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1950/12/07 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 厚生委員会 第5号
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1950/12/07 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 厚生委員会 第5号

#1
第009回国会 厚生委員会 第5号
昭和二十五年十二月七日(木曜日)
   午前十時五十分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○薬事法の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
○戰争犠牲者遺族の援護強化に関する
 請願(第四二四号)
○戰争犠牲者遺族の援護強化に関する
 陳情(第四五号)
○池上特殊喫茶店街設置反対に関する
 請願(第二五号)
○新宿御苑内に国民プール建設反対の
 陳情(第六〇号)
○健康保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出・衆議院送付)
○船員保険法等の一部を改正する法律
 案(内閣提出・衆議院送付)
○社会保障制度に関する調査の件
 (覚醒剤の弊害防止に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(山下義信君) 只今から厚生委員会を開きます。薬事法の一部を改正する法律案を議題といたします御質疑を願います。速記を止めて……。
   午前十時五十一分速記中止
   ―――――・―――――
   午前十一時四十五分速記開始
#3
○委員長(山下義信君) 速記を始めて……。他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めます。
 次に討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御発言もないようでございますから、討論はないものと認めて差支えございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めます。
 それではこれより採決いたします。薬事法の一部を改正する法律案を原案の通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。
   〔総員起立〕
#6
○委員長(山下義信君) 全会一致でございます。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とざれたかたは順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    小杉 繁安  井上なつゑ
    有馬 英二  大谷 瑩潤
    長島 銀藏  中山 壽彦
    河崎 ナツ  藤原 道子
    藤森 眞治  常岡 一郎
    深川タマヱ  松原 一彦
#7
○委員長(山下義信君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れはないと認めます。
 なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者の承認を得なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容の説明並びに本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして、御承認願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(山下義信君) 御異議ないと認めます。速記を止めて……。
   午前十一時五十分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時二十分速記開始
#9
○委員長(山下義信君) 速記を始めて……。それでは午前中はこれで休憩いたします。
   午後零時二十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時五分開会
#10
○委員長(山下義信君) 午前に引續いてこれより再開いたします。請願及び陳情を議題といたします。速記を止めて……。
   午後二時六分速記中止
   ―――――・―――――
   午後二時三十七分速記開始
#11
○委員長(山下義信君) 速記を始めて……。請願第四百二十四号は留保することに決定いたしまして御異議ございませんでしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めます。
 次は、陳情第四十五号を議題にいたします。本件は採択しまして、内閣に送付することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めまして決定いたしました。
 次は、請願第二十五号、池上特殊喫茶店街設置反対に関する請願、加藤シヅエ議員紹介を議題に供します。紹介議員の御説明を願います。
#14
○委員外議員(加藤シヅエ君) この池上特殊喫茶店街設置反対の請願は三通になつて出ておりまして、一つは大田区内の十七の中等学校の校長から、一つは全国高等学校長協会及び東京都公立高等学校長協会、この連名で以て出ております。三番目は、池上特殊喫茶店街設置反対学校連盟となつておりまして、PTAの会長の梶原泰治氏が代表者となつて請願いたしております。その内容は皆同じでございますが、先だつて問題になりました池上に突如として特殊喫茶店街が実現しようといたしておりまして、而もそのすぐ目の先に小学校がございますし、附近には中等学校、高等学校もございまして、この問題になりました地域は、今まで住宅地域として誠に静かな環境のところでございます。こういうようなところにこの問題の特殊喫茶店というのが十六軒建つような計画になりまして、そのうちの十四軒というものは着々として工事が進行いたしました。こういう事情に対しまして、土地の有志のかたがた、特に子供を学校に通おせておる父兄のかたがたの驚きと心配は実に一かたならぬものがございまして、学校当局及びPTAのかたがたが結束いたしまして、これの反対の運動を起し、次に当参議院の厚生委員会が主となつて下さいまして、文部委員会と合同して徹底的に調査を始めて下さいましたことは御承知の通りでございます。そうして公聴会を開いて頂きまして、この反対の陳情者一同の代表者及び問題になつております業者のかたがた及び東京都の関係のかたがたをこの公聴会に呼んで頂きまして、いろいろと意見を公述して頂きまして、その結果といたしまして、委員会の御斡旋によりまして、この業者を東京都の代表者として出席されました副知事の岡安氏、こうした人の間に大体話がまとまりかけまして、そのときの公聴会のお話では、東京都がすぐにこの問題になつた建物を買上げるということも明言することはできないけれども、これほど問題になつておることでもあり、法律の不備というようなところをもぐつて、こういうようなものができるということは、ひどく世論を刺戟して、世論の反対に会つておるころであるから、東京都当局としても十分に善処して斡旋の労をとつて、殊にこういうような特殊喫茶店街というようなものを設けないで、このでき上つた建物を何かいろいろほかの目的に便うように、例えば誰かがこれを寮にするとか、何とかいうふうにして買取つてもらうことができないかどうか斡旋の労をとつて、そうしてこの陳備の目的を達するように努力しよう、こういうことになりまして、反対のかたがたは非常に喜びまして、一応この請願を出しました諸団体は過日解散をいたしたのでございます。ところが昨日になりまして、この解散いたしました団体は、更に最後の決定を見ますまで監視委員会というものを作りまして、これの成行きがはつきりと結末を見るまで監視するという仕事を又始めておりました。ところがこの業者と東京都の間の折衝というものが誠に結論を得ませんので、岡安副知事は斡旋の労をとるということは言つたけれども、これをどうするということをはつきり約束した覚えはないと、こういうふうに申されたそうであります。そうして業者のほうは、本来ならば池上本門寺の御会式に間に合わせて商売をするつもりでやつておつたところが、こういう反対に会つて未だに商売ができないで大変に損害を受けたので困つておるから、建物も建つたことだから、この家に一応みんなが居住しても差支えないだろう、こういうことを東京都当局のほうに申しておるそうであります。これに対しまして、東京都当局ではそこに住むことはいけないという法律的根拠はないから、これを処理することはできない、こういう答弁をなさつておりますそうで、その結論といたしましては、結局この反対運動を最初心配いたしました通り、一応この建物の中にこういう人々が入り込んで、そこに居住権を設定してしまいますと、ずるずるにいろいろの法律の不備をくぐつて、こういうような商売を始めるのではないかという危険性が多分に残つておるというので、折角厚生委員会及び文部委員会の合同委員会であれほど世論を喚起して、御指導下さいましたその骨折りも、或いはこの不徹底な東京都当局態度によつて反対の目的を達することができなくなるのではないかというような、今日そんところに到達いたしておりますので、どうか委員会におきましても、十分御審議下さいまして、御援助下さいますようにお願いいたします。
#15
○委員長(山下義信君) 本件につきまして御意見ございませんですか。……別に御意見もございませんければ、本件は当厚生委員会として関係いたしました案件でもございますので、直ちに採択いたしまして、院議に付し、内閣に送付することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○委員長(山下義信君) 御異議ないと認めます。よつてさように決定いたしました。
#17
○委員外議員(加藤シヅエ君) ありがとうございました。
#18
○委員長(山下義信君) 次は陳情第六十号、新宿御苑内に国民プール建設反対の陳情、これを議題に供します。專門員から説明をいたさせます。
#19
○專門員(多田仁己君) 本件の陳情者は東京都にありまする社団法人日本造園学会長丹羽鼎三君でありますが、陳情の趣旨は、新宿御苑内に観客三万を收容する大プールを建設せんとする運動が開始されておりますけれども、新宿御苑は我が国の洋式造園の発祥地であり、又明治時代の日本庭園といたしましても、優れた文化価値を持つておるものでございます。このようなところにさような大プールを建設されますことは不適当でありますから、新宿御苑内にかようなプールを建設することには絶対に反対であるという趣旨のものでございます。
#20
○委員長(山下義信君) 公園部長に質問しますが、新宿御苑の保存について厚生省は何か方針を持つておりますか。これが第一点。それから第二点は、聞くところによりますというと、今の陳情の内容にもありますように、一部の有志の人たちがこのような計画をしたについて、厚生省に何らかあらかじめ交渉がありましたか。或いは又許可願というようなものを出しておりますかどうか。或いは又厚生当局はそれに対してどういう措置をとつたか、許可を与えるというような措置をとりましたか、或いは許可をするという内諾でも与えましたか、或いは又許可しないというような回答をしましたか。この点に関しまして、厚生省の関係いたしました成り行きを簡單に答弁して頂きたい。又本件に関しまして、厚生省は如何なる方針をとつておりますか。その点を明確に説明して置いて頂きたいと思います。
#21
○説明員(森本潔君) 只今委員長の御質問の第一点でございますが、新宿御苑の管理につきましては、昭和二十三年に閣議決定がございまして、それからその閣議決定に基きまして、旧皇室苑地運営審議会というものが設けられまして、そこで管理運営の方針を答申いたしております。この閣議決定と答申に基いて、この庭園の管理をいたしておるわけであります。即ちその方針といたしましては、一つには由緒ある沿革を尊重して、努めて原状回復を図ることが一つと、それから園地の特殊性に照し、これと関連のない施設は設けないということ、いろいろございますが、この二つの骨組によつて管理いたしております。それから第二点の国民プーを新宿御苑内に作ることについて、建設委員会とどういう関係があつたかという点でございますが、発起人のほうから公園部のほうに対しまして、内々厚生省の意向を聞いて参つたことがございます。それによりまして、こういう計画があるということがわかりましたのでございますから、建設省と厚生省と両省がこれに関係いたしておりますので、両省が協議をいたしまして、公文を以ちまして、右委員会に対し、両省は当分の間、少くとも当分の間は御苑内に国民プールを建設するということは許可をしない方針であるということを、公文を以て通知を出しました。なお私も発起人の代表のかたに直接会いまして、公文の許可しない方針であるということをはつきり申しております。従いまして、厚生省としては御苑内に国民プールを作ることは許可しないという考えでございます。
#22
○委員長(山下義信君) 私の聞くところによりますと、そういう許可願を出したことはないと、こう言うのですね。許可願、つまりそういうことを正式に出願をしたことは関係者においてはないというのですが、このプール建設の計画者においては、まだそういろ団体の結成もしておらぬ。従つてそういう出願を正式にしたことはない。従つて正式にそういうような不許可の通知を受ける筋合いはない。そういう通知を受けたことはないと、かように申しておりますが、それらの点はどうでしようか。
#23
○説明員(森本潔君) 正式の許可願は参つておりません。内々どうだろうかという意向の連絡はございましたが、正式の出願はございません。それから公文で示した点でございますが、趣意書等を拝見いたしますと、御苑内に作るという意向が見えておりますので、出願の願いはございませんでしたけれども、この際はつきり厚生省並びに建設省の方針を明示して置くほうがよかろうということで、こちらから、出願はございませんでしたけれども、方針をはつきり示したわけであります。
#24
○委員長(山下義信君) それではそれはその不許可の通知というのではなくて方針を示した書類というのでございますね。
#25
○説明員(森本潔君) さようでございます。
#26
○委員長(山下義信君) 如何取計らいましようか、本件は先般御視察を願つたのでありますが、なお十分調査する必要があるのじやないかと思いますのですが、どういたしましよう。御意見ございませんでしようか。ちよつと速記を止めて……。
   〔速記中止〕
#27
○委員長(山下義信君) 速記を始めて……。それでは本件は留保することに御異議ございませんでしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○委員長(山下義信君) 御異議ないものと認めて留保することに決定いたしました。
  ―――――――――――――
#29
○委員長(山下義信君) 議事の都合によりまして、日程を変更いたしまして、健康保険法の一部を改正する法律案並びに船員保険法の一部を改正する法律案、これを議題に供します。厚生大臣が御出席になりましたから、質疑の續行を願います。
#30
○藤森眞治君 私は昨日の本委員会で、これに関連して厚生大臣に社会保障制度審議会の勧告との関係についてお尋ねをいたしましたが、昨日の御答弁ではどうも私ども大臣がどういうお考えかわかりませんので、あれについてはお伺いしたい点がございますが、審議の日にちもございませんので、ただ一つだけお尋ねいたしますが、それは社会保障制度審議会の勧告の中には、健康保険に対する医療費の国庫負担ということが強調されておりますが、これはすでに御承知のことと存じますが、これは大体健康保険経済を根本的によくする、文健康保険の運営をよくするというためには、どうしても国庫補助をやらなければやれない、ほかに方法がないから、こうしなければならないという建前から、こういう結論が出たとこういうふうに私たちも承知しておりますが、そこで只今ここに出ておりまする法律案は、いわゆる話険料の値上げによつて現在の保険経済の危機を脱しようというので、これは一時の彌縫策とでも言うべきものでございます。そこで厚生大臣はこれを一時の彌縫策で、こうするよりほか止むを得ないのだ、併し将来においては勧告案の通り国庫補助をやる、そうしなければ本当の健康保険の健全なる発達はない、こういうふうにはお考えにならないでしようか、それで国庫補助を今後出してやつて行くという御意思があるか否かということをお伺い申上げたい。
#31
○国務大臣(黒川武雄君) 昨日の私の答弁、少し私の熱意に比較しまして、手ぬるいような感じをお受けになつたと思いますが、社会保険としまして医療給付の点は、その国庫補助の実施につきましては、私は従来と同じくより以上に将来その実施の実現につきまして、非常に大いに努力する決意でございます。
#32
○藤森眞治君 漸くはつきりとした御答弁を頂きまして、尚この国庫補助というようなことにつきましては、いろいろな今後において難点があるかも知れませんが、必らずこれをやるよりほかには解決策がないということを十分御了承の上で、勇往邁進して頂きたいということの希望を申上げまして、よく了承いたしました。
#33
○委員長(山下義信君) 私からも一つ伺いたいのですが、社会保険のありかたというものを、現在の制度のままで、そうして国費の負担をされるということは結構でありますが、将来ともそういう方針で進まれまするか、或いは根本的に社会保険のありかたというもの、社会保険のいわゆる構造というものの根本的な検討というものをされるお考えがあるかどうかという点を承わつて置きたいと思うのであります。それから第二点は、これは本案の要点でございますが、保険料の値上げを今回されますが、政府のほうではこういうふうに保険料の値上げをする余地がある、こういう考え方を持つておられますかどうか、又将来ともこれ以上に値上げをする余地がまだあると考えておられますかどうか。今回の値上げが、これが最後であるとお考えになるか、又今後とも或いは千分の六十五とか、七十とか、保険経済の状況によつては、なお被保険者には保険料値上げの負担に堪え得る余地があるとお考えになりますかどうか。若しそういう点のお考えがありますれば、並びにその理由を承わりたいと思うのであります。御説明によりますというと、今回の値上げの保険料率は、ただ軍に保険経済の辻褄を合ぜる上の計算上出て来ている料率である。被保険者の負担の可能であるとか、不可能であるとかいう御所見はないように見えておりますので、その点を一つ承わつて置きます。
#34
○国務大臣(黒川武雄君) 社会保険の現在のありかたについて、又将来はどう考えるかという、御質問の第一点はそうかと存じますが、そうですか。
#35
○委員長(山下義信君) そうです。
#36
○国務大臣(黒川武雄君) 私といたしましては、現在のままにおいてできるだけのあらゆる点において努力をいたしたいと思いますが、この社会保険のいろいろな、保険の統合とか、そういうことにつきましては、研究を将来に残したいと思います。それから保険料の値上げの余地があるかどうかという御質問でございますが、私はこの程度ならば値上げの余地はあると思うのでございます。なお将来につきましては、私といたしましては、これ以上に上げたくないのでありまして、その気持だけを申上げたいと思います。
#37
○委員長(山下義信君) 局長も御出席でありますから、今の点を、大臣の御答弁で足りなかつた点を局長からお答えを願いたいと思います。それは今の社会保険と健康保険と両者でありますが、もうこのままの制度でやつて行けると、こうお考えになつておられますか、つまり保険経済の順調な運営、保険経済の危機の突破は只今の制度のままでよろしいと、こうお考えになりますか、つまり国費の一部負担があれば、それでこの制度はいいのだ、一番最善の制度だと、こうお考えになりますかどうか。
 それから保険料の値上げの余地がある、こういう値上げの余地があるという理由はどこにあるのでありますか、その点をお示し願いたいと思います。
#38
○政府委員(安田巖君) 只今の大臣の御答弁で大体終止符が付けてあるのじやないかと思いますけれども、若干補足させて頂きますと、健康保険制度といたしまして、勿論社会保障制度審議会の勧告がございますから、十分検討をしなければならんと思いまするが、併し私の考え方といたしましては、日本の今の国家の財政なり、或いは国民経済の現状或いは国民性というようなものを併せて考えて見て、何らかの意味におきまして、被保険者が保険料を負担するという建前だけは崩さないほうがいいのじやないか、こういうふうに思います。勿論この際医療費に国庫負担の若干があるということは、私どもとしては勿論賛成でございまして、そうあるべきだと思つておりますけれども、保険料を出すという建前は私は崩さないほうがいいのではないかと、現在の段階におきましては考えておる次第でございます。それから第二のお尋ねの保険料の値上げの余地があるかどうかということでございますが、今大臣の御答弁にありましたように、一率に千分の五と申しますと、現在の六千七百円の標準報酬の平均で行きますならば、まあ三十円くらいでございまするが、その三十円の半分を負担いたすことになるわけであります。でこの場合勿論どこに負担力の限界があるかということは、なかなか数字的に出すことは困難でありますけれども、一応それでは十五円の負担が増すのがいいか、或いは又負担を増さなくて、給付のほうに若干の制限を加えて辻褄を合わしたらいいかというような問題について、天びんにかけて見ますと、これは社会保障の審議会でもいろいろお尋ねになつたのでありますが、それならばやはりこの程度の料率の引上げのほうが被保険者に影響が少いのではないか、こういう結論に達し、又そういうふうに思つておる次第であります。
#39
○委員長(山下義信君) 被保険者の負担の限界については、これは限界が生ずれば仕方がないのでありますが、審議会等においても、もう負担の限界は来ておる。これ以上に余地はないものだと、こう見ておる。ですから保険料の引上げへ持つて来るのは、言うまでもなく最後の手段にしてもらわなければならん。ついては保険経済の順調な運営を図るためには、いろいろな、藤森委員の言われましたように、方策がある。それを十分おとりになつた上で、この保険料率の引上げに最後の手段をお認めになりますかどうか、その前提のいろいろな用件はどういうふうに御努力になりましたか、その点をおつしやつて頂きたいと思います。
#40
○政府委員(安田巖君) 保険のバランスを合せるためにとるべき手段といたしましては、今度のように料率を引上げるというのがまあ一番安易な途かも知れません。これが一つございます。それからいろいろと給付に制限をいたすという問題もございます。例えて申しますと、現在の健康保険制度にございまするところの被扶養者の診料を打切つたらどうかということもございましよう。自家診料の一部を打切つたらどうかということもありましよう。或いは自家診料費の一部負担をしてもらう。或いは陸上の労災保険のごとく一定の金額に達しなければ保険給付をしない。例えば六百円以下ならば自分が持つ。健康保険では、それほど足らなくても三百円以内ならば自分が持つたらどうだという制度にしたらどうか。或いは又全体的に考えまして、これは被保険者の心理という点もございまして、そういう制度がいいというかたがあるかも知れませんけれども、全部の医療給付に対して、一割なら一割の一部負担をやつたらどうかということもございます。これらにつきましては、十分研究をいたしまして、又それによつて幾らの金が節約できるかという点も計算いたして見まして、なお最後に残りますのは、これは国庫負担という問題があります。それからなお又他からそういう長期に亘つて金を借りて来る方法はないか、これらのことを全部勘定いたしております。国庫負担の問題は御承知のように、大体、補正予算のほうはよほどの場合でないと現在の状況では認められませんけれども、明年度におきましては、実は社会保障制度審議会の勧告があることを予想いたしまして、勧告は十月の十六日でございますからして、大体政府の予算のほうといたしましても、又関係方面に対する折衝といたしましても、実は殆んど済んだときに出て来たわけでありますけれども、その前に厚生省といたしましては、国庫負担につきましては、大体審議会の意向もわかつておるようでありますからして、十分この点については、大臣の御努力を願つたのでありますが、不幸にしてその点は成功いたさなかつた。そういうような客観的な事実、条件を前にいたしまして、前提にいたしまして、いろいろと考えましたけれども、どれ一つとして将来の希望的な状態というものを期待して、そうして我々として対策を立てることはできませんから、結局一番今の対策の中で、被保険者にも影響が少くて、又可能性のあるものというのが今度の案になつて来たおけであります。私どもも実は昨年一ぱいは、もう引上げもいやである。或いは給付の制限をしないということを申したのでございまして、その点では昨年度におきましては、その通りにいたしましたし、又本年も現在まではその通りやつて来たおけであります。併しそのときに考えておりましたのは、幾ばくほどか給付につきまして、二十六年度からであつても国庫負担があれば、二十五年度はたとえ赤字が出ましても、繋ぎが何とか付けられやしないかということを考え、そのことをやり、又努力もして来たのでありますが、これ以外に現在の窮境を打開する途はない。若しこれをしないために健康保険制度が一時停滯するというようなことがありましたならば、その災いのほうがもつと大きいのじやないかというようなことも考えられますので、結局はこういうような案を練つた次第であります。
#41
○委員長(山下義信君) さつきからの御答弁では、保険経済の制度については現行制度で行くつもりだ、将来まあいろいろ改革については考えておる。ですから当分は現行制度でおやりになると、今局長からいろいろこういう保険経済のバランスの合せかたには、やりかたがあるということで、種々お示しを願つたのですが、それは制度の改革に関連がある、そういう制度の改革をしないで、現行の制度内でやつて行くということになりますと、まあ保険料の完納でありますとか、或いは濫診不正防止、濫療の適正診療、まあ專門語はよくわかりませんが、そういうものについての御努力というものが十分尽されて、一応まあ現制度ではここへ持つて来なければならない、すでに今回継續給付等の制限を加えるということは、すでにこの制度の一角を改めるということになり、期せずしてこの制度はこれで終るということで、只今御提案になりました本案を見ると、制度の一部の変更であるのでありますが、要するところ、そういう点については料金の完納でありますとか、或いは濫診濫療等々のことにつきましては、もうこれ以上尽す手はないという段階に来ておりますのか、まだ余地があるのか、この点をおつしやつて頂きたいと思います。
#42
○政府委員(安田巖君) 私の申上げかたが少し足りなかつたと思うのでありますが、私は実は委員長の御質問の、今の制度で行くかどうかという点につきましては、保険料を中心にいたしましたいわゆる社会保険制度で行くのか、更にはもつと発展をして一般の料金の中で財源を得て、そうして医療給付をするというような、もつと大きい問題の御質問かと思いまして、実はそういうふうなお答えをいたしたわけでありますが、根本的に申しますならば、先ほどのことを繰返しますというと、そういつた被保険者、国民に医療給付についての苦干を負担をさして行く、自分が保険料を保険者の形で納めて行くという建前は必要じやないかということを申上げたつもりであります。それからなお制度といたしましても、私は今の継續給付の制限をいたしましたことが、変更だということになりますれば、勿論現在の制度について、多々改革すべき点があると思いますが、私どもが現在いろいろ給付の対策を立ててやつておりますけれども、これとても今までは万全を尽したつもりでやつて参りましたけれども、併しいろいろ反省もいたし、又外部から見て頂きますならば、なおその余地があると思う。そういう点につきましては、今後も引續き努力しなければならんと思います。なお又医療報酬支払方法などに至りますというと、これは私はもつと重要な問題があると思うのでありまして、この問題は今の健康保険制度に課せられた一つの大きな問題じやないか、こういうふうに思つております。で、お話のようにそういう点におきましては、なおまだ私は改革する点があると思います。建前は、保険料を納めて行くという建前だけは崩したくないという気持を現在の段階においては持つております。
#43
○委員長(山下義信君) 局長の御答弁はわかるのですが、私の質問の前段は、現制度には、まあこれは実は保険経済のバランスをとつて行くということは不可能に来ておるのではないか。従つて社会保険のありかたには根本的にその構想を考え直しをしなければ、先ほど藤森委員の言われたように、いつまでも彌縫的な方策を續けて行かなければならんようになるのじやないか、根本的に構造の改革をいたすつもりがあるかどうかという御質問をしたのです。それは将来にも御検討になるだろうが、当分はこれでやらなければならないという、こういう対策の御答弁があつたから、今度は問題を第二段に移して、それじや現在の制度を續けて行くとした上で、それで現在の制度の上での尽すべき手段は皆尽してしまつたので、そうして最後に料率の引上げを持つて来たのかという点をお尋ねしたのであります。それじやもう一つ伺つて置きますが、今回の料率の引上げや、或いはその他の改正をしたことによつて、これは保険経済は今後は破綻を来たさないでやつて行けるというお見通しがあるかどうか、この点を伺つて置きたいと思います。
#44
○政府委員(安田巖君) 甚だ答弁が齟齬いたしまして申訳ないと思いますけれども、現益の状況におきまするところの見通しといたしまして、来年三月なり、或いは来年度におきまして、これでやつて行きたいということでございます。御承知のように医療保険の現在のやりかたでありますというと、受診率が高まつて行くということになりますというと、保険経済の上に非常な圧迫が加わるようになつて来る。従いまして受診率が上がれば当然又料率の点に戻つて来るわけです。併し私どもはそういう場合にとる措置といたしまして、料率の引上だけだとは勿論思つていないわけであります。只今藤森委員のおつしやつたような国庫負担の問題もあると思う。併し今の日本の財政経済の状況から見まして、社会保険の赤字の問題、国民保険の赤字の問題、健康保険の赤字の問題を国庫負担だけによつてその解釈の途を求めようとすることは、すこぶる私は危険ではないかという気持を持つております。従つて国庫負担も勿論必要であると同時に、医療の報酬支払方法等につきましても、なお考究の余地がある。或いは又その他の診療の内容等につきましても、私はもつと能率的な、無駄のないものをやるような方法があると思います。これらは結局そのときどきの財政の問題にもなりますので、現在におきまして、数年先のことを見通すということは、今のところでは困難ではないかというふうに考えております。併し料率の引上げだけが根本の方法じやないということだけは、はつきり申上げられると思います。
#45
○委員長(山下義信君) 今局長が率直な御答弁になりまして、これは今の見通しとしては来年の三月末までだ。これは全くその当時の資料では、料率の弾きかたも来年の三月までの見通しを持つてやつておられる、これはいつも当委員て会におきましては、前回の料率の引上げのときも、それから初診料の一部負担を始めたときも、こういうふうにやつて頂くならば当分やつて行ける。こういうふうにやつて行けば、先ず先ず心配なしにやつて行けるという、しばしば政府当局のそういうようなお見通しで、当分やつて行けるのだという御説明があつて、委員会はその御説明を信頼して来たのであります。然るにもうその方法をとり、そういうふうな態勢をなされたあとから、すぐ破綻が来、すぐ行き詰りがやつて来て、それをいつも繰返しておることになつておる。今回も恐らくこういう方法をおとりになつても、このままのやりかたで行くならば、遠からずして、又バランスを破るようなことが出来て来るのではないかということを私どもは考える。そしてその都度、一番見易いところの被保険者の負担にこれを求めて行くということは、私どもは率直に言うて非常に納得しがたい点があるのです。それで私はその国庫負担ということの意義に関連して、私は伺つて置きたいのでありますが、私ども今まで聞いたことがないのですが、或いは保険法のほうには書いてあるかもしれませんが、あればお示し願いたいのですが、一体政府管掌という意義はどういうことにあるのですか。あなたは保険の現業の運営を掌つておられるのでありますが、こういう保険経済のバランスをとつて行くということについては責任があるのでしようか、ないのでしようか、政府管掌というものに、或いはこの種の社会保険の上において運営がうまく行つたとか、行かなかつたとか、行き詰つたとかというような責任は一体誰人がこれを負うのか、この点も私は明確にして置く必要があると思うのです。若し政府管掌であつて政府が経営しており、そしてその経営の見通しを誤まり或いは適切な方策をよう立てぬ、名案を生み出さぬ、いわゆる運営が拙劣なるために、或いは見通しを誤まつた等々のために行き詰りを来たすというような事態が起きて来た時分には、誰が責任を負わなければならんか、それで若しその運用が拙劣なために、いつも被保険者が過重な負担を重ねて来るというならば運営者を変えなければならん。政府に運営を任せて置いて、それが極めて拙劣であるならば、運営の巧みな者に経営を変えて行かなければならんということになるのですから、運営の衝に当る者は、どうしても責任を以てやつてもらわなければならん。行き詰つて何ら責任を負わぬということになれば、いつの日にか立派な運営を期待することができようか。こういうことを一応理窟上言わなければならん気がするのです。であるから政府管掌ということは、ただこういう組立だけのことをする、それを監督しておる。或いは命令しておるというような形のものでありましようか。この政府直営の社会保険の運営については、それが成功するか、成功しないかについては責任があるのであろうか、なかろうかという点も、これは私は極めてはつきり伺つて置かなければならんのじやないかと思いますので、若し政府は若干の責任があるというならば、こういうふうに考えたけれども赤字が出たというような、政府の責任において若干の負担をして行かなければならん。被保険者も負担しよう、それは保険者でありますから、負担する。被保険者の負担し得る程度のものは……。あたかも失業保険のごとく、政府においても若干は運営上責任を持ち、そうしてみずからも力んで頂くということもいいのじやあるまいか、かように考えるのでありますが、この政府管掌というものの、まあ政府の責任論というものについては、どういうふうなお考えでありましようか。この点を伺いたい。
#46
○政府委員(安田巖君) 政府管掌と申しますのは、結局政府が保険事業経営の主体であるということであります。勿論多少公共企業体になりましたので、趣きが違うかも知れませんけれども、まあ一つの鉄道なら鉄道を経営しておるのと、経営上の原理においては同じじやないかと思います。で、その場合に経営の主体が政府であるから、赤字が出るならば全部政府が負担すべきものだというのも確かに一つの理論である。併し同時に政府が経営主体であつて、一度経営の内容なり、方法なり、或いは保険料の料率なんかをきめましたならば、それを絶対に動かすべからざるものとして、そしてそれに基いて赤字が出たら必ず全部国家が負担すべきものであるという議論になるかどうかについては、私も若干の疑問があるのです。殊にこの保険というものは生き物でございまして、結局は国民経済の実情につれて動いて行くものでございます。又医者にかかることにいたしましても、それがどんどんかかつて行くということになりますというと、いわゆる社会保険という建前から申しますならば、それは料率がそれにつれて上つて行くというのが、私は一つの理屈じやないか、これは勿論いろいろ考え方がございまして、そういうことがよくないのだから、社会保障制度にして、そうして政府がそういうものに全部責任を負わすべきだというのも一つのまあ理屈でしよう。従来の社会保険というものは、少くとも委員長の御承知のように、標準報酬に比例したところの給付をいたしたりするような社会保険はございますけれども、そういつたような考え方が一応は基盤になつておつたわけです。かれこれ併せまして考えますというと、まあ一度きめたものは絶対に動かせないと、動かせないから、それによつて起つた責任というものは全部政府が負うべきものであるというふうには、まだならんじやないだろうかというような気もいたしております。勿論これを現実の問題に引直して見まして、例えば千分の六十に上げることが、これが社会的に行き亘るから、政府は出すべきであるというようなことも疑問であろうと思います。まあそういうふうなことで、できるだけ現実に副うような方策を立てて行く、料率が上げられないというようなことになりましたならば、これはもう国庫負担をいたしますとか、給付を制限いたしますとかいうより方法はないわけであります。将来或いは国庫で負担いたしましても、なお足りない事態が起るかも知れないと思つております。現在のような方法を講じて参りました場合に、国民がだんだんと医療を受ける機会が殖えて来る。又医療の内容が向上いたしますことにつきまして、医療費がだんだん高く付き、それで国庫が二割負担いたしましても、なおまだ足りない事態が起るかも知れません。そういたしますと、更に今度は一部負担の問題とか、或いはそういう問題に手を触れざるを得ないことになるかも知れません。併し私どもとしましては、そういう給付内容に手を付ける、保険の料率に手を付けるということは、できるだけ避けて行く。現実においてなるべく辻褄を合せて行く。従いまして社会保険の本旨に反することはできるだけ避けて行く、長い見通しを立てて、その見通しが誤まつていなかつたというお褒めを頂くよりも、できるだけ被保険者の負担を少くして、そうして給付の制限をしないで行く、そしてどうしてもやれなかつた場合には、その点について考えて行くというやりかたのほうが、まだ若干優つていはしないかというようなことも考えられるのであります。まあ答弁になつておらんかも知れないのでありますが、ちよつて考えているところを……。
#47
○委員長(山下義信君) 大分わかりました。政府管掌というものは、もとより運営の責任は政府にあるということは異議ございませんね。それでそれは一旦料率を法律で決めたら動かすことはできないという、そういう窮屈なものでないということもわかつておる。ただ問題は、しばしば料率を変更する、毎年々々やるということ、しばしばこの料率を下げて行くということは、これは被保険者の利益でありますから、何回下げてもよろしいが、引上けるということにつきましては、如何にそれが保険理論で、被保険者において当然料率において解決すべきだと言いましても、しばしばこれを繰返すということは妥当ではあるまいという、こういう考え方を申上げておる。又国庫負担は社会保障的、性格の面においても論は立つと思うけれども、又一面は運営の責任者としての面からも国庫負担の私は理論は立つと、かように私は思う。大臣はその点について努力するというはつきりした言明がありましたので、私も了承するのでありますが、なおその点について委員会としても、関係者としての要望と言いますか、そういう世論をここへ持込んで具体的に研究をしてもらうのでありますが、仮に二割負担をああして各種の権威ある団体が非常に希望いたしておりますが、医療の給付の二割を仮に国庫が負担するとしましても、私は計算して見ると意外に少額ではないかと思うのであります。大臣はどういうふうにお考えになりますか、又明年度の予算にはどの程度を要望して頂きましたでしようか。
#48
○國務大臣(黒川武雄君) 金額の点におきましては、健保について二割国庫補助をいたしますと、組合関係において三十億、国民健康保険において四十億の補助金を出しておる次第であります。
#49
○委員長(山下義信君) 大体百億見当、必ずしもきちんと二割ではありますまいが、要求なさつたということでありますが、実際はそれは二割でも、原則さえ確立すれば財政の都合で一割でもいいわけでありますが、明年度の予算等の御計画を拝見しておりまするというと、丁度結核対策関係の費用をお出しになつてありますので、それらが保険経済にどう関係を持つか、具体的なところが私にはわかりませんが、かなりそのほうでカバーして行けるのではないかと思う。ですからこれらの金額も仮に当初は二割と御計算になつて百億を御要求になつたのでしようが、若しその結核対策について国費をああして御分配になつた分を、保険の医療給付の中へ持込んだの関係をいろいろ彼此御計算になりますると、改めて国費負担として弾き出されれば、純計は私は窓外に少ないのではないかという気持がするのでございます。そういう点は保険局長はどう考えられますか。
#50
○政府委員(安田巖君) 結核対策といたしまして、一割大きいのは結核ベツドの増床計画でございますが、これは非常に大きくなりますけれども、併し保険経済そのものには直接にはむしろ逆な影響があるくらいなものでありまして、大してプラスにならないと思います。それからそのほかでございますと、結核性疾病に対する国庫負担が七億六千万円ばかり、そのほかにストレプトマイシン買上げについての価格差補給金が今度九億、で七億六千万円の、つまりストレプトマイシン、パス、人工気胸、外科手術、そういつたようなものにつきましての国庫負担でありますが、これはなお具体的な案といたしましても、通常国会に案が出まして、そしてこれが大体明年度の後半から実施される六ケ月予算を組んでおります。それによりまして、国庫負担として健康保険の一政府管掌で数字的に机上でそろばんを弾き出しまするならば、大体一億一千万円ばかりが健康保険経済を益するということになつております。併しただこの場合にやりかたでございまするけれども、いろいろ結核の診定委員会というものにかけまして、これはパスを使つてもよい、これは人口気胸をすべきであるというような判断をいたして、その結果国庫負担ということになりますというと、健康保険のほうでも、そうでなくとも本人は全部であり、家族は半分でございますから、そういう面倒な手續をしなくてやつて来るのがありはしないかというようなことも考えられます。一応机の上で考えますと、一億一千万円が必要である。こういうことになります。
#51
○委員長(山下義信君) 私どもが想像したより意外に僅少で、これは私自身においても計算違いだと思うのでありますが、もつと影響があるかと思いましたが、これはどうでしようか、大臣に御相談するのでありますが、国費で一部保険経済を援助して頂く。大衆のために特に一つ御尽力を願うという機会は、明年度の補正予算等を組みますような適当な機会に、その実現かたに努力して頂く。これはもう補正予算よりは機会がないのでございましようね。そういう機会に御努力願えますか。
#52
○国務大臣(黒川武雄君) お説の通りでございます。
#53
○委員長(山下義信君) この国庫負担をして頂くそのことが実現いたして来るというような状態になつて来ますと、保険経済はその他の諸般の施策の強力なる御推進、御努力と相待つて順調になつて来る見通しが、非常に明るい曙光が出て来たと考えるのでありますが、そういうように保険経済が順調になつて参りましたならば、一応継續給付等につきまして、こういうようないわゆる非常手段と言いますか、これは必ずしも常態ではないと思いますが、この方法がいいので、今度恒久的にこういうふうに変えるというのではなくて、でき得れば一遍でも掛金をかけたものは、この保険によつて給付を保証されるのが当然であります。それが制限をしなければならんというような好ましからんことをいたさなければならないということは、万止むを得ない措置なんでありますから、保険経済が順調になつたときには被保険者を保護するという建前から、これらの制限につきましては、更に考慮し直して頂いて、できるだけ被保険者の利益を図るために、適当な時期に又改善して頂く、出して頂くというようなお考えでもありましようかどうか。この改正はずつと恒久的な一つの制度として制限をやつて行くお考えでしようか、その点如何でしようか。
#54
○国務大臣(黒川武雄君) 当然おつしやる通りにすべきであると思います。現在のままで永久にやつて行くという考えはございません。保険経済が確立しましたならば、保険料率等は当然に引下げるべきものであると私は考えます。
#55
○委員長(山下義信君) 保険料金のことでちよつと伺いますが、何か日赤あたりは非常に保険料率等の納入でありますか、そういうものが滯納になつておるというようなことがありますか。
#56
○政府委員(安田巖君) 只今ちよつと記憶いたしておりませんので、ちよつと調べてお答え申上げます。
#57
○委員長(山下義信君) それから政府のほうで、健康保険の保険医について、相当何と言いますか、粛正と言いますか、そういう手をお打ちになつたということを聞いておりますが、どういうふうな御心配をなさつたのでありましようか、又その結果等につきまして、お示しを願いたいと思います。
#58
○政府委員(安田巖君) 健康保険課長から……。
#59
○説明員(友納武人君) お説のように診療担当者の診療の適正化と申しまするか、そういうものにつきましては、一つの重大なる重点としましてやつておるつもりでございます。数字で申上げますと、昨年度昭和二十四年度におきましては、監査をいたしました医師の総数が二千八百五十一人、これに対しまして、おのおの不正な診療内容或いは手續等がありました場合には、応分に処分をしておるわけでございます。その内容を申上げますと、指定取消が百五十八、戒告が三百五十六、注意が九百九十五、それから診療報酬の返納を命ずるものがございます。これが五百十六万円というふうになつておりまして、被監査の医師の約半数に当るものが何らかの処分を受けておるというようなことになつておるわけでございます。勿論たびたび御注意を頂きますように、この監査の対象になりました医師につきましては、日本医師会並びに都道府県医師会或いは郡部医師会等から、そういう疑いがあるとして選ばれたものでございますので、全国の保険医の中で約半数の者がこういうものをやつておるというふうには考えられないのでございます。なお二十五年度につきましても、二十四年度に増した広さで、又熱意を入れましてやつておるのでございますが、それらの数字はまだまとまつておりません。それと同時に監査と並行いたしまして、保険医の指導等につきましても、いろいろ医師会等で協力して、是非いたしたいと存じておる次第でございます。
#60
○委員長(山下義信君) それは疑わしいというようなものを拔き出して調べると、こういうことが出ましようが、一般はどうでございましようか。全体的に見まして……。
#61
○政府委員(安田巖君) 請求をいたして参りましたものを拔きとりで審査をいたしまして、その審査をいたしますときに、まあ大体これはおかしいというのが出て来るわけでございます。なお平素県に技官もおりますことですし、非常に不正率の高い府県には本省の技官を絶えず派遣いたしまして、監視をいたしておりますので、そういう方法で、間接的ではありますけれども、一般に当れるような方法でやつております。併し何分人数の少ないことでございますので、御指摘のような不十分なところがありますが、今後は一層努力いたして参ります。
#62
○委員長(山下義信君) 非常に微妙で、政府から答弁を求めることは無理かもわかりませんが、そういつたような注意を与えなければならんような向きはかなりある見込でしようか、この政府の勧告やいろいろな点によりまして、すでに改善されておりましようか、大体のところをお差支えない程度でお示し願いたいと思います。
#63
○政府委員(安田巖君) 私は毎日そういつた医師の、この行政処分につきまして書類を見ておるのでありますが、まあ相当出て来るようであります。全体の保険医の数から言えば、これは僅かなものでございましようけれども、とにかく絶えずそういうものが出て参ります。最近はそういう点につきましては、厳重な処分をいたしまして、大体故意にごまかしをやつておるという者につきましては、指定取消の処分をやつております。そういうわけで、今後もそういう点について一層一つ厳重にやつて行きたいと思つております。
#64
○藤森眞治君 全額国庫補助のできるようにしようということは明るい結構なことだと思いますが、それにつきましては、やはり保険経済がどうしたらうまく行けるかということを調査しなければならない。殊に料率の値上げがあるためには、十分な御研究を私しなければならないと思いますが、それにつきましては、一、二お伺いしたいのは、官立の大学における診療が保険経済に非常に大きな影響を与えておる、若しもこれがいわゆる健康保険法による診療報酬の請求形式であれば非常な差額が出る、これをするだけでも成る程度の保険経済はよくなるのではないかということを言われておりますが、これについてはどういうふうにお考えになりましようか。
#65
○政府委員(安田巖君) 官立の大学のこの附属病院が非協力的であるということは、これは事実でございます。そこで協力しない場合には契約を破棄するぐらいの勢いで、例えば甲府とか、弘前とかの大学でありますとか、そういうところでやりまして、大体うまいところに落付いたようなわけでございます。なお伴しだんだん調べて見ますというと、その外にいろいろ面白からぬところがたくさんあるのでございます。地方に大学の何と申しますか、事務長会議ですか、そういうようなものがあるようでございますから、又係官を送つていろいろ説明したいと思いますが、何しろ大学というところは皆一つ一つが独立いたしておりますので、一辺にその点ボタンを押すとうまく行くという工合に行かない、今後はそういう点については強硬な方針で臨みたいと思います。差当り一番困りますのは、田舍に参りますというと、官立の附属病院というものがその地方におけるところの医療機関としては代表的である、技術も優秀であるという点で、これらと契約を破棄するということは、一時的にもせよ被保険者に非常に不便をかける、又それが延いては社会保険に対する不信の念が起きて来るというような点もありますので、そういう点を考慮しながら厳重な方針で進んで行きたいと思います。
#66
○藤森眞治君 そこは私の申上げたいところなんで、若しその大学のやりかたが非協力的であるということで、経済的にどれだけの悪い影響があるかというのを僕は一つ承わりたい。なお現在の保険診療というのは国民診療といつてもよろしい、而も大学が田舍で権威を持つておる。その権威のためにみずから国民の幸福を、福祉を阻害することがある。国の方策としてもよろしくないことで、こういう点については当然厚生大臣はうまくやつて行けるように十分に御尽力を願わなければならんと思いますが、今後そういう官立大学に対するいわゆる保険診療というものが十分徹底するように一つ御尽力願いたい。又これを解決されるかどうかという点を大臣に一つお伺いしたいのであります。それからどのくらいの損失が保険経済の上に及ぶのでありましようか、若し数字がわかりましたら、お願いしたいと思います。
#67
○国務大臣(黒川武雄君) その点は十分努力さして頂きたいと思います。
#68
○政府委員(安田巖君) 官立大学の非協力というのが、すぐに保険経済に影響して来る問題と、そうでない問題がありますが、例えば患者が保険にかかつて一部負担であるとか、半額負担でありますとか、本人が無料になると、いう以外に負担をかけておるというようなこともしばしば聞くのであります。これは保険経済には影響はありませんけれども、併し保険の契約としては、私はこれは厳に追及しなければいかん問題だと思つております。それからその他でありますが、或る大学では一件当りが百点に近いようなものでありますとか、東京あたりでやりますと四十五点ぐらいでやつて頂いておるのでありますが、そういう工合に、大体平均一件当りの点数で以て大体わかつて来るということで、それを全部平均点数に合わして見て、どれぐらいの損害かというところまでは計算いたしておりませんが、そういうことで内容を審査いたしまして、悪いのは病院長を戒告処分にするということも最近ではやるようになつております。今度一つ一層その点努力いたしたいと思つております。
#69
○藤森眞治君 只今よく研究しておるところによりますと、大学から出しておる医療診療方針の生産費というものを、これを健康保険の様式に換算する。そうすると、相当大きな数字が出る。これは当然保険経済に大きな影響を及ぼすほどの数字が出るということを言つておるのでございますが、一応こういうふうな点をお調べ願いたい。それからもう一つお尋ねしたいのは、最近被保険者証がよく売買されておるということを聞くのでありまするが、尤も何といいますか、先般再確認するような方法をとられたようでありますが、併しなお保険証が何千円或いは何百円ということで市場に売られている。これに対して何か防止の方策をお考えになつておりましようか、又そういう点からどういうふうに影響が来ておるかというようなことはどうでございますか。
#70
○政府委員(安田巖君) 被保険者証の不正使用の問題、これは確かにあると思います。思いますけれども、全体からいつてその数字は、伝えられるほど大げさなものじやないのじやないかという気持を持つておるのでありますが、よく笑話にありますけれども、被保険証で入院して死亡したが、死亡診断書を書くときに、被保険者証通りの名前で書いてもらつては困るというような話もされておりますが、事例としてはあります。それほどたくさんじやないのじやないかということを実は思つておるのであります。で、これを防ぐ方法と申しましても、これは写真でもくつ付けるかということも一つの方法でありますが、これも大変な費用になり、又これは被保険者の負担にいたしますれば、相当の負担になります。それを又くぐる方法も考えられると思います。そういうことで、今的確な防止策というものはございませんけれども、一つ保険医のかたがたにも協力して頂きまして、まあ大体被保険者証と本人と比べて見れば、年令その他によつて違うというようなことから見付ける以外に現在のところでは方法がないのじやないかと思つております。
#71
○藤森眞治君 現在被保険者台帳というようなものはございますか。
#72
○政府委員(安田巖君) 現在はやめております。
#73
○藤森眞治君 どういうわけでおやめになつたか存じませんが、この被保険者台帳というものがちやんと整備しておるということは、今申しましたような不正診療というものを防止する一つの大きな方法じやないかと思いますが、やはりその台帳をお作りにならない方針でございますか。
#74
○政府委員(安田巖君) 被保険者台帳を作ることにつきましては、最近もいろいろ研究いたしたことがあるのでございます。これはむしろ被保険者証を不正に使用いたしましてお医者にかかるという問題にはあまり利益がないので、これはそういうものを持つてお医者さんのところに行きまして、お医者さんは台帳と照合せて見るわけではありませんから、そういう点はむしろ利益はありません。現金給与のときに、いわゆる傷病手当のときに利益があるのであります。いろいろ現在の人員などから考えて見ますと、折角そういうものを作りましても、それを一々補充して行きまして、そうしていつもこれを新らしい的確なものにして置くということは、時間的にも人数の上から言つても不可能じやないかという結論に達しまして、遺憾ながらこれは現在のところでは復活する考えは持つておりません。結局復活するための利益よりも、却つて損失のほうが多いのじやないかというようなことでございます。
#75
○中山壽彦君 この官立大学の附属病院が社会保険の診療に協力しない問題が起つておりますが、最近私が成る地方へ参りました。そのときの官立大学の教授その他の人と会合いたしました。それで官立大学の教授は、文部省から我々のところには何も社会保険に協力するような通牒が来ていない。官立大学の附属病院というものは、そういう性格のものじやないということを当該学長から私は耳にしておるのでありまして、只今事務局長等を集めてお話をなさるということを聞きましたが、これは厚生大臣が文部大臣と協力をして適当な措置をおとりにならんというと、私はこれはうまく行かんじやないか、こういう気持であります。現に東大附属病院等も被保険者の家族診療というものは面倒くさくてしようがないと言つてやらないのです。これは東京都の保険課長から数回交渉している。これは数年来から交渉して今なお実現していない現状にあるのでありますが、これはすべからく文部省とよく協議されまして、適当の措置をおとりになることを私強くこの機会に要望して置きたいと思います。
#76
○政府委員(安田巖君) 東大の附属病院の被保険者の問題は片付きました。
#77
○中山壽彦君 もう片付きましたか。これも長い間の懸案であつた。
#78
○藤森眞治君 それから先ほど出ました不正診療と申しますか、診療費が高いという問題で或るとき調べたのですが、そうしますと、七〇%までは大体よろしい、三〇%に不正がある。而もそのうちの二〇%は実際に審査して見ると、その高い件数があつたという事実が認められる。残りの一〇%が非常に疑問のものばかりだ、そうしてこれらはなかなか直らない。而もそれが官公立の病院が大部分を占めておる、こういうことを聞いたのであります。而もその中の地方公共団体のやつておる病院については、そのために三五%の査定をした、こういうことを言つておりますが、それほどその官公立の病院に悪い成績が出ておりますが、如何でございますか。
#79
○政府委員(安田巖君) この官公立の病院の診療内容がどれだけ保険経済に悪いかという数字は、ちよつと宙で覚えておりませんけれども、今申上げましたように、保険経済に影響を与えるようなやりかたと、独立採算制であるために薬が買えない、或いは種々の用具が買えないというような、そういつたものを一時負担でやらせるという二つの方法がありまして、高いほうにつきましては、大体現在監査をいたしまして押える方針で行つております。たしか数字は恐らく計算しておると思いますけれども、そういうことで一つ……。
#80
○藤森眞治君 次にもう一つお尋ねしたいのは、最近非常に一件当りの平均点数というのがやかましく言われておりますが、そのために医療担当者が非常に萎縮するという傾向が見えております。最近私のほうの府県では、一件当り六十点ということで非常に厳重にやかましくやつたということを聞きまして、そうすれば翌月には必ず五十五点ぐらいに落るだろうということを予見しておりましたが、果して落ちております。五十五点に落ちれば、五十点ぐらいに落ちることは予想される。これは興味を持つて見ておりますが、これでは保険医が査定をされるということに不安を持つて来ておりますが、果してこれでいいかどうか、結局これが進んで行きますというと、医療内容が悪くなるということが考えられるのでありますが、社会保障の勧告などを見ましても、都市の事情とか、或いは地域ということを考えなければならんということを言われております際に、全国画一的な平均点数をこの点で押えようということは、これは無理じやないかということが考えられるのであります。現在でも一件当りの平均点数ということは、それをやかましくいうのは問題じやないか、これは経済の方面から押えて行けば、これに越したことはありますまいが、これが果して国民医療としてよろしいかということになる、その点の平均点数についての一つ御説明を承わりたいと思います。
#81
○政府委員(安田巖君) 兵庫県で大変御協力頂いたそうで有難うございますが、点数の問題は非常にむずかしいので、勿論取扱つた病人によりまして、医療的内容が違い、点数が違つて来る、これは当り前であります。併しまあ全部を平均して見た場合には、甲のお医者さんと乙のお医者さんというものは、大体そう飛び離れたものではあり得ぬのが普通じやないか、又土地によつて違うとお聞きになりますけれども、東京と青森と岩手或いは北海道というものは相当飛び離れて違うというのも、私どもには理解できないのであります。そのように飛び飛れて違つておりますけれども、内容を調べて見ますというと、必ずしも注射料が多いとか、いろいろな問題が出て来る。そういう点から平均点数というものが医療内容が適正であるかどうかということを発見する一つのバロメーターであると、こういうふうに解しておるわけでございまして、一つの我々としての審査の目標もそこに置いておる。併し飽くまでそれが適正であるかどうかということは具体的な診療の内容を見なければいけない。こういうふうに考えておるわけであります。
#82
○藤森眞治君 それからもう一つお伺いいたしまするが、今度の保険料の料率の値上げの一方には、内服薬を〇・五点ですか、それを減す、減少するということになつておるのでありまするが、これは薬品の値段が苦干下つたということが理由なのでございましようか。
#83
○政府委員(安田巖君) 仰せの通りでございます。
#84
○藤森眞治君 先般私ども大阪に参りまして、大阪の製薬業者といろいろ懇談もやつて、又製薬方面の事情も聞いたのでございますが、成るほど只今薬品によつては若干そういう傾向もあるかも知れませんが、むしろ製薬業者のほうから言うと、今の薬品は安過ぎるくらいで、ますます今後高くなる傾向を持つておる。こういうようなことを言つておりますが、殊に朝鮮の動乱が影響して、今薬品が又高くなりつつある傾向がある。そこへ持つて来て、丁度又それでは安いというのでお下げになるというのは、これはちよつと受けとりにくいのじやないかと思うのですが一体どのくらいの程度に薬品が安くなりましたのですか。
#85
○政府委員(安田巖君) 薬品の値下りは、その都度実は薬餌料を下げておるのでありまして、藤森委員御承知のように、現在の薬餌料というものは薬の原価を基準にしております。例えて申しますというと、薬の原価が十五円以下であれば二点、十五円増すごとに二点ということになつていますから、薬の原価が三十円以下ならば四十点、四十五円以下ならば六十点ということになつております。そこで現在例えば六十五円の薬りが四十円に下つたということになりますというと、当然薬餌料は下るわけでございます。ところが一番下に十五円という欄しかございませんので、十五円よりかずつと下つて参りましても、薬餌料が下らない、二点が下らないということになつたんです。そこで社会保険の医療審議会でこの問題を取扱いました場合に、上のほうは薬の値段が下りました場合、その薬の値段に準じて藻餌料が下るのに、一番下だけここにつかい棒があるために下らない。そこで一つ一・五分という欄を作つたらどうかという話が出まして、その審議会の答申といたしましては、一剤一・五分ということだつたのであります。それを具体的に申しますというと、私どもが従来十五円以下の薬につきまして、二点という薬餌料をきめましたときの薬の原価の平均は大体五円六十銭か、七十銭でございました。それが大体三割くらいは下つておりまして、私どもが社会保険病院のみについて調べて見ましたところが、三円二十七銭でありました。つまり三円二十七銭の薬で乙地が二十円、甲地が二十二円の薬餌料になつております。そこで五円六十銭から三円二十七銭に下つたのであるから、現在の薬餌料が薬の値段を標準にしてきめられておる以上は、薬価が下ればそれだけ下げればいいじやないかという議論になつたのであります。そこで医師会のほうではいろいろこれに反対になつたわけでありまして、現実に調べて見なければいかんということで、医師会と共同調査をいたしましたところが、その結果出ましたのが三円七十銭か、七十何銭か、これは平均価格でございます。或いは東京の町の中ではもつと安いとか、田舍へ行けば少し或いは高いとかということがあるかも知れませんが、三月七十何銭、これで結局我々の案としては無理がないのじやないかというふうに考えておつたわけでございますが、いろいろまあ考えまして、結局一剤なら二点、二剤なら三点というところで十二月一日からやつておるわけでございます。朝鮮事変の動乱の値上りも確かにあると思いますが、私どもが研究いたし、又最近の新聞等を見ておりますというと、大体薬の商売人のかたの観測といたしましては、朝鮮事変のために薬が確かに上るという傾向があつたけれども、大体ストツクがなくなつたという程度で、需要のほうの限界があるために、朝鮮事変による値上りというものは大体天上、底を突いたのじやないかというようなことも言われておる現在といたしましては、この程度で一つ御我慢を頂きたいというふうに考えております。
#86
○委員長(山下義信君) 本案については、御審議はこの程度に本日はとどめて置きたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○委員長(山下義信君) この機会に、藤原委員からの御質疑もあつたのでありますから、まだお見えになりませんが、速記がもらいにくうございますので、速記に残して置きたいという御希望もございましたので、先日来から当委員会で問題になつておりまする覚醒剤の弊害防止の問題につきまして、覚醒剤の弊害についての医務当局の所見を承わりたいと、こういうことでございますので、この際、医務局長からその所見を求めることにいたしたいと存じます。
#88
○政府委員(東龍太郎君) 覚醒剤が広く濫用せられました結果として、いろいろと社会的にも大きな害悪を流しておりますことは、すでに周知の事実でございます。で、医務当局といたしましては、かような弊害、害悪のある薬が広く世の中にありますることは、もとより好まないところでありまして、ただ併しながらこの覚醒剤なるものが全く医療上不必要なものであるならば、これを全面的にこの社会からなくしてしまうということによつて根本的な解決が得られると思うのであります。この点につきましては、この薬の医療上の必要を主張しておられます精神科の專門家の意見も質して見たのでありますが、やはり精神病の治療上覚醒剤が有効であるという理由で、この薬が存在することを希望せられる向きが多いのであります。併しながらこれは多少私見にも亘るかも知れませんが、その医療用に必要な必要性と、現在世の中に流しております害悪の大きさとを比較いたしますというと、これは到底比較にならんくらいの大小の差があるものと思いますので、この大きな害悪を除くために医療上の多少の不便はあつても、厳重にこれの使用が監視せられ、或いは又製造が禁止せられるというようなことがあることを私は望ましいと存じます。而も現在すでに生産せられております覚醒剤のストツクを、これを確実に確保して、そうしてこれを厳重に医療の必要な方面にのみ用いることといたしますならば、この精神病の專門家が欲しておられますことは将来長く何年にも亘つて續き得ると思うのであります。そういうふうな現状から見ますというと、現在のストツクを確保して、そうして新らしい製造までも全部禁止せられましても、医療上には何らの差支えがないということを私は信じております。
#89
○委員長(山下義信君) 医務局長への御質問ございませんですか……。それでは議事の都合によりまして、暫時休憩いたします。
   午後四時十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後七時三十九分開会
#90
○委員長(山下義信君) 休憩前に引續いてこれより再開いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後七時四十分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     山下 義信君
   理事
           小杉 繁安君
           井上なつゑ君
           有馬 英二君
   委員
           大谷 瑩潤君
           中山 壽彦君
           長島 銀藏君
           河崎 ナツ君
           藤原 道子君
           常岡 一郎君
           藤森 眞治君
           深川タマヱ君
           松原 一彦君
  委員外議員
           加藤シヅエ君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 黒川 武雄君
  政府委員
   厚生省医務局長 東 龍太郎君
   厚生省薬務局長 慶松 一郎君
   厚生省社会局長 木村忠二郎君
   厚生省保険局長 安田  巖君
  事務局側
   常任委員会專門
   員       多田 仁己君
ソース: 国立国会図書館
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