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2000/10/31 第150回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第150回国会 本会議 第8号
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2000/10/31 第150回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第150回国会 本会議 第8号

#1
第150回国会 本会議 第8号
平成十二年十月三十一日(火曜日)
    ―――――――――――――
  平成十二年十月三十一日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 少年法等の一部を改正する法律案(麻生太郎君外五名提出)
 国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明及び質疑

    午後一時三分開議
#2
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○小此木八郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 麻生太郎君外五名提出、少年法等の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
#4
○議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 少年法等の一部を改正する法律案(麻生太郎君外五名提出)
#6
○議長(綿貫民輔君) 少年法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長長勢甚遠君。
    ―――――――――――――
 少年法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔長勢甚遠君登壇〕
#7
○長勢甚遠君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、近時、社会を震撼させる少年による凶悪重大犯罪が相次いで発生するなど少年犯罪の動向は極めて憂慮すべき状況にある上、少年審判における事実認定手続のあり方が問われるとともに、犯罪の被害者に対する配慮を求める声が高まりを見せており、このような問題に的確かつ迅速に対応することが喫緊の国民的課題とされていることにかんがみ、所要の法整備を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、少年及びその保護者に対し、その責任について一層の自覚を促して、少年の健全な成長を図るため、刑事処分を可能とする年齢を引き下げ、故意の犯罪行為により人を死亡させた罪の事件について検察官への送致を原則とする制度等を導入すること、
 第二に、少年審判における事実認定手続の一層の適正化を図るため、裁定合議制度並びに検察官及び弁護士たる付添人が関与した審理の導入等の整備を行うこと、
 第三に、被害者等に対する配慮を実現するため、被害者等から意見を聴取する制度、被害者等に対し審判結果を通知する制度等を導入すること
であります。
 本案は、去る九月二十九日麻生太郎君外五名から提出され、十月六日本委員会に付託されたものであります。
 委員会においては、同日提出者麻生太郎君から提案理由の説明を聴取した後、十日から質疑に入り、参考人の意見を聴取する等の審査を行いましたところ、二十四日佐々木秀典君外三名から民主党・無所属クラブ提案に係る修正案が、二十七日藤島正之君から自由党提案に係る修正案が、それぞれ提出されました。
 本日、本案及び両修正案に対する質疑を終了し、討論、採決の結果、両修正案はいずれも賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#9
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#10
○小此木八郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 議院運営委員長提出、国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
#11
○議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
#13
○議長(綿貫民輔君) 国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員長藤井孝男君。
    ―――――――――――――
 国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔藤井孝男君登壇〕
#14
○藤井孝男君 ただいま議題となりました国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、一般職の国家公務員の勤勉手当の支給割合の改定に伴い、十二月に支給する国会議員の秘書の勤勉手当につきましても同様の改定を行うものであります。
 本案は、本日、議院運営委員会において起草し、提出したものであります。
 何とぞ御賛同くださるようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#16
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明
#17
○議長(綿貫民輔君) この際、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につき、趣旨の説明を求めます。外務大臣河野洋平君。
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#18
○国務大臣(河野洋平君) 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府は、日本国に合衆国軍隊を維持することに伴う経費の日本側による負担を図り、日本国にある合衆国軍隊の効果的な活動を確保するため、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定を締結することにつき、平成十二年一月以来アメリカ合衆国政府と協議しつつ、検討を行ってまいりました。その結果、平成十二年九月十一日にニューヨークで、先方オルブライト国務長官との間でこの協定に署名を行うに至った次第であります。
 この協定の主な内容としましては、まず、日本国が、この協定が効力を有する期間、日本国に雇用されて合衆国軍隊等のために労務に服する労働者に対する一定の給与の支払い及び合衆国軍隊等が公用のため調達する電気等の支払いに要する経費を負担することとしております。さらに、日本国政府の要請に基づき合衆国が合衆国軍隊の行う訓練を他の施設及び区域を使用するよう変更する場合に、その変更に伴って追加的に必要となる経費を負担することとしております。また、合衆国がこれらの経費の節約に努めることも規定しております。この協定は、二〇〇六年三月三十一日まで効力を有するものとされております。
 この協定の締結は、日米安保条約の目的達成のため我が国に維持されている合衆国軍隊の効果的な活動に資するものであり、ひいては日米関係全般並びに我が国を含むアジア太平洋地域の平和及び安定に重要な意義を有するものと考えられます。
 右を御勘案の上、この協定の締結について御承認を得られますよう格別の御配慮を得たい次第でございます。
 以上が、この協定の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の趣旨説明に対する質疑
#19
○議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。首藤信彦君。
    〔首藤信彦君登壇〕
#20
○首藤信彦君 私は、首藤信彦。民主党・無所属クラブ、そして広く国民を代表し、アジアの平和と安定に日本は過去、現在に何を行い、そしてこれから何をしようとしているのかを政府に質問するものです。
 ことし二〇〇〇年、すなわち戦争と難民の世紀と言われるこの二十世紀の最後の一年において、帝国主義がもたらし、冷戦構造が凍結した北東アジアにおける最大、最後の対立地帯において、韓国と北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国両国の指導者の歴史的な会談によって和解と統一への道筋が開かれたことは、その対立の根源的な問題に関与した国の市民として大きな安堵と喜びであると同時に、この民族融和と対立の解消の機会をアジア全体の平和と安全に発展させていかなければならないと決意を固めるものであります。
 周辺国においても、中国、そして何よりもアメリカが朝鮮半島の平和に多大の外交努力を重ね、この十月にはオルブライト国務長官をピョンヤンに派遣し、クリントン大統領自身も北朝鮮を訪問して、この朝鮮半島に生まれた和平の兆しを確実なものにしようとしています。
 そこで、外務大臣にお聞きしたい。
 この世界史の一ページに記憶される一年において、朝鮮半島と一衣帯水の関係にある我が国の政府は、その安定と、北東アジアの平和と安全に一体どのような平和創造努力を行い、成果をもたらしたのか。現在行われている北京での日朝国交正常化会談に、どのようなグランドデザインで臨んでいるのか。
 日本、そして北東アジアの平和と安全に欠かせないのが、日米安保条約でもあります。日本が攻撃された場合にはアメリカは救援し、アメリカが攻撃された場合は日本はともに戦う必要はないという日米安保の原則も、一見片務的、片利的に見えながら、北東アジアのみならず、東南アジア、さらには中東までの兵力展開の中継基地をアメリカ軍に提供するという意味において、バランスのとれた双利的なものでありました。
 また、アメリカ軍基地に対する思いやり予算、すなわち一九七〇年―八〇年代、経済的困難に直面したアメリカの日本における基地関係費用を一部日本が肩がわりしようという発想は、その時点では一応の根拠を持っていたと言えましょう。
 しかしながら、状況は一変しています。
 我が国においては、四・七%の完全失業率、暴落する株価、経済成長の低迷、重くのしかかる膨大な財政赤字にどのように対応しようとしているのか。アメリカでは、膨大な財政黒字が生じ、それをどのように使おうというのが大統領選のテーマとなっています。ここは、言うなれば、貧しい国が金持ちを思いやって負担を肩がわりしているという漫画的な図式があるではないですか。
 また、新ガイドラインや周辺事態安全確保法等の制定によって、明らかに日本の地位はアメリカと安全保障上の対等のパートナーになっていることから考えると、この思いやり予算の大幅な減額が要求されてしかるべきではないでしょうか。
 この思いやり予算の根拠となった地位協定二十四条についての特別協定の改定期に当たり、河野外相みずからがその減額交渉にアメリカに赴きましたが、貴重な時間を費やして獲得できたのは、在日米軍駐留経費総額六千七百億のうちたった三十三億、全体の〇・五%にすぎないではないですか。これは基地の外で生活しているアメリカ軍人の光熱冷暖房費等に相当するもので、交渉ではなく、最初から排除されるべきであった費目にほかなりません。〇・五%の減額などは外務大臣がわざわざ行くべき交渉であったのかどうか、外務大臣の弁明をお聞きしたいと思います。
 実は、この協定には致命的な部分があります。それは、基地移転費用の十二億です。これは、沖縄における国道百四号線付近での射撃訓練場移転費用八億円、及び住民から苦情の激しい厚木などの基地のNLP、連続夜間離着陸訓練の訓練場を硫黄島へ移転することに伴う費用約四億円であると説明されています。米軍の約束によれば、これによってNLPの九割を硫黄島で実施することになっていました。
 しかしながら、現在、天候不順や硫黄島が遠隔地で不便なことから、アメリカ軍は、いつの間にか厚木、横田、三沢、岩国の本州四基地でのNLPを以前の水準に回復しています。朝日新聞の調査によると、NLP実施回数三千二百十回のうち、実に八〇・四%が本州四基地で行われていると言われます。これに対しては、既に、大和市からはアメリカ軍との友好関係の断絶、神奈川県知事より訓練中止を求める要望書が提出されています。すなわち、この部分だけでも、費用削減あるいは本州四基地での訓練の中止を求めて再交渉すべきではないでしょうか。外相にこのことをお聞きしたい。
 総額六千七百億円の経費負担の中で、なぜこのような少額のテーマを私が問題にするか、疑問を持たれる方もおられるかもしれない。しかし、そうではありません。厚木等基地問題において、明らかにアメリカ側に約束違反があるにもかかわらず、きちんとそれをただし、日本側の主張を貫徹できないことこそ、沖縄における普天間基地移転、そして代替地の十五年の期限問題について、日本政府がアメリカ側にきちんと日本の主張と覚悟とを伝えていないという事実の証左にほかならないではないですか。
 次に、日米安保の対象であり、東アジアの安全保障において、最も緊急かつ重要な問題である北朝鮮との交渉における外交姿勢について考えてみたい。
 まず、米の緊急支援問題があります。北朝鮮の農業が構造的な問題を抱え、慢性的な食料不足にあることは、国連やWFP、世界食糧計画などの指摘からも明らかであります。それに対して人道的観点から食糧援助をすることに異議を唱えているわけではありません。問題は、それがいわゆる拉致問題などの外交課題と組み合わされ、そしてその対象が日本米となっている点なのです。
 まず、人道的食糧援助なら、すぐに調理し食べることのできる小麦粉を国際市場で調達して送るべきでしょう。なぜ日本で玄米の状態で保存されている古米、古々米、超古米を送るのか。そのような古米を贈られて、北朝鮮の人々は果たして日本の援助に感謝の念を持つものでしょうか。私は大変に疑問に思います。
 私は、NGOの代表者としてアフリカに行くことがあります。アフリカで、食料も尽き、山の中をめぐっているときに、現地の人たちからバナナをもらうことがあります。そのときの食糧援助はどんなものでしょうか。それは、そのアフリカの人たちが、自分の畑の中で一番いいバナナを探し、そしてその中の一番いい房を私に分けてくれます。人道的食糧援助というのは、本来そうあるべきものではないでしょうか。
 米の価格においても同じようなことが言えます。タイ産の米ならば日本の米の十分の一の価格、日本がWTOによって購入を義務づけられているMA米でも、日本米の四分の一の価格です。これほど財政状況が悪化し、一円の税金もむだにできない状況で、政府はなぜ、国際価格ならば百二十億円程度の五十万トンの米に推定で千三百億円もの支出を行い、国民の財政負担を増加させるのでしょうか。これは、北朝鮮の人道支援に名をかりた累積古米対策以外の何物でもないではないですか。これまでの長年の農政の失敗のツケを、人道支援の美名にすりかえることは許されない。
 一体どのような米を、どのような価格でWFPに貸し付け、その結果としての一般会計上の負担は一体幾らになるのか、農水大臣の詳細説明をお聞きしたい。
 また、この米支援問題が、いわゆる拉致問題とリンクしていることに深い危惧を感じます。私は長年、危機管理問題の専門家として国際的な誘拐や拉致の問題を研究してきましたが、本来、当事者が水面下で綿密な微調整によって解決すべき問題を、このような形で不用意に、しかも表舞台で交渉することは、日本の外交能力に対して不信感を増大させるだけではなく、まさに拉致された方の生命をも危うくする危険があります。
 米支援の約束、そして拉致の疑いのある者を行方不明者として第三国で発見させるという方法での解決策は、いずれも自由民主党の総務会長であった森総理が団長を務めた九七年の訪朝団で出されたということが次第に明らかになってきています。それを政府の公式見解として理解していいのか、官房長官にお聞きしたい。
 拉致疑惑に関する森総理自身の二転三転する発言、非公式チャンネルを使っての親書疑惑など、国民の政府に対する不信感は極度に高まっています。
 親書疑惑に関しては、我が党の安住淳外務部会長の質問主意書に対し、親書を金正日総書記に送ったことはないと回答がありましたが、それならば、何らかのメッセージを託したのか否か、その内容は何か、官房長官に御回答をお願いしたい。
 当然のことながら、拉致と行方不明であるということは根本的に違います。国民が拉致されるということは、国民の生命財産を守るという我が国の主権に対する明らかな侵害行為であり、それを行方不明というような便法で扱うというようなことは、たとえ雑談の中でも、たとえ雑談の中でも総理大臣が口にすべき表現ではありません。(拍手)
 しかも、党首討論では、我が党の鳩山由紀夫代表に対し、こんなことに過敏に反応する党首の資質を問うとまで言われましたが、森総理の言うこんなこととは一体何か、官房長官の具体的な説明をお聞きしたい。
 外交における情報管理についてもお聞きしたい。
 さきの第三国発見発言について、官邸側が不用意に記者団にブリーフィングしたり、問題が顕在化するや否や、中川前官房長官は説明を二転三転させ、国民や国際社会に不要な憶測、メッセージを送ってしまいました。何よりも、政府のスポークスマンとしての役割を担っている中川前官房長官自身が、みずからのスキャンダルで辞任に追い込まれるなどは言語道断であり、新官房長官には、前長官をめぐる疑惑の真相の徹底解明と、新官房長官としてのあり方についてどのように考えておられるか、所信をお聞かせ願いたい。
 最後に、北東アジアの平和と安全の分水嶺となるであろう二〇〇一年に向けて、また、ようやく見えてきた平和の可能性に、政府はどのようなグランドデザインを描き、それを確保し、担保するためにどのような努力をしているのかを外務大臣にお聞かせ願いたい。
 現在、韓国では、ソウルと新義州を結ぶ鉄道、京義線の再開を南北融和のシンボルとして取り組み、韓国側では既に国境地帯の四〇%の地雷が除去され、早期の路線再開を目指して必死の努力が行われています。
 日朝間には、拉致、謝罪、賠償、ミサイル問題などさまざまな外交課題がありますが、国交交渉の一方で、日本はこのアジアの平和の機会に何もしていないではないですか。例えば地雷除去への貢献は、前小渕政権の外交の目玉であり、百億円を地雷除去対策に使用することになっていますが、この京義線再開のための地雷除去に日本が貢献するという話は聞いていません。
 現在の森政権は、公共事業のばらまきや財政赤字などの前政権のネガティブな面を継承していますが、小渕政権が生み出した数少ない外交成果を何一つ継承していないではないですか。小渕前総理が、たとえパフォーマンスとはいえカンボジアの地雷原に立ち、みずから地雷を探査する装置を持ったことは、アジアの友人から大変な評価を得ています。そして、私もそれに対して誇りを持っている。
 この歴史的な転換点に立って、アジアの平和と安全のために一体政府は何をしているんでしょうか。憲法にあるように、私たちは国際平和を希求し、国際社会で名誉ある地位を得たいと願う。韓国に金大中大統領の太陽政策があれば、北東アジアにおいて恒久的な飢餓と貧困をなくすような独自の平和政策が日本にこそあってしかるべきではないでしょうか。(拍手)
 今、日本に期待されているのは、まさにそうした平和へのイニシアチブであるということを指摘して私の質問を終えます。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#21
○国務大臣(河野洋平君) 御質問にお答えしたいと思います。
 我が国政府は、最近の朝鮮半島を取り巻く好ましい流れを積極的に後押しするために、本年七月に開催されましたG8首脳会議、沖縄サミットでございますが、におきまして、議長国として歴史的な南北首脳会談を後押しし、同時に、国際社会との対話に向けた北朝鮮の動きを歓迎しつつ、一方で、安全保障、人道等に関する国際社会の懸念等の解決に向けて建設的な対応を期待するとの特別声明を出しております。
 また、日朝国交正常化交渉については、韓米両国と緊密に連携し、北東アジアの平和と安定に資する形で、第二次世界大戦後の不正常な関係を正すとの基本方針で臨んでおります。
 政府としては、主張すべきは主張しつつ、粘り強く交渉に当たることにより、一歩ずつ双方の間の大きな隔たりを埋めていくよう努力をしております。
 次に、在日米軍駐留経費負担についてお尋ねがございました。
 本年一月以降、事務的に米側とこの問題で協議をしつつ検討を行うとともに、私の訪米の機会を含め、閣僚レベルでも、その日米安保関係において占める重要性であるとか、米国の節約合理化努力が我が国国民の理解を得るものであるといった点について、種々意見の交換を行ってきたところであります。
 このような検討を経て、九月、ニューヨークにおきまして開催されたいわゆる2プラス2の際に、労務費については現行水準を据え置くとともに、光熱水料等については施設・区域外の住宅分について負担しないこととし、現行の上限調達量から上記住宅分を差し引いた上でさらに一〇%引き下げた値を新たな上限調達量として定めることを内容とする、新たな特別協定に署名をしたものでございます。私としては、これは適切な対応であったと考えております。
 米空母艦載機夜間着陸訓練は、パイロットの練度維持及び向上のため重要なものでありますが、飛行場周辺の住民に対する騒音の影響をできるだけ軽減する必要があると考え、政府としては、可能な限り多くのNLPを硫黄島で実施するよう米側に申し入れてまいりました。その結果、昨年までの過去五年間の硫黄島での実施率は約八〇%となっております。
 しかしながら、本年の現時点においては、天候上の理由等によりまして、硫黄島での実施率は例外的に約二五%となっております。やむを得ない事情によるものとはいえ、政府といたしましては、本年の状況は好ましくないものと考えておりまして、今後とも、できる限り多くのNLPが本州ではなく硫黄島で実施されるよう、既に米側に申し入れをいたしているところでございます。また、先般、コーエン国防長官が来日した際、私からも、NLPについては基地周辺の住民の気持ちに十分配慮することが重要である旨述べたところであります。
 いずれにしても、できるだけ多くのNLPを硫黄島で実施すべきとの点は日米共通の認識であり、NLPに係る訓練移転費について米側との再交渉を行う考えはございません。
 北東アジアの平和と安全に向けての努力につきましてお尋ねがございましたが、我が国としては、韓国、アメリカと緊密に連携しつつ、その促進に貢献していく考えであります。具体的には、南北間、米朝間の対話の進展を強く支持するとともに、日朝間の対話に真剣に取り組み、北東アジアの平和と安定の一翼を担っていく考えであります。
 また、政府としては、これに加えまして、ASEAN地域フォーラム等の機会を通じて、域内各国との二国間あるいは多国間の対話、協力に積極的に取り組み、もってこの地域の平和と安定に寄与する考えでございます。
 対人地雷被埋設国の政府等が行う人道的な対人地雷除去活動に対してお尋ねがございました。
 この除去活動に対しまして積極的に支援を行うとの政府の方針には変わりはございません。御指摘の京義線連結事業における地雷除去は、現在のところ、韓国政府より具体的な支援等の要請はなく、韓国政府が主体的に取り組んでおり、このような状況にあって、我が国がいかなる支援が可能であるかをお答えすることは差し控えたいと存じます。
 また、北朝鮮との関係では、政府としては、我が国の北朝鮮への経済協力は国交正常化交渉の妥結が前提となるとの立場を従来より一貫してとってきておりまして、現時点において、この立場を変更することは慎重たるべきと考えております。(拍手)
    〔国務大臣福田康夫君登壇〕
#22
○国務大臣(福田康夫君) 首藤議員の御質問にお答えいたします。
 米支援の約束との御指摘がございましたけれども、これは政府ではなく、九七年の与党訪朝団の際の話でありますが、昨日の記者会見でも申し上げたとおり、九七年の訪朝団の非公式の場におけるやりとりの過程で、食料困難にある北朝鮮側から一例として希望が示されたものであり、これに対して約束を行った事実はありません。
 また、拉致を行方不明者として第三国で発見されるという解決策が政府の公式見解かというお尋ねですが、政府としては、現時点において、拉致容疑問題について特定の決着方法を固めているわけではありません。
 いずれにせよ、拉致容疑問題は、我が国国民の生命にかかわる重要な問題であり、国交正常化のためには避けて通れない問題であると認識しております。この問題は、国民の納得のいく形で解決することが不可欠と考えており、引き続き国交正常化交渉等を通じて、この問題の解決の糸口を見出すべく粘り強く取り組んでいく決意です。
 総理の金正日総書記あて親書についてお尋ねがありました。
 御指摘のありました質問主意書で御答弁しているとおり、親書を送った事実はなく、また何らかのメッセージも、同様託したという事実はないと承知しております。
 二十五日の国家基本政策委員会における総理の御発言に関して質問がありました。
 御指摘の総理の発言は、日英首脳会談において、中山議員の発言、拉致被害者が北朝鮮以外の場所で出現する、を紹介したことを指したものと承知しております。既に総理が御答弁されているとおり、この発言は、これから北朝鮮との国交樹立を行うという英国の首脳に我が国の立場について十分理解してもらうことが、我が国の対北朝鮮政策上も重要と考え行ったものであり、また、その内容は既に周知のものであり、殊さらに取り上げて云々することは当を得ていないと考えております。
 なお、繰り返し申し上げているとおり、拉致容疑問題は、我が国国民の生命にかかわる重要な問題であり、国交正常化のためには避けては通れない問題であると認識しており、解決に向けて粘り強く取り組んでいく決意であります。
 官邸の情報管理について御質問がありました。
 第三国発見発言についてのブリーフィングが問題であるとの御指摘ですが、既に御答弁申し上げたとおり、内容は既に周知のものであり、そのようなものとして首脳間で話されたことである以上、記者に説明したことはごく自然なことであり、何ら問題はないものと考えます。
 また、中川前官房長官の説明が二転三転したとの御指摘ですが、三年前の議員訪朝団のときの話を紹介した際、個人的発言と説明しましたが、正確ではなかったため訂正したものであり、この点については前官房長官が記者会見で訂正し、おわびしたとおりであります。
 さらに、中川前官房長官の辞任に関連して、真相の解明等御指摘がありましたが、中川前官房長官は、随分昔のことについて、そのときでの記憶をたどりながらまじめに説明されたと受けとめております。
 さらに、中川前官房長官は、法に触れるようなことは一切していないと国会や記者会見の場で明確に否定しております。
 一般論として申し上げれば、捜査の必要性があると判断されれば、捜査当局において、法と証拠に基づいて適切に対応されるものと考えています。
 官房長官は内閣のスポークスマンとしての役割を担うものであり、私といたしましては、正確な情報を的確に発信することに引き続き努力するとともに、反省すべき点は謙虚に受けとめ、国民の信頼を得られるよう努力してまいりたいと考えます。(拍手)
    〔国務大臣谷洋一君登壇〕
#23
○国務大臣(谷洋一君) ただいまの御質問に当たりまして、農林水産省としてのお答えを申し上げたいと思います。
 北朝鮮に対する私どもの五十万トンの援助は、あくまでも人道的見地に立った援助だと思っておりまして、そのつもりで我々は対応しております。
 しかしながら、先ほど来、外務大臣並びに官房長官からお話ございましたように、国際的な変化、すなわち、北朝鮮と韓国、あるいは北朝鮮とアメリカ、そのほかの国々の変化に伴いまして、我が国もそれに対応することとされたことが内閣として決定されたわけでございます。
 米につきましては、国産米を充当し、そして、平成七年並びに八年の米を充当することになっておりますけれども、低温処理をしておりますので、品質においては変わらないと考えております。
 私は、先ほどのお話を聞きながら、昭和二十年代におきまして、進駐軍と言われましたアメリカ軍等から放出物資として小麦をいただいたときに、これはもう要らないものを送ってきたというふうな風潮もございましたけれども、我々は、あの二十年代に飢えをしのいだことは間違いないことであります。
 そのことを思い起こしますと、やはり人道的な見地で隣の国である北朝鮮に援助することは必要なことだと考えております。
 また、WFPの世界食糧計画におきまして二万円ということになっております。そして、我が国の米価との差は二十万でございますから、その差額につきましては、約一千億の支出が必要でございます。多額な金額でございますけれども、やはり人道上の措置としてこれを行うことでございます。
 以上申し上げて、答弁を終わります。(拍手)
#24
○議長(綿貫民輔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#25
○議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        法務大臣    保岡 興治君
        外務大臣    河野 洋平君
        農林水産大臣  谷  洋一君
        国務大臣    福田 康夫君
ソース: 国立国会図書館
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