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2000/11/07 第150回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第150回国会 農林水産委員会 第3号
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2000/11/07 第150回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第150回国会 農林水産委員会 第3号

#1
第150回国会 農林水産委員会 第3号
平成十二年十一月七日(火曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 宮路 和明君
   理事 岸本 光造君 理事 西川 公也君
   理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君
   理事 筒井 信隆君 理事 鉢呂 吉雄君
   理事 丸谷 佳織君 理事 一川 保夫君
      逢沢 一郎君    石破  茂君
      今村 雅弘君    岩倉 博文君
      金田 英行君    北村 直人君
      熊谷 市雄君    小島 敏男君
      後藤田正純君   田野瀬良太郎君
      中本 太衛君    浜田 靖一君
      福井  照君    松岡 利勝君
      森山 眞弓君    安住  淳君
      岩國 哲人君    後藤 茂之君
      後藤  斎君    佐藤謙一郎君
      津川 祥吾君    永田 寿康君
      長浜 博行君    楢崎 欣弥君
      三村 申吾君    山口  壯君
      漆原 良夫君    高橋 嘉信君
      中林よし子君    松本 善明君
      菅野 哲雄君    日森 文尋君
      山口わか子君    金子 恭之君
      藤波 孝生君
    …………………………………
   農林水産大臣       谷  洋一君
   農林水産政務次官     石破  茂君
   政府参考人
   (農林水産大臣官房長)  竹中 美晴君
   政府参考人
   (農林水産省経済局長)  石原  葵君
   政府参考人
   (農林水産省構造改善局長
   )            渡辺 好明君
   政府参考人
   (農林水産省農産園芸局長
   )            木下 寛之君
   政府参考人
   (農林水産省畜産局長)  樋口 久俊君
   政府参考人
   (農林水産省食品流通局長
   )            西藤 久三君
   政府参考人
   (農林水産技術会議事務局
   長)           小林 新一君
   政府参考人
   (食糧庁長官)      高木  賢君
   政府参考人
   (水産庁長官)      中須 勇雄君
   参考人
   (全国農業会議所専務理事
   )            中村  裕君
   参考人
   (社団法人日本農業法人協
   会会長)
   (有限会社船方総合農場代
   表取締役)        坂本 多旦君
   参考人
   (東京大学大学院農学生命
   科学研究科教授)     生源寺眞一君
   参考人
   (農業)         坂本進一郎君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月七日
 辞任         補欠選任
  後藤田正純君     中本 太衛君
  岩國 哲人君     後藤  斎君
  長浜 博行君     山口  壯君
  山口わか子君     日森 文尋君
同日
 辞任         補欠選任
  中本 太衛君     後藤田正純君
  後藤  斎君     岩國 哲人君
  山口  壯君     長浜 博行君
  日森 文尋君     山口わか子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 農地法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

    午前九時二分開議
     ――――◇―――――
#2
○宮路委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、農地法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、全国農業会議所専務理事中村裕君、社団法人日本農業法人協会会長・有限会社船方総合農場代表取締役坂本多旦君、東京大学大学院農学生命科学研究科教授生源寺眞一君及び農業坂本進一郎君、以上四名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考とさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、中村裕参考人、坂本多旦参考人、生源寺眞一参考人、坂本進一郎参考人の順に、お一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 それでは、中村裕参考人にお願いいたします。
#3
○中村参考人 おはようございます。ただいま御紹介いただきました全国農業会議所の中村でございます。本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私は、御審議をいただいております農地法の一部を改正する法律案につきまして、賛成の立場から意見を申し述べさせていただきます。なお、時間の関係もございますので、ここでは、特に農業生産法人制度に関する意見といたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 先生方に御尽力いただきまして、昨年の七月、食料・農業・農村基本法が施行をされました。また、ことしの三月には、新基本法の理念と施策の方向を具体化する食料・農業・農村基本計画が策定をされたところであります。この実現に向けて最も重要なことは、だれがこれに当たるのかということであります。いわゆる農業生産の担い手、そして地域社会の担い手の質と量の問題であります。
 私ども農業委員会系統は、農業経営の法人化につきましては、前の農業基本法が制定をされます以前の昭和三十二年からタッチをしてきております。このきっかけとなりましたのは、一ミカン農家が農家の経営を有限会社ということで申請をいたしましたところ、法的にこれが認められないということでありました。
 それ以降、自主性と主体性を持つ農業経営の実現を目指す観点からこれを支持してまいりまして、昭和三十七年に、有限会社、合資会社、合名会社そして農事組合法人に限り農地の取得が可能となる農業生産法人制度の実現を図ってまいってきたところであります。
 今回の改正法案は、農業生産法人の一形態といたしまして株式会社を認めるなど、農業生産法人制度の四つの要件を見直すものでありますが、この改正内容は、農業生産法人が家族農業経営の延長線上にあるという制度の基本を変えるものではなく、農村地域においても共存できる経営形態であると理解をしておるところであります。
 先進国におきます農業経営のあり方を見ましても、その大宗は家族経営であります。今後ともその方向は変わらないと考えておりますが、時代の変化に対応いたしまして、法人経営についても新たな展開が必要だと考えているところであります。
 このような基本的な視点に立ちまして、まず、要件の見直しの点について意見を申し上げたいと存じます。
 第一点は、事業要件であります。
 これまでの事業に加えまして、民宿あるいは造園、キャンプ場あるいは除雪作業など幅広い拡大が可能となります。この点は、労働力の周年雇用あるいは農機具の有効利用などを含め、経営の自由度の拡大や多角化あるいは都市住民との接点などを実現するものでありまして、現場からも強く望まれた点であります。
 第二点は、構成員要件の緩和であります。
 農業関係者以外につきましては、現行の構成員に加えまして、地方公共団体、それから法人と継続的取引関係にある者、例えば食品加工業者、生協、スーパーなどの参加を可能としております。この点は、農業経営の成否にかかわります加工、流通への参加でもありますし、また、資金の調達や人材の確保、消費者や都市住民との連携などの経営の強化と発展につながるものであります。これはまた、法人経営者などからも強い要望があったものでございます。
 特に、地方公共団体の参加による公益的な機能を持った農業生産法人が登場するということは、担い手の絶対的な不足に悩みます中山間地域などでの耕作放棄の防止あるいは解消、または新たな農業経営の展開として期待ができるものと考えているところでございます。
 以上二点に関しましては、事業要件としては農業関連事業が過半を占めることや、事業内容を農地取得時や経営段階において農業委員会がチェックすること、また、構成員の拡大では、農業関係者以外の出資について現行制度同様に議決権数に制限を加えるなどの措置が御案内のようにとられているところであります。
 第三点は、法人形態要件であります。
 農業生産法人要件に関しましては、農村現場が混乱をいたした原因が過去あろうかと思いますが、その一つは、株式会社一般に農地取得を認めるということではないのかという誤解があったというふうに考えております。これは、資本の利益を優先する株式会社に農地の取得を認めれば、投機的な農地取得や農村の土地利用の秩序に混乱をもたらすのではないかというような懸念であったと思います。
 しかし、今回の改正法案では、株式会社の株式の譲渡制限、農業関係者以外の出資につきましては、従来どおり全体の四分の一、構成員一人当たりの出資割合を十分の一以下に限定して、農業関係者以外の支配を抑える仕組みが整備をされているところであります。したがいまして、従来から心配されていました不特定多数の株主が発生するという点についても排除されているということであります。
 四点目は、業務執行役員要件も緩和をされておりますが、役員の過半が農業に常時従事する役員でありますし、かつ、その過半が農作業に従事するということであります。さらに、農業法人の代表者は、農業が営まれます地域に居住して、農業に従事する構成員であるというふうに聞いております。こうしたことによって、従来からの地域に根差した農業生産法人という性格は維持されるものと考えているところであります。
 しかしながら、生産現場に参りますと、この法人要件の緩和によりまして、農地の投機的な取得あるいは農村の水利、土地利用に混乱をもたらすのではないかといった懸念があるのも事実でございます。各要件の適合性を担保する措置について、十分な配慮と正確な情報の提供が必要ではなかろうかというふうに考えております。
 とりわけ、農業委員会に大変な役割が与えられておりますが、農地の取得段階における要件のチェック、立入調査などによる状況の把握、要件を欠いた場合の指導、勧告、農地譲り渡しのあっせんなど法律に基づくものはもとよりでありますけれども、日常的にしっかりした対応が重要だと考えております。
 今後、農業委員会が措置された対応策を実効あるものにするためには、私どもも一層取り組みを強化していく所存でございますが、農業委員会の体制並びに農業会議の支援体制の強化につきましても、特段の御配慮をいただきたいと思います。さらに、国と都道府県の農地行政につきましても、毅然とした態度で対応するようお願いをしたいと考えているところでございます。
 以上、時間の関係から十分申し上げることができませんでしたけれども、私からの意見といたします。臨時国会におきまして早期に成立するようお願いを申し上げて、終わります。ありがとうございました。(拍手)
#4
○宮路委員長 ありがとうございました。
 次に、坂本多旦参考人にお願いいたします。
#5
○坂本(多)参考人 ただいま委員長より御紹介いただきました坂本でございます。私は、社団法人日本農業法人協会の会長として、また、農業生産法人を設立して三十年間運営してまいりました経験を踏まえ、今回の農地法の一部を改正する法律案に賛成の立場から意見を述べさせていただきます。
 まず、農業経営の法人化について私の意見を申し上げます。
 私ども農業者が真に自立し、みずからの判断で行動できる農業の仕組みをつくることが、今後の地域農業活性化を図る上で最も重要な目標であると考えます。この新しい農業の仕組みの一つとして、次の観点から農業経営の法人化を推進する必要があると考えます。
 一つに、組織やルールを重んじる個性豊かな若者や女性がふえております。彼らが期待する自己の確立と身分保障のためにも、法律やルールで設立、運営される農業法人が、農業をやりたいという若者を受け入れる受け皿として有効な仕組みであること。
 二つに、農業界にも国際化、市場経済化が進みまして、家族経営という規模単位だけでこれに対抗していくことには限界があること。
 三つに、これからの農業は生産だけではなく、加工、販売、交流等の事業展開が不可欠でございまして、農業外との交渉、提携のためには法人の仕組みが有効であること。
 四つに、農業経営の継承において、農地と経営を一体として継承することが重要であり、そのためには法人が有効な仕組みであること。
 五つに、農家の農業への思いに格差が生じまして、経営農業と兼業農業に農業が分化したことへ対応するために、法人は有効な仕組みであること。
 六つに、消費者や都市住民など農業以外の国民に法人化は農業理解が期待できることなど、今後、農村活動に大きな役割を果たすと考えられます。
 したがって、この農地法の一部改正案は、私ども農業生産法人経営者にとって法人運営の核をなすまことに重要な見直しであると同時に、二十一世紀の農業、農村の発展にかかわる重要な改正であると思います。
 私ども農業法人協会でも、みずからの課題でもございますから、議論を重ね、農業生産法人検討会に対してたびたび意見を述べてまいりました。この改正案は、私ども法人経営活動の方向とその考え方が反映されたものであり、この改正案が今国会で可決成立することを強く期待しているところであります。
 そこで、農業生産法人の要件の改正についてであります。
 現在の農業生産法人の四つの要件が定められましたのは、平成五年であります。今回の改正は、急速に変化する農村と農業経営環境の変化を踏まえた改正の内容であると考えております。この制度は、私ども農業生産法人にとって経営の成否を決めます重要な制度でありますから、以下四点について意見を申し上げます。
 第一点は、構成員要件の改正についてであります。
 この改正により、消費者など農業に関心を持って安定的に連携いただける方々が構成員として出資し、農業に参加することは、食料自給率の向上や農業の国民理解につながると考えております。また、耕種法人と畜産法人の連携による持続的な資源循環型農業の確立が可能となることからも、構成員要件の改正に賛成であります。
 第二点目は、事業要件の改正についてであります。
 これからの農業、農村活動を、農業生産だけではなく、二次、三次産業の分野も含めて、消費者が求める多様な期待、すなわち、安全で安定した顔の見える農産物の供給、多面的機能を生かした国土保全や命への体験、体感、いやしの場などとしてその期待にこたえる必要があると思います。また、安定した法人経営で、地域社会の期待にこたえるためにも経営の多角化、複合化を図り、総所得の拡大と雇用の拡大を図る必要があります。したがって、この改正案である加工、販売を含め、農業分野の売り上げが過半数というのは適切な水準だと考えます。
 以上のことから、事業要件の改正案に賛成であります。
 第三点目は、役員要件の改正についてであります。
 家族だけではなく、農業者が集まり、しかも、パートや従業員も含めて農業経営を営み、農業経営の複合化や加工、販売等、経営の多角化を図るには、企画管理労働は欠かせません。この企画管理労働こそ法の人となり得る基本的な作業であると思います。しかし、農作業にかかわる役員がゼロではいかがかと思いますが、提案されている内容は適切だと考えます。したがって、役員要件の改正案に賛成であります。
 第四点目は、法人形態要件の改正についてであります。
 農業生産法人の経営形態に株式会社を追加することについても、株式の譲渡制限があり、農業者が四分の三という構成員要件、農業分野の売り上げが過半以上という事業要件、さらに、役員要件を満たす株式会社ということでありますから、現実的には、現在の農業生産法人が雇用や融資など信用力を高めるために、株式会社を活用する経営形態であろうかと考えられます。
 また、これは私の私見でありますけれども、今後早急に解決しなくてはならない集落営農等、地域農業経営体を設立するとき、不在地主化が進むという新たな問題を抱えるこれからは、現場で農業経営に常時従事する者の権利確保を図るシステムがなければ、地域経営体に担い手の確保はできないのではないでしょうか。したがって、改正案に賛成であります。
 次に、農業生産法人の要件適合性を担保するための措置についてであります。
 法律とルールに基づいて設立、運営するのが法人、すなわち法の人であり、それを守ることは当然の義務であると思います。これまで農業法人は、地域農業において極めて少数派であるがゆえに、地域農業のあり方や方向性を検討する場に出席する機会が非常に少なかったのではないでしょうか。これを機会に地域農業のあり方を議論する場への参画ができるようになることを大いに期待したいと考え、この要件適合性を担保するための改正措置に賛成であります。
 以上、社団法人日本農業法人協会の代表として、また、農業生産法人経営三十年の現場での体験から、私見を含めて、意見を述べさせていただきました。
 どうもありがとうございました。(拍手)
#6
○宮路委員長 ありがとうございました。
 次に、生源寺眞一参考人にお願いいたします。
#7
○生源寺参考人 東京大学の生源寺でございます。
 現時点でこの改正案がほぼ妥当であると考えておりまして、その視点から若干の意見を述べさせていただきたい、こう思います。時間もございますので、農業生産法人の問題に限ってお話をさせていただきたいと思います。
 まず、改正案を妥当であるとした根拠でございますけれども、大きく二つございます。
 一つは、農業生産法人に関して、幾つかの面で経営としての自由度ないしは選択の幅を広げた、こういうことでございます。特に、事業要件の緩和と株式会社形態を、条件つきではございますが、平たく言うならば、農業者がつくった株式会社であれば容認しようという方向であるわけですけれども、こういった点を評価したい、こう思うわけでございます。自由度が広がったことで次のような効果が期待できるのではないか、こう思うわけでございます。
 一つは、経営の多角化あるいは信用力の向上を通じまして農業法人の魅力を高め、特に若い人材の確保、あるいはこれを通じて農業の活性化につながる可能性があるのではないか、こういうことでございます。現在、農業は絶対的に縮小するという傾向になっておりまして、残念ながら、担い手の確保あるいは農業の再建に特効薬はないと言わざるを得ないわけでございます。したがいまして、株式会社形態に道を開いたからといって、これで日本の農業ががらりと変わる、こういうことはないと思うわけでございます。ただ、さまざまな試みの一つとして取り組むことには十分意味があるのではないか、こう思うわけでございます。今も坂本参考人からお話がございましたように、現に既存の農業法人の方からもかなり強い関心が寄せられているわけでございます。
 自由度を拡大することのもう一つの効果でございますけれども、これは、農業の川下に位置する食品加工あるいは外食、こういった産業と農業法人が密接な関係を持つ場合の選択肢が広がったということでございます。もちろん、農業生産法人自身が川下のビジネスをみずからの経営に取り込んでいく、つまり、多角化を図っていくことも、少なくとも制度上はかなり容易になる、こういうふうに判断しているわけでございます。また、法人の株主になってもらうことで、個人としてあるいは組織としての消費者、つまり、消費生活協同組合が典型でございますけれども、こういったいわば消費レベルの方々とも結びつきを強めることが考えられるわけでございます。
 いずれにせよ、これからの農業は経営の面積の拡大、つまり、水平的な規模拡大だけではなく、関連する事業を取り込んでいく、いわば垂直的な拡大が非常に重要になるわけでございまして、この点でも今回の改正案はこういったニーズにこたえているのではないか、こういうふうに思うわけでございます。
 改正案を妥当と考えます二番目の根拠に移りたいと思うわけでございますけれども、これは、改正の中身を詰めるプロセスについてでございます。私は、印象といたしまして、いわば石橋をたたいて渡る、こういった方式で、相当慎重に事を運んでこられてきているのではないか、こう思うわけでございます。この点を評価したいわけでございます。農地の投機的な取得あるいは無秩序な転用は、いわば日本農業のがんと言ってもいいような非常に重要な問題であったわけでございます。また、現在もそういった問題が皆無になったわけではないわけでありまして、この点で今回の改正がもしマイナスの影響をもたらすとすれば、プラスの影響をいとも簡単に相殺してしまう、こういう要素もあるわけでございます。特に、土地の投機ということに関していいますならば、不用意な制度改正の議論が、いわばそれだけでよからぬ行動を誘発してしまうということまでも、考えておかなければならないわけでございまして、その意味では、相当時間をかけて慎重に中身を詰めてきた今回の改正案のいき方に関しましては、私は共感をしているところでございます。
 結果的に、このことも含めましてでございますけれども、株式会社形態とはいっても、株式の譲渡制限あるいは農業者以外の議決権の比率の制限といった相当に制約の強い改正案になっているわけでございます。その意味では、株式会社形態の導入に積極的であった向きには、あるいは期待外れの内容と映るかもしれません。私自身、農業生産法人の活動につきましては、農地が適切に利用され、また環境保全への配慮が万全であるならば、本来はできるだけ自由度を拡大することが望ましい、こういう判断に立つものでございます。
 ただ、同時に、私は、現在の土地利用をめぐる法制度の運用の実態のもとでは、今回の改正がぎりぎりの線ではないか、こういう判断もしているわけでございます。すなわち、土地利用規制が必ずしも有効に機能していない地域が少なくない中にあって、農地を守る手だてに万全を期するという観点から、農業生産法人にかなりきめの細かい制約をかけることは現時点ではやむを得ないのではないか、こういうふうに見ているわけでございます。本来であれば、長期的なビジョンに基づく計画的な土地利用、つまり、ゾーニングをしっかり確立して、これに従わない行動はいわば反社会的な行為として容認しないんだ、こういう風土が形成されて、その上で農業経営に対する制約をミニマムの行動規制に限定することが望ましいと思うわけでございます。規制の緩和という言葉は私は余り好きではございませんけれども、農業生産法人をめぐる規制の緩和の可能な度合いは、土地利用制度の規制の強化の度合いと裏腹の関係にあるのではないか、私はこう思うわけでございます。
 この点にも関連いたしますが、ここ数年、株式会社による農業をめぐっての議論が随分過熱したわけでございますけれども、そんな中で、本来深く検討されてしかるべき基本問題がどうも置き去りにされているのではないか、こういう気持ちを持っております。
 置き去りにされた基本問題というのは、農地をめぐる法制度の根本的な見直しでありまして、特に土地利用秩序を形成するというよりも、むしろ回復するための計画制度の検討でございます。御案内かと思いますけれども、食料・農業・農村基本問題調査会の答申には、農地は単なる資産ではなく、社会全体で利用する公共性の高い財であるという認識を徹底させ、農地の有効利用のため適切な利用規制を行うべきであるとうたわれているわけでございます。問題は、この基本理念に沿ってどこまで制度の見直しを行うことができるかでございます。非常に重いテーマでございます。
 ポイントは、憲法二十九条の私的な財産権の保護とこれに対する公共性からの制約、この両者のバランスをどう考えるか、こういう問題でございます。この根本の問題に切り込むためには、私見でございますけれども、もう一つの調査会をつくるぐらいのエネルギーと知恵が必要ではないか、しかし、どうしてもやらなければならない日本の農業あるいは日本の社会全体の課題ではないか、私はこう思うわけでございます。
 いずれにせよ、農地の利用をめぐる、あるいは土地の利用をめぐる制度は国民生活に深くかかわっておりますし、かつまた、農政上の最重要課題でございます食料の安全保障の確保にとっても非常に大切なテーマでございます。国民的な議論が展開されることを強く期待したい、こういう気持ちでございます。この気持ちを最後に表明させていただきまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。
 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
#8
○宮路委員長 ありがとうございました。
 次に、坂本進一郎参考人にお願いいたします。
#9
○坂本(進)参考人 私は、株式会社の農業参入になぜ反対かということを一農民の立場として話してみたいと思います。
 それで、ちょっと迷ったんですけれども、この本をお配りしました。自分の宣伝になるのでどうかなと思いましたけれども、一応、株式会社の農業参入について反対の文章がまとまって百十九ページに書いてあります。ここに「世界に例のない「企業の農業参入」に道が開かれた」というふうに書いていますけれども、世界に例のないということで、私は、皮肉の意味と、それからちょっと怒りの気持ちを込めて書きました。
 以下に、二つの理由からなぜそう言えるのか話してみたいと思います。
 世界に例のないという意味は、ちょっと飛び飛びで済みませんが、百三十四ページのところに、後で読んでもらえばいいんですけれども、これまで、株式会社を含めて、広い意味の企業農業ですけれども、それで農業が継続してきたという事例はありません。
 例えば、ここに挙げましたラティフンディウムとか、最近で言えばソ連のソホーズ、それから今、人民公社は違いますけれども、人民公社もつぶれました。それから、アメリカで今やられているアグリビジネス多国籍企業による直接間接支配。ロッキー山脈のオガララ水系というのがありますけれども、私、四、五年前に行って環境問題に詳しい人に教えてもらいましたけれども、あそこの水脈というのは一万年かかってたまった地下水です。それもくみ上げられて、だんだん砂漠化している。だから、文明の後に砂漠が残ったという有名な言葉がありますけれども、アメリカ農業の後に、何百年たった後に一体、今までのまま維持できるのかなということがちょっと心配であります。歴史的に見たら、そういうことなんです。
 それからもう一つ、世界に例のないということで銘打ったという意味は、家族農業こそずっと持続性があるということ、人に優しいし環境に優しい、そういうことで皮肉を込めて書いたわけです。
 なぜそう言えるかというと、また飛び飛びで済みませんが、百二十五ページのところに、後で読んでもらえばいいんですけれども、簡単に説明しますと、登呂ムラというのがあります。あそこは八町歩あって、十二軒の農家が共同で水を引いて、それで農業が成り立っている。日本の村というのは、そういう視点で見ていくと、大体共同で水を引いてきて、二千年もずっとそうやってきたわけですけれども、大河川から人間の毛細管のようにずっと水路が伝わってきて、それであちこちで水社会と村が築かれてきた。
 そこに株式会社が入っていくということは、組織原理が全く違うというか、家族農業の場合は、私も、生業観というか、そういう気持ちで農業をやっています。そこに株式会社が入ってくるということは、利潤の追求ということで、詳しく説明する時間はありませんけれども、全く組織原理が違う。だから、間に合わなければやめるしということで、今までの村の美風というのがつぶれてしまうのじゃないかなというふうに考えています。
 私、以上で大体言うことは終わりなんですけれども、もう一つ、皮肉の意味を込めたというのは、我々のこれまでの体験があります。
 実は九二年の新政策で、株式会社の検討を始めますと、そのときはまだ実感がありませんでした、世論としても。名前を挙げて申しわけないんですけれども、文芸春秋にその二年後あたりに永野日経連元会長が、百万ヘクタールも減反するなら財界に土地を出せと。私はそれを読んだときに大変だなと思いまして、当時自民党も反対であったので、自民党の方を通して私にも反論を書かせてくれと言いましたけれども、結局没にされました。
 京都大学の名誉教授の飯沼先生は私、よく存じ上げているんですけれども、その先生が言うには、今の農政というのは三奪作戦、つまり人、作物、土地。人、作物は大体とられました。私の息子も大学の三年生で、この前東京に来たときに聞かれました。父さん、帰っても食いぶちはふえるけれどもいいかと、いや、食いぶちがふえるのはいいけれども、将来性がないので、まず就職してくれと私は言いました。そういうふうに人はとられて、作物も、今米をつくるのも非常に制限されています。最後に農地に王手がかかったというふうに私は思っています。
 農地法もいろいろ規制はかけられているようですけれども、一回風穴をあけられると、最後は、農地法は換骨奪胎されて雲散霧消してしまうんじゃないか。それは何年かかるかわかりませんけれども、これまでの経過を見ていると、そういう心配があります。
 では、株式会社はなぜかということなんですけれども、毎年交渉に来ているわけですが、九七年に経団連と、それから私は農林省の方に行くということで、秋田県から二、三人来て手分けして交渉に行きました。経団連に行った人は、経団連の方では、担い手がいないから私たちがお手伝いするんだ、こう言いました。しかし、私はそのお話を聞いてかちんときたのですけれども、さっき言いましたように、言葉はきついですけれども、三奪作戦によって農村がどんどん衰退しているので、株式会社が入ってくると。
 私、今ちょっとわけがあって満州のことを調べているのです。というのは、五歳のときに満州から引き揚げてきたので調べているのですけれども、満州で現地の、当時満人と言いましたけれども、中国人から二束三文で土地を取り上げて、そこに入植させたのですね。私のおやじはそういうところじゃなくて、興農合作社というところに勤めて農村の振興をやっていました。何か、一方では土地を取り上げながら、一方では満州の農業振興をやるというので、罪滅ぼしかなと思ったりしているのですけれども、今の状況というのは、農村を疲弊させて、それで農地を奪う。
 だから、今、遊休農地を二万ヘクタール持っているそうですけれども、企業は、なぜそんなに土地を欲しがるのかな、ちょっと欲張り過ぎじゃないかなと思っています。本当に農業をやりたいのだったら、山林の原野を開発してもやれるわけですから、その裏の方を考えてしまうというか、一農民としてはちょっと被害者意識があるかもしれませんけれども、時間も来たようですから、あとは質疑でお答えしたいと思います。
 ありがとうございました。
#10
○宮路委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#11
○宮路委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川公也君。
#12
○西川(公)委員 私は自由民主党の西川公也でございます。
 きょうは、参考人の方々には、大変お忙しいところお出かけをいただき、貴重な御意見をいただきました。心から御礼を申し上げる次第でございます。
 今回の農業生産法人の見直しでありますけれども、地域農業をどう活性化していくか、こういう上には欠かせない改正だと思いまして、私も賛成でございます。
 そういう中で、たくさんの御意見をもらいましたけれども、農業は先の見通しを立てるというのは非常に難しい、これはだれもが感じていることだと思います。特に昨今の農業で、私は自由民主党の農林部会にとにかく数多く出席をして皆さんと意見を交わしておりますけれども、一番の問題は豊作を喜べない、これが一番農業者にとって、私どもも携わる者としてつらい立場でございます。難しい天候の中で農産物をしっかりつくってくるという立場では、豊作を喜べる、こういう産業に育て上げていかなければならない、私はこう考えております。
 そして、先の見通しが難しいという話、今四人の中からも出ましたけれども、きのう非常におもしろい新聞記事がありました。五百人を超える乗員を運ぶ超大型機の問題でありますけれども、今超大型機をつくっているのはたった二社しかないのですね。エアバスとボーイングしかないのですよ。それが今後の大型機導入に当たっても、エアバスは、二十年で千二百機以上必要だ、たくさん超大型機が走る時代が来る、こう言っているのですね。ボーイングは、いやそうじゃない、恐らくそれの四分の一ぐらいだろう、意見が分かれているのです。
 今後、世界の状況がどうなるかわかりませんけれども、変化は相当激しく来ると思います。特に農業は天候相手の話でありますから、非常に難しい問題がつきまとってくるわけであります。今の農林省の考え方も、とれ過ぎたら在庫調整、こういうことをやっていますけれども、そうできない部分がたくさんあるわけでありまして、そういう意味で、農業の活性化を図る上ではしっかりした考えでこの参入に取り組んでいかなければならない、こう私は思っています。
 そこで、まず生源寺参考人にお伺いをしたいと思いますけれども、賛成の立場でお話をくださいました。問題は、農業生産法人にこういう形で企業が参入したら、一手段にはなるけれども決め手にはなかなかなりにくいだろう、こういうふうに私は御意見を聞いたのですけれども、世界が変わる中で日本の農業をどう変えていったらいいか、こういうことを考えながら今回の法人化を進めること、この問題についての考え方を生源寺参考人に聞かせていただければと思います。
#13
○生源寺参考人 世界の情勢が変わる中で今回の農業生産法人の改正の問題をどう考えるか、こういうことで、非常に難しい御質問なんでございますけれども、私自身はすぐさま画期的な変化があらわれる、こういうふうには思っておりません。ただ、いろいろな側面はございますけれども、農業も非常に魅力のあるビジネスとなり得るというような意味で、かなり有力なメッセージというか、それを農業の内外に発することができる、これが受けとめられるならば二次的、三次的な効果もあるいは期待できるのではないか、こういうふうに思っております。
 株式会社の問題が非常にクローズアップされておりますけれども、こんなことも多分あるだろうと思います。株式会社形態であれば出資できる、こういうことが多分いろいろな形で報道されるということになるだろうと思います。そこで、関心を持った企業なり、消費者団体の方々が農業生産法人にアプローチをしてみる。その結果、株式会社形態よりも、むしろ有限会社の方がいいという選択をされるかもしれません。しかし、いずれにせよ、一たん農業の外の方とのつながりがつくことが非常に大事でございまして、その意味では今回の改正は導火線になる、しかし、導火線だけでは世の中が変わるものではない、私はこういうふうに考えております。
 以上でございます。
#14
○西川(公)委員 次に、坂本進一郎参考人に御意見を伺いたいと思いますが、この本を私も読んでおればよかったのですけれども、まだ読んでおりませんで、後で読ませていただきたいと思います。
 それで、世界に例のない企業参入だ、さらにはソホーズの失敗や人民公社の失敗の話も出ましたが、農業のやり方というのはなかなか難しい、確かにソ連も中国も個人の意欲というのを出しにくかった、だから、なかなかうまくいかなかったのかな、こういう面も私も実感として持っています。それに、ちらっと触れてくれましたけれども、アメリカのアグリビジネスの話で、何万年もかかってたまってきた宙水をくみ上げてしまう。確かに新しく水源をつくるよりも、今までたまっていた宙水を引き揚げてそれを農業に使った方が便利で安くていい、こういうことのお話にも触れました。しかし、今、八郎潟にお住まいかと思いますけれども、農業に大変な資本をかけながら、できる限り今までの環境を変えないで日本もやってきたと私は思っています。
 そういう中で、株式になったら利潤の追求だけで、環境も何も配慮しなくなってしまうのじゃないか、こういう心配をされておりました。さらに、私は個人経営で生業としてやっているんだから、環境とかそういうものにも配慮するし、村の美風もつぶれないように積極的参加をしているんだ、こんな話をされたかと思います。
 今度のねらいは、資金の調達等もできるし、そういう面では私は画期的な考え方だと思いますけれども、坂本さん、おやりになっておって、すばらしい経営だから資金等の問題とかそういう問題がないのかもしれませんけれども、しかし、現実の姿で農業経営が法人の形に進んでいることも事実です。そういう中で、主導権をどっちがとるか、農業者がとるのか、資金で応援する人たちがとるのか、こういう分かれ目はあると思いますけれども、私は、農業者がしっかり主導権をとっていくのであれば、この形態は非常に評価ができる、こういう考え方を持っています。
 そこで、坂本さんにお伺いしたいのですけれども、皆さんの仲間の人たちも、法人経営の形でやっている人もいると思うのですけれども、そういうことを仲間がやりたい、こういう話のときにもやはり今のような考えは変わりませんか。その辺、お聞かせをいただきたいと思います。
#15
○坂本(進)参考人 他人がやっていることについては、だめだとは言えません。それで、今大潟村で法人は、雨後のタケノコのように出ていますけれども、何ぼあるのか。これは税法上優遇されているとか、実際は家族農業で、それをオブラートとして法人がかぶっているというだけです。
 あと、家族農業は、さっきはしょってしゃべりましたけれども、土地も生き物、作物も生き物、それから人間も生き物、生き物同士が相互作用で農産物をつくっていく、しかも、おてんとうさま相手だということで、非常にこの間に有機的関連があります。
 アメリカの農業というのは非常に工業的で、農業と工業の境目がわからなくなってしまって、だからこそ、いろいろ、人間の命がやりとりされるというか、そういう意味では、農業と工業というのはもう全く異質、水と油のようなもので、そこをちょっと考え直す必要があるのではないかというふうに思っています。
 ヨーロッパに私も調査に行きましたけれども、そこは資金の問題としては、最低支持価格、アメリカでもやっていますけれども、それからデカップリング、そういうものをやっています。農林省の悪口を言うのは私は控えたいのですけれども、でも言わざるを得ないのですが、九三年にガット、よもやWTOなんてできると思いませんでしたけれども、その後二年たって、やっとデカップリングをやっているということがわかって、私自身、自費で調査に行きました。最近、四年ぐらい前にわかったのは、今度はヨーロッパのバスケット方式というかセクター方式というか、肉類は一括して交渉しています。それも農林省は情報公開していないので、マスコミに調べてくれと言ったのですけれども、なかなか調べてもらえなくて、この前ある国会議員の方に頼んで資料を見せてもらいましたけれども、そういうふうにして家族農業というのが非常に守られる。日本の場合は、アメリカ農政の、コーナーでいえば二コーナーぐらいおくれてきているので、結局つぶれていく、アメリカを見れば大体わかるのですけれども。
#16
○西川(公)委員 個人的な考え方の違いがあったかと思いますが、私ども、WTOの問題も党で今一生懸命勉強して、とにかく新しい基本法の考え方であります所得をいかに守るか、こういうことで交渉を今後とも続けていきたいと思いますので、御理解をいただければと思います。
 次に、坂本多旦参考人にお伺いをしたいと思います。
 坂本参考人は賛成、農村活動に大きな役割を果たす、こういうことで御意見を述べられておりましたし、農業外との提携の中で、やはり農業の活性化につながってくるはずだという御意見であったかと思います。私どもも当初は、大企業が入ってくるぞ、あるいは農外資本に結局、支配されてしまうぞ、こういう心配をしておりまして、大激論を闘わせて今日の法律をつくり上げてきたのですけれども、そんな御意見が大体一致しておったかと思います。
 今坂本さんとか仲間の皆さんが、地域の発展のためにどのような面で貢献をされているか。やはり法人になっても地域の活性化に積極的に参加してもらいませんと、いい農村社会はできないわけでありますけれども、その辺の活動についてお聞かせをいただければと思います。
#17
○坂本(多)参考人 今西川先生の方から地域とうまくやっていけるのかという御質問ではなかったかと思います。
 農業経営の手法でございますとか、考え方と意見の違いというのは当然あるだろうと思うのです。私はこういう農業をやりたいという意見があるだろうと思いますが、この制度のもとでございましたら、十分地域と調和していけるというふうに私は考えるわけです。
 なぜかと申しますと、新基本法にございますように、多様な担い手というのはこれから日本の農村、農業には必要だよということは国民が認めていることであります。特に、今、坂本参考人の方からもお話がありましたけれども、私たちは法人で三十年もやりましても、稲にしても家畜にしましても、農作物は私たちが法人か家族かとか、結局関係ないわけでございまして、わからないわけです。大切に愛情を込めて育てるかどうかということがもう一番基本なんです、先生もおっしゃったように、生き物ですから、自然の問題ですから。そこをどう果たすか。だから、家族経営だったら必ずしも農作物を大事にするか、環境を大事にするかとも言えないし、法人だからだめだとかは言えない。
 僕は、日本人というものはそういう力を持っている、組織的にもきちっとやっていける。集落というのは昔からこれは法人体だと思います。それがあって個人がうまくいった。その集落営農が今非常に生産機能を落としているところに、個人までが大変になってきているという考え方があると思います。したがって、一番私たちが今苦労しておりますのは、これから地域農業の中で少数派で認知していけるように、ひとつ御支援措置をお願いしたいなと思っているわけでございます。
 私の農場には、子供たち、お母さんが年間十万人ぐらい毎年遊びに来て、ありがとう、ありがとうと、地域の子供たち、近くの都市の方が帰っておりますから、私は地域と非常にうまくいけるのではないかというふうに思っております。
#18
○西川(公)委員 次に、農業団体の中村参考人にお伺いしたいと思います。
 私ども部会で、農地法の改正が話題に上がってきて、農業団体の皆さんも熱心に参加をしてくれました。去年あたりの議論、ことしの初めぐらいまでは農業団体も非常に慎重な対応でありまして、私は、あれ、農業団体は反対なのかなと思って意見を聞いてきました。この取りまとめに当たりましては賛成という表現になってきましたので、これで農業団体が農業者の意見を集約できた、私は当初から変わったのだなと受けとめているのですけれども、その辺の変化はどういう状況から出てきたのですか。
#19
○中村参考人 お答え申し上げます。
 定かでございませんが、平成八年の秋ぐらいから確かに新聞報道等いろいろな議論が出てまいりまして、その中では、いわゆる規制緩和に基づきまして、耕作者主義も規制ではないか、撤廃してはどうか、これは我々にとりますと、農地法の根幹の問題でありまして、今、優良農地を守っていけるのは、また利用していけるのは、やはり農地私有制度のもとでということを考えております。したがいまして、そこが規制ということからとられてしまって、一般の株式会社も参入したらどうか、こういう議論については我々は反対であるという議論をしてまいりました。
 先ほど申しましたように、我々、三十二年から農業法人問題をやってきておりますが、それはそういう枠の中でいわゆる家族農業経営の延長線上としての農業生産法人は認めるべきである、積極的に認める、こういう立場をとってまいりまして、今度の議論は、株式会社が株式の譲渡制限あるいは農業委員会のチェック等を含めまして、農業生産法人の一形態として中にはまり込むということでございますので、それならば地域でも共存できるという理解の上に賛成ということでございまして、今でも一般の株式会社そのものについては心配でございます。以上でございます。
#20
○西川(公)委員 今中村参考人の心配の意見は、私も全くそのとおりでありまして、果たして今のこの法律で、制限しておりますから、農業者が他産業の人たちに誘導されて困るような事態が起きないようにしなければならないと思っていますし、そこはよくしっかり目を光らせていきたいし、十年間の報告制度もありますから、これでしっかり守り切れるのかな、こう思っています。
 そこで、時間が少々余りましたので、中村さんに続けてお伺いしたいと思います。
 今度の農地の保有の上限の縛りはないわけですね。そして、形態によっては、非常に大きな面積で農業生産法人に入る、こういう話にもなってくる形態が出るかと思います。そういう場合、これは企業も資本金の参加が多くなりますから、余計利潤追求に走る可能性があると私も思っています。
 問題は、これは三条許可になるわけですね。三条許可ということになりますと、実質、許可権者というか審査は農業委員会がやるわけでありますけれども、これは、しっかり許可をする側の皆さんの資質の向上に努めてもらわないといけません。大体、地方の農業委員会は行政区単位に農業委員が選出されておりますので、その人たちは、自分の行政区に出てくる者は、大体全部農転賛成なんですよ、転用の場合でも。そして、あとは県知事の判断を仰ぐんだ、こういうやり方をしてきています。
 今回は、農地転用そのものだって、二ヘクタール以上は大臣許可であったもの、今度は四ヘクタールまでということになって、二から四は報告だ、こういうことになりますから、ますます地方の皆さんの役割というのは大きくなってきています。
 そこで、農業委員会をしっかりさせなければいけませんが、どんなことをやるつもりか。時間ぎりぎりでありますけれども、考え方をお話ししてください。
#21
○中村参考人 今先生御指摘の点は、我々もそういうふうに考えておりまして、最後に、農業委員会あるいは農業会議の指導体制についても強化をお願いしたいということを申し上げたわけであります。特に転用問題につきましても、法が変わってまいりますけれども、手続上は今までを踏襲するということで、県段階、農業会議におきます諮問等も残されるということでございますから、一応懸念はとれるのかなというふうに考えておりますが、新しい基本計画のもとで四百七十万ヘクタールの確保をどうするか、それから一〇五%の利用等をどうするか、これだけにつきましても、我々の組織はかなり重い責任を持っていると思っております。
 特に今度の要件緩和によります生産法人の問題につきましても、入り口から出口まできちっとした対応をしなければいけないということでございまして、組織的にもそういう指導の強化を図ってまいりたいというふうに考えておりますし、政策面あるいは財政面での御支援もまたお願いをしたい、こういうことでございます。
#22
○西川(公)委員 質問を終わります。
#23
○宮路委員長 次に、楢崎欣弥君。
#24
○楢崎委員 民主党の楢崎欣弥です。参考人の方々には、きょうは御苦労さまでした。それぞれの立場からの御意見を聞かせていただきました。
 そこで、まず生源寺参考人に三点ほどお伺いしたいのです。
 私は、先生が書かれました「農政大改革」という本、ほんのさわりだけですけれども、読ませていただきました。その著書の中で先生はこう述べておられます。市場原理至上主義あるいは規制緩和一本やりで世の中がよくなることなどあり得ない、農業政策の中でも同じである、むしろ、厳格な規制の網を改めて張り直した方がよい問題が少なくない、けれども、その一方で、行動の自由を思い切って広げることが望ましい領域もまた少なくないのである、このように述べております。
 私たち民主党は、農業への新規参入については規制緩和、農地転用は規制強化という基本的なスタンスを持っておるわけですけれども、そこでまずお聞かせいただきたいのは、株式会社形態参入の一連の論争の焦点ですけれども、これは先生も言っておられますように、農地を確保する命題それから農業の活性化を図る命題、これをいかに両立させるかということであろうと思うのです。しかし、これは農地法の目的を初めとする現法体系の中で、この両立というのは可能だと思われますか。
#25
○生源寺参考人 非常に難しい問題でございます。程度の問題で一〇〇%可能かと言われれば、もちろんノーだと思いますし、まあ一〇%であればというようなことがあるわけでございますが、今の農地制度、いろいろ改正が積み重なってきてはおりますけれども、根幹のところで、やはり五十年前の農地法をベースにしているということもあって、その意味では現代の社会にやや合わなくなっているところがあるだろう、私はこういうふうに思っております。そこをいろいろ、言葉は悪いわけでございますけれども、継ぎはぎするなりバイパスをつくるという形で来ているわけでございますけれども、しかし、それではもうもたなくなってきているのだろうというふうに私は思うわけでございます。
 今お尋ねの点のポイントのところで申し上げますと、農地そのものをきちんと確保するという意味での理念が、実は今の農地法の中には希薄である、私はこういうふうに思っております。これは食料増産の時代でございますから、むしろ、農地はふやすのが望ましいという時代にできていたわけでございますので、その点でいいますと、ゾーニングですとか農地を守るということに関して、今の農地法にその責めを負わせるのはやや酷であるという言い方ができるのではないか、こういうふうに思っております。
 しかし、新しい農地をきちんと守るゾーニングなりの制度がないものですから、逆に言いますと、ある意味では農業の参入についていろいろな資格規制なりを講じることによって、いわばこれは必要悪だというふうに私は思うわけでございますけれども、そういうことによって参入についてもやや障壁を高くしてきたという事情があるのではないか、こう思うわけでございます。
 したがいまして、よりいい形にするとすれば、私自身は、時間をかけて農地法あるいは農地制度の体系全体を見直すべきだ、こういうふうに思っております。
#26
○楢崎委員 それでは、厳格な転用規制とゾーニングが実施されれば、農地利用者が一般の株式会社であっても問題はないはずだという意見も一部に聞くのですが、これについてはどう思われますか。
#27
○生源寺参考人 私は、厳格なゾーニングというところをどう考えるかということをきちんとしなければいけないと思っておりまして、言葉だけではだめなわけであります。例えばドイツのように計画制度をつくれば、その建物の、極端に言えば屋根の傾きまで厳格に指定する、こういった形の非常にきちんとしたものができるのが理想だというふうに思っております。仮にそういう理想的なものができる、あるいはそういう方向に行くとすれば、私はかなりの程度自由度を広げていい、こういうふうに思っております。
 ただその一方で、農地は農地として利用する、ここが一〇〇%きちんと守られるという形になったとしても、しかし、自然人、法人、だれでもいいという形には実はいかない、私はこういうふうに思っております。むしろ、これは法人であるか自然人であるかというよりも、特に周辺の環境、自然環境の保全といったことについて、きちんといわばルールなりをつくりまして、それを守るということが、ある意味ではもう一つの規制としていい規制だというふうに私は思っておりますけれども、かけるべきでございまして、そのいわばハードルもきちんとクリアできるような形であれば、資格のレベルにおいて規制をすることは必要がなくなるだろう、また、そういう社会が来ることを望んでいるわけでございます。
#28
○楢崎委員 先生は、我が国がゾーニングの後進国であるということを本に書いてありましたけれども、ちょっとその辺のところを説明していただけますか。
#29
○生源寺参考人 やや印象論風的に後進国だという表現をしたわけでございますけれども、まずゾーニングのシステムができた時代背景ということがあろうかと思います。都市計画法が昭和四十三年、農振法、農業振興地域の整備に関する法律が四十四年ということでございまして、まさに列島改造のブームが沸き起こる、こういう時代にできたわけでございまして、農業、非農業全体を見渡して合理的な土地利用計画をつくるという雰囲気にはやはり乏しかった。農業側から見れば、むしろいかにして農業の領土を守るか、こういう発想でできたという、このゾーニングの産みのプロセスといいますか、その時代背景が一つあろうかと思います。
 私が後進国であるという言い方をしていることにつきましては、時代背景のほかに、ゾーニングの理念、それから制度あるいは技術、こういった点について、やはりしっかりしたものがないというところがあって、ここを指して後進国である、こういう言い方を私はしているわけでございます。
 理念の問題につきましては、今の農地法なり農振法につきましては、例えば食料の安全保障というような配慮は一切ないわけでございますし、農村空間のアメニティーを向上するという観点もないわけでございます。これは、ここ十年あるいは最近になってできてきた問題意識でございまして、これをきちんと埋め込んだ理念が必要だろう、あるいは制度、技術。
 現在一応計画がございますけれども、計画は、極端に言えば、毎年ころころ変えることができる、いわば転用の案件に沿って計画の線を引きかえるということも起こっているわけでございます。ちょっと長くなって恐縮でございますけれども、十年、二十年たてば当然分家という形で転用が予想されるようなところまでも農地にしてしまう、結果的に、例外として転用する、例外が例外を呼ぶというような形で非常にスプロール的な壊廃が進んでしまう、これなども、実はゾーニングの制度あるいは技術で私ども、まだ誇るに足るものを持っていないからではないか、こういったこと全体を根拠にいたしまして、ゾーニングの後進国だ、こういうふうに表現したわけでございます。
 以上でございます。
#30
○楢崎委員 中村裕参考人にお伺いいたします。
 農地法の改正によって、農業委員会の役割はどうなっていくと思いますか。
#31
○中村参考人 農地法の改正、今度大きくは四点ほどあろうかと思っておりますが、特に先ほどの転用の問題につきましては、事務的にこれまでと同様に対応ができていくのではなかろうかと思っております。
 それから、下限面積につきましては、非常に小さい農地面積の市町村もございますので、そこでそういう対応が必要であろうかなというふうにも考えております。
 問題は、先ほど来申し上げておりますように、農業生産法人の要件緩和に伴います農地取得でございますが、我々も当初懸念したような問題が取り除かれておりますし、また、それの歯どめ策につきましても、いろいろ農業委員会に役割を与えられております。特に条文関係、多分五つぐらいの法的な役割があろうかと思いますが、これをきっちりと守りながら、農業生産法人の要件を欠かないように常に注意をしてまいらなきゃいけませんし、欠いた場合には、農地につきましては、さらに他の農業者あるいは農業生産法人への誘導、そしてまた、最終的には国家買収という手だてもとられておりますので、そういうようなものに対しまして、今六万人の農業委員が地域におりますけれども、足らないところは補助員制度みたいなものまで設けながら、常に農地の監視をしてまいりたい、制度的、組織的、運動的にも、さらにそういうふうな取り組みを強化してまいりたいというふうに考えておるところであります。
#32
○楢崎委員 もう一点、お伺いします。
 実は、平成十年の四月に、当委員会において、我が党の堀込征雄議員が農業委員会の当面の改革ということについて質問してあるんですね。そのときに、政府委員の方は、中身は略しますけれども、全国農業会議所が中心になって、農業委員会系統組織とも十分連携をとりながら、先生が指摘されるような改革、改善の方向に向かって検討を進めるという答弁をしてあって、ことしの二月に出された農業委員会等制度研究会報告書、これはちょっと概要を見ましたけれども、その中で、農業委員会系統組織は、優良農地の確保とその有効利用、担い手の確保、育成等構造改革に主体的に取り組んでいく、農業会議所につきましては、農地対策と担い手、経営対策を一体とした構造政策を推進するための整備を急ぐ必要と記してあったわけですね。
 堀込議員の質問から二年たっているんですが、その実効というのは見えてきましたか。
#33
○中村参考人 御指摘がありましたような経過を持っております。私ども系統組織は、スローガンといたしまして、土地と人、農地と担い手というところに焦点を絞って農政対応をしてまいっておりますし、また、そういう意見を聞きながら、我々に与えられております建議の権利あるいは諮問に対する答申でもそういうことを言ってまいっておるところであります。
 その後も、具体的に申し上げますと、土地と人を守る観点では、法人問題もそうでありますが、特に認定農業者の育成、これも実は昭和四十七年の大臣に対します諮問答申の中で登録農家制度を我々は訴えておりまして、そういうところに政策の集中をすべきであるという話をしてまいっております。それが今認定農業者制度ということで実現をしておりますので、これへの対応、その育成、指導、これは簿記記帳等も含めまして、そういう対応をしてまいっているところであります。
 それから、農地につきましては、法律問題を含めた転用の問題、農地の権利移動の問題について厳正に対応しておるというふうに考えておりますし、特に最近に至りましては、地域農業再生運動というのを組織として、運動論として展開をしてまいっております。それは、特に中山間地等で担い手が皆無に近い地域につきましては、今度の法律改正によりまして市町村も構成員になれるというようなこともございますが、現体系の中では、特定農業法人という制度も経営基盤強化法の中にございまして、これは担い手のないところで、サラリーマン退職者等が中心になっておるところもありますけれども、そういう人たちが集まって特定農業法人をつくり、そこで担い手となって農地の有効利用をしていく、荒廃地等についても解消していく、こういうことがございますので、今は担い手の問題と土地の有効利用ということも含めて、特に担い手のない地域では、運動論として地域農業再生運動というようなことで対応してまいろうと思っております。
 ただ、やはり時期に合わせましてこういう問題も出てまいりますので、組織の内部につきましても、いろいろな組織改革をしていく必要はあろうかということで検討をしているのも事実でございます。
#34
○楢崎委員 坂本多旦参考人にお伺いします。
 今回の法改正で、多様な担い手の一環として株式会社方式の導入がなされたわけですけれども、これで農業生産法人の範囲をすべて網羅されたと思われますか。
#35
○坂本(多)参考人 希望者が農業法人をこれからどうつくり、また、それをどういう経営形態で選んでいくかというのは、これはよほどこれから注意して、風土、環境、地域性というものを考慮しないと、その効果が、先ほどから御指摘があるように、問題になる可能性だってあると思いますので、私は、株式会社がもし認められるということになりますと、いろいろな形で、これから担い手が地域農業において法人化に取り組める素地ができたと考えております。
#36
○楢崎委員 坂本進一郎さんにお伺いします。
 先ほど、著書をちょっとのぞかせてもらいました。また、資料も見せていただきました。農政は支離滅裂だというようなことが書いてありますけれども、お話を聞いておりますと、また本にも書いてありますように、要は耕作者主義がかすがいとなっているようですけれども、では、坂本進一郎さんは現状がベストだとお思いですか。
#37
○坂本(進)参考人 ちょっとそれは難しい問題なんですけれども、戦後の農地改革というのは、私は子供のころでわかりませんけれども、その農地改革によって一応民主化ができて戦後の高度成長があるわけですね。その後に、今、分散耕地だから、江戸時代と同じように、農地をどういうふうにまとめて構造改革していくか、そこが恐らく抜けていたんだろうと思います、私は専門家じゃないからわかりませんけれども。だから、ベストかと言われると、そういう意味ではベストでなかったと。
 ただ、大潟村というのは、更地の上に新しい村をつくったわけだから、要するに、農場がまとまっているのですね。そういうモデルとして考えられたのか、そうであれば大潟村というのは意味があるのだけれども、その後に続くものがないから、ベストかと言われればちょっと首をかしげる、そういうことです。
#38
○楢崎委員 生源寺先生にもう一点お伺いします。
 先ほど食料安保の話がちょっと出ました。今回のこの改正の目的、つまるところは、やはり農業の活性化、それから農業生産の増大ということなんですね。新しい農業基本法にもうたってありますけれども、食料自給率の目標というのが平成二十二年度カロリーベースで四五%ですか、私ども民主党は五〇%を主張しているところなんですが、先生は自給率よりも自給力の水準が問題なんだということを言っておられますけれども、その辺についてお考えをお聞かせください。
#39
○生源寺参考人 食料の安全保障という観点からいいますと、万が一といいますか、余りこういうことを言いたくないわけでございますけれども、不測の事態に際会した際にも、手に届くところに十分人の命、生活を支えていくだけの食料がある、ここが一番のポイントだというふうに思いますので、その意味では、パーセント表示の自給率というのは非常にわかりやすい概念でございますし、これはこれで非常に有効だと思いますけれども、根本は、一人当たりどれほどの農業の力があるか、ここにあるのではないか、こういうふうに思っております。
 さらに、自給力という場合に、これは私自身の解釈でございますけれども、現在何をつくっているかということは一応別にいたしまして、いざとなれば、不安が生じた場合にはこれだけのものをつくるポテンシャルがある、そういうような意味合いがあるかと思います。その意味でいいますと、私は、土地と水と、それから一番大事なのは農業の技術をしっかり持った担い手だろう、こういうふうに思っているわけでございます。そういうことも含めて、理屈を言うならば、自給率よりは自給力であろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
#40
○楢崎委員 ありがとうございました。終わります。
#41
○宮路委員長 次に、丸谷佳織君。
#42
○丸谷委員 公明党の丸谷佳織と申します。おはようございます。
 四人の参考人の方々、きょうは御多忙の中わざわざ当委員会まで足を運んでくださいまして、心より感謝申し上げます。
 まず最初に、日本農業法人協会会長の坂本様に御意見を伺わせていただきたいというふうに思うのですけれども、今まで坂本会長はいろいろな提言をなされていらっしゃいますし、また、農業・農村基本法に関しても御意見されたこととか、いろいろ読ませていただきました。
 その上で、まずお尋ねをしたいのですけれども、会長は農業の活性化、また多様な担い手という観点で非常に御尽力されていらっしゃいますが、実際、会長が若い皆さんとお会いされたときに、農業者側の意識のずれと、また若い皆さんの意識のずれを感じたというようなお考えもあったようなんですけれども、特に若い人あるいは女性という担い手を考えたときに、しっかりとした収入源として農業を営んでいく、こういった観点から、今回の法改正というのは新たな多様な担い手を確保するのに私は役立つのではないかという考えを持っております。このことに関してはいかがお考えになるでしょうか。
#43
○坂本(多)参考人 今御指摘がありましたように、私ども、私ごとで申しわけございませんけれども、農業で今二十一名の仲間が一生懸命頑張っておりまして、それに加工という新しい、私たちがつくった素材をもって、自分たちで責任を持ってつくった食品にしてそれを消費者にお届けするというところまでいきますと、五十五名の仲間の働く場ができております。
 いろいろな若い方が、ことしも今五十五名くらいの方がいまだに面接に来ておりまして、就農したいという全く新しい時代を迎えております。
 しかし、お会いしてお話をしてみますと、お嬢さんなんですが、なぜあなたは酪農にそれほどこだわって農業をやりたいかといいますと、牛の目がかわいいからやりたいという驚くような御返事も返ってくるわけですが、それを担い手として否定したら、これからの日本の農村出身者のお嬢さん、息子さんでも、農業に小さいときから携わっているという方がいらっしゃいませんので、そういう方をどう我々は受け入れながら自分を発見していただくかという役割が大きいのではないかということで、今、法人といたしましては、私たちのお仲間で年間二千人くらいの雇用の場になっているというふうに考えております。
 したがって、いろいろなお考えの若者をこれから農村に受け入れるためには、先ほどもちょっと報告で申し上げましたように、自己の確立をなさっておりまして、しっかりしたお考えをお持ちの若い方でありますので、やはりルールのある法人というのは、皆さんの期待が非常に高いというふうに私は経験しております。
#44
○丸谷委員 ありがとうございました。
 では、実際に現在、農業生産法人としていらっしゃる方が今回は株式会社という形態もとられるということができるような、選択肢の幅が広がるような今回の法改正なんですけれども、今回の法改正によるメリットによって、現在の生産法人の方々が株式会社に形を変えていくというような見込みは、御存じの限りで構わないのですけれども、その展望についてはいかがお考えになりますか。
#45
○坂本(多)参考人 このたび株式会社が認められた場合、そういう事例が出てくるだろうかという御質問と受けとめてよろしゅうございましょうか。
 私どもの仲間には、もはや消費者とおつき合いをしながら農業生産、今、つくりましても、売らなければつくれないという時代を迎えておりますので、そうした活動がどんどん進んでおりまして、消費者の皆さんも、おつき合いすれば、ぜひ応援したいというお気持ちの消費者がたくさん出てまいっております。
 しかし、今はやはり生産者であり消費者であるという立場でございまして、それを一歩進めましてお仲間になっていただくということ、四分の一という限定はありますけれども、それは非常に大きな前進ではないかというふうに考えております。これから私たちの仲間も、株式会社ということに興味を持たれる方は、今事例は当然ないわけでございますが、出てくるのではないかというふうに考えております。
#46
○丸谷委員 先日、当委員会で法改正につきまして一回委員会質疑が行われまして、そのときに私も質問に立たせていただいたんですけれども、私ごとで恐縮なんですが、私は北海道の出身でございまして、空知という稲作地域で小学校時代を育っております。
 私の友人も、現在三十五歳の女性なんですけれども、そこの稲作地帯に残ったまま農家にお嫁に行き、十ヘクタールくらいの畑を、稲作で一生懸命耕しています。彼女自身は、五人の子供を産み、この少子化時代に抵抗するかのように、地元にしっかり根を張って、また農業も担っている。もちろん、家事も育児もし、稲作のお手伝いもするという典型的な農業に嫁いだお嫁さんという彼女なんですけれども、そういった姿を見て、非常に頼もしいなというふうに思います。自分の人生の生き方の選択の一つとしてしっかり農村地域に根を張っている若い人、特に女性を見ると、非常に尊敬の念を感じるわけなんです。ただ、農業と経営といったものを考えたときに、自分の収入とならないんだろうかという思いは、私はずっとOLをしてきましたので、思うこともあるんですね。
 今回の法改正によりまして、例えば法人化する、あるいは法人から株式会社に展開していくという道も開けたわけなんですが、農家のいわゆるお嫁さんが経済活動をしようとしても、例えば経営について知識がないといけないという点も出てくると思うんです。女性の企業家活動等を支援する際にどんなものが必要と考えられるか、現場で感じていらっしゃることを教えていただきたいと思います。
#47
○坂本(多)参考人 私たちの五十五名、仲間で総合農場を経営しておるわけでございますが、今女性の方が二十三名働いていらっしゃいます。女性の力、生命を生み出すということが基本でありますので、御指摘のように、女性の力というのは非常に大変なものでございまして、我々も尊敬の念を持っております。
 ただ、家族経営によってもいろいろありまして、一概ではありませんけれども、法人ということは、今、家族経営から法人に、お嫁さんが人格を持てるということ、お母さん、女性が人格を持てる、これは非常に明確に人格が、役員になって登記されるわけでございますので、その辺で、女性の農村、農業における人格というものを明確にするということも、我々法人として非常に法人化の基本的な大きな役割ではないかというふうに考えております。私の農場にも女性部長が二人出てまいりまして、特に企画であるとか、どういう商品をつくったらいいとか、どういうお米が消費者に受けとめられるかというような点で非常に大きな力を出しております。私は、女性の皆さんがぜひこれから法人化を推進していただいて、中には女性数名で私たちの法人協会にも有限会社をおつくりになったり、農事組合法人をおつくりになって活動していらっしゃる方もございます。
#48
○丸谷委員 重ねて教えていただきたいんですけれども、そうすることをする際に、例えば経営に関する研修会ですとか、そういった形は現在どのようにされているのか、あるいはまた、国から支援すべき点があったら教えてください。
#49
○坂本(多)参考人 申しわけありません。的確なお答えができないで失礼しました。
 私ども法人協会では、この秋も、九日、十日と二〇〇〇秋季法人ウイークということで、年に二回大きな大会を持ちまして、いろいろな項目に分かれてそういう勉強会、どういうふうにしたら法人の経理ができるとか、税法上の問題とか勉強しております。
 したがって、そういうところに今女性の方も出ていらっしゃいますが、女性の方がもう少し出ていただいた方がうれしいなというような状況でございます。そういう場が今たくさんございますし、また、そういうところにこれから御支援をいただけるなら、ありがたいというふうに考えております。
#50
○丸谷委員 ありがとうございました。そういった支援もしっかりとさせていただきたいというふうに思っております。
 坂本会長にもう一つだけお伺いしたいんですけれども、会長が以前に書かれていたものの中で、今まで法人の構成員の拡大により、企画管理労働に費やされる時間が増加をして、構成員の意思統一を図りがたいことがあったという御意見があったんですけれども、これに関して、これをどのように克服していくべきかという点を教えていただきたいと思います。
#51
○坂本(多)参考人 今御指摘の点は、企画管理労働ということに関してではないかと受けとめてよろしゅうございますでしょうか。
 私は、先ほどもちょっと申しましたように、法人というのは法の中で営む行為でございまして、特に先ほどから申し上げますように、これからの経営政策という、農業を生産者から経営者という一つの考えでとらえなきゃならないということになりますと、計画とか企画、記録、会議、経理というような、その組織を公正に運営するためには、これはなくてはならないものでございます。
 したがって、家族経営の場合は、朝食であったり、夕食であったり、これはちょっと失礼な言葉かもしれませんが、寝室でトップ会議ができるというようなすばらしい組織でございます。ですから、それは生活の中で管理コストが吸収されているというすばらしさはあるわけです。
 ところが、今の若い方は、むしろルールに基づいてということでありますし、法は他人が集まりますので、やはりそこできちっとした管理労務というものを位置づけて運営しないと、私は、法の人になり得ないし、その法人は、先ほどから法人の危険性ということが随分御議論があったようでございますが、そこに僕は起因していく問題ではないかと思っております。
#52
○丸谷委員 ありがとうございました。
 では、続きまして、生源寺先生にお伺いをしたいと思うんですけれども、まず大前提としまして、日本の農業におきます今後の家族経営と法人化の関係というものを、先生はどのようにお考えになられるのか、この点をお伺いします。
#53
○生源寺参考人 作目によって多少違うかと思いますけれども、まず、一般論として申し上げますならば、家族経営が恐らくこれから先も大宗を占めていくだろう、こういうふうに思います。しかし、農業生産法人ももう少し大きなシェアを持っていって共存していく、そういう構造になるかと思います。
 もちろん、これは土地への依存度によって基本的には違いが出てくるというふうに思っておりまして、畜産の一部でございますとか施設園芸といったようなことにつきましては、かなり法人のウエートが、現在も高いわけでございますし、これからも高くなるだろう、こういうふうに思っております。
 土地利用型経営の場合には、どちらかといいますと家族経営、これも兼業農家も含めて、こちらが少なくとも数の上では多数派であって、そこに法人経営がいわば活性化するような形で入っていく。中には、私は、家族経営から法人という形もあれば、法人経営にいわば職員として就農した方がそこから分かれて、ある場合には家族経営、小さな法人経営という形も考えられますし、そういう形で新たなタイプの経営を生み出していく、こういうようなことも含めて、共存という関係が想定されるのではないか、こういうふうに思っております。
#54
○丸谷委員 先ほど坂本会長にもお伺いした点なんですけれども、今回の法改正で選択肢が広がったことによって、現在の生産法人が株式会社に転向していくというような展望について、これはいかがでしょうか。
#55
○生源寺参考人 この点につきましては、即座に非常に数がふえるということはないかと思いますけれども、恐らく幾つかのモデルケース的な形で株式会社化を考えるケースが出てくる、こういうふうに思っております。私自身、農業生産法人のリーダーの方からそういった関心を耳にしたことはございます。
 その意味では、爆発的に何かふえるというようなことは、私が最初の意見陳述でも申し上げましたように、これは期待できないかと思いますけれども、ある程度はそういった形が出てくるだろうと思います。あるいは、現在、実は土地、農地を使わない形であれば株式会社が容認されているわけでございまして、畜産あるいは施設園芸等についてはかなり株式会社もございます。
 逆に、現在、農業生産法人ではないわけでございますけれども、ここはいわば土地離れをした形で農業をやってきた法人が、もう一度土地に回帰するというような形というのも一つルートとしては考えられるのではないか、こういうふうに思っております。
#56
○丸谷委員 ありがとうございました。
 時間がなくなってまいりましたので、次に坂本進一郎様にお伺いをしたいというふうに思います。
 けさいただきました「何のために農業が必要か」、先ほど、短い時間ですが、少し読ませていただきまして、今回の法改正には反対というお立場だという御主張も少し自分の中では知識を持たせていただきました。
 その中で、反対をされている理由の根本にもなるかというふうに思うんですけれども、坂本さん自身は特に家族経営の農業という点に着目、また重点を置いていらっしゃる立場かと思うんですが、農業生産と経営、言葉を悪く言ってしまえば、お金をもうけるということに関して、どのように考えていらっしゃるのか、ちょっと思想的な質問で非常に申しわけないのですけれども、これをお伺いします。
#57
○坂本(進)参考人 私は化石人間なもので、農業というのはもともと農業即生活、生活即農業、これは我々の御先祖さまがそうやってきた。例えば、今のネパールとか雲南とかに行くと、大体そういう形。私も見てきましたけれども、自分でわら工芸品をつくったり、それからいろいろなものをつくっていました。それがどんどん分化してきて、農業から工業が、もうかる部分が工業になっていったということです。
 そのままやっていっていいのかというのは、例えば狂牛病なんかがこの前起こりましたけれども、あれはビジネスでやる。私はさっき言ったように、生業観でやるのが農業の原則であると。しかし、商品経済だから、トラクターが欲しくなれば、やはりそれを得るためにお金をもうけなくちゃならない。だけれども、農業をやっている動機というのは生業的なもので、ただ、今はその生業観からビジネス観まで幅があって、その中でいろいろ世の中が混乱しているというか、そういうふうに思っています。
 だから、農業を金もうけだとは私は思っていません。ただ、金は必要だから、そのために農産物を売っている、そういう気持ちでいます。
#58
○丸谷委員 どうもありがとうございました。
 では、最後の質問になるかと思うんですけれども、中村専務理事にお伺いをします。
 先ほどからの質問の中でもテーマには上がりましたけれども、農業委員会が今回重責を担うと言っても過言ではないというふうに思うんです。この農業委員会の体制の充実強化を図らなければいけないという意見は先ほども出ておりましたが、この充実強化を現実的に図るために具体的な施策への御要望等がございましたら、最後に、お伺いしたいと思います。
#59
○中村参考人 先ほど来お答えしておりますが、今回の法律改正だけに限りましても、ここにございますように、十五条関係で五点のことがありますし、それ以前から持っている役割もございます。
 したがいまして、これは農業委員さん、農業委員会の職員ともにやはり資質の向上を図らなければいけないということが一点あろうかと思います。それと、その地域で現実を把握していかなければいけないというようなことで、我々、今農業委員会の組織問題、改革問題も考えておりますが、地区担当制のようなものがとれないだろうかということで、農地あるいは担い手につきまして、日常的に世話役ができるような体制づくりをしてまいりたいというふうに考えておりますし、また、そういうふうな御支援もいただければということで今、検討中でございます。
#60
○丸谷委員 参考人の皆さん、ありがとうございました。
 以上で質問を終わります。
#61
○宮路委員長 次に、高橋嘉信君。
#62
○高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信でございます。
 参考人の皆様方、まことに御苦労さまでございます。
 それでは、早速質問をさせていただきます。
 まず、坂本多旦さんにお願いいたします。
 先ほどのお話の中で、家族経営に限界がある現状では法人化の必要性あり、また経営農業と兼業に分化する流れの中ではというお言葉もありました。果たして家族経営は今後この法人化が進む中で残ると思われるかどうか、その点のお考えをお聞きしたいと思っております。
#63
○坂本(多)参考人 私はこれから法人がすべてではないというふうに受けとめております。というのは、日本列島は非常に風土が多様でございまして、いろいろな農業が形成しやすい。逆に言うなら、可能性のある日本だと私は夢を持っておりまして、家族でやる方が非常にすばらしい経営ができる地域、そして、本格的にコストも含めて取り組める法人経営というものが、双方がこれから選択していけるような制度を期待しております。
#64
○高橋(嘉)委員 今のお話ですが、もし平場と中山間地という視点に立った場合に、例えば企業が入ってきて出資をする、生協についてもですが、そういった場合において競争が激化していくということは考えられませんか。坂本さんにお願いします。
#65
○坂本(多)参考人 企業がお入りになる、これは株式会社という意味なのか私どもなのか、いろいろあると思いますけれども、競争が激化するということは、今、日本は資本主義社会を選んでいるわけでございまして、やはりある程度の競争というものは私は必要であるというふうに考えております。
 したがって、長いお答えをしては失礼なんですけれども、私たちの仲間には、ちょっと質問の意図が違うとおしかりを受けるかもしれませんが、法人という核がありまして、野菜の法人なんですが、十八億円ぐらいの売り上げをやって、四百ヘクタールぐらいの仲間づくりをしてある。法人は三十ヘクタールぐらい、五十人の雇用で、仲間でおやりになって、あと五十戸の地域農家、いろいろな農家があるのですが、それと連携して、一緒になって協動、ドウは動くだと思いますが、非常に新しい試み、個別経営と法人というのが助け合った新しいシステムが生まれ始めておりますので、ある程度の競争というのは、それがそこの地域の発展ではないかと思いますけれども、競争と協調というシステムをどうつくるかというのが、これは私の個人的な意見になってしまいますが、そういう意味で、地域が激化して、地域の調和が乱れるというふうには私は考えておりません。
#66
○高橋(嘉)委員 坂本進一郎さんにお伺いします。
 私は、例えば生協でも平場と中山間では、やはりその構成員に入ってくる状況あるいはその条件等々を含めても、平場の方が有利と思っておりますし、そういった中では、今耕作放棄地等々がどんどんふえ続けている中山間地域においては、ますます条件的に不利な部分が重なっていく。現下の農業状況の中においては、競争原理を否定するわけではありませんが、農家はやっていけなくなるのじゃないかなという懸念もあります。この点について、坂本進一郎さんにお伺いをいたします。
#67
○坂本(進)参考人 中山間地というのは初めからハンディキャップを持っていると思います。
 EUの例を挙げて申しわけないのですけれども、一番最初はマンスホルト・プランでずっと構造改革をやってきて、その後に、私はドイツに行ったとき、お墓まで移して規模拡大をやりました、ちょっとやり過ぎたねとドイツ人は言っていましたけれども。ある程度いったら、もうこれでいいと。
 次に、中山間地に目が向けられて、そこをどうやって守っていくかということで、環境保護というか、そういう視点で、要するに、所得政策によって足だをはかせてやるというか、向こうはデカップリングと言わなくて、フランスではこういう、フランス語は読めないのですけれども、農業援助のガイドブックというB5版のちょっと厚いのをもらってきましたけれども、細かくあります。その中に、中山間地のそういう所得補償なんかあったりして、だから平場は自由にやりなさいと、中山間地の方はこれだけやります。日本でもやっと直接支払いが出ましたけれども、一九七三年ころからそれをやって中山間地が守られている。ドイツなんかに行くと、兼業をやっているんだけれども、一時間ぐらいで兼業をやりながら、中山間地で民宿をやったり、割かしいろいろやっているのを見ましたけれども、日本の場合は、そこら辺がちょっとおくれているのじゃないかなと思っています。
#68
○高橋(嘉)委員 直接支払い、日本の場合も中山間地にあります、一反歩当たり二万一千円だったかと記憶していますけれども。
 坂本進一郎さんが見られて、それは実効あるものであるかどうかという点と、法人化が株式会社形態をとりつつ進む中で、将来的に家族経営の実態は協調、共存という姿で残っていくと思われるかどうか。特に、中山間地に視点を当てた場合、坂本進一郎さんの御意見をいただきたいと思います。
#69
○坂本(進)参考人 私、中山間地に佐藤藤三郎という知り合いがいるんですけれども、上山市に。彼は、今の直接支払いでは、とてもじゃないけれどもやっていけない、狸森というところに住んでいるんですけれども、自分ではタヌキの森になるとは思っていないと思うんですが、いずれ、こういうことであれば耕作放棄が成ると言っています。
 ちょっと実感がわからないので、その程度しかお答えできませんけれども、済みません。
#70
○高橋(嘉)委員 次に、中村さんにお伺いしたいのでありますが、地方公共団体の参加について、これは、将来的に見た場合、プラス要因とマイナス要因もあると思うんですが、地方公共団体の構成員参加ということについてのお考えをお聞かせください。
#71
○中村参考人 今、先生のお尋ねで、平場と中山間との差はどうなのか、こういうことの中で中山間の問題でありますが、先ほど、私、御意見のときにも申し上げましたけれども、特に担い手が絶対的に不足している、ない地域におきまして、どういう形の農業生産あるいは地域社会の維持をするかという問題が起こっております。
 したがって、耕作放棄の問題等もあるわけでありますが、そのときに、今回の改正によりまして市町村が構成員になれるということ、ある意味では、公の機関が構成員になって農業生産法人をつくっていくということにつきましては、公的な機能を持ち、あるいはそういう性格を持つということで、一つの運営として新しい試みだし、また、トライしてみるべき方法ではなかろうかというふうに考えております。
 先ほどちょっと、担い手がない地域で特定農業法人という制度を活用して、我々、今、農業委員会としましても、一集落一特定農業法人運動というのを始めております。さらに、それを法人格という形で今度は生産法人という形に発展させていくということもできるのではなかろうかということで、第三セクター方式だと思いますけれども、そういう意味では、中山間地域につきましては、非常にいい制度ではなかろうかなというふうに高い評価をしたいと思っております。
#72
○高橋(嘉)委員 地方公共団体の参加は、信用力とか経営指導といった側面に視点を置いてのことかと思うんですけれども、中山間地域にまた視点を当てた場合において、平場でもそうかもしれませんが、そういった信用力とか経営指導的な話になっていくと、今後出てくるであろう生産法人に、あるいは経営が難しいような地域、特に中山間地域かもしれませんが、同じ自治体の中の生産法人には地方公共団体が入るという可能性もあるわけですね。その場合、もし経営難に陥ってきた場合において、第三セクターはほとんど成功してきていないという実態の中で、地方公共団体に過重負担になりませんか。どのようにお考えでしょうか。
#73
○宮路委員長 中村参考人ですか。最初にどなたに質問したいかということをおっしゃって、それから質問をやってください。
 中村参考人。
#74
○中村参考人 先生御指摘のように、出資をいたすわけでありますから、一定の負担になることは確かだと思いますし、私どもが考えておりますのは、地方公共団体が参加することによりまして、そのほかの構成員が入りやすくなるといいますか、そういう道が開ける。
 今、特定農業法人についてたびたびお話し申し上げておりますけれども、これは、全く会社を退職した人たちだけが集まって、地域を何とかしようというようなことでつくっております特定農業法人もございます。そういうものに、今度は生産法人として地方公共団体が入ってくるということになりますと、弾みには一つなると思います。
 ただ、負担を生ずるか生じないかの問題は経営のやり方の問題でありまして、そこには、単なるオペレーターのような形で参加をしてきました今までの第三セクターについては問題があろうかと思いますが、経営能力をどういうふうにつけていくかということで、資本参加するということにつきましては、やはり画期的な方法であろうし、先ほど来問題になっておりますような企画能力なり経営能力、経営手腕をどういうふうにそこへ出していくか、どういうふうな知恵を授けるかという指導も、またぜひ必要ではなかろうか。そういうふうにすればいいと思いますし、またそういうきっかけがないと、農業者だけでは、あるいは地域住民だけでは、新しい企業じゃございませんが、なかなか起こし切れないという点があって、そのきっかけにはなるだろうというふうに思います。
 当然、負担はある程度、経営のやり方によっては考えておかなければいかぬのではなかろうかと考えます。
#75
○高橋(嘉)委員 坂本進一郎参考人にお伺いをいたします。
 地方公共団体の生産法人への参加についての御意見をお聞かせください。
#76
○坂本(進)参考人 ちょっと、済みません、わかりかねるんですけれども。
#77
○高橋(嘉)委員 実際に今、法人経営されている坂本多旦さんにお伺いしたいんですが、地方公共団体の参加は、私が先ほど申し上げたような話の中で必要なものであるかどうか、推し進めるべきものであるかどうかの御意見をお伺いしたいのであります。
#78
○坂本(多)参考人 基本的には、農業経営というのは、中山間であろうと地方であろうと、これは私の個人的な考えでありますが、経済的に自立するというのが農業ではないかと思いますけれども、本当の中山間で山間地域の町村におきましては、もはや行政が入り口をリードしなければもうその村が守れないという環境も、私も幾度か見たこともございます。
 その辺から、この第三セクターなり地方公共団体の構成員参加については、一つの入り口であって、しかし、きちっとした一つの自立へ向けたスケジュールがあっての参加ということが基本にあるべきではないかと私は思っています。
#79
○高橋(嘉)委員 生源寺さんに同様の質問でありますけれども、これは非常に重要な問題であると僕は思っておりますので、地方公共団体の参加について御意見をお伺いいたします。
#80
○生源寺参考人 この点につきましては、恐らく、メリットと、あるいは副作用的なものと両面があるのではないか、こういうふうに思っております。
 先ほどお尋ねの際に、第三セクターはなかなかうまくいっていないケースが多い、こういう御指摘がございました。私も、その点につきましては、かなり同じような事実認識を持っているわけでございます。
 問題は、例えば、結果的に出てきた赤字を補てんするという形で、一般の財源から補てんするというような形で何とか長らえているというようなケースもあるわけでございますけれども、こういった点も含めまして、私は、まずその地域の住民にきちんと説明をするということが非常に大事だろう、こういうふうに思っております。結果的に出てきたからそのしりぬぐいをしてくれというような形があるとすれば、一種のモラルハザードにもつながる可能性があるわけでございます。
 ただ、私は、第三セクターの現状を見ておりまして、赤字がすべてよからぬものかというと、必ずしもそうではないというふうに思っております。
 例えば、耕作放棄を防止する、こういう機能があるとすれば、これは、耕作放棄地となる部分の収益性だけで見ればあるいは赤字ということもあるかもしれませんけれども、そこをきちんと耕作することによって、地域全体の二次的な耕作放棄が防止されているとすれば、そういう意味で、収支の勘定には出てこないメリットがある場合もあるわけでございます。そういうことのきちんとした説明があって、その上で財源を投入するというようなことであれば、必ずしも、赤字であるからといって即問題である、こういうことではないと思います。
 要は、地方自治体、地方公共団体がすべてそうだというわけでございませんけれども、もともとビジネスが苦手なタイプの組織でございますので、きちんとしたインセンティブが働くようなこと、それから透明性といったようなことがその副作用を抑えるためには必要ではないか、こういうふうに思っております。
#81
○高橋(嘉)委員 では、生源寺参考人にもう一つ質問がございます。
 最終的にその要件を満たさなくなった場合、罰則規定の中で最終的に国が買収するという話がございますが、今こうして、中山間地域においては全国平均を上回る大変なスピードで高齢化が進んでいる。生産法人の主体的人物が、ある兼業農家と組んでやったとします。地域の生協も参加したとします。そこの中で主体的人物が病気をしたり、もう六十五を過ぎてリタイアしたりというような状況の中で、どうしても要件を満たせなかったり、いろいろな状態が生まれたときに、国が農地を買収するという考え方についてはいかがな御見解をお持ちでしょうか。
#82
○生源寺参考人 これは、これまでの制度の運用の中においても、恐らく一件のみあったケースかというふうに思います。これから先も、いわば最後の最後の手段というふうに考えるべきであって、その前に、要件を満たさないというようなケースが出てくれば、それを別途、地域の農業者の間で、これは農協なり自治体の第三セクターも含めてということでございますけれども、そこで守るというのがまず第一であろう、こういうふうに思っております。
 万策尽きてしまったときに、こういう伝家の宝刀があるということは非常に大事でございますけれども、これはまさに伝家の宝刀でありまして、抜いて振り回すべきものではないのではないか、こういうふうに思っております。
#83
○高橋(嘉)委員 では最後に、坂本進一郎さんにお伺いをいたします。
 法人化が進んでいった場合、予想される農村の状況をざっくばらんにお話しいただければ結構でありますが、農村社会の多面的機能、中でも伝統文化等々については残っていくものと思われますか。いかがでしょうか。
#84
○坂本(進)参考人 株式会社がどの程度入ってきて、それが支配的になるかによって違うと思いますけれども、やはり伝統文化というのは残していかなければならないというふうに思っていますけれども。
 残っていくかどうかということですが、人間が住んでいる限りは、やはり人間らしい生活をしたいというのが人間の欲求ですから、これはやはり、将来の予想はわかりませんけれども、残るであろうという希望を持っています。
#85
○高橋(嘉)委員 もう一言だけ。今うちの地域、岩手の地域の方を見ても、わずかな専業農家の五、六人の人たちが地域活動あるいは文化の伝承、郷土芸能の伝承等々に奔走しているという実態が、あるいは消防活動においてもみんなそうなんですけれども、もう一点に集中されていくという状況がありますけれども、そういった中ではそういう懸念もあるわけです。その点のことをお伺いしたかったのであります。
 以上で質問を終わります。まことにありがとうございました。
#86
○宮路委員長 次に、中林よし子君。
#87
○中林委員 日本共産党の中林よし子でございます。きょう、参考人の皆さん、ありがとうございました。
 それでは、まず中村参考人にお伺いしたいというふうに思います。
 今回の法改正の一番中心をなす株式会社導入の問題なんですけれども、そこで、農業生産法人の要件の適合性の担保措置の問題で農業委員会の役割というのが非常に重要になってまいります。ただ、農業委員会を取り巻く現状というのは、それとは逆に極めて厳しいものがあるのではないかというふうに心配をしています。
 昨年七月、地方分権一括法で、農業委員会における農地主事の必置規制が廃止されました。また、農政改革大綱では、農業委員会の組織体制の見直しとして、農家戸数の減少を踏まえた組織体制の適正化を早急に図ること、こういうふうにされております。つまり、農業委員会組織の縮小、再編につながっていくのではないか、そういうふうに考えるわけですね。
 先ほど参考人の御意見を聞いていると、日常的に世話役ができるようにしなければならないとか、そういうふうにおっしゃるんですけれども、一方でそういう縮小傾向の動きについて、今後どのような見通しを持っていらっしゃるのか、お考えをお伺いしたいと思います。
#88
○中村参考人 先生おっしゃいますように、今度の法律改正によりまして、かなり責任を持った仕事がふえてまいりますし、的確に処理をしていかなきゃいかぬということでございます。
 現在六万人強の農業委員さんが地域におります。また、農業委員会の職員も、三・五人程度でございますが設置をされております。そういう中で今回のこの仕事をそごのないようにやっていきたいと思っておるわけでありますが、経過的には、今先生おっしゃいますように、農地主事の廃止等もやっております。これにつきましては、事業推進に支障がないように、それにかわるような人を配置し、また、そういう指導も組織的にはやってきておるところであります。
 また、六万人の農業委員さんの問題につきましては、現在、新しい基本法のもとで、この団体の見直しも御案内のようにやるということになっておりますので、これらの事業に支障がないように、しかも、効率的な運営ができる体制の整備につきまして、今組織におろして検討をしているところでございまして、今月ぐらいには整備をしてまいりたいという段階でございます。
 いずれにしましても、改めまして、農地法の改正について新たな役割、特に責任の強い役割が与えられておりますので、これがやはり全うできるような組織体制の整備をしてまいらなきゃいかぬというふうに考えているところであります。
#89
○中林委員 重ねて中村参考人にお伺いしたいというふうに思うわけですけれども、農業委員会の一番の問題として、要件適合性の担保措置が本当に保たれているかどうかというのが非常に重要なんですが、特に、農業委員会の勧告措置というのがありますが、勧告することができるとして、勧告しなければならないという義務にはなっていないわけですね。勧告するかしないかということは現場に任せられている、そういうことだというふうに思います。しかも、もし勧告したとしても、対象になる農業生産法人は勧告に従う法的義務が与えられておりません。
 今回の法改正で、この点について何かお考えがあればお伺いしたいというふうに思います。
#90
○中村参考人 おっしゃいますように、要件を欠くという懸念がある場合に勧告することになっている、特に、農地の問題が中心になるわけでありますが、その担保措置でありますけれども、一つは、もう一方で、制度の中で協議の場というのも設置をされまして、それができまして、地域としてもそれをどうするかということを考える場所ができるわけでございまして、そういうものとの連携も必要であると思います。それから、これは農業委員会、行政委員会の役割といたしまして、やはりきちっとした勧告が履行できるように処理をしていかなきゃいかぬというふうに思います。
 また、先ほど意見のときに申し上げましたが、最後に、農地行政についての国なり都道府県の指導につきましても、厳正にやっていただきたいということを申し上げたのは、今のようなことも含めてのことでございます。
#91
○中林委員 では、次に生源寺参考人にお伺いしたいと思います。
 食料自給率引き上げのために農地確保というのは欠かせないものだというふうに私は思うんですが、政府がことしの三月に策定した食料・農業・農村基本計画を見ますと、二〇一〇年の、だから十年目標としているわけですが、二〇一〇年、平成二十二年の目標を設定していますけれども、農地面積は四百七十万ヘクタールでいくのだというふうになって、あと十一年間で十六万六千ヘクタールまでの減少にとどめないと、そうならないわけです。四百七十万ヘクタールの農地保全、これが本当に可能なのかどうなのかということを私は大変心配しているのですね。
 現在でも、年間大体四万ヘクタール強、減少し続けております。十一年の間に十六万六千ヘクタールまでにとどめなきゃいけないということになると、単純に割りますと、年間一万五千ヘクタールの減少にとどめておかなければならないということになるわけですけれども、この農地確保の問題で、参考人として、見通し、どのようにお考えなのか、そして、この目標達成の現実的な課題、そのためには何が必要なのか、この点についてお考えを示していただければと思います。
#92
○生源寺参考人 四百七十万ヘクタールという見通しといいますか、これはかなり意欲的な見通しではないか、あるいはこういうお話かと思うわけでございます。これが実現可能かどうかということに関しまして、私がイエスかノーかということは非常に答えにくいわけでございますので、実現するとすれば何が必要かという、むしろ後段の御質問にお答えをすることで、前段の御質問をカバーするようなことにいたしたい、こういうふうに思っております。
 農地の減少につきましては、基本的には二つのタイプが御案内のようにあるわけでございます。開発的な形での転用と、むしろ、農業からいえば粗放な形、つまり耕作放棄、こういうことでございます。
 私の認識では、最近に限って言いますならば、このうちの、まず耕作放棄による減少が非常に進んでいる、こういうことがあるわけでございますので、順序をつけるというのもちょっと妙な話でございますけれども、まず耕作放棄防止が緊急の課題であろうか、こういうふうに思っております。
 現在、中山間地域への直接支払いといったような形で、できるだけ耕作放棄を防止するというような施策があるわけでございますけれども、私の耳にするところ、必ずしもほとんどすべての中山間地域でこの制度に参加するということにはなっていないように聞いているわけでございます。ここのところはもう少し制度を理解していただいて、また、制度に不十分なところがあれば、これを適時的確に直すことによって、まず耕作放棄の防止に万全を期するべきだ、こういうふうに思っております。
 開発による転用の方も、少なくなったとはいえ、まだあるわけでございます。ここは非常に難しい問題で、それこそ農業委員会、市町村あるいは都道府県の方々にひとつしっかり頑張っていただきたい、こういうことがあるわけでございます。
 私もきょうはいろいろ述べておるわけでございますけれども、要は、農地を守るということに関して、現場の方々を支えるようなバックボーンがあるかどうか、こういうことだろうと思います。法律があるから、あるいは施行令にこう書いてあるから、こういうふうに対応するというのでは、いろいろな形の場面に遭遇して持ちこたえられないということが私はかなりあるのではないか、こう思います。
 せっかく新しい食料・農業・農村基本法もできたことでございますので、食料の安全保障あるいはアメニティーに富んだ農村空間の形成は、いわば農業、農村だけの問題ではなくて、国民全体のニーズを背負っているんだ、こういった気概で当たっていただく、こういう形であれば、まだまだ私は無秩序な開発による農地の減少ということについては、きちんと歯どめをかけることが可能ではないか、こういうふうに思っております。
 以上でございます。
#93
○中林委員 次に、坂本進一郎参考人にお伺いしたいというふうに思います。
 参考人は、秋田県の大潟村で、流通資本が生産現場に乗り出している実態について身近に見ていらっしゃるというふうに思うわけです。農業生産法人が株式会社化したら、そこに流通資本が本格的に資本参入していく、こうなった場合、どういう事態がそこで展開されるとお考えなのか、これがまず一点です。
 それからまた、日本農業の家族経営を守る、今まで、耕作者主義といって耕作する者が農地の権利を持っているという原則があったわけですけれども、今回、株式会社の農地取得という道が開かれれば、そういう一番原則のところに抵触していくのじゃないかというふうに思うわけですね。
 そうすると、株式の理論からいうと、利潤追求になっていく。そうなれば、一番優良の農地をそこで展開せざるを得なくなって、それまで家族経営で頑張ってきて優良農地で経営していた人たちが追いやられて、さらに劣悪な条件の中で家族経営をせざるを得なくなるのじゃないかというふうに思うわけですけれども、そういう危惧をお持ちなのかどうなのか、その点についての二点、お考えを聞かせてください。
#94
○坂本(進)参考人 最初の問題ですけれども、実は、一九九一年に元全米家族同盟会会長の、今はもうやめていると思うんですけれども、ランドルフ・ノドランドさんという人と交流しました。アメリカの例をつぶさに聞いたのですけれども、彼は当時、借金しながら生活している、こう言いました。私は、まだ人ごとだなと思って聞いていたのですけれども、実はもう今そういう状態に私たちは追い込まれています。
 一番最初に株式会社が入ってきて、その次に流通というのではなくて、流通によって農民に嫌気が差しているというのが今の状態です。その後にボディーブローがきいてきて、では、担い手がいないのだから株式会社が入る、その後になれば一体になるかもしれませんけれども。
 大潟村の中には、確かに農民が流通をやりながらやっている人もいます。しかし、食糧法によってどんどんみんな苦しくなってきて、産直やっていても、お互いにお客さんがぶつかり合うというか、それで産直で切り抜けようとしているんだけれども、やはり野菜を漬けてみたり値段を下げたりということで、結局、みんな競争で苦しんでいるというのが現状です。だから、そこに株式会社が入ってくると、恐らく急速に家族農業を守るという立場が悪化してくるのだと思います。
 次の、株式会社が入った場合どうなるかということですけれども、私は、言葉は厳しいのですけれども、四つの原爆があると。一つは食糧法、それから企業の農業参入、三つ目はWTOによる総自由化、あと遺伝子組み換え。
 株式会社の参入というのは、非常に原爆級の破壊力を持っているというふうに私は思っています。というのは、冒頭に申し上げたように、日本というのは水社会ですし、そこに株式会社が入ってくると、要するに、コスト競争で家族農業もそこに巻き込まれていって、そのコストに負けた人は結局やめていくというか、そういうふうになるんだと思います。
 そうすると、さっき御質問がありましたけれども、農村伝統文化をどう守るかというときに、地域を守るということと家族農業を守るということが、これは二つにして一つです。どっちかということはないのです。家族農業を守るためには地域を守らなきゃいけないし、地域が守られて家族農業を守られる。株式会社がどんどん入ってきて、平場の大潟村なんか恐らくねらわれやすいと思うのですけれども、だんだん今経営が苦しいので、まずカントリーも苦しいです。そうすると、では、手伝ってやるかということで入ってきて、仮に規制がどんどん緩和されていけば競争に巻き込まれて、家族農業というのはコスト競争とかいろいろな面で、水社会ですから、株式会社がどういうふうに水社会を守ってくれるかわからないし、非常に厳しいのじゃないかなと予想はします。
#95
○中林委員 重ねて、坂本進一郎参考人にお伺いしたいと思います。
 農地を保全するためには、何よりも日本農業を守らなければ農地は守られないというふうに私は思うわけですけれども、現在、米の大暴落を来している最大の原因がミニマムアクセス米の輸入だというふうに私は思うわけです。この点で、坂本参考人、先日のシンポジウムでEUにおけるセクター方式の問題について紹介をしていただいたのですけれども、これは極めて重要な問題だというふうに私は思うので、この場で御意見を、そのEUのセクター方式について教えていただければというふうに思います。
#96
○坂本(進)参考人 ちょっと急に言われたので資料を準備していなかったのですけれども。
 セクター論は、冒頭に申し上げたように、バスケット方式とかいろいろ言われていて、四年前に私はそれをちらっと聞きました。マスコミの方にもお願いして、これを大々的に宣伝してくれと言いまして、この前、中林さんを通してやっとこ農林省から手に入れて、なるほど、こういうふうに具体的になっているのかと。
 それの数字はここで公表していいのかどうかわかりませんけれども、カレントアクセスというか、普通に輸入しているものとミニマムアクセスを入れて、要するに消費量の五%になればいいと。どこからそれが出てきたのかなと思ってもう一回見ましたら、ブレアハウス合意で、一回は、九三年の再合意のところで簡単に書いてあるのですね、ミニマムアクセスは肉類でやりますと、要するにバスケット方式。それだけ見ていても、当時は何のことかわかりませんでしたけれども、この前の数字を見て、実は、羊の肉が二〇%近く入っていて、それから牛肉が七%、豚肉が一・五%、家禽がちょっと幾らか忘れました。羊の肉は、イギリスにとっては影響があるかもしれないけれども、大陸にとっては余り影響がない。そういう影響がないところでトータルでやっているものだから、国境措置の代替措置になっているというか。
 この前、私がフランスに調査に行ったとき通訳を頼んだ、十年ぐらい住んでいる降旗さんという人に、この問題をちょっと聞いてくれと。そうしたら、ちょうど向こうも農業会議があって、お祭りで偉い人がいなくて、近所の農民に聞いたと。では、なぜ肉類かというと、フランスの農民にとっては非常に肉は大切な食料だそうです。いろいろ理由をつけて頑張ったということを言っていました。それでフランスは勝ったと。
 日本人にとって大切なのは、穀物です。ですから、小麦、大豆、米、これを一くくりにして、小麦が入れば米の消費量が減るというような関係ですから、そういうふうにして一くくりで交渉してもらいたいなと。そうすれば米の暴落も大分防げるし、生産調整もそんなにやらなくてもいい。恐らくそういうことでやれば、九〇%輸入しているわけですから、大豆も小麦も、ミニマムアクセスは吹っ飛んでなくなってしまうというふうに思っています。
#97
○中林委員 どうもありがとうございました。終わります。
#98
○宮路委員長 次に、菅野哲雄君。
#99
○菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。
 まず初めに、坂本進一郎参考人にお聞きしたいと思います。
 私は、基本的には、今日、現状の農業、農政は米価の大暴落が起こって非常に経営が厳しくなっている状況であるというふうに思っています。それで、まず初めに、坂本さんから、農業経営をなさっている現在の状況を率直に御感想、農業の実態が現状どうなっているのか、その点についてお話ししていただければというふうに思っているのですが、よろしくお願いします。
#100
○坂本(進)参考人 私は、入植してから三十年になります。一番最初は非常に恵まれた状況で、政府の路線に乗っていればいいということで、大潟村の潟をとって潟ぼけ、それをやっているとぼけてしまうというぐらいに、桃源郷と言ったらおかしいけれども、そういう状況でした。その後ずっと青刈りが来て、九五年に食糧法ができました。九四年ごろまでは、転作奨励金なんかも入れて、売り上げというか水揚げというか、要するに、農業の粗収入が大体二千八百万から二千五百万。これは十五ヘクタールだから、ちょっと天候によってぶれがあります。今はあれから五年たって、大体二千百万から二千万。ただ、私、年をとって生産調整を委託していたのですけれども、そうすると二百万取られるのですね。そこから二百万を引くと、千九百万から千八百万、そういう状況で、非常に言葉は悪いのだけれども、殿様からこじきに落とされたというふうに自分で皮肉っていますけれども。
#101
○菅野委員 今の農村、農業を取り巻く状況というのが、大潟村でさえもそういう実情だというふうに私は言えると思うのですね。ましてや中山間地域において、それではどういう状況になっているのかといったときには、推して知るべしだと私は思います。
 実は、私も中山間地域の農家に生まれた三男坊ですから、ずっと農業を自分の生まれた家を通して見てきているわけですね。そして、私の地域で農地法の議論をしたときに、私の中山間地域では、農地法に全然関心を持っていないのですね。というのは、中山間地域には株式会社が参入してこないという状況がもう最初から見えているわけです。
 それで、坂本進一郎さんに再度お聞きしたいのですが、農地法の改正で、株式会社が参入してくる条件というのは、当初は、株式会社といっても非常に厳しい条件を付されていますから、そういう条件をつけているから大丈夫なんだという意見がずっとこの間支配しています。ただ、先ほどの参考人の話では、この本の中に紹介があるように、もうこの条件というものを全然考えないで参考人は意見陳述をしていますね。そういう意味では、中山間地域ではなくて、本当に農業で所得を上げるような地域こそ、危機感を持つべきだと私は思うのです。
 そういう意味では、譲渡制限や役員構成の制限をつけているから大丈夫だという意見がほかの参考人も含めて大多数を占めているんですけれども、その件に関して、こう言い切れるということはどういう考えでおられるのか、その御意見をお聞きしたいと思います。
#102
○坂本(進)参考人 その条件がどこまで守られるかということですけれども、さっき冒頭に申し上げましたように、九二年の新政策でこれがちらっと顔を出して、その後に永野元日経連会長、三菱マテリアルの社長さんをやっていた人ですけれども、彼が文芸春秋に、要するに、百万ヘクタールも減反しているのなら、おれに、財界に渡せと、そこが本音じゃないかなと私は思っています。
 九七年の九月に経団連で三段ロケット方式というのを言っているんですよね。第一段階では、農業生産法人の株式会社化。これは、今問題にしているこの時点で一応それが達成されるんだと思います。二番目に、借地方式による株式会社の営農を認める。三段階のロケットは、一定条件のもとで株式会社が農地を取得する。だから、二、三回法改正していけば、恐らくそこまでなっていくのだろうと。今はがやがや騒いでいるんですけれども、減反のときも、私、三十年前、組合長ががやがや騒いだのを、それから、米自由化のときも見ていますが、二、三年すると、ずっと日本人というのはおとなしくなっちゃって、だから、忘れたころに恐らく規制もだんだんとれていくのじゃないかなというふうに私は心配していますけれども。
#103
○菅野委員 先ほどの意見陳述で、坂本参考人にお聞きしたいんですが、家族農業経営は持続性がある、そして、先ほどの中林さんの質問に対しても、家族農業経営を守ることが地域を、農村社会を守ること、地域を守るためには家族農業経営も守っていかなきゃならない。これは、今回の地域の農村、農業社会を未来永劫子供たちや孫たちに引きつないでいく、こういう必要性が十分大切なことだというふうに思っていますけれども、これまでのいろいろな活動を通じて、家族経営の持続性があるというもうちょっと具体的な事象として今考えておられることを、あるいはいろいろな方々と交流した点において、その辺を詳しく説明していただきたいと思うんです。
#104
○坂本(進)参考人 具体的にと言われると困るんですけれども、まず、家族経営というのは、経営と労働が一緒で、しかも基本的には雇用労働を使わないというか、臨時的には使うんですけれども、そして、もっと詩的というか詩人的に言うと、土をなめるように、一枚一枚の田んぼがどういうふうになっているかという性格を知りながら、農業をやっているというのが家族経営だと思います。
 では、その具体的な事象を挙げよということになれば、アメリカは家族農業かということになると、私は、「大草原の小さな家」という、ずっと繰り返し放送されているんですけれども、あれはもう幻想であって、アメリカに行ったら一%の農民が全農業所得の六割を占めている。一・五%、九二年の資料で申しわけない、大体三万農家が流通の四割を占めている。それで、平均の耕作面積が百九十ヘクタールぐらいで、いろいろなところを見てきましたけれども、あと、百五十ヘクタールぐらいやっている農家は、日本と同じようにおじいさん、おばあさんがやっていました、息子は兼業農家で、恐らく数年後に行くとなくなっているというか。家族同盟会というのは、そこのつぶれそうな最前線を守っているという形になっています。
 今度はEUに行きましたら、ここは小さな農家は結構つぶれているんだけれども、でもやはり家族農業を守るという、ちょっとイギリスはニュアンスが違うんですけれども、そういう雰囲気があるんですね。
 その目で見ると、日本はちょっとどうかな、アメリカに似ているというか。大潟村もEU並みの面積を持っています。この前現代のクローズアップで放送されましたけれども、北海道がどんどんつぶれています。考えてみたら、北海道もEU並みの面積を持っているんですね。では、どうして血の通った農政ができないのかと。ちょっと私もディレクターを知っているものでそう言ったんですが、そこまでは掘り下げてもらえなかったんですけれども、血の通った農政をどうやってやってもらえるかということで、家族農業を守れるかどうか。個人で私も一生懸命頑張っているんだけれども、やはり限界があります。もう農民同士が競争していって、どんどん値段をお互いに下げているというか、そういう状況です。
#105
○菅野委員 では、次に坂本多旦参考人にお聞きします。
 これまでずっと農業法人をやってこられて、株式会社を認めるというところまで今日的な状況が来ておるということなんですが、私、有限会社と株式会社との比較という一覧を見ているんですが、実際に農業法人をやってきて、具体的に有限会社と株式会社の違いというようなものを、これからの農業生産法人として株式会社を認めていく段階において、ここが決定的な違いがあるから今回の法改正が大切なんだと、実際に農業法人を経営している立場からお聞かせ願いたいというふうに思うんです。
#106
○坂本(多)参考人 難しい質問なんですが……。
 私は、有限会社であれ株式会社であれ、また家族経営であれ、冒頭にも触れましたように、命を扱うものは、彼らはわからない、愛情だ、こういうふうに触れました。これはもう基本になるだろうと思います。今御質問の、株式会社と有限会社の決定的な違いは何かという御質問だろうと思うんですが、私ども有限会社は、やはり五十名までのグループということが一つの基準になって認められます。それ以上は、裁判所の許可とか大変な課題が出ます。
 したがって、これから集落というか地域をひとつどうしていくか。私の考え方は、兼業農家も家族経営も我々も、これが必要でこれは要らぬという考え方ではないわけですから、どういうふうに地域の農業を守っていくかというときに、これから法人化しようという話になりますと、今申し上げたように、有限会社でも、七十戸ぐらい以上の、七十人が参加するような地域ですと、これは有限会社がちょっと難しくなる。
 では、今度は農事組合法人という組織、システムがあります。これは今までの理想とされてきたわけですけれども、今のお若い人から見ると、どうも理解しにくい点がある。すべて平等なんだ、責任も権利も平等なんだ、これはすばらしい理念ですけれども、これは、経営体、一つの経営としてその組織を、地域を考えるならば、救急車が通るたびに女房と話しながら、またこれは不在地主かな、また耕作放棄地になるのかなというのが我々中山間地の非常に課題であります。
 そうした中で、農地を所有なさっている方はいる。町にいらっしゃったり、お年寄りでも病院に入ったりしたり、発言権を持ちながらその地域の組織をつくるわけでございますから、例えば五十五戸で五十五ヘクタールの経営体をつくるとしますと、やはり五十対五の課題が出てくるわけなんですね。したがって、不在地主であり、もう全く現場で農業をしない人の決定権によってその組織が動くというのも私たちは現地で見ておりまして、現場で作業する、頑張らなきゃならない人が非常に苦労している、これは一つの例かもしれませんがあるわけですから、こうした場合は株式会社化して、これから新しい地域づくりというのを工夫することも可能であって、すべてこれから、企業にしても使う方の問題ではないかと思います。
#107
○菅野委員 先ほどの質疑の中でもいろいろな農業経営の方式、そして一つの農業生産法人が地域の農家の協力を得ながらやっていく形態等も披瀝されておりましたけれども、いろいろな形態があるというふうに思います。
 ただ、私は、基本的には現行の農地法の中で、いろいろな形態の法人経営あるいは地域社会づくりというのは可能だというふうに思うのですね。それで、具体的にこの県が絶対必要だから株式会社という状況は、どう考えても私の頭の中では見えてこないというのが一点あるわけです。そのことだけは申し上げておきたいと思うのです。
 最後になりますけれども、中村参考人にお聞きしたいと思うのです。
 先ほどからもずっと議論されていますけれども、地域における農業委員会のあり方ですね。そして、中林委員からも今日的な農業委員会を取り巻く状況は披瀝されております。地方分権一括法案が通過した中で、地域における農業委員会のあり方も一方では見直しがかけられている。見直しというのは強化する方向での見直しじゃなくて、私は農業委員会としての権限を弱体化するような方向での見直しが進んでいるような気がしてなりません。
 簡素化あるいは効率化の方向にどんどん向かっていますし、端的に言うと、独立性も、本当は農業委員会というのは独立性が図られていなければならないのですが、例えば、私の出身地のことを言いますと、農林課の課長が農業委員会の長を兼務しているような状況ですね。そして、農地主事の必置義務が外されました。実際には事務担当が農業委員会に回っていくのですね。専門性というものも非常に弱められているのが地域の農業委員会の実情であるということなんです。
 そして、先ほどの答弁では、今度の農地法の改正で、これから責任を持った仕事はどんどんふえてきます。独立性と専門性が要求されている、そういう農地法の改正であるにもかかわらず、地域ではその逆の方向に歯車が回っていっています。この歯車の回る方向をどのように現時点で変えていこうと考えておられるのか、この点についてお聞きしておきたいと思います。
#108
○中村参考人 先ほど来同じような御質問がございまして、お答えしております。
 いずれにしましても、私ども、農業委員会制度研究会がございまして、その中での農業委員あるいは農業委員会の評価というのは、唯一の、これは一番地域で信頼をされている人物であるということ、また世話役をしなきゃいかぬということ、そういう中で農地の問題あるいは担い手の問題に対応せよ、こういうことでございます。
 それから、基本法あるいは大綱の中でも、農地の確保、利用、そしてまた担い手の確保、育成ということについて役割を担えという指摘がございます。一方で、やはり今の時代に合うような尺度にという改革もまた迫られております。そういうはざまにあるわけでありますが、我々としましては、今度の基本計画を実現するためにも、農地の確保のためにも、その役割を果たすことができるように今検討をしている途中ということではございます。
 また、先生御指摘のように、農業委員会に地域によってかなりの差があることは確かでございます。非常に強い農業委員会もございますし、弱いところもある。その辺のことも、また解決していかねばならぬというふうに考えております。
#109
○菅野委員 参考人の方々、どうもありがとうございました。これで終わります。
#110
○宮路委員長 次に、金子恭之君。
#111
○金子(恭)委員 21世紀クラブの金子恭之でございます。
 参考人の方々には、貴重な御意見を賜りまして、心より感謝申し上げます。
 二十一世紀に向けて農村の活性化を図るためには、農業の担い手を確保し育成することが重要であり、新規就農の受け皿としても農業経営の法人化は推進しなければならないと思っております。私はこのような立場から質問させていただきます。
 まず最初に、生源寺参考人にお伺いいたします。
 今回の農業生産法人の見直しでは、地域農業の活性化を図るといった観点も重要な視点であると考えております。そこで、地域農業の活性化を図るといった視点も含めて、法人化の意義について、再度でございますが、先生の御所見をお伺いいたします。
#112
○生源寺参考人 地域農業の活性化といった場合に、非常にいろいろな要素があるかと思いますけれども、最大の問題はやはり人だろうというふうに思っております。
 その点について絞ってお話しさせていただくならば、今回の改正で、私の表現でいえば、自由度が広がるというふうに申し上げましたけれども、そのことによって、特に若い人、若い人に限る必要はないわけでございますけれども、こういった方々が農業以外からも農業に参入していただく、そういうルートが広がるという意味で、そんなに最初から爆発的な力はないにしても意味はあるだろう、こういうふうに思っております。
 ここで大事なことは、農業の外からの参入がある、今もかなりそういう希望はあるけれども、かなりハードルが高いということがあるわけでございます。こういう動きがあること自体、実は私は農業の内部あるいは農家の内部の後継者の候補者と申しますか、そういう方々にとっても非常に勇気づけられることではないか、こういうふうに思います。
 つまり、農業というのは衰退産業であるということを耳にたこができるほど聞かされているということであれば、そこで農業を継ごうという意欲が出てくる方が不思議でありまして、そういう意味でも、外から見ても魅力のある産業であるということは、いわば新規の参入の方によって一番よく表現されるわけで、ただ単に入ってくる方が多くなるということだけではなしに、それで農業の中の方々にとっても勇気づけられる、こういう言い方ができるのではないかと思います。
 そのほか、特に食品産業ですとか農業に関連の深い産業との結びつきといったようなことも、地域農業の活性化に結びつくと思いますけれども、時間が長くなりますので、このあたりでやめさせていただきます。
#113
○金子(恭)委員 ありがとうございました。
 続きまして、坂本進一郎参考人にお伺いいたします。
 先ほどの高橋委員の質問と同じ質問をしようと思っていたのですが、地方公共団体の参加についてお聞きしようと思っておりました。先ほど坂本参考人から、企業の農業参入が家族農業を破壊し、地域社会も崩壊する、こう述べられたというふうに思っております。しかし国内には、特に、先ほどからお話が出ていますように、中山間地域など担い手が不足して地域社会が崩壊しそうな地域もあり、非常に深刻な問題であるというふうに思っております。
 今回の農業生産法人制度の改正によって、地方公共団体の参加というものが可能となるわけですけれども、農作業の受託等で耕作放棄地の解消など、公益的な機能を持った農業生産法人が出てくるのではなかろうかなというふうに思われているわけでございますが、その点についてどういうふうにお考えでしょうか。
#114
○坂本(進)参考人 日本の場合は構造改革が進まないままで、要するに、土地所有権だけ持っていてやれと言っているわけですから、中山間地の場合は、土地所有権は持っていてもいいけれども、その利用権を集積して、その利用権をプールして、それをどういうふうに利用するかというのは、またそこに住んでいる人の条件はいろいろあると思うのですが、そこに第三セクターが入ってくるかどうかというのは、それもいろいろケース・バイ・ケースだろうと思うのです。
 成功するかどうかというのはわかりませんけれども、中山間地域というのはもともとハンディキャップを持っているわけですから、そこに何らかの政策的な措置というか、そしてもう一つ、山林も含めて何か活用する方法がないと、農地だけといっても、佐藤藤三郎さんが言うには、農地だけというのはとても間に合わないというか、彼は要するに、デカップリングというんだったら、自分の一日の仕事を労働に換算して払ってくれと言っていますけれども、それでも間に合わない。
 だから、中山間地を一括してどういうふうに運営していくかという方向で、何か山村振興法とかいろいろあるそうですけれども、縦割りになっているからそれを一本にして、中山間をどう振興するかというふうにしないと、なかなかうまくいかないのではないかなと思います。
#115
○金子(恭)委員 ありがとうございました。
 続きまして、坂本多旦参考人に二点お伺いいたします。
 先ほど坂本参考人が述べられましたように、農業経営の法人化は、新規就農の受け皿として大変有効ではないかと私も考えております。そこで、新規就農といった観点から、農業法人は実際どのような役割を果たし得るのか、お伺いいたします。
#116
○坂本(多)参考人 私どもも、今千四百法人のお仲間で社団法人日本法人協会をつくりました。これからいろいろな担い手を私ども農業、農村に参入していただかないと、今先生の御指摘のとおり、もはや地域農業を守れないという現実を抱えておりますから、私ども法人で、先ほども少し触れましたけれども、約二千名ぐらいの雇用が一年間に出始めておりまして、これは地域活性化として地域の皆さんにも認知いただけるようになりつつあるわけでございます。
 また、参加していらっしゃるお若い方は、農業を頭の中でお考えですので、現実に、牛にけられてしまってびっくりしたと、驚くようなテーマもあるわけでございますけれども、それをやはり、これから少し我々が受けまして、私の体験で恐縮なんですが、今二名は私のところで十年以上組織におりまして、自立していった青年もおります。自立経営になっていきますし、また私の農場で後の担い手になりたいという青年もいるわけでございます。私どもの農場では、一年間はお互いに農業を見ましょうということで、労務者という考え方で就業していただきまして、一年先からは、経営に参加したい方には出資権利を与えながら、将来の私どもの担い手になっていただくというような窓口をあけておるわけでございます。
#117
○金子(恭)委員 ありがとうございます。
 もう一点、お伺いいたします。
 農業経営の法人化を進めた場合でも、ただ単に法人化するだけではなくて、そのメリットを十分に発揮するには、販売戦略とか労務関係など、経営をいかにマネジメントしていくか、企画管理を行っていくかがかぎとなるのではなかろうかなというふうに思います。
 そこで、法人の立場から、農業法人のマネジメント、企画管理を進めていく上で一体どのような点に留意して行っていく必要があるのか、お伺いいたします。
#118
○坂本(多)参考人 この問題は、これから新しい農業、要するに、新農業基本法でもうたわれました市場原理に基づいた流通体系を基本とした経営政策という形になりましたので、やはりこれからは、つくったものをどう再生産が果たせる価格で消費者に理解いただけるかというような大きなテーマを我々は抱えたわけでございます。その意味では企画管理、要するに、つくったものをどう消費者にきちっと届けるかという作業も重要な作業になってまいりますし、先ほどもちょっと触れましたけれども、公平とか公正というような法の人になり得るためには、そうした企画労務というものも非常に重要であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 私たちの農場では、五十五人のうちで企画労務にかかわるのは、五十五名で六人ぐらいが、ずっと三十年の経験から必要であるということでございます。
#119
○金子(恭)委員 ありがとうございました。
 続きまして、中村参考人にお伺いいたします。
 今回の改正によって、農業生産法人制度の見直しに伴いまして、農業委員会によって活動状況の把握や指導、勧告が措置されるなど、新たな業務が加わって、農業委員会が担うべき業務が拡大することとなりますけれども、実際にその業務が適正に行われることが不可欠であると思います。
 そこで、農業委員会として、今回の改正を受けた業務を適切に執行し得る体制が整備されているのか、お伺いいたします。
#120
○中村参考人 法案が成立いたしまして施行されますと、即実行ということになろうかと思いますので、それまでに体制をどうするかというのは大変難しい問題でございます。現在は農業委員さんが五万九千人ほどおります。それから、農業委員会の職員も平均で三・五人ほどおりますので、まずそこに対しまして制度の周知徹底、それから、内容のこういうチェックをしなければいかぬということについて、きちっとした指導を行っていかなければいけないという中で、今、組織改革問題にも取り組んでおりますので、こういう位置づけをどうしていくかということについても考えていきたいというふうに考えておるところでございます。
#121
○金子(恭)委員 ありがとうございました。
 中村参考人に続けて御質問いたします。
 全国農業会議所、そして都道府県の農業会議には昭和六十二年から新規就農ガイドセンターを設置していただいておりまして、相談活動を実施されているわけでありますけれども、聞きますところ、近年急激に就農希望者の相談件数がふえているように聞いております。その理由について、傾向についてどうお考えになっておられるのか、またどういう方が多く来られているのか、そして、その中で実際に就農される方がどのくらいいらっしゃるのか、お伺いできればと思います。
#122
○中村参考人 お話がございましたように、昭和六十二年から新規就農ガイドセンターをやっています。思い出しますと、私もちょうど初代の部長でございまして、当時、朝五時過ぎのNHKのラジオに引っ張り出されまして、それが終わり事務所に戻ってみますと、電話番号を言ってきたものですから、夜勤帰りの方から物すごい電話がありました。一日目でございました。そういうことで大変な問題だなと思っておりましたが、やはりその後も相談件数はふえておりまして、これまでに合計では相談者は三万八千人ぐらい、四万人近い方が相談に見えておるのも事実でございますし、そのうち就農を具体的にされた方も千人程度ございます。まだまだこのほかに、統計上でございますので、実際にはもっと多かろうというふうに思っております。
 今、坂本法人協会会長さんからも、あれだけの人数を雇っているということでございます。私も、同じ会員でございますが、ゆうべちょっと電話をして尋ねてみましたところ、彼は約四十四億円の売り上げを持っております有限会社の農業生産法人でありますが、正社員で百五十名、パートで常用十五名、半年程度のパートが三十五名だそうであります。農地を七十ヘクタール、借地を含めておりますが持っておりますし、豚を六万四千頭、乳牛が六千三百頭でございます。こういう経営をやっておりまして、百五十人の雇用と五十人のパートを持っておりまして、大卒も今、就業、就職試験に来る、こういう状況でございまして、大変そういう意味ではこの事業も意味を持っております。
 それから、来る方はさまざまでございますが、最近はやはり大卒の若い方が多くなっております。私が初め担当したときは、大体三つに分かれておりまして、当時まだ、明らかにわかりますのは、農地を投機のために取得したいような人が三分の一くらい、それから定年退職者が三分の一くらい、そして、まじめな若い、本当にやりたい方が三分の一くらいという状況でございましたけれども、今は若い方に変わってきておる、もう土地投機を目的としたような方はいない、こんな状況でございまして、今、年に、法人協会と合同になりまして、昨年も全国六カ所で相談をやっておりますが、約三千人くらいの方がお見えになっておる状況でございます。
#123
○金子(恭)委員 ありがとうございました。
 時間の関係上、最後の質問にさせていただきます。
 最後の質問は、中村参考人と坂本多旦参考人、お二人にそれぞれにお答えいただければというふうに思っております。
 今中村参考人の方からお話がありましたように、全国農業会議所と全国新規就農ガイドセンターと日本農業法人協会が合同で主催されております農業法人合同会社説明会、新規就農相談会、「これからの農業を仕事にしませんか」というお誘いで開催されているわけでありますけれども、その現状、就農相談者、また参加法人などについてどのように認識をされているのか、そして、今回の農業生産法人制度の改正により、合同の説明会、相談会にとってこれからどういう効果が期待されるのか、そのあたりについてお伺いいたします。
#124
○坂本(多)参考人 大変な反響をいただいておりまして、むしろ我々農業法人の方が希望が多くて受けとめてあげられないというのが現状で、会議を開きますと、残念だ、残念だと言っているのが実情でございます。
 これから農地の利用体系等が整いまして、私どもが今までのような御指摘をきちっとクリアした法人になり得るなら、これから大いに農業、農村地域も、就業の場としての国民的役割というものも、人数は少ないかもしれませんが、可能になってくる。また、そういう方向に私どもは努力しなきゃいけないというふうに考えております。本当に大学卒業の方から高校卒業の方まで、全く非農家で農業を体験なさっていない方も含めて、先ほどから私も触れましたけれども、我が国は個という、自立を果たしているなというのを痛烈に感じて、何とか皆さんに農業の体験をさせてあげ、また就農をさせてあげたい、努力していきたいと思っています。
#125
○中村参考人 先ほども申しましたように、相談活動は盛況でございまして、ちょっと今申し落としましたけれども、六カ所くらいで三千人くらい来ているということでありますが、そこに出ている、受ける方の農業生産法人を中心にした会社の方は、大体三十社くらいが常時来ているようであります。したがって、状況としてはかなりあるということでございます。
 今も、我々は有楽町段階でも毎日三人の相談員を常置いたしておりまして、電話あるいは来ていただいて相談をしておりますし、これは土曜日、日曜日ということもございます。そのほか、東京でも八重洲口だとかそういうところにも設置をいたしながら相談活動をしておりますし、また、法人協会、農業会議あるいは普及の方ともタイアップしながら、窓口を広げまして今後もやっていきたいということでございます。
 なお、これは即就農という、法人の場合は就農をしてそこで実習もできますが、どこか実習に行ってから、また一定の技術を持って就農してもらうということもございますので、そういう準備もしなければならない、充実しなければならないというふうに考えているところであります。
#126
○金子(恭)委員 終わります。ありがとうございました。
#127
○宮路委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。
 本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。
 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十分開議
#128
○宮路委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、農地法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産大臣官房長竹中美晴君、農林水産省経済局長石原葵君、農林水産省構造改善局長渡辺好明君、農林水産省農産園芸局長木下寛之君、農林水産省畜産局長樋口久俊君、農林水産省食品流通局長西藤久三君、農林水産技術会議事務局長小林新一君、食糧庁長官高木賢君及び水産庁長官中須勇雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#129
○宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#130
○宮路委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤茂之君。
#131
○後藤(茂)委員 民主党の後藤茂之でございます。それでは、早速入らせていただきます。
 かつての農業基本法にかわり、新たに食料や農村といった観点も視野に入れた新農業基本法が制定されましたが、その基本理念に沿った形で、今後農政も大きく転換していく必要があります。食料を生み出す農業について国民の理解を得ていくためには、いたずらに農業者を過保護にするのではなく、農業者みずからの足腰を強くし、自立した農業者や、質の高い食料をできるだけ安い価格で国民に提供していけるようにすることが肝要です。かつての基本法のもとでの農政においては、残念ながらこの点は実現に至りませんでしたが、新基本法のもとにおいては、効率的かつ安定的な農業経営の重要性がうたわれており、こうした農業者に各種施策を集中的に振り向けていくことが重要であると考えます。
 改めて申し上げますが、力強い日本農業を築いていくためには、耕作放棄防止の観点からも、生産性の向上の観点からも、足腰の強い農業者の育成こそが農政の基本となるべきであります。この観点から、認定農業者について施策を充実し、支援措置を集中すべきと考えますが、この点についての農水省の取り組み姿勢を伺います。
#132
○渡辺政府参考人 今お話がございましたように、新しい基本法の第二十一条には、効率的かつ安定的な農業経営が生産の相当部分を担う農業構造を確立するということが掲げられております。御指摘がありました認定農業者制度は、いわばこの方向を具体化するものとして位置づけられるものでございます。
 認定農業者制度発足以来、市町村の基本構想、そしてそれぞれの農業者の方々の経営改善計画に基づきまして、農地を利用集積する、あるいはスーパーL資金を融通するというふうな形で支援を続けてきたわけでございます。
 また、これを側面からバックアップするということで、市町村に経営改善支援センターを設置いたしております。各年、施策を強化してきておりまして、平成十二年度からは、新しい経営構造対策を創設いたしまして、地域の担い手となるこれらの方々に施策を重点的に講ずる、あるいは稲作経営安定対策におきましても、認定農業者を対象といたしまして、補てん割合を引き上げるといった措置を講じております。
 こういった種々の措置を通じまして、意欲ある担い手に施策を集中する、先生の御指摘があったようなことでございます。関係機関、団体とも連携強化をいたしまして、認定農業者をこれから先も農政の中核として位置づけていきたいと考えております。
#133
○後藤(茂)委員 とりわけ、土地利用型農業部門においては、認定農業者を初めとする足腰の強い担い手に農地の利用を集積していくということが非常に重要と考えますけれども、このためにどのような施策を具体的に講じていくお考えでしょうか。
#134
○渡辺政府参考人 この点も全く先生の御指摘のとおりでございます。
 望ましい農業構造を確立するためには、やはり農地の利用集積ということが大きなかぎになります。実は、私ども一定の目標を持っておりまして、この三月に農業構造の展望というものを公表させていただきましたが、平成二十二年を目標といたしまして、全農地の約六割を担い手に流動化、集積をするということにしております。
 この流動化というのは、やはり具体的に農地が動くわけでございますので、各市町村ごとに地域の農業者の意向を踏まえまして、流動化の目標数値を設定いたします。そして、その中で関連事業をこれに結びつけていく、さらには出し手と受け手を見合わせるといいますか、結びつけ活動を実施する、そして、なかなか動きにくいところに対しましては、いわゆる農地保有合理化法人の持つ中間保有なり再配分の機能を利用して、利用集積を集中するということでございますが、このためには、農地流動化推進員、全国に八万人ほどの方がいらっしゃいますが、こういった方々の活動といいますか、常日ごろの努力も加味いたしまして、目標を何とか達成したいと考えておるところでございます。
#135
○後藤(茂)委員 重要な点でありますので、改めて質問をいたしましたが、政府として、内容のある対応を具体的に行っていっていただきたいと強く申し上げておきます。
 さて、私の住んでいる諏訪市には、農豊会という、平成七年に農林水産大臣表彰を受けた農事組合法人があります。彼らは、もうかるから農業をやっている、もうからないならやらないと豪語をしまして、しっかり休みもとりながら、周辺の兼業農家から七十ヘクタールを超える水田の耕作委託を受けて、地域では大規模な農業を実践しております。
 足腰の強い農業者の育成には、農業経営の法人化は大きな役割を果たすと考えますけれども、大臣の御見解を伺いたいと存じます。
#136
○谷国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、確かに経営規模を拡大することは農家の皆さん方に夢と希望を与えることになると思いますし、そういう方向に行きたい、そういう方向に行かなきゃならないと思っております。
 そのためには、専業農家の育成ということも大事でございますが、我が国のように変化の激しい農村、山村におきましては、一律に物を考えることは難しいということもございますので、中山間地域のような集約的な農業ができないところは、所有権は自分が持っておっても、いわゆる耕作権を移譲するというふうなことをして、できるだけ専業農家をふやしていくことが必要じゃなかろうか。そして、今専業農家をふやすことにより、また農業法人をふやすことによって、専業農家をふやすという方向で、我が国の農業の確立をしなきゃならない、そういうふうに思っております。
#137
○後藤(茂)委員 今回の農地法改正法案において、株式会社形態の導入など、農業生産法人の要件の見直しが措置されていることは、足腰の強い農業経営を育成する上で大変重要な点であると考えられますが、今回の見直しによって、どのような具体的な効果を見込んでおられますでしょうか。
#138
○渡辺政府参考人 今回の農業生産法人の要件の見直しでありますけれども、もちろん目的は農業経営の法人化と経営の活性化の一層の推進ということでありますが、大きく四つ改正点がございます。
 それぞれが単独に、あるいは相乗効果をもたらすということでございますけれども、第一点目の法人の組織形態、御指摘がありましたように、一定の条件を付されておりますけれども、株式会社を追加するということで、資金の調達が容易になる、あるいは事業運営が効率的にできる、さらには人材確保、販売開拓等の面で有利であるといった効果が期待をされるところでございます。
 二つ目の、いわゆる事業要件でありますけれども、主たる事業が農業と関連事業であることを確保しながらも、それ以外の事業を実施できるようにするということで、経営の多角化を通じた経営の安定、それから周年雇用による質の高い労働力の確保といったことが可能になります。
 三点目は、構成員として地方公共団体が出資できるようになりますので、条件が不利な地域などにおきまして、市町村が第三セクターを設置して、農作業の受託等の生産活動に参加しているというふうなケースに、これが農地に関する権利を取得してその活動を一層強化する、あるいは農業生産法人の活動の下支えをするというふうな効果が期待をされます。
 さらに、四点目でございますけれども、役員の要件の改善によりまして、役員が経営の発展のために、マーケティングであるとか資金調達であるといった企画管理業務に適切に対応できる、こういうことを通じて、経営規模の拡大であるとか付加価値の向上といった積極的な経営展開が期待されるところでございます。
 もちろん、これらは、単独あるいはこの四つが相重なって効果が高まっていくものと考えております。
#139
○後藤(茂)委員 いろいろな効果の期待されている改正ではありますけれども、農地法のそもそもの考え方について一つただしたいと思います。
 農地法においては、法制定時にはいわゆる自作農主義がとられました。その後、借地を含めた規模拡大を図る観点から、修正が加えられ、現在では、いわゆる耕作者主義がとられているというふうに言われております。
 この耕作者主義、すなわち現在の農地の取得を認める者についての基本的な考え方を改めて伺います。
#140
○渡辺政府参考人 農地法の目的の中に、いわゆる耕作者主義ということで、こういうくだりがございます。農地を適正かつ効率的に耕作する者に権利取得を認めるというふうになっております。これを私どもはいわゆる耕作者主義と言っております。
 これは具体的にどういうことに具現化をしているかということでありますが、三つ要件がございまして、農地の権利取得が認められる場合として、第一は、取得後の農地のすべてについて耕作等の事業を行うことということであります。それから二点目は、農地を効率的に利用して耕作等を行うことという点でございます。そして最後は、個人の場合にあっては、本人またはその世帯員が必要な農作業に従事をする、法人の場合には、農作業に従事をする構成員が役員の中で一定のウエートを占めること。この三つが、耕作者主義を具体化するものとして法律の中に定められております。
 今回の農地法改正におきましても、こうした基本的な枠組みは維持をすることにしておりまして、耕作者主義の考え方に沿った改正というふうに考えております。
#141
○後藤(茂)委員 現在の農地法の耕作者主義はそういうことだと思います。
 しかし、農業の担い手が減っている中で、一般の株式会社にも農地の権利取得を認めてもよいのではないかとの意見もあります。農地取得の例ではありませんけれども、一般の株式会社がハウス栽培を展開し、地元から喜ばれ、よい波及効果を地域に与えているという例もあります。そうしたところが農地の取得を望むかということもそもそも問題ではありますけれども、仮に望んだとしても、農地の取得は今回の改正では認められません。
 今回、株式会社一般に農地の権利取得を認めないこととした理由を改めて伺います。
#142
○渡辺政府参考人 今先生から御指摘がございましたように、いわゆる一般の株式会社にも農地を認めてはどうかという議論は確かにございました。
 しかし、この株式会社の農地の権利の取得につきましては、相当な議論がここ数年なされております。総理大臣の諮問機関でございます食料・農業・農村基本問題においてかなり激しい議論が行われましたが、その答申の中で二つのことが言われております。
 一つは、株式会社一般に農地に関する権利の取得を認めるという点につきまして、農地の有効利用が確保されない、あるいは投機的な取得につながるおそれがあるという点、それから二つ目には、周辺の家族農業経営と調和した経営が行われずに、集団的な活動によって成り立っている水管理、土地利用を混乱させるおそれがあるという懸念が指摘をされまして、最終的に、株式会社一般に土地利用型農業への参入を認めることは合意が得がたいとされたところでございます。
 そういう状況を踏まえまして、今回の農地法改正におきましては、あくまでも農地法に定められました農業生産法人の一形態として、担い手の選択肢を拡大する観点から、株式会社の形態を認めることとしたところでございます。
#143
○後藤(茂)委員 確かに、いろいろな指摘のとおり、農村の古くからのコミュニティーを守る、地域農業の視点ということも非常に重要だと思います。水利権の調整の問題など、農村が新しいものを受け入れるには時間がかかるということも十分理解しております。私も、地元農山村、たくさんあります。その辺のところはよくわかっております。
 しかし、私は、農村の安心ということを前提としつつ、今後、一たん農地を取得して農業を始めたら、転用や耕作放棄ができないというような仕組みさえ整えてあれば、耕作者を狭く考えるのではなくて、これを広くとらえて、少なくとも企画や指示のみを行うような個人や株式会社にも農地の取得を認める、そして農村の活性化を図っていくべきだと考えております。
 大臣または総括政務次官から御見解を伺いたいと思います。
#144
○石破政務次官 お答えを申し上げます。
 今委員御指摘の点は、省内においても長い間議論をいたしてまいりました。いわゆる企画管理のみを行う法人、株式会社、または個人にも農地の取得を認めてもいいのではないでしょうかという論を、実は私も展開したこともあるんです。
 ただ、その場合に、どうしても行き当たりますのは、今委員の御指摘の中にもございましたが、やはり耕作者主義からは反するんだろうねということになるわけですね。企画管理のみを行うというふうに今委員おっしゃいましたが、それが耕作者主義にはどうしても当てはまらないんだろうと思います。農地法の一条をどう読み返してみても、何度読んでも、上から読んでも下から読んでも、これはどう見ても読めないねということであります。
 とすれば、今回、譲渡制限はあるけれども、株式会社を認めるということでどれだけ御理解が得られるのか。今局長から答弁申し上げましたように、全くそこにはいません、東京にいながら、いろいろあれこれインターネットか何かで指示を出しながら、一年に一回も登場はしない、だけれども、そばでは一生懸命人が耕している、それで本当にコミュニティーが守られていくんだろうか。おっしゃるように、投機的な売買というものを防止するためにいろいろな手段があるだろうと思っておるんです。
 そういうこともあわせまして、とにかくまずやってみよう、今回の結果を見ながら、本当に何が一番農業の発展に資するものであり、委員御指摘のように、いい農地を守り、担い手として、やはり企業的なセンスというのは必要だと思っているんです。もうかろうがもうかるまいが、とにかくつくるという話ではいかぬわけです。ただ一足飛びにそこへ飛ぶのではなくて、今回の改正で本当に御理解が得られ、どれだけいろいろな目的に資するか、まずその点を重要に考えておる次第でございます。
#145
○後藤(茂)委員 現在の耕作者主義の考え方がどうかということについてはおっしゃるとおりだと私も思っておりますけれども、法律の解釈や考え方は変わります。新しい意味での、もう少し広い意味での耕作者主義に窓口を広げるときが来ているのではないかと私は思っております。
 それから、改正の方向でありますけれども、まず、今、総括政務次官がおっしゃったことはもっともなことだとも思いますけれども、方向性は明らかだと私は思っております。今回の改正に引き続きまして、条件をなるべく早くに整えた上で、できるだけ早くに対応すべきであるというふうに考えております。
 次に移りますが、中山間地などにおきましては、耕作放棄地対策として、家庭菜園の取得など、やる気のある個人に認めるということも一つの案であるというふうに考えられます。
 今回の改正では、農地の権利取得についての五十アールの下限面積要件の弾力化を図ることとされていますけれども、そもそも下限面積要件には、集約的栽培には適用されないなどの例外措置が現在でもあります。しかし、実際の現場においては、農業委員会の運用が時には硬直的な場合もありまして、新規参入を阻んでいる例もあるというふうに言われております。そういう実態は把握しておられますか、あるいはそれについてどのような対応を考えておられるのでしょうか。
#146
○渡辺政府参考人 御質問に対する答えが多少前後いたしますけれども、確かに、今おっしゃいましたように、農業委員会のチェック機能という問題について、農業委員会は農地の番人という自負を持っておりますので、どちらかというとやはり手がたく動く可能性もあると思うわけであります。
 ただ、世の中は大分変わってまいりました。やはりどうしてもたくさんの担い手、多様な担い手に入ってもらいたいという状況でありますから、そういう状況にこたえていく、この制度が非常に弾力的なものであるということを各現場に浸透させる必要があるというふうに私は思っております。
 今回、こういう形で、下限面積の特例の許可について農林水産大臣の承認を受けるということを外します。その結果、地域の実情に応じた農地の移動というものが現場で可能になるわけでありますので、そのことをまた私たちはよくよく浸透させながら、今一番欲しいことは何かといえば、新規参入をしてもらいたい、あるいは担い手が育ってもらいたいということでございますから、それに向けて意識の浸透に努力をしたいと思っております。
#147
○後藤(茂)委員 ぜひよろしくお願いをします。
 我が国の農地は、このまま放置すれば転用や耕作放棄でますます減少することが懸念されます。食料自給率四五%を前提にして、基本計画、構造展望などにはどの程度の面積が必要と見込まれているのか。例えば、耕作放棄地の発生などを防ぐなど、今後どうやって農地の確保を図っていくつもりなのか、伺いたいと存じます。
#148
○渡辺政府参考人 二つのお尋ねのまず初めの部分でありますけれども、食料自給率の向上のためにどれほどの農地面積を確保していくかという点でございます。これは今御指摘がありましたように、本年三月閣議決定の食料・農業・農村基本計画におきまして、食料自給率を四五%にする、もちろんその前提として、耕地利用率は一〇五%という前提に立っております。
 これを実現するためには、平成二十二年で四百七十万ヘクタールの農地面積の確保が必要でございます。とりわけ、その四百七十万ヘクタールというのは農地の総量でありますので、その中で優良な農地として農業振興地域の整備に関する法律の農振農用地区域内に四百十七万ヘクタール、優良農地を確保していくということを私どもは国の方針として明確にしております。
 その際、今の壊廃の実績を見ますと、壊廃のうち半分ぐらいが転用で、そして残り半分ぐらいが耕作放棄という形でございますから、耕作放棄を発生しないように抑制をする、防止をする、それから耕作放棄をされたところをもう一度復活して利用するということが大事でございます。
 本年度から、例えば中山間地域におきまして、生産条件の不利補正ということで直接支払い制度を導入させていただきました。これは耕作放棄が生じないような活動に対して支払いをするということでございますので、相当な効き目があると思っております。それから同時に、農地をやはり集める、それからその農地について整備を行うといったようなことを通じまして、今申し上げた平成二十二年、四百七十万ヘクタールという農地の確保に努めていきたいと思っております。
#149
○後藤(茂)委員 今四百七十万ヘクタールという話がありましたけれども、平成十年で四百九十一万ヘクタールになっておりますけれども、転用や耕作放棄で減少していく分、それからその後、耕作放棄対策あるいは農地の拡張や再活用によってどれだけの農地をふやしていくのか、それぞれについての数字を御説明いただけますか。
#150
○渡辺政府参考人 今御指摘がありました平成十年現在の農地面積が四百九十一万ヘクタール、今はたしか四百八十三万が十二年の数字だと思いますが、平成二十二年までに、趨勢でいきますと、やはり耕作放棄で二十六万ヘクタールの減、農地の転用で二十三万ヘクタールの減、一方農地造成はそれぞれ約四万ヘクタールぐらいの可能性しかございませんので、これをなんとか食いとめるということで、私どもやはり最大のターゲットを耕作放棄の抑制に置いております。
 趨勢でいきますと、二十六万ヘクタール生じますが、これを基盤整備事業を実施する、直接支払いを行う、あるいは利用集積、流動化をするということで二十一万ヘクタールほど戻してやる。二十六万つぶれるところを二十一万戻しますから、その差マイナスは五万にとどまるということでございます。
 それから農地の拡張は、申し上げましたように、四万ヘクタールございますし、耕作放棄地につきましても四万ヘクタールほどを再活用する。農地の転用につきましてはやむを得ざるものでございますので、こういった形で、本来、趨勢値でいきますと、平成二十二年には四百四十二万ヘクタールとなるべきものを四百七十万ヘクタールまで引き戻すという努力をしたい。それによって、先ほど申し上げた食料自給率の四五%、もちろん耕地利用率一〇五%という前提ですが、実現をしたいと考えております。
#151
○後藤(茂)委員 今のお話の中で、基盤整備、ずいぶんと予算を使って今全国的にやっておるわけですけれども、基盤整備によって、農地の確保に具体的にどのような効果が上がると見ておられますか。
#152
○渡辺政府参考人 基盤整備はもちろん一番大事な基礎的資源である農地についての条件整備でございます。
 二つお話し申し上げたいのですが、水田について言えば、主眼を汎用化に置いております。汎用化をしますと、稲作の生産性がまず向上いたします。それと同時に、稲以外の作物、つまり麦とか大豆が、これは一年二作あるいは二年三作という形で生産ができますので、耕地利用率が向上いたします。先ほどの一〇五という数字も、現状が九〇%台でございますから、耕地が高度に利用されていくということになります。
 それから畑地につきましては、基盤の整備という形で、まず一番重要な水、かんがい排水施設を整備いたしまして、野菜や果実の産地化、生産振興が図られるというわけでございます。
 基盤整備をされました土地について言いますと、やはり生産性が高いわけでございますので、担い手が規模を拡大しながら、利用集積をしながら使っていくということになりますので、その結果、農地はいい回転の方にいきまして、常にフルに有効活用されていくということでございます。私どもとしては、整備率が高まれば高まるほど農地の確保にもよい結果が出てくると思っております。
#153
○後藤(茂)委員 基盤整備についての効果の公式の数字はないということはわかっておりますけれども、耕作放棄に対する対応で二十一万ヘクタール増の目標を掲げておりまして、その内訳でありますから、基盤整備についての目標もやはり説明していく必要があるのではないかというふうに思います。平成二十二年といっても、実は非常に近いことでありまして、農政の具体的イメージができるだけ明確に国民、特に農業者に示されることが必要だというふうに考えております。
 次に移りますけれども、今お話が出ました直接支払い制度についてです。
 中山間地域等の直接支払い制度は、耕作放棄の発生を防止する上で、非常に重要な役割を果たすものと考えますけれども、十一月まで協定の期限が延長されているわけです。この取り組み状況がどうなっているか、伺います。
#154
○渡辺政府参考人 中山間地域の直接支払い、総額、事業費で七百億円の事業を平成十二年度に創設したわけでございますけれども、直接支払いというのは、集落協定を結ぶことを通じて耕作放棄の発生を防止するという仕組みになっておりますから、この集落協定が大前提でございます。九月末の集落協定の締結見込み面積は、都道府県が当初見込みました面積に対しまして、約七割の五十九万ヘクタールとなっております。
 七割という総平均なのでありますけれども、これは各県によって大きな差がございます。同じようなブロックの中でも差がございます。八割から十割の協定見込み面積となっている県がある一方で、五割を切るようなところもございます。また同じ県内でも、市町村によって大きな差がございますので、今先生から御指摘ございましたように、私どもは十一月三十日まで集落協定の申請期限を繰り延べまして、平成十二年度、つまり初年度から一人でも多くの農業者がこの制度に取り組んでこの直接支払いを受けることができますように、現在、普及推進に努めているところでございます。
#155
○後藤(茂)委員 中山間地域等の直接支払い制度が的確に利用されることというのは大変必要なことと考えますけれども、各地域では集落協定の取り決め、要件認定などに不安を感じる声が強く出ております。また、技術的にも、例えば地図がないとか、あるいは指定を受けるところと受けないところで一体どういう差が出るんだとか、非常に心配をしておるところであります。
 この際、制度導入時には相当思い切った弾力的な対応が制度の定着のためには必要であると考えます。この制度が、決して使いにくいものではなく、地域地域で異なるさまざまな事情に適切に対応し得るものであることを各市町村などに周知徹底すべきと考えますが、どのように対応をとっておられるでしょうか、あるいはこれから対応をとられるおつもりでしょうか。
#156
○渡辺政府参考人 今先生が御指摘のあったとおりでございまして、これまでの行政手法にはないやり方なものですから、やはり地元でかなりの心配、それから取り組みに対するおっくうさといいますか、そういうものが出ていることは事実でございます。
 ただ、私ども、これを進めていく上で、地方公共団体の裁量にゆだねている部分が多いわけでありまして、国は基本となる基準だけを定めておりますので、言ってみれば地域裁量主義の見本のような制度でございます。柔軟性の高い制度だということをよくよくこれからも浸透させなければならないと思っております。
 その中で幾つか言われておりますのは、高齢化が進んで、五年の期間がなかなか約束できないとか、それから農地の一ヘクタール以上という物理的連担性について自信が持てない、あるいは、何かあったときに交付金を返さなきゃいけないんじゃないかといったことがございますので、そういう点につきましては、一つ一つこれを解きほぐすような努力もしております。
 現在、推進に当たっての留意点、あるいは各地域から提起をされました問題点とこれに対する解決策、さらには地域の知恵を生かした取り組み・推進事例というようなものを農林水産省のホームページに載せまして、各地でこういう疑問や心配に対してはこういう解決策があるというふうなことをだれでもアクセスができるようにしております。また、行政ルートだけでは十分ではございませんので、JAであるとか農業会議所のルートも通じまして打ち合わせをしております。
 いずれにしても、せっかくの機会がむだになりませんように、より一層周知徹底を図りたいと思っております。
#157
○後藤(茂)委員 その五年間が中山間地域の高齢化の実態から見て難しいとか、そういうある程度制度的な問題はありますけれども、案外技術的なところで相当に戸惑っている点があると思います。そういうことについては、地方公共団体とともに、市町村とともにうまく対応をしていただくようにお願いをしておきたいと思います。
 それから、今後の耕作放棄地対策について、具体的にどのように措置を講じていくか、もう一度改めて話を聞かせていただきたいと思います。
#158
○渡辺政府参考人 耕作放棄地でありますけれども、まことに恐縮なんですが、これはちょっと古いデータで、七年のセンサスしかまだ公表されておりませんので、その数字、十六万二千ヘクタールが耕作放棄地であります。あと、大ざっぱに申し上げまして、一年で一万ヘクタールぐらいずつこれに重なるかと、ですから、累積でいえば、恐らく、ことしのセンサスが出るころには二十万ヘクタールを超えるぐらいの耕作放棄地が出ている可能性がございます。
 この点につきましては、やはり具体的にこの耕作放棄地がどこにあって、どういう理由で生じているかというふうなことを、個別の事情に応じて対応を考えていかなきゃいけないと思うんです。
 耕作放棄が出る原因としては、一つは担い手がいない、高齢化をしている、ばらばらだ、それから整備がされていない、このようなことでございますので、各市町村に指導をしておりますのは、遊休農地の解消目標というものを定めていただきまして、例えば、簡易な土地整備なども行えるというふうなことを通じて耕作放棄地をもう一度耕作地として掘り起こしていく、それよりも何よりも、これから先、生ずると思われる耕作放棄を出さないようにするということで、中山間地域の直接支払いなども始めているわけでございます。
 一つ一つの積み重ねが、耕作放棄の抑制もしくは解消につながりますので、妙策はございませんけれども、こつこつとやるということに尽きるかと思っております。
#159
○後藤(茂)委員 それでは、次の問題に移りますが、農振法によるゾーニングについて、一言申し上げます。
 将来的には市町村がみずからの地域のことはみずから責任を持って決していくという地方主権が成り立つことを前提に、土地利用規制を強める観点から、もっときめ細かにゾーニングを設定できるようにする。例えば、農用地についても、いかなる性格の農地かなどでゾーニングを設定することが重要と考えます。現在どのような検討をしているか、伺います。
#160
○渡辺政府参考人 これは先生御指摘のとおりでございます。
 実は、旧来の農振法の体系からいきますと、農用地区域内の農地につきましては、農業上の効率的利用が図られるよう、農地、採草放牧地、混牧林地、農業用施設用地、この四つの用途区分だったわけですが、よりきめ細かい区分という必要性が生じましたので、昨年の農振法の改正の中で、農用地区域内の特性にふさわしい農業の振興を図る、そういう必要があると認められるときには、市町村の判断でさらに区分をして特別用途を指定することができるとされたところでございます。
 例示を申し上げますと、大規模な農業経営に適する土地、あるいは都市と農村の交流に資する土地、棚田として保全、整備をする土地といった細区分が可能なわけでございます。
 農振法改正からまだ日が浅いということで、現在、都道府県や市町村はそれぞれ方針や計画の見直し作業を進めているところでございますので、そういう中で、今御指摘のありましたようなきめ細かい区分というのも出てこようかと思っております。
#161
○後藤(茂)委員 ルールなき農地転用を避けるためにもぜひとも必要と考えますので、検討をさらに進めていくべきものと考えます。
 先ほどから農地についての考え方は幾つか申し述べておりますけれども、農地の確保を図る観点からも、土地利用に関する制度全般について、総合的かつ一体的な検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を体系的に講じていくことが肝要です。ゆめゆめ農林水産省だけの仕事ではないなどと逃げ腰にならないように、土地利用は国全体として取り組むべき課題である旨、あえて申し添えます。
 四百七十万ヘクタールの農地を守り、基本計画に定められた目標を達成していくためには、各人がつくりたいものを自由につくることができるようにし、農作物価格の決定は市場にゆだねる、その上で所得について所得補償的な措置を体系的に構築していくべきだと考えます。この点についての大臣の御見解を、できるだけ具体的に聞かせていただきたいと存じます。
#162
○谷国務大臣 ただいま御指摘がございました点については、確かにおっしゃることはよくわかりますけれども、日本列島という我々の国はまことに変化の激しいところでございまして、しかも、山地が多く急傾斜が多い、こういうことからいいまして、所得補償という言葉は簡単でございますけれども、実際問題として、その地域地域の様子によっては、とても所得補償でやり得るようなところは少ないんじゃないか、こう思っております。
 そういうことですから、優良農地というのを確保して、その優良農地をできる限り有効な耕作をする、それに対する補償をするという程度しかできないんじゃないか。今、中山間地域、特に棚田のようなところを今後持続的につくっていくというのもなかなか難しい、こういう状態であります。
 私自身、中山間地域の林野率八〇%に近い町に住んでおりますけれども、私の付近でも耕作放棄地があちこちにございます。一番近いところに、小さい谷でございますけれども、一町五反ぐらいつくっておりましたが、非常に長い谷でございますから、そこに農道をつけるということになると負担金が大変だというので、負担を払うようなことをして農道をつけても、田んぼは減るし、どうしようもないというふうなことから、結局放棄をいたしました。もう十年ほど前に放棄をしましたが、その当時は自分の田んぼに植林をして放棄しましたけれども、今は放棄田をいたしましても植林をするなんということはとてもしない、ただ放棄するだけであります。
 そういうことを考えてみると、国土保全という立場から、大きい視点から考えてみますと、大変難しい。しかも、しなければならぬことはよくわかるものの、実際に農地を所有している方々にどの程度の意欲があるかというと、ないと言ってもいいようなところでございます。
 そういうところに住んでおる私としては、実に地域の実情を知っておるがゆえに、どうしたら今後の町づくりはできるだろうか、あるいは、私が四十年ごろに町長をしておりましたときには一万一千人以上でございましたが、今はもう七千を切っておる、そういうことを考えてみると、本当にこれから十年先はどうかなというふうなことを考えますと、日本全体がどうなっていくだろうということを思いますが、やはり農地というものは国土保全の一端を担っておる大変大切なものでございますので、そういう点では大事だということはわかるんですが、価格保証をするということにつきましてはなかなか難しいというふうな判断を私はしております。
 しかし、そんなことを言っておったのでは先行きが全くないということが言えるわけですから、優良農地についてはそういうことを考えていく必要があるだろうと思いますが、何といっても、自由といって米をつくっていただいても、米をなぜつくるのかといえば、つくりやすいからつくる、耕作しやすいからつくるという単純なことでございまして、所得が上がるからつくるという言い方にもなるかもしれませんが、それほど大きな所得は上がらない、にもかかわらず米はつくりたい、こういう意向がお年寄りの方には特に強いわけであります。
 そういうことを考えて、それじゃ、すべて水田をつくってもらって結構だということになるというと、米余り現象でなくて、米がはっきり余ることは間違いなくわかるわけでございますので、やはり食料自給率の向上ということになると、米をつくるだけでなくて、米以上の所得を保障するようなことでなければとてもいけないだろう、こう思うわけでございまして、なかなか農政の展開というのは難しいなということを思いますが、一つ一つ施策をしながら、農地法の改正でいろいろと法人化を急ぐというふうなこともございますが、そういうことを一つずつしながら、実績を積み重ねていって初めてできるんじゃなかろうかと思っております。
#163
○後藤(茂)委員 大変丁寧な御答弁でしたが、継ぎはぎだらけの品目別の価格政策や経営安定対策だけでいつまでもいいというものではないだろうというふうに思いますが、きょうは時間となりましたので、これで終わります。
#164
○宮路委員長 次に、後藤斎君。
#165
○後藤(斎)委員 まず冒頭、大臣に、十月四日、我々の同僚議員であります小川敏夫さんから、中川前官房長官の質問主意書が出ております。そこで、累次の国会の中で、総理大臣並びに官房長官からも御指摘がありましたが、日本青年社に対して全く関与をしていないということで、大臣も質問主意書の中で、内閣の中で決定をしていると思います。それについて連帯責任があると思うんですが、大臣の御所見をお伺いいたします。
#166
○谷国務大臣 この問題につきましては、中川前官房長官が、私は関係ないということをおっしゃったので、それに従いまして答弁書を書いたというふうに御理解いただきたいと思います。
#167
○後藤(斎)委員 今の答弁では十二分なお答えになっていないと思いますが、きょうは時間が限られている中で、北朝鮮のお米の問題も含めて農地法の改正について御質問したいと思いますので、また次回に譲るとしまして、まず、北朝鮮の米の支援の問題について御質問したいと思います。
 九月の二十九日、石破政務次官が、農水委で、七十五万トンの米の総合対策の中で、WFP等を通じた支援要請、この中身としてこのようにお答えになっています。食糧援助については、若干省きますが、WFPから北朝鮮緊急食糧支援アピールということで、十九万五千トン足りませんよ、このようなアピールを受けて要請を受けましたというふうなお答えをしております。そして、その翌週になりますか、五十万トンが急遽決定をされ、そしてその後、国産米だけということで、一千億程度財政負担を要するという話が決定をされております。
 まず御質問したいのは、なぜ国産米だけでこの援助のスキームを決められたのか、お答えを願いたいと思います。
#168
○高木政府参考人 今回の食糧支援についてでございますが、これは基本的に、人道的観点並びに朝鮮半島をめぐる前向きな動きを後押しするという大局的見地に立って、外交的判断のもとに行われたものと承知をいたしております。
 こういう基本的な観点の上に立って、しからば全量国産米で対応したのはなぜか、こういうお尋ねかと思いますが、これは本年九月に策定をいたしました緊急総合米対策におきまして、国産米七十五万トンを食糧援助用として市場隔離したという方針を決定いたしました。その趣旨を生かしたというのが第一点でございます。
 それから、この国産米は平成七年産と八年産の米でありますけれども、これは低温で適切に管理されておりまして、現時点では主食用としての活用に問題はございません。ただ、問題は、やはり米は生き物でありますので、いずれ時間がたちますと、品質劣化のために主食用から外して、援助用よりも評価の低い用途に振り向けざるを得ないというおそれがあるわけでございます。その観点から見ますと、早急に援助用として活用した方が損失が少ないということがございます。これらの点を総合的に考えまして、全量国産米ということにいたしたわけでございます。
#169
○後藤(斎)委員 同日の新庄参考人からのお話で、これは飼料米ということだと思うんですが、十七万トン、昨年の処理に対して政府の助成が九十億ありましたということで、一万トン当たりというか、五十万トンだと二百六十四億でございます。要すれば、どうお金を、税金を有効に使っていくかという観点が今回の検討ですっぽりと抜け落ちていたような感じがいたします。
 先ほど事例を引いた九月二十九日の石破政務次官がお話しになっているのは、九月から十二月までの間という条件はついておりますが、その当時では十九万五千トン足りませんよということでございます。今、食糧庁長官から、五十万トン、人道的なのだというお話がありましたが、このギャップというのはどこから出ているのでしょうか。
#170
○高木政府参考人 十九万トンというアピールは、ことしの分で、未実行といいますか、足りない分がそれだけある、こういうことでございます。
 WFPによりますと、現行計画では約三十万トンが必要だということであります。それから、ことし大干ばつあるいは台風被害がありまして、次期計画は少なくとも現行計画の約五十八万トン以上の規模となることが事実上確実である、こういう北朝鮮の食糧事情を踏まえまして、先ほど来申し上げておりますが、人道的観点並びに前向きの動きを後押しするという大局的見地に立って、五十万トンということが決定されたわけでございます。
#171
○後藤(斎)委員 この一千億追加で財政負担を要するというふうに思いますが、今回の補正では、外務省の予算取りは百十億程度だというふうに聞いております。この一千億の財政負担、どのように対応して五十万トンの支援を実際していくのか、お答え願いたいと思います。
#172
○高木政府参考人 今回の支援はWFPを通じて支援をする、こういうことでございますが、今の七年産、八年産の国産米の評価額が一トン当たり約二十二万円、現時点での国際価格が約二万円ということでありますから、その差額が一トン当たり二十万円、五十万トンで約一千億円ということでございます。
 この一千億円は、直ちにそれを財政負担ということでは、なかなか現下の状況では厳しいものでありますので、十三年度から三十年間にわたって平準化をして、これを負担するということになりますので、一年当たり三十四、五億円ということになろうかと思います。
#173
○後藤(斎)委員 今のお答えのようなもの、これは国民が本当にわかるかというと、一千億が出、五十万トンが出、そして国産米を緊急輸出するのだという話、まさに人道的ということはもちろんそうだと思いますし、九月二十九日、先ほど来お話ししている政務次官がお答えになった時点で、なぜその五十万トンという数字が出てこなかったかというのは、それ以降、いろいろな御議論があったかと思うのですが、ようやく国民の前に、少しずつですが明らかになってきたと思います。
 そして、北朝鮮の米の緊急援助については、これから、実際にまだ輸出はしていないと思うのですが、スタートしていくと思います。今長官がお答えになったような形で、できるだけ北朝鮮の方に早期に届き、そしてそれが確実に使われるように要望して、次の質問に移りたいと思います。
 今回、農地法の改正ということで、先ほど私の同僚議員からもお話がありましたように、改正のポイントというのは三つくらいに収れんできるのかなというふうに思っています。
 まず、農業生産法人に株式会社的な要件をつける、そこにある程度担い手としての機能を充実させるというふうな話もあります。ただ、先ほど構造改善局長の御答弁を聞いていても、本当に農地の流動化に歯どめがかかり、そして実効性があるものになるか、若干疑問だというふうにも思っています。
 先ほど局長も御答弁をなさっていましたが、農地というのは、この三十年間で百万ヘクタール以上減り続けております。そして、累次の法律改正、そして農用地利用増進法や九三年の農業経営基盤強化促進法、これにおいても実際歯どめがかかっているというふうには決して言えないと思っています。
 この数年間を見ても、四万ヘクタールから五万ヘクタールの農地の壊廃が進んでいます。今四百九十万ヘクタールちょっとの農地面積の中で、ことしの三月に策定をされた食料・農業・農村基本計画において、四百七十万ヘクタールを確保しなければ回っていかないのだというふうなことであるにもかかわらず、この四、五万ヘクタールの壊廃が進むと、平成二十二年どころかあと三年後、平成十五年ぐらいにはその数字になってしまいます。農地の減少に歯どめをかける方策について、今まで農水省としてどんな方策を講じ、それがどんな効果を上げてきたのか、御答弁をお願いします。
#174
○渡辺政府参考人 先ほどもちょっと数字を挙げさせていただきましたけれども、確かに先生御指摘のように、年間の壊廃のスピードというのは、この五年間ぐらい年平均四万七千ヘクタール、こういう状況ですから、その趨勢がそのまま続きますと、平成二十二年には農地の総面積というのは四百四十二万ヘクタールになってしまう、こういうことでございます。
 その場合、先生のお話の中にも多分出てくると思うのですけれども、壊廃のうち半分は耕作放棄です。それから残り半分が転用です。転用については、非農業的利用との間の調整をしながら、やはりある程度出していかなければいけないということでありますので、転用や線引き制度の運用をきちんとやりますけれども、耕作放棄の分野については打つ手がまだあると思うのです。
 それは、耕作放棄が出るのを防止するような条件の不利性を補正してやる、中山間地域の直接支払いというふうな制度が今年度から始まりまして、これで耕作放棄をこれ以上出さないという協定を結ぶことが大前提となっております。
 それから、現に耕作放棄がされております農地につきましても、一定の小規模な機動性のある土地整備をすればこれが復活する可能性もございますので、そういったハードの面、それから不利の補正、さらには流動化推進等を通じて農地の面積をまとめる、まとめた上で基盤整備を行うというふうなことを通じて、先ほど申し上げた、このままでいけば二十六万ヘクタール耕作放棄が生じるであろうものを、二十一万ヘクタール戻して五万ヘクタール程度の耕作放棄にとどめる。そして、一定の農地造成と耕作放棄地の再活用の八万ヘクタール、これをもって何とか四百七十万ヘクタールを確保していきたいというふうに考えている次第でございます。
#175
○後藤(斎)委員 今のお答えの中で、中山間地の話、先ほどもお話がありましたけれども、実際、制度自体が農家、林家の方に受け入れられていないということもあるし、そしてPRも不十分ということもあって、先週くらいの時点で各報道が載せていますように、実際手を挙げている市町村というのは大変少ないということが現実であると思っています。本当に、あと残された五カ月くらいで、本年度の事業として、目玉としてやられた中山間地の直接所得補償というもので、農地の利用をもっと高めるんだというふうなことができるのかどうか。先週くらいにまとめた数字をもとに、もう一度その点についてお伺いしたいと思います。
#176
○渡辺政府参考人 大ざっぱに申し上げまして、各都道府県がこれぐらいの地域について直接支払い制度をやりたい、そのために集落協定を結びたいといった目標面積に対して、現況は約七割でございます。ただ、この七割は平均でありまして、地域によって相当な差があります。
 例えば北海道とか岩手県のように、知事みずから音頭をとり、知事みずから進行管理の計画表をもって、なぜこの市町村からこの数字が上がってこない、その理由は何だ、それを除去するためにはどうしたらいいかというふうな取り組み姿勢を持っているところは、先ほど申し上げましたように八割から十割という該当率なわけであります。
 したがって、新しい制度で不安も多いのだろうと思うのですけれども、それを一つ一つ解消していくだけの熱意と取り組みをすれば、まだ一カ月残された十一月末の期限内に相当キャッチアップができるというふうに思っておりますし、そのためにまた直接支払いの便利帳のようなものも農林水産省のホームページに開催をいたしまして、だれでもアクセスができて、よその県では、よその市町村ではどうなっているかということを参考にできるような作業をこれから積み重ねていきたいと思っております。
 ぜひ新しい制度で、農業者の方々にとって今年度の分を受け取ることが大事なことでありますので、努力を積み重ねたいと思います。
#177
○後藤(斎)委員 今二度お答えをいただいた中で、実際効果が上がっていないという裏づけのようなお答えでもあると思うんです。
 と申しますのは、平成五年、ちょうど七年前に、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案のときの附帯決議の四項目めに、構造政策の推進に当たって、転用許可制度の厳正な運用や土地利用区分の明確化等で、優良農地の確保、そして耕作放棄地の解消を図る施策の充実を図るというふうにうたっているわけですね。そして、この七年間のまさに耕作放棄地の解消というのは、増大をしたものの、減少は全くしていない。農用地利用増進法で利用計画ができている十二万ヘクタールをはるかに上回る二十万ヘクタールを超える耕作放棄地がある。七年前のこの決定は何だったんでしょうか。政務次官、お答え願います。
#178
○石破政務次官 お答えを申し上げます。
 確かに、七年前にそういうふうな目標を掲げてやらせていただいております。ただ、るるお答えを政府参考人等々から申し上げておりますように、耕作放棄というのは一体何によって起こるんでしょうかということでございます。それは結局のところ、いろいろな理由はございますけれども、それをやって見合うだけの所得が得られないんだろうということが大きな理由でありましょう。後継者がいないとか高齢化が進んでおるとか、また機械を入れるにも土地が不整形であるとか、連担化が進んでおらぬとか、いろいろな理由があるのだろうと思っております。
 念のために申し上げますが、先ほど来お話があります直接所得補償という言い方は、私どもはいたしておりません、直接支払いという形をしております。
 どういうような形で集落を維持し、耕作放棄をしないか、それを集落として集団的に取り組んでいただけるか。これは、委員御案内のとおり、本邦初演の制度でございます。先ほど局長がお答えしましたように、北海道でありますとか岩手でありますとか、そういうふうに自治体が本当に熱意を持って、先ほど地方主権というお話もありましたが、この制度を利用しない手があるものかということで積極的にやられるところと、制度自体全く理解をしていないところと差が出るのは当たり前のお話でございます。国から直接お金をお支払いする、この制度は、私どもは祈りにも似た気持ちでつくっておるわけでございまして、従来の反省をもとにこのような制度を入れておるわけでございます。
#179
○後藤(斎)委員 あと十年たって、日本農業のあり方が、特に農地の確保という点で、先ほど局長、政務次官から今お答えになっていただいたような中で、実質的に効果があるように、ぜひともお願いをしたいと思います。
 そして、今回の農地法の改正のもう一つの目玉は、今回株式会社も農業生産法人の中に入れ込んだということで、要件の適合性をどう担保していくかということが大きなものになっていると思います。
 従来、農業生産法人といえども株式会社の形態を入れ込んでこなかったというのは、いろいろな過去からの調査会の中で、株式会社の農地の権利取得を認めるべきでないという意見の一番重立ったものとして、不耕作か転用を目的とする投機的な農地の取得を完全に排除することができなくて、無秩序な農地転用につながりかねないということであります。
 そこで、先ほど農地の番人だと言われている農業委員会の役割ということになってくるわけなんですが、実際、この農業委員会が仕事をしていくに当たって、幾つか、各農業委員会も含めて話をお伺いしました。現在、農業委員と言われている方、全国で六万人ほどいらっしゃるということであります。そして、公選制の委員の方と選任委員の方がその中には含まれております。
 農業委員会のあり方を考えるときに、正直申しまして、私も愕然とした数字が出てきたのですが、農林省から農業委員会への交付金ということで、それと自治体独自の予算を使って農業委員会の手当と称していると思うのですが、ほとんどゼロに近い方の町村も幾つかございます。
 そして、全国六万人の方が本当に必要なのかという議論が数年前にあって、それがまさに食料・農業・農村基本計画を策定する際に、農業委員会も含めた組織体系、もっと効率化をしろ、効率化ということはもっと合理化をしろということのイコールでもあると思うんですが、本当にこの農業委員会がチェック機能を担保していくために、これから農水省としてどんなふうな方策を考えていくのか、まず御答弁をお願いします。
#180
○石原政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま農業委員会の問題について幾つかお尋ねがございましたが、まず公選制の問題でございます。ただいま委員の方からお話ございましたように、十一年の数字でございますが、農業委員の数は現在約六万人弱というふうになっております。そのうち選挙で選ばれている方が四万五千弱ということでございまして、七割余りが選挙で選ばれているということでございます。
 それで、この農業委員の選出方法については、二つの意見といいますか、考え方があるというふうに承知しておりますけれども、一つは、農業委員会は、今我が国の農業であるいは農政で求められておりますのは構造政策でございますので、この構造政策に、より一層積極的に取り組むべきだという考え方でございます。そのためには、いろいろな農地制度とか、そういうことに通じた方を農業委員とする方がいいということで、任命制に改めるべきだという考え方でございます。
 他方で、農業委員は農業者の代表だという意識も非常に強くございまして、農業者の代表という性格を重視する立場の方々からは、現在の公選制は維持しろという御指摘がございます。
 我々、この問題につきましては、農林水産省の研究会というものを開きまして、その場でも検討を進めてまいりましたが、農業を取り巻く情勢が変化する中で、今後の農業委員会の機能といいますか、より重視する役割として、構造政策の推進を主体としていくのか、あるいは農業者の代表というその性格を重視していくのかという点につきましては、にわかには結論を出すことは難しいというふうに考えております。この点は、農業者の代表ということになりますと、他の農業団体との関係、この辺も整理しなければなりません。そういうことを考えますと、にわかに結論を出すことはなかなか難しいと考えております。
 他方で、基本法に基づきまして、ことしの三月に食料・農業・農村基本計画が閣議決定されまして、この食料・農業・農村基本計画の中では、農業委員会系統組織については、優良農地の確保及びその有効利用、担い手の育成及び確保等の役割を効率的かつ十分に果たすため、組織体制の適正化や組織の効率的な再編整備に必要な施策を推進することとされているところでございます。方向としては、構造政策の推進、そちらの方により力を入れた方がいいのではないか、そういう観点から組織の見直しをしろということでございます。
 そういうこともございまして、我々、この公選制の問題につきましては、この基本計画に示されました農業委員会系統組織の役割等を踏まえまして、この系統組織のあり方を検討する中で答えを見出していきたいというふうに考えているところでございます。
#181
○後藤(斎)委員 今経済局長からのお話、もちろん一生懸命やっているんだ、特にこれからの課題として構造政策に力点を置いてやっているのだと言っても、実際、農業経営基盤強化促進法が発足をしたときにも、地域内に非耕作農地が発生したら、その有効利用を指導したり、人を見つけたりという機能も、要するに、そういう人たちに勧告できるような権限も農業委員会に持たせたはずです。
 ただ、私だけかもしれませんが、その指導権や勧告権を発動したということを聞いた事例がほとんどございません。幾らやるやると言っても、先ほどもちょっとお話ししたように、農業委員といえども行政委員で、何らかの手当をいただいても、それが年間で二十万を超すケースというのはほとんどない。その人たちが本気で、例えば今回の法律改正の中で、株式会社の農業生産法人が入るときの許可をする行為、年間のフォローをする行為、そして株式会社が、もう農業はやめで、農地をあっせんしてくれと言ったときに、本当に今の財政規模と人的な支出の中で対応可能なのか、もう一度経済局長に御答弁をお願いします。
#182
○石原政府参考人 確かに、農業委員会の関係の予算等は、予算もこのところ全体としては減少いたしております。農業委員会の予算は、大きく分けますと二つに分かれますが、一つは交付金というものでございますし、一つは補助金というものでございます。この交付金につきましては、財政の厳しい状況の中で予算をできるだけ効果的、重点的に活用するという観点から、交付金の削減を行ってきているところでございまして、農林水産省といたしましては、その中で必要な補助事業の拡充を行ってきたところでございます。
 先ほど勧告等のお話がございました。そういうものについて十分やっているかという御指摘がございましたけれども、我々は、予算面では、必要な予算の拡充を行ってきたというふうに考えているところでございます。
#183
○後藤(斎)委員 今回、先ほどお話をしましたように、例えば農外資本によって経営支配が行われるかどうか、いや、行われないように、業務執行役員の人数であるとか、そういうものを今回の改正農地法では規定をしているはずなのです。
 そこで、今の二回お答えをいただいた中で、農業委員会の委員の方はほとんど耕作者というか、農業を営む方、逆に言えば、ここまで農地が転用され、そして優良農地の確保が、先ほど次官がお話をされたように、難しい問題もあってなかなか思ったように進まないのだと。
 では、一方で、農業委員会も本当に責任ないし責務を果たしているのか。ある農業委員の方がこうおっしゃいました。おれは農地転用の権限を持っているんだと。転用権限を持つなんというのは、たくさんあるうちの仕事の一つであって、まさに経済局長がお答えになられたように、構造政策ないし集落、農村の大きな単位として、どう本当に農業を活性化させ、担い手を育成しているのか、それを指導したり知恵を絞ったりするのが本来の役割だと思っているのです。
 政務次官に御質問をします。
 そんな中で、これから農業委員会を、本当にこのチェック機能が担保されるようなものに、次官として対応していくお考え、御決意をぜひともお聞かせ願えますか。
#184
○石破政務次官 お答えを申し上げます。
 今委員御指摘のように、すごく口の悪い人は、農業委員会ではなくて農地転用委員会ではないか、こう言う人もいるわけですね。しかし、農業委員会がちゃんと動きませんと、いわゆる投機的な取引とかなんとか、そういうものを予防するということができない、構造政策にも資することにならない、何のために株式会社を限定的とはいえ認めたのか、わけがわからぬということになるわけです。
 そうしますと、農業委員というのも、御案内のとおり公選法に基づいて選挙もしているのですが、選挙が行われたという話を余り聞かない。私も十五年国会議員をやっていますが、農業委員さんの選挙というのは一回しか行ったことがないのでありまして、それは県によって違いますけれども。
 先ほど来お答えしておりますように、本当に地域の代表として、農業者の声を生かしながら、それが構造政策に資するために、農業委員会のこれから先、機能のあり方、委員の方お一人お一人、まじめな方、一生懸命やっている方が多いと思いますが、さらにスキルアップのための研修、地域の議論、そういうものをやって、地元の方々の御理解を得ながら、農業委員会はこういう仕事をするんですよということをクリアにしていかないと、なかなかこの制度は難しいだろうというふうに思っております。
 もう一度制度の原点に立ち返って、私どもも、農業委員会ともどもやってまいりたいし、その改善のあり方につきまして今検討を進めておるところでございます。
#185
○後藤(斎)委員 農業委員会について、最後に、これはお答えは要りませんけれども、次の質問に移ります。
 私の地元の中で、これは昨年十一月の数字であります、人口五百八十八名、農家戸数が二十九戸、農業就業者と言われる方が七人しかと言っていいと思いますが、いない村であります。そこの農業委員の方の数は、農業就業者を上回る十人います。こんな点も含めて、ぜひ御検討をお願いしたいというふうに思います。
 次に、農地の確保と並んで、もう一点、担い手について御質問をさせていただきます。
 担い手につきましても、今回、株式会社を農業生産法人の中に、業というか形態として入れ込んだということ、これは先ほど同僚の後藤茂之さんからもお話がありましたように、一つの大きなステップだというふうには理解はしています。
 ただ、幾ら担い手担い手と言っても、先ほどの次官のお話にありましたように、所得格差がこんなにある中で、本気で農業の中に入ってくる人がいない。これは農業白書を見ても本当に明らかなように、実際、農業就業人口というのは、六十歳以上、通常のサラリーマンの方であれば定年を迎える人口が、昭和三十五年には一六%、昭和五十年には二九%、そして、まだ平成十二年度分が出ておりませんが、平成七年にはもう六〇%にならんとする方が、高齢者と言われている六十歳以上の方が農業を担われています。
 そして、新規就農者も、徐々にふえているというふうにいっても、新規学卒者、通常若い人と言われている方はほとんど増加をしておりません。むしろ、離職就農者と言われている方の割合がふえてくることで、新規就農者全体としたらややふえているかなということであります。実際の所得格差というのは、大きな会社で見れば、農業所得が三分の一に満たない。隣の町工場の中小企業にお勤めになっている若い方に比べても、所得ベースで見ると半分くらいもないというふうに言われています。
 今まで農林省では、中核農家とか自立経営農家だとか、いろいろなネーミングをお考えになって、何とか担い手に夢を与えようというお気持ちはよくわかります。そして、認定農家という制度が出てきました。
 ただ、まだ制度の根幹は、農業で本当に食っていく人と、資産保有とか、何とか転用をうまくできればいいなというふうに思っている人と、十把一からげで実際の政策をやっている。これは米の減反政策が典型であるというふうに考えています。
 構造政策を本当に有効に推進するためには、村意識、ばらまき農政みたいなものでなくて、本当に農業を農業としてやっていく、株式会社の形態も一部そういうふうになってくると思うのですが、今後、株式会社も含めた農業生産法人が、先ほどの基本計画の見通しでは三、四万戸になるというふうに、戸数は十年後の明示をしておりますが、それが、例えばお米とか、そういう中でどういうふうなウエートを持っていくのか、そしてそこにどんな政策を集中的にやっていくのか、農林省にお伺いしたいと思います。
#186
○渡辺政府参考人 基本法の中で、効率的かつ安定的な担い手を育成するということをうたっているわけでありますけれども、その際のメルクマールとしては、この三月の構造展望なり経営展望でも示しておりますが、地域の他産業従事者に比べて遜色のない生涯所得と労働時間ということがやはりメルクマールになると思うのです。そういう前提のもとでいろいろな施策をそこに集中していくということになります。
 今、幸い認定農業者の数が年々増加をしておりまして、十六万弱になっております。こういう方々に、着業からリタイアまで、それぞれの発展段階に応じて政策を体系的に整理して、集中的に投じていくということがこれから私どもに求められるところだろうと思っております。
 先ほどもコメントいたしましたけれども、農地の流動化なり低利の資金の融通といったことのほかに、十二年度からは経営構造対策の中核にこの担い手を据える、あるいは稲作経営安定対策において補てん割合を他の農業者よりも高めるといったような方向をたどっております。もちろん、担い手といっても、地域の実情に応じて、画一ではありませんけれども、そのそれぞれに対して、この担い手であればこの地域を将来しょっていけるというふうな人たちに施策を集中するということは、これから先も充実強化をしていきたいと思っております。
#187
○後藤(斎)委員 時間もそろそろなくなってきたので、最後の御質問をしたいと思います。
 先ほども話がありましたように、品目別の構造政策というか、経営安定対策を今立てております。それはまだ、今局長がお答えになったように、本当に農業でやっていく人に、意欲を持ってその中に飛び込もうというところまでインセンティブが働いていないと思っています。
 これからは、品目別ではなくて、もっと経営自体を安定させる一つの事例が、フランスで昨年スタートをしたと言われています経営に関する国土契約、CTEという契約があると思います。食料、農業基本法の中の七条で、国は、食料、農業及び農村に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有するという、食料の安定供給に関する供給責任があるはずなんです。四百七十万ヘクタールを目標面積に掲げ、その掲げたことは非常に大きな意味合いがありますし、自給率を総合で四五%まで持っていこうという意思もよくわかります。
 要は、これから本当に、担い手、農地、その二つの大きな生産要素を含めて、農林省がこれから国民に、農家の方に、安定して仕事もでき、そして食料供給も大丈夫だよというメッセージを発信し続けるかどうかにかかっていると思います。最後に、その点について次官にお伺いします。
#188
○石破政務次官 お答えを申し上げます。
 先ほど、フランス語でどう発音するのか私はわかりませんが、CTEのお話がございました。これは、要は契約なんです。直接支払いをやりますときにも、ばらまきじゃだめだという話をしたんです、何かの行為に対する対価でなければお金は支払えませんと。それは耕作放棄防止であり、集落の維持であり、そういうことに対する対価でなければとても納税者の納得は得られないということで、そういう構成にしておるわけでございます。
 私どもは、委員御指摘のように、ばらまきをやろうとは全く思っておりません。確かに経営として見なければいけませんが、所得が足りないので全部金をばらまいて所得を一定にする、それが維持する方法だということであれば、それは農林水産省の役目ではないんだろうというふうに思っております。
 基本的には、るるお答えをしておりますように、構造政策によってこれを実現したい。構造政策、規模の拡大というものを担い手に集中させるために、もう少し施策を集中していきたいというふうに思っております。
 ただ、先ほど前の委員の御質問にもございましたが、それじゃ自由につくればいいじゃないかという話にはこれはならないんですね。社会的なコストを全部計算してみますと、そっちの方が余計にかかるわけでありまして、構造政策の達成のために、そしてまた社会的コストをいかに少なくするかということの過程においてこういうようなことを考えておるわけでございます。今回の改正を機にいたしまして、なお一層それに拍車をかけてまいりたい、そのように考えておりますので、どうか御理解を賜りたいと存じます。
#189
○後藤(斎)委員 以上で終わります。
#190
○宮路委員長 次に、三村申吾君。
#191
○三村委員 民主党・無所属クラブの無所属クラブの方の三村申吾でございます。
 さて、総理の所信にすらITという言葉が乱発される事態からして、この国も本格的にデジタル情報化社会に突入した、そのように考えるわけでございますが、それならばこそ、物づくりそのものであり、生命の根本をはぐくむ農林水産業の大切さを谷大臣同様にいとおしみ、守り抜く思いでこの場に立たせていただきました。
 そして、本日は農地法の審議ということでございますので、大変アナログ的ではありますけれども、私ども青森の農地にも、いよいよ君たちのことを本気で考えてくれているらしいぞということで、その審議の様子を見せてやりたくて、田んぼと畑を連れてきた次第でございます。来週には畑、田んぼに返します。
 一つは、私ども大変なやませ地帯でございます。ある年には大変な冷害がございます。その中でも打ちかって実りというものを続けてきた北の達人と呼ばれる方がおるのですが、青森の六戸の小林さんという篤農家の田んぼを連れてきました。
 もう一つは、畑の代表は何かないかと県の方に聞きましたらば、おたくの町、まあ自分が町長をしていたのですが、田中君の畑の土が特上だということで、こういうのをつくっているのですけれども、では田中君よ、一緒に行って国会を見てくるかということで、持ってきた次第でございます。田中君は、実は野菜の品目に合わせて土づくりを本当によくします。土と結婚したような青年ですが、一つの町にこういった農業青年が十人も踏ん張ってくれれば農業も元気になるわけでございます。
 ちなみに、どちらもかつての土地改良事業の恩恵を受けているということは正直にお伝えいたします。
 実は私も、谷大臣と同じく、小さな町の町長を三十五歳から務めておりました。たくさんの実務の中で、農地を荒廃からどう守るか、またその農地を本気で耕してくれる方々をどう維持していくか、農業技術の伝承であるとか開発等、農業は未来のある仕事であると町長としては話はするんですけれども、実際の生活のことを考えた場合に、どうやって助けてやったらいいか、毎日が苦心と工夫と創造の連続でございました。
 そこで、本日、長年にわたりまして地道に、過疎や過疎地の振興の問題に誠実に取り組んでこられました一人の政治家として、党派、会派を超えまして、敬意を抱いております谷大臣に質問の機会を得ましたことを喜びとしながら、まず大臣にお尋ねをいたします。
 今回の農地法改正を貫く根本的な理念には、担い手がいかに多様化しようとも、活力と生命力にあふれる優良な土壌、土そのものを、そして今後、その土づくりを担う者たちを守り抜いていくという決意があるものと自分自身信じるわけでございますが、すべてはこの十年間、農業はこの十年間が施策の勝負であると思います。
 大臣は、農業あるいは土壌、土を守ることに対して、本法改正のみならず、新基本法に沿った施策をどのように推進する御決意でしょうか。御持論をあわせて拝聴させていただければありがたく存ずる次第でございます。
 また、以下三点、局長に簡便に御答弁願いたいんですが、地域農業発展のため、多様な担い手を育成する上での法人化の推進は、どのような役割を現地において果たしていくのでしょうか。
 また、優良な農地を確保し、担い手への農地集積を進める方策をいかに考えておいででしょうか。その際、転用は適切に確実に制限される中でそういうことが行われるのでしょうか。
 三点目でございますが、自分自身、首長の経験者として伺いますが、地方公共団体の法人への出資には、担い手育成、耕作放棄地の解消などの観点から、どのような意義があるとお考えでしょうか。
 それぞれ御答弁願いたく存じます。
#192
○谷国務大臣 私は、土づくりとおっしゃいましたけれども、このことは新しい言葉ではないと思うんです。
 古きをたずねて新しきを知るという言葉があるとおりに、私自身も昭和二十年、三十年は百姓をしておりました。しかし、その当時も、山の草を畑に入れたり、田んぼに特に入れたりして、今の言葉で言えば有機農業をやってきたと思っておるんです。それが今の言葉で言えば有機農業ということですから、土づくりは有機農業と直結するものである。そして、それによってやはり農業が、しっかりした足腰ができると思っておるんですが、それをやってもらえないのが今の悩みじゃなかろうかとあえて言えば思っております。土づくりは一番大事な要素であります。
#193
○渡辺政府参考人 私に三点御質問がございました。
 一点目の多様な担い手の育成は重要だという点ですが、これは私どももそのとおりだろうと思います。
 ただ、担い手というのは、先ほど来の御議論にもありましたけれども、全国画一ではございません。やはり地域の実情に応じて多様であるべきであります。したがって、地域によっては、個別経営だけでは地域農業を維持していくことが困難な場合、サービス事業体だとか市町村の三セクだとか、いろいろなものがその地域地域で育っていくべきものであろうと思っております。
 今回の法改正によりまして、農業者の選択肢と活動の幅が広がるわけでありますので、個別経営の法人化を促すだけではなくて、集落営農が法人化をする、あるいは第三セクターが農作業の受託だけから始まって農地を所有するというところまで広がっていける、そういう効果があろうと思っています。
 二つ目の、農地集積の前提として優良農地の確保の問題でありますが、さきの国会で農振制度を改正していただきました。この農振制度の改正に伴いまして、この三月に、私どもは国の方針として、優良農地を平成二十二年に農振農用地区域内に四百十七万ヘクタール確保するという方向を示しております。
 転用の厳正な運用と農振制度を通じた線引きの中で、農地を農業生産に支障のないようにきちんと確保していきたいと思っておりますし、最も今大事な問題として、先ほど来御指摘がある、壊廃の半分を占める耕作放棄の抑制に向けた施策も講ずるつもりでございます。
 最後に、地方公共団体の農業生産法人への出資の問題でありますが、これは二つ目的がございます。
 一つは、やはり条件が不利な地域で農業生産法人が活動する場合に、地域農業の下支えといいますか、底支えを市町村や都道府県がやることができるということで、農業生産法人の活動がより自由に活発化できるというメリットを持っておりますし、二つ目といたしましては、既に中山間地域等で、市町村が第三セクターを設置して農作業の受託等の活動を行っておりますが、それらが農地に関する権利を取得して、その活動を一層強化することが可能になります。ひいては耕作放棄の防止、解消にもつながるということで、地方公共団体の出資には、私どもは大きな期待をかけております。
#194
○三村委員 ありがとうございます。
 実は大臣、恐縮でございますが、いわば本改正のみならず、新基本法に沿ってどういう施策を今後大きく推進するかということもお伺いしたつもりでございましたが、また次の質問とあわせてお答えいただければと思う次第でございます。
 特に、谷大臣、私自身、地元に多くの過疎地を抱えるものでございます。何らかの機会にこれまでのたくさんの御経験、御持論をさらに拝聴できればと思うわけでございますが、とにかく土を泣かせない農政というものの展開だけは心からお願いいたしたいと思う次第でございます。
 さて、時間も限られております。
 実は、魚介類の三三〇%の自給率と七百四十五キロの海岸線、沿岸線を有する私ども青森にとりまして、海の問題をちょっとお伺いしたいのでございます。
 海は、おかの田んぼや畑の土そのものなのでございます。この豊かな海、恵みの海というものが、沿岸というものが、まき網漁法あるいはトロール漁法による乱獲によって、今や農地同様荒廃の危機にあるのでございます。
 大臣は、林野の専門家として資源循環型社会を説かれておいででございます。共感するところ大でございますが、海こそまさに、生態系の循環を適正に守り、資源を管理し、環境保全の努力を不断に続けることで、未来にわたってこの国の食料生産と産業、仕事の場として大きな役割を担い続ける場であるということは、私が申すまでもございません。
 しかしながら、現状、太平洋とか津軽海峡、日本海、私どもの近辺の例を挙げますが、沿岸のイカ釣り漁業者と沖合のまき網漁業、トロール漁業がスルメイカ等同一の水産資源を対象に操業しておりまして、この結果、漁場や資源の利用をめぐって大変に紛争、競合が多く見られておるのでございます。こうした解決には、沿岸と沖合の漁業者が話し合い、漁場や資源利用のルールを定めることが最も重要であると考えますが、当事者同士の話し合いにゆだねてばかりいては、なかなか解決が困難な面もございます。
 一方、我が国周辺水域における水産資源については、総じて資源水準が低位にあり、いずれの漁業においても大変に厳しい状況にあります。早急な資源の回復を図るために、関係漁業者が協力した上で資源保護や漁獲努力規制を行っていくことが重要であると考えるのでございます。
 そこで、水産庁にお尋ねをいたします。
 水産資源の持続的な利用を基本として、それぞれの漁業者が適正に共存共栄していくために、沿岸と沖合の漁業者が、例えば生態系の循環を基準とした新たな操業ラインの線引き等諸問題について話し合える場の設置について、いかがお考えでございましょうか。
 そして、時間も迫っておりますので、最後に、資源循環型社会を提言しておいでの大臣に特にお尋ねをいたします。悪化しております水産資源の循環と生態系の循環の回復に向け、国としてどのように積極的に施策をお進めになるお考えでございましょうか。
 以上二点につきましての御答弁、よろしくお願いいたします。
#195
○中須政府参考人 第一点目のお尋ねでございますが、今、青森県で、例が出されましたように、沿岸漁業と沖合漁業との間で漁場の利用あるいは資源の利用に関してトラブルが発生する、全国でも間々あるわけでございます。
 こういった場合には、私ども、もちろんその紛争の内容なり形態ということに応じてではありますが、都道府県と協力いたしまして、両当事者間の話し合いによる解決が図られるよう、国みずからも関係者に対して指導、あっせん等に努める、こういうラインを基本に対応しております。
 そしてまた、特に最近における水産政策、御承知のとおり、資源ということを重視していく、そういう意味で、TACの制度が新たに実施をされておりますし、資源管理型漁業ということが言われている中におきましては、資源の利用をめぐって、沿岸漁業者、沖合漁業者の協調をどう図っていくか、大変重要な課題だということでありまして、個別のトラブルということではなくして、中央漁業調整審議会のもとにブロック別に広域の関係漁業者に集まっていただいて、水産資源の維持、増大と海面の合理的な利用あるいは調整ということについて恒常的に話し合う場をつくるということで、平成十年からそういった活動にも取り組んでいるところでございます。
 いずれにいたしましても、これから資源の持続的利用を実現していく、そういう意味では、沿岸漁業と沖合漁業、特に同一の資源というものを利用する場合には、その協調なりそういう姿勢を欠かすことができません。そういう意味で、トラブルは当事者間で解決するということが基本ではありますが、必要に応じて国も積極的にそういった場に出かけていって、円滑な話し合いが行われる、資源の保存という観点に立った円滑な解決が図られるよう、引き続き努力をしていきたいというふうに思っております。
#196
○谷国務大臣 水産の関係について私の考え方を申し上げますならば、戦後五十余年にわたりますが、だんだんと船が整備されてまいりまして、装具も整ってまいりました。そういう意味では、どんどん魚を大量にとってきたということが言えます。また、戦前は、世界をまたにかけてとりまくっておったことも事実でございます。そういうことを考えてみると、二百海里宣言が行われてからこちらは、装備もよくなり、船も大型になったということから考えて、とりまくっておるということになるかと思います。
 そういう意味では、また別の話ですが、北海道に端を発しまして、河川に木を植えよう、また木を育てようというふうなムードで、川をきれいに、そして魚をふやそうというムードも全国的に出てまいりました。こういうことを考えてみると、循環型ということが地についてきたということも言えるわけでございますが、やはりたくさんとりまくってきたということも事実でございますから、どうしても、資源を大事にしようということで漁法等についても相当制限をしてきたことも事実でございます。減船したことも事実であります。
 そういうことを考えてみると、そういう減船ということを中心にして、新しい漁法も、昔でいえば地獄網のようなものを余り使用せずにやろうというふうなことを、まず二百海里の中において我々がそういう考えでやることが必要じゃなかろうかと思っております。
 十一月の三日に韓国に参りまして、韓国の水産大臣と長い時間話をさせていただきましたが、私どもは、韓国が現在やっておる手法、余りにも大量に、一網打尽にとるようなことはやめてほしいと言うわけでございますが、長年にわたってやっておるのでそうは簡単にいかない、こう言っております。
 そういうことでございますが、ことしはできなくても、できるだけ早くそういうことを実行に移して、日本海という海を占有されないようにしなければいけない、そして、つくり育てる漁業というものを伸ばしていくことが大事じゃなかろうか、こういうふうに思っております。
 お答えになったかどうかと思いますが、私の考えを申し上げたわけであります。
#197
○三村委員 時間ではありますが、大臣から地獄網というすごい言葉がございましたが、小さい魚も、大きい網がこうやっていくとひっかかってしまう、まさしくどんな小魚でも、このトロールという形、まき網という形においては、せっかく順番に大きくなってきた魚が小さいうちに壊滅的な打撃を受けてしまう、そういう現状がございます。何とぞ、漁法の中におきまして、まき網、トロールの部分について考えてもらいたい。
 また、沿岸と沖合とのいわば操業ラインのことにつきましても、資源がきちっと、魚が、生態系の循環が果たされるように、その形で線引きを考え直していただきたい。
 そのことをお願いいたしまして、時間でございますので、質問を終えさせていただく次第でございます。大変どうもありがとうございました。
#198
○宮路委員長 次に、山口壯君。
#199
○山口(壯)委員 無所属クラブの山口壯と申します。よろしくお願いします。
 きょうは農地法の改正が主題なので、一問お尋ねしたいと思うんですけれども、今後さらに輸入農産物との競争が激しくなることが予想される中で、アメリカとか、大規模農業に日本の農業がやられないためには、今回の農地法改正では不十分ではないか。そういう意味では、将来的には法人形態の要件をさらに緩和して、農業経営の法人化を推進する必要があると考えますけれども、農水大臣のお考えはいかがでしょうか。
#200
○谷国務大臣 私が専業農家という言葉を使いましたけれども、同じ考えで農業生産法人をつくるということは、これからの時代としては当然なことだと思っておりますので、そういう方向で今回の農地法の改正も出しておるわけであります。どうか御理解いただきまして、よろしくお願いしたいと思います。
#201
○山口(壯)委員 今の大臣の御答弁では、将来的にもさらなる緩和があり得るというふうにも受け取れるんですけれども、そういう考え方でよろしいでしょうか、確認いただきます。
#202
○谷国務大臣 もともと、農業と株式会社はかみ合わないという考え方も非常に強くございました。それが今日、一定の条件を付して株式会社にしたということも、これは大変な変化でございます。ですから、時代の様子を見てどんどん変化をさせていくことも、農業としては当然必要なことだと思っております。
#203
○山口(壯)委員 ありがとうございます。
 次に、我が国農業が今後抱える問題としては、遺伝子の組み換え作物というのがあると思います。そういう意味で、その対応あるいは政策についてはっきりしておかなければ、我々の抱えている問題、特に日本の農家を守っていくという観点からもそれが求められていると思います。
 欧米では、バイオの研究が我が国より非常に進んでいますから、遺伝子の組み換え作物として新しいものがどんどん生まれているわけですけれども、日本の農業を守るという観点から、この遺伝子組み換え作物についての我が国としての対応、政策についてお聞きしたいと思います。
 農水省の管轄としては家畜の飼料があると思います。食品の方は厚生省だと思いますけれども、この家畜の飼料について、我が国に入ってくる作物について、遺伝子組み換えについての安全性が確認されていないものが日本に入ってこないよう万全を期することが非常に重要であると思います。谷大臣のお考えはいかがでしょうか。
#204
○石破政務次官 お許しをいただきまして、私の方からお答えをさせていただきます。
 恐らく委員は、スターリンクのことも念頭に置いての御質問ではなかろうかなというふうに思っておるわけでございますが、この遺伝子組み換えの問題につきましては、アメリカとEUの間でもいろいろな論争のあるところであります。どちらが挙証責任を持つか云々かんぬん、まだ明確な結論も出ていないところでございますが、私どもといたしましては、安全性確認を受けていない遺伝子組み換え作物が輸入されないこと、それを担保いたしますことは極めて重要な課題である、そのような認識を持っておるわけでございます。
 したがいまして、我が国における遺伝子組み換え作物につきましての安全性確認は、その開発業者が、品質の開発の後に、流通いたしますまでに安全性確認が終了いたしますように、事前に、食品の安全性については厚生省、環境への安全性及びえさとしての安全性につきましては我が農林水産省に申請をすること、それを前提といたしておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、これによりまして、安全性確認を受けたもののみが我が国に輸入される、それを担保することに最大限努力をいたしておるところでございます。
    〔委員長退席、松下委員長代理着席〕
#205
○山口(壯)委員 今の次官のお答えだと、開発業者に責任があるというような答えにも聞こえるんですけれども、むしろ我々は、それが入ってこないように水際でしっかりチェックしなければいけないと思います。
 そういう意味では、農水省として検査の対象作物をどういうふうに考えておられるのか、あるいは検査機器がしっかりしているのか、さらには検査人員がしっかりいるのか、そういうことについてはどうでしょうか、お答えいただけますか。
#206
○石破政務次官 誤解を与えるような答弁をしたらお許しをいただきたいと存じます。私ども、開発業者に責任があるというようなことは申しておりません。それをチェックすることが当然私どもの責務であるというふうに認識をいたしておるわけでございます。
 御指摘のその体制等々どうなっておるかということでございます。ですから、機関でありますとか人員でありますとか対象をどういうふうにするのか、そういうような御関心ではなかろうかというふうに思っております。
 御案内のとおり、水際におきましては肥飼料検査所を全国に六カ所設置いたしております。そこの検査所が安全性確認を受けていないものの有無につきましてモニタリングを実施いたしまして、安全性確認を受けていない遺伝子組み換え飼料の流通防止に努めておるところでございます。
 このモニタリング検査につきましては、えさの主原料でありますトウモロコシが対象になっております。遺伝子組み換え体に特有のDNAを確認いたしますPCR法、たんぱく質を確認するエライザ法、そのような手法を用いまして組み換え体の混入の有無を確認いたしておるわけでございます。
 今回、今までそれが六十件程度でございましたものを百件程度に増加をいたしまして万全を期してまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
#207
○山口(壯)委員 今、次官から六カ所という数字もありましたけれども、これで十分とお考えなのかどうか、その辺いかがでしょうか。
#208
○石破政務次官 えさがどこから入ってくるかということでございます。六カ所がどのようなところに分布をしておるかと申しますと、これは北海道から九州まで分布をしておるわけでございますが、えさは主に、御案内のとおりアメリカから輸入をしておるわけでございます。アメリカからの輸入につきましては、現在の体制でこれを百カ所に上げることによりましてほとんど全部を網羅できる、遺伝子組み換えのそういうようなえさが入っておるというようなことを防止する、そういうような手だては整えておるというような自負は持っておる次第でございます。
#209
○山口(壯)委員 なぜ私がこういうことを聞いているかといいますと、先ほど次官もおっしゃいましたけれども、例えば米について、米は自由化されていますけれども、これから遺伝子の組み換えされたいろいろな稲も入ってこようかと思います。日本の農家の人が丹精込めてつくった米よりも、遺伝子の組み換え作物で、除草剤に耐え得る作物としての稲ができることによって非常に手もかからない、そういう安くておいしい米が入ってくるかもしれない。カリフォルニア産のコシヒカリについても、既にそういう実験がなされたというふうに聞いています。
 そういう意味では、日本の農家を圧迫しかねないということに対して、我々が厳しい態度をむしろ明確にしていくことが最終的な日本の農業を守っていくことになるんじゃないかと思っているから私聞いているんですけれども、先ほどヨーロッパとアメリカとの間の論争についても次官御指摘があったので、多分そのことはよくおわかりだと思うんですけれども、そういう意味では、我々は、安全性の観点から遺伝子の組み換えをした稲は要りません、そういう明確な厳しい態度を明らかにしておくことがむしろ今非常に大事なんじゃないかと思います。この点についてはいかがでしょうか。
#210
○石破政務次官 これは稲に限らず、では大豆はどうなんだ、いろいろな食品があるわけでございます。先ほど申し上げましたように、アメリカとヨーロッパの間で、それではどちらが挙証責任を持つのかというようなことで論争が闘わされておるところでございまして、我が国といたしましても今態度を決めねばならぬというふうに考えております。
 ただ、遺伝子を組み換えた稲というもの、米というものを絶対に入れませんと言うためには、それが人体にどのような影響を与えるかというようなことについて挙証を行わなければいけません。そうした場合に、今カリフォルニア米の御指摘がありましたが、ではアメリカの方が安全なんですよということを証明するのか、日本の方が危険なんですよというようなことを証明するのか、これが次期のラウンド交渉におきましても大きな課題になるであろうというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、日本農業を保護するということも大事でありますが、消費者の皆様方に安心して食していただけるものを供給する、それも私どもの責任でございます。そういうような観点におきまして、私どもとして次期農業交渉においてどのような態度をとるか、今鋭意検討中でございます。
#211
○山口(壯)委員 今挙証責任という言葉も挙がりましたけれども、我々はこれが安全だということは絶対わからないんだと思います。科学者が安全だと言っていても、その米を五十年食べ続けたらどうなるかというのはだれもわからないんです、五十年食べ続けた人はいないんですから。そういう意味では、我々は政治家なんですから、科学者じゃない、政治家として日本の農業をどう守っていくか、こういう観点が私はもう少し欲しいと思います。
 あと、先ほど御指摘いただいたので、ぜひともこの遺伝子組み換えのトウモロコシ、スターリンクについて伺わせていただければと思います。
 このスターリンクというトウモロコシは、実は殺虫トウモロコシというふうにも呼ばれているんですけれども、毒素を生み出す遺伝子を組み込むことによって、その遺伝子が生み出すCry9C、クライ・キュー・シーと呼んでいるようですけれども、こういう殺虫たんぱくが生まれる。虫がそれを食べたときに、虫がその殺虫たんぱくを食べたがために死んでいく。そういう便利な遺伝子の話ではあるんですけれども、むしろそのたんぱく質が問題で、このCry9Cというのが熱に安定で、しかも酸や酵素にも強い、したがって、消化器で分解できないということが非常に問題なんだと思うんです。というのは、このCry9Cの殺虫たんぱくが、我々が消化器で分解できないとなればずっと残って、それに毒性があるのであればアレルギーのもとになる。
 こういうことがある以上、これは安全でないかもしれないと思った方が我々はむしろ国民のため、消費者のためということが言えると思うんです。そういうことからも、例えばアメリカの環境保護局、EPAが飼料としては認めていたけれども、食品としては認めてこなかった。ちなみに我が国では、飼料としても認められていないし、食品としても認められていないというふうになっているわけです。
 ただ、先日アメリカで、九月の十八日のワシントン・ポストですけれども、このスターリンクが、食品、タコスの皮から見つかったということで非常に大騒ぎになったわけです。日本でも、消費者団体で遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンというところがありますけれども、そこが中心となった検査によって、コーン製品、今どこの会社のものかというのは言及を差し控えますけれども、そういうコーン製品の中からスターリンクが検出されたわけです。
 この遺伝子組み換えトウモロコシ、殺虫トウモロコシと言われているスターリンクの安全性について、特に飼料については農水省の管轄でもありますので、谷農水大臣がどのように理解されておられるのか、お答えいただけますでしょうか。
#212
○谷国務大臣 遺伝子組み換えのことをよく研究しておられまして、質問があるんですが、私は、新しい時代にふさわしいものが遺伝子組み換えだとは思っております。しかし、それを食料として食べることが可能かということについては、これはまだまだ研究の余地があるんじゃなかろうかと思っております。
 いろいろと状況を判断いたしますと、そういうことを思わざるを得ないということで、今のスターリンクにいたしましても、アメリカでも、家畜には食べさせてもいいけれども、ほかには使うなというふうなことを言われておると聞いておりますし、そういう点を考えますと、今直ちに我々が議論してというよりも、十分にこの研究をし尽くしてみるということが必要じゃなかろうかというふうに思っております。
    〔松下委員長代理退席、委員長着席〕
#213
○山口(壯)委員 今アメリカでは、飼料としては認められているけれども、食品としては認められていないから、頑張っているんだからそれはそれでいいじゃないかという答弁のように私理解しましたけれども、今、我々日本の国民の食生活の安全という観点から、むしろもう少し厳しく見ていった方がいいんじゃないかと思うんです。
 この点につきましては、飼料ということではありますけれども、スターリンクが日本に入ってこないようにという観点から、特に農水省に対して、アメリカから家畜の飼料として輸入してくれというような申し入れはなされていないでしょうか。
#214
○樋口政府参考人 私の方からお答えを申し上げます。
 これにつきましては、まず、私どもは安全性の確認の申請が行われないといけないという前提に立っておりますけれども、この申請はまだ行われておりません。ただ、お話がありましたような事情を私ども承知しておりますので、むしろ情報をもらいたいということが一点、私ども申し入れております。
 それからもう一つは、これも御承知だと思いますが、通常の手続とは別に、特に緊急に、鶏は早く結果が出るものですから、これを使いまして、飼養試験を実施して、科学的見地から安全性の検討を行って、消費者、畜産農家へ情報提供を行いたいということで、今現物を向こうに発注しておりまして、スターリンクが手に入り次第、試験を実施しようという体制を整えております。
#215
○山口(壯)委員 今、消費者団体の発表ですけれども、日本の会社のコーンミールから発見されたという報告があるのですから、もうこれはアメリカのを待っているというよりも、スターリンクが日本の飼料の中に入っていないのかどうか、入ってきている食物の飼料にまじっていないのか、これは農水省としてきちっと検査すべきじゃないかと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
#216
○樋口政府参考人 申しおくれました。
 これは先ほど政務次官から答弁申し上げましたけれども、モニタリング検査を実施しておりまして、その結果が出ます、それがまさに先生のおっしゃった、検査を実施すべきであると。この検査は、最終的に今、DNAが合致するかどうか確認作業をやっておりまして、これがわかれば、すぐそれは皆様に御報告はしたいと思います。そういうことで、検査はやっております。
 それとは別に、別途検査を実施する、現物で飼養試験を実施するということを申し上げたわけでございます。
#217
○山口(壯)委員 きょうのNHKのテレビで、これは厚生省の管轄ですけれども、食品の中にスターリンクがまじっていた、これを厚生省がむしろ情報公開していなかったということで一つ報道がありました。そういう意味では、今局長がお答えになったような、まだ検査が進行中だ、結果が出ていないということとして今答弁いただいたわけですけれども、そのことに間違いありませんですか。
#218
○樋口政府参考人 これは、比較します情報を手に入れないといけないのですが、その情報を手に入れましたのが実は十月の初めでございまして、なかなか、その現物でどうやってやるか。片方で、余り拙速に過ぎまして違った結果になって、また別の問題を引き起こした、これはちょっと具体的なことを申し上げませんが、そういう事例もことし経験したものですから、きちっとした確認をした上でやりたいということで、今最終的なDNAの塩基配列を確認中でございます。そう時間はかからないと思いますので、わかり次第御報告をいたしたいと思います。
#219
○山口(壯)委員 食品の話というのは、国民の食生活に直接かかわることですから、むしろ、疑わしきはどんどん疑ってかかるということでないと、我々は務めが果たせないと思うのです。その開発業者が、あるいは売っている生産者が最初に結論を持ってくるのではなくて、我々はむしろ、少しでも危ないのであれば、矛盾した結論が出るのであれば、やはりこれは疑ってかかるということが非常に大事だと思います。
 この遺伝子組み換え作物の輸入については厳しい態度を明確にしていくことが、先ほど申しましたように、我が国の農業を守るという観点からも非常に大事だと思います。
 谷大臣、最後に一言、この問題に対しては慎重にきちっと対応していくということをもう一度お伺いさせていただけますでしょうか。
#220
○谷国務大臣 遺伝子組み換えにつきましては、先ほど政務次官からお話ししましたように、アメリカとEUにしても相当長期間にわたって議論をしておることもございます。ですから、我々は、新しいものが出たからすぐ飛びつくのでなくて、相当、研究の上に研究を重ねて日本としての結論を出す、そこに一番信頼性があるのではないか、こう思っております。
#221
○山口(壯)委員 ありがとうございます。
 これから私自身はもう少し詰めたいこともあったのですけれども、時間の関係で、ここで終わりますけれども、家畜の飼料としてだけだったらいいじゃないかと言われていたアメリカで、食品の中にも見つかった。そういうものがこれから日本でも、この消費者の遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンが見つけたものが、もしもそれが正しいのであれば食品の中からも出てきたということで、非常に事態は深刻なものがあると私は思います。
 我々、政治家として、国民の食生活をきちっと守るためにまた頑張っていきたいと思います。これからもよろしくお願いします。どうもありがとうございます。
#222
○宮路委員長 次に、高橋嘉信君。
#223
○高橋(嘉)委員 自由党の高橋嘉信でございます。よろしくお願いを申し上げます。
 農産物の価格の低迷、農業労働力の高齢化、担い手不足、耕作放棄地の増大等々、我が国農業を取り巻く環境の厳しさは、政府も、また与野党を問わず、その認識を等しくするものと思われます。
 減反政策が行われて来年で三十年になるわけであります。また、食管法にかわり食糧法が施行されて五年、さらに新農法制定から一年を経過いたしました。食料は国の根幹にかかわる重要な問題であると考えます。しかしながら同時に、これを支える基本的なもの、そのベースとなるものは農家所得の安定、向上にあると考えます。すなわち、政治の指し示す方向が根幹を支えるという見地に立ちまして、以下農政全般にわたり、私なりの認識に基づくならば、今後の農政を左右するとも言える農地法の一部を改正する法律案についても御質問をいたします。
 まず初めに、農業生産基盤整備についてお伺いをいたします。
 昭和三十八年に圃場整備事業が行われて以来、三十七年を経て、水田整備率、標準、大区画を合わせてどれぐらいか、そのうち汎用化された水田の割合はどれぐらいかをお尋ねいたします。
#224
○渡辺政府参考人 まず整備の状況でありますが、標準区画三十アール以上の整備率は、平成十一年三月で五七%であります。またそのうち、一ヘクタール以上の大区画圃場は五%となっております。
 畑につきましては、農道の整備率が六八%、畑地かんがい施設の整備率が一八%というのが現状でございます。
 汎用水田の率につきましては、ちょっと手元に数字がございませんが、二十二年の状況で、汎用水田率を五〇%以上に引き上げるという目標を持っております。
#225
○高橋(嘉)委員 水田整備率を全国的に見た場合、むらがあるようですけれども、これはどういった理由でしょうか、主な理由を教えていただきたいのです。
#226
○渡辺政府参考人 これは県別に相当な差がございます。
 もちろん、例えば東北の太平洋側の県では、区画の整備を三十アール区画でなく十アール区画で早いうちに整備をしてしまったというふうなところは、今やろうとしている三十アール区画や一町歩の区画の整備率がおくれているというふうな状況にございますし、それから、例えばおいしいお米がとれているというふうなところでは、その当時、米が比較的高く売れたものですから、水田の整備をして生産性を上げるというふうなところにインセンティブが働かなかったという事情もそれぞれございます。それから、当然のことながら、中山間地域をたくさん抱えるところでは、コストもたくさんかかりますし、農家も零細であるというふうなことで整備の状況がおくれているというのが大きな要因ではないかと思われます。
#227
○高橋(嘉)委員 では、第四次土地改良長期計画の達成は可能か、また今後何年あれば生産基盤整備がおおむね完了するのかをお尋ねいたします。
#228
○渡辺政府参考人 御案内のことだろうと思いますけれども、第四次土地改良長期計画は、実は諸般の事情によりまして、目標年次を十四年度から十八年度まで延ばしております。現況、十一年三月で先ほど申し上げたような数字でありますけれども、その方向に向かいまして、私どもは懸命の努力もしておりますし、これまで過去六年間、ウルグアイ・ラウンドの農業農村整備の合意に関連した対策によりまして相当な進度率のアップを図っておりますので、今後も所要の整備が進むよう、全力を挙げたいと考えております。
#229
○高橋(嘉)委員 では、この生産基盤整備は、将来的見通し、言うなれば主産地化の意図を持って進められているのでしょうか。
#230
○渡辺政府参考人 基盤整備、水田と畑とで分けて考えなければいけないと思っております。
 まず水田の場合には、日本の米の需給事情がこういう状況の中であります。そして水田というものが持っている、世界に冠たる生産装置ということも考えますと、これから重点を置くべきはやはり汎用化ということだろうと思います。この汎用化を進めることによりまして、稲作の生産性が飛躍的に向上すると同時に、稲作以外の麦や飼料作物、大豆といった生産が可能になる、そして、同じ水田が一年二作もしくは二年三作という形で高度に利用される、その結果、所得も上がっていくというふうな方向を目指すものであるというふうに思います。
 それから、畑地につきましては、これはやはりポイントになりますのは水であります。かんがい排水施設を整備することによって、特色のある果樹や野菜の生産が行われるということで産地化が可能になり、それの商品の差別化といいますか、特色ある商品を通じて農家の所得の上昇に寄与するというふうに考えております。
#231
○高橋(嘉)委員 では次に、生産調整にかかわる点をお伺いいたします。
 自給率の向上を目途として、麦、大豆、飼料作物等の奨励品目の作付がどれだけ生産に直結しているのか、また農家所得にどれだけ直結しているのか、お伺いいたします。
#232
○木下政府参考人 お尋ねの麦、大豆の点でございますけれども、今回の、十二年度、新しい水田確立対策の中で、麦、大豆、飼料作物について重点的にするということでございます。
 その中で、十二年度の実績でございますけれども、麦、大豆それぞれにつきまして、一割以上、生産数量がふえているという状況でございます。一割以上、作付面積がふえるという状況でございます。
#233
○高橋(嘉)委員 作付面積については資料をいただいたのでわかっておりますが、僕が申し上げているのは、生産高あるいは所得に結びついているのでしょうかと。具体的な数字がすぐなければ、その方向にあるというお話だけでも結構ですが、捨てづくりと言われるように、奨励品目的の、生産に直結しない、あるいは収量を直結させない農家がまだ見られるように僕は思われるものですから、その点の把握を教えていただきたいということであります。
#234
○木下政府参考人 転作の結果、麦、大豆の生産高がどうなったかということにつきましては、十二年度の区画につきまして、これからいよいよ始まるわけでございますから、十二年産の状況につきましては来年までかかるのだろうというふうに思いますけれども、それぞれの農家につきまして、先ほど申し上げましたように、一割ないし二割程度、生産量が増大をしているという状況でございます。
#235
○高橋(嘉)委員 これについて、中山間地域ではどうかというお話もお伺いしたかったわけでありますけれども、私が思うに、新たな農家負担が求められてきているのではないか。例えば、収穫機械においてもアタッチメントを変えなければいけないとか、生産費を考えても、そのような新たな負担、あるいは現下の農業情勢を反映して、農家が不安になってどうしても本格的生産に踏み切れないでいるのではないかという懸念もあるのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
#236
○木下政府参考人 十二年から始まりました水田確立対策事業の中では、麦、大豆、飼料作物につきまして本作化を図ろうというようなことをやっているわけでございます。私ども、そのために一定の団地要件を定めまして、できるだけそれぞれの転作、地域による本作化に努めるところでございます。
 そういたしまして、私ども、現在集計をいたしておりますけれども、相当程度、団地化が従前の対策に比べまして進んでいるというふうに理解をしているところでございます。
#237
○高橋(嘉)委員 いずれ、その推移、団地化が進んでいる、あるいは収量が増大しているという数字が出たら教えていただきたいと思います。
 次に、緊急総合米対策における需給調整水田とは、どのような対応を現場農家に求めることになるのでしょうか。これは政務次官にお伺いをいたします。
#238
○石破政務次官 もう一度お願いできますか。緊急調整ですか。
#239
○高橋(嘉)委員 需給調整水田とは、どのような対応を現場農家に求めることになるのでしょうか。
#240
○石破政務次官 農家が、水田としての機能を維持しつつ、生産調整に資するということが効果だろうというふうに思っております。
#241
○高橋(嘉)委員 実際に、収穫期の早いところでは青刈りという形になるわけでございますか。
#242
○木下政府参考人 需給調整水田でございますけれども、この点につきましては、水稲の作付を行い、具体的に七月ないし八月になろうかと思いますけれども、それぞれの作柄が明らかになった段階で需給の調整を行おうという制度でございます。
 したがいまして、水稲につきまして、青刈りで行うか、あるいはホールクロップサイレージ等々に使うか、いずれかだろうというふうに思っております。
#243
○高橋(嘉)委員 収穫期の早いところでは、実ったところでは青刈りをするという現実はいかがなものかと思っております。米の価格が下がる一方で、豊作になれば減反面積がふえる、また余りそうになったら青刈りというのでは、労働意欲までももぎ取ることになるのではないか。何とぞその辺をお考えいただきまして、懸命な対応をお願いいたします。
 次に、昭和三十五、六年当時、六百万ヘクタール以上あった我が国の耕作面積は、年々減少の一途をたどってきているという現実があります。農外収入の得にくい経済環境にある中山間地域、専業農家比率の高い中山間地を中心に耕地の壊廃が進んでおります。この問題についてどのようにお考えか、中山間地域における耕地の壊廃の実態についてはどのようにとらえられているのか、重複する話になるかもしれませんが、お考えをお願い申し上げます。
#244
○渡辺政府参考人 今先生から御指摘がありましたけれども、中山間地域の農地の壊廃、もう少し具体的にいきますと、耕作放棄地の増加ということなんですが、現在、七年センサスで十六万ほどある耕作放棄地でありますけれども、中山間地域は放棄率が高いというのが現状であります。平地では放棄率が二・五%ぐらいですが、中山間地域ではその二倍、五%ぐらいの放棄率になっています。
 これはいろいろ事情があると思うのです。担い手の減少あるいは過疎化が進んでいる、高齢化が進行しているというふうな、耕作放棄地の増加とあわせますと、言ってみれば三重苦の状態です。
 この一つ一つを解決しなければいけないのですけれども、その一番前提にありますのが、やはり生産条件の格差が平地地域と相当にあるということです。この生産条件の不利性を何とか埋めてやろうというのが中山間地域の直接支払い政策でございます。これを通じまして、農地の管理をする、生産活動をすることで耕作放棄が守られ、ひいては中山間地域が果たしている多面的機能が発揮をされる、こういう方向で施策を進めていきたいというふうに思っております。
#245
○高橋(嘉)委員 先ほどから直接支払いのお話がございますが、この直接支払いの効果はどうであるか。いずれ、ことしからですから、まだあれだと言われれば何とも質問できないわけですが、では、見通しとしてはどうか。直接支払いにおいて離農が防げるか、耕作放棄地の増大を防げる妙薬とお思いでいらっしゃるかどうか、その辺のところをお伺いいたします。
#246
○渡辺政府参考人 まず、大前提として、中山間地域の直接支払い、これは万能薬ではありません。当然のことながら、これにあわせて農業それから関連産業の振興ということも図らなければいけませんし、それ以外の所得機会の確保というのも図らなければいけません。それから、やはり生活環境というものがよくならなければいけない。こういう中山間地域の総合対策を進めていくことが肝心であります。
 ただ、その前提となる集落の機能が喪失もしくは壊れてきつつあるという点に着目をいたしまして、もう一度集落の機能の回復をしたいというのがこの中山間地域直接支払いのまず直接的な目的であります。そうであるがゆえに、集落協定を結ぶということが支払いの大前提になっております。
 もちろん、集落といっても、力を失っているような集落におきましては、集落自身がその機能を回復することは難しいわけでありますので、そうなりました場合には、近隣のより広い集落との連携、場合によっては市町村一本で物事を考える、こういうことが大事だろうと思います。
 今、見通しをとおっしゃいましたが、例えば、大分県の竹田であるとか新潟県の高柳、こういうところでは、谷筋ごとに一つの農場と考えて、直接支払いのお金をプールして、その地域のいろいろな機能発揮に使おうとか、新潟の高柳のケースでありますと、全市町村に一定額をプールして、大きなお金になりますから、これを集落の維持なり町村の振興に使おうというふうに、いろいろ新しい動きが見られます。こういうものはやはり大いに推奨したいと思っております。
#247
○高橋(嘉)委員 中山間地の離農比率の高いこと、また中山間地における後継者の育成が思うようにいっていないこと、これは認識は等しいところだと思っております。
 後継者難、担い手不足が指摘されて、随分昔からでありますが、農業問題の最重要課題と言われるべきこの後継者問題、昔は後継者と言ったような気がしたのですが、今は担い手、昔も担い手と言ったのかどうかわかりませんが、私はそのように認識しておりますが、担い手の概念というのはどのようなものなのでしょうか。
#248
○渡辺政府参考人 担い手といいますのは、実は、前通常国会ですか、新しい農業基本法を議論いたしましたときに、担い手とは何かという議論がございまして、これの一番のポイントは、やはり意欲であろう。つまり、今私たちは、統計上、農家という単位で物事をとらえていますけれども、専業農家といっても、高齢者お二人でやっているような専業農家もありますし、兼業農家といっても、例えば、娘さんや息子が役場に勤めていてお父さんお母さんは立派な農業をやっているというふうなこともありますので、農業者としてとらえる。そうなった場合に、農業者として、担い手のメルクマールは一体何にするかというときに、やはりこれは意欲だろう、農業でこれから所得を得て生活をしていこうという意欲であろうということでございました。
 その議論の中で、新規就農者なども、その際に法律改正をいたしまして、かなり高いところまで新規就農資金を出すようにもいたしましたので、新規就農者も含めて、あるいはそういう組織体や集落営農も含めて、意欲のある者は皆、担い手と見るというふうに私どもは理解しております。
#249
○高橋(嘉)委員 つまり、何歳から何歳までとか、そういうあれは問わずに、意欲のある者、農業に対して今後やっていくのだという意欲のある者が担い手という認識でございますね。
 それが担い手という概念だというのであれば、中山間地域の農業をやろうとする後継者、若い人たち、これは土地への執着心も強いわけですし、何世代も同居したりしているわけでありますが、農業を継ぎたくても継げないという中山間地域の実態というのは、これは継続性が高いという側面とか農業をやっていく意欲の面からいっても、僕は、ほかにいろいろな労働機会、雇用機会等々を見ても、経済環境的に厳しいような中山間地域というものをもう少しきっちり見て、育てる農業にしていかなければいけないのじゃないか。
 それが、ある意味では、本当に土台の農業、つまり、耕地面積、農業総生産、人口、いずれを見ても四割を占めるという中山間地域の実情を理解しながら、そしてその意欲が農業の担い手と決めるものであるとするのであれば、そういったところを手厚く見ながら、そして農業の将来をゆだねていくという方向は考えられないのでしょうか。この点、谷大臣にお伺いいたします。
#250
○谷国務大臣 ただいまおっしゃいましたことは、私ども、全く同感であります。
 しかし、中山間地域というのはまさに千差万別でございまして、本当にその地域地域の状態が違いますので、一律に同じことを普及させよう、あるいは考えていただきたいということを申しましても、その地域地域での差があり過ぎますので、なかなかできないというのが現実の問題だと思います。
 ですから、急速にいっても、高齢の方が多いものですからなかなか立ち上がりが鈍うございますので、徐々にそういう方向でいくべきだと思っております。
#251
○高橋(嘉)委員 大臣は、十一月二日の当委員会で二十一世紀の農業観を語られた際に、自給率達成のためには専業農家を育てることに重点を置くべきとの発言をされましたけれども、今のお話に加えて、中山間地の現状に対して、どのようにすれば専業農家が中山間地に育つとお考えか。
 今まさに、発想を逆にして、中山間地、継続性の高い、そして意欲という側面から見るのであれば、農業後継者が残らんとする、また残りやすい体質にあると私は考えておりますが、その中山間地域に対して思い切った農政をやってみようというお考えがおありなのかどうか、その辺のところをもう一度お伺いいたします。
#252
○谷国務大臣 今御指摘の点は、確かに私も専業農家ということを申しましたし、それは間違いない方向だと思います。
 しかしながら、中山間地域の専業農家というのはごく少のうございまして、高齢化率が極めて高いという実態でございます。そういうことからいいますと、専業農家といいましても、なかなか難しいのじゃなかろうかと考えております。そういうことですから、決め手になる方法というのがなかなか難しいというのが現状です。
 それで、先ほど来言いますように、中山間地域はその地域地域によって、千差万別という言葉を使いましたが、まさに違いがあり過ぎるということがございますから、その点で、じっくりとそういうことをする若手の担い手が欲しい、こう思っております。
 しかし、私の町でも、町育ちの者でなくて都会から来た若い方々が、せんだって二、三の方とお会いしましたが、意欲を燃やしてやっておるのですね。問題は意欲ですね。ですから、先祖伝来この町に住んでおるから、この村に住んでおるからといって意欲があるかというと、何か意欲がない。むしろ都会から来た方々の方が意欲があるということですから、そういうことにも期待いたしまして、中山間地域はじっくりと構えたいと思っております。
#253
○高橋(嘉)委員 では、もうちょっとだけ大臣にお伺いします。
 一律の減反をして、あるいは、主産地にも中山間地域はあるわけですが、そういったことを考えながら、主産地化の推進のスピードをもう少し強力にアップするとか、一律減反を見直したりしていかない限りは、今のお話をお伺いしますと、要は、労働している人たちの高齢化、つまり六十五歳以上の人たちが中山間地域は非常に多いと言われておりますが、そういった状況の中では、専業農家を育成するというよりも、生産法人に入れというような視点に立っておられるわけでございますか。
#254
○谷国務大臣 農業生産法人に入れという意味でなくて、所得の増進のためにはどうすればいいのかということについて、やはり意欲のある方々に一生懸命頑張っていただくというところに生き抜く力が生まれるのじゃないかと思っております。そういう意味で申し上げておるのです。
#255
○高橋(嘉)委員 しつこいようで申しわけありませんが、先ほど、後藤委員の所得補償の御質問の中で大臣がお答えになられました。優良農地には将来的には所得補償が必要かもしれないやの発言のように私はお聞きしましたが、その点はいかがでございますか。
#256
○谷国務大臣 自給率を高めるためには、私としましては、先ほど言いましたように、優良農地を抱えて農業に取り組むという人は、将来についてはやはり所得補償ということも考えられると思っております。しかし、条件不利地域については、所得補償するだけで、とても条件不利地域で頑張るという意欲がないのじゃないかというふうな思いもいたします。
 そういうことでございますから、やはりその地域地域の実態、それから、いわばそこで本当に意欲を燃やす人を一人でもつくるというところに、国土保全のための山村問題があり中山間問題がある、こういうような考えでございます。
#257
○高橋(嘉)委員 済みません。時間がありませんので、次に農地法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。中身を絞ってお話しします。
 農業生産法人に自治体を参画させるという意図は何でしょうか。
#258
○渡辺政府参考人 二つございます。
 一つは、やはり中山間地域のような条件の不利なところでは、同じ農業生産法人でもだれかに支えてもらわないと活動がなかなか活発化できないのではないか、それに対して、都道府県や市町村が構成員となる、いわば出資をすることで下支えとかサポーター機能を果たすということです。
 それから二つ目には、既に第三セクターというふうな形で農作業の受託等を市町村の出資をしたところがやっておりますが、それがやはり農地を取得することによってより生産管理活動を活発にするという方向に進むわけでございます。
 そういうことを通じまして、地域の生産活動活性化が図られて、そこでまた農業者による生産所得の向上というものも出てこようかという、二つの意図を持っております。
#259
○高橋(嘉)委員 つまり、サポーター的な機能ということであれば、競争原理の導入ということは、僕はこれは賛成ですけれども、競争原理の導入というけれども、かえって自治体が入った場合に阻害する要因にはなりませんでしょうか。
#260
○渡辺政府参考人 もう一つ言葉をつけ加えさせていただきますと、補完的機能というふうにお考えいただいたらいいと思います。
 市町村あるいは都道府県が、農業生産法人のかなりの部分を構成員として占めるということではなくて、先ほど申し上げた下支え、補完的な機能として、そこまで支えれば、そこから上の部分は、言ってみれば自前で農業生産活動が活性化できるというふうにお考えいただいたらいいと思うのです。
 今でも、実は農協は農業生産法人に出資をできることになっておりまして、そこの中に農協が加わることによってその農業生産法人の活動が活性化をしているというケースもあるものですから、そこにさらに市町村が支える機能を加えれば、条件の不利な地域においても平地地域と伍していけるのではないかというふうに考えました。
#261
○高橋(嘉)委員 わかりました。
 僕が申し上げたいのは、自治体が入ると、これは信用力の面、いろいろな面から、中山間地域においては特に自治体の参画を期待すると思っております。そういった状態の中で、頼り過ぎるような話にはならないのか。また、平場と中山間地域との間では、生協が出資するにしても何にしても、地理的なあるいは生産的な条件からして、平場の方が有利であると私は考えております。そういった中で、中山間と平場との競争、これが短期間で激化するというところに私は疑問を感じております。
 時間も参りましたので、これで質問を終わります。ありがとうございました。
#262
○宮路委員長 次に、一川保夫君。
#263
○一川委員 自由党の一川保夫でございます。
 本日の質疑で、いろいろな関心あるテーマが重複してきておりますけれども、私も、質問を予定したところ、確認の意味で、重複する点もあろうかと思いますけれども、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 先ほど来のいろいろな質疑を聞いておる中で、自分自身もまだちょっと、これからの農業はどうあるべきかというところで、考え方が整理がつかない部分があるわけです。
 これは大臣、政務次官で結構です、お答えいただきたいのですけれども、要するに、先ほど来議論が出ています、これからの日本の農業はそういった専業的な方々に担っていただきたいという、期待を込めての言い方があるわけですね。一方では、現状では家族経営を中心とした兼業農家的な農家が圧倒的に占めているわけです。しかも、例えば集落営農的な施策でもって集落全体の農業というものを支えていこうとしている。そういうような施策を推進する一方で、専業的な農家、そういう大規模農家を育成していくときに、そこをどうやって進めていくのかというのが私の非常に悩ましいところなんです。
 現状、いろいろな方々の御意見を聞きますと、一つの集落の中で専業的に今やっている方なりこれからやろうとする方が例えば一人とか二人とかいらっしゃる場合に、なかなか集落営農の全体の動きとなじまない。また、いろいろな農業施策の支援の仕方が、集落営農に対する支援の仕方と個別の大規模農家に対する支援の仕方がちょっと違うようなところもある。
 そういうことで、農業に意欲を持ってこれからやろうという人たちも、なかなか将来展望が見出せない、農林省はどこに焦点を当ててこれから施策を展開しようとしているのかということについて、いろいろそういうやりとりが現場では出てくるわけですけれども、そのあたりについて、大臣でも政務次官でも、何かお答えをお願いしたいわけです。
#264
○石破政務次官 委員と同じ悩みを実は私も持っていまして、これは、集落営農というのをやってきたわけですね。つまり、集落全体で農地を守り農業生産を維持していきましょうという政策をとってきたものですから、結果として担い手に政策が集中しなかった。逆に申し上げれば、本来やめるべき人が集落全体でやることによってやめなかった、よって集積しなかったということはあるだろうと思っているのです。これがネガティブな部分なんだろうと思っています。
 ただ、それをやらなければ、ではどうなったかといいますと、全体的な生産力自体も落ちちゃったかもしれない、たられば論みたいな話ですけれども。
 ですから、これは要するに担い手がきちんと成長していくのを待っていてはどうにもならないので、これを同時並行でどう進めるかということなんだろうと思うのです。
 やめるべき人はやめてもらわねばならぬという言い方は、相当ドライな言い方で、相当の反発をいただくだろうと思っておるのですが、要は経営感覚がなくて、もうかろうがもうかるまいが、あるいは農業生産というよりも、財産保全的な農業というものが本当に農政の対象たり得るかということは、議論をしていかねばならぬことなんだろうと思っています。
 いずれにいたしましても、けさからずっとお話がありますとおり、うかうかしておりますと、あと十年ぐらいたちますと、本当に担い手というのはいなくなっちゃうわけですね。担い手、農地、技術、この三つで成り立っておるわけでありますが、担い手自体がいなくなっちゃう。これはどうにもならない。
 したがって、今回の改正の主眼は、いろいろございますが、要は経営感覚というものを持った法人、株式会社、そういうものをいかにしてエンカレッジしていくかということに大きく政策のかじを切っておるというふうに御理解をいただいてよろしかろうかと思っておる次第でございます。
#265
○一川委員 先ほどのやりとりの中の最後の方で、要は意欲のある農家の方々に施策を集中して展開するんだというような言い方が、大臣なり構造改善局長からあったと思いますけれども、確かに、意欲のある方々も、これから意欲が出るか出ないかというところがポイントだと思うのですね。要は、意欲が出るような施策を展開していくということが今求められていると思うのです。
 今意欲を持っている人に施策を集中するといっても、その識別が非常に難しいところがあるような気がするのです。
 それは、今ちょっと政務次官から御答弁がありましたように、専業的あるいは大規模にこれから農業をやりたいという人がそういう気持ち、意欲が出るような施策をしっかりと構築しておかないと、何か一生懸命やっているんだけれども、一方では、兼業農家、集落営農みたいな農政が割とバランスよく展開されておるというようなやり方がちょっと目につくものですから、そこのところを今おっしゃったようにある程度めり張りをつけてやっていく。
 しかし、兼業農家、一種の趣味的な農家も含めて、地域にとっては必要だと私は思うのです。そういう方々がやはり相当数多くを占めると思いますけれども、そういう方には農外収入というものが一方であるわけですから、そういうところにある程度お願いしながら、やはり農業施策としてはしっかりと農業中心に、これから頑張っていこうとする農家の皆さん方の意欲が出る、そういう方向にある程度焦点を当てたような施策が必要ではないかなというふうに私は思っているのですけれども、そういったところをまた皆さん方にもさらによく御検討されて、力強い施策をお願いしたいというふうに思っております。
 そこで、当然ながら、優良な農地というのは基本的な基盤整備がされているということが非常に大事なことでございますので、今現在、基盤整備をいろいろな面で実施していく上での根拠法令になっております土地改良法という法律がございますけれども、この土地改良法という法律、昭和二十四年に制定された相当古い法律でございます。この法律を、今度は新しい農業基本法の理念等に合わせまして、基本的に見直しをかけていくという作業が今現在行われているというふうに聞いているわけでございますけれども、新しい農業基本法は、皆さん方御案内のとおり、大きく四つぐらいの柱の理念を抱えてスタートしたわけでございますけれども、新しく今見直そうとする土地改良法というのは、法律の名前が土地改良法になるのかどうかわかりませんけれども、基本的な改正というか、見直しのポイントというのはどこに置いているのか、そのあたりを御説明願いたいと思います。
#266
○渡辺政府参考人 土地改良制度につきましては、今先生から御紹介があったようなことで作業を進めております。できれば次の通常国会にぜひ提案をさせていただきたいと考えておりますが、これまで政府部内では、かんがい排水審議会の中に土地改良制度の検討会を設けまして、そこで議論をいたしまして一定の整理をしております。本年の三月に御報告をいただきましたが、大きくは四点ございます。
 一つは、今先生がおっしゃったように、新しい基本法で四つの理念が出たわけでございますので、土地改良事業の展開方向もそれに合わせたものにならなければならないという御報告であります。
 それから二つ目には、環境との調和という視点も含めまして、これからは、混住化が進んでいる農村地域において地域社会とのかかわりが増大をしてまいりますので、土地改良事業を実施していく上で、この地域社会とのかかわりの増大への対応というのが二つ目でございます。
 それから三つ目には、土地改良施設、水利関係だけでも資産評価で二十二兆円と言われておりますが、これはもう既に農業者、農村だけの施設ではなくて、地域全体あるいは国民的な資産でありますから、こういった土地改良施設につきまして適切な管理、保全を行っていくという視点が必要だろうということでございます。
 四つ目には、事業の遂行の仕方でありますけれども、事業の決定過程を透明化するあるいは評価をきちんとやっていくということ、始めてから終わるまでの問題、途中でやめる問題、そういうことも含めまして公共事業を効率的に実施するという、この大きく四つぐらいの点について改正をすべきであるという御報告をいただきました。
 各地に入りまして、現場の方々のお声もちょうだいしております。今作業を進めておりますので、次期通常国会に何とか改正案を提出したいと考えております。
#267
○一川委員 その理念を受けて、今おっしゃったようなポイントで作業が進んでいるということなんですけれども、もともと土地改良法の目的という中には、今回の新しい農業基本法でいえば、持続的な農業の展開的なところに相当焦点を当てたのが、どちらかというと土地改良法の世界ではないかという感じがするのです。生産性の向上だとか総生産の増大とか構造改善だとか、あるいは農産物の選択的拡大云々とかいうようなことが書いてあるような気がするのですけれども、今回の理念の中に、食料の確保とか農村の振興とか多面的機能の発揮とかいうようなことが割と強調された柱として出てきておるわけですけれども、今度新しく土地改良法を見直す場合に、法律の目的そのものをある程度そういうふうに見直しをかけていくのかどうか、そのあたりはいかがでしょうか。
#268
○渡辺政府参考人 土地改良法をめぐる情勢として、一つには基本法の大きな改正というものがございました。したがって、土地改良法は旧基本法の理念をそのまま目的に落としておりますので、それではやはり時代にそぐわないのではないかという気がいたします。
 それから現実問題として、土地改良事業、今は農業農村整備事業と言っておりますが、戦後の食料増産から始まって、生産性の向上それから農家の生活環境の整備、そして今は田園空間の整備というところまで、これはアメリカやヨーロッパでもそうですが、変わってきております。そういった方向なり哲学というものを目的の中でも示唆する必要があるだろうというふうに思いますので、目的の改正は、やはり現在の検討の中ではせざるを得ないかなと思っております。
#269
○一川委員 ぜひ、今のいろいろな農村、農業を取り巻く情勢に即してしっかりとした作業をお願い申し上げたいというふうに思っております。
 それでは、また構造改善局長に、この土地改良に関するところなんですけれども、先ほど来、中山間地域のいろいろな話題が出ておりますけれども、私は、耕作放棄地がふえてきているという一つの要因の中に、例えばその地域をかんがいするかんがい施設、中山間地域ですからそんな大規模なものはございませんけれども、そういう個人で対応し切れないような公的な施設、かんがい施設なり排水施設なり、場合によっては農道みたいなものも含めて、今非常に中山間地域が高齢化を来してきているあるいは担い手が不足してきている、そういう中で、一方では自然条件が非常に厳しいところで、そういう施設の更新がなかなかスムーズにいっていない、それをしっかりと更新するエネルギーがなくなりつつあるということで、そういった施設にぶら下がっている農地も耕作放棄せざるを得なくなってくるという現象があるような気がするわけです。
 そういうことを考えますと、私は、これからの中山間地域対策で、直接支払い制度というものがスタートしましたけれども、こういった個人で対応し切れないような基盤整備に係るところについては、むしろ個々の負担をかけないような仕組みをしっかりと、これからむしろそちらの方に目を向けていった方がよろしいのではないか。それは、国土保全という観点からもあるいは環境保全という観点からも非常に大事なことであるというふうに思っておりますし、むしろそういう立地条件の厳しいところについて、どちらかというと平場に比べて効率が悪いと言われておりますけれども、そういったところに対しては、逆に公的な支援を手厚くしていくという発想が今求められているような気がするわけですけれども、そういう考え方についての農水省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#270
○渡辺政府参考人 中山間地域における基盤整備が非常に難しくなってきているということは、私どもも認識しております。事業そのものが難しくなってきていると同時に、今先生がおっしゃったようなこれまで整備したものを維持していく、保全していく、あるいは更新するという点についても、例えば土地改良区の力が弱っているというふうな状況の中で難しい局面が出てきております。その背景は、御指摘があった高齢化であり担い手不足であり、農地がばらばらであるといったようなことなんだろうと思うのです。
 ただ、そこに対して、特別なかさ上げなり支援をすることに対する国民的コンセンサスあるいはその理由でございます。直接支払いのケースでいえば、公益的機能に着目をして生産条件の格差というのが出てまいりましたが、そこがまだ十分にたどりついておりません。法律上、例えば根拠を持っていればそういうことも可能でありますし、工夫を超えて何かよりどころができるかどうかというのはこれから先の大事な課題であろうと思いますが、当面の問題としては、やはり事業をするときの補助率をかさ上げする、中山間総合整備なんかはその例ですが、あるいは事業をやりますときにその地域の希望する整備水準でやってやる、あるいはコストをリサイクルで下げるというふうなことをとりあえずはやって、それから先は、もう少しまたそういった国民的コンセンサスを取りつけるような動きを考えたいと思っております。
#271
○一川委員 確かに今局長の答弁の中にあったように、国民的なコンセンサスというか、そういうことが非常に大事なわけでございますけれども、やはり中山間地域に対する支払い制度の公益的な機能に着目したというところも、非常にそのあたりがヒントだと私は思います。
 そういう中で、これからのこういった山間地域、中山間というよりも本当の山間地域だと私は思うんですけれども、そういったところでしっかりとこれから農業をやっていこうとする人たちの意欲が出るような制度をやはり用意しておく必要があるんではないかな、そのように考えているわけでございます。
 それから、もう一つ、農業のそういった基盤の中でも大きな資源の一つに農業用水というものがあるような気がするんですね。それは農地と用水と担い手というのが大事なこと、一方では技術もございますけれども。農業用水というものをしっかりと確保し守っていくという気迫というか、気構えが農業関係者の中にもだんだん希薄になってきている。それは、直接かんがい用水として農産物に供給する用水は当然大きな役割ですけれども、今日では、農業用水といえども、いろいろな地域の防火用水とかいろいろな消雪用水とか、また場合によっては景観用水、一種の親水用水的な役回りも果たしているわけです。
 そうしますと、やはり地域全体で用水というものに対する愛着心というのがありますし、またそういうものに対する要望が非常に強いわけでございますので、農業用水という用水、水利権、これは河川管理者とのいろいろな協議が難航するケースが多いわけですけれども、そういう用水を確保していくということに対する農水省のこれからの指導といったものも、私はもっと本腰を入れてしっかりとやっていただきたいというふうに考えているわけでございますけれども、そのあたりに対する御見解をよろしくお願いしたいと思います。
#272
○石破政務次官 お答え申し上げます。
 平成九年であったかと思いますが、河川法の改正が行われました。その際に、環境というものを重視いたしまして、第一条であったと思いますが、河川環境の保全、整備ということが法律の目的に加わっておるわけでございます。
 委員御指摘のように、耕作放棄地がふえたからといって、河川、用水、それの利用が減るとは思っておりません、それは論理必然とは思っておらないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、防火のお話がございました、また、親水、いろいろな機能がございます。河川法の改正も念頭に置きながら、水利権を持っている、持っておらない、これはまた別の問題でございますが、農林水産省といたしましても、この問題につきましては、発言をしてまいりたいというふうに思っております。それが農業の持っておる多面的な機能の維持ということにも資するものである、このように考えておる次第でございます。
#273
○一川委員 若干時間が残っておりますけれども、私はまた明日質問しますから、この程度でやめておきますけれども、今ほどちょっと私が話題に出しましたような本当の農業の基幹的なところを、やはりしっかりとそういった農政の本当の柱としてこれから真剣に取り組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#274
○宮路委員長 次に、中林よし子君。
#275
○中林委員 それでは、今度の農地法の一部改正案について質問をいたします。
 先日、二〇〇〇年度の世界農林業センサス中間集計が発表されました。これによりますと、二〇〇〇年の農家数は三百十二万戸とこの十年間に実に七十一万戸も減少し、そのうち専業農家は四十二万戸で、十年間に五万戸も減少する事態となっています。
 農地面積も随分減ってまいりまして、一九六一年のときに比べて一九九八年には四百九十万五千ヘクタールまでに減って、その間の減る面積というのは百十八万ヘクタールにも及び、この百十八万ヘクタールというのは、北海道の全耕地面積に相当する農地が減少してきました。現在も毎年四万ヘクタール以上の農地が減り続けています。北海道でそれだけの農地が減ったということを考えたときに、明治以降、屯田兵による大変な開拓をやり、苦労を続けて農地を切り開いてきた、そういうものがわずか三十八年間で消えてしまう、こういう結果になっております。
 耕作放棄地も、九五年の段階で実に四国全体の耕地面積に相当する十六万二千ヘクタールにも及んでおります。
 現在の食料自給率が四〇%を割り切る、こういう世界の最低水準へも来ております。まさに私は、長い間の、農産物輸入自由化だとか農産物価格引き下げ、市場原理の導入などによって、農業がここまで、基盤そのものが揺るぐというような惨たんたる事態になっているというふうに思うわけですけれども、政治の責任は非常に大きいのではないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
#276
○谷国務大臣 端的に申しまして、農地の減少に対する政治の責任というふうな観点から御質問をいただいたと思います。
 私ども、確かに過疎化の現象が厳しくなってくるものですから、そういう点で非常に農地の減少が大きいと思います。しかし、その前に、やはり日本が経済の高度成長をしたときにも、都市近郊の農村は随分と工場用地に提供しました。また、三大都市圏を中心とする地域は、農地を宅地に転用もいたしました。そういういろいろな問題がありましてきょうになっておりますが、きょうの段階では、やはり過疎化の現象が激しくなったということが一番中心じゃなかろうかと思っております。
 これは、政治の責任ということからいえば、戦前の日本の農村のように、農村に人がたくさん住んで、そして農村が豊かであったということが言えなかったんじゃないか。戦前の農村もなかなか苦しかった。そして、敗戦後の姿は、先ほど言いますように、高度成長ということで、我々は働きづめに働いて、そして高度成長に協力し、そしてそのおかげが今度は都市に集中してしまった、これが現状だと思うので、そういう点でいえば、政治の責任ということにもなるかもしれません。
 しかし、やはりこれは我々の生活が豊かになったことも間違いないことで、農村も今、集落排水だ、いや下水道だというので随分と発展してきております。そういう意味から考えますと、我々は、農村、山村も、日本の高度成長、経済が大きくなったことを喜びながら、ともに国全体が豊かな国になったということを満足しなきゃならぬと思うのです。この農村と都市住民の方々との隔たりがあるがゆえに、そこを追いつけ追いつけという意味で、我々は、懸命な努力を農林水産省としてはしておるというのが現実の姿じゃなかろうかと思っております。
#277
○中林委員 私は、戦前の大地主制のもとでの農業の問題と今の農業の比較じゃなくて、少なくとも旧農業基本法ができてから今日までの事態の推移を数値的に明らかにいたしました。だから、本来、食料をつくって、そこで農業生産が本当に豊かに築かれていくならば、こんなにも減り続けることはなかっただろう。そこには、やはり農業に対する政府の責任というものは非常に重いと指摘をしておきます。
 そこで、私は、日本農業の生産基盤がこのような状態であるときに、特に農地の保全ということは最優先課題ではないかというふうに思うのです。大臣の認識もこの点では、私、同じじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
#278
○谷国務大臣 おっしゃるとおりに、農地の保全ということは、これはもう大変大事なことで、自給率を高めるためには優良農地が要るということは当然なことであります。でございますので、私も今の農地の保全ということについては同一な考えであります。
#279
○中林委員 大臣は、農地の保全、これは非常に大切だ、このようにおっしゃっているんですけれども、現実はそうはいっていないという問題がございます。
 九八年の農地が、先ほども言いましたように四百九十万五千ヘクタール、九九年の農地面積が四百八十六万六千ヘクタール、この一年間の減少面積は約四万ヘクタールにも及んでいる、こういう状況です。これまでの減少率に、全く今歯どめがかかっておりません。さらに、このセンサスの中間集計で見ましたけれども、二〇〇〇年の経営耕地面積、これは三百八十八万六千ヘクタールで、その減少率は、これはずっと比較が書いてあるんですけれども、九〇年から九五年の五年間、それから九五年から二〇〇〇年までの五年間、この今の近い五年間の方が減少率が大きい、こういうことになっているわけで、これは多少、農地面積と経営耕地面積ということで、カテゴリーが違うわけですけれども、減少率に歯どめがかかっていない、こういうふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
#280
○渡辺政府参考人 確かに御指摘のとおりの減少の状況になっております。
 ただ、先ほど来御説明申し上げておりますように、壊廃面積、直近五年でいえば、毎年四万七千ヘクタールなんですが、そのうち半分は耕作放棄という形での壊廃でございます。
 耕作放棄に対しましては、もちろん耕作放棄地の復活問題もありますけれども、今年度から、中山間地域等を中心に、直接支払いで耕作放棄をこれ以上起こさせないというふうな政策も新しくスタートいたしました。平成二十二年の四百七十万ヘクタールに向けまして、この方策はもちろん、造成や基盤整備も加えまして、かなり効果のあるものだというふうに展望しております。
#281
○中林委員 今構造改善局長が、ことしの三月に策定した食料・農業・農村基本計画、その中身の一部を紹介されたものだというふうに思います。
 その基本計画で、二〇一〇年の農地面積、四百七十万ヘクタールでとどめる、こういう目標値を出しているわけですね。そうすると、あと十一年間で十六万六千ヘクタールまでの減少にとどめないと、四百七十万ヘクタールの農地保全というのは不可能になります。
 しかし、先ほどから言っているように、現在大体毎年四万ヘクタール以上減り続けている。それを考えてみると、年間一万五千ヘクタールの減少にとどめないと、二〇一〇年、食料自給率を四五%に引き上げる、こういうことも達成できないのではないかというふうに思うんですけれども、その四百七十万ヘクタールにとどめる、それが四五%の自給率のいわば条件だということには変わりありませんか。
#282
○渡辺政府参考人 ちょっと数字の関係が、一万五千ヘクタールになるのかどうか。多分、私の先ほどの説明でいいますと、農地の拡張というのは、それぞれ毎年県営事業などでやっておりますので、これは平成二十二年までの間に四万ヘクタール程度は行われると思います。それから、耕作放棄地の再活用という形で復活をするものが四万見込んでおりますので、これは合計八万ヘクタールある。
 それ以外に、耕作放棄が自然体、つまり趨勢であれば二十六万ヘクタール生じるであろうものを、基盤整備事業を実施するとか、農地の利用を集積するとか、生産条件の不利性の補正、つまり直接支払い等で二十一万ヘクタール戻る。つまり、五万ヘクタールしか耕作放棄は今後発生をしないというふうに見込みまして、自然体でいえば四百四十二万ヘクタールになるべきものを四百七十万ヘクタールの確保が可能だというふうに申し上げた次第でございます。
#283
○中林委員 局長の答弁、それでいいんですけれども、もう一つ確認で、四五%の自給率目標、それを達成するための農地面積四百七十万ヘクタール、これを確保しないとできない、この確認をしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#284
○渡辺政府参考人 農地面積だけではなくて、食料自給率を耕地利用率一〇五%のもとで実現するためには、平成二十二年に四百七十万ヘクタールの農地の確保が必要、そういうことでございますので、総面積プラスそれの利用率ということでございます。
#285
○中林委員 それは当然、利用率というのはあるんですけれども、全体の総面積四百七十万ヘクタールというのは最低ラインだろうというふうに私は政府の計画において思うわけですね。
 それで、今構造改善局長が示された政府の農用地等の確保等に関する基本指針というもの、これを説明されたんですけれども、しかし、本当に耕作放棄の面積をマイナス五万ヘクタールにとどめることができるのかどうかというのは非常に不確かだ。
 先ほどからずっと中山間地の問題、所得支払いの話が出てまいっております。中山間地の農地を守ることは、大臣はじっくり構えて、こういうふうにおっしゃっているんですが、今なかなか集落協定が結べない最大の要因は、五年の縛りがあって、それまで自分たちは生きていることさえもできないんじゃないか、こういう高齢者の方々の不安の中で、これなら協定は結べないというような思いがあって、先ほどからの局長の答弁でも、七割がそういう契約の方向だけれども、あと三割はまだ直接支払いの方向に向かっていないという話があって、三割もまだそういう事態になっているということであれば、今局長が説明された耕作放棄地の抑制で、大体マイナス五万ヘクタールぐらいで抑えるんだということ自体も、私は極めて不確かな要因を持っているだろうというふうに思います。
 先ほどからこれを説明されているわけですけれども、私がこの中で大変あっと思ったのは、農地の転用部分です。これは二十三万ヘクタールマイナスということになっております。これは趨勢に任せていこうということで、対策は何もとっているように見えません。
 加えて、同じように、農地を守らなければならないという、厳密な意味で農用地区域に指定されている中での転用の問題も、八万ヘクタールは趨勢として減っていくんだ、こういうことになっているわけですね。ここを厳しく規制しなければ、その二〇一〇年の四五%の自給率に匹敵する四百七十万ヘクタールの農地の確保はできない、これは極めて頼りにならない指針なんじゃないかというふうに私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
#286
○渡辺政府参考人 確かに、転用の問題というのは、これから先、特に優良農地の確保をめぐる一つのかぎになると思います。
 転用の問題につきましては、ゾーニングという形での農振制度、それから農地法上の個別の転用許可ということで、きちっとした運用をするようにこの二、三年も相当制度のてこ入れをしております。農振制度について言えば、これまではなかった国の基本方針というものを明確にいたしまして、平成二十二年で四百十七万ヘクタールの優良農地が見込まれるというふうに宣言をしておりますし、転用の基準につきましても、平成十年、先ごろの法改正によりまして、客観的かつ透明な基準を法定しております。
 こういう状況の中で、農用地区域内の農地など、効率的な農業生産の基盤となる生産性の高い優良農地の転用を原則として禁止し、許可を行わない、市街地に近接した農地など、効率的な農業生産に支障の少ない農地から順次転用に誘導するというふうに運用をしているわけでありますので、これから先もその農地転用の運用をきちんと守って、転用が見込み以上に生じないような取り扱いをしていきたいと考えております。
#287
○中林委員 昨年の農振法の改正案のときに、私も、これはむしろ開発促進のさまざまな通達の歴史ではなかったのか、こういうふうに指摘をいたしました。
 だから、農用地区域といっても、やはりさまざまな意味での転用があって、しかもそういう形で、農用地区域であるにもかかわらず、八万ヘクタールは転用になるんだというようなことが農水省の指針として出てくること自体が、私は、転用に本当の意味で真剣に歯どめをかけていらっしゃるというふうには受け取れません。厳しく転用には網をかけるべきだということを、農地を確保する意味からして強く要望しておきます。
 そこで、法案の内容について質問するわけですけれども、今回の農地法の一部改正案は、一言で言えば、農業生産法人の法人形態として株式会社を新たに認めることによって、株式会社による農地所有を合法化することを目的として、大企業の進出による農業、農村の破壊に道を開くものだというふうに思います。
 そこで、一つ一つ問題点を見ていきたいというふうに思います。
 まず、農業生産法人の法人形態として株式会社を新たに認めることは、従来、農水省としても、法人組織のうち株式会社を除外しているのは、株式会社が株式譲渡の自由の原則に立ち、株主が変動しやすい性格を有するため、株式の譲渡取得によっては農業者以外の者の支配が強くなることが予想され、これは耕作する者が農地の権利を取得するとしている農地法の目的から外れ、人的結合を基礎とし、共同経営的性格を持つ農業生産法人制度になじまない、これまでは農水省はこういう解説をしてきたわけですね。
 今回、法案では、株式の譲渡制限をかけた株式会社にのみ農業生産法人の資格を与える、こういうふうにしているわけですけれども、株式というのは、株の譲渡の自由というのが原則なんですよ。制限をかけたといっても、これは、定款に株式の譲渡につき取締役の承認を要する旨の定めがあるものに限る、こうなっているわけですから、反対に、取締役の承認さえ得られれば、株式の譲渡は自由にできる、そういうことになって、歯どめにならないんじゃないですか。
#288
○渡辺政府参考人 三点ほど御指摘がございました。
 まず、株式会社の株式の譲渡の自由の原則という点でありますけれども、確かに、この農地法に農業生産法人制度が導入をされた昭和三十七年には、商法の大原則が自由譲渡性ということでありましたけれども、昭和四十一年にこの商法の規定は改正をされております。ただし書きがついておりまして、同族的な中小企業が多い我が国の実態に合わせて、株式の譲渡を制限し得るように改正をされております。
 現実問題としても、日本に恐らく百万を超える株式会社があろうかと思いますが、上場されているあるいは店頭公開されているものを除けば、その九五%以上は譲渡制限がついている会社でございます。ですから、原則と例外とおっしゃいますが、例外の方が圧倒的に多いのが現況だということでございます。
 それから二点目に、譲渡制限が本当に歯どめと言えるのかどうかという点ですが、この譲渡制限、取締役会の承認を受けずになされた場合には、この譲渡に関して会社に効力を持たないということになっております。したがって、極端な話をいたしますと、会社は譲り渡した人を依然として株主として取り扱うということになりまして、譲り受けた者にその権利は行使ができないという点でございます。
 それから、取締役会が譲渡を承認したらどうかという点でありますが、取締役会の構成は過半が農業者でありますので、そういった承認をすることは通常は考えられないわけでありますけれども、仮に万が一、承認をして、その結果、この農業生産法人が構成員要件を充足しないようになりますと、これは是正の指導をし、その後、究極的には国が法人の使用する農地を買収するという各プロセスを踏みまして、農業生産法人の要件への合致を実現することになっております。
#289
○中林委員 農業委員会が勧告して、そういう是正措置をとったり、それから最終的には国が買収するという歯どめ措置があるんだ、こういう話だったのですけれども、それが有効に働かないのではないかというのは、ちょっと後で質問をしたいというふうに思います。
 ただ、私どもは、取締役会に大企業関係者が役員として派遣されれば影響力は極めて大きい、だから役員要件を厳しくしているんだとおっしゃるけれども、例えば、農業者以外の者の支配が強くならないようにするためということで、その懸念を払拭するためということで、農業関係者以外の者の出資制限を、全体で四分の一だとかいう制限は設けているのですけれども、私は、四分の一もあれば十分支配は可能だというふうに思います。
 というのは、あとはやはり零細な農業者ですよ。そういうようなことであれば、やはり農業生産法人の全体をコントロールすることは可能で、今までどおりの規制をかけているんだとおっしゃっていても、歯どめになるとはとても思えないというふうに思います。
 だから、やはりそこのねらいは、四分の一の出資の企業が参入し、株式を増資して、小さく産んで大きく育てようということになりはしないでしょうか。
#290
○渡辺政府参考人 今お話がございました四分の三以上を占めるということについては、特に株式会社に限った話ではないのですね、農業生産法人、およそ今までどおりなわけでありますので。
 それから、四分の三、ほかは零細ではないかとおっしゃいますけれども、それが持ち分の特徴でありますし、そうであるがゆえに、農業者、農業関係者は団結をしなければならないということであります。団結をした場合に、支配権をきちんとクリアできるだけの比率を定めているということでございます。
 それから最後に、農業関係者以外の方がだれでも出資をしていいというわけではなくて、あくまでも法人の事業について安定的な取引の関係にある者ということに限っておりますので、どちらかというと、連携を強化してその経営の発展を図るという方向での参画ということになるわけでございます。
#291
○中林委員 絵にかいたもちみたいな話は通用していかない、こういう法律がもし成立したら、そうではない状況になり得るから、本当に歯どめにならないようなことはあってはいけないというふうに私は思っているわけです。
 農業者以外の出資の話も、取引関係にあるところなんだから全く関係ないものだとおっしゃるけれども、これも後で私質問したいというふうに思います。
 そこで、さらに重大な問題は、株式会社に農地の取得を認めることが、これまでの耕作者主義、つまり、実際に耕作に従事する者が農地についての権利を持つという、これが戦後の農地に対する中心的なものだったというふうに思うんですけれども、そういう原則と今回は真っ向から抵触していく、そういうことにつながると思います。
 耕作者主義は、日本の農業の家族経営を守る柱になってまいりました。株式会社による企業としての農業経営が成立するとすれば、利潤配当というものを上げるために当然優良な農業地帯を中心にして展開する、それがやはり利潤を上げるためには必要になってくるというふうに思います。
 そうすると、今まで努力をしてそういう優良的な農地で頑張ってきた家族経営、そこが追いやられていくんじゃないか。しかも、先ほどの大臣のお話もありましたけれども、優良農地に対してはやはり手厚い手だてもそこに積み重なってくるということになると、その優良的な農地で一生懸命頑張ってきた家族経営の人たちが追いやられ、さらに劣悪な条件の中で農業を営まざるを得ない、そういうことになりかねないと思うわけですね。その点はいかがでしょうか。
#292
○渡辺政府参考人 大変恐縮な言い方でありますけれども、先生のお話で、何となく、家族経営が乗っ取られるとか追いやられるというふうなニュアンスがうかがわれるわけでありますけれども、私たちがこの株式会社形態を導入することにつきましては、随分議論を経ました中で合意が得られたわけでありますけれども、株式会社の参入ということではないわけであります。これは、株式会社形態について、農業者が、農業者中心の方たちが家族経営の発展の形としてこの形態も選択肢としてとれるということを考えたわけでありまして、外から何かがやってきて支配をするということではないわけであります。
 ですから、実例を申し上げますと、農家が集まって法人化をするときに株式会社という形態をやる、それから、今有限会社で農業生産法人をやっておられる方が、これを発展させるために株式会社という形態を使っていくというふうなことであります。
 したがいまして、私どもは、あくまでも農業者中心の生産法人ということでありますから、地域の担い手としても十分そこの中で活躍をしていただけると思いますし、地域農業をむしろ支えるものとして、家族農業経営を圧迫するというふうなものではございません。
 耕作者主義の三原則、つまり、農地のすべてについて耕作をする、農地を効率的に利用する、農作業に従事する、この三原則は、いかなる法人形態であっても貫徹をする考えであります。
#293
○中林委員 今までの農業生産法人が株式会社の形態をとれるんだ、こういうふうにおっしゃって、何かよそからの参入はないかのようなことをおっしゃいますけれども、出資だとか、役員の構成要件だとかあるいは法人の構成員の要件だとか、それらが随分緩和されて、そこに農業者以外の者の参入がされやすくする、こういう状況になるんですから、先ほども言ったように、小さく産んで大きく育てる、そういう道が今度の株式会社の形態をとることによって大きく開かれてくることは間違いありません。今回はそれが目的だというふうに私は思います。
 もう一つ問題は、農業生産法人の事業要件の緩和についてお聞きするわけです。法案は、農業生産法人が行うことができる事業の範囲、すなわち事業要件について、農業あるいは関連事業を含むわけですけれども、売り上げが過半であればその他の事業を行うことができるように改正案が出ております。その結果、ほとんど農業生産を伴わない農業生産法人が成立し得ることになるのではないかというふうに思うのですね。
 例えば、一定面積の農地で役員の四分の一が農作業に従事さえしていれば、例えば運搬、これは農業関連の事業ですね、運搬を行いながらその他の事業を行うことが可能になる。運搬をしながら、いや、やはり便利だから、そこら辺の町内を全部輸送してくれということになったり、いや、その展開を見ていると県内全体の輸送もやってくれという要望にこたえて、自分もそれの方がもうけがよくなるというようなことで、そういう事業もできる。つまり、運搬は農業関連だけれども、今度は輸送業になったりすると、その他の事業にならざるを得ないんじゃないかというふうに思うのですね。
 だから、そういうことになれば、例えば、今まで一ヘクタールの田んぼを持っていた、それを十アールぐらいに縮めて、あとの残りで駐車場をつくる、あるいは従業員の宿舎をつくるというようなことになりかねない。だから、この農業生産法人の事業要件の緩和ということは、新たな農地転用、そっちの方向に向かうのではないかという危惧をするわけですけれども、いかがでしょうか。
#294
○渡辺政府参考人 二つお答えしたいのですけれども、一つは、農作業従事が四分の一という話でありましたけれども、あくまでも役員構成の中で農業者が過半を占めるという点はそのままでございます。それから、関連事業の概念につきましては、これまでと変えておりません。
 最後に、転用の話でありますけれども、転用は、先ほど先生が御指摘ありましたように、いかなる方であろうとも、農地である限りは一般の農地転用と同様に都道府県知事または農林水産大臣の許可を受けることが必要でございますし、そこは厳正に運用するということでございます。
 さらに加えて申し上げますと、農業生産法人の要件というのは、農地を取得した後でも充足し続けることが求められますので、一たん農地を取得したら、その後は放り出すというふうなことにはならないわけでございます。
#295
○中林委員 表立ってはそういうことをおっしゃるんだけれども、しかし、これが関連事業なのかその他の事業なのか、その境目もよくわからない。それから、例えば農地を宿舎にしたりあるいは駐車場にしたりというようなときに、農業委員会が転用を認めないというようなことは、私は、地域的に密着した農業委員会ではなかなかそこはやれないんじゃないかというふうに思います。
 次の問題に移りますけれども、農業生産法人の構成員の要件の緩和、この問題で、これをやったら、あらゆる大企業の農業生産法人参入に道を開くんじゃないかというふうに思います。
 法案は、農業生産法人の構成員要件について、新たに地方公共団体を追加するとともに、同時に行う政令改正によって、法人と継続的取引関係にある者を追加するということにしています。このことによって、農業とは全く関係のない大企業にも農業生産法人への参入の道を開くことになります。
 具体的に継続的取引関係にある企業を想定してみますと、取引銀行、電力会社、ガス会社、農機具メーカー、運送会社、スーパー、食品メーカー、商社、インターネットプロバイダーなどが挙げられるというふうに思うわけですね。だから、これらが直接農業の生産法人に参入することができるということになるわけです。国籍も問わないということになると、多国籍企業の農業生産法人への参入も可能になるのではないでしょうか。
#296
○渡辺政府参考人 まず初めに、今回の制度改正におきましても、農業関係者が総議決権の四分の三以上を占めて法人の支配権を有するという点は変わりがございません。
 それから、御指摘がありましたように、政令改正によりまして、農業関係以外の者の構成員の範囲の拡大ということで、法人の事業に関し継続的取引関係にある者に限定をして構成員となれるよう追加をするということでありますが、ちょっと先ほど申し上げましたが、だからといって農業関係以外の方がだれでも出資をしていいというわけではなくて、あくまでも法人の事業について安定的な取引関係にある方、つまり、物資の仕入れだとか納入の面で安定的な法人の支援者たるお得意さんといいましょうか、そういう方に限って構成員となる道を開いて、この連携を強化し、経営の発展を図るようにするというものでございます。
 今、継続的取引関係として例を挙げられましたが、取引の安定性の点から、これは、例えば三年間といったような一定期間において取引をすることを契約書の形で明確にしている方に限るということにしたいと思っております。これは、農地の権利取得の許可申請や毎年の報告の中で契約書の提出ということでチェックをいたしたいと思っておりますから、法人との取引関係にない方はもちろんのこと、期間の定めのない不安定な契約に基づく者、あるいは契約書がない場合には構成員となれません。
 御指摘のような電力会社は、通常は期間の定めのない取引でありますので、構成員となれません。それから外国法人と日本法人という問題でありますが、これは、その国籍によって差別されるものではなくて、あくまでも継続的取引関係にあるか否か、この判断によって行われることになります。
#297
○中林委員 それならば、具体的にお聞きします。
 例えばカゴメケチャップ、これが、先ほど局長が言われたような継続的、そして一定の、三年間ぐらいの契約、書類さえ整えば、これは構成要件に合うわけですね。それからビール会社、ここも既にいろいろ契約を結んで生産をやっているところがありますけれども、これもオーケーになりますよね。すかいらーくのような外食産業、これなども契約さえすればどうなるのでしょう。それから多国籍企業でありますドール、これなどもオーケーということでしょうか。
#298
○渡辺政府参考人 今申し上げましたように、三年といったような一定期間安定的な取引を行う、原料をそこから必ず引き取ります、一定の価格なり価格の決め方で引き取りますというふうな契約書があれば、そういったところは可能になります。ただ、申し上げておきたいのは、一構成員当たりの株式出資の上限は一〇%であります。
 それから最後に、ドールの名前が出されましたが、ドール自身が日本で原料を直接引くというふうなことはなく、多分、そのケースでいえば、ドールの日本法人ということになるのではないかなと思います。
#299
○中林委員 そういう詭弁を使ってもらったら困るじゃないですか。そうですよ、どれだって、日本法人をドールはやるし、それからモンサントの出資会社だって農薬をつくったりしているわけですから。そういう意味では、今局長が言われたように、継続的な取引、そして期限を限ってのそういうものがあれば、書類が整えば、歯どめはないということが確認できたというふうに思います。だから、これは極めて重大な問題だというふうに私は思います。
 次に、農業生産法人の役員要件の緩和問題、これについて質問いたします。
 法案は、これまで、業務執行役員の過半を占める農業に従事する構成員、そのうち、農作業に従事する割合を、全員としていたのを過半に緩和する方向に打ち出しました。これによると、農業生産法人の業務執行役員のうち、四分の一しか農作業に従事する役員が必要ないことになります。逆に言えば、農業生産法人の業務執行役員のうち、四分の三は農作業とは関係のない役員でいい、こういうことになると思うんですね。
 さらに、省政令の改正で、農作業の従事日数を、これまでの百五十日以上としていたのを六十日以上というふうにまで引き下げることになっております。だから、農作業従事者もまさに片手間農作業で構わないということになるわけです。
 従来、この要件は、農水省は、農業生産法人の経営支配力を農業者に確保しておくための要件ということに説明していたんですけれども、その理念を今回は投げ捨ててしまう、そして農業生産法人の経営支配力を農業者以外に確保する、こういうことになるんじゃないですか。少なくとも、大企業など農業と関係のない企業が農業生産法人に役員派遣などの形で参入しやすくした、そういう措置になっているんじゃないかというふうに思うんですけれども、否定できますか。
#300
○渡辺政府参考人 後ろの方から順次答えたいと思うんですけれども、今回の改正について、今農外者の参入を容易にするという御指摘だったんですけれども、むしろ私たちが考えていますのは、法人に常時従事する役員が、企画管理業務の増加に適正に対応できるというふうにする改革だと思っております。農業生産法人の役員が、これからは、より活発な活動をその法人がすればするほど、マーケティングだとか資金調達だとか企画管理業務がふえてまいりますので、そこの道を閉ざしてしまうというのは、縛ってしまうというのは、法人活動の活性化の点で、やはりその壁は少し低くしてやった方がいいというふうに思っているわけであります。
 それから、百五十日以上という従事日数の話がありましたが、現状は、年間百五十日以上従事しているのであれば、その過半の七十六日以上という規定であります。これを六十日というふうにしたいわけでありますけれども、いわば最近における農業の社会通念に沿った形での改正と考えております。
 例えば、農業委員会法で、農業生産法人の組合員または社員で、年間六十日以上耕作に従事する者は、農業委員の選挙権、被選挙権を与えているというふうなこともございますので、そういう点で、六十日というのは決して社会通念上おかしな日数ではないというふうに思っております。
 それから、その役員の構成は、今先生四分の一とおっしゃられましたけれども、依然として農業関係者、農作業従事者を含めて過半でありますから、法人経営のイニシアチブはとれる。農作業と関係ないとおっしゃいましたが、農作業自身も見ているということでありますので、御理解を賜りたいと思います。
#301
○中林委員 今、法人の方で企画管理労働者、これを役員の中にふやしたいということで、主にそういうことをやるために要件緩和をしたんだという話だったんですが、農水省から、農業生産法人の経営状況、農業生産法人制度に関する意向及び要望についての調査ということで、去年の九月の結果の資料をいただきました。
 それを見ると、「是非とも、主として企画管理労働を担当する役員を増やしたい。」という法人の数は百二十二法人。これは、三千百四十三法人からの回答ですから、三%とちょっとぐらいだろうというふうに思うのです。だから、生産法人の方から企画管理を主としてやりたい、こういう要望は極めて少ない、これからふやすことを検討するというのを加えても十数%にしかならないということだと思うのですね。それで、「企画管理労働担当役員については考えていない。」というのが半分以上の千五百十二法人、あとは「何ともいえない。」という回答なんです。
 そういうことを考えると、先ほど大企業の参入への道を開くのではないかということについて否定はされませんでした。だから、今回の役員要件の緩和というのは、局長が幾ら耕作者主義をしっかり守っていくのだとおっしゃっていても、農業生産法人を大きく変節させていく、そういう緩和要件になっているのではないかというふうに思います。言えば言うほど、いや大丈夫、大丈夫、こういうふうにおっしゃるでしょうから、その点は指摘をしておきたいというふうに思うのです。
 大丈夫だ、大丈夫だとおっしゃるのですけれども、それならば、私は信頼できない事例を挙げたいというふうに思います。それは、土地改良法において、国みずからが違法行為を行っている問題です。
 土地改良法では、計画の事業費が一〇%以上になった場合は、計画変更を行うことが義務づけられております。しかし、迫川上流国営かんがい排水事業及び鬼怒川中央国営かんがい排水事業の二つの国営事業は、事業費が一〇%以上超えているにもかかわらず、計画変更することなく事業を終了しているのですけれども、これは明らかに土地改良法違反ではありませんか。
#302
○渡辺政府参考人 今御指摘がありましたように、国営土地改良事業計画の変更は、土地改良法第八十七条の三に基づいて、地域、主要工事計画及び事業費に一定の変更があった場合に行うものとされているという規定がございます。ただ、規定と全体としての趣旨とするところ、これをやはり工事の進捗に合わせて判断をする必要があろうかと思っております。
 先生が今御指摘になりました迫川上流それから栃木の鬼怒中央、これは、一〇%を上回る変動が生じましたのは計画の最終年度であります事業完了年度であります。つまり、最後の年にこれをやると一〇%を超えてしまったということであります。その背景としては、地すべり等予期せざる事態が発生をした、それから例えば、フェンスを張らないと人が落ちるということで、そのフェンスの分で事業費が一〇%を超えるというふうなことでありました。
 ここでとめますと、国営事業の常として、工期の延伸によって建設利息が生じます。後から償還をいたしますので、これはかえって農家にとって利息の増嵩をもたらすものであるというふうなことを考えますと、本件は、法律の趣旨から、やむを得ない事由によるものである、したがって、違反ではないというふうに認識をいたしております。
 もちろん、一定の期間がまだこれからかかるものについては、当然のことながら、計画変更の手続を進めるということはもとよりであります。
#303
○中林委員 しかしながら、法律できちっと決まっているところを計画変更しなかったということで御報告を受けているわけですから、私は、これは明らかに法違反だと思うし、これは直轄事業ですけれども、ましてや補助事業に至ってはたくさんあるという事例が既に明らかになっているわけです。だから、農水省自身が、構造改善局自身がといいましょうか、こう決めた、しかし、それさえも守られないという状況があるわけですから、今まで、大丈夫、こういうことがある、こういうことがあるということで答弁されても、とても信じがたい状況でございます。
 そこで、農業生産法人の要件適合性の担保措置として、農業委員会にその役割をちゃんと果たさせるんだからということを随分言ってこられたわけですけれども、私は、これも大変大きな問題があるというふうに思います。
 問題は、農業生産法人が要件を満たさないというおそれがあると認めるとき、その法人に対して、農業委員会は必要な措置をとるべきことを勧告することができるというふうになっております。だから、しなければならないのじゃなくて、できるので、してもしなくてもいいということに置きかえられるのじゃないかというのが一点です。
 同時に、農業生産法人はこの勧告に従う法的義務がなくということになるわけですね。そうなると、勧告の強制力というものが発生しません。そうなると、要件適合性の担保措置としては、この法案の大きな欠陥がここにあるのじゃないかというふうに私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
    〔委員長退席、西川(公)委員長代理着席〕
#304
○渡辺政府参考人 このたびの改正におきまして、「勧告することができる。」という規定を法十五条の二第二項に新設いたしております。
 この勧告は、農業生産法人が要件を欠くおそれがある場合に、勧告に従って必要な措置を講ずることを促すもの、したがって、「勧告することができる。」というふうに規定をいたしましたが、是正のプロセスの重視というふうにお考えいただきたいと思います。
 といいますのは、法人が自主的に農業生産法人の要件を満たすように努力をしている過程にありますと、特段、勧告という措置を講じなくても、いずれ要件を欠くおそれがなくなると見込まれるケースがあるわけでありまして、そういう場合には勧告は行う必要がない。しかし、こういう自主的な努力をしておらず、このままでは要件を欠くことになってしまうようなケースには、必要な勧告を厳正にできるというふうに、画一的にではなく、法人ごとの状況に応じて必要性が判断されるわけであります。
 では、遵守義務がないではないかという点でありますが、仮にその法人が勧告を受けたにもかかわらず勧告に沿った措置を講じなければ、結局のところ農業生産法人の要件を欠くことになるわけでございますので、最終的には国が農地を買収するということでございます。
 そういうことを背景といたしまして、勧告を受けた農業生産法人は、通常は、要件を充足するために必要な措置を講ずることになるというふうに考えております。
#305
○中林委員 これまでの農業生産法人の問題も、その要件に適合しなければ最終的には国が買うということをやってきたわけでしょう。どれだけ買ったのですか。
#306
○渡辺政府参考人 かつて屋久島で、パイナップルの畑が農業生産法人によって適正に使われていなかったということで、たしか二十一町歩買収をいたした事例がございます。
#307
○中林委員 要するに、一件なんですよ。
 だから、そういうことで、これが最終的な引導だみたいな話で、最後の切り札は国が買い上げる、そういう厳しい措置があるんだからとおっしゃるのですけれども、私は、そういう要件に適合しないものには、厳罰をもってといいましょうか、従わなければならない義務を課すぐらいなことをやる必要がある、そうでなかったら歯どめにも何にもならないというふうに思います。
 そこで、農業委員会に勧告を義務づけないということになるわけですけれども、私は、担保措置そのものが要件適合性の判断のあいまいさというものを内在しているというふうに思うんですね。
 要件適合性の中で問題になるのは、事業要件の農業あるいはそれと関係する事業が売り上げの過半を占める、こういう規定です。
 農業の売り上げというのは農産物価格によって大きく左右されて、天候要因で不作になれば売り上げは激減します。そういうときに、例えば民宿をしていたとしましょう。これはその他の事業でやっていたとします。たまたま当たって、その民宿にたくさんお客さんが来た、だけれども、農業そのものは価格が暴落して収入が激減した、こういうときに、これならば、その適合要件に合わないということで農業委員会から勧告を受け、是正していかなければならない、そういうことになるんですか。
#308
○渡辺政府参考人 幾つか御指摘がありましたけれども、まず、農業の持つ特性というものについては、十分考慮に入れているつもりでございます。したがって、単年の豊凶変動等でこれを判断するのはむしろ適当ではない。三年ぐらいならして状況を見る、そういうふうなシステムではないかと思います。
 それから、今おっしゃったように、片や農業の生産あるいは関連業の生産が一定であった場合に、民宿、その他の事業のところが大きくなって過半を超える、五〇%を超えるというふうなケースでありますが、これは法人の実業でありますので、実際のケースに即してお考えいただいたらいいと思うのですが、どのような法人でも、ある部門が一定の成長をしますと、これを分社化するような措置をとっております。また、農業生産法人の場合には、農業部門を拡大する、民宿部門の収益をもって農業部門を拡大するという手もとれるわけでございます。そういった工夫が当然のことながら法人サイドにおいてとられるというふうに考えております。
 蛇足でありますけれども、法人がこうした自主的努力をせずに要件を欠くような場合には、必要な措置を、例えば厳正に勧告をするというふうなことで対応することになろうかと思います。
    〔西川(公)委員長代理退席、委員長着席〕
#309
○中林委員 農業委員会そのものの問題ですけれども、昨年七月に成立した地方分権一括法で、農業委員会における農地主事の必置規制が廃止され、機能低下の方向にあります。
 東京農工大学の学長の梶井功氏は、この問題で次のように述べています。農業株式会社を地域社会と調和させることができるかどうかは、挙げて農業委員会の活動いかんにかかることになりそうなのであるが、その農業委員会については、農地主事の必置規制が廃止されるなど、むしろ機能低下を危惧しなければならないような措置がとられているのである、要件を欠いた場合の国の買収措置の機動的発動を行うためには、農業生産法人の運営を、農業委員会は常時見守っていかなければならないが、今それをやれる農業委員会が全国に果たしてどれだけあるだろうか、こういうことを言っています。
 現に農政改革大綱で、「農業委員会の組織体制の見直し」として、「農家戸数の減少等を踏まえた組織体制の適正化を早急に図る。」こういうふうにされ、さらに新農基法の第三十八条では、「食料、農業及び農村に関する団体の効率的な再編整備につき必要な施策を講ずるものとする。」こういうふうに規定されて、これは農業委員会の組織の縮小再編、これが強行されていく方向だというふうに思うんですね。
 そうなれば、農業委員会の主体的力量は一層低下することになりかねない。きょうも、農業委員会に対する国の予算、これもずっと減り続けているという中で、今回の法改正案の中で農業委員会に多大の任務を課するわけですけれども、こんなことでやれるんですか。
#310
○石原政府参考人 農業委員会の予算でございますけれども、確かに今先生御指摘のとおり、近年、予算は若干削減してきております。
 これは、今の農業委員会、優良農地の確保及び有効利用及び担い手の育成確保、こういうのに大きな役割を果たしてきているわけでございますが、近年、この予算を削ってきておりますのはあくまで交付金でございます。
 この交付金は、予算の効果的、重点的な活用を図るという観点から交付金の削減を行ってきているものでございまして、あくまで農業委員会の事業という点に御着目いただきますと、必要な事業を行うに必要な予算といいますか、補助金という形で予算の拡充を図ってきたところでございます。
 今回の農地法の改正に当たりましても、農業委員会が農業生産法人に関する要件のチェック、本日いろいろ御議論がございました、そういうチェックを十分行えるように、その活動を強化できるようにということで、十三年度予算概算要求におきましても、農業委員会の委員及び職員に関する研修等の拡充を要求しているところでございます。
 また、先ほど農地主事の必置規制の廃止の問題がございましたが、この問題につきましては、当初、農地主事の行っている業務、これが利害の錯綜する農地関係の事務を適正に行うということでございましたので、これらの事務を適正かつ公正に処理するという観点から、学歴あるいは業務経験等につきまして一定の資格を必要とするというふうにしたということでございます。
 しかしながら、市町村の職員におきましても、高学歴化が進みまして、十分な業務経験を有する者が増加していること、また職員に対する研修は引き続き実施してきておりまして、農地主事の必置規制がなくとも農業委員会の職員の資質が低下することがないこと、こういうことを考慮いたしまして、あくまでも地方分権の推進という観点から廃止したところでございますので、この点は御理解いただきたいと思います。
#311
○中林委員 時間が来ましたので終わりますけれども、現在の農業生産法人の行き詰まりは、農産物価格の引き下げや市場原理の導入による農業所得の低下なんですよ。それを転換しさえすれば現在の農業生産法人の対応で十分だ、だから株式会社の導入の根拠は私は全くないということを申し上げて、終わります。
#312
○宮路委員長 次に、山口わか子君。
#313
○山口(わ)委員 社会民主党・市民連合の山口わか子でございます。
 私は、農地法を過去何回か改正してくる中で、戦後進められてきた農業政策の基本について質問をさせていただきます。
 農地法制定当初の法の目的は、私が申し上げるまでもございませんが、農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めて、耕作者の農地の取得を促進し、その権利を保護し、その他土地の農業上の利用関係を調整し、もって耕作者の地位の安定と農業生産の増進とを図ることでありました。そして、戦後、荒れ放題になった農地を必死の思いで耕し、国民の食料を確保してきたのは農業労働者の皆様であったはずです。
 ところが、農業、農地、農村をめぐる状況はここ十年来大きく変わってきました。年々農産物価格が抑制される中で、さらに農産物の輸入が拡大され、農業への将来展望を失い、農業を支えるはずの後継者は減少し、高齢化と担い手不足はますます深刻な問題として農家を苦しめています。その結果、耕作地の利用率は減少し、遊休、耕作放棄地の拡大、それに伴う食料自給率の一層の低下などが見る見るうちに広がり、中山間地では地域農業と農村社会の維持さえ困難になっているところも出始めています。
 農業就業人口の推移を見ただけでも、その衰退は著しいと言わざるを得ません。例えば、一九六〇年には千四百五十四万人でしたが、平成十年、一九九八年には三百十六万人にまで激減しています。総就業人口のたった四・九%しか農業に従事していないという状況になっております。しかも、兼業農家が八二%を占めているのです。
 なぜこれほどまでに農業が落ち込んでしまったのでしょうか。政府の政策を進めてきた結果なのでしょうか。それとも、全く違った方向に行ってしまったのでしょうか。いずれにしましても、一億二千万人の食料供給を担う農業人口がこのままでいいわけはありません。我が国の食料自給率が先進国中最低だということからしても、これははっきり言えます。
 日本の農業が現状のようになった理由には、農業の生産性が向上した、あるいは安い農産物が外国から入ってくる、日本人がお米を食べなくなったなど、いろいろな説明がなされておりますけれども、私にはどれも納得できるものはありません。農業の後継者不足は深刻でございます。二十一世紀の日本の農業を一体だれが担うのかを考えると、暗たんたる思いにならざるを得ません。
 この四十年間、なぜ農業就業人口が激減したのか、そのことについてどのようにお考えでしょうか。御質問をさせていただきます。
#314
○竹中政府参考人 我が国農業、農政につきましては、これまで旧農業基本法のもとで、農業と他産業の生産性の格差を是正するといったような観点から、各般の施策を講じてきたところでございますが、この間、予想を上回るテンポの経済成長あるいはまた国際化の進展といった中で、自給率の低下とか、今お話ございましたような問題点も出てきておるというのが現状であろうかと思います。
 そういった状況を踏まえまして、旧基本法に基づきます農政を抜本的に見直しまして、昨年七月には、食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、それから農村の振興といった点を基本的な理念といたします新しい基本法が制定されたところでありまして、自給率目標の達成等に向けた取り組みを初め、農地や担い手の確保など、各般の施策を着実に実施していきたいと考えているところでございます。
#315
○山口(わ)委員 農地法の一部改正は、政府の説明によりますと、担い手不足を解消し、すぐれた農業経営者を育成するために必要とのことですけれども、担い手の育成が重要かつ緊急の課題であることは社民党も同じ認識でございます。
 しかし、株式会社が農業生産法人に参入すると、どうして担い手不足が解消するのでしょうか、具体的なシミュレーションがおありでしょうか、わかりやすく御説明をお願いいたします。
#316
○渡辺政府参考人 株式会社の組織形態のところだけが強く取り上げられておりますけれども、今回の制度改正の主眼は農業生産法人制度全体の見直しであります。
 それから、株式会社について言えば、先ほど申し上げましたように、株式会社が参入をするということではなくて、実際に農業をやっていらっしゃる方々が法人形態を選ぶときに、株式会社という形態も選べる、あるいは今有限会社の方々が株式会社にそれを転換して、よりその活動を活発にすることができるという、その選択肢の数をふやしてやるということが目的なわけです。したがって、どこかよそから大企業が入ってくるとか、すべてがみんな株式会社になるとか、そういうことではありません。あくまでも農業生産法人という農地法で定められた枠組みの中で行うということであります。
 ここにたどり着くまでに三、四年かかりました。相当な議論があって、こういう農業生産法人の枠組みを使うのであるならば、プラスマイナス、比較考量してみるとメリットの方が大きいだろうということでたどり着いたわけでございます。また、マイナスの面は十分にそれを阻止することができるというふうに合意が得られたところでございます。
#317
○山口(わ)委員 今この農業生産法人の選択肢を幾つかふやすというふうにお答えをいただきましたけれども、こういうふうな農業の現状になったのは大分前からだというふうに思っています。農業の担い手不足のことを心配する必要はどうなのか、この株式会社の参入で本当に解消する、もし、今おっしゃるように選択肢をふやすということであれば、もっと早くこの選択肢を使われたらよかったのではないかというふうに思うのですが、この段になってこういう株式会社の選択肢を入れられた理由というのは何でしょうか。
#318
○渡辺政府参考人 もちろん担い手の不足の問題もそうでありますけれども、これから先の農業経営というのは、企画だとかマーケティングだとか、そういった経営管理能力の向上が必要だという路線は前々からございます。
 新しい基本法が議論されましたことに象徴されますように、あるいはウルグアイ・ラウンドの終結によって、この六カ年間いろいろな事態が起こりました。そういう状況の中で、やはりこれから二十一世紀の日本の農業はどうあるべきかという議論を、総理大臣の諮問機関である基本問題調査会でいたしました。そういう中から、この担い手の問題、地域の活性化の問題、そういう問題については、法人化の推進ということが一番効き目があるんじゃないかというふうな議論があったわけでございます。
 ごらんになっていただければおわかりのとおり、新しい基本法の中には、法人化の推進ということがきちんと規定をされております。私どもは、この規定を受けまして、農地法の中の農業生産法人制度をこの方向に沿って運用をしたいということでございます。
#319
○山口(わ)委員 農業就業人口の激減はもう先ほどから皆さんの御質問で出ていますが、農地面積も減少してきていると思います。昭和六十一年には六百万ヘクタールだった農地が、現在では四百八十六万ヘクタールであり、この十四、五年の間に約百二十万ヘクタールの農地が失われています。農業政策の重要性、その対策がいかに国民の強い要望であるか、これまでの数々の施策を実施するに当たっての論議を見ましても歴然としています。
 そして、政府は、昨年成立した食料・農業・農村基本法に基づきまして基本計画を作成していますけれども、計画の最大の柱は、現在の大変厳しい農業の実態、自給率の低下や高齢化、耕作放棄地の増大など、危機的な認識を十分に分析した上で、食料の自給率向上、食料の安定供給をするということになっております。
 そこで、お伺いいたしますが、このような基本計画が施策として十分に機能すれば当然実効が上がっていくことになるはずですが、なぜここで農地法改正が出てくるのか、よく理解できません。株式会社の参入によって食料自給率の向上、食料の安定供給が可能というのであれば、その根拠と株式会社参入による農地の取得をどれくらい見込んでおられるのか、お答えをいただきたいと思います。
#320
○渡辺政府参考人 まず、基本計画の中で、四百七十万ヘクタールの農地を一〇五%の耕地利用率で回していかないと、四五%という食料自給率は確保できないということをうたっております。そのためには、やはり農業生産活動が担い手を中心に活発になってもらわなければ、農地もフルに活用できないわけです。
 先ほど、私、汎用化の問題と関連をして一年二作もしくは二年三作と、農業者がいつでも畑や田んぼに出ているような状況が生まれませんと、この自給率の向上というのはないものですから、そこら辺で、やはり農業者の生産活動の活発化ということから法人化の推進というところにたどり着いたわけであります。
 では、どのぐらいなのかという問題なんですけれども、これは、三月に基本計画を出しましたときに、構造展望もしておりまして、個別形態でいえば、平成二十二年には三十三万から三十七万戸、そして法人や組織経営で三万ないし四万経営体というふうに言っておりますので、この三万ないし四万の中に農業生産法人もどこかに居どころを見つけるということになろうかと思いますが、いかなる形態をとるかというのは、これから農業者の選択の問題でありますので、そこまでシミュレーションしているわけではございません。
#321
○山口(わ)委員 これからの農業には、国土の保全とか水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観形成、文化の伝承など、多面的な機能を発揮することが求められています。このことは基本計画でも強調されているところでございます。
 こうした観点からも、地域農業とその担い手である家族農業経営を、農業を行うことが難しい、困難な地域においても、そこに生活している農家がある限り維持をしていくことが必要だと考えますが、このような農業が株式会社の参入によって可能になるとは思えません。何といっても、家族農業を基本とした集落営農の育成こそ政策の中心にすべきではないでしょうか。
 私は、株式会社の参入は、日本の伝統的な家族農業や地域農業を破壊するのではないか、農村の自立的再生を阻害するのではないかと恐れています。農地も失われ、国土の保全や水源の涵養機能が失われていくことは十分に考えられますし、もうからない農地は放棄され、ごみの不法投棄の格好の場所となり、地域住民を苦しめてしまうことは、私の地域を見ましても容易に想像がつきます。
 このことにつきまして、どうお考えでしょうか。
#322
○渡辺政府参考人 法人化の推進と家族経営というのは決して矛盾する概念ではありません。
 先ほど来申し上げておりますけれども、むしろ、家族経営が発展をして法人化の道を選ぶこともできるという可能性をつくってやることが、やはり一番大事なんだろうと思います。
 先生の御指摘の中にあった株式会社の参入という言葉は、私どもは想定をしているものではございません。必ずしも正しいとは思っておりません。今まさに、農業者が自分たちの農業生産活動なり加工、販売活動を活発にするためには株式会社という形態も選択できるんだという形、あるいは今の有限会社の形をとっておりますものがより一層ビジネスチャンスを目指して活発な活動のために形態を変更したいということが、現実問題としては想定されるわけです。
 それから、これは、農業法人協会の、きょうもきっと参考人のあれでもあったかと思うんですけれども、法人といえども地域を離れて成り立つわけはないわけであります。とりわけ農業生産法人というのは農地に関する権利を取得する法人ですから、土地と水の合理的利用という点で、集落や地域を離れました場合にはその法人そのものが成り立っていきませんから、当然、その地域社会の中において、周辺の家族農業経営や兼業農家とも一緒に地域農業を支えていくというものでございます。
 それから、最後に、もうからない農業は撤退するとおっしゃいましたが、私どもは、個別経営であれ法人経営であれ、農業というのは、そこで利潤を上げて、家族を支え、そして構成員にその報酬を渡すということができませんと、二十一世紀の農業生産はないわけでありますので、適正な利潤を求めるということは、個別経営であろうと法人経営であろうと正当なことであろうと思っております。
#323
○山口(わ)委員 やはり農業の基本は何といっても家族農業経営ですし、農業を行うことが難しい、困難な地域においても、そこで生活していく農家が維持できるような体制づくりが大切だ、そのことを私は訴えたいと思っています。いろいろな選択肢があるにしても、農業が成り立っていかない限りどうにもなりませんし、山間僻地ですと、そういう経営をしてもなかなか成り立たないところが出てくるのではないかという心配がありまして、質問させていただきました。
 続きまして、高齢者とともに女性は、農業の重要な担い手として現在の日本の農業にとって欠かすことのできない存在となっています。私の地域でも、女性たちが集まり、農業技術を学習しながら、数多くの新鮮で安全な野菜や果物を栽培し、新鮮市を維持発展させています。そのすばらしい実績が評価されまして、先日は農林水産大臣賞をいただきました。
 しかし、こうした努力も、利潤を追求する組織として株式会社が経営をすることで、私たちの不安があるわけですが、例えば、農薬漬けや遺伝子組み換え作物に変わっていく危険性があるのではないでしょうか。新基本法においても、女性の農業への参加は重要であると位置づけられていますし、多様な能力開発、そして環境整備、農業への女性の参加促進を進めていくと基本法にもうたっておりますが、株式会社が入ることで、農薬漬けあるいは遺伝子組み換え作物など命に危険な農業に道を開くことにはならないと断言できるでしょうか。まじめな農業経営を一生懸命やっている女性、こうした皆様を排除することにならないのか、お伺いをいたします。
#324
○谷国務大臣 構造改善局長ばかり答弁に立っておりますので、私も立たせていただきます。
 私は、専業農家もそれから家族農業もこの農業の法人化も、みんな一貫したものなんですよ、表裏一体なんですよ、家族農業も一体のものだと思っておるんです。そういう考え方で我々も随分議論を重ねてきました。この新しい農業基本法をつくるときにも、この問題で随分議論いたしました。
 けれども、先ほど来お話がたびたびありましたように、いろいろな疑念があるということをおっしゃいました。我々もその疑念、同じ議論をしたんです。そして、最後は、法律家の立場の方々の意見も聞き、いろいろなことをやってまとめてきましたので、今疑念のあるようなお話は、我々としては、先ほど来構造改善局長が丁寧に丁寧に説明しておりますけれども、そのとおりでございまして、私どもはちっとも不安を持っておりません。
 やはり、農業にいそしんでいただく方々が気力を持って、そして本当に夢を持ってやろうという農村をつくるのが我々の願いでございます。農林水産省の大きな願いでございまして、その願いに向かって我々は頑張っておるということをお知りおきいただきたいと思います。
#325
○山口(わ)委員 私はこれからの農業を考えるときに、農地は農地として適正に耕作、利用されなければならないという原則をもっと明確にするべきだろうと思います。そして、この精神は、最初に申し上げました農地法制定当初の目的と一致しなければならないと思っています。このことは、農地政策の公共性を確保するためにも不可欠だというふうに考えています。
 高齢化による農業の担い手不足や後継者不足だからいろいろな産業形態を導入すれば解決するという発想で地域農業の活性化が推進するとは、私はとても思えません。自給率の向上、農村環境の保全ということからしても、むしろ転用規制の維持強化が必要だと私は考えておりますけれども、御見解をお聞かせください。
#326
○渡辺政府参考人 転用規制の維持強化というのは、全く私どもも異論のないところでありまして、さきの国会で農地法の改正をしていただき、転用の基準については法定化をいたしましたので、だれの目にも客観的かつ透明な基準が定められております。これに基づきまして、もう一つ、農業振興地域の整備に関する法律に基づいた農用地区域内の農地、これをあわせてゾーニングと個別規制で対応していきたいと思っております。
 それから、先ほど来、農地法の耕作者主義の問題と法人ないしは株式会社の話が議論になっておりますが、私たちは、その耕作者主義の考え方、つまり三つの大きなポイント、農地のすべてについて耕作を行う、それからその農地を効率的に利用する、そしてその農地を一定の方が必ず農作業に従事するという形で携わる、この三つの原則は、株式会社であろうと有限会社であろうと個別農家であろうと貫徹をする。言ってみれば、農地法の根幹の部分については今回は触っておりません。
#327
○山口(わ)委員 今まで、私は農業の基本について御質問させていただきました。農地法の改正につきましては、次の菅野さんにバトンタッチをしたいと思っています。
 ありがとうございました。
#328
○宮路委員長 次に、菅野哲雄君。
#329
○菅野委員 質問に入る前に、委員長に要望しておきたいと思うのです。
 現時点では国会法四十九条を満たしているような気はするのですが、経過の中で、本当に十四、五人しかいないという状況が起こっているわけです。そして、私は、何よりもまして、遠方から足を運んでいただいた参考人質疑のときに、過半数を割っているような状況が本当に国会なんでしょうか、そのことを冒頭申し上げておきたいと思うのです。理事会の中でも、そういう事態のないようにということは委員長にお話ししていたのですが、質問に入る前にこのことを再度要望しておきたいというふうに思います。善処方よろしくお願いします。
#330
○宮路委員長 わかりました。
#331
○菅野委員 まず、きょう、五時間の集中審議ということで、午後、本会議終了から、もう七時になろうとしているこの時間帯まで、多くの人たちが本当に大変な状況で今委員会質疑をやっているのだなというふうに思っています、最後なのですけれども。
 こういう変則日程を組まなければいけないような事態というのは、私は、委員会の持ち方として、正常な持ち方であるというふうには言えないと思うのですね。理事会の中でもお話ししました。
 ただ、そこはいろいろな事情があるということはわかりますけれども、先ほども過半数割れ、国会法四十九条に抵触するような事態が生じているということも、こういう委員会の設定の仕方に問題点があるというふうに思いますので、これらについては、ぜひ今後の課題として理事会の中でも十分議論していただきたい、委員長にお願い申し上げておきたいというふうに思います。
 それで、農地法の一部を改正する法律案、今まで大分議論されてきました。私は、その議論を繰り返すつもりはございませんけれども、根本的に、今なぜこの改正案を提出しなければならないのでしょうか、このことをまず冒頭聞いておきたいと思うのです。
 そして、先ほども、構造改善局長の答弁の中では、四、五年前から大激論をやってきて今日までの法律改正案にこぎつけたという答弁がされています。四、五年前というのはどういう状況かというと、一つは、バブル経済が崩壊して経済が非常に混乱している状況だと思います。それからもう一つは、あしたも触れたいと思うのですが、そういうことを受けて、規制緩和というものが全国津々浦々で口にされるような時期から含めて、今日的な状況になってきているのだというふうに思っています。そして、もう一つの要件は、四、五年前と大きく条件が変わってきているのは、去年、ことし、米の大暴落、こういう状況の中での今回の法律改正であるというふうに思います。
 株式会社の参入じゃなくて、農業法人の法人形態の一つの選択肢を広めるという形で説明がなされていますけれども、農業法人が今どういう状況に置かれているのかというところを本当に分析した上でこの法律案なのかなというふうに思うのです。多様な担い手が農業分野に参入してくる、このことが法改正の目的だとすれば、今日の農政を取り巻く状況を考えたときに、そんなにたやすいものじゃないというふうに私は思うのです。
 それで、なぜ今法改正なのかというところなのですが、今日の法改正以前にやらなければならないこと、新農政をつくって、新しい農村、農業の基本法をつくって、そして去年、おととしと、具体的にことしからやっていこうというときに、米の大暴落です。そして、大規模専業農家ほど厳しい状況に追い込まれているのです。兼業農家等を含めて、家族農業経営的な手法を持っていた人たちはそんなに影響を受けていないということなのです。
 株式会社に道を開く農業法人の法人形態を広める以前に、今日の農業経営の実態を把握して、そしてこの今日の状況を克服する施策を具体的に示していって、初めて法改正なのではないでしょうか、私はそういうふうに思います。
 そういう意味では、なぜ今法改正なのか、今日的な農業を取り巻く状況をどう克服していくのか、この具体策について、当局の答弁をお願い申し上げたいと思います。
#332
○谷国務大臣 ただいまの御質問でございますが、私自身も、三年、四年前に大議論をやったということを申し上げました。これは、私は、党にありまして総合農政調査会長という役をしておりました関係から、この問題に非常に関心を持ち、この問題で大議論をして、いろいろな人の意見も聞いたことを覚えております。
 しかし、今回提出したのはなぜかということでございましたが、それは、新しい農業基本法をつくったその裏づけだと思っております。そして、この新しい農業基本法、つまり、昭和三十六年に最初の農業基本法をつくりましたが、それ以来そのままにしておりました農業基本法を、新しい農業基本法で、農村の活性化、そして農家の皆さんの夢を実現したい、その思いで我々はつくったわけでございますから、その裏づけをするために、この農業法人の問題、そして一部条件つきの株式会社の問題、こういう問題をきょう提案させていただいておるわけであります。
#333
○菅野委員 答弁になっていない。二点質問したのです。
#334
○宮路委員長 構造改善局長、補足を。
#335
○渡辺政府参考人 大臣から大勢お話し申し上げたのですが、基本法の議論が背景になっていることは間違いありません。平成六年にウルグアイ・ラウンド関連対策ということで、政府としては対策を表明したのですが、その中で既に新しい基本法の検討に着手をするということが表明をされております。それ以来既に六、七年が経過をしているわけであります。
 その一方で、農業生産法人、現行は有限会社にとどまっておりますけれども、それの伸びはどうかということを考えますと、やはりこれは各年非常に高いテンポで伸びてきております。
 法人自身は今一万ぐらいですけれども、そのうち農業生産法人はたしか五千六百を数えるまでに至っておりまして、法人化の方向というのは、法人協会ができるほどみんなから期待をされている道なんだろうと思います。
 確かに、先生おっしゃるように、米価を取り巻く状況というのは厳しいのですけれども、多様な担い手をやはり確保していく方向として、また法人化によって経営を活性化させるということで、その方向に沿った改正をお願いしているわけであります。
 その間、手をこまねいていたかといえば、そうではないのでありまして、昨年からことしにかけましてずっとやってきたわけでありますけれども、基本法をつくる、そのもとで農政改革大綱とその政策の実施プログラム、当面三年何をやる、五年間何をやる、それを明らかにいたしましたし、この三月には基本計画ということで、具体的に何をやるかということを政府としては公表いたしております。将来展望も含めて明らかにしているところでありまして、その中に一つ一つ、担い手はどうする、農地はどうする、そういうことが書かれているわけでございます。
#336
○菅野委員 私は、農業基本法の改正に当たってその議論をやってきた、そのことはわかるのです。ただし、今農村、農業を取り巻く状況というものを見たときに、本当に大規模農家ほど大変な状況に陥っているのですね。そして、生産意欲も減退している状況です。そういうときに、私は法人経営に意欲を示していくでしょうかということを言っているのです。米価が二万一千円くらいの状況であるならば、私は、法人経営をして、スクラムを組みながら地域の人たちと一体となって、そして農業生産に意欲を持ってやっていこうという状況は生まれてくると思います。
 しかし、食料・農業基本法の中でこれからやっていこうとするときに、私は、農業政策の一つの誤りと言ったら語弊がありますけれども、農業政策の不十分さゆえに米が暴落しているわけですね。そういうときに、先ほども参考人とお話ししました、家族農業経営でも大変なのに、法人を組織してまで農家でやっていくか、そして子供が帰っていきますかと聞いたときに、親は農業に将来の展望を見出せないから、まだ勤めていろと言わざるを得ない状況のときに、本当に家族農業的な状況でも厳しいのに、法人化の道が開かれていくのでしょうか。このことを私は疑問視しているのです。
 それで、今日の状況を克服する具体策はどのようにこれからしていこうと考えているのか、この点を再度質問したいと思います。
#337
○石破政務次官 先ほど委員が、家族農業経営でもしんどいのにという表現をお使いになりました。それは、家族農業経営が何で大規模専業的なものより強いかといえば、それはほかに収入源があるから強いということであります。それが一番の理由だと私は思っています。ですから、今米の例をお挙げになりましたが、米の値段がどんなに下がっても、ほかの収入源があるから強いということは、それは事実としてあろうかと思っております。それと法人化の問題は、あるいは別の観点から論ぜられてしかるべきものではないかなというふうに考えております。
 それで、ではどうするのだということでありますけれども、そうしました場合に、おっしゃるとおり、そういうような理由だと私は思っていますが、値段が暴落したときに真っ先にやられるのは、確かに大規模専業的なものがやられるわけです。そういう人たちに対して、それでは収入保険的なものを仕組むというセーフティーネット的な方策もあるでしょう。それを今検討中でございます。
 そういうものもやっていかねばなりませんが、基本的に重要なのは、米なんか特にそうですが、もうかってももうからなくてもとにかくつくるという人がたくさんおられて、それによって価格が暴落するということも、事実としてあるわけです。ですから、どういうふうにして専業的な方に政策を集中していくか、あるいは、それによってコストを削減して、もうかってももうからなくてもというような方々から、そういうような専業的な方に農地も集積していくかということの一つの手段として、法人化というものがあるというふうに認識をしておるわけでございます。
#338
○菅野委員 一つは地域農村社会ですね。これはずっと、弥生の有史以来つくられてきたところだと思うのです。
 それで、今政務次官が言って、暴言だと思うのですが、もうかってももうからなくても米をつくる人がいるという、これは、中山間地域に私は住んでいますから、中山間地域の人たちは、飯米農家として一生懸命米をつくって、そして少しでも自分たちの暮らしに役立てようとして努力している姿というのは、私はこれは尊重すべきことだと思っているのですね。
 それで、そういう農村社会を崩壊させてまで米をつくらなくさせて、そして集約していこうという発想は、私はとるべきじゃないというふうに思っています。そこまでしなければならない現状があるということは理解するにしても、その上に立脚した政策をつくっていくことが今日求められているのじゃないでしょうか。このことに対する見解をお聞きしておきたいと思います。
#339
○石破政務次官 私は、現実は現実として認めないと、まともな政策というのは出てこないのではないかなというふうに思っておるわけでございます。
 つまり、現在コスト割れをしてでもつくっておられる方々、そういう方々がどれだけあるか。それは、いろいろな意味で農業の持っておる多面的な機能を発揮していただいておる、そういうことですから、全面的に否定をするつもりはございません。しかしながら、それが今の米の生産量の何割を担っておるかということを考えましたときに、本当に一生懸命それだけでやっていこう、米を大規模にしてやっていこうという方々にとって、そういうのがどういうような役割を果たしておるかということは、現実を見据える必要があると思っておるわけでございます。
#340
○菅野委員 次に移りますが、今回の農地法の改正が農村、農業に及ぼす影響について、少し私見を交えながら質問させていただきたいと思うのですが、具体的に農業法人の制度の拡大ということで、株式会社を参入させる。そして、厳しい条件を付して、それで農地法の耕作者主義が守られると言ってきているのがずっとこれまでの議論だと思います。
 そして、私の質問に対してもそのことは言ってくるのだと思うのですが、将来にわたってこの厳しい条件を守り切っていけると思っているのかどうかなんですね。株式会社の農業分野への参入というのは、やはり私は、株式会社ですから、無制限な資本参入を認めるということであるというふうに思います。無制限にならないというけれども、それじゃ、だれがどのような形でその無制限にならないという部分を担保できるのでしょうか。そして、先ほどの、山口壯委員だったと思うのですが、質問に答えて、やはり適切にこの制度の、農地法の改正についても見直ししていくというのが大臣の答弁だったのですね。
 私は、ここなんです。今後もこの見直しという部分をその時々の情勢において行っていくというのが農水大臣の答弁だったのですね。私は非常に厳しい答弁だなというふうに思ったのですが、例えば、例として申し上げますけれども、今地域の商店街が非常に活力をなくしていってしまっています。そして、大規模小売店舗法が、大規模小売店が地域に進出するときに大きな規制をかけました。そして、大型店が進出するに当たっても、床面積規制をきちっとかけて、そして中小の小売店舗を守るということで、当初は大規模小売店舗法が果たした役割というのは、非常に大きなものがあったと思うのです。
 その後、約六、七年前から、規制緩和の声が全国津々浦々で大合唱され始めて、今はどうなっているかというと、規制緩和の名のもとに、一切の条件が付されないで、大規模小売店舗が地域地域に進出していったんですね。そして、その結果として今地域社会がどうなっているのかというと、地域の商店街はシャッター通りという状況が生まれてきています。大規模な資本力に対抗するための部分が地域の商店街にはないですから、そこで淘汰されていくというのが今日の商業を取り巻く状況ではないでしょうか。これが端的に物語っているというふうに思います。
 そして、今度の農地法の改正が、このままで全部歯どめがかかっていくのであれば、私は何にもこんな議論はしません。あしたも触れますけれども、農家の育成を図るということをねらいながら、そして無制限な資本力を持つ株式会社を参入させていくという道は、将来に大きな禍根を残すと私は思えてならないんです。
 こういう一連の流れを考えたときに、先ほど言ったように、無制限な資本参入を規制していくという部分をだれがどのような形で今日担保できるというふうに思っていますか。この点についてお聞きしておきたいと思います。
#341
○渡辺政府参考人 大変たくさんの御指摘をいただきましたが、まず初めに申し上げたいのは、今回の制度改正の中で、法人といえども農地を利用する法人でありますので、地域社会を離れて、土地、水の合理的利用という観点から、存在はできません。したがって、法人は常に地域社会とともにあるというのが大原則であります。
 それから二つ目に、株式会社の参入という言葉をお使いになりましたが、参入ではございません。要するに、経営活動、生産活動をより一層活発にするために農業者や現行の農業生産法人がどういうふうになるか、可能性の選択肢を広げたということでございます。
 それから三つ目には、規制緩和の観点からこの制度改正を行おうとするものではございません。当然のことながら、おわかりいただけると思うのですけれども、農地法の耕作者主義のもとで、農業生産法人制度という農地法に定められた枠組みを使って改正を行おうとするものでございます。また、構成員への出資、その他参入につきましてはきちっとした担保措置が法制度上とられております。農業者の支配権は確立をしております。構成員の総体としての出資は四分の一以内、一構成員当たりの出資は一〇%以内ということになっております。
 これまでいろいろな議論の中で、メリットと懸念とを比較し、懸念は払拭をするということできたわけであります。ただ、今先生が御指摘のとおり、これから先の将来、どうするかという問題については、当然国会で御議論をいただいて、法律でありますから、私どもはそれを運用する立場にございますので、国会の御意思を明確にさせていただくことで対応は可能だと思っております。
 なお、最後に申し上げますが、担い手がいないあるいは高齢化が進んでいるという中で、地域社会をむしろ活性化させようとしてこの生産法人制度の改正を行うものでありまして、先ほど例にとられました商店街の話とはむしろ目指すところが逆であるということを申し上げたいと存じます。
#342
○菅野委員 先ほどの、参考人で来ていただきました坂本さんが本に書いているんですが、ひとつ紹介しておきたいと思います。「五十年間百姓をやってきた。はじめ何としても収入を得たいと養鶏をやったが、企業が入ってきて千羽養鶏にたち打ちできなくて、ニワトリの減反が始まったが企業・商社はそれを無視した。結局、小さい養鶏が潰されて、次に養豚を二十頭やった。これも企業・商社の大型養豚がやってきて、それに負けた。常に農業は企業・商社に乗っとられてきた。」こういうふうに一つの文章にまとめて、一つの言葉として出されているんですが、私は、こういうふうになってはいけないという基本を踏まえてほしいわけですね。
 これが、養鶏や養豚という部分は農地とは関係ございませんから、資本参入という部分がどんどん行われてきた法人形態の実態がここに端的に示されているんだと思うんです。米もこういうふうにならないような担保をどうしていくのかというのは、私たちも含めて、きょうここにいる多くの方々が、やはりみんなで知恵を寄せ合ってやっていかなきゃならない課題だということを申し上げておきたいというふうに思っています。
 そして、現在の法人形態、今、この養豚や養鶏農家も含めてなんですが、家族農業経営が三百二十四万戸というふうになっていますね。それで、法人経営が九千五百二十二、うち法人農家が四千五百三十六という数字が農地法の一部を改正する法律案のこの説明書の中に入っているんですが、こういう状態ですね。こういう実情の中にある。
 そして、今国が進めている、十年後、平成二十二年に向けて、効率的かつ安定的な農業経営として、総農家戸数を、先ほども答弁していましたけれども、二百三十から二百七十万戸程度、家族農業経営を三十三万から三十七万戸見込んでいく、そして法人・生産組織数を三万から四万、株式会社の制度も導入して、農業法人四千五百三十六という数字をこの十年間で十倍にしていこうという計画なんですね。十年間で法人農家あるいは生産組織、いろいろな生産組織の形態があるんですが、十倍にしていく見通しを立てています。
 このことが本当に実現されていくのだろうか。そして、十倍にしていく、達成していくとすれば、その根拠、先ほど言いましたが、特に米価が暴落している今日の状況ですので、本当にやっていけるのか。そして、こういう数字をずっと示しながら、これが妥当なんだという説明をしていったのでは、私は、ごまかしというか、農業経営に意欲的に参加する人たちの経営意欲を逆に阻害するような気がしてならないということなんですね。
 そういう法人組織が急速に拡大すると見込んでいるとすれば、その具体的根拠を示していただきたいというふうに思うのです。先ほども構造改善局長が、こういうふうにしていきますという答弁をしていますから、その答弁の具体策はどうなんですかということをお聞きしておきたいと思います。
#343
○渡辺政府参考人 数字が幾つか出ておりますので、ちょっとその解説から始めさせていただきたいのですけれども、三百十二万というのは総農家戸数ですね。そのうち、二〇〇〇年センサスで、販売農家、つまり物を売っている農家というのは二百三十四万戸。そのうち主業農家、農業が主だという農家は現状でも五十万戸です。そういう数字なんです。
 それから、先ほど、今わずか四、五千じゃないかというふうなお話でしたけれども、構造展望で出しております三万ないし四万というのは、法人と生産組織による数字でありまして、農業生産組織でいえば、平成七年のセンサスでも生産組織はもう既に四万二千程度ございます。ですから、法人と生産組織と合わせて、他産業に比べて遜色のない生涯所得と労働時間が達成されるものをそれらの中から三万ないし四万育成をすれば、その時点で生産の大宗はこういった効率的安定的農業経営によって担われるだろう、こういう展望をしたわけでございます。
 何度も繰り返しになりますけれども、どのような組織形態をとるかというのは農業者の御判断でございます。有限会社にとどまる方もいらっしゃれば、株式会社化をする方もいらっしゃる、あるいは集落営農をする、あるいは農業生産法人が中核になって特定農業法人という形で集落の営農を全部引き受ける、それは地域地域によって、農業者によって違います。
 我々は、こういう多様な担い手のあり方を一概に否定せずに、これと決めないで、むしろ、地域の実情に合わせて育てていく、その中でこれはと思う方々には施策を集中していくということが大事なんだろうと思います。
#344
○菅野委員 きょうは概括的に聞いておきまして、きょうの質疑を踏まえて、またあした具体的にお聞きしたいと思います。きょうはこれで終わります。
#345
○宮路委員長 次回は、明八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時十一分散会

ソース: 国立国会図書館
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