君
       防衛庁人事教育
       局長       柳澤 協二君
       法務省民事局長  細川  清君
       法務省入国管理
       局長       町田 幸雄君
       外務省総合外交
       政策局長     竹内 行夫君
       外務省中南米局
       長        堀村 隆彦君
       外務省条約局長  谷内正太郎君
       海上保安庁長官  荒井 正吾君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(服部三男雄君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、立木洋君が委員を辞任され、その補欠として笠井亮君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(服部三男雄君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(服部三男雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に益田洋介君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(服部三男雄君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案の審査のため、本日の委員会に外務省総合外交政策局長竹内行夫君、外務省条約局長谷内正太郎君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長北原巖男君、防衛庁人事教育局長柳澤協二君、海上保安庁長官荒井正吾君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(服部三男雄君) 周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより直ちに質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○山崎力君 山崎でございます。
 それでは、周辺事態に際して実施する船舶検査に関して幾つか質問させていただきます。
 この問題は、皆様御承知のとおり、いわゆるガイドライン関連法の一つとして出てまいりましたが、与党間等での協議調わずということで先延ばしという形にされておりました。それが今回出てきたということであります。
 そういった中での問題から、一、二まずお伺いしたいと思いますが、前の政府原案といいますか、そういったものでは、国連安保理決議に基づいて活動を行うんだというふうになっておりましたが、今回、いわゆる旗国の同意がある場合も実施可能としている、こういう点が前回と一番大きく違っている点ではないかと思います。
 そういう意味で、まず事実関係からお伺いしたいんですが、いわゆる旗国主義というふうなことも言っておりますが、これは国際法の中でどういう意義づけ、定義づけがなされているんでしょうか。
#9
○政府参考人(谷内正太郎君) 国際法上の旗国主義と申しますのは、船舶は一般に公海においてその旗国の排他的管轄権に服するという原則でございます。
#10
○山崎力君 それでは、その旗国というものの同意といいますか、そういったものを今回の案に加えた理由というものを御説明願いたいと思います。
#11
○国務大臣(河野洋平君) 今議員からお話がございましたように、過日御審議をいただきました周辺事態法の中でさまざまな御議論がございまして、今もお話がございましたように、その御議論の中で当時は合意できなかった部分でございましたけれども、国会におきます御議論などを踏まえて与党内で改めて御議論がございまして、今回こうした船舶検査法案という法律をつくって、新たにガイドライン法案の一環としてそうした効果をより高めるためにこの法律案を御提案申し上げ、御審議をいただいているという状況でございます。
#12
○山崎力君 この船舶検査の問題の一番根本的な考え方の違いとしてあったのは、いわゆる国連協力といいますか、国連の制裁活動としての経済封鎖等に協力するという際の船舶検査をやるのか、それとも日本周辺有事等に、有事になる前が主でしょうけれども、周辺のそういった事態に対応した形で船舶検査をやるのか、どっちの考え方でやるんだということが一番大きな争点であったと思います。
 そういった中で、一応その辺の議論を踏まえた上で周辺事態にやるんだということを明確にしたということが今回の政府案の大きな特色であろうと思うわけですが、その際、今いろいろお答えいただきましたが、旗国主義というものを加えて周辺有事でやるのであるということになります。
 それは一つの考え方といたしまして、それでは国連協力の方はどうなったんだという点が次の問題として出てくると思うんですが、この辺、ある考え方では、周辺事態に限らず日本の国連活動への協力として全世界的に対応していくべきではなかったかという考え方が当然出てまいろうかと思うんですが、その辺、外務大臣、いかがお考えでしょうか。
#13
○国務大臣(河野洋平君) 議員から今も御説明がございましたとおり、この船舶検査活動法案は、日米防衛協力のための指針の実効性を確保するというために法整備の一環として提出して御議論をいただいているわけでございまして、今議員がお話しになりました国連協力といいますか、そうした視点は、船舶検査活動の中でも周辺事態以外の場合まで考えるべきだと、こういう御指摘だと思いますが、周辺事態以外の場合について行うということについてはこの法案では全く想定をしていないわけでございまして、別途の検討を行うべき課題であるというふうに考えているわけです。
 この法案は、繰り返して申し上げますが、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える周辺事態への対応措置を定めた法整備の一環、あくまでそういう考え方でこの法案を提出させていただいております。
#14
○山崎力君 わかりました。今の別途検討と、たしか別途検討という御答弁でございますが、これは今までになかった形の初めての御答弁だと思います。
 そういった点からいきますと、そっちの方へ行くとまた話がもとに戻るといいますか、あれでございますので、今回の周辺事態に関してというふうにいきたいと思いますが、その前に一言だけ、国連協力というと、古くはPKOといいますか、その他いろいろ難しい問題もあるし、条約上の問題あるいは憲法に絡む国内法の問題、そういったものもかなり新たな検討を必要とする部分があろうと思いますので、国連協力の部分の問題は、それはそれとして今後御検討をお願いしたいと。ただ、これで船舶検査一件落着という、そういうものではないということだけ指摘させていただいて、本来の周辺事態に関する方に戻りたいと思います。
 その中で、旗国の同意があればと、こういうことになるわけですけれども、明確な旗国の船、旗国主義に伴う船舶という場合以外のケースも当然考えられるわけでございまして、対象船舶がいわゆる無国籍船といった場合、そのはっきりしない国籍の船に対してどのように対応していくかという問題がまず考えられるわけでございますが、まずその前提として、いわゆる無国籍船といいますか、はっきりしない船というのはどのように国際法では位置づけられているんでしょうか。
#15
○政府参考人(谷内正太郎君) 無国籍船につきましては、国際法上厳密な定義というものはございませんで、また海洋法条約上にも定義条項というのはございません。しかしながら、一般には無国籍船と申しますものはいずれの国の国籍も有していない船舶のことをいいます。それからまた、二つ以上の国の旗を適宜使用して航行するという船舶もございますけれども、これも無国籍船舶とみなされます。
#16
○山崎力君 そういった船、ある程度想定はつくわけですが、厳密なところは別として、多くの場合どこの船かなというのはわからぬと、問い合わせてもはっきりしない、あるいは明らかに偽っているというような場合、そういった無国籍船に対してはどのように対応するおつもりなんでしょうか。
#17
○政府参考人(谷内正太郎君) 国際法上、公海上にございます船舶はその旗国の排他的管轄権に服するので、当該船舶に対しまして船舶検査活動を実施するためにはその旗国の同意を得る必要がございます。他方、無国籍船につきましては、いずれの国も公海上におきまして排他的な管轄権を有せず、ある国が当該船舶に対しまして船舶検査を行っても旗国主義との関係で国際法上の問題は生じないというふうに考えられます。
#18
○山崎力君 そういったことで対応可能であるということでございます。
 そうすると、次の段階として、その旗国の承認が得られれば船舶検査は可能だというのは当然出てくるわけですけれども、もし旗国がそれを拒否した場合といいますか同意しなかった場合、どのような対応を予定しているでしょうか。
#19
○国務大臣(虎島和夫君) 大前提としては国連安保理決議があると。これがとれない場合がありますので、旗国主義、旗国の同意を得て行うということが今度つけ加えられてきたわけです。ですから、そういうようなことで、あとはもう一つは船長の同意というのも乗船検査は要るわけでありますけれども、これをかみ合わせながらやっていくという措置をこの法律で考えておるわけであります。
#20
○山崎力君 同意を得るような努力はなされるわけでしょうけれども、それはそれとして、具体的な場合、要するにこの状況の中でなるべくそういうことがないように事前からはっきりした形なんでしょうけれども、いわゆる封鎖線、ピケットラインというところ、これ以上入ってはだめですよというのは当然あるわけですけれども、それに近づいて急に旗国の同意の得られていない国の船であることが判明したというようなこともあり得ると思うんです。
 その場合、いわゆる現場にいるところから、こういった状況ですから、最終的には外務省が相手国に対しておたくのこういう船がこの地域に来ておると、船舶検査に同意願いたいというようなことを時間的に限られた中でやらなければいけないと思うんですが、その辺の検討はどのようになされているんでしょうか。
#21
○政府参考人(竹内行夫君) 非常に具体的な状況における同意の取りつけの問題についてのお尋ねでございます。
 まず第一義的には、先生御承知のとおり安保理決議の採択を目指した外交努力を行うということが先決でございます。その場合には御承知のとおり受忍義務ということで船舶検査が行えると。そういうことが何らかの事情で安保理決議ができなかった場合にどうするかということにつきましては、まさに個別の状況によって異なるわけでございますし、これも事前にあらかじめ関係国の合意によって船舶検査についての同意を得る努力を行うと。これは国際約束であったり意図表明であったり、とにかく明確な意図を事前に表明してもらうということに努めるわけでございます。それがない状況で、今具体的に先生がお尋ねのような状況ということになりますと、これはもう旗国の同意がございません場合ですから、その場で船舶検査を行うということは国際法上できないという状況でございます。
 したがいまして、その場合には、必要に応じてその旗国に対して改めてと申しますか、その段階で速やかに同意を得る努力を行うということに尽きるかと思います。もしそれでもその相手の国が同意を与えないというような意思を明示する場合には、これは船舶検査は行えないという状況になるわけでございます。
 いずれにしましても、外交努力をいろんなやり方で重ねるということかと思います。
#22
○山崎力君 流れからいけばそういうことだと思うんですが、そういった場合のときに、事務的というとおかしいんですけれども、連絡方法のおくれで、いや言ってくれればオーケーしたのにというようなことがないように御尽力願いたいといいますか、尽力というよりも、今そのプロセスをどうやっていくかという内部的な連絡経路の検討もされておいた方がいい事例が出てくるんではないかと思います。
 もう一つ具体的な形でいきますと、旗国もオーケーした、そうするとこれから対象船に対しての船舶検査ですよというこういうことになるわけですが、二つその時点でもトラブルの発生することがある。
 一つは、国はオーケーなんだけれども船の管理者たる船長が困ると言った場合。それから、船長はいいでしょうと言っていたんだけれどもどうも不穏な様子が見える、要するに船長がその船を掌握し切れていない場合に、一部の乗っている船員、そういった者がどうも抵抗の姿勢を示しているようであると、そういうところも考えられるわけですけれども、その辺は御検討済みでしょうか。
#23
○政務次官(鈴木正孝君) お尋ねの乗船検査という状態に入ったときに、船長が承諾をしていても他の船員が船長に従わないと、そういうような場合にどうするかということだろうと思います。
 船長等の承諾を得ている場合、これはスムーズにやれるようにということになるわけでございますが、通常船長が承諾をしている場合には船長の指揮下に、統制に服すというのが船員の常識的な行動だろうというふうに思っておりますが、万々一船長等が承諾をしていながら他の船員が船長の命に従わないというような場合、では具体的にどうかということになるわけですが、船員が船長の統制に服するよう船長を説得する、あるいは可能な限り乗船検査等を実施できるよう努める、そういうような関連の努力を現場で状況に照らし合わせながら具体的にやるというようなことが一つ考えられるかと、このように思います。
#24
○山崎力君 船長が拒否して、何というんでしょうか具体的な乗船検査ができないという場合は、これはある程度問題ははっきりしているわけですけれども、どうも船長自体がこの問題に関して船の管理の主導権を握っていないようだというような場合どうするかというのは、これは極めて珍しいケースではあろうと思うんですけれども、本当にシリアスな場合ですとあり得るケース、向こう側もそういう意味では大変危機感を持って対応しなきゃいかぬということは考えられるケースでございますので、その辺のところもよく御検討、実際の場合は現場サイドの話になりますが、御検討願いたいと思うわけでございます。
 と申しますのも、今回の場合で、抵抗をされた場合どこまで実力行使できるかという問題、武器使用も含めた形であるわけですけれども、そういった場合のある程度の基準、軍隊の全体のあれでいけば、よく言われているのはROEという、ルール・オブ・エンゲージメントというんですか、そういったものにも絡んでくると思うんですが、その辺のところの御検討というものは、これはほかの部分もあろう、ほかの部分というか、この船舶検査活動に限らずいろいろ検討なされているやにお聞きしておりますが、その辺については今現状どのような感じでございましょうか。
#25
○政務次官(鈴木正孝君) 自衛官が対象船舶に乗船をして職務を行うというその際に不測の事態を避けるといいましょうか、そういう中で自己または自己とともに当該職務に従事する者の生命または身体を防護するために必要最小限で武器の使用を行い得るように措置をこの法案ではしているわけでございます。
 防衛庁としての武器の使用の手順等、適切な運用を確保する、そういう意味におきましてその手続、やり方等について具体的に要領を作成するなど、現場で隊員が混乱しないようにいろいろと配慮をしたいと、このように思っているところでもございます。
 また後段の、一般論としてROEのような、言ってみますと部隊行動基準、こういうようなものにつきまして防衛庁での検討状況はいかがかというこういうお話かと思いますけれども、私どもそれぞれの部隊がその時々の情勢や現場の状況あるいはシビリアンコントロールという大きな課題、そういうものを前提にしながら自衛隊の行動というものを見るというそういうことに当然なるわけでございますが、先般来具体的な部隊行動基準についての策定についての具体的な検討というものを進めてきておりますし、その作成手順、手続等に関する規定を整備しながら具体化していく必要があるのではないかと、このように今考えておるところでございます。
#26
○山崎力君 このROEという横文字を使うのは、交戦規則とかいろいろ翻訳もありますけれども、一応武器使用の基準とかあるいは部隊対応の基準とかルールという言葉にあるように、そういう制度化されたもの、こういったものは非常に重要であろうというふうに感じております。
 また、その一方、それが公表されますと肝心のときにその裏をかかれることになるわけで、それは原則として部外には秘匿しておかなければならないという性格もあるものですから、事が起こったときに初めてそのものが正しいものであったのか、それともいいかげんなものであったのかということがわかる性格のものでございますので、その辺のところは当局、きちっと事前に制度化といいますか内容を確たるものにしていただきたいというふうに御要望を申し上げたいと思います。
 それから、それに絡むといいますか、一番ある意味においてはシリアスな場面で、こういったいわゆる海上封鎖等のときに問題にされるのがいわゆる警告射撃と称されるものでございまして、今回こういったことはどうも実施する制度になっていない、正確に言えば、というふうに承っております。これは諸外国の場合ですと海軍艦艇はそれをやれるということが常識的に伝えられているわけですが、今回の我が船舶検査活動でこれを含めなかったという理由について教えていただきたいと思います。
#27
○政務次官(鈴木正孝君) 今般の船舶検査活動に関する法律につきまして、警告射撃を実施しないというそういう形で法案上は整理しているわけでございますが、この経済制裁の実効性を確保する、そのための具体的な措置については、封鎖制裁活動に各国が状況に応じて必要と考えられる措置を主体的にそれぞれの国が考えるということが大前提ということになるわけでございますが、その中で具体的な態様につきましても、それぞれの国の解釈やらあるいは対応等、完全に一致しているというものでは必ずしもないわけでございます。
 我が国として種々諸外国におけるこれまでの活動実績等、あるいは実際に行われた際の警告射撃等の状況等を考えてみますと、そのケースは極めてまれな状況というようなことでございますので、本法案に規定されている活動そのものは経済制裁の実効性を確保するための措置、大きな全体としての措置の中で警告射撃にこだわらなくても十分に全体的な効果を上げ得るものというような判断をして、法案上はそのように整理をしたと、こういうことでございます。
#28
○山崎力君 この問題、今の御答弁も含めてなんですが、要するに船舶検査活動、それの前提条件にある制裁活動、普通の場合、常識的に見れば当該国に対して船による物品の輸送を制限するという目的でこの船舶検査活動というのは行われるわけでございますから、それが国連決議で行われる場合もあれば、今回のように、なるべくそれは努力するとしても、それが行えなかった場合、それでもやらなきゃいかぬといった場合、旗国主義でオーケーが出ればやろうよと、こういうことで実施するというわけでございます。
 そのとき、当然我が国だけでやるというのは想定されておりませんで、少なくともアメリカ海軍は主体的な行動をとるという部分もあろうかと思います。それは補完してやると。何せ広い海を点検するわけですから数が勝負という場合もあって、その見張り役として日本の自衛艦もそれに参加するというのが今回予想されたことだろうと思います。
 そういった中で、正直に言えば船舶検査活動でどれだけの実効性が本当はあるんだろうなということもありますし、逆に漏れ聞くところによれば、アメリカ軍が日本の協力の中で一番期待していた部分が、ある意味ではこの船舶検査活動ではないかと。要するにアメリカは、何かあったときに船の数が足りないと、触覚といいますか、そういった部分だけでもいいから日本がきちっとやってくれればアメリカも数の不足を補うことができるという、その辺が日本が差し支えない範囲で協力できる一番の利点ではないかといいますか、そういった感じのことがあるわけでございます。
 そういう点を考えて、この船舶検査活動の実効性、そういったものをトータルとしてどのようにお考えか、これは大臣の方から御見解をいただければと思います。
#29
○国務大臣(虎島和夫君) 大変具体的なお話、しかも示唆に富んだ御発言をちょうだいしているわけですが、お説のようなこと等については今政務次官の方から答弁したことであります。
 また、包括的には、このことが協力が得られない、同意が得られない、それじゃというわけにもまいらないから、やっぱり総合的な外交政策あるいは経済交流政策等々を複合的に組み合わせながら、そして実効あるものにしていくというようなことを考えておりますので、総合すれば、やっぱりこの船舶検査法による検査がきっかけになって経済制裁は実効あるものに仕立て上げられるという考えを持っておるわけであります。
#30
○山崎力君 外務大臣も何かつけ加えることがあれば御見解をいただきたいんですが。
#31
○国務大臣(河野洋平君) 今防衛庁長官からお話がございましたように、外交活動というものは極めて重要で、近隣諸国との関係をよい状況にしておくという努力が必要と思います。と同時に、日米安保条約がその目的を達成するために円滑にスムーズに運用されるということが重要だというふうに考えておりまして、今回の法案もその一環というふうに考えておりまして御審議をお願いしているところでございます。
#32
○山崎力君 時間の関係もありまして、答弁の方はよろしいかと思います。
 もう一つ、数の面からいけば当然海上保安庁の船もやったらどうだと、どうせドンパチやらないといいますか、そういう協力なんだからいいんじゃないかという考え方も出てこようかと思います。ただ、この問題、いわゆる自衛隊と海上保安庁の役割分担あるいは海上保安庁の警察権の行動がどこまで公海上及ぶのかなど、いろいろちょっと素人考えで見ても大きな問題は絡んでおりますし、今回の日米協力に関するものとはちょっと性格が異なりますので、これはこの問題とは直接の関連はなしで外してもいいのかなとは思っておりますが、その辺のところをそれだけでやればまた時間がかかると思いますので、それはそれとして、いわゆる今回の問題を含めて有事法制という国の全体的な中でどのような役割分担をしていくのかということと、これはもう小渕総理大臣時代から、そろそろやはりそういった法体系の方も真剣に検討しなければいけないのではないかということが言われております。
 そういった点での現時点での防衛庁、もちろんその他の省庁との連携といいますか調整もあると思いますが、その辺の現状とこれからの見通し、ある程度現時点でおっしゃれるところまでの点をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#33
○国務大臣(虎島和夫君) 本案につきましては、特に森総理も所信表明その他で、自衛隊が文民統制のもとで適切に対処して国家国民の安全を確保するためにぜひとも必要な法制が有事法制であるということは述べておるとおりであります。
 したがって、このことは平時においてこそ備えておかなきゃならぬということでありますが、現在は我が方としては第一分類、第二分類、第三分類という分類をしながら防衛庁として検討を加え、そして研究をし、公表したものもあるわけでありますが、全体的にはまだこの有事法制体系というのが全きを得るまでには作業も進んでおらないという面もあるわけであります。
 したがって、このことについては、我々としても法制が整備されることが望ましいという考えはもう十分持っておるわけでありますけれども、これは法制のための検討をしたらどうかという与党の考え方も先般表明されましたので、それを踏まえまして適切に対応しなきゃならぬ重要な課題であるという認識を持っております。
#34
○山崎力君 それからもう一点、これはどちらかというと諸外国の絡みになろうと思うんですが、今回の問題、これは前のガイドラインのときから我が周辺諸国のうちの幾つかの国は余りいい感情を持たない反応をしたところもあるというふうに記憶しておりますし、この問題はどういうふうな形になるのかなという気がする一方で、当然我が国の自衛権に基づく公海上での行動ですから、そこまで勘ぐられたくもないという気も一方ではあるわけでございます。
 ただ、外交というのは相手のあることでございますから、誤解があるならばそれを解かなければなりませんし、あるいは思い込みがあるならばそれに対してもはっきりと物を申さなければならないと思うわけでございますが、一応そういった前提をもとにして、今回の船舶検査活動、これは国連協力がほとんどだろうと思いますけれども、そういった点を全部踏まえた上で、特段今私たちが諸外国のこの問題に対する反応で留意しておくといいますか、考えておかなきゃいかぬ反応が出ているかどうか、簡単で結構でございますから、外務省の方からお答え願えればと思います。
#35
○政務次官(荒木清寛君) 今回の船舶検査法案につきましては、韓国、中国、ロシアに対して事務方を通じて具体的に説明をしてまいりましたけれども、これまでのところこれらの国から懸念が表明されたとは承知をしておりません。
 今後、仮に本法律案に関して懸念を表明する諸国があるとすれば、必要に応じて透明性をもって説明をしていくことが重要であると考えております。
#36
○山崎力君 今のところそういうことで、安心して今の御答弁をお聞かせ願いました。
 いずれにしろ、この法案でガイドライン関係は一応今の時点では法体系は整ったということになろうかと思います。その辺のところで、どの程度実効性があるのかないのか。逆に言えば、その実効性を証明する機会がない方が当然いいわけで、机上の空論というとおかしいんですけれども、これがただ法律になっただけで使われなければ一番これは我々にとっても周辺にとっても幸せな事態であろうと思います。
 ただ、先ほども申し上げましたとおり、我が国の有事といいますか緊急事態に対する法体系というものはまだまだ不十分で、先ほどの長官の御答弁でも、将来この辺でというところまでのめどはまだ立っていないというふうに感じておりますが、いずれにせよ、この問題、先ほどもちらっと触れましたけれども、これから周辺、周辺有事の周辺でなくてこの法案の周辺を見ても、例えば海上保安庁との絡みをどうするんだと、あるいは諸外国の海上封鎖に対する協力関係、これは国連でもしやるとすれば日本、アメリカだけでない国の船も一緒にやる可能性は十分予想されるわけでございますが、その国との連絡をどうするのか。
 特に、私の聞くところでは、海上封鎖に関しては国連のいわゆるPKO活動のように国連からある程度権限を与えられた司令官のもとでやるというケースはほとんど今までなかったというふうに記憶しております。それぞれが連絡協力しながら、ある意味では、言葉を悪く言えば勝手にやっていると。それがアメリカと日本であればある程度疎通はきくんでしょうけれども、それにプラスアルファの国が入った場合どういうふうに調整するんだろうなという点があろうかと思います。
 そういった点で、課題はあるとは思いますけれども、それが細かく詰めていく必要はあるんでしょうけれども、非常にその結果うまく制度ができたとしても、それができるだけ運用の機会がない方がいいという、極めてこういう性格からいけばむだな努力をする方がいいという法案でございますけれども、そういったことで余り先送りしていますといざというときに間に合わぬということでもございますので、関係者の努力をお願いしたいと思います。
 細かいそういった点、本当に中に突っ込んでいけばそれなりの問題が出てくるかと思いますけれども、一応これがスタートするという時点で問題意識として私の気がついたところを申し上げましたので、政府方においては意のあるところを酌んで今後とも御努力願いたいということで私の質問を終わりたいと思いますが、最後に両大臣から一言ずつ所見をいただければと思います。
#37
○国務大臣(虎島和夫君) お説のとおりでございます。実施区域等を定めますけれども、やはり各国との間の連絡協調がうまくいっていないとすき間ができる、海上で。そうなると実効性が担保されないということ等ありますので、運用上は御提言等を踏まえてしっかりやらなきゃいかぬと思っております。
 ただ、ベースとしては、アジア地区においては私どもはARFという組織を呼びかけて防衛の人道支援交流というのもやっていますので、いろんな機会を利用しながら趣旨の説明をし、足らざるところについてはまた我々も研究を重ねて実効ある措置をとりたい、こう思っております。
#38
○国務大臣(河野洋平君) 外務省といたしましては、この法案が成立をいたしました後も、とにかく安保理での決議を、もしそういう事態が発生するということであれば安保理の決議を得るというための努力をやらなければならぬというふうに考えております。
#39
○山崎力君 終わります。
#40
○吉田之久君 私は、この間の本会議でこの法案について質問をさせていただきました。したがって、きょうはさらに細部にわたりまして何点か御質問をしたいと思うわけでございます。
 まず最初の問題は、旗国の同意、今、山崎委員からもいろいろと御質問がございましたけれども、この旗国の同意について特にお伺いをしたいと思うのでございます。
 この一年間、連立与党三党はこの船舶検査法をめぐっていろんな論議を行われてこられたことを私どもも仄聞いたしております。さて、ここに来て政府原案としてこの法案をまとめられたと、それはそれで結構でございますけれども、その出された法案の一番の特色は、安保理決議による場合と、または旗国の同意を得てということになっているわけでございます。
 ところが、この旗国の同意を得て船舶検査をやるというのは、今まで世界に諸外国でその例はないと思うんです。だから、この旗国の同意を得て船舶検査をやろうというのは、言うならば我が国の新しい一つの手法だというふうに私は考えるわけなのでございます。だとすれば、やっぱりそこには我が国自体の戦略と言えばちょっと大げさ過ぎますが、我が国独特の分析とか、あるいはこの船舶検査に対する思い入れとか配慮とか、そういうものがあってこの結論を得たのではないだろうかというふうに推測するわけなのでございます。
 だとすれば、そのいろんな配慮の中に、私は考え得る範囲として二つのことが考えられると思います。一つは、きょうまでイラクとかあるいは新ユーゴとかハイチ等で行われた例はございますけれども、それは日本から見ればかなり遠きかなたの出来事でありまして、我が国の周辺事態のときに行うべき今度の船舶検査というものは、我が国の周辺でありますからアジアですね、あるいはアジア周辺、この周辺の定義もなかなか難しいところがありましていろいろ論議のあるところではございますが、大体その辺だというふうに常識的に考えられます。
 このアジア周辺で経済制裁を行うべき国が生じた場合に船舶検査をやる。しかし、所はアジア周辺だから、安保理決議という場合なかなかその決議は決議されにくいのではないだろうか。どこの国とは申しませんが、特にアジアにはかなりの大国がありまして、間々拒否権も発動される例がある。だから、我が国周辺における船舶検査を行おうとする場合にはなかなか安保理決議を得ることが困難かもしれない。それでもやらなきゃならないから、旗国の同意を得て、同意があればやることにしようという判断をなさったのかと。
 あるいは、もう一つは、我が国には憲法九条がありましていろんな制約があります。だから、なるべくいずれの国ともあらわに事を構えたくはないと。しかし、どうしても船舶検査をやらなければならないときには、できれば対象国、あるいはそれにかかわる第三国の旗国の同意を得てからにしたら、やっぱりそれだけ強制的な感じも薄まるであろう、高圧的な姿勢ともとられないであろうと。そういうなるべく穏やかな条件の中で、しかし大事な船舶検査はやらなければならない、そういう配慮から旗国主義をとられたのか。
 私は、その一つか二つの思い入れがあってのことだろうと思うんですが、そのいずれを考えてのことなのか、あるいはさらに全く別な思い、分析があってのことなのか、その辺をまず防衛庁長官にお伺いいたしたいと思います。外務大臣でも結構です、どちらか。
#41
○国務大臣(河野洋平君) 議員がもう今御指摘になりましたように、繰り返して恐縮でございますけれども、この船舶検査活動を実施する場合には、何よりもまず安保理の決議というものがあればこれはもう一番いいと。安保理の決議があれば、国連憲章第二十五条によって加盟国には皆受忍義務が生ずるわけですから、改めて旗国の同意を取りつける必要もないわけでございます。そして、安保理の決議があれば、制裁対象国を含めて他国の船舶を検査することができるということになるわけです。
 こうしたことを踏まえまして、船舶検査活動を実施する際には、したがって安保理の決議があることが一番有益である、これはもうおっしゃるとおりでございます。したがって、そのために、先ほどから申し上げておりますように、安保理決議が採択されるようにまずは外交努力をするということが重要であるわけですが、しかし、何らかの理由によって国連安保理決議が採択されないような状況の場合に、船舶検査活動を実施することがそれでも必要だと判断される場合には、この旗国の同意というものを適切な手段によってとる努力をしなければならないわけでございます。
 この旗国の同意を得る、あるいは安保理の決議を得るための最大の努力、こういったことは、この法案の持つ意味、その効果と同時に、議員がおっしゃるように我が国が船舶検査活動で武力の行使でありますとか武力による威嚇ということを考えているわけではないわけでございますから、できるだけ同意によって行う、あるいは安保理の決議という国際的な共通の認識によって行うということが重要だという気持ちが一番強くあるというふうに御理解をいただきたいと思います。
#42
○吉田之久君 問題は、安保理決議があって、なおかつプラスして旗国の同意を得るという二つの条件がかなえばそれは一番いいと思うんですが、この法案の言わんとするところは、その安保理決議を得るか、それでない場合には旗国の同意を得るという二つの選択の中の一つの条件を備えればという意味だと思うんですね。
 しかも、その旗国の同意というのは、諸外国ではいまだかつてない例を日本が今度は提示するわけでございますから、極めて日本的だというふうに思うわけなんですが、ならばその旗国の同意を得る手続はどの段階で、またその方法は例えば公文書によるのか口頭合意なのか、あるいはケース・バイ・ケースなのか、あるいはその旗国の同意それ自身はその旗国の方の大まかなというか一般的なというか、そういう同意であって、不法艦船を前にしてその都度ではないですね。その辺のところを少し御説明いただきたいと思うんです。
#43
○政府参考人(竹内行夫君) 旗国の同意を得る方法、手段でございますけれども、これは御承知のとおり、別に国際法上のルールがあるとか慣行が確立しているというようなことはございません。したがいまして、個々の状況に応じてその明確な同意を確保するということが必要なわけでございます。
 そのやり方としまして、例えばの例でございますけれども、その関係当事国が集まりましてみんなで同意をし合うというようなこともございましょう。それを条約の形といいますか、国際約束で固めるということもございましょう。また、二国間の話し合いを通じまして同意を取りつけるというようなこともあるかと思います。形式につきましても、国際約束という形もあれば、その他の外交文書による意思の表明というようなこともあろうかと思います。いずれにしましても、大事なことは同意が明確な形で確保されるということであろうかと思います。
 そういう観点から申しますと、何らかの文書で表明されるということが好ましいということが言えるかと思います。したがいまして、条約であるとか口上書等の外交文書で取りつけるというようなことが考えられるわけでございます。
 それから、同意の取りつけるタイミングでございますけれども、お尋ねのとおり、海上で同意を取りつけるというのは、そこには船長さんはいますけれども政府を代表しているという形ではございませんし、あくまでもその政府の代表者から国としての同意を取りつけるという必要がございますので、それは前もって包括的に取りつけるというのが通常のことであろうかと思います。
#44
○吉田之久君 お説に従えば、旗国の同意は、我が国が単独で同意を求めるのではなくて、多国間あるいは二国間等で、二つの国以上で相手国の同意を得るというふうにおっしゃったように思うんですが、そういう例は今までありませんね。あるんですか、旗国の同意を得る手段。今度初めて我が国で提起した問題ではないんですか。
#45
○政府参考人(竹内行夫君) 確かに、船舶検査につきまして、安保理決議がない場合に旗国の同意を取りつけてやるというのはまさにこの法案で考えているところでございまして、私もそういうような国際先例と申しますか、旗国の同意を取りつけるという例については承知をいたしません。
 一つ、同意を取りつけます場合に、いろんな取りつけ方があると思いますけれども、集まって集合的にといいますか複数の国で取りつける場合もあれば、場合によっては二国間同士で取りつけるというのを網の目のように張りめぐらすということもそれはあり得るかと思います。その辺はまさに個々の状況に応じて行われるということかと思います。
#46
○吉田之久君 ですから、旗国の同意を得るということは今始まったばかりのことでありまして例がないわけでありまして、だから今おっしゃったような他国との協議の仕方等につきましても早急にいろいろ具体的なことをお考えにならないと、ただひとり相撲みたいに日本でこんなことを考えたんだだけでは意味を持たないと思うのでございますね。
 それと同時に、たとえ旗国の同意はあったにしても、普通、常識的には経済制裁の対象になっている国あるいは対象国を支援する立場にある国が容易に同意するだろうかと。恐らく極めて困難なことと思われるんですが、その辺はどう見ていらっしゃいますか。
#47
○政府参考人(竹内行夫君) それは御指摘のとおりであろうと思います。現実の状況といたしましては、制裁の対象国が自国の船舶に関して第三国の検査を受け入れるということは、それは通常の状況においてはなかなか容易なことではないと思います。ただ、状況によっては、むしろその国としても国際社会に対して協力する姿勢を示すということを外交的に考える可能性がないというわけではございません、と思います。通常、現実的には容易ではないと思いますけれども、必ずしも完全に排除されるということではないと思います。
#48
○吉田之久君 だから、相手国にとっては嫌なことですからなかなか容易ではないと思うんですが、それを補うのには、絶えず細やかな外交的ないろいろ配慮、交渉が必要だと思いますが、よしんば旗国の同意はあっても、そのときに及んではさらに船長の承諾を得なければ実施できないというふうに決めてありますね。それでよろしいんですか。二つの条件がそろわないとだめなんですか。
#49
○国務大臣(虎島和夫君) お説のとおりであります。
#50
○吉田之久君 大体、船長というのは船を動かしている責任はありますけれども、しかし自分の財貨でない搭載物を他国に検査させる権限を法的に有しているとは私は思わないんです。あるいは、今度のこの船舶検査で乗船して検査して、停止させたり目的地を変えたりしたときに生ずるであろう載貨に与える損害ですね、例えば積んでいる果物や魚介類が全部腐っちゃったとかということはあり得ると思うんです。そういう場合の補償は我が国がするはずはありませんね。どうなんですか。
#51
○政務次官(鈴木正孝君) 私どもといたしまして、これまで諸外国が行っておりました船舶検査におきまして、検査活動によって荷主に対し何らかの損害が発生し、それを当該検査を実施した国が賠償したというような例は承知はしておりません。
 しかしながら、今先生御指摘のいろんな問題がひょっとしてあるのかもしれませんし、いずれにいたしましても、万一自衛隊の行為によりまして対象船舶に損害を与えたような場合、個々の事案の具体的な事情等があるわけでございますが、そういうようなものを踏まえた上で適切に対応するということに一般論としてはなるのではないか、このように思っているところでございます。
 全般といたしましては、この船舶検査活動法案によって正当な職務行為として行うわけでございますので、いずれにいたしましても個々の事情、状況等を見ながら判断をするということに当然なろうかと、このように思っております。
#52
○吉田之久君 かなり厄介な問題も生じる可能性があると思いますので、その辺に当たってまでもそろそろいろいろと検討、研究はなさった方がいいと思うんです。
 ちょっと最後に、形式論になりますけれども、安保理決議があればそれは問題はないんですが、安保理決議がない場合には、私の考えでは諸外国は行動を開始しない、ただ日本はこの法律に基づきまして旗国の同意を得れば検査をすることができる。そうした場合には、日本だけで世界じゅうでただひとり孤立しながら船舶検査をやるということはあり得るんですか。ちょっとその辺が疑問あるんですが。
#53
○政府参考人(竹内行夫君) この法案が想定しております状況と申しますのは、第一義的には安保理において経済制裁決議がまず行われるという場合でございますが、それが行われない場合にも、国際社会の協調行動としまして関係国がやはり経済制裁を行うという、そういう意思を固めるということが前提でございます。
 そういう場合に、それを実効あらしめる措置としまして、いろいろ各国が国内法令に基づいて措置をとることが考えられますが、さらにそれに加えまして関係国で船舶検査を行うということが想定されているわけでございますので、そもそも国際社会が協調いたしまして制裁を決定しないというふうな状況で日本が単独で船舶検査を行うというようなことは考えられておらないところでございます。
#54
○吉田之久君 だから、すべての状況を見て、かなり我が国としては受け身というか、そんなにひとり進んで積極的にやることはないと思うんですね。だとするならば、この旗国の同意を我が国が得るということは、何か国際的には浮き上がってしまうことになりはしないだろうか。あるいは常識的に、アメリカがやるから日本もやってくれ、それで安保理決議がない、それじゃ何とか旗国の同意は得た、さあやりましょうかというようなことに事実上なるのかなと考えたりするんですが、そんなことでしょうね。
#55
○政府参考人(竹内行夫君) そういう可能性が全く排除されることはないと思いますが、現実には、やはり経済制裁が効果を上げるためには、日本だけでやりましても実際問題としては効果がないということが考えられますし、先ほど申しましたように、まずは経済制裁について国際的な協調の意思決定があるということが前提でございますので、それを踏まえていろんな外交努力をして実効性を高めるような措置をみんなで考えるということが現実に起こる流れだろうと思います。その中で、先ほど来申し上げていますとおり、外交的ないろんな協調作業を通じまして国際的な努力としての実効性の確保のための努力を行う、こういうことであろうかと存じます。
#56
○吉田之久君 ですから、ここに来て旗国の同意ということを改めて日本は考えて、法律につくり、そしてそれでいろいろと対処していこうということ自身はわかるんですけれども、日本だけが旗国の同意を得たからといって、それだけで単独に行動できることは事実上ありませんし、日本では、やっぱりこの旗国の同意それ自身は諸外国とも話し合い、諸外国もそういう歩みをしてくれないと最終的に意味を持たないんじゃないかというふうな気がするわけでございますが、この辺はさらに政府で御検討いただければ結構でございます。
 二番目の問題としては、船舶検査活動の実施区域は他国の活動と混交しないという原則を与えていらっしゃいますね。諸外国では混交実施している例はあるんでしょう。なぜ日本だけが混交しないのかという点をまずお伺いいたします。
#57
○国務大臣(虎島和夫君) 我々の検討の結果としては、一定海域を指定するわけですが、この中に複数の指揮系統があるということはかえって混乱をすると。したがって、これらを考慮して他国の活動海域とは区別した海域を設定してこれを実施するということにしてあるわけであります。
#58
○吉田之久君 その意味はわかるんですが、ならば諸外国も大体そうなさるべきでしょうね。その辺やっぱりよくすり合わせしないと、日本だけが全然違った形でやっていることもちょっとおかしいし、区域の設定はそれはそれなりに意味を持っていると思うんですが、陸上と違って海上ですから、実施区域の指定は緯度や経度によって分けるしかないと思うんですが、そのいわば縄張りを決めるのはだれなのか。アメリカなどが主導権を持って、ここはアメリカがやる、ここはカナダがやれ、ここは日本で頼むよというふうなことを割りつけるんでしょうね。そうじゃなしに、日本独自でこれだけやるんだといって事を構えるべき性格のものだとは私は思わないんですが。
#59
○国務大臣(虎島和夫君) いずれにしても、先ほども申し上げましたように、おおむね考えられることは、複数国でやるであろう、そうしますと、それぞれの国が勝手にやっても、海域がダブったりあるいはすき間ができたりして実効性に大いに疑問がある、むしろ実効性がないことになる。ということを想定すれば、やはり該当する複数国で協議をして、そしてそれぞれ海域を分担するというようなことになると思います。そういう手続まで経なければ実効は上がらないというふうに思っております。
#60
○吉田之久君 外務省の方で何かいろいろ御相談があったようですが。
#61
○国務大臣(河野洋平君) 今議員がお話しになりましたような状況で海域をどうするかというような場面になれば、これは防衛庁が先方といいますか仲間の友好国との間で話し合われるということであって、あらかじめ外交政策上の合意があるというものではないというふうに私は今考えております。
#62
○吉田之久君 私どもの経験からいえば、例えば湾岸戦争のときの機雷除去の作業のときも区域分けをなさっていますね。恐らくアメリカが主導して取り仕切ったんだろうと思いますが、やっぱりそういうことに似たような手法になるんじゃないかと思うんですが、その辺もそろそろよく検討を始めていただきたいと思うわけでございます。
 いま一つ気になりますのは、どうもやっぱり諸外国と比べて日本の設定した海域での取り締まりということは極めて穏やかな、決して無理をしない方法にならざるを得ないと思うんです。これは諸外国にもわかりますね。相手国にもわかりますね。そんなら、なるべく日本の守っている検査区域に入り込もうやというようなことになりませんか。
#63
○政務次官(鈴木正孝君) 検査海域の設定ということでございますが、実際の諸外国の活動実績等を見てまいりますと、それぞれ実施する国がいろいろと海域を区々に設定するというようなことで従来はやられているというように私どもは承知はしているわけでございます。
 先ほど来お話ございましたように、船舶検査活動の全体的な実効性を上げるために、それぞれの参加国の間でいろいろな状況、あるいは意見調整、やり方等につきまして話をするという調整の場というのは当然ながらいろいろと考えられるというふうに思いますけれども、最終的にはそれぞれの立場で効果が上がるような有効な手だてを講じながら従来もやっているという、そういうことで承知をしているところでございます。
#64
○吉田之久君 それでは、友好国が守っておる海域で相手国の船が逃げる、それを友好国が追跡しながら日本の守っている海域に入った場合に、おまえら出ていけと言うんですか。その辺はどうなりますか。
 ちょっとまとめて時間がないから御質問いたしますが、さらに、船舶検査活動というのは国際法上、国連の集団的安全保障の一環だと、これは第百四十五回の国会において加藤外務省総合外交政策局長がそう答えていらっしゃいます。だとするならば、国連の集団的安全保障の一環としてやる行動でございますから、他国と時に混交して船舶検査をやったって別に僕はそれ自身問題にはならないと思うんですが、その辺はどうなのか。
 それから、仮に米軍が同一区域で一緒にやろうと言い出してきた場合、いやいやそれでもうちはうちだけでやるんだと断れるのかどうか。あるいは、たとえ訓練だけでも一緒にしようやと米軍が言い出したときに、やっぱりそれはするんでしょうね。
 その辺、まとめていかがですか。
#65
○政務次官(鈴木正孝君) 他国の検査艦が対象船舶を追って日本の区域に入ってきたようなそういうことが一つ最初のお尋ねだろうと思いますけれども、検査艦が何らかの事情によって我が国の実施区域に偶発的に侵入したような場合、これをもって直ちに本法案の第五条第二項で禁じている外国による船舶検査活動に相当する活動と混交する、そういう状態ということにはならないのではないかというふうには思います。
 しかしながら、状況によって混交した状態となり得るので、そのような場合に具体的にではどういう対応をするかということになろうかと、このように思いますけれども、実際、現場でレーダー等によって他国の検査実施艦が自衛隊の実施区域に侵入したことを確認した場合には、その検査実施艦または当該艦が属する司令部等に対して、その目的等をまずは問い合わせするというようなことが考えられるかと思います。
 その結果、自衛隊の実施区域において当該艦が船舶検査活動に相当する活動を実施していることが判明した場合には、ここは自衛隊の実施区域ということであるので退去を要請するということも考えられるのではないかというふうに思っております。そういう状況の推移を見ながら適切に対応するしかないと、このように一つは考えておるところでございます。
 それから、後段の方の、米軍から検査活動について同一区域で実施することを求められた場合、この点どうするかというようなことかと思いますけれども、先ほど来お話ししておりますように、各国の主体的な判断によって各国おのおのの態様によって活動しているというようなことでございますので、それを踏まえた上で考えざるを得ないということはあるわけでございますが、先般来お話し申し上げておりますように、結論としては米軍と船舶検査活動を同一海域で実施するということは想定はしておりませんし、こういう考え方については米側ともそれなりに考え方の調整といいましょうか説明といいましょうか、そういうことも行ってこういう法案の整理にしているという、そういうことでございます。
#66
○政府参考人(竹内行夫君) 船舶検査と集団安全保障との関係についてでございますけれども、先ほど吉田先生御指摘のとおりの答弁が行われておりまして、国連安保理決議がある場合の船舶検査、これは国連憲章のもとにおける集団安全保障の一環と位置づけることができると思います。
 ただ、その場合に、船舶検査の具体的な実施方法、態様につきましては国連憲章にも特別の定めはありませんし、決議でも、これまでのところ各国の判断による実施、態様に任せるというのが実態でございます。そういうもとにおいて我が国が混交は行わないということで実施を考えているということでございます。これは、我が国の判断においてそういうことを行うということであろうかと思います。
 他方、安保理決議が存在しない場合に船舶検査をこの法律案に基づいて行います場合、これは国連の集団安全保障措置の一環とは位置づけられないわけでございまして、これはまさしく旗国の同意を得て行う国際法上の合法的な行為、こういう位置づけであろうかと思います。
#67
○政府参考人(北原巖男君) 先ほど先生から訓練の話がございましたので、御答弁させていただきます。
 私ども、各自衛隊におきましては、一般論でございますが、我が国の防衛を初め自衛隊法等により付与されている任務を遂行する上で平素から実効性のある訓練を実施することは極めて重要である、そういった認識のもとに必要な訓練を積極的に行ってきているところでございます。
 こうした考えのもとで、ただいま御審議をいただいております船舶検査活動法案が成立し、自衛隊に新たにこの船舶活動の任務が付与された場合には、例えば船舶に対します照会ですとか、あるいは乗船しての検査、確認などの訓練等、この法案に規定されております船舶検査活動の実施の態様に従った船舶活動を円滑かつ効果的に遂行する上で必要な訓練は実施してまいりたいと思っておりまして、米軍との関係におきましても、この法律の枠組みを前提として訓練はしてまいりたい、そのように考えております。
#68
○吉田之久君 我が国のやり方というのはありますから、できるだけ我が国は我が国でやる、混交したくないということはわかりますけれども、やっぱり協同効果ということもありますし、臨機応変に対応しなければならないこともありますので、余りかたくなに混交は一切しないと言っては、かえって自縄自縛になりはしないかという点を感じます。
 それはそれといたしまして、第三条の関係についてちょっとお伺いいたしますが、周辺事態での船舶検査活動がきっかけで日本有事になった場合、即刻これは平時から有事に切りかわるわけでございますが、そのときは自衛隊法七十六条に基づいて防衛出動としての船舶検査活動をやっぱり行う事態も想定されますね。それが一つ。
 いま一つは、我が国の船舶検査活動は日米安保条約の目的達成のために寄与する活動であるから、米軍の部隊の後方支援も日米安保条約からは一歩も出られないということでしょうか。というのは、去る百四十五国会において当時の高村外務大臣が防衛指針特別委員会でおっしゃっておりますことは、さらに将来もっと広義の一般的船舶検査法も考える必要があるのではないかと、検討されるべき今後の課題であるというふうにおっしゃっているんですが、その辺のところをまとめて御答弁いただければありがたいと思います。
#69
○国務大臣(河野洋平君) 先ほども申し上げたわけでございますが、この船舶検査活動法案はあくまでも日米防衛協力のための指針の実効性を確保するための法整備の一環でございまして、周辺事態に対応して我が国が実施する船舶検査活動に関して定めるものでございます。周辺事態安全確保法と相まって日米安保条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資するということがこの法案の趣旨でございます。
 こうした観点から、周辺事態安全確保法に基づきます活動と同様に、船舶検査活動につきましても我が国の平和及び安全に重要な影響を与える周辺事態への対応に限定をしているわけでございます。こうした法律の立て方、考え方、これは日米安保条約の効果的な運用に着目をしてこうした法案をつくっているわけでございまして、その枠を越えて何をするということは考えておりません。
 先ほども山崎議員に御答弁を申し上げましたが、周辺事態以外の場合に行う国連協力といいますか、そういうことも考えているかという御質問に対して、私は、それはこの法案では全く想定していないのであって、もしそういうことを考えるとすれば全く別途に検討しなければならないということを申し上げましたが、今の御質問につきましても、私はこの範囲ということをやはりきちんと守っていかなければならないのはこの法案の当然の趣旨だと考えております。
#70
○吉田之久君 大臣おっしゃるとおり、この法案についてはこの範囲と。しかし将来、それをさらに乗り越えて検討すべき必要な時期が来れば、それは将来の問題でありますが、そういうことで結構でございます。
 次に、自衛隊の武器使用についてでありますが、先ほど山崎委員の方からもお話がありました。私も本会議で申しましたが、ルール・オブ・エンゲージメント、交戦規則というんでしょうか、そういう基準をつくるべきだと。これに対しまして防衛庁長官は、いずれにせよ、武器の使用の手続等について要領を作成するなど所要の措置を講じ、遺漏なきを期するというふうにお答えいただいているわけなんですが、武器使用の手続等の要領とは具体的にどんなもので、それならばそれで作業をお始めになるのかどうかということでございます。
#71
○国務大臣(虎島和夫君) 部隊行動基準というのをやっぱりつくらなければということでありますが、これも法令等の範囲内で対処行動の限度を示す、あるいは法令等の遵守を確保するというようなことで的確な任務遂行に資する、その目的のために部隊行動基準というものを設定する。その具体的内容としては、行動をし得る地理的な範囲、武器の種類、使用方法、その他の特に政策的判断に基づく制限が必要な重要事項に関して、状況に応じて部隊等に示すべき基準を定めることになるというふうに考えておるわけであります。
 このように、部隊行動基準は法令等の範囲内で作成することとしておりまして、その作成過程においては、自衛隊法等のみならず、これらを受けて部隊等の行動の要領に関する一般的規範として策定されている各種の訓令、通達等とも整合を図るということにならなけりゃならぬと思っています。
#72
○吉田之久君 それでは、別の問題といたしまして、今まで対イラク、対新ユーゴ、対ハイチという三つのケースがあったわけでございますが、米、英、カナダ、イタリア、オーストラリア、あるいはEU、アルゼンチンなど、それぞれ加わって展開されたわけでございますが、例えばイラクの場合三万五千隻以上に照会をしておるということ、新ユーゴの場合には七万隻に対して照会をしておる、ハイチの場合には三千隻以上に照会をしたという例が出ておりますね。
 そこで、防衛庁長官、もしも我が国周辺で経済制裁を行うべき必要上船舶検査をやるという場合に、私は常識上、それは規模にもよりますが、日本だけでも千隻ぐらいを照会するだけの対応能力を持たないと間に合わないんじゃないかというふうに思うわけなんですね。だとするならば、どの艦艇をどの程度どこに用意し、いざというときにはどう展開し、ふだんどう訓練するのか、ちょっとその辺をお聞かせいただきたいと思います。
#73
○国務大臣(虎島和夫君) 船舶検査活動の実施に必要な艦艇の種類とか隻数については、そのときそのときの状況で考えられるべき課題であると思っております。
 御承知のように、これは最初に基本計画をかなり広い海面を指定して内閣の方で決める、その範囲内で今度防衛庁長官が実施計画を立てるということで海域が定まってくるということを考えておるわけであります。そういう中で、周辺の状況に応じて、お説のようにどれだけの船舶が往来するからどれぐらいの艦艇が要るであろうというようなことは、そのときそのときの状況によって決定さるべきであって、一概にここで申し上げることは困難でありますので、御理解いただきたいと思います。
#74
○吉田之久君 どんな立派な法律ができたって、いざというときに全然準備が整っていなかったら、これはぶざまなことですから、この法律をつくった以上は、さらにどういう場合にはどうするかといろいろシミュレーションも考えて、そろそろやっぱり防衛庁長官も検討をなさるべきだと思います。
 最後に、海上保安庁お越しいただいていますので、ちょっとお伺いいたしますが、この間も我が国のアロンドラ・レインボーという大型貨物船に乗っておった乗組員が海賊にやられて、相手は小型高速艇のようですが、フックをかけてよじ登ってきて銃を突きつけられたと。それで逃げ惑って浮かんでいるところをタイの漁船の船長に助けてもらったという記事を二十四日の夕刊産経で拝見したわけなんです。
 大体、この海賊というのは旗も何もかけていないでしょうね。今問われている船舶検査法とは全然また別の問題になりますけれども、我が国民にとってはまことにそれはもう不愉快千万というか、大変危険なことであります。国民の生命、財産を守るためには、海賊を取り締まり、やっつけるというぐらいのことはできないと私は国家じゃないと思うんですね。
 ちなみに、最近この海賊による被害がどの程度発生しているのか、あるいは自衛隊によるいわゆる臨検等の警察行動はただいまのところ皆無なのかどうかという問題、それから特に北朝鮮の不審船、あの事件は国民から見てまことにもどかしい限りでございましたけれども、こういう事態にも備えて、海上保安庁やあるいは防衛庁としていつまでものんびりしている時期じゃないと思うんです。
 ちょっと海上保安庁の方から御報告をお願いします。
#75
○政府参考人(荒井正吾君) 一括して海上保安庁からお答えさせていただきます。
 海賊事案でございますが、近時海賊がふえております。平成十一年は三百件ぐらい全世界で起こっております。その半数がマラッカ・シンガポール海峡、インドネシア周辺ということで、日本の商船の通航上大変枢要な地域で起こっておるという実情でございます。
 なお、今委員御指摘されましたアロンドラ・レインボー号の事件は平成十一年十月に発生いたしました事件でございますが、それを契機といたしまして小渕前総理が海賊国際会議を提唱されまして、その後、海賊国際会議をやりますとともに各国と連携強化を図っております。
 海賊の種類は大ざっぱに言って二種類ございますが、金品を強奪するだけのものと、大きな船とか荷物をとって処分するといった組織的な犯罪と二種類ございますが、各国と情報収集、協力等の努力を積み重ねております。海上保安庁といたしましても、アロンドラ・レインボーの際にも巡視船、航空機を東南アジア海域まで派遣して捜索に当たらせましたが、今後、各国との連携強化と海上保安庁の捜索救難活動強化ということを軸に海賊対策を進めていきたいと思っております。
 海賊は海上における強盗でございますので、海上の犯罪ということで、今のところは海上警察、警察権の行使ということでやっておりますので、各国とも自衛隊あるいは軍隊との協力ということは行われておりません。
 なお、不審船につきましてでございますが、不審船につきましては一昨年六月に閣僚会議で、基本的な警察機関たる海上保安庁が第一に対処で、対処不可能または著しく困難な場合は海上自衛隊と連携して対処するということを決定されまして、その後、防衛庁との迅速な連絡体制の整備、自衛隊との共同対処マニュアルを昨年十二月に策定いたしまして、本年九月に同マニュアルに基づきまして共同対処訓練を実施しております。なお、監視体制強化ということで、ヘリコプター二機あるいは高速特殊警備船の整備などを進めておるところでございます。今後とも、防衛庁との連携強化、あるいは当庁の装備充実、訓練の強化によりまして不審船の対応に万全を期したいと考えておるところでございます。
#76
○国務大臣(虎島和夫君) 不審船対処に係る共同対処マニュアルの策定や共同訓練の実施による海上保安庁との連携強化は、ただいま答弁があったとおりであります。私どもとしては、さらに自衛隊艦艇、航空機能力強化とか、そのようなことについてもしっかり対応をしていきたいということで、特別警備隊の新編等の措置を講ずるようにしておるところでございます。
 いずれにしても、こういう複雑な海域であり複雑な時代でありますから、いろんなことを想定しながら、随時検討見直しを実施しながら実効ある措置を継続したいと思っておりますので、よろしく御理解賜りたいと思います。
#77
○政府参考人(北原巖男君) 私の方から、海賊の関係につきましてでございます。
 平時におきます海上の秩序の維持等につきましては、委員御承知のとおり、第一義的には海上保安庁が対処することになっております。海上保安庁だけでは対処できない、あるいは対処することが著しく困難といった場合に海上警備行動等の下令によりまして自衛隊が対処することとされております。こうした今申しました法的な枠組みというのは海賊行為についても同様である、そのように考えております。したがいまして、こうした場合に、自衛隊は立入検査ですとか停船などによって対処することになります。
 なお、自衛隊といたしましては、平素から警戒監視等の実施に際しまして、不審船等を発見した場合の連絡などは、先ほど海上保安庁からもお話がございましたように海上保安庁と緊密に連絡をいたしましてその対応に協力をしていく、そういったことで努めてまいりたい、引き続きまた努力していきたいと、そのように考えております。
#78
○吉田之久君 ありがとうございました。終わります。
#79
○江本孟紀君 民主党の江本でございます。よろしくお願いします。吉田議員に関連して多少重複するかもしれませんけれども、よろしくお願いします。
 私は、この法律がまず実施された場合に、具体的にどんな体制かというようなことについて何点かお聞きしたいと思います。
 いざこの法律が実施された場合に、検査の対象になる船舶の判断材料というのはどういうものか、それから基準とか根拠というもの、そういうものによって検査対象の船舶をどう認識されるのか、まずその辺をお聞きしたいと思います。
#80
○国務大臣(虎島和夫君) 本法案に基づく船舶検査活動の検査対象は、基本的には商船であります。第二条において、軍艦及び各国政府が所有し、または運航する船舶であって、非商業的目的のみに使用されるものについてはこれを除外するということにいたしてあります。
 なお、国際法上、軍艦についてはそのような船舶であることを示す外部標識を掲げることとされており、外見上当然に区別し得ると考えております。非商業目的の政府船舶についても、無線等により船舶の身元を照会する等の方法で区別し得ると考えておるところであります。
#81
○江本孟紀君 そこで、ケース・バイ・ケースということはわかっておるんですが、禁輸品というのは一般的には石油だとか石油製品だとかいろいろ言われておりますけれども、実際に具体的にどういったものを想定しておるのか、お答え願いたいと思います。
#82
○政府参考人(首藤新悟君) どういう禁輸品を想定しているかということでございますが、これまでに各国が実施いたしました船舶検査の実績にかんがみますと、人道目的の物資などを除きまして、基本的にはすべての貨物が規制措置の対象物品になり得るものと考えております。
 我が国がこの法案に基づきまして実際に船舶検査活動を実施いたします場合の対象物品の範囲でございますけれども、これにつきましては、国連安保理決議あるいは我が国が参加いたします経済制裁措置に基づきまして、周辺事態安全確保法に基づく基本計画というのがございますが、その基本計画において定められることとなるということでございます。具体的な対象物品の範囲を決定するに当たりましては、結局はその時々の種々の状況を総合的に勘案の上、個々のケースに応じて判断されることになるであろうと考えている次第でございます。
#83
○江本孟紀君 この法案ができるまでにやはりある程度こういうことというのは想定されていたと思うんですね、海上自衛隊としては。過去に多少これに近いような訓練等もされたと思いますけれども、どうもこれは船舶検査が必要だなというような怪しいケースといいますか、こういったものは想定としてあったかどうか、少しお聞きいたします。
#84
○政府参考人(北原巖男君) この種の訓練を過去に云々というお話がございましたけれども、まず一般論といたしまして、私ども防衛庁では、我が国の防衛を初めといたしまして自衛隊法によって付与されている任務を遂行する上で平素から実効性ある訓練を実施することは、これは極めて重要であるという考えのもとに、各自衛隊において必要な訓練をやっているところであります。
 しかし、この船舶検査活動法案、これに規定される任務ということになりますと、これは今御審議をまさにいただいているところでございまして、この任務に対応することを念頭に置いた訓練はこれまでやってはおりません。なお、御審議を経まして成立ということになれば十分きちんと訓練をしてまいりたい、そのように考えております。
#85
○江本孟紀君 それからやって間に合うかどうかというのは多少疑問に思いますけれども、そこで、実際にこの法律が施行された場合に、先ほどとちょっとこれはダブるかもしれませんけれども、私はそれに対応する装備、それから態勢ですね、こういったものを少しお聞きしたいと思います。
 その中でも、特に武器の問題もあるんですけれども、一般的に言いますと、諸外国の一般的なケースでは、例えば艦艇が二隻を一組としてチームを組んで、それで一隻の方が乗船して検査をする、一船の方がそれを後方支援しているというような援護の体制、こういうものが一つあるようです。そういうものも想定されているのかどうか。
 それから、非協力的な船舶に対しては、ヘリコプターからロープを使用して隊員を船上に降下させるという方法ですね、これはテークダウンと言うそうですが、こういった作戦も当然想定されていると思います。
 それから、そういうこと以外にも、例えば強制乗船でなくても乗船後には非常に危険が検査活動には伴うと思うんですね。その場合の防護のために武器を使用するということは今回認めておるわけですけれども、その武器そのものは特に限定されないというふうに解釈した方がいいのかどうか、要するに相手が何を持っているかわからぬわけですね。そういった場合にどういうような態勢をとられるのか、その辺について少しお聞きしたいと思います。
#86
○国務大臣(虎島和夫君) 前段の方で、ヘリコプターで行っておりて船上にという、そういう意味でしょうね。
#87
○江本孟紀君 はい、そうですね。
#88
○国務大臣(虎島和夫君) この法律では、ベースとしては要するに国連の決議に基づくのが第一、筋であると。しかしながら、何らかの事情でそれがとれない場合に旗国の同意を得て検査を行う。検査を行う際には、今度は、乗船検査の場合には船長のまた同意が要るということになっておりますから、ヘリコプターで行っておりるようなことは想定されがたいんじゃないかというふうに思います。
 それから、あと武器等については政務次官の方からお答えいたします。
#89
○政務次官(鈴木正孝君) 先ほどお話の中に、いろんなやり方、二隻、組で云々というようなお話を含めましてございました。検査実施海域の広さだとかあるいは期間だとか、そのときの状況によってやり方というのはそれぞれ個々具体的に検討しながらということに総括的にはなるだろうというふうに思っております。
 それから、武器の使用ということで、武器の規定はないという、そういうことでございます。本法案で、委員御案内のように、自衛官が対象船舶に乗船をしてその職務を行うに際して、自己または自己とともに当該職務に従事する者の生命または身体を防護するための必要最小限の武器使用は行い得るようにしてございます。これは自然権的な生命保護というそういう観点からの条項というふうに御理解いただければよろしいわけですけれども、かかる武器の使用の目的を達成するための武器として通常考えられるのは、けん銃とか小銃とか機関銃とか、その程度の武器ということが一つあるのではないかというふうに思っております。
#90
○江本孟紀君 この法律ができれば、想定というのはありとあらゆる想定をしなきゃいけないと思うんですね。確かに、法律で国連の決議にしても、その規定はあるにせよ、これは何が起きるかわからぬということをやっぱり私は想定した訓練、装備というものをすべきではないかという考えから少しお聞きしたんです。
 次は、やはり問題になるのは、停船命令に従わない船に対して警告射撃というのは、これは本来必要と思うんですが、これは禁止されているということで、そのことによって検査活動の適用範囲というのはかなり限定されるんじゃないか、この心配が一つはあるわけですね。警告射撃しなきゃ何か水まいてもいいじゃないかみたいな話になってくると意味がないので、この辺についてお考えをお聞きしたいと思います。
#91
○政務次官(鈴木正孝君) 停船のための警告射撃というものは、御案内のようにこの法案では認めていないという、そういうことでございます。
 いろいろとお考え、御議論はあろうかと思うんですけれども、防衛庁といたしまして船舶検査活動においてその種の警告射撃というものの位置づけというものをいろいろと検討はいたしたわけでございますが、法案の最終的な整理の中で、経済制裁の実効性を確保するというそういう大きな対応、そういう目的のために、現場における船舶検査活動というものはそれだけに限定されるものではなくて、いろいろとその国の情報交換あるいは旗国または交易国等の通報等を含めまして全体として効果が上がるようにということで十分その目的を達し得るのではないかということで、あえて警告射撃というようなそういうものは法律上認めるというようなことにしなかったという、そういうことになろうかと思います。
#92
○江本孟紀君 警告射撃というのを禁じていますこの本案ですが、これはしかし非常にこれからの問題になってくるというふうに思っております。
 そこで、次なんですが、これは船舶検査法とは直接関係はないんですけれども、我が国の四方を海に囲まれた環境を利用してさまざまな不審船が出入りしております。
 先ほども海賊のお話がありましたけれども、それから覚せい剤とかけん銃などの武器、それからさらに密航者、こういったものが大量に流入をしているということが現実にはあるわけです。さらに、以前の北朝鮮の工作船、それから韓国や台湾の漁船による領海侵犯などの例を挙げますと本当に切りがないと思うんですね。また、その数というのは本当に毎年増加しているというふうに聞いております。そして、組織化されて、なお悪質化しているということであります。拉致問題なんかも含めまして、日本の海岸線というのはどうも無法地帯と言ってもいいような状況じゃないかと思います。これは船舶検査という法案とは直接関係ありませんけれども、ここはぜひとも、海上保安庁それから自衛隊が沿岸警備とか不審船対策でもっと強硬な姿勢を示していただきたいと思っております。
 そこで、海上保安庁長官にお尋ねをいたしますけれども、昨今の不法行為の実態について報告を求めたいと思いますが、あわせて今一番困っていることがあれば教えていただきたい。そういったことに含めてこの問題に対して、それは例えば装備の問題とか人員の増員とか法整備とかいうことで結構でございます。
 アメリカの例を言いますと、よく聞かれるのは沿岸警備隊ということで、沿岸警備隊の場合は海軍の正規な軍隊の一部というふうにみなされておると、それから一般的に運輸省に属した部分もある。だから、有事のときは軍隊に入っていくんだというような、そういう仕組みになっておるわけですけれども、日本の場合は、海上自衛隊と海上保安庁というのはどのような密接なつながりを持っているかは私は直接はわかりませんけれども、しかし今後、これは当然連携をしてこういった問題に対応していかなきゃいけないと思いますが、その点について、今後の海上保安庁とそれから海上自衛隊の取り組み方について、防衛庁長官と海上保安庁長官にお伺いをしたいと思います。
#93
○政府参考人(荒井正吾君) では、恐縮でございますが、最初に海上保安庁から、今委員の御質問にありました海上犯罪、特に我が国の国境犯罪の実情と対処の方向、それと海上自衛隊を含む関係機関との連携の方向についてお答え申し上げたいと思います。
 我が国は国境がすべて海上でございますが、世界的に国境犯罪というのが増加する傾向でございます。大きなのは密輸、密航でございますが、密輸で大きなのは薬物、銃器でございますが、我が国におきましても、世界的にも大変ヘロインなどの取引は増加しておりますが、我が国周辺におきましても覚せい剤の取引は増加しております。それも国際的な犯罪組織で行われておりますので、それに対処するというのが最重要事項と考えております。
 近時の傾向でございますが、洋上での漁船等の瀬取り、日本の手引き者と外国の輸出者が合同して沖で瀬取りをして、夜陰ひそかに人の少ない海岸に上陸するというケース、その間、非常に頻繁に携帯電話等で連絡し合って、あるいはGPSを利用して洋上での落ち合い場所を正確にやるというように、大変高度化、巧妙化しておる実情でございます。また、密航につきましても、貨物船の中に巧妙に隠れるというような事案が大変頻発して、全体的に巧妙化しておる状況でございます。
 対処する方向といたしまして、海上保安庁だけでなく、税関、警察等との連携というのは欠くべからざることだと考えております。海上保安庁は機動力の面では大変すぐれておりますが、いろんな犯罪の情報ということについては税関、警察と日ごろ協力しなきゃいけないということを肝に銘じておりまして、海上保安庁の機動力を利用していただいて税関、警察に手柄を立ててもらうということを基本的な方針にしております。そのような成果は徐々に上がってきておりまして、合同の捜査、立入検査あるいは逮捕ということが最近の実例で成果として上がってきております。また、日ごろの情報交換、人事交流というようなことを強化していきたいと考えております。
 それから、外国の治安機関との協力ということも重要でございますので、最近、ロシア、韓国、中国、アメリカとの連携を強化すべく努力を積み重ねておる状況でございます。
 海上保安庁の能力の強化という点では、いろいろな監視能力を高めていきたいと思います。今、個別の監視能力から総合的な監視能力、航空機、船艇、陸上の監視能力を使って総合的に解析する、不審船を絞り込むという能力がやはり不足してきておりますので、そういう面を総合的に強化していく必要があろうかと思っております。
 各機関との連携、それと監視能力あるいは隠密追尾能力の強化ということが今後の巧妙化する国際組織による国境犯罪の抑止には必要不可欠かと思っております。
 なおまた、御質問にございました不審船ということにつきましても、警察機関たる海上保安庁が第一に対処して、不可能または著しく困難の場合には海上自衛隊と連携するということでその連携強化の道を進んでおりますが、象徴的な事案といたしまして、本年四月に行われました海上保安庁の観閲式に自衛艦が初めて参加していただきましたし、この十月に行われました海上自衛隊の観艦式に海上保安庁の船が参加させていただきまして、総理大臣の受閲を受けるということで、象徴的な連携強化のデモンストレーションをさせていただきました。
 軍と警察という日ごろの行っておる業務、役割というのは大変違うものがあろうかと思いますが、大きな意味の国の安全保障という意味では目的を共有するところが大いにございますし、日ごろ不審な船の監視動向情報等を提供していただいておりまして、日ごろの連携も実は進んでおる面もございますので、今後ともそのような方向で働いていきたいというふうに考えております。
#94
○国務大臣(虎島和夫君) ただいまお話がありましたように、防衛庁と海上保安庁は平素から緊密な連携協力を行ってきているわけでございます。ただ、防衛庁の警備行動にしろ、このときは厳しい法律上の規制がありますので、それらを見ながら行動させてもらうわけでありますが、昨年三月、不審船事案の際に改めて両庁の緊密な連携協力の重要性が認識されたところであります。
 したがって、不審船にかかわる共同対処マニュアルの策定とかあるいはそれに基づく共同訓練とか、あるいはまた海上自衛隊と海上保安庁との間の秘匿通信体制の強化とかいうようなことを、装備面からもあるいは運用面からも連携協力の一層の緊密化を図っておるところでございます。
 防衛庁として、引き続き海上保安庁との連携協力のもと、我が国の安全の確保及び危機管理に万全を期してまいる所存でありますので、よろしく御理解を申し上げます。
#95
○江本孟紀君 ぜひともこの船舶検査法を機により一層、直接法律そのものは関係ありませんけれども、しかし広く考えれば同じような趣旨だと思うんですね、だからぜひとも連携していただいて、そして国民一般的には海上保安庁と海上自衛隊がやっている仕事というのは余りよく理解できていないと思うんですね。だから、そういう意味でも、ぜひともより連携をとっていただきたいと思いまして、この辺で終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#96
○委員長(服部三男雄君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#97
○委員長(服部三男雄君) ただいまから外交・防衛委員会を再開いたします。
 この際、政府参考人の出席要求に関する件につきましてお諮りいたします。
 周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案の審査のため、本日の委員会に外務省中南米局長堀村隆彦君、法務省民事局長細川清君、法務省入国管理局長町田幸雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#98
○委員長(服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#99
○委員長(服部三男雄君) 休憩前に引き続き、周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#100
○益田洋介君 昨日、ロシアの大使館武官に対する機密漏えい事件で容疑に問われております萩嵜元海上自衛隊三佐の第一回の公判期日でございまして、検察側の冒頭陳述に対して、ほぼ罪状認否で被告は冒陳を認めたような形でございました。
 その中で興味を引かれましたのは、ことしの六月三十日、渋谷のレストラン、オスロで手渡した書類の中に「戦術概説」、これは海自の幹部教育用の教本でございます、さらには通信体制について詳細を記しました「将来の海上自衛隊通信のあり方」、加えて海自の戦略戦術関係資料の中でも一番入手が困難とされている書籍のバックナンバーリストなどを手渡したとされております。
 この点について、人事教育局長、御意見をいただきたいと思います。
#101
○政府参考人(柳澤協二君) 私どもも昨日の冒頭陳述の内容を承知しておりまして、私どもも御承知のように独自の調査をしてまいりまして、事実関係については、私ども報告書には触れなかった部分もございますが、事実関係において特に私どもの調査と違う点はないというふうに承知をしております。
#102
○益田洋介君 きのうの罪状認否でも非常に被告は反省をしている様子が見られたそうでございますし、もともと旧ソ連軍の特に海軍の関係資料を入手したいという研究熱心な方だった。その一心と、現金を授受してしまったその負い目から結局機密を漏えいしたということなんですが、将来有望なというか非常に研究畑でも熱心な幹部候補生、非常に自衛隊としてもったいないことをしてしまったと私は思うんですが、今後の教育、特に倫理観の欠如に対する幹部候補生の教育について、長官、どのようにお考えでしょうか。
#103
○国務大臣(虎島和夫君) このたびの事件は、お説のように現職の幹部自衛官が外国武官に対して秘密を漏えいしたという、あってはならないものであると思っております。このことは国民の自衛隊に対する信頼に背き、我が国の防衛に対する不信を招きかねないまことに遺憾な不祥事であるというふうに思いました。
 私も、このことについては重大事件として処理するように、しかも速やかに庁内で処理するようにという指示を幹部会同を開いて行ったところであります。その結果、一連の庁内における調査及び調査体制というのをつくらせまして、本人は逮捕された後でありましたけれども、それなりの可能な限りの調査を行ったわけであります。
 また、本人が起訴されましてからは資料の閲覧等ができましたので、極力資料も求めまして、今回萩嵜被告が公判で申したようなところについてはおおむね把握しておったわけであります。そういうことから、防衛庁内の責任についてもこれを明確にするというようなことで処置をいたしたわけです。
 しかしながら、申しますように、このことが自衛隊に対する国民からの信頼を大きく損なう結果に至ったということは覆うべくもない事実でありますし、改めて深くおわびするとともに、今回の事件を教訓とした再発防止策をとりましてそれぞれ実行に移し、防衛庁・自衛隊に対する信頼を確保すべく取り組んでおるところでございます。
#104
○益田洋介君 教育局長、先ほど私が冒頭に申し上げた三つの書類、これは検察が捜査した結果なんですが、独自の防衛庁として調査をされて、ほかにもやっぱり漏えいしている書類があるわけですね。その一覧表を当委員会に提出していただきたいと思います。
#105
○政府参考人(柳澤協二君) 私どもが把握しました範囲で、漏えいしたかどうかということとは別に、本人が自宅に保有していた、持っていた秘密文書についてはわかる範囲で、私どもが承知しました範囲で御説明をさせていただくことができると思っております。
#106
○益田洋介君 では、閉会前にぜひ書類で当委員会に提出していただきたいと思います。
 それからもう一点ですが、このロシアの大使館武官から書類を入手したいということで、先ほど申し上げた、特に旧ソ連の海軍の関係の資料ですが、それは入手しているというふうに確認されていますか。
#107
○政府参考人(柳澤協二君) 私どもとしては、そのやりとりの最後の段階で、結局本人が一番欲しかった資料そのものは手に入っていないというふうに承知をしております。
#108
○益田洋介君 次に、防衛庁長官と外務大臣にお伺いをしたいんですが、きょうロシアのセルゲーエフ国防相が来日をして防衛首脳会談その他行う予定で、二十九日には海上自衛隊横須賀地区を訪問して三十日に帰国と。さまざまなテーマを持ってきて、もちろんこの機密漏えい事件について、感情的なものも外交的あるいは防衛上の問題で払拭したいという目的を持って来られると思いますが、そのほかに、日米韓のアジア太平洋地域での安全保障体制が今確立されつつありますが、これの組みかえをしていこう、アメリカの一極支配的なアジアにおける軍事的プレゼンスを排除しよう、そういったねらいもある。さらには、日ロ間の防衛交流の強化を訴えてくるだろうと予想されますが、政府はこれに対してどういうふうに対応しようと。今申し上げたテーマについてです。
 私は、特に外務大臣に伺いたいのは、これは結局贈収賄罪ですので、収賄側だけ罪を問うというのは非常に不公平だと思う。やはり法体制がしっかりした国家であるならばそれなりに贈賄側の罪を問うべきだろうと。そういった体制を外交上どのようにこれから進めていかれるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#109
○国務大臣(虎島和夫君) このことにつきましては、従来も私としては、防衛庁長官としてはロシア側に遺憾の意を表明しております。また、その後の庁内の対策については先ほど申し上げたとおりであります。
 今回は、首脳会談も予定されておりますけれども、このような状況を踏まえながら、日ロ防衛当局間の相互理解、信頼関係の増進、これはまた両国間の関係から見てこれを図ることは重要な課題であるという認識もいたしておるわけであります。そういうスタンスで首脳との対応は進めたいと、こう思っております。
#110
○国務大臣(河野洋平君) 日ロ関係を、領土問題を解決して平和条約を締結しようという両国首脳の非常に強い意思が表明をされて、まさに日ロ関係が交渉を深化させていかなければならないそういう場面で起こった事件でございますだけに、私どもとしてはまことに遺憾千万と考えております。
 この事件は、先ほど議員もおっしゃったように機密漏えい事件ということでもあるわけですが、その機密を、言ってみれば持ち去ったといいますか、入手したロシア外交官、大使館の館員が、我が方防衛庁の一方が逮捕をされるという状況の中で何のおとがめもなく出国をするという状況が目の当たりにございまして、これに対して、国民感情からいってもこれはもうとても納得できるものではないと。議員の方々からも、こうしたことを認めていいのかという大変強いお声もございまして、私どもとしてもロシア側に対しましては、こうした事件というものがこれから信頼関係を築いていかなければならない日ロ関係に起こったということは極めて遺憾ということをイワノフ外務大臣に対して、私、直接面会を求めてそういう話をいたしました。
 議員はもう十分御承知のことでございますから言わずもがなとは思いますけれども、申し上げておきますと、外交官には国際法上の身体の不可侵、裁判権の免除というものが認められておりまして、今回の在京ロシア大使館武官が捜査を受けないまま出国したことは極めて遺憾な事態ではありますけれども、たとえ外交官が仮にスパイ活動を行ったという場合でも、接受国が外交官の身柄を拘束したり裁判権を行使することはできないと。仮に逮捕などすれば日本の国際法違反が逆に問われることになるという問題がございます。各国の事例を見ましても、たとえ外交官がスパイ活動を行ったとされる場合であっても、接受国が当該外交官を逮捕、訴追した事例は見当たりません。御承知と思いますが、御参考までにさらに申し上げますと、外交関係ウィーン条約の第二十九条というものがあることはもう議員も御承知のとおりでございます。
 私といたしましては、先ほど申しましたようにイワノフ・ロシア外務大臣に対して、日本の捜査当局は在京ロシア大使館武官が外交官としてふさわしくない行動をとったと認識しており、極めて遺憾であります、今後このような事件が繰り返されることがあっては決してならないという旨、強く申し入れをしたところでございます。ロシア側に対しましては、さらに再発防止のために適切な措置をとるように求めた次第でございます。
#111
○益田洋介君 具体的には、今回、国防省に対してボガチョンコフ大佐の身柄の引き渡しを求める御予定ですか。それとも、ロシアとしてロシア国内において十分な調査を依頼する予定ですか。きのうの冒頭陳述で、罪状認否でもう犯罪がこれは確立しているわけですよ。犯罪者ですよ。このまま放置してよろしいんですか。具体的な、今私の言った二つのうちのどちらかをやはり選択すべきじゃないんでしょうか。穏便に済ませるということではもう済まないですよ。少なくとも調査を依頼するべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
#112
○国務大臣(河野洋平君) ロシアサイドは事実を全く否定、否認しているわけでございまして、このことについてロシア側は、我々が述べている問題については向こう側は承知をしていないという対応ぶりでございます。
 こういう状況下で、先ほども申し上げましたように、外交官としての身柄を訴追するということはできないという状況でございますだけに、ロシアに対して、あるいは駐日ロシア大使館に対して厳重な抗議をする、すなわち再発が決してあってはならないという強い抗議をするということが今我々としてとっている態度でございます。
#113
○益田洋介君 外務大臣に重ねてお伺いします。
 ことし七月の沖縄サミットで、感染症に対する予防それから治療のための医療的な援助を日本国がすることを表明いたしました。五年間で総額三十億ドル、邦貨にしまして三千二百十億円の拠出をする。これは四カ月たって具体的にどのような進展があるのか、計画をお練りになっていらっしゃるのか。
 今世界じゅうで年間千三百万人の人が感染症、エイズとかマラリアとか結核で亡くなっておりまして、特に開発途上国においては死亡者の半数以上は感染症のために死亡しているということで、非常にゆゆしき問題であると同時に、我が国がその救いの手を延べようということは、私はこれは世界じゅうの人に歓迎されるべきことだと思いますが、問題は、今までの、何回もこれは外務大臣と口酸っぱくして議論してまいりましたけれども、我が国のODAのお金の拠出に当たっては、事前と事後の調査、評価というものが非常に重要であると同時に、私はこれからはハードの部分だけじゃなくてソフトな部分での援助というものが必要になってくると。まさにこの感染症というのは、ただ薬を輸出して薬を差し上げる、拠出するというような形だけでは有効に働かない。やはり今注目しているのは、NGOとかWHO、ユニセフ、非常に対費用効果の高い草の根的な活動をしているグループが世界じゅうにあります。こういうところに接触して、こういう団体の協力を得て拠出するのが私は有効じゃないかというふうに考えますが、この点での御検討というのはいかがでしょうか。
#114
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘をいただきましたけれども、沖縄サミットにおきまして日本が表明をいたしましたこの疾病対策は、議員もお話しのとおり、大変多くの国々から歓迎をされているわけです。
 問題は、疾病対策とはいいますものの、薬だけを送り届ければいいということでは決してないというふうに我々も考えておりまして、例えば公衆衛生の増進、基礎教育、あるいは安全な水の供給、これは地域によってそれぞれさまざまなニーズがあると思います。こうした開発、改善を目指して取り組んでいかなければならないというふうに考えて、その点についても関係国に対しては説明をいたしております。
 今議員がまさにおっしゃいましたように、NGOを初めとする費用対効果の効率の高い支援と申しますか、むしろそういう人でなければ手が届かない、そういうところにこそ疾病対策はあるというふうにも考えておりまして、それぞれの国、地域の現地の草の根レベルで活動をしその実情に通じているNGO、あるいは豊富な経験や手法を持つ世界保健機関、あるいはユニセフ、そういった国際機関、さらには他の援助国との連携を重視してきめの細かい援助を実施していくように努めていかなければならないと考えております。
 既にアメリカやカナダなどの援助国、またユニセフなどの国際機関との連携を進めておりますほか、NGOについても、例えばケニア、ハイチにおきますNGOのHIV、エイズ対策活動に対して草の根無償などによる支援を既に行っているところでございます。
#115
○益田洋介君 それでは、日朝国交正常化交渉について外務大臣にお伺いしたいんですが、年内に第十二回の会合を開催する予定でいたんだと思いますが、どうも日本を取り巻く環境ですとか日本国内の政治的な不安定要因等が重なって年内に開催が無理になってきたんじゃないかというような見通しが一部でございます。
 さらにはまた、米朝のミサイル協議が思ったような成果を上げておりませんし、日本では来月、組閣が考えられている、あるいは自民党の役員人事、そういった政治日程があるので、今無理に推し進める必要はないんじゃないかという意見も一方ではあるというように伺っています。この点の見解はいかがでしょうか。
#116
○国務大臣(河野洋平君) 日朝の国交正常化交渉は、前回、先月の末に北京で行われたわけでございますが、その北京で行われました第十一回の正常化交渉におきまして、その会談の終わるまでの間に次回の開催について協議をしておりまして、その協議によりますと、双方の準備が整ったところで次はやりましょう、日にちを決めるのではなくて、双方の準備が整えばやるということで終わっております。
 我々といたしましても、その第十一回の本会談の議論の結果を分析すると同時に、今議員からお話がありました北朝鮮及びそれを取り巻く環境などにつきましても十分検討をし、我が方の主張が反映できるような状況であるかどうかということなどについてもよく検討をして、準備が整えば、先方に対して我が方は準備が整ったという旨の連絡をする、そして先方の準備が整っていれば次の会合が、本会談が開かれる、こういうことだと思います。
 したがいまして、年内は難しいとか、いつまででなければなかなか準備が整わないだろうなどというふうには私は今考えておりませんで、鋭意準備を整えるために検討を行っているところでございます。
#117
○益田洋介君 タイミング的にはいつをお考えですか。
#118
○国務大臣(河野洋平君) これは、我が国の国内におきます考え方が整理される必要もありますし、今申し上げましたように日米韓の政策協議等も行うこともあるかもしれません。そうしたことを考えて、私は、決して急ぐ必要はないけれども、時間をむだに費やしてもいけないというふうに考えておりまして、繰り返しになりますが、準備が整い次第本会談は開くべきだというふうに思っています。
#119
○益田洋介君 特に、日本人拉致問題で焦点になっております、それの解決を目的とした日朝の赤十字会議、これもまた先延ばしになるような、先送りになるような情勢だと聞いていますが、この点いかがお考えですか。
#120
○国務大臣(河野洋平君) 日朝につきましても、現時点ではまだ、何といいますか、先送りという状況でございまして、これにつきましても、今私が申し上げました本会談の準備その他を視野に入れて恐らく開く時期を探っているものというふうに思います。
#121
○益田洋介君 五十万トンの米の追加支援との関係で随分これは当委員会でも議論をされてきたわけですけれども、拉致問題の解決の糸口というのはやっぱりこの日朝赤十字会議だと思うんです。ですから、できるだけこれは鋭意先延ばしにしないで詰めていただかなきゃいけない問題じゃないかというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、ブルネイで行われたAPECで、来年中にWTOの新ラウンドの交渉開始をするんだということを申し合わせたそうですが、この見通しについて。
 それから、大変、今、日米及びアジアにおける経済的な混乱が生じつつある。その原因の一つとしては、アメリカの景気がかなりペースダウンしてきている、それで先行きの兆候もやはりスローダウンの傾向であるということ。それから、金融マーケットにおける相場の下落、さらにはエレクトロニクス製品の需要の減退、原油価格の高騰が予想される。それから、我が国とアメリカの大統領選挙を見てもおわかりのとおり、非常に政治的に今不安定、森内閣の不支持率がきのうの産経新聞の調査では九〇%を超えたと。支持率が七・八%。こういった政治的な不安要因が米国、日本及びアジアの経済に与えている打撃というのはかなり大きなものだと思います。
 ですから、WTOについても、新ラウンドを早急にやはり詰めて、引き締めをしていっていただきたい。せっかく日本では明るい経済の見込みが出てきたと言いながら、これは後退の一途をたどっているのは間違いありません。この点いかがでしょうか。
#122
○国務大臣(河野洋平君) 本年初頭にシアトルで行われたWTOの新ラウンドの立ち上げが不成功に終わりまして、自来、多角的自由貿易体制というものに対する信頼感というものがこのままでは薄れていってしまうのではないかという心配も多くあるわけでございまして、私どもとしてはWTOの閣僚会議をできるだけ早く開くべきだということを言っておりますが、これに対してはまだまだ多くの議論がございます。
 御承知のとおり、開発途上国の中にはWTOそのものに対する一種の懐疑的な姿勢すらあるというわけでございまして、こうした状況の中で、先般のAPECにおきましては、閣僚会議におきまして、できれば来年、二〇〇一年には新しいラウンドを立ち上げるべしという主張を日本としていたしましたけれども、若干の国から慎重論が出まして、まだ議題も決まらないのにいつ開けというのはおかしいと。まず議題の整理を始めて、議題の整理が終わった段階でいつ開けという話に進んでいくべきだという議論があったわけです。しかし、私どもも考えてみますと、つまり議題の整理ができるということは立ち上げるということと非常に近い状況にあるわけでございますから、二〇〇二年では先過ぎる、二〇〇一年には何としてもWTOを立ち上げてという主張をいたしました。
 今御指摘のように、アメリカの大統領選挙の状況などを見ましても、なかなか正直来年の上半期というのは難しいかもしれないという議論もありますけれども、しかし、私どもとしてはできるだけ議題を整理したいというふうに思い、議題の整理ができ次第ラウンドをスタートさせるべきだというのが閣僚会議での話でございました。首脳会議にその議論を持ち上げたところ、首脳会議では二〇〇一年に議題を整理してラウンドを立ち上げるべきだという合意に近づいたわけでございます。
 先ほど、WTOを本年初頭と申しましたが、私の記憶違いで昨年の十一月でございました。訂正をさせていただきますが、こうしたWTOがなかなか立ち上がらないという状況の中で、一方で地域の自由貿易協定というようなものを模索する動きも出てきておりまして、これらとWTOとの整合性というものをしっかりととっていくべきだということもまた重要な問題になってくると思います。
 議員がお話しになりました後段の、世界的に景気がスローダウンしてくるのではないかという御指摘は、これはアメリカは現在政治はああいう状況でございますけれども、経済についてはまだまだしっかりした状況にあるというふうに考えておるわけでございまして、これらについて我々がアメリカの経済状況を今スローダウンというふうに言ってはいけない状況ではないかというふうに思っております。
 我が国の経済も、御承知のとおり企業ベースではじりじりと状況は改善をされつつある、問題は個人消費の問題が残された問題としてあるというふうに考えておりまして、これらについても、私どもは先般御議論をいただきました補正予算その他を効果的に使いまして、一日も早い景気の上昇というものを実現したいと思っているところでございます。
#123
○益田洋介君 御承知のとおり、大統領選挙ですが、フロリダ州が最終の集計結果を発表しまして、わずか五百三十七票差ということでブッシュ氏が勝利宣言までしたと。ところが、ゴア陣営はこれに対して異議申し立ての訴訟を提起すると言って訴訟合戦になっている。おもしろいように、イギリスのファイナンシャル・タイムズという日本でいうと日本経済新聞に匹敵するような新聞がありますが、二十六日付の社説にシェークスピアの警句を引用してこういうことを言っています。すべての弁護士をこの世から抹殺しよう、荒木政務次官には申しわけないんですけれども、そういうことで訴訟合戦を戒めている。皮肉が好きな国でこういうことを言っているんですけれども、言いたいことは、要するにこういう問題は司法の場ではなくて政治の場で決着すべきだろうという、そういうことの主張のようですが、外務大臣、いかがお考えですか。
#124
○国務大臣(河野洋平君) 世界の民主主義のリーダーと自他ともに思っておられたに違いないアメリカの大統領選挙の状況は、本当に我々が思ってもみない、予想もできないような混乱を来していると。まだまだこの状況は少し続くんじゃないかという報道もございます。一日も早くしっかりとアメリカがリーダーを決めて、そのリーダーのもとでアメリカ自身が今後四年間の考え方を示すということが国際社会にとっても非常に重要なことではないかというふうに考えているわけでございます。
 いかに政治の混乱というものがその国力といいますか、その国の信頼というものに対する評価になるかということを我々は見ているわけでございまして、これはよその国のことをこんなことばかり言っているわけにはいきません、我が国にとりましても政治の安定こそ経済の復活と申しますか復元と申しますか、そして国民の皆さんが自信を持ってあすに向かって歩くことができるというふうに思います。一日も早いアメリカの混乱が収拾されることを期待したいと思います。
#125
○益田洋介君 外務大臣、まだ記憶に新しいことだと思いますが、九七年の十月、ペルーにおいて日本人の学生、早稲田大学の学生二人が殺害された惨殺死体が発見された。非常に悲惨な事件が起きまして、ペルーという国は国家賠償制度がないので何の賠償もできないということで放置されていたところを、当委員会で決議をいたしました。平成十一年の十二月十四日、当時矢野委員長でございました。それを外務省を通じて、もちろん弁護士間のやりとりもありました、交渉もありました。そして最終的には、賠償ということは法的にできないので見舞金という形で御遺族の方にペルー政府から支払いが行われて、あわせて当時のフジモリ大統領が、昨年三月、哀悼の親書を遺族に送って、遺族の方々は金額は明らかにしておりませんが、これで和解が成立したということがございました。
 問題は、このフジモリ元大統領でございますが、今日本に滞在をしていらっしゃる。けさ報道されたところでは、両親の出身地である熊本県にまだ戸籍を持っている。二重国籍。この辺の事実関係は法務省、いかがですか。
#126
○政府参考人(細川清君) お尋ねのような特定の個人が日本国籍があるかどうかという問題につきましては、法務省といたしましては、関係機関等から正式に御照会があれば調査の上御回答するということになっておりまして、現時点ではいまだそういった公式の照会もありませんし、いわば準備作業中でございます。
 ですから、したがいまして現時点で確定的なお答えはできない状態でございます。
#127
○益田洋介君 外務大臣、私はこの点で懸念しますのは、ペルーの国内の反フジモリ派といいますか、そういった一連の動きですとか国民的感情、元大統領を排撃するように至ったこと、それから身辺に言われているところのさまざまなスキャンダル。このフジモリ元大統領の処遇を我が国政府がどういうふうにするかということによって、ペルーの国全体が反フジモリから反日本というそういうふうな外交上の問題が生じてくるということを懸念するわけなんです。だから、今法務省にお尋ねしたのは、はっきりしてもらいたいと。
 正当にフジモリ氏が日本に滞在するということが、要するに在留資格があるということになれば問題ないわけですから、その点をはっきりさせない法務省もおかしいけれども、これは外交上の問題に発展するという懸念をどういうふうにお考えですか、外務大臣。
#128
○国務大臣(河野洋平君) お尋ねがいろいろございましたけれども、まず最初にはっきり申し上げておきたいと思いますことは、我が国日本としてペルーに対します政策は、フジモリ氏が大統領をやめて新たな方が大統領になられたとしても、これまでのペルー政策については我が国は基本的に変更することはないと、ペルーの民主化及び経済社会開発の促進を引き続き日本としては支援していくということをまずはっきり申し上げておきたいと思います。このことは、ペルーの政府あるいはペルーの国民の皆さんにも、ぜひこうした日本政府が政策を変更することはないということについて理解をしていただきたいというふうにまず思います。
 そこで、フジモリ氏の問題でございますけれども、現時点ではフジモリ氏御自身がどう、何を希望しておられるのかということがまだはっきりしていない状況でございます。私どもとしても、この対応によっては、今御指摘のようにペルーにおります例えば日系人の方々とかそうした方々に対する、今お話しのような政治的な対立した方々からの厳しい対応があるということを我々としても心配をしないではございませんけれども、現時点では現地の大使館からそうした具体的な問題があるという報告は聞いておらないのでございます。
 今、議員からお話しのフジモリ氏の、日本におけるフジモリ氏が一体何を望んでおられるのか。例えば出国をされる御希望があるのかどうなのかということについても現在のところ明確にはなっていないと。新聞その他を拝見しますと、まだ日本にはしばらくの間滞在をするというふうに言っておられるということは承知しておりますが、このことは、大統領として日本に正規の手続で入国をされて、日本滞在中にそのステータスを失われたということでございますから、そのステータスがなくなったならば直ちにあしたもう出ていってくれということを言う状況ではないと思います。常識的に一定期間の滞在というものは今のまま認めてもいいと。しかし、その中でフジモリ氏自身が今後どういうことを希望しておられるのかということは、できるだけ早くはっきりと把握をできればというふうに考えております。
#129
○益田洋介君 終わります。
#130
○小泉親司君 周辺事態における船舶検査法について質問をいたします。
 法案の具体的な中身に入る前にまずお聞きしたいのは、今回の法案は九七年のいわゆる日米ガイドライン、防衛協力の指針に基づく周辺事態法の補強という性格を持った法案だということはもう周知のことであります。日米ガイドラインは、いわゆる日本への武力侵攻がない場合においても、例えば九四年の北朝鮮の核疑惑による制裁でありますとか、台湾有事への対応でありますとか、そうした周辺事態に対応するものとしてつくられてきたわけであります。しかし、私、やはり現在のアジアの情勢というのは九七年の日米ガイドラインの情勢とはやっぱり一変しているというふうに思います。その点については外務大臣もお認めになっている中身でありますが、なぜ今こういうアジアの情勢の進展の中でこのような周辺事態法を補強する法案が必要なのか。
 朝鮮半島でいえば、先ほども議論がありましたような日朝国交回復交渉、アメリカと北朝鮮との米朝関係の進展、南北首脳会談の実現、さらにアジアの情勢について言えば、ARF、アジアの地域フォーラムに中国や北朝鮮を初めとした東アジアのすべての国が参加して安全保障の対話が進んでいるという事実。そういったやはり新たなアジアでの平和の流れが加速している中で、なぜこのようないわゆる周辺事態法、私たちは戦争法と呼んでおりますが、こういうふうな法律を補強する船舶検査法が必要なのか。
 外務大臣は、こういう変化を認めながらも、まだ不透明さがあるんだと。不透明さというのは極めて抽象的な言葉で、どんな不透明さがあるのか全くわからない。そういう中で、やはり一体どういう不透明さがあるのか、なぜこういう船舶検査法が必要なのか。
 私は、こういう周辺事態法を補強する船舶検査法は平和の流れを加速することにはならない、逆にこの流れを逆流させるという役割しか果たし得ないというふうに考えておりますが、その点、まず外務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#131
○国務大臣(河野洋平君) 何度も申し上げておりますが、私も今、小泉議員がお話しになりましたように、我々の周辺、つまり朝鮮半島とかそういった地域に緊張緩和へ向かっての流れが出てきた、いろんな言い方がありますが、緊張緩和の兆しが見えてきたというふうに私も思っております。これは、ここ数年以前に比べれば、やはり緊張緩和への動きというものは見えてきているということは私も何度も申し上げたとおりでございます。
 しかし、緊張緩和への流れは出てきたと申し上げましたけれども、じゃ一体具体的にどこが変わったのか。どこが変わったのかと。例えば、朝鮮半島にあります軍事的なもろもろの状況がそれでは変わったかというと、これはそう変わっているとは思えない。例えばノドンにしても、その配備はそれ以前と以後と比べて変わっているかというと、これは残念ながら変わっていないと、配備の状況は、いないと言わざるを得ないと思います。あるいは、それでは当事者の兵力は非常に削減されているかといえば、これもそうではないと思います。いや、そうした兵力などは減っていないけれども、敵対する意思は非常に減ってきているということはあるいはあるかもしれません。しかし、これはまことにまさに不透明な状況で、これは現実に我々が見えているわけではございません。
 そういうことを考えると、私は今北東アジアの状況は緊張緩和の方向に動いているのだから何も要らないではないかというわけには、我々我が国の安全について責任を負うている者からいえばそうはいかない。それでは、米朝交渉をやったアメリカは何か態勢を変えたか、陣形を変えたかといえば、これも全く変わっているわけではありません。韓国もそうだと思います。
 そういうことを私は申し上げているわけでございます。
#132
○小泉親司君 不透明さで見えないと言いながらもこういう軍事活動を強化する法案というのは私は妥当性がないと思いますが、先ほどこの委員会でのいろんな議論の中でも、外務大臣は繰り返し日米安保条約の効果的な運用のためということをおっしゃっているわけですが、この法案をやはり新たに現局面できちんと日本が成立させるべきだというアメリカの要求というのは非常に強くあるんですか。
#133
○国務大臣(河野洋平君) 日米安保条約というものを我々は我が国の安全のために極めて重要なものと考えてきているわけで、そうである以上は、日米安保条約が十分にその機能を発揮するように整備をしておくということは重要なことであるというふうに考えます。
#134
○小泉親司君 私、先ほど申し上げましたが、こういうアジアの平和の流れが出ているもとで、これをやはり加速させるということが大事で、その意味ではやはりこういう軍事活動を強化する法案というのは私は大変いただけないものだということをまず申し上げて、具体的な問題に少し入らせていただきたいと思います。
 今回の法案の最大の特徴は、今までも議論がありますように、国連安保理決議がなくてもいわゆる経済制裁の厳格な実施ということを理由に船舶検査活動ができるようにした、ここにやはり特徴があるというふうに思います。私たちは、自衛隊が武力行使、武力による威嚇を憲法上禁じられている以上、国連安保理決議があっても自衛隊の船舶検査活動はできないというふうに考えておりますが、今回の法案は、さらにその安保理決議すらも回避しようというふうに考えておられるわけで、極めて重要な内容を持っているというふうに思います。
 なぜこの国連安保理決議を回避するようにしたのか、私、そこをまずお聞きしたいんですが、実際、国連安保理決議なしに船舶検査を実施した例というのはどれくらいあるんですか、外務大臣、お尋ねしたいと思います。
#135
○国務大臣(河野洋平君) どうも委員がおっしゃる安保理決議を回避してという言葉が私にはとても気になるんです。我々は別に安保理決議を回避しているわけではないのであって、きょう午前中の質疑にもお答えをいたしましたように、我々としては安保理決議があるということが非常に有益だというふうに思っておりまして、外交活動をもって、もしこういうことになるとすれば、まずは安保理決議が行われるように努力をする、外交努力をするということを繰り返し申し上げていて、安保理決議を回避しているのではないということをまず御理解いただきたいというふうに思うんです。
 安保理決議がないままに船舶検査活動をやった例がどのぐらいあるかという御質問でございますが、そうした例は承知しておりません。
#136
○小泉親司君 外務大臣は、まず外交努力を行うんだ、国連安保理決議の採択のために努力するんだと今も答弁されて、これを繰り返し答弁されておられる。
 私、そこで本法案の担当大臣であられます防衛庁長官にお尋ねいたしますが、この法案の中には確かに、当該厳格な実施を確保するために必要な措置をとることを要請する国連安保理の決議に基づいて、または旗国の同意を得てと、こういうふうになっております。この国連安保理の決議というのはどういう決議を想定されておられるんですか。
#137
○政府参考人(竹内行夫君) ここで申しておりますのは、貿易その他の経済活動に係る規制措置に関する安保理決議ということでございますので、いわゆる経済制裁措置に係る安保理決議というものでございます。
#138
○小泉親司君 防衛庁長官、これはそうすると国連憲章四十一条に基づく決議だと、この部分は。こう理解してよろしいですか。
#139
○政府参考人(竹内行夫君) ただいままでの国連のプラクティスによりますと、憲章第七章の四十一条に基づく経済制裁措置というのが湾岸戦争のときなどに行われたものと理解しておりまして、そういうものがここで言う貿易その他の経済活動に係る規制措置に係る安保理の決議ということでございます。
#140
○小泉親司君 この法案の主管庁は防衛庁長官なんですから、防衛庁長官に私は繰り返しお尋ねしているんですが、当該厳格な実施を確保するために必要な措置をとることを要請する国連安保理の決議というのは国連憲章四十一条に基づくものなんですかと。これは法案の基本中の基本ですから、これを外務省の局長さんに答弁をされても、それはやはり大事な問題だと思いますよ。長官はどうお考えなんですか。
#141
○国務大臣(虎島和夫君) 経済制裁を行うための船舶検査活動は、国連憲章第四十一条に基づくものを含むということでございます。
 なお、これは非軍事的な措置の厳格な実施を確保するための活動であります。
#142
○小泉親司君 実は、この法案は御承知のとおり周辺事態法に含まれていたものを改正したものであります。
 では、周辺事態法のときの船舶検査活動の定義というのはどういうのだったか。周辺事態に際し、これは同じであります、国連安保理の決議に基づく貿易その他の経済活動に係る規制措置の厳格な実施を確保するために必要な措置をとることを要請する国連安保理の決議に基づき船舶検査を行うと、こういうふうになっているわけです。
 つまり、これはなぜこういうふうになっているかというと、今まで、外務大臣が言われているように国連安保理決議のない船舶検査活動はなかったわけです、今までの実例で。そうなると、まず国連安保理決議というのは二重に係っているわけですよね。ところが今度の法案は、初めの国連安保理決議がなくなってしまった。つまり、「貿易その他の経済活動に係る規制措置であって我が国が参加するものの」と。つまり、国連安保理決議はなくても我が国が参加するものであればできますよと、こうなったわけですね。続いて、それを厳格に実施するために国連安保理決議がある場合もありますよと、こうなったわけです。
 私、事実関係を調べてみますと、今まで安保理決議に基づいて船舶検査をやられた活動、これは私は、今まではローデシアとかいろいろありますが、九〇年代の主なものは三件だと思いますが、局長がうなずいておられるから間違いないと思いますが、このそれぞれの三つの決議とも、国連安保理、国連憲章四十一条のまず経済制裁の決議があって、続いてその厳格な実施を実施することを目的とした船舶検査の決議があると、つまり国連決議に基づく場合は二重の縛りがあったわけですね。
 ところが今度のものは、四十一条の経済制裁という国連安保理の決議はこの文言から消えてしまった。それで、突然この法案には、周辺事態に際して我が国が参加するものであれば、今度はさらに安保理決議を要請することができますよと。実際にこれが、何で国連憲章四十一条に基づく経済制裁の決議がこの文言なんだと言うことができるんですか。私、こんな法案の読み方というのは全くないですよ。これ欠陥法案ですよ、こんなの。防衛庁長官、どうですか。
#143
○政府参考人(竹内行夫君) 先ほど、私の答弁が、ちょっと先生の御質問の趣旨を誤解しまして間違ったことを言ったかもしれません。
 ここで先生の御質問との関連で申しますと、それは御指摘のとおり、イラクの湾岸戦争のときであろうが、その後の九〇年代の船舶検査が行われましたときの決議というのは二段の安保理の決議によって行われております。それは先生の御指摘のとおりでございます。まず制裁についての決議があって、その次にその実施の実効性を確保するための決議があると。この二番目のがいわゆる船舶検査の実行のための決議と、こう言われているものでございます。それはそのとおりでございます。
 今度の法案で、そこの第一段目の安保理決議に関しての言及というのはございません。確かに、おっしゃるとおり「周辺事態に際し、貿易その他の経済活動に係る規制措置であって我が国が参加するもの」というのは、安保理決議には限りませんで、これは国際社会が協調して経済制裁を決めるというような行動をとった場合、それに我が国が参加する場合ということがございます。
 そういう経済制裁決議が現実には安保理において、審議におきまして何らかの事情で制裁決議ができなかった場合、しかし関係国が集まって制裁をやりましょうということで合意するということは、これまでも例があったことは御承知のとおりでございます。
 その際に、今度はそれを実施するに当たって、厳格な実施を確保する目的で安保理決議がされない、それもされない場合に関係国としてどういうことをするかということで、この法案の考え方は、旗国の同意が得られれば船舶検査というものを行うという道が開かれているというのが法案の成り立ちでございます。
#144
○小泉親司君 法案の担当大臣である防衛庁長官が国連憲章四十一条だと言い、それではない外務省の局長がこれは四十一条に基づくものじゃないと。この法案の条文に即して私は言っているんですよ。
 これは全然見解が、主管庁である防衛庁と外務省が、この法案の私が指摘している国連安保理事会の決議に基づいてと、この文言というのは今度の法案では一回しか出てこないんですよ。局長、よろしいですか。局長に言うとまた局長が答弁されるから、防衛庁長官と外務大臣、よろしいですね。一回しか出てこない。この前までの法案は二回出てきたんですよ。何で二回かということは、私が先ほどお話ししたとおりであります。実際に、これでは、主管庁である防衛庁長官がこの国連安保理決議というのは国連憲章四十一条だと言い、局長はこれは四十一条じゃなくて四十一条に基づく厳格な実施だと言う。
 いいですか。湾岸戦争でも、四十一条に基づく経済制裁というのは、まず湾岸戦争では六六一という決議がありました。それに基づいて船舶検査をやる場合は六六五という決議でやったんです。ユーゴの場合も同じで、どういう制裁があったかというと、ユーゴの場合では七五七という決議があって、七八七という船舶検査の決議があった。さらに、ハイチでも同じように八四一というのと八七五という決議があった。つまり、経済制裁というのはあくまでも兵力を伴わないということが明記されておるわけですよ。つまり、これは非軍事的な外交手段でやるんだということが明記されている。
 ところが、今度の法案には国連憲章四十一条の経済制裁という非軍事的、外交的措置はとられないということになっているんじゃないですか。この点、防衛庁長官、いかがですか。
#145
○国務大臣(虎島和夫君) 本法案に基づく船舶検査活動は、経済制裁、国連憲章第四十一条に基づくものを含みますが、という非軍事的な措置の厳格な実施を確保するための活動であり、ということでございます。
#146
○小泉親司君 全然不明確です、防衛庁長官。私の問題に答えていない。
 この安保理決議に基づいてというのは、この安保理決議というのはどういう性格の決議なんですか。国連憲章四十一条なんですか、それともそれじゃない措置なんですか、どっちなんですか。
#147
○国務大臣(虎島和夫君) これは、何らかの事情によって国連安保理決議が採択されないような状況においても周辺事態に際して船舶検査活動を実施することが必要であるという場合には、この法律に基づいて旗国の同意を得て行う、こういうことになっておるわけであります。
#148
○小泉親司君 私が質問している問題を、防衛庁長官、全然理解されていませんよ。
 国連安保理の決議というのは、先ほど私が言いましたように、国連憲章四十一条に基づいて兵力を伴わない、これは国連憲章を読めば明確にわかりますけれども、国連憲章は、「安全保障理事会は、」「兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができ」るとなっているんですよ。つまり、これは非軍事的、平和的な外交努力によって経済制裁を行うとなっているんです。よろしいですか。今度の湾岸戦争でいくと、これは六六一という決議だったんです。
 続いて、船舶検査をまずこの六六一決議によって湾岸戦争のときにアメリカが単独でやったんです。まず船舶検査という臨検をやったんです、私は当時アメリカで取材していましたからよく知っていますけれども。そうしたら、国際的に非難が出て、そんなことはできませんよと、何で武力行使ができるんだといって議論になって、それでアメリカとイギリスが求めて六六五というその検査を実施するための厳格な措置ということになったんだけれども、それはそれでは、果たして、局長にお聞きしますが、四十一条とその決議は明記されていますか。
 私は明記されていないと思いますよ。これは七章に基づいてとなっています、確かに。いわゆる安保理が決定する平和への脅威への対抗の措置としてはなっているけれども、これは四十一条だというふうになっていないんですよ。そうでしょう。だから、それだったらば、外務大臣が外交努力して経済措置をまずやるんだやるんだと言っておきながら、実際は四十一条の措置じゃないということじゃないですか、これ。
 これは見解を明確にしてください、外務省と防衛庁と全然違うんだから。
#149
○政府参考人(竹内行夫君) 私、僣越でございますけれども、外務省と防衛庁とで食い違っているとは全く思いませんが、この法案の第二条で明文で書かれております「厳格な実施を確保するために必要な措置を執ることを要請する国際連合安全保障理事会の決議」というのは、まさしくその船舶検査を要請するというような内容が入っている決議でございます。
 翻って、先生が言われました例えば湾岸戦争の例で申しますと、確かに決議の六六一、六六五、二つございます。二つとも憲章七章のもとでとられる措置ということになっていると思います。最初の六六一の決議は、イラクに対しまして包括的な制裁を下す、制裁措置をとるという決議でございまして、これは一般に憲章の四十一条の非軍事的措置というふうに解されているところでございます。
 その後、この決議の実施の実効性を高めるために具体的にいろいろな措置を各国がとったわけでございます。国内法上の措置で輸出の禁止をするとか輸入の禁止をするとか、いろいろな措置を国内的にとりました。他方、それだけでは十分ではないということで、船舶検査というのを導入するということが後に行われたわけでございます。
 これは、この決議六六五も、おっしゃいますとおり憲章七章のもとの措置というふうに決議ではなっているところでございますが、いろいろの議論がございましたが、これは四十一条の経済制裁措置をまさに実効あらしめるための措置を求める決議というふうに解釈されているところでございます。
#150
○小泉親司君 先ほども局長が事実関係をお間違えになったけれども、私はちょっと違っていると思うんです。それはどこが違っているかというと、湾岸戦争でいえば、六六一という決議は少なくとも国連憲章四十一条の非軍事的、平和的な経済制裁措置なんです。よろしいですか。ところが、六六五というのは、これは四十一条か四十二条か、まだ定かではない措置なんですよ。そのことはお認めになるんでしょう。
 それだったらあれですか、日本政府というのは、いわゆる湾岸戦争の六六五という決議は、いわゆる船舶検査の決議は四十一条だというふうに、そういうふうにもう判断されているんですか。これ国連だって、今この六六五という決議は四十一条か四十二条かわからないというふうな非常にあいまいなものとしてできているんですよ。それは外務大臣が何遍もうなずいておられるから、くせだと言っておられましたけれども、うなずいておられるから間違いないんだけれども。
 実際に、それで私の質問に答えていないのは、原案では二重の縛りをかけていたんです、少なくとも。今度国連決議をとったとおっしゃるけれども、私がとったんだと言えば、外務大臣がいやとったんじゃないんだと、あくまでもそれは最優先だと。それは最優先だったら、初めから国連安保理決議に基づく貿易その他の規制措置でその厳格な実施を実施するための国連安保理決議ないしは旗国の同意と、なぜこうならなかったんですか。
 私、初めからこれは国連憲章四十一条の非軍事的、平和的外交手段による経済制裁措置をまず回避してしまう、もう周辺事態ということで我が国が経済制裁に参加すれば、例えばアメリカと日本で、これは例ですよ、それに答弁しなくてもよろしいですが、そういうふうな例として、すべて経済制裁の実効ということで船舶検査活動ができてしまう。しかも、国連安保理決議ばかりじゃなくて旗国の同意でできちゃうんですから、これは外務大臣の言っておられる外交的、平和的努力とは私はやはりちょっと違うんじゃないかと。
 そこを法案としてはっきりさせていただかないと、防衛庁長官、この審議進まないんじゃないでしょうか。
#151
○政務次官(鈴木正孝君) 大分いろいろとお話をお伺いしているわけでございますが、昨年の五月に御審議いただきました旧法の中では、おっしゃるとおり国連安保理の決議という言葉が二つ出ております。
 その審議の過程でいろいろとこの法案そのものを、船舶検査活動そのものを削除して、そしてまた、その後与党の中でいろいろと国会審議の過程の議論を踏まえた上で、もう一度整理をし直して本法案を出させていただいたという、そういう経緯があるわけでございます。
 したがいまして、先ほど来お話し申し上げておりますように、先生言われる安保理決議を回避した云々というようなことではなくて、あくまでも安保理決議が得られないような何らかの事情がある場合、それに対して具体的な対応が経済制裁の措置というものについての実効性の上がるような体系をつくるということで整理をさせていただいた、こういうことでございます。
 旧法の状況のもとで今いろいろと御議論いただいているわけでございますが、確かにイラクの制裁措置については、昨年の旧法といいましょうか原案、原原案でございましょうか、そういうことからいけば、確かに前段の方の安保理決議というようなことであったのかもしれません。あるいは、具体的に六六五の決議、九〇年の八月ですか、これについてはその後段で言っているところの厳格な実施を確保するために必要な措置をとることを要請する理事会の決議と、こういうような位置づけではなかったかと、このように思うところでございます。
 特段、外務省、防衛庁、意見にそごがあるということではございませんで、国会審議の状況、そしてその後の与党の中での審議、議論を踏まえた上で整理をさせていただいた、こういうことでございます。
#152
○小泉親司君 それでは防衛庁長官にお尋ねしますが、この法案に占める、当該厳格な実施を確保するために必要な措置をとることを要請する国連安保理決議に基づいてと、こう言っておられるのは、湾岸戦争でいえば六六一の四十一条に基づく経済制裁措置の決議なんですか。それとも六六五の船舶検査決議、どっちなんですか。
 これは防衛庁が主管庁なんですから、局長、防衛庁がしっかりしていなかったらいいかげんに運用されますよ。これ、そういう問題なんだということは重要ですよ、局長が幾ら言ったって防衛庁が違うんだから。
#153
○委員長(服部三男雄君) 質疑者からは防衛庁に答弁をお求めでございますが、両省庁に関係する部分もありましょうから、ちょっとそちらの方でよく協議してください。それから明確な回答を出してください。御協議願います。
#154
○政務次官(鈴木正孝君) 湾岸戦争の一九九〇年の八月二十五日付の国連安保理決議六六五、これに関しましては、昨年出しました法案の後段の、規制の厳格な実施を確保するために必要な措置をとることを要請する安保理の決議という、そういう位置づけでございます。
#155
○小泉親司君 どっちなんですかとお聞きしているわけです。単純にお聞きしているわけですよ、六六一ですか、六六五ですか。
#156
○政務次官(鈴木正孝君) 六六五ということになろうかと思います。
#157
○小泉親司君 五ですね。ということは、国連憲章四十一条の非軍事的、平和的な経済制裁は回避した、こういうことでしょう、外務大臣。これ、おかしいじゃないですか。答弁と違うんです、ここは。
 だから、私の質問にここは全くお答えになっていないのは、先ほどもこちらでも議論がありましたけれども、実際に旧案は、原案は二つあったんですよ、国連安保理決議が二つ。これは何で二つあったかといったら、意味があるんですよ。つまり、それは四十一条の非軍事的、平和的外交手段と、それからそれの厳格な実施を求める船舶検査決議という。安保理決議、安保理決議と皆さん言いますけれども、安保理決議がたくさんあるということは外務省は知っているけれども、防衛庁はどうか知りませんが、たくさんあるんです。だから、そんな簡単に国連安保理決議なんて口にするより厳格にやってくださいよ。厳格な問題なんだから、これは。どっちなのかと。外務大臣は、いやこれは経済制裁も外交的手段を求めるんだと言っておきながら六六五だというんだったら、もう六六一は求めない。
 それ以上これやっていると切りがありませんから、それでは言いますが、そうなってくると、例えば六六五、こういう決議でありますけれども、国連安保理の決議に基づいてやられた船舶検査活動の実例では、アメリカ国防省が湾岸戦争でやった報告書が九二年四月に出ておりますけれども、この「湾岸戦争の遂行」という報告書に、第四章海上阻止作戦、つまり船舶検査の活動が明記されております。これは湾岸戦争における船舶検査の根拠となった国連安保理決議六六五号を挙げて船舶検査の実態を詳述しております。
 外務省の局長にお尋ねしますが、アメリカはこの決議六六五号というのをどのように位置づけておられるんですか。
#158
○政府参考人(竹内行夫君) この報告書の中で国防省は、対イラク制裁に際して実施しました活動につきまして、「イラクに対する国連安全保障理事会の経済制裁を実施するために用いた主要な手段であった。」とした上で、一九九〇年八月二十五日、安保理決議六六五により、「国連安全保障理事会は制裁を実施するための武力行使を認可し、海上阻止作戦が本格的に始まった。」というふうにしております。そして、そこでの「武力行使は国連憲章に基づく正当なものであり、国連安保理決議六六五号によって認可されていたもの」というふうに説明をいたしております。
#159
○小泉親司君 この国連決議六六五というのは、一般的にアメリカは武力行使をするということと解釈しているわけですね。ということは、実際には、例えば湾岸戦争の例で言えば、六六五みたいなものを船舶検査活動として日本政府が国連決議を求めるということになると、一般的に武力行使を当然要請するという形になるわけですか。
#160
○政府参考人(竹内行夫君) この安保理決議六六五の解釈につきまして、すなわちこれが武力行使を容認したものかどうかという点について、安保理の当時のメンバー国の間でも意見が分かれていたということは先生御承知のとおりでございますし、政府もそれについて当時から明らかに答弁をいたしております。
 安保理の構成国におきまして明確な意見の一致は見られなかったということでございまして、確かにアメリカ及びイギリスは武力行使を容認されていたと解釈しておりますけれども、そうではないという解釈を当時明らかにした国もございます。
 いずれにしましても、この第六六五号につきましては、先ほどの御議論とも関連いたしますが、まず決議六六一というのがあって、六六五号は、その安保理決議第六六一号に示された、それら船舶輸送に関する措置の厳格な実施の確保のために、安保理の権威のもと、個別の状況に即して必要となる相応な措置をとることを要請するということでございまして、この相応の措置の内容ということについては安保理は明確にはしていないわけでございます。
 安保理が要請をしておりますのは、船舶輸送に関する措置の厳格な実施の確保、すなわち船舶検査で厳格に経済制裁を実施、確保すべきだと、こういうことを言っているわけでございます。言っているわけでございまして、そこでいわばとどまっているわけでございまして、あとの解釈については、今申しましたような安保理の当時の構成国の間においても意見の不一致はあったということでございます。
 最後、結論でございますが、いずれにしましても、我が国がこの船舶検査法に基づいて行う船舶検査というのは、決して武力の行使ないしは武力による威嚇ということを行うものではないということははっきりしていると思います。
#161
○小泉親司君 先ほど、前段の局長が言われた、この措置が四十一条か四十二条か、つまり武力行使を伴うものかどうかというのは異論があるということは、私も事実関係としてそのとおりだと思います。
 ただ、今度のやつは周辺事態に際して、つまり日米ガイドラインに基づくものでありますから、日米が経済制裁を実行する場合があり得るわけです、これは法案上。衆議院では幾つかいろんなことをおっしゃっておられますけれども、最小の単位では日米。少なくとも国際社会であることは御答弁のとおりですよ。ただ、最も最小は日米なんです。
 ところが、日米の中で、アメリカはこの厳格な実施を実施する国連安保理決議に基づく活動は武力行使だと言う、日本はそうじゃないと言う。その二つがいわゆる合わさって国連安保理決議を求めるわけですから、一方のアメリカが武力行使を求めておいて、日本がこれは何で武力行使じゃないというふうに言うことができるんですか。
 防衛庁長官、法案の中身ですから、そこを明確にしていただきたいと思います。
#162
○政務次官(鈴木正孝君) 自衛隊の行動ということになるわけでございますが、あくまでもこれはこの法律案に基づいて行動するということに当然なるわけでございまして、その意味からしますと、船舶検査活動を国連憲章第四十二条に言う軍事的措置に相当する活動として位置づけ、そのように実施するということはあり得ないということになるわけでございます。
#163
○委員長(服部三男雄君) 質疑時間が終了しておりますので、小泉委員の質疑時間は終了しました。
#164
○小泉親司君 委員長、最後に。
#165
○委員長(服部三男雄君) 最後、一問だけ。
#166
○小泉親司君 私、引き続き次の質問でこの点を詰めますけれども、やはり私は今の議論をしていても、今度の法案は中身が極めて欠陥的で、防衛庁の解釈と外務省の解釈が私は違うというふうに思うんですよ。ここが違うままにこういうことが実際にやられるということになったら、私、非常に危惧する中身を持ったものだということを指摘しておきたいというふうに思います。
 次回、この点についても改めて質問をしたいというふうに思います。
 以上で終わります。
#167
○田英夫君 船舶検査活動法案に入る前に外務大臣に伺いたいんですが、先日来のASEANプラス3、森総理が出席されましたが、そこでいわゆる東アジア自由貿易構想とでも言えるような、そういうものを視野に入れた話が出てきております。
 これは非常に今後重要な問題だと思いますけれども、いずれにしてもそういうものが出てきたということに対して、出したのはシンガポールを中心にしたASEANですが、中国が非常に積極的にこれに賛同をし、また推進をしつつあると。日本政府はどうなのかというのは一向に報道の中に出てきません。政府のお考えを聞かせてください。
#168
○国務大臣(河野洋平君) まず最初に、今回のASEANプラス3の会議というのは、非常に二十一世紀を視野に入れた前向きの議論が何カ所か行われていると思います。
 これはちょっと質問から脱線をして恐縮でございますが、例えば日中韓の首脳会議を定例化しようと。これは中国も非常に積極的だったようでございますが、こうした日中韓の首脳会議の定例化、これは私は非常に意味のあることではないかというふうに思いますし、今議員がお尋ねの東アジア経済構想ですか、それからさらには東アジアサミットですか、こういった問題はまさにアジアがもう一歩前進しようという強い意志があるように感じました。
 しかし、ただ問題は、経済問題について言うと、まだまだASEANの十カ国の中でも経済力は相当に差があるというふうにも思いますし、それからもう一つは、それぞれの国が経済的な性格、体質が似ている部分があるということから相互補完的なことにはなかなかなりにくいだろう、むしろ非常に競争的になるという可能性も一方にあると、例えば農業問題を初めとしてですね。
 そうしたことを考えますと、私は一つの考え方として、この東アジアの経済圏というものは考え方としては私は一つの方向性を示しておられると思いますけれども、いざ具体的にやってみようとなるとまだまだ相当乗り越えなければならない問題も多いのではないかというふうに考えております。
#169
○田英夫君 この問題を中心にしてこれからの二十一世紀の世界がどう動いていくか、特にアジアがどう動くかという話だけでも実は数週間ここで議論したいぐらいのテーマであります。したがって、そういう動きが活発に出てきている中で、なぜ今この軍事的な日米協力を推進するような法案をここへ出してくるのかという疑問は私も非常に強く感じますね。
   〔委員長退席、理事依田智治君着席〕
 したがって、余りこの今の問題は深くやれないんですけれども、例えば日本では私ども社民党が唯一参加している社会主義インターという世界的な歴史のある組織が、社会民主主義政党の集まっているものですが、今ヨーロッパ、EU十五カ国の中で十三カ国が社民党が政権を担っている。そういう状況の中で、その社民党を中心にした社会主義インターが近く南北朝鮮にミッションを送りたいと、こういうことを今計画しております。韓国は、いわゆる社会民主主義政党はありませんけれども、金大中さんのミレニアム民主党がオブザーバーとして既に参加をしておりますが、北朝鮮はもちろん社会民主主義政党がありませんから、社会民主党というのは実は名前はありますけれども。いずれにしても、そういう空気が出てきている。
 社民党の集まりが南北朝鮮にはミッションを派遣する、あるいは私も以前から言っている日米中トライアングルというこの考え方に対して、日米中のいわゆる民間のシンクタンクの話し合いというような、研究というようなことがかなり積極的に進められている、政府間の話にはまだなっていないけれども、というような動きがあるときに、なぜ船舶検査活動だという気がしてなりません。
 しかし、きょうこの問題が議題になっておりますから、時間がありませんので船舶検査活動について質問をいたしますが、先ほどからの小泉さんの議論は私も全く同感なんです。
 そういう意味で、旧法と言われましたが、旧法ともう一つ、そのまた以前の原案みたいなものがありますね。そういうことを考えますと、三段階の間に私は悪くなってきているという気がむしろいたします。いわゆる国連安保理決議というのは今お話のあったとおりですよ。この問題をはっきりさせなくちゃいかぬと。
 もう一つは、そこはむしろ旧法よりもあいまいになってくる中で、旗国の同意という、こういうことが出てきてしまっている。旗国というのは一体、国際法上はわかりますけれども、今度の場合、例えばその船の旗国というのは船籍をもっていうのか、所有者、あるいはチャーターした場合そのチャーターしている主、そっちをいうのか、どっちですか。
   〔理事依田智治君退席、委員長着席〕
#170
○政府参考人(谷内正太郎君) 先ほどから申し上げておりますように、国際法上、公海上にある船舶はその旗国の排他的管轄権に服するわけでございますけれども、ここで旗国と申しますのは、当該船舶の登録が行われた国を申します。
#171
○田英夫君 つまり、船籍ということになると国際社会では失礼ながら余り注目されない国が多いんですね。リベリアとか、国内法上あるいは国際的に縛りが少ないために船籍を持っている国が多い。そこの国の了解を求める、同意を得るということになるんでしょうか。これはどういう意味があるのか。なぜ今度の新しい法案の中に「旗国の同意を得て、」というのが入ってきたのか。それはどういう意義があるのか。
#172
○政府参考人(竹内行夫君) もう先生御承知のとおり、船舶検査活動を行うに当たりまして、当然安保理決議のあることが望ましいということは前提でございますけれども、それが何らかの事情により得られなかった場合の旗国の同意でございますが、そういう状況になりますと、いわゆる一般国際法と申しますか海洋法の問題が関係してくるわけでございます。
 公海上におきましては旗国のみがその船に対して管轄権を持つということで、第三国は旗国の同意なしにはその船に対して管轄権を行使し得ないというのが国際法の原則で、いわゆる旗国主義と言われるものでございます。したがいまして、周辺事態のような状況におきまして国際社会が協調いたしまして制裁措置を行うというときに、船舶検査を行おうという措置が決まりましていざ実施するときになりましても、その相手の船の旗国から管轄権の行使に対して同意がなければ国際法上船舶検査はできないということになります。したがいまして、その同意をまず得ておいて、それから管轄権を行使する、すなわち船舶検査を行う、こういう法律上の立て方でございます。
#173
○田英夫君 国際法上そういう説明はわかるんですけれども、実際の問題として、リベリア船籍の船をリベリアに了解を求めて、いいですよ、どうぞおやりくださいと言うかもしれませんけれども、実際何の意味もないですね。
 そのことを入れるために、今度の法案では、国連決議の方はまさに先ほどから指摘されているとおりあいまいになってしまっている。本来二段階あったものがどっちの段階だかわからなくなってしまっているというようなマイナスが出てきているというのは、私は原案よりおかしくなっているんじゃないかという気がするんです。
 そういうことをまず指摘しておいて、これはだからどうしろといっても、こんなもの入れてもしようがないですよ、その旗国というようなものを入れても。私も、そういう意味でいうと欠陥法案だ、悪くなってしまったというふうに思います。
 それから、もう一つ重要な問題がありますが、昨年の三月にいわゆる不審船の問題があって、海上警備行動、これは自衛隊五十年の中で初めて閣議決定をして発動した。事態もああいうことになったのはお互いによく承知しているとおりです。
 今度、船舶検査活動をやるということと海上警備行動を発動するということとは別だとおっしゃるだろうと思うけれども、同時にやることもあり得るんですか。船舶検査活動をいよいよやろうという、そういう決定を政府がして海域を指定したというようなことまで行ったときに、実行に移す段階で海上警備行動も閣議決定をする、加えると、二重にそういうことをやるということがあり得るんですか。
#174
○政務次官(鈴木正孝君) 今、自衛隊の海上警備行動のあわせてのお尋ねでございますけれども、本法案における船舶検査活動は、周辺事態に際して、繰り返しになって大変恐縮なんですけれども、貿易その他の経済活動に係る規制措置の厳格な実施を確保する目的で、国連安保理決議に基づいて、または旗国の同意を得て船舶の積み荷及び目的地を検査し、確認する活動、並びに必要に応じ当該船舶の航路等の変更を要請する活動、こういうようなことでございます。
 他方、自衛隊法の八十二条の海警行動、海上における警備行動は、海上保安庁では治安の維持等が不可能な、または著しく困難である場合に自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずるもの、そういう位置づけでございます。
 したがいまして、船舶検査活動が行われている際に、海上自衛隊の行動、自衛隊法の八十二条の要件に当たるような事態が発生した場合、警察活動としての海上警備行動が発令される可能性というものは全く排除されるわけではない、このように考えております。
#175
○田英夫君 だと思いますから、非常に危険なことになるおそれがある。
 海上警備行動というのは、海上自衛隊に対して海上保安庁と同じような警察行動の任務をさらに付与するということだと思いますね、八十二条で。ところが、現実にあの昨年の三月の事態のときに威嚇射撃をやっている。これは実際にやったんですね、自衛艦が。もっと驚くべきことは、P3Cが爆弾投下をやっている。これもまた、戦後自衛隊ができて五十年の中で、自衛隊の飛行機が相手に対して爆弾を投下したというのは初めてであります。
 私は、あのときに憲法違反だということを特別委員会で指摘をし、小渕総理はそれに対して余り答弁を明快にされなかった。後で、あれは海上警備行動だから、警察行動の任務を付与したから、警察行動としてやった場合は威嚇射撃ができるという解釈を述べようと思ったんだという説明が実は防衛庁からありました、これはもう委員会の席ではありませんけれども。
 そうすると、今度の船舶検査活動では威嚇射撃を禁止しているんですよ、ところが海上警備行動になれば威嚇射撃もできる、爆弾投下までやっても憲法違反じゃないと言う。そういう論でもしおられるとするならば、これ二重に重ねたときには何でもできるということになりますよ。海上警備行動を加えれば何でもできる、爆弾投下までできる。そうやって船舶検査活動をやったら極めて危険なことになりますよ。
 私は、この日米の間の新ガイドラインの一連の行動の中で、船舶検査活動が一番紛争の引き金、戦争の引き金になるおそれがあるとかねてから思っておりますが、今の御答弁で海上警備行動と重ねることができる、そういうことはあり得るということになれば本当に危険だ、これは。防衛庁長官、いかがですか。
#176
○政務次官(鈴木正孝君) 先ほど御答弁申し上げたわけでございますけれども、この船舶検査活動法に基づく船舶検査活動とそれから自衛隊法八十二条に基づく海上警備行動、そのことは法律の趣旨、目的ということからいたしまして性格的に異なるものという、そういう位置づけだろうと思います。
 いずれにいたしましても、先ほど御答弁申し上げましたように可能性が全く排除されるわけではないと考えますけれども、かかる行動そのものが本法案に基づく船舶検査活動とその趣旨あるいは行動の態様を異にするという位置づけで、現実には船舶検査活動を慎重に行うと、こういうことになろうかというふうに思います。
#177
○田英夫君 同時に重ねて発動することがあり得るということ、これはだれが考えてもそうでしょうね、実際に。私の指摘する危険は、今の御説明では全く理解ができない。このことは、もう実は私に与えられた時間なくなってしまうので、残念ながらそれを最後に詰め切ることはできないんですけれども、厳重に警告をしておきますよ。実際問題としては重ねる事態が多いと思います。
 もう今、世界じゅう見渡して、日米安保条約のような二国間軍事同盟をさらに強化して発動していこうなんということをやっているところはどこにもないですよ。今、二国間軍事同盟というのは、形の上ではアメリカが結んでいる相手国というのは三、四十あります。名前を言えとおっしゃれば資料ありますけれども、全部アメリカが、日米、日韓、あるいはANZUS条約はニュージーランドが外れてしまったからオーストラリアでしょう、こういうのは全部スリーピング、もう眠った条約ですよ。日米と日韓だけでしょう。フィリピンが新しく結ばれたけれども、これは要するに地位協定ですよ。アメリカ軍があそこで演習をするための地位協定ですよ。
 どうして日本だけがアメリカとこの時期に二国間軍事同盟を強化するようなことを法律の裏づけまでやってやらなければいけないのかということに全く疑問を感じます。もうこれはこの段階でいいから取り下げるべきだと。
 あさってまだ、十分しかありませんけれども時間が与えられていますから、きょうはこれで終わります。
#178
○田村秀昭君 自由党は、日本の平和と安全を守るために船舶検査活動の重要性を否定するものではありません。かつて連立協議でその重要性を指摘し、早期法制化を主張し続けてきました。しかし、残念ながら今回の法案は我が党の主張とかけ離れており、到底納得できるものではありません。そういう観点に立って二、三質問をさせていただきます。
 まず、外務大臣と防衛庁長官に、自衛隊は軍隊と考えておられるのかどうか、それぞれお聞きしたいと思います。
#179
○国務大臣(河野洋平君) これはかねがね我が国政府は答弁を申し上げておりますが、自衛隊は憲法上必要最小限度を超える実力を保持し得ないなどの制約を課せられておりまして、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものだというふうに考えております。
#180
○国務大臣(虎島和夫君) 政府の姿勢としては、四十二年三月、佐藤総理答弁において、今後とも自衛隊を軍隊と呼称することはしないと言明しておりますが、そのような認識を持っております。
#181
○田村秀昭君 軍隊ではないというお答えのように理解させていただきますが、そういうことを日本の政府は言っているから、F15を持ち、エイジス艦を持ち、九〇式戦車を装備しながら軍隊ではないと言っておられるから近隣諸国から不思議な目で見られるんではないか。
 いずれにしても、今回の法律も非常にきちっとしていないと。何か外務省は非軍事でいきたい、防衛庁は腰砕けでそれに乗っている、それで法制局の言うことを聞いているだけ。政治家としての責任を遂行して本当に日本の平和と安全を守る決意があるのかと私は思わざるを得ない。
 それで、まず自衛隊には、警告射撃もいけない、自分が殺されそうになったときだけ鉄砲を撃っていいと。いわゆる緊急避難と正当防衛しか与えられないで防衛庁長官は自分のかわいい部下を出すんですか、それで。出ていくのは犬や猫じゃないんですよ。自衛官というのは日本国籍を有する日本人ですよ。そういう者にそれで出ていけと、しっかりやれということを言えるんですか。これは防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。
#182
○国務大臣(虎島和夫君) 今回のこの船舶活動に従事する場合には、国連の決議とか、あるいは旗国の同意とか、あるいは乗船して検査をする場合には船長の同意とかいうのを必要とするとしてあるわけであります。
 したがって、円満な形で乗船して検査を行うという形が想定されるわけでありますが、万一本人等が正当防衛とかいうようなものに該当するような事態に追い込まれた場合には、武器の使用はこれは必要最小限のものは認めるということになっておるわけであります。したがって、何と申しますか丸裸で非常に危険なところに入っていくというようなことではないことを想定しておることを御理解いただきたいと思います。
#183
○田村秀昭君 危険なところに行かないなら自衛隊を出す必要ないんじゃないですか。危険なところに行って我が国の平和と安全を守るのが自衛隊の任務であって、安全なところへ行くんだったら別の組織でもいいんではないかと私は思いますが、何で自衛隊をそこに派遣しなきゃいけないのか、その理由を明確に、私が理解できるように御説明願いたいと思います。
 いや、政務次官じゃなくて防衛庁長官、基本的なことだから。
#184
○国務大臣(虎島和夫君) これは、今申しましたような船舶検査活動については職務に従事する者、これの生命または身体に対する危険が生ずることは通常予想されない。なぜ予想されないかといえば、先ほど申しましたように国連の決定あるいは旗国の同意とか、あるいはまた乗船して検査する場合には船長の同意を必要とするということからそのように推定するわけであります。
#185
○田村秀昭君 私は、ここに国連決議というのが入ってきていること自身に非常に法体系として矛盾していると思っているんです。これは、周辺事態というのは日本が危険に非常に近くさらされているときというのが定義ですね。そのときに、日米協力をして我が国がほかの日本に危害を加えている国に対して経済制裁なり船舶検査をしようとしているときに、状況が周辺事態なんですよ、周辺事態のときに国連決議が急に飛び込んできているわけですね、この法律は。何で国連決議を入れないといけないんですか。周辺事態法ですよ、これは。目的にちゃんと書いてある。
 だから、私がきょうの同僚の議員を全部聞いていて思うのは、何か危ないことをやるんじゃないんだよ、非軍事的なんだよ、それで法制局が何かクレームつけたことは消して、警告射撃というのは憲法九条に反するとか反しないとかそういうのを入れて、武力の行使も九条が禁止していると。
 国連活動は積極的にやれって前文に書いてありますよ。国際協調は一生懸命積極的にやるって政府も言っておられるんだから、実際にはやらなきゃいけないにもかかわらず何にもやっていないというのが現状なんですよ。
 ですから、もっと明確にしていただかないといけない。何となくなし崩し的、問題先送り、政治責任をとらない体質を二十一世紀に持ち込む、そういうのだけはぜひやめていただきたいという立場で私はこの法案に対して賛成しかねるんです。
 結局、だれが一番迷惑をするかというと、そこへ出ていく自衛隊員が一番迷惑する、そこが迷惑してもだれも困らないから。あとはみんな困る人がたくさんいるものだからね。外務省は、非軍事非軍事と言って、非軍事は外務省のやることじゃないですか。防衛庁が軍事をやるんですよ。防衛庁は腰砕けだと私は思うんですが、いかがなものでしょうか。
#186
○政務次官(鈴木正孝君) 今、前段の方で国連の安全保障理事会の決議があれば云々というようなお話でございました。御案内のように、国連の決議があれば加盟国に一般的な受忍義務というものが生ずるというようなことがあるわけでございまして、そういう観点で、旗国の同意を取りつけることもなく他国の船舶を検査することが可能というようなそういうことが一つ効果としてあるわけでございます。そんな国際法上の観点からも有益という位置づけで整理をしているというようなことでもございます。
 また、後段の方の二十一世紀に向かってその種のものをなし崩し的に先送りしておるのではないかというような、そういうお話ではございますけれども、防衛庁・自衛隊、政府全体でこういう事態に対して有効適切に対応するために何ができるかという、そういう中の一つの大きな選択肢の中にこういう船舶検査活動というものは含まれるというふうに思っておりますし、それに対して防衛庁・自衛隊がこの法律を根拠にして活動できるということ、そのこと自身は大変有意義だと、このように思っております。
#187
○田村秀昭君 今、鈴木政務次官がおっしゃったようなやり方をずっと五十年やってきたんですよ。そこのところに問題があると、もうそれと決別しなきゃいけないと私は思っているんです。
 そんな出ていく人間に手足を縛って、それでもやった方がいいって、どうしてそういうことを言えるんですか。しかも、言っているような国連決議に基づくやつとか、それから旗国の同意なんというのは、大体得られるかどうかもわからない。これは日米協力で、日本に非常に危険が迫ったそのときの話ですよ、これは。それ以外の話じゃないでしょう、周辺事態法というのはそういう話なんだから。そんなときにそんなのんきなことを言っていられるかって僕は言っているんですよ。だから、最終的に我が国の平和と独立を守る決意がないと申し上げているんです。
#188
○国務大臣(虎島和夫君) 本法案は、一つだけはっきり申し上げておきますと、自衛官の安全にも配慮しながら船舶検査活動を有効に実施し得るという考えを持っておることは明確に申し上げておきたいと思います。
 それから、先ほど申しましたように、通常職務に従事する者の生命または身体に対する危険が生ずることは予想されないというのは、国連の決議であるとか、あるいは旗国の同意であるとか、あるいは船長の同意とか、得られない場合はやらないわけでありますから。得られない場合はやらない。しかしながら、仮に船長の同意があったにしても、不測の事態が発生することは否定できないわけでもない。したがって、本法第六条においては、自己または自己とともに当該職務に従事する者の生命または身体の防護のために必要最小限の武器使用を行い得るよう措置しておるわけでございます。このことついては御理解いただきたいと思います。
#189
○田村秀昭君 米軍は船舶検査をこういうふうにはやらないんですよ。しかも、一緒にやろうというわけでしょう。そういうことで日米関係の信頼性が向上すると長官はお考えなんですか、どうなんですか。日本はそういう中途半端なやり方をして日米協力をやろうとしているわけでしょう。
 それで、私はこれは国の基本的な話であって、よその国がどうであろうとか、世の中の趨勢がどうだとか、南北会談が行われたとか、そういうこととは全く無関係に、みずからの国をみずからが守るという、そういうことでどこの国でもやっていることなんですよ。そのことについてどうしてきちっとできないのかということを申し上げている。どこの国でもやる機能を持つものを、何できちっとやらないで半世紀もほったらかしにしているのかと。
 それで、今度二十一世紀に向かってまた同じような問題先送りの責任回避のやり方をする、それで危険なところには自衛隊は行かないんだと。どうして危険なところに行かないような自衛隊を国民は税金払ってつくっていなきゃいけないんですか。危険があって、国民の生命、国家を守るためにいるわけですよ。ですから、だんだんそういうふうに隊員もなっていく。これは私は二十世紀でさようならをしなきゃいけない問題だというふうに思っておりますので、長官の御決意を聞いて、ちょっと時間早いですけれども、質問は終了させていただきます。
#190
○国務大臣(虎島和夫君) 防衛庁は、もう申すまでもありませんけれども、一朝有事の際には国家を守るために存在するわけであります。ただ、いろいろな過去の経緯もありまして、現状では船舶検査を行うためにはこの範囲内が許容される状況であるという認識のもとに法案を提出しておるわけであります。
#191
○田村秀昭君 終わります。
#192
○佐藤道夫君 私はただいまの田村議員の質疑のような次元の高い話ではなくして、極めて低次元な法解釈の技術上の問題を取り上げてお伺いしたいと、こう思います。
 実はしかし、この技術上の問題というのは案外重要でして、実際に法律を適用する段階になりますと、関係者が一体この条文はどう解釈するんだ、この字句はどういうふうに理解すればいいんだと、必ずそういう疑問がわいてきて、そしてこれはもう立法当時どういう議論がなされたか、それを調べておこう、調べて解決しようと。裁判所も往々にして国会から議事録を取り寄せまして、なるほどこういう議論があったのか、いやこっちが知りたいと思ったこの大事なことについて全然議論がなされていないじゃないか、国会はしようがないところだと、どっちになるかわかりませんけれども。
 そういうことで、法律の運用に関係する者は、この国会で、立法府でどういう議論が行われているか、案外に関心を持つものでありますから、そういう観点で、技術的ということかもしれませんけれども、そういう問題を取り上げたいと思います。
 最初は第二条の問題でありまして、我が国周辺の公海、この範囲なんですね。一体、我が国の領海から何海里ぐらいを言うのか、延々とインド洋に至る、地中海に至る、どうもそういうことではなさそうですけれども、十海里なのか、二十海里なのか、あるいは五十海里なのか、大体の範囲を示すべきではないのか、こういう思いがするわけです。
 外国船舶といえども、これはきちっとした基本的な権利を持っているわけですから、延々と遠くまで追いかけていって、とまれと言って検査をする、そういうわけにはいかぬ。日本領海の付近に来たからちょっととまってくださいよというような考えがやっぱり必要なわけです。
 ところが、それが範囲が不明確ですと、外国船舶すべてが怪しいわけじゃありませんから、自分は何ら問題はないんだ、怪しいものも何も積んでいないんだと、しかし、日本の領海に近づいてとまれと言われて、関係者が乗り込んできてあれを見せろこれを見せろと、それは煩わしいから離れたところを通過しようと思って仮に十五海里ぐらいを通航していったらとまれと言われたと。一体どこまで行けば安全なんだ、こんな煩わしさから解放されるんだと、そういう疑問を持つのは私は当然だと思うんですよ。
 これは衆議院でもまた問題になっておりまして、衆議院の議員が長官にもるる質問をしておるようでありますが、我が国周辺の公海とは我が国船舶が船舶検査活動を行う区域から我が国領海を除いたところを言うというのが長官の正式な本会議でのお答えになっているんですね。こんなばかなことはない。問いをもって問いに答える以下の問題でありまして、どこだとこう聞いているのに、やるところから我が国領海を除いたところを言うんだと、議事録にもはっきり載っておりますけれども。
 これじゃ外国の船舶はもう安心して日本の周辺を通航できませんよ。やっぱりきちっと十海里なら十海里ぐらいと、別にきちっと十海里と言う必要はありませんけれども。ですから、その外を通る船舶には我々は手出しをいたしませんからどうぞと、それぐらいの謙虚さ、行政方針というのは必要なんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
#193
○国務大臣(虎島和夫君) 本法案に基づく船舶検査活動は、我が国領海または我が国周辺の公海において実施することとされているところは御指摘のとおりでございます。また、周辺事態とは我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態のことであり、その生起する地域あるいは海域をあらかじめ地理的に特定することはできないという立場であります。
 したがって、周辺事態の生起する地域が特定できない以上、周辺事態に対応して我が国が船舶検査活動を実施する海域である我が国周辺の公海についてもあらかじめ具体的な範囲を地理的に特定することはできない、このことは御理解いただきたいと思います。
 なお、周辺事態に対応して行われる船舶検査活動は我が国の平和及び安全の確保のために行われるものであり、現実の問題としてこれが無限に広がることはない、おのずから限界があること、これはまた当然でありますが、この法律の適用についてはそのようなことを考えて出してあるわけであります。
#194
○佐藤道夫君 周辺事態のときもこの議論はあったわけですけれども、政府は終始一貫その範囲を明確にしなかった。それで、じゃマラッカ海峡はどうなんだ、インド洋はどうなんだと、そういう議論にもなっていったわけでありますけれども、あのときに、火事が起きればそこが周辺事態なんだと、そういう言い方をなされたこともありました。しかし、いずれにしろ、今度は相手方の船舶に乗り込んでいって、これは検査だと、協力してほしいと、こういうわけでしょう。相手方の了解を得ることが前提だと。
 しかし、先ほども言いましたけれども、百海里も離れているところに日本の自衛隊がやってきて、おい見せろと言われたってだれも納得できないでしょう。その辺はきちっともう範囲を示しておく、大体の範囲でいいんですけれども、これぐらいのところを通過する場合には御用心くださいというのが私は当たり前のことだと思うんですよ、行政をつかさどる者としては。
 そのときになってみなきゃわからぬぞと、こんな無責任な行政は、相手が外国人だからいいだろうと、こういう発想なんでしょうか、おかしいと思いますよ。
#195
○国務大臣(虎島和夫君) ただ、そういうことでありますけれども、具体的に事態が起こり、船舶検査活動を行う海域等々については、これを定めるための手続が詳細に定められておるわけであります。内閣で手続を経て決め、そして防衛庁長官に指示があり、ここでまた具体的な海域を、例えば東経百何十何度何分から何度までとかという決め方をすると。こういうことではきちっとその事態に応じた決め方をするわけであります。
#196
○佐藤道夫君 いずれ行政で決めるからいいだろうと。
 今法案を審査しているんですよ。この法律は我々が決めるんですよ、国会が決めるんですよ。一番大事なことでしょう、どこまで適用されるんだと。そんなことはこっちに任せておけと。任せることができないから今聞いているわけでありまして、それじゃ百海里以内、大体百海里ぐらいだと、こう考えてもよろしいんですか。広ければ広いほど恐らく行政は便利なんでしょうからそうお尋ねしますけれども。
#197
○国務大臣(虎島和夫君) それはもう先ほど申しましたように、我が国の平和及び安全の確保のために行われるものであって、現実の問題としてこれが無限に広がることはない、おのずから限界があることは当然であるけれども、これは一定の手続を経て定められるものであるということでこの法案はできておるわけであります。
#198
○佐藤道夫君 何か水かけ論のようにもなるわけですけれども、無限ではないといえば有限の範囲を示せと、こう言っているだけですよ。難しいことを聞いているわけじゃないですよ、無限じゃないことはだれも知っていますからね。それじゃ、有限はどこまでなんだ、大体どの辺なんだと、こういう議論は必ず将来法廷で起きますよ。そして、国会の議事録を取り寄せてみると、なに、こんな水かけ論ばかりやっている、これは一体何なんだと、裁判官があきれてしまいますよ。
 大体これぐらいと、マラッカ海峡は入らない、それじゃ台湾はどうなんだ、その辺は入りますと。そこまで来たら、もう大体の方針は出せるはずでしょう。将来いずれ内閣の指示か何かを出すんですと、こう言っているから、それを今アウトラインを示してくださいと、それだけの話をしているんですよ。将来我々が決めるから余計なこと言うなと、こういう考えなんですか。
#199
○国務大臣(虎島和夫君) 決してそういう意味ではございません。
 そこで、先ほど申しましたように、諸般の手続を経る、その中には、内閣は国会の──基本計画につきましては国会にも報告されるということになっておるわけであります。
#200
○佐藤道夫君 余りこだわりたくないんですけれども、国会には報告されると。じゃ、基本計画をつくる際に国会の意見を聞くというふうになっているんですか、なっていないんですか。
#201
○国務大臣(虎島和夫君) 報告であります。
#202
○佐藤道夫君 国会の意見は聞かないんですね、そんな大事なことに。それなら、少なくともここで大体の線を示しておいて、その枠内で方針を決めていく、そして結果を報告すると、そういうことを考えるべきでありましょう。少なくとも国会の価値をもう少し──ちょっと聞いておられるんですか、もう少しはっきり今現在示し得る限り示してくださいませ。
 これが一体どこまで適用されるのか、外国船舶だって知りたいでしょう。我々はしょっちゅう日本の近海を航行しているんだと、これから日本でこういう法律ができると、じゃここまでなら大丈夫だろうと思って行ったら、ちょっと待てということになると。これは外国人の権利、先ほども言いましたけれども極めて大事なことですよ、国際上も、あるいは日本の国際的な信用上からも。
#203
○国務大臣(虎島和夫君) 本法案附則による周辺事態安全確保法第五条の改正によって、自衛隊が行う船舶検査活動については原則国会の事前承認が、緊急時には事後承認が必要となりますので、骨子で申し上げましたけれども、このように御理解いただきたいと思います。
 なお、基本計画については閣議で決定をして遅滞なく国会に報告され、国会における議論を踏まえながら対応措置が実施される、こういうことになっておるわけであります。
#204
○佐藤道夫君 余り水かけ論をしても仕方がないような気もいたしますけれども、できる限り、そんなことは別に隠しておくことでも何でもありません。大体この枠内でやりますからと、それだけの話ですから、世界の皆さん方も御承知ください、日本の自衛隊はこの範囲内で頑張っていますよと、日本の自衛隊の検査を受けるのが嫌ならはるか遠くをお通りくださいませということを言うだけですからね。こんなことを言うのは当たり前のことなんで、軍事機密でも何でもございませんから。なるべくならそういう方向で、これからいろんな計画をつくるんだということで、その計画も恐らく秘密だらけの読んでもわからぬような計画だろうとは思いますけれども、そういうことのないように、きちっとした権利義務の問題ですから、はっきりさせるところははっきりさせるという方針で臨んでいただきたいことを要望しておきます。
 それから、先ほどもいろいろ議論が出ておったようでありますけれども、武器の使用の問題でありまして、刑法の正当防衛の要件に該当するときは武器を使用することができると。これはしかし、別に法律で書かなくたって、我々だって正当防衛権は行使できるわけですからね。人間の基本的な権利なんです。殴りかかられたら反撃をすると、当たり前のことなんです。
 先ほど田村議員も疑問にしておりましたけれども、威嚇射撃がなぜ許されないのか。私、これはやっぱり不思議だと思うんですね。船舶検査をしようと思ったら相手は逃げていく。ちょっととまれ、待てといって威嚇射撃をするのは検査上必要なことじゃないでしょうか。日本の近海に、むしろ不審船の方は、どうせ威嚇射撃をしないんだからとにかく逃げろとか、あるいはもう平気で通航しろとか、そんなことにもなりかねないわけで、それが不思議で仕方がない。
 警察官職務執行法、これは海上保安庁にも適用される法律でありまするけれども、御研究になったと思いますけれども、公務の執行に対する抵抗を排するために必要と認められる正当の理由がある場合には武器を使用することができると。この前の北朝鮮の不審船に対する威嚇射撃もその論理でいったんだと私は理解しておりましたけれども、これが本法律になると、もう武力の行使だということになって威嚇射撃はできないというふうに議論を聞いておりましたが、基本的に、じゃいつから自衛隊は軍隊になったんだと。武力というのは大体軍隊が行使するものでしょう。警察官がピストルを撃ってみたって、あれは武力の行使とはだれも言いません。海上保安庁が機関砲などを発砲しても、あれは武力の行使とは言いません。武力の行使だからこれはだめなんだと。それじゃ自衛隊は軍隊かと、基本問題にさかのぼっていくわけですけれども。
 やっぱり検査をするに必要な限度において許された常識的な範囲で必要な武器を使う、率直に言って当たり前のことでございましょう。しかも相手は商船ですからね、相手が反撃して、そこで日本海海戦のようなものが起こるとだれも考えてはおりません。逃げていこうとするやつにちょっと待てと、待たない場合には相手に危害を加えない細心の注意を払いつつ武器を使用する、これは当たり前のことじゃないでしょうか。
 この法律を実効あらしめるためにも、私少しくこれはおかしいと思うんですが、いかがでしょうか、この点は。
#205
○政務次官(鈴木正孝君) 今委員から警告射撃を含めまして武器の使用につきましてお話があったわけでございますが、この船舶検査活動法案そのもの、対象を今お話しございましたように基本的には商船ということでもございますし、それから過去の実例等を見ましても、実際に射撃というような事態に至ったということが非常に極めてまれなケースというようなこともございまして、整理の中で威嚇、警告射撃というものは実施をしないで有効な検査活動ができるだろうというそういう認識に立って法案を整理したという、そういうことでございます。
 そしてまた、この第六条におきまして、御指摘のように武器の使用ということは自然権的な、自己または自己とともにその場で職務行為をしておる者について相当な理由がある場合には、その事態に応じて合理的に必要と判断される限度で武器の使用をすることができるということでございまして、かなり言ってみますれば自然権に基づく武器の使用というものを認めているというようなことでございます。
 いずれにいたしましても、過去の例、あるいは日本だけではなく、この経済制裁措置にかかわるもろもろの事柄を含めて全体で効果的な実際的な運用ができるように、そういう立場でやっていきたいという、そういうことでもございます。
#206
○佐藤道夫君 法律というのは、普通のような状況にいかない場合を想定して法律をつくっていくわけで、常識の範囲でおさまるようなことでしたら相手も逃げるようなことはしないんだと。今までもそういうことで武器を威嚇射撃などをしたことは世界の例でも余りないんだと、こういうことを言い出せば法律自体が要らないということにもなるわけなのでありまして、ぎりぎりの場合を想定して法律をつくるということが、これが立法者の心づもりなのでありまして、どうも法律無用論にも通じかねないような、こんなことはないから要らないんだといったらこの法律自体だって要らなくなってくるかもしらぬのでありますけれどもね。
 それはそれとして、最後に、検査の結果、武器を積んでいたとか、禁制品、麻薬とか覚せい剤を積んでいたと。これは我が国の法律にも触れるわけでありますけれども、こうなったらどうするんでしょうか、この自衛艦は。
#207
○政務次官(鈴木正孝君) 対象船舶が武器弾薬等の危険物を積載していた場合にどういうふうな対応をするかという、こういうことでございますが、本法案の別表におきまして、船長等の承諾を得ての乗船検査等によりまして規制措置の対象物品が積載されていないことが確認できない場合、当該船舶の船長等にその航路または目的港もしくは目的地の変更等を要請するようなことがあるわけでございます。
 仮に、御質問の武器弾薬等が規制措置の対象になる場合、これは当然そういうことだろうと、こう思いますが、乗船検査により当該物品が確認されれば、本法案別表に基づいて航路の変更等の要請を行うこととなるかと思います。また、当該要請に応じない船長等に対しては要請に応じるように説得をするということになりますが、この場合には、説得に必要な限度において当該船舶に対して接近あるいは追尾等を行うこととなろうかと思います。
 また、これに加えまして、こういう検査活動の過程で、全体的な流れの中で、旗国あるいは交易国への通報等、あるいは他の検査実施船舶への情報提供などの対応をとることも可能かと、こう考えているところでございます。
#208
○佐藤道夫君 銃砲等を積載している、あるいは先ほど言いました禁制品を積載している、我が国領海内においてはこれは所持の現行犯ですから、検挙するんでしょうね。見逃すんですか、それとも。いかがなんでしょうか。
#209
○政務次官(鈴木正孝君) 船舶検査活動という範囲ではそういうことは考えられないわけでございますが、警察活動の過程でそういうようなものがあれば、それなりの対応ということがまた一つ考えられるのかというふうに思います。
#210
○委員長(服部三男雄君) 時間ですので、手短にお願いします。
#211
○佐藤道夫君 警察活動というのがよくわからなかったんですけれども、先ほど言いましたとおりこれは現行犯ですからね、現行犯というのは何ぴとも検挙できるわけですよ。それもやらないんですか。そうすると、覚せい剤を積んだままみすみす逃げていくわけですか、相手は。
#212
○政務次官(鈴木正孝君) 今お尋ねのことでございますけれども、具体的にそういうようなことがあれば適切な対応をするということはあると、そのように思います。
#213
○佐藤道夫君 時間だそうですから、またにします。
 以上です。
#214
○委員長(服部三男雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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