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2000/11/14 第150回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第150回国会 本会議 第13号
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2000/11/14 第150回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第150回国会 本会議 第13号

#1
第150回国会 本会議 第13号
平成十二年十一月十四日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第八号
  平成十二年十一月十四日
    午後零時三十分開議
  一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑

    午後零時三十四分開議
#2
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#3
○議長(綿貫民輔君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。筒井信隆君。
    〔筒井信隆君登壇〕
#4
○筒井信隆君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、大蔵大臣の財政演説に対し、予算案においてこそ目指すべき新しい国家像、社会像を明確に示すべきであるという観点から、総理並びに関係大臣に質問いたします。(拍手)
 国民の生活をどうするか議論するのが国会です。しかし、総理自身の疑惑、官房長官の疑惑にとどまらず、KSD関係では自民党や労働省などの疑惑もあり、それらを解明するために国会で貴重な時間を大きく割いて議論せざるを得なくしているのは総理自身の責任です。財政構造改革を全く進めず、無責任な国債発行を続けている政策も問題です。だから、七五%の国民も加藤紘一さんも森内閣を支持できないのです。(拍手)
 そこで、冒頭に、この補正予算もITに名をかりたばらまき予算だという意見が自民党内にも多いこと、逮捕者が出て、自民党支部にも家宅捜査が行われたKSD問題では、自民党議員への金の流れが問題になっていること、中川官房長官の任命責任があると八〇%の国民が考えていること、支持率が低下し、政権末期の様相を示しており、不信任案が提出される前にみずから総辞職する意思はないか等々について、お考えをお聞きいたします。
 また、大蔵大臣に、加藤さんの信念と行動についてどう考えているかをお聞きします。
 私は、今、日本は歴史的大転換期に入っていると確信をしております。
 明治維新以来、工業化と中央集権化が進み、石油を初めとした地下資源を大量に使い捨てて地球環境を破壊する、大規模集中型の地下資源使い捨て社会が形成され、一九八〇年代に頂点に達しました。この社会は既に行き詰まっています。ダイオキシン、環境ホルモン、酸性雨、オゾン層破壊、地球温暖化等々は、行き詰まりのあらわれです。この古い社会に対応した中央集権官僚制、東京一極集中の都市構造、地下資源依存の大量生産構造など、政治経済制度は不適合となっており、変えなければなりません。
 小規模分権、小規模分散の地上資源循環社会に転換し、中小企業中心の循環型産業、田園都市、小さな政府、大きな自治体に、つまり循環分権国家に変えなければなりません。
 経済企画庁長官は、九九年の経済演説の中で、「大きな歴史的発展段階の転換」として、明治以来百年余、規格大量生産型の近代工業の育成強化に努めてきた、その目標は一九八〇年代に達成した、ところが、世界経済と人類文化の歴史的潮流は、規格大量生産型の近代工業社会を超越して多様な知恵の時代へ変わりつつある、このため、規格大量生産型社会のためにつくられた制度や慣習の中には今日の社会に不適合なものがふえていると指摘されております。
 総理は、本会議での演説で、IT革命はかつての産業革命に匹敵する革命だと断言され、産業・社会構造の変革に向け迅速な対応をしていかなければならない、早急にIT国家戦略を取りまとめるとも言われております。
 そこで、明治維新以来の大転換期において、何がどのように転換しなければならないのかをお聞きします。
 二十一世紀の日本の全体像を具体的に示していただきたい。また、不適合な制度や慣習とは何かも具体的に指摘し、二十一世紀に向けて創造的に破壊しなければならない旧制度を示していただきたい。
 以上の質問につき、総理、大蔵大臣、経済企画庁長官の答弁を求めます。特に長官には、多様な知恵の時代とはどのような社会なのかを含めて、お答え願います。
 そして、ITは手段であり、日本再生が目的である限り、日本が二十一世紀にどうあるべきかを明確に示して、そのためにITをどう利用するかを示さなければIT国家戦略とは言えませんから、特に総理には、具体的かつ総合的な、あるべき国家像を示していただきたい。
 IT革命によって、情報の生産や流通がどう変わるのかを明確にしなければなりません。
 明治維新以来、印刷、出版、新聞等のアナログ革命が進み、各メディアが極限まで巨大化して、大量の情報が、一部の発信者イコール情報生産者から圧倒的多数の受信者、情報消費者へ届けられるようになりました。大規模集中型の一方向的情報の流れとなり、発信者と受信者が完全に分離されました。
 しかし、ITにより、名もない一人一人の国民が発信者、情報生産者となれます。受信者が同時に発信者でもあり、情報の流れが双方化、循環化します。
 総理は、所信表明演説で、我々の目指すべき日本型IT社会は、すべての国民が情報、知識を共有し、自由に情報を交換することが可能な社会、国民一人一人がネットの主役と言われております。
 そこで、IT革命によって、情報の生産や流通をどう変えようとしているのか、総理にお聞きします。
 情報の共有を目指しているならば、IT革命の成功のためには情報公開が大前提となります。密室政治がはびこり、情報の官僚独占が続くならば、情報の共有といっても全く意味がありません。IT革命を進めるに当たり、情報公開をどのように進めようとしているのか、お聞きをいたします。
 次に、IT革命における政府の役割とは何かをはっきりさせなければなりません。
 総理がIT革命を叫ぶ前から、既に民間はIT革命を進めています。その上に、IT革命の基盤であるインターネットこそ、これだけ全世界に広がり、人類史上最大の通信インフラであるにもかかわらず、中央の管理者がいない典型的な自律分散システムです。個々人が自主的、積極的に情報を受信、発信するのですから、政府が主導する国民運動のような普及は向いておりません。
 大学等の研究機能を強化し、先端的技術等を開発し、民間への技術移転を推進すること、プライバシー保護や知的所有権を確保すること、障害となる規制や独占を撤廃すること等々を政府が行うべきです。あとは民間に任せ、市場原理では抜け落ちる部分を救うべきです。
 しかし、政府の政策を見るとそうなっておりません。例えば、ケーブルテレビ、BS、CS、ADSL、無線ネット等々、多種多様なインフラが共存して発展する中で、光ファイバーにのみ偏り過ぎています。
 大蔵大臣にお聞きしますが、超高速ネットイコール光ファイバーという路線は間違いではないでしょうか。
 それと逆に、技術移転機関や中小企業技術革新制度の予算が余りにも少なく、アメリカの十分の一以下にすぎないのはなぜでしょうか。政府の予算案は、必要なことをしないで必要でないことをしていると言わざるを得ません。
 ITによって、何ができて何ができないかも明確にしなければなりません。ITはあくまで手段であり、主として業務効率向上の役割を果たすものです。新規事業、新規需要が生まれなければ、効率化による労働力削減だけが進み、失業増加というIT化の負の側面だけが浮かび上がってしまいます。
 総理にお聞きしますが、IT基本法には新規事業支援策がなく、雇用ビジョンもありません。失業増加の危険性についてどう考えているのでしょうか。新規需要創出の施策は何を考えておられるのか、お答えをいただきたい。
 バイオテクノロジーによって生命の可能性とバイオマス、生物資源の活用を飛躍的に高めることをバイオ革命と呼ぶなら、それこそ新規需要創出の柱となります。ITはすべての産業の生産性を引き上げ、バイオは医療保健分野や生物資源活用分野で新たな需要を創出します。二つの革命が車の両輪となれば、日本経済の新たな成長が実現できます。
 さらに、バイオ革命によって、生物資源をエネルギー源、工業原材料、医薬品等として再生しながら活用する資源循環社会に転換をできます。
 バイオ革命は、地球温暖化対策としても必要です。地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、ダイオキシン、環境ホルモン等、地下資源の大量使い捨てから起こっている容易ならざる二十一世紀最大問題を解決するために、地上資源を育て活用する循環社会の形成が急務であり、バイオ革命が必要です。
 総理も、循環社会の構築など環境問題への対応と言われておりますが、総理の循環社会とはごみ適正処理リサイクル社会にすぎません。地球環境問題がごみ処理の方法で解決するような、生易しいものではありません。産業と生活のあり方を含めた社会構造全体を変換しなければなりません。
 さらに、農業、農村、過疎対策としても、農業、植物資源を活用するためのバイオ革命が必要です。
 また、地下資源の枯渇対策としても、バイオ革命によって地上資源を活用することが必要です。地下資源は、子孫からの預かり物として子孫のために残さなければなりません。
 そこで総理に、バイオ革命が必要であり、それとIT革命が車の両輪であると考えないか、お聞きします。
 次に、IT革命とバイオ革命が成功するための前提条件である小規模分散、分権社会についてお聞きをします。
 明治維新以降、工業化とともに頂点まで進められたのが大規模化、中央集権化です。地下資源依存の大量生産構造と大量かつ一方向的な情報の流れは、経済も都市も政治もすべて中央の一点に集中する大規模集中のシステムをつくり上げました。バイオ革命により、各地域に分散している地上資源を循環活用し、IT革命により、各地域から情報を発信、受信する循環社会をつくり、経済も都市も政治も小規模分散、分権型にすべきです。
 大蔵大臣にお聞きしますが、自治体の独自課税、国税の地方移譲により、現在の国税六、地方税四の配分を少なくとも四対六に逆転して、分権社会に近づけるべきではないでしょうか。
 次に、リサイクル社会についてお聞きします。
 地上資源は、その常温常圧加工でもその生産物の消費でも廃棄物を出さず、出しても自然循環の中に組み込めます。バイオ革命によって、そのような地上資源活用の比率を高めることができます。地下資源の高温高圧加工からは廃棄物が多量に出るだけではなく、その廃棄物は捨てても腐らず、燃やせばダイオキシンを大量に排出いたします。しかし、バイオ革命により、それらを処理する微生物等の技術を開発することもできますし、IT革命により廃棄物を資源として活用する機会も増大します。
 少なくとも、ごみについての焼却主義は直ちにやめるべきです。
 総理にお聞きしますが、我が国はこれからも相変わらず焼却大国を続けていくのでしょうか。一般廃棄物の八割を焼却していますが、欧州は四割以下です。リサイクルを主流に焼却とうまく組み合わせ、どのごみをどう燃やし、どうリサイクルするかという総合的な戦略がありません。あるなら示していただきたい。総合的な戦略がない原因の一つは、厚生省が焼却を、通産省がリサイクルを受け持つという縦割り行政があります。これも変えるべきです。
 以上申し上げましたように、循環分権社会は、IT革命による情報の双方化、循環化……
#5
○議長(綿貫民輔君) 筒井信隆君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#6
○筒井信隆君(続) バイオ革命による地上資源の活用と循環化、政治、経済、社会の小規模分散化、リサイクル化という四本柱で成り立ち、社会構造全体の変革を前提としています。ところが、総理を初め多くの人は、循環社会というと廃棄物適正処理リサイクル社会のことだと誤解をしています。政府・与党提案の循環型社会形成推進基本法も、同じ誤解をしています。
 しかし、公明党案は、地球環境、自然保護、エネルギー、都市構造を含めた、社会構造全体の変革の問題としてとらえている画期的なものでした。
 そこで、公明党の総務庁長官にお聞きします。
 画期的な公明党案をなぜ捨てて、政府提案に妥協してしまったのでしょうか。他の場合でもそうですが、連立によって公明党のよさが削られています。公明党のためにも連立を解消すべきではないかをお聞きして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(森喜朗君) 今回の補正予算がばらまき予算ではないかとの御指摘がございました。
 日本新生のための新発展政策は、規制改革などの法制度の整備、二十一世紀の新たな発展基盤の整備など、時代を先取りした経済構造改革を推進する包括的な政策であります。また、これを受けた補正予算では、IT革命の推進、環境対応、高齢化対応、都市基盤整備の重要四分野に社会資本整備の三分の二以上を集中させるとともに、IT基礎技能講習、災害対策、中小企業等金融対策、住宅金融・雇用対策等、国民生活に直結するような措置を盛り込んだところであり、ばらまき批判は当たらないと考えております。
 なお、補正予算の必要性及び内容については、与党においても十分な御理解を得られているものと考えております。
 ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団に関連してお尋ねがありました。
 ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団に関しましては、現在、同財団前理事長等の横領容疑で捜査中でありまして、私の立場としては、これを見守りたいと考えております。
 なお、自由民主党の党費につきましては、党において適切な手続を経て処理されているとの報告を受けております。
 中川前官房長官の辞任に関連してのお尋ねがありました。
 本件につきましては、中川氏個人にかかわる、官房長官就任よりも随分と以前のことでありまして、あらかじめ予想はできなかったことでありますが、こうした事態になったことはまことに遺憾であり、私としても重く受けとめております。
 国民の負託を受けて内閣を預かる私としては、臨時国会における補正予算案等の重要案件の処理に全力を挙げて取り組むとともに、もう一押しというところまで来た景気を本格的な回復軌道に乗せるほか、IT革命への対応、教育改革や社会保障改革の実行など、国民の声に耳を傾けつつ、国民が求めている政策を着実に遂行することで私の責任を果たしてまいりたいと考えております。
 内閣不信任案が提出される前に総辞職する意思についてのお尋ねがありました。
 国民の負託を受けて内閣を預かる私としては、臨時国会における補正予算案等の重要案件の処理に全力を挙げて取り組むとともに、もう一押しというところまで来た景気を本格的な回復軌道に乗せるほか、IT革命への対応、教育改革や社会保障改革の実行など、国民が求めている政策を着実に遂行することが私の責務であると考えております。もとより、内閣総辞職を行う意思はありません。
 二十一世紀の日本の全体像についてお尋ねがありました。
 戦後、日本は高度成長を達成しましたが、グローバル化、情報技術革命、少子高齢化、環境問題の高まりなどの変化の中で、これまでの物の考え方やシステムには時代に適合しなくなっているものが多く見られます。私は、かねてから、二十一世紀に目指すべき日本の将来像として、安心して夢を持って暮らせる国家、心豊かな美しい国家、世界から信頼される国家をお示しするとともに、その具体的な戦略として日本新生プランを提唱してまいりました。
 IT革命に関しては、インターネット等によるネットワーク化が急速に進展する結果、産業革命以降の物の大量生産、大量消費を基礎とする経済社会から、情報と知識が付加価値の源泉となる新しい社会へと移行させるものであります。IT革命に対応し、目指すべき日本型IT社会は、すべての国民がデジタル情報を基盤とした情報、知識を共有し、自由に情報を交換することが可能な社会であります。その実現こそが、豊かな国民生活の実現と我が国の競争力の強化、それを実現するためのかぎであると考えております。
 もとより、私が提唱する日本新生は、こうした分野にとどまるものではありません。御指摘のように、深刻化する環境問題に対しては、環境への負荷の少ない循環型社会を構築する必要があります。そのほか、教育や社会保障の分野でも、新しい時代にふさわしい仕組みを構築していくことが必要であります。日本新生は、我が国経済社会全体の構造改革を目指すものであり、私としては、時代の要請と乖離する仕組みについては、一つ一つ新しい時代にふさわしいものへと改革していく姿勢が大切であると考えております。
 IT革命による情報の生産、流通に関するお尋ねでありますが、IT革命は、情報の生産や流通について、その費用と時間の劇的な低下をもたらすものであり、このことにより、すべての国民が、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて、自由に多様な情報を世界的な規模で入手、共有、発信することが可能となるものと考えております。
 こうした情報と知識が付加価値の源泉となる新しい社会の構築のため、私は、基本戦略として、超高速インターネット等ハードウエアである施設の整備、ソフトウエアでありますIT利用技能の向上策、情報の中身たるコンテンツの三本柱を同時並行的、かつ飛躍的に拡大、発展させることが重要であると考えており、今次補正予算におきましても必要な経費を計上しているところでありますが、今後とも、IT革命の飛躍的推進のため、各種施策を推進してまいる所存であります。
 情報公開についてのお尋ねがありました。
 私は、目指すべきIT社会とは、すべての国民がデジタル情報を基盤とした多様な情報、知識を共有し、これらを自由に交換することが可能な開かれたネットワーク社会であると考えております。
 このようなIT社会におきましても、行政情報の公開は、政府の説明責任を全うする観点から重要であると認識いたしております。来年四月には情報公開法が施行されるところでありますが、各省庁のホームページ等による行政情報の電子的提供にも積極的に取り組み、より開かれた行政の一層の実現に努める所存であります。
 IT革命に伴う失業率の増加の危険性と新規需要創出の施策についてのお尋ねでありましたが、現在御審議いただいております基本法案におきましては、高度情報通信ネットワーク社会の形成の基本理念として、新たな事業の創出、新たな就業機会の創出及び雇用その他の分野における新たな課題への対応を規定いたしており、今後これらの基本理念に沿った施策を推進していくところであります。
 IT化の推進が雇用に及ぼす影響としては、企業の情報化投資による業務の効率化に伴う雇用減が見込まれる一方で、IT関連の新たな産業の創出等による雇用へのプラス効果が期待されているところであります。
 このため、IT化に伴う人材ニーズの変化に的確に対応し、労働需給のミスマッチを解消する観点から、IT時代にふさわしい職業訓練制度を確立するとともに、新たな産業の創出支援策として、ベンチャー企業等に対する資金面、人材面、技術面での支援措置を拡充したほか、多様なニーズに応じてきめ細かく支援を行う体制の整備等の措置を積極的に講じているところであります。
 バイオ革命が必要であり、それとIT革命は車の両輪との御指摘がありました。
 バイオテクノロジーはITと並んで次世代産業を生み出す重要分野であるとともに、ITを活用したヒトゲノム解析の進展に見られるように、バイオとITの発展は不可分な関係を有していると認識いたしております。
 このバイオ分野における国際競争に打ちかつため、本年度から、関係省庁が連携し、遺伝子機能の解明を中心とする産学官共同プロジェクトを推進しているところであります。
 今後とも、IT革命とともにバイオの推進にも取り組むことで、我が国のバイオ産業の国際競争力を確保するとともに、革新的な医療の実現や、食料、環境問題の解決といった人類の直面する課題を克服するべく努力してまいる所存であります。
 廃棄物対策についてお尋ねがありました。
 我が国は、国土が狭くまた温暖で廃棄物が腐敗しやすいため、大幅に減量化でき衛生的な焼却処理を基本といたしておりますが、循環型社会を構築するため、リサイクルを推進することが必要であると考えております。
 こうした中で、政府としては、平成二十二年度を目標として、焼却量を平成八年度に対し約二割削減することといたしており、今後、循環型社会形成推進基本法等に基づいて、総合的な廃棄物・リサイクル対策を講じてまいります。
 廃棄物・リサイクル分野における縦割り行政を改めるべきだとの御意見でありますが、今回の行政改革においては、環境省を設置し、廃棄物行政を一元化した上で、リサイクル行政についても共管の形で環境省が所管することとされたところであります。このことによって、環境省がリーダーシップをとって、循環型社会形成推進基本法に基づく施策を総合的かつ計画的に推進できるものであると考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#8
○国務大臣(宮澤喜一君) 加藤紘一議員の発言につきましてお尋ねがございました。
 先日、同議員から詳しく心境を伺いましたが、私からは、大蔵大臣として、現在経済が、民需へのいわゆるバトンタッチを期待される中で、消費、雇用が微妙な状況にありまして、そのゆえに今こうして補正予算を御審議いただいておるような大事な状況でありますので、この際、政治の空白を生むようなことは国民生活や経済活動に与える影響が大きいので、憂慮しているということを申し上げました。ただいまもそのように考えております。
 次に、今我が国が非常に大きな転換期にあって、この転換についてのビジョンをどういうふうに考えるかというお尋ねでございましたが、これは、総理がただいまお答えになられましたし、また堺屋経済企画庁長官も後にお答えになられるので、別の観点から感じておりますことを申し上げます。
 このごろしばしば、アメリカのグリーンスパン連銀議長に会いますとこういう話をいたします。グリーンスパンが言いますのに、アメリカの経済の年間の生産性の向上というのは経験的に大体一%であった、しかし、今四%、五%と、話が時によって変わってくるわけですが、非常に上昇しておって、それはいろいろに考えてみても、インフォメーションテクノロジーとそれに伴う労働の流動性によると考えざるを得ない。
 これをニューエコノミーと呼んでいいかどうかは少し時間がたたないとわからないけれども、経済社会の変貌が著しいということを、現実に自分の見ているところを言うわけでございますが、我が国はこの分野に立ちおくれて、これから何とかして二十一世紀に向かっていかなきゃならないという努力をいたすところでございますので、したがって、同じようなことがアメリカと同じように起こるかどうかは別といたしまして、しかし、このITを進めていきますと、経済社会というものが非常に変貌するだろう、殊に雇用ということになりますと社会一般ということになりますが、そういうことにも影響が及ぶことは、恐らく我が国がこの改革に成功すれば起こってくる事態と考えなければなりません。
 したがって、こうやって御審議いただいております予算におきましても、IT関連、あるいは環境、高齢化、都市対策等々をお願いをしておるわけでございますので、そういう大きな変化に我々が対応を間違いなくすることによって二十一世紀における日本の将来というものがある、私はそういうふうに考えております。
 次に、超高速ネットの整備について、最近の光ファイバー以外の高速通信技術の進展にお話がございまして、政府も、高速インターネット接続を可能とするいわゆるデジタル加入者線、DSLでございますか、デジタル・サブスクライバー・ラインというのでございますか、それを実施するために必要な設備を整備する民間事業に対する補助を行うことといたしました。これによりまして、民間主導の原則のもとに、光ファイバー網以外の高速情報通信インフラの整備が一層できるものと考えております。
 それから次に、技術移転や中小企業技術革新制度、それを強調しているが、中小企業に対する予算が余りにも少ないという御指摘は、いわゆるデジタルデバイドと言われる問題でございます。それは、国と国との間でなくて、その国の企業間にも起こり得ることでございますから、極めて注意しなければならない御指摘だと思います。
 現に、中小企業者に対するコンピューター支援設計等の研修を実施する事業費であるとか、あるいは大学等における研究成果を民間事業者へ移転するための支援であるとか、あるいは国等の研究委託費や補助金の中小企業に対する支出目標額を増加する、百三十億円をいたしましたが、このようにして政府としてはこの問題について極めて注目しながら予算措置を講じているところでございますが、時間とともにそういうデバイドが表面化する可能性は確かにございますので、十分私ども注意して対応をいたさなければならないと思っております。
 それから、自治体の問題についてお話がございました。自治体の独自課税あるいは地方税財源についてお話がありまして、現状は、まさにおっしゃいますように、自治体の財政というのはもう非常な危機にございますが、実は国も同じようなことでございますので、昨年もことしも、予算編成につきまして、自治大臣と特に地方財政について御相談をいたしました。それはかなり画期的な財政措置をしておるのでございますけれども、しかし、やはり結局継ぎはぎにすぎないという感じが深うございます。
 結局、これは基本的なやはり財政改革の中で、中央と地方の行財政をあわせましてやりとりをしなきゃならない事態だと思いますが、その七、三、六、四というようなこともそのようなことの中からの御発想と思いますが、実は、国にもそれだけのことをする力がないような現状でございますから、ここはやはりこの行財政をあわせてやがてこの問題を考えなければならない、そういうようなことにつきまして、これはいわば基本的な財政改革の一番大きな課題の一つである、こう考えておるところでございます。(拍手)
    〔国務大臣堺屋太一君登壇〕
#9
○国務大臣(堺屋太一君) 二十一世紀の日本経済の姿についてお尋ねがありました。
 世界の文明は、規格大量生産の時代から多様な知恵の時代へと変わりつつあります。ここでは、さまざまな創造力、広範な情報、志のある決断など、知恵によって生み出される価値が、経済の成長と企業の利益と人々の満足の主要な源泉になるでしょう。
 二十一世紀初頭に築くべき経済社会は、こうした多様な知恵の時代にふさわしく、自由な競争によって社会全体を常に新しく改善するとともに人的能力を高めることで、少子高齢化、人口減少の中でも夢と活力を維持できるようなものでなければなりません。同時に、失敗者や弱い立場の人々の人権と尊厳を守る安全ネットを設ける一方、環境とも調和した循環型の世の中にすることが大切です。
 また、二十一世紀に向けて不適合な制度や慣習とは何かとのお尋ねがございました。
 日本には、規格大量生産型社会のためにでき上がった制度や慣習がさまざまとあります。現行の企業法制、企業年金、雇用環境などもその一つであります。今後は、そのあり方を根本から見直すこととし、商法の改正、確定拠出型年金の導入、インターネットの活用による職業紹介、新しい高度技能の付与などを通じて、社会経済のシステムを時代に適合したものに変えていくことが重要であると考えております。(拍手)
    〔国務大臣続訓弘君登壇〕
#10
○国務大臣(続訓弘君) 筒井議員の御質問にお答え申し上げます。
 循環型社会形成に関する、公明党に対して高い御評価をいただきまして、大変ありがとうございました。その上で、連立参加の是非についてのお尋ねがございました。
 昨年十月の連立政権発足時に、平成十二年度を循環型社会元年と位置づけ、基本的枠組みとして法制化を図ると連立与党が合意し、これを受けて循環型社会形成推進基本法がまとめられたと承知しております。基本法制定に当たりましては、公明党の主張が数多く盛り込まれており、立法化を主導、推進してきたと考えております。
 また、公明党が連立政権に参加したことで、交通バリアフリー法、児童虐待法など、多くの主張が政策に反映されてまいりましたが、連立政権の中でさらに、IT基本法、環境対策、高齢化対策、都市整備あるいは特殊法人改革、公務員改革など、一連の大胆な行政改革に取り組み、実現してまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(綿貫民輔君) 中塚一宏君。
    〔中塚一宏君登壇〕
#12
○中塚一宏君 自由党の中塚一宏と申します。
 私は、自由党を代表して、財政の諸問題並びに補正予算案に対して質問をいたします。
 まず、補正予算の歳入面について伺います。
 今回の補正予算編成に当たっては、国債発行額を抑制するため、前年度剰余金を国債整理基金へ繰り入れず、全額を財源としております。また、新発債の内容は、二年債、五年債が中心で、十五年債は変動利付債という極めて変則的なものであります。
 一度短期債を発行すれば、長期債に乗りかえることは容易ではなく、借りかえを頻繁に行わなければならなくなります。短期債の発行は、一見利率は低いように見えても、結果的にはかえって償還コストをふやすことにつながり、将来の国債費の増加要因そのものであります。
 本来、今のような低金利のときには、剰余金を将来の償還に充て、長期債にウエートを置いて新発債を発行した方が、長期的な金利負担は低下するはずであり、それが国債管理政策の原則であります。にもかかわらず短期債を中心にするのは、目先の需給悪化を懸念する余り、かえって長期的な金利負担をふやしていることにほかならないのであります。
 また、地方自治体の財政を賄う地方交付税特別会計は、借入金が年度末で三十八兆円あり、もはやその財源は交付税ではなく借金であります。公共事業などの追加に伴う地方自治体への財源措置についても、地方交付税交付金によって追加公共事業の財源を二〇%を手当てすることとしているものの、交付金の半分以上を翌年に繰り越すこととしており、その使途が明確になっておりません。
 国債を引き受ける立場、つまり、お金を貸す立場からいえば、返ってくるかどうかわからないお金を貸す人はいるわけがありません。あわせて、時価会計の導入によって、金融機関は保有国債の評価損に神経質にならざるを得ないのであります。国債の円滑な消化が懸念されるということは、言いかえれば、返済のビジョンを明確にしろというメッセージであって、今すぐに返済できなくても将来は必ず返済できるということを、政策によって強くアピールする必要があります。
 大蔵大臣にお伺いします。
 剰余金の繰り入れ停止と短期債の発行は、将来の財政赤字増大につながるのではないですか。折しも、来年度から財投債の発行が予定されております。マクロで見れば、現在我が国は貯蓄過剰であり、民間企業の資金需要も低調であることから、直ちに需給関係によって長期金利が上昇するとは考えにくい状況にありますが、将来の需給悪化への懸念が、現在においても国債市場の不安定要因となっているのではないですか。大臣の御見解を伺います。
 次に、歳出面について伺います。
 当面、景気回復が大切であることは言うまでもありません。平成九年の政策運営の失敗を繰り返してはならないのであります。そのための公的な需要追加や金融緩和といった政策自体を否定するものではありませんが、それだけで日本経済が本格的な回復軌道に乗るとは到底思えません。我が国経済混迷の原因は構造問題にあるのであります。
 また、経済の構造改革と同時に必要なのは財政の構造改革であり、それは経済構造改革と同時に進行させるべきであると考えますが、総理の御所見を伺います。また、総理の言われる経済構造改革とは具体的にはどういうことなのかをお聞かせください。
 問題なのは、たび重なる経済対策によって国、地方とも財政システム全体に対する信用力が低下しているということであり、このままのシステムで資金のやりくりを続けるのはもはや限界であります。
 また、借金返済については景気が回復してから考えるというのでは論外であります。景気が悪くなったから需要追加策を実施する、景気がよくなったから財政健全化に着手するというのではなくて、両者を同時に進行させ、財政システムに対する信用を回復させるべきであります。
 また、財政の健全化とは、国民負担の増加によって財政赤字を埋めるというものではありません。財政の仕組み、お金の出し方を変える、そのことによって効率的な財政支出を行えるように行政、税制を含めて改革することであって、これこそが本来の財政構造改革であります。
 具体的には、十年間で二五%の国家公務員削減を着実に実施し、あわせてその仕事を減らしていくこと、つまり規制撤廃の推進であります。国の権限を大幅に減らして民間にできることは民間に任せること、国の権限を簡素化した上で地方に移譲することが必要であり、フェアな競争が促進されることによって経済構造改革にも資するものであります。
 また、地方財政については、地方債の元利償還を国が負担するようなことなしに、地方自治体独自の信用力によって資金調達が可能となるようにしなければなりません。地方自治体の広域化、合併化を図り、全国の市町村を三百程度の市に再編して、その上で独自税源を与えるべきであります。
 あわせて、公共事業については、事業補助金相当分を一括して交付する制度を創設して、身の回りのことはすべて地方に任せ、本当の地方分権を確立するべきであります。
 また、公共事業を実施する以上、その財源が公債であれ税金であれ、維持管理を含めた費用対効果の原則から公共事業評価の客観的な基準を明確にした評価法の制定を行い、社会的に有用な公共財に対して投資を行わなければなりません。
 これらの改革によって、我が国が間もなく直面する公務員の大量退職や社会資本の更新、いわゆるストック循環にも対応できるよう準備をしておくべきであります。
 以上申し述べた改革によって、国、地方の歳出を少なくとも一割、十五兆円の削減を段階的に実施して、新発債の削減、基礎的財政収支の均衡を目指すべきであります。大蔵大臣の御所見を伺います。
 次に、税制改革について伺います。
 将来の財政支出増要因の一つに、高齢化の進展による社会保障経費の増大があります。現行の給付水準を維持しようとすれば、保険料負担は五年後には現在の一・六倍、十年後には二・二倍に引き上げられることになりますが、社会保険制度への不信や不況の影響によって、今後も保険料の未納、未加入者がふえることが予想されるため、保険料負担は予想以上に重くなる可能性があります。消費税の使途を基礎年金、高齢者医療、介護の三分野に限定し、負担の公平化と基礎的社会保障の財政基盤を強化するべきであります。
 そもそも、保険料は特定財源の性格を持っております。完全捕捉困難な所得を賦課標準とし、高額所得者には頭打ちなどがある保険料方式よりも、賦課ベースの広い消費税方式の方が公平であり、そして国民一人当たりの負担を抑制することが可能となります。あわせて、保険料徴収コストも抑制することが可能であり、少子高齢化社会にはふさわしい制度と考えます。
 また、特定財源として消費税方式を導入する場合には、簡易課税制度などは廃止して、益税問題を解消するべきと考えます。消費税率、つまり保険料率については、給付水準と関係することであり、国民の議論、判断にまつべきであります。
 所得税、住民税についても、各種控除を原則廃止し、手当に改めた上で、税率構造の簡素化と税率の引き下げを実施し、たとえわずかな額であっても国民全員が自分で納税できる、わかりやすい公平な税制とするべきであります。控除を手当に改めることによって、負担の調整を図ることができ、あわせて政策目的がより明確となります。
 また、ここ数年来、補正予算による公共事業の追加が恒常化しておりますが、公需から民需への円滑なバトンタッチを目指すのであれば、公共事業費を圧縮するなり、あるいは陳腐化している租税特別措置を廃止するなりし、それらを財源にして、償却制度の適正化など税制全体の均衡を図った上で、法人税率をさらに引き下げるべきであります。大蔵大臣の御所見を伺います。
 最後に、財投機関、特殊法人についてであります。
 財政投融資の規模が余りにも大きくなり過ぎたために、長期的に民間部門の資本蓄積が不足し、それが経済成長の鈍化と生産性の低下を招いているのではないかと懸念を抱かざるを得ません。
 財投機関は、本来有償資金であるはずの郵便貯金などを原資として運営されていますが、報道によれば、七つの政府系金融機関が抱えるリスク管理債権は三兆七千億円に上るとのことであります。
 また、純資産額がマイナスの特殊法人も多数ありますが、政府系金融機関が倒産しないのは、それが公的機関であるからであり、最終的には欠損を税金によって補てんするという前提があるからであります。また、地方交付税特別会計の借入金にしても、その大部分は財政投融資に頼っています。
 これまでは、有償資金であっても、ニューマネーが次々と入ってきたので帳じりは合っておりますが、ほとんど追い貸しに近い状態であって、最終的には税金による補てんがなければ、郵便貯金など財投の原資の元本が返ってこない場合があることを示しております。
 新財投にウエートが移る前に、直ちに特殊法人の財務内容をディスクローズして、事業内容の政策評価を行い、二十一世紀初頭の日本財政のリスクを特定しておくべきであります。その上で、不要な特殊法人から順次廃止をしていくべきと考えます。大蔵大臣の御所見を伺います。
 今、未曾有の財政の危機にあって、最も求められていることは、政策体系に対する信頼を取り戻すことであります。既存の制度をどう手直しするかではなくて、白紙に絵をかくように、更地に家を建てるように、まさに従来の発想にとらわれない大胆な政策、つまり日本一新が必要であることを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#13
○内閣総理大臣(森喜朗君) 経済構造改革と財政構造改革を同時に進めるべきとの御指摘がございました。
 我が国の財政は厳しい状況にありまして、財政構造改革は必ずなし遂げなければならない課題でありますが、まずは経済を自律的な回復軌道に乗せるため、景気回復に軸足を置いた経済財政運営を行っていくことといたしております。
 同時に、財政が将来も持続可能な仕組みをつくり上げるための準備を今から始めるとの観点から、財政の透明性の確保を図り、効率化と質的改善を進めながら、我が国の景気回復をより確かなものとし、その上で、税制のあり方、社会保障のあり方、さらには中央と地方との関係まで幅広く視野に入れて取り組んでまいりたいと考えております。
 また、経済構造改革の具体的な内容につきましては、情報化、高齢化、環境対応など大きな時代の変化に対応し、民間の経済活動が自由濶達に行われるような環境を整備することが重要であります。
 こうした観点から、具体的には、IT革命の推進に全力で取り組むとともに、産業新生会議における議論を踏まえまして、企業法制の見直しや企業年金、資金調達、雇用システムのあり方等について検討を加え、年内に経済構造改革の具体的な行動計画を取りまとめることといたしております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#14
○国務大臣(宮澤喜一君) 具体的な問題について数点お尋ねがございましたので、一つ一つ申し上げます。
 このたびの特例措置でございますが、国債をめぐる諸情勢で判断いたしまして、新たな国債の発行はできるだけ抑制したいということも考えまして、こういうことをさせていただきました。
 そこで、おっしゃいますように、今度発行いたします一兆九千九百億円余り、これは、御指摘がありましたように、十五年債が四千億、五年債が八千億、二年債が七千九百億で、市場のいろいろ動向も見まして、受け入れられやすいものをということも考えながら発行年限を工夫しておりますが、御指摘のように、当面のことばかり考えると、短期のものは償還期間がすぐ来る、そのときにまた問題があるのだからよく考えてやれというのは、幸いにして今、国債の市場は悪くございませんけれども、将来のことも考えまして、十分その点は注意をいたします。御注意の向きは、よく私どもも考えていかなければならないものと思います。
 それから、財投債でございますが、これにつきましても新しい要素が出るわけでございますが、これも、御承知のように、郵政省と厚生省といろいろ御相談をいたしまして、資金運用部の既往の貸し付けを継続するために必要な財投債については、これは七年間の措置でございますが、当面引き受けてもらう、あるいは、新規財投債については二分の一程度を引き受けを願うということで、当面のそういう対策をいたしております。
 しかし、ここでも新しい財投債あるいは財投機関債というものも考えられますので、市場の様子が変わってくる可能性がありまして、御指摘のように、発行者として十分考えていかなければならない問題がございます。それはよく注意をいたします。
 それから、将来の国債につきましていろいろ御心配があり、また四点お挙げになって、そういうことを考えるべきではないかということもございました。
 しょせんは財政改革をいつやれるかということでございますが、結局、税制のあり方あるいは社会保障のあり方、中央と地方の関係等々を総合的に、何と申しましてもただいまはまだ、年初に考えました税収が足りなくなりまして減額補正をずっとしてまいったような財政状況で、今度初めて幾らか見積もり増を補正に計上させていただいておるくらいでございますので、成長がはっきりいたしまして、税収が少しずつでもふえ始めるという状況を確かめまして財政改革に入りたい。
 それで、幾つかの問題の御指摘がありまして、国家公務員については十年間で二五%の削減を行う、あるいは市町村の合併につきましてもその推進を図ってきたところであります。公共事業の補助金につきましては、統合補助金などもいたしておりますし、また政策評価についても費用対効果の分析をやっております。
 御指摘のような四点については、皆、政府も大切だと思っていたしておるところでございますが、なおこれを徹底いたしますことによって、国債の発行につきましても幾らかでも縮小していく方向に進まなければならないと思っております。
 それから、消費税の使途を基礎年金、高齢者医療、介護の三分野に限定できるかということにつきまして、先般まとめられました社会保障構造の在り方についての有識者会議の報告では、生活困難のリスクに対する事前の備えを共同で行う社会保険方式に置くべきであるというような意見がございました。
 いずれにいたしましても、先ほども申しましたが、これは財政改革との関連におきまして、しかもその中の一つの中心の課題と考えておりますので、御発言の趣旨は十分そのようなことで考えさせていただかなければならないと思います。
 それから次に、所得税、住民税の控除についてのお話は、控除は原則として廃止して手当に改めたらどうかということでございました。
 これにつきましては、少し私ども違った考えを持っておるかと思いますが、やはり所得税というのは一番基幹税でございますから、いろいろ人的控除を適用することによって世帯の構成というようなことから納税者側の負担能力といいますか、いろいろな事情に配慮した適正な税負担をお願いしているという、それが控除の役割でございますので、これを手当に置きかえるということになりますと、そういう個人所得の負担能力についての調整機能が失われることになるという問題を、御承知のように持っておるわけでございます。
 次に、税率構造につきましては、これはいろいろ議論のあるところでございます。これはいろいろにこれからも考えていかなければならない問題と思いますが、例えば本年七月の政府税調の中期答申では、やはり累進性というものを考えると課税最低限が余り高いことは望ましくないということを言っておりまして、容易な問題ではございませんけれども、そのような問題もあることも申し上げておきたいと思います。
 それから、バトンタッチを考えるときにやはり、租税特別措置法、これは一種の例外措置でありますが、減価償却制度というものをもっと働かせることが必要だとおっしゃいます点は、そのとおりと思います。それによって法人税率の引き下げを図る。平成十年度もそういたしましたし、十一年度もさようにいたしました。それによりまして法人税率そのもの、実効税率は既にかなり下がって国際水準並みになったということに考えておりますので、これ以上法人税率を下げることは、私ども、どうであろうかと考えておりますけれども、しかし、今の償却の問題とかいろいろ改善すべきことはたくさんございますので、引き続き検討させていただきたいと思います。
 それから、特殊法人のディスクロージャーでございますが、透明性の観点、現在、財政制度審議会において、特殊法人といえども民間企業同様の活動を行っている場合が現にかなりあるし、そうした場合に民間と同様の財務諸表を企業会計原則に従って作成することは必要であるし、また意義があるということで、それは十分検討を進めております。
 それから、あわせて、政策評価等の評価機能の活用につきましても検討を進めてまいりたいと思っております。
 大変短うございますが、一つ一つの点につきまして考えておりますことを申し上げました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#15
○副議長(渡部恒三君) 佐々木憲昭君。
    〔佐々木憲昭君登壇〕
#16
○佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表し、財政演説について質問いたします。
 森総理は、経済の現状について、景気はまだ楽観できず、今は景気回復の軌道に乗せるための大事な正念場だと述べておられます。問題は、経済の症状と体力に見合った処方せんを描き、的確な治療を施すことであります。ところが、今回森内閣の提出した補正予算案は、内容の上でも規模の上でも、重大な問題を含んでおります。かえって日本経済の容体を悪化させる危険性さえ持っていると言わなければなりません。
 その第一の理由は、GDP、国民総生産の六割に相当する個人消費の長期的低迷に対し、何ら有効な対策が打ち出されていないことであります。
 政府の月例経済報告でも、個人消費は足踏みあるいは横ばいといった判断が続いております。大蔵大臣の財政演説でも、企業部門中心に回復の動きはあるが、「依然として雇用情勢は厳しく、個人消費もおおむね横ばいの状態が続いております」と指摘しております。政府が先週発表した月例経済報告でも、家計部門の改善がおくれているとして、経済見通しを二年二カ月ぶりに事実上下方修正したのであります。
 そうであるなら、個人消費をどのようにして温めるか、これが景気回復にとって決定的な課題だと言わなければなりません。総理が、景気回復の正念場だ、もう一押しと言うなら、改善が決定的におくれている家計部門を温めるために全力を傾注すべきではありませんか。答弁を求めます。(拍手)
 ところが、提案された補正予算案に盛り込まれた内容を見ると、個人消費にかかわるものは、災害対策や住宅対策などごく一部にすぎません。それも、国民の期待とはほど遠い内容であります。
 今災害対策で緊急に求められているのは、有珠山、三宅島の噴火、東海地域の豪雨、鳥取西部地震などで深刻な打撃を受けている方々に対して、生活、住宅支援、就労機会の確保、中小企業の経営支援など、個人補償にもしっかり踏み込んだ実効ある施策を進めることであります。厳しい冬場を控え、国民の生きる希望を支援するため、これら関連予算を抜本的に引き上げるのが政治の務めではありませんか。総理の決断を求めるものであります。
 個人消費の拡大にとって重要なのは、高齢化社会に向けて国民の不安を解消することであります。多くの国民は、介護、医療、年金など、この面での不安を抱えております。マスコミの世論調査でも、老後の不安を感じているという人は七四・八%にも上っております。これが、貯蓄率を高め、消費性向を引き下げ、景気を冷やす大きな原因になっているのであります。
 ところが、提案された補正予算案には、介護、医療、年金の改善が全く盛り込まれておりません。これは致命的な欠陥であります。そればかりではありません。政府は、今国会で強行した高齢者医療の改悪によって、来年一月から新たに年に約三千億円も国民負担をふやそうとしているのであります。しかも、この十月から、六十五歳以上のお年寄りからも介護保険料の徴収を始めました。一年後には、さらにこれを倍に引き上げようとしているのであります。さらに、介護利用料の負担増があります。合わせると、来年度は介護だけで実に一兆二千億円の負担増となるのであります。その上、さらに年金の改悪で、支給額が約一兆円も削減されるのであります。
 これら介護、医療、年金の改悪で、合わせて来年度に約二兆五千億円もの新たな犠牲を国民に求めることになるではありませんか。これでは、消費をますます冷え込ませ、景気回復の足を引っ張るだけであります。今こそ、介護、医療における負担の軽減、サービスの改善に直ちに踏み出すべきではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。
 第二の問題は、依然として従来型の公共事業政策に固執しているだけでなく、新たなばらまきを行おうとしていることであります。
 経企庁長官は、経済対策を発表した日の記者会見で、ITや環境などの重点四分野が社会資本整備の三分の二程度に達することを挙げて、従来型のばらまき批判は今回に限り当たらないと述べました。
 しかし、その中身を見ると、幹線道路、拠点空港、港湾を初めとする公共事業費は二兆三千八百億円で、経済対策全体の六一・八%と過半を占めているのであります。相変わらず従来型の公共事業が主役を占めていることに変わりないではありませんか。そうでないというなら、明確な根拠を示していただきたい。
 しかも、IT化を重点にし、知恵の社会への飛躍と位置づけたとしていますが、その多くは従来型公共事業にITの看板をつけただけではありませんか。
 政府の補正予算等の説明でも、「道路、河川、下水道等における施設管理用光ファイバー網及びその収容空間の整備」とされており、地域によっては、光ファイバーの敷設の見通しもなしに、穴だけ掘っていると言われているのであります。財界の中からも、光ファイバー網をめぐらせばそれで事足りるという議論になっていると厳しい批判が出ております。
 その上、学校や公民館など全国一万数千カ所に十数万台のパソコンを配るだけでは、余りにも場当たり的と言わなければなりません。これでは、ITを看板にした新たなばらまきではありませんか。
 ITをまともに推進するというなら、新しい技術の成果を国民全体のものにすべきであります。安価で使いやすい通信ネットワークの整備やそれを活用できる人員の適切な配置、人材育成などの本格的な取り組みが必要であります。
 IBMの名誉会長は、公共事業中心の予算を改革すること、そして第一に政府がやるべきことは、教育、医療、福祉など公共部門での情報化プロジェクトの推進だと述べております。
 今何よりも急がなければならないのは、パソコンをばらまくだけでなく、しっかりした人員の配置、人材の育成を行い、ITを国民にとって真に役立つものにすることであります。その方向に沿って経常的予算をふやすことが今こそ求められているのではありませんか。総理の答弁を求めます。
 第三は、補正予算の規模と財源問題についてであります。
 補正予算の規模は四兆七千八百億円、総事業費は十一兆円に上ります。その財源として、新たに二兆円もの建設国債を発行し、本来、半分以上を借金返済に充てなければならない前年度剰余金を全額注ぎ込み、来年七月末に主計簿を締め切って初めて確定できる今年度歳入の増額見込み分まで繰り入れるなどとしているのであります。
 総理、一体、今の日本財政のどこにこのような野方図を許す条件があるというのでしょうか。国と地方の長期債務残高は、当初予算の段階で、今年度末六百四十五兆円と予想されていたのであります。本来なら、この巨額の債務を減らさなければならないのであります。にもかかわらず、補正予算でさらに借金をふやすことは、国債の暴落、長期金利急上昇の危険を一層大きくするものと言わなければなりません。
 アメリカの格付会社ムーディーズは、九月八日、債務残高が先進国中で最も高い水準となったことを挙げて、日本国債の格付を引き下げました。
 巨額の借金を重ねる補正予算の編成は、日本経済と国民生活に新たな混乱を引き起こす火種をつくるものであります。総理は、そのような危機感を全く持たないのでしょうか、答弁を求めます。
 今必要なのは、剰余金一兆四百二億円の半分を、財政法六条に従って国債償還に充て、残りの半分を国民生活の緊急支援に充てることであります。無謀な公共事業を根本的に見直し、介護、医療、災害、雇用、中小企業など、国民生活防衛の緊急対策に集中すれば、五千二百億円であっても極めて大きな効果を確実に上げることができるのであります。
 日本経済の症状と体力に見合ったまともな処方せんを描くことのできない森内閣は、もはや日本経済の再建にとって最大の障害物であります。直ちに退陣するよう求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(森喜朗君) 景気回復のためには個人消費回復が重要との御指摘がありました。
 個人消費は、GDPの約六割と大きなウエートを占める重要なものと認識をいたしておりまして、政府としては、十二年度予算におきましても、公共事業や中小企業対策、雇用対策に最大限配慮するとともに、十一年からの恒久的減税を継続するなど、人々の生活基盤の安定化につながる施策を積極的に講じているところであります。
 また、今回の日本新生のための新発展政策におきましては、IT革命の推進、環境対応、高齢化対応、都市基盤整備の四分野に重点を置くとともに、生活基盤、防災のための施策や中小企業等金融対策、住宅金融対策等、国民生活に直結した分野を盛り込み、全体として事業規模十一兆円程度の事業を早急に実施することといたしております。
 これらの諸施策によりまして、有効需要が創出され、国民の購買力の向上につながるものと考えております。
 災害に対する取り組みについてお尋ねがございました。
 本年は、有珠山噴火を初めとして、伊豆諸島の地震、噴火、東海地方の豪雨、そして鳥取県西部地震など、災害が相次いで発生いたしました。
 これらの災害により、不安で不自由な生活を余儀なくされている方々に、心からお見舞いを申し上げます。
 災害から国民の生命財産を守ることは政府の最も重要な責務の一つであると認識しており、政府一体となって災害対策に全力で取り組んでおります。
 まず、復旧復興や観測監視体制の強化のため、平成十二年度におきましてこれまで四百億円を超える予備費を使用したほか、今回の補正予算におきましては、速やかな復旧復興に向けた経費や被災者生活再建支援金の支給に要する経費など、災害対策にも十分配慮した編成を行っております。
 また、避難されている方々を含め、被災者の方々に対しまして、災害救助法の適用による生活必需品の無償給与、応急仮設住宅の建設、生活の再建支援のための被災者生活再建支援金の支給、避難されている方々への雇用労働に関する相談窓口の設置、被災中小企業に対する災害復旧貸付の適用や信用保証の別枠化など、被災者の方々の要望を踏まえ、関係公共団体等と連絡をとりながら全力で取り組んでおります。
 今後とも、被災者の方々の御苦労や御負担が少しでも軽減されますよう、被災地の早期の復旧復興を含めまして、政府として最大限の支援を行ってまいりたいと考えております。
 医療、介護における国民負担の軽減、サービスの改善に踏み出すべきとのお尋ねがありました。
 先般御可決いただきました健康保険法等の改正は、医療保険制度を持続可能な安定的な制度とするための抜本改革の第一歩として行うものであります。
 高齢者の定率一割負担制の導入に当たりましても、高齢者の負担に上限を設けるなど、現行制度とほぼ同水準の負担といたしております。
 また、介護保険制度は、介護の必要な高齢者を支援するとともに、家族の負担を軽減するため、良質な介護サービスの提供を目指すものであり、その保険料負担についても、低所得者の方の負担が過大にならないよう十分配慮しているところであります。
 さらに、年金制度の改革も、制度を将来にわたり安定的なものとするため行ったものであります。
 いずれにせよ、これらの制度においては、国民の負担に支えられつつ、国民が安心して質のよい医療、介護といったサービスや必要な給付が受けられることが重要であることを御理解いただきたいと存じます。
 今回の経済対策が従来型のばらまき批判は当たらないことの根拠を明確にするよう御指摘がありました。
 今回の日本新生のための新発展政策は、規制改革などの法制度の整備、二十一世紀の新たな発展基盤の整備など、時代を先取りした経済構造改革を推進する包括的な政策であります。
 予算面では、IT革命の推進、環境対応、高齢化対応、都市基盤整備の重要四分野に社会資本整備の三分の二以上を集中させるとともに、IT基礎技能講習、災害対策、中小企業等金融対策、住宅金融、雇用対策等、国民生活に直結するような措置を盛り込んだところであり、ばらまき批判は当たらないと考えております。
 ITに関する人員配置、人材育成に関するお尋ねでありましたが、今般の補正予算においては、ハードウエア面の整備のみならず、人材育成等のIT利用技能の向上策にも重点を置き、学校の情報関連施設、公共施設、公衆インターネット拠点等を積極的に活用したIT普及国民運動の展開を図ることとし、必要な経費を計上いたしております。
 具体的には、約五百五十万人程度の者が受講できるような、地方公共団体が実施するIT基礎技能講習への支援、IT化に対応した職業能力開発や、中小企業者、農業従事者等によるIT活用促進のためのセミナー、研修の拡充に加え、消費者向けIT利用講習会の実施等により、総計約百五十万人に対するIT技能習得の機会の提供などの施策を行うことといたしております。
 IT革命の飛躍的推進のために、私は、基本戦略として、ハードウエアである施設、ソフトウエアであります技能、中身たるコンテンツの三本柱を、同時並行的に、かつ飛躍的に拡大発展させることが重要であると考えており、今後とも、この考え方に基づき施策を推進してまいる所存であります。
 補正予算の編成が日本経済等に新たな混乱を引き起こすとの御意見がございました。
 これまでの政府・与党の迅速にして大胆な経済政策によって、我が国経済は緩やかながらも改善しております。しかしながら、雇用情勢はいまだ厳しく、消費は一進一退の状況にあるなど、まさに正念場であって、もう一押し必要な状況にあると考えており、こうした観点から補正予算を編成することとしたところであります。
 このような認識のもと、十二年度補正予算においては、IT革命の推進を初めとする日本新生プランの重要四分野を中心に盛り込み、これらの施策により、二十一世紀における我が国経済の新たな発展基盤の確立を目指すとともに、民需中心の自律的回復に向けた動きをより確かなものとしていくことといたしております。
 同時に、歳出歳入の見直し、十一年度決算の剰余金の活用などにより、国債の追加発行を極力抑制いたしております。
 また、御指摘のような我が国の厳しい財政事情を考えれば、財政構造改革は必ずなし遂げなければならない課題でありますが、二十一世紀の我が国経済社会のあり方と切り離しては論じられない課題でありまして、まずは、財政の透明性の確保を図り、効率化と質的改善を進めながら、我が国の景気回復をより確かなものとした上で、税制のあり方、社会保障のあり方、さらに、中央と地方の関係まで幅広く視野に入れて取り組んでまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○副議長(渡部恒三君) 横光克彦君。
    〔横光克彦君登壇〕
#19
○横光克彦君 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、宮澤大蔵大臣の財政演説に対し、森総理並びに関係大臣にお尋ねをいたします。
 まず、財政問題に先立ちまして、森総理の政治姿勢についてお尋ねをいたしたいと思います。
 森総理、あなたはどのような週末を過ごされましたか。日曜日には周囲の反対を押し切ってゴルフに行こうとしたそうですが、さすがにやめられたとも聞いております。
 私たちは、地元で痛烈な声を聞いてまいりました。もう森総理じゃこの国の先はないとか、自分の言った失言の意味もわからないのだからやめるしかないとか、森政権には常識もないとか、猛烈な風は今、やめろコールとなって吹き荒れております。これらの声は、与党である自民党や公明党や保守党の皆さんも必ず聞いているはずでございます。それどころか、自民党の中からも森総理の退陣を迫る声が沸き上がっております。このままでは国が壊れるという悲壮感のもと、立ち上がった良識の人たちもいます。国民の常識にこたえ、大きく長いドラマが今始まろうとしているのではないでしょうか。(拍手)
 天地神明に誓ってと国会で宣言した中川前官房長官が指摘された疑惑、すなわち女性を金銭で買うかのような姿勢、右翼団体との交際、薬物と捜査情報の漏えい等は、子を持つ親であれば耐えがたいものであります。余りにも情けない低レベルなモラルなき世界は、子供たちに失望と不信を募らせることでありましょう。森総理、あなたなら思春期の子供に官房長官が辞任した理由を説明することができますか。
 あなたは内閣の任命権者です。国民に対して、若い人たちに対して、説明責任と義務があなたにはあるのです。官房長官の辞任理由をどう説明されるのですか。恥ずかしいという気持ちがあるならば、国民に謝罪したらどうでしょうか。明確にお答えください。
 さらに総理、KSD問題は自民党問題であるという自覚はおありでしょうか。単に財団法人の理事長であった古関氏が公私混同したというレベルの話ではないということを、指摘しておかなければなりません。
 年間二百七十億もの巨額の会費を集める公益法人でありながら、三十億円を任意団体の豊明会に丸投げして、ここから政党支部としての自民党豊明支部を経由して政治団体に渡り、自民党国会議員に流れていたという構造は、企業・団体献金の禁止が政党支部という道具を使って有名無実化していることを示しております。
 こうした事態が次々と明るみに出ているにもかかわらず、与党は、政治改革をみずからに都合のよい選挙制度の改革に矮小化し、あっせん利得罪処罰法についても骨抜きにしようとしています。今や国民の政治不信は極限にまで高まっているのです。
 さて、景気の自律的回復軌道と二十一世紀の知恵の社会にふさわしい経済社会の構造改革を同時に目指そうという日本新生のための新発展政策は、総事業費十一兆円もの規模を擁することから、生活の安定に結びつく課題に関し、妙手の連発が期待されておりました。
 しかし、建設国債優先の公債政策の制約を受け、将来不安を解消し、暮らしの向上に直結する生活再建型の施策は相変わらず希薄となっております。放漫財政を抑止する手だてとして建設国債と赤字国債の差別化で事が済むような、そんな時代状況ではもはやなくなったことを、まず政府がはっきり認識する必要があります。特定業界等を潤すだけに終わりかねない施策のファイナンスとしての意義しか持ち得ない建設国債の発行だけで済んだと幾ら政府が胸を張ったとしても、国民が何のありがたみも感じられないのは当然なのであります。
 有名無実化した公債政策に幕を引き、家計重視の政策転換を明確にする観点から、単年度当たりの公債発行額をGDPの一定割合にとどめるといったすっきりした姿に一本化すべきではありませんか。明確な答弁を求めます。
 経済企画庁は、今対策を公表するに当たって、経済成長率を一・五%へと上方修正をいたしました。政府が当初目標として掲げた一%成長達成は、確実な趨勢にあります。このような指標等も踏まえ、所信表明演説でも触れられたように、緩やかながらも改善していると森総理が自信を持たれるのであれば、それこそ、事業規模のみを誇る経済対策に依拠する経済成長至上主義は百害あって一利なしだと言わざるを得ません。
 なぜならば、安易な借金の積み上げで仮にある程度の経済成長率が見込めたとしても、国民の生活再建に結びつかない限りは、それに見合った税収増は到底望みがたいからであります。
 借金漬けの成長路線ではなく、国民全体で経済成長の恩恵を共有できるという意味での生活再建型の経済対策こそが必要とされているのではないでしょうか。明確な答弁を求めたいと思います。
 また、IT基本法第四条には、高度情報通信ネットワーク社会の形成が新たな事業の創出並びに就業の機会の増大をもたらすとあります。確かに、IT関連の業界では就業の機会が増大すると考えられます。他方、IT化は、旧来システムを一変させ、IT関連以外の分野の雇用を減少させる危険性が大きいとも言えるわけでございます。IT技術の導入で先行しているアメリカでは、IT分野の活況が好景気を支える裏で、全産業的にリストラが進み、中間管理職の多くが失職の危機にさらされようとしております。
 これを見ても、全体的には雇用の流動化や不安定化によって中間層が先細りするなど、IT社会とは、富裕化する層とそこからはじき出された層に二極化していく可能性が大なのであります。IT革命下においては、とりわけ雇用面における十分かつ最大限のセーフティーネットが整備されなければなりません。あわせて、積極的な答弁を求めます。
 次に、補正予算の地方財政にもたらす影響について、西田自治大臣にお尋ねいたします。
 政府は、補正予算の編成に伴って生じる地方負担の全額を国からの支出で補てんするとしていますが、補正予算による公共事業の積み増しによって、自治体は新たな財政負担を強いられることとなります。しかも、この負担増に対して措置される臨時経済対策債と交付税の追加配分によって、地方財政危機はさらに深められることとなります。国がやるべき責任が地方に結果的に転嫁されて、大きな新しい負担を強いられるというのは非常に問題でございます。
 自治体に景気対策としての公共事業につき合ってもらうための、このような起債の増発と交付税とのリンクによる補正予算及び経済対策こそ根本的に見直されなければならないと考えますが、自治大臣の御見解はいかがでしょうか。
 さて、宮澤大蔵大臣の本意は果たしてどこにあるかも含めて、お尋ねをいたしたいと思います。
 宮澤大蔵大臣は、さきの通常国会において、本年度当初予算を、これが最後の積極型予算だと明言されました。また、四月に行われた森総理との当面の財政運営の方針などの協議の際、日本経済は回復軌道に乗っており、景気回復のために今年度予算の補正予算案を編成する必要はないとの認識を四月には示しておられます。
 ところが、今回の森総理の所信では景気回復に軸足を置くことが表明されるなど、閣内不一致にも等しい、場当たり的な手法がまたもや強行されようとしております。
 主要先進国中、最悪水準の財政状況下にありながら、何より、政府公約の経済成長の達成も確実視されている折にもかかわらず、補正予算を組もうとする国があってよいと、自他ともに認める財政通の宮澤大臣が本当に思っているとは私自身には考えられないのでありますが、率直な答弁をしてください。
 また、あろうことか、森派の会長でもあります小泉氏が今回の補正予算を痛烈に批判しているのは、景気対策の名のもとに何でもありのばらまき政策が補正で実施されてきたことへの身内からの厳しい諫言でございます。
 一定の財政規律のもとに置かれる当初予算は窮屈であり、使い勝手が悪い。そこで、勢いみずからの支持勢力を強く意識した恣意性が発揮しやすい補正予算頼みというのが、ここ二、三年の露骨な傾向でございました。宮澤大臣がこのような状況に怒りにも似た思いでおられたことは、さきに触れた年初来の発言でも明らかでございます。ならば、宮澤財政の良識をそろそろ発揮してもらわなければ、国民は救われません。
 補正予算が本来果たすべき役割をより厳格に追求できる仕組みが求められております。例えば連合は、補正予算に計上する社会資本の整備事業等については、費用対効果、当該事業が生み出す雇用創出量などの見通しを明示するとともに、実施結果についてもより詳細な政策評価を付して公表することを求めております。検討に値する提案だと思いますが、いかがでございましょうか。
 最後に、いま一度森総理にお尋ねいたします。
 教育勅語が好きで、滅私奉公を信条とする森総理、内閣の信用が地に落ちている今だからこそ、あなたは政治家の倫理と道徳を重んじるべきではありませんか。子供たちに、失望でも不信でもなく、明るい希望をつくるような倫理と道徳の道をあなたに示していただきたいのです。
 選挙目当ての自公保政権は、総選挙の敗北によってその役割を終えたはずです。額に汗して働く国民を愚弄し、みずからの延命ばかりを至上命題としてきた森総理及び森内閣は支持しないという七割を超える国民の意思を尊重し、即刻退陣すべきであります。
 総理は、ノット・リリース・ザ・ボールという言葉を御存じのはずです。ラグビーでは倒されてもボールを持っていることは反則です。あなたがフェアプレーを重んじるのであれば、今このときこそが政権という重いボールを静かに置くときではないでしょうか。
 以上、申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(森喜朗君) 中川前官房長官の辞任に関連してお尋ねがございました。
 本件につきましては、中川氏個人にかかわる、官房長官就任よりも随分と以前のことでありまして、あらかじめ予想できなかったことでありますが、こうした事態になったことはまことに遺憾であり、私としても重く受けとめております。
 中川氏は、これ以上迷惑をかけたくないということで官房長官を辞任されましたが、御指摘の団体幹部との交友については一貫して否定されています。今後は、中川氏自身が、自分の名誉に関することを含め、本件についての御自分の立場をさまざまな形で明らかにされていくものと考えております。
 なお、警察情報が漏えいしたのではないかとの指摘につきましては、中川氏は官房長官辞任の記者会見でも警察情報であることを明確に否定していると承知しておりますが、一般論として、捜査の必要性があると判断されれば、捜査当局において、法と証拠に基づいて適切に対応されるものと考えます。
 単年度当たりの公債発行額をGDPの一定割合にとどめるとの御指摘でありますが、現在、景気の自律的回復に向けた動きをより確かにすべく経済財政運営を行っている中において、公債発行額を時々の経済情勢等と切り離して一律の基準で定めていくことについては、慎重な検討を要するものと考えます。
 なお、国の歳出はできる限り租税等をもって賄うべきであることから、今回の補正予算でも、既定経費の節減等の見直しを行うとともに、剰余金の活用を行い、国債発行額を極力抑制したところであります。
 生活再建型の経済対策の必要性について御指摘がありました。
 今回の経済対策は、IT革命の推進、環境対応、高齢化対策、都市基盤整備の四分野に重点を置いております。この四分野の中には、例えば国民のIT利用技能向上、高齢者が楽しく暮らせる生活空間の創出、渋滞解消への抜本的取り組みなど、国民生活の向上に資する施策が数多く取り入れられているところでもあります。また、この四分野とあわせ、生活基盤、防災のための施策や、中小企業等金融対策、住宅金融対策等、国民生活に直結した分野も盛り込んでおります。
 これらの諸施策の実施によりなし遂げられる経済成長は、広く国民全体でその成長の恩恵を共有できるものと考えております。
 IT社会における雇用面での対応についてのお尋ねでありますが、政府としては、雇用情勢の改善の動きをより確かなものとするために、IT関連分野など今後成長が見込まれる新たな産業に必要な人材を早期に育成し、着実な就職促進を図ることを目的とする、ミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策の着実な実施に引き続き取り組んでおります。
 また、先般策定いたしました日本新生のための新発展政策におきましても、ITに係る公共職業訓練の拡充を図ることとし、働く人々についてIT化対応を可能とするよう、専門的な内容の訓練も含め、多様な能力習得機会を確保することといたしております。
 これらの対策を講ずることにより、御指摘の雇用面でのセーフティーネットの整備に努めてまいりたいと考えます。
 最後に、私が退陣すべきとの御指摘がありました。
 内閣支持率あるいは不支持率の変動についてはさまざまな要因があると思いますが、最近の厳しい調査結果につきましては、世論の動きを示す一つの指標として、私としても謙虚に受けとめております。
 国民の負託を受けて内閣を預かる私としては、こうした厳しい状況にあるときこそ基本に立ち返って、国民の声に真摯に耳を傾け、臨時国会における重要案件の処理はもちろんのこと、もう一押しというところまで来ている景気を本格的な回復軌道に乗せるとともに、さらに、IT革命への対応、教育改革や社会保障改革の実行など、国民が求めている政策を着実に遂行することにより私の責任を果たしてまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#21
○国務大臣(宮澤喜一君) 補正予算案を必要と考えました理由につきまして、ことしの三月の予算委員会で、私が、この秋は従来のような大きな補正予算を組まないで済むのではないかという期待を申し上げたことに関してのお尋ねであったわけでございます。
 その時点で、ことしの三月の時点で、いわゆる民間経済活動の中で企業設備がかなり堅調であって、これはもう心配がないだろうと考えていました。したがって、それがやがて雇用に影響をし、家計にも好影響を与えるだろうというふうに考えておりましたところ、統計では、失業率は五%に達することはない、しかも有効求人倍率はだんだんに改善しておりますのが今の姿でありますが、どうも実態の感じが、四―六月のQEがこの間出まして、これはまあまあプラスであるし、いい姿なんですが、どうも元気がない。殊に消費というところがどうも思ったようでないのですね。
 これは、あるいは雇用とか消費というものが、我が国経済の、あるいは経済社会が今大きな変革をしている、そういう構造変化というものがあって、そのゆえに、従来の不況脱出期のような雇用、消費の回復がおくれているということではないかと考えてみる必要もあると思います。
 いずれにしても、そういう状況でございましたから、バトンタッチの片方がもう一つ思うようでありませんで、したがいまして、補正予算によりまして、社会資本整備を中心に、この年度後半の公需の低下等があってはならないということと同時に、御承知のように、二十一世紀に来るべきIT等々を初めとする日本新生プランの重要四分野を二十一世紀へ向けて補正に組ませていただいたということでございます。
 そのような経緯で、従来ほど大きな補正ではございませんが、やはりここで、二つの意味で補正が入り用だというふうに考えるに至っております。
 財源につきましても、半分は税収で賄いたいという、ささやかな努力をいたしておるところでございますが、なお公債の発行をお願いしなければならないという状況でございます。
 それから、今回の補正予算に盛り込んだ事業、施策について、二十一世紀の我が国の発展基盤の構築に向けまして、新生プランの具体化を中心にして時代のニーズをとらえようとしておるわけで、その中で、事業内容、効果等については、かなり厳しく精査いたしました。
 政策評価については、来年の一月以降は政策評価制度が本格的に導入されます。財政当局としても、それを予算編成上に活用してまいります。
 公共事業については、新規事業の採択に当たって費用対効果分析をやっておりますし、また、いわゆる時のアセスメントといいますか、再評価によって、必要に応じて中止、休止を含むようなこともいたしておりまして、これは、今後ともこの方針を強化いたすつもりであります。(拍手)
    〔国務大臣西田司君登壇〕
#22
○国務大臣(西田司君) 地方団体に係る補正予算と経済対策についてのお尋ねでございました。
 我が国経済における地方財政の役割は極めて大きいことから、公共事業等の円滑な実施が不可欠であります。地方団体の理解と協力を得るということが前提であります。所要の地方財政措置を講ずることといたしました。
 また、今回の措置としましては、従来の地方債措置に加え、地方交付税の増額も行い、地方財政の健全化にも配慮してまいります。
 御指摘がございました地方財政の厳しさというものは、私どもも十分に肌で感じておりますから、今後、地方財政の健全化に向かって努力をしていきたい、こう考えております。(拍手)
#23
○副議長(渡部恒三君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#24
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  森  喜朗君
        法務大臣    保岡 興治君
        外務大臣    河野 洋平君
        大蔵大臣    宮澤 喜一君
        文部大臣    大島 理森君
        厚生大臣    津島 雄二君
        農林水産大臣  谷  洋一君
        通商産業大臣  平沼 赳夫君
        運輸大臣    森田  一君
        郵政大臣    平林 鴻三君
        労働大臣    吉川 芳男君
        建設大臣    扇  千景君
        自治大臣    西田  司君
        国務大臣    相沢 英之君
        国務大臣    川口 順子君
        国務大臣    堺屋 太一君
        国務大臣    続  訓弘君
        国務大臣    虎島 和夫君
        国務大臣    福田 康夫君
 出席政務次官
        大蔵政務次官  村田 吉隆君
 出席政府特別補佐人
        内閣法制局長官 津野  修君
ソース: 国立国会図書館
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