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2000/11/08 第150回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第150回国会 外務委員会 第2号
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2000/11/08 第150回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第150回国会 外務委員会 第2号

#1
第150回国会 外務委員会 第2号
平成十二年十一月八日(水曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 中野 寛成君
   理事 小島 敏男君 理事 塩崎 恭久君
   理事 鈴木 宗男君 理事 原田 義昭君
   理事 安住  淳君 理事 首藤 信彦君
   理事 赤松 正雄君 理事 土田 龍司君
      浅野 勝人君    伊藤 公介君
      池田 行彦君    大野 松茂君
      大村 秀章君    嘉数 知賢君
      川崎 二郎君    倉田 雅年君
      河野 太郎君    高村 正彦君
      砂田 圭佑君    竹下  亘君
      中本 太衛君    中山 太郎君
      根本  匠君    牧野 隆守君
      吉田 幸弘君    伊藤 英成君
      川内 博史君    木下  厚君
      鮫島 宗明君    細野 豪志君
      前田 雄吉君    丸谷 佳織君
      中塚 一宏君    藤井 裕久君
      赤嶺 政賢君    東門美津子君
      日森 文尋君    柿澤 弘治君
    …………………………………
   外務大臣         河野 洋平君
   外務政務次官       浅野 勝人君
   会計検査院事務総局第二局
   長            関本 匡邦君
   政府参考人
   (防衛施設庁長官)    大森 敬治君
   政府参考人
   (防衛施設庁施設部長)  河尻  融君
   政府参考人
   (環境庁企画調整局地球環
   境部長)         浜中 裕徳君
   政府参考人
   (環境庁自然保護局長)  松本 省藏君
   政府参考人
   (環境庁水質保全局長)  遠藤 保雄君
   政府参考人
   (外務省欧亜局長)    東郷 和彦君
   政府参考人
   (外務省経済協力局長)  飯村  豊君
   政府参考人
   (食糧庁次長)      新庄 忠夫君
   政府参考人
   (運輸省航空局長)    深谷 憲一君
   外務委員会専門員     黒川 祐次君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月八日
 辞任         補欠選任
  嘉数 知賢君     大野 松茂君
  川崎 二郎君     吉田 幸弘君
  高村 正彦君     竹下  亘君
  下地 幹郎君     倉田 雅年君
  中山 太郎君     砂田 圭佑君
  牧野 隆守君     根本  匠君
  木下  厚君     鮫島 宗明君
  藤井 裕久君     中塚 一宏君
  日森 文尋君     東門美津子君
同日
 辞任         補欠選任
  大野 松茂君     嘉数 知賢君
  倉田 雅年君     大村 秀章君
  砂田 圭佑君     中山 太郎君
  竹下  亘君     高村 正彦君
  根本  匠君     牧野 隆守君
  吉田 幸弘君     川崎 二郎君
  鮫島 宗明君     木下  厚君
  中塚 一宏君     藤井 裕久君
  東門美津子君     日森 文尋君
同日
 辞任         補欠選任
  大村 秀章君     下地 幹郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

    午前九時三十一分開議
     ――――◇―――――
#2
○中野委員長 これより会議を開きます。
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本件審査のため、本日、日森文尋さんの質疑の際に、会計検査院事務総局第二局長関本匡邦さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本件審査のため、本日、政府参考人として、委員木下厚さんの質疑に際し、外務省経済協力局長飯村豊さん及び防衛施設庁長官大森敬治さんの出席を、委員細野豪志さんの質疑に際し、防衛施設庁長官大森敬治さん及び食糧庁次長新庄忠夫さんの出席を、委員前田雄吉さんの質疑に際し、外務省欧亜局長東郷和彦さん及び外務省経済協力局長飯村豊さん及び運輸省航空局長深谷憲一さんの出席を、委員鮫島宗明さんの質疑に際し、防衛施設庁長官大森敬治さん及び環境庁企画調整局地球環境部長浜中裕徳さんの出席を、委員赤嶺政賢さんの質疑に際し、防衛施設庁長官大森敬治さん及び防衛施設庁施設部長河尻融さん及び環境庁自然保護局長松本省藏さんの出席を、委員日森文尋さんの質疑に際し、防衛施設庁長官大森敬治さんの出席を、また、委員東門美津子さんの質疑に際し、防衛施設庁長官大森敬治さん及び環境庁自然保護局長松本省藏さん及び環境庁水質保全局長遠藤保雄さんの出席を求め、それぞれ説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#5
○中野委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木下厚さん。
#6
○木下委員 おはようございます。私は民主党の木下厚でございます。
 さて、最初に、在日米軍特別協定について質問させていただきます。
 私は、これまでジャーナリストとして日本全国の在日米軍基地を何回も取材し、いろいろな雑誌に原稿を書いてまいりました。そうした中で私がいつも疑問に思ってきたのは、在日米軍基地の施設の豪華さであります。とりわけ沖縄の嘉手納基地は、私も何回も足を運び、米軍人に案内されて諸施設を取材させていただきましたが、まさにそこはリトル・アメリカそのものです。
 軍人の家族住宅はもちろん、幼稚園から高等学校までの教育施設、あるいは病院、診療所、消防署、育児所、郵便局、図書館、スーパーマーケット、コミュニティーセンター、ゲストハウス、ファストフード店、レストラン、ハンバーガースタンド、ゴルフ場、さらにはナイトクラブ、バー、ビリヤード、ダーツ場、スポーツクラブ、まさにありとあらゆる娯楽施設が思いやり予算という形で日本政府、いわば私たち国民の税金で建設されている。さらに、光熱費、水道料金、基地内で働く労務者の給料まで国民の税金で賄われているわけですね。
 思いやり予算がスタートした当時は、東西冷戦の真っただ中、さらには米国の軍事費増大の肩がわりという大義名分があり、それなりに国民も納得していた部分もあったでしょう。しかし、現在は、東西冷戦が終結し、朝鮮半島の緊張緩和、あるいは日中、日ロ、こういった両国の関係改善、これらによっていわゆる北東アジアの軍事情勢は大きくさま変わりしてきております。
 そうした中で、実際、EUでも軍事費削減が本格化し、あるいはアメリカ国内でも、九〇年代初頭から米国内基地閉鎖再編計画による基地の縮小整理が進められています。コーエン国防長官報告にも、経費を節約するため余分な基地二三%を削減していく必要がある、そしてロングビーチ軍港、モヘット空軍基地など七十以上が閉鎖されています。
 また、海外米軍基地も同様で、最盛期二十万人の米軍が駐留していた旧西ドイツでは、旧ソ連崩壊後、兵力は七万五千人に削減され、それに見合う半数近い基地の返還がなされています。あるいは、ロンドン近郊にあった、いわゆるノルマンディー上陸作戦で有名になった米軍基地、グリーナムコモン基地も閉鎖され、地元への返還が完了しています。
 さらに、日本周辺を見ても、フィリピンのスービック基地とクラーク空軍基地も返還され、とりわけスービック基地は、私も何回も取材に訪れましたが、今では自由貿易港として巨額の外国資本が投下され、フィリピンの経済発展の原動力になっています。クラーク米軍基地はピナツボ火山の大噴火で閉鎖されていますが、そのほか、グアムの海軍基地も九四年以後は空っぽになっています。また、かつて原子力潜水艦十隻の母港であったアプラ軍港はマリンレジャー施設となり、B52戦略爆撃機が翼を並べたアンダーソン基地にももはや常駐部隊はいなくなっています。
 世界的にこうした軍縮、基地縮小という流れの中で、在日米軍基地だけが温存され、むしろ基地拡大あるいは強化されている。その大きな理由は、思いやり予算という形で大盤振る舞いをする日本に米軍基地を置くことがアメリカにとって経費的に非常に安く済む。そうしたことから依然としてこの思いやり予算が温存されている。
 そうした観点から、以下質問させていただきます。
 今回の特別協定の改定に当たり、こうした世界の基地縮小、軍事費削減、さらには東北アジアの緊張緩和という流れの中で、これからの日本の安全保障をどうするのか、あるいは冷戦後の日米の同盟コストの負担をどうするのか、そういった大局的な観点からの議論があったのかどうか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
#7
○河野国務大臣 日米安保条約、そして日本におきます基地の問題について議論をするわけでございますから、我が国を取り巻く国際情勢というものについて、それぞれの認識というものが議論されるのは当然のことだと御理解をいただきたいと思います。
 私どもは、冷戦後今日に至るも、依然として我が国を取り巻く、北東アジアと申しましょうか、不安定な要因、不透明な状況というものはまだ続いている、そういう認識をお互いに持っておりまして、こういう状況の中で、今、これまでの日米安保体制というものが大きく変更できるという状況でない、変更するべきでない、こういう認識がそのベースになっているということは当然のことでございます。
#8
○木下委員 そうしますと、日米のコスト負担については具体的にどのような結論が出されているのでしょうか。在日米軍のコスト負担についてはどのような道筋、あるいは結論、あるいは将来にわたってどういうような方向性が出されているのでしょうか。
#9
○河野国務大臣 在日米軍の持つ意味というものを私どもが従来と変わらず認識しているわけでございますから、そのコストにつきましても、基本的にはそうした状況というものを肯定的に見ているわけでございます。
 しかしながら、とは申せ、財政状況もございます。それ以外にも、我々として努力をすべきもの、見直さなければならないもの、そういったことについては日米双方で十分協議をし、議論をした結果、本日御審議をいただいているような結論に達した、こういうことでございます。
#10
○木下委員 そうしますと、平成十三年度概算要求額二千五百七十九億円、この金額はどういう形で算出されたのか。米国の言うがまま、持ち上げてきた金額をただ並べて、そこから何%削れとか、あるいは、例えば今回のように、光熱費が大きいから三十億削れだのという話に終始したのか。ただ三十億削る、削らないとかいうような話だけでしたら、これは思いやり予算を固定化するだけであって、本当に必要なものかどうか、その精査は日本側ではきちっとされたのでしょうか。
#11
○河野国務大臣 私どもは、日米安保条約に基づく在日米軍の存在というものを肯定的に見ているということは、先ほど来申し上げております。そういうことを前提にいたしまして、その経費につきましては、義務的に我々が負担すべきもの、そしてまた特別協定によりまして我々が支出すべきもの、こういうものを算出しているわけでございます。
 来年度につきましても、きょう御審議をいただいているものにつきましては、その趣旨を御説明申し上げましたときに申し上げましたように、三十三億円を初めとする経費の削減に努力をしたということでございます。
#12
○木下委員 そうしますと、今、米国の同盟国の中で日本の駐留経費というのは飛び抜けて大きいわけですね。巨額である。一体、なぜ日本だけがこれだけ巨額なものを負担しなければいけないのか、なぜこれだけ巨額になったのか、その根本原因をもっと政治レベルなりで検討すべきじゃないかと思うのですが、これについてはどうお考えでございますか。
#13
○河野国務大臣 この経費の負担につきましては、いろいろな視点で議論をする必要があると思います。そこにおります米軍の置かれている環境、状況、そういったものも十分議論をしなければなりません。受け入れている接受国側の態勢、あるいは接受国を取り巻く国際環境、そういったものまで含めて考える必要があるのであって、ただ単に絶対数の比較だけをしてみても、これは余り十分ではないということは御理解いただけると思います。
#14
○木下委員 いや、絶対額だけの比較じゃなくて、他の国の米軍基地と日本の基地を比較してみると、規模、それからぜいたく性というんですか、施設その他、やはりこれは日本だけが飛び抜けているんですね。ですから、日本に置けば大盤振る舞いしてくれる、安くしてくれるというアメリカ側の思惑どおりにこの金額がはじかれているんじゃないか、もっと精査すべきじゃないかと思うんですが、その辺は十分なされているんでしょうか。
#15
○河野国務大臣 私どもは、十分にそうした点につきましても目配りをしてこうした数字をはじき出しているわけでございます。米軍の若い兵士たちが本国を離れて、故郷を離れて遠い外国におるという状況下、そして、それはその周辺の国際状況あるいはその接受国の態勢、そういったものを全部勘案し、また、そこに置かれております設備についても考えた上のことだというふうに御理解をいただきたいと思います。
 議員が御指摘の点、余りに基地周辺の我が国の状況と差があるではないか、よく言われますように金網の向こうとこっちでは全く別世界じゃないかという御指摘、私しばしばそうした御指摘をいただいたことがございますけれども、しかし、それは彼ら本国とこの外国との関係等を考えれば、私は全くと言うつもりはございませんけれども、ある程度のそうした状況を認める、そういうことは我々に必要ではないかというふうに思います。
#16
○木下委員 そうしますと、来年改定ということで、それからさらに五年後、あるいはもっと将来、この思いやり予算について、例えばもっと削減するとかなくしてしまうとか、そういった形での議論というのはこれまでなされていたことがありますか。それとも、今後の問題として何らかの方針があるわけでございますか。
#17
○河野国務大臣 今御審議をお願いしておりますこの特別協定は、二〇〇六年までの協定をお願いしているわけでございます。二〇〇六年三月にこの協定が終わるわけでございますが、それから先の問題について、今私がその二〇〇六年を予見して予断を持って申し上げることは適当ではないだろう。つまり、二〇〇六年のこれまた国際情勢その他、これは議員がよく御指摘になりますように世界情勢の変化ということもあるかもしれません。そういったことを考えますと、この時点で二〇〇六年三月以降の問題についてまで予断を持って申し上げるということはできないことを御理解いただきたいと思います。
#18
○木下委員 そうしますと、大臣からはお答えいただけないとしても、いわゆる政治レベルの話でいろいろな選択肢があって当然だと思うのですね。例えば、五年後、政治状況が、日本を取り巻く軍事情勢がこういうふうに変わるという想定のもとに、ある程度シミュレーションを描いて幾つかの選択肢を今のうちから議論しないと、改定近くになってばたばたと事務レベルだけで議論しても、結局は、経費を幾ら削る、削らない、三十億削ったから勝利だというような形で思いやり予算が固定化してしまう。その辺を私は危惧して申し上げているので、重ねてお伺いしますが、そういった方向性というのは政治レベルでやるお考えはございませんか。
#19
○河野国務大臣 これから五年間のことをお願いしておるときに、さらにその先のことについて御議論をと言われても、ちょっとそれは申しかねるわけでございます。
 それからまた、国際情勢の変化については、我々もいろいろ考えないわけではございません。ただ、どうしても、私どもの立場に立ちますと、うまくいくだろう、こういうふうになっていくだろうという楽観的な見方で物事を判断していくというわけにもいかない部分もあることはぜひ御理解をいただきたいと思います。
 もちろん、我々としては、我が国を取り巻く周辺状況は肯定的に進んでほしいという気持ちはございますし、またこれを進めるために努力をするのは当然でございますけれども、だからといって、これはうまくいくだろうから五年後にはこうなるよというふうに余り楽観的に判断をするというわけにはいかないのであって、むしろ時には非常にシビアな見方をするということも重要ではないかというふうに思っておりまして、それは議員がおっしゃったように、さまざまなシミュレーションというものを我々はそれなりに担当部局で議論はいたしますけれども、それを外務省として一つの考え方としてまとめているというものではございません。
#20
○木下委員 それでは、もう少し個々の問題について御質問させていただきます。
 まず、労務費についてでございますが、現状では、在日米軍労働者二万四千五百人ということでございますね。このうち、我が国負担の上限が二万三千五十五名、約千四百八十七億円、それから上限を超える千五百名、約八十億円については米側負担ということになっておりますが、いわゆる基地内労働者の採用システムあるいは雇用契約、こういったものはどうなっているのでしょうか。
#21
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
 在日米軍従業員の採用の方法でございますけれども、防衛施設庁と在日米軍の間で労務提供契約が結ばれておりまして、これで採用関係の基準が決められているわけでございます。
 まず、採用に当たりましては、米軍側の方から日本側に対しまして、従業員の職務内容ですとか、それから資格要件を記載した労務要求書というのが提出されます。これを受けまして、私どもは公共職業安定所に求人の申し込みをいたします。そこで、職業安定所の方から出てきました予定者を米軍の方に紹介いたします。それで、米軍の方で面接をいたしまして、その上で、必要な技能といいますか、そういうものを持った者であるかどうかを判定いたしまして採用者を決定いたします。それに基づきまして私どもの方で本人に採用通知を出すというふうな手続になっております。
 いずれにしましても、私どもといたしまして、防衛施設庁が間接雇用主というふうになっておりますので、この従業員の雇用に当たりましては、透明性といいますか、公正な手続が行われるように今後とも努力していきたいと思っております。
#22
○木下委員 基地労働者の人事管理について、いわゆる基本労働契約、MLCですか、この場合、給与支払いを含め、日本側で把握している。しかし、いわゆる基地内の物品販売業、ここで働くいわゆる諸機関労働者、IHA、これについては給与支払い事務は米国が握っていて実態がよくわからないと言われているのですが、この点はどうなのでございましょうか。
#23
○大森政府参考人 御答弁申し上げます。
 現状におきましては、経費そのものは日本側の財政負担となっておるわけでございますけれども、実際の支払いに当たりましては、米側の方が一括してそういうものを機関の方で払っているという状況でございます。これにつきましては、従業員の方からいろいろ御要望がございますので、現在米側と話をしておりまして、私どもが直接払うような方向でやりたいということで、今努力しているところでございます。
#24
○木下委員 最近、私のジャーナリスト仲間から、基地を通じてこういう情報が入ったのです。最近、アメリカ人の家族の方の労働者が非常にふえている。中には、今まで米国人であったのが突然日本国籍に変えて日本人労働者として採用される、米国人にとっていわゆる失業対策になっているのではないかと言われているのですが、この点は把握されておりますか。
#25
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
 現在の従業員の方の中で、外国籍の方は約三百人ほどおられるというふうに私ども把握しております。これは近年、例えば平成九年でも二百八十一名、十年は二百九十一名、十一年が二百九十一名、また十三年度が三百七名ということで、大体この状況でございますので、特段にふえているというふうな認識は私ども持っておりません。
 いずれにいたしましても、労務提供契約におきまして、外国人の方でありましても、日本に居住いたしまして就業資格を持っている者につきましては、米側が要求する技能を持っておれば採用できることになっておりますので、このような事情で外国人におきましても三百人程度の採用になっているというふうに認識しております。
#26
○木下委員 基本契約労働者、この職種を見ますと、これはここに資料がありますが、千何種類もあるのですね。見るだけでもう大変な職種が多岐にわたって採用されている。その中でよくわからないのがあるのですね。それから明らかに、こんなことまで日本人が負担していいのかというものまであるわけですね。例えば動物飼育所世話係、それからランドリー受付事務職、ボウリング場マネジャー、映画貸し出し補助者あるいは新聞発送マネジャーとか、あるいはチーズメーカーそれからアイスクリームメーカーとか、あるいはのこぎり目立て工、しみ抜き工、さらにはゴルフコース整備員、ダイエットコック、こういったものまで日本側が人件費を負担している。これについて、そこまですべてを日本側が負担してやらなければいけないのかどうか。
 河野大臣、これだけ職種があるというのは御存じでしたか。千幾つありますけれども。
#27
○河野国務大臣 職種が極めて多い、それはいろいろな仕事をしている人にそれぞれの職種をつけなければなりませんから、相当多くなるという話は聞いておりましたが、千幾つというふうに言われると、改めて、ああ、随分多いなという感じを持っております。
#28
○木下委員 ただ、どうなんですか。レクリエーション事務職とか専門職とか、あるいはダイエットコックとか、こんなものまで本当に必要なんでしょうか。こういったものはむしろ削って人員整理をすべきではないか、そう思うのですが、いかがですか。
#29
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
 確かに米軍の定めます職種は約千三百種ぐらいございまして、非常に細分化されておる、非常にわかりにくいというふうな従業員の方からのいろいろな御意見もございます。
 私どもといたしまして、基本的に米軍が採用をするわけでございますので、米軍の定めるといいますか、文化、考え方の相違というふうなことでやむを得ないところはあると思います。しかしながら、この職種が余りにも細分化しているところにつきましては、私どもも、米軍の理解を得て何とか整理しまして、従業員の方の理解が得られるようにしたいというふうに努力しているところでございます。
 ちなみに、昨年の四月、平成十一年の四月で約百六十種ほどの職種は一応削減をしてもらいましたけれども、いずれにしましても、さらに米側ともよく話をしまして、この従業員の方々の就業安定といいますか、そういうところに努めてまいりたいというふうに思っております。
#30
○木下委員 では次に、提供施設整備費、これが九百五十億円ということなんですが、米軍の住宅、これが九八年十一月現在、一万四千六百三十八戸ということで、私も米軍住宅を何回も見せていただいたのですが、その住宅の主流タイプが一戸当たり三LDKで百四十五平米。これは私どもの通常のマンションから考えて、もう大変な広さでございます。それから、建設コストも、一説によると一戸当たり四千五百万円。土地代なしですから、これを通常の三LDKの県営住宅と比較してみますと、県営住宅は一戸当たり約七十二平米、建設コスト約千七百万円。なぜこれだけコスト的に違いがあるのか、この辺ちょっとお答えいただきたいのです。
#31
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のような差があるわけでございますけれども、私ども、提供施設整備といいますか、米軍の家族住宅の建設に当たりましては、アメリカの国防省が決める基準に基づきまして整備をしておりますので、その面で今御指摘のような差がどうしても出てくるという状況でございます。
#32
○木下委員 そうすると、米軍の言いなりの住宅であるということでございますね。
 それからもう一つ、思いやり予算で、私も基地を回ったのですが、軍用機のシェルターとかヘリポート、あるいは空挺訓練施設などがつくられているわけですね。あるいは、横須賀や佐世保の岸壁には、いわゆるコールドアイアンと呼ばれる、艦艇に陸上から圧縮空気や電力を送る、そういう支援設備が思いやり予算でつくられている。これによって港に停泊している艦船が陸上から電気をもらって、蓄えて、そのまま行ってしまう。いわゆる軍事利用されているわけですね。この辺については、こんなものまで思いやり予算を出すことについてはどうなんですか。
#33
○大森政府参考人 提供施設の具体的な整備でございますけれども、防衛施設庁といたしましても、日米安保体制の円滑な、効果的な運用を図るというふうな観点から地位協定の範囲内で実施してきたところでございまして、御指摘のようなシェルターの整備も実施しております。
 いずれにしましても、その具体的な整備に当たりましては、日米安保条約の目的達成という大目的を踏まえつつ、我が国の財政事情ですとか社会経済情勢ですとか、そういうものを総合的に勘案しまして、また、個々具体的な施設を吟味いたしまして自主的に判断しているところでございます。
#34
○木下委員 もう一つ言わせていただければ、山口県の岩国海兵隊基地がございますが、ここで滑走路の沖合移設工事が進められていますね。この埋め立てにより関西空港の四倍にも相当する広大な海がつぶされ、完成時には七百八十ヘクタール、これは現在の普天間基地の一・七倍になると言われています。二千四百メートルの滑走路、長さ三百六十メートル、水深十三メートルの空母級岸壁が完成すると言われていますが、これも実は思いやり予算で出されているのです。もしこれが思いやり予算で出されるとすれば、当然、今沖縄で問題になっている普天間基地の代替施設、どこへ行くかまだわかりませんが、この施設移転費約一兆円と言われています。あるいは建設費約一兆円と言われています。合計二兆円も、二兆円になるかもっとふえるかわかりませんが、そういった経費もいずれ思いやり予算で出すということになりはしませんか。この点、どうですか。
#35
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
 岩国の基地につきましては、御指摘のように、現在の飛行場を沖合に移設するということで整備を進めているところでございます。この岩国の事業につきましては、御案内のとおりと思いますけれども、四十六年ごろから岩国市を中心といたしまして、飛行場の安全運航というふうな観点から、市街地を避けたような飛行をとってもらいたいということで沖合移設の事業が始まったわけでございます。平成五年度から、滑走路を東側千メートルに移設するということで、提供施設整備として事業を行っているところでございます。
 また、普天間の代替施設の関係でございますけれども、これにつきましては、現在、政府と地元との間で代替施設協議会が設けられておりまして、具体的に移設の工法また場所というのが今議論を進められているところでございますので、経費につきましてはまだ具体的に申し上げられるという状況ではございません。
#36
○木下委員 経費の当てもなく移設するという非常に無責任な話だと思うのですが、このように、むしろ世界の流れの中で、軍縮、基地縮小が続いている中で、逆に日本だけが岩国基地を含めて強化されている、これをもう一度やはり精査しなければいけない、そのことだけ申し上げて、時間がございませんので次に移りたいと思います。
 次に、私どうしてもお聞きしたかったのは、旧ビルマ、ミャンマーでございますが、これは私、一九九五年、アウン・サン・スー・チー女史が自宅軟禁から解放された直後、八月と九月でございますが、二回にわたって世界最初に長時間インタビューをいたしました。そのときの写真がこれです。
 そのときにアウン・サン・スー・チー女史は、今の軍事政権を日本政府が助けているんだ、特にODAを中心とした日本の政府援助、これが軍事政権の強化に非常に大きな貢献をしている、何とかしてこれをやめてくれないかということを私を通じて随分言われました。最近のビルマに対するODAを含めた政府資金援助、これについてちょっと御報告をお願いしたいのです。
#37
○飯村政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国のミャンマーに対する経済協力につきましては、民主化及び人権状況の改善を見守りつつ、今まで続けております既往継続案件あるいは民衆に裨益する基礎生活分野の案件を中心にケース・バイ・ケースで検討するという方針をとっておりまして、医療、保健、教育等、専らミャンマー国民の民生に役立つ人道的な案件を実施しております。
#38
○木下委員 あそこのヤンゴン空港に、日本の開発援助で建てられた、今途中まで工事をやっています管制タワー、これは私が行ったとき、もう赤さびが出ちゃって今にも崩れそうになっている。これは今どうなっているわけでございますか。
#39
○飯村政府参考人 今委員御指摘の飛行場の件は、一九八六年に交換公文を署名しております円借款案件でございまして、ヤンゴン国際空港整備計画というものでございますけれども、その後のミャンマー国内の政情混乱の発生に伴って工事を停止しておりました。しかしながら、まさに御指摘のとおり管制塔、滑走路等の老朽化が著しく進みまして、安全面で緊急に必要とされている措置として、九八年九月以降工事を部分的に再開いたしまして、滑走路、管制塔の補修を実施しております。現在の見込みでございますと、乾季が終わります来年の夏ごろにはこの補修工事も完成するのではないかと見込んでおります。
#40
○木下委員 もう時間ですので、最後に河野大臣にお願いしておきますが、またスー・チー女史が外出を機に政権側から隔離され、自宅軟禁されております。私が一九九五年に自宅へお伺いしたとき、本当に四十度を超す暑さの中で、冷房もない、電気もつかないという中で私は二時間もインタビューをしてきましたが、今も自宅軟禁状態に陥っております。これに対して、EUあるいはアメリカでは緊急アピールをして人権あるいは民主化を強く要請しておりますが、日本側もぜひとも、こういった軍事政権側の人権を無視した、あるいは民主主義を無視した行為に対しては強く抗議していただきたい、それだけひとつお願いして、私の質問を終わりにさせていただきます。一言お願いします。
#41
○河野国務大臣 ミャンマーの現状は、我々にとっても大きな関心を払っていかなければならない状況だと思っております。
 我々が望むのは、政権側とアウン・サン・スー・チー女史に代表されるグループとの間の対話がまず始まるということが必要ではないか。国連が指名をいたしました、ミャンマー問題に役割を果たすことになっておりますラザリ氏、このラザリ氏の活躍を我々としては期待し、これを支援しよう。ラザリ氏の活動を我々としては支援する必要があるというふうに考えておりまして、どうも多くの国々は、それぞれ一方的に、スー・チーさんの方とは話ができるけれども、政権側とは全く話ができないという状況であったり、政権側とは話はできるけれども、スー・チーさんの方とは話ができないという状況であったりするケースが多いのですけれども、我々としては、双方と話ができる、そして双方が対話をすることが大事だということを双方に説得する、そういう役割を果たすことができるのではないか、こう考えて目下努力中でございます。
#42
○木下委員 ひとつ、できるだけ対話を促進するような形で日本政府も積極的にミャンマーに関与していただきたい。以上、お願いしまして、私の質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
#43
○中野委員長 以上で木下さんの質問を終わりました。
 次に、細野豪志さん。
#44
○細野委員 おはようございます。民主党の細野豪志でございます。
 ただいま木下委員に対する河野外務大臣の回答を伺っておりまして、正直言いまして、何ら長期的な展望のない、無原則な対応のような気がして仕方がありません。この思いやり予算の問題というのは、私ども、在日米軍の存在については肯定的にとらえているというところでは河野外務大臣と同じ認識を持っているわけですけれども、果たしてどこまで負担すべきなのか。この現実を見たときに、余りにやり過ぎていないか、一歩間違うと非常に情けないという思いを持つわけでございます。
 これは、さまざまな記事等を見て一般の方が感じるのも、恐らく同じなのではないか。この問題に対して、確かに早急に結論を出すのは難しい面があるかとは思いますけれども、背景に、そもそも在日米軍をどういう位置づけをもって見るのかというところに大きく依拠する部分があると思います。
 私は、初めに伺いたいのは、そもそもこの米軍の問題というのは、日本を米軍によって守ってもらっている非常に片務的なもので、米軍から要求されればもうそれについては出さざるを得ない、そういう認識を持たれているのか、もしくは、極東の安全保障、世界全体から見て、日本に米軍が置かれることがメリットがあってアメリカにとってもメリットがある、双務的なものというふうにごらんになっているのか、どちらなのかということをまずお聞かせいただきたいのですが。
#45
○河野国務大臣 日米安保条約が日本及びその周辺の平和と安全のために役割を果たしている、これは議員もお認めをいただいていると思います。これは、我々の先輩がさまざまな議論を経て、日本の安全のために米軍の力をかりるという決断をして日米安保条約を結んだ。そして、その日米安保条約を結ぶに当たって地位協定というものができて、その地位協定に基づいて今日の日本とアメリカ双方の義務的な役割が定められているわけでございます。
 議員がお話しになりましたように、依然として日米安保条約というものが存在していることが、つまり米軍のプレゼンスというもの自体がアジアの平和と安定に役に立っておる。これを余りに軽々に、平和だから、安定しているから米軍は要らないのだというふうにとるという考え方を我々はとっておりませんで、米軍のプレゼンスというものはやはり現在の状況に大きな役割を果たしているというふうに私どもは認識をしているわけでございます。
 そこで、私どもは、この日米安保条約が効果的に、そしてまたスムーズに運用されるということが必要だと考えておりまして、そのことを目的としてこの特別協定というものが必要だ、こう考えているということでございます。
#46
○細野委員 済みません、いま一つ私ははっきりわからなかったのですが、アジアの平和と安定にも貢献しているということは、ひいてはアメリカにも当然メリットがあるという認識に立たれていると解釈するのであれば、やはりこの思いやり予算に関してはもっと、日本側としてどこまで負担すべきなのか、そこの原則的な議論というのは私は必要になってくるというふうに考えます。
 五年に一回の見直しですので、もう一つだけ伺いたいのは、特別協定ができました昭和六十二年ですか、そのとき政府答弁では、これはあくまで暫定的、一時的、限定的な、特例的な措置と、非常にまどろっこしい言い方で例外措置なんですよということをよく言っているわけですね。それ以来、歴史的にずっとその暫定的な措置が続いてきて事ここに及んだという現実があるのですけれども、今特別協定を外務大臣はどういう認識を持って見られているのでしょうか。これは短くで結構です。
#47
○河野国務大臣 今回特別協定を皆さんに御提案して御審議をいただいておりますに当たりまして、その目的として、日米安保条約の円滑な運用ということがこの特別協定の目的だということを書かせていただいております。地位協定によりまして日本が果たしております義務的なものに加えまして、この特別協定によってさらに日米安保条約というものが円滑に運用されるというふうに我々としては考えているわけでございます。
#48
○細野委員 暫定的な措置であるという認識は変わったのでしょうか、変わらないのでしょうか、イエスかノーでお願いします。当初、六十二年に政府答弁に出ている暫定的、一時的云々かんぬんという認識が変わったのか変わらないのか、お答えください。
#49
○河野国務大臣 恒久的、恒常的なものでないという意味で暫定的、一時的と申し上げてきたわけでございまして、そういう意味でも今回も五年間ということを申し上げているわけでございますから、今回もまた暫定的なものだという御理解をいただきたいと思います。
#50
○細野委員 暫定的という意味においては、米国の財政事情があってこういうものが必要であるという認識の中でできたものですから、五年後はまた状況が変わるわけですから、ドラスチックな見直しも含めて検討していただけるという認識を示していただいたものと解釈したいと思います。
 個別の議論に関しては木下委員の方からも多々ございましたので、私の方からは限定的にしたいのですが、今回、光熱費の方で三十三億円削減という話がございました。これは結局、雇用の方はなかなか日本人の問題もあって難しいので、とりあえず手をつけられる光熱費から一矢を報いました、そういう話だと思うんですが、理解できないのは、施設であるとか区域外の米軍住宅に関しては米国側の負担としたというところは理解できるんですが、その後出てきた一〇%というのは一体何なんですか。この辺の、どこまで日本が負担すべきなのかという原則が全くないところにこの協定は大きな問題があると私は思うんですが、一〇%の根拠をお答えください。
#51
○河野国務大臣 これは、何とかして我々の負担を減らしたいという気持ちから、日米間で協議を行いまして交渉を行った結果、一〇%ということになったわけでございます。
#52
○細野委員 区域内においてはプライベートな電気代や水道代やその他も払っているという認識があるわけでして、ちょっと私ごとですけれども、国会議員の東京の宿舎の電気代も当然我々は払っているわけですね。プライベートは自衛隊も当然。これは米軍も当然払うべきで、光熱費に関して払うとしても、やはり分けるべきは、少なくとも、どこまでがプライベートでどこまでがパブリックなのか、どこまでがいわゆる業務に関するものなのか、そこの線引きをしなければ、この一〇%を、頑張って何とか三十三億円減らしましたといっても到底理解されることはないだろうということを私から申し上げて、次の交渉に生かしていただきたいと思います。
 もう一点、施設費の件なんですが、ことしの十月の日米合同委員会で、スナックですとかバーとか映画とか、そういう娯楽性の高い施設に関しては原則新設しないという決定をなされましたね。これに関しては、要は、従来こういうものを日本が施設費としてつくってきたのは間違っていたという認識を示したものだと私は考えているんですが、これはいかがでしょうか。
 またもう一つは、これはずっとつくってきたわけですから、補修が出てくる可能性があるわけですね。新設はしないにしても、例えばバーなんというのは大体五年ぐらいしたら陳腐化するわけですから、今までありがたくも日本がつくってきた施設を五年後、十年後に日本がもう一回補修するようなことがあるのかどうか、これについてお答えください。
#53
○大森政府参考人 私の方から御説明させていただきたいと思います。
 提供施設整備につきましては、従来から総合的な観点から検討いたしまして自主的に採否を決めてきたわけでございますけれども、最近の我が国の財政事情ですとか、また国民の理解をさらに得るためには、もう少し効率的なといいますか、運用についての基準をつくる必要があるということで、先般、案件採択基準ができたわけでございます。
 これにつきましては、御説明するまでもないことかもわかりませんけれども、在日米軍の駐留基盤整備に寄与する施設整備と、それからまたレクリエーションですとか娯楽施設等の福利厚生施設につきましては、必要性を特に精査して、新規採択は控えるというふうなことをいたしました。そこで、十三年度に当たりましても、私ども、新規のいわゆる娯楽施設につきましては採択しないということでやっております。
 また、御質問の、既に整備をしているものでございますけれども、これにつきまして、基本的な維持、補修の関係は米軍の方が負担するということになっておりますけれども、抜本的な建てかえの場合どうするかということにつきましては、この問題につきましては、現状におきましてかなりのレクリエーション施設といいますか厚生施設が行き渡ったところでございますので、先ほどのような基準でございますけれども、またさらに個別具体的なところで検討していかなければいけないのじゃないかというふうに思っております。
#54
○細野委員 娯楽性の高い施設に関しては、お金を出すのが不適切だという判断をされたのではなくて、新設はしないけれども改築はされる。例えばスナックやバーに関しても、要は、古くなって建てかえが必要になったらもう一回出す、そういう話ですか。
#55
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもといたしまして、従来から個々のケースごとに、安保条約の目的達成、また経済財政事情ですとかその他を総合的に勘案しまして必要性を認めた上でやっておりますので、不必要なものを整備したというふうには認識しておりません。しかしながら、いずれにしましても、昨今の財政事情ですとか米軍のその整備の状況ですとか、そういうことを考えましてより効率的な提供施設整備の基準をつくる必要があるということで先般の基準ができ上がったわけでございまして、そこでは、レクリエーションといいますか、娯楽性の高いものにつきましての新規採用を控えるということになっておりますので、私ども、従来は、適正に個々判断してやってきたというふうに認識しております。
#56
○細野委員 米軍にとって必要なものは必要なのかもしれないのです。ただ、それは日本が出すべきではないという判断をこの十月の時点でしたと私は思っておりましたので、そういう期待からいうと、改築に関しては、それは個別に考えます、そういう答弁では到底国民に理解されないし、また日本はバーをつくるのかという話になってしまいますので、ぜひそこはもう一度襟を正して、原則は何なのかということをお考えいただきたいということだけ申し上げておきます。
 次に、NLPについて伺いたいのです。
 これは再三出ておりますが、九割は硫黄島でやるということになっていたのが、ことしに入って横田等の四基地において八割行われているという現実があります。これは私、日程を見てある疑惑を持ったのです。
 一月の五日に、コーエン国防長官に対して瓦防衛庁長官が、思いやり予算の削減について初めて言及されております。一月に入ってこの話が出て、一月、二月からいきなりNLPが増加して、九月の二十一日、厚木基地で行われて以来、この四基地においては行われていない。この九月二十一日というのは、特別協定が締結された九月十一日の直後なわけですね。これは見方によっては、日本がそういうことを言い出したから威嚇したのではないか、おどしなのではないかということにすらとられかねないような状況があります。
 これが、そうですというふうには外務大臣はお答えにならないと思いますので、伺いたいのは、特別協定の交渉の最中に、まさに特別協定において登場するであろう訓練移転の問題が、かくもむちゃくちゃな、約束を破る形で行われていたことに関して、きちっと言及される機会を持たれましたか。
#57
○河野国務大臣 NLPにつきましては、その使用頻度が、硫黄島が減って本州内にございます基地が使われるということについては、私としては、これは甚だ不適当だということを、米軍には何度か申し上げております。これはコーエン長官にもそうでございますし、国務省のタルボット氏にも伝えましたし、累次にわたって伝えております。
 ただ、私は、議員のお話でございますけれども、こうしたことが特別協定の交渉に影響が出る、あるいは影響を及ぼすというふうには全く考えたこともございません。きょう初めて議員の御指摘で、なるほど、そういう見方もあるかなと思いましたが、そうしたことが日米間で行われるというふうには私は考えたことがございません。いや、それは、議員の推理の方が私よりもより深いのかもわかりませんけれども、少なくとも、交渉の当事者としてそうしたことがあるというふうには私は全く感じておりません。
#58
○細野委員 私は探偵ではありませんので、勝手に推理して言っている話ではないのですね。
 ぜひ危機感を持っていただきたいのは、三沢市、大和市、綾瀬市という、従来であれば米軍と一番うまくやってきたと思われるこれらの市が、友好関係を断絶するということまで言うに至っているわけです。このNLPの問題によってですよ。
 具体的に言うと、八月三十日に外務大臣も、神奈川県の知事からNLPの中止の要請を受けておられるはずなんですね。これはまさに交渉の真っ最中ですね。当然それは、これだけ大きな問題なわけですから、協定の締結の交渉において話を出すべきだし、少なくともそれが中止された段階で特別協定の締結に至るのが当然の筋なのではないかというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。
#59
○河野国務大臣 どうも議員の御議論が私と認識が少し違うので、まことに申しわけございませんが、私の考え方を申し上げますと、この特別協定は、そもそも議員がおっしゃるようないわゆる思いやり予算というものではございません。私どもはあくまでも、在日米軍駐留経費負担というものでございまして、思いやりでやっているというものではない。それは、かつてそういうふうにニックネームをつけて呼ばれた方もございますけれども、そういうものではない。もし思いやり予算というものならば、今の時点で何が思いやりかという御意見があってもおかしくないと思います。私は、そういうものではなくて、やはり日米安保条約の円滑な運用という視点、目的を持ってこれは行われているのだということをぜひ御理解をいただきたいことが一点。
 それから、日本に来ている米軍の兵士を初め関係者は、これはあくまでも日米安保条約にのっとってアメリカから日本の防衛のために来ている、任務を持って来ているということを御理解いただきたいと思うのです。もちろん、考え方はいろいろあるとは思いますけれども、私は、少なくともこうした人たちが余りストレスの塊のようになってほしくないと思いますし、さらばといって過剰なサービスをするというつもりはございません。ございませんが、少なくとも健全な精神状態で健全な状況で日本にいてほしいというふうに思います。
 それから、私は、NLPの今の状況はいいと思いません。先ほど議員がおっしゃったように、私も極めて不適当、不適切な状況だと思いますが、しかし、とはいえ、練度を高めておいてもらうということもまた必要なことであることは、これも御理解をいただかなければならないと思います。
 要は、その訓練をやる場所の問題が、我々からいえば、硫黄島という施設をつくってこちらでやるという約束になっているわけですから、それは約束どおりやってほしいと思っているのであって、そういう訓練をやることがおかしいという筋のものではないというふうに私は思っているわけです。これは少し言い過ぎかもわかりませんが、ぜひそうしたことを御理解の上、御検討をいただきたいと思うのです。
#60
○細野委員 外務大臣の認識というのは、私は非常に危機感が薄いという気がしてなりません。
 私が申し上げたNLPの問題というのは、個人が、アメリカ軍の人間が日本で幸せに過ごすとかいうレベルではなくて、米軍全体の認識として日本と約束を守るつもりがあるのかないのか、そこの根幹の部分にかかわる問題です。当然私も、日本に来ていただいている以上、そういう方には幸せに生きていただきたいとは思いますけれども、それとは全く違う次元の問題として、今我が国が抱えている問題に対して、政治が、しかも五年に一回の見直しでこういう理不尽な状況を協定の締結時に正せなかったということの問題点は、私自身は相当大きいというふうに考えております。
 最後に一点だけ、これはイエスかノーかで結構なんですが、ことしに関しては八割、本州内で行われているわけですから、支出を予定されている訓練移転費のうち、かなりのものが余るのじゃないかという感覚を持つのですが、これに関してはきちっと返還請求されるのかどうか、お答えください。
#61
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
 現年度の訓練移転は現在まだ進行中でございますので、途中でございますが、いずれにしましても、訓練移転につきましては実際かかった経費を支出するということになっておりますので、当然、訓練が少なければその分は返してもらうといいますか、予算的には不用に立てるということになると思います。
#62
○細野委員 特別協定については、大体私の聞きたいことは伺うことができました。答えに関しては非常に不満が残りますが、ぜひとも、原則に立ち返った議論を今後していただきたいということをお願いさせていただきます。
 次に、北朝鮮に対する五十万トンの米支援について伺います。
 まず聞かなければならないのが密約の話になるわけですが、これは三党の訪朝団ということになりますので、政府の見解としてどこまでお答えいただけるのか定かではありませんが、少なくとも今度出ている疑惑に関しては、外務省としてはどういう認識を持っているかということをお答えください。
 よく出ておりますけれども、福田官房長官は、五十万トンの話が出たということを再三再四、会見の中では言われております。それが密約なのか、または数字が出てきただけの話なのか、そこの認識に関しては読み方によっていろいろとれるわけですが、それについてどういう認識を持たれているのでしょうか。
 これも新聞報道によりますと、新社会党の矢田部委員長に関しては、昨年七月の訪朝の前に野中幹事長から、約束を破っているのはお互いさまだ、拉致問題に関して向こうもうそをついているけれども、こっちも米問題でうそをついて、お互いさまだという話が出ているという報道が出ております。外務省から見てこれをどういうふうに認識されているか、お答えください。
#63
○河野国務大臣 議員もお話しになりましたように、この話は、与党の訪朝団が訪朝をされたときの話だということで伝えられているわけでございます。政党レベルの訪朝ということで、これは非常に意味のある、つまり、国交正常化交渉を始める手がかり、足がかりを求めていただくという意味では大変私どもも意味のある訪朝であったというふうには思いますけれども、その政党レベルの訪朝団が日本からの何らかの支援を約束されたというふうには私は思いませんし、そうしたことを我々は関知しておりません。
#64
○細野委員 約束はなかったというお話でしたが、そうしますと、これもよく出てくる話ですが、やはり伺わなければならないのは、五十万トンの根拠は何かということです。
 WFPの資料を見ますと、ことしの九月から十二月まで、緊急的に十九・五万トンの食糧が北朝鮮に不足するというペーパーが出ております。緊急に十九・五万トンですね。これに対して、今回日本が決めた援助量が五十万トン。これは大きな差があるわけですが、この五十万トンがいかにして出てきた数字なのかということを、これは外務大臣、御自分で責任を持って五十万トンとお決めになったと再三おっしゃっていますので、外務大臣自身の考え方をお聞かせください。
#65
○河野国務大臣 まず、事実関係を申し上げますと、九月のWFPの発表といいますか、アピールといいますかは、今議員がお話しになりました十九万五千トンでございますが、WFPも承知をしておりますように、それ以前に不足分としてWFPがアピールをしながら充足されていない分が十万トンございます。したがいまして、今回、十二月までにあと十九万五千トン足らないぞというアピールをいたしましたけれども、それ以前に不足だと言っていた数字に充足されていない十万トンが引きずっているといいますか、残っているといいますか、そういうものがございますから、年内の不足分は三十万トンというふうに私どもは承知をいたしているわけでございます。
 さらに、WFPは、来年の緊急食糧支援活動について、来年はことしの当初計画の五十八万トンと同等またはそれ以上の規模が不足するということを言っているわけでございます。この五十八万トンと同等もしくはそれ以上不足分が出ますということを既にWFPが言っているわけでございまして、それを考えますと、少なくとも八十八万トンから九十万トンは必要になるであろうというふうに我々は承知をしているわけでございます。
 一方、米の支援は、今申し上げましたように、不足分それから充足されていない分などを見てみますと、例えば日本のように極めて近い距離にある国からの支援でありましても、前回日本が十万トンを支援したことがございますが、あの十万トンの支援を決めましたのが三月でございましたが、その十万トンの支援が完了したのは八月でございます。つまり、五カ月はかかってしまうという状況を我々は経験から承知をしております。
 そういったことを考えまして、私は、予想必要量八十八万トンプラス、若干のプラスアルファといいますか、それを考えてその半数の五十万トンは拠出することがいいのではないか。その五十万トンという数字は、韓国を初めとして国際社会が期待をしている数字だ。私はその間何度か、北朝鮮問題について日韓米の政策協議その他もございますから、韓国のハイレベルの人たちと話はずっとしてまいりましたけれども、韓国は日本の北朝鮮に対する食糧支援に非常に強く期待をしているわけでございます。
 私としては、現在の朝鮮半島における緊張緩和への動きを後押しするという意味もあって、現在の深刻な食糧不足に直面する北朝鮮に食糧を援助する、人道支援を行うということは、日本と北朝鮮との関係によい影響を与えるということもあるであろうということも考えて判断をしたわけでございます。
 もう一度、誤解のないように申し上げておきますが、私どもとしては、あくまでも人道支援という視点に立ってこの五十万トンの食糧援助を決定したということでございます。
#66
○細野委員 日本というのは非常に親切な国だなという感じがするわけですが、WFPが十一月に新たなアピールを発表するその直前に、数量がはっきりしない段階で、とりあえず五十万トン出しましょうという結論を出したということでございます。
 人道援助という話が出ましたけれども、ここについてちょっと食糧庁の方にお答えいただいて、私なりの見方というのを提示できればと思うのです。
 手元に、今後の米の在庫見通しという資料があります。ことし、作柄が一〇四ということで大豊作で、三十万トン程度在庫が積み増される。合計三百十万トンになるということなんですが、それをどう処理していくかという中に政府在庫の援助用隔離という言葉がありまして、ここに七十五万トンという数字が上がっております。
 これは十二年の緊急総合米対策で上がってきた数字なんですが、この七十五万トンが上がってきた経緯について、食糧庁の方に簡単に御説明いただきたいのです。
    〔委員長退席、安住委員長代理着席〕
#67
○新庄政府参考人 お答えを申し上げます。
 お尋ねの緊急総合米対策の中での七十五万トンの援助用隔離でございますが、これは、近年米の生産が豊作基調でずっと推移しておりまして、需給が非常に緩和してきております。そういった中で米の在庫が相当程度大幅に積み上がるというような中で、需給均衡を図るということで各般の対策を講じているわけでございまして、その中の一環としての援助用隔離七十五万トンでございます。
 今後二年間にわたりましていろいろな措置を講じまして、平成十四年の十月末に政府それから自主流通米の在庫水準を百二十五万トン程度に持っていくということで、そういった計画の中で七十五万トンという数字が出てきたものでございます。
#68
○細野委員 適正在庫水準に落とすために市場から援助用の米を外して、マーケットの価格を安定させるもしくは下落しないようにしようという措置であったという御説明だったと思います。
 もう一つ、食糧庁の方にお答えいただきたいのですが、WFPを通じて日本が北朝鮮に援助したというのは過去にも例がございます。例えば九年度には七万トン、そして十二年度にも既に十万トンやっているわけですけれども、それぞれ日本米とマーケットアクセス米、つまり日本に輸入している外米の割合が何%だったかという数字をお答えください。
#69
○新庄政府参考人 九年度、全体で七万トン程度支援をしておりまして、そのうち国産米が約二万トン、それからミニマムアクセス米でございますが、これが約五万トンということでございます。
#70
○細野委員 十二年度の十万トンに関して、私が聞いているところでは、国産が一万トンでマーケットアクセス米が九万トンということでよろしいですか。
#71
○新庄政府参考人 十二年度の十万トンの内訳は、先生御指摘のとおりでございます。
#72
○細野委員 全く同じスキームでWFPを通じて行われた食糧援助が、九年度は国産米は二万トンで外米は五万トン、そして十二年度の十万トンのうち国産米が一万トンで外米が九万トン。
 それに対して今回五十万トンがすべて国産米というのは、言うまでもなく、先ほど食糧庁の方から御説明があった七十五万トンの在庫があるからという認識でよろしいでしょうか。
#73
○新庄政府参考人 先生御指摘のとおり、先ほども御説明いたしましたけれども、米の需給均衡対策ということで援助用隔離七十五万トン、こういったものを措置いたしましたので、その中から今回の北朝鮮への支援を決めたわけでございます。
#74
○細野委員 ちょっと時間もありませんので、私の方から聞いた話を申し上げますけれども、要は、在庫米対策で今回五十万トンはすべて国産米に決まった、しかも、例えばこの五十万トンのうち、七年産が十八万トン、八年産が三十二万トン、大体この十八万トンがはけると七年産の米の在庫は終わるという事情があるという話も聞きました。
 これは、農水大臣も先日、本会議でも答えられていますけれども、一千億円の負担増、外米で出す場合と国産米で出す場合の一千億円の負担増はあくまで人道的措置でカバーせざるを得ないんだと回答されていますけれども、今、食糧庁の方の話を伺うと、これはもろに在庫米対策で五十万トン国産米で決まったから、一千億円の負担増は、それは財政負担、すなわち国民負担で払ってください、そういうふうな話になると思うんですが、外務大臣いかがでしょうか。いや、これは外務大臣にお答えいただきたいものですから、よろしくお願いします。
#75
○新庄政府参考人 私の説明があるいは十分でなかったのかもしれませんが、若干誤解が先生の方にあるとすれば本意ではないので、補足をさせていただきます。
 先ほど外務大臣の方からお答えがありましたように、今回の北朝鮮への食糧支援はあくまでも人道的観点というのが基本でございまして、そういったときに、私ども、国内のお米の需給がかなり緩和しておりまして余裕があるということで、需給対策として七十五万トンの援助用隔離、こういうものを措置したわけでございます。そういったことで、余裕があるということで、人道的観点を踏まえまして国内に余裕のある米を支援に振り向けたということでございまして、余剰米対策ということではないということ、そこははっきり申し上げておきたいと思います。
#76
○細野委員 五十万トンの米支援に関しては、それは人道的援助ということでそこは百歩譲って結構です。ただ、一千億の負担増に関しては余剰米対策だということでよろしいですね。
#77
○新庄政府参考人 この一千億の負担、これはWFPに国際価格で貸し付けまして、それは食管の特別会計の方には国内の評価額で返してもらうということで、その差額でございますね。これが五十万トンで大体一千億ということでございますが、これは単年度でいきますと三十数億ということになります、三十年で平準化していきますので。
 そういう中で、米はやはり生ものでございますので、備蓄ということでずっと置いておきましても、いずれ品質が劣化してまいります。そうなりますと主食用にたえないということになります。そういう状況の中で備蓄米を援助に充てるということでございますので、古いものから充てていくということでございまして、そういう意味で、一千億の負担はそういったことも総合的に考えまして処理したということで、援助用に充てるということで、総合的に見ますと食管会計にとってはそこはプラスではないかというふうに思っております。
    〔安住委員長代理退席、委員長着席〕
#78
○細野委員 七年度の米は五年前の米になるわけですから、冷凍保存しているという話がありましたけれども、食えるか食えないかの瀬戸際にある米であるということは間違いない。そこから順番に出していく話というのは、要は、古いものを在庫一掃したという以外何物でもないわけでして、今そのことがはっきり出たかなという感じがいたします。
 外務大臣、済みません、聞く時間はありませんので、私の認識を一言だけ言って質問を終わらせていただきたいと思うんです。
 先ほど、この五十万トンの米支援は対朝政策において効果があったというふうにおっしゃいました。ただ、従来から、この五十万トンの問題というのは、拉致疑惑の問題とある意味取引といいますか、それなりに関係を持って議論されてきたわけですね。確かに韓国と北朝鮮は今首脳会談もやって、それなりに融和の兆しが出てきたかもしれないけれども、日本に関しては何ら拉致問題に関して解決の糸口がつかめていない段階で、この五十万トンをこの時期に出してしまうということは、ああ、日本という国は、要は人道援助という形であれば拉致問題にかかわらず出してくる国か、そういう認識を与えてしまったという意味で、私は大きなマイナスだったというふうに考えます。しかも、その背景に在庫米対策ということがあったということを今食糧庁の方もおっしゃいましたので、私は、この問題に関しては相当今後に禍根を残すであろうし、また、国内の財政負担に関してもなかなか理解が得られないというふうに思うんです。
 質問時間ももうありませんので、私の方はこれで終わらせていただきたいんですが、もし一言あればお願いいたします。
#79
○河野国務大臣 私は、日朝交渉というものはこれからしっかりやっていかなきゃならないことであって、議員がおっしゃるほど簡単なことではない、五十万トン出せばどの問題が解決するというほど簡単なものではない、あれだけ長い歴史、さまざまないきさつ、双方の感情、いろいろなことを考えればこれからじっくり交渉をしていかなければならない。
 その交渉をしていく上でお互いに相手の立場を理解できるということをお互いが知る、あるいはお互いに知らせ合う、そういうことから始めなければならないのであって、何をやったら何ができないとか、何をやったら何が来なかったとかいう早急な判断というものは、お気持ちはわかりますけれども、もう少し時間的余裕と、それからこの問題、バスに乗りおくれるな、急いでいるという御批判も一方であるかと思うと、一方では、何をもたもたしているのだという御批判もありますが、私としては、相手のあること、相手の立場、相手の考え方、そういうものをよく考えてじっくり取り組みたい、我が方にとっても、譲れるものと譲れないものとしっかり考えてじっくりやりたいと思っておりますので、もうしばらく御支援をお願いしたいと思います。
#80
○中野委員長 以上で細野豪志さんの質問は終わりました。
 次に、前田雄吉さん。
#81
○前田委員 民主党の前田雄吉でございます。
 私は、初めに、もう既に同僚議員が多くを質問いたしましたけれども、新特別協定の削減分三十三億円の算出の根拠について御質問いたします。
 昨今のアメリカ、そして北朝鮮、日本の北東アジアのトライアングルを見ておりますと、私は、三十年前の米中接近、そしてこの頭ごなし外交に対して田中首相が驚いて急遽北京入りしたという、いわばキッシンジャーが「ホワイトハウス・イヤーズ」に書いておりました日本外交の悪夢をまた想起したわけでございます。クリントン政権の最末期に当たって、とにかく外交成果を上げなければいけない。中東か北朝鮮か、中東がだめなら北朝鮮に集中しよう。これでクリントン政権は急遽北朝鮮に急接近したわけでございますけれども、また日本外交の悪夢の再来を想起したのか、日本政府は、乗りおくれまいと、国連世界食糧計画、WFPの要請を上回る五十万トンの米支援を決定したわけでございます。
 先ほど細野議員の質問の中にもありましたけれども、これは外米を使えばもっと日本の税金を何とかむだ遣いせずに済んだということもありますけれども、ちょうどこれと前後いたしまして、今回の新特別協定が九月十一日に署名されたわけであります。つまり、この米朝の急接近に際して、日米関係に何とかストレスを発生させないようにするために平成十二年度予算の一割程度を減らせという、そんな程度でこの三十三億円の削減があったのではないでしょうか。なぜなら、何の具体的な、本当に理論的な数値の根拠もまだ示されていないような気がしてなりません。
 普通、削減を考えるならば、木下議員の御質問の中にもありましたけれども、一般企業なら最大の労務費に手をつけるわけでありますが、今回の平成十三年度概算要求額も、防衛施設庁分の四千五百二十六億円中、最大の一千四百八十七億円の労務費についてはほとんどさわられていないわけであります。
 もう一度、この三十三億円削減の理論的な根拠を、簡単で結構ですので、御説明いただきたいと思います。
#82
○河野国務大臣 日米安保条約の存在というものについて繰り返し申し上げてまいりましたので、そのことの意義等については重ねて申し上げることは控えたいと思いますが、今議員がお話しのように、米朝接近がこういうことに関係があったのではないかとか、いろいろ議員の御見識を御披瀝になりましたけれども、米朝急接近はわずか二週間前のことでございまして、その米朝接近が今回の特別協定の問題に直接的な影響があるということはございませんので、どうぞ、その考えは差し引いてひとつ御検討をいただきたいと思います。
 それで、三十三億円についてでございますが、この三十三億円は、光熱水料等について施設・区域外の住宅分については負担しないということにいたしました。この施設・区域外のものについて負担をしないということにつきまして、詳細は御質問があればお答えをさせていただくことにいたしますが、そうして現行の上限調達量から上記住宅分を差し引いた上で、さらに一〇%引き下げた値を新たな上限調達量として定めた、それが三十三億円ということになるわけでございまして、一〇%の根拠はというお尋ねもございましたけれども、私どもとしては、先方とのたび重なる交渉の結果、最終的に一〇%という数字で決着をしたということでございます。
#83
○前田委員 ありがとうございました。
 せっかくの日本の外務委員会でありますので、私は次に、対ロシア政策から見た中欧の中のポーランドについて御質問をいたします。
 来るべき二十一世紀まで残りわずか二カ月足らずとなりました。河野外務大臣におかれましては、当初の予定どおり、日ロ平和条約締結及び北方領土の返還問題を二〇〇〇年内、すなわちこの二カ月で劇的な解決を図ろうと今でもお考えなんでしょうか。まず、河野大臣の御所感を求めたいと思います。
#84
○河野国務大臣 日ロ間にはいろいろな経緯がございまして、両国首脳の合意によりますクラスノヤルスク合意というのがございまして、二〇〇〇年にこの合意をするために懸命の努力をしよう、こういうことで、何としてもそのクラスノヤルスク合意に書かれているような状況をつくらなければならぬというふうに私も思っているわけでございます。
 先般、モスクワへ参りまして、先方外務大臣とるる話をしてまいりましたが、今月の十五日には両国首脳がブルネイでもう一度首脳会談を行うということになっておりますし、この首脳会談の状況を私どもとしては非常に注目をしているわけでございます。
 何としてもこの二〇〇〇年にという約束を果たすべく最後まで努力をしたい、こう考えております。
#85
○前田委員 とにかくなかなか難しいことだとは存じますけれども、日本国民のために頑張ってください。
 二十一世紀におきまして、ロシアは多かれ少なかれ経済的に復興を遂げることは確実でありまして、そして、ロシアは、日本にとっては安全保障上の観点からも非常に重要な国家となることはもちろん明らかでございます。こうした大国への外交戦略を、単にファーイースト、極東の観点からだけではなく、しかもまた北方領土という領土問題のみを基軸にして考えるだけではなくて、とにかく日本外交全体を考えられて、国益を考えられてやっていただきたいと存じます。
 また、私は、二十一世紀の外交戦略は、とにかくグローバル化した複眼的な視点を持って、しかも冷戦構造という枠組みにとらわれないものにするべきであると考えております。このような観点からしますと、ロシアにとって西側の重要な隣国であり、経済的にも著しい復興を遂げておりますポーランド及び欧州の眠れる獅子と言われておりますウクライナとの関係は、私は、対ロ政策において重要な位置をこれから占めてくると思います。にもかかわらず、冷戦構造下の東欧国家といういわばバイアスがかかっているんでしょうか。私は、ポーランド及びウクライナの重要性が日本外交の中で見落とされているような気がしてなりません。
 かの明治の元勲の山県有朋は、対ロシア政策にとってポーランドの重要性を強調しても強調し過ぎることはない、こういう指摘をしておりました。この山県有朋の指摘は、また次の二点からも、現代社会においてより一層深みを持ってきていると考えます。
 第一は、地政学的な見地からのものであります。
 ポーランドは、平和のためのパートナーシップ構想のもとで、九四年の七月にNATOの合同演習に参加して、五年後の九九年三月には、ハンガリー、チェコとともにNATOに加盟したわけでございます。その結果、ポーランドの東側の国境がNATOの東の極限となって、安全保障上の重要性が一層増してきました。しかも、この国境を挟んで対峙するのは、先ほど言いました欧州の眠れる獅子、ウクライナであります。
 ウクライナは、単に世界の穀倉地帯ではなくて、旧ソ連の遺産であります軍需産業を含む機甲戦力、そしてロシアの黒海艦隊、核兵器を有する、人口五千三百万人を抱える欧州の潜在的な大国であります。
 このウクライナと先ほど申し上げたポーランドの地域の安定化に日本が貢献することは、EU圏あるいはロシア圏の安全保障上あるいは経済上の安定にも貢献することにつながっていくと思います。ここで日本外交の重要な戦略的なカードを保有することになると私は考えております。
 もう一つ、第二の観点ですけれども、経済的見地からのものであります。
 ポーランドが財政再建と構造改革を急進的に行うバルツェロビッツ・プランを実施した結果、インフレが抑制されて通貨も安定しております。GDP成長率は、九四年には五・〇%、九五年七・〇%、九六年には六%を達成して、二〇〇〇年のGDP成長率の予想は五・二%となっております。このように、ポーランド経済の成長は目覚ましく、活気にあふれたものでございます。このままいけばポーランド経済は、早ければ二〇〇五年、遅くとも二〇一〇年までには確実にEU経済を支える経済大国の一員になっていくと考えております。
 また、ポーランドは、公式には二〇〇二年、遅くとも二〇一〇年には確実にEUに加盟いたします。このことは、ポーランドがヨーロッパの中心に存在するという地理的な観点をさらに深めるものであると思いますし、ヨーロッパでの人、物、金の流れに重大な変化をもたらすものであると考えます。
 あえて言いますならば、ドイツの首都ベルリンからポーランド国境まで、この国会から千葉県庁へ行くぐらい、一時間で行ける距離でございます。このポーランドの地理的な利点は、何もドイツやEUに対してだけのものではありません。先ほどから強調しておりますロシア経済圏へのアクセスにも極めて重要な位置を占めておりますし、「連帯」の発祥地グダニスクを中心とした環バルト海の経済圏にも非常に重要な位置を占めておると考えます。
 人口三千八百万人も存在して、国民の平均年齢が四十歳未満、日本の高度経済成長期を思わせる若い年齢層が支える国家であります。ポーランド国民は、また極めて英語に堪能でありますし、数学におけるポーランド学派というのもあるくらい数学的、物理学的思考にたけて、まさしくIT経済を支え、遺伝子工学を支えていく人材の宝庫でもあります。しかも、ボローニャと呼ばれる海外のポーランド系住民は、金融の町シカゴでもアメリカ経済に重大な影響を有しております。
 この中欧の大国のポーランドに対する昨今の日本の対応はいかなるものであったのでございましょうか。このグローバル化した社会における対ロシア政策、外交戦略上の視点がちょっと欠落しているのではないか。また、冷戦構造の枠組みにとらわれた東欧という名の中部ヨーロッパ諸国の軽視、これが一九九〇年代の日本の対ユーラシア外交の問題点ではなかったか。私はそう考えます。このことは、中欧外交において日本外交のゆがんだ視点になっていると思います。
 人口三千八百万人のポーランドに対して、日本の対ポーランド投資は九億六千万ドル。一方、隣国のハンガリーは、一千万人の人口にもかかわらず、日本の対ハンガリー投資は四十六億八千万ドルであり、単純にポーランド一人当たりの投資額はハンガリー一人当たりの投資額の二十分の一。逆に言えば、ハンガリー経済よりもポーランド経済の方が発展しておりますので、二十倍もの潜在的な発展、成長の見込まれる地域であります。
 こうした対中部ヨーロッパ政策は、二十一世紀を迎えるに当たって、今転換されるべき時期に来ているのではないでしょうか。ロシア経済も、先ほど申し上げたように、必ず復興するでありましょう。このとき、経済大国ドイツとの間にある成長した中欧の大国のポーランドは、非常に我が国にとって外交戦略上重要な国になっていくと思います。この重要な国に対して日本政府はどういう外交戦略を今お持ちなのか、また、それに基づいてどのようなことを行ってこられたのか、お答え願いたいと思います。
#86
○浅野政務次官 ポーランドは、中部ヨーロッパと東ヨーロッパのいわば中東欧諸国の中では、国土、人口、経済力ともに最大の規模を持つ大国であります。また、東西ヨーロッパの間に位置する国として重要な位置を占めておるのも御指摘のとおりであります。それから、第二次大戦後の社会主義体制下においても、ポーランドの人々は一貫して民主化運動を続け、一九八九年にヨーロッパの旧社会主義諸国の中で最初の非社会主義政権を樹立して、この地域の改革の先駆けの役割を果たしてきたことも歴史の事実でございます。
 今日のポーランドの対外政策の基本は、ヨーロッパの本流への回帰。九九年、去年の三月にはNATOに加盟し、現在は、二〇〇三年のEUへの加盟を目指して国を挙げて加盟交渉に当たっているところであります。
 我が国としては、中東欧諸国の大国で民主主義という共通の価値観を持っているポーランドの発展がヨーロッパ自身の安定と発展に重要な意義を持つととらえておりまして、ポーランドとの関係強化に努力しております。
 具体的な対策、方策として例を四つ挙げさせていただきますけれども、ポーランドが民主化の基盤を固めるためには市場経済を強化することが重要という観点から、外国の民間企業の投資活動を円滑にするために、投資セミナーの実施などを日本としては支援しております。
 それから、政府自身の事業でも、知的支援、環境保全などの分野を中心としたODA、政府開発援助を通じて支援を行っております。細かい数字は申し上げませんけれども、毎年しております。
 それから、古都クラクフの日本美術、あそこは技術センターも兼ねておりますけれども、あそこに象徴されるように、文化の交流の拡大も図っておりまして、ショパンの生まれたところでもありまして、コンクールで日本人が最近はよく入賞する腕前を上げております。
 それから、国際社会における対等なパートナーとして、国連の改革、地球温暖化などの国際社会が抱える諸問題についても、ともに信頼し合って協力して取り組んでいけるパートナーと承知をしております。
#87
○前田委員 ありがとうございました。特にマンガ博物館等、現地を私も訪れまして、そうした文化交流が進んでいることはよくわかりましたけれども、やはりこれからもっと、外交上あるいは安全保障上、しっかりとしたタイトな関係を結んでいく必要があると思います。
 私は、日本の外務省の中でのポーランドを所管される部署が外務省の欧亜局東欧課であると思いますけれども、この東欧という名称、これは自由主義陣営の西欧の西に対するもので、冷戦期の遺物であります。もう既にこれは、アメリカ、イギリス等、セントラル・ヨーロッパという言い方をしておりますので、この一月の省庁再編に当たりましてぜひ改称していただきたいと思いますけれども、外務大臣、いかがでございますか。
#88
○浅野政務次官 前田委員御指摘のとおり、冷戦構造の崩壊後、ポーランドなどの旧東欧諸国は、それまでの社会主義政権下における旧ソ連寄りの政策から西ヨーロッパ諸国を志向した外交政策を展開しておりまして、みずから中東欧と呼んでおります。また、国際的にも、旧東欧についてはセントラル・アンド・イースタン・ヨーロッパ、中東欧という呼び名が通常使われているようであります。
 したがいまして、こうした世界の動向をとらえまして、御指摘のとおり、省庁再編の機会に、これまでポーランドなどの旧東欧諸国を所管していた東欧課の名称を中・東欧課と変更することに決めております。
#89
○中野委員長 ここで委員長から与党の皆さんにお願いを申し上げたいと思いますが、目算いたしますと、十七名中、今三名ですか、政務次官を入れて四名でしょうか、という御出席状況ですが、少々いかがかと思いますので、なお御努力をお願いしたいと思います。
#90
○前田委員 ぜひ名称変更の方、お願いします。これは世界に笑われますので。
 あと、ポーランドは非常に親日的な国であります。日露戦争の折に、二百三高地で捕虜としてとったロシア兵はほとんどポーランド人であった。これを丁重に船でポーランド本国まで送り返したということで、今これはポーランドの高校の教科書にも載っております。非常に親日的な国であります。
 こういう親日的な国でありますので、日本の要人訪問がどのような状況であるのか、御説明いただきたいと思います。
#91
○浅野政務次官 ポーランドには、一九八七年に中曽根総理、一九九〇年に海部総理が訪問をいたしました。それから、八五年には安倍外務大臣、九〇年には中山外務大臣、九七年に池田外務大臣がそれぞれ訪問をしております。
 ただ、残念でしたのは、ことしの二月に当時のゲレメク外務大臣が日本においでになった際に、河野大臣に、六月にポーランドで開催される民主主義と人権の会議にぜひおいでいただきたいということで招請をいただいたのですけれども、衆議院選挙にぶつかってしまいまして、これが実現をいたしておりません。今後、機会を見て、中東欧の大国のことでありますので、河野外務大臣も含め政府要人の訪問を検討し、行かせたい、このように思っております。
#92
○前田委員 ということは、十年間も内閣総理大臣が行っていないわけでございます。一方、ポーランドは、国交樹立八十周年を祝って、九八年にはクワシニエフスキ大統領が見えて、九九年にはブゼック首相がこちらに来られております。この辺、向こうばかり来られて、非常にこちらの肩身が狭い思いをすると思うのですけれども、河野大臣、いつぐらいに行っていただけるのか、ぜひその辺のことをちょっと言っていただきたいと思います。
#93
○河野国務大臣 政務次官から御命令をいただきましたので、日程の調整がつけば中東欧圏に行ってみたいというふうに思っております。ただ、今、まだまだいつどこに行くかというようなことを申し上げられる状況ではございませんので、議員のお考えは十分承ったということにさせていただきたいと思います。
#94
○前田委員 よろしくお願いいたします。ポーランドの人々は待っておられます。
 今まで、要人に関係した質問をいたしましたけれども、今度は草の根レベルの話をさせていただきたいと思います。
 日本、ポーランドの関係をさらに深めるために、人的交流、あるいは企業間の経済レベルでの交流、文化レベルでの交流、さまざま考えられますけれども、人的交流の拡大について、私は、ワルシャワ大学の日本学科の岡崎恒夫教授に十月の二十九日にお会いしまして、現地ワルシャワで、とにかく人的交流の拡大をお願いしたいという御意見を賜ってまいりました。在ポーランド大使館からいただきました資料によりますと、日本への国費留学生の数は、大使館推薦、大学推薦を含めまして平成九年は三十五名、十年は三十九名、十一年は三十二名、それで、十二年は三十七名の予定であります。これは、余り人数が変わっていない。欧州諸国の中のロシア、ルーマニア、ドイツ、フランス、ブルガリア、ハンガリーに次いで第七番目のお粗末な状況であります。
 この人的交流の拡大のために、何か諸施策は考えていただけませんでしょうか。
#95
○東郷政府参考人 お答え申し上げます。
 外務省といたしましては、諸外国との相互理解と友好親善を促進し、途上国を初め各国の将来を担う人材の育成に協力するという観点から、文部省とも協力いたしまして、留学生交流を推進、支援してまいってきております。
 ポーランドにつきましても、今委員より御指摘のありましたポーランドのヨーロッパにおける非常な地政学的重要性ということにかんがみて、でき得る限り留学生をふやしたいという所存で努力しております。国費留学生の数につきましては、ただいま先生御指摘の数字より私の手元の資料は若干多いのではないかという気はいたしますが、しかし、いずれにいたしましても、ヨーロッパ、中東欧地域においてポーランドというその重要性にかんがみて、少しでもふやしたいということで今後努力していきたいと思います。
 もちろん、財政状況それからその他の国のバランス、こういうことも考慮に入れて検討しなくてはいけませんが、できる限りの努力をしたいと思っております。
#96
○前田委員 ありがとうございます。普通、質問というと非常につるし上げるような質問が多いわけでございますけれども、私は、この日本の援助外交の中で非常によい例を現地ワルシャワで見たような思いがします。
 と申しますのは、九六年よりJICAがポーランドに行いましたポーランド・日本情報工科大学支援プロジェクトというのがございます。これは、本当にゼロから大学を立ち上げて、今やこの大学がバランスシートも非常にいいということでございます。そして、非国立分野での大学のポーランド内のランキングナンバーワンになったという、自立を助ける非常にいい援助協力の例であったと思います。こうした振興協力をさらに私は進めていくべきではないかと考えます。
 現地で十月三十日に、工科大学のノバツキ学長及び副学長四名の方と対談させていただきました。ここでノバツキ学長から、ロシアに対する意味からも、ウクライナの学生を受け入れるポーランド・日本情報工科大学の分校をウクライナ国境に近いポーランド領内で開設したいという要請を受けてまいりました。
 これは、平成十三年度のJICAの次期プロジェクト要請として上がってくることと存じますけれども、なぜウクライナへの人的交流の促進に関するものかと申しますと、このポーランド、ウクライナ間の安定は、これは先ほど申し上げたようにウクライナは軍事大国でございますので、経済的な安定が必要だと思います。そのためには、ウクライナの経済の発展を支える人材をやはり育成する必要があるのだ。また、日本とポーランドが協力してウクライナを支援することにやはり意義があると思うのですね。
 私は同日、ポーランド外務省においてシコルスキー外務次官、彼も三十八歳の若い外務次官でございましたけれども、お話ししてまいりました。日本、ポーランド両国は、対ロシアということからも安全保障上の共通の利益があるのだ。日本、ポーランドが共同して第三国のウクライナへ人的交流を進めるということは非常に重要なことである。また、さらにこの外務次官から、ではルブリンの町ではどうかという積極的なお話までいただいております。
 このポーランド・日本工科大学の分校の設立支援策について、どんなお考えをお持ちでございますか。
#97
○浅野政務次官 委員が先方で会ったのが私のカウンターパートの外務次官だったようでございますので、私からお答えをさせていただきますが、そういう個々のぜひ応援をさせていただきたいような、文化無償のような形で応援をさせていただきたいようなすばらしいプロジェクトについては、地元の在外公館を通じて私どもの方へ上げていただきましたら、真剣に検討をさせていただきます。
#98
○飯村政府参考人 それでは、補足をさせていただきます。
 委員御指摘の日本・ポーランド情報工科大学、これは、ポーランドにおけるコンピューターの技術者に対する需要に応じていくということで、非常に高い評価を受けております。それで、来年の三月にプロジェクトが切れますので、その後どうするかということにつきまして、ポーランド政府の中でもいろいろ検討が行われているようでございまして、そのうちの一つが分校の設立ということだと考えております。
 ポーランド政府からの正式な要請を待ちまして、十分真剣に検討の上対処していきたい、こういうふうに考えております。
#99
○前田委員 よろしくお願いいたします。
 あと、経済交流についてですけれども、ポーランドはEU加盟を目指しておりまして、加盟に際しての環境のレベルが非常にきついということで、駐日のポミャノフスキー大使が私に言ってこられたのは、とにかく日本企業の投資を求めたい、特に環境関連の企業のポーランド進出を求めたいというものでありました。現地ポーランドにおきましても、私はまた経済省次官のブワシチク氏にお会いしましたが、日本の対ポーランド投資は三・七億ドルで、その半分の二億ドルがトヨタからのものである、もっとたくさんの企業さんも来てほしいと言っておられました。そして早速、きょうですけれども、十一月八日、ポーランドの海外投資庁、これはPAIZといいますけれども、アダム・パブウォビッチ長官がこちらに見えておられます。よろしく頼むと経済省次官は言っておられました。
 とにかく、こうした日本の環境関連企業に対して、ポーランド政府も熱望しております。これに対して何とかおこたえいただきたい。私は、従来より、日本の二十一世紀のあるべき外交の柱として環境外交が挙げられる、そして日本は国際貢献国家になるべきだ、こう考えておりました。ハードパワーによる外交ではなくて、こうした環境を含むソフトパワーに基づく外交を何とか推進していただきたい、このためにもポーランドへの環境の技術協力を進めたらいかがかと思うのですけれども、この点についてはいかがお考えでございましょうか。
#100
○東郷政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもといたしましても、ポーランドの体制転換が行われた直後から、ポーランドにおける環境問題の深刻さということについては認識いたしておりました。改革が行われました翌年の一九九〇年に、まず政府環境問題調査団を派遣した次第でございます。その後、政府としましては、一貫した問題意識を持って、ポーランドにおける環境問題に関して、技術協力を中心にして、何ができるかということを真剣に追求してまいりました。JICAを通じた技術協力を中心にさまざまな協力を行っております。
 一つの例は開発調査でございまして、コジェニツェ石炭火力発電所の排煙脱硫計画、それから省エネルギー計画、それからポズナニ市廃棄物処理計画、これを実施しております。それからもう一つのアプローチは、環境分野の特別のコースを設けた研修員受け入れというものをやっております。こういう政府の努力が民間の投資活動の方に好ましい影響を与えて環境分野における投資というものにつながっていくことを期待しながら努力しております。
#101
○前田委員 ありがとうございます。
 先ほど外務次官が文化レベルの交流の中でショパン・コンクールの例を挙げられましたけれども、非常に、文化交流の中でもそういう芸術面だけに何か限られているような気がしてなりません。これからは社会科学分野でのそうした交流も必要かと思います。
 そこで私は、ポーランドでの日本研究は百五十年の長きにわたっておりますので、文献の共通化といいますか、データベースづくりをぜひやったらどうかと思います。既に、日本国立情報学研究所のソフトを使えば三百万円ぐらいでデータベースができるということでございます。そして、これができれば文献の共有化ができ、また歴史認識の共有化にもなっていくと思います。そうすればより深い文化交流ができる。インターネットを活用してそのデータベースを呼び出せるわけでございますので、この点についていかがお考えでしょうか。
#102
○東郷政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、社会科学の分野を中心とする文献を日本とポーランドで共有していく、そういう目的のデータベースをつくっていくということは大変重要な視点ではないかというふうに認識しております。
 私ども政府といたしましては、まず、日本において実際に研究しておられる方々がどういうニーズとどういう要請を持っておられるかということをよく伺いまして、両国間の共通のデータベースとして有益なものは何かということをよく研究した上で、可能な支援というものをやっていきたいというふうに考えております。
#103
○前田委員 もう時間が来たようですので、最後の質問でございます。
 民間交流が進んでいる。ポーランド航空の日本乗り入れが、九四年のワレサ大統領のときに協定を結んでおりますけれども、実際にはまだ乗り入れていない。中部国際空港ができるに当たって、中部地域、トヨタもあり、東海ゴムさんも進出している、どんどんと進出していくわけでございますので、中部国際空港へのポーランド航空の乗り入れについて、交流のために何とか積極的に御推進いただきたいと思うのです。
 これを最後の質問としたいと思います。お願いします。
#104
○深谷政府参考人 お答え申し上げます。
 中部国際空港は二〇〇五年の開港を予定しておりますが、その開港後にポーランドとの航空路線をとのお尋ねでございますけれども、開港後に名古屋とポーランドの間に相当の需要が見込まれまして、かつ、ポーランドあるいは日本のエアラインが、航空企業が具体的な運航計画を立ててということでございますれば、ポーランドと日本の航空当局間の協議などを経まして直行便が開設されるという可能性は十分あるもの、かように認識しております。
#105
○前田委員 どうもありがとうございました。
#106
○中野委員長 これで前田雄吉さんの質問は終わりました。
 次に、鮫島宗明さん。
#107
○鮫島委員 民主党の鮫島宗明でございます。
 ことしの三月、アメリカの貨物船ワンヘという船がPCBの詰まった十四個のコンテナを積んで、そのPCBの詰まった十四個のコンテナは相模原にあるアメリカ陸軍の相模総合補給廠から運び出されたものですけれども、焼却処分するためにカナダのバンクーバー港に向かったものの、カナダ政府に有害物質と認定されて陸揚げを拒否され、さらに次の寄港地アメリカ・シアトル港でも、港湾労働者の反対に遭って陸揚げできず、太平洋を行きつ戻りつした後、結局、出港地の横浜港に四月の下旬に戻ってきた。十四個のコンテナに詰まった約百トンのPCB廃棄物は、その夜のうちに港内のノースドッグ米軍施設に運び戻された。
 米軍の施設の中にはさまざまな大量の有害なごみがあることが知られています。特に、相模原の市議会議員の金子さんたちが相模補給廠監視団というのをつくって、基地の中にどんなごみがあるかを調べた報告がありますけれども、米軍基地から毎日大量のごみが生産される。高濃縮のPCB、カドミウム、クロム、水銀、ダイオキシン、さらには劣化ウランや枯れ葉剤のように兵器そのものが有毒物質、あるいはミサイルの推進燃料に使われているヒドラジンには強い発がん性がある。
 ある意味では、米軍基地は見方によっては有害物質の保管庫のようなものだと言われていますが、ドイツでは、ドイツとアメリカの地位協定で、基地の中でこういう環境保全が十分措置がとられているかどうかによって、必要があればいつでも立入検査もできるようになっておりますけれども、日米の地位協定ではそのような権利が担保されていないために、一体どういう状態でどんなごみが米軍の基地内で保管されているのか、正確には知る由がない。
 恐らく、例えばPCBは全体で五百万トンぐらいあるだろうと言われておりますけれども、今米軍の基地の中にそのPCBを処理する施設がないことは、コンテナで運び出さざるを得なかったということからも明らかなわけです。
 今回問題になっている特別協定による負担、今回新たに発効する分については労務費と光熱水料あるいは訓練移転費で、この内訳には入っておりませんけれども、いわゆる思いやり予算と言われている分野の中に提供施設整備の費目がありますけれども、こういう中に廃棄物処理などの環境関連費が含まれているのかどうか、おわかりだったら教えていただきたい。
#108
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
 提供施設整備費でございますけれども、これにつきましては、米側の要求に基づきまして個々具体的に精査しまして採択しているわけでございますけれども、この中におきまして、環境関連の施設といたしまして、汚水処理施設ですとか汚水排水施設とかごみ処理施設、それから油水分離施設等の施設を提供施設整備で確保、整備してまいっております。
 また、十三年度の概算要求におきまして、このような施設は契約ベースで約七十二億円ございます。提供施設全体で契約ベースで八百二十三億円でありますけれども、その約九%ぐらいでございます。
#109
○鮫島委員 ありがとうございます。
 ちょっと正確にわからないのですけれども、多分、今のお話ですと、例えばPCBの分解装置ですとか有毒物質の処理装置までは含まれていないのではないかという気がします。
 この分野、痛しかゆしみたいなところがありまして、日本政府の方がきちっと全部基地内で処理してくれと言えば、大変な経費がかかりますから、また、ではその経費をよこせみたいな話になって新たな負担ということにもなりかねないので、大変持ち出しにくい面もあるとは思いますけれども、とにかく正確に、どんな種類のものがどういう状態で保管されているかについては常時把握しておく必要があるのではないかと思います。日本政府及び日本国民が環境問題について大変大きな関心を持っているということを、常に米軍側にも伝えておく必要があるのではないかと思います。
 そのことに関係して、来週からいよいよオランダのハーグで地球温暖化防止の国際会議、COP6が行われますけれども、現在日本が条約の事務局に提案している六%の削減案というのが大変評判が悪くて国際的に非難を浴びていることは、もう既に政府のお耳にも入っているのではないかと思います。特に、六%削減案の中で、三・七%を森林による吸収としてカウントしていることについて大変強い疑義が出されている。
 この三・七%を森林による吸収というふうに見込んだ背景といいますか、その根拠をお示しいただきたいと思います。
#110
○浜中政府参考人 お答えを申し上げます。
 京都議定書の第三条三項で、一九九〇年以降に行われました新規の植林、再植林、森林減少が算入の対象になっているわけでございますけれども、我が国は、FAOの定義に従いまして、伐採直後の造林を再植林の対象といたしまして、植林された樹木及びその根による吸収量のみを対象とする計上方法により吸収量を計算しているということでございます。
 二〇〇八年から二〇一二年までの第一約束期間の五年間において、炭素の量に換算いたしまして五百三十六万六千トンということでございます。これは、京都議定書の規定上の基準年の温室効果ガス排出量、総排出量に対して年平均で〇・三%というような勘定になるわけでございます。先ほど申し上げましたのは五年間の量でございますので、年平均にいたしますと〇・三%。
 そして、第三条四項、追加的な人為的活動につきまして、林野庁が定めております森林資源基本計画上の育成林の総面積を対象といたしまして、対象となる森林の総成長量をもとに樹木及びその根による吸収量等を計算いたしますと、同様に五年間で炭素の量に換算いたしまして四千八百九十四万八千トンということで、これは年平均では二・九%ということでございます。
 一方、三条四項につきまして、天然林も含めた吸収量を同様の方法によって計算いたしますと、やはり五年間で五千六百八十四万トンということになりまして、これは年平均で三・四%相当ということでございます。
#111
○鮫島委員 今の数字、一年当たりにすると約二千百万トンぐらいの炭素量になるのかもしれませんけれども、新しい林業白書の最新の数字、ちょっとこれは数字が古いのですけれども、日本全体の林野面積が二千四百万ヘクタール、人工林が約一千万ヘクタールで天然林が一千四百万ヘクタールというような数字が出ております。こういう総森林が毎年約二千万トンずつ炭素を吸収しておりますというのが今のお答えだろうと思いますけれども、今の数字は、平成七年の数字が二千四百万ヘクタールなんですけれども、では例えば二〇一〇年には日本の森林面積はどのぐらいになるというふうに見込んでおられるのか、おわかりでしたらお答えください。
#112
○浜中政府参考人 お答えを申し上げます。
 私どもが日本政府といたしまして条約事務局に提出をいたしましたデータでは、二〇一〇年といいますか、第一約束期間において我が国の森林の総面積は、概算でございます、細かい数字、ちょっと失念をしておりますが、二千五百万ヘクタールというふうに提出をしてございます。
#113
○鮫島委員 確かに、無立木地というところまで入れると、要するに伐採の跡地なんか入れると二千五百万ヘクタールというのは、一九九〇年の数字でもそうですし、恐らくことしもそうでしょうし、二〇一〇年になっても大きくは森林面積は変わりません。約二千五百万ヘクタールが日本の森林面積です。
 なぜ三・七%という数字が国際的な批判を浴びているかというと、この二千五百万ヘクタールの森林面積で吸収している炭素というのは、多分ことしも二千万トン炭素を吸収していますし、一九九〇年も恐らく二千万トン炭素を吸収している、二〇一〇年にも二千万トン炭素を吸収する。これは定常値であって、急に約束年に来たからといって日本の森が目を覚ますわけではない。なぜ努力目標、新たな削減措置というところにこういう定常値を持ち出すのかということが非常に世界的な批判を浴びているという話を聞きますけれども、この点についてはどういう御見解でしょうか。
#114
○浜中政府参考人 お答えを申し上げます。
 京都におきまして三年ほど前に京都会議、COP3が開かれたことは御案内のとおりでございまして、そこで大変困難な交渉の末に京都議定書が採択をされたということでございます。
 この京都議定書における吸収源の取り扱いでございますけれども、これも大変入り組んだ困難な交渉の末に、現在の三条三項、三条四項が確定をされたということでございまして、いずれにいたしましても、基準年の勘定の仕方は排出量のみを勘定する、目標期間といいますか、第一約束期間におきましては吸収量を加味するという、ネットと申しておりますが、そういう勘定の方法をとるということが合意をされたわけでございます。
 問題は、ネットとしてどこまでをどのように勘定に入れるか、こういうことでございますが、三条三項につきましては、一九九〇年以降に実施をされた新規の植林、再植林、及び森林減少、こちらは排出側になるわけですが、新規の植林と再植林は吸収側になる、これを勘定するということで、限定的にその部分は確定をしたわけでございます。その上で、三条四項につきましては、それに追加して、人為的な活動によって吸収をした分をさらに考慮に入れる、こういうことになっておりまして、現在、その具体的な定義でございますとか算定方法について交渉中ということでございます。そのような形で追加をして考慮に入れるということ自体は京都議定書の交渉において確定をしていることでございまして、その具体的な範囲、算定方法等について、今交渉しているということでございます。
#115
○鮫島委員 そういう難しいことあるいは条約の読み方だとかを私は聞いているわけじゃない。官僚外交の弊害のような御答弁です。
 私が言っているのは、一九九〇年レベルに比べて少なくとも六%CO2の排出を減らしましょうという、そのために各国が知恵を出し合ってあらゆる努力をします。実際のCO2の動きでちゃんとお考えいただきたいのですけれども、一九九〇年も日本の森林は毎年炭素換算で二千万トン吸っていました。二〇一〇年にも二千万トン吸います。別に吸収量がふえるわけでも何でもない。それを、六%削減枠のうちの三・七%、日本の国が努力して一九九〇年より三・七%減らしましたなどということを、同じ日本の森林で二〇一〇年から急にそういう活力が増したような言い方をするのは、はっきり言えば詐欺です。恐らく、現在事務局段階で事前の折衝が行われていますけれども、日本案が否決されることはほぼ確実でして、なぜこのようなわざと世界の場で不名誉な地位を占めるような主張にこだわるのか。
 つまり、日本の森林は毎年二千万トン吸収しているわけで、新たな地球環境改善のための措置ということでこういう数字を詐欺的に持ち出すのはおやめになった方がいいというふうに思うのですけれども、今度の実際の本会議でも、日本政府はこの数字をお出しになるつもりなんでしょうか。
#116
○浜中政府参考人 お答えを申し上げます。
 先生の御主張でございますが、我が国のみがそういう主張をしているということでは決してございませんで、かなりの国が同様の主張をしておるわけでございます。
 それはどうしてかと申しますと、先ほど申し上げましたように、京都におきまして、さんざん大変難航した交渉ではございましたけれども、その結果として、基準年においては原則としては排出量のみをカウントする、目標期間におきましては吸収量も加味をするということが合意はされたわけでございます。
 問題は、もちろん、算入する吸収源の範囲、それから吸収量の算定の方法でございます。それは交渉の対象になっておるわけでございますけれども、そういう吸収源を考慮した上で目標をどのぐらいに置くかということが、最終的な京都会議における決着を目指した交渉になったわけでございます。吸収源による吸収量を算入できるということを前提に、現在のような、例えば我が国は六%削減、アメリカは七%削減、EUは八%削減というような結果になったわけでございまして、そのような経緯を踏まえて、各国ともそれぞれの主張をしているということでございます。
 いろいろな御批判なり御議論があることは私どもも十分承知をしております。そういった点も含めまして、ハーグにおきましては、鋭意、我が国の主張は主張として述べつつも、最終的な決着を目指して交渉を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
#117
○鮫島委員 私は、さっきから言っているように、条約との整合性を聞いているわけではなくて、一九九〇年に比べてCO2を減らす気が本当に日本にあるのかどうか。条約の文言との整合性ではなくて、炭素の動きでちゃんと見ないと、一九九〇年に比べると実際六%減ることにはならないわけです。ただ、数字上の表現だけでそういうことにするというのは、要するに、日本が本当の意味で地球温暖化防止について取り組む気がないということを表明することを私は危惧して言っているわけです。
 科学的に、一九九〇年も二〇一〇年も、日本の森林の吸収量は変わらないということはお認めになりますか。
#118
○浜中政府参考人 お答えを申し上げます。
 一九九〇年の吸収量につきましては、条約事務局に対して、私ども既に、国別情報の送付ということで提出をしておりますし、二〇一〇年前後の第一約束期間については、先ほどちょっと触れましたけれども、そういう形で条約事務局に八月に情報を提出したわけでございまして、私どもの見解はそのとおりでございます。
 したがって、九〇年と二〇一〇年ころを比較いたしまして、我が国の森林の吸収量だけを単純に比較いたしますれば、確かにそれは吸収量自体としてふえているということではないということは認識をしております。
#119
○鮫島委員 日本以外にこういう主張をしている国がほかにも多々あるというような表現でしたけれども、私の知っている限りで、ここまで数字を出して居直るのは恐らく日本だけだろうというふうに思います。
 もちろん、アメリカも環境問題について大変消極的な態度をとっていまして、いわゆるアンブレラグループと呼ばれているアメリカ、日本を中心とする国々が世界の環境問題の解決の足を引っ張っているグループだ。アメリカの大統領がだれになったかちょっとわかりませんけれども、もしゴアさんになると、環境問題についてアメリカの態度が少し変わるのではないかと思います。場合によったら、日本だけが取り残されて、気がつくと日本だけが環境後進国になって、アメリカは先に行ってしまうというようなことになるのではないかと思います。
 日本と同じような森林の計算をほかの国々がすると、地球上の炭酸ガスはむしろ減っていることに数字上はなりまして、一体、何のために地球温暖化防止の国際会議をやらなくちゃいかぬのだという話にもなってくるぐらい、日本の数字の出し方というのはおかしな数字。つまり、二〇一〇年に急に日本の森が目を覚ますわけじゃなくて、一九九〇年も二〇一〇年も日本の森林はまじめに一定の炭酸ガスを吸い続けているわけです。人為的な新たな努力で、みんなが減らそうとあらゆる努力をして、CO2の排出を減らそう、温暖化ガスの排出を減らそうと言っているときに、日本だけがしゃあしゃあと、森林があたかも急に目を覚ましたような数字を持ち出すというのは、私は、世界の中で不名誉な地位を占めたいと思うのだったら別ですけれども、名誉ある地位を占めたいのだったら、こういうふざけた数字は出すべきではないと思いますけれども、外務大臣の御見解はいかがなのでしょうか。
#120
○河野国務大臣 我が国は、京都会議を主催しておるわけでございまして、この環境問題にはとりわけ真剣に取り組まなければならない立場にあるというふうに思っております。
 ハーグで行われます今回の会議におきましても、我が国としては、我が国自身のビヘービアのみならず、開発途上国との間の調整その他、やるべきことはたくさん、期待されている部分がたくさんあるわけでございますが、今議員が御指摘のように、我が国の態度というものがどういう態度をとっていくかということについて、政府部内でも環境庁を中心に検討を重ねておりますし、今回の会議には、政府だけではなくて、関係議員の皆様方を初め多くのこの問題に関心のある方々が日本からも御参加になるというふうに聞いておりまして、我が国としての主張、考え方というものは、より一層しっかりとしていかなければならぬというふうに考えております。
#121
○鮫島委員 京都の会議のときからもそうですけれども、国際社会では、やはりアメリカが非常にエネルギー消費大国で、しかもアメリカ人のライフスタイル自身が大量生産、大量消費というようなライフスタイルで、アメリカはなかなか環境問題には取り組めないだろうという読みから、先進国の総排出量の五五%を占める国々が批准をしたらこの条約は発効するという措置がとられているところでして、その意味では、アメリカが先進国全体の約三分の一の排出量を持っている、日本が八%の枠を持っていますけれども、この日本がどちらへつくか、環境先進国側のヨーロッパにつくかあるいはエネルギー消費型のアメリカにつくかによって、選挙じゃありませんけれども、この八%がどちらにつくかによって非常に大きな影響がある。つまり、五五%という枠が確保できるかどうか。
 したがって、ヨーロッパの方からは非常に強い働きかけがあって、日本は環境先進国側のヨーロッパサイドにぜひ入ってくれ、日本が入れば恐らくロシアも同調するだろう、ヨーロッパ、日本、ロシアが組めばこれで五五%の枠にいきますから、この条約は発効する。
 ところが、どうも日本は、アメリカの顔色ばかりうかがっていて独自の判断をできないのではないかという危惧も持たれておりますけれども、外務大臣としては、アメリカの意向に関係なく、日本の自主的な独自の判断でこの京都議定書の内容を批准する、少なくとも二〇〇二年までに批准するということを日本は内外に言っておりますけれども、アメリカの意向と関係なく、当たり前のことでしょうけれども、日本の自主的な独自の判断で批准に向かうおつもりがあるかどうか、外務大臣の御覚悟をお聞かせいただきたいのです。
#122
○河野国務大臣 私は、とにかくこの問題は、国際的にできる限りの合意が必要だというふうに思っているわけです。議員がおっしゃるように、ヨーロッパは環境問題には非常に大きな関心を持っている、アメリカはアメリカで議員がおっしゃるようにライフスタイルがある、開発途上国には開発途上国の強い主張というものもあるわけでございまして、こうしたそれぞれの主張をどこかで合意に近づける努力をするという必要があるんじゃないか。
 ですから私は、開発途上国の皆さんにも、皆さん方の主張というものも私はわからないではないけれども、これはみんなが譲り合わないと合意ができませんよ、ヨーロッパの皆さんにも、ヨーロッパの主張だけが正しいとおっしゃられても、それは主張として正しいかもしれないけれども、世界の中で合意をするということを考えていただくためには、やはり十分話し合っていただかなければならないと思いますということを申し上げてもきているわけです。アメリカも当然そうだと思います。
 私は、日本がどうするか、日本は右手を挙げるか左手を挙げるかというだけではなくて、やはり我が国が果たすべき役割というのは、国際社会の中での合意をつくり上げる、そういう努力をする必要がある、それが京都会議を主催した責任ある我が国の立場であろうというふうに考えてもいるわけでございまして、これから会議に臨むに当たって、そうした点を十分考えて臨んでいただけるものというふうに期待しております。
#123
○鮫島委員 私は、本当は、特に技術開発なんかの面で、この環境問題にきちっと取り組めばまた新たなニーズもたくさん出てくるし、ある意味では二十世紀の文明から二十一世紀の文明への転換点になるのではないか。二十世紀は、残念ながら、巨大技術の開発なり画期的技術の開発は、実は戦争によって動機づけられた面が大変多い。二十世紀の技術革新はいわばあしき動機によって行われたと言えるかもしれませんけれども、二十一世紀は、ある意味では地球からの声に耳を傾けながら、美しき動機づけで二十世紀とは違った技術開発、研究開発ができるのではないかと私は思います。
 ですから、この地球環境問題は、デフレ要因だというようなとらえ方ではなくて、むしろ新たな文明を切り開く、また新たな技術開発につながる夢のあるいい話だというふうにぜひお考えいただきたい。特に環境庁にはそういうふうにお考えいただきたいと私は思います。せっかく省に昇格することですから、環境問題については、決して後ろ向きではなくて、新たなチャンスというふうにお考えいただきたいと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。
#124
○中野委員長 以上で鮫島宗明さんの質問は終わりました。
 次に、川内博史さん。
#125
○川内委員 民主党の川内でございます。
 大臣、政務次官、よろしくお願いをいたします。また、局長の皆さんもよろしくお願いをいたします。本日は、日米の特別協定及び日米安保体制について、三十分という短い時間ではございますけれども、幾つかの質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず、今回議題になっております特別協定、非常に重要な案件であるというふうに思うわけでございますが、ふだん勉強不足ですから事前にちょっと勉強しようと思いまして、米国との特別協定について政治レベルの協議がどのくらい行われてきましたかということを外務省の方に私がお聞きをいたしましたら、一枚紙をいただきまして、二〇〇〇年の一月五日、防衛庁長官とコーエン国防長官との間で見直しに合意をした、その後、二〇〇〇年の七月二十二日、沖縄サミットのときの日米首脳会談において特別措置協定について合意をした、その後、二〇〇〇年の九月十一日、ニューヨークで大臣それからオルブライトさんの間で署名をした、この三段階を教えていただいたわけでございます。
 私が知っている限りでも、二月に大臣は訪米をされていらっしゃいますし、また、三月には防衛庁長官とコーエンさんとの間でもこの特別協定が議題になっているというふうに認識をしておりましたけれども、外務省の方では、政治レベルの協議過程はこの三段階ですとおっしゃるものですから、いや、ほかにもあったんじゃないでしょうかと申し上げましたら、いや、節目のものを提出させていただきましたというふうにおっしゃるのです。では、節目以外は政治レベルの会合じゃないのか、協議じゃないのかというふうに思ったりもするわけです。
 何を申し上げたいかというと、非常に重要な国民の皆様方の税金を三千億近く使うこの案件について、政治のレベルの日米の議論というものが余りに少なかったのではないか。一方で役人は、お役所は今決められている日米安保体制なり地位協定の枠の中で交渉を進めようとするでしょうから、それほど大きな枠組みの変更というのは望むべくもない。そういう中で、政治のレベルが大きな枠組みの変更を求めるのであれば、大きな額の削減を求めるのであれば、もっとしっかり交渉してもよかったのではないかというふうに、私は今回の一連の経過を見ていて考えるのでありますが、まず、大臣のこの点についての御所見をお願いいたします。
#126
○河野国務大臣 日米安保条約の重要性、そして日米安保条約の今現在の状況、そして我が国を取り巻く周辺状況、そうしたことを十分協議する必要があったのではないか、こういうお気持ちからのお尋ねだろうと思います。
 私どもは、防衛庁、外務省、いずれもこうした問題についてはもう常時議論はしているわけでございまして、日本の立場をまず固めて、そしてアメリカに申し入れをして、そして、今議員がおっしゃいましたけれども、それこそ節目節目に外務大臣と国務長官の会談をやる、あるいは防衛庁長官と国防長官との会談をやる。中には、五月にはたしか首脳会談もございました。
 そういうことで政治レベルでの我が国の政治的判断というものが固まって、それを先方に伝え、先方との間で認識を一致させるための協議というものはあったことは事実でございます。そうした政治的な認識の一致のもとに事務当局が、これはおっしゃるように、事務当局はそういう一致のもとに協議をするということが今回の流れであったというふうに御理解をいただきたい。
#127
○川内委員 今大臣の方から、まず一定の政治的判断を固めた上で交渉を行ってきたという御答弁があったわけでございますが、今回のこの協定の審議を通じて私がちょっと感じるところは、果たして本当に政治的な判断があったのだろうか。
 私の同僚議員であります細野議員から質問が出ました。最初にこの特別協定に基づく予算の支出をするときには、恒久的なものではない、一時的なものだという政府の見解というものがあった、しかし、それはずっと続いているじゃないか。それに対して大臣の答弁は、いや、だからこそ五年ごとに見直すようになっておるんだ、恒久的なものではないですよということでありました。
 しかし、どうもこの一連の交渉の経過を見ていると、私どもから言わせれば思いやり予算、アメリカの方から言えばホスト・ネーション・サポートが非常に固定化してしまっているのではないかという気がするわけでございます。
 この思いやり予算というのは、大臣も今おっしゃいましたけれども、我が国にとって非常に重要な、日米安保体制を機能させるために必要不可欠なものであるというふうな御説明があったわけでございます。しかし、この特別協定に基づく思いやり予算というものが、日米安保体制を維持するために非常に重要な、必要不可欠なものであるという議論であるならば、レトリックですけれども、思いやり予算がなかったころ、日本が米国に対して、まだ基地の使用料のみでほかのお金を支出していなかったころは、日米安保体制というのは十分に機能していなかったという議論にもなるわけでございます。
 加えて、この日米安保体制というのは、冷戦構造下における日本の安全を守るためにアメリカと安全保障条約を結んだわけでございますから、本来ならば日米安保が有効に機能しなければならなかったときに日米安保は不十分な体制であって、冷戦構造が崩れてから思いやり予算をがばっと出している。必要ないのに安保体制が十分な体制になっているという、何かおかしな議論になりはしないかというふうに私は思うのでございますが、この点についての見解をお聞かせいただけますでしょうか。
#128
○河野国務大臣 今日の我が国を取り巻く状況についての認識の問題が一つあると思います。
 どうも我々は、朝鮮半島の我々にとって好ましい緊張緩和への動きというものを少し楽観的にとり過ぎて、もう緊張は緩和したんだ、もう朝鮮半島には本当に平和が来て春うららだというふうに決めつけ過ぎていやしないか。
 現に、米朝のミサイル協議というものは、前回のクアラルンプールの結果を見ても、必ずしも双方が気持ちよく合意ができたという状況ではございませんし、その後の南北の協議も、当初の予定どおりに進んでいるかというと、これは議員も御承知のとおり、九月、十月に入って当初の予定が随分先送りになっている部分もあるわけです。
 私は、そうしたことはいろいろ理由があって、緊張緩和へ向けての流れが逆流してきたんじゃないかとか、とまったのではないかというふうには決して思いたくありませんし、そうも思ってはおりませんけれども、しかしまだまだ、言ってみれば幕があいたところであって、その舞台の上でどんな芝居が、これは例は適当でないかもしれませんけれども、どういうものが演じられるかということはこれからのことなのであって、どうも幕があいた途端に、もうこれはハッピーエンドの芝居がここで演じられるというふうに思い込んで、今や我が国を取り巻く状況は非常に平和ないい状況になったのだから、これまでとは一緒である必要はないだろうというのでは、少し楽観的過ぎやしないか。
 私はまだまだ、もう少し慎重に見きわめる必要もあるし、見きわめるというだけではなくて、我々の努力が必要だろう。もっともっと外交的な努力、緊張緩和に向かってのできる限りの努力をするべきであって、そうした努力の結果どういう状況になるかというのは、まだ今から断定的に考えるのは早いのではないかというふうに思っているものですから、そういう認識をどう持つかによって、今の委員の御議論のような考え方もあるし、私どものように、余り楽観的な議論だけというわけにいかない、やはり慎重に考えなければいけないという認識もあるということは、ぜひ御理解をいただきたい。
#129
○川内委員 今大臣から、朝鮮半島を含む北東アジアの情勢について、まだまだ楽観できるものではないというか、注意深く見守っていかなければならないんだという御認識が、これは外務省の御認識であるというふうに理解をさせていただきます。
 であるとするならば、この特別協定に基づく予算の支出というものは、朝鮮半島を含む北東アジアの情勢が落ちつかない限り、もう絶対大丈夫だという楽観できる見通しがつかない限り、金額的に削減をされることはないということになりますでしょうか。
#130
○河野国務大臣 もう議員よく御承知のとおり、日米安保条約というのは、特定の国とか特定の地域を指しているわけではございません。その辺は十分御承知の上でのお尋ねだと思いますが。
 ちょっとこれは話が長くなって恐縮でございますけれども、今北朝鮮に対して、米朝も協議を非常に努力をしておられます。そして、主としてミサイル協議などは米朝の枠組みの中でやっておられます。それから、南北という交渉がございます。これは恐らく、民族の意思といいますか、気持ちというものを背景にして協議が進められる。日本との間には、これまた歴史的な問題、過去の清算というものを含めた、そして我々が避けて通れない拉致事件といいますか、人道上の問題も含めた非常に難しい協議もしております。
 そういう三つのトラックがあるわけですけれども、その中には、例えば、我が国には我が国でやはりノドンを初めとするミサイルの問題もあるわけでございまして、日朝が敵意を持ってにらみ合うということになれば、やはりノドンは相当な脅威であることは間違いない。それをアメリカのミサイル協議でモラトリアムで抑えているという状況でありますから、私の気持ちからいえば、この三つのトラックがそれぞれうまく進んで、そしてそれができ上がるということになると、今とは相当違う状況になってくる。ただ、そのうちのどれか一つができただけでは十分ではないというふうにも私は思っているわけです。
 しかし、これらは総合的な判断をしなければなりません。その時期その時期によって総合的な判断をしていかなければなりませんが、今申し上げたように、私としては、日朝間の両国の信頼関係といいますか、友好関係といいますか、そういうものが、そして正常な国交がそこに開かれるというようなことがやはり大きな一つの要素にはなるのではないかというふうに思っているわけです。
#131
○川内委員 言葉をかえて御質問させていただきますが、日本を取り巻く諸状況が非常に好転をした場合にこの米軍の駐留経費について見直しをすることもあり得るということになるのでしょうか。
#132
○河野国務大臣 私、決して消極的なことを申し上げるつもりはございません。ございませんが、先ほどもどなたかに御答弁を申し上げましたように、例えば、米軍のプレゼンスがあるということが一種の安定をつくっているということもあるわけですね。ですから、安定しているから米軍のプレゼンスは要らないという考え方と米軍のプレゼンスがあるから安定しているんだという考え方、二つの考え方、こういうこともあると思うのです。
 ですから、いろいろな考え方を十分注意深く分析をして持たなければいけないと申しておりますのはそういうことでございまして、私は、ここで議員とこの特別協定についての御議論をいたしますときに、今の状況で、いや、まあ、もう少しよくなればこれは変わっていいでしょうというほど気楽な議論をするという心境ではございませんが、理論的に言えば、いつの日かそれは、未来永劫こんなことではないだろうとおっしゃられれば、それはそうですというふうに申し上げていいだろうと思います。
#133
○川内委員 今大臣がおっしゃいましたけれども、未来永劫こうじゃないんだと。私も未来永劫こうであってほしくはないわけで、できれば近いうちに何とかしたいわけでございます。
 大臣の一連の御答弁をお聞きしておりますと、日本を取り巻く状況というのは非常に複雑だ、いろいろな問題がある、そういう中で米軍のプレゼンスは大事だし、そのために我が国の予算をそこに出していくんだと。それはそれで結構なことかと思うのですけれども、ただ、SACOの最終合意に見られますとおり、基地の整理、縮小、統合の問題とか、あるいは基地の整理、縮小、統合が進めば当然兵力の削減といったようなことも出てくるでしょうし、実際に、十月の中旬ですか、ナイさんとかキャンベルさんとかが出された日米関係についての論文を読ませていただきますと、日本にある米軍の基地は縮小し、兵力も削減をした方がいいんだ、そして日本に集団的自衛権をしっかりと憲法に明記をさせた上で新たな日米関係をつくっていくべきだという議論などもそこには出ているわけでございます。
 どうも、現状がこうだから今はこれで仕方がないんだということだけをずっと毎年毎年議論しているような気がして、五年先、十年先に日米関係がどうなるのか、日米安保がどうなるのかというようなことを戦略的に考えていらっしゃるセクションが外務省の中にないのじゃないか。これは失礼な話ですけれども、怒らないで聞いていただきたいのですが、日米安全保障条約課とか日米地位協定室とか、今決められているものを運用するというか、決められた枠の中でルーチンの仕事をこなしていくセクションはあるのでしょうけれども、日米関係はこうあるべきだ、日米安保をこうしていくべきなんだ、こうすれば基地の整理、縮小、統合もできるし、兵力の削減もできる、ただし、そのためには憲法の改正ももしかしたら必要になるかもしれませんねというような戦略的な研究をする部門がないのじゃないかなと思うのですけれども、あるのかないのか、教えてください。
#134
○河野国務大臣 もちろん、外務省には外務省として、つまり行政として政策について考えるポジションはございます。それは北米局にもございますし、総政局、総合政策局にあるわけです。
 しかし、今議員の頭の中にある、ナイさんとかアーミテージさんとか、ああした方々が集まって非常に先駆的な政策提言をなさる、そういうものが欲しいな、そういうものを期待しておられるとすれば、それはやはり外務省という役所よりは民間のシンクタンクというものが議員の期待にこたえるのではないかというふうに思います。
 私は、日本のシンクタンクというものは、アメリカのシンクタンクに比べると、やはり相当、量、質ともに少ない、小さいように思うんですね。これはいろいろ背景があると思います。例えば、今度のナイさんたちの研究は、超党派、共和党であれ民主党であれ、双方にまたがって、恐らくどなたが大統領になられたとしてもその中から人材が抜てきされる可能性というものはある。そういう、今におれがやってやるんだ、そういう希望の持てるポジションと、何かスポンサーからお金をもらって研究するというだけでは、やはり大分、意欲といいますか研究の幅といいますか、そういうものは、いや、それは日本のシンクタンクのことを申しているのではございませんが、やはり少し違ってくるんだろうと思います。
 役所の中の政策ということになると、憲法を改正してどうのこうのということまで役所の中で研究をするということにはなかなかならないのでございまして、やはりそれは第三セクターといいますか、あるいは民間のシンクタンクというものに期待していただくということの方が現実的だろうと思います。
#135
○川内委員 日本の役所というのは非常に優秀なシンクタンクであるわけですから、議院内閣制という建前をとっている中で、例えば、大臣が役所の中に入られて幾つかの選択肢を示されて、それは、発言するのは大臣なり次官なりあるいは与党の方なりが発言をされればいいわけで、それが国会の中で議論になっていくということになるんだと思うんですね。
 私は、この思いやり予算については大幅に削減をすべきだというふうに思っておりまして、それは、ではどうすれば削減できるのかということを考えたときに、大臣の今までのお話ですと、この思いやり予算というのは、現状ではとてもとてもこれ以上は難しい、日本を取り巻く諸状況を考えれば米国のプレゼンスを維持しておかなければならない、兵力も削減できないし、基地の縮小もできない、今すぐにという意味で。
 そうではなくて、であるならば、米国の兵力あるいは基地の縮小をしっかりと合意に基づいて求めて、そして足りない部分は、日本は世界に冠たる海軍、陸軍、空軍を持っているわけですから、しっかりとそこで補完をさせていくということをやればいいと思うんです、恐れずに、勇気を持って。これは国民の皆様方からの大事な大事な税金を使う話ですから、自分のお金でアメリカにどうぞいてくださいという話じゃないですから、そういう意味で日米での政治レベルのちょうちょうはっしの渡り合いというものがもっとあってもいいのではないか。私などは現場にいるわけではないので、大臣から、そんなことは言われたくないと言われるかもしれないですけれども、次に日本国の総理になられる方ですから、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思うわけでございます。
 最後に一つ、普天間飛行場の代替施設の使用期限の問題についてお伺いをさせていただきます。
 昨年十二月の閣議決定に従って適切に対処してまいりたいということを政府は繰り返しおっしゃるわけで、九月十二日の日米安全保障協議委員会の場でも話題には出した、辛うじて話題には出したという証拠だけは残っているわけでございますが、果たして、これは政府として、十五年という文言は正式な文書にはどこにも使われておりませんが、この使用期限の問題、どういう決意で取り組まれていくのか。単なる努力目標なのか、アメリカに伝えて、伝えるだけ伝えました、わかってくださいよということなのか、それとも、しっかりと沖縄の方々の気持ちを体にしみ込ませて実現をしていく政策目標なのか、最後に御答弁をいただきたいと思います。
#136
○河野国務大臣 この問題は、普天間飛行場の代替施設をつくるための議論を日米間でしているわけでございますが、私どもとしては、代替施設の問題についてアメリカと話し合う、それは、国際情勢とかそういうものを先ほどから申し上げているように話し合い、認識を同じくするということが重要なわけです。そういう話し合いで代替施設というものはつくられるんだけれども、しかし一方で、沖縄の知事の御意見あるいは名護の市長の御意見というものは、やはりこれは重く受けとめる必要がありますよということをあえてこの閣議決定の中には取り入れて、知事の意見、市長の意見というものは取り上げていきましょうということにしているわけです。
 ですから、先ほどから議員がSACOの最終報告について触れて、米軍基地の整理統合という話をされました。これはもう現にSACOの報告に入っているわけですから、この基地の整理統合について我々は作業をしているわけでございますが、普天間飛行場の代替施設についても、これは一つは、現在の普天間飛行場周辺の住民の方々からも、これを移転すべしという非常に強い御要請もかねてからあって、これは橋本内閣でございましたか、米側との話し合いでこの移転について合意ができた。
 そこで、移転について合意ができたので、さて、どういう移転の候補地を決め、どういう作業をしていくか、こういう段階に今入っているわけで、これは日米で協議をしていくわけですが、その主たる日米協議の話し合いは、先ほど申し上げましたように、国際情勢でありますとかそうした問題について話し合うということになっているのですが、しかし、そこに知事、市長の意見というものを重く受けとめて取り上げようというのが我々の考え方だ、これが基本でございます。こうしたことをずっとやってきているわけでございます。
#137
○川内委員 ありがとうございました。
#138
○中野委員長 以上で川内博史さんの質問は終わりました。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
#139
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。土田龍司さん。
#140
○土田委員 自由党の土田龍司でございます。
 自由党を代表して質問するわけでございますが、たまたまきょうはアメリカの大統領選挙の開票日といいましょうか、まさに大接戦を演じている最中であるようです。先ほど十二時三十分のニュースを見ましたらば、一時ごろから接戦がさらにおもしろくなる時期だというふうに思います。多分外務大臣も、野党の質問に答えているよりも開票速報を見た方が楽しいんじゃないかと思うのですが、一時間おつき合いをいただきたいと思っております。また、外務省の方も、結果がわかりましたら、外務大臣にメモを差し入れていただいて教えていただければ、なお私もありがたいと思います。そのときの感想はそのときにお尋ねするといたしまして、予定した質問に入りたいと思います。
 今回の特別協定におきまして、駐留経費の負担はほぼ現協定の枠組みを維持し、光熱水料等の上限の引き下げなどで約三十三億円の削減という形で決着を見たわけです。しかし、なぜ三十三億円になったのか、その過程が余りよく見えてきません。
 先ほど、午前中の質問を聞いておりましたけれども、水道料金が高いとか電気をつけっ放しとか、あるいは娯楽施設が多いんじゃないかというのは大した問題ではないんです。外務大臣がおっしゃっておりましたように、外国に来て命をかけて職務を全うするという米軍の方々、生活様式が違うわけでして、それがぜいたくかどうかという三十三億円の問題に話を持っていくからこういった議論に集中してしまうのではないかと私は思います。後で質問しますけれども、北朝鮮に一千億やるならば、三十三億円ぐらいは大した問題ではない。我が国の安全保障を考えるならば、もっと本格的な議論があっていいんじゃないかと私は思っております。
 この米国側の駐留負担について、日本による戦略的貢献と位置づけてきたわけです。また、日本国政府も、日米関係全般並びに我が国を含むアジア太平洋地域の平和及び安定に重要な意義を有するものと位置づけてまいりました。しかし、報道で見る限りは、政府は、負担を削減するかしないか、そういった主に財政上の観点から交渉を行ってきたように感じられるのです。そのために、国民に、駐留経費が先ほど言いましたようにあたかもむだな経費で、水膨れしているような印象を与える。三十三億円の削減では少ないのではないのか、もっとまけさせろというようなことになってしまうわけです。
 交渉において、今後の日米安全保障体制のあり方について真剣な討議が行われたはずなんです。そうであれば、日米両国がいかなる点においてお互いの共通点を見出して合意に至ったのか、大所高所からどういった議論がなされたのか、そういったものをまず先に公開すべきであって、そうすることによって国民の理解は深まっていくのではないかというふうに思います。
 このような観点から、政府は国民に交渉の状況について積極的に情報を提供していくべきであると私は考えております。日米両国が合意に至ったまでの交渉過程について、詳しく外務大臣から御報告をお願いしたいと思います。
#141
○河野国務大臣 お答えを申し上げたいと思いますが、もし御関心があれば、大統領選挙の一時現在の票数についてちょっと申し上げたいと思います。
 とにかく、今議員がお話しのように大接戦でございまして、十二時二十五分現在では、百七十二対二百十七でブッシュ・リードということでございましたが、一時に入りました情報では、カリフォルニア州をゴアがとったということによりましてゴア、ブッシュは逆転をして、今、ゴア・リードという状況になっていると言われております。
 また、フロリダ州、これも大票田でございますが、フロリダ州におきましては、当初ゴアがとったという情報でございましたけれども、これはその後、もう一度計算し直せということで、ゴアがとったという報道は否定されて、まだどちらともつかないという状況でございまして、一時現在では、非常にかぎとなるだろうと言われていたカリフォルニア州の去就がゴアということで、ゴアがかなり有利になってきたのではないか、これは予測でございますから、そう言われております。
 もうこれ以後は、一時にカリフォルニア、ハワイ、オレゴン、ワシントン、この四州の投票が締め切られまして、あとはアラスカ州の投票が締め切られる。どうもこれを聞いておりますと、出口調査でございましょうか、締め切られると直ちにどちら優勢というのはかなりはっきり出てくるようでございまして、今の段階ではゴア二百三十ということで、若干ゴア有利という状況だということだけまず最初に申し上げておきます。
 今議員お尋ねは、この特別協定に入ります前に日米関係というものについてきちんとした議論というものがあったのだろうというお話がございました。
 これは、きょう池田外務大臣もいらっしゃいますし、高村外務大臣も御出席でございますが、いずれも、池田外務大臣当時には、たしか池田、オルブライトさんとの間でこの安保条約については相当突っ込んだ議論、そしていわば見直しとでもいうべき議論が行われ、橋本、クリントン、首脳同士でも、この安保条約についての再確認といいますか、そういった作業が行われたことがございます。また、高村大臣のときにも、再三、外相、国務長官レベルの御議論というものがございました。
 今回、これはたまたま五年の特別協定が切れて新たな五年ということで今この議論になっているわけで、安保条約の問題については、これは不断の議論、不断の日米両国の間の協議が行われるということでなければならないと思っておりまして、ここで改めて日米安保条約ということももちろんございますけれども、安保条約については今申し上げたように不断の議論が行われていたということをまず御理解いただきたいと思います。
 そこで、五年間という特別協定の期限が切れるということで新たな特別協定をお願いしているわけでございますが、これも先ほど御質問にお答えをいたしましたように、一月の防衛庁長官とアメリカ側との話し合いが閣僚レベルでは言ってみれば皮切りになりまして、ことし一年間でも、閣僚レベルでも大変多数の会談が持たれたわけでございます。そこで政治的議論というものがございまして、それを受けて閣僚レベルの議論が行われたわけでございます。
 確かに、議員が御指摘になりましたように、この特別協定については、三十三億円という数字にどうも矮小化された議論というものがあるではないかという御指摘は、そのとおりと私は思います。むしろ、日米安保条約が円滑に、スムーズに運用される、あるいは効果的に運用されるということがどうやって保たれるかということが重要でございまして、そういう意味からこの特別協定について考えなければいけないと思います。
 ただし、国民の税金を使うわけでございますから、この議論をするときに大事なことは、やはり、節約、合理化、これはやっていただかなければならぬということでございまして、特に今度の特別協定の場合には、節約、合理化というものをアメリカとの交渉の大事な部分としてきたことも事実でございまして、それらを受けて数字がこういうことになったというふうに御理解をいただきたいと思います。
#142
○土田委員 外務省の方の我々議員への説明とか、あるいはまたマスコミの質問なんかもそうだと思うんですが、どうも、景気が悪いときなものですから、三十三億円まけさせたんだというのが全面的に出てくるとこういった論議になってしまうんじゃないかという感じを私は持ちました。
 次の質問ですが、米軍基地が集中している沖縄で、米軍の活動が起因となる環境問題が非常に深刻な状況となってきているわけです。ことし八月に沖縄県が発表した地位協定の見直し要請においても、環境条項の新設を求めているわけです。
 これに対して日米両国は、本年九月に行われた2プラス2会合で、施設・区域に隣接する地域住民、在日米軍関係者及びその家族の健康、安全を確保するために、環境原則に関する共同発表を表明いたしました。この原則によって在日米軍の環境基準は、一般的に日本の関連法令の基準を満たし、あるいはまたそれを上回るものになったというふうに思います。
 また、在日米軍を原因とする環境汚染についても、米国政府が浄化に取り組むことが確認され、施設・区域の環境保全について一応の改善が見られることになったと思います。
 しかし、情報交換及び立ち入りについては、両政府は、合同委員会で定められた手続に従い、施設・区域への適切なアクセスを提供する、これは、共同環境調査やモニタリングを目的とするアクセスを含むとしているわけですが、環境調査の結果の公表については特に述べられていないわけです。
 今日、情報公開の重要性がますます比重を増しているわけでございますけれども、住民の生活と密接にかかわる環境調査には迅速な調査結果の公表がどうしても必要であると考えるわけです。この共同発表の環境原則について、調査結果の公表についてはどういうような扱いになるのか、お伺いしたいと思います。
#143
○河野国務大臣 この環境原則に関する共同発表は、2プラス2の折に日米で合意をして決めたものでございます。
 議員が今御指摘になりましたように、環境の問題は、基地周辺の住民の皆さんを初めとして、基地で働かれる方々もそうでございますが、大変関心が高いし、それから当然この問題には我々も重大な関心を持つ必要があるというふうに思っておるわけでございますが、日米間の協議によりまして、今御指摘のように、日米双方の法令で重い方といいますか、日本側で定めた法令、アメリカ側で定めた法令、両方の法令のうち厳しい方の法令をとるということになっているわけでございますから、今まさに議員がおっしゃったように、これは両国の間で相当厳しいルールが決まったというふうに見ていただいて結構だと思います。
 公表の問題でございますけれども、今これも議員御指摘のように、健康に影響を与え得る事項に関する適切な情報の提供のため、これは双方が十分に協力するということになっております。例えば「共同環境調査及びモニタリングを目的とするアクセスを含む。」と書いてございますが、具体的なことを申し上げますと、厚木の飛行場の大気汚染問題について言えば、日米共同のモニタリングが行われておりまして、このモニタリングの結果についても、本年三月以降の最新の調査結果について、現在、環境分科委員会において米側と共同で取りまとめ作業を行っておりますが、まとまった段階でそれぞれの関係先から公表をする予定になっております。
#144
○土田委員 外務大臣も私も神奈川県の出身でございますので、ちょっと神奈川県のことを質問したいと思います。
 在日米軍の厚木基地に隣接する株式会社エンバイロテックというんですか、前の名前が神環保の焼却炉から大量のダイオキシンが発生している、日米両国間においていまだ懸案事項となっているわけです。
 同社がダイオキシン類の有害物質を低減させるバグフィルターの設置を行ってダイオキシン濃度が下がっていることや、米国側の強い要請を受けて今年度予算で十一億円の予算を組んだ高煙突化、そういった姿勢も見えていることから、解決に向かっているというふうに私も思います。
 一方で、同じ厚木基地を有する大和市と綾瀬市においては、同基地での夜間発着訓練が両市の中止要請にもかかわらずことしの九月に行われ、近隣の住民はその騒音に非常に困っている。大臣御存じのとおりでございます。
 この神環保問題については、政府はアメリカから要請があると即座に対策を立てるんですが、この騒音問題のように近隣住民の要求に対してなかなか腰を上げないというふうに私には感じられるんです。それによって、何ら問題解決の兆しがいまだに見えてこないわけです。
 基地の存続には地域住民の理解がどうしても必要不可欠でありまして、このような不公平感といいますか、アメリカが言えばすぐやる、地元住民がやるとなかなか腰を上げない、こういったことについては日米安保の効率的な運用にならないと私は思うんですが、政府の考え方をお伺いしたいと思います。
 また、環境原則に関する共同発表ではNLP等による騒音問題についても対象になっているかどうか、これもあわせてお伺いしたいと思います。
#145
○河野国務大臣 お互いに地元の問題でございますから、地元の市長さん、地方自治体がどういう心理状態にあるかということもお互いによく知っているわけでございます。
 そこで申し上げるわけですが、神環保の問題につきましては、これも恐らく議員は現地も御承知だと思いますが、この煙突から出る煙は非常にたちの悪い煙でございますが、この煙が米軍のアパートといいますか住宅に、煙突は低いところにあって、その煙突のちょうど一番てっぺんが丘の上にある住宅にもろに吹きつける、こういう地形になっているわけでございます。
 そこで、どうも米軍の家族に対してはすぐ敏感に反応するじゃないか、こういうことをよく言われるわけですけれども、私は、必ずしもそうではなくて、あの基地の中で働く人の中には日本人の方々もたくさんおられる、それからあの基地に隣接して工業団地もあって、その工業団地はもちろん日本の中小企業を初めとする工場がたくさんあるわけで、そこにも大きな影響があるわけでございますから、神環保のつくり出す悪い影響というものは、あの周辺に住む人たちにも当然それが降りかかってくるというふうに思います。
 しかし、基地の部分が大きいものですから、周辺住民といっても住民が必ずしも三百六十度いるわけでもないということもあって、NLPであるとかデモフライトであるとか、そういう騒音の被害を受ける人に比べると数が少ない、その結果、不満を言う、こういうことはいかぬじゃないかという声がどうも余り大きくなかったんじゃないか、そういうことをおっしゃる方もあるわけです。しかし、私は、声の大きさだけが問題なのではなくて、やはりどんな場合であってもどんな場所であっても、問題はしっかりと受けとめて解決をしていく必要があると思っています。
 とりわけ、神環保の問題は、確かに議員がおっしゃるように、米軍が非常に敏感な問題として取り上げて、首脳会談の議題にもなるぞというようなこともあって、この問題をできるだけ早く処理しなければいけないと言われた時期もございます。そして、今議員御指摘のように、私どもとしては着々と問題解決の作業をしている、神環保の問題はそういう問題でございます。
 一方、騒音問題は、これはなかなか面倒で、この騒音問題はそう簡単に片がつかない状況でございます。
 NLP、夜間離発着訓練の問題は、この問題を処理しようということで、硫黄島に訓練基地をつくってそちらで訓練をしてくれということでNLPの騒音は片をつけるという計画をしていたわけです。御承知だと思いますが、当初は硫黄島ではなくて、もう少し近い島を選んで訓練基地をつくろうということであったわけでございますけれども、やはり住民の方々の御理解がいただけずに、結局硫黄島に訓練基地をつくる。硫黄島といえば、千二百キロからの距離がある。それは訓練をするといっても、戦闘機が大変な能力をフルに出していっても練習場まで小一時間かかる、中には訓練機その他を持っていくのに二時間、三時間かかってしまう、あるいは訓練をするためにはほかの人間も運ばなきゃいかぬというようなこともあって、遠隔地はいいか悪いかということで議論があったことも事実なんです。
 しかし、そうはいっても、とにかく当面我々が提供し得る訓練地はここしかないのだからここでやってくれという話で、日米で結果話がついて合意をして硫黄島に訓練基地をつくるということになって、そこで、我々はとにかく話はついたわけですからこれでNLPの問題はもう片がついたというふうに思っていたわけですが、それがなかなかそう簡単ではなくて、硫黄島で訓練をするのは年間全体の八〇%だ、残る二〇%はどうしてももとの場所に戻ってしまう。
 それは、二割というと、多少悪天候の問題があったりいろいろな問題があって、二割でも困るな、できるだけもっと行ってほしいといいながら、八割が向こう、二割ぐらいが残るなと言っておったんですが、ことしに至ってそれが、先ほどどなたかからも御指摘がありましたが、大変状況が悪くなって、逆にもう八割近くが、七割五分ぐらいが本州で練習が行われる、硫黄島へ行くのは二割五分しか行かないというようなことになりまして、これはアメリカとの間で、話が違う、ちゃんと合意したとおりやってほしいということを我々は強く言って、何としてもアメリカに、もっときちんと訓練の場所を硫黄島にしてもらうという話をしなければならないというふうに思っております。
 それからもう一つは、NLPではなくて、常時飛行場を使う、その飛行場の騒音についてもまた飛行場周辺の方から見れば問題がある、これをどうするかという問題もあるわけです。
 これについては、これはまた基地を動かさない限りなかなか解決をしない問題でございますが、周辺住民の方々に対していろいろと補償をする、防音装置をつけていただく、そういったことを一生懸命やる。それから、米軍に対しても、周辺住民の騒音に対する問題を軽減するための注意を払ってほしいということで、例えば飛行機を飛ばす時間帯を考えるとかいうことの努力は米側もしているという状況でございます。
 三つの問題それぞれに努力はいたしておりますけれども、なかなか完全に片がついたと御報告申し上げられないのはまことに残念でございますが、私といたしましても、でき得る限り基地周辺の方々のそうした気持ちを体して、これは無理な要求ではございません、話し合いがついている問題でもあるわけでございますから、できるだけ問題を早期に円満に解決するべく努力をいたしたい、こう考えております。
#146
○土田委員 時間の関係がございますので、幾つか質問を飛ばしまして、アジア太平洋地域における安全保障と経済の関係について外務大臣にお伺いしたいと思っているんです。
 冷戦終結後においても、宗教や民族などに根差す対立が紛争として顕在化するなど、国際情勢は依然として不透明、不確実な要素をはらんでおります。アジア太平洋地域においても、中台関係、インドネシアの民族独立運動など、さまざまな不安定要因が存在しています。
 こうした理由から、日米安全保障体制の意義はいささかも減じてはおらず、引き続きこの地域の平和と安定を維持するために米国の関与や米軍の展開を確保することが必要とされ、米国と地域諸国との間で構築された同盟友好関係と相まって極めて重要な役割を果たしていることは当然であると思っております。
 しかしながら、地域の平和と安全、繁栄と発展は、政治的、軍事的な意味で安全保障を確保しさえすれば成り立つというものではありません。経済的な要因もその大きな要素であって、地域の経済的な繁栄、発展が重要であるということもまた疑いありません。
 そうした意味で我が国のODAは経済分野における安定に大きな貢献をしているものと考えますけれども、我が国の東南アジア地域におけるODAの位置づけについて、政府の見解をお尋ねしたいと思います。
#147
○河野国務大臣 我が国と東南アジアは、地理的、歴史的に大変深い関係がございます。政治、経済、その他の面で密接な相互依存関係を有しております。また、近年の目覚ましい経済発展により、国際的な役割も拡大をいたしております。
 一方、九七年に始まった通貨・金融危機が、東南アジア諸国に内在する経済構造の脆弱性、人材の不足、貧困などの諸問題を顕在化させました。また、各国間及び各国国内の経済格差の問題、環境対策のおくれなど、持続的な経済成長の阻害要因がまだ多く存在しており、この地域には依然として多大な援助需要があると考えているわけでございます。このような観点から、東南アジアは我が国ODAの重点援助地域と我々は見ているわけでございます。
 我が国は、東南アジアの安定と繁栄は我が国のみならず世界の平和と繁栄にとり極めて重要との認識のもと、今後も同地域への経済協力を積極的に実施していきたいと考えております。
#148
○土田委員 ありがとうございます。
 ODAと並んで、我が国からのアジア太平洋地域に対する直接投資も、資本の移動、技術の移転、人的交流の拡大という面から同地域の経済的発展に大きな寄与をなしていると考えられますが、東南アジア地域の投資環境について、政府の総合的な評価を御説明ください。
#149
○河野国務大臣 通貨・金融危機に見舞われました東南アジア諸国は、一時期、外国からの投資の落ち込みを経験したものの、その後、国際的な金融支援によりまして、通貨の安定及び国際流動性の確保を実現いたしました。さらに、不良債権処理の推進などを通じて投資環境の改善に努力をしているものと承知をいたしております。
 我が国としても、東南アジア諸国と投資環境改善のための協議やASEAN貿易投資観光促進センターを通じた支援などによりまして、我が国の東南アジア諸国への投資が円滑に行われるよう努めてきており、今後とも東南アジア諸国におきます投資環境改善努力を促していきたいと考えております。
    〔委員長退席、安住委員長代理着席〕
#150
○土田委員 ありがとうございます。
 さらに進むのですが、次に、アジア諸国に対する民間投資で、今答弁もございましたが、政府との間で許認可等について問題が発生しているという報道がございます。
 九七年から始まったアジア経済危機ではいわゆるクローニーキャピタリズムが批判の的となりましたが、例えば、現在フィリピンにおいて、日本の投資家のみならず諸外国の投資家が、政府の政策決定あるいは経済界に対して大きな影響力を行使していると見られるいわゆるクローニーによる被害を受けていると聞いております。また、新聞もそのように報道しておりますが、こうした実態を政府はいかに把握しておられますか。
#151
○河野国務大臣 幾つかの事例について我々も報道等で承知をいたしておりますが、全般的に申しまして、多くがそうだというふうには感じておらないのでございます。
#152
○土田委員 これは一例なんですが、報道によりますと、日本で航空事業を営む企業が日本とフィリピンの物流インフラ整備の一環として、政府の認可を受けて九七年八月に、フィリピン政府企業とともに日比合弁の貨物航空会社、CLAエアトランスポート社を設立しています。
 同社は、前のラモス政権下ですべての許認可を取得し、貨物分野でのフラッグキャリアとしての承認も受けておりまして、九八年十二月からの日本への貨物定期便の運航開始に向けて航空機材も購入し、準備を整えていたわけです。しかしながら、九八年七月のフィリピンの政権交代を機に情勢が大きく変わってしまいました。いわゆるクローニーの影響によって、一度与えられたはずの成田の発着枠が突然取り消され、発着枠はフィリピン航空に振り向けられ、CLA社の貨物便運航の見通しがつかなくなってしまったと新聞は報道しております。
 この日本企業は、本問題に関して、外務省に対して再三支援を求めたと報道されていますが、こうした事実を大臣は承知しておられますか。承知しているとしたら外務省としていかなる対処をされたのか、御説明を願いたいと思います。
#153
○河野国務大臣 いろいろ連絡は受けていると報告を受けております。先ほど申し上げましたが、このCLAエアトランスポート社の問題につきましては、私としてもその事柄については承知をいたしております。
#154
○土田委員 承知をしておられるということだけではちょっと残念なんですが、この投資を行っている日本企業は、あらゆる機会において現フィリピン政権は外国投資家を公正に扱っていないと問題提起を行っているわけです。本件は外国企業の投資保護にかかわる非常に重要な問題だと主張しております。やはり投資保護に対する問題であると。
 また、去年六月に東京で行われた日比首脳会談の席上で、当時の小渕総理はエストラーダ大統領に対して直接に、投資環境を整備して日本からの投資を公正に扱うよう要望したと報道されましたし、私もそれを承知しております。この要請に対してフィリピン側の対応はその後どうなっているのか。外務省が承知はしているんでしょうけれども、どういった対応をとってこられたのか、御説明を願いたいと思います。
    〔安住委員長代理退席、原田(義)委員長代理着席〕
#155
○河野国務大臣 昨年六月の日比首脳会談で小渕総理から、我が国投資家の意欲をそがぬよう、貴国政策の一貫性、透明性及び公平性を確保し、投資環境の整備、維持に善処を求めたいと申し入れたのに対しまして、エストラーダ大統領より、今後とも投資分野の自由化を進めてまいります、また、投資環境整備のためにも、国内の治安、秩序の維持にも努力をいたします、投資家に対するサービス向上も考えていきたい、こういうお答えがあったという報告を受けております。
 昨年十一月の日比首脳会談でも、これはマニラでございますが、小渕総理から、投資環境の整備のために指導力を発揮してもらいたいと申し入れたのに対して、先方大統領より、投資環境の整備に意を用いていると御答弁がございました。
 また、昨年八月の町村外務政務次官のエストラーダ大統領表敬の際にも、対フィリピン投資環境の整備について申し入れも行っております。
 首脳レベルのほかにも、これまで駐フィリピン日本大使を初め事務レベルでも、投資環境の整備につき、フィリピン側に累次にわたって申し入れを行ってきておるところでございます。
    〔原田(義)委員長代理退席、委員長着席〕
#156
○土田委員 投資環境の整備を具体的に進めなきゃならないということでございまして、日本からお願いをした、向こうはわかりました、話は進まないというのが実感としてあるわけですね。
 やはり、投資保護協定について、日比間でこの協定が結ばれていない。投資保護協定が締結されていれば、投資家は、裁判を受けたり行政機関に対して申し立てをする権利があるわけでございまして、内国民待遇及び最恵国待遇が与えられ、紛争の解決にも道が開かれるわけです。投資の増加、経済関係の拡大及び緊密化を促進し、投資活動に伴う人的交流を促進し、両国の友好関係を大きく進めるために投資保護協定が必要と思うわけです。
 本件のような事例を解決するにもこの投資保護協定が大きく寄与するわけでございますが、フィリピンとの投資保護協定について具体的な検討がされているかどうか、お尋ねしたいと思います。
#157
○河野国務大臣 率直に申しますと、現在、投資保護協定について具体的な検討は行われておりません。
 一般に投資保護協定の締結につきましては、我が国からの投資実績でございますとか我が国経済界からの要望などを踏まえて検討することにいたしておりまして、フィリピンとの投資保護協定につきましても、このような全体的な方針の中でその可否を検討していくというのが考え方でございます。
#158
○土田委員 前向きにといいましょうか、問題解決をぜひ進めていただきたいと思います。
 外務省の方に以前話をしたこともございますけれども、ほとんど打つ手がないといいましょうか、一生懸命やっているんだという回答ばかりでございまして、投資保護のための、こういった象徴的な例でございますけれども、日本企業が非常に被害を受けているということについて、ぜひ外務大臣の努力をお願いしたいと思います。
 次に、北朝鮮の米問題なんです。これは午前中いろいろな方々が質問されましたが、我が党も、一応自由党はこれだけ真剣に考えているということを示す必要がございますので、答弁は簡単で結構なんですが、質問をさせていただきます。
 先月初めに北朝鮮に対して、国連から要請があった十九万五千トンを大幅に上回る五十万トンの米支援を決定したわけです。報道によりますと、先月の第十一回日朝国交正常化交渉では、北朝鮮側から一言謝意の表明があっただけで、交渉の進展に効果があったようには見えません。しかも、支援はすべて国産米で行われるわけでして、今回の米支援のために、国民負担は一千億を超えるものとなっております。北朝鮮のたった一言をもらうための代償としては余りにも高くつくんじゃないかなという感じがするわけです。
 この五十万トンの米支援について、一九九七年の与党訪朝団による密約説も指摘されておりますし、これが事実ならば、北朝鮮にとっては三年越しの約束が実ったという程度の軽い気持ちじゃないかというふうな印象を受けます。
 今回の五十万トンは、河野外務大臣の政治決断によって決められたというふうにされておりますけれども、大臣は、この五十万トン出すことによってどのような効果を期待して政治決断をされ、その結果は大臣が意図していたものそのとおりになったかどうか、お伺いしたいと思います。
#159
○河野国務大臣 きょう午前中にもいろいろ御質問があって、御答弁を申し上げました。重複するといけませんから、できるだけ簡単に御答弁をさせていただきます。
 WFPからのアピール等を受けまして、年内そして来年分も含めて相当数の不足分が出る、相当数というのは少し乱暴ですが、百万トン近い不足分が出るというふうに見られて、その半数の五十万トンを日本から支援しよう、人道的支援をしようという決断をしたわけでございますが、その決断に至りますまでには、日朝間の若干のやりとりもございましたし、それから、韓国あるいはアメリカ、そういったこれまで北朝鮮に対する対応で政策調整をしてまいりました国々の意見も私なりに聞いて、十分検討をした結果の決断でございます。
 あくまでも米支援は人道的支援、しかし、その数量あるいはそのタイミングについては総合的な判断というのが私の御答弁でございますが、私としては、やはりこの時期に五十万トンの支援をするということは北に対して相当なインパクトがあるだろう。つまり、これだけ足らないからこれだけやれよと言われて、そうですかといってそれの六割、七割出すよりは、ここで思い切って五十万トン出すということの持つインパクトと申しますか、意味と申しますか、そういうものがあるだろうということを私なりに判断をいたしました。これらについては、決して私一人の判断ではなくて、先ほどから申し上げましたように、国内外の北との関係を持った人たちの意見も十分そんたくをしてのことでございます。
 結果といたしまして、北からは、洪成南内閣総理から森総理あての謝意を表明する電報がございましたし、日朝交渉でも、この問題については先方から言及があったところでございます。
 さらば、おまえの期待するものとどうだったか、こういうお尋ねでございますが、私自身は、この人道支援、今回の人道支援で何が戻ってくるということ、一回限りで、これを出したからこれが来るということではなくて、これから行う日朝交渉の上で日本に対する北側の見方というものに大きな変化があればいいというふうに考えておりまして、まだまだこれから日朝交渉は相当しっかりとやらなければならないわけでございまして、その土台ができたかなと。
 しかし、私は繰り返して申し上げますが、あくまでも米の支援は人道的支援であって、政策的に何かを意図して出したということではございません。ただ、人道的支援でございますけれども、その人道的支援を行うタイミングでありますとか数量でありますとかということは総合的な判断をしてやった、こういうことでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
#160
○土田委員 拉致問題も人道的な問題でございまして、先月の三十日と三十一日、日朝国交正常化交渉が行われたわけですが、北朝鮮側の強い要望ということで過去の清算について話し合われたということが報道されましたけれども、これだけなんですね、具体的な交渉内容は明らかにされていません。しかし、我が国の代表団は、当然北朝鮮に対して非人道的な拉致問題の解決を求めたはずだとは思うのですね。
 この問題の解決なくして国交正常化はないと思うのです。今の日本の雰囲気からして、これはもうあり得ない。拉致問題は、我が国の国民の人権、さらには国家主権の侵害にかかわる重大な問題でありまして、この問題をうやむやにしたまま国交正常化を行うということになるならば、我が国はもはや国家の体をなしていないというふうに言われてしまうんじゃないかと思います。
 拉致問題の解決は日朝国交正常化のために絶対的な条件であるという強いメッセージを北朝鮮に対して送るべきであると思いますが、外務大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
#161
○河野国務大臣 先般の日朝交渉におきましては、もう交渉がその接点を探るという場面に差しかかってきております。先方との約束によりましてその議論の中身については公表しないということになっておりますが、私は、交渉団に対しまして、国民の意見をきちんと踏まえ、国民の期待にこたえる態度で臨めということを指示してございます。当然そうした私の指示というものは交渉団に対して影響があったというふうに私は考えております。
#162
○土田委員 とはいいますけれども、国交交渉に何ら進展がないまま五十万トンの米支援を行い、KEDOにも資金を拠出し、ミサイル問題でも資金拠出を行うということになれば、北朝鮮としては我が国との国交正常化を急ぐ必要はなくなってくるんですね。過去の清算というカードを持ったまま我が国を揺さぶり続ける方が得だという思いを抱くかもしれません。我が国の持つ唯一最大の外交カードが経済協力などの資金カードであって、バスに乗りおくれるななどという安易な姿勢でなし崩し的にカードを切ることは国益を損なうものであるというふうに私は思っております。
 今後の交渉において、拉致問題の解決を国交正常化の絶対条件として、この問題が解決されない限りはいかなる支援、経済協力も資金拠出も行わないという姿勢で交渉に臨むべきだと思いますが、大臣はどのように考えられますか。
#163
○河野国務大臣 今議員がお触れになりましたKEDOの問題について少し申し上げたいと思います。
 KEDOというプロジェクトは、北朝鮮が黒煙炉型の原子炉で発電をする、この黒煙炉型の原子炉で発電をするということになると、これは非常に危険なものが残ってくる、ウランが残ってくるということがあって、アメリカ、韓国、日本と相図ってKEDOプロジェクトというものをつくって、黒煙炉型の原子炉を封鎖して、そして軽水炉型のものに取りかえるという交渉をして、それを先方がのんで、そのかわり新しいものはつくってくれ、こう言われて、アメリカ、韓国、日本が、それはつくりましょう、そのかわり、黒煙炉型のものは閉鎖、ばらしてしまうということにきちっとしますねというやりとりからKEDOプロジェクトというものができたわけです。
 したがって、このKEDOプロジェクトというものは、核の拡散を防ぐという問題があるわけです。この核の拡散を防ぐというのは、私が申し上げるまでもございませんけれども、国際社会全体に、核の恐怖といいますか、核の脅威を取り除くための努力でございまして、この問題はこの問題としてやはり考えていかなければならないだろうというふうに思っております。日朝問題が思いどおりいかないからKEDOプロジェクトもおれはやらないんだということであってはやはりぐあいが悪い。これはやはり国際社会の全体の問題だ。
 したがって、私は、国際会議に参りますと、ヨーロッパにもあるいはアジアの方々にも、KEDOに対する支援をしてほしい、財政支援をしてほしいと。なぜかといえば、この問題は何も北東アジアだけの問題じゃなくて世界全体の問題なんだからということを私は申しておりまして、ヨーロッパからも、最近は、ごく若干でございますけれども、支援が届くようになってきているということがあるということを御理解いただきたい。
 そして、日朝交渉につきましては、私は、日本の原則というものはきちっと守りたい、こう考えております。守っていかなければならないと思っております。
#164
○土田委員 その件は終わりにしまして、次に、中国人の日本国内における犯罪の増加について伺いたいと思います。
 近年、来日外国人による犯罪がふえております。警察白書によりますと、平成十一年の外国人刑法犯の検挙件数が前年比の一五・九%増で二万五千百三十五件、検挙人員が一〇・八%の増で五千九百六十三人、約六千人となっており、凶悪犯、窃盗犯の増加が目立っているとされております。刑法犯の国籍別検挙情報を見ますと、中国が圧倒的に多くて、検挙件数で四八・九%、検挙人数で全体の四五・六%、ほぼ半数を中国人の犯罪が占めているわけです。
 特に、中国の国際犯罪組織蛇頭は、組織的に密航の請負を行ったり、密航請負料の取り立てをめぐって殺人や誘拐などの犯罪を引き起こしております。また、銃器、覚せい剤などの密輸や、不法滞在の中国人から集めたお金を中国に送金するというような地下銀行の存在など、中国人絡みの犯罪は看過できない状況にあるのではないかと思います。
 昨年七月の小渕首相と朱鎔基中国首相の会談において、国際組織犯罪に対する協力について話し合いが行われました。十二月には日中治安当局協議が開催され、集団密航や薬物密輸対策などについて合意されたとのことでございますけれども、ことしに入ってからも外国人刑法犯は昨年を上回るペースで増加しているわけです。特に、ピッキングと呼ばれる手法によって金庫破りや事務所荒らしを重ねる中国人グループの摘発が相次いでいるわけです。
 そこで、中国政府は、果たして本気でこういった集団密航や国際犯罪組織を取り締まる意思があるのかどうか。現状を見るとやや疑問に感じるわけでございますが、中国側の取り締まりについて、政府の見解をお尋ねしたいと思います。
#165
○浅野政務次官 土田委員御指摘のとおり、我が国において中国人による犯罪が増加傾向にあることは、まことに深刻な事態になっております。
 中国政府自身も、密航問題、特に蛇頭などによる御指摘のような組織的な密航が拡大していることを問題視しておりまして、最近とみにその取り締まりを強化していると承知をしております。また、中国の公安部門は福建省を中心とする沿岸部において取り締まりを強化しているという連絡をいただいております。
 また、中国政府は、主な密航目的地の一つである我が国との協力の強化を積極的に進めたいと言ってきておりまして、日中間では、従来行ってきた領事当局間協議に加えて、去年十二月、北京において治安当局間の協議を始めております。これらの協議、話し合いを通じて中国人による犯罪の問題について論議を進め、捜査面での協力、取り締まりにかかわる技術協力、連絡体制の整備、それらの点で日中間の協力を強めていく必要を感じております。
 外務省といたしましては、関係省庁とも密接な連絡をとりながら、今後とも中国と協力しつつ、この問題に対処していく考えであります。
 御指摘のとおり、日本国内における中国人の犯罪が全刑法犯の中で半分を占めるというのは容易ならざる事態でありますので、委員御指摘の問題を十分認識して、中国側との連携を強めてまいります。
#166
○土田委員 大変立派な御答弁をいただいたんですが、努力しています、やっていますと言いながらも、犯罪は反比例してふえているわけでございます。
 今答弁をいただいたのは中国側の対応ということですが、直接外務省じゃないにしても、外務省と関連するわけでございますので、国内的にはどういったことをやっておられますか。犯罪対策についてどういったことを、外務省とほかのところと協議するなり、具体論があったらお聞かせください。
#167
○浅野政務次官 外務省は従来から、個々の事件に関しましては、警察当局との間で、捜査共助や犯罪取り締まり等に関する協力や交流を、国内同士でやっているだけではなくて、お互いに外交ルートを通じて側面支援の形で情報をとるなど、中国側とも捜査の強化をしております。警察庁を初めとした関係省庁と密接に協議、協力をしておりまして、これは、中国側に取り締まりを依頼するだけではなくて、国内の問題としての認識も十分持たせていただいております。
#168
○土田委員 時間が来たようで、三分前だそうですから、最後に一問だけ、ちょっと国家試験にかかわる問題をもう一つ提起したいと思います。
 それは、平成十四年版の中学校の歴史教科書の検定をめぐって、元外交官の教科書検定調査審議会委員が、特定の出版社の教科書を不合格にするよう多数派工作を行っていたと報道された問題です。
 この元外交官の行為自体も、他の委員に予断を与え、審議の公正さを損ないかねないものでありまして、この元外交官は十月三十日に検定調査分科会から価格分科会に配置がえとなって、事実上更迭されました。
 しかし、より問題なのは、この件に関して外務省の教科書問題担当課長が元外交官と協議を行っていたとされることでありまして、さらにその背景として、中国政府が特定の教科書に懸念を表明し、旧日本軍の残虐行為の記述を減らさないよう求める圧力を我が国の政治家や政府高官にかけていたとされることであります。
 事実に反する記述があるならともかく、外国が我が国の教科書の記述内容にまで注文をつける権利があるのかどうか。我が国がどのような教育を行うかはまさに我が国の主権にかかわる問題でありまして、このような圧力があったとすれば、それは内政干渉であります。中国からこのような圧力があった事実があるのか、政府の見解をお尋ねします。
#169
○浅野政務次官 委員御指摘の委員は外務省のOBでありまして、そうした関係で関係課に対して照会がございました。
 韓国、中国の報道ぶりや中国外交部スポークスマンの発言などの事実関係について説明したことはありますが、検定審議会で議論されるような問題について協議したという事実はございません。この委員は個人の資格で審議会のメンバーとなっているものでありまして、外務省としてはこの委員の活動について関与してはおりません。
#170
○土田委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#171
○中野委員長 以上で土田龍司さんの質問は終わりました。
 次に、赤嶺政賢さん。
#172
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 私は沖縄の立場から、今度の思いやり予算、特別協定の問題について伺いたいと思います。
 政府は、一九七八年以来、思いやり予算と名づけて日米安保条約や地位協定上も負担義務のない米軍駐留費を負担し、一九八七年には特別協定を締結、一九七八年以来の思いやり予算の総額は三兆四千七百七十五億円に上っています。今では、米兵の給与を除いた在日米軍駐留費の七割を日本側で負担するようになっています。まさに、思いやり予算がなければ米軍基地も維持できない、こういうところにまで財政負担が大きくなってきています。
 思いやり予算に支えられて、沖縄県では、世界に例のない規模と過密さで米軍基地が強化され、基地の重圧に苦しめられている県民との矛盾を激化させ、本土でも、低空飛行訓練、夜間離着陸訓練、NLP、実弾砲撃演習など、米軍による横暴が広がっています。
 言うまでもなく、米軍への思いやり予算は米軍地位協定の規定によるものではありません。しかも、最初の思いやり特別措置協定、一九八七年の協定はアメリカの経済危機への対応を口実としてつくられたものであり、思いやり予算の発足のときと違って、日本が史上最悪の財政危機にある中で思いやり予算を続ける理由はどこにもないと思います。思いやり予算を受け入れた日本政府の当時の立場からいっても、莫大な額の思いやりを実施する特別協定の更新は不当である、このように考えています。
 特に、沖縄の立場からいえば、県民の命と生活を脅かす元凶である米軍基地と米軍部隊になぜ思いやり予算をつぎ込み、これを引きとめるのか、こういう疑問が非常に強く存在しています。
 ところで、先月十一日にアメリカの元政府高官や安保問題専門家らが、アメリカと日本、円熟したパートナーシップに向けた前進と題した特別報告を発表いたしました。当委員会でも何名かの委員の方々が取り上げて論じられてきた問題ですが、私は角度を変えて伺いたいと思います。
 この中で、特に沖縄に集中した米軍基地について、沖縄人が持っている負担を軽減することが不可欠だ、こう述べているわけですね。そうすることで我々のプレゼンスは維持でき、信頼できるのである、沖縄における基地の整理縮小が我々のプレゼンスにつながっていくのだ、こう述べているわけです。日本における軍事構造についてのアメリカ人の考えは、SACO合意で中止してはならないということだ、アメリカは海兵隊のために、地域の全体でより広い柔軟な展開と訓練の選択を考慮すべきだと論じています。
 もちろん、この論の中には、集団的自衛権や、アジアに米軍基地をもっと建設しようだの、私たちとしては同意できない面もありますが、ただ、注目すべきは、やはり今後の基地問題、安保問題を考えていく上で、過密な沖縄の基地を、SACOにとどまらない解決、新しい解決を求めているところにあると思うのです。
 外務大臣はこの論に、論全体ではありません、沖縄から基地をなくすことがいかに大事かと論じているこの点に賛成なのか反対なのか。また、この機会に、SACOにとどまらない沖縄米軍基地の削減をアメリカ政府に日本政府の側から逆に提起すべきではないかと思いますけれども、どのように考えておられますか。
#173
○河野国務大臣 議員のお尋ねでございますが、まず最初に、政府は思いやり予算と名づけてあれこれしたということをしきりにおっしゃるけれども、この特別協定を政府が思いやり予算と名づけたとか、政府が思いやり予算などと言ってやった事実はないということだけははっきり申し上げておきますので、どうぞその点は御理解をいただきたいと思います。
 最後にお尋ねになりました、いわゆるアーミテージ元国防次官補などアメリカの方々が研究をされた提案でございますけれども、この提案の中にございますSACOについての指摘についてお触れになりました。
 私はまず申し上げたいことは、SACOの最終合意、SACOの合意をまずしっかりと実行することが大事なのであって、SACOの合意がまだ途中である今、日本側から、さらに第二のSACOとでもいうのでしょうか、あるいは次のSACOとでもいうのでしょうか、そういうものをあれこれするという気分ではないのです。あくまでもまずSACOの合意を着実に実行するということが沖縄県民の方々にとっても重要ではないかというふうに私は考えております。
#174
○赤嶺委員 思いやり予算を政府が名づけたことはないとおっしゃっても、思いやり予算は、皆さん方の中から、これは非常にいいニックネームだということは外務大臣も先ほど認めていたわけでありまして、それが巷間こういう言葉として使われるようになった発生源は皆さんのところにあるわけですから、そういう言い方はおかしいと思います。
 それから、私は、SACOの解決もつかないうちに次のSACO的な解決、第二SACOをと言っているわけではありません。現に、あなた方が沖縄の基地問題として解決方向として出してきたSACOは、後でも論じますが、例えば日米地位協定も運用改善です。しかし、沖縄では、稲嶺知事を初め県議会でも、全県民が一丸となって日米地位協定の見直しなんです。つまり、あなた方のSACOでは沖縄問題は解決しない、行き詰まっているというのはこの面でも一つあらわれているわけですね。
 それで、今の思いやり予算の論議に戻りますけれども、この思いやり予算というのは、実はアメリカにとって日本に米軍を駐留させる理由として、本当に日本の方が安上がりだ、こういうことを言っているわけですが、このことは外務大臣、いかがでしょうか。
#175
○河野国務大臣 私は、議員とは見解を異にいたします。
 日米安保条約の重要性というのは、日本及びその周辺の平和と安全を維持するということが目的なのであって、安上がりだからどこに行ってもいい、それなら、もっと安いところがあるならそっちへ行くかというと、そういう問題ではないと私は思っているわけです。まさに日本とアメリカとの間の同盟関係、そういったものを考えて、日本及び日本の周辺の平和と安全ということを考えての米軍の存在というふうに私は考えておりますので、議員のように、安上がりだから来ちゃうんだろうというふうには私は全く考えておらないのでございます。
#176
○中野委員長 今お二人入ってこられましたが、この議場、定足数を切って久しくなります。先ほど来たびたび御注意を申し上げましたが、なお一層の御努力をいただきたいと思います。
 その間、暫時休憩いたします。
    午後二時十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十四分開議
#177
○中野委員長 それでは、再開をいたします。
 赤嶺政賢さん。
#178
○赤嶺委員 外務大臣は私と立場が違うということをおっしゃっておりますが、実は、立場の違う私がそう主張していることではなくて、アメリカが世界じゅうに同盟を張りめぐらせている中でも日本が一番気前がいいということは、アメリカの側からずっと言ってきているわけですね。
 首を振っておられますけれども、一九九二年に「アジア太平洋地域における戦略的枠組み」という文書の中でこう言っていますね。日本はまた、同盟国の中でもずば抜けて最も寛大な受け入れ国支援を提供している、接受国支援と考えてみても最も寛大だ、そして、日本の高レベルの支援によって、日本は我が国を駐留させるのにアメリカを含む世界で最も経費のかからないところだと。だから、アメリカは、日本に基地を置けば経費がかからないところ、こういう認識を持っているわけです。
 やはり、私は、沖縄から基地を減らすためにも、こういう思いやり予算というようなのは見直して廃止すべきだと思いますが、いかがですか。
#179
○河野国務大臣 議員は、「共同防衛に対する同盟国の貢献に関する報告」というものをお読みになって、その中から今お尋ねになったと思います。
 しかし、その報告書を詳細に読んでいただけば、各国が負担している米軍駐留経費の単純な比較及び評価は困難であるということを本レポートでは書いているわけでございます。そしてさらに、努力レベルの絶対評価を行うことは誤解を招きやすいとまで言っているわけでございまして、そこまで言っている報告書の中から適当な部分だけを読み上げられても、私は、そうでございますかと申し上げるわけにはまいりません。
#180
○赤嶺委員 適当なところを読んだんじゃなくて、書かれてあるところを読んだんですよ。書かれていないことを言ったんじゃないんですよ。
 それで、もう一つは、先ほどから北東アジアの情勢やら世界の問題をいろいろ論じてきましたけれども、実は、ソ連崩壊後、そのアメリカ自身が基地の閉鎖あるいは再編を進めてきておりますよね。一九八八年から一九九五年までの間に百五十二の主要設備と二百三十五の小規模設備を閉鎖する、その結果、百四十五億ドル、一兆四千五百億円の節約ができた、このように国防報告の中で述べております。これは一九九九年の国防報告であります。
 この時期の我が国のアメリカに対する思いやり予算というのは、二兆九千八十八億円です。アメリカは一兆四千五百億円を節約して、日本は二兆九千億円を負担してあげている。そして、二〇〇一年度以降、毎年これから五十七億ドル節約をしていくんだと言っているわけですね。五十七億ドルというのは五千七百億円ですよ。在日米軍に対して提供施設の日本が負担している予算に匹敵する金額を次からは減らしていくんだとアメリカ自身が言っているわけですね。
 接受国の中でも一番日本が気前のよい国だと言われている。アメリカは、要らない基地、あるいは基地を節約という観点から閉鎖し縮小してきている。だのに、日本だけが思いやり予算をふやしていくということは、国民の感情から見ても不合理だ、このように思いませんか。
#181
○河野国務大臣 私も、沖縄県民の皆さんが大変な御負担、精神的にも御負担をしていただいているということを十分承知いたしております。したがいまして、先ほど来から申し上げておりますように、SACO合意によりますれば、基地の整理、縮小、統合ということがSACOの中に合意されているわけでございまして、私は、そのSACOの合意を着実に実行するために努力をいたしますということを申し上げているのは、実はそのことを言っているのだというふうに御理解をいただきたい。
#182
○赤嶺委員 私は、アメリカは基地を減らしてきて、それからアメリカと同盟を結んでいる国の中でも日本が最も気前のよい国だと言われて、その結果、沖縄県民に過重な負担を背負わせる結果となっている、これは国民の立場から見てどう見ても不合理なやり方だと考えます。
 それで、その点でいえば、例えば沖縄の地元でどんなふうに見られているかということを紹介したいんです。
 一月八日付の沖縄タイムスは、「いつまでも、おもねるな」、こういう主張を掲げてこのように言っているんです。同盟国の中で最も気前がいいとアメリカ側に言わせるほど、思いやり予算による高負担が米軍の日本駐留を居心地よくさせている。米政府をおもんぱかって、あるいはおもねるような外交姿勢は許されまい。米軍基地が沖縄に集中配置され、県民が過重な負担を強いられている実態は、そうした外交姿勢に起因しているのではないか。そのために、米軍の在外基地や国内基地の削減が進む中にあっても、在沖米軍基地の整理縮小がなかなか進展しないのではないか。いずれも、県民にある率直な疑問だ。これは沖縄タイムスが一月八日の社説で掲げている論であります。
 やはり絶対に納得がいかない、米軍基地を押しつけられている側からいえば、今政府がやっている、思いやり予算を、湯水のように国民の税金を使って米軍基地を維持しているようなものは絶対に納得がいかないというような声を紹介して、外務大臣が先ほどからおっしゃっているSACOの予算の問題にちょっと移りたいんです。
 私は、思いやり予算以上に米軍への思いやり支出の制限がないという意味では、SACOの経費というのは今後やはりうんと検討していかなければいけないと思います。
 日米地位協定二十四条では、日本側が施設及び区域を合衆国に負担をかけないで提供し、一方、アメリカ側は、合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費、必要な施設整備の費用、基地従業員の人件費、光熱水費一切を日本国に負担をかけないで合衆国が負担する、こうなっています。
 思いやり予算はその二十四条の精神からもかけ離れたものになっているわけですが、それにしても、SACO予算というのは、思いやり予算とはまた違いまして、日米地位協定上どういう位置づけを持っているのか、非常に不明であるわけですね。思いやり予算は、二十四条があったにしても、政府の立場からいっても、特別協定をつくりました、それは期限が決められたものではありますがといろいろ言いながら今日まで延ばしてきているわけですが、政府なりの説明をつけようとしている面があります。
 SACOの経費というのは、いわば米軍施設の整備のために日本の国民の税金を出しているという点では思いやり予算と性格が非常によく似ているわけですが、一体、地位協定上どんな位置づけを持って皆さんはそういう経費を出していらっしゃるのでしょうか。
#183
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
 SACO関係経費でございますけれども、SACO関係経費につきましては、御案内のSACO最終報告に盛り込まれました計画、事項を的確かつ迅速に実施するために、法制面及び経費面を含めまして、政府全体として十分かつ適切な措置を講ずるということが、平成八年の十二月三日の閣議決定がなされております。この閣議決定に基づきまして、SACOプログラムを実施するための、例えば土地返還のための事業ですとか、訓練改善のための事業ですとか、それから騒音軽減のための事業ですとか、地位協定運用改善の事業ですとか、このようなSACOを円滑に実施するための事業費を整理いたしましてSACO関係予算として計上しているものでございます。
 以上、申し上げましたように、SACO計画を実施するためには、米軍の建物、施設の移設といいますか、それといろいろな周辺対策がございます。その項目によりましてその根拠が違うわけでございますけれども、土地返還等に関連しまして米軍の施設・区域を新たに提供するといいますか、移しかえるというふうな経費につきましては、確かに地位協定二十四条の第二項に基づく負担というふうな格好になると思います。
#184
○赤嶺委員 地位協定上は、米軍は施設の建設については日本国に負担をかけないということが決まっているんですよ。そういう決まりに基づいて出している予算ですというのは、これは自己矛盾だと私は思うんです。説明をしていないということになると思いますが、いかがですか。地位協定二十四条に基づいてSACO予算というのを出しているわけですか。
#185
○大森政府参考人 先ほども申し上げましたように、SACO関係経費につきましては、平成八年の十二月三日の閣議決定で、SACO事業の円滑な実施をするために必要な措置を講ずるというふうなことで、予算及び法制面の適切な措置をとることが決められております。それに基づきまして事業を実施するための経費をまとめまして、SACO関係経費として整理をしているものでございます。
 この中には、申し上げました、提供しております米軍施設の移設といいますか、そういう関係のものが出てまいります。これにつきましては、地位協定上の根拠ということで申し上げれば、地位協定二十四条の第二項に基づく日本側の負担というふうなことになるということを申し上げたわけでございます。
#186
○赤嶺委員 例えば、北谷町の桑江に海軍病院がありますよね。今度、宜野湾市に移ります。これは移設だから、地位協定上、地位協定二十四条に基づいて日本が負担する、こういう意味ですか。
#187
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘の北谷町の海軍病院の移設の問題でございますけれども、この計画につきましては、御案内のSACO最終報告の中で、住宅統合の一環といたしまして海軍病院の移設の問題が含まれているわけでございます。
 この住宅統合の問題につきましては、現在、具体的に地元、また米側とも調整中でございますので、具体的にその経費がどういうふうになるかというものについて申し上げることは非常に難しいわけでございますけれども、一般論を申し上げれば、SACO最終報告に入っている事業でございますので、その意味でSACO経費というふうなことで整理されるのではないかと思います。
#188
○赤嶺委員 そうなると、SACOの合意に基づいて起こってくるすべての問題について、日本政府は全額負担をするということになるわけですね。いわばSACO経費は限度がない。
 今度の思いやり協定で、光熱費だとかいろいろな従業員の問題だとか、限度らしきものを据えているわけですが、SACO経費は、そのSACO合意が解決するすべての経費を日本政府が負担するんだ、こういう理解でいいわけですか。
#189
○大森政府参考人 SACO関連経費は、先ほども申しましたように、SACOの最終報告に盛り込まれております事業を円滑に、また効果的に実施するというために整理されたものでございます。SACOプログラムを実施するためには、個別に、具体的に、その必要性といいますか、経費を十分精査して計上していくということでございますので、その点は際限なくふえていくというふうなものではございません。
 また、先ほどちょっと私、キャンプ桑江の海軍病院の関連で住宅統合と申し上げましたけれども、住宅統合とも関係ありますけれども、SACOプログラムの中ではキャンプ桑江の返還というふうな中で記されたものでございます。どうも失礼いたしました。
#190
○赤嶺委員 国民の税金を使うんですから精査して使うのは当たり前の話であって、私が聞いているのは、SACOというのは大変巨大な規模になります。皆さんの計画が皆さんの計画どおり成就したとしたら、普天間基地を名護市につくる費用があります、あるいは那覇軍港の問題があります、今の海軍病院の問題もありますし、こういうことをすべて限度なしに、規模の話をしているんです、限度なしに日本国民の税金で負担をする、こうなったら第二の思いやり予算じゃないですか。
 そのSACOの経費というのは大体幾らぐらいかかるのかと見積もられていらっしゃいますか。
#191
○大森政府参考人 SACO最終報告でございますけれども、これは日米間で合意したものでございますけれども、沖縄におきます米軍基地が過度に集中する今の状況の中において何とか負担を軽減していこうということで、関係者の努力によりましてでき上がったものでございます。私どもといたしましては、やはり現在、SACOの最終報告を着実に実施していくということが極めて重要であるというふうに認識しておりまして、そのため、SACOの項目を着実に実施していくための関係経費をSACO経費として現在計上させていただいているところでございます。
 いずれにいたしましても、SACOの最終報告を着実に実施していくために行っているものでございまして、このSACO関係予算が、一方的にといいますか、無制限に拡大していくというふうなことはないということでございます。
#192
○赤嶺委員 思いやり予算は、米軍の側からの要求が出されて施設整備を行うということの説明が先ほどありましたが、SACOについては、同じように移設先の施設整備などがあるようですが、米軍の側から出される要望に基づいて行うのか、それとも皆さんの方で考えてなさっていくのか、この辺はいかがでしょうか。
#193
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
 SACO関係予算を積算するに当たりましては、基本的にはSACOに記載されております計画を実現するということが中心になるわけでございますけれども、その基地の移設ないし例えば一〇四号線越えの訓練を本土でやるというふうな場合なんかもそうでございますけれども、周辺の地域の方々から、安全性の角度から要求をされる、要望される事項がございます。また、米軍の方も、新たな地域に移りますと、同程度の規模の訓練の支援関連の施設が必要だというふうなことも出てまいります。その面で、SACOの事業計画を中心といたしまして、地元からの御要望、また米軍の訓練その他が同じ程度にできるような施設をつくる、この点を考慮してやっているところでございます。
#194
○赤嶺委員 私、この間、沖縄の実弾砲撃演習の移設先であります大分県の日出生台に行ってまいりました。日出生台で見たのは、沖縄でも見られないような豪華な米軍の訓練支援施設でありました。本当にびっくりしたわけですが、食堂、厨房、シャワー、それから宿泊施設、そういう建物、あるいは弾薬置き場、洗車場、これらの日出生台に置かれている訓練支援施設について、アメリカ側から要求があってつくったものと、アメリカ側から要求もなかったのに皆さんの方で検討をしてつくったものと、そういう区別ができますか。全部米軍の側からの要望でできた訓練支援施設ですか。
#195
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
 日出生台演習場でございますけれども、日出生台演習場は基本的に陸上自衛隊西部方面隊が管理しております演習場でございまして、米軍につきましては、特に沖縄の海兵隊は、日ごろといいますか、使っていないところでございます。SACO計画によりまして一〇四号線越えの砲撃訓練を本土で分散して行うというための理由で日出生台演習場も海兵隊が使うようになったわけでございます。
 その面で、日出生台演習場で海兵隊が訓練するに当たりまして陸上自衛隊の施設を使うというのもあるのでございますけれども、訓練が競合したり、また手狭だったり、そういうようなことで、やはり海兵隊が砲撃訓練をするに当たっての専用の施設をつくらなければいけないというふうな必要性がございました。また、地元の方からも、海兵隊が砲撃訓練をやるに当たっての安全施設をつくってほしいというふうな要望がございました。
 そういう面で、現在SACOで整備しております施設整備は、地元からの御要望に従って整備しているものと、また、米軍の訓練環境といいますか、沖縄でやっていたと同じような訓練環境を確保するために、また食堂その他の施設を整備するというふうなことで実施しているものでございます。
#196
○赤嶺委員 大森施設庁長官、日出生台の訓練支援施設、地域住民の安全に対する要望もあってつくったのもあるというお答えでしたし、それからアメリカの訓練しやすいような環境をつくるためにつくってあげた施設もあるということなんですが、私が聞いているのは、訓練支援施設について、皆さん方がアメリカに快適な条件下で訓練していただきたいというぐあいに考えてつくった訓練支援施設は、アメリカ側からすべて要望されてつくる施設なのか、それともアメリカ側からは要望がなくてもつくっていくという姿勢なのか、どちらですか。特に日出生台の施設についてそういうものがあるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#197
○大森政府参考人 先ほども御説明したとおりでございまして、米側から、沖縄でやっております砲撃訓練を本土で実施する場合に、キャンプ・ハンセンと同程度の環境を整備してほしい、また、限られた期間で所要の訓練効果を発揮できるような環境を整備してほしいという要望がありまして、それに基づいて整備しているものでございます。
#198
○赤嶺委員 ことしの二月、日出生台での実弾砲撃訓練があったときに、当時のアメリカ海兵隊のケリー中佐と日出生台の住民が直接対話する機会があったそうですが、そのときに、日出生台の住民が当時のケリー中佐に、いろいろ訓練支援施設をつくっているが、例えば宿泊施設、これはことしじゅうにでき上がる施設だと思うのですが、文書を見ますと、日出生台の米軍用の厨房施設、食堂はきょうが完成予定日になっているようなのですけれども、そういったいろいろ立派な支援施設がつくられている、これはあなた方が要求したのか、このように聞いたら、ケリー中佐は、私たちのただ一つの要求は新しい炊事をするところだけです、今ある兵舎で十分です、いわば寝泊まりする場所は、今あるというのは自衛隊のものだというぐあいに思いますが、アメリカ本国で訓練するところでは兵舎はなく、演習場でテントに泊まります、こう言っているのですよ。つまり、日出生台で訓練支援施設なんか、特に宿泊施設は要らない、厨房だけで十分だ、何しろアメリカ本国ではテントでやっているのだ、こんなふうにケリー中佐は説明しているわけですね。
 私もあの施設を見て、こういう訓練、至れり尽くせり、日出生台の訓練場を使うのは年間十日間ですよね。トイレがつくられていたのです。そのトイレ、自衛隊の方に聞いたのです。自衛隊も使いますかと言ったら、自衛隊の管理じゃないと言うのですね。わずか十日間で米軍がやるときに、トイレをつくってあげたり宿泊施設をつくってあげたり、米軍の方は、要らないのに、宿泊はテントでやっているのにと。私も、こういう至れり尽くせりの条件下で、皆さん方の言うアメリカ軍の任務と役割というのは、これは気迫が出てくるのかなと思いましたよ。至れり尽くせりを皆さんの側からやってあげて、そして国民の税金を湯水のように使っているんじゃないんですか。
#199
○大森政府参考人 先ほど申しましたように、私どもの整備の基本的な考え方といたしましては、本土分散訓練に際しまして、米側から、キャンプ・ハンセンと同程度の訓練環境、また限られた期間で所要の訓練を効果的に確実に実施する必要があるというふうな要望を受けまして、私ども、在日米軍司令部とも十分協議いたしまして、日出生台の演習場の施設整備を実施しているところであります。
 また、御指摘のケリー中佐の発言というのは、私は詳細を承知しておりませんけれども、確かに訓練のいろいろな態様についてはさまざまなやり方があると思いますので、それは施設を絶対的に使うということではないと思います。米軍も自衛隊も同じでございますけれども、その施設を使ったり使わないということがございますが、いずれにしましても、そのような環境を整備するというふうなことが安心して訓練をしてもらう基本的な条件だというふうに思っております。
#200
○赤嶺委員 年間十日間、アメリカ本国では訓練のときには土の上でやっている、こんなふうにケリー中佐は言っているわけですよ。皆さんは、先ほど映画館も、遠く太平洋の向こうから若い兵士が防衛のために日本にやってきている、ストレスもあるだろう、だから映画館をつくってあげようと。私たち沖縄の側から見たら、そういう青年兵士が一番危ないという感覚しか持たないのですね。戦後の沖縄の歴史の中で、感謝しようなんということは一切起きないですよ。
 だけれども、ストレスを解消してあげようとか、あるいは訓練の指揮をしている中佐が土の上でやってもいいんだと言っているにもかかわらず、皆さんは立派な宿舎を国民の税金でつくってあげるとか、本当に国民の税金を、米軍のためには精査する能力がないんじゃないかと思うぐらいですよ、こういうお金の使い方を見ていますと。だから、もっと本当にSACOの経緯というものについても再検討していただきたいと思うわけです。
 そのSACOの経費でつくられようとしている名護市への新基地建設にかかわって、私はジュゴンの問題を取り上げてみたいと思います。防衛施設庁が普天間基地代替施設協議会での名護市長の要請を受けて取り組んでいる名護市辺野古沿岸域でのジュゴンの予備的調査について聞きたいと思います。
 アメリカでは、種の保存法でジュゴンを絶滅危惧種に指定しています。アメリカの国内法では保護が義務づけられているジュゴンが、日本では米軍基地建設によって絶滅させられるおそれが出てきているのは、本当に国民にとっても屈辱的な印象を免れません。
 それで、先月の十日、ヨルダンで開かれた国際自然保護連合の総会で、ジュゴンのさらなる減少を食いとめ、その回復を支援するジュゴン保全措置を可能な限り早期に実施することを要請する、こういう日本政府に対する勧告決議が行われました。日本政府は、国際自然保護連合、IUCNの国家会員の資格をもってこの会議に参加していたわけですが、この決議には棄権する態度をとっています。
 政府が現在進めているジュゴンの予備的調査、けさの報道によりますと、防衛施設庁の調査によっても、きのうですか、ジュゴンが発見されたという報道があるわけですが、このジュゴンの予備的調査というのは、国際自然保護会議の決議以前に決まって実施に移しているわけですが、あなた方が代替協議会で名護市長からジュゴンの調査をやってほしいと言われて、その後、国際自然保護会議でジュゴン保護の勧告決議が上がり、上がった時点で皆さんはジュゴン調査の計画そのものを見直す措置をとりましたか。それとも、その自然保護会議とは無関係に皆さんの調査を進めているのでしょうか。いかがですか。
    〔委員長退席、安住委員長代理着席〕
#201
○河尻政府参考人 お答え申し上げます。
 防衛施設庁におきまして現在実施しておりますジュゴンの生息状況の予備的調査につきましては、十月三日の第二回代替施設協議会において名護市長からの御要請があった、これを受けまして環境庁からの技術的助言を得て行っているものでございまして、直接、世界自然保護会議の決議と関係しておるものではございません。なお、この予備的調査は、工事着手前に行う環境アセスメント手続とは別の調査でございます。環境庁の技術的助言を得て、現在行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、政府といたしましては、昨年末の閣議決定におきまして、普天間飛行場の代替施設の整備に当たりましては、環境影響評価を実施するとともに、その影響を最小限に食いとめるための適切な措置を講ずるなど、自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うことといたしておりまして、防衛施設庁としても、本閣議決定に従い、適切に対処してまいりたいと考えております。
#202
○赤嶺委員 国際自然保護会議のあの決議と無関係な態度をとるものですから、皆さんのジュゴン調査というのは非常に不十分な結果になっていると思うのですよ。皆さんがやっているのは、ジュゴンのいわば分布調査のようなものですね。いるかいないか、何頭いるか。
 ところが、沖縄の海洋生物飼育技術センターに内田先生という大変ジュゴンに詳しい先生がいらっしゃいますが、この方は、ジュゴンを調査するのであれば、特に航空機調査は最低三年の期間が必要だ、個体識別も含め、長期の調査から平均値を割り出すべき、このように指摘していらっしゃいます。皆さんが行っている航空機によるジュゴンの調査は、目視調査で三カ月ですね。専門家は、ジュゴンを調査するなら三年は必要だよ、このように言っているわけです。
 国際自然保護会議の、あのジュゴンの減少を食いとめてジュゴンの保全措置をとるということに立った場合は、これは防衛施設庁が調査するのではなくて、環境庁が本気になって調査する。向こうが基地建設の予定地であるかどうかは別にして、自然保護会議では、やはりジュゴンの保全措置をとれ、減少を食いとめろと言っているわけですから、私は、防衛施設庁の調査では不十分だ、国際自然保護会議の決議を受けとめて調査方法を検討し直せ、そして環境庁が本気になってこのジュゴン調査に臨むべきだ、こう思いますけれども、防衛施設庁と環境庁、お二方の答弁をいただきたいと思います。
#203
○河尻政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど御答弁申し上げましたとおり、現在行っておるジュゴンの予備的調査と申しますものは、これは、現在の代替施設協議会におきまして岸本名護市長からの御要請がありましたことを踏まえまして協議会の協議の資とするために行っておるものでございます。したがって、約三カ月間と限られた期間ではございますけれども、その調査結果が代替施設協議会の協議に資するよう、できる限りの調査を行ってまいりたいと考えております。
 なお、今回の調査でございますけれども、これまでの専門家の報告書も参考にしつつ、また環境庁からの技術的助言を得て実施しているものでございまして、予備的調査の調査項目等としては適当な内容と考えているところでございます。
 なお、念のために申し上げますけれども、今回の予備的調査とは別に、当然、工事着手前には環境アセスメントが実施されることになると思っております。
#204
○松本政府参考人 まず、IUCNの勧告決議と現在防衛施設庁の方で実施をしておりますジュゴンの調査の関係でございますけれども、今防衛施設庁の方からお話がありましたように、昨年十二月の閣議決定で実施することとされております環境影響評価、これに先立って行われる予備的な調査である、こういうふうに承知をしております。
 今回のIUCNの保全会議、これは十月の三日から十一日まで開かれたわけでございますが、そのちょうど初日に当たります十月の三日に、第二回の代替施設協議会の方でこの予備的調査の実施というのが公にされたわけでありまして、そのこともIUCNの保全会議の討議の場に伝えられまして、内容がいろいろと検討され、そして、そういうようなジュゴンの予備的調査も含めた日本政府の決定を歓迎した形でこの勧告決議が採択をされたというふうに理解しております。
 こういうふうに考えますと、防衛施設庁が現在行っておりますジュゴンの調査も、広い意味での今回のIUCN勧告決議にあります自主的な環境影響評価というものに含まれているのではないかと思います。
 それで、環境庁が独自にみずからジュゴンの調査をすべきではないかという御指摘ではございますけれども、こういう中で、今回の予備的な調査につきましても、代替施設協議会の場におきまして、環境庁としては、現在持っておりますジュゴンに関する知見をもとに、防衛施設庁の調査に対しまして必要な助言あるいは指導というようなものを行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
#205
○赤嶺委員 今、質疑時間五分前というのがありましたが、途中中断がありましたので、委員長、計らっていただきたいと思います。小島先生も了解していらっしゃるようでございますから。
 環境庁は、ジュゴンに関する資料だとかジュゴンの生態調査だとか、あるいはジュゴンのえさである藻場の問題だとか、どのぐらいの資料を持っていらっしゃるのですか。持っているのだったら公表していただきたいのですが。いかがですか。
 防衛施設庁にいろいろ援助している、助言していると言いますけれども、皆さんは、今後環境庁としてこれ以上調査の必要のないほど豊かな資料を持っていらっしゃるのか。それとも、環境庁としても、実はジュゴンについては生態が余りよくわかっていないので本当は調査をしていきたいところなんだとか、どのようにお考えなんですか。
#206
○松本政府参考人 ジュゴンの生態その他についての科学的な知見というものについてでございますが、これは正直申しまして、一〇〇%といいますか、完璧な形でいろいろな状況を把握しているというところには至っておりません。環境庁としては、従来からでございますけれども、今後も引き続きいろいろな分野の知見の集積に努めていく、こういうのが基本的なスタンスでございます。
 ただ、防衛施設庁が現に予備的調査を開始しているわけでございますから、現在ある知見の範囲内で最大限環境庁としてもバックアップをしていきたいということでございます。例えば、環境庁としては、一九八九年から九二年に第四回の自然環境保全基礎調査、これは全国の藻場とかサンゴ礁の調査をやったわけでございますが、そういうような中で、例えば沖縄についての藻場の調査もやっておりますし、あるいはジュゴン研究会など、民間の団体ではございますけれども、いろいろな調査をやっております。その他、いろいろな文献調査の結果などについてもそれなりに把握をしているわけでございます。
    〔安住委員長代理退席、委員長着席〕
#207
○赤嶺委員 その出ている文献だとか民間のジュゴンの専門家だとか、お話は聞いているかもしれません。でも、それだけでは満たすことのできないいわばジュゴンの生態というのがあるわけですね。今、沖縄のジュゴンについて、研究や調査というのは始まったばかりなんですよ。
 それで、先ほど、国際自然保護会議は日本政府の意向を受けてああいう決議が出たというお話をしておりましたが、いろいろな経過の中でああいう決議が出たんです。私が聞いているのは、その決議に日本は棄権したんですね。そしてその上に、いや、政府はジュゴンの予備的調査をしているから、国際自然保護会議の決議があったにしてもこの調査の見直しはやらなくてもいいということで、防衛施設庁は、環境庁の助言も受けてやります、専門家は三カ年と言っているかもしれないけれども、環境庁の助言を受けるから三カ月で大丈夫ですというような態度でいる。環境庁はというと、とにかくある資料は全部そろえているんだけれども、それでもって沖縄のジュゴンについて生態を知り得ているというにはちょっと自信がない、こういう態度であるわけですね。
 だれもあのジュゴンについて真剣な心配をしないまま手続的にあそこに基地をつくってしまったら、あのジュゴンは絶滅ですよ。本当に自然が美しい場所です。ああいう自然を破壊して米軍基地をつくろう、それも私たち日本国民の税金でつくってあげよう、国民の宝である自然を国民の税金でつぶして米軍基地をつくってあげようとする、こういう仕組みになっている思いやり予算やSACO予算というのは、本当に二十一世紀の日本の未来を考えてもやめるべきということを最後に主張いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#208
○中野委員長 赤嶺政賢さんの質問は終わりました。
 次に、日森文尋さん。
#209
○日森委員 社民党の日森文尋でございます。
 大臣、大変お疲れのところ恐縮でございますが、社民党、最後でございますので、元気を出して御答弁いただきたいと存じます。
 最初に、改めて大臣にお伺いをしたいと思います。
 地位協定の二十四条関係と今回の特別協定で約六千六百億円強のお金がかかる。これは国際比較をしてみますと、我が国の負担が突出をしているのが明らかになっています。
 九八年のペンタゴン統計ですが、一ドル百三十円九十銭の換算で、米駐留軍受け入れ国の経費負担の総額は、直接間接を合わせますと約九千八百五十七億三千四百万円。このうち我が国の負担総額が五千二百五十三億四千八百万円、全負担総額の約五三%を占めています。ほかの主要国と比較をしましても、ドイツの四倍、イタリアの三・六倍、韓国の五・三倍、イギリスの実に三十一倍になっています。NATO同盟国全体の負担総額も三千百七十八億九千四百万円。これの一・六倍に我が国の負担が達しているわけです。しかも、我が国の場合は直接支援額が大変多いという傾向も示しています。
 一方、米駐留軍は、九九年の統計で世界全体で二十四万七千、こう言われています。うち我が国には四万七千人が駐留している、こう言われていますが、これは世界全体で駐留している米軍の約一九%にすぎない、こう言われているわけなんです。にもかかわらず負担は五四%。これでは、国民感情からして、国民の常識からして、やはり日本が負担をし過ぎているんじゃないか、こう考えざるを得ないんですが、改めて大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#210
○河野国務大臣 先ほど来から何度か同じようなお尋ねがございまして、御返事を申し上げたわけでございます。できるだけ重複しないように申し上げたいと思いますが、議員が引用をなさいました数字その他は「共同防衛に対する同盟国の貢献に関する報告」二〇〇〇年版の中からとられていると思いますが、一般論として申し上げれば、各国が負担している米軍駐留経費は、各国を取り巻く安全保障環境などの種々の要因を総合的に勘案して負担されているものであって、各国が負担している米軍駐留経費の単純な比較及び評価は困難だと考えます。同報告におきましても、努力レベルの絶対評価を行うことは誤解を招きやすい旨の記述がございますことは、先ほど申し上げたとおりでございます。
 いずれにせよ、アジア太平洋地域におきまして不安定要因が引き続き存在する中で、政府としては、在日米軍が我が国及び極東の平和と安全の維持に寄与していると認識しており、今後とも、日米安保体制の円滑で効果的な運用の確保のために、在日米軍駐留経費負担について適切な対応を行うことが必要だと考えているわけでございます。
#211
○日森委員 今の御答弁ですと、我が国が五四%を負担しているという合理的理由にはならない。つまり、何か特殊な事情があるから五四%もの負担になっているんだという説明になっていないわけですから、なかなか納得できないんですが、次に行きます。
 地位協定の二十四条、これは日本側が基地施設を提供するということになっていますが、それ以外の駐留軍経費は当然米国が負担をする、こういうことになっているはずなんです。つまり、今度の特別協定、これは地位協定の枠外である。新しい枠をつくってこの特別協定というのを二十年以上も続けている。これは大変問題があるんじゃないか。特に、外交のあり方としても大変疑問があるわけです。
 そこで、大臣は、この地位協定の本則から外れた特別協定を二十年以上にわたって継続させていること、これに対して国民が納得できる理由をお持ちだと思いますから、ありましたらお聞きをしたいと思います。
#212
○河野国務大臣 前回も私は暫定的なものだという御説明を申し上げたことがございますが、五年後にまた再び特別協定をお願いするという状況でございまして、私としては若干じくじたるものがございます。
 しかしながら、考えてみますと、こうして五年刻みにお願いをする、将来のことはいざ知らず、これまでのことで申し上げているわけでございますが、今回の特別協定をお願いするに当たりまして、節約とか合理化とか、こういった新しい要素といいますか、米軍に対しまして要請をきちんとし、さらには地域外の住宅の問題につきましても、表現は適当でないかもわかりませんが、改善を加えるということができるのも、五年で刻んだというところからきているわけでございまして、そのことの言ってみればメリットといいますか、そういうものもあるのではないかというふうに申し上げたいと思います。
#213
○日森委員 これは、先ほど申し上げた一問目の質問と同じふうに判断せざるを得ないんです。
 日本の安全並びに極東の安全に在日駐留米軍が寄与しているというふうに何度もおっしゃっているわけですが、それが我が国にどのような利益をもたらしているのか、具体的に国民にわかるように説明されたことがあるのか。あるいは、それが我が国にとって利益になっている、その利益というのは、これだけ、地位協定も含めれば六千六百億円強ものお金を毎年毎年払っているという、それがその利益に見合った負担なのかということについて、具体的なお話は一切ないわけです。
 ですから、国民から見れば、何でこの貧乏な日本が大尽のアメリカに毎年毎年あれだけ金を出さなきゃいけないのか、こういう不満になっているんじゃないでしょうか。そこら辺はどう思いますか。
#214
○河野国務大臣 これはどうも異なことを伺うわけでございまして、我々が日米安保条約というものを締結して、我が国の安全を維持するためにこの方式をとるということが我が国にとって十分なメリットがあるということを、多くの方々は御理解をいただけているものと私は思います。
 それは、この五十年間というそう長くない期間に日本の国が経済的に世界で有数の国をつくった。そのもとには、言ってみれば、再生産に回らない軍事費を使わずに我々は我々の資金を経済の成長のために使ってきたということもあると思います。いや、もちろん、経済成長がそれ自体問題があるという御指摘があれば、それはまたその問題はあると思いますけれども、日本の国が自国の安全を維持するために、みずから相当多額の軍事費を使い、そしてそれは周辺国に対してもさまざまな問題を引き起こすということを避けて、日米安保条約という考え方をとって、日米同盟のもとに我が国及び極東の安全と平和を維持してきたことの意味というものは、多くの方々が十分理解をしていただいていると思いますし、そのことのメリット、そのことの意味というものはおわかりをいただけているものと私は信じている次第でございます。
#215
○日森委員 ということは、米軍によって日本の安全が守られてきた、そのおかげで経済発展をすることができた、したがって毎年六千六百億円ぐらい恩返しするのは当たり前だという御意見でしょうか。
#216
○河野国務大臣 そう簡単におっしゃっていただくと、それはなかなかそれほど単純化して申し上げているわけではございません。ございませんが、我が国が戦後の復興を遂げ、国際社会の中にも信頼というものをかち得てきたプロセスの中で、日米安保条約が果たした役割というものはやはり大きいのではないかということを申し上げたかったわけでございまして、私の説明が少し不適当であったとすればおわびをいたしますが、申し上げたかったことはそういうことでございます。
#217
○日森委員 わかりました。
 次に移りたいと思いますが、基本的にこの特別協定、特殊な事情下で始まったということですから、その状況が変化をしたら、これもいろいろな委員さんから御指摘がありましたが、やめるべきではないか、こう思っておるんです。
 第一は、日米財政事情が逆転したという状況があるわけですね。御承知のとおり、もう来年は六百四十五兆円もの借金を抱えてしまう。世界一の借金王だと言った亡き総理大臣もいらっしゃいましたけれども、それほどひどい財政事情が我が国にある。
 一方では、ゴアさん勝ったんでしょうか、ゴアさんもこれからアメリカの黒字をどう使うかというところで頭を悩ますような、そういう状況に今なっていて――まだ決まっていませんか。失礼しました。どちらにしても、ゴアさんにしてもブッシュさんにしても、黒字をどう使うかというところで頭を悩ましているといううらやましい話が一方にはあるわけです。
 こんな状況に今なっているのに、まだこれからこの特別協定を続けるというのは大変疑問なんです。私からいうと、この特別協定というのはその使命を終わったんじゃないか、こう思っているんです。しかも、情勢が変わったことと同時に、我が国にとってそれだけのお金をひねり出すような余裕は今なくなっているんじゃないか、そう思うんですが、大臣のお考えを聞きたいと思います。
#218
○河野国務大臣 ある時期にこの特別協定について思いやり予算とどなたかがおっしゃって、それから、先ほど共産党の方からもお話がありましたが、思いやり予算、思いやり予算と言われますが、私どもはそうしたことを申し上げたりそういうことを考えているわけではないのでございます。
 今回の特別協定も、別に財政的な問題を考えてこの特別協定を御提案申し上げているわけではなくて、まさにこれは日米安保体制というものが円滑に、効果的に機能するというためにこうしたことが意味がある、こう考えて提案をしているのでございまして、財政的な面だけをとらえて、向こうが困っているからこっちが金を出す、今度はこっちが困っているから向こうが金を出すというようなことではないということを御理解いただきたいと思います。
#219
○日森委員 そうしますと、先ほどどなたか委員さんからもお話がございました、昭和六十二年の第百八国会、五月の十八日の外務委員会で、当時社会党の高沢委員の質問に答えまして、当時の外務省北米局長の藤井宏昭政府委員がこう答えているんです。特別協定は、むしろ極めて異常なる経済状態がここに生起したという現実、異常なる経済状態が今生まれている、だからこれを踏まえまして、先ほどどなたかがおっしゃいましたような暫定的、一時的、限定的な、特例的な措置として出発をしたんだ、こう言っているんです。これは議事録に書いてありますから間違いありません。
 しかも、その後もいろいろおっしゃっていまして、「一つ明瞭なことは、この特例の条約は廃止になるわけでございまして、」一定の条件をもって廃止になるわけでございます。「残るものは二十四条一項」地位協定の話でしょう、「二十四条一項ということでございます。」こういうふうに答えているんです。
 ここで改めて伺いたいんですが、この答弁の中身はまさにそのとおりであって、そういうことで出発したから思いやり予算という名前がついたわけで、特別協定でいいんですけれども、異常な経済状態だから暫定的、特例的、一時的な、そういういろいろな修飾語がついた特別協定をつくったんだと。
 しかし、今考えてみれば、先ほど申し上げたように今異常なのは我が国の経済状態であって、アメリカの経済じゃないんです。我が国の経済が異常になっても異常だから払うんだといえばそれまでだけれども、そんなふうにはとても理解できないわけで、そうすると、この藤井政府委員の答弁にある暫定的、一時的、限定的な、特例的な措置であるこの特別協定、しかも第二十四条一項を残して廃止になるべきはずの特別協定が、今でも、この時点でも大手を振って生きている、それに自信を持って大臣も答えられるわけですが、これはもうおかしい、納得できないと言わざるを得ないんですよ。初めは思いやり予算じゃないんだと今言っていますけれども、そうじゃなくて、始まったんです。そういうふうにずっと政府委員も答えているんですよ。にもかかわらず、今はもう意味は変わったんだという答弁は成り立たないんじゃないかと思うんです。
 今こそ、そういう状況になったんだから、この特別協定を全面的に見直して国民の負担を軽くすべきというふうに思いますが、もう一度御意見をお願いしたいと思います。
#220
○河野国務大臣 ちょっとお尋ねを逆の順番でお答えをしたいと思いますが、この特別協定は五年間の限定した協定でございますから、五年がたてばなくなるんです。そして、また新たなものをつくるということになるわけです。
 今回提案をしている特別協定も、二〇〇六年の三月には終わってしまうんです。これは間違いがないわけで、これは別にその特別協定を改正して延長しているわけではございません。新たな特別協定をつくる。そういう意味では、五年たてばなくなってしまうんです、そして二十四条に戻るんですという答弁はまさにそのとおりでございまして、一たん二十四条に戻るわけだけれども、そこにまた新しい協定をつくるということから、また次の事態が始まっているわけでございます。そういう意味では、私は藤井さんの答弁はその部分は正しいと思います。
 問題は、そのもう一つ手前の財政的な問題でございます。まさにその当時そういう事態であったのでしょう。私は、実は今まさに終わろうとしているこの特別協定を五年前に提案をした提案者でございまして、その当時のことは十分記憶をいたしております。今のお話はそれよりさらに大分前の話だと思いますが、その当時、恐らく答弁者は経済状況にも目配りをしてそういう答弁をなさったに違いないと思います。
 しかし、私は、考えてみると、今日本が非常に経済状況が悪いから、それではアメリカに日本に対してどういうことを期待できるかというと、それはそういうものではないんだと思います。これは、明らかにアメリカが、米軍が日本を守る、そしてその守る米軍に対して日本は義務的に基地の施設設備を提供する。これは二十四条で合意してやっているわけですが、その二十四条の合意からもう一つ積み上げて、新たな協定を結ぶことによって、新たな日本からの財政的支出をすることによって安保条約が機能的に動くということであれば、守ってもらおうとする日本とすればそういうことを考えるということは十分考えられることだと思うのです。
 ですから、説明者の説明によって、確かにその時点でアメリカの経済状況が非常に厳しい状況にあった、それは恐らく正しい事実関係を見てそう言われたに違いありません。しかし、それだけではないというふうに私は思います。それだけのことでやっているのではないというふうに私は考えております。
#221
○日森委員 そうしますと、今のお話を聞いていると、これはもう特別協定ではなくて地位協定の二十四条そのものに含めるべきものというふうに判断されるような言い方だったのですが、なぜ特別協定なのか。特別だから、特別な状況のもとでつくられたから特別協定であって、そうでなければ地位協定二十四条に含めればいいわけですね。今の大臣のお話を聞いていると、どうもそういうふうに聞こえるのです。経済状態だけじゃないんだ、日米安保を有効に利用するために必要な金なんだと。
 そうしたら、これからも在日米軍が駐留する以上はずっとこの特別協定で払い続けるという意味にも聞こえるのですが、そういう理解でよろしいのですか。
#222
○河野国務大臣 これは先ほども御答弁を申し上げておりますが、五年間の限定的な特別協定を行いまして、国会の御審議をいただいて御承認をいただき、それを実行しているわけでございますが、今回もまた、今回もまたという言い方も実は甚だ適当でないかもしれませんけれども、御提案を申し上げますに当たりまして、特別協定の中身について、節約あるいはその他、米側に対して、改善すべきところは改善をするという話し合いを行ったわけでございまして、それでは、おまえ、ずっと恒常的に決めた方がよかったじゃないか、もしそういう御主張であるとすれば、それよりは今のやり方の方がベターだというふうに私は思っております。
#223
○日森委員 いずれにしましても、ともかく私どもは、そういう特殊な事情の中で始まった特別協定はもう使命は終わったというふうに判断すべきだと申し上げておきたいと思うのです。そして、これは、きょう決まってしまえば五年先までなってしまうのですが、きょう決めないでいただいて、ぜひ直ちに見直しをしていただきたいぐらいに思っているのです。
 それはそれとして、いずれにしましても、今回、三十三億円削減をされました。これは、要するに特別協定の中の一%強でありますし、在日米軍の駐留経費総額の〇・五%、随分ぴったりした数字になるなというふうに思ってはいるのですけれども、その程度の削減でしかないわけですね。
 いずれにしましても、SACOの問題もありましたけれども、こういう格好でこれからも国民の負担がどんどんふえていくということについては納得しがたいということを申し上げておいて、次に行きたいと思います。
 ちょっと時間がなくなりましたので、幾つか質問を飛ばします。
 九月の2プラス2の会議で、ここの共同発表文によると、一九九六年の日米安保共同宣言で述べられているとおり、日米両国は、国際的な安全保障情勢における変化に対応して、防衛政策並びに日本における米軍の兵力構成を含む軍事態勢について引き続き緊密に協議する、この中身について再確認をしたというふうに言われています。
 これは大変重要な項目でして、先ほどから何度も話が出ていますが、大臣あるいは日本政府として、在日米軍の削減ということについて積極的に要請した事実があるのかどうか、あるとしたらどんな場面でどういう要請をされたのか、SACOの問題は先ほどお聞きしましたからあれですが、お答えいただきたいと思います。
#224
○河野国務大臣 積極的に米軍の削減を主張したか、こういうお尋ねでございますが、それは、そういう議論をする前に、国際情勢の認識について議論をしなければなりません。
 私は、先ほど御答弁を少しはしょり過ぎたと思いますが、この特別協定をこれからまた御審議いただきます一番重要な部分は、依然として我が国をめぐる我が国及び極東の情勢というものは不透明であるという状況認識のもとで、我々はこの特別協定というものも重要だということを考えているということを申し上げるべきであったかと思います。
 今のお尋ねでございますが、2プラス2におきまして、私どもは防衛庁長官と一緒に出席をしたわけでございますが、そこでの議論は、国際情勢の変化というものは、やはり朝鮮半島の変化というもの、これに注目をしたわけでございます。朝鮮半島の変化というものは好ましい方向に向かうだろうという兆候は見られる、しかし、依然としてまだ不安定性と不確実性が存在しているというのが日米双方、2プラス2の折の共通の認識でございました。
 こういう共通の認識を持った上で米軍に対してどうするかといえば、この共通の認識がございますと、在日米軍の数を減らせと主張したかとおっしゃいますけれども、そういう議論にはなりません。もっと我が国を取り巻く状況というものが大きく変化をするというような状況、国際情勢の大きな変化があれば、これはまた米軍の兵力といいますか、軍事構成についても日米間で協議をするということになろうかと思いますけれども、共通の認識が、依然として不安定性、不透明性が存在する。私は、好ましい方向に進む可能性があると思っております。それについてもそういう主張をいたしましたが、好ましい方向に進む兆候は見られるというのが共通の認識ということで合意をいたしました。
#225
○日森委員 先ほど大臣は、そういう好ましい兆候があって、しかし不確定要素も多い、したがって現状維持でいくんだという中身だったと思うのですが、しかし同時に、その好ましい兆候に我が国も積極的に関与していくということもおっしゃられたと思うのです。
 その関与の仕方の問題として、冷戦構造の時代と相も変わらぬ在日米軍が存在をしているようなそういう体制こそが、むしろ、好ましい方向、その兆候に水を差すことにならないのか、そういう流れに逆行することにならないのか。むしろ、在日米軍を積極的に減らそうという主張を我が国が主体的に積極的にすることによってその好ましい兆候をさらに加速させることにならないのか、それが我が国の平和に対する貢献にならないのか、こう思うんですが、その辺はどうなんでしょう。
#226
○河野国務大臣 これはいろいろ御議論があると思います。例えば韓国の金大中大統領は、御自身、思い切ってピョンヤンを訪問して首脳会談を行ったわけですけれども、決して、そのときに軍事的な韓国のプレゼンスに変化をさせたということは私は聞いておりませんし、また、その南北の首脳会談において在韓米軍の存在というものも重要だということを主張され、それを北朝鮮金正日総書記にも説明をして納得をさせたというふうに伝えられているわけでございます。
 米朝関係は大きく動くのではないか、なかなか実際はきょうまでは動いておりませんが、動くのではないかと言われた昨今でございますけれども、必ずしもアメリカの北朝鮮に対します軍事的なプレゼンスは変わったというふうに私は聞いてはおりません。
 それぞれが対話と抑止といいますか、対話をしよう、しかし一方でやはり抑止についてもきちんとした姿勢はとっていこう、こういう状況になっているというふうに私は感じておりまして、そうしたアメリカ、韓国の姿勢、対応というものは、もちろん我々にとっても同様の感じを持っているなというふうに私は見ているわけでございます。
#227
○日森委員 意見の違いがあるということで、それについては終わりにして、時間がありませんので、特別協定に関する幾つかの問題について御質問申し上げたいと思います。
 最初に、三十三億円削減をされたということなんですが、これは光熱水料の一〇%カットとか区域外は除外、あるいは上限労働者数を決めるということで三十三億円の削減が図られましたけれども、同時に、この協定の中には節約の規定も盛られているわけです。しかし、残念ながら、これは努力規定であって、強制力が伴わない規定になっているわけです。
 これまでもいろいろな委員の方から御指摘がありました。住宅、ぜいたく過ぎるんじゃないか、何で娯楽施設まで整備しなきゃいけないのか、余りにもむだ遣いが多いとか、そういう批判がたくさんあったわけです。こういう批判がある中で、在日米軍にこの規定に基づいて節約を求めるということに今後なっていくんだと思うんです。三十三億円、一%程度の節約では納得できないわけですから。
 そうすると、引き続き米軍に節約を求める場合、どんな担保でこれを実効性あるものにしていくのか。例えば、毎年毎年、在日米軍に報告書を提出させる、それを詳細にチェックをして本当に節約したのかどうか確認をするというぐらいのものがないと実効あるものにならないんじゃないか。そういう節約を実効あるものにするために何をするのかということについて一つお伺いしたい。
 それから、当然、国内の、地方自治体も含めてなんですが、会計検査院がチェックをしていくわけです。ですから、この在日米軍の場合、会計検査院による会計検査が一体どのように行われてきたのか。広大な敷地だとか娯楽施設だとか、ボクシングジムとかバーとか、いろいろなのがありましたね。あるいは光熱水料、これはむだ遣いとか言われていますけれども、これに対してどのような検査を検査院が実施しているのか、お伺いをしたいと思います。
#228
○大森政府参考人 お答えいたします。
 防衛施設庁といたしまして、特別協定に基づきまして在日米軍基地を中心とした光熱水料の予算の執行をしているわけでございますけれども、この執行に当たりましては、これまでも米側にいろいろな機会に節約を強力に申し入れておりまして、米側の方でも、省エネルギー教育ですとか広報活動をやってもらったり、また消費エネルギーの少ないような照明器具への取りかえというふうな努力もやってもらっているところでございます。
 また、先般の特別協定、日米で合意になりました方向によりますと、御指摘のとおりでございまして、負担限度額から基地外住宅分を引きまして、さらに一割減というふうな枠組みになっておるわけでございまして、また協定本文にも米側の節約努力が書かれております。
 その面でこれから、私どもといたしましても、米側と具体的に削減方法について十分協議して具体的な成果が出るようにしたいと思っております。それで、今先生御指摘の点の報告書を求めるところも含めまして、これから米軍と具体的に協議をしてまいりたいというふうに思っております。
#229
○関本会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 在日米軍関係経費につきましては、各防衛施設局の検査の際に、関連経費の金額、内容等を勘案いたしまして適時検査を実施しているところでございます。
 今お尋ねの光熱水料、ぜいたくというお話がございましたが、本院の検査に当たりましては、会計経理が法令や予算等に違背していないかといった合規性の観点、これのほかに経済性、効率性あるいは有効性といった観点から検査を実施しているところでございます。
 これらの観点から実施します検査におきましては、通常、客観的な基準というものを踏まえまして是非の判断をすることになっているわけでございますが、今御指摘のような光熱水料あるいは施設といったものにつきまして、これがぜいたくかどうかということにつきましては、客観的な基準が必ずしも明確でないということもございまして、その是非を判断することは非常に困難な状況であるということでございますが、いろいろな御議論もあるということでございまして、その辺のところはよく承知しておるところでございますが、先ほどもございましたように、節約というようなことが協定の中に取り込まれるというようなことも聞いておりますので、今後その推移を見守りたいと考えております。
#230
○日森委員 会計検査院もそれぞれ御努力をされていると思いますので、ぜひ、今お話ありましたように、今後在日米軍との間に協議を重ねて、あなた任せの節約というのははっきりしないわけですから、本当に実効あるものにするためにお互い努力をしていただきたい。これは要望しておきたいと思います。
 時間が余りありません。あと一点だけお聞きをしたいと思うんです。
 NLPの問題、これも何件か出されました。距離が遠くてなかなか硫黄島は使えないという話がありましたけれども、燃料費も我が国が負担をしているわけですから、そこは無理してもやってもらわなきゃいけないというふうに思っているんです。
 ただ、これが報道された新聞記事の中で、一点だけちょっと心配になったことがありました。これは、在日米海軍司令部の話として、硫黄島はあくまで暫定的施設である、十七年前から恒久的な施設建設を待ち望んでいるというふうに、在日米軍司令部のどなたか、まあ幹部の方なんでしょう、お話しされたという報道がありました。
 このことの真意、実際どうしてこんな発言が出てきたのか、確認をされたらその話をしていただきたいと思いますし、事実であれば、硫黄島について今後どうなさるおつもりなのか。さらに強化をして米軍が使いやすいようにしてあげるのかどうなのか、あるいは、仕方がないから今のままでともかくやってほしいという要望で終わりにするのか。これは米軍の要望もあるわけですから、具体的に政府のお考えをお聞きしたいと思います。
#231
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘の米軍の司令官の話につきましては、私は具体的に承知していないわけでございますけれども、いずれにしましても、厚木飛行場を中心といたしましたNLPの騒音を解消するためといいますか、対策といたしまして代替訓練場を建設するということで、防衛施設庁といたしまして、三宅島の建設につきまして地元の理解が得られるようにこれまで努力してきたところでございます。しかし一方、やはり代替訓練場を設置するということになりますと長期間を要しますので、暫定的な措置といたしまして硫黄島における訓練をお願いするということで、平成三年度から硫黄島においての訓練を実施してもらっているわけであります。
 いずれにしましても、硫黄島は千二百キロという遠方にありますので、かなりの地理的な、また気象上の制約を受けるということで、訓練の即応態勢を維持するということで一〇〇%できる状況にはないわけではございますけれども、代替的なところでございますが、硫黄島における訓練を多くやってもらうように米側には要請しているところでございます。
#232
○日森委員 ですから、お願いをするだけで、米軍がこう言っている、硫黄島をさらに恒常的な、きちんとした施設にするとかいうお考えは今のところないというふうに判断してよろしいのでしょうか。
#233
○大森政府参考人 先ほど御説明しましたとおり、硫黄島はあくまでも暫定的なものでございまして、恒久的なNLPの訓練場にするためには、地理的また運用上の点から非常に無理があるというふうな認識でございます。
#234
○日森委員 別のところにつくるというふうにも聞こえたんですが、ちょっと時間がなくなりました。これで私の質問を終わりまして、同僚の東門さんにかわりたいと思います。ありがとうございました。
#235
○中野委員長 日森文尋さんの質問は終わりました。
 次に、東門美津子さん。
#236
○東門委員 社会民主党の東門美津子です。
 私は、日米地位協定の見直しについて、在日米軍基地と環境問題を中心に質問をしていきたいと思いますが、冒頭に二点だけ、外務大臣にぜひお伺いをしておきたいことがあります。
 まず一点目、沖縄県は、米国の支配下で、そして復帰後も基地から派生する多くの事件、事故、米兵による女性、子供への性暴力と、ある意味では危険と隣り合わせの生活を余儀なくされてきました。また、経済自立の阻害要因ともなっている米軍基地、その基地の整理縮小を日米両政府に対して幾度となく要請してきております。しかし、沖縄の基地の整理縮小については、日米両政府ともその必要性は認めながら、実際は遅々として進んでいません。それどころか、新たな基地を押しつけようとさえしています。
 外務大臣、半世紀余りも基地と向き合って生活してきた沖縄県民は、後どのくらいこのような状態で苦しまなければならないのでしょうか。ぜひお答えいただきたいと思います。
#237
○河野国務大臣 お話しのように、沖縄県の皆様方が基地問題を初めとして大変な御苦労をされておられますことを、私も十分承知をいたしているつもりでございます。日本政府といたしましても、そうした沖縄県民の皆様方の御苦労、御苦心というものに少しでも報いたいといいますか、その御苦労、御苦心を軽減したいという気持ちがございまして、さまざまな施策を計画いたしております。
 もちろん、そうしたことで沖縄県民の気持ちがいやされるかどうかということになると、これはまた沖縄県民の皆様方の御意見というものはさまざまだろうと思いますが、いずれにせよ、現時点で行政ができる仕事としては、そうしたことを真摯に考えるということが大事だと思っております。亡くなられました小渕総理がG8サミットを沖縄でとおっしゃったお気持ちというものも、実はそういうことがあったというふうに私は理解しておるわけでございます。
 お尋ねの基地の問題でございますけれども、これにつきましては、私が今ここでいつまでにと申し上げることは極めて難しいのでございまして、あえて私は、できる限り沖縄県民の皆さんの御負担を取り除く努力をこれから先もさせていただきますということを申し上げることにとどめさせていただきたいと思います。
#238
○東門委員 沖縄県民の負担の軽減とよく使われております。そのお気持ちは確かにあると思いますが、それは決して振興策とか金銭的なことではなくて、一番負担の軽減というのは基地の整理縮小であるということ、決して県内移設、県内のたらい回しではないということをはっきりお伝えしておきたいと思います。これが沖縄県民の、一日も早く整理縮小をしていただきたいという思いです。
 もう一点目、十月三日の代替施設協議会において、米軍普天間飛行場の代替施設をめぐる協議は、岸本名護市長が強く求めていた基地使用協定などに関する話し合いの場が設置されることで、政府と県、名護市による共同歩調体制は維持されることとなりましたが、移設作業の重要なポイントになる十五年使用期限問題の進展はなく、政府は地元要望に最大限配慮する姿勢を示すにすぎませんでした。十五年使用期限問題では、県、名護市ともにあらゆる機会で主張するとの姿勢を変えておらず、一方の米国側も、使用期限設定には否定的な姿勢を崩していません。
 決して私が十五年使用期限に賛成というわけではございませんが、政府は、十五年使用期限問題に決着をつけないままで工事に着工する可能性はあるのでしょうか。ぜひお聞きしたいと思います。
#239
○河野国務大臣 代替施設協議会の場は、使用期限等を議論する場ではございません。これは、かねてからそういう話し合いになっております。
 代替施設の問題の議論が進んでいく状況下では、先ほどからお話がございますように、まだまだ、さまざまなアセスメントが行われるとか、そうしたことがあるわけでございますし、こうした問題について、知事あるいは市長の御提言といいますか御意見というものは非常に重いものだということは、もう関係者だれしもわかっているわけでございまして、この御意見をみんな重く受けとめているわけでございます。
 こうした使用期限の問題を議論する場というものがセットされれば、そこでそうした知事あるいは市長のお考えというものが取り上げられるということは、これも閣議決定の中に書かれておりまして、私どもとしては、そのとおり、閣議決定に定められた方針に従って作業をしてまいりたいと思っております。
#240
○東門委員 環境問題についての質問に移らせていただきます。
 国策によって本土から分断されまして、五十五年も米軍基地、軍隊と共存を強いられてきた沖縄県は、今また新たな不安に陥っています。それは基地の環境汚染の問題です。
 米軍基地の汚染問題としてまず思い浮かべるのは、一九九五年に返還されました米軍恩納通信所から、カドミウム、水銀、PCBなどの有害物質が発見された事件です。
 カドミウムは、イタイイタイ病の原因となった物質で、イタイイタイ病は、体じゅうの骨がゆがんだりひびが入ったりし、場合によってはせきをしただけで肋骨が折れたりする悲惨な病気です。
 水銀は、同じく公害病の水俣病の原因となった物質で、この病気にかかると手や足のしびれ、言語障害が起こり、目や耳などの機能も失われます。
 PCBは、カネミ油症事件を起こしたことで広くその名が知られるようになった化学物質で、人体に蓄積する性質を持っています。カネミ油症とは、一九六八年に西日本一帯に発生した急性のPCB中毒症で、覚えておられる方がたくさんおられると思いますが、体じゅうに吹き出物が出て下痢の症状があり、患者の中には死産あるいは早産を引き起こす者もいます。
 このような恐ろしい有毒物質が恩納通信所跡地で発見されたことは、地主はもちろん、地元の住民や県民に大きなショックを与え、不安に陥らせました。米軍は、返還後に発見されたので、日米地位協定によって汚染除去の義務は負わないと引き取りを拒否しました。広大な基地を抱える沖縄にとっては大変な問題です。
 外務大臣、汚染が発見された場合、環境浄化を含む跡地の原状回復の義務が米国側にないのであれば、その責任はだれが負うのでしょうか。汚染の度合いによっては、三年あるいは七年の年月ではとても使用可能な状況には戻らないこともあり得るということがアメリカの基地閉鎖の例で明らかです。そのときはどうなるのでしょうか。ぜひお答えいただきたいと思います。
#241
○浅野政務次官 在日米軍は、アメリカ国防省の策定した基準に沿って、環境に関しましては、我が国の国内法上の基準とアメリカの国内法上の基準のうち、より厳しい基準を選択するという基本的な考え方のもとで、環境管理基準、JEGSを作成し、これに基づいて厳格な環境管理行動をとっていると承知をしております。
 政府としては、米軍の施設・区域にかかわる環境問題に関しては、日米合同委員会の枠組みを活用してアメリカ側と十分に協議し、施設・区域内外の環境保全を含む米軍の活動に当たっては、我が国の公共の安全に妥当な考慮が払われるよう対処してまいりました。
 さらに、この九月に、河野大臣、虎島長官が参加してニューヨークで開催いたしました2プラス2で環境原則に関する共同発表を出して、その中で、在日米軍施設・区域をめぐる環境汚染について日米間で協議を強化していくことが確認をされております。在日米軍施設・区域から発生する環境汚染についても両国政府が適切に対応をしていくということで、改めて確認をし合っております。政府としては、今後、今回の環境原則に関する共同発表を踏まえて、引き続き環境問題と真剣に取り組んでいく考えであります。
 そしてまた、委員が御指摘の、実際問題として今の地位協定のままで対応し切れない部分があるのではないか、地位協定の改正の必要性を示唆されたとすれば、政府は、去年の末に行った閣議決定にあるとおり、地位協定の運用の改善ということについては、さまざまな実情に応じて懸命に対応をしていく所存であります。
#242
○東門委員 環境管理基準があることは、私もよく承知しております。それは後でお伺いしますけれども、それではなくて、私が今お伺いしているのは原状回復義務です。だれが責任を負うのですか。アメリカは、義務はない、私たちには責任はない、それは日本が提供しているからだと言っているわけですよ。政府が責任を負うのですか。
 沖縄県の場合、軍用地、基地に接収されている三分の一は民間の地主、民有地ですね。国有地が約三分の一、そして市町村、地方公共団体のが三分の一、あとは民間地です。そういう中で三年とか七年とかという期限を切ってとても原状回復はできないという例。特に沖縄の場合、五十五年もずっと基地が居座っているのですよ。そういう中で、今、話し合いをしていますということではないのです。もう既にいろいろ出てきているわけですよ。ですから、原状回復の義務はどなたが負うのですかということを明確に答えていただきたいと思います。
#243
○大森政府参考人 私の方から、防衛施設庁としてやっております有害物質の除去の考え方を申し上げたいと思います。
 防衛施設庁では、返還を受けました施設につきましての原状回復は、先生御指摘のように、地位協定上、日本国政府の責任になっております。防衛施設庁といたしまして、その原状回復の一環といたしまして、その際に出てきました有害物質につきましては、防衛施設庁が責任を持って処理し、保管することになっております。
 したがいまして、御指摘の旧恩納通信所のPCBを中心とします有害物質でございますけれども、平成七年の十一月末に返還となったわけでございます。このPCBの汚泥につきましては、防衛施設庁の方で除去いたしまして、現在、関係法規に従いまして航空自衛隊の恩納分屯基地において一時保管をしている。
 いずれにいたしましても、返還後の有害物質の取り扱いにつきましては、防衛施設庁の責任におきまして関係法規に基づきまして適切に対処しているという状況でございます。
#244
○東門委員 防衛施設庁、済みません、確認だけさせてください。
 責任を持って処理、保管するというだけではなくて、その土地が使えるような状況になるまで責任を持ちますということなんですか。そうなんですね。そのように理解してよろしいのでしょうか。
#245
○大森政府参考人 防衛施設庁といたしましては、現在、返還特措法に基づきまして原状回復を行います事務を処理しているわけでございますけれども、防衛施設庁は、その返還を受けました施設につきまして、原状回復をいたしまして関係の地権者に引き渡すという事務をやっております。
#246
○東門委員 時間がないようですから、ちょっと飛ばして、済みません、環境庁の方にはお答え願えないかもしれませんが、次の航空機騒音についてお尋ねしたいと思います。
 沖縄の嘉手納飛行場周辺の住民は、昼夜を問わず、我慢の限度を超える爆音に苦しめられているというのが現状です。テレビやラジオの電波障害を初め、騒音性難聴、低体重の赤ちゃん、周辺の保育園児が精神的要観察行動を引き起こしやすいことなどが沖縄県の航空機騒音健康影響調査で明らかになっております。また、爆音の余りのひどさに、住みなれた家屋敷を手放して離れた地域へ移転する事例もふえています。
 静かな夜を返してほしいと願っているのは、嘉手納や普天間飛行場周辺の住民だけではなく、厚木基地あるいは三沢基地など在日米軍飛行場を抱えている地域の皆さんは皆同じだと思います。
 それに対して、米軍は先ほど出ました環境管理基準をすべてクリアしているとのことですが、そのとおりですかとお伺いしたいと思います。防衛施設庁長官にお伺いします。
 もしクリアしているのでしたら、米軍の基準と日本側の基準というのはどちらが厳しくて、どういうものなのでしょうか。もし時間的に無理であれば、資料をいただきたいと思います。
#247
○大森政府参考人 嘉手納基地ですとか厚木基地を中心といたします航空機騒音の問題につきましては、私どもも非常に大きな、深刻な問題であるというふうに考えております。
 騒音対策といたしまして、やはり音源対策といいますか、航空機の運航そのものを工夫してもらうというふうなことになると思うのです。一方、米軍の方といたしまして、やはり運用上の要求というのがございます。しかしながら、やはり騒音問題を軽減するというところで、日米合同委員会を中心といたしまして、音源対策といいますか、騒音規制につきましていろいろ議論をし、また具体的にも、飛行のパターンですとか時間ですとか、そういうものを工夫してもらうように申し入れているところでございます。
 いずれにしても、騒音対策につきましては、私ども防衛施設庁が持っております民生対策ということで、防音工事を中心といたしました軽減施策というものもあわせて実施しているところでございます。
#248
○東門委員 たくさん準備してきまして、時間がないようですので、最後の方に移りたいんですが、日米地位協定の見直しについてお願いをしたいと思います。
 日米地位協定は、余りにも米国優位の、差別的、植民地的とも言える不平等きわまりないものだと思います。その見直しが沖縄県を初め多くの地方自治体、団体から今求められています。いや、これまでも随分求められてきております。
 沖縄県が政府に対し提出した地位協定の見直しに関する要望書の中でも述べられていますように、ドイツでは、ボン補足協定で、日本と同様の問題が運用改善ではなく協定の改正により担保されています。ドイツでは地位協定自体の改定が現実に実施されているわけですが、我が国では運用改善で対応するばかりで、政府には地位協定改正の動きはないようです。あるいは、これまで積極的に見直しについて協議をしたことがおありでしょうか。ドイツで行われていることが日本でなぜできないのか、外務大臣の見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
#249
○河野国務大臣 地位協定の改正について多くの地方自治体から御要請をいただいていることは事実でございます。
 しかしながら、私自身の経験からいって、地位協定の改正にかかる時間と労力、そしてその可能性というものをずっと考えてみますと、地位協定の改正にかかわっていったのでは、むしろ、現実に起こってくるであろうさまざまな問題の処理ということを考えれば、地位協定の運用の改善の協議をする方がはるかに確率も高いし、効果的なものだというふうに感じたことがございます。したがって、SACOの報告の中にも、「地位協定の運用の改善」ということで項目を挙げて、その項目につきましてはおおむね米側と合意ができるということに今作業が進んでおりまして、私は、この合意によりまして実質的にやるべき仕事というものはかなりできるようになるというふうに考えております。
 ただ、議員がお話しのように、外国でもそういう議論があるのになぜ日本ではできないのか、やらないのかという御指摘でございますけれども、この地位協定にはそれぞれの地域でそれぞれの地位協定締結の折の条件等がございまして、その地位協定が改正をされるということは、全くないわけではございませんけれども、極めて難しいというのが状況でございます。
 したがいまして、私は、現時点では地位協定の運用の改善を行うということが最も効果的であり、実質的だというふうに判断をしているところでございます。
#250
○東門委員 最後になります。
 運用の改善にもかなりの時間がかかると私は伺いました、努力が要ると。外務省の優秀な職員の皆さんが大臣のもとで頑張れば、私は地位協定の見直しも可能だと思います。ぜひ頑張っていただきたい。それがやはり国民、特に、私は沖縄県の人間としてお話ししますけれども、私たち沖縄県民にとっても大きな意味を持ってきます。ぜひ頑張っていただきたいとお願いをしまして、終わります。ありがとうございました。
#251
○中野委員長 東門美津子さんの質問は終わりました。
 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#252
○中野委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。塩崎恭久さん。
#253
○塩崎委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました在日米軍駐留経費負担特別措置協定に対し、賛成の立場から討論を行うものであります。
 戦後五十年余り、日米安保体制のもと、我が国は一度も戦争に巻き込まれることなく、平和と繁栄を享受してまいりました。世界の国々との交易により世界第二位の経済大国の地位を築いた我が国にとって、アジア太平洋地域、さらには世界全体が平和であることが、我が国の繁栄のために必要不可欠な条件であります。そのためにも、日米安保体制を堅持することは、米国にとってよりも、むしろ我が国の国益にとって死活にかかわる問題であることをしっかりと認識すべきであります。
 最近の我が国を取り巻く情勢は、韓国と北朝鮮の南北首脳会談、オルブライト米国務長官の北朝鮮訪問など、朝鮮半島で緊張緩和の動きがあります。しかし、今なお北朝鮮のミサイル問題は未解決であり、さらには中台関係、インド、パキスタンの核問題等、アジア太平洋地域には依然として不安定性及び不確実性が存在しており、今日においても日米安保体制の重要性にいささかの疑問の余地もありません。
 本特別協定に基づく在日米軍駐留経費負担は、このような日米安保体制を支えるための我が国の戦略的貢献、同盟のあかしともいうべきものであるとの観点から理解すべきであります。
 現在、我が国財政は、長期債務残高が平成十二年度末で約四百八十五兆円、地方も含めると約六百四十五兆円と非常に厳しい状況にあり、他方、米国は、二〇〇〇年度の財政黒字が過去最大の二千三百七十億ドルになるなど、最初の特別協定が締結された昭和六十二年当時とは立場が逆転しております。
 しかし、アジア太平洋地域において、米国一国だけにその平和と安全のための責任を負わせることなく、我が国も米国とともに同等の責任を担っていこうというのが我が国の基本的な国家戦略であります。この役割分担の方法として、我が国は、基地の提供と駐留経費負担により、米国の前方展開戦力の維持に貢献することとなっており、財政上の観点からのみで負担の大小を判断すべきものではありません。
 他方、駐留経費負担も国民の税金によって賄われるものであり、むだ遣いが許されるものではないことは当然であります。本特別協定においては、新たに米国の節約努力規定が盛り込まれ、また、関連する書簡において、労務費の上限据え置き、光熱水料等の抑制が合意されるなど、国民の視点に立った経費節約のための措置が図られております。
 駐留米軍に対しては、沖縄の米軍基地整理縮小問題、NLPによる騒音問題、環境問題などで批判があることは事実です。私としても、現状に全く問題がないなどと言うつもりはありません。これらの問題については、今後とも、日米間でさらなる忌憚のない意見交換を行い、情報と認識を共有し、問題の解決を図ることにより、同盟関係はさらに強固なものになるものと期待をいたします。
 日米安保体制は、今や単なる二国間の同盟という域をはるかに超えて、アジア太平洋地域の安全保障にとってかなめとも言えるものになっております。これを危うくすることは、我が国の国益のみならず、アジア太平洋地域の各国にとって非常に大きな衝撃を与えるものであると言っても過言ではありません。
 本特別協定は、そのような日米安保体制における在日米軍の効果的な活動に資するもので、日米関係全般並びに我が国を含むアジア太平洋地域の平和と安定に重要な意義を有し、本協定の締結が日米間の信頼関係をより一層深めるものであることを申し述べ、私の賛成討論といたします。(拍手)
#254
○中野委員長 次に、首藤信彦さん。
#255
○首藤委員 民主党の首藤信彦です。
 米国との地位協定二十四条についての新たな特別措置協定に関し、民主党・無所属クラブを代表し、賛成の討論を行います。
 最初に指摘しなければならないのは、このいわゆる思いやり予算なる特別協定が、その善意の表現とは異なり、実態的には駐留米軍に対する過度な便益の提供にほかならない点です。
 冷戦後、世界において国際情勢が変化する中、基地のあり方自体が修正を迫られ、米国は効率の悪い基地を縮小し、条件の有利な基地に集約しようとしています。すなわち、日本がこのように極端に米軍基地を厚遇するがゆえに、米軍はむしろ日本に基地機能を集約させ、駐留を長期化させる傾向があります。言うなれば、この特別協定こそが沖縄や神奈川県等における米軍基地の永続化に結びついていると言わざるを得ません。
 今回の協定では、本文第四条において米側の節約努力が明文化されていますが、それも具体的数値目標を持たず、また政府は、今回の米国政府に対する交渉によって、基地区域外の住宅分光熱水料費等三十三億円を差し引いた外交成果を強調していますが、もともと本質的に本協定の範囲外であるはずの基地外域施設の光熱水料費にこのような巨額の費用をこれまで認めていた政府の責任は免れないと考えます。また、なぜほかの予算は現状維持なのか、日本国民に対する説明責任に十分にこたえていない外務省の対応は、国民の納得するところではありません。
 また、既に我が党が本会議及び委員会において指摘したNLPに関しては、本特別協定では硫黄島への長距離飛行による燃料費が訓練移転経費として計上されているにもかかわらず、近年では八割のNLPが本州四基地で行われるなど、明らかに費目と現実の経費とが一致しておりません。
 しかしながら、この特別協定の最大の問題点は、日米安全保障条約第六条に基づく地位協定そのものが安全保障環境の変容に十分に対応していないことです。したがって、当該特別協定だけに修正の手を入れてもほとんど意味を持たないばかりか、かえって負担費目を固定する可能性があります。
 それゆえに、民主党は、五年後の特別協定の改定を目途に、費用分担のみならず、安全保障活動における責任分担、日米安全保障体制の抜本的な協力関係の見直しの中でこの特別協定の全面的な検証を行い、二十一世紀における新たな日米協力体制の構築を目指します。
 政府におかれては、今回の質疑で明らかになった経費削減及び明らかな約束違反であるNLP問題の解決に関し、早急かつ真摯な努力を払っていただきたい。我が党はそれを強く求め、その実行を監視することを表明し、賛成討論といたします。(拍手)
#256
○中野委員長 赤嶺政賢さん。
#257
○赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、在日米軍駐留経費に関する特別措置協定に反対の討論を行います。
 駐留米軍のための維持的経費のうち、我が国に負担義務のない日本側負担は、七八年の六十二億円から始まり、二〇〇一年度、本協定による適用初年度ですが、予算概算要求額では四十一・六倍の二千五百七十九億円に達しています。
 これらの費用は、米軍地位協定第二十四条一項に基づいて本来米側が負担すべき米軍の維持的経費とされていた米側負担が明白なもので、日本側には負担義務のないものであるにもかかわらず、本協定により、二〇〇一年度より五年間、日本側負担の継続を許すことになるのであります。
 七八年の思いやり予算の導入の当初、米側の駐留経費を日本側が負担することにした理由として、政府側は、円高・ドル安による米軍駐留経費窮迫のためとしていました。
 ところが、最近の経済、財政事情においては、本年を含め三期連続の財政黒字のアメリカに対し、日本側は、バブル崩壊以来最悪の借金財政に直面し、日米の財政状況が激変しており、思いやり予算を受け入れた日本政府の当初の立場からいっても、思いやり予算をこのまま続ける根拠が失われたはずで、日本政府の言い分からいっても、莫大な額の思いやりを実施する本協定を廃止するのは当然であるからであります。
 今回の改定で光熱水料を削減したとしても、全体の一・二%と極めて少額であり、しかも、残額の九八・八%に当たる二千五百七十九億円もの日本側負担が継続される現状では問題にもなりません。
 しかも、本協定による在日米軍駐留経費の日本側負担の維持、継続は、世界的任務遂行として位置づけられた在日米軍を安定的に維持するためのものであり、日本の安全を守るどころか、日本をアメリカの世界的有事に参戦させる体制づくりにくみするものとなり、我が国の立場である武力によらない国際平和の安全と維持という立場とは明らかに反することになるからであります。
 その上、思いやり予算は、米軍の安上がり駐留に貢献し、米軍を引きとめる保証となっており、米軍の在外基地や米国内基地の削減が進む中にあっても、在日米軍、特に在沖米軍基地の整理縮小がなかなか進んでいない現状を見るなら、在日米軍撤去のためにも思いやりは全廃すべきであることを強調して、反対討論を終わります。
#258
○中野委員長 次に、日森文尋さん。
#259
○日森委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました在日米軍駐留経費負担特別協定に反対の立場から討論を行います。
 日米安保条約第六条に基づく日米地位協定二十四条には、日本側が基地・区域を提供するとしていますが、それ以外の駐留経費については、「この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と明記されています。したがって、基地・区域の提供を除く基地従業員の給与、家族住宅建設や光熱水道料金、加えて基地移転費などは、地位協定二十四条からすれば、本来米国が負担すべきものであります。
 円高・ドル安の事情を配慮して、一九七八年度以来、いわゆる思いやり予算として特別協定が二十年以上にわたって続き、今ではゴルフ場、ボクシングジムまで日本側が負担しているのが現状です。
 しかしながら、思いやり予算の当初と比べ、内外の情勢は大きく変わりました。米国大統領選挙では、財政黒字を社会保障に回すか減税の財源とするかが争点となりましたが、他方、日本は世界一の借金大国になり、日米の財政事情は逆転いたしました。
 また、日本周辺の情勢変化も顕著です。南北対話や米朝共同コミュニケの発表など、朝鮮半島では歴史的な展開を遂げようとしています。このような劇的な国際情勢の変化の前にこの特別協定が今後五年間も継続するというのは、情勢に対応できない、むしろ思考停止の外交の結果と言わざるを得ません。
 駐留米軍維持のために政府が支払っている負担額が、国際的に比較してみても余りにも巨額であります。日米地位協定二十四条及びこの特別協定による駐留軍関連経費の負担総額は、今年度予算で六千六百億円に上っています。一九九八年の米政府資料で国際比較すると、海外に駐留する米軍総数二十四万七千人のうち約二割の四万七千人の米軍駐留のために、何と政府は、全世界の米軍駐留経費の五三%、半分以上を負担しているのです。
 米政府は、駐留受け入れ国の中で日本が最も寛容な国と高く評価していますが、これでは、内外情勢の変化にかかわらず米軍駐留は続き、沖縄を初め米軍基地の削減は実現しないというのが国民の皆さんの実感であります。
 本協定は、国民の利益を守るために政府が内外の情勢に機敏に対応したものだとは到底認めることはできません。
 以上をもって反対討論といたします。
#260
○中野委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#261
○中野委員長 採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#262
○中野委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#263
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#264
○中野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十分散会

ソース: 国立国会図書館
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