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2000/08/09 第149回国会 参議院 参議院会議録情報 第149回国会 労働・社会政策委員会 第1号
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2000/08/09 第149回国会 参議院

参議院会議録情報 第149回国会 労働・社会政策委員会 第1号

#1
第149回国会 労働・社会政策委員会 第1号
平成十二年八月九日(水曜日)
   午前九時四十分開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         吉岡 吉典君
    理 事         大島 慶久君
    理 事         大野つや子君
    理 事         小山 孝雄君
    理 事         川橋 幸子君
    理 事         長谷川 清君
                上杉 光弘君
                釜本 邦茂君
                斉藤 滋宣君
                清水嘉与子君
                溝手 顕正君
                笹野 貞子君
                高嶋 良充君
                直嶋 正行君
                但馬 久美君
                浜四津敏子君
                八田ひろ子君
                大脇 雅子君
                高橋紀世子君
                魚住 汎英君
                友部 達夫君
    ─────────────
   委員の異動
 八月九日
    辞任         補欠選任
     川橋 幸子君     木俣 佳丈君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉岡 吉典君
    理 事
                大島 慶久君
                大野つや子君
                小山 孝雄君
                木俣 佳丈君
                長谷川 清君
    委 員
                上杉 光弘君
                釜本 邦茂君
                斉藤 滋宣君
                清水嘉与子君
                溝手 顕正君
                笹野 貞子君
                高嶋 良充君
                直嶋 正行君
                但馬 久美君
                浜四津敏子君
                八田ひろ子君
                大脇 雅子君
                高橋紀世子君
                魚住 汎英君
   国務大臣
       労働大臣     吉川 芳男君
   政務次官
       労働政務次官   釜本 邦茂君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山岸 完治君
   政府参考人
       文部大臣官房審
       議官       玉井日出夫君
       文部大臣官房審
       議官       清水  潔君
       厚生省保険局長  近藤純五郎君
       中小企業庁次長  殿岡 茂樹君
       労働大臣官房政
       策調査部長    松崎  朗君
       労働省労政局長  澤田陽太郎君
       労働省女性局長  藤井 龍子君
       労働省職業安定
       局長       渡邊  信君
       労働省職業能力
       開発局長     日比  徹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○労働問題及び社会政策に関する調査
○理事補欠選任の件
〇継続調査要求に関する件
〇委員派遣に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る七月二十七日、常田享詳君が委員を辞任され、その補欠として釜本邦茂君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(吉岡吉典君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、労働問題及び社会政策に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(吉岡吉典君) この際、吉川労働大臣及び釜本労働政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。吉川労働大臣。
#6
○国務大臣(吉川芳男君) このたび労働大臣を務めることになりました吉川芳男であります。
 現在、我が国の雇用失業情勢は、六月の完全失業率が四・七%、有効求人倍率が〇・五九倍と依然として厳しい状況にあります。しかしながら、新規求人は増加し、特に情報通信技術や介護関連の分野等においては、本年一月以降、前年に比べ二〇%以上増加しております。このような状況が続いていることから、雇用情勢には改善の動きが見られると考えております。
 私は、従来より、安全、安心、安定を確保することの大切さを主張してまいりましたが、労働大臣として、働く人たちすべてが安全で安心して安定して働くことのできる社会の実現に向けて邁進してまいりたいと思っております。このために、次の政策を積極的に推進してまいります。
 第一は、雇用失業情勢の改善の動きをより確かなものとすることです。
 働く人たちすべてがIT革命の進展に十分対応できるよう、情報通信等の職業訓練の拡充強化に努めてまいります。また、ミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策の着実な実施に努め、三十五万人程度の雇用就業機会の増大の実現化を図ってまいります。
 そごうグループの経営破綻に関しましては、関連企業における失業の予防のため、雇用調整助成金の大型倒産等事業主として指定するなど必要な対策を行っております。今後とも、産業、雇用の動向に十分留意し、雇用の安定のためにきめ細かな対策を迅速に行うよう努めてまいります。
 第二は、働く人たちが安全で安心して働くことができる労働環境の整備であります。
 過労死の予防など、職場における安全と働く人たちの健康の確保に努めてまいります。
 また、労働時間の短縮を推進し、長期休暇制度の普及に取り組んでまいります。
 さらに、個別的労使紛争の増加に対応し、簡易迅速な紛争処理システムの整備について検討を進めてまいります。
 第三は、少子高齢化の進展に対応した高齢者の雇用対策や仕事と家庭の両立支援対策の推進であります。
 活力ある高齢社会を築くため、六十五歳までの雇用を確保できるよう定年の引き上げや継続雇用制度等の導入の推進を図るとともに、将来的には年齢にかかわりなく働き続けることのできる社会の実現に向けて検討を進めてまいります。
 また、育児休業を取得しやすく職場復帰しやすい環境を整備するなど、働きながら安心して子供を産み育てることができるようにするための対策を充実してまいります。
 第四は、行政改革の推進であり、来年一月の厚生労働省の発足に向け、関係省庁との緊密な連携のもと、必要な準備に万全を期してまいります。
 労働問題に関する諸課題の解決には政労使の一致協力した取り組みが必要です。このため、良好な労使関係の維持、発展、政労使の意思疎通の促進に努めてまいります。
 私は、労働行政を預かる者として、雇用の安定を初めとする諸課題の達成に全力を挙げて取り組む所存であります。吉岡委員長を初め委員各位の一層の御理解、御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
#7
○委員長(吉岡吉典君) 釜本労働政務次官。
#8
○政務次官(釜本邦茂君) このたび労働総括政務次官を務めることになりました釜本邦茂でございます。
 我が国の雇用失業情勢は、依然として厳しい状況にありますが、改善の動きが広がってきております。このような動きをより確かなものとするため、雇用対策を的確に推進し、雇用不安の解消に努めることが重要です。
 また、一人一人の意欲と能力が生かされ、安心して働くことができ、ゆとりを実感できる勤労者生活を実現していくことが重要であります。
 私は、吉川労働大臣とともに、労働行政の推進に全力を尽くして取り組んでまいりますので、吉岡委員長を初め委員会の先生方の格別の御指導、御協力を賜りますようお願いいたします。
    ─────────────
#9
○委員長(吉岡吉典君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 労働問題及び社会政策に関する調査のため、本日の委員会に文部大臣官房審議官玉井日出夫君、文部大臣官房審議官清水潔君、厚生省保険局長近藤純五郎君、中小企業庁次長殿岡茂樹君、労働大臣官房政策調査部長松崎朗君、労働省労政局長澤田陽太郎君、労働省女性局長藤井龍子君、労働省職業安定局長渡邊信君及び労働省職業能力開発局長日比徹君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#11
○委員長(吉岡吉典君) 労働問題及び社会政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○大島慶久君 ただいまの大臣の所信的ごあいさつに対して、短時間でございますけれども、三点ばかり質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最初に、大臣、御就任以来何かと、こういう時期でございます、御苦労の多いことと思いますけれども、現下のこの厳しい雇用情勢に対する御認識と、その認識を踏まえた雇用対策への取り組みについてまず最初にお伺いをいたします。
 我が国の経済は、一昨年からの一連の経済対策の効果に加えまして、アジアの経済も少しずつ回復され、その影響にもよろうかと思いますけれども、穏やかな改善が続いております。自律的な回復に向けた動きが徐々に強まってきているという見方をいたしております。
 しかしながら、雇用失業情勢については、ただいま大臣からのごあいさつの中にもございましたように六月の完全失業率が四・七%と、極めてこれは高水準で推移しております。依然として厳しい状況が続いておるわけでございます。さらに、今後についても、雇用は景気におくれて回復する傾向があることでありますし、採用抑制を中心とした雇用調整の動きが続く可能性があると思います。
 当面は厳しい状況が続くものと考えられますので、私の第一の質問に対して大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#13
○国務大臣(吉川芳男君) 現下の雇用失業情勢については、六月の有効求人倍率は〇・五九倍となっており前月より上昇したものの完全失業率が四・七%と前月より上昇するなど、依然として厳しい状況にあると認識しております。
 しかしながら、景気の先行指数であります新規求人は増加し、特に情報通信技術や介護関連の分野におきましては、本年一月以降、前年に比べて二〇%以上増加しております。このような状況が続いていることから、雇用情勢には改善の動きが見られると考えております。
 このため、労働省といたしましては、この傾向をさらに促進し三十五万人程度の雇用就業機会の増大の実現化を図るために、ミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策の着実な実施に引き続き全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
#14
○大島慶久君 次に、IT革命と労働政策に関連いたしまして大臣の取り組みへの御決意をお伺いしたいと思います。
 我々が想像する以上に現在の日本社会にもIT革命の波が押し寄せておりますが、経済産業構造が変化する中で、今後、情報通信産業などの新規・成長分野における雇用の創出が多く見込まれる、そういう想像をいたしておりますが、その一方では、あらゆる職業分野の労働者にパソコン等を使いこなす能力が求められるようになることは必至であります。とりわけ、こうした能力が不足をしております中高年齢者にとりましては、これまでの職業経験や知識を職場で十分に活用できなくなったりあるいは再就職の際の選択肢が狭まることなどにより、その雇用関係が一層著しいものになるということが想像できます。
 このため、今後、我が国がIT革命に対して雇用面も含めて的確に対応するためには、働く人すべてがIT化に対応した職業能力を身につけることが極めて重要であると考えられるわけであります。また、情報通信関連産業が生み出す新たな雇用ニーズに対応できる高度な人材の確保育成も不可欠であります。
 政府は、IT革命への対応を我が国の重要課題の一つとして位置づけておられるわけでありますが、今私が申し上げたとおり、社会基盤の整備等のハード面のみならず、IT革命に対応した労働者の能力開発といったソフト面からの対応も極めて重要な課題と思います。
 大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
#15
○国務大臣(吉川芳男君) 大島委員の質問に答えさせてもらいます。
 IT革命の進展に伴いまして、雇用面への影響といたしましては、情報通信関連分野の人材ニーズが今後一層拡大することが期待されておりますけれども、その一方で、IT関連機器の操作能力等にかかわるミスマッチの発生も懸念されているところでございます。
 このために、働く人すべてがIT化に対応できますようにということを目指した対策の推進によりまして、こうしたミスマッチの解消を図るとともに、情報通信関連分野の雇用ニーズに対応する人材の確保育成を図っていく必要があると考えております。
 具体的には、まず労働者のパソコン等の操作能力を向上するために、公共職業能力開発施設での訓練や専修学校等への委託訓練の拡大等により十分な教育訓練機会を確保していくことにあると思っております。また、情報通信分野の求人の増加に対応した高度な人材育成のための訓練コースの拡大強化についても検討してまいりたいと思います。
 私といたしましては、我が国のIT革命への対応に関し労働政策が重要な役割を果たすべきものがあるというふうに認識しておりますし、今後一層の対策の充実強化に努めてまいりたいと思っております。
#16
○大島慶久君 最後に、経済産業構造の転換期における今後の雇用対策について大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
 IT革命はその一つのあらわれでありますけれども、現在の我が国は大きく経済産業構造が変わっていく時期にあります。そして、雇用対策についても一定の見直しをぜひ加えていくべき時期が来ているのではないかと思うわけでございます。すなわち、どちらかといえば、失業者対策に重点を置くことのみならず、労働者が必要な職業能力開発を自発的に行い、このような人々が失業を得ないで新規・成長分野に円滑に転職できるような対応が今後一層重要性を増すのではないかと考えているわけであります。
 このような時期に労働大臣をお務めになられるということは、極めて重大な責務を負われると同時に大変御苦労でございますけれども、私は心から大臣の御活躍にエールを送りたいと思っております。今所信でも述べられたことを着実に実行されて、我が国の労働行政がいい状況に置かれますように心から念願をいたすものでございますので、最後の質問に大臣はどうお考えなのかお伺いをしておきたいと思います。
#17
○国務大臣(吉川芳男君) お答え申し上げます。
 経済産業構造が大きく変化する中で中長期的に雇用の安定を図っていくということは、御指摘のとおり、良好な雇用機会の創出、確保を図るとともに、円滑な労働移動に対する支援など、労働力需給のミスマッチを解消するための施策をより効果的に講じていくことを検討する必要があると考えております。
 労働省といたしましては、経済産業構造の変化に対応した雇用の安定のための支援策のあり方について秋以降に関係審議会で御審議をいただきたいと考えておりまして、その結果を踏まえつつ適正に対処してまいりたいと思っております。
 なお、私に対しての御激励には心から感謝申し上げます。
#18
○大島慶久君 それぞれ御答弁いただきまして、ありがとうございました。
 これで私の質問を終わります。
#19
○但馬久美君 公明党の但馬久美でございます。
 まず、吉川労働大臣そしてまた釜本労働総括政務次官、御就任おめでとうございます。
 私は、女性の就業環境の整備について何点かお伺いしたいと思っております。最近、女性の就業環境の整備に関しましてマスコミ報道や労働省の発表に注目すべき点がありました。この点について若干何点か質問いたします。
 女性の就業環境の整備は、まず女性の社会参加を促進する観点からと、もう一つは少子高齢化が進む中で将来の労働力不足の危機を回避する意味から、女性問題の大きな課題となっております。七月に、日経に大臣のインタビューの記事が掲載されておりました。そこで、女性の就業環境の整備では育児・介護休業の安定が重要で、これには男性の理解や協力が欠かせず、男性に対する啓蒙活動をしていかねばならない、そういうふうに発言をされていらっしゃいます。
 まず、大臣のこの発言の趣旨についてお伺いしたいと思います。
#20
○国務大臣(吉川芳男君) お尋ねのインタビューでは次のような趣旨で申し上げておきました。
 男女労働者ともに希望すれば育児休業、介護休業を取得できるような育児休業、介護休業制度を定着させることは、女性が育児、介護についてより重い役割を担っているという現状にかんがみますときに、女性がその能力を十分に発揮できる就業環境の整備としてとりわけ重要であると考えておりますがゆえでございます。
 さらに、女性が育児、介護についてより重い役割を担っている現状の背景には、男は仕事、女は家事、育児というような固定的な性別役割分担意識があると考えていることから、これを見直し、女性だけでなくて男性ともどもに家事や子育てへ積極的に参加することが重要であるということを啓発していく必要があるということを申し上げたわけでございまして、以上、申し上げたとおりでございます。
#21
○但馬久美君 ありがとうございます。
 育児、介護休業の制度が定着するためには男性の理解や協力が重要な要素であるということは、私も十分認識いたしております。育児休業や介護休業といった制度があっても、この休業をとりやすくするためのシステムとか環境整備が整っていなければ役には立たない、そういうふうに思います。
 そこで、先週発表されました「育児・介護を行う労働者の生活と就業の実態等に関する調査結果」によりますと、育児休業をとらなかった者の六五%以上が、改善点として職場の理解を挙げていることです。つまり、職場の雰囲気がということで四三・〇%、また経済的に苦しくなるというのが四〇・二%、こうした見えない部分の心の問題への対応はなかなか難しいと思いますけれども、育児休業の取得率の向上に向けて今後具体的に施策としてどのように進めていこうとされているのか、このことを労働大臣にお伺いしたいと思います。
#22
○国務大臣(吉川芳男君) 局長にお願いします。
#23
○政府参考人(藤井龍子君) 先生御指摘のとおり、私どもでことしの一月に東証や大証の一部、二部上場企業を対象に行いました調査結果で、育児休業をとらなかった方にどうしてとらなかったかというふうにお聞きしましたところ、第一番目に挙げられておったのが職場の理解ということであったわけでございます。他の調査結果でも同じようなことが読み取れるわけでございます。
 先生御指摘のとおり、また大臣も先ほどお答えいたしましたとおり、男は仕事、女は家事、育児といったような固定的な性別役割分業を前提とした職場風土というのがまだまだ根強く残っているということも事実でございますので、私ども、この意識面の問題を解決するためには、きめ細かく、かつ粘り強く意識啓発を行っていくことが必要かと思っております。
 このため、毎年十月を「仕事と家庭を考える月間」というふうに定めまして、中央それから地方でシンポジウムを開催するなど、企業あるいは男性の方々を含め社会一般の理解を深めるための広報啓発活動というものを全国的に実施しているところでございます。
 さらに、平成十一年度からの新たな事業といたしましてファミリーフレンドリー企業の定着、普及というものをやっております。ファミリーフレンドリー企業というのは、仕事と育児あるいは介護を両立できるさまざまな制度をいち早く導入していただいて、柔軟な働き方ができるような人事管理をやっている企業ということでございまして、こういうところを大臣表彰する等のことを通じまして、意識啓発にもつながるような事業を展開しているという状況でございます。
#24
○但馬久美君 まず、本当に意識啓発が大事だと思いますので、その辺しっかりと力を入れていただきたいと思っております。
 労働組合が行った調査によりますと、育児休業の取得を困難にしている第一の理由は、所得保障がないことが挙げられておりました。今回の調査でも、育児や介護休業の改善点として、経済的援助がやはり六七%と上位に挙げられております。
 御存じのとおり、育児休業給付金の制度は雇用保険制度の中から設けられている制度であって、さきの通常国会でこの給付率が二五%から四〇%に改善されて一歩前進したことは評価すべきですけれども、この休業時の給付については失業給付同様六〇%を求める意見が多くなってきております。
 このあたり、労働省はどう考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
#25
○政務次官(釜本邦茂君) 健康保険や年金保険における健康保険料、年金保険料は、それぞれの保険の目的に沿って一定範囲の関係者が負担すべきものです。仮にその負担分を雇用保険などほかの目的を有する保険給付で賄うこととすれば、保険制度の目的そのものを変質させることになるため、適当ではないと考えております。
#26
○但馬久美君 では、ちょっと厚生省に今度はお伺いいたします。
 育児休業給付は社会保険が免除されており、介護休業給付は今健康保険や厚生年金保険は免除されていないと。それで、この社会保険料が免除されていない介護休業の場合はどうなるのか。なぜ同じ休業なのにこの扱いが異なるのか。素朴な質問ですけれども、お聞かせください。
#27
○政府参考人(近藤純五郎君) 健康保険とか厚生年金における育児あるいは介護休業についての保険料免除の質問でございますけれども、健康保険とか厚生年金の保険料免除ということになりますと、これは他の被保険者とか事業主の負担増につながるわけでございます。現在、少子高齢化ということで保険料の負担というのが大変大きな問題になってございます。そうした中で保険料免除の拡大ということを考える場合には、非常に慎重に検討する必要があるわけでございます。
 それで、どうして差ができているかということでございますけれども、これは制度の成熟度が当然あるわけでございますけれども、私どもの考え方といたしまして、厚生年金と健康保険は大体同じような保険料の取り方をいたしているわけでございます、若干の差はございますけれども。
 その中で、特に年金制度としての考え方でございますけれども、育児休業というものは、現在の少子化傾向の中で、将来において年金制度を支えていくお子さんを育てていく、こういう政策的な意図もあるわけでございます。それから、私どもの医療保険の立場から見ましても、やはり老人医療、これも大変な負担になってございまして、こういったものを支えていく次の世代を育てる、こういう意味で育児休業というものは大変重要である、こういうふうに考えて、これの保険料免除という制度をとっているわけでございまして、そうした意味では、介護休業というのはそういう意味合いというのは薄いんではないか、こんなような考え方で差がついているわけでございます。
#28
○但馬久美君 それじゃ、検討の余地はあるということはどうなんでしょうか。
#29
○政府参考人(近藤純五郎君) 先ほど申し上げましたような政策的な意味合いがあるかどうかということとか、それから期間の問題もございます。育児休業の期間は結構長いということで負担も大きくなる、こういったような問題もございますので、私どもは慎重に検討させていただきたい、こういうふうに考えております。
#30
○但馬久美君 ありがとうございました。
 もう一点。もう時間が参りまして、押しておるんですけれども。
 社会保険の方で手当てができない場合は、今度雇用保険の方で手当てをするということは考えていないのか、この点について、政務次官、お答えになれますか。
#31
○政務次官(釜本邦茂君) 先ほども申し上げましたとおり、健康保険や年金保険における健康保険料、年金保険料は、それぞれの保険の目的に沿って一定範囲の関係者が負担すべきものであります。仮にその負担分を雇用保険など他の目的を有する保険給付で賄うとすれば、保険制度の目的そのものを変質させることになるため適当ではないと考えております。
#32
○但馬久美君 ありがとうございました。
 年金、介護、医療、そして雇用保険と、これはまた一括していろいろ討議がなされていくと思いますけれども、また今後この保険に対してのお考えをお伺いしたいと思います。
 ありがとうございました。
#33
○直嶋正行君 おはようございます。民主党の直嶋でございます。
 吉川大臣、釜本総括政務次官、お二人とも参議院の御出身でございまして、これまでも大変お世話になってまいりました。今の厳しい雇用情勢の中で労働行政に対する国民の期待には大変大きなものがあるというふうに思います。お二方の御奮闘をぜひ御祈念申し上げたいと思います。
 それできょうは、先ほどお話がございました吉川大臣の所信の中から、私なりに幾つか重要と思われる問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、先ほど最近の雇用情勢ということでお話がございました。確かに、大臣がおっしゃったように、例えば有効求人倍率は若干改善をしております。また、新規求人数は増加をしています。先ほどは先行指標というような言い方がございました。しかし私は、従来のいわゆる景気循環型の不況であれば新規求人の増加というのは先行指標として確かに明るい兆しだと、こういうふうに言えるかもしれませんが、むしろ今は構造的な問題が大変大きいわけであります。
 構造問題としてこの雇用情勢を見ますと、私は問題はむしろ深刻化しているんじゃないかな、こんなふうに受けとめております。
 例えば、一つ申し上げますと、新規求人がふえているにもかかわらず失業率は四・七%前後で高どまりしたままであります。二つ目に、これは経済白書でも分析していましたが、いわゆる構造的失業あるいは摩擦的失業と言われる失業が一貫して上昇しています。この数年間を見ますと、二〇〇〇年の一―三月期は三・六%、つまり全体の失業率が四・七に対して構造的な失業が三・六を占めております。昨年はこれが三・四%前後でありました。
 むしろ、こうやって見ると、内容的にはいわゆる需要不足による失業からミスマッチを初めとする構造的な失業が深刻になっておる。したがって、そういったミスマッチに対する対策、あるいは労働移動に伴う摩擦的な失業の増大に対する対策が必要だというふうに思うわけであります。
 そこで、大臣に最初にお伺いしたいんですが、労働省はたしか昨年六月に、平成十三年度末までに雇用者数七十万人を実現するという計画をお立てになりました。そしてことしの五月には、今度は新たに一年間で三十五万人の雇用を創出する、これはミスマッチに対する対策を重点とした雇用対策ということになっているわけなんです。
 まずお伺いしたいのは、この去年出された七十万人雇用対策では、やはり構造的な問題である雇用のミスマッチの解消にはほとんど効果がなかったと私は思うんですけれども、したがって今回新たな政策をことしの五月にお出しになったと。つまり、こういった去年の七十万人雇用に対する政策効果に関する大臣の認識をまずお伺いしたいと思います。
#34
○国務大臣(吉川芳男君) 質問にお答えさせてもらいます。
 雇用対策につきましては、これまでもその時々の雇用情勢に応じまして適切かつ必要な対策を実施してきたところでありますが、創業や異業種への進出を行う企業が労働者を雇い入れる際の支援策や、地方公共団体、これは金額としましては二千億からの金額があるわけでございますけれども、創意工夫に基づき雇用就業機会の創出を図る事業につきましては一定の効果を上げているところであります。
 一方で、新規・成長分野雇用創出特別奨励金や緊急雇用創出特別奨励金のように、その活用が不十分な支援策もあることもこれまた事実であります。このため、これら二つの奨励金につきましては、企業への周知を強力に推進するとともに、本年五月に策定したミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策において制度の利用の促進を図るための抜本的な拡充を行っているところであります。
 労働省といたしましては、今後ともこれら各種雇用対策の実績を十分把握しつつ、雇用対策の効果的な実施に努めてまいりたいと思っておる次第でございます。
#35
○直嶋正行君 今のお答えの中にも少しあったんですが、私は、やはり去年の段階でお出しになった七十万人雇用というのは、さっき大臣がお話しになったように、いわゆる緊急的な雇用拡大策といいますか臨時的な雇用拡大策、これが中心であって、今問題になっている構造的な問題に対する対策効果はほとんどなかったんじゃないか。むしろ政策的にもそういう意図が余り見えなかったんじゃないか。今回は多少今お話のあったようにかなりミスマッチ対策を意識された対策になっていると思うんですが、それで結局、さっき適時適切にと、こういうふうにおっしゃったんですが、どうも私は、労働省の雇用対策が適時適切というよりも、やはり後追い後追いで来た結果が今の状況になっているんじゃないかな、こういうふうに指摘せざるを得ないと思います。
 それで、これはちょっと答弁も含めてお願い申し上げたいのでありますが、この三十五万人計画あるいは昨年お出しになった七十万人計画について、節目でその進捗状況なり成果等について今後この労働委員会にまた報告をしていただく。こういうことも含めて、本当にこの雇用対策が有効かどうかというのは国会と行政府両方合わせて真剣に議論していかなきゃいけないと思いますので、そういうお願いを申し上げたいと思うんですけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
#36
○政府参考人(渡邊信君) 一昨年来、今委員御指摘のように雇用対策についていろいろと施策を講じてきたわけでありますが、その効果について、目的と効果ということを明らかにするということは大変重要なことであると思っておりますので、今委員御指摘のような措置をとらせていただきたいと思います。
#37
○直嶋正行君 ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 それで、以下ちょっとミスマッチの問題を中心に御所見を伺いたいと思うのでありますが、先ほどお話にございましたように新規・成長分野雇用創出特別奨励金というのがございます。これはいわゆる成長十五分野に関して雇用を拡大しようということでございました。しかし、大臣が先ほどお話しされたようにこの効果は余り上がっておりません。
 これは、ちょっと申し上げますと、今回の三十五万人計画の中では年間七万人の雇用拡大を目標として置いておられます。また、これが始まったときには十三年度末までの間で約九百億円の基金を創設する、こういうものであるんですが、近年見ますと、例えばこの七月の申請件数を見ますと月間わずか七百二十八人でありまして、七万人の目標から見ると非常に遠い数字になっております。これは、先ほどお話しになったように、支給基準を大幅に緩和してスタートしたのがことしの五月でありますから、それでもなおかつこういう数字であるということから考えますと、やはりこの助成金のあり方そのものがどこかに問題があるんじゃないかなという感がするわけでございますけれども、この新規・成長分野雇用創出特別奨励金について、御所見あるいはこれからの考え方についてお伺いをしたいと思います。
#38
○政務次官(釜本邦茂君) 新規・成長分野雇用創出特別奨励金については、これまで企業の採用意欲が乏しかったことや対象労働者が三十歳以上の非自発的離職者に限られていたこと等もあり、十分に活用が進んでいなかった面があります。このため、企業への周知等を強力に推進するとともに、本年五月に策定したミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策において支給対象者に職業訓練受講者、未就職卒業者及び三十歳未満の非自発的離職者を加える等の抜本的な拡充を行っているところであります。
 こうした取り組みにより本奨励金の活用も進んできているところでありますが、労働省といたしましても、今後とも関係省庁とも密接に連携しつつ制度の活用促進にさらに取り組んでまいりたいと思っております。
#39
○直嶋正行君 きょうは一般質疑でございますから余り具体的に追及するつもりはございませんが、今、枠を拡大して効果が出ているというお話がありましたが、さっき局長から答弁ありましたように、これからの実績の御報告を注目したいとは思います。しかし、現実、現時点では、例えば支給金額を見ましても、この制度が始まった十一年の九月から累計で約二十億円です。申請者も確かに制度を拡大して若干ふえていますが、労働省からいただいた途中経過、七月の途中経過で見ましても、約一千人強。だから、目標から見るととてもじゃないけれども拡大して成果が、効果が出ているというところまでは言い切れないんじゃないかと思うんですね。
 それで、一つお伺いしたいんですが、結局これは問題が一つあるというふうに私は思いますのは、これは仕組み上一つ大きなポイントになっているのは、いわゆる職安といいますかハローワークを経由した申請といいますか、この雇用について適用対象にしている。しかし、多分大臣も御存じだと思うんですが、今、例えば中途採用等を見ますと、ハローワーク経由のいわゆる採用というのは全体のわずか一割ぐらいしかない。あるいはほかは、例えば就職情報誌とか、あるいは友人、知人関係での紹介とか、そういうものが占めていまして、非常にウエートが低いわけです。したがって、こういうところにこの制度がうまく機能していかない。
 さっき政務次官がおっしゃったように、対象を拡大して新規学卒者まで対象にして、しかもこれは一律七十万円支給すると。これは大変な制度だと思うんですよ。だけれども、そういう運用上、やはり非常に狭い部分でのみこれが扱われている、このことが効果が上がってこない理由ではないかと思うんですけれども、この点についてはいろんな審議会等でもたしか指摘をされていたんじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。これ、拡大を考えると、こういうおつもりはございませんか。
#40
○国務大臣(吉川芳男君) 今ほどるるお話がございましたけれども、高齢者、障害者等の就職困難者を雇い入れた事業主を支援する特定求職者雇用開発助成金等の雇用関係助成金の支給要件につきましては、平成十年十二月に規制緩和委員会から、財源問題や政策効果との関連等の観点も考慮しつつ、この支給要件のあり方等の検討を進めるべきであるという指摘がなされたところであります。また、本年三月十七日には、中央職業安定審議会におきまして、政策効果をさらに高める観点から、支給要件等を見直す中で、公共職業安定所の紹介により就職した者のみを支給対象としていることを見直すことが適当である旨の報告書がまとめられました。
 労働省では、この報告書類を踏まえまして、現在、関係審議会において具体的な検討を行っていきたいというふうに思っている次第でございます。
#41
○直嶋正行君 今大臣がお答えになったように、この新規・成長分野は、もともとは特定求職者雇用開発助成金をベースにして、つまり就職困難者対策であったのを、それをベースにして上乗せをしてきたと、より間口を広げてということであります。
 したがいまして、その政策意図がやはり実現できますように、ぜひ今の大臣のお答えのとおりといいますか、またできるだけ早く、これはたしか時限措置でございますね、ですから効果がきちっと出るように、来年度までですから、可及的速やかにこの部分は見直していただきたい、このことを重ねてお願い申し上げたいと思います。
 それから次に、この新規・成長分野というのは、これは実は成長十五分野ということで、労働省だけではなく内閣で、閣議決定をして、これから成長が期待される十五分野、十五の産業分野について積極的に産業を育成して、かつ雇用を拡大しようというのがもともとベースになっているはずです。
 この五月に出された三十五万人雇用対策の中にも、この新規・成長分野特別奨励金について活用できるように、各省庁にも労働省から積極的に要請をすると、こういう一文が雇用対策の中にございました。
 私は、やはりこの問題は全省庁が力を合わせて対応しないと本当に雇用の拡大につながらない、こう思っておりまして、この部分について、つまり各省庁との関係についてどんな政策を今労働省として実施されておられますか。その点をまずお伺いしたいと思います。
#42
○政府参考人(渡邊信君) 新規・成長十五分野ですけれども、これには医療、介護とか、情報通信とか、環境あるいはバイオ、こういったものがあるわけでございまして、この分野における雇用を促進するためには関係省庁の協力を得ることがぜひとも必要であるというふうに考えております。
 こういったことから、私ども、先般の対策の決定の後、厚生省、通産省、郵政省等関係七省庁に対して要請をしてまいりました。また、いろいろとこの対策についての会合も開いてまいりました。そういったことの結果、現在、関係省庁におきまして関係団体、三百三十四の団体に対していろいろと周知、宣伝を行っていただいているところでございます。私どもといたしましても、雇用保険の加入事業主、事業所、二百万事業所に対しましてダイレクトメールを発送いたしまして、この制度の周知、宣伝に努めているというふうな努力もあわせてもちろん行っております。
 こういったことから、この助成金を受ける前提となります新規・成長十五分野の事業に該当するかどうかという認定を受ける必要がありますが、認定の申請件数が、例えば五月は五百三十八件でありましたが、六月には約二倍の九百二十四件、七月には一千五百七十三件と約三倍というふうに、まだ数は大変少ないのですが、着実に増加してきているわけでありまして、関係省庁としても十分御努力をいただいているというふうに私ども今考えているところであります。
#43
○直嶋正行君 これは、実はこの成長十五分野対策というのは、たしか政府の中では通産省が中心になっておつくりになった。私は、政府としてかなり鳴り物入りでお始めになった事業といいますか政策だと、こういうふうに思っていまして、局長お話しのようにいろいろ関連団体へPRを今されているということなんですが、本当は、例えばITが最近話題になっていますが、そういう情報通信分野とか、おっしゃったような社会保障関係の新たな事業分野等、もっとやはり民間の方の事業が拡大していかないと、最終的にはこの雇用の拡大につながっていかないわけでありますから、私は、労働省としては単にこのPRをお手伝いいただくだけではなくて、むしろみずからの問題だと思ってもっと強く関係省庁に努力を要請すべきだというふうに思いますし、関係省庁からはそれに対応した形での具体的な政策があってしかるべきだと、こういうふうに思っていまして、この点はぜひ御努力を要請しておきたいというふうに思います。
 それで、ミスマッチの問題についてもう一つ大きな問題だと思うのが年齢の問題なんです。確かに今ミスマッチと、こう言われていまして、ミスマッチと英語で言いますと何となく軽く耳ざわりよく聞こえちゃうんですが、これは実は非常に深刻な話だと思うんですね。つまり、労働市場における需要と供給が合わないわけですから。そういう意味では、せっかく求人がありながら、それが雇用につながらないということでありますから、もちろんその原因が構造問題であるということを考えますと、極めて私は深刻な話だと思うんです。
 それで、さっきの御質問にもありました、例えばIT分野とそしてそのITに対応できるように労働者を職業訓練すると、こういうお話がありますが、私は今の日本の現状というのはそれ以前の問題が大きいんじゃないか。
 つまり何かといいますと、例えば労働省の関係の労働研究機構の調査を見ますと、中途採用をしている企業の九割が求人に年齢制限をつけている。求職者の方から見ますと、その平均が何か四十一歳だと、こういう話なんです。ということは、四十一歳以上の方は頭から要するに門前払いされているわけですね、最初から、その年齢条件に合わない人は。
 それから、例えば総務庁の労働力調査なんかを見ましても、大体年齢条件が合わない、失業者が仕事につけない理由として年齢条件が合わない、こういうふうに答えられている方は、四十五歳から五十四歳の方で三三%、五十五歳以上になると四八%と、こういうふうに調査結果が出ています。
 だから、さっきのように、いわゆる職能訓練、職業能力をつけるという、いわゆるエンプロイアビリティーということが盛んに言われるんですが、私は今それ以前の問題が非常に大きいんではないかと、今の需要と供給が合わない最大の理由は。これからますます高齢化が進んでいきますし、年金支給年齢が延びますから、当然働かなければいけない、あるいは働きたいという高齢者の方がふえるんです。ですから、教育訓練だとかそういう問題も重要ですが、それ以前の問題として、やはり求人における年齢制限というのを行政サイドは責任を持って取り組むべきだと思うんです。この点についてはどうでしょうか。
#44
○国務大臣(吉川芳男君) 今ほど御指摘の年齢制限の問題につきましては、有効求人倍率が依然として低水準でありまして、また職業安定所の求人のうち上限年齢を設定したものが九〇%を占める、その上限の平均年齢は御指摘のとおり四十一・一歳となっておりますことから、一たん離職すると再就職は困難な状況にあります。
 このため、できるだけ早くに再就職することができるよう、ハローワークにおいては求人者に対して個別求人の年齢要件を緩和するよう要請するとともに、きめ細かな職業相談、職業紹介を実施するようにしておる次第でございます。
 なお、年齢制限の禁止につきましては、これはアメリカでは四十歳以上の人に制限をするということは違法だという法律があるそうでございますけれども、我が国はそこまでは行っていないわけでございますが、今日の状況におきましては、そのための環境整備や社会的合意ができないかということを考えておりますし、重大な研究課題だというふうに認識します。
#45
○直嶋正行君 今、大臣から重大な研究課題だというふうにお話がございましたが、私どもは以前から年齢制限を廃止する法律をつくるべきだ、こういうふうに申し上げています。
 ですから、結局、私は年齢の問題というのはどう見るかなんですが、これはミスマッチの問題じゃないと思うんです。つまり、労働市場を見ると、アメリカにおけるミスマッチと日本におけるミスマッチは全く違う。私はむしろ、日本でいわゆるミスマッチと言われていますが、実態の半分ぐらいは年齢をもとにした制限ですから、高齢者に対する差別だと思うんです。能力を一切抜きにして年齢だけで制限をつけちゃうわけですから。ですから、この問題はミスマッチの問題じゃなくて、やはり男女雇用機会均等と同じように差別の問題だと、こういうふうに考え方を変えないと、やはり大臣が今御指摘されたように、社会の意識も変わらないと思います。ですから、いわゆる労働市場のミスマッチ問題ということではなく、今申し上げたような差別だというとらえ方でぜひこの問題を議論していただきたいと思うんです。
 それで、今労働省の方でもいろいろ努力をされていて、企業に対してこの制限年齢を上げるようにお願いをしているというようなお話がありましたが、これはハローワークの求人票、求人申込票というのは御存じだと思いますので、私ちょっと取り寄せたんですけれども、これはちゃんと希望年齢を書けるようになっているんです、求人側からね。(資料を示す)だから、例えばこんなものをもう書かせないようにすればいいんですよ。行政としては、こういうものは書かせない、求めない。それから、例えば今、就職求人雑誌なんかもいろいろ求人情報が出ています。そういうものも、例えば業界団体と話をして、もう年齢についてはその求人情報の中に書かない。年齢ではなく職業能力によって機会の均等を図っていかないと、この問題というのはますます深刻化するだけだと思うんですよ。
 ですから、一方では行政サイドとして、ぜひそういう努力をしていただきたいと思うんですが、そうしながら、さっき申し上げたような視点に立って、ぜひこの年齢差別撤廃法といいますか、そういうものも視野に入れて御検討をお願いしたいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
#46
○政府参考人(渡邊信君) 求人における年齢の問題は、私ども大変大きい問題であるというふうに思っております。
 私どもの調査でも、安定所に出される求人について調べてみますと、上限年齢は四十五歳までとするもので全体の七割五分まで占めておりまして、中高年者の就職はもう年齢だけで制限されてしまうというふうなことは相当生じてきているわけであります。
 私ども、実際問題、四十三歳ならよくてなぜ四十七歳ではだめなのかということはよく理解できないのでありますけれども、なかなかこの年齢については求人側の壁も厚いわけであります。
 どうして年齢制限をつけるのかという調査によりますと、まず、やはり高齢者については体力とか健康とか適応性とかそういったことがあると同時に、大変大きい理由は、やはり我が国ではまだまだ年功的処遇が一般的で、どうしてもあります。そういうことで、中途採用者の賃金を今までずっと働いてきた人の賃金と同格にするということはなかなか難しいということがあるわけで、企業が新規に中途採用する場合にはやはり若くて賃金の安い人を採用したいという傾向がどうしてもあるようでありまして、この問題は年齢にあらわれておりますが、実は我が国の雇用慣行といいますか、戦後長い間築かれたいわゆる年功処遇というものをどうするかという大変大きい問題があるのではないかというふうに考えているわけであります。
 そういったことで、私ども安定所の窓口においては、五歳アップ運動ということで、ぜひ制限年齢を五歳アップしてほしいということで必死の努力を毎日毎日やっているわけでありますが、実際問題、付された年齢制限を超えて就職できた方は安定所の統計では二%ぐらいというふうなことで、実にこの年齢制限は大きな壁になっております。
 ということで、中高年の移動についても大変大きい問題の最大のものじゃないかというふうに思っているわけでありまして、この問題については、私どもが言うのは変でありますが、ぜひ大きな議論を巻き起こしていただいて、日本の労働者の処遇というものをどういうふうに見るのか。実力と賃金とがやはり乖離している問題もある。こういったことも背景にして難しい問題だと思いますが、実力イコール賃金、そういった賃金体系ができていけばこの問題もおのずと解決していく面もあるのじゃないかと思います。
 そういったことで、行政としてどの程度のことが現段階でできるのか、さらに検討は続けていきたいと思いますが、労使の間でも十分な御議論をお願いしたいと思っている大きい課題の一つであるというふうに認識をしておるところであります。
#47
○直嶋正行君 今お話ございました、特に年齢制限の実態とか、そのいわゆる非合理さというんですか、何で四十五歳ならよくて四十七ならだめなんだと、こういう話も今されましたけれども、これもやはり行政当局でなかなかちゃんとした分析がないんですね。
 それで、今、もう一つ、確かに労働条件といいますか賃金が、我が国の場合は年功賃金といいますかこの要素が強いものですから、そういうお話がございました。私もその点は全く否定するつもりじゃありません。おっしゃる部分はあると思うんです。
 ただ、例えば最近の失業状況なんかのデータを私なりにずっと時系列で見ていきますと、最近は失業期間がどんどん、特に中高年の世帯主を中心に長くなっているんですね。それで、今おっしゃったような賃金とかそういう労働条件との関係を見ると、賃金とか労働条件が折り合えずに就職をされなかった、つまり失業されている方というのは、逆に言うと失業期間が長くなってくるとだんだん減ってくるんです。つまり手を打つわけです。ある程度、自分の希望とは沿わないけれども多少安くてもしようがないと手を打つんです。
 ただ、問題は、年齢の部分で見ると、年齢が合わずに就職できないという、アンケート調査でそういう返事の方を分析しますと、その人は失業期間がどんどん長期化している。ですから、例えばハローワークに行っていいところありませんでしたということで失業されている方も、失業期間が長くなってくると賃金とか労働条件の合わない方はどこかでおさまっていく。ところが、頭から年齢条件が合わないという方は、そうじゃなくておさまるところがないものですから、どんどん長期化しているんです。私はここに今の日本の失業情勢の深刻さというのはあると思うんです。
 だから、そういう難しいところの人が職につけなくて失業しているケースがどんどん膨らんでいるというのが今の実態であるということをぜひ御認識いただきたいと思うんです。
 ですから、そういうことから考えると、やはりこの年齢の問題というのは単にいわゆる労働条件の問題だけではなくて、やはりそれだけではなくてもっと本質的な求人側の意識も含めて手を打つべきことがたくさんあるんじゃないか、こんなふうに思っておりますので、何か追加的な御答弁がございましたらお伺いします。
#48
○政府参考人(渡邊信君) 我が国の賃金体系も成果主義といいますか、そういったものに向けて大きく変換しつつあると思いますし、これから高齢化社会あるいは年金の支給開始年齢の引き上げということで、企業における労務管理そのものが今世の中で大きく見直されていると思います。
 また、ことしのいわゆる春闘におきましても、例えば某電機大手企業のように定年制度そのものを延長するというふうな結果が出たところもあるわけでありまして、高齢者の働き方とかあるいは年齢の問題について相当世の中の意識も変わってきているんじゃないかというふうに思っているわけでありまして、例えば行政の面でもいろいろと努力をしてそういった動きをやはり加速して、これからの高齢化社会に備えたいというふうに思っているわけであります。
 今、六十歳以上の求人でどういったものがあるかと申しますと、主なものはビルの管理とか清掃とか、タクシードライバーとかそういったものにまだまだ限定されているわけでありまして、みんながみんな高齢者がそういった職につくことはできないわけでありますから、できるだけ従来の知識、経験を生かして働き続けることができるようにという努力についてはもちろん最大限の努力を傾注してまいりたいと思っているところであります。
#49
○直嶋正行君 特に、この問題については年齢全体、よくいわゆるエイジフリーということが言われるんですけれども、なかなかおっしゃったように難しい部分があるんです。ですから、私はせめてまず入り口としていわゆる募集とか求職、何と言うんですか求人の募集とか採用の部分についてやはりまず手をつける、そういう段階的な考え方も取り入れるべきじゃないかと。おっしゃるように日本の雇用慣行全体の中にいろいろ根を張った問題が多いものですから、あれもこれも一遍にというのはなかなか現実問題として難しいというふうに思いますので、そのことを御指摘申し上げさせていただきたいと思います。
 次に、続きまして雇用保険三事業の関係についてお伺いをしたいというふうに思います。
 先日、今月の初めでしたか、労働事務次官が記者会見をされた記事が報道されていました。その中で、これからの雇用政策といいますか、これは従来の雇用維持中心の政策から新産業での雇用創出とか成長分野への労働力移動、こういうことに重点を置いて雇用対策の体系を見直すんだと、こういう報道がされております。
 私もこの考え方そのものを否定するわけではないんですが、一方で今雇用保険三事業の会計が非常に厳しい状況になってきております。きのうちょっとお教えいただいた数字によりますと、既に剰余金が今年度予算では一千億を切る、最近の収支から見ると多分来年度の収支計画というのは今のままで行くとプラスで組むのは非常に難しいんじゃないかなというふうに私なりに想像しているんですけれども、そういう状況にございます。
 したがいまして、この雇用政策のあり方、方向について見直していくということは必要だと思うんですが、このおっしゃった趣旨が、つまり雇用保険三事業の収支をバランスさせる、こういう意味合いも含めてこういう構想をお持ちになっているとすれば、いろいろ具体的にほかにも検討しなければいけないことが幾つかあるんじゃないかというふうに思っていまして、まず雇用保険三事業の収支状況なり、私が今申し上げたような政策の方向転換との関係について、御所見をお伺いしたいと思います。
#50
○政府参考人(渡邊信君) 雇用保険三事業の収支状況ですが、これは委員先ほどお述べになりましたけれども、この景気状況を反映しましてこの三事業における雇用対策というものをかなり積極的、機動的にやってきたということがありまして、赤字基調が現在続いているわけであります。
 三事業の年間の収入は約五千五百億ないし五千六百億円というところでありますが、これに対しまして十一年度の支出は約七千百億円、十二年度の支出見込みは六千九百億円ということで、支出が収入を上回っておりまして、この結果十二年度末、今年度末のこの残高というのは九百四十五億円程度ということで一千億を切る。多いときには五千億ぐらい貯金があったわけですが、現在ではこういった状況になっております。
 こういったことからも、現在、関係審議会において議論していただいているわけでありますが、この三事業における助成というのも、めり張りをつけるといいますか、重点的なものにしていく必要があるのではないかということで、費用と効果とよく見きわめて、どういったところに重点的に助成をすべきかという議論を今審議会で始めていただいているところであります。そういったものを踏まえながら、財政も十分踏まえながら、この三事業における助成のあり方というのを検討するということにしております。
#51
○直嶋正行君 つまり、いわゆる政策のあり方をどうするかという議論だけではなくて、そういうあり方の中でこの三事業の収支、確かに御指摘のこの二年間ぐらい大きな逆ざやになっています。ですから、そういう収支を含めて検討する、こういう理解でよろしゅうございますか。
 それで、それに関して一つちょっとお伺いしたいんですが、この三事業の中で、いわゆる雇用安定事業、それから能力開発事業、雇用福祉事業、こう三つ、これは三事業なんですが、これは事業主からいわゆるお金を保険の形で集めて、それによって事業をされているわけですけれども、その中で能力開発事業というのを仮に例に挙げますと、今年度予算では千八百億円組まれております。
 ちょっと実績はよくわかりませんので平成十年度でちょっと申し上げますと、平成十年の実績を見ますと、能力開発事業の支出総計が千五百五十五億円あります。それで、さっきちょっと議論させていただきましたが、実際に助成金として支給された金額はその約四分の一なんですね、三百七十五億円なんです。つまり、この雇用保険三事業で職業能力を開発するということでいろいろな事業をされているんですが、実際にそのための助成金として使われたものは三百七十五億円なんです。じゃ、残りは何かということなんですが、これは実は、例えば都道府県なんかの職業訓練所の新設とかメンテナンスの費用とか、いわゆる職業訓練施設のそういう費用、それから雇用・能力開発機構の人件費、この人件費が約四百六十億円あります。つまり、実際の支給助成金よりも能開機構の人件費の方が大きいんですね、十年度の実績を見ますと。
 ですから、さっきも助成金の効用について議論させてもらったんですが、本当にこういう使い方でいいのかなという、直接助成に回るお金は四分の一しかない、あとはそういう附帯施設の費用とか人件費になっている。ですから、政策的な使い方を議論されるのは結構なんですが、やはりこういう事業費の使われ方も含めて、財政の問題ということで御検討されるなら議論をしていただくべきじゃないか。
 僕に言わせれば、せめて人件費とかそういうものは、保険事業のお金で賄うというよりも、やはりこれは国が税金で手当てすべきものじゃないのか。なぜ保険事業の中でこういう経費まで、助成に回るのはわずか四分の一というのは非常にお金の使い方として問題があるのではないか、こんなふうに思うんですけれども、この点はどうなんでしょうね。
#52
○政府参考人(渡邊信君) この助成という中身もいろいろもちろんあろうかと思うのでありますが、職業訓練について申しますと、私どもは、国が直接行うこともなかなかできませんので、雇用・能力開発機構が訓練校を設置いたしまして、そこで職業訓練、必要な訓練を行っておりますし、あるいは都道府県の県立の能力開発校の助成というものを行っているわけでありまして、こういったものを私ども広い意味ではもちろん助成というふうにとらえております。その執行の経費でありますから、おっしゃいましたような人件費の支出もここから行っているということであります。
 また、個人に対する訓練助成は、雇用保険のいわば本体の方で個人に対する教育訓練給付という別途そういった助成措置も設けているところでありまして、この三事業だけが訓練の助成を行っているというものでももちろんないわけでありますが、ただ、いずれにいたしましても、一般会計と特別会計をどう組み合わせるかということは、もちろん大きい問題であるというふうに思っておりまして、うまくかみ合わせながらこの助成の効果を発揮させるということはまだまだこれからの課題でもあろうというふうに思います。
#53
○直嶋正行君 ちょっと助成のあり方をまたこの後議論させてもらいたいと思うんですが、やはりお金の使い方としてバランスがとれているのかという見直しは、大臣いいですか、ぜひお願いします。
 要するに、これだけ財政が厳しくなってきていて、例えばこの中でいいますと雇用安定事業なんというのは、逆に言いますと八十数%ぐらいは直接事業主への助成にお金が回っているんですよ。ところが、能力開発事業になるとこれは四分の一ぐらいしか回っていない。今御説明あったように、もちろんそのために必要だと、こういうことなんですが、それぐらい国が面倒を見たらどうですかというのが私が言いたいことなんです。どうでしょうか。
#54
○国務大臣(吉川芳男君) 委員が御指摘のように、経済産業構造が大きく変化する中で中長期的に雇用の安定を図っていくためにも、良好な雇用機会の創出、確保を図るとともに、労働者の自発的な職業能力開発への援助等に、円滑な労働移動に対する支援など、労働力需給のミスマッチを解消するための施策を効果的に講じていく必要があると思います。そういう点を踏まえまして、今後とも雇用保険三事業が雇用対策に十分な役割を果たしていけるようにするために、現在、関係審議会で三事業の見直しについて検討していただいているところです。また、一般会計による施策につきましても、これまでも緊急地域雇用特別交付金、新規・成長分野雇用創出特別奨励金など、必要な予算措置を講じてきているところでございます。
 労働省といたしましては、一般会計による施策と雇用保険三事業による施策とを総合的かつ効果的に実施しているところでありますが、今後とも雇用を取り巻く状況変化に対応して適切な雇用対策の実現に努めてまいりたいと考えております。
#55
○直嶋正行君 今の御答弁は、ちょっとこれから私がお聞きしようとしている部分に対してのお答えになっちゃったんですが、実は今御指摘させてもらったことは、雇用保険三事業のあり方そのものの議論ではなくて、雇用保険事業におけるお金の使い方として大臣ぜひよくチェックしていただきたいと思うんです。
 それで、雇用保険三事業についてちょっと申し上げたいんですが、これは私の持論なんですが、結局、さっきもちょっと申し上げましたが、いわゆる事業主から保険料をもらって、それをベースにして財源にして事業をしているわけですね。今大臣もおっしゃったんですけれども、今、ところがその企業サイドの雇用といいますか、そういうものに対しての考え方が大幅に変わりつつあるわけです。例えば、今までは新卒者を定期採用で入社させて、その人を訓練して、そして一人前に育てていく、こういう発想だったのが、今はそうじゃなくて、どんどん新しい分野の人材が足らないし即戦力を求める。だから、企業内で人材を育成しようという考え方から変わってきました。
 ですから、逆に言うと、例えば雇用保険三事業でそういう職業訓練をするということについても、これは職業訓練を実施した事業主に助成金が支払われる制度ですから、実施しない事業主には全然関係ないわけです。今や企業内におけるそういう職業訓練の位置づけというのは変わってきちゃっているわけです。そういう意味でいうと、保険金を集めてそれによって手当てをしていく、こういうやり方そのものがやはりちょっと時代の変化の中でいうと変えざるを得なくなっているんじゃないのか。
 例えば、新規産業の話で言いますと、保険を払うのは、従来型産業の人が長年払っているわけです。今さっき二百万社とおっしゃった、二百万事業所ですか、つまりそこからお金を集めているわけです。ですから、これから出てくる新しい産業の方は、ほとんど払っていないかこれから払うわけです。そうすると、保険金を払っている方から見ると、自分たちが払ったお金が自分たちのところに返ってくるんではなくて、全然別の産業の事業主が期待している労働者の訓練をする費用に向けられてしまう。これは、構造変化がなければそれは雇用を維持するための政策として自分たちに返ってくるんですけれども、今そういうふうに変わりつつあるんじゃないでしょうか。
 ですから、そもそもこの保険三事業でこういう雇用対策をやっていくということそのものが、やはりだんだんこういう時代の変化の中で、事業主サイドから見ても合わなくなってきているんじゃないか、こう思うんですけれども、この点、どうなんでしょうか。
#56
○政府参考人(渡邊信君) 実は私どもも今委員御指摘の問題は大変大きい問題ではないかというふうに思っているわけでありまして、雇用三事業によります助成も、いろいろとかつて御議論いただきましたが、例えば中小企業労働力確保法のように、これから企業を立ち上げて、まだ保険料を払っていない段階ですけれども立ち上げて、その場合にも賃金助成をするということで、これは将来保険料の支払い手になるというふうなこともあるわけでありますが、そういったところまで三事業の枠を今広げていっているということも一方であるわけであります。
 一方、例えば来年度の予算におきましては、IT関係の特別枠というふうなことで、一般会計の投入もある。その中でも、今、能力開発局を中心に、労働省としても一般会計の予算で要求しようというふうなことを考えているわけでありまして、産業構造が大きく変わっていく中で、三事業における対応というものはどうあるべきか、あるいは国全体による対策というものはどうあるべきかというのはなかなか大きな問題で、今一概にどうこうと言うことはできませんけれども、課題としては大きな課題であろうと思います。
#57
○直嶋正行君 今お話があったように、いわゆる一般財源というんですか、いわゆる税金を使った雇用対策というんですか、ぜひそちらに軸足を置いていっていただきたいなと。
 結局、保険制度でこれをずっと突き詰めていきますと、やはり保険制度で雇用対策をやっていくということの事業主に対する直接的な見返りというのが、さっき申し上げたように薄くなっている。
 ちょっと大臣に御見解を一点だけこの件に関してお伺いをしておきたいんですけれども、結局、今申し上げたような矛盾があるということと、それからもう一点ちょっと申し上げますと、今、実は労働側に対しても企業の採用が変わってきていまして、いわゆる正規社員とそれから非正規社員で、どちらかというと正規社員じゃない方がどんどん比率が上がってきているわけですね。そういう点で考えますと、結局、この保険料の負担の部分を考えましても、正規社員をどんどん減らして、そうじゃない方、つまり非正規社員のウエートを高くしている、そういうところの企業はそういうふうにしておいて、要は、そういう企業は保険金の負担が小さくなるわけです。
 それから、現在伸びている割合雇用を拡大しているところというのは、実は正規社員が少なくて非正規社員のウエートが高いところが多い。そうすると、ここでもさっきちょっと申し上げたような、いわゆる矛盾するといいますか、コストと成果が相入れなくなってきている、こういう問題が出ています。
 ですから、やはり僕は、ちょっとそういう点で申し上げますと、事業主を中心にした、対象にしたこういう保険を使った雇用政策から、やはり保険というもののウエートは下げて、さっきちょっとそういう予算をふやすというお話がありましたけれども、むしろ一般的な税金で雇用者に対して対策を加えていく、こういう方向にやはり切りかえるべきだと思うんですけれども、この点はどうなんでしょうか。
#58
○政府参考人(渡邊信君) 事業主だけから徴収します雇用保険三事業は、もともと事業主の共同連帯の思想に基づいて設けられているものでありまして、個々の企業が払った保険料が直接その企業に還元されるという性格のものでは、もともと想定していないわけでありまして、例えば、例がいいかどうかですが、衰退産業から成長産業へ移動を助成するということになれば、その衰退産業にいる企業というものにとっても解雇のコストというものは安くなるというふうなことでありまして、別の産業にその助成金を多く使われるというふうなことが必ずしもこの三事業の精神に矛盾するというものではない。むしろ事業主全体の連帯の中で雇用というものを考えていこうというのがこの三事業の発想でありますから、そういった点ではこの三事業が今後とも果たす役割というのは大変大きいものであるのではないかというふうに考えているわけであります。
 ただ、先ほどから御主張されておりますように、ますます産業構造が転換していく、そういった中でこの三事業だけで対応できるものに限界があるのではないかということについては、私どももそういう感じを持っておるところでありまして、どういった組み合わせがいいのか、これは大変大きい課題である、先ほど申し上げたとおりですが、そういうふうな感じを持っております。
#59
○直嶋正行君 そうなんですね。今おっしゃったように、今までは雇用保険三事業というのは雇用の問題について連帯して責任を持つ、そういう趣旨なんですが、それはある程度産業構造が安定していて、経済が大きく変わっていない時期であればそれはそれで納得性あるんですが。
 この問題は余りこれ以上やっても、ちょっと時間ありませんので、これを最後にしたいと思うんですけれども、ただ、おっしゃったように、連帯だと言われても、今申し上げたような不公平というか合わないところがたくさん出てきて、矛盾点が出る。自分たちが保険料を払っている立場から見ると矛盾点が出てきている。それから、そういう意味でいうと、これは保険じゃなくて、むしろどちらかというと連帯だという考え方とあわせてこれを考えますと、事業主から見ると、むしろ保険というよりも一種の雇用税みたいな感じになっているんじゃないかと思うんです。
 ですから、さっきからこういうふうに申し上げているわけでございまして、これまで雇用政策の大きな柱としてこれを運用してこられただけに、それはいきなり極端な変更というのは難しいことなのかもしれませんが、やはり時代に合った形でこういう制度をぜひ見直していただきたい。最後にこのことを申し上げておきたいと思います。
 あと幾つかお聞きしたい点があったんですが、あと一問だけちょっとお伺いします。
 もう一つは、実は今かなり大きな問題になっていることに、さっきの大臣の所信の中にもありましたが、いわゆる個別労使紛争が随分ふえています。これに対してどう対応していこうかというのが大きな課題になっていまして、労働省の方では既に何か準備室もおつくりになって、個別労使紛争への対応を御検討、準備されているというふうにお伺いしています。
 ただ、この問題については、各界で個別労使紛争を解決する仕組みが必要だということでは多分一致はするんでしょうが、そのやり方については各界でさまざまな意見があります。
 これからの議論の中で、労働省としての御見解はもちろんお持ちなんでしょうが、各関係者の幅広い意見を取り入れる形でぜひこの議論を進めていただきたい。この点、やや要望も含めて最後に御質問させていただきたいと思います。
#60
○政府参考人(澤田陽太郎君) 個別労使紛争解決システムの話につきましては、御指摘のとおり、いろいろな案が出ておりまして、私どもも四月一日から準備室をつくり検討しておりますが、まだ内部的にシステムのあり方について議論している段階でございます。
 正確に言いますと、労働省自身の案もまだ成案がないという状況でございまして、今後、直嶋先生おっしゃったように、各方面ともいろんな意見交換をしながら労働省自身の案を決めると同時に、労働省の案が決まった後は法案提出を目指すとすれば通常のルールに従って手続を進めていきたい、こう思っておりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。
#61
○直嶋正行君 では、これで終わりたいと思いますが、最後に一点だけ。
 今お答えがあったんですが、労働省の案を決めた後は通常の手続だと、こういうふうにおっしゃったんですけれども、ぜひ通常の手続に入る前により議論を深めていただきますよう重ねて申し上げて、私の質問は終わりたいと思います。
#62
○八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。
 まず、吉川労働大臣に伺いたいと思います。
 現在の雇用情勢について、大臣の所信的あいさつにおきまして、「雇用情勢には改善の動きが見られる」、こう述べておいでになります。
 きょう私は、総務庁の労働力調査、これを拡大コピーしてまいりました。(図表掲示)
 平成元年からこのグラフはあるわけでありますけれども、平成十年、十一年、この九八年、九九年の就業者数を見ますと、これは一般の常用の雇用が完全にマイナスになっていて臨時的雇用が辛うじて少しふえている、こういうふうになっております。ことしにつきましても、労働省の毎月勤労統計を見ますと、パート労働者は前年比で毎月ふえておりますけれども、常用の労働者は前年比で毎月減が続いております。
 大臣は、働く人すべてが安全で安心して安定して働くことのできる、こういう社会を目指しているとおっしゃっているんですけれども、一般の雇用が減っていることについて大臣の認識を伺いたいと思います。
#63
○国務大臣(吉川芳男君) 議員御指摘のように、ここ二年ほどの常用雇用が減少する一方で、臨時日雇い雇用は増加するという現象が続いてまいりましたが、本年五月、対前年同月比で二年五カ月ぶりに常用雇用が増加に転じ、六月も増加幅が拡大しております。
 また、景気や雇用の先行指数である新規求人を見ますると、常用、パート双方で増加が続いておりまして、常用雇用が減って不安定雇用がふえているということではないと思うのでございます。
#64
○八田ひろ子君 実際の数字を見ますと減っておりまして、これは労働省の数字を見たわけでありますけれども、今雇用不安というのが実際に言われております。
 これは、大企業のリストラの名による人減らしというのがどうなっているかというのが大きな問題だと思うんですけれども、昨年十月に労働省は個別企業のヒアリングなどで四十一社で今後十四万人の雇用削減と発表され、その後にもNTTなど人減らしの計画が相次いでおります。
 大企業のこういう人減らし計画に対して不安の声も上がっているわけなんですけれども、こういった雇用全体を見るときに、リストラ、人減らし計画の見直しというのを要請する、不当な人減らし計画に対してはきちんと物を言う、こういうのが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#65
○国務大臣(吉川芳男君) 解雇の問題につきましては、その理由、態様等は多様であることから、いわゆる整理解雇の四要件や合理的な理由を必要とするという判例の考え方を踏まえまして、具体的な事情に応じて労使間で十分話し合っていただくべきものと考えておりますが、一律に解雇を規制するような立法措置は適当ではないと思っております。
 また、労働省といたしましても、今後とも解雇に係る判例等の考え方の周知を図ってまいりますとともに、解雇に係る労働者と使用者との間の個別紛争につきましては、紛争当事者からの申し出があれば、都道府県労働局長が適切な助言または指導を行っていきたいと思っている次第でございます。
#66
○八田ひろ子君 労働者の側から紛争を申し立てるというのは大変困難で、大変だということが現実にあります。
 各新聞の主要企業の調査というのがこの間発表されておりますけれども、雇用は依然厳しい情勢、リストラで何とかしのいでいるというのがあります。こういった調査を見ましても、自分の企業ではリストラで利益を出していきたい、しかしそれが全体に広がると雇用情勢の悪化や個人消費の低迷につながるのではないかという心配、こういうことが言われておりまして、きょうの新聞でも労働省の去年の雇用動向調査結果が発表されましたけれども、リストラ離職というのが過去最悪ですね。六四年の調査開始以降、最高を記録しているわけであります。
 ですから、このリストラによる人減らしを野放しにしておいて雇用対策というのは効果がないと思われますし、今言われました解雇四要件、それも含めたきちんとした立法が必要だということで私ども提案しているわけでありますけれども、こういう雇用情勢の中で、女性労働者に対する差別的雇用管理というのも依然としてなくなっていません。そればかりか形を変えて強められています。
 私は、そこで特に雇用差別の一つの手段として用いられているというコース別の雇用管理について伺いたいと思います。
 大臣にお伺いしたいんですけれども、我が国は女性差別撤廃条約を批准して十五年たちましたが、この間、条約に基づいて国連の女性差別撤廃委員会に実施状況などの報告を出してきました。九五年二月にこの委員会から間接的な差別の是正が指摘されているんですが、ここで言われている間接的な差別、この委員会での論議ですけれども、これはコース別雇用管理制度の弊害も指していると言われておりますけれども、大臣、御見解はいかがでしょうか。
#67
○政府参考人(藤井龍子君) 国連の女子差別撤廃委員会の日本審査についての報告、これが平成六年二月に出ておるわけでございますが、その中で、日本の女性は民間企業が実施しているコース別雇用管理制度を通じて間接差別に遭っているといった趣旨の委員会のメンバーの方の所感が出されていることは承知しておるところでございます。
 このコース別雇用管理制度というものについて、私どもとしては中立的に運用がされている限り、均等法に照らし不適切といったようなものではなかろうと思っておりますが、運用においていろいろ実際上均等法に照らし男女に差があるといったようなものも見られるようなものは、やはり差別的な制度ではないかというふうに考えておるところでございます。
#68
○八田ひろ子君 国際的にも女子差別の温床ではないかと指摘をされているわけでありますが、そこで伺いたいんですが、この六月に改正均等法のもとで留意事項ということで、通達が出されました。労働省は、企業における女性登用の一つの契機になっている、このコース別雇用管理が、というふうにそこで書かれて、今の御説明とはちょっと違うんですが、国際的批判とはまた違う評価なんですけれども、何をもってこれが、コース別雇用管理は役に立ったというふうにお考えなんでしょうか。
#69
○政府参考人(藤井龍子君) コース別雇用管理制度というものは、採用やその後の人事管理におきまして幾つかのコースを設けてそれぞれ人事管理をしていくというものでございまして、一般的に基幹的業務といいますか企画的業務を行うものを総合職、それから定型的な業務を行うものを一般職、あるいはその中間的なもので準総合職あるいは専門職コースというのを設けているところもあるようでございますが、いずれにいたしましても、そういった形で人事管理を行うものを、企業によってさまざまな形態がございますが、総称して便宜的に私ども、コース別雇用管理制度というふうに呼んでおるわけでございます。
 このいわゆるコース別雇用管理制度というのは、昭和六十一年に男女雇用機会均等法が施行されましたが、その前後から金融機関を中心として導入され、大企業を中心に導入が進んで、最近においては中堅中小企業でも導入されているような動きも見られるところでございます。
 私どもとしましては、このコース別雇用管理制度につきましては、均等法が施行されるまでは男女別雇用管理と申しますか、男性は基幹業務というか、基幹業務は男性のみ、それから補助的、定型的業務は女性のみというか、女性はそういうものだというふうに男女別々に行われた雇用管理制度というものが、そういうものではなく、性別によって分けられるのではなくて、先ほど申し上げましたように、職とか能力とか適性とかによって分けられる制度というふうに位置づけて導入されたものと一応理解をしておるわけでございます。
 そういうコース別雇用管理制度が導入されることによりまして、女性は補助業務のみというふうになっておった企業等におきまして、女性に総合職になる機会が与えられ、職域が拡大されたり、あるいは管理職に昇進したりといったようなケースも見られているわけでございますので、私どもとしてはこのコース別雇用管理制度について、企業における女性の登用の一つの契機となったという評価を一応しておるというわけでございます。
#70
○八田ひろ子君 今の御説明と実態が違うんですね。コース別雇用管理制度を導入している企業においては、総合職に占める女性は三・五%にすぎません。さらに労働省の調査でも、役職に占める女性の割合というのは平成十年の調査では係長で八・一%ですね。ところが、コース別雇用を導入している企業の女性管理職の割合というのは係長の担当職で二・一%なんです。コース別雇用管理を導入している企業の方が女性管理職は少ないのが実態なんです。
 ですから、この通達を出された六月の新聞の報道でも、この制度が均等法の隠れみのと言われている。コース別雇用のことですがね。女性の登用についてもここをただしていかなければならないと思って、きょう、質問するわけです。
 九一年にも通達を出されておりますが、どういう効果がありましたでしょうか。
#71
○政府参考人(藤井龍子君) 平成三年に、六十一年に施行されました男女雇用機会均等法に基づきまして「コース別雇用管理の望ましいあり方」という表題の通達を出しておるわけでございます。この通達に従いまして全国の、当時女性少年室と申しておりましたが、ここで各企業の指導を行ってまいっております。
 その結果というふうに申し上げていいかどうかはあれでございますが、コース別雇用管理制度を有する企業の中で、企画的業務に従事し全国的規模の転勤のあるコース、すなわち総合職コースでございますね、これに男女とも採用しているという企業の割合が平成四年は三五・四%でございましたのが、平成十年には四二・四%に上昇しているわけでございます。
 また、これに準ずるコース、あるいは専門的業務に従事する専門職コースといいますか、それにつきましても平成四年は二三・四%であったのが四五・三%、一三・七%から五六・七%ということで、かなり大幅な増加が見られるという結果もございますので、私どもといたしましては平成三年の通達というもの、それからそれに従っての女性少年室での指導によりまして、各コースにおいて男女公平な採用、選考等を実施するということが運用の面でもかなり浸透してはきているというふうに申し上げることもできると思っております。
#72
○八田ひろ子君 運用の面で御努力をされた面は評価したいと思いますが、実態はどうかといいますと、コース別をよくやっているところということで私は九大商社の男女採用数、この十三年の表をつくってまいりましたのでごらんください。(図表掲示)
 この表は、九大商社ですから三菱商事とか三井物産とか、全部で売り上げが一年間八十兆を超えるという大変なところですが、女性の採用は九九年を見ていただきますと四十人です。ことし、ちょっとまだ調査していないんですけれども、男性は六百四十一人です。これは、この黄色いのが女性で青いのが男性なんですけれども、これを見ていただきますと、八七年からありますけれども、見えないぐらい少ないですね。一けたということ。九九年、九〇年代の終わりにやっとちょっと黄色いのが見えるかなと、こういう現状であります。ですから、本当に男女の雇用機会均等が均等に行われているというふうに、こういった実績から見ると大変心配だと思うんですね。
 九一年の通達で、法もあれではもうとてもだめだということで改正されたんですが、今回の通達では形式的には男女双方に開かれた制度になっているが、実際の運用において男女異なる取り扱いを行うことは明らかに均等法に違反するとしておりますけれども、こうした留意事項を示すことで、採用の実態として女性が差別的扱いを受けている、こういう実態というのが是正できるとお考えなのかどうか、お聞かせください。
#73
○政府参考人(藤井龍子君) 今般の通達は、一つは、男女雇用機会均等法が改正されまして、募集、採用がそれまで努力義務規定でございましたのが禁止規定になったということ。それから、これまでは女子のみ採用といったようなことも適法であるという扱いをさせていただいておった。それが、昨年の四月一日から改正均等法の施行に伴いましてこれも違反であるという取り扱いにさせていただいているというようなこと。さらには、新しい規定といたしましてポジティブアクションに関する規定というのが設けられたといったようなことがございます。そういった法制度の整備に伴って新しい通達を出し、均等法の趣旨を徹底させたいということが一つございました。
 それからもう一つは、先生もおっしゃいましたとおり、コース別雇用管理制度が制度的には均等扱いになっていても、運用において慣行的に男性のみが総合職に採用されるとか、あるいは男女違った基準がそれぞれに設けられているといったようなことで、いわば運用面、実態面では均等法に違反している可能性が高い事案というのがまだまだ残っているという実態を踏まえまして、さらに具体的なきめ細かな指導をする必要があるという認識のもとに新たに通達を出させていただいたわけでございます。
 したがいまして、今回の通達では、コース別雇用管理のみならず、コース等で区分した雇用管理の導入や運用をする事業主に対しまして、改正後の均等法等の趣旨に照らして事業主が留意しなければいけない事項というものを具体的にお示ししてございます。
 したがいまして、全国の雇用均等室におきましては、この留意事項に基づきまして、総合職は男性のみ、一般職は女性のみといった制度であるところはもちろんでございますが、運用をしている企業に対して是正指導を行うというようなことを明確にしてございます。
 それから、これまでの慣行等によりまして、総合職のほとんどは男性、一般職は女性のみといったような男女労働者間に事実上生じている格差を解消するための積極的な取り組み、いわゆるポジティブアクション、これを促すことによりまして実質的な男女の均等取り扱いの実現を図るということを目的にしているものでございますので、私どもは、この通達に基づきまして事業主に対する指導を積極的に実施することにより、事態は、状況は改善されるものと考えているところでございます。
#74
○八田ひろ子君 この表で見ましても、男性は九七・七七%、女性は二・二三%しか採用がされていないという、この数字が物語っていると思いますが、個別的、具体的に指導をしていただくということですので。
 私はもう一つパネルを持ってきました。(図表掲示)
 今の九大商社も改正均等法が施行されてからの女性の雇用というのが大変少ないんですが、この会社は、これはやっぱり商社ですけれども、岡谷鋼機という商社でございます。
 同じ一般職として採用をされた男女社員を、一九八九年に、男子社員は総合職、女子社員は事務職、これはもっと後で、九三年に協定書が結ばれているわけですけれども、その間、ごらんいただくとわかるんですけれども、一貫して事務職には男の人はいません。今、女子のみ、男子のみというお話があったんですけれども、こういうような場合、総合職も九七年までは採ってはいないわけですけれども、旧均等法の指針にもこういうのは一律振り分け、最初のところですね、抵触するのではないか。それから、新しい均等法になってからもこれは問題になるのではないかと思いますが、どうなんでしょうか。
#75
○政府参考人(藤井龍子君) 先生の御指摘の個別の案件については、私ども承知しておりませんので、それについてのお答えは差し控えさせていただきますが、一般的に申し上げまして、先ほど申し上げましたように、総合職は男子のみ、一般職は女性のみといったような採用というものは明らかに改正均等法に違反するものでございます。
#76
○八田ひろ子君 そうですね。明らかにこれは違反するものだというふうに思いますけれども、これは均等室の方に訴えが出ておりますので、また後でお調べいただければわかると思います。
 今度の通達に職掌間の転換制度についても述べられています。その実態についてでありますけれども、この企業でありますけれども、ここも転換があります。ところが、上司の推薦が必要で、その上司の推薦は、今すぐ転勤できるかどうかと。ここは商社でありますけれども、取締役も含めて相当数の男性が一度も転勤したことがないというそういう会社で、そういう人もいるという会社でありますけれども、女性だけは今すぐ転勤できなければ転換の試験も受けられない。これが女性差別の切り札となっておりますけれども、こういう転勤要件の扱いというのは均等法の精神に反するものだと思われますが、いかがでしょうか。
#77
○政府参考人(藤井龍子君) 繰り返し申し上げますが、今御紹介のあった個別案件についてはちょっとお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に、例えば総合職に男女を採用するという形になっておっても女性にだけ男性にはない基準といいますか条件をつける、要件をつけるといったようなことになれば、それはやはり均等法に違反すると申し上げてよろしいと思います。
#78
○八田ひろ子君 転勤を伴う事業所の配置転換というのは、過去三年間の実績で見ましても、全業種の平均で一九・五%の事業所となっております。労働者数で見ればもっと少ないというわけでありますけれども、ILO百五十六号条約を批准したもとで、男女労働者の職業上の責任と家庭的責任を果たすことは国の政策の目的とされなければなりませんし、したがって転居を伴う配置転換というのは実は男女とも抜本的に今見直さなければならないのではないか、こういうことも言われているんですけれども、今申し上げましたように女性のみこんな無体にハードルを高くする、一般的にその企業なり社会常識で必要だというのではないものを条件にするというのは、やはり今お答えがあったように問題があるのではないかというふうに思います。
 こういうコース別の雇用管理を導入している商社では、男女の賃金格差というのが広がっているんです。
 もう一つ、私、パネルを持ってきたんですが、(図表掲示)これ、総合職と一般職の賃金格差と書いてありますけれども、男女差です。青いのが男性で、黄色いのが女性です。これで見ますと、二十六歳で見ますと、男性を一〇〇としますと、女性、黄色いところは七〇・五二%です。三十歳では六一・二二%、三十五歳では五三・九四%、四十歳では五二・二八%、四十五歳では五一・七八%というふうに、男女の賃金の格差があるわけなんですね。
 これは一般的に日本の男女格差というのは六三%という数字も出ていまして、これは諸外国から見ても大変恥ずかしい数字ですが、長く働けば働くほど女性の賃金が上がらないので差がこういうふうに広がっていくというのがこの賃金格差の中でも、これはある商社の例でありますけれども、これは働く女性の実情、労働省の調査の中でも、大企業においては男女の賃金格差が広がっているということが載っておりますけれども、こういう賃金格差の拡大について労働大臣はどういうふうに思っておいでになるのか、そしてどう是正をしていこうかと思っておいでになるのか、お伺いしたいと思います。
#79
○国務大臣(吉川芳男君) 男女の賃金格差を一般労働者の一人平均所定内給与額で見ますると、平成十一年には女性の賃金は男性の六四・六%となっております。このような格差は、ついている職務の違い、勤続年数の差異等によるところが大きいと考えられます。
 男女間の職務の違いにつきましては、改正均等法の周知徹底により、配置、昇進等について男女の均等取り扱いが実現されるよう努めています。また、男女の勤続年数の差異につきましては、労働者が育児や介護を担いながら働き続けることができるよう、育児休業、介護休業の定着など、仕事と家庭の両立支援対策の推進に努めています。
 さらに、こうした男女の格差の背景にある男女の能力や役割に対する固定的な考え方を改めるよう、広報啓発活動に取り組んでいきたいと思っております。
#80
○八田ひろ子君 もうちょっと実のあると思ったんですけれども、今啓発活動というふうに言われましたが、今回の留意事項の周知、指導については事実上の男女別の雇用管理となっている事業所が多く見られる、こういうふうにも通達には書いてありますけれども、では実際に具体的には、今大臣がおっしゃった中身も含めてですけれども、どんな指導がされるのか。それから、女子学生とか女性労働者にどういうふうにこの改正均等法とそれから通達をあわせて周知されていくのか。私ども、愛知県内の卒業予定の学生にアンケートをとったものを見ますと、均等室、かつての女性少年室ですね、この存在を九一・三%の人が知らないというのがあります。
 先ほどいろいろ、紛争は持ってきてほしいとかいろいろおっしゃるんですけれども、実際にこれから労働者になる女性に対する周知、それから実際に男女差別になっている雇用管理をしている事業所が多く見られるんですから、多い事業所にどういうふうに指導されるんでしょうか。
#81
○政府参考人(藤井龍子君) まず事業場に対する指導でございますが、これまでも特に改正均等法施行前後、全国的に法律の周知徹底に努めてまいったところでございますが、今般、通達をいたしました「コース等で区分した雇用管理についての留意事項」というものにつきましても、全国の雇用均等室を通じ、さまざまな説明会等の場を通じまして周知徹底に努めてまいりたいと思っております。特に毎年六月を雇用均等月間に定めておりまして、この期間中に全国各地でセミナー等を開催してございますので、そういった形をとらせていただきたいと思っております。
 また、本年の四月から労働基準、職業安定、雇用均等の三行政が統合されまして都道府県労働局という形になりましたので、労働基準行政、職業安定行政との一層の連携も図りながら周知徹底には努めてまいりたいと思っております。
 それから、女性労働者の方々あるいは女子学生の方々に対する周知というものは、それぞれ労働組合を通じ、あるいは大学の就職担当窓口等を通じ周知徹底に努めてまいりたいと考えております。
#82
○八田ひろ子君 きょうは国際的に批判されて是正が求められておりますコース別雇用管理を取り上げましたけれども、女性差別は原因となった要因と結果についても是正していく取り組みというのが重要だと思うんです。特に賃金の男女格差というのは諸外国と比較するのも恥ずかしいぐらい大きいもので、個別に要因を調査して個々に格差是正のための指導が必要だと思います。
 正社員など一般労働者というのは減少傾向にありますけれども、女性はパートなど不安定雇用に多くて、女性の賃金の低さが男性の賃金の引き上げを抑えている面を見逃すことはできませんので、男性にとっても真に男女平等を前進させて家庭責任を果たしながら働き続けられる労働条件確立が急務で、実のある推進というのを求めて質問を終わります。
    ─────────────
#83
○委員長(吉岡吉典君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、川橋幸子君が委員を辞任され、その補欠として木俣佳丈君が選任されました。
    ─────────────
#84
○大脇雅子君 そごうの民事再生法適用による再建問題について御質問をしたいと思います。
 多摩、長野、木更津等の店舗の閉鎖に伴いまして従業員の解雇問題が生じておりますし、再建計画の中でその他の地域における人員整理も伝えられております。
 先ほど大臣の所信の中で、不況適用業種として雇用調整助成金をおろすということが決まったというふうにしておられますが、これは関連企業の従業員についても大規模な配置転換とかリストラ、あるいはそれに伴う解雇、退職というものの雇用問題が発生しつつある、そのおそれがあるのではないかと言われておりますが、こうした労働者に対する雇用の確保とか大型倒産事業に対する雇用調整助成金の適用の検討等、労働大臣はどのような対策をお考えでしょうか。
#85
○国務大臣(吉川芳男君) 大脇委員の質問にお答え申し上げます。
 そごうについては、既に木更津そごう、長野そごう及び関連企業の閉鎖等に伴い離職者の発生が見られることから、公共職業安定機関において再就職のための職業相談等を行い、その早期再就職に努めているところであります。また、七月二十一日にはそごうグループの計二十六社を大型倒産等事業主に指定し、雇用調整助成金により関連企業の従業員の雇用の安定を図っているところです。
 今後の対応といたしましては、現在そごうグループ各社について民事再生法に基づく再生計画の作成が進められておるところであることから、その状況の推移を見守りながら従業員の雇用問題について適切に措置することといたしております。
#86
○大脇雅子君 さきにマスコミ等で伝えられているところでは、構造不況業種に適用されていた雇用関係助成金制度を今年度いっぱいで打ち切って、新たな雇用創出を進める政策に力点を置く方針というのを事務次官が打ち出したという新聞報道がございます。この具体的内容はいかなるものであったのでしょうか。
#87
○国務大臣(吉川芳男君) 業種雇用安定法は「平成十三年六月三十日までに廃止するものとする。」と規定されておる時限立法でございますが、一部報道にありますように、現段階で業種雇用安定法を廃止するという方針を決めたということは事実ではありません。
 ただ、経済産業構造が大きく変化していく中で中長期的に雇用の安定を図っていくためには、良好な雇用機会の創出、確保を図るとともに、円滑な労働移動に対する支援をするなど、労働力需給のミスマッチを解消するための施策を効果的に講じていく必要があると思っております。
 こうした観点から、現行の各種支援策を総合的に見直す必要があると考えており、業種雇用安定法の取り扱いも含めて秋以降、関連審議会で幅広く御論議をいただき、その検討結果を踏まえて必要な施策を講じてまいりたいと思っております。
#88
○大脇雅子君 労働省の雇用政策の大きな柱となってきたのは雇用関係助成金制度であっただろうと思います。
 それで、とりわけ雇用調整助成金の雇用継続効果ということについて私も何度か御質問をしてきたわけですけれども、なかなかにその効果をはかりがたいということで、果たして今の時代にどのような形の雇用調整ということが必要か、これを含めましてその継続効果などの厳密な調査などをなさいまして、その施策について今後検討をしていただきたいと思うものであります。
 そこで、通産省にお尋ねをしたいのですが、長年の構造不況にある産業に関連いたしまして、地域そのものの地盤沈下とか崩壊ということが生じているような状況もあります。とりわけ中小企業、零細企業のいわゆる振興策というものについて、通産省はどのような政策を考えておられるでしょうか。
#89
○政府参考人(殿岡茂樹君) 先生御指摘の不況業種を抱える地域の問題でございますけれども、従来から、地域産業集積活性化法という法律をおつくりいただきまして、この法律に基づきまして、造船業などの特定の大企業に依存する中小企業が多く集積しているいわゆる企業城下町といったものでございますとか、あるいは伝統的な製品を生産するいわゆる産地と呼ばれている地域でございますけれども、こうした地域につきまして特定中小企業集積と位置づけまして、これらの地域の中小企業の活性化のための活動を金融あるいは補助金等によりまして支援を進めてまいっているところでございます。
 具体的には、これまで地域内の中小企業あるいは組合等に対しまして、技術開発あるいは販路の拡大、人材の育成などに関します支援を行ってきたところでございまして、これによりまして、新しい製品の開発ですとか、あるいは知的財産権の取得に成功したり、さらには異業種交流による事業の活性化、出荷額の拡大といった成果を上げている事例が見られているところでございます。
 今後とも、経済的に非常に厳しい環境にある地域における中小企業の振興のために、この法律によりまして効果的な支援を実施してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#90
○大脇雅子君 労働者の二七%が非正社員で、雇用の多様化が進むということが規制緩和の中で労働市場の面でもあらわれているわけですが、その非正社員の平均月額というのは非常に低いということで、通常の労働者との差別ということが言われております。
 本年四月に、パートタイム労働者の均等処遇に関連いたしまして、パートタイム労働に係る雇用管理研究会報告、均衡であるべき基準についてのいわゆる物差し研報告というのが出されました。これに基づきますと、そうした賃金や労働条件の格差に関しましては、労使による自主的な取り組みを進めるために情報を徹底するというふうにされています。この研究会ではさまざまな実例の報告などなされております。
 均衡であるべき実例ということですが、大体具体的にどのように周知徹底をされるということで、今どんな取り組みをされているのでしょうか。あるいはまた、それでどのような効果があると認識されているのか。さらに三つ目に、均衡処遇原則の確立に向けて立法の必要性というものについてどのように認識しておられるか、お尋ねをいたします。
#91
○国務大臣(吉川芳男君) 御指摘の報告書は、パートタイム労働法第三条において、事業主は、その雇用するパートタイム労働者について、通常の労働者との均衡を考慮して雇用管理の改善等を図ることとされておりますことを踏まえまして公労使でまとめていただいたものであります。
 現在、この報告書の概要をパンフレット等にまとめて労使団体等に対し配付を行うとともに、全国の雇用均等室等の行う企業への説明会などの機会をとらえまして情報提供を行っているところです。
 均等処遇の立法化については、公労使で構成する女性少年問題審議会において合意が得られず、行政としては労使が均衡を考慮した処遇等に取り組みやすくするための支援が必要であるとの指摘をされたところです。
 このため、労働省としても、まずこの報告書の内容を広く関係労使に周知することにより、均衡を考慮した処遇の実現に向けての労使の取り組みを促していくことが重要であると認識しております。
#92
○大脇雅子君 パート労働法にいわば均衡の言葉が入りまして以来、ようやくにしてその基準の研究が行われたわけでございますが、その立法化が見送られて、労使のコンセンサスがなかったということについて非常に残念に思うものであります。さらにその課題については今後とも取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、過労死自殺と労働災害の現状についてお尋ねをいたします。
 一九九九年の過労死弁護団全国連絡会議への電話相談も四割増しということで、十三年間、三百九十六人の相談事例によりますと、過労自殺は四十代が最多で九十九人、次に三十代、二十代、五十代、六十代となっています。これは、仕事上のストレスに起因する自殺のケースもあり、あるいはリストラ等に基づく経済的な苦難の中での自殺もあると思いますが、労災申請の件数も増加していると思われますが、ここ三年間の申請の状況、そしてその認定の状況についてお尋ねいたします。
#93
○政務次官(釜本邦茂君) 業務によりますストレスを原因として精神障害を発病し自殺に至ったとして労災請求が行われた事案の件数は、平成九年度の三十件、平成十年度の二十九件から平成十一年度には九十三件と大幅に増加したところであります。
 仕事によって精神障害にかかったり自殺するということは本来あってはならないことでありますが、不幸にしてこのような事態になった場合には、昨年九月に策定しました精神障害の業務上外の判断指針により、労災補償の面で迅速適正に対処をしてまいりたいと思っております。
 また、過去、過労自殺の事案の労災認定の件数はいかがだということでございますが、過去三年間におきまして業務によるストレスを原因として精神障害を発病し自殺に至ったとして労災認定が行われた事案の件数は、平成九年度の二件、平成十年度の三件から平成十一年度には十一件と大幅に増加しているところであります。
 以上でございます。
#94
○大脇雅子君 判断指針が改善されたということは非常に喜ぶべきことでありますが、まだまだ認定件数は厳しいというふうに感じます。
 労働省は、精神的ストレスによる健康阻害を防止するためにどのような対策を講じようとされているのでしょうか。
#95
○国務大臣(吉川芳男君) 経済産業構造等が変化する中で、労働者の心の健康を確保することは重要な課題であると認識しております。
 従来から、心理相談を行う担当者の養成、窓口相談の設置等の心の健康確保対策を推進していきたいと思っております。また、職場におけるストレス要因には労働者の力だけでは取り除くことのできないものがあり、事業者が積極的に労働者の心の健康の保持、増進に取り組むことが重要であると考えています。
 このため、労働省では、労働者の相談に応ずる体制の整備など、労働者の心の健康の保持、増進のために事業者が行うことが望ましい措置について総合的に示した事業場における労働者の心の健康づくりのための指針を本日発表したところであります。
 今後、本方針の普及、定着を図り、労働者の心の健康の保持、増進に努めてまいりたいと考えております。
#96
○大脇雅子君 ぜひその指針を十分に踏まえられまして、健康被害、とりわけ自殺にまで至るようなことのないように十分にきめ細かい指導、相談を行われたいと思います。
 最後に、今新規学卒者の就職と離職問題について大きな問題が社会化しております。とりわけ、その募集、採用における男女差別について改正後の男女雇用機会均等法が禁止をしたわけですが、努力義務の時代と比べまして、均等法で禁止になった結果どのように事態は改善されたでしょうか。
#97
○政務次官(釜本邦茂君) 今お尋ねの、改正後の男女雇用機会均等法は、募集、採用における男女の差別的取り扱いを禁止しており、募集については改正法施行後ほとんどの企業で男女を均等に取り扱うよう是正されたところであります。
 しかしながら、現下の厳しい経済情勢の影響もあり、依然として採用、選考の段階で女子学生を排除するなど、採用において女性を不利に取り扱う企業もまだ残っております。このような均等法に違反する企業に対しては厳正な行政指導を行い、その是正を図っているところであります。
#98
○大脇雅子君 女子学生が私たちのところにもさまざまな情報を寄せて、相変わらずこういう差別は改正されていない、解消されていないということを訴えておりますので、これまたこれからの就職時期におきます行政指導をしっかりやっていただきたいと思います。
 こうした不況の中で、一九九七年に就職協定が廃止されましてから、新規学卒者の就職活動というのは大学や短大で授業に非常に深刻な影響が生じている。ゼミナールを開いてもほとんど学生が来ないというような状況がありますが、文部省としてはどのような対策を考えておられるでしょうか。
#99
○政府参考人(清水潔君) 先生御指摘のように、学生の就職活動や企業の採用活動が年々早期化、長期化しており、学生が最終学年の授業に出席できない、あるいは卒業研究指導が十分できていないなど、大学教育に影響が生じている状況は私どもも承知しており、またそのことについて憂慮しておるところでございます。
 このことは、本年七月の大学等に行ったアンケート結果でも裏づけられているところでございますが、文部省といたしましては、現行の、大学側が申し合わせを、企業側が倫理憲章をそれぞれ定めるという中にも、それらの中で就職・採用活動の早期化への慎重な対応はそれぞれコンセンサスとしてあるところでございます。
 その意味で、そういう関係者間の合意を尊重しつつ就職・採用活動が良識ある形で行われるよう、大学側に対しては申し合わせの周知を図ると同時に、日経連初め経済関係団体に対しまして、採用に当たっては休日や祝日等に採用活動を行うなど、大学の学事日程を尊重するよう要請してきているところでありますし、さらに要請を続けてまいりたいというふうに考えております。
#100
○大脇雅子君 新規学卒者がせっかく就職しても、三年以内に離職したり転職する割合というのが年々ふえて、今では約二、三割ということも指摘されております。若年労働者の離職あるいは転職問題が非常に深刻な形で日本の経済社会に影響を及ぼしつつあるのではないか。その結果、フリーターとか派遣労働者、契約社員、いわゆる不安定雇用の労働者群を生み出している一因にもなっているなどと考えられるわけですが、最近の推移と、これに対する政策について労働大臣のお考えを伺いまして、質問を終わります。
#101
○国務大臣(吉川芳男君) 新規学卒就職者の三年以内の離職率は、平成九年三月卒で見ますると、大学で約三割、高校で約五割と非常に高くなっておりまして、この数年増加傾向にあるわけでございます。
 若年者の離転職には、自己の能力や適性をより発揮できる職場を求めて移動する者や、厳しい雇用情勢を反映して必ずしも希望にかなう就職先が確保できなかったこと等によることと見受けられますけれども、一方、職業に対する目的意識の希薄化も大きな要因と指摘されるところでございます。若年者の就業意識の啓発のためには、文教行政等とも連携いたしまして在学中からの対応が必要であり、また若年離職者につきましては、早期の再就職の支援が必要であると思っております。
 このため、若年者が卒業時に適切な就業選択が行えるようインターンシップの導入を促進するとともに、主要な学生就業センター等に若年早期離転職者相談コーナーを設けまして、きめ細かな職業相談等を行うことといたしております。
 若年者に対する雇用対策は今後ともさらに重要となると認識しておりまして、この充実に努めてまいりたいと考えております。
#102
○大脇雅子君 ありがとうございました。
#103
○高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。
 今、大臣からお話がありました適材適所、若い時期からどうやって自分の一番適した職業を選んだらいいか、その点についてきょうは御質問申し上げようと思っておりました。先ほどそのことがもうお話がありましたけれども、重ねたようになりますけれども、もう一度質問させていただきます。
 私は、一昨年、委員会の北海道派遣に参加させていただき、当時は職業能力開発短期大学校、現在では大学と言っていると聞いておりますが、小樽校を視察させていただきました。
 その際、皆さん、学生さんたちが服装はまちまちで、茶髪で出てくる方もいましたし、男の子も本当にアロハを着たり、まちまちの姿で勉強をしてらしたんですけれども、それぞれ美容師の勉強をしたり、それから陶芸の勉強をしたり電気の勉強をしたり、皆さん高校を出てからそちらの技術を学んでいらっしゃる方だったんですけれども、今の若い人たちとは思えないほど目がぎんぎらぎんに輝いてその研修科目に取り組んでいらっしゃる姿に、私は感激しました。
 そして、伺いましたら、ハローワークで何を学びたいか、皆さんがそれぞれ学びたいことを、それからどんな職業につきたいかを話して、その後その研修につくんだそうですけれども、それぞれみんなやりたいことに熱中してその学校に来ていらっしゃるんです。今、学校教育の場でいじめがあったり、それからいろんなことで問題が起きておりますけれども、やはり何になりたいか、どんな将来を過ごしたらいいかということで学生さんたちが迷っている、そんなことが一番大きな原因ではないかと私は思いました。そこで、その職業訓練をしている学校で聞きましたら、卒業後は就職率が一〇〇%、職業教育を受けてそれからみんな何かの職業についていくようなことで、生き生きとして学んでいらっしゃるんです。
 私が思ったことは、中学校、高等学校の時期から、もう少し将来何になりたいか、どんなことを身につけたらいいか、勉強だけではなくて職業との関係を学校の場で学ぶことができたらいいんではないかと思いました。やはり私の子供たちも、何になりたいかというと、やっぱり大学のことについてはどの大学に行きたいかということで随分いろいろ煩悶していましたけれども、何になりたいかということになると非常に迷いがあったと思うんです。だから、中学時代からもう少し職業について、職業とじかに触れられるような教育をしてはどうかと考えたんですけれども、例えば学校の単位の中に、工場に行って学んだり、農業の実践を行ったり、それから美容師の実際的な訓練を受けたり、職業との関係を普通の学校でもう少し実際に見学するインターンシップみたいなことを早くから学ぶようなことを考えてみたらどうかと思って旅行いたしました。
 それで、そのときに伺ったんですけれども、その学校は労働省のハローワークからの学校であって、学校から直接実践の学校に行ってお勉強できるシステムではないんですけれども、普通のいわゆる中学から、どんな職業についたらいいか、実際の職業との触れ合いをもう少し自由に求められるようにするのはどうかしらと思ったんですけれども、その点についてどう考えられるでしょうか。
 今、特別な学校に行けばそういうインターンの制度がありますけれども、普通校では実際のあれはほとんど受けられないようなシステムだと思うんですが、そのことについてちょっと伺いたいと思います。
#104
○政務次官(釜本邦茂君) 今お話しのとおり、就業時において若年者が適切に職業選択を行うことができるようにするためには、在学中の早い段階から職業意識の啓発を図ることが必要である、こう考えております。
 このため、今年度から、文部省と提携して全国の高校一、二年生を対象とする職業に関するガイダンス等を行うほか、インターンシップの導入を促進する等により、在学中からの職業意識の啓発に努めているところであります。
 今後ともこのような施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
#105
○政府参考人(玉井日出夫君) 大変重要な御指摘をいただいたと、かように思っております。
 中学校、高校段階において、やはり勉強だけではなくて、働くことの意義とか目的、あるいは職業と職業生活などについて知るということ、体験すること、また同時に、職業生活に必要な基礎的な知識だとか技術というものも身につけるということが大変重要だろうと、こういう認識を持っているわけでございます。
 そこで、今どのようなことが行われているか若干申し上げますと、中学校段階ではだんだんふえてきておりますけれども、実際に職場体験を中学校段階でしてみるとか、あるいは実際に働いている、技術を持っている方など、社会人の方に実際に学校に来ていただいてその方のお話を聞いてみるだとかいった、いわゆる体験的な学習をふやそうというふうにしているわけでございまして、また高等学校におきますと、そういう専門的な、基礎的な知識を身につけることはもちろんでございますけれども、あわせて先ほど御指摘の中にもございました、実際に職場を経験してみるという就業体験、いわゆるインターンシップでございますけれども、これがやはり重要だ、かように思っておりまして、この点を進めてまいりたいと思っておりまして、特にこのインターンシップにつきましては、新しい学習指導要領では明確に位置づけたところでございます。
 それで、このような事業を進めるに当たりましてもやはり労働省との連携が大変重要になってくる、かように考えておりまして、今までもいろいろな事業で連携を進めさせていただいておりますけれども、先ほど御説明がございましたとおり、本年度から高校生に早期の段階でのガイダンスを行うという事業を労働省の方でお始めいただきました。この点についても私ども連携をとって進めているところでございまして、今後とも努力をさせていただきたい、かように思っております。
#106
○高橋紀世子君 ありがとうございました。
 子供たちを見ていますと、私も三人の子育てをしましたけれども、どこか心の中で、将来何になるか、何をやれるかということは非常に不安なものを持っておりますので、やはり早い時期に技術的なこと、職場を見せてやるということはいろんな意味で将来を決定する一つのファクターになると思いますので、何らかの形で中学時代から職場での研修をしたり、それからいろんな意味で技術的なことだとか、実際に働いている人の中でいろんな経験をすることをもう少しカリキュラムに、そのカリキュラムも中央で全部決めるのではなくて、地域地域にいろんな特色がありますから、やはり私は地域に任せて、ある意味で地域との接触の中で、農業の盛んなところは農業、工場がたくさんあるところは工場、そういう形が学生にとっても教師にとっても楽な方法ではないかと思います。
 それから、リストラや倒産が今不況の中で横行するわけですけれども、こうした状況の中で企業側が求めている技能を何らかの形で身につけているということもまた就職の面でもプラスに働いたりしますので、やはり学校に就学しているときからもう少し技術を身につける訓練があってもいいのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
#107
○政府参考人(玉井日出夫君) 確かに御指摘のとおり、まずは今の子供たち、今の育成環境から見て体験が大変少ないということがございます。したがって、体験し実感する、そういうものをいろいろと教育の中に取り込んでいきたい、かように基本的には思っております。
 それから、一方において物離れ、技術離れということもやはり言われるわけでございまして、そういう意味で技術の大切さということもやはり見直していかねばならない、かように思っております。
 そこで、私ども、今、高等学校、特に農業、工業、商業高校などのいわゆる専門高校でございますけれども、そこにおきます基礎的な知識、技術を身につけさせる、また同時に、そういう技術を通して豊かな人間性をはぐくんでいくということも重要だと思っておりまして、そのカリキュラムの改善も進めているところでございますし、それから、私ども新しい事業として本年度からいわゆる物づくり学習を支援するということの試みも幾つかの地域で始めさせていただいておりますので、これまた努力をさせていただきたい、かように思っております。
#108
○高橋紀世子君 今、先ほどにもお話がありましたけれども、学校を卒業して三年以内に離職をするケースがあるというふうに、その数が多くなっていると聞きましたけれども、それは今の時代ですから離職したくなったら次の職業につくというのが悪いとは言えませんけれども、若年層から何になりたいか、自分で技術を身につける習慣がついていると、転職するには自分の身につけた技術がむだになっては損だとか、そういうことが心の中に宿って、やはり職業の移動にも歯どめがかかるのではないかと思います。
 こういうことからも、早い時代の職業訓練というのは、それが余り職業訓練を早い時代からするというのも何かちょっと物悲しさもありますけれども、次から次へと職業をかえていくという現象を考えると、少々早くから職業訓練をするという意味も社会の安定につながるのではないかと思うんですけれども、大臣、どう考えられますでしょうか。
#109
○国務大臣(吉川芳男君) 若年層においてせっかく就職したのに短期間で離職に至るという人が高い水準にある、統計では九・一%あるそうでございますが、これは全体の失業率の倍の数字になっているわけでございまして、ゆゆしき問題だと思うのでございます。
 今後は、短期間での離職を防ぎ、我が国の将来を担う人材を育成するためには、在学中から職業意識の啓発が重要であり、高校生を対象とする職業ガイダンスを行うほか、インターンシップ等の導入等により対策を講じてまいりたいと思っております。
#110
○高橋紀世子君 やはり職業選択というのは人間の人生で大変大きな出来事だと思います。それがそんなに、一回選択したら絶対にかえられない、そういうことを私は教えることはないと思うんですけれども、小さいときからどんな職業についたらいいか、どういうふうな選び方をしたら幸せになるか、そのことを社会で、みんなでいい職業選択をするような社会にしていくことがやはり地球の人間の生活を明るくすると思いますので、それを学校という社会で、それから家庭という社会で取り入れていきたいと思います。
 きょうは本当にありがとうございました。
#111
○委員長(吉岡吉典君) 本日の調査はこの程度といたします。
    ─────────────
#112
○委員長(吉岡吉典君) この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#113
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に木俣佳丈君を指名いたします。
    ─────────────
#114
○委員長(吉岡吉典君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 労働問題及び社会政策に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#115
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#116
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#117
○委員長(吉岡吉典君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#118
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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