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2000/09/26 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 本会議 第2号
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2000/09/26 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 本会議 第2号

#1
第150回国会 本会議 第2号
平成十二年九月二十六日(火曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成十二年九月二十六日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十一日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。北澤俊美君。
   〔北澤俊美君登壇、拍手〕
#4
○北澤俊美君 私は、民主党・新緑風会を代表し、総理並びに関係閣僚にお尋ねをいたします。
 まず、質問に先立ち、伊豆諸島での火山活動や群発地震並びにさきの東海地方を中心とする豪雨災害によりお亡くなりになった方並びにその御遺族に対し心から哀悼の意を表します。今なお不自由な生活を余儀なくされている皆様方に対し心からお見舞いを申し上げます。
 伊豆諸島では、生活の糧である観光や農業、漁業等で大打撃を受け、住宅や公共施設にも多くの被害が出ているにもかかわらず、今日に至るまで激甚災害の指定が受けられていません。
 また、全島避難を余儀なくされている三宅島の方々は、現在、都営住宅や親戚、知人宅でなれない生活の中、いつ帰れるとも知れない日々を送っておられます。
 このような方々の不安な思いを少しでも解消するために、早急に同地域の激甚災害指定を行うとともに、住宅再建や就労の確保、インフラ整備など、被災地域の再生、活性化に全力を挙げ、全島避難している三宅島の方々への的確な情報提供と生活物資並びに児童の就学体制の確保に万全を期すべきであります。
 我々民主党は、さきの通常国会で、被災者支援制度のさらなる拡充を盛り込んだ被災者生活再建支援法と災害弔慰金支給法の改正案を提出しました。また、被災者の住宅再建支援についても、現在、法案化を検討しているところであります。
 政府としても、この際、災害支援制度の抜本改革を図るべきではないでしょうか。総理のお考えをぜひお聞かせ願いたいと思います。
 具体的な質問に入ります前に、まず私の所感を申し上げたいと思います。
 景気対策のための補正予算、参議院の選挙制度改革などを声高に訴えられておられますが、その実態はというと、所信表明演説でもIT戦略、日本型IT社会など言葉が躍っていても、公共事業への切り込みは中途半端、選挙制度にしてもその発端は、党費肩がわり問題でこの七月の久世元金融再生委員長の更迭であります。
 そもそも、比例名簿の高い順位を獲得するために関係業界に名簿の提出を求め、それを党員とし、その党費を特定の業者に負担させるという自民党の構造上の問題であり、みずからに責任があることを選挙制度の改革にすりかえているにすぎません。
 本来、山積する重要課題を審議するはずのこの臨時国会が、次の参議院選を有利にしようとする与党の思惑で慌てて選挙制度を変えようとする党利党略の駆け込み国会にしてしまったという暴挙に対し、強い怒りとともに断固阻止する決意を申し上げておきます。
 森内閣は、発足をして五カ月を経過いたしました。発足当初より国民の低い支持率と与党内の求心力を欠いたままの奇妙な安定を保っているかのように報道されております。しかし、実態は、さきの総選挙で大幅に議席を減らしたことの総括を先送りし、政権のかぎを握る公明党の意向をうかがいながら妥協を重ねる執行部に対し、党の主体性を主張することすら口を閉ざし、来年七月の参議院選挙の結果に対する責任を共有することを避ける思惑が広がっているからにほかならないのではないでしょうか。
 そもそも森内閣は、その総選挙で議席を大幅に減らし、国民の低い支持率の中で組閣されたのですが、その内閣が滞貨一掃などとやゆされる始末であります。私は、滞貨一掃とは山積する政治課題を一掃する意気込みかと誤解をいたしましたが、実は順番待ちの解消の意味だと聞きまして、これはひどいと思いながらも奇妙な納得をいたしました。
 さらに、内閣の一員である大臣が、森さん、どうせ転がり込んだ総理の座なんだから思い切ってやりなさいよと励ましたなどとテレビの政治番組で語っておられました。まさにそのとおりかもしれませんが、不謹慎なことだと感じたのは私だけではないでしょう。これではできの悪いラガーマンが間違って監督かキャプテンに就任したようなものじゃないですか。
 おまけに、年末には内閣改造だと言われております。重要課題をこれから議論する相手が、今臨時国会が終了したらいなくなってしまう。議会は今、政治家対政治家の議論の場に変わり始めたやさきのことであります。まじめに議論する場を壊すような情報が乱れ飛ぶのは、政権にとってゆゆしいことであります。
 最後のとどめは、森さんの後はだれそれだなどという話が連立与党のパートナーや自民党内から飛び出して、連日報道されています。しかも、来年の参議院選挙後だなどとまことしやかなことを言っているのであります。求心力が欠け、リーダーシップがないとはまさにこのことであります。
 森総理、私たちは今国会でつかの間の議論をあなたやあなたが選んだ大臣とするのでしょうか。御見解をお聞かせください。
 なお、国会の議論を活性化させるために導入された週一回の党首討論の実施は必ず果たすこと、さらには党首討論への出席をもって予算委員会への出席を減らすという国会対応は行うべきではなく、国会での与野党の議論を堂々と展開していただきたい。総理としての見解をお伺いいたします。
 次に、具体的な政策課題についてお伺いしますので、総理及び関係閣僚の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 まず、先立ちましてお断りいたしておきますが、いわゆるあっせん利得罪法案と今後提出が予想される参議院比例区選挙制度の変更、すなわち非拘束名簿式法案については、いずれも議員立法であります。提案者でない旨をもって形式的答弁をなさることなく、我が国政治のトップとして、また自由民主党総裁という立場をもって真正面からお答えを願うものであります。
 まず最初に、あっせん利得処罰法について伺います。
 我々は、与野党の議論を国民にわかりやすく展開し、また意図的な議論のすれ違いを忌避するためにも、与党案との違いを鮮明にして、より強化した法案を新たに対案として提出をいたしたいと思います。
 以下に与党案の問題点を申し上げるとともに、野党案の考え方を申し上げます。
 第一に、請託の有無の問題があります。
 現行刑法のあっせん収賄は請託を受けたことを犯罪の構成要件としており、現実には密室で行われるこの請託を立証することは事実上極めて困難であるため、結果としてほとんど適用されておりません。そもそも、地位利用収賄罪、あっせん利得処罰法案の議論はこのような現状を踏まえ、請託などの要件を外し、より立件しやすいようにすることを第一としたものであります。今回、与党があえてこの要件を残したことは、事実上適用しづらい現行法の問題点を何ら改革しないものと断ぜざるを得ないのであります。総理、いかがでありましょうか。
 新たに提出する野党案では、当然のこととして構成要件から請託を外しております。総理、そして、かつて我々と法案を共同提案したにもかかわらず今や志を曲げてしまった公明党から入閣をしている続総務庁長官に同じくお伺いをいたします。
 次に、犯罪の主体の問題があります。
 さきに提出した野党案は、まず立法者である国会議員がみずから範を示し、次に対象を広げていくという段階論をとっていましたが、今回、与党案は一気に対象を広げる方針をとりました。それはそれで評価すべきでありますが、であるとするならば、秘書をわざわざ公設に限ったのはなぜでしょうか。あえて抜け道をつくったものと言うほかはありません。新たに提出する野党案では、処罰対象として、国会議員、政策秘書、公設秘書、首長、地方議員に加え、私設秘書も含むこととしております。
 また、与党案は第三者供賄処罰を法律に明記せず、国会答弁で、政治家本人らの支配が事実上及ぶ場合は本人と一体とみなすとの与党見解を示し、政党支部や政治資金管理団体、政治団体、公設秘書、私設秘書、三親等以内の親族などが見返りを得た場合も対象に含むことにすると言われております。
 しかし、司法の独立、また罪刑法定主義に照らしても、国会答弁等の実効性には大きな懸念があります。きちんと明文化すべきことは当然であり、立法の大原則であると考え、野党案ではこれを明記いたしております。総理並びに続総務庁長官にこれらについての見解を伺います。
 そのほか、与党案は対象となる行為について、契約の締結、行政処分に限定したり、いわゆる未遂罪を対象としていなかったり、報酬の範囲を財産上の利益に絞ったりと、でき得る限り甘いものとしようとしている姿勢がありありと見てとれます。総理並びに続長官、これらの国民の批判にどうおこたえになるのでしょうか、御見解をお伺いいたします。
 さて次に、参議院の選挙制度についてお伺いをいたします。
 現在与党で議論されている非拘束名簿式の比例制度は、先ほども触れましたが、久世議員の更迭に端を発したわけで、自民党の構造上の問題であります。現行制度発足以来、違反事件もなく、自民党以外の政党には何ら問題のない制度でありました。また、参議院のあり方については参議院独自の改革の取り組みを従来から積み重ねてきておりますが、その積み重ねをどうするのでしょうか。
 みずからの党と特定の圧力団体や業者との不明朗な関係という構造上の欠点を改めることなく、強引に選挙制度の変更にすりかえることは、物事の本質から国民の目をそらす目くらまし戦術そのものであります。与党の提案の背景にあるのは、事前に党員集めや党費納入をさせるより、選挙戦に入ってからの候補者や支持団体の選挙活動に期待したいという思惑が、次の選挙において自分の政党名では国民の支持が得がたい、そういう恐怖から逃れんがための悲しき方便だと指摘されています。これが数の力を背景とした党利党略以外の何物でありましょうか。総理の御見解をお伺いいたします。
 参議院選挙制度に関する協議が本年の二月二十五日にまとめた報告書は、この問題も含め、議員定数や選挙区の配分定数、比例代表選出議員の政党間移動、解散した政党の名簿の有効性などについても精力的な検討を進めており、「当面は現行の比例代表制と選挙区制という制度の基本的な枠組みは維持することを前提とし」ということで意見が一致し、選挙を目前に控えた時期での抜本改革は見送っております。
 こういった与野党間の合意がある中で、与党の一方的な制度改革は与野党間の信義にもとるものであり、議長の権威まで冒涜するものであります。しかも、この取りまとめをした委員会の委員長は自由民主党の須藤議員であります。みずからついことしの二月二十五日に取りまとめたものを、手のひらを返すようにひっくり返すということはどういうことでありますか。国民の代表たる議員の身分にかかわる重大な問題を、各派協議会の結論を飛び越えて決められた今回の選挙制度の変更は、各会派の信頼関係に基づいて積み上げられてきた真摯な努力を根底から覆すものであります。
 また、動機が不純なこの法案を審議するための特別委員会の設置を強行するなど、誠実な審議に対する姿勢が全く見られないのは言語道断の暴挙であり、こんなことでは理性的な委員会運営は到底期待できないのであります。そのことを強く指摘しておきたいと思います。まずは、自民党みずから、久世前金融再生委員長の記者会見での釈明と党見解の食い違いを国民の前にただすべきが前提であると思うのであります。
 総理は、総理である前に自由民主党の総裁でもあります。単に参議院の問題ではなく、自民党の両院議員を束ねるリーダーとして、自民党の金権体質と参議院の選挙制度の問題をどう見ておられるのか、お答えをいただきたいのであります。
 その上で、みずからの身勝手な都合で選挙制度に安易に手をつけ、さらにポスターなどを含む経費、ほぼ報道関係の試算によれば、自治省もそれを言っておるようでありますが、五十億の税金で賄おうとしておる。このことは、自分たちの不始末を、制度を突然変えてさらに税金で賄おうとする、国民を全く無視したものだと思います。森総理の見解をお聞かせ願います。
 次に私は、最近の我が国経済の動向と、政府・与党が現在検討中の景気対策について総理にお尋ねをいたします。
 先日発表された四―六月期のGDPは実質一・〇%の伸びであり、残る三四半期が横ばいでも今年度の成長率は一・九%になる計算になります。しかし、その数字は公共投資の一三・六%増によって支えられたものであり、民間主導の景気回復の基調は見え始めているとはいえ、なお脆弱な基盤の上にあると言わざるを得ません。
 他方、今日明確になっていることは、国債増発による従来型の公共事業の積み増しという政策手法は、その経済的波及効果は明らかに低下しており、むしろ低生産性分野を温存し、経済構造改革を先送りする最大の要因となっております。
 政府・与党は、九八年の小渕内閣発足以来、毎年、大型補正予算編成を当然のように打ち出してきました。補正予算は、言うまでもなく、当初予算編成時に予見できなかったような真にやむを得ない事態の変化に対応して編成されるべきものであります。与党の諸君は、補正をやめれば景気が落ち込むからと言います。しかし、その本音は、まさに補正予算がシーリングや査定を気にせず与党が自由に選挙対策に使える財源であるということにあるのではないでしょうか。当初予算も成立しないうちから選挙目当てに大型補正の必要性を論じるなど、与党の諸君は補正予算を既得権と勘違いし、政権存続のために私物化しているのであります。
 私たちは、断じてこのようなことを許すわけにはまいりません。総理の見解をお伺いいたします。
 総理は、当面の経済対策の主眼をIT関連分野等に据えるとしていますが、これまでと同じ事業の看板のかけかえにすぎないものがほとんどではないでしょうか。もし、総理が本気で旧来型公共事業から構造改革に資するIT関連分野等への投資に転換するというのであれば、財源や事業内容等具体的に御答弁を願いたいのであります。
 また、総理は公共事業のビッグバンを実施すると述べていますが、本当に森内閣で行うつもりですか。いつの予算編成より行うのですか。どのくらい公共事業を減額することを考えておるのか、明確にお答えを願いたいのであります。
 また、総理は、補正予算の編成に当たり、歳出歳入の見直し、昨年度決算剰余金の活用などにより、国債の追加発行を極力抑制すると述べました。税収見積もりを上方修正して増収分を財源に充てることも検討しているようですが、このような粉飾決算まがいの財源捻出は到底認められません。
 決算剰余金については、申し上げるまでもなく、財政法のルールに従い、少なくともその半分をこれまでの借金の返済に充てるべきであり、ルールを変えてこれまた補正財源に組み入れるなどというやり方は、特に今日の財政状況のもとで、国債追加発行の抑制などと胸を張れるような代物でないことは明白であります。
 私たちは、このような形での補正財源調達についても断じて認めるものではないことを表明いたしておきます。
 以上述べてまいりました景気対策、補正予算のそれぞれの問題点につきまして、総理及び大蔵大臣の御所見を求めるものであります。
 総理は、戦略的外交の積極的展開と言われました。しかしながら、我が党の鳩山代表や岡田政調会長に対する答弁も含め、通り一遍の形式的な答弁に終始し、全力を尽くされるとおっしゃるばかりで、具体的な戦略についての総理のお考えは全く明らかになっていません。私は、ロシアとの関係及び東アジアの平和と安定に向けての総理の具体的戦略についてお伺いいたします。
 まず、ロシアとの関係についてお伺いします。
 最近、ロシュコフ・ロシア外務次官が、北方領土問題にかかわる一九五六年の日ソ共同宣言及び一九九三年の東京宣言について、日ロ両国間に解釈の違いがあると発言をし、波紋を投げかけています。さらに、ロシア将校による自衛隊の機密情報の漏えいにかかわるスパイ疑惑は、日ロ間の友好促進に水を差し、国民の間に不信感を引き起こしています。私は、日本側の領土問題解決と平和条約締結への国民の強い願いがどれほどロシア側に伝わっているのか疑わざるを得ません。
 クラスノヤルスク合意も、年内達成は努力目標とおっしゃるばかりで、どうやって達成に向けて交渉努力をされるのか、今後の戦略についてのお答えはありませんでした。今後の日ロ交渉をどのように進めていかれるのか、総理と外務大臣にそれぞれ対ロ交渉における御決意のほどをお伺いいたします。
 次に、朝鮮半島を中心とした東アジアの安全保障についてのお考えをお伺いいたします。
 本年六月の南北首脳会談以降、国際的に緊張緩和に向けたさまざまな動きがあります。オリンピックでは、南北が同時に入場行進を行うなど大変印象的でした。一方、我が国にとっては、ミサイル開発疑惑や拉致疑惑などの懸案があり、また北朝鮮の軍事的脅威が依然としてあることに変わりはありません。
 去る二十三日、二十四日の両日、金大中韓国大統領が訪日され、総理は首脳会談をなされたわけでありますが、その席で、大統領から北朝鮮の経済復興に向けて我が国の経済協力が強く要請されたと伺います。
 総理は、朝鮮半島の平和と安定に向けての日本の役割をどのようにお考えでしょうか。その中で、第十一回国交正常化交渉をどう位置づけ、どのような戦略で臨まれるのでしょうか。
 また、十月には朱鎔基中国首相が訪日されますが、総理は朝鮮半島情勢について中国とはどのような協議をされるおつもりか、お聞かせください。
 さらに、米国との緊密な連携を総理も表明されましたが、米朝協議の行方、さらに在韓米軍のあり方は、我が国の米軍基地の規模など、東アジア全体の安全保障の根幹にかかわります。米国とは具体的にどのように連携されていくのか、総理の戦略をお伺いいたします。
 たび重なる不祥事を受けて、警察もようやく情報公開に重い腰を上げつつあるようですが、おくればせながら警察庁は都道府県の情報公開条例に際して情報公開条例の実施機関となるよう指示をいたしております。しかし、この間、公開しても問題のないような情報が犯罪捜査情報の秘密や個人のプライバシーの保護といった名目によって聖域化し、結果としてその過剰な保護がさまざまな警察内部の隠ぺい体質を助長し、その間、数多くの警察官による犯罪や不正行為の温床となったのではないかと思われることです。
 通達には、行政の透明性の確保や説明責任の遂行とあります。いわば当たり前のことであります。国家公安委員長の警察改革に臨む決意のほどをお伺いいたします。
 さらに、今、宮城県では、知事と県警が対立しており、知事を説得できない県警側が公安委員や県議会に働きかけていると報道されておりますが、このことはただいま申し上げた通達と大いに反するものである、このように思いますが、このことについて御見解をお伺いいたします。
 従来から行政情報公開の推進を主張していた我が党は、一連の警察不祥事を受けた去る四月に、警察情報といえども捜査情報、プライバシーや企業秘密などに関すること以外は原則公開すべきであって、すべての都道府県が条例改正により警察情報を公開対象とするよう要請しております。
 総理、警察情報の公開については、所信演説の中でも、国民の警察に対する信頼を回復するため、警察の刷新改革に全力を挙げて取り組むとされていることも含め、この問題についてどのような見解をお持ちか、御所見をお伺いいたします。
 最後に、所信表明演説をお聞きして感じたことを申し上げつつ、二、三の質問をいたします。
 演説はなかなかよく読めたのではないでしょうか。声量もよく、抑揚もきき、聞きやすかったように私は思います。しかし、中身については、今国会を二十世紀最後の国会と位置づけながら、二十世紀への総括もなく、また次なる二十一世紀に対する社会像、国家像を提示されませんでした。聞き終わってとっさに感じたのは、「巧言令色鮮し仁」でありました。総理をストレートにそのように申し上げるつもりはありませんが、これはあくまでも印象であります。
 IT革命を連発され、教育の変化を述べ、少子高齢化対策、経済構造改革等々に触れ、公共事業ビッグバンまで飛び出して、あれもこれもに言葉巧みに言及されましたが、その後に来るものが我々には見えませんでした。結局、あなたのお言葉に従えば、全力を尽くして重いボールをどこかへ持っていくと結ばれておりますが、全くよくわかりません。
 さて、総理のIT革命論でありますが、日本型IT社会を目指すと言っておられるが、総理は一体どんな国づくりを考えているのか、全く理解ができません。すなわち、総理の述べられたのは単なる手段であって、目指すべき社会ビジョンが全く描かれていないのであります。また、学校教育の情報化は早くから叫ばれながら政府の動きが一向に見えないのはなぜでしょうか。さらに申し上げれば、沖縄サミットであれだけ問題になったデジタルデバイドへの対応が全く触れられていないのでありますが、まさかお忘れになったわけではないでしょう。お答えいただきたいと思います。
 次に、教育改革について強調されておられますが、三十人学級については実施される決意がおありでしょうか、お伺いをいたします。
 また、第百四十七国会における参議院文教・科学委員会が、民主党本岡議員外二名提出によるいわゆる三十人学級推進の法案をベースにして全会一致で教育改革推進に関する決議をされたことを承知しておられるのでしょうか、総理にお伺いをいたします。
 最後に、教育基本法の見直しについてはどのようなお考えを持っておられるのか、お伺いいたします。
 さらに、教育改革国民会議の中間報告がなされましたが、これに先立って、中曽根前文部大臣があらかじめ総理の意を体して報告内容に介入したと報じられておりましたが、もし事実であれば国民会議の任務をゆがめるものでありますが、そのようなことがあったのかお答えを願い、まず私の質問を終わり、御答弁によりましては再度質問に立たせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(森喜朗君) 本日の答弁に先立ちまして、神津島の地震及び東海地方の大雨により亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに、有珠山や伊豆諸島におきます噴火、地震、また秋雨前線豪雨等により不安で不自由な生活を余儀なくされている皆様方に対して心からお見舞いを申し上げます。
 災害支援制度の抜本改革についてお尋ねがございました。
 被災者支援につきまして、政府といたしましては、関係公共団体等と連携をとりながら今全力で取り組んでいるところでありますが、今後とも万全の対応を期してまいる所存であります。
 御指摘の被災者生活再建支援法につきましては、同法が六党の共同提案により成立し、昨年四月から運用を開始したところであります。また、災害弔慰金支給法につきましても、これまでの累次の法改正によりその改善が図られてきたところであります。
 さらに、住宅再建支援のあり方につきましては、平成十一年一月に国土庁に被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会を設置し、議論を今いただいているところでございます。
 したがいまして、現段階におきましては、実施可能なものについて万全の対応をする中で、検討すべきことは検討してまいりたい、このように考えております。
 今国会では、現内閣とのつかの間の議論をすることになるのではないかという御指摘がございました。まことに遺憾であると言わざるを得ません。
 さきの総選挙で、与党三党が絶対安定過半数の議席を得たことを受けて私は衆参両院から内閣総理大臣に指名されたものでありまして、また私が任命した閣僚は政策に極めて精通されており、実行力もありまして、各省庁を大胆にリードできる方々であります。現内閣は、日本新生に向けた課題に挑戦していく重大な役目を担っております。国家国民のため全力を尽くしていく決意を持って、国会における議論に臨んでいきたいと考えております。
 党首討論についてお尋ねがありましたが、国会において政府としての考え方を説明し、あるいは議論を重ねていくことは、国政を預かる者としての責務であると考えておりますが、一方で、行政府の長として行政運営に当たることや外国要人との会談など、総理大臣の果たすべき職域が幅広いものであることも事実であります。
 党首討論及び総理の国会出席のあり方については、国会改革の一環として国会において決定されたものであり、その改革についても国会において御議論をいただきたいと思います。
 私としては、国会審議の活性化を図るべく、野党党首との討論が質の高い政策論争を中心にした実りあるものとなるように最大限努力してまいりたいと考えております。
 与党提出のあっせん利得罪処罰法案に関しての具体的な法律内容について御質問をいただきました。
 この問題については、与党三党間において法制化に向け大変熱心に御議論をいただき、与党案としてまとめていただきました。政治に対する国民の信頼を増すためにも、十分御議論の上、ぜひとも今国会中に成立させられることを期待いたしております。
 いずれにせよ、政府としては、各党、各会派における議論の結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 与党案において請託を要件としている点につきましては、刑法のわいろ罪において請託を要件としている例が少なからず存するところ、そもそもあっせん行為は請託を伴うのが通常の形態であり、また処罰範囲の明確性を図る必要があることからもこれを要件としたものと承知をいたしております。
 次に、与党案における処罰対象について御質問いただきました。
 与党案において、さきの臨時国会で野党が提出された法案に比べ、処罰対象を地方議員、公設秘書等を含めて大幅に広げられたことにつきましては、地方分権等の時流を見きわめたものと評価をいたしております。秘書のうち公設秘書に限って処罰対象としている点につきましては、与党案は公設秘書の公務員たる身分などに着目したものと考えております。
 また、与党案にいわゆる第三者供与の規定がないことについて御質問をいただきました。
 この問題につきましては、刑法のあっせん収賄罪との整合性に配意されたものと存じております。なお、御案内のとおり、刑法第百九十七条の四においては御指摘のような規定はありませんが、同条の適用における実務や判例は与党見解のとおりと承知しております。与党案においては以上の点を踏まえられたものと私は考えております。
 さらに、与党案の処罰対象行為などについて、与党の姿勢とあわせて御質問をいただきました。
 私としては、従来から繰り返し申し上げているとおり、法制化の検討に当たりましては、解釈次第で適用範囲が変わることのないよう犯罪の構成要件を明確にする必要があると考えております。また、政治は国民の要望を幅広く行政に反映させる機能も果たしていることから、こうした機能を阻害することのないよう配慮することも必要であると考えるところであります。
 かかる観点から、与党案においては議論に議論を重ねられた上で対象行為等を明確にされたものと承知しているところでありまして、議員御指摘のような批判は当たらないものと考えられます。
 議員からあっせん利得罪処罰法案につきまして種々の御質問をいただきましたが、いずれにせよ、政治に対する国民の信頼を増すためにも、各党、各会派において十分御議論の上、ぜひともこの国会中に成立させていただくことを期待いたしております。
 参議院選挙制度に関してのお尋ねがございました。
 参議院選挙制度につきましては、昭和五十七年に現行の拘束名簿式比例代表選挙が導入された後も、制度改革についてはさまざまな議論が行われてきたと承知しております。選挙制度というものはどんなものでも一長一短があり、現行の拘束名簿方式は政党主体の選挙を目指すものでありますが、一方で、有権者がどの候補者を当選させたいのかという意思表示ができず、候補者の顔が見えずに選挙に対する関心が高まりにくいという問題点も指摘されております。
 参議院選挙制度改革につきましては、国民が政治に関心を持ち、また政治が国民から信頼されるような選挙制度を目指し、与党内で議論が進められていると承知をいたしておりますが、今後、各党、各会派の間でも精力的に議論をしていただきたいと考えております。
 なお、久世前金融再生委員長の件に関連して、自民党の金権体質と参議院の選挙制度の問題についての御質問がございましたが、本件につきましては、従来からお答えを申し上げておりますように、自由民主党の報告によれば、平成三年当時、財団法人自由民主会館では建物の管理、維持運営費や人件費などに必要な寄附を募っており、その一環として大京からは関連会社等を含め平成三年に合計一億円の寄附を受けていた、このことは大京側が振り込んだとされる銀行において入金を確認いたしております。当然ながら、当財団法人の収支は適正に処理されており、自由民主会館の人件費を含む管理、維持運営の費用として使用されたものであるとのことでありました。
 また、選挙ポスターなどを公費で賄うことについてのお尋ねがありましたが、公職選挙法では、金のかからない選挙を実現するとともに、候補者間の選挙運動の機会均等を図る手段として、国や地方公共団体が候補者の選挙運動の費用を負担する選挙公営制度を採用しており、国民を全く無視するものとの御指摘は当たらないものと思います。
 補正予算についてのお尋ねがありました。
 政府・与党の迅速にして大胆な経済政策によって、我が国経済は緩やかながら改善しております。しかしながら、雇用情勢はいまだ厳しく、消費は一進一退の状況にあり、企業の倒産件数も高水準になってきております。いわば我が国経済は七合目から八合目には達しておりますが、まさに正念場であって、もう一押しが必要な状況にあると考えておりまして、こうした観点から補正予算を編成することといたしております。
 補正予算の具体的内容につきましては、現在作業を進めているところでございますが、必要性や効果を十分見きわめ、我が国の経済を新時代にふさわしい構造に改革し、二十一世紀における新たなる発展を確実にすることが現下の最大の課題であることから、IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備の重要四分野を軸とした日本新生プランの具体化策を中心に盛り込むことといたしております。
 これらの施策により、我が国経済の再構築を進めるとともに、民需中心の自律的な回復に向けた動きをより確かなものといたしてまいりたいと考えております。
 以上のとおり、補正予算については、我が国の当面の経済情勢、さらに二十一世紀における我が国経済のあり方を踏まえましてその必要性を議論しているものであり、補正を既得権化している、または政権存続のために私物化しているという御批判は当たらないと考えております。
 なお、補正予算の財源については、安易に国債発行に頼ることのできない厳しい財政事情を十分に考慮し、歳出歳入の見直し、平成十一年度剰余金の活用などにより国債の追加発行を極力抑制するように努めていることに御理解をいただきたいと考えております。
 公共事業の見直しについてのお尋ねがございました。
 公共事業については、二十一世紀にふさわしい、真に国民のためになる公共事業を実現していくとの観点から、十三年度予算編成に向けて、計画・既着工事業の抜本的な見直し、政策課題に対応した予算の重点化、事業評価の厳格な適用、コスト縮減等による効率性、透明性の向上を行い、公共事業を抜本的に見直し、再構築するという考え方で取り組んでまいりたいと考えております。
 量的制限につきましては、いまだ万全と言えない我が国経済を本格的な回復軌道に乗せる必要があることから、当面は所要の額の確保が不可欠であること、また依然として立ちおくれている社会資本の整備水準を引き上げるとともに、二十一世紀の新たな発展基盤の構築に向けての諸課題に積極的に対応していかなければならないこと等から、国民生活にとって真に必要な社会資本の計画的かつ着実な整備に努めてまいりたいと考えております。
 補正予算の財源のあり方についてのお尋ねですが、決算剰余金については、安易に国債発行に頼ることのできない厳しい財政事情のもと、国債発行額を極力抑制することの観点から、特例的にその活用を検討しているものであり、御理解をいただきたいと考えております。
 また、十二年度税収については、現時点では具体的な見通しを立てる段階になく、補正予算編成の最終局面に向けて、税収の実績見込みがどのようになるかを見きわめてまいりたいと考えております。
 今後の日ロ交渉についてのお尋ねでありますが、先般の日ロ首脳会談において、クラスノヤルスク合意を含め、今日までに達成されたすべての諸合意に依拠しつつ、四島の帰属の問題を解決することにより平和条約を締結すべく平和条約交渉を継続していくことを確認いたしました。この結果を踏まえ、今後とも、首脳、外務大臣、次官級というさまざまなレベルの話し合いを通じまして、平和条約の締結に向けて全力を尽くしていく考えでございます。
 日朝関係についてのお尋ねがありました。
 朝鮮半島をめぐっては、南北首脳会談後も南北対話の着実な進展等前向きな流れが見られますが、我が国としては、これを確実なものとするため、米韓と緊密に連携しつつ、後押しをしていくことが重要と考えております。
 日朝国交正常化交渉については、軌道に乗り始めました交渉に粘り強く取り組み、特に次回以降は大きな隔たりのある双方の立場の接点を見出すように努め、交渉を大きく前進させ、北東アジアの平和と安定のための一翼を担ってまいりたいと考えております。
 朱鎔基総理訪日の際に朝鮮半島情勢について中国といかなるやりとりを行うか等についてのお尋ねでありますが、政府としては、この機会に、この地域の情勢に一定の影響力を有する中国との間で、南北首脳会談を初め前向きな動きが見られる朝鮮半島情勢につき、北東アジアの平和と安定を増進するとの観点から、率直な意見交換を行いたいと考えております。
 米国との連携についてお尋ねがありました。
 南北関係の改善等の朝鮮半島をめぐる前向きな動きがまだ緒についたばかりであり、政府としては、在韓米軍を含め、この地域における米軍の存在と関与を前提とした上で、域内諸国間の信頼醸成の促進を図っていくことが重要だと考えております。いずれにせよ、北東アジアの平和と安定に向けて米朝協議の果たす役割は大きく、我が国は今後とも米国及び韓国との連携を一層緊密にしていく考えであります。
 警察情報の公開についてのお尋ねでありますが、警察刷新会議の緊急提言及びこれを受けた国家公安委員会・警察庁の警察改革要綱においても情報公開の推進が第一に挙げられており、警察行政の透明性を確保し、国民の信頼を確保するため、適切に情報公開が推進されるものと承知をいたしております。
 日本型IT社会に関するお尋ねでありますが、目指すべき日本型IT社会とは、すべての国民が、デジタル情報を基盤とした情報、知識を共有し、自由に情報を交換することが可能な社会であると考えております。
 こうした社会を実現するためには、第一に、その最も基本的な社会的基盤として、大量のデジタル情報を迅速かつ低価格で交換することのできる超高速インターネットが必要であります。民間主導の原則のもと、超高速インターネットの整備を図るとともに、サービスの低廉化や利便性向上を促進し、五年後には我が国を世界の情報通信の最先端国家に仕上げてまいりたいと考えております。
 第二に、国民一人一人がネットの主役になり、知恵を出し合って新しい仕組みをつくっていくことが重要であります。学校などに高速インターネットを整備するとともに、全国民がインターネットを使えるような国民運動を展開してまいります。
 第三に、国民が利便と楽しみを得られるような情報の中身、いわゆるコンテンツの発展が必要であります。
 日本型IT社会の実現に向け、以上のようなハードウエアである施設、ソフトウエアである技能、中身たるコンテンツの三本柱をしっかり打ち立てて、だれもが家庭でのインターネットを容易に利用でき、その楽しさと有用性を実感できる社会を構築するとともに、ニュービジネスの創出と既存産業の活性化を通じて、より質の高い経済社会の実現を目指してまいりたいと考えます。
 学校教育の情報化についてのお尋ねがありました。
 子供たちの情報活用能力を育成することは、高度情報通信社会が進展する中で極めて重要なことであると考えております。したがって、政府としては、ミレニアムプロジェクトの一つとして、目標年限を明示し、計画的に学校教育の情報化を推進しているところでございます。
 具体的には、二〇〇一年度までにすべての公立小中高等学校等をインターネットに接続し、二〇〇五年度、平成十七年度を目標に、すべての学級、あらゆる授業においてコンピューターやインターネットが活用できるよう、学校のコンピューター整備、インターネットの接続、教員研修の実施、授業で使える画像等の開発などを進めております。今後とも政府全体で学校教育の情報化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 デジタルデバイドに関する御質問でありますが、私は、所信表明演説において九州・沖縄サミットで取りまとめたIT憲章につき言及をいたしました。この憲章では、ITの利益を全世界的に広めるための取り組みとして、G8の作業部会を設立することといたしております。我が国は、この作業部会への積極的な参画を通じ、途上国への具体的な取り組みを探求したいと思います。また、我が国自身のイニシアチブとしても、国際的なデジタルデバイド解消のために包括的協力策を発表しており、今後これに沿って途上国支援に努めていく考えであります。
 三十人学級についてお尋ねがありました。
 今後の教職員定数の改善については、学級編制の標準を一律に引き下げるのではなく、子供たちの基礎学力の向上ときめ細かな指導のために、教科や学年の特性に応じて小人数の授業が行えるようにするなど、学校の主体的な取り組みを支援する観点に立って進めてまいりたいと考えております。
 参議院の文教・科学委員会における教育改革推進に関する決議についてお尋ねがありました。
 参議院文教・科学委員会では、本年五月十六日、いわゆる三十人学級推進の法案が撤回された際に、「政府に対し、新しい学校教育確立のための教育条件整備を含めた改革を強く要請する。」との決議が採択されたと承知をいたしております。この決議においては、教職員の質の向上と定数の改善等が不可欠であるとされているところであり、この観点に立って、小人数授業の実施を含め、教育条件整備を進めてまいりたいと考えております。
 教育基本法についてお尋ねでありますが、教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、命を大切にし、他人を思いやる心など、人間性豊かで創造性に富む立派な人間をはぐくむ教育を実現するためには、制定以来半世紀を経た教育基本法の抜本的な見直しなど、教育の根本にさかのぼった改革を進めていく必要があると考えております。
 先般の教育改革国民会議の中間報告においては、教育基本法は必要に応じて改正されてしかるべきであり、幅広い視点からの国民的な議論が必要であるとの提言がなされたところであります。
 私としては、教育基本法の見直しについては、今後、教育改革国民会議の最終報告を受けて、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んで成果を得てまいりたいと考えております。
 教育改革国民会議の議論についてお尋ねがありました。
 教育改革国民会議には、制約を設けず、自由に教育の根本にさかのぼった議論をお願いしているところでございます。中曽根総理大臣補佐官には、教育改革国民会議の運営を初め、教育改革の推進に関して私を補佐していただいているところでありますが、御指摘のような中間報告の内容に介入したというような事実はないものと承知をいたしております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣続訓弘君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(続訓弘君) 北澤議員の代表質問にお答え申し上げます。
 私には四点の御質問がございました。順次お答え申し上げます。
 まず、第一点についてですけれども、去る二十二日に与党三党があっせん利得処罰法案を国会に提出されました。請託を構成要件にしたことにつきましては、あっせん行為は請託を伴うのが通常の形態であること、あっせん収賄罪にも請託が犯罪要件になっていること、その他のわいろ罪におきましても請託を要件としている例が少なからずあることから、請託を要件としたものと考えます。
 第二点につきましては、私設秘書はあくまで議員との契約関係であり、公人ではなく私人であります。その上で、国会議員が私設秘書を通じてあっせん利得行為をさせている場合は国会議員みずからの行為として処罰されるため、御指摘の点は当たらないものと考えます。
 第三点につきましては、刑法のあっせん収賄罪につきましても第三者供与の規定はありませんが、従来の実務上の解釈、実際の運用では、本人が直接お金などの財産上の利益を受けるだけではなく、本人以外の人たち、いわゆる第三者が外形上受け取った場合でも、財産上の利益に本人の事実上の支配が及んでいるのであれば本人が収受したものとされます。したがいまして、与党案で何ら問題はないと考えます。
 第四点につきましては、与党案は、解釈次第で適用範囲が変わることがないよう構成要件を明確にし、国民の御要望を幅広く行政に反映させる政治の機能との関係に配慮しております。政治に対する国民の信頼を高めるためにも、ぜひとも今国会で成立させることを期待しております。
 私といたしましても、国会での議論を見守り、適切に対処したいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(宮澤喜一君) 補正予算の問題あるいは財源につきましてお尋ねがございまして、総理大臣の答弁と重複いたしませんようにお答えを申し上げます。
 御指摘がございましたように、先般明らかになりました四―六月期のQEでございますが、表面では決して悪くはなかったわけでございますが、検討いたしますと、この際官需から民需にバトンタッチを図る上でどうももう一つ力強くないところがある。それは、法人関係、企業関係の部分はよろしいわけですが、消費であるとか雇用であるところにやはり問題があって、もう一つ力強さが足りないと考えましたので、殊に今年度の年度末あたりを展望いたしますと、財政が多少力をかした方がいいのではないかという判断をいたしました。
 過去二年度における補正とは、経済情勢も多少よくなっておりますので、かなり違うものになるとは存じますが、やはり補正予算は必要なのではないかというふうに政府としては判断をいたしております。
 昨日、衆議院の本会議で代表質問がございまして、その中で、補正予算は必要ないと考えるという御指摘がございました。「財政赤字をふやし、弱い経済を温存する上、日本経済の国際的な信用を失墜させるだけではありませんか。私はこのような補正予算は必要ないと考えます」という御指摘がございましたが、御指摘の意味はよくわかりながら、政府としては、ここでは従来とは違うが、やはりひとつ補正をしておく方が必要ではないかという判断をいたしておるわけでございます。
 その点につきましては、しかし、公共事業に寄せられましたいろいろな批判にもかんがみ、二十一世紀の我が国の発展基盤の構築に向けまして、IT革命の推進であるとか、あるいは環境問題、高齢化、都市基盤等々を重要な四分野としまして、日本新生プランを中心に中身を考えていきたい。結果といたしまして三兆円台後半の予算措置を行うことが大事ではないかと思っておりますが、これから経済対策をつくりまして、それにつきまして各省庁の予算要求がございますので、その内容についてただいままだ申し上げる段階でございません。
 ただ、御指摘のありました公共事業のあり方等々につきましては、先ほど総理が詳しく御答弁をされましたので、それに従いまして考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
 次に、財源の問題についてお尋ねがございました。
 実は、前年度の決算につきまして本会議に御説明申し上げる機会を失しておるわけでございましたが、税収増がございまして、法人税でほぼ一兆円、源泉所得税で五千億円でございますが、そのほかに税外収入がございました。それから、歳出の節約をいたしまして、大体それだけで二兆五千億円の財源を残したわけでございますが、交付税に払わなければならないのが御承知のように五千億ございますから、それで二兆一千億円財源が残りました。その段階で予定しておりました公債の発行を減額いたしました。ほぼこれが見当がついておりましたので、最終の公債発行を減額いたしました分が一兆円余りでございます。したがいまして、二兆円余りの財源から一兆円余りの国債を発行いたしませんでしたので、差し引き一兆円ちょっとの剰余金が出たわけでございます。
 議員は、これは半分は国債償還に充てるべきだと、まさにそういう建前でございますが、これにつきましては今御説明を申し上げたいと存じますが、そこで、実はまだまだ財政再建という問題は当面の問題ではないとは思っておりますものの、しかし心構えといたしまして、入り用な財源、過去二年間顧慮せずに国債を増発してこの不況の打開を図ってまいりましたが、多少経済情勢も変わってきておりますので、せめて入り用な財源の、できるだけ公債発行額を新規発行は少なくしていきたいという、財政当局としてはそういう気持ちがございまして、したがいまして、今回の補正につきましてもできるだけ公債発行額を少なくすることはできないだろうかということを考えております。
 そういう意味で、まずこの剰余金を使わせていただきたいと考えておりまして、本来なら半分は国債償還財源に繰り入れるべきではないかというのは、これは正論でございますけれども、ただ、考えてみますと、財源を償還財源に入れて新しく発行するということは実は余り意味のあることではございません。もうそれで発行せずに済みますればよろしゅうございますが、その分を発行するのであれば、それは法律をもってこの分も財源に使うことをお許しいただくことはできないだろうかと私としては考えておるわけでございます。これが一つでございます。
 それから恐らく、既存経費の中での節約等もできるだけいたしたいと思いますが、次の問題はその税収の見積もりの問題でございます。確かに、今の段階でございますと、今年度の税収の見積もりは統計的にはまだ一割何分しかわかっておりませんので、今年度の税収見積もりを今この時点で正確に改定するということはそれは無理なことと思っております。
 ただ、昨年もそうでございました。今申し上げましたとおり、経済情勢が好転をしておりますので、殊に法人税等につきまして歳入が予定を上回ることがあるのではないか、正確には申し上げられませんけれども、補正予算編成の時期になりますと多少のことは見込まれるのではないかというふうに考えておりますので、これを考えておきませんと不必要な公債発行をするということになりかねない。前年度でもそれは取りやめたわけでございますから、そういう意味で可能な限りで控え目にどれだけの税収の見積もりが変えられるかということは、財政当局としては国会に対して当然考えなければならない責務があるというふうに考えております。
 金額を申し上げることはできませんが、これが第二の財源であると思っておりまして、足りませんところは残念ながら公債発行をしなければなりません。しかし、できるだけそれは少なくいたしたい、財政再建を云々するほどの時期ではございませんけれども、しかし心構えといたしましては新規発行はできるだけ少なくしていきたいという、そういう心意気だけはひとつ御理解をいただきたい、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(河野洋平君) 対ロ交渉についてお尋ねでございました。
 対ロ交渉につきましては、外交担当者として総理の指示のもとにクラスノヤルスク合意の実現のための努力を継続してまいります。
 今月上旬の日ロ首脳会談におきまして、両首脳から平和条約締結問題合同委員会の代表者としての両国の外務大臣に対しまして、交渉を加速化させるための新たな方策の策定、領土問題の歴史に関する共同作成資料集の改訂版の準備、平和条約締結の重要性を世論に説明するための努力の活発化、こういったような措置をとるようにと、これは両国首脳の共同声明の中に書き込んで御指示がございました。
 今後、これらの措置を進めつつ、引き続き平和条約締結に向けて全力を尽くしてまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣西田司君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(西田司君) 警察改革についてのお尋ねでありますが、警察刷新会議の緊急提言においては、警察行政の透明性を確保し、国民の信頼を回復するためには、警察は情報公開に真剣に取り組むべきであると指摘されております。
 国家公安委員会及び警察庁としては、警察刷新会議の緊急提言を重く受けとめ、個人のプライバシーに関する情報や犯罪捜査に支障を及ぼすおそれがある情報等、公開できない情報の基準を適切に定めました上で積極的に情報公開を推進し、国民の信頼の回復に努めてまいる所存であります。
 都道府県の情報公開条例にどのような規定を設けるかについては、それぞれの都道府県において判断されるべきものと承知しております。しかしながら、近年、犯罪の広域化等に対処するため、全国警察が情報を共有し、一体となって活動をしている例がふえております。こうした状況のもとでは、公共安全情報について情報公開法と同様の取り扱いがなされることが望ましいと考えております。
 これまで警察が実施機関となった十三都県の情報公開条例においては、こうした判断から情報公開法と同様の規定とされたものと理解をしております。各都道府県においても、治安維持に支障を及ぼさない条例とされるよう適切な判断がなされることと期待をしておるわけであります。
 最後に、御指摘の警察庁からの通達、警察業務に支障のない制度とすることへの留意を述べたものでありまして、宮城県警の対応はこれに反するものではないと、こう考えております。
 以上です。(拍手)
#10
○議長(斎藤十朗君) 北澤君から再質疑の申し出があります。これを許します。北澤俊美君。
   〔北澤俊美君登壇、拍手〕
#11
○北澤俊美君 それぞれ御答弁をいただきました。
 まず最初に、大蔵大臣……(「再質問で原稿読むのはおかしいじゃないか」と呼ぶ者あり)メモをしてあるんだよ。
 まず大蔵大臣、あなたの御答弁は承服できない。(発言する者多し)しかし、今限られた時間で議論を進めることができませんから、引き続き予算委員会等でこれを追及してまいりたい、このように思っております。
 そこで、私は今、総理大臣の答弁をお聞きしておりまして、私が人生の一つの岐路でサラリーマンから政治の道へ入るちょっとわずかなすき間のときにこの国会で仕事をしたことがある。ちょうどそのときに共産党の不破哲三現委員長ですか、不破さんが来られた。その当時の総理大臣が佐藤栄作総理であります。佐藤さんは、新しく出ておいでになった不破さんに対して、原稿なし、原稿なしで構えて答弁をされておりました。当時の予算委員会室は立錐の余地のない傍聴者で膨らんでいます。
 私は、森総理がこの国会へ出てくることを嫌がっている姿勢に対して、ちょうど私と世代が一緒の森総理も当時のことを覚えておられると思いますが、あのときの興奮は、私は今でも政治家として行動している中の一つの大きな柱になっております。
 どうか森総理、国会へ出てくる出てこないは議会で決めることと言いますけれども、枠が違った中で積極的にあなたが議論の場に出てくることが大切なのであります。ぜひ議会に任せることなくそのように、与党の諸君にも申し上げますが、総理をかばうことは結局は自分たちが国民の支持をなくすことになる、そのことをよく承知をしていただきたい。
 さて、そこで、我が国の将来について語っておられないということについて私は申し上げてまいりたいと思う。
 まず、デジタルデバイドの問題について、総理はIT革命を盛んに、これはやっぱり時宜を得てなかなかいいことを言っているというふうに思う。しかし、二十世紀から二十一世紀へ変わるときに、私たちはこのIT革命の中で、どんな社会にやがて進んでいくかということを総理の口から聞きたい。
 私たちの歴史を振り返ってみれば、ほぼ五百年から六百年、我々の先達は読み書きそろばんをしっかり身につけて、それなりに自分たちが努力をすれば生きていけるという、そういう大きな柱があった。そういう大きな柱。しかし、これからはマウスをいじらなかったら、マウスが使えなかったら生きていけない社会になるかもしれない。そういう不安がある。そのことに対して、五百年、六百年の歴史から大きく転換する我が国の国民の生活をもう少しわかりやすく説明すべきである、私はそのように思います。(拍手)
 それから、歴史の転換点というのは百年前にもあった。少なくとも我が国の歴史の転換点の中で、十九世紀から二十世紀へ時代が移るときに、当時の欧米の指導者がどういうコメントをして、そして欧米のジャーナリストがどういうことを言ったかぐらいのことは検証しておいてほしい。
 当時彼らは何を言ったかというと、引き続き我が国は世界の中で指導的な立場をとって、豊かなものをつくっていくだろうと、こういうふうに言っておったと。しかし、それはあくまでも限られた国家主義の中で次の百年を見通そうとした。それが大きな間違いで、この二十世紀は戦争の世紀だとも言われた。そこの反省から、私は二十一世紀を森総理に語っていただきたかった。
 諸君がどれほどやじを飛ばして聞きづらくしたとしてもです、時代は動く。そして、間違いなく森総理はそこのしばらくの間とは思うが、リーダーをしなきゃならぬ。一番大事なときに森総理が我々国民にきちんとした指針を示さないということは、この二十世紀から二十一世紀へ向かっての指導者としての資格を問われる、私はそういうふうに思います。
 それは確かに二十世紀から二十一世紀というのを、皆さんのように笑いながら通り過ぎれば何でもないことでしょう。エアカーテンのようなものだ。問題意識を持って渡れば大きな結節点であるはずであります。カエサルはあの川を、ルビコン川を渡ったときに、あの小さな川をもしカエサルが共和制政治をやめさせるという決断を持たなくて渡ったら何でもなかった。しかし、彼は共和制政治を変えようという確固たる意志を持ったからこそあのルビコン川は大きく変わったのであります。
 私は、あえて重ねて申し上げます。総理にぜひ時代認識をしっかり持っていただきたい、そのことを申し上げたいと思います。
 さて、そこであとわずか時間が残っております。あっせん利得罪については総理も幾らか意見は違いますが、幾らか前向きな答弁をされました。しかし、これは意見が違うところはまた後ほど議論をすべきであります。しかし、選挙制度については全く答えておらぬ。特に私が申し上げた参議院の協議会の報告についての言及がない。それから、参議院の中における議長の権威の冒涜と各党間の信義の問題については答えておいでにならぬ。このことをぜひ再びお聞きをいたしたい、このように思います。
 公共事業の見直しにつきましても、具体的なことは再びお答えになれないんだろうというふうに思いますが、私はこのことは重ねて質問を申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(森喜朗君) 北澤議員の再質問の御要旨を伺ってまいりました。また、大変高邁なる御見識をお示しをいただきまして、私といたしましても謙虚にそのお話に耳を傾けて、日本の政治の責任を担ってまいりたい、このように考えております。
 所信にも申し上げましたように、IT普及国民運動のようなもの、今検討いたしております。子供たちからお年寄りまで、私は八歳から八十歳までがこのITの有用性や楽しさを享受できるようにしたい、これが私のまず一番大事な目標だと、このように申し上げてまいりました。そして、情報リテラシーを高めることも、これは極めて大切だと思っておりますし、国際的なデジタルデバイドの問題も大切でありますが、これは日本の国から押しつけでこのようにしてさしあげましょうと言うべきことではないんじゃないでしょうか。それぞれの国がいろんな形でこれからこのデバイドをどう乗り越えていくかということを、必要があれば日本側にも申し入れていただく、あるいは国連にも出していただく、そういう中で、今G8の中でそういう専門の作業部会をつくろうということで発足いたしました。その中に日本が入っております。
 したがって、それらの作業部会でどのようなことをこうしたデバイドに対して対応ができ得るかということを協議していこうということにもなっているわけでありまして、今具体的にどのようにしろということは、今の段階ではどのようなことが必要なのかということは、どの国もまだ明確にわかっていないという点だろうと、そういうふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。
 それから、参議院の選挙制度改革に関する協議会がございましたこと、二月二十五日の結論というのも承知をいたしております。参議院側の皆さんの御報告によれば、この報告は最終的には、いわゆる議員定数の削減をまずやろうということで結論が出ましたというように伺っております。ただし、非拘束名簿方式については、問題はあるが、これは否定はしていないというふうに私は報告を受けております。
 それから、公共事業のビッグバンについてもう一度詳しく述べろということでございますが、公共事業につきましては、先ほども答弁を申し上げましたように、真に国民のためになる公共事業を実現していくという観点から、十三年度予算編成に向けてどのような見直しをしていくかということで、大変与党三党のプロジェクトチームで作業をしていただいたわけです。その結果、二百三十項目にかかわる問題点を出していただいて、これを政府としては今これを受けとめていきたいということであります。
 これだけでビッグバンだというふうに私は考えておりません。いよいよこれから十三年度の予算編成に入るわけでございますから、この十三年度予算は、いわゆる中央省庁が再編をされます。そういう意味では、例えば建設省も運輸省も御一緒になるわけでありますから、そういう意味で、改めて公共事業というのはどういう予算建てをしていくのか、どういう組み立てをしていくのかということは、これからさらに与党三党のいわゆる公共事業の改革を進めるプロジェクトで検討をしていくということでございますので、その皆様方の結果を私どもとしては期待をしたいと考えているところです。
 もちろん、政府としても、どういうあり方をとるべきかということは、当然これから後、省庁の皆さんに、また各大臣の皆さんにも私は指揮をいたしておるところでございます。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(斎藤十朗君) 鴻池祥肇君。
   〔鴻池祥肇君登壇、拍手〕
#14
○鴻池祥肇君 私は、森総理の所信表明演説に対し、自由民主党・保守党を代表して質問をさせていただきます。
 まず冒頭に、九月十日からの秋雨前線の豪雨によってお亡くなりになられました方々に心よりお悔やみを申し上げ、被害に遭われました皆様、また、大規模な火砕流のおそれがあるために御家族がばらばらで避難を余儀なくされておられる三宅島島民の皆様に心からお見舞いを申し上げるものであります。
 島民の皆さん、必ず家族そろって島に帰れる日が参ります。どうか希望を持って、我慢をして頑張っていただきたいと思います(拍手)。
 私は、死者六千四百三十二名を出した阪神・淡路大震災の兵庫県選出の議員として、頻繁に最近起こっております災害発生の報に接するにつけ心が痛みます。あの日の人々の絶望的な叫び声と広がる炎を、その中で人と人との温かい助け合いを今も思い起こさずにはいられないのであります。
 あれから五年半、神戸を初めとして、県民が苦しみや悲しみを乗り越えて、美しい六甲山を仰ぎ見ながら、港も町もようやく復旧して、淡路島ではいわゆる花博、ジャパンフローラ二〇〇〇を成功させるなど、今や未来に向けて力強く歩み始めているところであります。
 ここに改めて、今日までの政府及び国民の皆様方の御心配や御高配に心から御礼を申し上げる次第であります。そして、被災者住宅再建支援制度というあの大災害の教訓から学びました自然災害の多発する日本列島にとって極めて大切な提案に御理解と御支援をお願い申し上げたいのであります。
 この日本列島に自然災害が起き続けております。総理、今後の被害に遭われた方々への生活支援、災害の復興対策、さらに今後の災害の拡大防止や地域への経済援助など、どのように取り組まれるのか、お伺いしたいと思います。また、兵庫県発の被災者住宅支援制度についても御所見をお伺いしたいと思います。
 さて、サッカーの緒戦勝利から始まりましたオリンピックも、今や大変な盛り上がりであります。
 柔道のヤワラちゃんこと田村選手の快挙に始まり、野村、瀧本と金メダルが続きました。そして、九月二十一日には井上康生選手が亡き母の遺影とともに金メダル。一昨日はマラソンの高橋尚子選手がすばらしい金メダル。日の丸・君が代に、目標をなし遂げた選手たちの目に美しいものが光りました。
 よく頑張った。おめでとう。そして、感動をありがとう。残念ながら健闘むなしく敗退した選手諸君にも、すばらしいドラマを演じてくれましたことに心から拍手を送りたいと思うのであります。(拍手)
 めっちゃ悔しい、金が欲しかった、水泳の田島寧子選手のさわやかな笑顔もすてきでありました。きょうは女子ソフトボールであります。頑張れ日本、国民こぞって応援をしております。
 十月一日の閉会式まで選手諸君の御健闘を祈り、世界じゅうに友人の輪を広げての帰国をお待ちしております。
 それにしても、日の丸・君が代に反対された皆様方、このオリンピックをどのような気持ちでごらんになっておられたか、機会がありましたら承りたいと思うところであります。
 さて、オリンピックはさておいて、全国の町や村の広場で、また体育館では、強くて正しい節度ある青少年の育成、これはスポーツにありと、土曜、日曜、休日を返上してそれぞれのスポーツの指導に当たる人々はこの国に何万人とおられるわけであります。少年野球、少年サッカー等々に、日々スポーツに熱中する少年たちは何百万人といるのであります。
 私も地元ではウエートリフティングの会長として、あるいは少年野球や少年剣道のお世話役をしているものでありますけれども、思うに、現場では育成のための施設が少な過ぎます。そのための予算も本当に少ないのです。それぞれがわずかの浄財を出し合ってのつつましやかな運営をしております。
 今回、兵庫県からオリンピック、ウエートリフティングに菊妻選手を送り出しました。そのときの壮行会で、参加者三千円の会費で壮行会を開き、残ったものをシドニーへの出発のせんべつにしたのであります。それは極めてささやかなものでありました。
 総理の言われる教育には特に体育が必要であります。スポーツの育成にぜひとも力を入れていただきたい。それを強くお願いを申しながら、ラグビーの選手として活躍されたスポーツマン総理に、今行われているオリンピックに対する御所見、今後のスポーツ振興に対してのお考えをお聞きしたいと思います。(拍手)
 さて、オリンピックの開会式では、韓国と北朝鮮の両国選手団が統一旗のもとで、ともに手を握り合って、手を高く差し上げて万雷の拍手で迎えられました。遠くて近い国と言われる韓半島の人々に日本はどのように今後の外交を進めようとするのか、あの入場行進を見て、私は正直戸惑いを感じたのであります。
 歴史的な南北の首脳会談、その後の南北対話の進展から、北朝鮮の姿勢に変化が見えるとの歓迎ムードの高まっている中で、今かなり大規模な米の追加支援が検討されております。熱海市において金大中大統領との首脳会談の話題にもなったと存じますが、しかし国家としての基本にかかわる拉致疑惑の問題にめどがつくどころか、全く実質的な進展がない状態を考えると、米の追加支援については国民の理解は決して得られないと思うのであります。
 総理は、九月十二日、被害者の家族と会われました。日朝国交正常化交渉に当たって拉致問題が棚上げになるのではないか、家族の質問に対して総理は、それはありません、これは大切な問題であり、無視したり棚上げして国交を結ぶことはありませんと述べられたと聞いております。拉致問題に関してこのように一歩踏み込んだ形で御決意を示されたことに私は心から敬意を表するものであります。
 国民にとって複雑な外交問題はなかなか理解しがたいものであります。しかし、総理の所信で高らかに述べられました「国民の生命、財産を守るのは政治の崇高な使命です。」、これはまさにそのとおりであります。改めてこの国会においてもその御決意を聞かせていただきたく思います。
 また、最近、国交正常化交渉妥結の前に日本が北朝鮮を国家承認するという話も出てきております。この件についてもあわせて総理の御見解をお聞きしておきたいと思います。
 外交問題に関して国民の不安はまだまだあります。
 九月初め、ロシアのプーチン大統領が来日し、三回にわたり総理と会談しましたが、領土問題の解決は見通しが困難、加えて、先日発覚したスパイ事件で、対ロシア方針が今までどおりでよいのか、もう一度考え直していただかなければならないのではないかと思うのであります。スパイを送り、領土問題を先送りして、その上で我が国の経済支援をできるだけ引き出そうとする、そんなロシアに対する不信感は募るばかりであります。
 いずれ総理はロシア訪問を予定されていると伺いますが、今後どのような対ロシア外交をもって挑まれるのか、お伺いしたいと思います。
 国民の不安は北朝鮮あるいはロシアの外交問題だけではありません。それは、金融危機に始まった大不況。景気に改善の兆しが見えるというのは情報技術関連の企業が中心で、相変わらず、既に立ち直っているはずの金融機関の貸し渋り、金融庁の検査マニュアルの建前を並べ立てての取り立てのあおりで、中小企業の倒産件数はいまだ高い現状であります。
 御存じのとおり、日本の企業の九九・七%が中小企業です。働く人々の七二・七%が中小企業で働いているのであります。すなわち、日本の経済をここまで支えてきたのは紛れもなく中小企業の活力であり、そこに働く人々の努力のたまものであることを忘れてはなりません。
 総理、中小企業のやる気を引き出せるかどうか、日本経済の再生のかぎであると言っても過言ではありません。何百億、何千億という驚くような借金をして多額の負債を出していても、有名な大企業には助け船が出ますけれども、汗まみれ泥まみれの中小企業には寄りつくところもない、波に漂う小舟のような存在だということを総理に御承知いただきたいと思うわけであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 ここであえて強調したいのは、中小企業対策事業の国家予算が一千九百億円では余りにも少ないということであります。
 例えば、ODAの事業予算は一兆五千億円台で、国内中小企業支援の八倍の金が海外の経済協力に使われているのであります。例えば、中国に対して毎年二千億円以上、すなわち、日本の中小企業に対する予算と同額の経済協力が行われているのであります。そして、中国からは繊維雑貨、そして大変な超割安の多くの製品が輸入されて日本の中小企業の経営が大きく圧迫されている事実に、多くの中小企業のおやじやそこで働く人々は何でやねんと割り切れない気持ちでいっぱいであります。
 総理、中小企業に元気を出させる対策について、ぜひお考えをお聞きしたいと思います。(拍手)
 さらに、中国についてつけ加えて申し上げたい。
 中国は、過去十二年連続で対前年度比一〇%以上の軍事費の増加をしております。さらに、中国から発展途上国十五カ国に毎年六百億円の援助をしているそうです。私は、この国に対してのODAのあり方を再検討すべきだと考えますが、いかがですか。
 中国は、二百五十万人の世界最大の軍隊を擁し、軍事費は国家予算の一〇%以上を占めています。また、日本を含むアジア地域を射程にしたミサイルは約七十基保有、さらにロシアから戦闘機の購入も行っている国であります。
 話は変わりますが、カンボジアのフン・セン首相は、タケオ州国道二号線の一部の補修工事が日本政府の援助で完了すれば、この区間を小渕ロードと名づけると述べております。その理由は、日本の援助が内戦後のカンボジア復興に大きく貢献していることや、一九九〇年代初めにPKOに参加した日本の自衛隊の拠点がタケオ州にあったことを挙げております。我が国からの援助が有効に使われ、そして相手国の人々に喜ばれてこそ、日本に対する評価も高まり、我が国の国益にもつながるのであります。
 昨年九月、日本の経済援助もあって北京に地下鉄二号線が開通しました。建設費九百億円のうち二百億円が日本からODAで賄われております。こうしたインフラ整備事業に対して日本が援助をしているということを中国の人たちはほとんど知らないのではないでしょうか。森サブウエーと名づけてもらったらどうでしょうか。
 そもそも開発援助とは、大綱の前文に書かれているように、飢餓や貧困に苦しむ開発途上国の人々を看過できないというのが原点のはずであります。果たして中国がODAの対象となる貧困発展開発途上国に当たるのでしょうか。また、閣議決定であるODA大綱をどれほど重く受けとめておられるのか、総理の御意見をお聞きしたいと思います。
 国民に今ある不安感は、外交問題や景気の問題だけではありません。戦後の高度経済成長路線を推進してきたのが自民党単独政権であったことは周知の事実であります。その経済至上主義路線の行き着いた先がバブル経済であり、バブルの崩壊の平成不況であります。そして、その間に日本人の精神の荒廃が進み、日本の社会の混迷の度合いを深めているのが現実であります。
 今回の総選挙の結果、自民党は特に大都市の有権者からそっぽを向かれてしまいました。公共事業など税金の配分が地方に偏重していることの反発もあるかと思いますけれども、それよりも都市に暮らす住民が戦後五十年を経た「この国のかたち」に大きな疑問を持っているからではないかと感じるのであります。
 国民の中に閉塞感、焦燥感、これが募っているような気がしてなりません。この閉塞感、焦燥感、そして何げない不安が、日本人のアイデンティティーの喪失の問題や教育崩壊の問題と、そして政治不信に底流で結びついているのではないかと私は思いますけれども、総理はいかがお考えでしょうか。
 都会に住む多くの人々は、お正月やお盆にはふるさとに帰り、先祖のお墓へお参りして、親兄弟とひとときの出会いを楽しみます。ふるさとの懐かしい風景、これに加えて、人の余り入ってこない立派なホールや美術館、車がほとんど通らない立派な高速道路、その道路の標識にはイノシシに注意とかシカに注意と。過密と過疎の対策は、結局はできていなかったのであります。
 そして、ふるさとから都会の我が家に帰れば、狭い部屋、隣の家の声が聞こえる。空気が汚い。車が渋滞で動かない。電車は超満員。会社に行けばリストラにおびえる。家に帰れば茶髪の息子。親がぼけたらどうしよう。その前におれが倒れたらどうしよう。まさに焦燥感と不安、これが政治不信につながり、政権政党への不信につながり、都市に住む人々が静かに無党派に移動していることに総理はお気づきになっていらっしゃるでしょうか。
 国民の何げない不安、それを解決していくのが政治の目的であります。政治の安定は経済の安定、経済の安定は社会の安定につながります。少なくともそれぞれの解決策やその方向を示していくのが政権政党のトップリーダーの使命であると思いますが、総理の御意見を伺いたいと思います。
 しかし、何よりも急がなくてならないのが、国民の政治家に対する不信、政治に対する不信ではありません、政治家に対する不信にどう対処するかであります。
 大変残念なことに、最近、中尾元建設大臣の汚職事件や、民主党の山本譲司前衆議院議員の詐欺事件が発生しました。今や政界の腐敗防止を徹底して国民の前に明らかにしなければなりません。政治家の倫理の確立は当たり前のことでありますけれども、あっせん利得の防止のため、実効性のある立法を早期に図らなければなりません。信頼関係が国民と政治家との間になくなれば国家の危機につながります。総理、信なくば立たず、これをしっかり実行しようではありませんか。
 総理に率直な御意見を承りたいと思います。
 戦後、我が国は、戦前の教育の行き過ぎた反省から、戦前は悪、戦後は善と、間違った思いが今日まで蔓延をしております。精神的な価値観よりも物質的な価値、社会的責任よりも個人の権利が優先するという風潮、親や教師や地域社会の子供たちへの影響力が著しく低下しました。そして、凶悪な暴力事件や学校でのいじめ等が毎日のように頻発する極めて深刻で危機的な状況に至っております。
 総理は、所信表明演説の中で、「二十一世紀の日本を支える子供たちが、創造性豊かな立派な人間として成長することこそが、心の豊かな美しい国家」と述べられました。私は大いに共感します。まさに教育は百年の大計であり、教育は国政の重要事項であると思います。
 教育改革国民会議は、去る二十二日、森総理へ中間報告を提出いたしました。それによりますと、教育基本法改正の必要性、集団生活による奉仕活動の義務化、道徳教育を初め学校教育の場や高校、大学での創造性を重視、なるほどとうなずけるものも多くあります。しかし、重要なことが欠けていると思うのです。森総理が指摘する、命を大切にする、他人を思いやる、それが今最も欠けているのは大人の方ではないでしょうか。
 日本文化や伝統文化を大切にしてこなかったのも大人であります。国家や地域を愛する気持ちをほとんど持ち合わせていないのも今の大人であります。倫理観や正義感の乏しい政治家や官僚、そして無責任な医療ミスや薬害、すべて大人のなせるわざであります。教育改革の必要性を声高に言う前に、子供に何かを教える前に、大人がみずからの行動を反省することが中間報告には書かれていないのではありませんか。
 みずからを律することのできない大人が教える道徳を子供たちが受け入れてくれますか。子供たちが信ずるのは、口先や文章の道徳ではなく、大人が実践することによって示す道徳ではないでしょうか。今も昔も子供は親の背を見て育ちます。親の責任は重大であるという自覚から教育改革は始まると思います。一番大事なことだと思いますが、総理、どうでしょうか。
 大人社会の反省の上に立って二十一世紀の教育のあるべき姿を示さなくてはならないと思いますが、これに対する総理の御所見を承りたいと思います。(拍手)
 次に、ぜひともお考えいただきたいのは、命を大切にする、他人を思いやる、その根底にあるのは宗教観ではないかと思うのであります。
 戦前の教育への間違った反省から、戦後、宗教についての教育が置き去りにされました。日本は、古代から神道や仏教、儒教、さらにはキリスト教、そして武士道に至るそれぞれの宗教や哲学を正確に受けとめてまいりました。やおよろずの神や仏をあがめ、それを上手にみずからの人生の座右に置いて人間のあるべき道を求めてきたのであります。
 学校教育の中にあって、宗教について、先人の哲学について深く考察する時間も大変必要なことではないかと思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。
 次に、新しい国のイメージを示さなくては教育改革を確たるものにすることにはならないと思います。所信を伺っておりますと、大変失礼ではありますが、新しい国家の姿はITが発達した国があるべき姿のように聞こえてなりません。ITはあくまで技術革新のプロセスであり、新しい価値観を示すものではないと私は思います。新しい価値観をなくして新しい教育は構築できません。その目的もあいまいになると思います。
 人には人柄、家には家柄、国には国柄があるわけであります。日本の国柄について、日本の国柄のイメージについて、総理、国民に伝えていただきたいと思います。
 さて、参議院選挙はあと十カ月後に迫りました。国民が今参議院にどのような役割を期待しているのか、我々は二院制の原点に立ち返って真摯に受けとめ、選挙制度の改革に真剣に取り組むときであります。
 六年間の議員任期のある参議院は、長期的視点で個々の議員の見識を発揮し、憲法のあり方を初め、教育、外交、防衛等の基本問題に腰を据えて取り組むべきであります。
 このために、高い見識を持つ人材を広く求める比例代表選挙は重要であります。しかし、今の制度では、政党があらかじめ候補者の当選順位を決定し、さらに政党名の投票になるために、有権者にとっては候補者の顔の見えない選挙になっており、名簿の順位づけもわかりにくいものになっております。選挙自体の活力も減少します。
 そこで、与党三党が鋭意検討した結果、政党が候補者を順位づけるのをやめて、国民に名前を書いて選んでいただく新たな非拘束名簿方式の導入を図ることにいたしました。
 この選挙制度の改革はここ十数年来検討されてきたものであり、よりよく民意を反映する選挙制度へ改革しようとするものであります。せっかく特別委員会もできました。ぜひとも野党諸君の参加、御議論を心待ちいたしております。相撲は土俵の上でとるものでありまして、土俵の下でしこばっかり踏んでおっては相撲になりません。
 また、前国会から野党諸君の反対のために懸案になっている定数十名削減については、公務員定数の大幅削減や民間もリストラを進めておられる中、政治家みずからも痛みを分かち合うため、選挙制度の改革とあわせて定数削減を行おうとするものであります。国民の皆様に理解を深めていただけるよう努力をしたいと思っております。
 さて、来年夏は参議院選挙です。政治がみずから改革する転機でもあります。しかも、国づくりの基本、この国のかたちと心、そして憲法について各党がどのように考えるのか明確にして、それを争点にして選挙戦を戦おうではありませんか。自衛隊は憲法違反だけれども大変なときにはぜひとも出動してほしい、しかし、段階的に自衛隊はなくすんだ、天皇制をなくすんだ、日米安保をなくすんだという共産党さんの御意見も選挙戦でしっかりと聞かせていただいて戦いをさせていただきたいと思っております。
 さて、参議院選挙の非拘束の導入について、また憲法改正の論点の明確化について総理の所見を承りたいと思います。
 この臨時国会は七十二日間の短期間であります。しかし、重要法案がメジロ押しであります。与党三党は二十世紀最後の国会の重要性を十分自覚し、補正予算初め重要法案の成立に向けて一致団結して森内閣を支える決意であります。総理におかれましては、国家国民のために、現世を忘れぬ久遠の理想に向けて、堂々と大いなるリーダーシップを発揮されんことをお願いいたします。
 最後に、オリンピックの中継を中断してこの国会中継にチャンネルを変えていただきました国民の皆様方に心から敬意を表しまして、私の代表質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(森喜朗君) 今後の災害復旧・復興への取り組みについてのお尋ねがございました。
 三宅島、神津島及び新島の災害につきましては、九月十四日に、扇国土庁長官兼建設大臣、公明党の神崎代表とともにその状況を視察し、現地の御要望をお伺いしてまいりました。
 被災者の方々が通常の生活へ一日も早く復帰できますように、現地で賜りました要望や課題に対して政府一体となって早急に対応を行う必要があります。
 このため、九月十九日に決定した百七十九億円の公共事業等予備費の使用などにより早期の復旧・復興に努めるとともに、火山活動の監視の強化、避難されている方々の生活支援などに対し、実施可能なものについてはすべて措置するという観点から引き続き万全を期してまいります。
 被災者住宅再建支援制度についてでありますが、住宅再建支援のあり方については、被災者生活再建支援法の附則第二条に「総合的な見地から検討を行う」ことと規定されております。これに基づきまして、平成十一年一月に国土庁に被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会を設置し、被災地方公共団体の経験も踏まえつつ今議論をいたしているところであります。
 今後、国土庁の検討委員会の報告、その他さまざまな御意見を総合的に勘案しつつ、住宅再建支援のあり方について検討してまいる所存であります。
 シドニー・オリンピックについてのお尋ねがありました。
 日本選手団は既に前回のアトランタ大会を上回る五個の金メダルを獲得するなど、連日すばらしい活躍をしておられます。私は、メダルもすばらしいことだし、入賞も大変感激的でありますが、むしろ可能性を求めて、このオリンピックに参加する標準記録をどう超えるか、その参加者資格を求めて努力をされた選手の皆さんに私は心から敬意を表したいと思います。
 日ごろの厳しい鍛錬に耐え、オリンピックという華々しい舞台において勝利に向けての全力を尽くす選手たちの姿は、私を初めとして国民すべてに大きな感動を呼び起こすとともに、次代を担う青少年に希望と活力を与えるものであり、私も改めてスポーツのすばらしさを実感しているところであります。
 今後のスポーツ振興に対する考え方についてのお尋ねでありましたが、スポーツは、心も体も強い青少年を育てるため教育面において大きな役割を果たすとともに、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成に寄与するものであります。全国津々浦々で子供からお年寄りまでみんながスポーツを楽しむことができ、また夢や感動を与えてくれる世界的な競技者を育成できるよう、地域や学校等における豊かなスポーツ環境の整備に最大限の努力を傾けてまいります。
 拉致容疑問題についてのお尋ねですが、政府としては、我が国国民の生命と安全にかかわる重要な問題であると認識いたしており、先般の日朝国交正常化交渉第十回本会談においても、この問題は国交正常化のためには避けて通れないことを先方に説明いたしました。また、私自身、このような考えを先般、被害者御家族の方々にも直接お話をいたしました。
 今後も、国交正常化交渉その他の日朝間の対話の場で、この問題の解決に向けて粘り強く取り組んでいく方針であります。
 北朝鮮の国家承認についてのお尋ねですが、政府としては、日朝国交正常化交渉のプロセスの中で、諸般の事情を考慮しつつ検討されるべき課題と考えます。
 他方、正常化交渉は本年四月に約七年半ぶりに再開されたばかりであり、まだ本格的な議論に入っておらず、北朝鮮の国家承認について特定の方針を固めたという事実はございません。
 今後の対ロ外交でありますが、政府としては、政治、経済等あらゆる分野で日ロ関係を強化しつつ、四島の帰属の問題を解決することにより平和条約を締結するという方針を引き続き堅持してまいります。
 このような方針のもと、先般の日ロ首脳会談の成果を踏まえつつ、今後ともさまざまなレベルの話し合いを通じ対ロ外交に精力的に取り組んでまいります。
 中小企業対策についてお尋ねでありますが、中小企業は我が国経済の牽引力であり、御指摘のように、その活力ある成長発展を図ることが我が国経済再生のかぎになると考えております。
 このため、まず、中小企業をめぐる金融情勢がいまだ厳しい中で、特別保証制度の期限が来年の三月に到来することを踏まえ、一般保証制度の拡充や大型倒産、災害等のセーフティーネットに係る対策など、十分な対策を実施したいと考えております。
 また、IT時代の到来による経営環境の変化に中小企業が対応できますように、情報提供、研修の実施等、中小企業の多様なニーズに対応したきめ細やかな対策を講じてまいります。
 我が国の対中ODAについてお尋ねでありましたが、中国では依然として一日一米ドル以下の生活を送る人々が二億人以上に及ぶ等、貧困や経済格差といったさまざまな開発上の問題を抱えています。
 こうした中国が改革・開放政策のもとで安定と発展を確保し、そのような中国との間に安定した協力関係を発展させることは、アジア太平洋及び世界の平和と安定、さらには我が国自身にも重要な意義を有すると考えます。我が国は、こうした観点から、ODA大綱を踏まえ、中国の援助需要、経済社会状況、我が国との二国間関係を総合的な判断の上に対中経済協力を実施しております。
 また、政府としては、今後の対中ODAのあり方については、国内にさまざまな御意見があることを踏まえ、我が国の各界の有識者からの意見も聴取しつつ、中国に対して国別援助計画を策定するための作業を進めているところであります。
 国民の不安に対する政治の役割に関しての御質問がありました。
 近年の厳しい環境変化により、戦後の我が国の驚異的な発展を支えてきたシステムや物の考え方の多くが時代に適合しなくなっていることは事実であります。こうした中で、国民が、家族のこと、仕事のこと、将来のことなど、生活の中でさまざまな不安を抱えていることは御指摘のとおりであると思います。私は、こうした国民の不安を解消し、国民が希望を持って未来に向かっていけるように努力することが、政権をお預かりした私の使命であると考えております。
 このため、私は、二十一世紀に向け、新しい日本社会を構築するためにIT戦略を柱とする経済構造改革、そして教育改革、社会保障改革等に国民の声に耳を傾けながら全力を挙げて取り組み、日本新生を実現していく決意でございます。
 あっせん利得罪の法制化など政治倫理の確立について御質問いただきました。
 政治倫理の一層の確立のためには、まず何よりも政治家一人一人の自覚が大切であると考えますが、議員御指摘のとおり、政治資金にまつわる事件が発生していることはまことに遺憾であります。
 こうした中、与党三党間において法制化に向け大変熱心に御議論をいただき、与党案としてまとめていただきました。今回提出された与党案は、構成要件、処罰対象等を熟慮され、実効性の確保に努められたものと考えておりますが、政治に対する国民の信頼を高めるためにも、十分に御議論の上、ぜひとも今国会中に成立せられることを期待いたしております。
 政府といたしましては、各党、各会派における議論の結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 また、法制化のほか、来年一月の中央省庁再編に合わせ、行政の公正性、公平性を図るという観点から、閣僚などの規律の策定を既に指示いたしておりまして、各党においてもこの政治倫理の問題についていろいろな面から御議論をいただきたいと考えております。
 教育改革についてお尋ねがありました。
 私は、かねてから、二十一世紀の日本を支える子供たちが、人間性豊かで創造性に富む立派な人間として成長することこそが重要なことと申し上げてまいりました。そのためにも、議員御指摘のとおり、我々大人がみずからの行動を反省し、大人社会全体の共同責任として、子供を取り巻く社会そのものを子供の健全な成長を支えるものへと変えていく努力が求められているものと考えております。
 教育をよくするということは、決して子供たちの問題だけで論ずるのではなくて、国民各層がよりよく生きられる仕組みをつくることであって、そのための国民的議論を進めることが重要であります。先般、教育改革国民会議から中間報告が行われ、文部省に対し、この報告を十分に踏まえ、教育改革の準備を直ちに始めるよう指示いたしたところでありますが、今後、国民の皆さんの御意見を広くお聞きしながら教育改革を進めてまいりたいと考えております。
 また、宗教についての教育に関するお尋ねがありました。
 宗教的な情操を深める教育は大切であります。学校教育においては、児童生徒の発達段階に応じ、道徳や倫理等において、人間の力を超えたものに対する畏敬の念を深めることや、人生における宗教の持つ意義を理解させることなどを指導することといたしております。
 今後とも、道徳や倫理等の中で、宗教的な情操を深める教育を大切にしていきたいと考えております。
 新たな国のイメージについてお尋ねがありました。御指摘のとおり、改革をするに当たって目指すべき国家像を明確にすることは、政治の大事な役割であると考えております。
 戦後、日本は高度成長をなし遂げましたが、バブルの崩壊、その後の厳しい経済状況の中で経済構造改革が急務となっております。一方、物質的な豊かさを達成する過程で、命の尊厳、他人への思いやり、地域の文化や伝統など、いわば心の大切さを見失いがちであったと思います。
 私は、二十一世紀には経済の活力を高めながら、同時に、物質一辺倒ではなく、家庭や地域社会の中で培われていた心の豊かさについていま一度考えることが必要であると考えております。
 そのような思いから、私はかねてから、安心して夢を持って暮らせる国家、心豊かな美しい国家、世界から信頼される国家というものを目指すべき日本の姿としてお示しをしてきました。まさに鴻池議員のおっしゃる国柄であると、私はそのように信じております。
 その際、私は、グローバル化、IT革命、少子高齢化など大きく時代が変化している中で、新しい社会にふさわしい新しい仕組みをつくる新生という発想が大切であると考え、そのための具体的な戦略として日本新生プランを提唱しているわけでございます。
 選挙制度についてのお尋ねがありました。
 どんなものでも一長一短があり、現行の拘束名簿方式は政党主体の選挙を目指すものでありますが、一方で、有権者がどの候補者を当選させたいのかという意思表示ができず、候補者の顔が見えずに選挙に対する関心が高まりにくいという問題点が指摘されております。
 また、定数削減につきましては、公務員定数の削減、地方議会の定数削減、民間企業の経営効率化努力など、さらに先般、衆議院でも定数削減を行っております。こうした動向を踏まえ、国民の視点に立って検討することが大切であると考えます。
 いずれにせよ、参議院選挙制度改革は議会政治の根幹にかかわる重要問題であり、国民が政治に関心を持ち、また政治が国民から信頼されるような選挙制度を目指し、各党、各派の間で精力的に議論していただきたいと考えております。
 来年の参議院の選挙の争点に関して御指摘がありました。
 憲法に関する問題については、衆参両院に憲法調査会が設置され、将来の我が国の基本的なあり方を見据えて、幅広く熱心な議論が行われております。
 二院制のもとでの参議院の役割は、第一に、衆議院及び内閣に対するチェックアンドバランスを発揮することにあること、第二に、異なる制度等による選挙によって国民の多元的な意見をよりよく国会に反映することにあるとされております。来る参議院選挙においては、こうした二院制の役割を踏まえて、各候補者、各政党、それぞれが目指す国のあり方や政策を国民に訴えていくことが極めて大切であると考えます。(拍手)
#16
○副議長(菅野久光君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○副議長(菅野久光君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十分散会
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ソース: 国立国会図書館
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