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2000/11/15 第150回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第150回国会 労働委員会 第2号
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2000/11/15 第150回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第150回国会 労働委員会 第2号

#1
第150回国会 労働委員会 第2号
平成十二年十一月十五日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 大石 正光君
   理事 棚橋 泰文君 理事 谷畑  孝君
   理事 宮腰 光寛君 理事 柳本 卓治君
   理事 鍵田 節哉君 理事 五島 正規君
   理事 河上 覃雄君 理事 塩田  晋君
      青山  丘君    甘利  明君
      臼井日出男君    梶山 弘志君
      瓦   力君    木村 太郎君
      倉田 雅年君    小泉 龍司君
      田村 憲久君    竹下  亘君
      根本  匠君    宮澤 洋一君
      森  英介君    吉田 幸弘君
      大島  敦君    加藤 公一君
      釘宮  磐君    小林 憲司君
      城島 正光君    伴野  豊君
      坂口  力君    大幡 基夫君
      大森  猛君    中林よし子君
      金子 哲夫君    金子 恭之君
    …………………………………
   労働大臣         吉川 芳男君
   労働政務次官       釜本 邦茂君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  町田 幸雄君
   政府参考人
   (厚生大臣官房統計情報部
   長)           金子  洋君
   政府参考人
   (社会保険庁次長)    高尾 佳巳君
   政府参考人
   (労働省労働基準局長)  野寺 康幸君
   政府参考人
   (労働省職業安定局長)  渡邊  信君
   政府参考人
   (労働省職業能力開発局長
   )            日比  徹君
   政府参考人
   (自治省行政局選挙部長) 片木  淳君
   労働委員会専門員     渡辺 貞好君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十五日
 辞任         補欠選任
  青山  丘君     吉田 幸弘君
  甘利  明君     根本  匠君
  倉田 雅年君     小泉 龍司君
  今田 保典君     小林 憲司君
  城島 正光君     釘宮  磐君
  大幡 基夫君     中林よし子君
同日
 辞任         補欠選任
  小泉 龍司君     倉田 雅年君
  根本  匠君     甘利  明君
  吉田 幸弘君     青山  丘君
  釘宮  磐君     城島 正光君
  小林 憲司君     今田 保典君
  中林よし子君     大幡 基夫君
    ―――――――――――――
十一月九日 
 じん肺根絶に関する請願(辻元清美君紹介)(第一〇三五号)
 同(土井たか子君紹介)(第一〇三六号)
 同(保坂展人君紹介)(第一〇三七号)
 同(原陽子君紹介)(第一一三四号)
同月十三日
 じん肺根絶に関する請願(金子哲夫君紹介)(第一二一三号)
 同(大島令子君紹介)(第一二八四号)
 同(中西績介君紹介)(第一二八五号)
 雇用・失業情勢の深刻化に対応するための労働行政体制の整備に関する請願(児玉健次君紹介)(第一二一四号)
 同(鍵田節哉君紹介)(第一二八六号)
同月十五日
 じん肺根絶に関する請願(山口わか子君紹介)(第一三四九号)
 同(東門美津子君紹介)(第一四三八号)
 同(横光克彦君紹介)(第一四三九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)(参議院送付)

    午前十時開議
     ――――◇―――――
#2
○大石委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長町田幸雄君、厚生大臣官房統計情報部長金子洋君、社会保険庁次長高尾佳巳君、労働省労働基準局長野寺康幸君、労働省職業安定局長渡邊信君、労働省職業能力開発局長日比徹君及び自治省行政局選挙部長片木淳君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#4
○大石委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹下亘君。
#5
○竹下委員 自由民主党の竹下亘でございます。
 労災保険法等の改正につきまして、労働大臣ほかの皆さん方に順次質問をさせていただきます。
 このたび、いわゆる過労死をめぐりまして、二次健康診断を行いその給付をするという新しいシステムを導入するというのが、この労災保険法等の改正案の重要な趣旨であるというふうに存じておりますが、過労死をめぐる法律というのは、私は、端的に言いますと、大変悲しい法律であり、しかし世界一のいわゆる働く者にとってのセーフティーネットになっておる法律だというふうに感じておる次第でございます。
 といいますのも、私はかつて記者をしておりまして、世界のジャーナリストといろいろな話をするわけでございますが、その中で時折過労死の問題について議論をすることがございます。
 ところが、どうしても過労死という概念そのものを、世界じゅうの、特に先進国の記者たちが理解をしてくれないというか、それは何だというふうに質問をしてくる。いや、働き過ぎて、その結果脳疾患や心臓疾患を発症して死に至るんだと。どうしてそこまで働くんだという、労働に対する基本的な人生観といいますか、そんな違いみたいなものをひしひしと感じながら議論をしてきました。
 英字新聞を見ましても、過労死という言葉は英語になっておりません。KAROUSHI、カローシという言葉が実はそのまま使われておるのが現状でございまして、まさにその意味で、過労死をめぐる法律をつくる、あるいはそれを強化するというのは、非常に悲しいことであると同時に、実はその部分も、もし不幸にして過労死、あるいは過労による脳疾患、心臓疾患によって障害が残った場合に、それを保険制度で支えるという、世界に類を見ない、ある意味ではこれは世界一の働く者に対する最後のセーフティーネットではないかなと思うような次第でございます。
 例えば、遺族年金にいたしましても、障害に応じた補償あるいは介護補償、休業補償といったようなもので、過労死、あるいは不幸にしてその被害というかそういう状態に陥った方、あるいはその家族の方に手厚いシステムをとっておるということでございます。
 私は、この法律は、かつて五五年体制と言われたときの自民党といわゆる社会党、民社党という図式の中で、野党の皆さん方が大変熱心にお取り組みになった。労働界ももちろん大変熱心に取り組んでこられた。医師会もまた違う側面から熱心に取り組んできた。そして、企業のサイドも、この保険制度そのものがすべて経営サイド、事業主の負担で成り立っておるということも含めまして、いわば日本の労働に対する人生観というものをそれぞれが認め合う中で、与野党まさに足並みをそろえてきたからこそ、世界に類のない、悲しいけれども世界一のセーフティーネットがここに誕生をしておるというふうに思います。
 そして、この過労死の問題は、高齢化を迎えるに当たりまして、ますます重要な問題になってきております。さらに、最近では認定をされる件数というのは増加傾向にあるということも伺っておりますし、この問題は大変重要な問題である。と同時に、今回この労災保険法の改正案で、二次健康診断そしてその給付を行うという方向は、これを防ぐという意味でも非常に重要な、大切な法案であると思うような次第でございます。しかも、その改正の方向が、制度をさらに充実する、しかも予防するという観点の中で充実するということに向かっている点に、私は、大変時宜を得たものといいますか、すばらしい改正ではないかなと感じておるような次第でございます。
 そこで、大臣にお伺いをさせていただきます。
 二次健康診断を行いその給付をするという新しい制度の創設に関する基本的な考え方、そしてその概要といったようなことについて、大臣からお話を聞かせていただきたいと思います。
#6
○吉川国務大臣 竹下委員の質問にお答えいたします。
 近年、労働者が業務上の事由によりまして脳・心臓疾患を発症し突然死などの重大な事態に至る過労死等の事案が増加傾向にあります。こうした過労死等の原因である脳・心臓疾患につきましては、発症前の段階における予防が有効であるので、労働者災害補償保険制度に二次健診等に係る給付を新たに設けることによりまして、労働者の健康確保に資することといたしてまいりたいと思っております。
 具体的には、事業主が実施する労働安全衛生法の規定に基づく定期健康診断等の結果、脳・心臓疾患に関連する一定の項目について異常の所見があると診断された労働者に対しましては、脳血管及び心臓の状態に関する検査、脳・心臓疾患の発症の予防を図るための医師等により行われる保健指導を支給することといたしておる次第でございます。
#7
○竹下委員 二次健康診断を実施してその給付をするという内容について今大臣にお話をいただきましたが、現在は、労働安全衛生法で労働者に対するいわゆる一次健康診断が義務づけられております。
 先ほど大臣がおっしゃいました二次健康診断、これは労働安全衛生法上の健康診断とどういう関係にあるのか、あるいは本当に二次診断によって過労死を防げる効果があるのか、あるいは具体的にはどのような労働者を対象にして二次健康診断が実施されて給付が行われるのかといったような点について、局長、お答えをお願い申し上げます。
#8
○野寺政府参考人 まず、安全衛生法上の一般健康診断でございますが、これは、業務に関連する健康障害を予防するといったような一般的な観点から、事業者に対しまして、その抱える労働者に対し就業上いろいろ適切な措置をとるということを前提に、労働者の一般的な健康状態を把握するということで事業主に義務づけられているものでございます。
 今回御提案申し上げている二次健康診断でございますが、これは、基本的に、過労死等の予防を図るといったような観点から、安全衛生法上義務づけられております一般健康診断の結果、脳・心臓疾患に関連する一定の項目に異常があるという所見があった労働者に対しまして、脳・心臓疾患の状態をより適切に、詳細に把握するという観点から行うものでございます。したがいまして、一次健診で、具体的には、高血圧でございますとか高血糖、高脂血症、それから肥満といった四つの項目に一遍に該当する方を中心に二次健診をする、こういう制度でございます。
 これによりまして、これをちゃんと受けていただいて事後措置がきちんとなされるならば、相当程度過労死の予防に役立つというふうに考えております。
#9
○竹下委員 ただ、労働安全衛生法上の一次健診はいわば義務とされておりまして、雇った側が従業員に一次健康診断を年に一回受けさせなければならないという規則でございます。
 二次健康診断について、あえて労働保険の給付の対象という形で設定をされておる、なぜここの違いがあるのか。あるいは、もう一歩大胆に言いますと、労働安全衛生法上の義務としてこの二次健診を位置づけることはできなかったのかどうかといったような点は、どうお考えでしょうか。
#10
○野寺政府参考人 今御説明いたしましたように、二次健康診断等の給付が対象といたしますものは脳・心臓疾患でございますが、端的に申しまして、業務以外の日常的な生活習慣といったような要因がかなりこれに関連してくる可能性がございます。したがいまして、その予防に係る健康診断の実施等を、先ほど先生申されましたように、安全衛生法上の一般健康診断並みにしますと、これは罰則をもって事業主に強制しているわけでございますので、御本人の生活習慣の中から原因が生じている部分があるということを考えますと、そこまでやるのは適当ではないのでないかというふうに考えております。
 実際問題として、個々の事業主に対しまして、二次健診と同程度の詳細な健康状態を把握させるということを仮に義務づけるということになりますと、大企業の方はいいのかもしれませんが、中小零細企業についてはかなりの負担を生じる可能性がございます。したがいまして、業務災害の関連が深い二次健診等については労災保険の中で救済するといったような形をとらせていただいたわけでございます。
#11
○竹下委員 現在、医療の分野の中で、まさに予防という考え方が改めて非常に重要になっておる。今回の二次健診についても、いわば基本的に病気になりそうな要素を持っておる、いわゆる高血圧だとか、死の四重奏と言われる要素を持っている人たちを、さらに二次健診によって予防しようという考え方ではなかろうかなと受けとめさせていただいたような次第でございますが、先ほど局長もおっしゃいましたように、脳とか、特に心臓疾患の場合ですと、いわゆる生活習慣病といいますか、肥満であるとか高血圧であるとか高脂肪であるとかによる部分が非常に大きいというふうに、私自身思うわけでございます。
 ただ、それであるだけに、保健指導も含めまして、カウンセリングあるいは生活指導といったようなことも含めて、適切な指導をしていけば、かなりの部分、病気の発症を防止できるんではないかなという期待もそこにかかってくるわけでございますが、今回の法改正の中で新しく創設される給付の中には、いわゆる保健指導というものが含まれておるというふうに伺っております。この保健指導の具体的な内容についてお聞かせを願います。
#12
○野寺政府参考人 まさに先生御指摘のとおり、脳・心臓疾患の発症予防の上では、生活習慣上のいろいろな事項について、適切な指導が行われるということが必要不可欠でございます。
 具体的には、医師または保健婦あるいは保健士が、適切なカロリーの摂取等食生活上の指針を示す栄養指導がまずございます。それから必要な運動の指針を示します運動指導、それから飲酒、喫煙、睡眠等のいわゆる生活習慣そのものに関します生活指導といったような中身を予定いたしております。
#13
○竹下委員 飲酒、喫煙、肥満、食生活、私もそういう指導を受けなきゃいかぬような気にだんだんなってまいりますが。
 この保健指導というものを行うためには、それを行う医師の資質の向上、あるいは、最初の第一次健康診断が企業の事業主の義務で行うということになりますと、その企業にある医務室みたいなもの、あるいはそこに常駐する医師でいわゆる保健指導というのが対応できるのであろうかな、あるいは保健指導というのは、いわゆる診断をする医師とは別の資質みたいなものも必要なんではないかなという感じもいたしますが、そのための方策として、この保健指導をより効果を上がらしめるために、どんなことを考えていらっしゃるかという点について、お伺いをいたします。
#14
○野寺政府参考人 保健指導をやる具体的な専門家、お医者さん、それから保健婦、保健士等の方々になろうかと思うのですけれども、この保健指導が効果を上げるためには、まさに先生おっしゃいましたように、専門家自身がこういった方面についての知識、経験を十分に持つ、そういう意味で、資質を高めることがぜひとも必要でございます。
 具体的には、労働福祉事業団を活用いたしまして、お医者さん、保健婦、保健士等に対するセミナー等の活用を通じまして、特定保健指導を的確に行える者を今後確保してまいりたいというふうに思っております。
#15
○竹下委員 そういう方策を講じて、過労死が本当に一人でも減っていくことをこいねがう者の一人でございます。過労死の予防のために、二次健康診断そしてそれを給付をする労災保険制度の改正が必要であるということを、私自身もそうだなというふうに理解をいたしておるような次第でございます。
 ただ、冒頭に、私は、過労死にかかわる法律というのは悲しい法律だということを申し上げました。これは、労働が賃金の対象とだけは考えない、日本の労働に対する、我が国の労働に対する物の考え方のあらわれであろうと思います。ある意味では、多少弊害はあるかもしれませんが、美風と言える部分もあるんではないかなと私自身思っております。この労働に対する、一生懸命働くという考え方があったからこそ、我が国は人材しか資源がないという状況の中で戦後の復興もなし遂げ、今のような世界に冠たる経済大国になったということが言えるゆえんでもあるんではないかなと思う次第でございます。
 働く父親の背中を見て子供は育つと申します。働き過ぎという美風、これを全部捨ててしまえばいい、労働というのは時間と賃金の問題だと割り切れるか。私は、日本という国は、そういう考え方にはいきなりはならないんじゃないかな。この美風を捨てようというふうには思いませんが、と同時に、本来ですと、この過労死という法律はないにこしたことはない。つまり、過労死がなくなればこの法律はなくなるわけでございまして、過労死をなくすというのが本来一番大事なことであろうと思う次第でございます。
 そのためには、近年大分進んできてはおりますけれども、労働時間をさらに短縮するとか、あるいはさらなる健康管理の充実に努める、これは事業主、労働者一人一人の自覚によらなければならないところも多いわけでございますが、さまざまな方法も考えられるところでございます。
 そこで、大臣にお伺いをいたしますが、過労死をなくすぞという思いの中で、予防対策に対する今後の施策の方向について、大臣はどのようにお考えになるか、お伺いさせていただきたいと思います。
#16
○吉川国務大臣 御指摘の過労死の問題でございますが、近年、過労死の事案が増加傾向にありまして、労働者やその家族に甚大な被害を及ぼす過労死等の予防は非常に重要な課題と認識しております。
 このために、健康診断の実施と適切な事後措置の徹底、心身両面にわたる健康づくり、これは、片仮名英語のようで恐縮でございまするけれども、トータル・ヘルスプロモーション・プランと呼んでいるそうでございますけれども、の推進、そして長時間残業の抑制や年次有給休暇の取得促進による労働時間の短縮等の取り組みを推進してきたところであります。さらに、二次健康診断給付を創設することによりまして、より効果的な過労死の防止が可能となると考えております。
 今後とも、これらの対策を着実に実施することによりまして、過労死等の予防に努めてまいりたいと考えております。
#17
○竹下委員 ありがとうございました。
 過労死の問題というのはまさに我が国特有の問題といいますか、冒頭にもお話ししましたように、英字新聞でKAROUSHIという言葉があります。この言葉がなくなることを念願し、大臣を初め労働界の皆さん方、またこれまで過労死の問題に取り組んでこられたこの委員会、あるいはこの委員会の中でも与野党を含めてこれまで真剣に取り組んできた結果が、この法律がかなり広い範囲にカバーができておるという今日の結果になっておると私は思います。そういう状況をこれからも続けて、過労死をなくす。
 ただ、非常に難しいのは、日本人が持っております労働に対する、働くことに対する意識を壊さないでしかも過労死をなくすという、ある意味では二律背反のような難しいことなんですが、それをぜひ追求していっていただきたいということを御要望申し上げまして、ちょっと早いんではございますが、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#18
○大石委員長 河上覃雄君。
#19
○河上委員 労災保険の審議に入りましたが、きょうは、初めに労災のお話を少し伺うとともに、後ほど、やや法律から外れますが、雇用保険のいわゆるあぶれ手当と言われるものに対する事件の概要についてちょっと御質問をさせていただきたいと思っております。
 この労災保険というものは、全事業主の負担によります保険料が主たる財源になっているものでございますが、今回、二次健康診断等給付の対象にしています脳・心臓疾患、いわゆる生活習慣病とも呼ばれておりますが、食事など私生活の状態も大いに発症に関係する疾病である、このように思うわけでございますが、こうした疾病の予防につきまして労災保険で対応するということ、この理由についてまず確認をしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#20
○野寺政府参考人 確かに脳・心臓疾患は、必ずしもそのすべてが業務上ではないわけでございますし、先生おっしゃいましたように、生活習慣によって起こってくる場合も非常に多いわけでございます。
 ただ、私どもとしては、働き盛りの方に結果として突然の死をもたらすという結果の重大性にかんがみまして、企業の責任問題あるいは労災の認定をめぐってさまざまな争いが最近起こっておりまして、いわば社会問題化しております、今後、日本の労働状態を考えますと、高齢化がさらに進展しまして、こういった脳・心臓疾患に係ります労災請求の事案が増加していくというふうに考えておりますが、こういった、結果として労働者あるいは企業に甚大な被害をもたらすことについて、何らかこれを防ぐことはできないものだろうかということが発想の根本でございます。
 原因については、先生おっしゃいましたように、業務上の部分あるいは生活習慣による部分、いろいろあるわけでございますが、そういった発症の危険因子、高血圧といったようなものは事前に把握することがまず技術的に可能でございます。さらに、生活習慣の改善を通じましてそういった危険因子をコントロールすることもある程度可能でございます。
 そういった具体的な技術的な面を重視しまして、事業主が業務の軽減などの適切な予防対策を講じるということを前提にしますと、より詳しい二次健康診断というものがその上で必要不可欠な資料を提供するというふうに思っておりまして、そういう観点から考えますと、結果として事業主の全額負担による労災保険でやるということに十分な理由があるというふうに思っております。
#21
○河上委員 生活習慣病よりも有害物質などに起因する疾病、職業性の疾病と言われるものの方が業務災害補償との関連が深いというふうな気がするわけでございまして、そうした疾病につきまして、それでは労働省はどんな予防対策を講じていらっしゃるのか、これは大臣にお伺いいたします。
#22
○吉川国務大臣 我が国の職業性疾病の発生は、長期的には減少しておりまするけれども、今なお年間約八千人の労働者が罹患しております。このため、労働安全衛生法関係法令や労働災害防止計画に基づき、事業場の自主的な労働衛生管理体制の確立を基本として、職場環境の改善や健康診断の実施に基づく健康管理の徹底等によりまして、化学物質等による職業性疾病の予防対策を積極的に推進しているところでございます。
 今後とも、労働者が健康で安心して働ける職場づくりを目指して、職業性の疾病の予防対策を総合的に推進してまいりたいと思っております。
#23
○河上委員 二次健康診断等給付は、一次健康診断受診者のうち、どんな労働者を対象に支給する予定になっていますか。例えば長時間労働者のみに限定するようなことを考えられないのか、この点についてお伺いします。
#24
○野寺政府参考人 高血圧、高血糖、高脂血症、肥満といったような四つの要因、専門家の方では死の四重奏と呼んでおられるそうでございますが、こういった四つの危険因子が一遍に重なると大変過労死のリスクが大きくなるということでございます。
 今回の二次健康診断給付は、先ほど御説明いたしましたように、事業主が拠出する労災保険によって賄われるわけでございますので、過労死をより効率的に予防したいという観点から、四つの項目すべてに異常の所見がある方に限って過労死のリスクの高い状態というものを認識しまして、これを予防するという制度でございます。
 現実に発生いたしております過労死というものが業種とか職種とか規模に関係なく発生しているという現実を見ますと、そういった就業状態に応じて給付対象を限定するというのは今回の仕組みにはなじまないのではないかというふうに思っております。
#25
○河上委員 次に、今回の二次健康診断等給付の対象労働者について、どのように見積もられておりますでしょうか。
 この給付の創設によりまして、保険財政への影響はどういうふうになりますでしょうか。
 また、労災勘定は、積立金をかなり持っていらっしゃるようでございまして黒字ではないか、こういう声も聞かれるわけでございますが、災害率の低下、サービス産業の労働者の割合の増加などに伴いまして、財政状況に余裕が出てきているということで理解してよろしいでしょうか。御答弁をよろしくお願いします。
#26
○野寺政府参考人 二次健康診断等給付の対象者でございますが、これは、先ほど来申しておりますように、一次健診で血圧、血中脂質、血糖、肥満という四つの項目にいずれも異常の所見があるという方でございますが、私どもの推計ですと、約三十万人の労働者がこれに該当するというふうに考えております。
 お一人当たりの今回の給付に要します支給額は三万円から四万円程度であるというふうに思っておりますので、これを単純に掛けますと、百二十億円かかるという試算でございます。保険料収入は、平成十一年度で見ますと一兆三千三百三十八億円でございますが、百二十億円はこれの一%に満たない額でございますので、保険財政全体には実質的な影響はないというふうに考えております。
 それから、労災保険はそもそも、労災の事故を起こした責任のある事業主の団体がその事故を発生させた時点で将来の給付の基金も賄っておくという考え方、発生者責任といいますか、そういった考え方によりまして、将来の年金給付を今事故を発生させた事業主全体で負っておく、そういう意味で積立金があるわけでございます。したがって、当該年度給付分以外のいわば剰余金が積立金の方に回って将来の年金給付に回される、こういう意味でございます。
 この積立金の額ですが、十一年度末現在で六兆八千五百三十六億円という額でございます。これは既に年金受給者が現在二十二万人になっておりますが、こういった方々の将来にわたる年金給付のための必要額のまだ八割しかないということでございまして、これをもって黒字であるという評価もできるのでございますが、年金の将来給付を賄うという意味ではまだ足りないという状況でございます。
#27
○河上委員 メリット制について一点お伺いいたします。
 建設業など有期事業について、メリット増減幅を他の産業より狭くした理由はどういう理由でしょうか。また、今回その幅を拡大しようとする理由をお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、改正案では、有期事業につきましてメリット増減幅をプラスマイナス三五%とするという内容になっていますが、この際、他産業に並んでプラスマイナス四〇%にするという選択肢もあるように思いますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。
#28
○野寺政府参考人 メリット制の基本的な考え方は、労災の事故が多ければ保険料は上がるし少なければ保険料は下がるという、いわば災害防止に努力する方については保険料が安くなっていく、そういうインセンティブが基本でございます。
 建設の事業等の有期事業に係ります先生御指摘のメリットの増減幅が一般の継続的な建設業等よりも一〇%近く低く設定されておりますが、これは、従来、建設の事業等においては災害が非常に多いといったような状況にございました。したがって、他産業と同一の増減幅にすると、大体ふえる方に働くわけですから、そうするとメリット制によります追徴の額が多くなり過ぎる、事業主を圧迫するという現実にかんがみまして、業界等の御要望もございまして、メリット幅を狭くしてきたわけでございます。
 今回、このメリット幅を従来より拡大する、三〇%を三五%にする、こういう案をお出ししておりますが、今申しました有期事業におきます災害率は、一般の継続事業のメリット増減幅が三五%ということになりました昭和五十一年当時の全産業の平均よりも最近は改善しております。災害が減っております。過去のメリット幅の増減幅の拡大、改正の際には大体プラスマイナス五%を目安に拡大を図ってきております。
 さらに、メリット幅の大幅な拡大をいたしますと、一方で災害を発生する事業主もいらっしゃるわけですから、そういった方々については保険料は大幅にふえるということになりますので、そういったいろいろな点を勘案いたしまして、今回の増減幅は三五%、五%増というふうに設定させていただいております。
#29
○河上委員 労災の最後の質問になりますが、今回の労災法改正案は、二次健康診断等給付にいたしましてもメリット制の改正にいたしましても、業務災害の防止への取り組みを一層強化するねらいであるものと理解はいたしております。社会の中核的な担い手であります労働者が、業務災害によって労働能力を奪われたり、特に過労死という形で命を奪われるような事態は、社会にとって大きな損失であると考えます。労災保険法がそうした課題に正面から取り組む体系へと変更されようとしていることについては、評価をしてよいのではないかと考えております。
 そこで、最後になりますが、労働災害の防止は、今回のように保険制度を通じた対策にとどまらず、法律上の規制という手段から事業主への啓発という手段まで幅広く総合的に行われる必要があると考えております。労働省といたしまして、今後、過労死の防止を含めて、労働災害の防止にどのように取り組む御決意でいらっしゃるのか、労働大臣の決意をお伺いいたします。
#30
○吉川国務大臣 労働災害を防止し、労働者の安全と健康を確保することは、労働行政の最重要課題の一つと考えております。このために、労働安全衛生関係法令や労働災害防止計画等に基づき、法令に基づく規制の履行確保を図るとともに、事業者の自主的な災害防止活動の促進に関する啓発等を積極的に行ってまいります。
 さらに、過労死等の防止を図るために、職場の健康確保対策の充実強化や労働基準法に基づく長時間残業の抑制に取り組むとともに、今般、労災保険制度に二次健康診断給付を新たに設けることとしたものであります。
 今後とも、過労死を含む労働災害を効果的に防止するため、労働省といたしまして、総合的に対策の推進に取り組んでまいりたいと思っております。
#31
○河上委員 冒頭お話しいたしましたが、雇用保険制度の中におきます日雇労働求職者給付金の不正受給ということについて、何問か質問をさせていただきます。
 実は、本年の九月九日に、「「アブレ手当」詐取容疑 雇用装い不正受給」、暴力団の幹部を初め日雇い労働者十人が逮捕されるという事件が神奈川県内でありました。
 これの概要を申し上げますと、現行の雇用保険制度におきまして、日雇い労働者は、働いた日について日雇労働被保険者手帳に印紙を貼付いたしまして、その貼付された枚数に応じて、失業した場合、求職者給付が支給される、こういう仕組みになっております。
 当委員会におきましても、過日、あいりん地区を視察して、早朝から、そういう実務まで含めて見たわけで、当事者の職員の皆さん方も大変な環境の中で一生懸命頑張っているということはよく認識をいたしております。むしろ懸命に頑張っている姿に感服もいたしているわけでございますが、大変残念でございますが、この仕組みを悪用いたしまして不正に給付金を搾取した事件というものがありました。
 具体的に申し上げますと、横浜の公共職業安定所港労働出張所におきまして、暴力団関係者が関与して、不正に印紙を購入するとともに労働者を就労させたと偽りまして、事業者並びに日雇い労働者十数名が詐欺ということによって逮捕をされたわけでございます。
 日雇労働求職者給付金をそういう意味で不正に受給した事件でございまして、これは労働省としても多分認識をしておると思いますが、改めて、この事件を通じて、この制度、仕組みの問題の所在というものがどこにあったのか、労働省の見解、認識をお伺いしたいと思います。
#32
○渡邊政府参考人 雇用保険制度の日雇い保険に関する不正適用の不正受給の問題についての御質問でございます。
 ただいま委員御指摘になりました横浜公共職業安定所の港労働出張所におきまして、御指摘のような不正受給事件が発生をいたしました。この事件は、架空の事業所を暴力団関係者が設立いたしまして、そこで雇用保険の印紙を大量に購入して、これを他の暴力団関係者等を通じて実際には就労していない労働者に販売をし、その者が日雇労働求職者給付金を不正受給したという事件でございます。大変残念な事件であるというふうに私ども思っております。
 今回のこの事件でございますけれども、まず、架空の事業所を茨城で設置したというところについて、その事業所設置の届け出が認められてしまった。本来、架空であるということを確認しなければいけなかったわけですが、事業所の設置届を認めてしまったということがまず第一点。
 それから第二点ですけれども、不正に結びつきやすい大量の雇用保険印紙の購入について十分なチェックができなかったことでございます。この事業主と申しますのは、昨年の九月から十二月にかけまして、茨城県内及び東京都の郵便局におきまして五千八百枚の印紙を購入しておったわけで、非常に大量の印紙を購入しておりました。
 それに続きまして、実際には就労していない者の手帳に不正に貼付をされました雇用保険印紙を、この受給資格の決定時、保険を払いますときに発見できなかった、こういったような問題がそれぞれ重なりまして、結果的に不正受給につながった大変残念な事件であるというふうに認識をしております。
#33
○河上委員 今御説明ございましたが、現在、安定所に届け出られた事業主があらかじめ印紙を購入いたしまして、労働者が就労し賃金を支払った場合に手帳に印紙を貼付する、こういうシステムであるわけでございます。
 問題の所在についてお伺いいたしました。確かに、現行システムの中ではそうした方向性で一つは把握する必要があるだろう、こう思いますが、いずれにいたしましても、雇用保険は労使折半の拠出による保険制度でございますし、保険制度という観点からも、こうした不正がまかり通るようなことがあっては絶対にならない。事件が表に発覚するのも、まだまだ一部のように聞こえました。潜っている部分ではかなりこうした不正受給があるのではないのか、私はこうも認識をいたしております。
 そこで、不正受給を防止する観点から、この事件、この問題を通じまして、労働省としてはどういう改善策を現在お考えになられているか、この改善策についてお答えください。
#34
○渡邊政府参考人 日雇い保険の不正受給の状況でありますけれども、平成十年度で百八十二件摘発をされ、平成十一年度では二百三十六件の摘発ということになっておりまして、なかなかこういった事件が後を絶たないところから見ますと、この摘発された件数のほかにもまだまだ隠されている可能性もあるのではないかというふうに考えておりまして、この厳正な適用ということについては常々意を用いているところであります。
 現行の仕組みを少し申し上げますと、まず、先ほども申し上げましたが、事業所の設置届がなされた段階で、これが実際に所在する、存在するということをしっかり確認がありますし、その確認は常々行っているところではございます。
 それから、先ほども申し上げましたように、印紙は郵便局において事業主が購入するわけですが、事業主には、一事業主一冊ということで雇用保険の印紙購入通帳というものを渡しておりまして、事業主は必ずこれを持って郵便局に参りまして購入をする。郵便局はその購入した枚数を記入いたしまして、その事業所を所轄する地方労働局にこれを通知しておるわけであります。したがって、幾つかの郵便局で分けて購入いたしましても、名寄せができる仕組みにはなっております。
 さらに、これは、一カ月ごとに名寄せをして、その事業所が何枚購入したかということを確認できます。それとまた別に、事業主からは一カ月ごとに何枚購入したのだという納入届を出させておりますので、郵便局から来た数字と事業主が自分で申告した数字とが大きく食い違っているというふうな場合にはチェックをするということになっているわけであります。
 また、就労していないのにこの保険をもらう労働者について、よその場所で就労していたのだというような通知が安定所になされることがしばしばあります。そういうことがあった場合には、直ちに事業主から就労証明書を出させるということもしているわけであります。
 またさらに、大量の印紙を購入した事実がわかりましたときには、全国の労働局にこれを通知いたしまして、労働局から管内の安定所にこれについて注意をするということもしているわけであります。
 こういった仕組みで何重にもチェックをかけているところではありますが、実際にはこの網をくぐって不正が行われるということでございます。私どもといたしましては、現行の制度の中では、まず事業所の実在についてのチェックを確実に行うということ、さらに、先ほど申しました印紙の購入、例えば非常に大量の印紙を分散して購入しているというケースは危ないケースであるわけですから、そこのところの確認をさらに一層しっかりと行うということ、さらに、印紙購入と印紙の納付状況に差があります場合、事業所調査を実際に行うこと、こういったことを従来からもやっておるわけでありますが、さらに徹底してこれを厳格に行う、こういったことによって不正受給の防止に努めるということは大変大事なことであろうかというふうに思います。
 なお、この購入通帳は、現在では約九千社に発行しておりますし、保険の適用になる方は、年間四万七千人ぐらいの方がこの被保険者手帳を持っておられるわけでありまして、この制度自体は、日雇い労働者の生活の安定にとって大変重要な制度であります。その制度の運用について、御指摘のような件がないように、厳正な運用にさらに努める必要があろうかというふうに考えております。
#35
○河上委員 現行制度の仕組みの中で、改善点を局長から御説明いただきました。これも順次進めていただきたいわけですが、さらに詰めて申し上げますと、各職業安定所間の連携というものをしっかりやってください。しかし、それが十日も十五日もたちますと、その間にまた不正受給というものが発生するような、今回の事例を通じても問題点があります。スピードが要求される場合があるので、時間の点も考慮に入れて、連携をしっかりやっていただきたいというふうに思います。
 印紙購入の場合でも、日ごとじゃわからないわけでございまして、何人かがグループをつくってその手帳を集めてやれば、これはできるわけでございまして、ある意味では名寄せ等も考えてしっかりやらなくちゃならないだろうと思いますし、現在七時から十時ですか、窓口の申請であぶれ手当をいただく、その時間のシステムもこれでいいのかどうか、これらも検討していただきたいと思います。また、毎日支給が果たしていいのかどうか、その点についてもう一遍考えていただきたいこと、これは要請をいたしておきます。
 いずれにいたしましても、昭和二十二年に創設されました失業保険法の第一次改正において、日雇い失業保険制度というものが創設をされまして、支給方法は、手帳に貼付された印紙を確認して支給する。この当時から現在の方法と全く変わっていないわけでございまして、今、IT、ITと言われている時代の中で、手法としては極めて古い手法の一つであろう、私はこう思います。
 その意味で、何十年どころか古典に属するような手法の古さを持っておるわけでございますから、手帳に印紙を貼付するという方法を少し大胆に一歩進めまして、情報化など技術が進歩しているわけでございますから、不正受給の防止の観点からも、例えばICカードを利用する、活用する、こういう方法に切りかえてこれらの問題もクリアするような考え方が労働省においてあるのかないのか、これは御見解を聞かせていただいて、質問を終わります。
#36
○渡邊政府参考人 この日雇い雇用保険の制度につきましては、従来から、例えば被保険者手帳には本人の写真を貼付していただきまして本人確認をするとか、あるいは、日雇い労働者ですから作業場を転々とすることがあるというふうなことで、その働いた作業場において事業主から印紙を貼付してもらう、これは通算をして日数は確認できるというふうなことで、労使それぞれにとって現在考えられる最も都合のいい制度ではないかということで、今おっしゃいましたような歴史を持って今日に至っているわけであります。
 ただ、そういった中で、現実に不正受給の問題が発生するということは大変遺憾なことだと思っておりまして、私ども、例えば先ほど申しました印紙購入、これは名寄せが実際にできるわけですから、そこのところの名寄せを厳格にチェックするというふうな改善については早速取りかかる、従来からやっておるわけでありますが、さらに厳格に取りかかる必要があろうかというふうに思っております。
 今御指摘のICカードの利用につきまして、こういったハイテクの時代でありますから、従来のような手帳をもって毎日毎日これに判こを押してもらうというようなやり方がいいのかどうか、そういったことも含めて慎重に検討する必要があろうかと思いますが、事業場にとって、ICカードの利用についての機械の設置というふうなことには大変大きな経費の問題もあろうかと思います。
 ただ、いろいろと御指摘がございますので、私ども、そういったことも含めまして、この不正受給の防止という観点からいろいろと慎重にこれから検討させていただきたいというふうに思います。
#37
○河上委員 終わります。ありがとうございました。
#38
○大石委員長 五島正規君。
#39
○五島委員 民主党の五島でございます。
 八年ぶりに労働委員会に戻らせていただきましたが、このたび労災保険法の改正案が出されております。その大きな問題は二点。一つは、いわゆる建設産業におけるメリット制の拡大であり、もう一つは、いわゆる過労死問題であろうと思います。
 このメリット制を拡大することによって労災隠しがふえるのではないかという心配があるわけでございますが、たまたま先週の土曜日、これは大阪の毎日新聞ですが、一面トップで、「“隠れ労災”五十八万件 過去十年健保扱いで処理」、また社会面では非常に大きく半ページを使いまして、「結局泣くのは労働者 仕事にも事業所にも傷つけられ」「「家でけがしたことにしろ」「別の仕事探したらどうや」「救急車は呼ぶな」の鉄則も」というようなことが書かれています。
 このニュースの出どころは、恐らくことしの三月の労災審に社会保険庁からの報告を労働省がお出しになった、このデータに基づいた内容だろうと思います。社会保険庁の報告によりますと、昨年は六万七千件の、いわゆるレセプト審査の中で、社会保険では支払えない、これは労災保険だろうということで摘発された数がございます。これは過去十年間についての数字を出されたわけでございますが、昨年が六万七千件、二十三億、その前年は五万一千件、十六億というふうに年々ふえてきています。
 しかも、この記事は若干不正確ではないかと思われる節があるわけです。この社会保険庁の調査は政管健保に限って調べた内容でございます。国保あるいは組合健保においてどのような労災隠しがあるかというのは、この数字には含まれておりません。
 なぜそのようなことを問題視するかといいますと、実は、建設業と言われている人たちは基本的に国保のはずです。例えば、大手、準大手のゼネコンから、それぞれ各県の十番目ぐらいまでの建築会社の職員、これは事務の人たちも含めて全部いわゆる全国土木の国保に入っておられます。すなわち、政管健保や組合健保ではございません。建設関係は国保であります。そして、中小の一人親方の皆さん方はいわゆる建設国保という、二つの国保団体でございます。
 大手のゼネコン、元請、この労災に責任を持つその人たちは、実は医療保険の方においては全国土木という国保組合に入っている。あるいは、災害の罹災率が非常に高い林業関係、この方々はほとんどが、ほとんどというよりもまず一〇〇%近い方が市町村国保に入っている。すなわち、国保の中にも当然このような労災隠しがたくさんあるだろうというふうなことが想定されます。
 労働省はこうした数字を、ことしの春、政管健保に限って労災審に報告されているわけでございますが、こうした労災隠しをなくするためにどのような措置をとられたのか。昨年、六万七千件もの政管健保だけでも発覚した件数がありながら、労働省が虚偽報告として摘発されたのは七十四件、その前の年が七十九件、その前が七十二件。本当に千分の一のオーダーでしか摘発していません。
 これについて現在どのようにお考えなのか、労災隠しという問題についてどのように対応されようとしているのか。また、土木国保や市町村国保の中における労災隠しの問題、こうしたものをどのように点検される予定があるのか、大臣、お答えいただきたいと思います。
#40
○吉川国務大臣 お答えいたします。
 いわゆる労災隠しの防止につきましては、これまでも労働基準監督機関において臨検監督、集団指導等あらゆる機会を通じまして、事業者に対し、そのようなことが行われることがないよう指導を徹底してきたところでありますが、仮に労災隠しの存在が明らかになった場合には、司法処分も含めて厳正に対処していくということでございます。
 今後とも、あらゆる機会を通じまして事業主に対する指導を徹底するとともに、新たに、建設業等の関係団体に対する指導文書の発出、医療機関用ポスター等の作成、配布、安全パトロール等を活用した啓発等の労災隠しの防止の取り組みを積極的に行うこととしております。さらに、労災隠し対策につきましては、行政と労使がともに検討を行う場を設けることも考えております。
#41
○五島委員 あらかじめ提出いたしました質問内容に沿うて原稿を読まれることも結構ですけれども、やはり私の質問を聞いてほしいと思います。
 昨年度、六万七千件もの政管健保に関する労災隠しがありながら、おっしゃった摘発というのは七十四件しかないのです。六万七千で七十四件やって、それで努力していると言えますか。
 そして、新聞にも書いてありますが、また、今私は申し上げませんでしたが、大臣自身が建設業ということを意識してお答えになったと思うのです。確かに、さまざまなところで建設関係での労災隠しが、後ほど指摘しますが、ございます。ところが、この六万七千件の中にはこれが入っているはずがない。なぜなら、その方々は、大手のゼネコンを含めて、準大手ゼネコンの一社を除きますと全部が国保です。国保の数字はここへ入っていない。そういうふうな状態を考えたら、その中においてどのような労災隠しがあるか、どのように点検されるかということをお伺いしている。どうですか。
#42
○野寺政府参考人 労災隠しというものの定義はなかなか難しいと思っておりますが、私どもが労災隠しとして摘発する場合というのは、これは安全衛生法第百条で、労働者が死亡または傷害、死傷病、そういったことにつきまして報告を提出する義務を負わせております。これにつきまして、その提出を行わなかった、あるいはその中で虚偽を記載して報告したといったような場合をいわば労災隠しと呼んで、先ほど先生御指摘のような数字、平成十一年で、送検件数全体では千二百六十二件ですが、問題となりました百条、百二十条の件では七十四件といったような数字になっているわけでございます。したがいまして、もともと労災を隠すという状況にあるわけですから、外にあらわれてきてこれを摘発する、法違反で摘発する、刑事罰で摘発するわけですから、なかなかこれは難しいということもございます。
 ただ、先生が御指摘の数字で、私どもちょっと御注意を申し上げたいのは、確かに、健保の方で給付を行ったものの中で労災扱いをすべしというものが毎年五、六万件あるということでございますが、この中には、いわゆる労災隠しではなくて、請求人の方が単に申請先、請求先を間違えて健保の方に行ってしまったといったようなこともあるのではないかというふうに考えております。
#43
○五島委員 そのように錯誤によってそうなった例というのは、それは当然幾つかあるわけですが、あるいは、一たん皆さん方が労災の認定を拒絶されて、そして争いの結果労災の認定に復帰したという場合に、差しかえによっての数というのは入ってまいります。しかし、年間に六万七千件という数は余りにも大きい。そういうふうな例外的な問題じゃないはずです。
 それからもう一点、話を進めますが、これは労働省が今回の改正に対して出されたデータで、非常に私も奇異に感じて、これで何も感じ取られないのかなと思ったわけですが、全産業と建設業の災害率、その度数率と強度率を出しておられます。例えば昨年度、全産業の度数率は一・八〇であります。度数率というのは、もう一々申し上げませんが、延べ労働時間数の傷害者数の中から、それの百万分の一ですか、出てくる数字ですが、それが全産業で一・八である。強度率、すなわち四日以上の重度傷害を起こしているのは〇・一四である。ところが、建設業を見てみますと、度数率は一・四四である。強度率は〇・三〇である。その前年をとってみましても、一・七二に対して〇・一四が全産業、建設業は一・三二の度数率に対して強度率が〇・三九。強度率からいえば全産業の倍あります。度数率から見ますと全産業より少ない。
 建設業というのは、けがをすればすべて四日以上の重傷になる率が高いというふうな職種が多い、そういう仕事が多いということを配慮しても、度数率と強度率のこの割合というものは、他の産業に対して突出し過ぎている。そのことを気がついていないはずがない。それは、すなわち、軽傷の労働災害に対しては、ほとんど労災に上がってこずに、一般医療の中で処置させていっている。だけれども、重度災害、死亡とか重傷とか隠しようのないものは結果的に労災に出てくるから、強度率は高いけれども災害の発生率は低いというばかげた結果になっているわけです。
 そういう点から考えても、大臣が答えられないなら基準局長、全国土木やその他の国保、あるいは市町村国保の中におけるこの労災隠しの状況をどういうふうに点検されるのか。それから、そのことによってペナルティーをどう科すか。摘発の数が千分の一やそこらの数しかできないというふうな状態であるとするなら、このメリット制、すなわち、労災隠しすればするほど逆に事業主は労災保険料が少なくて済む、そういう状況を仮につくるとするなら、労災隠しをしたときにはどのようないわゆる懲罰的な意味でもって事業主に対してその責任を問うていくのか。そうしたことをやはりきちっと入れるべきじゃないですか。
 今、労災の発生に対して、建設業では指名入札の要件になっている、それが多い。ますます、ちょっとしたけがであれば事業主は労災を隠すというところに走っていく。
 そして、この全国土木の保険というのは、これはこの労働委員会で言っても仕方ないのです。国保であって、公費から一六%以上の金をほうり込みながら、保険料率は千分の七十七、全国の医療保険の中で一番安い。しかも、事業主が四五%持っている。だから、労働者の保険料率は全国で一番少ない。ここが全部引き受けてしまえば、労災隠しは建設業ではやり放題ですよ。
 そういうふうな状況をどのように是正されるお気持ちがあるか。それをしない限りは、重度傷害が発生しない限り建設業界における労災の発生を押さえることはできない、労災隠しは一般化してしまうということになりませんか。お伺いします。
#44
○野寺政府参考人 労災隠しの対策ということは、先ほど大臣から基本的なことをお答え申し上げたわけでございますが、基本的には、私どもの労働基準監督機関を通じまして、臨検監督あるいは指導等を通じまして事業主に対します御理解を十分図りながら、労災隠しの存在が仮に明らかになった場合には、司法処分も含めまして厳正に対応するということであるわけでございます。
 ただ、先生御指摘のペナルティーの問題でございますが、労災保険という仕組みそのものが、労働災害が多くなれば保険料がふえる、つまり、労働災害というのは事業主の責任で起こるわけですから、責任の度合いで保険料がふえる、したがって、労働災害を防止する努力をして結果として災害が減れば保険料が減る、こういった基本的なインセンティブの構造にあるわけでございます。これがメリット制のいわば基本的な哲学でございまして、この点については基本的に御理解いただいていると思います。
 一方で、このインセンティブをもし悪用するという意思で考えますと、確かに、保険料が上がらないように労災があった場合に隠すということをする事業主がいるわけでございまして、これが労災隠しであるわけでございます。ただ一方で、だからといって、いい面、労災を減らす努力を積極的にするまじめな事業主に対するインセンティブは、基本的に継続していく必要があるわけでございます。
 さらに、今の限度以上に、現在やっておりますインセンティブ以上に労災隠しに対しますペナルティーを設けるべきかどうか、これはなかなか難しい問題であろうと思います。つまり、具体的に安全衛生法といったような罰則を伴います法律に違反する場合には、それが明らかになれば現在の制度の中でこれは処罰が十分なされるわけでございますが、その中間領域的なことについてさらに罰則的なものを強化すべきかどうか、これは必ずしもコンセンサスが得られないのではないかというふうに思っております。
#45
○五島委員 現在のメリット制が持っている一つの目標、安全対策を十分にし、労災事故を減らすことによって保険料率も軽減していく、そのことの本来の目的を私は全く問題にしておりません。そのことはそのことでいい。
 ただ、今局長が言ったように、それが悪用された場合どうするのか。それが場合ではなくて現実に起こっているじゃないか。しかも、労災がどんどん起こってきているところに対して、それを公共の指名や入札条件に加えていく、そのペナルティーというのも一定了解できる。しかし、そうしたところのペナルティーが高くなればなるほど、必死になって労災隠しをしようというインセンティブもまた働くわけでございまして、それだけに、労災隠しということが明らかになった事業主に対して、ペナルティーというものを同時にきちっと考えるべきときに来ているんじゃないか。余りにも労災隠しの数が多いじゃないか。これを容認しているとすれば、保険の公正さというのは失われますよ。これは一体どうするつもりか。
 その点に限って、労災隠しをしている事業主に対して、それを摘発して告発するということのほかに、それに対するペナルティーとしての何らかの対応を考えるお気持ちはあるかないか、そこだけをお伺いします。
#46
○野寺政府参考人 司法処分を行うことはもとよりでございますが、それ以上という意味では、メリット制の適用を受けている事業場に対しましては、メリット収支率の計算を再度厳密に行いまして、必要があれば、還付金の回収等、そういった金銭面での制裁もあるわけでございますが、こういった点を厳正に対処していくという方針にいたしております。
#47
○五島委員 労災隠しという事態が起こっていること、労災保険上は保険財政にはプラスとお考えなのか知りませんが、どうも余りすっきりした御答弁が得られません。また改めてこの問題は議論したいというふうに思います。
 次に、今回の労災保険法の中で過労死問題が取り上げられております。その対策のために二次健診をやる。私は、個人的には、一体健診で過労死がどこまで軽減するんだろうかという気持ちもないわけではございませんが、そこのところはきょうは余り議論するつもりはございません。
 ただ、過労死という状態、これは御案内のように、過労そのものが直接唯一の原因として死亡に至るということはまずあり得ない、だから、医学的概念ではない状態です。過労が何らかの大きなトリガー、引き金となって重度の障害、死亡に至ったときを過労死と呼んでいる。
 これは労災の認定の中から出てきたというよりも、その多くは裁判事例、すなわち労災の認定にならないということで裁判に提訴されて、国側が負けて、その数が余りにもふえてきて、その概念を取り入れざるを得なかったというところからきていると思います。それでもなおかつこの過労死という問題を労災の中に位置づけていく、健康診断をやっていくといった場合に、整理をしておかなければいけない点がございます。
 労災の中において過労死というものが導入されてきました概念といいますか、例えば一九八七年の認定基準等々を見てみますと、基本的に過労死というものについてはいわゆる相対的有力原因説という立場に立っている。すなわち、その人が身体上の、健康上の問題を持っていたとして、その人に加わった過労やストレスというものが通常よりも非常に強く、その本人の持っていた障害を配慮してもはるかに強い原因がそこに存在したことによって過労死に至ったということを認定するという立場に立っておられたわけです。
 それが最近になりまして、そういうふうな立場では裁判でも負けていくというところで、昨今の裁判の事例を見てみますと、共働原因説というところでもって労災を認定せよという形で裁判所は判例を次々と出しています。この共働原因説というのは、その労働者に一定の、強弱いろいろな健康上の要因があったとしても、そして、そこに加わった過労その他が必ずしも同僚の労働者その他と比べて過重ではなかったとしても、結果的に一定の過労と言われているような労働負荷が加わってそれが死に至るような重度の障害になった場合は、労災認定をしろというところに裁判の判例はなってきています。
 例えば平成十二年度の福島の裁判事例、たしかどこかの高裁でやられた判例があったと思いますが、それなんかを分析しますと、明らかにそうなっています。
 あるいは、最近ではさらに、平均的最下限労働基準説という形で、障害を持っていたとしても、そこに働いて、そして何らかの労働ということが原因になって基礎疾患が悪化すれば労災なんだというふうな意見まで出てきた。
 基準局長はわかっていると思うけれども、一体どういうふうに労災保険上は整理しておくか、大変なことなんです。死ということになるから皆さん非常に気の毒にということで言っています。
 しかし、これまで、例えば無症候性の腰椎のヘルニアを持っている人、その人が何らかの仕事をして腰痛を起こした。その人間はヘルニアがあるということで、腰痛は労災認定になっていません、なりません、そうですね。私は何回もその問題で、基準局で却下されて、けんかした覚えがあります。
 すなわち、本人に何らかの健康上のあれがあったとしても、その被災を受けた労働者が、その業務を遂行することによって、その業務に原因してその疾患に到達したということがきちっと因果関係において証明されないと、他の疾患は認めないのです。
 ところが、この問題は、そこが非常にあいまいなまま来ているから、今回も過労死対策といいながら健診。私はまさに、さっき局長が言うのを聞いていて、ああおれもそうかと思いますが、肥満ですね、高脂血症、高血糖、高血圧、この四つが死の原因だといったら、今、日本の国民、四十代、五十代の人をとってみたら三十万人どころじゃありませんよ。だから、そういうふうな人たちが非常にふえてきているという事実はあるわけです。
 その人たちに二次健診で精密検査をして、では精密検査で何を見つけようとしているのか。要治療になるような状態であれば、それは治療に任せればいい。だけれども、今の時代、多くは、そうした高血圧とかそういうものを持っていても、医療のコントロールのもとにおいて、社会的には正常人として、健康人として仕事ができる、そういう社会になってきている。
 その中で、あえて二次健診をして、その二次健診の結果、健診のデータというものは、使い方としては基本的に二つあるわけですが、労働災害の防止ということになりますと、主としてそれは事業主の責務になってくる。事業主に対して一体何を求めるのか、二次健診の結果で。
 それで、今回初めて、当該労働者に対して医師、保健婦からの健康指導ということが入っています。これは非常に高く評価します。なぜならば、そういうものは本人の健康管理あるいは本人に対する直接の健康指導、カウンセリングがないと解決しないということで、そこをするということは非常に評価するけれども、もう一方で、いわゆる労災保険を使って健康管理をしていく、その一環としての二次健診ということであれば、その健診のデータを事業主に対してどういうふうに使わせるのかという問題がある。
 これが、共働原因説になってきて、結果的には、労働者を解雇したりあるいは業務転換する、そういう内容にしか使われないのか。それとも、そういう基礎疾患、血圧を持っている人に対しては、労働時間を大幅に短縮してでもその人が絶対に悪化しないような要件でもって雇用を続けるとおっしゃるのか。まして、ストレス性の疾患というのは、職場におけるストレスもありますし、職場外のストレスもあります、健康上のストレスもあります。
 一体どういうことを考えて過労死対策をやろうとしておられるのか、私にはこの法案では見えない。ただ、労使ともども健診をやるということで何らかの安心感を得たがっているということが見てとれますから、あえて反対はいたしませんが、しかし、そこのところを労働行政としてはどういうふうに整理しておられるか、お伺いしたいと思います。
#48
○野寺政府参考人 先生はドクターでいらっしゃって、大変専門的なお立場で聞かれている部分があるというふうに思います。
 この過労死対策の基本的な考えについてはるる申し上げておりますが、いろいろな原因があるとしても、結果として重大な、一番悪い場合には亡くなる、過労死という形になった場合には、それは労働者本人も企業も損害を受けるということになるわけでございまして、可能な限りこれを予防するというのが根幹でございます。
 その意味で、二次健診の結果に基づきまして、事業主は、例えば軽易な作業に転換する、あるいは残業時間が多い場合にはそれを減らす、あるいは就業場所そのものを変更するといったようなことを基本的にする場合があるわけでございますが、何よりも大事なことは、この場合に、その対象となった労働者御本人の同意を得てやるということを原則としたいというふうに考えております。
 さらに、生活習慣に関しますいろいろな保健指導等につきましても、これも本質的に御本人がその気になっていただかない限り成果は上がらないわけでございます。ただ、こういった事業主によります事後措置、そして御本人の側によりますそういった保健指導等の結果を受けた御本人の努力、こういったものが総合的に機能を発揮いたすならば、過労死がかなりの程度予防できるという、その結果を大事にしたいというふうに考えているわけでございます。
#49
○五島委員 一九八七年以後、労働省はそういうところが精いっぱいの現場での指導だろうということで、いわゆる過労死に対しては、過労ということをもって相対的有力原因説に立っておられる。その論理で物事が進んでいるときは、局長が言われることでいいと思うのですね。その場合は、二次健診をやろうとやるまいと、そういうリスクファクターを持っている人に対しては通常の労働を超えた過重な労働をさせないというところで事業主に安全を配慮していただくという形で来たと思うんです。
 だけれども、局長知っているように、裁判はその段階でとどまっていませんよね。今既に、さっきも言いました共働原因説のところまで来ています。共働原因説というのは、業務とその他の要因のどちらが大きな要因であっても、その二つが重なれば過労死だとして労災だと言っているわけです。だから、労働省が一たんそこのところで踏みとどまろうとしたところは、既に社会、裁判というふうなところにおいて追い越されているわけです。
 そうすると、共働原因説に立脚したところにおいてこれを労災として認めていくためには、労災保険の認定をしていく上での大きな発想の転換がないとできないわけですね。その辺をどういうふうにされようとしているかということをお伺いしているわけなんで、もう一度お願いします。
#50
○野寺政府参考人 今回の給付はいわば予防ということでございまして、従来の労災補償給付が、結果として起こった労災に対する補償といういわば結果責任の部分であるのに比べると、事前、つまり予防という観点に立つわけですから、確かに若干質が違うということになります。
 その意味で、先生御指摘のいろいろな基本的な考え方についても、多くの議論が今日までなされておりまして、ただ、その結果、こういった対策をとる必要があるというところに着目して、今回の法案を出しているわけでございます。
 なお、先生、裁判例を引用されて、相対的原因説あるいは共働原因説等々の御指摘をなさいましたが、私どもが理解する限り、共働原因説に立った判決例はあるわけでございますけれども、多くの判決は今のところ相対的有力原因説の考え方であるというふうに考えております。
#51
○五島委員 もちろん、相対的有力原因説で判決がおりるようなものは、裁判に持っていく前に労災の認定の段階でさっさと処理すればいいわけで、新しく出てきているのは共働原因説で、もう裁判判例として出てきたじゃないのということを言っているわけですね。だから、それに対応する。
 結局、今の話を聞いていると、こういう状況の中において、労働災害ということの整理がまだ十分ついていないから、健診というところでもって、だれも反対ないだろうというところで何となく時間をつないでいこうというふうに考えておられるのかなというふうにも思われるわけです。
 ただ、私は、健診で三万、四万、一体どういう健診をされるのかなと思います。二次健診で、本当に過労死が防げるような健診というのはあるんだろうか。過労死の概念というのははっきりしない。その中において、検査の項目だけ挙げていけば、それは高いから何ぼでもできます。エコー検査をして、MRでも撮れば、すぐに三万や四万ぐらいになるでしょう。それをやったからといって効果があるのか。例えば脳ドックということについても、いっときはやったけれども、これが余り効果がないということも証明されている。むしろ、こういうふうな過労死という問題が出てきた中において大事なのは、労働者に対する健康上の指導、カウンセリング、このことを労災保険の運用の中においてどこまでやっていくかということだろうと思うのですね。
 特に、これが従来各企業の労務のラインの中でやられてきた、そのことについての限界もあります。例えば、さまざまなうつ病の問題、自殺の問題、そういう問題を考えた場合に、企業の中でカウンセラーを抱えて、それが労務のラインの中に所属していて、それで、早期うつ病にかかっている中年の中間管理職の人たち、そういうような人たちが相談に行くわけがないですね。だから、結果的に早期の段階でカウンセリングを受けることもできずに重篤化していっている。
 そうすると、そうした問題を含めたいわゆる指導なりカウンセリングの機能というものを、一体全労働者に対して、すなわち労災加入労働者に対してどのようなサービスが提供できるのか。それが個別の企業で無理であるならば、労災保険という事業主の拠出保険の中においてそれをどのように構築していくかということこそが、実はこの過労死の問題等々が入ってきている中において大事なんじゃないか。その中で、就労の形態についても事業主に対してきちっとアドバイスできていくような組織をつくっていくということが必要なのではないか、そのように考えるわけですが、いかがでしょうか。
#52
○野寺政府参考人 確かに、先生おっしゃるとおり、日ごろの事業場内におけるそういったカウンセリングも含めました体制というのが必要不可欠であるとは思います。
 ただ、現在の労働安全衛生法におきまして、事業者は、定期健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があるという観点からの労働者に対しては、医師、保健婦または保健士による保健指導を受けさせるように努めなければならないという規定がございまして、努力義務ではございますけれどもその規定がございまして、これに基づいて、行政の方もそれをサポートするようなことをやっているわけでございます。
 確かに、これを現実にやりますと、事業主にはコストがかかるわけでございますし、例えば、産業医等が必ずいる、自前で産業医を抱えているという事業所も少ないわけでございますが、こういった法律の制度を生かしまして、今後も先生御指摘の保健指導が現実に機能するようにいろいろな対策を講じていきたいというふうに考えております。
 また、今回の過労死対策が、こういった部分に光を当てて、従来のそういった制度についてさらに充実する一つの大きな契機になるんじゃないかというふうに思っています。
#53
○五島委員 時間がありませんのであれですが、例えば産業医の問題にいたしましても、製造業が社会の産業の中心、労働者の就労の中心である時代においては、そういう産業医が職場の中にいて、そして緊急対応を含めて日常的に健康管理していくということも必要である。そして、その一環において産業保健婦が配置されるということも必要である。
 しかし、産業の形態が非常に大きく変わってきている中において、果たしてそうした企業のラインに所属する医師なり保健婦に依存する形でやっていけるのか。そのことはたちまちメンタルヘルスの問題一つとっても行き詰まっているわけですね。そうだとすると、従来からやってこられた産業医というものを軸にして産業の形態を無視して一律にやっていくというやり方を何らかの形で変えていかないと、いわゆる職域の健康管理というのはできないのではないかと思います。
 これについて、大臣、何かお考えございますか。
#54
○野寺政府参考人 確かに、産業の構造自体が変わっておりまして、労災保険の被保険者も、製造業からサービス業、ホワイトカラーの方にシフトしてきております。それに伴いまして、製造業的な労災から、ホワイトカラー的な、例えば先生御指摘のメンタルヘルス的なものが従来にも増して重要になってきております。
 メンタルヘルスに対しましては、これは労働省としても、現在、今後、二十一世紀も含めまして大変な重要な問題というふうに考えておりまして、根本的な対策を打ってまいるつもりでおります。
 現在、産業医等に依存している部面もございますけれども、それ以外に、各都道府県に産業保健推進センター、あるいは医師会の御協力を得まして、全国三百四十数カ所に地域産業保健センターといったような相談体制をしいておりますが、こういったもの、あるいは既存の労災病院の窓口にもメンタルヘルスの相談等の体制をしいておりますし、こういったネットワークを通じまして、新たな問題に十分対応できるようにしてまいりたいというふうに思っております。
#55
○五島委員 時間がありませんので、これは重要なこの法案の中心課題の問題ではありますが、いずれにしても、今の現状、労災隠しの問題あるいは過労死やメンタルヘルスの問題、そういうふうな問題に対して非常に問題が大きく出てきておりながら、今回の法案だけでは解決がつかないということを指摘して、この辺についてぜひ対応策を具体的におまとめいただくようにお願いしておきたいと思います。
 次に、今回の保険の改正の中で、いわゆる労働者に対する直接医師、保健婦による指導、先ほども私その部分は高く評価すると申し上げたわけですが、という内容が入っております。従来の職域における健康診断というのは、事業主が労働者を雇用継続し、就労させていく上における安全配慮義務の中において何が必要かという観点からやられてまいりました。これは、特殊健診も含めて全部そうです。
 ところが、今回の過労死に関する健診というのは、これは今の局長の御答弁でもあるように、事業主を通じて過労死というものの軽減を図っていくという、二次健診等を含めた結果を直接医師もしくは保健婦の方から健康指導していく、すなわち、労働者本人にそれを返して、そのことによっていわゆる健康リスクファクターと言われている問題に対する解決を図ってもらおうというところにウエートを置いているというふうに考えます。まずそこは問題ないですね、いいですね。そうだとしますと、このようなやり方でやっていく二次健診というのは、従来の労災保険の枠を若干変えてもいいのではないかというふうに思います。
 そこで、問題を指摘したいわけでございますが、現在、労災の特別加入者、三種類あると思います。一つは事業主、中小企業の事業主は事業主が一番よく働いているという説もあるぐらい現場で仕事をしていますが、事業主。それからもう一人は、一人親方。もう一人は、ごく少数でそういうふうな人の中で働いている雇用労働者。こういうふうな人たちが入っています。そういうふうな方々は、いわゆる労災の特別加入という形でやられておりますが、この特別加入の労働者に対する健康管理上の保護というものは、労災保険からは現在やられてきていません。その理由は、一人親方、個人事業主であるから、それをやる必要がない、だから健診やらなくてもいいという理屈だったと思います。
 しかし、過労死の問題等をめぐりまして、働いている労働者自身に健康情報のフィードバックをして管理してもらうという観点に立つと、これを除外するということについてはいかがかな、何らかの形でこのサービスの提供の拡大をお願いしたいというふうに思います。
 あわせて、この特別加入に対しては、現在、経過からいって漫画的に排除されている人たちが非常にたくさんいる。
 例えば、今東京都内でもバイク急送便とかバイク宅配便とか非常にふえております。バイクというのは、百二十五cc以下は軽車両でございますから、地方自治体が管理する、自治省の管理。それ以上は運輸省。だから、運輸省が管理している部分については特別加入で入れているのです。四百ccのバイクでバイク急配便に行けば労災の特別加入ができる。二百五十で行っても加入できるわけです。ところが、バイクの性能がいい、道が狭いということで、百二十五ccのバイクでバイク急配をやっている人たちは特別加入の対象にならない。
 あるいは、ダンプの労働者は特別加入できます。これも警察のあれで、二十トン以上のダンプを運転する労働者は特別加入ができる。二十トン以下のダンプの運転手はだめだ。
 労働者、仕事という観点から見ていけば全く関係がない。それぞれ車両をどこが管理しているか等々の問題にしかすぎないわけです。これに何も労災保険が倣う必要はない。
 そういう意味において、新たな産業が次々と起こってきています。そういう起こってきている新たな産業の人たちに対する労災加入の道というものもあわせてぜひ拡大していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#56
○野寺政府参考人 まず、事実的な面につきまして少しお答えを申し上げます。
 一人親方等の特別加入でございますが、これは、労災保険というものは、労働者に対する事業主の責任を果たすという制度でございますので、基本的には労働者が対象ということでございますが、働いておられる方の具体的態様、特に一人親方の方等、基準法上の労働者に制度上は該当しないけれども実態として人に使われている、あるいは災害が発生する具体的な状況から見て一般の労働者と同じように扱った方が適当ではないかというふうに考えられる幾つかの種類の方々について、労働者に準じて特別加入を認めている、こういう制度でございます。
 また、今個別問題で先生御指摘になった自動車運転者の方々でございますが、これも、実際に自動車を使用して行う旅客または貨物の運送の事業に従事する方々につきましては、旅客については道路運送法に基づきます免許、貨物については貨物自動車運送事業法に基づきます許可を受けている方に限定して特別加入を認めております。
 その理由は、業務と私用を、つまり業務上と私傷を明確に区別ができるということが一つ。それから、一定の災害防止努力を行うということが労災保険の基本でございますので、その一定の災害防止を行うことができるということを法律上義務づけることができるものである必要があるわけでございます。こういった関係で、自動車運転者につきまして一定の者に限っているわけでございます。
 特に原付自転車、何cc以下とおっしゃいましたが、これは道路運送法に基づきます免許等の対象としておりませんので、そういった観点から、現在設けております要件には該当しないというのが現在の制度でございます。
#57
○五島委員 もう一点の方は後で大臣にお答えいただくとして、今の局長の答弁ですが、やはりそれはおかしいだろう。確かに事業者の認定を与えるというのは運輸省、運輸省が取り扱っている自動車というのは軽車両ではない。軽車両は自治省、自治体ですから。自治省はそういうふうな認可を出していく権限がないというところから、これは外れている。これは、勝手な昔からの省庁間の権限の一つの問題である。働いている労働者は違うわけです。
 また、今局長そう言われるけれども、現実にこの特別加入をしておられる労働者あるいは特別加入を求める労働者の労働実態というのは何になるのか。これは、屋内作業であればパート労働に相当する。言いかえれば、屋外のパート労働と言われていいような労働者がほとんどこういう形で特別加入にいかざるを得ない。そこからも加入させない。これは根拠に欠ける。しかも、労災に加入するとすれば、何らかの労災防止のための協業組合のようなものをつくらせて、それが建前上雇用している形をもって加入させるわけで、私用と業務用とが分けられないというふうなことにはならない。そこのところで仕分けがつく。
 だから、これは何も運輸省に合わせなければいけない理由は全くない。運輸省の方はその人たちに業務認可を与えるというところまで踏み込めるかどうかわかりませんが、実態としてそういう就労はある。そして、百二十五のバイクというものの性能がよくなって、それが都内でも何千台か走っているという状況の中において、その人たちを労災保険の対象から排除しておく理由はない。
 逆に、そういうふうなバイク急配便みたいな人たちを常用労働者で雇うよりも、そういうふうな存在に依存した企業のアウトソーシングというものが進んでいるということは、もう皆さん御承知のとおりなんです。そうだとすれば、これはまさに屋外におけるパート労働なんです。そこのところをぜひ検討して、ぜひこれに特別加入の方向を開いていただきたいと思います。
 その点と健診の問題について、大臣、一言お願いします。
#58
○吉川国務大臣 御指摘の健康確保対策の促進に資するために、特別加入者がどのような健康診断を受診しているかという実態の把握に努めて、今、五島委員の御指摘に沿うように努力していきたいと思っております。
#59
○五島委員 ありがとうございました。
 そこの部分についてはぜひそのように努力をお願いしたいと思いますが、局長どうですか、特別加入。これからどんどん出てくると思いますよ。ニュービジネスがふえてくる、そういう時代になってきた場合に、さまざまな企業がアウトソーシングをしていく、そしてそのアウトソーシングされた人たちが、従来ではないような就労の形態をとっていく人たちがふえてきます。あらゆる産業において、労働災害というものは全く予想がつかないということはあり得ない。そうすれば、この労災への特別加入の道というもの、他の省庁の認可事例とは別個に、労働省は労働省として、一定の基準のもとにこれに集団的に対応していくということが必要になるのじゃないでしょうか。その辺はどうお考えですか。
#60
○野寺政府参考人 特別加入という制度自身がある意味で妥協の産物でございますので、これができた昭和四十年以来、少しずつ対象を付加してまいったわけでございますが、今日振り返ってみますと、いろいろな問題が生じてきている、矛盾と申してもいいかと思うのですけれども、生じているのは事実であるわけでございます。
 そういった意味で、先生ただいまつとに御指摘になりました問題も含めまして、特別加入の問題につきましては、今後いろいろな観点からの検討をしてまいりたいというふうに思っております。その際、先生の方からそういう御意見があったということをしっかり頭にとどめておきたいというふうに考えます。
#61
○五島委員 それでは、そのようにぜひよろしくお願いしたいと思います。
 時間がございませんので、もう一点お伺いします。
 実は、外国人労働者の問題に関連いたしまして、少し質問をさせていただきたいと思います。
 外国人労働者の問題に関しましては、例のKSDにかかわる問題とも関係する内容になってくるわけでございますが、同じくこれは東京の毎日新聞に、先ほど申し上げました先週の土曜日の毎日新聞に、趣旨は全く別なんですが、とんでもない記事が出されております。それは、この六年間で、いわゆる技術研修という形で受け入れた労働者の中で約六千人が失踪しているという報道がなされています。
 この点について、失踪しているというのは一体どういうことなのか、そもそも、技術研修という形で外国人労働者を受け入れることになったわけですが、その経過を含めてお伺いしたいと思います。
 まず、この外国人労働者の失踪事件ということについてはどのようにお考えなのか。これもかなり大きく載っているわけですが、「外国人実習生・研修生 六年で三千人失跡」というふうな形で大きく載っております。これについて労働省としてはどうお考えになるか、まずそこからお伺いしたいと思います。
#62
○日比政府参考人 技能実習生で来ている者につきましての状況でございますが、私ども、技能実習生、あるいはその研修生という形の者もおりますが、全体としての状況は把握いたしておりません。
 ただ、アイム・ジャパンという財団法人がございまして、そこの関係の数字については聞いております。従前アイム・ジャパンというところが受け入れた研修生の累計は十一月初め時点で一万四千七十七人おりますが、そのうち失踪者と言われている者は六百五人。この失踪者というのは、ここでは一たん所在がつかめなくなった者ということでございます。それから、そのうち、その後ということで、これも現時点で帰国が確認できていない者、いろいろなルートで、強制的な帰国も含めまして帰国する者もいますが、最近時点で帰国が確認できていない者の数は三百七人。これがアイム・ジャパンというところで受け入れた研修生の状況というふうに聞いております。
#63
○五島委員 アイム・ジャパン関係だけで六百人を超える失踪労働者がいる。
 このアイム・ジャパンというのは例のKSDの関連の団体で、後ほどその問題についてお伺いしますが、「インドネシア人研修生・技能実習生の実態調査と改善に向けての提言」ということで、ことしの七月に、このように、アイム・ジャパンの問題、特にそこでやられている内容が人権を侵害するという膨大な資料も発行されています。例えば、アイム・ジャパンを通じて紹介したところにおいてパスポートを取り上げるといいますか、受け入れ企業によって管理される、あるいは卒業証明書を管理される、あるいは残業手当が支払われないといったような人権侵害が発生しているというふうに報告されています。
 こうした外国人の技術実習生の引受先における人権侵害の実態というものについて、労働省はこれまで調査されたことがありますか。
#64
○日比政府参考人 技能実習生の制度につきましては、私ども労働省も非常に深いかかわりがございますが、その他、法務省、外務省等の省庁と連携して実施しておるものでございます。そのために、略称JITCOというふうな言い方をいたしておりますが、国際研修協力機構、こちらの方も設けておるところでございます。
 なお、その団体からいろいろな指導等を行っておりますが、人権侵害そのものといいますか、そういう概念でいろいろな指導をしておるか、あるいは調査をしておるかという点につきましては、今までのところやっておりません。ただ、人権侵害というのは本来いろいろな特別の定義なりでやっておるわけでございますが、それはそれとしまして、技能実習生が日本で本当に技能実習の効果が上げられるよう、生活面なりあるいはいろいろと事業主との間あるいはその他の人との間で権利の侵害がされるようなことがないようにという意味の指導はいたしております。
#65
○五島委員 権利の侵害がないようにという指導をしているということは、そこに侵害があるということを認識してやっているのだと思うのです。
 もう一つお伺いしておきますが、この制度が導入されて今日まで、最初のたしか十カ月間は研修期間で労災の対象にはならない。その後の二年強は労災保険の対象になりますね。もし災害が起こった場合、労災保険の対象になりますね。
 それで、この研修生の中において業務上災害を発生させた事例、届け出が出された事例というのはございますか。
#66
○野寺政府参考人 先生のお尋ねは、実務研修を終了して技能実習に移行した研修生の労災、こういうことだと理解しましてお答え申し上げますが、実務研修を終了して技能実習の方に移行した研修生に関します労災保険給付というのはございません。
#67
○五島委員 ないということ自身は、じゃ、本当に災害が起こっていないのだろうか。
 私はその昔、たしか平成三年ぐらいですか、「いのちの差別」という外国人労働者の実態について本を出したことがございます。その本を書く中において、当時たくさんいた外国人労働者の実態を見ました。なぜそういうふうなところにかかわり出したかといえば、外国人の労災問題は、現実問題としては、外国人が労働災害にかかわった場合に労災の適用もないままに追い返されているという事例が多いというところから取り組んだという経緯がございます。
 この外国人実習生の労災の認定、これは最初の研修期間が済んで技能研修に入ったときは労災保険に加入させているのですよね。だけれども、その間において一人の請求もなかったということは、文字どおり理解すれば一人の労働災害者もいなかったということです。これは実際上は考えられない。しかも、この就労が、高度の技能研修というよりも、いわゆる単純技能に対してという名目で門戸を開いているわけですよ。それが一人もいないということは、私はあり得ないと思います。そこら辺において、そもそもこの制度というものが大変問題があるんではないかなと思わざるを得ないということ、そこのところをまず指摘した上で質問させていただきたいと思います。
 そもそも単純労働を国内に受け入れていくということについては、それは非常に難しい、できなかったというふうになっていたわけですが、KSD及びKSD豊明会は、単純労働に就労する外国人の国内受け入れをどう可能にするかということで、九〇年の二月以後、大変積極的に行動してこられました。九〇年の九月には、KSD及びKSD豊明会は、単純労働する外国人労働者を受け入れる目的のため、豊明会中小企業政治連盟を結成し、政治活動を行い、単純労働を技術研修と称して部分開放を行わすということを決め、そしてその受け入れ機関として、九一年十二月にアイム・ジャパンが結成されたというふうに言われています。
 この間に当然労働省は、豊明会中小企業政治連盟の目的である単純労働外国人を技能研修の名目で受け入れさせるための政治的な働きかけを受けてきたと思われるわけでございますが、その間どういうふうな働きかけがあったのか、現在わかっている限りのことを明らかにしていただきたいと思います。
#68
○日比政府参考人 外国人労働力の受け入れ問題につきましては、ここ数年というよりは、長い間いろいろな議論があったところは先生御承知のとおりだと思います。古くからある議論でございまして、外国人労働力の受け入れに極めて積極的な御意見をお持ちの方々もおられれば、極めて慎重な見方をとられる方々もおられます。中でも単純労働力と言われている部分につきましては、私どもとしましては、非常に慎重であるべきということで従来やってきておりました。
 今一九九〇年というような数字が出ましたが、一九九〇年代前半、やはり外国人労働力、なかんずく単純労働力の受け入れにつきまして、国会議員の方々も、あるいは経済界の方々も含めまして、いろいろな御議論があったと聞いております。その中には、先ほど申し上げましたように積極論もあれば慎重論もある。その流れの中で、一九九〇年と申しましょうか、研修制度自体につきまして、これは法務省の所管でございますが、入国管理法あるいはその省令、具体的には省令レベルになりますが、外国人研修生の受け入れの仕方について緩和をしたりも平成二年には行っております。
 その流れの中で、先ほど御指摘のKSDなりKSD豊明会が、外国人研修生の受け入れ拡大等についてさまざまな運動といいますか活動をされていたことは承知いたしております。ただ、私どもの承知している限り、具体的に私どもにこれこれをというような形での働きかけといいますかそういうことは、特別のことはなかったというようなことでございます。
 ただ、今、その時期に財団の設立に向けての動きもあったであろうという御指摘でございますが、まさにそのとおりでございまして、研修生といいますか外国人労働力の受け入れについてもろもろの議論が出ていた当時でございますが、西暦では一九九一年でございますが平成三年に先生の御指摘のようにこの財団はできておりますが、それに先立つ時期に、外国人の研修生の受け入れ事業をやるこの団体について公益法人の許可をしてほしいということでの働きかけといいますか、設立しようとする方々からしたいという申し出があり、相談を受けていたのは事実でございます。
#69
○五島委員 アイム・ジャパンを九一年の十二月に結成するということで、そういう働きかけをされたのはどなたなんですか。事実ですとおっしゃいましたが、された方は、お名前を明らかにしてください。
#70
○日比政府参考人 労働省に来られてその御説明をされた方、ちょっと名前を正確に覚えてこなかったのですが、KSDあるいはKSD豊明会の職員の方というふうに私は聞いております。
#71
○五島委員 それに関連して、政治家、国会議員からはそうしたことについて、あるいは労働省のOBを通じてそうしたことについて要請行動はなかったのですか。
#72
○日比政府参考人 大分以前のことでございますので、私ども、こういう一連の問題が起こった際、過去の状況等を聞いてみましたといいますか、担当の者等にも尋ねましたし、当時の関係者の中でわかっておられる方はいないだろうかということでお尋ねしましたが、私どもの方で具体的に何かお聞きしたというのは、先ほど申し上げたように、KSDなり、KSD豊明会も入っていたんじゃないかと思いますが、その職員の方々だというふうに聞いております。
#73
○五島委員 私先ほども申し上げましたように、九〇年の九月に、単純労働者を受け入れるということを実現するために豊明会は豊明会中小企業政治連盟を結成した。そして、単純労働を技能研修という名前で部分開放させるという形で行動を開始して、翌年の暮れにはアイム・ジャパンが財団法人として結成されるという流れになるわけで、この豊明会中小企業政治連盟の目的がそこのところに結成当時あったということは、これはもう多くの資料によってはっきりしている。
 私はそのことについてどうこうという評価をする前に、その間の経過の中でどういうふうな事実があったのか、そして、その結果この技術研修制度が導入されて、六年間に三千名ものいわゆる行方不明者が出てしまう、あるいは、それまでたくさんあった外国人労働者の労災隠し、労災保険に加入させていたのに一人も労災の発生率がないという奇妙な状況、この辺についてはそのときの経過から含めてやはり明らかにする必要があるというふうに思います。
 この点につきまして、委員長の方にお願いでございますが、これはKSD関連でございます、この委員会においてこうした問題についての集中審議の場をぜひお願いしたいということを御要望申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#74
○大石委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
#75
○大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。伴野豊君。
#76
○伴野委員 民主党の伴野豊でございます。よろしくお願いいたします。
 KSD、KSDということで、寝ても覚めてもKSDということで、多分、大臣初め労働省の方も随分お疲れになっているんじゃないか。きょうの法案の話題である過労死になられてしまうといけないものですから。地元でそんなような話をしていますと、おじいちゃんなんかは、何だそれは、松竹歌劇団かと。いや、おじいちゃん、それはSKDですよ、SKDなら私も楽しむんですけれども、KSDはどうも楽しめないものなんですよという話をきのうもしてきたところでございます。
 きょうは、KSDのお話につきましては後ほど大島議員の方からいろいろお話があるかと思いますので、私は、今回の法律案に係ることを中心に、広く全般的な労働行政につきまして、どちらかというと、二十一世紀の子供たちに少しでもいい雇用なり職場環境が与えられるという視点で、ぜひとも大臣あるいは政務次官の方々に前広な、前向きな御発言あるいは御答弁をいただきたいということで、その観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 では、まず雇用情勢全般についてでございますけれども、私は、申すまでもなく、今の雇用情勢につきまして多分一番悩んでいらっしゃるのが労働大臣ではないかと思うわけでございます。
 私自身もいろいろ調べてみました。若年層においては、自発的離職による失業者とかフリーターという、逆にまじめに働かない方が格好いいという風潮。あるいは壮年におきましては、これは我が国の特徴的とも思えるぐらい、いわゆる男性の五十代、六十代の自殺者、そこにリストラがかかってきますとさらに状況は深刻でございます。また一方で、いわゆる第二の人生に歩まれた老年の方々の就職口の問題とか、まだまだ働けるのに働けないという悩み、いろいろあろうかと思います。ついに一九九八年の自殺者は三万人を超える、もうびっくりするような数字であるわけでございます。
 昨今のそういう状況下にかんがみて、全体の雇用失業情勢、勤労意識の変化において、大臣がどのような現状認識をお持ちであり、そして、今後、どのような課題に対してどういう対処をしていくか、特徴的なことを幾つか挙げながら御案内いただけるとありがたいかと思います。よろしくお願いいたします。
#77
○吉川国務大臣 伴野委員の質問に順次お答えさせてもらいます。
 まず、九月の完全失業率でございますが、四・七%といまだ高水準でありまして、現下の雇用情勢が依然として厳しい状況にあるものと認識いたしております。
 しかしながら、企業からの新規求人は、サービス業、製造業など主要な産業で増加し、特に情報通信技術や介護関連の分野等においては、本年一月以降連続して前年に比べて二〇%以上の増加となっております。また、雇用者数も、本年五月以降連続して前年に比べて増加しているところです。このような状況が続いていることから、雇用情勢には改善の動きが見られると考えております。
#78
○伴野委員 非常に厳しい状況が続いているわけでございまして、ぜひともそのあたりのところをかんがみまして、そのような解消の方向で御尽力賜れればありがたいかと思います。
 次に、本案にかかわることから幾つか質問させていただきたいと思います。
 今回、労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案、内閣提出五号ということで出されているわけでございますが、その前提条件であります健康診断の今の実態でございますが、これもいろいろ調べてみますと、大企業はかなりいい状況なのかもしれません。しかし、やはり一番弱い部分といいますか、中小企業の受診率というのはまだまだ非常に低い水準でございまして、多分御案内だと思いますが、四人に一人はまだ十分受けていない。そしてまた、これは非常に弱い立場の方であることが多く、案外、雇用の形態なんかも不安定な方が多いように感じられます。
 そういった意味で、こういう部分の対策、指導も含めまして、できれば事業規模別で、いろいろな特徴とその課題、そして今後の指導いかんにつきまして御案内いただければありがたいかと思います。
#79
○野寺政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、定期健康診断、これは法律で義務づけられているわけでございますが、全体で受診率が八五・一%でございます。御指摘のように、事業規模が小さくなるほど受診率が低いということでございまして、特に労働者数が十人から二十九人の小規模事業場では受診率が七二・二%と著しく低くなっている実情でございます。
 受診率の向上のためにはいろいろな施策が必要なわけでございますが、基本的には、事業主によります健診の実施を徹底していただく。これは法律上の義務でございますので、そういう意味で確実にこの義務を実施していただくことと、労働者による受診が現実に確実になるという、両方の面での担保が必要でございます。
 事業主に対します定期健康診断実施の徹底のためには、日ごろから指導をしておるわけでございますが、特に小規模事業場につきましては、地域産業保健センター、全国に三百四十幾つある、医師会と御協力の上で進めておりますこのセンターによります支援というのを中心に展開しているわけでございます。
 またさらに、現在、この小規模事業場におきます健康確保対策のあり方という問題意識で、専門家によります検討会を設けておりまして、今後、この検討会の結果が出次第、これを踏まえまして、さらなる小規模事業場におきます健康診断の確実な実施に努めてまいりたいというふうに思っております。
#80
○伴野委員 いずれにしましても、仕組みはつくったけれども、弱い人がどんどんつらい立場になっていく仕組みでは非常につらいものがございます。多分こういう中小企業の方は経営者の方も厳しいので、どうしてもそういうところに目が行かない傾向がございます。ぜひともそのあたりのところに光を当てていただけるような指導、あるいは現場の実態に合った御指導を賜れればと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、健康診断に関しまして、昨今の雇用のあり方あるいは雇用形態というのは随分変化してまいりました。以前は、終身雇用というのは日本の経営の非常にいいやり方ということで、ある程度の期間は勤めていくということで、それを前提にした健康診断の履歴等の管理というのが行われてきたんだと思うわけでございますが、昨今の雇用の流動化、あるいはフリーターの造出、それから、もっと言えば外国人の人たちも労働者として供給されてくる昨今のことをかんがみますと、また、じん肺の状況なんかを見ますと、少し仕事を離れてから、ある程度年限がたってから、そのときはじん肺に影響のある労働をしていたんだけれども、しばらくたって仕事が変わって、そういうことが関係ないホワイトカラーになっていたような場合、医者にかかったときになかなかそれが追及できないような事象もあるようでございまして、個人ベースで健康診断履歴を一元的に管理する方向で、労働省さんだけの御努力では難しいのかもしれませんが、今後厚生労働省というふうになっていくわけでございまして、やはり勤労者の立場に立った個人管理、プライバシーの問題もあろうかと思いますが、ぜひともそのあたりのところの御見解と、あるいは、もし計画があれば教えていただければ、よろしく願いいたします。
#81
○野寺政府参考人 労働者の健康確保のために、事業者が健康診断とその結果に基づく事後措置を適切にやるということがまず第一番でございます。その次に、先生御指摘のとおり、労働者本人がみずから自分の健康管理に気をつけるということがどうしても必要でございますので、そういった意味で、労働者みずからが健康状態を把握して、疾病の予防あるいは悪化の防止を図ることができますように、これは法律で、事業者に対しまして一般健診の結果を御本人に通知しなければいけないという義務を課しております。
 今後は、労働者御本人が健康診断結果の健康情報を活用いたしまして、先生御指摘のような、新たないろいろな形の雇用形態、あるいは離職、退職後も含めまして、生涯を通じた健康管理を適切に行えるような方策というのも検討してまいりたい。その際に、厚生省と御一緒になるということでございますので、比較的連携がとりやすくなるというふうに思っております。
#82
○伴野委員 二十一世紀に向けて、厚生労働省となっていくわけでございますから、そのあたり垣根を取っ払って、勤労者の立場から、やはり健康が一番でございまして、元気でいられることほどいいことはないと思いますので、そういう視点からも、勤労者個人個人の立場に立った管理のあり方をぜひともプライバシーをかんがみながら御検討いただきたいと思います。このあたりのところは医師会のカルテ等々とのお話もあろうかと思います、そういうところにまでぜひとも踏み込んでいただいて、自分の体、資本を守っていくという姿勢で御指導いただければありがたいかと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、今回の法案の本題に入っていくわけでございますけれども、ここから二、三過労死とメンタルヘルスという観点でいろいろお聞きしたいと思います。
 先ほど五島委員の方からもいろいろお話があって何度も触れられていることかもしれませんが、改めまして、いわゆる過労死の定義、非常に難しいものがあろうかと思いますが、過労死の定義と現状につきまして、大臣の方からお答えいただければありがたいかと思います。漠としたもので結構ですよ、ぜひよろしくお願いいたします。
#83
○吉川国務大臣 過労死という言葉は、社会造語であって、著しい長時間労働などの業務による過重負荷により、脳・心臓疾患の発病の原因である動脈硬化や動脈瘤等の基礎疾患が、加齢による影響などの自然経過を超えて急激に著しく増悪し、脳・心臓疾患を発症した場合を呼んでいるものである。何か甚だ難解な言葉が羅列しておりまするけれども、御理解いただけると思うのでございます。
 なお、過労死等に係る労災請求があった場合には、脳・心臓疾患に関する認定基準によって、業務上外の判断が行われることになっております。
#84
○伴野委員 どうもありがとうございました。
 過労死という、本当に非常にわかりにくいといいますか、まだまだ実態を十分つかみ切れないところはあろうかと思うのですけれども、今回、業務による過重負荷による云々ということで、脳疾患、心臓・血管疾患等々による二次健康診断が加わりまして、勤労者の立場から見れば一歩前進なのかなということで、この法案については御評価させていただいているところでございます。
 ただ、そういうフィジカルな部分がある一方、大臣も御案内かと思いますが、よく金属疲労という言葉が最近使われております。これはどういうことかというと、例えば針金なんかを思い出していただければいいと思います、大きな負荷が加わらなくても、小さな負荷の連続で、針金をキュッキュッキュッキュッと曲げたり伸ばしたりすると、ある回数以上を超えると、非常に微小な過重あるいは微小な振動でも切れる。要するにこれが航空事故とか鉄道事故といったものにつながっているわけでございます。最近、橋なんかも、あるいはコンクリートだって疲労する時代でございます。そういった意味で、人間だってやはり疲労をするのだと思うのですね。
 ですから、大きな負荷がかかったとかいうことばかりではなく、非常に小さな、ちょっとした嫌なことが継続的に行われる、職場環境等々でそういうようなことも考えられると思うのですが、何を言いたいかといいますと、これからはやはりもう少し精神的な面にも踏み込んでいっていただかないといけないのじゃないかな。場合によっては、精神的な部分というのはこれからますます大きくなってくるような時代背景があるやに思います。
 私もサラリーマン時代がありまして、同じ勤務所で、後輩が自殺をした、そういう経験があります。春の桜がこれから満開になるときでございます。今でも鮮明にそのお葬式の状況が目に焼きついております。多分、彼も何かいろいろなストレスとかいろいろな心の思い、心の揺れを感じていたのだと思います。それがなかなか話ができず、職場でも、私は先輩として十分その気持ちを酌み取ってやっていたかという、非常に辛い経験とともに今も反省があって、桜が満開に咲くときには目頭が熱くなってくる経験があるわけでございます。
 そういった意味で、なかなか精神的なことというのは人に言いにくいですし、あるいはまた根本的なことを追及しにくいのかもしれないのですけれども、確実にこの問題というのは広がってきているような気がいたします。
 それで、フィジカルな部分は今回の法改正でキャッチアップできても、メンタルな部分はまだまだじゃないのかなという気がいたします。平成十二年八月九日、労働省さんの発表で、事業場における労働者の心の健康づくりのための指針というのをいただいております。その出だしとしてはこういうものなのかなと思うのですが、やはり精神医学の発展あるいは発達とともに、あるいは、労働省さんが厚生労働省となったときには積極的にこの問題に取り組んでいただいて、逆に厚生省を引っ張っていく、医学界を引っ張っていく、医師会を引っ張っていくというような中で、職場においてもこういう問題が少しずつ前向きに解決されるような職場環境を望みたいわけでございます。
 そのあたりのところ、メンタルヘルスの現状と今後の対応、計画等々につきましてお考えがあれば、ぜひとも大臣からお答えいただきたい。それでもし補足的なことがあれば政府参考人の方からもお言葉をいただければ、そんなふうに思っております。よろしくお願いします。
#85
○吉川国務大臣 近年、職場においてストレス等を感じる労働者の割合が非常に増加しているというふうに言われております。労働者のメンタルヘルス対策は、最も現代的な重要な課題の一つだと思っております。
 今後とも、健康で安心して働ける職場づくりを目指して、事業場においてメンタルヘルスケアが適切に実施されるよう、各種施策を総合的に推進してまいりたいと思っております。
 なお、補足のことについては局長から説明いたさせます。
#86
○野寺政府参考人 事実的な細かいことを補足させていただきます。
 対策の方向でございますが、具体的には、まず一つは、心身両面にわたる健康づくりというのを中心に据えております。それから、いろいろなチャンネルでございますが、先ほど申しました、全国に三百四十七ございます地域産業保健センター、それから一部の都道府県にございます産業保健推進センター、こういったところにメンタルヘルスの相談窓口を設けておりますので、これを活用するということ、さらに、労災病院が三十七ございますが、そこの中でもメンタルヘルスのために特別な窓口を設置しているところが幾つかございます。
 こういったネットワークを使いまして御相談に応じるとともに、事業所側につきましては、先生御指摘いただきました、本年八月の事業場における心の健康づくりのための計画等々、こういった指針に基づきます啓発活動を中心にやってまいりたいと思っております。
#87
○伴野委員 いずれにしましても、確かに、専門医なり専門家がすぐ対応をするということが望ましいのかもしれませんが、専門家と普通の人の間をつなぐ人の養成とか、あるいは、そういうもう少し勤労者に近いところで相談できるようなシステム、これは人的なパワーも要るのだと思いますけれども、そのあたりのところもぜひ御考慮いただきまして、非常に難しい問題であるだけに非常に慎重かつ積極的にお進めいただければと。ぜひとも厚生労働省となったときにはリードをしていっていただきたいな、そんなふうに思うわけでございます。よろしくお願いいたします。
 続いて、ここからは大臣と少し、二十一世紀の労働省のあり方とか、せっかく今度厚生労働省になるわけでございまして、二十一世紀の労働省像なんというものを含めまして、多少失礼なこともあろうかと思いますが、二十一世紀の厚生労働省にエールを送る意味で二、三質問と要望をさせていただきたいと思うわけでございます。
 今回のKSDの問題を初め傷ついた労働省という、半分同情するような部分もあるわけでございますけれども、私自身、サラリーマン時代に、これははっきり申し上げて、労働者という呼び方に対して多少抵抗感がございました。多分、若い人の中でも、労働組合と言ったときにも、ちょっとというような人もいるかもしれませんし、正直言いまして、私が最初に労働組合に属したときには確かにそういう印象もありました。
 広辞苑を引いてみますと、やはり余りいい言葉が見つからないんですね。例えば、ちなみに広辞苑で「労働」というところを引いてみますと、一義的に「ほねおりはたらくこと。体力を使用してはたらくこと。」二義的に「人間が自然に働きかけて生活手段や生産手段をつくり出す活動。労働力の具体的発現。」労働省の「労」の方を見ますと、一義的に「ほねおり。つとめ。」二義的に「つかれ。」三番目「ねぎらうこと。」というような言葉が出てくる。労働省の「働」の方を見てみますと、「うごく。」ということが一義的に出てくるのですが、全体として余り……。
 正直言いまして、二十一世紀を見ていくときに、私は、勤労者というような言い方とか、あるいは労働について回るイメージ、強制労働とか単純労働、この辺は、特に最近の若年層の労働の意識とか労働形態を受けとめていくと、もう少し創造的な、つくり上げるようなイメージを言葉の中に入れていった方がいいのではないか。
 例えば、創造の創を使って、働くという言葉には動くとか精神活動も入っているわけですから創働省とか、生きる過程であるわけですからあるいは活性化するというような意味を込めまして、生活の生と組み合わせて生働省とか、それから、もっと譲るとすれば、勤労者の勤を使って勤働省とか、何かそんなような方に言葉を変えるのも一考じゃないかな。
 よく大学なんかで、余り実態をあらわしていないようなときとかイメージを変えるときなんかは、例えば土木工学科というのが社会開発工学科になってみたりとかいろいろしているわけでございまして、このあたり、大臣、本当に個人的なお考えで結構です、労働省という思いにすごい、ずっと諸先輩方が歴史的につくられたものもありますので、簡単に名前を変えるということにはならないのかもしれませんが、そのあたりのことを理解しつつも、やはり、二十一世紀の厚生労働省を見るときに、そういった思い切ったこともやってもいいんじゃないかと思うのですが、お考えをいただければと。よろしくお願いいたします。
#88
○吉川国務大臣 今、伴野委員のお話を聞いていますと、やはり少し年代の差があるのかなというふうに私も思っているのですけれども、私は、労働という言葉につきましては、持てる能力を十分に発揮するということを通じまして、人として自立し、経済社会の発展にも寄与する積極的な活動を意味するものであり、人類の進歩のためにかけがえのない行為であると考えておるのです。
 したがって、労働条件やその他労働者の働く環境の整備や職業の確保を図るということを任務とする新しい省の名称を、もう既に厚生労働省というふうにしていることは的確かつ適切であると考えておりますし、大多数の先進国におきましても、省庁名に労働という名前が用いられているところであります。
 そういうことでございますので、若干委員の趣旨に沿いかねるところもありまするけれども、御了承いただきたいと思うのであります。
#89
○伴野委員 ありがとうございました。
 何でそんな話を持ちかけたかといいますと、私なんかも新人類と呼ばれた時代もあるのですけれども、昨今の若年層の労働意識の変化、少し目に余るような部分もあるんじゃないか。働くことに対して喜びを感じているかといったときに、はてなマークがつく人たちも結構散見いたしますし、また、お金さえもうかれば何やってもいいんだという今の風潮。これは大人の方の責任もありますし、教育環境を整えなければいけない。人生の目的を見出していくためにも、働くんだという意識の向上といいますか、そういうところにもう少しメスを入れていかないと、労働者の質というものを今後国際競争がある中でこの国は保てるのか、私は個人的に非常に危惧をしております。
 例えば国民生活白書に見られるように、学生の昨今の就業状況を見ますと、確かに、女性なんか氷河期とか、男性の状況なんかも決してよくはありません。しかし、いま一度自分を見詰めてもらうという指導も必要なんじゃないかな。
 ある企業なんかは、学生が学校を出てきてすぐ採用すると、かえって社会人教育なり社会のルールを守らせるための年限が非常にかかってコストがかかってしまうから、もう中途採用しかしないんだというような風潮もあるやに聞いております。企業が重視する例えば本人の可能性とか能力、適性の検査の結果とか、あるいは性格の適性検査の結果とか、余り本人に都合のよくないことはどこかへ置き忘れてしまって、学生が自分がアピールしたい、いわゆるいろいろなアルバイトをやってきた、その中身について余り話さないけれども、アルバイトをやってきたんだ、いろいろなことをやってきたんだとか、遊びとも何ともとれないような所属サークルのアピールとか、そういうようなところだけに目が行ってしまって、本来、働くことの喜び、何のために働くんだ、生活の糧を、どう自立してどうやっていくんだという意識に非常に乏しいように思われます。
 そのようなところに対しまして、大臣、どんな御感想を、あるいはそういう事柄に対して今後労働省としてどういう対処をなされていくのか、お考えがあればぜひともお聞かせいただきたいと思います。
#90
○吉川国務大臣 私も、若年者の学卒無業者というのですか、不安定な就労を繰り返しているフリーターの増加には頭を痛めているわけでございまして、先般もその正確な人数が把握できないのかということを私も省内で申し上げたわけでございまするが、百五十万以上二百万近くまでいるのではないかというふうに言われているわけでございます。こういった人たちを適正な就労につかせて、そして個人的にも立派な社会人として育っていけるように、労働省も大いにこれから力を尽くさなきゃならぬなということでございます。
 なお、このことにつきましては、事務次官のレベルでもって文部省と話し合いをしておりますので、やがて成果があらわれることだと思っております。
#91
○伴野委員 いずれにしましても、そういう若年層の憂うべき状況というのは、我々大人たちがつくり出したと言っても過言ではないわけでございまして、我々の背を見て彼らはそういう思いにふけっているんだと思います。
 二十一世紀の労働省の皆さん方の今後のますますの御発展に期待して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#92
○大石委員長 大島敦君。
#93
○大島(敦)委員 民主党・無所属クラブの大島敦です。先週の十一月八日に引き続き質問させていただきます。
 私も、伴野委員と同じように、この労働委員会に所属することを非常に誇りに思っている人間でございます。特に、来年から始まる二十一世紀、この労働行政というのが日本の根幹あるいは日本の基盤をつくる行政だと考えているところでございます。
 私、先週の議事録を読ませていただきまして、KSD、アイム・ジャパン、そしてものつくり大学について質問いたしました。その中で、吉川労働大臣は、KSDのような事件はこれまでに聞いたことがない、そのくらい重大な事件であるという認識があるという答弁をいたしました。また、宮本金融再生政務次官からは、信用金庫、信用組合が行っているKSDの代理業務は、あくまで金融機関の行う金融業務またはそれに付随する業務ということで、会員増強を積極的にやるとなると違反の可能性が出てくるという趣旨の答弁をいただきました。また、法務省の町田政府参考人からは、アイム・ジャパンが派遣した研修生の中に失踪、行方不明者がいるのは大変遺憾である、またそのことに関しても指導を行ってきたという答弁がございました。
 ところが、労働省からの答弁を聞いておりますと、例えば関連会社に在籍した古関氏一族の役員の件も、野寺労働基準局長が行政の関知するところではないと答弁。これは在籍していようがやめようが全く関心はないと言わんばかりでございます。また、総理府の賞勲局審査官の天下りもKSDの御判断だという答弁。そしてまた、豊明会の役員活動費に対する一億円もの追徴課税も国税の判断で処理は問題ないと。この件に関しては、福利厚生というより役員の活動費ではないかと改めて私は問いただしましたが、全く問題がないとおっしゃっております。要するに、労働大臣は今回のKSDの問題は聞いたこともないような事件であると言うのにもかかわらず、労働省としては問題がないという答弁の連続でございました。
 改めて、私、今回の法案も含めて若干質問したいところがございます。
 まず、今回の労災保険法の件なんですけれども、アイム・ジャパンが受け入れている研修生と実習生、これは労災保険の適用はどうなっているんでしょうか。お願いいたします。
#94
○吉川国務大臣 お答え申します。
 労災保険は、雇用関係のもとにある労働者に適用がなされるものであり、外国人技能実習生についても雇用関係のもとにあると認められる場合には労災保険が適用されることになります。
 お尋ねのアイム・ジャパンにおける技能実習制度は、一定期間の研修を受けた上で、雇用関係のもとで技術、技能等を習得する制度であることから、研修終了後、雇用関係のもとで労働者として就労するに至った時点以降においては労災保険の適用があります。
#95
○大島(敦)委員 吉川労働大臣の御答弁ですと、一年目、アイム・ジャパンでは研修生と言われている一年目、それから実習生に入るんですけれども、研修生の間は労災保険法の適用がないということでよろしいでしょうか。
#96
○野寺政府参考人 そのとおりでございます。研修は雇用関係にはないという前提で、労災保険は適用いたしておりません。
#97
○大島(敦)委員 それでは、このアイム・ジャパンの一年の研修生というのは、実態として研修という目的だと言い切れますでしょうか。労働大臣、お願いいたします。
#98
○日比政府参考人 アイム・ジャパンに限らず、技能実習制度というのは、一たん研修生として国内に入っていただいて、その個別の方々について技能の評価を行って技能実習に切りかえるというものでございまして、技能実習切りかえ前は、他のケースと同様研修でございます。
#99
○大島(敦)委員 法務省にお伺いいたします。
 法務省の問題意識、前回、私、伺いましたが、この研修生について法務省としては一〇〇%研修生であると言い切れますでしょうか。
#100
○町田政府参考人 研修につきましては、労働者ではない、学ぶ地位である、そのように考えております。
#101
○大島(敦)委員 昨年の九月二十一日の総務庁九州管区行政監察局のレポートがございまして、それを読みますと、研修の実態からは大きく離れているという記述がございます。それでも、労働省及び法務省の方は、研修は研修である、実態にかかわらず研修であるというお立場をとられるでしょうか。
#102
○町田政府参考人 前回もお答えいたしましたが、研修はやはり研修でありまして、研修の中に日本語等の勉強をする座学、いわゆる非実務研修と、実際に作業をしながら、いわば体で覚えるといいましょうかそういう実務研修、その両方が含まれている、そのように考えております。
#103
○日比政府参考人 入管局長と同じように考えております。
#104
○大島(敦)委員 午前中五島委員の方から、アイム・ジャパンにおきまして労災保険の適用はあるかという御質問がありました。
 それでは、質問を変えまして、アイム・ジャパンにおいて研修生が事故を起こしたケースはございますでしょうか。
#105
○日比政府参考人 アイム・ジャパンの関係に限定してということでございますと、本日、今時点把握いたしておりません。
 なお、財団法人国際研修協力機構、いわゆるJITCOと言っているものがございますが、そこでは、これは技能実修生ということではなくて研修生でございますが、外国人研修生総合保険というものを取り扱っておりまして、平成十一年度で二万四千人の方が被保険者となっておる。これはいわゆる研修時間内、時間外、全く問いませんし、またいろいろな形のことが保険事故として考えられておりますが、傷害等を負った者がその二万四千人中約二千人ほど出たというようなことを聞いております。この保険制度にアイム・ジャパンの会員企業が全部入っているかどうか等については、今時点把握しておりません。
#106
○大島(敦)委員 今私が手元に持っているのが、平成十一年度の、アイム・ジャパン、中小企業国際人材育成事業団の事業報告・決算書であります。この中に明確に、「平成十一年十一月に日本人職長の下で鋳物・型ばらしの実務研修中の研修生が、床上操作式クレーンの誤作動により死亡するという災害が発生した。」という記述がございます。
 これは明らかに労働省の勉強不足であると思います。これは、去年の事業報告書、決算書でございますので、このくらいは目を通してこの場に臨むのが、私はこの院に対する義務であると考えるわけでございます。
 それでは、このような事件が起きた場合に、この保険内容、どういうような手当てがされるのか、御答弁ください。
#107
○日比政府参考人 先ほど申し上げましたJITCOで取り扱っております外国人研修生総合保険につきましては、詳細は把握しておりませんが、所要の保険給付が出るものと思っております。
#108
○大島(敦)委員 労働省の方に答えていただこうかなと思ったのですけれども、私の方で若干調べたところ、恐らく死亡したとしても七百万円ぐらいしか出ない保険であると認識しております。
 総務庁の行政監察局だと、研修の実態からは大きく離れていると言われているわけです。しかしながら、研修生がこうやって死亡しちゃっているわけですよ。もしもこれが労災保険の適用であれば、その給付水準というのは非常に高いものだと私は考えるわけです。
 この点について、研修生の実態というのが非常に保護されていないと私は考えますが、労働大臣の御答弁をお願いいたします。
#109
○吉川国務大臣 労災保険法は、日本国内の事業に使用された労働者であれば国籍及び就労の合法、不法を問わず適用されるものであり、お尋ねの不法就労者についても、日本国内の事業に使用された労働者に該当する限り適用されるものと思っております。
#110
○大島(敦)委員 私の質問とはちょっと観点はずれておりますが、非常にいい御答弁でございました。
 不法就労者、正規にこの日本国に入って勝手に働いてしまった人については、労災保険の適用はあるわけです。しかしながら、アイム・ジャパン等、正規に日本に来て研修という形、実態は研修じゃなくて労働ですよ。私、今回のこの質問に先立ちまして、長野に飛びまして、関係者と話してきました。実態は、労働の実態なわけですよ、聞いてみると。全然違うじゃありませんか。このような研修生が事故を起こしてしまって、それでも労働省は、労働者じゃないんだから労災保険の適用はないと言い切るのでしょうか。労働大臣、お願いいたします。
#111
○野寺政府参考人 労災保険という制度は、その形式を問わず、実態として雇用関係にある労働者という場合には、その事実に着目して労災保険を適用している制度なんですね。
 御指摘の研修制度、これは国の方でつくっているわけでございますので、きちっとした研修の内容が決まっているわけでございます。その内容等から判断する限り、今御指摘ございましたけれども、例えば座学の研修があったり、語学の研修があったり、実務の研修があったりということでございますので、そういう研修ということであれば、これは労働者ではないというふうに考えております。したがって、労災保険の適用はないということです。
#112
○大島(敦)委員 午前中の五島委員の関連なんですけれども、このアイム・ジャパンのできる過程で、御答弁していただきました日比職業能力開発局長の答えですと、アイム・ジャパンを届け出るに際してKSDの方及びKSD豊明会の方が労働省にいらっしゃったという御答弁がございました。間違いはないでしょうか。
#113
○日比政府参考人 KSDまたは豊明会でございますが、職員の方が来られたということは間違いございません。
#114
○大島(敦)委員 前回の私の質問に対しまして、野寺労働基準局長は、KSD豊明会というのは全く任意団体、すなわち中学校の同級生の会と変わらない会であるから、一切労働省は関知しないという御答弁がございました。今の日比職業能力開発局長の御答弁ですと、労働省としてはKSD豊明会を認識していると私は考えるんですけれども、どう考えればよろしいでしょうか。
#115
○野寺政府参考人 先般、先生の御質問に対して私が答弁した内容というのは、豊明会というのは任意団体である、KSDの場合は公益法人で労働大臣が認可しております。したがって、KSD本体については労働大臣の指揮監督、監督権限が及ぶ、こういう関係にあるわけですね。ところが、任意団体である豊明会については、労働大臣のそういう意味での指揮監督権限は及ばない、こういうことを申し上げているわけでございます。
#116
○大島(敦)委員 今の御答弁を聞きまして、労働省の方にKSD及び豊明会の職員の方がいらっしゃって、アイム・ジャパンをつくってくださいという申請をして、労働省が認可いたしました。この認可なんですけれども、リードタイムとしてはどのくらいのリードタイムがございましたでしょうか。
#117
○日比政府参考人 この財団につきまして、許可申請が出たのが平成三年の十一月二十五日でございます。許可をしたのが同年の十二月二日でございます。そして、この正式の申請に先立って、先ほど申し上げましたように、寄附行為案等の提出をいただいて相談等を始めたのが、私どもの調べたところといいますか、私どもが把握している限りでは、平成三年の八月ごろに相談を始めていたことは間違いございません。
#118
○大島(敦)委員 私も、このような事業を始めるに当たって、関係者の方にどのくらいかかるものかと聞いたところ、なかなか難しいということを伺いました。今の回答ですと、八月ごろに声が上がって、十一月ごろ正式に申請があって、十二月に許可されたということで、非常に短いと思うんですけれども、それは何か特殊な頼み方をされたという認識でよろしいでしょうか。
#119
○日比政府参考人 公益法人審査の問題でございますが、これは公益法人の事業内容その他、ケースによってその審査期間が変わることはあろうと思っております。
 そういう意味で、これは、先ほど申し上げましたように八月より前の状況というのは十分把握できませんが、少なくとも八月ごろには寄附行為案を備えて持ってこられたということで、先ほども申し上げましたように四カ月後ぐらいに許可になったという経緯であろうと思っております。
#120
○大島(敦)委員 今の四カ月という非常に短い期間がございました。それでは、この研修制度というのは、最初は一年間の研修制度だけだったのです。それから実習生という制度ができたんですけれども、これが変わったのは、何月、どのタイミングでしょうか。
#121
○日比政府参考人 技能実習制度が発足いたしましたのは、平成五年の四月でございます。
#122
○大島(敦)委員 その際の労働大臣は、だれが労働大臣だったでしょうか。
#123
○日比政府参考人 今思い出しますが、平成五年四月ですので、私の記憶では村上正邦大臣であったと思います。
#124
○大島(敦)委員 今回のこの問題というのは、村上元労働大臣の名前がたびたび出てくる問題でございます。最初のKSDの設立経緯、そして豊明会、豊政連、アイム・ジャパン。そして、今回の、入管の手続が変わって、研修生の制度が今度は二年以降は実習生として日本で働いてもいいよという制度に変わった。私、非常に恣意的な感じがするんです。
 そして、この外国人の研修制度に関して、労働省としてあるいは国として正式にいいか悪いか議論したことがございますでしょうか。
#125
○日比政府参考人 研修生制度についていかなる議論をというお尋ねではないかと思いますが、過去のことで十分把握していない点はあろうかと思いますが、私が承知する限りでは、一九九〇年代といいますかその初期において、外国人研修制度あるいは外国人労働力の受け入れ問題、いろいろな議論が行われたと思っております。その点は、最近時点でも、私自身も経済界の方とかいろいろな方から外国人労働力の受け入れについての御意見あるいは御要望というものを承ったことがございますので、その当時においてもいろいろな御意見、御要望を承ったことはあろうと思います。
 そして、内部議論としては、当然、外国人労働力受け入れ問題という大きな問題がございますので、議論はしておったものと思います。
#126
○大島(敦)委員 この外国人の研修生あるいは実習生を受け入れる問題というのは、やはり労働行政の根幹にかかわる問題だと考えます。これは、労働省だけじゃなく、この国として外国人の労働者の方をどうやって遇していくのか、今後どうしていくのか、本国に帰ってもらうのか定着させるのか、さまざまな問題を内包しているわけでございます。
 今までの議論を聞いておりますと、先ほどの研修生に対して労災保険の適用がない。適用がないから、事故で、工場の中で死んでしまったら、その助けるための手段も何もない。これは、私、この問題が労働行政の中でテーブルの下に隠れてどんどん進んでしまった、そんな印象を受けるわけですよ。今までの答弁を聞いていても、非常に不透明な答弁が多いじゃないですか。しっかり官僚の人たちあるいは皆さんが考えればこういうすき間はないわけですよ。こういうすき間が出てきたこと自体が、非常に無理して突っ走ってしまった、非常に構造的な問題を内包しているかと思います。
 もう一つ伺います。
 今回この問題を調べてみますと、研修生の方がインドネシアの方に送金されているという実態がございますけれども、これは事実でしょうか。
#127
○町田政府参考人 そのような事実があるということで、私ども、前回も御答弁いたしましたが、アイム・ジャパンに対して口頭で指導あるいは文書をもって指導したりしているところでございます。
#128
○大島(敦)委員 私の手元に、原本のコピーなんですけれども、「送金依頼書」というのがございます。上の段に日本語で書かれていて、下の段に、これはインドネシア語だと思うんですけれども、書いてあるわけなんです。その中の記述の第一項が「研修期間中、IMM Japanから支給される毎月の私の研修手当のうち、二万円については、私が同意したインドネシア労働省の預金口座に送金してください。」と書いてあります。
 こういう事実は、労働省、押さえておりますでしょうか。
#129
○日比政府参考人 ただいま御指摘の点、直接かどうか別としまして、既にお答え申し上げましたように、把握がおくれておったのは事実でございます。現在は、そういう事態が起こっていたということは把握しました。
#130
○大島(敦)委員 これは労働基準法の基本じゃないですか。強制預金じゃないですか、これは。アイム・ジャパンの専務理事は元労働省福島労働基準局長、常任理事は元労働省茨城労働基準局長。何で労働省のプロフェッショナルがこういう逸脱したことをするんですか、もっと監督してくださいよ。
 この問題というのは、この院の方に報告してほしいんですけれども、過去の口座、だれに振り込んでいたのか報告してください。御答弁をお願いします。
#131
○日比政府参考人 ただいま御指摘の口座等まで把握できるかどうかはございますが、その点の改善指示に基づく改善状況等についてはきちんと把握をいたしたいと思っております。
#132
○大島(敦)委員 強制預金ですよ、強制預金。労働基準法をちょっと読めば書いてある項目ですよ。これと類似したものが行われてしまっている。それに対して明確に把握し、過去どこの口座に振り込んできたのか、この院の方に報告してくださいよ。
 これは国の問題ですよ。ここにインドネシア労働省と書いてあるから労働省に行っているのかどうか、個人の口座に行っているのかどうか、これは非常に問題じゃないですか。これは難しくないですよ。だって、アイム・ジャパンが送金しているんだから。アイム・ジャパンに聞いて、この院の方に、どの口座に振り込んだのか報告してください。もう一度確認いたします。
#133
○日比政府参考人 口座番号等について把握できるかどうかわかりませんが、しかし、どういう実態であったか調べるとともに、改善状況についても必ず調査いたします。
#134
○大島(敦)委員 全然答えていないですよ。私は、これは日本国とインドネシア政府のひょっとしたら構造的な問題があるかもしれないと言っているわけですよ。ですから、この問題は、もう一度繰り返します、この院の方に、どこに送金していたのかアイム・ジャパンから文書を出させて報告してください。もう一度お願いします。
#135
○日比政府参考人 報告の仕方その他については御指示をいただくことにいたしまして、調べた結果については御報告いたします。
#136
○大島(敦)委員 このアイム・ジャパンの問題というのは、この報告書と並んで先ほど午前中に五島委員の方が出しておりました――委員長、今のこの口座の報告に関しては理事会、委員長の方に報告するようにしていただきたいんですが、いかがでしょうか。
#137
○大石委員長 委員長として話を聞いておきまして、後で各筆頭と相談をして対処したいと思います。
#138
○大島(敦)委員 ありがとうございます。
 質問を続けます。
 それでは、今回のこのアイム・ジャパンの問題というのは、きょう午前中五島委員が使われましたインドネシア研修生の報告書の中に、インドネシアにおいてここに来る研修生がどんな契約をしているのかというのもしっかり書いてあるわけですよ。
 これを見ますと、今回私はインドネシアの研修生の方に取材したかったのですけれども、例えばこういう文言があるわけですよ。「投票や集会への出席、政党への献金、日本のマスメディアや公けの場での発言など政治的な活動に参加することを禁ずる。」これは日本国憲法違反じゃないですか。あるいは、こういうのもあるわけですよ。「研修参加中止によって生じること」「当該研修生は、帰国するその月の研修手当も含めて、それ以前に支払われた手当の前金全額をアイム・ジャパンに返済しなければならない。」等々。これはシンボリックなところだけしか私は読んでいないのですけれども、インドネシアの中でも非常に問題があるわけなんです。
 こういうところも含めて、これはどうなっているのか、実態を調査するお心はございますでしょうか。労働大臣に伺います。
#139
○吉川国務大臣 外国人研修及び技能実習制度につきましては、労働省として開発途上国の人づくりに貢献するという観点からこれの推進に努めているところでございますが、受け入れ団体が何らかの関与をしており、特に問題が生ずることがあるとするならば、問題に応じた対応をとってまいる所存であります。
#140
○大島(敦)委員 特に今回のインドネシアのアイム・ジャパンの件というのは、私はもともと気づいていなかった件なんですよ。墨田区のKSDの本社ビルに行って周りのビルをちょっと歩いてみたら、余りにもいろいろな財団が入っていて、その中でこのアイム・ジャパンという財団があったので、資料を取り寄せて読んでみると、こんな実態だったわけですよ。やはり労働省としては、インドネシアの方に働きかけて、どうなっているのか、よく調査していただきたいと思います。
 最後になりますけれども、故小渕総理大臣のときに国会審議活性化法という法案が通っております。この法案の趣旨というのは、政治が政府をリードしていくということなんです。大臣あるいは政務次官が政治家の言葉で答弁することによってこの国を動かしていく、政治主導を旨とした法律が通っているわけですよ。今回の労働委員会の答弁を私はずっと聞いていますと、政治が労働行政をリードしているとは言えないと思います。労働大臣あるいは政務次官、百四十六回の所信表明の中でも、よく業務に精励してほしいという小渕さんの言葉がございます。ですから、今後はぜひこの労働委員会の権威あるいは将来に残る議論を積み重ねたいと思います。
 ありがとうございました。
#141
○大石委員長 塩田晋君。
#142
○塩田委員 自由党の塩田晋でございます。
 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正法案につきまして質問いたします。
 近年、労働者が業務上の事由によって脳・心臓疾患を発症し、突然死などの重大な事態に至るいわゆる過労死等が増加しております。本法案では、労働者災害補償保険制度に二次健康診断等に係る給付を新たに設けるということになっております。
 そこで、当該給付創設の前提となる労災保険の財政状況について、その収支、積立金、そして今回のこの新しい給付による給付額の見通しについてお伺いいたします。
#143
○吉川国務大臣 お答え申し上げます。
 最近の労災保険の収支状況は、保険料収入額が約一兆三千億円、保険料給付額が約一兆円で推移をしております。その差額である余剰金については、その全額を将来の年金給付に必要な財源として積み立てているところであります。なお、積立金の額は、平成十一年度末で六兆八千五百三十六億円となっております。
 そして、新たに設ける二次健康診断等給付につきましては、その支給総額を約百二十億円と試算しているところでありますが、保険料収入が約一兆三千億円、保険給付額が約一兆円という収支のバランスは、当該給付により実質的には影響を受けることはないのであります。
 このため、今後の保険財政は、積立金の取り崩しなどが生ずることもなく推移するものと判断しているところであります。
#144
○塩田委員 積立金の総額は近年かなりふえてきたのではないかというふうに思いますが、そういった余裕のある財政収支の中で新たな給付制度を設けられるということは、そういった収支の上に立っての御判断から行われたものでございますか、お伺いいたします。
#145
○野寺政府参考人 今大臣の方から御説明申し上げました積立金そのものは、年金の受給者が約二十数万人ございますが、この方たちの将来にわたる給付を保障する基金に相当するわけでございまして、これを黒字と言うかどうかは考え方の問題であろうと思います。
 ただ、今回の二次健康診断給付約百二十億円の出資でございますが、これは特に黒字だからするといったようなことではございませんで、むしろ過労死という社会的な問題になっている現象等につきまして、労災保険の中で可能な限り対応ができないものだろうかという発想に立っているわけでございます。
#146
○塩田委員 新たな制度を設けるということは、給付が単にふえるということだけではなくして、むしろ給付を将来にわたって少なくするという予防的な対策としてなされたものとも考えられますが、そうであれば、保険事故を減少する方向に働く性質のものだというふうに考えてよろしゅうございますか。
#147
○野寺政府参考人 もちろん、過労死対策でございますので、仮に今回の対策をしないならば過労死になってしまうような方、そして過労死になられますと、それに対します給付というのは莫大なものになるわけでございます。それに比べて、一人当たり三、四万の第二次保険給付というのは、そういう意味では、将来あり得たかもしれない過労死に対して比較的少額の給付によりまして貢献できるということでございます。したがいまして、広い意味では先生のようなお考えも成立すると思います。ただ、目的はあくまでも、財政バランスというよりは、むしろ過労死そのものをなくしたいというのが真意でございます。
#148
○塩田委員 過労死の認定基準を数度にわたって改正をしてきておられますが、改正の内容及び認定件数の推移等についてお伺いいたします。
#149
○野寺政府参考人 若干細かくなりますが、お許しをいただきたいと思います。
 労災認定基準は、医学的な検討結果を踏まえて、私ども作成いたしております。御質問の過労死の認定基準は、年代的には、昭和三十六年二月に策定されたのが最初でございまして、その後、六十二年十月、平成七年二月及び平成八年一月という順次の改正を経ているわけでございます。
 三十六年二月に当省が作成いたしました認定基準の場合には、業務の過重性、業務の重さに関する判断要素として、業務に関連する突発的な出来事が発症する前にあったかどうか、発症直前及び発症の当日に特別に過激な就労をしたかどうかといったような極めて例外的なケースを認定する基準であったわけでございます。
 その後、この業務の過重性に対する評価の幾つかの改正を経ておりますが、六十二年十月の改正では、その後の医学的な所見を踏まえまして、発症直前から前日まで過重な業務に就労した、または発症直前から一週間以内に過重な業務に継続して就労した、この間の業務が特に過重であると客観的に認められるかどうかといったようなことを判断することによりまして、発症前一週間より前の業務については付加的要因として考える、こういうものでございました。その上で、過重性の評価につきまして、業務量、業務内容、作業環境といったものを総合的に判断するというふうに発展させてきたわけでございます。
 できるだけ短く申します。
 その後、平成七年の二月の改正では、先ほどの六十二年の基準につきまして、やはりこれは厳しいという御批判がございまして、基本的な考え方をもう一度洗い直したわけでございまして、発症前一週間より前の業務の過重性の評価を積極的に行うという方向に変えたわけでございます。
 さらに、平成八年一月の改正では、不整脈による突然死というものも新たに対象の疾病に加えたといったような発展を遂げてきたわけでございます。
 認定件数の関係は、平成七年二月の認定基準改正前は三十数件前後であったわけでございますが、その後、平成十年、十一年と、大体九十件、八十件といった水準になってきております。
#150
○塩田委員 次に、過労自殺の問題でございますが、私が当委員会で平成九年の二月二十一日に取り上げまして、この問題について質問をいたしました。また要望もしたところでございます。これは岡村牧子さんという方の例でございまして、労災ではだめだという判定をされたわけでございますが、裁判で争って後ほど勝った、そういうケースでございます。これを契機にいたしまして、この問題についての関心が非常に集まり、労働省でもいろいろと研究をされ、対策をされたわけでございます。
 この過労自殺の判断指針を昨年設けられましたが、その内容及び認定件数等の推移をお伺いしたいと思います。そして、過労自殺は雇用関係にある間でないとだめなのか、もう既に退職をして何カ月以内に自殺があった場合なら認められるのかどうか、その辺についても御説明いただきます。
#151
○野寺政府参考人 まず、昨年九月に策定いたしました過労自殺、専門的には心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針というふうに申しますが、これは、業務上外の判断に当たりまして、請求に係ります労働者について、精神障害の発病の有無でございますとか、発病時期あるいは疾患名を明らかにした上で、以下三つの点について考えるということで、一つは、業務による心理的負荷、これは仕事が失敗したとか、そういったような種類のことでございます。それから、業務以外の心理的負荷、例えば御家族が病気になったとか、そういうことですね。それから、御本人の個体側の要因、例えば御本人が精神病関係の既往歴があるといったような、こういった三点について評価をいたします。その上で、発病した精神障害との因果関係を総合的に判断した上で判断する、簡単に申しますと、そういった内容でございます。
 その結果、業務による心理的負荷が精神障害を発病させるおそれがあるというような場合で、その要因が業務以外の要因あるいは個体側の要因と比べて相対的に有力であるという場合には業務上と認定される、こういう結果になるわけでございます。
 さらに、この基準によります認定件数でございますが、平成九年度では二件、二件とも自殺でございます。それから、平成十年度は四件ございましたが、自殺はそのうち三件。十一年度においては十四件、そのうち自殺は十一件というふうに増加をいたしております。
#152
○塩田委員 労働大臣にお伺いいたします。
 労働災害による死亡者、これは近年になりましてかなり減少を続けておるということでございます。しかし、なお千八百人を上回る死亡者が一年間にあるわけでございます。この一人一人の命というものは本当にとうとい、しかも日本の産業興隆のために身を犠牲にされた殉職者でございます。
 私は、高尾にありますみころも霊堂に参りまして、毎年行われます産業殉職者の合祀慰霊式に参列させていただいておるわけでございますが、そのとき、千名を上回る参列者、遺族の方々のお姿を見るとき、本当に痛ましい思いをするわけでございます。本当に、この人たちの犠牲の上に日本の現在の経済が発展して、また我々の生活を支えているんだということを痛感するわけでございます。
 そういった観点に立ちまして、かつては、いわゆる産業災害戦争あるいは安全戦争ということが言われまして、交通事故による交通安全戦争と並びまして、一時は一万人になんなんとするような一年間の死亡者があったわけでございますが、交通事故も一万を超え、また最近は若干減って九千人台でございますけれども、労働災害につきましては、労働省挙げて、また出先の監督署、基準局が本当に日夜大変な御努力をされ、御苦労をしておられるわけでございまして、その成果がここに出てきたと思うのでございます。
 いろいろな形の、各業種別のガイドラインをつくったり、あるいは産業医科大学をつくったり、またいろいろなセーフティーアセスメントを推進したり、あらゆる考えられることは総力を挙げて各方面で手を打っていただいておる、対策をしていただいておる、その結果だと思うわけでございますが、大臣、まだ一年間に千八百人を上回る死亡者、犠牲者が出ている、そしてそれの何十倍かの被災者が出ているということにつきまして、今後、これを本当に死亡者ゼロにするということを目指して、不退転の決意でこれに取り組んでいただきたいと思うわけでございますが、いかがでございますか。
#153
○吉川国務大臣 塩田委員の御質問にお答えいたします。
 労働災害による死亡者数は、長期的には減少傾向にあり、平成十年、十一年と二年連続して二千人を割り込んでおります。しかし、この同じ数字でも、塩田さんの方から見れば、まだ二千人もあるじゃないかというおしかりの言葉だと思うのでございまして、十分心していきたいと思います。
 また、労働災害発生の頻度をあらわす度数率、災害の重さの程度を示す強度率についても、長期的には低下傾向にあります。
 労働省におきましては、今後とも、死亡災害を含む労働災害が着実に減少していくよう、労働安全衛生関係法令や労働災害防止計画等に基づき、法令に基づく規制の履行確保を図るとともに、災害の多発している業種における安全衛生活動の促進、中小企業における安全衛生の確保対策への支援、災害多発事業場に対する重点的な指導等の労働災害防止対策の一層の推進に努めてまいりたいと思っております。
#154
○塩田委員 ありがとうございました。
 これは官主導で今まで随分やってこられた、これは労を多とするものでございますが、民間におきましても、地域でいろいろな団体、組織を持ち、安全についてはかなり真剣に、また衆知を集め、力を合わせて取り組んでおられるという実情を見るわけでございます。
 なお、今後、いわゆる官民一体となって、死亡者事故はもとよりのこと、あらゆる労働災害ゼロを目指して、ぜひとも取り組んでいただきたいということを強く要望いたします。
 次に、労働基準局長にお伺いしたいのでございますが、中小企業経営者福祉事業団ですか、これはKSDと言っていますね。Kはわかるし、Dもわかるのですけれども、Sは何でございますか。それが第一問。
 それから、これと同じような団体が、労働省、大臣認可あるいは許可であるかどうか、これにつきましてお答えいただきます。
#155
○野寺政府参考人 財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団は、その前身は、昭和四十四年に東京都知事の許可によって設立いたしました財団法人中小企業経営者災害補償事業団というものでございまして、この略称が経災団というふうに言っておりました。したがって、KSDは、その経災団の経、災害の災、それで団、その三つをとりましてKSDと称しているわけでございます。
 次に、労働省認可の公益法人でKSDと同じような公益法人があるかということでございますが、公益法人としては、財団法人日本中小企業福祉事業財団、こちらの方は略称が日本フルハップというのがございます。
#156
○塩田委員 今御答弁ありましたように、Sというのは災害ということでございますね。しかも、労働省関係の許認可でございますから、やはり労災ということが念頭にあって、そして、いわゆる経営者というもの、経営のトップあるいは重役の一部は労災の適用外であるというところから、労災補償的なあるいはその他の災害を含めてのこういう団体ができたというふうに考えるわけでございます。
 そこで、労災保険制度におきまして、中小企業を中心にして、特別加入制度というのがございますね。片や、一人親方の労災保険の擬制適用という制度もあるし、また海外への派遣労働者につきましてもそういう制度がある、いわゆる任意加入的な制度でございますね。
 そこで、そういった制度を労働省として持ちながら、どうしてKSDとかフルハップといったようなものができておるのか。聞くところによりますと、労働省の関係の特別加入制度というのは約百万人。また、KSDも百万人、フルハップが七十万程度と聞いておりますが、これを合わせましても二百七十万ですね。日本の中小企業の企業数というのは、御存じのとおり、ことし中小企業基本法の改正がありまして若干範囲が広がりましたけれども、五百八万九千百といった数ですね。これに対しまして二百七十万、まだまだ余地がありますね。
 労働省の所管する特別加入制度でどんどん進めていかれるか。これは労働災害補償という形のものだと思いますが。フルハップやKSDはそれ以外の給付なり災害に対する給付制度もあるというふうに聞いておりますが、そういう制度がありながら民間でそういう許認可の法人があり、これが大体三等分しているわけですね。今後、大臣としてはどういう方針で、労働省のこの特別加入制度をどんどん進めていかれるか、あるいは民間は現に二つありますけれども、二つに限らず大いに民間からの参入を求めて、また認めて、大いに自由競争をさせるといったことで民間活力を活用されるというふうに持っていかれるか。そのあたり、労働大臣の今後の御方針をお伺いしたいと思います。
#157
○吉川国務大臣 今お話が出ました労災保険制度の特別加入制度というものは、業務の実態や災害の発生状況等にかんがみ、労働者に準じて保護を図るべき者を対象に特別に任意の加入を認める制度でありますが、中小事業主等の特別加入者につきましても、労働者と同様に、業務上の事由または通勤による負傷、疾病、障害または死亡に限り補償を行うものであります。
 財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団の行う災害補償共済制度は、法人事業所の役員、個人事業所の事業主等を対象に、業務上の事由によるものか否かを問わず、負傷、障害または死亡に対して補償を行っております。
 このように、両者は制度の目的、補償範囲等が異なるものであり、民間事業者は独自の経営判断により制度を設計、運営していくものと理解しております。
 他方、特別加入制度に関しましても、今後とも制度の趣旨に応じ適切な補償を行っていくことといたしております。
 そして最後に、委員言われました、これらの民間補償団体が二つあるが、これらをどういうふうに指導していくのかというお尋ねでございまするけれども、このことにつきましては、KSDそのものの、これは先回副理事長を呼んできつく指導をしたところでございまするけれども、まだ全容について知解していないところもございますので、ひとついましばらくの御猶予を願いたいと思うのであります。
#158
○塩田委員 KSDとフルハップと労働省が推進しておられる特別加入制度との間には、もちろん今御説明ありましたように、カバーするところ、また保険対象なり給付内容が違うということ、これは十分わかります。しかし、この労災補償保険法というのは労働者に対するものだということが根っこにやはりあるわけですね。したがって、中小企業者の社長あるいは重役等は入れないというのが原則になっておるわけですけれども、擬制適用があったり、あるいは任意の特別加入制度があるということでございますね。
 今度は、いわゆる労働者と使用者という関係、あるいは経営者という関係におきましては、なじまないという考えが基本にあるかもわかりません、労働者保険ですから、労働者に擬制して特別加入ということでしょうけれども、来年から厚生労働省になるわけでございます。その辺は新たな組織の上で、厚生労働ですから、国民年金が全国民に満遍なく支給され、また適用されておるように、災害につきまして、今の許認可法人が行っているような少し広いものを含めまして、やはり厚生労働省として今後考えていくべき問題ではないか、このように考えます。
 今KSDをめぐっていろいろな問題が起こっておりますことにつきまして、大臣として今どのような御感想をお持ちか、お伺いいたします。
#159
○吉川国務大臣 このKSDの問題につきましては、労働省といたしまして数次にわたって指導を行ってきたにもかかわらず、今般KSDがこのような事態となりましたことは、指導が十分徹底しなかったものであり、極めて遺憾と考えております。
 このため、十一月十日、私みずから、直接小山副理事長に労働省に来ていただきまして、責任を自覚して会員を初め社会的信頼の回復に全力を挙げる必要があることから、労働省が改善を勧告した事項及びKSDが十月十八日に発表した改革方針の内容を年内に着実に実行することを初めとする四項目について指導したところであります。
 もう一遍申し上げますと、十月十八日にKSDみずからが今後はこのように改革をしていきますということを自主的に決めた文言でございまして、七項目ございました。それから、最後の四項目は、私がきつく小山副理事長に物言いをした項目でございます。
 今後、KSDが指導に従い公益法人として適切な運営が図られるよう、引き続き厳しく指導していく所存でございます。
#160
○塩田委員 それでは次に、法案の内容につきまして御質問いたします。
 改正法案の第二十六条第一項によりますと、二次健診等給付の支給要件を厚生労働省令で定めることとされておりますが、その内容はどんなものでございますか。
#161
○野寺政府参考人 まず、一次健診で行う検査として、最高血圧と最低血圧を測定する血圧検査でございます。それから、血中のコレステロールを測定する血中脂質検査、それから、血中のブドウ糖の量を測定する血糖値検査、さらに、身長と体重から算出するいわゆる肥満度の計測、こういったことを予定いたしておりまして、こういった項目で有所見となった場合に二次健診をする、こういう全体の構造になるわけでございます。
 こういった項目に一遍に四つ該当する場合には、専門家の間で死の四重奏というふうに言われておりますので、ほうっておくと過労死になる確率がかなりの程度高いということで、こういう内容にしているわけでございます。
#162
○塩田委員 それでは、今言われました四項目で有所見という段階になるには、その四要素が合体して総合的に診断されるわけでしょうが、その程度はそれぞれについてどのような内容ですか。
#163
○野寺政府参考人 一次健診の各検査におきます有所見の判定というのは、これは基本的には行政基準というのはございません。ただ、基本的には、健康診断を実際に実施される医師という専門家が専門的に御判断なさるということになるわけでございます。
 基本はそういうことでございますが、それぞれの学会で、それぞれの検査項目につきまして、以下申し上げるような数値を示しているという事実がございます。
 例えば血圧検査でございますが、日本高血圧学会によりますと、最高血圧百四十ミリHg未満、最低血圧九十ミリHg未満というのを正常値というふうに言っているわけでございまして、これを超える数値を高血圧というふうに言っております。
 それから、血中脂質検査でございますが、これは、日本動脈硬化学会によりますと、総コレステロールが二百二十ミリグラム・パー・デシリットル以上、HDLコレステロール四十ミリグラム・パー・デシリットル以下、トリグラセライド百五十ミリグラム・パー・デシリットル以上をもって高脂血症というふうに言っているわけでございます。
 さらに、血糖値検査でございますが、これは、老人保健法の要指導の判定基準というものがございまして、これによりますと、空腹時の血糖値が百十ミリグラム・パー・デシリットル以上、HbA1cというのがございますが、HbA1c五・六%以上を異常としております。
 それから、肥満度の計測でございますが、日本肥満学会によりますと、BMI、BMIというのは体格指数でございまして、体重割る身長割る身長というものでございますけれども、このBMIの値が二五・〇未満が基準値というふうに言われております。
#164
○塩田委員 今、具体的な例でお話がございましたが、各方面でいろいろな意見があると思うんです。労働省は、これを定められる際におきましては、十分各方面の意見を聞いて適切に定めていただきますよう希望いたします。
 それから、最後でございますが、改正法第二十六条第二項の一号と二号につきまして、その内容、すなわち、一号の方は、二次健診の内容を厚生労働省令で定めるということになっておりますが、その内容、それから、二次健診後の保健指導の具体的な内容につきまして御説明をいただきます。
#165
○野寺政府参考人 まず、改正法二十六条二項の二次健診の内容を厚生労働省令で定めるというふうに言っておりますが、その内容いかんということでございますが、二次健診の検査内容は、次のような要素を考慮して決めなきゃいけないというふうに思っております。
 一つは、脳血管疾患及び心臓疾患の発症のリスクを評価できる検査である必要がございます。次に、検査結果の評価方法が医学的に確立しているということが必要でございます。事業主がどのような就業上の措置をそれによってとるかということの判断が適切にできる必要がございますので、その評価方法が確立している必要があるわけです。さらに、現実問題として、全国の診療所において広く実施できるといったようなことがなければ、これは幾らやらせてみても実際にはできないということになりますので、こういったような三つの条件を満たすようなものというのを考えておりますが、具体的には、例えば負荷心電図検査なんかがこれに該当するのではないかと思っております。
 いずれにしましても、先生御指摘のように、具体的な検査項目につきましては、今後、専門家の意見等も踏まえまして、さらに三者構成の審議会で御意見をいただきまして決めていきたいというふうに思います。
 さらに、後半の御質問の、二次健診後の保健指導の内容ということでございますが、これは、脳・心疾患の発症予防のために、さまざまな生活習慣上の事項がございますが、そういったことについて適切な指導を行うということが眼目でございます。
 具体的には、医師、保健婦、保健士等が、適切なカロリーの摂取等、食生活上の指針を示す栄養指導、必要な運動の指針を示す運動指導、それから飲酒、喫煙、睡眠等のいわゆる生活習慣に関します生活指導といったような三点を行うことを考えております。
#166
○塩田委員 ありがとうございました。
 終わります。
#167
○大石委員長 この際、政府参考人から発言を求められておりますので、これを許します。労働省職業安定局長渡邊信君。
#168
○渡邊政府参考人 前回の本委員会におきまして、大森議員の、平成十一年度における神奈川県の緊急地域雇用特別交付金におけるシルバー人材センターへの委託分についてのお尋ねに対しまして、私の方から四百五人と把握しているという旨をお答えいたしましたが、委員の御指摘を踏まえまして、その後再調査をいたしました。
 委員からあらかじめ事前通告をいただいておりまして、その際、県と労働省とでやりとりをいたしまして、四百五人という数字をいただいておりましたが、どうも双方の意思疎通に行き違いがあったようでありまして、正確には三千二百九十人ということでございました。この場をおかりいたしまして訂正をし、謹んでおわびを申し上げます。
 なお、この事業の性格にかんがみまして、特定の分野に事業が集中するということは好ましいことではありませんので、その旨を改めて全国の自治体に対して指導したいと思います。
 以上でございます。
#169
○大石委員長 大森猛君。
#170
○大森委員 今職安局長から訂正の御発言がありました。そのとおりだと思います。
 訂正の中で一言言ってほしかったのは、大森議員の御指摘のとおりということをきちんと入れていただきたかったと思います。
 私どもは、こういう質問をする際、私の事務所からも、北海道であれ、大阪であれ、神奈川であれ、現地の担当者に直接会って調査することを原則としております。したがって、そういう調査で質問に臨んだわけでありますけれども、電話一本で、はっきり言っていいかげんな調査でこういう質問に対応していただいたら大変困るということで、これは厳粛なる反省を求めて、同時に、前回の質問でも指摘をしました幾つかの問題点、これについて改めて、来年度以降の緊急地域雇用特別交付金の事業が、本当に事業の目的、趣旨に沿って行われているかどうか、私は、再点検を行っていただきたいということをこの点では申し上げておきたいと思います。
 法案に入りますが、今回の法改正について、既に他の委員からもありました、重複する面もあるかもわかりませんが、幾つかの基本的な点、最初に確かめておきたいと思います。
 まず第一に、今回の法改正は、法定の健康診断を受けた者のうち、再健診について保険給付が認められるということで、水際的な面はありますけれども、労働者にとって前進だと思います。しかし、より重要なといいますか、特に第一次健診、これの受診率を抜本的に上げていくという点で、この点はもう既に質問がありましたけれども、労働者の圧倒的多数の比率を占める中小企業に従事する労働者の受診率というのがやはりかなり低いものと思います。
 そういう点で、特に中小企業で働く労働者の受診率を高めていくための抜本的な施策と決意について、まずお伺いをしたいと思います。
#171
○吉川国務大臣 このたびの法案の骨子は、健康診断の実施につきまして、労働者の健康確保の基本であり、小規模の事業場においても健康診断の実施を徹底することは重要な課題であると考えております。
 定期の一般健康診断の実施率は、全体として八四・八%ですが、労働者数、十人から四十九人までの事業場では八二・六%となっております。このため、事業者に対する健康診断の徹底のための指導、地域産業保健センターにおける小規模の事業場に対する支援等を行っております。また、現在、小規模事業場における健康確保方策の在り方に関する検討会において検討を行っており、その結果を踏まえまして、今後とも、小規模事業場における健康診断の実施の徹底を図ってまいりたいと思っております。
#172
○大森委員 ぜひ力を入れていただきたいと思います。
 中小企業に従事する労働者と並んで、もう一つ受診率の問題で問題になるのがいわゆる短時間労働者。パート労働者は既に一千万人を超えていると言われているわけなんですが、こうした非正規の労働者の健診の状況について把握しているかどうか。そして、これを引き上げるためにどう措置をしていくのか、この点、お聞きをしたいと思います。
#173
○野寺政府参考人 まず、実態でございますが、平成九年の調査で恐縮でございますが、この年の労働者健康状況調査によりますと、健康診断の受診率、正社員が八六・九%に対しまして、いわゆるパートタイマーは六四・三%でございました。
 パートタイマーの方でございますが、業務に関係する健康障害を予防するといった観点から、一週間の所定労働時間が通常の労働者の四分の三以上の方につきましては、こういった労働者を使用する事業者に対しまして、定期健康診断を義務づけております。労働時間が通常の労働者の二分の一以上であって、先ほど申しました四分の三未満であるパートタイマーの方、この方々も、同様の観点から健康診断を行うことが望ましいわけでございますが、これらは義務とはいたしておりませんけれども、健康診断ができるだけ実施されるように指導しているところでございます。
 今後とも、パートであるか正社員であるかにかかわらず、こういった健康診断ができるだけ広く実施されますように指導を図ってまいりたいというふうに考えております。
#174
○大森委員 パート労働者が正規の労働者と比べてこういう健康面でもやはり格差があるということが明らかになったわけでありますが、ぜひこの点でも抜本的な施策を強めていただきたい。
 次に、問題の第二次健診の受診率をどう高めるかという点でありますけれども、現在、年休の取得率が五〇%台という現状の中で、果たして本当に二次健診が必要だということで二次健診を受ける人がどれだけ出るだろうかという問題があります。
 そういう点で、二次健診をきちんと受けやすくする、そのために当然事業主に対して何らかの措置を講じなくてはならないと思いますが、この点、大臣、いかがですか。
#175
○吉川国務大臣 御指摘の二次健康診断等の給付は、脳血管疾患及び心臓疾患を予防するための給付であるわけですが、これらの疾患は、業務以外の生活習慣上の要因も関連する疾患であることから、二次健康診断等給付を受けるために要した時間の賃金については、当然に事業主の負担にすべきものではないと考えております。
 しかしながら、労働者の二次健康診断の受診を促進するため、事業の円滑な運営に不可欠な条件である労働者の健康確保に関して、二次健康診断は有用なものであるということを事業主に周知するとともに、健康診断結果に基づき事業主が講ずべき措置に関する指針というものに基づきまして、事業主が労働者に対し受診を奨励するよう指導していきたいと考えております。
#176
○大森委員 今回の措置は、いわゆる過労死が多発している中で、健康状態から過労死予防ということにアプローチしていく性格になっているわけなんですが、冒頭、水際的と言ったのは、死の四重奏と言われる、政令等で指摘されるであろう四つの所見、それがあらわれる以前にそれがあらわれないようにすることが本来は大事じゃないか。そういう点で、過労死に至るような、使用者による乱暴な働き方をさせないという点で、これはもう私どもたびたびその入り口になるものとしてサービス残業なども取り上げてまいりました。電通の問題も、この労働委員会、予算委員会でも取り上げたわけなんですが、そこでも明らかなように、結局、過労死というのがこういう野方図な残業と直結しているというのが大きな特徴ではないかと思います。
 そこで、こういう野方図な残業は言うまでもありませんけれども、ただ働き、サービス残業、こういうものをきちんと過労死対策という面からも重視しなくてはならないと思います。私ども、サービス残業根絶法案も提出をしておりますけれども、過労死への入り口ともなるサービス残業の野放しの状態、これをなくす点での大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
#177
○吉川国務大臣 サービス残業につきましては、その多くは、労働基準法第三十七条に定められている割り増し賃金の全部または一部が支払われていない違法なものであると考えています。
 労働省においては、事業場に臨検監督を行い、労働基準法違反を把握したときには、割り増し賃金を支払わせる等その是正を図っているところであります。
 今後とも、法定労働時間や時間外労働時間の限度基準の遵守、割り増し賃金の適正な支払い等については使用者に対し的確な監督指導を実施し、労働基準法違反の是正に努めてまいりたいと思っております。
#178
○大森委員 これまで私どもが取り上げてきたサービス残業、製造業それから金融あるいは商社など、さまざまなケースを取り上げてきたわけなんですが、特に最近サービス残業という点でふえているのが、サービス業におけるサービス残業です。こういうのが非常に各所で目立っております。サービス業における野方図なサービス残業などが、問題になっております若者の定着率の低さというようなことにもつながっているわけですね。
 そこで、お聞きをしたいわけなんですが、最近マスコミでも取り上げられたわけなんですが、居酒屋チェーン店でモンテローザ、最近急速に業績を拡大して、現在、全国に約八百店舗、社員数が、アルバイト一万六千人を含めて約二万人、大企業並みであります、そして年商が一千三百億円という会社があります。
 ここで働く若い労働者からサービス残業について労働省にも訴えがあったと思いますけれども、その実態、それから、労働省はどういう措置をそれによってとったのか、これをまずお聞きしたいと思います。
#179
○野寺政府参考人 株式会社モンテローザでございますが、平成九年の十月に監督指導を実施いたしました際に、割り増し賃金及び労働時間についての労働基準法違反が認められたわけでございます。この点につきまして是正勧告を行いまして、さらに、平成十一年九月に、同社の労働者からこれは申告がございました。その申告に基づきまして監督指導を実施し、再度、割り増し賃金の支払いにつきましての是正勧告を行っております。さらに、本年四月には、割り増し賃金の支払いについての刑事告発がなされまして、これにつきましては現在まだ捜査中でございます。
 ただ、こういった捜査とは別に、この会社につきましては、全国の店舗の労働者の割り増し賃金の未払い分について集中して指導しているところでございます。
#180
○大森委員 私も、直接ここで働く労働組合の方からもお話を聞きまして、本当にこれはもう信じられないような前近代的な労働条件に置かれているのではないかと思います。
 ともかく、週の基準労働時間が五十五時間、それでタイムカードにセットしてあることに始まって、欠勤すると八万円の賃金カット。肉親の忌引休暇などとても認められない、肉親の忌引で休んだら、もうそれで数万円カットされてしまう。精勤手当、皆勤手当などが全部カットされる。そういう罰金制度が設けられている。あるいは、一分でも遅刻すると一万円の賃金カット。これは、交通機関の遅延による遅刻であっても一万円の罰金が科せられる。
 さらに言えば、有給休暇の申請は二週間前でないと受け付けない。それから、給料日の直前に一方的な賃下げ、それが二回にわたって行われるとか、残業代は法律で決められている額の半分しか支給されないというような状況で、これは、東京西部一般労働組合の計算によれば数十億円になってしまう、大変なものになっているわけであります。それから、タイムカードにも残業を記録してはならない、残業を記録したら、これは処分の対象になるというわけですね。
 さらに、定期昇給はなし。もっと言えば、休日出勤手当の不払い、店舗での売り上げノルマ未達成時の賃金カット、こういうものもどんどん行われている。本当に恐るべき労務政策がとられているわけであります。
 先ほど御答弁にありました、労働省の勧告及び指導、これは平成九年のものだけでも約十四項目にも上っているわけですね。労基法三十二条、八十九条、百七条、百八条、九十一条、安衛法の六十六条、十二条、ずっとこういうのが続いているという状況であるわけであります。
 是正勧告あるいは指導、これを行って、それは具体的に改善をされているのでしょうか。
#181
○野寺政府参考人 例えば、先ほど申しました平成九年十月の監督指導の結果発見されました、労働基準法三十二条、これは法定労働時間の関係でございますが、あるいは基準法三十七条、時間外、休日、深夜の割り増し賃金でございますが、さらには百八条、これは賃金台帳に労働時間数を記入するということでございますが、こういったことにつきましては、平成十一年四月に勧告に対します是正を確認いたしております。割り増し賃金につきましては、このとき総額二千百万円を遡及払いいたしております。
 また、十一年の九月十四日の監督指導の結果発見された、やはり基準法三十七条あるいは百八条の違反につきましては、平成十一年の十一月に、本社事務部門の労働者に対して割り増し賃金の遡及払い約一億二千万、さらに、十二年の三月には、本社営業部門の労働者に対します割り増し賃金の遡及払い総額約三億三千万がなされていると確認をいたしております。
#182
○大森委員 一部の未払い分についての支払いはあったようでありますけれども、全体としてその未払いの残業手当の額に見合うものじゃないと思うんですね。これはモンテローザの人事本部長自身も言っていることでありますけれども、残業手当未払い分が平均金額で約三百万円というわけですね。ところが、私どもの聞くところによれば、ランクを分けて、最高額でも百二十万、最も低い人は六カ月分の時間外労働賃金十万円という、このランクですべての人に署名捺印をさせる。しかも、署名捺印が合意によるものじゃない。
 これは組合の要請書の中でありますけれども、この会社の幹部、本部長が、部屋の中でこうした対象者に会われて、「“とにかくハンコを押さなければだめだ、会社に残るにはハンコを押さなくてはいけない、居酒屋で働いていて残業手当を要求するなんてとんでもない、これだけでももらえるのはありがたいと思え、会社にはそんなに払う金は無い”などと言って強制的に署名・捺印させた」というわけですね。
 恐らく労働省はこういう実態まではつかんでいないと思うのですけれども、こうした無法な状態は断固として許さない、法律という明確なルールをきちんと守らせていくという点で徹底的な毅然たる態度をとっていただきたい。その点での決意をお示しいただきたいと思います。
#183
○野寺政府参考人 今、具体的な例として先生引用なさいました、労働者側に、これぐらいでもありがたいと思えといったような話でございますが、労働基準法は罰則をもって担保されておる強行法規でございますので、仮に何らかの事情で労働者側がそれに、やむなくでありましょうが合意したとしても、それは無効でございます。
 あくまでも法律に書かれた割り増し賃金等々はきちんと払われるように、今後も厳しく指導してまいりたいというふうに思っております。
#184
○大森委員 ぜひ厳しい態度で臨んでいただきたいと思います。
 関連してでありますけれども、正社員のほかにいわゆるフリーターなどの働き方が多く見られるわけなんですが、そういう点で、雇用保険あるいは社会保険などの適用があいまいにされているケースも、最近サービス業などの企業において顕著になっております。
 雇用保険の適用についてはこの会社は問題はなかったのか。特にアルバイトの方で先ほど言いましたように約一万七千人、そのほとんどが五十時間以上働いているということですので、当然これは雇用保険に入らなくてはならないという働き方をしていると思うのですが、この点、いかがでしょうか。
#185
○渡邊政府参考人 株式会社モンテローザの雇用保険の加入状況ですけれども、委員御指摘のように、労働者数は約一万九千人で、うちアルバイトが約一万七千人というふうに承知をしておりますが、このうち雇用保険の被保険者になっている方は約二千百名でございます。したがいまして、いわゆるアルバイトの大部分の方は雇用保険に加入していないという状況かと思います。
 私どもの適用基準では、週の所定労働時間が二十時間以上で一年以上引き続き雇用される見込みがあり賃金の年額が九十万円以上見込まれる、こういう方につきましては、アルバイト、パート等でありましても雇用保険の加入義務があるわけであります。そういった点について、事業主についてこれから指導してまいりたいと思います。
#186
○大森委員 先般も東京ディズニーランドで働く若者から私どもの事務所に相談もあったわけなんですが、こうした加入すべき企業が加入していないというような点については十分調査を行って、労働者の権利が損なわれないよう、経営者としての最低限の責任がきちんと果たされるよう、厳正な指導を求めたいと思います。
 次に、午前中にもお話がありましたけれども、今回の法改正で建設産業において労災保険率についての緩和が行われました。その結果労災隠しが行われるようだと法改正の意味がなくなってしまうということで、今回の改正に当たっても審議会の中でも相当議論があったようでありますし、法改正案が提出されて以降も、建設産業で働く労働者の皆さんからこの面での強い要望などが私どもにも寄せられました。
 一九九六年でありますけれども、参議院で日本共産党の吉川春子議員が労災隠しの問題を取り上げました。そこで、午前中も議論がありましたけれども、いわゆる健康保険における給付で実際上は労災によるものだと指摘をされておるのが通年で各年六万件前後。しかし一方で、安全衛生法の百条違反、死傷病報告義務違反とでもいうのですか、それが数十件。その乖離を四年前の参議院労働委員会で質問をしたわけなんですが、そのときの答弁ときょうの答弁とほとんど寸分違わないというので、大変びっくりしたわけであります。
 それ以後、例えばこういう乖離がなぜ起こっておるのか、その六万件にも及ぶ、健康保険に給付申請した労働災害を受けた方が実際どういう状況だったのか、多少でも調査をしたのか、これは本当に疑問が残るところであります。しかし、四年前の我が党議員の質問を受けた後、労働省の方でも一定の予算措置も講じて、一定の対策をとったやに聞いておりますが、その内容とその成果についてお聞きをしたいと思います。
#187
○野寺政府参考人 平成八年に、吉川議員が労災保険法の改正の際に労災隠しの問題を取り上げられたのは、先生御指摘のとおりでございます。
 その後、平成九年度から、特に指導監督、啓発活動を行うための予算措置を講じまして、臨検監督あるいは集団指導といったようなあらゆる機会を通じまして、労災隠しの防止を図ってまいっております。
 さらに、特に、その後、安全衛生法違反ということで司法処分を行うことにつきまして厳正な対応をしてきた結果、平成十一年には七十四件という数字に上ったわけでございます。いいことか悪いことかは別でございますけれども、そういうことでございます。
 労災隠しにつきましては、今回の法改正も含めまして、あらゆる機会にやってまいりたいと思いますが、重点を置きますのは、まず、関係団体に対します指導文書を発出して、労災隠しがいかに割に合わないかということをPRする、あるいは、医療機関用のポスター、リーフレットを配布して、具体的な救済が図られるということを労働者に明示する、さらに、労働組合も含めました安全パトロールといったようなものを実際に活用いたしまして、これによる啓発活動を図っていく、さらに、事業主に対します安全衛生トップセミナーといったような年何回かの機会を通じまして、労災隠しの防止に働きかけるといったような総合的な形で今後とも取り組んでまいりたいというふうに思っております。
#188
○大森委員 四年前の参議院の労働委員会での質問は、これは建設業ではなかったわけなのですが、今回、建設業にかかわるメリット制の改定ということで、建設業におけるそういう面での心配の声も随分出されているわけであります。
 そこで、特に建設業の場合に、多重な元請、下請関係というのが存在する中で、とりわけ建設産業においてこうした労災隠しが起こらないための特別な措置、それを特に今回の法改正に合わせて検討し実行する必要があるのではないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。
#189
○野寺政府参考人 これは先生御指摘のとおりだと思います。ただ、建設業ということに焦点を合わせて、特に労災隠し対策をいかに有効に進めていくか、これは、関係する労働組合も含めて労使共同の場で検討を行った上で、具体的な策を今後詰めてまいりたいというふうに思っております。
#190
○大森委員 この問題はかねてから提起されている問題でありますので、ぜひ具体的な効果ある措置をとっていただきたいと思います。
 建設労働者の健康問題について、もう一点関連してお聞きをしておきたいと思うのですが、特にアスベストによる健康被害の問題であります。
 労働省にお聞きしますけれども、中皮腫と呼ばれるがんがありますけれども、このがんがいわゆるアスベストの吸引によって発生するというぐあいに言われていると思うのですが、それはそのとおりで間違いないですね。
#191
○野寺政府参考人 アスベストの製造、取り扱いといった作業に伴いまして、細かいアスベストの繊維が作業環境の中に飛散いたしまして、これを吸入することによって労働者の健康にさまざまな影響が出るわけでございます。御指摘の中皮腫と言われるものにつきましても、アスベストの暴露と因果関係があるというふうに言われております。
#192
○大森委員 数年前にWHOの医療分類が変更された結果、最近、この中皮腫を原因とする死亡統計もとり始められたと聞きました。一九九五年以降九八年までの四年間でこの中皮腫で亡くなられた方は各年ごとに何人ぐらいになるのか、厚生省の御回答をいただきたいと思います。
#193
○金子政府参考人 厚生省が実施しております人口動態統計から得られた中皮腫の死亡数は、一九九五年が五百人、九六年が五百七十六人、九七年が五百九十七人、九八年が五百七十人となっております。
#194
○大森委員 当時のこれを報道した新聞によれば、専門家も、予想以上に多い、こういうコメントを寄せられておりますけれども、一般的に考えて、こういう人たちはアスベストを使った住宅に居住していたために発症したというよりは、やはり解体あるいは建設に伴い大量に飛散する環境の中で作業をした人が発症したというのが考えられるのではないかと思います。
 最近も、私のごく親しい方がこのアスベスト吸引ということで労災認定になりましたけれども、九五年から九八年まで、アスベストによる肺がん、中皮腫の労災認定状況はどのようになっているでしょうか。
#195
○野寺政府参考人 九五年で十三件、以下九六年、九七年、九八年、九九年と、十二件、十件、十九件、二十五件という件数でございます。
#196
○大森委員 先ほどの厚生省の回答で大体六百人近い中皮腫による死亡ということと、今の労災認定の数とを比較いたしますと、余りにも大きく違い過ぎるんじゃないか。もちろん、完全にすべてが一致するものではないとは思いますけれども、乖離があり過ぎるというのが率直な感想であると思います。申請があって初めて認定の問題が生ずるわけですけれども、余りにも少ないという印象を否めないですね。そのことが、結局アスベストに対する労働者保護対策についても、その対策の水準を決めることになってしまうんじゃないか。
 労働省として、これはWHOの医療分類の変更に伴う新たな死亡原因の統計を取り始めるということもあったものですから、この機会に、中皮腫の患者の全面的な調査、こういうことを行うべきじゃないかと思うのです。
 これは、今回このことを調査する中で私も知ったのですが、例えば、神奈川県の建設国保の職業性疾患掘り起こし活動というのが、「労働と医学」のナンバー六十七に掲載されておりますけれども、本当にこれは関係者の皆さんが大変な苦労をされておるわけですね。労働科学研究所あるいは専門家の医師、病院、そしてこういう健保組合等々が協力し合って、レントゲンフィルムの借り出しあるいはその読影を大変苦労してやっている。さらに、これは当然そうなると思うのですが、特に職歴の聞き取り、アスベストにいつ暴露されたのか、期間を特定するのはなかなか難しい。そういうことをやりながら、わざわざ専門家、保健婦さんをその専従として配置をしてまで、懸命に職業性疾患の掘り起こしというのに取り組んでおられるわけですね。その結果、十年間でじん肺など三十二人の認定が実現をしたということで、民間でもこれほど大変な思いで今調査とか掘り起こしをやっておられるわけですね。
 ですから、ぜひこれは労働省、厚生省、協力して、この中皮腫の患者調査を含めて、この際全面的な調査を行うべきだと思いますが、この点大臣いかがでしょうか。
#197
○野寺政府参考人 アスベストを製造したり取り扱ったりする労働者につきましては、これは特定化学物質等障害予防規則という規則がございますが、この中で特殊健康診断を義務づけております。
 したがって、アスベストによります先生御指摘の中皮腫の発生あるいは労働者の一般的な健康状況につきましては、この健康診断結果の報告をいただいておりますので、これで十分ではないかというふうに思っておりますが、ただ、今後とも、事業者がこういった健康状況を適切に把握するように、指導を強化してまいりたいというふうに思います。
#198
○大森委員 健康対策あるいはこういう職業性の病気対策で十分ということは、私はあり得ないと思うのです。絶えず医学の前進あるいはさまざまな技術等の前進の中でよりよいものにしていかなくちゃいけない。ですから、これで十分という局長答弁は、これは納得できないですね。
 大臣はこの点、答弁の御用意はないですか。
#199
○吉川国務大臣 今ほど局長が答弁したことと変わりございません。
#200
○大森委員 このアスベスト、一部については禁止をされておりますけれども、世界の大勢は、もう既にアスベストの全面禁止だと思うのですね。一九八三年、アイスランドに始まって以降、昨年まででノルウェー、スイス、デンマーク、スウェーデン、オーストリア、オランダ、フィンランド、イタリア、ドイツ、フランス、ベルギー、イギリスという一連の国が全部全面禁止に踏み切っております。EU十五カ国についても、五年以内に全面禁止をするという方向も既に出されているわけであります。
 日本においても、こういう世界の流れに沿って、もはやアスベストについては全面禁止をきちんと行うという時期じゃないかと思いますが、この点、いかがですか。
#201
○野寺政府参考人 御指摘のアスベストでございますが、アスベストと呼ばれるもののうち、クロシドライトというものとアモサイトというものにつきましては、これは特定化学物質等障害予防規則を改正いたしまして、製造、使用を禁止しております。
 ただ、全面的な禁止というお話でございますが、EUの例を先生挙げられました。EUは確かに全面的な使用禁止に向けた動きがあるというふうに承知しておりますが、労働省としましては、EUのことも含めまして、国際動向につきまして十分な情報収集を行いました上で、適切な対応をしたいというふうに考えております。
#202
○大森委員 世界の流れに乗りおくれないよう、こういう面でもしっかりとした対策をとるよう重ねて要求して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#203
○大石委員長 金子哲夫君。
    〔委員長退席、鍵田委員長代理着席〕
#204
○金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子哲夫です。
 幾つかこれまでの審議の中で質問の出た項目もあると思いますけれども、重ねての質問になりますけれども、お許しをいただきながら、この法案にかかわる問題について質問をさせていただきたいと思います。
 近年、増加して深刻な社会問題になっております過労死問題は、労働者はもちろんですけれども、その家族の生活にとっても根底から覆すような非常に重要な問題であります。
 そういう中で、脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準の見直しや心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針などによって、労働者にとって業務災害としての認定が進むようにということで対策が講じられているわけでありますけれども、先ほど答弁があったと思いますが、特に、過労死の状況とか過労自殺の状況はありますが、この問題にかかわって裁判にかかわっている件数等が把握されていたら、まずお教えいただきたいと思います。
#205
○野寺政府参考人 裁判件数ということなので、ちょっと予想しておりませんでしたが、大体記憶するところでは、五十件程度ではないかというふうに思っております。
#206
○金子(哲)委員 そこで、今回は過労死を防ぐということで、健康管理上の問題からこの法案の改正が提案されておりますけれども、過労死の発生する根本的な問題というのは、やはり長時間労働とか、そういう働き方、労働のあり方に根本的な問題があると思います。その問題を変えない限り、基本的にはこの過労死の問題は解決しないのではないかというふうに思っておりますが、政府は、一九九〇年代のできるだけ早い時期に年間千八百時間の労働時間を達成したいということを掲げられて、これまで取り組んでこられたと思いますけれども、この労働時間の問題は、今現状はどうなっているか。
#207
○釜本政務次官 お答え申し上げます。
 平成四年に、生活大国五か年計画におきまして年間総労働時間千八百時間を達成することが目標に掲げられて以来、労働省では、労働時間短縮に積極的に取り組んできたところであります。この結果、平成四年に年間総労働時間が千九百五十八時間であったものが平成十一年には千八百四十八時間と、着実に短縮が進んできているところであります。年間総労働時間千八百時間の達成、定着という政府目標の達成にいま一歩という段階に来ているところでございます。
#208
○金子(哲)委員 今、数字の上では確かにこの千八百時間という数に統計上はあらわれてきますけれども、きょうの審議の中でも明らかになっておりますように、実際には非常に大きな時間外労働とかサービス残業、休日労働などが実際の現場ではあるわけでありまして、また、業務達成のための労働密度の強化等々も強くなっております。特に最近は、リストラによって職場の労働者の数も減っているという状況の中で、やはり一人の労働者にかかる負荷というものも大きくなっております。
 そういう意味で、これまでも答弁があったわけですけれども、サービス残業とかさまざまな時間外労働とか、そういった労働者の今の状況についてどのように把握され、またどういう対策が講じられているか、お答えをお願いしたいと思います。
#209
○釜本政務次官 サービス残業の現状等を統計的に的確に把握することは大変困難なことでありますが、その多くは、労働基準法に定める割り増し賃金の全部または一部が支払われていない違法なものと考えられます。労働省としましては、労働者からの申告事案への対応及び事業場への臨検監督により、適正な労働時間管理の徹底を期しております。
 また、休日労働の実情は、平成十二年度の調査によると、月間休日労働を行った労働者の割合は四・二%となっており、それらの労働者のうち、休日労働日数が一日であった者が八〇・四%となっており、労働省としましては、休日労働の適正化のためのガイドラインの設定について、専門家から成る会議で検討を行うこととしております。また、裁量労働制については、御懸念のようなことが生じないよう、労使協定や企業内の労使委員会で十分にチェックする制度となっておりますし、制度を適切に導入、実施するための指針も定めているところでございます。
 以上です。
#210
○金子(哲)委員 けさの竹下委員の発言にもありましたように、外国では過労死ということも考えられないし、時間外サービス残業などということ自体がそもそも考えられないようなことであるわけでして、その点では、日本の場合、幾ら対策を講じても対策が十分過ぎるということはないと思うのですね。
 特に、私もここに来まして、この永田町かいわいの官庁街の建物を見ますと、夜の随分遅くまで。仕事が大変だと思いますけれども、しかし、やはり労働行政を進めるべき労働省の中の職場環境の実態が一体どうなっているだろうかということを、まず身をもってこの労働時間の問題について対処していく姿勢の中から、私は日本全体における労働時間の短縮ということも実際上は実現していくのではないかということで、その点はぜひ、要望といいますか御意見として申し上げておきたいというふうに思います。
 質問の中で、深夜労働にかかわる問題を出しておりますけれども、これは後ほどちょっと質問させていただくということで、法案にかかわる問題について幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 今回の労災保険法の改正の主要な柱は、二次健康診断等の給付を創設することによって過労死等の問題について防止をしていこうという考えでありますので、その点については大変意義があるというふうには思いますけれども、その上に立ちながら、この法案の中で明らかにしなければいけない問題について質問をしたいと思います。
 第三章第四節あたりに、二次健康診断等給付の「等」という文字が入っておりますけれども、この点についてだけ具体的に、どういう点を含んでいるか、お教えいただきたいと思います。
#211
○野寺政府参考人 二次健康診断等給付の「等」は、脳・心臓疾患の発症の予防を図るため医師等によって行われます保健指導を指しているわけでございます。特定保健指導というふうに言っておりますが、その中身というのは、医師、保健婦、保健士等がやります栄養指導、運動指導、それから生活指導といったような三つの側面を考えております。
    〔鍵田委員長代理退席、委員長着席〕
#212
○金子(哲)委員 先ほどもちょっと質問が出て、重ねての質問になりますけれども、今回の二次健康診断というのは、いわば保険給付という形で行われるということで、受診についても本人の意思にゆだねられていると言われていると思いますが、やはり必要な人が確実に受診できるように、今回の健康診断についても、受けに行くための時間や賃金の問題について、私は、労働安全衛生法に基づいて行われる第一次の健康診断と同じように本来は扱うべきだというふうに思うわけです。
 お金の出どころが違うことによって基本的に健康診断のあり方について差が出るというのは、私は、本来の性格からいうと――労働省の側からいうと違うかもわかりませんけれども、受け手の側からいうと、第一次であろうと第二次であろうと同じような意味を健康診断としては持つわけでして、その点について、ぜひそういう制度に変えていく方向を考えていただきたいと思いますけれども、その辺の考え方はどうですか。
#213
○野寺政府参考人 先生おっしゃいましたように、この質問も先般出まして、御答弁申し上げたわけでございますが、基本的には、第一次健康診断は、これは安全衛生法で事業主がそれを労働者に対してしなければいけないという義務でございまして、この違反については刑事罰が科される性格のものでございます。
 それに対しまして、今回の二次健康診断給付というのは、そういう安全衛生法上の罰則を伴った義務という形にはなっておりません。といいますのは、その理由は、二次健康診断給付に至る四つの所見を持っているというケースが、一部は確かに業務によってそういう状態になるということもあるのですが、多分に生活習慣の中でそういう状態に至るということがあるものですから、一〇〇%事業主の責任ということで、これを罰則を付した義務にまでするにはふさわしくないのではないか。ただ一方で、ほっておいた場合にこれが引き起こす結果の重大性にかんがみて何らかの措置をするべきであるということで、労災保険法上の給付という形で位置づけたわけでございます。
 したがいまして、二次健診に行った場合の賃金をどうするか。これは、払えというふうに義務づけられているわけではございませんが、事業主が労使の間でいろいろ話し合いをされて、その結果しかるべき措置がなされるべきだと思いますけれども、国としては、できるだけ事業主に対して便宜を図るように、こういう指導をしたいと思っております。
#214
○金子(哲)委員 今の局長の答弁を聞いて、私がもう一度質問しようとした点についてはお答えをいただいておりますので、ぜひ、実行面においてできるだけ受けやすい問題、そして、仕事上の問題によってなかなか受けにくいとかそういった問題が生じないように、また、今おっしゃいましたように、できるだけ賃金問題の扱いについても不利益が生じないようなことについて、その点について、特にこの保険法の改正に当たっては、事業主に対しての周知の際に強く周知していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 さて、私もこの法案を少し勉強させていただいたときに、実はこのときどうなるだろうかという問題を少し考えました。
 一つは、これは労災の問題にかかわってですけれども、いろいろな事情があってなかなか第二次の健康診断が受けられないというような状況が発生した場合、その際に、あってはならないことですけれども、その期間中に不幸にして過労死というようなことがあった場合、この点について、労災認定の際には、いわば受診をしなかったという理由によって不利益の扱いというようなことはないというふうに考えておりますが、その点について、まず、重要な大事な問題ですので、労働大臣の方からお答え願います。
#215
○吉川国務大臣 今ほどお話しの労災保険の給付が行われるか否かということにつきましては、労働者の負傷、疾病、障害または死亡が業務上の事由によるものであるかどうかで判断されるものでありまして、二次健康診断等給付の受給の有無など業務と関係のない行為に影響されるものではないと思います。
 したがって、脳・心臓疾患を発症した場合についても、これが業務上の事由によるものと認められる場合には過労死等として労災の認定がなされるところであり、二次健康診断を受診していないことが認定上不利に取り扱われることはありません。
 以上であります。
#216
○金子(哲)委員 労災については、私は、今労働大臣から答弁があったとおりで、ぜひ労災申請の際にはそういうことでやっていただきたいと思いますけれども、同時に、今過労死の問題や過労自殺の問題でいろいろ裁判事案になっておりますのは、民事的な問題で裁判になるケースがかなり多く発生をしておりまして、なかなか労働者の側が民事の裁判の中で有利な条件を引き出すということは大変な状況もあるわけです。
 それで、今後予想されることとしては、先ほど質問した中にも申し上げましたけれども、二次診断を、これは本人の意思にゆだねられているという問題が基本的に今回の問題であるわけですので、時間的な制約の問題等を別にして、なかなか本人が受診をしないというような状況があった場合、先ほどと同じようなケースで過労死などが発生する場合が全くないとは言い切れないと思うんですね。
 その際に、例えば企業との民事裁判になりますと、企業側がこのことを理由にして、あなたはそういう診察を受けなきゃいけない状態にあったのに第二次健康診断を受けなかったというようなことを理由にして仮に民事裁判が争われるとすると、せっかく労働者保護といいますか、そういう労災をなくそうということで進められたこの法改正が逆に足かせになっていく、マイナスの要因になっていくというようなこともあるわけでして、そういう意味では、そういうことがあってはならないというふうに思うんですけれども、その点について、これは労災ということでなくて民事にかかわる問題ですけれども、ぜひ労働省としての考え方をお聞きしたいと思います。
#217
○野寺政府参考人 結論的に言いますと、民事訴訟における判決は、これは私どもではなくて司法による判断でございますので、二次健康診断給付の受給の有無がどういうふうに影響するか、それは申し上げる立場にございません。
 といいますのは、一言だけ申し上げますと、労災の判定の中では過失相殺という問題はないわけなんですね。労災と認定すれば、本人側の過失があっても給付は全部出る、こういうシステムなんです。ところが、民事訴訟の場合には、例えば損害賠償ではそういった過失の問題が扱われる可能性がございます。したがいまして、労災とは違った結果になるということもあり得ると思います。
 いずれにしましても、司法が判断すべき問題だというふうに考えております。
#218
○金子(哲)委員 おっしゃられるとおりだと思うんですけれども、しかし、法を今これから改正するわけで、その際にそういうことが――私がさっき言いましたように、そこに事業主との関係があると思うんですけれども、事業主の方にある程度義務が発生している問題であれば、この問題はそのことを問うことはないと思うんですけれども、今回は労働者の側にすべて、第二次健康診断を受けるか受けないかということが実際上は、法律上は本人の意思にゆだねられるという問題になっているために、そのことによって発生する問題というのはどうしてもあると思うんです。
 ですから、私は、やはりこの委員会の中で、この法を改正するのであればそういった疑念はきっちりと払拭しておかないと、そのことによって、せっかくつくった法案が労働者にとって不利益になる。これは、そういうことにならないようにということでこの法案がつくられて、労働者保護のためにつくられた法案が逆に不利益になるということが発生してはならないということを思うわけでして、その点についてもう一度改めてちょっとお伺いしたいと思います。
#219
○野寺政府参考人 この二次健康診断給付につきまして、例えば労働者を無理やり引っ張っていって二次健康診断を受けさせる、こういうことはもとよりできないわけでございます。私ども行政ができますことは、二次健康診断を受けた場合に御本人の負担がないという状態を労災保険の給付でつくり出す、こういう側面的な支援によって二次健康診断が行われるという状態を確保したいと思っているわけでございます。
 といいますのは、一次健康診断の結果、例えば二次健康診断をすると自分の障害がわかってしまうといったようなことを恐れる、中にはそういうことを発見されることを恐れる労働者もいらっしゃる。いろいろな事情があるんだろうと思います。そういったいろいろな事情がある場合についてまでこれを無理やりやらせるというのは、本来、制度の趣旨ではございませんので、そういったことを考えますと、現在の制度でいいのではないかというふうに思っております。
#220
○金子(哲)委員 今、無理やりに受けさせることができないという問題もありました。この答弁はいいんですけれども、この第二次健康診断というのは、いみじくもおっしゃいましたように、さまざまな要件がありますけれども、その中の一つには、今の職場労働環境の中で、自分が過労死予備軍のような扱いを受けたくない、こういう職場のリストラが大変多い状況の中で、自分がそういうことによって不利益をこうむりたくないということによって発生する問題というのが実はあると私は思うのであります。そういう意味では、二次健康診断のこの法改正によるさまざまな職場での労働者にとっての不利益とかそういったことを、特に私はその点を大きく心配するわけです。
 特に、今の状況が景気のいい状況、労働環境が非常にいいという状況で、安心してそういう健康診断も受けられるという職場環境にあればいいんですけれども、これはもう明らかなように、今はむしろ生き残るために、職場の中にどうやって生き残るかというための競争が一方である中で現実の職場があるわけですから、私自身はそういう問題が起きないことを願っておりますけれども、そういう問題があるということだけ、改めて私自身の意見として指摘をしておきたいというふうに思います。
 それから、午前中の討論にもありましたけれども、いわば労災保険の特別加入者といいますか、特に中小事業主とか、一人親方とも言われる大工さんといいますか建設業の皆さんとか、そういった方たちに対しても、できればこの制度をぜひ適用していただきたいという思いを持っているんですが、これについて。
#221
○吉川国務大臣 今のお話の特別加入というものは、業務の実態、災害の発生状況等から、災害が起こった場合の保護を労働基準法の適用労働者に準じて行うべき者に対し、特例として労災保険を適用する制度であります。
 今般創設する二次健康診断等給付は、事業主による業務軽減などの適切な予防対策に結びつけることを趣旨としておりまするけれども、特別加入者については、事業主の指揮命令下にあるのではなく、自己の裁量で労働時間、業務内容等を決定できるなど、健康管理を自主的に行う立場にあることから、本給付になじみにくいものと考えております。
 また、特別加入者につきましては、労働安全衛生法の適用がないことから一次健康診断の適用対象となっておらず、二次健康診断等給付のみを実施することは難しいと考えております。
 以上であります。
#222
○金子(哲)委員 何といいますか、身もふたもないような答弁をいただきまして、何か午前中に五島委員が質問されたときの答弁とは随分後退をして答弁があったように思うんですけれども、その点、かなり違うんじゃないですか。
#223
○野寺政府参考人 私どもは違わないと思っておりますが、もし違っているというような印象を仮に受けられたら、あるいはこういうことかなと思います。
 特別加入という制度につきまして、基本論は今大臣が申し上げたとおりでございます。
 ただ、私が午前中の御答弁でも付加して申し上げた趣旨というのは、特別加入制度というのは、昭和四十年にできまして、その後、必要に応じて少しずつこの対象範囲を広げてまいったようなものでございます。本質は、労働者に準じて扱える者を労働者に準じて扱う、こういうことでございますので、ケース・バイ・ケースと言っても過言ではないと思うんですが、振り返ってみますと、長い間にいろいろ若干矛盾する点も必ずしもなきにしもあらずというふうに思っております。そういう意味で、きょうの御議論も踏まえまして、今後、特別加入制度というものを改めて検討し直してみたいという趣旨のことを申し上げた点が一つ。
 それから、特別加入者、特に一人親方等の方々につきまして、これは、今回の二次健康診断給付が一次健康診断が義務づけられているということを前提にした制度でございますので、例えば、一人親方等の方々が実際にどういう健康診断を受けておられるのか、こういった状況についても調査する必要があるかな、こういうことを大臣から御答弁申し上げたわけでございます。
#224
○金子(哲)委員 ぜひ実情を把握していただいて、その上でしかるべき方針を出していただきたいと思います。
 次に、メリット制についてお伺いしたいと思いますけれども、今回、建設業の有期事業に対するメリット増減幅を、現行三〇%から三五%へと引き上げるという考え方で改正案が提案されておりますが、これはどのような効果があるというふうにお考えでしょうか。
#225
○野寺政府参考人 これも、私どもはこう考えるということなんですが、メリット制というのは、これは口幅ったいわけでございますけれども、災害を少なくする努力をした結果災害が減る、そういったものについては労災保険の保険料を下げるという制度でございますので、その下げたり上げたりする幅が今回問題になっているわけで、それがメリット幅と言われるものでございます。したがって、今回問題にしております有期事業におけるメリット幅、これは現在のところ三〇%なわけでございますけれども、ほかの産業は四〇%というのが実情でございます。
 ただ、この有期事業、建設業でございますから、五十一年当時、ほかの産業に比べると比較的災害が多いという現実がございまして、したがって、料率を改定すると、悪い方というか料率が上がる方に働くわけですね。そういうこともございまして、その幅の改定の際に三〇%というふうにしておったわけでございます。
 ただ、その後、この建設業も大変努力をされた結果、建設業として見ますと、随分災害が減っております。今後を考えますと、やはり災害が減ってきたことに伴いまして保険料率が下がる方向にメリット制が働くであろうというふうに考えられますので、そういう意味で、災害防止の努力に見合うメリット幅というのを考えますと、少しこの幅を広げてもいいのではないか、こういう意味でございます。
 その幅が、三〇%を三五%に、五%上げる、こういうことでございますけれども、これは、従来のメリット幅の改正が大体五%前後でやっておりますので、そういう意味で五%というふうに御提案申し上げております。これによりまして、建設業が改めて災害防止努力をなされ、災害が減るということになることを期待しております。
#226
○金子(哲)委員 今度のメリット制の適用の要件の中に一定の企業規模というものがあるというふうに聞いておりますけれども、その条件と詳しい要件をぜひお聞きしたいということと、それによってこの条件の中に当てはまる企業数が大体どれぐらいあるかということをお聞かせ願いたいと思います。
#227
○野寺政府参考人 メリット制の適用に係ります要件は、先生御指摘の事業規模の要件以外に、一定の要件のもとに労働者二十人以上の事業場にも適用されるということになっております。いずれにしましても、一定の規模というものが要件とされているわけでございます。
 そういう意味で、該当する企業は、継続事業では約十二万五千事業場が、有期事業という形では五万九千事業場がこのメリット制の適用を受けておりますが、メリット制の適用割合で申しますと、全事業場の六・八%というような状況でございます。
 どのような規模の事業場であっても労働災害を防止するための取り組みを行うわけでございまして、そういった点からしますと、メリット制に規模の要件を設けるというのはおかしいようにも思うんですが、逆にこれは、一件でも災害が起きますと、例えば労働者の数が十人程度の事業場で一件、一人ですね、災害が起きると、大変な保険料の額にはね返ってくるわけですね。そういった規模によるいわばデメリットを相殺するために、規模の制限を、つまりある程度の規模以上、こういう制限を設けているわけでございます。
#228
○金子(哲)委員 本来のこの制度の趣旨からしますと、労働安全のための対策なり施策を積極的に講じた企業に対して、ある意味では積極的にこのメリット制というものが適用されていくというのが本来の趣旨の方向だと思うんです。先ほど言われましたように、建設業界も努力があって労災が減っているということですけれども、今後は、やはりそういう趣旨で、ただ労災が減っているというよりも、私は、やはり基本的には、労働者の安全施策といいますか、そのための努力がいかに企業努力としてされているか、数字というだけでなくて、実態上そういうものがどれだけあるかということももっとしっかりと見据えた上で、このメリット制の問題について考えていくべきではないかということを考えているということだけ申し上げておきたいと思います。
 それから、今回のこのメリット制の導入によって、適用企業はどれぐらいになり、減免額はどの程度になりますでしょうか。それから、それは財政的にはどれぐらいの影響が出るというふうに考えておられますか。
#229
○釜本政務次官 先生がお話しのとおり、メリット制は、災害防止の取り組みの結果に応じ保険料を増減させる制度であることから、この制度の適用により、災害防止努力を促進させ、災害を減少させる効果があるものと考えております。
 メリット増減幅の拡大により、建設業においてメリット制の適用を受けている約八万六千事業場のうち約八割が、現行よりも納付する保険料が減額されることになります。この結果、建設業全体の保険料が約百四十億円減収することになりますが、建設業における災害が近年減少傾向にあることから保険給付額も減少しており、保険財政を圧迫することはないものと認識しております。
#230
○金子(哲)委員 答弁はいいんですけれども、先ほどの質問にもありましたように、いずれにしてもこのことによっていわゆる労災隠しなどがあってはならないわけでして、その点についても監督指導というものをしっかりとやっていただきたいということを申し上げたいと思います。
 最後の質問になりますけれども、いわゆる深夜労働にかかわる自発的健康診断の問題についてでありますけれども、男女雇用機会均等法及び労働基準法の改正によって時間外労働、休日労働、そして深夜労働などに関する女性の保護が解消されたわけですね。それで、深夜労働も解禁をされたわけです。
 その際に、労働安全衛生法の第六十六条の二、六十六条の三などによって深夜労働にかかわる自発的健康診断の受診及び受診支援助成金制度が本年の六月十七日から実施されているということですけれども、そのことは当該の労働者の健康管理、維持の上では大変有益であるというふうに思いますけれども、その制度が始まってまだ余り時間がたっておりませんけれども、把握されている実施状況について、どういう現状になっているか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
#231
○釜本政務次官 深夜業に従事する労働者の健康管理の充実を図るため、御指摘の自発的健康診断受診支援事業を本年度より労働福祉事業団及び都道府県産業保健推進センターにおいて開始したところであり、助成金の申請件数の実績は、十一月十三日現在において百十五件となっております。
 今後とも引き続き深夜従業者に対する本事業の一層の周知広報を図り、その利用促進に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#232
○金子(哲)委員 随分少ない件数のようですので、せっかくの制度ですからできるだけ周知をして、これが運用されていくようにということを申し上げておきたいと思います。
 最後になりますけれども、その際、医療上の検査項目と並んで自覚症状についての問診の内容があり、その点で労働者の健康状態を把握するのに大変重要だというふうに考えておりますけれども、診断項目や問診項目などについて、深夜労働にかかわって何かガイドライン等が設けられているかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
#233
○釜本政務次官 自発的健康診断は、健康に不安を覚えた深夜業に従事する労働者が自発的判断により受診できるものであり、このため、平成十二年三月の労働基準局通達において、できる限り健康診断項目を省略しないようにするとともに、医師による問診に当たっては特に自他覚症状について注意深く行うことが望ましい旨を示しています。
 また、広報用パンフレットにおいても受診者や医師等に対しその趣旨の徹底を図っているところでございます。
#234
○金子(哲)委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。
#235
○大石委員長 金子恭之君。
#236
○金子(恭)委員 21世紀クラブの金子恭之でございます。
 ことし六月、社員の過労自殺訴訟において注目すべき二つの裁判が結審いたしました。
 一つは、東京都中央区の大手広告代理店の元社員の両親が、自殺は会社が長時間労働をさせたことによる過労が原因として会社に損害賠償を求めた訴訟の差し戻し後の東京高裁での控訴審で和解が成立し、会社側が陳謝し、損害金を支払った裁判であります。この審理差し戻しの中で最高裁は、企業には過労によって社員が心身の健康を損なわないようにすべき義務があるとの初めての判断を示したわけでございまして、会社側の責任を認めております。
    〔委員長退席、五島委員長代理着席〕
 二つ目は、広島市西区の調味料メーカーの関連会社の元社員の母親が、自殺は長時間労働などでうつ的状態になったことが原因として訴え、広島地裁が会社に対し安全配慮義務違反を認め、損害賠償の支払いを命じた訴訟でありまして、広島地裁の判決を不服として控訴していた会社側が控訴を取り下げ、原告勝訴が確定した裁判であります。
 この二つの訴訟は、いずれも過労自殺について企業側が初めて責任を全面的に認めたものでありまして、今回の改正法律案そして過労死について考えるときに大きな意味を持っております。
 私は、今回の改正案には対象となっておりませんが、この改正案に関連して精神障害及び過労自殺の面から質問させていただきます。
 現在、我が国においては、経済産業構造の変化に伴い業務の高度化、多様化が進む中で、仕事や職業生活で強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者は、労働者健康状況調査の結果を見てみますと、平成四年には五七%だったのが平成九年には六三%に達しており、年々増加しております。その中で、仕事のストレスにより精神障害を発病したりあるいは自殺したとして労災請求されるケースが増加していると聞いております。
 そこで、不幸にして精神障害を発病し過労自殺に至った労働者に関する労災請求、そして認定の状況はどうなっているのか、まずお伺いいたします。
    〔五島委員長代理退席、委員長着席〕
#237
○野寺政府参考人 精神障害に係ります労災の請求件数でございますが、平成九年度は四十一件、うち自殺は三十件でございます。同じく十年度が四十二件で自殺が二十九件。
 昨年九月に精神障害に関します業務上外の判断指針を策定して公表したわけでございますが、この結果もございまして、平成十一年度は百五十五件、うち自殺が九十三件ということでございます。これは申請でございますが、このうち、業務上と結果として認定した件数でございますが、平成九年度が二件、うち自殺が二件、平成十年度が四件で自殺がうち三件、十一年度が十四件でうち自殺が十一件という状況でございます。
#238
○金子(恭)委員 今御答弁いただきましたけれども、急速に増加しているようでございます。
 その中で、精神障害を発病したりあるいは自殺にまで至ってしまう原因としては、仕事のみならず、場合によってはいろいろなものが複雑に絡み合っているものだというふうに思っております。そういう意味で、労災認定作業は、非常にデリケートな面を持つと同時に専門的な見地から慎重に進めていかなければならないというふうに認識しております。
 一方、時間ばかりかけるわけにもいかず、そういう難しい中で迅速な対応も必要になるというふうに思っております。そこで、きちんとした判断をするための基準が重要であると考えます。精神障害や過労自殺の労災認定に関しては、昨年、心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針を策定し、その指針によって労災認定がなされていると聞いておりますけれども、この指針の概要についてお聞かせください。
#239
○野寺政府参考人 先生御指摘の昨年九月の判断指針の概要でございますが、これは、請求をなされました労働者につきまして、精神障害の発病の有無あるいは発病の時期、疾患名等を明らかにした上で、なおかつその労働者の業務による心理的負荷であるとか業務以外の心理的負荷、それから御本人の、個体側の要因、例えば精神障害の既往症といったような多角的な観点から評価をして、これと現実に発病された精神障害との因果関係を総合的に判断するといったことが骨子でございます。
 その結果、業務によります心理的負荷が精神障害を発病させるおそれがあるもので、その要因が業務以外の要因あるいは個体側要因と比べて相対的に有力な原因であるというふうに認められた場合に業務上というふうに認定されるわけでございます。
#240
○金子(恭)委員 この判断指針が策定されたことによってどういう効果が期待できるのか、その点についてもお聞かせください。
#241
○野寺政府参考人 むしろ、従来の判断基準と比べて、ここが変わったおかげでこうなったというふうに御説明をした方があるいはよろしいのかなと思いますが、労災補償の対象とする精神障害につきましては、従来は、精神分裂病といったような内因性の精神障害は対象にしないということにしておりました。今回は、こういったものも全部含めて対象とするということが一つ。
 それから、従来の判断基準では、精神障害を発病させるに足る十分な強度の業務による精神的負荷があったと認められることというような抽象的な表現で基準を定めておりましたが、これにつきまして、より具体的に、職場において心理的な負荷があったかどうか、それを表にして示すといったようなこと。
 あるいはさらに、従来、自殺の場合につきましては心神喪失といった要件が必要でございましたけれども、つまり、心神喪失の結果自殺したといったようなことがなければ業務上にならなかったのですが、今回はそういった要件も外しております。したがって、従来よりかなり広く業務上と認める余地ができた、こういうことだろうと思います。
#242
○金子(恭)委員 労災保険では、故意による災害には保険給付はされないわけですけれども、自殺をされる方の中には、これから死ぬことを予告して、つまり遺書を残して自殺されるケースがあるわけでございます。
 判断指針の中の自殺の取り扱いでは、遺書を残して自殺したケースが労災の認定上不利益に取り扱われるのではないかというおそれがございますが、どうでしょうか。
#243
○野寺政府参考人 先ほど、従来の判断指針と比べてどうかという説明の中で、この遺書の点を私漏らしましたが、遺書を残されて自殺したケースというのは、従来は、これは覚悟の自殺ということで、いわば遺書の存在を業務上外の判断の一要素、つまり遺書があれば業務上じゃないといったような簡単な判断をしていた傾向がございました。
 今回の判断指針では、この点をとらえまして、正常な認識、行為選択能力が著しく阻害されていなかったと判断することは必ずしも妥当でないといったような場合には、これは遺書等があろうとなかろうと業務上と判断する可能性を明確に書いてございます。したがいまして、今回の判断基準によりますと、遺書を残して自殺した場合であっても業務上に扱われるケースがあるということでございます。
#244
○金子(恭)委員 今回の改正案では、過労死等の原因である脳・心臓疾患が二次健康診断等給付の対象となっておりますけれども、精神障害や過労自殺についても、何よりも発生する前の予防が大切であるというふうに思っております。
 そこで、労働省としては、メンタルヘルスについても二次健康診断等給付の対象としていくことは検討しておられるのかどうか、御見解をお伺いいたします。
#245
○野寺政府参考人 事実的なことでございますので、まず私がお答え申し上げたいと思います。
 今回の二次健康診断給付は、その発症予防を図るべき疾病として、脳・心臓疾患を対象としているわけでございますが、その理由は、過重な業務によって発症するに至ることが過労死等の事案として社会的に大きな問題になっております。それから、突然発症して、発症した場合の被害が非常に甚大でございます。さらに、事前に発症の危険性がある程度把握でき、それに応じた適切な保健指導等により予防等の措置が可能であります。こういった観点で、今回、脳・心疾患を対象にしております。
 一方、メンタルヘルスの問題でございますが、これは、問題としては同じくらい大きな社会問題であるという御指摘でございますが、私どももそう思います。
 ただ、多くの事業場で現実に行われている集団健診等々では、個別の対応というのがどういう人に必要かということを把握することが現実的になかなか困難でございますし、その程度を越しますと、場合によってはプライバシーの侵害ということもこのメンタルヘルスの場合にはあるわけでございます。そういう意味で、脳・心疾患と同じ仕組みにするのはどうも妥当ではないのではないかというふうに思っておりまして、今回その対象とはしておりません。
 ただ、こういった問題につきましては、基本的に総合的な対応が必要だというふうに考えております。
#246
○金子(恭)委員 大変デリケートな問題があるというふうに思っておりますが、そういう状況の中で、今局長さんからもお話がありましたように、脳・心臓疾患と比べても、メンタルヘルスの対策をとるということは非常に重要なことであるというふうに述べていただいたわけでございますけれども、労働省では、このメンタルヘルス対策に関して、この八月に、事業場における労働者の心の健康づくりのための指針を作成されたというふうに聞いております。この指針の概要はどのようになっているのか、お伺いさせていただきます。
#247
○野寺政府参考人 これも事実関係でありますので、私の方からお答え申し上げますが、先生御指摘のとおり、近年、仕事や職場に関しましてストレスを感ずる者が大変ふえているわけでございます。そういう意味で、本年八月に、事業場における労働者の心の健康づくりの指針を策定いたしたわけですが、その骨子は、事業場におけるメンタルヘルスケアの具体的な方法等について基本的な事項を定めました心の健康づくり計画といったようなものを事業場ごとにつくっていただくことが一つ。その計画に基づきまして、一つは労働者自身による労働者みずからのケア、それから上司である管理監督者によるラインによるケア、それから事業場内の健康管理担当者によります事業場全体の産業保健スタッフによります専門家のケア、さらに事業場の外で専門家によります事業場外のケア、こういう四種類のケアを充実するという方向でございます。
#248
○金子(恭)委員 今の局長の御答弁からしまして、かなり詳細に細かく指針を定めていただいているようでございます。その点についてもどうぞよろしくお願いいたします。
 最後の質問になりますが、先ほどから申し上げましたとおり、今回の改正法案ではメンタルヘルスは対象に入っておりませんが、労働者にとっては、メンタルヘルス対策というのは非常に重要な課題であるというふうに思っております。
 先ほど来何度もほかの先生から質問があり、御答弁があっておりますけれども、重要なことでありますので、最後にもう一度、大臣より、メンタルヘルス対策及び今回のこの改正法案の実効についての御決意をお伺いして、質問を終わらせていただきます。
#249
○吉川国務大臣 御指摘のように、近年、職場においてストレス等を感じる労働者の割合が増加しております。このため、心身両面にわたる健康づくり、トータル・ヘルスプロモーション・プランの推進、産業保健推進センター及び地域産業保健センターにおける相談窓口の設置、労災病院における相談体制の整備等のメンタルヘルス対策を進めてきたところです。また、本年八月に策定した事業場における労働者の心の健康づくりのための指針について、事業者を初め関係者に対しその普及啓発を図っているところであります。
 労働省といたしましては、今後とも、これらの施策を通じて職場のメンタルヘルス対策の推進に努めてまいりたいと思っております。
 以上です。
#250
○金子(恭)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
#251
○大石委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#252
○大石委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#253
○大石委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#254
○大石委員長 この際、本案に対し、谷畑孝君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、自由党、社会民主党・市民連合及び21世紀クラブの七派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。五島正規君。
#255
○五島委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法律の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 中小企業における健康診断の実施状況が十分でないことにかんがみ、特に中小事業主に対し健康診断の必要性について周知徹底を図るとともに、指導・監督に努めること。
 二 二次健康診断等給付制度の運用に当たっては、その対象となる労働者が確実に受給できるよう適切な処置を講ずること。
 三 職務の高度化・複雑化に伴い、精神的ストレスや悩みを抱えている労働者が増えていることにかんがみ、事業主に対しメンタルヘルス対策を講ずるよう指導するとともに、その支援対策等についても早急に検討すること。
 四 建設業等の有期事業におけるメリット制の改正に当たっては、いわゆる労災かくしの増加につながることのないように、災害発生率の確実な把握に努めるとともに、建設業の元請けの安全管理体制の強化・徹底等の措置を図るなど、制度運用に万全を尽くすこと。
 五 特別加入者の健康診断等健康確保対策に資するため、特別加入者の健康診断の実施状況の把握に努めること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#256
○大石委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 谷畑孝君外六名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#257
○大石委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。吉川労働大臣。
#258
○吉川国務大臣 ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。
    ―――――――――――――
#259
○大石委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#260
○大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#261
○大石委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十四分散会

ソース: 国立国会図書館
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