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2000/11/17 第150回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第150回国会 商工委員会 第6号
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2000/11/17 第150回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第150回国会 商工委員会 第6号

#1
第150回国会 商工委員会 第6号
平成十二年十一月十七日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 古屋 圭司君
   理事 青山  丘君 理事 小此木八郎君
   理事 岸田 文雄君 理事 武部  勤君
   理事 中山 義活君 理事 松本  龍君
   理事 久保 哲司君 理事 達増 拓也君
      伊藤 達也君    岩倉 博文君
      小野 晋也君    大村 秀章君
      奥谷  通君    梶山 弘志君
      小林 興起君    河野 太郎君
      新藤 義孝君    野田 聖子君
      林  義郎君    菱田 嘉明君
      細田 博之君    山口 泰明君
      大谷 信盛君    大畠 章宏君
      北橋 健治君    後藤  斎君
      鈴木 康友君    中津川博郷君
      松野 頼久君    山内  功君
      山田 敏雅君    赤羽 一嘉君
      塩田  晋君    塩川 鉄也君
      吉井 英勝君    大島 令子君
      北川れん子君    原  陽子君
      宇田川芳雄君    西川太一郎君
    …………………………………
   通商産業大臣       平沼 赳夫君
   国務大臣
   (経済企画庁長官)    堺屋 太一君
   経済企画政務次官     小野 晋也君
   通商産業政務次官     伊藤 達也君
   労働政務次官       釜本 邦茂君
   政府参考人
   (内閣総理大臣官房管理室
   長)           坂東眞理子君
   政府参考人
   (金融庁総務企画部参事官
   )            浦西 友義君
   政府参考人
   (総務庁長官官房審議官) 藤井 昭夫君
   政府参考人
   (経済企画庁物価局長)  鹿島幾三郎君
   政府参考人
   (科学技術庁原子力局長) 中澤 佐市君
   政府参考人
   (法務大臣官房審議官)  小池 信行君
   政府参考人
   (大蔵大臣官房参事官)  二宮 茂明君
   政府参考人
   (通商産業大臣官房商務流
   通審議官)        杉山 秀二君
   政府参考人
   (通商産業省貿易局長)  奥村 裕一君
   政府参考人
   (通商産業省機械情報産業
   局長)          太田信一郎君
   政府参考人
   (通商産業省生活産業局長
   )            林  良造君
   政府参考人
   (中小企業庁長官)    中村 利雄君
   政府参考人
   (労働省労働基準局長)  野寺 康幸君
   政府参考人
   (建設省道路局長)    大石 久和君
   政府参考人
   (自治大臣官房審議官)  板倉 敏和君
   商工委員会専門員     酒井 喜隆君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十七日
 辞任         補欠選任
  山口 泰明君     菱田 嘉明君
  大島 令子君     北川れん子君
同日
 辞任         補欠選任
  菱田 嘉明君     岩倉 博文君
  北川れん子君     大島 令子君
同日
 辞任         補欠選任
  岩倉 博文君     山口 泰明君
    ―――――――――――――
十一月十七日
 中小企業信用保険法及び中小企業総合事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)
同月九日
 出版物再販制の廃止反対に関する請願(山口富男君紹介)(第一一二九号)
 同(山花郁夫君紹介)(第一一三〇号)
同月十三日
 健全なフランチャイズ産業の実現を求めるフランチャイズ法の制定に関する請願(大島令子君紹介)(第一二八〇号)
 同(金田誠一君紹介)(第一二八一号)
同月十五日
 出版物再販制の廃止反対に関する請願(河野太郎君紹介)(第一三四五号)
 同(八代英太君紹介)(第一四三三号)
 健全なフランチャイズ産業の実現を求めるフランチャイズ法の制定に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一四三四号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一四三五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 通商産業の基本施策に関する件
 経済の計画及び総合調整に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件

    午前九時開議
     ――――◇―――――
#2
○古屋委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として通商産業大臣官房商務流通審議官杉山秀二君、通商産業省貿易局長奥村裕一君、通商産業省機械情報産業局長太田信一郎君、通商産業省生活産業局長林良造君、中小企業庁長官中村利雄君、経済企画庁物価局長鹿島幾三郎君、内閣総理大臣官房管理室長坂東眞理子君、金融庁総務企画部参事官浦西友義君、総務庁長官官房審議官藤井昭夫君、科学技術庁原子力局長中澤佐市君、法務大臣官房審議官小池信行君、大蔵大臣官房参事官二宮茂明君、労働省労働基準局長野寺康幸君、建設省道路局長大石久和君及び自治大臣官房審議官板倉敏和君の出席を求め、説明を聴取したいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#4
○古屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北橋健治君。
#5
○北橋委員 民主党ネクストキャビネットで消費者・産業を担当しております北橋健治でございます。
 きょうは幾つかの課題について質問させていただきますが、まず第一に、大臣の記者会見につきましてはいつもホームページで拝見させていただいておりますが、私、非常に注目をいたしましたのは、潜在的な成長率についてもう少し高目に設定すべきではないかという議論を提起された、このように聞いております。十一月十日の会見でございますが、このときに、やはりこれからのもろもろのことを考えると、三%ぐらいの潜在成長率というものを打ち出してもう少し明るいマインドというものをつくり出すということの重要性を指摘されて、今後、経済審議会の議論を軌道修正されていく可能性がそこで披瀝されているわけでございます。
 ただ、私ども、現下の経済情勢を見ておりますと、個人消費というのが本当に超氷河期のように凍ったままではないか。これが全体の六割を占めるのが我が国経済の実態でございます。この個人消費が凍りついている状況というのはそうたやすく溶けるものではない。特に、自分の未来に対する不安感が渦巻いております。老後あるいは年金、最近では生命保険の経営破綻という問題が一部出てまいりました。そしてまた、職場におきましては、リストラということを各企業はこれまで鋭意続けているわけでございますが、大変深刻な雇用不安もいろいろな業種に出てきております。
 こういう雇用不安だとか老後に対する安心が崩れているという中でどらや太鼓をたたいても、そう簡単に個人消費がふえる状況にはないと思うのでございますが、その中であえて三%へという主張の根拠というのはどういうところにあるとお考えでしょうか、大臣にお伺いいたします。
#6
○平沼国務大臣 お答えをいたします。
 委員御指摘のように、我が国の経済は緩やかな回復基調にあることは事実でございますけれども、GDPの六割を占める個人消費はなかなか厳しい局面にもありますし、また雇用の問題も、四・六までいっておりましたのが直近の数字では〇・一ポイント上がって四・七になっているという形で、厳しいものがあるわけであります。
 しかし今、政府が産業新生という形で、四つの柱で景気対策、産業を新生するために積極的な政策を打ち出して、それを固めつつあるわけであります。
 一つはIT、これを二十一世紀の経済の起爆剤にしていこう。二つ目は、少子高齢化という問題に対して、高齢化対策の中で、もう人生八十年の時代だから、むしろ経験を積み、実績を積み、そして能力を持っている、そういう老人パワーも活用しながら経済の活性化も図っていかなければいけない。またさらに、都市基盤の整備を行って、不要な公共事業はやる必要はありませんけれども、やはりそういう都市基盤の整備によって景気を浮揚させていこう。さらに、二十一世紀は、御承知のようにいかに人類が環境を克服するか、環境に対して循環型社会をつくる、そのためにあらゆる施策をして景気に刺激を与えていこう。こういうことで今取り組んでいるところであります。
 我が国の中長期的な潜在能力については、経済審議会などのデータではおおむね二%程度、こういう見方があるわけでありますけれども、私は、今申し上げたような政策努力によって、我が国の潜在能力がいわゆる個人消費を含めて十分に発揮される、そういう可能性はあると思っております。例えば三%以上の成長も、本当に一丸となって努力をしていけば可能である数字だ、私はこういうふうに思っています。
 近年、御承知のように、米国経済というのは極めて高い成長を示しております。この背景は、これも委員もよく御承知だと思いますけれども、米国経済も、九〇年代前半に一・五%の成長でございました非農業分野の労働生産性の上昇率が、九〇年代後半には年率二・九になりました。FRBの分析によりますと、その伸びの三分の二はIT関連である、こういう分析が出ているわけでございまして、米国におけるIT革命によってもたらされた経済成長力ということは、これから努力すれば我が国にも当てはめることができる、私はこういうふうに思っています。
 我が国においては、こうした新たな成長を現実のものとするために、IT革命や経済構造改革、私は経済構造改革担当大臣でございますけれども、強力に推進をして、生産性の向上と新たな価値創造を促進していくことが非常に不可欠なことではないか、このように思っています。
 このため特に、安くて速い通信ネットワークの実現や電子商取引のルールの整備など、ITが十二分に活用される環境を整備するとともに、企業法制の抜本的な見直し、あるいは柔軟な労働市場の構築、思い切った規制緩和などによって、民間事業者がその創意と努力を遺憾なく発揮できるような環境を整備していく。こういうことをやっていくことによって、消費マインドも取り戻すことができるのではないか。
 私は、ここからは少し持論になりますけれども、二%程度の経済成長率でやっていった場合に、やはり膨大な、六百四十五兆にもなんなんとする赤字の部分の解消というものも、経済成長率を低目に抑えてずっとやっていきますといつまでたっても解消できないという面があります。日本のGDPというのは五百兆でありますから、三%ということでありますれば、十五兆のある意味では拡大が望まれるわけです。そういうベースをつくって、両々相まってやはり財政再建も本当に現実のものになってくる、私はそういう考え方を持っておりますので、非常に厳しい現状の認識をしておりますけれども、あえて積極的な、夢のある、そういう姿をみんな力を合わせて出していくべきだ、こういう思いで記者会見をして発表させていただいた、そういうことでございます。
    〔委員長退席、青山(丘)委員長代理着席〕
#7
○北橋委員 経済企画庁長官、きょうお越しでございますが、質問通告はしておりませんでしたけれども、これは経済審議会の今後の議論にかかわることでございますので、御答弁いただければ幸いです。
 今御答弁ございました、ちょうど政府の方で今度新しく補正予算を出すということでありましたので、特に通産省所管の政策、そういったものを強力に推進すれば三%ぐらいになるはずだ、こういう思いだと思いますが、我々の見方では、やはり、従来の公共事業依存型の景気対策というものはもう完全に限界に来ている。むしろ、最近いろいろなシンクタンクが数字をシミュレーションしてまいりましたけれども、六百四十五兆円、さらに今後国債がふえてまいりますと、長期金利の上昇その他大変な状況を、また新たな問題を、火種を抱え込んでおります。
 そういった意味で、個人消費というのは、自分の職場と未来に対する安心が取り戻されない限りは伸びていくことは期待できないわけでありまして、三%という期待はよくわかるのでございますが、現実には、今のような経済運営のやり方では大変に厳しいのではないかと思っているのです。
 そこで、長官にお伺いいたしますが、大臣からは潜在成長率についての問題提起があったわけでございますが、今後、政府としてはこれを具体化する方針でございましょうか。
#8
○堺屋国務大臣 御指摘の点は、長期の問題と短期の問題、潜在成長率の問題と顕在、現に起こっている成長率の問題、これをそれぞれ別途考える必要があると思います。
 まず、短期的に見ますと、私どもは、去る十月に行いました経済見通しの見直しにおきまして、今年度は一・五%の成長ということを申し上げております。当初見通しでは一・〇%でございましたが、少し成長率は伸びるだろう。
 ただし、この率は、一・五%といいますのは、いわゆるげたの理論という形から見ますと、七―九月以降、少し景気が後退するといいますか、伸び率が前期に比べて下がるということを前提としております。ちょうど今そのような状況でございまして、ちょっと中だるみといいますか、基本的には上昇傾向、緩やかな回復の中にある中で、少し警戒感の出てきた状況になっております。そういったことを指して、現在の景気が厳しいと御指摘になるのはそのとおりでございます。
 潜在成長率につきましては、昨年、日本経済のあるべき姿とその達成方法におきまして、日本の潜在成長率は実質二・〇%ぐらい、これは長期の問題としてそういう数値を出しました。
 ただし、今通産大臣からお話がございましたように、最近の技術革新、特にIT産業などの普及を見ますと、これがアメリカあたりではかなり潜在成長率を押し上げているのではないか、こういうリポートもございまして、今国会で御審議いただいておりますIT基本法等が成立し、これが普及いたしますと、ある程度押し上げ要因になってくるだろう。それが何%ぐらいになるかはまだ研究しておりません。恐らく、来年一月に発足いたします経済財政諮問会議におきまして、十分検討されるところだろうと思っております。
 さらに、御指摘のございました公共事業依存型経済運営云々という話でございますが、これも、九八年、九九年の非常に需要が落ち込んだとき、早く言えば極めて厳しい不況であったときの対策として補正予算等が大型に組まれた、そういう時期もございましたけれども、ただいま国会で御審議いただいております今年度の補正予算におきましては、ITと、循環型社会をつくる環境問題と、高齢社会への対応、そして都市基盤の整備という四項目に重点を置きまして、社会整備費用の三分の二をこの部分に集中しております。
 政府は、景気の動向に応じて対応も変えてきておりますし、技術開発あるいは今後の経済の構造及び社会のでき方、そういったものが総合的に変化いたしますと、昨年予測いたしました潜在成長率が上昇し、日本経済にかなりの変化を与えることもあり得ると思っております。
 繰り返し申し上げますが、それは恐らく、すべて、経済のあらゆる面を見て、経済財政諮問会議等の議論で論じられる部分だと考えております。
#9
○北橋委員 ここでやりとりを続けたいのでございますが、限られた時間でございますので、いずれにしても、潜在成長率の議論という話は、また一方においては、今、これだけ大量の国債発行が近い将来我が国の経済に大変重大な状況を生み出す可能性が出てきている。したがいまして、ITその他お話がございましたが、政府全体のやっている基本的な政策の手法というのは、やはり従来型の公共事業依存型という感は否めないと思います。
 そういった意味で、通産大臣にお伺いいたしますが、かつてマクロ経済研究会を通産省はつくられておりまして、通産省としての経済運営のあり方を議論された経緯がありますが、その中でいろいろと注目すべき結論を出しております。それは、公共事業だとかあるいは所得税減税だとかいろいろな手法がありますが、限られた財源で最大の効果が出るのは設備投資減税だということです。
 そういった意味では、これは通産省所管というのは予算は少ないし、むしろほかの公共事業を持っている官庁の予算をシフトさせる必要があるということでお答えしにくい面もあるかもしれませんが、もうここらあたりで従来型公共事業の発想を転換して、限られた財源、しかもこれ以上大量の国債発行にゆだねることは許されない、そういう中では、前向きの設備投資というものに財源をシフトさせるべきだ。そういうことを閣内ではっきりと主張していくべきだと思いますが、お考えを聞かせていただきたいと思います。
#10
○平沼国務大臣 今の御質問に関しまして、民需主導の本格的な景気回復を一日も早く実現することは我が国の現下の最大の課題だ、私はそう思っております。その上で、民間設備投資の促進を図ることは極めて重要なことだと思っております。
 政府としては、先般、日本新生のための新発展政策を取りまとめて、IT革命の飛躍的な推進や経済構造改革の推進などの施策を、今申し上げたように重点的、集中的に講ずることとしたわけでございます。こうした施策によって民間事業活動が活性化し、設備投資の拡大が図られることも期待をしております。
 議員御指摘の投資減税についてでありますが、一般的に公共投資より景気浮揚効果が高いかについては、どのような内容の投資減税になるか、あるいは公共投資を行うかといった要因などによって異なることでありますけれども、いずれにいたしましても、IT分野など我が国の将来の発展に必要な分野において民間投資を促進していくことは我が国の中長期的な発展という観点からも極めて重要であります。
 こうした観点から、来年度の税制改正においても、中小企業やIT分野を中心としての投資減税の充実強化を関係当局に私どもとしては要望をいたしておりまして、その実現を図っていきたいと思っております。
 確かに、委員御指摘のとおり、そういう意味で投資面の減税というのは効果があることだと思っておりますし、私も先ほどちょっと触れましたけれども、無用な公共事業というものはもはややるべきではない。しかし、公共事業が、何か罪悪論みたいな形が出ておりますけれども、しかし、必要な公共事業、こういうものをやることによって、これは後世代にツケを残すことじゃなくて、必要な公共事業というのは、後世代に便益性とそしてしっかりとしたインフラとしての財産を残すことにもつながって、そこからまた新たな経済効果が発生する、こういうことも期待できるわけでございますから、私は、公共事業というものを峻別して、必要なものはやっていく。
 そして、今御指摘のようなそういう投資に関する減税というものは、やはり通産省としても、経済効果が上がる、こういう判断をしておりますから、思い切って税制改正等の中で要望はしていきたい、こういうふうに思っております。
#11
○北橋委員 EUの財政赤字の状況を見ると、これから統合するということで、六〇%と一つの目標を立てて、財政赤字を縮小していくという方向をはっきり出してきたわけですね。アメリカもそうです、大変な努力をして黒字に持ってきたわけです。我が日本の場合は六百四十五兆円、しかも、今度の補正予算の組み方も、また国債を発行する。
 こういう状況の中でいきますと、大臣が例えばITを促進するだとかいろいろとビジョンを打ち出されましても、大量の国債発行、あるいは来年からは財投債というものも市場に出てくるということで、この数年後に日本の財政、経済は完全にパニック状態になるのではないか。そうなれば、潜在成長率が何%という議論なんか吹っ飛んでしまうわけですね。
 ですから、私ども今、プライマリーバランスを何年後にとるか、そのためには国民はひとしく痛みを分かち合う情勢になるかもしれませんが、聖域を設けずに、やはりこれまでの国債依存型の景気対策という美名のもとにいろいろやってきたことを改めなければ、日本の国全体が沈んでしまうという大変な危機感を持っております。そういった意味で、これからこの委員会でもいろいろと議論をさせていただきたい、こう思っております。
 続いて通商問題に移らせていただきますが、まず最初に、繊維の問題を取り上げたいと思います。
 大臣は繊維産業の問題に大変お詳しい方だとは承知しておりますが、それにしましても、大変などしゃ降り的な海外からの輸入によりまして、日本の繊維産業は大変、雇用の面でも、あるいは集中立地している場合が多いですから、地域経済は深刻な影響を受けております。
 海外のいろいろな欧米先進国におきましても、こういった輸入急増によりまして国内市場が大変な状況になった場合には、セーフガードの発動なりアンチダンピングなり、いろいろな制度がWTOのルールでも認められているわけでございますが、繊維産業、この重大な深刻な事態に陥っているにもかかわらず、なぜ政府はこれまでセーフガードあるいはそういった措置を講じてこなかったのか。
 私は、現在の雇用とか地域経済をめぐる状況を見たときに、もう座してこのまま死を待つしかないような状況にもなりかねない、大変心配をいたしております。日本は確かに貿易黒字国であるし、自由貿易の恩恵を最大にこうむってきた国であります。そういった意味での通商政策の原点はわかるものでありますが、国内産業がこのような重大な事態に立ったときに手をこまねいていることは、もはやこれは看過できないのではないか。
 そういう意味で、この問題について、WTOで認められたセーフガードでありますとかいろいろな措置がありますが、そういった機動的な活用が今されていない。通産省にお伺いしますけれども、それを阻害している問題はないんでしょうか、どのようにお考えでしょうか。
#12
○伊藤政務次官 お答えをさせていただきたいと思います。
 今先生御指摘のございました繊維のセーフガードにつきましては、WTO繊維協定で認められている措置でありまして、通産省としては、協定に対応し、繊維セーフガードの発動についての国内の規則をしっかりと整備しているところでございます。
 具体的には、輸入の急増、我が国の産業への重大な損害について見るとともに、消費者、ユーザーへの影響等、総合的に勘案して判断をしてまいります。繊維のセーフガードの発動要請に当たった場合には、こうした手続に従って厳正な検討を行ってまいる所存でございます。
 今先生からいろいろ御指摘がございましたけれども、我が国としては、そうした体制というものをしっかり整えておりますので、要請があり次第厳正に対処していきたいというふうに考えているところでございます。
#13
○北橋委員 このWTOの繊維協定を見ましても、セーフガードの措置については、総輸入量の増大に基づく国内産業に対する重大な損害またはその実現のおそれを要件としているわけでございますが、私は、現在の産地の状況を見ると、当然もうこの措置の発動に踏み切らざるを得ない状況だと思うんですね。
 その意味で一つお伺いしますが、これまで我が国においては、欧米先進国にはないセーフガードの措置の要件を一つ加えているんですね。それは、業界から要請があった場合に、構造改善の見通しの詳細な資料の作成を義務づけているわけです。こういうことは国際ルールではないんですよね。なぜ日本だけこういう国際ルールにないことを、あえて、膨大な資料が、あるいは時間がかかるようなことを要件に義務づけているのか。セーフガードというのは本来緊急避難的な措置だと思いますけれども、今の状況は、こういう構造改善の見通し云々なんかを義務づけている。日本だけしかないこういったものを置いておくのが私は非常に疑問であります。
 そういった意味で、もうその作成を求めない、つまり、世界と同じようにしようではありませんか。そういうふうに踏み切るべきだと思いますけれども、政府の見解を聞きます。
#14
○伊藤政務次官 この問題について大変深刻であるという認識は、私たちも同じように持っております。世界の動向等もにらみながら総合的に勘案をして、そして、私たちとしても前向きに、この問題についてしっかりとした対処をしていきたいというふうに思っております。
#15
○北橋委員 繊維産業の輸入急増について、大変深刻な事態という認識をお持ちだと思いますので、具体的な発動については、国内の業者に対して構造改善見通し云々と言っている余裕はないと私どもは思うわけですけれども、今の答弁を聞くとよくわかりませんね。
 私は、今申し上げたように、WTOの国際ルール、そして欧米先進国がどのようなセーフガード発動の要件を持っているかを見たときに、日本しかないことをあえてやるということは機動的な発動を阻害しているとしか言いようがない、それをやめるべきではないかと申し上げているんです。もう一度。
#16
○伊藤政務次官 今御指摘があったことも含めて、専門的な方々にも入っていただいて検討をしているところでございます。したがって、繰り返しになりますが、私どもとしましては、そうした状況を総合的に勘案して、そして前向きに対処をしていきたいというふうに考えております。
#17
○北橋委員 日本の国は、日本だけにしか通用しないそういう特別な制度というものは見直していくべきだと思うんですね。
 このセーフガードの発動要件と並んで、もう一つ、アンチダンピング措置をとるときに関税定率法によって日本だけ特有の義務を課しているところがありますね。特に、アンチダンピングについては十分な証拠を提出するということになっているわけでございます。
 WTOのアンチダンピング協定の要件を見ていると、申請者が合理的に入手することのできる情報を含む、このように言っているわけです。アメリカはどうかというと、これは全く同じであります。そしてEUもそうです、提出者が合理的に入手可能な情報を含む。欧米先進国はWTOのルールと同じ要件にしているわけでありますが、日本だけ違うんですね。どう書いてあるかというと、十分な証拠を添えてというところがあります。
 これは、アンチダンピングの措置となりますと、証拠をそろえるとなると、相手国のいろいろな状況を調べるわけでございますが、自由に情報が収集できる、しやすい国もあれば、そうでない国もある。これを残しておったんでは、やはり日本だけが特別な条項を持っているわけですね。
 これもやはり大蔵省との合い議になると思いますけれども、通産省としては、今日の事態を踏まえて、WTOのルール、欧米先進国のやっているやり方を踏まえて、日本もそのように合わせるべきではないでしょうか。なぜ日本だけこういう条項を置いておく必要があるんでしょうか。
#18
○伊藤政務次官 今御指摘がございましたように、アンチダンピング協定では、申請者が合理的に入手することのできる情報となっており、関税定率法では、十分な証拠を提出することとなっております。
 アンチダンピング協定では、申請者が合理的に入手可能な情報で申請をし、当局がそれが十分な証拠かどうか検討することとなっております。我が国の法制も、申請者が協定上の合理的に入手可能な情報で申請をすれば、それが十分な証拠かどうか政府が判断するということで、同協定と同様のものというふうに考えておりますが、国際水準並みの手続が機動的に発動できるように、そこはしっかり確認をして対応していきたいというふうに思っております。
#19
○北橋委員 確認をしていきたいということなんですけれども、十分な証拠を添えて云々というのは、WTOにも欧米のルールにも書いていないことなんですね。なぜ、日本だけが特殊なそういうことを残しているのですか。機動的な運営を期するのであるならば、大蔵省に対して関税定率法の改正を求めるべきでしょう。
    〔青山(丘)委員長代理退席、委員長着席〕
#20
○伊藤政務次官 この点については、解釈は全く同じでありますので、先生の今の御理解とは、実際の運営上は違うというふうに思います。これは、全く同じというふうに私どもは解釈をいたしております。いわゆる入り口のところの問題と出口の問題のところを分けて考えておられるのだと思いますが、最終的に、出口のところは全く同じでありますので。
#21
○北橋委員 実際の運用あるいは解釈については柔軟に対応しているということでございますが、やはり今、繊維産業は一つの例でございますけれども、これまで日本が貿易立国であり、大変な黒字を抱えて、海外からその削減を求められた。輸入をふやせともいろいろと言われてきた。そして、通産省としても、資料の袋を見ますと、とにかく輸入製品が我が家にどれだけあるか、そういったことを奨励するような文章になっていますね。その努力をされてきた経緯からしまして、こういったセーフガードなりアンチダンピングというWTOで認められている制度について、極端に過敏になり過ぎてきたのではないか。そのことが、今日の我が国のいろいろな産業の実態に応じて、もはやそのままの、解釈を柔軟にするとかそういう状況ではないのではないか。
 私は、やはり、これから世界に開かれていくわけであります。後から鉄鋼のアンチダンピングの問題について触れさせていただきますけれども、堂々と主張するべきだと思うのですね。そうでなければ、この繊維の問題も私はますます深刻な事態になると思うのですよ。ですから、そういった点を指摘しておきたいと思います。
#22
○伊藤政務次官 そういう傾向があったということを私どもは十分認識しておりますので、過剰な対応をしてはいけないということで、先生から先ほど御指摘のありました、関税当局に対しても、合理的に入手可能な情報以上のことを求めてはいけない、この点については明確に確認をいたしております。
#23
○北橋委員 この問題の締めくくりとなりますので大臣から基本的な見解をいただきたいと思いますが、もう一点セーフガードの問題について、私どもは時期的にこれは急がなければならないと思う事情が一つあります。それは、アメリカ、中国の動きでございます。
 中国がWTOにこれから加盟をしていくということで、いろいろと、繊維の特別セーフガードを米国は既に協定化しているわけですね。そして、多国間で均てんさせる議論もWTOで始まっております。日本も、EUと同じく多国間でこれから協議に入っていくというふうに聞いておりますけれども、中国側が、このセーフガードという問題、中国にとっては国益にかかわる問題ですから、向こうがどういうふうに見ているかというと、二国間で既にセーフガード協定を締結し、かつこれを発動している国にのみ均てん条項が適用されるというふうに解釈している。これはたまたまアメリカ政府高官から伝え聞いているところでありますけれども、このように中国は一つの自分なりの解釈を持っているわけですね。
 そういった意味では、こういう状況を考えると、日本政府としてはもう時間の余裕はない。国内法の整備なりあるいは手続の簡素化をするなりして、この問題については機動的な発動に向けての作業を急がねばならない、このように思うわけでありますが、通産省の見解はいかがでしょうか。
#24
○平沼国務大臣 北橋委員御指摘のように、まさに日本の繊維産業にとって、非常に安い製品が洪水のように入ってきて、これが繊維産業を直撃している。大変厳しい事態になっているということは、私もよく認識をしております。私は十一年間紡績会社に勤務をした経験を持っておりますけれども、つい昨日も労働組合の代表の方々が私のところへ来られまして、その実情を訴えられました。私も、本当に厳しい状況はそのとおりだと思っておりまして、今御指摘のございましたいろいろな問題についても、やはり前向きに対処をしていかなければならない、こういう基本姿勢を持っております。
 今御質問の中国との問題でございますけれども、繊維製品に関して、中国に対して特別のセーフガード措置を設ける必要性は、従来から加盟作業部会の中で議論をされてきたところであります。そして、御指摘のように昨年の十一月、米国と中国が、この中国のWTO加盟について二国間で合意に達しました際に、本件についても基本的な合意がなされたところであります。現在、中国加盟作業部会においては、昨年十一月の米中合意の文言を基礎にいたしまして、中国加盟議定書または作業部会報告書の内容として対中繊維特別セーフガードの規定を盛り込むべく、強力に今作業をしております。
 我が国といたしましては、対中繊維特別セーフガード発動に当たっての立場が諸外国に対して不利なものとならないように、交渉に全力を挙げ、中国は御指摘のようにそういう基準を設けているというようなことがございますけれども、私どもとしては、やはり整合性を持って日本も同様な主張ができる、セーフガードが発動できる、こういう形で締結をすべく、全力を尽くしてまいります。
#25
○北橋委員 大臣、先ほど来政務次官からお答えいただいておったのですけれども、やはり私は、一つの例として今深刻な事態に陥っている繊維産業を挙げたわけでございますが、WTOのルールからしましても、やはりセーフガードの発動に当たって国内企業に対して構造改善計画の詳細な資料づくりを義務づけていたり、あるいはアンチダンピングについても十分な証拠を添えてという、そういった欧米先進国にない厳格な規定を置いていることが機動的な発動を妨げているのではないか、このように指摘したわけであります。
 政務次官からは答弁をいただいておりますが、私はやはりこの機会に、この繊維産業は一つの問題でありますけれども、これがいろいろと起こるかもしれません。そういった意味では、やはりWTOのルールに照らして国内法だとか規則というものも再検討すべきではないかと思うのでありますが、大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。
#26
○平沼国務大臣 基本的には政務次官から御答弁した、そういうことには変わりはないわけでありますけれども、御指摘のようなWTOのルールに照らして、今までとにかく輸出立国でやってきたのが、膨大な黒字を抱えて、例えばジェトロの性格も輸出促進から輸入促進に変わった、こういうことに象徴されておりますように、確かに御指摘のような点があったと思います。
 そういったことで、御指摘のような整合性を持たせた、正しい、そういうルールづくりに、これから我々としても力いっぱい、今もやっておりますけれども努力を傾けて、そしてWTOのルールに従って正当にできるような体制づくりに努力をしてまいりたい、このように思います。
#27
○北橋委員 ぜひその方向で頑張っていただきたいということを要望しておきます。
 時間がちょっと限られてまいりました。鉄鋼についても、アメリカのアンチダンピング措置に対して、熱延鋼板についてWTOに提訴をいたしました。
 私はアメリカに去年二回行っていろいろと理解を求めてきたわけでございますが、その中で、ある国務省の方から、日本にとっての米と同じようにアメリカにとって鉄は大事なんだという話であります。大変な政治問題化いたしました。その大国に対して、やはり不当なものについては断固として主張する、そして、出るところに出て理論的に決着をつけようということで、外務省、通産省が昨年WTOに提訴をされたということは、私は高く評価をさせていただいております。
 そのパネルが設置をされまして、間もなく一つの方向づけが出ると出ておりますが、それに対する所見と、時間が限られておりますのであわせまして、最近バード法案という、ダンピングで取り上げた関税収入その他を国内企業にばらまくという、これは到底WTOのルールは認めていないことを大統領が署名してしまった。
 今、政府も、韓国、EUその他とWTO提訴を連携して考える、検討中だと聞いておりますが、これはもう明らかにWTO違反でありまして、アメリカ側の最近の日本の産業に対するいろいろな商務省レポート等を見ておりますと、とにかくもう徹底的に、事実無根あるいは偏見あるいは誤解に基づくいろいろな資料をたくさんつくって、内政干渉と見えるばかりのいろいろな発言、働きかけをしてきております。
 そういった意味では、私は、ここではっきりと、日本政府としてWTOに提訴をして、アメリカのそういった通商政策に対して国際的な今後のルールをつくっていくという意味におきましても、提訴に踏み切るように率先して動かれるべきではないかと思うのでありますが、以上二点についてお伺いいたします。
#28
○平沼国務大臣 鉄鋼の提訴に関しては、委員からもまず評価をいただきまして、大変私どもとしても心強い限りでございます。
 御承知のように、本年二月にWTOにパネル設置の要請を行いました。日本からの熱延鋼板輸出に対する米国のアンチダンピング措置につきましては、二回のパネル会合などを通じて、米国調査当局のダンピングマージンの計算方法や損害の認定方法などがWTOルールに明確に違反していると強力に主張を行わせていただいております。
 パネル報告は、御承知のように、来年一月に取りまとまる予定になっておりますが、パネルは我が国の主張を支持するもの、私はそういうふうに信じて、これからも緩めずに頑張っていきたいと思っております。
 それから、バード条項については、これは御指摘のとおりむちゃくちゃでございまして、多分に大統領選挙の影響があったんじゃないか、私はこう思っておりますけれども、御指摘のように、アンチダンピング協定や補助金協定との整合性にまさに懸念があります。アンチダンピングのこういうことを許すと、乱訴を招くおそれもあると思っています。
 また、WTOの提訴に関するお尋ねですけれども、現段階でバード条項に関心を有する諸外国と連携して、これはEU、韓国であります、連携して、まず抗議レターをもう既に発信をいたしましたし、私は十月十九日に通産大臣談話を発表して強力にアピールをしたところでございまして、WTOの紛争解決処理手続のもとでの対米協議の要請を検討して、これをぜひ実現したい、こういうふうに思っています。
 いつ協議要請を行うかは、政府部内における検討、米国議会におけるバード条項廃止のための法案提出の動きなども一部ある、こういうふうになっていますから、そういうことも勘案しながら、関係国との調整を進めて、そしてこれは強力な形で私どもはやらなきゃいかぬ。こういうバード法案のような、ある意味ではむちゃくちゃな、そういうものを許してはならない、こういうことで、強い姿勢で臨ませていただきたいと思っています。
#29
○北橋委員 ぜひともその姿勢で頑張り抜いていただきたいと思います。
 さて、次に、中小企業の金融のあり方について質問をさせていただきます。
 間もなくこの委員会におきましても信用保険法等の改正についての論議が始まると思いますが、それにしましても、二年前、超党派の合意によりまして、二十兆円の特別保証制度をスタートしました。これは、当時、銀行の貸し渋りという厳しい現状の中で苦しんでおられた中小企業者にとっては干天の慈雨であったと思います。そして、厳しい中を切り抜けるに当たりまして、私は大変大きな成果もあったと思いますが、残念なことにその審査のあり方が問われておりますけれども、いろいろと金融ブローカーの暗躍を許してしまったり、あるいは連日新聞で、中小企業の利権という見地から、大変残念な実態の一部も明るみに出てきております。
 そういった意味で、今回政府は、特別保証制度を終わらせるという方針を決定したと聞いておりますけれども、一般保証枠を八千万に引き上げるに当たりまして、やはり国民に対して、納税者に対して、その成果があった点はわかります、我々もそれは認めているわけでございますが、税金の使い方については大変に厳しいものがある。国民に対して、やはり特別保証の総括というものはきちんと表明すべきだと思うのでありますが、大臣の御所見を承れればと思います。
#30
○平沼国務大臣 お答えをいたします。
 特別保証制度に関しましては、御指摘のように、一昨年、金融機関が貸し渋りに狂奔をしたといいますか、非常に強力な貸し渋りをした、そのために我が国の経済の基盤を支えている中小企業者が非常に困られたわけでありまして、これに対してはやはり適切な強力な措置をとらなければならないということで、この特別保証制度を創設させていただき、皆様方の御賛同をいただいて実施をしてまいりました。
 そしてさらに、これは異例、特例の措置、こういう条件でやりましたけれども、さらにまだ貸し渋りがおさまらない、こういうような事情を受けて、御承知のように一年延長して、これを三十兆にして、来年の三月までという形で実施をさせていただいています。
 これは、評価をしていただいておりますとおり、本年十月末までで締めてみますと、百四十三万社の中小企業の方々が利用していただいた。そして、二十四兆一千億と、保証の枠も二十四兆を超えるような保証をさせていただいたということで、中小企業白書等を見ても、これによって倒産が防がれ、あるいはいわゆる失業者も救済することができた。こういう意味では非常に効果があったことだと私は思っております。
 しかし、一方、当初は、委員も御承知だと思うんですけれども、ネガティブリストというのをつくって、やはり不正を許さない、しかし余り厳密にやりますと、本当にあしたでも運転資金が欲しい、こういった中小企業の皆様方に余り厳しい審査をしますといけませんから、一応ネガティブリストというのをつくって、そして対応してまいりました。しかし、最初のころは二十万件を超す申し込みが殺到する、今は三万件ぐらいの形に落ちついておりますけれども、そういう中で、本当に遺憾でございましたけれども、不正が行われたことは事実であります。
 したがいまして、私は、そういう問題を含めて、いい面と影の部分、そういうことを国民の皆様方にはっきりと認識をしていただく、そういうことも必要だと思っております。また、これは来年の三月まででございますので、経済の基盤を支えていただいている中小企業の皆様方がさらに安心して経営が行われるように、新たな一般保証の枠をつくっております。ですから、やはり税金を払ってくださる皆様方に、どうしてこれが必要なのか、そういうことも私どもはしっかりと説明をしながら、総括をしながらやらせていただきたい、こういうふうに思っております。
#31
○北橋委員 大臣の総括を聞かせていただきまして、やはり、こういう政治家や一部の金融ブローカーの暗躍を許してしまった、信用保証協会の審査能力という点が問われていると思うんですね。五千万を八千万にして存続するわけでございますから、そういった意味で、本当に今のような審査体制でよいのかという問題は、大変重大な、総括の中の項目に入れるべきだと思いますね。それは、今後、委員がこの商工委員会でいろいろと質疑をさせていただきます。
 もう一つは、旧債振りかえという銀行のモラルハザードのような問題点もたくさん見られているわけです。
 政府としても、いろいろと業務改善命令を出して、発覚した場合には代位弁済一切免責だ、やらないということで、厳しい対応で臨んだとは説明は聞いているんですけれども、今もって、いろいろな中小企業者に聞きますと、弱い立場にある企業でございますから、銀行のことをなかなか言うわけにはいかないと。自分たちの会社の生き死にがかかっております。しかし、やはり銀行を助けるような側面がかなりの部分あるのではないだろうか。
 そういった旧債振りかえがたまたま発覚した。政府としては、きちんと指導した、そういう総括ではなくて、やはり、金融のモラルハザードを招いている、今でもあるのではないか、ないというならば、こういうふうにして絶対に許さない、そういった国民に対して説明のつくような体制を総括の中で入れるべきだと思うわけであります。
 時間がございませんから、私はきょう聞きたいのは、そういった意味で、銀行に対してはたくさんの税金が使われてきた、そして公的資金を大手銀行に投入して、そのかわり、閣議で決めたように、前年よりも貸し出しをふやせということを求めている。私は大蔵委員会のメンバーでしたけれども、何度も何度も各党から徹底的に追及したところでありますが、本当にその約束を守っていたのか、中小企業に貸し出しをふやしたのかというのが大蔵委員会でも問われました。
 そういった意味では、金融のモラルハザードという問題はひとしく納税者、国民にとっては重大な関心事でございまして、今は一〇〇%税金で丸抱えであります、それが中小企業の円滑な資金供給を守るという意味において我々は一定の評価をするものでありますが、果たして、このままでいっていいんだろうか。
 五千万を八千万にすれば、普通の一般の人が聞けば三千万の信用枠がふえるわけだから中小企業は助かるでしょうと思うのでありますけれども、一面において、これまで旧債振りかえの実態も明るみに出たこともあって、これは銀行救済という一面があるのではないか、そういった疑問も一部においてあると思うんですね。そういった意味で、この信用保証制度が今後円滑に、納税者に納得のいくような形であるためには、やはり部分保証という制度を導入して、五%でもいいんです、銀行もきちんとリスクを負ってもらう、こういった発想をすべきだと思うんです。
 そういったことも含めて、私は、平成十七年までに見直しをするというふうに法案には書かれていると思いますけれども、この信用保証制度のあり方というものが、今回いろいろな問題点も出ました。中小企業にとって本当にこれが信頼される、いい制度になっていくためには、例えば、担保至上主義で銀行は金を貸してきたわけですね、担保が少なくても、あるいはなくても、技術、将来性のある企業というのはたくさんあると思います。日本の銀行マンというのは、そういった意味で、本当の企業家を育てるという努力を私は怠ってきたと思うんですね。それで、今は金融が大変だからといって、余裕がない、こう言っている。税金だけを投入されている。国民はずっと待たされている。
 だから、そういう状況の中で、一日も早くこの金融システムの安定化を図って、その時点で、本当に中小企業者にとってためになる、必要なところに必要な資金が行くような仕組みを、部分保証の導入も含めて見直しをすべきだ、それを平成十七年まで待っておれない。私は二年ぐらいでこの見直しに踏み切るべきだと思うのでありますが、大臣の方針を聞かせていただきたいと思います。
#32
○平沼国務大臣 確かに、委員御指摘のそういう問題はあります。したがいまして、我々としましては、中小企業をめぐる金融の状況等を踏まえて、適当と認められる場合には、法律上掲げられた平成十七年三月末の検討期限以前であっても、さきに述べた保険限度額や部分保証の導入の是非を含めた信用保証制度のあり方全般について、この十七年ということに限らず、しっかりとやっていきたい、こういうふうに思っています。
#33
○北橋委員 部分保証の是非を含めた検討をされるということを言っていただきましたが、十七年まで待たずということはわかるんですけれども、これは二年以内にはやらなければ、私はもう待てないと思うんですけれども、どうでしょうか。
#34
○平沼国務大臣 そういうことを含めて申し上げました。
#35
○北橋委員 時間が参りました。今後、この問題については鋭意我が党からも質問をさせていただきますが、やはり、特別保証制度を来年終わらせるといっても、銀行のモラルハザードを招いた一面もあります。あるいは、いろいろなブローカーが暗躍したこともあります。それから、信用保証協会はそもそも今のような審査能力でよいのか、審査体制でよいのか。こういった点についてはきちんと総括をしなければ、私は到底納税者の理解を得られないと思います。
 私ども、中小企業をめぐる情勢が大変厳しいことは認識しておりますので、その重要性というものはひとしく認識をするものでありますが、これだけは今後の答弁の中ではっきりと、きちんと納得のいく説明をこれから求めていきたいと思います。
 これで質問を終わらせていただきます。
#36
○古屋委員長 中津川博郷君。
#37
○中津川委員 民主党の中津川でございます。
 我が国は、九九・七%が中小企業でありまして、そこで国民の八割が雇用されております。言ってみれば、日本の国を支えているのは中小企業、そしてそこで働いている人たちだと言っても過言ではないと思います。私は、そこで、これらの中小企業の経営者とそこで働いている多くの皆さんの立場に立って、特に融資のあり方、そしてこれからの融資制度について、焦点を絞って幾つか質問をさせていただきたいと思います。とりわけ、現場の経営者の声を国政に届けたい、こういう思いであります。よろしくお願いしたいと思います。
 まず、質問の前に、堺屋経済企画庁長官にお尋ねしたいのであります。
 バブルがはじけて約十年になります。しかし、なかなか実体景気はよくならない。先ほどもお話がありましたが、設備投資は多少上向いている、しかし失業率は四・七%、消費は依然として冷え込んでいる。国民のほとんどは、景気がよくなっているという実感はまずないと言っていいと思うんですが、実際のところ、この今の景況と今後の見通し、長官の予測をひとつ率直にお伺いしたいと思います。
#38
○堺屋国務大臣 委員御指摘のように、バブル崩壊以来既に十年、日本の経済は非常に、悪戦苦闘といいますか、はかばかしい成長を遂げてはおりません。特に九八年のあの大不況以来、なお厳しい状況が続いております。これに対しまして政府は非常に大胆な対策を打ってまいりまして、大体、九九年、去年の四月ごろをどん底にして、少しずつ、緩やかながら上昇傾向にある。しかしながら、まだ、好況か不況かと二つに分けて聞かれると、好況とは言えない、むしろまだ厳しい状況が続いている、これが全体的な感想でございます。
 そして、ここのところへ参りまして、ことしの前半、かなり設備投資等が出まして、明るい予想もありました。ことしの夏には、かなり多くの人々が、景気の回復が相当進んでいる、したがってもうことしの補正予算は要らないのではないかというような楽観論も出てまいりましたけれども、私どもは、この秋にかけて、ことしの後半、かなり厳しい局面が来るだろうと見ておりました。
 結果といたしまして、現在、秋になりまして、企業部門を中心に設備投資は好調であり、生産も順調に伸びておりますが、家計部門はなかなか回復がおくれております。また、雇用も、御指摘のように厳しい状況が続いておりまして、新規求人は増加しておりますけれども、全体としての失業率は高い。幸いにして、六月以来、労働化率が回復してきておりますから、雇用関係はややましになり、個人消費も幾分か上向いてきておりますが、消費はなお厳しい。少し財布の中身はふえてきたけれども、財布のひもは依然として厳しい、こういう状況でございます。
 それで、これからの見通しでございますけれども、私どもは、二〇〇〇年度、ことしの四月から来年の三月までのこの期間に、大体、実質経済成長率で一・五%ぐらいの成長と見ております。この一・五%の成長というのは、ことしの四―六月の水準から見ますと、この七―九月から十―十二月にかけて少し低下するんじゃないかという数字なんです。だから、年の後半はやや厳しい状況があるのではないかと考えています。
 来年につきましては、少しやはり回復基調が本格化する。これだけ設備投資が続いておりますから、来年になりますと家計部門にもよい影響が少しずつあらわれてくるのではないか。家計に景気の回復が回ってくるのにかなり時間がかかっておりますけれども、そういう状況で、緩やかな回復を続けてよくなっていくんじゃないか、そういう見通しを持っております。
#39
○中津川委員 今長官から、来年は本格化という言葉が使われて、ぜひそうなってほしいなと思っているわけでありますが、たしか長官が、平成十年の十二月だったと思いますが、景気の変化の胎動を感じると、有名な発言をされまして、胎動というんだから、あと六カ月で赤ちゃんの場合出産ですから、もうそのころには日本の景気も万歳ということかと思ったのですが、あれから二年たっておりまして、長官を責めるわけではありませんけれども、一日も早く本当の実体経済が回復するということを願っているわけであります。
 そんな中で、一九九八年の十月に特別保証制度というものが打ち出されました。先ほど同僚委員から、また大臣とやりとりがございましたが、これは私も大変評価をしている一人であります。
 二十四兆円、百四十三万人の方がこれを使った。そして、当初は事故率が一〇%ぐらいだろうと見ていたのですが、十年の十月から十二年の十月までの累計によりますと、弁済率も一・八二%。これは大したものじゃないかと思うのです。私は、この制度がなかったら、ばたばたと中小企業は倒産したのではないだろうか、こんな思いをするわけであります。日本の中小企業の経営者は大変まじめなんだなと思うと同時に、やはりその本当のひたむきな一生懸命さというのを感じますのは、この返済の猶予を一年ということになっておりましたが、実際八割以上の経営者は翌月から返済をしていたのですね。
 私は、この制度というものの果たした役割は大きいというふうに思っているわけでありますが、では、こんないいものをなぜ今度三月で打ちどめにするのか、先ほど総括がなされておりましたけれども、なぜ三月で打ちどめにするのか、ちょっと御所見を伺いたいと思います。
#40
○平沼国務大臣 お答えをいたします。
 中津川委員にもこの特別保証制度は大変評価をしていただいた、これは本当に私どもにとってもありがたい御評価をいただいた、こういうふうに思っております。
 御指摘のとおり、これはやはり金融機関の貸し渋り、こういう形で、異例、特例の措置として実施をいたしました。しかし、どうしてもまだまだ厳しいということで、先ほども申し上げましたように一年延長したところであります。私も、中津川委員御指摘のとおり、日本の中小企業経営者というのは本当にまじめに頑張っていただいているなと。代位弁済という形で考えても、御指摘のとおり一・八、こういう形で、皆様方は本当にまじめにやってくださっている。私も本当にそういう面では意を強くしているところでございます。
 この制度の効果もありまして、中小企業白書にも出ておりましたけれども、その後、統計を見てみますと、これによって倒産回避ができた企業者数は九千六百社ぐらい、そして雇用も約十万人近い雇用が救済された、こういうことで、私は、非常によかった、こういうふうに思っております。
 しかし、繰り返しになりますけれども、こういう異例、特例の措置でありまして、当時非常に申し込みが多かったわけでありますけれども、今、申し込みの数も、当初の二十万件から三万件へという形で非常に減ってきております。それから、実施するときには、非常に貸し渋りがたくさんで、どうなんだという状況をアンケートで調査をしましたら、当初は貸し渋りが非常に多い、こういうデータが出てきましたけれども、今はそれが一〇%後半に落ちついている、こういうような形になってきました。
 したがいまして、これは一応、今の、まだまだ厳しいですけれども、こういう緩やかな景気回復基調になって、我が国経済がデフレスパイラルに陥ることを回避することができた。その後、今申し上げたように、貸し渋りの状況も改善されつつある、そういうアンケートのデータもございます。
 そういう意味では、特別保証制度というのは大きな成果を上げた、こういうことでありまして、やはり異例、特例の措置でありますので、さらに、来年三月にこれが切れますけれども、四月以降には、中小企業をめぐる金融情勢が一昨年の信用収縮の時期に比べると顕著に改善しているわけでありますから、やはりこれをいつまでもやることはいかがか。新たな一般保証、こういう形で、安心していただくために新たに強力な制度を設けて、安心をして引き続き経営にいそしんでいただきたい、こういうふうに思っております。
 だから、今後とも一般保証制度の充実を図るようなことでこの資金需要に適切に我々としては対処していきたい、こういう基本的な考え方であります。
#41
○中津川委員 残念なことに、中小企業の人たちに大変役立った制度でありますが、今、悪用した事件が連日マスコミをにぎわしているわけであります。
 これはもう犯罪ですから、出資法違反とか詐欺罪とかでしっかりと当局が対応していただけると思うわけでありますが、ぜひこういう事件がもう二度と起こらないように、ひとつこれから万全を期して、これをいい教訓として、中小企業の人たちのために立った制度でございますから、そこのところをひとつ慎重に、そしてまたひるむことなくやっていただきたいのですが、逆に、こういう事件が出ることによって、今大臣から今度は一般保証のこれも充実させていくというお話がございましたが、こちらの方にまた貸し渋りのような影響があってはならないと思っているのです。これだけはぜひともお願いをしたいというふうに思っております。
 そこで、一般保証について少し質問をしたいのですが、今度は限度額が五千万から八千万になるということでありまして、数字は大きくなりました。しかし、これがまた、必要な企業が必要な金額を本当に借りられるのかということと同時に、ちょっと非常に具体的なお話をさせていただきますと、例えば、運転資金が今までは五年、設備資金が七年という返済期間でありますが、五千万借りて五年で返済しますと、どうでしょう、大体九十万前後ですか、これは大変なことですよ。やはり返済期間を延ばすというようなことが必須だと思うのですが、いかがでしょうか。
 それからもう一つ、返済方法についても柔軟に対応していただけるというような大臣答弁をお聞きしましたけれども、例えば五千万借りて二千万返した、そしてまた二千万の枠があいたので二千万借りるということになりますと、五千万の返済の九十万前後が残っている、そしてまた新たに二千万借りると、それがどのくらいになるでしょう、三十万前後になりますか、合計金額で返済が大変になりますね。返済の足を例えば一本化するとか、その辺のところをフレキシブルに、経営の実態というものに照らし合わせて、やはり今度の一般保証ではそこまで踏み込んでやっていただけないだろうかと思っているのですが、御答弁をお願いします。
#42
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のように、特別保証については、一つの運転資金については五年とか、こういう目安があるわけでございますけれども、一般保証についてはそのような目安を持っていないということでございますので、中小企業の方々の実情に応じてその辺は対応するということになるわけでございます。
 もちろん、返済が進んで、また資金需要が生ずるというような場合には、当然また保証をするということがあり得るわけでございます。その辺は弾力的にやらなければいけないと思っておりますし、万が一どうしても支払いに困難を来すとかいうような場合には、最終的に条件変更ということを弾力的に行うようにいたしておりまして、月々の返済の金額を減らして期間を延長するとか、あるいはテールヘビーと言っていますが、後ろの方へ持ってきて期間は守るとか、その辺につきましても中小企業の方々の実情に応じて弾力的に対応したいと考えております。
#43
○中津川委員 返済期間の延長というのはどうなんですか。
#44
○中村政府参考人 例えば、特別保証につきまして、現在、条件変更を三万九千件ほど行っております。そのうちのかなりの部分は、いわゆる返済期間の延長という形で対応いたしております。その結果、月々の返済金額は少なくなるということでございます。
#45
○中津川委員 ぜひそこのところはよく柔軟に、柔軟にという言葉は重宝な言葉ですが、具体的には返済金額がなるたけ少なく、余裕を持って企業経営に従事できるように、ひとつ大きな気持ちでやっていただきたいというふうに要望しておきます。
 そこで、先般、中小企業の人たちを招いて現場の生の声を聞きました。大臣にもちょっと聞いていただきたいと思って何人かのケースを持ってきたんですが、時間の都合もありますので、はしょって申し上げます。
 例えば、三十八年間建設会社をしっかりと経営してきて、税金もきちんと払って銀行返済も滞りない。それで、前回の特別融資では、同じ敷地、建物、それから同じ代表者、これは中小企業ではよくあることであります。したがって、前はその二つの会社別々に、五千万、五千万の融資を受けたんだけれども、保証協会の見解がころっと変わりまして、今回は一つの会社とみなすんだと。これはもうびっくりしてしまったというようなケースを話されておりました。私も中小企業の経営者の一人でありますし、またいろいろほかの社長さんとも接触している中で、このケースは非常に多いわけでありますが、後でちょっとコメントをお聞きしたいと思うのです。
 それから、ほかの社長さんでは、通常、売り上げの三倍まで保証協会が融資をする。しかし、サービス業等の場合はほとんど売り上げが粗利益になりますね。建設設備業などの場合は、売り上げが何億もあって大きくても、そのうちの利益は少ない。その辺の矛盾を感じているということでありますが、これもなるほどなという感じがするわけであります。
 それから、これはほかの社長さんのケースですが、政府系の金融機関などからは、建設業などはもう不況業種だと、はなから、融資の前から何か差別的に対応されているというような声も聞きました。
 それから、これも最近多いと思うのですが、いろいろトラック協同組合とかあるいは商店街の組合をつくりまして、組合がまとめて銀行から融資を受ける。しかし、そこで理事等は自分も個人保証をしているわけでありますが、今度いざ自分の会社がお金を借りようとするとき、それが邪魔になって、負担になって借りることができない、こんなような話も聞きました。
 これはほんの一例で、まだまだたくさんあるのですけれども、特に中小企業庁は信用保証協会に対して、やはりこの辺のところの保証協会の姿勢があいまいにならないように、保証協会が経営者の不信感を招かないように、首尾一貫した、きちっと説明できる、そういう体制をつくるために僕はしっかりと指導監督する必要があると思うのです。
 今申し上げた個々のケースについてお答えいただけたらありがたいと思うのですが、また同時に、今、中小企業庁の信用保証協会に対する姿勢というものに対しての御答弁もいただきたいと思います。
#46
○中村政府参考人 御指摘のように、審査基準は明瞭でなければいけないということでございます。一方において、中小企業の方々の経営の実情に応じてやらなければいけない、こういう要請の中で判定をしていくことになるわけでございます。
 私ども、この法案で、五千万から八千万というのを今御提出しているわけでございますが、これは特別保証等をソフトランディングしていくという視点からやっているわけでございまして、これについては審査基準を今後十分吟味したいと考えております。
 それで、御指摘の、同一企業と従来はみなされなかったのが今回はみなされたという件でございますが、今回の法案でも出ていますように、一社当たり五千万とか一社当たり八千万、こういう基準になっているわけでございまして、単純に同一とみなされる場合には、やはりそこは五千万円が限度となるわけでございます。
 ただ、では同一と見るかどうかというのは、それぞれの企業の実態に応じて判断せざるを得ないわけでございまして、それは未来永劫に変わらぬわけではなくて、その時々の二つの会社の関係等によって判断されるということでございますので、変わり得るとは思います。ただ、実態が同じで突然変わるというようなことがあってはならないというふうに考えますので、その辺は徹底をさせていただきたいというふうに思っております。
 それから保証につきましても、月の売り上げの三倍を目安にする、確かに私ども特別保証についてはそのような運用をいたしておりますが、本来、各企業の返済能力を全体として見てやるというのが大原則でございます。
 したがいまして、三カ月分の売り上げを見るというのは、あくまでも、かなり迅速にやらなければいけないという特別保証の特性からきまして、ほかの借り入れがどうなっているかという点については少し横に置いて弾力的にやる、こういう趣旨で目安を設けているわけでございまして、最終的には個々の企業の返済能力を勘案してやるということでございますので、それを超える場合もございますし、それを下回る場合もあるということでございます。
#47
○中津川委員 もっと突っ込んで質問したいのですが、とにかく経営者のお話をよく聞いて、信用保証協会も紋切り型ではなく、ここ一、二年が中小企業も本当に正念場なんですよ、ぜひそういう御指導をしていただきたいと思います。
 次に、時間が大分迫ってきましたので、大事な質問をしたいと思うのですが、融資制度の根幹に触れる質問をしたいと思うのです。
 日本の融資は担保至上主義ですね。担保、特に土地です。だけれども、この十年間でバブルがはじけて、デフレスパイラルが進行して、土地の価格はもう五分の一ぐらいになってしまった、担保能力がほとんどない。担保がなければ融資ができない、こういうのは、国際的に見て大変おくれた、おかしな話だと思います。
 担保がなくても、経営者としての人物評価、やる気、事業内容、計画、将来性、あるいは経営者の奥さんを見て、ああ、こういう奥さんがいれば大丈夫だ、あるいはこういうスタッフがいれば大丈夫だという中で融資を行っていくという流れは、僕は時代の要請だと思うのですよ。日本の担保至上主義から今まさに脱却するときだと思うのです。
 こういう融資のあり方というものは、金融庁、ぜひとも前向きに考えてもらいたい、また、銀行に対してこの指導を積極的にしてもらいたいと思います。
 できたら大臣に御答弁いただきたいと思うのです。
    〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕
#48
○平沼国務大臣 今委員のお話を聞いておりまして、戦前、例えば住友銀行で頭取をやった有名な銀行家がいました。それは、小倉正恒という人の伝記に、銀行家の基本姿勢として、資金を貸し付ける場合には、担保も必要だけれども、経営者の能力の人物判定に自分は重きを置いて融資をしてきた、こういう伝記を読んだことがありまして、やはり昔の腹の据わった銀行家はそういう観点かな、そういうふうに思ったことを覚えております。
 したがいまして、やはり担保至上主義というものが今まで通例できましたけれども、経済的社会的環境の変化によりまして事業活動に支障を生ずる中小企業者に対して、担保提供が困難な場合も少なくありません。御指摘のとおりでありまして、担保条件を緩和する措置も御承知のように今まで講じてまいりました。
 既に、一時的な業況悪化により資金繰りに著しい支障を来している中小企業者を対象とした、中小企業運転資金円滑化特別貸し付けにおいて、貸付額の一部について担保を免除して行う、こういうことができることにしてきたところであります。また、これに加えて、このたび、災害や取引先金融機関の取引状況の悪化や関連企業の倒産、こういった非常時においても、貸付額の一定割合を免除することができる貸付制度を整備する、そういうことも我々考えております。所要の予算措置を、御承知のように今次補正予算にも盛り込ませていただいたところでございます。またさらに、激甚災害等特に影響の大きい災害については、一定の貸付額の範囲内の限度までは無担保で貸し付けることができる、こういうことにいたしております。
 やはり、これからベンチャーを育成していかなきゃいけない。そして経済を活性化するためには、こういうベンチャー企業の育成というものも日本の経済にとって大きな命題でございますから、担保至上主義から脱却をしながら、その経営実態をしっかりと見て、また経営者の能力、そういうものをしっかりと把握して、そしてそういうものを総合的に勘案して融資をする、こういう考え方というのは、私は、これからはとっていかなければならない方向だと思っております。
#49
○中津川委員 今大臣から大変心強い御答弁をいただきまして、うれしく思います。
 実は、大阪のテーマパークがありますが、一千数百億の融資を、これは土地は借り物なんですね。これをプロジェクトファイナンスという、いわばその事業の将来性を銀行が評価して、共同責任をしていく。共同責任ですから、デーリーの日報も数字もチェックされるわけでありますが、銀行が土地の担保をとらず融資をしている、今進んでいるところであります。これは、これから大企業でもこういう流れになっていくと思いますけれども、中小企業でも、やはりこの流れにこれからなっていくだろうし、また、なっていくべきだと思うんです。ぜひ、日本も本当に担保至上主義から脱却する、もうその時期ということを改めて確認したいというふうに思います。
 最後の質問になるんですけれども、銀行の貸し渋りについて質問したいと思います。
 地元の経営者たちから聞いていますと、銀行の貸し渋り体制というのは、どうも余り改善されていない。今回の、私が冒頭で質問しました特別融資にしても、結果として銀行がたくさん得をした。これは銀行救済の制度でもあった、こんな皮肉まじりに言う人もあるわけであります。確かに、私も株価を調べてみたんです。九九年十月が安値で、その後高値がありまして、安値が一万三千円ぐらいだった。それから、きのうが一万四千五、六百円ですか。東京三菱にしても、住友にしても、大和にしても、三和にしても、東海にしても、みんな上がっているんですよ。やはり銀行は非常に今回の恩恵を受けたと私は思うんです。
 それはそれでいいですが、では、この銀行貸し渋り防止のために公的資金七十兆円の枠をつくって、十数兆円投入しましたね、しかし、この資金が本当に中小企業のための融資に使われたんだろうか。これは単に自己資本比率を上げるために使われたんじゃないんだろうか、こんなふうに少し疑問を感じるわけでありますが、金融庁の御所見を承りたいと思います。
    〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕
#50
○浦西政府参考人 お答え申し上げます。
 貸し渋りの防止に当たりましては、何より金融機関の経営が安定しているということが大変重要なわけでございますが、公的資本の注入後、金融機関の経営もかなり安定してまいりまして、金融機関サイドにおきましても、中小企業向け等に対する融資に対しても非常に積極的に取り組んでおるところでございます。
 数字を見ましても中小企業向け融資は増加しておりますし、制度的にも、中小企業向けに無担保の融資制度を創設する。それから、リスクあるいは収益性につきましてもきめ細かい審査をしまして、それに見合った融資を行うなど、銀行の意識も大変変わってきております。今後、中小企業金融を含めまして、金融の円滑化が進んでいくものと思っております。
#51
○中津川委員 ちょっと質問の答えになっていないような気がするんですが、銀行が本当に必要な経営者に融資をしているかどうかという実態であります。銀行が貸してくれないから、経営者は、前問題になりました日栄とか商工ファンド、いわゆる商工ローンから、当時は四〇%ですか、高利ですね、融資を受け、借りたらアウト。返済不能になって、家族崩壊、倒産、自己破産になってしまった。毎日毎日、経営者のところにはファクスで流れてくるんですよ、即融資と。ああ、あした欲しいな、手を出しちゃいけないな。ぱっと出して、借りたらアウト。
 では、この主要銀行は、そういう中小企業の人たちに直接に貸さないで、リスクのない商工ローン会社に多額の融資をして、商工ローン会社は高利で中小企業に貸す。今度、現行で二九・二%ですから約三〇%ですよね、一千万だと年間三百万払う。こういうリスクを経営者が背負い、最後のしわ寄せはやはり多くの経営者だ。
 先ほど北橋委員からも指摘がありました、これは銀行のモラルハザードであると。これは中小企業の救済どころか、中小企業を地獄に陥れる非常に不健全な仕組みじゃないだろうか。銀行があって、商工ローンがあって、経営者がいる。銀行から経営者に直接常識的な金利で貸せばいいものを、商工ローンを通して、そして借りるわけですから、この仕組みがおかしいんですよ、この仕組みが。これは十一年の十月二十七日大蔵委員会ですか、どのくらい都市銀行に貸しているんだというデータが出されたわけでありますが、第一勧業銀行で日栄に二百十二億、商工ファンドに七十億ですか、三菱信託も百八十億、大和、東海も百三十億、百億ということですね。これは異常ですよ。異常です。
 やはりこの仕組みを、金融庁もここはしっかりと、これは民間だから民間同士でやればいい、そこまで立ち入ることはないんだというような御答弁ではなく、日本の中小企業の経営の根幹にかかわる問題でありますから、このシステム、これを一日も早く壊していかなければいけない。その監視、指導をする、これが私は金融庁の役割だと思うんですが、いかがでしょうか。
#52
○浦西政府参考人 お答え申し上げます。
 中小企業向けの金融に対しましては、日ごろから金融機関に対しまして、その円滑化を要請しておるところでございます。先ほど申し上げましたように、特にことしの春から、無担保、第三者保証が必要ない、そういう中小企業向けの事業者ローンの仕組みを積極的に開発しておるところでございます。
 それから、先ほど御指摘ございました商工ローン向けの融資でございますが、いわゆる大手三社に対する商工ローン向けの融資は、昨年の決算末の数字は五千六百六十億円でございましたが、十二年の決算末では四千五百八十億円と、約二割減少しておるところでございます。
#53
○中津川委員 今私が申し上げたことを、大臣の御所見をちょっと、よろしかったら承りたいのですが。
#54
○平沼国務大臣 所管外でございまして、私の個人的な見解のような形になると思いますけれども、やはり我々が特別保証制度を導入したという背景には、金融機関の貸し渋りというものが厳然としてあったわけであります。そういう中で、一方においては、公的資金をたくさんつぎ込んで、そして日本発金融大恐慌が起こらない、そういうことで金融機関を救済してまいりました。
 ですから、そういう中で貸し渋りが行われたり、またそういう、ある意味ではダミーみたいなものを使って、そして自行の救済を図るということは、個人的見解ですけれども、モラル的に許されないことだ、そういうふうに私は思っておりまして、そういったことがもしあるとしたら、これは正していかなければいけない、こういうふうに思っております。
#55
○中津川委員 時間が差し迫りました。この議論はもっともっと、具体的に数字が当時と、今、五千億から四千億になったと言いますが、もっと実態を知りたいという気持ちでおりますが、また日を改めてやっていきたいと思います。
 最後の質問になりますが、こういう銀行の貸し渋りという状況の中で、政府系の金融機関、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、この役割が非常に増すと思うのですが、政府系金融機関のこれからのあるべき姿、これを最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。
#56
○中村政府参考人 御指摘のように、中小企業金融公庫等の政府系金融機関の役割は、現在の貸し渋りが続くような状況の中で、相変わらず大きな役割を果たしていくと思いますし、さらに、ベンチャー企業でございますとか経営革新とか、そういうことについての役割も極めて大きなものがあるというふうに私ども考えておるところでございます。
 先ほど大臣からも、担保至上主義から脱却して、できるだけリスクに応じた貸し付けをしていくということで、いろいろな措置を講じているわけでございます。ただ、現在のところ、中小企業金融公庫は、財投資金の借り入れ等を貸付原資としておりますので、償還確実性を確保するという観点から、担保を徴求するというのを原則といたしておりますが、必要な場合には担保条件を緩和するというような弾力的な措置も講じてきているということでございます。
#57
○中津川委員 どうもありがとうございました。
#58
○古屋委員長 松野頼久君。
#59
○松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。民主党・無所属クラブを代表いたしまして、質問をさせていただきます。
 まず、バブル崩壊以来十数年、言い古された言い方かもしれませんが、とにかく日本全体が不景気の中で、私たち国民生活、また中小零細企業、本当に苦しんでいるわけであります。
 私も、地元に戻りまして、地元の商店街を歩いていますと、とにかく空き店舗が多いのです。人通りもまばらになりました。そしてシャッターが閉まっている。この現状を非常に憂慮するものであります。通産省を中心に、この商店街対策、一生懸命政策を実行されていらっしゃいますが、まずその辺から通産大臣にお伺いしたいと思います。
#60
○平沼国務大臣 お答えをいたします。
 松野委員御指摘のとおり、地元に帰られて、そして昔から栄えた商店街を歩いてみると、くしの歯が抜けたようにシャッターがおりていて、人影もまばらだと。私も、地元が岡山県ですけれども、同様の感を抱いております。
 中心市街地の空洞化に対応して、やはりこれは文化とも関連する問題でございますので、我々としては、随分力を入れて、活性化を図るためにいろいろなことをやってまいりました。
 平成十年七月に、市街地の整備改善と商業等の活性化の一体化推進を柱とした、御承知の中心市街地活性化法が施行されました。関係十三省庁の連携のもとに、今その推進に鋭意努めているところであります。現在までに、本法に基づいて約三百五十の市町村が基本計画を策定し、活性化のための事業が実施されつつあるところでございます。政府といたしまして、各市町村の活性化のための取り組みに対し、関係十三庁を全部合算いたしますと総額で一兆円に及ぶ予算を確保して、積極的な支援を目下行っております。
 その中で、当省といたしましては、商店街を初めとした商業等の活性化の観点から、一つは、駐車場や多目的ホール等の商業基盤の施設や店舗等の整備を行っています。二つ目としては、商店街における、今申し上げました空き店舗対策、駐車場対策、商店街活性化のためのソフト事業に対する支援も行っております。また、三番目として、ファッション等中心市街地にふさわしい都市型新事業の立地促進、これも力強く推進をしなければいけない、こういうことで行わせていただいています。
 こうして、我が省としては、一千億を超える、ハード、ソフトの両面からの支援措置を確保しているところでありまして、今後、この基本計画に定められた事業が本格化する中で、各市町村の取り組みに対して、関係省庁とも連携を図って、引き続き積極的な支援を行ってまいりたい、こういうふうに思っております。
#61
○松野(頼)委員 今お話しいただきましたように、通産省として、大変きめ細やかな行政としてのバックアップをされている。また、私が地元で経済四団体並びに商店街連合会の皆さんから声を聞いても、もちろん十分とはまだ言えませんけれども、今非常に国の政策の中で中心市街地を見てくれているという声を確かに聞いております。そのことについては、本当に心から敬意を表するものであります。
 この中心市街地活性化なんですが、先ほど十三省庁というお話がありました。この十三省庁で中心市街地活性化関係省庁連絡協議会というのをつくられているようでありますが、この協議会について、大臣、ちょっとお伺いしたいと思います。
#62
○伊藤政務次官 私からのお答えをお許しいただきたいというふうに思います。
 今御指摘のございました連絡協議会については、関係十三庁の緊密な連携を確保するために設けられたものでございます。今日まで定期的に協議を重ねておりまして、十二回開催をされております。また、この関係十三庁の統一的な窓口を設けようということで、中心市街地活性化推進室を設置いたしまして、地元の相談やきめ細かな情報提供に努めているところでございます。
 今後、こうした中心市街地の活性化事業の本格化が見込まれる中で、地域からのいろいろなニーズに的確に対応できるように、事業の推進に向けた対応を一層強化してやっていきたいというふうに考えておるところでございます。
#63
○松野(頼)委員 どうもありがとうございます。
 この協議会でありますが、地元の商店街連合会さんと各全国の、北海道から沖縄までの都道府県の中で、地元の意見を吸い上げる機関というのはあるんでしょうか。お伺いいたします。
#64
○伊藤政務次官 今お話をさせていただいたように、窓口を設けさせていただいておりますので、その窓口で緊密に、今御指摘のございました地域の連合体の御意見も、それから地域それぞれのいろいろな御相談や御意見も受けられるような体制にいたしておりますし、そうした御相談に的確に答えられるように体制を整えているところでございます。
#65
○松野(頼)委員 今のお話にもありましたように、通産省としては、本当に地元の商店街また零細企業に対していろいろなお考えを持って行政でバックアップされているということ。どうかこれをこのまま終わらせずに、どんどん拡大をしていただいて、今こうしている間も空き店舗は全国で一つずつふえている状況ですから、皆さんのニーズにおこたえになってお続けをいただきたいというふうに思うわけでございます。
 さて、商店街でありますが、ちょっと見方を変えますと、一つずつの零細企業の集まりであるわけです。今この不景気の中で零細企業の皆さんは本当に苦しまれているわけでありますが、従来のようにお客さんがいなくなった、また売り上げが上がらなくなった、もちろんこれは国全体の不況のせいだというのはわかるわけでありますが、その一方で非常に税制でお悩みになっている、こういう現状があるわけです。
 特に、税制の面で一番皆さんが御不満を持っているのは固定資産税の問題、そして相続税の問題、また今まさに議論されているようでありますが外形標準課税の問題、この三つの税に対する不満が多い。まだ外形は出ていませんけれども、現在、事業継承のための相続税、また土地、家屋に対する固定資産税、これがどうも納得ができないという声が多いわけであります。どうしても、商店街といいますと、全国、その町の中心部でありまして、商業地でもありますから、一番地価の高いところにある。この不景気で路線価も下がっているんだけれども、なかなか固定資産税が下がらないんだという声が多いと思います。
 平成十二年度、ちょうどこれは固定資産税の評価がえの年でありますから、通産省の税制改正要求の中でも固定資産税に触れられて、省として固定資産税を引き下げるという要求を出されているのですが、今後も引き続き、この視点に立って、商工業また零細企業が発展していくために固定資産税の軽減を求めていくのかどうか、その点について大臣にお伺いしたいと思います。
#66
○平沼国務大臣 お答えをいたします。
 御指摘のとおり、商店街を形成している経営者の方々はむしろ中小企業というよりも零細企業の方が多いわけでありまして、御指摘の固定資産税については、都市部を中心に、地価の下落にもかかわらず税負担が増大する、こういった矛盾が起きていることも事実です。全国商業地価というのは、平成二年を一〇〇といたしますと、平成十年ではそれが六〇、こういう形で非常に下落率が高くなっています。
 また、土地に係る固定資産税というのは、平成三年は二兆六千億であったものが、平成十年には約一兆円ふえて三兆七千億になっている、こういった非常に矛盾があるわけでありまして、通産省といたしましても、こういったことが中小零細企業の経営を圧迫している、こういう認識を持っておりまして、平成十二年度でも固定資産税の税制において一部軽減を図りました。
 中小企業にさらなる引き下げを求める声があるということは、今御指摘のとおり十分承知をしておりますので、今後とも私どもは固定資産税のさらなる引き下げのために努力をしていきたい、このように思っております。
#67
○松野(頼)委員 今お話をいただいたことは、さすがに通産大臣のお立場で、中小零細企業のお立場に立ったお考えだと思うのですが、自治省の方にも、ぜひ別の立場からお伺いしたいと思います。
#68
○板倉政府参考人 固定資産税についての御質問でございます。
 固定資産税につきましては、平成九年度の評価がえにおきまして従来のやり方を大幅に変更いたしまして、負担水準という考え方を導入いたしました。
 これは、評価額に対して課税標準額がどの割合まで行っているかということで、評価額どおりの課税はしないという前提で、この負担水準の一定のところまでに達したところについてはそれ以上の負担を求めないということと、そこまでは行っていないけれどもある程度の水準に行ったところは税額を据え置きにさせていただく、それ以下のところについては低い割合で上昇をさせていただく、こういうような制度を導入いたしました。
 そういう仕組みを平成十二年度の評価がえにおきましても継続いたしまして、特にそういう都市部の固定資産税の負担感に配慮をして、いろいろ各省からも御要望がございましたので、従来八〇%の負担水準で頭打ちにしておりましたところを、平成十二年、十三年は七五%、十四年は七〇%、ここまで引き下げるというような、負担感に配慮した措置をとらせていただいております。
 また、平成九年度以降は、従来三年に一回という評価がえでございますけれども、地価の下落があるところにつきましては、市町村において毎年度評価を下げることができるというような措置もとらせていただいております。
 今後とも、その辺の負担の状況を見ながら、適切に対応していかなければいけないというふうに思っております。
#69
○松野(頼)委員 今のお話では、だんだん下がっていくのではないかというふうに感じられるお答えでありますけれども、実際には、この固定資産税、今現在も全国で上がり続けているところがあるわけであります。
 それで、余りにも納得がいかないという声が大きいもので、ちょっと調べましたところ、平成四年一月二十二日に自治省の事務次官通達というのが行われているわけです。平成六年の固定資産税から、評価水準を七割に引き上げる。それまでは一割から二割程度の評価水準であったわけでありますが、七割に引き上げるという通達が出ているのです。
 ここから固定資産税の価格が大きく変わってきているわけでありますが、その辺、自治省の方、いかがでしょうか。
#70
○板倉政府参考人 今申されましたのは、平成六年度の評価がえからそういうことで適用をさせていただいておるわけでありますけれども、当時は、土地基本法第十六条などによります公的土地評価の均衡化、適正化という要請を受けまして、宅地の評価について、地価公示価格の七割を目途とするという評価がえを実施いたしました。その後、九年、十二年と同じやり方をとらせていただいております。
 その結果、従来、必ずしも物差しがはっきりしておらなかったといううらみがございまして、かなり評価がばらばらであるという御指摘も受けておりましたけれども、その点につきましては、全国的な評価の均衡化というものが達成されつつあるのではないかというふうに考えております。
 ただ、負担の点につきましては、先ほど申しましたとおり、その評価額でそのまま課税をしたのでは大幅な負担増になるというようなことがございまして、当初はなだらかに上げさせていただくということでやっておりましたけれども、平成九年度以降は、先ほど申し上げたとおりの方法をとっております。
 まだ固定資産税が上がり続けているという土地があることは事実でございます。ただ、これは、御承知かと思いますけれども、先ほど申しました新しい負担水準という考え方の中では、要するに、評価額に対しまして課税標準額が一定のところまで高くなっておれば、これは据え置きないし場合によっては下落ということが起こりますけれども、それよりも下の、すなわち同じ価格と見られる土地についての税負担がかなり低いという土地につきましては、やはり負担の公平という観点から若干ずつ上げさせていただく、こういう方策をとっておりますので、現実にそういうところがあるということが起こっております。
 これは結局、平成六年以前の評価の水準というのにかなり起因をして起こっておりまして、私どもとしましては、この辺の負担の不均衡は一日も早く是正をしなければいけないということで、現在進めておるところでございます。
#71
○松野(頼)委員 いわゆる七割評価に評価がえをしたということで、全国で二万件の不服審査申し立てがありました。二千件の訴訟が起こっている。勝訴している例も幾つかあるわけですよ。
 納税者の立場に立ってみると、この平成六年、不況で、バブルが崩壊してこれから苦しくなる、どんどん経済が収縮している真っ最中なわけであります。ここで、平成四年に通達が出たことによって、一枚の通達で大増税が行われているという、これがどうしても納税者の立場からは納得ができないんです。自分たちは資産課税を別に否定するものじゃないけれども、自分の土地、自分の財産を適正に評価してもらいたい、こういう思いが、この不服審査申し立ての件数を見ても、訴訟の件数を見てもわかるんじゃないかと思うんですが、やはり今現在もこの七割評価は変わっていないわけであります。
 確かに負担調整は平成九年、平成十二年とされているんですが、その負担調整をしても値上がりしている土地があるというのがやはり大きな問題ではないか。
 これだけ地価が下落をしている。特に平成四年からは前年比マイナス四・九%、七・七%、六・七%、六・九%、平成八年では六・九、平成九年五・一、平成十年五・二、十一年六・六という、こうして五、六%ずつ毎年毎年地価が下がっている中で、自分の固定資産税だけが上がるということが、なかなか納得できないんじゃないかと思います。
 特に、大きな町の一等地で、三十年、四十年ずっとそこで商売をしている。別に私は土地を売るわけじゃないから、自分の土地が幾らになろうが関係ない。ただ、バブルのときに地価が高くなった、固定資産税が特に平成六年の評価がえでがっと上がったがために、今までの本業の八百屋さんや魚屋さんではもう固定資産税を払っていけないから、銀行に言われてビルを建てました。バブルが崩壊して、そのビルの価値がぐっと下がる。その中でテナントは出ていく、家賃は減っていく。結局、本業さえもおかしくなって、その場所を出ていかなきゃならない、自己破産をしなければならない、こういう例が全国で多発をしていることはおわかりだと思います。
 今不景気で、通産省の皆さんは、商店街、中心市街地を何とか盛り上げていこうじゃないか、高齢者の方や障害者の方にも住みやすい町をつくるんだといって、中心部をもう一回活性させようとして一生懸命やられている中で、一方では、こうして重税感で苦しんでいる。その税のために商売をやめなければならない、廃業しなければならない、こういう実例を、どうかよく見ていただきたいと思います。
 続いて、固定資産税は土地に対するものと家屋に対するもの、二種類あるわけであります。その家屋に対する固定資産税の評価の方法というのを自治省の方にお伺いしたいと思います。
#72
○板倉政府参考人 家屋の評価方法ということでございます。
 家屋につきましては、現在、新築された家屋につきましては、それぞれの新築された年度におきます建築価格、これをベースにして評価をさせていただいております。
 さらに、評価がえのたびごとに、家屋につきましても評価がえという作業を行うわけでありますけれども、これは、例えば十年前に建った建物でありますと、これを今評価がえをいたします場合には、今の建築価格、いわゆる再建築価格と言っておりますが、今の建築価格で同じものを建てた場合に幾らになるんだということをベースにして評価をさせていただいております。
#73
○松野(頼)委員 再建築評価法という方法だと思うんですが、一方で、固定資産税には、土地に対する税、家屋に対する税、そしてもう一つ、償却資産というのがあるんですね。償却資産というのは、それぞれのものに耐用年数というのを決めまして、毎年毎年償却をさせていく。
 ただ、家屋に対しては、三十年、四十年、五十年たった家屋、建物でも、この再建築評価法というのがあるわけですから、全く下がらない。今その家を売ったとしても土地の値段だけで一銭も家の値段の価値はないんだというものでも、その再建築評価法という方法によってある程度の固定資産税の評価額がついてしまう、またそれに対して税金を取られる、こういう問題が起こっているんじゃないかと思うんですが、家屋に対しても償却の方法というのを、償却のやり方で毎年毎年価値を落としていくという考え方はないんでしょうか。
#74
○板倉政府参考人 先ほど言葉が足りませんでしたが、再建築費を見積もりまして、それに経過年数による損耗分といいましょうか、いわゆる減価償却的な考え方で評価をいたしております。そういうことで、家屋の評価をどういうふうにしていくか、御指摘のように償却資産と同じようにやるべきではないかとか、いろいろ御議論がございます。
 私どもも、現在の評価方法になって以来さまざまな局面でいろいろな議論がございますので、家屋についての評価はどういうよりベターな評価方法があるのかということをいろいろなことで検討はしてまいっておりますけれども、現時点では、償却資産についてはおっしゃるような減価償却の方式、取得価格をベースにしておりますので、これは最初がかなり、いわばまさしく時価ということになりますので、高い。今の家屋の評価方法は、最初はかなり低目の評価がつくということで、どちらが有利、不利ということはないのではないかというふうに思っておりますけれども、種々検討は重ねておりますけれども、私どもとしては、今の評価方法がいいのではないかというのが今のところの結論でございます。
#75
○松野(頼)委員 今のお答えは再建築評価法のことだと思いますけれども、何か家屋に対して償却をしているようなお話がありましたが、もう一回ちょっとそこのところをお教えください。
#76
○板倉政府参考人 例えば十年前の住宅を再評価いたします場合に、現在建てれば幾らになるかというところから、この十年分当然古くなっておりますから、要するにそれの十年分はこれだけ減価するという算式がございまして、それに基づいて一たん評価をいたします。
 ただ、従来から家屋については評価が下がらないといういろいろな御指摘があるのは承知しておりますが、これはなぜかと申しますと、これまで経済が非常に調子がよかった時代は、諸物価が高騰といいますか年々上がっておりまして、その結果、再建築費というのがかなり高くなる、それに例えば十年間のいわゆる経過年数の減を掛け合わせましても、今の評価額よりも高くなるというケースが大半でございます。その場合、本来ならば評価を上げなければならないわけでありますけれども、これにつきましては、なかなか、古くなった家の評価額が評価がえのたびに上がるということについては一般的な納税者の理解が得がたいというようなことがございまして、相当昔からここについては上がれば据え置きにするという形をとっておりましたので、大半の家屋が据え置きになってきたということでございます。
 ただし、最近におきまして、かなり建築物価が下落をしているということを反映いたしまして、ここ数年は、建った年度にもよりますけれども、かなり評価がえによりまして評価額が下がるという家屋も出てきております。
#77
○松野(頼)委員 ここに東京の実例の課税標準額というのが、平成六年から平成十二年までのものがございます。数字をちょっと拾ってみますと、まず家屋、八千四百万六千六百円から六年間全く動いていないんですよ。確かに皆さん税事務所に行ってお話を聞くと、何となく下がるんじゃないかなという雰囲気を持って帰る。また三年に一度の評価がえを見てみると、全く変わっていない。
 これは例えばの例ですが、ちょうどこの数字がありますので申し上げますと、土地に関しては、平成六年、三億九千四十四万八千二百円、次の平成七年、四億一千九百七十三万一千九百円、その次の平成八年、四億四千七十一万八千五百円、そこから平成十二年度までずっと変わっていないわけですよ。
 ですから、毎回税事務所に行って、どうなっているんですかと聞くと、何となく帰りには、来年は下がるんじゃないか、また来年は下がるんじゃないかと思いながら納税者は帰るんですが、逆に値上がりをしたり、再建築評価法、今御説明があったように若干ずつ償却をしていくというようなニュアンスにとれるんですが、一円たりとも全く動かないことはおかしいんじゃないかという思いがしているわけであります。
 地方財源の中で固定資産税は地方自治体の安定した財源でありまして、それによって各地方自治体が運営されているのはよくわかります。納税者の立場に立ちますと、自分の財産、要は財産税というものは当然払うべきものだと皆さんわかっているんですよ。ただ、これだけ地価が下がって、また価値が下がっている家に対して、全く税額が変わらないどころか、税額が上がっていくという、自分の財産の価値というものに対して、その金額に対して納得がいかない。勝手に、あなたの土地は幾らですよ、幾らだからこれだけの税金を払いなさい、払わなければ延滞します、延滞すれば一四%の延滞税をかけますよというこのやり方に、やはり納得がいかないのが納税者の気持ちなのではないかと思うわけです。
 次に、納税者の皆さんが納得をしない場合に、固定資産評価審査委員会という委員会を設けて、そこに不服審査を出しなさいと決めているわけでありますが、この固定資産評価審査委員会について、委員会の役割とまた構成について、自治省の方にお伺いしたいと思います。
#78
○板倉政府参考人 固定資産の価格、すなわち、一般には評価額と言われておりますが、この評価額を決定いたしますのは原則として市町村長ということになっております。
 ただ、課税客体となります固定資産の数が非常に多くて、また評価に相当高度の専門的知識が要るというようなことがありまして、市町村長の価格決定を補助する固定資産評価員という制度が一つ設けられております。これにつきましては、評価に関する知識及び経験を有する者のうちから、市町村長が当該市町村の議会の同意を得て選任をするということになっております。
 さらに、市町村長が決定をいたしましたその価格、評価額に不服があるという方につきましては、その不服を審査するための機関として、各市町村に、三名以上の委員で構成をされる固定資産評価審査委員会が設置をされることになっております。固定資産評価審査委員会の委員は、当該市町村の住民、市町村税の納税義務がある者、または固定資産の評価について学識経験を有する者のうちから、当該市町村の議会の同意を得て市町村長が選任をすることとされております。
 このような委員の選任の要件は、住民や納税者の代表によって不服の審査を行うという趣旨であるとともに、専門的な知識や経験を有する者を加えることによりまして、より公平で適切な審査を可能としようという趣旨ではないかと考えております。
#79
○松野(頼)委員 要は、構成は民間の有識者ということですね。お伺いします。
#80
○板倉政府参考人 もちろん、両方とも、今申しました要件に該当する方ということでございますから、特に固定資産評価審査委員会につきましては、実態的にも最近は例えば不動産鑑定士でありますとか弁護士、税理士、そういう方を選任する例も大変多くなっております。
#81
○松野(頼)委員 要は、納税者が自分の土地建物、財産に対して評価を下された場合に、この評価が適正に査定されるようにつくった委員会だと思うんですが、実際には、各市町村、例えば東京でいえば都税事務所、各県でいえばおのおのの税事務所の職員が、この固定資産評価審査委員会から委託を受けて、実際の評価額を決定している。もちろんこれは条例で定めてあるからいいんですよということを言われるんですけれども、この委員会の性格上、徴収する立場の人間が査定をしていたのでは、この委員会が全く有形無実なんじゃないか、何のための委員会があるんだという思いがするわけでありますが、いかがでしょうか。
#82
○板倉政府参考人 まず、評価をいたしまして評価額を決定する、価格を決定する、これは市町村長ということになっておりますので、基本的には、一般的にもいわゆる税の職員がこれを補助して行っているというのが実態であろうかと思います。
 ただ、他方、それに対して不服があるという方につきましては、何度も申しておりますが、固定資産評価審査委員会というところに不服申し立てをすることができることになっておりまして、ここの委員構成は、先ほど申しましたように、そういう民間のいろいろ学識経験のある方が多く入っておられますので、そこで御本人の不満等を審査していただく。こういう仕組みになっておるわけでございます。
#83
○松野(頼)委員 今の説明ですと、自分の財産に対して高過ぎる評価を加えられた、それで固定資産評価審査委員会に上程すると、またそこから委託を受けている各市町村等の税務担当者が来て、また査定をするという。それでは堂々めぐりじゃないですか。
 査定された金額を、不服ということを訴える機関、本来これが固定資産評価審査委員会なわけですよ。でも、その評価審査委員会が勝手に委託をして、もちろん条例に基づいているんですが、税事務所の税務官がまたそこで評価をすれば、それはもう余りにもお手盛りじゃないか。一体、では本当に自分の税額に対する不満をどこにぶつけたらいいんだというのが現状ではないかと思うんです。
 どうかその辺、もう時間が迫っていますので、改善をしていただきたい、きちっと納税者の声が、不満がそれによって納得のいくところまで引き下げられるようなシステムをどうかつくっていただきたい、これをお願い申し上げる次第であります。
 固定資産税は三年ごとの評価がえでありまして、ちょうど平成十二年に評価がえが行われる。ですから、この固定資産税の議論というのは次の評価がえの平成十五年までの間余りないと思うんですが、なぜここで今これだけこだわってこの税の問題をやっているかといいますと、今まさに議論をされている外形標準課税、これに絡んでくるわけであります。これだけ資産課税、固定資産税で重税感を持っている上に、外形標準課税が出てくれば、本当に地元の商店街、零細企業、中小企業は大打撃を受けてしまうんです。
 最後に通産大臣に、今まさに議論をされています外形標準課税、このことについて、導入をされるのかされないのか、されるといった場合に賛成なさるのかなさらないのかということを一言だけお伺いをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#84
○平沼国務大臣 いろいろ諸外国の経緯等も申し述べたいと思っておりますけれども、結論から言いますと、外形標準課税の導入は極めて慎重に対応しなければならない問題だと思っています。
#85
○松野(頼)委員 どうもありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。
#86
○古屋委員長 山内功君。
#87
○山内(功)委員 民主党の山内功でございます。
 通産大臣にお伺いしたいと思います。
 中小企業の経営者向けの災害補償を行っていましたKSDの古関前理事長が、業務上横領の疑いで逮捕されました。既に十月六日、東京地検特捜部が家宅捜索を行い、この間、マスコミを通じてさまざまな疑惑が次々と明らかになってきております。長引く不況の中で懸命に汗を流して働いている中小企業の皆様方の御苦労をよそに、KSDを私物化し、ぬれ手でアワの大金を調達しては特定の政治家や政党の支援に充てていた実態に、国民や中小企業者はあきれ、そして激しく怒っております。
 中小企業者らを対象にした公益法人が起こした事件であるだけに、今日は本委員会に労働省にも来ていただいて、質問することとしております。
 そこで、まず、日本経済の再建、中小企業の活性化を目指して取り組むべき責任官庁の通産大臣の立場から、今回の事件をどうとらえておられるのか、感想をお聞きしたいと思います。
#88
○平沼国務大臣 お答えいたします。
 中小企業を取り巻く状況というのは、一昨年の未曾有の貸し渋りの時期と比べれば、金融情勢は改善をしていると思っています。景気も緩やかな改善の傾向を示しておりますけれども、まだ厳しい状況から脱しておらない状況だ、こういう認識をしております。こういった中で、今回のような多数の中小企業経営者の期待を裏切るような、こういう事件が起こったということは、私は、いわゆる中小企業の行政を担当している責任者として、甚だ残念で遺憾なことだと思っております。
 事件の詳細につきましては現在司直の手にゆだねられているわけでございまして、コメントはその意味では差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、通産省といたしましては、今後とも中小企業の多様なニーズにこたえたきめ細かい支援を行って、その発展に全力を尽くしていかなければならない、しかし極めて遺憾な残念なことだ、こういうふうに思っております。
#89
○山内(功)委員 KSD問題では、監督官庁である労働省が適切な指導監督をしていたのかという点が一つの大きな論点になっております。
 労働省から指導監督の経緯についてまとめたペーパーを、皆様にもお配りしましたし、私が今持っておりますこのペーパーをもらいましたが、労働省に残る記録では、平成五年三月二十五日に立入検査、三十一日に労働基準局庶務課長名の文書を交付して指導して、続いて平成六年に、当時の伊藤労働基準局長が古関理事長に口頭で指導をしております。
 そこで伺いたいと思いますが、平成五年は立入検査までして、文書でも指導をしています。しかし、平成六年は口頭指導で済ませています。これはなぜでしょうか。特に、平成六年で指摘した公益法人の私物化、あるいは信用金庫法違反の疑いもある過剰な会員募集、あるいは監督官庁に対する高額の贈答などの方が根幹に触れる問題ではないかと思うんですが、なぜそちらの方を口頭指導で済ませたんでしょうか。
#90
○野寺政府参考人 平成六年のこの指導というのは、KSDの創業時に前理事長古関と一緒に仕事をしていた者からの指摘をいわば契機として、指導したわけでございます。この人間は、当時古関さんといさかいがございまして、この訴えの中にはかなり感情的な面もあるというふうに考えたところでございまして、そういったようないろいろな状況を考えまして口頭指導をしたというふうに承知しております。
 なお、先生御指摘のこの伊藤でございますが、その当時は審議官でございました。
#91
○山内(功)委員 では、伊藤審議官は、平成六年に皆様方が人に対して高額のお歳暮を受け取るのはやめようと、人にまで指導されるんだったら、公務員倫理法が制定されるまでの、平成六年からその制定時までのお歳暮も当然受け取っておられないでしょうね。
#92
○野寺政府参考人 伊藤がそういうことであったかどうか私は存じませんが、少なくとも公務員倫理法が制定された以降につきましては、これは確信を持って受け取っていないというふうに申し上げられると思います。
#93
○山内(功)委員 指導監督の経緯等のペーパーによりますと、さらに平成八年、九年ごろ、当時の伊藤局長から古関理事長に対して二度口頭だけの指導がなされています。公益法人所有のKSD会館を家族で自由に使っていたということに対する指導と、補助金使途の明確化の指導です。つまり、平成六年に私物化に対する指導をしてからまた二年後も、三年後にも全く同じ指導を行っています。なぜ、立入検査などを十分にして実態を確認する、それまで口頭指導で改善されていなかったんだから、なぜ文書で、もっと期限を切って指導されなかったんでしょうか。
#94
○野寺政府参考人 御指摘の平成八、九年ごろの指摘というのは、平成六年の指摘に比べますと、内容が違っております。
 その後、平成六年以降、KSD会館という問題が出てまいりまして、KSD会館を私物化しているのではないか、あるいは、平成六年には問題になっておりませんでした豊明会という任意団体がございますけれども、そちらに対するKSDの補助金の明確化といったような問題につきまして指導をしたわけでございますが、先ほど申しました平成六年に審議官であった伊藤が、このときは局長になっておりまして、そういう意味で、局長みずからKSDのトップを呼んで注意したということでございますので、KSD側としてもこれを真剣に受けとめるというふうに思ったわけでございます。したがいまして、口頭指導をしたということです。
#95
○山内(功)委員 平成十年七月、今度は文書で、評議員及び評議員会の設置などについて指導を行っておられます。
 評議員会の設置は、平成八年九月に閣議決定をされました公益法人の設立許可及び指導監督基準の中に、「財団法人には、原則として、評議員を置き、また、理事及び監事の選任機関並びに当該法人の重要事項の諮問機関として評議員会を置くこと。」と盛り込まれています。
 平成八年の閣議決定後、平成十年七月までなぜ二年間も放置してきたんでしょうか。
#96
○野寺政府参考人 御指摘の平成八年九月二十日の閣議決定、公益法人の設立許可及び指導監督基準でございますけれども、これはひとりKSDのみにかかわる問題ではございませんで、すべての公益法人にかかわるということでございましたので、平成八年の十月二十日付文書で、すべての公益法人に対しましてこの趣旨を伝達いたしたわけでございます。そういう意味では、これは文書指導を行ったということになります。
 さらに、同年の十二月十九日に、公益法人の指導監督に関します閣僚会議幹事会の申し合わせというものがなされておりますけれども、これに関しましても遵守をすべての公益法人に伝達しているわけでございます。
 さらに、平成十年七月には、常任理事についての寄附行為の申請の認可という手続がございましたが、この際にも同様の指導をしているわけでございます。
#97
○山内(功)委員 それじゃ、評議員会に限っても、今日現在、できているんですか。
#98
○野寺政府参考人 評議員会につきましては、ことしの八月の文書指導の中にも盛り込んでございましたが、その際に、可及的速やかに設けるということで、実は動き出していたわけでございます。その動き出している最中に今回のような事態になりましたので、現在、若干滞っておりますが、これは年内に必ずやできるというふうに確信いたしております。
#99
○山内(功)委員 現に、文書で指導しても評議員会はいまだにできていない。要は、労働省がなめられているということじゃないんでしょうか。
 文書の内容も、皆様にはお配りできていないけれども、書き方として、評議員会などの設置について、下記の点について御留意いただくようお願いしますという記載ですよ。何回言っても改善しないような問題法人に、閣議決定に基づき指導をする場合でも、御留意いただくようお願いしますというのではしようがないじゃないですか。全く及び腰だと思いますが、どうでしょうか。
#100
○野寺政府参考人 このKSDにつきまして、御指摘のとおり、過去たびたび指導をしているわけでございますが、全く私どもの指導を遵守していないということではなくて、それなりの努力をして改善を見た事項もございます。
 また、御指摘の文書ですが、この文書自身は、基本的にすべての公益法人を対象にいたしたわけでございますので、KSDのような問題法人だけを対象にした文書ではないわけです。さらに、KSDに関しましては、これに加えて口頭でいろいろなきつい指導をしている、こういうことでございます。
#101
○山内(功)委員 問題法人については特別な書き方が必要じゃないんでしょうか。
 政務次官にお聞きしたいと思います。立入調査の意義についてはどのようにお考えでしょうか。
#102
○釜本政務次官 的確に公益法人の運営状況を把握するとともに、適正に指導監督を行っていく観点から、立入検査をより積極的に実施すべく、その実施方法について適切に見直しを図ってまいりたいと考えております。
#103
○山内(功)委員 つまり、政務次官としても、向こうから上がってくる書面だけの調査よりも、立入調査の方が実態がよくわかるという御答弁だったと思います。
 総理府で出しております公益法人に関する年次報告、ここに立入検査の各省庁ごとの実施状況が書いてあります。
 これを見ますと、例えば、警察庁は八四%、農水省は六九%、最低は大蔵省で二・四%ですが、労働省は二・七%で、ブービー賞をとっています。二十三省庁中二十二位という成績でございます。ちなみに、平成七年から九年の三年間に少なくとも一回立入検査した法人数を所管法人数で割った数字でも八%で、法務省の七・四%に次ぐ低い率です。例えば、本委員会の所掌します通産省は上から十一番目ですけれども、それでも六五%もあります。
 実態をよりよく把握できる立入検査の実施率がどうしてこんなに低いのでしょうか。労働省の指導監督の構造的な甘さが図らずもこの調査に出ているのではないでしょうか。お答えください。
#104
○釜本政務次官 労働省所管の公益法人に対する立入調査の実施率が、他省庁と比べますと非常に低くなっていることは、ただいま御指摘のとおりでございます。今後におきまして、的確に公益法人の運営状況を把握するとともに、適正に指導監督を行っていく観点から、立入調査をより積極的に実施すべく、その実施方法等について適切に見直しを図ってまいりたいと考えております。
#105
○山内(功)委員 通産省にいただいた資料の中に、公益法人の業務監査に関する大臣名の内規がございます。これを見ますと、定期検査は、立入検査によりこれを行い、三年に一度は行うという内規になっています。ところが、労働省の同じ内規では、検査は書面審査または立入検査、それを三年に一度。実は、労働省の三年に一度というのは、書面検査でも立入検査でもどっちでもいいことになっているんです。だから、立ち入りの実施率が低くなるのは多分当然だと私も思います。
 いずれにせよ、今回の事件でこれまでの指導監督の甘さが問われたわけですから、これを契機に内規を改定するぐらいの明確な答弁と、立入検査を充実させる、そういう厳しい決意をお聞かせ願いたいと思います。
#106
○釜本政務次官 労働省といたしまして、これまでも、事業計画書等を毎年度提出させることにより公益法人の指導監督を行ってきたところでありますが、今般のKSDの事案については、その管理運営に問題があったものと真摯に受けとめております。
 このため、今後は公益法人に対する調査について立入検査を積極的に活用すべく、立入調査の方法を充実するとともに、その実施回数をふやすことなどを内容とする見直しを図ってまいりたいと考えております。
#107
○山内(功)委員 私が指摘させていただきたいのは、検査の回数を単にふやすということだけではないんです。逮捕事実となった、二十年も前から毎月定期的に百万円ずつ、それもKSD財団の通帳から引き出され、結果、女性に送金されていることを見抜けなかったということを反省していただきたい。これからはきちんと調べなければならないと考えておられるかどうか、その決意をお聞きしたいのです。
#108
○釜本政務次官 ただいま御指摘のとおり、指導実施回数をふやすとともに、その内容の見直しを図り、積極的に行ってまいるということでございます。
#109
○山内(功)委員 今月末の手形が落とせないというような中小企業者の生の声を私たちは聞いております。給料が年俸七千二百万、関連企業からも三千万、四千万と入る。そういう高給の実態をいつごろから把握されていたのでしょうか。
#110
○野寺政府参考人 事実関係であると思いますので、私の方からお答えさせていただきます。
 この公益法人の俸給でございますが、先ほど申しましたように、いろいろな報告書の中で、役員全体に対する俸給支払い額という形で私ども把握をいたしております。したがいまして、逆に申しますと、一人一人の役員が幾らもらっているというようないわばプライバシーに関する部分については立ち入らないということでございます。
 ただ、全体の俸給額を役員総数で割った場合に非常に高額になるという場合には問題があると思っておりますが、KSDに関しましては、役員全体の俸給額がたしか二億五、六千万だったと思います。役員数が二十三人でございますので、一人当たりにいたしますと一千万ちょっとという、それほど非常識な額ではないというふうに考えておりました。
 ところが、今回こういった事態になりまして、十月の初旬ぐらいでしょうか、KSDの方に特に報告を求めましたところ、御指摘のような金額ということであったわけでございます。
#111
○山内(功)委員 労働政務次官、今回の事件では、KSDが豊明会を隠れみのにして、混然一体となって、例えば週刊朝日の今週号によりますと、十九億円もの金が政界に流出したと指摘もされています。この記事の中で、検察幹部が、自民党の幽霊党員の金の流れについては押収した資料にはっきり数字が残っているから消しようがない、これについてもじっくりと捜査を進めてまいりますと書いてあります。いずれ捜査が進んで、疑惑の全容がはっきりすると思っております。
 問題は、KSDと豊明会が一体となっていた点です。この点について、文書のやりとりがございます。
 ことしの八月十日に、労働基準局長名でKSDに対して改善勧告書が交付されました。豊明会に対する補助金の使途が適切か、区分経理してあるか、組織、職員、場所が同一であるのは問題だよ、そういう指摘でございます。
 これに対してKSDは、九月八日付で、検査体制は充実させます、区分経理をことしから始めました、場所については、適当な移転候補地もないので当面はパーティションで仕切ります、そういう回答です。
 それに対して労働省は、九月の二十九日、労働基準局長名で、補助金についての検査結果を十月末までに報告せよ、豊明会との区分について十月末までに報告せよなどと文書を交付しておられます。
 KSDと豊明会は、組織ぐるみで混然一体となって政界工作をし、十九億円もの金を流し込んでいた。一連の労働省の指導、あるいは帳簿上のつじつまを合わせたり、審査体制を形だけつくらせたり、パーティションで区切らせたりするだけで、そんな形をつけるような指導だけでKSDの実態を正すことはできないと思うのですが、どうですか。
#112
○釜本政務次官 労働省といたしまして、本年五月十七日及び十八日にKSDの立入検査を行った際に、KSDとKSD豊明会が組織、職員及び場所について明確に区分されずに活動していたと認められたことから、KSDと豊明会の関係において、組織、職員及び場所について、ただいま委員が御指摘になりましたように明確に区分すること等の指導を行ってきたところであります。
 労働省が指導を行った事項については、KSDと豊明会の常勤の役員及び職員の兼務は解消されたと報告を受けていますが、ただいま御指摘のように、場所の区分については、本来は事務所フロアや建物を分離すべきものと考えるものの、当面の対応といたしましてパーティション等によって空間的、場所的に区分したとの報告を受けたところであります。いずれにせよ、KSDと豊明会との関係についての指導に関し、十分な是正が行われなかったことは、まことに極めて遺憾であります。
 なお、豊明会についてはこれを解散する等を内容とするKSDの改革方針が十月十八日に示されており、労働省としては、これをKSDが着実に実施し、公益法人として適正な運営が行われるよう厳しくこれから指導していく必要があると考えております。
#113
○山内(功)委員 九月二十九日に労働基準局長名で、十月末までに報告せよという文書指導をされましたが、KSD側からはそういう資料は全部出ているのですか。
#114
○野寺政府参考人 十月末日に出ております。
 ただ、これにつきまして、一部、私どもが考えておりましたような是正が十分図られていないというふうに考えられた部分につきまして、再度是正するように求めて、この是正するように求めた後の報告はまだ出ておりません。
#115
○山内(功)委員 先ほど労働政務次官がおっしゃいましたが、十一月十日に労働大臣がKSDの小山副理事長を呼んで指導されました。「KSDが十月十八日に発表した「改革方針」の内容を年内に着実に実施すること。」とありますが、これは、KSDが持ってきました十月十八日付の改革方針については労働省としては了解をしたというふうに受け取っていいのですか。政務次官に聞きます。
#116
○野寺政府参考人 事実関係だけ申し上げまして、もし必要でございますれば、その場合には政務次官の方からお願いしたいと思います。
 先ほどおっしゃいました十月十八日付のKSDの改革方針でございますけれども、これは表現によりましてはかなりあいまいな部分もございますし、そういう意味では、これがどういうふうに具体化されるかという意味で今後見守っていくということでございまして、これを労働省が了承するとか了承しないとか、そういった性格のものではないわけでございます。
 ただ、八月に文書で出しました改善勧告と重なる部分もございますので、そういう意味で、今後、このKSDがどういうふうにみずからの力で立ち直っていくのか、監督指導も含めまして厳しく見守っていく、こういうものでございます。
#117
○山内(功)委員 今言われた説明はおかしいと思います。
 皆様にお渡ししました三枚目のペーパーの大臣の指導事項の一で、改革方針の内容を年内に着実に実施してくださいよと指導されているわけです。それは何を指すかというと、その前のページの、KSDが持ってきた改革方針の内容について、それを年内に着実に実施しなさいよということですから、これは、KSDの持ってきた改革方針の内容について、それをきちんと年内に早急に実施してくださいということですよね。政務次官、どうですか。
#118
○野寺政府参考人 恐れ入ります、私の御説明に対する部分というふうに考えますので、若干、事実として御説明申し上げたいと思います。
 先生御指摘のKSDの改革方針、十月十八日付の中には、例えば、豊明会を解散し、KSDは一切の政治活動を行わないとか、特定の政党、政治家に対する支援も行わないといったようなことも含まれております。こういったようなことは基本的にこのKSDという公益法人を所管する労働大臣の指導権限の範囲外の問題であると思いますので、この改革方針全体について労働省がこれを追認するといったようなことではないということを申し上げたわけでございます。
#119
○山内(功)委員 では、個別に聞いていきます。
 労働政務次官、これまでの衆参の労働委員会での答弁をまとめますと、労働省としては、KSDは公益法人であり、労働省の所管で指導監督をしている。KSD豊明会の活動は、政治活動もしているが、任意団体であり、労働省は関係ない。KSDから豊明会に流れている補助金については、使途について不明瞭な点があるから、区分をして明確にするよう指導している。豊明会からの政治献金は、豊明会会員の負担金の分から支出したのであり、KSDの補助金は使われていないと報告を受けている。大体こういう御見解でいいんでしょうか。
#120
○釜本政務次官 そのとおりでございます。
#121
○山内(功)委員 そうすると、配付しましたペーパーの二枚目のKSD側から出た書面を見ていただきたいと思います。
 KSDの改革方針の第二項、豊明会を解散し、KSDは一切の政治活動は行わない、また、特定の政党、政治家に対する支援も行わないとあります。これはKSDから出ている書面ですし、KSD自体が、今まで政治活動を行ってきた、特定政党、政治家を支援してきた、御迷惑をかけたのでもうしませんという反省の文章ではないのでしょうか。
 労働省がこれまで答弁してきたこと、つまり、政治活動は豊明会の方であり労働省とは関係ないということとは違うと思うのですが、どうでしょうか。
#122
○釜本政務次官 KSDの改革方針は、KSDが特定の政党や政治家に深くかかわっているのではないかという社会的な疑念が広まっていることから、社会的な信頼の回復に全力を挙げて取り組むため、今後のKSDの理念として意図を表明したものと理解しております。
#123
○山内(功)委員 理念を書いたとは到底読めません。どう読んでも、マスコミなどでこれまでさまざま指摘された実態を認め、今後は刷新してまいりますという誓約文だと思います。
 次に、改革方針の第三項、会員親睦と地道な福利厚生事業の推進のため新たな体制をつくることとし、KSDからの補助金は支出しない。この記載については、家宅捜索されたり逮捕される前にどうしてそういう指導ができなかったんでしょうか。
 また、改革方針の第四項では、関連会社の役員など一切の役員から同族色を排除するよう強く要請する。第五項では、関連会社などとの関係については、KSD本体への吸収を含めて見直します。第七項では、会員等に対し透明性を確保するために運営についての情報の開示を徹底します。これらはごくごく常識的なことだと思いますが、どうしてこれまでそういう方向で労働省としては指導ができなかったんでしょうか。
#124
○野寺政府参考人 いろいろ御指摘でございますが、例えば関連会社といったようなものを取り上げますと、関連会社というのは、そもそも公益法人を認可する労働省の管轄権限の範囲外のことでございます。例えば、KSDという事業をやる団体が何かをやる、その関係でいろいろな民間企業と密接な商取引なりなんなり事業活動を営むということは当然あるわけでございます。そういった取引先あるいは事業提携先の相手の中身まで労働省が立ち入るというのは、これは権限外でございます。
 あるいはまた、同族色を排するといったような問題を取り上げましても、同族であるから直ちにいけないといったようなことには必ずしもならないと思います。同族であってもなおかつ非常にその公益法人に実質的な貢献をなさっている方も、もちろんいらっしゃるわけでございます。
 あるいはまた、豊明会そのものでございますけれども、豊明会はもともと、KSDの福利厚生事業そのものを基本的に請け負ってやる、こういう趣旨を設立の段階から非常に強く持っているわけでございまして、そういう意味で福利厚生事業の部分に関しては確かにKSDのお金でやっているわけですけれども、KSDと密接な関連はあるとはいえあくまでも別の任意団体ということでございまして、いろいろ先生のお考えはあろうかと思うんですけれども、公益法人KSDそれ自体を所管する労働省として、管轄権限外のことにつきましては労働省は基本的にいろいろ申すことはできないということをおわかりいただきたいと思います。
#125
○山内(功)委員 政務次官。大臣の指導の中に、改革方針の一と二と三については年内に着実に実施するというような書き方がないんですよ。個別具体的に、何項については関与しないよという書き方はしていないんですよ。つまり、KSDが出した書面について、できるところは年内に頑張ってやってくださいという大臣の指導じゃないんでしょうか。
 第六項について、KSD会館などは処分を図るとの記載がございますね。労働省としても不動産登記簿を見られたと思いますが、KSD会館の二階、まあ地下一階からいうと三階部分ですね、そこのほとんどが古関親子の所有名義なんです。かつ、古関一族が六人住んでいるんですよ。それを除いたほかの部分を売りに出します、買い手を探します、こういう改善策が現実的なものと思われますか。
#126
○釜本政務次官 ただいま御指摘のように、当該不動産につきましては私有地部分があることから、必ずしも売却が容易ではないとも考えられますが、当該不動産の売却は、公私混同して使用されていたKSD会館を処分することにより前理事長による財団の私物化を正そうとするKSDの決意のあらわれと理解されるものであり、労働省といたしまして、KSD会館の売却のための所要の手続を速やかに進めていくことが重要である、このように考えております。
#127
○山内(功)委員 では、別の角度から質問をさせていただきます。
 自民党の機関紙「自由民主」に対してのKSDの広告掲載についてお伺いいたします。
 「自由民主」に対して、それが自由新報という時代からだったかどうかわからないんですが、掲載期間、回数、掲載料としてKSDが支出した金額など、十分な調査はなされたのでしょうか。
#128
○野寺政府参考人 KSDという事業を営む団体が事業の広告を行う、会員をふやす、そういったPRをするのは、いわば当然のことでございまして、どこの広告会社あるいは広告メディアにどのように依頼したか、そういった詳細については当方が立ち入るべき問題ではないというふうに考えております。
#129
○山内(功)委員 労働政務次官は、特定政党機関紙への広告掲載について、公益法人が広告宣伝を出しているわけですが、公益法人を指導監督する立場としてはどのような認識を持っておられますか。
#130
○釜本政務次官 KSDがその事業を拡大するために広報活動を行うことは当然だと考えられますが、どのような広告先とするかについてはKSD自体が判断することと考えています。なお、申し上げますが、「自由民主」への広告掲載は現在は行われていないというように聞いております。
#131
○山内(功)委員 一九九六年から調査しましたが、九六年に十二回、九七年に十八回、九八年二十五回、九九年三十六回、そして二〇〇〇年は、家宅捜索のなされたころ、十月十日号までで三十回、一九九六年からしても五年間で百二十一回掲載しています。しかも、年々掲載頻度が上がり、ことしは週一回、同紙にほぼ毎号掲載しています。このような必要性があるのですか。朝日新聞の報道によれば、九九年、二〇〇〇年度とも「自由民主」への広告予算はそれぞれ七千八百万円でした。形を変えた政治献金だと言う人もいます。
 普通の企業ならまだしも、税制で優遇措置を受けている公益法人の行為としてはやはり尋常ではない、そう思います。実態を把握した上で指導すべきだったのではないでしょうか、政務次官。
#132
○釜本政務次官 どのような広告先とするかについてはKSD自体が判断するということでございますので、労働省といたしまして、これについてとかく申し上げるということはできないというぐあいに思います。
#133
○山内(功)委員 年間二百五十億集めて、そのうちの三割ぐらいしか災害補償に使っていないわけですよ。共済だったら、二千円集めてそんなに余るんだったら、割り戻しをするぐらいのことが必要だと思いますよ。あるいは、月に二千円集めているところは千五百円にしてもいい、それぐらいの潤沢な資産があるじゃないですか。私は、こんなにも広告宣伝費を使うことというのは全く意味がない、そう思っています。
 次に、総理府にお伺いしたいと思います。
 公益法人とは、非営利で、公益に関する社団または財団のことをいいます。公益に関する財団だということで、税制上も優遇措置がとられています。平成八年閣議決定の指導監督基準では、同窓会などは公益とは認めません、後援会など特定個人の精神的、経済的支援を目的とするものは公益法人として適当ではありませんと記載されています。しかし、なぜ特定政党を支援する目的のものは適当ではないとしなかったんでしょうか。公益法人のあり方として問題だと思うのですが、総理府の御見解をお願いします。
#134
○坂東政府参考人 お答えいたします。
 公益法人の設立許可及び指導監督基準は、民法に基づき設立された公益法人に対し主務官庁が行う指導監督に関して定めたものであり、公益法人は不特定多数の者の利益の実現を目的とするものであるとの観点から、同基準においては、後援会等特定個人の精神的、経済的支援を目的とするものは公益法人として適当ではないとしていますが、その政治活動については、公益法人であること自体により禁止されるものではないと承知しております。
 公益法人の政治活動について種々議論があることは承知しておりますが、いずれにせよ、公益法人の業務運営に当たっては、設立目的に沿った適正な運営がなされるべきと考えております。
#135
○山内(功)委員 はい、わかりました。
 労働政務次官にお伺いしたいと思います。私は、実態として特定個人だけでなく特定政党を支援している団体は、税制面で優遇措置を受ける公益法人である以上、そのようなことは適当ではないと考えています。
 今回のKSD事件は、理事長の財団私物化が極限にまで達して、週刊誌ネタにもなる。極端に高額の給料をもらい、会館の私物化、そして愛人が登場してきます。業務上横領とか背任とか、さまざまな容疑が指摘されている財団です。しかし、逆に、今の法令や指導監督基準を前提にした場合、そうしたぼろを出さなければ、うまくやれば、帳簿上つじつまを合わせ、余りむちゃな私物化をしなければ、そして組織ぐるみで口裏を合わせれば、問題は発覚しなかったかもしれません。
 つまり、指導監督基準そのものを洗い直して、公益法人のあり方についていま一度議論する必要があるのではないかと思うんですが、政務次官の考えをお聞きしたいと思います。
#136
○釜本政務次官 今般のKSDの事案にかんがみ、労働省といたしまして、今後このような事案が再び生ずることのないよう、公益法人に対する立入調査の内容の充実、回数の増加や、公益法人担当職員に対する研修の実施等について早急に検討し、定期検査等指導監督をより厳格かつ効果的に行うことにより、公益法人の適正な運営に万全を期してまいりたい、このように考えております。
#137
○山内(功)委員 そういう省としての自助努力はもちろん大切ですが、関係閣僚会議の開催を求めて、従来の全省庁にわたる指導監督のあり方についてもっと厳しくするよう見直すべきお考えはないかどうか、お聞きしたいと思います。
#138
○釜本政務次官 閣僚会議は労働省の所管でもございませんし、労働省といたしましては、今後このようなことがないようにしっかりと監督していきたい、このように考えております。
#139
○山内(功)委員 通産大臣にお伺いしたいと思いますが、通産省は約九百ぐらい公益法人を指導監督しておられます。労働省のようないわば甘い、及び腰の指導監督ではなくて、通産省では適切に行っておられるのでしょうか。
#140
○平沼国務大臣 山内委員御指摘のとおり、我が省には八百九十の公益法人がございます。その公益法人については、業務を適切なものとしていくため、御承知のように、平成八年九月に閣議決定された公益法人の設立許可及び指導監督基準に基づき指導監督を行ってきております。
 具体的には、各公益法人に対して、毎年度の事業報告書、収支決算書等の書類の提出を求めまして、事業、経理等のチェックを行っております。また、公益法人の監査等に関する規程を定めまして、これに基づき、おおむね三年ごとに公益法人の事務所等に立ち入り、事業内容、収支予算、決算、財産の状況、役員、評議員等の状況などについて検査を行っております。通産省としては、平成十一年度には二百十三法人に対し立入検査を実施いたしました。
 先ほど山内委員から、通産省のデータとして六割強、こういうお話もございましたけれども、そういった形で立入検査を実施し、さらに必要に応じまして随時ヒアリング等を行い、公益法人の事業の実施状況等の把握に努めておるところであります。
 こうした検査等の結果、指導監督基準に照らして不適切な事項があった場合には、口頭または文書によりその改善を指導しているところでございまして、今回のKSDのような、非常に、ある意味では忌まわしい、そういう事件が起こったことにかんがみ、我が省としましてはさらに徹底してこの公益法人の監督指導を行ってまいりたい、このように思っております。
#141
○山内(功)委員 KSDから労働省の幹部に対して、毎年二万七千円とか九千円とかの贈答品が贈られていた。KSDの理事長を初め、他の役職員の中にも労働基準監督官の先輩がおられる。私から見ても、重要な指導監督事項についても口頭で済ます、そういう労働省の態度が今回のKSDの事件を引き起こしたと思っております。
 今、通産大臣がおっしゃいましたが、通産省の所管する公益法人も、実は随分たくさんのOBの方が天下りをしておられます。大なり小なり、KSDのような、幽霊党員を集めたり、特定政党の支援、特定政治家の支援が行われている例も枚挙にいとまがないという指摘もございます。
 今日は時間もないのでこれ以上お聞きはいたしませんが、公益法人の原点に立った活動をするように、適切な、適正な指導監督をして、特に、特定政党や政治家への支援行為、政治献金、これらについては、国民の厳しい世論も踏まえまして、適正な指導監督をしていただきたいと考えています。
 最後にもう一度、通産大臣の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#142
○平沼国務大臣 公益法人による特定政党や政治家への支援については、政治資金規正法上、政治活動に関する寄附をすることについて、公益法人であること自体による制限は、御承知のように設けられておりません。なお、同法においては、国から直接補助金等を受けている法人は、交付決定後一年間は政治活動に関する寄附をしてはならない、こういうふうに規定しております。
 公益法人の政治関連の活動に関してはさまざまな考え方があるものと思っておりますが、所管官庁がこうした活動に対して指導監督を行うことについては、民間の政治的活動の自由の問題との関係があり、政治活動全般をとらえてこれを規制するという点については慎重に考えることが必要だと思っておりますけれども、ただし、公益法人は不特定多数の者の利益の実現を目指すものであり、後援会等、特定個人の精神的、経済的支援を目的とするものは公益法人として行うことは適切でない、慎重を期していくべきだ、こういうふうに思っております。
#143
○山内(功)委員 どうもありがとうございました。
#144
○古屋委員長 達増拓也君。
#145
○達増委員 まず最初に、前回の商工委員会で審議されました書面一括法に関しまして、やり残した質問をさせていただきたいと思います。
 電子商取引の推進に当たりまして、書面一括法、これで、民と民の間、契約のときの書面交付などについては一気に電子化が認められたわけでありますけれども、電子商取引を推進していくに当たっては、もう一つ、民と官の間の書面についても電子化を認めていかなければならないと思います。
 民から官への約一万件の申請手続について書面が義務づけられていると聞いておりますが、こうした点について、インターネットを利用した申請手続をどう進めていくのか、政府に伺いたいと思います。
#146
○藤井政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘の政府と国民との間のオンライン化の問題につきましては、本年三月に、電子化推進のための基本的枠組みというのを政府としてつくってございます。これに基づいて、各省庁がアクションプランをつくっていただいて、それで推進するという形になってございますが、まさに委員御指摘のとおり、平成十五年度までに、その約一万件の行政手続のうちのほとんど、今のところ九四%ぐらい、これをオンライン化する予定でございます。
 加えて、今回アクションプランの検討過程で、オンライン化を推進するに当たって、障害となるようないろいろなことがあったわけでございます。例えば、申請書等への添付、公的な機関あるいは民間の機関から証明書のたぐいを添付するというような場合、そういったものも電子化をしなければいけないとか、そういう問題だけじゃなくて技術的な問題などもございましたものですから、その解決自体、今年度内に結論を得まして、さらにその結論を踏まえた上で現行のアクションプランというものを見直していただいて、新たなアクションプランを来年の春から夏にかけて各省庁につくっていただくということで推進していくという方針でいるところでございます。
#147
○達増委員 対官公庁、公的機関等への書面の電子化というのは、総理大臣官邸ホームページに設けられたパブリックコメントにも寄せられた要望でありまして、やはり電子商取引推進に当たっては非常に重要だと思います。たくさんの官庁にかかわることでありますので、難しいこともあるかもしれませんが、書面一括法のときにやったような、やはり政府全体として思い切った改革をやっていくということが特に必要な分野だと思います。
 次に、もう一つ書面一括法関連でありますけれども、書面一括法では、中小企業組合についての総会の意思決定等に関する電子化が認められたわけでありますけれども、同様な改革が株主総会についても必要なのではないか。そういう民間の企業の意思決定、この部分に電子化を進めていくことについては商法の改正なども必要になってくると思いますが、この点、政府に伺いたいと思います。
#148
○小池政府参考人 法務省におきましては、現在、会社法の全面的な見直しの作業に着手しております。その見直しの視点の一つに、高度情報化社会への対応ということを掲げておりまして、その中では、株主総会の運営のあり方についても一つの論点として考えているところでございます。
 先生御指摘の株主総会の通知に関するメール化、現在は書面でございますので、これをインターネットというような電子的な方法を通じて行うようにするかという問題につきましても、一つの検討対象として俎上にのっているところでございます。
 いずれにしましても、今後、実務界等の意見を十分お聞きし、かつ法制審議会の審議も踏まえまして、鋭意検討してまいりたいというふうに思っております。
#149
○達増委員 法制審議会の手続、ともすれば慎重に過ぎる嫌い、つまり時間がかかり過ぎる嫌いが見受けられますので、これは非常にスピードが重要な分野ですので、その点留意して取り組んでいくことが必要と考えます。
 さて次に、中心市街地活性化関係の質問をさせていただきたいと思います。
 平成十年の中心市街地活性化法の成立によりまして、商店街振興や町づくりといったことが新しいスキームのもとで取り組まれるようになったわけであります。その新しいスキームは、経済構造改革のための一環でもありますし、ひいては、地方の商店街から、また地方の中小企業から日本の経済を回復させていこう、そういう経済の活性化のためのものであったとも思います。
 そこで、二年半たっておりますが、中心市街地活性化法関係諸施策の進捗状況、特にこのスキームの中核であるTMOの立ち上がり状況について伺いたいと思います。
#150
○平沼国務大臣 お答えいたします。
 委員御指摘のように、中心市街地活性化法から約二年余りが経過をいたしました。現在、約三百五十の市町村において基本計画が提出されております。また、今御指摘の町づくりの機関、TMOにつきましても、百件を超えるTMO構想が市町村により認定されるに至りました。
 これまでの進捗状況を見ますと、各省庁の支援策をうまく組み合わせて効果的に活性化事業を行うことにより成果を上げつつある市町村もあります一方で、一部市町村においては、合意形成不足などの理由から、具体的な事業実施に結びついていないところもあると承知をいたしております。本年二月、アンケート調査をいたしましたところ、どちらかといえば順調に推移している、こういうのが五割でございまして、どちらかといえば順調でないという答えが約一五%ありました。そういう問題もあることは事実であります。
 このような中で、市町村に対するヒアリング調査を本年の四月に実施いたしましたところ、一つとしては、国の支援等実施に係る関係省庁の連携を強化してほしい、それから二つは、もっと情報提供を充実してほしいといった点に強い要望が寄せられました。
 これまで政府といたしましては、各省統一窓口である中心市街地活性化推進室を設けまして、市町村からの相談への対応、情報提供に努めてきたところであります。
 今後はさらに、中心市街地活性化事業の本格化が見込まれる中で、これらの課題や要望をよく踏まえまして、各市町村における活性化事業が円滑かつ効果的に実施されるよう、各省連携のもとに、一番目としましては、個々の市町村の活性化の取り組みに対しその評価を行わせていただいて、必ずしも成功していないところには、その要因を分析しつつ助言を行っていきたいと思っておりますし、二番目として、それらを通じて収集される成功事例などについては、効果的な情報の提供にきめ細かく努めてまいり、支援を引き続き力強く行わせていただきたい、このように思っております。
#151
○達増委員 この中心市街地活性化のスキームは、まず国が基本方針を策定し、そして市町村が基本計画を策定する。そしてその市町村の基本計画に沿った形で、町づくり機関、タウン・マネジメント・オーガニゼーション、略してTMOのようなものをつくり、そして支援が実施されていくということで、TMOができなければ全体スキームが成立しないわけであります。
 今御答弁いただいたように、市町村の基本計画でさえまだ三百四十余りのところしかできておらず、TMOの立ち上げ状況については、平成十二年、ことしの九月の時点で百二件ということであります。平成十年十月九日に、認定第一号、岩手県遠野市の遠野商工会が認定されてから、まだ百二件。全国に市町村が三千三百あることを考えると、当初の期待どおりにはなかなか進んでいないのかなということなんだと思います。もちろん、三千三百の市町村という体制自体、これはまた別なところで見直しが進み、合併が促されているわけでありまして、こういう町づくり、中心市街地活性化を強力に進めるためにも市町村合併ということが重要なんだと思いますという議論は別にあるわけであります。
 特に、この中心市街地活性化のスキームの関連としては、答弁にもあったように、いろいろな商工会議所、商工会、そういった団体からさまざまな要望が寄せられているところで、私も具体的には、そのTMOの運営の経費ですとかあるいは人材について、これはもうちょっと強力な支援がないとなかなか大変だという話を商工会議所や商工会の関係者から聞いているところなんでありますけれども、その辺について、具体的な支援策を政府の方に伺いたいと思います。
#152
○平沼国務大臣 達増委員御指摘のとおり、TMOに関しましては、三千二百以上ある市町村からまだ百余りしか上がってきていない、これは現実の数字だと思っております。
 先ほど申し上げましたように、中心市街地活性化から二年余りが経過してまだ百余りという形でございますけれども、TMOというのは、御承知のように、中心市街地の商業全体を一体としてとらえまして、中心市街地における商業の総合的かつ計画的な活性化を図る役割を担っているわけであります。そのためにはすぐれた企画力が必要であり、人材の確保、組織の整備などが課題なわけであります。
 中心市街地における商業集積の一体的かつ計画的な整備の企画、調整、実施する機関として、市町村が中心市街地活性化法に基づき認定する機関が、十一月十六日までにおいて、商工会、商工会議所、第三セクター、合計で百七存在するに至りました。
 このため、通産省におきましては、TMO構想の策定・コンセンサス形成事業への補助をしよう、またTMOに対する専門家派遣等を通じた人材面での支援をしよう、またTMOが実施するソフト、ハード事業への補助をしていこうという各種の支援措置を講じているところでございます。
 さらに、平成十三年度概算要求においては、TMOに対する専門家派遣制度の強化、それからTMO構想の診断評価制度の創設、それから、つきものでございますけれども、駐車場経営あるいは特産品販売等TMOの経営基盤の確立のための事業への支援の創設等、TMOに対する支援の強化策を盛り込ませていただきました。
 今後とも、これらの支援策の効果的な推進に努めてまいりたい、このように思っております。
#153
○達増委員 今、各種団体が国に対する要望を年に一度取りまとめるシーズンでありますけれども、商工会議所、中小企業団体、商店街振興組合そして商工会、こうした団体の取りまとめる要望の中にTMOという言葉はきちんと入ってまいりまして、私も、法律ができたとき、TMOというアルファベット三文字がきちんと定着するかどうかは心配だったところもあるんですけれども、本当に全国津々浦々までそのTMOという言葉はもう浸透しているんだと思います。関心も高く、うまくやりたいという気持ちは本当に広くあると思いますので、うまくそれを形にしていくための支援、これが肝要だと思いますので、その点、留意を願いたいと思います。
 さて、次のテーマでありますけれども、国民生活白書、ことしのものが出ました。「ボランティアが深める好縁」というタイトルがついておりまして、ボランティア、NPO特集がなされております。これは非常に時宜を得た特集だと思っておりまして、今の日本の経済社会の構造改革を進めていくに当たって、ボランティアやNPOが果たす役割というのは非常に重要であると思っております。
 特に、白書の中では、寄附金について、あるいは寄附という行為について、非常にページを割いて書かれている。それは第三章のところですね、「寄付の活性化に向けて」と一つの章を立てている。それに加えて、第五章、NPOの中でも、アメリカにおける寄附の例について詳しい分析を展開し、また第二部、こちらは家計を分析するまた別の部なのでありますけれども、その第二部第四章の中でも、家計の分析の中で寄附のあり方について述べて、分析をしている。
 ボランティアやNPO、そういった活動に対してスムーズに寄附が行われていくような方向にうまく誘導していくことが非常に重要だと思います。ボランティアあるいはNPOに対する寄附金の税制上の優遇、これが非常に大きいテーマだと思うんですが、この点について、この白書を取りまとめられた経済企画庁長官、どのような考えをお持ちかどうか、伺いたいと思います。
#154
○堺屋国務大臣 NPOは、個人の自己実現意欲を生かしながら国民の多様なニーズにこたえていく仕組みとして、今後、日本の経済社会の中でますます重要な役割を果たしていくものと思っております。しかしながら、非営利法人の常といたしまして、多くの団体は財政的基盤が弱いということが大きな問題になっておりまして、その大半を寄附で賄うというのが実態のところが多いようでございます。
 このため、一定の要件を満たしましたNPO、特定非営利活動法人、これを略して適格NPO、こう呼んでおりますけれども、これに寄附を行った個人及び法人に対して所得控除または損金算入ができるような措置を講じられるように、平成十三年度の税制改正で、大蔵省及び自治省に対して要望を出しているところでございます。
#155
○達増委員 国会の方でも、来年の通常国会、税制の改正の議論の中で、このNPO支援税制、寄附金の税制上の優遇について議論していかなければならないと思っておりまして、国会議員の中でも、NPO議員連盟というものができております。
 超党派の議員連盟でありまして、加藤紘一会長のもとで、日本の経済社会の抜本的な改革を進めるため、みんなで一丸となって頑張っているところでありまして、この寄附金の税制上の優遇、またNPOの法人自体としての課税についても減免を取り入れていく、そういうNPO支援税制、これをぜひ来年度予算の中に、来年度に向けた税制改正の中に入れていかなければならないということで、加藤紘一会長を先頭にして頑張っているところであります。
 さて、このボランティアについてでありますけれども、白書の第四章のところでは「ITからみた交流とボランティア」ということで、IT革命とこういうボランティア、NPO活動の推進を関連づけた分析が展開されているわけであります。これはまさにIT担当大臣にもなられた長官が、特に好縁社会という言葉も長官の言葉と承知しております。こういうボランティア活動とITの関係について、特に、そういう経企庁長官であり、IT担当大臣でもある長官から、その認識、現状認識を伺いたいと思います。
#156
○堺屋国務大臣 IT、特にインターネットというのは、非常に広範囲に多くの人々の情報をつなぎ、また人と人との関係を深める効果があります。各人がみずから興味を持っていることを発信し、受信することによりまして、好みにつながる縁ができていく。そして、そういったものの中に、極めて重要なものとしてボランティア活動というのがございます。
 ボランティア活動は、一方においては、社会に役に立とうという他利的な、世間を助けるという意識もございますが、一方においては、自分の意思を達成し、自己表現をするというようなところもございます。そういう同じ志を持った人たちがITによってつながりまして、そして自己実現をし、他人のためにも役に立ち、そういったことで社会の、国家や自治体あるいは企業が満たし得ないような、そういったさまざまな流動的な需要にこたえていく、これによってみずからが満足を得、互いの協力を得る。
 こういうボランティア活動、NPO活動をするときに、ITが非常に大きな役割を果たすであろう。アメリカでもそうでございますし、国際的にもそういうことが起こってきておりますが、今後の社会ではますますこれが重要な役割を果たすであろうと考えております。そういう意味で、NPOの活動とITの普及というのは密接な関係があると考えています。
#157
○達増委員 自由党も、さきの衆議院議員選挙の際の公約の中で、はっきりと、NPO支援税制、寄附等に関する税制上の優遇をしていかなければならないと主張いたしました。また、そのときの公約には、IT関連で、全国民にインターネット接続の携帯端末を無償で配付するということを訴えたわけであります。
 やはりITもボランティアも、個人の自立を促して、自立した個人が地域や職場といったところを舞台にしながら、自立した企業、自立した地域、そして自立した国をつくっていく、そういう日本一新のビジョンの中でも、このボランティアの活動、NPOといった活動、そしてIT、関連づけて取り組んでいくべきというふうに考えているところでございます。
 さて、国民生活白書の中でこのITとボランティアの関係を述べた部分の中に、地域通貨のことが出てまいります。
 この地域通貨、我が国でまだ一般には広く知られてはいないのかなと思いますけれども、最近、それを紹介する本がどんどん出たり、新聞の書評欄にも取り上げられたりしておりまして、知っている人は知っている、注目し始めた人たちは非常に強く関心を高めているのがこの地域通貨だと思います。
 白書作成に当たっていろいろ調べられたと思いますけれども、我が国における地域通貨活動の現状について伺いたいと思います。
#158
○堺屋国務大臣 地域の活性化や町づくりなどを目的として、多くの地域でいわゆる地域通貨というのが導入をされてまいりました。
 この目的の一つは、円、日本のお金、普通のお金では評価しにくいボランティアのサービスというようなものを、地域通貨を媒介として、それによって、役に立った、ボランティアしたものだけまたもらうというような取引といいますか、回転、循環が試みられるということです。
 具体的には、ボランティアサービスを受け取る人は、対価といたしまして地域通貨を支払う、地域通貨を受け取った人は、それと引きかえに希望するサービスをもらえるということでございますが、現在では、北海道の栗山町、千葉市、多摩ニュータウン、それから滋賀県の草津市などの事例がよく新聞その他に紹介されております。
 そのほか、既に二十ほどの地域で行われているようでございますけれども、この発行と回収とをうまくやるという、なかなかそのあたりの管理といいますか、これがインフレ、過剰通貨になったりすることがございますので、その辺の仕組みがかなり経験が要るようでございます。これからこういったものがもっとふえ、かつ有効に、トラブルなくできればいいことだなと期待しております。
#159
○達増委員 自由党の中で、このIT革命という流れの中で、自立した個人がつくる自立した地域、こういうものをうまくつくっていくためにどうしたらいいかという議論をする中で、この地域通貨というものが非常に有効なのではないかと今議論されているところであります。
 そもそも、今の日本のこの経済状況を打開していくためにも、円だけに頼っていれば、円を獲得するための働き口がなかなか見つからないということで体を動かさないままでいる人たちが、とにかく体を動かせば、そこで地域通貨、地域で一定の円にかわる収入を得ることができる。体を動かして何か人のためになることをすれば、これは肩たたき券のような発想なんでありますけれども、ただ、肩たたきでは子供のお手伝いですけれども、これが、介護ですとか、お金のやりくりとか、どのようにきちんとサービスを提供できる体制をつくるか、そういう今非常に国家的な課題であるところにもこの地域通貨が非常に役に立つのだと思っております。
 そもそも貨幣といいますのは、一種の情報の媒体、メディアではないかと考えておりまして、価格というものは、消費者の選好、そして生産者側の生産のいろいろなコストとか、そういったつくる側、買う側のそれぞれの情報が詰まったものが価格であり、そしてそういう情報を媒介するのが貨幣なんでありましょうが、ITが非常に発達し、そのつくる側の事情、買う側の事情というものをきめ細かく情報交換できるようになれば、必ずしもそういう円というような通貨がなくても、サービスや商品、財というものをうまく交換できるようになるのではないかというふうに考えております。
 経済理論では、そういう市場と互酬経済というのを明確に区別するような議論が今まであったのですが、これがどんどん接近していくのではないかと考えております。
 例えば、この夏、商工委員会の視察で愛知県、岐阜県を訪れまして、瀬戸、多治見、東濃地域等で陶器、陶磁器をつくっていらっしゃる方々にいろいろな話を聞いた際、外国から安い物がどんどん入ってきて、なかなか地元でつくったいい物が国内で売れなくなって困っているという話を聞きましたが、実は、同じような話を私は岩手県の地元で農家からよく聞いているわけであります。一生懸命つくった農作物、しかし外国から安い物が入ってきて売れない。
 お互い離れたところにいてその事情を知らないでいるわけでありまして、結果として、瀬戸、多治見の陶磁器をつくっている人たちが、余りそれが売れなくて収入が入らないから、仕方がない、安い外国の農産物を買う。一方、岩手県の農家が、農産物が売れなくて仕方がないから安い外国製の陶磁器を買う。こういう悪循環が実は今日本の中にあるのではないかな。
 お互いがお互いを知り合うことで、いっそ物々交換してしまえば、お互いいい物を食べ、いい物を使うことができるわけでありまして、そういった情報の交換、媒介にこのITというものが非常に役に立つのではないかと考えております。
 軌道に乗れば、将来、銀行でありますとか、今のようなあり方ではなくなって、極端を言うと銀行も要らないとか、また、中央から地方に向かっていろいろ補助金や公共事業が、お金が流れていくような、そういう構造自体を根本から変える可能性をも秘めていると思います。
 そこまでいかなくても、今地域でなかなか働くチャンスがない、また欲しいと思っている物が手に入らない、一方では、いろいろな今すぐ使わないものがあって、だれかに使ってもらえればいいのにな、そういう、一つ一つは小さい経済価値、経済体なんでしょうが、そういうものを結びつけることによって、今の日本の経済社会の状況を打開していく、少なくともそういう確実な可能性を秘めていると思います。
 特にそういう将来性について、長官に伺いたいと思います。
#160
○堺屋国務大臣 ボランティアと地域通貨の問題についてかなり詳しい分析をしたのもございますが、結局、ITがどんどん進んでまいりますと、多様性ができるということ、それから、ボランティアの方には、フラクタル理論、複雑系で、一物一価で決まらないというのがあるのですね。
 規格大量生産型にできた社会は、一物一価で常に供給がされている、そういう平均的な商品を対象にいたします。ところが、人間の需要というのは、常に存在する平均的な需要じゃなくして、きょうは例えばベビーシッターが欲しい、けれども、その町には通常的に規格大量生産型のベビーシッターが存在しないというときに、では、少々高くても買おうか。あるいは、きょうはガーデニングをしたい、では、御近所でそういう需要があれば安くてもしようか。そういう非常に柔軟性のある供給、柔軟性のある需要、そういったものがたくさん、多様に出てくるわけですね。そういったものを交換する。
 だから、これをお金で計算すると、安過ぎた、高過ぎた、いや、世間の相場とかいうことになるのですが、その辺をかなりおおらかに考えていく、そういう手段の一つとして、エコマネーといいますか地域通貨というものの効用があるわけです。
 したがって、地域通貨は一つの道具でございますけれども、その間に、やはりボランティアの精神、いわばおもしろがってやるというような感覚がないと、損得という話を余りしますと、大抵もめるということがございます。そういうこの世の中のかっちりとした経済の仕組みでない、すき間にこういったものが発達してくる。そういったことがまた人生の潤いになり、また自己実現になっていく。そういう社会がこれからITを通じて広げられていくと非常にいいだろうと思うのです。
 だから、情報は距離を飛びますけれども、商品はやはり運ばなきゃいけません。サービスになりますと御近所でということもございます。いろいろな形のものが生まれてくると思うのですけれども、そういうものが普通に認められる、そのためには、人間関係も変わってきて、御近所、趣味、いろいろな形の組み合わせが起こってくるだろう。そんなことを考えますと、あるいはこれが次の時代の人間社会に非常に大きな潤滑油的な、ビタミン剤的な存在になるのじゃないか。本来のエネルギーではないにしても、ビタミン的な存在として非常に有用に働くのではないかと期待しております。
#161
○達増委員 今の日本の経済社会の危機的状況は、まさにそういうビタミン不足ということが大きいのだと思います。基礎体力はあるはずなのでありまして、また知恵もないことはない。体がうまく動かないのはどうもビタミン不足ということなんでしょうから、こういう血の通ったIT革命、非常にこれは重要なことなんだと思います。
 自由党はIT基本法には反対したのでありますけれども、こういう血の通った、草の根IT革命というような感覚がIT基本法の中にはっきり盛り込まれていたら賛成していたのではないかと思うのです。そういう意味では、森総理と中川官房長官のペアでつくられたIT基本法ですが、最初から長官がIT担当大臣だったらよかったのではないかなと思っております。
 さて、このボランティアについては、来年二〇〇一年が国連のボランティア国際年に指定されております。これもまだ日本では広く知られていないのかと思うのですけれども、来年は国連ボランティア国際年であります。世界じゅうがこういうボランティア活動、NPOとかあるいは国際的にはNGO、そうしたことをみんなで盛り上げて、地球全体で頑張っていこうという年になります。日本としての取り組みも非常に重要だと思いますけれども、政府としてどのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。
#162
○堺屋国務大臣 一九九七年の国連総会におきまして、日本自身が提唱いたしまして、来年二〇〇一年をボランティア国際年とすることを宣言、決議いたしました。
 日本は提唱国でございますので、経済企画庁におきましては、関係官庁、地方公共団体、民間のボランティア団体等と連携をいたしまして、ボランティア国際年キックオフシンポジウム、これを十一月七日、東京で行いました。そのほか、ボランティア国際年記念シンポジウム、これを十一月十八日より全国十カ所で開催をしております。
 また、ボランティア国際年フォトコンテスト及び写真展の普及活動を行っておりまして、この間、私もフォトコンテストの審査員の一人として、大臣賞の選択をいたしました。できれば、この二十八日でしょうか、国連でこの会合があるので、国会のお許しが得られれば私も出席したいと思っていたのでございますけれども、なかなか厳しいようでございます。
 また、ボランティア活動の普及のために、来年一月、二〇〇一年ボランティア国際年を記念した特殊切手、記念切手ですね、これも発行することを決めております。
 これから一年間ございますので、さまざまな行事をこのボランティアの問題で広げていきたいと考えております。
#163
○達増委員 最後に、政府として、今後NPO支援をどのように行っていくのか、その決意を伺いたいと思います。
#164
○堺屋国務大臣 まず第一といたしまして、やはりNPOがますます日本で盛んになり、経済社会の中で重要な役割を果たすということを認識する、多くの国民の方々に認識していただきたいと考えております。そのためには、先ほど委員御質問のございました税制の問題も、できるだけ鋭意折衝したいとは思っております。
 また、ボランティアの活動の状況をできるだけ多くの人に知ってもらいたいと思っておりまして、来年行われますインターネット博覧会などでも、こういったことの紹介をしていきたいと思っております。
 また、マスコミその他でもボランティアに対する注目度が高まるように、我々自身、先頭に立って努力したいと考えております。
#165
○達増委員 終わります。
#166
○古屋委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十八分開議
#167
○古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。吉井英勝君。
#168
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 私は、きょうは最初に、物づくりを中心とする産業と国民の暮らしの問題から議論をしていきたいと思うんです。
 日本の企業が輸出するときに、そのコスト計算の基礎になるのは為替レートですから、円高になれば外国と比べて人件費が高いとかいう話が出てくるわけですが、しかし、国民の暮らしの方は、購買力平価で決まってくるわけですから、暮らしは楽じゃない。そこで、コスト計算が購買力平価でなされておれば、日本製品は、同じドルの価格で値をつけたときの話になりますが、今の価格を維持するなら賃金をもっと引き上げても大丈夫ということにもなってくるわけです。
 そこで、配付資料にも、これは経済企画庁の方からいただいているデータを出しておきましたが、購買力平価と為替レートの乖離の状況。この経企庁のデータからすると、カナダやヨーロッパ諸国と比べても、日本は、購買力平価、暮らしの実際からすると、為替レートが異常な円高状態にある、まずこういうふうに見ることができると思いますが、これは参考人の方から伺っておきたいと思います。
    〔委員長退席、青山(丘)委員長代理着席〕
#169
○鹿島政府参考人 お答えいたします。
 購買力平価といいますものは、一国の通貨と他国の通貨の交換比率の一種でございまして、それぞれの通貨の購買力が等しくなるように計算し、求められるものでございます。通貨の購買力を比較する際に、どのような商品、サービスをバスケットとして比べるかによりまして、購買力平価は大きく異なってまいります。
 先生御配付になりましたOECDのGDPベースで計算した場合でございますけれども、一九九九年の日本と米国の購買力平価は一ドル百六十一円程度となっておりまして、他方、主に貿易可能な商品をバスケットにした場合の通貨の交換比率であるというふうに考えられます現実の為替レートは、一ドル百十四円ということになっているわけでございます。
 この違いをもたらしております要因でございますけれども、ただいま申し上げましたように、比較する商品、サービスのバスケットの違い等によるものが大きいと思われます。バスケットごとにいろいろな購買力平価ができるわけでございます。
 例えば、ちょっと古くなりますけれども、平成八年度の経済白書によりますと、その前の年が大変円高になったわけでございますけれども、現実の為替レートが平成七年すなわち一九九五年では一ドル九十四円でございましたけれども、その年の製造業の購買力平価は一ドル百十円程度でございまして、さらに、そのときの生計費、これは消費一般と思っていただいて構いませんけれども、生計費により計算しました購買力平価は一ドル百五十円程度となっております。現実の為替レートと比べますと、製造業の購買力平価というのは小さくなっているということでございます。
 生計費の購買力平価が現実の為替レートより特に円安になっておりますのは、サービスといった非貿易財が含まれるとか、あるいは農業製品といった内外価格差が大きいものが含まれているためでございまして、これはこうした商品、サービスの日本での生産性が米国に比べて低いためであるというふうに考えております。
 また、製造業の購買力平価では現実の為替レートとの格差が小さくなるわけでございますけれども、これは貿易財を中心に比べているためでございます。しかしながら、そこでもなお格差が残っておりますのは、一つは、短期的に見ますと、現実の為替レートというのは日米両国の金利差あるいは景気動向等を反映して変化するものであるということや、現実の為替レートというものが、日米の貿易製品の構造、輸出に大きなウエートを占めております自動車製品でありますとかそういったようなものによって決まってくるのに対しまして、製造業一般の購買力平価についてみますと、その他の製造業も入ってまいりますので、この辺に日米の生産性格差があるといった可能性もあるのではないかと思われます。
 いずれにしましても、購買力平価の動きを見ますと、バスケットのとり方等によってその水準は大きく異なりますけれども、長期的に見ますれば、実際の円・ドルレートと同様、円高の方向に動いているというふうに理解しております。
#170
○吉井委員 こういうひどい乖離が起こる原因は何かと私が聞く前からいろいろお話しされたりとか、経済企画庁は随分演説が好きなところというのはよくわかりました。
 私が言っておるのは、日本は、カナダ、ヨーロッパ諸国と比べても、購買力平価、つまり暮らしの実際からすると、為替レートが異常な円高でしょう、こういう状態にありますねということを、このグラフを見れば一目瞭然ですから、そのことを聞いているのです。念のため、今度は短く、一言でいいですから。
#171
○鹿島政府参考人 ヨーロッパ通貨に対しますよりも、アメリカ、米ドルに対して大きく変動しておるということは事実でございます。これは、日本とヨーロッパとアメリカの経済構造といいますか、消費構造、産業構造の違いといったことによるところが大きいかと思っています。
#172
○吉井委員 要するに、比べて、為替レートが異常な円高状態にある、暮らしの実感から比べてみても為替レートは異常に円高だ、これはグラフを見れば一目瞭然ですから。そのことの解説の方はこれからやろうと思ったのです。
 次に、ソニーの会長、IT戦略会議の議長の出井さんが、ある雑誌の「ITを先導する「新国益論者」」という中でも語っておられますが、一つ目の国、一ドル百円の国、インターナショナルにビジネスを行う自動車、電機などの会社の国と、一ドル百六十七円の国、ゼネコンや流通、農業、金融など、この二つの国があるとして、ソニーやトヨタなどの二十社くらいの企業の競争力で円の価値が決まっているんです、この二つのタイプの企業を融合していかないと日本は非常に危険な状態になると思うというふうに語っておられます。この指摘自体はなかなか当たっていると私は思っているのですよ。ここにやはり大きな乖離が生まれている原因があるわけですから。
 そこで、配付いたしました大企業輸出上位三十社の表ですが、これは機会のあるたびによく通産省の方に確認をいただいておりますが、まず、上位三十社で日本の輸出総額の五〇%を超えるほどを占めている。この配付資料につきましては昨日もあらかじめお話ししてありますが、こういう状況にあり、輸出総額の五〇%を超えるほどの実態にあるということは、現状はこういうことだということで確認してよろしいかと思うのですが、念のために伺っておきます。
#173
○奥村政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもにおきましては、各企業ごとの輸出額についてのデータはとっておりませんけれども、先生の今配付されました資料と同様に、公開された資料に基づきまして算出をいたしました輸出額をこの資料と同じような形で取りまとめまして、これを大蔵省の貿易統計等の輸出総額で割り算いたしますと、配付されております資料にございますとおり、輸出上位の十社について三二・六%、それから三〇社につきましては、九九年度で五一・二%という数字でございました。
#174
○吉井委員 なお、通産省の方でも計算されて、私どもよりもより精緻なデータをお出しになったときには、ぜひ後ほどそれは届けていただきたいというふうに思います。
 それで、九五年度と九九年度を比べてみても、輸出上位三十社の輸出総額に占める比率というのは四八・四%から五一・二%へとさらに大きくなっているわけで、この点では非常に力が強くなっているということがよくわかります。
 かつて野村総研の研究員の方がトヨタ自動車の研究という論文を書かれたときに、どうしてこういう力が出てくるのかと。これはやはり、下請単価の切り縮め、社内での過密労働あるいは派遣労働への切りかえなど、コストダウンを図って輸出競争力をつけて、貿易摩擦も起こりますが、貿易黒字を積み上げてくる、これは円高に振れていく。円高になっても、それでも一ドル百円や八十円で輸出できる究極のコストダウンを図っていくということで、野村総研の研究員は悪魔のサイクルという表現を使いましたけれども。
 やはりそれが今、下請に厳しい単価を押しつける、あるいは過密労働も限界に達してきたという中で、一部の多国籍企業の発展にはつながったわけですが、しかし、購買力平価との間には非常に大きな乖離を生み出して、さまざまな問題が生まれてきております。
 この原因に手をつけないで、輸出大企業を中心とする下請への厳しい単価の押しつけ、下請いじめと言われるものですね、こういうものを野放しにしておいたのでは、一つ目の国がますます購買力平価との間の乖離を広げるばかりになり、この点では、やはり下請を守るルールとか労働時間の短縮、サービス残業の根絶など、労働者を守るルールをつくるということが今非常に大事になってきておると思うのです。IT革命だといって、一層の中抜きをやって、究極のリストラが進んでしまいますと、一つ目の国と二つ目の国という、出井さんの言っているこの二つの国ですね、この乖離は開くばかりですから。
 そこで私は通産大臣に伺っておきたいのですが、やはりこの乖離をなくすには、企業活動の中から、野村総研の研究員が指摘しているようなこういう異常なあり方については改めていくきちんとしたルールというものを国として考えていかないと、一つ一つの企業そのものは市場競争をやっているわけですから、企業の力だけでみずから自主的判断でうまくやりなさいといってもこれはなかなか大変なわけで、ここは私は通産大臣に、国としてルールというものを考えるべきじゃないかということを、まずお考えを伺いたいと思います。
#175
○平沼国務大臣 経済のグローバル化が進展する中で、日本のみならず世界じゅうの企業が生き残りのために競争をしております。長期的な取引関係を大切にしてきた我が国においても、選択と集中という視点から事業の見直しは避けられず、従来の取引関係を見直していくことは、ある面ではやむを得ない面であるかと思っております。
 そのような中で、下請企業を含め、中小企業につきましても、生き残りをかけて経営革新等に努力をしていただくことが重要であり、このような中小企業の対応を積極的に支援しているところでございます。
 下請中小企業に対する対策といたしましては、一つは、下請取引のあっせん事業による新たな受注開拓の支援、二つ目として、政府系金融機関による設備資金、運転資金の貸し付け、三つ目といたしまして、取引先企業に対して積極的な提案等を行う、下請中小企業を対象とする試作品の製作等に対する補助などの施策を講じているところであります。
 また、中小企業の新たな取り組みによる経営革新に対しては、昨年実施された中小企業経営革新支援法等により、経営環境の変化に対応した新たな事業活動による経営の向上等を支援してまいりたいと思っております。
 そういうことで、なかなか下請企業というのは厳しい局面にありますけれども、やはり下請企業が力をつけて、そして全体のグローバル化の流れの中で生き残っていくために、我々としてはいろいろな面で積極的に支援を講じているところでございます。
#176
○吉井委員 この点では、通産省自身が九二年の通商白書の中で、企業の国際展開が進むにつれて従来の国家と企業の関係にも変化が見られる。第一に、ある国の資本による企業の利益がその国民の利益と一致する度合いが減少しつつある。かつては、一国の企業活動の活発化はその国の雇用を増大させ、豊富な財を提供することによって国民生活に貢献するものであったが、という一つの問題の指摘と、第二に、国家の産業競争力が当該国企業の産業競争力と厳密に一致しなくなってきていると。
 実際、物すごい、いわゆる悪魔のサイクルと野村総研の方が指摘したそのやり方でもって、国内で産業空洞化が進んでいく、国際化だといってどんどん海外へ出てしまう。それが地域経済を疲弊させたり、あるいは地域社会を崩壊させるという問題が全国各地で出ているわけですから、私は、これは一般的な金融だ何だという支援にとどまらないで、そういうところに、大企業の持っている力にふさわしい雇用や中小企業に対する責任をきちっと果たす、社会的責任を果たすというルールをやはり国としてきちっと考えてつくっていかないと、今大臣がおっしゃったようなことでは現実に進行している問題を解決することにはならないということを申し上げて、さらに伺っておきたいのです。
 OECDが算出しております購買力平価では、一ドル百六十四円。現在の一ドル百五円というのは、まだ五割以上も円高だ。そこにIT革命による国際的な一物一価のデフレ圧力がかかると、産業空洞化はますます進む。ITは、日本が依然物づくり国家であろうとしても、その根幹にかかわる問題をもたらす。IT革命によるデフレ圧力にどう対処していくのか、雇用をどう守っていくのかといった戦略をしっかり立てないと、IT敗戦という事態になるという警告を、これは吉川さんという神奈川大学の教授が「「IT革命讃歌」に警鐘を鳴らす」という一文の中で指摘しておられます。
 私も、この点では、雇用を守るルール、中小企業を守るルール、本当にそこに正面から検討するということを政治がやはり取り組まなければいけないと思うのですが、もう一度この点を伺っておきたいと思います。
#177
○平沼国務大臣 下請企業に対する不公正な下請取引に対しては、従来から、下請代金支払遅延等防止法等に基づき検査などを行い、違反の事実が確認された場合には改善のための指導を行うなど、厳正に処してきたところです。
 具体的には、平成十一年度において、すべての親事業者に対して約三万八千件の書面調査を行うとともに、下請事業者に対しても約三万件の書面調査を行って、この調査に基づき約二千八百件の立入検査などを実施して、そのうち二千件について所要の改善指導を行ってきました。
 先生御指摘のとおり、今後はITを活用した企業間取引の増加が見込まれる、このように考えておりまして、本日参議院で成立をいたしました書面法におきましては、下請代金支払遅延等防止法においてITを活用した取引に対応するための措置を盛り込んだところであります。
 また、ITを活用した調達も含めまして、下請事業者が不当な不利益をこうむることのないように、公正取引委員会と連携しつつ、下請代金支払遅延等防止法の適正な、そして厳正な運用に最大限努力をし、そういったことがないように万全の措置を講じていきたい、こういうふうに思っております。
    〔青山(丘)委員長代理退席、委員長着席〕
#178
○吉井委員 私は、本当に今の時期は、下請の問題、雇用の問題、きちんとしたルールを、まず大きいところでどういうルールを考えていくかということをしっかりやっていかないと、こういう学者の指摘など含めて、これは本当に大変なことになるだろうということを言っておかなければいけないと思います。
 IT革命というのは、中抜きと言われるように、取引における中間業者を排除する、徹底的な省力化が目的となってまいります。製造部門の合理化、生産性の向上をぎりぎり追求して、究極の合理化、省力化、あるいは大企業に一層の富が集中しても失業者は増大せざるを得ない状況も生まれるということが、これまた別な学者の人などからも指摘されたりしております。
 実は、中小企業中央会の下請ヒアリング結果というのがありますが、これによりますと、今、下請企業は、従来型コストダウンプラスIT化で、一層厳しい状況に置かれている。
 先ほど、調べてみたら二千八百件ぐらいさらに検査をしなければいけないものがあったというお話ですが、例えばダイカストに取り組んでいる業者からの声としては、大手自動車メーカーから、部品メーカーによって二、三〇%の厳しいコストダウン要請があり、断れば転注、注文がよそへ飛ばされてしまう。あるいは、産業用機械では、コストダウン要請が年中行事になっていて、その親会社の、今まで協力会だったらある程度見てもらえたのですが、協力会といっても有名無実化してしまっている。電機の部門では、親会社から、BツーB取引をしないとだめだという警告が出ている、取引条件の見直しも迫られてきている。金型の分野では、海外で組み立てをしている大企業は、海外生産を拡大して現地調達に大きく動いている。こういう声などが数多く紹介されております。
 そういう中で、産業空洞化の問題だけではなしに、技術開発力そのものも失われていくという非常に大変な問題も広がってきています。下請の選別、厳しい単価の切り下げ、協力会企業でも大変な事態。そういう中で、売り上げが伸びてももう利益が出ないという悲痛な訴えが、実際に中小下請企業の皆さんから出されております。
 そこで私は、いろいろ検査されたとおっしゃるわけですが、まず中小企業庁の方に、いただいている資料をきょう配付させていただいておりますが、九二年一―三月期以降で、下請単価が前年同期比プラスになった四半期があるのかといえば、ないわけですね。つまり、九九年七―九月期までずっとマイナス。これは、絶対額でいえば、単価はどんどん下がりっ放し。単価も下がる、そして受注量も下がっていっている。まず、こういう厳しい状況に置かれているというのが現実だと読むことができると思いますが、これは先に参考人の方から確認しておきたいと思います。
#179
○中村政府参考人 中小企業庁におきましては、下請中小企業短期動向調査というものを実施いたしております。
 先生御指摘のように、下請受注単価は平成三年十二月以降連続して減少しておりまして、平成十二年七―九月期におきましては、前年同期に比べ約六%減となっております。また、下請受注量につきましても、平成三年四月以降連続して前年同期に比べ減少しておりまして、平成十二年七月から九月期におきましては、前年同期に比べ約四%減となっておるわけでございます。
 なお、受注単価、受注量とも、その減少幅は改善傾向にございます。
#180
○吉井委員 前年同期比で見れば落ち方が少しましになったにしても、絶対額で見ればずっと落ちていっているわけですから、それだけ非常に厳しい。
 ですから大臣、先ほどおっしゃったように、下請にこういうことをやるとおっしゃっても、やはり現実の姿と、これまたさっきの為替レートの乖離じゃありませんが、実際に進んでいる事態と大臣のおっしゃっておられることとはかなり乖離してしまっているんですよ。だからこそ私は、本当に今通産省の取り組みというものが大事だと思うんです。
 そうした中で、GM、フォード、ダイムラー・クライスラーなどビッグスリーは、インターネットを使った部品の共同調達の構想を発表しました。取引金額は年間二千億ドル、世界最大のBツーBの登場となります。ビッグスリーが主導権を握る電子市場に、世界じゅうの部品メーカーが囲い込まれていくことになっていく。ビッグスリーは部品調達のコストを大幅に削減しようとしているわけですが、このビッグスリーが価格の決定権を握るということにもなってきます。
 そうすると、既に購買予算の一〇%削減をねらっているということ、これは、こういうのを研究している学者の方からの指摘もありますが、二千億ドルといえば約二十兆円、その一割として二兆円がコストダウンだというんですね。しかしこれは、逆に言えば、世界最適調達という立場で自動車メーカーがIT調達を始めて、中小下請企業に影響がうんと出てくるということが当然考えられるわけです。
 新たに参入する企業が少ない間は、確かに、早くインターネットを始めた企業は、自動車メーカーの部品発注のホームページを見て、それで参入することができるわけです。ですから、最初に参加するところは、最初は、しばらくの間はいいかもしれないが、圧倒的多数の中小企業が同じように参加して、その中で世界最適調達だ、競争入札をやっている、当然自動車メーカー側の買いたたきが進む。これは吉川さんらの一文の中では二千億ドルの一割というんですから、日本円に直せば二兆円のコストダウンが世界的に進む。それはつまり、中小企業の皆さんにとっては買いたたきが進むということなんですね。
 問題は、これまでは系列というのは、いろいろ問題もあったけれども、しかし系列の中の単価ダウンが押しつけられてきたときに、とにもかくにも下請二法があり、余りにひどい買いたたきについては、本当は余りにという言葉はつかなくてもそうなんですが、独禁法の優越的地位の濫用として規制する根拠もあったわけですね。しかし、これがIT調達、世界的調達ということになってまいりますと、日本の独禁法の強化とか下請二法の強化は、日本だけがやっておっただけでは追いつかない。日本もここをしっかりするが、国際的にも独禁法制の強化と各国の提携というものをきちっとやはり進めていくということをやらないと、これは本当に日本の物づくりが大変なことになってくる。
 私は、大変になってから心配するんじゃなくて、やはり、今からどういうルールをきちっと組み立てていくかということが大事だと思うんですが、これは通産大臣の方に伺っておきたいと思います。
#181
○平沼国務大臣 今委員御指摘のように、ITを活用して一括調達でグローバル化の中で効率を求めていくというのは、一つの流れになっております。
 そういう中で中小企業がその波にのみ込まれないで生き残るためには、やはり我々としては中小企業に対するいろいろな支援策を講じていかなければならないと思います。先ほど申し上げたようないろいろな施策のほかに、例えば日本の加工技術、そういうものが非常に優秀な面もありまして、そういったところに逆にITを利用して、デジタルマイスターというような形で、中小企業が今まで蓄積した日本の卓越した技術というものをIT化して競争力をつけていく、そういうことに対しても我々は支援をさせていただく。
 ですから、そういう形で、グローバル的なルールづくりということは一つの大きな問題提起だと思いますし、これは世界各国といろいろ話し合いの場を持ちながらそういう問題を研究していきたい、そういうふうに思っています。
#182
○吉井委員 EUでは、そういう面では、EU指令等で空洞化をどう食いとめるかとかさまざまな仕掛けを設けていっているわけです。
 私は、こういう時代に、雇用のルール、雇用を守るルールと、中小企業を守りもすれば、もちろんそこから大臣おっしゃったITを使ってというのも、私も技術屋出身ですからそこはよくわかっているつもりなんですが、しかし同時に、それを支えていく、サポートしていくルールというものをやはりきちっとつくっておかないと、多国籍企業化したグローバルに発展していく力のあるものだけに任せておいたら、為替レートの乖離だけにとどまらないで、本当にいろいろな分野でどんどん乖離が進み、地域経済の疲弊や地域社会の崩壊というさまざまな問題が生まれてまいります。
 私は、この点で改めてきちっとしたルールというものを政治の世界でやはり考えていかなきゃいけない、そのことを申し上げて、一つ目の国の犠牲が繊維産業の分野で非常にあらわれておりますから、これを次に伺いたいと思います。
 国内市場に占める輸入繊維製品の割合、輸入浸透度ですね、衣類とニット製品と布帛製品と綿織物、それぞれについてことし八月現在で幾らになっているか、これを参考人の方から伺っておきます。
#183
○林政府参考人 本年一―八月の合計でございますが、衣類全体で輸入浸透率が八四・二%、ニット製品につきまして八五・二%、布帛につきまして八五・〇%、綿織物について六五・六%、合繊長繊維につきまして二二%等になってございます。
#184
○吉井委員 今、私、タオルなんか、大阪の泉州とか今治とか、これも大変なんですが、その数字をお聞きするのが抜けてしまいました。いずれにしても、これらすべてが、八五年のプラザ合意の当時と比べてみても、あるいは九四年当時と比べてみても、非常に急増してきているわけですね。
 そこで、次に大臣に伺っておきたいんですが、WTO協定においては、セーフガード発動の要件というのは二つですね。一つは、輸入量の急増。二つ目は、それによる国内業者、産業が打撃を受けるいうことですね。繊維製品の状況は、まだこの二つに相当しないという見方なのか、それほど深刻な事態ではないという御認識なのか、それとも、やはりこれはきちっとセーフガード発動などをして繊維の産地を支援していかなきゃいけないというお考えなのか、これを伺いたいと思います。
#185
○平沼国務大臣 お答えをいたします。
 午前中の質疑でも同様の御質問がありました。そのときも私お答えをいたしましたけれども、私自身が十一年間繊維業界で働いた経験を持っています。労働組合の執行委員等もした経験も持っているわけですけれども、そういう関係もありまして、このところ通産大臣の部屋に繊維業界の方々が来られまして、大変な今の実情を訴えておられます。
 そういう中で、先ほど先生御指摘のように、繊維のセーフガードはWTOの繊維協定で認められている措置でありまして、通商産業省といたしましては、協定に対応して、繊維セーフガードについての国内規則を今整備しているところであります。
 具体的には、今御指摘のとおり、輸入の急増、我が国の産業への重大な損害について見るとともに、消費者、ユーザーへの影響も総合的に勘案して判断をしてまいりたいと思っています。繊維セーフガードの発動要請があった場合には、この手続に従い、厳正な検討を私どもは行いたいと思っています。
 ですから、そういう意味で、こういう深刻な事態を踏まえて、そういう御要請があった場合には当然WTOの二つのルールに準拠して我々は厳正な検討に入りたい、こういうふうに思っています。
#186
○吉井委員 今もおっしゃったように、WTO協定上は二つの要件だけなんです。しかし実は、通産省はこれまでから、独自基準、国内の消費者その他のさまざまな問題というWTO協定上ないものを持ち出して、独自基準でもってなかなか発動をしようとしなかったというのが実態です。
 十月五日に、産地の市長や議長さんらも参加して、織物業者三千人の方が輸入制限を求めて危機突破集会を開かれたのはよく御存じのところと思いますが、日本綿スフ織物工業連合会の塩谷会長は、輸入阻止まで闘い続けるという決意表明です。大阪の綿工連青年部の方は、若者が希望を持って仕事ができる環境を政府や国会に求めたい、我々青年で繊維産業を何としても守りたいと、若い人たちが本当にこの産業を憂い、自分たちはこれを守り発展させたいという力強い声も出ています。
 この大会決議では、衣料品が生活必需品の一端を担う重要物資であることを再認識して、輸入秩序化対策、生産供給基盤の維持確保、織物産地の崩壊防止のために、洪水的な輸入を阻止、地域雇用を守れなどの思い切った施策を早急に講ずることなどを決議もしておられますし、先ほどの塩谷氏は、このまま海外に依存すると安い海外製品も値上がりして消費者に害をもたらすということも言っておられますが、私は本当にそのとおりだと思うんです。
 そこで大臣、繊維製品に対する輸入制限措置、これは直ちに発動ということで取り組むべきだと私は思いますが、そういうふうに取り組んでいかれますね。
#187
○平沼国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、繊維セーフガードの発動要請があった場合には、この手続に従って厳正に私どもは検討に入りたい、こう思っております。
 なおまた、先ほどちょっと御指摘の中に、我が国独自のそういうルールがあると。恐らく御指摘のものは、セーフガード要請時の構造改善の見通しも廃止をすべきではないか、こういう御意見も込められたと思っておりますけれども、私どもといたしましては、この点につきましても前向きに検討をして、そして要請があればそういう形で厳正に対処をしていきたい、こういうふうに思っています。
#188
○吉井委員 取り組むという決意ですから。独自基準も改めてやっていくということですから。
 それで、残存MFA及びWTO・TSGに基づく各国の繊維セーフガード発動状況というのを見てみますと、アメリカでもカナダでもECでも、七四年から九四年の間に、アメリカなどは、日本繊維産業連盟の前田会長が通産資料でまとめられたのでは二十八カ国、これはちょっと集計の仕方で三十カ国になったりとかいろいろありますが、カナダが二十二カ国、集計の仕方では二十三カ国とか、ECが十九カ国とかいろいろありますし、九五年以降のTSG発動要請件数で見ても、アメリカは二十八件とか。しかし、ずっと日本はゼロなんですね。
 本当にここまで深刻になっていて、日本がずっとゼロで来たということは本当に異常な事態、そして繊維の産地は本当に深刻な事態を招いてしまったということを、通産省の長に当たられる方としてやはりこれは厳しく受けとめていただいて、日本の繊維産業あるいは産地中小企業をしっかり支えていく、そういう立場に立ち切ってもらいたい、もらわなきゃならぬというふうに私は思います。
 その一方で、鐘紡、東洋紡、日清紡、ユニチカ、ワコールなど、大手や中堅繊維製品メーカーや商社の組織した繊維業者が、海外で委託加工をやらせ、その製品を日本に逆輸入して、国内の産地の繊維業者を苦しめているという実態があります。
 これらの業者に、委託加工再輸入減税制度という関税優遇制度で応援しているわけですが、この優遇税制が拡充された九四年度には適用率八・八%、そして減税額は六十八億円だったのが、九八年度には適用率三五・八%、減税額で二百八十九億円、機械類を除いても二百二十五億円と急増しています。これは、八九年の制度拡充時と比べてみると、優遇税額が一千倍近い。だから、逆輸入がそれでまた物すごくふえておるわけですね。このために、産地の空洞化と政府の逆輸入応援で、二重の犠牲や被害が広がっているという問題があります。
 私は、逆輸入の促進じゃなくて、やはり国内の産地や国内の業者への減税などの措置をきちっと考えていくこととか、国内の業者が、大企業がどんどん逆輸入するので追い詰められて海外へ出る人もおりますけれども、それをやらなくてもやっていけるようにする、あるいは付加価値の高いものへの新しい展開をサポートするとか、本当にそのことを繊維の分野でやっていくことが必要だと思うんですが、この点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
#189
○平沼国務大臣 かつて一九六〇年代にアメリカが、日本からの洪水のような繊維製品の輸出で、大きな繊維問題が起きました。
 今、アメリカの状況を見てみますと、アメリカの繊維産業というのはそれなりに力をつけてきました。もちろん、今御指摘のようにいろいろな対策があったと思いますけれども、また、その繊維メーカー自体が独自にいろいろな商品価値を高める、こういうようなことで対処して、今、ある面ではアメリカの繊維業界は競争力がついてきている、こういう事例もあります。
 したがって、もともと日本の繊維業界というのは底力があるわけでございますから、そういった面で、我々としては、いろいろな支援策を講じたり、また、日本の繊維産業が商品価値を高めるような独自な展開にも手助けするような方策も講じていかなければならないと思っておりますし、確かにそういう大きな問題は深刻に受けとめて、我々は総合的に検討を加えていきたい、こういうふうに思っています。
#190
○吉井委員 本当はこういう問題でもっと議論したかったんですが、時間が参りましたので、これで質問を終わります。
#191
○古屋委員長 原陽子君。
#192
○原委員 社会民主党・市民連合の原陽子です。
 きょうは、皆さんがここにつけていらっしゃる緑のバッジの愛知万博についての質問をさせていただきたいと思います。
 昨日、十一月十六日の中日新聞の一面に、愛知万博について報道されています。この新聞によりますと、「愛知万博の開催確定」とあります。その理由として、BIEの執行委員会が十五日、パリ市内のBIE本部で開催され、愛知万博の正式決定に当たる開催登録を十二月のBIE総会に提出することを決定したためと書かれています。しかしながら、この新聞の解説によりますと、一九八八年十月の構想表明から十二年間、やっとスタートについたものの、綱渡りのような計画見直しや調整を重ねてきた経緯から、ゴールはまだ見えていないと伝えています。
 そこで、以下、具体的にお聞きをいたします。
 まず、万博の収支についてお伺いをいたします。
 大臣は、九月十九日の閣議決定に当たり、大蔵省と激しいやりとりがあったのではないかと思われますが、例えば大きな赤字になった際の対処については、どのような見解で最終的な閣議決定を行ったのですか。通産大臣にお聞きをいたします。
#193
○平沼国務大臣 バッジを認識していただいて、ありがとうございます。
 愛知万博につきましては、今御指摘のように、いろいろな曲折があったことは事実です。しかし、これは今までの万博と違いまして、やはり検討委員会というのを設けて、そしてテーマが、自然の叡智、こういうテーマでございまして、地元の環境団体の皆様方とか市民が参加していただいた形で検討委員会を重ねて、そして最終開催地というものを二カ所に決定したわけであります。
 それを受けて閣議で決定をしたわけでありますけれども、その閣議の席上で大蔵当局と激しいやりとりがあったというような御趣旨の御質問でしたけれども、そういうことは全くございません。我々は、やる以上は、赤字が出ない、こういう前提で取り組まなければなりません。事業をするに当たって、初めから赤字が出るということを想定してそういう事業をやるべきではないと思っています。
 ただ、私は、これから、二〇〇五年開催でございますから、本当にしっかりしたコンセプトの中で魅力的な万博をつくれば、必ず、今入場者数千五百万ということで想定しておりますけれども、それ以上の方々に来ていただけると思います。
 私が希望を持っておりますのは、二〇〇五年という時代を想定いたしますと、例えばお隣の中国、人口十二億ありますけれども、非常に今経済成長が著しくて、大変なポテンシャリティーを持つ、そういう国に五年後にはなるはずであります。また、とにかく中産階級が一億人いると言われているインド、こういう国を想定しましても、日本がアトラクティブな万博をつくれば、そういったところからたくさんの人に来ていただける、そういう大変大きな可能性も潜在的に持っているわけです。
 それで、ちょうど万博にあわせて中部国際空港というものも開港いたしますから、そういうことを非常に立体的に機動的に、そして内容のある、後ろに堺屋大臣、大阪万博で六千四百万人もお集めになったプロデューサーも座っておられますけれども、そういう日本人の経験と英知を生かして、二十一世紀にふさわしい万博を私どもはつくって、そして絶対赤字が出ない、こういうことで私どもは取り組んでおります。
#194
○原委員 もちろん、そういった意気込みというのは私も大変必要だとは思うのですが、やはりハノーバー万博でも赤字、そして地元の愛知県の財政も赤字と聞いています。国の財政も今赤字です。そして財界も、景気の悪化により、赤字に対しては実際のところ本当に非常に厳しい発言をなさっていると思います。
 そういった状況の中で、そこに住んでいらっしゃる住民の方々が安心して万博を支えていくためには、やはり赤字が出た場合のことをしっかりと想定していただきたいというふうに思っています。やはり、赤字が出ないから大丈夫だというような考えで今まで進めてこられたことが、そういった甘さが現時点でのこの国の財政赤字というのを生んだというふうに言えるとも私は思います。
 私は、その合意の条件として、住民の方々に、もしもそういったリスクがあったときにどういうふうに対処をしてくれるのか、きちんと提示をするという説明責任があるのかということを大臣に再度お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
#195
○平沼国務大臣 具体的に申し上げますと、赤字が発生しないように資金計画などをぴしっとつくることが第一だと思っています。
 そして、あえて仮定の話ということで言えば、万が一そういう問題が生じたときには関係者が協議をして適切な対応を考えるということになると思いますけれども、基本はあくまでも、そういうことが必要とならないように、赤字の発生をしないような事業計画の策定と事業運営、これに最大限努力をする、そういうことだと私は思っています。
 しかし、繰り返しになりますけれども、ハノーバー万博のことを例に引かれましたけれども、ハノーバー万博は、どちらかというと、海外に目を向けないで、そして国内的な形でそういう計画を立てたということが、結果的に思った以上に人が集まらなかった、そのために赤字が出た。そして後半、そのことに気がついて大変宣伝をしたら、後半は大変盛り上がってきた。そして、日本館などの入場者は、日本館というのは御承知だと思いますけれども、アトラクティブな、いわゆる環境ということをテーマにして、紙でパビリオンをつくりました。そのことが非常に関心を呼んで、日本館には三百万人以上の入場者があった。
 そういうことですから、要は、本当にアトラクティブな、地域住民の方や国に迷惑がかからないような、そして、二十一世紀の最初の万博になりますから、日本が世界に向かって発信するような、内容のいい万博にしていきたい。ですから、これからいろいろな人に参画してもらって、いい形の一つの実施機関というものをつくっていきたい、こう思っています。
#196
○原委員 もちろん、万博をやると決めた以上は、やはりそうしたいろいろなリスクというものをしっかりと想定して、そして主催者側の責任というものをしっかりと踏まえて考えていっていただきたいと思います。
 そこで、もちろん財政のことも予想されるリスクではありますが、もう一つ予想されるリスクの中に、住民の方々の生活環境というものがあると私は思います。住民の生活環境を悪化させるような排気ガスや下水道の問題といったものに対して、どのような対策をお考えなのか。通産省にお聞きをいたします。
#197
○杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 この愛知万博は、自然の叡智というものをテーマにしているわけでありまして、その観点からも、この万博については環境配慮というものを最大限に追求するという基本的な考え方でやっていくというのが、閣議決定でも確認をされているところでございます。
 その一環といたしまして、博覧会協会は、昨年十月でございますが、博覧会の実施に係りますさまざまな環境影響に関します評価書を通産省に提出いたしております。これに対しまして、専門家の検討も踏まえまして、ことしの一月に通産大臣から意見を申し述べたところでございます。
 その中で、御指摘のありました、会場から発生いたします下水の処理につきましては、これを放水いたします河川の汚濁負荷量をできるだけ低くするというような観点から、例えば長久手町の下水道を活用するといったようなことを含めて、いろいろ検討するようにという意見を申し述べております。また、排気ガスにつきましても、環境負荷低減のために、できる限り低公害型の車両を使うとか、あるいは入場者数をできるだけ平準化するといったような対応を図るように、大臣意見として申し述べているところでございます。
 現在、博覧会協会におきまして、こういった意見を踏まえまして、これらの課題についての対策を措置するという観点から、評価書の見直し作業を行っているところでございます。当省といたしましても、協会において、事業の実施、運営に当たって引き続き環境配慮を適切に行うように、十分にフォロー、指導をしてまいりたいと考えているところでございます。
#198
○原委員 もちろん、先ほどおっしゃったように、愛知万博は環境博ということでもあり、環境に十分配慮をするということは当然のことだと思います。
 今回の万博のために環境アセスメントが行われていると思いますが、それは新アセス法に基づいたものなのでしょうか。また、治安や防災といった面についても、住民の不安にこたえるための対策をお考えでいらっしゃいますか。
#199
○杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 本事業は、環境アセスメント法によります対象事業にはなっておりませんが、先ほど申しましたとおり、環境に十全の配慮をするという観点から、環境アセスメント法と同等、同様の手続をきっちりと踏まえてアセスメントをするということになっておりまして、現在、その作業をずっと続けているというところでございます。
 なお、治安のお話がございましたが、治安は特段、環境影響評価ということに関係がないものでございますから、そういった作業の中ではいたしておりません。
#200
○原委員 治安や防災といった面も住民の方々にとっては不安の一つになっていると思いますので、ぜひぜひ、何か対策をお考えくださいますようお願いいたします。
 実際に開催地となる長久手町の皆さんにとっては、昨年の六月に海上の森で発見されたオオタカの営巣によって、急遽会場が変更されたわけで、急に降ってわいた万博であり、町全体として十分な審議が取り組まれていないと聞いております。万博とくらしを考える町の会という、一部の万博に関心を持つ方々と万博協会との話し合いは行われているようですが、四万の人口を抱える町で、果たして、その方たちだけの声を聞くということでいいのかなというふうに私は疑問を感じています。
 通産省はそういった、四万全員の声を聞けというのはなかなか難しいのですが、声なき声といいましょうか、サイレントマジョリティーの声をもっとしっかり聞くために、私は、ぜひそこの長久手町の皆さんに、この万博についての不安とか要望とかに対するアンケートのようなことを実施していただきたいと思うのですが、どのようにお考えでしょうか。
#201
○杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 当然のことながら、長久手町を含めまして、あるいは長久手町民を含めまして、万博に関連をする方々に会場計画の検討状況とかあるいは環境調査の状況などを十分に御説明するということは重要なことだと考えておりまして、例えば環境影響評価書に関連をいたしまして、ことしの九月三日には、会場計画の検討状況だとか環境調査の結果等について、長久手町民への説明会を開催いたしまして意見を聞いているところでございます。
 また、青少年公園に係ります大気や、そういった重点的な問題につきまして予測評価を行った結果をレポートとしてまとめまして、去る十月三十日に、改めて長久手町の町民の方々に協会の方から御説明会を開催している。さらに、その報告書を閲覧して、住民の皆さん方の意見も伺っているということでございまして、そういった意味で、説明あるいは皆さんの意見を伺うというような作業は続けてやっているところでございます。
 こういった作業は節々で引き続いてやっていきたいというふうに考えているところでございます。
#202
○原委員 私は、やると決めたからには住民の理解もしっかりと得て、そして住民の皆さんが持っている不安というものをしっかりと取り除いて、住民もしっかりと参加をしてくれる、そういった万博になるように、ぜひぜひ、どんな小さな声にでもしっかりと耳を傾けてくださいますよう、よろしくお願いいたします。
 次に、住民の住環境を悪化させるものの中で、交通について少しお聞きをしたいと思います。
 実は、委員長、私たち商工委員会で長久手町に視察に行ったときに、渋滞に巻き込まれた御記憶があるかと思うのです。確かに、そこのグリーンロード、長久手町のところを通っている道路なんですが、グリーンロードと呼ばれる力石名古屋線では、新聞にも出ているのですが、慢性的な渋滞がひどいというふうに聞いています。
 これは建設省にお聞きをしたいのですが、現時点で、こうした地域の道路のキャパシティーを既に超えているといった状態です。これに万博が伴ってくると、完全に道路が麻痺するおそれがあると予想されます。その交通アクセスはもちろん道路だけではありませんが、特に深刻さが予想される道路整備について、要請に対して積極的に応じていただきたいのですが、この点について建設省の姿勢をお聞かせください。
#203
○大石政府参考人 お答え申し上げます。
 愛知万博が予定されております会場周辺におきましては、現在、交通渋滞の緩和や環境の保全などの観点から、地域の方々の生活の利便性、安全性の向上と社会経済活動の効率化を図るということで、道路ネットワークの整備を推進いたしております。
 また、愛知万博が開催される場合のアクセスにつきましても、渋滞等が重要な課題となると認識いたしておりまして、関連すると思われます道路の整備につきましては、今後とも、愛知県ともども積極的に支援してまいりたいと考えております。
#204
○原委員 ありがとうございます。
 時間もあと五分ほどなのですが、先ほどもお話をしたように、今回の愛知万博のテーマは自然の叡智ということだそうです。一体、自然とは何だろうというふうに考えたときに、私にとって自然というのは、森とか林とか木々、緑、草花といったものはもちろん、そこにある文化とか生活、そして人々を含むすごく大きな存在であるというふうに私は思います。
 人と自然とは共存すべき存在であります。ですから、このようなコンセプトを持ったプロジェクトである万博は、何回も申し上げますが、住民の皆さんの理解、そこにある自然というものを大きな意味でとらえた場合に、そこにある生活というのも自然というふうに考えていただきたい。そこの住民の皆さんとも共存をするものであってほしいし、そうなってこそ、成功した万博というふうに言えると思います。
 私も小さいとき、小学校のときに、つくばの万博に親に手を引かれながら行った記憶があります。そのときには、万博に行かなくては見ることができないものがあったわけです。でも、今のこの時代、私たちは好きなときに海外に自由に行ける、そしてITということで、インターネットを通じて世界のいろいろな情報を幾らでも見ることができるような時代にあるわけです。
 そういった中で、ハード面ではなくてソフト面に特徴があるというふうにこの愛知万博をおっしゃっている中で、本当に私たちがそこに行かないと何かを得ることができないというようなものがない限り、正直言って、特に私たち若い世代などは、なかなか足を運ぼうとは思わないと思うんですね。そこに行かなくても、今、正直言っていろいろなものが自分たちの中にあって、行かなくても見られるものというのはたくさんあると思うのです。
 それなので、この愛知万博、ソフト面を大事にしていくということがコンセプトになっているということで、本当に有効に、しっかりと、私たちがそこに行かなくては感じられない、そこに行かなくては感動できないというものをいかに表現できるか、そして、私たち行く方の観客の期待を裏切るぐらい挑戦的にそれを実現するということが本当に可能なのかという判断、そういったものが、今後、万博というものが二十世紀の遺産になるかならないかの試金石になるのではないかと私は考えております。
 ぜひ、やると決めたからには成功したというふうに、主催者だけが思うのではなくて、そこにいる住民、そしてそこに行こうとする私たちのような観客みんなが満足できる、そして世界から招待されてくる方々もみんなが満足できる万博というものになっていくように努力をしていっていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。
#205
○平沼国務大臣 原委員から、大変重要な御指摘があったと思います。
 私たちもやはり、二十一世紀ですからそれにふさわしい、人が魅力を感じるような、もちろんバーチャルの世界ですから、インターネットを使って世界に、こういうことをやっていると。そうすると、インターネット上だけじゃなくて本当に行って体験しよう。私は、そういう万博、そして御指摘のように地域住民の皆様方と一体となった万博を形成していきたい、こう思っておりますので、非常に貴重な御意見をありがとうございました。
#206
○原委員 よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
#207
○古屋委員長 北川れん子君。
#208
○北川委員 社民党・市民連合の北川れん子と申します。よろしくお願いいたします。
 省庁再編が一カ月後に迫るということで、先取りをした形で御質問をさせていただきたいのですけれども、まずは、核燃料サイクル開発機構、旧動燃ですが、これがどこの省庁に管轄されるのか、並びに「もんじゅ」はどこが管轄するのか、お答えいただけますでしょうか。
#209
○中澤政府参考人 お答え申し上げます。
 核燃料サイクル開発機構の省庁再編後の所管の御質問でございますが、これにつきましては、来年の一月六日以降でありますけれども、核燃料サイクル開発機構法四十四条の規定に基づきまして、文部科学大臣と経済産業大臣が主務大臣となりまして、両省の共管となる予定になっております。
 また、「もんじゅ」も含みます高速増殖炉の研究開発については、文部科学省が主として行うこととなっておりまして、「もんじゅ」の研究開発につきましても、文部科学省が主として行う。なお、「もんじゅ」の安全規制につきましては、経済産業省が担当するということになっております。
#210
○北川委員 どうもありがとうございます。
 そのお答えがいただけないかなとちょっと心配していたのですけれども、では、長期計画はだれが責任を持って実行するというか、長期計画の担当省庁はどちらになりますでしょうか。
#211
○中澤政府参考人 長期計画は、現在も原子力委員会がその策定を担当しているわけでございます。原子力委員会は、現在、総理府にございます。省庁再編後は、内閣府にこの原子力委員会が移りまして、内閣府の原子力委員会として長期計画に責任を持っていく。
 なお、この長期計画は、御存じのとおり、原子力の研究開発、利用についての長期計画でございますから、エネルギーということ、あるいは科学技術という側面、あるいは放射線利用という側面、あるいは国際的な平和利用という側面等々、かなり幅広いものがございますので、その実行に当たりましては、関係省庁が連携をとりながら、それぞれのつかさつかさにおいてやっていくということになろうかと思います。
#212
○北川委員 そうしましたら、高速増殖炉についてお伺いをしていきますが、フランスの方は実証炉のスーパーフェニックスを今解体し始めており、フランス政府は撤退するというふうに伝えられておりますが、政府の方はそういうふうに認識されていらっしゃるのでしょうか、お伺いいたします。
#213
○中澤政府参考人 事前に御通告がなかったものですから、ちょっと手元に資料を持ってございませんが、私の今理解し記憶している範囲では、スーパーフェニックスについては解体ということにはなっていないと思います。スーパーフェニックスにおける研究開発については中止するという政策決定が出ていると承っております。
 また、フェニックスについては、現在、いろいろな形での研究開発に利用するということで、まだ使っておるというふうに理解をしております。
#214
○北川委員 フェニックスの方は、放射線照射の方で、照射をすることで放射線率が下がるかどうかの実験のみに使われていくというふうに聞いております。
 では、政府の方も高速増殖炉については世界が撤退しているということをお認めになっているという上で、次の質問に移らせていただきます。
 きのう、きょうと新聞の方で報道されているので御存じの件だろうとは思いますが、きのう、記者会見が、「もんじゅ」の中で働いていらっしゃる、よく内部告発をしてくれる労働者のことを安全に敏感な労働者というふうに今規定をされていますが、内部告発がありました。
 そこでお伺いします。「もんじゅ」の蒸気発生器伝熱管の供用期間中の検査機器の開発がうまくいっていない。ノイズがひどくて、高速増殖炉はもともとループ式というのは物すごく難しいということがうたわれており、各国が撤退していったわけですが、このループの中に亀裂やひびが入っているかどうかを調べる探傷装置、それがどうも開発がなかなかうまくいかないということで、三菱重工、委託を受けていた会社がおりまして、これは渦電流探傷試験装置、略称するとECTと言うらしいのですが、これをおりた。おりて、今はどうしようかということで、海外の方にメーカーを切りかえて内々では出しているというふうに聞いているのですが、政府の方はどこまで認識、把握をされていらっしゃるのでしょうか。
#215
○中澤政府参考人 お答えいたします。
 今のお話の前に、今、北川先生から、高速増殖炉については云々という御発言がございましたが、一言だけ。
 各国のエネルギー政策、原子力政策というのは、各国の置かれた事情等々でそれぞれ異なります。現在、我が国では、この高速増殖炉について長期計画案でも審議をされているわけでありますけれども、高速増殖炉サイクル技術というものの重要性、またその中での「もんじゅ」というものは、高速増殖炉サイクル技術の研究開発のための中核として位置づけられるということで、着実にその研究開発を進めるべきというのが、現在まだ審議中でありますが、長期計画案の中に記載されているということだけ申し上げたいと思います。
 それから、蒸気発生器の検査機器の件という御質問だったと思いますが、これにつきましては、昨日、福井市におきまして、市民団体の方が記者会見をしてそのようなことを発表されたということは承っております。ただ、同時に、その二時間後にサイクル機構が福井市と敦賀市で記者会見を行いまして、それは事実でないというふうに記者会見をしたというのも承知しております。
 私どもがサイクル機構から報告を受け、承知しておりますのは、この「もんじゅ」の蒸気発生器伝熱管の供用期間中の検査機器の開発について、三菱重工ですけれども、これが開発からおりたというふうに言われておりますけれども、その事実はない。したがって、現在もサイクル機構は三菱重工と開発を継続している。したがって、当然のことでありますが、市民団体の方が言われたという、サイクル機構が委託先を海外メーカーに変更したという事実もないというふうに報告を聞いておりますし、そう承知しております。
 念のためでございますけれども、「もんじゅ」の蒸気発生器は、先生御案内のとおり、原子炉等規制法に基づきまして、既に材料検査、寸法検査、耐圧漏えい検査などの国の使用前検査というものに合格しておりますし、また、溶接に関しても国の検査に合格しております。さらに、これまでに行われました電気出力四〇%までの試運転でも、所定の性能を示しております。したがって、その健全性は確保されていると考えております。
 現在サイクル機構が三菱重工と開発しているのは何かということでございますが、現在開発を行っております蒸気発生器の伝熱管の供用期間中の検査機器の開発というのは、伝熱管の損傷の検出に必要な性能というのはもう既に確保されているのですけれども、より精度の高い検査技術というものを導入するために研究開発をやっているものでございまして、今後とも、サイクル機構は、三菱重工とこの研究開発を継続していくというふうに承知しております。
#216
○北川委員 今、高速増殖炉から世界は撤退をしていくということに関しての日本での取り組みについて御発言をいただいたのですが、長期計画の策定は十一月二十日ということがめどになっております。けれども、この間、策定委員会の委員の中からも、部会でのまとめの報告が反映されていないという意見も出ていまして、もしかしたら二十日だけではおさまらずに、ましてや、パブリックコメントで千八百九十六件、件数にしまして千百数十件という多くの方々の意見が寄せられていて、特に「もんじゅ」や、そしてまた再処理、リサイクルシステムに関しての意見が多かったということは御認識されていると思いますので、今のような御回答は少し違うのではないかということをお伝えしておきたいと思います。
 それと今、旧動燃の方が記者会見をして三菱との契約は続行中だという報告を受けたから、科技庁の方はそれでよろしいというふうにされていて、大した問題ではないというふうにお認めになっているようなんですが、九二年にも内部告発で、これは蒸気発生器の細管とは違いますけれども、SG細管の溶接が不良していて溶接部分が中にめり込んでいて、そこをまた探傷試験装置が入るときに、その溶接部分にひっかかってなかなか行かなかった。そうして、どうしようかといったら、探傷試験装置の一番先を小さく細くする、そして溶接部分をひっかからないように通す。そうすると何が起こったかというと、ひび割れや細管割れが見えない。八年前、覚えていらっしゃいますでしょう、そういう事件も内部告発でわかったわけです。
 今の御回答をお伺いしていますと、きのう福井だけで記者会見をしたわけではなくて、東京、福井、同時に記者会見をしているのですが、では、この九二年のとき、それがどのように解決され、事故報告書をとらえたのか。そういう資料をお出しいただくことを要求したいと思いますが、いかがでしょうか。
#217
○中澤政府参考人 まことに申しわけありませんが、まずお答えの前に、先ほどの高速増殖炉の研究開発についてまた北川先生からお話ございましたが、私は国によっていろいろと違うと申し上げました。フランスにおきましても、高速増殖炉の研究開発というのはまだ続けようということでいろいろな形でのトライがされておりますし、もちろん、ロシア、中国もやられておりますということで、それぞれ国によっていろいろなお話があるということは御理解いただきたいと思います。
 それから、九二年の話というのは、大変恐縮でございます、私存じませんので、ただいまそれがあるかどうかも含めて私は承知しておりませんので、調べた上で、後ほどまた御報告させていただきたいと思います。
#218
○北川委員 旧動燃の体質がそのまま核燃料サイクル機構の方に受け継がれているということを含めて、やはり、ずっと危険なのではないかということを訴えてきたいろいろな市民団体や科学者、安全に敏感な労働者、ともどもの御意見を酌み取っていらっしゃるのかどうかというところがすごいポイントであると思うのです。
 そうしますと、スーパーフェニックスというのは実証炉でした。日本は実証炉の計画がない、「もんじゅ」は原型炉であります。そして、この長期計画の中に二十年以上にわたる運転計画を盛り込んであるとありますが、「もんじゅ」の次の計画がないわけです。実証炉の計画がない中で二十年以上動かされる根拠についてお示しをいただきたいと思うのです。
#219
○中澤政府参考人 お答えいたします。
 現在、「もんじゅ」については長期計画の中で高速増殖炉開発の一環として検討されているわけでございますが、この「もんじゅ」については、運転再開が認められました後は、この長期計画案の中にも書かれておりますけれども、発電プラントとしての信頼性の実証とその運転経験を通じたナトリウム取り扱い技術の確立という所期の目的を達成するための研究開発を進めていくこととしております。
 具体的には、発電プラントとしての信頼性の実証ということでは、増殖性能の確認、高燃焼度燃料の実証等々、また、運転経験を通じたナトリウム取り扱い技術の確立としては、大型ナトリウム機器の性能及び信頼性実証等を実施することとしております。
 さらに、これは長期計画案の中にも書かれておりますけれども、長期的には、「もんじゅ」の役割の一つとして、高速中性子を利用して長寿命の核分裂生成物の核変換あるいはマイナーアクチニドと言われるものの燃焼などに関するデータを幅広く蓄積するということが期待されております。
 したがって、これらの研究開発を確実に実施していくためには、長期的な課題を含めなければ二十年弱、長期的な課題を含めると二十年を超える研究開発期間が必要となるということは考えられております。
 なお、高速増殖炉の実用化の話がございましたけれども、今回の長計案でも書かれておりますけれども、高速増殖炉の実用化に向けましては、研究開発の過程で得られる種々の成果などを十分に評価した上で具体的計画の決定が行われることが適切であると考えておりまして、「もんじゅ」の研究開発成果はその中でも特に重要なものとなっていくと考えております。
#220
○北川委員 そこのところがまさに、第三部会の部会自身のまとめが違っていたという委員の御意見がそこに集約されているわけです。「もんじゅ」の研究計画、それはもう大きくずれて、今、後半いろいろおつけになりましたが、それを何も部会は認めていないと策定委員の方がおっしゃっていたということを受けとめていただきたい。
 それともう一つは、先ほどおっしゃったナトリウムの取り扱い技術の確立。技術の確立があるから「もんじゅ」をつくると皆さんはずっとおっしゃってきたんじゃないですか。
 それと、十一月十三日に私は視察をさせていただきました、有志の科学技術委員会のメンバーで。その折に、現場の方は、ナトリウムはとても取り扱いが難しい、技術の確立がなかなかできないということをおっしゃっていましたよ。そして、ナトリウムから代替の鉛やほかのものを考えていこうということもしているとおっしゃっていたのですが、今の御答弁との整合性をお話しいただけますでしょうか。
#221
○中澤政府参考人 お答え申し上げます。
 北川先生も御案内のとおり、高速増殖炉技術というのはかなり多様性を持っております。したがいまして、今先生が言われたのは、鉛等々、あるいは再処理の仕方も含めて、いろいろな幅がございます。
 ただ、これは長計案の中にも書かれておりますけれども、現在、高速増殖炉システムの中で、あるいは高速増殖炉の中で最も開発が進んでいるのは、ナトリウム冷却の今の「もんじゅ」型のものであって、これから高速増殖炉の実用化に向けての研究開発を進めていくに当たっては、多様な選択肢を含めて幅広く検討するにしても、その中の最も進んでいるこのナトリウム冷却型の、「もんじゅ」型のものを早くやって所期の目的を達成することがその評価を行っていく上でもベースになるから、これは大変重要なことだというふうにされております。
#222
○北川委員 今、時間の通告が来たのですけれども、「もんじゅ」に関してはもう裁判も起こされていて、もともと、ナトリウムの技術の確立がいけるのかどうかというところがポイントで論争になっていたわけです。
 それと、最後になりますが、この費用対効果。「もんじゅ」は今動いていませんが、電力は食う。一カ月に一億円という試算ができています。動かさなくても百億円のお金が要るわけですが、この間、施設設備等のPR化、ナトリウム学校の募集といろいろつくられていますね。そういうものを含めて、「もんじゅ」のこれから運転再開に向けての保守費用といいますか、再開に向けての費用、それを幾らぐらい見込んでいらっしゃるのか、教えてください。
#223
○中澤政府参考人 一言だけ、「もんじゅ」の維持管理費百億というお話をされました。これにつきまして、経費節減の努力をしておりまして、十一年度には九十一億、十二年度には八十五億という形での低減を図っているところでございます。
 また、今先生がおっしゃられた、運転再開のためにこれからどのぐらいかかるのか、こういう話でございますけれども、これも御案内のとおり、運転再開のためには、ナトリウム漏えい事故を踏まえましたナトリウム漏えい対策、そしてさらに、そのほかにも行われました安全総点検に係る改修といった安全に係る所要の改善措置を行う必要があるわけでありますけれども、現在、これに必要な設計検討を実施している段階のものもその中にはございますし、また、いずれにしましても、今後、運転再開に向けましては安全規制当局によります審査も受ける必要があるわけでございますから、経費を正確に算出することは困難であると思われます。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、相応のお金がかかりましたとしても、「もんじゅ」は高速増殖炉サイクル技術のうち最も開発が進んでいる炉でございますし、将来の研究開発にとって大変重要な施設でございますので、この研究開発をさまざまな点も含めて評価をしながら、できるだけ合理的な研究開発計画のもとに着実に研究開発を進めていきたいというふうに考えております。
#224
○古屋委員長 持ち時間が終了しておりますので、御協力をお願いいたします。
#225
○北川委員 済みません。この委員会の者ではないのであれですが、最後に言わせてください。
 「もんじゅ」は、もう一兆八千億円も使っていて、今点検に対して、再開に対してのめどが立たないぐらいお金が要る。その数字をぜひ出してください。そして、国民にこのお金を使ってもいいかどうかを本当に明らかに問うという姿勢を科学技術庁はお持ちいただくことをお願いしまして、私の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。
#226
○古屋委員長 宇田川芳雄君。
#227
○宇田川委員 21世紀クラブの宇田川芳雄でございます。
 きょうは早朝からの審議でございまして、古屋委員長初め委員の皆さん方、とりわけ平沼大臣、堺屋長官にはお疲れのところだと思いますが、私が最終ランナーでございますから、もうしばらくおつき合いをいただきたいと思います。
 まず、堺屋経済企画庁長官にお伺いをいたします。
 長官、今までの委員の皆さんの専門的なお話と違って、私は、町の人たちが素朴に感じている疑問であるとか、あるいは心配事をお聞きしますので、気楽にひとつ堺屋節でお答えいただければありがたいと思っております。
 まず最初に、堺屋長官、きょうの委員会でもそうでございましたけれども、テレビの番組などで経済問題のお話を伺っておりまして、大変いつもうんちくのあるお話をお聞きして敬服をしているところですが、力強い発言をされます。
 今大変な時期なんだ、若干低迷しているけれども、だけれども、これから先は緩やかな回復状況にあって、先は大丈夫なんだということで国民を鼓舞していらっしゃることは大変ありがたいことですけれども、私は、堺屋長官が就任されてからずっと同じように国民を鼓舞してこられて、鼓舞された国民の方はちっとも上へ上がっていかないという状況が続いているような気がするんです。
 私は、長官が国務大臣として、閣僚としてお答えをなさる、発言をされる、これは当然そういうことだと思うんですよ。それ以外の発言をされたらやはり閣僚としてまずいですから、そういう発言をされるわけですけれども、ここで堺屋長官に長官としてのよろいを外してもらって、経済評論家あるいは経済学者、作家として、個人の堺屋長官として、一体今の経済環境をどうお考えなんだろうか、大きな声で言えなければ小さな声で結構でございますから、お聞かせいただければありがたいと思います。
#228
○堺屋国務大臣 私は、就任以来九四半期になりますけれども、一度も政治的な配慮をして経済を見通したことはございません。
 私が就任いたしましたとき、非常に景気が悪い、日本の経済はデフレスパイラルの入り口を通り過ぎようとしていると最も厳しい発言をいたしました。そして、一昨年の十二月になってようやく、一部に変化の胎動が見られるという発言をいたしました。これが就任から五カ月目で、初めて明るいことを申し上げたんです。それで、統計によりますと、去年の四月を底にいたしまして、緩やかながら上昇を続けてきております。
 現在のところは、企業部門では企業収益が増加し、設備投資もふえ、生産も堅調に拡大しておりますが、家計部門、一般家庭の収入は、ようやく下げどまりから少し上がった程度。そして、最も需要の中で大きい家計需要、個人消費は、依然として一進一退、大きく見ると横ばいという状態になっております。特にこの七月以降、やや消費が曇りぎみでございます。その上、海外の事情も、アメリカ、アジアの景気が、成長が鈍化してまいりまして、国際石油価格の上昇もございまして、やや輸出が伸び悩み、横ばい状態になっている。
 そういう意味でいいますと、四月ぐらいからずっと緩やかな上昇で、飛行機が上昇しかけてきたけれども、ここでぐうっと上がってくれるといいんですが、なかなかそうはいかなくて、ちょっと今のところ、この秋の感じはむしろ警戒すべき要素が出てきている、そんな状況でございます。
 しかし、この日本の企業収益が上昇し、設備投資が続きますれば、来年度、年明けから来年度になるころにはかなり期待ができるのではないかと思っております。
#229
○宇田川委員 率直に、大変明るい見通しをお話しいただきましたので、個人的な見解がすべて公式のお話だということで、大変力強く感じたところでございます。
 時に今、完全失業率は、この間の経企庁の月例報告でも四・六、七%ですかを行ったり来たりしているわけでありますけれども、実質的な失業者の数というのは、この完全失業率に合わせて例の摩擦失業、どんな時代でも失業というのは人間が動きますから、摩擦失業が出てくるはずでありますが、この摩擦失業のパーセントというのはどの程度経済企画庁としては踏んでおられるのでしょうか。
#230
○堺屋国務大臣 この摩擦的失業というのは非常に見込みにくいのでございますけれども、構造的失業という言い方、それから需要不足で生じる失業、こういう言い方がございます。
 それで、完全失業率は一時四・九%に上がり、四・六に下がり、今四・八というような数値で、このところ横ばいでございますが、三・七%がそうした摩擦的失業と見込まれております。この値を推計する方法によって異なることもありますが、一定の幅を持って見ていただきたいと思っております。したがいまして、均衡失業率が上昇トレンドにあったことを考えますと、大体三%台の後半がその摩擦的な失業、こういうふうに見ていただければいいんじゃないかと思います。
#231
○宇田川委員 有効求人倍率がいつも発表されるわけですけれども、それと同時に、有効求人倍率というのは就業を希望する人と採用する側との倍率になるわけですけれども、失業しているんだけれども就業を希望しないといいますか、そのままでいいんだという人の失業者というのもかなりの率を占めていると思うんですが、こういったところの統計はとっていらっしゃるんでしょうか。
#232
○堺屋国務大臣 有効求人倍率でございますが、本年九月の有効求人倍率が〇・六二でございます。平成十一年五月、去年の五月に〇・四六というのがございまして、これが一番底でございました。
 この有効求人倍率というのは、求職者、職を求める人が分母、それで、人を求める職場の方が分子の仕事でございます。そのほかに、新しく求人を求める人、あるいはパートだけをとった数字、その他さまざまございますけれども、現在の求人倍率は少し回復してきている。一番低いときより少し回復している、そんな感じでございます。
#233
○宇田川委員 私、今こういったことを細かくお聞きしたのは、これから少子化時代に入りまして、労働力の需給というものが日本の国の将来に大きな影響を及ぼしてくるんじゃないか、そんなふうに考えるわけですね。
 ですから、ということを考えますと、有効求人倍率だけでなく、今日本の国の中にどういう労働力が潜在的にあるのか、活用できるのか、活用できるのなら、IT時代と言われますけれども、ITの教育も含めて、どういうふうに教育を進めていったら活用できるのか。そういったことを考えていかないと、私は、近い将来、労働力需給によって大変苦労するようなことになってくるんじゃないかと思うんです。
 そういう点で、長官にちょっとお伺いしたいというかお願いしたいんですが、経済企画庁としても、目に見える労働力、失業率というようなそんな需給でなく、潜在的なそういうものもひとつ統計上出していただいて、こういうものも日本の労働力の中にはあるんだぞ、これが働けばこうなるんだぞというものを示していただくのも、将来にとって、国民の元気の出る姿の一つになるんじゃないか、そう思っているんですが、いかがでしょうか。
#234
○堺屋国務大臣 非労働力人口という、職を求めていない人の人口というのがあります。十五歳以上の全国民の中で労働人口と非労働人口にまず分けて、労働人口の中で失業者と就業者に分かれるという格好になるわけですね。
 この非労働力人口というのを見ますと、本年九月におきまして四千七十五万人で、失業者は三百十八万人ですから、失業をしておられる方の十三倍ぐらいこの非労働力人口というのがございます。
 この非労働力人口がどういう内訳になっているかと申しますと、非労働力人口の中で、就職したいけれども何かの事情でできないという人と、もうもともとしたくないという人とがございます。それで、したいけれども今はできないんだ、自分の事情でできないんだという人の中には、一時的な病気という人がございまして、これが一・八%ぐらい、それから、仕事を探す余裕がない、お子様がおられるとかなんとか、いろいろな事情で仕事を探す余裕がないという人が一・〇%、それから、もう初めから適当な仕事がありそうにないとあきらめておられる方が一〇・二%、それから、家事、通学その他を続けたいので仕事をしたくないというのが六・七%、その他の事情の人がございます。そして、初めから、今大学へ行っているとか、非常に高齢であるとか、あるいは現在の通学や家事に満足しているという人が七六・六%、こんな分かれになっています。
 この労働力人口というのが、ことしの初めからずっと六、七月ぐらいまで減ったんです。非労動力人口がふえて、労働力人口が減りました。それでちょっと心配したんですが、最近少し求人数がふえてきたのもあって、また回復してきておりますので、日本人の勤労意欲はまあ大丈夫だという感じを持っております。
#235
○宇田川委員 ありがとうございました。あと時間が五分しかありませんので、平沼通商産業大臣に、はしょってお聞きしますので簡単にお答えいただければと思います。
 中小企業金融安定化特別保証制度については、もう何度もこの委員会でお話が出ておりますから、くどいことは申し上げませんが、今度、五千万が八千万の限度額まで伸ばしてくれる、これは大変ありがたいことで、中小企業にとってはいろいろなことがありましたけれども、これはみんな喜んでいる制度だということで、これからもこういった点に力を入れていただきたいと思うんですが、一昨年から借りた人たちが、さっき繰り延べという話が委員会でも出ていましたけれども、やはり景気がよくなるよくなると言われて借りたわけですが、一向に景気がよくならなくて返せないという人も大勢いるわけですね。
 ところが、中小企業者というのは非常にまじめな人で、私は東京都信用保証協会の補助審査員をやっていたことがありますから、だめになっちゃった企業の実態というのは随分詳しく見せてもらっているんですが、もうとことんどうにもならないところで助けを求めるということで、非常にまじめにやっております。ですから、何とか繰り延べしてでも返したいという人には、そういう道をつくってやることが必要じゃないか。
 今やってくれていますけれども、五年の期限の中はその五年の範囲で延ばしてくれる、七年のものは七年の範囲で延ばしてくれるという実態ですので、これをあと二年ぐらいずつ先延ばししてやって、ちゃんと返したい、返すんだという人にはそういう道を開いてやることが必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#236
○平沼国務大臣 お答えをいたします。
 先生御評価くださいましたけれども、この特別保証制度というのは、金融機関の貸し渋り、これが非常に顕著なものがございましたので、やはりこれを救済しなきゃいかぬということで、皆様方の御賛同をいただいて、当初は二十兆でスタートして、さらに一年延長して三十兆の規模に拡大いたしました。これはもう既に先生も御承知だと思いますが、百四十三万件の方々に利用していただき、そして保証の実績も二十四兆一千億、こういうような形で、大変効果を上げてまいりました。
 その代位弁済率というのを我々は最悪一〇%に想定しておりましたけれども、今御指摘のように、非常に日本の中小零細企業の方々はまじめな方が多くて、一生懸命に返済をしてくださっておりまして、今の代位弁済率というのは一・八二、こういうところでございます。しかし、これは終わりの方からぐっと上がるという傾向がありますから。しかし、それにしても本当に懸命に返済に立ち向かっていただいている、こういうことであります。
 そこで、お尋ねの既往債務について、やはりまじめにやっている方々には弾力的に対応しろ、こういうことでございますけれども、これは我々としては、その経営実態等、そしてその取り組みの態度、そういったことを総合的に勘案して、この既往の債務についても弾力的に、今おっしゃったような、そういう血の通った取り扱いをしてまいりたい、このように思っております。
#237
○宇田川委員 最後に、商店街の対策でお聞きをしておきたいと思うんですが、もう大臣も既によく御承知だし、方々でお話をしていただいているのですが、東京都に例をとりましても、たしか昭和六十三年に約十四万四千店舗だったと思うのですが、ガソリンスタンドを除いて、商店の数がありました。それが十年後では、平成九年に十二万五千店舗、二万店舗減っております。それに引きかえて、いわゆる五百平米以上の大型店は、平成二年に千二百七十七店舗でしたが、平成十二年には千八百二十一店舗とふえております。
 それだけではなくて、売り場面積が、当時は、十四万四千店舗の小売店の売り場面積に対して、大型店の千二百七十七店舗の売り場面積が五〇%。それが今は、大型店の売り場面積が六〇%ぐらいになってきている。これは小売店にとって大変なことでありまして、いわゆるシャッター通りというものが現状としてできている大きな理由になっているわけであります。
 しかし、私はいつも思うのですが、地域の商店街が元気を出すことが地域の開発の活力につながっていく。地域の商店街が元気を出していい仕事をすれば、消費者のいわゆる消費性向も上がりまして、消費ムードが上がってくるのではないか、私はそんなふうに考えているわけですが、そのためにも地域商店街をないがしろにしてはいけないと思います。
 東京都でも、元気を出せ商店街という予算をつくりまして、ここ三年ばかり各商店街に予算を出しました。そんなこともあって、商店の数は減ったけれども商店街の数はふえたという現象が出ているわけですけれども。各地方でそれぞれに知恵を絞ってやっていると思うのですが、国としてこれからも商店街にしっかりした対応をやるんだという御決意を、平沼大臣からひとつきちっといただければありがたいと思います。
#238
○平沼国務大臣 お答えをいたします。
 私の地元、地方で岡山県でございますけれども、やはり江戸時代から続いているような商店街がシャッター通りになっております。これは、特に先生は東京でいらっしゃいますし、例えば江戸文化の伝承とかそういうことに大きな問題があります。
 そういうことで、商店の存亡の危機に、今こういう状態に置かれておりますけれども、我々としましては、やはり商店街というのはこれまでも地域住民の買い物の場であったり交流の場、そういった中核として地域経済社会において重要な役割を果たしてきたと思っています。
 このため、通産省といたしましても、アーケードや駐車場の整備などの基盤施設整備への補助も行ってきましたし、商店街における空き店舗対策、さらには駐車対策など、商店街活性化のためのソフト事業に対する支援、魅力ある町づくり、こういうことでいろいろな施策を講じてきているところであります。
 今後とも、先生の御指摘のとおりでございますので、通産省としても、まさに商店街活性化に責任を負っている役所として、全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように思っております。
#239
○宇田川委員 以上で終わります。ありがとうございました。
#240
○古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十三分散会

ソース: 国立国会図書館
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