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2000/11/17 第150回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第150回国会 本会議 第15号
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2000/11/17 第150回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第150回国会 本会議 第15号

#1
第150回国会 本会議 第15号
平成十二年十一月十七日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十号
  平成十二年十一月十七日
    午後一時開議
 第一 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第二 日本放送協会平成十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
 第三 周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 第二十九回オリンピック競技大会大阪招致に関する決議案(中山太郎君外五名提出)
 日程第一 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第二 日本放送協会平成十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
 日程第三 周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案(内閣提出)

    午後一時三分開議
#2
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○小此木八郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 中山太郎君外五名提出、第二十九回オリンピック競技大会大阪招致に関する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
#4
○議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。
    ―――――――――――――
 第二十九回オリンピック競技大会大阪招致に関する決議案(中山太郎君外五名提出)
#6
○議長(綿貫民輔君) 第二十九回オリンピック競技大会大阪招致に関する決議案を議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。中野寛成君。
    ―――――――――――――
 第二十九回オリンピック競技大会大阪招致に関する決議案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔中野寛成君登壇〕
#7
○中野寛成君 ただいま議題となりました第二十九回オリンピック競技大会大阪招致に関する決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、21世紀クラブ、保守党を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 案文を朗読いたします。
    第二十九回オリンピック競技大会大阪招致に関する決議案
  我が国において、東京オリンピック以来となるオリンピック夏季競技大会を開催することは、国際親善とスポーツ振興にとって極めて意義深いものである。
  衆議院は、来る二〇〇八年の第二十九回オリンピック競技大会を大阪市に招致するため、その招致活動を強力に推進するとともに、その準備態勢を整備すべきものと認める。
  右決議する。
以上であります。
 オリンピック競技大会は、世界各国のスポーツの発展とともに、スポーツを通じて民族の相互理解を深め、世界平和への貢献に輝かしい成果を上げてきました。
 一昨年十二月十一日、政府は、二〇〇八年第二十九回オリンピック競技大会について大阪市が招致することを閣議了解し、本年一月二十五日、大阪市は、国際オリンピック委員会に立候補届を提出いたしました。
 この第二十九回オリンピック競技大会には、世界の十都市が立候補し、本年八月二十八日にスイスで開催された国際オリンピック委員会理事会において、大阪市のほか、北京、イスタンブール、パリ、トロントの五都市が正式立候補都市として承認されたところであります。来年七月十三日にロシアで開催される国際オリンピック委員会総会において、この正式立候補都市の中から開催都市が決定される運びとなっております。
 新しい世紀を迎えるに当たり、国際間の相互理解の促進を図り、民族や文化を超えた友情を深め、世界の平和と繁栄に積極的に貢献する国づくりを進めていくためにも、第二十九回オリンピック競技大会の大阪招致について、国を挙げて強力に運動を展開していかなければなりません。
 また、東京、札幌、長野大会と同様に、オリンピック精神を最高度に発揮する新世紀のモデルとなる大会が開催されますよう、政府、地方自治体及び民間が一体となって、万全の受け入れ態勢を確立すべきであります。
 何とぞ、議員各位の御賛同をお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#9
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。
 この際、文部大臣から発言を求められております。これを許します。文部大臣大島理森君。
    〔国務大臣大島理森君登壇〕
#10
○国務大臣(大島理森君) 第二十九回オリンピック競技大会を大阪市に招致し、我が国においてオリンピック競技大会が再び開催されますことは、国際親善とスポーツ振興にとってまことに有意義であり、喜ばしいことであると存じます。
 政府といたしましても、ただいまの御決議の趣旨を十分尊重いたします。そして、平成十年十二月に閣議了解されました方針に従い、招致の実現並びに準備態勢の整備に最善の努力を払ってまいる所存でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
#11
○議長(綿貫民輔君) 日程第一、一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長佐藤静雄君。
    ―――――――――――――
 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔佐藤静雄君登壇〕
#12
○佐藤静雄君 ただいま議題となりました一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、人事院の本年八月十五日付の意見の申し出にかんがみ、専門的な知識、経験またはすぐれた識見を有する者の採用について一層の円滑化を図るため、一般職職員の任期つき採用及びその任期つき職員の給与の特例に関する事項を定めようとするものであります。
 本案は、参議院から送付されたものでありまして、去る十一月十三日本委員会に付託され、翌十四日続総務庁長官から提案理由の説明を聴取し、昨日質疑を終了いたしました。質疑終了後、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#14
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 日本放送協会平成十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
#15
○議長(綿貫民輔君) 日程第二、日本放送協会平成十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。逓信委員長小平忠正君。
    ―――――――――――――
 日本放送協会平成十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔小平忠正君登壇〕
#16
○小平忠正君 ただいま議題となりました日本放送協会平成十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書につきまして、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本件は、放送法第四十条第三項の規定に基づき、会計検査院の検査を経て内閣より提出をされた平成十年度の日本放送協会の決算であります。
 その概要について申し上げますと、まず、財産目録及び貸借対照表によりますと、一般勘定の資産総額は六千三百三十九億七千万円、これに対し、負債総額は二千五百六十七億三千万円、資本総額は三千七百七十二億三千万円で、資本の内訳は、資本三千六十五億七千万円、積立金五百三十九億円、当期事業収支差金百六十七億五千万円であります。
 また、受託業務等勘定につきましては、資産総額、負債総額とも七百万円となっております。
 次に、損益計算書によりますと、一般勘定における経常事業収入は六千三百三十七億一千万円、経常事業支出は六千七十九億七千万円であり、差し引き経常事業収支差金は二百五十七億三千万円となっております。これに経常事業外収支差金等を加えた当期事業収支差金は百六十七億五千万円となっております。
 また、受託業務等勘定につきましては、経常事業収入は四億七千万円、経常事業支出は三億七千万円であり、差し引き経常事業収支差金は九千万円となっております。これに経常事業外収支差金の欠損を加えた当期事業収支差金は七千万円となっております。
 本件につきましては、検査の結果、記述すべき意見はないとの会計検査院の検査結果が添付をされております。
 委員会におきましては、昨十六日、本件につきまして、平林郵政大臣、海老沢日本放送協会会長並びに渡辺会計検査院第四局長からそれぞれ説明を聴取した後、質疑を行い、採決の結果、本件は全会一致をもって異議がないものと議決をした次第であります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本件の委員長の報告は異議がないと決したものであります。本件は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり議決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案(内閣提出)
#19
○議長(綿貫民輔君) 日程第三、周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。安全保障委員長高木義明君。
    ―――――――――――――
 周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔高木義明君登壇〕
#20
○高木義明君 ただいま議題となりました周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案につきまして、安全保障委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
 本案は、周辺事態に対応して我が国が実施する船舶検査活動に関し、その実施の態様、手続その他の必要な事項を定めることを目的とするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、船舶検査活動とは、国連安保理決議に基づいて、または旗国の同意を得て、船舶の積み荷等の検査及び航路等の変更を要請する活動であって、我が国領海または我が国周辺の公海において実施するものとすることであります。
 第二に、船舶検査活動は、自衛隊の部隊等が実施すること、及び、この場合において、当該船舶検査活動に相当する活動を行う米軍に対し、後方地域支援を実施することができることといたしております。
 第三に、船舶検査活動の実施に際して、実施区域の範囲等一定の事項を周辺事態安全確保法の基本計画に定めることとすることであります。
 第四に、乗船検査を行う自衛官の生命等を防護するため、必要最小限度の武器の使用ができることを定めることであります。
 なお、本案は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するほか、自衛隊法及び周辺事態安全確保法について所要の整備を行うこととしております。
 本案は、去る十一月九日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託され、虎島防衛庁長官から提案理由の説明を聴取いたしました。十日より質疑に入り、昨十六日まで活発な質疑を行った後、引き続き討論を行い、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(綿貫民輔君) 討論の通告があります。順次これを許します。達増拓也君。
    〔達増拓也君登壇〕
#22
○達増拓也君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案に反対の討論を行います。(拍手)
 反対理由の第一は、本法案は、国際警察行動であるところの国連決議に基づく船舶検査活動について規定しているようでいて、その船舶検査活動のやり方は国際警察行動への参加とはとても言えないという点であります。論理矛盾であり、意味不明な活動が規定されているのです。
 国連決議に基づく活動でないならば、本法案のように我が国独自のルールをみずからに課すことは、論理的にはあり得るでしょう。しかし、国連決議に基づく活動であるならば、他の国々と同じ活動ができるようにすべきです。すなわち、活動地域を周辺に限定すべきではなく、活動内容も検査の実施を担保できるようなものとすべきです。国連決議に基づく活動において、我が国が独自のルールで動くことは、国際的な協力の実効性を損なうおそれがあります。また、国連憲章の中心理念である国際の平和及び安全の維持に対して、我が国が他の国連加盟国と殊さらに異なる姿勢をとることは、決してよいこととは思えないのであります。
 反対する第二の理由は、武器使用に関して海上警備行動以下の対応しかとることができない点であります。
 北朝鮮工作船事件の際には、自衛隊は、海上警備行動の発令に基づいて出動し、逃走防止のための警告射撃を行いました。しかし、今回の政府案はそれすらも認められておらず、武器使用は隊員の身体防護に限定されています。
 政府は、警告射撃を行った例は過去十一万件の船舶検査のうち十五件にすぎないと反論していますが、その十一万件は、警告射撃は行わないと事前に明らかにした上での成功例でしょうか。実証例もないのに、世界のどの国も試みたことのない新しいことに挑戦するのはロマンチックですが、事安全保障の分野でそのような冒険を行うのは、国の立法府としてやはり無責任なのではないでしょうか。
 反対理由の第三は、部隊の行動としての武器の使用が認められておらず、これでは武装した自衛隊が任に当たる意味がないということであります。
 周辺事態に際して実施する船舶検査活動というものが、部隊として実力を行使する組織でなくてもできるほどに安全なのであれば、自衛隊がやる必要はありません。自衛隊でなければできないような活動に自衛隊の手足を縛って派遣することは、任務遂行を困難にするばかりか、自衛隊員をみすみす危険にさらすことになってしまいます。
 自由党は、船舶検査活動の重要性を否定するものではありません。そうであればこそ、かつて連立政権に参加していたときに、各種連立協議でその重要性を指摘し、早期法制化を主張し続けてまいりました。
 我が国には、日本の安全保障政策を根本から見直し、現在の内外情勢を的確に反映した安全保障の基本方針が必要です。その方針に沿って、有事の際に自衛隊が有効に機能するような体制を整備することが必要です。防衛庁を国防省に改組することも必要です。そして、国連決議に基づき、国際的な標準に従って行われる船舶検査活動や、PKFの凍結解除を含め、国連の平和活動に他の国連加盟国と同様に参加できるような法整備が必要です。
 戦後処理から冷戦期にかけて、我が国はさまざまな理想を語りながらも、国際社会の力学を現実として受け入れて、既成事実の積み重ねとして安全保障政策を展開してきたと言えるのではないでしょうか。そのようなやり方、言っていることとやっていることが違う、論理よりも既成事実が物を言うというのは、実は戦前戦中の我が国の問題にほかなりません。
 冷戦が終わったからこそ、日本は国際社会で共有できる論理に基づいて安全保障政策を展開すべきです。国連憲章の理念を世界の諸国と共有していることがはっきりとわかるように振る舞うべきです。この法案のように、日本が、全く独自の論理に基づいて、いざというときに他の国々と異なる独自の行動をとる国だということを、今、立法府の意思として世界に示していいものかどうか。論理よりも既成事実を重んじる国だということを法律で固定していいのかどうか。議員各位に熟慮を求め、反対討論を終わります。(拍手)
#23
○議長(綿貫民輔君) 赤嶺政賢君。
    〔赤嶺政賢君登壇〕
#24
○赤嶺政賢君 日本共産党を代表して、船舶検査法案に対する反対討論を行います。(拍手)
 反対理由の第一は、本法案は、アメリカがアジア太平洋地域で引き起こす干渉や介入の戦争、すなわち周辺事態において、経済制裁の厳格な実施の確保を理由に、国連安保理決議がなくても、自衛隊がアメリカの行う臨検に参加、協力できるようにするものであるからであります。戦争法を補強するこうした法案には断固反対するものであります。
 第二は、国連安保理決議がなくても、旗国の同意を得れば自衛隊が船舶検査活動をできるとしたからであります。
 言うまでもなく、国連安保理であっても、国連憲章第三十九条に基づき、平和の破壊または侵略行為の存在を決定するなどの厳格な要件がなければ、経済制裁はできないのであります。周辺事態の一つの類型とされる武力の発生が差し迫っている場合などという事態では、安保理でさえ経済制裁を決議できません。そこで、同意を得てなどという国際法上の根拠もない規定を盛り込み、自衛隊が船舶検査活動をできるようにしたのであります。
 しかも、政府は、同意の表明の方法は一般国際法で決まっていないなどと極めてあいまいな答弁に終始したのであります。条約的根拠もない無法なやり方を容認することはできません。
 第三に、アメリカはみずからの国益に反する場合は、国連安保理決議なしで軍事制裁を行う方針をとっており、結局、アメリカが国益保護のために行う海上阻止作戦の海域分担となるのであり、自衛隊の後方地域支援が米軍の武力の行使への支援となるからであります。
 第四に、自衛隊の活動についても、強制行動ではないといいながら、自衛艦が船舶の進路前方に回り込んで航行阻止するのではないかという疑問には、考えにくいというだけで、危険性を伴う軍事活動であることを否定できなかったのであります。だからこそ、同意を得て船舶検査活動を行う建前にもかかわらず、武器使用が規定されたのであります。
 最後に、南北朝鮮の関係改善や米朝関係の進展など、東アジアの平和の流れが加速している今、戦争法を補強する憲法違反の船舶検査法をつくることは、まさにアジアの平和の流れに逆行するものであり、断じて認められません。
 以上、反対討論を終わります。(拍手)
#25
○議長(綿貫民輔君) 山口わか子君。
    〔山口わか子君登壇〕
#26
○山口わか子君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案に対して、反対討論を行います。
 反対の第一の理由は、この法案がなぜ今提出されなければならないのか、その根拠が全く示されていない点です。必要性がみじんも感じられないからでございます。現在の北東アジアをめぐる状況の変化を見れば、この法案は不必要なものであるばかりか有害ですらあります。
 本年六月の朝鮮半島における歴史的な南北首脳会談以降、南北の交流はあらゆるレベルで進められています。この急速な変化の中で、イギリスやドイツの首脳が相次いで北朝鮮との国交回復が近いことを表明しました。EUのみならず、世界の各国がこれに倣うのは、もはや時間の問題でございます。
 米ソ冷戦崩壊後、世界の緊張緩和が進む中で、北東アジアだけが取り残されていた状況も、今や大きく変化しようとしています。この時期に船舶検査活動法案を成立させることは、緊張緩和が進み始めている北東アジアの状況に逆行するばかりか、新たな緊張を生み出すだけであり、断じて容認できません。
 しかも、朝鮮半島における和解の進展、北東アジアの緊張緩和の進展は、朝鮮半島有事を想定した日米安保条約や、安保条約を強引に拡大解釈して成立させた周辺事態安全確保法の根拠を本質的に失わせるものでございます。存在根拠が喪失している条約や法律に基づいて提案されているこの船舶検査活動法案は、見当違いも甚だしく、時代錯誤そのものでございます。
 反対の第二の理由は、法案そのものが重大な危険性と問題点を内包していることでございます。
 法案は、国連の集団安全保障と日米安保条約第五条に基づく集団的自衛権を故意に混同しているばかりでなく、国連安保理の決議にすら基づくことのない船舶検査活動を容認しており、日米の恣意的判断に道を開くことになります。
 武器使用の規定も極めて抽象的です。
 合理的に必要と判断される限度で武器使用することができるという規定では、停船させるまでの経緯や船舶検査を実施するまでの態様がどのようなものになるかわからない以上、どの程度の武器使用が合理的なのか判断がつきません。勢い、現場が拡大して解釈する余地を与えることになり、憲法が禁じる武力行使に発展する危険性が十分にあります。
 さらに、決定的問題点は、自衛隊みずからが行う船舶検査活動が、周辺事態安全確保法で規定した後方地域支援などではなく、前線における活動そのものだということでございます。戦争に前線や後方の区別があるわけではありませんが、周辺事態法では、自衛隊の活動は曲がりなりにも米軍の後方地域支援という形で限定されていました。船舶検査活動法案では、この制約が取り払われているのでございます。
 社民党は、このような重大な危険性があり、欠陥のある法案を断じて認めるわけにはいきません。
 中国を初めアジア諸国は、周辺事態安全確保法と同様、この法案に警戒感や不信感を募らせています。日本とアメリカのアジアにおける軍事的役割の増大は、北東アジア地域の緊張を誘発しかねません。
 日本が今行うべきことは、北東アジアで動き出している緊張緩和に水を差すことではなく、冷戦終結や朝鮮半島の緊張緩和という歴史的環境変化を冷静に受けとめることであり、アジア諸国との信頼醸成に努めつつ、粘り強い多国間対話を通してアジアに協調型安全保障の枠組みを構築していくことであります。平和憲法を持つ日本の果たすべき大きな役割は、ここにあるものと確信します。
 以上、反対の理由を述べ、私の討論を終わります。(拍手)
#27
○議長(綿貫民輔君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#28
○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#29
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#30
○議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三十七分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        文部大臣    大島 理森君
        郵政大臣    平林 鴻三君
        国務大臣    続  訓弘君
        国務大臣    虎島 和夫君
ソース: 国立国会図書館
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