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2000/08/09 第149回国会 参議院 参議院会議録情報 第149回国会 財政・金融委員会 第1号
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2000/08/09 第149回国会 参議院

参議院会議録情報 第149回国会 財政・金融委員会 第1号

#1
第149回国会 財政・金融委員会 第1号
平成十二年八月九日(水曜日)
   午前九時三十分開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         平田 健二君
    理 事         岩井 國臣君
    理 事         中島 眞人君
    理 事         寺崎 昭久君
    理 事         海野 義孝君
    理 事         池田 幹幸君
                片山虎之助君
                河本 英典君
                沓掛 哲男君
                世耕 弘成君
                中島 啓雄君
                林  芳正君
                日出 英輔君
                星野 朋市君
                伊藤 基隆君
                久保  亘君
                櫻井  充君
                浜田卓二郎君
                笠井  亮君
                三重野栄子君
                椎名 素夫君
    ─────────────
   委員の異動
 八月七日
    辞任         補欠選任   
     中島 啓雄君     加納 時男君
 八月八日
    辞任         補欠選任   
     加納 時男君     中島 啓雄君
     櫻井  充君     浅尾慶一郎君
 八月九日
    辞任         補欠選任   
     浅尾慶一郎君     輿石  東君
     久保  亘君     勝木 健司君
     寺崎 昭久君     谷林 正昭君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         平田 健二君
    理 事
                岩井 國臣君
                中島 眞人君
                勝木 健司君
                寺崎 昭久君
                海野 義孝君
                池田 幹幸君
    委 員
                片山虎之助君
                河本 英典君
                沓掛 哲男君
                中島 啓雄君
                林  芳正君
                日出 英輔君
                星野 朋市君
                浅尾慶一郎君
                伊藤 基隆君
                久保  亘君
                輿石  東君
                谷林 正昭君
                浜田卓二郎君
                笠井  亮君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       大蔵大臣     宮澤 喜一君
       国務大臣
       (金融再生委員
       会委員長)    相沢 英之君
   政務次官
       大蔵政務次官   村田 吉隆君
       大蔵政務次官   七条  明君
       金融再生政務次
       官        宮本 一三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田 成宣君
   政府参考人
       金融再生委員会
       事務局長     森  昭治君
       金融庁監督部長  高木 祥吉君
       法務大臣官房審
       議官       小池 信行君
       大蔵省主税局長  尾原 榮夫君
       大蔵省理財局長  中川 雅治君
   参考人
       日本銀行総裁   速水  優君
       預金保険機構理
       事長       松田  昇君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (概算要求基準及び財政規律に関する件)
 (日本債券信用銀行等譲渡契約に関する件)
 (日本銀行の金融政策に関する件)
 (税制調査会中期答申に関する件)
 (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく
 通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件
 )
○理事補欠選任の件
○消費税の増税反対、消費税率三%への減税に関
 する請願(第五六号)
○消費税率三%への引下げに関する請願(第五七
 号)
○消費税の減税に関する請願(第五八号)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(平田健二君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨八日、櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として浅尾慶一郎君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(平田健二君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、財政及び金融等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(平田健二君) この際、宮澤大蔵大臣、相沢金融再生委員会委員長、村田大蔵政務次官、七条大蔵政務次官及び宮本金融再生政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。宮澤大蔵大臣。
#6
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国経済の新生へ向け、種々の課題が山積している中、引き続き大蔵大臣の任に当たることになりました。何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 以下、今後における財政政策等の基本的な考え方につき所信の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。
 まず、最近の経済情勢と当面の経済運営の基本方針について申し上げます。
 我が国経済は、平成九年秋以降、四半期ベースで見ますと五期連続のマイナス成長という、戦後初めての厳しい局面を経験いたしましたが、各種の政策効果もあって、昨年来緩やかな改善が続いており、平成十一年度の実質GDP成長率は〇・五%と三年ぶりのプラス成長に転じました。我が国経済の現状を概観いたしますと、依然として雇用情勢は厳しく、個人消費もおおむね横ばいの状態であるものの、設備投資を初めとして、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが徐々に強まってきております。
 政府は、これまで景気回復に向けた諸施策の実施に全力を挙げて取り組んでまいりました。とりわけ、平成十二年度予算においては、経済運営に万全を期すとの観点から、前年同額を確保した公共事業や、金融システム安定化、預金者保護のための施策を初めとする諸措置を講じたところであります。また、景気の下支えに万全を期すため、先般、公共事業等予備費の使用を閣議決定したところであります。
 政府といたしましては、公共事業等予備費を含めた平成十二年度予算を着実に執行することなどにより、公需から民需への円滑なバトンタッチを図り、景気を民需中心の本格的な回復軌道に乗せていくよう、全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 次に、平成十三年度予算編成と財政構造改革について申し上げます。
 平成十三年度予算編成に当たっては、景気を本格的な回復軌道に乗せるよう引き続き全力を挙げつつ、財政の効率化、質的改善に取り組んでまいりたいと考えております。このような基本的な考え方を踏まえ、平成十三年度予算の概算要求に当たっては、日本新生プラン等の施策に特段の予算配分を行うため日本新生特別枠を創設するなど、予算配分の重点化のための措置を講じることとしております。今後の予算編成過程において、予算の内容の大胆な見直しを行い、その効率化を進めることにより、公債発行額をできる限り圧縮し、二十一世紀のスタートにふさわしい予算としてまいりたいと考えております。
 平成十二年度末の国、地方を合わせた長期債務残高が六百四十五兆円に上る見込みとなるなど、我が国財政は危機的な状況にあり、財政構造改革は必ず実現しなければなりません。ようやく明るい兆しの見えてきた我が国の景気回復を一層確かなものとした上で、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制のあり方、社会保障のあり方、さらには中央と地方との関係まで視野に入れて取り組んでまいります。
 税制につきましては、先般、税制調査会において中期答申が取りまとめられました。この答申においては、近い将来、税制全般についての抜本的な見直しが避けられないとの認識のもと、国民一人一人が税制論議に参加し、選択を行っていくことが重要であるとの考え方が示されております。政府といたしましては、この答申を今後の税制のあり方を考える際の参考としてまいりたいと考えております。
 財政投融資につきましては、さきの通常国会において、郵便貯金、年金積立金の預託義務の廃止等を内容とする資金運用部資金法等の一部を改正する法律が成立したところであります。平成十三年度財政投融資の編成につきましては、この財政投融資改革の趣旨を十分に踏まえたものとしてまいりたいと考えております。
 次に、世界経済の健全な発展への貢献について申し述べます。
 先般、九州・沖縄サミットが開催され、我が国は開催国としてその円滑な運営に万全を期したところであります。サミット蔵相会合においては、IT革命の経済・金融面への影響、国際金融システムの強化等、多岐にわたる論点について活発な意見交換が行われたところであり、特にIT革命が生産性の上昇等を通じ各国の潜在成長力を上昇させる可能性があるとの認識で一致いたしました。我が国としても、IT革命の一層の推進を通じて世界経済の発展に貢献してまいりたいと考えております。
 また、多角的自由貿易体制の維持強化の観点から、我が国は、WTOにおける新ラウンドの早期立ち上げのため、引き続き努力してまいる所存であります。
 さらに、税関手続について、納税申告の前に輸入貨物の引き取りを可能とする簡易申告制度の円滑な実施に向け準備を進めるなど、適正かつ迅速な通関に努めてまいります。
 以上、財政政策等に関する所信の一端を申し述べました。
 今後とも政策運営に万全を尽くしてまいる所存でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
#7
○委員長(平田健二君) 相沢金融再生委員会委員長。
#8
○国務大臣(相沢英之君) このたび金融再生委員会委員長を拝命いたしました相沢英之でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 市場及び国民から信頼される金融行政を確立し、我が国金融システムの安定と再生を図るため、微力ながら全力を尽くして任に当たってまいる所存でありますので、当委員会の委員長及び各委員の皆様には御指導のほどよろしくお願いを申し上げます。
 本日は、発言の機会をいただきましたので、現下の金融行政について一言申し述べさせていただきたいと存じます。
 金融再生委員会では、金融再生法に基づく破綻金融機関の迅速な処理及び早期健全化法に基づく健全な金融機関に対する公的資本増強の実施等を通じ、我が国金融システムの安定と再生に全力を挙げて取り組んでおります。
 我が国の金融機関を取り巻く環境は、一時期と比較して確実に安定性を取り戻してきておりますが、平成十四年三月末のペイオフ解禁を控え、さらに揺るぎのない金融システムを構築することが必要であり、引き続き努力してまいる所存です。特に、信用金庫、信用組合等の協同組織金融機関につきましては、新たに優先出資の発行等が認められるとともに、平成十四年三月末までの間、公的資本増強が可能とされたことを踏まえ、適切に対処してまいります。
 特別公的管理下に置かれていた日本債券信用銀行の譲渡に関しましては、本年六月三十日にソフトバンクグループとの間で最終契約書が締結されましたが、その後、特別公的管理銀行に係る譲渡の仕組み、とりわけ瑕疵担保条項については、説明が必ずしも十分ではなかった等の御批判をいただいたところであります。
 こうした状況のもと、金融再生委員会は、ソフトバンクグループの意向をも踏まえ、今国会における御論議や国民の御意見に十分耳を傾けるとともに、その理解を深めていただくために、一カ月譲渡予定日を延期することといたしました。ただし、瑕疵担保条項を見直すことについては、内外からの金融行政への信頼を損なうおそれがある上、契約相手方のソフトバンクグループが合意せず、契約を白紙に戻す意向であること、その場合、かわりの引き受け手が見つからない可能性が高いこと、仮に整理回収機構への譲渡となれば、取引先中小企業の倒産や国民負担の大幅な増加が見込まれること等から困難であると考えております。
 次に、そごう問題について申し上げます。
 金融再生委員会は、去る六月三十日に、金融再生法が定める費用最小化原則を基軸としつつ、さまざまな観点から慎重審議を行った結果、預金保険機構が債権放棄要請を受け入れることもやむを得ないとの苦渋の決断を下しました。その後、そごうは、同社を取り巻く環境の大きな変化等を踏まえ、自主的な経営判断として再建計画を断念し、先月十二日に民事再生法の適用を申請したところであり、今後、こうした法的処理の枠組みの中で適切な再建策が策定されることを期待しております。今回の問題を教訓に、国による債権放棄については、安易に認められるべきでないのは当然との認識のもと、慎重の上にも慎重に対処していくとともに、今後、重要な案件については関係方面や国民から十分な理解を得られるよう努力してまいります。
 委員の皆様方既に御存じのとおり、先月初めに中央省庁等改革の先陣を切って金融監督庁と大蔵省金融企画局が統合され、金融制度の企画立案業務と金融機関等の検査・監督業務が新しく発足した金融庁に一元化されました。
 金融制度の企画立案においては、経済、金融を取り巻く環境の変化を見据え、安定的で活力ある金融システムの構築及び金融市場の効率性、公正性の確保に向け、金融制度の改善に取り組んでまいります。
 金融機関等の検査・監督行政においては、厳正な検査・監督を通じ、金融機関等の健全性の維持向上に一層の努力を傾注してまいる所存であります。
 また、金融の国際化に的確に対応するため、外国金融当局との連携強化等に努めてまいります。
 最近における異業種による銀行業への参入等、新たな形態の銀行設立の動きへの対応については、今月三日に、パブリックコメント手続を経て、銀行法に基づく免許審査・監督についての運用上の指針を策定し、公表いたしました。当局としては、本指針を踏まえ、新たな形態の銀行による健全かつ適切な業務運営を確保するため、的確に監督してまいる所存であり、こうした銀行の設立の動きが、金融技術の革新、競争の促進等を通じて我が国金融の活性化や利用者利便の向上等に寄与することを期待しております。
 なお、異業種の参入に伴う銀行法等の整備や銀行の他業禁止等に係る規制緩和についても、金融審議会等において早急に検討を開始していただきたいと考えております。
 以上申し述べましたとおり、金融再生委員会・金融庁といたしましては、引き続き市場規律と自己責任原則を基軸とした明確なルールに基づく透明かつ公正な行政を遂行するとともに、金融制度の企画立案においても万全を尽くす所存でありますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
#9
○委員長(平田健二君) 村田大蔵政務次官。
#10
○政務次官(村田吉隆君) このたび大蔵総括政務次官を拝命いたしました村田吉隆でございます。
 大蔵行政をめぐります問題が山積する中、大臣の御指示を仰ぎつつ、職務に誠心誠意精励する覚悟でございます。
 委員各位の皆様方の御指導、御鞭撻をどうかよろしくお願い申し上げます。
#11
○委員長(平田健二君) 七条大蔵政務次官。
#12
○政務次官(七条明君) このたび大蔵政務次官を拝命いたしました七条明でございます。
 宮澤大臣を補佐しつつ、一生懸命職務に精励してまいりたいと思いますので、皆様方のよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
 なお、参議院担当の政務次官という形になっておりますので、この点もあわせて御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げるところでございます。
#13
○委員長(平田健二君) 宮本金融再生政務次官。
#14
○政務次官(宮本一三君) 金融再生総括政務次官を拝命しました宮本一三でございます。
 金融庁は、制度の企画立案から検査、監督、監視まで一貫して担当するとともに、銀行、保険、証券等の業態を横断的に所管することから、これらの特色を最大限に生かしまして金融を取り巻く環境の変化に的確に対応し、機動的かつ整合的な政策の遂行に努めてまいりたいと思います。
 相沢大臣の御指導のもと、また委員の皆様方に御指導、御鞭撻を賜りまして、全力で頑張ってまいりたいと思います。
    ─────────────
#15
○委員長(平田健二君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に金融再生委員会事務局長森昭治君、金融庁監督部長高木祥吉君、法務大臣官房審議官小池信行君、大蔵省主税局長尾原榮夫君及び大蔵省理財局長中川雅治君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#17
○委員長(平田健二君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁速水優君及び預金保険機構理事長松田昇君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#19
○委員長(平田健二君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#20
○岩井國臣君 大蔵大臣にまずお聞きいたしますが、その前に、九州・沖縄サミット、大変御苦労さまでございました。森総理もおっしゃっておりますように、今回のサミットは小渕前総理が万感の思いを込めてその開催を決定されたものでございまして、森総理はもちろんでございますけれども、大蔵大臣も随分気を使われたのではないかと存じます。本当に御苦労さまでございました。
 早速、質問でございますけれども、サミットに関連いたしまして質問させていただきます。
 一九九七年から九九年にかけまして、アジア、ロシア、中南米といわゆる金融・通貨危機が地球上を駆けめぐった。それを機にいたしまして、ブレトンウッズ体制を抜本的に改革しなければならないんではないかというふうな大変重い課題がG7に与えられていたのではないかと思うのでございますけれども、その点、どうであったのでしょうかということでございます。
 アジアの景気がかなり好転してきたというふうなこともあるんだろうと思いますけれども、改革の意欲が損なわれてきておって、IMF、国際通貨基金、そして世界銀行の巻き返しが云々というふうなことも言われておるわけでございますけれども、どのような国際通貨体制の改革の方向が打ち出されたのか、その辺御説明を願いたいと思う次第でございます。
#21
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびのサミット会議につきましては、与野党に属せられます両院の議員の皆様からもいろいろ御支援をいただきましたことを改めて御礼を申し上げます。
 ただいまの通貨危機のことでございますが、お話のございましたように、アジアの通貨危機がタイから起こりましたのが九七年の夏でございますが、それがあちらこちらに蔓延をいたしまして、年を越しました九八年のちょうど九月にIMFの総会がワシントンでございました時期が最悪の事態でございました。
 アジアの通貨危機はなおおさまるところを知らず、しかもロシアに通貨危機が訪れましたし、またニューヨークで大きなヘッジファンドの破綻がございまして、何よりもしかし我が国、日本自身が通貨危機をいかに打開すべきかということで国会で、いわゆる金融国会での長い御議論があり、我が国自身の帰趨というものが、事態によっては世界全体の危機の一番の根源になるというような状況の中であの年の九月のIMFあるいはG7の会合がワシントンで開かれまして、これがいわば最悪の事態、戦後最大の国際通貨の危機であったかもしれないと思われます。結果といたしましては、結局、各国間の協力といったようなことが基本であったと思いますが、IMF等々の活動もございまして、一年たちました九九年にはさま変わりになっておりました。
 その間に、IMFのあり方につきまして、岩井委員の御指摘のようにかねてからいろいろ議論があったところでございましたが、殊にアジア危機の救済に際してのIMFの活動が果たして適当であったか、あるいは妥当であったかというような問題を関係者が認識するようになりまして、殊さらにこういう国際機関のあり方について議論が高まりまして、蔵相会議の中でもいろいろ議論が、従来からありました議論が進められ、さらにそれが今回の沖縄サミット会議で首脳間での合意になったということでございます。
 この危機が一応過ぎ去りました後、こういうような場合にこれを防ぐために今後どのような対処をすべきかということは、アジアにおきましてもいろいろに議論をされておりますことは御承知のとおりでございまして、たまたま我が国が、我が国自身も苦労をしております中で、かなりのこのアジアの危機への解決について努力をいたしましたことが認識され始めておりまして、そういう中から、今後このような危機が起こらないための方策について具体的な取り決めなどが少しずつ行われ始めておるというのが現状であると思っております。
 なお、IMFのあり方につきましてもそのような形で、これは国際的な規模におきまして、殊に発展途上国の立場からいろいろな注文が行われ、それらが実現し始めておりますし、また世界の最貧国への救済ということも具体的に結論が出つつありますことは、これらが、おっしゃいますように、九七年に発生いたしました国際通貨危機から我々が今得つつある教訓である、こう申し上げてよろしいかと思います。
#22
○岩井國臣君 次に、森内閣の経済新生計画でも一つの大きな柱になっておりますITの問題につきましてお聞きしたいと思います。
 ITの問題が今回のサミットで重点的に議論をされたようでございます。先ほどの大蔵大臣の御発言の中にも、活発な意見交換が行われたということでございますけれども、このITという問題は、もう言うまでもなく二十一世紀における世界経済あるいは世界の繁栄にとって大変大きなかぎを握る、このように一般に理解をされておる問題、しかもこれはもう現下の緊急課題、重要課題というふうに理解されておるかと思います。森総理が特に意を用いて今回のサミットの主要テーマにされた意図もその辺にあろうかと思うわけでございます。
 大蔵大臣は、財政を担当する責任者として、そういう立場でこのIT革命に関する問題をどのように受けとめておられるのか、サミットでの感想とこれからのお考え、一端でも結構でございますので、お話しいただければ幸いでございます。
#23
○国務大臣(宮澤喜一君) IT問題が沖縄サミットの主題になるということが決定されましたところから、大蔵大臣が福岡において会合をいたしましたときに、首脳会議に対するレポートを我々の間でつくりました。
 その考え方は、IT技術革命がマクロ経済に非常に大きな影響を及ぼすということ、殊にこの革命によって世界各国の潜在成長力を上昇させる可能性があるという認識で一致をいたしました。と同時にまた、そのようなITの進展に対して金融取引あるいは税制でいかに対応すべきかということ、それから、この革命に乗りおくれそうな各国に対するいわゆるITディバイドをどうするかといったようなことが議論になりまして、それらのことはそのまま首脳会議に報告されまして、首脳会議におきましてそのような認識を肯定するとともに、またディバイドについても考えなければならないという結論が首脳会議の合意として出されたわけでございます。
 我が国としてももちろん、先ほどもごあいさつの中で申し上げかけましたが、来年度の予算編成をただいまいたしておりますが、いわゆる新生政策の中の中心になるITの問題につきましては、特別枠の中核になる四つの一つとして、各省庁におかれても将来に向けての政策をいろいろ予算要求の形で今検討しておられますし、恐らく総理大臣の直接の裁量によって決定されます新生枠の中で大きな項目として予算化されることになるであろうと考えております。
#24
○岩井國臣君 IT革命というのは金融部門にも大変大きな関心がございますので、次に金融再生委員会委員長にお尋ねをさせていただきたいと存じます。
 もう言うまでもなく、金融部門で今IT革命が猛烈な勢いで進んでおるということでございます。ソフトバンクもそうなんですね。そんなことで、もはやIT革命の進展なしに金融部門の生き残りは考えられないというような状況になってきておるのではないかと存じます。
 そこで、金融再生委員会委員長といたしましてこの問題についてどのようなお考えで今後臨んでいかれるのか、その辺の基本的なお考えをお聞かせいただければ幸いでございます。
#25
○国務大臣(相沢英之君) お話がございましたように、IT革命は産業、経済等あらゆる分野に、まさに革命の名にふさわしいような大きな影響をもたらしていることは申し上げるまでもないのでございます。
 金融分野におきましても、海外のIT革命の動きというもの等と当然関連もございますし、日本が取り残されないためにも金融分野におけるIT革命というものを進めていかなければならないという状態にあることは、今委員御指摘のとおりだというふうに存じております。
 最近の金融分野におきましてのIT分野への取り組み状況を見ますと、銀行業の分野におきましては、インターネットを活用して残高照会、振り込み等を行ういわゆるインターネットバンキングが行われておりますし、証券業の分野では、インターネットを活用して証券取引を行う証券会社が増加をしてまいっております。さらに保険業の分野でも、インターネットを活用して保険募集を行う保険会社もあらわれてきているのでありまして、このように、金融分野におきましてもITを活用して業務展開を行う動きが大変に活発になってまいっております。
 また、一部の都銀や事業会社では、御案内のように、店舗網を持たずにインターネット上でのみサービスの提供を行ういわゆるインターネット専門銀行の設立の動きもあるわけであります。
 このように、金融分野におきましてIT革命の進展に対応した動きが既に猛烈な勢いであらわれておりますが、このような動きは、金融技術の革新、競争の促進等を通じて我が国の金融の活性化、利用者の利便の向上に資する可能性があるものと積極的に受けとめておりますので、我々といたしましても、その流れに沿いまして行政の展開を考えてまいりたい、このように考えております。
#26
○岩井國臣君 次に、当面の財政運営につきまして大蔵大臣にお聞きいたしたいと存じます。
 先ほどのごあいさつといいますか御説明の中にもございましたけれども、我が国の経済は、これまでの政策運営の効果が徐々に出てまいりまして、平成十一年度の実質経済成長率が三年ぶりにプラスになるなど、明るい兆しが見え始めてきておるというのは先ほどの説明のとおりであろうかと存じます。
 しかしながら、これもちょっと説明がございましたけれども、業種や地域では依然としてばらつきがございまして、また雇用の問題もいろいろと心配な面がございますし、そして個人消費はなお厳しい状況にございます。そしてまた、私などは株価の動向なども大変心配になっております。
 それから、第二のそごう問題、第三のそごう問題が発生する心配はないのか、そんなこともいろいろと心配になってくるわけでございます。
 何と申しましても、小渕前総理のお考えを引き継いでいられる宮澤大蔵大臣でございます。先ほどの御説明で、公債発行はできるだけ圧縮して二十一世紀のスタートにふさわしい予算編成をやっていきたいんだという御説明でございましたけれども、ちょっと私の耳には、中立的なスタンスというよりもやや消極的な感じを、ニュアンスですから、そんな感じを受けるわけでございます。
 そうではなくて、やはり株価の問題、第二のそごうの問題、第三のそごうの問題、そういったものがもう心配ない、そしてデフレ懸念も完全にこれでもう払拭された──デフレ懸念があるのかないのか、払拭されたのかどうかというようなところもいろいろと見方が分かれるところだろうとは思いますけれども、私なんかはいろいろな心配がまだ目の前にあるわけでございまして、そういう心配が完全に払拭されて景気が本当に本格的な自律回復軌道に乗った、そのように断定できるまでは、いろいろと統計上の数字が出てまいりましても、それはともかく、やはり小渕前総理の路線、積極的な財政運営というものを続けていくべきではないかというふうに思うのでございますけれども、先ほどの冒頭の御説明に関連いたしまして、その点、やや突っ込んでちょっとお話いただければ幸いでございます。
#27
○国務大臣(宮澤喜一君) 以前から平成十二年の夏あるいは秋ごろに官需から民需へのバトンタッチが行われることを期待しているということを申し上げてまいりまして、ことしの一―三月のQEあたりから幾らかそういう傾向は見えております。九月になりますと四―六がわかるわけでございますが、今、中間期で見ておりまして、企業関係についてはかなり設備投資が出てまいりました。これは予想どおりの動きになっておると思います。
 おっしゃいますように、それが家計なり雇用なり消費なりにすぐ連動していない。むしろ雇用の面ではリストラクチャリングが非常に大きなスケールで進んでおりますし、どうも私は、この不況を乗り切るということは実は、旧に復するということではなくて、二十一世紀に求められる世界的な流れの中で我が国が先進国としてやっていけるかどうかという大きな経済社会の問題に関係していると考えておりますので、ちょっとやそっとで雇用問題というものがうまく解決していくかどうか、かなりのなお苦労をしなければならないんではないかという予感もいたしますものですから、雇用あるいは家計への企業の活動がすぐ簡単には反映していかない部分があるんではないかという心配を実はひそかに持っておりますものですから、家計の盛り上がり、雇用の上昇ということは思ったよりも簡単でないかもしれないということがございます。したがって、民需への転換といいましても、企業サイドは何とかよさそうですが、家計サイドは問題なしとしない、こういうふうに考えますと、この夏なり秋なりのバトンタッチもまだ完全ではないかもしれない。
 その上に、今、岩井委員が大切なことを言われましたが、金融不安というのは一応、金融機関の局面におきましては解消しつつあるわけですけれども、その金融機関が、おっしゃいますように幾つかの業種について相当の、持っている中の不良債権があるのではないかということが現実になってまいりまして、それは債権放棄というような形をとれるかとれないかという、貸出先にとっては生きるか死ぬかというようなことでございまして、その部分は実は今まで金融機関の中でとなっておりましたが、今度、金融機関と貸出先との関連として処理されざるを得ない、その部分が実はここに来て表面化しているということはおっしゃるとおりでございますから、そういう問題もあります。
 それでございますので、四―六のQEというものが仮にややいい姿になるとしましても、その次がどうなるのかというようなことも考えておかなきゃいけない問題がありますから、私自身は、かつてのような、公共事業の積み増しのような非常に大きな補正というよりは、むしろ、先ほども岩井委員が言われましたような、将来における我が国経済社会のあり方を踏んまえたような、そういう将来に向けての幾つかの施策というものを中心にして、入り用であれば補正予算を組むということを考えればいいのではないか。
 それはいずれにしても四―六の出方によって判断をいたすべきだと思いますが、私自身は、日本経済が本当に仮に二%なり三%なりの確かな永続的な成長に入るのには、まだその手前まで来たとちょっと言いがたいところがあるかもしれないので、そこは十分用心をいたすつもりでございます。
#28
○岩井國臣君 さて、森総理は、二十八日の施政方針演説で経済の新生を政策の柱の一つに挙げられました。金融システム再生の問題にも触れられました。ですけれども、市場の方は冷淡というか、本物ではないんじゃないかというふうな反応を示しておるようにも見受けられるんですね。やや厳しい見方があろうかと存じます。しかし、私といたしましては、森内閣が、金融システムの再生に向けまして、直面する課題を一つ一つ着実に解決していかれるものというふうに思っております。
 そこで、ぜひ相沢金融再生委員会委員長には持ち前のらつ腕を振るってこれからの金融システムの再生に向けて必死の努力をしていただきたいと期待をするわけでございますが、そこで質問でございます。金融再生委員会が直面する課題といたしまして、日本債券信用銀行の譲渡問題、これは先ほどの説明の中にもございました。あるいは、これも説明の中にございましたけれども、そごう問題で見直し論も出てまいっております瑕疵担保条項の問題、そういった問題があるわけでございます。大変難しい問題でございますけれども、そういう問題が目の前に横たわっておると。
 そこで、日債銀の譲渡問題は今後どのように解決すればいいのか、金融再生委員会委員長のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。また、金融再生法改正の是非につきましても、今、金融再生委員会の方ではそういうお考えはないようでございますけれども、その是非についてどのようにお考えになっておるのか、その辺のお考えもお聞かせいただければ幸いでございますが、よろしくお願いします。
#29
○国務大臣(相沢英之君) 日債銀の譲渡に関しましては、既に御案内のように譲渡契約も締結されておりまして、八月一日にそれが実行されるということになったわけでありますが、この問題に関しまして、瑕疵担保条項等をめぐりまして必ずしも国民の間に十分な理解が得られていないというようなことがございましたし、また、当の相手方でありますところのソフトバンクグループからも、そごうと同様に国民の反発が強いまま船出したくないので一カ月延期してほしい、こういうような意向も伝えられましたものですから、八月一日の当初予定を一カ月延長いたしまして、九月一日に実行することにしたわけでございます。
 瑕疵担保条項の問題については、これも再々今まで国会で御答弁を申し上げておりましたが、ソフトバンクグループ等との交渉の過程におきましても、言うなればこれは日債銀を譲渡するところの条件になっているわけでありまして、いろいろな交渉があったわけでありますけれども、御承知のように、金融再生法には住専の法律のようにロスシェアリングの規定もございませんでしたし、また、引当金を積むということになると非常に莫大な金額になるということでありましたので、言うなれば費用最小化の原則にのっとりまして瑕疵担保条項を設定したわけでございます。
 そういうことでありますから、この瑕疵担保条項につきまして今ここで変更を考えるつもりもございませんし、また、もし仮にそのようなことを言い出しましてソフトバンクグループとの契約が破綻をするというようなことになりますと、また果たしてそれにかわるべき相手方が見つかるかという問題もありますので、このような点につきましての条件の変更等を申し出る考え等もございません。
 それから、金融再生法の改正問題でありますが、これは一昨年、私が衆議院における金融安定化に関する特別委員会の委員長を相務めたというので経緯もいささか存じておりますけれども、政府提案が否決をされまして、野党によりますところの案を中心として制定をされたといういきさつもございます。
 後から考えてみればいろいろ問題点がないわけではありませんが、いずれにいたしましても、この問題は現在、与党三党における金融のプロジェクトチームを中心といたしまして検討が行われている段階であります。この法律自体が三月末までということで期限が切られている点もございますけれども、いずれにいたしましても、この与党三党におけるところの審議の経過等を踏まえまして我々としてはその対応を考えたいというふうに思っているところでございます。
#30
○岩井國臣君 時間が参りました。
 不良債権の処理の問題がまだ解決していなくてこれからの一つの大きな課題としてございますので、宮本総括政務次官にお尋ねするつもりでございましたけれども、時間が参りましたので、また次の機会というようなことでやらさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。これで終わります。
#31
○寺崎昭久君 大蔵大臣に当面の問題について幾つかお尋ねいたします。
 まず、八月一日に概算要求の基本方針が閣議了解になりました。これを拝見しますと、従来どおり、一般歳出、つまり政策的経費について要求基準を示しているわけでありますけれども、今日的なニーズを考えますと、果たして十分なのかという疑問があります。
 理由を幾つか申し上げますと、第一に、交付税特別会計借入金、つまり償還計画ということになりましょうか、これは国と地方を合わせますと現在三十八兆円に達しております。にもかかわらず、この地方交付税については一般歳出ではないという理由で要求基準の対象外にされております。それから、一般歳出ではあるけれども、人件費も例外扱いになっております。しかしながら、今日のように省庁再編とかあるいは仕事の見直しをするという時代であることを考えれば、人件費というのは果たして例外扱い、通常の経費という考え方でいいのか、私は大変疑問に思います。
 例えば、民間企業でリストラであるとか再建計画を考えるときには、どういう仕事をするのかと裏腹の関係で人件費の問題がまず真っ先に話題、課題になるのは御承知のとおりだと思います。これは政府の仕事であっても同じセンスで見なければいけないのであって、これは例外事項であるという時代ではなかろうと思います。
 それから、言うまでもなく今日は、財政改革だとか地方分権だとか、あるいは政府の長期債務をどのように処理するかというようなことが話題になっており、また、景気対策とか社会資本の充実という観点から財政を考えていかなければいけないということになりますと、現行のような政策的経費、現行の定義の政策的経費を概算要求基準にするというのは甚だ不十分ではないかと考えるわけでありまして、この際は基準制度自体を見直す必要があるんではないかと思いますけれども、大臣のお考えをお尋ねします。
#32
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、基本論としてはおっしゃるとおりだと思います。
 例えば人件費について申しますならば、人事院勧告というものが頭にございます。様子を見ていて、民間企業の動きなどから、そんな大きな勧告があるということは予想しなくてもいいとか、いやそうでないとかいうことがございますし、地方財政そのものは昨年もことしも大変な状況にございますから、十三年度についてもいろいろまた相談しなきゃならない問題がたくさんあるということもそのとおりでございますので、この二つを決して忘れておるわけではございません。殊に地方財政の方は。人件費の方はそう急なことがあるとは思いませんけれども、忘れておるわけではございません。
 しかし、問題として一般歳出がどうかと。その中にいろいろ折衝をしなきゃならない問題、工夫しなきゃならない問題がたくさんございますから一般歳出のことをとりあえず申しておりますけれども、今のような問題は当然そのほかにございまして、殊に地方財政の問題は、予算編成上非常に大きなアイテムでありますことは間違いございません。
#33
○寺崎昭久君 どの部分だけというのは難しいと思いますけれども、これは、省庁に対して要求基準を示すということと同時に、国民が来年度の予算で政府が何を考えているのかということを知りたいわけでもあります。したがって、全貌とか予算の性格がわかるような仕組み、制度に変えていただきたい、御検討願いたいという趣旨でございます。
 それから、概算要求基準の中で今回も公共事業関係費が十二年度と同じ九兆四千億円とされておりますけれども、これは景気刺激型と言ってよろしいのかどうかというのが一つ疑問なんです。
 十二年度予算についてはたしか景気刺激型の予算を組まれるという御説明でございましたが、これと同額であるわけでございます。しかし、大蔵大臣はこれまでも、例えば七月六日の新聞のインタビュー等で、少なくとも景気刺激型予算には十三年度はしたくないんだということをおっしゃったり、先ほどは、あえてそう言葉を選ばれたのかなと思って伺っていたんですけれども、「経済運営に万全を期すとの観点から、前年同額を確保した公共事業」、こういう言い回しをされました。
 これを拝見しますと、景気刺激型というのと、この経済運営に万全を期すというのとは違いがあるのかないのかというのもよくわからず、頭が混乱するわけでございますけれども、同じ九兆四千億円にした理由についてぜひわかりやすく御説明いただきたいと思います。
#34
○国務大臣(宮澤喜一君) 前年と同額にしたということそのものは、少なくとも前年より減らさなかったという意味で、経済の先行きについて完全に安心をしておるわけではないという意味でのスタンスとおとりいただいて結構でございますけれども、同時に、前年もその前の年も十五カ月予算ということを申し上げてまいりましたので、今回そういうことを申し上げていないことは、先に大きな補正が事実上前提になっておるということは今回申し上げていないということになります。そのある程度の必要があるかもしれないけれども、前年度ほどのことはないであろう、少なくとも。
 そういう意味から、もう少し寺崎委員のおっしゃいますようにきちんと申し上げろということであれば、恐らく今のスタンスは、IGとしては前年度と同じものを確保できないかもしれない、しかし民間の設備投資等々の経済活動が盛り上がってまいりますから、これは御承知のように設備投資の総額はIGのもう何倍ございますので、その方が盛り上がってくることによってその不足分は恐らく十分埋めていけるであろう、そういう期待を込めておる、こういうふうに申し上げるのが一番正確なお答えであるかと思います。
#35
○寺崎昭久君 これは多少勘ぐりの話かもしれませんけれども、公共事業費を十二年度と同じにしたのは、ゼネコンがそごうと同じような状態に陥らないための救いの手ではないかというようなことを言う人もないではないわけです。
 それはさておきまして、仮に九兆四千億円を一割とか二割削った場合に、景気に対してどのような影響が出ると、あるいはそういうゼネコンがどのような影響を受けると大蔵大臣はお考えでしょうか。
#36
○国務大臣(宮澤喜一君) 実際問題として九兆四千億は削ってはおりません。前年度と同額を確保してございますが、その後に年度の途中で行っていきましたような補正等々を計算いたしませんと、積み上げた金額は同じでございますが、年間あるいは年度間におけるIGのトータルでいえば当然多少の欠陥が生ずる、欠陥と申しますか、前年よりは減るはずだと思いますし、それは否定はいたしません。ただ、その部分を民間経済活動で十分にカバーできるだろう、こういうこととの組み合わせで考えておるわけでございますから、IGそのものが、このまま正常体で予算をやっていきますと、全体を通じては前年度より多少は減るであろう、しかしそれはカバーできるであろう。
 特にゼネコンのことを意識してやっておるわけではございませんが、全体の経済運営としては、GDP効果としてはそういうことを考えておるということでございます。
#37
○寺崎昭久君 次に、今年度の公共事業等予備費の使い方についてお尋ねしたいと思います。
 これは来年度予算編成にもかかわる問題でありますのであえてお尋ねするわけでありますが、ことしの六月二日、総選挙を前に与党三党の政策責任担当者が集まって、まず公共事業等予備費五千億円の使途について決定したという報道がございました。それによりますと、例えば整備新幹線など交通網の整備に千七百億円とか農業基盤整備費に五百億円とか、そういう金額が並んでいたわけであります。これを拝見したときに、この時期に決めること、また内容にしても、これは選挙向けかなと私は受けとめたわけでございますけれども、ところが、七月十七日でしょうか、閣議決定されました配分案を見ますと、この六月二日案とはかなり違った内容になっているように思います。これは、一つは選挙公約違反ではないかなと私は受けとめているわけですが、これは大臣に今お尋ねすることではないかもしれません。
 そうはいっても幾つかの疑問がありまして、例えば今回も整備新幹線とか農業基盤の整備等にも使われるようでありますけれども、果たしてこれが予見し得ない予算不足ということが言えるんだろうかという疑問でございます。当然、当初予算の中に盛り込めるはずの予算ではなかったのかという疑問があるわけでございます。また、公共事業等ということで、等をつけますと何にでも使えるフリーハンドのあるお金ということになりはしないだろうか。そういうことを考えますと、憲法の八十七条とか財政法二十四条に抵触しないんだろうかという疑問もあるわけでございます。
 そういうようなもろもろのことを含めまして、現状の公共事業等予備費の設け方を含めて大臣の御見解を伺いたいと思います。
#38
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの公共事業予備費の使用でございますが、結果として、先般、二百億円を残しまして四千八百億円の使用を決定いたしました。その前の段階におきまして、寺崎委員の言われましたように与党の中の御協議があって、大まかにこういうふうに使ってほしいというお話がございました。もちろん、これは与党としての決定でございますから、私どももそれは大事に考えてまいっておりますが、その間、選挙中を通じ、選挙が終わりまして改めて私どもの予算を査定する立場からの検討を当然のことですがいたしまして、そしてまた与党の責任者とも御相談をいたしまして最終決定に至ったものでございますが、考え方としましては、予備費でございますから、当然、年度内に経費の不足があるということでなければなりませんし、また、こういう景気でございますから即効性のあるものでないと困る、新幹線あるいは農業基盤整備についても、地域経済の活性化等を通じて景気波及効果が大事だと、こういうことは申し上げまして、それは当然御承認を願ってああいう結果になりました。
 したがいまして、ごらんになりますと、当初与党間で合意のありましたアイティマイズしたものとはかなり違っておりますけれども、それは、予算を査定するという目から見まして、いわゆる専門家の目からアイティマイズしておりますので、実際に各党が考えられておったところをかなり実現しておりますが、しかしそれでも、私どもの目から見て、後にいわゆる新生経済対策と言われるものに該当する、そういう分類でいたしますと、二千億円ぐらいはそういうふうに分類ができると考えておりますので、したがって、与党のそういう御希望は十分に尊重をしながら、しかし、公共事業予備費という名前にふさわしい、先ほど申しました三つの目的に合うように配分をいたしたつもりでございます。
 なお、二百億円は、伊豆の地震等々にかんがみまして、まだ配分ができないまま持っておりますけれども、一部北海道もあるかもしれませんが、残りはそういう災害に使うつもりでございます。
#39
○寺崎昭久君 最後に、建設国債の問題についてお尋ねいたします。
 八月三日でしたか、自民党の幹部が建設国債の発行に関して、来年度予算で光ファイバーなど新社会資本にもこれが充てられるように財政法を改正したいというようなお考えを示したやに報道されております。結局そのことについてはその後トーンダウンをしたようでございますけれども、一般の受けとめ方というのは、公共事業費の拡大解釈じゃないかというようなことも言われているわけであります。
 建設国債の性格については財政法に決められておりますし、その中には例えば出資金として建設国債を発行できる、充てることができるというようになっていることも承知しておりますけれども、この出資金の取り扱いについてこの五年間ぐらい見ますと、毎年毎年どちらかというと増額になっている。中身は何かというと、例えば研究費というような費消されるはずの経費が出資金という名前で出されているケースが散見されます。一千億を上回っているように思います。
 これを聞きますと、将来、果実を生む投資だからというような考え方もあるようでありますけれども、その伝でいきますと、例えば義務教育費だって建設国債の対象になり得るわけであります。やたらに建設国債の枠を外すということは私は賛成できませんが、ただ、今日的な状況を考えてみますと、赤字国債と建設国債の垣根をそれほど厳密にする意味があるんだろうかということも一方では感じます。
 つまり、そういう垣根を守ることも大事なんですけれども、垣根を取っ払ってもなおかつ国債の発行残高を減らす方法はないのかとか、有効に使える方法はないのかというような観点から少し見直す必要があるんではないかと感じているわけでありますけれども、建設国債の取り扱いについて大蔵大臣のお考えを伺います。
#40
○国務大臣(宮澤喜一君) 複雑なお尋ねをいただいておるわけでありますけれども、四条の考え方そのものはもうよく御存じのとおりでございます。
 したがって、耐用年数の長いものについては次の世代の負担にしてもよかろうという考え方が基本で、そのことは崩さない方がいいと思っておりますが、耐用年数がどのぐらいなのかということは非常に明確な規定があるわけではない。ただ、税法上の償却年限六十年とかいうようなことがよく言われることであります。
 ただしかし、建物をつくって空調設備はそうかというと、耐用年数はそれほどないと思いますが、これは建設国債の対象に現にしているわけでございますから、その辺は動きのとれないような物差しがあると必ずしも考える必要はない。どうでもいいと申し上げているわけではございません。
 今度の御議論は、多分、公共事業を徹底的に見直すというときに、例えばオプティカルファイバーというようなことの御議論があったのではないかと思いますが、これはどうだといったような御議論から、それは四条を直さなければいかぬという御議論に展開したようにお見かけしていますが、私はそれは、すぐそこへ行かなくても、何でもいいということを申しているのではありませんが、例えば空調設備は現に建設国債の対象になっておりますからというようなことを申し上げてまいりまして、この議論はこれから展開をしていくことになるんだろうと思います。
 他方で、寺崎委員の言われますように、建設国債だって借金だよと。そのとおりでございますから、これを分けておくことにどういう意味があるのかという御議論は以前からありますし、これからもあると思いますが、今それを持ち出しますとちょっと混乱をいたしますから、それはそれとしておいて、今回の議論が四条を変えるということに発展をする必要はない、そこは考えようがいろいろにあるのではないかと、ここのところだけ申し上げておきます。
#41
○寺崎昭久君 ありがとうございました。
#42
○浅尾慶一郎君 私は金融関係のことを中心に伺わさせていただきます。
 先ほど相沢委員長の御答弁の中に、金融再生法の改正の是非について、後から考えてみれば問題がないわけではないということをおっしゃって、それで今改正を考えておるというふうにおっしゃっておられましたが、先般も申し上げましたのできょうは質問としては申し上げませんが、昨年も改正をされたらどうですかということを申し上げておったわけでございますから、それは御発言としては余り適切ではないのではないかなというふうに思います。
 そしてまた、再生法の中にロスシェアというものが入っていないということなので瑕疵担保というふうにおっしゃいましたが、瑕疵担保というものも御案内のとおり再生法で規定されておるわけではございません。
 きょうは法務省の方お越しでございますが、私の理解では、そもそも瑕疵担保というのは事前に損失分担が決まっていない場合の一つの考え方ということでございますから、まず一点目、事前にその損失分担を決めることは私人間で可能でございますね。
#43
○政府参考人(小池信行君) 御指摘の瑕疵担保に関する規定は民法五百七十条でございますが、これはいわゆる任意規定でございますので、瑕疵担保責任に関しまして当事者間で特約があれば、それに従うということになります。
#44
○浅尾慶一郎君 そういたしますと、瑕疵担保で戻ってくるという形、契約解除という形、解除権の発生という形ではなくて、瑕疵があった場合に損害賠償を当事者間で事前に規定するということも当然可能であるわけでございますね。
#45
○政府参考人(小池信行君) 御指摘のとおりでございます。
#46
○浅尾慶一郎君 それでは再生委員長にお伺いいたします。
 今、法務省の方から御答弁いただきましたが、実はロスシェアという考え方を民法の法理に従ってもできたわけでございます。すなわち、瑕疵があった場合に、事前に売買の当事者間で損失分担を決めておけばロスシェアができたわけでございますが、なぜそういうふうにされなかったんですか。
#47
○国務大臣(相沢英之君) 民法の五百七十条の規定に基づいての先ほどの答弁であったと思いますが、この民法の五百七十条におきましては、契約の解除または損害賠償といういずれかが選択されることになっております。
 ただ、ロスシェアリングに関しましては、これは御案内のように住専法の規定ではそのことが明示されておりましたが、一昨年の金融国会において成立いたしました金融再生法においては規定がございません。それから、先のことでありますけれども、来年四月から施行されるところの改正預保法におきましてはこのことの規定がされております。そういった関係がありますから、言うなれば反対解釈といたしまして、ロスシェアリングは法律上の規定がなくても可能であるというふうに解釈することは無理ではないかというふうに思ったのであります。
 それでは、法律上の規定がなくてもロスシェアリングの考え方を契約の中身に織り込んでおくことが可能かどうかということにつきましても当時事務局において検討が行われましたけれども、今申し上げましたように、それは法理上なかなか難しいという結論に達したというふうに聞いております。
#48
○浅尾慶一郎君 今、法務省の方から御答弁いただきましたが、事前に規定がなくても、民法の瑕疵担保、当然委員長も御存じだと思いますが、契約解除か損害賠償という形になっておりまして、今御答弁いただいたように、私人間でロスシェアリングということができるということでございまして、瑕疵担保という形で債権が丸々戻ってくるということは再生法に規定がなくてもできるが、債権のうちの損失部分の一定割合をシェアしましょうということは再生法に規定がない場合できないという根拠が今の御答弁だとちょっとよくわからないんですが、御答弁いただけますでしょうか。
#49
○国務大臣(相沢英之君) 繰り返しになって恐縮でありますが、住専法の際にはそのことについて明文の規定がございました。ところが、この金融再生法においてはその規定がありませんでした。その反対解釈としても、ロスシェアリングを、法律上許されるものという解釈がとれなかったわけであります。
#50
○浅尾慶一郎君 これ以上お聞きしても同じ御答弁になるんだと思いますが、私が申し上げたいのは、すなわち瑕疵担保というものも法律に規定されていないと。瑕疵担保をとった場合に、契約で貸出債権がそのまま国に戻ってくるという考え方も一つあるし、瑕疵があった場合に、事前に、例えば二対八の割合でその損害、損失について損失分担をしましょうということが当然できる。これは当然私人間でありますからできるわけでありまして、法律に規定がないことを、いずれにしても瑕疵担保という形で戻ってくるということを既にやっておるわけでありますから。そうだとすると、ロスシェアということも合理的にできたのではないかなということを申し上げておるわけでございます。
 多分同じ御答弁になるからこのことを聞いても仕方がないと思いますが、そのことを申し上げさせていただきたいと思います。
 そして、そもそもロスシェアを盛り込まないということを、昨年聞いた段階では、当時の柳沢委員長は、ロスシェアということではなくて、資産判定ということをしっかりやるから盛り込みませんよという御答弁でございました。
 しかしながら、後々よく見てみますと、いろいろと資産判定、せっかく再生委員会さんは非常にいい基準をつくられましたが、その基準にどうも例外を多く設けられまして、基準どおりにいけば不適資産というものもかなり長銀ないし日債銀に引き継がれておるということが現実に明らかになっておりまして、そごうについてもそのことが恐らく言えるのではないかなというふうに思います。
 その個別の事情を見ていきますと、具体的な企業名を言うというのはなかなか難しいのかもしれませんが、ある業界の企業の中で、どうも私が見ておりますと、客観的にその業界の人に聞くと、どちらも大変業況は厳しいんだけれども、比較的いいのではないかというところが現実には整理回収機構に行き、そしてやや厳しいというところが残っておるという例がございます。
 それはなぜ残っておるかというと、その残っておった理由のところを見ますと、例えばメーンの支援が強固であるとか、あるいは再建の可能性を否定できずと書いてあるんですが、そのもろもろのケースを見てまいりますと、例えば日債銀のケースでいいますと、日債銀がメーンのところはどうも整理回収機構に行っている可能性が強くて、そうでなくてその後にくっついていっているところで見ると、今のまま引き継ぐべき資産として残っておるということがあるわけでございます。
 お伺いしたいのは、この資産判定の中で、せっかく客観的基準をつくられた後で、特別の事情ということで幾つか、今申し上げましたメーンの支援が強固とか、再建の可能性を否定できずということが書いてあるんですが、これはどの程度一生懸命審議をされて決められたものなんですか。これはなかなかお答えづらいと思いますが、ちょっとお答えいただければと思います。
#51
○国務大臣(相沢英之君) おっしゃるように、日債銀の債務先につきまして、それが適であるか否かの判定については、単にその時期におけるところの当該債務先の経理状況、経営状況というものだけで判定をするのではないのでありまして、その判定に際しましては、債務者の特殊事情、今先生がお挙げになりました事項ですね、特許があるとかあるいは強力な保証のバックがあるとか、いろいろとそういう特殊な事情がありまして将来の収益やあるいは債務の履行の確保が可能だと、そしてそれがしかも合理的であるというふうに判定される場合については、これは適という判定をいたしておりますし、そうでない場合は適とは認めがたいということになっているわけであります。
 一々の事業につきまして、じゃどういう理由によってそういうふうに決めたのかというふうな御質問であるとすると、それはなかなかお答えしかねる問題であろうと思いますが、そういうような事情で判定をして、その判定については私は決して間違っていなかったというふうに思っております。
#52
○浅尾慶一郎君 例えば、メーンの支援が強固であるという基準も一つございますが、もちろんメーンは自分の貸出先の範囲内においては強固でしょうけれども、今度引き継がれた後、引き継がれた部分も含めて肩がわりをしてくれるというのはなかなか考えられないと思うんですが、引き継いだ資産について、そこの部分も含めて肩がわりしてくれる可能性を若干加味されて入れられたんでしょうか。
#53
○政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。
 ただいま先生が御指摘されたようなケースでございますれば、メーンバンクの強固な支援ということで、日長銀なりあるいは日債銀を通して将来の支援についての考え方を十分に聞いた上、強固な支援ありということが再生委員会に報告されてきまして、それなりに合理性が認められれば、それを先ほど大臣が御指摘された告示の条項に従って適としたわけでございまして、今先生御指摘のように、将来何かあった場合の肩がわりというところまで求めたというわけではございません。
#54
○浅尾慶一郎君 今御答弁いただいて大体わかったんですが、そごうの例を出させていただきますと、それは恐らくメーンは支援をしますが、しかしながら、当然、長銀もメーンであったわけでございまして、そこの部分も含めてということがなかなかできないし、すなわち長銀にも応分の負担を求めようとして債権放棄ということになった結果、今回国に戻ってきて大変な問題になったということが私は本質だったんではないかなというふうに思いまして、そうだとすると、当初の御判断のときは確かにメーン支援強固というのは大事な側面だったと思いますが、それが、いろんな当事者がおるものですから、機能するのが難しかったのかなというふうに思っておりますということを指摘させていただきたいと思います。
 そして、時間の関係で次に移らせていただきたいと思いますが、今回、長銀、日債銀が譲渡されて、三年三カ月ですか、瑕疵担保特約の期間があるわけでございますが、どうも契約をよく読みますと、三年三カ月後に場合によっては定性要件を満たして大量に債権が戻ってくるような可能性が否定できないわけでございますが、仮に戻ってきた場合に、そのときはもう再生法もないわけでございまして、どの勘定でその処理をされるのか、その点だけ簡潔にお答えいただけますか。
#55
○政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。
 その場合は、金融再生法自体は効力を失っておりません。ただ、何か銀行が破綻した場合の根拠法として金融再生法は使えなくて預保法を使うだけでございまして、かつての金融再生法で破綻した銀行の処理は引き続き金融再生法でされるわけでございまして、ただいま先生の御質問に直に答えるならば、金融再生勘定から出ることになります。
#56
○浅尾慶一郎君 そういたしますと、予算的には、大蔵大臣もお越しでございますが、交付国債の七兆円でございましたか、これはもう既に使い切ってしまっておるということだと思いますので、仮に大幅に戻ってきた場合にはさらに、政府保証はついておるんだと思いますが、それを切りかえることが必要になってくる可能性は否定できないという理解でよろしゅうございますか。
#57
○政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の特例業務勘定七兆あるいは十三兆の世界と申しますのは、あくまで破綻時点におけるロスを埋める勘定でございまして、先生御指摘の今のケースでいえば、国有化中のいわば損得の問題でございますので金融再生勘定で処理すると申し上げたわけでございまして、交付国債から埋められるという問題とは違いまして、あくまで再生勘定、政府保証のついた再生勘定。その中には大量の株も入っておりますので、もし株が値上がりすれば益も出てくるわけでございまして、そういうところで相殺し合ってのしりが出てくるということかと思います。
#58
○浅尾慶一郎君 時間の関係で最後にさせていただきますが、そうすると、今のところ、仮にそういうことが発生した場合に、値上がり益に期待するところもあるが、確たる財源はないという理解だと思います。
 最後の質問というのは、先般の衆議院の大蔵委員会におきまして森事務局長が、長銀の売却の際の政府側のアドバイザーとしてゴールドマン・サックスがいて、そして今度、日債銀の買収のソフトバンク側のアドバイザーとしてゴールドマン・サックスが今度は買い手側になった。ただし、ゴールドマン・サックスといっても大きいからいろんな人がいて、それはちゃんとファイアウオールがあるんだということでございましたが、では、その点について伺いますが、ゴールドマン・サックスの東京支店で金融機関のMアンドAに従事している人は何人であるかということ、そして、そのMアンドAの代表者はどなたですかということをお伺いしたいと思います。
#59
○国務大臣(相沢英之君) ゴールドマン・サックスにつきましては、ゴールドマン・サックスの証券会社に照会いたしましたところ、ゴールドマン・サックス証券会社東京支店の投資銀行部門の責任者は、同支店長のマネージングディレクターの持田昌典氏でございます。
 なお、ゴールドマン・サックスの業務につきましては、MアンドA業務は投資銀行部門全体でやっておりまして、大体その人数は六十名ないし七十名、そのうち金融機関のMアンドAに従事している者は四、五十名というふうにお聞きをいたしております。
#60
○浅尾慶一郎君 時間が参りましたので終わります。
#61
○海野義孝君 公明党の海野でございます。
 本日は、速水総裁にお出ましいただきまして、限られた時間ですので総裁に絞って御質問させていただきたい、こういうことでございますので、よろしくお願いいたします。
 今国会は十三日間ということでございますけれども、総裁には衆参予算委員会等におきましてもお出ましいただいて、御多忙をきわめている中でとどめの御質問ということで大変恐縮でございますけれども、財政・金融委員会の一員として直接お聞きしておきたいということでございましたので御了承いただきたい、こう思います。
 昨日は、八月の月例経済報告関係閣僚会議において、総裁もお出ましになって関係閣僚の方々といろいろなやりとりがあったかに聞いておりますけれども、そこでの焦点になったのは、経済政策運営をめぐる中で金融政策、なかんずくゼロ金利を継続するかあるいは解除するかという問題に絡みまして、その焦点となる景況についての認識の問題ということだと思います。
 この点につきまして、総裁はこのところいろいろなところで御発言がありますけれども、私も委員会で数カ月前にお聞きしたこともありましたが、大分状況が変わってまいりまして、総裁の御発言も大分前向きになってきた、明るくなってきたという点は大変結構なことだと存じますけれども、ただいま景気についての御認識はいかがであるかという点について、ポイントを挙げて簡単に御説明いただきたいと思います。
#62
○参考人(速水優君) 景気の判断、政府とどこが違うのかという御質問でございますが、私は、書いたものを見る限りそんなに違っていないと思っております。大体同じような線で言っていると思いますが、政府の景気判断は、景気は、厳しい状況をなお脱していないが、緩やかな改善が続いている。各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響に加え、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが続いているというものであります。一方、日本銀行の景気判断は、景気は、企業収益が改善する中で、設備投資の増加が続くなど、緩やかに回復しているというものであります。
 このように、我々の判断は政府に比べて幾分進んでいる印象を与えるかもしれませんが、大きな方向感として食い違っているといったことはないと思います。特に、私どもは市場の中で毎日取引を調整しておるわけでございますので、市場の感覚というのは私どもが一番密接にわかっているというふうに思っております。その辺の違いが多少出ているのかもしれないというふうに思います。
#63
○海野義孝君 今、最後の部分で、市場についての受けとめ方という点が、政府側の景況判断と御認識と違うとしたらその部分にあるんじゃないかというふうに若干とれたんですが、それでよろしいですか。──何となく首をかしげていらっしゃるので、ちょっと私の取り違えかと思いますが。
#64
○参考人(速水優君) 先ほど、政府の景気判断の要点と私どもの要点とを並べて申しまして、余り大きく違っていないとお感じになったと思います。
 ただ、見る角度が、私どもももちろん、調査統計局でマクロの数字を目を皿のようにして動きを追っかけております。しかし、金融市場局では毎日市場と直接取引をして、今のゼロ金利維持のために金融の調節をやっているわけですね。現実の金を動かしているわけです。その辺の感じの違いは多少出てくるのかなという感じはいたします。
#65
○海野義孝君 その点はよく理解できます。
 実は、もう数日前ですけれども、新聞報道にありましたが、このところ株式市場が大変不安定な状況にありまして、先週末は、引け値でいいますと、大引けで今年の最安値をたしかつけたんですね。ざら場ではその後、今週に入ってからもたしかつけたと思いますが、きのうあたりはまた下げているというようなことで、株式市場というのは景気の先行的な指標の一つとして大変重視されるわけでございますけれども、総裁は数日前に、これは新聞の報道が正しく報道しているかわかりませんが、株式市場については楽観はしていないけれども心配していないんだというような御発言があったと思います。
 その点と、先月の例の政策委員会の政策決定会合においてゼロ金利を継続されるという判断のポイントになったときには、そごうの問題これありで株式市場が軟調になったといったことも大変こだわっておられたというように思うわけですけれども、その点から見ると、むしろこだわるのは最近の方じゃないかなと私は思うんですけれども、その辺いかがでございますか。
#66
○参考人(速水優君) 株価は、先月の中旬以降、私どももそれこそ目を皿のようにして動きを見ておりますが、下落傾向をしばらくたどりました。
 それはやっぱり、予想しなかったそごうの破綻の処理方法というのがああいう形で、民事再生法ですか、初めてああいう大きな企業に適用される。そのことが、一万以上の取引先を持ち、一兆八千億ですか、債務を持っている大企業があの新しい法律で処理をされていく過程で、関係の会社その他、市場がどう動くかということは見当がちょっとつきかねたんです。
 現実に株価は、あれが発表された後二、三日の市場では下がったわけですね。円安と株安が同時に起こったということは、海外に特に、日本で一体、不良債権といいますか、破綻企業の処理というのがまだ終わっていないのか、どうやっていくつもりなんだという疑問を持たせたのだと思います。主として外から入っていた株式投資が戻っていった、これは数字の上ではっきり出ております。それと、企業同士の持ち合いが、九月末の決算を控えて、高いうちに売っておこうという動きで売りが出て株が下がったと。それから円も、こんなことで大丈夫なのかというので売られたということだと思います。
 最近では、日経平均でごらんになってもおわかりのように、大体一万六千円前後で推移しておるわけです。下落の背景を見ますと、当初はそごう問題の影響も指摘されていたわけですけれども、その後は、IT関連を中心として米国株価の軟調などが影響しているように思われます。
 ただ、日本経済の回復傾向が明らかになっている中で、企業収益の増益基調というのは非常にはっきりした数字で出てきているわけです。特に、日銀短観などを見ましても、僕らもびっくりするぐらい先行きは明るいんです。それはもちろん悪いところもありますけれども、全体としてそういう数字が出ているわけですから、その意味で、日本の株価をめぐる環境が基本的に変化したとは判断しにくい。
 日経が中身を変えたりしましたから二千円ぐらいのレベルダウンは起こっていますけれども、それが今後さらに大きく下がっていくという要因が新たに出れば別ですけれども、現状ではそんなにないんじゃないかと私は思いましたので、株の下落についてはそんなに心配はしていないよということは申しました。
 このところ不安定な動きもありますけれども、株式市場の動向につきましては、引き続き注意深く見ていくつもりではおります。
#67
○海野義孝君 大分詳細にわたって総裁のお考えをお述べになった、これは総裁のお考えということで大変結構なことである、私はこう思いますけれども、今おっしゃったお話の中では、やはり企業のファンダメンタルズの部分が大変しっかりしてきたんだといったことをおっしゃっているわけですけれども、私はその点についてはやや見解が違いまして、昨年のGDP、先般まとまりましたけれども、実質的にはプラスの〇・五%でしたけれども、名目的に言うとマイナスの〇・七ということで一・二の差があるわけでございます。
 企業というのは本来であれば、売り上げというのは製造業の場合ですと単価掛ける数量ですから、なだらかながら単価が上がってくる、あるいはまた景気が上向いて量的に伸びていく、両々相まっていくということ、なだらかなインフレの中で景気が上向いていく状態が続くという場合に収益が上がるということですが、今回は三年ぶりですか、企業収益がプラスに転じたというような判断があるようですが、これはかなりリストラをやって、縮小再生産過程というか、企業のそういった体質の中で利益を生み出してきているという面ですから、額面どおりとれない部分がある。もう時間があれですから、私の考え方はその辺にとどめます。
 一番今回日銀総裁が内外から注目されているのは、やっぱり金融政策をどうされるかという問題。簡単に言えば、ゼロ金利を継続されるのか、あるいはゼロ金利を解除されるのかという問題でして、そうなりますと、そもそもゼロ金利政策は何のためにとったかということでございまして、昨年の二月からこういった状況になりまして、これは異常というか特殊な状況下にあるということは事実でございますが、そのよって来る理由は、デフレスパイラル的なそういう危険、こういったものを回避ないし防止するためにおとりになったというように私は感じているわけです。
 そういった点で総裁は、デフレスパイラルといった懸念はなくなったんだといういわば展望というものを最近、確としてお持ちになっているように思いますけれども、今までの御説明の中で大体お触れになっている部分があるかと思いますが、そのほかに、ここでその問題について何か御発言がございましたらお願いしたいと思います。
#68
○参考人(速水優君) 昨年の二月にゼロ金利を採用いたしました。これは、御承知のように日本銀行は一九九〇年以来ずっと金利を下げ続けに下げてきたわけです。それで、公定歩合も九五年からずっと〇・五%で据え置いて、実際のコールレート、アメリカでフェデラルファンドレートと言っておりますが、FFレートと言っておりますけれども、私どものところでは、翌日物の無担コールを基準にして、それをゼロに近いところまで持っていってもいいぞという指示を決定会合で出して、それで動いてきたわけです。一年六カ月近くそれを維持してきたんです。
 そのときは、御承知のようにデフレスパイラルの懸念もありましたけれども、もっと怖かったのは、やはり金融システムが不安で、法律はようやく通ったところだったと思いましたけれども、まだ公的資金の導入もないし、どうやってこの金融の不安、特に資本の不足、積み上げられた不良債権というものをどうやって処理していくのかということのめどがついていなかったわけですね。
 そういう状況の中で、〇・五ぐらいのところまで私が就任していたときは行っていた無担コールのレートをずっと下げていって、最後に一番下まで持っていったわけです。金利というのは信用の供与でございますから、コールでも何億円という大きな金が動いておるわけで、そういう信用を供与するのに、リスクをいっぱい持ちながらただで金を貸すということは、そんなことは市場では考えられないことですね。そういうことをやったわけなんです。そういうものがどんどん資金の供給になって、長短金利が低く維持されるし、株は上がっていくし、企業にも金がどんどん流れていく、銀行の決算にもプラスになっていくといったようなことがこの一年半で起こったわけです。
 ここへ来て、あの年は御承知のようにGDPはマイナス一・九%でした。九九年度は〇・五ですけれども、この一―三月の動きを見、四―六月の最近出てきております鉱工業生産とかあるいは機械受注の数字とか、そういうものを見まして、四―六のGDPは九月にならなきゃ出てきませんけれども、そういうものを構成するいろいろな要素というのは、大体今まで出ている数字で見当がつくわけです。政府は一%と言っておりますけれども、民間はみんな二%は行く、こういうふうに見ているわけです。
 そういう状況の中で、今までの超低金利というのは続けていっていいのか。市場としては本当は成り立たないはずのものがまだ続いているというのはおかしいわけで、これは引き締めるのではなくて、超低金利という非常対策を少し戻して微調整をする、金融緩和を若干緩めるということをまずやるべきだというのが私どもの考え方であったわけです。そのことはよく御理解いただきたいと思います。決して引き締めをやろうと言っているわけじゃありません。
#69
○海野義孝君 大変深みのある御発言をいただきまして、お立場上は当然のことだと思います。よく理解できます。ただ問題は、今、金融政策と財政政策によってまさに車の両輪で我が国の景気を何とか持ち上げようということで必死になっている中でございますだけに、来る十一日には政策決定会合がございますけれども、それを間近にしましていろいろと報道で、継続すべきであるとかあるいは解除すべきであるとか、そういった考え方が飛び交っているということでございまして、私は総裁のおっしゃることはよくわかります。
 一番のポイントは、現下の我が国の経済、産業等の置かれている状況、あるいはまた、次の構造改革等に踏み込んでいくという大変今重要な段階にある。そして、大蔵大臣の御発言ですと、従来の補正予算とは内容が違って、来年度まで待てないから先に前倒しで予算を組んで、前向きのそういう構造改革等に絡んだ、例えばITであるとか環境であるとか、そういったものをやるんだという、こういうややニュアンスの違った、しかし補正予算を場合によっては今年度組むんだと。こういうような状況下に置かれて、例えばゼロ金利、これが解除されるというようなことになりますと、まさに景気の問題あるいは金融問題について安全宣言をするというようにとられかねないということを私は大変心配するわけでありまして、今安全宣言をやると、まさに金融と財政とにおいてお互いが一致して、ともどもに対策についてここでめでたしめでたしというようなことをやるときかなと、これは昨日、何か経企庁長官も大変厳しいような御発言があったように思います。
 そういったことを踏まえて、最後に総裁、今までのことは十分私は理解しておりますけれども、そうした中で、やはり日本の全体的なそういう経済、産業等の問題、あるいはIMFからもいろいろと言われている。もちろん、金融は日銀の専権事項であるとか、そういったことはよくわかりますし、総裁がやはりここで骨太の方向を示していかれるということも私は大事だと思いますけれども、今いろいろ申し上げたこと全体を含めて、最後に総裁の御意見をお聞きしたいと思います。
#70
○参考人(速水優君) 日本銀行としましては、これまで同様、政府と密接な意思疎通を図りながら、金融政策決定会合におきまして経済金融情勢を十分検討した上で適切な政策判断に努めてまいりたいと思います。
 この十一日の会合でも、先ほど申し上げました点を含めまして、金融経済情勢を十分検討して適切な政策判断を下してまいりたいというふうに思っております。
 外でいろいろ言っているというお話もございますけれども、IMFの専務理事にも私は先般BISで一日半一緒にお話をいたしましたし、主要国の中央銀行の総裁方とは月に一回会合がございまして、私は毎回は出ているわけではございませんけれども、よく話し合いはできております。お互いに理解してくださっております。そういう御心配はございません。
#71
○海野義孝君 終わります。
    ─────────────
#72
○委員長(平田健二君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、浅尾慶一郎君及び久保亘君が委員を辞任され、その補欠として輿石東君及び勝木健司君が選任されました。
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#73
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。
 私は、景気対策と財政再建、この二つの重要な課題にどう対応していくのか、その際、消費税の問題ですけれども、政府税調や自民党税調の中から消費税の増税の声が聞こえてまいりますが、景気対策上も財政再建の立場からも、この消費税の増税という立場は正しくないと考えております。そういった立場から大蔵大臣に幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。
 今度の森総理の七月二十八日の所信表明演説では、総理は、景気は「明るい兆しが見え始めてきました。」けれども、「雇用や個人消費はなお厳しい状況を脱しておりません。今般、公共事業等予備費の使用を決定したところですが、引き続き、景気回復に軸足を置いた経済・財政運営を行い、景気を自律的回復軌道に乗せていくよう全力を尽くしてまいります。」、こう言っておられます。
 私は、相変わらず公共事業中心の景気第一、財政再建先送りということだなというふうに感じたわけですけれども、ともあれ、雇用と個人消費、これについては厳しいというふうに認識しておられるわけです。
 そこで大蔵大臣に伺いたいんですけれども、それじゃ、個人消費を拡大するという点について、直接これをふやしていくその具体策、どういったことを森内閣として考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思うんです。
#74
○国務大臣(宮澤喜一君) 今の統計を見ておりますと、いわゆる家計調査を見ておりますと、なかなか消費が思ったほど動いてこないということの、同じことを申し上げることになるんでしょうが、一番の原因は所得がそれだけふえていかないということであります。消費性向というものは動きますけれども、そうむやみに動くわけでございませんから、消費性向を一定とすれば、所得がふえない限り消費がふえないというのはどうしても当然だと考えざるを得ません。
 そういうことが大体家計簿にあらわれておりますし、他方で雇用そのものは、有効求人倍率は少しふえているけれども完全失業率は相当高い、リストラがかなり大幅に行われているといったようないろんな要素を総合いたしますと、なかなか消費というのはふえがたい、ふえにくい状況がその底辺にあるだろうということは、これは申し上げられるんではないかと思います。
#75
○池田幹幸君 そうだと思うんですね。
 それで、じゃ国民がそういう状態の中でどうやったら消費がふえると感じているのか、支出をふやしていこうと考えているのかということで、日銀が三月に実施された「生活意識に関するアンケート調査」、これがあるんですけれども、これ非常に興味深く読ませてもらいました。
 この中では、消費者の支出に対する考え方なんですけれども、その第一が「雇用や収入の不安の解消」、これが四四・三%、これと並んで、「消費税率の引下げ」四四・一%、この二つがトップを占めております。それに続いて、「年金改革や財政赤字などに対する指針を示し、国民負担の将来像を明確化する」というふうに言っているわけですね。これは約三五%ということで、非常にきちんとした考え方が出てきておる。
 それからもう一つは、支出について今のあなたの考え方はどうですかと聞かれたのに対しては、「基本的には、収入が増えれば支出も増えると思う」というのが六二・六%を占めておるんです。これは今大蔵大臣がお話しになったとおりだと思うんです。「現在の収入よりも将来の不安があるかないかによって、支出は変わると思う」というのがそれに次いで四八・三%になっています。
 これを見ますと、結局、個人消費が増大するためには現在の収入をふやすという、今大蔵大臣がおっしゃったことに加えて、将来の不安が軽減されること、これが不可欠だということをあらわしていると思うんですね。とりわけ消費支出が大事だということは、今申し上げたように二大筆頭が消費税率の引き下げと雇用、収入不安の解消だと。
 そうすると、結局、景気対策として今何が必要かということなんですけれども、現在の収入の増大を図ることがまず一つ、それと社会保障、財政再建の指針を示して将来像を明確にすること、全くこのアンケートに出ておることを実施することがそれに当たると考えるんですけれども、先ほどの御答弁と重なる面もあるかと思いますけれども、大蔵大臣のお考えを伺いたいと思うんです。
#76
○国務大臣(宮澤喜一君) 将来に対する不安があるということは間違いではないと思いますから、基本的にはそれは、日本経済がこういう不況を脱して成長を続けていくことになる、このことが一番将来に対する不安を少なくすることだろうと思います。
 それからもう一つ、収入がふえればいい。それは、順調に企業経営が行われて、そして、リストラはどうもある程度やむを得ませんけれども、そういう中で雇用というものが少しずつ改善をする、雇用状況が改善をする、そういうことが一番大事だろうと思います。
#77
○池田幹幸君 リストラの問題もきのう予算委員会で私どもの阿部委員と経企庁長官が論議したんですけれども、その問題については雇用問題ですからちょっとおいておきますが、財政再建、これはもう不可欠だということについては、きょうの大蔵大臣のごあいさつの中にも財政構造改革は必ず実現しなければなりませんとおっしゃっている。
 ただ問題は、その時期がどうかということなんですが、ことしの経済白書、ここではこんなことを言っています。「八〇年代のデンマークやアイルランドでは、財政赤字が大幅かつ継続的に縮小する中で、それを好感して民間消費が増加したと言われている。」ということを紹介した上で、我が国の財政はどうかということについては、ちょっと時間がないので省略させていただきますけれども、要約すれば、財政赤字が拡大して、そして将来の増税懸念が高まって消費が低迷するおそれ、これが現実化してきているということを言っているわけなんです。読めばいいんですけれども、そこのところをちょっと省略させていただきたいんですが、大蔵大臣も今の日本の財政赤字の問題については同じお考えでしょうか。
#78
○国務大臣(宮澤喜一君) 今の財政の状況は国民もよく御存じで、したがって非常に心配をしておられる。間違いありません。
 ただ、国の税収がどんどん減っていくようでは、これはもう財政再建というものはできませんから、国の税収が減らない、少しずつでもふえるというような経済成長をやっぱり実現いたしませんと財政再建ということは事実上できないわけでございますから、そういう時期を早めて、そして財政再建をいたしたいと思っています。
#79
○池田幹幸君 その国の税収がふえる方策をどこに置くかということになると思うんですけれども、企業に第一番目に金を注いでやらせるのか、それとも個人消費、国民生活部門にウエートを置いて対策をとっていくのかということの違いとしてあらわれてくると思うんです。
 ただ、今の財政赤字の状況というのが、経済白書で今紹介されているような状況だということを認識するとすれば、同じ認識に立っているとすると、ちょっと今の政府の対策というのは矛盾しているんじゃないかなと思うんです。先ほどの寺崎委員との論議の中にもありましたけれども、公共事業予備費五千億、これを実施する。これはほぼ建設国債を発行してやるということですから、やはりこれは財政赤字を拡大する方向がそこにあります。するとまたまた財政赤字がふえるんだなということで、増税の懸念ということは当然国民として出てくるということが白書の指摘するところでは出てくるわけですね。
 それとあわせて、第二番目に建設国債、これはもう自民党の公共事業の見直し作業ということが行われておって、見直し作業というのは当然、むだな公共事業を減らして財政再建に貢献する方向で見直していくんだと思っておったんですけれども、何と、中止するやつは幾つか名前は挙がったけれども、ぽっと出てきたのが、形を変えた建設国債の対象の拡大ですね。
 先ほどから伺っていると、財政法は改正しない、しかし、やっぱりそういった二十一世紀を目指しての、大蔵大臣のお言葉では目指しての産業、こういったことを育てていくための方向であるなら建設国債を発行しても許されるんじゃないかと、そういうお考えじゃないかと思うんですけれども、それだとするとちょっと違うんじゃないか。公共事業は少し抑えるけれども、対象はもう少し拡大して建設国債の対象をふやしていくとなると、拡大解釈といいますか、そういったところでやっていく方向であれば、結局、財政再建という点ではマイナスの方向ということになるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#80
○国務大臣(宮澤喜一君) 当初そういう報道なり理解があったようでしたけれども、その点は今はどうもそうではなさそうでありまして、常識的に考えて建設国債もそうでない国債も借金でございますから、できるだけ借金をしないようにしていきたいというのが私どもの一番の関心であります。
 もちろん、雇用対策としてやるべき仕事はしなければなりません。が、だんだん民需が回復してきてもおりますから、それにも一つの限度があるだろうと思います。
#81
○池田幹幸君 しかし、先ほどの論議でもありましたように、予備費の五千億に加えて補正予算、これは本年度と同じ九兆四千億ですか、公共事業を組むということになっておりますね。結局財政赤字をふやしてきた最大の要因、これは経済白書でも指摘しておりますけれども、循環的赤字ではなしに構造的赤字がほとんど要因になっておるんだという言葉で言っております。要するに公共事業、これをどんどん建設国債を発行してやって借金をふやしてきた、そのことが原因になっていると指摘しているわけですから、こういったことを減らしていくということを今おっしゃったけれども、現実は減らしていく方向になってないんじゃないですか。少なくとも来年度は、これから発行する五千億やあるいは補正予算、組まないことになるかもしれないけれども、少なくとも景気刺激策としてとられた本年、二〇〇〇年度の予算と同じような公共事業を組もうということではございませんか。
#82
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど寺崎委員にも申し上げましたけれども、九兆四千億、十二年度と同じ金額の公共事業。いろいろな事情から考えて、これでは実はIGは減っていくだろうということを先ほど申し上げましたが、それは民間の設備投資なり経済活動で十分にカバーされていく、そう考えておりますわけでございますから、IGをどんどんふやしていこうというふうには私は今思っておりません。
#83
○池田幹幸君 そうおっしゃるんですけれども、結局、今の状況を見てみますと、景気対策ということでのやっぱり五千億の公共事業、建設国債の発行ということになっていくわけですね。この点では増税懸念ということで国民の中にあるんですけれども、今起きている動きは、政府税調にしろ自民党税調にしろ、その動きを見ますと、懸念どころか、確実に増税という路線がとられてくるという動きが出ていると思うんです。
 中期答申では、明確に消費税増税、所得税については課税最低限引き下げという形で出ておりますし、それから中小企業問題としては法人事業税の外形標準化などの導入、これは早期導入と言っておりますし、そういう方向が出ておりますので、結局、増税を中期答申は示唆しているということは間違いないと思うんです。こういった具体的な増税計画を突きつけられれば、消費が当然落ち込んでいくということにならざるを得ない。景気対策としては全くの愚策だというふうに思うんです。
 ともかくこの中期答申、大蔵大臣は今後の税制のあり方を考える際の参考にしてまいりたいというふうにおっしゃっているんですけれども、その参考というのは、全体として増税を示唆している中期答申の方向、この方向に乗って参考にしていこうと、こういうことではないんですか。
#84
○国務大臣(宮澤喜一君) 税制調査会の委員の方々が三年間の任期を終えられるに当たって、恒例のとおり中間展望を出されたのが今の中期答申でございます。ですから、これはあしたやあさって何かをやれという話ではありませんで、長い目で見て我が国の財政、経済あるいは税制、これから展望してどういうところに問題があるかということを言われておるのでありまして、あしたやあさって何をやれと言っておるわけではございません。
#85
○池田幹幸君 そうおっしゃるんですけれども、あしたやあさってではないけれども、しあさってかその後かもしれないということで、それはなかなか政府税調の言い方は非常に微妙です。
 おっしゃるとおり、いつ上げろとか何%上げろとか、そういうのは一切税調はもちろん書いておりません。しかし、読んでみますと、そんな随分先の話というふうなこととは到底思えないんです。ともかく、消費税は今基幹税になっておる、国の税収の二割を占める基幹税になっているということをまず置き、それから税率については先進国の中で最も低い水準にある、こう言いまして、そして我が国の税制のあり方については、少子高齢化が進展する中で、公的サービスの費用負担を将来世代に先送りするのではなく、現在の世代が広く公平に分かち合っていく必要があることを考慮しながら、国民的な議論によって検討されるべき課題だと、こう言っているんですね。ですから、国民的議論、これを前提にしている点ではいいんですけれども、そういった前提は置くものの、消費税を増税していこうという方向であることは明確なんです。
 片一方、税調会長を務められた加藤さんは一〇%とか一五%とか言われる。きょうの産経新聞を見ても、自民党税調の武藤会長は税率一〇%以上というようなことも打ち出される。現実にこんなことがあれば、これはもう本当に景気対策という面から考えて非常にマイナスの効果を持つんじゃないのかというふうに思わざるを得ないんです。そのことについては、また平行線になると思いますから答弁求めません。
 それで、その上で具体的に伺いたいんですけれども、消費税の福祉目的税化ということが昨年十月の自自公政権の政権合意ですね、三党政権合意の中で言われました。自由党が割れて保守党ということで今与党に残っているわけですけれども、基礎年金、老人医療、介護費を消費税で賄うというこの三党合意、この福祉目的税化、これについては自公保政権の政策として今生きているというふうに解していいんですか。
#86
○国務大臣(宮澤喜一君) そこは、いつどうするということがもう一つ具体的でありませんので、これをこのままどうするかという意味での生きているということにはなりかねるんだと思います。
 言おうとしていることは、いろいろ福祉政策のために財源が要るので、消費税というものはその一つの有力な財源だろうという認識ぐらいまではあるんでしょうけれども、その限りでもう福祉の支出は要らないんだ、それだけで足りるんだということを言っているようでもありませんし、そこは必ずしも明確でありません。恐らく将来、福祉がどうしても経費としては大きくなるので、それに対する財源は要る、消費税はその中の一つであろうというぐらいまでが、恐らくいろいろ考えて意見の一致しているところであろうかなと思いますけれども、もう一つ明確ではありません。
#87
○池田幹幸君 自民党の中、三党の中でそれはきっちり一致していないのかもわかりませんね。きょうの産経新聞の武藤税調会長のインタビューを見てもそれは感じるんです。
 しかし、今言っておられたような福祉目的化じゃなしに、まさに明確に福祉目的税化ということをうたっているわけですから、三党合意は。基礎年金と高齢者医療とそれから介護、この三つについては消費税で賄うというふうに明確に書いているわけですし、この三つを消費税で賄うということになると一体どういうことになるのか。
 今度の政府税調では、機械的な試算とは言いますけれども試算しております。それを見ますと、二〇〇〇年度ベースで国、地方合わせた消費税率は一三%にしないといけない、二〇二五年ベースだと約二八%まで引き上げる必要がある、もろもろあって三七%の可能性もある、こういう試算が出されております。
 一方、きょうの先ほど見ました武藤嘉文自民党税調会長は、福祉目的税化で税率一〇%以上必要だと言っている。一〇%というのはこの政府税調の試算からしても少し低いように見受けますけれども、一〇%以上ということですから、二〇〇〇年度だけで見ても一〇から一三というんですか、こういうことになっていくわけですが、こんなことになれば一体国民生活はどういうことになるのか。とてもじゃないけれども、景気の対策にもならないし、そしてまた財政再建という点から考えていって、国民生活が不安な状態に置かれて果たしてそれでいいのかということを考えるわけです。
 そこで、消費税の増税が景気の足を引っ張るということは、これはもう九七年のことで経験済みでわかっておりますけれども、ここでもう一つ問題なのは、より抜本的な問題として、消費税導入の当初から言われております逆進性の問題、これがぐんときいてくる、パーセンテージが大きくなれば大きくなるほどきいてくるというふうに思います。
 税調答申でも試算しておりますし、最近の富士総研の調査結果を見ましても、今現在の税率五%の場合でも、消費税負担率は所得が低いほど高いということが出ております。実収入に占める負担率は、第一分位の平均年収三百四十万円のところで二・五%だけれども、第十分位では一・八%ということでかなりの格差が認められます。これが一五%になりますと、七%と五・一%という形で物すごく格差が大きくなってくるわけで、まさに逆進性というのは明確にあらわれてきているわけですね。
 結局、景気の足を引っ張るだけじゃなしに、所得再配分、これを大きくゆがめる結果になるような消費税の引き上げ、増税、こういったものは本当に絶対にやってはならないというふうに私は考えます。
 特に、財政再建という点からいって、確かに六百四十五兆円という借金を抱え込めば、どうやっていくんだ、大変です。年々計画を立てるにしても、歳出を削減して例えば十兆円削減したら、その十兆円の財源まで必要になってくるわけですから、減税問題も厳しくなる、それはあります。しかし、少なくともこういった逆進性の問題ということがあらわれている中では、幾ら財源が苦しいといっても、消費税の減税というのはどうしても追求していかなきゃならぬ。最初に紹介しましたように、もう断トツに消費税を減税してくれという声が出ているわけですから、これにこたえる必要があるだろう。
 私たちは、今度の本会議で不破委員長が、少なくとも現時点では食料品の非課税を、逆進性を緩和する面でもこれぐらいはやるべきじゃないかということを提案したわけですけれども、これについての大蔵大臣のお考えを伺いたいと思うんです。
#88
○国務大臣(宮澤喜一君) 国民負担が一般に累進的であるか累退的であるかそうでないかというようなことは、税制全体について言わなければならないことであって、その中の一つの税金だけをとって言うことではないと思います。
#89
○池田幹幸君 税財政全体で見るとおっしゃったわけですが、それではこの税調の方向というのは、課税最低限の引き下げ、これは現実の問題としてそれを提案した政党もあるわけですけれども、課税最低限の引き下げが出てくる。年金、医療の改悪は現実の問題として起こっているわけでしょう。そうすると、何と税財政全体で見たら所得再配分機能は退化しているじゃないですか。そういう現実の中で、今おっしゃるのは理由にならないだろうと思うんです。
 現実の問題からすると逆でしょう。改めていかなければならない。消費税はむしろ減税しなければ、消費税の中でも少なくとも逆進性の緩和ということはやるべきじゃないかということを提案しているんです。
#90
○国務大臣(宮澤喜一君) 税制に所得再配分機能があるということは私は別に否定しませんけれども、それは、その国民がどういう生活水準を持っている、どういういわば発展段階にある国民であるかということとも関係がありまして、税というのは所得再配分機能があるんだから、所得税率は高ければ高い方がいいといったような簡単なものではないんだと私は思います。
#91
○池田幹幸君 発展段階とおっしゃったんだけれども、今申し上げました第一分位でも四人家族で三百四十万円ですよね。そういったところで決してぜいたくな生活をしているのでも何でもない、非常に苦しいです。そういった中で二・五%というと八万円ぐらい、これだけの消費税負担が起きているわけですから、これは真剣に考えていくべき問題だろうというふうに思います。
 所得再配分機能、これは否定しないとおっしゃったけれども、これは税制にとって私は非常に大事な問題だと思うんです。特に所得の低い層にとっては深刻な問題ですから、そういった点では真剣に考えていただきたいというふうに要望しまして、終わります。
#92
○椎名素夫君 何を伺うかというのを決めておりませんので、細かいことは申しません。
 先ほど大蔵大臣がおっしゃったけれども、雇用問題とかあるいは家計を眺めてみて確信が持てる状態まではまだどうも来ていないということ、ですから、まだまだ財政というものが役割を果たすのは、完全に官需から民需へという格好はでき上がっていないというような感じだったと思うんです。
 そこで、例えば収入が減っていると支出もふえないというようなことですけれども、我が国では、官需から民需へ移行するというところで、単にこの数字にあらわれただけでない問題をもう一つ抱えているというところが問題じゃないかと私は思っているわけです。
 一つ言いますと、官需から民需に移していくんだということを大蔵大臣もずっと言っておられますし、皆さんおっしゃるんですが、結局、民需の方に主力を移すということは、自己責任で相当やれというお話だろうと思うんですね。
 それから、先ほど金融再生委員長もおっしゃったけれども、これからは市場規律と自己責任原則を基軸にするということをおっしゃいました。これは金融だけでなしに、それにつながったというか、民間の市場の中で動く企業行動、経済構造全般について恐らくおっしゃったことでもあると思っているわけです。
 ところが、この自己責任ということは、特に強く言い出されたのは橋本さんが総理大臣をやっていたころかと思いますが、実はそれまでの、今でも続いていると私は思いますけれども、日本の社会の組み上げ方は自己責任を強調するということではどうもなかったような気がするんですね。教育からいたしましても、あるいはそれぞれの企業の中での人間の使い方、お役所なんかもそうかもしれないし。
 全般的に言って、どちらかといえば、とにかく一つの組織の中でそれに依存をしながら与えられた仕事を忠実にやっていればいいんだと。そのかわりに若いときは少し安く働けということで、生涯賃金というようなものが終身雇用と一緒になって、いわば一生の手形をもらったようなつもりでやってきた人が非常に多かったし、今でもそういう人がたくさん残っている。これは、雇われている人たちだけではなしに、いわゆる企業の経営者という方々も、自分で仕事をやっている人たちを除いては相当同じような心理で動いているということがあるんだろうと思うんです。
 今、みんなでやろうということから自己責任にシフトをしようというときに、まことに難しいことに、経済全体が余り調子がよくない。このプラスが来てしまったので、大変に日本の経済というのは苦労をしているということが私はあるんだろうと思っております。
 そこらじゅうでバランスシートがおかしくなってしまった。バブルがあって、バブルがつぶれたということでですね。それで不良債権が残った。そういう方々は、これは何とかしなきゃいけないというので、もう御承知のように皆さん奔走しておられますが、数字がはっきりしていればいいんだけれども、トランプでいえば、表面に出てきていない、引いた札の裏側にジョーカーがくっついているんじゃないかというような気分がそこらじゅうにあるものだから、実際のこのバランスシートというものを見て、これを、ここを幾ら幾ら直せばいいんだというプラスの要素があると。これが一つ難しいところですけれども。
 一方、そういうことにかかわらないできた国民の方がはるかに多いだろうと思います。その人たちは給与をもらって少しずつでも貯金をしてということでこつこつとやってきた。定年、決められたところまで雇ってもらえるんだろうし、それからしかるべき退職金ももらえるかもしれない、年金ももらえるかもしれないということでやってきた人たちが、自己責任だということを言われて、困った困ったという感じになって、本来持つべきではないようなところまで不安と恐怖心を持ってしまっている。これが非常に私は問題だと思うんです。
 今やっていらっしゃることは、とにかく景気回復をした上で、この前もお話がございましたけれども、全体のパラダイムが変わっていくんだから、その上で次のパラダイムの中での日本の財政構造とかなんとかいうことも考えていこうというお話がありました。しかし、今申し上げたような国民一人一人の心理というものが変わらないと、まあとにかくここまでは回復したねということを今の手法でやってある程度私は成功すると思うんですが、成功したところで、一体その先に進める土台になるんだろうかどうだろうかということが一番問題だろうと私は思っているわけです。
 いろんな方のお知り合いがおりますが、企業の経営者なんというのも、本当のところ、しっかりして自分一人ででもやるんだという人が非常に少ないような気がいたしますしね。そこのところを政府の責任だというだけの問題で税制をいじったりあるいは財政をいじったりということでやっていっても、それは最後まで、欧米どこへ行ってもマーケットの中にいる人間として通用するような経済人間ならこうするだろうというだけのことですと、これは直っていかないんじゃないかという気がするんですが、そういうことについてどういうふうにお考えでしょうか。
#93
○国務大臣(宮澤喜一君) いつぞやもパラダイムのお話がありまして、そのとおりだと思って拝聴しておりましたが、ありていに言って、最初の部分は、親方日の丸ということで頼ってきたが、どうもそういうふうになってきていないということ。そのことは実際上本当でありますから、しっかりしなきゃそれは日の丸もいけないわけですけれども、今までのように頼られるだけのことは、実はなかなかできないのだろう。そういう中で、これは頼りにならぬなということから、やっぱりこれは規制解除ということにならざるを得ないと思うんです。そういう形で国民が、幸いにして世界全体がもうあけっ放しでございますから、あれこれ見るものはある、聞くものはあるんで、やはり自分の将来というものを考えていただくということにならざるを得ない、またそれだけの教育も資質もある国民だと思いますから、それが一つ。
 しかし、そういう変化の中で、国は全く何もしなくていいのか。余り力はないけれども、しかしそういうことに努めるように、できるだけ頼っていけないものに頼られないように、一人一人がいわば自分の責任でもってやっていけるような、そういう環境をつくるという言葉はまた語弊がありますけれども、そういうパラダイムに変えていくということに尽きるのではないか。
 恐らく椎名委員もそうでいらっしゃるかもしれませんが、私自身は日本国民の資質というものは深く信用しておりますので、将来そのものをそんなに悲観をしておるわけではありませんが、早く国ができるだけそういうパラダイムに全体が変化していくような努力をしなければならないのではないかというぐらいしか、どうも私には十分なお答えができません。
#94
○椎名素夫君 実はせんだって雪印の問題がございましたね。そのときにテレビを見ておりましたら、雪印の販売店を四十年やっていたという販売店主の方が出てきまして、こんなことをやられてひどい目に遭いましたなと、こう水を向けたんですね、聞く人が。そうしましたら、いや、もうずっと雪印一本でやってきた、そういうことからいえば裏切られたというような気がしないでもないけれども、しかしよく考えてみれば、四十年昔は徒手空拳で雪印の仕事をやらせてもらって、四十年でまあ自分はここまで来たので、もう一頑張りするより仕方がないかなと思いますと、こう言ったんですね。私はあれを聞いて大変感動いたしまして、やっぱりこういう人というのはいい日本人の一つのパターンだと思うんですが、こういう国会というところはよろず不満、文句が集まって、またそれでやらなきゃいかぬところですからあれですけれども、そういう日本人というのはもう既に自分で、さっきからおっしゃったような先のパラダイムにもう飛んでいるのかもしれないと思いました。
 こういう人を失望させないで先に乗り移るということが一番大事なような気がいたしますので、余り時間をかけるとこういう人まで、そんなこと言ったって、おまえ、ひどい目に遭ったじゃないか、お得意先が半分も減っちゃったじゃないかというような話になって、そういえばそうだなという気にならないように、ひとつそこの辺をよろしくお願い申し上げたい。これはお願いだけいたしておきます。まだまだいい日本人が大多数だと私は思っておりますので。
 それから、金融委員長に一つ伺おうと思っていたんですが、時間が来てしまいましたので。大したことじゃありませんから。
#95
○委員長(平田健二君) 本日の質疑はこの程度といたします。
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#96
○委員長(平田健二君) 次に、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件について、日本銀行から説明を聴取いたします。速水日本銀行総裁。
#97
○参考人(速水優君) それでは、通貨及び金融の調節に関する報告書の概要を御説明させていただきます。
 去る六月六日、日本銀行法第五十四条に基づきまして、平成十一年度下期の金融政策運営に係る半期報告書を国会に提出させていただきました。本日は、本報告書につきまして御説明の機会をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。
 初めに、日本経済の現状に対する認識と金融政策運営についての考え方を述べさせていただきます。
 日本銀行は、昨年二月にゼロ金利政策という思い切った金融緩和措置を講じました。当時の日本経済はデフレスパイラルの瀬戸際という危機的な状況にありましたが、それから約一年半が経過し、経済情勢は大きく改善してまいりました。
 まず、昨年の夏場以降、輸出がアジアを中心とする世界経済の回復を反映して明確に増加し始めました。また、ゼロ金利政策や金融システム対策を背景に、金融システム不安や企業の資金調達に関する懸念は大きく後退しました。こうしたもとで生産活動は増加を続け、現在では企業収益や業況感の改善も顕著になってきております。景気の自律的な回復のかぎとなります民間需要の動きを見ますと、設備投資は明確な増加傾向をたどっています。個人消費は依然回復感に乏しい展開となっておりますが、消費者マインドが改善傾向にあるほか、賃金、雇用者数の減少傾向に歯どめがかかりつつあるなど、前向きの動きも出始めております。
 こうした情勢を踏まえ、日本銀行では、景気の現状について、我が国の景気は、企業収益が改善する中で設備投資の増加が続くなど、緩やかに回復していると判断いたしております。
 また、日本経済は、これまで直面してきた中長期的な課題についても解決の糸口をつかみ始めており、バブル崩壊後の停滞から脱却するための足場を固めつつあるようにうかがわれます。
 その第一が、産業構造や経済構造の改革です。情報通信分野における技術革新や流通革命の流れは、経済活動を活性化させています。また、最近の設備投資や輸出の伸びには、情報通信やその関連分野が大きく貢献しております。
 第二は、金融システム面での新たな動きであります。日本の金融システムは、公的資金の投入や金融機関のリストラ努力などによって安定を回復してきました。その中で、昨年来、大規模な金融再編や事業会社による銀行業への新規参入構想など、グローバルな金融環境の変化を背景に、新たな展開も見られ始めております。
 もっとも、さまざまな構造的課題がすっかり解決されるためには、まだ時間を要するものと考えられます。その意味で、日本経済に対するおもしが取れたわけではなく、直ちに高い成長が実現するといったことは望みにくいかもしれません。しかし、そうした制約のもとでも、民間部門に前向きの循環の力が芽生え始めたことは評価できるものと思います。
 日本銀行は、昨年四月以来、ゼロ金利政策の解除の基準として、デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になることを挙げてまいりました。また、この条件は、民間需要の自律的回復が展望できるようになることとかなり近い意味であると申し上げてきました。
 先月七月十七日の金融政策決定会合では、景気の先行きについて、海外経済等の外部環境に大きな変化がなければ、今後も設備投資を中心に緩やかな回復が続く可能性が高いというところまで判断が前進してまいりました。これを受けて、物価面では、需要の弱さに由来する潜在的な物価低下圧力は大きく後退していると認識され、デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢に至りつつあるということが大勢の判断となりました。
 一方、留意点も少なくありません。技術革新などをてことした経済の活性化はまだ緒についたばかりであります。また、企業のリストラが続く中では、全体的な経済状況の改善の恩恵が家計に伝わりにくい面があります。前回の会合でも、雇用・所得環境を含め、情勢判断の最終的な詰めに誤りなきを期したいとの意見がありました。
 また、企業の過剰債務はまだ相当の規模で残っております。企業の過剰債務問題が金融システムや実体経済に及ぼす影響については、これまでも政策委員会で議論を重ねてきており、そうした要素を織り込んだ上で先行きの経済動向を見通すよう努めております。したがって、今般のいわゆるそごう問題につきましても、その民事再生法の適用申請自体が、経済全体の先行きに大きな悪影響を与えるとは判断しておりません。しかし、短期的には、市場心理などに与える影響をもう少し見きわめる必要があるとの指摘がなされました。
 以上の点を総合的に検討した結果、前回の金融政策決定会合では、賛成多数でゼロ金利政策の継続が決定されたわけでございます。
 ゼロ金利政策につきましては、その効果や副作用をめぐりさまざまな御意見があることは承知しております。また、大幅に改善している経済情勢と、このような極端な金融緩和政策は整合的ではないという御指摘もいただいております。今後の金融政策決定会合では、こうした点も念頭に置いて、デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢に至ったかどうかという基準に則して、適切に判断してまいりたいと考えております。
 金融政策運営をめぐっては、ゼロ金利政策についての評価を初め、政策運営の手法や枠組みなども含めてさまざまな論点があろうかと存じます。日本銀行でも、現在、金融政策の目的である物価の安定の考え方について、政策運営の透明性向上の観点から総括的な検討に着手しております。
 今後、御意見、御批判をちょうだいするとともに、日本銀行の考え方をできるだけ率直に御説明し、御理解を賜りたいと存じておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 御清聴ありがとうございました。
#98
○委員長(平田健二君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
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#99
○委員長(平田健二君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、寺崎昭久君が委員を辞任され、その補欠として谷林正昭君が選任されました。
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#100
○委員長(平田健二君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#101
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に勝木健司君を指名いたします。
    ─────────────
#102
○委員長(平田健二君) 次に、請願の審査を行います。
 第五六号消費税の増税反対、消費税率三%への減税に関する請願外二件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、いずれも保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
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#104
○委員長(平田健二君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#105
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#106
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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#107
○委員長(平田健二君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#108
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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