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2000/09/27 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 本会議 第3号
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2000/09/27 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 本会議 第3号

#1
第150回国会 本会議 第3号
平成十二年九月二十七日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成十二年九月二十七日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。白浜一良君。
   〔白浜一良君登壇、拍手〕
#4
○白浜一良君 私は、公明党を代表し、さきの森総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 初めに、伊豆諸島、有珠山の噴火被害、さらに東海豪雨は国民生活に大きなつめ跡を残し、甚大な被害をもたらしました。亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害をこうむり不自由な生活を余儀なくされている皆様方に心からお見舞いを申し上げます。
 災害が起きたとき、いつもながら痛感することは、応急の災害救助は国として当然のこととしても、被災者の生活再建に対する国の支援体制が不十分なことであります。
 例を挙げれば、阪神・淡路大震災を教訓に制定された被災者生活再建支援法による支援額は、複数家族世帯に対し満額でわずか百万円、しかも支給対象は家屋全壊の世帯のみに限定される貧弱さであります。二万世帯以上の床上浸水、四万世帯の床下浸水の大被害を受けた東海豪雨の場合は、再建支援法の適用の可能性がある全壊世帯はわずかに二十数世帯。全島避難によって職業も住居も捨てざるを得なくなった三宅島噴火の場合、現時点で半壊家屋が数戸確認されたのみという理由で、法の適用ができるかどうかすら決まっていないありさまであります。
 治山治水は国の基と昔から言われ、被災者支援は政治の基本であります。果たして、このような形ばかりの再建支援策によって国の信頼をかち取ることができるのか、また、法改正を含む新たな生活再建支援方策をとる考えはないのか、総理の見解を求めるものであります。
 またあわせて、扇国土庁長官に、三宅島噴火への早急かつ弾力的な法適用を本日明言されることを求めるものであります。
 さて、ことしの夏以来、大手乳製品会社が引き起こした食中毒事件や、それに続く異物混入事件の多発、とどまることのない医療事故、自動車会社のリコール隠し、また最近の秘書給与詐欺事件に至るまで、国民の信頼を大きく裏切る事件が続発しております。
 我が国においては、長く、人と人の信頼を基礎に日本的な社会づくりが進められてまいりました。それが、近年における金融システムの破綻や指導者的立場にある人たちの犯罪、そして信じがたい事件の続発など、これまで国民が培ってきた社会的な信頼は音を立てて崩壊しております。
 政治もまたそれと無縁ではありません。私たち国会議員は襟を正し、改めて我が国社会の信頼の構築に取り組まなければなりません。
 私たちの目の前には、社会保障の改革や経済新生、さまざまな社会的規制の撤廃など、数多くの課題があります。私は、すべての改革は少なくとも二〇〇五年までになし遂げるべきであると考えます。それには、政治の、中でも総理の強いリーダーシップが何より不可欠であります。私は、そうした観点から、総理の力強い指導力に期待し、重点的な課題に絞って質問をいたします。
 過日開催された国連ミレニアム・サミットにおいて、加盟国だけではなく、非政府組織、民間企業とも幅広く連携し、貧困、麻薬撲滅、核廃絶などに取り組む、文字どおり国家を超えた取り組みを目指す姿勢が打ち出されました。
 そういう意味で、総理が今回のサミットにおいて日本政府主導で国連に設立された人間の安全保障基金の拡充を訴えられ、国家と国家という観点の前に、人間一人一人の生命と生活を守るという哲学を国連でアピールされた点については高く評価しております。
 しかし、総理は、国連安保理改革を訴えながらも、肝心の我が国の常任理事国入りについては言及されませんでした。あらゆる機会を通して常任理事国入りを目指し各国の協力を求めておられましたが、その反応はいかがだったでしょうか、総理にお尋ねいたします。
 次に、政治倫理の確立のために何点かお伺いいたします。
 さきの総選挙において、今求められているのは二十世紀末の大転換にふさわしいかじ取りを政治の責任で行うことですと選挙公報に記載したのは、ほかならぬ山本譲司前衆議院議員でありました。山本氏は、この選挙公報の文言と民主党支援の風に乗り当選を果たしました。しかも、総選挙前に名義だけの政策秘書を雇い、その給料をだまし取っていたのではないかとの疑惑があったにもかかわらず、そのことにしらを切り通しての立候補でありました。事件の全容が明らかになり、民主党離党、議員辞職に追い込まれたのは、何と総選挙の後のことであります。
 クロをシロと言って国民を欺いた山本容疑者と民主党の責任は余りにも大きいと言わざるを得ません。
 また、日本共産党も、衆参の国会議員の公設秘書百三十八人全員が、党職員との給与の差額に当たる合計約三億八千万円を党中央委員会に寄附してもらっていると九九年分の政治資金収支報告書に記載しています。同報告書にある他の事例も含め、そのほとんどは、事実上、献金を秘書採用の条件とするもので問題であります。
 衆参両院合同で議員秘書制度について近く検討に入ることになりましたが、今回の事件に関連し、秘書給与の口座管理のあり方や献金を秘書採用の条件とすることについて本来どうあるべきか、官房長官の見解をお示しいただきたいと思います。
 また、政治不信の回復と政治倫理の確立に向けて、あっせん利得処罰罪の制定は喫緊の課題となっております。同法案の審議に向けて総理はどのような決意で臨まれるか、お答え願います。
 次に、参議院の選挙制度改革についてお伺いいたします。
 現在、与党三党では、現行の参議院比例区選挙の拘束名簿式を見直し、非拘束名簿式の導入と定数削減を内容とした改正法案を作成中であります。非拘束名簿式は、一部批判されているような党利党略ではありません。諸外国では、オランダやベルギー、スイス、オーストリア、スウェーデン、デンマークなど二十四カ国で既に採用されております。
 また、政党名のみの比例区選挙は、導入時から問題が指摘され、平成二年の第八次選挙制度審議会の答申、そして平成六年の全会派による参議院選挙制度に関する検討委員会において大勢の意見としての取りまとめの中で非拘束名簿式の導入が明確にされています。今国会で議長のもと正規に特別委員会の設置が決まったにもかかわらず、議論すべき委員も出さない会派は、議会制民主主義を否定する以外何物でもありません。
 参議院比例区選挙に非拘束名簿式が導入されれば、拘束名簿式での順位の決定の不透明さが解消されるとともに、有権者が候補者を選択できますので、有権者の意思がより直接に反映され、顔の見える選挙として国民の関心が高まることが期待できます。また、候補者名や政党名の投票をすべて政党の得票として集計するため死に票が生まれず、比例代表の長所である民意をより正確に反映することもできます。
 我が党は、来年の参議院選挙はこうした利点を持つ非拘束名簿式で実施すべきであると考えます。非拘束名簿式の意義と導入について、総理はどのようにお考えか、お尋ねします。
 次に、現在継続審議扱いとなっている永住外国人地方選挙権付与法案について伺います。
 我が国で永住権を持つ外国人は約六十二万人に上っていますが、公明党は地方選挙権の具体化を主張してまいりました。憲法九十三条には、地方議会や地方自治体の首長の選挙については、その地域に住む住民によって主体的に行われるべきことが示されています。現に、九五年二月には、最高裁が永住外国人に地方レベルの選挙権を付与することについて憲法上禁止されていないとする判断を下しております。今世紀中の決着を図るため速やかに成立させるべきであります。
 総理はどのような姿勢で臨まれるか、お伺いいたします。
 経済問題についてお伺いいたします。
 九月十日に発表された四―六月期の実質GDP成長率は前期比で一・〇%となり、景気回復に向けた足取りは一層確かなものになりつつあります。しかしながら、他方、公共事業などの公需が依然として景気の下支えをしていることや、七月以降の経済指標を見るならば、必ずしも楽観は許されないものと認識しております。
 民需主導の安定した景気回復を図るためには、いましばらく財政による下支えは不可欠であり、総理が補正予算の編成を含む新たな経済対策の策定を指示されたことは、まさに時宜を得た適切な対応であると高く評価するものであります。
 経済対策の策定に当たって最も重要なことは、少子高齢社会、IT社会をにらみつつ、我が国経済の構造改革を進めていくという明確な視点を持つことであろうと考えます。
 また、二兆八千億の事業費削減ともなる二百三十三に及ぶ既存公共事業中止などを内容とする与党三党の公共事業の抜本的見直しに関する合意を踏まえ、硬直化したシェア配分の壁の打破や時代の変化に対応した公共事業関係費の範囲を見直すべきであります。これまでの発想の大転換を図り、従来型の社会資本整備中心でなく、将来に対して真に国民のために必要な事業や中期的な観点から経済効果の高い事業に特化して重点配分すべきであります。
 総理が提唱された日本新生プランに基づく重点分野であるIT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備を中心にめり張りのきいた予算となるよう強く期待するものであります。総理の答弁を求めます。
 あわせて、原油価格の高騰についてお伺いいたします。
 国際的に原油価格が十年ぶりの高値で推移しており、さきのG7蔵相会議でも主要テーマになっております。アメリカも原油の備蓄放出に踏み切り、若干の値下がりが見られるとのことですが、国内経済・景気への影響も予想されます。
 政府は、最近の原油価格の動向についてどのように認識し、万一の場合どのように対処されるのか、またOPECなど産油国への増産要請などの対応策を検討されているのか、森総理大臣の答弁を求めます。
 次に、青少年問題についてお伺いします。
 今国会に与党三党で少年法改正案を提出することになりました。この改正案は、少年法の青少年の健全育成という理念のもとに、近年の少年犯罪の低年齢化や凶悪化へ対応し、安心して暮らせる社会を望む国民の声にこたえるものであります。青少年の健全育成といった観点から、今回の改正を総理はどのように受けとめておられるか、お聞きします。
 また、少年法改正だけで少年犯罪の防止、その他の青少年問題の解決を図ることは到底できません。子供は社会の鏡と言われるように、近年の青少年をめぐる問題は、現代社会における大人社会の閉塞感、社会不安のあらわれであります。二十一世紀を生きる青少年の健全育成のため、総合的観点からさまざまな手だてを講ずることが肝要であると思われます。
 それには、国のための教育とか社会のための教育とかいったこれまでの発想を改め、教育のための社会や子供の幸福のための教育といった視点から我が国の教育を変えていく必要があります。そこで、例えば、教育に関する恒常的な審議の場として、政治から独立した機関を創設し、教育の新しいグランドデザインを担う新たな仕組みの導入も考えるべきであります。
 公明党は、それぞれの地域においては、難しい年代と言われる少年のための相談システムの整備やスクールカウンセラーの制度化、PTA、地域住民による協議の場の設置など、学校を中心とした取り組みに加え、体験学習や青少年の社会参加活動の推進などを提案してきました。教育政策に一家言をお持ちの総理はそれらをどうお考えになっていますか、御見解をお示しいただきたいと思います。
 次に、報道による人権侵害問題についてお伺いします。
 松本サリン事件の河野義行さんは、御自身が受けられた報道被害に立ち向かい、壮絶な人権闘争を展開されたことは周知のことであります。実際、報道被害を受けた人の無力感と怒り、命を削るような苦痛と絶望はいかばかりでありましょうか。我が党の同僚議員もつい最近、悪質な名誉毀損を受けたばかりであります。出版社の全面謝罪と画期的な高額慰謝料の支払いという結果ではありましたが、傷ついた名誉は決してもとに戻ることはありません。
 このような報道被害を防ぐためには、報道する側が責任感とモラルを持つことは当然でありますが、もはやそれだけでは不十分な状況ではないでしょうか。
 法務省も、名誉毀損やプライバシーの侵害に対する何らかの法的整備について調査研究を始めようとしております。人権擁護の観点から、被害者の救済措置として、名誉毀損に対して懲罰的な意味合いを持つ損害賠償の仕組みを検討する必要があると考えますが、総理のお考えをお伺いします。
 次に、我が党の介護問題対策本部が、総選挙直後に介護保険の実施状況について全国にわたる緊急調査を行いました。その中から何点か総理、厚生大臣に質問いたします。
 まず、高齢者保険料の特別徴収に関することであります。
 これまで納めなくてよかった保険料がいよいよ徴収されることになりますが、高齢者やその家族から市町村へ苦情や問い合わせがふえるなど、若干混乱の様相が見えます。市町村もPR等に努力していますが、政府のあと一押しの支援が必要であります。政府の対応をお聞かせいただきたいと思います。
 また、一部の市町村で低所得の高齢者の保険料徴収を免除する動きが見られますが、社会保険である以上、好ましいことではありません。しかし、中には、実質的には生活保護世帯と同じ状態の世帯や災害損失をこうむった高齢者に限って免除しようとする自治体もあります。社会保険といっても一概にはいかない事例があります。こうした点も含めて、保険料免除の動きに厚生省はどう対処されるのか、伺います。
 また、短期入所サービスが激減している点について、厚生省は本年七月、平成十四年一月からの訪問通所サービスと短期入所サービスの支給限度額を一本化する改善案を示されました。しかし、十四年からというのはいかにも遅過ぎます。最大限の努力をし、一日でも早く実施すべきであります。どう対処されるか、答弁願います。
 最後に、日ロ外交問題についてお伺いします。
 今月、日本で開催された日ロ首脳会談で、特に焦点となった北方四島の返還問題については継続協議になりましたが、今後も粘り強い交渉を続け、一日も早い領土問題の解決を望むものであります。
 今回の首脳会談で、プーチン大統領が一九五六年の日ソ共同宣言の有効性について認めたことは、これまでの領土交渉をめぐる双方の隔たりを一歩縮めたとの評価もあります。ところが、日ロ首脳会談後にロシアの高官が、日ソ共同宣言の有効性どころか、これは解釈の相違がある、さらに解釈協議が必要と発言しています。私は、これまでの歴史的経緯に照らしても解釈協議の必要は全くないと考えています。
 公式にロシアから話があった場合、我が国としてどのように対処をされるのか、ロシア訪問を控え重要な問題でもありますので、総理のお考えを承りたいと存じます。
 的確な御答弁を期待し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(森喜朗君) 被災者の生活再建に対する支援体制が不十分であるという御指摘とあわせて、被災者生活再建支援法の改正について御質問をいただきました。
 被災者への支援策といたしまして、災害救助法の適用による生活必需品の無償給与、長期低利の融資など、被災者の要望を踏まえ、関係公共団体等と連携をとりながら全力で取り組んでおります。
 支援法の改正につきましては、同法が六党の共同提案により成立し、昨年四月から運用を開始したところであることから、現行制度を円滑かつ適切に運用し、実績を積み重ねることが重要であると認識をいたしております。その上で、問題点等があれば御議論いただければと考えております。
 政府といたしましては、被災者の生活再建支援のため、今後とも関係公共団体と一層緊密な連携をとりつつ万全の対応を期してまいる所存でございます。
 安保理改革についてお尋ねがありました。
 私としては、日本のことをイの一番に訴えるというよりは、多くの国が受け入れ可能な点について支持を得るため、事前に百六十四カ国の首脳に親書を発出して協力を求めました。実際、ミレニアム・サミットでは、限られた演説時間の中で約百カ国が改革の必要性に、そのうち三十四カ国が常任・非常任議席双方の拡大の必要性に言及するという流れが出てきたと思います。このように、多くの国と手を携えて改革実現のために努力をさらに強化してまいりたいと考えております。
 あっせん利得罪処罰の判定について御質問をいただきました。
 政治倫理の一層の確立のためには、まず何よりも政治家一人一人の自覚が大切であると考えますが、政治資金にまつわる事件が発生し、議員御指摘のとおり、国民の政治不信が深まっていることはまことに遺憾であります。
 こうした中、与党三党間において法制化に向け大変熱心に御議論をいただき、与党案としてまとめていただきました。その内容につきましては、構成要件の明確化、処罰対象の拡大等に十分配慮されたものと承知をいたしております。政治に対する国民の信頼を高めるためにも、十分に御議論の上、ぜひとも今国会中に成立せられることを期待いたしております。
 参議院選挙制度改革のお尋ねがありました。
 参議院選挙制度につきましては、昭和五十七年に現行の拘束名簿式比例代表選挙が導入された後も制度改革についてさまざまな議論が行われてきたところであります。
 選挙制度には一長一短がありますが、現行の拘束名簿方式は政党主体の選挙を目指すものでありますが、一方で有権者がどの候補者を当選させたいのかという意思表示ができず、候補者の顔が見えずに選挙に対する関心が高まりにくいという問題点が指摘されております。
 これに対して非拘束名簿方式は、白浜議員御指摘のとおり、有権者が候補者を選択でき、有権者の意思がより明確に反映されるなどの長所があると言われております。
 参議院選挙制度改革は議会政治の根幹にかかわる重要問題であり、国民が政治に関心を持ち、また政治が国民から信頼されるような選挙制度を目指し、各党、会派の間で精力的に議論していただきたいと考えております。
 永住外国人地方参政権付与法案についてお尋ねがありました。
 この問題につきましては、七月五日、公明党・保守党案と民主党案の二法案が国会に提出されているところでありますが、我が国の制度の根幹にかかわる重要な問題でもあり、賛成論から反対論までさまざまな意見があり、真剣に今議論が行われておりますことから、各党、各会派における国会等での御議論を進めていただきたいと考えております。
 補正予算における重点分野についてお尋ねがありました。
 補正予算の編成に当たりましては、御指摘のとおり、将来に対して真に国民に必要な事業に重点を置いていきたいと考えております。具体的には、我が国の経済を新時代にふさわしい構造に改革し、二十一世紀における新たなる発展を確実にするように、先ほど白浜議員が御指摘のとおり、重要四分野を軸として日本新生プランの具体化策等を中心に盛り込んでいくことといたしております。これらの施策により、新しい産業が育っていく環境を整えるなど我が国経済の再構築を進めるとともに、民需中心の自律的回復に向けた動きをより確かなものとしてまいりたいと考えております。
 最近の原油価格の動向についてのお尋ねでありましたが、今月二十二日の米国による戦略石油備蓄放出の決定を受けて低下しておりますものの、引き続きその動向を注意深く見ていく必要があります。
 万一の場合の対処につき、現時点では、我が国を含むIEA加盟国等は、協調して備蓄を放出する必要があるとは考えておりません。しかし、今後、供給支障が生じる等、石油備蓄の放出を行う必要が生じた場合には、IEAを含む国際的な議論を踏まえ、我が国としても速やかに対応してまいりたいと考えております。
 原油価格の高騰は世界経済に悪影響を与える可能性があると考えており、この点につき、先般のG7蔵相会議におきましても確認されているところであります。今後の対応策につきましては、十月四日にIEA臨時理事会が開催される方向と聞いておりますが、こうしたIEA、またAPEC等の国際的な場を活用しつつ、油価の安定の重要性についての認識の共有、消費国における省エネとエネルギー源多様化に向けた協力等に取り組むとともに、産消対話の場等を通じた産油国への働きかけを行ってまいります。
 青少年の健全育成という観点から少年法の改正について御質問いただきました。
 昨今、少年による凶悪な犯罪が多発するなど、最近の少年非行情勢は厳しい局面が続いており、極めて憂慮すべき状況にあると認識いたしております。
 深刻化する少年犯罪に対処するために、与党三党において大変精力的に御議論いただき、間もなく改正案が提出されると承知をいたしております。今次改正案には、刑事処分適用可能年齢の引き下げあるいは被害者への配慮など多くの事項が盛り込まれるものと承知しておりますが、いずれも極めて重要な課題であると考えております。
 青少年の健全育成についてお尋ねがありました。
 私は、二十一世紀の日本を支える青少年が人間性豊かで創造性に富む立派な人間として成長することこそが重要であり、そのためには、青少年を取り巻く社会そのものが青少年の健全な成長を支えるものであるべきと考えております。
 こうした二十一世紀の教育のあり方について、国民各界各層の皆様に教育の根本にまでさかのぼった幅広い議論をしていただくため教育改革国民会議を設け、熱心に御議論をいただいているところであります。
 また、議員御指摘のとおり、青少年の健全育成には、学校を中心とした取り組みに加え、地域における体験学習や社会参加活動の推進など、総合的観点からさまざまな手だてを講ずることが肝要であります。
 このため、政府では、スクールカウンセラーの配置、学校評議員制度の導入など学校を中心とした取り組みを進めるとともに、地域において青少年にさまざまな生活体験や自然体験ができる機会と場を提供し、青少年が豊かな人間性をはぐくむことができるよう各種施策を積極的に展開しております。
 今後とも、青少年の健全育成を図るため、全力を挙げてさまざまな施策に取り組んでまいる所存であります。
 名誉毀損に対する懲罰的な損害賠償についてお尋ねであります。
 個人といたしましては、白浜議員のお考えと私は同じ考えを持つものでありますが、政府といたしましては、こうした制度につきましては、加害者に対する制裁としての刑事責任と損害の補てんを目的とする民事責任との区別を混同することにならないだろうか、乱訴のおそれがないかなどの問題があり、その導入に関しましては、関係各方面での十分なる検討の状況をも見ながら、慎重に考えていくべきものであると考えております。
 高齢者の介護保険料の徴収についてのお尋ねがありました。
 政府としては、十月からの保険料徴収の開始に向け、介護を国民皆で支え合うという制度の趣旨や保険料の必要性について、さらに国民の方々の御理解をいただくことが必要と考えており、さまざまな広報を実施することといたしております。
 また、今後とも、現場などからの御意見も踏まえ、必要な改善策を検討し、介護保険をよりよい制度に育てていきたいと考えております。
 日ソ共同宣言の解釈についてのお尋ねでありますが、先般の日ロ首脳会談におきましても、一九五六年の日ソ共同宣言が双方が依拠すべき両国間の諸合意に含まれていることが明確に確認をされております。日ロ間に認識の相違はありません。ただし、仮にロシア側として議論したい問題があるのであれば、今後の協議において取り上げられる可能性を排除するものではないと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(扇千景君) 白浜議員の御質問にお答えをさせていただきます。
 まず、お答えいたします前に、三宅島の火山活動、また周辺における地震活動、さらには東海地方を中心とする集中豪雨により被害を受けられ、また今もお困りの皆さん方に対し心からお見舞いを申し上げたいと存じます。
 三宅島及び神津島、新島の災害につきましては、九月十四日に森総理、また公明党の神崎代表と私も二度目の状況を視察してまいりまして、現地の御要望をお伺いいたしてまいりました。
 被災者の方々が通常の生活へ一日も早く復帰できますように、現地で承りました要望や課題に対して政府一丸となって早急に対処している最中でございますけれども、このために、災害者への支援策といたしまして、災害救助法の適用により細かな生活必需品の無償給与、そして実質無利子の融資等のきめ細かな施策を関係公共団体とも連絡をとりながら取り組んでいる最中でございます。
 さらに、九月十二日に決定いたしました緊急の観測監視体制の強化分としまして、少なくとも十四億円の予備費、また九月十九日の閣議決定分といたしましても、有珠山関連分、あるいは伊豆諸島関連分として、特に伊豆諸島に関しましては九十六億円の決定を見ました。また、三宅島の噴火に対してはその中で五十六億五千万円、神津島地震に対しましては三十六億九千万円、新島地震に対しましては二億六千万円を閣議決定したところでございます。
 また、少なくとも私ども、今、白浜議員からお話のございました三宅島噴火等に対します災害者の生活再建支援法の適用に関しましても、私たちは、今の状況では被災者の生活再建支援法の三宅村への適用については、現時点ではまだ確実な被害状況を把握するには至っておりませんけれども、少なくとも御要望のございましたことを、早急に住宅被害者現状を把握することによって、関係諸団体、特に東京都の石原都知事とも連携を密にしまして、御要望のございました新島に新しいトンネルをつくってほしいという御要望に対しましても必ず実行し得るというふうに考えておりますので、ぜひ皆さん方の御支援もいただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣中川秀直君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(中川秀直君) 白浜議員にお答えをいたします。
 民主党の山本譲司元議員の事件を初め、議員秘書制度のあり方についてお尋ねがございました。
 民主党の山本元議員は、秘書の給与を詐欺により私したものであり、大変遺憾に思います。
 公設秘書の給与は、まさに公費として公設秘書本人に支払われているものであり、第三者が口座管理をすることや、献金を採用の条件にしたり強制することはあってはならないことであります。
 国会議員の秘書のあり方については、今回の事件で損なわれた政治に対する国民の信頼を回復するという観点から、国会において十二分に御議論していただくべきものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣津島雄二君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(津島雄二君) 白浜議員から、介護保険につきまして総理が御答弁されました点のほか、私どもの方に二点につき質問がございました。
 まず、介護保険の保険料免除についてのお尋ねでございますが、介護保険制度は介護を国民皆で支えるものであり、一定の所得層の方の保険料を一律に免除することは、制度の趣旨に照らし適当ではないと考えております。また、一般財源を安易に繰り入れることは、それが常態化することも危惧をされます。さらに、御承知のとおり、低所得の方の保険料につきましては、所得段階別に五段階として配慮しているほか、これを六段階とする方法なども認められております。
 このほかに、市町村が地域の実情に応じて独自に低所得者の方への配慮を行う場合にあっては、こうした介護保険制度の趣旨を踏まえていただく必要があろうと考えております。
 次に、訪問通所サービスと短期入所サービスの支給限度額の一本化についてのお尋ねがございました。
 この支給限度額の一本化の方向に向かう方針を踏み切ったわけでございますが、市町村などのシステム変更やテストに時間がかかることから、システムの上で平成十四年一月をさらに繰り上げることは現実問題としてなかなか難しい状況にございます。
 しかしながら、支給限度額の一本化が実現するまでの間におきましても、市町村の取り扱いにより、月々の訪問通所サービスの利用しない枠を一定限度まで短期入所サービスに振りかえることができることとしております。
 今後、さらにより弾力的な対応ができるように検討してまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(斎藤十朗君) 阿部幸代君。
   〔阿部幸代君登壇、拍手〕
#10
○阿部幸代君 私は、日本共産党を代表して、森総理に質問いたします。
 まず初めに、自民党など与党三党が参議院の比例代表選挙に非拘束名簿式を導入しようとしていることについてです。
 そもそも本院では、昨年六月、議長の要請を受けて、各派代表者懇談会のもとに参議院選挙制度協議会が設置され、各派の代表によって、九回にわたって慎重な協議を重ねてきました。この協議の結果は本年二月に報告書にまとめられ、当面は現行の制度を維持することが議長も同席した各会派の代表者懇談会で了承され、本院の意思となったはずです。これを突然覆すのは各党間の協議を台なしにするものであり、党略むき出しの言語道断なやり方です。そのための特別委員会設置を強行するなどもってのほかです。
 総理、あなたはこのことを百も承知で、こんなひどいルール破りを自民党の方針として強行するのですか。
 総理は昨日の答弁で、参議院選挙制度に関する協議会の報告は非拘束名簿方式については否定していないと答弁しました。しかし、総理、各党が参加した協議会の一致した結論は、現行の拘束名簿式比例代表制の仕組みそのものを改めるとなると抜本改革となり、その実現は容易でないことから、当面は現行の拘束名簿式比例代表制を維持することを前提として議論を進めると明確に述べています。すなわち、来年の参議院選挙は現行制度で行うということが各党合意の根本なのです。
 総理、事実を踏まえて答弁し直していただきたい。
 与党三党が導入しようとしているこの方式は、候補者個人への投票と言いながら、実はタレントなどで大量得票できる候補者が得た票を横流しして、有権者の希望しない候補者の当選をも可能にする制度です。
 例えば、かつて有名アナウンサーが参議院の全国区でおよそ二百六十万票を得て当選したことがあります。非拘束名簿式になると、このような方の得票は全部所属する政党の票とされた上で、有権者の希望とは関係のない候補者の当選に利用されることになります。いわば票の横流しです。つまり候補者個人への投票と言いながら、結局、有権者が投じた票がその人の意に反してほかの人に横流しされ、民意をゆがめるということを制度的欠陥として持っていることは否定できないのではありませんか。(拍手)
 導入の意図は明白です。自民党の得票率が八〇年の四二・七%から九八年の二五・一七%へと減り続け、自民党の野中幹事長の言葉をかりれば、現行制度ではだんだん党の組織は細っていくため、自民党を有利にするために持ち出されたものです。実際、自民党青木参議院幹事長は、来年の参院選は党の命運をかけた戦いだ、前回の衆院選でも候補者名と党名の票差が八百万票もあったと述べたことが報道されています。
 国民の中には、自民党の個人候補を支持しても政党としての自民党は支持しないという人が八百万人もいたのです。自民党の看板では選挙を戦えないからと、都合のよいように選挙制度を変え、自民党の議席増をねらうなどというのはとんでもない党利党略ではありませんか。非拘束名簿式の導入は撤回するべきです。
 そもそもこの問題の発端となったのは、金融再生委員長をしていた自民党の久世公堯氏が金融機関から実質二億三千万円もの資金提供を受けていたり、比例選挙で当選確実な上位にランクづけされるように党員名簿三万三千三百三十三人分の党費一億円を株式会社大京に立てかえてもらっていたことでした。この久世問題は依然として未解明のままです。自民党はほおかむりしてうやむやにしようとしています。議席をお金で買うという自民党の金権体質が問われているのです。この問題を徹底的に究明して国民の前に真相を明らかにすることこそ真っ先にやるべきではありませんか。
 久世問題が明らかにしたのは、自民党の金権腐敗体質が底なしに深いということです。少なくとも、中尾元建設大臣の贈収賄事件を契機に改めてその成立が期待されているあっせん利得処罰法案は速やかに成立させるべきです。それは、政治家が行政に対して口ききをして、その見返りに業界などからわいろをもらうことを厳格に処罰するものでなければなりません。だからこそ、いわゆる職務権限や密室で行われる、これをよろしくという請託を立証しなくてもよいものにする必要があるのです。
 ところが、与党案は、このような立証が困難なことをわざわざ犯罪の構成要件にして幾重にも逃げ道をつくるものです。これでは全くざる法になり、あっせん利得処罰法の名に値しません。
 日本共産党など四野党共同案のように、職務権限や請託を外した実効ある法律をこそ成立させるべきではありませんか。同時に、今こそ政治腐敗の根源である企業・団体献金の禁止そのものに踏み出すべきです。あわせて答弁を求めます。
 なお、公明党の白浜議員から、我が党の公設秘書の献金について、あたかもそれが問題であるかのような言及がありましたが、各秘書の自主的、自発的献金は当然の権利であり、何の問題もないことをこの際明確にしておくものです。
 次に、暮らしと経済にかかわって質問いたします。
 介護保険が実施されて半年がたちました。数々の問題点が噴出し、先週の大手マスコミの全国世論調査でも、半数近くが評価しないとして、評価すると答えた人を大きく上回っています。
 とりわけ深刻なのが利用料の問題です。埼玉県の調査では、実際の在宅サービスの利用状況は、限度額に対して四割台です。認定を受けても、利用料の一割負担が重いために必要なサービスを切り詰めているお年寄りが続出しているのです。
 一方、東京の武蔵野市では、ホームヘルパーとデイサービス、通所リハビリの利用料を一律三%に軽減したところ、ホームヘルプの利用時間数は二倍に伸び、在宅サービス利用率は支給限度額の六三%と、東京の平均五〇・四%を上回っています。高い利用料が障害となっていることは明らかではないでしょうか。この点を政府はどう認識し、どう改善するつもりなのか、明確な答弁を求めます。
 利用料については、政府の特別対策であるホームヘルプサービス利用料の三%への軽減措置を、新規のサービス利用者も含め、訪問看護、訪問入浴などすべての在宅サービスに広げることを、最小限の措置として緊急に実施するべきではありませんか。
 さらに、お年寄りに追い打ちをかけるのが十月から始まる保険料の徴収です。保険料徴収通知が各家庭に届けられた途端、各自治体には苦情が殺到しています。生活が苦しくて払えない、承諾なしに年金から天引きするのはひどい、問い合わせが一日千件を超える自治体も出てきました。高い利用料に加えて新たに保険料の負担がのしかかれば、所得の低いお年寄りにとってはまさに生存を脅かす事態ではないでしょうか。低所得者に対する減免制度を実態を踏まえて改善するべきではありませんか。
   〔議長退席、副議長着席〕
 現在、低所得者に対し独自に保険料、利用料の減免制度を実施する自治体が広がっています。千葉県流山市など全国で百五十市町村で保険料の減免制度がつくられています。また、埼玉県では九十二市町村中三十二の市や町で利用料の減免制度がつくられました。
 総理は、所信表明で、本年四月から施行されている介護保険をよりよいものに育てると言っておられます。そうであるなら、よりよいものにするための自治体のこうした努力に水を差すのではなく、積極的に支え、政府として減免制度を抜本的に充実させるべきではありませんか。総理の見解を伺いたい。
 政府は、健康保険法の改悪案を今国会に提出して、七十歳以上の高齢者に原則一割の医療費負担を押しつけようとしています。
 日本共産党が医療関係者に直接聞いて調べたところ、外来で月一回受診してレントゲンや血液検査を受けるケースで試算すると、現在五百三十円の定額負担が一割の定率負担になると二千九百四十円になり、二千四百十円も負担がふえます。入院の場合は、現在一日千二百円の定額負担となっていますが、例えば小脳出血で二週間入院した男性のケースで試算すると、入院費と給食費合わせて二万七千四百四十円から四万八千百二十円へ、ほぼ二倍にも負担がふえることになります。介護保険の利用料と保険料でも大変なのにこれ以上の負担はとてもできない、幾らかかるかわからないと病院に行くのが不安だ、こういう切実な声が上がっています。
 総理は、このような高齢者の不安の声にどのようにこたえるのですか。健康保険法の改悪案は撤回するべきです。(拍手)
 次に、農業問題について伺います。
 収穫の秋を迎えながら、喜べない事態が全国で起こっています。米や野菜を初めとする農産物の価格が暴落しているからなんです。
 総理、ことしはあなたが最高責任者で決めた食料・農業・農村基本計画の最初の年です。国内農業生産を拡大し、四〇%にまで低下している自給率をささやかながらも引き上げる目標を立てています。しかし、今、価格の暴落を放置して生産者を守る措置をとらなければ、離農や産地の衰退が進み、この計画さえ絵にかいたもちになってしまうでしょう。
 そこで、具体的に伺います。
 五年前は六十キロ当たり二万円を維持した米価は下がる一方で、昨年は一万六千円台、そして本年産はさらに下落しています。この結果、所得は半減し、大規模農家ほど制度資金の返済もできず、生活費を捻出できないといいます。国民の主食である米の生産基盤が突き崩される重大な事態なのです。緊急にやるべきは、自主流通米の値幅制限の復活、政府買い入れ米の抜本的拡大とともに、ミニマムアクセス輸入米の削減、海外援助の積極的拡大など、政府の責任で需要と供給、価格の安定を図ることではありませんか。
 次に、タマネギ、ネギ、キャベツを初め野菜の価格が特にこの春から異常な安値になり、あちこちで産地廃棄も行われている問題です。箱代や運賃、手数料を引くと完全に赤字だと生産者の悲鳴が上がっています。
 私は、先般の決算委員会でこの問題を取り上げました。農水省は、価格低落の原因が野菜輸入の急増によるものであることを頑固に認めず、国内の豊作が原因とはぐらかしました。しかし、十年前から約三・五倍にふえ、ことしの前半も昨年同時期より大幅にふえ続ける海外の安い野菜の輸入急増が価格を引き下げる原因でないとは、非常識きわまる見解です。
 各地から、WTOでも認められた緊急輸入制限、一般セーフガードの要望が上がっています。農水大臣はさきの決算委員会で、日本の商社もほどほどにしてほしいと述べました。そうであるならば、なぜ真剣にその発動を考えないのですか。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 次に、雇用問題です。
 総理は、所信表明において、企業収益は前年を大きく上回ってきておるが、雇用情勢はいまだ厳しく、消費は一進一退の状況にあり、企業の倒産件数も最高水準になっているという日本経済についての現状認識を示しました。
 それでは、なぜ、企業収益は前年を大きく上回ってきているのに、雇用情勢はいまだ厳しく、消費は一進一退、企業の倒産件数は最高水準なのですか。私は、今こそサービス残業の根絶と労働時間の短縮による雇用の拡大と、リストラの横暴から雇用を守る対策を進めなければならないと考えますが、総理の見解を伺います。
 このことともかかわって、女性労働者の四割近くを占めるパート労働者の賃金、労働条件の抜本的改善について質問いたします。
 新日本婦人の会が昨年十一月に行った第五回パートタイマーアンケート調査によると、まずパート労働指針では、雇用契約・労働条件は文書で明示することが定められているにもかかわらず、文書の交付は五七・五%です。いまだに口頭によるものが三分の一を占めています。社会保険の加入については、健康保険、厚生年金に入っているのは五人に一人、雇用保険加入は三人に一人という状況です。年次有給休暇は、一九八八年の労働基準法の改正で義務づけられましたが、年次有給休暇がないとの回答が四二・三%に達しています。就業規則の制定も五割にも達していません。
 現に、労働省の「働く女性の実情」では、近年、賃金については女性一般労働者との格差が拡大傾向にあることさえ指摘されています。このような劣悪なパート労働者の賃金と労働条件の実情をどう改善するのですか。それとも、このまま放置するのですか。
 この間、正社員との賃金差別に対して損害賠償を求めていた丸子警報器事件で、正社員の八割以下の賃金を違法とする長野地裁判決が出され、その後、東京高裁で実質的に正社員とすることで和解しています。こうした判決の到達点を踏まえて、今こそパート労働者について、法律で賃金、雇用、退職金など通常労働者との不当な差別を禁止し、真に平等待遇を確立するために、パート法の抜本的改正が必要なのではありませんか。同時に、ILOパート条約を直ちに批准すべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
 次に、財政問題についてです。
 政府・与党は二十日、公共事業中心の大型補正予算の編成方針を明らかにしました。総理、景気を本格的な回復軌道に乗せるという名目で、一体どこまでむだな公共事業を進めるのですか。宮澤内閣以来十一回の景気対策で七十一兆円もの公共事業を追加したにもかかわらず、借金の山を築いただけで景気回復に役立たなかったという冷厳な事実を今こそ正面から受けとめるべきときではありませんか。
 公共事業ばらまきの補正予算がもたらす害悪はそれだけではありません。赤字国債か建設国債かを問わず、国債をこれ以上ふやせば、国債の暴落、長期金利の急上昇となり、金融市場と日本経済に大混乱を引き起こすということです。既に、長期金利が上昇し始め、米国の格付会社ムーディーズが二度目の日本国債格下げを行うなど、危険な兆しが広がっています。これは、日本の財政赤字が今後も減る見通しがない、日本政府に財政健全化の意思が見られないと世間が受けとめているからです。こうした事態に対して政府は何の危機感もないのですか。
 政府は国債発行をできるだけ抑えると言いますが、剰余金を充てるだけでは足りず、建設国債と地方債を増発するのですから、国と地方の長期債務残高六百四十五兆円をさらにふやすことには変わりありません。
 政府がこうした日本財政の現状に全く危機感を持たないとすれば、本当に無責任です。それとも、いよいよとなったら国債の日銀引き受けも消費税の大増税もと考えているのですか。そのどちらかと言わざるを得ません。現実に国債価格の暴落、長期金利の急上昇ということになったら、一体どうやって新しい国債を発行するのですか。日銀に国債を買ってもらって資金手当てをする、そんなことを行えば、戦後の悪性インフレの二の舞になるではありませんか。
 日本の国債の評価は、主要七カ国の中ではアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスを下回り、同じレベルだったカナダの評価水準をも下回ってしまいました。もし日本国債が売れなくなったら、一体どうやって国債の元利償還の資金を捻出するのですか。結局、消費税の大増税で捻出するのですか。
 国債の日銀引き受け、つまり悪性インフレも消費税の大増税も国民生活と日本経済にはかり知れない打撃を与えるものであり、絶対に許されません。(拍手)
 次に、総理が唱える教育改革に関連して伺います。
 まず、教育基本法の見直し問題についてです。
 二十二日には教育改革国民会議の中間報告が発表されましたが、総理が大騒ぎをして再三検討を迫ったのに、教育基本法を改正する論拠は何も出てきませんでした。教育基本法改正論が破綻したということではありませんか。
 そもそも教育基本法は、その前文で、「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。」とうたっているように、日本国憲法と一体のものです。それは、普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造をうたい、勤労と責任を重んじること、教育の目的があらゆる機会にあらゆる場所において実現されなければならないこと、目的の達成が実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によらなければならないこと等を掲げています。教育行政はこの教育基本法に沿って行われなければなりません。
 例えば、さきの子ども国会で子供たちは、いじめをなくすにはお互いの違いを認め合い尊重することだ、こういうことを言っていました。これは、個人の尊厳を重んじるとした教育基本法の精神そのものです。子供の世界が荒れている原因を教育基本法に求める根拠は全くありません。
 今見直すべきは、国連子どもの権利委員会が異例の警告を発しているように、この教育基本法に反して受験中心の競争教育を推し進める一方、三十人学級を初めとする教育条件の整備を怠ってきた政府・文部省の教育行政ではありませんか。(拍手)
 教育基本法は、子どもの権利条約と並んで二十一世紀に継承すべき大事な宝です。
 日本共産党は、子供と教育の荒廃は、これらの精神を生かして、まず第一に、競争中心の教育の是正と市民道徳の重視、第二に、政治、経済、社会の隅々に人間尊重のモラルと正義を確立すること、第三に、映像など文化面で子供を守るルールを確立していくことを提唱し、国民的な取り組みを呼びかけています。このことこそ今本当に必要なのではありませんか。
 次に、今回、教育改革国民会議が打ち出した奉仕活動についてです。
 今回の小中学校では二週間、高等学校では一カ月間、共同生活などによる奉仕活動というのは、子供たちの自主性を奪う集団による義務づけの方向です。このことは、奉仕活動の提唱者である曽野綾子委員が月刊誌で義務としての奉仕活動を強調していることでも明らかです。
 総理はかつて、一九七三年発行の「青嵐会 血判と憂国の論理」という本の中で、昔は徴兵というのがあったでしょう、そんなことは今の日本では考えられないとするならば、社会のためにある一定の期間だけ個々人が働いてもいいのじゃないかと述べています。
 このような仕え奉ること、つまり国家への奉仕に子供を動員することは、自発的精神によるボランティアとは全く違い、個人の尊厳を重んじ、平和で民主的な社会の形成者を育成する教育本来の目的に反するのではありませんか。(拍手)
 二十世紀に起こった問題は二十世紀のうちに解決したいという立場から、いわゆる従軍慰安婦問題の解決促進のために質問いたします。
 政府の閣僚等が日本の侵略戦争の事実や従軍慰安婦問題の事実を否定するような発言をたびたびしてきたこともあって、日本は侵略戦争の反省のない国として今日でも国際的な批判を受け、日本政府の明確な謝罪と償いを求める運動と訴訟が広がっています。
 そこで、まず、森総理の認識を伺いたい。
 従軍慰安婦問題については、一九九三年、当時の河野官房長官が、調査結果に基づいて、慰安所は当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安婦の募集については、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、慰安所における生活は強制的な状況のもとでの痛ましいものであったという談話を発表しています。日本政府が公表した戦時中の資料の数々はその痛ましさを裏づけています。彼女たちは、おびただしい性的行為の強制により、心身にわたり生涯いやすことのできない傷を負ってしまったのです。
 森総理はこの問題についてどのように認識していますか。
 従軍慰安婦問題の根本的な解決は急を要します。日本政府は、韓国や台湾などの元慰安婦の方たちに償い金と一緒に総理の直接のおわびの手紙を渡す事業がなぜ受け取りを拒否され行き詰まってしまったとお考えですか。女性のためのアジア平和国民基金では政府の責任があいまいになっているからではありませんか。政府の責任できっぱりと補償することこそ求められているのではありませんか。
 日本共産党は、戦時における性的強制に係る問題の解決の促進に関する法律案を発表し、ほかの党の皆さんと一緒に共同提案の道を探求していますが、この実現に全力を尽くすものです。
 今、私たちは二十一世紀の門口に立っています。アジアでは、南北朝鮮の自主的な統一を目指す劇的な平和への動き、ASEANフォーラムの平和と安全のための対話機構としての発展など、非同盟、非核兵器、紛争の平和的解決など、平和と進歩の流れが大きく広がっています。日本がこの流れから孤児にならないためにも、侵略戦争への根本的反省が不可欠です。それこそが二十一世紀のアジアと日本の平和を確かにする道であることを強調して、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(森喜朗君) 参議院選挙制度改革につきまして、参議院選挙制度改革に関する協議会の協議との関連で御質問がございました。
 その件につきまして、昨日の北澤議員に対する私の答弁についても御指摘がございました。
 参議院選挙制度改革に関する協議会においては、昨年六月から各党、会派により参議院議員の選挙制度改革について熱心な議論が行われたと承知をいたしております。
 本年二月に取りまとめられた報告書においては、「参議院の在るべき役割に適合した選挙制度の改革の検討が必要であるというのが一致した意見であった。」とされたものと承知しております。
 また、当面の改革についての検討の中では、現行の拘束名簿式と非拘束名簿式のおのおのについて長所と短所が指摘されており、非拘束名簿式そのものが否定されているわけではないと承知しています。
 昨日、北澤議員に対して、非拘束名簿方式については、問題があるが、これは否定はしていないというふうに私は報告を受けたと答弁いたしましたのは、このことを申し上げたものでございます。
 なお、協議会報告では、現行の拘束名簿式の仕組みそのものを改める抜本改革の実現は容易でないとしていますが、その後、国民に対して責任を負うべき与党として来年の通常選挙を控え、参議院選挙制度の改革をこれ以上先延ばしはせず、これに正面から取り組まなければならないと判断したものと承知しております。
 いずれにせよ、参議院選挙制度改革につきましては、議会政治の根幹にかかわる問題であり、各党、会派の間で精力的に議論していただきたいと考えております。
 次に、非拘束名簿方式は制度的欠陥を持っているとの御指摘がございました。
 選挙制度というものはどんなものでも一長一短があり、現行の拘束名簿方式は政党主体の選挙を目指すものでありますが、一方では有権者がどの候補者を当選させたいのかという意思表示ができないという問題点が指摘をされております。
 これに対し非拘束名簿方式は、有権者が候補者個人を選択することができるので、拘束名簿方式に比べどの候補者を当選させたいかについての有権者の意思がより反映され得るものであると考えます。
 参議院選挙制度改革は自民党の党利党略との御指摘でありますが、昭和五十七年に現行の拘束名簿式比例代表選挙が導入されて以降、制度改革についてさまざまな議論が行われてきております。
 今般、与党において取り組みが進められている参議院選挙制度改革は、これまでの議論を踏まえ、二院制のもとで参議院が国民の多元的な意思をよりよく反映でき、国民が政治に関心を持てるような選挙制度を目指しているものと承知いたしております。
 久世前金融再生委員長の件について明らかにすべきとのことでありますが、本件につきましては従来からお答えを申し上げているとおりでございます。
 与党提出のあっせん利得罪処罰法案についての御質問をいただきました。
 与党三党間において、法制化に向け大変熱心に御議論をいただき、与党案としてまとめていただきました。
 法制化に当たって、私は、構成要件を明確にし、かつ国民の要望を幅広く行政に反映させるという政治の役割にも配慮する必要があると繰り返し申し上げてまいりました。
 与党案においては、こうした論点を十分に踏まえ構成要件や対象行為等を定められたものと承知しており、さきの臨時国会に提出された野党案に比べ、構成要件を明確にしつつ、処罰対象を大幅に拡大しているものと承知しております。
 政治に対する国民の信頼を高めるためにも、十分御議論の上、ぜひとも今国会中に成立させられることを期待いたしております。
 企業・団体献金に関してお尋ねがありました。
 政治家個人に対する企業・団体献金は、政党本位、政策本位の政治を目指す政治改革の理念を踏まえ、既に本年から政治家個人に対する企業・団体献金が禁止されたところであります。
 一方で、政党に対する企業・団体献金につきましては、最高裁判例でも、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を持つことは認められており、これをおよそ悪と決めつける論拠は乏しいと考えております。
 いずれにせよ、政治資金のあり方につきましては、民主主義のコストをどのように国民に負担していただくかという観点から、各党、各会派において御議論をいただくものと考えます。
 介護保険の利用状況についてのお尋ねでありますが、これまで自治体から報告を受けたところでは、利用料の負担が重いためサービスの利用を抑えている例は少なく、むしろ介護保険の導入により全国的にもサービス利用者の増加や提供量の拡大といった効果があらわれております。
 なお、個別の自治体におけるサービスの利用状況は、サービスの提供基盤の整備状況など、さまざまな要因によって決まるものであると認識いたしております。
 利用者の軽減措置についてのお尋ねでありますが、この措置は、制度施行前からの訪問介護の利用者の多くが利用料がゼロであったことを踏まえた経過的な措置であり、新規のサービス利用者や施行前から一定の負担をいただいていた他のサービスの利用者については、原則どおり一割の負担を求めることといたしております。
 低所得者の保険料と利用料の負担についてのお尋ねでありますが、介護保険制度におきましては、低所得の方に大きな負担とならないよう、利用料について月々の負担上限額を一般の方より低い額とし、また保険料につきましても課税状況に応じて低く設定するなど、必要な配慮を行っているところであります。
 保険料や利用料の減免措置の拡大についてのお尋ねでありますが、保険料は介護を国民皆で支えるという観点から負担していただくものであり、また利用料はサービスを受ける方と受けない方との負担の公平性の観点から設けられているものであります。
 政府としては、保険料や利用料の意義や必要性についても、今後とも広く国民の皆様に理解を求めてまいりたいと考えております。
 健康保険法等の改正法案についてのお尋ねでありますが、今回の高齢者の定率一割負担の導入は、医療費に対するコスト意識を喚起するなどの目的から行うものであります。
 この定率負担の導入に当たっては、定額の月額上限を設け、高齢者の方々に無理のない範囲で現行制度とほぼ同じ水準の負担をお願いすることとしており、さらに低所得者の方々の入院時の負担については軽減措置を講じることとしております。これらの点を踏まえれば、今回の措置は十分御理解をいただけるものと考えております。
 農産物の価格と自給率に関するお尋ねでありますが、豊作に伴う農産物価格の下落に対しましては、農業経営に及ぼすその影響を緩和するための対策を講じております。また、食料・農業・農村基本計画に定めた食料自給率目標の達成を図るためには、消費者ニーズに即した農産物生産の取り組みを促進することが必要であります。このため、消費者ニーズが生産者に的確に伝わるようにするとともに、生産基盤の整備、経営規模の拡大、技術開発の推進等、各般の施策を通じて生産者の取り組みを支援してまいります。
 米の需給と価格の安定に関するお尋ねがありました。
 政府におきましては、現在の米の需給及び価格の動向に対応して総合的な米対策を早急に取りまとめることといたしております。
 なお、御指摘の値幅制限の復活や、政府買い入れを抜本的に拡大したり、国際的に約束したミニマムアクセス米の削減を行うことは、米政策の基本方向から見て適当でないと考えます。
 また、食糧援助については、相手国のニーズ、WTO協定等の国際ルールとの整合性、財政負担等に留意しつつ適切に対応することといたしております。
 野菜の輸入に対する一般セーフガードについてのお尋ねがありました。
 野菜の輸入状況等を注視しておりますが、輸入の増加等の状況等から見て、現在のところセーフガードを発動すべきとの認識には至っておりません。いずれにせよ、今後とも野菜の輸入動向の把握等に努めてまいります。
 企業収益と雇用情勢、消費及び企業倒産との関係についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、企業収益は前年に比べ大幅に増加しておりますが、企業の過剰債務、過剰雇用等の解消が進んでいる過程にあります。また、ITや介護の分野では新しい雇用需要が増加しておりますものの、これに対応する労働者側の技術習得が必ずしも間に合っていないという、いわゆるミスマッチの問題も見られます。
 こうしたことから、賃金の上昇を通じた消費の本格的な回復や雇用情勢の大幅な改善が見られるまでには至っておりません。また、倒産件数についても高い水準になっております。こうしたことは、我が国経済が古い殻を破って新しい構造に転換する真っ最中にあることを示しております。
 サービス残業の規制と労働時間短縮による雇用の拡大、リストラに伴う解雇の規制についてお尋ねがありました。
 サービス残業は労働基準法違反であり、政府としては、法の趣旨の徹底を図るとともに的確な指導を行っているところであり、引き続きその解消に努めてまいります。
 雇用の拡大のために労働時間の短縮を行う場合には、雇用との関係で賃金、労働時間等の労働条件をどのような水準にするかということが問題となります。この点に関しては、労使の話し合いを見守り、その合意を尊重したいと考えております。
 リストラによる解雇については、裁判例の考え方を踏まえ労使間で十分話し合われるべき問題であり、一律に規制することは適切でないと考えております。
 パートタイム労働者の賃金、労働条件についてお尋ねがありました。
 パートタイム労働者に対しても通常の労働者と同様に労働基準法等が適用されておりますので、パートタイム労働法とあわせて周知徹底を図るとともに、これらの法令に基づく指導を的確に行うことにより、適正な労働条件が確保されるように努めてまいります。
 また、社会保険、雇用保険の加入促進にも努めてまいります。特に、雇用保険については、加入要件に関し年収要件の撤廃を行うこととしているところであります。
 パートタイムの労働条件の改善についてのお尋ねがありましたが、パートタイム労働法においては、事業主は通常の労働者との均衡等を考慮してパートタイム労働者の適正な労働条件の確保等を図るために必要な措置を講ずることとされております。今後とも、同法に基づき、必要に応じて事業主に対し指導、勧告等を行うことなどを通じて、通常の労働者との均衡を考慮した処遇がなされるように努めてまいります。
 パートタイム労働法を改正し差別禁止を盛り込むことについては、現状では労使の合意が得られていないことなどから困難でありますが、今後とも、同法に基づき、通常の労働者との均衡が図られるよう、事業主に対する指導に努めてまいります。
 また、ILO第百七十五号条約の批准については、パートタイム労働法の改正が今申し上げたとおり困難であることなどから、現時点では考えておりません。
 補正予算と景気回復についてのお尋ねがありました。
 我が国経済は、金融システムに対する信認の低下などを背景として、平成九年秋以降、五四半期の連続のマイナス成長を続け、デフレスパイラルに陥るのではないかとの懸念すらありました。
 しかしながら、これまで政府・与党が大胆かつ迅速に取り組んできた広範な政策の効果もあり、我が国経済は緩やかながら改善いたしております。ただし、先ほどもお話し申し上げましたように、雇用情勢は厳しく、消費は一進一退の状況にあるなど、我が国経済はまさに正念場でありまして、もう一押しが必要な状況にあると考えております。
 このような状況を踏まえ、日本新生プランの具体化策等を中心とした経済対策に係る補正予算を編成し、新しい産業が育っていく環境を整えるなど、我が国経済の再構築を進めるとともに、民需中心の景気の自律的回復に向けた動きをより確かなものとしてまいりたいと考えております。
 国債の増発が長期金利等に与える影響についてお尋ねがありました。
 補正予算がどの程度の国債の発行を伴うか、さらにはそれが長期金利にどのような影響を及ぼすかについて現時点でお答えすることは困難でありますが、いずれにしても国債の発行に当たっては、従来どおり市場のニーズを踏まえることによって確実かつ円滑な消化に努めてまいります。
 また、国債の追加発行を極力抑制するよう、補正予算の編成に当たっては、歳出歳入の見直し、平成十一年度決算剰余金の活用などに努めてまいる所存であります。
 補正予算に伴う国債等の増発は市場環境から見て難しいのではないかとのお尋ねがございました。
 補正予算がどの程度の国債の発行を伴うか、さらにそれが長期金利にどのような影響を及ぼすかについて現時点でお答えすることは困難でありますが、いずれにしても政府としては、公債の発行に当たっては、従来どおり市場のニーズを踏まえることによって確実かつ円滑な消化に努めてまいります。
 また、国債の日銀引き受けについてのお尋ねでありますが、現行財政法において、国債の日銀引き受けを原則として禁止し、国債は日銀以外の市中資金により消化するという市中消化の原則を定めているところであり、政府としては、こうした財政法の趣旨を遵守することが必要であると考えております。
 国債の償還財源についてお尋ねがありました。
 国債の発行に当たっては、従来どおり市場のニーズを踏まえることによって確実かつ円滑な消化に努めており、現在、直ちに国債の発行に支障を来すような状況にはないと考えております。いつまでも多量の国債に依存する財政運営が適当でないことは言うまでもないことであり、財政構造改革は必ずなし遂げなければならない課題でありますが、性急に財政再建を優先させれば景気回復を危うくさせることにもなりかねません。まずは、経済を自律的な回復軌道に乗せるため、景気回復に軸足を置いた経済・財政運営を行ってまいります。
 なお、消費税率の問題を含む将来の税制のあり方については、今後の少子高齢化の進展など経済社会の構造変化や財政状況等を踏まえ、国民的な議論によって検討されるべき課題でありますが、いずれにしましても、歳出面のむだはないか等について十分見直しを行うなど、国民の理解を得ることなしに増税を行うことは適当でないと考えております。
 教育基本法についてお尋ねでありますが、先般の教育改革国民会議の中間報告においては、教育基本法は必要に応じて改正されてしかるべきであり、幅広い視点からの国民的な議論が必要であるとの提言がなされているところであります。
 私としては、教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、制定以来半世紀を経た教育基本法の抜本的な見直しなど、教育の根本にさかのぼった改革を進めていく必要があると考えており、今後、教育改革国民会議の最終報告を受けて、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んで成果を得てまいりたいと考えております。
 教育行政についてお尋ねがありました。
 これまでも政府としては、学校における教育内容の見直しや教職員定数の改善等の教育条件整備に努めてまいりました。
 今後の教育については、次代を担う子供たちがたくましく心豊かに成長し、生きる力をはぐくむことができるよう、各学校が主体的に特色ある教育活動を展開することが重要であると考えております。このため、基礎、基本の確実な定着と個性を生かす教育の充実を図るとともに、小人数授業の実施等を含む教育条件の整備に努めてまいりたいと考えております。
 教育のあり方についてのお尋ねがありました。
 私は、二十一世紀の日本を支える子供たち一人一人が多様な個性や能力を伸ばし、人間性豊かで創造性に富む立派な人間として成長することこそが重要なことと考えております。
 そのためには、たくましく生きるための健康や体力を持ち、倫理観や規範意識、道徳心を身につけ、みずから学び、みずから考える力を備えた、体育、徳育、知育のバランスのとれた健全な人間を育てるための全人教育が最も大切であると考えております。
 同時に、子供たちに豊かな人間性をはぐくむためには、大人社会全体のモラルの低下を問い直す必要があり、有害情報から子供を守るといったことも含め、我々大人一人一人が子供の手本となるような行動や態度をとることも重要であると考えております。
 奉仕活動についてのお尋ねがありました。
 学校における課外活動などの教育活動や社会体験を通じて、児童生徒に奉仕の精神を養い、将来奉仕活動等に参加する意欲や態度を培うことは、社会性や豊かな人間性をはぐくむ観点から、教育上極めて有意義であると考えております。
 いわゆる従軍慰安婦の問題についてのお尋ねでありますが、この問題についての政府の基本的立場は、平成五年八月四日の河野官房長官談話のとおりであり、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であると認識しております。
 いわゆる従軍慰安婦問題に関するお尋ねですが、本件問題を含め、さきの大戦に係る賠償並びに財産及び請求権の問題については、政府としてはサンフランシスコ平和条約等に従って誠実に対応してきており、これら条約等の当事国との間においては法的に解決済みであり、補償を行うことは考えていません。
 しかしながら、政府としては、本件問題は多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるとの認識のもと、アジア女性基金の事業に対し最大限の協力を行ってきております。基金はこれまでに百七十名以上の元慰安婦の方々に事業をお届けしており、事業はおおむね順調に進んでおります。
 政府としては、アジア女性基金を通じた取り組みに対し引き続き最大限の協力を行っていくとともに、関係国、地域の関係者の利益を得られるよう努力してまいりたいと考えております。(拍手)
#12
○副議長(菅野久光君) しばらくお待ちください。
 答弁の補足があります。森内閣総理大臣。
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(森喜朗君) 久世前金融再生委員長の件について御質問がございました。
 本件につきましては、従来からお答え申し上げておりますように、自由民主党によれば、平成三年当時、財団法人自由民主会館では建物の管理、維持管理費や人件費などに必要な寄附を募っており、その一環として大京からは関連会社等を含め平成三年に合計一億円の寄附を受けていた、このことは大京側が振り込んだとされる銀行において入金を確認している。当然ながら、当財団法人の収支は適正に処理されており、自由民主会館の人件費を含む管理、維持運営の費用として使用されたものであるとのことであり、うやむやにいたしたものではありません。
 なお、当然のことながら、自由民主党では、党員の獲得に当たっては、党の主張を御理解いただき、御自身の意思で入党していただいているものと承知しており、議席を金で買うとの御指摘は当たらないものと考えております。
#14
○副議長(菅野久光君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#15
○副議長(菅野久光君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。田英夫君。
   〔田英夫君登壇、拍手〕
#16
○田英夫君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、外交・防衛問題に絞ってお尋ねいたします。
 その外交・防衛問題の質問に入る前に、緊急の問題として、参議院の選挙制度についての昨日の総理の御答弁に重大な事実誤認がありますので、それを指摘し、総理の答弁を求めます。
 総理は、昨日の本会議で、同僚議員の参議院協議会の結論についての質問に対し、定数削減をまずやろうということで結論が出たと伺っていますが、非拘束名簿式については、問題はあるが、これは否定していないと報告を受けていますと答弁されました。しかし、これは全く誤りであります。
 協議会報告は、一つ、「抜本的な改革は、次回の通常選挙に間に合わせることは時間的に困難であること、」、二つ、「当面は現行の比例代表制と選挙区制という制度の基本的な枠組みは維持することを前提としつつ、何らかの改革を行う余地があるかどうかを検討することとし、抜本改革案については、参議院の役割と在り方を踏まえつつ引き続き検討が行われるべきであることで意見が一致した。」、これが正しい協議会の報告であります。
 つまり、来年の通常選挙は現行制度で行うことで協議会は合意しているのであります。今回のこの臨時国会に非拘束名簿式比例代表制の採用を内容とする参議院選挙制度の改正案を提出すること自体、参議院の協議会の合意に違反するものであります。
 総理の明快な御答弁を強く求めます。
 さて、森総理は、先日の所信表明演説で、私たちには二十世紀から二十一世紀ににじの橋をかけていく責任と役割がありますと述べられました。しかし、今のような政府・与党の姿勢で果たしてにじの橋がかけられるでしょうか。答えはノーです。それは、政府・与党には世界の新しい胎動に対する鋭い認識が全く欠如しているからであります。
 去る六月十三日という日は、日本では衆議院総選挙の始まった日ですが、この日はアジアの、いや、世界の歴史に平和への一歩として確実に深く刻まれるに違いない日であり、韓国の金大中大統領と朝鮮民主主義人民共和国の金正日総書記が、長年にわたる厳しい対立を乗り越えて、ピョンヤンで会談をしたこの日の意義を総理はどう受けとめておられるのか、まず伺いたい。
 南北朝鮮は、その後も首脳会談で合意した自主的統一に向かって、離散家族の相互訪問を初め着実に平和に向かって歩み始めています。シドニー・オリンピックの入場行進では、南北の選手が一つの旗のもとで手を握り合ってともに行進をし、世界に大きな感動を与えました。現実がこのように動いているにもかかわらず、日本政府は相変わらず北の脅威論にとらわれて、金大中大統領が熱海会談で森総理に対して求めた北朝鮮への経済支援にも冷たく反応しただけだったと伝えられています。
 アメリカは、北朝鮮をイラン、イラク等とともにローグネーション、ならず者国家と呼び、これを敵視してきました。独立した国家を公然とならず者と呼ぶ無礼を森総理はどう思われますか。一九九七年には森総理は私たちとともに北朝鮮を訪問した経験をお持ちです。総理はよもや北朝鮮をならず者と思っておられないと思いますが、いかがですか。
 今や朝鮮半島に関する認識を改めなくては、新しい状況に対応できません。総理は、金大中大統領とひざを交えて語られたのですから、彼の太陽政策の奥の深い考えを十分に把握されたと思います。米などの食糧の北朝鮮に対する支援はもちろん、さまざまな分野での経済協力を積極的に行うべきです。その一歩として既に南北間で合意し着工されている京義線の鉄道の連結にも日本政府が支援してはいかがですか。在日朝鮮・韓国人の人々の間でも、今既に立場の違いを超えてこのための募金活動が始められています。
 次に、現在既に交渉が始まっている日朝国交正常化交渉についてです。
 両国の国交を正常化しようというならば、まず相手国を国家として承認すべきだと思いますが、いかがですか。その上に立って、日本は、率直に過去の誤りを謝罪することから出発しなければなりません。そして、交渉する部屋の入り口に障害物になる石を置かないことです。かつて、日ソ平和条約交渉についてソ連のゴルバチョフ大統領の右腕と言われたヤコブレフ顧問が私に、日本政府は交渉する部屋の入り口に領土問題という大きな石を置いて、それを片づけなければ交渉の部屋に入らない、こういう態度をとっていると非難しておりました。このことは日朝交渉でも言えると思います。石を部屋の入り口に置くのではなくて、部屋に入って交渉を進める中でその石をどうやって片づけるか、解決するかを話し合うべきではないでしょうか。総理のお考えを伺いたい。
 次に、森総理は、最近のコーエン・アメリカ国防長官との会談で、いわゆる在日米軍の瓶のふた論を認める発言をされたと伝えられています。それは、アジア諸国は日本が再び軍事大国になると懸念を持っている、だから在日米軍は周辺諸国にとって日本の軍事大国化を抑える安心材料になる、こう総理が言われたというのです。これは総理が、日本が再び軍事大国化することを認められたと受け取られても仕方がありませんが、総理の真意を伺いたい。
 このことと沖縄の米軍基地の縮小問題とどう関連するんでしょうか。アメリカ海兵隊の普天間基地の名護移転問題はどうなるんでしょうか。沖縄県知事が提起した名護新基地の使用期限を十五年とするという要請についても、河野外務大臣はさきにニューヨークで行われた2プラス2では全く触れなかったようですが、このまま名護への移転を強行するつもりですか。明確にお答えいただきたい。
 アジアに十万人のアメリカ軍を展開する戦略を提起したジョセフ・ナイ元国防次官補さえ、一九九六年に、北朝鮮の脅威がなくなればアジアに米軍のプレゼンスを確認する程度の兵力があれば十分だ、こう述べています。朝鮮半島の緊張が緩和しつつある現在、政府は沖縄県民の平和への願いをもっと真剣に考えるべきです。政府は普天間基地の名護移転を中止すべきです。総理の決断を伺いたい。
 冒頭から繰り返して申し上げてきたとおり、六月十三日を出発点としてアジアが平和の方向へ進み始めているにもかかわらず、政府は逆に、日米安保条約に基づく日米間の軍事協力体制を強化する方向を強めています。
 その一つがTMDの共同研究の推進です。既にここ数年研究費を計上してきましたが、来年度はこれをやめるべきです。アメリカのNMD計画は、実験のたび重なる失敗と、ロシア、中国を初めドイツなどヨーロッパの国々からも批判を受け、実現の判断を先送りしました。TMDもNMDも、これを強行すれば必ずミサイルとこれを迎え撃つシステム開発の軍拡競争を誘発することは間違いありません。それは、二十一世紀をもまたまた戦争の世紀にしてしまう危険を増大させます。TMDは即時中止すべきです。
 また、政府は、中期防で世界最大の百機体制を完成させたP3C、対潜哨戒機の更新を計画していると言われています。もともと、P3C百機体制はアメリカ軍の要請を入れて冷戦時代にソ連の原子力潜水艦に対処するために一兆円近い巨費を投じて完成されました。先日のロシア原潜の沈没事故で明らかになったとおり、ロシアの原潜は激減しています。それなのに、何のために更新するんですか。その研究費だけで三千四百億円と言われています。配備には数兆円を要するという。
 また、防衛庁は、来年度予算に空中給油機の導入の計画を計上しようとしています。この問題は、既に二十年以上前から我々が強く反対し、実現を阻止してきた問題です。これは自衛隊が保有する戦闘機の航続距離が無限に延長され、爆撃機として攻撃兵器に変身します。
 昨年、ユーゴのコソボ紛争の際に、アメリカ軍が中国大使館を爆撃して大きな国際問題に発展しましたが、中国側によると、米軍がステルス爆撃機をアメリカ本土から飛ばし、空中給油機を使って大西洋を越えて爆撃したと主張し、アメリカもこれを否定していません。空中給油機の導入はしないと確約をしてください。
 さて、政府の外交・防衛政策は、朝鮮半島の目に見えた具体的な平和の進展にもかかわらず、全くそれに逆行している幾つかの例を今申し上げましたが、そこで、このアジアの、特に北東アジアの緊張緩和という現在の変化に対応する我が国の安全保障政策をいかに展開をしていくか、これについて私ども社会民主党の具体的な構想を提案したいと思います。
 冷戦構造が崩壊し、米ソ対立という世界の緊張が緩和して以来、世界各国の安全保障に対する対応が大きく変わってきています。日米安保条約のような二国間軍事同盟という対応は影を潜め、数カ国による地域の軍事だけでなく、食糧や環境その他、総合的な面からの安全保障を関係国が協力して対処するという地域総合安全保障機構の構築が世界各地で進められています。
 私どもの身近なところでは、ASEAN地域フォーラム、ARFがその例です。これはASEAN各国を中心に結成されましたが、日本も参加をし、ことしは北朝鮮も参加を認められて注目されました。他にヨーロッパのOSCEもあります。
 そこで、朝鮮半島の平和が進みつつある現在、日本と韓国、朝鮮民主主義人民共和国、中国、ロシア、モンゴル、アメリカ、カナダの八カ国で北東アジア総合安全保障機構の構築を目指し、そのための関係各国の話し合いの場を設けよう、これが私どもの構想です。
 この種の構想を実現するためには、まず具体的な雰囲気づくりから始める必要があります。その第一歩として私ども社会民主党が提案したいのは、北東アジア非核地帯条約の締結です。それは、日本と韓国、朝鮮民主主義人民共和国、モンゴルの四カ国を非核地帯とする条約を締結しようというものです。
 日本には国是としての非核三原則があります。南北朝鮮は、対立が続いていたにもかかわらず、一九九二年に朝鮮半島非核化宣言を発効しています。そして、モンゴルは一九九二年に非核国家宣言を発表し、それを一九九八年国連総会がコンセンサス方式で承認をしています。つまり、この四カ国は非核という点で既に一致しているんです。
 私ども社会民主党は、この構想を持って土井党首を先頭に既に、八月二十五日、韓国を訪問して金大中大統領にこの北東アジア総合安全保障機構の構築と北東アジア非核地帯条約の締結を提起し、説明しました。金大中大統領は、私たちの共通の願いは非核と平和です、皆さんのお考えを支持しますと答えられました。
 その後、九月十六日からモンゴルを訪問し、エンクバヤル首相を初め、人民革命党幹部及びモンゴル社会民主党幹部と会談をし、同様の提案を行いました。モンゴルは、ロシアと中国という核大国の間に挟まれ、その中でいかに非核を堅持するか苦悩した結果、非核国家宣言を行ったという経緯を説明してくれて、我々社会民主党の提案に全面的に賛成しました。
 私たちは、引き続き、朝鮮民主主義人民共和国にも同様の提案を行いたいと思っています。
 さらに、この四つの国を取り巻くロシア、中国、アメリカという核保有国に対しても、私たち社会民主党の構想を理解してもらうための努力が必要だと思います。
 世界で非核地帯条約は、南半球は既にすべてこの条約のもとにあります。一九六八年に発効した中南米非核地帯条約、トラテロルコ条約と呼んでいますが、これを最初として、南太平洋、アフリカ、ASEANの各非核地帯条約があり、すべての軍事的利用を禁じた南極条約によって南極大陸も非核地帯と言えます。
 これらの非核地帯条約は、いずれも、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の五つの核保有国に対し、この非核地帯に対しては核兵器を持ち込まないこと、核攻撃をしないことを約束する条約附属議定書の署名を求めています。北東アジア非核地帯条約も同様の手続が必要と思います。
 以上が、私ども社会民主党が提起した北東アジアの平和の確立を願っての提案であります。
 森総理の御決断によってこの提案が実現するように願って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(森喜朗君) 初めに、昨日の本会議での参議院選挙制度に関する質問に対する私の答弁に事実誤認があるとの御指摘がございました。
 午前中、阿部議員に対してお答えを申し上げたところでありますが、本年二月に取りまとめられました参議院選挙制度改革に関する協議会の報告書においては、「参議院の在るべき役割に適合した選挙制度の改革の検討が必要であるというのが一致した意見であった。」とされたものと承知しております。
 また、当面の改革についての検討の中では、現行の拘束名簿式と非拘束名簿式のおのおのについて長所と短所が指摘されており、非拘束名簿式そのものが否定されているわけではないと承知いたしております。
 昨日、北澤議員に対して、非拘束名簿方式については、問題はあるが、これは否定はしていないというふうに私は報告を受けたと答弁いたしましたのは、このことを申し上げたのでありまして、事実誤認があるとの御指摘は当たらないものと考えます。
 なお、協議会報告では、現行の拘束名簿式の仕組みそのものを改める抜本改革の実現は容易でないとしていますが、その後、国民に対し責任を負うべき与党として来年の通常選挙を控え、参議院選挙制度の改革をこれ以上先延ばしせず、これに正面から取り組まなければならないと判断したものと承知いたしております。
 いずれにいたしましても、参議院選挙制度改革につきましては、議会政治の根幹にかかわる問題であり、各党、会派の間で精力的に議論していただきたいと考えております。
 南北首脳会談についてお尋ねがありました。
 約半世紀に及ぶ分断を経て南北の首脳が直接意見交換を行ったことは歴史的意義を有するものであり、それに加え、南北の首脳自身が史上初めて文書に署名したことは画期的なことと考えます。
 政府としては、南北間の対話が継続、進展し、朝鮮半島の緊張緩和につながることを強く期待をいたしており、こうした前向きな動きを後押しするために、先般の沖縄におけるG8会合におきましても、私がイニシアチブをとって朝鮮半島に関する特別声明を発出したところであります。
 いわゆるならず者国家との呼び方についてのお尋ねがありました。
 米国が北朝鮮をどのように呼んでいるかについて我が国政府として云々することは差し控えたいと考えますが、いずれにせよ、現在は米国も北朝鮮をならず者国家と呼んでいないものと承知しております。なお、私も政府も北朝鮮をならず者と呼んだことはございません。
 京義線鉄道の連結に対する我が国の支援についてのお尋ねでありますが、京義線連結事業についてはまだ起工式が行われたばかりであり、その取り進めぶり等については今後南北間で種々検討されていくものと承知しております。そのような段階でもあり、現時点で我が国の支援等につき云々することは差し控えたいと考えます。
 いずれにせよ、政府としては、我が国の北朝鮮への経済協力は国交正常化交渉の妥結が前提となるとの立場を従来から一貫してとってきており、現時点においてこの立場を変更することは慎重たるべきと考えます。
 北朝鮮を国家承認すべきとの御意見ですが、政府としては、この問題は日朝国交正常化交渉のプロセスの中で諸般の事情を考慮しつつ検討されるべき課題と考えます。他方、正常化交渉は本年四月に約七年半ぶりに再開されたばかりであり、まだ本格的な議論に入っておらず、北朝鮮の国家承認について特定の方針は固めておりません。
 日朝関係の進め方についてお尋ねがありました。
 政府としては、日朝間の懸案や国際的な懸念がすべて解決されなければならない、正常化交渉の進展を図るべきではないといった、交渉の入り口に石を置くような考えをとるものではありません。他方、これらの諸懸案は国交正常化のためには避けて通れない問題であると認識いたしており、国交正常化交渉第十回本会談においても先方にその旨説明いたしました。
 今後とも、政府としては、国交正常化交渉を進展させる中で、これらの問題の解決に向けて粘り強く取り組んでいく方針であります。
 コーエン国防長官との会談の際の私の発言の真意についてお尋ねがありました。
 この会談の際に、話題が東アジア情勢に及んだ際、私は、我が国は憲法のもと専守防衛政策に徹しており、米軍は韓国、中国等日本の近隣諸国からも地域の安定的要素として受けとめられているとの趣旨を述べました。私は、在日米軍の存在に関連し、いわゆる瓶のふたの役割については言及いたしておりません。日本国憲法のもと専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないということは我が国の基本理念であり、このことは従来より繰り返し明らかにしているところであります。
 いわゆる瓶のふた論と沖縄の米軍施設・区域の問題との関連についてお尋ねがありましたが、既に申し上げましたとおり、私は、在日米軍の存在に関連し、いわゆる瓶のふたの役割については言及いたしておりません。
 我が国の平和と安全のため、沖縄県民の方々にさまざまな御負担をおかけしていることは私たちも十分認識しております。こうした御負担を軽減するため、政府としては、先般のサミットの際の日米首脳会談でも一致したとおり、今後ともSACO最終報告の着実な実施に最大限努力してまいります。
 普天間飛行場の移設についてお尋ねがありました。
 政府としては、同飛行場が市街地の中にあり、一日も早く周辺住民の方々の不安を解消したいとの考えから、全力で取り組んできているところであります。
 御指摘の使用期限の問題につきましては、昨年末の閣議決定にあるとおり、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しておりますが、稲嶺沖縄県知事及び岸本名護市長から要請がなされたことを重く受けとめ、これを私からサミットの際の日米首脳会談においてクリントン大統領に対し取り上げたことに続き、先般の日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2におきましても、河野外務大臣及び虎島防衛庁長官より取り上げましたところ、コーエン国防長官より、使用期限の問題については一九九六年の日米安保共同宣言に従って対応することが必要であるとの発言があったと承知いたしております。
 これらを踏まえ、政府としては、普天間飛行場の移設が早期に実現するように引き続き全力で取り組みながら、使用期限の問題につきましても、今後とも昨年末の閣議決定に従い適切に対処してまいる考えでありまして、あわせて国際情勢が肯定的に変化するように外交努力を積み重ねてまいりたいと考えております。
 朝鮮半島と普天間飛行場の移設の関連につきお尋ねがありました。
 政府としては、先般の南北首脳会談の実現は歴史的な意義を有する画期的なものと考えておりますが、他方において、安全保障は国家の基本的な備えの問題であり、これに遺漏なきを期するためには国際情勢の中長期的趨勢としての変化を見きわめる必要があると考えます。
 普天間飛行場を含め、在沖縄米軍については、こうした米軍のプレゼンスが我が国及び地域の平和と安定の維持に引き続き寄与しているということも十分認識する必要があると考えております。
 普天間飛行場の移設につきましては、昨年末の閣議決定に従い、今後、代替施設の基本計画の策定に当たって、協議会の場において地元自治体の方々ともよく相談をしながら全力で取り組んでまいります。
 弾道ミサイル防衛にかかわる日米共同技術研究についてのお尋ねがありました。
 近年、弾道ミサイルが拡散している状況にあり、弾道ミサイル防衛、いわゆるBMDが我が国国民の生命、財産を守るために純粋に防御的な、かつ他に代替手段のない唯一の手段であることを踏まえれば、BMDは我が国防衛政策上の重要な課題と認識しております。
 また、我が国が検討しているBMDは、技術研究段階のものであり、開発段階への移行、さらには配備段階への移行についてはいかなる決定もなされておりませんが、これは純粋に防御的なシステムであり、地域の平和と安定に悪影響を与えるものではなく、御指摘には当たりません。
 これらの点を踏まえ、来年度においても日米共同技術研究を着実に実施していくことが必要であると考えております。
 固定翼哨戒機、P3Cの後継機に関するお尋ねでありますが、P3Cにつきましては、初配備以来の飛行時間の蓄積及び科学技術の進展等から、退役する時間を見据えて、引き続き周辺海域における哨戒任務等を果たすため、防衛庁から平成十三年度において後継機の開発に着手するための経費につき概算要求がなされたものと承知いたしております。本件の取り扱いについては、本年末の予算編成までの間、政府部内で所要の検討を行ってまいります。
 空中給油機能に関するお尋ねでありますが、本件については、昨年十二月の安全保障会議において次期防にて速やかに整備することとされ、防衛庁から平成十三年度において専守防衛のもとで我が国の防空を全うする等のため空中給油輸送機一機を整備する概算要求がなされたものと承知しております。本件につきましては、本年末の予算編成までの間に政府部内で所要の検討を行ってまいります。
 北東アジアにおける安全保障機構及び北東アジア非核地帯構想についてのお尋ねがございました。
 まず第一歩として、御提案のあった北東アジア非核地帯構想につきましては、一般的に、非核地帯は、適切な条件が満たされるのであれば核拡散の防止等の目的に資するものと考えます。
 しかしながら、北東アジアにおいては、依然不透明な要素や緊張関係が存在していること、現実に核戦力を含む大規模な軍事力が存在すること等により、非核地帯構想の実現のための現実的な環境はまだ整っていないと考えます。
 次に、北東アジアにおける安全保障機構につきましては、政府としては、北東アジアの平和と安定の確保という観点から、日米安全保障体制を堅持しつつ、域内諸国間の信頼醸成を促進するため、二国間及びARF等の多国間のさまざまなレベルでの対話を促進すべく努力をいたしております。また、我が国はかねてから、日、米、中、ロ、韓国、北朝鮮の六者が参画した対話の場の設定を提案してきたところでございます。
 政府としては、北東アジアの平和と安定のため、今後ともこのような努力を継続していく考えであります。(拍手)
    ─────────────
#18
○副議長(菅野久光君) 千葉景子君。
   〔千葉景子君登壇、拍手〕
#19
○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
 私は、会派を代表して、先日の森内閣総理大臣の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず冒頭、昨日の我が会派北澤議員からの参議院選挙制度に関する質問に対する森総理の答弁に誤りがあることを指摘いたします。他の議員からも重ねて質問がございましたが、その答弁では全く誤りが正されておりません。
 すなわち、参議院選挙制度に関する与野党協議は、当面は現行の比例代表と選挙区制という制度の基本的な枠組みを維持することで意見が一致しているものであり、総理の御答弁は、繰り返されてもこの合意と異なるものと言わざるを得ません。
 誤りを訂正の上、再度、与野党合意についてどのように認識しておられるのか、御答弁を求めます。
 今、国民の多くが、雇用や老後の不安の中で暮らしています。子供たちは、将来への希望も日々の喜びや楽しみも感じることができないまま、社会の重圧に耐えています。経済活動などが国際化し、日常、外国人と出会う機会は非常にふえましたが、国際的な相互理解が深まったとは到底言えず、むしろ外国人差別や相互不信の気持ちが日々再生産されています。
 このような現実に対して、政治は一体何をすることができたのでしょうか。
 GDP統計の数字ばかりを見て景気は回復基調にあると言い、そうかと思えば追加的経済対策が必要だと言っては自分たちの支持基盤のために公共事業の大盤振る舞いをする。それによって国民生活の不安はいかほど解消したと言えるのでしょうか。
 教育が問題になると、決まって道徳心、愛国心の欠如こそが原因だと騒ぎ立てる人がいます。少年非行の原因に目を向けずに厳罰だけを求める人もいます。それで一体子供たちの心の平穏が戻ってくるのでしょうか。
 在日朝鮮・韓国人など、永住外国人の方たちの権利が問題になると、決まって嫌なら出ていけと言う人がいます。帰化すればいいと言う人もいます。他国民との国際的な相互理解や国際貢献という日ごろのかけ声との余りの落差に驚きます。
 このような疑問に総理はどのように答えることができるのでしょうか。
 私たち民主党は、こうした現実に真正面に向き合い、ニューリベラルの旗のもと、自立、責任、共生の理念を現実の政策に生かし、だれもが生きることの喜びと誇りを感じられるような政治を実行してまいります。
 私は、このニューリベラルを特に女性や市民の生活の視点からとらえ質問させていただきます。
 さて、具体的な質問の最初に、永住外国人地方選挙権付与法案について与党三党それぞれの見解をお尋ねします。
 御存じのとおり、最高裁は九五年二月二十八日の判決で、永住外国人に地方選挙権を付与することは憲法上制約がなく、立法府の判断で行うべきだと指摘しました。
 民主党が、これらを受けて、当時の公明党会派と九八年の十月に法律案を提出してから既に二年もの月日が流れております。
 今や自民党以外の政党はおおむね地方選挙権付与の立場を明確にされております。端的に言えば、自民党が無責任にも先延ばしを重ねているのが現状であります。
 総理、自民党総裁として、これ以上いたずらに時を浪費することなく、党としての意見を集約する大きな責任とリーダーシップが問われていますが、どうお考えでしょうか。
 また、保守党はさきに公明党と共同で法案を提出されています。改めて、この保守党の立場を扇建設大臣に確認させていただきます。
 加えて、何としても今国会で法成立を図るというお考えをお持ちと伺っている公明党の決意を続総務庁長官に伺います。
 次に、教育改革についてお尋ねします。
 総理は、神の国発言、教育勅語の再評価など、国民が驚くような時代錯誤的発言を繰り返してきました。その発言から、国粋主義的な発想が見え隠れし、国民の多くは違和感とともに強い不安を感じております。
 四月に前総理から引き継いだ教育改革国民会議初会合のあいさつで、総理は早速、教育基本法の見直しに言及しておられます。教育基本法の改正が改革の前提というお考えでしょうか。
 教育は深刻な問題をたくさん抱えています。家庭や教育現場は大きな不安の中にさまよっています。これらの現実的な問題を一つ一つ拾い、話し合い、必要な制度改革を行う、その中で教育基本法の問題が議論になることもあるでしょう。しかし、最初に法改正ありきの森総理の教育改革は、おのれの偏った教育観を国民に押しつけようとするだけです。
 総理は道徳心などの言葉がお好きのようですが、現代の多様な価値観の中では、国家が心の問題に踏み込むことに懸念を抱く国民もたくさんいるのです。この多様性を有機的にリンクさせ、一人一人が伸び伸びと生きていくことこそ、今の日本が目指す社会なのではないでしょうか。教育改革に向けた総理のお考えをお聞かせください。
 次に、少年犯罪及び少年法の見直しについてお聞きいたします。
 総理は所信表明演説で、少年法の改正については与党の議論の結果を受けて適切に対処していくと述べられましたが、その与党における論議は、私の印象では、一部のセンセーショナルな事件に引きずられて、ただ刑罰を厳しくして威嚇すれば少年犯罪は減るとの考えのように思えて仕方ありません。また、青少年の凶悪化というつくられた虚像に惑わされているのではないでしょうか。
   〔副議長退席、議長着席〕
 もちろん、被害者やその家庭、家族の感情に対応できる制度的措置など、検討すべき課題はたくさんありますが、性急な法改正で現在の保護主義的な枠組みの長所を失うリスクも考えなければなりません。
 森総理、あなたは教育の重要性を訴えておられます。そして、来年の通常国会を教育国会と位置づけたいと宣言されています。私は、広い意味での教育の一環である少年法の見直しは、森総理が言われた教育改革国会で教育という大きなテーマと相まって、じっくりと論議すべきだと考えますが、総理の御見解を伺います。
 次に、私は男女共同参画社会の構築に関してお尋ねいたします。
 現在開催されているオリンピックは、二十世紀最後を飾るにふさわしい男女共同参画オリンピックだと思います。連日報道されている日本選手の活躍も女性の躍進を印象づけています。このように、社会のあらゆる分野でジェンダーにとらわれない共同参画が進んでいます。政府の男女共同参画審議会も、昨日、基本方針策定に当たっての考え方を答申し、その中で選択的夫婦別姓の導入や配偶者の優遇税制の是正等、世帯単位から個人単位へ制度を見直すよう指摘しています。
 総理は、これらの指摘をどのように具体化されるおつもりか、御答弁を求めます。
 今後、少子高齢化が進み、経済的観点からも女性の労働力確保は重要な課題ですが、働きながら子供を育てる家庭で必要と思われる制度の一つに看護休暇制度があります。
 企業に働く人たちの中には、子供が幼いうちの病気に備え、有給休暇は自分のためにとれないという声が多く聞かれます。労働省が七月に発表した平成十一年度女性雇用管理基本調査によると、家庭看護休暇の制度がある事業所は全国で八%、さらに取得実績は制度がある事業所全体の九・七%にとどまっています。
 このような現状を見ると、看護休暇制度の法制化は子育て支援への重要な検討事項だと思いますが、総理はどのように思われますか。
 また、さらなる検討課題として、既にある育児・介護休業法を改正し、子育てや介護を社会全体で支えるための仕事と家庭の両立支援法を制定すべきと考えますが、総理の見解をお尋ねいたします。
 次に、情報技術革命、IT革命についてお尋ねします。
 沖縄サミットでIT憲章が採択され、政府はIT革命推進を重要課題としていますが、政府の取り組みは時流に乗っているだけとの軽薄な印象が否めません。総理は、所信表明演説で、国民運動としてのIT革命を強調されましたが、哲学、理念が不明確です。また、IT革命は、知的成果物がどんどん生み出される社会が前提になっていることを忘れてはなりません。創造の担い手である企業や学者、そして大学等の研究機関が安心して創造に取り組めるような環境が不可欠ですが、知的財産権に関する位置づけも不明確です。また、デジタルデバイド対策への取り組みも不十分です。
 私は、インターネットを初めとするITが、官主導から民主導へ、中央政府中心からコミュニティー中心へ、男性主導から男女共同参画型へと社会を転換し、経済のボーダーレス化を促進し、国際社会や国の仕組み、人間の生き方を根本から変えることにもなるものではないかと考えています。
 それだけに、政府はこの国会にIT関連法案を提出すると伺っておりますが、IT革命の歴史的な位置づけ、目的、市民や女性にとっての意義、これらを明確にした上で、基本法制定や具体策の実施に取り組むべきだと考えます。この点について、総理の御所見を伺いたい。
 さらに、私は、ITに関連して具体的な施策を二つ提言させていただきます。
 第一は、女性のためのIT支援策です。特に、スモールオフィス・ホームオフィス支援を柱として、女性の雇用創出、女性起業家支援を進めるべきです。このため、政府部内に女性IT対策室と担当スタッフを置くようにしたらいかがでしょうか。
 第二は、情報バリアフリー政策の推進です。高齢者、障害者のすべての人々が情報を発信し、情報にアクセスすることが保証され、その利便を享受できる社会をつくる必要があります。そのために必要な法律改正などに取り組むべきです。
 以上の提言にどうこたえるのか、総理の明快なる答弁を求めます。
 次に、社会保障の将来ビジョンについてお尋ねします。
 総理は、所信表明で、「二十世紀最後のこの国会を、二十一世紀の日本新生の礎を築く重要な国会にしたい」と主張されました。その意味で、社会保障制度の将来像を国民にわかりやすい形で今国会中に明らかにし、国民の将来不安を解消すべきではないかと思います。財源をどうするのかを含め、国民は具体的なビジョンの提示を求めているのです。社会保障の有識者懇の最終報告を踏まえ、いつごろ具体的なビジョンを出される予定か、総理の決意を伺います。
 今国会で再提出される健康保険法改正案など、医療保険改革法案について伺います。
 本改正案について、所管大臣の津島厚生大臣は、十四日の閣議後の会見で、国民が今求めているのは、安定した医療保険、社会保障制度の姿を見せてほしいということで、今回の法案はその要請にこたえるものではないと発言されたそうです。医療保険改革の法案について総理と厚生大臣には大きな認識の違いがあるようにも思われますが、厚生大臣の発言について総理はどのように認識されていらっしゃいますか、見解を伺います。
 制度実施から半年を迎える介護保険について質問します。
 制度を支える現場の市町村では、介護サービスの基盤不足の問題を初め、痴呆性高齢者に対する要介護認定の問題、介護保険における家事援助サービスの課題など、さまざまな問題が浮き彫りになってきました。政府はこれら課題を整理し、早急に対応策を講ずるべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 また、痴呆性高齢者向けグループホームや宅老所などの地域に身近で家庭的なケアができる施設が利用者に大変好評だと聞いておりますが、利用者の自立支援のためにもこのような施設への支援を大いに進めるべきだと考えますが、総理の御見解を伺います。
 本年十一月にオランダのハーグで、気候変動枠組み条約第六回締約国会議、COP6が開催されます。二〇〇二年までに京都議定書を発効させるためには、シーリング問題、遵守制度、吸収源の範囲、途上国との調整等、解決しなければならない問題が数多く残っています。とりわけ技術移転問題などでは我が国に先進国と途上国間の橋渡し役も期待されています。我が国としてどのような役割を果たしていこうとしておられるのか、総理の決意をお伺いいたします。
 また、議定書発効に向けた国内の条件整備について、環境庁長官のお考えをお聞かせください。
 自立した市民社会を構築するために、NPOが十分に活動できる基礎をつくり上げなければなりません。そのためにもNPO支援のための税制を速やかに構築すべきであり、民主党もその案を既に公表しておりますが、政府としてNPO税制につきどのような日程で今後取り組むつもりなのか、お伺いいたします。
 次に、司法制度改革についてお尋ねします。
 民主党は、既に「市民が主役の司法へ 新・民主主義確立の時代の司法改革」という司法制度改革案を発表しておりますが、その柱の一つは司法への国民参加です。
 司法審も国民参加を制度化する方向で議論が進んでいるように聞いております。市民が陪審員として裁判に参加する制度である陪審制度の導入は、司法について市民が公的な責任を果たし、司法が常に市民の話題となることで、わかりやすい裁判の実現や迅速な裁判の実現といった課題について重要な役割を果たすものだと思います。司法の場が身近になることで、みずからが主権者であるという自覚を促す効果も期待されます。
 検察審査会の実績も踏まえ、陪審制度の導入を積極的に検討すべきだと思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
 さて、総理が学生時代に売春取締条例違反の検挙歴があると報じた月刊誌を相手取って、森総理は事実無根だとして訴訟を起こされています。これについて裁判所は、公益の利益にかかわることであり、記事に公益目的がなかったとは言えないとした上で、事実認定を行うため警視庁に対して検挙歴照会を決めました。しかし、警視庁は回答を拒否しています。回答拒否は司法制度を否定し、裁判所への協力を怠り、真否を明らかにするデータを隠ぺいするものでもあります。新潟女児監禁事件や桶川ストーカー殺人事件等で明るみに出た警察の不祥事と同様、警察の情報隠ぺい体質が問われる事態と言わなければなりません。
 もちろん、買春自体はそれ自体許すことのできない犯罪です。総理もそれは十分御存じのことと思いますので、この点についてはあえてお尋ねいたしません。
 むしろ、総理は、警察をめぐる不祥事が続発したことを受けて警察法の改正に全力で取り組むと表明されているのですから、この際、御自身の潔白の証明も兼ねて、まずみずから進んで御自身の検挙歴の有無について警察資料の開示を求めてはいかがでしょうか。そのことを通じて警察改革のリーダーシップを国民の前にぜひとも見せていただきたい。総理の御決意を伺います。
 私たち民主党の目指すニューリベラルは、多様な価値観、文化、生活様式に対して寛容であるということです。その対極にあるのは、政府が国民に向かって、上から道徳心や特定の価値観を押しつけたり、冷静な議論よりも力ずくで物事を決定するような偏狭な政治ではないでしょうか。市民はこのような政治にはもううんざりしているのです。
 総理、要らぬおせっかいや党利党略に奔走するようなことをやめ、もっと国民を信頼し、その自立性を尊重しようではありませんか。そして、いざというときに安心できるセーフティーネットをしっかり確立するためにこそ政治のリーダーシップを発揮していただきたい。これをもう間もなく迎える二十一世紀へ向けた私の願いとして申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(森喜朗君) 初めに、昨日の北澤議員からの参議院選挙制度に関する質問に対する私の答弁に誤りがあるとの御指摘がありました。
 既に先ほど来、御質問に対する答弁においてお答えいたしておりますが、本年二月に取りまとめられた参議院選挙制度改革に関する協議会の報告書においては、「参議院の在るべき役割に適合した選挙制度の改革の検討が必要であるというのが一致した意見であった。」とされたものと承知しています。
 また、当面の改革についての検討の中では、現行の拘束名簿式と非拘束名簿式のおのおのについて長所と短所が指摘されており、非拘束名簿式そのものが否定されているわけではないと承知しています。
 昨日、北澤議員に対して、非拘束名簿方式については、問題はあるが、これは否定はしていないというふうに私は報告を受けたと答弁いたしましたのは、このことを申し上げたのでありまして、誤りがあるとの御指摘は当たらないものと考えます。
 なお、協議会報告では、現行の拘束名簿式の仕組みそのものを改める抜本的な改革の実現は容易でないとしていますが、その後、国民に対し責任を負うべき与党として来年の通常選挙を控え、参議院選挙制度の改革をこれ以上先延ばしせず、これに正面から取り組まなければならないと判断したものと承知しております。
 いずれにせよ、参議院選挙制度改革につきましては、議会政治の根幹にかかわる問題であり、各党、会派の間で精力的に議論していただきたいと考えております。
 永住外国人地方参政権付与法案についてお尋ねがありました。
 この問題につきましては、七月五日、公明党・保守党案と民主党案の二法案が国会に提出されているところでありますが、我が国の制度の根幹にかかわる重要な問題でもあり、賛成論から反対論までさまざまな意見があり、真剣な議論が行われておりますことから、各党、各会派における国会等での御議論を進めていただきたい、こう考えております。
 教育基本法についてのお尋ねでありますが、教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、命を大切にし、他人を思いやる心など、人間性豊かで創造性に富む立派な人間をはぐくむ教育を実現するためには、制定以来半世紀を経た教育基本法の抜本的な見直しなど、教育の根本にさかのぼった改革を進めていく必要があると考えております。
 先般の教育改革国民会議の中間報告においては、教育基本法は必要に応じて改正されてしかるべきであり、幅広い視点からの国民的な議論が必要であるとの提言がなされておるところであります。
 私としては、教育基本法の見直しについては、今後、教育改革国民会議の最終報告を受けて、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んで成果を得てまいりたいと考えております。
 教育改革についてのお尋ねの中に、教育改革を進めるに当たっては、国民の多様な価値観を尊重し、子供たち一人一人が多様な個性や能力を伸ばせるようにすることが重要であることは言うまでもありません。同時に、昨今の少年非行など深刻な教育問題を見るとき、最低限守らなければならない規範を子供たちにきちんと身につけさせることも極めて大切であると考えております。
 先般、教育改革国民会議から中間報告が行われ、文部省に対し、この報告を十分に踏まえ、教育改革の準備を直ちに始めるように指示したところであり、今後、国民の皆様の御意見を広くお聞きしながら、体育、徳育、知育のバランスのとれた全人教育の推進を目指し、思い切った教育改革を積極的に行ってまいる決意であります。
 少年法の改正についてはじっくり議論すべきではないかとの御意見を賜りました。
 少年による深刻な凶悪事件が後を絶たず、憂慮すべき現状にかんがみますと、少年犯罪に対する適切な対策を講じることは喫緊の国民的課題になっているものと認識いたしております。議員のおっしゃるように、少年法は広い意味での教育の一環とも言えるかもしれませんが、今次改正をじっくり議論すべきとの御意見には同意しかねます。
 男女共同参画審議会の答申についてのお尋ねがございました。
 昨日、同審議会より、男女共同参画社会基本法に基づく基本計画を策定していく際の基本的な考え方を示していただきました。二十一世紀の我が国社会を決定する大きなかぎとなる男女共同参画社会の実現を図るための男女共同参画基本計画を年内に作成したいと考えております。
 昨日の答申では、社会制度のあり方について検討することなど種々御提言をいただきました。これらは国民生活に大きな影響を与えるものであり、またさまざまな議論もあるので、国民の合意が得られるよう、今後とも幅広い観点から検討していく必要があるものと考えております。
 看護休暇制度の法制化についてお尋ねでありますが、現在、子供の看護のための休暇制度のあり方について、関係審議会においてその法制化も含め審議が行われております。
 今後においては、その結果も踏まえ、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
 また、仕事と家庭の両立支援法の制定についてのお尋ねがありました。
 現在、関係審議会において、子育てのための時間の確保等、仕事と家庭の両立支援について審議が行われており、その結果も踏まえ、次期通常国会に育児・介護休業法の改正法案を提出すべく検討を進めてまいりたいと考えております。
 IT関連法案についてのお尋ねでありますが、世界規模で生じているIT革命は産業革命に比すべきものであり、新生経済の起爆剤であるとともに、社会生活そのものを大きく、しかも短期間に変えるものであると考えております。
 私は、IT革命という歴史的な機会と正面から取り組み、老若男女を問わずすべての国民がデジタル情報を基盤とした情報、知識を共有し、自由に情報を交換することが可能になる日本型IT社会を実現したいと考えております。こうした日本型IT社会の実現こそが、二十一世紀という時代に合った豊かな国民生活の実現と我が国の競争力の強化を実現するかぎであります。
 こうした考え方に基づき、今後、各方面の御意見を聴取しつつ、明確な国家戦略を打ち立て、迅速かつ集中的に必要な施策を実施していくための基本的枠組みでありますIT基本法案の具体化を早急に図ってまいりたいと考えております。
 SOHO支援を柱とした女性のためのIT支援策についてお尋ねがありました。
 政府としても、SOHO支援が女性の新規開業、新規雇用の受け皿として重要であると認識しており、SOHO業務の受発注を円滑化するためのシステム開発の支援や資金の確保などの経営支援を実施していくことといたしております。
 なお、女性IT対策室と担当スタッフを置くようにとの御提案でありますが、関係各省のIT関連施策や女性の社会進出支援策が効果的に実施されていくよう、各省間の緊密な連携を引き続き進めていくことで対応いたしたいと考えております。
 情報バリアフリー政策に関するお尋ねですが、IT革命に対応するため我々が目指すべき日本型IT社会は、高齢者、障害者を含めすべての国民がデジタル情報を基盤とした情報、知識を共有し、自由に情報を交換することが可能な人に優しい社会であると私は考えます。
 ITの急速な進展に伴い、高齢者、障害者などの方々とそうでない方々との間の情報格差が生じることのないよう十分に配慮してまいります。
 具体的には、これらの方々の自立や社会参加を容易にし、真に豊かな生活を享受できるよう、だれでもいつでも使える低廉で使い勝手のよいサービスや機器の開発、普及などを推進し、必要に応じ法制面での検討も含め情報バリアフリー環境の整備に取り組んでまいります。
 社会保障の将来像についてお尋ねがありました。
 社会保障については、急速に少子高齢化が進行する中で、生涯を安心して暮らせる社会を築くため、将来にわたり持続可能で安定的、効率的な制度を構築することが必要と考えております。このため、現在、社会保障構造の在り方について考える有識者会議において、財源の問題も含め社会保障全体のあり方について御議論いただいており、早期に考え方を取りまとめていただき、広く国民的な議論を喚起してまいりたいと考えております。
 政府としては、有識者会議の議論も踏まえ、総合的な社会保障の全体像について検討を進め、社会保障の着実な改革を行っていく考えであります。
 医療保険改革法案についてのお尋ねであります。
 本法案は、二十一世紀における安定的な医療保険制度を築くために、抜本改革に向けた第一歩であります。今後、引き続き高齢者医療制度の見直しなど改革を進めていくことといたしております。御指摘の厚生大臣の発言はこうした趣旨を述べたものであり、私と厚生大臣との間で今回の法案に関する認識に違いはございません。
 介護保険についてお尋ねでありますが、既にゴールドプラン21に基づき、介護サービスの基盤整備を進めているほか、要介護認定基準の見直しや家事援助の不適正事例の提示など、施行後の指摘された課題について取り組んでいるところであります。
 今後とも、現場などからの御意見も踏まえ、必要な改善策を検討し、介護保険をよりよい制度に育ててまいります。
 高齢者のための地域に身近な施設についてのお尋ねであります。
 痴呆性高齢者グループホームにつきましては、整備費に対する助成や介護保険の適用を行っており、また、いわゆる宅老所につきましては、一定の基準に合致する場合には介護保険の対象といたしております。今後とも、高齢者の方々の身近な地域での自立支援が図られますよう、小規模な施設についても整備を進めてまいりたいと考えております。
 気候変動枠組み条約第六回締約国会議、COP6における我が国の役割についてのお尋ねでありますが、京都会議開催国である我が国としては、議定書の地球温暖化防止対策が早期に実現するよう二〇〇二年までの議定書発効を目指し、COP6の成功に全力を尽くします。そのためには、関係国による議定書締結を可能なものとするため、議員御指摘のさまざまな懸案事項をCOP6で解決すべくリーダーシップを発揮する決意であります。
 NPO法人に対する税制上の措置の取り組みについてのお尋ねがありました。
 今後、平成十三年度税制改正に向けた議論の中で、NPO法人制度の趣旨やNPO法人の実態を踏まえ、公益性の基準やそれを確保するための仕組みをどのようにするか、また公益法人課税のあり方、各種の法人や団体に対する課税とのバランス等を含め、政府及び与党の税制調査会の場において御審議をいただきながら検討していくことといたしております。
 陪審制の導入を検討すべきとの御指摘ですが、国民が検察審査会を含め広く司法に参加することは重要な意義を有するものと考えております。
 陪審制につきましては、司法制度改革審議会において国民の司法参加の具体的方策の一つとして審議が行われており、広く国民的見地に立った充実した審議がなされるよう協力してまいりたいと考えております。
 警察改革と警察資料の開示についてお尋ねがありました。
 警察改革については、国民の警察に対する信頼の回復は喫緊の課題となっており、警察法の改正案を今国会に提出し、警察の刷新改革に私としても全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
 この改革の中で、情報公開を進めることはその重要な一部となっております。一方で、お尋ねの犯歴データは警察資料の中でも最も慎重な取り扱いを必要とするものの一例であり、警察の情報公開が進展しても安易に公開すべきものでないと承知いたしております。警察改革と犯歴データの公開はこの意味において無関係なものであり、警察改革のリーダーシップを示すためにみずからのデータを照会するというようなことは全く考えておりません。
 残余の質問については、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(扇千景君) 千葉議員から、保守党党首としての私に対しまして、永住外国人参政権付与法案について公明党と共同で法案を提出している、改めて保守党の立場を確認させてほしいという御質問をいただきました。
 この問題は、自自公連立の前提となる政策合意の一つでございますし、保守党としてもこれを踏襲しているものではありますが、南北のトップ同士の握手という韓半島の急激な情勢変化を踏まえ、国籍を持つ国民の平等性、公平性、また一人で複数国の投票権を持つことなど、改めて論議を深めるべきだと存じております。(拍手)
   〔国務大臣続訓弘君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(続訓弘君) 千葉議員から私に対しては、永住外国人の地方参政権付与に対して法案成立に向けた決意いかんというお尋ねでございました。
 この法案は、千葉議員も既に御案内かと存じますけれども、国会に提出されている継続案件でもございます。これまでの歴史的経緯があり、各党でも議論を深められており、私といたしましては、今国会において成立させるべきテーマだと存じます。(拍手)
   〔国務大臣川口順子君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(川口順子君) 京都議定書発効に向けた国内の条件整備についてのお尋ねでございました。
 京都議定書につきましては、先ほど総理がお答えになられましたように、十一月にオランダで開催される第六回締約国会議におきまして各国が京都議定書を締結できるような国際的な合意を得られますよう、私としても国際交渉に全力を尽くしていきたいと思っております。
 同時に、我が国みずからも二〇〇二年までに議定書を締結することが可能となりますよう、目標遵守のための国内制度の構築に向けまして準備を進めてまいる所存でございます。(拍手)
    ─────────────
#24
○議長(斎藤十朗君) 月原茂皓君。
   〔月原茂皓君登壇、拍手〕
#25
○月原茂皓君 私は、森総理の所信表明演説に対して、自由民主党・保守党を代表して質問させていただきます。
 初めに、九月十日からの豪雨によってお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げます。また、被害に遭われた皆さん、避難を余儀なくされている三宅島の方々に心からお見舞いを申し上げます。
 まず、教育基本法の見直しについてお尋ねいたします。
 教育の目的は将来の社会を担う人材を育成することであり、国づくりの基本であります。日本の伝統、文化、歴史に誇りを持ち、家庭を愛し、独立と自律の精神に富む人材を育成することが教育の基本であると我が保守党は考えております。このような立場から、教育の根幹である教育基本法の見直しを強く主張しているところであります。
 総理は、四月、教育改革国民会議の冒頭、教育基本法の見直しを含め議論すべき時期に来ている、七月の臨時国会では、教育基本法についても抜本的に見直す必要があると語っておられましたが、今国会の所信表明では、幅広く国民的な議論を深めると、トーンを落としているように見えます。
 来年の通常国会を教育改革国会と位置づけるなら、時期を見て、教育の根幹をなす教育基本法についての考え方を吐露して、みずから先頭に立って国民の合意を形成する姿勢こそ大切ではないかと思いますが、総理の御見解をお尋ねいたします。
 次に、社会保障の総合的見直しについてお尋ねいたします。
 少子高齢化社会を迎え、年金、医療、介護、雇用等、生涯を通じた社会保障の全般について総合的な見直しを進めることは当然のことでありますが、我が国の社会保障の基本は社会保険方式に置くべきであるとの立場をとられています。現在の社会保険方式では給付の切り下げと保険料の引き上げは避けられません。長期的にこれをそのまま維持することは不可能と考えております。
 年金一つを見ても、逆進性、保険料未納者の増大などによる空洞化、保険料納入の十数%に達する行政管理運営費など、諸問題は一層深刻になっています。ちなみに主要国の運営費は一%強であります。
 基礎年金、高齢者医療、介護について公的負担をふやしていくことが与党の合意であると認識しておりますが、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
 次に、公共事業に関してお尋ねいたします。
 我が国経済は、小渕前内閣以来、迅速にして大胆な経済政策によって、昨年春ごろを底に、緩やかながらも改善しつつあります。総理は、昨日、七、八合目とおっしゃいましたが、トレンドはよいとしても少し高目の判断ではないでしょうか。
 しかし、最近の経済諸指標を見ても、景気はまさに勝負どころ、自律的回復に向けた動きをより確かなものにするためには、四大分野に重点を置いた補正予算の編成は当然のことであると思います。
 さて、二十一世紀に入っても活力ある社会を築くためには、社会資本の整備は重要です。しかし、現下の諸情勢は、公共工事の入札・契約手続の透明性、そして競争性の向上等を図り、もって国民の信頼と理解を得て、社会資本の整備を進めることを強く要請されております。これまた公共事業にかかわる負の部分を断つためにも大きな役割を果たすものと考えます。
 公共工事の入札・契約手続の適正化を図るための法律案を提出するとのことでありますが、その趣旨及びその対象を含めた内容について建設大臣から簡潔に御説明願いたいと思います。
 そして、特殊法人、地方公共団体にも及ぶだけに、その成立、実施に多くの困難が予想されるだけに、保守党党首としての立場を含めて、その決意のほどをあわせてお伺いしたいと思います。
 次に、総理が重要課題として取り組んでおられるIT革命への対応についてお尋ねいたします。
 日本新生の最も重要な柱にIT戦略、E―ジャパン構想を置き、五年後には我が国を世界情報通信の最先端国家に仕上げると表明されております。沖縄サミットでのIT憲章、また、世界的に注目を集めているインドのバンガロールまで足を運ばれたその総理の並々ならぬ姿勢に私は強い共感を覚えるものであります。
 計画を進めるに際し注意しなければならないのは、政府の過剰介入であります。インターネット世界構築の流れと可能性を阻止することになるからであります。民間主導が原則ですが、官民の担う分野を具体的にどのように考えられているのか、総理にお伺いしたいと思います。
 一方、高度な情報社会の実現は、同時にハッカーやサイバー攻撃などによる被害、つまり当該社会の負の側面である脆弱性の増大を伴います。国家の重要インフラが脅かされる事態も深刻に懸念されております。
 先般の報道によると、米下院政府改革委員会は、米国政府の主要な二十四省庁のコンピューターネットワークについて、ハッカーによる侵入やサイバー攻撃への防御態勢は、不合格であるF評価が六省庁、全体の平均は辛うじて合格のDマイナス評価とのことであります。
 情報セキュリティーについて、情報先進国の米国においてさえこのような状況であります。政府がとるべきIT革命への対応は、単に情報通信技術の導入といったハード面のインフラ整備にとどまらず、負の側面、やみの部分への対応である情報セキュリティーの確保について、総理のもとに国家として一元的にしっかりと取り組む体制を整える必要があると思います。
 国家による情報セキュリティーの確立には、専門家の確保、脆弱性の評価、官民の研究開発、情報の共有、国家的な組織的体制の構築など、なさなければならないものが多いと思います。このような課題に取り組んで初めて、人々が心の底から安心して暮らせる真の高度情報通信社会が実現するものと考えます。
 そこで、政府として、今後、情報セキュリティーの確保に向けてどのように取り組もうとされておるのか、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
 次に、行政改革大綱に関連してお尋ねいたします。
 来年度の特殊法人の資金調達を見ると、その計画を見ますと、財投計画全般のうち財投機関債によるものはわずかに金額的に二%と極めて低いわけであります。財政投融資制度を改めるに際して、市場評価を通じて財投機関の事業の見直しや効率化を図るとしていましたが、やはり当初から予想されたとおり、大変危惧されたとおりでありまして、絵そらごととなりそうな感じがいたします。
 総理は、特殊法人の統廃合、事業内容の検討は、まさに政治の場で判断するほかはないと考えられておられますが、その所信表明の中にも、年内に行政改革大綱を策定すると表明されておりますが、特殊法人の組織の統廃合も含めてそれを対象とされているか、総理の御見解をお伺いしたいと思います。まさに政治が判断すべき問題だと私は思っております。
 次に、首都圏機能に関してお尋ねいたします。
 首都機能の移転は、平成二年の国会決議により検討が開始されました。政治、行政機能の確立、一極集中の排除、大地震対策などが目的でした。新都市の建設費は十二兆三千億円、公費負担は四兆四千億円という試算も発表されております。首都機能移転の目的はそれなりに評価されるにしても、今日の国、地方の経済財政状況、現首都をリフレッシュすることも比較考量して、保守党は、首都機能の移転について一たん白紙に戻すことを決めました。
 判断の大きな要素である財政事情について、平成二年度と十二年度の比較を総理にお答え願いたいと思います。
 次に、喫緊の課題である少年法改正についてお尋ねいたします。
 青少年犯罪は、凶悪化、低年齢化しております。青少年の健全育成、社会復帰、更生など、より広い見地からの検討は重要であることはもちろんであります。しかし、少年法に限って申し上げれば、与党三党は、事実認定の手続、刑事処分が可能とする年齢の引き下げ、被害者への配慮、保護者責任の明確化、内省を促す審判方式などで合意を見ました。少年法の問題点及びその処理について総理の見解をお伺いしたいと思います。
 次に、安全保障についてお尋ねいたします。
 近年になり、日本の領海を含む我が国近海において、中国の海洋調査船、情報収集艦の活動が活発化しています。日本政府は、中国側の活動の自制、その意図の確認や海洋調査船の活動について事前通報制度の確立を求めるなど、積極的に対応しております。ともすれば、今までの我が国は相手国の立場に配慮する余り言うべきことを言わない対応に陥りがちでありましたが、こうした言うべきことを言う森政権の対応は、我が国の外交、安全保障を進める上で極めて評価できることと思っております。
 一方、朝鮮半島における状況に目を向けますと、南北首脳会談が開催され、これに伴い南北間の関係に進展が見られていますが、我が国との関係について言えば、総理が所信表明演説でも述べられているように、人道上の問題や安全保障上の懸案がまだ残されております。北朝鮮は、すべてに軍事先行の原則に立つ先軍政治方式を標榜し続けております。さらに、最近軍事演習を活発化させているとも伝えられております。軍事的な対峙には特段の変化が見られないのも確かであります。
 日朝間の関係改善の努力は、我が国を初め北東アジアの安定のためにも重要であります。しかし、総理、北朝鮮との関係改善を進めるに当たっては、人道上や安全保障上の問題について日本政府の明確な主張をきちんと明らかにしていくことが日朝両国関係をさらに改善していく上では重要なことだと考えております。
 こうしたことも踏まえ、北朝鮮との関係改善についてどのようにお考えか、さきの金大中大統領との会談も踏まえて、総理の見解をお伺いしたいと思います。
 また、不透明、不確実な国際環境に対応していくためには、引き続き日米安全保障体制の信頼性の向上を図っていくことが重要であると考えます。
 船舶検査活動は、昨年の周辺事態安全確保法の審議の際に、別途立法するとの前提で同法案から削除された経緯があります。今般、与党三党合意が成立し、立法化の環境が整ったと考えております。船舶検査活動法案の成立をぜひとも今国会において図るべきだと考えますが、総理の御見解をお伺いします。
 最後に、防衛庁の省昇格について御要望申し上げます。
 日本の防衛に第一義的責任を持ち、大規模災害、さらにはPKOを初め国際協力に活躍しているのが自衛隊・防衛庁であります。国家の安全保障環境醸成のため、国際交流など積極的に活動し、隊員二十九万、五兆円の予算を執行しているのが自衛隊・防衛庁であります。
 残念なことに、このような組織が適時適切に責任ある行動を制約されているのが外局の地位であります。ミニストリーでなくエージェンシーの地位にあるのであります。小渕総理ももうエージェンシーの問題ではなくミニストリーにせぬといかぬなとよく、予算委員会で私がたびたびお尋ねするものですからもう頭にこびりついておりましたが、そのことを少し紹介しておきます。
 さて、新しい世紀、来年一月からは改編された中央省庁が活動を開始いたします。国を憂うる人々による署名運動も進んでいると聞いております。防衛庁を省に昇格させるのはこのときをおいてほかにありません。保守党は強くそれを望んでおります。
 防衛庁を外局の地位に置くことを喜ぶのはだれか。自国に誇りを持たず、気概もなく、他国の顔色をうかがう、自立性を欠く人々であります。喜ぶのはどこの国か。力の恫喝にひれ伏す弱い日本を望む国家であります。
 安定した力を持ってきた内閣総理大臣として、また自由民主党総裁として、防衛庁、省昇格について強いリーダーシップの発揮を期待して、私の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(森喜朗君) 教育基本法についてのお尋ねでありましたが、私は、二十一世紀の日本を支える子供たちが人間性豊かで創造性に富む立派な人間として成長することこそが心の豊かな美しい国家の礎であると考えております。
 教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、体育、徳育、知育のバランスのとれた全人教育を推進するためには、制定以来半世紀を経た教育基本法の抜本的な見直しなど、教育の根本にさかのぼった改革を進めていく必要があると考えております。
 このため、教育改革国民会議において、例えば我が国の文化や伝統を尊重する気持ちを養う観点や生涯学習時代を迎える観点、あるいは教育において家庭や地域が果たすべき役割といった観点を初め、さまざまな観点から議論を行っていただいているところでありますが、先般の中間報告においては、教育基本法は必要に応じて改正されてしかるべきであり、幅広い視点からの国民的な議論が必要であるとの提言がなされたところであります。
 私としては、教育基本法の見直しについては、今後、教育改革国民会議の最終報告を受けて、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んで成果を得てまいりたいと考えております。決してトーンダウンしているわけではございません。中間報告をいただきましたので、これをこれから国民の議論にゆだねていきたい、そして最終報告の議論を経て私どもとしては適切な対応をしてまいりたい、こう考えているところでございます。
 社会保障についてのお尋ねがありました。
 今後増大が見込まれる社会保障の財源については、社会保険方式を基本に、これに必要な国庫負担等の税負担を組み合わせるとともに、一定の利用者の御負担もお願いしながらその確保に努めなければならないと考えております。
 現在、有識者会議において、このような財源の問題も含め、社会保障全体のあり方について御議論いただいておりますが、早期に考え方を取りまとめ、広く国民的な議論を喚起し、社会保障の改革を進めてまいりたいと考えております。
 IT革命に関する官民の役割分担についてのお尋ねでありますが、IT戦略の推進に当たり、私は民間による自由かつ創造的な取り組みが基本的に重要であると考えております。政府の役割は、IT分野における民間の知恵と活力を最大限に引き出すことにあり、そのための環境整備を行うことであると考えます。
 具体的には、電子商取引が円滑に進むような規制改革等諸制度の見直しやルールづくり、公正かつ有効な競争条件の整備、基礎的、先端的な研究開発の推進、基盤整備に対する公的支援などが政府が取り組むべき課題であると考えます。また、自治体を含めた電子政府の実現がIT革命への対応を加速する上で急務であるということは言うまでもありません。
 こうした考え方に基づいて、今国会では、民間主導の原則を基本理念としたいわゆるIT基本法案を提出し、日本型IT社会の形成に必要な施策の枠組みを整備してまいります。また、民間同士の書面の交付等の義務づけを一括して改正するための法律案を提出し、電子商取引を制約する制度の見直しを進めることといたしております。
 御指摘の情報セキュリティーの確保についてでありますが、私は、IT社会の実現に当たっては、安全で信頼できるネットワーク社会の基盤である情報セキュリティーを確保することは不可欠と認識いたしておりまして、情報通信技術戦略本部に情報セキュリティ部会を、及び内閣官房に情報セキュリティ対策推進室を整備し、政府、各省庁の情報セキュリティーポリシーのガイドラインを策定するなど、個人情報保護等を含め官民一体となって対策を推進しているところでありまして、これをさらに強化してまいりたいと、こう考えております。
 特殊法人については、これまでも累次の閣議決定に基づき整理合理化を進めてきたところであり、今後ともその不断の見直しを行うことが重要な課題であると認識いたしております。
 このような認識のもと、今般の行政改革大綱の策定に当たっては、特殊法人等の改革を主要な課題と位置づけ、その業務の見直し、合理化、民営化等経営形態の見直し等について検討するよう私自身が指示を行ったところであります。政府としては、現在、これに沿って与党とも連携を図りつつ、特殊法人等の改革方策に関する検討を進めているところであります。
 平成二年度及び平成十二年度の財政事情についてのお尋ねがありました。
 平成二年度の財政事情について見ると、決算ベースで公債依存度は一〇・六%、公債発行額は七兆三千百二十億円、年度末の公債残高は約百六十六兆円となっております。これに対して平成十二年度につきましては、当初予算を前提とすると、公債依存度は三八・四%、公債発行額は三十二兆六千百億円、年度末の公債残高は約三百六十四兆円となる見込みでございます。
 なお、首都圏機能移転につきましては、今後、国会等の移転に関する法律に基づき、審議会の答申を踏まえ、国会において社会経済情勢の諸事情に配慮しつつ大局的な観点から検討いただけるものと考えております。政府も、国会の審議が円滑に進められますように積極的に協力していくことも、国民にまた幅広く論議を喚起してまいりたいと考えております。
 少年法の問題点についてお尋ねがありました。
 議員御指摘の事項は、いずれも与党三党において精力的に議論され今次改正案に盛り込まれるものと存じますが、いずれも極めて重要な課題であると考えております。当該改正案につきましては近く国会に提案されるものと承知いたしております。
 日朝関係についてのお尋ねでありました。
 御指摘のとおり、日朝間の人道上の問題や安全保障上の懸案について我が方の主張をしっかりと述べることは重要と考えており、今後ともこの考えには変わりはありません。そのような前提で私としては、先般の日韓首脳会談における金大中大統領との意見交換を踏まえ、軌道に乗り始めた日朝国交正常化交渉に粘り強く取り組み、これを大きく促進させ、そのような中で諸懸案の解決に向けても前進を図っていきたいと考えております。
 船舶検査活動についてお尋ねがありました。
 これにつきましては、与党三党の安全保障プロジェクトチームにおいて、今般、法案の骨子等について実質的に合意されたことを踏まえ、政府としても、現在、法案作成作業等の事務的な諸準備を行っているところでございます。
 本件に関する今後の取り扱いについては、与党三党と相談しつつ、政府部内で検討を行っているところでございます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(扇千景君) 月原議員から公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律案についてお尋ねがございました。
 公共工事は、言うまでもなく国民の理解と信頼のもとにこれを進めることが重要であります。いやしくも、公共工事に関して国民の疑惑を招くことがないように適正に実施することが強く要請されています。
 このため、国、地方公共団体、特殊法人等すべての公共工事の発注者を通じて、新たに公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律案、仮称でございますが、これを制定することとし、今国会に提出を予定しているところでございます。
 本法案においては、国、地方公共団体のほか、公共工事発注者等の全体を対象者として、公共工事の入札、契約の適正化について基本原則を明らかにするとともに、入札結果や受注者の選定過程等を公表することによる透明性の確保を初め、公正な競争の促進、適正な施工の確保、談合や丸投げ等の不正の防止、それらを図るために措置を講ずることとしておりまして、この具体化を通じて、今後、入札の基本的な方法を定めている会計法や地方自治法に関しても改正策を議論していただき、森総理のリーダーシップのもと、各省庁の御協力と国会での真剣な御論議を賜り、そして、国民の公共工事に対する信頼を図っていきたいと思っております。
 また、保守党の党首としての見解も聞かれましたけれども、特殊法人、認可法人、国から人件費の助成を受けている民法法人整理合理化、地方自治体の公営企業の民営化を促進することは保守党が基本政策に入れておりますので、この実現に向けて与党三党で協議し、頑張って成立を図りたいと思っております。(拍手)
#28
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十四分散会
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ソース: 国立国会図書館
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