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1950/12/05 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 厚生委員会 第3号
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1950/12/05 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 厚生委員会 第3号

#1
第009回国会 厚生委員会 第3号
昭和二十五年十二月五日(火曜日)
   午前十時五十二分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員森田豊壽君辞任につきその補
欠として長島銀藏君を議長において指
名した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○社会保障制度に関する調査の件
 (医療関係従事者の給与に関する
 件)
○毒物及び劇物取締法案(内閣提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(山下義信君) これより委員会を開会いたします。
 日程に入るに先立ちまして、医療関係職員の給与改善に関しまする松原委員の緊急質問がございますから、これを許可いたします。
#3
○松原一彦君 厚生大臣に伺いますが、今回一般職の給与に関する法律の一部が改正せられまして、かねて待望の給与増額ができるようになりましたことは、内容においては極めて不満ではありますけれども、いささか明るい喜びを持つものであります。併し厚生大臣御所管の癩、結核、精神病関係職員の調整号俸が非常に削減せられておる。このことにつきましてはかねて閣議でもあつたことでありますが、厚生大臣はどういう御所見をお持ちになつて、かような処置をおとりになつたのでありましようか。一つ詳細に承わりたいのでございます。
#4
○国務大臣(黒川武雄君) 癩並びに結核に関係しております医師、歯科医師、看護婦等に対する調整号俸の率を引下げるということにつきましては、これは一般にこのたび給与の引上げがありますので、予算措置上、財政上そういうふうになつたのでありますけれども、これは当然特別に報酬を支給するのが当り前でございますので、極力努力いたしておりますが、幸いに衆議院の原生委員会に大蔵省の主計局長が出席いたしまして一先ず予算の関係上これで通してくれ、併しながら職階制の決定が今月中にできるのであつて、そのときに考慮いたしたい。こういうことを言明いたしております。なお閣議におきましても今日そういう特別な方方に対する報酬については然るべく善処するということの了解を得ております。
#5
○松原一彦君 一応善後措置をおとりになる御計画があるということは承わりましたが、これは重大な問題でございまして、厚生委員会としては強く要望いたしたいのでございます。念のために申上げますと、癩、結核、精神病関係職員等、病毒感染の虞れのある患者の診療検査、並びに有毒、嫌悪の業務に従事する職員に対しましては、特別の給与を支給すべきことが昭和二十一年以来問題になつております。同二十三年二月には一松厚生大臣から諮問があり、国立病院国立療養所職員特殊勤務手当委員会からの答申が同年三月十五日に出ております。又御承知のように、同年春の全国立病院労働組合争議の調停に当りました中央労働委員会長末弘巖太郎氏からも建議書がこの委員会に出ております。いずれも特殊手当制度を確立するように勧告して参つたものでありまして、癩の方面では医師、看護婦、技師等には一〇〇%、結核、精神病等には医師二五%、看護婦三〇%であることに一致いたしておるのであります。その結果として二十三年の政令第四百一号による俸給の調整が行われることになり、同二十四年の五月政令第百九十号によつて最高一八%、癩の看護婦が一八%乃至六%の調整号俸の加給が実現いたしたのであります。併しこれは勧告の線を去ること余りにも甚だしいものでありまして、実に期待に背くものであります。然るにもかかわらず今回は最高の癩看護婦が一八%から一三%に切下げられ、最低は僅かに二%というものになつたのは一体我々にはどうしても了解ができないのであります。どこからこういうことが出て来たのか私どもは疑います。御承知のように国策として癩、結核の撲滅が強調せられておりまする今日であります。而も医師、看護婦等の目に見えぬ献身的な努力によつて、近年著しくこの種の患者が減少している。戰後の不備荒廃した設備の中で、病毒に感染して斃れる者、又はこの中から逃げ出す者、さような職員の多い中にあつて駄々として働いておる職員の功労は、まさに戰時の特攻隊にも等しい殊勳者として感謝を捧げておるものであります。かような人々に対しては勧告の線に近くすべきが当然であつて、今回のごとく調整号俸を切下げるなどというこの逆戻りのあるべきはずはないと思うのであります。私は詳しいことは申しませんが、厚生大臣は今日のこの国策を推進する上からも、その御職責の上からもどうか万全の策をおとり戴きまして、職を賭してもこれは一つもつと優遇の途の開かれまするように御努力を願いたい。そうして必ず実現して、より以上によい実績を挙げますようにお骨折りを願いたいことを、私は申述べまして私の質問を終ります。
#6
○国務大臣(黒川武雄君) 只今の松原委員の御言葉は、一々御尤もでありまして、私自身としても非常に嬉しく、有難く感ずるのであります。お言葉の通りできるだけの努力をいたすことを皆様にお誓いいたします。
#7
○委員長(山下義信君) いろいろ松原委員の質疑応答に関連して、委員長から伺うのでありますが、先ほど大臣の御答弁に今調整号俸の切下げの案が出ておる。併しながら政府は号俸の改正をして、そして給与の改善をこれらの者には図るので、決して実質的な待遇の切下げはしないのであるからという御答弁があつたのです。この号俸の改正は大蔵省でされるのでありましようか。それを伺いたい。人事院との関係はどうでありましようか。その点を確かめて置きたいと思います。これが一点。それから今の号俸の切下げを提案されておりまするその政府案が、国会で成立をするということになりますれば、もとより実施されるのであるが、号俸の改正というのはいつ行われますか、同時になさいますか。若し号俸の改正が行われるということになりますれば、その間の時間的ズレと言いますか、その間は当然給与の切下げに、待遇の改悪になるのでありますが、その埋め合せはどうなさいますか。その点を伺いたいと思います。
#8
○国務大臣(黒川武雄君) 号俸の改正等につきましては人事院並びに大蔵省の関係であると存じます。なお号俸の改正は一月以後に行われると同時に、又職階制の改正も今月中に決定するということを承わつております。
#9
○藤原道子君 私は只今時間もございませんし、松原さんから御質問がございましたので、その点は重複を避けますけれども、どうも騒ぎ出せば考える。騒がなければそのまま頬被りをして行くという今の政府のやり方に絶対に承服できない。この間の予備隊員の問題でもそうだと思うのです。ああいうむごい首切りをして、そうして本部へ交渉しても、本部は仕方がないと言つておる。病院へ行けば、病院では見てやりたいから本部の指令が欲しいと言つたら、それも本部は断つておる。けれども多くの人が騒ぎ出したから、又国会の問題にならんとしたから大あわてにあわててああいう措置をした。今度の問題もそうだと思う。当然この問題でいろいろの委員会、労働委員会等によつて勧告が出て、一〇〇%のものを、たつた一五%、或いは一八%しか行なつていない。従つて今看護婦さんやお医者さんが足りなくて、今の医療行政は危機に瀕している。そのことが当然わかり切つておりながら、こういう一律なことをおやりになる。ここに働く人たちが騒がなかつたら恐らく政府は頬被りして行つたと思う。これでは私たちが今の日本の医療行政に対して不安で不安でたまらない。治安が乱れるというけれども、治安を乱すようなことは一体誰がやつているのかということをよくお考え頂きまして、特に厚生大臣が、この弱い立場にある人人を守つて、戰つてくれておるこれらの人の身分の保障に対しては、もつと強くやつて頂きたいということを私は申上げたいのでございます。時間がございませんので……、いつでも弱い者は泣寢入りなんです。これが日本の民主主義を危うくしておる根本であるということをどうぞお考えになつて頂きたい。
#10
○河崎ナツ君 今松原委員の御提案になりましたことは至極同感でございまして、厚生大臣のお言葉にも、そのことにつきましては号俸改正の場合にも、職階制の決定の場合にも善処下さいますことを伺つて、私は非常に安心いたしましたのでございますが、その善処下さいますときの心がまえとして、ひとことお願い申上げたいと思うものでございます。と申しますのは、私どもこの医療施設につきまして表を見せて頂きましたときに、殊にこの癩、結核、精神病、この三つの方面に働いておりまする方々、殊に癩は人里離れました高い所だの、今日なんかですと寒い所、草津なんかのようなあの寒い所に、あの方々が二千人の人たちのため一生懸命に働いておる姿が見えて参りますが、或いは又島の一角でありますとか、或いは人たちの生活から離れたところに、いわば今日の社会生活から離れておる、ああいう生活というものは、社会生活の中におりますものは想像することもつい忘れ勝ちでございますけれども、そういう中で奮闘しております、癩の方々をお世話下さいます方々、及び結核の療養所も随分今日は離れた辺鄙な所にそれぞれございます。そういうふうなところで先ず若い人たちが、今日の皆の若い人たちの生活から離れて、不便な生活をしておつて、而もあえてその使命を感じて職務に挺身しておるという、而も若い身空で、これは机の上で考えましたり、また町のお部屋の中で考えますとつい忘れ勝ちでございますが、こういう特殊な立場のところへ毎日の生活を、而も若い日の生活を挺身しておる。こういう人たちに対して、何としても十分に考えて上げなければいかんということはもう御存じのことでございます。どうか事に当りますときに、そういう人たちの生活を心にお考え下さいまして、そうして人道主義の立場から民主主義の立場から、その人たちの生活に対して何とか熱意をお持ち下さいますようにあえてお願い申上げまして、善処にお当り下さいますように申上げたいと思うのでございます。
#11
○深川タマヱ君 癩とか結核とか精神病関係の職員の方々は、戰争中の特攻隊にも比すべき危険を冒して奉仕事業をされていらつしやる方々でございますので、このたび一般職から優遇されるときには優先的に取扱われなければならないはずのものを、却つて犠牲の地位に置かれたということにつきまして、厚生大臣の御説明は予算上、財政上止むを得なかつたとおつしやいましたけれども、厚生大臣がその理由によつて御承服なさつたことは誠に遺憾に存じます。
   〔「その通り」と呼ぶ者あり〕
更に当然特別の方法によつて報酬は支払われると言われますが、これは一体法的には如何なる根拠に基くのか、これが私には釋然といたさないのでお尋ねいたしますのが一つと、それから一月以後におきまして当然職階制の改正が行われるので、そのとき吟味すると言われましたが、一体吟味は飽くまで吟味でございまして、これは人事院で制定いたしますので、必ずその職階制のときに立派に取扱つて頂けるかどうか誠に不確実でございます。然らば最後の締括りといたしましてこの方々が一体どれだけ優遇して頂けるかどうか。確実なところを一つ聞かして頂きたいのでございます。
#12
○国務大臣(黒川武雄君) この号俸調整の現実は、先ほど申上げました通り一月一日からの予定でありますが、職階制の改正は今月中にできる予定になつておりますから、この点で矛盾がないと思います。また細かい点は人事課長からお答えいたします。
#13
○委員長(山下義信君) どういうふうに待遇を確保してくれるかという確証を得たいという質問でありましたので、どうか……。
#14
○国務大臣(黒川武雄君) 職階制の改正によりまして、従來の特別給与と同等の收入のあるようになるということでございます。
#15
○松原一彦君 この際、厚生委員会全員の御同意を得たいと思うのでありますが、この問題は給与に関します限り人事院がこれをば立案いたすのであります。従つて人事委員会のほうに申入れをいたしたいと思います。それにつきましてはこの委員会で一つの決議をいたしまして、その決議を以て人事委員会に申入れをいたしたい。そうして人事委員会のほうを動かして私どもは成果に関する確保をいたして置きたいと思うのでありますが、如何でございましようか。委員長からお諮りを願いたいと思います。
#16
○委員長(山下義信君) 只今の松原委員からのお聞きのような動議が提出されたのでありますが、松原委員の動議のように決定して御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めます。
 つきましてはその申入れの案文は、松原委員で御用意がございますれば御発表願いたいと思います。
#18
○松原一彦君 案文がございますから讀上げます。
    二十五年十二月五日
        参議院厚生委員会
  参議院人事委員会御中
   癩・結核・精神病関係職員の調整号俸についての申入
 本委員会は「一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案」が、わが国の癩・結核・精神病対策に及ぼす影響を愼重に審議の上、満に場一致で次の事項を決議し、貴委員会に申入れる。
   記
 一、癩・結核・精神病関係職員のその特殊性に対する調整号俸は、現行の「本俸に対する比率」を決して切下げないこと。
 理由。
 わが国の癩・結核・精神病対策を確立するためには、その特殊性に対して充分な保障報酬が行われなければならない。
 それは獺・結核・精神病院療養所の歴史と現状が具体的にこれを証明している。
 本委員会もこれらの対策に鋭意努力してきたのであるが、わけてこの癩・結核・精神病関係職員の特殊勤務手当については昭和二十三年十月八日、中央労働委員会会長末弘巖太郎氏より本委員会に「建議書」もきている(別紙)
 更に厚生省においても昭和二十三年二月二十日厚生大臣より「国立病院国立療養所職員特殊勤務手当委員会」に諮問し同年三月十五日、その委員会は別紙のとおり答申している。
 このように数年にわたる各方面の要望と檢討、努力の結果ようやくにして昭和二十四年五月三十一日政令第一九〇号により現在の調整号俸が支給されるにいたつたのである。このような理由と経過をもつこの調整号俸が突然提出法案のとおり切下げられて生ずる影響は非常に重大である。
 これが理由でございまして、別紙に末弘中央労働委員会会長から本委員会に提出せられました建議書と、特殊勤務手当委員会からの諮問に対する答申とを添えて、これを人事委員会に送りたいと思うのでございます。御賛成を願います。
#19
○委員長(山下義信君) 只今の松原委員の御提案に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めます。つきましてはこの申入は委員長において適宜取計らうことにいたします。
  ―――――――――――――
#21
○委員長(山下義信君) 續いて日程に入ります。毒物及び劇物取締法案を議題に供します。なおこの際、政府に伺いたいことがあるのでありますが、政府は最近覚醒剤関係の生産について次官名を以ちまして、製剤の生産を中止するよう製造業者に勧告を発しておるようでありますが、これはどういう趣旨の行政措置をなされたのでありますか。その次官名を以て生産業者に勧告をしたというこの勧告という性質、並びにその目的、どういう趣旨のものであるか、この際御説明願いたいと思います。
#22
○政府委員(慶松一郎君) 本件につきましてはいささか歴史的に御説明をいたしませんと、趣旨が徹底いたさないと存じますので、多少歴史的に御説明申上げたいと存じます。即ち覚醒剤、例を以て申しますと、市販名ヒロポン等を以て呼ばれておりますものが医療上に使われます以外に、いろいろ使われまして、それによりまして青少年等を毒します点が極めて多いのでございます。それに鑑みまして、厚生省といたしましては屡次、通牒その他によつてこの販売、或いは製造につきましての自粛等についての要望を製造業者、或いは販売業者等にいたしておるのでありまするが、その経緯をいささか申述べたいと存じます。先ず本件につきましては昭和二十四年あたりから特に問題になりましたので、同年の三月に従来普通薬でございました錠剤、この種製剤の錠剤を劇薬に指定いたしました。従いましてその後劇性についての一般の注意を得ますと共に、その販売につきましても、或る種の制限を設けることができるようになつたのでございます。なお同年の五月に至りましてこれら錠剤、或いは粉末を、従来国民医薬品集なる公定書に載つておりましたものを削除いたしたのでございます。と申しますわけは、医薬品の製造業者が登録を得ましたならば、これらの公定書に載つております薬については、自然発生的に製造ができるのであります。併しながら公定書に載つておりません薬につきましては一々厚生大臣の許可を必要といたすのであります。従いましてこれら粉末、或いは錠剤を公定書から削除いたしましたことによりまして、これらのものは改めて厚生大臣の許可を要するに至つたのでございますが、今日におきましては、粉末、或いは錠剤につきましては一切許可を与えておりません。従いまして今日問題になつておりますこれらの製剤は注射薬に関してのみでございます。次いで昭和二十四年十月の末に、次官通牒を以ちまして、製造業者に、自粛的に製造の中止を勧奨したのでございます。これは本年でございません、昨年の十月末にいたしたのでございます。その理由は、当時におきまして、すでに医療上必要な量よりも遥かに多数の量のこの種製剤が市場に存在するということが、我々の調査によりましてわかりましたので、従いまして当時その数量を自発的に中止してもらいましても、医療上にこと欠かないということを我々は承知いたしたからでございます。そうして同年の十一月から二にかけまして、都道府県の薬局、或いは医薬品の販売業者が、病院或いは診療所に販売いたしました数量を調査いたしたのでございますが、それは即ちどれくらいの量のこの種製剤が、医療上必要であるかということの調査でございました。その調査によりますと、当時月平均約七千リツトルの注射薬が作られておりましたのに対して、千百リツトルぐらいが診療所、或いは病院等に売られたということがわかつたのでございます。当時までは、この種製剤を販売いたしますことは、これは要求がございますれば薬局その他において、一般人に販売することができるような仕組になつておつたのでございますが、昭和二十五年二月に至りまして、これを薬事法の第四十一條七号の医薬品に指定したのでございます。即ちこの種の製剤は医者の指示、或いは処方箋によらなければ販売ができないということにいたしたのでございます。そうしてその前年において、厚生次官名を以て自粛的な通知方の依頼をいたしておつたのでありますが、大体私どものほうでは医療上必要な数量がわかりましたので、従いまして医療上必要な数量というものの見当は只今申上げましたように、薬品販売業者が病院或いは診療所に売りました量、即ち月千百リツトルをそれと見ればよいのでございますが、併しそれではなお且つ数量が多いと考えまして、その三分の一ぐらいを一ヶ月の必要量といたしまして、これを大体製造したらよかろうということを製造業者に指示したのでございます。併しながら更に当時の調査によりまして相当なストツクが市場に存在することがわかりましたので、従いまして本年の四月から六日の間におきましては、これらの製造業者に対しましての割当は一切いたしませんで、ただストツクを以てこれを賄えということにいたした次第でございます。一方本年の七月に至りまして薬事法の第四十九條に基きまして、厚生大臣名を以ちまして製造の数量の報告、或いは販売数量の報告或いは販売先の報告、これを旬報を以て提出することを製造業者或いは販売業者に要求いたしたのでございます。従いましてその後それらの業者からはすべて旬報を以て報告があるのでございます。そうして本年の七月乃至九月、我々のほうでは第二四半期と呼んでおりますが、第二四半期におきましては、昨年に調査いたしました一ヶ月の必要量の五分の一くらいを以て医療上の必要量であるという、これは腰だめでございますが、三ヵ月で七百リツトルなるものを製造業者に割当てたのでありまして、即ちその量は昨年一ヵ月に作つておりました量の三十分の一くらいでございました。ところがその間におきまして、私どもは国警或いは檢察方面と連絡いたしまして、一体実際においてどのくらいの量が作られており、又実際においてどのくらいのものが販売されておるかということを調査いたしますと共に、一方我々のほうからも各工場等に人を派遣いたしまして調査いたしました結果によりますと、先ず今日一ヶ月に作られております量は二千乃至三千リツトルである。即ち昨年の一ヵ月の量に比べまして三分の一乃至二分の一ではございまするけれども、なお且つ我々が考えます必要量の十倍以上のものが、今日作られておるということが判明いたしたのでございます。即ちこれは一面におきまして、製造業者が私どものほうにいたしまする報告を僞つておるということが言えるのでございまして、その点誠に遺憾に存ずるのであります。これに関しましては、国警或いは自治警察等も協力いたしてくれておりまして、目下実際の数量の調査を判然とせしむる途中にあるわけでございます。従いまして私どもといたしまして、最近次官通牒を以ちましてこの十二月一日から自発的に製造の中止をして欲しいということを嚴重に勧告いたしました理由は、今日作られております量が、実際に製造を必要とするだけの量よりも遥かに上廻つておるということ、又従いまして市販或いは販売店等にございます量が、非常に必要量よりたくさんあるということを知つたからでございます。但し一面におきましてこの措置は勿論法的な根拠はございませんので、飽くまでこれは厚生省の要求或いは勧奨でございまして、行政的な措置としてとられたものであることは間違いございません。で、この関係につきましては、実際上若しもこれが医師の指示よにる方面にのみ売られますならば、この点比較的簡單に解決する次第でございますし、又業者が、実際医療上必要な量だけを作つておりますならば問題は簡單でございます。併しながら全国にあります薬局の数一万何千、又製造業者は、これは実際上登録を受けております、許可を受けておりますのが二十軒くらいでございますが、実際製造いたしておりますものは十軒ぐらいでございますので、業者をその点で我々のほうで監督いたしますことはそう困難ではございません。併しながら現在量的な制限等を行います法的な措置はとり得ません。従いましてただ單に自粛を促す、話合いで以てこれを解決する。即ち紳士的協定による以外にございません。従いまして紳士的協定が破られますことにつきましては、なかなかこれを防ぐ処置がございません。一方販売業者は一万数千もございます。又これを要求いたしますいわゆる犯罪にもたらしますような青少年等は、薬局等を脅迫いたしまして、これを得るということをいたしますので、浜の真砂のごときもの、薬事法第四十一條七号を守るか守らないかということにつきまして取締るということが極めて困難であるという点に鑑みまして、一番元を押えることが肝心であるという意味で、一時の行政的な措置といたしまして紳士協定を、すでに我々は業者と今年の三月に医療上必要な量を作る、而もそれを我々と話合いで作るという話合いを一遍いたしましたにかかわりませず、その量が上廻つておるという点から、当分の間製造の中止をいたしまして、更に医療上必要な数量のストツク等を十分調べまして、適当な量を適当な時期と認められますときに至りまして製造を開始せしめる、こういうような所存なのでございます。
#23
○井上なつゑ君 只今の薬務局長の御説明で製造を押えましたことは非常によくわかりましたのでございますが、すでに市場にこのお薬の非常に過剩を來たしておりますことが御説明にございましたが、この一万何千軒かの販売者を脅迫するということがございますというお話がございましたけれども、これは何とか店のほうの物を、医療用だけにして置かないと、御承知のようになかなか医薬分業の域に入つておりませんから、お医者さんの名前でヒロポンを買いに來る人はないと思うのでございますが、今日一万何千軒の中にありますヒロポンを、何とか一時押えて置く考えはないのでございましようか。そういうお考えをしておられないのでございましようか。
#24
○政府委員(慶松一郎君) これにつきましては、たびたび地方庁に私どものほうから通牒を出しております。又実際取締つておるのでございます。その数字等もございますが、実は私今ちよつと詳しい数字は覚えておりませんが、併し業者が医師の処方箋、或いは指示によらずしてこれを売りますことにつきましては、時々薬事監視員をして取締をさせております。又それによりましてすでに薬剤師の免状を一時停止いたしましたような事例もある次第でございます。これにつきましてはできるだけの努力をいたしておる次第でございます。
#25
○委員長(山下義信君) 局長の御説明で経過はよくわかつたのですが、従來もこの製造の自粛をしばしばおつしやつて、なかなかそれが実行できない。最近はこれについての著しい何といいますか、問題が起きておるということが新聞紙上を賑かしておつたのでございますが、恐らく今回十二月一日付の次官通牒で嚴量な勧告、こういうことをなさつても、果して効果があるか。所期の効果を收め、業者が自粛的にやるというお見込があるかどうか、極めてこれは疑わしいのではないかと思います。強いてそういう御答弁は求めませんが、ただ一片のこういう勧告に製造業者がすぐに服するということになれば極めて簡單で、すでにもうとつくに先ほどの御説明にあるように問題は解決しておるのでありますが、なかなか行われぬという実情、更に如何ほど嚴重な勧告を何回政府がされましても、恐らく所期の目的は達せられないのではないかと思う。この覚醒剤関係の問題につきましてはすでに世論も非常にやかましくなりまして、そうして取締方面では法的根拠のないためにどうすることもできんというような状態で、青少年の間のこの問題につきましても、不良化の問題についても識者が非常に憂慮している。結局は何と言つても厚生省がこのことに関しては鍵を握つているのですから、これだけ各方面で問題になつております覚醒剤関係につきましての行政上の根本方針をどう考えておられるか。若し事態が所期のように行政上の措置だけでできかねるというようなときには、何らかの根本的な対策をお立てにならなければいけないのではないかというふうに考えられるのでありますが、この点厚生大臣はどうお考えになりますでしようか。
#26
○国務大臣(黒川武雄君) 法的に製造を禁止するとか、そういう権限を厚生大臣に与えてもらうような措置を将来講じたいと、こう考えております。
#27
○委員長(山下義信君) ほかにこの問題についての御質疑はございませんですか。御意見ございませんか。
#28
○深川タマヱ君 この法律ができますと、どうやら毒物を売るほう、及びその毒物の流れ出る経路で取締ることが大分よくできるようになりますけれども、買うほうの人の制限がはつきりいたしません。それに対しまして購入希望者がありましたときは警察で証明書でも一々とつて使わせるというような規則にこれはなるものですか。
#29
○政府委員(慶松一郎君) 何か、この問題じやなくて、今のは毒物、劇物のお話でございますか。それとも……。
#30
○深川タマヱ君 毒物、劇物の問題です。
#31
○政府委員(慶松一郎君) 深川委員のお話でございますが、今の覚醒剤の問題は今回我々が提出いたしております毒物及び劇物取締法案の問題とはこれは別でございまして、毒物、劇物の問題はこれは薬として医療用に使われます毒物、劇物の関係の問題でございまして、只今問題になつております覚醒剤の問題はこれは薬事法の関係でございまして、別の問題でございます。
#32
○深川タマヱ君 ああ、そうですか。
#33
○委員長(山下義信君) 関連して私が問題を提起します。深川委員の質問に対して、使用者の制限について何か名案があるかどうか。
#34
○政府委員(慶松一郎君) これは販売若しくは使用に際しまして医者の証明、医者の指示或いは医者の処方箋によらなければ与えることはできんことになつております。従いまして青少年等が薬局等を脅迫いたしまして、乃至は薬局側が金を儲ける所存で以て医者の証明、指示或いは処方箋なしで売りました際には、これは当然薬事法によつて罰せられるのでございまして、従いましてこれを買うほうの人間は医者の処方箋というようなものを持つて行かなければ買うことができないのでございます。
#35
○河崎ナツ君 只今ヒロポンの問題につきまして厚生大臣がそのことを決定的に、法的根拠にしたいという、そのことのちよつとお言葉がありましたが、このように努めるというのですか。そのことを是非法的根拠をお持ち下さるように努力下さつて、適当な方法を一つお作り下さいますように努力をお願いしたいと思います。これの被害につきましては、今青少年なんかの不良の方々の例が大分犯罪の立場から出ているのですが、そのうちでこの学生なんかもかなり多うございまして、而もだんだんそういうような者にも及んで参りまして、母の会やPTAのかたが私どものほうにもこの問題について何とか一つ厚生省に話をしてくれろという要求が多いのでございます。これをこのままにして置きますと、きつと又母の会やPTAが取上げる問題になつて来ると思いますから、その強い要求をまだ表に現わしておりませんけれども、それを心にお入れ下さいまして早急にこの問題につきましてお考え下さいますように特にお願い申上げたいと思います。
#36
○藤森眞治君 今のにちよつと関連してお伺いいたしますが、この覚醒剤が医者の指示或いは処方箋によつてやらねばならぬということになつておりますが、実際問題を見ますると、そういうことが非常に少い。とにかく市場にいろいろな機会に売られている。そうすると今のお話の通りに罰則がこれに伴うのですけれども、これも処罰された例が非常に少いのではないか。つまり法律はできているけれども、法律が十分に活用されておらないから、こういう現象が起きているのではないかと思われる点が大分あるように感じますので、そういう点に関してどのくらいに違反の例、実際に処罰された例が出ておりますか。若しありましたらそういうふうな資料を出して頂ければ非常に結構だと存じますが……。
#37
○政府委員(慶松一郎君) 只今まで私の手許のほうに参つておりますのは、本年の一月から十月三十一日まででございまして、各府県におきまして処罰をいたしましたのは、七十九件でございまして、その中には薬局を停止いたしましたのが四十何件ございます。勿論これはそのとき表面に現われましてつかまつたのでございます。今日までの例といたしまして、私どものほうで判然といたしておりますのは約八十件でございます。
#38
○藤森眞治君 これは業事法違反の率がこれだけというので、こういう覚醒剤その他の違反じやないのでございましようね。
#39
○政府委員(慶松一郎君) 覚醒剤の違反でございます。
#40
○委員長(山下義信君) 資料の整理したものがありますれば御提出願いたいと思います。……それでは、毒物及び劇物取締法案の内容を御審議願いたいと存じますが……。
#41
○井上なつゑ君 その審議の前に薬務局長にちよつとストレプトマイシンのことをお聞きしたいのでございますけれども……。
#42
○委員長(山下義信君) よろしうございます。
#43
○井上なつゑ君 ストレプトマイシンは結核対策の一つの大きなお薬として取上げられて、薬務局で六億円以上の予算をとつて、御製造になつて頂いてしおるのでありますけれども、この頃あうらこちらの患者の申しますのに、どちもストレプトマイシンの患者への割当が非常に不円滑というのでございましようか。それとも使い過ぎるというのでございましようか。患者が闇で買つて欲しいというのがたくさんあるように聞いております。現在東京の療養所の患者も闇で買つてくればお医者さんがそれを使つて上げる。それから又大阪の病院には、ストレプトマイシンは大阪市の関係の人に割当てられて、一般の患者には割当てられておらない。あなたたちが欲しかつたら闇で買つていらつしやい、そうすれば注射して上げますというような病院が大分あつたそうでございます。それから又質的にも、ストレプトマイシンがその患者の治療上にきかないで、患者の慰安申しますか、安心させるためにストレプトマイシンを使うのか、それとも本当に治療に適しているか、病院に入院している患者にさえそれがわからないのであります。病院に入院していれば相当の闇のストレプトマイシンを買わなければならない。一体これはどういうようなストレプトマイシンの循環状況になつているのでしようか。この間の御説明でも、輸入もたくさん入つて来る、それから内地製造もたくさんある。そうしてそこでプール計算をして安く患者に使わせるとおつしやいましたが、これは不合理な、適正でない患者が使うのか。その点がわからないの零ありますが、薬務局といたしましてこの問題をどういうようにお考えになつているか。どういうように割当てられておられるのか。その具体的なことを少し知りたいのでございます。
#44
○政府委員(慶松一郎君) ストレプトマイシンは、国産につきましては、当初考えておりましたよりは多少遅れておりますが、併し今日まですでに、ちよつと私今ここに細かい数字がございませんですが、たしか六万本以上のものがすでにできて、それは全部国家で買上げておると存じております。なお輸入に関しましては、実は只今おつしやいましたようなことは、一時国産ができませんで、そして輸入がちよつと跡絶えたことがあるのでございます。その期間のズレだと私は考えるのでございまして、たしか七月でございましたか、数百キロのものが入つて来たのでございます。約五百キロのものが入つて来たのでございますけれども、それは従来は小瓶に入つて参りましたので、すぐ使うことができたのでございますが、八月から入つて来ましたものは大入で入つて参りました。それは値段が安いことと、比較的すぐ向うから持つて来ることができるという意味から大入で参りましたのですが、大入も参りましたものを、これを更に一グラムずつ小さな瓶に分けるわけでございます。分けて、それから更にそれを檢定をいたしまして、そうして市場に出すということでございまして、そのことが私どもの考えでは九月早々に実は出せると思つておりましたが、初めての経験でございましたことと、小分けをするために非常に設備が要るのでございます。その設備等をいたしますために遅れまして、十月に入りましてから、或いは十月の半ば過ぎになりまして、やつと配給することができるようになつたのでございます。従いましてその数量は、従来の量と桁違いでございまして、その意味において今日では多少楽になつたと私は考えております。そうしてこれを割当てますのは、各地方にストレプトマイシンの配給協議会なるものがございまして、その地方地方において割当をやつておりますのでございますが、その割当に際しましてはできるだけ公平に且つ量もいささか多くなりましたがために、一般の開業医にもこれを割当てるようにという指示を私どものほうではいたしておる次第でございます。なお、国産につきましては、これは日本だけの力ではなかなか簡單に参りませんので、目下アメリカの会社、いわゆるメルクその他の会社と特許の契約、或いは一方におきましては財政的な援助までも得るべく交渉中でございまして、一部におきましてはすでにその具体的な契約に入りつつある次第でございます。そういたしますと、国産品も相当出ると存じますが、これには設備資金等も相当要りますので、設備資金につきましては見返資金等の融資ということも目下大蔵当局その他と折衝中でございます。
#45
○委員長(山下義信君) 速記をとめて下さい。
   午前十一時四十四分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時四分速記開始
#46
○委員長(山下義信君) 速記を始めて下さい。本日はこれで散会いたします。
   午後零時五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山下 義信君
   理事
           小杉 繁安君
           井上なつゑ君
           有馬 英二君
   委員
           中山 壽彦君
           長島 銀藏君
           河崎 ナツ君
           堂森 芳夫君
           藤原 道子君
           藤森 眞治君
           深川タマヱ君
           松原 一彦君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 黒川 武雄君
  政府委員
   厚生省薬務局長 慶松 一郎君
ソース: 国立国会図書館
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