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2000/11/02 第150回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第150回国会 農林水産委員会 第2号
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2000/11/02 第150回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第150回国会 農林水産委員会 第2号

#1
第150回国会 農林水産委員会 第2号
平成十二年十一月二日(木曜日)
    午後二時四十分開議
 出席委員
   委員長 宮路 和明君
   理事 岸本 光造君 理事 西川 公也君
   理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君
   理事 筒井 信隆君 理事 鉢呂 吉雄君
   理事 丸谷 佳織君 理事 一川 保夫君
      石破  茂君    今村 雅弘君
      岩倉 博文君    金田 英行君
      木村 太郎君    北村 直人君
      熊谷 市雄君    小島 敏男君
      後藤田正純君   田野瀬良太郎君
      浜田 靖一君    福井  照君
      松岡 利勝君    森山 眞弓君
      岩國 哲人君    奥田  建君
      後藤 茂之君    佐藤謙一郎君
      津川 祥吾君    永田 寿康君
      長浜 博行君    楢崎 欣弥君
      三村 申吾君    江田 康幸君
      高橋 嘉信君    中林よし子君
      松本 善明君    菅野 哲雄君
      山口わか子君    金子 恭之君
    …………………………………
   農林水産大臣       谷  洋一君
   農林水産政務次官     石破  茂君
   政府参考人
   (厚生省生活衛生局長)  西本  至君
   政府参考人
   (農林水産大臣官房長)  竹中 美晴君
   政府参考人
   (農林水産省経済局長)  石原  葵君
   政府参考人
   (農林水産省構造改善局長
   )            渡辺 好明君
   政府参考人
   (農林水産省農産園芸局長
   )            木下 寛之君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月二日
 辞任         補欠選任
  熊谷 市雄君     木村 太郎君
  安住  淳君     奥田  建君
  漆原 良夫君     江田 康幸君
同日
 辞任         補欠選任
  木村 太郎君     熊谷 市雄君
  奥田  建君     安住  淳君
  江田 康幸君     漆原 良夫君
    ―――――――――――――
十一月一日
 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)
十月十一日
 遺伝子組換え食品のすべての原料表示の義務化等に関する請願(後藤茂之君紹介)(第一八号)
 食料自給率引き上げと食料の安全に関する請願(中林よし子君紹介)(第七五号)
同月二十三日
 遺伝子組換え食品のすべての原料表示の義務化等に関する請願(木下厚君紹介)(第一九二号)
 同(細川律夫君紹介)(第一九三号)
 同(細川律夫君紹介)(第二〇〇号)
 同(細川律夫君紹介)(第二〇五号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第二一二号)
 同(五十嵐文彦君紹介)(第三二九号)
 同(上田清司君紹介)(第三三〇号)
同月二十七日
 遺伝子組換え食品のすべての原料表示の義務化等に関する請願(日森文尋君紹介)(第三八〇号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第五六一号)
同月三十一日
 遺伝子組換え食品のすべての原料表示の義務化等に関する請願(古川元久君紹介)(第六五一号)
 同(伊藤英成君紹介)(第七七五号)
 同(大島令子君紹介)(第七七六号)
 同(松沢成文君紹介)(第七七七号)
十一月二日
 遺伝子組換え食品のすべての原料表示の義務化等に関する請願(松崎公昭君紹介)(第八三八号)
 同(石井一君紹介)(第九〇二号)
 同(長浜博行君紹介)(第九〇三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

    午後二時四十分開議
     ――――◇―――――
#2
○宮路委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、農地法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣谷洋一君。
    ―――――――――――――
 農地法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○谷国務大臣 このたび、農地法の一部改正について提案をさせていただきます。
 昨年、新しい農業基本法をつくりまして、活力のある農村を育てたい、そして、農村地域の活性化を図りたいという念願に燃えておるわけでございますが、その手段として農業生産法人をつくることが大変大切だと思っております。これらの問題につきましての改正でございまして、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 詳細につきましては、総括政務次官の方から御説明申し上げます。
 慎重に御審議賜りまして、早期に御可決あらんことをお願い申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。
#4
○宮路委員長 農林水産政務次官石破茂君。
#5
○石破政務次官 農地法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 効率的かつ安定的な農業経営を育成し、地域農業の活性化を図るためには、農業経営の法人化の推進が重要になっております。
 このため、農業生産法人の要件を見直し、経営形態の選択肢の拡大や経営の多角化等を進めるとともに、あわせて、農地の投機的取得等の懸念を払拭する必要があります。
 また、地域の実情に応じた農地の権利移動が行われるよう措置する等の必要があります。
 これらの内容を実施するため、この法律案を提出いたした次第でございます。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明を申し上げます。
 第一に、農業生産法人の要件の見直しであります。
 農業生産法人について、一定の条件のもとに株式会社を認めるとともに、事業範囲の拡大等の措置を講ずることとしております。
 第二に、農業生産法人の要件適合性を担保するための措置であります。
 農業生産法人が、毎年、事業の状況等を農業委員会に報告することを義務づける等の規定を設けることとしております。
 第三に、農地の権利移動許可の要件の弾力化であります。
 農地の権利移動許可の要件となっております下限面積につきまして、都道府県知事が独自の面積を定める際の農林水産大臣の承認を廃止することとしております。
 このほか、小作料の支払い形態の自由化等を行うこととしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。
 以上でございます。
#6
○宮路委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○宮路委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、来る七日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産大臣官房長竹中美晴君、農林水産省経済局長石原葵君、農林水産省構造改善局長渡辺好明君、農林水産省農産園芸局長木下寛之君及び厚生省生活衛生局長西本至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#10
○宮路委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松下忠洋君。
#11
○松下委員 自由民主党の松下忠洋でございます。
 質問が多岐にわたりますので、答弁者におかれましては、要点のみ的確にお答えいただきますようにお願いを申し上げます。
 農地法に関連する質問に先立ちまして、まず、最近の農産物の価格等をめぐる問題に関連して、二点、政府のお考えをお聞かせいただきたい。
 まず、農家の所得確保対策についてでございますけれども、石破総括政務次官にお願いをいたします。
 最近の状況を見ておりますと、米、野菜を初めとする農産物価格の低落が続いておりました。そういう状況の中で、農家の所得が減少して、将来に対して強い不安を抱いております。本年三月に策定されました食料・農業・農村基本計画におきましては、農業の将来の姿として、効率的かつ安定的な農業経営を育成する、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立していくことが必要であるとしております。
 こういう中で、今後、農家が将来に向けて意欲を持って農業経営の改善に取り組み、農業を続けていくためには、その経営や所得の安定を図ることが最も重要なことと考えております。欧米各国、韓国等においても、それぞれ知恵を出し合って政策をつくり上げております。我が国においても、意欲ある農家に対してその経営を単位として所得の安定を図る仕組みを確立して、政策としてつくり上げていくということがどうしても必要だと考えております。
 我が自由民主党でも、現在、松岡利勝代議士を座長として猛勉強中でありますけれども、農林水産省、この点に関しての見解をいただきたい。お願いします。
#12
○石破政務次官 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、農産物価格の低落によりまして農家の経営が非常な打撃を受けております。そして、それは、構造政策を進めていくというよりも、むしろ、専業的に大規模にやっておるところにまず打撃がいく、その部分をどうしようかという考え方をとっていかねばなるまい、かように考えておる次第でございます。それは、法律にもうたってありますように、激変をいかにして緩和するか、セーフティーネットをどのようにつくっていくかということもまた考えていかねばなりませんが、御指摘のように、諸外国のいろいろな仕組みを今勉強中でございます。
 もちろん、アメリカ、韓国、EU、それぞれの農業事情と私どもの農業事情と違うわけでございますけれども、どういう形で、本当に育成すべき経営体が伸びていくか、そしてまた、委員御案内のとおり、生涯所得というものをきちんと確保しなければ、絶対に後継者というものはできない。しかしながら、今の数字で見てみますと、特化をすればするほど一人当たりの所得は減っていくのではないか。農家の所得は確かに多いけれども、一人一人の生涯所得というのはどういうものなのか、それは特化すればするほど減るという傾向にあるのじゃないのか、そのような問題意識を持っておるところでございます。
 そうしますと、所得を確保するためにいかなる手段があり得るか、その点につきまして今議論を重ねておるところでございます。基本的には農家の努力、そして構造政策の推進、そういうことではなかろうかと思っておりますが、あわせて、所得を確保するために国として何ができるか。ぎりぎり一生懸命やってみても、他産業並みの所得にならない、だとすれば、そこの部分の足らざるところをいかにして補うべきかということにつきまして、現在、鋭意検討を進めておるところでございます。
 どうぞ、今後とも御教導賜りますようお願いを申し上げます。
#13
○松下委員 このことは党でも今精力的に勉強しておりますので、いい結果が出るようにお互いの知恵を出し合ってやっていきますようにお願いしたいと思います。
 次は、セーフガード措置についてお聞きをいたします。これは石原経済局長にお願いをいたします。
 今申し上げましたように、農産物等が下落をしております。農産物は他の工業品と異なりまして、食べ物でありますし、人類の生存に直接かかわっているということでございます。また、一方、季節性がありますし、非常に腐敗しやすいということでありまして、長期の保存が困難という特性を有しております。
 こういう中で、輸入の急増に対する措置としては、WTO協定のもとではセーフガード措置がありますけれども、現行のセーフガード協定を踏まえると、こうした農産物の特性について全く配慮がなされていないと考えております。
 このような協定のもとで、農産物について、他の鉱工業品と同様に扱われて、発動に当たってさまざまな調査、立証が要求されております。大蔵省や通産省、関係省庁との共同の調査でありますとか協議が必要というふうになっておりますけれども、このため、農産物についてのセーフガードが措置しにくくなっている。実際的には不可能になっているのじゃないかというふうにも思われるわけであります。このような見地から、WTO農業交渉においても、季節性があって腐敗しやすい等の特性を有する農産物についてはセーフガードを直ちに、迅速に発動できるようにすること、農産物の特性を踏まえたセーフガード措置を提案すべきであると考えております。
 このことについても、今我が党でも猛勉強中でございますけれども、農林水産省はどのように考えておるか、見解をいただきたい。
#14
○石原政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘のように、季節性があり、また腐敗しやすい等の特性を農産物は持っております。このような農産物につきましては、セーフガードの迅速な発動については多くの問題があると認識しているところでございます。
 現在、WTO農業交渉が行われておりまして、その中で本年末までに各国政府から提案を提出することになっておりますが、セーフガードの問題を十分認識いたしまして、このような特性を持った農産物につきまして、輸入急増等の事態に機動的、効果的に発動できるよう、運用の透明性を高めましたセーフガード措置を、WTO農業交渉における我が国の提案の一部とすることにつきまして、検討してまいる考えでございます。
#15
○松下委員 この点についても、我が党でも精力的に勉強しておりますので、きちっとした対応ができるように知恵を出し合ってもらいたい、そのようにお願いいたします。
 本題に入ります。谷大臣にお尋ねをいたします。
 新しい基本法のもとで私たちは農政改革を進めて、力強い日本農業を確立していかなければならないと考えております。このためには、幅広い担い手を確保して足腰の強い農業経営の展開を図るために、家族農業経営の活性化とともに、農業経営の法人化を一層推進する必要があると考えます。また、これら担い手に対する農地の流動化も進める必要があると考えております。
 そこで大臣、法人化の推進についてお尋ねいたしますけれども、今回の農地法の改正の大きな柱は、農業生産法人制度の見直しであります。これは、農業経営の法人化を推進するための一つの手法であります。法人化の推進がどのようなねらいを持っているのか、いかなる成果を期待しているのか、基本のところをお伺いしたい。お願いします。
#16
○谷国務大臣 ただいま御指摘いただきましたように、新しい農業基本法を実のあるものにするために、また自給率を高めるために、そういう要素を考えてみますと、今御指摘のとおりに、農業生産法人をつくる、また株式会社化も一部条件つきで行うというふうなことを積極的にやる必要があると思います。そして、農村に活力を与えることが一番大事だと思います。そのためにはいろいろな施策が必要と思いますが、今回の農地法改正もその一助でございまして、こういう課題を次々と提案し、そして、いいと思われるものをどんどんやっていく、そういう方向でいくことが今の緊要な問題だと思っております。
#17
○松下委員 渡辺構造改善局長にお尋ねをしてまいります。
 今大臣のお話がありましたけれども、この法人化の推進について、政府は種々の施策を講じてまいりました。これまでとってきた対応はいかなるものであったのか。また、その結果、法人数は現在どのくらいになっているのか。地域別に、業種別にどうなっているのか。その成果はどうであるか。また、その評価をどのようにしているのか。そのところをお伺いいたしたい。
#18
○渡辺政府参考人 法人化の推進のための施策でありますけれども、大きくいいますと、五項目ぐらいあろうと思います。
 一つは、法人の設立あるいは経営改善について、相談活動、指導活動をしております。それから、マーケティングや労務管理についての研修会、あるいは販売促進のための食品業界等との交流会、さらには人材を確保するための就職説明会の開催、こういったことをやっているわけであります。資金面でも、制度資金の中で、法人向け特別融資限度額、例えばスーパーL資金などにつきましては、個人一億五千万という限度が、法人では五億円というふうになっておりまして、いろいろな意味で、先生から御指摘がありましたように、支援を強化しているところでございます。
 また、農業法人の数でありますけれども、これは、まだ本年のセンサスが出ておりませんので、平成七年のセンサスでありますが、全体で農業法人としては九千五百二十二法人ございます。ただ、この内訳は、およそ半分が一戸一法人といういわば家族経営が法人化をした、そういう状況にございます。地域別には、関東・東山が二千法人、北海道が千八百法人、九州が千五百法人、この辺が主力でございます。
 業種別には、単一経営が八五%を占めておりますが、バラエティーに富んでおりまして、養鶏、養豚、花卉、畑作、野菜作、稲作、こんな順番で、おおむね一〇%から一五、六%のシェアを占めているところでございまして、今日この農業法人の中で、とりわけ農業生産法人、その中でも有限会社の形態をとっているものが近年非常に数がふえているという実情にございます。
#19
○松下委員 実情は、平成七年ですけれども、まだ十分な進展がないように思いますが、今度は株式会社形態の導入についてお尋ねをいたします。
 これまで、株式会社形態をとることは認めていなかった。今回の改正で、農地を使った農業経営についても株式会社形態をとることができるようになるわけであります。これまで株式会社を認めなかったのはなぜか、今回認めることとしたのはなぜなのか。そこを的確にお願いします。
#20
○渡辺政府参考人 御案内のとおり、農業生産法人制度は、昭和三十七年の農地法の改正で創設をされました。その時点におきまして、農事組合法人であるとか有限会社といった形態を認めたわけでありますが、その当時なぜ株式会社を認めなかったかというのには、事情がございました。
 当時は、商法上の規定として、株式会社には株式譲渡についてのチェックの仕組みがございませんでした。したがって、株は自由に譲渡ができましたので、農地法が要求をしております構成員要件などの要件を欠く危険が不断にあるということで、株式会社は除外をしていたというのがいきさつでございます。
 ただ、その後、昭和四十一年に商法の改正がございまして、株式会社につきまして、定款で株式の譲渡制限、これを取締役会の承認で行えることがなされたところでございまして、いわば株式の自由譲渡性に歯どめがかけられたわけでございます。それから、平成六年の商法改正の中で、株式の譲渡につきまして取締役会が承認をしなかった場合に、自社株の買い入れという形の方途も開かれました。
 こういう状況も踏まえまして、一方で、土地利用型農業における担い手の経営形態の選択肢を拡大させるという必要性も高まってまいりましたので、一定の条件を付しながら、農業生産法人の一形態として株式会社という形態を認めてもいいのではないかという状況に至ったわけでございます。
#21
○松下委員 株式会社の形態を認めるについても、今ちょっと局長から触れましたけれども、関係者の意見も聞きながら、政府部内においてもさまざまな議論がなされたと思います。どのような経緯があったのか説明してもらいたいことと、この株式会社形態を導入することによって農家にとってどのようなメリットが考えられるのか、デメリットはないのか、そこのところを的確に、要点のみお願いいたします。
#22
○渡辺政府参考人 株式会社形態を認めるに至りました大きなプロセスとしては、三つございます。
 一つは、総理大臣の諮問機関としての食料・農業・農村基本問題調査会の答申が平成十年の九月に出ておりまして、株式会社一般にこうした土地の取得を認めることには合意は得がたいけれども、農業生産法人の一形態という形であれば、農地の投機的な取得あるいは水管理、土地利用の混乱など、そういった懸念も払拭できるのではないかということで、その懸念を払拭するに足る措置を講じることができれば、その道を開くという結論に達したわけでございます。
 この答申を踏まえまして、第二段階でありますが、同年の十二月に農政改革大綱の中で、担い手の経営の選択肢を拡大させる観点から、農業生産法人の一形態としての株式会社に限ってこれを認める、そして、さまざまな懸念払拭措置を導入するということを決めたわけでございます。
 これを受けまして、農業団体も入れました農業生産法人制度検討会で懸念払拭措置を検討いたしまして、この農業生産法人としての株式会社形態に、いわば定款で株式の譲渡について取締役会の承認を要する旨定めている株式会社に限るということで、具体的な条件を付したわけでございます。
 また、懸念払拭措置としては、農地の権利取得段階、それから法人の活動段階、法人の要件を欠いた段階、それぞれの段階におきまして、きちんとこれをチェックするということで措置を講じることとしたわけでございます。
 株式会社形態を導入することによりまして、株式会社が持っております資金調達面、人材確保面あるいは販路の確保の面で、非常に大きな可能性が出てまいります。この点につきましては、現在、農業生産法人の経営者の方々の御意見も聞きましたところ、そうした方向が望ましいという御意見が多かったと思っております。
 有限会社という形態がこれまでの最高でありましたけれども、株式会社になりますと、構成員の数に制限がないわけでございますので、多くの人に参加を求めることもできますし、資本の増額につきましても定款の変更が必要ない、あるいは取締役会の権限が大きいために機動的な運用が可能だということで、多数の農家が出資をして、機動的、効率的な経営の展開ができるということでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、懸念が幾つかございます。農地の投機的な取得あるいは地域における土地や水の合理的利用への阻害、こういう点につきまして、きちんとした懸念払拭措置を、権利の取得段階あるいは活動段階、そして、出口である要件を欠いた段階におきまして的確に講ずることで、デメリットないしは懸念と思われることを払拭するということを提案させていただいているわけでございます。
#23
○松下委員 今のことに関連してですけれども、株式会社形態を導入することによって、転用目的での農地取得が行われるのではないかというような懸念が当初からずっとありました。これに対してどのように具体的に措置を講じようとしているのか、そこの歯どめのところをもう一度きちっと御説明いただきたい。
#24
○渡辺政府参考人 御案内のとおり、転用につきましては、農地法で厳しい基準と運用が定められております。この点につきましては、農業委員会が、いわば株式会社形態をとった農業生産法人が農地に関する権利を取得する段階で、厳正に審査をするということにしております。
 それから同時に、その生産法人がきちんとその農地を耕作しているかどうかにつきまして、常時監視する、報告を求める、場合によっては立入検査をするというふうな措置を定めたいと考えております。
 また、農業委員会だけでは目が行き届かない、そういう部分につきましては、地域で、市町村、農協あるいは農業委員会、生産者の代表、こういう方々に協議の場をおつくりいただきまして、その協議の場を通じて、情報交換、監視、そして指導を行うということを考えております。
 最終的に、要件を欠くような場合、あるいはそのおそれが生じました場合には、国としても所要の指導をするということになっております。
 転用につきましては、農地法の運用を厳正にする、そういうことで対応したいと考えております。
#25
○松下委員 事業範囲の拡大についてお尋ねをいたします。
 現在の家族農業経営では、農業に関係しない事業を行うことには特段の制限がありません。農業生産法人の行い得る事業は農業及び農業関連事業に限定されておりまして、経営の多角化が図りにくくなっております。
 今回、この事業要件を改正して、農業及び関連事業以外の事業も実施できるようにしておりますけれども、どのような効果を期待しているのか、そこのところをお聞かせいただきたい。
#26
○渡辺政府参考人 大きく分けまして二つございます。
 一つは、農業生産というものが作柄や価格変動にさらされておるということでございます。これに対して、経営を多角化することで経営の発展、安定というのがもたらされるというふうに思います。
 それから、農作業は、御案内のとおり季節性を持っております。春から秋までの農作業で、冬の間は機械も施設も技術も人もあいているというふうな状況がございます。これまでは、先生御指摘のとおり、農業と農業関連業だけでございましたので、その重要な資源を冬場に使うことができませんでした。しかし、今回の改正をさせていただきますならば、例えば冬場の雪かき作業といったようなものにつきましては、その機械と人と技術、施設を使いまして周年雇用が可能になるということで、農業者あるいは雇用者にとりましても、好ましい結果がもたらされるというふうに考えております。
#27
○松下委員 確かに大きな前進ではありますけれども、これが実際に行われるときのフォローをしっかりしていくということも大事ですから、しっかりここは見ていただきたいと思うのであります。
 もう一つ、構成員の拡大がございます。現在、農業協同組合が農業生産法人の構成員となって、地域の農業の維持、発展に貢献している事例があります。今回、農協に加えて地方公共団体が構成員になれるというふうにしておりますけれども、これまたどのような効果を期待しているのか、そこのところをお聞かせいただきたい。
#28
○渡辺政府参考人 今回の農業生産法人制度の改革といいますか改正のねらいは、農業経営そのものをよくすることと同時に、地域農業を活性化させるというところにポイントがございます。
 地域の実情はそれぞれでございまして、御指摘のとおり、農協や農協の連合会が出資をしているという事例はあるわけでございますけれども、例えば中山間地域などで担い手が不足しているような地域では、地域農業の維持、発展あるいは多面的機能の発揮という点におきまして、どうしても地方公共団体の支援が必要でございます。これを農業生産法人への出資という形で可能にすることが一つ考えられます。
 それから、現実問題として、既に市町村は第三セクターの形でいろいろな事業といいますか作業を行っております。例えば農作業の受託といったようなことも行っておりますけれども、この組織が農地に関する権利を取得することで、活動をなお一層活発化することができるということを私どもは想定いたしております。
#29
○松下委員 今回の構成員の拡大については、今の地方公共団体の構成員に加えて、食品流通加工業者とか生協など、農業関係者以外の者も、一定の議決権の制限のもとですけれども、構成員になれるとしております。農業でも、他の業種との交流などを積極的に行って、これらを通じて技術、経営ノウハウの充実を図ることが重要であると考えております。
 現在、農業生産法人について、農業関係者以外からの出資がどの程度行われているか。また、今回、要件が緩和されたわけですけれども、具体的にどのようなものを新たな構成員として想定しているのか。そして、その結果、どのような効果を期待しているのか、そこのところを要点のみお答えいただきたい。
#30
○渡辺政府参考人 これまで農業関係者以外の方の出資が可能な範囲というのは、産地直送契約を締結している個人、これは法人ではなくて個人、それからライセンス契約を締結した種苗会社といったことに制限をされております。
 現在、この可能な道の中で産直契約締結個人が構成員となっております農業生産法人が二十、農作業の受託契約を締結している個人が構成員となっているものが十六法人、それから技術にかかわる提供契約を結んでいるものが八法人といったことになっております。
 いずれにいたしましても、極めて限定的でありましたので、今回、政令の改正を行いまして、農業生産法人と継続的取引関係にある者が構成員になれるよう措置をしたいと考えております。
 例えば原料とする農畜産物の栽培契約を締結している食品加工業者が構成員になることができます。それから農畜産物の販売契約を締結している生協、これも構成員となれます。さらに農畜産物の宅配に係る運送契約を締結している運送会社、加えて肥料農薬などの購入契約を締結している資材業者、こういったところが、全体で二五%、一出資者当たり一〇%の範囲内で農業関係者以外の構成員となれるわけでありますけれども、こういった方々が入ることにより、生産物の高付加価値化や事業の多角化といったものが可能になりますし、生協等の消費者グループとの提携により、販路が確保できるというメリットを持っております。
#31
○松下委員 大変思い切った構成員の拡大でありますけれども、地方公共団体の構成員に加えて、一定の議決権の制限のもとですけれども、入ってきてその運営に当たっていくということは大いに進めていくべきじゃないかというふうにも考えております。
 ところで、もう一つ、役員要件の見直しについてお尋ねいたします。農業の経営規模の拡大とか経営の多角化が進めば、経営者は企画管理業務が増加して農作業に従事できる日数が限られてくるのじゃないか。また、農業経営を発展させようとすれば、先ほど局長が言いましたけれども、マーケティング等の企画力を充実する必要があります。今後の農業経営の方向との関連で、役員要件を改正することにどのような効果を期待しているのか、そこを的確にお答えいただきたい。
#32
○渡辺政府参考人 今御指摘がありましたように、農業生産法人の役員が農作業以外の業務、企画、販売、経理といったことに従事をする割合が、当然のことながら、経営内容が大きくなってまいりますと、非常に大きな必要性を持ってまいります。
 現状の規定では、役員の中の過半の者は主として農作業に従事するというふうに規定がされておりまして、これが大きな制約であるという声が農業生産法人の中から上がっております。
 これを緩和いたしまして、経営規模の拡大や付加価値の向上を図りますと、積極的な経営展開が図られて、農作業の作業工程や人員配置も合理化をされる。資金の調達や経費も節減される。需要動向に応じた品種の選定や新しい技術、作目の導入のための情報収集やマーケティングといったところに力を注ぐことができるわけであります。
 経営というものは、もちろん農業は主力でありますけれども、また農作業も主力でありますけれども、これだけで成り立つわけではございませんので、そういったプラス面を大きくしていくという点で、農作業従事構成役員の割合をこれまでの半分に減少させたい、緩和をしたいと考えているところでございます。
#33
○松下委員 最後に要望ですけれども、農業委員会の役割、今度、生産法人から定期的に報告を受けるとか、事務所への立入調査を行うとか、要件を欠くおそれがある法人に勧告を行うということで、農業委員会に対する新たな措置がされておりますけれども、これを今後しっかりと指導、育成していくということも大事でありますから、これは経済局長もあわせて構造改善局としっかりと取り組んでもらいたい。体制強化についての取り組みをしっかりやってもらうようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。
 以上です。ありがとうございました。
#34
○宮路委員長 次に、今村雅弘君。
#35
○今村委員 自民党の今村でございます。
 本日、農地法の改正法案でございます。これにつきましては、先ほど来もお話がありましたが、経営体を充実して、経営基盤を整備、確立する、そして、強い農業をつくっていくということに尽きるというふうに考えております。随分これでダイナミックな取り組みもできるのじゃないかなということで、大いに私も期待しているわけでございますが、反面、いろいろな意味で不安を持っておられる方も多いわけでございます。
 そういう中で、幾つか質問したいと思いますが、その前に、何といっても、新しい農業基本法等につきましても、日本の農業をしっかり担って、そして、その担い手の人が農業で飯が食えることが一番なわけでございます。そういう意味で、今心配をしていることは、先ほどの松下先生の中にもありましたが、非常に農産物の価格が低落してきているということでございます。国産のものの価格が落ちるという現象が起きる反面、もう一方では、食べ物の安全性といったものについては国産のものがいいということが、総理府のいろいろな調査等でも出ているわけでございます。
 ですから、国民の皆さんが安全で安心できる国産の農産物あるいは水産物を食べたいというにもかかわらず、何で価格が下落するのだろうか。この辺はしっかり政策面でも解明して、しっかり対策を打ち立てていく必要があるのじゃないかなというふうに思うわけでございます。
 ちなみに、今申しましたことでございますが、食の安全性云々につきましては、やはり国産がいいという方が、もう御存じかと思いますが、国民の皆さんで八二%、女性に至っては、何とこれが八七%に行っているわけでございます。そしてまた、そのうちの、国産がいいと言われた方の八二%が、やはり安全性といったことを理由に挙げておられる。これは御承知かと思いますので、紹介しておきます。
 一方、先ほど言いました野菜のいろいろな価格の関係でございますが、私の、産地である佐賀県のタマネギのことで一つ例を引かせていただきます。タマネギは、平成十一年度で輸入タマネギが二十二万三千トン。これは、平成九年が十七万五千トン。大幅にふえているわけでございますが、その中でも中国産のタマネギの輸入の割合が平成九年ではわずかに八千トン、それが平成十一年度では四万五千トンということになっているわけでございます。アメリカ等は、大体十二万トンぐらいで余り変わっていないということで、ここで特筆されるのは、中国産のタマネギ。これは、恐らくタマネギだけじゃなくて、ほかの野菜、果実もそうじゃないかと思いますが、大幅に今入ってきているということが言えるかと思います。
 この辺も、私が調べたことでございますので、確認の方はよろしいかと思いますが、認識の方は、その辺は間違いないかどうか、それだけ確認していただけますか。
    〔委員長退席、岸本委員長代理着席〕
#36
○石原政府参考人 担当の食品流通局が参っておりませんので、あれでございますけれども、手元に具体的な数字がございませんが、先生の御指摘はそのとおりであろうかと思っております。
#37
○今村委員 そういう中で、これはいろいろな理由があるんでしょうが、一つには、やはり価格が大変安いということが大きく輸入がふえている原因だというふうに思っております。そのために、量もさることながら、安い価格で、国産の野菜の価格がぐっと足を引っ張られているという現象が現に起きておりまして、私のふるさとでも、大規模なタマネギの廃棄ということでやったわけでございます。
 これは補償金が出るからというような問題じゃなくて、タマネギをつくって、これを収穫するときにはやはり大変な労力が要るわけでございまして、そうやって一生懸命つくってこられた農家の皆さん方の成果物であるタマネギを無残に踏みつぶすということは、お金にかえられない、やはり心の痛みというものがあるということは、大臣にも、皆さん方にもよくわかっていただきたいというふうに思うわけでございます。そういう中で、では、どんどん入ってくるけれども、果たして安全性ということではどうなんだろうかという疑問を実は持っているわけでございます。
 といいますのは、アメリカ等では、例えば消毒薬をまくにしても、飛行機でぼんぼんまく。あるいは中国等でも、こんなことを言ってはいけませんが、有機肥料と称して本当にどういう肥料を使ってあるのか、余りはしたないことを言えませんが、これは御想像に任せますが、そういうつくられ方をした野菜が入ってきて、果たして本当に安全なんだろうか、その安全性のチェック体制はどうなっているのだということで、いろいろ私も勉強したわけでございますが、その辺の体制と取り組み方について、とりあえずお聞きしたいと思います。これは厚生省の方になるんですか。
    〔岸本委員長代理退席、委員長着席〕
#38
○西本政府参考人 御説明申し上げます。
 輸入食品等の監視業務につきましては、食品衛生法に基づきまして、全国三十一ございます海空港の検疫所の食品衛生監視員二百六十四名によりまして、主に四つの業務を行っているわけでございます。
 一つは食品等の輸入届け出の審査、二番目が輸入食品検疫検査センターにおきます試験検査、それから輸入食品の衛生確保に関する指導業務、四番目が食品等の輸入事前相談、こういうようなものでございます。
 もし食品衛生法に違反する食品等が見つかりました場合には、廃棄あるいは積み戻しという処分を行っているところでございます。また、輸入食品等の安全性確保の徹底を期しますために、輸入食品検疫検査センター等におきまして、生鮮野菜類に残留する農薬対策あるいは輸入食肉、魚介類の有害物質対策等の監視体制の充実強化を図っているところでございます。
 ちなみに、平成十一年度でございますが、生鮮野菜につきましては、残留農薬あるいは有毒有害物質、病原微生物等、合わせまして二千八百五件のモニタリング検査を実施いたしました。特に残留農薬につきましては、検査を行いました二千五百六十五件のうち二十五件、約一%でございますが、これが食品衛生法に定める基準を超える農薬の残留が認められたところでございまして、これらにつきましては、先ほど申し上げましたように、積み戻しもしくは廃棄等の措置を講じたところでございます。
 今後とも、私どもといたしましては、輸入食品の安全確保に万全を期するために、引き続き検査の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
#39
○今村委員 ただいま厚生省の方から説明があったわけでございます。結論を言うと、そういうことなんでしょうが、もう少し細かく聞きたいと思います。
 確かに、体制としては、今言われたようなことで、モニタリング等々をやって、食品衛生法に決められたいろいろな項目についてチェックしているということであるようでございます。
 ただ、ただいまお話がありましたように、二千八百五件、そして残留農薬については二千六百五十五件、この例が全体のウエートの中で果たして適当なものであるかどうか。
 どういうモニタリングといいますかサンプリング、やっていることの細かいことは結構でございますが、そして、一%ということで今言われたわけでございますが、これは残留農薬についてでございます。そうすると、これが全量、輸入される分の仮に一%とすると、先ほど言いましたように、輸入高からいくと大変なものが、実は残留農薬が残っている。そしてこれは、ある意味では、サンプリングした中でこういうことでございますが、果たして、モニタリングといいますかサンプリングの標本のとり方がこのくらいで足りているのか、もっと本格的にやらなきゃいけないのか。
 それからもう一つ、野菜の、全国でたしか三十一カ所の検疫だと今言われていましたけれども、例えば残留農薬なら残留農薬のモニタリングを全箇所でやっておられるのか、あるいは限られたところでやっておってこういうことが出たのか、それをちょっとお聞かせください。
#40
○西本政府参考人 先ほど申し上げました三十一のすべてにおいて実施をいたしております。
#41
○今村委員 そうしたら、例えば野菜の輸入量というのは大変なものでありますけれども、二千六百五十五と言われるこのモニタリングで十分だと思っておられるのか。私はとてもそんなものでは足りないというふうに思っておりますが、その辺の考えを聞かせてください。
#42
○西本政府参考人 御説明申し上げます。
 野菜輸入量の直近の平成十一年の件数は確かに十万を超えておりまして、十万五千六百十八というふうになっておりますので、その中からのサンプリング数が多いか少ないかということを言われますと、これはいろいろな考え方があるわけでございます。実際にそこで従事しております職員の数の問題でございますとか、検査率の問題とか、いろいろあるわけでございます。十分かどうかということになりますと、それは多いにこしたことがない、さらにふやせるものならふやしたいというふうに考えておるわけでございます。
#43
○今村委員 ではもう一つ聞きますが、このサンプリングなりモニタリングをやって、残留農薬が出たといった場合にはどういう対応をされるのでしょうか。例えば十トンコンテナでタマネギが入ってきた、その中でサンプリングをやって残留農薬が見つかった、そのコンテナの中のタマネギが全部同じところから生産され出荷されているという場合には、その十トンコンテナのタマネギすべてが廃棄されるのか、どうされるのか。その辺の扱い方を教えてください。
#44
○西本政府参考人 お答えいたします。
 すべて同じ扱いで廃棄をするということにいたしております。
#45
○今村委員 そうすると、その処分の仕方もいろいろあるんでしょうが、例えば残留農薬があってこういう処分をいたしましたとか、そういったことの公表といいますか、これは消費者にとっても、農薬が残っている農産物がこんなに入っているということは大変なことなんでありますが、そういったことが出た場合に、そこで処分するだけで終わるのか、あるいはそれを本省の方なりなんなりに、責任箇所にきちんと報告をして、そしてまた、その後どういう対応をとられるのか。その辺の事務的な手続といいますか、対応の仕方を教えていただきたいと思います。
#46
○西本政府参考人 今手元に平成十一年の輸入食品監視統計というものがございまして、私どもの管轄しております食品衛生協会というところから毎年発行いたしておりますが、ここに残らず掲載をいたしまして、一応公表はしているというふうに我々は考えているところでございます。
#47
○今村委員 そうしますと、私も実はこれをいただいたのがあるんですが、これはこれとして、先ほどの質問の続きになりますが、例えば厚生省の方に、こういったものが出ましたよと。それについて、こういったものを輸出してもらっては困るといったような、その後の対応というものはないんですか。
#48
○西本政府参考人 失礼いたしました。ちょっと御質問の趣旨を確認したという意味がございまして。
 もちろん、そういうことが出ました場合には輸入業者に対しての指導を行います。それからまた、関係省庁にも御連絡を申し上げるということで、万全を期しているつもりでございます。
#49
○今村委員 そうすると、国民の皆さんが安心できる農産物を求めているというにもかかわらず、実際こういうものが出てくるということを、ただ輸入業者の人に注意するだけで済むのかどうか。これは非常に私たちもWTOの問題等々でいろいろ苦労しているわけでございますが、今後こういったものについては、入れてもらっては困るといった申し入れなりなんなりを、やはり国としてもやるべきじゃないか。そういったところは果たしてだれが、どの省が、あるいは担当の部局はどこがやられるのか、これは厚生省でやられるのか、あるいは農水省でやられるのか、その辺はどうなっているのでありましょうか。
#50
○西本政府参考人 国内の対策につきましては、先ほど申し上げましたように、輸入業者に対していろいろと注意事項を申し渡すということでございます。もちろん、そういうことが判明いたしました場合に、輸出国に対しましても強い申し入れを行っております。
 それと、私どもも実は、貿易関係にあります相手国に我が国で求める一定のレベルの衛生水準を得たいということで、事前に登録制度でございますとか、そういうようなことも予算上は今考えているところでございます。
#51
○今村委員 今相手国にも申し入れたと言われましたけれども、そういうことは本当に実際にやられているんですか。あるいは、そういうことになっているということなんでしょうか。
#52
○西本政府参考人 実際に実施しております。
#53
○今村委員 私の感じでは、どうもこの辺は何となく、やっているとは言われるんでしょうが、本当にこれをやっているのなら、もっと新聞その他でも大騒ぎになっているような感じもするわけでございますが、正直言ってどうなのかなという気がしています。
 それはそれとして、では、今度農水省の方にお伺いしますが、これだけ安い野菜が、しかも、非常に安全性の問題があると思われるようなものが入ってくる中で、これを阻止する、あるいはチェックする体制、これは、先ほど松下先生も言われた中で、セーフガード等々の仕組みしかないわけでございますが、これにはなかなか当たらないというような話のようでございます。果たして、セーフガードを発動する要件にはならないのか、そしてまた、ならないとするのなら、今後こういったものについて申し入れをする気持ちがあるのか、その辺の考え方を聞かせていただきたいと思います。
#54
○石原政府参考人 ただいま先生がおっしゃいましたのは、一般セーフガードの発動の要件の問題だろうかと思います。現在、一般セーフガードの発動の要件につきましては、予見しなかった事情の変化により輸入が急増した、国内産業が重大な損害あるいはそのおそれが生じている、あるいは国民経済上緊急にセーフガードを発動する必要がある、こういうようなものが要件となっておりまして、食品としての安全性という観点からの問題は、セーフガードの発動の要件には含まれておらないわけでございます。
 ただいま先生の方から御指摘がございましたように、これを例えば、現在、WTOの農業交渉が行われておりますけれども、その中で我が方は、セーフガード措置につきまして、農産物の特性に応じたより効率的な、簡単に言いますと、使いやすい措置とすべきだということを提案の中に盛り込んでいこうと思っておりますが、この安全性の問題をその中に絡めて提案してまいるということは、なかなか難しい問題ではないかと考えておるところでございます。
#55
○今村委員 ぜひこれは、難しいかもしれませんが、今後の検討課題としてひとつ取り組んでいただきたいなということをお願いしておきます。
 それから、先ほど来の続きになりますが、私は、このことをいろいろ勉強していく中で、ほとんどの野菜類なんかはフリーパスで入ってきているのじゃないかなという感じが正直言ってしています。
 先ほど厚生省の方では全国あっちこっちでやっていると言われましたが、私が持っている同じものでございますが、例えばこれでいくと、残留農薬のチェックをやった検疫所はほとんどが横浜と神戸に限られている。例えば私の地元の福岡なんかでは、もちろん、検査はやってないというようなことで、この資料の見方にもまたいろいろあるかもしれませんが、少なくとも私は、これをいろいろ見る中では、全体の入ってくる野菜の中で、輸入をされる中でチェックを受けているのは本当にごくわずかで、ほとんどがフリーパスなんじゃないかなという気がしているわけでございます。
 恐らくこれは、検疫の方の要員の問題とか、なかなか手が回らないといったこともあるかと思いますが、その辺の、現在どういう要員体制でやっているのか、あるいは今後そういったものにどういうふうに取り組んでいかれるのか、それを聞かせていただきたいと思います。
#56
○西本政府参考人 御説明いたします。
 先ほどの答えと重複いたしますが、現在は正規の検疫所に勤務いたします食品衛生監視員は二百六十四名ということでございますが、実際にはかなり民間ベースで輸出先の国に受け入れ側の企業からも検査に行くようなこともあって、補完をしているということもございます。
 ですから、監視員の増員ということができればよろしいわけでございますし、今まで我々も要求はしておりますけれども、現在のところはこういう実態になっている、これで実際には行っているということでございます。
#57
○今村委員 そういう状況であるということはよくわかりました。私たちもできるだけ応援したいと思いますので、これからもひとつ現場の皆さん、しっかり頑張っていただくようにぜひ督励しておいていただきたいと思います。
 それでは、時間があれでございますので、先に進みます。本論の方に入りますが、先ほど来、松下先生からもいろいろ質問があったわけでございますので、大方それで尽きているわけでございますが、私は一、二点、少し聞きたいと思っております。
 今度いろいろな方が生産法人に入ってこられるという中で、一つには、先ほども話がありましたが、地方公共団体もこれに入ることができますよということがあったわけでございます。これは、ある意味では新しい農業生産法人、まさにやる気のある人が集って、そして土地も流動化して、いろいろな取り組みをしようじゃないか、農業以外の分野にも伸ばそうじゃないかということで、経営マインドとか、いわゆる俗に言う民営マインドといいますか、そういったものをぐっと高めなきゃいけないと思うんですが、そこに地方公共団体が入るというのは、若干その辺と矛盾するのじゃないかなというような気もいたしております。その辺の整合性はどういうふうに考えておられるんでしょうか。それを一点聞きたいと思います。
#58
○渡辺政府参考人 確かに法制度的には同じ横並びで地方公共団体というふうに入るわけでありますけれども、先ほどお話し申し上げましたように、今回の生産法人制度の見直しの目的が農業経営の改善と同時に、地域農業の維持発展というところにございます。地域農業の維持発展というのは、市町村や都道府県にとって重要な政策課題であります。この政策課題をこなす手法の一つとして、農業生産法人への出資という選択肢を認めることは、行政手法の多様化という点でも意義があるというふうに思っております。
 ただ本論は、今先生が指摘されましたように、農業経営の経営管理能力を高めるというところにございます。地方公共団体の出資というのは、先ほど例示を出しましたけれども、担い手が不足している地域で、地域農業の維持とか多面的機能の発揮ということをやはり下支えをしなければいけない、それから、地域における農業生産法人の経営活動というのは、何らかの形でサポーターといいますか側面から支援をするというふうな仕組みがあると、より一層、経営マインドや民間マインドを持った農業生産法人の活動が活発になるというふうに考えているわけでございます。
 経営管理能力を発揮する担い手としての農業生産法人の支援もしくは補完する形での出資というふうにとらえていただければと思います。
#59
○今村委員 今の趣旨をしっかり生かして、お上頼りにならぬように、民営マインドで元気のいい仕組みができるように、ぜひよろしくお願いいたします。
 続いて、ちょっと似たような関係になりますが、もう一つは、こういった新しい生き生きとした生産法人が育ってきますと、それだけである意味ではミニ経営体といいますか、もっと言うと、似たようなことは、ある意味ではJAそのものがやっておるわけでございますが、ミニJAになっていくのじゃないかなという感じもするわけでございます。いろいろな営農の計画から、資材の購入から、あるいは販売の方からとかですね。
 そういうふうになってくると、果たして、今までのJAとの関係は今後どういうふうになっていくのだろうか。実は私の地元でも、かなり大規模にやっておる若手は、やはりそういった形に進んできているわけでございます。今いろいろJAも、合併ということで、とにかく経営体質を強化して頑張らなければいけないわけでございますが、そういう意味で、合併等々も今考えられているわけでございます。今後、今言った、新しい農地法に伴う生き生きした生産法人とJAとの関係といったものを、JAの合併等々を含めた、進捗度も含めた中で、どういうふうに考えているのか、お考えを伺いたいと思います。
#60
○石原政府参考人 幾つかの御質問がございましたが、農業生産法人がいろいろな事業をやっていくという場合に、農協等の関係はどうなるかということでございます。
 農協は経済事業もやっておりますが、いろいろな批判もございますけれども、信用事業も大きな事業でございまして、そういう意味で、農協と生産法人の事業の拡大とが直接衝突するとか、そういうことはないと思っております。
 しかしながら、農業生産法人がこれから発展あるいは数もふえてくるということになりますと、よく世間で言われますように、農業生産法人といいますか担い手につきましては、ややもすると、農協離れという傾向をとります。これは、これら法人経営は非常にコストの意識が、経営感覚といいますか、これにすぐれておられまして、生産資材の購入の問題あるいは農産物の販売の問題につきまして、農協のサービスを比較するとか、農協の利用につきまして十分精査した上で、自分たちにとりましてコストが下がる、非常にコスト的に有利だということになった場合に農協を利用するという傾向になります。そういうことからしますと、農協がこれからこういうような法人をどのように取り込んでくるかということが重要な課題であろうかと思っているところでございます。
 そういうこともございまして、現在、農協が、昨年成立しました新しい食料・農業・農村基本法を踏まえまして、どのように今後の我が国の農業を担うような組織として生き残っていくのかということで、事業、組織の抜本改革をすべく、今見直しを行っているところでございます。そのような中で、農業生産法人にも従来以上に活用していただけるような組織としてつくり上げていきたいと考えているところでございます。このような法制度の見直しにつきまして現在行っておりまして、来年の通常国会に、先生方にまたお諮りいたしたいと考えているところでございます。
 それからもう一点、農協の合併の状況でございますが、来年の三月末を目途に、農協系統は五百三十にするという目標で今進んできております。この十月一日現在で千三百五十五ということでございまして、これまでも農協は合併について努力してきておりますが、目標からしますと、まだまだということであろうかと思っております。
 先般行われましたJAの全国大会におきましても、合併構想を完遂するということから、未合併農協について合併助成法に基づく手続を一生懸命やる、それから、二〇〇〇年度以降についても、まだ未合併の農協につきましては、さらに合併するような働きかけをするということを打ち出しているところでございます。
 政府といたしましても、このような農協系統の努力を支援するということで、先般、二月三日付で、都道府県にこのような農協の努力をさらに一層促進するようにという指導通達を発出しますとともに、何といいましても、合併はあくまで手段でございまして、目的ではございません。農家にメリットをどれだけ出すかということが重要でございますので、合併のメリットを出したような例を具体的に農協あるいは地方公共団体に示すことによりまして、今後とも合併の促進を図っていきたいということでございます。
#61
○今村委員 新しい時代にふさわしい経営体、あるいはJAのあり方も見直して、ぜひ政府の方でもいろいろ御支援願いたいと思います。
 それから、本当は谷農水大臣に、私もぜひ決意のほどをお聞きしたいと思っておりましたが、私も谷大臣の心意気、お考えは十分わかっているつもりでございますが、ぜひ一言、二十一世紀の農業に向けての決意のほどをできればお願いしたいのです。よろしくお願いします。
#62
○谷国務大臣 我が国の農業は、新しい基本法をつくったといいながら、四割の自給率というほどに下がっております。また、最近の統計を見ましても、農家は一割減る、都市周辺の集落は農村集落がうんと少なくなった。そういうことを考えてみますと、本当に自給率四割というのを四割五分に上げ、また五割に上げるということが可能だろうか、こういうふうに思うのですが、我々は、やはり国民全体の意識改革が必要だと思うのです。
 そのためには、農村の皆さん方にお願いしたいのは、専業農家を育てていくということを重点に置いてもらわなければならない。また、地域においては、所有形態が変わらなくても、自分で農業をするという意思がない、あるいはお年寄りになった、そのときには潔く、売却までしなくても使用権だけはどんどん専業農家の方にお貸しいただく、こういうふうな時代になってこなければ、なかなか自給率の達成ができないというふうな思いがいたします。
 そういうことを丹念に、時代の流れに押されることなく、時代の流れよりも早く手を打って、いろいろな施策をやっていくことが必要じゃなかろうか。そうすることによって新しい農業が生まれ、夢と希望を持つ農家が育っていくのだ、こう思っております。
 そういうことでございますし、それにはまたWTOの問題等々、やはり側面からの我々の全面的な協力が必要だろう、こう思っております。
#63
○今村委員 どうもありがとうございました。
#64
○宮路委員長 次に、丸谷佳織君。
#65
○丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。
 私は、本法案に賛成の立場から幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。
 今回の法案の改正におきましては、農業経営の法人化を推進しまして地域農業の活性化を図っていくために、農地の権利を取得できる法人である農業生産法人の要件を見直していくという点が大変注目を集めたというふうにも思いますし、また議論のテーブルの中でも、激しい議論があったのではないかというふうに思います。
 この法案につきまして、賛成反対それぞれの意見を持っていらっしゃる人が、それぞれの立場でいるわけなんですけれども、今回の法案を審議するに当たりまして、例えば競争と共生あるいは地域農業と経済活動を目的としている株式会社といったような二項対立の中では決して審議をするべきではないというふうに思っております。今回の法改正におきまして、家族経営をされていらっしゃる農家の皆さん、また、新たに今回の改正で門戸を開かれることになります株式会社、両方ともにメリットが出てこなければいけないのだろうというふうに私は思っております。
 そこで、質問をさせていただきたいと思いますが、最近、増加傾向にございます農業の法人化形態と、農業の中心となっています、長い歴史の中で我が国の農業を担ってきました家族農業経営の関係をどう位置づけていこうとされているのか、法人化と家族経営の関係をどのように考えるのか、この点をまずお伺いします。
#66
○渡辺政府参考人 家族経営と法人というものは決して相反するものではございません。家族経営、現在、販売農家二百三十四万戸、主業農家で五十万戸であります。これに対して、農業法人というのは約一万、しかも、そのうち半分は一戸一法人という状況でございますので、いわば農業経営の法人化というのは、家族経営の発展の形の一つというふうに私は思っております。
 なぜ法人化をすることにメリットがあるかということなんですけれども、家族経営は今後とも日本の農業の主流でありますが、その経営内容についてはやはり近代化を進めていく必要があると思います。例えば、家計と経営の分離、それから休日だとか給料の取り決めというものが必要でございますので、そういうことがやりやすいのは法人化ということなんだろうと思います。
 先ほどの質問にもございましたけれども、法人化をすることによって経営管理能力が向上する、雇用者の福祉の向上につながる、新規就農の受け皿になる、もし担い手が何かあったときでも、経営は円滑に続いていくというふうなことでございます。
 さらに、この経営自身を大きくしようとするときに、先生がおっしゃられたような株式会社という形態をとりますと、資金調達だとか事業運営が非常に効率的にできますし、人材の面でも、販路の面でも新しい可能性が出てくるということでございます。
 ただ、株式会社ということになりますと、一番懸念をされております、構成員が転々変わるのじゃないかというふうなことについては、一定のきちんとした制限を設けて、家族経営の発展型としての法人化が進むような措置を、先ほど来、懸念払拭措置と言っておりますけれども、必要であろうということを考えております。
#67
○丸谷委員 今のを整理させていただきたいのですが、家族経営と法人化の関係というのは、家族経営が発展していくことによって法人化という道も推進されるというような認識でよろしいのかというふうに思います。
 では、法人化になるメリットはといいますと、資金調達がしやすくなるというような御答弁だったというふうに思うのですけれども、そうしましたら、今回の法改正の中で新たに門戸を開かれることになりました株式会社にとってのメリットという点はいかがになりますか。
#68
○渡辺政府参考人 繰り返しで恐縮なんですが、株式会社が農業に参入してくるということではなくて、今現にある農業生産法人が株式会社という形態をとれる、あるいは農業者がこれから法人化をしようとするときに、株式会社という形態も選択肢としてとれる、さらには、農業法人で農地を持っていない畜産とか園芸の法人が、農地を取得することによってその経営が広がるというメリットが出てくるわけです。
 そして、その株式会社というのは、それぞれが株主という形で構成員がおりますから、その構成員の中も、先ほど答弁申し上げましたように、全体の四分の一の範囲、一株主当たり一〇%の範囲内において、例えば産直の方たちも入りますし、生協も入りますし、運送業者も入りますし、加工業者も入りますし、ということになりますと、株式会社側にとっても、例えば安定供給先を確保できる、あるいは自分の資材を安定的に買ってもらえる先が出てくるというメリットが出てまいりますので、両者にとって、制限、懸念払拭措置はありながら、お互いにそれぞれメリットが生ずるものと思います。
#69
○丸谷委員 今回の改正に当たりまして、いろいろな議論がされてきました。その中で、例えば経済界の方に多いかというふうに思うのですけれども、指摘がございまして、転用規制というものを厳格にした上で、株式会社にも土地の取得というのを認めていく方が合理的であるとか、土地投機の懸念については、株式会社が農地を借りるときに用地制限を加えて、農業以外の用地に利用された場合には直ちに返却するとか、こういったことをあらかじめ定めておくことで解決できるのではないか、そういったことをした上で、一般の株式会社にも参入を認めていくべきではないかというふうな指摘もあったと思うわけなんですけれども、この点の指摘についてはいかがお考えになりますか。
#70
○渡辺政府参考人 確かにそういう議論もございました。転用のところだけ押さえておけばいいじゃないか、こういう話なんですけれども、やはり農村地域というのは、一つには、水とか土地を合理的に利用するために集落全体が一定の流れの中にあるということが大事であります。
 そういうことも考えますと、地域で農業生産活動を行う者は、農地法の耕作者主義という前提の上に立って、その農地のすべてについて耕作をする、そして、その法人なり個人は必ずそこで農作業をする、そういったようなことが大前提であります。農地法の中では、農地を転用するかしないかということは事後的なことでありまして、農地を効率的に使っていくということが農地法の耕作者主義の大原則でございますので、そういう原則に立ちますと、やはり、あくまでも農業者が主体となった法人というところに範囲が画されるのではないかというふうに思っております。
#71
○丸谷委員 そうしましたら、今回の法改正も耕作者主義に基づいた、これを否定して法改正ができるわけはございませんから、この耕作者主義に基づいたものでございますけれども、一部で議論が出るような、大企業が農地に入ってくるみたいな、そういった極端な批判というのをいただくような法案では一切ないという認識で再度御確認させていただきますが、よろしいですね。
#72
○渡辺政府参考人 大企業が入ってくるかどうかという点については、その可能性はないということを幾つか申し上げたいと思います。
 一つは、今回の改正の中で、株式に譲渡制限がついているということが大きな要件になっております。いわゆる大企業というのは株式の譲渡制限はない、上場されているわけでありますので、そういう点で、まず一般論からいって大企業は入ってこない。
 それから、今回参加できるものの範囲内というのは、農業生産法人になれるかなれないかというときの要件は、やはり、農地を全面的に使う農業者が主体となっている、そして、その構成員も限定をされているということでありますので、例えば大資本がそのまま農業生産法人になれるかといえば、例えば大企業が農業生産の売上高が半分以上を占めるとか、構成員の中で出資割合の四分の三を占めるということはないわけでありますので、私どもは、大企業が入ってくるという話は非現実的な話ではないかなというふうに思います。
#73
○丸谷委員 では、次の質問に移らせていただきたいと思うのですけれども、今まで御説明をいただきました今回の法改正でのメリットというものを、これは十分に使っていかなければいけないというふうに思います。
 特に、女性の視点で次の質問をさせていただきたいというふうに思うのですけれども、現在、農業就業人口に占めます女性の割合といいますのは、昭和三十五年以来、大体六〇%前後で安定してきている。しかし、こういった女性の方々は、働き盛りにおいて農業をし、育児をし、そして家事をしと非常に御苦労をされている面もあるという点があります。最近は、農業に従事をしていらっしゃる女性に対して、積極的に評価をしていくという傾向にはございますけれども、それはまだまだ十分だとは言い切れないというふうに思うのですね。
 こういった農業についていらっしゃる女性の方々、今回の法改正によって、例えば、今まで何人かで集まって加工をして、工夫をしていろいろな製品をつくってきたようなチームが地域にあるというふうに思うのですけれども、こういった方々が、例えば法人あるいは株式会社をみんなでつくろうということで、自分の利益も得られるような、より経済的な部分で農業経営に参画していけるようになるのではないかなというふうな期待を、私は非常に大きく持っているわけなんです。
 私と同年代の女性も、農業に嫁いだ方々は、OLを経験しているものですから、自分の労働に対して給与をもらってきた世代なんですね。だから、農業では、今までは無償でかなり犠牲を払ってきた部分もありますから、自分の労働に対して、きちんとした形で、対価としてお金を得ていこう、こういった傾向も特に最近強まっているのではないかなという気がするのです。
 例えば、女性の方々が起業活動をしようとする際、実際に経営の仕方ですとか農業簿記ですとか、そういったことを知らなければ、これは可能性が広がったといっても実際には難しい話になりますので、こういった女性が起業活動をしようとする際に取り組みやすいような環境づくり、例えば、農協が中心になったり、普及センターが中心になって経営セミナー、研修をした際に、国として何らかの支援ができないだろうかというふうに思うわけなんですけれども、この点について御答弁をお願いします。
#74
○木下政府参考人 農林水産業あるいは農山漁村の活性化に大きく貢献しておられる女性が、意欲と能力を一層発揮し、担い手として活躍するためには、そのための環境づくりが必要だというふうに農林水産省としても認識をいたしております。
 このため、食料・農業・農村基本法あるいは食料・農業・農村基本計画に沿いまして、一つは、農村女性の社会参画の目標の設定あるいはその達成に向けた普及啓発、農業に関連する起業活動に必要な情報の提供、また、農業技術の付与等を実施することとしているところでございます。
 具体的な取り組みといたしましては、地域農産物などを活用した加工品づくりあるいは朝市での販売等、女性の起業活動への取り組みを支援するために、一つは、技術、経営に関する情報提供、それから簿記記帳などの研修の実施、また、女性が農産加工などの活動を行うための無利子資金の貸し付けなどの支援策を講じてきているところでございます。
 このような中にありまして、女性の起業数も着実に増加をしてきております。平成九年には四千四十の事例でございましたけれども、平成十二年に調査したところによりますと、六千二百事例まで拡大してきているという状況でございます。
 今後とも、女性の経営参画を促進していく観点から、さまざまな支援策について考えていきたいというふうに考えております。
#75
○丸谷委員 十分なケアをしていただきたいというふうに思います。今後も引き続きこの問題についてはぜひ取り組んでいきたいというふうに思います。
 では、次の質問に移らせていただきたいと思うのですけれども、「農業構造の展望」についてお伺いをしたいというふうに思います。
 平成四年の新政策におきましては、平成四年から十年後程度の稲作を中心としました農業構造及び経営の姿というものが示されています。地域農業の基幹となっています経営体としまして、個別経営体が三十五万から四十万、また組織経営体というのが四、五万というふうにされていましたけれども、残念ながらといいますか、平成十二年度の現在とは大きくこの姿がかけ離れている。また、ことし三月に出されました「農業構造の展望」の中では、効率的かつ安定的な農業経営としまして、家族農業経営については三十三万から三十七万、一戸一法人を除きます法人経営及び生産組織については三、四万というふうに改めてされましたが、新政策と現実の乖離というものをどう総括して、新しい展望を示されたのか、特に、法人及び生産組織の三、四万という数は、最初に質問しました家族経営から法人化、こういった方向性も含めてお考えになったのかどうか、この点についてお伺いをします。
#76
○竹中政府参考人 「農業構造の展望」についてのお尋ねでございますが、これまでの農業構造の変化を振り返ってみますと、もちろん、経営部門によりましていろいろ差はあるわけでありますが、総じて経営規模の拡大は緩やかなものになっておりまして、この傾向は、土地利用型農業の中心であります稲作において顕著になっております。
 特に、今お話がございました平成四年の新政策の策定以降、その時点で見込んでおりました昭和一けた世代の農業からのリタイアがおくれておりますこと等によりまして、平成四年に策定された「農業構造の展望」に比べまして、農業構造の改善がおくれているという面は否めないところでございます。
 しかしながら、今後の農業構造の変化というものを見通しました場合、農業労働力の多くを占めておりますいわゆる昭和一けた世代の離農によりまして、農業労働力が減少いたしますとともに、世代の交代が促進されるものと見込まれることから、今後、地域の実情に応じた農地利用の集積の促進や担い手の育成等を進めること、あるいは価格政策につきましても、価格が需給や品質評価を的確に反映して形成されるように見直していくといったような施策と相まちまして、今後、農業構造の改善が進展していくものと期待しているところでございます。
 今回お話にもございました「農業構造の展望」におきましては、そういった前提のもとで、今後、農業生産の相当部分を担うことが期待されます効率的かつ安定的な農業経営の数を、家族農業経営で三十三万から三十七万、法人や生産組織で三、四万などというふうに見込んでいるところでございます。
 この法人なり生産組織で三、四万という見込みでございますが、現状で見てみますと、農業生産組織が四万二千程度ございますし、農業法人が七千弱ございます。今後、農業経営の法人化を推進するための各般の施策あるいは農業生産組織の活動の促進に必要な施策を講じていくことによりまして、平成二十二年におきまして、お話にもございました三、四万程度の効率的、安定的な法人経営あるいは生産組織が形成されることになろうというふうに見込んでいるわけでございます。
#77
○丸谷委員 ただいま御説明いただきましたけれども、今回の法改正によりまして、「農業構造の展望」、平成二十二年度程度におきまして、効率的、安定的な農業経営としての農業経営戸数といったものを目指す、これを実現化させるためにも、今回の法改正が重要であるというふうな位置づけになってくるのかと、今の御答弁をお伺いして実際に感じました。
 次に質問させていただきたいのは、今まで、なぜこの法改正が必要なのかという議論がありましたし、その説明を受けてきたわけなんですけれども、ただ、現場では、やはりまだいろいろ不安な声というものも実際にあるのも確かでございます。株式会社の参入について指摘されているさまざまな懸念というものを払拭させていくために、実効性のある措置として設けられました農地の権利取得を許可する際の審査の充実というものについて、次にお伺いをさせていただきたいというふうに思うわけなんです。
 実際に、農業委員会の方々が非常な重責を担われるのではないかなというふうに思います。第三者ですけれども、想像してみても、今までも農業生産法人の農地の権利取得に際して審査というものは行ってきた方たちですが、今回は、申請書の記載事項ですとか添付書類の充実を図る、あるいは事業の種類、内容を慎重に審査される、また、農地の権利取得時に事業内容について指導を行う等の業務が加わるわけですね。
 こういった農業生産法人とかを実際に指導するというのは、文字では簡単かもしれないですけれども、実際にはいろいろな知識ですとか研修、そういったものが必要になってくるのではないかなと思います。
 また、農業生産法人の方が要件を欠いたときには、農業委員会の皆さんが要件を満たすように指導されて、指導してもだめであれば今度はほかの者に売り渡すように指導されるわけですね。
 こういったことで、非常に重責を担われるのではないかなというふうに思うわけなんですけれども、この農業委員会の方々あるいは事務職員に対して、何かこれは国としてもフォローアップ、研修のようなものを行っていかなければいけないのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
#78
○渡辺政府参考人 確かに、懸念払拭措置というのをきちんとすればするほど、それのチェック体制というのが重要になります。その意味で、農業委員会にかけられる期待と責務は非常に大きいものがございます。何よりも、農業委員会自身がチェック能力のレベルアップをしなければならないわけでありますし、現行の体制でありますと、人数的にもそれが必ずしも十分でないという問題がございます。
 そういう点からいきまして、今回、懸念払拭措置として定期的な報告とか立入検査等々も入りましたし、私たちは、農業委員会あるいは農業委員会の系統、農業会議等を通じまして、職員に対する研修あるいは担当者会議を実施して、職員の資質向上の取り組みをしたいと思っております。
 各地域で農業会議のかなりレベルの高いところとそうでないところと差もございますので、そのキャッチアップをしたいなと思っておりますが、すべてを農業委員会にいわば丸投げするというわけにもまいりませんので、この際、やはりサポート体制として、地域全体で農業委員会の活動を支えるというふうな地域レベルの協議の場というのを、農業委員会のほかに、市町村、JA、農業生産法人あるいは農家の代表という方々で構成をして、バックアップ体制をとっていきたいというふうに考えております。
#79
○丸谷委員 今、地域によって現実の中でも差はあるというふうに御答弁をいただいたわけなんですけれども、この差を本当に早く埋めていかなければ、実際に法改正によって皆さん、重責を担われるわけですから、非常な御苦労をされてしまうことになりますし、また、農業というのは地域コミュニティーを非常に大切にするという特性がございますので、そういった面での人間関係の御苦労などを少しでもおかけしないような形で、しっかりとした農業委員会のフォローアップというのを早くしていただきたいと思います。
 もう一つ、今御答弁の中で、農業委員会だけではない、協議の場というのを設けるというお話をされておりましたけれども、協議の場を設けるというのは、この法案の中には実際に書かれてはいないわけですね。この協議の場というのをどのような性格にしようとされているのか、イメージがなかなかわかないものですから、これについて、この協議の場というのは、市町村あるいは農業委員会、JA、農業生産法人、農業者の代表が地域レベルで集まって、一体どのような協議が行われ、どのような効果を発揮させようとするのか、この点について確認をさせてください。
#80
○渡辺政府参考人 先ほど来お答えいたしておりますけれども、今回の農業生産法人制度の見直しの主目的は、一つは農業経営体それ自身の経営の向上ということでありますが、同時に、地域農業の維持、発展ということも大きな目的にいたしております。
 農業は、御承知のとおり、土地利用型であれば水とか農地の合理的な利用ということが非常に大きな課題となります。農業生産法人といえども、地域社会の中で、集落なり地域社会のメンバーとして生活をしていく、企業運営をしていくということになりますので、そこではやはり地域全体が農業生産法人を指導していく、場合によると、いろいろな情報交換をしていくということが必要だろうと思っております。
 協議の場というのを、今先生が指摘されましたように、市町村や農協や農業者の方々とつくるわけでありますけれども、その協議の場では、一つは情報の交換、農地がどこでどのような形で使われているか、一番の目的は効率的に使われているということであります。耕作放棄があってはいけませんので、農地がきちんと効率的に使われているかどうか、地域の水管理や農地の使い方が地域全体の社会と調和がとれているかどうか、それから、担い手は育っているのだろうか、具体的にどういう指導、支援をしたらいいのだろうかといったようなことにつきまして情報交換をする、あるいは指導をするというふうにしたいと思っております。
 こういったことを通じまして、農地法が本来目指しておりますところが適切に実行されて、地域農業あるいは地域社会が健全に発展をしていくということを期待したいと思っております。
#81
○丸谷委員 そうしますと、協議の場を設けることによりまして、用水路の整備ですとか地域社会の調和、集落を中心としました営農システムとの調和というのが成り立っていくのだろうなというふうに思うわけなんですけれども、例えば、これは十分に考えられることなんですが、この協議の場さえ設定できないような場合もあるのではないかなと思うのですね。あるいは協議が不調に終わった場合、実際に地域社会との調和のとれた農業生産法人の事業展開というものがどのように展開されていくのか、これについてちょっと御答弁をお願いします。
#82
○渡辺政府参考人 一点目の、場が設けられるか設けられないかということなんでありますけれども、実は、地域における協議の場というのは、私たち役所側の発想ではなくて、先ほどの答弁で申し上げた、どうやって農業生産法人制度の改革をするかという検討会の中で、むしろ農業者団体との間でお話し合いをして生まれたものでございます。
 JAの系統組織も農業委員会の系統組織も、そういうものをぜひつくりたいということでございますので、役所からの指導もいたしますけれども、むしろ団体側が旗を振って、あちこちにそういうものがきちんとできるようにしたいと思っております。
 それから、協議不調ということですが、協議という言葉を使いましたが、これは厳密な法律上の用語での協議あるいは協議不成立ということではなくて、そういう場を通じて情報交換をし、地域としてのコンセンサスをつくっていこうというふうにお考えいただけたらと思います。
#83
○丸谷委員 わかりました。
 最後に、一問、今法案とは関係ないのですけれども、質問させていただきたいと思います。
 先日、ニュース番組を見ておりましたら報道されておりましたけれども、十月の十九日にアメリカの下院議員の方が、十七名、議員の皆さんとともに、日本の捕鯨に反対する両院一致決議案というものを下院の方に提出されました。この内容は、大統領に対して、日本がIWC決議を遵守しない限り、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りに反対するということを求めた決議案なんです。
 これは当然主流となり得べき主張ではないというふうに私は認識をしておりますけれども、これに対して、ああ、そういうものが出たのだなと言っているだけではいけないと思いまして、最後に一問、アメリカの下院に出されました決議案について、我が国は、当然ないと思いますけれども、安保理の理事国入りというのは我が国の悲願でもございますし、こういった方向性に何か影響が出るのか出ないのか、あるいは調査捕鯨に対する我が国の態度、姿勢等を何か変更させ得る決議というふうにとらえるのかどうか。この点について、最後にお伺いをします。
#84
○石破政務次官 お答えを申し上げます。
 今委員から御指摘がございましたように、何を言っておるのかよくわからぬという話でありまして、捕鯨と安保理と何の関係があるのか、我々も理解をいたしかねておるところでございます。
 ただ、いろいろ調べてみますと、それを言いたいわけではなくて、要は、日本に対して注意を喚起したのだということを言っておるようでございます。大きなお世話だとは申しませんが、委員に本当に日ごろから御理解いただいておりまして心から感謝を申し上げる次第でございますが、要は、調査捕鯨をなぜ我々はやっておるかということでございます。
 御案内のとおり、鯨というのは、例えば一年で四%ふえるということになっておるわけですね。それは複利でふえますから、十五年ぐらいたちますと、鯨というのはあっという間に倍になってしまうわけであります。かわいそうであるから一頭もとってはならない、こういうのがアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなりの主張でございますが、そんなことをやっておりますと、鯨ばかりやたらとふえまして、鯨に食べられてしまう魚はどんどん減るわけでございます。それはもう海洋生態系というのを完全におかしくしてしまうわけであります。
 私どもは、調査捕鯨をやっておりますのは、それは究極的には海洋資源の持続的な利用、そういうものをいかにして行うべきかという観点に基づいてやらせていただいております。そのためには、感情的な議論に訴えるのではなくて、本当にきちんとした調査をして、鯨は何を食べておるのか、どれぐらいふえるのかということを科学的に立証いたしました上で、きちんと国際社会で申し述べてまいりたい、かように思っている次第でございます。
 なお、御案内のとおり、このことは、国際捕鯨取締条約第八条に定められました当然、私どもが持っておる権利でございます。そのことをどうか国民の皆様方にも世界の皆様方にも御理解をいただきまして、私どもとしては何ら今までの方針に変更を加えるつもりはございません。
#85
○丸谷委員 総括政務次官、どうもありがとうございました。
 実際に、二十一世紀、ボーダーレスの世界にはなりつつあるんですけれども、国際的な問題について視点がぼやけてしまうような議論のボーダーレスを決して起こさないような、そういった方向性で世界との対話に臨んでいただきたいというふうに思いますし、今回のアメリカ下院で出されました決議案については的外れであるというふうに申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 以上です。ありがとうございました。
#86
○宮路委員長 次に、金子恭之君。
#87
○金子(恭)委員 21世紀クラブの金子恭之でございます。
 農林水産委員会におきまして初めての質問になります。何分ふなれでございますので、よろしくお願い申し上げます。
 これからの日本の農業を考えるとき、新しい食料・農業・農村基本法に基づいて食料の安定供給を図っていくためには、日本農業を担う力強い農業経営を育てていくことが重要であると考えます。今回の農地法改正法案の主な内容である農業生産法人制度の見直しは、このような力強い農業経営を育てる上で重要であります。私は、新たな農業生産法人制度を農家の方々が活用し、地域農業が活性化されることを期待しておりますが、農家の方々の中には、今回の改正についてさまざまな心配をされている方が少なくありません。今回の改正が十分に浸透し効果を上げていくためには、このような不安がどう解消されているのか、明らかにしていく必要があると考えております。私はこのような観点から質問させていただきます。
 まず最初に、農村の活性化を図るためには、担い手を育成することが重要であり、新規就農の受け皿としても農業経営の法人化は推進しなければならないと思います。このような中で、日本農業においては、家族農業が主流であり、法人化の推進よりも家族経営の活性化を図るべきという意見がございます。
 家族農業の振興と法人化についてお伺いしますが、先ほど来、渡辺局長が何度も御答弁されております。しかし、重要な点でございますので、今回は総括政務次官に御答弁をお願いしたいと思います。
#88
○石破政務次官 先ほど来、政府参考人からお答えをいたしておるところでございますが、家族経営が我が国の農業の主流であることは事実でありますし、今後も恐らくそれはそうなのだろうというふうには考えております。それを活性化させることも重要であります。しかし同時に、今回の法人化というのが家族経営の進化した一形態であるということも、また事実であろうというふうに考えております。
 ただ、家族経営というのもいろいろございますが、本当にぎりぎりコスト意識というものを持ってやっているのかといえば、あるいはそうでないものもございますでしょう。それが、コストを無視したとは申しませんが、コストというものを参酌せずにやっておるというものがないとは申しません、それもあってしかるべきだろうとは思っております。しかしながら、法人化というものをやることによりまして、コストというものをきちんと計算し、本当にもうかるような農業、そしてまた、後継者ができるような農業、そういうものも助長していくことを政策目標として置くべきであろうというふうに考えておる次第でございます。いわゆる経営上のメリットという点、そしてまた、経営の円滑な継承という点でメリットがあろうというふうに思っておるわけでございます。
 なお、株式会社と法人化というのは、またちょっと違った議論なのだろうと思っておりますけれども、それは先ほど来御議論がございますように、それでは大きな株式会社に参入を認めるかというような、そういう点での御議論だろうと思います。そういうことは懸念払拭措置を設けておるところであります。
 私どもは、繰り返して申し上げるようでございますが、家族経営というものは引き続き発展をさせていきたい、しかしながら、そこのいいところをさらに伸ばすような、そういうことを今後進めていくべきではないかというふうに思っております。したがいまして、矛盾するものだとは一切考えておりません。
 以上でございます。
#89
○金子(恭)委員 ありがとうございました。
 次に、耕作者主義に関連して質問させていただきます。
 農地法は、農地をきちんと耕作する者に農地の権利取得を認めるという耕作者主義を基本としてきたものと理解しております。私は、この耕作者主義の考え方は依然として重要であると思います。
 今回の株式会社形態の導入を初めとする農業生産法人の要件見直しにより、耕作者主義が変更されるのではと心配される方がおられます。この点について農林水産省としてどうお考えか、お伺いいたします。
#90
○渡辺政府参考人 今御指摘がありましたように、耕作者主義というのは農地法の第一条に書かれております。農地を適正かつ効率的に耕作する者に権利取得を認める、こういうことでございます。これを具体化しておりますのが法の三条二項でありまして、三項目ほどあります。
 かいつまんで申し上げますと、農地の権利が認められる要件として、第一には、取得後の農地のすべてについて耕作等の事業を行うこと。それから二つ目には、農地を効率的に利用して耕作等を行うこと。そして最後に、三点目といたしまして、個人の場合には、本人またはその世帯員が必要な農作業に従事をする、そして、法人の場合には農作業に従事する構成員が役員の中で一定のウエートを占める、こういうことでございます。
 この三要件は、今回の法改正におきましても、枠組みは維持するということにしております。株式会社形態の法人でありましても、この農業生産法人の三つの要件を満たすということを範囲として提案をいたしておりますので、今回の見直しは耕作者主義の考え方に沿ったものと思っております。
#91
○金子(恭)委員 ありがとうございました。
 農家の方々は、一生懸命に農業を営み、それと同時に農地を守ってきておられます。株式会社は営利を追求する法人であることから、利潤が得られないなどメリットがないと判断すれば農業から撤退し、大規模な耕作放棄地の発生につながると心配される方がおられます。
 また、先ほども松下先生が述べられましたが、株式会社形態の農業生産法人が、取得した農地を転用したり、他人に売却したりすると心配される方がおられます。農家の方々が中心となって構成される法人という意味では、これまでの農業生産法人と余り違いがないと思われますが、農林水産省としてどうお考えか、お伺いいたします。
#92
○渡辺政府参考人 確かに、現在、農業生産法人というものの形態は、農事組合法人と大宗が有限会社ということになっておりますが、この点におきまして、例えば株式会社という形態をとりましても、今先生が指摘をされた農業者が中心、もう少し具体的に申しますと、農業者に支配権があるという点で共通性は守られるように措置をいたしております。
 具体的に言いますと、株式の譲渡制限あるいは構成員要件の中で、農業関係者以外の者の割合は四分の一以下、それから役員の中で、農業もしくは農作業に従事する役員のウエートを相当程度というふうにいたしております。つまり、農業者が中心であり、農業者に支配権がある法人でありますので、そういうものである以上、株式会社形態であるということをもって安易に農業から撤退するというものではないわけであります。
 もちろん、農業生産法人がその要件を欠くことになりました場合には、所要の指導なりあっせんなり、場合によりますと、最終的には国の農地買収という手続で耕作放棄が出ないような措置をとりたいと思っております。
#93
○金子(恭)委員 その点については、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 農業生産法人の一形態として、株式会社を導入されることに関して質問いたします。今回の改正で、株式会社形態を認めるに当たっては、株式譲渡制限のある会社に限定することとされましたが、その効果についてお伺いしたいと思います。
 具体的には、株式譲渡制限が定款に定められていても、取締役会の承認を受けずに譲渡した場合には、その効果はどうなのか。また、要件を満たさないものに取締役会が承認してしまった場合はどうなるのか、その辺についてお答えをお願いいたします。
#94
○渡辺政府参考人 まず、株式の譲渡であります。
 取締役会の承認を受けずになされた株式の譲渡という点でございますけれども、これは定款にそういう規定がある場合には、そうした譲渡は会社に対して効力を持たないというふうにされております。したがって、会社は、譲り受けた者ではなくて、譲り渡した方を引き続き株主として権利行使を認めていくということになります。
 それから、取締役会がふさわしくない相手に株式譲渡を承認してしまった場合というお尋ねであります。基本的には農業従事者が過半を占める取締役会でありますので、そうした決定はないと思いますけれども、仮にふさわしくない相手に株式譲渡がなされるということになりますと、農業生産法人としての構成員要件を満たさないというケースが出てまいりますので、その場合には、先ほど申し上げた農業委員会による是正指導、なお是正されない場合には、農地の譲り渡しについてのあっせん、最終的には国が農地の買収をするという手続を踏むことになります。
#95
○金子(恭)委員 株式会社形態を導入したり、構成員の要件を見直し、農業関係者以外のもので出資できるものの範囲を広げるなど、今回の改正は農業者の方々にとって経営形態の選択肢が拡大したり、財政基盤が強化できたり、経営の多角化ができたりするなどメリットがあると考えております。
 しかし一方で、今回の改正により、大企業が農業生産法人となり得るのではないかと心配される方がおられますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。
#96
○渡辺政府参考人 株式会社の参入という言葉がしばしば使われますが、これは正確ではありません。先ほど申し上げたとおり、今の農業生産法人が株式会社という形態をとるように変わっていく、あるいは農業者が組織をつくるときに株式会社という形態をとることができる、さらには、農地を持っていない株式会社である農業法人が農地を取得することによって、その経営をよくしていくというふうなことを想定しております。
 次に、それでは大企業が農業生産法人たり得るかという点であります。これは二つほど申し上げたいのですが、第一点目は、今回の農業生産法人に株式会社の形態を認めることとした場合の制限措置として、株式譲渡制限が定められているということでありますので、いわゆる大企業は、例えて言えば上場企業、店頭公開でもよろしいですが、株式譲渡制限というのはないわけでございますので、そういう点からは、一般に大企業はこういった農業生産法人になることができないというふうに思われます。
 それから二点目は、構成員要件なんですが、大企業が農業生産法人となる場合には、農業生産法人としての構成員要件を満たさなければいけません。構成員要件の主たるものは、四分の三が農業関係者でなければいけない、農業関係者以外の構成員は、合計で総議決権の四分の一以下、一構成員当たり議決権は十分の一以下という制限になっておりますから、農業関係者以外の者が株主の相当部分を占めるいわゆる大企業というのは、この構成員要件を満たすことができないということになります。
 さらに、これに加えまして、先ほど申し上げました役員のうち一定程度の者が農作業に従事するという点も加味をされますので、大企業が農業生産法人の要件を満たすケースは考えられないということでございます。
#97
○金子(恭)委員 これまでの質疑によって、農家の方々の不安を払拭し、そして制度面で手当てされていることがわかりました。
 私は、今度の制度改正が十分に効果を上げていくためには、改正の内容やこれまで私が質問で明らかにした点を農家の方々に対し、早急に普及徹底することが重要だと考えます。
 最後に、この点について強く要望し、政府の御見解をお伺いして、私の質問を終わります。
#98
○谷国務大臣 先ほど来、政務次官あるいは構造改善局長からいろいろとお答えがありました。気持ちは一緒なんですけれども、私は、家族農業というのと、この農業生産法人あるいは株式会社も、考え方、やり方は一緒だと、それで家族農業が発展して、農業生産法人なり、株式会社として持ち味を持つ、こういうふうなことだと思いますし、そういう法人格がたくさん出ることによって、地域農業の活性化が図っていけるというふうなところまで押し上げていきたい、こう思っております。
 そういうことでございますから、新しい農業基本法をつくり、そして、その新しい農業基本法というのが、まず我が国の自給率を高めていくということに大きな目標があるわけでございますから、この目標に向かってすべての農政運動を展開することが大事だろう、こう考えております。
 最後に、御指名いただきまして、ありがとうございました。
#99
○金子(恭)委員 どうもありがとうございました。終わります。
#100
○宮路委員長 次回は、来る七日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十九分散会

ソース: 国立国会図書館
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