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2000/09/25 第150回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第150回国会 本会議 第2号
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2000/09/25 第150回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第150回国会 本会議 第2号

#1
第150回国会 本会議 第2号
平成十二年九月二十五日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二号
  平成十二年九月二十五日
    午後一時開議
  一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 国務大臣の演説に対する質疑

    午後一時三分開議
#2
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(綿貫民輔君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 海部俊樹君から、九月二十六日から十月四日まで九日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#5
○議長(綿貫民輔君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。鳩山由紀夫君。
    〔鳩山由紀夫君登壇〕
#6
○鳩山由紀夫君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、私の所信を表明し、総理に対し質問します。
 質問に先立ち、私ども民主党の議員でありました山本譲司君に対する刑事事件について、この場をおかりして国民の皆さんに改めて深くおわびを申し上げます。民主党は、政治家とお金に関してみずからクリーンであることを志してきた政党として、本人に対し、即刻議員辞職と不正受給した国費の弁済を求めたところです。いずれにしても、国民へ多大な御迷惑をおかけしたことは間違いありません。二度とこうしたことが繰り返されることがないよう努めていく決意です。
 また、有珠山噴火、伊豆諸島の火山噴火と地震及び東海地方を中心とする集中豪雨などによりお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災地にて困難な生活を強いられておられる皆様に対しても、改めてお見舞い申し上げます。政府においても、被災地の生活再建や復旧活動に対して、タイミングを逸することなく、機動的に対処するよう強く要請します。
 さて、私は、最初に、全国の国民の皆さんと、本日お集まりのすべての国会議員の皆さんに対し、二十一世紀日本の新しい国の形を決する政治の方向について、私の所信を述べたいと考えます。(拍手)
 森総理の所信は、Eジャパンに始まり、日本新生など、前へ進めという号令はあっても、その先にある日本の国家像、社会像を国民に示していません。だから、スローガンが躍っても、全く胸に響くものがありませんでした。二十世紀末の混迷の時代、政治指導者に理念がなければ、この国は羅針盤を失って、荒海の中、漂流、難破するだけです。私は、ニューリベラルの旗を掲げることで、国民に一つの国家社会像を問いたいと考えます。
 私が主張するニューリベラルの基本は、自立と責任と共生です。それが友愛の政治であります。
 自立とは、自分たちがうまくいかないことの責任を他人や社会に転嫁することなく、みずから何ができるかを考え、行動することです。民主党が担う政府は、そうした自立し、チャレンジしようとする人を徹底的に支援します。これに対し、自民党の政府は、ばらまきや公的規制によって個人や企業をお上に依存、従属させる政府じゃありませんか。
 責任とは、社会や友人のために行動し、自己がなしたことの結果から逃げない姿勢のことです。民主党は、政治や行政の責任逃れを認めず、規律ある社会を確立します。不良債権問題や一連の警察不祥事などに見られるとおり、自民党政治は世の中にモラルハザードを蔓延させています。
 共生とは、私たち一人一人が社会や自然に支えられていることに目を向け、それに感謝し、ともに助け合うことです。現在の政府のもと、福祉も地方自治も、護送船団方式の産業政策も、官僚と口きき政治家への依存とおもねりをつくり出してしまいました。そこに共生の精神はみじんも見受けられません。
 民主党は、依存を排し、自立を支援します。責任回避を許さず、自己責任を明確にします。利己主義ではなく、共生の道を選択します。(拍手)
 このような観点から、以下、総理に具体的に質問します。
 まず、景気は緩やかながら改善していると胸を張る総理に、経済財政政策についてお尋ねします。
 最新の調査によると、景気がよくなったと実感しているかという問いには、八割以上の方がノーと答えています。また、実質成長率が二期連続プラスになったと言われる一方で、名目成長率は三期連続で前年同期比マイナスを続け、ことし四―六月期の名目GDPは前年同期比で五兆円も減っています。つまり、経済規模は縮小しているのであります。
 失業率や企業倒産も相変わらず高水準です。金融システムも、金融機関全体の分類債権はむしろ増加していることを総理は御存じでしょうか。残念ながら、我が国経済はいまだ厳しい状況から脱したとは言いがたいのです。それどころか、原油価格の高騰や株価下落、金利上昇に対する懸念などから、景気の先行きはまるでラグビーボールのように、どこへ行くのかわからない状況にあると考えるべきです。
 私は、我が国経済を再生する唯一の道は構造改革以外にないと考えています。ばらまき財政出動によってたとえ一時的に数字が上向いたとしても、その効果はカンフル注射が効いている間だけしか持続しません。規制改革や財政構造改革という手術を行って民間部門を真の意味で自立させない限り、我が国の経済も財政も行き詰まることは火を見るより明らかでありませんか。
 そのためには、むだな公共事業のカットを初めとする大胆な歳出の削減、規制改革の断行、そして、地域のことは地域に住む人たちが決めるという当たり前の地方分権の実現を急がなくてはなりません。しかし、総理はそのような困難な仕事から逃げ、財政規律などどこ吹く風と無節操に借金を重ねているだけではありませんか。経済が回復すれば財政も再建できるなどという絵そらごとを希望的に語っているだけでは、国民は二十一世紀に明るい展望を持つことなどできるわけがありません。
 経済成長で得たパイを利益団体に還元し、選挙の集票マシンとして期待する自民党の利権政治は、自立とは相入れず、依存の経済をつくり出してしまったのではないか。その結果として残されたのが巨額の財政赤字であり、それはまた現在の世代と未来の世代との共生を困難にしています。
 目先のことのみにとらわれず、将来を見据えて、今、財政規律を確立し、財政健全化への道を踏み出すことが政治に求められています。このようなときに、政府は相変わらず大型補正予算を組もうとしています。財政赤字をふやし、弱い経済を温存する上、日本経済の国際的な信用を失墜させるだけではありませんか。私はこのような補正予算は必要ないと考えますが、総理の見解を伺いたい。(拍手)
 総選挙が終わると、自民党は突如、公共事業の見直しを言い始めました。公共事業ばらまきを公約に掲げた自民党が、特に都市部において民主党に惨敗したことがその理由だと言われています。全く動機が不純であります。しかも、公共事業の見直しとは名ばかりで、肝心の量的な削減の議論は全くなく、要は事業量の確保を前提に若干の配分の見直しにとどまっています。ちまたでは、島根よさようなら、広島よこんにちはと言われているのを総理は御存じですか。民主党がかねてより主張しているように、公共事業の三割カットなど量的削減にも着手する意思はないのか、総理にお尋ねします。
 私は、これからの公共事業は、五十年、百年の単位で未来の日本、未来の地球の姿を想像し、今何をなすべきなのかを考えて、そのあり方を構想していくべきだと思います。ローマ・クラブの創設者、故アウレリオ・ペッチェイ氏は、自然が一センチメートルの表土をつくり出すのに百年から四百年もの歳月が必要だと語っています。子々孫々にこの緑豊かな地球を贈り届けるためにも、私たちは、歴史の単位で物を考え、前進する知的な政治を実現していく必要があります。
 欧米では、ダム建設が見直され、千の単位に及ぶダムが撤去されているという現実があります。私たちは、自然と人間との共生、自然をよみがえらせる親自然型の公共事業への質的転換にも大胆でなければなりません。
 次に、あっせん利得収賄処罰法について伺います。
 そもそも、あっせん利得を処罰するための法律案は、我々民主党が率先し、現在与党の一角を占めている公明党とも共同して再三提出してきたものです。しかし、自民党は一貫して、日常の政治活動に支障が出るとして猛反対をし、法案の審議にすら応じず、たなざらしにしてきたのです。その自民党が、世論に押されて渋々ながらも、慌ててあっせん利得収賄罪の与党案をまとめています。しかし、案の定、その内容は抜け道だらけのものになっています。
 例えば、国会議員が地元業者から役所への口ききを依頼され、その見返りとして金銭を受け取ったとします。その際、与党案では、請託を受けたことが要件とされているため、口ききの依頼が例えば料亭などの密室で行われていれば、その立証は極めて困難です。そればかりか、予算や税制改正などの口きき行為については、現実に地元業者が利益を得、その見返りとして金銭を受け取ったとしても、与党案では処罰の対象とはならないのではないですか。
 しかも、国会議員としての地位を利用して役所に圧力をかけたとしても、権限に基づく影響力の行使に当たらなければ、処罰対象にはならないのです。それが政策決定に重大な影響力を有する与党幹部であっても同様です。このように、自民党幹部が公言してはばからないように、そんなに簡単にはひっかからないのであります。
 また、巨額の政治資金を集める、派閥の幹部など大物政治家の金庫番が私設秘書である事例が多いにもかかわらず、私設秘書が対象外とされている点も見過ごせません。
 与党案は見せかけの改革にすぎず、抜け道だらけになっているのです。これをもって政治倫理を高めて、国民の信頼を回復することなどは到底できません。事実、自民党内では、いかに日常の政治活動に支障が出ないか、いかにしり抜けの法律であるかを繰り返し繰り返し説明することで了解を得たと仄聞しています。自民党の活動に支障が出ない法律では、その実効性はほとんど期待できません。これでは森総理ではなく、ざる総理と言われたとしても仕方がないではありませんか。(拍手)
 民主党は、他の野党三会派と協力し、これらの抜け道をふさいだ、より実効性のある法律案を用意しています。総理には、与党案の不備を率直に認め、我々の提案を十分に取り入れて、実りある法律にする気概が求められていると考えるのですが、自民党総裁としての決意をお尋ねします。
 さきの所信表明演説で、総理は二十二回にわたってIT、ITと繰り返しているのを私は聞いておりました。しかし、国民の皆さんのうち、一体どれだけの人がEジャパン構想なるものに日本の将来像を具体的にイメージできたのでしょうか。少なくとも私にはさっぱりイメージできませんでした。
 総理はまた、五年もかけて日本を情報通信の最先端国家にすると言いましたが、日本は、情報通信分野で欧米にははるか先を行かれ、アジア各国にも大きくおくれをとっており、今や情報通信分野における後進国に成り下がりました。一年の変化が七年分にも相当するドッグイヤーの時代です。日本におけるIT革命の命運は、まさにこの一年で政府が何をするかにかかっています。まさに改革と基盤整備のスピードが必要だというのに、森総理は、官僚のプランそのままに、のんきな五年計画を述べているではありませんか。これでは、世界に打って出ることもかないません。
 私は、政府主導で進めよと言っているのではありません。基本は民間主導であるべきです。このようなときに、IT講習券という名のばらまきを初め、中央主導で国民運動を起こすという発想は、実に貧困きわまりないものであります。
 私は、現在よりもはるかに安い料金、はるかに速いネットワークサービスを提供できるようにすることが喫緊の課題だと考えています。そのために、例えば、ラストワンマイルと呼ばれている加入者に最も近い部分の回線で、新規参入業者との競争が促進されるよう法的枠組みを整備するなど、やれることは幾らでもあるのです。
 そこで、伺いたい。日本を情報通信の先進国に押し上げるために、今から一年で、総理は具体的にいかなる政策を行うお考えなのか、また、その政策を行うことで、二十一世紀の日本を具体的にどのような姿にしようと総理はお考えなのか、あわせてお尋ねいたします。
 次に、教育改革についてお尋ねします。
 少年犯罪、いじめ、不登校、学級崩壊、日本の教育現場を語るのにこうした言葉を並べなければならない現実を、私はとても悲しく、寂しく思います。二十一世紀の日本を支える人材をしっかりと育てなければならない教育現場が今危機に瀕しています。国民が教育問題に寄せる関心も非常に高まっています。しかし、総理の言う教育改革には極めて危ういものを感じるのです。
 日本の教育改革に必要なのは、教育勅語に哀愁を感じているような古い精神論ではありません。社会のトップを預かる政治家や経営者に蔓延するモラルハザードには目をつぶり、子供に身勝手な道徳観を押しつけるよりも、具体的な学校改革にこそ着手すべきです。
 私は、一見地道な取り組みこそが教育改革においては重要だということをここに強く申し上げたい。親や教師、地域の人々の意見が学校運営に生かされる仕組みを整え、地域に教育力を取り戻すことが今最も重要です。地域の自己責任で教育力を培い、子供たちに自立の精神をはぐくみ、社会に対しての強い責任意識を育てる教育が今必要なのです。そして、他人や自然との共生の感覚を養っていく、そんな教育の姿を確立する学校改革を進めていかなければなりません。
 アメリカやイギリスにおけるチャータースクール、コミュニティースクールの実験はその先駆的な試みです。親や子供、地域の人々が中心となって学校を運営していく、そんな地域主導の教育改革、教育の地方分権こそ今求められているのではありませんか。(拍手)
 これまでの文部省中心の中央集権的な教育行政を改め、教育の地方分権化を大胆に推し進めなくてはなりません。政府にはそうした決意が欠けていると思いますが、改めて総理の考えを伺います。
 次に、外交、安全保障について質問します。
 日米関係が我が国外交の基軸であるという認識は、私たちも総理の所信と同じです。しかし、従来の対米交渉にうかがえるのは、日本が自己主張を控え、米国の機嫌を損ねないようにする態度であって、政府・自民党の余りに卑屈な従属姿勢です。
 これに対し、民主党が切り開く日米関係は、自立した同盟関係です。安全保障についても、日本みずから地域の平和創造のために積極的な役割を果たしていきます。同時に、在日米軍基地の整理、縮小、再配置、日米地位協定の改定といった平成の条約改正を目指します。
 そこで、総理に質問します。
 先ごろ日米政府が合意した在日米軍駐留経費について、日本側の削減要求の論拠は何だったのですか。もともと、日米間には、米国は軍事、日本は財政という役割分担がありましたが、新ガイドラインの締結によって日米間の役割分担は変化したはずです。それを背景に交渉すれば、たかだか三十億円程度と言われる今回の削減幅にとどまるはずはなかったと私は考えるのですが、このたびの特別協定改定について、総理の考えを改めて伺います。
 昨年、東ティモールでは、独立をめぐって騒乱が起き、人権侵害とインドネシアの不安定化という見過ごすことのできない事態が起きました。にもかかわらず、我が国の法律や憲法のもとでは東ティモールのPKOに自衛隊を派遣することはできませんでした。
 こうした事態を放置しておいて、森総理が、幅広く戦略的外交を積極的に展開し世界から信頼される国家を実現すると息巻いたところで、世界じゅうでだれが聞く耳を持つでしょうか。東ティモールやシエラレオネで行われているような平和執行の性格を持ったPKOにも日本は責任を果たすべきか否か、総理の明快な見解を求めます。
 私は、偏狭なナショナリズムを好むものではありません。日本は、近隣アジア諸国や国際社会との共生を果たしていくべきだと考えています。そのためにも、過去の歴史問題を含め、真の信頼醸成に努力することが必要です。総理のように、外遊してお土産に経済援助をばらまくという外交を幾ら続けても、日本と世界との共生は決して生まれないのであります。
 ヨーロッパでは、EU独自の軍事力を構築しようとする努力が始まっており、アジアでも、ASEAN地域フォーラムを中心に、共通の安全保障環境を整備しようと挑戦しています。朝鮮半島では、南北両国が平和の構築にチャレンジしようとしています。日本だけが、あれはできない、これは困ると身勝手な都合を振りかざそうとしても、二十一世紀の国際社会はそれを許してくれません。
 憲法があるから日本にはここまでしかできないという、初めに憲法ありきの考え方にとどまる限り、この時代の変化に適応することはできません。日本が地域や世界の安定のために果たすべき安全保障上の役割は何かを真剣に問いかけるときだと思います。憲法が押しつけかどうかという後ろ向きの議論に終始するよりも、こうした本質的な問いに答えを出すことこそ、我々の進めるべき憲法論議の道ではないかと思います。総理の所見をお尋ねします。(拍手)
 森総理、これまで述べてきた問題は、すべて政治のリーダーシップにかかわるものばかりです。総理自身、政治には一日の休止なしと言っておられるのですから、これらの課題について、あれこれと理由をつけて逃げ回るのではなく、総理みずから予算委員会や党首討論に出席をして、さらに大いなる論議を深めようではありませんか。それこそが国民に対する説明責任を果たすことにもつながるはずです。せめて党首討論の週一回の実施は約束していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 最後は、参議院選挙制度改革問題です。
 現在、参議院議長のもとに設置された参議院選挙制度改革に関する協議会において、良識の府たる参議院のあり方を含めた抜本的な改革の議論を積み上げてきている最中です。にもかかわらず、自公保与党三党は、その議論の積み上げを全くないがしろにし、自分たちが過半数を維持するためだけに、なりふり構わず選挙制度をもてあそぼうとしているのです。これでは党利党略丸出しじゃありませんか。
 しかも、来年の参議院選挙に間に合わそうと、既に残り一年を切っているこの時期に無理やり制度改革を強行しようとしており、余りに拙速にすぎると言わざるを得ません。
 そもそも今回の改革は、久世前金融再生委員長への利益提供問題に絡む自民党費肩がわり問題に端を発したものです。自民党が参議院比例区の候補者に党員名簿の提出を求め、候補者が業界団体等に名簿の提出と党費の肩がわりをさせてきた、こうした構造が、口きき、手心、えこひいきの利益誘導政治の温床になっているのです。これでは、金で議席を売り買いしていると言われたとしても仕方がないではありませんか。
 自民党は、党費肩がわり問題をあいまいにし、まるで久世問題は選挙制度のせいだとでも言わんばかりに、選挙制度改革に問題をすりかえたのです。それが真相じゃないんですか。
 現在の制度は、残酷区、銭酷区とも言われたかつての参議院全国区を比例代表制に改め、金のかかる選挙の一掃を目指したものです。ところが、与党三党が打ち出している改正案は、それを逆行させ、再び天文学的な金のかかる選挙を復活させるものになっています。与党案は、たぐいまれな天下の悪法にほかなりません。民主党は、与党三党がもくろんでいる非拘束名簿方式の導入には断固として反対します。(拍手)
 そこで、森総理に伺いたい。なぜこのような時期になって急遽、選挙制度を無理やり変えようとされているのか。選挙制度の問題は、与野党が十分な議論を重ねて、双方の納得ずくで進めるべきものであると考えますが、総理のお考えを聞かせてください。
 戦後の日本は、アメリカと官僚の強い影響力のもとで依存の文化をつくり上げてきました。護送船団方式の経済政策は、政治と行政と業界のもたれ合いをもたらし、無責任な社会を生み出してきました。福祉は、上からのお恵みと下からの依存で成り立ってきました。地方自治は、補助金への依存と中央へのおもねりとをつくり出してしまいました。外交もまた、世界のために何ができるかを考えることもなく、ひたすらアメリカに依存し、世界の国々からの信頼を失うものと成り下がっています。それらは、共生とは似て非なるものであります。
 私は、冒頭において、時代が求めるニューリベラルの思想は自立と責任と共生であることをお話ししました。そして、日本の政治は今大きな岐路に立たされています。
 民主党は、日本の政治の中に初めて生まれたニューリベラルの立場に立った本格的な政党であります。これ以上、依存、無責任、利己主義の政治を続けるわけにはまいりません。民主党は、日本社会の中に自立の文化を生み、責任と共生とが織りなす二十一世紀日本の新しい国づくりにチャレンジしてまいります。(拍手)
 私はこの国が好きです。日本人としての誇りを持っています。国民の皆さん、シドニー・オリンピックが行われている今このときに、日本を世界に誇ることのできる国につくり上げていく仕事を私たちと一緒に始めようではありませんか。私自身、その先頭に立つ覚悟をここに強くお誓いをし、私の所信と質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(森喜朗君) 答弁に先立ちまして、神津島の地震及び東海地方の大雨により亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに、有珠山や伊豆諸島におきます噴火、地震また秋雨前線豪雨等により不安で不自由な生活を余儀なくされている方々に心からお見舞いを申し上げます。
 冒頭、鳩山議員から、有珠山、三宅島の火山活動や周辺の地震活動、東海地方を中心とする集中豪雨への対応につき御要請をいただきましたが、政府としては、先般決定した予備費の使用のほか、補正予算での対応を含め、監視活動を強化し、避難されている方々の生活支援や復旧復興対策に万全を期してまいります。
 質問に先立ち、鳩山議員は、現在の日本は、国民が政府に従属し、福祉も地方自治も国に依存し、モラルハザードが蔓延しているという指摘がございました。しかし、私は、現実に生活されている国民の方々、福祉に携わっている方々、地方の方々は、激しい環境の変化の中で精いっぱい努力されているものと思います。(拍手)
 私は、所信表明演説で申し上げましたとおり、国民が自立し、活力を持って、自由濶達に活動でき、お互いに助け合っていくことができる社会を築いていけるように、経済構造改革、社会保障改革、あるいは教育改革などの経済社会全体の構造改革が必要であると考えておりますが、その際、こうした国民の方々の声に十分耳を傾けながら取り組んでいきたいと考えております。
 財政運営と補正予算についてのお尋ねでございました。
 政府・与党の迅速にして大胆な経済政策によって、我が国経済は緩やかながら改善をいたしております。しかしながら、雇用情勢はいまだ厳しく、消費は一進一退の状況にあり、企業の倒産件数も高水準になっております。いわば我が国経済は、七合目から八合目には達しておりますが、まさに正念場であって、もう一押しが必要な状況にあると考えており、こうした観点から補正予算を編成することといたしております。
 その際、我が国の経済を新時代にふさわしい構造に改革し、二十一世紀における新たなる発展を確実にすることが現下の最大の課題であることから、IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備の重要四分野を軸とした日本新生プランの具体化策等を中心に盛り込むことといたしております。これらの施策により、我が国経済の再構築を進めるとともに、民需中心の自律的回復に向けた動きをより確かなものとしてまいりたいと考えております。
 財政構造改革については、我が国の財政は厳しい状況にあり、必ずなし遂げなければならない課題でありますが、まずは、経済を自律的な回復軌道に乗せるため、景気回復に軸足を置いた経済財政運営を行っていくことといたしております。経済が自律的回復軌道に乗る前に性急に財政再建を優先させれば、景気回復を危うくさせることにもなりかねません。
 同時に、財政が将来も持続可能な仕組みをつくり上げるための準備を今から始めるという観点から、財政の透明性の確保を図り、効率化と質的改善を進めながら、我が国の景気回復をより確かなものとし、その上で、税制のあり方、社会保障のあり方、さらには中央と地方との関係まで幅広く取り組んでまいりたいと考えております。
 公共事業予算の量的削減についてのお尋ねがありました。
 公共事業については、現時点ではいまだ万全とは言えないが、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せる必要があることから、当面は所要の額の確保が不可欠であること、また、依然として立ちおくれている社会資本の整備水準を引き上げるとともに、二十一世紀の新たな発展基盤の構築に向けての諸課題に積極的に対応していかなければならないこと、これらから、国民生活にとって真に必要な社会資本の計画的かつ着実な整備に努めてまいりたいと考えております。
 ただ、その際、計画・既着工事業の抜本的見直し、政策課題に対応した予算の重点化、事業評価の厳格な適用、コスト縮減等による効率性、透明性の向上を行い、真に国民のためになるような公共事業を実施していく必要があると考えております。
 あっせん利得罪処罰法案について御質問をいただきました。
 政治倫理の一層の確立のためには、まず何よりも政治家一人一人の自覚が大切であると考えますが、政治資金にまつわる事件が発生していることはまことに遺憾であります。こうした中、与党三党間において、法制化に向け、大変熱心な御議論をいただき、与党案としてまとめていただきました。
 私は、法制化に当たっては、解釈次第で適用範囲が変わることのないよう犯罪の構成要件を明確にする必要があるほか、国民の要望を幅広く行政に反映させる政治の機能との関係に配慮する必要があるということを、繰り返し申し上げてきたところであります。
 今回提出された与党案は、こうした論点を十分に踏まえられ、構成要件、処罰対象等を定められたものと考えておりますが、政治に対する国民の信頼を高めるためにも、十分に御議論の上、ぜひとも今国会中に成立させられることを期待いたしております。
 いずれにせよ、政府といたしましては、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 IT革命についての政策に関するお尋ねですが、迅速な対応を図るため、今国会にIT基本法案等の法律案を提出するほか、次期通常国会に向けて、情報化社会の基本ルールの整備を行うべく、IT革命を本格的に推進するために必要な法律案の策定作業を急ぎます。
 また、超高速インターネットの整備、電子政府の早期実現、学校教育の情報化など多岐にわたる課題についても、IT戦略会議における議論を踏まえつつ、目標年次を明確に定めて、果敢に取り組んでまいります。これにより、すべての国民がデジタル情報を基盤とした情報知識を共有し、自由に情報を交換することができる日本型IT社会を実現してまいります。
 教育の地方分権についてのお尋ねですが、教育改革の実現のためには、国、都道府県、市町村がそれぞれの責任と役割を果たすとともに、地域社会との連携のもと、学校が子供や地域の実情に応じた教育活動を展開できることが重要であります。このため、地方分権一括法により、地域に根差した教育行政を主体的かつ積極的に展開することといたしております。また、保護者や地域住民の意向を学校運営に反映するため、本年四月から導入されました学校評議員制度の活用等により、地域に開かれた学校づくりを推進してまいる考えであります。
 在日米軍駐留経費負担についてのお尋ねでありますが、政府としては、在日米軍駐留経費負担が日米安保体制の円滑かつ効果的な運用にとり重要な役割を果たしていること及び同経費負担の節約合理化が必要であることを十分念頭に置き、米側と協議しつつ、節約合理化のあり方等、鋭意検討を行った結果、新たな特別協定に署名したものであり、その内容は適切なものになっていると考えております。
 PKOへの参加についての御質問がありました。
 我が国としては、国連を中心とした国際社会の平和と安全を求める努力に対し、資金面だけでなく、人的な面でも協力を行うことが我が国の国際的地位と責任にふさわしい協力のあり方であると考えております。東ティモールやシエラレオネの活動は、国家間の停戦活動を行うような伝統的なPKOではありませんが、ガリ前国連事務総長の「平和への課題」で言及されたような平和執行活動とは言えません。
 いずれにせよ、個々のPKOへの参加の是非については、国連からの具体的な要請等を踏まえ、総合的に判断すべきだと考えております。
 我が国の安全保障上の役割を踏まえた憲法論議についてのお尋ねでございました。
 憲法に関する問題については、幅広くかつ総合的に調査を行うため、第百四十七国会から衆参両議院に憲法調査会が設置され、将来の我が国の基本的なあり方を見据えて、幅広く熱心な御議論が行われているところであり、これを十分に見守ってまいりたいと考えております。
 国会における議論のあり方についての御質問がありました。
 私は、多数決の原則とともに、よりよい結論を導き出すために議員同士が討論を重ねることは議会政治の真髄と言えるものであると考えております。積極的に議論を闘わせることは、最終的には多数決で決するにせよ、国民の前に争点を明らかにし、国民の政治への関心を高めるために重要なことであると考えております。
 お尋ねの党首討論のあり方などの国会の運営に関する問題につきましては、国会において御議論をいただきたいと考えます。
 参議院選挙制度改革に関するお尋ねがありました。
 参議院選挙制度については、昭和五十七年に現行の拘束名簿式比例代表選挙が導入された後も、制度改革についてさまざまな議論が行われております。選挙制度というものはどんなものでも一長一短があり、現行の拘束名簿方式には、政党主体の選挙を目指すものでありますが、一方で、有権者がどの候補者を当選させたいのかという意思表示ができず、候補者の顔が見えずに選挙に対する関心が高まりにくいという問題点が指摘をされております。
 参議院選挙制度改革につきましては、国民が政治に関心を持ち、また政治が国民から信頼されるような選挙制度を目指し、各党各会派の間で精力的に議論をしていただきたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(綿貫民輔君) 谷津義男君。
    〔谷津義男君登壇〕
#9
○谷津義男君 私は、自由民主党を代表して、森総理大臣の所信表明演説に対し、総理及び関係閣僚に対しまして質問を行います。
 まず質問に入ります前に、有珠山、三宅島初め伊豆諸島周辺における地震、火山災害、さらに東海地方を中心に起きた大水害に被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、お亡くなりになりました方とその御遺族に対し、心より哀悼の意を表します。
 政府におかれては、監視活動を強化するとともに、避難されている方々の生活支援や復旧復興対策に万全を期していただけまするよう、まずもってお願い申し上げます。
 さて、今百五十回臨時国会は、二十世紀最後の国会となると思います。今世紀に入って、既に七十七回の帝国議会と百四十九回の国会が開かれました。日本のかじ取りを行う国会で示された国の方針、成立した法律は、一時不幸な時代もありましたが、今日の日本の繁栄の基礎を築いてまいりました。
 では、二十一世紀の日本の姿はどうあるべきでありましょうか。もう既に日本を取り巻く環境が大きな変化をしていることは御承知のとおりであります。
 具体的には、高齢化、少子化の一層の進展、CO2の排出等による地球の温暖化やごみ、産業廃棄物など環境問題の重要性の高まり、金融分野を中心とした経済のグローバル化、IT革命に見られるような情報分野の急激な進歩などが挙げられます。
 政府は、こうした環境の変化に対応すべく、二十一世紀の国づくりに向けてさまざまなビジョンや政策を打ち出し、経済団体や国民からも提言がなされ、一部の改革は既に実行段階にあります。しかし、国民にとって、生活が今後どのように変わるのかについては見通しが不透明なままであり、このことが国民の将来に対する不安を高めているのではないかと思うのであります。
 今国民が求めているものは、不安のない生活、国民一人一人が平和と真の豊かさを実感でき、みずからの将来にしっかりとした目標や希望を持ち、誇りと自信を持てるような夢のある社会の実現です。それは、個人個人の豊かさへの追求が国全体としての安定した経済成長につながり、その結果が個人の生活環境の向上に結びつくという、これまでと同様の成長過程が今後とも続くということであります。
 その一方で、工業を興し富をなすことに価値を置く人、他方では、生活に必要な資金を稼ぐものの、より多くの時間や労力を自分のやりたい趣味やボランティア活動に注ぐことに生きがいを見出し、生き生きと生活する人など、人の持つ価値の多様化が一層進展した社会が実現するということであります。
 そうした社会を実現することこそ、我々国会議員が果たさなければならない責務ではないでしょうか。
 現在、シドニー・オリンピックが開かれております。連日、日本の若い力が遺憾なく発揮されているニュースを目にし、耳にします。まことに喜ばしいことであります。
 そこで私は、二十一世紀の日本が目指し、実現すべき姿を五輪の色になぞらえてみたいと思います。
 黒は、蒸気機関車のごとく力みなぎる経済。緑は、自然あふれる環境と心豊かな社会。黄色は、太陽のもと、将来を担う子供たちが生き生きと心豊かに学べる教育。紫は、色の持つイメージのように、国際社会からとうとばれる外交。赤は、温かい血の通った政治です。
 こうした姿を実現するために、二十一世紀を目前にした今こそが我々にとってまさに真剣勝負のときではないでしょうか。
 今ここにいる我々国会議員は、二十一世紀日本のスタート台に立ち、多くの国民から大いに注目、そして期待されているところであり、責任感と使命感を持って事に当たらねばならないと思うのであります。
 総理におかれては、オリンピックの入場行進の旗手のように、我々の先頭に立っていただき、二十一世紀日本の改革の旗を高らかに掲げられ、我々とともども、来るべき世紀への明るい展望を開くため邁進されますことを確信し、以下、幾つかの重要課題についてお尋ねいたします。
 まず、景気対策について質問いたします。
 我が国経済は、政府・連立与党挙げての各般の政策努力の結果もあって、緩やかな改善を続けており、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが徐々に強まってきておりますが、いまだ手放しで景気回復を喜べる状況にはありません。経済の主役である民間の経済活動は、前向きの動きは出てきているものの、本格的な回復軌道に乗った状況とは言えず、民需主導の自律的な景気回復が図られるか否か、今まさに正念場を迎えております。
 公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくため、今後の経済運営に総理がどのように臨まれるのか、まずお伺いいたします。
 ところで、現在我々が抱えている最大の政治課題は、何といっても景気対策であることは言うまでもありません。今年度じゅうに自律的な景気回復まで持っていくためにも、また、政府経済見通しで目標としている一%成長を確実なものにし、さらなる成長を実現するためにも、新たな経済対策が必要ですし、その核となる補正予算による下支えが必要であると考えます。
 今般、政府が国費で三兆円台後半、総事業規模で十兆円を超える平成十二年度補正予算の編成を決断したことは、まことに時宜にかなった財政政策であると高く評価したいと思うのであります。(拍手)
 そこで、十月中旬ごろに策定されると聞いております新経済対策はどのような分野が中心になるのか、また、十一月十日ごろには編成を終えたいとしている補正予算はどのような分野に重点的に配分するのか、新経済対策及び補正予算に対する総理の基本的な姿勢、考え方、さらに、業況の回復がおくれ、投資もいまだ低い水準にとどまっている中小零細企業対策についてお聞かせください。
 雇用失業情勢については、依然として厳しい状況が続いているものの、改善の動きが広がりつつあります。これは、これまで政府、連立与党が一体となって全力で取り組んできた経済対策、雇用対策の成果があらわれてきているものと考えます。
 しかし、これからの雇用情勢を展望しますと、雇用の維持に向けた対策とあわせ、良好な雇用機会の創出、確保を図るとともに、経済産業構造の変化に対応し、労働者の円滑な労働移動に対する支援を効果的に講じていくことなど、重要性が今後一層増すのではないかと考えられます。
 そこで、総理に、このような構造転換の時期における今後の雇用対策についてのお考えについてお伺いをいたしたいと思います。
 次に、財政問題について伺います。
 我が国の財政が大変厳しい状況にあることは、改めて申し上げるまでもありません。一方で、経済を本格的な回復軌道に乗せることが現下の最優先課題であることは言うまでもなく、二兎を追う者は一兎をも得ずといった事態に陥ることは厳に避けなければなりません。目先の経済指標が若干の改善を見たからといって、単に数字合わせの財政再建を唱えるということは、余りにも日和見主義であり、経済の実相に対する洞察を欠いた無責任な議論であると言わざるを得ません。(拍手)
 経済運営は、景気動向、経済動向を十分に見きわめつつ、適時適切な財政運営、機動的、弾力的な財政政策に努めることが重要であります。
 また、財政問題は、単に収支均衡を図ればよい、公債の発行が抑制されればよいという数字合わせの議論にとどめるべきではありません。画一的、機械的な歳出抑制を掲げるだけでは、財政の機能不全への不安感を増大させこそすれ、我が国財政への内外の信認を回復することは不可能であります。我が国の将来のあるべき姿を見据え、新たな発展を支え、新たな安心を国民に提供していくために真に必要な施策は何か、しっかりと見きわめた上で、こうした施策に必要十分な予算配分が行われるような仕組みを構築していくことこそが重要な問題であります。単なる財政再建ではなく、二十一世紀における我が国経済社会を支える財政システムの構築、すなわち字義どおりの財政構造改革でなければならないと考えているのであります。
 このような点を含め、総理の財政構造改革に対する基本的な取り組み姿勢をお伺いいたしたいと思います。
 次に、外交の諸問題についてお尋ねいたします。
 まず、日ロ関係についてですが、去る九月四日、五日にかけて行われたプーチン大統領との日ロ首脳会談では、平和条約交渉を初めとして、日ロ関係全般について話し合われたことと思いますが、東京宣言に基づき二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすとのクラスノヤルスク合意の実現はどうなっていたのか、また、経済分野での橋本・エリツィン・プランの進展はどのようになったのか、その会談の成果についてお伺いしたいと思います。また、今回の首脳会談を踏まえて、今後の日ロ関係にどのように取り組まれるお考えか、お聞かせください。
 次に、日米関係について伺います。
 両国の関係は、我が国外交の基軸であるのみならず、アジア太平洋における安定と繁栄にとって不可欠な基盤であり、首脳及び閣僚レベルの会談も数多く開催され、九月十一日もニューヨークで、日米外相会談、日米安全保障協議委員会、2プラス2が開催されるなど、その関係はますます緊密化しております。こうした状況を踏まえ、日米関係の今後の展望、さらに、普天間飛行場の移設、返還問題を初めとする沖縄の米軍基地問題への対応についての総理のお考えをお伺いします。
 次は、朝鮮半島情勢についてですが、歴史的な南北首脳会談の開催や、史上初の日朝・南北・米朝外相会談の開催に加え、先月には東京で日朝国交正常化交渉が開催され、さらに、シドニー・オリンピックの開会式では、韓国、北朝鮮の選手団がオリンピック史上初めて統一旗を先頭に同じ装いで一緒に入場行進する等、北朝鮮情勢が大きく進展いたしております。こうした情勢の変化を受けて、総理は今後日朝関係をどのように進めていくお考えか。また、九月二十二日に金大中大統領が訪日され、二十三、二十四日の両日、総理との間で日韓首脳会談が行われましたが、この会談を踏まえて、総理の今後の日韓関係に向けた抱負をお伺いいたします。
 日中関係については、最近、我が国周辺の海域で、中国側の船艦の遊よく、調査船のEEZへの進入等、波風の立つ動きも見られます。河野外相も、訪中した際、中国側の対応を求めたようでありますが、良好な日中関係を維持発展させていくことは、今後の日中両国、ひいてはアジア太平洋地域の安定と繁栄にとって極めて重要であります。九月の国連ミレニアムサミットの際の江沢民主席との首脳会談に引き続き、十月には朱鎔基総理の訪日が予定されていますが、総理は日中関係の展望をどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
 総理は、八月下旬、十年ぶりに南西アジアを一週間にわたって訪問されましたが、南西アジア地域は、我が国にとって重要な地域であると同時に、親日国家でもあります。最近はアメリカ大統領が訪問するなど、国際社会の中で戦略的な重要性を増しつつあるインド、パキスタン等の南アジア訪問をされたことは、まことに時宜にかなったものだと考えます。しかしながら、一方でカシミールをめぐる紛争や核不拡散等の難しい問題も抱えております。総理は、訪問した際、我が国の懸念、核開発の抑制、CTBTへの早期批准を求めたと思われますが、どのような反応があったのかお聞かせください。また、今後どのように南アジア関係を発展させていくのか、こうした点を念頭に置きつつ、今回の訪問の成果についてお聞かせ願いたいのであります。
 次に、憲法問題について、総理の御所見をお伺いいたします。
 本年一月から、衆参両院に憲法調査会が設置され、憲法問題についての本格的論議が行われることになりました。憲法調査会設置の意義は極めて大きいものと考えます。各種世論調査でも、憲法改正に賛成する人が六割を超え、改めるべきところは改めるという意見が国民の中でも過半数を占めております。
 自主憲法の制定は、我が党立党以来の党是であり、二十一世紀にふさわしい国民のための憲法の制定が必要と考えます。(拍手)
 憲法を論議するということは、すなわち我が国のあり方や国家像を論議することにほかなりません。二十一世紀の我が国のあり方について、国民各界各層との議論を通じて吟味し、国民のための憲法を制定するべきであると考えますが、総理の御所見をお聞かせください。
 次に、IT関連について質問いたしますが、総理は、日本新生プランの最重要な柱としてIT戦略を掲げ、所信表明演説においても、IT憲章の取りまとめやIT基本法案の提出について述べられ、IT社会の実現を国民的課題と位置づけられております。
 私は、IT社会を実現するには、まずIT革命の成果を享受できる環境整備が最優先課題ではないかと考えております。特に、電気通信分野における競争の促進に向けた法整備が急務と考えており、このためには、競争促進法の整備や、国が直接経営に介入する規制の廃止などを含むNTT法の見直しが必要ではないかと思いますが、総理のお考えをお聞かせください。
 次に、少年犯罪対策について、総理並びに法務大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 昨今、青少年による凶悪事件が多発し、マスコミをにぎわわせております。本当に残念なことであります。青少年犯罪の多発、凶悪化の原因は、一概には総括できないとしても、現行少年法の不備がその一因であることはだれもが認めざるを得ないことではないでしょうか。与党三党は、こうした判断に基づき、少年問題に関するプロジェクトチームを設置し、少年法の改正案について鋭意検討を重ねてまいりました。
 そして、今般、議員立法とあわせて成案を得ることができました。この臨時国会に早急に提出すべく準備をしておりますが、総理並びに法務大臣の少年法の改正に対する御所見をお聞かせください。
 また、少年犯罪対策は、少年法改正にとどまらず、教育、文化、児童福祉、精神的医療・ケアなど、各般にわたる課題について総合的施策を策定することが必要と考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、食料・農業・農村に関する政策についてですが、昨年七月、新しい食料・農業・農村基本法が制定され、さらに、本年三月には、これを具体化するものとして、食料・農業・農村基本計画が策定されました。この基本計画において、現在四〇%の食料自給率を平成二十二年度には四五%まで引き上げることとされていますが、政府として、この自給率目標達成に向けてどのように取り組むおつもりなのか。また、本年は米の豊作が見込まれますが、これらの影響が懸念されている稲作農家の経営安定対策を含む総合的な米対策についても、あわせて総理にお伺いいたします。
 さらに、WTOの農業交渉は既に本年から開始されており、各国は本年十二月末までに交渉提案を取りまとめて提出することになるわけでありますが、我が国としてはどのような基本的考え方のもとに取りまとめるお考えなのか、総理にお聞きしたいと思います。
 次に、環境問題ですが、ごみ処理問題に限って質問いたします。
 私たちは、これまで、大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済システムのもと、豊かな生活を享受してきました。しかし、その結果、大量のごみを出し続け、産業廃棄物の最終処分場はあと一年半でどこも満杯となります。新規に造成しようにも埋め立てる候補地も見つかりませんし、地域住民の理解をいただけない状況です。このような状況下、不法投棄が全国各地で発生しております。このままでは日本はごみであふれ返るでしょう。
 私は、解決策の一つとして、最終処分場の建設をこれまで以上に公共事業でできないものかと考えておりますが、総理の御所見をお聞かせください。
 次に、いわゆるあっせん利得罪処罰法案についてお尋ねいたします。
 与党提出の法律案は、最近の一連の不祥事の反省の上に立って、とりわけ公職にある者は、一部の利益のためではなく、国民全体の利益のために奉仕、行動する責務を負っていることを自覚し、みずからの政治活動を厳しく律し、その適正化、透明化を図っていくことを主眼に置いて提案したものであり、法案作成に携わった者の一人として、現在考え得る最善のものであると確信するものであります。
 また、与党案は、いかに公職者の政治活動をより一層適正なものにするかという課題と、いかに公職者の政治活動の自由が萎縮することがないようにするかという課題の二つの課題を解決した自信作であると考えるものであります。
 与党案に対する総理の御所見をお伺いしたいと存じます。
 次に、公共事業の見直しについて質問いたします。
 社会資本の整備を図る公共事業は、安全で豊かな国民生活の実現や均衡ある国土づくりなど、これまで大きな役割を果たしてまいりました。しかしながら、公共事業の配分比率の硬直化や事業の長期化などにより、経済社会の変化や時代のニーズに必ずしも適応したものになっていないとの批判があることもまた事実であります。
 我が党は、こうした批判に真摯に耳を傾け、その批判にこたえるために、亀井静香政調会長のもとに公共事業抜本見直し検討会を設置し、私が座長を務めて公共事業の見直しに着手しました。そして、事業採択後五年以上しても未着工の事業は原則中止などの四項目の見直し基準をまとめ、与党三党でその基準を決定するとともに、基準に基づいて鋭意見直し作業を続け、先月の二十八日、二百三十三件の公共事業を原則中止とするよう政府に対して申し入れを行ったところであります。
 政府におかれては、今回の中止勧告や提言を受け、今後どう対処されていくおつもりなのか、総理から明確にお答えを願いたいと存じます。
 二十世紀の幕が、数々の大きな変化や事件を歴史に残しながら閉ざされようとしております。これはまた、二十一世紀の新しい幕あけのときでもあります。森総理は、こうした大きな節目のときにこそリーダーシップをとって、力強く二十一世紀の扉を切り開いていただきたいのであります。もちろん、私たち政治を託される者も力を合わせ、国民が安心感を持てるよう努力しなければなりません。
 森総理の唱える日本の国家目標に向かって、日本に生まれてよかったと実感できる、そして世界の人々からも尊敬と信頼を集めることのできる品格のある国家にすべく、また、物質文明一色から、精神文明と物質文明の融合を図りながら、経済だけでなく文化の面でも、スポーツ、芸術文化の振興によって、先進国と呼ばれるよう新しい国家モデルを築かなければなりません。(拍手)
 こうした二十一世紀の国家像について、国民的議論を踏まえつつ明確にしていくことが、今こそ我々政治家に求められる責務であると思います。それがまた、自民党と公明党、保守党との連立の使命であり、国民の望みを確実に実現させることとなるでしょう。
 森総理、私たち与党は、一糸乱れずさらに研さんを重ね、全力を挙げて森内閣を支え抜くことをお誓いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(森喜朗君) 冒頭、今後の経済運営についてのお尋ねがありました。
 政府・与党の迅速にして大胆な経済政策によって、我が国経済は緩やかながら改善いたしております。しかしながら、雇用情勢はいまだ厳しく、消費は一進一退の状況にあり、企業の倒産件数も高水準になっております。いわば我が国経済は、七合目から八合目には達しておりますが、まさに正念場であって、もう一押しが必要な状況であると考えております。
 このため、新たな経済対策を近く取りまとめるとともに、平成十二年度補正予算を編成するなど、景気回復に軸足を置きつつ、我が国の経済を新時代にふさわしい構造に改革し、二十一世紀における新たなる発展を確実にするとの考え方のもと、経済運営を進めてまいりたいと考えております。
 新経済対策及び補正予算についてのお尋ねでありますが、経済対策の対象分野については、重点化を図り、日本新生プランの重要分野であります、IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備の具体化策のうち緊急に実施すべきものに加え、生活基盤整備、防災のための施策や中小企業等金融対策、住宅金融対策等を盛り込むことといたしております。
 この経済対策を実現していくため、地域の動向にも細かく目配りをしつつ、日本新生プランの具体化策を中心とした社会資本整備二・五兆円を初めとして、経済対策関連につきまして総額三兆円台後半の補正予算を編成することといたしております。なお、編成に当たっては、平成十一年度決算剰余金の活用などにより、国債の追加発行を極力抑制するよう努めてまいる所存であります。
 中小零細企業対策についてのお尋ねでありますが、中小企業が現下の厳しい経営環境を克服し活力ある成長発展を遂げるよう、まずは、中小企業向けの金融について、特別保証制度の期限が来年三月に到来することを踏まえまして、一般信用保証制度の拡充など十分な対策を実施したいと考えております。
 また、IT時代の到来による経営環境の変化に中小企業が対応できますように、啓発、情報提供、研修の実施等必要な支援措置を講じてまいりたいと存じております。
 中長期的な雇用対策についてのお尋ねがありました。
 谷津議員御指摘のとおり、経済産業構造の変化に対応し、中長期的に雇用の安定を図っていくためには、円滑な企業間の労働移動などによる雇用の確保が重要と考えます。このため、良好な雇用機会の創出、確保を図るとともに、能力開発を初め、労働力需給のミスマッチを解消するための施策を積極的に講じていくことが必要であると考えております。
 財政構造改革についてのお尋ねでありました。
 我が国の財政は厳しい状況にあり、財政構造改革は必ずなし遂げなければならない課題でありますが、まずは、経済を自律的回復軌道に乗せるため、景気回復に軸足を置いた経済財政運営を行っていくことといたしております。
 同時に、財政が将来も持続可能な仕組みをつくり上げるための準備を今から始めるとの観点から、財政の透明性の確保を図り、効率化と質的改善を進めながら、我が国の景気回復をより確かなものとして、その上で、税制のあり方、社会保障のあり方、さらに中央と地方との関係まで幅広く取り組んでまいりたいと考えております。
 先般の日ロ首脳会談の成果についてのお尋ねでありますが、同会談においては、平和条約、経済問題、国際情勢といった幅広い問題について、プーチン大統領との間で率直な意見交換を行いました。
 平和条約の問題については、今回の話し合いの結果、クラスノヤルスク合意の実現のための努力を引き続き継続すること、また、今日までに達成された両国間のすべての諸合意に依拠しつつ、四島の帰属の問題を解決することにより平和条約を締結すべく交渉を継続することで一致いたしました。
 経済分野での日ロ協力については、橋本・エリツィン・プランを発展させ、今後の協力の進展の基本的方向性を示す新たな協力プログラムに署名をいたしました。
 政府といたしましては、今回の会談の成果を踏まえつつ、今後とも、両国間の率直な、信頼関係に基づいた話し合いを通じてあらゆる分野で日ロ関係を強化しつつ、四島の帰属の問題を解決することにより平和条約を締結するという一貫した方針のもとで、引き続き全力を尽くしていく考えであります。
 日米関係の展望についてでありますが、御指摘のとおり、日米関係はますます緊密なものになってきております。我が国外交の基軸をなし、アジア太平洋の平和と繁栄に不可欠な日米同盟関係の重要性は今後も変わることはなく、我が国としても、引き続き日米関係の強化に努めるとともに、明年発足する米国の新政権との間でも緊密な協力を行ってまいりたいと考えております。
 沖縄の米軍施設・区域の問題についてお尋ねがありました。
 政府としては、我が国の平和と安全のため、沖縄県民の方々の背負われている御負担の軽減につきましては、先般のサミットの際の日米首脳会談でも一致したとおり、今後ともSACO最終報告の着実な実施に最大限努力してまいります。
 特に、普天間飛行場の移設、返還につきましては、昨年末の閣議決定に従い、沖縄県及び地元地方公共団体との間の代替施設協議会等においてできるだけ早く成案を得るべく努力し、早期に移設が実現するよう全力で取り組んでまいる考えであります。
 日朝関係についてのお尋ねですが、朝鮮半島をめぐっては、南北首脳会談後も南北対話の着実な進展等前向きな流れが見られますが、政府としては、これを確実なものとするため、米韓と緊密に連携しつつ後押しをしていく考えであります。日朝関係につきましては、軌道に乗り始めた国交正常化交渉に粘り強く取り組み、これを大きく前進させるとともに、人道上の問題や安全保障上の懸案の解決に向け全力を傾けてまいります。
 日韓関係についてのお尋ねでありますが、熱海で行われました日韓首脳会談におきましては、朝鮮半島情勢における新たな展開を受けて、対北朝鮮政策について、日韓米三カ国の緊密な連携を改めて確認するとともに、一昨年の大統領訪日以来の幅広い協力の進展を踏まえ、大衆レベルでも大きく動き出した文化面や、今や切っても切れない関係となった経済面での協力についても実り多い意見交換ができました。
 私としては、今回の首脳会談の成果を踏まえ、金大中大統領との信頼関係を基礎に、二十一世紀に向けた強固な日韓パートナーシップを一層飛躍させていく考えであります。
 日中関係の展望についてでありますが、来月の朱鎔基総理訪日の機会等をとらえ、相互理解、相互信頼を深めつつ、二十一世紀に向けた友好協力パートナーシップを一層推進していくことが重要であると考えます。また、ともにアジア及び世界に影響を有する国家として、単に二国間の問題に取り組むのみならず、広く地域的及び地球規模の問題に対する協力の推進を図っていきたいと考えております。
 南西アジア訪問の成果についてでありますが、今回の私の訪問においては、インドとの間でIT分野を初めとした幅広い二十一世紀における日印グローバルパートナーシップの構築に合意するなど、国際社会において重要性を増しつつある南西アジア各国との友好協力関係の増進につき、大きな成果が得られました。
 また、核問題につきましては、インド、パキスタン両国から、包括的核実験禁止条約の発効まで核実験モラトリアムを継続する旨の確認を得ました。今後とも、右両国に対し、同条約の署名等核不拡散上の進展を求めるとともに、南西アジア各国との間で広範な分野での友好協力関係を増進するため努力していく考えであります。
 憲法改正についてでありますが、憲法の基本理念である民主主義、平和主義及び基本的人権の尊重は、憲法が制定されてから今日に至るまでの間、一貫して国民から広く支持されてきたものであり、将来においてもこれを堅持すべきものと考えております。
 一方、憲法第九十六条は憲法の改正手続を規定しており、憲法は法理的に永久不変のものとは考えておりません。また、憲法をめぐる議論が行われること自体は何ら制約されるべきものでないということは言うまでもありません。しかしながら、国の基本法である憲法の改正については、世論の成熟を見定めるなど、慎重な配慮を要するものであると考えております。
 憲法に関する問題については、広範かつ総合的な調査を行うため、第百四十七国会から衆参両議院に憲法調査会が設置され、将来の我が国の基本的あり方を見据えて、幅広く熱心な議論が行われているところであり、これを十分見守っていきたいと考えております。
 電気通信分野における競争促進に向けた法整備についてのお尋ねがありました。
 IT革命を推進していくためには、その牽引役となる電気通信分野における競争促進が極めて重要であることは、議員御指摘のとおりであります。政府といたしましては、現在行われている電気通信審議会におけるNTTのあり方を含む競争政策全般についての審議を踏まえて、競争政策の抜本的な見直しを行っていく所存であります。
 少年法の改正についてお尋ねをいただきました。
 深刻化する少年犯罪に対処するため、衆議院法務委員会においては、立法措置を含む広い視野から真剣な検討をすべきとの決議がなされているところであり、さらに、与党三党においても少年法のあり方について大変精力的に御議論され、その結果、改正案を近く国会に御提案されるものと承知いたしております。政府といたしましては、国会での御議論を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 また、少年犯罪対策についてのお尋ねでありますが、この問題への対処に当たっては、少年法の改正のみならず、家庭、学校、地域、関係機関等が協力し、社会が一丸となって取り組んでいくことが必要であろうという御指摘は、議員と意見を一にするものであります。
 こうした観点から、政府の青少年対策推進会議が取りまとめた、重大な非行の前兆段階での的確な対応、悪質な少年犯罪に対する厳正な措置等を内容とする当面とるべき措置を踏まえ、関係省庁において諸施策を総合的に推進いたしております。
 少年犯罪対策につきましては、その病理の原因を根本から根治していくという思いで、政府一体となって徹底的に取り組んでまいる所存であります。
 食料自給率目標についてのお尋ねでありますが、今後、生産性や品質の向上等の取り組みを推進するため、生産基盤の整備等による優良農地の確保、効率的かつ安定的な農業経営の育成、技術開発の推進等を図るとともに、望ましい食料消費の姿を目指した栄養バランスの改善等に努めることといたします。
 これらの施策により、食料自給率目標の達成に向け、生産者、消費者、その他関係者と一体となり、積極的に取り組んでまいります。
 豊作のもとにおける米対策についてのお尋ねがありました。
 米の需給が大幅に緩和していることに加え、今年産の米の豊作が見込まれていることから、米の価格は下落しております。このような状況にかんがみ、米の需給の早期の改善と稲作農家の経営の安定を図ることが必要となっております。
 このため、米の在庫水準の早期適正化、十三年産の米の生産調整、稲作経営安定対策などを柱とする総合的な米対策を講ずることとし、早急にその取りまとめを行ってまいる考えであります。
 次に、WTO農業交渉についてのお尋ねでありますが、農業交渉については、農業の多面的機能や食料安全保障の重要性への配慮、輸出国と輸入国の権利義務バランスの回復が確保され、各国の農業が共存できる貿易ルールの確立を図るとの基本的考え方に基づき、国民的な理解を得ながら交渉提案を取りまとめていきたいと考えております。
 産業廃棄物の最終処分場についてのお尋ねでありますが、産業廃棄物の最終処分場の確保は喫緊に解決すべき課題であります。
 こうした観点から、平成十二年度予算から、新たにモデル事業という位置づけで、産業廃棄物の最終処分場の建設を公共事業としても実施することといたしております。
 今後とも、この制度を活用しつつ、循環型社会の構築に向けた基盤整備を図ってまいる所存であります。
 また、十三年度予算においては、新たに私自身が配分することといたしております日本新生枠の中でも対応ができますようにしたいと考えております。
 与党提出のあっせん利得罪処罰法案について御質問をいただきました。
 政治倫理の一層の確立のためには、まず何よりも政治家一人一人の自覚が大切であると考えますが、政治資金にまつわる事件が発生していることはまことに遺憾であります。
 こうした中、与党三党間において法制化に向け大変熱心な御議論をいただき、与党案としてまとめていただきました。その内容につきましては、私がかねてから申し上げておりました、構成要件を明確にし、かつ国民の要望を幅広く行政に反映させるという政治の役割にも配慮するという点を十分に考慮されたものであると考えます。
 政治に対する国民の信頼を高めるためにも、十分に御議論の上、ぜひとも今国会中に成立させられることを期待いたしております。政府といたしましては、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 公共事業の見直しについてのお尋ねがございました。
 公共事業につきましては、極めて難しい問題でございましたが、先般、谷津議員が座長になられまして、与党政策責任者会議において二百三十三事業の中止を前提とする抜本的見直しに関する三党合意を取りまとめていただきましたが、政府としては、この三党合意を重く受けとめて、そこに示された諸課題について積極的な検討を行い、公共事業の見直しに取り組んでいくことといたしております。
 さらに、十三年度予算編成に向けて、政府、与党一体となって、真に国民のためになるよう公共事業を抜本的に見直し、再構築するという考えで取り組んでまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣保岡興治君登壇〕
#11
○国務大臣(保岡興治君) 谷津議員にお答え申し上げます。
 少年法の改正についてお尋ねがございました。
 近時、少年による凶悪重大な事件が相次いでいることはまことに憂慮すべき事態であって、森総理もお触れになりましたとおり、さきの国会の衆議院法務委員会においても、年齢問題、少年に関する処遇のあり方等を含め、立法措置を含む広い視野から真剣な検討をすべきとの少年非行対策に関する決議がなされているところでございます。
 このような中にあって、与党プロジェクトチームにおいて、種々の観点から精力的に御議論を交わされ、さきの国会において廃案となった政府提案の少年法改正案の内容をも適切に取り入れていただくと同時に、人をあやめる重大凶悪な事案については厳しく処罰できる可能性をも整える一方、可塑性に富む少年の教育改善にも着眼した処遇の確保にも配慮した適切な内容をお取りまとめいただいたと伺っております。
 改正案を近く国会に御提案されるものと承知しておりますが、法務省といたしましても、今国会で少年法の改正案が成立することを期待し、また、国会における貴重な御審議を踏まえて適宜適切に対処してまいりたいと存ずる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#12
○副議長(渡部恒三君) 岡田克也君。
    〔岡田克也君登壇〕
#13
○岡田克也君 民主党の岡田克也です。
 質問に先立ち、森総理に一言率直に申し上げたいことがあります。それは、第二次森内閣の組閣についてです。
 来年一月からの省庁再編を控え、年内にも新たな組閣が行われると言われていますが、なぜ半年間の任期しかない内閣をつくったのでしょうか。半年間しか任期のないことがあらかじめわかっている大臣に、官僚に対してリーダーシップを発揮しろと言う方が無理じゃないでしょうか。
 例えば、省庁再編は霞が関の大改革です。しかし、この改革に魂を入れるためには、政治家がしっかりとしたリーダーシップをとらなければなりません。数カ月後に交代することがわかっている大臣にそれを求めることは困難です。結局は官僚ペースで、実質的に重要なことが今決まりつつあるのです。社会保障や教育などの大改革も、任期の短い大臣のもとでは足踏みをするしかありません。
 森総理に、今極めて重要な時期にある日本国のトップリーダーとしての責任と自覚はあるのでしょうか。能力本意ではなく、当選回数主義により任期六カ月の大臣を大量生産する森総理からは、時代に対する危機感を感じることはできません。二十一日の所信表明演説においても、総理がみずからの意思と責任で難局に立ち向かっていこうという気迫を感じさせるものはありませんでした。
 以下、鳩山代表との重複を避けながら、森総理の所信表明演説に対して質問します。
 まず、外交、安全保障について質問します。
 森総理は、所信表明演説の中で、先見性と戦略性を持って、積極的かつ創造的に外交を展開すると述べられました。私の目には、森外交には先見性も戦略性もなく、目の前にある大きなチャンスをみすみす逃し、失点を重ねているとしか見えません。流れに身を任せるままでの主体性なき森外交によりいかに国益が損なわれたか、以下具体的に指摘し、森総理の答弁を求めます。
 第一に私が指摘したいのは、日ロ平和条約交渉です。
 三年前に、当時の橋本総理とエリツィン大統領の間で、二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすとの合意がなされました。このクラスノヤルスクの合意は、当時、日ロ関係に大きな突破口を開くものであり、日ソ共同宣言以来の大きな前進であると高く評価されました。
 その締結期限である二〇〇〇年も残すところ四カ月となったところで開催された九月の日ロ首脳会談が、平和条約締結、すなわち領土問題解決に向けた極めて重要な意義を持つものであったことは言うまでもありません。しかし、何ら前進はありませんでした。私は、今回の森・プーチン会談は、大国間の外交交渉には珍しい一方的なもので、日本側の完敗だったと思います。
 そこで、森総理に四点お伺いします。
 一つ、今回の共同声明は、実質的にはクラスノヤルスク合意を事実上白紙に戻すことであり、二〇〇〇年末までに平和条約を締結することは断念したものであると私は判断しますが、いかがでしょうか。
 二つ、プーチン大統領の厳しい対応は事前に十分予想されたことです。余りにも日本側の対応は戦略に欠けていたのではないでしょうか。少なくとも二〇〇〇年にかわる新たな期限の設定をするなど、妥協はできなかったのでしょうか。
 三つ、森総理は、このような一方的な結果を招いたこと、すなわち日本の国益を大きく損なったことに対して、どのような責任を感じているのでしょうか。
 四つ、近い将来の平和条約締結のために、今どのような戦略性と先見性を持って挑まれるのか。
 以上四点について、明快な答弁を求めます。(拍手)
 第二に、森総理のインド、パキスタン訪問について質問します。
 この訪問に関し、森総理は多くの成果を得ましたと述べられていますが、私には、そもそも何のためこの時期インド、パキスタンを訪問したのか、その意図すら理解できません。
 インド、パキスタンは、言うまでもなく無謀な核実験を行い、世界じゅうから強い批判を受けました。我が国も経済制裁を続行中であります。このような状況のもとで訪問された森総理の最大のなすべきことは核の問題であったことは自明のことであると私は考えます。核問題に関し、森総理はどのような成果を上げたのでしょうか。私は、インド、パキスタンが核保有国となったことに対する森総理の危機感が、余りにも欠如しているのではないかと感じています。
 以下、三点質問します。
 一つ、インド、パキスタンの核保有を放置することは、核保有国は米ロ英仏中の五カ国以上にふやさないという戦後長く続いた核不拡散体制の重大な逸脱であり、今後さらなる核保有国を生む引き金になり得るとの認識をお持ちでしょうか。
 二つ、カシミール問題を持つ両国が核を持つことは、現実に核が使用される可能性すら否定できないというふうに私は考えますが、そのような危機感をお持ちでしょうか。
 三つ、だからこそ、両国の核保有について早期にこれを断念するよう説得することこそが、世界が日本に期待した役割だと私は考えますが、森総理はこの点に対し、どのような役割、責任を果たしたのでしょうか。明快な答弁を求めます。(拍手)
 第三に、日米関係について質問します。
 森総理は、日米関係は我が国外交の基軸であると述べられました。私も同感です。しかし、日米両国が真のパートナーシップで結ばれるためには、日本が米国に一方的に依存、従属するのではなく、みずからの主体性を持って、主張すべきことは主張し、同時に果たすべき責任を全うしていくとの関係を構築することが必要です。
 この視点から、普天間飛行場の移設問題について、森総理にお聞きしたい。
 総理は、沖縄県が十五年の使用期限を設けるよう求めていることをどう考えているのですか。沖縄サミット時の日米首脳会談の際、クリントン大統領との間でこの問題を真剣に話し合った形跡はありません。沖縄県の要望を米国に単に伝えるだけの日本政府、森総理の姿勢は、沖縄県に対して不誠実であるだけではなく、米国政府に対しても果たすべき責任を逃げているというふうに受け取られているのではないでしょうか。森総理の責任ある答弁を求めます。
 第四に、いわゆる有事法制について質問します。
 この点について森総理は、所信表明演説の中で、法制化の検討を開始するよう要請するとの与党の考え方を十分受けとめながら政府の対応を考えると述べるにとどまっています。これでは、日本国総理大臣としての意思を何も感じることはできません。
 私は、日本が侵略されるなどの緊急事態が発生したときに、自衛隊がシビリアンコントロールのもとで適切に活動するためのルールをあらかじめ法律として決めておくことは、政治の当然の責任であると考えています。与党に言われたからとか政府の対応をこれから考えるとの第三者的な演説は、日本国総理大臣として無責任です。総理のこの問題についてのより明快な答弁を求めます。
 また、言うまでもなく、自衛隊の出動などにより、平常時とは異なる権利義務関係が生じ、国民の権利が制限される場合が想定されます。緊急事態や有事の名のもとに基本的人権を不当に制約しないとの基本原則をまず法制化するに当たって確認することは極めて重要と考えますが、総理のお考えを伺います。(拍手)
 次に、経済財政問題について質問します。
 第一に、補正予算の必要性について伺います。
 私は、景気の現状を楽観視しているわけではありません。不良債権の処理、不透明な消費の先行き、原油高の影響など、不安定要因はたくさんあります。しかし、一年前と比べ、明らかに異なる点があります。それは、企業収益が改善し、大企業を中心に設備投資が持ち直しつつあることです。このような民間の資金需要が活発化しつつある中で、公共事業を中心とした景気対策を実行することは、必要でないのみならず、金利上昇を招き、民間の自律的回復に水を差す可能性が高いと私は考えます。補正予算は、経済構造を改革し、民間主導の経済成長を促進するものに限るべきで、伝えられる、政府の従来型の公共事業を中心とした補正予算は、不要であるばかりでなく、有害であると考えます。森総理の見解をお伺いします。
 第二に、景気対策と財政構造改革の関係です。
 森総理は、就任時には、景気回復を財政構造改革に優先させるとの小渕前総理の路線を踏襲すると明言されました。ところが、今回の所信表明演説においては、財政の効率化と質的改善を進めることや、持続可能な財政の仕組みづくりのための準備を強調されています。今までになかったことです。森総理は路線転換したのでしょうか。他方で、社会保障のあり方や中央と地方の関係については、景気がさらに回復した後まで先送りすると述べています。森総理の真意は一体どこにあるのでしょうか。
 小渕前総理は、景気回復を優先すると明言されました。私の結論は小渕前総理とは違いましたけれども、日本国総理大臣としてみずからの考えを明確に述べられたことは、立派だったと思っています。
 森総理は景気回復と財政構造改革について基本的にどのように考えておられるのか、国民に対し、明確な表現で答弁することを求めます。
 第三に、財政構造改革の重要な柱である社会保障制度改革について質問します。
 今国会に、健康保険法と医療法の一部改正案が提出されます。いずれも、二〇〇〇年までに医療制度の抜本改革を行うとの約束を踏みにじった末提出された部分的な改革案で、極めて問題があると言わざるを得ません。平成九年の健保法改正以来の政府の改革の約束とその後の後退の繰り返しを見るとき、日本医師会等の医療提供者に余りにも偏った自民党の姿勢に、強い懸念を持たざるを得ません。
 森総理には、患者や健康保険料を負担している生活者の立場に立って医療制度改革を断行する決意はおありでしょうか。答弁を求めます。
 次に、総理は所信表明演説の中で、社会保障の基本は自己責任の原則に立つ社会保険方式に基づくべきと述べられました。しかし、自己責任だから社会保険方式がよいとの議論は納得がいきません。今後さらに増大する社会保障の財源を税と社会保険のいずれで賄うのかという議論は、世代間の公平の確保、システムの効率性、安定性などの視点を踏まえた議論がなされるべきで、自己責任原則をキーワードにすることは不適当だと考えますが、総理の見解を求めます。(拍手)
 次に、今国会での焦点と考えられる幾つかの点について質問します。
 第一に、永住外国人の地方参政権の問題です。
 総理はこの問題について、国会において御議論を進めていただきたいと考えておりますと述べるだけで、みずからの意思を感じさせるものは全くありません。森総理御自身は、永住外国人に地方参政権を認めることに賛成ですか、それとも反対なのでしょうか。答弁を求めます。
 また、総理は国会において議論を進めていただきたいと言われましたが、各党の賛否は既に決まっているのです。決まっていないのは自由民主党の対応であり、自民党総裁として森総理がより強いリーダーシップを発揮すべきと考えますが、その意思はあるのでしょうか。答弁を求めます。
 次に、この問題は自公両党の連立に当たっての重要合意事項であったはずです。続総務庁長官に対し、法案成立に向けて公明党はいかなる決意で臨まれるのか、答弁を求めます。
 第二に、少年法について質問します。
 総理は少年法改正について、政府としては与党の議論の結論を受けて適切に対応すると述べられました。まるで与党に丸投げしているかのようで、総理としての考えは全く伝わってきません。多くの国民が関心を持つこの問題に総理の考えが示されないことは、極めて残念です。
 私は、犯罪に対して毅然とした姿勢を示し、みずからの行いに対し責任をとるとの規範を徹底することは大変重要なことだと考えています。しかし、今問題になっているのは、人格の形成過程にある未成年者に対する刑事処分の問題です。
 総理に答弁を二点求めます。
 一つ、今回の与党の改正案による副作用はないのでしょうか。凶悪事件に目を奪われる余り、更生の可能性ある少年の未来を奪うことにならないのでしょうか。
 二つ、最近の少年による想像を超える犯罪は、少年法の改正だけでは到底解決できるものではありません。専門家の意見を十分に踏まえ、また当事者である少年たちの育った環境などに対する徹底的な分析を踏まえた総合的な対策が必要ではないでしょうか。いつまでにこのような総合対策を準備されるのでしょうか。
 この問題は、総理がみずからの言葉で国民に語るべき重大な問題だと考え、納得のいく答弁を求めます。
 第三に、政治資金の問題について質問します。
 久世金融再生委員長は、特定の企業から利益提供を受けていたことを理由に辞任しました。特に、特定企業から一億円の資金提供を受けていた問題は見逃せません。
 企業側の説明によると、自民党本部の建物を管理する財団法人自由民主会館に対し寄附をしたことになっており、他方、久世議員の側は、党費の肩がわりを自民党に振り込んでもらったとしています。どちらの言い分が真実なのでしょうか。また、いずれが真実であろうとも、自民党と事実上一体化した財団あるいは架空の党員を使った裏献金である疑いは濃厚であります。
 自民党総裁としての森さんにお聞きします。このような手法は違法な行為であるとの認識はありますか。また、自民党においてどの程度行われ、また現在も行われているのでしょうか。答弁を求めます。
 私は、政治資金の流れをより透明にするため、今すぐ実行できることとして、収支報告書の保存期間の延長とコピーの解禁を提案します。総理の賛同を得たいと思いますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。
 以上、総理の所信表明演説に関し、私の考えを述べてきました。私が森総理の演説を聞いていて最も残念なことは、日本国総理大臣としてみずからの責任を果たしていこうという強い意思が感じられないことです。流れに任せるままの主体性なき森外交により、日本国の国益が大きく失われています。経済政策の分野では、経済企画庁長官や亀井政調会長に任せきりで、総理の存在感は希薄です。今国会の重要案件である少年法改正や参議院選挙制度、永住外国人に対する地方参政権の付与などの問題に対しても、所信表明演説の中で総理としての明確な方向性は何ら示されませんでした。
 私は、今まで質問するに際し、私自身の考えを明確に示した上で森総理のお考えを質問してきました。せめて、私の質問に対しては、官僚の作成した答弁を棒読みするのではなく、総理自身のお考えを総理自身の言葉で語っていただきたいと思います。
 総理の答弁が納得のいかないものであった場合には、二度、三度と引き続き再質問を行うことを念のため申し添えて、私の代表質問といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(森喜朗君) 冒頭、岡田議員から、第二次森内閣の組閣についての御指摘がございました。
 今次内閣は、さきの総選挙で国民の皆さんの御審判を経て、絶対安定多数を得た与党三党の連立内閣であり、選挙後の国会で首班指名を受けて組閣されたものであります。議員の御質問は、こうした民意を反映して政府を組織するという民主主義や議院内閣制を否定されるものではないかと、判断に迷います。この内閣の閣僚は全員、その任期の長さにかかわらず、十分、官僚諸君に対しリーダーシップを発揮できるすばらしい、優秀な方々ばかりであります。
 先般の日ロ首脳会談において署名されました平和条約問題に関する声明に関し、この声明はクラスノヤルスク合意を事実上白紙に戻すものであり、二〇〇〇年末までに平和条約を締結することを事実上断念したものではないかとの御指摘がありました。
 同声明においては、日ロ双方が東京宣言に基づき、二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすとのクラスノヤルスク合意の実現のための努力を継続していくことが明確に確認されており、事実上断念したとの御指摘は当たりません。
 二〇〇〇年にかわる新たな期限設定についてのお尋ねでありますが、今回の話し合いの結果、今後の交渉については、クラスノヤルスク合意の実現のための努力を継続していくことで一致いたしております。これに従い、今後は、本年末まで引き続き最善の努力を払っていく必要があり、新たな期限についての議論を行う段階でないことは御理解をいただけると思います。
 今回の日ロ首脳会談の評価についての御意見でありますが、確かに、四島の帰属の問題について一致することはできませんでしたが、領土問題の本質について、率直な、信頼関係に基づいた議論を行うことができました。
 その結果、東京宣言及びモスクワ宣言を含む今日までに達成されました両国間のすべての諸合意に依拠しつつ、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべく交渉を継続することが確認できたことは、重要な成果であったと思います。
 今後の平和条約交渉についての御質問でありますが、私とプーチン大統領は、交渉のプロセスの効率性を高めるべく、両国の外務大臣に対し、交渉を加速化させるための新たな方策の策定、領土問題の歴史に関する共同作成資料集の改訂版の準備、平和条約締結の重要性を世論に説明するための努力の活発化という措置をとるように指示をいたしました。今後、これらの措置を進めつつ、引き続き平和条約締結に向けて全力を尽くしていく考えであります。
 インド、パキスタンの核保有についてのお尋ねでありますが、政府としては、御指摘のとおり、両国の核実験は国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦であり、これは単にインド、パキスタン両国のみならず、さらなる核拡散への誘因になるものとして、深く憂慮しなければなりません。
 インド、パキスタン両国の核の使用の可能性についてのお尋ねでありますが、御指摘のとおり、カシミール問題を抱える両国が核実験を行ったことには重大な懸念を有しております。今回の私の訪問でも、両国間の緊張に懸念を表明し、その平和的解決に向けた対話の再開を両国に強く働きかけるとともに、両国に対し、核不拡散分野での進展を強く求めてまいりました。
 インド、パキスタン両国による核の放棄に向けた働きかけについてのお尋ねでありますが、私は、私の両国訪問に際し、核兵器の削減及び廃絶に向けての取り組みを両国に呼びかけるとともに、その中で我が国が特に重視する両国の包括的核実験禁止条約への署名等を強く働きかけた次第であります。この結果、両国から、包括的核実験禁止条約の発効まで核実験モラトリアムを継続する旨の確認を得たところであり、平和国家たる我が国の役割を果たしていると考えております。(拍手)
 普天間飛行場の移設に関するお尋ねがありました。
 代替施設の使用期限の問題については、政府としては、昨年末の閣議決定にあるとおり、国際情勢もあり、厳しい問題があるとの認識を有しておりますが、稲嶺県知事及び岸本名護市長から要請がなされたことを重く受けとめ、これを先般の日米安全保障協議委員会等の閣僚レベルで米国政府関係者に対して取り上げてきたほか、先般のサミットの際、日米首脳会談においても私よりクリントン大統領に対し取り上げたところでもあります。
 これに対し、クリントン大統領からは、在沖縄米軍を含む在日米軍の兵力構成等の軍事態勢については、SACOの最終報告及び一九九六年の日米安保共同宣言を踏まえ、日本側と緊密な協議をしていきたい旨の言及があったところであります。
 これを踏まえ、政府としては、今後とも昨年末の閣議決定に従い適切に対処してまいる考えであり、あわせて国際情勢が肯定的に変化していくよう外交努力を積み重ねてまいります。
 有事法制について責任ある対応をとるべき旨の御指摘がありました。有事法制は、我が国への武力攻撃などに際し、自衛隊が文民統制のもとで適切に対処し、国家国民の安全を確保するためにぜひとも必要な法制であり、平時においてこそ備えておくべきものであると認識いたしております。
 所信表明においては、今後の政府の対応を考えていくに当たり、一つの重要な判断要素として与党の考え方があることを示したものであり、政府としての対応を決定するに当たっては当然私が主体的に判断することとなります。
 有事法制について基本原則を確認すべき旨御指摘がありました。
 自衛隊の行動は、もとより国家国民の安全を確保するためのものであり、有事の場合においても可能な限り個々の国民の権利が尊重されるべきことは、議員の御指摘をまつまでもなく当然であると考えております。
 補正予算は、不要であるばかりか有害ではないかとの御指摘がございました。
 政府・与党の迅速にして大胆な経済政策によって、我が国経済は緩やかな改善をいたしております。しかしながら、雇用情勢はいまだ厳しく、消費は一進一退の状況にあり、企業の倒産件数も高水準になってきております。いわば我が国経済は、七合目から八合目に達しておりますが、まさに正念場であって、もう一押しが必要な状況にあると考えており、こうした観点から補正予算を編成することといたしております。
 その際、我が国の経済を新時代にふさわしい構造に改革し、二十一世紀における新たなる発展を確実にすることが現下の最大の課題であることから、IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備の重要四分野を軸とした日本新生プランの具体化策を中心に盛り込むことといたしております。これらの施策により、我が国経済の再構築を進めるとともに、民需中心の自律的回復に向けた動きをより確かなものとしてまいりたいと考えております。
 財政構造改革についてのお尋ねでありますが、我が国の財政は厳しい状況にあり、財政構造改革は必ずなし遂げなければならない課題でありますが、まずは、経済を自律的な回復軌道に乗せるため、景気回復に軸足を置いた経済財政運営を行っていくことといたしております。経済が自律的回復軌道に乗る前に性急に財政再建を優先させれば、景気回復を危うくさせることにもなりかねません。
 同時に、財政が将来も持続可能な仕組みをつくり上げるための準備を今から始めるとの観点から、財政の透明性の確保を図り、効率化と質的改善を進めながら、我が国の景気回復をより確かなものとして、その上で、税制のあり方、社会保障のあり方、さらには中央と地方との関係まで幅広く取り組んでまいりたいと考えております。
 こうした基本的な考え方は、従来から申し上げているとおりでございます。
 医療制度改革についてお尋ねでありますが、健康保険法等改正法及び医療法改正法案は、医療保険制度の安定を図るとともに、良質で効率的な医療提供体制を確立することを目的とするものであり、医療制度の抜本改革に向けた第一歩となるものであります。
 医療制度改革は、国民皆保険を維持し、生活者である国民が安心して良質な医療を受けられることが基本であると考えております。こうした考え方に基づき、国民各層の理解を得ながら改革を進めてまいります。
 社会保障についてのお尋ねでありますが、社会保障は、人々が生活のさまざまなリスクに直面したときに社会全体で支え合う重要な仕組みであります。
 この社会保障の費用を賄うに当たって、個人の自立を基礎に置く我が国においては、国民みずからがあらかじめ老後の生活や病気などのリスクに備えるという考え方に基本を置くべきであると考えており、こうした意味で、自己責任の原則に立つ必要があると考えております。したがって、給付と負担の関係がより明確である社会保険方式が我が国にふさわしい仕組みであると考えております。
 これまで社会保障は、皆年金、皆保険制度などにより国民生活の安定に寄与してまいりましたが、今後、社会保障を賄うための費用の増大が見込まれており、引き続き、制度の長期的な安定を図るため、世代間の公平やシステムの効率性などにも配慮しつつ、社会保障の改革を進めてまいりたいと考えております。
 永住外国人に対する地方参政権付与についてお尋ねがありました。
 この問題につきましては、既に七月五日、公明党・保守党案と民主党案の二法案が国会に提出されているところでありますが、我が国の制度の根幹にかかわる重要な問題であり、賛成論から反対論までさまざまな意見があり、真剣な論議が行われておりますことから、各党各会派における国会等での御議論を進めていただきたいと考えております。
 次に、永住外国人に対する地方参政権付与についてのリーダーシップについてのお尋ねがございました。
 先ほども申し上げましたとおり、この問題は我が国の制度の根幹にかかわる重要な問題であります。党内においてもさまざまな意見があり、今真剣な議論が行われているところであります。私としても、自分自身、自民党の幹事長として昨年十月の三党合意にかかわった経緯もあり、私なりの考えも有しているところでありますが、ただいま申し上げたような状況の中で、総理・総裁としての意見について、あえて申し上げるべきではないと考えております。引き続き、党とも緊密な連絡をとりつつ、国会等での御議論の行方に注意を払っていきたいと考えております。
 与党の少年法改正案についてのお尋ねであります。
 深刻化する少年犯罪に対処するため、与党三党においても、少年法のあり方について種々の観点から大変精力的に御議論され、その結果、改正案を近く国会に御提案をいただけるものと承知しております。
 少年法は、個々の事案、当該少年の特性等に応じて刑事処分を含め多様な処分を用意しているところであり、少年に対し、事案に応じて刑事処分によりその責任の自覚を促すこととしても、少年の健全育成という目的に反するものではないと考えております。
 いずれにせよ、政府といたしましては、国会での御議論を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 また、少年犯罪対策についてのお尋ねでありますが、最近の非行情勢はまことに憂慮すべき状況にあるとの認識をいたしております。この問題につきましては、家庭、学校、地域、関係機関等が協力し、社会が一丸となって取り組んでいくことが必要であると考えております。
 こうした観点から、先月、政府の青少年対策推進会議が、重大な非行の前兆段階での的確な対応、悪質な少年犯罪に対する厳正な措置、特異重大事件に関する動機、原因の解明等を内容とする当面とるべき措置を取りまとめており、これを踏まえ、現在、関係省庁において諸対策を総合的に推進いたしております。
 少年犯罪対策につきましては、今後とも政府一体となって諸対策の推進に努めてまいる所存であります。
 久世前金融再生委員長に関してのお尋ねがありました。
 従来からお答えをいたしておりますように、自民党によれば、平成三年当時、財団法人自由民主会館では、建物の管理、維持運営費や人件費などに必要な寄附を募っており、その一環として、大京からは関連会社等を含め平成三年に合計一億円の寄附を受けていた、このことは大京側が振り込んだとされる銀行において入金を確認いたしております。当然ながら、当財団法人の収支は適正に処理されており、自由民主会館の人件費を含む管理、維持運営費として使用されたものであるとのことであります。
 なお、自由民主会館に対する寄附は、党本部の建物等の財産の管理、維持運営の費用として使用されるものであり、当財団法人から個々の議員に対して支出することはあり得ないが、再調査した結果、自由民主会館から久世議員への支出はないとの報告も受けております。したがって、裏献金の疑いがあるとか違法な行為ではないかとの御指摘には全く当たらないものであります。
 なお、久世氏については、官房長官が党を通じて確認したところ、自分は霊友会を応援されていた大京の社長さんに党員集めの御協力をお願いしていた、しかし、具体的にどのようにしたかについては、実務は自分がしたのではないのでよくわからないということでありました。また、この件は平成四年の選挙の際のことでありまして、前回の平成十年の選挙においてはこのようなことはなく、支援団体のそれぞれの党員の皆様から党費を納入していただいたということを念のために明確にしておきたいということでもありました。
 いずれにせよ、自由民主党においては、当然のことながら、党員の獲得に当たって、皆様に党の主張を御理解いただき、御自身の意思で入会していただいているものでございます。
 収支報告書の保存期間とコピーの解禁についてのお尋ねでありますが、政治資金規正法における収支報告書の保存期間が三年となっているのは、公職選挙法における選挙運動費用収支報告書の保存期間が三年であることとのバランスや、膨大な収支報告書の保存の事情等を勘案して定められたものと考えております。保存期間の延長については、これらの点を踏まえつつ、必要があれば各党各会派において御議論をいただくべき問題であろうと考えます。
 また、政治資金規正法においては、収支報告書の原本の閲覧が認められているところでありますが、来年四月の情報公開法の施行後において、自治省において保有している収支報告書について、同法に基づいて開示請求があれば写しの交付も行われることとなるものと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣続訓弘君登壇〕
#15
○国務大臣(続訓弘君) 岡田議員の代表質問にお答えいたします。
 私に対しては、永住外国人への地方参政権の付与についてのお尋ねでございました。
 岡田議員御承知のとおり、既に国会に提案されている継続案件でもございます。戦前の歴史的な沿革からいっても、私といたしましては一日も早く解決すべき問題であると思っております。
 以上です。(拍手)
#16
○副議長(渡部恒三君) ただいま議場内交渉中ですので、このまましばらくお待ちください。
 岡田克也君から再質疑の申し出がありますから、これを許します。岡田克也君。
    〔岡田克也君登壇〕
#17
○岡田克也君 本会議で再質問することは前例もあります。こんなことがもめること自身が、私は全くおかしなことだと思います。
 時間もありませんので、三点質問します。
 第一点、日ロ関係です。
 先ほど総理は、二〇〇〇年末までに努力をする、つまり、日ロ平和条約について、締結に向けてやっていくんだという御説明がありました。
 しかし、一方で日ロ共同声明の中では、共同資料をこれからつくっていくとか、あるいは世論に説明していくための努力をするとか、総理みずからもおっしゃったそういう表現が入っているわけです。
 果たして、十二月までにそういうことをやるつもりなんですか。結局それは、十二月までにできないことを前提に共同声明ができていることを示しているのではないでしょうか。
 第二点、総理は、沖縄サミットのときの日米首脳会談で普天間の問題を議論したと答弁されたように私には聞こえました。SACOの問題全体を議論したということは承知しておりますが、本当に普天間について個別に議論したのでしょうか。もししたとすれば、相当真剣な議論を総理としてはされたはずですけれども、どういう議論があったのか、御紹介いただきたいと思います。
 三番目、最後ですけれども、先ほどの自由民主会館の話であります。
 自由民主会館というのは、自民党に建物を貸す以外の仕事をしているのでしょうか。もしそれをしていない、自民党に建物を貸すだけの仕事をしている財団法人であるとすれば、そこに対して資金提供をするということは、結果的に自民党の賃料の負担を軽くするという、全くのトンネルの役割しか果たしていないことになるじゃありませんか。
 以上三点について、明確な答弁を求めたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(森喜朗君) 九月の日ロ首脳会談のことにつきまして、再質問がございました。
 私とプーチン大統領の間では、これまでの経緯、そうしたことをまず確認することが大事だ、このように考えまして、これらにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、これまでの日ソ、日ロ両国の合意事項については、すべてこれを合意しよう、これはプーチン大統領からも確実にそのことが発言をされております。
 同時に、その冒頭にプーチン大統領から、できるだけ早く、年内にもぜひロシアにおいでをいただきたいということもまず最初にお話がございました。
 私とプーチン大統領と五時間にわたりましていろいろお話をいたしましたが、大統領も御就任になったばかりでありまして、これまでの経緯のことについて今いろいろと勉強もし、その資料も取りまとめているところだというお話でございました。
 同時に、これから日本とロシアの間には幾つかのレベル、例えば外相レベル、外審レベル、事務レベル、いろいろなレベルがありますし、それから、いろいろな画定、策定の委員会等が用意されていますから、これらの委員会同士の作業を進めましょう、そして、クラスノヤルスク合意にあるように、ことしはこれでだめだということではないでしょう、まだ四カ月もあるわけでありますから、それまでの間にさらに努力をしましょうということで合意をいたしたわけでありまして、決してこれをことしはこれで打ち切ったということではない。
 こちらの国も理由があれば向こうにも国の事情があるわけですから、お互いに双方の国民が理解をできるように、また双方の議会でも理解ができるようにお互いにこれからも努力していこうということで、そういう意味でお互いの合意を取りつけたわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、これからできる機会を得まして、両国のそれぞれの関係者がお話し合いを進めていきたい、できれば最後には私も参りたい、このように考えておるところでございます。
 それから、沖縄におきますクリントン大統領との懇談は、時間的には極めて短いものでございます。サミットのときを利用いたしまして各国の首脳会議が二国間会談を行うというのは、ある意味では儀礼的なところもあるわけであります。こうした中で、深く時間をつくってこの普天間の問題等をじっくり話し合う時間というのは、なかなか用意できるわけではございません。しかし、基本的なことだけはきちっと申し上げておりますし、先ほども答弁に申し上げましたように、クリントン大統領も、日本側のそうした申し出につきましては、十分にこのことを踏まえて今後協議していきたい、このように答弁をされておられるわけでありますから、十分話し合いができているというふうに御理解いただけると思います。
 久世前金融再生委員長に関します自由民主会館の問題でございますが、先ほどすべての理由をそのまま間違いなく私はここで申し上げたとおりでございまして、それ以上でもそれ以下でもないということをぜひ御理解いただきたいと思います。(拍手)
#19
○副議長(渡部恒三君) 岡田克也君からさらに再質疑の申し出がありますが、残りの時間がわずかでありますから、ごく簡単に願います。岡田克也君。
    〔岡田克也君登壇〕
#20
○岡田克也君 それでは、今の総理の発言について、もう一度私確認したいと思っております。
 それは、日米首脳会談でクリントン大統領が、総理が普天間の十五年の期限つきについて具体的にお述べになり、そしてクリントン大統領はそれに対してよく協議したいというふうに本当におっしゃった、そういうふうに確認をしたいと思いますが、いかがでしょうか。
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(森喜朗君) 先ほど申し上げましたとおり、沖縄におきます会談というのは、皆さんも御承知だと思いますが、サミットの首脳会議に来られた際に、二国間同士がそれぞれ体系的に総合的なお話し合いをすることはございます。そういう中で、具体的なことについてお互いに触れ合いませんが、しかし、こちら側の申し入れはきちっといたしておりますし、日本側の申し入れ等につき、また沖縄の皆さんが求めておられることについては、十分に大事にそれを受けとめてこれから両国で真剣に議論していきましょう、こういうお答えがございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○副議長(渡部恒三君) 北側一雄君。
    〔北側一雄君登壇〕
#23
○北側一雄君 私は、公明党を代表し、森内閣総理大臣の所信表明演説に関し、総理に質問いたします。
 最初に、北海道有珠山に続く三宅島の噴火、伊豆諸島の地震、さらに東海集中豪雨に遭われた皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、今月八日からの東海豪雨は、ピークの二日間で約五百六十ミリという記録的な集中豪雨によって、愛知県下の河川は十五カ所ではんらんいたしました。九人のとうとい人命が奪われ、百戸以上の家屋が全半壊し、二万六千戸を超える床上浸水と四万戸近い床下浸水、さらには、電力、ガス、交通通信網の寸断等、甚大な被害をもたらしております。
 気象庁によると、一時間当たり七十五ミリ以上の猛烈な集中豪雨は最近増加傾向にあり、平成十年、十一年と連続して五十回を超えております。一方、平成十五年度までの治水事業七カ年計画終了時においても、一時間当たり五十ミリの降雨によってはんらんする流域は、面積にして四割、区域内人口で二千五百万人にも及び、危険が残るというふうに言われております。
 この際、政府内に都市水害に関する対策検討チームを設置し、総合的な対策を検討すべきと考えますが、御見解を伺うものであります。
 次に、災害に遭遇した被災者の生活再建に関しても、阪神・淡路大震災を機に被災者生活再建支援法が制定されましたが、同法による支給金は最高でわずかに百万円であります。しかも、支給対象者は住宅全壊世帯及びそれと同等の被害を受けたと認められる世帯だけであります。全島避難という前代未聞の災害に見舞われたにもかかわらず、三宅島被災者の皆さんには、生活福祉資金などの貸し付けは実施されていますが、被災者生活再建支援法の適用は決まっておりません。
 三宅島の皆さんは、東京などでの不自由な避難生活を余儀なくされています。その生活再建支援のため、できる限りのきめ細やかな施策を実施するよう強く政府に求めますとともに、この際、被災者生活再建支援法を、住宅の全壊という要件ではなくて、災害の態様に応じてより柔軟に適用できるよう改正すべきだと考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 また、被災者にとって、災害により奪われた住宅の復旧また再取得は、災害からの立ち直りの第一の目標であります。被災者生活再建支援法の附則第二条には、自然災害により住宅が全半壊した世帯に対する住宅再建支援のあり方について検討及び必要な措置を講ぜられるものとするとされていますが、この際、住宅取得資金の助成などを内容とする被災者住宅再建支援法の制定を検討すべきと考えますが、あわせて見解を伺うものであります。(拍手)
 次に、九月二十二日、自由民主党、公明党、保守党の三党共同提出で、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案が衆議院に提出されました。かねてからその必要性について何度も論議されてきたあっせん利得処罰法案が、今国会での成立に向け、与党三党により国会提出されたことは、日本の政治の質を変えゆく画期的な意義があり、三党連立の大きな成果であると考えます。
 この与党案は、前国会で提出されております野党案に比べて実効性があり、構成要件も明確であります。野党案の「特定の者に不当に利益を得させる目的」との要件は極めてあいまいであり、主体も国会議員だけに限定しております。与党案では、国会議員、公設秘書、地方議員、地方自治体の首長に処罰の対象範囲を拡大し、また、公務員へのあっせん行為だけでなく、特殊法人等の役職員に対してのあっせん行為も対象としております。
 あっせん利得処罰法案の今国会での成立に向け、総理の決意をお伺いいたします。
 また、国庫より支給されております政策秘書の給与約二千五百万円余りを三年間にわたり詐取したということで逮捕、起訴された民主党の山本代議士事件については、政治に対する国民の信頼を大きく損なうものであって、極めて遺憾と言わざるを得ません。公設秘書給与の詐取事件は今回で二度目であり、この際、公設秘書の実態等について調査し、そのあり方を検討すべきと考えますが、この事件についての総理のお考えをお聞きいたします。
 次に、経済対策と補正予算についてお伺いいたします。
 我が国経済は、四―六月期の実質GDP成長率が年率四・二%と二期連続でプラス成長となるなど、長い不況のトンネルから抜け出し、景気は緩やかではありますが着実に改善しつつあります。これは、昨年来、公明党も参加し連立を組んだ小渕内閣から現森内閣に至るまでの一貫した経済対策の方向性が正しかったことをまさに裏打ちするものであります。
 個人消費の動向や中小企業の業況や、また雇用の状況などを見ると、いまだ経済の足元は固まっていないことも事実であります。油断は禁物であります。さらには、国際的な原油価格の高騰が国内経済へと波及してくる懸念も高まってきておりますが、これらの点を含め、総理は我が国経済の現状と今後の動向についてどのような認識を持っておられるのか、お伺いいたします。
 いずれにしても、私は、民需主導の自律的な景気回復を確実にするためにも、いま一歩の財政による下支えは不可欠であり、新しい経済対策の策定と補正予算の編成、実行は火急速やかに行うべきであると考えます。
 所信表明で総理が示された、IT革命の飛躍的推進、循環型社会の構築など環境問題への対応、少子高齢化対応、便利で住みやすいまちづくりなど都市基盤の整備の重点四分野を基軸に、二十一世紀に向け、我が国経済が大きく飛躍できる補正予算の編成を強く期待するものであります。総理の経済対策及び補正予算に対する力強い決意をお伺いいたします。
 他方、私は、厳しい財政事情も十分に考慮する必要があると考えます。というのも、内外の市場は政府の財政政策の動向について強い注意を払って見ており、長期金利への影響なども無視し得ないものと考えます。総理は、所信表明演説の中で、国債の発行を極力抑制する旨を述べられました。もちろん歳出歳入の見直しの結果にもよりますが、補正予算の編成に当たっては、いわゆる特例公債は発行しないことを政府の明確な方針として明言するべきであろうと思います。総理の明快な御見解を賜りたいと存じます。
 中小企業対策についてお伺いいたします。
 中小企業に対する貸し渋りは依然として残っており、厳しい金融環境が続いております。中小企業に対する信用保証制度の拡充を初めとした継続的な金融対策はもちろんのことですが、さらには、政府として、早期健全化法に基づいて公的資金を導入した金融機関に対し、中小企業への貸し出しの拡大を強く要請するべきであろうと考えます。中小企業金融対策についての森総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、ITについてお伺いいたします。
 沖縄サミットで採択された沖縄IT憲章では、ITを世界経済の成長の原動力と位置づけ、持続的な経済成長や、民主主義の強化、世界平和などに活用するとともに、だれもがITの利便性を享受できる機会の確保などを表明しております。
 公明党は、我が国の目指すべきIT社会への基本的戦略について、IT革命のもたらす無限の可能性、光の部分とともに、影の部分をも認識しなければならないと考えております。デジタルデバイドを予防して、すべての国民があまねくIT革命の成果を享受できるようにすることが大切であり、また、ITによりだれもがひとしく社会参加や自己実現の道を開くことのできるイコールフッティング社会の実現を目指すべきであると考えております。
 その実現を図るため、三つの具体的な目標を掲げております。第一に、インターネット料金、携帯電話料金等を含むあらゆる通信料金の半減。第二に、高速大容量ネットワーク、いわゆるブロードバンドの実現。第三に、制度の集中見直し期間を一年以内と明確化し、次期通常国会で必要な法改正を行うべきであるということであります。
 今国会において基本的理念や国家戦略などを盛り込んだIT基本法案が提出されると伺っておりますが、私どもが主張するこれら基本理念と三つの目標をIT基本法案に明記すべきであると考えます。総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、教育現場における情報化について伺います。
 ミレニアムプロジェクトにおいて、教育の情報化に関し、平成十三年度中にすべての公立小中高等学校においてインターネットが接続され、平成十七年度までにコンピューター教室にパソコンを四十二台、普通教室に各二台を設置することが決定されております。
 しかしながら、日本がこれから本格的なIT革命を迎えるに当たって、これらの計画では時代おくれと言わざるを得ません。どんなにすぐれた機器の設置やコンテンツの開発をしても、それだけでは十分とは言えず、高速大容量の通信インフラ環境が整備されていなければ、視聴覚を働かせた多様かつ高度な教育が行えないと考えるからです。
 先般政府に対して申し入れを行ったところでありますが、学校への光ファイバー網等の高速大容量ネットワークの早期実現が必要不可欠と考えます。総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、教育改革についてお伺いいたします。
 現在、総理のもとに置かれた教育改革国民会議において、総合的な角度から教育改革案について真剣な論議が展開され、私ども公明党としても、強い関心を持って注目しております。青少年による凶悪犯罪、校内暴力、学級崩壊、いじめなどが深刻な社会問題になる中で、教育の抜本的な改革は国民的なレベルで喫緊の課題になっていると認識しております。
 総理は、所信表明で、来年の通常国会を教育改革国会と明言されました。公明党も明年の通常国会に向け、抜本的な教育改革案の検討を重ねてまいりたいと決意をしております。
 ただ一点だけ、教育政策立案に向けての私どもの指針を申し上げるならば、教育改革は何のためかという目的に関してであります。日本の社会は、明治以来、欧米に追いつくことを大きな目的としてまいりました。そして教育の目的も、日本経済の成長に役立つ人材を育成するためとか、国家や組織に役立つ人間を育てるためだとか、教育の手段化がなされてきたのではないでしょうか。
 衣食住が充足され、物質的な目標が加速度的に達成されつつある成熟社会を迎えた今日、人生は何のためにあるのかが厳しく問われている時代になっております。人間は教育によって人間になるとの言葉がございます。教育を手段とするのではなくて、教育そのものを目的とした社会、教育のための社会をどう構築するかという発想の転換が大切なのではないでしょうか。(拍手)
 教育改革の目的をどう認識されておられるのか、総理の御見解をお伺いします。
 次に、少年事件への対応についてお伺いいたします。
 少年犯罪の凶悪化、低年齢化が大きな社会問題になっている今日、凄惨な少年犯罪を聞くにつけ、いつも胸を痛めるのは、余りにも人の生命を軽視する風潮が社会に蔓延していることであります。今こそ、人の生命とは、とうとく、何物にもかえがたいものであるということをしっかりと根づかせていくことが何よりも重要なことであると思います。
 今回の少年法の改正法案については、刑事処分適用年齢を刑法と同様の十四歳以上とし、殺人、傷害致死など、生命を奪う故意犯罪を犯した十六歳以上の少年については原則逆送とすること等を内容としております。原則逆送といっても、家庭裁判所の裁判官が逆送の是非を判断するもので、少年の可塑性を重視する少年法の保護主義に反するものではありません。
 また、少年犯罪を未然に防止し、青少年が健全に育成されるためには、少年法の改正で事足りるものではなく、社会全体としての総合的取り組みが必要であります。公明党内に青少年健全育成等プロジェクトを発足させたのも、まさにこうした問題意識からであります。同プロジェクトにおいては、犯罪を犯した少年の更生、社会復帰をスムーズに行うため、中間施設、グループホーム制度の創設や、刑罰にかえての社会奉仕命令制度の導入、また少年の就職あっせんの充実など、さまざまな提案をしております。
 そこで総理にお伺いいたしますが、犯罪を犯した少年の更生、また社会復帰を促進していくための施策に関してどのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、与党内に終身刑に関するプロジェクトチームが設置されたことに関連してお伺いいたします。
 公明党は、本年五月、死刑制度の将来の廃止も視野に入れ、党内に終身刑導入検討プロジェクトチームを設置しました。これをきっかけとして、死刑制度の廃止という重要なテーマに関して国民的論議を喚起してまいりました。現在の刑罰制度では、死刑に次ぐ重刑としての無期懲役が、実際には十数年の服役で仮出獄されることが多いのが現状であります。先日の横浜地方裁判所での判決でも指摘されているとおり、死刑と無期懲役の間には余りにも刑罰の上で大きな隔たりがあることから、私どもは終身刑の導入を主張するものでありますが、総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、朝鮮民主主義人民共和国との外交についてお伺いいたします。
 イタリアがことし一月、北朝鮮との外交関係を樹立したほか、カナダも国家承認を行い、そして、歴史的な韓国と北朝鮮とのトップ会談の実現など、朝鮮半島をめぐる情勢が劇的に動いております。八月に行われた我が国と北朝鮮との国交正常化に向けた非公式折衝の中でも、日本に国家承認を要請しております。
 そこで総理にお伺いいたします。
 いわゆる過去の清算や日本人拉致問題、テポドンを初めとするミサイル実験問題など、国交正常化の交渉の過程で避けて通れない問題もあります。国交正常化への判断基準も含め、総理の日朝国交正常化への見解をお聞きいたします。
 また、国交正常化のためには、しかるべき時期に日朝首脳会談が不可欠と考えます。首脳会談への総理の意欲をお聞きいたします。
 次に、永住外国人地方選挙権付与法案について伺います。
 外国人に地方選挙権を付与することが憲法違反の疑いがあるとの見解を言われる方もおられるようでございますが、国政レベルの選挙権付与は憲法の認めるものでないことは異論のないところであります。
 しかし、地方選挙権の付与に関して、平成七年二月二十八日、最高裁判所は次のように判示しております。「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない」と述べ、永住外国人に地方選挙権を与えても憲法違反とならない、立法政策の問題というふうに判断しております。
 総理は、この憲法違反との一部論に対し、どのような御見解をお持ちでしょうか、お聞きいたします。
 先日、与党三党幹事長の韓国訪問の際にも、金大中大統領は、歴史的に特殊な関係があるのでぜひ考えてもらいたい、今は二世、三世の時代だが、彼らは日本社会で義務を果たし、地域づくりに忠実に貢献していると語り、彼らに地方選挙権を与えることは、積極的に地域社会に貢献し、勇気を与えることになると、その実現を強く要請されておりました。一昨日の日韓首脳会談でも同様の発言がありました。これまでの歴史的な事実を踏まえるならば、この問題は今世紀中の決着を何としてでも図るべきであります。総理の御決意をお伺いいたします。(拍手)
 最後に、沖縄への国連アジア本部またはアジア平和センターの創設についてお伺いいたします。
 ことし一月の代表質問の際、我が党の神崎代表が、この件に関し、当時の小渕総理にお尋ねしたところ、積極的に取り組む旨の答弁をいただきました。その後三月には、小渕総理の沖縄訪問の際に、十万人の署名をお渡しし、この件に関し強く要望しましたところ、前総理から同様の回答をいただきました。そこで、沖縄への国連アジア本部またはアジア平和センターの創設について、森総理はどのようにお考えかをお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#24
○内閣総理大臣(森喜朗君) 答弁に先立ちまして、東海地方を中心とする集中豪雨により亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害をこうむり、不自由な生活を余儀なくされておられます方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。
 都市水害対策についてお尋ねがございました。
 今次の東海地方を中心とした都市水害に対しまして、直ちに扇国土庁長官兼建設大臣が被災地に赴き、総合的観点から現地視察を行ったところでございます。
 また、建設省におきましては、都市型水害緊急検討委員会を直ちに設置し、緊急に対応すべき事項について検討を進めております。
 政府といたしましては、こうした場での議論を踏まえ、都市水害に対する総合的な対応を検討していく所存であります。
 被災者生活再建支援法についてのお尋ねでございますが、支援法の三宅村への適用については、現時点では、噴火等により被害の実態の調査ができない状況にありますが、今後、支援法の適用要件を満たすこととなった場合には、法の趣旨に沿って、できるだけ速やかに対処する所存であります。
 支援法の改正については、同法が六党の共同提案により成立し、昨年四月から運用を開始したところであることから、現行制度を円滑かつ適切に運用し、実績を積み重ねることが重要であると認識しております。その上で、問題点があれば御議論いただきたいと考えます。
 政府といたしましては、島外に避難されている三宅島の被災者の生活支援等の課題について、東京都、三宅村を初めとする関係者の方々と連携をとりながら取り組んでおりますが、今後とも一層緊密な連携をとりつつ、万全の対応を期してまいる所存であります。
 被災者住宅再建支援法の制定についてお尋ねがありました。
 住宅再建支援のあり方については、議員御指摘のとおり、被災者生活再建支援法の附則第二条に「総合的な見地から検討を行う」と規定されておりまして、これを踏まえ、平成十一年一月に国土庁に被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会を設置し、議論をいただいているところであります。今後、国土庁の検討委員会の報告、その他さまざまな御意見を総合的に勘案しつつ、住宅再建支援のあり方について検討してまいる所存であります。
 与党提出のあっせん利得罪処罰法案についての御質問をいただきました。
 政治倫理の一層の確立のためには、まず何よりも政治家一人一人の自覚が大切であると考えますが、政治資金にまつわる事件が発生していることはまことに遺憾であります。
 こうした中、与党三党間において法制化に向け大変熱心に御議論いただき、与党案として取りまとめていただきました。その内容につきましては、私がかねてから申し上げておりました、構成要件を明確にし、かつ国民の要望を幅広く行政に反映させるという政治の役割にも配慮するという点を十分に考慮されたものであると考えます。
 政治に対する国民の信頼を高めるためにも、十分に御議論の上、ぜひとも今国会中に成立させられることを期待いたしております。政府といたしましては、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 民主党の山本譲司元議員の事件に関連してでありますが、民主党の山本元議員は、秘書の給与を詐欺により私したものであり、これは国会議員にあるまじき行為であり大変遺憾に思います。国会議員の秘書のあり方については、国民の信頼を得ていくためにも、国会において議論していただくものと考えます。
 我が国経済の現状と今後の動向、さらに経済対策と補正予算についてのお尋ねがありました。
 政府・与党の迅速にして大胆な経済政策によって、我が国経済は緩やかながら改善しております。しかしながら、たびたび申し上げておりますように、雇用情勢はいまだ厳しく、消費は一進一退の状況にあり、企業の倒産件数も高水準になってきております。
 また、原油価格の上昇は、現状において我が国経済に与える影響は限定的と考えておりますが、今後の原油動向や景気に与える影響等を注視していく必要があるものと考えております。
 いわば我が国経済は、七合目から八合目には達しておりますが、まさに正念場であって、議員御指摘のようにもう一押しが必要な状況にあると考えております。
 このため、新たな経済対策を近く取りまとめるとともに、平成十二年度補正予算を編成するなど、景気回復に軸足を置きつつ、我が国の経済を新時代にふさわしい構造に改革し、二十一世紀における新たなる発展を確実にするとの考え方のもと、経済運営を進めてまいります。
 経済対策の対象分野については、重点化を図り、日本新生プランの重要分野である、IT革命の推進、環境問題への対応、高齢化対応、都市基盤整備の具体化策のうち緊急に実施すべきものに加え、生活基盤整備、防災のための施策や中小企業等金融対策、住宅金融対策等を盛り込むことといたしております。
 この経済対策を実現していくため、地域の動向にも細かく目配りしつつ、日本新生プランの具体化策を中心とした社会資本整備二兆五千億を初めといたしまして、経済対策関連について総額三兆円台後半の補正予算を編成することといたしております。
 また、補正予算の財源についてのお尋ねがありましたが、補正予算の編成に当たっては、安易に国債発行に頼ることのできない厳しい財政事情を十分に考慮し、歳出歳入の見直し、平成十一年度剰余金の活用などにより、国債の追加発行を極力抑制するよう努めてまいる所存であります。御指摘の特例公債につきましても、このような基本的方針を踏まえ、発行を回避するよう編成過程において努めてまいります。
 中小企業金融対策についてのお尋ねでありますが、中小企業をめぐる金融情勢がいまだ厳しい中で、特別保証制度の期限が来年三月に到来することを踏まえ、一般信用保証制度の拡充など十分な対策を実施したいと考えております。
 また、早期健全化法に基づき資本増強を行った金融機関は、今年度末の中小企業向け貸し出しの残高について昨年度末の実績をさらに上回る計画としており、政府としては、その履行状況を公表するとともに、ヒアリングを行うなど、中小企業に対する円滑な資金供給のため適切に対処してまいります。
 IT基本法案についてのお尋ねでありますが、二十一世紀の日本新生の礎を築くに当たって最も重要な柱は、IT戦略であります。私は、我々の目指すべき日本型IT社会は、すべての国民がデジタル情報を基盤とした情報、知識を共有し、自由に情報を交換することが可能な社会であると考えております。
 このような考え方に立って、今国会にいわゆるIT基本法案を提出することといたしております。IT基本法案は、明確な国家戦略を打ち立て、迅速かつ集中的に必要な施策を実施していくための基本的な枠組みとなるものであります。今後、御指摘の点を含め、各方面の御意見を聴取しつつ、早急に法案の具体化を図ってまいります。
 教育現場の情報化を進めるための高速大容量ネットワークの早期実現についてのお尋ねでありますが、IT革命が進展する中で、子供たちが小中学校等の早い段階からインターネットになれ親しむ環境をつくることが世界的にも取り組まれており、我が国の将来にとっても重要な課題と認識しております。教育の情報化をより一層進めるために、光ファイバー網等の高速大容量ネットワークを活用した教育方法の研究等を進めながら、学校の情報通信インフラの整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 教育改革についてのお尋ねがありました。
 私は、二十一世紀の日本を支える子供たちが、人間性豊かで創造性に富む立派な人間として成長することこそが必要なことと考えております。こうした観点から、知識に偏重した教育ではなくて、体育、徳育、知育のバランスのとれた全人教育を推進することを目指して、思い切った教育改革を積極的に行ってまいる決意であります。そして、教育改革により教育をよくするということが、国民各層がよりよく生きられる仕組みをつくることになるものと考えております。
 先般、教育改革国民会議から中間報告が行われたところであり、文部省に対し、この報告を十分に踏まえ、教育改革の準備を直ちに始めるよう指示したところであります。今後、国民の皆さんの御意見を広く聞きながら教育改革を進めてまいりたいと考えております。
 犯罪少年の社会復帰の促進についてお尋ねをいただきました。
 最近、少年による凶悪犯罪が増加する一方で、犯罪を犯す個々の少年が持つ問題性も一層複雑、困難化しております。このような状況のもとで、少年の社会復帰を促進するため、少年に罪の意識を持たせ、生命のとうとさを認識させるとともに、奉仕活動等多様な社会経験をさせるほか、家族、学校等との連携を強化しつつ、保護観察の充実にも努めているところであります。今後ともさらに、少年の特性に応じた効果的な処遇に努めてまいりたいと考えております。
 終身刑の導入についてお尋ねがございました。
 この問題については、刑事政策上さまざまな問題が指摘されているなどいろいろな御意見があるものと承知しておりますが、与党内において終身刑に関するプロジェクトチームが発足したこともあり、こうした種々の観点からの議論を踏まえ、政府として対処してまいりたいと考えます。
 日朝関係についてのお尋ねでありますが、朝鮮半島をめぐり前向きな動きが見られる中で、我が国としては、日朝国交正常化交渉の前進に努力していく考えでございます。
 御指摘のいわゆる過去の清算の問題については、双方の立場に隔たりもあり、容易ではありませんが、国交正常化交渉の中で真剣に議論していく考えであります。また、日本人拉致容疑問題やミサイル問題等についても、その解決に向け、国交正常化交渉その他の対話の場で粘り強く取り組んでまいる考えであります。
 日朝首脳会談につきましては、金正日総書記との意思疎通を効果的に行っていくことが極めて重要と考えており、種々準備が整えば、日朝の首脳が会うことも考えられます。
 永住外国人に対する地方参政権付与と憲法との関係についてのお尋ねでありますが、この問題は我が国の制度の根幹にかかわる重要な問題でありますが、賛成、反対、それぞれの立場から、憲法との関係も含めてさまざまな意見があり、真剣な議論が行われているところであります。
 御指摘の最高裁判決の見解については、選挙権付与の対象が日本国民たる住民に限られていることが憲法に違反するものではないとする判決のいわゆる傍論として示されたものと承知しておりますが、同判決も含め、種々の御意見に真摯に耳を傾け、国会等での御議論の行方に注意を払っていく考えであります。
 さらに、地方参政権付与法案についてのお尋ねでありましたが、一昨日の日韓首脳会談においても、金大中大統領からこの問題についての言及がございました。
 繰り返しになりますが、この問題は我が国の制度の根幹にかかわる重要な問題であり、賛成論から反対論までさまざまな意見があり、真剣な議論が行われているところでございます。また、既に国会に二法案が提出されており、私といたしましても、国会の御議論を進めていただきたいと考えております。
 沖縄に国連機関を誘致すべきではないかとの御指摘がございました。このような御指摘は、国連を重視し、沖縄を思う気持ちが込められた貴重な御意見として賜りたいと思います。
 本件につきましては、我が国が国連を重視してきたことや、国連側の事情、沖縄の持つ歴史的、地理的特性なども踏まえ、引き続き検討してまいりたいと考えます。(拍手)
     ――――◇―――――
#25
○小此木八郎君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十六日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#26
○副議長(渡部恒三君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○副議長(渡部恒三君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  森  喜朗君
        法務大臣    保岡 興治君
        外務大臣    河野 洋平君
        大蔵大臣    宮澤 喜一君
        文部大臣    大島 理森君
        厚生大臣    津島 雄二君
        農林水産大臣  谷  洋一君
        通商産業大臣  平沼 赳夫君
        運輸大臣    森田  一君
        郵政大臣    平林 鴻三君
        労働大臣    吉川 芳男君
        建設大臣    扇  千景君
        自治大臣    西田  司君
        国務大臣    相沢 英之君
        国務大臣    川口 順子君
        国務大臣    堺屋 太一君
        国務大臣    続  訓弘君
        国務大臣    虎島 和夫君
        国務大臣    中川 秀直君
 出席政府特別補佐人
ソース: 国立国会図書館
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