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1950/12/06 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 厚生委員会 第4号
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1950/12/06 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 厚生委員会 第4号

#1
第009回国会 厚生委員会 第4号
昭和二十五年十二月六日(水曜日)
   午前十時二十五分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○毒物及び劇物取締法案(内閣提出)
○健康保険法改正法案中一部修正に関
 する請願(第三三〇号)
○国民健康保険の育成に関する請願
 (第三三二号)
○国民健康保険事業の危機突破に関す
 る陳情(第六一号)
○健康保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○社会保障制度に関する調査の件
 (身体障害者に対する更生年金に関
 する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(山下義信君) 只今より厚生委員会を開会いたします。
 毒物及び劇物取締法案を議題といたします。御質疑を願います。速記を止めて下さい。
   午前十時二十六分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時十九分速記開始
#3
○委員長(山下義信君) 速記を始めて下さい。
 毒物及び劇物取締法案につきまして別に御質疑はございませんか……。別に御発言も、ございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願いたいと存じます……。別に御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて差支えございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。毒物及び劇物取締法案につきまして採決をいたします。本法案を原案通り可決することに賛成のおかたの御起立を願います。
   〔総員起立〕
#6
○委員長(山下義信君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    小杉 繁安  井上なつゑ
    有馬 英二  中山 壽彦
    城  義臣  河崎 ナツ
    堂森 芳夫  藤原 道子
    藤森 眞治  深川タマヱ
#7
○委員長(山下義信君) 御署名洩れはございませんか。……御署名洩れはないものと認めます。なお本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四条によつて予め多数意見者の承諾を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨及び討論の要旨、表決の結果を報告することとして御承認願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めます。
  ―――――――――――――
#9
○委員長(山下義信君) なお請願第三三〇号及び同三三二号、陳情第六一号は保険経済に関する小委員会に付託することに御異議ございませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めます。よつて右請願並びに陳情は同委員会に付託いたします。
  ―――――――――――――
#11
○委員長(山下義信君) この際日程に移りまして健康保険法の一部を改正する法律案を議題に供します。
#12
○藤森眞治君 健康保険法の一部改正につきまして厚生大臣にお伺いしたいのですが、私は曾て黒川厚生大臣に社会保険のことに関して一応御質問申上げ、保険経済の危機に対して何とか抜本的におやりになるつもりはないかということをお伺いいたしたのでございますが、その後ますますこの保険経済は面白くない状態になつております。そうしてこれまでにおきましても、たびたび保険料率の値上げということで処理されて来ておりまするが、又今回も保険料率を値上するということによつて解決されようとするのでありますが、実際にこの保険経済というものを見ました場合に、一時的にこれだけで済むものではないというふうな考え方を我々はしております。従つて今回は社会保険の経済に関する小委員会まで設けられておる際でありますから、こういう際において厚生大臣として保険経済をどういうふうにして行くか、どういうふうな根本的のお考えがあるかということを先ずお尋ね申上げたい。
 それから第二には社会保障制度に関する勧告案がすでに出ております。これにつきましては社会保険というものが非常に大きく取上げられております。この審議会の勧告案なるものは必ずしも現在の厚生省のお考えとは一致していない点があるんじやないかという点も伺います。今後この社会保障制度の勧告案に対して厚生大臣は如何ようなお考えをしておられますか。先ずこの二点をお伺いしたい。
#13
○国務大臣(黒川武雄君) 健康保際の料率を上げますことは実際上望ましくないことでございます。できますれば社会保障制度審議会からの折角の勧告もございますし、現在政府におきましても閣僚懇談会を設けまして検討中でございますので、その成案を得ました上にいたしたいのでございますけれども、それが早急にいたしたいのは勿論希望しておりまするけれども、明日、明後日という日を切つて決定することはできかねますので、取りあえず保険料率の引上を以て赤字の補填にしたいという考えでございます。勿論この赤字補填の方法はどうしたらばよろしいかということは、国民、又健康保険に入つておられるかたがたの相互扶助の精神をもう少し高揚せられまして、そしてお互いに健康だから払わんとかいうようなことでなく、病気になつたら十分に利用する、健康の場合には病人に対して同情がない、そういう気持を先ずなくさなくちやならんことが第一であると思います。
 第二は保険料金を必ず完納するという気持になつてもらいたいということでございます。その他保険に入りましたからといつて、濫療いわゆる何でも病気になつたら見てもらうんだ、診察してもらうんだ、そうして薬をもらうのだというような考えでなく、又医者のほうにおきましても、その濫診の弊もないとも限りません。その点も十分厚生省といたしましては濫診、濫療のほうも慎しんでもらうように指導し、又保険料金も十分に納めてもらうように指導したいと考えております。
#14
○藤森眞治君 私の質問が少し徹底しなかつたからと存ずるのでありますが、保険料率の点につきましては又小委員会もありますから十分に事務当局に伺いますが、この社会保障制度に関する勧告に対しまして現在一番に社会保険を主管しておられまする厚生大臣として、この勧告案に対してどういう根本的のお考えを持つておられますか、こういうことをお尋ねいたしたわけであります。
#15
○国務大臣(黒川武雄君) 只今申されました通り、社会保険に関するいわゆる被保険者の考えを先ず改めて行かなくちやならんということも考えておりますが、私といたしましては、御承知の通り来年度におきましては、その事務費の三割増、国庫負担補助の三割増となつておりますし、実は給付におきましても二割くらいの給付を国庫補助としたいという念願をもちまして来年度の予算案を立案したのでありまするが、現在の国家の財政上それが今のところはちよつと見通し困難になつておりますが、私といたしましては幸い社会保障制度審議会の勧告もございますし、それに対する受入態勢もできたのでございますから、十分に望む方針に向つて進んで参りたい、こう考えております。
#16
○井上なつゑ君 只今藤森議員から御発言のございました社会保障制度に関連してお尋ね申すのでございますが、実は今朝ほどの本会議で柏木議員から身体障害者と申しましようか、傷痍軍人のかたの処置について緊急質問がございましたときに、厚生大臣は身体障害者福祉法によつて適当な処置を講じたいというような御答弁がございましたので、これにつきましてもう少し具体的に私は伺つて見たいことがございますので、御答弁をお願いいたしとうございます。
 実は私共厚生委員会は十二月二日の土曜日の午前から午後にかけまして東京都内の厚生施設を見て歩きましたのでございますが、そのうちの一つに身体障害者の福祉法を適用されております戸山寮の傷痍厚生館というのを見たのでございます。この厚生館というのは厚生という文字は名のみでございまして、これは私がよく承知いたしておりますが、戦時中は馬が入れてございましたところの建物でございます。その建物を改造いたしまして、そうして只今の身体障害者の人々を入れて職業補導をするのでございます。その寮に参りましたときはそこには四十数名の身体障害者の人がお仕事をしておられました。その仕事の種類を申しますと錠剤の製造をやつておられました。大変奇妙に感じましたがお薬を作つておられました。一カ所ではメツキ職、一カ所ではラジオなんかの修理のお仕事をしておられた。それからその他のところでは印鑑の彫刻と申しますか、いろいろの印鑑製造のお仕事をしておられました。そして伺つてみたところによりますとそれらの人々の月収は一番最上で月に二千九百円から三千円未満でございます。とてもそれくらいの収入では生活ができないのです。でいろいろお話を承わつておりますと、そのなかの大多数の人が今朝ほどもお尋ねがございました傷痍軍人なのでございます。でそのかたがたは傷痍恩給を受けておられるのでございます。その傷痍恩給のあるものは終戦後のポツダム政令で出されておりますので、その当時傷痍軍人の人が最低生活を営むようにというだけの額を頂いておられるのでございますが、只今の社会情勢、経済状態におきましてはその傷痍恩給ではとてもとても生活ができない、一人のかたをとらえて私は質問をいたしましたが、そのかたは四項症でございまして、一年に二千二百円の傷痍恩給を受けておられるのです。それは月百九十円にも足りないのですが、但しそこで、二千九百円から三千円近くもらわれますので、一緒にしてどうやらその寮に入れて頂いて生活もできておられるのだそうでございます。でそこのところではそこのかたがたの働きを見ておりますと大変働いておられることに喜んで帰つて来たのでございますが、こうした厚生館とか職業補導所に入れられる人々は、その傷痍軍人いわゆる身体障害者の人たちのピラミツドの頭の人だけでありまして、その背後には数千といいますか、数十万の身体障害者がいることを私たちは承知しなければならないのであります。特に私が今日申上げたいのは身体障害者の中でも非常に立派な職業を持つておられる人、例えて申しますと盲の人たちで按摩さんなんかをしておられる人はとても大した収入をとつておいでになるかたもございますが、身体障害者の中で最も高度な身体障害者とも言わるべき脊髄損傷のかたがたのことを考えて見たのでございますが、そのことにつきましても又厚生大臣にもお伺い申上げたいと思うのでございますが、手が一本なかつたり、足が一本なかつたりというような人たちはこうした厚生館で仕事ができるのでございますが、脊髄損傷の人は日本国中にそう沢山ではございません、伺つたところによると二千数百名おられるのでございますが、その人たちは殆んど身動きができない、身動きができないのでそうした厚生館などに入つて補導を受けて職業に従事されることはできないのみならず、ほんとうに家の人たちの手を一生とるのでございます。さようでございますが、その人たちの一番高度の脊髄損傷の人の傷痍恩給は如何かと申しますと月に四百円足らずでございます。只今の社会情勢下で四百円足らずの恩給を受けてそして家の人の手をとつて行くことは、結局その家庭全体が貧困に陥入り、生活困難になることはこれは申すまでもないことでございます。そういうふうに困つております人たちが本当に最低生活をするようにと言つてそれだけのお手当を受けておるのでございますが、私共はその人たちの生活は最低の生活だとは思いません、少くとも私は最低生活だとは思えないのであります。最低の生活の何階か下にあると私は信じておりますのでございます。でございますので、この際只今又本日の本会議で決議されました未復員者の給与法も、それらの人々のこともあとの賛成演説で言われましたのでございますが、実際において未復員者給与法もそれらの人々には適用いたさないのでございます。そうかといつて身体障害者福祉法によりましてそれらの人がどれだけ恩恵を受けているかということは非常に疑問であります。その他の方法で何らかそれらの本当の最低生活の何階か下にございます人たちを、何とか厚生省でお救いになることができないのか、そういう人たちのための何か手をお打ちになるおつもりがあるのではないかということを、この際厚生大臣にお尋ね申上げたいのでございます。御承知のように聞くところによりますと、大変疑いが晴れて公職の追放の解けたかたなんかは、その公職追放になつたときから起算いたしまして恩給を受けられたというお話も聞いておりますのでございますが、政府においてはこういうような身体傷害者たちのことをあまり取上げることは遠慮していられるのではないかと思いまするけれども、この際何とか厚生省でこういう人たちのことをもう一度繰返して一応再検討を願いたいと思います。そのことを一つ承わりたいと思います。
 それからもう一つ私のお尋ね申上げたいことは戸山寮のことでございます。ここは非常に施設が悪うございまして、これは特に他の議員からも御発言があると思いますが、ああした施設の悪い所に入れておりまして私は職業補導をさせるということは、これらの人々には身体苦がございまして、精神苦がございまして、貧困苦がございまして、そうした三重苦の人々を入れて職業補導をし、生活を本当に安定せしめるためには、不完全幼稚極まるものだと思います。先程も申上げましたように馬を入れておりましたその中へ代りに人間が入れられておるのであります。それと反対に淀橋寮と申しまして、浮浪者の寮を同時に見せて頂いたのでありますが、そこには十九才から四十才までの血気盛りの働き盛りの男の人が五〇%入つております。そういう浮浪者の人の寮の方が遙かに立派なものでございますので、これはいろいろな政策がありましようと思いますが、そういう意味におきましてこうした厚生館の施設ということについて、もう少し政府の方ではおやりになるお考えがございませんか。この二点についてお伺いいたします。
#17
○国務大臣(黒川武雄君) お話のそういうかたがたに対する施設につきましてはだんだんに改善して参りたいという考えでございます。なおそういうかたがたに対しては仕事を与えて、そうしてなるべく技術ができますように補導しておりますのでございますが、現在の収入におきましては生活に不足の分は生活保護法によつて救済いたしておるのでございます。なお先程おつしやいました恩給の点でございますが、二十三年度の五倍ほどになつておりますが、なお非常に額が少いので只今恩給局において考究中でございます。
#18
○藤森眞治君 先ほどお尋ねしましたがもう少し附加えて具体的にお尋ねしたいと思うのでありますが、私のお尋ねしているのは社会保険を主管しておられる厚生大臣としての御意見を聞いておるわけなんで、勧告案に示されている点を厚生大臣は全面的にこれを是認しておられるかどうか。例えて申しますると社会保険に対する国庫補助の問題、或いは経営主体の問題、或いは結核との関係、或いは予防給付の問題、そういうことにつきましては相当御意見があつて然るべきだと存じます。そういう点を勧告案をそのままこれを是認されるでありましようかどうか。いわゆる現在の主管大臣としてのあなたのお考えを承わりたいとこういう意味であります。
#19
○国務大臣(黒川武雄君) お答えいたします。勧告案についての私の考え、それについて私はどう考えるかという御質問のようでございますが、只今私自身としては先ほど申上げましたように来年度の予算にもすでに初めに立案したぐらいの気持でおります。勧告案につきましての気持は十分おわかりだろうと思います。どういうふうに具体的にできますか、それは今暫く検討中でございますからお待ちを願いたい。
#20
○藤森眞治君 検討中というお話でありますし、又内閣においても懇談会か何かで運んでもらえるというふうに聞いておりまするが、この勧告案は国会並びに政府に勧告されまして、若し政府がこれを立法するという場合に、どういたしましても現在の主管大臣であるあなたの協力というものは非常に大きく見なければならんということは我々痛感しております。ただ予算の面で少し出したとか、いつ誰に言うたとかいう意味でなくして、自分はどこまでも勧告案が是なりと認めてこれに進むのだというお考えがあれば、そういう点を承わりたい。併しこういう点については自分の意見は勧告案の通りということはいいにくいならいいにくいということを率直に承わりたい。又我々の国会のほうにおいても或いは社会立法をやつてはどうかというような御意見の方もあるように存じますので、今日只今においてどういたしましても、仮に国会の立法に委ねるといたしましても政府と緊密な関係に立たなければならないということは、主管大臣との間にいろいろの相違点があつても困るというような点も我々は考えますために、はつきりとそういう点が承わりたいので、ただ今後において事実をもつて考えて行くんだ、一応は考えるがいつかわからんのだというようなことでなくて、あなたが勧告案を見られた上でこれを以て全面的によろしいという考えで進むかどうか、この根本的な考えを承わりたい。
#21
○国務大臣(黒川武雄君) 勧告案につきましては、関係しております省が相当にございますので、私だけで考えを申上げるということもできませんが、私の所管しております厚生行政の関係におきましては、先ず勧告案の出ます前に、社会保障制度審議会から研究試案というものを六月にお出しになりました。その試案に基いて厚生省は来年度の予算を計画したのでございます。現在のところ先程申上げました通り、厚生省の欲するがままに予算が取れておりませんので、厚生省といたしましては先ず来年度は結核対策を主にして、そうして社会保障制度審議会で結核対策を先ず審議して頂きたいという、こういうつもりでありまして、又予算もそのほうに組んでおります。結核に対する十分なる私どもの要求するだけの予算が取れますれば、自然社会保険におきまする健康保険でも、国民健康保険におきましても給付のほうにそれが廻つて、三〇%ほどの結核患者があるのでございますので、相当の額が廻つて来るようになるのでございますが、只今のところは先程来申上げました通り、十分に私どもの要求するだけの予算が取れていない状態でございます。併し私といたしましては、社会保険関係、生活保護の関係等につきましては、是非勧告案の線に沿うて進みたいと存じます。
#22
○井上なつゑ君 ちよつと先の問題に関連して、もう一言。あと先になりまして質問を続けませんで誠に失礼いたしました。厚生大臣も傷痍軍人の方の傷痍恩給について恩給局ともよく相談をするとおつしやつて頂きまして、非常に有難く存ずるのでございますが、厚生省がこれまでこのお話を持ち出しますたびによく言われたのであります。厚生年金が上げられればこの傷痍恩給も上るんだ、上るんだといつも言われるんでございますが一向に、厚生年金はたびたび変りましても、傷痍恩給が変らないような気がしますのでございますが、このことにつきまして何か来国会に厚生年金も料率をお上げになつて、支給額をお上げになるというお話でございますが、そのほうの中にでも織込むわけに行きませんでございますか。そのほうに関連して傷痍恩給を上げるようなことになつておりますかどうか。
#23
○国務大臣(黒川武雄君) 只今のところ通常国会に厚生年金を二倍にする案がございます。従いまして又傷痍恩給の点も自然増額になるんじやないかと思つております。
#24
○井上なつゑ君 結構でございます。
#25
○委員長(山下義信君) ちよつと大臣に伺いますが、先程藤森委員の質問は非常に重大な質疑でございまして、本日は時間の関係上各委員の出席もございませんので、明日改めてその点を当委員会としてはもう一度重ねて明確にして頂きたいと思うんですが、実は御答弁の中に非常に重大な点があるわけで、恐らく本法案の、率直に申上げまして審議の山はそこだろうと思いますので、それで大臣はもうよく御承知なんですが、問題は、国がこの保険経済の中のいわゆる主たる支出を占めておりまする医療給付に対して、いわゆる国庫負担をやるかやらないか、こういう点でありますので、今大臣は来年度の予算案について、厚生省としては二割の国庫負担、国費支出を要求したんだと、ところが財政の都合で実現ができなかつたのであるとこうおつしやつた。そのことはしばしば御説明もあり又大変御尽力下さつたことは委員会としても、実は感謝もしておるのでありますが、この保険経済に対して特に医療給付に対して、給付費の一部を国費で負担するということは今厚生大臣がそれを努力したとおつしやるのでありまするから、内閣の閣僚たる一員としてそのことを努力したとおつしやるならば、これは政府の方針でお進めになることになつたのであるか。財政の賄いの都合上で実現ができなかつたが、政府の方針としてはその方針で進むことに確定しておりまするかどうか。財政上実現ができなかつたということは、政府としてはその方針をとらなかつたのであるかどうか。単に一個の厚生大臣の希望的の話であつただけのことであるか、政府の方針としてはこの点はどうであつたかという点を明白にしておいて頂きたいと思うのであります。
#26
○国務大臣(黒川武雄君) 給付の点につきましては、政府の方針については、勧告案が来年度の予算案が大体でました後で出されましたので、その点については政府の方針如何ということはまだきまつておりません。
#27
○委員長(山下義信君) そうしますと何ですか、政府のほうではその点について一つ考えて見ようという御方針はないわけでございますね。
#28
○国務大臣(黒川武雄君) それはこれからの検討に待つのであります。
#29
○委員長(山下義信君) そうすると本年度の予算で、厚生大臣としてそういう方向へ御努力になりましたのは、これは政府としての御努力ではなかつたのでありますか、その点はどういう関係になりましようか。
#30
○国務大臣(黒川武雄君) それは厚生省といたしましては、すべて国民の福祉を増進するのが厚生省の根本の目的でありますから、国民としてそれが利益であればそういう点はどこまでも厚生省としては主張したいのであります。ただ国家財政上それが許されないという点でございます。
#31
○委員長(山下義信君) それは御尤もでございますが、厚生省というのも政府のこれは一部でありますから、厚生省が一つの方針としてきめてそうして閣議で御相談になつたと言えば、これは政府の一部にその御意見が出たということになるわけであります。それを財政の都合上で実現ができなかつたということは、方針としては認めたけれども財政の都合上できなかつたのか、方針としてもその方向を認めるわけに行かなかつたと、こういうことになつておりますのか、その点を伺いたいと思います。
#32
○国務大臣(黒川武雄君) 勿論方針としては政府としてもそういう希望はあると私は存じます。
#33
○委員長(山下義信君) ですから方針としては政府はその方針をおとりになると、こういうことでございますね。
#34
○井上なつゑ君 健康保険のことに関しましてちよつとお伺い申上げたいのでございますが、健康保険は医療費が非常に高まつておりまして、いつも赤字が出るということが非常に問題ではございますが、私は非常に消極的な部面からこれを見ましたときに、厚生省ではどういうようにお考えになるかということを伺いたいのでございます。実は健康保険の保険料の中にいろいろ種類がございますが、その中に看護というのがございます。で、その健康保険料の看護はかなり多く支出されていると私ども承わつておりまするが、只今のところでは健康保険料は普通は二十二点で医師にお払いになつておられるのであります。給食をすれば二十四点で支払われる。もう一つは私ども高く叫んでおりますことは、看護婦の資質を向上いたしまして、病院で以て完全看護をいたしましてこれが二十七点になるということを、二十七点にして欲しいということをいろいろ病院の者たちも、看護婦たちも申しておるのでございます。それで完全看護をいたします、いわゆる附添をつけないで病院の看護婦だけで看護をしております看護婦の資質の向上ということは、国民のためになることでございますが、そうした完全看護をいたしましたときに、健康保険といたしまして二十七点頂ければその病院が経営できると言われるのでございますが、厚生省では二十七点お払いになるおつもりがございませんでしようか承わりたい。
#35
○委員長(山下義信君) なおちよつと申上げますが、委員会は明日からも審議を続行いたしますので、今日は大臣に重大な関連がございます点にとめて頂きたいと思います。
#36
○政府委員(安田巖君) 只今の御質問は看護費の方がまあ相当出ておるのだろうから、それを入院費の中に入れて完全看護をする方に廻せばその方が経済じやないかというお話でございます。看護費は今のところ二十五年度が大体被保険者の一人当りの日数でございますが、被保険者分が〇・一六七三、被扶養者分が〇・〇二八六それの一日当りの費用が被保険者分が一二四・四九被扶養者が五六・三七であります。これはどういう患者もすべて看護費が出るというわけではございませんから、今保険経済の上からいえば看護費そのものは大した額ではないと思います。従いまして入院費で現在完全看護いたしますということは二十四点であります。これを七点に上げますればそれは本経済としてはもつとよくなるわけであります。今のところでは先般社会保険医療審議会におきまして引上をいたしたばかりのところでございますので、当分のところ井上委員のお話のように二十七点にする考えは持つておりません。
#37
○藤森眞治君 先程厚生大臣の御答弁に社会保障問題各省に亘つておるというお話、勿論これは各省に亘つておるのでありますので、私が質問申上げる最初に、社会保険ということについて特にお伺いするということを申上げたのであります。外のことについてはまだ申上げておりません。それで社会保険について勧告案についてはどういう根本的のお考えがあるかということを質問いたしました。外の各省に亘ることはまだ何も申上げておりませんから、そういうふうに御解釈願いたい。なおまだこれについていろいろ伺いたい点もありますけれども、できますならば今日はこれくらいにして頂いたらと思います。
#38
○委員長(山下義信君) 本委員会の審議は明日に続行することにいたしまして、本日はこれを以て散会いたします。明日は午前十時から開会いたします。
   午後零時五十三分散会
  出席者は左の通り
   委員長     山下 義信君
   理事
           小杉 繁安君
           井上なつゑ君
           有馬 英二君
           城  義臣君
           中山 壽彦君
           河崎 ナツ君
           堂森 芳夫君
           藤原 道子君
           藤森 眞治君
           深川タマヱ君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 黒川 武雄君
  政府委員
   厚生省薬務局長 慶松 一郎君
   厚生省保険局長 安田  巖君
ソース: 国立国会図書館
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