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2000/11/20 第150回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第150回国会 本会議 第16号
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2000/11/20 第150回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第150回国会 本会議 第16号

#1
第150回国会 本会議 第16号
平成十二年十一月二十日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十一号
  平成十二年十一月二十日
    午後六時開議
 第一 民事再生法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第二 外国倒産処理手続の承認援助に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第三 著作権等管理事業法案(内閣提出、参議院送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 森内閣不信任決議案(鳩山由紀夫君外十一名提出)
 議員松浪健四郎君を懲罰委員会に付するの件(議長宣告)

    午後九時二分開議
#2
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○小此木八郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 鳩山由紀夫君外十一名提出、森内閣不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
#4
○議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。
    ―――――――――――――
 森内閣不信任決議案(鳩山由紀夫君外十一名提出)
#6
○議長(綿貫民輔君) 森内閣不信任決議案を議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。鳩山由紀夫君。
    ―――――――――――――
 森内閣不信任決議案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔鳩山由紀夫君登壇〕
#7
○鳩山由紀夫君 民主党の鳩山由紀夫です。
 私は、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合、そして民主党・無所属クラブの四会派を代表し、ただいま議題となりました森内閣不信任決議案について、提案の趣旨を御説明いたします。(拍手)
 まず、決議案の案文を朗読いたします。
  本院は、森内閣を信任せず。
   右決議する。
    〔拍手〕
以上であります。
 我々四会派は、この内閣不信任案につきまして、国民を代表して国会に提出しています。今や、七割をはるかに超える国民の皆さんが、すなわち、本来であるなら自民党や与党を支持しているはずの皆さんも含めて、圧倒的大多数の国民が森内閣は一刻も早く退陣すべきであるとされています。景気も外交もこの内閣のもとでは好転するはずもなく、このような最悪の内閣は二十世紀中に幕を引かない限り、新しい世紀、ミレニアムにおける日本の展望は開けません。(拍手)
 森総理、あなたは既に国民から不信任されているのです。国会が国民の代表機関である以上、その務めを果たさねばなりません。国会として国民の意向に従うことを明らかにするのがこの内閣不信任案の意義であることを申し上げておきます。
 私たちが国民を代表して本不信任案を提案するに至る理由をこれから申し上げます。
 二十一世紀を目前にした今日、我が国は依然として、政治、経済ともに世紀末の混迷から抜け出せず、危機的な状況の中にあります。こうした状況を招いたすべての原因と責任は、自公保連立の森内閣にあります。
 森内閣は、その発足の経緯からして疑惑と不信にまみれており、森内閣総理大臣の数々の失言がそれに拍車をかけています。
 また、森内閣は、政権発足以来、一貫して低支持率にあえいでいますが、第二次森内閣発足後はその傾向が一段と顕著になり、もはや完全に死に体内閣の様相を呈しています。スキャンダルと疑惑にまみれた中川前官房長官の辞任、そして森内閣総理大臣の日本人拉致疑惑に関する第三国発見案発言など、森内閣をめぐる数々のスキャンダルや、相次ぐ閣僚の辞任、失態が国民の政治に対する不信感を増幅し、さらには我が国外交の権威を完全に失墜させております。
 加えて、提出されている二〇〇〇年度第一次補正予算案は、国民の生活再建に役立たないばかりでなく、財政再建とも真っ向から対立する、相も変わらぬばらまき予算案であり、我が国の財政危機を一段と悪化させることになりかねません。
 森内閣の存在が、国民に、現在の生活に対する深刻な不安と、見通しのない将来への言いようのない不安感をもたらしています。森内閣の責任は極めて重大であります。よって、本院は、我が国が世紀末の混迷と危機的な状況から脱却し、国民の政治への信頼を回復するため、森内閣を不信任するべきとの結論に至りました。(拍手)
 野党第一党の代表として一言申し上げます。
 大変残念なことではありますが、森内閣は、誕生そのものから今日まで疑惑にまみれてきたと言っても過言ではありません。小渕前総理が病に倒れる中で、急遽、ほんの一握りの派閥の権力者によって森後継が実質決定されました。私たち野党は、これを密室の中での談合、内閣の私物化と批判いたしました。
 今日、自民党の中においても改めてその正統性が問題視されておりますが、森内閣誕生以来、その運営は常に、国民に対して責任を果たし、国民の信頼をかち取る努力を重ねるのではなく、密室の中で談合した仲間たちの顔色をうかがい、いかに自分たちの権益を守るかに主眼が置かれているではありませんか。国民を代表する内閣がこのような状態で、健全な経済は育たず、青少年を初めとする社会の病理が是正されるはずもありません。
 そして、誕生以来、森内閣をめぐるスキャンダルは枚挙にいとまがありません。森総理自身の買春疑惑、中川官房長官の右翼との交友及び覚せい剤並びに警察情報漏えいなどの疑惑、また、自民党の比例代表の順位と党員獲得をめぐり、中小企業の保険料が横流し、流用されていたとされるKSD疑惑、森総理は、こうした疑惑を解明しようとするのではなく、一貫して臭い物にふたの態度に終始してきました。
 これらの疑惑は、この臨時国会においても何ら解明されておりません。すなわち、自民党を初め公明党、保守党の与党三党が、国会における解明を一貫して妨害し続けているからにほかなりません。国民を恐れ、国民に隠し、国民を欺く、それが森内閣の本質じゃありませんか。
 さらに、森内閣が引き起こした数々の失言、とりわけ日本人拉致疑惑に関する一国の総理とも思えぬ無責任かつ不見識きわまりない発言など、森内閣誕生以来の軌跡はまさに恥の上塗りの繰り返しであり、森氏が我が国の内閣総理大臣たる資質を到底持ち得ないことを赤裸々に物語るものです。
 その総理欠格者である森氏がなぜ今日まで内閣総理大臣の地位に居座り続けているのでしょうか。それは、連立与党三党、そして自由民主党の主流派の思惑によるものであります。
 今、自民党の中でどのようなことがささやかれているのか。報道によれば、自民党の主流派は、不信任案の行方にかかわらず、森さんではもうだめだ、取りかえようと話し合っているというじゃありませんか。すなわち、密室で誕生した森内閣は再び密室の中で葬り去られようとしているのです。
 我が国の内閣が、国民とは何らかかわりのないところで、権力の維持に恋々とする一部の人たちによってその生死が決められようとしているときに、国民の代表で構成される国権の最高機関たる国会は何をするべきでしょうか。それは、不信任案の可決によって少なくともこの内閣に終止符を打ち、国会の機能がいまだ壊死していないことを内外に証明することであると確信いたします。
 森内閣は、スキャンダルや失言だけが致命傷なのではありません。国民が森内閣を支持しない本質は、自民党政治の、それを忠実に守る森内閣の政策の失敗にあります。景気対策、景気対策と言いながら、借金の垂れ流しと相変わらずの公共事業の繰り返しであり、経済の構造改革と財政再建は一向に進みません。福祉や教育も矛盾は拡大する一方と言わざるを得ず、あっせん利得処罰法も与党案は不十分なものであり、政治家や官僚の腐敗も是正される抜本策は示されておりません。
 自民党に対する批判は強まる一方であり、選挙における自民党への支持は右肩下がりに終始しています。その政策的失敗を反省することなく、与党の皆さんがごり押ししたのは参議院選挙制度の改悪であります。国民の支持が得られないのなら、それでも国民をだまし、各種団体を恫喝し、締め上げ、多数を維持できる選挙制度にしようとして生まれたのが非拘束名簿式選挙制度ではありませんか。国民を軽視し、侮辱する、与党というには余りにも情けない姿勢ではないでしょうか。到底信任するに値しない内閣と言わざるを得ません。(拍手)
 森総理、一言で言えば、あなたから何のメッセージも伝わってこないのです。日本新生とは口先ばかりで、この国難に遭遇して、日本社会を、日本経済を、そして日本外交をどんな理念で導こうとされておられるのか、全く見えてこないではありませんか。日本に今こそ強いリーダーシップが求められているときに、姿を隠そうとばかりされている内閣では、信任できるはずがないではありませんか。
 自民党内では、この内閣不信任案に賛成するか反対するか、主流、非主流の皆さんが口角泡を飛ばして議論されてこられたと伺っておりました。国民の皆さんから見れば、実につまらないコップの中のあらしではないでしょうか。こんな内閣を守る価値をどこに見出すのですか。主流派の人たちでさえ自分たちで近々幕引きをしようと考え、森内閣を継続させようと本気で思っている人はほとんどいないというのが実情と伺っています。
 では、いかなる選択が本当に価値ある選択なのか。それは、この不信任を自民党の中の単なる権力争い、政権のたらい回しの新たな序幕と考えるのではなく、新たな政治改革、一九九三年の政治改革の第二幕と位置づけることです。野党提出の不信任案は過去四回可決されているとのことです。この議場におられる同僚議員お一人お一人が、国民に対して政治家としての責任を果たされることを心から期待いたします。
 自民党以外の与党の皆さんは、今日の事態をいかが考えておられるのでしょうか。自民党だけが内閣に責任を持ち、総理を出す権利を有するわけではないでしょう。公明党の皆さんは森総理で本当によいと思っておられるのですか。みずからもスキャンダルの数々に汚れていると連帯責任を表明されるのでしょうか。皆さんが本当に三党連立が正しいと確信をするなら、公明党みずからが森総理に対し退陣を促し、国民の声にこたえる責任感を示すべきではありませんか。公明党、保守党の皆さんは、このスキャンダルと失政に埋もれた内閣、連立政権のどこを守るべきであると国民の皆さんに説明できるのですか。
 私は、この不信任案が可決されることを確信しております。この不信任案がもし可決されないとするなら、それは国会と国民の意思が乖離していることを示すことにほかなりません。そして、不信任案が可決されるなら、連立与党は直ちに衆議院を解散し、改めて国民に信を問うべきであります。(拍手)
 私たち野党四会派は、自民党政治を終わらせるという歴史的大事業を達成するために全力を挙げることを決意し、本不信任決議案を提案いたしました。国民は、自己改革もできない自民党利権政治にかわる新しい政治の実現を求めています。改革のうねりは数年前から始まったものですが、今そのうねりが大きな節目を迎えています。皆さん、この二十世紀から二十一世紀への歴史の転換点において、政治改革の流れを確かなものにする事業に参加しようではありませんか。
 改めて、本決議案に多くの議員が賛同され、速やかに可決いただくようお願いをし、提案を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(綿貫民輔君) 討論の通告があります。順次これを許します。中馬弘毅君。
    〔中馬弘毅君登壇〕
#9
○中馬弘毅君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました野党提出の理不尽きわまりない内閣不信任案に対し、断固反対の討論を行うものであります。
 まず、私は、今国会最大の課題である補正予算が成立していないこの時期に、かかる不信任案を提出し、いたずらに政治的混乱を引き起こそうとする党利党略の野党諸君に対し、心底怒りを覚え、また、野党諸君の良識を疑わざるを得ないのであります。
 ようやく明るさが見えてきた日本経済にとって、この補正予算の重要性は言うまでもありません。
 思い起こせば、日本発の世界恐慌が来るとさえ言われた危機的な状況から二年余り、小渕前総理が文字どおり命をかけて断行してきた諸政策が、今、ようやく実を結びつつあるのであります。経済を本格的な成長軌道に乗せるためには、どうしてもこの補正予算を成立させ、さらには大きな行政改革としての省庁再編、そしてその新体制の予算編成を今年じゅうに完了させ、十三年度予算を年度内に成立させることが不可欠なのであります。
 もし、反対に、ここで改革のプログラムを一時中断せざるを得ないようなことがあれば、もとのもくあみ、大きな行政混乱と再び深刻な経済危機が訪れるのは火を見るよりも明らかであります。まさに今は、日本経済にとって正念場、瀬戸際なのであります。
 ゆえに、私は、同僚議員諸君の良識に訴えたい。今の日本に、そしてこの時期に、このような無益な政争を繰り広げられている余裕はないのであります。一刻も早くこの不信任案は大差をもって否決し、補正予算を初め少年法、警察法、あっせん利得処罰法などの重要法案の審議に戻るべきであります。国民の暮らしを人質に、展望のはっきりしない、政権奪取か何か知りませんが、政治のゲームをもてあそぶ時期ではないのであります。(拍手)
 さて、野党の諸君は、口を開けば政府の経済政策は効果がないと批判いたしています。しかし、経済指標の多くが一時に比べてはっきりと改善し、着実に対策の効果があらわれてきているのは紛れもない事実であります。また、諸君は、もっと効果的なやり方があるとも言っております。それならば、その具体策を示していただきたい。もし、諸君が主張しているように、劇的に失業率を改善させ、消費を伸ばし、さらに財政までも立て直す手だてがあるならば、ぜひ具体的に国会の場に提示していただきたい。
 断片的に聞く民主党の構造改革論は、乱暴にして非現実的、あいまいにして論理矛盾そのもの、私の目には、我が国を破滅に導く議論に映るのであります。その点についてここで詳細を論議する時間はありませんが、今後、大いに政策論争を闘わそうではございませんか。
 皆さん、私はこう言いながら、実は大変むなしさを感じているのであります。国会を活性化させる目玉として導入した総理と野党党首との国家基本政策委員会、そこでの議論を見てほしいのであります。政策論争どころか、言葉狩りにも等しい揚げ足取りに終始しているではありませんか。毎回毎回、一国の総理にばり雑言を浴びせ続け、それが全国に生中継されているのです。いかに主義主張が違い、党利党略であるにせよ、仮にも次の政権を目指すと公言している立場ではありませんか。恥ずかしいとはお思いにならないのですか。そのたびに、私は情けなく悲しい気持ちになります。
 不信任の理由にマスコミ世論調査の支持率の低さを挙げておられます。そもそも支持率は、時により政策課題などで変動するものであり、もし支持率の低下を理由に交代させるのであれば、総理大臣の地位は、世論にばかり気をとられた極めて不安定なものになります。
 総理の失言問題にしても、総理の発言をゆがめたり、報道側の早とちりや誤解が原因であって、発言自体に問題がないことは国会などの説明で明らかであります。さらに、小渕内閣はもとより森内閣も、歴代の内閣にまさるとも劣らない難題を着実にこなしているではありませんか。
 では、森内閣が国益を損なうような失敗をしたかといえば、それもない。むしろ私は、アメリカ軍は日本から出ていくべきだとの民主党党首の発言、北朝鮮の拉致疑惑は根拠薄弱との共産党委員長の発言といった発言の方がよほど国益を損なっていると思うのでありますが、いかがでございましょうか。
 その野党が結託してこの時期に不信任案を提出するなど、正気のさたとは思えないのであります。それゆえ、私は、今回の不信任案を何としても葬り去らなければならないと思うのであります。これは、単に森内閣を信任するのみならず、日本の景気浮揚と構造改革と議会制民主主義を守る闘いなのであります。
 御出席の同僚議員諸君、こんな理不尽を横行させてはなりません。こんな不信任案を通すことになれば、後世の歴史家の物笑いにされてしまいます。絶対に否決しなければなりません。
 最後に、今国会の約半分、一カ月近くを審議拒否や国会欠席をしていた野党諸君に森内閣を糾弾する資格などどこにもないことだけははっきりさせておきたい。諸君は、総理の資質を問う前に、まず自身の政治家としての資質を問うべきであります。(拍手)
 国民の政治不信を招いたという言葉はそのままそっくり野党諸君にお返しした上で、与党三党の力強い連帯のもと、国権の最高機関たる衆議院の名にふさわしい立派な結論が出ることを確信いたしまして、私の反対討論とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
#10
○議長(綿貫民輔君) 石井一君。
    〔石井一君登壇〕
#11
○石井一君 ただいま議題となりました森内閣不信任案に対し、民主党・無所属クラブを代表いたしまして賛成の討論を行うものであります。(拍手)
 提案理由の説明にもありましたとおり、森内閣は既に国民の支持を失っております。国民が不支持を表明した内閣が外交を行い予算を編成している、このような異常な事態は一刻も早く解消し、正統な政府を構築しなければなりません。
 なぜ国民の支持を失ったのでありましょうか。それは、この内閣にこれ以上日本の政治のかじ取りを任せたら、日本が沈没するに違いないと国民が思っているからであります。
 自民党初め与党の諸君も、森内閣では来年の参議院選挙は戦えないと公然と言っております。これは、まさに本音のベースで森内閣不信任ではありませんか。永田町、いや自民党の常識が国民の非常識、国民の常識が自民党の非常識になっているところに今日の国民の政治不信があり、国民との乖離があり、政治の混迷を深めていることを深刻に認識しなければなりません。
 明るい将来を森内閣に託することができるのか。間違いなくノーであります。森政権、自公保政権が存続して国滅ぶであっては断じてなりません。
 私は、以下に、森内閣不信任決議案に賛成する理由を申し述べます。
 第一に、森内閣がこれ以上存続することが、民主主義の崩壊を招くことにほかならないということであります。そもそも、小渕前総理の急逝を受け、密室談合によって選ばれた森総理の正統性自体が、いまだ疑問の残るところであります。非常時であり、本会議で指名を受けたとはいえ、まさに外電が報じるように、暗黒時代のクレムリンを思い起こさせるような選出劇であったとの批判さえありました。さらに、その森総理を密室談合で決めたいわゆる四人組が何でもありの強権政治を繰り広げているのであります。
 今の自由民主党に、自由も民主主義もありますか。
 かつての自民党には、理性がありました。かつての自民党には、自制心も、バランス感覚もありました。そして、高邁なる自尊心がありました。それがなくなったから、消えたんであります。唯一の政権担当能力のある政党としての使命感と責任感が感じられました。それが今、どうでしょうか。多くの重要法案を数の力で押し通し、これまで培ってきた民主主義のルールやよき慣例を平気で踏みにじっているのではないですか。
 特に、今国会で採決を強行した参議院の非拘束名簿式比例代表選挙制度の導入に関しては、ただただその暴挙に唖然とするばかりであります。民主主義の根幹をなす選挙制度を、各党の合意なしに、与党の都合のみで、つまりは政権維持だけのために変えてしまうということは前代未聞のことであり、我が国の議会制民主主義の歴史に残した汚点ははかり知れない大きなものがありました。
 七年前、私が本院の政治改革特別委員長として気の遠くなるような努力と論議を重ね、与野党の合意を得て成立させた衆議院の選挙制度改革法案のことを、古い皆さんは覚えておられるのではないかと思うのであります。その過程を承知しておるはずの諸君がこうした暴走に走られたことは、必ず後世で批判の目にさらされることは必定であります。
 また、これまでどれだけの法案を強行に採決したでしょう。少なくとも、かつての自民党は、議会制民主主義の本質を理解し、野党や少数政党の意見を可能なまでに反映しようと努力してきたものであります。
 ところが、今や、連立を組むパートナーとの協議が終われば、本来権威ある国会の場を単なる形式的な手続の場と形骸化させているのであります。この責任の大きさは、はかり知れません。
 昨今の自民党は、理性のかけらもなく、もはや恫喝としか言いようのない行為が公然と行われているのであります。
 さらに、選挙においては、政権与党である立場を背景に、各自治体に公共事業の配分をちらつかせ、応援を強要し、党内外の批判勢力には、その権力を振りかざすありさまであります。
 私が知っておる誇り高き自民党は、もはやこの世には存在いたしておりません。私が知っておる自民党は、常に自由濶達な論議が展開され、そうして、その者を許容するおおらかさを持っている政党でありました。
 もはや、今の自民党には民主主義を語る資格はございません。自民党の覇道を排し、民主主義の王道を歩むために、自公保・森内閣の退陣をその第一歩としなければなりません。
 森内閣を不信任とする第二の理由は、その経済政策についてであります。
 いや、森内閣に実際に経済政策と呼べるものがあるのか。何もない。政府が景気対策と呼ぶ、赤字国債乱発による公共事業のばらまきという無能な施策があるだけであります。
 株価は、森内閣発足以来、坂道を転げ落ちるように下がり続け、年初来の最安値をさらに更新する勢いで、一万四千円割れ寸前であります。一方で、先週には、森内閣退陣のうわさが流れるや、一時上昇の兆しを見せるという、皮肉というには深刻過ぎる動きをマーケットは示しておるのであります。
 総理、市場はこの内閣の一刻も早い退陣を切望しておるのであります。政府・与党よりも、健全なマーケットの反応を信ずることは世界の常識であります。今、政府・与党がとり得る最大の景気対策は、森内閣の退陣ではないでしょうか。(拍手)
 与党幹部は、閣僚は、呪文のように、景気は確実に回復の兆しを見せていると言い続けていますが、このせりふは聞き飽きたというのが国民の実感であります。さらに、我が国が直面する財政問題はまさに深刻そのものであります。国と地方を合わせて六百五十兆円にも及ぶ長期債務残高を懸念し、アメリカの債券格付機関が日本の国債格付を下げている深刻さを政府は認識しておるのでしょうか。
 さらに、補正予算についてであります。
 そもそも、本年度予算が成立した際、宮澤大蔵大臣は補正予算編成の必要性はないとおっしゃっていたではないですか。ところが、状況がさして変化したとも思えない中で、今までと同じ手法の補正予算をのこのこと提出するとはどういうことでしょうか。見通しの甘さ、無責任のそしりを免れません。
 収入は減り、借金は膨れ、年金は削られ、医療費や介護保険料が引き上げられ、しかも近い将来の大増税と悪性インフレが予測される大きな不安の中で、どうして個人消費が期待できるでしょうか。病がさらに高ずることは、賢明な国民の皆さんは十分承知であります。経済無策の森内閣の一日の存続は、国民の苦しみと不安の一日の延長であります。この国民の悲鳴が聞こえてくるではありませんか。
 森内閣を不信任とする第三の理由は、我が国の国際的地位の低下であります。
 世界各国は、この森内閣を、当事者能力を備えた内閣であるとはとらえず、儀礼的な外交関係を保っているだけであります。我が国がここまで目に見える形で取り残されたことは、鎖国政策をしいていた江戸時代以来なかったことではないでしょうか。
 激動する世界情勢の中で、日本外交の地盤沈下と停滞は覆い隠すすべもありません。クリエーティブな外交もなければ、政治のリーダーシップもイニシアチブもありません。
 幾つかの例があります。
 朝鮮半島では、本年六月に歴史的な南北対話、金・金会談が行われました。その歴史的な瞬間の感動と同時に、そうしたシーンから確実に取り残されているのが我が国であります。そして、それに拍車をかけるのが、森総理の口から飛び出した北朝鮮拉致疑惑に関する第三国発見発言であります。その外交感覚のなさには驚かされるのみであります。
 ロシアとの関係に関しては、平和条約の締結に関して、プーチン来日直前に野中幹事長が領土問題切り離しに言及をいたしました。政府・与党間の認識の大きな違いが露呈したわけでありますが、このことは我が国に大きなマイナスをもたらしたのであります。
 さらには、日米関係であります。
 口先だけでは沖縄の苦しみに言及しながら、肝心の米国との交渉では問題提起すらできないという、非常識きわまりない弱腰外交を展開しているのであります。これ以上理念も戦略もない外交を森内閣にゆだねることは、国益を損なうことが明瞭であります。
 長年にわたる自民党政権下で、国民の勤勉さと努力によって、我が国は世界第二位の経済大国にまで発展を遂げることができました。しかし、東西冷戦構造の終結、そして我が国経済がバブル崩壊により経済神話が崩壊し、行政、経済、社会など既成のシステムが行き詰まり、改革が必要となった今日、古い政治はその変化に対応できませんでした。つまり、自由民主党がその歴史的役割を終えたのであります。諸行無常とは、まさにこのことを指しておるのであります。
 しかし、自民党はこのことに気づかず、権力に固執し続けてきました。党の誇りをかなぐり捨て、九四年には当時の社会党と連立を組み、政権復帰を果たしました。その後、ことごとく国政選挙において過半数を獲得できない自民党は、ただひたすら政権にかじりつき、次から次へと野にある政党に、議員に手を伸ばし、連立政権という形で政権維持を続けてまいりました。
#12
○議長(綿貫民輔君) 石井一君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#13
○石井一君(続) その結果が、今の自公保内閣であるわけであります。
 土台が腐食してしまったのに、幾らその上に家を建てても、補強材を添えても、風雪に耐えることはできません。このことは、一九九三年、私が羽田、小沢氏らとともに自民党を離れてから、ずっと指摘し続けてきたことであります。自民党の諸君は、土台の腐食に目をつぶり、補完政策を次から次へと探し、政権の延命を図るという誤りを繰り返してきたのであります。
#14
○議長(綿貫民輔君) 石井一君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#15
○石井一君(続) 自民党の執行部は、幾ら締めつけや強権を発揮しても、時代の流れを変えることはできません。強権、おどかしの政治は、時代錯誤、アナクロニズムにすぎません。
 私は、この場で呼びかけたいのであります。これからが重要であります。加藤紘一さんは、今回の一連の出来事は長く、広いドラマの始まりだと申しました。
#16
○議長(綿貫民輔君) 石井一君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#17
○石井一君(続) しかし、加藤氏は森内閣に対し退陣を求めてきたのであります。もし、その言明が果たせないのであれば、それは国民に対する公約違反であり、背信行為であります。
 加藤君も、そして山崎君も、小泉君も、この末期症状を終え、時代の終わった自民党の、今からさらに補完勢力になろうとするのですか。国民の七五%が反対しておる内閣の。公約を守らないのであれば、政治家をやめなさい。公約違反であります。政治家は言ったことに責任を持て。自民党は何だ。(拍手、発言する者あり)
    〔議長号鈴を鳴らす〕
#18
○石井一君(続) 君たちに強く反省を求め、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#19
○議長(綿貫民輔君) 東順治君。
    〔東順治君登壇〕
#20
○東順治君 私は、公明党を代表し、森内閣不信任決議案に対しまして、反対の討論を行うものであります。
 我が国議会政治において野党に許された最大の権能は、言うまでもなく、与党内閣に対する不信任決議案の提出であります。したがって、理由の当否は別にして、内閣不信任決議案の提出自体は、野党の自由ではあります。しかし、この決議案に多数の賛同を得るには、第一に、今はいかなるときかを厳粛にわきまえていること、第二には、国家的大義と根拠が明確であるか否かという点が重要であります。これまでの憲政史上を振り返ってみても、この二点を見誤った不信任案が可決されたことは一度もありません。
 翻って、ただいま提案理由説明のあった野党共同提出の森内閣不信任決議案は、まさにむき出しの党利党略、国家の危機を我が千載一遇の好機ととらえ、一国の混乱を助長せんとする以外の何物でもありません。
 本日、時あたかも、日本経済を破綻から立ち直らせ、本格的、自律的回復軌道に乗せるための重要な平成十二年度補正予算案が審議され、まさに採決されんとするそのときに、これを葬り去ろうと画策しているのが本決議案であります。
 我が国にとって当面する最優先課題は何か。それは、言うまでもなく、景気の回復に万全を尽くすことであります。現下の我が国の経済状況は、緩やかな回復基調を続けているものとはいえ、雇用は依然として厳しく、個人消費は横ばいの状態であり、民需中心の本格的な回復には至っていないのが現状であります。しかも、最近の原油価格の上昇傾向も見きわめる必要があります。
 今国会では、景気を本格的な回復軌道につなげるために、森内閣は小渕前内閣を引き継ぎ、我が国の経済を本格的な回復軌道に乗せるため、その一環として、中小企業対策、IT振興対策、災害復旧対策などを中心とした総額四兆八千億円の補正予算を作成したところであります。
 そして、補正予算の審議を終え、まさに予算委員会で採決せんとするその直前に、野党は、内閣不信任案を提出し、予算案の成立を阻止しようとしています。この野党の姿勢は、ひたすら景気の本格的回復を願い、額に汗して懸命に働く国民への背信行為そのものであり、極めて遺憾と言わざるを得ません。
 先ほど鳩山民主党代表は、我が党に何か批判めいたことを言っておられましたが、私は、民主党の皆さんに逆に声を大にして訴えたい。皆さんのために補正予算案の成立が困難となり、国民経済への壊滅的打撃を与えることになれば、一体どう責任をとるのか。(拍手)
 もしも不成立という異常事態にでもなれば、三宅島を初めとする災害復旧事業にも支障が出てまいります。地方自治体への影響は言うまでもありません。もちろん、低迷する株価にも極めて深刻な影響を及ぼすことは明らかであります。
 さらに、今国会には、あっせん利得処罰法案を初め少年法、警察法、特殊法人等改革基本法、医療、健康保険法など、一日も早く成立させるべき数々の重要法案が上程されているのであります。
 このように、補正予算案を初め重要法案をすべて白紙撤回させ、必然的に来年度予算の編成が大幅に遅延することになり、結果的に政治の停滞、空白を招きかねない内閣不信任案の提出は、まさにその提出の時を無視した、党利党略そのものと言わざるを得ないのであります。
 第二は、内閣不信任案提出の国家的大義についてであります。
 四月七日の衆参本会議の所信表明演説で、森内閣は、小渕前総理の施政方針を継承しつつ、二十一世紀へ日本新生を目指すとの方針を表明しましたが、この内閣の今日までの歩みは、まことにその設計図どおりの着実な実践の姿そのものでございます。内閣支持率が内閣のよしあしを判断するすべてであるかのごとき論調は、極めて危険かつ安易な考え方であると指摘せざるを得ません。
 政治とは、本来、国民のニーズを敏感にとらえ、それに対してこたえていくことが重要でありますが、特に既成の理念、価値観、原理原則、制度など、あらゆる面での改革が今日まさに重要なこのときに、国民の皆さんに耳ざわりのよい政治だけを言っていたならば、危機克服は困難であり、我が国は崩壊してしまいます。今は、みずから必要と判断した施策を勇気を持って果断に実行していくことが何よりも重要なことであります。
 さて、ここで私は、極めて残念ではありますが、今回の内閣不信任決議案に関して、断じて見過ごしにはできない、また許されるべきではない一点を指摘しなければなりません。
 信じられないのは、立場を異にする野党が内閣に対して不信任を提出することはあるとしても、あろうことか、与党の一部に野党の不信任案に同調する動きがあったということであります。
 現政権は、自民、公明、保守三党による連立政権であり、一党による単独政権ではないのであります。三党の政権合意に基づいて連立政権が樹立され、その根底は強固な信頼関係に基づいております。その信頼関係の基盤を与党の中から崩そうとするこうした行為は、連立与党としての自覚と責任を完全に欠如したものであり、政党人としての最低限の道義をも投げ捨てる行為と言わざるを得ず、極めて残念と言わざるを得ません。
 以上、森内閣不信任決議案に対して、公明党は連立与党として党を挙げて断固反対することを表明し、私の反対討論を終わります。(拍手)
#21
○議長(綿貫民輔君) 武山百合子君。
    〔武山百合子君登壇〕
#22
○武山百合子君 自由党の武山百合子でございます。
 私は、自由党を代表して、ただいま提出されました森内閣不信任決議案について、賛成の討論を行います。
 就任以来八カ月、私は、これまでの歴代総理大臣で、これだけ総理大臣としての資質を欠いた軽率な言動を数限りなく繰り返してきた総理大臣を知りません。
 賛成する第一の理由として、森内閣誕生の経緯そのものに重大な問題があったことを指摘します。
 小渕前総理が倒れられて、青木官房長官が記者会見をされた直後、自民党の有力者の一部では、既に後継総理を決めていたのです。緊急に閣議を開くことなく、医師団の公式発表もなく小渕前総理を辞任させ、談合によって後継総裁を決め、民主国家とはほど遠い総理大臣を劇的に選びました。総理が倒れたという国家最大の非常事態を非常事態とも認識せず、頭にあるのは日本の国、日本の国民のことではなく、自分たちの権力維持だけという、国家を私視した、派閥政治以前の古い体質のあらわれが森政権誕生の過程なのです。いわゆる五人組と言われる人たちによる談合総理が誕生してから、この国はおかしくなったのです。
 また、連立政権というものは、その前提として、具体的な重要課題を解決する政策合意がなければなりません。しかるに、森連立政権は、具体的に何をするのかという政策合意の全くないままにつくられた政権であり、これは連立ではなく、理想も夢も希望もない数合わせ政権以外の何物でもないのです。
 第二に、九州・沖縄サミットの失敗です。
 九州・沖縄サミットでの森内閣の対応は、日本の国益を大きく損ない、世界にとって大切な機会をも無にしました。第二次世界大戦最後の激戦地である沖縄を選んだ小渕前総理が、沖縄サミットを、二十世紀から二十一世紀への節目となる年に、戦後五十年の経過を反省し、二十一世紀を展望する平和サミットにしたいと準備しました。その時と舞台を整えたにもかかわらず、平和に対する歴史感覚を持った深い政治的討議を議長国としてリードできなかった責任は大きいと言わなければなりません。
 平和と安定に向けての協調と将来像を描くこともできず、沖縄米軍基地問題についての進展もなく、北朝鮮問題の重要性を各国首脳に理解させることもできず、中国、台湾問題は議題にせず、核兵器廃絶に向けた議論も行われることなく、世界貿易機関の次期貿易交渉についても先送り、途上国の債務救済についても具体的な進展なし、遺伝子組み換え食品の安全性についても事実上先送りでありました。
 それは、森内閣自身に明確な外交、安保政策の理念、方針がないからにほかなりません。政治が主導すべきサミットを、省庁の作成した原稿を棒読みするだけのパフォーマンスサミットにしてしまった森総理大臣の責任は重大です。
 第三に、森内閣は、経済政策についても無為無策であったことです。
 景気の回復こそが国民の強い願いであるにもかかわらず、我が国経済を混迷のふちに陥れているのが森内閣です。構造改革の根本である行財政改革を断行しようともせず、その本質である規制の撤廃も手つかずであります。経済的規制の撤廃や行財政改革を行うことによって初めて、お役所に縛られることのない民間の自由な発想と努力で日本経済を支え、自律経済成長を歩む道を進むことができるのです。それにもかかわらず、森内閣はその発想を全く持ち合わせておりません。
 このたび提案された補正予算においてもしかりであります。歳出面では、ITと各省こぞって名づけながら、相も変わらず従来どおりの公共事業の積み増しであり、公共事業の見直しに逆行するものです。歳入面でも、決算剰余金の繰り入れをやめた上に短期国債を発行するなど、国債管理政策にも逆行した予算を提案しているのです。
 第四に、森総理の発言が余りにも軽率であることです。
 かつて、細川護熙元総理大臣が辞任表明をされたときに、当時の森喜朗自民党幹事長は、総理大臣の発言は重い、軽率な発言は慎まなければならないと発言しました。私は、その言葉を今改めて森総理大臣に対してお返ししなければなりません。お返しします。(拍手)
 五月十五日には、日本は天皇を中心にしている神の国だと、我が国の象徴天皇制を揺るがしかねない発言をされました。
 また、衆議院選挙中には、無党派は関心がないと言って寝てしまってくれればそれでいいと、民主主義の何たるかを全く理解されていないとしか言いようのない言葉を使われました。
 九月二十八日の衆議院予算委員会では、沖縄普天間飛行場の使用期限問題が日米合意として盛り込まれていると発言し、慌てて取り消されましたが、このような認識で日米首脳会談に臨んでいたのかと唖然とさせられたのでありました。
 また、小渕前総理の緊急入院を受けて後継の総裁に就任した経緯について国会で聞かれたときには、私が私生子のように生まれたとおっしゃるが、不愉快だと述べられ、嫡出でない方々の人権をないがしろにするかのような発言をなさいました。
 このほかにも、ITをICと間違えて発言したり、中川官房長官が辞任したその翌日に早慶戦をはしゃいで観戦したり、月刊誌には、夜ごと高級店でグルメ三昧、それで日本は大丈夫かと書かれるなど、国民に対する責任を全く感じていません。総理の威信は完全に失墜してしまっております。
 中でも問題なのは、北朝鮮問題に関する総理の言動とその対応であります。この問題は、国家の主権と国民の生命にかかわる問題であり、見過ごすことはできません。通常の総理大臣であれば、失態の大きさに気づいてみずから身を引くであろう重大な事態に、国会答弁を聞いても、御本人は全くお気づきになっていないことが問題なのです。
 総理は、日英首脳会談で、北朝鮮側の立場もあり、メンツもあるから、拉致をしたということを認めていないわけだから、行方不明者としての考え方があるんじゃないか、例えば北京、バンコク、よその国にいたということでそっと移していただいて、そこにいたということにできないだろうか、中山さんは正式にそういう話をしたとブレア首相にお述べになったそうであります。
 結論の出ていない日本と他国の交渉事を外国の首脳にしたとすれば、その国の首脳は、自分の国の大事な話もどこでされるかわからない、日本の総理には大事な話は話せないと思うでしょう。今回その話がマスコミに報じられたことで、世界じゅうの指導者が、日本の総理には大事な問題は話せないと思ったのです。結果としてこれが日本の国益をどれだけ損ねたのか、それすらも森総理は気づいていないのです。この問題は、そこに核心があるのではありません。
 そもそも拉致問題は、国家の主権の侵害として北朝鮮に明確にするよう求めている問題であります。これをあいまいにするような解決策を軽々と口にするような感覚しか総理は持ち合わせていない、この点に最大の問題があるのです。
 国家の何たるかをわかることのできない総理大臣を持つくらい不幸な国民はありません。この点をもってしても、森内閣は不信任に値すると言わなければなりません。
 第五に、一国の総理大臣の資質とは、みずからのビジョンを明確にし、国民を導いていくことのできる指導者であることにほかなりません。我が党の小沢一郎党首の国会質問で、森総理大臣にその資質のないことがはっきりと明らかになったことです。
 総理は所信表明演説で、時代に適合しなくなったシステムを改めると述べられましたが、小沢党首が、本年四月十九日のクエスチョンタイム並びに四月二十四日の衆議院予算委員会で、どのようなシステムをどう改めようとしているのか質問したのに対して、総理は、内閣の責任を負う立場の中で、こういうところが問題点で、こうしろと言うことは控えなければならないと答えられました。自分の意見を言うことのできない総理、すべてを国会やお役人の議論に任せる総理大臣では、日本のリーダーとしての資格はありません。(拍手)
 そして、総理御本人ばかりでなく、久世金融再生委員長や中川官房長官など、適格性に問題を欠いた閣僚を任命するなど、森内閣全体が既に国民から信用されていないのです。
 以上、森内閣が不信任に値するという理由を述べてまいりましたが、今では、世論調査で、多いところで八二%の国民が森内閣を支持しないと明確にしております。
 これまで続いてきた談合体質、事なかれ体質、問題先送り体質、政治家が責任を持って物事を決めるのではなく、すべてをお役所任せにする体質そのものを一新しなければなりません。それは、自民党的政治体質そのものを改めることにほかならないのです。森総理大臣の退陣がその第一歩です。
 最後に、森総理大臣に申し上げます。
 あなたの好きなラグビーに例えるならば、あなたは、国政という重いボールを持って走り出しました。しかし、ゴールがどこにあるのかわからずやみくもに走ったあげく、あちらこちらで反則を繰り返し、ついには味方からもタックルされるという憂き目に遭っているのであります。
 さあ、もうノーサイドです。直ちに衆議院を解散して総選挙を断行し、新しい政権の選択を国民の手にゆだねるべきです。
 以上申し述べまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#23
○議長(綿貫民輔君) 松浪健四郎君。
    〔松浪健四郎君登壇〕
#24
○松浪健四郎君 こんばんは。皆さん、大分お疲れだと思います。
 自民党の皆さんもぼろくそに言われました。森総理もぼろくそに言われました。御安心ください。我々保守党は体を張ってお守りいたします。(拍手)
 私は、与党の一角を占める保守党を代表して、ただいま提案されております森内閣不信任決議案に対し、けしからぬと腹を立てながら、反対の討論を行います。
 討論に先立ち、まず申し上げたいことは、この時期の野党の内閣不信任決議案提出は、国民生活や国内情勢をわきまえず、国際的感覚も欠如したものであり、余りにもばかげていて、適当ではないということであります。
 野党が政府・与党との対決姿勢を示すため、内閣不信任決議案を形式的に提出することは当然あり得ることであり、その限りにおいて、私も理解できます。問題は、その時期であります。
 今日、我が国経済は、立ち直りかけてはいるものの、いまだ個人消費を中心に一進一退の状態にあり、自律的回復の軌道に乗るか否かの瀬戸際の状況にあります。我が国経済の問題は、その影響の大きさから、ひとり我が国のみならず、その動向は世界が注目するところであります。我々は、日本発世界恐慌の引き金を引くことは断じてなりません。
 今国会に提出している補正予算をきちんと成立させ、来年度予算を編成し、その速やかな成立を図ることによって我が国経済を一日も早く自律的回復の軌道に乗せることが、何よりも、何よりも重要であります。
 また、来週の二十四日からは、シンガポールにおいて、ASEANプラス3の会談が行われる予定であります。日本、中国、韓国の三カ国の首脳が一堂に会し、経済問題、安全保障問題、北朝鮮問題、IT問題などが話し合われる予定となっております。この首脳会談は、東アジアの将来にかかわる重要な会談であり、日本のみならず、中国にとっても、韓国にとっても、極めて大切な会談であります。
 さらに、来年の一月からは行政機構の大改革である中央省庁の再編が始まります。それが円滑にスタートできるよう事前の準備に万全を期さなければなりません。
 このように、この時期は、我が国にとって大変大事な時期であり、政治休戦すべきときであると心ある政治家なら考えます。このような状況を全くわきまえず、内閣不信任決議案を提出した野党の姿勢は、我が国の置かれた状況を理解せず、国際的感覚を欠いた間違った対応であることを指摘しなければなりません。
 また、野党はともかく与党の重大な責任ある立場の方が、野党提出の内閣不信任決議案から逃げ、欠席されたことは、その政治姿勢と人間性が問われる重要な問題であり、国民を欺く行為、まことに言語道断であります。連立を組む保守党として、このことを強く主張いたします。そして、その反党的行為を軽べつさせていただきます。
 内閣不信任決議案反対の一つの理由は、森内閣に……(発言する者、離席する者多し)内閣不信任決議案反対の理由は、森内閣に失政がないということであります。明確な理由も論理もなく情緒で動く現状は、山本七平氏が言うところの「空気」の研究対象になるでありましょう。(発言する者、離席する者多し)
#25
○議長(綿貫民輔君) 静粛に願います。
#26
○松浪健四郎君(続) 自民党、公明党、保守党から成る森連立政権は、さきの総選挙で国民の信任を得、衆参両院における首班指名を受け、国のため、国民のため、誠実に政策を手際よく実行してまいりました。(発言する者、離席する者多し)
#27
○議長(綿貫民輔君) 静粛に願います。
#28
○松浪健四郎君(続) 例えば、今日の国政の最も重要な課題である経済政策において、前小渕内閣の路線を堅持し、積極的な経済政策を国民の立場から推進し、我が国経済を全体として緩やかながらも改善させ、不況のどん底にあえいでいた我が国経済を見事に立ち直らせたのであります。(発言する者、離席する者多し)
#29
○議長(綿貫民輔君) 静粛に願います。
#30
○松浪健四郎君(続) 自律回復軌道に乗せるにあと一歩までたどり着いたのであります。
 最後に……(発言する者、離席する者多し)余りにもうるさいので、反対討論を終わります。(拍手、発言する者、離席する者多し)
#31
○議長(綿貫民輔君) 静粛に願います。
 松本善明君。(発言する者、離席する者多し)静粛に願います。
    〔松本善明君登壇〕
#32
○議長(綿貫民輔君) 静粛に願います。(発言する者、離席する者多し)――静粛に願います。
 松本善明君、発言お願いします。(発言する者、離席する者多し)――静粛に願います。
 松浪君の件につきましては、後刻議長において処置をいたします。(発言する者、離席する者多し)静粛に願います。静粛に願います。静粛に願います。
 松浪君の件につきましては、後刻議長において処置をいたします。(拍手、発言する者あり)後から処置しますから。
 松本善明君、登壇願います。(発言する者、離席する者多し)静粛に願います。
 松浪君の件については後刻処置いたしますから、議事を進めます。(発言する者、離席する者多し)一たん着席してください、着席。着席してください。後から処置するんだから座ってくださいよ。処置しますから。そんなこと、今休憩する必要は、だめ、後から処置する。
     ――――◇―――――
#33
○議長(綿貫民輔君) この際、十分間休憩いたします。
    午後十時五十分休憩
     ――――◇―――――
    午後十一時九分開議
#34
○議長(綿貫民輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員松浪健四郎君を懲罰委員会に付するの件
#35
○議長(綿貫民輔君) 本日の本会議における松浪健四郎君の行動は、議院の秩序を乱し、かつ、議院の品位を傷つけたものと認め、議長は、松浪健四郎君を懲罰委員会に付することといたします。(拍手)
 松浪君の退場を命じます。(拍手)
     ――――◇―――――
#36
○議長(綿貫民輔君) 森内閣不信任決議案を議題とし、討論を続行いたします。松本善明君。
    〔松本善明君登壇〕
    〔発言する者、離席する者多し〕
#37
○議長(綿貫民輔君) 松本さん、やってください。(発言する者、離席する者多し)静粛に願います。(発言する者、離席する者多し)静粛に願います。着席願います。着席願います。着席してください。着席、着席、着席、着席してください。(発言する者、離席する者多し)着席してください。
 松本さん、議長の命令だからやってください。(発言する者、離席する者多し)松本さん、やってください。やらないなら飛ばしますよ。あなたが討論おやりにならないなら次に行きますよ。
     ――――◇―――――
#38
○議長(綿貫民輔君) 明二十一日午前零時十分から本会議を開くこととし、本日は、これにて延会いたします。
    午後十一時二十四分延会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  森  喜朗君
        法務大臣    保岡 興治君
        外務大臣    河野 洋平君
        大蔵大臣    宮澤 喜一君
        文部大臣    大島 理森君
        厚生大臣    津島 雄二君
        農林水産大臣  谷  洋一君
        通商産業大臣  平沼 赳夫君
        運輸大臣    森田  一君
        郵政大臣    平林 鴻三君
        労働大臣    吉川 芳男君
        建設大臣    扇  千景君
        自治大臣    西田  司君
        国務大臣    相沢 英之君
        国務大臣    堺屋 太一君
        国務大臣    続  訓弘君
        国務大臣    虎島 和夫君
        国務大臣    福田 康夫君
ソース: 国立国会図書館
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