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2000/11/28 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 地方行政・警察委員会 第6号
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2000/11/28 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 地方行政・警察委員会 第6号

#1
第150回国会 地方行政・警察委員会 第6号
平成十二年十一月二十八日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十七日
    辞任         補欠選任
     和田 洋子君     角田 義一君
     風間  昶君     白浜 一良君
 十一月二十八日
    辞任         補欠選任
     菅川 健二君     石田 美栄君
     吉川 春子君     池田 幹幸君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         朝日 俊弘君
    理 事
                木村  仁君
                北岡 秀二君
                浅尾慶一郎君
                簗瀬  進君
                富樫 練三君
    委 員
                岩城 光英君
                鎌田 要人君
                久世 公堯君
                関谷 勝嗣君
                谷川 秀善君
                月原 茂皓君
                山下 英利君
                脇  雅史君
                石田 美栄君
                菅川 健二君
                角田 義一君
                大森 礼子君
                白浜 一良君
                池田 幹幸君
                照屋 寛徳君
                松岡滿壽男君
   衆議院議員
       地方行政委員長  増田 敏男君
   国務大臣
       自治大臣
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    西田  司君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        入内島 修君
   政府参考人
       警察庁長官    田中 節夫君
       警察庁長官官房
       長        石川 重明君
       警察庁刑事局長  五十嵐忠行君
       法務省刑事局長  古田 佑紀君
       自治大臣官房長  香山 充弘君
       自治省財政局長  嶋津  昭君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○派遣委員の報告
○警察法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○警察法の一部を改正する法律案(富樫練三君外
 二名発議)
○市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正
 する法律案(衆議院提出)

    ─────────────
#2
○委員長(朝日俊弘君) ただいまから地方行政・警察委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、和田洋子さん及び風間昶君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君及び白浜一良君が選任されました。
 また、本日、吉川春子さんが委員を辞任され、その補欠として池田幹幸君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(朝日俊弘君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 警察法の一部を改正する法律案(閣法第四号)及び警察法の一部を改正する法律案(参第一三号)の審査のため、本日の委員会に警察庁長官田中節夫君、警察庁長官官房長石川重明君、警察庁刑事局長五十嵐忠行君、法務省刑事局長古田佑紀君、自治大臣官房長香山充弘君及び自治省財政局長嶋津昭君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(朝日俊弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(朝日俊弘君) 警察法の一部を改正する法律案(閣法第四号)及び警察法の一部を改正する法律案(参第一三号)の両案を一括して議題といたします。
 まず、去る二十一日、当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。北岡秀二君。
#6
○北岡秀二君 先日実施されました委員派遣につきまして御報告いたします。
 派遣委員は、朝日俊弘委員長を団長として、木村仁理事、浅尾慶一郎理事、富樫練三理事、菅川健二委員、大森礼子委員、日下部禧代子委員、松岡滿壽男委員及び私、北岡秀二の九名で、去る二十一日、神奈川県において地方公聴会を開催し、警察法の一部を改正する法律案(閣法第四号)及び警察法の一部を改正する法律案(参第一三号)につきまして、それぞれ四名の公述人から意見を聴取した後、各委員から質疑が行われました。
 まず、横浜国立大学経済学部教授田中利幸君、弁護士、神奈川県警察を語る会委員沢藤達夫君、日本弁護士連合会刑事法制委員会委員長岩村智文君、弁護士、自由法曹団警察問題委員会委員長森卓爾君の四名の公述人から意見を聴取いたしました。
 以下、公述の要旨を御報告申し上げますと、適正な警察活動の確保のための監察の必要性、苦情申し出制度の積極的運用の重要性、神奈川県民のための警察の確立、神奈川県警察の信頼回復に向けた取り組みの現状、市民参加型外部監察制度の必要性、公安委員会機能の活性化のための方策、警察の秘密主義を打破する情報公開の重要性、警察官に対する人権教育の推進の必要性などについて、それぞれ意見が述べられました。
 公述人の意見に対し、各委員より、公安委員会の管理機能の強化についての評価、公安委員会の活動状況に関する議会への報告等の必要性、警察署協議会の円滑な運営のための具体策、警察情報の公開に関する諸問題、警察不祥事発生の原因、業務の合理化と適切な警察人員のあり方などについて質疑が行われました。
 会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。
 以上、御報告申し上げます。
#7
○委員長(朝日俊弘君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 なお、地方公聴会の速記録につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。
    ─────────────
#8
○委員長(朝日俊弘君) 警察法の一部を改正する法律案(閣法第四号)及び警察法の一部を改正する法律案(参第一三号)の両案について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○角田義一君 おはようございます。民主党・新緑の角田義一でございます。
 私も、かねてから警察のいわゆる不祥事につきましては予算委員会等で関係者にお尋ねをしてまいりました。一連の数多い不祥事で、もちろん警察の威信というものは大きく傷つきましたと同時に、一番憂うべきは国民の警察に対する信頼というものが大変ぐらついた、揺らいだということではなかろうかというふうに思うわけでありまして、そういう意味で市民の警察に対する信頼を取り戻すということは、原点に警察が立ち返って取り組まなきゃならぬ重大な課題だろうというふうに思っております。
 今回の警察法の改正につきまして、私は、そういったさまざまな不幸な事件を踏まえながら法案の改正が出てまいりまして、それなりの前進はあるというふうには思っておりますけれども、しかし国家公安委員会なりあるいは都道府県公安委員会なりにおける監察のあり方等については、私ども民主党とやはり閣法とでは大分違いがございます。
 我々は、御承知のとおり、公安委員会と独立をした事務局を持つ監察制度というものを設けて、そこに市民がいろいろ苦情も申し立てることもできる、独立した権限を持って警察の公正、厳正なことをやるべきだというふうに提起をしておるわけでありますし、特にキャリアの教育というか任用というか、これは非常に私は大事だというふうに思っております。二十三万人に及ぶ警察官の上にわずか五百人のキャリアがそこに君臨をするという状態、しかも一片のペーパーによる試験で将来が保障されていくというようなことで果たしていいのか、現場、修羅場というものをある程度きちっとくぐった者が現場をきっちり監督するというシステムがどうしても必要ではないかというような気がするわけであります。
 そういう問題提起と絡みまして、今日私がこれからお尋ねする問題は、監察のありよう、あるいはキャリアのありようということについて非常に関連があるものですから、お尋ねをしてまいりたいと思っております。
 現在、内閣官房の内閣情報調査室で内閣調査官をやっております植松信一という人物がおりますが、この植松信一なる人物は、もちろんキャリアでありますが、ちょっと古い話で恐縮でございますが、まだこれは事件が生きておりますのであえて申し上げますけれども、昭和五十七年八月から昭和五十九年八月まで静岡県警本部の刑事部捜査第二課長、当時二十八歳でございますが、おられたということは間違いないでしょうか。
#10
○政府参考人(五十嵐忠行君) そのとおりでございます。
#11
○角田義一君 今、官房の内閣調査官になっておられますその植松信一さんは、当時県警の捜査二課長でしたが、静岡県警本部と静岡南署が、彼の在任当時、静岡市に在住しております小長井良浩弁護士に対する業務上横領の被疑事実で捜査した当時の捜査の指揮官であった、責任者であったというふうに承っておりますけれども、間違いございませんでしょうか。
#12
○政府参考人(五十嵐忠行君) お尋ねの植松信一は、小長井弁護士が業務上横領容疑で送検された一九八二年十一月当時、静岡県警察捜査二課長でありまして、小長井弁護士事件捜査の捜査主任官ではありませんが、警察本部における担当部署の責任者であったというふうに承知しております。
#13
○角田義一君 法務省の古田刑事局長にお尋ねいたしますが、刑事訴訟法でいわば全件送致主義というようなことが言われておりますが、司法警察員はみずからがとったいわば供述調書というようなものをみずからの判断で取捨選択して、これは検察庁に送るべし、これは送らないで済むべしというようなことが許されますでしょうか。
#14
○政府参考人(古田佑紀君) お尋ねの捜査書類の検察官に対する送致、送付につきましては、刑事訴訟法二百四十六条が、事件は全部検察官に送致する、そしてその際、書類及び証拠物もともに送致するという規定になっておりますので、当該送致事実に関して捜査した結果作成された書面は刑事訴訟法上は検察官のところに原則としてすべて送付するということが予定されているものと理解しております。
#15
○角田義一君 どうして刑事訴訟法ではそういう規定になっているのでございますか。
#16
○政府参考人(古田佑紀君) 委員御案内のとおり、刑事訴訟法上、検察官が公訴権を独占し、かつまた起訴猶予にする権限も付与されておりまして、そういうふうな公訴権の行使についての判断の誤りなきを期するために、関連する捜査結果については検察官の手元に集中されるという、そういうことが必要だという考えによるものだと理解しております。
#17
○角田義一君 一般論で結構ですけれども、もし、司法警察員が手元に持っております調書、参考人調書あるいは証人調書というか関係者の供述調書、これらのものを検察庁に事件送致のときに故意に送らないといったような場合には、どういう法律効果になるでしょうか。
#18
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほど申し上げましたとおり、原則として検察官に送致するという建前になっているわけでございまして、その刑事訴訟法の予定しているような手続に反する結果となるような行為がたまたまあったとした場合ですが、これは一般論として申し上げて、それによって直ちに何か訴訟法上の効果が生じたり、あるいは、例えばですが、何らかの犯罪に当たるとかそういうことには原則としてはならないというふうには考えております。
 ただ、それが適切であったかどうかという面からのいろんな問題というのは、これは起こり得る可能性はあると思っております。
#19
○角田義一君 一般論になるかもしれませんけれども、時と場合によれば私は犯罪行為になるというふうに思っておりますし、判例もそういう判例は幾つかあります。
 そこでお尋ねいたしますが、この事案では、小長井弁護士の業務上横領というのが事件になっておるんですけれども、いわば被害者と称する者が告訴をいたしておりますが、現実は告訴前に既に警察が事実上捜査をいたしておりまして、小長井弁護士の犯罪が成立するのかしないのかということについて非常に重大な人物であります三岡という、これは元警察官でございましたけれども、司法書士さんを何回か調べております。この事件は非常に異例でありますけれども、告訴が受理される前にその非常に重要な人物であります三岡という人の供述調書がとられております。
 警察関係者は公の場で、その最初の三岡調書というものを見たら青天のへきれきであったというふうに言っておるんです。なぜ青天のへきれきであったかというと、いわば小長井弁護士の被疑事実をその調書ではとても証明できない、そういう内容であったからであります。
 これを送致された後、検察の方から、この第一回と言われております三岡司法書士の供述調書は一体どうなっておるんだといって捜査の報告を求められておりまして、その捜査報告書がちゃんとできておりますが、その捜査の報告の内容はどんなものでありますか、お尋ねいたします。
#20
○政府参考人(五十嵐忠行君) 昭和五十八年一月二十八日付の静岡南警察署長あての捜査報告書でございます。
 概略を申し上げますと、この三岡司法書士につきましては三回調書をとっておるわけでありますけれども、要するに、一回目の調書というのは記憶その他であいまいな点があるという、二回、三回調書をとった結果、一回目の調書については送らないことにするという内容の捜査報告書でございます。
#21
○角田義一君 その捜査報告書の最後のところに、いろいろ今あなたがおっしゃったようなことが書いてあるけれども、ほごにしたという文章になっております。
 常識的に言えば、それはいろいろ議論があったところですが、ほごにするというのは破くということですね、破るということです。約束をほごにするとか、これは破るという趣旨でありまして、これは不送致という表題で報告書がなっていますから、その第一回の非常に重要な供述調書はほごにする、すなわち破ってしまったということでございますか。
#22
○政府参考人(五十嵐忠行君) お答えいたします。
 御指摘の捜査報告書のほごにすることとしたとの記載につきましては、作成者も法廷で、報告全体を見てもらえばわかるように検察庁に送付しないという意味であると証言しているとおり、調書を破棄したという趣旨ではないものと承知いたしております。
 なお、地裁判決、高裁判決ともに、捜査報告書中のほごという文言をもって同調書が破棄されたものと断定することはできない旨判示されているものと承知しております。
#23
○角田義一君 それじゃ、その調書というのは当時存在したんですか。
#24
○政府参考人(五十嵐忠行君) 存在いたしました。
#25
○角田義一君 存在したものであるならば、先ほど一般論として言われていますけれども、わざわざ検察庁から、その第一回の供述調書というものは非常に重い意味を持っておるのでそれを出せと、出してほしいという要求があったからこそそういう報告書ができておるはずなのに、なぜそれをお出しにならないで握りつぶしたんですか。
#26
○政府参考人(五十嵐忠行君) 第一回目の調書でございますけれども、これは供述人の記憶がはっきりしない中で、登記申請書等の書類をもとに思い出された範囲で録取したものでありまして、その内容が漠然としたものでございました。
 一方、第二回目以降の調書は、その後関係者等の話などをもとにさらに記憶を喚起していただき、写真の面割り等をもとに録取したもので、以前と比べて比較的明確なものと認められました。
 以上のことから、静岡県警におきましては、一回目の調書を送付する必要がないとの判断をしたものと承知いたしております。
 なお、この間の経緯につきましては捜査報告書をまとめ、その捜査報告書を検察庁に送付したものと承知しております。
#27
○角田義一君 じゃ、あなたにあえてお尋ねしますけれども、その第一回の供述調書というのはいつ検察庁に送付したんですか。それをはっきり言えますか。どこにも出ていませんぞ。
#28
○政府参考人(五十嵐忠行君) 第一回調書自体は送付いたしておりません。
#29
○角田義一君 くどいようですけれども、警察はこれがあいまいであるとかどうとかといった判断で送致しないというようなことは、先ほどの原則論からいって許されないんじゃないですか。
 失礼だけれども、あなた方には公訴提起の権限はないわけで、あくまでそれは検察庁が最終的には判断をすることであります。したがって、なぜ不送致にしたか。これは後から私申し上げるけれども、まさに捜査主任が言っているとおり、青天のへきれきなことが書いてある調書なんで、とてもじゃないけれども送れない、こういうことで破っちゃったんじゃないですか。
 現に、公の場で何人も、これは破棄された、ないんだというふうに言っているんですよ。破棄したんじゃないですか。はっきり、そんなことはない、本当のことを言ってくださいよ。
#30
○政府参考人(五十嵐忠行君) 破棄したという事実はございません。
#31
○角田義一君 そうすると、破棄していないですね。あったものについて、それを検察庁に送らなかったということについては、刑事訴訟法の今言った義務規定に明らかに反するでしょう。あなた方にそれだけの判断をしてもらっては困るわけだから。それはどう思いますか。
#32
○政府参考人(五十嵐忠行君) 捜査の結果作成された書類とか得られた証拠物は、原則として検察官に送致または送付することとしておりますが、他方におきまして、警察の捜査は、多数の捜査員がさまざまな角度から捜査を行うことにより、各種の資料を収集し、あるいは多数の報告書等の書類を作成し、徐々に事件の真相を明らかにしていくものであることから、結果的には当該事件と関連性がない資料が得られたり、書類が内容的に重複して作成されるということも実際には多々あるわけであります。
 警察としては、こうした資料まで検察官に送致または送付しなければならないとまでは考えていないところであります。
#33
○角田義一君 あなたね、驚くべきことをここで言っているんだよ、国会で。刑事訴訟法の大原則を、平然と、この場だけ逃れるようなことを言ったってだめだよ。そんなことを言ったら、全然日本の警察なり検察は事件をやれませんよ、適切な処理できませんよ。あなた方、失礼だけれども起訴権を持っているんですか。持っていないでしょうが。それは、立場上検察官が持っているからこういうシステムになっているんで、出さないあるいは公然と破棄する、破くというようなことは許されると思いますか、どうですか。
#34
○政府参考人(五十嵐忠行君) 公然と破棄するというお話ですが、先ほど来答弁いたしておりますように、破棄したという事実はございません。
#35
○角田義一君 あなた方が、最初からあるというふうに百歩譲りましょうや、今でもあると言っているんだから。
 その調書は後から法廷に出てきているんですよ、十年もたってね。いいですか、十年ですよ。裁判所からそれを出せと言われて十年たって出てきたんだよ。十年間も懐に隠して持っていて出てきた。その供述調書が、いろいろ議論があるところだけれども、なぜ十年も隠し持って出さないんですか。十年だよ、あなた。一年や二年じゃないよ。
#36
○政府参考人(五十嵐忠行君) 静岡県警におきましては、御指摘の調書を当初提出しなかったにつきましては、裁判所に対してもその理由を示しておりますが、刑事訴訟法第四十七条本文において、「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」と規定されており、御指摘の調書はこれに該当する非公開文書であること、また調書は、供述者など訴訟関係人の名誉、プライバシーの保護等の必要性から、いまだ保管者である警察において秘密を守る必要があるという理由で提出しなかったものと承知しております。
#37
○角田義一君 そのことはきょうは議論しません。
 それは、裁判所から極めて厳しく指弾されて、十年間何しろ出さなかったということについては、あなたが最初からあったと今言っているけれども、その調書は偽造された疑いがあるという、いいですか、大事なことですよ、偽造された疑いがあると思われても無理はない、こういうふうに法廷で指摘されているんですよ。大変なことですよ。十年間も隠し持ったままで、裁判の一番しりに出してきて、そして反証も許さないような形でやってきた。だから、判決だって、これは偽造のおそれありと、こういうふうに指摘されているんです。
 と同時に、いいですか、聞きますがね、その後、私はこの件を調べて、先ほど言った第一回の調書、司法書士の調書というものについて徹底的に関係者を調べて供述書をとってきた。そうしたら、その供述書の中に、中沢という人物がおるんだけれども、中沢なる人物はちゃんと金を司法書士の事務所に届けた。届けて、またもらったと言っているんです。そこへ行って、私は金をもらってきたと。金をもらっちゃったら業務上横領なんかじゃないじゃない。その供述調書をとったよ、私どもは。幾つかこれはおかしいと思って徹底的に調べていったら、とてもじゃないけどその本物の青天のへきれきの供述調書は出せる代物じゃない。出せる代物じゃない、法廷に。だから、いろいろな事情があったにしても、信じられないことかもしれないけれども、その第一回の三岡調書というのは静岡県警が今日組織的にこの調書を改ざんした、こういう疑いが極めて濃厚であると私はもう確信を持っています、これは改ざんされたものである。どうですか。私は質問しますけれども、十何年営々としてみんなが真実を追求してきて、やっと今日何人かの人が本当のことを話し出して、この調書が改ざんであるということが極めて嫌疑濃厚になってきた。
 そこで古田刑事局長にお尋ねしますが、この国会において被疑事実というか犯罪の嫌疑が具体的に指摘をされるというようなことは余り例はないと思うけれども、これは一般論として捜査の端緒になり得るのかどうかお尋ねします。
#38
○政府参考人(古田佑紀君) 捜査の端緒につきましては、これはもちろん特段の制約はございません。したがいまして、いろんな国会における御議論等も、それは捜査の端緒となり得るものでございます。
#39
○角田義一君 私のこの事件に関する調査によりますと、要するにこの小長井弁護士の事件というのは業務上横領ですから、依頼者から預かったお金を自分の懐に入れたという形になっております。しかし、そのお金がちゃんと依頼者の依頼の趣旨に沿って相手方に渡っておれば、これは業務上の横領なんか成り立たないわけなんで、そのことが、くどいようだけれども、第一回の三岡供述調書にはっきりと書いてあり、それを裏づける供述を今日次々と、私どもはそれを調査して得ているわけなんです。そうすると、ますますもってこの第一回の供述調書は疑わしいなと思っているんです。
 そこで私は先ほど、前に戻るけれども、国家公安委員会というようなものが監察制度として事務局を独立に持って、そして市民のそういった問題について適切に対応する必要があるだろうと。それから、現にキャリアが行って指揮しているんだから、責任者ですよ、その人が今内閣の枢要な地位にいるわけですよ。こういう事態を私は放置できないと思うんです。
 私ははっきり申し上げるけれども、警察庁長官どうですか。確かに事件は二十年前の事件なんですよ。しかし今日、今言った調書が法廷に出されて、そして裁判所の判断を仰いでいるわけだよ。いろいろ裁判官がどうするか決めかねておるわけだよ。偽造の文書だということになったら、これはえらいことですよ。再審と同じですよ。再審をやらなきゃならないようなことになるんですよ、偽造文書ということになれば。そうでしょう。昔のことだと思うかもしれないけれども、現にこれは公判廷で平成九年二月二十日、まだそれほど前じゃないですよ。三年前です。三年前に、十年たって今の調書が出てきたわけだよ。私は、これは公文書を偽造したものの行使であると。したがって、時効は平成十六年二月十九日まである。今二〇〇〇年で、あと四年あるんだよ、時効まで。
 これは私は、警察庁とすると虚心坦懐に実態はどうであったかということを調査する責任がある、そして国会に報告する責任があると思うんですよ。どうですか。虚心坦懐に今日の問題提起を踏まえて、ちゃんと警察庁長官として、これは調べてみる、調査してみる、それだけの問題提起だと、そういう認識をお持ちかどうかお尋ねしたい。
#40
○政府参考人(田中節夫君) 委員御指摘の小長井弁護士に係るところの業務上横領事件の捜査につきましての御提言でございますけれども、本件の供述調書につきましては、御本人の供述に基づき、本人の署名、押印を得て適正な手続をもって作成されたものでございまして、偽造された事実はないものと承知をしております。
 なお、国賠訴訟におきましても、原告から偽造との主張がなされたところでございますが、既に第一審の静岡地方裁判所、さらには控訴審の東京高等裁判所のいずれにおきましても調書の偽造といった事実は認定されていないというふうに承知をしております。
 このようなことから、この調書につきましては適正な手続のもとに作成されているというふうに考えております。したがいまして、警察庁といたしまして調書の偽造といった事実はないと承知しておりますので、新たに調査を行う考えはないということでございます。
#41
○角田義一君 そこまであなたが居直るんなら、あえて申し上げる。
 お手元にその調書があるはずです。確かに一番最後に三岡なる人物の署名と判こが押してある。しかし、それより前、全部、これが全然違うんです。一番最後のものだけが本物として残っているんですよ。
 私は、これをここまで、この場でこのことを言うということは並大抵のことじゃないんだよ。あなたは偽造はないと言って開き直るかもしれぬけれども、このことは必ず白日のもとにさらされるから。
 いずれにしても、きょうは時間もありませんからこれだけにしておきますけれども、捜査の端緒であるということであるから、警察が手がつかないんなら検察でしっかりやってもらう以外にないな。検察はばかにされて、供述調書ももらっておかないんだから、出してもらえなかったんだから。このことは追ってきちっとけじめは最後までつけさせてもらいたいと思っております。
 以上、終わります。
#42
○浅尾慶一郎君 民主党・新緑風会の浅尾慶一郎です。角田委員に続きまして、質問をさせていただきたいと思います。
 大変重大な御指摘を角田委員の方からされたものと、私も今の審議を聞いておってつくづく思いました。そういう中において、やはりどんな組織でもいろいろな問題があるんではないかなという観点から、チェック・アンド・バランスということが大事になってくるんではないか。そういうことを考えますと、今回の警察法の中ではやはり公安委員会というものが大変重要になってくるんではないかなと。
 そこで伺いますが、公安委員会というものが一体だれに対して本当に責任を負っているのかということが大事になってくるんではないかなと。現在の警察法あるいは改正後の警察法においてもなかなか公安委員会、きょうは国家公安委員長は御出席いただいておりますが、国家公安委員、五人おられる中で、私は残念ながら公安委員長以外の公安委員の方を国会の席でまだお見かけしたことはございません。やはり国会の場にそれぞれが来ていただいて、質問に対して真摯に答えていただくということが大事なんじゃないかなと、こういうふうに思っています。
 それで、最初の質問でありますが、今度、警察法改正に当たって公安委員会が警察を管理するということでありますが、今までの警察法の中における管理という言葉と、改正後の管理という言葉について、簡潔で結構でございますが、解釈上違いはありますか、ありませんか。
#43
○政府参考人(石川重明君) 公安委員会の行う管理の意味、内容でございますけれども、警察行政の大綱方針を定めて、警察行政の運営がその大綱方針に即して行われるよう、警察庁または都道府県警察に対して事前事後の監督を行うものというふうに解されておるわけでございます。
 そして、今回の改正で監察に関する個別的、具体的指示というところが入るわけでございますけれども、この点につきましても、管理形態の一態様として、この法解釈のもとで大綱方針に反したことが行われているような疑いがある場合に、それをきちっと是正するための措置を行う前提としての監察のための個別具体的指示を管理の一形態として行うということを法律上明確にした、こういう関係になります。
#44
○浅尾慶一郎君 それでは、例えば角田委員が今御指摘になったような事案があって、今度の改正後の警察法であれば、都道府県の公安委員会に文書で申し入れをすれば当然それに対して答える責務はあるわけでありますが、そういったことは答えていただけるという解釈でいいんですか。それとも、今のお答えですと、大綱方針に関係ない部分については答えないということになってしまうと余り改正の意義が得られないんではないかなと思いますが、そこは答えていただけるという理解でよろしゅうございますね。
#45
○政府参考人(石川重明君) これは、管理という観点から答えるか答えないかというようなことよりも、今回の改正で警察職員の職務執行に関する苦情処理制度というものが創設されることになるわけでございます。その状況下において、警察職員の職務執行について苦情があるという形で公安委員会に文書で申し立てがあった場合には、公安委員会はそれに対して文書で処理をした上で回答をする、こういうことになると思います。
#46
○浅尾慶一郎君 管理ということではなくて、考え方を分けてお答えになっているというふうに御答弁を聞いたわけでありますが、ただ現実の側面においてはなかなか管理の部分と苦情処理の部分というのが分けられないんではないかなというふうに思うわけであります。
 そうだとすると、私自身はむしろ積極的に、今までの解釈というのは、個別の事案についてはなかなか管理が及ばないというのが警察庁の官房が書いた警察法のコメンタールにたしかそういうふうに書いてあったと思いますが、今度、苦情処理ということが入ることによって、むしろ個別の事案についても管理、あるいはそれは苦情というふうにお答えになるのかもしれませんが、管理できるようになったというふうに解釈できると思うんですが、その点、再度のお尋ねで恐縮ですが、お答えいただけますか。
#47
○政府参考人(石川重明君) 冒頭に御答弁申しましたように、管理という観点から今回の御審議をお願いしておる警察法の改正案でございますけれども、これは、公安委員会がいろいろな情報によってこれは監察をすべきだということがあれば、これは一般論でございますけれども、この案件と直接の関係を持たせて御答弁申し上げているわけではございませんけれども、この点についてはしっかりこういう形で調べるようにという個別具体的な指示を出すことができる、それが管理権の行使の一態様になる、こういうことでございます。
#48
○浅尾慶一郎君 では、お尋ねを引き続いてさせていただきたいと思いますが、公安委員会、国家公安委員会も都道府県の公安委員会も管理すべき対象というものが非常に膨大にあるんではないかなというふうに思っております。
 先ほど冒頭に申し上げましたように、公安委員会がより有効な警察の管理ということを考えた場合に、まず公安委員会そのものが国会なり都道府県の議会に対して報告をし、その管理の形態について質疑に応じるということが必要であるということで、後ほどこれは質問させていただきたいと思いますが、その前に、管理をするということになってくるとどうしても、抽象的な大綱に対してどうかということだけではなくて、ある一定の管理のための指標というものを設けて、そしてそれに対してどうなっているかということを考えていくことが必要なんではないかなというふうに思うわけであります。
 まずお伺いいたしますが、現在の警察業務の管理指標についてそれぞれ、例えば刑事関係、警備関係、あるいは交通関係、さらには生活安全関係について具体的にどのような指標を持って管理をされているのか、これは警察庁長官にお伺いしたいと思います。
#49
○政府参考人(田中節夫君) 警察のいわゆる政策評価という問題に多分なろうかと思いますけれども、それは国民に対する説明責任の徹底、あるいは国民本意の効率的で質の高い行政の実現、そういうことを図ることを目的といたしまして、必要性、効率性あるいは有効性の観点から実施いたしまして、評価の結果については原則としてこれから国民に対して公表していかなければいけないと思っております。
 ただ、現実に具体的な数値を持ってやっておるかと言われますと、これは今後政策評価ということがこの法律の中に含まれますと、そういうことにつきまして今必ずしも明確に基準を持っておりませんので、そういうような数値に基づいた管理、警察の仕事というのは大変なかなかそういう面では難しい問題があろうかと思いますけれども、でき得る限りそういうものを導入して管理をしていくということが従来以上に必要になろうかというふうに思っておるところでございます。
#50
○浅尾慶一郎君 そうすると、今の御答弁ですと、現段階では数値による管理というものは一切行っていないということですか。
#51
○政府参考人(石川重明君) 私ども、国家公安委員会の管理を受けて仕事をしているわけでございますけれども、その公安委員会の管理に内在するものといたしまして、いろいろの警察事象がどういう形で今起きておるか、それに対してどういう対応をとっているかということの御報告を申し上げることになるわけであります。そのときにおきまして、従来から、例えば犯罪の発生状況はどうなっているか、あるいは検挙の状況がどうなっているか、あるいは交通事故の発生状況がどうなっているかといったようなことを数値というものを用いまして御報告し、そしてそれに対する対応策につきまして御指導いただいているわけでございます。
 個別具体的なものを申しますと、例えば特定交通安全施設を整備するときに、その整備の実施前と実施後の交通事故の発生状況がどのように変わったかといったようなことにつきまして定量的な評価を行うといったようなこともあるわけでございます。そうしたようなことが、政府全体としてこういう政策評価というものについて、先ほど長官が御答弁申しましたように、いろいろな形でしっかり評価の結果というものをその後の施策に生かしていく必要があるということでございます。
 今までも数値目標というものを、そのものはございませんけれども、いろいろな数値を用いていろいろ御説明し、政策の施行等に生かしてきたということはあったというふうに思います。
#52
○浅尾慶一郎君 では、具体的に伺いますが、今まで数値を用いて説明をされてきたその具体的な数値の中身、中身というのは、例えば交通部局であれば交通事故の数とか、先ほど申し上げましたそれぞれの刑事、警備、交通、生活安全の具体的な数値の項目についてお答えいただけますか。
#53
○政府参考人(石川重明君) 例えば、今一つ、特定交通安全施設の整備事業の整備効果の評価の点について申し上げたわけでございますが、このほかに、例えば運転免許証の更新制度の評価というようなものがございます。これは、更新者の更新前後の事故の状況がどうなっているか、あるいは更新申請者の適性検査の状況が事故とどういう関連性があるのか、あるいは更新時における処分未執行者の発見の状況等について調査を行いまして、これは数字が出るわけでございます。この更新制度と事故の関係をいろいろ分析いたしまして、更新制度の効果というものがどのぐらいあるのかといったようなことを例えば測定し評価を行う。
 また、科学警察研究所というところで研究を行っているわけでございますが、この研究評価といたしましていろいろな研究開発課題を対象といたしまして、一定の課題については外部の評価委員会による評価も導入しながら、研究開発の目的の決定とかあるいは期待される成果とか、波及効果の予測、研究開発計画の妥当性といったものをその時々に判断していくと。
 こういったようなことを行っているわけでございまして、個別具体的にこうしたものを必要に応じて公安委員会に報告をする、こういうことで来ておるわけでございます。
#54
○浅尾慶一郎君 ですから、例えば刑事関係ではどういう数値を言っているんですか。
#55
○政府参考人(石川重明君) 刑事関係でいえば、例えば刑法犯の認知、発生状況というものを一つの数字としてとらえて、それに対していろいろな対策をとっていくといったことがあると思います。
#56
○浅尾慶一郎君 それでは、警備公安関係ではいかがですか。
#57
○政府参考人(石川重明君) 警備警察の関係につきましては、今まで極左暴力集団に対するいろいろな警察措置といったようなことで情報の収集分析を行って警備計画の策定をするといったような活動を行っておりますし、また機動隊が災害警備に出動していろいろな活動を行う、こういったようなことでありまして、必ずしも検挙件数とか情報収集の件数といったような数値目標的な評価というものには直接結びついてこないといったような部分が多かろうと思います。
#58
○浅尾慶一郎君 国家公安委員長に伺いますが、国家公安委員会、五名ということで警察庁を管理するということなんだと思いますが、国家公安委員会として今のいろいろな管理の数値、指標といった議論があるわけでありますが、能動的に主体性を持って警察を数値の上からも管理していこうということで何らかの提言をされたことはありますか。
#59
○国務大臣(西田司君) 国家公安委員会が警察庁を管理するに当たりましても、客観的な評価結果を活用することでより合理的な管理を行うことが可能となるものと考えておりまして、そのことを、私、国家公安委員会としても強く警察庁に指示をしておるところでございます。
#60
○浅尾慶一郎君 ちょっとよく御答弁が聞けなかったんですが、客観的な数値を国家公安委員会としても出していくことが必要ということで、公安委員会として数値の、例えばこういった項目というのを出されたことはあるんですか。
#61
○国務大臣(西田司君) 現在まではそういうことはありませんけれども、今後、新しいスタートに当たってそういうことにも最大限留意をしてやっていきたいと、こう思っております。
#62
○浅尾慶一郎君 では実際、今後その管理数値というものを国家公安委員会の方が主体性を持ってつくっていく、導入していくということを考えられるに当たって、現在の五人の体制、あるいは今後補佐官というものが導入されますが、それだけで、要は、情報は全部警察側にあるわけでありますから、主体性を持って出していくことが可能かどうか、その点についてお答えいただきたいというふうに思うわけであります。
 例えば今のこの委員会の様子を見ても、西田公安委員長が御自分で考えてというよりは、大変恐縮でございますが、後ろからメモが来るわけでありますから、なかなか御自分でというわけではないんだと思いますが、そういう中で、現在の体制あるいは補佐官ができてもそれで十分できるかどうか、お答えいただければと思います。
#63
○国務大臣(西田司君) 警察の政策につきましては、犯罪の捜査、鎮圧のための施策のように、具体的な数値目標の設定にはなじみにくい分野や施策と効果の因果関係が明確でない分野も多く、こうした分野についてはどのような評価方法が適切か、どのように評価結果を予算要求等へ反映させるべきかなどについて、今後鋭意研究、検討、開発を進めていくこととしておるわけであります。
#64
○浅尾慶一郎君 私は、公安委員会に求められている機能というものは、まさに今、予算、財政再建の議論もありますし、当委員会においても特に松岡委員等もよく御指摘をされておりますが、財政再建の議論がある中において、限られた資源をいかに有効に活用するかということを警察の外側から数値、指標を用いて指摘していくということなんではないかなというふうに思っておるわけであります。
 それで、そういう国家公安委員会ないしは都道府県公安委員会が本当に機能をしていくためには、やはり現状、かなりの部分、情報あるいは事務局についても今度の改正後の警察法においても警察に依存するわけでありますけれども、それは依存するにしても、例えば会社であれば、会社と警察を比較するととんでもないという御意見もあるかもしれませんが、組織という面で聞いていただきたいんですが、会社であれば社外取締役という方がいても、それが機能するかしないかということは、社外取締役が株主に対して責任を負っているという形でそれが機能するかしないかということで分かれてくるんではないかなというふうに考えるわけであります。
 そうだとすれば、まず国家公安委員会ないしは都道府県公安委員会が機能するためには、恐縮でありますが、例えば公安委員長のみならず、先ほど来申し上げておりますけれども、各公安委員の皆様方が年に何回かは国会の場に国家公安委員であればお出向きいただいて、そして現状について御報告いただいた上で質疑に答えていただくということが必要なんではないかなというふうに思いました。
 先般行われました地方公聴会でお越しいただきました、これは各党で推薦させていただいた四人の公述人の方にその旨をお聞きいたしましたところ、各四人の先生とも、やはりそういったチェックというものは必要だろうというふうにお答えをいただきました。ある先生、これは与党側推薦の先生ですが、頻度について伺ったところ、月に一度ぐらいはというような言葉でお答えをいただいたわけであります。
 西田国家公安委員長に伺いますが、いつも西田国家公安委員長だけがお越しいただいておるわけでありますけれども、ほかの国家公安委員の方がこうして国会に来られていろいろな警察にかかわることについて御答弁いただくということについて、西田委員長はどのようにお考えでありますか。
#65
○国務大臣(西田司君) 大変理屈を言うようでございますけれども、国家公安委員会は合議体の機関でありますから、委員長及び委員全員が相互に意見を尽くした上、会議の議決により決した事項については委員会の構成委員として当然これに服していくことであります。
 委員長は、警察法上は会務を総理しまして国家公安委員会を代表する立場にあり、国務大臣として国家公安委員会と国会、政府等との連絡の緊密化を果たす役割を持っておるものと考えます。したがいまして、国務大臣たる私が国家公安委員会を代表して国会に対応しなければならない、このように考えておるところでございます。
 ただ、今最後にあなたがおっしゃった問題は、時代というか世の中というか、だんだん変わってまいりますから、そういうことで国家公安委員会の役割というものを広げていくことは私も異存はございません。
#66
○浅尾慶一郎君 積極的にその御答弁をとらえたいと思いますが、ちょっと伺いますけれども、国家公安委員会の審議のときに委員長は採決には通常は加わらないという理解でよろしゅうございますね。
#67
○国務大臣(西田司君) 採決には加わりませんが、私は常に委員会の御議論は拝聴をしております。
#68
○浅尾慶一郎君 私が各委員の方にお越しいただきたいと申し上げているのは、委員長は採決に加わらないということで、一般質疑ということになってくれば、採決に加われる方の人物、識見というものを国会の場においても御披瀝いただきまして、そして我々も真摯に議論をさせていただいた方が本当の意味で資源、予算も限られている中でよりよい警察をつくっていくことにもなっていくんではないかな、そういう意味で申し上げた次第でございますので、ぜひ最後に御答弁いただきましたことを踏まえて、時代の変化とともに国家公安委員の方々にもより多くの機会に国会の場にお越しいただきまして、今後とも警察一般について御質疑にお答えいただきますようお願い申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。
#69
○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。
 今まで外部監察の問題やらあるいは情報公開の問題について質問をしてきましたけれども、きょうは国家公安委員会をどう強化するか、この点についてまず伺いたいと思います。
 警察刷新会議の緊急提言の中で、国家公安委員会が警察を管理すると。これについては大綱方針を定めて、これに基づいて警察が執務をする、業務を行うと。この大綱方針を定めるということが管理の一番基本になっている、こういうふうに位置づけられました。これは前からそうなっているわけですけれども。ことし、平成十二年度には、例えば警察職員の職務倫理及び服務に関する規則あるいは監察に関する規則、警察教養規則など十本の規則がいわゆる大綱方針として定められております。
 ここで伺いますけれども、こういう大綱方針、規則を起案するのは、そもそも一番の最初の案をつくるのはどこがつくるんですか。
#70
○政府参考人(石川重明君) 国家公安委員会規則の対象としております事項に応じまして、警察庁の所管の部局が起案をするというのが通常の姿であります。
#71
○富樫練三君 そうすると、大綱方針は警察が起案する、それを国家公安委員会が認めて規則として効力が発すると、こういうことのようですね。そうしますと、警察を管理する方針を警察がまずつくる、こういうことになりますね。これでは、自分を管理する規則をつくるんだから甘くなるのは当たり前だと、これは常識ですよ。
 次に聞きますけれども、この間ずっと規則をたくさんつくられてきました。この十年間ぐらいで見ると四十一本ぐらいつくられているんですね。その中で、国家公安委員の人がみずから起案した規則というのは何本ありますか。
#72
○政府参考人(石川重明君) 事務的にはいずれも警察庁の担当部局において起案をしたものというふうに承知しておるわけでございますが、こうした規則をつくるに当たっては公安委員会で御審議があるわけであります。その過程において、国家公安委員会の御指摘に基づいて原案を修正するといったようなことはあったと思います。
#73
○富樫練三君 原案を修正するだけ、国家公安委員がみずから規則を起案したということは一度もないと。この十年間四十一本出されていても一本もない、こういう状態では、国家公安委員会は、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、警察に国家公安委員会が管理されているんじゃないかと、こういうふうに言われてもこれは仕方がない状態だと思うんです。
 公安委員長、そういう事態について国家公安委員長はどういうふうに認識していますか。
#74
○国務大臣(西田司君) 国家公安委員会規則を警察庁の所管部局が起案しているのは、当該規則の対象とする事項について専門的知識を有している部署が行うことが適当であるからであります。そしてまた、官房長から答弁をいたしましたように、国家公安委員会は、原案を差し戻したり修正を求めることも含め、最終的にはみずからの判断により規則を決めるものでありまして、決してすべてをゆだねているというわけではないと思います。
 したがって、たびたび御答弁申し上げておりますように、独立の事務局は屋上屋を架すことになり、適当ではないと考えておるわけであります。
#75
○富樫練三君 私が質問する前に大臣が答弁しましたね。私は、次に、独自の事務局がないからそういう事態になっているんだということを聞こうと思ったんだけれども、先に答弁しましたから改めて言いますけれども、警察庁が公安委員会の事務局を全部やっているんですね。だからそういう事態になっているんですよ。そういう事態を避けるためには、国家公安委員会が独自の、警察庁とは別に独立した事務局をちゃんとつくれば、そこで起案をして、国家公安委員会の会議に諮って規則を、大綱方針をつくる、それに基づいて警察庁が動く、こういう仕組みにすればいいわけなんですね。
 そこで、ホームページを開いたらこういうのがいっぱい出てくるんですね。警察庁の国家公安委員会への報告事項というのがあるんですよ。これ出しましたら、たくさんあるんです。その中に、大綱方針いわゆる規則をつくりましたと、こういうふうな報告になっているんです。それを国家公安委員会に報告しましたと、こうなっているんです。このホームページを見ると、どう考えてもこれは、警察庁から国家公安委員会への報告の中に、例えば地方警務官に係る贈与等報告書の閲覧に関する規定の制定についてということで、こういう規定をつくることにしました、こういうふうに公安委員会に報告しましたと、こう報告されているんですね。それから、犯罪捜査規範及び死体取扱規則の一部を改正する規則を制定することにいたしましたと。これは警察庁の報告ですよ、公安委員会に報告したと、こうなっているんです。こういうのがいっぱい出てくるんですよ。
 これは、今の実態の反映だと思うんです。要するに、警察庁がつくって、何月何日の国家公安委員会に報告しましたと。これは警察庁が起案をして、つくって報告しましたと。これだと大綱方針は公安委員会がつくったとは言えないですね。警察庁がつくっていると、こういう報告になっているんですよ。もし、そうじゃないと言うのなら、こういうホームページの中身は改めるべきだと思うんですけれども、どうですか。
#76
○政府参考人(石川重明君) 先ほど来申し上げておりますように、国家公安委員会規則の制定あるいは改正に当たりましては、警察庁の担当部局が原案を作成するわけでございますけれども、それは公安委員会に報告をし、公安委員会において活発な御審議が行われまして、必要な修文等が行われて、そして決定をされると、こういうことになるわけでございまして、事後報告ということではないわけでございます。
 また、今後このホームページの記載要領等をどうするかということでございますけれども、今、国家公安委員会におかれましては、委員会における率直な意見の交換あるいは意思決定の中立性が損なわれるおそれがないように配慮しながら、会議録をできるだけ公開する方向で国家公安委員会として御検討をされているところだというふうに私承知をいたしておりまして、御指摘のホームページの掲載要領につきましても、近く改善をされる方向で検討されるというふうに承知をいたしておるところでございます。
#77
○富樫練三君 国家公安委員会の会議の議事録を公開するというのは当然だと思うんですね。あわせて、警察が決めて国家公安委員会に報告したなどというこういうホームページは改善をして、国家公安委員会でこういうことが議論されてこういう規則が決まりましたと。国家公安委員会としてのホームページを開設するのならいいんですよ、そこでちゃんと報告すると。これは警察庁が報告しました警察庁のホームページになっているんですね。
 ということなので、ここは警察庁と国家公安委員会はきちんと切り離して、国民にわかりやすく、そういうふうに報告するというふうに改善を求めたいと思うんです。
 次に、公安委員の選任と勤務体制の問題について伺いたいと思います。
 二十一日に、先ほど報告がありましたように神奈川で地方公聴会が行われました。先ほども質問がありましたけれども、国家公安委員会に対して国会によるチェックが必要だと、こういうことは共通して公述人の皆さんから出されたわけなんですね。先ほども答弁がありましたので、私は、国家公安委員の皆さんがこの委員会に出席してきちんと質疑をするということが必要だと思うんですけれども、先ほどの大臣の答弁では、国家公安委員長が代表して閣僚としてここに出ているからと、こういうことのようなんですね。
 私は、五人の国家公安委員の皆さんがちゃんとここに出てきてきちんと質疑に応じる、その意見も発表すると、これをきちんと保障するべきだろうというふうに思うんですけれども、国家公安委員長として改めて、委員長が出るのは当然です、これは閣僚がやっているんですから。それ以外の五人の委員の方々は独立して国家公安委員として仕事をしているんですね。物事を決定するときは合議体として物事を決定すると、こうなっているわけでありますから、そういう点では、例えばこの間問題になったのは持ち回りの国家公安委員の、警察庁が持ち回って判こをもらって歩いたと、こういうことが大問題になったわけですよ、ことしの春。そういうこともあるわけですから、ここの皆さんがきちんとここに来て意見を表明する、そういう場を保障するべきではないかと。ここも改善する余地があるのではないかというふうに思いますけれども、国家公安委員長、どうですか、もう一度。
#78
○国務大臣(西田司君) 先ほどもお答えをいたしましたけれども、委員長は警察法上、会務を総理し国家公安委員会を代表する立場にあり、国務大臣として、国家公安委員会と国会、政府等との連絡の緊密化を果たす役割を担っております。したがいまして、国務大臣たる私が国家公安委員会を代表して国会に対応しなければならない、このように私は考えております。
#79
○富樫練三君 ここの委員会は将来、来年から省庁再編に伴ってこの委員会がどういうふうになるかというのは今協議中でありますけれども、これはちょっと委員長に提案なんですけれども、どういう委員会の形態になろうとも、警察やあるいは国家公安委員会を担当する国会の委員会で、公述人が言っておりますように、月一回程度と、こういうふうにも言っているわけですから、この委員会として国家公安委員会の方々をここにお招きをして十分意見も伺う、こういう場を設けるというのはいかがなものか、委員長にちょっと取り計らっていただきたいと思うんですが、今後の問題として。
#80
○委員長(朝日俊弘君) ただいまの御提案については、後日、理事会で相談をさせていただきます。
#81
○富樫練三君 よろしくお願いします。
 次に、国家公安委員の実質的な常勤化の問題についてです。
 これは今も形の上では常勤ということになっていて、給料がそういうふうになっているんですね、年間二千何百万の給料が支払われていると。ただ、国家公安委員会の運営規則の中では、「定例会議は、毎週一回定例日時に開くものとし、」というふうになっているんですよ。ですから、週一回の会議しか開かれないんですね。大体二時間から三時間程度と、こういうことになっているんですね。このことについても国民から厳しい批判が出されたわけなんですね。
 そこで、ちょっと伺いますけれども、条件は同じじゃないんですけれども、例えば自治省に諮問機関として地方財政審議会というのがありますね。ここの審議委員の方々は、大体週何回ぐらい定例の会議を開いて、何日間ぐらい勤務して、給料はどのぐらいもらっているんですか。
#82
○政府参考人(香山充弘君) 地財審についてのお尋ねでございますけれども、年間報酬は約二千三百万円でございます。また、勤務体系についてでありますけれども、定例会議を週三回開催いたしておりますほか、付議案件に関する事前調査、地方税財政に関する情報収集、現地調査等を行っていただいておるところでございます。
#83
○富樫練三君 国家公安委員の方がちょっと給料が高いですね、今二千三百万とありましたから、財政審議委員の方々よりも。週三回定例の会議を開いている、実質週五日ぐらいは仕事をしていると、こういうふうに伺っております。ですから、これを考えても、事実上の常勤化にしていく、こういう体制をとらなければ国家公安委員としての責任は私は果たせないだろうというふうに思うんです。
 そういうふうにするということについて、今までは臨時の会議もやるんだということが答弁としてもありました。この十年間で国家公安委員会の臨時の緊急の会議を開いたというのは何回ありますか。
#84
○政府参考人(石川重明君) 毎年九月一日は防災の日でありますけれども、警察庁総合防災訓練の一環といたしまして招集される臨時の国家公安委員会というものがございます。それから、ことしの二月二十八日に、新潟県警察をめぐる問題について国家公安委員会が緊急に招集をされたという例がございます。
#85
○富樫練三君 そうすると、年に定例が一回、九月一日ですね。今回は新潟県警の重大な問題が発生したので一回開いたということで、合わせても年二回ですね。それ以外は週一回の会議だけ、こういうことになりますよね。
 休日、深夜を問わず重大な問題のときには個別に連絡をしているんだと、こういうお話もありました。この一年間で休日、深夜を問わず、深夜というのは真夜中を問わず緊急に連絡したというのはどういう案件で何回ありますか。
#86
○政府参考人(石川重明君) 公安委員に対して、社会的反響の大きい事件や事故が発生をした場合あるいは事件検挙をした場合等に報告等、夜間、休日を含めて日常的に行っているのが実態でございますけれども、例えば平成十一年中にどのようなケースで何回行ったかといったような統計的な処理はしておりませんので、事案ごとの件数というものは申し上げることができません。
#87
○富樫練三君 日常的にやっているということで統計もとっていない。こういうことでは、やっぱりそういう日常的にやらなければならないという状態であれば実質常勤化した方がもっと早いでしょう。しかも会議も開けるわけですから、常勤化すれば。
 こういうふうに体制を改善していくということが私は必要だというふうに思いますけれども、そのためには毎週定例の会議は一回というふうに決めているこの規則を改正すべきだと思いますけれども、国家公安委員長、どうですか。
#88
○国務大臣(西田司君) 御指摘のように、国家公安委員会の定例会議は国家公安委員会運営規則により毎週一回開くものとされております。
 また、官房長からも説明がありましたように、臨時必要がある場合には国家公安委員長が臨時会議を招集することとなっております。重要案件については、緊急に対応する必要があると認められる場合には積極的に臨時会議を招集することとしており、現時点で規則を改正する必要はないものと考えております。
#89
○富樫練三君 大体、私は今、規則を改正する必要があるんじゃないかというふうに質問したんですね。規則を改正するのはだれがやるかというと、国家公安委員会がやるんです。そのときに何で警察が手を挙げるんですか。規則を改正しようというふうに提案しているときに警察がそのことについて、警察は決まった規則に基づいて仕事をするんですよ、規則を改正する必要があるかないかのときに大体警察が手を挙げるということに今の実態が反映しているでしょう。規則を変えられるのは国家公安委員なんですよ。
 大臣、そこのところはこれから全部にかかわってくる問題なんですよ。大事な問題なんです。何で規則の問題について警察が手を挙げて発言しようとするのか。これは質問じゃありません。実態を指摘しただけです。
 その上で、私はきちんとした事務局をつくっていく、そこで規則の問題についても検討する、こういうことが必要だと思うんですけれども、政府にはいろんな行政委員会があります。例えば、中央労働委員会には事務局が百十七人いるんですよ。独立した事務局です。船員労働委員会には事務局は十五人、公害等調整委員会には事務局が三十九人、金融再生委員会には事務局が三十八人、こういうふうにちゃんと独立した事務局を持って、そこが自立して仕事をしているんです。そういうことをやっていないのは国家公安委員会ぐらいですよ。警察庁が全部肩がわりして、全部警察庁の言うなりの国家公安委員会をつくっているでしょう。ここが今まで大問題になってきたところでしょう。
 国家公安委員長、みずからしっかりした事務局をちゃんとつくって自立して独立して警察を管理する、こういうことをやらなかったら今度の警察の改革にはならないでしょう。どう思いますか、大臣。
#90
○国務大臣(西田司君) 警察庁は、国家公安委員会の管理のもとでみずからの権限としてその所掌事務を遂行する行政機関であるとともに、国家公安委員会の事務局としての機能を果たすものであります。したがいまして、国家公安委員会に独立の事務局を置くという考え方については、警察庁との二重構造となり、むだと効率の低下を生み出す、屋上屋を重ねることから適当ではないと考えております。
 また、現在の公安委員会制度は、事務局が介在しないことにより警察からの情報がスムーズに公安委員会に上がり、公安委員会の意見に対して警察が直ちに対応することができるなど、長所も有しているものと考えております。
#91
○富樫練三君 大綱方針も警察が起案をする、もうまさに警察におんぶにだっこという状態が今の国家公安委員会の姿でしょう。こういうことでは管理ができない、管理されているというふうに言わざるを得ないと思うんです。そこを改善しようとしない国家公安委員長のこの姿勢が私は大問題だというふうに思います。
 次に、苦情処理の問題について伺いたいと思います。
 政府が提案しました今度の改正案、これの七十八条の二にこういうふうに書いてあります。条文は、都道府県警察の職員の職務執行について苦情がある者は文書で苦情の申し出ができる、こうなっているわけなんですね。伺いますけれども、何で「都道府県警察の職員」というふうに限定したんですか。警察庁の職員はなぜここには含まれないんですか。
#92
○政府参考人(田中節夫君) 御指摘の今回お願いしております警察法につきましては、都道府県警察職員につきまして苦情制度を設けておるわけでございますが、警察庁職員は御案内のように都道府県警察職員と異なりまして、原則といたしまして国民に対して直接職権行使する、そういう業務ではございませんで、警察にかかわりますところの諸制度の企画立案、警察行政に関する調整に係る業務に従事するものでございます。また、現在、警察庁に寄せられました苦情のほとんどは都道府県警察に対するものでありまして、さきに申し上げましたところの私ども警察庁職員が従事する業務について何らかの不利益を受けたとするものは極めて限られておるところでございます。したがいまして、警察庁職員の職務執行に関する苦情申し立て制度を設けることはしなかったものでございます。
 なお、現在、文書、Eメール等で国家公安委員会等に寄せられました苦情等につきましてはすべて国家公安委員会におきまして閲覧していただきまして、可能な限り申し出に対しまして、それが都道府県のものであろうとも回答を行っておるところでございます。
#93
○富樫練三君 大体、こういう法律の条文をつくるというのは、私は警察庁の考え方に重大な問題があると思うんです。
 この間、新潟県警のときに問題になったのは新潟県警だけじゃないんです。関東管区警察局長が監察に行ったけれども、それは空監察であって、その日の夜警察の県警本部長と一緒に雪見酒をやった、かけマージャンをやったと、こういうことが問題になったんでしょう。県警本部、県警以下の警察は悪いことをして職務上まずいことがあるけれども、それ以上の、管区以上の警察庁の職員は国民から苦情を受けるようなことはあり得ないんだと、こういう前提があるから条文が、「都道府県警察の職員の職務執行について」と、こういうふうに限定したんでしょう。
 長官に伺いますけれども、この間のような管区の局長が不祥事をやったときに国民はどこに苦情を持っていくんですか。
#94
○政府参考人(田中節夫君) 先ほど申し上げましたとおり、苦情申し出制度につきましては、直接職務執行にかかわる国民の皆さんからの苦情申し出を受け付けるという、そういう趣旨から考えまして都道府県警察職員に係るところの制度を今回創設したものでございます。
 今御指摘の、例えば警察庁あるいは管区警察局の職員につきましては、直接国民の皆さんに職務執行にかかわる場面がございません。しかし、お話しのように、その職務執行が不適切であるということになりますと、これは苦情申し出というよりは、むしろ今御審議をお願いしておりますところの個別具体的な監察の指示、そしてそれを促すような国民の御意見というのがホームページに寄せられまして、それを国家公安委員会が受けられて、私どもに個別具体的な指示というような形で法律的には措置されるというふうに理解すべきなのではないかと思っております。
#95
○富樫練三君 私が聞いているのは、管区の警察局長がああいう不祥事を働いたときに、国民はそのことについて意見はどこに持っていけるのかと、これを聞いているんです。どこかということを言ってください。
#96
○政府参考人(田中節夫君) 国民の皆さんからの御意見は、恐らく都道府県に行くこともありましょうし、また警察庁に来ることもありましょうし、国家公安委員会に来ることもあると思います。
#97
○富樫練三君 では、警察庁や国家公安委員会に持っていったときにはどういうふうに処理しますか。
#98
○政府参考人(田中節夫君) 当該警察庁あるいは管区警察局の職員につきましての非違非行と申しますか、それは直接国民の皆さんと職権を行使するというような場面での問題ではございませんけれども、内部的に監察ということでもって、公安委員会の、あるいは警察庁の職員でありました場合には警察庁の中で適切に処理をし、そして先ほど申し上げましたように文書、Eメール等で現在寄せられました苦情につきましては、これは国家公安委員会におきましては可能な限り回答しておりますので、私どもにそういうような御意見がいただければそれは可能な限り回答していくということになろうかと思います。
#99
○富樫練三君 要するに、警察庁も国家公安委員会もそういう国民の苦情は受け付けますということでしょう。それについてちゃんと処理をしますということでしょう。だったら条文にちゃんと入れればいいじゃないですかということなんですよ。あえてそこを外したというところが問題だと言っているんです。
 だから、これは法律の条文を警察庁も国家公安委員会もちゃんとここに入れるというふうにして、国民が直接苦情が言える、こういうふうにしなかったらこれは警察は改革されないというふうに思いますね。
 それから、第七十八条の二の第二項、ここで申し出があったときはそれに誠実にちゃんと対応すると、対処する、こういうふうになっています。
 そこで伺いますけれども、国民が例えば県の公安委員会に苦情を持っていった、あるいは出先の警察署に苦情を持っていったと。そういう苦情が集められて整理されて文書で、この法律では文書ということになっていますから、その文書を整理してどう対応するかということが検討されるんだと思うんです。そういう実務を実際にやるのは都道府県警がやるのか、それとも都道府県の公安委員会が直接その実務をやるのか、どっちがやるんですか。
#100
○政府参考人(石川重明君) 法律の枠組みで申しますと、警察職員の職務執行に関して文書による苦情が申し立てられたといった場合、その受付はいろんなところにあろうかと思います。一つは、公安委員会の事務担当部署に来ることもありますし、また警察本部あるいは警察署の苦情担当部門というところに窓口的に来ることもございます。
 いずれにいたしましても、そうしたものを公安委員会事務担当部署が集約をした上で公安委員会へ報告をするということになると思います。そして、公安委員会がこの苦情を処理するということでございまして、都道府県警察に対して、この苦情の内容が実際はどうなんだというような事実関係の調査またはそれを踏まえた措置が必要であればその措置、その結果の報告というものを徴取すると。さらに、再調査をする必要があるといったような事態であるならば、都道府県警察に対してそうした指示を行うといったようなことが処理過程において行われるというふうに思います。そして、処理結果の通知は、公安委員会が都道府県警察の報告をもとに通知内容を審議、決定いたしまして公安委員会名で文書によって行うと、こういう流れになるというふうに考えております。
#101
○富樫練三君 公安委員会に報告されたり公安委員会が検討するということがあるけれども、窓口になるのは警察、それを整理してそれぞれの部門で検討して、こういうふうに処理したらどうかということをやるのも実際は警察じゃないんですか。公安委員会がそういうことを全部やるんですか。どっちがやるのかということを聞いているんです、実際にやるのは。最終的に決定するのは私は公安委員会だと思いますよ、法律はそうなっているんだから。しかし、その実務を実際にやるのは、この件についてはこういうふうに処理したいと思うけれどもどうかと、こういうことを考えるのは警察じゃないのかと聞いているんです。それ以外に事務局ないでしょう、今。そこはどうなんですか。
#102
○政府参考人(石川重明君) これは、苦情の中身がいろいろあろうかと思います。そして、相当詳しい調査をしなければならない、場合によったら監察に及ぶかもしらぬと、そういったものもあろうかと思います。そういったものにつきましてはそれぞれ担当部門がきちっとした調査ないし監察を行って、その結果を公安委員会に報告をして、公安委員会がさらにこういうことをすべきだということであれば個別具体的な監察の指示、こういったような形になろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、現在検討しておりますのは、公安委員会の事務担当部局というものを、スタッフ体制というものを強化しようと、そういうところがこういう事務処理という意味では行っていくということで、今御指摘のとおり警察がやるということでございます。
#103
○富樫練三君 そういうことなんですよね、今度のこの政府が出した法案というのは。都道府県の公安委員会にも独立した事務局はないんですよ。これは都道府県警本部がやるわけですよ。ですから、そこが全部考えて公安委員の御意見を伺って決定して通知も出すと、こういうふうになるわけなんですね。要するに、最初から最後まで全部警察がやるんですよ。公安委員会が何か物事を決定して実務もきちんとやる、こういうふうな体制はないんですね、今度の法案の中身には。ここは大問題だと思うんです。
 私は、以前にここの委員会で、私が住んでおります浦和市内の交通事故の問題を取り上げました。これは警察の対応が極めてまずい、現地調査も極めて不十分だということで交通事故の被害者から警察の方に再三苦情を申し入れた。しかし、これはほとんど門前払い。県警本部にも苦情を申し入れた、これもほとんど門前払い。こういう状態でしたよ。それでついにこちらの方まで相談に来たわけなんですね。被害者が思い余って検察審査会の方に再審査の請求をした。二年八カ月かかってやっと加害者が起訴されると、こういう事態になったんですよ。
 今、警察に苦情を持っていっても、例えば交通の問題で苦情を持っていった、その苦情を受け付けるのは交通課であって、その処理をするのも交通担当ということで、自分の仕事に対してこれはまずかったという反省がない限りは適切な処理が行われるはずがないじゃないですか。だから二年八カ月もかかって、検察の力をかりてやっとそこまでいったんですよ。こういう事例というのは挙げれば切りがないほどあるんです。ですから、都道府県の公安委員会が苦情を受け付けるならば、それを独自に調査して独自に処理する、そういう体制をとらない限り、これは国民の苦情に対してきちんと責任を持って、「誠実に」と法律には書いてありますよ。誠実に対応することにはならないというふうに指摘をせざるを得ないわけなんです。
 その上で、例えば行政不服審査請求に基づいて審理をしますね。その場合に、これは公安委員会がやるということになっているんだけれども、実際にその審理をするその人は、実態はどういうふうになっていますか。
#104
○政府参考人(石川重明君) 警察関係の不利益処分に関してどういう形で審理がなされるかということでありますけれども、例えば道路交通法の規定に基づく意見の聴取という場合には、意見の聴取を主宰するについて必要な法律に関する知識を有し、かつ公正な判断をすることができると認められる警察職員であって、行政庁が指名する者が主宰をするということとされておるわけであります。
 ですから、具体的に申しますと、例えば免許の効力の停止に関する事務について意見の聴取を行うといった場合には、各都道府県警察において若干の差異はございますけれども、交通部門の幹部警察職員が主宰をすることが多いというふうに承知をいたしております。
#105
○富樫練三君 例えば免許証の取り消しや何かを決めるときには公安委員会が決定するとしても、その前に聴聞というのが行政手続法に基づいて行われますね。その聴聞を実際にやるのはだれですか。
#106
○政府参考人(石川重明君) ただいま申し上げましたように、意見の聴取を行う場合、若干各都道府県警察で差はございますけれども、交通部門の幹部警察職員が主宰をするということが多いということでございます。
#107
○富樫練三君 だから、行政手続法に基づいて聴聞する場合もそれから行政不服審査法に基づいて審理を行う場合も、実際には公安委員会は警察の職員を指名して、その指名された警察の職員が事情を聞いたりあるいは審理を行うと、こういうふうになっていますよね。
 そういう結果、例えば行政不服審査請求がこの一年間で三百三十七件出されているけれども、審査請求が認められた例というのはたったの五件しかないわけですよね。それはそうなんですよ。行政不服審査請求が出されて、その決定について不満があると。それを認めれば、警察がみずからの行政処分が不適切であったということを認めることになるわけですよ。自分が自分のやったことを不適切だというふうに認めるわけが普通はないですよね。だからたったの五件しかない。こういう事態になっているというわけなんですね。
 時間がちょっとなくなってまいりましたので、最後に警察官の増員の問題について伺いたいと思います。
 平成十三年度、来年度の概算要求、予算要求の中に、地方警察官を二千七百七十五人増員するという要望が警察庁から出されております。過去十年間を調べてみましたら、大体一年間の平均の増員数は五百二十六人なんですね。これが急に約五倍以上の人員を要求しているんですね。過去十年間を見ますと、ほとんど増員ゼロ、こういうのが何年間かあります。それから、三千人以上増員したという年もあります。千四百人ぐらい増員したという年もあります。それで、平成十二年度はマイナスの五十人だった、むしろ定数を減らしていると、こういうことなんですね。十年間平均すると大体一年間に五百二十六人ぐらい、こういうことになるわけなんですね。
 長官に率直に伺いますけれども、急に過去十年間の平均を五倍以上も上回るそういう人員を要求した根拠は何ですか。
#108
○政府参考人(田中節夫君) 警察の業務の量をどういうふうに判断するかという問題でございますけれども、一年平均五百二十六人の増員というようなとらえ方をされたわけでございますけれども、私ども、現下の厳しい治安情勢に的確に対処し国民生活の基盤をなす良好な治安を維持するためには、国民の身近な要望等にこたえる、いろんな児童虐待とかストーカーとか、さらにはドメスティック・バイオレンスの問題でありますとか、そういうような国民の身近な要望等にこたえる、一方また、複雑多様化する警察事象に立ち向かうための体制の確立が必要であると認識しておりまして、これに必要な増員につきましてはかねて体制の強化を図る必要があるというふうに考えておりました。
 また、このような状況につきましては、刷新会議の緊急提言におきましても大変に警察が厳しい状況にあるというような御認識の上で、現在の一人当たり負担人口が五百五十六人というのを五百人までにすべきであるというような御提言もございました。
 そういうような、今申し上げました治安情勢あるいは刷新会議の緊急提言等も踏まえまして、私どもといたしましては、やはりここ数年間にわたりまして計画的な増員を図っていく必要があるというふうに考えまして、その第一回目といたしまして、初年度といたしまして今回二千七百七十五人の増員をお願いしているわけでございます。
 また、当委員会でもこの前申し上げましたように、警察官の勤務時間が週四十八時間から四十時間になりました。そのための増員というのは実は手当ては余りしてこなかったわけでございます。そういうところがやはり警察力が非常に弱くなっているところの一面でもあろうかと思いますので、そういうことも考えまして、今回このような増員を平成十三年度概算要求としてお願いをしているところでございます。
#109
○富樫練三君 私は、十分な根拠があって国民に説明できる中身があるならば必要に応じて公務員はふやすべきだというふうに思っているんです。今の説明では、なぜ二千七百七十五人なのかというのがわからないんですよ、そういう抽象的な説明では。
 ですから、こういうふうに答えていただきたいと思うんです。
 今答弁がありました青少年関係であるとかあるいは今までも指摘されてきました空き交番の問題であるとか、例えば青少年関係で五百人が必要だとか空き交番を埋めるためには五百人必要だとか、こういうふうに項目ごとに数字を、二千七百七十五の数字をきちんと出していただきたい。
 もう一つは、部門別に警察官がどう配置されているかというのは既に出されておりますね。例えば警備部門は一二%とか地域部門は三六%だとか出ていますよね。これに基づいて、それぞれの部門別に見た場合には何名ずつ必要だというふうにきちんと出してもらいたい。
 それから、あわせて地域別にどうかと。例えば四十七都道府県に対して、ここの県本部については五十人必要だとか東京都の場合は警視庁に二百人必要だとか、例えばですよ。
 そういう形で項目別、部門別、地域別の数字をちょっと明らかにしてください。
#110
○政府参考人(田中節夫君) 現在お願いしております二千七百七十五人の算定の根拠でございますけれども、先ほど申し上げましたように、五百五十六人から五百人にするというような全体の流れの中で、その初年度といたしまして要求しているわけでございますが、その項目といたしましては、交番の機能を強化するための要員、ストーカー行為等の取り締まり等に必要な要員、交通事故事件捜査を適正かつ緻密に行うための要員……
#111
○富樫練三君 項目別に人数を言ってください、時間がないんだから。
#112
○政府参考人(田中節夫君) そういうふうな項目でありますけれども、その具体的な項目で何人、それから先ほど申し上げました部門別で何人、さらには地域別で何人かということにつきましては、現在、財政当局と折衝中でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
 なお、財政当局との折衝が終わりまして政府案としてまとまり次第、これは御説明をさせていただきたいと存じます。
#113
○委員長(朝日俊弘君) 時間が来ましたので。
#114
○富樫練三君 はい、もう時間ですけれども、大体予算を要求するのにその積算の基礎が国会に説明できないなんということがありますか。これで何で予算が要求できますか。国民が納得できるような裏づけをきちんと国会に説明するのがあなたの仕事でしょう。そういうこともできないで、人数だけはふやそうと、例年の五倍以上の人数をふやそうなんということが認められますか。
 今、人数を要求するということであるならば、少なくとも、この間、参考人の発言にもありましたけれども、暇だから不祥事を起こしたと、こういうふうに警察官が言っているということが例に挙げられました。そういう警察官がいるような警察組織を根本からむだをなくしてきちんと合理化を図って、そういう計画を発表して国民がなるほどとわかるようなもの、こういうものを出すのは当たり前じゃないですか。その上で、どの地域にどのような仕事が必要だから、だから何人必要だと、したがって予算は幾ら必要なんだと、こういう要求をするのは当たり前じゃないですか。
 私は、やっぱり今の警察を改革するには警察法の第一条、国民の権利を守るということ、あるいは自由をちゃんと保護する、公共の安全を守る、この原点に立ち返って改革をしていかなくちゃいかぬというふうに思うこと、そのことを主張して、質問を終わります。
#115
○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳でございます。
 神奈川県警の不祥事に始まる一連の警察不祥事によって国民の警察に対する信頼は著しく損なわれておるということについては、私だけじゃなくして、国家公安委員長を初め多くの警察関係者が自覚をしておることだろうと思います。
 当委員会でも、私も、この一連の警察不祥事の背景にあるいわゆる警察無謬観の問題、つまり警察は間違いを犯さないんだと、間違いを起こしてもそれを認めない、認めちゃいけないという考え方、あるいはまた不祥事が起こっても警察みずからそれを正していく自浄能力が欠如している問題などについても追及をしてまいりました。
 私は、この警察法を改正して、さあ警察の抜本的な改革を図っていこうという場合に、やっぱりキャリア制度の問題、これをどうするかということは非常に重要だろうと思うんですね。
 神奈川の警察不祥事の問題にいたしましても、元県警本部長が検挙をされる、そして起訴されて有罪判決を受ける。新潟の不祥事案についても、キャリアの本部長が深く関与をするという事態が起こっておりました。そうすると、改めて警察におけるキャリア制度というのは、一体何が問題でどう改めていかなくちゃいけないかということは極めて重要だろうというふうに思います。
 きょうも角田委員から、キャリアの警察官が被疑事件の調書の偽造に関与したのではないかという具体的な追及がございました。やりとりを聞いておりまして私は非常に驚いたわけでありますが、このキャリア制度の問題については、全国約二十三万人の警察官の中の五百余名のキャリアが現実にはこの国の警察の組織を動かしておるわけですね。ところがこのキャリアが、何というんでしょうか、今言ったさまざまな不祥事に関与をする、こういう事態に直面をしておるわけであります。
 そこでお伺いいたしますが、キャリア制度とそれから警察人事の適格審査のあり方についてどのようにお考えか、お聞かせを願いたいと思います。
#116
○政府参考人(石川重明君) 私ども、T種採用者とこう言っておりますが、警察刷新会議の緊急提言におきまして、「キャリア警察官に最も求めたいものは、霞が関にとどまらず都道府県警察の第一線現場も自らの働きの場であるという認識であり、「ノブレス・オブリージュ」の考え方に基づく使命感の自覚である。」と、こういう御提言があったわけでございます。
 これを踏まえまして、国家公安委員会と警察庁が策定をいたしました警察改革要綱に「T種採用者等の人事管理の見直し」というものを盛り込んだところでございます。そして、現在の制度の改善に今取り組んでいるところでございます。
 その内容の概要でございますが、まず一つ、T種採用者の教育の問題がございます。
 これにつきましては、まず若い時期における現場経験というものを充実させるべきではないかという考え方に基づきまして、現在、入庁四年目に警視昇任ということになっておったわけでございますけれども、これを段階的に七、八年目におくらせると。その間を使いまして、警部補の階級におきます第一線警察署等の勤務を現在よりも延長する、また、警部の階級における警察署の課長代理の勤務等に充てるという方針で現在準備をしているところでございます。
 要は、そうした現場経験を充実する中において、現場の実情を踏まえた警察庁の職員としての政策立案といったようなものにきちっとそういうものを反映させる必要があるし、現場の気持ちというものを酌んで現場とともに汗を流すという、そういう使命感というようなものを養成してまいりたい、こういう考え方でございます。
 それから、人事配置の問題といたしまして、警察本部長という一つの組織の最高責任者としての仕事があるわけでございますが、その基本的な心構えあるいは各種業務運営に当たって把握すべき事項等の教養を組織管理者研修といたしましてことしから行っておるわけでございまして、今後ともこの内容の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、T種採用者の人事配置につきましては、ことしの夏から、組織の最高責任者である警察本部長等につきましては、その適格性をより厳格に審査した上で任命をするということでございまして、これは国家公安委員会が任命をされるわけでございますけれども、その前提の判断要素というものをきちっと審査するというような仕組みをつくっておるところでございます。
 今後とも、さらにその人事上の配置に当たりましては、入庁年次等にとらわれない弾力的な人事異動、適材適所の人事配置に努めていかなければならない、こういうふうに考えているところでございます。
#117
○照屋寛徳君 キャリア制度については、警察刷新会議の御提言もありましたし、また当委員会にお呼びをした参考人からもいろいろな貴重な御意見の開陳がございました。
 今、答弁の中で現場経験ということにお触れになっておりましたが、当委員会でもお呼びをした久保参考人が別の本の中でキャリア制度に触れて、キャリアについてこういうようなことを言っているんですね。キャリアとして昇進を重ねていくうちに、大事なのは事件を解決することではなく自分の昇進と警察組織だけという感覚になってしまう、事件感覚が麻痺して世間の感覚と離れていってしまう、離れてしまった、ここが大きな問題なんだということを指摘しているわけです。
 事件を解決することではなくして、自己保身というか自分の昇進だとかあるいは警察組織を守るというそういう意識の問題、事件感覚がどんどん薄れてくる、あるいは世間の感覚からキャリアの感覚が離れていく。まさにこれは、先ほど富樫委員がおっしゃっておりました新潟の事例もそうだと思うんですね。監察に訪れた管区の者と一緒に雪見酒に興ずる、しかも九年間も行方不明の少女が発見されたというのにマージャンをやったり雪見酒をやると。これはまさに世間の感覚からするととんでもないわけであります。
 そういうふうな事件感覚が長いキャリア制度の中でどうも欠如するような事態に至っているのではないかと、こういうふうな御認識は持っておられるんでしょうか。
#118
○政府参考人(石川重明君) 一連の昨年来の警察に係る不祥事案の内容を見ておりまして、やはり幹部職員としてどういうふうに身を処すか、あるいはその事件というものに対してどうみずから取り組んでいくかといったような気持ちなり能力というものをキャリアの中でしっかり育て上げていくことが必要だということは痛感をしておるわけでございます。
 その点に関しまして警察職務倫理の基本というものを定めたわけでございますけれども、そこで、「誇りと使命感を持って、国家と国民に奉仕すること。」「人権を尊重し、公正かつ親切に職務を執行すること。」「規律を厳正に保持し、相互の連帯を強めること。」「人格を磨き、能力を高め、自己の充実に努めること。」「清廉にして、堅実な生活態度を保持すること。」と。これは幹部職員のみならず全警察職員が保持すべき警察の職務倫理であるという位置づけでございますけれども、いろいろな、例えばT種の採用者の教養等の機会において、こういったものについてもきちっとこれからも徹底をしていく必要があるというふうに認識をいたしております。
#119
○照屋寛徳君 現在、現段階でノンキャリアで都道府県の県警本部長に御就任をされているのはどの県の県警本部で、何名おられるかお教えいただければと思います。
#120
○政府参考人(石川重明君) 現在、警察本部長としては一名、岩手県でございます。このほか方面本部長、これは北海道でございますが、方面本部長、旭川、北見両方面に二名、それから北海道警察の採用者二名が方面本部長として釧路と函館に配置になってございます。それから、いわゆる推薦者でございますけれども、警察庁の課長に二名、こういう状況でございます。
#121
○照屋寛徳君 ことしの春ごろでしたか、当委員会で聞いたときには、たしか岩手と大分かどこか二人おられたんじゃないかと思いますが、そうすると、県警本部の本部長もノンキャリアとしては今では岩手だけになったと、こういうことですね。一人減っちゃったと。
 キャリアとノンキャリアが、仕組みがあってキャリアがどんどん昇進をしていく、非常に短い時間でポストの間を異動していく。そういうことで、退職したあるキャリアが、自分たちは永遠の未熟人だと、こういうふうに語ったということがある警察関係を研究している人の本の中に出てまいりました。
 私は、警察官としての出発点はともかくとして、任官後の人事の適格審査というのをキャリア、ノンキャリアの壁を取っ払って、それで平等に行って、不適性なキャリアはコースから外す、適性のあるノンキャリアはトップ人事を含めて幹部への道を開いていく、こういうふうな大胆な改革をしないと、新しい時代の警察組織というのは、国民から信頼をされ、生き生きとした組織にならないのではないかというふうに思いますが、お考えがありましたらお聞かせください。
#122
○政府参考人(石川重明君) 緊急提言におきましても、「いわゆる推薦者の警察本部長への登用などを積極的に進めるべきである。」と、こういう御提言がなされております。そういったものを踏まえまして、先ほど申しました警察改革要綱に「T種採用者等の人事管理の見直し」ということを盛り込んだわけでございまして、このT種採用者等の中に全体の人事管理というものを含めておるわけでございます。すなわち、T種採用者であると否とを問わず、優秀な人材をどういう形で幹部に登用し、働き場所できちっとした仕事をしてもらうかということについて一層検討し、取り組みを進めていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
 今お話のございました抜本的な人事配置の見直しあるいは人事管理の見直しということにつきましては、今後ともいろいろなことを考えて積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#123
○照屋寛徳君 次に、警察刷新会議は警察職員の不適切な職務執行に対する苦情申し立て制度の創設ということを提言いたしております。
 これは、私はもっともなことだと思うんです。やっぱり警察官の不適切な行為があった場合に国民が苦情申し立てができる、その苦情申し立てに対して警察がきちんと機敏な対応がとられることが、これまで繰り返されてきた警察不祥事、とりわけ桶川事件に見られるように警察に救いを求めたけれども警察がきちんと対応しなかったという、そのために結果的にとうとい命が失われたということだってあるわけですね。それに対する苦情を申し立ててもなかなかうまく処理ができない、こういうこともいっぱいあったわけでありますが、苦情申し立て、その制度創設の考え方、システムについてお聞かせを願いたいと思います。
#124
○政府参考人(石川重明君) 刷新会議でもいろいろな御議論があって御提言に至ったわけでございまして、私どもそれを重く受けとめて、これを法律の制度として創設をするということを考えたわけでございます。
 この法律におきまして、公安委員会に処理結果の通知を義務づける対象といたしまして、文書による苦情の申し出ということに限定をしておるわけでございますけれども、それはほかのものを、ほかの苦情を誠実に処理しないということではなくて、最終的な法律制度としての担保としては、公安委員会に対する文書の申し出に対して文書で誠実に処理をした結果を回答するという制度を最終的に担保をする。私どもといたしましては、苦情に対しては、どのような苦情であれきちっと受け付けて誠実に処理をする、こういうことが本来なければならない、こういうふうに考えているところでございます。
#125
○照屋寛徳君 私は、苦情申し立てというのは文書によるというふうに限定をするのはよくないと思うんです。だから、申し立てのスタイルというんでしょうか、それは口頭であれ文書であれ、さまざまな形態が予想されるわけですから。それから、苦情を持ち込むというのは、これはよほどのことでない限り申し立てしないわけですから、やっぱりそれに対応できるような仕組みづくりをやらないと、結局その入り口を狭めてしまうことになる、こういうおそれがありますので、この文書だけに限定しないという実際上の苦情受け付けの仕組みづくり、ここへの展望みたいなのは何かありませんか。
#126
○政府参考人(石川重明君) 苦情は、文書によらない形で、例えば電話で来る場合もございますし、それから直接窓口に来て言われる場合もございますし、あるいはEメールといったような新しい通信手段で来る場合もあるわけでございますが、いずれにせよ、文書によらない苦情につきましても現場で迅速に処理できるものはきちっと処理をして、ただ、その処理が妥当であったかどうかということが一番大事でございますので、その処理結果は本部長に集約した上で公安委員会に報告をすると、こういったようなシステムをやはり警察署レベル、本部レベルで確立をする必要がある。それを補助するためのシステムとして苦情処理のシステム、例えば電算機を使って登録して、現在どのぐらいのものがどういう処理状況になっているかといったような管理ができるような、そういうことまで研究をして準備したいといったようなことを考えておるところでございます。
#127
○照屋寛徳君 それでは次に、告訴告発への対応についてお伺いいたします。
 私も弁護士として、告訴代理人あるいは告発の代理人という立場で関与したことがございます。ところが、警察も検察庁もそうですけれども、告訴状、告発状を持っていっても、やあやあしばらく預かっておく、こういうふうなことで、身柄事件の処理に大変忙しいという事情はわかりますけれども、告訴・告発事件というのを後回し後回しにして、なかなか熱心に捜査をしてくれないという不満は私自身も経験しましたし、恐らく多くの国民が持っておるんじゃないかと思うんですね。
 警察刷新会議の提言でも、「告訴・告発について、様々な理由をつけてその受理を保留することが見受けられるが、国民の告訴・告発に関する権利を侵害しないよう留意すべきである。」と、こういうことを提言しているわけですね。それを受けて警察改革要綱では「告訴・告発への取組みの強化」ということを方針に掲げておるわけであります。私は、これは刷新会議の指摘をまつまでもなく、忙しい、あるいは酢でもコンニャクでもと言って、いろんな理由をつけてそれの受理を保留するということが間々あったんじゃないかと思うんですね、私の受けた感じでも。
 そこで、従来、告訴・告発状をいただいたときに、何か内規みたいなのはあったんでしょうか、どういうふうに処理するという処理方針についての。そこをちょっと聞かせてください。
#128
○政府参考人(五十嵐忠行君) 告訴告発につきましては、警察がこれを受理した場合、できる限り速やかに捜査を遂げて検察官に送付しなければならないことは刑事訴訟法とか犯罪捜査規範にも定められているとおりでございます。また、今委員お話ありましたように警察刷新に関する緊急提言にも、国民の告訴告発に関する権利を侵害しないよう留意すべきことが明記されておりますし、また警察といたしましては、警察改革要綱においても「告訴・告発への取組みの強化」というのを打ち出しているところでございます。
 警察庁といたしましては、告訴の相談の段階からその対応について警察署長を含めた組織的検討を行うことや、告訴の取り扱いに関して警察本部による実地指導を強化すること等につきまして各都道府県警察を指導しているところでありまして、今後とも、その取り扱いにより一層の適正化と迅速的確な捜査の推進に努めてまいりたいと考えております。
#129
○照屋寛徳君 取り組みの強化と言われても、さて、これだけ具体的に刷新会議から指摘をされて、具体的な改革をやらないと私はいけないと思うんですよ。
 それで、どうなんでしょうか。全国的に各都道府県県警の中に告訴告発の、専門に受理をして、それを処理するための専門の課みたいなのはあるんでしょうかね。
#130
○政府参考人(五十嵐忠行君) 告訴告発の処理がなかなかスムーズにいかないという問題の一つとして、専門にやるところが全国でもたしか大阪府警と警視庁ぐらいですかね、専門のそういうセンター的なところを設けている。ほかのところは指導官を置いて指導しているというような形なんですが、いずれにいたしましても、告訴告発の処理するところが例えば知能犯の関係ですと、暴力団担当の人とそれから知能犯担当の人が一緒にやっている、同じような仕事をやっているというようなことで体制がなかなかとれないというようなこともございまして、その体制の面でなかなか処理が進まないというような状況にございます。告訴専門に受理、処理するという体制が全県的に整備されているという状況にはなってございません。
#131
○照屋寛徳君 時間がありませんので、私、公安委員会のあり方あるいは公安委員の人選のあり方等についてもお聞きをしようと思っておりました。従来のような名誉職的な人選は、これはもうやめにしていただきたい。むしろ、公安委員は公選制を図るぐらいの抜本的な改革をしなければだめだろうと思うんです。
 その一連の不祥事の中で、現在の公安委員会が形骸化をして機能しておらないということは、もう私は国民の目には明らかだと思うんです。公安委員会の国会によるチェックというのも大事でありましょう。それから、委員も高齢化をして、仕事しているのか仕事していないのかようわからぬというようなこともこれまで議論の中で出てきたわけでありますから、この公安委員の人選のあり方について、最後簡潔に、今後どういうふうな改革を図っていこうと考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#132
○国務大臣(西田司君) 公安委員会の委員は、警察事務の専門家ではない社会各界の有識者から選任されております。幅広い視野と高い見識に基づき、大局的見地から警察を監督し、警察運営の適正化を図ることが期待されております。これを常勤化あるいは公安委員の人選についての御質問でありますが、なかなか都道府県等においての適任者を得るのは容易でない、こういう感じがいたします。
 公安委員会の活性化につきましては、委員会の開催日等も含めて、先ほど来御質問もありましたけれども、開催日をふやしたり委員の出席頻度を高めるなど、運用の見直しを今後ひとつ図っていきたい、こういうことを考えておるわけであります。
#133
○松岡滿壽男君 無所属の会の松岡滿壽男です。
 月刊現代の十二月号に「警察刷新会議の提言を批判したOBに応える」ということで「制度疲労した組織に大手術を」と、前の法制局長官の大森さんが刷新会議のメンバーとして一文を寄せておられるわけです。その中に、冒頭のところで、「元警察庁長官でもある後藤田正晴顧問が、同席した田中節夫警察庁長官に「まずは君たちの頭のなかを刷新しなくてはいけない」と言い放つなど冒頭から議論が白熱した」というような話が載っておるんです。
 せんだって、私どもも神奈川に出向きまして、衆議院でやらなかった地方公聴会、皆さん方の御努力で実現をいたしまして、現場で働いておられる方々の生の声をいろいろ聞きました。そのときに、警察の今の現状、状態をどう考えるかという質問をしましたら、ほとんどの方がやはり今、大森さんが言われたように手術が必要だと。与党側の方は、一人はカンフル注射、一人は局部手術が必要だと、大方の方がやっぱり手術が必要だというふうに言っておられたわけですが、一般国民もそういう目で警察がどのように変わっていくんだろうかということを見詰めていると思うんです。
 冒頭に申し上げました後藤田さんのお話に対して長官の方はどのように受け答えをなさったのか、また、公述人四人の方々の見方に対してどのように考えておられるのか、お伺いいたしたいというふうに思います。
#134
○政府参考人(田中節夫君) 今、委員御指摘の刷新会議での後藤田顧問の発言でございますけれども、詳細には私は記憶しておりませんけれども、今回のこの一連の警察不祥事にかかわる問題、その過程の中でいろんな問題がほかにもあるだろうと、どうしてこういうような問題が出てきたのかにつきましては虚心坦懐に受けとめて、そして原点に立ち返って解決に向かわなければいけない、こういうお話がございました。そして、従来やってきたことあるいは従来看過してきたこと、いろいろあるだろうけれども、そういうことをもう一回きちんともとに戻って、従来の考え方にとらわれることなく改革に取り組むべきである、こういうような御趣旨ではなかったかと思っております。
 それから、今お話しの神奈川での地方公聴会でのお話でございますけれども、私ども、やはり現在の警察の戦後五十年の警察組織の中でいろんな病弊と申しますか、そういうものが今回のこのような大きな、幹部も含めますところの不祥事となってあらわれてきた、そういう一面は否定し得ないものがございますし、また刷新会議でも御指摘ございましたように、閉鎖性でありますとかあるいは警察には物が言いにくい、そういう体質があるのではないかというようないろんなことを考えましたときに、やはり私どもは、ここに原点に立ち返って警察の再スタートと申しますか警察の新生と申しますか、そういうものを図らねばいけないというような段階であるという認識を強く持った次第でございます。
#135
○松岡滿壽男君 先ほども照屋委員、先行議員の方からお話がありましたけれども、国家公安委員会ですね、先頭に立って自己改革の緊急提言を出されなかった。国家公安委員自身に自己改革の意欲というものが欠けておるんじゃないかと思うんですよ。本来なら、そういう警察刷新会議に頼むんじゃなくて、やはり警察を管理する立場にある公安委員の方からこのような改革をすべきではないかという提言があるのが当たり前だと私は思うんですけれども、なぜそれがなかったのか、その辺について伺いたいと思います。
#136
○国務大臣(西田司君) 国家公安委員会といたしましても、昨年来、一つは警察職員の職務倫理及び服務に関する規則の制定、さらに警察教養規則の改正、監察に関する規則の制定、こういうことなど、不祥事再発防止のためのいろいろの方策にみずから取り組み、その役割を果たしてまいるとともに、国家公安委員会における審議の充実も努めてきたところであります。
 七、八月には、六回にわたる国家公安委員会での議論を経て、当面取り組むべき改革施策を警察改革要綱として取りまとめるに至りました。そのうち、骨格をなすものを警察法改正案に盛り込むとともに、必要な予算措置や運用面の改善にも努めているところであります。
 警察の不祥事が相次ぎ、警察に対する国民の信頼を著しく失墜させるとともに、公安委員会のあり方そのものについてもさまざまな御批判を受けるに至ったことはまことに遺憾であります。警察刷新会議においては、こうした公安委員会のあり方を含む警察制度のあり方について御議論がなされたものと承知をしております。
 今後とも、警察改革要綱の実現を初めとする警察改革に全力を挙げるとともに、警察改革要綱にもありますとおり、新たな治安情勢に対応し警察改革に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
#137
○松岡滿壽男君 国家公安委員の報酬について、あの当時、国民はびっくりしたと思うんですね。週一回非常勤で二千七百万と。これについて国会でも議論があったんですが、この問題はその後どのように対応をなさっておられるでしょうか。
#138
○政府参考人(石川重明君) 委員御指摘のように、国家公安委員会委員の給与は、総務庁が所管をしております特別職の職員の給与に関する法律に基づいて定められているものでございます。この見直しを含めた対応ということにつきましては、現段階で当庁として、警察庁としてお答えをする立場にはないということを御理解いただきたいと思います。
 支給額について変わったかと、こういう点でございますけれども、ことしの春以降変化はございません。現在も、給与の場合には俸給月額百三十四万六千円、手当の場合には一日につき七万一千八百円と、こういうふうになっておるところでございます。
#139
○松岡滿壽男君 この法案では、一応任期については規定しておるわけですけれども、一期が五年、二回までというのは長いんじゃないかなと私は思うんです、一般のあれから見て。この辺についての御所見を伺いたいということと、定年制についてはどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
#140
○政府参考人(石川重明君) 任期の問題でございますけれども、国家公安委員会の場合、委員として同一の方が余りに長期間在任することは緊張関係の維持等の点で弊害を生じさせるおそれもあるのではないだろうかと。それから、ただ短期で機械的に交代をするといったような仕組みとするということは、適任者が留任をされるということについて妨げになりますし、また、豊富な経験と識見を有する方々から委員としての適任者を選任することを困難にするようなおそれもなしとしないわけでございます。そのために、委員選任に当たって柔軟な対応が可能となるように、委員の再任制限について国については二期十年というふうに法案上いたしておるわけでございます。
 今、国家公安委員会の定年制についての御指摘でございますけれども、国家公安委員会には内閣総理大臣が両議院の同意を得て国民の良識を代表する方を任命されているわけでございまして、豊富な経験と識見を有する方から委員としての適任者を確保するという観点に立ちますと、委員に定年制を設けて、一律に一定の年齢以上の方は選任できないとすることは慎重な検討を要するのではないかと、こういうふうに考えておるところでございます。
#141
○松岡滿壽男君 公述人のお話ですと、やはりほとんどの方々が外部監察と内部監察の併用がいいんじゃないかというような意見もありました。
 今回、公安委員会の機能の充実というのがやっぱり最大の問題だろうと思うんですよね。ところが、どうも国会でも議論されたそういう問題がそのまま先送りで済まされているということが非常に我々としては期待外れな感じがいたすわけです。
 先ほど長官は、とにかくある意味でメスを入れて改革していかなきゃいかぬという趣旨のことをおっしゃいましたけれども、実際にそういうお気持ちで取り組んでおられるのかどうなのか非常に疑問に感じる部分があります。監察のところは、公安委員の問題は非常に重要な部分だというふうに思いますので、改めてこの問題に対する改革をどのようにされるのか、お話を伺っておきたいと思います。
#142
○政府参考人(田中節夫君) 監察の問題でございますが、今回私どもが国会に提出し御審議を賜っております警察法の中身につきましては、外部監察という考え方はとっておりません。
 ただ、公安委員会の第三者的な機能を強化するという観点から、個別具体的な指示、あるいは監察を担当する公安委員会の使命、さらには職員の使命等、公安委員会の管理機能を強化することによって第三者的性格の強い公安委員会の機能とする、充実強化する、それによって警察に対する監察の機能が強化できるというふうに考えて御提案申し上げているわけでございます。
 私どもといたしましては、公安委員会のありよう、あるいは警察と公安委員会の関係を考えました場合に、今御検討を賜っている案が最善の案ではないかというふうに考えておるところでございます。
#143
○松岡滿壽男君 警察署協議会ですけれども、警察刷新会議の提言では一応警察署評議会という表現になっていますが、こちらの方では協議会という形になっているんですけれども、これは警察刷新会議の提言を受けて、名称を変えたということだけでございますか。
#144
○政府参考人(石川重明君) 刷新会議の緊急提言の趣旨は、警察署の運営に民意を反映させるシステムを確立すべきだと、こういうことでございまして、名称につきましては警察署評議会(仮称)という形になっておったわけでございます。
 その評議会というのをなぜ協議会というふうに法律上変えて提案をしておるかと、こういうことにつきましては、通常、協議会と申しますのは、行政機関に附属してその長の諮問を受け特定事項を協議する合議制の機関を言うというのが一般的な考え方でございまして、立法例といたしまして、警察署協議会類似の図書館協議会とか博物館協議会等がございます。一方、評議会の立法例を見ますと、大学とか特殊法人等に置かれるものにどうも限られているようでございまして、通常、要は内部的な機関として組織をされているようでございまして、こういった立法例を参考にして名称につきましては協議会というふうにしたと、こういうことでございます。
#145
○松岡滿壽男君 やはり、市民参加をこういう形で警察が求める体制をとったということは非常に画期的なことだと思って私も評価するんですけれども、皆さん方の大先輩の山田英雄氏が文芸春秋で、「警察刷新会議に異見あり」、異なる見解ですね、ということで、この警察署協議会の問題について、全国に千二百も警察署があって本当につくれるのか、二十人ぐらいの署もあるじゃないか、海外ではうまくいっていないじゃないかと、これは全く期待できないし、余計な仕事をふやすだけだというふうに批判をしておられますけれども、これについてはどのようにお答えになりますか。
#146
○政府参考人(田中節夫君) 私どもの先輩でありますところの元長官の山田英雄氏がそういう記載をされていることは、私ども十分に承知しております。
 今回の警察署協議会につきましては、ただいま官房長から申し上げましたとおり、警察署の運営にいかにして民意を反映させるかということについての一つの形でございまして、私どもは、お話のように全国でいろんな警察署がございまして、水上警察署とかあるいは空港警察署等のようにその設置につきまして必要でないところにつきましては、法律でもその人口等によりまして必ずしも設置する必要はない、それは都道府県の判断にお任せするというような形になっております。
 ただ、その文芸春秋の記載に書かれておりますけれども、私どもといたしましては、いろんな御意見それからお考えはあろうかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、警察署の運営というものを改めるという一つの形として私どもはこれを有効に活用してまいりたい。そして、その協議会というものがあった、それが有効に活用された結果、警察署の運営はこういうふうになったというような形で実を上げていくということで、そういう批判におこたえしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#147
○松岡滿壽男君 私どもも、一日も早く警察がしっかり国民の信頼にこたえられる体制になることを期待いたしておるわけですけれども、山田さんがそこで、自分が官房長時代から二十年間にわたる警察の悲願だと増員の問題について触れておられます。
 五百五十六人、これを何とか五百人にするという刷新会議の提言はまことにそのとおりだということでありますが、先ほども富樫さんが触れておられましたけれども、来年から二千七百七十五人に増員すると、これは初年度だというお話でありました。どのような増員計画を持っておられるのか、御説明いただきたい。
#148
○政府参考人(石川重明君) 現在、非常に多発をしておりますような警察事象あるいは複雑多様化した新たな問題が出てきておる、そういう状況に治安的に立ち向かっていくための必要な体制というものは確保をしなければならない、こういう基本的な考え方に立っておるわけでございますが、他方、国及び地方の財政状況は極めて厳しいということにつきましては私どもも十二分に承知をしておるわけでございまして、この増員の前提として、やはり今ある体制をどこまで徹底的に合理化できるかということが一つのかぎになるんではないかということで、現在、各都道府県警察ともいろいろ相談をしながら人員の配置、運用の見直しを行っておるところでございます。
 そして、先ほど長官からの答弁にもございましたけれども、現在十ぐらいの増員要素というものを考えて、それに基づいて必要な体制というものを積算するわけでございますが、そうした体制が必要数に対して合理化でどのぐらい対応できるかということで全体数を圧縮した上で、そして現在お願いをしております二千七百七十五人というのは、特にこの合理化というものもかなり限界に来ているといったようなところ十数府県に限りまして、十三年度におきましては単年度で増員所要な数というものをお願いしておる。要は、たくさん採りましても警察学校で教育をしなければならない。きちっとした年齢構成の平準化といったようなこともいろいろ考えて措置をしていかなければならない。そういったものの中で単年度で対応が可能な数字というものを積算してお願いをしているということでございまして、今回要求をしております十数府県が単年度で終わるかということとはまた別問題でございます。能力的に対応が可能な単年度の数字というものを積算してお願いをしている、こういうことでございます。
 そして、最初に申し上げました合理化の考え方というものにつきましては、現在やっておる見直しで終わりということは考えてございませんで、来年度以降においてもその時々の情勢に応じてさらに不断に見直しをしていく必要があるんだろう、こういうふうに考えているところでございます。
#149
○松岡滿壽男君 当委員会でも、私、何回か指摘をしているんですけれども、来年以降は恐らく財政再建という厳しい状況の中で、人口は減っていくし、七百兆をどうするかという問題があるわけですから、全体的にスリムで効率的な仕組みをやっぱり再構築していかなきゃいかぬというところに来ているんですよね。だから、国家公務員も自自公の合意で十年間で二五%削減、国会議員の数も減らしていこうといういろんな議論をしているときに、一人一千万ですから、二千七百七十五人ということになると約三百億近い新規の財源が要るということになるわけです。
 ここは、私は増員がいかぬということを申し上げているんじゃなくて、今お答えになったように十分に徹底的な合理化を進めていく。例えば、機動隊についてもいろんな議論が出ていました。機動隊の、問題を起こした人たちは、いや暇過ぎたからやったんですということがもう堂々と出ているわけですね。こういうことについての適正な対応はやはり死に物狂いでやっていただきたい、私はそれをお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#150
○政府参考人(石川重明君) 現在、合理化作業を各都道府県警察と一緒に取り組んでいるわけでございますが、そのときに、部門についてはあらゆる部門を対象とするというのが一つの考え方でございまして、当然、警備部門、機動隊といったようなものも、その活用とか配置ということについて今段階でどういうことができるかということは考慮の対象にはなるわけでございます。
 機動隊につきましては、現在も集団警察力の中核としていろいろな警備活動に当たっているわけでございますが、一定の練度というものが必要ですから訓練は必要でございます。ですが、警備事象の対応との関係で時間があるといった場合には、その運用として、いろいろな部門に効率的に運用をしていく必要があるだろうということで現在検討しているところでございます。
#151
○松岡滿壽男君 警察刷新会議の方の答申の中で、欧米諸国が大体警察官一人当たりの負担人口が三百人から四百人だと、我が国は五百五十六人だから五百人にする、これを一割増員ということを言っておられますが、この前、神奈川で四人の公述人の皆さん方にこの問題を聞きましたら、国によって状況も違うし、そういう三百人から四百人だからということで、それが名目で増員というのはこれは許しがたいことではないかというような意見もあったわけですが、この三百人、四百人というのはどういう根拠に基づいて言っておられるのか、その資料をちょっとお示しいただきたいと思います。
#152
○政府参考人(石川重明君) 三百人、四百人という話でございますけれども、警察庁におきまして国際刑事警察機構、ICPOでございますが、これを通じて調査をした資料をもとに諸外国の警察官一人当たりの負担人口というものを算出いたしました。そうしたところ、フランスについては一九九九年の資料で二百九十三人、ドイツについては同じ年の資料で三百十五人と、こういったようなことでございます。
#153
○松岡滿壽男君 ちょっと時間がなくなっちゃったものですからあれですが、苦情処理に関する規定を新設しておられるわけですけれども、刷新会議のメンバーと警察OBとの間の見解が分かれているようですけれども、一番末端であれしろと、いやしかしそれは上へ上げるべきだとかいう意見があるようですけれども、これについて、国家公安委員長それから警察庁長官の御所見を伺いたいと思うんです。
#154
○政府参考人(田中節夫君) 警察職員の職務執行について国民からの苦情を誠実に処理する、これは大変大事なことでございまして、今回、公安委員会に対する文書によるところの苦情申し出制度の新設をお願いしているわけでございます。
 先ほどのお話のように、文芸春秋等で議論がございますのは、このような制度をつくりますことで現場の警察官の士気が低下するのではないかと、こういうような御意見だったというふうに承知しております。警察職員の職務執行の中には、被疑者の逮捕とかあるいは証拠物の押収等、強制力を伴うものがございますので、それらに対しまして適法妥当なものであったといたしましても、苦情の申し出がなされるということは当然予想されることでございます。そういうようなことを御心配される、そしてそれが職務執行について若干おくれをとるとかひるむというような気持ちを起こすのではないかと、こういうような御心配があるのではないかと思います。
 しかし、警察職員がみずからの職務執行に対して苦情の申し出がなされることを恐れ、正当な職務の執行をちゅうちょしたり、あるいは個人の生命、身体及び財産の保護とか公共の安全、秩序の維持に支障が生じるようなことがあってはならないというように思いますし、この制度は制度として有効に活用しながら、現場におきましては国民の信頼をかち得るためにも職責を自覚して自信を持って職務を遂行できるよう、学校とか職場で教育を徹底してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#155
○松岡滿壽男君 済みません、大臣、ちょっと時間がないものですから。
 つくば市の筑南水道企業団における巨額な経理の不正操作事件が発生しているわけです。十一月二十二日の朝日新聞の夕刊のトップで出ていますね。今後、地方分権を進めていくときに、百億円ものお金が市長も知らぬうちに貸し出され、しかも、そういう二億五千万ですか、不明金が出てきていると、信じられないような事件ですね。
 この事件の経過と、それから自治省は今後この問題にどのような指導をされるのか、この点だけ伺って、質問を終わりたいというふうに思います。
#156
○政府参考人(嶋津昭君) 私どもも新聞の報道を見まして大変ショックを受けたわけでございます。ショックを受けた内容としましては、金額の巨大さと、それから借り入れをしてから半年以上経過しているような状況でお金の流れを十分に把握できていなかったというようなことについて非常にショックを受けているところでございます。
 ただ、現在、事実関係については捜査の過程にございまして、私どもでも把握しかねているわけでございますが、今後、県を通じまして同企業団の調査を十分いたしまして、必要な指導、助言等を的確に行ってまいりたいというふうに考えている状況でございます。
#157
○政府参考人(五十嵐忠行君) お尋ねの件につきましては、本年の十一月二十二日、筑南水道企業団企業長から茨城県警に対しまして公文書偽造、同行使罪及び虚偽公文書作成罪で告発がなされたことによりまして、茨城県警において所要の捜査を現在進めているところでございます。
#158
○松岡滿壽男君 終わります。
#159
○委員長(朝日俊弘君) 他に御発言もないようですから、警察法の一部を改正する法律案(閣法第四号)の質疑は終局したものと認めます。
 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#160
○委員長(朝日俊弘君) ただいまから地方行政・警察委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、菅川健二君が委員を辞任され、その補欠として石田美栄さんが選任されました。
    ─────────────
#161
○委員長(朝日俊弘君) 警察法の一部を改正する法律案(閣法第四号)を議題といたします。
 本案の修正について簗瀬進君及び照屋寛徳君から発言を求められておりますので、この際、順次これを許します。簗瀬進君。
#162
○簗瀬進君 民主党・新緑風会の簗瀬進でございます。
 それでは、警察法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由を御説明申し上げます。
 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました警察法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、趣旨及び概要を御説明申し上げます。
 この間、神奈川県警、新潟県警を初め警察官の不祥事が相次ぎ、このまま放置すれば治安の維持に重大な支障が生じかねず、早急な警察改革が求められてきたところであります。そしてようやく、警察刷新会議の緊急提言を受けて、今次国会に警察法改正の政府案が提出されました。しかし、残念ながら私どもはこの政府案に失望を禁じ得ません。
 一連の不祥事が警察官の綱紀の緩みにあることは論をまちません。そして、そのための警察の内部努力や自己改革は当然のことであります。しかし、今回の事態では、それだけでは不祥事の背景となった警察の閉鎖性や甘えの体質を打破することができないことが明らかになりました。
 国民は、警察に対する国民の監視の目を導入すること、そのために公安委員会の機能の強化やさらなる情報公開を求めております。しかし、政府案ではその視点が極めて弱く、内容的にも不十分であると言わざるを得ません。あえて私どもが修正案を提出いたしましたのは、その国民的視点からの改革を提起するためであります。
 以下、修正案の概要について申し上げます。
 第一は、公安委員会の機能の強化についてであります。
 公安委員会は、国民の目線で、国民にかわって警察を管理する機関であります。したがって、公安委員会に独自の事務局を置くことといたしました。また、国家公安委員会の予算に関する事務は国家公安委員会の事務といたしました。
 第二は、公安委員会の監察についてであります。
 警察が綱紀の粛正のために内部監察を行うのは当然でありますが、重大な不祥事や警察運営上の諸問題について国民的疑惑が生じているような場合には、公安委員会が国民の目線で独自の監察を行うことといたしました。このため、公安委員会の事務局に監察官及び監察部門を置くことといたしております。
 なお、政府案の警察の監察に対する個別的または具体的な指示につきましては、警察刷新会議においても、個別的または具体的な指示は国家公安委員会の管理に含まれると解されているところであり、新たに規定するまでもないことであります。
 第三は、苦情処理委員会の設置についてであります。
 警察に対する苦情は、一次的には警察署の窓口で受理し、誠実に対処し解決されるべきものでありますが、この間の一連の不祥事において、苦情を聞いてもらえなかった、文書を改ざんされたというような事例が少なからずあったところであります。したがいまして、都道府県公安委員会及び方面公安委員会に苦情処理委員会を置き、国民の目線で苦情処理に当たることといたしました。
 第四は、警察情報の公開についてであります。
 警察情報が、プライバシーや捜査秘密にかかわるものなど公開すべきでない情報があることは事実でありますけれども、警察官の不祥事に係る情報などは秘匿すればするほど国民の警察不信を招くものであります。そうした観点から、警察は積極的に警察情報の公開に努めるべきとの訓示規定を置くことといたしております。
 第五は、施行期日についてであります。
 この修正案は、予算措置を伴うことから、平成十三年四月一日から施行することとしております。ただし、一部省庁再編とかかわる事項は平成十三年一月六日の施行といたしております。
 最後に、この修正案の施行経費についてであります。
 この修正案の平年度施行経費としては八億八千万円と見込んでおります。
 以上が警察法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#163
○委員長(朝日俊弘君) 次に、照屋寛徳君。
#164
○照屋寛徳君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました内閣提出警察法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げます。
 昨年の神奈川県警及びその後の新潟県警の上層部の証拠隠滅や空監察等が示すように、今や警察制度改革は一刻たりとも猶予できない状態となっております。こうした事態に対し、緊急に改革を行うとともに、一九五四年以来の警察制度を根本的に見直すことも視野に入れることが求められてきています。
 このような認識に立って、社会民主党・護憲連合は、国家公安委員会、都道府県公安委員会、警察庁及び都道府県警察に対する外部の第三者によるチェック機関として国民的な警察監視委員会を創設する等の必要があるとの基本的立場から、本修正案を提案いたします。
 以下、修正案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、国家公安委員会の改革についてであります。
 政府案は、国家公安委員会への監察の指示権の付与及び監察の点検の実施にとどまっておりますが、国家公安委員会の管理には監察が含まれることは当然であります。この国家公安委員会の監察能力を強化し、管理の実効性を高めるため、独自の事務局を設けるとともに、特命を受けた警察監察官を置くこととし、国家公安委員会が管理する事務に関するすべての事項の調査、国家公安委員会への意見の提出、犯罪の嫌疑があるときの捜査及び報告、犯罪の訴追への協力を行うこととしております。あわせて、国家公安委員会に対し国会への報告を義務づけております。
 第二に、中央警察監視委員会の設置についてであります。
 公安委員会自体への信頼も失われたという今回の不祥事の反省に立つならば、警察のみならず公安委員会に対しても外部の第三者機関による監視が必要と言えます。そのため、内閣総理大臣の所轄のもとに中央警察監視委員会を設置することとしております。
 この中央警察監視委員会は、警察庁の所掌事務の実施状況を監視するために必要な調査を行うものとし、そのために必要な報告の徴取、立入検査、質問権等の権限を付与することとしております。
 同委員会に対しては、調査の結果に基づく国家公安委員会に対する勧告権及び警察の管理及び運営に関し講ずべき施策についての意見申し出権を付与するとともに、苦情の申し出についての必要なあっせんを行うことができることとしております。
 これらの重要な任務を遂行する同委員会の事務を処理するため、独自の事務局を設置し、事務局長以下所要の職員を置くこととしております。
 第三に、都道府県公安委員会の改革についても、国家公安委員会に準じて、事務局長、警察監察員その他の職員から成る事務局を設置することとし、都道府県公安委員会の監察権を強化することとしております。
 第四に、都道府県警察監視委員会の設置についてであります。中央警察監視委員会に準じて、都道府県知事の所轄のもとに、監視のための調査を行うとともに、必要な勧告の実施及び意見の申し出、苦情についてのあっせんを行うため、独自の事務局を有する都道府県警察監視委員会を設置することとしております。
 以上が警察法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由及びその内容の概要であります。
 慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#165
○委員長(朝日俊弘君) ただいまの簗瀬君及び照屋君提出の両修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から両修正案に対する意見を聴取いたします。西田国家公安委員会委員長。
#166
○国務大臣(西田司君) ただいまの簗瀬進君の御提案による修正案及び照屋寛徳君の御提案による修正案については、政府としては反対であります。
#167
○委員長(朝日俊弘君) これより原案並びに両修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#168
○簗瀬進君 警察法の一部を改正する法律案に対する討論を行います。
 民主党・新緑風会を代表し、警察法の一部を改正する法律案について、民主党提出の修正案に賛成、政府案並びに社会民主党の修正案に反対の討論を行います。
 今回の警察法の改正は、一連の警察不祥事が深刻であっただけでなく、警察の閉鎖性と自浄能力の喪失が危惧され、公安委員会の管理機能の回復と強化が求められたことから必要になったものであります。
 したがって、第一に、独自の事務局を持ち、警察に依存せず警察をチェックできる自立した公安委員会をつくること、第二に、警察をチェックし得る公安委員会の監察権限をできるだけ明確にすること、第三に、住民の警察に対する苦情を広やかに受けて、これに対応できるような公安委員会の苦情処理システムを確立すること、第四に、住民の警察に対する信頼を再構築し、また警察の閉鎖的な体質を開放的に改革していくためにも、警察情報の積極的な開示を促進すること、これら四点が法改正の重要なポイントであると考えます。
 しかし、政府案は、これらについて若干の前進は見られるものの、たび重なる警察不祥事への処方せんとして極めて不十分であると考えざるを得ません。したがって、民主党提出の修正案をぜひとも御賛同いただきたいと強くお勧めしたいと思います。
 まず第一に、事務局機能の強化について、政府案は警察による補佐機能の強化という処方せんを与えました。しかし、管理される側が管理する側を補佐するのでは、有効な管理は全く期待できません。民主党案のように、公安委員会の独自の事務局がぜひとも必要となります。
 第二に、公安委員会の監察について、政府案は警察の補佐を受けて警察の行う監察に指示を行うという処方せんを与えました。しかし、公安委員会がみずからは監察せず、指示を受ける側が指示を出したそれを受けて補佐するというのでは、この指示が完全に履行される保障はありません。民主党案のように、公安委員会がみずから監察する必要があり、それを補佐する独自の事務局が絶対必要であります。
 第三に、公安委員会の苦情処理について、政府案は、文書に限って苦情を受け付け、その処理は警察が補佐するという処方せんを与えました。しかし、文書というふうなハードルを設ける等、これでは国民は容易に公安委員会に苦情を持ち込めないではありませんか。苦情を言いたい国民の気持ちに即した苦情処理はまことに期待できません。民主党案のように、苦情を申し立てる側の気持ちを受けとめる苦情処理機関がぜひとも必要であります。
 第四に、警察情報の開示促進について、政府案は情報公開の所管部署の特定しか行っておりません。やはり我が党案のように、前向きに情報開示を進める意思を明確にすべきであります。
 以上、政府案は、現下の警察不祥事を解消し、再び国民の警察への信頼を回復する抜本的な改革案としては極めて不十分であり、民主党案を採用することこそが最良の処方せんであることを申し述べさせていただきます。
 最後に、社会民主党の修正案は、公安委員会の機能に屋上屋を架するものであって、これに賛成することはできないということをつけ加えまして、賛否の討論といたします。
 以上でございます。
#169
○北岡秀二君 私は、自由民主党・保守党及び公明党を代表して、内閣提出の警察法の一部を改正する法律案に賛成し、民主党・新緑風会及び社会民主党・護憲連合より提出された修正案に反対する立場から討論を行います。
 昨年来、警察をめぐる不祥事が続発し、国民の警察に対する信頼が大きく失墜したことから、本年三月に警察刷新会議が発足し、集中的討議、公聴会などを経て、七月には警察刷新に関する緊急提言が国家公安委員会に提出されたところであります。国家公安委員会及び警察庁は、この緊急提言を重く受けとめ、八月には当面警察が取り組むべき改革施策を警察改革要綱として取りまとめられております。
 今回の政府案は、この多岐にわたる警察改革要綱を十分踏まえ、警察に対する国民の信頼回復を積極的に目指そうとするものであります。
 賛成の第一の理由は、公安委員会につきましては、大局的見地から警察を管理するという基本原則を堅持しつつ、その警察行政の民主的運営の保障及び政治的中立性の観点を踏まえ、公安委員会による具体的、個別的な監察の指示、指名された監察担当委員による監察状況の機動的点検などによる監察点検機能の充実、公安委員会に対する文書による苦情申し出制度の創設などにより、不祥事に関して、未然防止及び発生時の適正な処理の両面において、公安委員会の第三者機関的な管理機能を大幅に充実強化しようとする点であります。
 民主党・新緑風会より提出された修正案では、公安委員会がみずから監察を行うこととされており、これは制度の基本的枠組みを大きく変更するものであり、適当ではありません。また、公安委員会に独立の事務局を置くこととされており、警察庁、警察本部との二重構造を生み出し、むだと効率の低下を生み出す結果となることから妥当ではありません。真に効果的な管理機能の充実による活性化こそが求められていると考えます。
 また、社会民主党・護憲連合より提出された修正案は、警察監視委員会を設置することなどを内容としておりますが、公安委員会の管理機能を強化することこそが必要であり、組織の複雑化、重複化の観点から適当ではないと考えます。
 賛成の第二の理由は、警察署協議会を設置し、地域住民の多様な声を直接くみ上げ、警察署の業務運営に反映させようとしている点であります。警察署協議会は、緊急提言にもあるとおり、住民と警察が共通の問題意識を持ち、協働して市民生活の安全確保に尽くそうとするものであり、二十一世紀における国民と警察の新たなかかわり方を示唆するものであり、評価できます。
 最後に、警察改革要綱には、法律改正事項にとどまらず、情報公開の推進、人事・教育制度の改革、組織の不断の見直しと警察体制の強化を初め、予算措置や運用面での多岐にわたる見直しが盛り込まれております。
 警察におかれましては、今回の改正案を初めとする全面的制度改革を速やかに実施し、国民の警察に対する信頼を一刻も早く回復されんことを強く希望して、私の賛成討論といたします。
#170
○富樫練三君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の警察法の一部を改正する法律案に反対の討論をいたします。
 相次ぎ発覚した神奈川県警覚せい剤隠ぺい事件や新潟県警本部長と関東管区警察局長の雪見酒・空監察事件によって、警察の腐敗は警察庁幹部による構造的、組織的なものであることが明らかになりました。反対の最大の理由は、政府案がこうした構造的腐敗を改革するものとなっていないからであります。
 第一に、政府案は、公安委員会に個別的、具体的監察指示権を付与しているとはいうものの、実際監察を行うのは警察職員であることが本委員会でも問題にされてきました。これでは、警察庁長官初め任命権者や上司である警察庁幹部の不祥事にはメスを入れることができないことが審議で明らかになりました。外部監察をとことん拒否する意向に沿ってつくられたのが政府提出の法案であります。
 第二に、独自の事務局確立については一貫して拒否しております。国家公安委員会の管理の基本である大綱方針の起案すら警察自身が行っている現状が審議で明らかにされました。苦情処理や不服申し立ての事務一切が警察職員に任されている中で、政府案の苦情処理制度もどれほど効果を発揮するのかという疑義も審議の中で提起されています。
 第三に、警察刷新会議の第一のテーマとして議論された警察情報の公開についても、来年四月施行の情報公開法の範囲内にとどまるものであり、開示、不開示の最終的な判断権を警察幹部に与えており、積極的開示にはほど遠いものであることが審議の中で明らかにされています。
 以上の点から、政府案に反対するものであります。
 一方、日本共産党案は、公安委員会に監察権を与えた上で、公安委員会のもとに設置された警察監察委員室が監察に当たること、公安委員会任命の事務局を設置すること、情報公開法を改正し、警察の長の拡大解釈を許さないことが明記されており、国民の警察改革の要求に合致している案だと考えます。
 なお、民主党提出の修正案は、基本的に我が党案と一致しており、賛成であります。
 社会民主党提出の修正案は、国家公安委員会と中央警察監視委員会の関係などについて検討の余地がございますので、反対とさせていただきます。
 以上でございます。
#171
○照屋寛徳君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました内閣提出警察法の一部を改正する法律案並びに民主党修正案に反対し、社会民主党・護憲連合提出の修正案に賛成する立場から討論を行います。
 市民が安全で安心できる暮らしを送る上で、警察は重要な役割を担っています。しかし、神奈川県警事件、新潟県警事件を経てさまざまな不祥事が明るみとなり、特別監察すらも空監察であったことが露呈いたしました。
 これら事件の根底には、まず、警察行政が国民の日常的監視、監督から遮断され、聖域化され、組織防衛が何よりも優先されてきたことに問題があります。しかも、警察を管理するお目付役たる公安委員会が警察に対する管理機能をみずから空洞化させるとともに、一方では、公安委員会を隠れみのにすることでみずからの行為を正当化する警察の実態が明るみに出てまいりました。かてて加えて、キャリア制度の問題、警備公安偏重の矛盾、人権意識の欠如なども看過できない問題であります。
 こうした観点から政府案を検証してみた場合、第一に、法案化される過程で、刷新会議の提言内容が限定され、多くの課題が運用事項にゆだねられてしまったことを指摘しておかなければなりません。
 第二に、公安委員会の強化についても、独自の事務局の設置を見送り、せっかくの監察管理委員も監察の点検役にとどまっているなど、一連の不祥事を生んだ本質にまで迫っていない極めて不十分なものになっています。
 第三に、公安委員会及び警察外部の第三者機関による外部監察が否定されています。警察内部の腐敗の深刻さ、特別監察など警察内部による改革の限界、公安委員会制度自体の形骸化がはっきりしたにもかかわらず、従来の管理概念にとらわれ、市民の目によって警察の監視、改革を図ることを退けているのは大きな問題と言わざるを得ません。
 第四に、法改正事項ではありませんが、警察官の増員についてです。地域住民の安全の確保のために空き交番の解消は必要ですが、警備公安警察のあり方や機動隊に関する大胆な見直しもないままで、果たして国民の理解を得られるのか疑問は尽きません。
 政府案の警察署協議会の設置や苦情の処理と文書回答義務の明記についても、警察改革にとっては付随的なものであり、本質的なものとは言えません。
 また、民主党修正案は、国民が直接的に公安委員会や警察を監視する必要性に踏み込んでいないことで、不徹底であることは否めません。
 社会民主党・護憲連合は、市民に開かれた警察への抜本的な制度改革を目指す立場から、警察でも公安委員会でもない外部の第三者による監視機構としての警察監視委員会の設置を主な内容とする修正案を提案いたしました。本修正案は、外部の第三者による市民の目で警察の監視、改革を図るものであり、今次警察不祥事の根源にメスを入れた唯一の提案と考えます。
 国民的監視のもと、警察が真に市民生活の安全の守り手として国民からの信頼を回復されることを願って、私の討論を終わります。
#172
○委員長(朝日俊弘君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより警察法の一部を改正する法律案(閣法第四号)について採決に入ります。
 まず、照屋君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#173
○委員長(朝日俊弘君) 少数と認めます。よって、照屋君提出の修正案は否決されました。
 次に、簗瀬君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#174
○委員長(朝日俊弘君) 少数と認めます。よって、簗瀬君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#175
○委員長(朝日俊弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 浅尾慶一郎君から発言を求められておりますので、これを許します。浅尾慶一郎君。
#176
○浅尾慶一郎君 私は、ただいま可決されました警察法の一部を改正する法律案(閣法第四号)に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び無所属の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    警察法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  本法の施行に当たり、政府は、左記の事項に配慮するとともに、警察に対する失われた国民の信頼を回復するため、最大限の努力を払うべきである。
 一、公安委員会が活性化し、その責務を十分に発揮できるよう、制度本来の趣旨に立ち返って公安委員会の警察に対する「管理」概念を法令上明確にすること。
   また、公安委員会の管理機能の充実・強化を図るとともに、特に、公安委員会が第三者的な監察点検機能を主体的に果たすことが重要であることにかんがみ、公安委員会事務担当組織及びスタッフについては、公安委員会の求めるところに従って十分機能するよう担保すること。
 二、都道府県警察の職員の職務執行に係る苦情処理制度の運用に当たっては、住民からの苦情申出を誠実に受け付けるとともに、適切・迅速に処理する体制を整備すること。また、電子メールの活用による苦情申出についても、積極的に検討すること。
   なお、口頭による苦情申出の場合であっても、その意思と内容が明確であり、文書によらないことに理由がある場合には、警察署の窓口において警察職員が文書作成を援助するような仕組みを導入すること。
 三、警察署協議会の委員の人選に当たっては、特定分野に偏ることのないようにすること。また、同協議会の運営に当たっては、透明性及び公開性を確保するとともに、住民の意見が警察事務に反映されるよう努めること。
 四、警察不祥事案を未然に防止するため、業務管理及び職務倫理教養の徹底等を積極的に推進すること。
   また、いわゆるキャリア警察官については、早期から現場経験を重視しつつ、登用・選別方法、教育内容、人事評価制度等を多角的に見直し、社会の安全を守るという使命感に裏打ちされた人材育成に取り組むこと。
 五、警察行政の透明性を確保し、警察に対する国民の信頼を高め、国及び地方公共団体は情報公開の積極的な推進を図ること。
 六、効果的かつ効率的な警察運営を確保するため、国民の日常生活、地域に密着した警察活動や複雑・多様化する犯罪に対応する警察活動に重点を置き、業務量の減少した分野の人員・予算等を振り替えるなど適正な人員配置・予算措置等を推進することとし、警察官の増員は、組織の不断の見直しと徹底的な合理化を踏まえて行うこと。
 七、国会に対し、国家公安委員会が所掌事務の処理状況を報告するよう積極的に検討すること。また、国会論議において都道府県公安委員会も都道府県の議会に対し同様の報告を行うよう求める指摘がなされたことを踏まえ、積極的に検討すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#177
○委員長(朝日俊弘君) ただいま浅尾君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#178
○委員長(朝日俊弘君) 全会一致と認めます。よって、浅尾君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、西田国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。西田国家公安委員会委員長。
#179
○国務大臣(西田司君) ただいまの附帯決議の御趣旨を踏まえ、本法律案の実施を初めとする警察改革に全力を尽くしてまいる所存であります。
#180
○委員長(朝日俊弘君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#181
○委員長(朝日俊弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#182
○委員長(朝日俊弘君) 次に、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院地方行政委員長増田敏男君から趣旨説明を聴取いたします。増田敏男君。
#183
○衆議院議員(増田敏男君) ただいま議題となりました市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、町村が合併して市となるための人口要件は、平成十年の市町村合併特例法の改正により、現在、四万以上とされております。しかし、現在の状況を見ますと、現行法の人口要件を満たすことが難しい場合もあり、また、いわゆる連檐要件等が合併の障害となる例もあるのではないかと思料されるのであります。
 以上のことから、市町村合併の一層の促進を図るため、市制要件の緩和を行う必要があり、本案を提出することとした次第であります。
 次に、本案の内容について御説明申し上げます。
 本案は、平成十六年三月三十一日までに市町村の合併が行われる場合に限り、合併後の普通地方公共団体が市となるべき要件を、人口三万以上を有することのみとするものであります。
 なお、本案は、公布の日から施行することといたしております。
 以上が本案の提案の理由及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#184
○委員長(朝日俊弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二分散会
     ────・────
   〔参照〕
   神奈川地方公聴会速記録
 期日 平成十二年十一月二十一日(火曜日)
 場所 横浜市 新横浜プリンスホテル
   派遣委員
    団長 委員長      朝日 俊弘君
       理 事      木村  仁君
       理 事      北岡 秀二君
       理 事      浅尾慶一郎君
       理 事      富樫 練三君
                菅川 健二君
                大森 礼子君
               日下部禧代子君
                松岡滿壽男君
   公述人
       横浜国立大学教
       授        田中 利幸君
       弁護士
       神奈川県警察を
       語る会委員    沢藤 達夫君
       日本弁護士連合
       会刑事法制委員
       会委員長     岩村 智文君
       弁護士
       自由法曹団警察
       問題委員会委員
       長        森  卓爾君
    ─────────────
   〔午後零時五十八分開会〕
#185
○団長(朝日俊弘君) ただいまから参議院地方行政・警察委員会神奈川地方公聴会を開会いたします。
 私は、本日の会議を主宰いたします地方行政・警察委員長の朝日俊弘でございます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、本日参加いたしました本委員会の委員を紹介させていただきます。
 自由民主党・保守党所属の北岡秀二理事でございます。
 同じく木村仁理事でございます。
 民主党・新緑風会所属の浅尾慶一郎理事でございます。
 日本共産党所属の富樫練三理事でございます。
 民主党・新緑風会所属の菅川健二委員でございます。
 公明党所属の大森礼子委員でございます。
 社会民主党・護憲連合所属の日下部禧代子委員でございます。
 無所属の会の松岡滿壽男委員でございます。
 以上の九名で参加をさせていただきました。
 参議院地方行政・警察委員会におきましては、目下、警察法の一部を改正する法律案(閣法第四号)及び警察法の一部を改正する法律案(参第一三号)について審査を行っておりますが、本日は、この両案について神奈川県の方々から貴重な御意見を承るため、当地において地方公聴会を開会することにいたした次第でございます。何とぞ特段の御協力をお願い申し上げます。
 次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。
 横浜国立大学教授田中利幸公述人でございます。
 弁護士・神奈川県警察を語る会委員沢藤達夫公述人でございます。
 日本弁護士連合会刑事法制委員会委員長岩村智文公述人でございます。
 弁護士・自由法曹団警察問題委員会委員長森卓爾公述人でございます。
 以上四名の方々でございます。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には、御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 両案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、委員会審査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、公述人の方々からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は質問者及び公述人ともども着席のままで結構でございます。
 それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べいただきます。
 まず、田中公述人にお願いいたします。
#186
○公述人(田中利幸君) 田中でございます。
 刑法を専攻しておりますけれども、研究対象の一つとして行政規制と刑事規制の接点、警察で申しますと、行政警察と刑事警察の接点や両者にわたる問題を研究しております。本日はそのような事柄を背景にして、今回の警察法改正の三つの主要な柱、監察、苦情処理、警察署協議会について意見を述べさせていただきます。
 警察活動は国民の安全を守るためのものでありますけれども、犯罪その他の国民の安全を脅かす行為の多様性、高度化、専門化、国際化はこれまで以上に場合によっては急速に進むものと思われます。ですから、これに立ち向かう活動は、それを上回るだけの活力に満ちた効率のよいものでなくてはなりません。そのことは現場だけではなく、企画立案する場やそれを指揮する場においても妥当いたします。
 他方、警察活動は、規範を実現する活動であるばかりでなく、実力を行使してあるいはそれを背景にして規範の実現を図るものでありますから、その活動は他の行政活動にも増して適正に行われなければなりません。そして、国民の安全を守るそのような活動は、もともと警察にだけ任せておけばよいというものではなく、住民、地域社会との協力によって一層効果的に行われるものでございます。そこで、住民の参加と協力が警察にとっても住民にとっても不可欠なものでございます。
 このような視点がきょうの私の意見の出発点でございます。
 およそ十二年ほど前でございます、昭和の終わりごろでございましたが、ある法律雑誌の座談会で行政法学者やあるいは警察庁の幹部といった方々と、今後の警察のあり方と市民との接点について話し合ったことがございます。私はそのとき、発言の一部で次のような趣旨を述べました。
 価値観の多様化に伴って家庭や地域社会の規範意識を維持させるという能力が低下いたして、その結果、非行や犯罪が増加してきている。また、市民社会の変容に伴って困り事相談などの市民間のトラブルに警察が介入する必要も高まってきている。全体として警察の業務は増大してきており、今後もその傾向はさらに強まるであろう。そうした状況のもとで警察業務が成果を上げていくためには、警察と接する市民の警察に対する信頼と協力が不可欠である。そのためには、生活が警察に守られているという実感を国民が持てるように、国民に強い不安を与えている未解決の重大事件や凶悪犯で成果を上げるということが第一に必要であるし、第二には、警察活動が適正に行われ、かつ市民から警察に接しやすいように行われることが必要であるといった趣旨を申し上げました。
 市民応接の向上はその後、これまで日常生活で何度か警察官に接した私の印象では一定の成果を上げてきたように思います。その意味で、住民は警察を身近に感じるようになってきていると思います。
 事件解決の面では、当時、交通関係の業務上過失事件を除く刑法犯は、そのさらに十年から十五年ほど前に底を打ってほぼ横ばいであった状況と比べて二〇ポイントほど上昇しておりました。しかし、その検挙率はなお六割後半を維持していたと思います。その後今日まで犯罪はふえ続けて、さらに二〇ポイント以上増加いたしました。凶悪犯も増加し続け、強盗は二倍以上になっていますが、凶悪犯の検挙率はなお維持されていると思います。しかし、全体の検挙率は低下いたしました。業務上過失を除く刑法犯の認知件数の八割以上を占める窃盗、その四割程度はかなり日常的な自転車などの乗り物等ですけれども、その検挙率が著しく低下したためです。
 犯罪の発生が増大する中で限られた人的資源の配分に工夫がなされたということであろうと思いますけれども、全体の検挙率も凶悪犯の検挙率も両方とも高い水準に維持していくというのは難しい状況であったのかもしれません。資源いっぱいの活力を示そうとはしていましたけれども、それだけストレスのたまりやすい面もあったのではないかと後からは評価できるように思われます。
 そうした状況のもとで一連の不祥事は発生しました。その中で監察の不十分さも生じました。しかし、どのような場合でも警察活動は適正になされなければならないことは申し上げるまでもないことでございます。
 このたび改正の前提となった一連の不祥事には警察の深い反省が必要です。監察はこの適正さを確保するための制度です。これまでの監察が適正さの確保に十分機能し得なかったのだとしますと、それを機能させるための改善が必要です。警察刷新会議の緊急提言、それを受けた警察法改正政府案や本日の共産党案などの各野党案、すべてそのことを目指した精神を共通にするもので、国民の一致した意見であると思います。
 問題は、どのように修正した制度設計をすれば監察が効果的に行われ、それによって警察活動自体の適正さが保証されるとともに、警察活動が活力を維持して国民の安全を確保していけるのかということであると思います。
 まず、監察それ自体が効果的に行われ、それによって警察活動の適正さが確保されるための要素を考えてみますと、第一は、客観的、批判的な視点で行われるということです。第二は、対象となる業務に精通していて要所を得るということです。
 客観的な視点の確保のためには、最初から内部者を排除し、外部の者によって監察を行うということも一つの有効な方法として十分に考えられます。しかし、客観的な視点で批判的に業務をチェックする専門の部署が行う監察をさらに外部から批判的に検討する、それだけではなく、必要に応じて個別具体的な指示を出して、いわば二重にチェックを行うということももう一つの有効な方法と考えられます。
 制度の変更の程度を考えるに当たりましては、制度の実施に問題があったとき、その実施をこれまで担当してきた機関がどのくらい反省し、制度と運用の疲弊を読み取り、自浄と改善に自主的に取り組んでいるのかということも考慮すべき要素です。批判をないがしろにして反省が見られず、あるいは表面的な対応で状況をすり抜けようとしているような場合には、権限を奪うなどの根本的な制度設計のし直しを行うことが必要です。しかし、深い反省の上に立って自主的改善に取り組もうとしている場合には、それが着実に進行するよううまく監督指導をしていけるような制度設計をするのが適切と考えられます。
 国民の安全を守るという警察活動には国民の生活の安全を守るんだという使命感に満ちた活力が必要ですけれども、その活力にどう影響するのかという配慮も必要だと思います。特に、犯罪の増加や住民サービスの増加など、業務量に比してこれに対処する人的資源が不足している場合には、このことを考慮する必要があると思います。
 効果的な監察を行うための第二の要素、対象となる業務の事情に精通していることが必要だという点に関しましては、やはりその業務を実際に経験していることにまさるものはなく、この点はかなり重要であると思われます。監察以外の事項についても基本的に同様だと思います。
 私どもの大学には、かつて中央省庁で活躍をされ、研究者に転身された研究、行政両面で優秀なスタッフが何人かいますけれども、そういう人たちにとっても大学という新しい場で、どこを押せばどう動くのか、どこをたたけば何が出てくるのか、どこに実際に携わった者でないとわからない事柄が潜んでいるのか、そういう勘どころ、急所をつかむには少なくとも数年はかかると授業で話していたのを聞いたことがございます。
 警察の活動は、警察法五条の規定いたしますように、大学の業務よりはるかに広範です。公安委員会は、そうした業務に広い知識を有する特にすぐれたスタッフの強いサポートがなくては十分機能しないように思われます。あとは公安委員会がどう運用していくかにかかっていると思います。
 次に、苦情の処理ですけれども、公安委員会への文書による苦情と処理結果の通知を、監察が確実に行われることを担保する機能を持つものと私は位置づけております。住民が苦情を申し出て処理結果の通知を受けるということは、住民の利益の保護を図るという面とともに、警察業務の適正さの確保に役立つという警察にとっても国民にとっても有益な性質を有するものだと考えます。これが組み合わさっていることによって、公安委員会の具体的、個別的な指示、監察担当委員の点検という枠組みが一層現実的に機能することになると考えられます。
 したがいまして、公安委員会はもちろんですけれども、警察署長、警察本部長なども苦情の持つそのような性質を活用して積極的な運用を図るということが必要であると思われます。
 最後に、警察署協議会ですけれども、私は従来から、少年非行その他の逸脱やあるいは差別的な行動から生じるトラブルなど地域の問題は、地域ぐるみで各方面から知恵を出し合って行動し、解決していく場が必要だと感じておりました。住民を巻き込んで警察主導の取り締まりを正当化するとか、警察の説明をただ聞いてもらうとかというようなものではありません。
 警察も地域社会も、警察の役割も手法も犯罪の取り締まりだけだという見方が強く支配していた時代とは違いまして、現在の警察はソフトな手法も用いて困り事相談など住民の多様なニーズにこたえていることが住民にもかなり受け入れられてきていると感じています。そういう状況では、活発な地域活動を続けている人たちの活動を警察が補完する場としても機能し得ると思います。運用次第ではありますけれども、期待したいものだというふうに考えています。
 以上のように考えますので、私は政府案に賛成したいというのが意見でございます。
 以上です。
#187
○団長(朝日俊弘君) ありがとうございました。
 次に、沢藤公述人にお願いいたします。
#188
○公述人(沢藤達夫君) 横浜市内で弁護士をしております沢藤でございます。
 本日は、このような場におきまして意見を申し上げる機会を与えていただきましたことを大変光栄に感じている次第でございます。
 私は、これまで十年以上にわたる弁護士生活の中で、刑事事件や民事介入暴力事案等をめぐって多くの現場の警察官と接点を持ち、あるいは県民が警察に何を求めているかを肌で感じてきました。また、昨年の秋以降、一連の不祥事によって多くの国民、県民の信頼を損ねた神奈川県警察が、その信頼の回復を図るべく県民から忌憚のない意見、要望を聞き、県民のための施策を実現していくことを目的に設けた神奈川県警察を語る会、これは県内の財界人、自治会の代表者、教育関係者、文化人、評論家、弁護士など十二名から成るものでありまして、警察幹部との意見交換を通じて警察のあり方、施策、活動全般にわたって県民の立場から意見、要望を伝えていくというものでございますが、そこにおきまして委員の一人としてこれまで参加してきました。
 このたびの警察改革、特に今次警察法の改正に関して意見を述べさせていただきます。
 まず、今後の警察のあり方を考える上での御参考ということで、これまでの弁護士活動などを通じて感じた県民の警察に対する期待といったものを申し上げます。
 一言で申し上げるならば、県民にとって警察というのは、二十四時間対応してくれる最も身近で最も力強い正義の味方であってほしいということではないかと思います。これは、まさに県民のための警察の確立にとっては非常に重要なことであり、警察としても大切にしていっていただきたいと思っていますが、こういった県民の思い、期待といったものが、とても残念なことでありますが、最近大きく揺らいだというか動揺しているのではないかといった状況が見られているわけであります。
 少し細かに申し上げますと、二十四時間対応してくれるというのは、制度としては今も昔も変わっていないのですが、最近の著しい犯罪の増加、複雑化、事故の増加等によって、例えば交番の警察官が現場での取り扱いに追われ恒常的に不在に近い交番があるとか、あるいは警察署におきましても、捜査員が捜査に出払っている、取り調べがあるなどの事情で県民の訴えや相談に十分対応できていないという現状も散見され、十分に県民の期待にこたえられていない感がございます。
 これは数字的に見てもそのとおりで、神奈川県におきましては、昨年、それぞれ刑法犯認知件数が約十四万三千件、交通人身事故が約六万五千件、一一〇番総受理件数が約九十一万五千件に上っており、それぞれ十年前と比較して三〇%から七〇%増になるなど極めて高い増加傾向を示しているほか、さらに、ことしの上半期はいずれの数値も過去最高であった昨年の件数を大幅に上回っております。加えて、月平均約三万七千件余りの各種相談が警察に持ち込まれており、こういった警察の現場対応事案の量的な急増に第一線の特に体制面が十分に追いついていないことが起因しているのではないかと思われます。
 また、力強いといった面ですが、最近の警察は、国際的な組織犯罪やハイテク犯罪等新しい犯罪に対する対応のおくれが指摘されているほか、刑法犯の検挙率が急激に低下しているようですが、これに対する懸念といいますか、体感治安の悪化も日々増しているような状況がございます。
 最後の正義の味方という点でございますが、神奈川県民にとってこの信頼を揺るがした決定的な要因が、今さら申し上げるまでもございませんが、昨年発覚した元警察本部長らによる犯人隠避、証拠隠滅事件でありました。正直申し上げまして、神奈川県民はこの事件に大きな衝撃を受けたわけでございます。ただ、だからといいまして、警察というのはどうしようもない組織だったというわけではございません。私の見る限り、現場の警察官はほんの一部の例外を除き県民生活のために日々汗を流しており、県民のための警察だという思いは強く感じていると思います。
 警察官の仕事は昼夜なく、場合によっては身の危険をも伴う厳しいものでありますが、大多数の警察官は、例えば殺人や重要事件、事故が発生すれば、何週間も休みもなく、あるいは何日も家に帰れなくても、それをいとわず事件解決のため全力を尽くして勤務をしております。それだけに、一連の不祥事をめぐり、警察全体あるいは警察そのものが悪いとの議論によって、国民に必要以上の警察不信が広がったり、警察官全体の士気が低下しないかと心配しているわけでございます。もちろん、一部には仕事に対して不熱心で惰性に流れている警察官が皆無とは言いませんが、全体としては大部分の警察官は一生懸命やっているものと思います。ただ、最近の仕事の多さ、忙しさ、複雑さ、多様さに警察の体制面が十分に追いついていない状況が見られるわけであります。
 また、二十四時間対応する行政機関が限られているために、本来警察の扱うべき仕事とは言えないようなものまで、例えば道路上の犬や猫の死骸の片づけや近隣同士の民事的なトラブルなども困り事相談や一一〇番等によって警察に持ち込まれ、処理を求められているというのが実情でありまして、ただでさえ忙しい中で、県民の主観的な期待に対し、警察として予算的にも人員的にも権限的にもこたえ切れないことによる相互の認識のずれというか、あつれきといったようなものが生じているような気もしております。もちろん、我々が警察という組織に何を求め何を期待するのかという議論の中で、警察の予算や体制といった問題がネックになっているとすれば、国民は当然にそれ相応の負担をすべきでしょうし、人員についてもふやすべきだと思います。
 しかし、一番大事なのは、組織の中身といいますか、昨年の一連の不祥事によって失われた県民の信頼を全警察職員がどうとらえ、どう意識し、そしてどう変わろうとしているのかといった問題だと思います。この点については、昨年来、神奈川県警察を語る会のメンバーの一人として十分に関心を持ち、その変革の過程を注視しているところでありまして、語る会などにおきましても県警に対して申し上げるべきところは率直に申し上げているわけでございます。一連の不祥事以降、警察は県民に信頼される警察の実現に向けて真摯な努力を続けているものと思っております。
 参考までに、これまでの県警の信頼回復に向けた取り組みについて申し上げますと、警察は県公安委員会の指導を受けながら自己改革のための努力に心血を注いでおり、例えば県民からの苦情をホットラインで直接受け付ける監察ホットラインという各種苦情に対してシステム的に対応できる体制を構築したほか、県警の全職員が少人数ずつ千四百程度の班に分かれた上で、不祥事の具体的な事例を題材にするなどして、みずからのあり方についてさまざまな議論を交わしたり、民間企業研修やボランティア活動を通じて職務倫理の醸成に努めようとする倫理研修班制度が導入され、全職員に至るまで警察改革に向けた高い意識を保持しようと努力していることがうかがえます。
 また、私が参加している語る会を含め幾つかの警察署にもこういった会が開催されており、また倫理研修班活動や各種の講習会等で積極的に民間人を招いて意見を聞くなどして警察活動に民意を反映させる努力をしていると聞いております。無論、昨年あれほどの不祥事が発覚したばかりであり、県警は県民の信頼回復に向け今後も不断の努力を続けていかなければならないと思いますが、県警挙げてのこういった取り組みにつきましては、自己改革能力の発揮、自浄機能の強化という面から見て十分に評価できるものであり、県民の一人としても大きな期待を寄せている所存でございます。
 県警察をどう考え、どういったものにしていかなければならないかにつきましては、警察だけでなく県民全体として考えていかなければならない問題でありまして、そういった意味では県民の一人として今後もしっかりと意見を申し上げていきたいと考えております。
 前置きが長くなりましたが、日々の警察活動に大きくかかわりを持つことの多い法律実務家の一人として、今回の警察法改正について幾つか意見を述べます。
 結論から申し上げますと、公安委員会の管理機能の充実に関する規定、公安委員会に対し文書で苦情の申し出をすることができる制度を設けた規定、警察署協議会を設置する規定などを盛り込みました政府案に私としては賛成でありまして、ぜひ早急に本案を成立させていただきたいと考えております。
 以下、その理由を申し上げさせていただきます。
 まず、公安委員会の管理機能の充実に関する規定の新設につきまして、神奈川県警察においては、昨年の一連の不祥事の発覚を機に、不祥事の発生、処理に関して公安委員会にその都度報告を行い、指示、指導を受けるなど監察に関して積極的に公安委員会のチェックを受けて誤りのない対応に努めているとのことでありますが、今回の政府案はまさにこのシステムを法制度的に確立しようとするものだからと考えられるからであります。
 参考ですが、実際に語る会に出席した際には、公安委員の方も会に出席されて我々の議論の様子を傍聴するなど、警察活動のあり方に関する県民の声にしっかりと耳を傾けておられました。公安委員会みずから寸暇を惜しんで署の巡視に出かけたり、警察学校や警察署で直接みずからの意見を職員に語りかけたり、各種会合等に参加するなど、生きた警察をしっかり把握しようという意識が感じられます。
 このようなことから、公安委員会と警察組織の管理運営という緊張関係が従前に増して機能しているのを肌で感じているところでございまして、法改正によってこの関係の一層の充実化を図っていくことが期待できると考えられるからでございます。
 次の、警察職員の職務執行に苦情のある者は文書により公安委員会に申し出ることができ、これに対して公安委員会は、法令または条例の規定に基づき誠実に処理し、その結果を文書により回答しなければならないとする規定ですが、これも従来なかった公安委員会と県民の直接のパイプが創設されるということになるため、県民の声がより警察運営に反映されることになり、警察に民意を反映する上で極めて有効な制度であると考えます。
 その上、文書によらない苦情の申し出につきましても、警察本部長に集約の上、適正に処理し、公安委員会に報告すべきであるとされておりますが、こういった制度の充実により、本年幾つかの県で大きな問題となった事案、県民が切実な思いで警察に対応を求めてきたにもかかわらず、警察が真摯に対応せず痛ましい結果が発生したような事案も組織として迅速かつ的確に取り組むことにより防げることになるものと期待しております。
 現在、神奈川県警では、各種警察活動に対する不満や苦情といった県民の声を本部の監察官室が監察ホットラインで受け付け、速やかに署に指示するなどして処理しておりますが、さらに今後、こういった県民の声を県民の良識を代表する公安委員会に申し出て、公安委員会が県民の立場に立って処理を行い、あるいは処理結果を確認の上文書で回答することになれば、県民の警察に対する苦情はこれまで以上に誠実かつ適切に処理されるものと思います。
 参考までに、現場の多くの警察官から聞いた話によりますと、警察に対する苦情の中には、取り締まりや捜査への牽制と見られるものや、一方的な誹謗、民事訴訟を有利に進めようとするもの、あるいは警察の所掌事務を越えたもの等が相当数あることも事実でありまして、警察側も対応にいささか苦慮している面もあるようですが、こういったことを極力回避するためにも、申し出者や苦情内容を特定するために文書による申し出にしたこと、そして公安委員会の見識や公平な立場で判断することとしていることは制度として妥当であるものと考えております。
 最後に、警察署協議会といった制度につきましては、警察署の業務運営に地域住民の意向を反映させるため、各警察署に地域住民を代表してその意向を表明するにふさわしい方にそのあり方について意見を聞くための機関と理解しております。当然に警察署によって犯罪や交通の情勢も大きく異なっており、各署の警察活動はそれぞれ地域的特性を持つべきものでありますから、地域社会が切実に必要としている活動に重点を指向していくためにも効果的な制度になりますでしょうし、むしろ我々県民側も、こういった場を通じて地域社会の安全のために積極的に発言するとともに、必要な協力をしていくべきと考えているところであります。
 今回の警察法改正に関して幾つか意見を述べましたが、警察改革といった観点から議論の参考としていただくべく、もう数点申し上げたいことがございます。
 一つが、警察の体制の見直し、人員のシフトと必要な増員措置であります。仕事で警察署にお伺いしても、とにかく忙しく、人が足りない状況がよくわかります。もちろん警察も人員やシステムの合理化を行っていく必要はあると思いますが、物理的にどうしようもないところは増員等で対応していかなければならないのではないでしょうか。
 二つ目が、一生懸命仕事をしている者に対する正しい評価と、やる気をなくしている者に対する厳しい人事措置を真剣に考えていただきたいということであります。悪貨は良貨を駆逐すると言いますが、活力のある健全な組織を保つ上でもそういった制度がどうしても必要だと思います。
 その三が、個々の職員の実務能力の向上と装備資機材やシステム等の高度化であります。特に新しいタイプの犯罪にやや警察の立ちおくれが見られる中、喫緊の課題と考えます。
 最後に、警察がやるべき業務とそうでない業務の振り分けであります。これは明確な区別は難しいのかもしれませんが、二十四時間稼働している官庁として、あらゆる業務への対応を求められている今のような状況が続けば、警察は本来的業務である犯罪の捜査等に対する体制を維持できなくなり、ただでさえ低下著しい検挙率が一層低下することにもなりかねず、私はこの傾向を非常に危惧しております。
 以上、警察活動を見る機会の多い一弁護士として日々思っていることをるる申し上げた次第です。本法律改正により、神奈川県警察を初め全国の警察がより一層県民のための警察として確立されることを心より祈念し、私の意見陳述を終わらせていただきたいと思います。
 以上でございます。
#189
○団長(朝日俊弘君) ありがとうございました。
 次に、岩村公述人にお願いいたします。
#190
○公述人(岩村智文君) 私は、日本弁護士連合会の中で警察問題を検討してきた一人として、私の立場から意見を述べたいと思いますが、私の考え方で少しでも皆さんの審議に参考にしていただければありがたいと思っております。
 まず、警察改革の視点という形でお話をさせていただきたいと思います。
 警察改革の問題を考える出発点は、今回の一連の警察不祥事が単なる幾つかの地方組織なり警察署、警察官のたまたまの現象なのか、警察機構そのものに根差した不祥事なのかを解明するところにあります。たまたまの現象にすぎないということになれば、警察内部の自浄作用に期待し、それを活性化することが警察改革の出発点となります。そうではなく、この間発覚した警察の不祥事が警察の機構、活動、組織実態、警察権限のありようそのものから必然的に発生したのだということになれば、警察改革は警察それ自身に期待するのではなく、外科的手術が必要だということになります。
 警察の不祥事は、神奈川県警問題に発し、全国的に次々と発覚してきました。新潟県警の問題は、不祥事が一部の警察組織の事象でないことを典型的に示しました。警察法改正法案が審議されている現在でも不祥事が後を絶ちません。不祥事の根の深さが示されています。これはもう不祥事というよりは構造的な腐敗というべきものと私は考えております。
 警察の不祥事の背景について検討してみたいと思います。
 我が国においては、戦前の警察は行政警察中心主義の警察でした。戦後、日本国憲法のもとで、警察は原則として司法警察、刑事警察を中心とするものに変えられました。個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕を第一義的な警察の責務とした警察法二条もこのことを条文化したものと言えるでしょう。警察は私たちが安全に暮らす上で欠かすことができないものです。しかし、警察活動は何といっても権力的な作用を持ったものですから、市民生活の場面では積極的に何にでも顔を出し、首を突っ込んでくるということは好ましくありません。警察がかかわれる範囲を厳格に限定した戦後警察の精神は守られなければなりません。
 ところが、ここ十数年来、警察の行政規制権限が大きく拡大してきました。いわゆる風営法、正式に言いますと風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、暴対法、ストーカー規制法などですが、これらは公安委員会、実際は警察が裁判所の判断なしに人の自由を規制できるという方式を採用しています。
 次いで注目しなければならないのは、一九九四年の警察法改正によって警察が生活安全警察へと大きく変貌しようとしていることです。それは、警察が地域社会の安全と平穏を守るために地域に密着し、地域住民とともに生きるということです。警察が二十四時間、昼も夜も地域の隅々にまで目配りをして地域の問題解決に関与していくというわけです。こうして地域社会活動の面でも警察活動は大きく広がってきています。
 さらに、警察の情報収集活動の拡大も見逃せません。警察が一般的に情報を収集していることはよく知られているところですが、それに加えて交番による情報収集があります。これで相当の個人情報が収集されていると思われます。全国の道路に配置されているNシステムという監視カメラでの情報収集、運転免許の登録と更新でも個人情報は収集されます。最近成立した盗聴法でも情報が収集される仕組みになっています。このように、現在では警察は余りにも膨大な情報を保有している組織となっています。
 警察は、戦後の精神から比べると今述べたとおり大きくさま変わりしてきています。かようにさま変わりしてきている警察で不祥事が続発しているのです。警察の権限、活動範囲はこれまでどおりでいいかどうか見直されなければなりません。国民の自由、生活の安全と平穏のために真に奉仕する警察のあり方が早急に検討される必要があります。
 警察の改革の方向について述べたいと思います。
 警察改革の方向の第一は、警察の民主的コントロールです。とりわけ、監視・チェックシステムの構築です。既に述べたとおり、警察の自浄能力だけでは警察の改革は期待できません。警察の組織や業務に精通している者が監察に当たるだけではその実効性が保証できないことは、新潟県警の事案で明らかとなっています。そういう意味で市民が参加する外部監察制度が必要です。
 次は、公安委員会の機能化、活性化です。
 警察法によれば公安委員会は警察を管理することとなっています。管理という言葉の本来の意味は、監督する、所轄するといった用語よりも、法令用語ですが、指揮監督権が強く働く用語であって、当該機関に対する主任の大臣の指揮監督権が内部部局に対する場合と大差ないくらいに立ち入って行われ得ることを示したものです。公安委員会と警察の関係をこの管理の本来の意味のとおりとらえて、両者の関係を見直すべきです。この管理に監察が含まれることは言うまでもありません。監察とは行政監督上の立場から調査しまたは検査することを言うのですから、当然含まれるわけです。調査または検査の目的は、公務上の犯罪、非違または事故に関することを指しています。公安委員会に警察に対する指揮監督権を行使させ、監察権限を付与すべきです。
 公安委員会の機能強化、活性化のためには、公安委員の選任方法、組織のあり方、例えば常勤の公安委員を選任する、独自の事務局の設置など、こういう工夫が必要です。運営は、例えば会議の公開を原則とするとか、そういうことをする必要があります。こうしてそれらを抜本的に見直すことが必要でしょう。こうした改善は国家公安委員会、都道府県公安委員会の両者に共通に求められています。
 公安委員会の委員の選任方法は公選が望ましいものですが、とりあえずは、警察の作成するリストからの選任は取りやめて、行政と立法機関の両者が責任を持って選出してほしいと考えております。イギリスの警察委員会では治安判事も入っていまして、これは司法的能力のある者が入る必要があるということで入れていると思いますが、日本では弁護士会から委員を参加させるということも一つの方法と思われます。
 公安委員会の機能強化、活性化にとっては、その活動が国民の目に見えるようにすることが必要です。そのためには、公安委員会の活動が国会や都道府県議会に報告され、公安委員会の会議が公開されなければなりません。公安委員会が何をしているかが国民にわかるようにすることが公安委員会活性化のかぎです。
 以上の考え方は、警察の内部監察をないがしろにするものではありません。当然のことながら、警察それ自体の内部的な監察の強化も必要でしょう。警察の不祥事根絶のためには、今まで述べた外部監察と内部監察の複合的機能強化が求められていると考えております。
 我が国の警察機構は、自治体警察が基本と言われています。しかし、実態はそうなっておりません。この機会にぜひとも都道府県公安委員会を充実させ、活性化することが強く求められています。地方分権一括法によって都道府県警察事務が自治事務になることとあわせて、都道府県議会条例の活用などで都道府県公安委員会を実質的に強化して機能化し、自治体警察の方向に転換を図っていくべきと考えます。
 警察改革のポイントの一つは、警察が保有する行政情報の開示の問題です。
 警察が巨大な情報機関であることは既に述べましたが、一方で警察は、警察保有情報を徹底して隠す体質となっています。他人の情報は握り、自分の情報は隠し、適当に情報をリークして情報を操作するといったやり方をする組織は必ず腐敗せざるを得ません。警察の不祥事の根源の一つが警察の秘密体質にあると言っても過言ではないのです。警察が、現に捜査に影響を及ぼす情報以外の情報を積極的に開示し、開かれた組織になることが必要です。
 警察経理の不正が指摘されています。裏金がつくられ、流用されているとも指摘されています。経理面の不正は、組織そのものの腐敗です。現在の警察で不正経理があると指摘されていることだけでも重大です。警察は、こうした指摘が身に覚えのないことであることを明らかにするためにも、積極的に経理面の情報を国民に開示し、経理面において透明な警察になるようにすべきでしょう。
 政府提出の法案には、当然のことながらキャリア警察官の声を反映しているのでしょうが、ノンキャリア、特に巡査とか巡査部長などといった第一線で働く警察官の声は反映しているとは思えません。第一線の警察官が置かれている現状をつかみ、その声を反映することが警察改革にとって不可欠です。
 警察改革が今回の改正によって終わるものでないこと、国会議員の皆さんがこれからも改革を粘り強く進められることを期待しまして、公述人としての私の意見を終わります。
#191
○団長(朝日俊弘君) ありがとうございました。
 最後に、森公述人にお願いいたします。
#192
○公述人(森卓爾君) 自由法曹団警察問題委員会委員長の森卓爾でございます。当地新横浜で弁護士をしております。
 本日は、警察法改正問題につきまして意見を申し述べる機会を与えていただきましてありがとうございます。
 私の発言の資料といたしまして、自由法曹団が発行しました「警察改革への緊急提言 増補版」と、私が法律新聞の論壇へ投稿いたしました記事を配付させていただいておりますので、御参照ください。
 今、警察は、国民から大きな批判を受け、抜本的改革が求められております。当地神奈川県警に限りませんが、警察官の犯罪行為、腐敗行為、人権侵害、職務怠慢、捜査の不手際などがクローズアップされました。神奈川県警の元本部長ら県警幹部による覚せい剤事犯の犯人隠避事件について、横浜地方裁判所は、元本部長らの行為を万死に値すると断罪しました。ここまで裁判所に言わせてしまった事態を警察関係者は真剣に受けとめるべきであります。
 これらが生じた原因について、私は、組織としての警察の体質に問題があると考えております。
 その第一は、警察の極端な秘密主義です。
 警察は、犯罪捜査の秘匿性を理由に、その予算、組織、通達、教育等の具体的内容を国民に明らかにしておりません。何事も隠してしまうというのが警察の体質です。警察官教育の内容、カリキュラムの詳細は明らかにされておりません。個々の警察官が憲法を守り、人権を守るためには警察官に対する人権教育が重要でありますが、これらの教育はなされておりません。この秘密主義の背景には、警察における警備公安警察の極端な偏重があり、国会でも裁判所でも立ち入りを許さない聖域をつくり出しているという現実があります。
 私は、緒方靖夫さんの自宅の電話が神奈川県警警備部公安一課の現職警察官によって盗聴された事件の国家賠償請求事件について緒方さんの弁護団の一員として活動しました。その際、被告とされた現職警察官らは裁判所の呼び出しには出たくないから出ないとして出頭しませんでしたし、法廷に出頭した警察官証人は、具体的事実のみならず、抽象的な組織、通達、教育内容等の多くの事項について証言を拒否いたしました。このような秘密主義は改められるべきです。
 第二に、警察には市民の批判を受け入れる姿勢がなく、自浄作用が働かない体質があります。人権侵害事例について各地の弁護士会が警察に対して警告書を出すことがありますが、警察はこれを受け取ろうとしないし、また調査に協力しないことが多くあります。警察は他からの批判を受け入れようとはしないのです。
 自浄作用が働かないということでいえば、本来、監察官室は、警察官の不祥事が発生した場合、事実を究明し、これを国民、県民に明らかにして批判を受け、同様な事案が再発しないようにすべき職責があるにもかかわらず、さきに述べた神奈川県警幹部の覚せい剤事犯犯人隠避事件では率先して事件つぶしにかかわっておりました。監察官がその役割を果たしていないことが明らかになりました。
 もはや警察内部のみの改革では不十分であり、警察を管理する公安委員会制度の改革と外部監察は必要不可欠であります。
 第三に、個々の警察官の人権感覚の欠如が問題です。本来、強力な警察権、強制権を持つがゆえに警察官は、法に従い相手の人権を最大限に尊重しなければならない職責があるにもかかわらず、現実には成績至上主義、検挙第一主義のもとで人権侵害を繰り返しております。
 私が現在担当しております事件で、神奈川県警小田原警察署の警察官が被疑者逮捕後警察署内で被疑者に対し顔面を殴打したり、右目付近を足げにした事実があります。この事実は裁判所の判決によって認定されております。これは平成九年五月二十二日に発生した事件です。いまだに密室の中でこのようなことが行われていることに注目する必要があります。
 これら警察の問題点、体質を踏まえて、警察改革の方向を考えるべきであります。
 第一は、警察の秘密主義を打破する情報公開が重要です。私は、基本的には警察情報は個別具体的な捜査情報を除いて公開すべきであると考えています。情報公開の対象を広げ、情報公開法や情報公開条例に基づく除外規定は厳格に解釈して、行政機関の長の恣意的な拡大解釈を許さないことが大切です。そして、それを担保するために、情報不開示に対する不服申し立てと第三者機関による審査手続が必要です。
 警察の情報公開を考える場合、国民はどこにどのような情報があるかをほとんど知りません。警察情報の公開の前提として、警察が保有している情報の種別、標目、管理部局が国民に明らかにされなければならないと思います。
 改革の第二に、公安委員会の民主的な改革が必要です。公安委員会制度の目的は、国民の良識を代表する者が警察行政の運営を民主的に管理し、その独善や政治的偏向を防止して国民の基本的権利を擁護することにあります。しかし、この間の公安委員会を見ていると、公安委員会が正常に機能しているとはとても思えません。公安委員会が機能していない原因は、その人選と運営が警察の意向に沿ったものとなっていること、独自の事務局を持たないことにあると思います。
 公安委員会を民主的に改革し、機能を強化するためには、公安委員の選任の方法を改めること、警察から独立した事務局体制を確立することが必要であると考えております。つまり、警察の意向を受けた人選を排除することと、公安委員会委員を補助し、実務を担当する自前の職員を確保することが必要だと思います。
 第三に、警察刷新会議の緊急提言を受けた今回の警察法改正において、監察について、第三者機関による外部監察については不要であるとしております。警察内部に精通していなければ実効ある監察はできない等と理由をつけておりますが、警察内部の監察強化は当然必要です。問題は、国民の批判や意見を受け入れない体質、自浄作用が働かない体質の警察に内部の監察だけでは不十分であるという点です。十分な監察を行うためには第三者機関による外部監察が必要であると考えます。
 第四に、警察の抜本的改革には、警察官に対する人権教育が重要であると考えております。国連の国際人権(自由権)規約委員会は、一九九八年十一月五日、人権に関する日本政府の報告書を審査し、最終見解を採択しました。その三十二項には、委員会は、規約で保護された人権について、裁判官、検察官及び行政官に対する研修が何ら提供されていないことに懸念を有する。委員会は、このような研修を受講できるようにすることを強く勧告するとしております。この行政官には警察官が当然含まれます。国際的にも警察官に対する人権教育は早急に実施されなければならないと思います。
 最後に、自浄作用が働かない警察にあって、警察内部からの民主的な改革がなされるために、警察官に一般公務員並みに労働基本権を認めること、警察人事の不公正、不公平の典型であるキャリアシステムの廃止と人事の公平を図ること、警察官の個人責任を明確にするために警察官は名札を着用することを提唱して、私の意見陳述を終わります。
 御清聴ありがとうございました。
#193
○団長(朝日俊弘君) ありがとうございました。
 以上で公述人の方々の意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより公述人に対する質疑を行います。
 なお、委員の質疑時間が限られておりますので、お答えはできるだけ簡潔にお願いいたします。
 また、御発言は私の指名を待ってからお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#194
○木村仁君 自由民主党の木村仁でございます。
 まず、時間に制約がございますので、簡単に神奈川県警と神奈川県民とのその後の関係についてお伺いをしたいと思います。
 言うまでもなく、今次の警察改革の発端となりましたのは神奈川県警における不祥事でございました。そして、沢藤公述人からも詳しく御説明がありましたように、神奈川県警は非常に努力をして県民との信頼関係の回復に努めているというお話でございましたので、心強く感じる次第でありますけれども、この点について、この事件発生以来、どのような県民との信頼回復について効果が生じつつあるか、なかなか難しい問題かもしれませんけれども、一般的な御感想でよろしいのでお聞かせをいただきたいと思います。
 特に、警察の自浄作用ということが問題にされております。その警察の自浄作用というものが失われているのか、あるいは、いやそうでなくて、いろんな不幸な事故があったけれども、警察の自浄作用はその努力によってまた回復され、保たれているとお考えになっているか、その点について田中公述人と沢藤公述人に簡単にお答えをいただきたいと思います。
#195
○公述人(田中利幸君) 数年前に起こった事件について見直しがなされて、茅ケ崎署の件でございますけれども、新たに問題とされるということも報道されております。ということは、ごく最近のものだけではなく、問題となるような事柄について検討をしている。つまり、それが具体的な自浄作用の内容として例示できると思います。
#196
○公述人(沢藤達夫君) 今般の一連の不祥事につきましては、まことに県民の一人としても残念であると考えております。しかしながら、この一連の不祥事によって、県警全体が病んでいるというふうに考えるのは早計であると考えております。
 先ほど申し上げました神奈川県警を語る会に出席しまして、警察幹部の方と意見交換ないし意見を申し上げた際にも、幹部の方からも再生に向けて強い意欲と真剣さというものを感じておりますし、さらに、やはり危機感すら感じておられるのではないかというのが、私が直接感じた印象でございます。
 したがいまして、自浄作用については、もちろん結果が出るまである程度時間がかかるという面はあるかもしれません、組織としては大きいものですので。しかしながら、自浄作用が徐々に効果があらわれて、必ずや再生できるものと期待しております。
 以上です。
#197
○木村仁君 この一連の不祥事等による、県民との信頼関係が非常に失われるという危機に直面したということのために、警察全体の士気の低下、特に第一線の現場の警察官の仕事が非常にやりにくくなっているというようなことも漏れ聞きますけれども、その点については、田中公述人、いかがでございましょうか。
#198
○公述人(田中利幸君) 私は、そういう県民の批判的な目というのは当然であって、その目に萎縮しているような暇はない、そういうときではないというように思っております。
 一回一回の批判的な目、そういうものを自分の中に受けとめて、しかし、それにもかかわらず毅然とした態度がとれるような体制をつくり、一人一人の警察官としても、自己を反省しながら誠実に確実に業務を遂行していくということによってのみ信頼の回復は行われるものと考えております。
#199
○木村仁君 それから次に、公安委員会の管理機能の強化という面についてお伺いしたいと思います。
 私も、ある県で公安委員会の委員の任命の過程に知事を直接補佐する者として参加したことがございますが、私の経験した限りでは、警察の方から人の名前が挙がってきて、それを検討して決めたということではございませんでした。知事部局の方から、知事が選定した人を警察にあらかじめ提示をして意見を聞く。そうすると、警察のことでありますから、非常に詳しくその方について情報を集めてまいりまして、いや、ここにはこういう難点があるから勘弁してくれというようなことが何度か繰り返されまして、そして公安委員の任命をしたという記憶がございます。
 私は、そういう意味では、多くの行政委員会の中でも、公安委員には最も有能かつ清廉潔白な方々がなっておられると思いますので、この方々の機能を十分に発揮することによって警察刷新の一部が担われていくのではないか、こういう意味では沢藤公述人、田中公述人の御意見と一致するものでございます。
 そこで、そういった公安委員が、従来は交通違反事件の免許停止の判断等を主たる仕事として、実質警察を管理するということは行っていなかったのではないかという点については、私も非常にそういう感じを持っておりましたので、今回の、主として一番具体的には監察の具体的、個別的指斥、そしてそれを的確にフォローしていく制度というものに期待をいたしております。
 そこで、国会における委員会審議の中でも問題になったのでございますけれども、この公安委員会の庶務その他の事務は、例えば警察本部長の事務組織の一部で行われている、これを独立させたらどうかという議論がありまして、それは警察刷新会議の中でいろいろ議論の結果、その必要はないということであったと思いますけれども、それにしても、警察本部の中で、主として公安委員のいろんな指示に従って監察の準備をするというような部署を警察官あるいは知事部局からの出向の職員をもって構成してはどうかという意見が出されましたが、これについて田中公述人、沢藤公述人の短い御意見を伺って帰りたいと思います。
#200
○公述人(田中利幸君) 補佐室の設置というのは非常に適当なものであろうと思われます。その補佐室には、警察の業務が広範にわたりますから、それに通じた、したがってある程度経験の十分な方を配置するのが適当であろうと思われます。
 そして、それをもってすれば、人選につきましても、先ほど来御指摘のとおり、議会自体もこれまでのあり方等を前提にしつつ、しかしさらによい方向でどういう人物を選ぶのが適当であろうかという判断をなさるものと思われます。それが組み合わされば適当な結果が得られてくるものと思われます。
#201
○公述人(沢藤達夫君) 公安委員会の機能を強化するということは極めて重要なことであります。したがいまして、その事務方といいますか、補助機関についても充実させるという方向性そのものは非常に重要であると考えております。
 ただし、公安委員会と警察との関係というのは一種微妙なものもございまして、独立した事務局を設置するのがいいのかどうかということは、十分慎重に考慮する必要があるものと考えております。
 以上です。
#202
○木村仁君 次に、警察署協議会のことについて一点だけお伺いをしておきたいと思います。
 警察と住民との信頼関係を維持していく上では、これは使い方によっては非常に効果的な制度でもあろうし、あるいはまた人選とかその運用の仕方によっては全く無用の長物をもう一つつけ加えるということになるおそれもあると思います。一体どのような地域の方々がこの協議会の委員になられるのがよいのか、それについて、田中公述人、沢藤公述人、そしてまた岩村公述人の御意見を少しずつお伺いしたいんですけれども。
 実は、私どもの同僚議員の委員会における質問の中で、この協議会の委員に、例えば有権者の中から任意に抽せんで抽出して、そしてその人たちの同意を得て任命する、そして短い任期でたくさんの方々が参加するという部分があってよいのではないかと。ちょうど、検察審査会のような制度、あるいは今、司法制度改革で問題になっている、陪審員の制度等が議論されておりますが、そういう感じのものをこの協議会に入れて、できるだけ多くの方々が警察とある意味で接点を持って親しむようになるということがよいのではないかという考え方が出されておりましたけれども、その点も含めて、人選という問題について御意見をお伺いしたいと思います。
#203
○公述人(田中利幸君) 人選は、まず第一に警察に批判的な人を積極的に受け入れるということが必要であると思います。それから第二には、地域社会で積極的に活動している人たち、これを受け入れるということが必要であります。第三番目には、先ほどのお話のように、一定の部分を選挙人の中から選ぶということは、住民の意識を高める、住民が参加するという意識それ自体を高めるという意味において一つの有効な方法であろうと思います。
 具体的には若干検討しなければならないものが恐らく残されると思いますが、基本的な方向は適当であろうと思われます。
#204
○公述人(沢藤達夫君) やはり警察活動、いわゆる治安を守るという意味におきまして、従来、警察にすべてを任せておけばそれで足りるという発想があったのではないかというふうに思います。
 そのような意味で、これからは、当然警察を中心にして行うべきものでございますが、治安維持に関しても地域住民の参加によってこれを実現するということが必要不可欠であると思います。
 そのような意味で、このような協議会を設置することそのものも非常に有意義なことであり、またその人選につきましても、今御質問のありましたように、なるべく多くの地域住民の方が委員となられて、幅広い観点から警察活動に対しての批判的ないしは応援をするという形での意見を述べるということが必要であると考えます。
 以上です。
#205
○公述人(岩村智文君) この警察評議会というのはイギリスの制度を一つの参考にしたと思うんですが、これが具体的に実体化するかどうかというのは、テーマですとかあるいはそこに出るいろいろな資料、こういうものをだれがどのように選択するかという問題も非常に重要になりますので、こういったものも評議員になった人たちがある程度関与できるようなシステムをつくる必要がある。
 それからもう一つ、先ほど批判的な人を入れるという意見が出たんですが、これが本当に実現するのかという、どういう人が入ってくるかということがこの評議会が本当の意味での評議会になるかどうかの分かれ道だと思いますので、この点をしっかり見据えていきたいと思うんですが、大事なことは、イギリスでは市民警察の五原則というのがありまして、その第一で、警察は市民の使用人として存在するという、これはイギリスの五原則ということで第一原則になっておるんですね。
 だから、警察というのはある意味でいうと市民の奉仕者だよ、市民が主人なんだよということが第一原則で、この評議会のようなものがイギリスでもできているという、そのあたりを警察の方々が考えを大きく変えられて、そういう立場で運営されれば、かなりおもしろいものになるとは考えております。
#206
○木村仁君 時間がございませんので、最後に。
 警察と民事不介入の原則をめぐる議論が委員会でも随分闘わされました。
 二十四時間地域にあって、そしていろんな形で住民と接しながら仕事をこなしていくという警察官の部分、これが非常に重要だということはわかりますし、例えば新潟の少女監禁事件あるいはストーカーによる悲惨な殺人事件等、やっぱり民事不介入の原則が余りにも警察官によって守られ過ぎたための一つの原因として、ほかにもいろいろ原因がありますが、起こったというような評価もございました。
 その民事不介入の原則と警察官の仕事という点について、神奈川県の実情からおわかりのことを沢藤公述人にお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
#207
○公述人(沢藤達夫君) 確かに、民事不介入の原則というのは、警察と民事事件との関係という意味では極めて重要な原則、理念でございます。
 しかしながら、今お尋ねがありましたように、私も現場の弁護士として、事件のいろいろな現場、事件を処理している中におきまして、率直に申し上げまして、警察サイドでこれは民事不介入だというような理由で非常に事件対応が消極的な面があるのではないかという印象はあるものと考えており、今後、このような事件、非常に警察も忙しいというのはわかるんですけれども、民事不介入ということだけで捜査権の執行拒否をせずに、真剣にその必要性等について御検討をいただくよう今後の努力をお願いしたいというふうに考えております。
#208
○木村仁君 申しおくれましたが、森公述人には御質問の時間がなくて、大変申しわけございません。
 各公述人の大変参考になる御意見をいただきましたので、いただいた資料等も勉強させていただいて、参考にしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#209
○浅尾慶一郎君 本日は、公述人の皆様方には大変お忙しい日程の中、こうして私どもの委員会のために大変貴重な御意見をいただきましたことを、冒頭御礼を申し上げたいと思います。
 さて、警察法改正、いろいろな論点があるわけでございますが、私の方からも幾つか質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。
 まず第一に、公安委員会並びに公安委員会が行います警察に対する管理、なかんずく監察の面に関して田中公述人と岩村公述人との間で幾つか見解の違いというものがあるように思いましたので、お伺いしたいと思います。
 具体的には、田中公述人の方から二つの観点があると。客観的な視点という観点からは、外部監察というのが有効であろうが、しかし警察に対する精通ということを考えると、警察組織が監察をした上で公安委員会あるいは外部の者がさらにそれを精査するというお話をいただいたと思いますが、その中で果たして監察をされる警察の人がまたその後警察の他の部局に異動するということを考えた場合に、どこまで身内に対して客観的な監察ができるかという疑問が起ころうかなと、こういうふうに思っております。
 その点について田中公述人、そしてその意見を受けて岩村公述人から御意見をそれぞれ伺いたいと思います。
#210
○公述人(田中利幸君) これは要するに警察の体質の問題であると思います。今その体質を改善する姿勢が見られるかどうかという判断でございます。したがって、徹底的に監察を施すのだ、そしてその監察が施されているかどうかということを公安委員会がちゃんとチェックできるかどうか、それによって体質の改善がちゃんと図られるかどうかということであろうと思います。
 したがって、公安委員会の果たすべき役割というものも非常に大きいということだというように理解しております。
#211
○公述人(岩村智文君) 監察あるいは管理といろいろ言葉を使っておりますけれども、公安委員会が警察の業務を事細かく見ていくということになれば、業務に精通しているということはかなり必要だというふうに思います。
 ですから、公安委員会が具体的に管理権限があるからといってどこまで業務に介入するかというのはこれはまた微妙な問題があるというふうに考えておりますが、そのことと違って、現実に警察官の公務上の犯罪ですとか非違行為があった場合にそれを的確にチェックしていくという、こういう機能は必ずしも業務に精通しているという必要はないわけでありまして、ある意味でいえばそういう理非曲直をきちんと判断できるという、そういう能力が必要だというふうに考えております。
 警察が常に、刷新会議の中で問題になったわけですが、業務に精通していない限り無理なんだという、こういう言い方はない、ただし業務に精通している側面も必要ですから内部監察も当然必要だろうという、この組み合わせをうまくやるということが大事だというふうに考えております。
#212
○浅尾慶一郎君 業務に精通していなくても重要な事案については外部の人でもよくわかるというのは私はそのとおりだと思いますが、果たしてそれでは、公安委員が現状二十四時間というか、フルタイムの業務でない場合も往々にしてあるわけでありまして、そういった方々でも独自の事務局を持たずして管理をすることが現実的に可能かどうかということを田中公述人と岩村公述人に伺いたいと思います。
#213
○公述人(田中利幸君) 独自の事務局でなくてもそれはできると思います。独自の事務局を持った場合には逆に効率性の問題も出てくると思いますし、効果と費用との関係からいえば常にその方が適当であるというようには考えておりません。
#214
○公述人(岩村智文君) 先ほど述べましたように、独自の事務局が必要だというふうに私は判断しておりまして、公安委員会もすべての公安委員を常勤にするかどうかというのは、これはなかなか難しい問題があると思いますが、素人性というのを生かすためには。ですけれども、少なくとも一人は常勤になって事務局を統括するような仕事をする、そういうふうにして日常的な活動を継続しながら時に非常勤の公安委員の方々が加わってさまざまな角度から検討して活動していく、こういうスタイルが私はいいのではないかというふうに考えております。
#215
○浅尾慶一郎君 それでは、専門性を要する監察についてまた両公述人にお伺いしたいと思います。
 専門性を要する監察といった場合に、私は、例えばアメリカの警察などは内部監察の方は基本的に人事異動がなくずっと内部監察であるというふうに理解をいたしておりますけれども、何を申し上げたいかというと、人事の面において内部の人たちを監察するというのはなかなか人情の面からいっても難しい部分があると思いますが、人事体系が監察の専門という形になってくればそこは他の部門との間にある面ファイアウオール的なものができてくるんではないかなというふうに思っておりますが、田中公述人、岩村公述人、若干御意見の違いがあろうかと思いますが、そこの監察を警察内部で専門性を要してやる場合にはどの程度まで他の部局との人事交流を認めるのがいいと思われるかという点に関してお伺いしたいと思います。
#216
○公述人(田中利幸君) 監察をするためには、やはりそれぞれのところの勘どころをつかむだけの経験と知識が必要であろうと思います。したがって、その点からいえば交流が必要である。しかし、他方では御指摘のような問題もございます。そこのところは一種のバランスであろうと考えております。
#217
○公述人(岩村智文君) 今おっしゃられたとおりなかなか同じ部署といいますか、もとへまた戻るところの人たちを監察するというのは非常に難しいわけですが、内部監察という場合にはある程度これはやむを得ないのではないかというふうに考えておりまして、その交流は含めながらもしかし監察というところに行った場合にどういうふうに独自的な活動ができるか、自立できるかというあたりは人事面でも相当考慮しなければいけないというふうには考えております。
 ただ、そのことと、こういうことがあるからこそまた別にもう一つ外から見る目も必要だというふうに感じているわけです。
#218
○浅尾慶一郎君 それでは、今御指摘のありました外から見る目の部分の公安委員会あるいは公安委員に関してお伺いをしたいというふうに思いますが、これはせっかくですから四人の公述人の方にお伺いしたいと思います。
 公安委員の方々がもちろん政治的に中立でなければいけないと。今の警察法に警察そのものが政治的に中立を求められておりますから、公安委員も政治的に中立が求められるわけでありますけれども、そのことと公安委員がチェックをされないということは私は別問題というふうに考えております。
 すなわち、公安委員に任命された、国家公安委員であれば国会に対して報告をし、そしてそこで質疑を受ける、都道府県公安委員会であれば当該都道府県の議会に対して警察の現状について報告をし、それぞれの議会から質疑を受けるということがあって初めてチェック・アンド・バランスということがきくんではないかなというふうに思っておりますが、今度の改正警察法の後にでも、もちろんそれは議会側の判断でありますが、各公述人はそうしたことをまず行うことに賛成かどうかということ、そして行うとしたら大体どれぐらいの頻度で行うべきかということをお伺いしたいと思います。
#219
○公述人(田中利幸君) 先ほどもお話しいたしましたけれども、人選、そして公安委員会の活動がどのように行われているかということについてそれをチェック、確認していくという点で議会の果たすべき役割も大きいと思います。そのことが、あるいはそのことまで自覚されたということが今回の議論ではとてもよかった点であろうと思います。
 頻度は、その事柄にもよりますので一概には申し上げられませんけれども、事件が具体的である場合には高い頻度で、そうでなくても月に一度あるいはそれに近い内容でチェックがなされるのが適当であろうと思います。
#220
○公述人(沢藤達夫君) 現状における神奈川県の公安委員会及び委員と神奈川県警の関係について神奈川県警の幹部から聞いたところによりますと、やはりいずれの公安委員の方も非常に一家言を持っておられて、いろいろ御指導いただく場合にも非常に厳しい対応といいますか、言い方としては怒られることもしばしばあるというような形ですので、私の認識としては非常に両者は緊張関係があるのではないかというふうに思っております。したがいまして、さらに議会等によるチェック・アンド・バランスということになれば、なお一層公安委員会の充実が図られるという形で非常に望ましいいいシステムではないかと思います。
 頻度につきましては、ちょっと私の方では一概にわかりませんけれども、しかるべく回数をよく御検討いただくという形になると思います。
 以上です。
#221
○公述人(岩村智文君) 公安委員の方々が先ほどから指摘されていますように清廉潔白、有能だということではないとか言っているわけではなく、多分そうだろうというふうに思います、ただ問題はそういう有能な方々であっても今まで機能不全に陥っていたということなんですね。
 ですから、これをどうするかというふうに考えなきゃいけないわけですから、この一つの方策は、今委員がおっしゃいましたように、その人たち自身どんな有能であっても、外から見えない中にいると結果を出せなかったというのが現実なので、やはり外から見えるようにしていく。そのためには、議会というのが最も大事なところですから議会に報告する、これは一番大事なことだというふうに考えております。
 頻度というのは、しゃくし定規に月一回とかいうふうにしていいかどうかというのはなかなか難しいので、必要に応じてというふうになってしまうんでしょうけれども、必要といってもわかりませんので、ある意味では月一回とかする必要があるかもしれません。ただ、これは柔軟に対応する必要があるというふうには考えております。
#222
○公述人(森卓爾君) 公安委員の人選の問題でいきますと、やはり国家公安委員は両議院の同意に基づいて選任されるわけですけれども、両議院の同意に基づく場面で委員の抱負、所信、そういうものを披瀝できる、そういう聴聞のような場所の設定というのは一つのアイデアではないかなと私は考えておりますし、自由法曹団としてもそういう提案をしています。
 それと、それに伴って当然のことながら議会に出席して報告をし、場合によっては質問も受けるということが内容の透明性、国民に理解を求めるという点では非常に重要なことではないかなというふうに思います。ただ、頻度につきましては、それこそ必要に応じてということしかちょっと言えないのかなというふうに思います。
 以上です。
#223
○浅尾慶一郎君 ありがとうございました。
 次に、警察署協議会についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
 私の理解では、公安委員会は、国家公安委員会は警察庁、そして都道府県公安委員会は当然のことながら当該都道府県の警察全体を見るわけでありますが、今度導入されます警察署協議会というのは、地域のそれぞれの警察署に関してさまざまな問題について取り扱っていくということで、いろいろな面で市民社会と警察との接点ができるという面では評価できるものなのかなというふうに思っております。
 先ほども御意見が田中公述人あるいは岩村公述人の方からもございましたが、加えての質問で恐縮でございますけれども、その御意見の中で批判的な人を入れていくべきだといったようなことがありましたが、むしろどちらかというと、今の議会と公安委員との関係じゃありませんが、警察署協議会の運営をどういう形でやっていくかということも同時に重要なことなのではないかなというふうに思っております。
 これは頻度と必要に応じてということになってくるでしょうけれども、質問は、どういった議案を取り扱うべきか、そして頻度はどういうことなのかという二点に絞って、時間の関係もありますので、恐縮ですが、田中公述人、岩村公述人にお伺いしたいと思います。
#224
○公述人(田中利幸君) 案件は、先ほど他の公述人からもございましたけれども、単に警察署長などの提出のものだけではなく、広く委員から提出できるようにしておくことが適当であろうと思います。それこそがまさに住民の声を反映させるということでありますし、住民が積極的に地域社会の問題に取り組んでいるときにそれを側面から支える、あるいは協力していくという体制がとられるものとなるからであります。
 そうでありますから、頻度は少なくとも月に一度は、できるだけもっと頻繁に行われることが適当ではないかというように思われます。その辺は他の警察署の業務との関係もありますから一概には申せません。
#225
○公述人(岩村智文君) これは、どういうものを議論するかということになりますと、イギリスの警察でつくられているコミュニティー協議委員会、それが一つの参考になると思うんですが、この協議会で協議できない事項としては、個々の事件についての法の執行あるいは警察官を相手取った不服申し立てというようなこと、直接的なそういうものだと個々の事件についてはできない、そのほかはできる。中には、警察隊の配置だとかそういうものまで議論できるというふうになっているんですね。
 その意味ではかなり思い切った内容まで議論できるというふうになっているんですが、日本ですぐそこまでいくかどうかというのはなかなか難しいんですけれども、議題というものは相当大きくとらえることができるんだということは運営の上で非常に重要だというふうに考えております。
#226
○浅尾慶一郎君 時間の関係で最後の質問になると思いますが、私は、信頼できる警察、市民と本当にともに歩む警察をつくっていくということは大事だと思いますが、そのために必要なのは、警察という大変大きな組織の活動を客観的にはかる尺度ということなんではないかなというふうに思っています。
 具体的に申し上げますと、先ほどいろいろな犯罪検挙率が下がっているということでありますけれども、当然マンパワーが足りないということあるいは投入した人たちがどれくらいの活動をしたかというさまざまな尺度が必要になってくると思いますが、そのことについて尺度をつくってまた公安委員会なりが評価していくということも必要なんではないかなというふうに思っていますが、簡潔で結構でございますので、岩村公述人、そして田中公述人にその点についての御意見をいただければ、それで質問を終わりたいと思います。
#227
○公述人(岩村智文君) 御質問の趣旨に合っているかわからないんで申しわけないんですが、やはり犯罪との関係というのが警察の活動の尺度だというふうに考えております。ですから、的確に犯罪に対応していく、この効果的な能力がどれだけあるか、そこで警察を評価していくというふうに考えております。
#228
○公述人(田中利幸君) 犯罪の検挙率は一つの有力なものでありますけれども、人員のシフトの仕方によってどこが変わるかということも生じてまいります。
 それから、警察署協議会との関係でいいますと、その地域の安全がどれぐらい高まったか、どういうように住民が感じたかということも重要なことになろうと思われます。苦情がどれぐらい減ったかということも重要な尺度であろうと思います。
#229
○浅尾慶一郎君 時間が参りましたのでこれで終わりますが、四名の公述人の方々には大変ありがとうございました。
#230
○大森礼子君 公明党の大森礼子です。
 公述人の皆様、きょうは大変ありがとうございます。早速質問に入らせていただきます。
 先ほど浅尾委員の方から質問があったのですが、警察署協議会についてどういうふうな制度にしていくべきかという、こういう御質問が浅尾委員からありました。それで、田中公述人、それから岩村公述人のところで終わってしまいましたので、その同じ質問を沢藤公述人、それから森公述人の方にお尋ねしたい。
 やはり、どんな制度ができましても、どんなふうにうまくこれを機能させていくかということが大事だと思います。そこで、この警察署協議会についてこんな工夫をしたらどうか、こういうやり方をとれたらうまくいくんではないか、こういうことがございましたらお尋ねしたいと思います。
 沢藤公述人からお願いいたします。
#231
○公述人(沢藤達夫君) 私自身のイメージといいますか考えといたしましては、やはり地域住民の警察活動に対する意思の反映というのは極めて今後重要な問題になると思っております。したがいまして、その人選も余り特定の方に偏るのではなくて、抽せん等によって多様な方々が委員として選任をされるという形がいいと思っています。
 したがいまして、内容につきましても、テーマを決めてきちっとそれについて議論をするというものよりは、ある程度地域住民と警察との間での意思疎通が十分になされるという、場合によってはある程度フランクな形の会というのもかえって重要なのではないかなというふうには思っております。もちろん必要があれば特定の事項について十分な議論をするということも必要ですが、それだけではない方がよろしいのじゃないかというふうに思っております。
 以上です。
#232
○公述人(森卓爾君) 基本的には住民の意見をどこまで受け入れられるか、真剣な意見をどこまで聞いてもらえるか、協議会の場で意見が本音で語れる協議会であってほしいなというふうに思います。
 そういう意味では、先ほど意見が出ていましたけれども、批判的な意見それから警察を応援する意見、両方ともが自由濶達に真剣に協議ができる内容であればいいというふうに思いますし、あとは個別具体的な事件を除いて地域の問題をテーマにすればいいというふうに思います。
 以上です。
#233
○大森礼子君 ありがとうございました。
 今お二人の御意見に共通していたことですが、私も実はフランクなこういう集まりの方がいいのだろうと思っております。こういう何か協議会とかになりますと、とかく地域の有識者とか、こういう人から選ばれる傾向がある。では、有識者とは一体何を基準にするんですかというと余りないわけなんですけれども、私はやはり住民の方が、庶民の方が見てどんなふうに映っているかという、こういう視点も大事であろうと思います。
 時間の関係で次の質問に行くのですが、これは沢藤公述人のお話の中で、やはり警察官もまじめな人は頑張っているというお話がありました。私も少し検事の経験がありますので、本当に現場で頑張っておられる方は頑張っていると。それで、一部の人の不祥事によってすべて全体がおかしいと思われるという、一つをもってすべてを決めつけるという、こういうこともやっぱり現場の警察官の士気を低下させるだろうと思います。
 また、これは警察のみならずどんな組織になりましても、少数の人の行為によって全体が非難を受けるということになりますと、組織としての責任を重く受けとめていかなくてはいけませんが、余りにこれが強過ぎると、だんだんその構成員としてはやる気をなくしてしまうということになるのかなと、こういう気もするわけです。
 それで私は、やはり警察の中でもいいことはいい、悪いことは悪い、これをはっきりさせることであろうと思います。悪いことは悪いということでどんどん明らかにしていく、一方でやっぱり正しい評価というのも必要なのではないかと、このように思います。
 これは沢藤公述人と田中公述人にお聞きしたいのですけれども、私は、警察官の人に、住民の方も警察がこういう仕事をするのは当たり前みたいな意識があって、なかなかよくやったなという、こういう声を上げていないのではないかなと思うんですね。それで、凶悪事犯とか重要事犯とか、これは非常に大変な努力によって摘発される場合があります。そういうことに対して、よくやった場合はよくやったという、こういう正しい評価をしていくということも実は警察を活性化すると。それから、人間、大人も子供も一緒だと思いますが、いいことをやって褒められると、もっといいことをして頑張ろうと思います。逆に、悪いことはしないように気をつけようという、何か意外と人間はそういう単純な感情によって動かされているのではないかなと思うのですね。こういう点について、そういった意味でも住民の方も、いいことはいい、悪いことは悪いということで正しい評価をしていくということが大事ではないか。
 それから、これは沢藤公述人からも警察業務の振り分け、本来的業務が何かということも明確にする必要があるのではないかというふうに御意見がありましたけれども、こういう点も、住民の方も、やはりこれが本来的業務、ここは本来じゃないけれどもやってくれているという、こういう認識も必要ではないかと思うのですけれども、お二人の公述人にお聞きしますが、つまり、正しい評価をしていくということによって、かなり警察の中も監視を受けながらもなお活性化していくということがあるんじゃないかと思うんですが、いかがお考えでしょうか。
#234
○公述人(沢藤達夫君) 一般の警察官の仕事といいますのは、ある意味でいえば素朴な正義感といいますか使命感というものを非常に実現しやすいといいますか、しなければいけない職業であって、かつしやすい職業、一致しやすい仕事だと思います。
 そういう意味で考えますと、今御指摘がありましたように、警察組織の中でのもちろんいろんな、正当な評価とか表彰ということにも当然意味はあると思いますが、例えば先ほど議論されました警察署協議会のようなものの中で、むしろ逆に地域住民の方から特別に功のあった警察官をその立場や地位にかかわりなく協議会として表彰して正当な評価を与えるというようなことも、ある意味では非常に警察官の士気を高め、使命感を持たせるという意味では有意義ではないかなというふうに考えております。
 以上です。
#235
○公述人(田中利幸君) 我が国は、どちらかというと百点で当たり前というのが少し強過ぎるところがあります。完璧な人間も完璧な組織もないのでありますから、よいところがあれば積極的にそれを評価するということが必要であると思います。それはマスコミについてもお願いしたいと思いますし、いろいろなところでそういうことをお願いしたいと思います。
 と同時に、住民が警察よく頑張ったということが言えるような、伝言板であるとかあるいはメールであるとか、そういうところを開設しておくとよいのではないかと。もちろんそれで頑張っていないじゃないかというおしかりがあるときには、それも載せられるわけですから、そういう点で信賞必罰がうまく反映されるような仕組みをつくっておくということが必要であろうと思います。
 と同時に、警察の方も、これは我が国のもう一つの特徴でありますけれども、自分がやったよいことは積極的に言うというのではなくて、そこは控えめに謙虚であることが大切だということでありますけれども、しかし他方では、よいことを褒めてもらえれば、ああ、自分はこういうよいことをやったんだということを、おごるのではなく皆さんに示し評価してもらうということも必要であろうと思います。
 そういう意味では、先ほど述べました伝言板やあるいはメール、ホームページなどにつきましても、その情報を積極的に開示しておくということが必要であろうと思います。そのように積極的な開示をいたしますと、よかったことだけではなくて、今やっている事柄、それからこの間から非難されて反省している事柄、改善している事柄、そういうものもどんどん開示するようになると思います。
#236
○大森礼子君 ありがとうございました。
 現場の警察官の方たちと一緒に仕事をしていますと、本当に決して待遇とかも恵まれていないと思うのですけれども、やっぱり自分たちがやらなければだれがやるんだという沢藤公述人がおっしゃった素朴な正義感、これで仕事をしていらっしゃる方がたくさんいると思います。
 私は、特に表彰という形にこだわるわけではありませんけれども、やはり人間は、だれにわかってもらおうと思わなくてもだれかが見ていてくれるとうれしいなという、そういう思いになるのではないでしょうか。
 なぜこんなことを言うかというと、先ほどマスコミのことを田中公述人が触れられましたけれども、本当に日本人というのは人を評価しない、人を褒めない国民だなと、こんなふうにつくづく思うんですね。こんなことがやっぱり子供の教育にも何かいろいろ影響しているのかなと、こういう気がしたものでお尋ねいたしました。
 それから、このことに関連するかと思うのですが、これは岩村公述人が最後の方で、ノンキャリアの方の声をいろいろ反映することが必要であると、こういう御発言がございました。それで、これは具体的に言いますと、やっぱり現場の声を反映するということが本当に大事だと思うんですね。例えば、具体的にこんなやり方でという点がございましたら教えていただきたいと思います。
#237
○公述人(岩村智文君) ノンキャリアの人全体からどういう声を聞くかというのは、これはなかなか難しいと思うんですね。今の警察の組織構造の中でどれだけ自由に物が言えるかという難しい問題があるんですが、私は、一つの取っかかりといいますとおかしいんですが、ぜひやったらよろしいのではないかと思うのは、非違行為を犯したと言われている現場の警察官、その方がなぜそういう非違行為を犯したかというのは、残念ながら非違行為を犯した悪いやつだというのは伝わってくるんだけれども、なぜ本来警察官になるときにそれなりの意思を持ってなったという人たちがそういうふうになっていくかという、その人たちがどうしてそういうふうになっていったのかという、これはかなりこの間そういう人たちが不祥事ということで発覚しているわけですから、その人たちから直接公安委員会なりそういう人たちが聞くという作業をしたらかなり本当の問題点が出てくるのではないか。
 先ほどから、頑張っているというのは私もそうだと思うんですよ。今、大森委員もおっしゃったように、給料は少なくて頑張っている、犯罪も摘発するために頑張っている。ところが、それ以外に地域活動をしろとか老人のお世話をしろとか、警視庁なんかでは、こんな厚いきれいなパンフレットを出して、老人の家へ行ってどんな世話をするかということまで事細かく指示しているわけですね。本来福祉がやるべきことまで警察官がやるのかと思うようなことまでやらされている。
 現場の警察官は物すごく大変な中で生きている。その中で、しかしキャリアとノンキャリアの中では出世の道筋がはっきりしている。このあたりの問題とかそういった問題も本当はいろいろあるのではないかと、不祥事にはというのを私は感じているものですから。そうだとは言えませんよ、私自身が調べていないので言えませんけれども、そういうあたりも含めてどうなのかというのを本当は聞いてほしかった、そういうあたりから始めたらどうでしょうかという考えです。
#238
○大森礼子君 非常にいい御意見だと思います。
 それで、とかく我々は結果で見てとんでもないということで終わらせてしまうんですが、やはり人間、使命感に燃えて警察官になる、どの仕事でもそうでしょうが、こうなったからにはそれなりの理由があると思います。こういうことを一つ一つ聞いていくということがやはり根本的な解決につながるだろうと私も思いますので、こういうことが実際に公安委員会の方でやられたらすごくいいなと思います。うまく聞き出せるかどうかの問題はあると思いますが。
 それから、次の質問ですが、苦情処理制度というのができました。これは監察の適正さを担保するという目的で設けられた制度と理解しておりますけれども、神奈川県警の問題と新潟県警の問題というのはいわばトップの不祥事でありまして、ここがおかしくなってしまったらもうどうしようもないんじゃないかと思うんですね。
 苦情処理制度というのは、これはある意味で警察とそれから外との、市民との間の関係なのかなと。つまり、外から警察を見て、見える範囲で生じる苦情しか扱えないと思うんですね。ところが、二つの大きな県警本部長の問題につきましては、結局内部で、外から見えないところで起きた、言ってみれば奥の院で起きた問題であると。それで、一たんそれが発覚すると、本当に警察全体に大きな打撃を与える。だから、ここを何とか考えていかなくてはいけないのではないかなと、こういうふうに思うわけであります。
 それで、さっき浅尾委員がアメリカの制度というのに触れられましたけれども、「インターナル・アフェアーズ」というこれはビデオ映画ですが、リチャード・ギアとアンディ・ガルシアが出てきて、要するに警察の中の警察ということで悪徳警察官の犯罪を突きとめるという、こういう映画でございました。これはそういうシステムがあるらしいのですけれども、何かこういう内部が内部を厳しくチェックしていくということも必要であろうと思います。
 そういった意味で、浅尾委員がおっしゃったように、人事を別にしてという、こういう制度も将来的には考えるべきではないかと。ただ、その一歩前として、何かその中で、内部でしかわからない不祥事についてこれを上に報告する、こういう制度も必要ではないかと私は思うのですけれども、公述人の方はいかがお考えでしょうか。時間の関係がありますので、まず田中公述人、それから沢藤公述人にお尋ねいたします。
#239
○公述人(田中利幸君) 公安委員会の補佐機能が充実いたしますと、そこではトップの事柄についても把握が強くできることになると思います。それから、内部で問題があるときにそれを公安委員会に届け出るというようなことも、要するにこれは警察の体質でありまして、内部を規律正しくしようという体質さえとれればそういうことになると思います。
 それから、そういう体質がとられない可能性として、先ほど人情であるということが問題になりました。しかしながら、それぞれの組織というのはこういう性質のものだということがはっきり認識され、そのことを強く公安委員会だけではなくそれをチェックする議会などで明らかにしていけば、これは時間はかかることであろうかと思いますけれども、浸透していける問題ではないかというふうに理解しております。
#240
○公述人(沢藤達夫君) 御指摘のような制度というものは当然十分検討に値すると思いますが、例えば本部長の行為をだれが内部でチェックするかというようなことになると非常に難しい問題もございまして、つまるところはやはり警察官それ自体の使命感、自浄作用というものに最終的には帰着する問題でございまして、幹部になればなるほど、例えば本部長であれば一番自浄作用の強い、正義感の強い人だという自覚を持っていただくということが一番大事であって、余り内部的な通告制度みたいなものをつくってしまうと、逆に組織としての活性化にもとる可能性があるのではないかという心配もございますので、なお慎重に検討する余地はあると思います。
#241
○大森礼子君 実は先日の参考人質疑のときにもこの質問をいたしましたら、参考人の方もなかなか制度としては難しいのではないかという、こういうお返事でありました。
 要するに、不祥事を見つければどんどん言っていくべきだといったところで後で必ず組織のリベンジといいますか、こんなものがあるわけですから、やはり大事なことは人事の適正ということに帰着するのかなという気もいたします。
 あと時間があれば岩村公述人と森公述人にもお尋ねしたかったんですが、時間が来たのでこれで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#242
○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。
 公述人の皆さん、お忙しいところありがとうございます。
 早速質問をさせていただきたいと思いますけれども、主に森公述人、岩村公述人に伺いたいと思います。
 私は今、参議院で警察法の改正問題を議論しているわけですけれども、この問題というのは法律をつくるわけでありますから、全体の基本的な枠組みをつくる、そういう作業であります。したがって、このできた法律あるいは枠組みをどう活用するかというのは、今後の問題として、もちろん大事な問題としてあると思いますが、土台のところをしっかりとつくらなければ、運用だけではなかなか問題は解決しないだろうというふうに考えております。
 それは、昨年の神奈川県警問題が発生する前にも警察の、警察官の不祥事の問題というのはたくさんありました。その都度県警本部やあるいは警察庁が対応してきたのは、警察官個人の資質の問題やあるいは教育の問題、綱紀粛正と申しますか、そういう問題として出してまいりました。
 ところが、神奈川県警問題が起こって、これは組織的な犯罪だということになって、とてもその程度の対応では再発防止はできないということで警察法の改正案がつくられまして、通常国会に出されました。ところが、その後すぐに新潟県警の問題が明らかになりまして、それまでの警察法の改正ではとても対応できないということで、その通常国会で出された法案はそのまま廃案になって、改めて今回警察刷新会議の緊急提言を受けた形での警察法の改正案が出されたと、こういう経過になっております。
 したがって、今回改正されようとしております警察法については、今何が大事なのか、根本問題は何か、ここのところが問われているというふうに思います。この間私も国会でも質問をしてまいりましたけれども、一貫して警察庁を中心とした警察行政の中心部分は、外部からの警察行政に対する介入については一切これをかたくなに拒否する、こういう態度をとってまいりました。ですから私は、今回の一連の事件と今度の法改正に当たっては、外部からの監察の問題、外の意見を聞くということ、もう一つどうしても必要なのは、内部の情報をきちんと国民の前に明らかにする、情報公開を積極的に進める、こういうことが大変大事だというふうに認識しておりまして、そういう立場から私どもとして法律の対案を今国会に提出させていただいたわけであります。
 私は、この間の国民の大変大きな世論の中で前進した部分が制度の問題としてあるというふうに思います。ただし、全体としてはまだ不十分な部分もたくさんあるというふうに思っております。
 そこで、最初に情報公開の問題について伺いたいと思います。
 これは警察法、直接ではありませんが、来年の四月から情報公開法が施行されることになっております。その中で、行政機関の長が不開示した情報についても、これに対して住民が不服審査請求をされた場合には情報公開審査会に諮問することが義務づけられております。この点が一つ前進面だというふうに私は思います。
 二つ目には、その情報公開審査会では、不開示になった情報そのものが、審査会の中ではいわゆるインカメラというかその情報が提供されるということ、そして審査委員がその情報を見た上で判断することができる、この点も一つの前進面だと思います。
 あるいは、審査会が情報を提供する実施機関に対していわゆる分類別に整理されたもの、ボーン・インデックスと言われておりますけれども、これを求められれば出す義務がある、この点も三つ目の前進面だというふうに思います。
 さらに、国の情報公開法では、国家公安委員会と警察庁、この二つが情報公開の対象に入れられているということ、この点も前進面だというふうに思います。
 それから地方では、十一月十六日に閣議決定によりまして地方自治法の施行令が改正をされました。そのことによって都道府県公安委員会も県知事が設立します情報公開審査会に諮問する、こういうことになりました。この点も一つの前進面だというふうに思います。
 なお、先日、委員会の質疑の中で、都道府県公安委員会の情報公開の情報の内容はそれぞれ個々の警察署が保有する情報も含むものかという質問に対して、総務庁の方が、それも含むと、こう答弁されているわけでありますから、従来に比べればかなりの部分情報公開が進むというふうに大変大きな期待を持っているところであります。
 この点について、情報公開、もっと改善する余地もあるだろうと思いますけれども、最初に森公述人、そして岩村公述人、これらの改善点についてどのようにお考えなのか、この点をちょっとお答えいただければと思いますが、よろしくお願いします。
#243
○公述人(森卓爾君) 今、委員がおっしゃいました情報公開審査会でのインカメラとかボーン・インデックスの問題が可能だということは、それは積極性を持つものだというふうに思います。要するに、開示される方向での積極性を持った制度という意味では大変積極的に評価することができるのではないかというふうに思っています。それから、私たちが自由法曹団で意見書をつくったときに一番懸念したのは、警察のどこにある情報が公開されるのか、警察署の情報まで公開されることがぜひ必要であるということを意見書で述べましたけれども、今おっしゃられたことで、警察署、要するに末端の警察署の情報まで公開されるということの確認がとれたという意味では大変積極的に評価しております。
 それと、おっしゃいました施行令の改正、これも意見書の中で述べておりますけれども、公安委員会のもとに附属機関を設けることについて地方自治法が一つの阻害になっていると、これが取り除かれるという方向になったという意味では、今おっしゃられたことに関しては積極的に評価できるというふうに考えております。
#244
○公述人(岩村智文君) 今、森公述人が言われたこととほぼ同じですが、日弁連としては、私どももこの情報公開法に関与をいろいろしてきたんですが、対象として警察情報を入れたという、これは非常に画期的なことで、条例ではなかなかその点が区々ばらばらで必ずしも統一されていなかったんですが、そこが一つ大きな前進だと思っております。
 問題点としては裁量権の問題がちょっとありまして、第一次裁量権が行政の方にあるというこの考え方をどうするかという問題をいろいろ指摘はしたんですが、全体としては対象とした上で公開する方向に進み始めている。
 ただ問題は、訴訟になったときにやはり裁判所にもその情報が出ていくような、インカメラ、少なくともボーン・インデックス程度のものは出ていくという、そういう形のものにすることが必要だと思います。そこでもう一歩前進面があったらなというふうには思っておりますけれども、これは今後私どもがどう活用していくかということにかかっておりまして、全国的な条例の場合であっても、いろいろ不備があったりした条例もあったとしましても、市民の力で情報公開をいろいろ請求し裁判所に申し立て、いろいろ事例をつくっていく中で大きくこの間情報公開の方向に前進したというのがありますから、一つの出発点としてこれを踏まえながら、あとは国民がどれだけこれを活用していくかというところにかかっているというふうに考えております。
#245
○富樫練三君 先ほどの情報公開を活用の上での裁量権の問題についてちょっと伺いたいんですけれども、情報公開の請求を住民が行った場合に、その行政機関の長、例えば県警本部長なら県警本部長が、これらの情報については開示できない、こう裁決をした場合に、住民側の方が行政不服審査法に基づいて審査請求をする。その場合に、県警本部長は情報公開審査会に諮問をする。情報公開審査会が判断をした結果、その情報については公開すべきである、開示すべきであるという答申を県警本部長になされた場合であっても、この法律を管轄する総務庁の見解では、それは尊重しなければならない、こういうふうには答弁しているんですが、それに従う義務はない。したがって、最終的な判断は警察本部長がして開示するかしないかを決める。ここに私は、全体としての前進面を持ちながらも、やはり限界というか弱点があるのではないかというふうに思っているんです。
 この点について、情報公開法の第五条四号ですけれども、支障があるおそれについて行政機関の長が認めるにつき相当な理由がある情報、なかなかややこしいんですけれども、こういう情報については警察本部長の判断で開示しなくてもよろしいと、こういう条文があるわけで、ここの部分については削除する法案を私ども今、国会に提案しているわけなんです。そうしなければ不開示の情報が無限に拡大されてしまう、こういうおそれがあるというふうに感じているわけですけれども、この点について森公述人、岩村公述人のお考えをお聞かせいただければありがたいのですが。
#246
○公述人(森卓爾君) まず、神奈川県の情報公開条例を私はきょう持ってきたんですけれども、実は神奈川県の情報公開条例の第十六条では、公安委員会及び警察本部長に関しては審査委員会の諮問はしない、除くという形になっている。ということは、法律よりもかなりおくれているというのが神奈川県の情報公開条例の特徴であると。これは非常に問題である、これはぜひ改正してほしいということを思っていますと同時に、今おっしゃられた情報公開法の五条四号の問題については、行政機関の長の裁量をかなり優先するという形になっている、これについては非常に問題ではないかなと。行政機関の長が認めることに相当な理由があると、そういう点についてこの部分を削除したらいいんではないかというのは、私たち自由法曹団としてもこういう意見を持っておりまして、ぜひこれは、裁量によって不開示が拡大していくということを防ぐ意味では削除して、もっと実質で審査会で判断して、最終的には司法機関で判断するという方向に持っていっていただきたいという考えです。
#247
○公述人(岩村智文君) この辺は非常に重要な問題でありまして、防衛情報と公安警察情報がこういう形で行政庁の裁量権を認めたということで、日弁連としては、この情報公開法の審議の過程ではこれは好ましくないということで問題にしたわけです。その行政庁の判断の相当性を判断するわけですから、そうするとその裁量権の範囲内かどうかということになってしまうわけで、情報そのものが公開してはいけないような情報かどうかというところに踏み込まない、前の段階で判断するという、こういうシステムにしているところに本当は一番の弱点があるわけですね。
 それで、ある意味でいうと、これは刷新会議でもかなり議論されまして、刷新会議ではこれをさらに踏み込んで、これ以上、この法は法だけれどもこれよりも積極的に警察は情報公開すべきであるという意見がかなり強く出て、それで情報公開の方向に踏み切るということにもなったと思っていますので、警察は今後、情報公開法がこういう立場でいるからということで運用するのではなくて、今までの、この間の刷新会議、国民の議論も踏まえて、もっと警察が積極的に開示していく、逆に言えば、行政庁の判断で開示するとなれば開示できるわけですから、警察本部長などもその辺の決断を持っていろいろやっていただきたいというふうに考えております。
#248
○富樫練三君 次に、もう一つの側面ですけれども、警察全体を改革していく上で、情報公開と、もう一つ内部を監察するというか、外側からの監察の問題についてでありますけれども、現行の制度及び今度政府が提案しております法案の内容を検討してみますと、警察行政のトップは警察庁の長官でありますけれども、警察庁の長官に対する監察というのは警察庁の長官みずからが指示をした警察庁の監察官によって行われる、こういう仕組みになっております。当然のことながら、部下が上司を監察するわけでありますから、厳正な監察あるいは公平な監察、公正な監察が行われることは期待しにくいという制度が現行の制度であります。したがって、外部から監察をするという方法を入れなければ、監察に当たる本人、警察庁の長官本人の資質の問題や性格、あるいは個々の問題ではなくて制度の問題としてやはり問題があるのではないかというふうに感じております。
 これは警察を刷新していく、改革していく上で、組織上の問題、骨組みの問題というか制度の設計上の問題というふうに感じておりますけれども、この点について、森公述人、岩村公述人、それぞれどのようにお感じなのか、お願いできればありがたいのですが。
#249
○公述人(森卓爾君) 内部の監察が重要である、これが手を抜いてはいけないというのはもう至極当然で、これは十分充実してやっていただかなければいけないというふうに考えております。
 ただ、内部に精通しなければ監察の実効が上がらないというのは誤っているように思います。そもそも日本の司法制度というのは、裁判制度でいろんな問題点について救済とか是正とか判断とかは最終的には裁判所に求められる。つまり、第三者に求められるような制度で、ある意味でいいますと、裁判官は法律には専門ですけれども個々の事案に関しては素人になるわけで、やっぱりそこが判断をしていくということに日本の司法制度としてはなっているわけですし、そういう意味では一定の素養があれば内部に精通していなくてもきちっとした形でできるというふうに考えます。
 監察というのは事実を調査し判断していく能力があればできるわけで、警察の内部に精通しなければできないというのは私は違うのではないかというふうに思っています。
 監察と人事が密接だという意見もありますけれども、監察と人事を密接にしては逆にいけないのではないかなと。要するに、監察は監察してきちっと事実を調査し判断をしていく、その上に立って任命権者が人事を考えればいいことであって、監察と人事は密接なものではないように思っています。そういう意味では、外部監察がぜひとも必要なのではないかなというふうなことを思っております。
 以上です。
#250
○公述人(岩村智文君) 刷新会議でもこの辺はかなり問題になったところであります。私どもがなかなか難しかったのは、どうも警察の方は公安委員会も外部というふうに見るんですね。私たちは外部というと公安委員会よりまたさらに外部というふうに考えていたんですが、警察の方は公安委員会も外部だと。だから、公安委員会の監察すらなかなか受け入れがたい。それで今回のようなちょっと違ったシステムをつくり出したわけですけれども、やはりそういうところに一つの問題があるわけですね。少なくとも公安委員会の監察を受けるような体質にならないと、本当の意味で警察がみずからの規律をきちっとしていくということにならないのではないかというところが一番大きいと思います。
 外部外部と言いますが、例えば株式会社などでも、監査役というのは昔は会計監査しかしなかったんですが、今はそうではなくて業務監査もする。これはある意味でいうと、内部から選ばれてなっている人ではない外部の人を入れて、その人が常勤としてきちっと業務も監査するというシステムになってきていますね。組織体というのは必ずそういうもので、内部だけでは必ずしもうまくそういう監査機能というのは働かないということがあるものですから、そういう外部の血を入れて、外部の感覚を入れて、外部からの目で見ていく、切り口で見ていく、こういうことが必要だというのがもう社会的常識になっていると思います。
 特に、警察は力を持っている組織ですから、強制力があるのは警察ですので、裁判所の許可があれば人を捕まえて身柄を拘束するという、そういうこともできる力を持っているわけですから、そういう組織であるからこそ、逆に言えば市民の目が必要だというふうに考えております。
#251
○富樫練三君 最後になりますけれども、今回政府が提案しております警察法の改正案では、結果として国家公安委員会には警察庁を監察する権限は与えない、こういうことになっております。したがって、警察庁の長官を国家公安委員会といえども監察はできない、こういう仕組みになっているところに組織上の、構造上の問題点があるというふうに考えております。せめて国家公安委員会が直接監察できるようなそういう組織を持つということが必要なのではないかというふうに思っております。
 もう一点、国家公安委員会が警察庁から自立をするというか独立をするというか、ここが大変大事だと思います。現在、国家公安委員会が警察を管理する上で、いわゆる大綱方針を示して、これに従って警察庁が動く、こういうふうになっておりますが、その大綱方針をだれが起案するかといえば警察庁が起案することになります。警察庁がみずからやることを起案して国家公安委員会の判こをもらってやるわけでありますから、そういう点では、警察庁を国家公安委員会が管理しているという姿にはどう見てもならないというのが実態であります。したがって、国家公安委員会が警察庁とは別の事務局をしっかりと持つ、こういうことはどうしても警察全体の刷新を考えた上で必要なものと考えますけれども、この点について森公述人、岩村公述人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#252
○団長(朝日俊弘君) 時間が迫っていますので、手短に。
#253
○公述人(森卓爾君) 何事にもやはり人だというふうに思います。委員がいて、そこを補佐する専門の事務局がいない、独自の事務局がいないということ自体が私はかなり異例のことであるというふうに思います。その人たちがいないことがやはり十分な機能を果たしていない原因になっているというふうに思います。そういう意味では事務局はぜひ必要ですし、置かない理由の中に屋上屋を重ねるという意見がありましたけれども、しかし現に事務局はいないわけですし、屋上屋を重ねることにはならないと。そういう意味では独自の、自前の事務局はぜひ必要だというふうに考えております。
#254
○公述人(岩村智文君) 警察法上の管理という意味では、本来、公安委員会はもっと強く警察庁に対応できるような仕組みに法はなっているわけですから、ちょっと警察庁の官房が違う解釈をしているというところに私は問題があると思っていますけれども、それは除いて、そうなると、その法そのものの管理ということを本当に強化しようと思った場合に、公安委員会みずから考えてみても今の状況でいいか。今のままで動けないというのははっきりしているわけですから、次の改革の手というのは、常勤の委員と独自の事務局を設ける、これがどのぐらいの人数かは別にしましても、そういう体制がない限り本当の意味の法が求めている管理ができないということが言えるというふうに思います。
#255
○富樫練三君 ありがとうございました。
#256
○日下部禧代子君 社会民主党の日下部禧代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず最初に、私は神奈川県民、横浜市民なのでございますが、昨年秋からの神奈川県警の不祥事、もう大変に県民の一人といたしまして残念に、そして悲しく思ったのでございました。
 これは神奈川県だけではなく、新潟の問題あるいはまたその他の県でも神奈川県がきっかけになったような形で、こういうものが続々と出てきてもらっては困るのですが、続々と出てきたような感じでございます。これはもともとあったものが、隠れていたものが噴き出たものなのか、あるいは偶発的にそのあたりのところで急に固まって出てきたのかということ、これは構造的な問題なのかどうかということにもかかわってくると思いますが、その警察不祥事の発生の原因につきまして、これは田中公述人と沢藤公述人にお聞きしたいと思います。岩村公述人あるいは森公述人には先ほどのお話の中でかなりその分析を伺ったように思いますので、田中、沢藤両公述人に、神奈川県だけではなくて結構でございます。よろしくお願いいたします。
#257
○公述人(田中利幸君) 神奈川県警の事件については、とても信じられない事件であったというように思います。したがいまして、これが日本全国に蔓延しているとかそういうようには私は考えておりません。したがいまして、その原因につきましては一般的な原因だというようにまでは考えておりません。
#258
○日下部禧代子君 そうじゃなくて、私はもう少し詳しくどういうことなのかということを。
#259
○団長(朝日俊弘君) ちょっと待って。先にお聞きしてからにしませんか。
#260
○日下部禧代子君 はい。
#261
○公述人(沢藤達夫君) 私自身の考えているところによりますと、警察活動、警察の仕事というのは、国民、県民の人権を侵害する可能性も秘めている極めて重要かつ強大な権限ですが、長期間にわたってそのような仕事を続けていると、やはり人間ですので、その仕事に対するなれみたいなものが生じたり、またキャリアの方も非常に恵まれた地位で部下の監督に緩みが生じるということも残念ながら人間の組織においてはあり得ることなのかなというふうに感じております。
 また、最近の我が国における全体的な倫理観、道徳観の欠如というものも警察職員に無関係というものではございませんし、また幹部職員の誤った組織防衛意識というものも悪い方向に進んでしまった原因ではないかというふうに考えております。
 以上です。
#262
○日下部禧代子君 もう少し具体的に、だったらばどういうことが原因だというふうにお考えでいらっしゃいますか、田中公述人。
#263
○公述人(田中利幸君) これは一種の無誤謬性の呪縛にとらわれているのであろうと思われます。そして、そういう状況のもとにおきましては、決断の誤りというのはある一定の確率で出てくることはあり得ることだというように思います。
#264
○日下部禧代子君 今、田中公述人がおっしゃった、警察は間違ったことをしない、警察無謬観といいましょうか、それというのはかなり自浄能力の欠如ということにもつながっている警察独自の問題かなというふうにも思うのですが、この不祥事の背景ということの中に私は、一つは中央集権的な、いわゆる中央からキャリアの方がぱっと地方の警察署長として天下り的にその地位を持っているというようなそういったシステムの上での問題、それと同時にいわゆる現場のノンキャリの方々のやる気の問題、そういうふうなことにもやはりこの遠因というようなものもあるのではないかなというふうに思うのでございますが、このキャリアとノンキャリ、そして中央とのつながり、もう非常に若い警察署長がぱっとやってくる、そういうことに関して、田中公述人、いかがでございますか。
#265
○公述人(田中利幸君) 私は、都道府県警察におけるリーダーについては、これから述べるようなことが必要であろうというふうに考えます。
 一つは、やはりその地域に赴任したのであればその地域住民の一人であるという意識、自覚が必要であると思われます。
 第二番目には、一線の指揮官としての資質が必要であると思われます。その中には第一線警察官にも顔が見える、第一線の警察官が敬意の対象となるような人柄、これが必要だと思います。そのためには、自己規律とかあるいは使命感の高さに支えられていなくてはなりません。
 それと、やはり人事管理能力も必要でありますし、それから地域の実情に即した企画力とか実行力も必要であります。それが短い期間に育成されるとは必ずしも考えません。したがって、それが育成されるように年月をかけ、そしてそのような教育を十分施し、そのような地に赴任するのが必要であると考えます。警察庁も従来の期間を延長してそのことに努力していると思います。と同時に、単にキャリアだけではなくて、先ほど述べたような能力のある人は積極的に登用するという方策を講じていくことも必要であると思われます。
#266
○日下部禧代子君 今の警察における中央集権的なそういうシステムからくる問題点というふうなことにつきまして、岩村公述人はどのようにお考えでいらっしゃいますか。その点と現場のノンキャリの方たちとの関係でございますね。
#267
○公述人(岩村智文君) 警察自体が中央集権的であるという、ここは非常に問題が大きいというふうに思っております。ある意味でいうと、警察というのは組織として動かなければいけないですから、そういう中央集権的という要素が必要だというふうに言われるのかもしれません。
 先ほどもちょっとお知らせしたイギリスの市民警察五原則の最後の五原則目は、警察官は部隊として行動してはならず、独立体として個々の判断をしながら行動しなければいけないというふうになっていますし、第四原則は、警察官は自己の職務行為についてみずから責任を負うというふうになっているんですね。ですから、軍隊のように指揮命令のもとに一致団結して動くという組織ではないんだ、個々の警察官が市民に奉仕する警察として一人一人の判断で動きなさい、自分がやったことについては責任を持ちなさいというのがイギリスの警察なんです。これは非常に重要なことだと思います。
 日本では残念ながら、非違行為をしたりする場合であっても、例えば盗聴事件のときでも、盗聴した当該の警察官は処分されない、県なりそういうところが責任を負うということになって、これはある意味でいうと非常に問題なんです、逆に言いますと。自分のやったことにはその警察官が責任を負うというシステムをイギリスがとっていて、部隊ではないんだよ、軍隊ではないんだよ、市民とともに一人として判断しなさい、こういうふうになっているという、私はここをひとつ参考にすべきだというふうに思っております。
#268
○日下部禧代子君 私もイギリスにおりまして、実際に市民の一人といたしまして警察官に接したわけでございますし、また日本では日本国民の一人として接しているわけですが、やはり今、岩村公述人がおっしゃったように、かなりの違いを感じるわけでございます。
 いわゆる市民、住民との距離というのがイギリスの場合には余り感じられない。特に、私はロンドンにおりましたから、ロンドンにいる警官というのは、身長何センチだとか、市民それから観光客に奉仕できる警官というような採用の基準があるというふうにも聞いております。ですから、地方から来たイギリスの人あるいは観光客が警官を中心にして記念写真を撮っているなんというのは、これはまれではなく日常的なことでございます。だからそのような住民との距離が密接になる。そして日本の場合には、どうしても警察というと住民は一種怖いとか、何かそういった親しさを感じるというところまで行かない。戦後それは随分変わったというふうに思います。
 しかしながら、今おっしゃったセルフコントロールの問題、警官が自分で自分をコントロールする、自律でございますね、そういうことも含めて、それはどの辺のところからその違いが出てきたというふうにお思いでしょうか。岩村公述人にお願いいたします。
#269
○公述人(岩村智文君) 私は、警察官の個人個人の権利、その人たちが人間として生きる、市民として生きる権利をどれだけ警察という組織の中で保障しているかということにかかわっているというふうに思います。
 イギリスの場合ですと、何度も言うとあれですが、警察官は市民社会の中で市民とともに居住し、市民の一人として生活するというのが五原則の三番目なんですね。警察社会は構成しない、もう市民なんですよ、あなたはというところではっきりとした条件をつくって、それでイギリスには、また変な言い方ですが、警察官には組合をつくる権限も認められていて警察官の組合があるとか、警察官として末端にいてもいい、いいと言うと変ですけれども、警察官として自分は一般市民として生活できるという、そういうところが私はすばらしいところだというふうに思っています。
#270
○日下部禧代子君 いわゆる現場の警官の問題でございますけれども、本当に皆さん一生懸命やっているとどなたもおっしゃるわけでございます。それはやはり今、岩村公述人がおっしゃいましたように、一人一人ある意味で、言葉をかえますとプライドが持てる、人間としても警官としてでもプライドが持てる、そのようなシステムなり環境だということも言えるのかもわかりませんが。
 日本の場合に、現場の警官が本当にそういうプライドが持て、そして自発性でもって御自分の使命感を達成できる、そのためにはどういうことが今必要だというふうにお考えになりますでしょうか。これは森公述人にお願いいたします。
#271
○公述人(森卓爾君) 今、岩村公述人がおっしゃられたんですけれども、警察官が一人の人間として、一人の公務員として職務を執行していくことについてもっと誇りを持ってもらうということが必要であるというふうに私は思っています。
 私の意見の中に、最後に述べたんですけれども、やはり警察官自体の人権が守られていないんではないかという思いもありますし、これは単なるうわさですけれども、時間外をやってもちゃんと時間外手当がつかないという話もよく聞きます。そういう点では、末端の警察官の人権をきちっと守るということが必要なんです。要するに警察官は、対する人の、相手の人権を守らなきゃいけないわけですから、みずからの人権もやはり保障されていかなければいけないというふうに考えていますし、そのためには一般公務員並みの労働基本権も認めるべきだと思うし、そのことを私としては一番強調したい点です。
#272
○日下部禧代子君 先ほど情報公開の問題が出ておりましたけれども、最近、その問題に関して宮城県の例がございました。
 これは、情報公開条例と情報公開法との関係でございますが、情報公開法では情報公開の実施機関の対象に警察を入れたということが先ほど議論の中で出てまいりましたけれども、地方の情報公開条例、例えば神奈川県の場合には警察が対象になっていないということを先ほど森公述人が御指摘になったわけでございます。いわゆる行政機関の長、つまり県警本部長でございますが、その第一次裁量権というのは、宮城県の場合は県警の裁量権を制限するというのがかなり後退したということが報道されておりますけれども、この宮城県の例を参考にしながら、これからどうあるべきだというふうにお考えでいらっしゃいましょうか。森公述人、お願いいたします。
#273
○公述人(森卓爾君) ちょっと誤解があったらあれなんですけれども、神奈川県の情報公開条例でも県警本部と県の公安委員会は対象になっています。なっていますが、先ほど申したのは、不服があった場合に審査会に審査請求できる対象になっていない、そこから外されているということでございます。
 それから、私も宮城県の問題は非常に重視をして見ておりました。基本的には、警察は共助の問題があるから統一的な条例をつくりたいという意識が、やはり警察庁を初めとしてあるんだというふうに思います。しかしながら、県警本部長の裁量権を大きく認めると実際には何も出てこないのではないかということが一番宮城県知事が恐れているところだと思いますし、新聞報道によりますとそこのあたりで妥協が成立したようですけれども、基本的には、最終的には審査会にゆだねる、そしてその後の司法機関にゆだねるというところで、行政機関の恣意的な裁量を許さないということが最も大事なことではないかというふうに考えております。
#274
○日下部禧代子君 その点につきまして、岩村公述人、いかがでございますか。
#275
○公述人(岩村智文君) 国の法律は国の法律でできたわけですから、あとは地方でそれぞれの人たちが条例をどのようにしていくかという、これはかなりいろいろなことができるのではないかというふうに考えております。
 やはり地方分権という形で国が法律をつくったということは、ある意味でいうと、地方の住民の人たちが自分たちの地域は自分たちで考えていきなさいという、こういうのが今、日本の国の流れだと思いますので、逆に言うと、私たちが自分たちの住んでいるところで警察問題を考えながら国の法律よりもっと積極的な条例をどうやってつくっていくかという、このあたりでの活動が今後必要になるのではないか。
 それと同時に、裁量権があるとは言っても、やはり情報公開するということが基本的な法律ですから、そのための活用を私たちが積極的に行っていく、それでこの第一次裁量権をやたらに行使しないようなシステムを私どもが実質的につくっていくという、これが非常に大事なことだというふうに考えております。
#276
○日下部禧代子君 よろしいですか、まだ。
#277
○団長(朝日俊弘君) もういいですか。
#278
○日下部禧代子君 もう一点、もしお許しいただければ。
 これは監察の問題でございますけれども、新潟県警の不祥事というのは、警察庁による特別監察に実効性がないということが非常にわかったという事件であったかもわからないと思うんですね。監察を行う警察庁も警察、監察を受ける都道府県警も警察ということだと、これはなかなかチェック機能が果たされないというふうに思うんです。
 社民党といたしましては、警察を監察し監視する第三者機関として独立した外部機関、仮に警察監視委員会というようなものの設置が必要ではないかということを提案しております。公安委員会とは別組織で、そして独立した事務局を持ち、そして警察監察官に調査及び捜査権限を付与して警察を監視するという、そういう考え方でございますが、このような警察を監視する第三者機関の設置ということに関しまして、岩村公述人、いかがお考えでございましょうか、この社民党の案でございますけれども。
#279
○公述人(岩村智文君) 社民党の考え方は一つの貴重なお考えだというふうに考えております。
 ただ、難しいのは、今国民全体で合意を得てどういうふうに警察を変えていくかというときに、ドラスチックな改革がなかなか難しいという側面がありまして、私どもは本来ドラスチックにやった方がいいというふうにある側面では思っているんですが、そう簡単ではない。そういうときに、やはり公安委員会の機能を強化するという方向で物事を進めていくというのも一つの当面とり得る態度かなというふうに考えておりますので、そこのあたりのバランスの問題じゃないかというふうに思っております。
#280
○日下部禧代子君 ありがとうございました。
#281
○松岡滿壽男君 無所属の会の松岡滿壽男です。
 衆議院におきましてもこの警察法の改正の審議が終わりまして、現在参議院でやっていますけれども、衆議院と同じやり方じゃどうかということで、地元で警察そして市民の間に入って御苦労なさっておられる皆さん方の御意見を伺おうということで地方公聴会ということになったわけであります。
 先ほど来、皆さん方とのやりとりを聞いておりまして、もう六番目になりますと御質問する中身はほとんど尽きてしまっておるわけです。違う観点からちょっと皆さん方の御意見を伺ってみたいなというふうに思っております。
 昨日の国会での大混乱の中で、我々実は政治公務員のあっせん利得処罰法を参議院の特別委員会で上げたわけであります。私自身もいろいろ悩みまして、修正案、そして最終的には、先ほど最近はどうも百点満点を希望し過ぎるというような田中公述人のお話もありましたが、とりあえずそういう姿勢を示していく、意識改革をやはり国会議員、秘書みずから、地方の政治家もそうでありますけれども、やっていくべきではないかということから、世界で初めての法案でありますけれども、国会議員みずから縛る、政治家みずからを律していくという法案が特別委員会を通ったわけであります。
 警察法についてもやはりそういうものかなという思いが実は先ほどからお話を伺いながらいたすわけでありますけれども、一番大切なことは、現状をどのように皆さんが認識しておられるか、それによって、私は今風邪を引いて風邪薬をさっき医務室でいただいてきたんですけれども、本当に手術が必要なのか、いわゆる薬程度でいいのかという警察全体の現状認識ですね。
 私自身は本当に二十六万の警察業務に携わっておる皆さん方が一生懸命頑張っておられる姿も知っておりますし、しかしながら現状出てくる状態を見ますると、国民から見るとあっけにとられるというような実態も実は出てきておるわけであります。
 先ほど岩村公述人は、たまたまなのか全体なのか、全体であれば構造的腐敗だから手術が必要であるというお話でありましたが、田中公述人、沢藤公述人は、これは表面だけの話で全体的なものではないんじゃないかという御理解のようであります。
 私は、今度の警察刷新会議に諮問したこと自体、国会で、衆参両院であの答申の中身はほとんど議論し尽くしているんですね。監査のあり方とかキャリア、ノンキャリの問題、それから相談制度の問題あるいは情報公開の問題、あるいは民間の協力による警察署協議会をつくったらどうかと。
 ところが、警察刷新会議の第一回のお話を伺って、公開されたわけですけれども、議事録も出ました、びっくりしましたのは、警察刷新会議としては全警察官が総ざんげするような話ではないというところから始まっておるわけです。私は国会の委員会でもその話について申し上げたわけですけれども、この辺の認識をそれぞれ公述人の皆さん方、改めてお伺いするようで恐縮でございますけれども、どのようにお考えになって警察問題をお考えいただいているのか、まず伺ってみたいと思います。
#282
○団長(朝日俊弘君) 順次それぞれ伺いますか。
#283
○松岡滿壽男君 はい。
#284
○団長(朝日俊弘君) では、田中公述人から。
#285
○公述人(田中利幸君) 一人一人が深刻に受けとめる問題だというふうに私は理解しております。しかし、すべてが腐敗しているために全面的な手術が必要なものだというようには理解しておりません。それは、先ほど述べましたとおり、具体的、個別的な監察の指示であるとか、あるいは監察状況の機動的な点検、そういう意味での部分的な手術に適合しているものだというように考えます。
 しかし、そのような考え方とは違って、各野党案が出されたということは、次のような意味で意義深いものではないかと思います。
 第一番目は、外部監察というもっと大きな手術が必要ではないかという提案が国会でなされたということは、それは国民が警察にそれだけ厳しい目を向けているんだということを示したということです。第二番目には、それにもかかわらず政府案の実施ということであるといたしますと、野党案による場合と同様かあるいはそれ以上の効果を達成することが必要であるということを示しているということでございます。第三番目には、政府案によって確保される警察の自主性と活力によって今後の警察活動が一層効果的になされたということを示す必要がある、そのことを要求しているものだというように考えます。
 その意味で、野党案が出された意義は大きいものだというように考えております。
#286
○公述人(沢藤達夫君) 私も今回の一連の不祥事がイコール警察組織ないし警察制度の全体的な腐敗、堕落というふうなとらえ方はしておりませんし、またすべきではないのではないかというふうに考えております。
 現在の警察制度ができてから現在に至るまでの長い間、やはり社会も流動化して変わってきておりますし、警察の内部においてもいろんな意味での、そう言ってはなんですが、おごりとか油断みたいなものもあって、それが誤った組織防衛意識やそういう行為に及んだものではないかなというふうに思っております。
 しかしながら、ではそのことで手術をすべきかということなんですけれども、私は、むしろそういう組織に目を覚まさせるという一種のカンフル剤のようなものを、強いものを打つことによって本来の意識に回復していただければ、なおこの警察組織というのは信頼に足りるのではないかと。
 余り大きな手術的なことをしてしまいますと、警察の力そのものがやはり落ちてしまう、現在の犯罪の複雑化、広域化、そういったものに対応し切れなくなって、本来一番あるべき市民の安全という観点で大きな問題が起きることの方がむしろ心配でございますので、先ほど田中公述人のお話もありましたように、国会におきます与野党の皆様方のいろんな案もそういう意味ではカンフル剤としての非常に重要な意味が果たされたと思っております。
 以上です。
#287
○公述人(岩村智文君) 私が今ちょっと目の前に持っているのは、実はインターネットで警察の不祥事というのを引きますと、続々とと言うと変ですけれども、物すごい厚い枚数になるほど報道されているんですね、新聞報道で。
 刷新会議が始まるときに座長はこの問題について制度疲労という言葉を使ったんですね。これは座長のお言葉ですけれども、だれが見ても個々の警察官ですとかある一地方だとかそういう問題ではない、もう警察の根本的な、構造的な問題だというふうに考えるべきだというので刷新会議が始まった。私もそうだと思っているんですね。
 そのことは、何も一人一人の警察官が全部おかしくなって腐敗しているということを言っているのではなくて、システムそのものがおかしくなっているんだ、システムを改善するということに着手すれば、健全な警察官がいるんですから、組織としては立ち直るということなんですね。もしだめでしたら全部入れかえなきゃいけない。そこまで言っているわけです。構造として、システムとして問題になっているということをしっかり見ていかなきゃいけない。
 ですから、警察官は総ざんげしろということを言っているのではなくて、システムとして警察を変えていく、それで真に国民のための警察、市民のための警察に変えていく、そういうことが今私どもにとって一番重要なのではないか、そういう意味で申し上げました。
#288
○公述人(森卓爾君) 私は、個々の警察官の問題と組織としての警察の問題というのはやはり分けて考えるべきではないかと思います。
 個々の警察官が非常にまじめにやっているというのは、ある意味では当たり前の話でして、公務員としての職務をやっぱり全うしなければいけないということでいえばごく当たり前のことではないかなと思います。
 問題は、非違行為を犯した警察官が出てきたときに、ある意味でいう危機管理というか、そういう問題が発生しそれを認知したときにどのように対応するか、それが組織だというふうに思います。今回の神奈川県の例の覚せい剤の問題が発覚したときにそれぞれの幹部がどういう対応をとったか、そこに組織としての問題があり、危機を認識していない、感覚が麻痺してしまった問題があるのではないかというふうに思います。
 そういう意味では、個々の警察官の問題点があることはまた別に置いておいて、組織としての警察に問題が今回生じているので、そこはメスを入れなければならないというふうに感じております。
#289
○松岡滿壽男君 ありがとうございました。
 これから百年以内に人口が六千万人になっていくとか、七百兆からの国、地方の借金があるとか、そういう状況から考えますと、来年の参議院選挙が済んだら恐らくこの二、三年先には財政再建一色になるだろうと思いますね、我が国は。今、国家公務員も十年間で二五%削減していくというのが与党の考え方であります。国会も、衆議院が二十人減らしまして、参議院も十人減らすと。いろんな議論をしているうちに、参議院も要らぬのじゃないかという議論さえ出てくる可能性もある。
 そういう中におきまして、先ほど沢藤公述人は警察官の増員の話をされました。今回の警察刷新会議も、外国は大体三百人から四百人を一人の警察官が見ている、我が国の場合は五百五十六人を一人で、せめてそれを五百人にすべきだと。これは国情によって違うと私は思うんですけれども、そういうことで一割ふやすと、今の二十六万、だから二万人以上の増員になってくるわけです。山田元警察庁長官も、これは警察庁の悲願であるということを文芸春秋でも言っておられるんですけれども、私はやはりこういう厳しい時期に、もちろん、先ほど来公述人もおっしゃいましたように、犯罪件数は右肩上がりになっている、検挙率は右肩が若干下がってきているという状況の中で、日常、市民の中でのさまざまな相談業務まで引き受けていかざるを得ない状況の中で、仕事量は非常にふえてきているわけですからわかるんですけれども、全体の国の今の状況から見て適切な警察官のあるべき姿というものをどのように考えておられるのか。
 確かに今の中でもっと節減できる分野があるだろうと。例えば機動隊の問題がよく言われております、二万人の。これをもっと有効利用できないかとか、そういういろいろな──先ほど申し上げたのは、警察刷新会議の答申に対して元警察庁長官の山田さんが文芸春秋に述べておられるということを申し上げたわけでございます。
 今申し上げましたようなことで、時間がもう余りないんですけれども、簡単に言いまして、今の警察官で現状がカバーできるのかどうか、やっぱり増員が必要なのかどうなのか、あるいはこういうところをもう少し上手に交流して人事をうまくおさめたらどうかとかいう御意見がございましたら、簡単にお一人ずつお伺いして、私は終わりたいと思います。
#290
○団長(朝日俊弘君) それでは、残された時間が六分程度ですのでできるだけ手短に。田中公述人から。
#291
○公述人(田中利幸君) 要するに、国民何人当たりの警察官、正確に言うと、警察官一人当たりの国民の数ということを単純に考えるというものではないと思います。
 おっしゃられたように実情もあります。それから、カバーする面積ということもあります。したがって、単純な比較はできないと思いますけれども、基本は国民の安全を守るということのために財政の配分をどれだけと考えるのかということであると思います。したがって、何をどういう順位をつけてどれだけ配分するかということをぜひ議員の先生方にはお考え願いたいと思います。
#292
○公述人(沢藤達夫君) 昨今の体感治安の悪化という観点からすれば、予算上の制約があるのは承知しておりますが、やはり当然増員が必要ではないかというふうに考えております。
 それから、仮に増員が十分できないとした場合には、市民、国民一人一人が警察に協力をして、積極的にみずからが自分たちの安全を守っていくという、そういう意識を強く持つことによってそれを補うべきではないかというふうに考えております。
 以上です。
#293
○公述人(岩村智文君) これは私が冒頭に申し上げたんですが、やはり警察の業務範囲、活動範囲というものが今どこまで必要なのかというのを真剣に議論すべき時期だと思うんですね。
 機動隊の問題を言われましたけれども、それを含めて、生活安全警察も交通警察も含めて警察の業務はどうあるべきか、活動範囲はどうあるべきかと、そこの中で人員が適正に、今の人員で動けるのか動けないのかきちっとした上で人数をふやすかふやさないかという議論をすべきで、そういうこと一切なしで何かが必要だからふやす、次に何か出てきたからふやすと、今まではこういうやり方で警察はふえてきたんですね。このやり方でいいかもう一度今見直す時期じゃありませんかというのが私が言いたいところなんです。
 ですから、もう一度見直しをして、考えて、結論は増員となるかもしれません、それは今軽々には言えませんが、見直さずにふやすという結論には賛成できないということであります。
#294
○公述人(森卓爾君) まず、前提として警察の人員の配置、それから組織、予算、こういうものの詳細についてはオープンになっていない点が一番問題ではないかなというふうに思います。
 若干概算は聞いたことがあるんですけれども、もっとそれらの組織や予算や配置等について国民の中で明らかにして、オープンな議論をした上でないと警察の増員が必要かどうかという点は結論が出ないのではないかなというふうに思いますし、ぜひそういう意味では、私が冒頭申し上げました秘密主義を改めてそこをオープンにする、それからのことではないかというふうに考えております。
#295
○松岡滿壽男君 ありがとうございました。
 終わります。
#296
○団長(朝日俊弘君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げます。
 皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は本委員会の審査に十分反映してまいりたいと存じます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 以上をもちまして参議院地方行政・警察委員会神奈川地方公聴会を閉会いたします。
   〔午後三時五十一分閉会〕
ソース: 国立国会図書館
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