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1950/12/01 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 予算委員会 第4号
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1950/12/01 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 予算委員会 第4号

#1
第009回国会 予算委員会 第4号
  公聴会
――――――――――――――――
昭和二十五年十二月一日(金曜日)
   午前十時三十九分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十五年度一般会計予算補正
 (第一号)(内閣送付)
○昭和二十五年度特別会計予算補正
 (特第一号)(内閣送付)
○昭和二十五年度政府関係機関予算補
 正(機第二号)(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(波多野鼎君) それでは前日に引続きまして予算委員会の公聽会を開きます。
 最初に時事新報編集局長内海丁三君にお願いいたします。
#3
○公述人(内海丁三君) 補正予算について一般の見地から何か言えというので、その限りにおいて私の私見を申述べさして頂きます。一般的に考えまして、補正予算と申しましても、これは十五カ月予算の最初の三カ月と見るべきでありましようから、来年度の予算に通じての意味もあり、それが又一般的性格になつておると思うのでありますが、そういう意味で考えますると、これはドツジ・ライン……こんな公式の席で通俗的な表現をすることをちよつとお許し願つて、ドツジ・ラインが本年度からどういうふうに変るか、朝鮮事変という大きな條件が新らしく加わつて、その後の日本に対して適用される財政金融政策というものの根本的の筋をなしておるドツジ・ラインがどういうふうに変るかということがここに現われていなければならん。その点について注意して見たい、こう思うのであります。補正予算の特に特色とすべき点を政府の発表した予算書の中にも書いてありますが、その全部でなく省略しまして、私は三つの点を注意したいと思います。一つは減税であります。税金を減らす、それからもう一つは給與水準の引上と、それからもう一つは何と申しますか。予算書では特別会計の繰入といつておりますが、通信にインヘントリー・ファイナンスの問題として世間でやかましく言つているこの点ですが、これは三つと申しますが、大別して二つの話として申上げ、前の二つ、つまり減税と水準の引上というのはドツジ・ラインの修正というか、緩和というか、変更されているということを代表している。それからあとのほうはドツジラインが堅持されている。相変らず維持されて行く、継続されて行く、こういうほうの意味のものと解釈します、
 大体もう皆さんすでに御承知のことなんでありますが、繰返させて頂くと、九原則以来、特にそれを強く現わしましたドツジ・ラインというものでは、インフレを抑えるということが大きな基本になつて。インフレを抑えるために財政政策を利用するといつては少し語弊はありますが、財政の線によつてインフレを抑えるということが強く出ておつた、こう申してもいいと思うのであります。その見地からいいますと、給與の水準を上げるということはひとり官公吏ばかりでなくて、一船の関係もあつてインフレを刺激する。購買力を増大してインフレを刺激する。だから上げてはならん、こういうのが去年以来今年の予算にかけての強いラインであつたということが今でははつきりしているんであります。当時はそれがはつきりしなかつたのかどうか、この國会におきましても、或いけ労働組合の要求などにおいても、又それが仲裁委員会、或いは裁判所まで行つた提訴の問題の場合にも、その給與を上げるべきでないという鉄則は別あるということをはつきり表に出さずに論争が行われた。或いは判決が行われた、こういうことが実情であつたのであります。当時政府は釘付けのくの字も言わないで、公務員法にある予算上、資金上不可能なる場合ということを理由で引上抑制を突つばつて参りました。その他いろいろ裁判所の方でも問題が起つたわけなんであります。それは言い分はどちらでありましようとも、経済九原則以来のはつきりした筋がある。賃金の釘付け、少くとも財政政策の上では、公務員の給與水準釘付けという強い線があつたのであります。それが今度は若干ではありますが、その線が破れたと申しては不都合でありましようが、変更されたということが一つのポイントであります。
 それからもう一つ、減税のほうでありますが、この減税が実質的には減税なつていないし、若しくは負担軽減になつていないという議論もあるようでありますし、又そういう理窟も立つだろうと思いますが、とにかく税金を減らすという考え方はドツジ・ラインの中にはなかつたといつては語弊があるでありましようが、そういうことに重きをおかれていなかつたということが言えるのであります。むしろ逆に税金を取過ぎて、余計に坂つて、できるだけ取つて、そしてそれを財政政策の面で按配する。こういうのがドツジ・ラインの特色であつたように思う。それを最も強く現われておつたのが、例の債務償還という言葉で言われますが、税金を取る場合に当面の目の前だけの國費を賄うという必要な額だけを取るという普通の立場を離れまして、それ以上取つて貯めておいて古い借金を返す。それが債務償還費の計上であつた。今年の予算には一般会計で五百億御承知の通りありました。でありますから税金を減らすということには重さを置いていなかつた。逆に税金を余計取つて行こうという考え方であつたということが言えるのであります。ところがその債務償還という点ではこの十五ヶ月予算においてはないようでありますが、とにかく形だけと言われるにしても減税ということが行われるということになつたということは多少ドツジ・ラインというものについての緩和的のものではないか。効果はどの程度あるかは別といたしまして、そういうにおいがするのであります。無論御承知の通り本年度からは中央、地方の両方に亘つて総合的に税制改革が行われまして、その間、税金の軽減という部分に当る措置も相当にあつた。これも多いとか少いとかいろいろ批判の余地はありますが、あることはあつた。その上に追かけて多少減税が行われるということはドツジ・ラインが多少緩和されておるほうの一つの兆候である。こういうふうに考えられる。それで一方の緩和されていない、堅持されている、相変らず継続されておると見られるものがさつき申上げましたインヘントリー・ファイナンスといいますか、特別会計に対する運転資金の融通を税金を以てするという金融の操作からいえば、非常に異例の措置が今年も継続されておるのであります。去年の債務、去年のといつても今年の予算ですが、今年の予算の債務償還ということが五百億計上された、来年はそれがない、その代りに来年五百億、補正予算で百億合計六百億というのは為替特別会計への政府出資金というのか、運転資金の供給というのか、そういうものに計上されることになつておる。補正予算に計上されるのが百億、来年度は五百億と予定されておるようであります。これが代表的なもので、例えば輸出銀行を新設されるにつきましても、その資金を見返会計と一般会計、この二つからつまり財政資金の面で出すだけで、金融市場若しくは日本銀行からの金融ということは全然厳重に避ける方針がとられておるようであります。そうしますと、この特別会計への非常に大きな額の一般会計からの繰入資金を以てする金融ということの特色はむろんこのインフレを抑えるという趣旨のものであつたので、去年から今年にかけての間においてはそういうことは非常に意味があつたかも知れません。新らしい段階において問題になるのだろうと思いますが、とにかくこれは相変らず同じ方針が堅持されておる、こういうことの一つの形が現れたものだろうと思います。これは余分なことで私の純然たるこれこそ私見でありますが、前の給與引上げ或いは減税というようなことは、日本側の当局が大いに、新聞で折衝という言葉が使われておりますが、折衝か、懇請か、懇願か知りませんが、日本側当局がドツジさんに懇願して実現したのではないか。逆に特別会計への資金繰入の方はドツジさんから言われて成るべく少くといつて懇願したものをやはりそれだけ入れることになつたというのではないかと、これは私の全く憶測でありますが思つておるのであります。そういうふうな解釈をいたしますと、全体として今度の予算においても、インフレを抑えるという精神から来る財政操作という根本観念というものが強く作用しておる、こういうふうな印象を受けるのであります。それでこういうやり方は一つのさつき申上げましたような異例なやり方であるということは、抽象論としましては言えることであつて、又具体的に数年、ここ二三年前九原則或いはドツジ・ラインというものが強く要請された時期においてインフレを抑えるための政治のやり方として結構であつただろうということも又言えるのであります。
 然らば今日の段階でそういうことが必要であるかないか、これは今後批判の焦点の一つになるのではないか。つまり今の段階においてインフレは一応とまつておる。にもかかわらずそれ以上に税金を取つて金融をやる、簡單にいえばそういうことが必要かどうかということが新らしい批判の焦点になるであろうとこう思います。勿論これは朝鮮事変というものがなかつたならばかようなことは多分なかつたであろうと私は私見として想像するのでありますが、つまり朝鮮事変というものがなくて、あのまま今年の予算が遂行されて今日の段階に来たときに、又来年の予算を組む場合のドツジさんの考えはかようなものでなかつたのじやないか。ここで改めて相当の積極的な予算がとられたのではないかと想像するのであります。然るに朝鮮事変というものが起つて今後の見通しというものがはつきりしない、はつきりしているようでなかなかはつきりしない。非常な生産力を超過した新らしい需要が起るかも知れない。世界的な軍備拡張の趨勢もあるし、物価は高くなる可能性も非常に多い。こういう場合にはやはりもう少し今まで通りやつて行こうじやないかと考えておるのであります。それが現れたのが、而もはつきりと強く象徴的に現れておるのが今度のいわゆるインベントリー・ファイナンスというものを税金でやるということが、それが象徴的に現れた部分だと、こういうふうに私は態像するのでありますが、この点が今度の補正予算から来年度の予算にかけての全体的な面から見た顕著な性格であろうと思う。そうしてそれの可否というものは、インフレの可能性があるかないか、危険があるかないか、それに備える必要があるかないか、こういう点からされるべきじやないかと思うのであります。
 それで税金による金融というものの一番いいところは、勿論民間の購買力を國家権力によつて吸い上げてそれを國家権力の中にプールして政策的に出して行く、コントロールするという点にあるのでありますから、明らかにインフレ阻止の手段の一つであります。ところが金融というのは、ここで講釈申上げるのもおかしいのですが、実際のいろいろの取引上の必要から金融に対する要求というものが起るのでありまして、経済の活動を反映して伸縮する、資金が出たり入つたわするものである。而も回転するものなんだ、回転も経済的な條件に従つて回転するものなんだ。それが一般の金融のならわしであつて、そうして國家金融、これは輸出銀行にしろ為替の特別会計、これは外貨の売買をするということになりますから、同じものでありますが、それの金融においてもその原則は変らない。然るに一方それを供給する源になる一般会計の財源というものは、もう枠をきめてそれだけの税金を取るということになります。ですから極端にいえば、要つても要らなくても税金だけはとにかく取る。余つたら何か臨時に多少いろいろ回転することはできますが、とにかく税金としては取ることになる。要る要らんは別のところできまるということになりますと、とかく徴税過多、オーバーという横文字の言葉を使えばオーバー・タクゼーシヨンとでもいいますか、そういうものの原因になりやしないか、それが大きな租税上の欠ではないかと私は思うのでありますが、まあそれらをいろいろ理屈をこねてここで反対すべきであるかないかということについては、はつきりした見識を持つておりませんが、單なる批評家として放言させて頂くならば感心しないと私は思つております。
 大体そんなふうなことで許して頂きたいと思います。
#4
○委員長(波多野鼎君) 御質問がございましたらどうか……。
#5
○木村禧八郎君 只今有益なお話を伺いましたが、そのドツジさんの考え方が事変を契機としてどう変つたであろうか。それがこの予算にどう反映しているか、こういうお話ですが、非常に着眼として敬服したのですが、その点につきにまして一番問題になるのは、ドツジさんはどう考えられたかということなのですが、只今のお話ですと、前途はよくわからない、インフレはどれくらいになるのか、事変の影響はどうなるのかわからんから、ここで従来の方針をやはり堅持してインフレを抑えて行こう、こういうようになつたというようなお話でありましたけれども、我々から見ますと、どうもそうでなく、ドツジさんは非常にはつきりしていまして、事変の影響というものを、事変が起つてからの影響をはつきり考えて、我々が想像しているよりも非常にしよつぱいのではないか。今のあなたのお話よりも以上にもつとしよつぱく考えられていると思います。つまりアメリカがこれから軍備拡張をやる、國防経済の段階に入る。正式に日本経済もアメリカ経済の一環として利用する場合に、やはりインフレインフレとドツジさんが言いますが消費インフレと言いますけれども、インフレという言葉で表現するとよくわからないのですが、これを物の再分配関係として見ると、特需とか、輸出という形で國防的な経済の方に日本経済を多くの利用する。そのためには日本國民の消費水準を成るべく今まで以上に圧縮して行かなければ駄目だ、こういうことが非常にはつきりして今度の予算に現われた。それがインベントリー・ファイナンスという形、或いは又年末手当を與えようとしたけれども、それを創る、或いは税金をもつと政府は減らそうとしたけれども、その減税をもつと少しにして、そうしてここでいわばこの補正予算にちよつびり現われた。そしてこれが二十六年度の予算の本格的な性格となると思いますが、まあ國防財政ですか、國防財政というのは変ですけれども、そういうような形にはつきり変つて来た。そういう意味で我々非常にこの予算を重要視し、ただ單に今の量的な変化ではなくて、量的には今までの超均衡予算を続けているように見えるのですが、今度は質的に非常にそこに重大な変化がある、こういうように我々は見ていまして、このドツジさんの考えはわからないのではなくて、ドツジさんは朝鮮動乱の影響を非常に深刻に考え、アメリカの國防経済の一環として日本経済を利用する場合、そこに非難に強い線が現われて、これが又二十六年度予算に極めて明確に現われて来るのではないか。そこで我々は國民の生活水準が今後どうなるかということを非常に心配しているのですが、そういう見方は余り行過ぎた見方でしようか。それともやはり只今のお話の程度の考えであろうか。それからドツジさんの考えが、朝鮮事変の日本経済に対する影響をどう考えるかというその点を重要視されたその御着眼は非幣に敬服するのですが、その点を非常に重要視する意味で、この点も少しお伺いしたいと思うのです。
#6
○公述人(内海丁三君) 私のここで申上げることの範囲を、少し今の御質問は逸脱しておるようでありますが、大体同じように私も感じます。ドツジさんは恐らく今おつしやつたような強い線だと思います。非常に強いと感じております。それは根拠があつて言うのではなくて、全体の経過を見ての勿論判断でありますが、強いものと感じます。ただそれを最小限度そういう立場を弁護的に表現すると、少くとも将来どうなるかわからんというところまでは誰もが同意し得ることではないか。従つて当局者は、責任ある当局者としてどうなるかわからないし、心配の仕方によつては非常にインフレになるかも知れないという立場を考えるときに、責任当局者がこういう政策をとるということは止むを得ないのではないかということは思うのであります。さつきに私が感心しないと申上げたのは、全体の方針でなくて、インベントリー・ファイナンスというものは金融技術的に考えてそういう税金でする必要はない。こういう段階においてはそういうことをする必要はないと思う、そのポイントでありますから、もう一遍はつきりしておきます。
#7
○委員長(波多野鼎君) ほかにございませんですか。ございませんければ、どうも有難うございました。
 次にちよつと御了解を得たいと思いますが、富士製鉄の社長の永野重雄君に公述をお願いしておきましたが、そしてお引受けになりましたが、今日突然公用ができまして出られない、そこで常務取締役の佐藤正義さんが代理としておいでになりました。佐藤さんにお伺いすることにいたします。
#8
○公述人(佐藤正義君) 只今委員長よりお話がございましたように、弊社の社長永野が急に差繰りがたい用件のために公述人の役目を果すことができなくなりましたので、私が代理として、実は私ばかりでなく私の方の取締役の加藤と一緒に来いというようなわけで参つたような次第であります。皆様がたにお詫びをしてくれということでございました。公文書によりましての公述の指定は給與のことでございました。社長といたしましては特に給與の專門というような取組みもしていないのであります。一般問題について公述をさせて頂きたい、こういうようなことでございます。なお給與のことも御指定もございましたので、一応給與についての考えもこの際申述べたい、こういうことであります。
 それにつきまして、終戰後インフレの昂進に伴いまして給與が生活給の色彩を非常に強くしたことは、これは止むを得ないところの経済現象であつたのでありますが、漸次経済の安定に伴いまして能率給の色彩も復元するという方向にあらねばならん。こういうことも反映いたしまして、若干そういう方向にあるようであります。人事院の勧告が三回國会並びに政府にあつたのでありますが、これらの色彩も多少入りつ易るように見受けられるのであります。生活給であるべきか、能率給であるべきかということは非常に論争のある点でありますが、実際問題といたしましてはいずれときめることのできがたいところの問題であるのでないかと思います。今度の補正予算に出ておりますところの給與は人事院勧告の線に沿つたものであるのでありますが、なお財政上の都合等によりまして十分これを満たすに至つておりません。公務員のその責務に対して果して十分であるかという点につきましては、人によつていろいろ問題があると思いますが、公正適当な待遇を本としておるということは勧告並びにこの予算にも現われておるのであります。非常に細かい問題に入りますが、結論的のものは最終に申述ベさして頂きたいと思いますが、今度の人事院勧告の線といいますか、補正予算に現われている線で、私どもとしまして賛意を表したいのは、この職階給における倍率の線が、例えば人事院の線におきましては、一号俸と七十号俸との間が従来七倍の程度でありましたが、多少壊しまして八・三倍というふうになつておりますが、このいわゆる上級者と下級者の問題につきましては、上に厚く下に薄いというようなことであつてはなりませんけれども、併しおのずからその地位によつて責任がある。その地位を保つて行きます上におきましても必要な收入というものが保証さるべきである。こう考えるので、多少の倍率の増加を見た点は、これは今後行くべき方向として考えなければならんのではないかと思います。戰争前におきますところの倍率の点を考えますと、例えば総理大臣の年俸の月割が千円といたしました場合に、一号表なり二号表の若いかたの月俸が四十円とか三十円、仮に四十円といたしましても曾ては二十五倍あつたのでありますが、この点がインフレの関係から非常に歪められているのでございます。これは応能応報の立場から考えますときには、従来の倍率が果していいかどうかということは、これは科学的の検討を要する点であると思いますけれども、併しこの倍率というものが相当のものでなければならん、現在のものはまだ歪曲されている。これは諸般の給與政策、或いは財政の関係から一挙に解決は、できない問題であるけれども、方向はなおとるべき問題であらねばならん、こう考えているのであります。これはソ連におけるノルマ給のごときを以て申しますと、非常な倍率において差のあることは世間周知のことでございます。
 第二に、今度の若干の、約手円くらいの増給になつておりますが、これを手取りの増加率というものについて見ます場合は、先程の倍率の点におきましては、上に若干厚い、こういう方向をとつておりますけれども、併し例えば二級の一号でありますと、下におきましては、人事院の勧告におきまして三二%ぐらいの増加であります。次官級のかたが一七%であります。この点につきましては、やはりここに所得税の問題があるのであります。この所得税の税率というものが非常に高率であることは、國民全般がこの高率にさいなまれているのであります。この所得税の税率というものに問題があるために、働けば働くほど税がかかる、このかかる税のために生産意欲というか、或いは企業意欲というものが非常にわざわいされております。特にこの所得税の関係からいろいろなこの関係が一因となりまして、世間で今日問題になつておりますところの地方なり、或いは中央官庁の旅費の問題、交際費の問題というようなものがこのためにすり替られて非常に弊害がある。又民間私企業におきましても、宴会費というようなものが、所得税関係から非常な問題がありまして、この手取増加率の点から見ます場合におきまして、やはり所得税の税率というものが勤労意欲、働く者には多くの手取が出るという方向に行かなければならんのではないか。
 それから第三番目におきまして、今回の改正におきまして、扶養手当とか或いは特殊勤務手当の改正に触れておりませんが、これらはその性格が本俸といいますか、俸給に加えるべきものでありますので、これらの点を改正しないということは私どもとしましては賛成するところであります。ゆくゆくこれらの問題を吸收し得るような財源ができましたようなときには、この扶養手当、家族手当に当るもの、こういう本俸的なものは本俸に織り込むべきものである。
 次に第四番目の財源関係でありますが、歳入関係、今度の給與の増加に当てるところの財源としまして、価格補給金の合理化により浮んで来るところのものを充当いたしておりますが、この補給金はドツジ・ラインの大きいところの線がございますので、竹馬経済として清算さるべき方向にあるのであります。この補給金の問題は私どものほうの鉄鋼に関しましても問題があるところでありますが、大きいドツジ・ラインの線によつてこれがなくなるということは、私どもとしましてもこれに対するところの覚悟をいたしておるのでありますが、この補給金というのはその業を助成するというよりも、むしろ低物価政策の維持のための支柱であつたのであります。この必要より補給金を支給しておつたのでありますが、今回補給金の廃止、減額に関連しまして、私どもとしましては、統制の廃止ということを國会の皆様がたに考えて頂きたいと思いますが、統制のございますのは、米価、或いは鉄の中でも銑鉄でございます。この統制の廃止ということはいろいろな議論のあるところでありますが、限られた物資、限られた資金、こういうような実情がある限りにおきましては、或る程度の統制は止むを得ないのでありまして、この統制は一応犠牲が偏頗にならないということを考えて頂かねばならない。鉄鍋の場合におきましても、銑鉄のみの配給なり価格の統制をやりますが、物価政策として考えます場合におきましては、消費者におけるところの価格、これが問題であるのでありますので、若し止むを得ずこの統制をやるとすれば、やはりこの消費者と関連のあります最終製品でありますもの、特に鋼材関係につきまして統制をしないということは、これは物価政策といたしましては腰の抜けたへんてこなものになるのではないか。これは若しやるとすればでありまして、私どもとしましては企業がおのおのその創意をたくましうしまして、國際経済に臨んで競争して行く上に統制のないのを望むのであります。世界的な風潮に伴いまして、原料関係の逼迫というものは世界的現象になるということも考えなければならないのであつて、止むを得ず統制を維持するとすれば、やはり全般的に鉄の問題につきましても、鋼材関係なんかについても考えなければならんのではないかという点について御検討を仰ぎたい。
 終りに今度の給與引上についてどう考えるかという点について申上げますると、人事院勧告の線に沿いまして暫定的に今度の水準の引上をやつておるのでありますが、この点につきましては、民間との均衡等を考えまする場合におきましては、妥当なるところの措置と思うのであります。でき得れば人事院勧告とか或いは諸種の均衡を考えるということが必要でないかと思いますが、ただ民間との均衡ということを考えまする場合におきまして果してこの公務員の方の実質の勤務が充実したものであるか、民間との対比におきまして労働の質とかいうようなものにつきまして、この人事院制度ができまして以来の今日におきまして、十分の改善ができておるか、或いはこの職場規律という点におきまして民間に範を垂るものがあるかということを考えますると、やはり今日これは常識論で、勘で申すのでありますけれども、お役所の仕事は人が多過ぎるのではないか。人事院規則ができました当初におきましては、九時出勤の場合に九時に行つても揃つておりましたけれども、最近の状態におきましては、これらの点において遺憾の点が果してないかということは、世間のやはり批判の的になつておるところであります。水準としましては、こういうふうなことを挙げなければなりませんけれども、勤務の充実をやりましたならば、今の人員というものが多過ぎるのではないか。こういうところの検討を要するのであります。行政整理ということは非常にむずかしい問題でありますけれども、役所の執務というものの改善というようなことを希望して止まないのであります。
 なおこの年末手当の制度が制度化したということは、これは働く者にとつては一つのこれは権利の橋頭堡を築いた意味におきまして、日本の生活慣習から見まして、一つのそういう意義を持つた画期的のものであろうと思うのでありますが、民間におきましては黒字であるという場合に、賞與を出すというのが大体の考え方でありましたが、これが制度化したということは、一つの意義あるものと考えるのであります。併しこの制度化されない前におきましても、お役所にはやはり年末賞與というものがあつた。これは予算のからくりといいますか、非常に官庁会計の複雑から出て来るところの産物でありますが、これが制度化した以上は、この制度に則つてやるべきであつて、いろいろからくりから出て来るというようなものは今後は嚴に愼むべきものではないか。で今度手当額が平カ月ということにつきましては、関係方面との交渉の関係から、こういうところに落着いたやに承わつておりますが、予算が適正に実施され、からくりのない予算であるということが、これが國民の要望するところであろうと思うのであります。これにつきまして私どものほんの気付でありますが、國会における予算委員会は非常に難やかであります。ところが決算委員会になるというと非常に反対である、決算の関係というのはこれは私ども接触しておる組合のかたがたからいうと、経理の公開の場であります。この決算委員会というものに國会の主力というものをもう少し注ぐべきじやなかろうか。ただ決算の時期が非常に遅く過去の事実である、こういうようなために興味を失つておるやに風聞されておりますが、これがためには決算を早く出す、会社の経理のように早く出すということが必要じやないかと思うのであります。早く出すためには役所における決算関係の人の充員の問題も或いはあるかも知れない。それと共にこの予算委員の方がこの決算関係なんかにもタッチするということが、この政府の声明が果してその通りになつておるかということを観察することのできるゆえんでないか、特に参議院におきましては、解散ということもありませんので、この参議院の予算委員のかたが決算関係も睨んで行くということができるのではないか。役所における物件費とかいろいろなものが、からくりからいろいろな給與の形で出て行きますが、制度化する以上はこの制度の下におけるこの正しい予算の実施ということを監査して頂きたい、かようなことを考えておる次第であります。
 私給與関係につきまして蕪雑なことを申上げた次第でありますが、尚お許しがあれば他の一般問題で、加藤が参つておりますので、述べさして頂ければ、社長の代理というようなことで申すことになりますが、一応……。
#9
○委員長(波多野鼎君) 富士製鉄株式会社の取締役の加藤友治さんが随行して来ておられます。外の問題について若し御盾間があればお答えするというつもりで随いて来たというお話でございますから、若し機会がありましたら加藤さんに御質問を願い、その場合に加藤氏の発言を許すことに御了承願いたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○中川以良君 加藤さんが折角見えておるのでありますから、ちよつとお話を先に承わつたら如何かと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#11
○委員長(波多野鼎君) 御異議ございませんですね。それでは加藤さんに公述をお願いします。
#12
○公述人(加藤友治君) 私只今御紹介にあずかりました加藤でございます。只今佐藤常務から大体我々の考えております点を申上げたのでありますが、ただそれに附加えまして、一言我々が考えております点をこの機会に申述べさして頂きたいと思います。
 只今大体申上げた点は、給與の点でありまして、なお価格調整費の問題に触れておるのでありまするが、我々といたしましては、この補正予算を眺めますと、どうももう少し今後の日本の重工業が、その本来の姿に立ちましてやつて行けるように一つ考えて頂きたい。こういう点があるのであります。例えば先程もお話がございましたが、いわゆるインベントリーの問題でありますが、これも先程のお話では、今後の日本の財政を或いは國防のために使うかも知れんから、そういう意味でドツジ氏がやつておるんだというようなお話もありましたが、私たちが考えて見まするところにおきましては、現在の日本の段階におきましては、何も苦いインベントリー・ファイナンスを、あれまで嚴重にやらなければならんという点はないと考えております。何となれば、ああいうような、財政におきましたぎしぎしした点を踏みますと、そのしわが必ず金融面に寄つて参ります。でこれを深く考えて参りまするならば、必ずしも財政の面のみで引締めておきましても、そのしわを金融の方へやつて行けば大体結果は同じことになりますので、できるならば本来の姿に、財政は財政の本来の姿、金融は金融の本来の姿で考えて頂きたい、こう考えておるのであります。
 なお又これに引続きまして、私たちが非常に考えておりまする点は、この資本の蓄積をもう少し自由にできるように手を打つて頂きたい。例えば今後三年間ぐらいを限りまして……何も三年間とは申しませんが、大体今自立経済審議会その他で議論になつておりますのは、大体昭和二十八年を目途としていろいろ考えられておりますから、向う三年と申しますが、この三年間ぐらいを限りまして、資本の蓄積ができまするような非常立法を一つお考えを願いたいと思うのであります、現在日本におきまして何とか、はつきりした手をここで打ちませんと、資本蓄積は何らできません、今財界におきまして最も問題となつておりますのが資本の貧困であります。これができない限りにおきましては、どんな手を打ちましても、日本の産業は発展いたしません。そこでいろいろ議論がおありのことは存じますが、例えば我々が西ドイツの人達がやつておることを考えますと、相当アメリカ側にも強く出ております。そこでこの際皆様に是非資本の蓄積ができまするように非常立法的なことをこの際考えて頂きたい。こういうことを我々は考えておるのであります。尚又先程価格調整費の問題がありましたが、この際私達の考えております点を申上げますが、実はこの鉄鋼の問願でありますが、一時非常に誤解を受けまして、我々は冨士製鉄でございますから鋳鉱爐を持つておる一貫作業メーカーであります。先日もこの問題が出ましたときに、政府の方で以て二十何億かの補給金を出す。二十六年度において出すというような話がありましたときに、一貫メーカーが二十億なら余りに少いではないかということで蹴つたというようなことがありまして、我々としましては非常に迷惑に考えたのであります。先程も佐藤常務が申上げましたように、我々は二十億が少いから蹴つたというようなことは全然ありません。大体二十六年の銑鉄の生産を三百十万トンぐらいに押えておるのでありますが、二十億ぐらいの価格調整費を出して頂きましたのでは、トン当り七、八百円ぐらいしかなりません。鉄鋼の鋼材価格が平均二、三万円もしておりますのに、トン当り七、八百円の価格調整費では到底先程もしばしばお話にありましたような低物価政策というようなものは取り得ないのであります。そこで我々はそれなら価格調整費を出さないで、フリーに、自由におのおのその企業で能率を上げて銑鉄を作つて行く、こういうように考えた次第でありまして、この機会におきまして、我々といたしましては、若し政府で価格調整費というものをお出しになつて、而も低物価政策で、外の関連産業が栄えるような政策をおとりになるならば、少くとも現在におきましては一トン当り三千円ぐらいの補給金がなければ、その政策は目的を達し得ないということを確信しておるわけであります。この機会に申上げて皆様の御了解を得ておきたいと思います。尚又我々といたしましては、関税問題、この問題につきましてもいろいろ意見がございまして、或いは銑鉄に対しては無税にしろ、鋼材に対しては無税にしろ、こういうような意見があるのでありまするが、我々の立場から申上げまするならば、少くとも今後日本で鉄鋼の一貫作業を維持して行く上におきましては、どうしても相当の関税をこの際引いておく必要がある、こう考えるのであります。
 大体価格調整費、その他関税の問題をここで申上げましたゆえんは、この二十五年度の補正予算を考えるときにはどうしても二十六年度の予算というようなものにおのずから考えを及ぼしませんと、はつきりした全体的な考え方ができないので申上げた次第であります。尚私は鉄をやつておるものでございますから、その他いろいろ御質問がありましたら、その際お答えを申しげて、私の申上げる点はこれで終りたいと存じます。
#13
○櫻内義雄君 今の加藤さんのお話でちよつと聞きたいのですが、補給金が出されるのであれば、三千円ぐらいを必要とするというお話があつたが、その前段に先般の二十数億の補給金ではトン当り七、八百円しかない、そういう場合であれば、これはその統制を外してフリーにしてくれんかというように受け取れたのですが、そうするとそのお話が二つちよつと矛盾するようですが、聞きたいのです。
#14
○公述人(加藤友治君) それじやお答え申上げます。大体先程もお話がありましたように、なんでも幾らでも補給金を出せば、例えば七、八百円でも補給金を出せばそれがいわゆる低物価政策を推進して行きます上に役立つということは、そのものが占めます価格が少なければ私は相当有効だと考えます。昔のように若し鉄が一トン三千円ぐらいで七、八百円の補給金が出ましたら、成るほどこれは相当の低物価政策を推進して行きます上において有効だと考えますが、現在御承知のように鋼材は平均いたしますと二万五千円から三万円ぐらいになつております。これにいわゆる七、八百円の補給金を出しまして、而も補給金が出る以上國家といたしましては統制をすることはこれば勿論であります。そういたしますと、我々といたしましては、七、八百円ぐらいの補給金を頂きまして一面國家の統制を受け、而もこの補給金を頂く上におきましては、國民の血税をしぼつたその結果から生れた補給金を頂くのでありますから、どうしても我我としては統制に服さなければならない。而もこの統制に服しますると、我我といたしまして一番困りますのは、今後我々といたしましても昔と違いまして、会社の設備を更新いたしましたり、或いはその他いろいろの各般の事業振興の上におきまして金融をして参らなければなりません。若し統制を受けておりますると、その株には配当を遠慮しなければならないというようなことになりまして我々といたしまして非常に今後増資ができない。或いはその他企業の運営の上にあらゆる支障を来たすわけであります。そこで我々の気持といたしましては、少い補給金ならば何とかできるだけ企業におきましてこれを吸收いたしまして、できるだけ能率を上げまして補給金なしでやつて行きたい、こういうように考えておる次第であります。
#15
○櫻内義雄君 佐藤さんにちよつとお聞きしたいのでありますが、私共はこの給與の問題で民間の皆さんにお聞きしたいことは、民間給與に比較してこの千円べースの引上についてどういう御見解を持たれるか、今のこの官吏の給與についてどういうふうにお考えになつているかという点をちよつとお聞きしたいのであります。
#16
○公述人(佐藤正義君) 民間給與に比較しまして、今度の引上げはどうかということのようでありますが、民間、殊に工業の全國平均から見まするというと、大体似たようなところに来ておるのでありまして、財政の堅持等を勘案してこれが許されるならば妥当であると考えておる次第であります。
#17
○高良とみ君 加藤さんとおつしやいますか、鉄のことについてお伺いしたいのでありますが、そういうことは私どもよく知らないのでありますけれども、先ほどドイツの製鉄の復興のお話がございまして、日本とは鉄の資源が違うのでありますけれども、最近東南アジア地区におけるドイツ鉄製品の進出のめざましいことは御存じの通りであります。それに対するドイツ政府の補助金が三〇%ぐらいまでもあるというような情報を得ておるのでありまして、そんな点から日本の製品が新らしく復興いたしました東南地区へ出ます場合に、そういう補助金がなければ國際市場において競争ができないという声もあるのでありますが、併し只今のお話では少しくらいの補助金は製鉄の面で貰つても仕方がないから適当な価格に上げて行くというような御趣旨のように伺いましたが、最近日本製品が英國品の二倍ぐらいまでなつておりまして、折角日本品を期待しております東南地区の市場は朝鮮事変以来、日本品はだめだ、殊に当時約束のありましたものでさえも鉄の値段が上つたためにその約束が遂行されないというので、日本の重工業及び鉄、電気等の製品に対する非常な失望があるわけであります。この点について如何ようにお考えでありますか。日本の製鉄事業は特需関係を主に考えるのであつて、もつと広い将来の世界の貿易面に対しては、今は適用できないというお考えでありますかどうか、その点をお聞かせ願いたい。
#18
○公述人(加藤友治君) 只今の御質問にお答え申上げます。成るほどお話の通りに、ドイツ、或いはベルギー、英國の鉄製品が非常な勢いで東亜或いはインドの市場に参つて来ましたのはお説の通りであります。併しこれは前のことでありまして、最近特に事変の始りました後におきまして、アメリカ、英國、ベルギー、フランス、ドイツ、これらの鉄鋼市場を見ますと、非常に価格そのものが上つております。現在におきましては、アメリカは勿論鉄を輸出する余裕は持つておりません。反対に日本から鉄を買つておるような次第で、若し日本に鉄があればどんどんアメリカに参ります。なおこれと同じように、いろいろ先ほどからもお話がありますように、欧州の軍拡の影響を受けまして、なお又鉄というものは、直ぐ必要だからと言つて鎔鉱爐が明日にも建つというわけではありません。少くとも鎔鉱爐に火を入れまするには相当な日月も要します。こういう特質を持つておりまするので、成るほど事変前におきましては、我々も非常に日本の鉄に対する将来ということに心配をいたしましたのですが、現在におきましては、各地の鉄鋼市場が非常に上つておりまするから、御質問のような心配はございませんし、なおここで例えば薄板のごときものが沢山あれば、東南市場でもどこへでも幾らでも輸出できるというのが現状であります。先ほどちよつとお話がありましたように、我々といたしましても、この動乱が起きまして特需ができたために、この特需ができたからこれがいい幸いだとこれに非常に安易に依頼をしておるわけではありません。ドツジ氏が言われるごとく、特需などはいつ何どき消えてしまうか分らんからしつかりしろというようなことは、我々としても企業運営には深く心に置いて運営しております。なお又でき得るならば、労働の生産性を向上いたしましたり、或いは原單位の切下げ、これらによりまして、できるだけ原料価格の値上りの分は企業の運営において吸收して行きたい、こう考えております。
#19
○佐多忠隆君 補給金を廃止しても大体やつて行けるというお見込のようでありますが、そうだとすると、今後製鉄業を確立して行く上においては、政府はどういうふうな行政を必要とするか、補給金の問題はとつ外してもやつて行けるとおつしやるけれども、同時に基礎産業は確立しなければならんというようなお話なんで、それにはよく言われておる合理化等々の問題がからんで来ると思うのですが、そういう合理化というようなものをやる場合に、例えば資金的な援助等々の問題があると思うのですが、この資金的な援助は今の日本の金融事情その他から考えると、どうしても本来の今までの市中銀行だけでは問題にならないので、國家的な資金の援助というような問題になつて来ると思うのですが、それらの点をどういうふうにお考えになりますか。
#20
○公述人(加藤友治君) 只今の御質問に対しましてお答を申上げますが、我我が非常に現在悩んでおるところの問題がこの問題であります。大体現在の鉄鋼業の状態を見ますと、先ほどもお話がありましたように、企業内でできまする合理化というものは、或る程度までは我々としてはやり盡したのであります。例えば人員の整理とか、或いは各工場、現場の原單位の切下げとか、これらは実際我々といたしましては、盡せるだけの手を盡して参つたのが現在の段階であります。そこでこれからそれではどうするかということになりますと、御承知のごとく今の鉄鋼業の持つておりまする設備は非常に古く、或いはひどいのになりますると、陳腐化しておるのがあるのであります。平均いたしますると、随分古い、例えば、その製品が薄板を作りますれば、羽が生えて飛んで行く、非常に儲かるということで各製鉄業者が古い機械であるにもかかわらず、今現在操業しておりますような状態で、相当の利益が上りますので使つておるのが現状であります。そこで我々として考えますると、この際この特需を受けまして各会社の内容が割合にいいときにこの機会を利用して、将来不景気になりましたときに、なお又國際競争にこつぴどく競争して行きまする基盤を作る上一におきまして、できるだけ機械工場の機械設備、これを更新して、行きたいと常に考えておるのであります。なお機械設備ばかりではありません。でき得れば外國の技術を導入いたしまして、将来の國際競争に堪えて行く、こういうことを考えておりまするから、政府におかれましても、すでにこの機械更新に関する件につきましては、関係局で以てお考えのようでありまするが、私たちから申上げまするならば、この際これは広い意味におきましても、先ほども申上げました、日本におきまするところの資本の蓄積の一端にもなることでありまするので、できるだけ予算を惜しみなくお出しになりまして、例えば今民間におきましてどうしても買えないような機械は政府において買われて、或いは適当な価格で以て拂下げになる、或いは年賦で以て償還をさせるか、かくして鉄鋼業ばかりではありません。これに外の機械の業者もそうだと思いまするが、そういう手をお打ちになる。なお又これらの機械を輸入には関税などをおかけにならないでやつて行くというような、根本的な手をお打ちになることが、私は今後の日本の重工業の発展に最も緊急欠くベからざる施策だと考えておるのであります。なお又この金融の面におきましても、我々が一番悩んでおりまする点は、長期資金の問題であります。この長期資金を確保するということは非常な困難を感じておるのが現状であります。これ売程からいろいろお話があるようでありますが、大体政府の財政がインベントリー・ファイナンスとか、或いは債務償還とか、非常にぎしぎしした財政政策をとつておりまするがために、このしわを金融の面で以て今まで補つて来たのが現実であります。それがために形式的におきましてはオーバー・ローンというような現象が現れておりまして、例えば今市中の銀行でも一面において長期資金が得られませんから、銀行に何とか泣き付いて行つて、大体市中銀行は長期資金を放出するようなのは馴れておらない仕事にもかかわらず、企業可愛さに、或いは又今までのいろいろな関係のために一部の長期金融を賄つておるというのが現実であります。そこでどうしても政府におかれまして、私は先ほど申上げましたように、設備更新に関する、或いはいわゆる産業の若返りに関する施策を十分推進なさると同時に、長期資金については特段の手を打たれることが必要であると考えるのであります。今誓いろいろ予算覚ますと、例えば見返資金とか、或いは預金部の資金というようなものを何か委員会で以て運用なさつて、適宜適当にお使いになるというようなことを伺つておりのでありまするが、今朝あたりの日本経済新聞で見ますと、なかなかうまくいかん、うまく運用ができんというようなことを今朝私はここへ参りますときに新聞で見たのでありますが、どうも何かうまい手が打たれるようであつても、果してその効果が我々が所期しておるようなことになるかどうか。でき得ればこういう点において格段の御配慮を煩らわしたいとかく考えるのであります。その他いろいろ只今御質問の御趣旨のように、日本の今後の重工業並びにその他の関連産業を発展させ、なお又その世界水準に持つて行きまするには、非常ないろいろな手段があると思いまするが、私は少くともです。全部の手段を一時に打てといつたところでなかなかできないと思いまするから、一つでもよろしうございまするから、はつきり効果の現れるような点を一つ手段を打つて頂きたいのであります。それには先ほど申し上げました折角関係省で以てお考えになつておられます設備更新に関する法律のごときは、どうぞ皆様のお力でできるだけたくさんの予算をあれに裏付けなすつて、巧妙に一つ運用して頂きたいとかく考えるのであります。
#21
○佐多忠隆君 そうしますと長期資金の問題、設備更新の問題に関連して政府が資金的な援助をしなければならんということになると、補給金は取りはずされたが、そういう面で政府が干與して行かなければならないので、統制経済ということは非常にお嫌いではあるのですれども、これはまあ官僚的な統制のまずさは考えるとしても、何らかの意味においてそういう計画的な、國家による総合的な運営ということが必要になるのじやないか、これは更に先程いろいろ問題がございましたが、例えば鉄鉱石を輸入するという問題、或いは強粘結炭の輸入の問題等等に非常に今後は積極的な手を打つて行かなければならないと思いますが、今は御承知の通り國際的にはそういう貿易の問題、輸出の問題に相手方が非常な統制を加えており、従つてそれらの輸入計画も非常に総合的に、統制的に、計画的にやらなければならないという問題に当面していると思いますが、それらのことを関連してやらなければならないとすれば、方向としてはどうしてもそういう方向にならなければならないと思うのです。更に例えば我々が新聞で承知していることによると、今までの平炉メーカーも非常に今度は一貫的な作業に、厖大な設備拡充の計画を持つておる。これも資金的な配慮をしなければならんと思うのですが、これらの問題を考える場合にも総合的に、問題を計画的に運営して行かなければならない。方向けすでにそういうように決定づけられていやしないかと思うのですが、その点に対してどう考えておりますか。
#22
○公述人(加藤友治君) 只今の御質問にお答え申上げますが、成るほど我々としましては今後少くとも鉄の原料になります強粘結炭とか、鉱石、これらのものは、その考え方におきましても、備蓄的な考え方におきましても、でき得るだけそれを輸入しなければなりません。実は先程お話がありましたように、この輸入につきましては、例えば具体的な例で申上げますと、我々といたしましては、一番近いところの強粘結炭はやはり開らん炭であります。華北の開らん炭を持つて来たいと思うのでありますが、これは大体七十万トンから百万トンの仮契約をしておるのでありますが、最近日本船があすこに配船を許されませんので、なかなか思うように入つて来ないのが現状であります。なおこの鉱石につきましても今できるだけの手は打つておりますが、これも各関係筋のやはり多大なる御後援を得なければなかなか持つて来れないのがこれも現状であります。そこでいわゆる政府のかくかくの御世話になるんだから、やはり統制をしなければならん、こういう考え方には私は賛成はできないのであります。例えば鉱石を我々が輸入しますときに、いろいろまあ政府の御世話になります。なお又この輸入の金融につきましても、現在日銀の工ーザンスではとても足りません。これはどうしても鉱石を持つて平で三カ月や四カ月の後では製品になりませんので、一応ユーザンスの問題も少くとも六カ月ぐらいを我々は希望しております。なお六カ月後も國内金融におきまして面倒を見て貰いたいというような気持さえ持つております。そこでこういう御面倒を各方面にかけるから、お前のところは統制しなくちやなるまい、こういう議論は少し飛躍しておるのじやないか、かく私は考えるのであります。勿論統制を我々としては非常に嫌がつておるものではありません。勿論筋の通つた統制、これは今後國家全体を運営して行きます上においてはこれはどうしても必要だ、かく私は考えてはおりまするが、何分我々は長い問統制に服して参りましたが、どうも今までの統制はその統制本来の姿が現れておりませんで、却つて、先ず忌憚なく申上げますれば、統制のやり方において下手な点があつただろうと考えるので、能率も上がりませんし、その他かくかくの不便な点がありますので、でき得ることなら、今までのような統制を再びやるんだというような考えはこの際お捨てになるようこ私はお願い申上げます。
#23
○吉川末次郎君 加藤さんにお尋ねしたいのですが、私はお話中ちよつと気分を惡くして聞き洩らしたかも知れませんが、給與ベースの問題についてですが、お尋ねしたいことは、第一に、公務員の給與ベースをきめるのは妥当であるというお話であつたと思いますが、民間の産業と公務員との間においてこうした待遇について大体数字的なお話を願つて、どれくらいの差違があるのであるか、民間産業といつてもいろいろだくさんありましようから、國家公務員と対照するような代表的な大企案、経済調査機関のようなところから賃金ベース、その他のことについて賃金の率やなんかについて調査の数字が出ておるでしようが、必ずしも正確な数字はむずかしいのではないかと思うのですが、大体においてそうしたような國家公務員と対照されるような大企業のほうはどうなつておるか、それからボーナスのようなものを加えて実質的な輪廓はどのくらいになつておるか、会社で当然お調べになつておると思いますが、若しできなければあなたのところの会社を基準にしてお話を願つても結構です。それで私の聞いているところでは、倍くらい違うのではないかということを聞いているのですが、例えばこの参議院あたりで、ここに公務員の人がおられるけれども、やはり或る程度高等学校の卒業生なんかを雇用するときには三千三百円かそこらくらいしかやらない。それからまあ大学の卒業生でも四千なんぼですか、五千円にならないくらいの待遇しかしていない。そうして前の官吏でありまするというと、御承知ようにこれはドイツの制度をまねしたんだそうですけれども、勲章をやつたりして、従立とも役人は民間の会社員等に比べて月給は安いんですけれども、そういう名誉、表彰というようなことによつて多少それが補充されていたと思うのですが、終戰後そういうこともなくなつてしまつて、役人になる者は位や勲章も前のようには貰えないし、無形のそういう名誉、表彰もないばかりでなく、民間の会社に比べれば半分くらいしか月給は貰えないというようなことで、非常に魅力の薄いものになつておるというのが今日の実情だと思うのですが、そういう点についての一つ体系的に数字的にお話願いたいというのが第一点です。
 それから第二点は役人に非常に冗員が多い、行政整理の必要があるというお話だつたと思うのですが、その当否は別といたしまして、今のように名誉、表彰もなければ民間の産業に比べて非常に貨幣收入が少いにもかかわらず、余り出て行かないでやはり國家公務員としてとどまつておるということは、民間の産業がそれを收容するところの余地が、キャパシティーが十分にやはりないのではないかというように私は思うのですが、そういう魅力のない國家公務員であるが故に、それを辞めて会社へ入れば非常にいい月給が貰えるということであれば、自然に行くだろうと思いますが、これは國家の見地から行きますればそう失業者を出すわけにも行きませんし、果して冗員があるかないかは一つの問題ですけれども、仮にお説の通りであるといたしまして、行政整理の余地が相当にあるとしても、國家としては成るべく失業者を出したくない。完全にフル・エンプロイメントであるというようなことが理想であると思うのですが、その通りになつていないかどうか知りませんが、とにかく失業救済というような意味で以ても置いておくという立場もあり得ると思うのですが、今言うように民間産業が十分にそうした魅力なき公務員を收容し得るキャパシティーがあれば、自然に私はあなたがおつしやるようなことになつて行くと思うのですが、辞めても忽ち失業保険ででもこれは救済しなければならんというようなことになつてはこれは大変なんですから一つそういうことについての御見解を併せて以上申述べました二つの点についてお答えを願いたいと思います。
#24
○公述人(佐藤正義君) お答え申上げます。第一の民間給與との均衡関係についての実情等についてのお尋ねのようでございました。私全般的の統計というものは参議院から送付頂きました人事院あたりの統計によりまして申上げておるのでありますが、これによりまするというと、工業水準としましては民間のほうがやや上廻つておりまするが、八千六百円台の数字のように全國的なものはあるようですが、この場合民間との均衡というようなことを考えますると、なお分析しますると、或いは平均年齢とか扶養家族の数とか、或いは経験年数とか実勤務時間というようなものの比較をやらなければ簡單にできませんが、いわゆる私の大雑把な感じとしましては、全体的に見ましたときには今度の案は多少下廻つておるけれども、勤労の質とかいうような点から見て、先ず財政との睨み合せから見て、政府としましては諸般の事情からできるだけの勉強をしたのではないかという感じを持つ次第であります。私どもの事情についてお尋ねがありましたのですが、鉄全体としまするというと一万二千円ぐらいのところにならして見ますとあるわけでありますが、その場合勤労の関係から申しまするというと、やはり高熱作業で御承知のように重労働の最たるものになつておる。それから実働時間が大体八・五ぐらいあるような次第であります。三交代で深夜業というようなものにぶつかり、稼働日数が二十六日前後になつております。こういうような点からしますと、今度のこの人事院の案を換算しておりますが、それで行きますと基本的に同じ時間にすれば、私どものほうからすればお役所の給料というものと鉄というものをならして見ますとへそれは一万五百円くらいになるんじやないか、勿論民間給與としましては銀行とか新聞というようなものが一番高いのですが、これらは又特殊の労働の質といいますか、従業員が非常に知的労働で、又尤も新聞なんかになりまするというと非常に競争の激しい所でありまして、一日も抜けることができないというような、なかなか忙しい所のように聞いております。又銀行は銀行で、銀行の信用保持上から待遇をよくし得る力もありましようし、又する必要があるというようなことでありますが、これは全般産業から見まする場合には、特にこれらのごときは特別のものと考えるのが実情に副うのじやないか。民間産業の平均として出ておりますものはああいう数字でありますけれども、最近特需の関係からやや緩和されましたけれども、やはり給料の遅配、欠配というものが相当あるのでありまして、中小企業におきましてもやはり特需関係でないところは、事業場閉鎖もやらなければならんというようなものがありますので、これらは統計面に出て参らないのでありますが、こういうことを見まする場合には、必ずしも十分とはいえませんけれども、財政的に考えた場合には勉強したものではないか、私も先程申上げましたように、できるなら人事院勧告の線に持つて行くというようなことについては同調するものであります。現在日本の置かれておる立場からいいまするというと、減税によりまして國民の貯蓄というようなところまで持つて行かなければなりませんけれども、勤労所得におきましてはそれだけのことをするのに不十分でありますし、又税制等の関係から非常に吸い上げられるということになつておりますが、これがやはり資本の蓄積ということに変つて来るのでありますから、そういうようないろいろな必要を満すためには問題は非常に複雑になつて来るのでありますが、第一点についてのお尋ねとしましては大体そういうふうに考えております。
 それから第二の問題につきましては、お話申上げたときにもお断りしましたのですが、私どもの勘としまして、又役所の勤務の充実とか、職場規律の確立という必要がある、如何にも人員がダブついておるように見える。おつしやるようにこれを一種の失業救済と見るということは、私どもが従来持つておつたその官庁の観念から申しますると……。
#25
○吉川末次郎君 私はそういうことを申したのではない……。
#26
○公述人(佐藤正義君) それは分つております。ただ御指摘になりました問題は敗戰経済における日本の大きな悩み、これはなかなか國民の負担力によつて成立つている政府というものは、國家そのものがこうなつておりますので非常にむずかしい問題でありますので、行政整理によつて放り出された者をどうするかということになりましたときに、民間がこれを吸收するということができれば問題ありませんけれども、民間といえども相当閉鎖とか解散とかいうようなものは、多少景気の出ている今日でもなをあるわけでありまして、これはできないことでありますが、そこで根本問題としましてはいろいろな問題がありますが、これは皆様がたの高度の政治力によりまして、私どもとしましてはやはり講和に期待することが多大でありまして、その講和の中におきまして移民問題、いわゆる人口問題の解決としての移民問題というようなものも考えられなければならん。移民オンリーに考えている従来の移民は、日本が世界の憎まれ者であつたために、日本の移民というものは相当行詰つておつたように思います。平和移民、できるなら平和的な帰化移民という段階にならなければならんと思います。併しその場合に日本が再軍備をするということになれば、これまた帰化するといつても簡單に行かないのではないか。この意味におきましてやはり今日の憲法というものを我國の人口問題解決の立場から見ましても保持しなければならんのではないか。こんなことを私政治のことはよくわかりませんけれども、今の第二間につきましての遥かなる望みとして考えている次第であります。
#27
○吉川末次郎君 それで数字はいろいろ人事院でも、又いろいろな経済調査機関でもサラリーについてお調べになつていると思うが、あなたのお話のように正確なことは出ていないと思う。それはあなたもお話になつているように、税制との関係で民間の企業体においては、悪くいえば脱税ですが、脱税のためにいろいろな目をくらますような行き方をしているところが相当多いと思う。それで端的にお尋ねしたいのですが、特にボーナスの問題について今度は公務員に対して半カ月給與をするわけですが、おわかりならば、外の会社も言つて頂きたいが、あなたの会社でサラリーマン及び労務者に対して盆暮お渡しになると思うのですが、賞與というものを何カ月ぐらい渡しておるかということをお話願いたい。この二番目のお話の御答弁を承わつて、結局あなたのお話によると、行政整理をやつても、民間産業ではそれを收容するキャパシティは持たない。だから高度の政治力によつてそれを收容するところの政策を講じて貰いたいということに帰結するわけになると思いますが、そうすると首を切るとか、或いは行政整理をするということが先でなくして、政治的経済的な面においてのそれを收容するキヤツパシテイ濠作るということの方が先であるということになると思うのですが、そのように解釈してよろしうございますか。もう一度……。
#28
○公述人(佐藤正義君) 私どもの方の盆暮の手当のことについてお尋ねがございましたが、まだ今年の暮の方は虫めておりませんですが、去年の暮におきまして、これは集中排除法施行前の日鉄時代でございまして、税込五千円、この盆は税込三千円、それから後の問題はよく企業合理化とかいいますと首切りをすぐ連想するのでありますが、こういう馘首問題というようなものは、これば軽々にできないことでありまして、最後の手としてとるべきものとして、できるならこれを避けまして、おつしやるように完全雇用の線を堅持したい、それで今のお尋ねの前提というようなものにつきましては、私どもも気持の上では同感でございます。できるだけそういう基盤を作つて、そうしてそういう好まないところの事態を回避するようなことをあらゆる手を盡くすべきである。従つてそういうものを維持して行く、包容して行くところのものをできるだけ前提として多く育成しなければならん、かように考えております。
#29
○吉川末次郎君 もう一遍お伺いしますが、第一の御答弁ですね。あなたの会社の例はお話願つたのですが、多分いろいろお調べになつているだろうと思うんですが、大体代表的な大きな企業体で、従来ボーナスといえばもう半期とか三月以上出していたんですが、お調べになつている範囲内でお話願えれば、外の会社の例等もお洩らし願えれば結構だと思います。
#30
○公述人(佐藤正義君) 特殊の会社は別でございますが、このボーナスというものが曾て三月とか、八ケ月とかいうようなものは、終戰後はならして見ますと、まだ出ていないというのが実情でございます。ただ今度はこの全官公の給與の関係なんかから、又組合の方の非常な横の動きは大きな波として動いておるのでありまして、大きい事業におきましては、まだその諸般の情勢を見てきめるというのが実情ではないかと思います。恐らく十二月十日以後じやないかというような見込で、私どもとしましても従業員の増産協力を念願している立場から見まして、できるだけのことはしたいということば考えておりますけれども、おのずから補給金も頂いております興業でもありますし、各種の事情によつて善処せねばならんというようなことで、鉄鋼界全体としてもまだきめかねておるわけで、一、二の会社は別でありまして、これは鍛圧メーカーでありますが、これはこの間きめたように我々聞いておりますが、全体としてはきめておりません。それからお話のように三月とか、八月とかいうようなことは一、二はありますけれども、まだ私どもの接触しますのでは、曾てのボーナス制度のような復元は、この段階の会社では非常に蓼々たるもので、やはり年末の穴埋めの性格のものが多いんじやないかと考えております。
#31
○吉川末次郎君 終ります。
#32
○木村禧八郎君 簡單に加藤さんに二つお伺いいたします。さつきのお話で資本蓄積にドイツは非常に強く出ているというお話があつたのですが、その具体的な内容ですね。これはどういうわけなんですか。政府に対して補助金をうんと要求しているという意味か。或いはそれともう一つ、日華事変前における銑鉄の需要のうち軍需というものはどのくらいを占めておつたのか。お伺いいたします。
#33
○公述人(加藤友治君) それじや申上げます。私が先程申上げました点におきまして誤解がありますと非常に私自身も困りますししますから申上げますが、ただこれは私がまだドイツに行つたこともございませんし、ただこのニューヨークから出ている新聞とか、或いは英國のエコノミストなんかでドイツの事情を伺つているだけでございまして、この点御了承願つておきますが、いわゆる私たちが外國の新聞、雑誌で以てドイツの事情の書いてあるところを読みましたときに受けます印象は、いわゆる西ドイツの政治家がアメリカ、或いはその他の占領軍に対して非常にドイツ内に施行される経済政策に対し、非常に強く出ているような感じを受けるのであります。そういう感じを持つておりましたから、先程そう申上げたのでございまするから、誤解のないように一つお願いします。
#34
○木村禧八郎君 資本蓄積についてというお話か出ておりましたか、参考のために……。
#35
○公述人(加藤友治君) いや資本蓄積ではありません。資本蓄積にのみ限つた問題ではありませんし、例えば西ドイツに占領軍がいろいろの経済政策或いは社会政策を打とうとするときに、西ドイツにおける政治家がこれに対して非常に強腰に出ておるような感じを受けますので、そういうような言葉を使つたわけでございますから御了承願います。それから第二の問題は……。
#36
○木村禧八郎君 第二は昭和十一年事変前において銑鉄の消費のうち、軍需というものはどのくらいの割合を占めていたのですか。
#37
○公述人(加藤友治君) 実はこの問題は数字に亘りますので、ここで私が申上げましても、若し誤つておりますると御迷惑をかけますので、後刻でよろしうございましたら、よく調べまして御返答申上げたいと思います。
#38
○木村禧八郎君 恐縮ですが、後で結構ですから……。
#39
○羽生三七君 ちよつと分らんところがありますので……、先程補給金を外しても対外競争力に大して影響がない。特に最近の特殊需要が起つておる、こういうお話がございましたが、これに関連して、トン当り三千円程度の補給金が得られれば好ましいというお話がありましたが、その補給金というのは価格調整費でなしに、何か設備の改善というようなことも含めての産業助成政策にという意味でありますか、どちらですか。
#40
○公述人(加藤友治君) この点について私の気持を申上げます。いろいろ補給金の問題につきましては、考ようによつてば非常に大きな誤解を生じまして、しやべつておる我々の意図と非常に反したことに解釈されるような場合がありますので、この機会に申上げておきますが、この価格調整費を以ちまして一つの物資に補給金を出してやつて行くというその政策の狙いは、少なくとも私は低物価政策にあると考えております。でなぜそういう低物価政策をとつて行くかと申しますると、例えば鉄のごとき、これに依存しておる関連産業というものは非常な広汎なものになります。流船を初め、機械、電気その他非常な広汎な産業に関連しておりますのが、鉄の現状であります。そこで鉄価をできるだけ低く下げておきまするならば、これを素材或いは材料として使つておりまするもの、例えば造船の例を引きますると、造船材は大部分がまあ鉄でございまするが、これが低ければトン当りの造船費用も非常に少なくたる。大体國際造船価格にマッチするというようなことで造船の輸出もできる。こういうようなことになりますので、それで低くする度合いをそれではどれくらいにするかということになりますると、大体我々の今考えております点では、余り価格調整費が少な過ぎますと、例えば先ほど申上げましたように、一トン七、八百円の補給金、而もその鋼材の値段が平均二万五千円から三万円する。そういうようなものに対して七、八百円の補給金では、この低物価の政策の線を推進して行く上に余りに弱力ではないか。これを本当にやるならば、少なくとも三千円くらい出さなければ実際その政策の狙つている目的が達せられないだろう、こういうような点で申上げた次第であります。
#41
○羽生三七君 そうすると、鋼材自体では幾らかでも競争力を持つてるが、それが他の基礎産業に及ぼす場合の影響という点から、その程度の価格調整策として必要である、こういうふうに理解してよろしいですか。そうすると、昨日造船工業会の吉田さんから今造船界の現状から見て、鉄鋼の補給金を外しても一向差支えないのだ、こういう御議論があつて、私ちよつと奇異に感じたのでありますが……。
#42
○公述人(加藤友治君) これはどういう御議論をなさいましたか、昨日私傍聴しておりませんから分りませんでしたが、少くとも私たちもが造船合理化審議会あたりで造船業者のかたがたから伺つておる点は、大体造船業者等の御意見は造船材二方七千円という線を一時お出しになつたのでありまするが、現在におきましては三万三千円ぐらいに上つております。そこで二万七千円ぐらいでなければ英國の造船業者と競争ができないというのが造船のかたがたの御意見であります。ところが補給金もないし、すつかり素裸になつた現在の世相を考えますと、とても二万七千円ではできないのであります。そこで大体今造船材を造つておりまする三社が考えておりますのが、大体三万二千可から三千円というところであります。で、これらも実際トン当り約三千円ぐらいの補給金がつけば、三万二、三千円で以て落ちついてこの間のあれは大体その造船業者の專業で以て継続して行けるととうのが現状であります。それからなお外國船価も大分上つておりまするので、英國アメリカなどつぶさに調べて見ますと、ついこの問まで日本の造船が大分出ておりましたが、今で見ますと、英國あたりの造船船価というものも大分上つておりますから、この点も一つ申上げておきます。
#43
○佐多忠隆君 佐藤さんにちよつとお聞きしたいんですがね。所得税の税率が高過ぎる、高率に過ぎるから、働けば働くほど、結局手取りにならんというようなお話でしたが、その手取にならんというくらいの限界に来ておる所得階層といいますか、熟練工その他が特にそういう実情にあるんじやないかと思いますが、労働者で働けば働くだけそんなに手取りにならんという階層はどれくらいですか、幾らぐらいの所得の連中がそうですが。
#44
○公述人(佐藤正義君) これは労働者の範囲は非常に広いものですから、今の会社の重役といえども恐らく前の時代から見ると、労働者でないかと思いますが、これは別としまして、おつしやるように熟練工の組長とか職長とかいうようなところで、出来高拂の責任点というようなものを非常に持つておるところは相当手ひどく響くようでありまして、まあ年收賞與とかを入れまして三十五万円ぐらいになりますと、非常に、まあどうかすると下の者よりも少いとか、余りそう働き栄えがないということを言いますですが、これは程度の差でありますけれども、一応年夫給與でもちよつとやりますというと、年末調整とか、その点はこの前の改正において大分緩和されましたけれども、又今度の改正案もそういう点は意図されておるようでありますけれども、なおいろいろ税源の関係からやはりそういう気分の薄れるまでにはまだ行かんのじやないかと思います。
#45
○中川以良君 私は鉄の問題は、今補給金のお話が出ましたけれども、今日國際市場の様相が一変をして来ておりますので、補給金のごとき姑息の手段は用いるべきでないのでむしろこの時期に将来の鉄鋼業の合理化に対しまして、懸命なる御努力を願わなければならんと、さような意味におきまして、いわゆる設備の更新等に対して今後政府がこれに助成しようというようなことを今考えておりますそうでありますが、そこで鉄鋼業といたしまして、今非常に設備も古くなつている、又腐朽しているのもあるというお話でございましたが、一体どのくらいの金をかけたら完全な設備になるのか、差当り必要なものは、どういうものを政府の助成によつて輸入をすべきかというようなことの大体の御構想があると思いますが、その点を極く概略で結構でありますからお示し願いたいと思います。
 それからもう一つは、将来の資本の蓄積のために、少くも向う三カ年間くらいは何か一つ非常立法を以て強硬なる処置をして貰いたいという御意見がございましたが、これに対しましても、鉄鋼業の立場から具体的にこういうものは是非現在やるべきであるというようなものが何かおありだろうと思いますから、そういう点も何かお示しを願えれば二つ御構想を伺いたいと思います。
#46
○公述人(加藤友治君) それでは第一問の点からお答え申上げます。
   〔委員長沢席、理事野田卯一君委員長席に著く〕
 これが実際國際競争力に耐えて行くような、鉄ばかりではありません。外の産業におきましてもそういう強いものを作るために現在我々が考えております点は、どうしても産業の、お互いに機械設備は更新され、準化されることを考えておるのでありまするが、その具体的な点といたしましては、大体鉄で申上げまするならば、この薄板を作るような場合の連続機でございます。我々はストリップと申しておりますが、現在この機械を使つておりまするのが薄板におきましては八幡及び戸畑が使つております。なお厚板も同じ板でありますが、造船材になるような板では、我々の工場の広畑がこの機械を使つておるのであります。その他外のところを見ますると、薄板々作るのにプルオーバーを申しまして、工員が手で押して出してやつておるのが理状であります。これらは各社におかれましても、できるだけ連続式な、そういう機械を輸入したいというような考え方をお持ちになつているところが非常にたくさんあると思います。その他鉄の面におきましては、いろいろ一々機械の名前を示さなくても、大体皆様おわかりの通りに、これを概略申上げましたけれども、私は二十年ぐらいの古い機械に大体の平均がそこになつておるのじやないかと、かく考えておるのであります。そこでそれならこういう機械その他設備向上、その他産業の若返りに一体どのくらいの金が必要だと、こういうような御質問でございますが、これは鉄だけから申上げますと、実はこの数字を申上げますのに、その根拠になる点を一つ前以て申上げまして、御了解を得ておきたいと思いますのは、元般来鉄並びに石炭に対しての合理化の審議会がございまして、我々もその專門委員の一人を承わつておるのでありますが、この鉄の合理化審議会で結論を出しましたのは、大体三百五十億か四百億くらいの金が必要だというような結論になつております。これも資材にいろいろ細かい検討をいたしましたら、或いはその結果は違うかも知れませんが、大体その辺に目標を置いている次第であります。
#47
○理事(野田卯一君) 外に御質問ございませんか。さつき非常立法というお話が出ましたが……。
#48
○公述人(加藤友治君) ではここでお断わり申上げまして……。却つて前言を取り消して頂いた方がいいかと思いますが、非常立法とこう申しまして誠に聞こえがよくありませんが。ただ気持だけを聞いて頂きたいと存じます。これは私は今日本におきましていろいろ議論になつておりまするが、とどのつまりは資本の欠亡、資本の蓄積がないため、これがためにあらゆる問題がこれから派生して来ておるのだと、こう考えるのであります。では如何に資本を蓄積するか、こういう問題が最近いろいろ各方面で議論されておりまするが、そこでいろいろ考えて、あらゆる手があると思います。例えば資本市場を育成して行くとか、いろいろの手がありまするが、これらの明細につきましては、実は先般京都で以て経済同友会というようなあそこで全國大会をいたしまして、そのときに私も丁度経済同友会の幹事をしておりますので、実はこの原案に携わつたのでありまする、どうしても日本としては今何とかしてその資本の蓄積をしなければならん。それには一つ大会の席上で発表するには細かくなるかも知れませんので、具体的な点を一々掲げまして、実は刷物にして出しております。で、私も経済同友会が発表いたしましたあの線で、一から十まであの線でやるということにつきましてはいろいろの御議論があるだろうと存じますが、できるだけ細かい点まで具体的の考え方を織り込んでおりますので、若しお手許にありませんでしたら、協会の事務局からお届けさせますが、大体そのような構想を考えております。
#49
○中川以良君 経済同友会は私も実は会員でございますので、その点はよく承知しております。いろいろ御議論の点もあると思いますので、これはこの程度に質問を打切りますが、今の薄鋼板の連続式機械をやつたら非常によいというお話ですが、例えばその機械を据えました場合には、一つ先ず品質の向上、それから工賃が非常に安くなるという点で、どのくらい価格というものは引下が可能でございましようか。
#50
○公述人(加藤友治君) これについて一つ実際この所質問につきましてお答えを申上げますには、社に帰りましていろいろ我々の方の技術部門もありまするので、若し御必要がありますならば、かかる機械を若しも据えたとしたならば、生産量において、その他工員の数において、或いは工程、そういうものにつきましての調べは我々の方にできておりますから、詳細なる点を申上げて一向差支えございません。
   〔理事野田卯一君退席、委員長着席〕
 ただここで細かい点を申上げまして、若し誤解があると私も困りますし、迷惑になりますから……。
#51
○一松政二君 僕は一分か二分、ちよつと鉄の問題が出ておるので……。来年度の銅銭い銑鉄のいろいろ生産計画が出ておるのですが、一体スクラップと鉄鉱石、無論石炭の問題もありますが、スクラップと鉱石のしつかりしたやや確実な見通しはどういうふうに付いておるか、ちよつと伺いたい。
#52
○公述人(加藤友治君) どうも鉄の問題ばかりでなく、今お話の通りに、大体来年度の鉄鋼生産その他を考えまするときに、一番問題になりますのはやはり御説の通りスクラップでございます。そこでどういうわけでスクラップは最近非常に大きな問題になりまして、なお日本全体としてどういうわけで少くなつたかと申しますと、終戰後非常に日本といたしましては、スクラップが相当各地にあつたわけでありまするが、これらのスクラツプを特に鉄鋼業者、特に平炉メーカーの方々が回收なさいまして、大体銑鉄とスクラップを、スクラップ七〇銑鉄三〇というくらいの割合で今お使いになつておるのが現状であります。前には非常にスクラップが安かつたために、随分スクラップの使用というものが嵩まりまして、現在におきましては日本内地におきまするスクラップの給源が非常に少くなり、最近の如きは沈船を引揚げましたり、或いはその沈船といいましても竹本内地ばかりでなく、或いは沖縄その他に手を出しておるのが現状であります。このスクラップがそれではどのくらいあるだろうかということがいつでも明年度の鉄鋼生産を考えるとき問題になるのでありまして、この数字を今申上げましても、おのおの皆予想でやつておりますのではつきりした点が掴めないのが現状であります。そこで鉄鋼連盟でもこれらは非常に困る。一つ現在の日本におけるスクラツプがどのくらいあるものかを徹底的に一つ調べて見ようということで、最近調査団を作りまして外地並びに日本の内地のスクラップを調査することになりましたから、それがわかれば大体の見当がわかると思うのです。大体そういうようなことで何か……。
#53
○一松政二君 鉄鉱石は……。
#54
○公述人(加藤友治君) 鉱石はこれは今日本内地で出ます鉱石は、八、九十万トンから百十万トンくらいの間であります。最も多く出しておりますのは釜石の鉱山であるのでありますが、これであとは大体輸入しなければならないような現状であります。それじやどこから輸入するかと申しますと、前には海南島から参りましたが、最近はこういうような事情で海南島からは参つておりません。現在一番来ておりますのがマレーのズンダン、それからフイリツピン、或いは一部アメリカの鉱石というようなところが来ております。お話にありましたように来年度の鉄鋼を増産いたしますには、如何に鉱石を獲得し、如何にスクラップを獲得するかということが、これが重大な問題であります。
#55
○一松政二君 それがマッチしてないと私思うのです。いろいろ新聞に御発表になるように、ズングンの鉱石などは私は前にやつておつてその実情をよく知つているのですが、フイリツピンからカランバヤンガンか、サマールくらいなもので、確実なソースがまだはつきり握り得ていないのじやないかという心配をしておるわけです。そうして非常にかなり大きな生産量を押え、且つ平炉並びに高炉を又復活するような、計画があるやに新聞に見受けて、或いはそれで又操業を停止せなければならんようなことが起る事態があるとすれば、國家的にこれほど損失なことはないと思いますが、そういう点を実は確実な見込みを持つてやつておられるかどうか。スクラップにいたしましても、鉄にいたしましても、これも世界的に不足することはきまつておる、アメリカのごとき特に足りない。戰前はアメリカから日本が二百万トンもスクテツプを輸入しておつたから、どうやらこうやらやれたが、その点にはつきりした見通しを持つてやられているかどうかということに一抹の不安を私は感じておるから伺つたわけです。もつと具体的に伺いたいわけです。
#56
○公述人(加藤友治君) 大体我々のほうといたしましてはほかのところはわかりませんが、相当確たる見通しを以ちまして会社を運営しております。
#57
○委員長(波多野鼎君) 午前中の公聽会をこれを以て終りまして、午後は一時半から開きますからどうか御出席を願います。
   午後零時四十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時四十九分開会
#58
○委員長(波多野鼎君) それでは午前に引続きまして予算委員会公聽会を開きます。
 先ず最初に全國建設業協会事務局長古茂田甲午郎君に公述をお願いいたします。
#59
○公述人(古茂田甲午郎君) 全國で約九千七百の建設業者で成り立つております。全國建設業協会の古茂田でございます。資料も甚だ貧弱でございますので、余り耳新らしいことを申上げられないかも存じませんが、今回の補正予算の中で公共事業費を中心にいたしまして、なお自然に関連して参ると考えますが、来年度の公共事業費予算まで含めまして、いささか所感を述べさして頂きたいと思います。
 建設の事業は実は一般に考えられておりますよりはなかなか大きな量に上つているのであります。早い話が國民の総所得の一割約三千億円というのが、私どもの今年度の建設投資の見通しでございます。なおそういつた大きな事業の機能といたしまして、これは皆様がた御承知の通り造船の事業にやや似かよつております関係から関連産業が非常に多い。又生産の手段が比較的手仕事に頼つております関係から、労働の吸收率が非常に多い。又その労働の職種も非常に多様である。或いは又建設の場所が全國至る所に地理的に普遍しておる。まあそういうふうな事情からいわゆる雇用の安定、或いは有効需要の関係、従つて又景気変動の調整の手段に適当しているというふうなことから、國家の財政投資の一つの部門を占めているわけでございます。昨三十四年度におきましてばデフレ対策といたしまして以上の趣旨から、私ども國会方面へも公共事業の振興をお願いしたわけでございまして、結果といたしまして本二十五年度の建設事業総投資が、これは官民或いは地方の公共団体、土木建築一切を入れまして、先ほど申上げましたように約三千億円に達するということに相成つたわけであります。なお試みにこの三千億円の全建設投資量に雇用されます労働力を推算いたして見ますると、約一年間の実働が二百二十万という相当な数字に達するわけであります。三千億の事業量は、先ほど申上げました私ども全國のいわゆる建設業者の数、もう一つ建設に使います建設材料の今日の生産量というものとは必ずしもバランスしておりません、いずれも余裕がある程度でございます。ところが今年度実施状況を見ておりますと、いろいろこの見通しに変化がございまして、一番大きな変化は、当時地方費負担と見ておりましたもの、特に地方費で單独でやる地方單独事業、そういうものがどうも減つて参つたように思われます。その結果私どもとしましては、只今のところ大ずかみに申しまして約一割減の二千七百億、その雇用労働力が二百万人、まあ大体そういう程度に考えているわけであります。
 そこで今回の本年度の補正予算のうちの公共事業費は四十一億、若しこの公共事業に更に建設事業に属します文化財の復旧費四千万円、或いは又特に考えまして、特別会計のほうの特別鉱害復旧の費用というもの、或いは又今回計上してございます地方財政平衡交付金の増加分のうちの何がしかの建設関係の事業費、そういうものを私ども予想して合計いたしましても、その総額は恐らく五十億前後じやないかと実は考えている次第であります。従いまして、この五十億という事業量が殖えますための影響はあまり大きく考えられない。御承知のように二十四年度以降一般会計の公共事業費の予算額が逐次殖えて参つております。二十四年度は八・四%、二十五年度が一五%、この一五%は日本としては有史以来、恐らく最高の率を占めておると思います。なお二十六年度が問題でございますが、只今の新聞等の発表の数字を元にいたしますと、一般会計総予算に対する割合が一九・三%、パーセントの上から見ますと苦しい予算編成の中で逐次にそのウエイトが上つて参つておるということは、私ども建設事業に非常に関心を持つておる立場の者から考えますと非常に満足に考えておる次第でございます。
 ただ問題はその絶対量並びにこの事業の質、或いはその事業の使いかたという点にまだ若干の問題があるのじやないかということを考えております。いわゆる公共事業費と申しますと、これは何と申しましても災害のあと仕末の金でございます。公共事業費のおおよそ約半分は風水害の対策費、これは御承知の通りでございます。ところがその風水害の対策事業の進捗の割合を見ますと、二十二年度分が六五%でございますからまだ三五%残つているわけであります。二十三年度が二八%の進捗率でございますのでまだ七二%残つておるわけであります。二十四年度分は一六%の進歩率でありますからまだ八四%残つておるわけでございます。かくいたしまして、二十四年度の末で若しもかような累年背負い込んでおります赤字を一遍に掃除しようとしますならば、およそ九千億の金が要るそうでございます。かくて二十四年度の末で現におよそ十万町歩近い耕地の面積が皆な地に沒する。これはもう申すまでもないわけでございまして、災害亡國という言葉を私ども使つておりますが、この面から考えまして、すでに四十億乃至五十億、或いは来年度伝えられます千二百億というような公共事業費は甚だ不十分なものであるということはこれは申すまでもないと考えております。
 なおもう一つ公共事業費で災害に関連いたしますことは火災でございます。これは余り広くは取上げられておりませんが、私どもの考えますところでは、この建築物の火災の損害が二十三年度におきましては風水害の土木事業の損害の約一割百三十億円でございます。昨年度、二十四年度では同じく風水害に対しましてそれの三〇%二百六十億円の損失を来たしておるわけでございます。
 一方木材資源というものは現に非常に危険な状況に達しておるように私ども承知しておるのでありまして、現在のままの調子で行きますならば、今後二十年或いは三十年の間に森林資源は枯渇すると伝えられておるというふうなわけでございます。現に建築費の経済から考えましても、御覧のように東京の市中を中心としまして最近永久的な耐火構造の建築物が続々と殖えているのを御覧になりましても、もはやむやみに木造のバラックを建てて燃してしまう時代は通り過ぎているというふうに考えるのであります。その結論といたしましては、少くとも公共事業費の一部である政府の建築物例えば官庁建築、或いは一部の学校建築というようなものは、でき得る限り逐次不燃性のものに変えて行くという必要があるように思います。
 それからもう一つ公共事業に対しまする見かたでございまするが、これは非常にむずかしい問題とは存じますが、失業対策費が御承知のように年々殖えて参つております。それと公共事業費のバランスの問題かと存じます。即ち失業対策費、殊に直接雇用に使います失業救済費、これが二十四年度では約十七億弱でございます。二十五年度はそれが五十三億に殖える予定のようにこの補正予算として承知いたされるのであります。又そのために四十三億円の金を使いまして約五十一万人を直接救済する。二十六年は勿論未定でございますが伝えられるところによりますと約七十八億、そういたしまして直接救済の人員が七十六万、かように金額から申しましても、救済人員から申しましても、目立つて殖えておるわけでございます。これは勿論それだけの理由があるわけでございますが、直接救済の最大の難点、國の富として殆んど残るものがないという点かと考えます。これだけの金を使つてどれだけ残つておるかという点に遺憾な問題があるのじやないかと思います。公共事業費はこれに比較いたしますと、二十四年度の雇用の実績は安定本部の御調査によると五十五万人だそうでございます。若しこれらが実際行われますれば二十五年度は公共事業によつて約百万人雇用され、二十六年度は若し新聞紙の伝えますように千億内外に減らされ、又今年度よりも来年度若干の値上りがございますので、その実効価格に換算をいたしまして、更に見返資金が当てにならない、打切りになるというようなことを考えますと、二十万人に近い雇用が公共事業の面で今年度の雇用から減らされるのじやないかというふうに考えます。これは労働の質から申しますと多分熟練労働に属する労働のように考えます。これは非常にむずかしい問題もありまして果してこういうことになるかどうか、一層精密な計算が必要だとは思いますが、傾向といたしましてはどうもやはり面接救済が今後殖えて参つて、ことによれば来年度は建設事業による雇用、生産の雇用が減つて参る。これで果していいのかというふうな疑問を抱かされるのであります。
 結局公共事業に対しまする私どもの意見は極めて平凡でございますが、今年度の補正予算はもともと五十億前後でございますので、これに手をつけて見ても非常に大きな効果は期得できないかも知れませんが、問題は二十六年度の公共事業費予算にある。つきましては結論といたしましてはやはり千二百億可程度を是非確保して頂きたい。そうすれば雇用は恐らく今年度と余り変らずに安定して行けるのじやないかというふうなことを考えるわけであります。なおこの点に関連いたしましては、でき得ますならば例えば昔ありましたような継続支出の方法というような方法で予算の編成に弾力を持たせまして、その基本といたしましては公共事業はできるだけ三年、四年或いは五年の長期計画をお立て願いましてそれを元にした弾力性のある予算の編成をやつて貰いたい。若しも来年度仮に建設面の公共投資が減りましても民間の企業が殖えますならば、その弾力を持たしてある公共事業費は使わずに済ませる、留保するような予算編成の方式ができないものかというようなことを考えるわけであります。アメリカの公共事業はいわゆるコントロール・オブ・パブリック・ワーク、調整公共事業、そういうふうな考えかたを現にやつておられつるように承知しておりますので、かたがたそういうことを希望するわけでございます。
 以上大体公共事業費の予算は、できるだけ殖やして頂きたいということを申したわけでありますが、かよう申しまいして予算全体のバランスの問題もございますし、又殆んど無限の建設の事業でございますのでおのずから重点的な予算というものになることは、これはもう当然でございましよう。
 最後に公共事業費の絶対量とその質の問題につきまして若干申上げて置きますが、なお一つ残ります問題は公共事業費の支出の問題かと存じます。予算の使いかたによつて效果が非常に違つて来るわけであります。その一つといたしましては、いわゆる公共事業という観念から申しまして、公共事業費の経済的効果を発揮するようにしたい。例えて申しますると事業費の支出を早期にする、或いは適時に支出するというタイミングの問題であります。これはもう申すまでもないことなのでありますが、現に本年度も第一四半期は公共事業費の支出が遅れまして、なおもう一つ地方負担分が地方税その他の関係で遅れましたということと一緒になりまして、今年の第一四半期は非常にいい季節であつたにもかかわらず生産が非常にとまつたというふうなことであります。もう一つ、これは年年の問題でございますが、北海道或いは東北一年のうち一四半期ぐらいの間は建設ができません時期があります。そういう場合におきましても特段の方法をとりまして、急速に早期に支出をする方法を考えるということも必要かと存じます。なお経済的に支出するという問題に関連いたしましては、事務上いわゆる公共事業費の認証の制度、或いは支出の会計の制度、そのほうにも相当簡便化し、能率化する手段が残されておるのではないかと想像いたします。又これも先ほど申上げましたが継続事業制度を復活する。北海道東北方笹では更に会計年度を改正してほしい。年度末は事業ができなくなる、年度初は季節がいいにもかかわらず別な理由で仕事が思わしく進まない、一年のうち平年近いものが非常に非能率的に置かれておるわけであります。
 それからもう一つの点は、公共事業費の予算のうち、ままあいろいろ事業がございますが、事業によりましては三〇%くらいが民間の建設業者の請負に出ます。残りの大部分は政府の直営でおやりになるわけでございます。これは内務省以来の伝統政策のように思われます。アメリカでは私どもの承知する範囲では開拓局の予算で、これは年度によりまして昨年と一昨年は違うのでありますが、事業費の八%乃至一一%は政府の直営の事業、あとは民間の專門の業者の請負で遂行して行くというふうに承知しております。その古直営請負いずれが能率的であるか、これはいろいろ考え方で違うかもしれませんが、アメリカで一九三三年から四年に亘りまして四十六州の二百四十四マイルの通路を選びまして、その五十三カ地点で直営と請負の比較実験をやつたのであります。その結果によりますと平均一八%は政府の直営が高かつた、一番高い例は八五%高かつた、こういう実験があるのであります。不幸にして日本にはそういう実験がございませんでこれはいろいろ議論が分れると思いますが、私どもが若し公共事業を、止むを得ないものは除きまして若しもできるだけ民間の請負業に廻しましたならば、相当予算が余つて来るのではないか、入札の差額が出て来るのではないかと思います。その他公共事業費の支出の面につきましては、補助の制度というものにいろいろ問題があるように思われます。これに関しましてはつぎつぎ建設業者自身もそれに捲き込まれまりして迷惑を受けておる場合がなきにしもあらず、この点につきましては十分監査の制度を設ける必要があろう。
 以上甚だ雑駁なことを申上げまして恐縮でございます。有難うございました。
#60
○委員長(波多野鼎君) 御質問ありませんか。
#61
○吉川末次郎君 一つ聞き漏したから間違つて聞いておるか知れませんが、終り頃お話しになつたうちに、公共事業を民間に全部やらして國がやらなければ非常に予算が余つて来るだろうという一節があつたと思うのですが、これは極めて私は、重大なことをお話になつておると思うのですが、そういうことを何か例をお挙げになつて、日本の例でないようですが、日本の例についで一つはつきりと具体的にいろいろお挙げを願いたいのですが、我々の漠然とした考えですが、素人ですからむしろ政府が直営するということによつて、業者のまあ、何といいますか、不正な営利というものから来る弊害を除去しておるというように、漠然と私は今日まで考えて来たのですが、そうでないというお話なんです。例えば最近など住宅が拂底しまして、今後ともこの問題は非常に重大だと思いますが、公営住宅というものの弊害も私実験しております。併し一般の素人が、例えば我々が仮にどつかからの金融機関からで資金を作つて、個人で家を建てるよりもやはり東京都なら東京都、或いは政府なら政府が直接的に、或いは直営でないかも知れませんが請負業者がついての場合もあるか知りませんが、どうも坪当りの価格等が安くとも割合に質のよいものが、値段の割合に建つておると感ずるのですが、今のお話というものは極めて公共事業について重大な意義を持つておると思うので、できるだけ詳しく一つ具体的な日本の例を挙げてお話が願いたい。
#62
○公述人(古茂田甲午郎君) これの実験反証は、同じ事業を二つ選びましてそれを両方の方法で実験して見れば一番確実のわけであります。そういう実験が行われたことを私は不幸にして日本では聞かないのをであります。従いまして話は抽象的にこういうはずであるということになるのであります。私どもの考えでは、事業が一定しております場合には一定の労働力を政府がお持ちになり、一定の材料を保有しましてそうして絶えずそれで恒常的な生産をする、そういうときにはまあ成立するのでありますが、年々に事業量が変化するというような場合には、絶えず生産の労働力なり材料なりを貯蔵したり売つたり、或いは解雇したり雇用したり、生産が変化して参ります。そういう場合に非常に自由な方法でやるのはこれはもう民間の企業の特質でございます。政府ではなかなかそれができない。例えば建設の機械を政府がお買いになりましてそれを或る河川の事業に使う、その河川の工事が済みましてそれをよその河川で使うという場合には簡單に参らん。予算の費用の更正その他がありまして事務的な措置が長くかかつて十分に済まなければその機械はよそへ持つて参れない。従来河川の中に赤錆になつた機械が使わずに放つてあつたことが見えておつたのは私は一つはその関係であると思います。要するに経営を機動的にやるという上におきましては民間の企業が一番能率的なのであります。
 それから請負の業者が工事をやりまして、往々にして先ほどお話のございましたように十分でないという工事ができ上るという例があると存じます。併しこの場合にはただ自由にやらして置くわけではないのでございまして、政府が十分な監督を持つという制度の下にやつておりますので、政府が監督力を十分に発揮なされれば、或いは業者の選択を厳格におやりになるならば、この弊害は殆んど全体としてなくなし得るものじやないか。事実について御説明申上げられないのは非常に残念でございますが、私どもの考えとしては経済的に施行するというには、やはり民間の專門事業者に会計法の競争入札の精神によつて競争さしてやるというのが、やはり一番いいのではないかというように考えております。
#63
○中川以良君 只今特需関係の事業量というものはどのくらいあるのですか。
 それからもう一点承わりたいのは、将来朝鮮の復興ということが、これは我が國の建設業界にとつては大きな課題と存じますが、これらに対してどういうようなお考えを持つていらつしやいますか。
#64
○公述人(古茂田甲午郎君) 本日詳細な資料を持つて参つておりませんのでございますが、これは十月の初めくらい現在の安定本部から、特需総額は当時一億二千万ドルと発表されましたときの内訳から申しますと、建設用の材料の需要がたしか五十二億円であつたと記憶いたします。そのほかにこれはまあ材料ではございませんが、といつてでき上つておるものでもないのでございますが、半製品として注文がありましたものが十二億円ございました。合せて六十四億円であつたのでございます。その後どういうふうに進行しておりますか、若しもそのスピードでそのまま本年度三月まで行くと仮定いたしますと、物によりましては内需は相当圧迫を受ける。これはもう御存じの通り鉄鋼品があります。それから木材が或いは若干影響を受けるかも知れません。只今の木材の値上りはそれよりはむしろ輸送の関係らしいのでございますが年度末になりますともう少しきつくなる。その他セメント、砂利砂のようなものもございますが、これは内地の資源で十分にできるはずでございます。主として鉄鋼の製品について年度末から若しこの状況がこのまま推移いたしますと、来年度はそういつた特需関係が内需を相当圧迫して来るだろうということを実は心配しておるのでございます。
#65
○中川以良君 朝鮮の復興関係は。
#66
○公述人(古茂田甲午郎君) それはまだ私どものほうには確実な情報として、或いは確実な注文の形で出ておるものはございません。ただ私どものこれは全く予想でございますが、当分のうちは復興よりはやはり戰略的な需要、若しあればそういう性質のものがあるのじやないかというふうに考えております。
#67
○委員長(波多野鼎君) ほかに御質問ございませんか。
#68
○佐多忠隆君 今の問題に関連しまして沖縄の工事は朝鮮動乱が起きた後に相当模様変えなり何なりされておるか、予定通りで進んでおりますか……。
#69
○公述人(古茂田甲午郎君) それは御承知のように朝鮮事変のずつと前から始まつたので、事変発生後変つておるように聞いておりません。
#70
○中川以良君 今のお話のように鋼材、セメント、木材、それから輸送関係等によりましていろいろ建設の諸材料は高騰しております。こういうような関係で公共專業その他を通じまして建設業界では当初のいわゆる引受問題に対しまして、大分困つておられることもあるのじやないか、これらの状態はどうでございましようか。
#71
○公述人(古茂田甲午郎君) 事変前六月の十日時分の総額、それと先月末あたりのと比べますというと、鉄鋼品が約一番上りましたものが二倍半くらい、木材はこれはものによりけりでございますが、大体一割から二割くらい、そのほかの諸材料はその中間の割合で上ると思います。材料の値上りはそうでございますが、労賃は必ずしもその割合で上つておりません。これは微騰でございまして大体四%くらい上つております。これら双方を総合いたしますと工事費全体としましては、これも工事によりまして非常に違うのでございますが、例えば木造の二階建の事務所建築というふうな程度でございますと二割ぐらい、それからビルヂング建築の程度のものになりますと三割五分くらい値上りは確かにしております。がこれは原価が高くなるという問題でありますので、若しも建設の投資力が続く間はコストが高くなるということだけの結果になる。ただ先ほども申上げましたように鉄鋼品につきましては、非常に沢山鉄鋼を使うような仕事がここにございましても、これは相当鉄道の橋梁も建築に使います鉄の最ぐらいのものでは、まだもう少し来年度くらいは持ちこたえるのじやないか、さように考えております。
#72
○中川以良君 そこでその建設業界で相当まあ経営上困つておられるかたが出ておるのじやないかというような点を私ども懸念いたしますのと、当初競争して相当安くやつておられるけれども、そういう材料の高騰のために公共事業その他が、ややともすると手を抜かれるというようなことを我々は心配するのでありますが、その点はどうでございますか。
#73
○公述人(古茂田甲午郎君) その点は非常に御尤もな大事な点でございますが、これはやはり私ども実は若し契約書の面で許されるものであれば、無理をさせ損をさせることは、これは発註者の利益ではございませんから、甚だしく上がつた事態があれば、相互に折衝しまして適正な価格に直して貰う。それからそこまで参りません場合に、工事のとりきめをする場合がありますれば、これは一般のいつもの場合と同じでありますから註文主のかたの厳重な監視を受けるということは、いつでも一般的なことでございます。
#74
○中川以良君 それからもう一点承わりたいのは、住宅金融公庫を作りましてまああれで一般住宅その他が相当緩和されると我々期待しておつたのでありますが、最近の情勢を見まするとなかなか活発に動いていないのです。手続が相当複雑だ、それから又建設業者のかたもあれに対してあんまり積極的な熱意をお示しになつておらないというようなところも見受けるのでありまするが、これに対して建設業界からの率高なる御意見を一つ承わりたいと思います。
#75
○公述人(古茂田甲午郎君) 住宅金融公庫の業績が只今のところ予定よりずつと遅れておるということは私どもも伺つております。これは併しいろいろな関係がありましてああいうふうなことになつております。私ども実は本年度住宅金融公庫に対する政府の出資五十億の予算の御審議になつております時分、私ども実は公聴会にも参りまして申上げたのですが、貸付の方法或いはその制度にまだやはり欠陥があるのであります。私どもはやはり初めの年度或いは二年度くらいまでは、いわゆる給與住宅の建設つまり大勢の人を雇用しておられます雇用主が、その大きな自分のまとまつた信用で借り出しまして、そうして家を建てて賃金形態の一部として給與する、この給與住宅の考えが一番能率的又金を貸すほうから考えましても便宜じやないかということを申したのでありますが、これは到頭通りません。原則的にやはり個々の庶民の一軒右心の家を建てる者に貸すという建前になりました。それが一つ。
 それからあとはやはり償還年限、五分五厘の金利、それから貸付の率が少い。併しそれらの問題につきましては建設省並びに金融公庫で改善案を目下練つておいでになるようでありますから、速かに改正ができますればその点はずつと改善されると思います。
 それから建設業者がああいうまあ個個の建築に対して関心が薄い。これは確かにそういう場合があると思います。その点から申しましても私どもはやはりこれを団地計画をしまして、給與住宅の形で五十戸なり百戸なり建てるということがコストを下げる一つの手段でありますから、そういう手段が有効じやないか。或いは現在は直接地方の公共団体に貸付が許されておうません。これもやはり大ぴらに貸せるような途を講ずるのも必要なことじやないかというふうに考えております。
#76
○佐多忠隆君 今のに関連しますが、その産業住宅を作れという御主張は私たちも尤もだと思うのですが、ただその問題で私たちもいろいろ研究しそれで関係当局と折衝したときに、どうも向うがその給與住宅というような問題は、給與を提供することによつて労働者の自由を縛る結果になるから、そういう意味で自分たちはあんまり賛成しないという意見を言つているのですが、私の聞きたいのはそのアメリカあたりでそういう産業住宅なり給與住宅というような制度なり何なりはあるのかどうか。(吉川末次郎君「非常にある。」と述ぶ)
#77
○公述人(古茂田甲午郎君) アメリカの給與住宅がどの程度やつておりますか、実は私ちよつと御答弁申上げられないのですが、ヨーロッパではあります。
#78
○吉川末次郎君 ヨーロッパにもアメリカにも。
#79
○公述人(古茂田甲午郎君) それからアメリカの住宅の供給は主として御承知のようにFHAの組織が一番大きいものであります。あれは現在の日本の住宅金融公庫のやりかたに一番近い方法であります。ただ向うは日本と違いまして、信用の供與が非常に自由でございますから、建築業者が自分で家を建ててそれを立売りをするという制度、それがすぐにFHAの方に担保になつて参るという形のが多いようであります。但しこれも御承知と思いますが、九月初めトルーマンが何しました一九五〇年度の國防法ですが、あれの関係で住宅建築に対する信用の供與は制限するということに最近変つたようであります。その方法もアメリカでもだんだん変つて来ておるのじやないかと考えます。
#80
○委員長(波多野鼎君) 時間が余りないようでありますから、一つ簡單に。
#81
○吉川末次郎君 それでは簡單にお尋ねします。住宅金融公庫に対するあなたの御答弁、大変要領を得て御立派だと存ずるのでありますが、あなたがおつしやるように、質問の中にもあつたと思いますが、貸付に対する手続が非常に面倒であるということはすべての人に言われておることであります。それは一つの大きな問題であると思いますが、それよりももう一つは、個別的に非常に小さなコテージというようなものばかりを建てて行くものだから、建築材料の供給であるとか或いは建築従業員、大工さんとか左官さんというような者を使うことについて一般よりも非常にエキセツシブになつておる。それは取りも直さず我々の見地からすると、極めて資力の簿弱なところの小ブルジヨア階級的な人が建築業者、或いは建築材料業者、そうした者からの言葉は惡いかも知れませんがいわゆる資本主義的、常利的な見地からの非常な圧迫を受けておるということで、非常に不必要な失費をしておるような感がするのですが、そういうことについてはどうですか、あなたのお考えでは。
#82
○公述人(古茂田甲午郎君) そういう場合もあるかと存じますが、つまり十二坪、十五坪というような非常に小規模なもの下あります。これを翼んで、引受ける業者がたくさんおればこれば問題ないわけであります。つまりそういう点で註文主と引受けるものとの間の橋をかけるという制度が合漏れておるように私は考えます。これはやはり何かの団体のようなもので、或いは貸付機関の窓口のような者が、その優良な者を選んで責任を持つて斡旋するという方法がやはり今の段階では一番よいのじやないか。そういう斡旋の労をとつておる機関がぼちぼちあちらこちらにできかかつております。それが営利を離れまして註文主がそういう機関を十分に認識してそれを利用するようになれば大分改善されます。どうも引受手の質がよくわかりませんうちに註文するということが、もうそもそもつまり取引の最初に不確実な点があるということが一番の失敗ではないか。昨年から実施になつておる建設業法、これは最低三十万円の工事を引受ける者は登録を要する法律でありますが、この点も勿論十分ではございませんけれども、何かそういう法律に登録されておる者ということにでもなりますと幾らか身許が明らかになりますから、将来間違つた場合に責任を持たせられるということが考えられ、そういうような方法でまあ初めによく身許を確めて取所する。これは反対に注文主が惡性で引受けた者が迷惑しておる例もあります。やはりこれは双務的に。お互いに信用を調べ合つて取引を始めるということのほかないように考えます。
#83
○委員長(波多野鼎君) それではこの程度にして頂いて、有難うございました。
 次に京都府知事の蜷川虎三君に公述をお願いいたします。
#84
○公述人(蜷川虎三君) 平衡交付金の問題は今日世間で非常にやかましくなつておるばかりでなしに、現在のままで推移いたしますならば、地方の自治体というようなものの財政は殆んど破綻に瀕するであろうと思われるのであります。この意味において、今度の政府の補正予算と平衡交付金の問題は、地方の自治体のみならず、一般に地方財政といたしまして非常に重要な問題であると考えます。この点につきまして極く簡單に私の考えておりますところを申述べさせて頂きたいと存じます。
 先ず第一に平衡交付金制度は地方税制度と共に地方財政の確立の二大支柱である。この地方財政の確立という基盤の下に、地方自治を確立しようという方針の下における一連の問題であるということを我々といたしましては十分考え、國の政策におきましても地方自治体の整備におきましても十分考えなければならない点だと思うのであります。すべてのこの問題の取扱いかたは、これに対するどれだけの意識を持つておるかということに関連すると思うのでございまして、この一点を先ず申上げて置きたいと存じます。
 第二に御承知のように平衝交付金は今度の補正予算に関連して、特に地方の自治体において強く問題にされておりますが、知事会議におきましても二十九、三十の両日に亘りまして熱心な討議の結果、知事会議始まつて以来のことだそうでありますが、全員揃つて國会に陳情するところまで来ております。これは結局若しこのままで行けば各都道府県の財政というようなものは破滅に瀕するであろうということが予想されるからでございます。大体平衡交付金についてはいろいろの問題が取上げられなければならないと存じますが、究極するところはこの二点に帰すると思うのであります。一つは今回の補正予算におきまして、平衡交付金制度というようなものが、これで果して季衡交付金の制度が意図しておるような目的を実現し得るか否かという点であります。我々の見解といたしましては、三十五億程度の補正では到底地方の財政は持ち切れませんので、少くも地方財政委員会が政府に勧告されたような計数の関係において、八十三億程度が最少限度の増額でなければならないという点が実際問題であります。
 それから第二の問題点は、平衡交付金の配分割当のためにするところの計算の方法であります。これはああいう制度の趣旨に鑑みて一般的に如何なる計算方法をとるべきかという問題と、もう一つは現在の地方の諸事情に鑑みまして、その一般的な計算方法を如何に補正すべきかという問題であります。私は結局現在いろいろな角度から平衡交付金が論ぜられておりますが、帰着する問題はこの二点にあると考えます。従いましてここでは以上の二つの問題に分けて極く簡單に私の所見を申述べさせて頂きたいと存じます。
 先ず第一の問題でございますが、平衡交付金について補正予算において幾ばくが増額されなければならないかという問題であります。平衡交付金は申上げるまでもなく基準財政需要額と基準財政收入額との差を以て基礎とするものであります。従いまして先ず各都道府県、市町村におきまして二十五年度の基準財政需要額と基準財政收入額が正しく算定されておるということを前提にいたします。これがなくして國で幾ら平衡交付金を出すかということは理論的にきめられないはずであります。それにもかかわらず國の予算といたしましては、一応千五十億円というものを出されておるのでこれは予算編成の上から申しまして千五十億プラス・マイナスのアルファというものを考えて組み入れられたものとしか理解できないのであります。初めから平衡益付金は千五十億だときめてかかりますならば、これはもはや平衡交付金そのものの精神の意義と全く矛盾するものであります。従いまして私どもは常識から考えまして千五十億円プラス・マイナスのアルファという意味において予算書に千五十億円が計上されておると理解するものであります。従いまして平衡交付金を地方にどれだけ出すかという計算をして行きますれば、結局このアルファーを加えるか引くかの問題に当面するわけであります。これが先ず千五十億円に対して幾らの金額を補正し得るかという第一の問題であります。
 ところがどうも私ども外において伺いますと、平衡交付金を千五十億の枠に入れようとして算定したというふうに疑われるような節があることは甚だ遺憾であります。それで特に千五十億円という計算は先ず地方税が千九百八億入るということを前提にして計算されたものであります。従いまして千九百八側の地方税が入るか入らないかということは、千五十億に関連しておるのでありまして、これは甚だ無理な計算が先ずそこにあつたと思うのであります。どの地方におきましても二十五年度の予算を組立てますときには、地方税法はきまつておりませんし勿論平衡交付金がどれだけ入るかわかりませんから、どこにおきましても先ず前年度の配付税と、それから恐らく交付金に入れられるであろうと予定される補助金、この頃A補助金と山しておるものであります、この合算額と税收額とを合せたものを大体の基準にしておるわけであります。税收額、配付税及び補助金、この合計額の大体二十四年度におけるものを二十五年度において使う。そうして後来準需要額の増額というものをほかの例えば特別交付金のようなもので仮に賄うものとしてそうして予算を立てておりました。従いまして最小限度千五十億円プラス・マイナス・アルフアの実額は八十五億一千三百万円となるわけであります。これは大変数字ばかり申上げて失礼でありますが、二十四年度が約千二百七億七千二百万円、これが配付税プラス税牧人プラスA補助金の総額であります。それで今度は二十五年度の可能徴税額、本年度において幾ら税金が取れるか、これが五百二十六億六千四百万円、それから交付金の決定総額が五百九十五億九千五百万円、この差額が丁度八十五億一千二百万円何がしになるわけでありまして、これが少くも千五十億プラス・マイナス・アルフアーおけるアルフアの実額でなければならない。
 これは当然政府が平衡交付金制度というものを設けた以上、このアルフアについて何らかの手を加えなければならないわけであります。ところがそういうことについての御調査や何かがなしに、ただ地方には冗費があるからそれで賄うとか、地方では雑收入なんぞが多いのだからそれで賄えるだろうというふうな抽象論ばかり行われておる。地方においてどんな冗費があるかというようなことは、一つも的確に示されてはおらないのであります。又雑收入があるということを声高に言う人がありますが、雑收入というような名目のもので加え算をするということが、如何に統計的な取扱いにおいて誤りであるかということは申すまでもないわけであります。すべて統計的に見るならば、名前ではなしにその数字の内容を究め、同質のものを加え算すべきであります。こういうことを何もしないで、ただ地方の科目の上で雑收入というものがあるから、その雑收入を合計して見て、雑收入が多いじやないかというようなことは、少くも專門家のおつしやることではなかろうと私は思うのであります。まして雑收入はすべて引当の科目があるのでございまして、雑收入なんぞがこのアルフアを賄えるものではないということは申すまでもないことであります。
 その次に交付金だのそれから起債額というようなものが決定後におきまして、法令上地方の義務として負担すべき金額というものが非常に増加いたしております。それに合せまして災害復旧の費用、或いは政府の補正予算増加に伴う経費、それから今度私どもを非常に悩ましてやります来末手当を半月出す、それから給與ベースの引上というような費用は、この平衡付金額を決定する当時において全然考えに入れられなかりたものでございます。これは千五十億プラス・アルフアの別のものでございまして、この補正をしなければならない。これは結局千五十億プラス・アルフア・プラスのベーター、そのベーターに属するものであります。これは地方財政委員会が御算定になりましたように三十九億九千八百万円の節約をいたしましたり、百九十五億の起債ができたりすることを前提にして八十三億二千百万円が計上されておるわけであります。従いまして総額で見ますと、千五十億プラスのアルフア・プラスのべーターは、結局千五十億に加えることの百六十八億三千四百万円ということになるのでありますが、百六十八億三千四百万円が地方財政委員会にお寺ましては、このアルフアの分は少しでも、ベーターの分のきびしい節約と起債の増額を前提として八十三億加えられているわけであります。それに対しまして今回政府の補正予算におきましては僅かに三十五億、私は先ずこの三十五億がどこから出て来たかということに疑問を持つものでありますが、まして伝えられるところによりますと、三十五億のうちには七億だ、九億だ、四億だというような紐の付いた部分がございまして、結局平衡交付金的性質を帯びるものは三十五億のうち十八億しかないというようなことが知事会議でも報告されておつて、非常に驚いたわけでございます。併しもはや三十五億ではこれは問題にならないのであります。で百六十八億三千四百万円が八十三億にされましたとろで、なおここにきびしい地方財政の問題が残るということを私は申上げたいと存ずる次第であります。こういうことならば地方税法も改正せず、平衡交付金制度も設けないほうがむしろ地効財政は安定し、健全化されるのではないかと思うのでありまして、こういうような激しい変革をやるならば、変革をやるだけの國の政策と地方の施策とが合わさつて行わるべきであります。單に統計表の表面から計算器を廻した数字では地方の住民は生きて行けないと私は思うのであります。これらの点についてどうすべきかということについて、一部のかたから言われていることは、先ほど申上げましたように地方の冗費を節約する、宴会や旅行をやめろと、或いは雑收入を使うというように全然できないこと等、取るに足らないようなことであります。國の施策がそういうように思いつき的な感情的なものであつてはならないのではないかというふうに考える次第であります。
 第二の問題を申上げますと、平衡交付金の配分、割当の算定方法であります。これは非常に御苦労になつたということはお察しできるわけでございますが、恐らくこういう計算をするには時間が不足であり、日本にはそれだけの統計資料が揃つておらないと思うのであります。而もその統計資料の使いかたは、甚だ申上げにくいことでございますが子供のような使いかたである。でこういうような点が十分考えられませんと、大学の研究室と違いまして、一單位違いますと府県民の生活というものは、それで左右されるのでありますから、時間がなければ時間がないような、資料が足りなければ資料の足りないような計算方法をとつて頂きたいということを私は考えるのであります。特に某準財政需要額の算定方法として、理論的に計算するという方法をおとりになつたわけであります。例えば道路費というものを算定するのに流路の面積というものを測定單位にとる。この測定單位のとりかた、測定單位の測度、測定單位の補正係数及び測定、單位に関する單位費用というようなものが、果して実際的であるかどうかというような点については非常に疑問があると思うのであります。これはどういうようなやりかたをしても問題は残るのでありますが、理論的な計算方法をとる場合におきましてはかくあるべきだといろいろ姿を、一つの考えかたによつて描いたものに過ぎないのだ、かくあるものをすぐかくあるべきものに描いてみても、かくあるものを如何にするかという目標を與えられるにしても、現実の施策は私は出て来ないと思います。従いましてこういう場合には理論的な計算方法と統制的な計算方法と二本の線を出して、その二本の線の交点において問題を考えるという方法をとるべきである。これは当然従来社会科学においてとられて来たところでございまして、こういうようなものを無視してただ理論的な積上げ計算に終始するということは、私は非常に危険ではないかと思います。
 それから基準財政收入額の算定におきまして、これも算定の材料が非常に怪しいということは、地方の担当者の何人も認めるところであります。こういう場合におきましては、單に前年度の税收入額というような、例えば國税局あたりの事業所得の額というようなものを知り究めるばかりでなく、その背後にある経済というものをつかまなければならない。例えば遊興飲食税が京都においては四億八千万円近くのものが入るようになる。東京に次いで第二位だと思いますがこういうものを見ましても、全然現実の経営の実態や経済の動きというものを見ないでただ数字だけ扱つている。まあ私ども経験がございますのですが、数字を見て計算しておりますとその実態とどう離れるかということをつい忘れて計算に終始する。基準財政收入額の算定者はまさにそういうところに陷つて行つたのではないかと思うのであります。こういう場合におきましては、例えば事業税はもつと上がるはずだと、はずだと言われるのならそのはずの根拠はどこにある。同じ事業者数というものが統計に出ておりましても、それから上がる事業税の幾ばくであるかということは、事業者の規模の組合せによつて大変違うわけです。京都市のごときは全く中小企業の町でございますがその中の八七%近くは零細企業であります。これはドクター・シャウプも言われましたように企業にあらずして労働の組織である。むしろ勤労所得を課すべきものに対して、なお今日の税法におきましては事業所得を課しておるというような状態である。その無理をあえてする場合になお徴税を強行せよというようなことが言えるかどうか。これらの点は地方の自治体をあずかる者としては非常に苦労している点であります。こういうような点を考えますと、如何にも科学的な合理的な姿をしているところの基準財政需要額と基準財政收入額の算定は余り根拠がない。ただ千五十億に分け振るために苦労していたのではないかというふうに考えるわけです。従いまして私どもは急場のしのぎといたしまして三つの補正をして、少しでも現実に近ずけてはどうかということを申出ておる次第であります。
 一つは計算的な補正であります。これは測定單位のとりかたはそれを認めますが、測定單位の測度、或いは補正係数、單位、單価というようなものを直す点であります。特に補正係数なんかただ最小自乗法を使つたから正しいというような主張をしておりますが、私の見るところでは、この最小自乗法の使いかたが間違つている。最小自乗法を使うことによつて物事は正しくなるのではなしに、最小自乗法を正しく使つた場合においてのみ意味を持つ。この点を非常に誤解されているのではないか。それから第二には、行政の各部面におきまして單に量に還元できないものがある。例えば人口においてさえ質が問題にされなければならない。その場合において、これを單なる量のみで計るということも間違いではないか。従つてここで第二の量的な補正を行なつて欲しいということであります。それから第三は、この財政というようなものは過去から現在、現在から将来へと流れて行く流れの一駒である。従いましてその流れ、動きというようなものは單に財政政策でそうなつているのではなしに、現実の社会及び経済によつて制約されている一つの流れである。従いましてこの流れを無視して、單に理論的な計算を事とするのは間違いでございますから、ここに流れに対する経過的な補正をすることによつて、現在割当配分される計算方法を直して頂きまするならば、そうして先ほど申述べましたような百六十億近くの金額を殖やして頂きまするならば、ここに初めて地方財政確立の一支柱としての平衡交付金制度の意義が挙がり、又地方はこれに対しまして十分な節約と財政の賄いかたを改善いたしますれば、地方自治確立の基盤としての地方財政の健全化は図れるのではないかと思う次第であります。
#85
○委員長(波多野鼎君) 御質問がございますればどうぞ。
#86
○吉川末次郎君 三つほど簡單にお伺いいたしたいと思いますが、第一はあなたがお挙げになつた数字と私の記憶しておる数字と違つているかも知れませんが、大体補正予算に関連して地方財政委員会というのは、あなたも委員になつていらつしやらないけれども結局あなたやなんかの御意思が代表しているものだと思いますが、百二十三億円も必要であると言つているわけです。それに対して政府は三十五億円しか出さないわけですが、それに対して地方財政委員会は四十億円を既定の予算の中から削減して節約して行く。従つてそれを差引して八十三億円のどうしても平衡交付金を貰いたいというのが、地方財政委員会の要求であると思いますが、併し政府側からすればあなたもお話になつたように或いは宴会であるとか出張であるとかいうような、そのほかいろいろな冗費が地方自治体にあると言つているわけなんですが、あなたのほうではないと言つているわけなんですが、本当にないものであるならば、みずからあなたたち地方自治体の代表である地方財政委員会が、自分の提案の中に、四十億円ともかく節約しましようというようなことをお申出になるということが少し変な感じを與えるので、或いはそれは実際上要るのは八十三億要る、或いは又一厘でも余計平衡交付金を取ろうというような建前からの誘い水的な意味でしておられるのではないか、多少そこに露骨に言えば駈引みたいな心理が介存してやしないかというふうに思われるのですが、それについてのお答えを第一にお願いいたしたい。
 それから第二に、池田大蔵大臣は三十五億でいい。特に地方自治体においての歳入面においての租税の徴收その他について非常に遺憾な点が多い、要するに十分税金関係を取り立てられておらんということを、やはり地方財政委員会の要求から非常に減額している大きな理由に挙げているのでありますが、それについてあなたのお考えを伺いたい。
 それから第三番目には、今あなたのお話にありましたこの雑收入はそれ自体を既定の予算の中に入れて置くということが非常に望ましいことでないということと、もう一つは地方財政委員会等の主張からいたしますと、その雑收入は大体使途が予定されている、即ち租税でいえば、一つの目的税的なものになつているというようなことをちよつと聞いたのですが、事実そうなのか。或いは使途が予定されているならば、それはどういうことになるか。例えばあなたのほうの京都府の予算面における雑收入というものを中心にして、具体的に一つ我々にわかるようにお願いしたいのであります。
 第四番目にお伺いいたしたいことは、結局少くとも衆議院では自由党が絶対多数なのでありますから、あなたたちの御要求を退けて、三十五億という政府予算を絶対多数で可決することになるだろうと思うのですが、そうすると少くともあなたのほうでは八十三億という金がどうしても要るとこう言つておられるがこれが三十五億しかもらえない、その不足部分によりいろいろな行政の運用上支障を来たして来ることは当然でありますが、或いは事業の繰延とかなんとかいうことになるでしようが、それをもう少し執行者アドミエストレーターであるあなたの立場から、あなたのほうの京都府だけの例を挙げて頂いても結構でありますが、政府予算による平衡交付金からこれだけの支給にとどまつたときに差当り困難な結果が起つて来るというようなことを、一つ具体的にお聞きしたい。以上四点についてお伺いいたします。
#87
○公述人(蜷川虎三君) 地財委のほうで計算されましたのは初め平衡交付金百三十億近くのものを要求しておりました。その後八十三億になつたのでありますが、これは結局先ほど申上げました通り平衡交付金及び起債額の決定後に起りました義務費、それから災害復旧費その他を合せましてそれが地方費の負担にならないように計算された面が一つ。それからもう一つは、即ち別な補助金で出るようになつたことが一つ。もう一つは節約というのは、今まで無駄をしていたからそれをやめるということではなしに、今の必要な経費を入れ合わせて何とかかんとかそこから三十九億九千万円ばかりを稼ぎ出そう、これは非常に困難なことだと思うのでございますが、それを稼ぎ出すことによつて、而も百二十九億ほどの起債の増額をお認め頂いたら、八十三億で何とか平衡交付金額の決定以後における増加分は賄えるのではないかという点でございます。
 で私の申上げました千五十億プラス・ベーターの点ですが、これは地財委は國家機関でございますから私どもも陳情いたしましてできるだけ地方の事情をお汲み取り願いまして……。
#88
○吉川末次郎君 地財委には知事会の代表者がいるのだからあなたがたの代表機関でしよう。
#89
○委員長(波多野鼎君) ちよつと議論は。
#90
○公述人(蜷川虎三君) 我々の意思も現わし得ますけれどもそれは國家機関として我々の意思を取入れて頂けるだけでございまして、我々の代表機関のようには考えておりません。
 それから徴税面においてもつと税金を取つたらいいだろう、取れるだろうという御意見もあるのでありますし、確かに私どもまだしんまいでよくわかりませんが、もつと徴税方法や何かにおいて地方も研究すべき点があるだろうとは存じます。併しながら御承知のように今年度は七月三十日になつて漸く各府県ともに地方税の條例を出しておるような始末でありますし、それから都道府県みずからが徴税に当るというのもこれは八月一日からのことでございまして、こういうことで不馴れ不行届の点が多いと思いますが、一番問題は業者の経営の実態及びそれを囲む経済の動きというものを見て議論をして頂きませんと、徴税を強化しろという議論はただそれだけでは私は成立たないように思うのです。それに自分が今取るほうの立場におりますので非常に苦しいわけであります。
 それから第三の雑收入でありますが、例えばこれは農産物或いは水産物などの検査費というようなもののために、仮にたとえば二百万というものを歳出に計上いたしますとどうせこれは手数料が入つて参ります。この手数料が二百万円とまあ予定されておるわけでありましてこれが丁度引当になつておる、見返り勘定のようになつておるものでございます。その他には例えば府県庁にある古雑誌や古書類を売つた売却代金というような程度のものが雑收入でございまして、ただ予算科目の設定の仕方や何かが十分にできておらないために雑收入の中に多種多様のものが入つておるということは、これは地方側の責任だと私は思つております。
 それから四番目に、取れなかつたらどうするかという点でございますが、私はどうしても増額して頂かなければならない。全取れない場合のことを考えておりません。これは取らなければ首をつるよりほかに手はないと思いますが。
#91
○佐多忠隆君 給與ベースは現在地方自治体では一体どれくらいになつておるかという問題が一つと、それから年末手当は昨年はお出しになつたのか。昨年出しておられたとすれば、今年の当初予算において見積つておらなかつたのかどうか。その点を一つ。
#92
○公述人(蜷川虎三君) 実は私は四月から知事になりましたのでどうもそういう点がよくわからないのでありますが、給與ベースが地方で高いと言われておるのは間違いだと思います。ただ地方で支拂う給與額の平均額が國家公務員の平均額よりも高いというだけであります。即ち長期勤続のかなり年齢の高い人が多いという意味であります。給與ベースはやはり國家公務員に合せるように加減して来ておるそうであります。それを世間では支拂総額に対する平均給與額というものと給與ベースとを混同されまして、それで地方は高い高いということが、言われておるのだと思います。
 それから昨年あたりもやはりいろいろの要求があつて無理に捻出して半月だか一月に近いものを携つたのだそうでありますが、これもまあ労働攻勢と申しますかそういうような要求によつて止むを得ず出したということを聞いております。それでそれらの出しかたは大体まあ超過勤務手当の不拂いの分があるのでそれを当てたり、それからもう一つは充員すべきものを充員しないでいた人件費の節約分、そういうようなもので拂つております。今年は全然それはございません。でありますがどうしても拂わなければならない実情でございまして今皆どこの都道府県の知事も非常に苦労しておるのであります。
#93
○佐多忠隆君 さつきこの七億の問題、五億の問題、九億の問題が出ましたが、七億二千七百万円の例の義務教育費國庫負担の問題と、四億九千一百万円の教職員の待遇改善費の問題、これはわかるのですが、もう一つ第三の九億というのは何を意味するのですか。
#94
○公述人(蜷川虎三君) 私もよく知りません。その七、九、四という三種類のものがこの間も挙げられておりまして、これは大体紐付きであるというふうに言われておりました。七億のほうはお話の通りでございますが九億のほうも何かそういうものがあるように聞いております。
#95
○岩間正男君 今この四億の問題は、教員の別表作成のあれじやないんですか。違いますか、四億というのは。
#96
○公述人(蜷川虎三君) はあ。
#97
○岩間正男君 それでは京都のほうでもいいですが、地方税の増徴状況はどうなつておりますか、その点をお伺いして置きます。
#98
○公述人(蜷川虎三君) 京都では、今基準財政牧人で見積られておるのでは大体事業税で約十億近くのもので、それから遊興飲食税で四億八千万円、入場税で四億八百万円近く、そういう額を取らなければならないというのでありますが、実際において遊興飲食税において一億以上取るということは非常に困難でございます。入場税においてもその通りであります。特に事業税などにおきましては二十四年度の中小企業の経営実績が非常に惡いために十億を突破することは非常にこれは困難であります。
#99
○岩間正男君 京都の実情、市町村の住民税を含めまして、大体パーセンテージはおわかりになりませんか。現在の徴收状況。
#100
○公述人(蜷川虎三君) 今日ちよつと資料を持つて参りませんでしたから。
#101
○岩間正男君 大体そうすると見通しとしては、最初の見込ぐらい取れるような見通しを持つておられるのですか、どういうふうになつておりますか。
#102
○公述人(蜷川虎三君) でありますから、せめて私の申す一千五十億プラス・アルファならアルファは殆んど考慮外にされる。そこでベーターだけは是非とも出して頂く。第一國がいろいろな施策をお立てになりまして地方にそういう仕事をお命じになつて置いて、而もそれについては一文も國は拂わないで地方は宴会をやめてそれをやれというようなことは理窟にならないと思うのです。私はどうしてもベーターだけは八十三億だけは出して頂かなければならないというふうに考えております。
#103
○岩間正男君 私のお聞きしたいのは、基準財政需要額と基準財政收入額、その差額だけ平衡交付金で出すということになるのですが、結局基準財政收入の面にいずれ変動があり、最初の見込通り入らないとそこに根本的な欠陥が起きるのじやないかと思うので、今度の補正はその後の審議でいろいろ法案なんかによる新らしい事業画だけが補正をされて、そうしてこのぎりぎりの八十三億という要求もそこにあるようなんです。最初にもつと根本的な問題のほうが十分にここに検討されないで、先に行つても補正をやる機会がないと、昭和二十五年度の地方財政の根本的欠陥が、恐らく先に持込生れるのではないか。こういう点が非常に心配されるのですが、この点についてどういう御見解をお持ちか、このことをお伺いします。
#104
○公述人(蜷川虎三君) お説の通りと思います。それで私どもは千五十億プラス・アルファ、このベーターの前にアルファを片付けて頂きたい。そうしてそのアルファを片付けるために、第二に申述べましたようにその計算方法の補正をやつて行く。即ちそれとアルファとベーターを加えて百六十億近くになりますから、その百六十億の増加の枠内において計算は質的、経過的な補正をやるのでなければ、この地方財政の確立というようなことはできないというふうに考えるのであります。
#105
○岩間正男君 最初にその收入をしてその後仮決定の結果還付するというのは非常に多いと思うのですが、京都あたりでは市町村別にそういう事態がどれくらい起つておりますか、御存じでしようか。
#106
○公述人(蜷川虎三君) 今市町村の資料を持つて来ておりませんが、京都府だけに限りますと大体七億近くのものをすでに貰つているわけです。それで二億二百万円の決定を受けましたから四億九千万円近くのものを返さなければならないということになつており、大体大都市を抱えておつて、即ち非常に人口にしろ、いわゆる補正係数に勘定される各因子が質的に違うものを持つておる大都市を抱える府県におきまして、この開きが非常に多くなるということが考えられる意味におきまして、あの計算方法にはいわゆる計算のバイアスというものが強いと思う。それで面積が広くて人口稀少なる地域において非常に割合がいいというような、これはむしろ実際問題というより計算的なバイアスであろうと考えております。
#107
○岩間正男君 そのような還付四億八千万円というと厖大な……殊に地方の税が取れない現状では、大変な財政的な欠陥を招来するのですが、これに対してどういう処置を現在お考えになつておられるか、ちよつと伺いたい。
#108
○公述人(蜷川虎三君) それで私どもといたしましては、丁度十五億五千万円が昨年度の配付税の收入及びA補助金の総額であります。でありますから今そこで二億二百万円が仮に決定が頂けたらあと十三億四千八百万円という赤字を抱えて、この年度賄つて行かなければならないという事態でございます。それで地財委が要求しておりますように三十九億の節約をやるということを考えますなら、各都道府県においてあらゆるやりくりをいたしまして、一億近くのものは何としてでも稼ぎ出さなければならない。そうするとやはり十一億四千八百万円というようなものが残つて来る。従いまして私どもはその程度の平衡交付金はどうしても頂かなければ賄えない。勿論一方におきまして徴税はかなりきびしくいたしますが、それによつて補い得られるものは今のような実態で、特に京都のように特需景気なんというものも全然影響のない、平和的な中小企業だけの町にいたしましては殆んど見込はないのです。
#109
○安井謙君 いろいろお話伺いたいのですが、時間もかかるでしようから極く簡單に今のアルファ、ベーターの問題なのですが、大蔵省の言い分の一つに、地方財政は既定、予算をそのまま要るとして全体の再検討は怠つておる、追加だけを要求しておるというまあ言い分が一つある。それから國のほうの財政は、全体をいじつた上での御議論で、追加だけを議論するのは、どうしても議論の的がはずれるというのが一つ。それに対して私考えているのが例の紐付きの問題ですが、これは九億、七億、四億は紐付きじやないと、全体として考えるべきだろうというように訂正されたように思うのでありますが、それはそれとして、今後平衡交付金のありかたとして、紐付きのほうが実情に適しておるとお考えでしようか。それとも今の制度で、理論的に考えて、現実的に補正されたほうがいいとお考えになつていらつしやるか。二つだけ。
#110
○公述人(蜷川虎三君) 紐付きがいいか、平衡交付金の合理的な運用のほうがいいかといいますれば、これは平衡交付金制度が非常に合理化されれば、私はそのほうが地方としては非常に堅実な財政がやれると思うのであります。紐付きでありますと非常に地方としては不安ですし、手数もかかるし國にも御迷惑をかける点が多いと思う。そういう点で私は平衡交付金制度の合理化ということが大事だと思いますが、あれを下手にやれば地方自治の確立どころか、むしろ中央集権的なそこに新らしい力で以て地方を握つて行く。地方の自主性或いは自立性というようなものが却つて失われるような危険も含まれておる。もう一つ第一のほうは何ですか。
#111
○安井謙君 既定予算をちつとも地方財政はいじつてないということ。
#112
○公述人(蜷川虎三君) こういうのが一般的に非難されておるのですが、どこでもだんだん平衡交付金を千五十億で非常に窮屈と考えまして、予算面は十分検討して、事業を縮小したり繰延したりする方法をとつておるわけでありますから、冗費よりも今度予算の執行の仕方というものがここに非常に問題になるだろうと思つております。ただ税法が八月一日から動き出し、又平衡交付金が漸く十一月になつてから金額が仮決定でございますが決定されて来たというような、今年の特殊の事情も十分御考慮を願いたい。で徴税をしつかりやれと言われても不慣れな都道府県、市町村におきまして、而も半年で一年分取るということはかなり困難です。そういうような点を十分御批判を頂くかたがたに御配慮を願いたい。特にこの地方財政及び地方自治というものに対しては、やはり学問的にも研究が足りないせいでございましようか、どうも問題が実体においてつかまれないで極めて末節、表面において論ぜられるというような点があると、私どもやつて見まして切実に感ずる点でございます。
#113
○佐多忠隆君 地方財政を検討するときいつも問題になる、それは地方側から資料の出かたが非常に不十分であつたり非常に遅れたり、或いは出て来なかつたりするのですが、これはもう少し何とかうまくやる方法はないものですか。
#114
○公述人(蜷川虎三君) お説の通りでありますが、私も知事になつて初めてわかつたのですが、都道府県の統計課というものは、実は地方の統計は全然作つておらないで、國の指定統計のほうの調査機関であるという状態で役に立たんのです。それから各部課の担当者ももうそういうようなことを殆んど今まで考えておらないというような極めて、そうばかりではないと思いますが私の経験した範囲では、どうも資料だの何だのについて正確に整備しておらない。そういうようなわけで地方独自の使い得る統計というものは現況においては全然ございません。従いまして基準財政需要額の算定をする場合における測定單位の測度というものは、実に怪しいのはそこから来ておると思います。で私のほうは特に知事公室に企画課というものを設けましてその企画課において京都府の行政に必要な資料を整備するというような方法により只今やつておるところであります。今のところは全然ないと申してよいと思います。従いまして雑收入が問題になつて、すぐ地方の府県に集めてもらうと、整備されない雑收入という報告が来まして厖大なる数字が出て来る、お説の通りであります。
#115
○委員長(波多野鼎君) どうも有難うございました。
 次に日本中小企業連盟常務理事の永井保君に公述を願います。
#116
○公述人(永井保君) 本年度の補正子算案を通覧いたしまして、特に中小企業の立場におきまして積極的な意味を持つておると思いますのは、中小企業の金融に対する信用保険の特別会計五億円、それからもう一つは國民金融公庫の出資金十億円でございます。
 減税のほうの問題でございますが、今回の補正予算におきましては六十四億円が計上せられておるようでございますが、これは大部分源泉課税即ち給與所得者に対する減税分でございまして、事業者に関係を持ちまするものは酒税、砂糖税或いは物品税、それらを入れまして十億二千万円程度でございます。尤もこの物品税その地この酒税等につきましては、最終的には消費者の負担ということになつております関係上、直接に中小業者の税の軽減ということにはならないのでございます。政府におかれましては税制一般の改正につきましては、来年度より実施するというふうな御構想のようでございますが、私どもの立場からいたしまして、今年の補正予算に給與所得者が約五十六億三千万円余りの減税の恩典に浴するのでございますから、せめて個人の事業者、即ち会計年度一月から十二月に限つております個人の業者においても、同様に今回の減税分に加えて頂きたい。このような気持を持つておるものでございます。中小企業者が待望いたしております減税につきましては、今回はその前を素通りして参つたのでございますが、大体におきまして、この日本におきまして終戰後特に税金が國民の負担に非常に大きな影響を與えております。それが年々累増いたしておりますことは改めて申上げるまでもないのでございますが、特にこの予定申告をやつておりますところの事業所得者の約八割二分程度は小さな中小企業者でありまして、従いまして全体において國民所得とその税負担の比率が低くなりますことは、最も望ましいのでございますが、これも財源等の関係によりまして止むを得ないものがあるかと思いますが、大体私どもの手許にございます資料に基いて考えて参りますと、昭和五年から九年の平均の國民所得と税負担の関係を見ますと大体一四・四%というふうに見えておるのでございますが、終戰後それが急激に殖えまして、特に昨年度におきましては二六・四%というふうな高率を示しております。それと共にもう一つ、この税負担は所得の構成から見まして、戰前は大体に資産中心的な傾向を有するところの事業所得が相当高かつたのでございますが、終戰後それは勤労所得を中心とするようになりまして、或いは又小さな中小業者の少額の所得の者に相当大きな比重が移りつつあると、こういうふうな現象からいたしまして、戰後における中小企業の税問題というものがかなり深刻な様相を呈して参つておる次第でございます。
 統計ばかり申上げて甚だ失礼でございますけれども、大体これも日本におきまする中小企業の統計は非常に取りまとめが困難でございまして、大体國勢調査等によりまする古い統計を借用いたしまして申上げるのでございますが、事業所の総数が昭和二十二年の國勢調査におきまして見ますると、工業におきまして約九十六万七千、これは大体従業員総数が六百十八万、要するに事業者のうち工業の関係が大雑把に言いまして約百万、それに従事いたしまするところの従業員が六百万ということでございます。そのうち従業員が三十人未満、私どもで申しますところの中小企業の面でございますが、それは事業所におきまして九七%を占めておるのでございます。又従業員の数にいたしまして約半分に当つております。もう一つこれを商業の面について見ますると、大体商業者の店舗を持つております数は約百万でございます。そのうち従業員が一人から四人まで、四人未満の中小業者でございますがその比率が九四%、百万の中に九十四万がその小さな商業者であるということでございます。従業員も従いまして商業者の商業店舗の従業員総数が二百三十七万、そのうち一人から四人までの小さな店舗に関係いたしております者が百五十八万、こういうふうになつているのでございます。大体この商工業を合わせまして業者の数並びにこれに附随しまするところの従業員等の数を総合いたしますと、農業人口を除きますところの日本の有業人口の約半分に当つているのではないかというふうに私ども考えているのであります。
 そのような沢山の、而も日本の経済の構造上から見まして非常に重要な部内を占めております、又経済的にも極めて重要な役割を担つております中小企業に対しまする政府の施策というものが、私ども従来からいろいろ業者の立場に立ちまして陳情或いは要望をいたして参つたのでございますけれども、その中小企業の問題の複雑性から、なかなかそれが取上げられて有効に行政の上に反映しないというような嫌いがございました。今度の臨時國会で総理大臣が施政方針演説の中で、中小企業の問題に触れて、新聞記事にしますと一行か二行のことでございますが、中小企業の軍票性を認めて、これに対する金融上の措置を講じたというふうな演説を、私ども新聞紙上を通じて拝見いたしまして非常に心強いのでございますが、これをアメリカ等に比べますと、今年の、五月五日トルーマン大統領が議会に教書を送りまして、中小企業の対策に必要な法案の立案を要請したというようなニュースを見まして、資本主義のアメリカにおいてさえ中小企業というものがかなり重要に考えられておる。それにかかわらず日本におきましてはいろいろ政府御当局の御苦心もお察しするのでございますが、大体その制度的に或いは又いろいろな仕組の上におきまして、中小企業が非常に不当な取扱いを受けておるというのが実情でございます。ので、非常に遺憾に思つておる点でございます。
 そこで税制の改正に関しまして、私どもかねて内閣、衆参両院、その他関係方面に建議、陳情といつたような形で要望いたしたのでございますが、所得税におきましては、今回基礎控除が三万円、扶養控除が一万五千円まで引上げられたのでございますけれども、私どもの気持といたしましてはこれはかなり虫のいいお願いかと存じますが、物価の状態、或いは生活保護法に基く最低生活費等を睨み合せまして、基礎控除におきましては六万円くらいまで認めて頂きたい。又扶養控除におきましても更に二万円、或いは二万五千円程度に引上げて頂きたい。こういうふうな気持を持つておるのでございます。
 更に税率の基礎でございますが、今回相当減額せられたのでございますけれども、大体中小企業の関係におきまして、最も数的に多数を占めますのは、大体年收二十一万円前後の者が一番多いのでございます。これを割合で示しますならば、大体五割五分が年收二十万円前後に当るのでございます。それからその二十万円に満たない、もう少し下の零細な業者というものは約三割ございます。二十万以上の高額所得者は全体の比率から見まして約一割五分というような数字が出ておるのでございます。さような点からいたしますならば、大体私どもは今回の改正を更に、まずこの二十万円から三十万円の範囲の者につきましては約三〇%三割、それから十五万円から二十万円の者につきましては二割五分、又十万円から十五万円の間の者につきましては二割、五万円から十万円までは一割五分、五万円以下は一割と、その程度に更に引下げをお願いしたいと、このように考えておるものでございます。
 それからもう一つ、私どもとしまして特に遺憾に堪えないと思つておりますと同時に、関係御当局にお願いいたしたいと思いますのは、この第二次のシャゥプ勧告におきまして、農漁民に対しましては特別控除として一割、最高一万五千円を限りまして一割の控除が認められるというふうに勧告文にあつたのでございますが、今回の税制改正には関係ございませんが、將来来年度におきまして農漁民の特別控除一割を実施せられる場合におきましては、零細商工業者も同様の意味におきまして同じような取扱をして頂きたい、こういうふうに私どもは感じておるわけでございます。
 それから物品税関係でございますが、これは今度の補正予算におきまして大体八億一千万円を減ずるという案になつておるようでございますが、これも私どもほかで伺いました資料によりますと、政府の原案は十四億七千万円となつていたようでございます。そうしますとそこで六億六千万円ばかりが何かの都合で削減せられておるというふうに承知するのでございます。大体この物品税は、創設せられました趣旨が戰時中の消費規正、贅沢品は勿論いけないのでございましようが、戰時中の戰時統制経済の必要上、物資その他についての消費規正ということから考えられて設定せられたように伺つておるのでございます。従いまして終戰後私ども文化國家として大いに立直つて参るというふうな際におきまして、そういう由来の物品税でございますから、これは贅沢品は除きまして、でき得るならば全廃して頂きたい。それが理想でございますが、若しできないといたしましても大体最高税率三割程度でとめて頂くと共に、品目につきましても相当程度圧縮して頂きたい。このように考えるものでございます。なお今日売掛代金の回收が非常に困難になつております。又金融情勢等から見ましても、この物品税の業者が負担しますところの額も少からん額に上つております。現在物品税につきましては庫出し後二カ月を認められておるのでございますが、それを更にもう一カ月延長して頂きまして三カ月程度の猶予を見て頂きたい。このような業界の要望でございます。
 それから法人と個人との税の不均衡でございますが、これにつきましては特に個人企業の多い中小業界におきまして非常に強い要望がございまして、現在法人におきましては従業員などは必要経費として認められておるのでございますが、個人の業者なぞにおきましては家族労務も必要経費として認められない、これは利益とみなされるというふうな工合でありまして、いろいろと不均衡を生じておるのでございます。又地方税の均等割におきましても例えて見ますと東京なぞにおきましては、法人が二千四百円、個人が八百円に所得割を加えたものということになつておりますが、三越や日本銀行のような大きな建物、大きな資本を擁しておるところの法人に対しましても二千四百円でございます。又小さな協同組合や企業組合或いは小さな法人も同じような率で二千四百円ということになつておるのでございますが、このような平等は極めて惡平等でございまして、これは速かにその資本金であるとか、或いはその建物の大きさとか、設備とかいろいろなことを考慮いたしまして適当に差等を付けて頂きたい、こういうように感ずるものでございます。
 それからもう一つは、これは今日申上げてもどうかと思うのでございますけれども、附加価値税が二カ年実施の延長になりましてその代りとして事業税が復活いたしたのでございます。大体その事業税の大部分は個人の業者の負担となつておるのでございますが、大体事業税が復活いたしまする際に、これは附加価値税の四百十九億という予算に見合いまして、事業税をその程度にとどめたものと理解するのでございますが、この附加価値税の個人と法人の比率というものは、大体法人が二百二十億、個人が百九十九億、法人より個人のほうが少いというふうな見込になつておつたのでございます。ところがこれを事業税に置替えられますとその比率は逆転いたしまして、法人におきましては八十四億八千万円、個人においては三百十七億というふうに附加価値税を実施せられますならば、個人におきましてはかなりの、その他の新らしい税目もございますけれども、法人と個人の比率がそんなに不合理にならずに済んだのでございますが。これを事業税ということになりまして、法人の附加価値税における見込額が百三十五、六億も減りまして、それが直ちに個へ業者にしわ寄せされるというふうなことになつておるわけでございますが、これらの点を考えましても、非常に資本力の弱い又経営の力の低い中小業者に対しまして、制度としての税の重圧がかなり強く響いておるということが私ども感ぜられるのでございます。
 それからもう一つ、私どもといたしまして特にこの機会におきましてお願いいたしたいと思いますことは、滯納税の問題でございます。御承知のように第二次シヤウプ勧告におきまして、滯納税の年度内整理ということが強く要求せられております。現在これは大体の数字でございますが、滯納税のうち最もその大部分を占めておりますのは申告所得税でございます。現在まで約千億の滯納があると言われておるのでございますが、そのうち本年度におきまして七百億、過年度分が三百億ということになつております。この数字は大体のところでございまして必ずしも確実なものでございませんので、ただ大体の目安でございます。この滯納分につきましては、もとよりこれは業界といたしましても当然納税の努力をいたすべきであると思うのでございますが、ただ過年度分の約三百億程度と見られますところの滯納分につきましては、これはいろいろな事情がございまして、まあその事情の一つといたしましては、一昨年から昨年にかけまして例のドツジ・ラインというふうな財政経済の進めかたから、非常に物価の値下りが起りまして、手持商品の値下り、或いは原材料の値下りなどで、これは全部が全部ではございませんけれども、この中の相当な部分につきましてはかなり損失をいたしておるのでございます。政府は価格差益金は相当取立てた模様でございますが、相場の下落によります差損につきましては全く顧みないというようなことでございまして、この過年度の滯納分もかなりあると思うのでございますが、これらにつきましてはできますならば一応棚上げにいたしまして、併し棚上げにすると申しましても切捨てるという意味ではございませんで、業界の力、中小業者のこの現在の金融難その他のいろいろな事情を勘案頂きまして、分割拂いというふうな便法が講ぜられますならば、非常に業界としては、この税から来ますところの圧力が助かるのでございます。税法におきまして減税になりましたところが、必ずしもそれは現実の減税にはならないというふうなことをよく言われるのでございますが、特に中小企業の立場におきましてはそういうことが非常に多いのでございますが、勿論税法におきまして担当程度の減税をして頂くということは、もとよりこれは願うことでございますけれども、それと共に税務の行政の面におきまして改善と申しますか中小企業に対する理解を深めて頂くということができますならば、一層中小企業の税問題の解決がやすくなるのではないかというふうに思うのでございます。
 大体中小企業の予定申告納税者が非常に多いということは先ほども申上げたのでございますが、税務署の見込課税というものと一番関係の深い業者の層でございますが、昭和二十三年度におきましては更正決定をせられました者の数が五百二十万件もございまして、そのうち審査の要求をいたしましたものが百八十万件というふうな多数に上つておるのでございます。二十四年度に入りましてはやや改善せられたのでございますが、それでもなお三百五十万件というふうな多数に上つておるのでございます。國税庁の数字に基きますと、大体二十五年度の予定申告の納税者が六百九十万人あるということでございますから、大体二十四年度におきまして更正決定を受けました業者はその半分三百五十万人でございますから、その約半分が更正決定を受けたというふうなことになつておるかと思います。又七月の申告におきまして國税庁の発表によりますと、その六百九十万人に概算せられますところの予定申告をすべき業者が、七月の申告で僅かに三百三十万人よりしておらない。従いまして千五百八十億という税額の見込額に対しまして、申告分は八百八十億よりほかなかつたということでございます。これは非常に私どもといたしましても遺憾に存ずるのでございますが、何しろ中小企業と申しますものは帳簿の整理の能力を持つておりません。大体におきまして生業という性格が非常に強いものでございますから、非常に帳簿の整理の能力に欠ける点があるのでございます。いろいろシャゥプ勧告におきまして青色申告等、非常に合理的な税の仕組ができたのでございますが、これに対しましても法人は約半分くらい申告しておるのでございますけれども、個人の業者で申告いたしました者は、今年の五月末日まで延期になりましたあの申告期間におきまして僅かに七%であつた。百人に対しまして七人程度よりしておらない。而も税務署で承認せられたものが四%であつたというふうなことを見ましても、如何に中小業者というものが、この帳簿整理を中心としますところの経営というものに縁が薄いかということがわかると思うのでございます。これにつきましては中小企業の簿記運動その他いろいろやつておるのでございますが、なかなか十分にその効果を挙げることができないのでございます。そこで私どもはこれは多少思いつきの嫌いはあるかと思うのでございますが、青色申告の制度が徹底しませんために、これに対して特に個人の業者に対しましては何らかの特典を與えてやる、できますならば天引控除というようなものを與えられるならば、相当に関心を持つんじやないかというふうに思うのでございます。
 それからもう一つ、税務行政の問題に関連しまして、中小企業界で問題になつておりますのは、税務会計と企業の会計とのやりかたの違いでございます。例えば売掛金につきましては現在は発生主義というふうなことになつておりますが、最近の売掛金の回收状況、或いは金詰りなどを見まして、これはどうしても現金主義にしてもらいたいというふうな要望が非常に強いのでございます。貸倒れ準備金につきましては、青色申告をした者については特典がございますが、これも非常に低額のものでございますので、どうしても売掛金の回收につきましては、現金主義ということにしてもらいたい。こういうふうな強い要望を持つておるのでございます。
 又納税預金の制度も近来銀行その他相当宣伝いたしておるのでございますが、これは全く何らの法的な根拠もなければ何もない。ただ自由にしてあるのでございまして、ただ多少普通預金よりも利息が高いという極度でございますが、ただ中小業者などの立場におきましては、この納税預金の制度を法制化して、納税預金の納税組合法といつたようなものを設けられまして、そうしてその率もできるだけ高い利率で優遇いたしますならば、相当の効果が挙がるのではなかろうかというふうに考えているのでございます。
 大体以上でございますが、最後に私どもお願いいたしたいと思いますことは、中小企業の問題は非常に複雑でございまして、單に中小企業の立場よりしての対策だけでは十分に効果を期待し得ないのでございます。従いまして政府におきましては中小企業庁といつたような役所もございますが、國会におかれましても中小企業のための常設の委員会といつたようなものを設けて頂きたい。これはアメリカには上院に中小企業対策の委員会があるそうでございますが、私どもといたしましても、是非ともそこまで國会におかれましても御配慮を願い、そうしていろいろと総合的に中小企業の対策なり或いはこの税問題その他につきまして御研究を願い、いろいろ御支援を頂きたい。かように思つておる次第でございます。
 簡單でございまするが、以上で終ります。
#117
○委員長(波多野鼎君) 御質問等ございませんか。
#118
○中川以良君 中小企業の今日切実なる問題につきましていろいろお話を承わつて、私たち全く同感でございまするが、特に最初にお話のあつた中小企業の金融問題は今日の大きな課題でございます。そこで一つ私お伺いいたしたいのは、見返資金から中小企業に特に出しまして最近殖やしておりまする、が、この見返資金から出ておりまするところの設備資金の利用がまだ十分に行なわれておらないように思います。これはやはり手続が非常に複雑でございまするのと、銀行業者といたしましても、あれを活用するに対する熱意がまだ非常に乏しいように私は思つております。殊に一件の金額なんかが今日三百万円でございますが、これが適切かどうか、又協同組合で以て借りる場合におきましてもその限度が一応適用されている。こういうところにもいろいろ矛盾があると思うのでありまするが、これらに対しまして、中小企業連盟といたしましては、いろいろな御意見があるだろうと思いますので、そういう点を一つ承わりたいと思います。
#119
○公述人(永井保君) 見返資金の利用状況が非常に惡いということでございますが、これは今のところ、この十一月から一ト月に約三億円というふうに拡張せられたのでございますが、その前は大体一四半期三億円でございまして、それば市中銀行との五分々々の協調融資ということになつておるのでございます。私ども調べましたところによりますとこの申込から融資までの間の手数が非常に大変でございまして、極く最近の例によりますと大体十週間から十何週間、七十日から百日くらいかからんと金が借りられないというふうな状態でございまして、
   〔委員長退席、理事羽生三七君委員長席に着く〕
これは初めにかなり業界方面から関心がございまして申込がありましたために、自然調査に日数をかけておるというふうに思われるのでございますが、この十一月から見返資金の枠が拡大せられまして月三億、市中銀行との協調融資としまして両方で六億ということでございますが、これも設備資金に限定されております関係上、中小企業界といたしましては、むしろ運転資金を望んでおるのでございまして、設備資金としての希望もございますけれども、今生での事例に徴しまして随分長くかかるしまた手数も大変だというので、私どもの感じでございますけれども、
   〔理事羽生三七君退席、委員長着席〕
 或いは申込が想像したほどないのじやないのだろうかというふうに思つておるのでございます。それで私どもも大蔵省その他関係方面に連絡いたしまして、中小企業界に折角の見返資金が十分に消化されないというふうなことでは申訳ないことでございますし、又業者自体としても不便でございますから、できるだけその趣旨を徹底させまして活用するように、私どもといたしましては、宣伝運動をやつておるわけでございます。
 なお協同組合も普通の法人も、業者も同額で三百万円に抑えられておるということは確かに不合理でございまして、協同組合におきましては少くともこれの倍額、或いはその三倍、四倍というふうにするのが妥当でないかと思うのでございますが、これも現在のところは協同組合も普通の法人も別段に差別をつけずに、同じような限度で貸すということになつておるようでございます。これらにつきましては機会のある限り私どもといたしまして、十分その不合理を関係方面に申しまして、是正を図りたいこのように考えておる次第でございます。
#120
○中川以良君 今の金融業者が半額、見返資金が半額、それでこれが設備資金に使えることになるのでありますが、いろいろ現在の実情を見てみますると、一応見返資金を借りるために金融業者からも半分を借りておるが、金融業者のほうは非常にやかましいので何とか先にそいつを返してしまう、そうして半額だけが実際利用されておるというような事情にありまして、これは見返資金の利用に対して、半分を金融業者から出すということが誠に不合理のように考えております。これは我我は少くも七割ぐらいは見返資金から出して、三割が金融機関から出したらいいじやないかという主張を持つておりまするが、そういうことになりますれば相当私はもつと活発に利用されるのではないかと思いますが、皆さんがたそれに対しての御考察はどうでございましようか。
#121
○公述人(永井保君) 最近中小企業庁におきまして、これは閣議の決定にはならなかつたと思いますけれども、見返資金の協調融資の仕組につきまして従来は五割五割でございましたが、それを七割三割と五割五割という二本建で行くというふうな構想があるように聞いておるのでございますが、七割と三割という場合におきましては市中銀行に対する優先的な返済をしない、五割五割の場合の返済分につきましては市中銀行を優先せしめるということになつておるようでございます。
#122
○中川以良君 そうなつた場合には相当利用価値が出て参りますでしようか。もつと活発に私は利用されるのじやないかと思いますが。
#123
○公述人(永井保君) これも業界が非常に熱心にこの資金の活用を図るということは最も必要なんでございますけれども、根本はやはり金融機関がこれに対して非常に熱意を持つて当るというのでなければ、折角の見返資金が十分に活用されないのじやないかと思うのでございますが、只今の、七割三割というふうな比率になつた場合にどうなるかというお尋ねでございますけれども、実は私もその点につきましては何とも申上げかねるのでございますが、問題は金融機関がいろいろな手許資金その他の関係上、七割三割になつた場合金融機関に対する返済は優先されないのでございますけれども、それでもなお有利と考えるというようなことになりますればそのように活用するでございましようし、そうでなければやはり同じりことになるのじやないか。問題は金融機関の理解と熱意ということにあるのじやないかというふうに考えております。
#124
○中川以良君 もう一つ私は伺いたいのは、折角中小企業庁ができたのでございまするけれども、中小企業庁は指導の面。調査の面等は非常に熱心にやつておられますが、何さまあそこでは物を持つていない、物はいずれも一応原局がこれを握つておる。又金融方面にしても、どうも中小企業への企業庁の施策というものが業界と遊離してしまつておるというようなことがあるのではないかと、我々は非常に懸念を持つておるのであります。中小企業庁、原局、業者、商工中央金庫等が、一体となつて、中小企業の将来の進展のために万全を盡しているかどうかという点に対しましては、いろいろやはり疑問もあり又改善すべき点があると思いますので、こういうような面に対しまする一つ率直なる御意見を簡單にお述べ頂きたい。
#125
○公述人(永井保君) 中小企業庁の活動ぶりにつきましていろいろ御意見を聞くのでありますけれども、私どもといたしましては、中小企業庁というふうなこの中小企業全体をまとめるところの政府の機関ができたということは、何といたしましても、非常なプラスでございまして、できますならばその中小企業庁の機構を更に拡充して、そうして今日非常に不足いたしておりますところの中小企業に対するいろいろな調査、統計その他の施設を速かに手に入れますことができますならば、これは中小企業にとつて非常に仕合せであると思つております。
 中小企業庁が不必要であるというような御意見も一部にございますけれども、私どもは必ずしもそのように考えておるのではございません。中小企業庁ができた当時に、これが現在その仕事の重点を中小企業の金融問題、それから協同組合によるところの組織化という点に主力を温いでおるようでございますが、大体と比べて本年の歳末に当りましての中小企業界のこの金融問題も、もとよりこれはなかなか大きな問題でございまして、現在なお深刻な段階にございますけれども、昨年に比べますと相当程度年を逐つて金融問題は漸進しておるというふうに私ども考えておるのでございます。これは商工中金の資金量を見てみましても、又見返資金或いは市中銀行の中小企業の專門店等の開設、その他のいろいろな発展を見ましても、相当程度中小企業庁の中小金融に対する活動が芽を出して来たのではないかというふうに私どもも思うのでございます。
 それからもう一つ、この中小企業が力を入れておりまする協同組合法によるところの組織化でございますが、これも一昨年中小企業等協同組合法ができましてから今日まで毎月々々協同組合の数が殖えて参りまして、大体十一月頃では全國で二方五千の事業協同組合、或いは信用組合が結成されておるのでございます。これらの組合が商工組合中央金庫というような金融のパイプに結びまして、相当程度に金融上利益を得ておるのでございますが、なお組合のできかたに比べまして商工中金の資金量が非常に少いということを私ども痛感いたしておるのでございまして、これらにつきましては中金法の改正その他によりましてこの目的を達したいと、かように思つておるのでございます、
 なお私御質問の点につきまして或いは聞き漏らし、思い違いでピントがはずれておつたかも知れませんがその点はお許しを願います。
#126
○野田卯一君 先ほどの七割三割というのは実行しているのですか。
#127
○公述人(永井保君) 七割三割はまだ実行しておらないようでございます。そういう構想があるということを申したのであります。
#128
○野田卯一君 構想だけですか。
#129
○公述人(永井保君) はい。大体閣議決定したのじやないかと思うのでございますが、その辺は私確実に覚えておりません。
#130
○委員長(波多野鼎君) それでは本日の公聴会はこれを以て終ります。
 明日は午前十時から開くことにいたしておりますので、大蔵大臣並びに地財委の委員長とも連絡いたしましたところ、大蔵大臣は衆議院の予算委員会があるので、向うでの質疑の模様を見合わせながらこちらに出席するということを申しておりました。
 それから地財委の委員長は、地方行政委員会が参議院の方で開いておつて同じ問題を取扱つておりますから、両方かけ持で出るだろうと思います。一応お含み置きの上どうか御出席をお願いいたします。
   午後四時三十一分散会
 出席者は左の通り。
  委員長      波多野 鼎君
  理事
           野田 卯一君
           羽生 三七君
           伊達源一郎君
           藤野 繁雄君
           櫻内 義雄君
           木村禧八郎君
           岩間 正男君
  委員
          池田宇右衞門君
           泉山 三六君
           大島 定吉君
           工藤 鐵男君
           中川 以良君
           長谷山行毅君
           一松 政二君
           深水 六郎君
           安井  謙君
           山本 米治君
           内村 清次君
           河崎 ナツ君
           佐多 忠隆君
           山田 節男君
           吉川末次郎君
           原  虎一君
           若木 勝藏君
           楠見 義男君
           高良 とみ君
           西郷吉之助君
           高橋龍太郎君
           菊田 七平君
           中井 光次君
           堀木 鎌三君
  公述人
   時事新報編集局
   長       内海 丁三君
   富士製鉄株式会
   社常務取締役  佐藤 正義君
   富士製鉄株式会
   社取締役    加藤 友治君
   全國建設業協会
   事務局長   古茂田甲午郎君
   京都府知事   蜷川 虎三君
   日本中小企業連
   盟常務理事   永井  保君
ソース: 国立国会図書館
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