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2000/10/20 第150回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第150回国会 厚生委員会 第5号
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2000/10/20 第150回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第150回国会 厚生委員会 第5号

#1
第150回国会 厚生委員会 第5号
平成十二年十月二十日(金曜日)
    午前十時五分開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 鴨下 一郎君 理事 坂井 隆憲君
   理事 鈴木 俊一君 理事 山口 俊一君
   理事 桝屋 敬悟君
      岩崎 忠夫君    岩屋  毅君
      木村 義雄君    熊代 昭彦君
      田村 憲久君    竹下  亘君
      西川 京子君    林 省之介君
      堀之内久男君    三ッ林隆志君
      宮澤 洋一君    山本 明彦君
      吉川 貴盛君    吉田 幸弘君
      吉野 正芳君    江田 康幸君
      福島  豊君    上川 陽子君
      小池百合子君
    …………………………………
   厚生大臣         津島 雄二君
   厚生政務次官       福島  豊君
   政府参考人
   (厚生大臣官房総務審議官
   )            宮島  彰君
   政府参考人
   (厚生省健康政策局長)  伊藤 雅治君
   政府参考人
   (厚生省保健医療局国立病
   院部長)         河村 博江君
   政府参考人
   (厚生省医薬安全局長)  丸田 和夫君
   政府参考人
   (厚生省老人保健福祉局長
   )            大塚 義治君
   政府参考人
   (厚生省保険局長)    近藤純五郎君
   厚生委員会専門員     宮武 太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月二十日
 辞任         補欠選任
  西川 京子君     林 省之介君
  吉田 幸弘君     山本 明彦君
同日
 辞任         補欠選任
  林 省之介君     西川 京子君
  山本 明彦君     吉田 幸弘君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)
 医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

    午前十時五分開議
     ――――◇―――――
#2
○遠藤委員長 これより会議を開きます。
 開会に先立ち、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員に出席を要請いたしましたが、出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として厚生大臣官房総務審議官宮島彰君、厚生省健康政策局長伊藤雅治君、保健医療局国立病院部長河村博江君、医薬安全局長丸田和夫君、老人保健福祉局長大塚義治君、保険局長近藤純五郎君、以上の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#4
○遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉川貴盛君。
#5
○吉川委員 自由民主党の吉川貴盛でございます。
 このような重要な法案の審議に質問の機会をお与えいただきましたことを、厚く御礼申し上げたいと思います。
 津島厚生大臣、福島総括政務次官におかれましては、高齢化社会を迎えた中で、今、社会保障制度に関して国民の皆さんからさまざまな要望があるだろうと思います、そんな中で大変御苦労されて厚生行政を推進されておりますことに、まずもって心から敬意を表したいと思います。
 二十一世紀を目前に控えて、今国民の皆さんが何に不安を感じているのか。景気対策や教育問題もそうだと思いますが、私は、今一番国民の皆さんが求め、そして不安に思っていることは社会保障制度だと思うのです。社会保障制度に今しっかりと政治が答えを出さなければならない時代ではないかと思うのです。
 年金もしかりであります。介護保険はことしの四月からスタートいたしました。そして、今審議をしております医療法等の一部を改正する法律案や健康保険法の改正案もしかりでございます。国がどのぐらい国民の皆さんに負担ができるのか、国民の皆さんにどの程度負担をしていただけるのか。私は、医療保険や介護や年金を一つ一つとらえるのではなくて、トータルでこれをシステム化してしっかりとその答えを出していかなければ、二十一世紀においても国民の皆さんの不安は払拭できないと思っているわけであります。
 そのような意味におきましても、このたびの二つの改正案というのは、社会保障のあるべき姿の第一歩にしていかなければならないと私は思っております。委員の皆さんも先刻御承知のとおり、健保法改正案は唯一残された予算関連法案でありまして、一刻も早い成立が必要だと私は思っております。
 先日も健保連の、私は北海道でありますから、その代表の方々とお会いをいたしましたときに、全国的なお話を皆さんにしても御承知のとおりでありますから、あえてくどくど申し上げませんけれども、全国の一千七百八十健保組合の十一年度決算は、過去最大の二千三十三億円の経常赤字になりました。何と全体の七割の一千二百四十三組合が赤字になったということであります。
 ちなみに、ローカル的なことで申しわけありませんけれども、北海道内に二十一健保組合がございますが、十一年度の決算は最大の経常赤字になりました。経常収入が三百七十二億円中経常支出が約四百六十二億円、差し引き九十億円の赤字でありまして、二十一組合中十九組合といいますから、全国平均よりも率が高い九割が赤字決算ということになりました。それだけに、今度の健保法改正というのは、先ほども申し上げましたように一刻の猶予もないと私は思っているところであります。
 そこで、最初にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、健保法の改正につきましては、新たに患者負担がふえるのだと私は思うのです。出発をしてみなければわからない部分がたくさんあろうかと思いますけれども、年間医療費三十兆円と言われる中でトータルでどの程度の医療費抑制につながるのか、その点を伺いたいと思います。そしてまた、国費、いわゆる財政状況がどうなっていくんだろうか、健保組合の負担減はどの程度になっていくんだろうか、その辺をまずお伺いさせていただきます。
#6
○近藤政府参考人 今回の健保法の改正による制度改正によります給付費等の影響でございますけれども、満年度ベースで申し上げますと、給付費等で八百五十億程度の減と見込んでいるわけでございます。国庫負担につきましては二百十億円程度の減でございますし、健康保険組合の保険料負担につきましては百七十億円程度の減となっているわけでございます。
 そのほかに薬剤の一部負担の関係がございまして、これは一月当たり約二百億円の減になるものでございます。これは全額国庫負担でございます。
#7
○吉川委員 ありがとうございました。
 次にお伺いをさせていただきたいと思います。
 健保法の改正において、私は、病院あるいは診療所の窓口において多少の混乱が出るだろうと思うのです。窓口においてこのたびの改正案というものを十分に説明されると思いますし、あるいは医師の皆さんも患者さんに対して、なぜ健保法を改正するか、そして、負担の部分が定率であるとか定額であるとかということは十分に説明はしていただけるんだろうと思うのですけれども、私は、現場と言ってはおかしいのですが、医師や病院の窓口だけに任せているだけではいけないと思うのです。
 そこで、どのような広報の手段を講じるのか、お伺いをいたしたいと思うのです。
 とりわけ国、厚生省はどうかわかりませんけれども、私は、国民に周知徹底の広報の仕方が物すごい下手なような気がしてならないのです。先ほども申し上げましたように、特にこれから二十一世紀に向けて社会保障制度のあるべき姿というのをしっかりと答えを出していかなければならないときのこの法改正でございますから、なぜ今健保法改正なのかということをしっかりと国民の皆さんが理解できるような広報をきめ細かにすべきだ、私はこう思うのです。その辺の手段等々、どのような広報をして周知徹底をされていくのか、なるべく詳しくお知らせいただきたいと思います。
#8
○近藤政府参考人 今回の老人の一部負担の関係、その他高額療養費等いろいろあるわけでございまして、制度の仕組みとして複雑になっているわけでございますし、きめ細かい対応ということで、わかりにくい面もあろうかと思うわけでございます。
 したがいまして、そういった改正の趣旨といったものを十分御理解いただくと同時に、具体的な内容、どうなるのかということにつきましても、対象者の多くの方が、お年寄りが多いわけでございますので、こういう方に的確に御理解をいただくようにいろいろな手段を用いなければならぬ、こういうふうに考えているわけでございます。
 それで、今考えていることを具体的に申し上げますと、まだまだこれから詰めなければいかぬことが多いわけでございますけれども、一つは、改正の内容、考え方につきまして、国みずからがやらなければいかぬと思っております。厚生省にもインターネットのホームページもございますし、さまざまな媒体を使いまして、政府広報といったようなものも使わせていただいて広報に努めたい、こういうふうに思っておりますし、やはり地元でやっていただかなければいかぬということで、地方公共団体でございますとか各保険者にも御協力をいただきまして、地域ごとあるいは職域ごとにきめ細かな周知の方法を考えなければいかぬ、こういうふうに考えているわけでございます。
 それから、患者の方になりますと、やはり現場ということが一番大事なわけでございますので、医療現場におきます周知、広報というのもぜひともお願いをしなければいかぬというふうに思っているわけでございます。一つは、病院とか診療所の中の見やすいところに、月額の上限でございますとか定額あるいは定率負担の別など、一部負担に関します事項を明確な形で掲げていただく必要があるというふうに考えております。
 それから、現場に行かなくても、この病院とか診療所がどういう負担のやり方をとっているのかなというふうなことも市町村の広報などを通じて周知していただく必要があるわけでございまして、市町村等の窓口におきまして、必要な情報を、各病院とか診療所の一覧表みたいなものをつくっていただいて見れるような体制づくりをしたい、こういうふうにも考えているわけでございます。
 いずれにいたしましても、個々の高齢者の視点に立ちまして必要な対応を考える必要がある、こういうふうに考えているわけでございまして、私どもとして精いっぱい必要な支援を行ってまいりたいと考えております。いろいろな多面的な取り組みが必要だというふうに考えておりますので、関係団体にも十分御相談を申し上げまして、実地に即しました形で対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
#9
○遠藤委員長 局長、端的に聞いているんですから簡潔に。
#10
○吉川委員 今、広報の手段、周知徹底の仕方を局長からお伺いさせていただきましたけれども、インターネット、ホームページでもという話をされましたが、今度の健保法改正は、特にお年寄りの方がかなり対象になるということをみずから今おっしゃいましたね。IT、ITと言っておりますけれども、ITの時代というのは本当にお年寄り向けなのかなという気が私はするんですよ。お年寄りがパソコンを使っていますか。お年寄りが何台携帯電話を持っていますか。それは、若い方々はそうかもしれませんよ。インターネット、ホームページ、もちろんお年寄りだけが対象ではありませんから、そういったことも必要だろうと思うのですね。
 例えば、私が答えてほしかったのは、もちろん市町村や都道府県あるいは医療現場の広報とかいろいろなものもそうなんですけれども、今お年寄りの方がどのぐらい老人クラブに入っていますか。この老人クラブに、地域の方々あるいは医師会等を通じてしっかりと説明をしていただくというようなことも私は周知徹底の一つではないかと思うのです。そういうように老人クラブというものがあるわけでありますから、なぜそういったところをお使いにならないのかな。その答えが出てくるのかなと私は思っておりましたけれども、残念でありました。
 そういうことをやる気持ちがありますかどうか。これは、もし事務方でお答えできなければ、政治的なことになるかもしれませんから、福島政務次官、いかがでございますか。
#11
○福島政務次官 先生御指摘のように、老人に対してどのように情報をお伝えしていくのかという点で、先生の御提案は大変傾聴に値する御提案ではないかと思います。
 準備もございますので、検討をさせていただきまして進めさせていただきたいと思います。
#12
○吉川委員 ありがとうございました。
 特にお年寄りの方というのは、先ほども申し上げましたように、自分の生活不安も持っておられますので、健保法改正によって不安を持たれないような周知徹底を図ることが我々の責務だと思うからこそ、そういうものも、利用するといったらおかしいんですけれども、お使いになってはいかがかと御提言をさせていただきました。しっかりとお願いをいたしたいなと思います。
 それでは、続きまして、医療法等の一部改正についてお伺いをさせていただきたいと思うのであります。特に、人員配置基準についてお伺いをいたしたいと思います。
 我が党の医療基本問題調査会、社会部会の中でも、私も医療提供体制ということで人員配置についていろいろな意見を申し上げさせていただきました。その中で私が一番懸念をいたしましたのは、平成九年の保険局医療課の調べの資料をいただいておりますが、今もう三年経過をしておりますから少し数字が違っているのかもしれませんけれども、三対一未満の病院数は全国で九百八十九病院。うち僻地、離島は百七十六。ちなみに私の北海道で申し上げますと、七十五病院のうち、僻地、離島が三十九あります。
 御承知のように、特に僻地、離島は慢性的に看護職員の不足に悩んでいるわけであります。このたびの法律の中に五年の経過措置を設定されました。このことは大変よいことだと思っているわけでありますけれども、この経過措置をとるにいたしましても、慢性的に看護職員不足に悩んでいる地域に対してどのようにこれを補おうとしているんでしょうか、この辺が私は一番大切なところだと思うんです。
 そして、これはやはり僻地や離島を抱えている都道府県としっかりと連携をとっていかなければならない部分だと思うんですが、その辺の連携と申しましょうか、話し合いがもう既に進んでいるんでしょうか、お示しをいただきたいと思います。
#13
○伊藤政府参考人 まず、今回の人員配置基準を四対一から三対一に引き上げるに当たりまして、一つは、今先生お触れになりました経過措置期間を五年間とっております。さらに、この五年間の経過措置期間後の扱いにつきましては、病床区分の推移等を踏まえて見直しを行うことにさせていただいているわけでございます。
 この人員配置基準の引き上げ等に対応するため、厚生省といたしましては、十三年度の概算要求におきまして、一つは、僻地等における看護職員の確保につきまして、僻地等の看護婦等養成施設に対する支援の充実ということを一つの柱にしております。もう一つは、経営・労務管理、看護管理等に関する助言を行うための専門家チームを派遣するなどによりまして、看護職員の就労確保に向けた総合的支援の実施の予算を要求しているところでございます。
 そこで、都道府県等との協議の状況でございます。
 まず、看護職員の需給に関しましては、平成三年から始まっております看護職員の需給見通しというのがあるわけでございまして、これは今年度終わります。そこで、現在十三年度以降の新たな看護職員の需給見通しを策定するための検討を行っているところでございますが、この新しい看護職員の需給見通しの中で、今般の医療法改正を念頭に置きまして各都道府県におきまして需給見通しを検討していただいているところでございまして、地域における看護職員の確保につきまして、各都道府県と十分相談しながら対応してまいりたいと考えております。
 また、特に北海道につきましては、御指摘のように離島、僻地が多いわけでございまして、先ほど申し上げました十三年度概算要求におきます看護職員の就労確保対策につきまして、今年度、十二年度から前倒しで北海道については行っております。看護職員確保対策特別事業のモデル事業といたしまして北海道で今年度行っておりますので、それらを通じまして、必要な事項につきまして各自治体と十分協議をしてまいりたいと考えております。
#14
○吉川委員 看護職員が確保できたといたしましても、特に北海道の場合は広い地域でありますから、なかなか僻地の方に行きたがらないというようなことがあるんですね。その辺もしっかりと都道府県と連携を持ちながらやっていっていただきたいと思っております。
 次に、高齢者医療について一つ二つお伺いをさせていただきたいと思うんです。
 医療保険制度改革の必要が叫ばれる中で、老人保健制度の抜本改革が、制度審議会等で審議が始まりまして既に二年以上が経過をしていると聞いております。当初政府が予定しておりました本年の改革実施は見送られまして、その後審議も進んでいないというのが現状であろうかと思います。高齢者医療制度の方向を定めることが医療保険制度改革の推進のかなめとなると思っておりますので、早急な対応が必要だと考えるわけであります。
 既に日本医師会あるいは健保連、経団連、連合など各団体が独自の改革案を提示されているわけでありますけれども、厚生省といたしまして今日までどのような具体的な改革案を検討されてきたのか、あるいはお持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思いますし、その内容とあわせて、いつ実施をする予定なのか、明確な答弁を求めたいと思います。
#15
○津島国務大臣 吉川委員御指摘のとおり、高齢者医療制度の展望を示すことが今喫緊の課題となっております。これなくして次の時代に耐え得る医療制度はできないと思っております。
 委員御指摘のとおり各方面からさまざまな考え方が出されておりますけれども、現時点では一つに集約することが極めて難しい状況でございます。医療専門の方からの御意見と、医療保険の保険者としての例えば地方団体あるいは健保組合の側から出されている意見はなかなか集約できない状況にございまして、率直に言うと、まだ構想段階にとどまっているわけでございます。
 しかし、このままにしておくわけにいきませんので、厚生省としても、省内に事務次官を本部長とする高齢者医療制度等改革推進本部を設け、いろいろな観点から精力的に検討を進めておるところでございます。
 厚生省といたしましても、高齢者医療制度をめぐる問題の所在や改革のあり方について、まず国民の皆様の御理解を得ることが大切でございますから、制度の現実の姿をしっかりとお示しした上、今後の選択肢、問題点をわかりやすく提示をし、国民的な議論をお願いしたいと思っておるところであります。
 問題は、白紙に絵をかくようにできない事情、これはもう長い間の政治経験で吉川委員おわかりのとおりでございまして、改革をする場合に、現実に今やっておるそれぞれの保険システムにどういうロードがかかっていくかということも注意深く検証しながらいかなきゃならない。しかし、このような状態を放置するわけにいきませんので、平成十四年度を目途に改革のための具体的措置はどうしても取りまとめたいということで、私ども努力をしているところでございます。
 もう十二年もだんだん終わりに近づいてまいりましたから、待ったなしの段階であるというふうに私は受けとめております。
#16
○吉川委員 平成十四年度ということでありますから、来年、平成十三年度中にはしっかりと道筋をつけなければならないんだろうと思うんです。津島大臣、大変御苦労だと思いますけれども、津島大臣のもとで高齢者のあり方というものにしっかりと道筋をおつけいただきたいなと心から御期待を申し上げる次第であります。
 さらにもう一つ、この高齢者医療について質問をさせていただきたいと思います。
 皆さんも御承知のとおりに、二〇一〇年あたりから日本の高齢化は一気に加速をするんだと思うのです。第二次大戦後に生まれました団塊の世代が続々と六十五歳以上に達するためでありまして、現在の六十五歳人口が二千二百万人に対して、二〇一五年には約三千二百万人、一千万人増となるわけでありますけれども、高齢者医療のあり方は二〇一五年を視野に入れた改革でなければならないと私は思うのであります。その辺はどのようにお考えでございますでしょうか。
 さらに驚くべきことは、六十五歳以上の人口が総人口に占める割合が七%から一四%に達するのに、フランスでは百十四年、スウェーデンは八十二年、イギリスは四十六年かかったのに対しまして、我が国は二十四年間でそれに到達をいたしました。つまり、他の先進国はゆっくりと高齢化しているのに対しまして、我が国は急スピードで高齢化していることがこの数字で御理解をいただけるのではないでしょうか。
 厚生省の試算によりますと、二〇〇〇年には、痴呆、寝たきり、虚弱などの要介護老人は約二百八十万人、二〇一〇年には三百九十万人、そして二〇二五年には五百二十万人に達すると言われております。
 そこで本年四月から介護保険が導入されたわけでありますけれども、医療保険と介護保険の中でさまざまな問題があることは、私が御指摘を申し上げるまでもなく御承知のことだろうと思います。
 私は、ある老健施設に行きました。お医者さんが、入院患者に介護保険を適用するよりも医療保険を適用した方が患者負担が少なく済むんだ、どうやってそこを我々がクリアしていけばいいのかという悩みを持っているという話も聞きました。私は政治家の一人として、制度に欠陥があると決して申し上げたくもないし、そのようなつもりもありませんけれども、その辺のことをしっかりとしていかなければならないなと強く感じたわけであります。
 この高齢者医療の抜本改革の折には、私的な考えを申し上げますと、高齢者医療に関しましては医療保険と介護保険を整理統合してセットにするのも一つの考え方ではないかというふうに私は思うのです。二〇一四年までに改革をされるということでありますから、今このことに対してお答えをいただけないかもしれませんが、もしその辺にお考えがございましたら、お披瀝をいただければというふうに思います。
#17
○津島国務大臣 二つの御質問をいただきましたが、二つとも高齢者医療を考える上で重要なポイントであろうと思います。
 まず最初の点、我が国の人口構成が変わっていって、世界に類を見ないスピードで高齢化していく、御指摘のとおりでございます。また、戦後の人口構成も、団塊の世代というのが二つございまして、言ってみれば、スピードが特に速い時期がある。それからもう一つは、意外に言われていないのですけれども、今まで高齢者問題は地方の問題だと言われていたのですが、大都会や首都圏がこれから高齢化の本番に入っていく、そういう地域の問題もございます。
 そういうことから申しますと、特に高齢化のスピードが上がってくるところを注目して対応しなければならないという委員の御指摘だと思います。私は同感だと思っています。
 そういう意味で、二〇一五年、また全体として見ても、二十一世紀の最初の二十五年ぐらい医療制度が全体としてきちっと機能するようにしなければならないということを検討するのが私どもの主眼でございます。そういう意味では、従来の発想方法にとらわれずに対応することも考えなきゃいかぬかな、例えば公費のあり方についてもどうなんだろうかなというようなことを私は感じておるところでございます。
 二番目の医療保険と介護保険を一本化するという御指摘でございますが、これまでの議論というのは、介護の世界は医療保険だけで対応できない、また措置でも対応できないということから、介護保険をつくったわけであります。今御提案しております法案を成立させていただければ、自己負担一割というところでようやくそこは横並びになるわけでありますが、この二つ、高齢者に対する医療保険と介護保険をこれからどうするかというのはやはり大きな問題点であろうと思います。
 そしてまた、一部の意見では、一体化を視野に入れて検討しろという御意見もございますが、私どもの姿勢は、まず介護保険がどういうふうになっていくか、それから介護保険成立後の医療保険がどうなっていくかをきちっと見きわめた上で議論していくのが筋ではないか、かように思っております。
#18
○吉川委員 もう質疑時間が終了いたしましたので終わりますが、この医療法等の一部を改正する法律案と健康保険法改正案が一日も早く成立いたしますことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#19
○遠藤委員長 次に、岩屋毅君。
#20
○岩屋委員 自由民主党の岩屋毅でございます。
 吉川委員に引き続いて、両改正案について質問をさせていただきたいと思います。
 大臣並びに政務次官におかれては、日々の御精励、まことにお疲れさまでございます。心から敬意を表する次第であります。
 先ほど吉川委員から御指摘がありましたように、これからの医療がどうなっていくのか、まさしくこの問題は国民的な最大の関心事であると私は思います。したがいまして、今改正案につきましても、本来でありますと、全国会的な討論といいますか、野党の皆さんにも出てきていただいて、しっかりと議論をすべきだというふうに思っておりましたが、今日に至ってもおそろいでないのは非常に残念に思います。ただ、来週からは一部野党の出席が見込まれるということでございまして、その点は大いに歓迎をしたいというふうに思っておりますが、一刻も早く、全国会、全党による審議を尽くして、改正案を成立させていかなければならないと思っているところであります。
 先ほどからお話がありましたように、これは成立していない唯一の予算関連法案である、国費もどんどん出ていくということで、一日も早く成立をさせなければいけないわけであります。しかし、やはり幾つかの心配な点があることも事実でございます。また、今改正の中身を国民の皆さんに正しく理解をしていただかなければならないという課題もあるわけでありまして、今日までの審議で論点はかなり絞られてきておりますが、いささか重複になることはお許しをいただいて、幾つか質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず、今回の改正に伴う患者の負担増が果たして許容できる範囲のものであるのかどうか、妥当なものであるのかどうか、この点についてもう一度しっかりとした説明をいただきたいというふうに思うのです。
 例えば、一割負担になっても月額上限をしっかり設けているんだよ、こういうことでもございます。その他もろもろの工夫はしていただいているわけでありますけれども、しかし、改正によって負担が多少なりともふえることは間違いがない。まさしくそのことを目途にした改正でありますから。そのことが果たして本当に妥当な範囲なのかどうかということについては、しっかりとした説明ができなければいけないというふうに思うわけであります。
 かつて医療費が上げられたときに受診率が一時期低下しましたが、しかし、必要があるからお年寄りの方も病院に行くわけでありまして、今回もそういう状況が一時期生まれるかもしれませんけれども、やがては回復をしていくだろう。月にすれば少ない負担であっても、やはり通年になっていくと決して少なくない負担になっていくというふうにも思われます。
 さらに、高額療養費です。負担ができる方には負担をしていただく。これは大いに結構なことだと思うのでありますけれども、一%の傾斜をかけている。これは果たしてどういう根拠でそういうことになったのか。野党の一部には、これで青天井になっていくんじゃないかという御指摘もあります。決してそうではないのだという試算も出されてはおりますけれども、この一%の傾斜というのは、私はいささかこそくなような気もするわけでありまして、このぐらいならよかろう、怒られないだろうというところで決められたのかなとも感じております。もう少しリーズナブルなやり方がなかったのかな、そんなふうにも思うわけであります。
 いずれにしても、今回の改正によりまして患者負担がふえていくことは事実でございまして、しかしこれはやむを得ない、最大限配慮をした負担増であるのだということについて、できるだけ簡潔に、ポイントを絞ってもう一度御説明をいただきたいと思います。
#21
○近藤政府参考人 先生御指摘の点でございますけれども、この改正法案というのは、当面の医療保険制度の安定的な運営を図るというのが一つでございます。それから、これから抜本改革をするための第一歩であるという位置づけをいたしているわけでございまして、高齢者の一部負担につきましては、若い人と高齢者の間で負担を分かち合うのだ、さらにはコスト意識も高めていただく、こういう観点から定率の一割負担というのを導入したわけでございます。
 それから、高額療養費につきましては、医療を受ける方と受けない方との負担の公平を図るというふうな観点から、所得の高い方には応分の負担をしていただく。それから、医療費に応じた負担ということで、確かに一%というのはこそくではないかという御意見はあるわけでございますが、二割とか三割というのが一般なのに一%は何なんだという議論もあるわけでございますが、やはり一%でも、高額になりますと大変な高額になるわけでございます。そういうことで、コスト意識を持ってもらうために最低限の率でお願いするというので一%を提案させていただいているわけでございます。
 それから、こうした見直しに当たりましては、高齢者にとりまして過度な負担にならないよう負担の上限を設ける、それから低所得者への配慮、こういうふうなきめ細かな配慮をいたしているわけでございまして、御理解をいただきたいというふうに思いますし、私どももそういうことで周知徹底をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#22
○岩屋委員 先ほど吉川委員からの御指摘もありましたように、対象がお年寄りでありますから、今の説明は私どもよくわかるのでありますけれども、ぜひ厚生省としてもできるだけわかりやすい説明で今回の改正の中身を周知徹底をしていただきたいというふうに思います。
 次に、医療法の改正についてお伺いをしたいと思います。
 今回の改正案は、医療審議会段階の案からは幾つかの後退あるいは変化がございます。
 例えば病床区分についてですけれども、これは余り大したことではないだろうとは思うのですが、当初は急性期、慢性期、あるいは短期、長期、こういう呼称だったわけですけれども、改正案では一般と療養というふうになりました。この点ちょっと説明をしていただきたいと思います。
 それから、人員配置基準の問題であります。吉川委員御指摘のとおり、僻地に対する配慮はしっかりやってもらわなくてはいけないとは思いますが、ただ、総論で言えば、患者さんに対する手当てというのは手厚ければ手厚いほどいいわけでありまして、これも審議会段階では二・五対一だったのが三対一ということに後退をしている。これは恐らく医師会側の事情等々いろいろあったのでしょう、急にそこまでいくのは無理だということもあったのだと思いますけれども、これらの変更の理由についてお伺いをしたいと思います。
#23
○伊藤政府参考人 お答えいたします。
 当初の医療審議会段階の案と今回御審議をいただいている案の経過でございますが、看護婦の配置基準なり病床の区分につきまして今先生御指摘の点は、医療審議会におきます中間段階におきます事務局からの議論のためのたたき台の内容でございます。
 これは平成十年の十二月に医療審議会にたたき台として出したわけでございますが、まず、看護職員の配置基準についてどのように考えていたかということでございます。二・五対一の考え方でございますが、看護職員の配置が手厚いほど平均在院日数が短くなるという相関関係が存在いたしまして、この二・五対一を境に平均在院日数が短いグループと長いグループに分かれる、そういうことがありましたので、一般病床の看護職員の配置基準を二・五対一としてはどうかという案を提案していたということでございます。
 しかしながら、医療審議会の審議におきまして、医療法におきます人員配置基準は最低基準であるということ、また、看護職員に地域的な偏在がありまして、その点に配慮する必要があるということ、また、この基準につきましては昭和二十三年以来の半世紀にわたる基準でございまして、この基準の変更に対する慎重な配慮が必要ではないかという意見がございました。さらに、複数夜勤の月八回、いわゆる二・八体制を何とか維持できる最低の基準が三対一であるということを踏まえまして、医療審議会としては、答申の中で三対一という形にまとまったわけでございます。
 次に、病床区分の見直しの点でございますが、議論のためのたたき台におきましては、急性期、慢性期という厳格な形で区分を行いまして、患者さんを峻別する案を提示したところでございます。
 しかしながら、医療審議会におきまして、このように厳密に区分した場合には患者さんの病態の変化に対応できないおそれがあるという意見があったことから、今回の改正案におきましては、提供されるサービスの形態に着目いたしまして、現行のその他の病床を、主として長期にわたり療養を必要とする患者さんを入院させるための療養病床と、主として急性期の患者さんを入院させるための一般病床に区分することにした、こういう経過でございます。
 厚生省といたしましては、今回の病床区分の見直しによりまして、個々の患者さんの病態の変化に応じて柔軟に対応しながら、患者さんにふさわしい医療を提供できる体制を整備していきたいと考えているところでございます。
    〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
#24
○岩屋委員 二・五というのが滞在日数の分岐点になるということで、できるだけそこに近づけようとしたけれども諸般の事情を勘案して三対一にした、こういう御説明だったと思います。今後の実施状況を見ながら、引き続き検討を加えていっていただきたいと思うところであります。
 それから、今回、医療法の一部改正で広告規制が緩和されました。これは患者さんに対する情報開示の一環だと思います。大変結構なことだと思うのですが、実際には、今、若いお医者さんはほとんどホームページを自分で持っておりまして、ありとあらゆる情報がその中に詰まっている。こういう今日的な状況にあるわけでありまして、今さら屋外広告だけをちょっと規制を緩めるというのは、大して意味があるのかなというふうにも実は私は感じているところであります。
 情報開示という点からすると、一番大事な問題は、本当はカルテの開示の問題だろうというふうに思うわけであります。これについては今日までさまざまな御議論があったところだと思うのですが、現段階では医師会側の自主的な取り組みを見守っていくというところにとどまっているというふうに思うのですが、果たしてこういう消極的な姿勢でいいのかどうかというふうにも思うわけであります。
 最近も次々と医療事故が続いて発生をしております。患者サイドからの医療機関に対する不信感も、残念ながらそのたびに少しずつ増してきているような気もいたすわけであります。
 また、決してそういう側面からだけではなくて、カルテがポータブルになることによって利便性もかなり向上していくと思うし、医療のむだも省いていける、そういうプラス面も出てくるだろうと思うのですね。ICカードに全部自分のこれまでのカルテが記録されておれば、どこに行ってもすぐにむだのない医療を受けられるということもあり得るわけでありまして、将来的にはやはりカルテ開示を法制化していく、義務化していくということを前向きに検討していくべきではないかなと思っておるのですけれども、その点についての厚生省のお考えをお伺いしたいと思います。
#25
○伊藤政府参考人 カルテ開示についての御質問でございます。
 カルテ開示につきましては、医療審議会でも大きな論点になった点でございます。その結果、今後インフォームド・コンセントの理念に基づく医療を一層推進していくために診療情報の患者さんへの提供を積極的に行っていくことが必要であるという点では、コンセンサスがあったわけでございます。
 そこで、診療記録の開示の法制化についての点でございますが、早急に法制化すべきであるという意見と、一方、医療従事者の側の自主的な取り組みにゆだねるべきであり、法制化するべき性格のものではないとする意見があったことから、医療審議会におきましては、この法制化につきましては、今後の患者さん側の認識や意向の推移、医療従事者の自主的な取り組み、そして診療情報の提供及び診療記録の開示についての環境整備の状況を見つつ、さらに検討すべきとされたところでございます。
 したがいまして、厚生省といたしましては、この医療審議会の審議の結果を踏まえまして、医療従事者の自主的な取り組み及び環境整備を推進するとともに、今回の医療法改正案におきまして、診療録その他の情報を提供することができる旨を広告できる事項として追加するということにしたわけでございまして、診療情報の積極的な提供や診療記録の開示を医療の現場に普及定着させていくことが推進されるのではないかというふうに考えているところでございます。
#26
○岩屋委員 カルテ開示をするとやたらめったら訴訟を起こされるとか、そういうマイナス面を指摘する方もいるのじゃないかなと私は思うのですけれども、さっき申し上げたように、カルテ開示によるプラス面にぜひ着目をしていただいて、今後とも鋭意前向きにこの問題については検討していただきたいというふうに思っております。要望しておきたいと思います。
 それから次に、今回の医療法改正によりまして、医師、歯科医師等の臨床研修が義務化される予定であります。これは大変結構なことだと思います。そして、ペナルティーとしては、この研修を終わっていないと医療機関の管理者にはなれない、こういうことになるわけであります。しかし、専念義務というからには、本当にその臨床研修がしっかりと実施をされて、結果、医師の資質が向上されるということが担保されなければいけないというふうに私は思うわけであります。
 これまでも、実際には臨床研修は義務化されてなくても、ほとんどのお医者さんはやってきた。しかし、その間どうしても、なったばかりのお医者さんというのは薄給であります、収入の不足をカバーするためにアルバイトに出かける、一泊二万から五万の相場でアルバイトしながら勉強をされるということが日常的になっているわけであります。
 しかし、研修に専念をせよという以上は、それをこれからどうやって担保していくのか。決してアルバイトが悪いと言うのではありません。それも臨床研修の一環だといえば、そのとおりでありますから。ただ、専念義務というからには、これから一体どういう施設で研修をしていただくのか、どういうプログラムをつくっていただくのか、それをどう確認し認証していくのか、そしてどういう方法でそれを周知徹底するのか、こういうスキームができませんと絵にかいたもちになるのではないかなと思います。
 医師については十六年から、歯科医師については十八年からということでありますから、改正案成立後できるだけ早くそのスキームをつくっていただきたいと思うわけでありますけれども、その点についてお伺いをしたいと思います。
#27
○伊藤政府参考人 今回、医師、歯科医師の臨床研修の必修化を御提案しているわけでございますが、診療に従事しようとするすべての医師に臨床研修を義務化することにあわせて、研修の質の向上を図っていくということが極めて重要であると考えているところでございます。
 このため、今回の改正案を成立させていただきますれば、その後直ちに大学病院、臨床研修病院等々の関係者から成る検討会を設置いたしまして、施行までの間に、第一点といたしまして、二年間に研修医が研修すべき事項、目標。これは、従来の研修では年限だけ決めておられますが、その決められた二年間で何をどれだけやるかということは必ずしも明確ではなかったという点を踏まえまして、どこまでこの二年間に到達していただくかということをはっきりさせるということが一点でございます。
 そのためにはどういう研修プログラムをつくっていかなければいけないのか、そしてそのプログラムを実施できるためには、臨床研修病院としてどのような指定基準を考えていったらいいのか。これらの具体的な検討を行いまして、臨床研修の充実に努めてまいりたいと考えております。
 また、改正法案におきましては、臨床研修を修了した際には、厚生労働大臣が本人の申請に基づき、臨床研修を修了した旨を医籍に登録するとともに、臨床研修修了登録証を交付すると規定しております。研修の効果を確保するためには、この研修修了の認定、評価を適切に行うことが重要と考えております。
 具体的には、既に平成十一年の二月に、医療関係者審議会の医師臨床研修部会の取りまとめで考え方をお示ししていただいておりまして、その中では、研修医から提出された研修医手帳及び指導医の評価に基づきまして、病院内に設けられた研修委員会による評価を踏まえまして、研修責任者たる病院長が総合的に評価を行った上で研修修了を証明するとされておりまして、私どもといたしましては、この考え方を踏まえまして今後適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
 さらに、臨床研修中の医師につきましては、その資質の向上を図るために臨床研修に専念することが重要でございまして、改正法案におきましては、新たに研修への専念義務規定を設けたところでございます。
 この規定は努力義務でございますが、その趣旨を徹底させるとともに、あわせて研修内容や研修修了の認定方法の見直しを進めていくこと、さらに、行政といたしましても、研修医が研修に専念できる体制整備を進めていくということで、この臨床研修制度全体の充実に努めてまいりたいと考えております。
#28
○岩屋委員 もう時間がなくなってきましたので、とにかくしっかりしたスキームをぜひつくっていただきたいと思います。
 それから、ちょっと本論から外れるのですが、ぜひお伺いしたい問題があるので、一点、これはドクターでもある政務次官にお伺いしたいと思うのです。
 この委員会の審議が始まったときに、冒頭、我が党の竹下委員から、少子化対策の話がありました。
 年金にしても保険にしても、あるいは経済にしても教育にしても、少子化ということが日本の将来にかなり大きな影を落としているような気がしてなりません。したがって、少子化対策にはありとあらゆる施策を総動員しなくてはいけないのではないかなというふうに思うのですが、その中でぜひ検討していただきたいのが、いわゆる不妊治療に対する支援策を講じることができないかどうかということであります。
 これは、今日まで公明党さんも随分熱心に議論をしていただいているというふうに伺っておりますが、現在、二十八万五千人の方が不妊治療を受けている。けれども、排卵誘発剤についてまでは保険で見ているけれども、いわゆる人工授精以上の高度技術については全くお手伝いができていない。子供が欲しいけれどもできないという方々に対する支援はもっとしっかりやっていかなくちゃいけないのではないか。不妊治療に対する支援策をぜひ厚生省も前向きに考えていっていただきたいなと思うのです。
 そうこうしているうちに、今民間企業が精子の売買をやったり、いろいろな動きが出てきております。国として何らの規制もないという状態では、ニーズに応じてますます民間のそういう事業がはびこっていくのではないかなという心配もあるだけに、これはできるだけ早く検討して方向性を示していく必要があると思うのですが、この点についてどうお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
#29
○福島政務次官 ただいま先生から御指摘ございましたように、不妊治療に対してのさまざまな形での支援というものが大切であるというふうに私どもも考えております。
 排卵誘発剤などの薬物治療や卵管形成術等につきましては、保険給付の対象といたしております。これは、基本的な考え方としまして、医療保険の給付が疾病の治療に着目して行われるという観点から、母体の異常に起因する不妊につきまして保険給付の対象となっておるということでございます。
 しかしながら、それ以外のケースもたくさんあるわけでございまして、こうした不妊治療を受けられる方に対して何か支援をする必要がある。とりわけ、不妊治療というのは、精神的な負担というものもありますし、そしてまたどこで治療を受けたらいいのかという情報の不足ということも当然あるわけでございます。そういうものが適切に提供される必要があるということから、現在までも不妊専門相談センター事業というものを実施してまいりましたけれども、本年度の予算編成と関連しまして、新エンゼルプランを策定するに当たりまして、この不妊専門相談センターを各都道府県に整備する、これは平成十六年を目途にいたしておりますけれども、そういうことを盛り込ませていただきました。
 そして、後段の先生の御指摘でございますが、生殖補助医療が大変進歩いたしているわけでございます。その技術をどういうふうに適切に扱うのかというガイドラインが必要だというのは先生の御指摘のとおりだと私どもも思っておりまして、現在、厚生科学審議会先端医療技術評価部会というものがございまして、そのもとに専門委員会を設置いたしまして、さまざまな意見がございまして時間がかかっていることは事実でございますけれども、年内を一つの目標として取りまとめたいというふうに考えております。
    〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
#30
○岩屋委員 きのうの新聞でも、これはアメリカの話ですが、アメリカというのはかなり自由にやらせるのだと思うのですけれども、遺伝病の姉を救うために体外受精で弟を出産して、弟の臍帯を使ってお姉さんを助けた、こんな治療法も出てきているわけであります。
 何事も一害あれば一利ありということだと思うので、ぜひプラス面に着目をして不妊治療に対する一つの法体系をできるだけ早くつくって、これはイギリスなどがかなり進んで参考になる例があるというふうに聞いておりますけれども、鋭意これから取り組んでいただきたいなと思います。よろしくお願いします。
 時間がなくなってきましたので、最後に大臣にお伺いをしたいと思います。
 今回の改正は、我が国の世界に冠たる保険制度を維持していくために、多少患者さんの負担増を伴うわけでありますけれども、やむを得ない措置だというふうに私は考えております。
 しかし、大臣が先ほどからお述べになっておられるように、今改正はあくまでも改善策であって、抜本改革とは言えないわけであります。今回の改正によって国民の医療に対する不安が解消されるまでには至らない、残念ながら今その一歩手前の段階にとどまっているというふうに理解をいたしております。やはり一日も早く抜本改革を断行して国民の皆さんに安心感を抱いていただく、これが最も大事なことだと思いますし、ぜひそのために最大限の努力をしていただきたいと思うのです。
 本当は、二十一世紀に入るまでにやるのですよと言ったのがここまでずれ込んでしまっている。いろいろな事情はあろうかと思いますけれども、政治の責任も極めて重たいと思います。
 また、二十一世紀は医療革命の時代だとも言われておりまして、今のお話に出た生殖補助医療技術ももっと進展をしていくと思うし、ヒトゲノムが解読できたというのは、僕ら素人にはわかりませんが、これからかなりの医療革命が実現して、保険制度を取り巻く環境も猛スピードで変わっていくことも予想されます。そういう状況をしっかりと見据えて、新しい時代に対応できる医療の抜本改革をぜひ一日も早く実現していただきたいと思いますが、大臣の御決意を最後にお伺いさせていただきたいと思います。
#31
○津島国務大臣 我が国の医療制度は、国民皆保険制度を基礎とし、国民にひとしく良質な医療が提供されてまいりまして、例えばWHO等におきましても、世界最高水準であるという御評価をいただいていることは御承知のとおりであります。
 しかし、今後の急速な高齢化の進展等によりまして医療費がどうしても増嵩していく、また、今委員が御指摘のように日進月歩の勢いで医療の技術革新が進んでいるということを考えますと、今後とも国民が安心して良質な医療を受けられるようにするためには、ここのところで基本的に医療制度を検討して抜本改革をすることが避けて通れないと私どもも認識をしておるところでございます。
 このため、御承知のとおり、薬価制度や診療報酬制度について見直しを行ってきましたし、また、今ここに老人定率一割負担の導入等を内容とする健保法等の改正案の御審議をお願いしているところでございます。
 しかし、これだけの改革で抜本改革が達成できるわけではございません。御指摘の、医療の技術革新の成果をどのように公的医療保険にカバーさせていくのかという問題、あるいは今後急速に増大していく老人医療費をどのように負担していくかということにつきまして、毎回申し上げておりますが、平成十四年度を目途に検討を進め、その実現を図りたいという強い意欲を持っておるところでございます。
 国民が安心して支えていただけるような医療保険制度の確立のために全力を挙げて取り組んでまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
#32
○岩屋委員 ありがとうございました。
 終わります。
#33
○遠藤委員長 次に、桝屋敬悟君。
#34
○桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。
 いよいよ健康保険法等の改正案の審議が始まったわけであります。今週の第一回目、同僚の江田議員に続きまして、質疑を行わせていただきます。
 本当に、いよいよと申し上げましたけれども、この法律案は、先ほどから議論が出ていますように、予算関連の唯一の積み残し法案でありまして、野党の皆さん、ぜひ御出席をいただきたいなと念願をするわけであります。
 特に、ことしの五月、臨時特例措置として議員立法で法律もつくり、そのときには野党の皆さん方も、次の課題を念頭に置きながら賛成をされた党もあるわけでありまして、恐らく、今御出席はなさらないけれども、いても立ってもおられない気持ちではないかと推察をするわけであります。少しでも早く審議に参加していただきたいと念願をしながら、私どもの質疑をさせていただきたいと思います。
 津島大臣あるいは福島政務次官におかれましては、本当に御苦労さまでありますが、何としてもこの国会で法律を仕上げてまいりたい、そんなふうに私どもも決意をさせていただいております。
 最初に、健保法の改正の大きな話になるわけでありますが、法案が提出される経緯、制度審の答申あたりも目を通しましたけれども、先ほどから議論が出ておりますが、抜本改革には及ばないけれどもその第一歩であるという評価もいただいているわけであります。
 その中で、特に高齢者の患者負担を現在までの定額負担から定率負担にするということが抜本改革の一つであるという評価をされているわけでありますけれども、その前に、私ども、定額負担を今日まで長い間やってきた、そして今回定率負担に踏み切る、こういう局面を迎えているわけでありまして、高齢者の医療費の患者負担のあり方について定額負担というものをやめて定率負担にするというこの局面において、今までやってきた定額負担というのは一体どうであるのか、なぜ定率負担が必要なのか、そういう現在までのあり方の総括が必要であろうかというふうに思っております。国民の皆さんもそこがわかるようでわからない。ここがきちっと御理解をいただけないと、定率を導入してすぐこれから先どんどん率を上げていくんだろうというようなことを安易に想像される方もあるわけでありまして、ここはきちっと一回整理をしておく必要があるだろうと思っております。
 したがいまして、最初に大臣に、現在までの定額負担のあり方をどのように総括をされ、これからの定率負担の新しい改革に向かおうとされているのか、お伺いをしたいと思います。
#35
○津島国務大臣 平成十二年度の予算について残された唯一の予算関連法案、健保法等につきまして御審議をお願いしておるわけでありますが、まず最初に、この問題について桝屋委員から賜りました御叱責あるいは御助言、心から感謝をしておるところであります。
 そこで、前の通常国会でも御議論がございましたけれども、定率負担を導入するというこの大きな改正をどういうふうに考えるのか、その考え方を整理してもらいたいという御指摘でございますが、老人の一部負担については、昭和五十八年の老健制度の創設のときに定額負担としてまず導入をされたわけであります。私も政務次官をやっておりましたから、既にそのときの議論にも参画をしておったわけであります。これは、それまで老人の患者負担が無料であったということを踏まえて、また被用者本人も定額負担であったという状況を踏まえて、まずそういう第一歩をしるしたわけであります。
 この間、年金制度の成熟等によりまして高齢者の社会経済的な地位の安定が見られておりますし、その一方で高齢化がどんどん進んでまいりますと、老人医療費が増大をして、これは当然若年世代の負担になっていくわけでありまして、そういう世代間の負担の均衡ということも無視できなくなってまいったわけであります。
 こういう状況を踏まえますと、若い方も高齢者の方も、できる範囲内で負担を分かち合うということを国民に理解してもらう必要が何よりも大事だ。そして、さらに高齢化が進んでまいりますから、二十一世紀の非常に高い高齢化の時代におきましても、みんなが支え合って活力のある高齢社会を築くということが我々の目標であろうと思います。
 こういう考え方に立ちまして、今般、高齢者の患者負担を見直して、高齢者と若年者の負担のバランスを改善しますとともに、その結果として、高齢者の方にもコスト意識を持っていただける仕組みにしよう。したがって、かかった医療費に応じて定率一割負担をお願いするということになったわけでございます。
 ただ、制度自体がこれまでの制度を基礎にして改革をしていくわけでありますから、例えば診療所については、事務処理能力などを踏まえて定額制を選択することもできるという複雑な面は否めないわけであります。
 また、定率一割負担の導入に当たりましては、過度な負担にならないように定額の月額上限を設けるとともに、低所得者世帯の方々につきましては、現行の月額上限三万五千四百円を二万四千六百円に引き下げ、特段の配慮を行うことにした次第でございます。
#36
○桝屋委員 ありがとうございます。
 まさに昭和五十八年から定額負担が始まったわけでありまして、その前が高齢者医療は無料という時代がありましたので、定額負担が始まったときの被用者保険制度の状況などの御説明もいただき、相当状況は変わってきておるという御説明をいただきました。
 それで、もう一点。定率負担が新しい改革の第一歩だろうと私も理解しておるのですが、また大臣から今御説明があったのですが、ここで極めて国民にわかりにくいのは、お年寄りの薬剤の負担が、これは平成九年から始まったものでありまして、当時我々も野党にまだ籍を置いておりましたけれども、その後、平成十一年、昨年にはこれを一たん特例措置でもとに戻すといいますか国が肩がわりをする、利用者から見れば負担がなくなったわけでありまして、そして今日、薬剤負担も含めて上限つきの定率負担ということになるわけであります。今の定額、定率の考え方の整理と同時に、これは薬価の問題も含めてお年寄りの薬の問題は大きな議論が今日まであったわけであります。
 薬の問題、平成九年に始めたあの制度をどういう理由でやめて、今回一緒にして定率負担にするという、この辺のいきさつといいますか、ここは一回やはり整理をしておかなければならぬだろうと思っておりますが、その辺の経緯、変遷について簡略に御説明いただきたいと思います。
#37
○近藤政府参考人 薬剤一部負担につきましては、薬剤使用の適正化等の観点から平成九年に創設されたわけでございますけれども、その導入当時から、制度が複雑であるとか二重の負担ではないか、こういう御批判があったわけでございます。こうしたこともございまして、老人の患者一部負担の見直しが行われるまでの間におきまして、高齢者が支払うべき薬剤負担を臨時特例的に国が肩がわりをする措置が昨年の七月から実施されたわけでございます。
 今回の老人一部負担の見直しにおきましては、先ほど大臣から御説明がありましたように、定率負担制の若年者とのバランスを考えるとかコスト意識を喚起する、こういうふうな観点から薬剤一部負担を廃止いたしまして、薬剤にかかわります費用も含めまして、かかった費用に応じまして御負担いただく定率一割負担制を提案させていただいた次第でございます。
#38
○桝屋委員 ありがとうございます。簡単な御説明がありましたけれども、国民から見れば極めてわかりにくい話だということであります。
 その結果、私は特にこの委員会でも確認しておかなければならぬと思うことは、今現在、お年寄りの薬剤の負担は実態としてない、しかし、それは全国民で肩がわりしているんだという状況が続いておるということは確認をしておかなければならぬだろうと思います。
 私ども、平成九年に、薬剤の種類とか日数に応じて――私どももあのとき審議をしながらよくわからなかったわけでありまして、これはなかなか定着しないんじゃないかと思いましたけれども、ある意味では朝令暮改という厳しい指摘もあるだろうと思いますが、今回そこが整理をされるということであります。
 では、今回の改正で薬剤の負担についてその辺は極めてすっきりしたのかということになりますと、必ずしもそうではないような気がいたします。特に、院外処方の取り扱いをしている場合等については、今回の改正案が一つの割り切りとして院外処方をやっているかやっていないかという医療機関単位で決定をされるものでありますから、個々のケースで見ると、これは前国会でも議論がありました有利、不利という話がどうしても出てくる。私は個々のケースごとに判断をするのは適切でないとは思っておりますけれども、実態は、どうしても現場でありますからそういう声が出るということであります。
 しかしながら、いかなる制度も現場の医療機関や薬局の現場において実行可能なものでなければ、これもまた難しいということもよくわかるわけであります。これについてはぜひともさらに現場の皆さんとよく相談をしていただいて、研究を続けていただきたい。特に、厚生省がお進めになっている医薬分業という観点もあるわけでありまして、そこから見て整合性があるのかどうか、あるいは患者の立場から見て不合理がないかどうか、そんなこともよく勘案をしていただいて、引き続き大臣にぜひ検討は続けていただきたいなと私はお願いを申し上げておきたいと思います。
 さて、続きまして、高額療養費の問題であります。
 今回の改正で、高所得者の方々については応分の負担をお願いするという新しい形になります。家計調査の第五分位の五十六万円という数字を説明いただいております。こういう方については十二万一千八百円という数字になるわけでありますけれども、これは現在の六万幾らが平均収入の二二%だ、こういう御説明も実はいただいたわけであります。
 ただ、この二二%、同じ割合で負担をしていただくという、これを説明するときに、第五分位以上の方はそれで――確かに先ほど大臣から御説明がありましたように、若人もお年寄りも可能な限り負担を共有していただく時代だということはその観点からも理解ができるわけでありますが、よくよく整理しますと、一般の方には、第二分位、第三分位、第四分位の方もいらっしゃるわけであります。
 そうすると、二二%――これはなべて平均をすると一般の方の月収に応じて二二%ということだろうと思うのですが、例えば第四分位の方、第五分位に極めて近い方はどうなのか。あるいは逆に、比較的所得の少ない第二分位の方々については二二パーを超えるケースもあるのではないか、逆に負担が二二パー以下の方もあるのではないかと思ったりするわけでありまして、これも今後の課題なのかな、二二パーだけで説明し切れるものではないんじゃないか、こう私は思っているのですが、何か御説明がありましたら。
#39
○近藤政府参考人 高額療養費の関係でございますけれども、現在、低所得者を除きますと、一律六万三千六百円という自己負担になっているわけでございますが、これは平均的に見ますと月収の二二%ということでございますので、それより低所得の方は二二%より高いわけでございますし、それより給料が高い方については二二%より低い、こんなような関係があるのは御指摘のとおりでございます。
 例えば二二%ぐらいで収入に応じてやったらどうかという議論もいたしたことはあるわけでございますけれども、今回、一ランクつくるのでさえ事務的に複雑で非常にわかりにくいということもございまして、事務処理能力から見てもなかなか難しい。特に国民健康保険の場合には恐らく実行不能ではないかということもあったわけでございまして、そういうことで今回は上位所得者という一番上の段階の方だけ区分を設けまして、負担の均てん化を図ったわけでございます。
 しからば、低い人はどうかということでございますけれども、この方につきましては、かつて制度ができたときには月収の五〇%まで負担していただく、これがじりじり下がってきているわけでございまして、それと、低所得者につきましては低い額を設定しているということもございまして新たな段階を設けなかった次第でございます。
#40
○桝屋委員 制度ですからどこかで、割り切りという話をさっきいたしましたが、あの制度はそういう問題をやはりはらんでいるのかなと感じながら、我々もこれからも研究をしてまいりたいと思っております。
 そこで、先ほど近藤局長のお話を聞いておりまして、今の十二万一千八百円のさらにその上の一%という話でありますが、この一%も、一%とはいえ小さいものではありませんよという話を聞くと、これもやはり国民の医療ということを考えると少し不安になるわけであります。したがって、次のテーマに移りたいと思うのですが、例の長期高額療養費の取り扱いであります。
 この取り扱いは今回の改正で特段の変更はないというふうに私は理解をしているのでありますが、したがって、大臣、政務次官、現行制度上の問題ということでお聞きいただきたいと思うのですが、現行制度で長期高額療養費、恐らく一生療養がかかるだろう、しかも、長期に高額の医療費がかかる、こういう方については特別の高額療養費の設定をされている、このように理解をしております。現在、その病気も三つに限られているというふうに私は思っております。三つというのは、人工透析の患者さん、血友病あるいはエイズの皆さん、そういう方々についてはいわゆる長期高額の療養が必要であるということで特別の対策が講じられているというふうに理解をしておるのであります。
 私どものところに、ゴーシェ病という――これは難病だろうと思いますが、先天性代謝異常の一つの疾患とされているようであります。糖脂質を分解する酵素が先天的に欠けている。したがって、最近、治療法として遺伝子組み換えの酵素製剤を点滴する酵素補充療法が始められている。それで、この療法によって何とか普通の生活ができるという方が、恐らく希少難病の部類だと思います、全国で百名ぐらいのオーダーではないかと思いますが、そういう方々がいらっしゃる。こうした患者の方々が、実は小児慢性特定疾患の指定にはなっているようでありますから、十八歳までは公費助成、公費医療が行われておりますが、十八歳を超えた場合、たちどころにこの高額療養費に移行する。今回そこの部分は改正されるわけでありますが、長期と高額という観点では、私は人工透析の皆さんとほぼ同じような状況ではないかとお話を聞く限り思ったわけであります。
 ぜひとも、こうした患者さんの実態あるいは治療の現状などを調査していただいて、必要であれば、この三疾病については厚生省の皆さんは特段ガードがかたいように私は感じておりますけれども、比較検討も十分していただきたい、このように思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
#41
○近藤政府参考人 高額療養費制度におきます高額長期疾病、この対象は極めて例外的に設けております。そのときの考え方といたしましては、費用が著しく高額で、なおかつそれが長期にわたって継続する、こんなような条件のもとにつくられているわけでございます。
 それで、先生御指摘のゴーシェ病でございますけれども、御指摘を踏まえまして私ども実態を調査させていただきたい、こういうふうに思っております。
 ただ、先ほど来議論がございますように、医療保険財政というのは大変厳しい状況にあるわけでございます。こういう酵素などが人体に欠けるということでこれを生涯補給し続ける、こういうのを補充療法というふうに称しているそうでございますけれども、これから新しい薬がどんどん開発されまして、そのたびに対象疾病が広がる可能性も否定できないわけでございまして、今の保険財政で耐えられるのかどうか、こういったものも含めて慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
#42
○桝屋委員 ありがとうございます。慎重な姿勢は理解ができるところであります。もちろん財政とよく検討しながらということでありますが、もう一点、財政の問題もさることながら、現在の長期と高額という考え方から見て、現に人工透析の皆さんはこの対象になっているわけでありますから、それとの比較検討もあわせて十分していただいて、なお総合的な政策判断は必要だろうというふうに私どもは思っているわけでありますが、先ほどの近藤局長の一%も決して小さいものではありませんという説明が余計頭にあるものですから、ぜひとも御検討をお願いしたいと思います。また、数の少ない方々であります。機会を見つけて、ぜひ大臣にも厚生省の皆さんにも御紹介申し上げたいと思いますが、念頭に置いていただきたい、お願い申し上げたいと思います。
 さて、今度は医療法の話なんですが、いわゆる精神科特例の取り扱いについてお伺いをしたいと思います。
 今回の医療法の改正によりまして、精神病床の取り扱いがどうなるのかということであります。ちまたではよく精神科特例という言葉が使われるわけでありますけれども、この医療法の改正でこうした精神病床の取り扱いがどのようになっているのか、簡単に概略を御説明いただきたいと思います。
#43
○伊藤政府参考人 現行の医療法におきましては、主として精神病の患者を入院させる病室を有する病院につきましては、一般の病床の人員配置の基準によらないことができるとされているわけでございます。これを精神科特例と言っているわけでございますが、今回の医療法改正案におきましては、この精神病床の人員配置の基準につきまして、厚生省令で精神疾患の特性にふさわしい人員配置等を定めるという考え方でございます。
#44
○桝屋委員 えらい簡単な御報告をいただいてあれなんですけれども、今のお答えは、精神科の病床についても今回改めて検討する、見直しをされるということだろうと思います。
 先ほど言いました精神科特例、特に人員配置あるいは病床面積についてでありますが、私どものところにも一般病床等の是正はいい機会だからぜひとも是正してもらいたいという声もあるわけであります。
 今の御説明で、このたびの医療法の改正の中で、恐らく厚生省令でこの精神病床の取り扱いを改めて規定されるんだろうと思いますが、その厚生省令で定められる新しい精神病床の基準、これはどういう検討をして進められるのか。今申し上げたように、一般病床と同じようにしてもらいたい、こういう声も聞いているわけでありますが、なかなか実態としては困難な問題もあるのではないかと思いますが、現在検討されている内容等を御紹介いただきたいと思います。
#45
○伊藤政府参考人 いわゆる精神科特例でございますが、医師につきましては、一般病床が十六人に一人となっておりますが、精神科特例では入院患者四十八人に一人、それから、看護婦につきましては、現行の一般病床で四人に一人となっておりますが、精神科特例では六人に一人となっているわけでございます。
 この特例の扱いにつきまして、今回医療法の改正にあわせてどうするかということがテーマでございまして、この点につきましては、現在、公衆衛生審議会におきましていろいろ御議論をいただいているところでございます。
 公衆衛生審議会からは、一般の病床とできるだけ格差のないものにすべきであるという指摘がなされておりまして、その指摘を踏まえまして、現在、医師、看護婦、弁護士、病院管理の専門家等から構成されます精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会を設置いたしまして、精神障害者の方々の御意見も伺いながら検討を進めているところでございます。
 基準の内容につきましては、入院患者さんに快適な環境のもとで質の高い医療サービスが提供されることが重要であると考えているわけでございますが、現在、この専門委員会におきましては、いろいろな議論があるのも事実でございます。精神疾患の特性を踏まえた望ましい人員配置のあり方についてそもそも御議論があるわけでございます。
 具体的に申し上げますと、精神科の医師、看護婦の現在数及び将来見込みに照らして現実的な人員配置基準にすべきという意見がある一方、多くの病院がこの基準を達成することが困難であっても、一般病床と同等の人員配置基準にすべきという意見などがありまして、現時点におきましては、完全に意見が集約されているという段階に達しておりません。
 しかしながら、現在鋭意御議論いただいておりまして、関係者間におきまして合意が得られるよう努力してまいりたいと考えているところでございます。
#46
○桝屋委員 今のお答えでは、今公衆衛生審議会でできるだけ一般病床に近い形でという方向性は出ているけれども、実態として、精神科のドクターあるいは看護婦さん、現状からするとなかなか難しいところもあると。現在の基準に対してどのくらい達成できているのかということも多分あるんだろうと思います、さまざまな難しさがあるということも理解できますが、公衆衛生審議会の示された一般病床にできるだけ近い形でということは、ぜひ御努力をいただきたいと思います。
 そうした意味におきまして、一般病床も我が国は世界的に見て病院のベッド数は多いわけでありますが、御多分に漏れず精神科も多い、現在三十五万床くらいだろう、こういうふうに理解をしておりますが、世界的に見ても大変割合としても多いのではないか、こう思っております。
 現在、社会復帰施設、あるいは精神病院の機能の分化といいますか、そうしたことが進められているというふうに理解をしておりますけれども、今後この精神病院の病床をどのように整理され、厚生省としてこれから引っ張っていかれるのか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#47
○津島国務大臣 委員御指摘のとおり、日本の精神病床数は、若干減少傾向にはありますけれども、他の先進国と比較して多いことは事実でございます。
 今回の医療法改正案におきまして、その他の病床については一般病床と療養病床の二つに区分するということにいたしましたが、精神病床をどうするかという問題でございます。
 当然、その他の病床の場合と同じように、早期の社会復帰を目指して積極的な医療を提供する必要のある患者が利用する病床と、長期に療養を継続する必要のある患者が利用する病床とに次第に分化が進む傾向にあるというふうに認識をしております。
 このような中で、今後とも精神障害者の方々の状況に応じた適切なサービスを提供して、早期の社会復帰を図ることができるよういろいろ工夫をしなければならないと思います。外国の事例を見ましても、いわゆる精神病院のほかにいろいろのケースに応じて対応できる受け皿があるのでございますね。その受け皿の整備が日本では必ずしも十分ではないということが、病床が多いことにつながっているのではないかという御指摘があります。
 そこで、引き続きグループホームや精神障害者社会復帰施設の整備をする、それから、精神病床につきましても、先ほど申しましたように、機能分化の進展状況を見ながら、さらにそのあり方について総合的に検討してまいりたいと思います。
#48
○桝屋委員 ありがとうございます。
 私は、これは誤解かもしれませんが、介護保険というのは、ある意味では我が国のお年寄りの社会的入院を何とかしようということで手をつけられた一つの改革ではないかと思っております。逆に、精神病院の場合は、これも社会的入院というのは確かにあったわけでありまして、その辺の改善を図ろうということで、今大臣から御説明がありましたようなさまざまな取り組みが行われているわけであります。
 その一つが、最近PSWが資格化されまして、そうした医療の現場で活躍をされているというふうに理解をしておりますが、精神病院での配置状況はどうでしょうか。一点確認だけしておきたいと思います。
#49
○伊藤政府参考人 PSWの資格につきましては、平成九年の十二月に制度が創設されたわけでございまして、それ以降二回の国家試験を実施しておりまして、六千九百二十四名の方が合格いたしまして、平成十二年九月末現在で六千五百三十四名の方が登録されているところでございます。
 平成十一年六月末の調査によりますと、全国の精神病院に三千四百九十七名の精神科ソーシャルワーカーの方が在職しておりまして、うち一千三百五十三名の方が精神保健福祉士の資格を有している状況でございます。
#50
○桝屋委員 ありがとうございます。
 現場でしっかり機能していただいているということでありますが、まだ診療報酬上の評価はなかなか難しい状況かなと思っております。福島総括政務次官、大臣におかれましては、このPSWと同時にMSWの問題が残っておりますから、どうぞこれも引き続きぜひ、我々も検討したいと思いますが、あわせてこれからの検討をお願いしておきたいと思います。
 最後に、医療計画の話に移りたいと思います。
 今回の医療法の改正によりまして、一つは、必要病床数という今までの用語が基準病床数というふうに変わると伺っております。それからもう一点は、都道府県知事の裁量権がふえるということも伺っているわけでありますが、地域の医療計画策定に対してどのような意味を持つのか、具体的にお教えいただきたいと思います。
#51
○伊藤政府参考人 まず、今回の医療法改正案におきまして、これまで必要病床数という言葉を使っておりました。既存病床数が必要病床数を超える場合には不必要な病床と認識される一方で、この既存病床数が必要病床数を超えない場合には不足面が強調され、その結果、いわゆる駆け込み増床の弊害の一因ともなるとの指摘もあったわけでございます。これらの点を是正するために、今回、必要病床数という名称を見直すことにしたものでございます。
 そこで、基準病床数の算定につきましては、現行制度におきましては、二次医療圏ごとに流入患者数、流出患者数をそれぞれ加算、減算した上で、さらに流出している患者数の三分の一の範囲内で加算でき得る仕組みとしてこの必要病床数を計算しているところでございます。
 今回の改正に当たりましては、これを見直しまして、地域の実情により合致する基準病床数の算定を行うという観点から、都道府県知事の裁量の幅を大きくする方向といたしまして、具体的には、都道府県知事の裁量によりまして実際の流入、流出患者数の範囲内で適切な数を設定できることを基本として具体的な案を今検討しているところでございまして、これによりまして地域の医療の実情がより反映された医療計画が策定されるものと考えているところでございます。
#52
○桝屋委員 医療計画というのは、私は地元が山口県でありまして、先ほどの同僚の委員の先生は北海道という話がありましたけれども、北海道あるいは山口というのは大変に病床が多いわけでありまして、この医療計画の取り扱いは本当に大変に悩むところであります。そうした意味において、現場の実情に応じた、地域の実情に応じた医療計画が策定される方向でありますから、それは結構でありますが、特に二次医療圏の設定あたりはなかなか困難な問題があるわけであります。特に病床数の規制という観点からも、現場の都道府県の知事さん方も大変にお悩みだろうといつも思っているわけであります。
 そこで、もう一点確認しておきたいのですが、この四月から始まりました介護保険、あるいは障害者の施策もそうでありますが、最近は広域行政ということが極めて大事な観点になっております。そういう意味では、ずっと以前から、二次医療圏と介護保険の圏域、障害者の圏域、これはできるだけ合致させた方がいいという議論があります。この背景には、これは私の個人的な信念でありますが、保健も福祉もやはり良質な医療がバックアップしなければいかぬということがあるわけでありまして、そういう意味では、医療圏が介護保険の圏域と一体化して運営することが好ましいだろうというふうに私は考えているのですが、介護保険の計画を練るときも、厚生省の皆さんはなかなかそこをはっきり、おっしゃっていただいたようないただかないような、こんな感じを持っておりまして、二次医療圏と高齢者保健福祉圏域あるいは障害者の福祉圏域などはできるだけ整合性を持たせる、一致させるという御指導をされておられるのかどうか、あるいは実態としてどういう現状になっているのか、そのあたりを御説明いただきたいと思います。
#53
○伊藤政府参考人 まず、医療計画制度におきましては、医療計画の単位となります区域といたしまして医療圏を設定しているわけですが、主として一般の病床の整備を図るべき地域単位として二次医療圏を位置づけておりまして、その数は平成十一年度末現在で三百六十となっています。
 この医療圏域の設定に当たりましては、医療法上「他の法律の規定による計画であつて医療の確保に関する事項を定めるものとの調和が保たれるようにする」旨定められております。したがいまして、老人保健福祉圏域ですとか障害保健福祉圏域とできるだけ一致させるというのが基本の考え方でございます。
 具体的には、老人保健福祉圏域の設定につきましては、介護保険法上「医療計画その他の法律の規定による計画であって要介護者等の保健、医療又は福祉に関する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない。」と規定しておりまして、また、告示で、「圏域については、保健医療サービス及び福祉サービスの連携を図る観点から、二次医療圏と一致させることが望ましい。」と定められておりまして、そのような観点から厚生省としても指導しているところでございます。
 これらの規定を踏まえまして、保健、医療、福祉の連携確保の観点に立ちまして、従来から二次医療圏と老人保健福祉圏域とをできるだけ一致させるよう指導してきているところでございます。
 また、障害保健福祉圏域の設定に当たりましては、二次医療圏、老人保健福祉圏を参考として、これらの調和が図られるよう各都道府県に指導しているところでございます。
 そこで、現在、二次医療圏と老人保健福祉圏域の調和の状況でございますが、完全に一致しているものが二百八十五医療圏、複数の二次医療圏で単一の老人保健福祉圏域を構成するものが四十六医療圏、それから、単一の二次医療圏で複数の老人保健福祉圏域を構成するものが十三医療圏となっておりまして、老人保健福祉圏域とずれのあるものは十六医療圏のみとなっているところでございます。
 なお、二次医療圏と障害保健福祉圏域との整合性につきましては、現在調査をしている段階でございまして、現時点では把握しておりませんが、至急把握させていただきたいと思います。
#54
○桝屋委員 ありがとうございます。大体一致している、調和できているということでありますが、大臣、政務次官、今の一致していない十六、それから、複数ダブっているようなところあたりは、なかなか現場は悩ましい問題がたくさんあるということだけは御認識をいただいて、私も取り組んでいきたいと思いますが、引き続き御検討をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
#55
○遠藤委員長 次に、小池百合子さん。
#56
○小池委員 たびたび質問させていただきます。保守党の小池でございます。
 前回、積み残した部分、そしてまた聞きそびれた部分などを追加で御質問させていただきたいと存じます。
 ちょっと順番が変わるのでございますが、今回の医療法の改正のところで、さまざまな問題点があるわけでございますが、一つ大きな進歩、前進というふうにとらえさせていただいているわけでございます。
 また一方で、昨日も発表されましたばかりでございますが、事業規模総額十一兆円ということで、日本新生のための新発展政策ということが決まったわけでございます。今の景気の現状、そして、今後二十一世紀において日本の社会資本として必要なものが網羅されているというふうに認識をするわけでございますが、そこで一番大きなタイトルをつけるとなりますと、やはり何といってもIT革命ということを基本にした情報技術の政策が大いに盛り込まれた、これがポイントだと存じます。
 このITの進歩ということは医療の分野でも同じでございまして、このIT技術が――IT技術というのもおかしいですね。情報通信がさらに進むということは、いろいろな面で医療の面でも生かせることができるというふうに思います。その意味で、今回余りその辺は盛り込まれていないことは重々承知しておりますけれども、今後、この医療面でのITの利用、先ほどもほかの委員からも御質問がございました、例えば今回の改正によりまして看護職員の数がふえるわけでございますが、それは人口の多いところでは雇用も可能ではございますが、一方で離島、僻地といったところでは人の手当てがなかなか大変ということも事実でございます。ITが看護職員のかわりをするかといったらそうではございませんが、しかしながら、いろいろな面でITが離島、僻地などの医療面の手薄になっているところを大いにカバーできるものというふうにとらえております。
 遠隔地治療ということにつながるわけでございますけれども、これは医師法との関係になってくると思いますけれども、例えばいろいろな患者さんの部位のレントゲン写真などを転送して、遠くでも高度な診療が受けられることを可能にするのがITでございますが、最近のITの技術は本当に日進月歩、ドッグイヤーでございまして、大変進歩してきているわけでございます。画質もすばらしくよくなっておりまして、これまで画質の悪いところで誤診などをすると責任問題にもなるということでちゅうちょもされていたようでございますけれども、どこで見ても、通信のケーブルを通っても通らなくても同じぐらいの画質のものが見られるというのは、もう目の前に来ているわけでございます。一部地域によっては既に活用されているところもあると聞いております。
 こういった点で、例えばこれが対面治療でない場合、診療代はどなたがいただけるのかとか、こういうのは医師法との関係になってくると思いますが、ちょっと先取りした質問ではございますけれども、そういったITとの関連、そしてまた法律的な問題等々について見解を伺いたいと存じます。
#57
○福島政務次官 先生御指摘のように、ITを医療の分野でどのように活用していくのかということは極めて大切な課題であるというふうに思っております。
 先生御指摘ありましたように、例えば僻地のような人的資源の少ない地域のための遠隔診療というようなものにもITというものが活用できる、そしてまた、地域におきましてはかかりつけ医と中核的な病院との連携の推進ということにつきましてもこのITというものが活用できるものと考えております。
 現在どのような具体的な取り組みをしているのかということについて若干御説明させていただきますと、委員からも御指摘がありましたように、遠隔病理というものがございます。病理画像を通信で送りまして、離れた地域の専門医によってその診断をしていただく。デジタル化が進みましたので画像の劣化というものが起こらずに、そしてまたその画像に対してさまざまな修正を加えることも可能になりまして、大変有用な技術であるということが認識をされておると思います。現在、沖縄県などを含めまして五カ所で導入がされておりまして、遠隔診療の推進というものに資しておる。
 また、その病理画像等の診断だけではなくて、慢性期疾患の患者さんで安定している場合に、在宅で医療が受けられるように医療機関と患者さんの居宅との間でテレビ画像等を通して行うような遠隔診療というものも、これはモデルとして平成十二年度から行われるということになっております。
 そしてまた、離島、僻地等につきましての遠隔診療の適用ということにつきましては、平成九年度から三カ年のモデル事業といたしまして、全国各地十五カ所でこのモデル事業というものを行わせていただきました。これは、患者さんの居宅と医療機関を通信で結ぶものでございます。
 そういうさまざまな取り組みを行ってまいりましたけれども、一つ一つの事例で、例えばコスト面の問題とかいろいろと解決をしなければならない課題がございますけれども、全国的にITというものが活用されるように私どもは今後とも取り組んでまいりたいと思っております。
 そして、医師法との関係でどうなのかという御指摘がございました。
 遠隔診療につきましては、平成九年十二月に健康政策局長通知というものを出しました。これは「情報通信機器を用いた診療について」と題されておりますけれども、直接の対面診療による場合と同等ではないにしても、代替し得る程度の患者の心身の情報が得られる場合には、直ちに無診察診療になるものではないという見解をここで明らかにいたしております。
#58
○小池委員 直ちに診療ではない。ということは、診療代はいただけないことになるわけですか。(発言する者あり)違法ではない。けれども、診療代はいただけない。
#59
○福島政務次官 それは直ちに違法ではないということでございます。
#60
○小池委員 情報の開示ということにも関連するのですけれども、次にカルテの開示の問題です。
 今回の法改正のところにも取り上げられてはいるのですけれども、内容的には、診療録等の情報提供を行うことができる旨、広告ができる事項に追加されるにとどまっているということでございます。
 これまでも検討会が設けられ、また医療審議会においても検討ということで、法律上の義務化は見送られているわけでございますけれども、医師会の方でもこの一月からガイドラインでその運用は始まっているというふうに聞いております。その開示ということについては、やはり患者の側からすれば知らせてほしいもの――人によるかもしれません。しかしながら、こういった流れというのは諸外国でも既に行われているところでございますので、一歩大きく進めるべきではなかったかというふうに思うわけでございます。
 このことについて、ことし一月からの実際面でのガイドラインの運用状況についてはどのようになっているのか、お知らせください。
#61
○福島政務次官 日本医師会が自主的に診療情報の提供を行うということで、昨年の四月に策定いたしました「診療情報の提供に関する指針」に基づいて本年一月から実施が行われております。
 本年六月に日本医師会の取りまとめの発表が行われまして、一つは、診療に関する相談窓口が全国各地で四百七十五カ所設置されておる、そしてまた、苦情処理を行う診療情報提供推進委員会が百七十八カ所設置を既にされておりまして、日々の相談等に対応しておるという報告がなされております。
#62
○小池委員 これからは医療機関の間の競争なども進むわけでございますから、その意味では、そういった情報開示が的確に、一方でプライバシーはしっかり守るということが、医療機関にとってむしろ積極的に行うことが病院経営その他プラスであるという方向に進むことを期待しているところでございます。
 時間のやりくりをまた間違えてしまいまして、一番大きな話が最後になってしまいましたが、今アメリカの大統領選、最終盤戦に向かって非常に激しい戦い、競り合いになっているわけでございますが、やはりそこでも一番大きなテーマといいますと、社会保障ということだと思います。
 大臣もよく御記憶だと思いますが、アメリカの財政といいますと、一昔前、十年前までは財政赤字と貿易赤字で双子の赤字、巨額な赤字を持っていて、アメリカは一体どうなっちゃうのかねといって高みの見物をしていた日本が、今や逆のことになっているわけでございます。
 アメリカの例を言うと、景気がこれだけ戻ってきた。その前には大きな戦略を描いていた。その結果として、大変な財政の黒字に転換をして、その財政の黒字を国民に返すべきなのか、それとも福祉の分野に生かすべきなのかといったところが大きな争点になっていて、極めてうらやましい、まさに戦略が当たったということで、それだけ社会の安寧秩序も取り戻されているということで、いかに国家戦略というものが、また、それがうまくいったときにはどのような効果があるのかという、大変いい例を見せていただいているところだと思います。もっとも、最近、アメリカの経済情勢というのは非常に揺らいで、その辺の津波がまた日本に来るのかどうか心配されるところであります。
 一方で、先日、社会保障会議、これは総理の私的諮問機関でございますけれども、社会保障構造の在り方について考える有識者会議の方でも、給付費が二〇二五年度には二百七兆円に上るということで、高齢者の経費は四倍だという原案が新聞にも報道されたわけでございます。
 前回のときに、この社会保障、とりわけ老人医療の分野というのはこれからますますその費用がかさむ、これはどうしても避けられない、それを保険の分野で賄っていくということにはそもそも限界があるのではないかということから、大臣のお考えも聞かせていただきました。大臣のお言葉の中にも、これまでどおりの保険制度を基礎としてやっていくことが給付と負担が連動し、効率化へのインセンティブが内在されるという意味では無視できない、しかし、これからも高齢者の医療制度が同じようにやれるかどうかは大いに疑問となるところであるというふうに大臣はお述べになったわけでございます。
 一番大きなポイントといたしまして、保険者への国庫負担でございますけれども、既に大きな部分を占めているわけでございまして、公費、そして患者本人の負担で賄うという老人保健制度そのものは、既に実は根本的に崩れているのではないかというふうに思うわけでございます。そして、公費の負担分が、国民健康保険の老人保健拠出金に対して五〇%の国庫負担、同じく政府管掌健保一六・四%の国庫負担ということで、実際の公費、国庫負担というのは、これを足しますと四・一兆円となるわけでございまして、四〇・五九%を占めているというようなことで、これは現実の問題でございます。
 ですから、保険保険と言いながらも、一方で国庫の負担がここまで来ているということで、そもそも保険と称することが事実とは反するのではないかというふうに考えるわけでございますが、大臣のお考えを改めて伺わせていただきます。
#63
○津島国務大臣 社会保障のあり方についての基本的な御議論でございます。
 高齢化が進んでいく中で今のままの制度がもつかということについては、私も前に申し上げましたように、いろいろ危惧される面があることは否定できません。ただ、御承知のとおり、アメリカはもちろんでございますけれども、ヨーロッパの主要国でも、医療についても年金についても、一部の例外は別として、保険制度を基本として運営をしておるということも実態であり、それはなぜかというと、そこのところはみんなで医療費を分かち合うという、負担と給付というものが一番わかりやすいのが保険である、こういうことが背景にあると思います。
 しかし、今委員御指摘のとおり、これから歴史上類例を見ないような早さで高齢化していくときに、その財政負担というものを保険だけで賄えるかといったら、私はこれはかなり難しいのではないかと。その部分については、やはり公費負担を考えていかざるを得なくなるんじゃないか。ただ、問題は、そのときにその公費負担の財源をどうするかということについてまだ国民の間の議論が熟していないということも我々は深く受けとめなければならないと思っております。
 今の小池委員の御質問について逆のお答えをいたしますと、例えば今言われたような二〇二五年の社会保障給付金の規模を前提にいたしましたときに、これをある税目、例えば消費税で賄うということになると、どんな消費税の税率になるか。これはすぐわかるわけでございまして、これも世界に類例のない高い税率という計算になっちゃうわけで、これは私どもの選択肢にはあり得ないわけでございますから、そこで、今の保険制度をやはり基本にしながらも一体どうやって高齢化の次の時代に備えていくかということで、これからも小池委員とはずっとこの御議論をさせていただきたい、また、実のある議論だと思います。よろしくお願い申し上げます。
#64
○小池委員 今の大臣のお話、逆の方からということでございました。
 ざっと計算をしますと、高齢者に対する給付費百兆円すべて消費税で賄うとすると、税率三二%ということで、これを直接どんと出しますと、景気をこれからどうやって立て直そうかというときに、むしろ全体を冷え込ますというか、大変なショック療法ではあるかとは思いますが、しかし、それも一つ現実だというふうに思います。
 ただ、これをそのまま税率のところで幾らにするのかというような話の前に、やはりもう少し基本的な哲学の部分、今後の国家としての運営のあり方、それに対しての国民のコンセンサス、いろいろなことをやっていかなければならないんですが、しかし、この問題を避けて通っていますと、いつまでたっても景気はよくならない。景気という話に直接結びつけるのは余りに短絡的かもしれませんが、基本的には、個人消費が伸びない。堺屋さんに言わせると、上の方のまきになかなか火がつかないというのは、やはり将来への漠然たる不安ということになろうかと思います。
 消費税の話がすぐ出てくるわけでございますけれども、先ほど来出ております負担と給付ということで言うならば、保険の方は、保険にそもそも参加しない人がふえてきているということで、この負担と給付そのものが大きくねじ曲がっているということも考えなければならないと思います。
 消費税率、今のような消費税のあり方、また、いろいろな方式の問題などもございます。私は、今回厚生委員会に入らせていただいているのも、大蔵委員会との兼任でございまして、そのあたりの財源のところとセットで考えていくということでこの委員会にも籍を置かせていただいている。今後とも、この大きな問題について正面からぜひとも大いに議論をさせていただきたいと思っております。
 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
#65
○遠藤委員長 次は、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合所属委員の質疑に入ることとしておりましたが、出席が得られませんので、やむを得ず次の質疑者に入ります。
 上川陽子さん。
#66
○上川委員 21世紀クラブの上川陽子でございます。
 重要法案の審議に御質問をさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。
 事前に二法案につきまして八問質問をさせていただくお願いをいたしましたけれども、健康保険法の改正につきましては、既に御回答いただいている部分もあり、かなり重複しますので、医療法の改正に絞って六問質問をさせていただきたいと思います。
 今回の医療法の改正案につきましては、病院の機能分化、臨床研修の必修化など、医療の質の向上につながる内容が含まれております。しかし、患者の視点に立って見ますと、医療については依然として情報も得られにくい、あるいは医療機関の選択も難しいというふうに受けとめられています。
 今後、現場では、インフォームド・コンセントや治療方法の選択など患者自身の責任ある決断が求められる傾向が強まるところでございますけれども、そうなりますと、ますます医療の質の向上ということにつきましての対策が必要になるのではないでしょうか。
 私は、医療の質の向上という観点につきましては、医療機関に対する競争原理の導入や、あるいは第三者による評価及び情報公開が極めて重要であるというふうに考えております。さらに、最近問題となっております医療事故の問題につきましても、こうした質の向上の一環として取り組む必要があるのではなかろうか、こんなふうに思っております。
 以上のような考え方に沿いまして質問をさせていただきます。
 まず、今回の医療法改正の大きな柱の一つとして、看護婦の配置基準の四対一から三対一への引き上げが挙げられております。これは、医療の質の向上という点からは大きな前進であるというふうに思います。
 しかし、聞くところによりますと、現在でも、医師、看護婦などの人員配置につきましては基準を満たしていない病院が多数存在するということをよく聞きます。事実はどうなんでしょうか。厚生省は各病院に対して医療監視等を行っていると聞いておりますけれども、現在把握している状況につきまして御答弁をお願い申し上げます。
#67
○丸田政府参考人 先生御質問の医療監視の状況ということでございますが、平成十年度の立入検査の結果によりますと、まず、看護婦数の遵守率につきましては、全国では九七・九%の病院が医療法施行規則に定めます看護婦数の標準を満たしているところでございます。
 ブロック別に申し上げたいと思います。
 北海道東北ブロックにつきましては九七・八%、関東ブロックにつきましては九六・一%、北陸甲信越ブロックにつきましては九八・八%、東海ブロックにつきましては九六・八%、近畿ブロックにつきましては九八・四%、中国ブロックにつきましては九八・三%、四国ブロックにつきましては九八・七%、九州ブロックにつきましては九九・一%という状況でございます。
 次に、医師数の遵守率についてでございます。
 全国では六四・〇%の病院が医療法施行規則に定めます医師数の標準を満たしているところでございます。
 ブロック別に申し上げますと、北海道東北ブロックは三九・五%、関東ブロックは七〇・六%、北陸甲信越ブロックにつきましては五二・一%、東海ブロックにつきましては六四・六%、近畿ブロックにつきましては八〇・九%、中国ブロックにつきましては六四・四%、四国ブロックにつきましては六四・八%、九州ブロックにつきましては六七%でございます。
#68
○上川委員 看護婦の配置につきましてはある程度満たされているということでございますが、医師につきましては非常に低いということで、一般には余りよく私ども国民には知られていないところだと思うんですけれども、今回、看護婦さんの配置基準の引き上げということに対しましては賛成でございますけれども、引き上げた基準を満たせない病院がふえるだけというような結果にならないとも限らないということでございます。
 先ほどの御回答の中に、医療法の基準というのは最低の基準であるというような御発言がございましたけれども、その最低の基準の遵守につきまして、国としてはこれまでどのような指導を行ってきているのか、また、今回の法律改正でどのような措置を講じていくおつもりなのかということにつきまして、お願い申し上げます。
#69
○伊藤政府参考人 人員配置基準の遵守は、良質かつ適正な医療の提供に際して重要でございまして、基本的には、都道府県におきまして、原則毎年すべての病院に対しまして医療法第二十五条の規定に基づきまして立入検査を実施しているところでございます。その際に、人員配置基準の充足状況につきましても調査を行いまして、基準に達していない場合はその改善を指導してきたところでございますが、先ほど医薬安全局長から御答弁ありましたように、一部に医師や看護婦等の従事者について基準を大幅に下回る病院が存在しているのも事実でございます。
 医療従事者が著しく不足していることが判明した場合には、具体的な改善計画、雇用計画等を提出していただきまして、改善状況を追跡調査するために再度調査を実施することなどにより指導しているところでございます。
 現在、人員配置基準を充足できない原因や背景につきましては、地域や個々の病院によりましてさまざまな事情があるものと考えているわけでございますが、長期にわたりまして人員配置が著しく不十分であり、かつ、適正な医療の提供に著しく支障を生ずる場合には、法律的にも根拠を持った措置をとる必要がある場合もあることから、今回の医療法改正案におきましては、このような場合に都道府県知事が増員命令または業務停止の命令をすることができることとしているところでございます。
 この規定の適用につきましては、基本的には従来と同様、まず行政による指導を通じて改善を図ることが必要であると考えておりますが、都道府県医療審議会の審議を経るなどして、地域の実情に即した適正な運用を行ってまいりたいと考えております。
#70
○上川委員 基準を変えてもそれが守られていないのでは意味がないということでございますので、今後法律という形の中での基準の遵守が進むことに大いに期待してまいりたいと思っております。
 次に、医療における情報提供の推進という、今回改正のもう一つの柱につきましてお尋ねを申し上げます。
 患者の医療のサービスにつきまして選択を可能にし、また、医療の質の向上のための競争が働く医療にしていくためには、私は情報公開が極めて重要であると考えております。確かに、医療の場合には情報が非常に専門的であるということとか、あるいは一般に公開することがなじまない情報もあるというようなことも理解できますけれども、そうした制約の中にあってもできる限り情報提供を進めていく方向が必要ではないでしょうか。
 今回の法改正では広告規制の緩和ということが盛り込まれておりまして、その緩和項目の中に医療機能評価機構の評価結果の広告というのが入っておりまして、それがとりわけ大きな意味を持つものではないかと私自身考えております。
 そこでお尋ねをいたしますけれども、この医療機能評価機構による第三者評価につきまして、今やられております事業の状況と情報公開の現状はどのようになっているのか。単に評価しましたよといった結果だけの公表ではなくて、個別の評価項目、これもかなりたくさんの評価項目があるということでございますが、それを閲覧できるようにすることも考えてはどうかというふうに思いますけれども、この点につきましていかがでございましょう。機構自身がすべてを公開するか、あるいは機構は病院名のみを公開して、各病院が自分の審査報告書をだれでも閲覧できるようにしていくというような方法も考えられると思いますけれども、この点もあわせてお考えをお聞かせください。
#71
○伊藤政府参考人 医療機能評価につきましては、平成九年度より日本医療機能評価機構が病院を対象として本格的に実施をしてきているわけでございます。
 評価機構による病院機能評価の審査を申し込んでいる病院は本年九月末現在で五百九十四病院、認定を受けた病院は三百七十病院でございまして、残りは現在審査中ということでございます。
 そこで、機構の評価を受けた病院には審査結果報告書が、また、評価認定を受けた病院には認定証があわせて発行されるわけでございますが、これらの評価結果の公開につきましては、まず、評価機構におきましては、評価認定を受けた病院名をホームページに掲載しインターネット上で公表しているわけでございます。また、評価認定病院におきましては、大多数のところで認定証を病院内に掲示しているほか、審査結果報告書の内容を広報誌やホームページに掲載している病院もあるという状況にございます。
 そこで、医療におきます情報提供の推進という観点から、評価結果の個別項目の公表につきましては、既に一部の病院において行われているように、評価を受けた病院の自主的な取り組みとして、より広く公表されることが望ましいものと考えているところでございます。
 なお、委員御指摘のとおり、今回の制度改正案におきましては、機構から認定を受けた旨を広告できる事項に追加することとしておりまして、こうした改正によりまして、機能評価の普及なり評価結果の公表などの取り組みが進むものと期待しているところでございます。
#72
○上川委員 今インターネットでの公表ということも含まれているということでございますけれども、本当に、ITを使いまして簡単に、技術的にも細かな情報も公開できるという技術は整っておりますので、ぜひとも患者の観点から自主的な公開がもっと進むように、また、評価する対象の機関が広げられますように御指導をいただきたいというふうに思います。
 その点と絡めまして、医療事故との関連で御質問をさせていただきます。
 最近、医療事故に関しましては本当に多くの報道がございまして、国民は日本の医療についても不安を抱くような状況でございます。医療の安全性の向上と医療に対する信頼回復のために、関係機関が一致協力して取り組むことが必要ではないかと思います。特に、医療事故防止のためには、まず医療に直接携わっていらっしゃる方々が患者さんの命を預かっているということを十分自覚していただくのはもちろんでございますけれども、それ以上に、一人のミスが最終的に事故につながらないような組織的な取り組みが必要ではないかというふうにも思います。
 そういう意味でも、今取り上げました第三者機構によります評価ということにつきまして、病院としての事故防止への取り組み姿勢につきましてもその評価項目の中に入れていく、また、その項目を充実させていくべきではないかというふうに思うわけでございますが、この点につきまして厚生省の基本的な考え方をお聞かせください。
#73
○伊藤政府参考人 日本医療機能評価機構の行います病院機能評価事業におきまして、医療機能における安全管理体制の評価という点につきましては、既に医療事故への対応という評価項目が設定されておりまして、職員の事故防止、事故発生時への対応や、患者さんの安全に対する日常的な配慮がなされているか等につきまして、実際に機構が医療機関を訪問して審査、評価を行っているわけでございます。また、手術・麻酔の体制、院内の救急体制等の項目につきましても、それぞれ安全管理の視点から評価項目が設定されております。
 しかしながら、近年、医療事故、患者の安全対策が非常に重要な項目になってきておりまして、この発足時の評価項目の見直しということが必要であるというふうに考えております。したがいまして、既存の評価項目に加えまして、各種の医療事故防止に関するガイドライン等の内容を考慮いたしまして、医療事故防止と安全体制の確立に向けて評価の中身の充実なり見直しを行うべきであるという考え方から、既に日本医療機能評価機構に要請をしているところでございます。
 評価機構におきましては、厚生省からの要請を受けまして、初年度に認定を受けた病院がその認定の更新を迎える平成十四年度を目途に、評価項目や評価手法についての見直しを検討しているわけでございまして、この見直しの中で、医療事故、いわゆる患者の安全対策についての評価方法につきましても充実を図ることとしておりまして、厚生省としても、今後指導してまいりたいと考えているところでございます。
#74
○上川委員 なかなかデリケートな情報でございますので、慎重に、なおかつ、本当に質の向上につながるような改善に向けての御努力をお願いしたいというふうに思います。
 それから、医療機関の中でもとりわけ国立機関、国立病院・療養所の医療事故対策についての取り組みにつきましてお尋ねさせていただきます。
 医療機関の中でも、国立病院あるいは療養所というのは、医療に係るあらゆる面におきまして民間の医療機関や他の公立医療機関の模範となるような取り組みを行うべきではないかというふうに思うわけでございますが、この医療事故の対策に関しての国立病院・療養所の取り組みの状況は今どのような形になっているのかということにつきまして御質問させていただきます。
#75
○河村政府参考人 国立病院・療養所におきましては、医療の安全性の向上あるいはその信頼性の確保のために、従来から各種会議あるいは研修会等を通じまして医療事故防止に取り組んできたところでございます。
 特に本年八月におきまして、リスクマネジメントマニュアル作成指針というものを策定いたしまして、全国の国立病院・療養所等におきまして、一つは医療事故防止マニュアルを作成すること、二つ目には職員が日常業務の中で冷やりとしたりはっとしたりした事例というものを報告することによりまして、事故には至りませんけれども院内に潜在する事故発生のリスクというものを把握する体制を確立するということ、それから三番目には、医療事故防止対策委員会あるいはリスクマネジャーというものを配置する等によりまして体制を整備する。そういうことを通じまして総合的に医療事故の防止を図ることとしたところでございます。
 これを受けまして、本年九月には、全国の国立病院・療養所に対しまして、これらの院内体制の整備等を十二年度中に実施するように指示いたしましたとともに、各種会議におきましても、事故防止の体制整備につきまして重ねて指導しておるところでございます。
 また、この事故防止マニュアルの作成指針につきましては、国立医療機関以外の民間病院等についても広く公開をいたしまして周知を図っているところでございます。
#76
○上川委員 今御回答の中に、事故防止マニュアルというのが既にかなり検討されて整備されているということでございますけれども、それの民間の方への応用ということで取り組まれているということですが、これはどの程度の状況で普及しているのかということについてちょっと補足的に御説明いただきたいと思います。
#77
○河村政府参考人 このリスクマネジメントマニュアル作成指針は本年八月に作成したところでございまして、これを受けまして、九月十三日には全国の医療関係者団体に、厚生大臣が招集し九月十三日に開催した医療安全対策連絡会議の場において、私どもの作成しましたこのリスクマネジメント作成指針を詳しく御説明いたしておりますし、希望が大分来ておりますが、このマニュアル自体を印刷しまして希望者に配布をいたしておるところでございます。
#78
○上川委員 ぜひともそのマニュアルが生かされるように御指導いただきたいというふうに思います。
 最後に、厚生大臣にお尋ねをいたします。
 医療事故防止に対しまして、現場の取り組みへの期待が非常に大きいわけでありますけれども、同時に、今の国立病院での率先した取り組みのような形での、国レベルでの取り組みの必要性はさらに大きなものであるというふうに考えております。
 アメリカでは、既に五年ほど前から、患者の安全対策のために、国の機関ではございませんけれども、医師会などが組織をつくりまして、医療事故に関しての調査や研究、あるいは啓発活動を実施しているということを伺っております。
 そこで、そうした外国の例でも、いいものについては本当に早目に取り組んでいただきまして、日本の状態に合わせた形で国としても事故対策を徹底してやっていただきたいというふうに思うわけでございますが、こうした事例も含めまして、医療事故対策について今後どのように取り組みを進めていくおつもりなのか、厚生大臣のお考え、御決意をお伺いしまして、質問を終わらせていただきます。
#79
○津島国務大臣 医療事故を防止いたしますために、行政側の努力が必要なことはもとよりでありますが、同時に個々の医療従事者や医療機関もみずから主体的に取り組みを進めていただくことが重要であります。官民挙げてやらなければならないわけであります。
 米国におきましては、委員御指摘のとおり、一九九七年に米国医師会等が全米患者安全基金を設立し、医療事故を防止するための啓発活動や研究支援を実施していると承っております。我が国におきましても、日本医師会や日本看護協会等の医療関係団体が、医療におけるリスクマネジメントに関する報告書の作成やセミナーの開催等、医療事故防止のための活動を行っていると承知をいたしております。
 厚生省としての取り組みは、先ほどからお話がございましたが、特にことしの三月と九月に前大臣と私がそれぞれ医療安全対策連絡会議を開催いたし、医療関係団体にお集まりもいただきまして、このことについては総理からの強い御指示もありまして、私から直接取り組みの強化を要請したところでございます。また、特定機能病院の方々に集まっていただきまして、私と文部大臣から強く御要請を申し上げたところであります。
 具体的な措置としては、これまで、使用目的に応じてチューブやシリンジの接続部の口径を変えることなどによって誤った接続を防止する等、いわゆるフェールセーフ、個人がミスをしても事故につながらないようにという仕組みを取り入れる改善策を検討する、マニュアルを作成する、それから高度医療をやります特定機能病院における安全管理体制を強化するというようなことを行ってまいりました。
 そして、来年度の概算要求におきましては、まず、事故防止のために事故に至らなかった多くの事例を定期的に収集して分析することが重要であるということで、事故に至らない事例、インシデント事例を収集し、新たに設置する医療安全対策検討会議において分析、改善する方策の策定を行うこと、病院の職員に対する医療の安全確保のための研修を実施すること、それから医療事故防止のための調査研究を行うこと等、総合的な対策を進めるべく積極的な予算要求をやっております。
 厚生省としては、従来以上に、総合的な対策の推進のため、関係団体とも提携しつつ全力を挙げて取り組んでまいりたいと思いますので、よろしく御理解をお願いします。
#80
○上川委員 時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#81
○遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十五分散会

ソース: 国立国会図書館
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