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2000/11/13 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 本会議 第9号
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2000/11/13 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 本会議 第9号

#1
第150回国会 本会議 第9号
平成十二年十一月十三日(月曜日)
   午後一時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第九号
    ─────────────
  平成十二年十一月十三日
   午後一時 本会議
    ─────────────
 第一 公職にある者等のあっせん行為による利
  得等の処罰に関する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 日程第一 公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案(趣旨説明)
 本案について発議者の趣旨説明を求めます。衆議院議員亀井善之君。
   〔衆議院議員亀井善之君登壇、拍手〕
#4
○衆議院議員(亀井善之君) ただいま議題となりました自由民主党、公明党並びに保守党の三党共同提案の、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案につきまして、趣旨とその内容の概要を御説明申し上げます。
 今日、世界の情勢が歴史的な転換を遂げようとしている新しい時代の中で、対外的にも国内的にも、恒久的な平和と繁栄の道筋をつける節目のときを迎えています。この変革期に、我々は、確固たる将来見通しのもと、後世のため、国の正しい針路を定める歴史的責務を負っていることを深く自覚しなければなりません。そして、戦後の混乱期にもまさる熱意を持って、日本の明るい未来づくりの事業に的確に対応できる体制を一刻も早くつくり上げていかなければなりません。
 将来に目を移すとき、政治はその性格を、内外の課題に国全体の視点から的確、機敏に対処する政治主導の総合政策立案型に転換しなければなりません。また、一層の地方分権を図って、陳情行政の行き過ぎを解決し、地方の創意工夫を尊重することは、今後の我が国の経済、文化、社会の新しい飛躍を期す上で極めて大きな力になると確信しております。
 翻って、我が国の政治を謙虚に振り返れば、国民の政治不信や政治離れは依然として根強いものがあります。国民の信頼と負託にこたえることが政治の原点です。国民の信頼を得られなければ、政治は成り立ちません。また、国民が期待する政策を創造できなければ、政治はその意義を失います。
 我々三党は、最近の一連の不祥事に端を発する深刻な政治不信を重大に受けとめ、同時に、今日の歴史的変革期に世界に通用する内外政策を樹立する方途について、徹底した議論を重ねてきております。その結実の一つが、今回提案する法律案であります。
 また、もとより議会制民主主義のもとにおいては、政党、政治団体や政治家の活動を通じて国民の政治的意思が形成され、政治が遂行されており、この政治活動の自由は極めて重要な憲法上の権利であります。その意味で、政治活動のあり方は、議会制民主主義の健全な発展にかかわる重要な問題であると認識しております。
 我々は、このような認識に立ち、いわゆるあっせん利得の課題について、政治家としての使命感に燃えながら、昼夜を分かたぬ真摯かつ精緻な議論を積み重ね、基本的考えを共有することができました。その主な考え方を御説明いたします。
 一つは、主権者たる国民の厳粛な信託によって選出された公職にある者は、国民全体の利益のために奉仕、行動する責務を負っていることを強く自覚し、みずからの政治活動を厳しく律する必要があるとの決意のもと、本法律を定めることにより、公職にある者の政治活動の廉潔性、清廉潔白性を保持し、これによって国民の信頼を得ることを目的としたことです。したがって、本法律案の罪は、公務員の職務自体の性質に着目し構成されている刑法のわいろ罪とはその趣旨を異にするものであります。
 二つ目は、刑法のあっせん収賄罪が対象とするあっせん行為は公務員に職務上不正の行為をさせるものに限定されているのに対し、本法律案の罪が対象とするあっせん行為は公務員の職務上の不正な行為に限らず広く公務員に適正な職務行為をさせるもの一般をも対象としており、あっせん収賄罪に比べ広い範囲を対象とするものであります。したがって、本法律案の罪の対象となるあっせん行為自体を明確にする必要があることです。
 三つ目は、地方議会の議員及び長も、地域住民全体の利益を図るために行動することを期待されており、国会議員と同様、その政治に関与する公務員の活動の廉潔性、清廉潔白性とこれに対する地域住民の信頼を得る必要があることから処罰の対象としたことです。また、公設秘書についても、公務員として国会議員の政治活動を補佐する者として、国会議員の権限に基づく影響力を行使し得る立場にあることから処罰の対象に加えたことです。
 四つ目は、国または地方公共団体が二分の一以上を出資している法人は、国または地方公共団体に準ずるものと言うことができ、当該法人の役職員も、公務員に準ずる者と言うことができます。したがって、公職にある者が当該法人に係る一定のあっせん行為を行いその報酬を得ることは、国または地方公共団体に係る一定のあっせん行為を行いその報酬を得た場合と同様に、当該公職にある者の政治活動の廉潔性、清廉潔白性とこれに対する国民の信頼を害することとなります。そこで、この場合についても処罰することとしたことであります。
 五つ目は、本法律案の罪は、適正な職務行為に係るあっせん行為にまで対象を広げていることや、政治活動の意義の重要性を正しく評価すること等から、その適用に当たっては、政治活動を不当に妨げることのないように運用に留意しなければならないとの規定を設けることとしたことです。
 六つ目は、本法律の趣旨、内容等を国民に正しく理解していただく必要があることや、地方議会の議員及び長等を処罰の対象としていることから、一定の期間を置いて周知徹底させる必要があることであります。
 これらの基本的な考え方をもって、我々三党はあっせん利得処罰法案をまとめ提出する必要があるとの結論に達したものであります。
 以上、本法律案をまとめ提出するに至った考え方について申し上げました。
 次に、この法律案の内容の概要につきまして御説明申し上げます。
 まず第一に、公職者あっせん利得に関する事項であります。
 その一は、衆議院議員、参議院議員または地方公共団体の議会の議員もしくは長、すなわち公職にある者が、国もしくは地方公共団体が締結する売買、貸借、請負その他の契約または特定の者に対する行政庁の処分に関し、請託を受けて、その権限に基づく影響力を行使して公務員にその職務上の行為をさせるように、またはさせないようにあっせんをすること、またはしたことにつき、その報酬として財産上の利益を収受したときは、公職者あっせん利得罪として処罰するものとし、その法定刑を三年以下の懲役としております。
 その二は、公職にある者が、国または地方公共団体が資本金の二分の一以上を出資している法人が締結する売買、貸借、請負その他の契約に関して、当該法人の役員または職員に対し、今述べたことと同様のあっせん行為の報酬として財産上の利益を収受した場合も同様に処罰するものとしております。
 第二に、議員秘書あっせん利得に関する事項であります。
 その一は、衆議院議員または参議院議員の秘書、いわゆる国会議員の公設秘書が、国もしくは地方公共団体が締結する売買、貸借、請負その他の契約または特定の者に対する行政庁の処分に関し、請託を受けて、当該議員の権限に基づく影響力を行使して公務員にその職務上の行為をさせるように、またはさせないようにあっせんをすること、またはしたことにつき、その報酬として財産上の利益を収受したときは、議員秘書あっせん利得罪として処罰するものとし、その法定刑を二年以下の懲役としております。
 その二は、公設秘書が、国または地方公共団体が資本金の二分の一以上を出資している法人が締結する売買、貸借、請負その他の契約に関して、当該法人の役員または職員に対し、今述べたことと同様のあっせん行為の報酬として財産上の利益を収受した場合も同様に処罰するものとしております。
 第三に、没収及び追徴に関する事項であります。
 第一及び第二の場合において、犯人が収受した財産上の利益は没収するものとしております。その全部または一部を没収することができないときは、その価額を追徴するものといたしております。
 第四に、利益供与罪に関する事項であります。
 これまでは財産上の利益を収受した側の行為を規定するものであるのに対し、これは第一または第二に係る財産上の利益を供与した側の行為を規定するものであり、当該財産上の利益を供与した者を利益供与罪として処罰するものとし、その法定刑を一年以下の懲役または二百五十万円以下の罰金といたしております。
 第五に、国外犯に関する事項であります。
 日本国外において本法のあっせん利得罪を犯した公職にある者や公設秘書にも本法を適用することを規定したものであります。したがって、公職にある者や公設秘書が国外において請託を受け、本法に規定するあっせん行為の報酬として財産上の利益を収受した場合にも、本法の罪による処罰の対象とすることとしております。
 第六に、適用上の注意に関する事項であります。
 本法の適用に当たっては、公職にある者の重要な政治活動である民意を反映させる行為等が不当に制約されることのないよう、公職にある者の政治活動を不当に妨げることのないように留意しなければならないと規定しております。
 第七に、施行期日に関する事項であります。
 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行するものとしております。
 第八に、公職選挙法の一部改正に関する事項であります。
 公職者あっせん利得罪により、実刑に処せられた場合は、選挙権を実刑期間とその後の五年間、被選挙権を実刑期間とその後の十年間、停止するものとしております。また、執行猶予の場合には、その執行猶予期間、公民権を停止するものといたしております。
 第九に、その他所要の規定を整備することとしております。
 以上が、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案の趣旨及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(井上裕君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小山峰男君。
   〔小山峰男君登壇、拍手〕
#6
○小山峰男君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました与党提出の公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案に対して質問をいたします。
 二十一世紀という新時代の到来まであと一カ月余りとなった今日、我が国の政治は、まことに遺憾ながら、輝かしい未来への指針を力強く示すことなく、金権政治、利益誘導型政治といった旧態依然とした政治体質にむしばまれ続け、閉塞状態に陥っており、国民の政治不信は深まる一方であります。
 森総理は、所信表明演説で、「二十世紀最後のこの国会を、二十一世紀の日本新生の礎を築く重要な国会にしたい」と述べられましたが、国民の政治不信、政治離れといった今日の我が国の政治状況と政治倫理の確立、そして二十一世紀の我が国の政治のあり方に対して、森総理はどのような見解を持っておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
 ところで、最近の報道各社の世論調査によれば、森内閣の支持率はわずか一〇%台にまで急低落し、もはや内閣退陣も時間の問題と言わざるを得ないと言われております。森総理は、この急落している支持率をどのように受けとめておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
 森内閣が発足してわずか半年余りの間に、久世前金融再生委員長及び内閣のかなめとなる中川官房長官までもが選挙絡みや右翼団体との黒い交際が発覚し辞任に追い込まれたことは、もはや内閣としての求心力を完全に失い、死に体内閣同然と言わなければなりません。
 久世前金融再生委員長の発言と森総理の発言はいまだ食い違ったままであり、その真相究明は国会の責務であり、改めて久世氏の証人喚問が必要であることを強く申し上げるものであります。
 加えて、右翼団体との交際及び情報漏えい問題が発覚した中川氏を内閣のかなめである官房長官に任命した森総理の政治責任は極めて重大であります。
 相次ぐ軽率きわまりない発言は、国民感情を逆なでするも甚だしく、国民の間からも失望と落胆の声が一段と高まっており、また党内の一部からも公然と不信任を表明する声が上がる始末です。もはや森内閣に政権担当の資格はないと思いますが、森総理御自身はこの現状をどのように考え、認識しておられるのか、お伺いいたします。
 さて、政治と金をめぐる問題は、古くは昭和電工疑獄、造船疑獄からリクルート事件、ゼネコン汚職、中尾栄一元建設大臣の受託収賄事件、久世問題、KSD問題、東京信用保証協会問題と後を絶ちません。汚職事件が明るみに出るたびごとに金権腐敗政治の一掃が叫ばれ、改革の手は打たれてきました。
 しかし、受託収賄罪に問われている中尾元建設大臣の容疑は、建設大臣在任中に、建設省発注工事の指名競争入札をめぐり、建設業者から便宜を図ってほしいとの請託を受け、三千万円のわいろを受け取ったというものであり、政治改革の意義は何もなかったことを白日のもとにさらけ出す結果となったのであります。それほどまでに我が国の利益誘導型政治、金権癒着体質の病根は根深いのであります。
 金権政治、利益誘導型政治が我が国にはびこっているのは、政治家が、特定の企業や地元の利益のために権限を有する行政庁に口ききなどのあっせんをすることは政治家本来の仕事であり、その見返りに報酬を受け取っても構わないという政界における長年のあしき風潮があるからでございます。
 しかし、選挙によって選ばれた政治家は、主権者たる国民、住民から政治に関する厳粛な信託を受けているのであり、国民全体、住民全体の奉仕者として行動すべき責任を負っていることは当然であります。
 私たちは、口ききなどのあっせんの見返りに報酬を求めることを当然とするこの誤った風潮を断ち切り、特定の者の利益のためにあっせんをし、その対価として報酬を受け取ることがあってはならないという政治倫理を確立しなければなりません。
 ここで、森総理に、内閣総理大臣として、国民に向かって政治倫理の確立についての決意のほどを語ってほしいと思いますが、いかがでしょうか。
 ところで、国会議員等の政治家があっせんを行い、その対価を得ることに対しては、刑法第百九十七条の四にあっせん収賄罪が規定されています。あっせん収賄罪は、あっせんをする公務員が職務権限を有することは必要とされていませんが、請託を受けて不正な行為をさせるようあっせんすることが要件とされています。この請託を立証することは極めて困難であります。
 こうしたことから、あっせん収賄罪による検挙件数は極めて少なく、あっせん収賄罪で逮捕、起訴された国会議員は、昭和四十三年、日通事件で摘発された大倉精一参議院議員と、平成六年、ゼネコン汚職事件で逮捕された元建設大臣の中村喜四郎衆議院議員、この二人だけであります。
 そこで、保岡法務大臣にお伺いいたしますが、ざる法とまでやゆされているあっせん収賄罪の実効性について、どのように認識されているのでしょうか。また、政治家のあっせん利得行為をあっせん収賄罪で処罰することができない理由は何か、なぜ今あっせん利得罪の創設が求められているのか、大臣の見解を求めます。
 また、与党提出の本法律案の定める公職者あっせん利得罪と議員秘書あっせん利得罪は、あっせん収賄罪とどのような関係になるのでしょうか。
 私は、収賄に関する法体系としては、刑法百九十七条の収賄罪の特別類型として百九十七条の四にあっせん収賄罪があり、さらにこの特例として今回のあっせん利得罪が位置づけられるものと理解しております。したがって、現行法制下では適用が困難な事例に対しても適用しやすくすべきものと考えております。
 以下、与党案の内容につきまして、具体的に法務大臣と提出者にお伺いいたします。
 まず第一に、犯罪の主体についてであります。
 与党案では、公職にある者の私設秘書が主体から除外されております。私設秘書を除外した理由はなぜでしょうか。私設秘書が金庫番を務めたり、政治家にかわって役所に口ききを行っている例が多いと言われております。こうした実情を無視して、公職にある者が多数の秘書の行動のすべてを監視することはできないという理由で私設秘書を主体から除外することは、秘書が勝手にしたことだ、秘書が秘書がという逃げ道をつくり、あっせん利得行為処罰の実効性を奪うものだとするものであります。また、今回の東京信用保証協会問題が如実に物語っておりますように、提案者の明確な見解を求めます。
 第二に、与党案では権限に基づく影響力の行使が要件とされていますが、一般法であるあっせん収賄罪においてさえ、あっせんをする公務員の職務権限は不要とされております。ましてや、特別法としてのあっせん利得罪では職務権限は不要とすべきであります。この権限に基づく影響力の行使の解釈によっては、これもまた大きな抜け道となりますが、権限に基づく影響力の行使とは何を意味するのか、提案者に具体的な答弁を求めます。
 第三に、与党案は、あっせん収賄罪との整合性を理由に請託を要件としています。請託は、密室の中で行われることが多く、立証が極めて困難であると批判されているのは周知の事実ではありませんか。請託を要件とすれば、実効性のない処罰規定をまた一つふやすことになるだけです。なぜ、請託を要件としたのでしょうか、提案者の見解を求めます。
 また、請託の有無と捜査の関係について、衆議院本会議において保岡法務大臣は、請託という要件が存在することで直ちに立証が困難になるか否かは一概に論じることはできないと微妙な答弁をされていますが、これは、請託により、一般的には立証が困難になることを認めた発言であると言えます。
 密室において口頭で行われた請託の立証はどのように行われるのか、容易に行うことができるのか、保岡法務大臣にお伺いいたします。
 第四に、あっせんの対象となる行為を与党案では契約と行政処分に極めて狭く限定しています。与党案は、口ききなどのあっせんは政治活動そのものであり、その見返りとして報酬を得ることは当然であるとする考え方を受容しているのではありませんか。そこで、処罰されるのは、契約と行政処分に口ききをしてその見返りとして金品を得た場合だけとしたのではありませんか。これでは公共事業の箇所づけ、特定業界を擁護するための税制改正や法改正等の政策決定への関与によって金品を得た場合は対象外となってしまいます。
 したがって、対象行為を限定せずに公務員等の職務に関する行為全般とすべきであると考えますが、契約と行政処分だけに限定している提案者は何を意図しているのでしょうか、明確にお答えください。
 第五に、あっせん行為の報酬として、与党案は財産上の利益を収受することに限定していますが、衆議院に提出された野党案では、わいろの収受、要求、約束が処罰の対象とされておりました。また、あっせん収賄罪を初め各種の収賄罪でもわいろの収受、要求、約束が処罰の対象となっております。わいろには、人の需要や欲望を満たす一切のものが含まれ、財産上の利益よりも広く、飲食物の供応、異性間の情交、投資情報や選挙運動の際の労務の提供なども含まれます。口きき行為の見返りを財産上の利益に限定している与党案では、ここでもまた大きな抜け道を認めることになります。
 また、利得の形態としては、収賄罪と同様に、収受に限定せずに要求と約束も加えるべきであると考えますが、財産上の利益の収受に限定した理由を明確にお答えください。
 第六に、与党案には「この法律の適用に当たっては、公職にある者の政治活動を不当に妨げることのないように留意しなければならない。」との「適用上の注意」が規定されています。これは、司法当局の正当な介入に歯どめをかけようとするものであり、構成要件を完全に充当しないあっせん利得行為を正当な政治活動にしようと殊さらに強調するものであって、あっせん利得罪を骨抜きにするおそれがあります。「適用上の注意」を設けた趣旨について、提案者に再度説明を求めます。
 また、この規定により司法当局はどのような影響を受けることになるのか、保岡法務大臣にお伺いいたします。
 このほか、与党案には第三者供与を処罰する規定が設けられておりません。
 このように、与党案には幾つもの抜け道が用意されています。これではあっせん収賄罪よりも適用がさらに大きく制約されることになり、政治倫理を高めることは到底できません。与党案は、あっせん利得を禁止するどころか、むしろあっせん利得を従来よりもやりやすくすることになります。
 森総理、以上、私が述べてきました与党案の重大な欠陥についてどのようにお考えになりますか。そして、与党提出の本法律案によって政治と金の問題が解決され、国民の政治に対する信頼を回復して日本新生の礎を築くことができるのか、森総理の本法律案に対するお考えをお伺いいたします。
 今日求められているのは、政治と金の関係を透明化し、口ききの見返りに報酬を求めることを当然とする我が国の政界における長年のあしき風習を断ち切り、口ききによる利益誘導型政治にかわる二十一世紀の我が国の新しい政治をつくり出すことであります。
 あっせん利得罪の創設に当たっては、合法的なあっせん利得が生ずることのないよう、抜け道のない実効性のあるものにしなければならないことを強く主張いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔衆議院議員尾身幸次君登壇、拍手〕
#7
○衆議院議員(尾身幸次君) 小山議員にお答えを申し上げます。
 御質問にお答えする前に、小山議員の御発言の中に、本法案のあっせん利得罪が刑法のあっせん収賄罪の延長線上に位置づけられるものであるとの御理解を示された部分があったと存じますが、本法案におけるあっせん利得罪の保護法益は、政治公務員の政治活動の廉潔性とこれに対する国民の信頼でありまして、刑法のあっせん収賄罪とはその保護法益を異にしており、私どもはこのような理解をしていないということをあらかじめ申し上げます。
 私設秘書を除外した理由でございますが、本罪は、政治に関与する公務員の活動の廉潔性、清廉潔白性とこれに対する国民の信頼を保護しようとするものであります。したがいまして、処罰の範囲を公務員でない私設秘書にまで拡大することは不適当であります。
 また、私設秘書につきましては、国会議員との関係の程度は個々さまざまであり、一律に処罰の対象とすることは不適当であります。
 また、刑法のあっせん収賄罪は、公務員に職務上不正な行為をさせた場合に成立する犯罪でありますが、本罪は公務員に正当な職務上の行為をさせた場合でも犯罪として成立するものであります。したがいまして、同じあっせん行為でありましても、犯情としては明らかに本罪の方が軽いということになります。
 ところで、刑法のあっせん収賄罪では私設秘書を処罰の対象にしておりません。犯情の重い刑法のあっせん収賄罪においてすら処罰の対象とされていない私設秘書を、より犯情の軽い本罪において処罰の対象とすることはバランスを欠く結果となってしまいます。このような観点から、本罪では私設秘書を処罰の対象としなかったところであります。
 なお、私設秘書のあっせん行為について国会議員の指示があった場合には、その議員本人に本法案の罪が成立し得るところであります。
 権限に基づく影響力の行使の意味についてお尋ねがございました。
 「権限に基づく影響力」とは、権限に直接または間接に由来する影響力、すなわち法令に基づく公職者の職務権限から生ずる影響力のみならず、法令に基づく職務権限の遂行に当たって当然に随伴する事実上の職務行為から生ずる影響力をも含むものを言うものであります。
 また、「影響力を行使して」とは、公職者の権限に基づく影響力を積極的に利用すること、換言すれば、実際に被あっせん公務員の判断を拘束する必要はないものの、態様として、被あっせん公務員の判断に影響を与えるような形で、被あっせん公務員に影響力を有する権限の行使、不行使を明示的または黙示的に示すことであります。
 どのような態様の行為が被あっせん公務員の判断に影響を与えるような形での行為に当たるかにつきましては、具体的な証拠関係に基づく事実認定の問題でありますが、あっせんを行う公職者の立場、あっせんの際の言動、あっせんを受ける公務員の職務内容、その他諸般の事情を総合して判断されることになります。
 なお、本法案では、公職にある者等の権限は、公職にある者等が職務を行う公務員に対して権限に基づく影響力を有しているか否かという場面で問題になるのでありまして、あっせんされた公務員が行う職務に関して公職にある者等が何らかの権限を有しているか否かを要求するものではなく、その点では、あっせんする公務員があっせんされる公務員の職務に関する権限を要求していないあっせん収賄罪と同様でございますので、誤解のないように申し添えさせていただきます。(拍手)
   〔衆議院議員漆原良夫君登壇、拍手〕
#8
○衆議院議員(漆原良夫君) 請託を要件とした理由についてお答えいたします。
 本法案においては請託を要件としております。これは、あっせんは請託を受けて行われるのが通常の形態であることに加えて、政治公務員が他の公務員に何かを働きかける場合には、だれかに何かを頼まれてその人のためにいわゆるあっせん行為を行う場合と、国民や住民の声を吸い上げて通常の政治活動として働きかけを行う場合があると思います。請託を要件としなければ、この両者の区別が不明瞭となって、処分の範囲があいまいに広がるおそれがあることから、処罰範囲の明確性を期するという観点から必要があるのでございます。刑法のあっせん収賄罪でも、同じような観点から請託を要件としておるところでございます。
 請託を要件とすると立証事項がふえることは確かでございますが、そもそも一般に立証の難易は具体的事案における証拠関係に左右されるところでございまして、請託という要件が存在することによって直ちに立証が困難になるか否かは、私は一概に論ずることはできない、こう思っております。
 以上のとおり、請託を要件としたのはその必要があるからであり、かつ、この要件を設けても私は実効性が失われることはないというふうに考えております。
 次に、あっせんの対象行為を契約または処分に関するものとした理由についてお答え申し上げます。
 政治公務員は、本来、国民、地域住民全体の利益を図るために行動することを期待されているところでございます。しかし、契約や処分の段階でのあっせん行為は、国民、地域住民の利益を図るというよりは、むしろ当該契約の相手方や処分の対象者、特定の者の利益を図るという性格が顕著であります。そのようなあっせん行為を行って報酬を得る行為は、政治公務員の政治活動の廉潔性及びこれに対する国民の信頼を失う度合いが強いため、これを処罰することにしたわけでございます。
 一方、これに当たらない行政計画や予算案の作成等に関するあっせんについては、行政計画や予算案に民意を反映するということは政治活動として公職者に当然期待されているところでございますから、政治活動の自由を保障する観点も踏まえて、今回処罰の対象としなかったわけでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔衆議院議員小池百合子君登壇、拍手〕
#9
○衆議院議員(小池百合子君) まず、報酬として財産上の利益を収受した場合を処罰することとした理由についてお答えを申し上げます。
 刑法のわいろ罪に申しますわいろとは、財産上の利益よりも広範な概念であり、情報、職務上の地位の提供、異性間の情交など、およそ人の需要、欲望を満足させるに足りるものであればよいとされております。
 一方、本罪は、わいろ罪とはその保護法益を異にするものである上、前提とするあっせん行為は、公務員に正当な職務行為をさせ、または不当な職務行為をさせないというものであってもよいこととされております。このことを考慮し、本罪の保護法益であります政治公務員の政治活動の廉潔性及びこれに対する国民の信頼を端的に保護するためには、処罰対象を政治公務員の活動において最も問題とされます財産上の利益の収受に限定すれば足りるとの判断をしたものであります。
 次に、刑法のあっせん収賄罪にあります要求、約束を外した理由ですが、この法案の罪が対象とするあっせん行為は刑法のあっせん収賄罪と異なります。公務員に正当な職務行為をさせ、または不当な職務行為をさせないというものであってもよいことを考慮いたしまして、あっせんの報酬としての財産上の利益の授受が現実に行われた場合にのみこれを処罰し、要求、約束にとどまる場合には処罰しないこととしたものであります。
 すなわち、本罪におきましては、いわば単なる言葉のやりとりにすぎない行為にまで処罰対象を広げますと、本罪の存在を悪用する者がいないとも限らず、かえって正当な政治活動を萎縮させるおそれがあることを考慮した結果でございます。
 次に、「適用上の注意」の規定を設けた理由についてお答え申し上げます。
 本法案は、政治公務員が行います政治活動と密接な関係がありますあっせん行為により利得を得ることを処罰しようとするものでございます。したがいまして、処罰の対象となります構成要件を明確に規定する必要があり、罪の対象となるあっせん行為による利得自体を明らかにするとともに、政治公務員の通常の政治活動の展開、政治資金規正法に基づいて行われる浄財の確保や行政権の行使の適否に関する調査など、民主主義社会において保障されている政治活動の自由が不当に妨げられることのないよう細心の注意を払ったところであります。
 もとより、議会制民主主義のもとにおきましては、政治活動の自由は極めて重要な憲法上の権利であります。政治活動の意義の重要性を正しく評価する観点から、本法第六条におきまして「この法律の適用に当たっては、公職にある者の政治活動を不当に妨げることのないように留意しなければならない。」との規定を設けたところであります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(森喜朗君) 今日の政治状況と政治倫理の確立、そして二十一世紀の我が国の政治のあり方についてのお尋ねがございました。
 今日の政治状況を見ますと、大変残念ではありますが、政治家と金をめぐる事件が絶無とならず、政治が国民からの信頼を高めていくことが求められております。
 政治倫理の確立は議会政治の根幹であります。私は、主権者たる国民の代表である国会議員が国家国民のことを第一に考え、政治家の良心と責任感を持って政治活動を行い国民の信頼を得ていくことは、時代を問わず求められている政治のあり方であると考えております。
 内閣支持率についてお尋ねがありました。また、内閣に政権担当の資格はないとの御指摘がございました。
 私は、内閣支持率に関する最近の厳しい調査結果につきましては、世論の動きを示す一つの指標として謙虚に受けとめております。支持率の変動要因にはさまざまなものがあると考えますが、私としては、厳しい状況にあるときこそ支持率の動きに一喜一憂することではなく、基本に立ち返って国家国民のために何が必要かを常に第一に考えることが大切であると考えております。
 あと一押しというところまで来ました景気を本格的な回復軌道に乗せるとともに、IT革命への対応、教育改革や社会保障改革の実行などの政策を積み上げていくことが求められている現在、国民の声に真摯に耳を傾け、国民が求めている政策を着実に実行していくことが内閣を預かる私の責務であると考えております。
 政治倫理の確立についての決意についてお尋ねがありました。
 政治倫理の確立は議会政治の根幹であります。国会議員の一人一人が主権者たる国民の代表であることを自覚し、政治家の良心と責任感を持って政治活動を行い、国民の信頼にもとることがないように努力することが求められておりますが、私自身もそのために最大限の努力を行う決意であります。
 政治が国民からの信頼を得るためには、政治家が口ききをして私腹を肥やすようなことは正していかなければなりません。そのため、あっせん利得罪処罰法案につきましては私も極めて重要なものであると考えており、今国会で早期に成立をさせていただきたいと考えております。
 与党案について重大な欠陥があるという御指摘及び私の本法案に対する考えについての御質問をいただきました。
 政治家と金をめぐる事件が絶無とならず、遺憾ながら国民の政治不信が深まっているのが現実であります。
 こうした中で、与党三党間において法制化に向け大変御熱心に御議論をいただき、与党案としてまとめていただきました。私は、法制化に当たって、解釈次第で適用範囲が変わることのないよう、犯罪の構成要件を明確にしつつ、国民の要望を幅広く行政に反映させるという政治本来の機能をいたずらに制約することがあってはならないと考えております。さらに、刑法上のあっせん収賄罪など、他法令との関係についても十分考慮する必要があると考えます。
 与党案は、こうした論点を十分に踏まえて、対象行為や処罰対象などを明確に定め、実効性の確保に努められたものと承知しており、政治本来の機能に配慮しつつ、政治に携わる公務員の政治活動の廉潔性と国に対する国民の信頼を確保する上で大きな効果を有しているものと考えます。したがって、与党案では政治倫理を高めることはできないという議員とは見解を異にいたしており、与党案はあっせん利得を禁止するどころか、むしろあっせん利得を従来よりもやりやすくすることにもなるという議員の御批判は全く的外れではないかと存じます。
 いずれにせよ、政治に対する国民の信頼を高めるため、本院においても十分に御議論の上、ぜひとも今国会中に成立させられることを期待いたしております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたします。(拍手)
   〔国務大臣保岡興治君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(保岡興治君) 小山議員にお答え申し上げます。
 あっせん収賄罪の実効性についてお尋ねがございました。
 同罪につきましては、平成七年から平成十一年までの最近五カ年間で見ましても三十四名を公判請求しているところでございまして、適切にその機能を発揮しているものと考えております。
 政治家のあっせん利得行為をあっせん収賄罪で処罰することができない理由についてお尋ねがございました。
 あっせん収賄罪は、被あっせん公務員に対する職務上不正な行為をさせること、または相当の行為をさせないことのあっせんを要件としていることから、これら以外の行為をさせること等のあっせんの報酬を得るなどした場合であっても、当該あっせんが職務に関するものでなければ処罰されないものと承知しております。
 あっせん利得罪の創設が求められた理由についてお尋ねがございました。
 本法案は、公職にある者は、国民全体のために奉仕、行動する責務を負っていることを強く自覚し、みずからの政治活動を厳しく律する必要があるとの決意のもと、本法律を定めることにより公職にある者の政治活動の廉潔性を保持し、これによって国民の信頼を得ることを目的として提出されたものであり、職務上正当な行為等のあっせんの報酬を得るなどした場合であっても、一定の要件のもとにこれを処罰することを定めているものと承知しております。
 公職者あっせん利得罪及び議員秘書あっせん利得罪と、あっせん収賄罪との関係についてお尋ねがございました。
 本法案の規定する罪は、公職にある者等の政治活動の廉潔性を確保し、これによって政治に対する国民の信頼を確立することを目的とするものであり、刑法のあっせん収賄罪とはその趣旨を異にするものであると承知しており、あっせん収賄罪の構成要件に該当する場合には、同罪が成立するものと考えております。
 請託の立証についてお尋ねがございました。
 請託を要件とすると立証事項がふえることは確かでございますが、そもそも一般に立証の難易は具体的事案における証拠関係に左右されるものであり、請託という要件が存在することによって一般的に立証が困難になると直ちに言えるものではないと承知しております。
 適用上の注意規定の影響についてお尋ねがございました。
 検察当局におきましては、本法案が成立し施行されました際には、御指摘の規定を含めて法の趣旨を踏まえながら、厳正公平、不偏不党の立場から、法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、適宜適切に対処するものと承知しております。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(井上裕君) 松あきら君。
   〔松あきら君登壇、拍手〕
#13
○松あきら君 公明党の松あきらでございます。
 私は、自由民主党・保守党、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました亀井善之議員以下十七名提出の公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案につきまして、総理及び提案者に質問をいたします。
 さて、日本の政治は、平成に年号が変わりましてからも、今日まで十年余りの間に、行政改革、税制・金融システム改革、教育改革等と大きな改革に取り組んでまいりました。しかし、いつの時代も政治と金の問題は国民の政治不信の大きな原因となっており、政治家が襟を正す意味でもきちんとした対応がなされなければなりません。
 そして、このたび与党より、政治改革の一環として、いわゆるあっせん利得に係る法案が提出をされました。中央省庁の再編という大きな変革で始まる二十一世紀を迎えるに当たり、私たち政治家はもう一度原点に立ち返り、真摯に今世紀を振り返り、二十一世紀は何としても国民の負託にこたえる政治を実現するため、このあっせん利得処罰法案がその大きな一歩となりますことを大いに期待をしてまいりたいと思います。
 特に、今回、あっせんに伴い利得を得る行為を封じ、政治腐敗の防止を図るための本法案が与党の議員立法として提案できたことは、今までなし得なかっただけに、日本の政治の夜明けを告げるほどの意義深いものがあります。
 あっせん利得罪の法制化という問題は、今回急に出てきたものではありません。一九九八年にも議論があり、当時は各党がそれぞれ法案をつくりました。しかし、そのときは成案とはなりませんでした。今回、与党三党で成案を得たことは画期的なことと思います。
 政治家がさまざまな陳情や要請を受けて行政に適切に働きかけをすることは適法な行為ですが、その対価として財産上の利益を得ることはあってはならないことです。国民の政治に対する信頼がますます重要になっている中で、政治家と金の関係できちんと襟を正し、議員の政治活動の廉潔性、清廉潔白性を確保していくためにあっせん利得処罰法がどうしても必要であります。
 そこでまず、この法案が国民の我が国の政治に対する信頼性確保に対してどのような効果をもたらすと思われるのか、総理にお尋ねをいたしたいと存じます。
 次に、提案者にお尋ねをいたします。
 衆議院の審議で、本法案に対して民主党から、ざるが幾つも用意されているなどの批判が出ておりました。そこで、この法案がいかにすぐれたものであるか、順次お尋ねをしたいと思います。
 第一は、本法案は請託を要件としていますが、請託を要件とすることによって立件が難しくなり、実効性を失うのではないかと懸念をされております。本法案が請託を要件とした理由を御説明願いたいと思います。
 第二は、本法案は対象行為を契約と行政処分に限定していることについて、野党側は対象行為が狭くなったと批判をしております。この批判についての見解をお願いいたします。
 第三は、私設秘書も含めるべきだと各方面からの指摘の声が上がっておりますが、私設秘書を対象から除いた理由を説明してください。
 第四は、本法案は権限に基づく影響力行使に限定しているという批判もありました。これについての見解をお願いいたします。
 第五は、第三者供与が法案に明文化されないことで抜け道になると批判があります。これについて御説明をお願いいたします。
 第六は、本法案に「政治活動を不当に妨げることのないように」という運用上の注意がありますが、捜査を阻害することはありませんか、お尋ねをいたします。
 第七は、契約、行政庁の処分について、具体的なケースとして御説明をお願いいたします。
 例えば、地方議員が町内会から要望を受けて、地域の公民館を建てるために行政に働きかけて実現した場合はどのような解釈になるのでしょうか、御説明ください。
 第八は、例えば、後援会員から一定額の政治資金を寄附してもらっていて、その人から相談を受けてあっせん行為をし、その後も一定額の寄附を受けている場合はどうなるのでしょうか。
 第九は、私設秘書が口ききをして、その対価を政治資金管理団体に入れるよう要求した場合はいかなることになるのでしょうか。
 以上、御説明をお願いいたします。
 我が国の政治を謙虚に振り返れば、国民の政治不信は依然として根深いものがあります。いつの時代も国民の信頼にこたえることが政治家の生命であります。国民の負託を得られなければ政治は成り立ちません。そして、国民の期待に沿って初めて政治はその意義を発します。最近の一連の不祥事に端を発する深刻な政治不信を重大に受けとめ、真摯に議会制民主主義の健全な発展に努めてまいりたいと存じます。
 最後に、総理の御決意を伺って、質問を終わります。(拍手)
   〔衆議院議員亀井善之君登壇、拍手〕
#14
○衆議院議員(亀井善之君) 請託を要件とした理由についてお答えをいたします。
 これは、あっせんは請託を受けてなされるのが通常の形態であることに加え、政治公務員が他の公務員に何か働きかける場合には、だれかに何かを頼まれてその人のためにいわゆるあっせんをする場合と、国民や住民の声を吸い上げて通常の政治活動として働きかけを行う場合があると思われますが、請託を要件としなければ、この両者の区別が不明瞭になり、処罰範囲があいまいに広がるおそれがあることから、処罰範囲の明確性を期する必要があるためであります。刑法のあっせん収賄罪でも請託を要件としているところであります。
 請託を要件とすると立証事項がふえることは確かにありますが、そもそも一般に立証の難易は具体的事案における証拠関係に左右されるものであって、請託という要件が存在することによって直ちに立証が困難になるか否かは一概に論ずることのできない問題であると考えられます。
 以上のとおり、請託を要件としたのはその必要があるからであり、かつ、この要件を設けても実効が失われることはありません。
 対象行為を契約と行政処分に限定した理由についてお答えをいたします。
 政治公務員は、本来、国民、地域住民全体の利益を図るために行動することを期待されているところでありますが、契約や処分の段階でのあっせん行為は、国民、地域住民の利益を図るというよりは、むしろ当該契約の相手方や処分の対象者等、特定の者の利益を図るという性格が顕著であり、そのようなあっせん行為を行って報酬を得る行為は、政治公務員の政治活動の廉潔性及びこれに対する国民の信頼を失う度合いが強いため処罰することとしたものであります。
 ところで、政治に携わる政治公務員は、国民や住民の意見や要望を踏まえて、通常の政治活動の一環として他の公務員等に対して働きかけを行う場合がございます。この法案は、このような政治公務員が行う政治活動と密接な関係があるあっせん行為により利得を得ることを処罰しようとするものであります。
 したがって、処罰の対象となる構成要件を明確に規定する必要があり、罪の対象となるあっせん行為による利得自体を明らかにするとともに、政治公務員の通常の政治活動の展開、政治資金規正法に基づいて行われる浄財の確保や行政権の行使の適否に関する調査など、民主主義社会において保障されている政治活動の自由が不当に妨げられることのないように細心の注意を払ったところであります。
 この観点から、本法案は、特定の者に利益を得させる目的というような不明確な概念を避け、国民、地域住民の利益を図るというよりは、むしろ当該契約の相手方や処分の対象者等、特定の者の利益を図るという性格が顕著である契約や処分の段階でのあっせん行為を問題とすることにより、処罰の範囲の明確化を図ったものであります。(拍手)
   〔衆議院議員尾身幸次君登壇、拍手〕
#15
○衆議院議員(尾身幸次君) 松議員にお答え申し上げます。
 私設秘書を対象から除外した理由でございますが、本罪は、政治に関与する公務員の廉潔性、清廉潔白性と、これに対する国民の信頼を保護しようとするものであります。したがいまして、処罰の範囲を公務員でない私設秘書にまで拡大することは不適当であります。
 また、私設秘書につきましては、国会議員との関係の程度は個々さまざまであり、一律に処罰の対象とすることは不適当であります。
 また、刑法のあっせん収賄罪は公務員に職務上不正な行為をさせた場合に成立する犯罪でありますが、本罪は公務員に正当な職務上の行為をさせた場合でも犯罪として成立するものであります。したがいまして、同じあっせん行為でございましても、犯情としては明らかに本罪の方が軽いということになります。
 ところで、刑法のあっせん収賄罪では私設秘書を処罰の対象にしておりません。犯情の重い刑法のあっせん収賄罪においてすら処罰の対象とされていない私設秘書を、より犯情の軽い本罪において処罰の対象とすることはバランスを欠く結果になってしまいます。このような観点から、本罪では私設秘書を処罰の対象としなかったところであります。
 なお、私設秘書のあっせん行為について国会議員の指示があった場合には、その議員本人に本法案の罪が成立し得るところであります。
 あっせんの方法を権限に基づく影響力の行使に限定している理由でありますが、あっせんの方法を限定しない場合には、国会議員等の身分を有する者が行政府の公務員に対して行う働きかけのほとんどが対象となって、処罰範囲が過度に広がり、政治公務員による正当な政治活動を不当に萎縮させるおそれがあるからであります。
 一般に、政治に携わる政治公務員は、国民や住民の意見や要望を踏まえて、通常の政治活動の一環として他の公務員等に対して働きかけを行う場合がございます。この法案は、このような政治公務員が行う政治活動と密接な関係があるあっせん行為により利得を得ることを処罰しようとするものであります。
 したがって、処罰の対象となる構成要件を明確に規定する必要があり、罪の対象となるあっせん行為による利得自体を明らかにするとともに、政治公務員の通常の政治活動の展開、政治資金規正法に基づいて行われる浄財の確保や行政権の行使の適否に関する調査など、民主主義社会において保障されている政治活動の自由が不当に妨げられることのないように細心の注意を払ったところであります。
 この法案は、あっせん行為による利得の禁止と政治活動の自由とのバランスを考慮しつつ、政治公務員の行為に一定の枠をはめ、国民の負託と信頼にこたえていくことを目的として提出したものであります。いわば政治公務員の政治活動の廉潔性、清廉潔白性の確保と政治活動の自由の保障との双方の調和を図って組み立てられているものであると言っても過言ではありません。
 権限に基づく影響力の行使を要件としたことにつきましても、以上の観点から適切なものであると考えております。(拍手)
   〔衆議院議員漆原良夫君登壇、拍手〕
#16
○衆議院議員(漆原良夫君) 公明党の松あきら議員にお答え申し上げます。
 第三者供与の規定をなぜ置かなかったのかという御質問でございますが、本法案におきましては、現在のあっせん収賄罪におきましても第三者供与を処罰の対象としておりません。それとのバランスもありまして、第三者供与は処罰の対象としなかったわけでございます。
 もっとも、現在のあっせん収賄罪の場合と同様に、外形的には本人以外の者が本法案所定のあっせん行為との間に対価性が認められる財産上の利益を受け取った場合でも、当該財産上の利益に対して本人が事実上の支配力、実質的な処分権を有するものと認定できる場合には、本人が収受したものとして本人に本法案所定の罪が成立する可能性があります。したがって、第三者供与の規定がないとしても不都合はなく、本法案の保護法益は十分に守られるというふうに考えております。そして、ここで言う事実上の支配力の有無というのは、具体的に証拠関係に基づく事実認定の問題であると、こう認識しております。
 なお、第三者供与を規定することは、政治公務員が形式的にも実質的にも財産上の利益を収受していない場合にまで処罰の範囲に入れるということでございますので適当ではないと、こう考えたわけでございます。
 次に、この「適用上の注意」の規定と捜査の阻害の関係についてお尋ねがございました。
 本法案は、政治公務員が行う政治活動と密接な関係があるあっせん行為により利得を得ることを処罰しようとするものでございます。したがって、処罰の対象となる構成要件を明確に規定する必要があります。罪の対象となるあっせん行為による利得自体を明らかにするとともに、政治公務員の通常の政治活動の展開、政治資金規正法に基づいて行われる浄財の確保、行政権の行使の適否などに関する調査、民主主義社会において保障されている政治活動の自由が不当に妨げられないように細心の注意を払ったところでございます。
 もとより、議会制民主主義のもとにおいては、政治活動の自由は極めて重要な憲法上の権利でございまして、政治活動の意義の重要性を正しく評価する観点から、本法第六条におきまして「この法律の適用に当たっては、公職にある者の政治活動を不当に妨げることのないように留意しなければならない。」という規定を設けておいたのであります。したがって、何ら正当な捜査活動を阻害するものではないというふうに考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔衆議院議員小池百合子君登壇、拍手〕
#17
○衆議院議員(小池百合子君) 松議員より具体的な例についてのお尋ねがございました。
 まず、地方議員が公民館を建てるために行政に働きかけをした場合でございますけれども、ここで契約とは、売買、貸借、請負のほか、国等が財産権の主体として相手方と対等の立場において締結する私法上の契約である委任、贈与、寄託等の典型契約及び各種の混合契約を指しております。
 また、行政庁の処分でございますが、国または地方公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し、あるいはその範囲を確定することが法律上認められているものを指しております。
 個々の事案において、あっせん行為が本法案におきます契約または処分に関するものに当たるか否かは具体的な事実関係に基づいて判断されることになります。
 そこで、お尋ねの町内会から要望を受けて公民館を建てるために行政に働きかけをする場合でございますが、これが本法案の契約または処分に該当するかどうかは、これらについての働きかけの具体的な内容によって判断することとなりますが、例えば公民館の建設についての計画立案をしたり、また予算措置を講じたりするように働きかけをするというようなものであるならば、本法案の契約または処分には該当しないものと考えております。
 次に、後援会員から一定額の政治資金を寄附してもらっていて、その人から相談を受けてあっせん行為をし、その後も一定額の寄附を受けている場合はどうなるのかというお尋ねでございますが、後援会員からの政治資金の寄附は、公職にある者本人とは別個の人格を有する団体に対してされるものであり、その団体は第三者に該当するものであります。
 第三者については、先ほどお答えしたとおりでございますが、外形的には本人以外の者が本法案所定のあっせん行為との間に対価性があると認められます財産上の利益を受け取ったとされる場合でも、本人が事実上の支配力、実質的処分権を有するものと認定できる場合には、本人が収受したものとして、本人にこの所定の罪が成立する可能性がございます。
 ところで、本法案で処罰されますのはあっせん行為の報酬として財産上の利益を収受した場合でございます。具体的な証拠に基づきます事実認定の問題ということになるわけですが、一般的にはあっせん行為の前後を通じて継続的に一定の金額の政治献金を受けているような場合には、通常、あっせん行為の報酬と認定することは難しいものと考えているところでございます。
 最後に、私設秘書の件ですが、私設秘書が口ききをしてその対価を政治資金管理団体に入れるように言った場合はどうなるのかとのお尋ねです。
 さきにお答えいたしましたとおり、本法案においては私設秘書を処罰の対象とはしておりません。
 なお、私設秘書のあっせん行為について国会議員の指示があった場合には、その議員本人に本法案の罪が成立し得ることにつきましても先ほどお答えしたとおりでございます。
 そしてまた、御質問の資金管理団体でございますが、公職にある者本人あるいはその公設秘書とは別個の人格を有することから第三者に該当いたしまして、先ほど御説明した第三者と同様の取り扱いがされるものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(森喜朗君) あっせん利得処罰法が我が国の政治にもたらす効果について御質問いただきました。
 もとより、私としても政治家が口ききをして私腹を肥やすようなことは正していかなければならないと考えておりまして、そうしたことは政治が国民から信頼されるようになるための大前提であると認識いたしております。しかし、政治家と金をめぐる事件が絶無とならず、遺憾ながら国民の政治不信が高まっているのが現実であります。こうした中、与党三党間において法制化に向け大変熱心に御議論をいただき、与党案としてまとめていただきました。
 さらに、今後、法案について国会において真摯な議論が重ねられていることは、政治の自浄能力を示し、国民の政治への信頼回復に寄与する大きな意義を有するものと考えております。
 与党案は、政治に対する国民の信頼の確立と国民の要望を幅広く行政に反映させるという政治本来の機能との調和が図られており、そうした機能をいたずらに阻害することなく、政治に携わる公務員の政治活動の廉潔性及びこれに対する国民の信頼を確保する上で大きな効果を有しているものと承知をいたしております。
 いずれにせよ、私といたしましても、本院においても十分に御議論をいただいた上に、ぜひとも今国会中に成立をさせられ、国民の政治に対する信頼が高められることを期待いたしております。
 議会制民主主義の健全な発展を期する決意についてお尋ねがありました。
 今日の政治状況を見ると、大変残念ではありますが、政治家と金をめぐる事件が絶無とならず、政治が国民からの信頼を高めていくことが求められております。国民から政治が信頼されなければ、議会政治が健全に機能することは期待できません。まさに政治倫理の確立は議会政治の根幹であり、国会議員は主権者たる国民の代表であることを自覚し、政治家の良心と責任感を持って政治活動を行い、国民の信頼にもとることがないよう努力することが求められており、私自身もそのために最大限の努力を行う決意でございます。(拍手)
    ─────────────
#19
○議長(井上裕君) 吉川春子君。
   〔吉川春子君登壇、拍手〕
#20
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりましたあっせん利得処罰法案について質問いたします。
 まず、あっせん利得処罰法をなぜつくるのかという根本問題についてです。
 今日、KSD疑惑など政治家の相次ぐ疑惑事件で、国民の政治に対する不信は頂点に達しています。国民の政治に対する信頼を回復するためには、これらの政治と金をめぐる事件にメスを入れ、国会議員等が他の公務員に口ききし、わいろを受け取る事件を腐敗事件として処罰する、実効ある法律の制定が国民の世論となっています。
 総理は、衆議院本会議で、「政治家の廉潔性を疑わせる事件が後を絶たず、」「国民の政治不信が深まっている」、この法案は、「政治の自浄能力を示し、国民の政治への信頼回復に寄与する」とお述べになりました。ところが、この間、政治家の廉潔性を疑わせる事件としては、総理が任命した二人の閣僚、すなわち久世前金融再生委員長のやみ献金・党費立てかえ疑惑と中川前官房長官の不祥事が起こりました。政治の自浄能力をおっしゃるなら、まず総理自身の責任でこの二つの疑惑を解明し、閣僚任命責任を明らかにすることです。
 しかし、それができない総理に対して、国民の支持率は今や一〇%台で、森政権はもはや危険水域に入ったと言われています。疑惑の解明もせず、みずからの任命責任も明らかにせずに、どうして国民の政治への信頼回復ができるのですか、答弁を求めます。
 総理、与党提出のあっせん利得処罰法が衆議院を通過した際、マスコミ各紙は、議員口きき、抜け道残る、処罰かわす要件数々と、一斉に報道しました。この法案は、衆議院の審議の中で、政治家の口きき行為をほとんど処罰できないざる法であるという重大な欠陥が明らかになりました。それにもかかわらず与党は、みずからこの法案を百点満点だと言って、野党との修正協議にも応じないかたくなな姿勢をとり続けているのです。要するに、抜け穴だらけだから百点満点と言っているのではありませんか。
 総理は、自民党総裁として、実効あるあっせん利得処罰法をとの国民世論に真摯に耳を傾けるお気持ちがありますか、答弁を求めます。
 私は、以下、実効あるあっせん利得処罰法をつくる立場から、与党案の問題点について具体的に質問します。
 第一に、処罰の対象から私設秘書を除外したことであります。
 あっせん利得処罰法案が衆議院の委員会で採決されたその日に、中小企業向けの特別融資制度を悪用した事件で国会議員の私設秘書が逮捕されました。報道では、保証協会に口ききした件数はかなりな数に上っており、この秘書は議員にかわって口ききのほとんどを引き受けていたということです。
 発議者は、私設秘書を本罪の主体から除外した理由を、私設秘書は政治公務員ではないからとしています。しかし、秘書は議員と一体不可分の存在です。実際に役所への口ききに動いているのは、私設秘書が多いことは政界の常識です。過去の腐敗事件でも、私設秘書が金庫番を務めてわいろの受け皿になってきたではありませんか。私設秘書を外せばあっせん利得処罰法がざる法になってしまうことは明白です。なぜ私設秘書を外したのか、国民が納得できる説明ができますか、答弁を求めます。
 第二に、犯罪の構成要件に「請託を受けて」という要件を加えたことです。
 あっせん行為の依頼、すなわち請託は、密室で証拠を残さないように行われるのが通例なので、立証することが極めて困難です。それは、一九五八年に、公務員の口きき行為を処罰するために設けられたあっせん収賄罪を見ても明らかです。あっせん収賄罪が国会議員に適用された事例は、法制定から四十二年たった今日までたった二件であり、有罪が確定した事例は一件もないのです。
 当時、あっせん収賄罪が創設されるに際し、法制審議会刑事法部会では、請託を受けたことを要件としているのは、犯罪の立証を困難にするだけであるから、これを削除すべきであるとの有力な意見が出ていました。法務大臣、あっせん収賄罪のその後の経過は、まさにこの意見どおりになったのではありませんか。
 にもかかわらず発議者は、今回のあっせん利得罪についても、このあっせん収賄罪とのバランスを理由に、請託を犯罪の構成要件にすることにこだわっています。これではあっせん収賄罪の二の舞になるのではありませんか。なぜそんなに請託に固執するのか、答弁を求めます。
 第三に、政治家の口きき行為は予算、税制、行政指導、公共事業の箇所づけなど幅広く行われているのに、あっせん利得処罰法案の対象とされる公務員の職務の範囲を契約と行政庁の処分に非常に狭く限定していることです。
 行政指導や予算の箇所づけなどが今日の政官財の癒着・腐敗構造の中心問題となっていることは論をまちません。ロッキード疑獄もリクルート事件も行政指導をめぐるものでした。行政指導などを対象範囲から外すことは、こうした政治家の腐敗行為を見逃し、処罰できにくくすることです。対象範囲を狭めることは法律を骨抜きにするだけではありませんか。答弁を求めます。
 第四に、「議員の権限に基づく影響力を行使して」という、あいまいかつ不明確な要件についてであります。
 本法案では、契約や行政処分をめぐるあっせん行為であっても、電話一本かけただけでは犯罪にならない、あっせん行為の際に議員の権限に基づく影響力の行使がなければ処罰されないと説明されています。それでは、ここで言う「議員の権限」とは何ですか、そして権限に基づく影響力の行使というのはどういう行為を指すのですか。また、これはわいろ罪の職務権限とどう違うのか、説明してください。
 衆議院で提案者は、影響力の行使とは、国会で質問するぞなどの言動だとも答弁していますが、それでは、質問すると言えば犯罪になり、言わなければ犯罪にならないことになります。これでは犯罪構成要件が著しく不明確になるのではありませんか。答弁を求めます。
 第五に、第三者供賄が処罰の対象から外されていることです。
 本案では政治家が口ききの対価として第三者に不当な利益を得させてもあっせん利得罪は成立しないのです。発議者は、政治家本人の事実上の支配下にある場合は本人が収受したものとして本人に所定の犯罪が成立するので不都合はないと答弁していますが、政治家の事実上の支配力を立証することは容易ではありません。その結果、議員の口ききの不当な対価を第三者に得させ、後に政治献金などで取得する行為は野放しになるではありませんか。
 第三者供賄を外したのは、結局、政党支部や後援会などを受け皿として金を受け取る抜け道を残しておくということではありませんか。答弁を求めます。
 最後に、与党はしきりに政治活動の自由が制約されてはならないと強調し、さまざまな要件を持ち込んで本罪の成立を困難にしています。この意図は、結局、政治活動の対価として不当な利益を得る政治、すなわちわいろを受け取る自由を温存しようということにほかなりません。政治家が国民の要求実現のために活動することは当然です。しかし、その対価として不当な報酬を受け取ることが問題なのです。こうした政治をやめようというのがこの法案をめぐる根本問題なのです。
 総理、政治活動の対価として一切金銭は受け取らない、この当然の認識と決意をどうして持てないのですか。それでは国民の政治への信頼など語る資格はないではありませんか。与党の皆さんが本気で政治の質を変えるというのであれば、私が今指摘した五つの点について真剣に検討し、修正に応じるべきではありませんか。
 真に国民の願いにこたえる実効ある法律をつくることが今、国会に課せられた重要な責務です。日本共産党はそのために全力を尽くす決意を申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔衆議院議員小池百合子君登壇、拍手〕
#21
○衆議院議員(小池百合子君) まず、第三者供与規定を置かない理由でございますが、現在のあっせん収賄罪でも第三者供与は処罰の対象とされておらず、そのバランス上も第三者供与を処罰の対象としなかった次第でございます。
 もっとも、現在のあっせん収賄罪の場合と同様に、外形的には本人以外の者があっせん行為との間に対価性が認められる財産上の利益を受け取ったとされる場合でも、その財産に対して本人が事実上の支配力、実質的処分権を有するものと認定できる場合には、本人が収受したものとして本人への罪が成立する可能性がございます。ですから、第三者供与の規定がないとしても不都合はございません。法益は十分保護されるものと考えております。ここで言う事実上の支配力の有無につきましては、具体的な証拠関係に基づきます事実認定の問題となります。
 また、政党支部や後援会は第三者に当たりますので、今御説明いたしました第三者と同様の扱いがされます。したがいまして、政党支部や後援会を抜け道に残すという御指摘は当たらないものと考えております。
 なお、第三者供与を規定することは、政治公務員が形式的にも実質的にも財産上の利益を収受していない場合まで処罰範囲に入ることとなるため適当でないと考えております。
 次に、私設秘書に関してでございますけれども、私設秘書を主体に含めない理由でございますが、本罪は、まず政治に関与する公務員の活動の廉潔性、清廉潔白性と、これに対します国民の信頼を保護しようとするものでございまして、処罰の範囲を公務員でない私設秘書にまで拡大することは不適当と考えております。
 また、私設秘書については、国会議員との関係の程度は個々さまざまでございまして、一律に処罰の対象とすることも不適当と考えております。
 また、刑法のあっせん収賄罪でございますが、公務員に職務上不正な行為をさせた場合に成立する犯罪ですが、一方、本罪は公務員に正当な職務上の行為をさせた場合でも犯罪として成立いたします。したがいまして、同じあっせん行為であっても、犯情としては明らかに本罪の方が軽いわけでございます。
 ちなみに、刑法のあっせん収賄罪では私設秘書を処罰の対象にしておりません。犯情の重い刑法のあっせん収賄罪でも処罰の対象とされていない私設秘書を、より犯情の軽い本罪において処罰の対象とすることもバランスを欠く結果となってしまうわけでございます。
 これらの観点より、本罪では私設秘書を処罰の対象としなかったところでございますが、なお、私設秘書のあっせん行為につきまして国会議員の指示があった場合には、その議員本人に本法案の罪が成立し得るところであることをつけ加えさせていただきます。(拍手)
   〔衆議院議員尾身幸次君登壇、拍手〕
#22
○衆議院議員(尾身幸次君) 吉川議員にお答え申し上げます。
 請託を要件とした理由でございますが、これは一つには、あっせんは請託を受けてなされるのが通常の形態であるというためであります。また、政治公務員が他の公務員に何かを働きかける場合には、だれかに何かを頼まれてその人のためにいわゆるあっせんをする場合と、国民や住民の声を吸い上げて通常の政治活動として働きかけを行う場合があると思われますが、請託を要件としなければ、この両者の区別が不明確になりまして、処罰範囲があいまいに広がるおそれがあることから、処罰範囲の明確性を期する必要があるためであります。
 請託を要件とすると立証事項がふえることは確かでありますが、そもそも一般に立証の難易は具体的事案における証拠関係に左右されるものでございまして、請託という要件が存在することによって直ちに立証が困難になるか否かは一概に論ずることのできない問題であると考えております。
 以上のとおり、請託を要件としたのはその必要があるからであり、かつ、この要件を設けても実効性が失われることはないと考えたからでございます。
 あっせんの対象行為を契約または処分に関するものに限定した理由についてお答えいたします。
 政治公務員は、本来、国民、地域住民全体の利益を図るために行動することを期待されているところでありますが、契約や処分の段階でのあっせん行為は、国民、地域住民の利益を図るというよりは、むしろ当該契約の相手方や処分の対象者等、特定の者の利益を図るという性格が顕著であり、そのようなあっせん行為を行って報酬を得る行為は、政治公務員の政治活動の廉潔性及びこれに対する国民の信頼を失う度合いが強いため処罰することといたしたものであります。
 一方、これに当たらない行政計画や予算案作成等に関するあっせんについては、行政計画や予算案等に民意を反映させることは政治活動として公職者等に期待されているところでもあることから、政治活動の自由を保障する観点も踏まえ、処罰対象としないことにいたしました。
 御質問の中で行政指導についてお触れになった箇所があったと存じますが、行政指導は、行政機関が行政目的を実現するために私人または他の行政機関に対して法的拘束力のない手法によって働きかける行為と理解をしております。
 このように行政指導は法的拘束力がなく、直接国民の権利義務を形成し、あるいはその範囲を確定することが法律上認められている行政庁の処分とは異なり、特定の者に明確に利益を与えるものとまでは言いがたいことから、この法案ではあっせんの対象としなかったものであります。(拍手)
   〔衆議院議員漆原良夫君登壇、拍手〕
#23
○衆議院議員(漆原良夫君) 「権限に基づく影響力を行使して」との要件が構成要件を著しく不明確にするのではないか、また権限及び権限に基づく影響力の行使の意味についてお尋ねがありましたので、あわせてお答えしたいと思います。
 まず、「権限」というのは、法令に基づく国会議員の職務権限を言うものであります。その例としては、議院における議案発議権、修正動議提出権、委員会における質疑権があります。
 次に、「権限に基づく影響力」というのは何か。これは、権限に直接または間接に由来する影響力、すなわち法令に基づく公職者の職務権限から生ずる影響力のみならず、法令に基づく職務権限の遂行に当たって当然に随伴する事実上の職務行為から生ずる影響力をも含むものと承知しております。
 「影響力を行使して」とは、公職者の権限に基づく影響力を積極的に利用すること、換言すれば、実際に被あっせん公務員の判断を拘束するまでの必要はありませんが、態様としては、被あっせん公務員の判断に影響を与えるような形で、被あっせん公務員に影響力を有する権限の行使、不行使を明示的または黙示的に示すことであります。
 どのような態様の行為がそれに該当するかについては、具体的な証拠関係に基づく事実認定の問題でありますが、あっせんを行う公職者の立場、あっせんの際の言動、あっせんを受ける公務員の職務内容、その他諸般の事情を総合して判断することになると思います。
 なお、本法案では、公職にある者等の権限は、公職にある者等が職務を行う公務員に対して権限に基づく影響力を有しているか否かという場面で問題となるのでありまして、あっせんされた公務員が行う職務に関して公職にある者等が何らかの権限を有しているか否かを要求するものではありません。その点では、あっせんする公務員があっせんされる公務員の職務に関する権限を要求していないあっせん収賄罪と同様でございますので、誤解のないように申し添えておきます。
 以上のように、「権限に基づく影響力を行使して」という要件の意味するところははっきりしており、刑罰の構成要件としては十分に明確なものと考えているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(森喜朗君) 久世前金融再生委員長及び中川前官房長官の任命責任についてお尋ねがございました。
 久世氏の件につきましては、自由民主党によれば、財団法人自由民主会館では建物の管理、維持運営費や人件費などに必要な寄附を募っており、その一環として大京からは関連会社を含め平成三年に寄附を受けていたとのことであり、この点につきましては従来から国会においてもお答えしているところでございます。
 また、中川氏の件につきましては、中川氏個人にかかわる官房長官就任より随分と以前のことでありまして、また、報道されました録音テープをだれがどのように作成したのか、どのような経路で入手されたものかも明らかになっておりません。中川氏は、これ以上迷惑をかけたくないとのことで既に辞任をされており、今後は中川氏自身が自分の名誉に関することを含め本件についての御自分の立場をさまざまな形で明らかにされていくものと考えております。
 もとより閣僚の人事は内閣総理大臣の責任において行われるものであり、結果として両氏が閣僚を辞任することになったことについては、残念であり遺憾であると考えております。
 一方、国民の負託を受けて内閣を預かる私としては、景気を本格的な回復軌道に乗せるとともに、IT革命への対応、教育改革や社会保障改革の実行などの国民が求めている政策を着実に実行することにより私の責任を果たしていきたいと考えております。
 あっせん利得処罰法案には重大な欠陥があるのではないかという御質問を受けました。
 政治倫理の一層の確立のためには、まず何よりも政治家一人一人の自覚が大切であると考えているところ、政治家と金をめぐる事件が絶無とならず、遺憾ながら国民の政治不信が深まっているのが現実であります。
 こうした中、前国会から私も本法案を今国会中に成立させるべきであるとの認識を示してまいりました。そして、法制化に当たってはその目的と構成要件を明確にし、かつ国民の要望を幅広く行政に反映させるという政治の役割にも配意する必要があると繰り返し申し上げてまいりました。与党三党においては、こうした論点を十分に踏まえ、構成要件や対象行為を明確に定め、実効性の確保に努められたものと承知をいたしております。
 いずれにせよ、政治に対する国民の信頼を高めるため、参議院においても十分に御議論の上、ぜひとも今国会中に成立させられることを期待いたしております。
 与党案が私設秘書を除外した点について御質問をいただきました。
 与党案は、政治に携わる公務員の政治活動の廉潔性とこれに対する国民の信頼を保護しようとするものであり、処罰の範囲を公務員ではない私設秘書にまで拡大することは不適当であるとの考えなどから、私設秘書を処罰対象から除外したものと承知をいたしております。
 与党案があっせん行為の対象を契約と行政庁の処分に限定している点についてお尋ねがございました。
 与党案は、契約や処分の段階でのあっせん行為は、特定の者の利益を図るという性格が顕著であることなどから処罰の対象とした一方、行政計画や予算案作成等に関するあっせんについては、これらに民意を反映させることは政治活動として公職者等に期待されているところでもあることから、政治活動の自由を保障する観点も踏まえ処罰対象としなかったものであると承知いたしており、行政指導に関するあっせんについても、特定の者に明確に利益を与えるものとまでは言いがたいことから処罰対象としなかったものと承知しております。
 与党提出に係るあっせん利得処罰法案に関し、政治活動の対価として一切金銭は受け取らないとの認識と決意を持つべきだとの御指摘をいただきました。
 政治は、国民の要望を幅広く行政に反映させるという大きな役割も有していると考えております。また、現実に、政治家が政策を立案し、国民にその政策を訴え、支持を得ていくためには、資金がかかるものであります。その意味において、政治資金は民主主義に必要なコストであります。
 しかしながら、私としても、政治家が口ききで私腹を肥やすようなことは正していかなければならないと認識しており、議員御指摘のとおり、政治活動の対価として不当な利益を得たり、ましてわいろを受け取るなどということはあってはならないものであることは論をまたないものと存じております。したがって、そうした観点からも本法案の今国会中の成立を強く希望いたしているところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣保岡興治君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(保岡興治君) 吉川議員にお答え申し上げます。
 あっせん収賄罪において請託を要件としていることについてお尋ねをいただきました。
 請託を要件とすることについて、法制審議会における審議の際に一部御指摘のような御議論があり、また立証事項がふえることは確かではございますが、先ほどから提案者皆様方がたびたび御説明申し上げているとおり、そもそも一般に立証の難易は具体的事案における証拠関係に左右されるものであり、請託という要件が存在することによって一般的に立証が困難になると直ちに言えるものではないと考えております。
 また、同罪の運用を見ますと、先ほどから申し上げているとおり、平成七年から平成十一年までの最近の五カ年間で見ましても三十四名を公判請求しているところでございまして、適切にその機能を発揮しているものと考えております。(拍手)
#26
○議長(井上裕君) 答弁の補足があります。衆議院議員尾身幸次君。
   〔衆議院議員尾身幸次君登壇、拍手〕
#27
○衆議院議員(尾身幸次君) 先ほどの吉川議員への答弁につきまして、一つ補足をさせていただきます。
 野党の修正協議に応じるべきではないかとの御質問がございました。
 本法案は、目的、保護法益、犯罪構成要件の明確化の要請、政治活動の自由との関係等につきまして入念な検討を加え提出したものでございまして、私どもといたしましては、本法案こそが将来にたえ得る法案であり、百点満点、ベストであると考えています。
 したがいまして、修正に応じるのは適当でないと申し上げざるを得ないところであります。(拍手)
    ─────────────
#28
○議長(井上裕君) 大脇雅子君。
   〔大脇雅子君登壇、拍手〕
#29
○大脇雅子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題になりました自由民主党、保守党、公明党共同提出、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案について質問いたします。
 あっせん利得の禁止は、第二次橋本内閣当時、ロッキード事件で受託収賄罪で有罪になった佐藤孝行入閣問題を契機に社会民主党が提起し、その後自民党がこれを受け入れず、我が党の閣外協力解消の原因の一つにもなった重大なテーマです。
 そこで、本法案の制定を必要とする日本の政治風土について、森総理及び発議者がどのように認識しておられるか、伺いたいと思います。
 そこで、私の基本的な疑問について述べたいと思います。
 民意を行政に反映させるのは正当な政治活動ではありますが、なぜ日本の民主主義は、政治家により民の声をお上、官僚に届けることから始まるのでしょうか。陳情、要請という行為は官尊民卑的行動ではないのか。国民の声は、官僚に届ける前に、議員としてそれを立法や政策の形にすべきであり、それをしないのは議員の怠慢ではないかということであります。これまで、予算配分から就職の世話に至るまで、さまざまな政治家による口ききが行われ、自民党内からは、支持者に頼まれて口をきくことは政治家本来の仕事である、政治家はあっせんする動物だという声がありました。政官癒着とか族議員と呼ばれて、あっせん行為がシステム化していることこそ日本の政治腐敗の根源ではないでしょうか。
 あっせん利得の禁止法案の審議を、政治とは何か、政治家は何をすべきかを根底から考える機会にしなければなりません。議員は全体の奉仕者であり、特定の個人や団体の利益のために口ききする行為は、本来のあるべき政治活動とは言えない。加えて、口ききの見返りに利得をすれば、行政の公正な執行をゆがめ、国、地方を問わず、政治家や政治への不信を生むことになります。あっせん行為は日常的な政治活動とお考えなのか、この法案が政治活動の自由を制約する危険があると考えていられるのか、総理のお考えをお聞きします。
 一九五八年に、公務員の一層の綱紀粛正を求める世論の声に押されて導入されたのが、あっせん収賄罪及びあっせん贈賄罪でした。その際、政府は、危険な副作用を伴うおそれがあるので、漸進的に事を運ぶのが適当であるとしていました。その結果と言えましょうか、国会議員で起訴されたのはただの二件です。
 そこで、このあっせん収賄罪におけるあっせんの定義について、そして、なぜこれまであっせん収賄罪による国会議員の検挙件数が極端に少なかったのか、その理由をどのように受けとめていられるのか、法務大臣にお尋ねいたします。
 次に、本法案の主な問題点について質問します。
 今回の法案も、構成要件が厳格であったり、また要件があいまいであったり、多くの抜け道が用意されていて、既に効果が乏しいのではないかと危惧されております。
 第一に、立証の難しい請託の要件に加えて、権限の影響力を行使してという構成要件は、収賄罪に言う職務権限とどのような関係になりますか。これは、あっせん収賄罪の新設の際、見送られた要件であります。実際に職務権限条項を置いたと同様の効果を生むのではないかと危惧しますが、いかがでしょうか。
 第二に、第三者への利益の供与について、与党は、政治家本人らの支配が事実上及ぶ場合は本人と一体とみなすとしています。まず私設秘書は、給料の出所が異なるだけで、公設秘書と同じ議員の仕事をしているのですから、実態を考慮した場合、行為の主体から除外する理由はありません。現に今も、中小企業向け融資保証制度にまつわる西川太一郎衆議院議員と山崎都議の私設秘書の事件の例があります。議員とあうんの呼吸で口ききをし報酬を得た場合など、網からこぼれるときがあります。地方議員の場合は公設秘書を持たないのですから、実行行為を免罪することにはなりませんか、森総理の見解を伺います。
 第三に、与党は、金額や利得の時期から対価性があると判断される場合は処罰の対象とするという方針のようです。しかし、対価性を判断する基準が明らかになっていません。本人の支配力が及ばないところに金銭を供与して、複数の業者が複数の議員を介在させるなど、依頼と口ききと対価の支払いが複雑に絡み合う場合も想定すべきであると考えますが、発議者はどのようにお考えですか。
 第四に、行為の対象を契約と行政処分に限定したのは、予算の箇所づけや特定業界への税の優遇、政策の立案など、核心部分を除外しています。対象範囲は行政全般とすべきであります。
 第五に、利得の内容を財産上の利益に限定しますと、情交関係の提供、供応、票の取りまとめ、就職のあっせん、投資情報の提供、後援会や選挙活動などはすべて除外されることになりますが、問題ではありませんか。
 最後に、私は、基本的事項について総理にお聞きしたいと思います。
 政治資金規正法附則第十条は、「施行後五年を経過した場合においては、」「会社、労働組合その他の団体の政党及び政治資金団体に対してする寄附のあり方について見直しを行う」としております。企業・団体献金こそ政治の清廉と公正さを損なう根源的なものであると確信しますが、総理は、法の趣旨を尊重し、この条項に従い、企業・団体献金について見直しをされるお考えはありませんか。
 政治の倫理は議会政治の根幹であります。政治家みずからが自律的に浄化に努めなければなりません。政治倫理審査会はほとんど空洞化し、十分に機能していません。国会法を改正して衆参に政治倫理委員会を新設して、議院の自治・自浄能力を高めるべきであります。
 最後に、利益誘導型の政治を断つために、森総理の政治浄化の御決意を重ねてお伺いして、質問を終わります。(拍手)
   〔衆議院議員尾身幸次君登壇、拍手〕
#30
○衆議院議員(尾身幸次君) 大脇議員にお答えを申し上げます。
 本法案の制定を必要とする日本の政治風土についての認識いかんとの御質問がございました。
 まず、今日、国内外の社会経済の急速な変化の中で、これまでのような官僚主導では政策立案と改革の実現は困難になりつつあります。政治には、今や総合的な政策を立案し、変化にスピーディーに対応することが強く求められていると考えます。このとき、この状況において、政治の担い手である政治公務員は、みずからの政治活動を厳しく律し、政治活動の廉潔性、清廉潔白性を保持し、これによって国民の信頼を得ていくことが要請されていると考えています。
 その意味で、今回、あっせん利得処罰制度を創設することは、まさに時代の要請であると認識するものであります。
 なお、あたかも自民党は二年前は消極的であったかの発言がございましたが、当時、我が党も国会議員の政治倫理確立法案を提案した経緯もあり、決して消極的との御指摘は当たらないと考えております。
 次に、我が国の政治風土についてでございますが、現実の政治制度、政治活動の実態、さらには国民の政治意識などの政治的、経済的、社会的諸条件や我が国の歴史的所産などを総合的に分析、検証する必要があり、一概に論ずることはできませんが、私は、今政治に求められているのは、国民の信頼を得る透明でわかりやすい政治の実現であると認識しております。
 その意味で、今回の本法案はその一助になるものとかたく信じているものであります。
 本法案の権限に基づく影響力の行使と刑法百九十七条の収賄罪に言う職務権限との関係についてのお尋ねでございますが、単純収賄罪や受託収賄罪で「職務に関し」と規定しているのは、これらの罪の成立に際して、わいろが職務を行う公務員の職務権限に属する行為に対する報酬であるか否かが問題になるということであります。
 一方、本法案では、あっせんされた公務員が行う職務に関して、公職にある者等が何らかの権限を有しているかを問題にするものではありません。
 本法案においては、公職にある者等の権限は、公職にある者等が職務を行う公務員に対して権限に基づく影響力を有しているか否かという場面で問題になるのでありまして、刑法上の収賄罪とは権限が問題とされる場面が異なるものであると理解しております。(拍手)
   〔衆議院議員漆原良夫君登壇、拍手〕
#31
○衆議院議員(漆原良夫君) 財産上の利益の授受がいかなる場合にあっせん行為の報酬と認められるかという御質問でございますが、このことは、具体的な証拠関係に基づく事実認定の問題でございまして、一律に基準を示すということは不適当であると考えております。
 なお、政治献金については、社会通念上常識の範囲内での政治献金であればあっせん行為の報酬と認めることは困難でありまして、これを受けても本法案の罪の適用対象とはならないものと考えております。
 しかしながら、政治献金の名をかりてあっせん行為の報酬である財産上の利益を実質的に本人が収受したと認められる場合には、本法案の罪が成立し得ることを念のために申し添えておきたいと思います。
 また、複数の業者や議員が介在し、事案が複雑な場合も想定すべきではないかとの御質問でございますが、そもそも、現実の法律の運用に当たりましては、単純な事実関係の場合ばかりではなく、事実関係が複雑に入り組んでいる事件も多々あることは当然でありまして、この法案につきましても、そのことは当然の前提として立案を行っているところでございます。
 事実関係がどのように入り組んでいる場合でありましても、本法案の罪が成立するか否かは具体的な証拠関係に基づく事実認定の問題でありまして、処罰すべき事案は処罰されるものと考えております。このことは、法律家でいらっしゃる先生もよく御理解いただけるものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔衆議院議員小池百合子君登壇、拍手〕
#32
○衆議院議員(小池百合子君) 報酬を財産上の利益に限定するのは問題ではないかとのお尋ねがございました。
 結論から申し上げますと、何ら問題はございません。
 刑法のわいろ罪で言うわいろとは、財産上の利益よりも広範な概念でございます。情報、職務上の地位の提供、さらには異性間の情交等、およそ人の需要、欲望を満足させるに足りるものであればよいということは御承知のとおりでございます。
 しかし、本罪は、わいろ罪とはそもそもその保護法益を異にしております。また、本罪が前提といたしておりますあっせん行為は、公務員に正当な職務行為をさせ、または不当な職務行為をさせないというものであってもよいこととされております。
 これらのことを考慮いたしまして、本罪の保護法益であります政治公務員の政治活動の廉潔性及びこれに対します国民の信頼を端的に保護するためには、処罰対象を政治公務員の活動において最も問題とされます財産上の利益の収受に限定すれば足りるとの判断をしたものであり、ゆえに、報酬を財産上の利益に限定することには何ら問題はないものと考えた次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(森喜朗君) あっせん利得罪処罰法案の必要性及び我が国の政治風土について御質問をいただきました。
 政治倫理の一層の確立のためには、まず何よりも政治家一人一人の自覚が大切であると考えます。しかしながら、政治家と金をめぐる事件が絶無とならず、遺憾ながら国民の政治不信が深まっているのが現実であります。
 こうした中、あっせん利得罪法案につきましては、国民の政治に対する信頼を高めていく上でも極めて重要であると考えており、今国会で早期に成立させていただきたいと考えます。
 あっせん行為と日常的な政治活動との関係及びあっせん利得処罰法案が政治活動の自由を制約する危険性の有無について御質問をいただきました。
 議員御指摘のとおり、私としても、政治家が口ききで私腹を肥やすようなことは正していかなければならないと認識しております。一方、いかなる行為が議員御指摘のあっせん行為に該当するのかは必ずしも明確ではないと考えますが、政治は国民の要望を幅広く行政に反映させるという大きな役割も有していると考えております。
 したがって、法制化に当たっては、こうした政治の仕組み、機能をいたずらに制約することがあってはならないと考えており、このため、解釈次第で適用範囲が変わることのないよう、犯罪の構成要件を明確にする必要があると考えております。
 与党案においては、ただいま申し上げました論点を十分に踏まえて、対象行為や処罰対象などを明確に定め、実効性の確保に努められるとともに政治本来の機能に配意されたものと承知しており、御指摘のように、与党案が政治活動の自由を制約する危険があるとは考えておりません。
 第三者供与と行為主体としての私設秘書についてのお尋ねがございましたが、両者は別個の問題であると認識いたしております。
 行為主体としての私設秘書につきましては、本法案は政治に携わる公務員の政治活動の廉潔性とこれに対する国民の信頼を保護しようとするものであり、処罰の範囲を公務員ではない私設秘書にまで拡大することは不適当であるとの考えなどから、私設秘書は処罰対象から除外されたものと承知しております。
 また、第三者供与につきましては、本法案においては、現在のあっせん収賄罪においても第三者供与規定が設けられていないことの均衡との考慮などから、第三者供与を盛り込んでいないものと承知いたしております。
 企業・団体献金に関してお尋ねがありました。
 企業・団体献金については、政党本位、政策本位の政治を目指す政治改革の理念を踏まえ、既に本年から政治家個人に対する企業・団体献金が禁止されたところであります。一方で、政党に対する企業・団体献金につきましては、最高裁判例でも、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として、政治資金の寄附の自由を持つことは認められており、これをおよそ悪と決めつける論拠は乏しいと考えます。
 いずれにせよ、政治資金のあり方につきましては、透明性を高めつつ、民主主義のコストをどのように国民に負担していただくかという観点から、各党、各会派において御議論をいただくべきものと考えます。
 政治倫理審査会について御質問がございました。
 衆参両院において、政治倫理の確立のため、政治倫理審査会が設置され、国会議員が行為規範等の規定に著しく違反し、政治的、道義的に責任があると認められるかどうかについて審査するものとされておりますが、そのあり方については、国民の政治に対する信頼を高めるとの視点から、各党、各会派において御議論いただくべきものと考えます。
 最後に、政治浄化のための決意についてお尋ねがありましたが、政治が国民からの信頼を得るためには政治家が口ききをして私腹を肥やすようなことは正していかなければなりません。政治倫理の確立は議会政治の根幹であり、国会議員は主権者たる国民の代表であることを自覚し、政治家の良心と責任を持って政治活動を行い、国民の信頼にもとることがないように努力することが求められており、私自身もそのために最大限の努力を行う決意であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣保岡興治君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(保岡興治君) 大脇議員にお答え申し上げます。
 あっせんの定義についてお尋ねがございました。
 刑法百九十七条の四のあっせん収賄罪に規定するあっせんとは、請託の内容に従って、被あっせん公務員に対して、その職務に関して、不正の行為をするように、または相当の行為をしないように働きかけ、仲介の労をとることを言うものと解されております。
 あっせん収賄罪による検挙件数がこれまで極端に少なかった理由について、また、この理由についてどのように受けとめているかというお尋ねがございました。
 あっせん収賄罪につきましては、被あっせん公務員に対する職務上不正な行為をさせること、または相当の行為をさせないことのあっせんを要件としている犯罪でありますが、先ほどからお答えしているとおり、平成七年から平成十一年までの最近五カ年で見ましても三十四名を公判請求しているところであり、その数が少ないとは考えておりません。(拍手)
#35
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十一分散会
     ─────・─────
ソース: 国立国会図書館
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