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2000/11/14 第150回国会 参議院 参議院会議録情報 第150回国会 本会議 第10号
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2000/11/14 第150回国会 参議院

参議院会議録情報 第150回国会 本会議 第10号

#1
第150回国会 本会議 第10号
平成十二年十一月十四日(火曜日)
   午後二時四十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十号
  平成十二年十一月十四日
   午後二時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、一般職の職員の給与に関する法律等の一部
  を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 一、国会議員の秘書の給与等に関する法律の一
  部を改正する法律案(衆議院提出)
     ─────・─────
#3
○議長(井上裕君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る十日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。平田健二君。
   〔平田健二君登壇、拍手〕
#4
○平田健二君 私は、民主党・新緑風会を代表して、さきに行われました大蔵大臣の財政演説について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 森総理、あなたは国民の声が聞こえますか。今や、どの世論調査を見ても、内閣の支持率は軒並み二〇%を切っています。国民は、森内閣に対し、既に不信任を突きつけています。
 以下、森総理に対し、我が国の内閣の信頼をかくも喪失させた諸問題につき質問をいたします。
 かつてライオン宰相と言われた浜口雄幸総理は、宰相たるものがうそをつくということでは国民は一体何を信頼すればいいのかと語ったそうです。しかし、今まさに国民は、森総理がうそをついているのではないかという疑惑を抱いています。言うまでもなく、中川前官房長官が国会における虚偽答弁疑惑により辞任に追い込まれた一件であります。
 党首討論において、我が党の鳩山代表は、中川前官房長官にかかわるさまざまな官邸疑惑について森総理に問いただしました。しかし、森総理は、正面から答えることなく問題をすりかえ、あげくの果てには開き直る始末であります。官邸疑惑はますます深まるばかりでした。本人が辞任したから問題は決着ということで臭いものにふたをするのでは、国民の信頼を取り戻すことなど到底望むことができません。政治家の疑惑は、政治家みずからが政治の場で晴らすべきであります。
 中川前官房長官が覚せい剤に関する警察の捜査情報を漏えいしたと言われる疑惑について、任命権者である森総理みずからが、中川前官房長官の証人喚問を実現させるなどして、政治の場で真相を解明する意思があるかどうか、お伺いをいたします。
 また、数々の不祥事によりこれまた国民の信頼を失った警察についても、中川前官房長官に捜査情報を漏えいしたのではないかという疑惑を持たれています。警察法の改正も重要ですが、こうした疑惑を解明することはもっと重要なことであります。森総理にそのようなお考えがあるのかをお答え願いたい。
 森総理は、著書の中で、「自分のためではなくチームのため、チームメイトのためにプレーをするラグビー精神が、私は好きだ。」と述べています。
 しからば問いたい。果たして森外交は、自分のためだけでなく、国のため、国民のために行われているのか。
 森総理は、英国のブレア首相との会談において、三年前の与党訪朝団と北朝鮮との外交交渉の内幕をみずから暴露するという失策を犯しました。しかも、これが失策だということも理解できず、今まさに日朝交渉が進行中であるというのに、拉致問題にかかわるいわゆる第三国発見方式について、発言を二転三転させております。さらには、与党や外務省があずかり知らぬところで、北朝鮮労働党の金総書記あての親書をなぞの人物に託したともうわさをされています。
 これでは、チームプレーどころか、功を焦った森総理の個人プレーではありませんか。そのために失った国益の大きさを森総理は考えたことがありますか。
 いわゆる第三国発見方式は北朝鮮との外交カードとしてまだ残っているのか、金総書記に対しては親書の形式を問わず本当に何らメッセージを送っていないのか、お答えをいただきたいと思います。
 中小企業や個人事業主を食い物にする財団法人KSDの古関忠男前理事長が、KSDを私物化し横領を働いた疑いで逮捕されました。
 KSDは、百七万人の会員から集めた二百五十億円にも上る巨額の資金を、本業の災害補償事業そっちのけで、古関前理事長の私的な支出や天下り官僚への高額報酬、さらには自民党や自民党政治家への資金提供に流用したと言われております。中でも、自民党村上正邦参議院議員との関係はとりわけ深く、報道によれば、幽霊党員集めやその党費肩がわりも請け負うなど、村上議員の選挙マシンとしての指摘がなされているところであります。KSDの錬金術は、まさに古関前理事長と自民党、労働省や大蔵省などの官僚が一体となって編み出してきたものであり、政官業癒着の象徴と断ぜざるを得ません。
 森総理は、政治の場でKSDの疑惑を解明する意思がありますか、明確にお答えください。
 また、与党が参議院選挙制度の改革を強行したのは、参議院自民党比例区のこのような実態を覆い隠すことが真の目的だったのではないですか、お答えください。
 また、与党の一角をなす保守党の西川太一郎衆議院議員の私設秘書が逮捕されました。これは、銀行の貸し渋りで苦しんでいる中小企業を救済するため、本当に困っている方々のための制度です。困っている人たちのためにあえて保証要件を緩和したことを悪用するなどということは、極めて卑劣な、破廉恥と言うほかはありません。扇建設大臣の保守党党首としてのコメントを求めます。
 次に、今次補正予算の前提となっている景気の現状及び経済対策について伺います。
 このところ鉱工業生産、輸出数量、機械受注等の経済指標を見ておりますと、昨年春以降、既に一年半にわたって景気回復局面が持続しております。GDP統計でも、二年連続の実質プラス成長が確実視されております。消費に弱さが残るものの、IT関連の投資、さらに輸出によって景気は拡大しつつあると考えますが、政府はまず景気の現状についてどのように見ているのか、お伺いをいたします。
 そこで、政府が十月十九日に決定された経済対策について伺います。
 この経済対策は、バブル崩壊以降十三回目の経済対策であり、今回の対策を合わせますと事業規模は総額百三十五兆円になります。それにもかかわらず、我が国経済は本格的な回復に至らないどころか、潜在成長率は八〇年代の四%から現在では二%へ低下してしまいました。百三十五兆円という途方もない額の国民の貴重な税金を投入しながら、我が国経済の活力を奪ってきたのが自民党政権であります。
 一方、欧米諸国は、我が国同様に八〇年代後半にバブルを経験いたしましたが、その後、ほとんど財政を景気対策に用いることなく、主として規制緩和で市場のダイナミズムを引き出すことによって、現在は我が国に比べ極めて良好な経済パフォーマンスと財政状況を維持しています。なぜ我が国だけがこの世紀末の十年を失われた十年としてしまったのか、将来の世代に余りにも過重な負担を残してしまったのか、新世紀を迎えるに当たって真剣な総括と反省が不可欠だと考えます。
 以下、具体的な質問に入りたいと思います。
 今般の経済対策でもEジャパン構想を提唱されています。しかし、肝心の中身がさっぱりわかりません。IT革命の飛躍的推進とは具体的に何を指すのか、明確な国家戦略の中身は何か、この点が欠落していては、国家ビジョンとしては当然のことながら、経済対策としても意味をなさないと考えます。この経済対策の中では年内にIT国家戦略を取りまとめるとされていますが、現段階において森総理御自身はどのようなEジャパン構想を描いておられるのか、伺います。
 第二に、IT普及国民運動について伺います。
 いわゆるIT講習券は、マスコミ等からはばらまきと批判され、また与党内からも反発を買ったために挫折いたしました。IT普及国民運動はこれにかわって打ち出されたもので、主に講習会を中心とする内容になっています。しかし、ここでも光ファイバー敷設と同様、各省が似たような事業をばらばらに打ち上げ、受講予定人数ばかりが水膨れしています。景気対策として実行される以上、着実に目標を達成することが望まれると思いますが、実際の対象者が大幅に減少した一昨年の地域振興券の二の舞を繰り返さない自信はありますか、総理にお伺いをいたします。
 第三は、公共事業についてです。
 与党は総選挙が終了した直後に、私たち民主党が長らく求めてきた公共事業改革を突然唱え出しました。この改革の中身は、公共事業の総量は減らさないの一言からわかるように、全く看板倒れでありますが、この看板倒れの改革さえ反映していないのが今回の経済対策です。整備新幹線には既に今年度公共事業等予備費によって五百六十億円の財源を確保したにもかかわらず、さらに九十億円の上積みを図っています。森総理は、バブル以降繰り返してきた過ちを懲りもせずにまた繰り返そうとするのですか。
 さらに今回の経済対策には問題があります。内容もさることながら、公共事業の実施において重大な難点があります。
 既に地方各自治体において財政状況が危機的な状況にあります。先月、日本経済新聞が行ったアンケート調査では、今回の経済対策に積極的に対応するという都道府県は一つもありませんでした。九月の補正後の都道府県の公共事業予算で見ると、埼玉県の前年同期比マイナス二〇%を筆頭に、香川、宮城、高知と軒並み二けた減となっています。このような状況の中で、さらに公共事業の上積みを求めたところで、本当に政府が想定するような事業規模が確保できるのか、その結果として本当に政府が掲げる経済対策の効果が望めるのか、総理に見解を伺います。
 第四は、住宅金融対策です。
 対策では、住宅金融公庫の事業費十一兆一千六百億円、融資戸数五十五万戸に対し、事業費で一兆円、融資戸数を五万戸上乗せすることにしています。昨年の経済対策においても融資戸数で十万戸の上乗せをいたしました。結果的には融資戸数の増加が五万戸にとどまり、この実績に応じた上積みをした格好になっております。
 しかし、住宅購入をめぐる状況は昨年よりも悪化をしております。住宅建設着工戸数は本年度上半期で見ると一・七%減となっており、また住宅金融公庫の個人向け融資の第二回募集分は前年同期比で四〇%と激減をしております。加えて、現在の状況で考える限り、住宅ローン減税の効果が落ちることは明らかです。
 このような状況の中でも、なお前回並み五万戸の上積みを達成するだけの根拠があるのか、あるいはこの措置は事業規模を確保するための見せかけなのか、総理の答弁を求めます。
 次に、財政について伺います。
 今や、景気の足取りは重いものの、回復基調にあることは政府も認めているところであります。これ以上安易に旧来型公共事業などの追加的な財政出動に頼って景気対策を行うことは、我が国の経済構造改革をおくらせたり、長期金利上昇など、かえって悪い結果を招きかねません。今日、我が国の財政状況が危機的な状況にあることは今さら説明するまでもありません。
 そこで伺います。
 宮澤大蔵大臣は、今春以来、大型補正は必要ないと再三言っておりましたが、今回の五兆円弱の補正予算の提出についてどのようにお考えですか。一体いつまで公共事業中心の補正予算を組み、借金財政を続けていくつもりですか、お伺いをいたします。
 第二は、補正予算の中身についてであります。
 今回の補正予算に関連して提出された平成十一年度剰余金処理に関する特例法案によって約五千億円の財源が生み出されておりますが、これは前年度剰余金の最低二分の一を国債償還に充てなければならないという財政法の原則をねじ曲げるものであり、国債残高が国民だけでなく世界の人々まで不安に陥れているこの時期に、このような措置を行うことは全く信じられません。
 そこで、総理にお伺いをいたします。
 我が国最大のモラルハザードを起こしているとも思える我が国の財政状況について、総理はどのように考えておりますか。仮に危機感をお持ちであるとしたら、今回の国債償還に充当すべき剰余金をなぜ歳出に振り向けたのですか、お伺いをいたします。
 第三は、公共事業の裏負担のための地方債が今回も約九千億円発行され、その元利償還費用の地方交付税算入措置がなされている点についてであります。
 近年、政府は厳しい財政状況に直面する自治体を経済対策につき合わせるためにこの措置を活用してきました。これは、直接的な財政負担が見えないために、当座の対策としては活用しやすく、ここでもモラルハザードを生じていたと考えられます。その結果として、基準財政需要額が拡大し、当然に地方交付税総額が膨らみました。本年度で見ると、地方交付税の財源である法定五税の繰入額と必要な交付税額の差は八兆円という悲劇的な数字となっております。
 今まで行ってきた地方債元利償還の地方交付税算入措置によって将来的にどの程度地方交付税財政を圧迫するのか、この措置の対象となっている地方債残高が一体幾らあり、そして、その結果として毎年度幾ら地方交付税に算入されていくのか、具体的な数字を自治大臣にお伺いをいたします。
 次に、税制改正をめぐる論議について伺います。
 このところ、与党内での来年度税制改正の議論が連日のように新聞に報じられております。
 まず、来年度からの株式譲渡益課税の申告分離方式一本化について伺います。
 株式投資家を優遇する不公平税制ということで既に決定されておりますが、政府・与党内では源泉分離課税を存続させる方向で議論されているということではありませんか。昨年度税制改正で既に廃止が決まっている源泉分離課税を存続させることは朝令暮改ではありませんか、大蔵大臣の所見をお聞かせください。
 第二は、無利子国債の議論です。
 国債の円滑な消化のために相続税をまけてやるという考え自体、本末転倒もいいところであり、累進相続税を実質的に放棄するに等しい金持ち優遇の愚策と言わざるを得ません。七千億円の国会対策費とやゆされ、結果的に何の景気対策にもならなかった地域振興券に匹敵するか、それ以上の驚くべきモラルハザード、まさに何でもありの典型と考えますが、大蔵大臣はどのようにお考えですか。
 以上、補正予算に関連し、森内閣の政治基本及び経済政策全般にわたり質問をいたしてまいりましたが、今や森内閣に対する国民の信頼は地に落ち、また経済政策も失敗と言わざるを得ません。御自身の足元である自民党内からでさえ不信任を突きつけられているぶざまな実態であります。それでも森総理は、小渕総理のときは支持率が低くても支持してくれたのに、なぜ自分のときはだめなんだ、権力闘争をしているから支持率が下がると支持率の低さを加藤氏とマスコミのせいにしております。失策を失策として認識できず、支持率の低さも分析できないこの分析能力は絶望的と言わざるを得ません。現状認識ができず、改善はあり得ません。
 総理、この上は、総理の座右の銘である滅私奉公を実践し、私を滅し、公のためにできる唯一の行為である森内閣の速やかな退陣を強く要求し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(森喜朗君) 中川前官房長官の辞任に関連してお尋ねがございました。
 鳩山代表は国家の基本政策を議論すべき党首討論の場でも本件を取り上げられましたが、私は私の立場としてこれに誠実にお答えをいたしました。
 本件につきましては、中川氏個人にかかわる官房長官就任より随分と以前のことでありまして、また、報道された録音テープをだれがどのように作成したのか、どのような経路で入手されたのかも明らかになっておりません。
 中川氏はこれ以上迷惑をかけたくないとのことで官房長官を辞任されましたが、今後は中川氏自身が自分の名誉に関することを含め本件についての御自分の立場をさまざまな形で明らかにされていくものと考えております。
 現に、中川議員は法的手続をとっておられますので、少し時間を上げるということも私は武士の情けだと思うんです。
 証人喚問をしたらどうか、証人喚問をしたらどうかということでありますが、これは国会で御判断をいただくことだというふうに考えております。
 また、警察情報が漏えいしたのではないかとの指摘につきましては、中川氏は官房長官辞任の記者会見でも警察情報であることを明確に否定していると承知いたしておりますが、一般論として、捜査の必要性があると判断されれば、警察当局において、法と証拠に基づいて適切に対応されるものと考えております。
 日英首脳会談における私の発言についてのお尋ねでありますが、これまでも国会において申し上げておりますとおり、御指摘の私の発言は過去の周知の事実を紹介したものであり、私としては首尾一貫しており、発言を二転三転させるといったようなことはございません。また、過去の周知の事実を述べた私の発言が国益を損ねるといったことはなく、御指摘には当たらないと思います。
 次に、なぞの人物に託していたとうわさされている旨言及された金正日朝鮮労働党総書記にあてた親書あるいはメッセージについてのお尋ねでありますが、既に申し上げたとおり、私が金総書記に対し親書を送った事実はありません。また、同様にメッセージを送ったという事実もございません。
 いわゆる第三国発見方式について、外交カードとして残っているかとのお尋ねがありました。
 政府としては、拉致問題について将来の決着の姿につき予断することは適当でないと考えており、したがって、現時点において行方不明者として第三国に出現させるなどの特定の決着方法を固めているわけではなく、またかかる方法を北朝鮮側に提案しているとの事実もありません。
 いずれにいたしましても、北朝鮮による拉致問題は我が国国民の生命にかかわる重要な問題であり、国交正常化のためには避けて通れない問題であります。この問題は国民の納得いく形で解決することが不可欠であり、政府としては、今後とも国交正常化交渉その他の日朝間の対話を進展させる中で問題の解決に向けて粘り強く取り組んでいく考えであります。
 ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団に関連してお尋ねがありました。
 ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団に関しましては、現在、同財団前理事長等の横領容疑で捜査中であり、私の立場としてはこれを見守りたいと考えております。
 なお、自由民主党の党費につきましては、党において適切な手続を経て処理されているとの報告を受けております。
 また、参議院選挙制度については、昭和五十七年に現行の拘束名簿式比例代表選挙が導入された以降、制度改革についてさまざまな議論が行われてきましたが、現行、改正前でございますが、拘束名簿方式は有権者がどの候補者を当選させたいかという意思表示ができず、候補者の顔が見えずに選挙に対する関心が高まりにくい、参議院が衆議院と異なる選挙制度によって国民の多元的な意思をよりよく国会に反映するとの役割を十分果たしていないという問題点が指摘されてまいりました。
 今般の与党の取り組みは、国民に対して責任を負うべき与党として、来年の通常選挙を控え、参議院選挙制度の改革をこれ以上先延ばしはせず、これに正面から取り組まなければならないと判断したものと承知をいたしております。参議院選挙制度改革が自民党の実態を覆い隠すことが目的であったとの指摘は当たらないものと考えております。
 景気の現状についての御質問でありますが、御指摘のように、景気は企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが継続し、全体としては緩やかな改善が続いておりますが、雇用情勢は幾分改善したもののなお厳しく、また家計部門の改善がおくれるなど、厳しい状況をなお脱しておりません。また、米国やアジアの経済の動向、原油価格の動向などを注視する必要があります。
 Eジャパン構想についてのお尋ねでありますが、私は二十一世紀に向けて日本新生の最も重要な柱はIT戦略、すなわちEジャパン構想であると考えております。
 この構想は、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報または知識を世界的な規模で入手し、共有し、または発信することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる高度情報通信ネットワーク社会の構築を目指すものであります。
 このためには、ハードウエアである施設、ソフトウエアである技能、中身たるコンテンツの三本柱を同時並行的に拡大、発展させることが重要であります。
 具体的には、現在、IT戦略会議の場で議論をいただいておりますが、超高速インターネット網の整備、電子商取引ルールの整備、電子政府の実現、人材育成等を通じ、民間が最大限に活力を発揮できる環境を整備し、五年後には我が国を世界の情報通信の最先端国家に仕上げてまいりたいと考えております。
 IT普及国民運動についてお尋ねがございました。
 本補正予算におきましては、IT基礎技能のできる限り早期の普及を図る観点から、地方公共団体が行うIT基礎技能講習への支援、また、IT化に対応した職業能力開発施策としてのITに係る公共職業訓練の拡充など、目的、対象の異なる各種のIT技能習得の機会の提供に必要な経費を盛り込んだところであります。
 政府といたしましては、このような政府及び地方公共団体の連携の結果、国民の自発的な参加、機動的かつ円滑な講習の提供等により、IT技能の幅広い国民的な普及が実現されることを期待しているところであります。
 整備新幹線についてのお尋ねでありましたが、その整備は国土の均衡ある発展と地域の活性化の観点から重要な課題であると認識いたしており、政府・与党間の合意等に基づき整備を進めているところであります。
 本年度の事業費につきましては、予備費において本年度内に執行確実な額を確保しているところでありますが、その後の地元協議の進展等予備費計上後の事情変更により、今年度内に執行可能と見込まれる事業について十分精査の上、補正予算として計上したものであります。これらの事業費につきましては、既に着工している区間に充当し、その工期の短縮を図っているところであります。
 なお、今回の補正により追加される公共事業につきましては、二十一世紀の我が国発展基盤の構築に向け、日本新生プランの具体化策を中心としつつ、生活基盤の充実などにも重点的に措置しているものでございます。
 地方公共団体にさらに公共事業の上積みを求めても、政府が想定するような事業規模が確保できるのか、また、政府が掲げる経済対策の効果が望めるのかというお尋ねがありました。
 今回の補正予算に伴う公共事業等の追加による地方負担につきましては、従来の地方債措置に加え、地方交付税の増額を行うなど、地方公共団体が事業実施を円滑に行えるよう万全の措置を講じたところであります。
 また、経済対策につきましては、このような措置等を通じ、景気を自律的回復軌道に乗せ、二十一世紀の発展基盤を構築するため、十分な効果が期待できるものと考えております。
 住宅金融公庫の貸付枠の追加についてのお尋ねでありますが、最近の住宅着工は年率換算値で昨年度並みのおおむね百二十万戸台を維持しております。また、今年度上半期の公庫の主な個人向け融資の募集合計も昨年度と同水準で推移していることから、今年度の公庫の貸付枠についても昨年度の実績と同水準の六十万戸と見込み、現在の五十五万戸に五万戸を追加することといたしました。
 我が国の財政状況についてのお尋ねでありますが、国、地方を合わせた長期債務残高が平成十二年度末に六百四十兆円を超えるなど厳しい状況にあります。したがって、財政構造改革は必ずなし遂げなければならない課題であり、政府としては、景気回復をより確かなものとした上で、税制のあり方、社会保障のあり方、さらには中央と地方との関係まで視野に入れて財政構造改革に取り組んでまいります。
 また、補正予算における剰余金の処理についてのお尋ねでありましたが、平成十一年度の剰余金については、金融環境の変化や国債をめぐる諸情勢等を総合的に勘案し、国債発行額を極力抑制するとの観点から、臨時異例の措置として財政法の特例を設け、その全額を一般財源に充当することとしたものであります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(宮澤喜一君) このたび補正予算を組んだ理由についてお尋ねがございまして、確かに本年の三月ごろでございましたが、私はことしの秋には従来のような大きな補正予算を組まなくていいのではないかということを申し上げました。
 そのときに、いわゆる公的成長要因から私的なものへバトンタッチをする時期を私は秋ごろと考えておりましたし、現に三月の時点で企業の方の設備投資等々は大変に順調な状況にありました。したがいまして、これがやがて雇用にも家計にもというふうに考えておったわけでございます。
 そこで、先般、四―六のQEが出まして、QEそのものは決してごらんのように悪い姿ではないのですが、どうも消費、雇用というところがもう一つ元気が見えません。統計では完全失業は五%に達しておりませんし、有効求人倍率は月とともによくなっている。統計的にはそうであるのですが、もしかしたらこれは、雇用、消費の状況というのは我が国の経済社会が構造的なかなり大きな変革を遂げつつあるのではないか。それは二十一世紀に向かって好ましいことではあると思いますけれども、しかし、従来のように不況脱出のときにすぐ雇用、家計と響いていくよりは、もう少しスケールの大きいものになっておるのかもしれないということも考えられます。
 それらのことも思いまして、このたびの補正予算につきまして、公需から民需へのバトンタッチに万全を尽くすために、殊に我が国経済の構造改革への対応に資するということから、年度後半の公需の低下等にも配意をいたしまして、いわば一つはいわゆる新生プランのIT化の施策、他方は年度末に公需がどうも低下しそうだということ、両方のことを考えまして補正を組ませていただいた。従来のように大きなものでないことは申し上げてよろしいと思うのですが、多少やっぱり、一つは公需の将来に向かって不安がある、もう一つは将来に向かっての、いわば日本新生プランの将来への布石ということでございました。
 したがいまして、財源につきましてもできるだけ税源を探したいということで、結局半分は国債に頼らず、半分は国債に頼るというようなことでございました。国債の発行になったことは残念なことではございましたが、半分は税収あるいは繰り越し等々で処理をすることにいたしたわけでございます。
 それから、株式の譲渡所得につきまして、これは先般政府が経済対策を決定いたしました中で、これまでの経緯を踏まえ、株式市場の役割や株式市場への影響、一般投資家の参加、公平な課税等の見地から、年度改正の中で結論を得たいとしておるのがただいまのところでございます。
 本来、税の姿からいえば、既に一遍改正いたしましたようなことが一つの考え方であると思いますが、現にただいまのような経済情勢の中で、あるいは株式に対する国民の一般的な関心といったようなことも考えまして、どのようなことにいたしますか、いずれ政府としての結論を出しまして御審議を仰ぎたいと考えております。
 それから、無利子国債につきましてもお尋ねがございましたが、これは正直を申しまして従来何度か議論になったことがございますけれども、私としては無利子国債というものの必要を感じないと申しますか、問題の方が多いという気持ちがいたしますので、そういうことをしなくても国債は十分に消化いたしておるのでございますから、私としてはそういうものを発行する気持ちを持っておりません。(拍手)
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(扇千景君) 保守党党首として壇上からお答えすることにいささかちゅうちょするものがございますけれども、平田議員のあえての御質問でございますので、お答え申し上げたいと存じます。
 御承知のように、中小企業に対する特別信用保証制度、銀行の厳しい貸し渋り制度の影響で深刻な経営難に陥っておりました中小企業を救済するために、我々の前身であった自由党と自民党との間であえて保証要件を緩和して特別の融資枠を設けるなどの合意に達しまして、一昨年の十月に創設された制度でございます。
 この制度が中小企業の倒産防止に寄与し、我が国経済の下支えになってきたこと、その事実が示すとおりでございますし、我々の主張が正しかったと喜んでおります。
 しかしながら、今回の事件はあってはならないことでございますし、今後、司直の手によって事実が明らかにされていくものと考えております。しかし、私が党首として議員本人に話を聞いたところ、議員本人が私は関与をした事実は全くないと報告を受けておりますので、私もそれを確信しているところでございます。けれども、民主党の山本譲司前議員の逮捕、起訴されたことなど、一つ一つをあげつらうのではなく、一人一人の国会議員は謙虚に襟を正し、いささかなりとも国民に疑惑を持たれることのないよう、品格のある参議院の国会論議をしようではありませんか。(拍手)
 最後に、保守党が自由党から分かれたのは、中小企業等特別信用保証制度創設に見られるように、あくまで国民のため、国のため、連立政権の中で政策を実現するためのものであり、それ以外の理由はないということを念のために申し添えておきます。(拍手)
   〔国務大臣西田司君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(西田司君) 経済対策に伴う地方債の発行の地方財政への影響についてお尋ねがございました。
 現在の地方財政は、借入金残高が平成十二年度末には百八十四兆円に達すると見込まれるなど極めて厳しい状況にあります。このうち、平成四年度以降の経済対策に伴い発行されたものは、今回の計画額を含め、十五兆円程度と見込まれておるところであります。
 これらの地方債に係る地方交付税算入につきましては、現時点では確定できませんが、いずれにしても、その元利償還金については、地方財政法の規定に基づき地方交付税に算入することとされておりまして、毎年度の地方財政計画の策定を通じ地方団体が必要とする行政経費を的確に見積もることにより、地方財政の運営に支障を生じないよう対処していくことといたしております。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(井上裕君) 池田幹幸君。
   〔池田幹幸君登壇、拍手〕
#10
○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、財政政策について総理及び大蔵大臣に質問します。
 二〇〇〇年もあと一カ月余りとなりました。二十一世紀を目前にして、我が国経済は、自公保政権のもとで、国民にとって明るい希望の持てる状態にはありません。今なお九〇年代不況から抜け出せていません。しかも、財政危機はますます進行しています。個人消費の回復、国民生活優先の景気対策と財政再建の方向への政策転換は喫緊の課題となっています。
 先月、森内閣が発表した日本新生のための新発展政策も、我が国経済が自律的回復に至らない原因が、なお厳しい雇用情勢と一進一退の消費の動向にあると分析しています。
 このことを本当に認識して景気の回復を図るというのであれば、なすべきことは、なぜ失業者があふれ雇用が改善しないのか、なぜ個人消費が回復しないのか、その原因を明らかにして的確な対策をとることではありませんか。見解を求めます。
 ところが、新発展政策と補正予算に盛られた政策では、肝心の雇用対策、個人消費拡大策については何一つ具体的な手だてをとらず、依然として景気対策効果のない従来型公共事業のばらまき、そのための財政赤字の拡大であります。これでは景気、財政をともに悪化させ、日本経済のゆがみを一層拡大させることにならざるを得ないのではありませんか。
 以下、具体的に伺います。
 まず、森総理が新発展政策で景気にいま一押しの活力を加えると称して打ち出した政策重点四分野への公共事業です。
 補正予算の社会資本整備費二兆五千億円のうち、一兆七千億円がIT対策、環境対策、高齢化対策、都市基盤整備対策として組まれております。ところが、この中身は表題だけで、実際は、これまで物流効率化と称して進めてきた国際空港、港湾、自動車専用道路などの大型公共事業に聞こえのよい看板をかけかえただけではありませんか。
 関西空港はその典型です。
 今、関西国際空港の増設、二期工事について注目が集まっています。日本共産党は以前から、一兆五千六百億円もの巨額資金が注がれ、有利子債務も八千七十億円に上る二期工事の中止を求めてきました。宮澤大蔵大臣も、このままでは累積赤字がたまるばかりだとして、二期工事の計画の見直しを求めたと伝えられておりますが、大きく狂った需要見通しにより、利子の支払いだけでも毎年四百数十億円の巨額となり、運営主体である関空会社の経営が悪化し、破綻が明白になっています。総務庁の行政監察でさえ、経営をめぐる環境条件にはかなり厳しいものがあると指摘しているではないですか。その上、地盤沈下対策費なども必要となり、現状をリアルに見れば、二期工事を単に延期しても問題は解決しません。国と関係自治体の財政をますます泥沼に引きずり込むことは明らかです。
 大蔵大臣、無謀な関空二期工事は中止すべきではありませんか。
 IT革命関連公共事業に至っては、これまで進めてきた道路、下水道等に光ファイバーをおさめる箱を埋め込む工事を促進するものです。しかし、光ファイバーケーブルの敷設では、日本は九八年度末でアメリカの一・六倍、既に全人口の三分の一、県庁所在地などの都市部では半分以上をカバーしています。ファイバー・ツー・ザ・ホームの名のもとに光ファイバーを敷設しましたが、余りにも料金が高いために、家庭では全くと言っていいほど使われていません。既に世界最高水準にある光ファイバー網が使われていないという問題にメスを入れずに、やみくもに光ファイバーを入れる空間だけつくっても、ITの推進になるどころか、むだな公共事業を新たに追加するだけです。
 総理、看板をかけかえて従来型公共事業を進めようというこそくなやり方はやめるべきではありませんか。
 次に、個人消費、雇用対策です。
 失業率が史上最悪の高水準を続けている中で、勤労者の給与総額は二年連続で減少し、ことしに入ってもふえていません。個人消費の低迷の大きな要因がここにあることは明らかです。
 総理、大企業の収益が改善しているのに雇用も賃金も落ち込んだままなのは、なぜだとお考えですか。答えは一つ、大企業がリストラ競争に走っているからです。大幅な人減らしを強行し、残った労働者にサービス残業の押しつけ、さらには正社員を減らして派遣労働者に切りかえて実質賃金を引き下げるなど、大企業のリストラは目に余るものです。
 ルールなき資本主義とも言われるこの根本問題を放置して、職場から追い出された中高年者への職業訓練に四百二十九億円追加した程度では、何の解決策にもならないではありませんか。政府による失業者への支援、再雇用対策の拡大は当然ですが、同時にこれ以上失業者をふやさない対策が求められています。今こそ政治の責任で大企業の身勝手なリストラに対する規制、労働時間短縮の法制化、違法なサービス残業の根絶に向かうべきです。総理の答弁を求めます。
 年金、医療、介護など社会保障の歯どめなき負担増が国民の将来不安を増大させ、消費を押し下げています。個人消費回復のためにも、医療、介護での負担の軽減を図るべきです。政府の新発展政策にも高齢化社会への対応といった言葉は見られます。しかし、森総理、あなたが進めているのは、その言葉とは逆に、お年寄りからの介護保険の徴収、医療保険改悪によるお年寄りの負担増など、国民を苦しめ個人消費を冷え込ませることばかりではありませんか。このような逆立ちした社会保障政策は直ちにやめるよう強く求めます。
 最後に、財政の立て直しについてであります。
 森総理、あなたは我が国財政の現状をどう認識しているのですか。借金頼みの財政運営がいつまでも続けられると考えているのですか。補正予算の財源として、昨年度の剰余金も今年度に見込まれる税収増分までもつぎ込んだ上、二兆円もの国債増発をするならば、長期金利の上昇を招いて景気の足を引っ張り、ひいては財政をさらに悪化させるおそれがある、それほど我が国財政は危機的状況にあるという認識はないのですか。
 昨年度の剰余金一兆円については、当然、財政法の定めるとおり、少なくとも五千億円を国債の償還財源に充てるべきです。また、残りの五千億円については、公共事業ではなく、有珠山、三宅島、東海水害などの被災者支援、介護、医療の負担軽減、失業者のためのつなぎ就労などに充てるべきです。剰余金をすべて一般会計に繰り入れるやり方は、財政再建の意思が全く欠落していることを示すものと言わざるを得ません。なぜこれができないのか、総理と大蔵大臣の答弁を求めます。
 宮澤大蔵大臣は、財政演説で、財政再建の課題を景気回復後に先送りする旨、表明されました。しかし、政府が財政再建の展望すら示さず先送りしていることが国民の不安を増大させ、消費を冷え込ませていることを直視すべきです。展望を示し、国民に負担をしわ寄せしない財政再建の方向に踏み出すことこそ、景気対策としても重要になっているのではありませんか。
 本当に財政に対する真剣な危機意識があるのなら、財政危機をさらに促進させるような大型補正予算は組めないはずです。宮澤大蔵大臣自身、三月の予算審議に際して、これが最後の積極予算とか秋の大型補正は必要ないと明言していたではありませんか。これは財政再建の重要性を認識してのものではなかったのですか。それがなぜ変わったのか、政治責任にかかわる問題です。明確な答弁を求めます。
 今や、公共事業優先の財政運営が、景気にとっても財政にとっても有害であることは衆目の認めるところとなっています。従来型公共事業を拡大するために国債を増発する補正予算は撤回し、雇用、社会保障など国民生活優先に切りかえるべきです。森総理、それもできず、やる意思もないのであれば、もはや森内閣の存在そのものが景気回復にとっても財政再建にとっても障害物となっていると断ぜざるを得ません。速やかな退陣を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(森喜朗君) 雇用の改善や個人消費回復のため、経済対策において的確な対策をとるべきという御指摘がございました。
 我が国経済は緩やかな改善を続けておりますが、雇用情勢は幾分改善したもののなお厳しく、消費の動向も一進一退の状況にあります。そのため、今回の日本新生のための新発展政策においては、IT革命の推進、環境対応、高齢化対応、都市基盤整備の四分野に重点を置くとともに、生活基盤、防災のための施策や中小企業等金融対策、住宅金融対策等、国民生活に直結した分野を織り込んでおります。特に、雇用対策といたしましては、働く人すべてのIT化対応を目指したITに係る多様な職業能力習得機会の確保、提供などの施策に取り組むことといたしております。
 これらの諸施策によりまして、有効需要が創出され、国民の購買力向上につながるものとともに、雇用の改善にも資するものと考えております。
 従来のばらまきを引き継いだ新発展政策と補正予算では、日本経済のゆがみを一層拡大させるのではないかという御指摘でありました。
 今回の日本新生のための新発展政策は、規制改革などの法制度の整備、二十一世紀の新たな発展基盤の整備など、時代を先取りした経済構造改革を推進する包括的な政策であります。
 また、補正予算におきましては、先ほども申し上げましたように、IT革命の推進、環境対応、高齢化対応、都市基盤整備の重要四分野に社会資本整備の三分の二以上を集中させるとともに、IT基礎技能講習、災害対策、中小企業等金融対策、住宅金融・雇用対策等の必要な措置を織り込んだところであります。
 これらの諸施策を強力に推進することにより、景気を自律的な回復軌道に乗せるとともに、我が国経済を二十一世紀にふさわしい構造に改革するよう取り組んでまいりたいと考えております。
 補正予算の公共事業費の内容についてお尋ねがありました。
 今回の補正予算により追加される公共事業につきましては、二十一世紀の我が国発展基盤の構築に向け、IT革命の推進、都市基盤の整備など、日本新生プランの具体化策を中心としつつ、緊急に必要な生活基盤の充実、防災対策のための施策を重点的に措置したところであります。
 例えば空港、港湾、道路等につきましても、こうした趣旨を踏まえ、IT革命の推進を図るための道路等管理用光ファイバー網収容空間の整備、都市機能の向上を図るための大都市圏拠点空港、中枢・中核港湾の整備、交通渋滞を解消し、地域間の交流、連携の促進に資するバイパス等の整備といった事業を中心とし、事業効果が高いと見込まれるものにつき重点的に予算措置を講じているところでありまして、従来型の公共事業の看板をかえただけといった御批判は当たらないものと考えております。
 光ファイバー網についてのお尋ねがありました。
 五年後には我が国を世界の情報通信の最先端国家に仕上げていくため、超高速インターネットを整備する上で重要なインフラとなる光ファイバー網について、政府目標である二〇〇五年の全国整備に向け、引き続き整備を推進することが必要と考えております。
 また、光ファイバーの効率的な利用が進むよう、今後とも、より低廉な料金の実現や大容量コンテンツの普及発展を図るための環境整備にも積極的に取り組んでまいります。
 大企業の収益が改善している中での雇用や賃金についてのお尋ねでありますが、一般に雇用や賃金の回復は景気の回復におくれる傾向もあり、雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。ただし、このところ雇用者数が前年に比べ増加しており、また、賃金についても夏季賞与が増加に転ずるなど、雇用や賃金についても改善の動きが見られるところであります。
 企業のリストラの規制、労働時間短縮、サービス残業の規制についてのお尋ねがありました。
 リストラに伴う解雇については、裁判例の考え方を踏まえ、労使間で十分に話し合われるべきものであり、一律に規制することは適切でないと考えております。また、労働時間の短縮については、週四十時間労働制の遵守の徹底や長時間残業の抑制、年次有給休暇の取得促進に努め、その短縮を図ってまいります。さらに、サービス残業につきましては、監督指導等を実施し、労働基準法違反の是正に取り組んでまいります。
 国民に負担増を強いる社会保障政策はやめるべきとのお尋ねがありました。
 今回の健康保険法等の改正は、医療保険制度を持続可能な安定的な制度とするための抜本改革の第一歩として行うものであります。高齢者の定率一割負担制の導入に当たっても、高齢者の負担に上限を設けるなど、現行制度とほぼ同水準の負担といたしております。
 また、介護保険制度は、介護の必要な高齢者を支援するとともに、家族の負担を軽減するため、良質な介護サービスの提供を目指すものであり、その保険料負担についても、低所得者の方の負担が過大にならないよう十分配慮しているところであります。
 いずれにせよ、これらの制度においては、国民の負担に支えられつつ、国民が安心して質のよい医療、介護といったサービスや必要な給付が受けられることが重要であることを御理解いただきたいと存じます。
 財政事情の認識及び今回の補正予算における剰余金の処理についてお尋ねがありました。
 我が国の財政事情は、平成十二年度末の国、地方を合わせた長期債務残高が六百四十兆円を超えるなど、極めて厳しい状況にあると認識いたしております。このため、今般提出した補正予算の編成に当たっては、平成十一年度の剰余金について、金融環境の変化や国債をめぐる諸情勢等を総合的に勘案し、国債発行額を極力抑制するとの観点から、臨時異例の措置として財政法の特例を設け、その全額を一般財源に充当することとしたものであります。
 なお、国債の発行に当たっては、今後とも、市場のニーズ、動向等を踏まえ、償還年限別の発行額を適切に設定することなどによって円滑かつ確実な消化を図ってまいります。
 また、医療、介護保険対策などの分野につきましては、今回の補正予算においても高齢化対策、雇用対策等の施策の充実を図ったところでありますが、いずれにせよ、今後の少子高齢化の進行や雇用情勢の変化に的確に対応しつつ、生涯を安心して暮らせる社会を築くため、将来にわたり持続可能で安定的、効率的な制度を構築してまいりたいと考えております。
 財政再建の展望を示すことが景気対策として重要との御指摘がありました。
 我が国の財政は厳しい状況にあり、財政構造改革は必ずなし遂げなければならない課題でありますが、まずは経済を自律的な回復軌道に乗せるため、景気回復に軸足を置いた経済・財政運営を行っていくことといたしております。
 同時に、財政が将来も持続可能な仕組みをつくり上げるための準備を今から始めるとの観点から、財政の透明性の確保を図り、効率化と質的改善を進めながら、我が国の景気回復をより確かなものとし、その上で、財政構造改革については、税制のあり方、社会保障のあり方、さらには中央と地方との関係まで幅広く視野に入れて取り組んでまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初に、関西空港についてお尋ねがございまして、お断りを申し上げますが、実はこれは運輸大臣の御所管の仕事でございますが、たまたま私が先般大阪に公務出張いたしましたときに議論になりましたことが今回のちょっと発端になりましたので、いずれは運輸大臣からの御所見があると思います。
 そのことをお断りいたしまして、私が、大阪でいろいろ話し合いになりましたことは、最近の不況、殊に東南アジアの不況が関係したと思いますが、どうも発着回数が当初の見込みを非常に下回っておって、最近やや改善の兆がありますが、かなり下回っておると。それに、お話もありましたような沈下という問題がまだ片づいていないと。したがって会社として赤字が累積をしていくという、そういう状況で、今回、発着料を引き下げることについて政府の補助を求めてこられたということがありまして、そういう状況の中で既に二期工事が、一兆五千億余りというものが始まる、これからそれをしなければならないということで、そのような大きな工事を本当に利子のつく金でやっていけるものだろうか、先々になって利子が累積して、かつての国鉄のようなことにならないとも限らないという心配を持ちまして、問題提起をいたしたわけでございます。
 先ほどおっしゃいました、そういう状況だから大新聞の社説にあるように、これは、しばらくこの二期工事は休んだらどうだというようなことは私は賛成でございませんで、これだけのナショナルなプロジェクトですから、ほかにしようがなければしようがないが、今考えて何とか工夫することがあるのじゃないかというような気持ちであの問題提起をいたしたわけでございます。
 したがいまして、ただいま現在、その二期工事の将来に向かって、いつ採算がとれるようになるかという試算などを会社もしておられるわけですが、何分にもあっちこっちに新しい飛行場が周辺の国々にもできていくというようなことがございますから、したがって、将来の発着回数の予測というのは非常に難しいのではないかというところまでがただいまの議論の推移でございまして、私は利子のつく金でこういう大きな工事を将来に向かってやるのはやはりなかなか危険が大きいから、お互いに利子のつかない金を使うことを考えたらどうだろうと。それは大阪府ももう交付団体でありますから容易なことではないし、財界といっても苦しいでありましょうが、しかし、そう申す以上、政府もそれは考えなきゃならないことだという気持ちがございますので、そういうことであの問題を提起いたしたということでございます。
 それから、二兆円の国債増発につきまして、おっしゃいますように国の債務の状況でありますから、今回も何とか、特例ではありますが、特例法、法律によって全部の剰余金を使わせていただきたい、それによって発行を少しでも抑えたいと考えたわけであります。
 おっしゃいますように、しかし、今のところ心配はありませんが、国債の消化については、発行年限の調整とか市場の動向とか、いろいろ注意してやらなければならないということはおっしゃいますとおりと思います。
 それから、大型補正を、ことしの三月ごろ、ことしは入り用がないようにしたいということを確かに申し上げました。あのときに、大体今年の末には民需へバトンタッチができるだろうと考えておりまして、現実に企業関係は見事にカムバックしてまいりましたが、今回、それが雇用や消費というものに、家計というものにすぐにどうもつながっていかないような傾向がありまして、統計としては失業率は五%に無論届いておりませんし、有効求人倍率はよくなっておりますので、統計ではいいようになっておりますが、どうも四―六月のQEの中身はちょっと余り元気がないというふうに見えました。
 これはひょっとしますと雇用、消費というようなものが大きな社会構造の構造変化が起こって、もっとスケールの大きいものなのかもしれないということも考えられますが、いずれにしてもそういう状況でありましたから、年度後半の公需の低下等を考えまして、また将来に向かって施策すべきIT等々をこの補正に盛りまして御審議をいただくことになったわけであります。
 財政再建は一日も急ぐ課題でありますけれども、御承知のように従来、年度見込みました税収が年内にとれずに減額補正を何度もやっておるような現状であって、今年初めて見積もり増ができるかということでございますので、この状況がもう少ししっかりした成長になりませんと、税収そのものの見通しができないということでは、気は急いでおりますが、成長のもう少し定着を待たなければならないというのが現状であろうと思います。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(井上裕君) 三重野栄子君。
   〔三重野栄子君登壇、拍手〕
#14
○三重野栄子君 三重野栄子です。
 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、さきに行われた財政演説に対し、森総理大臣並びに宮澤大蔵大臣に質問いたします。
 まず、具体的な質問に先立ち、森内閣の基本姿勢について伺います。
 本年四月、小渕前総理の後を受けて発足した森内閣は、発足当初こそ御祝儀相場で四〇%の支持率を得ましたが、その直後の神の国発言や衆議院総選挙中の無党派層は寝てくれ発言など、国民感情を逆なでする軽率きわまりない発言が相次ぎ、国民の間からは失望と落胆の声が急速に高まりました。
 加えて、その後も、一九九七年、訪朝した際の拉致疑惑者の第三国発見発言の露呈に続き、みずからの置かれた状況もわきまえないスポーツ観戦等々およそ信じられないような軽挙妄動が次々と明らかとなり、森内閣の支持率は政権維持の危険水域と言われる一〇%台にまで急低下しております。その場の雰囲気だけで発言し、深い思慮と冷静な判断に基づく発言や行動が全くできない森総理の救いがたい軽さは、一国の指導者とは到底思われないのであります。
 加えて、内閣のかなめである中川官房長官が右翼団体との交際や警察情報を漏らしていた疑いで辞任に追い込まれたことは、事の重大性にかんがみて、総理の中川官房長官の任命責任は明らかであり、それゆえに森内閣が政権担当の資格に欠けることは言うまでもありません。この上は一刻も早く森内閣が退陣することこそ、地に落ちた政治の信頼回復とともに、景気の回復につながるものと確信するものであります。総理の所見を伺います。
 それでは、補正予算について伺います。
 さて、そもそもなぜ今回補正予算を編成する必要があるのか、政府の説明は納得することができません。昨年四月に景気は底を打ち、その足取りは重いものの、今、景気は回復途上にあると言われています。GDPはこの二期連続のプラス成長となり、景気動向指数は五〇%を十七カ月連続して超え、バブル期に並ぶ長さを記録しております。経済は企業の設備投資が伸びているなど、回復の歩みを続けております。政府においても、経済企画庁が平成十二年度の実質成長率を一・〇%増から一・五%増に上方修正の試算を示しているほか、日本銀行も二%程度の成長見通しを発表しております。
 宮澤大蔵大臣は、さきの通常国会において、本年度当初予算が最後の積極型予算であると明言されるとともに、四月には、森総理と当面の財政運営方針を協議した際、我が国経済は既に回復軌道に乗っており、景気回復のための補正予算は必要はないと述べておりましたが、今回補正予算を編成したところを見ると、これは食言だったのですか。宮澤大蔵大臣、御答弁願います。
 今回の補正予算を編成した本当の理由は、景気対策というよりも、来年に迫った参議院選挙を念頭に置いた、まず大型の補正予算ありきだったのではないですか。
 景気の持ち直しによる税収増が一兆二千億円、昨年度の純剰余金が一兆四千億円あるにもかかわらず、さらに二兆円もの国債が追加発行されようとしておりますが、ムーディーズの格下げがさらに危惧される最悪の状態にあることを考えれば、今こそ貴重な自然増収と剰余金は国債発行の削減にこそ充当すべきであり、ばらまき以外の何物でもない従来型公共事業の追加は全く誤った政策であると言わざるを得ません。
 自由民主党の加藤紘一元幹事長でさえ、過日のテレビの報道番組において補正予算には批判的発言をしており、今回のばらまき予算が財政悪化をさらに助長することを考えれば、今、補正予算を撤回することこそが政府のとるべき措置と思いますが、いかがですか。
 今回の補正予算によって二兆円の国債の追加が予定され、地方債も九千億円の発行が見込まれます。しかし、最近の公共投資の動向を見れば、地方公共団体は財政再建型の財政運営に移行しており、国が期待しているような公共事業の契約、発注は行われず、借金による公共投資の追加は単に財政悪化を招くだけではありませんか。総理のお考えをお伺いします。
 次に、本補正予算が財政法第二十九条に抵触する疑いがあることについてお尋ねします。
 財政法第二十九条は、予算の作成後に生じた事由に基づき補正予算を編成することができると規定しています。財政制度審議会においても、年度当初から予想されるような恒例的な補正要因を残して予算を編成することは適当でないと指摘し、安易な補正予算の編成を戒める答申を出しております。
 しかるに、近年、景気対策に名をかりた大型補正予算編成が常態化しており、これが財政法の精神に反することは明らかであります。特に、今回の補正予算の重点分野と言われるIT革命の飛躍的推進、環境問題への対応、少子高齢化対策、都市基盤整備は、当然当初予算に組み込まれるべきものばかりで、財政法第二十九条の趣旨を逸脱していると考えますが、いかがですか。
 森内閣は、今年六月早々、衆議院選挙目当てに公共事業等予備費五千億円の使用を決め、ばらまき財政を行いましたが、本補正予算によるばらまきもその延長線上にあることは明白であります。その結果、国と地方を合わせた政府債務残高は六百四十兆円を超えてGDPの一・三倍に達し、国の債務だけでも、EU諸国が統一の目標とした国、地方の債務残高の対GDP比六割を大きく超える状況になっています。こうした財政運営をいつまで続け、子孫に負担を残すおつもりですか、伺います。
 このような政府の安易なばらまき財政に加え、低金利政策が続けられている中にあって、昨今、経済に数々のひずみが生じており、その最たるものが不良債権問題です。現在に至るもその処理は遅々として進まず、銀行、証券に加え、最近では生損保の経営破綻が続き、その結果、そごう問題に見られるように国民負担が増大するなど、国民の間には不安が渦巻いています。金融機関を含めた不良債権問題の処理はいつめどがつくのですか。
 また、中小企業金融安定化特別保証制度をめぐっては、旧債振りかえ問題やブローカーによる融資あっせん、政治家による口ききという重大な問題が指摘されております。連立与党、保守党の西川議員秘書が特別保証制度をめぐるあっせん利得によって逮捕されましたが、これは極めてゆゆしきことであり、政府の施策がずさんきわまりないことを如実に示しております。総理の見解を伺います。
 最後に、我が社会民主党・護憲連合は、今なお国民の間にわだかまっている将来への不安を解消するためには、高齢社会の進展を見据えた骨太な施策こそが必要と考えており、今回の補正予算に関しては、駅舎等のオールバリアフリー化、バリアフリー住宅の大幅な整備などを当面の最優先課題とした取り組みを進めることこそが喫緊の課題であると考えていることを申し述べまして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(森喜朗君) 冒頭、森内閣が退陣すべきとの御指摘がありました。
 内閣支持率の変動についてはさまざまな要因があると思いますが、最近の厳しい調査結果につきましては、世論の動きを示す一つの指標として私も謙虚に受けとめております。
 国民の負託を受けて内閣を預かる私といたしましては、臨時国会における国民生活に直結する重要案件等の処理に全力を傾注するとともに、もう一押しというところまで来た景気を本格的な回復軌道に乗せるほか、IT革命への対応、教育改革、そして社会保障改革の実行など、国民が求めている政策を着実に遂行することによって、私の責任を果たしていきたいと考えております。
 今回の補正予算を編成した理由は、景気対策というよりも選挙を念頭に置いたばらまきであり、撤回すべきではないかとの御意見がありました。
 これまでの政府・与党の迅速にして大胆な経済政策によって、我が国経済は緩やかながら改善しております。しかしながら、雇用情勢はいまだ厳しく、消費は一進一退の状況にあるなど、まさに正念場であって、もう一押しが必要な状況にあると考えており、こうした観点から補正予算を編成することとしたものであります。
 このような認識のもと、十二年度補正予算におきましては、IT革命の推進を初めとする日本新生プランの重要四分野を中心に盛り込み、これらの施策により、二十一世紀における我が国経済の新たな発展基盤の確立を目指すとともに、民需中心の自律的回復に向けた動きをより確かなものとしていくこととし、同時に、歳出歳入の見直し、十一年度決算の剰余金の活用などによって国債の追加発行を極力抑制しており、ばらまき予算が財政悪化をさらに助長するという御指摘は当たらないものと考えております。
 今回の補正予算に伴う公共事業等の追加による地方負担につきましては、従来の地方債措置に加え、地方交付税の増額を行うなど、地方公共団体が事業実施を円滑に行えるよう万全の措置を講じております。
 また、十二年度補正予算におきましては、さきに述べたとおり、重要分野に特段の予算配分を図るとともに、国債の追加発行を極力抑制しており、単に財政悪化を招くとの御批判は当たらないものだと考えております。
 財政法二十九条と今般の補正予算との関係についてのお尋ねがありました。
 平成十二年度当初予算は、景気回復に向けて必要な措置を確保するとの観点から編成されたものの、依然として雇用情勢は厳しく、個人消費もおおむね横ばいの状態が続いております。このような状況のもと、景気の自律的回復に向けた動きを本格的回復軌道に確実につなげるとともに、我が国経済の二十一世紀における新たな発展基盤の確立を目指すとの観点から、IT革命の飛躍的推進等重要四分野に重点を置いて今回の補正予算の編成を行ったものでありまして、財政法に反するとの指摘は当たらないと考えております。
 今後の財政運営についてお尋ねがありました。
 我が国の財政事情は、平成十二年度末の国、地方を合わせた長期債務残高が六百四十兆円を超えるなど極めて厳しい状況にあります。
 一方、我が国経済は緩やかな改善が続いており、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが続いているものの、依然として雇用情勢は厳しく、個人消費もおおむね横ばいの状態にあります。
 このような状況のもと、政府といたしましては、景気の自律的回復に向けた動きを本格的回復軌道に確実につなげるとともに、我が国経済の新たな発展基盤の確立を目指すとの観点から、日本新生のための新発展政策を取りまとめ、これを具体化するための平成十二年度補正予算を提出いたしました。
 政府としましては、これらの施策により我が国の景気回復をより確かなものとした上で、税制のあり方、社会保障のあり方、さらに中央と地方との関係まで幅広く視野に入れて財政構造改革に取り組んでまいります。
 金融機関の不良債権処理についてのお尋ねでありますが、不良債権が景気や地価の動向等に応じ随時発生していく中で、各金融機関においては、これまでも、金融当局による検査結果も踏まえ、金融機能早期健全化法の資本増強制度等も活用し、適切な償却、引き当てに努め、着実に不良債権の処理を行ってきているところであります。
 政府といたしましても、不良債権処理が適切に行われていくことは、金融システムの安定及び我が国経済の再生にとって必要不可欠であると考えております。今後とも不良債権の処理が適切に行われていくよう、引き続き最大限の努力を払ってまいります。
 特別保証制度についてお尋ねがありました。
 本制度は、一昨年十月に金融機関の貸し渋りが極めて深刻になり、我が国経済が未曾有の危機に陥った際に臨時異例の措置として導入したものであります。本年十月末までに百四十三万件、二十四兆一千億円と広く中小企業の方々に利用されており、この制度の効果もあって、我が国経済はデフレスパイラルに陥ることを回避できたことから、国民経済的な効果は大きかったと認識をいたしております。
 本制度の利用をめぐって逮捕者が出たことは極めて遺憾であり、私としても今後の捜査の進捗を見守りたいと考えておりますが、保証の申し込みに際しては、いわゆる金融あっせん屋等の第三者が介在する場合には保証を断ることといたしておりまして、制度がずさんであるとの御指摘は当たらないものと考えます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(宮澤喜一君) ことしの春に予算委員会等におきまして、ことしの秋には従来のような大きな補正予算は組まないで済むのではないかということを確かに申し上げました。
 私どもは、大体年内に経済の成長がいわゆる公需から民需にバトンタッチができるだろうという予測を当時持っておりまして、実際に民需のうち、企業関係、設備投資関係は今日まで極めて順調に、予想以上ぐらいに盛り上がってまいっておると思います。
 従来ですと、それが不況回復のときに雇用、家計につながっていくわけですが、この間四―六のQEが出ましたが、統計的には失業率は五%を割っておりますし、有効求人倍率もだんだんよくなっておるわけでございますから、QEも姿としては決して悪くないのですけれども、どうもその雇用、家計というところにもう一つ元気がない。
 あるいは、このたびの経済の変革というのは非常に大きな経済社会の構造変化につながっておるのかもしれないというようなふうにも思われておりますが、いずれにしても、二つの経済を支える民需の、民間活動のうち、片っ方はいいが片っ方はまだちょっと心配があるということでございましたから、やはりここは補正をしておかないといけないだろう。殊に、年度後半の公需が、来年の一、二月、三月ごろの公需が落ちるかもしれないということもあって、せっかくのバトンタッチを足を引っ張るといけませんということ。それから、御承知のようにこれから日本がどうしても直面しなきゃならないITであるとか、そういう幾つかの問題についての備えもこの際しておきたい。両方のことからこの補正をさせていただくことになりました。
 もちろん、従来に比べますと規模としては小さいものでございますが、やはりここはちょっと手を抜かない方がいいという気持ち、しかし同時に財源としても、とにかく半分は税収、剰余金等々で賄いまして、それでも二兆円近い公債になったのは残念でございますけれども、そういうことで、大体民需の高揚に従いまして、官側の予算を通ずる刺激策というものは、調子を合わせつつ少しずつトーンダウンしていくことができる、そういう状況であるというふうに考えておるわけでございます。(拍手)
#17
○議長(井上裕君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#18
○議長(井上裕君) この際、日程に追加して、
 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長岡崎トミ子君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔岡崎トミ子君登壇、拍手〕
#20
○岡崎トミ子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、本年八月の給与についての人事院勧告を完全実施するため、一般職の国家公務員の扶養手当、期末手当、勤勉手当及び期末特別手当の額の改定を行う等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度の意義、二年連続のマイナス勧告が公務員の士気に与える影響、公務員制度改革に対する政府の基本姿勢等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党の吉川委員より反対の旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し二項目から成る附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#21
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#22
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#23
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十九  
  賛成            百九十七  
  反対             二十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#24
○議長(井上裕君) この際、日程に追加して、
 国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(井上裕君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長西田吉宏君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔西田吉宏君登壇、拍手〕
#26
○西田吉宏君 ただいま議題となりました国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、衆議院議院運営委員長提出によるものでありまして、一般職の国家公務員の例に準じて国会議員の秘書の勤勉手当の支給割合を引き下げようとするものであります。
 委員会におきましては、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#27
○議長(井上裕君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#28
○議長(井上裕君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#29
○議長(井上裕君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十九  
  賛成            百九十七  
  反対             二十二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#30
○議長(井上裕君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十分散会
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ソース: 国立国会図書館
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