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2000/11/10 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 本会議 第8号
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2000/11/10 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 本会議 第8号

#1
第150回国会 本会議 第8号
平成十二年十一月十日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第八号
  平成十二年十一月十日
   午前十時開議
 第一 一般職の任期付職員の採用及び給与の特
  例に関する法律案(内閣提出)
 第二 訪問販売等に関する法律及び割賦販売法
  の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
  送付)
 第三 国務大臣の演説に関する件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、特別委員会の目的及び名称変更の件
 一、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力
  及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区
  域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に
  関する協定第二十四条についての新たな特別
  の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との
  間の協定の締結について承認を求めるの件(
  趣旨説明)
 一、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法
  案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 この際、特別委員会の目的及び名称の変更についてお諮りいたします。
 さきに設置いたしました選挙制度に関する特別委員会につきましては、その目的を「政治倫理の確立及び選挙制度に関する調査のため」とし、その名称を「政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会」と改めたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
     ─────・─────
#5
○議長(井上裕君) この際、日程に追加して、
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。河野外務大臣。
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(河野洋平君) 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府は、日本国に合衆国軍隊を維持することに伴う経費の日本側による負担を図り、日本国にある合衆国軍隊の効果的な活動を確保するため、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を締結することにつき、平成十二年一月以来アメリカ合衆国政府と協議しつつ、検討を行ってまいりました。その結果、平成十二年九月十一日にニューヨークで、先方オルブライト国務長官との間でこの協定に署名を行うに至った次第であります。
 この協定の主な内容としましては、まず、日本国が、この協定が効力を有する期間、日本国に雇用されて合衆国軍隊等のために労務に服する労働者に対する一定の給与の支払い及び合衆国軍隊等が公用のため調達する電気等の支払いに要する経費を負担することとしております。さらに、日本国政府の要請に基づき、合衆国が合衆国軍隊の行う訓練を他の施設及び区域を使用するよう変更する場合に、その変更に伴って追加的に必要となる経費を負担することとしております。また、合衆国がこれらの経費の節約に努めることも規定しております。この協定は、二〇〇六年三月三十一日まで効力を有するものとされております。
 この協定の締結は、日米安保条約の目的達成のため我が国に維持されている合衆国軍隊の効果的な活動に資するものであり、ひいては日米関係全般並びに我が国を含むアジア太平洋地域の平和及び安定に重要な意義を有するものと考えられます。
 右を御勘案の上、この協定の締結について御承認を得られますよう、格別の御配慮を得たい次第でございます。
 以上が、この協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。齋藤勁君。
   〔齋藤勁君登壇、拍手〕
#9
○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表して、日米特別協定に関して河野外務大臣、福田官房長官並びに虎島防衛庁長官にお尋ねいたします。
 この協定の締結について質問する前に、最近の内閣がいかに民心から見放されていることについて指摘をし、そのことの重大な責任について官房長官と外務大臣に質問いたします。
 各社の世論調査での内閣支持率は軒並み一〇%台です。不支持は七〇%台にもなりました。ところが、総理並びにその周辺で支えようとしておられる皆さんは、政権の維持のみが自己目的化してしまっており、民の声が聞こえていない。ある若い女性は一昨日私に何と言ったか。森さんって、裸の王様みたい。すなわち、国民は皆、森さんが総理としてもうやっていけないと知っているのに、森さんだけは立派にやっていると思い込み、そしてその周辺で政権維持を目的としている方々のみが立派な服を着ていると強弁をしている、どうも私にはそのようにしか見えないのですが、いかがでしょうか。
 そこで官房長官、内閣支持率が極めて低くなった原因は何だと思っておられますか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
 また、福田官房長官は、一昨日の本院の本会議場で、中川前官房長官本人が捜査情報の漏えいを明確に否定しているから政府としては調査する必要がないと答弁されましたが、録音テープをみずからの声と認められた中川さんの会話の内容は、明らかに捜査情報を漏らしたものです。それを認めないのでしょうか。ショートリリーフになるのかロングリリーフになるのか、福田官房長官の役割は極めて重要でございます。お答えいただきたいと思います。
 河野外務大臣にお伺いいたします。
 かくも無惨な内閣の現状と、これまでの自民党政治の構造的問題点による民心の離反という現実を前にして、かつて自民党総裁をなさった河野外務大臣はどう思われますか。参議院選挙を森首相で戦うのか戦わないのかを含め、森政権をめぐる自民党内のさまざまな動向が報道されない日はない今日、これほどの政権への不信にどう対処されるのか、伺いたいと思います。
 次に、十一月八日に行われた米大統領選挙の結果、いや経過になるのでしょうか、政府がどう受けとめているのか、外務大臣に伺いたいと思います。
 十月の初めにアーミテージ元国防次官補やナイ元国防次官補ら米国の超党派対日専門家グループが対日政策についての報告書を公表しています。その中で、基地削減などで沖縄の負担軽減を提言する一方、日本に一層の役割分担を求めております。アーミテージ・グループの提言は、在日米軍のあり方について柔軟な対応をすべき時期が来ていると指摘しています。またキャンベル氏は、日本での米軍の訓練はフィリピンやグアム島へ移すことが可能と指摘しています。
 こうした報告書等、米国内部での議論に対して、この間の河野外務大臣の国会答弁は評価を避けているようですが、対米関係を考える際、極めて重要と思われますので、大臣の所見を伺いたいと思います。
 米大統領選挙が行われ、激しいデッドヒートが展開されています。ブッシュ共和党、ゴア民主党のそれぞれの場合の対日政策、対アジア政策のこの後の展開についてどう変化が見られるかについて、外務大臣の所見を伺います。
 特に、緊張緩和の流れの中で、朝鮮半島の米軍の削減があり得るし、そうしたとき在日米軍は沖縄の海兵隊を初めとして全体として縮小していく環境ができてくる。さきの米国内部の報告書とあわせ、こうした問題も含めて日本として米軍基地の縮小の取り組みについてどうするのか、お伺いしたいと思います。
 次に、朝鮮半島情勢と日朝交渉の状況についてお尋ねいたします。
 二十一世紀は目前、世界は大きく動こうとしています。朝鮮半島の情勢は大きく変わり、南北の代表が歴史的な握手をし、また米国務長官が十月にピョンヤンを訪問しました。この世界史の大転換にあって、特に東アジアの平和を創出すべき日本の外交はいかにあるべきか、今問われております。
 そこで、日本が対北朝鮮交渉をどのように進めていくか。この間、森総理の拉致疑惑に関する失言、非公式チャンネルを使っての親書疑惑など国民の不信感は高まっていますが、十月末に行われた第十一回本会談の交渉がどのようなものだったのか、そして、今後日本政府はどのように対処していくのでしょうか。
 この間、北朝鮮との交渉の際、だれもが驚いたのがさきに政府が発表した米の五十万トン支援の問題です。北朝鮮の農業が構造的な問題を抱え、慢性的な食糧不足にあることは、国連やWFP、世界食糧計画などの指摘からも明らかであります。それに対して、人道的な観点から食糧援助をすることに私も賛成です。しかし、この間の政府の説明を聞いていますと、依然として、なぜ、どのようにして五十万トンの米支援が決まったかが全く不明瞭です。外務大臣、ぜひ判断の根拠を教えていただきたいと思います。
 そして、現段階の日朝交渉の内容と見通しを伺いたいと思います。
 森総理は、英国首相に現在選択肢として残っているという拉致問題解決策の裏話まで披露されているのですから、日本の外務大臣は日本の国会に可能な限り報告する義務があると考えますが、河野外務大臣にこの点を明確にしていただきたいと思います。
 では、日米地位協定そして日米特別協定について伺います。
 そもそも、在日米軍駐留経費については、日米地位協定二十四条において、基地、施設の提供等を除く駐留米軍維持のための経費はすべて米側が負担するという取り決めとなっています。これが、一九七八年から、当時の金丸防衛庁長官が米側財政事情を勘案し思いやりの精神で対応しようということから、日米地位協定の範囲内との解釈のもとで六十二億円の日本側負担が始まったことは御承知のとおりであります。
 これが、一九八七年からは、日米地位協定を超える分について特別に措置するためこの特別協定が結ばれ、五年ごとに改定されてきました。そのたびに日本側の負担は拡大し、今や二千七百五十億円、実に四十倍を超える規模に膨らんでいます。米国防省の議会報告によると、日本は海外の米軍駐留経費の七六%を負担しているということですが、これは世界じゅうで突出した額であります。
 国民の間からも、厳しい経済情勢を背景に、この思いやり予算について見直すべきとの声が多く聞かれます。中でも、駐留軍経費の名目で基地内で娯楽施設等が整備されたり、基地外の住居の光熱水費が支払われている等の報道がなされており、きちんと国民の税金が使われているかどうか不透明であるとの批判があります。
 日米の経済状況は当時と大幅に変わっています。日本財政はさきに小渕前総理がおっしゃったように世界一の借金を抱える危機的状況です。今回の交渉では、現内閣も日本側の財政事情を訴え、三十三億円程度負担を縮小することになったと聞きます。しかし、これは在日米軍駐留経費総額の六千七百億円のうちの三十三億円、すなわちたった〇・五%にすぎません。しかも、基地の外で生活しているアメリカ軍人の光熱冷暖房費に相当するもので、最初から排除されるべきであった費目にほかならないのであります。
 政府はこれまでの答弁の中で、日米特別協定は特例的、暫定的、一時的措置であると説明し、米側財政事情を最大の根拠としてきました。この事情は変わらないのでしょうか。我が国の現在の財政事情で三十三億円程度の削減で十分とお考えかどうか伺います。
 そもそも、今回はどの程度の削減目標を持って交渉に当たっていたのか、さらに、結果を踏まえて今後どの程度削減していくつもりなのか、またその意思はあるのか、お伺いをいたします。
 さて、民主党はこの間、地位協定そのものの改定について検討を進め、本年五月に改定案をまとめ政府に提出をしたところであります。民主党は折に触れ地位協定の抜本的見直しの必要性を指摘してきましたが、政府は極めて消極的な姿勢を取り続けて、運用面での改善措置を言うに終始をしております。
 民主党の改定案の主な点を若干紹介しますと、基地の提供に係る取り決めを定期的に見直し、その際、基地所在地の自治体などの意見を聴取することや、米軍の施設・区域使用には原則として日本法令が適用されること、また、地方自治体の関係者が施設・区域への立ち入りを要請した場合に米軍が協力するものとすることを明記しております。また、環境保全条項を設け、環境被害について米軍の原状回復、補償義務を入れる。移動の名目で飛行訓練を行わないことや、演習、訓練のための日本の領域の使用には日本国の法令が適用される。凶悪犯罪の場合に、起訴前であっても日本が被疑者の拘禁を行えるようにする等であります。民主党は以上のような内容を十二項目にわたって提出しています。
 なぜ地位協定の改定をしなければならないのか。
 例えば、環境問題です。基地が日本に返還されても、環境汚染されて土地が使い物にならないのでは困ります。現在は、返された基地にPCBがあっても全部日本側の負担で後始末をしなければなりません。使った後はきれいに掃除して返すのが対等な関係というものではないでしょうか。ドイツの場合では、演習その他の訓練に関しボン補足協定があり、ドイツ法の適用が定められております。そのことについて付言しておきたいと思います。
 沖縄県は八月にこの地位協定の改定案をまとめ、政府にも要請をしております。神奈川県と基地関係九市で構成している神奈川県基地関係県市連絡協議会も政府に基地返還と地位協定の改定を要請しております。
 ところが、河野外務大臣は、今月一日の衆議院の外務委員会での質疑で我が党の伊藤英成議員に答え、地位協定の改定が一番本筋で、運用改善はとりあえずの話だと一たんは認めつつ、実際には米国との関係でそうするわけにはいかないと答弁をされました。
 河野外務大臣に伺いたいと思います。なぜ日米地位協定の改定に政府は後ろ向きなのか、アメリカに対して物申せないわけでもあるのでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、米軍夜間離発着訓練、NLPについて質問します。
 米海軍厚木基地周辺の騒音に対する住民の苦情が、ことし四月から九月の半年間で四千四百四十九件と、年度別比較で既に過去最高を示しており、九月だけでも二千件を超えています。うち、NLPに対する苦情は七百三十三件で、硫黄島での訓練が始まってからこちらも過去最高となりました。基地の騒音に住民の怒りが高まっていることがわかります。
 ことし九月五日から七日間にわたって厚木基地で行われた訓練は従来より騒音被害が激しく、米軍に理解を示す住民からも怒りの声が寄せられております。こうした中で、大和市の市長は米軍との友好関係の断絶を表明、県知事も米軍司令官に抗議を申し入れるという事態に発展しています。
 政府は、今回の周辺住民の騒音被害にどう対応するつもりですか。
 今回の特別協定との関係でいえば、硫黄島代替訓練施設を建設費百六十七億円を投じて、すべて硫黄島で訓練する取り決めをしたにもかかわらず、最近急に厚木での訓練がふえたのは明確に約束違反ではありませんか。さらに、先般の私の質問主意書に対して政府は、できる限り硫黄島で訓練を実施するよう米側に申し入れると言いながらも、三宅島が代替訓練の適地と考えており、移転を目指して努力を続けると答弁をされました。この答弁は、厚木基地の周辺自治体にとって現状維持を意味し、また噴火で避難を余儀なくされている三宅島住民からは、災害に乗じるとは冗談じゃないと猛反発が出ております。政府のこの間の東京都と三宅島関係者への対応の内容及びさらに今後どのように働きかけるつもりなのか、伺いたいと思います。
 沖縄に次ぐ基地県である神奈川には、この問題以外にも県及び周辺七市による米軍デモンストレーション飛行中止の要請など、自治体から国に対して切実な声が上がっています。進展は見られておりません。国は毎年これらの声を聞きっ放しにしたのか、前向きに取り組むのか、お答えいただきたいと思います。
 最後に、在日米軍基地に働く従業員の雇用の問題についてお伺いします。
 日米地位協定にかかわって、米海軍横須賀基地で修理作業中に粉じんを吸い込み、健康被害を受けたとして、日米地位協定十八条に基づく補償を求めている横須賀じん肺被災者の会が補償の早期実現を求めています。先月十九日にも防衛施設庁を訪ねて要請が行われました。席上、このことの政府の取り組みが遅く、誠意が見られないと、高齢者を多く含む被害者の方から怒りの声が上がっています。私も同席して、つらい思いでこの声を聞きました。政府として一刻も早く補償が進むよう米側にも働きかけるべきであります。このことについて防衛庁長官の積極的な答弁を伺います。
 また、米軍基地に働く従業員の労務費について九一年に取り決めが行われています。今日、日本政府が全額負担しておりますが、それならなぜ、その負担の実態に応じて日本側の責任で採用や解雇の決定権限、給与などの労働条件についての決定権限が日本側にないのか。
 一例を挙げれば、基地に働く従業員は日本の祝日が適用されず、五日間少ない十五日間しかない。こうした労働条件についても、日本政府として改善していく必要があるのかどうか。二万三千五十五人いる従業員の安定雇用を考えれば、この先、基地をめぐるさまざまな変動があった場合、従業員の雇用をどのように安定させていくかは日本政府の大きな責任と考えますが、そのことについて伺い、以上、本協定に関する政府の明確なる答弁をお願いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(河野洋平君) まず最初に、政局についてのお尋ねがございましたが、私といたしましては、内閣の一員として国民の御意見や御批判を謙虚に受けとめて、国民の信頼を得るべく全力を尽くして努力をする覚悟であることだけ申し上げておきます。
 大統領選挙についてお尋ねがございましたが、議員も御承知のとおり、まれに見る大接戦、今現在結果が判明しておりません。したがって、結果についてコメントをすることは当然差し控えなければなりません。
 いずれにせよ、我が国といたしましては、米国の次期政権とともに引き続き日米同盟関係の維持強化のため取り組んでいく考えには変わりはございません。
 さらに、大統領選挙に触れて議員はお尋ねがございました。
 ゴア、ブッシュ両候補はともに日米同盟関係の強化を主張しておられるわけでございまして、我が国にとりまして、アジア太平洋地域の平和と安定のため日米間の協力連携は不可欠でございます。日米関係は引き続き重要だという御認識を持たれていることを私は大変うれしく思っております。
 アーミテージ元国防次官補らの報告書についてお尋ねがございました。
 アーミテージ元国防次官補らの報告書、さらにキャンベル氏の論文もそうでございますが、対日関係に十分な知識と経験を持っておられるこうした方々によるこの提言は、私として当然関心を持っております。
 ただし、その内容につきましては、現在、政府としてコメントをするのは適当でないと考えますが、右報告書の中では、日米同盟関係が米国の世界安全保障戦略の中核をなすものであるなどと記述している点に注目をいたしておるところでございます。
 いずれにせよ、沖縄におきます米軍施設・区域の問題につきましては、政府としては、沖縄県民の方々の御負担の軽減のため、SACOの最終報告の着実な実施が最善の道と考え、最大限の努力をいたしているところでございます。
 日朝交渉についてお尋ねがございました。
 今回の交渉では、主としていわゆる過去の清算の問題につき深みのある議論を行い、双方の立場の接点を見出すための作業を行うという新たな段階に入っております。ただし、先方との了解によりまして、今次会議の詳細についてはこれ以上のことは申し上げられないことになっておりますのを御了承いただきたいと思います。
 政府としては、今後とも、主張すべきことは主張しつつも、粘り強く交渉に当たることにより、双方の間の大きな隔たりが埋められるよう全力を尽くしていく考えでございます。
 米支援の問題について御質問がございました。
 朝鮮半島をめぐってかつて見られなかった前向きの動きが生じている中、朝鮮半島の平和と安定に大きな関心を有する我が国として、人道的観点に加え、日朝関係の改善、ひいてはこの地域の平和と安定という大局的見地に立ちまして、WFPのアピールなどを踏まえつつ、深刻な食糧不足に直面している北朝鮮に対し五十万トンの食糧支援を行うとの判断をいたしたものでございます。
 特別協定について御質問がございました。
 新たな特別協定は、その前文に明記されているとおり、「両国を取り巻く諸情勢に留意し、合衆国軍隊の効果的な活動を確保するため」に締結しようとするものであります。
 政府としては、アジア太平洋地域において依然として不安定性、不確実性が存在していること、アメリカが国際的な平和と安全のためにグローバルな役割を果たしており、また、我が国が国際社会の一員としての役割を果たしていくことが必要であること及び経済情勢といった要素を総合的に勘案の上、新たな特別協定を締結することが適当であるとの判断をいたしたものでございます。
 同時に、政府としては、最近の我が国をめぐる経済事情にかんがみれば、在日米軍駐留経費負担の節約、合理化は必要であるとの認識のもとに、米国と協議しつつ、検討の結果、御指摘の削減を図ったものでございまして、適切な対応を行ったものと考えております。
 このように、新たな特別協定は、日米両国を取り巻く現下の諸情勢を踏まえたものでございまして、これまでの特別協定と同様に暫定的な性格を持っております。
 政府として、在日米軍駐留経費負担は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保する上で基本的な重要性を有しているということを申し上げましたが、同時に、最近の経済状況で、極めて今回新たな協定で重要なことは、米国側に対して節約、合理化を要請したことでございます。
 政府としては、こうしたことを念頭に置きまして、現行特別協定終了後の我が国の在日米軍駐留経費負担のあり方について米側との協議の中で検討を行ってきたところでございまして、その結果、平成十二年度予算ベースで約三十三億円の削減となる節約・合理化策を導入するとともに、米側の節約努力につき協定第四条にこの旨明記をいたしました。
 政府としては、協定第四条が置かれた趣旨にかんがみ、米側が一層真摯に節約努力を払うことを期待しておるところでございます。
 いずれにせよ、政府としては、新たな特別協定の有効期間中、同協定の規定に従い適切に対応をしたいと考えております。
 地位協定についてお話がございました。
 政府としては、日米地位協定のあり方については、これまでも種々の観点から検討を加えてまいりました。これまでも、SACOの最終報告に九項目の地位協定の運用改善措置を盛り込み、これらすべてを実現するなど、日米地位協定の運用の改善に真摯に取り組んでいるところであります。政府としては、その時々の問題について、運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であると考えており、今後とも、昨年末の閣議決定にあるとおり、地位協定の運用の改善について誠意を持って取り組み、必要な改善に努めていく考えでございます。
 NLPについてお尋ねがございました。
 米空母艦載機夜間着陸訓練は、パイロットの練度維持及びその向上のためのものでありますが、政府としては、飛行場周辺の住民に対する騒音の影響をできるだけ軽減するため、これまで可能な限り多くのNLPを硫黄島で実施するよう米側に申し入れてまいりました。その結果、昨年までの過去五年間の硫黄島での実施率はおよそ八〇%となっております。
 しかし、本年の現時点においては、天候上の理由等により硫黄島での実施率は例外的に約二五%と低くなっております。政府としては、本年の状況は好ましくないと考えておりまして、今後できる限り多くのNLPが硫黄島で実施されるよう既に米側に申し入れたところでございます。また、先般コーエン国防長官が来日した際、私からもNLPについては基地周辺の住民の気持ちに十分配慮することが重要である旨も述べております。
 政府としては、NLP以外に、厚木飛行場における展示飛行、いわゆるデモフライトでございますが、について地元自治体からの強い中止要請があることを十分承知しておりまして、このような要請を踏まえてこれまでもその中止を米側に働きかけてきたところであります。今後とも地元の方々の御負担を軽減すべく、また地元の意見に謙虚に耳を傾けまして、真剣にその実現のために取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(福田康夫君) 齋藤議員の御質問にお答えをいたします。
 内閣支持率についての御指摘ですが、支持率につきましてはさまざまな要因があり、その原因について一概に言えるものではないと考えます。
 いずれにしても、支持率は世論の動きを示す重要な指標として受けとめており、これを謙虚に受けとめ、内外の諸課題を一つ一つ着実に実現していくことを通じて国民の理解を得るよう全力を尽くしていきたいと考えております。
 中川前官房長官に関する御指摘については、中川前長官は、国会や記者会見の場で、警察情報の漏えい問題を含め、自分の身の潔白を再三表明しているところであり、前長官が名誉回復のために調査もされて、とるべき処置をなさるものと思っており、私といたしましては、それを静かに見守っていくべきと考えております。(拍手)
   〔国務大臣虎島和夫君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(虎島和夫君) お答えをいたします。
 NLPに関するお尋ねでありますけれども、すべての訓練を硫黄島で実施するとの日米間の取り決めはありませんけれども、飛行場周辺の騒音軽減は重要な課題であるとの認識を持っております。できるだけ多くの訓練が硫黄島において実施されるよう、今後とも米側の理解と協力を求めてまいる所存であります。
 なお、三宅島代替訓練場に係るお尋ねでありますけれども、三宅島は、NLPを行うための代替訓練場の適地と判断し、これまで、当庁職員を同島に派遣し広報活動を実施するなど、地元の御理解を得られるよう努力を続けてきたところでありますが、現在は、活発な火山活動の影響から全島民が島外避難している状況にあり、広報活動を中断し、火山活動の状況等を見守っているところであります。
 いずれにしても、同島は代替訓練場の設置場所として立地条件がすぐれていることから、状況が許すようになれば、広報活動を再開するなど、今後とも粘り強く関係自治体の御理解が得られるよう努力していく考えであります。
 米海軍横須賀基地における元駐留軍従業員のじん肺被害に係る損害賠償請求についてのお尋ねですが、本件については、現在、横浜防衛施設局において、米海軍横須賀基地に対し、艦船修理作業に従事していたとされる当時の職場の環境やじん肺に対する米軍の安全対策の実態等を照会しているところであります。
 これら事実関係を把握の上、日米地位協定第十八条に基づく損害賠償について米側と協議をしてまいりたいと考えております。
 在日米軍従業員の労務管理についてのお尋ねですが、雇用主である日本政府としては、従業員の採用及び解雇などについては、使用者である米側とも十分に調整の上行ってきております。また、給与その他の勤務条件についても、米側と調整しながら逐次その改善を図ってきているところであります。
 いずれにしても、引き続き従業員の権利保護という観点から、適切に対処してまいる所存であります。
 従業員の雇用の安定については、政府として、在日米軍従業員が雇用面において不安なく勤務できる状態を確保していく必要があると認識しており、今後とも米側とも連携をとりつつ万全を期してまいる所存であります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(井上裕君) 小泉親司君。
   〔小泉親司君登壇、拍手〕
#14
○小泉親司君 日本共産党を代表して、日米地位協定に関する特別協定について質問いたします。
 今回の特別協定は、本来アメリカ政府が負担すべき米軍基地の維持経費を日本政府が肩がわりするために特例措置を設けるものであります。
 日本政府はこれまで、米軍への思いやりと称して、アメリカ政府言いなりにこの負担に従ってきました。その際、政府は、米国が膨大な財政赤字を抱え、国防費、在日米軍駐留経費が逼迫していることを最大の根拠として、この特別協定を締結すると説明してきました。しかし、今日、アメリカは財政黒字を記録し、逆に日本は六百四十五兆円という膨大な財政赤字を累積するに至ったのであります。事態は全く逆転し、特別協定を締結する日本政府の根拠は明白に崩れたのであります。
 このような中で、特別協定を継続する根拠は一体何なのですか、明確にしていただきたいのであります。
 同時に、政府は、特別協定について、特例的、暫定的、限定的と国民に説明してきました。八七年の特別協定の当時、当時の北米局長は、五年ということに限ってお願いしている、その後どうなるか、この条約はなくなるということは明確であると答弁していたのであります。ところが、特別協定は、今回で四回目になる本協定を含め、二十年の長きにわたって継続することになるのであります。これがどうして暫定的と言えるのですか。政府が国民に説明した根拠がすべて崩れた以上、本特別協定は廃止されて当然であります。
 この継続を取り決めた理由は何なのか、これまでの説明との整合性がないではありませんか。答弁を求めるものであります。
 特別協定のもとで、米軍駐留経費、いわゆる思いやり予算は異常な増殖を遂げてきました。
 思いやり予算は、七八年の六十二億円から始まり、二〇〇一年度の概算要求では二千五百七十九億円、何と二十数年間で四十一・六倍の増殖ぶりであります。国民生活予算でこれだけ急膨張を遂げた予算はありません。
 しかも、政府の資料によれば、日本側負担と米側負担は、八七年に日本側負担が三六%であったのに対し、九八年は完全に逆転し、日本側負担が六六%、米側負担が三四%となったのであります。特例的と言いながら、なぜこのように負担が逆転したのですか、お聞かせいただきたいと思います。
 米議会で議決された国防予算権限法は、同盟国に対し、二〇〇〇年九月までに駐留経費の負担を七五%まで高めるようアメリカ政府が各国に働きかけるべきだとしています。二〇〇〇年版の米国防総省の同盟国貢献度報告は、この負担目標を達成した国は日本だけだと発表しています。日本はなぜこの負担割合の達成に邁進したのですか、また、他の同盟国の負担はどれくらいなのですか、お答えいただきたいと思います。
 米国防総省報告はまた、米国の同盟国の中で、直接支援を一億ドル以上負担しているのは日本、韓国、クウェートの三カ国だとしています。しかも、日本の負担額は二十八億八千百万ドル、韓国の八・三倍、四位のドイツと比べると、何と百二十三・七倍であります。なぜこのように突出する必要があったのですか、お聞かせいただきたいと思います。
 そもそも、一国の議会が他国の基地負担割合を七五%にまで高めるべきだとの法律をつくること自体、内政干渉も甚だしいものではありませんか。日本政府はこれに対し、抗議あるいは遺憾の意を表明したのですか。それとも、それもしていないで唯々諾々と負担増に応じたのはいかなる理由なのですか、明確にしていただきたいのであります。
 本協定の締結に当たって、米側は、思いやり予算という言葉には日本側の誤解があらわれている、日米同盟を維持するために必要な経費だと政府を挙げて主張してきました。協定の締結前には、タルボット国務副長官、スローコム国防次官、スタインバーグ大統領副補佐官、ラルンストン統合参謀副議長が次々と来日し、特別協定の継続を訴えたのであります。マスコミは、アメリカの外交・安保次官級高官がこぞって来日するのは異例だと報じました。一体どのような要求があったのですか、包み隠さず明らかにしていただきたいのであります。
 しかも、フォーリー米駐日大使は、思いやりという表現自体が不適切であり、同盟に基づく戦略的責務だとの主張を展開しました。日本政府もこのアメリカの見解と同様なのですか。
 そもそも思いやりという言葉は、日米地位協定に反したアメリカの費用分担要求に応じるために、当時の金丸防衛庁長官が国会で、思いやりがあってもいいじゃないかと答弁したことに由来するものであります。その結果、特例的、暫定的措置が生まれたのであります。
 アメリカ政府は、米軍が日本防衛に当たっている以上、日本が負担するのは当然と主張しています。これが戦略的責務の意味であります。
 米海兵隊を初め日本に駐留する米軍が日本防衛に割り当てられていないことは、八二年四月二十一日のワインバーガー米国防長官の議会証言で明白であります。しかも、たとえ米軍が日本防衛に当たっていたとしても、日米地位協定では、米軍基地の維持経費はアメリカ政府が負担することと明確にされていることであります。
 特例的、暫定的である以上、日米同盟に基づく戦略的責務とは言えないのではないですか、政府の見解を明確にしていただきたいと思います。
 今、全国百三十カ所以上に上る米軍基地は、日本国民に耐えがたい苦しみを与えています。
 沖縄では、沖縄の中の米軍基地ではなく、米軍基地の中の沖縄という実態が今なお続いているにもかかわらず、日米両政府は沖縄県民に新たな基地建設を押しつけています。
 神奈川県の厚木基地などで行われている夜間離発着訓練、NLP訓練は、基地周辺住民に異常きわまる爆音被害を与え、お年寄りや子供たちを初め住民に耐えがたい苦難を押しつけています。
 安保容認派とみずから言われる大和市長、綾瀬市長、三沢市長は、こぞってNLP訓練の中止を求めています。大和市長が米軍に対し友好関係の中断を表明した直後、米側はNLP訓練を直ちに中止しました。国民の願いをアメリカ政府に毅然と訴えれば、夜間離発着訓練は中止できたのです。
 日本政府は、これまで夜間離発着訓練の中止を求めたことがあるのですか。米軍のこのような夜間離発着訓練を神奈川県のような大都市上空で認めている国はあるのですか、具体的にお答えいただきたいと思います。
 特別協定は、日本防衛と無縁の米軍基地を維持強化するためのものであります。特例的、暫定的などといって、アメリカの要求にきゅうきゅうとして日米地位協定に反する負担に応じることは絶対に容認できません。
 朝鮮半島での南北首脳会談による自主的平和統一の流れ、北朝鮮を初め東アジアのすべての国が参加するASEAN地域フォーラムでの安全保障対話など、アジアでは平和の激動が起こっています。米軍基地の整理、縮小、基地撤去こそ、この平和の流れを確かなものにする保障であります。
 日本国民に苦難を押しつける米軍基地を維持強化し、日本防衛と無関係の米軍に思いやる必要はありません。思いやるべきは日本国民であり、介護や医療など重い負担を負わされているお年寄りであります。貧困な教育予算のもとで将来の不安を訴えている子供たちであります。
 本協定の廃止を強く要求して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(河野洋平君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、新たな特別協定はその前文に明記されているとおり、「両国を取り巻く諸情勢に留意し、合衆国軍隊の効果的な活動を確保するため」に締結しようとするものでございます。
 政府としては、アジア太平洋地域において依然として不確実性が存在していること、アメリカが国際的な平和と安全のためにその役割を果たしており、また我が国も国際社会の一員としての役割を果たしていくことが必要であることを考え、また経済情勢といった要素を総合的に勘案をいたしまして、五年間という期間を限定して新たな特別協定を締結することが適当であるとの判断を改めて行った次第であります。
 このように、新たな特別協定は、日米両国を取り巻く現下の諸情勢を踏まえたものでございまして、これまでの特別協定と同様、暫定的な性格のものでございます。
 在日米軍駐留経費負担は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保することに役立っておりまして、日米同盟関係において基本的な重要性を有していると考えております。
 御指摘の在日米軍駐留経費の日米の負担率の変化については承知をいたしておりますが、我が国は、ただいま申し上げましたような観点から、適当と考える在日米軍駐留経費負担を行ってきたところでございます。
 国防予算権限法についてお尋ねがございました。
 御指摘の報告は、共同防衛に対する同盟国の貢献に関する報告を指すものと思われますが、各国が負担している米軍駐留経費は、各国を取り巻く安全保障環境等の種々の要因を総合的に勘案して負担されているものでありまして、その単純な比較及び評価は困難でございます。
 我が国についても、我が国を取り巻く諸情勢を総合的に勘案した上で、適切と考える在日米軍駐留経費負担を実施しているわけでありまして、特定の負担割合の達成を目標としているわけではありません。
 なお、この報告書におきまして、各国の米軍駐留経費負担率については、我が国七六%のほか、カタール六五%、ノルウェー六〇%、イタリア六〇%などの数値が示されていると承知をいたしております。
 御指摘のアメリカの一九九七会計年度国防予算授権法は、米軍駐留経費負担率の拡大を他国に対し義務づけるものではありません。したがって、我が国としては、同法が他国に対する内政干渉になるとは考えておりません。
 現行特別協定終了後のホスト・ネーション・サポートのあり方についての日米間の協議におきまして、米側は、現行の特別協定の枠組み及び我が国の負担水準の維持を要望してまいりました。これに対しまして我が国は、在日米軍駐留経費負担が日米安保体制の円滑かつ効果的な運用にとり重要な役割を果たしていることを認識しつつも、同時に、現下の経済情勢を踏まえれば節約、合理化を行うことが必要であるということを説明し、こうした協議を行ったところでございます。
 在日米軍駐留経費負担について共産党の皆さんは思いやり負担と、こうおっしゃいますけれども、政府として……(発言する者あり)政府として、在日米軍駐留経費負担という用語は使用しておりまして、いわゆる思いやり予算という用語は政府は使用しておりません。日米同盟の戦略的責務という用語の意味するところは必ずしも明らかではありませんが、政府としては、在日米軍駐留経費負担は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保することに大いに役立っておりまして、日米同盟関係において基本的な重要性を有していると考えております。
 なお、これらの経費は地位協定の範囲内または特別協定に基づき負担をしているところでありまして、この点につき何ら問題はないと考えております。
 アメリカ空母艦載機夜間着陸訓練は、パイロットの練度維持及びその向上のため重要なものでありまして、政府としてはその中止を求めてきてはおりません。
 他方、政府としては、飛行場周辺の住民に対する騒音の影響をできるだけ軽減する必要があるとの観点から、これまで可能な限りNLPを硫黄島で実施するよう米側に申し入れてきており、先般コーエン国防長官が来日した際、私からもNLPについて基地周辺の住民に十分配慮することが重要である旨述べたところであります。
 また、米側によれば、米国本土においても複数の飛行場においてNLPが実施されており、その中には人口密集地に隣接する飛行場があるということでございます。(拍手)
   〔国務大臣虎島和夫君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(虎島和夫君) 在日米軍駐留経費負担の経緯に関するお尋ねがありました。
 在日米軍駐留経費負担については、我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保するとの観点から、財政事情等にも十分配慮しつつ、我が国として自主的にできる限りの努力を払ってきたところであります。
 防衛庁としては、日米両国を取り巻く諸情勢を勘案し、昭和五十三年度以降、逐次、在日米軍駐留経費として提供施設整備、労務費、光熱水料等あるいは訓練移転費の負担を行ってきたところは御承知のとおりであります。
 次に、在日米軍駐留経費負担の意義に関するお尋ねがございました。
 冷戦終結後も、アジア太平洋地域において引き続き不安定要因が存在する中で、日米安保体制は我が国及びこの地域の平和と安定のために重要な役割を果たしております。
 在日米軍駐留経費負担は、このような日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保する上で基本的な重要性を有しており、このような意味で在日米軍駐留経費負担の重要性は決して暫定的なものではありません。
 他方、政府としては、安全保障情勢、経済情勢、我が国の国際社会に対する貢献のあり方等、日米両国を取り巻く現下の諸情勢を総合的に勘案の上、地位協定第二十四条に定める経費負担の原則は原則として維持しつつ、暫定的、特例的、限定的な措置を定めるものとして、新たな特別協定を締結することが適当であるとの判断を改めて行ったものであります。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#17
○議長(井上裕君) 照屋寛徳君。
   〔照屋寛徳君登壇、拍手〕
#18
○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合を代表して、略称、米国との地位協定第二十四条についての新たな特別措置協定について質問いたします。
 私は、基地の島沖縄に住み、五十五年生きてまいりました。これからも沖縄で生きていかねばなりません。沖縄県民は、米軍基地があるから嫌だといって生まれ島から逃げることはできないのであります。
 二十万余のとうとい命が犠牲になった沖縄戦、それに続くアメリカの軍事支配下の二十七年と、日本復帰から二十八年を経て今日に至る沖縄の戦後は、我が国の安全保障の犠牲と負担を強いられた歴史でありました。
 国土面積わずか〇・六%の沖縄に、今なお在日米軍の七五%が集中しております。沖縄では膨大な米軍基地が存在するがゆえに、米軍人・軍属による犯罪、米軍の軍事演習や軍事行動による事件、事故等によって県民の平和的生存権が侵害されており、多くの沖縄県民は米軍基地の整理、縮小、海兵隊の撤退等を強く望んでおります。県民の願いは基地のない平和な沖縄の実現であります。冷戦体制は崩壊したにもかかわらず、沖縄に平和の配当はもたらされておりません。
 そこで、外務大臣と内閣官房長官に、沖縄が戦後我が国の安全保障の犠牲と負担を強いられてきたという認識をお持ちか、また基地の整理、縮小、海兵隊の撤退についていかなる御所見をお持ちか、お尋ねいたします。
 沖縄からは安保がよく見えると言われます。そのとおりです。基地の島沖縄では、憲法法体系が安保法体系によって侵されております。憲法の理念より安保の理念が、人間の尊厳より軍隊の論理が優先されているのです。この日米安保条約の実施細則に当たるのが日米地位協定であり、それは基地運用マニュアルとも言うべきものであります。
 この地位協定は、一九六〇年、現行安保条約が締結された際、条約本体とともに国会で承認されたものでありますが、当時の国会では地位協定の審議はほとんど行われておりません。しかも、地位協定は締結以来一度も改正されていないのであります。
 日米地位協定は、米軍に対し治外法権的な特権、免除を与えておるばかりか、国民の基本的人権を制限しております。
 沖縄県は、去る八月、政府に対し十一項目に及ぶ具体的な地位協定の改正を求めております。沖縄県だけではありません。二十八都道府県、二百九市町村議会が地位協定見直しの決議や意見書を採択しております。今こそ、単なる運用の改善ではなく、沖縄県が求める地位協定の改正要求についてアメリカとの交渉に入るべきだと考えますが、外務大臣の見解をただします。
 在日米軍の駐留を支えているのは、かねてより思いやり予算と称される、現行の地位協定に基づく特別協定による在日米軍駐留経費の日本側負担であります。二〇〇〇年度に日本政府が負担する在日米軍駐留関連費の総額は六千六百十九億円に達しております。このほかにSACO関連経費が別枠で百四十億円もあり、加えますと在日米軍経費の総額は六千七百五十九億円に上ります。この金額は、同年度の防衛関係費四兆九千二百十八億円の一三・七%に相当します。一九九九年六月末の在日米軍兵力数が四万一千二百八人ですので、米兵一人当たり実に一千六百六万円になります。自衛隊員一人当たりの維持的経費は年間一千五百九万三千円であり、米兵への支出が五割ほど高いのであります。これらはすべて国民の血税で負担されているのです。
 一九九五年二月の米国の東アジア戦略報告は、日本への軍隊駐留は米国に置くより安上がりだ、日本は同盟国で最も気前がいいと述べ、クリントン政権が一九九三年九月に発表した中東と朝鮮半島の地域紛争に同時対応する世界戦略に関して、当時のデビッド国防次官補代理は、日本の支援が削減されたら戦略自体を見直す必要があると述べ、思いやり予算が世界戦略に組み込まれていることを認めております。
 冷戦崩壊後、外国に駐留する米軍の数は大幅に減りました。ところが、在日米軍だけはふえております。在日米軍基地の固定化と駐留経費負担の関係について、外務大臣の所見を伺います。
 嘉手納基地のF15戦闘機のシェルター十五基約六十億円、同基地内の託児所十二億三千六百万円、キャンプ・コートニーの教会三億七千万円を初め、隊舎、住宅、郵便局、消防署、ガソリンスタンド、売店、学校、診療所、劇場、クラブ、エアロビクス教室、ダンスホール、ビリヤード、バー、米軍人のアルコール中毒患者の訓練施設等が思いやり予算でつくられております。これらの施設建設は、地位協定二十四条に基づき我が国がその費用を負担すべきものではありません。
 そのほかにも、光熱水費等の二〇〇〇年度支出額は二百九十八億円、そのうちの電力の使用上限は約十二億七千万キロワットアワー分とされており、日本の標準家庭の年間使用量三千三百六十キロワットアワーで換算すると約三十八万世帯分に相当するのであります。防衛庁長官はこの実態をどのようにお考えか尋ねます。
 労務費についての私の考えは、基地労働者の法的雇用主が日本政府である以上、特別協定の存否にかかわらず政府が責任を持つべきとの意見であります。
 したがって、思いやり予算の減額を口実に基地労働者の雇用を悪化せしめたり、労働条件を引き下げることは許されません。むしろ、思いやり予算で日本政府が負担している労務費で基地内で働く外国人が急増していることが問題であります。思いやり予算がアメリカ人の失業対策に使われているとの非難にとどまらず、違法行為と思われます。その実態について防衛庁長官に伺います。
 思いやり予算が新特別協定として国会の承認を得たとしても、その違法性は正当化されません。
 最後に、国、地方合わせて六百四十五兆円の借金を抱え財政危機にある現実に照らし……
#19
○議長(井上裕君) 照屋君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
#20
○照屋寛徳君(続) 米軍への思いやりから国民への思いやりの政治への転換、軍隊と軍事力による二国間軍事同盟の安全保障から、社会民主党が主張する北東アジアの総合安全保障機構の創設を訴えて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(河野洋平君) 海兵隊を含め沖縄に所在する各米軍施設・区域は、我が国及び極東の平和と安全に寄与するという日米安保条約の目的達成に重要な役割を果たしている一方で、在日米軍の施設・区域の約七五%が集中することにより、沖縄県民の方々に多大な御負担をおかけしていることは私としても十分認識をいたしております。
 政府としては、こうした御負担を軽減するためには、SACO最終報告を着実に実施することが最善の道と考え、全力で取り組んできているところであり、先般の沖縄での日米首脳会談でも一致したとおり、今後とも日米で協力して取り組んでいく考えでございます。
 政府としては、これまでも沖縄県の御意見を踏まえ、SACO最終報告に九項目の地位協定の運用改善措置を盛り込み、その後これらすべてを着実に実現してきております。
 私としては、地位協定のあり方について考えることもありますが、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であると思い、今後とも沖縄県の御要請に真摯に耳を傾けつつ、昨年末の閣議決定にあるとおり、地位協定の運用の改善について誠意を持って取り組み、必要な改善に努めていく考え方でございます。
 去る九月に開催されたいわゆる2プラス2会合の際に発出をいたしました環境原則に関する共同発表は、このような運用改善努力の一環として行われたものでありまして、今後とも、政府としてはこういった具体的対応につき沖縄県などを含め関係方面に説明をしてまいりたいと思っております。
 在日米軍駐留経費負担に係る特別協定は、我が国が在日米軍の労務費、光熱水料等及び訓練移転費を特別の措置として負担するための枠組みに関するものでありまして、在日米軍駐留経費負担の多寡と在日米軍施設・区域の整理、統合、縮小とは必ずしも単純な相関関係を持っているわけではございません。(拍手)
   〔国務大臣福田康夫君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(福田康夫君) 照屋議員にお答えいたします。
 沖縄の負担と沖縄の米軍基地の整理、縮小、海兵隊の撤退についてのお尋ねがございました。
 沖縄には、海兵隊を含め、全国の米軍施設・区域の約七五%が所在しており、我が国の平和と安全のために沖縄県の方々にさまざまな御負担をおかけしていることは十分認識しております。
 政府といたしましては、沖縄県の方々の御負担を軽減するため、先般の沖縄での日米首脳会談でも一致したとおり、今後ともSACO最終報告の着実な実施に最大限努力してまいります。(拍手)
   〔国務大臣虎島和夫君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(虎島和夫君) お答えを申し上げます。
 提供施設整備について、地位協定二十四条に基づき我が国が費用を負担すべきものでないとの御指摘ですが、地位協定第二十四条第二項において、地位協定第二条に定めるすべての施設及び区域をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供する旨規定されており、提供施設設備については、この規定に基づき我が国がその経費を負担しているものであります。
 具体的な提供施設整備に当たっては、地位協定の範囲内で米側の希望を聴取するとともに、安保条約の目的達成との関係、我が国の財政負担との関係、社会経済的影響等を総合的に勘案の上、個々の施設ごとに我が国の自主的判断により措置してきたところであります。
 今後とも、この方針により、適切に対処してまいりたいと考えております。
 また、光熱水料等について電力使用量を例示してのお尋ねがございました。
 在日米軍が使用する電力は、主として軍の運用上必要な飛行場、港湾及び各種庁舎等で使用されるものであり、一般家庭の消費電力との比較は必ずしも適当とは思われません。
 いずれにしても、光熱水料等は在日米軍の駐留を維持していく上で必要不可欠なものであり、かかる経費の負担は、在日米軍の効果的な活動の基盤を確保することに大きく寄与するものであると考えております。
 在日米軍基地内で働く外国人従業員についてのお尋ねですが、外国人従業員は、近年、三百人前後で推移しているところであり、特段にふえているという認識はありません。
 いずれにしても、外国人であっても日本国内で就労する資格があり、日米間で締結した労務提供契約の資格要件を満たす者であれば、在日米軍従業員として採用することについては問題はないという認識を持っております。
 以上であります。(拍手)
#24
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#25
○議長(井上裕君) この際、日程に追加して、
 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。堺屋国務大臣。
   〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(堺屋太一君) 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案の趣旨を御説明いたします。
 現在、情報通信技術の活用により、個人の活動、生活様式、社会経済活動、行政のあり方等広範な分野において、急激かつ大幅な変化が世界的規模で進展しております。
 我が国においてもこのような変化に的確に対応し、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全で多様な情報や知識を受発信することにより、創造的かつ活力ある発展が可能となる社会、すなわち、高度情報通信ネットワーク社会を形成することが喫緊の課題であります。
 このような状況にかんがみ、本法案におきましては、所要の施策を迅速かつ重点的に推進するため、基本理念とこれに基づく基本的な施策の枠組みを定めるものであります。
 次に、本法案の内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、六つの基本理念を掲げております。すなわち、すべての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現、経済構造改革の推進及び産業の国際競争力強化、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現、活力ある地域社会の実現、民間主導の原則と適切な官民の役割分担、情報通信技術の利用機会の格差の是正であります。
 第二に、施策の策定に係る基本方針として、世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成、教育及び学習の振興並びに人材の育成、電子商取引の促進、行政の情報化、ネットワークの安全性の確保、研究開発の推進、国際的な協調等を規定しております。
 第三に、推進体制として、内閣に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部を設置することとし、内閣総理大臣を本部長とするなど組織、所掌事務等を規定しております。
 第四に、本戦略本部が策定する重点計画について、原則として施策の具体的な目標や達成の期間を付するべきことなど所要の事項を規定しております。
 以上がこの法律案の趣旨でございますが、衆議院におきましては、基本理念として、社会経済構造の変化に伴う雇用その他の分野における新たな課題への対応を加えることを内容とする修正が行われております。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#28
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。高橋千秋君。
   〔高橋千秋君登壇、拍手〕
#29
○高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋千秋でございます。
 ただいま議題となりました高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案について、民主党・新緑風会を代表して、森総理及び堺屋IT担当大臣に御質問をさせていただきます。
 私が六月に初当選をさせていただいて以来も、ITという言葉を聞かない日はありません。しかし、その中身を見ると、IT革命やEエコノミー、ひいてはEジャパンなど、言葉が先行し、近い未来の姿も具体的にどんな社会や経済を目指すのか国民には見えてこないのが現状であります。
 アメリカでは大統領選挙が行われています。まだ結論は出ておりませんが、副大統領でもあるゴア氏が十年前に打ち出した情報ハイウエー構想はもう次の段階に入ろうとしており、アメリカの好景気をもたらしてまいりました。しかし、そもそもこの構想は日本のNTTが出した構想をもとにしたと言われておりますが、なぜそれがアメリカでできて日本でできなかったのか、その御所見を総理並びにIT担当大臣にお伺いしたいと思います。
 一方で、最近の各社の世論調査によれば、森政権の国民の支持率は一〇%台まで落ち込み、自民党の内部でも一〇%を切ったらもうだめだなどとの声が出ていると聞いております。さらに、不支持率が七〇%を超えるという危機的に国民が信頼していない政権が目玉として出した基本法案であり、二十一世紀を左右するとまで言われるこんな大事な法案にもかかわらず、基本的な哲学と戦略が見えてきません。
 そこでまず、この支持率ではなくて不支持率の高さについてどう考えられておられるのか、またそんな中で出されたIT基本法案が国民に支持されると考えておられるのか、総理並びにIT担当大臣にお伺いをしたいと思います。
 沖縄サミットでIT憲章が採択され、政府はIT革命の推進を重要課題としていますが、我が国の置かれている状況は、インターネットの人口普及率一つを見ても米国、シンガポールなどの後塵を拝しており、IT分野に限定した技術開発力についても日本が米国に先んじているものは少ない状況にあるという現実を直視すべきであります。しかし、だからといって何の戦略も持たぬまま歩き出せば道に迷うだけであります。IT革命で目指すところを示すためにこそ基本法の制定が必要なのであります。
 ところで森総理、パソコンは使えるようになりましたでしょうか。ITはあくまでも手段であり、目的ではありません。総理がパソコンの練習をしている姿をテレビで何度か拝見させていただきました。決して総理にパソコンを使うことを期待しているものではありません。
 私たちは二十一世紀に向けてどのような国家、社会をつくっていくのか、どのように国際社会に貢献するのか、そのためにITをいかに役立てていくのか、基本法案はこのIT革命を推進する哲学、理念、国家戦略が不明確であります。
 私たち民主党は、ことし三月の段階でIT革命の四つの基本理念を明確にしております。
 第一は、経済構造を改革し、チャンスのある社会、チャレンジできる日本をつくること、第二は、高齢者や身障者を疎外せず、多様な生き方や価値観を許容し合う社会をつくること、第三は、だれもが政治や行政へのアクセスと監視のできる分権社会、情報民主主義を実現すること、第四は、国境や民族の垣根を越えた協調と信頼を築き、紛争予防と平和の創造に役立てることであります。
 私たちは、こうした理念も含めてIT基本法案を制定すべきだと主張してまいりましたが、拙速にまとめられた政府案には不満な点も多々あります。大まかに言って、政府案には三つの点で問題があると考えます。
 第一に、単なるIT普及促進基本法であり、国民本位、消費者本位の基本理念が弱いこと、第二に、民主党が主張している地方分権型IT革命、情報民主主義など、どんな社会を目指すのかという理念が欠落しております。第三に、IT革命に一元的に取り組む行政機関の設置が欠落をしております。
 私たちが特に主張した雇用などITがもたらす負の側面に対する措置について、衆議院の段階で修正が盛り込まれたことは一歩前進と見ますが、さらに参議院の段階でも厳しく精査すべきであります。
 こうした問題点を明らかにし、国民本位のIT革命断行のための基本法とするため、政府はその裏づけとなる施策を基本法と一体のものとして明らかにすべきだと考えます。
 革命というのは民衆が起こすものであって、政府が強制するものではありません。そのために、産業優先ではなく、IT革命を市民本位となるよう位置づけること、情報民主主義の理念を確立すること、現状の縦割り、硬直的な行政体制を是正し、情報通信行政に関する事務及び事業を一体的に遂行する責任を有する新たな情報通信省の設置への道を確立すること、こうした施策の提起が欠落しているままでは、基本法が何を目指しているのか、その姿がいま一つ見えないものと考えます。
 特に、IT革命に一元的に取り組む行政機関は、これまでの行政では解決できない、またスピードある政策の実行が必要とされるこの分野でのリーダーシップを横断的にとるためにもぜひとも必要と考えます。
 また、現在、堺屋長官がIT担当大臣として兼務されておられますが、今のままでは、情報インフラはうち、機器についてはうちなどと結局ばらばらな対応で、年度末になったら工事だらけという状況になり、迷惑し、むだな税金を払わされるのは国民ということになりかねません。
 その意味でも、情報というものをきっちりと理解できる専任大臣がトップとなって強力なリーダーシップを発揮できる権限を与えれば、これまでの縦割りの弊害を横につなぐことができるようになると考えます。
 総理並びにIT担当大臣の御所見を伺いたいと思います。
 以下、IT社会の将来像に関連して質問します。
 第一は、労働・雇用問題であります。
 米国では、IT社会のもと好況が続く中で、中間管理職不要論が幅をきかせ、大胆なリストラが進んでいます。
 我が国でも、コンピューター時代の初期のころ、企業組織のフラット化、すなわち中間管理職不要論が叫ばれました。そして、今日のIT時代では、企業組織のフラット化に加えて、企業間関係のフラット化、すなわち中抜き論が主張され、ITの普及が進むにつれ、中堅サラリーマンの雇用不安はさらに高まってきています。
 こうした状況に対応するため、セーフティーネットを強化することは当然でありますが、IT時代にふさわしい職業訓練制度を確立するとともに、NPOの活用等による雇用の創出、ベンチャー支援による新事業の創造などに重点を置くべきであります。
 このような提言に政府はどうこたえるのか、総理、IT担当大臣の御答弁を求めたいと思います。
 第二は、情報バリアフリー社会の確立であります。
 IT社会の基本理念は、国民参加型の経済社会の構築であります。少子高齢社会においては、子育て中の女性や一定水準以上の能力を持つ健常高齢者の方々などが社会進出を促進することが求められております。
 デジタルデバイドという言葉がありますが、単にこれを解消するという発想には発展性はありません。単に強い人が弱い人を支える社会をつくるのではなくて、従来弱いと思われた人々が持てる力を発揮できる情報バリアフリーの環境を確立して、社会を支えるという構想が不可欠であります。
 先日、東京へ来るために早朝に電車に乗っておりました。大きな声でお母さんが幼稚園児ぐらいの男の子に手を振りながら話しかけておりました。朝早くということから、みんな眠くて迷惑だなと思っていたと思うんですが、よく見ると、そのお母さんはぽろぽろぽろぽろ涙を流しながら一生懸命その男の子に手話を教えておりました。つまり、その男の子は耳が不自由な子供でありました。子供はあどけなくお母さんに大きな声で話しかけておりました。そのことに気づいた電車の中のサラリーマンの人たちは何も文句も言わず、温かい、そして少し悲しそうな目でその風景に見入っていました。
 ITが普及することによって、最近ではこのような耳の不自由な人たちにとっても携帯電話の文字情報によるコミュニケーションをとれるなど、恩恵を受けられるようになってきましたが、政治はこんな社会的に弱いと思われる人たちのことも十分に配慮した政策を遂行していく必要があると考えます。
 その意味で、バリアフリー社会をIT革命の中でどのように構築していくのか、政府はいかなる戦略を持っているのか、総理及びIT担当大臣の明快なる答弁を求めます。
 第三は、民間主導によるIT革命の推進であります。
 政府の基本法案では、民間が主導的な役割を担う、そのために公正な競争を促すという原則がうたわれています。民間主導の原則を実効あるものにするには、大胆な規制撤廃によって自由で公正な競争条件を整備することであります。
 インターネットを初めとする通信料金の大幅な引き下げ、NTTのさらなる民営化、IT産業への新規企業参入の促進、電子商取引の推進などに資する施策をどのように講じていくのか、政府の取り組みについて、総理及びIT担当大臣から答弁をいただきたいと思います。
 第四は、ネット上の資本市場整備による国民参加型の資本形成であります。
 インターネットは経済や企業の情報を広く伝達することを可能にするほか、取引コストを大幅に下げることによって個人が小さな金額でも投資家として経済に参加することを可能としました。もち合い解消などで株価対策に頭を悩ます企業にとっても個人投資家の層を厚くすることが急務となっています。これを実現するためには、株式分割規制の撤廃などによる取引単位金額の小額化、取引の二十四時間化などによる利便性の向上、企業情報のディスクロージャーの徹底などの対策が有効であると考えます。
 この点について、総理及びIT担当大臣より御見解を伺いたいと思います。
 次に、IT時代の税体系のあり方についてお尋ねを申し上げます。
 政府案にうたわれた電子商取引の促進に必要な措置の中に税の問題が大きいことを指摘したいと思います。
 電子商取引の領域においては従来とは全く異なるサービス形態が出現することが予想され、税の中立性を保つことが難しくなったり、徴税技術的に課税が難しくなったりする現象が起こることが想定できます。当面、急いで検討を深めなければならないのがデジタルコンテンツに対する課税であります。IT時代は国家ごとの固有の制度を前提とした国際経済ではないということに留意しなければなりません。外国では間接税が免除され、日本では課税されるということになりますと、コンテンツビジネスがどんどん海外に流れてまいります。
 IT時代にふさわしい税体系のあり方をどのように考えるのか、税制面で各国とどのように協調体制をつくっていくのか、総理及びIT担当大臣の答弁を求めたいと思います。
 最後に、政府がIT戦略会議なるものを立ち上げ、著名な方々がメンバーとして参加をされ、既にさまざまな提言や政府に対する苦言も提供されております。しかし、そのメンバーはすべてつくり手の方々ばかりであり、いわゆる使い手の方々がメンバーに入っておりません。政府のホームページ上の基本法に対するパブリックコメントも非常に少ない。この程度のコメントでどの程度国民の声が反映されるのかという疑問もたくさんあります。国民は、結局公共工事の垂れ流しを名前を変えて行うだけではないか、そんな白けて受け取られているように思います。
 革命というからには、すべての国民がその革命に参加しない限り革命にはなり得ないと考えます。その意味でも、この戦略会議にはぜひ一般の主婦や高齢者、勤労者など、使い手としてこれからIT革命の中心となる方々の意見を集約するために、メンバーにぜひ入れていただくことを強く要請して、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(森喜朗君) 情報ハイウエー構想に関するお尋ねでありますが、光ファイバー網の敷設については、IT戦略本部の前身でありました高度情報通信社会推進本部において平成七年二月に決定をいたしました高度情報通信社会推進に向けた基本方針におきまして、二〇一〇年を念頭に置いた早期の全国整備を目指すことといたしており、また平成十年十一月の改定におきまして二〇〇五年までに実現できるように努力するということに決定をされております。その結果、加入者系の全国線のうち光ファイバーの占める比率については、我が国は一九九八年度末で一五・二%で、米国の九・三%より進んでおります。
 我が国としては、法案第七条にあるとおり、民間が主導的役割を担うことを原則として、政府としては公正な競争の促進、規制の見直し等高度情報通信ネットワークの構築を阻害する要因の解消その他の民間の活力が十分に発揮されるための環境整備等を中心とした施策を行うことにより、世界最高水準の高度情報通信ネットワークの構築を図ってまいる所存でございます。
 不支持率の高さとIT基本法案が国民に支持されるかとのお尋ねでありました。
 私は、支持率は世論の動きを示す一つの指標として受けとめておりまして、最近の厳しい調査結果につきましては謙虚に受けとめております。支持率や不支持率にはさまざまな要因があると思われますが、私としては、支持率のあるいはまた不支持率の厳しい状況にあるときにこそ、これらの動きに一喜一憂するのではなくて、基本に立ち返って国家国民のために何が必要かを常に第一に考えることが大切であると考えております。
 本基本法案は、我が国が世界規模で生じているIT革命に積極的に対応し、二十一世紀の発展基盤を整備する上で極めて重要な法案であります。今後のIT政策の基本的枠組みを決めるこの法案の重要性は国民の皆様にも十分御理解をいただけるものであると考えております。
 私がパソコンを使えるようになったのかとのお尋ねがございました。
 正直申し上げて、なかなか思うように使いこなすというところまでにはまいりません。これは毎日やはりさわらなければならないものだということをよく言われておりますが、習うよりなれろということだと思いますが、国会も極めて緊迫をいたしておりまして、パソコンの前に座るような余裕がないということが正直なところでございます。
 御指摘のように、ITはあくまでも手段でありまして、その利用によってユーザーたる国民一人一人にどのような便益がもたらされるかが重要であると考えております。私は、このことを基本に、IT革命への取り組みに全力を挙げてまいりたいと存じます。
 IT革命への政府の取り組み体制についてのお尋ねでありましたが、本法案においては、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進するため、内閣に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部を置くことといたしました。この本部は、すべての国務大臣と民間の有識者により構成され、私が本部長を務めることとなっております。
 内閣に置かれるこの官民合同の本部は、御指摘のように、省庁横断的な対応が求められるIT分野において、政府としての一元的な取り組みにとどまらず、官民の総力を結集しようとするものであり、IT革命をスピード感を持って推進する上で有効なものであると考えております。
 私は、このような体制のもと、みずからリーダーシップを発揮し、内閣を挙げてIT革命を推進していく決意であり、IT担当大臣の任命についても適切に対応してまいりたいと考えます。
 ITの普及による雇用不安への対応についてのお尋ねでありましたが、IT化に伴う人材ニーズの変化や働き方の変化に対して的確かつ積極的に対応していく必要があります。このため、新たな産業の創出による雇用機会の確保を図るとともに、労働の需給のミスマッチを解消し、セーフティーネットを強化する観点から、働く人々についてIT化対応を可能とするよう職業訓練を実施し、ITに係る専門的な内容の訓練を含め、多様な能力習得機会を確保することによって、IT時代にふさわしい職業訓練制度を確立してまいりたいと考えております。
 さらに、地方公共団体による交付金を活用したNPOへの事業委託を進めることによって、幅広い分野における雇用創出に努めてまいります。
 また、新たな産業の創出による雇用機会の確保を図るためにはベンチャー企業の振興が必要であります。かかる観点から、ベンチャー企業に対する公的出資制度の充実など、資金面、人材面、技術面での支援措置を拡充したほか、多様なニーズに応じてきめ細かく支援を行う体制の整備等の措置を積極的に講じているところであります。
 情報バリアフリー社会の構築についてのお尋ねでありますが、御指摘のように、我々が目指すべきIT社会は、高齢者や障害者を含め、すべての国民がデジタル情報を基盤とした情報、知識を共有し、自由に情報を交換することが可能な、人に優しい社会でなければならないと考えております。
 このため、御審議をいただいております本法案の第八条においても、年齢、身体的条件等による利用の機会等の格差の是正を積極的に図ることが必要であることを明記しているところであります。
 具体的には、障害者の方々等の自立や社会参加を容易にし、真に豊かな生活を享受できるよう、だれでもいつでも使える低廉で使い勝手のよい機器やソフトの標準化、開発、普及などを推進し、情報バリアフリー環境の整備に取り組んでまいります。
 民間主導原則を実効あるものとするための政府の取り組みについてのお尋ねでありましたが、IT革命を推進するに当たっては民間による自由かつ創造的な取り組みが重要であり、政府の役割は、民間の知恵と活力を最大限に引き出すため、公正かつ有効な競争条件の整備等、環境整備を行うことであると認識いたしております。
 こうした観点から、情報通信分野に係る諸規制の改革やNTTのあり方を含め、競争政策の抜本的見直しを迅速かつ大胆に実施することにより、通信料金の引き下げ、IT産業への新規参入の促進を図るとともに、インターネット上での電子商取引ルールの整備や違法情報流通に対するプロバイダーの責任の明確化など、IT革命推進のための諸施策に積極的に取り組んでまいります。
 ネット上の資本市場整備案として、三点ほど御指摘がございました。
 まず、取引単位の小額化についてのお尋ねでありますが、会社が株式をより自由に分割できるよう株式の取引単位の引き下げを行うなど、規制を全般的に見直す方向で検討を行っているところであります。
 第二に、取引の二十四時間化などによる利便性の向上についてでありますが、多様な投資者のニーズにこたえるため、金融システム改革において取引所外取引を認めることにより、上場株券について、取引所で取引が行われている時間以外での取引等を可能としたところであります。
 また、先般、投資者保護を図りつつ有価証券取引の電子化を推進するとの観点から、証券会社が電子的技術を活用して提供する取引サービスに係る新たな指針を公表するなど、環境整備に努めているところでもあります。
 第三に、企業情報のディスクロージャーの徹底についてでありますが、投資者保護等の観点から、これまでも証券取引法上のディスクロージャーについて、連結ベース中心のディスクロージャーへの移行等その内容の充実に努めてきたところであります。また、来年六月より有価証券報告書のディスクロージャーの電子化を段階的に導入する等、さらに充実を図っていく考えでございます。
 IT時代にふさわしい税体系のあり方や国際的な協調体制についてのお尋ねがございました。
 電子商取引に対する課税のあり方については、国際的にも、既存の商取引と同様に公平、中立、簡素の租税原則を適用することとされており、このような観点を踏まえ、OECDにおいて、課税上必要な取引の把握の問題等について、専門的、技術的見地から今検討が行われているところであります。
 我が国といたしましても、今後とも、OECDにおける議論に積極的に参加していくとともに、国際的な議論の方向や成果を注視しつつ、電子商取引をめぐる課税上の問題について検討してまいりたいと考えております。
 最後に、IT戦略会議のメンバーに関する御指摘でありますが、IT戦略会議のメンバーは、世界規模で生じているITによる産業・社会構造の変革に我が国として戦略的かつ重点的に取り組むため、IT革命の推進に関してすぐれた知見と幅広い視野を有する方々として、民間企業経営者に加えて、学識経験者や地方公共団体の長の方にもお願いしているものであります。
 ITの使い手の方々の御意見については、基本法案に対するパブリックコメントを行ったほか、官邸のホームページでも意見募集を行っているところでありまして、IT戦略会議の場においては、メンバーの方々は、みずからのよって立つお立場からの御意見にとどまらず、広く国民的な視野に立脚した御意見もいただいているところであります。
 こうした各般にわたる御議論を得て、今後ともIT施策の推進に全力を尽くしてまいる所存であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたします。(拍手)
   〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(堺屋太一君) 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案に関する御質問につきまして、ただいま内閣総理大臣からお答えがありましたが、IT担当大臣として補足させていただきます。
 まず、アメリカの情報ハイウエー構想に関連して、日本の取り組みについてのお尋ねがございましたが、これまでも政府全体として高度情報通信社会推進に向けた基本方針の策定等に着実に取り組んでまいったところであります。
 また、我が国において、携帯電話の普及率やテレビ等家庭電話の分野の技術水準につきましては世界的に高水準にあると認識しております。しかしながら、諸外国が情報通信政策の主軸と位置づけておりますインターネットに関しては、従来の電話線網の上に構築されたものであり、その普及、利用、電子商取引においてIT先進諸外国に比べますと、十分進んでいるとは言えない状況にあるのも事実でございます。
 IT基本法案が国民に支持されているかというお尋ねがございました。
 本基本法案の立案に当たりましては、広く国民の皆さんから御意見、情報をいただくために、法案骨子案を掲示の上、パブリックコメントの募集を行いました。その結果、デジタルデバイドの解消に努めること、光ファイバー網等インフラ整備を進めること、通信費等の低廉化が必要であること、すべての国民がITを利用できるようにIT活用能力の向上を図るべきこと等、幅広い意見をいただきました。これらの御意見を十分に踏まえて、本基本法案の立案を行ったところでございます。
 なお、九月のパブリックコメント募集後に行われた新聞の調査では六六%がIT基本法の制定に賛成という結果が出ております。
 政府の取り組み体制についてのお尋ねがございましたが、今やIT革命は我が国経済社会全般にまたがるものでございまして、したがって、IT諸施策はほぼすべての省庁の任務に関係しております。このため、一行政機関として情報通信省の設置をするのではなくして、本法案に出ておりますような高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部により、総理大臣の直接のリーダーシップのもと、政府として一元的な取り組みを進める体制が適切であると考えております。
 雇用についてのお尋ねがございましたが、IT化が雇用に及ぼす影響については、企業の情報化投資による業務の効率化に伴う雇用削減が見込まれる一方で、ITを活用した新たな雇用が生み出されるなど雇用へのプラスの効果が期待できるところであります。
 こうしたことから、働く人すべてがIT化に対応できるようにするとともに、NPOやベンチャー企業を含む幅広い分野における良好な雇用機会の創出を図り、こうした雇用増の見込まれる分野への円滑な労働移動が図られることが重要であると考えております。
 このため、政府としては、今後成長が見込まれる新たな産業分野に必要な人材を早期に育成し、着実に就職促進を図ることを目的に、ミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策を引き続き的確に実施してまいります。
 また、先般策定されました日本新生のための新発展政策に盛り込まれた、働く人すべてのIT化対応を目指した、ITに係る多様な職業能力習得機会の確保、提供などの施策の効果的な実施に全力を挙げて取り組み、ITに伴う雇用不安が生じないように努めてまいります。
 情報バリアフリーに関するお尋ねがございました。
 総理大臣からもお答えがあったところでございますが、健常者のみならず、高齢者や障害者がITを活用して社会経済への積極的な参画を進めることも極めて重要と考えております。
 このため、本法案に規定する以外に、身障者基本法におきましても、電気通信事業者等は障害者の利用の便宜を図らなければならないとする旨の努力規定が設けられております。
 また、去る十月十九日には、日本新生のための新発展政策におきまして、高齢者や障害者が自由に使いこなせるIT機器、システム、サービスを開発、提供するとともに、IT製品の開発に資する高齢者のIT利用特性データベースの構築を進めることといたしております。
 さらに、バリアフリー化に対するIT社会の実現に向けて、政府は率先して取り組むべく、視聴覚障害者等の方々に配慮して、来年一月六日の省庁再編成では各省庁のホームページを音声変換ソフトに対応するとともに、各省庁とも地方公共団体や所管の特殊法人等に対して国に準じた取り組みを行うよう要請するところであります。
 今後とも、関係省庁間の連携を図りながら、情報バリアフリー対策を一層充実してまいりたいと思っております。
 民間主導の原則で実効があるもののために政府の取り組みについてのお尋ねがございましたが、IT革命を推進していく上で、その原動力となります情報通信分野における諸規制の改革を大胆に推進し、競争政策を抜本的に見直し、公正競争の促進を図っていくことが極めて重要であるとの認識に立っております。
 具体的に申しますと、電気通信分野における地域通信市場において実質的な競争を促進するため、新規参入業者の路線敷設の円滑化や、NTTの光ファイバー開放ルール化などの措置を講ずることにより、競争促進型の規制制度への転換を図り、新規参入を促し、事業者間の競争促進の結果として料金を引き下げていきたいと考えております。
 また、現在、IT戦略会議や電気通信審議会等において、電気通信事業の競争ルールやNTTのあり方を含め、公正かつ有効な競争条件の整備について精力的な議論を行っていただいているところでございます。こうした検討を踏まえて、より競争促進的な制度整備を行うことを考えておるところであります。
 IT産業への新規産業参入につきましても、すぐれたソフトウエアの開発を行う企業への債務保証の実施等の資金面からの対応や、すぐれた人材を持つ研究者、個人の人材発掘の面の措置も必要であります。
 また、IT戦略会議の場において、ネット上の取引、事業の制約など、制度上のITの阻害要因を総括し、電子取引を促進することにしたいと思っております。本臨時国会におきましても書面法案の提出をするところでございます。さらに、来年の通常国会では、電子商取引の特性に応じた新たなルールや個人情報保護など、情報化社会の基本ルールの整備を行い、必要な法律案の策定作業を急ぐ考えであります。
 このほか、電子政府の早期実現、学校教育の情報化、通信、放送の融合化等、制度上の対応、先端的なインターネット技術の開発など、多岐にわたる課題について果敢に取り組んでまいる予定でございます。
 ITを活用した証券取引の整備についてお尋ねがございました。
 次代を担う産業へのリスクマネーの円滑な供給の上で証券市場の役割への期待は高まっております。こうした期待に適切にこたえるためには、御指摘のあった株式分割規制の撤廃などによる取引単位金額の小額化、取引の二十四時間化などによる利便性の向上、企業情報のディスクロージャーの徹底を含めた投資家の証券市場への参加を促していく対策を行うことが重要と考えております。
 例えば、証券取引所について、インターネット証券取引は割安な手数料を設定し、迅速に各種情報を提供し、投資家に対してさまざまなサービスの提供を可能とするものであり、投資家の利便性向上に資するところと考えております。実際、平成十一年十月からの株式取引委託手数料の完全自由化以降、インターネット証券取引を行う証券会社、口座数は着実に増加するなど、投資家の間に広がりを見せています。
 今後とも、証券取引の電子化を推進することにより、投資家の証券市場への参画を促進させていきたいと考えております。
 IT時代にふさわしい税体系のあり方や国際的な協調体制についてお尋ねがありました。
 電子商取引に対する課税のあり方については、国際的にも、既存の商取引と同様に、公正、中立、簡素の税制原則を適用することとされております。このような観点を踏まえて、課税上必要な取引の把握の問題や、国境を越える取引に係る所得課税、消費課税に関する問題について、OECDにおいて、民間からの参加も得て専門的、技術的見地から検討が行われています。
 我が国としても、今後とも、電子商取引の発展状況や実情把握に努めまして、OECDにおける議論に積極的に参加するとともに、国際的な議論の方向や成果を注目しつつ、電子商取引をめぐる課税上の問題について検討してまいります。(拍手)
#32
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#33
○議長(井上裕君) 日程第一 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長岡崎トミ子君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔岡崎トミ子君登壇、拍手〕
#34
○岡崎トミ子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、人事院の国会及び内閣に対する意見の申し出にかんがみ、専門的な知識経験またはすぐれた識見を有する者の採用の一層の円滑化を図るため、一般職の職員について、任期を定めた採用及び任期を定めて採用された職員の給与の特例を定めようとするものであります。
 委員会におきましては、任期付職員採用における公正の確保と人事院の役割の重要性、本制度の拡大、一般化に対する懸念、今後の公務員制度の全体像の提示の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して阿部委員より反対の旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し三項目から成る附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#35
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#36
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#37
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十六  
  賛成             二百四  
  反対             二十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#38
○議長(井上裕君) 日程第二 訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済・産業委員長加藤紀文君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔加藤紀文君登壇、拍手〕
#39
○加藤紀文君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済・産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、いわゆる内職・モニター商法やマルチ商法による消費者トラブルが急増していることから、内職・モニター商法である業務提供誘引販売取引については、書面交付の義務づけ、クーリングオフ制度の導入、割賦購入あっせん業者に対する抗弁を認める等の措置を講ずるとともに、マルチ商法である連鎖販売取引については、広告規制の強化等を行い、取引の公正及び消費者利益の保護を図ろうとするものであります。
 委員会におきましては、内職・モニター商法やマルチ商法に対する規制のあり方、ネット取引に関する消費者トラブルへの対応、消費生活センターの充実強化等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し五項目の附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#40
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#41
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#42
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十七  
  賛成           二百二十七  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#43
○議長(井上裕君) これにて休憩いたします。
   午後零時四分休憩
     ─────・─────
   午後二時一分開議
#44
○議長(井上裕君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第三 国務大臣の演説に関する件
 大蔵大臣から財政について発言を求められております。これより発言を許します。宮澤大蔵大臣。
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(宮澤喜一君) 今般、さきに決定されました日本新生のための新発展政策を受けて、平成十二年度補正予算を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、当面の財政政策等の基本的考え方について所信を申し上げますとともに、補正予算の大要について御説明いたします。
 まず、最近の経済情勢とさきに決定されました日本新生のための新発展政策について申し上げます。
 我が国経済の現状を概観いたしますと、各種の政策効果もあって、緩やかな改善が続いており、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが続いております。しかしながら、依然として雇用情勢は厳しく、個人消費もおおむね横ばいの状況が続いております。
 国際経済情勢を見ますと、世界経済は、総じて見れば引き続き拡大基調にあるものの、米国やアジアの経済の動向、原油価格の動向などを注視する必要があると考えております。
 政府は、このような状況のもと、公需から民需への円滑なバトンタッチに万全を尽くし、景気の自律的回復に向けた動きを本格的回復軌道に確実につなげるとともに、我が国経済の二十一世紀における新たな発展基盤の確立を目指すとの観点から、経済対策として日本新生のための新発展政策を決定いたしました。
 本対策においては、まず、日本新生プランの具体化を図る見地から、IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備の四分野に重点を置き、二十一世紀の社会の基盤となる施設の整備や技術開発の推進等を行うとともに、国民のIT利用技能向上のための施策を講じることとしております。また、これらとあわせ、生活基盤充実、防災、災害復旧のための施策や中小企業等金融対策、住宅金融対策等についても必要な措置を講じ、全体としては事業規模十一兆円程度の事業を早急に実施することとしております。さらに、本対策においては、活力ある社会を築くための規制改革や企業活動の活性化のための法制度の整備等につきまして取り組むこととしております。
 税制につきましては、平成十三年度改正において、現下の経済情勢等を踏まえ、企業の組織再編成にかかわる税制など、真に有効かつ適切な措置について検討を行い結論を得るとともに、株式譲渡益課税について、これまでの経緯を踏まえつつ、株式市場に関連するさまざまな見地から検討し、平成十三年度改正の中で早急に結論を得ることとしております。
 なお、財政構造改革につきましては、まず、財政の透明性の確保を図り、効率化と質的改善を進めながら、明るい兆しの見えてきた我が国の景気回復を一層確かなものとし、その上で、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制のあり方、社会保障のあり方、さらには中央と地方との関係まで視野に入れて取り組んでまいります。
 次に、今般提出いたしました平成十二年度補正予算の大要について御説明いたします。
 まず、歳出面においては、経済対策関連として、社会資本整備費二兆五千億円、IT関連特別対策費九百六十四億円、災害対策費三千七百七億円、中小企業等金融対策費七千六百四十億円、住宅金融・雇用等対策費千二百九億円を計上することとしております。このほか、地方交付税交付金を増額するとともに、義務的経費の追加等特に緊要となったやむを得ない事項等について措置し、あわせて、既定経費の節減等を行うこととしております。
 他方、歳入面においては、租税について最近までの収入実績等を勘案して一兆二千三百六十億円の増収を見込むとともに、前年度の決算上の純剰余金一兆五千百三億円を計上し、さらに、その他収入の増加を見込んでおります。
 なお、決算上の純剰余金については、国債の追加発行を極力抑制するとの観点から、財政法第六条に基づく国債整理基金への繰り入れを行わないこととしております。この剰余金の処理につきましては、別途、平成十一年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を提出し、御審議をお願いすることとしております。
 以上によってなお不足する歳入について、やむを得ざる措置として公債の追加発行一兆九千八百八十億円を行うこととしております。今回の措置により、平成十二年度の公債発行額は三十四兆五千九百八十億円となり、公債依存度は三八・五%となります。
 これらの結果、平成十二年度一般会計補正後予算の総額は、当初予算に対し歳入歳出とも四兆七千八百三十二億円増加し、八十九兆七千七百二億円となります。
 以上の一般会計補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算についても所要の補正を行うこととしております。
 財政投融資計画については、経済対策を実施するため、この補正予算において、日本育英会、中部国際空港株式会社等九機関に対し、総額三百四十億円を追加することとしております。
 以上、平成十二年度補正予算の大要について御説明いたしました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
#46
○議長(井上裕君) ただいまの演説に対する質疑は後日に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時九分散会
     ─────・─────

ソース: 国立国会図書館
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