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2000/08/09 第149回国会 参議院 参議院会議録情報 第149回国会 外交・防衛委員会 第1号
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2000/08/09 第149回国会 参議院

参議院会議録情報 第149回国会 外交・防衛委員会 第1号

#1
第149回国会 外交・防衛委員会 第1号
平成十二年八月九日(水曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         矢野 哲朗君
    理 事         武見 敬三君
    理 事         小山 峰男君
    理 事         益田 洋介君
    理 事         小泉 親司君
                佐々木知子君
                鈴木 正孝君
                村上 正邦君
                森山  裕君
                山崎  力君
                山本 一太君
                依田 智治君
                吉村剛太郎君
                浅尾慶一郎君
                海野  徹君
                松前 達郎君
                荒木 清寛君
                立木  洋君
                田  英夫君
                田村 秀昭君
                佐藤 道夫君
    ─────────────
   委員の異動
 八月八日
    辞任         補欠選任   
     佐々木知子君     陣内 孝雄君
     浅尾慶一郎君     櫻井  充君
 八月九日
    辞任         補欠選任   
     陣内 孝雄君     佐々木知子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         矢野 哲朗君
    理 事
                武見 敬三君
                海野  徹君
                益田 洋介君
                小泉 親司君
    委 員
                佐々木知子君
                鈴木 正孝君
                村上 正邦君
                森山  裕君
                山崎  力君
                山本 一太君
                依田 智治君
                吉村剛太郎君
                櫻井  充君
                松前 達郎君
                荒木 清寛君
                立木  洋君
                田  英夫君
                田村 秀昭君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外務大臣     河野 洋平君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  虎島 和夫君
   政務次官
       外務政務次官   荒木 清寛君
       外務政務次官   浅野 勝人君
       防衛政務次官   仲村 正治君
       防衛政務次官   鈴木 正孝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻川 明巧君
   政府参考人
       防衛庁防衛局長  首藤 新悟君
       防衛庁運用局長  北原 巖男君
       外務省アジア局
       長        槙田 邦彦君
       海上保安庁次長  浅井 廣志君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
〇理事の辞任及び補欠選任の件
○国政調査に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○外交、防衛等に関する調査
 (「人間の安全保障」に関する件)
 (中国の海洋調査・情報収集活動に関する件)
 (対中特別円借款に関する件)
 (日ロ平和条約締結交渉に関する件)
 (朝鮮半島情勢に関する件)
 (対北朝鮮コメ支援に関する件)
 (NPT運用検討会議最終文書に関する件)
 (日朝国交正常化交渉に関する件)
 (九州・沖縄サミットに関する件)
 (防衛庁の国防省昇格に関する件)
 (NECの水増し請求事案に関する件)
〇継続調査要求に関する件
〇委員派遣に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(矢野哲朗君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告を申し上げます。
 昨日、浅尾慶一郎君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(矢野哲朗君) 理事の辞任についてお諮りいたします。
 小山峰男君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に海野徹君を指名いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(矢野哲朗君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、外交、防衛等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○委員長(矢野哲朗君) この際、国務大臣及び政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。河野外務大臣。
#9
○国務大臣(河野洋平君) 外務大臣の河野でございます。
 矢野委員長を初めとする委員各位に改めてごあいさつを申し上げます。
 外務大臣に再び任命をされてから約一カ月が経過をいたしました。この短い間にも、九州・沖縄サミットが開催され、またASEAN地域フォーラムなどに出席し、さらに、この機会をとらえ史上初の日朝外相会談を行うなど、活発な外交の展開に努力をしてまいりました。特に、先般開催されました九州・沖縄サミットにおきましては、活発で実りの多い意見交換が行われ、沖縄の地より明るく力強い平和のメッセージを発信することができました。
 我が国としては、このような成果を踏まえ、引き続き日米関係を基軸としつつ、我が国の位置するアジア太平洋地域、そして国際社会全体が平和で繁栄したものとなるよう全力を尽くしてまいります。この観点から、韓国、中国、ロシアなど近隣諸国との関係の強化を引き続き我が国外交の柱として取り組んでまいりたいと存じます。
 まず、新たな胎動を見せる朝鮮半島情勢については、この動きが北東アジアの緊張緩和につながるよう全力を尽くす考えであります。先般の日朝外相会談の結果、国交正常化交渉を八月下旬、東京で開催することとなりましたが、政府としては、北東アジアの平和と安定に資するような形で第二次世界大戦後の不正常な関係を正すよう努めるとの方針のもと、粘り強く取り組んでいく考えであります。同時に、ミサイルや拉致問題などの諸懸案の解決に向けて全力を傾ける考えであります。
 また、ロシアとの関係では、九月にプーチン大統領の公式訪問が予定されており、率直かつ信頼関係に基づいた議論を行っていく考えであります。
 十月には中国の朱鎔基総理が訪日されますが、その準備や直面する懸案について協議するため、私も今月末に訪中する予定をいたしております。
 森総理が今月中旬訪問される南西アジア諸国との関係については、友好協力関係の強化に努めていくとともに、核不拡散上の進展を粘り強く働きかけてまいります。
 また、先般の日・EU首脳協議でも合意された欧州とのパートナーシップの強化にも取り組んでまいります。
 九月には、国連でミレニアム・サミット及びミレニアム総会が予定されておりますが、安保理改革を含む国連改革についても議論が前進するよう一層の努力を行っていく考えであります。
 二十一世紀まで残すところ五カ月となりました。二十一世紀を私たちの子供たちが希望を持って幸せに生きられる時代とするためには、国民の皆様とともに外交を展開していかなければなりません。この点、本委員会での御議論が極めて重要であり、矢野委員長を初め委員の皆様の御指導と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
#10
○委員長(矢野哲朗君) 続きまして、虎島防衛庁長官。
#11
○国務大臣(虎島和夫君) 防衛庁長官の虎島和夫でございます。
 本日は、矢野委員長を初め委員の皆様にごあいさつを申し上げますとともに、所信の一端を申し述べさせていただきます。
 最近の国際軍事情勢は、依然として不透明、不確実な要素をはらんでいます。このような情勢のもと、日米安保体制は我が国の安全保障上極めて重要な意義を有しております。防衛庁としても、指針の実効性の確保、在日米軍駐留経費負担に係る施策を積極的に推進するとともに、SACO最終報告の着実な実施に全力を挙げて取り組む所存であります。
 なお、船舶検査活動については、早期に新たな立法措置が講じられることを強く期待しております。
 平成十三年度以降の防衛力の整備については、ITなど科学技術の著しい進展への的確な対応や、情報・指揮通信機能の向上などについて精力的に検討を進めます。
 また、大規模自然災害、テロや原子力事故など各種事態への対応は、今後とも国民からの期待に十分にこたえることができるよう力を入れてまいります。
 より安定した安全保障環境を構築するための取り組みについては、我が国としても、PKO等への協力や安保対話、防衛交流などに積極的に取り組む所存であります。
 これらの施策に加え、国民の御理解を得ながら、国民の生命や財産の保護に必要な枠組みや制度について検討することが重要であり、有事法制などの法制の整備の重要性に対する国民各位の御理解が得られるよう最大限努めてまいります。
 また、防衛庁の省への移行につきましては、国政における防衛の重要性の増大等を踏まえ、政治の場での御議論が活発に行われ、深められることを期待しております。
 最後になりますが、先般相次いだ各種の事故につきましては、その原因の徹底的な究明に努め、対策を講じて事故の根絶に努める所存であります。
 防衛庁は、国家の独立と平和を守るという重大な任務を帯びており、日ごろよりさまざまな事態に対する体制を整備し、事態発生時には迅速に対応し、任務遂行に万全を期する所存であります。
 委員の皆様におかれましても、ますますの御指導と御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げまして私のあいさつといたします。
#12
○委員長(矢野哲朗君) 荒木外務政務次官。
#13
○政務次官(荒木清寛君) 外務総括政務次官の荒木でございます。
 矢野委員長を初めとする委員各位に改めてごあいさつをさせていただきます。
 二十一世紀を目前にして、国際社会はIT革命への対応や貧困、感染症といった課題、さらには冷戦後も後を絶たない地域紛争への対応、大量破壊兵器とその運搬手段の拡散の問題など多くの課題に直面をしております。
 私も役割の一端を担わせていただいた先般の九州・沖縄サミットでは、こうした国際社会の直面するさまざまな課題について率直で忌憚のない議論を行い、国際社会の進むべき道筋を示すことができました。
 このように、日本は、今後とも世界の平和と繁栄の実現のため、国際社会の主要な一員としてリーダーシップを発揮し、その地位にふさわしい役割と責任を果たしていかなければなりません。
 このために私も、今後とも河野外務大臣のもと、外務総括政務次官としての責任を全力を挙げて果たす決意であります。委員各位の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
#14
○委員長(矢野哲朗君) 浅野外務政務次官。
#15
○政務次官(浅野勝人君) 外務政務次官の浅野でございます。
 矢野委員長初め委員の先生方に謹んでごあいさつ申し上げます。
 世界の安定と繁栄に多くを依存している我が国がみずからの安全と繁栄を実現していくためには、米国及び近隣諸国との関係の維持強化に努めるとともに、国連を初めとする地球規模の取り組みに積極的に参画することが重要と考えます。
 私は、先ごろ、沖縄サミットの成果を説明するためにニューヨークを訪問し、アナン国連事務総長らにお会いしてまいりましたが、安保理改革を含む国連の改革を推進し、その機能を強化するために積極的に取り組んでいく決意であります。
 河野大臣のもと、政務次官として我が国の直面する諸課題に全力で取り組んでまいりますので、本委員会の先生方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
#16
○委員長(矢野哲朗君) 仲村防衛政務次官。
#17
○政務次官(仲村正治君) 防衛総括政務次官の仲村正治でございます。
 防衛総括政務次官として我が国の平和と独立を守るという任務を担う機会をいただいたことを光栄に思うとともに、責任の重大さを痛感しております。
 第二次森内閣の一員たる防衛総括政務次官として任命していただいたことを深く認識し、鈴木政務次官とともに虎島長官を補佐し、責務を全うしてまいる所存であります。
 矢野委員長を初め皆様の御指導と御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
 ありがとうございました。
#18
○委員長(矢野哲朗君) 鈴木防衛政務次官。
#19
○政務次官(鈴木正孝君) 防衛政務次官の鈴木正孝でございます。
 防衛政務次官として我が国の防衛に携わる機会をいただきましたことは、大変光栄に思うとともに、その使命と責任の重さを痛感している次第でございます。
 防衛庁が取り組まなければならない課題が山積する中、私はこれまでの経験を生かし、仲村総括政務次官ともども虎島長官を補佐し、防衛政策の推進に全力を尽くしてまいる決意でございます。
 矢野委員長を初め委員各位より御指導、御鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。
    ─────────────
#20
○委員長(矢野哲朗君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮り申し上げます。
 外交・防衛等に関する調査のため、本日の委員会に外務省アジア局長槙田邦彦君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長北原巖男君、海上保安庁次長浅井廣志君、それぞれを政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#22
○委員長(矢野哲朗君) 外交、防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#23
○武見敬三君 先ごろの沖縄のサミットにおいて大変大きな成果を我が国は上げたというふうに私は考えております。特に、宮崎県シーガイアで行われた外相会談で、この総括報告の前文の中で人間の安全保障、ヒューマンセキュリティーにかかわるコミットメントを改めて確認をしたというのは、私は中長期的に見た我が国にとっても非常に重要なポイントであったというふうに理解をしております。それはなぜかというと、やはり我が国は平和国家としてその意思を堅固に持ち、しかもそのためにその理念と理論というものを未来志向で明確に確立する必要性があると考えるからであります。
 戦後、我が国はいわゆる反戦平和という平和論を一つの大きな基軸として議論が展開をしてきた。これはそれで相当の歴史的意義があり、意味があり、また未来においても所定の役割は担う平和論というふうに私は理解しておりますけれども、しかし、昨今のグローバライゼーションの中で出現をした新たなネガティブな側面、例えばエイズの蔓延であるとか、あるいはテロリズムであるとか、あるいは組織犯罪であるとか麻薬といったような問題は、いずれもこれは幾ら国境を警備して防衛力を増強したとしても守れるような脅威ではございません。
 このような非軍事的な脅威というものに対して、改めて政府が、そして国民一人一人が国境を越えてこれに連携をし対処するということが求められてくる、それが一つの人間の安全保障の考え方というふうに理解をしているわけであります。
 こうした考え方に基づいて、我が国がその外交の一つの柱というものを改めて確立をするという意思が私はこの沖縄サミットの中で明確にされたということを高く評価をしているわけでありますけれども、それを受けて先日、外務省主催による人間の安全保障に関するシンポジウムが開かれました。
 私は、こうした活動というものを通じて認識をすることは、やはり非常に問題領域について関心を集めるための考え方として、あるいは言葉としてヒューマンセキュリティーという言葉自体は非常に意義があるわけでありますけれども、これを政策概念として優先順位を設定できるような概念というものにまで昇華する形でこの概念が整理されているかといえば、まだその点は極めて不十分と。
 したがって、我が国としては、いわばそうした分野において国際社会で知的に貢献をするということが私は求められているように思うわけでありますけれども、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
#24
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘の人間の安全保障につきましては、小渕元総理も極めてこの点に注目をされて熱心にこの問題を提言されたことはもう御記憶のとおりでございます。
 我が国といたしましては、今議員が御指摘になりましたような視点に立ってこの問題に取り組みたいと思っておりますが、この問題、今お話しのとおり、なかなかそのワーディングといいますか、言葉遣いからいいましてもなかなか幅広い理解を得るのにはまだ多少の時間がかかるのではないかという感じがいたしております。
 したがいまして、この問題には、まずシンポジウムを開くなり、少しでも多くの方々の参加を得て、この問題の何たるかを説明をし、さらにこの議論を深化させていく必要があるというふうに考えまして、そのための努力もいたしておるわけでございますが、今御指摘の過日行われました安全保障国際シンポジウムにも相当多くの人が集まったということを聞いております。
 当日は荒木総括政務次官も出席をしておりましたので、お許しいただければ荒木総括政務次官から若干御説明をさせていただきたい。
#25
○武見敬三君 ぜひお願いします。
#26
○政務次官(荒木清寛君) 先日、大臣からお話しありました人間の安全保障国際シンポジウムが行われまして、これにはノーベル経済学賞受賞者のアマルティア・セン教授、緒方貞子国連難民高等弁務官を初め世界第一級の有識者が一堂に会しまして、そしてまた武見委員の御参加も得まして、活発かつ充実した議論を行うことができました。
 当日は、若い方を中心に一千名以上の聴衆が最後まで熱心に聞いておられまして、私はこの問題についての関心の深さを痛感したわけでございます。私も、開会のあいさつを行いますとともに、日程上可能な限り議論を傍聴いたしました。私としては、このように人間の安全保障につきまして国民の理解と関心を高める上で、このシンポジウムは大きな成果があったというふうに考えます。
 人間中心の視点を大切にするという人間の安全保障の考え方を二十一世紀の我が国の外交政策理念とするためには、委員御指摘ありましたように、この概念を精査するために一層の知的な取り組みが重要でありまして、武見委員を初め、先ほど紹介しました有識者を初めとする人間の安全保障に関する知的ネットワークづくりを進めていきたい、このように考えております。
 以上でございます。
#27
○武見敬三君 特に、そのヒューマンセキュリティーにかかわる政策概念としての整理というのは国際社会においても極めて強く求められている大きな課題だと思いますので、我が国は、本当の意味で顔の見える我が国の外交あるいは経済協力といったようなことを考えるときに、ただ単に支援した物資に日の丸をぺたぺた張りつけるということが顔の見える支援ではなくて、こうしたしっかりとした理念を持つ協力をすることが本当の意味で国際社会で我が国の顔が見えてくるんだということをきちんと認識した上で、こうした理念を我が国がむしろ率先して国際社会の中で知的に整理をし、そして現実の政策に転換する努力をしていくということを私は試みてみる価値は十分にあるだろうと思います。
 また、そのためにも、既に我が国が拠出をして国連本部に設立をしておりますヒューマンセキュリティー・トラストファンド、人間安全保障基金というものをでき得る限り効果的にそうした理念に基づく運用を行うことによって、国際社会の中でそれを浸透させていくための一つの大きなてことしていくということも必要と考えておりますので、外務大臣、よろしくその点についての御理解をいただきたいと思います。
 なお、我が国のこうした中長期的視点に立った平和国家としての意思に基づく外交というものは、今申し上げたものがやはり基本になければならないと思いますが、それだけで短期的に今度は我が国そのものが直面しているさまざまな脅威といったようなものに果たしてきちんと対処し得るかといったら、問題はそれほど実は単純ではございません。
 残念ながら、外務大臣御指摘のとおり、この北東アジア情勢というものは非常に流動的でございますし、不確実な要素がたくさんございます。その中でも、私自身は、やはり二年前には江沢民国家主席が日本を訪問されて、そして友好と協力のためのパートナーシップというそういう言葉を使って、お互いに協調した関係を未来志向でより堅固に拡充していくということの意思を相互に確認をしたということは大変重みのある合意であったというふうに理解をしているわけであります。そのための日本政府の日中関係に対する基本姿勢というものは、これはやはり堅固に維持し不変でなければいけない。
 しかしながら、現実にこうした協調関係というものを維持するのは、日本側が一方的に協調だ協調だと言い、そして日本側が一方的に国家の安全をも損なう形ですべて中国側に合わせて協調関係というものを維持するものであってはやはりいけないだろうと思います。
 したがって、この点について昨今非常に懸念すべき事態が出現しておりますので御質問をさせていただきたいと思います。
 特に、二つありますけれども、一つは中国の海洋調査船の昨今の極めて激増した活動状況について、二つ目は、今度は情報収集艦等を使って我が国を一周し、かつ特に我が国の安全の基本である首都防衛にかかわる情報収集をしたと思われるこうした実質軍事的な行動について、その二点、御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、国際海洋法条約の附属書Uの第四条によりますと、国際海洋法条約を批准した後に、みずからの大陸棚における排他的な経済水域というものを二百海里以上にまで拡大をして新たに設定しようとする場合には、十年以内に少なくともその大陸棚にかかわる所定の調査を行い、できるだけ速やかにそれを報告をするということが定められているというふうに伺っております。この問題が、やはり日中間の係争海域における中国側の海洋調査活動というものと密接にかかわりのある一つの背景であろうというふうに理解をしているわけであります。
 他方において、では我が国の方は、こうした係争海域において海上保安庁大陸棚調査室というものは一体どこまでそうした調査というものを行っているのか。その現状について、まず海上保安庁の次長から説明をしていただきたいと思います。
#28
○政府参考人(浅井廣志君) お答えいたします。
 海上保安庁におきましては、先生御指摘いただきました国連海洋法条約に対応いたしまして、大陸棚の限界及び境界の画定に必要な基礎資料を得るために、条約採択の翌年、昭和五十八年度以降我が国の周辺海域におきまして、海上保安庁所属の専用の測量船がございますが、この測量船によりまして必要な海底地形、地質構造、地磁気、重力等の大陸棚調査を計画的にこれまで実施してきているところでございます。
 以上でございます。
#29
○武見敬三君 そうすると、日中間の係争海域における我が国のこうした調査というものは既に終了しているんですか。
#30
○政府参考人(浅井廣志君) 日中間の境界域を含みます東シナ海につきましては、日中間の中間線の我が国側の海域におきまして、昭和五十九年度、六十年度、六十一年度、さらには平成八年度、平成十年度及び平成十一年度に調査を実施いたしておりまして、計画されました調査はすべて終了しているという状況にございます。
#31
○武見敬三君 ありがとうございました。
 他方で我が国は、この日中のいわゆる中間線の日本側の海域、ここにおけるいわゆる鉱区の策定、そして実際にそれを、我が国であれば民間の企業にいわばその鉱区というものを確保せしめるためのさまざまな手続がございます。我が国は、実際にこの鉱区というものを一定程度設定をしつつも、それを最終的に画定はしないで、各民間企業等に対して先願権というのを認めるにとどめて最終画定まではしていないという立場をとっているわけでありますけれども、これはやはり非常に重要な外交的な中国に対する誠意を示した姿勢だろうというふうに私は思います。
 外務大臣にお尋ねをいたしますけれども、やはり我が国としてはこうした問題をあくまでも平和的に交渉を通じて解決するという姿勢をとって、こうした係争海域においてあえて先願権にとどめて最終的な画定までは持ち込まないで、しかも、実際にもし民間企業の方から、これは通産省が窓口になりますけれども、海洋調査等の要請等々があった場合に、やはりこれは自粛をしていただくというような立場を私は外務省はとってきたというふうに理解をしております。これはやはり、あくまでも不必要にこの問題を複雑化させないで、そして実際に交渉を通じて解決しようとする我が国の基本姿勢をあらわしたものというふうに理解をしているわけでありますけれども、外務大臣の御所見を伺わせていただきたいと思います。
#32
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のとおり、こうした問題についてはでき得る限り話し合いによって問題を解決するということが我が国の考え方でございます。これは、近隣諸国との間、しかも友好国と考えている国との間の問題処理としては当然のことだと思います。
 ただ、今議員が御指摘のとおり、この係争海域におきますもろもろの試掘と申しますか調査と申しますか、これらにつきまして我が国企業が石油、天然ガスの試掘などに関して調査活動を行う場合には鉱業法に基づく鉱業権を取得する必要があるため、これは通産省が窓口になっているわけでございますが、中国との間で境界画定が問題となっている水域における試掘につきましては、大陸棚の境界画定がなされていないなど諸般の事情を勘案して、鉱業法に基づく鉱業権の取得のための出願があった場合において許可または不許可の処分を留保しているというふうに承知をいたしております。
 また、この結果、試掘などに関する調査活動はしたがって行われていないというふうに承知をいたしております。
#33
○武見敬三君 まさに我が国としてはそういう対処方針というものを今まで堅持をしてきたということで、やはり基本的に交渉を通じて解決しようとする姿勢としては私は正しかったんだろうと思います。
 しかし、残念ながら中国側がこの係争海域に一方的に、我が国と事前の協議をなしに海洋調査活動というものを頻繁に行うようになってきた。特にこれが、おととしは実際におおよそ確認し得た調査活動であれば十四回であったものが、一挙に三十回という件数になっている。しかも、ことし、現在までに十七回もう既にこうした海洋調査活動を行っている。既に外務大臣御自身も唐家セン外交部長と会見をした際にこうした問題について厳しく指摘をされてきましたけれども、一向にとどまるところを知らない。
 これはまた、一つの大きな我が国にとっても試練でございまして、これは従来の対処方針というものだけではこうした中国側の一方的な行動というものを抑え切ることはできないという一つの証左ではないかと考えるわけでありますけれども、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
#34
○国務大臣(河野洋平君) 今の議員の御質問にお答えをする前に、こういうことも申し上げておきたいと思います。
 中国側が行っております海洋調査活動は、試掘などを伴わないものだというふうに私どもは承知をしておりまして、このような調査活動と我が国鉱業法に基づく試掘などを伴うそれとを単純に比較するということは若干問題があるかもしれないというふうにも考えております。
 しかし一方で、そうした均衡云々を議論する以前の問題として、我が国の同意なく我が国の排他的経済水域または大陸棚において海洋調査活動を行うということは、これはもう全く認められないものであって、中国に対して、私から数次にわたってこの問題を取り上げて懸念を表明すると同時に、問題の性質から考えて中国側の善処を求めたところでございます。
 現在まで、中国側からはまだそれに対する返事は来ておりませんが、私は、この月末、訪中を予定いたしておりますので、その機会をとらえて、我が国の排他的経済水域または大陸棚において海洋の科学的調査を実施する場合には事前に我が国の同意を得るよう強く求めていきたい、こう考えておるわけでございます。
 私自身の印象、感想をあえて申し上げれば、この問題で両国の外相会談でいろいろ話をいたしておりますが、この問題は両国外交当局にとってもかなり重要な問題と、つまりそれぞれの国内問題としてもかなり重要な問題だという感じを私は持っております。
#35
○武見敬三君 この点については、やはり従来の対処方針、すなわち外務大臣など極めて高いレベルでこうした問題を幾ら提起をして、そしてその停止、再発防止、事前の協議をしっかりした上でのという要求をしたとしても、それが受け入れられないという状態がいつまでも続いて今日にまで至っているわけであります。
 しかも、その活動の規模というものが急速に拡大をしてきているという現状の中で、やはり従来の対処方針だけで果たして対応できるのかどうか、これを検討する必要があると私は考えますので、その点についての御配慮をぜひ外務大臣にもしていただきたいと思います。
 それから、第二点に関してであります。
 それは、昨今の我が国の周辺海域における中国のさまざまな軍事的な活動についてであります。既に各委員にも御配付をさせていただきましたけれども、昨年から、かなり量的にも質的にも中国の海軍の活動というものが活発化してきたということが実は懸念をされるわけであります。
 特に、我が国との係争海域においても中国側のこうした海軍の活動というものが活発化してきていることは御承知のとおりでありまして、特にその回数も、これは防衛白書の中でも出されたと思いますけれども、二十七回に上っている。しかも、我が国の主張する排他的経済水域の中で行われた演習の中には、特に昨年の三月、それから五月、七月等々、ずっと行われたのを見ておりますと、ミサイル搭載の哨戒艇から始まって、次第にその規模が大きくなりまして、ミサイル搭載のフリゲート艦、駆逐艦、これは四千トンクラス、さらには外洋における作戦に必要な給油艦、そしてさらには潜水艦の活動を支援するための潜水艦救難艦、こういったものが参画をしたかなり大規模なものになってきたということが言えるだろうと思います。
 しかも、こうしたことは恐らく中国の海洋戦略に基づく一貫した活動として認知されるものというふうに考えるわけでありますけれども、それをやはり基本としたものというふうに受けとめた上でも、どうしても懸念されるべき活動というものが現実にことしになって行われるようになってきた。
 それは、中国の情報収集艦の最近の活動であります。これも御配付させていただきましたけれども、五月から六月にかけて一カ月間、日本を悠々と一周いたしまして、そして活動を行ったわけであります。
 この情報収集艦の活動について、まずその事実関係を確認しておきたいと思いますけれども、海上保安庁及び防衛庁、この情報収集艦の動きについての御説明をいただきたいと思います。防衛庁の運用局長と海上保安庁の次長にお願いします。
#36
○政府参考人(北原巖男君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のヤンビン級砕氷艦兼情報収集艦、海氷七二三でございますが、これに対しましては、私ども自衛隊といたしまして、航空機延べ二十四機、また護衛艦六隻によりまして追尾、監視を実施してまいりました。
 防衛庁といたしましては、こうした事態等にかんがみまして、引き続き我が国の周辺海域におきまして外国艦船の動向の把握に万全を期していきたい、そのように考えております。
#37
○武見敬三君 運用局長にもう一つお尋ねしたいんだけれども、実際に国際海峡である津軽海峡それから大隅海峡、いずれもこれ単に通過するだけではなくて、何度も何度も往復をして、実際にアンテナを回して情報の収集をしたということが言われておりますけれども、これらの活動というのは国際海峡におけるいわゆる無害通航権と抵触することのない活動であったと理解してよろしいのでしょうか。
#38
○政府参考人(北原巖男君) この活動そのものにつきましては、無害通航に抵触すると、そのようには考えておりません。
#39
○武見敬三君 ありがとうございました。
 それでは、海上保安庁の次長の方からお願いします。
#40
○政府参考人(浅井廣志君) 海上保安庁におきましては、我が国周辺海域において特異な行動を行う外国艦船に対しまして、防衛庁等と緊密に連絡をとっております。そして、必要に応じまして巡視船等によりましてその動静を監視するなど、その動静に留意しております。
 御指摘のヤンビン級の情報収集艦につきましては、ただいま御指摘がございましたが、津軽海峡などを航行する際に領海の至近を通過するということがございましたので、巡視船を派遣してその動静監視を行ったというところでございます。
#41
○武見敬三君 はい、わかりました。
 この中で、特に私重視しておりますのが、房総半島の沖合で反転をして、そしてそこで改めてアンテナを回転させて情報の収集を行ったという点であります。
 この点について防衛局長の方から御説明をいただきたいと思いますけれども、こうした我が国の国の安全の根幹である首都防衛機能というものにかかわる情報収集ということをこのような行動をとることによって行ったというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
#42
○政府参考人(首藤新悟君) 御指摘の件でございますが、海上自衛隊のP3C及び護衛艦が、本年の五月二十九日ごろ、房総半島の東方沖におきまして中国海軍のヤンビン級砕氷艦兼情報収集艦、海氷七二三を確認したものでございます。
 この海氷七二三につきましては、当該海域におきまして搭載されましたアンテナを回転させながら一往復いたしましたほか、津軽海峡におきましてもアンテナを回転させながら反転を繰り返した。また、対馬周辺及び九州の南方海域等におきまして機器を海中に投入いたしておりまして、何らかの情報収集を行っていた可能性が高いと思います。中国海軍の艦艇がこのような活動を行っているのを確認したのは初めてのことでございます。
 そういうことで、中国海軍艦艇の活動に係る中国側の目的につきましては、視認情報から確たることを申し上げることは困難でございますが、少なくとも海氷七二三のこうした行動は日中友好にそぐわないものであると考えます。
 今、武見先生がおっしゃいました、房総沖でのアンテナを回しているといったことは、軍事的には、一般的にその周辺にございます我が方のレーダー、そういったものの電波を収集しているというふうに考えるのが普通ではないかと存じます。
#43
○武見敬三君 房総半島の先の方には情報通信基地がございますし、それから茨城県には首都防衛のための百里基地がございますし、いずれも、そうした首都防衛にかかわる重要な機能をこうした情報収集を通じて調査をするという意図があったというふうにこれは理解されても仕方がないものというふうに考えてよろしゅうございますね。
#44
○政府参考人(首藤新悟君) 一般的にはそのような目的でアンテナを回転させていたというふうに想像されます。あるいは考えられます。
 したがいまして、防衛庁といたしましては、こういった我が国周辺海域におきます中国の海軍艦艇の動向につきましては今後とも注目してまいりますとともに、関係省庁と連携して適切に対応してまいりたいと考えている次第でございます。
#45
○武見敬三君 そして、七月になってから改めて別の情報収集艦が、今度は逆回りで大隅海峡から入ってきて、そして伊豆半島沖にまで来て改めてアンテナを回転し、そして別の角度から首都防衛機能にかかわる情報を収集したということが確認されていると理解しておりますけれども、よろしいですか。
#46
○政府参考人(首藤新悟君) 今先生がおっしゃいましたのは東調二三二のことだと存じますが、私ども承知しておりますのは、逆回りでいわゆる名古屋沖といいますか東海沖の方に来てアンテナを回転させる、東海沖でアンテナを回転させ、そしてまた南下してまいりまして宮崎沖でアンテナを回転させて帰っていったということでございまして、このような行動は、やはりその地域における日本側のレーダーの電波その他の情報を収集するための行為であったと一般的には軍事的に考えられると思っております。
#47
○武見敬三君 こういう活動は、冷戦が最も厳しい時代状況の中でソビエトの海軍は行っていたんだろうと思いますけれども、先ほども申し上げたように、首脳が相互に訪問をして、友好と協力のためのパートナーシップということを相互に確認し合った国の関係の中でこのような軍事的な行動がとられるということは、一体いかに理解をしていいのか。
 これはどう見ても、国と国との間で取り交わした極めて基本的な協調しようとする意思とは明らかにそぐわない行為ということで、これは極めて厳しい状況に、協調関係の基礎が損なわれるような、そうしたものとして私は理解すべき行動だというふうに考えざるを得ない。
 これは極めて残念なことでありますけれども、このような認識を持たざるを得ないというのが率直な私の見方なのでありますけれども、外務大臣と防衛庁長官にそれぞれ御所見をいただきたいと思います。
#48
○国務大臣(河野洋平君) 今御指摘のような我が国近海における中国艦船の行動が、防衛庁から御報告があったような目的であるということであるとすれば、私は甚だ残念なことだと思います。
 議員が御指摘になりましたように、日中両国は友好関係をさらに強めていかなければならぬ、信頼関係を構築していかなければならないという、そういう首脳同士の合意があるにもかかわらず、もしそういう状況があるとすれば、我々としてはこの問題をきちんとその説明を求める必要があると思います。
 先ほど私が、今の時点は外交責任者といいますか外交担当者として非常に厳しい状況だと申しましたのは、まさにそのことを申し上げているのでありまして、最高首脳あるいは外交責任者同士が友好あるいは協力というようなことを考えて作業をしている一方で、それと違うことがもし行われているとするならば、それはやはり相当考えなければならないことだと。
 それは両国関係の問題でもありますし、国内問題でもあるというふうにも私は思っているわけでございまして、この点は私も月末の訪中時によくただしてみたいと考えております。
#49
○国務大臣(虎島和夫君) 御指摘のことにつきましては、発見後速やかに関係機関に連絡をしながら、海上自衛隊の護衛艦及び航空機による所要の追尾、監視を行ったところでございます。
 なお、これらの行動については、御指摘のように日中友好にそぐわないという旨を指摘してきたところであります。
 今後とも、中国海軍艦艇の同種の行動に対しましては関係省庁と連携して適切に対応いたしたい、このように思います。
#50
○武見敬三君 こうした行動をなぜ中国政府がとったのか、その真意をきちんと確認をして、再発防止のためのしっかりとした言質というものを中国側から確保することが私は必要だと思います。そのことをぜひこのたび訪中をされる際には実現をしていただきたい。
 また、このことは協調関係の基礎を損なうという極めて重大な問題であることはもう明らかなわけでありますから、私は、協調関係というのはきちんと進めて、日中関係を安定化させるということはアジアにおける平和と安定のためにはもう必須の課題というふうに理解をしているわけでありますけれども、しかしながら、こうした事態というものに現実直面している限りにおいては、協調関係についてもそう簡単に今までどおりスムーズに予定どおりやりましょうというような話には私はならないのではないかと思います。
 特に、中国に対する特別円借款の実施というような課題が既にもう直面しているわけでございますが、この点についてやはり十分配意をした上で対応しなければならないと考えるわけでありますが、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
#51
○国務大臣(河野洋平君) 日中関係の重要性は、私が再び申し上げる必要もないことだと思います。
 二十一世紀を考えれば、日本と中国の関係ほど注意深く大事にしていかなければならない関係はないだろうというふうに思っているわけでございまして、この関係をどういうふうに、言葉は適当でないかもわかりませんが、十分上手にマネジメントできるかどうかというのは日本外交にとっても極めて重要なことだというふうに考えておるわけでございます。
 この問題を、繰り返し申し上げますが、現実の問題から目をそらすわけにはまいりませんが、さらばといって、一つ一つの問題に余り感情的に過剰な反応をするということも私は適当ではないと思います。でき得る限り冷静に話し合って、説明ができるものであれば双方が十分説明をし合うということが大事だろうということをまず最初に申し上げたいと思います。
 特別円借款について申し上げれば、この特別円借款の決定あるいは実施については、まだまだ検討を要する問題があると考えて、これを決定をしたわけではございません。さらに詰めなければならない作業も残っておるというふうに考えております。
 ただここで、もう十分御承知のことだと思いますけれども、申し上げなければならないことは、特別円借款は、アジアにおきます経済危機及びその危機によって影響された国々に対して特別に円借款を行おうという意図がございます。そして、さらにその意図の中には、これをタイドで行うことによって日本の企業がそれに参加をする、そういうチャンスを広げるということが考えられているわけでございまして、したがって、この特別円借款はタイドで行うということを意図しております。そうしたことも一方で考えなければならないということもあろうかと思います。
 いずれにしても、私は、日中関係というものをでき得る限り努力をしてよりよい方向に持っていく、そのために最大限の努力をいたしたいと考えております。
#52
○武見敬三君 最後に一言申し上げたいわけでありますが、今回の外務大臣の訪中は、秋の朱鎔基総理の訪日を踏まえた極めて重要な訪中であり、しかもこうした極めて深刻な課題を抱えている訪中ということで、非常に重要な訪中であろうと思います。我が国のやはり安全の基本にかかわるような点で、我が国としてはそう簡単に容認することはできないんだという、その我が国の堅固な意思を間違えることなく的確に中国側にメッセージとして伝えるということが一つの大きな課題であろうと思います。
 したがって、この点について外務大臣に十分に御了解をいただいた上で、その訪中を成功していただくことを切に祈念をしておるということを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。
#53
○海野徹君 民主党・新緑風会の海野徹であります。
 日ロ関係につきまして外務大臣から若干の御答弁をいただきたいと思いますが、対ロ外交方針としては領土問題を解決するのが前提だ、そして平和条約を締結するという政府の方針をずっと今まで堅持されてきたわけでありますし、繰り返しそういうような御答弁がありました。その方針については、方針を転換するというようなお考えはございませんね。
#54
○国務大臣(河野洋平君) 我が国の対ロシアとの間の領土問題の解決というものは極めて重要な課題でございまして、我々としては、領土問題を解決し平和条約を締結するという考え方を一貫してとっております。
#55
○海野徹君 それでは、今の外務大臣の御答弁を前提として、何点か御確認あるいは大臣のお考えをお聞かせ願いたいわけなんですが、これは新聞の報道ですから、私どもはその真意のほどというか、詳細について知る由もないわけなんですが、報道によりますと、これは「政府は」という書き出しなものですからよくわからないんですけれども、「三日、日露両国間の最大の懸案である平和条約の年内締結を断念し、来年以降、北方領土問題とは別に政治、経済、安全保障、科学技術・文化などの広い分野で両国関係を強化するいわゆる「中間条約」の早期締結を検討する方針を固めた。」と。これは与党の野中自民党幹事長の、平和条約と並行して領土問題を考える切り離し論の発言の具体化であるというような報道がされておりますが、この点について大臣から真意のほどを含めて御答弁いただきたいんです。
#56
○国務大臣(河野洋平君) そうした事実は全くありません。
#57
○海野徹君 それでは、こういう事実がないということであれば、大変私どもとしてはある意味では安心してこれから対ロ交渉を見ることができるわけなんですが、七日の参議院予算委員会で外務大臣が、ロシア側にも日本側にもそれぞれさまざまな考え方があり、こういう方法もあるのではないかという提言とかアイデアを示している、それはそれで交渉する前提、前ぶれとしてはいろんなことがあっても結構ではないかと述べ、北方領土問題を解決する平和条約締結までの間の暫定的な中間条約も検討する選択肢の一つであることを認めたと。これは公明党の高野参議院議員の質問に対する答弁としてこういう外務大臣の御答弁があるわけなんです。
 これは暫定的な中間条約の検討ですから、外交戦術上も要するに矛盾しないではないかというような御答弁をされているわけなんですが、私としては、どうもこの辺は今までの政府の方針と大分転換されているんではないかなという思いが非常に強くするわけなんですけれども、その点、この大臣の御発言の真意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
#58
○国務大臣(河野洋平君) 私は、国会であろうとどこであろうと、中間条約を認める、あるいは中間条約について発言をしたことは一度もありません。恐らく、もしそういう記事が新聞に、私が中間条約について云々という発言をしたという記事があるとすれば、それは間違いだと思います。私は一度も中間条約について発言をしたことはないと記憶しております。恐らく間違いないと思います。
#59
○海野徹君 それでは、この前ぶれあるいは前提としてはいろんなことがあっても結構ではないかというような、そういうふうに報道されかねないことについては真意ではなかったということになりますか。
#60
○国務大臣(河野洋平君) いろいろなアイデアがあったりいろいろな提言があっていいではないかと言ったことは事実でございます。
 私は、政府間の交渉がございますけれども、その間にロシア側にもさまざまな発言があったりさまざまな考え方が出てきておりますし、日本の国内にも、学者の方々あるいはこの問題に長く携わってこられた方々にもいろいろなお考えがあることを承知しておりますが、それはそれで、その考え方というものはあっていいだろうと思っております。
 ただ、政府間で交渉するときに、我が方の交渉の原則は先ほど申し上げたとおりでございまして、それはもっと言えば、御承知のとおり九三年の東京宣言というのがございます。その基礎の上に九七年のクラスノヤルスク合意、こういったものを積み重ねてきて、これらはいずれも領土問題を解決し平和条約を締結しようということをここに書いて、双方の首脳が合意をしたり宣言をしたりしているわけでございますから、こうしたことを積み上げてきているわけで、この考え方を我々はそのまま踏襲をするという気持ちでございます。
#61
○海野徹君 外務大臣の御答弁、大変私どもとしてはそれをそのまま率直な表現として理解したいわけなんですが、今回プーチン大統領が来日される、そこで日本側としてどういう対応をするかということになりますと、二年前にモスクワの首脳会談で、領土問題は解決を切り離して平和友好協力条約を締結する案がロシア側から出ていると言われております。大統領訪日時に、これに対して正式に回答する順番がもう日本側にあるんではないかということなんですね。
 そういう中での野中幹事長の発言である。ましてや、沖縄サミットが終わった後、プーチン大統領が領土問題を事実上先送りする暫定条約の締結を提案したいということを森総理に発言されたというようなことがあり、余りにもタイミングとして合い過ぎていないんだろうかと。
 そして、要するにそういう政府の方針が転換されたような三日の報道があったり、あるいは参議院の予算委員会での外務大臣の発言があるものですから、どうも方針転換されて領土問題解決が前提ではないというふうに言っているのではないか。あるいは川島事務次官も、非常に重みのある発言だというようなことが外務省のホームページから見られるものですから、その辺はどうも我々としては率直に今大臣の御発言どおりにはなかなか受け取れないかなというような印象を持っているわけなんですが、どうなんでしょうか。
#62
○国務大臣(河野洋平君) 恐らく議員は自由民主党の野中幹事長の御発言について意見を述べられておるんだと思いますけれども、野中幹事長も、自分の発言は東京宣言というものを踏まえての発言だということをその後言っておられまして、東京宣言というのは先ほどから申し上げておりますような内容でございますから、そのことについて大きな考え方の変更があるというふうには私どもはとらえていないわけでございます。
 しかし、日ロ首脳会談が九月の恐らく三日に訪日されるプーチン大統領との間に行われるわけでありますが、その前の会談と言っていいんでしょうか、沖縄におきます日ロ首脳会談の席では、あらゆる問題について話し合おうということで双方はそういう話をしておりますし、ただ、表現はちょっと正確でないかもわかりませんが、両国関係の全面的拡大が、これはプーチン大統領の発言ですけれども、難しい問題についても避けて通らず対処していく必要がある、自分たちは慎重に一貫して着実に前に進んでいく必要があるのだと、こういうことをロシア側の大統領がおっしゃっておられて、それに対して森総理も、難しい問題も避けて通るべきでないということを言っておられるわけです。
 さまざまな問題で話をするけれども、難しい問題について避けて通るつもりはないよということを双方言っておられて、私どもとしては、どういう形になるにせよ、この問題について当然話は進んでいくだろうというふうに思っているわけですが、そこへ行くまでのプロセスの中では周辺からいろいろな話があるということは、それはあってもちっともおかしくないし、あったからといってそれにすべて影響されてそういう話になるというふうにも思いませんし、また、双方が合意できるような道行きについて答えが見つけられる方法があれば、それはそれで非常にいいわけでございます。
#63
○海野徹君 真意は切り離しではないというような御発言も野中幹事長がされているように報道は見受けるんですが、一たん言葉が発せられますと非常にいろんな解釈がされてくるわけですね。そうじゃないよと言っても、相手側はそうだととっているんです。
 ロシア側は、要するに日本の太陽政策というのは非常に一貫性がない、一貫性がないから待っていればいいじゃないかとか、あるいは、大幅な譲歩をしたんだ、もう前提条件じゃないということを前提に、ある意味では対日戦略を、外交政策を組み直すというような発言まで政府高官あるいは世論にあるというような報道もされているんですが、そういった意味では、一たん発した言葉が持つ意味というのはある意味でいえば大変重いと思うんです。
 外務大臣の方で、プーチン政権として今日の野中幹事長の発言に対して、真意じゃないと幹事長が言ったとしても、そうじゃない受け取り方をされているんではないかというふうな報道あるいはそういうようなメッセージを受け取ったということはございませんか。
#64
○国務大臣(河野洋平君) そういう情報は私どもは聞いておりません。
 聞いておりませんし、私どもは今ロシア側に対して、問題を先に延ばせば延ばすほど、本来ロシア側も得るべき利益と申しますか、例えば極東地区の開発その他が遅くなってしまうよということも、こちらからは言っておりませんけれども、先方がそういうことを早くやることによってそういうことにもプラスになるんだというふうに考えられるのではないかというふうに私は思っているわけです。
 私どもは別にそうしたこととの取引を考えているわけではございませんけれども、やはり極めて近い両国の中で問題を解決することによって、さらにロシア側にもプラスになる、もちろん日本側にもプラスになる、プラスになることを両方で協力をし、努力をしてやっていくことが大事なので、問題を解決しなければ双方にとってはプラスは少ないのだということが理解されるのではないかと、そういうふうにお考えになることもあるんじゃないかというふうに思っております。
#65
○海野徹君 大変気になることは、ことしの七月の上旬にプーチン大統領が新外交概念というのを発表しております。これは資料によりますと、日本に関する記述というのが、これは英語で書いてあるもので五行なんです。たった五行なんです。中国とかインドは優先するような表現になっているんですが、日本に関してはただ単なる五行でしか表現していない。しかもそれが、双方に受け入れ可能なという表現が入っているんです。
 双方に受け入れ可能なというのは、ロシア側で受け入れられないとなったらこれは未来永劫に合意なんて得られない、そういう表明じゃないか。日本側の解釈が非常に我々にとって都合いい解釈をして報道をされているわけなんですが、極めて楽観的な解釈をしているんですが、この英語の表現をそのままニュアンスとして見ますと、どう考えてもかなり強い、領土問題については棚上げ、先送りという意思が言葉から表現されてきているんですよ。
 外務大臣、この新外交概念というのはもうお読みになって十分内容おわかりになっていると思いますが、訳された日本語じゃなくて、英語の持つ言葉それぞれのニュアンスからしてどうも気になるんですが、その点外務大臣はどのようにお考えでしょうか。
#66
○国務大臣(河野洋平君) 私が持っておりますロシアの新外交政策概念、これは日本語に訳されたものでございますが、その日本語に訳した部分は、今議員がお話しになりましたように、ロシアは国際的に認められた両国間の国境線画定に関する双方に受け入れ可能な解決の模索を継続していく、こういう訳になっております。
 私は、国境線画定というものは、これは両国が、双方が受け入れられなければ国境線の画定はできないことはこれはやむを得ないこと、やむを得ないというか、当然のことだと思うんですね。ですから、我々は双方が受け入れ可能な案を探しているわけです。
 その受け入れ可能というのは、歴史的に見て、学術的に見て明らかにこれは日本のものであるというような文献を探す、あるいは歴史的事実を探す、そういったことがここに書いてございますように国際的に認められた云々ということになるのだと思っております。そして、双方の努力によって受け入れ可能な国境線の画定をするということが重要なのだと。
 したがって、ここに書いてあることは、私にとってはそう特別なことが書いてあるというふうには実は思っておりません。
#67
○海野徹君 私もそのように祈りたいわけです、考えたいんですが、一連のプーチン大統領が代行時代からの発言、ずっと追ってきまして、そしてこの英語の表現となりますと、どう考えても要するにノーと言うように近い言葉を使われているんですよね。
 確かに、訳すとそういう訳し方もできるなという訳し方の日本語になっちゃうんですが、非常にその辺は私は懸念をしているものですから、そのことを念頭に置きながら、もう一度くどいようですが大臣に確認させていただきたいんですが、領土問題解決が前提である、東京宣言は要するにそのまま精神を堅持する、一九五六年以降のずっと領土問題を前提とした交渉、それについては、全く先人の努力についてはそれも尊重すると。
 領土問題を解決しないということになりますと、非常に日本の政策が先ほどお話ししたように一貫性がなくなって、一貫性がないということをある意味では外交交渉の中で突かれてくるんではないかなという懸念もありますし、それと彼らにとっては、ロシアにとっては返そうという動機を失わせてしまうということにもつながりかねない。今度は日本とロシアの国民間での信頼関係があるいは悪い方向へ行ってしまうんではないかという懸念もあるということですから、あくまでも方針転換はなされることなく、毅然としたる態度で平和条約の締結に向けて交渉姿勢は臨んでいただきたい。
 そのことについて、いま一度決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
#68
○国務大臣(河野洋平君) 交渉に臨む態度は変更はありません。
#69
○海野徹君 わかりました。ありがとうございます。
 今、北東アジアというのは大変外交の時代に入ってきているというふうに感じております。
 それで、六者協議という考え方がございます。この六者協議というのを、我々側というか日本側としては、その可能性あるいは有用性というのを大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
 また、プーチン大統領にその可能性をサミットで打診したというような、そういうことを聞いておりますが、大統領の反応はどういう反応だったんでしょうか。
 その二点についてお伺いさせていただきたいと思います。
#70
○国務大臣(河野洋平君) 今般のサミットの折に行われました日ロ首脳会談におきましては、朝鮮半島情勢につきまして森総理から、今まで四者で話し合いがいつも行われてきたわけであるが、朝鮮半島の情勢も新たな段階に入ってきたので日ロも入った枠組みができないものだろうか、どうお考えですか、こういうことを言われました。これに対してプーチン大統領から、今後日本とロシアの北朝鮮との関係はますます重要になっていくでしょう、日本は重要な役割を果たしていくべき立場にあると思いますよという発言がございました。
#71
○海野徹君 NMDに対して中ロが断固反対という表明をしております。先ほど言いましたように、北東アジアというのは非常に外交の時代というか、ときを迎えて、ある意味では日本がその中でどういうような交渉をし、どういう行動をするか、大変重要な時期に来ているんではないかなと思います。
 これはたまたま今読んでおりました宮城谷昌光の「楽毅」という紀元前四世紀ごろの戦国期の武将の本をちょうど読み終わりまして、そこの最後のところに四路五動という言葉がたまたま出てきたんですよ。四つの道五つの動きという、選択肢は四つあっても決定するのは五つある、東西南北に道があって動くだけじゃなくて、とどまるということも一つの決定だというふうな言葉が四路五動ということで表現されております。大変おもしろいなと。
 これは要するに合従連衡を繰り返してきた中国の春秋戦国時代の外交の要諦かなと思ってその言葉が印象に残ったんですが、北東アジアの外交の時代を迎えた六者協議の中で、NMDというものが多分大変な問題をこれから日米あるいは日米韓、あるいはロ・中・北朝鮮というような対立を深めていくということは予想されませんか。
#72
○国務大臣(河野洋平君) いずれにしても、弾道ミサイルとかあるいは核兵器の問題については、国際社会がこれから先も議論を続けなければならない大事な問題だというふうに思っております。そしてしかも、その核兵器を保有している国とそうでない国、この間の議論というものも当然あると思いますが、さらにARFに私参りましたときに、ロシアとアメリカとの間でNMDの議論がちょっとぱちぱちっとありました。それをASEANの国々は、全部じゃございませんけれどもASEANの国々は、どうも自分の頭の上を議論が行ったり来たりしていると、ASEANの議論とはちょっと異質な議論が大国の間で飛び交うという感じを持って聞いていた部分もあるんです。
 御承知のとおり、NMDはまさにアメリカの国土の防衛の問題でございます。そしてアメリカにしてみれば、弾道ミサイルあるいはそれの拡散という問題は自国の防衛にとってやはり危機感といいますか不安感といいますか、そういうものを持つということもそれはあるだろうと思うんです。
 いずれにしても、この問題は、アメリカとロシアがABM条約その他の交渉を現在しているわけでございますから、そうした交渉というものが、きちんとやはり交渉が調うということでなければいけないわけでございまして、私どもはこの問題についてそれ以上のことを今言うことは控えた方がいい、こう考えておったわけでございます。
#73
○海野徹君 時間ももうございませんで、通告させていただいた問題が数多くありまして、なかなか次に進んでいかないものですから、もし質問できない場合は御容赦いただきたいわけなんですが、もう北朝鮮の関係を含めた問題に入っているかと思うんですが、外務大臣にお伺いしたいんですが、アメリカのオルブライト国務長官がARFの帰りに日本へ寄りました。北朝鮮のIMFあるいは世銀への加盟について容認するやの発言をしたという報道があります。それは、ペリー・プロセスが要するに若干スピードが早まっただけであって、アメリカの対北朝鮮に対する方針は変わっていないというような発言をされたということになっております。
 そういうアメリカの北朝鮮に対する政策の速度の変化、そのために日本に対する事前の説明あるいは事後の説明を含めて日米間で協議をされた上でこういう発言をされているのか、それとも全く頭越しでそういう発言をされて後で説明があったのか。いずれにしても、北朝鮮に対して日本側が主体的に関与していくということは、これは要するに絶対的に必要だと私は思っておりますから、その点からこの発言をどのように御理解されているのか、大臣にお聞かせいただきたいと思います。
#74
○国務大臣(河野洋平君) 朝鮮民主主義人民共和国に対するアメリカ、日本、韓国それぞれの交渉があるわけですけれども、しかし、いずれにしてもこの三カ国、日米韓の三カ国は政策調整といいますか政策協調を非常に緊密にいたしております。それはあらゆる発言の一字一句にまで調整をしているわけではありませんけれども、基本的な考え方、あるいはこの問題に対してはどういう対応をするかというような問題についてまで、あるいはこの問題にはなぜこういう対応をしたかということの報告、その他非常に細かく打ち合わせが繰り返しなされております。
 オルブライト長官の発言は、私は考え方として、アメリカはアメリカで、やはり交渉をするプロセスにおいて、何といいますか、げすに言えば押したり引いたりというか、いろんなことを言ってみるということの一つにあるいは入っているかもしれないと。あるいは、あれは日本の新聞のインタビューにたしか答えられているわけで、そこまで影響力が向こうにいくかどうかというところまで、あるいはどのぐらい考えておられるかわかりませんけれども、そう一筋縄の発言だというふうに私はとっておりません。さまざまな考え方があるというふうに見ていいのではないかというふうに思っております。
 ASEANの会議が終わりました後、日本へ来られましたオルブライト長官と外相会談を持ちましたけれども、オルブライト長官はそのときにも米朝の外相会談についてお話をされまして、米朝外相会談は大変有意義でしたと、日米韓の連携を維持強化することがこれから先もしかし重要ですね、国交正常化に関する話し合いにおいては過去にとらわれずに未来志向で話し合わなければならないが、ミサイル、核問題などへの懸念を伝えることも重要ですねと、こういうことを言われたわけです。
 オルブライト長官と話をしましたときに、多少何といいますか、苦笑しながら、どうも河野さん、あなたも会ったんでしょう、それから韓国の外相も会ったよねと、私も会ったけれども、後でこうやって打ち合わせしてみるとみんなで同じことを聞いていると。三人で同じことを聞いて大体同じ答えが戻っている。これはこれで意味がないわけではないけれども、さらに調整をして、同じことを聞くにしてもそれぞれの違った視点から聞いて、どういうことが正しいかということがわかるような聞き方もあるよねというようなことも言われまして、もっともっとお互いに会談をやってはお互いが話し合うという作業を続けた方がいいなというような感じを持った次第でございます。
#75
○海野徹君 今大臣からのお話がありました。より一層緊密な関係を持ちながら進めていただきたいということを要望させていただきたいなと思います。
 でないと、中東和平も、交渉が終わったら日本に後はお金は頼みますよというような発言もしたということですから、交渉に関与しないで金だけ出さされるというのは、全く要するに日本にとっては外交政策としてこれは勝てる外交政策じゃありませんから、よろしくお願いしたいなと思います。
 最後なんですが、これは南北朝鮮首脳会談で南北共同宣言がありました。五項目内容があります。一項目、二項目に統一という言葉がある。しかしながら、ずっと読んでいきますと、南北が現状維持であるということを周辺の近隣諸国が望んでいるという中で、むしろ統一よりも共存というものがこの共同宣言の中の趣旨ではないかと。そういうような要するに共同宣言の解釈の仕方があるわけなんです。私も、多分統一よりも共存関係を深めていくというふうに読んだ方がいいんではないかなと。解説記事も、何かきょうあたりどこの新聞だったか、読売新聞かどこかで出ていたような気がしますけれどもね。
 そうなると、まさに要するに両国というのはある意味では冷戦の被害者であったわけなんですね。東西冷戦の被害者だった。その冷戦が、最後の冷戦としてこれがなっていくのか、それとも、いやいや不安な状況が朝鮮半島ではまだまだ続くんだというふうに解釈したらよろしいのか、その辺大臣の御所見をお伺いしたいなと思います。
 まことに申しわけなかったんですが、いろんな質問を用意させていただいたんですが、あとの質問ができなくなっちゃったものですから、その辺は御容赦のほどをよろしくお願いして、最後の質問とさせていただきます。
#76
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘のとおり、南北共同宣言というものには五項目あって、その第一項目と第二項目にはそれぞれ統一問題は云々というふうに書いてございます。南側の連合提案と北側の低い段階の連邦提案が互いに共通点があることを認めて、この方向で統一を目指していくことにした云々と、こういうことが書いてあるわけでございます。おっしゃるように、共存という言葉はどこにも出てこないわけでございます。
 その意味するところは何なのかということについては、これはどうも我々が余り推測、予測で物を言うのは控えた方がいいかもしれない。首脳会談によってまだ幕があいただけであって、舞台では何の動きも、多少この間動きがございましたけれども、大きな動きがあるわけではございません。まず幕があいて、これからもう少しよく確かめるということにしたいというふうに実は私ども思っているわけでございまして、今の御質問は非常に重要な御質問だと思いますけれども、もうしばらく検討する時間をおかしいただきたいと思います。
#77
○海野徹君 ありがとうございました。
#78
○益田洋介君 外務大臣にお伺いしますが、七月の十八日、中国の社会科学院日本研究所の蒋立峰副所長が外国人記者団に対して会見をいたしました。その際、非常に興味深い発言をされている。
 副所長は、現在の日本にはなお軍国主義復活の傾向は存在するんだと、このような発言をされている。その論拠として幾つかの分析を述べていらっしゃるわけですが、その中で私の興味を引きました分析の一つの選択でございますが、それは日本の政界にはなお軍国主義の復活を志向する勢力が存在しているからであると、このような発言をしている。
   〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕
 現在の閣僚の一人として、また自由民主党の河野グループの領袖として、かなり権威のある研究所の副所長だということでございますので、御見解をお述べいただきたいと思います。
#79
○国務大臣(河野洋平君) この方が軍国主義という言葉をどういうふうに考えてお使いになったかということももう少しお尋ねをしたいようにも思いますが、少なくとも現時点で、自民党のみならず日本社会において軍国主義というものが、何といいますか、力をつけてきているというような状況があるというふうには私は考えておりません。
 日本の国内におきまして、ひところ右翼、左翼なんという言葉が非常にありましたけれども、そうした言葉もややひところに比べれば下火になってきて、むしろ右翼、左翼という仕分けではない仕分けが考えられてきているのではないかというふうにすら思っているわけです。
 これは議員がどういうふうにお考えかわかりませんが、全く私見を申し上げれば、社会工学的に言えばやじろべえみたいなもので、右寄りの人がうんと右にはねて発言をしたり大きな動きをすれば、一方で左寄りの人もそれと同じように左に寄った発言あるいは左に寄った動きが出てきて、それによって社会のバランスというのはとられていくということが多いんじゃないかと。
 つまり、左寄りの人だけが余り威勢よくなって、右寄りの人がそれに対する発言もなければ行動もないということになれば社会全体ががあっと左に行くわけですが、日本の社会全体をトータルにとらえれば、私はやはりそうしたバランスはちゃんときいていて、右にも寄っていないし左にも寄っていないという状況にあるのではないかというふうに私は今見ておるところでございます。
#80
○益田洋介君 この発言の一つの背景には、今月の三日ですけれども、公式発表された防衛白書があったと思うんですが、中国の軍の機関紙でございます解放軍報というのがございまして、これが今月の三日発表した報道内容につきましては、やはりこの点について非常に直截的に防衛白書を批判するという形で所見を述べておりまして、中国の軍事力の発展については、日本の防衛白書については厳しい非難をした上で、軍事力の発展は国際法の許容範囲だと。
 こういう国際法があるのかどうか私は知らないんだけれども、軍事力の範囲を決めるような国際法というのはあるんですか。それはそういうふうに述べている。
 一方で、イージス艦や九〇式戦車など自衛隊の新装備品について、こういうものを装備していることから見ても、真に警戒するべきは日本の軍事行動であると、そう述べた上で、他方、白書が懸念を示しておりました日本近海での中国海軍、また調査船の活動の活発化については一切言及していない。
 この辺は、外務大臣、どういうふうにお考えですか。
#81
○国務大臣(河野洋平君) ちょっとまず、御答弁がずれることをお許しいただけるなら、ARFという会議で、何とかこの地域の安全といいますか、そういったものを維持していくために何が必要かということで、お互いの信頼醸成措置が一番重要だと。その信頼醸成措置を育てるために何が大事かといえば、やっぱり軍備の透明性が大事だと。ですから、お互いに例えば防衛白書なんかは公開して、日本の防衛白書も見せますよ、そのかわり中国の防衛白書も公開をして、できるだけ中国の軍事力についても透明度を高めてもらいたいというようなことがARFの議論の中にはあるわけでございます。
 なかなかそこまで一遍に行っていないのが実情でございますけれども、しかし、お互いに軍事力についての透明度を高めようということについては合意が既にできまして、部分的に公表をお互いがするということに少しずつ進んでいることは私は大変結構なことだと思っているわけです。
 そこで、今議員がお話しになりましたように、我が国は極めて透明度が高いわけですから、防衛白書がどこへ行ってでも手に入れることもできる、見ることもできるわけですから、いろいろな人が見て、これがいいとか悪いとか論評をなさるということは当然あると思います。
 しかし、我が国の、これは長官隣におられて恐縮でございますが、我が国の防衛庁は専守防衛と、防衛に徹しているということは、もうその方針ははっきりしておるわけでございますし、これらについて御心配になることはないと申し上げる以外にないと同時に、中国におきます軍事力についても我が方にもう少し御説明があったらいいというふうにも思っているわけです。
 むしろ問題は、中国の発言で問題なのは、日米安保条約について中国側が考え方を少し変えてきておられるのではないかという感じはいたしております。
#82
○益田洋介君 先月二十九日、バンコクで外務大臣は、中国の唐家セン外相と朝食をともにしながら一時間四十分にわたって意見交換をなさった。その際、外務大臣は、日ごろから懸念されております海洋調査船、また海軍の軍艦の日本の排他的経済水域における頻発している種々の事前通告なしの活動について言及をされました。そこで、これは放置できない問題であるというようなお言葉を使ってまで抗議をされたと伺っております。さらに、事前通告だけはしてもらいたいというふうな発言をなさった。
   〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
 これに対する唐家セン外務大臣の反応または返答はいかがだったのかということについては、これはもう外務大臣だけしか御存じないと思うんですが、支障のない範囲において敷衍していただきたいと思います。
#83
○国務大臣(河野洋平君) 先月のバンコクにおきます日中外相会談におきましては、私より、我が国の事前の同意なく我が国排他的経済水域または大陸棚において行う海洋の科学的調査は直ちに中止するように申し入れまして、本件は放置できない問題だとして中国側の責任ある対応を求めました。また、我が国近海における中国の海軍艦艇の活動についても、我が国国内の強い懸念を伝えております。
 これに対しまして唐家セン外交部長より、本件は日本から再三申し入れがあり、日本国内世論の関心も高いことはよくわかったと、東海においてはいまだ境界画定がなされておらず、協議によって問題解決を図りたい旨の応答がございました。
 今月末の私の中国訪問の際に、さらにこの問題はよく話をして問いただしてみたいと考えております。
#84
○益田洋介君 要するに、その海域の領海が両国間において設定されていないということですけれども、これは外交上の一般的通念からして非常に不自然な、また理解しがたい答弁だと私は思うわけです。
 こういう答弁を繰り返させていくだけでよろしいんですか。それから、事前通告さえすれば一切そういうような調査を日本の近海においてさせるおつもりなんですか。
#85
○国務大臣(河野洋平君) 事前の通告だけではなく、事前の同意を求めた次第でございます。
 それから、境界画定ができていない地域というのも、これは海洋法条約の後の作業でまだそういう箇所があることはまことに残念なことでございますが、そういう箇所があることは事実でございます。
 ただ、一方私が指摘しましたのは、そういう箇所のこともさることながら、明らかに我が国の排他的経済水域の中で行われていることを我々は確認している、こういう問題は放置できませんよということを指摘したということでございます。
#86
○益田洋介君 朝鮮半島の問題は非常に注目を集めているわけでございますが、私は隣国である中国の姿勢というのが非常に懸念されてならないんです。軍事力の拡張といい、先般来外務大臣に申し上げておりますが、日本は一年間で二千億超の資金援助をしている、その大半が恐らく、私の想定では、なかなか外務大臣はそれ承知をしていただいていないわけでございますが、軍事目的に使われている。山の中に片側四車線の高速道路を走らせている。これに年間五百億だとか八百億だとかという金で、日本の資金供与でつくっている。
 そういう国が、これはちょっと直接的な相関関係はないのかもしれませんけれども、残念ながら亡くなった小渕総理の葬儀にも第三副首相というような人しか出さない。こういう外交姿勢なんですよ。
 だから、繰り返せば、二十八日からまた訪中されると外務大臣はおっしゃっていましたけれども、こういうふうな軟弱な腰の引けたような外交姿勢でよろしいのかなと、中国については。非常に私は懸念しているわけです。
 それから、やはりバンコクで外交部長とお会いになったときに、CTBTの早期の批准についてもお話しになったと。これに対してはどういうふうな姿勢を示しているんでしょうか。
#87
○国務大臣(河野洋平君) CTBTにつきましては、中国はCTBT条約をつくるときに最終的に賛成をしてCTBT条約がつくられております。したがって、その条約がつくられた直後に中国は直ちに署名をいたしております。ただ、批准がまだしてございません。
 その点については中国側は、自分はCTBT条約に賛成なんだ、だから直ちに署名もした、そしてこれは日本の国会と同じ、批准のための審議に回していますと。全人代の審議に回している。しかし、これは我が国として賛成という基本的な方針は決まっているので、これはいつでも批准はできます。ただ、いつでもできますが、我々にとってみればインド、パキスタンの問題が心配でございますと、さらにはアメリカのCTBTの批准ができなかったことについても自分たちは問題視しておりますと。こういうことが説明でございました。
 そこで私は、アメリカがCTBTの批准ができなかったことも非常に大きな影響が国際的にあったことはもう御指摘のとおりと、しかし一方で中国が批准しないということも国際的には相当大きな影響がありますよ、だからぜひ中国はやってもらいたい、早期に批准してもらいたいということを繰り返し申し上げてまいりました。
 中国としては、繰り返し、とにかく我が国は賛成なんですからということを言って、インド、パキスタンの状況に対する懸念というものを持っておられるように感じました。
#88
○益田洋介君 次に、北朝鮮に対する米の追加支援の問題ですが、七日に川島事務次官が記者会見しまして、きのう八日から十二日まで調査団を派遣して、WFPの要請を受けるような形で数十万トンに及ぶ米の追加支援をする方向で検討するんだということでございますけれども、北朝鮮に関しては、日本人の拉致疑惑問題が何らの解決への進展を見せていないということが一つ、それからミサイルの再発射の懸念ということが一つ、非常に国民の間ではこれは不満と驚きの声が上がっているんですよ、外務大臣。なぜ米の支援をしなきゃいけないのか。
 三月に十万トンの支援をいたしました。それが四月の日朝交渉再開につながったわけでございますが、第十回の日朝交渉は、これ理路整然とした理由が見つからない、説明がないままに延期になった。だから、今度の追加支援というのは、第十回の日朝交渉を八月二十一日から東京で開くための、そのための対価であるというような言われ方もしている。言われているんですよ。これに対してどう思いますか。
#89
○国務大臣(河野洋平君) 今月二十一日から開催をいたします日朝国交正常化交渉につきましては、私は先方外務大臣との間で会談を行いまして、八月二十一日から開催することを決めてまいりました。その会談の席上、先方外務大臣からは米支援については一言の発言もございませんでしたし、当然私の方からこの問題には全く触れた発言をいたしておりません。
 今議員がお話しの、八日からの視察団を出しましたことが、あたかも次に数十万トンの支援をすることを受けて視察団を出したというふうに伝えられるところがあるとすれば、それは極めて残念なことでございまして、私の意図は、この調査団は、三月に十万トンの食糧支援を行いましたが、現在そのうちの九万トンが既に実施されておりますが、その九万トン近くの実施された米支援の米が実際にどういうふうに利用されているかということを確認したいという気持ちもございました。
 これは、WFPが支援国に対してドナーミッションというものを時々出すわけでございますが、そうしたこともあって、そのWFPの仲立ちといいますか、そういうこともあって出ていっているわけでございまして、WFPの仲立ちはありますけれども、できる限り独自に、ピョンヤンに参りまして孤児院であるとか幼稚園であるとか、そういったところに米がきちんと、食糧が回っているかどうかということを確認するために行ったものでございまして、今後のことを考え、今後のことを考えてという言い方は適当でないと思いますが、少なくともこれまでの支援について、それが効果的にきちんと活用されているかどうかということを我々から見てやはり確認をする必要があるだろうということが今度の調査団派遣の趣旨でございます。
#90
○益田洋介君 次に、鈴木防衛政務次官に伺います。
 五月から六月にかけて津軽海峡と房総沖を、これは中国のヤンビン級の情報収集艦が通過して日本を一周したわけです、約二カ月かけて。七月にも東調二三二という六千トン級の船が東海沖と大隅海峡を航行した。
 これについて防衛庁のある幹部は、両艦はいずれも情報収集活動を行っていた可能性が強いんだと。どういうふうなことを根拠に情報活動を行っていたのか。恐らく水深の測量をして潜水艦が航行するために利用できるような、そういう調査ではなかったのかというふうにある軍事評論家は述べております。
 さらに、七月二十二日、海上自衛隊が確認したところによると、サミットの開催中に石垣島沖に、これは事前通告やはりなしに海洋調査船が調査活動を行っていた。
 これにどのように海上自衛隊は対応したのか、また、今後どのような対処の仕方をしていかれるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
#91
○政務次官(鈴木正孝君) 今お尋ねの五月から七月にかけましての中国艦船の日本近海での行動という、そういうことでございますが、御指摘の件につきましては、海上自衛隊のP3C及び護衛艦が、本年五月中旬から六月中旬にかけまして我が国周辺を一周しました中国の海軍ヤンビン級砕氷艦兼情報収集艦、海氷七二三号及び七月中旬から下旬にかけまして我が国の東海沖から対馬の沖を航行したミサイル観測支援艦兼情報収集艦、東調二三二、このことだと、このように思いますが、これを確認したところでございます。
 海氷七二三につきましては、対馬周辺及び九州南方海域等において機器を海中に投入する、それから対馬海峡及び房総半島沖で、搭載されていたアンテナを、これを回転させながら反転を繰り返していたということでございます。
 また、東調二三二につきましては、搭載されていたアンテナを東海沖などにおきましてこれをまた回転させ、反転を繰り返したと。こういうようなことを行っていたということでもございまして、何らかの情報収集活動、それが具体的にどういうものであるかということは、なかなかこれは確認、分析というのは難しいわけでございますが、収集していた可能性は高い、このように理解をしているところでございます。
 そしてまた、七月二十二日の石垣島沖でのお話でございますが、これは七月二十二日の午後零時三十分ごろ、海上自衛隊で警戒監視を行っていましたP3Cが、石垣島の北西約百三十キロの海域におきまして中国の海洋調査船海洋四号、これを確認し、公表したということでございます。
 この調査船は、海上保安庁の方が航空機をもって前日の午後七時五十五分ごろに確認、それで同庁の巡視船及び航空機が追尾、監視をしていたということでございますが、国連海洋法上、先ほど来お話が出ておりますが、排他的経済水域における沿岸国の同意のない海洋の科学的調査は認められないと、こういう観点から海洋調査活動を中止するよう要求をしていたものでございまして、防衛庁といたしましても、今後の警戒監視活動の中でこの種の船舶、艦船が行動をとっていることが確認できますれば、関係省庁とも連携をよくして中止活動等を行っていただくように連携をとりながらやっていきたい、このように思っております。
#92
○益田洋介君 ありがとうございました。
#93
○小泉親司君 核兵器の廃絶問題について質問させていただきたいと思います。
 きょう九日は、御存じのように長崎に原爆が投下された日であります。核兵器の廃絶が人類の共通の願いであるということはもう論をまたないというふうに思いますが、やはり先ほどの領土問題ではありませんが、二十世紀に開発されたこの恐怖の兵器が二十世紀のうちに全廃される、そしてその政治的合意がかち取られるということは大変大事なことだというふうに思います。その意味で、特に被爆国である日本政府がその積極的なイニシアチブを発揮すべきだということは大変重要だというふうに思います。
 今度の国会でも、森総理は、沖縄サミットでこの核兵器廃絶について世界にどのように発信したのかという問題について答弁をされて、いわゆる五月に行われた二〇〇〇年の核不拡散条約再検討会議で核兵器廃絶の明確な約束が盛り込まれた、それの結果ということがサミットの特別宣言でも明記されていると。同時に、今度のミレニアムの国連総会に、これまでの究極的廃絶決議にかわる新たな決議を政府としては提案したい、こういうふうに答弁されておりますが、どのような新たな決議を検討されておられるんでしょうか。
#94
○国務大臣(河野洋平君) 議員も御承知のとおり、これまで我が国は国連総会の折にしばしば究極的核廃絶についての決議案を提案してまいりました。しかし、過日のNPTの再検討会議には究極的という言葉を取った決議が行われたということもございまして、究極的核廃絶という我々の主張というものは新たな段階に入ったかもわからないというふうに考えております。
 私、まだ最終的に文言、文章を詰めておりませんけれども、そうしたことを想定いたしまして、我々が決議なり提案を行う場合にはそうしたことに着目をする必要があるのではないか、そう考えております。
#95
○小泉親司君 本会議の答弁では、森総理は、我が国がこれまで提出してきた究極的決議は、核兵器国に究極的とはいえ核兵器廃絶を認めさせた点では画期的なものであり、今回のNPT検討会議において核廃絶に向けた明確な約束を導き、その歴史的使命を果たしたと、こういうふうに答弁されておる。じゃ、一体NPT再検討会議で日本の政府がどのような主張と行動をして核兵器廃絶への明確な約束を導き出したと、こういうふうにおっしゃるんでしょうか。
#96
○国務大臣(河野洋平君) これは当委員会でも何度も御議論をさせていただいたと記憶しておりますが、今この委員会のメンバーでございます山本一太当時の政務次官を中心に、私どもはNPT再検討会議にも山本当時の政務次官を派遣いたしまして相当積極的な活動をいたしました。
 申し上げると少し長くなって委員に御迷惑をおかけすると思いますけれども、御承知のとおりNPT再検討会議はNPTが認められてちょうど十年という節目の年でございまして、この再検討会議が低調な会議に終わればNPTの運動はこれは非常に苦しい状況になると、こう考えまして、できるだけ積極的にこれに取り組まなければならない、こう考えて、私はかなり早くからこの再検討会議の重要性を指摘してまいりました。
 例えば、アルジェリアの国連大使でございますバリー議長を日本に呼んで、この会議を日本がどのぐらい重要視しているかということを繰り返し伝えましたし、私自身もこの検討会議にはぜひ自分で出席をしたいと考えておりましたが、残念ながらいろいろ都合があって出席できなかったわけでございますが、山本政務次官には当時国連の中で何十カ国の代表とも直接会って問題の重要性を説きましたし、それから我が国からはかなり早い段階で八項目の提案をいたしました。これは最終的な決議の中にこの八項目の提案が相当程度反映されているということをもって見ても評価をしていただいていいと、私は自信を持って申し上げます。
#97
○小泉親司君 山本政務次官がおられないのは残念でございますが、政務次官が演説されたのは、「NPT体制の堅持・強化による国際安全保障の確保、並びに核兵器の究極的廃絶という、我々共通の旗の下への国際社会全体の参集を強く呼びかける次第であります。」と。つまり、究極的廃絶論を展開されておる。これは四月二十四日であります。
 五月一日、これは核兵器保有国が共同声明を発表いたしました。この共同声明は、核兵器の完全廃絶という究極的目標に対する明確な約束を繰り返し表明する、こういう文言でございました。
 これに対して、今度の最終報告に盛り込まれた核兵器廃絶に向けた明確な約束を盛り込んだのは、新アジェンダ連合の作業文書であります。外務省からもいただきました。この作業文書について、六月二十三日に出しました外務省の軍備管理・科学審議官組織のNPT運用検討会議報告という、これいただきました、外務省から。その中では、新アジェンダ連合は、「最終的にはこの点を取ること」、つまり核兵器の明確な約束を実現するということを「最大の目的にした。」と、こう述べておられる。
 それじゃ、日本政府はこの新アジェンダ連合の作業文書は賛成したんですか。
#98
○国務大臣(河野洋平君) 私どもは、新アジェンダ連合の主張と核保有国の主張との橋渡し役を務めたと。これは、ほうっておけば確実に新アジェンダ連合の提案も実現をしないし、結果、NPTの再検討会議は不成功に終わる可能性も非常に強かったわけです。そういう中で、我が方は核保有国と新アジェンダ連合の提案との間の橋渡し役を果たして、そして双方がそれぞれ百点満点ではないけれども合意できる案をつくることに大いに努力をした、こう理解をしていただきたいと思います。
#99
○小泉親司君 今御紹介した文書によりますと、外務大臣が言うように橋渡し役なんかしていないんです。何と言っているか。「最初からミドルグラウンドを狙ったことについては、「核廃絶の明確な約束」は我が国としては「究極的廃絶」を主張してきたこと等から言い出しにくい面はあった」と反省している。これは否定されていますけれども、外務省の文書なんですよ、言い出しにくい面があったと。言い出しにくい面があって、言い出してもいないのに何で橋渡しができるんでしょうか。
#100
○国務大臣(河野洋平君) あの会議は、もう議員は御承知の上でそういう御発言をしておられると思いますが、極めて難航をいたしまして、何日間も徹夜の議論が続いて、最後は時計をとめてまで作業をするという状況であったわけです。そして、しかしすべての参加国はこの会議を不成功に終わらせてはいけないと、そういう気持ちをそれぞれが持つに至って、そして最終的な文書はつくられたわけでございますが、最終的な文書をつくるに当たっては、我が国の提案というものが一定の役割を果たしたというふうに申し上げていいと思います。
#101
○小泉親司君 私は、究極的廃絶論が核兵器の明確な約束を導き出したなどという発言は大変おこがましい発言だと思います。
 実際に、これまでのNPT再検討会議での全経過は、先ほども言いましたように日本政府と核兵器保有国は究極的廃絶論を展開したんです。これはお認めになるんでしょう。その上で、新アジェンダ連合はいろんな要求を出しました。一つは、核兵器廃絶の明確な約束を核兵器保有国が行うことと同時に、二〇〇五年までにその交渉を加速すること、こういうことも提案いたしました。ところが、御承知のとおり、いわゆる今度の最終合意に盛り込まれたのは、核兵器保有国による核兵器の全廃についての明確な約束という文言でありました。ですから、新アジェンダ連合からすればその要求が全部通ったというわけじゃないということは、今、河野外務大臣がお話しになったとおりであります。
 ところが、核兵器廃絶論が核兵器の明確な約束を導き出したなどという総理の答弁は、外務省の資料からしても極めておかしいです。外務省は、言い出しにくい面があったって、言い出していないんだから。なぜそういうふうに、私これは本当に総理大臣の本会議の答弁としては大変事実関係をねじ曲げた、ないしはおこがましい発言であると言わざるを得ないと思いますが、外務大臣、いかがでございますか。
#102
○国務大臣(河野洋平君) 究極的核廃絶については、過去何年か何回かの国連の中での決議としてもう既に定着していると申し上げていいかと思いますが、こうした考え方はほぼ定着をしていると私は思っているわけです。それを定着させるのには相当我が方は努力をしたわけでございますが、いずれにしても各国の合意が得られるようになりました。
 そこで、それをもう一歩進めるという作業が今度は必要になってきているわけです。NPTの再検討会議でも私はそういう感じを持っておりました。もう一歩進めたいという気持ちがございました。しかし、それを進めるに当たって、核保有国の理解といいますか、核保有国の合意というものはやはり極めて重要でございますから、この合意を取りつける、この理解を取りつける、そういう作業をじゃ一体だれがするんだと。新アジェンダ連合にできるかといえば、これはもうほとんどできないと言ってもいいと思います。あの場の雰囲気その他をその後帰国した人たちの話も聞きましたけれども、新アジェンダ連合の提案では核保有国の合意、理解というものを取りつけられるという雰囲気ではまるでない。
 ということになれば、だれが手を差し伸べるか、だれが橋渡しをするかと言えば、それは我が国はオーストラリアと共同提案を八項目でしているわけでございますけれども、そうした我々がその役割を果たすということにどうしたってなるということだと思います。
#103
○小泉親司君 じゃ、八項目の提案の中に明確な約束というのは入っているんですか。究極的廃絶というのは入っているんですか。入っていないんですよ、八項目の提案の中には。究極的廃絶論というのは、山本政務次官が演説した、先ほど御紹介した究極的廃絶の旗のもとに結集すべしという演説しかないんです。八項目の中には究極的廃絶というのはありませんよ。事実関係として明確なんです、これは。いいですか。
 ということは、それじゃ別な角度から聞きますが、河野外務大臣は、明確な約束が盛り込まれたことについてこの前の委員会では一歩前進だと、こう言われました。ということは、前進したと評価されておられるんですが、明確な約束という文書は、私も何遍も紹介しておりますように、新アジェンダ連合の文書にしかございません、この間の中で。
 それはお認めになるんですね。要するに、新アジェンダ連合が明確な約束ということを表示して、少なくともそういう要求を提示したということからこういうものがかち取られたということはお認めになるんですね、その事実関係は。
#104
○国務大臣(河野洋平君) 繰り返し申し上げますが、合意ができなければ決議はできないわけでございます。どうやって合意をつくり上げるかという作業の中で果たした役割が大きいということを私は申し上げているわけでございまして、新アジェンダ連合がどういう提案をしようが、新アジェンダ連合の提案だけでは最終的にその文言が決まるということにはならないわけでございますから、我が国が果たした役割がそこにあるという、それはお認めいただけると思いますが、いかがですか。
#105
○小泉親司君 全経過は、新アジェンダ連合と核兵器保有国の協議が行われた、その橋渡しはスウェーデンであって日本政府ではないと、皆さんあちこちの論文で書いてありますよ。もしそれを否定されるんでしたら、そういう論文自体を、いろんな報告、レポートを否定されたらよろしい。意見を言われたらよろしいんじゃないですか。
 だから、私が質問しているのは、それじゃ事実関係として聞きますが、新アジェンダ連合の文書の中に明確な約束というのがある、それ以外の文書にはないと、これはお認めになるんですね。
#106
○国務大臣(河野洋平君) 新アジェンダ連合の中に明確な約束という文言があることは認めます。
#107
○小泉親司君 それ一つということは。
#108
○国務大臣(河野洋平君) どういう意味ですか。
#109
○小泉親司君 そういう要求を提示したのは新アジェンダ連合であるということはお認めになるんですねということを言っておるんです。
#110
○国務大臣(河野洋平君) それは認めます。
 ただ、それはただ単なる要求であって、それは要求したからそのとおりになるというものではないということも認めていただきたい。
#111
○小泉親司君 私は、やはり幾ら強弁をされても、全経過は、新アジェンダ連合の作業文書の中に核兵器保有国による核兵器廃絶、全廃の明確な約束をすべしと、こういうことが盛り込まれて、その要求が核兵器保有国と新アジェンダ連合とのNPT再検討会議での協議の中で、それはさまざまな国の要求がありましたよ、国の議論があってそういうことが実現されたというのは全経過から見ても明確だというふうに思います。
 それでは、もう一つお聞きしたいのは、例えば、日本政府は核兵器の期限つきの廃絶決議について、これに賛成するということは核兵器国と非核兵器国の対立を助長させて大変核軍縮を困難にするんだと、こうおっしゃっておられます。さきに私言いましたように、新アジェンダ連合の中には、単に明確な約束というものばかりではなくて、二〇〇五年までに核兵器廃絶の加速された交渉を行うということが明記されている。これはお認めになると思いますが、これは既に新アジェンダ連合が国連に提案されている期限つきの核廃絶の国連決議と同趣旨のものなんです。
 ということは、外務大臣が一歩前進だというふうに評価したこの決議、最終合意は、いわゆる新アジェンダ連合が期限つきの核兵器廃絶の要求を提案したとしても実現したことなんですね。
 ということは、外務大臣が言っているように、核兵器廃絶の決議が核兵器国と非核兵器国の対立を助長するどころか、外務大臣が言っているように一歩前進したんじゃないですか。実際にこのような期限つきの核廃絶論が、外務大臣が評価されるように一歩前進に導けたことは明確なんじゃないですか。
#112
○国務大臣(河野洋平君) どうも議員と私は残念ながら見解を異にいたします。山本政務次官が席に戻られましたから、政務次官御本人のいる前で議論をすることになって、私は大変その点は有利だと思いますけれども。
 繰り返し申し上げますけれども、新アジェンダ連合の提案と核保有国との間では合意はできない、これでは。合意ができなければ何の決議案もできなかったわけです。その間に立って日本が橋渡し役を果たした。その橋渡し役が果たせたのは、最初に日本が提案をした八項目提案というものがあったから橋渡し役としての存在感というものもそこに出てきたわけで、そういうものが、とにかく時計をとめてまで合意をしようというみんなのNPT再検討会議の重要性というものを考えた上であの案ができたのであって、じゃ新アジェンダ連合と核保有国だけで議論をしてまとまるかといったら、決してまとまらなかったと私は思います。
 そこを、こっちには書いてあるじゃないか、これができたじゃないかというだけの議論で、日本は何の役割も果たさなかったという評価は、私は議員のおっしゃることは少し無理だと思うんです。
#113
○小泉親司君 先ほど紹介しました外務省の文書でも、「核廃絶の明確な約束」ということが書いてあるんです。この中で、いわゆる新アジェンダ連合は「最終的にはこの点を取ることを最大の目的とした。米・英・中は比較的早い段階で合意したが、露・仏が最後まで反対。これが今次会議の第一の決裂の危機。会期終了二日前、NAC側」、つまり新アジェンダ連合側の「瀬戸際戦術もあり、」、ロ仏がおりてこれが実現したと。外務省がこうやって説明しているんですよ。日本政府なんか全然これ見ても出てこないじゃないですか。
 だから、それを明確に外務省自体の文書が、核兵器廃絶の明確な約束については究極的廃絶を言ったので言い出しにくい面があると。それは外務大臣、嫌だ嫌だと言ったって、外務省が言っている文書を私は読んでいるんですよ。外務大臣の言うこととこれは明確に違うじゃないかということを言っているんです。
 そこのところは、もう一つ質問させていただきますと、やはり私は、核兵器の期限つきの廃絶決議は、このNPT検討会議での交渉の結果からしても、核兵器保有国と非核兵器保有国の対立を助長して核軍縮を困難にするどころか、逆に外務大臣も認めたように一歩前進に導いたというふうには思います。その点では、新たな決議なんということを検討するより先に、私はこの期限つきの核兵器廃絶や核兵器の不使用決議、これまで日本政府は棄権の態度をとってきたんですが、こういう態度をまず改めて、こういう決議に賛成して、日本政府が積極的なイニシアをとるべきだと思いますが、この点、外務大臣いかがでございましょうか。
#114
○国務大臣(河野洋平君) 議員、ちょっと私が混乱しているのか、あるいは議員が混乱しているのか、もう一度整理をしたいと思うんですが、カットオフ条約交渉の即時開始、望ましくは二〇〇三年、遅くとも二〇〇五年までの交渉終了、これは日本が提案したものだということはおわかりですね。
#115
○小泉親司君 それは外務大臣が誤解されておると思います。核兵器廃絶論ですよ、私が言っているのは。
#116
○国務大臣(河野洋平君) 私が申し上げているのは、カットオフ条約で期限つきを日本が提案したということはお認めになりますねと。
#117
○小泉親司君 私が言っているのは、新アジェンダ連合の期限つきの核兵器廃絶決議であるとか、いわゆるドイツの外相などが支持している核不使用決議などについて国連で日本政府が賛成すべきなんじゃないですかと、こういうことを私は求めているんです。どうですか。
#118
○国務大臣(河野洋平君) 大変申しわけありませんが、今私が持っております、きょう持ってまいりました資料の中の新アジェンダ連合の決議案には期限の入ったものが見当たらないんですけれども、ちょっともう少し明確に、どういう期限がどこに入っているかおっしゃっていただけますか。
#119
○小泉親司君 実際にNPT検討会議でも、新アジェンダ連合の決議は二〇〇五年までに軍縮交渉を加速するということを明記しておりますし、新アジェンダ連合ばかりじゃなくて、非同盟諸国でも核兵器の期限つきの廃絶決議を提案しているでしょう。そういうものに賛成の態度をとるべきじゃないかと言っているんです。国連決議ですよ。
#120
○国務大臣(河野洋平君) この間のNPTの話ではなくなっちゃったわけですね、今の議論は。
#121
○小泉親司君 ですから、国連でそういう決議が出ていると私は発言しているでしょう。
#122
○国務大臣(河野洋平君) わかりました。
 確かに国連の場においては期限つきの決議を出しておられるということは承知をしております。しかし、この場合は、先ほども申し上げましたように、こうした提案は私は一つの提案だと思っております。しかし、一つの提案だとは思いますけれども、核兵器国の反対が極めて強くて、この問題は幾らそのままの形で押しても、これが合意、最終的なものになるという見通しはないというふうに考えるべきだと思っております。
#123
○委員長(矢野哲朗君) 時間でありますから、簡潔にお願いいたします。
#124
○小泉親司君 外務大臣が大分混乱しておられるようですので私がまとめてお話をしますと、これまで日本政府は、国連に提出されている核兵器の期限つきの廃絶決議ないしは核不使用決議について、これに賛成するということは核兵器国と非核兵器国の対立を助長して核軍縮を困難にするんだとおっしゃっていたわけです。
 ところが、NPT再検討会議での経過は、いわゆる新アジェンダ連合が期限つきの核兵器問題を提案し、実際にかち取られたのは核兵器廃絶の明確な約束というところで最終合意がされたんです。だから、政府が言うように期限つきの核兵器廃絶を要求したって、実際には核軍縮が困難になるどころか、外務大臣が言っているように前進したんじゃないかと、こう私は言っているんですよ。
 だから、国連でまた究極的決議のような世界を混乱させるような決議を出すんじゃなくて、非同盟諸国が言っているような核兵器廃絶の期限つきの決議や核不使用決議に賛成をして、国連の場で日本政府が積極的な核兵器廃絶のイニシアチブを発揮すべきだと、こういうことを強く要求しておきたいというふうに思います。
 虎島防衛庁長官には、質問したかったんですが、残念ながら時間がございませんので、またの機会とさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#125
○国務大臣(河野洋平君) どうも今の整理を聞いても私にはもう一つ納得がいかないので、またこの議論は続けさせていただきたいと思いますが、どうも議員の今の整理は、国連総会のときの議論とNPT再検討会議のときの議論とを、途中でそのつながり方に整合性がどうも欠けているというふうに私には思えます。もう一度これは改めて私も整理をさせていただきたいと思います。
#126
○田英夫君 最初に、これ通告をしておりませんので失礼ですけれども、練達の河野外務大臣ですからお答えいただけると思うので質問をいたします。
 北朝鮮問題ですが、昨日の日朝議員連盟で新しい会長に就任をされた中山正暉さんがあいさつの中で、まず国交正常化をなし遂げる、それを進める、拉致問題はその中で解決していくという意味のことを言われたわけです。つまり、拉致問題の解決が、あるいはミサイルも含めてでいいんですが、そういうものが国交正常化交渉成立の前提になるという考え方ではないと受け取れるあいさつをされましたけれども、これは明らかに従来の政府の言ってこられたことと違うと思いますが、これに対する外務大臣の印象をお答えいただきたいと思います。
#127
○国務大臣(河野洋平君) 政府は、国民の生命、財産というものを何よりも大事にしなければいけないということがあると思うんです。したがって、人道的な問題あるいはミサイルを含む安全保障の問題について、我々は、これを軽視すると申しますか、これを横に置いて話をするということはするべきでないと思っております。
 しかし、一方で国交の正常化というものはどうしてもやらなければならないことであることは私どもは十分承知をしております。第二次世界大戦から今日まで続いておりますこの不正常な関係を正常化することは、広く言えば国の安全保障にも当然役に立つわけでございますし、あるいは我々がやらなければならない責任というものを果たすという点でも、これは極めて重要でございます。
 したがいまして、先般の両外務大臣の会談におきます共同発表文の中には、我々は新たな善隣友好条約をつくるために最大の努力をする、そしてその一環として双方の間にある諸懸案を誠意を持って適切に処理するために最大の努力をすると、こういうふうに書いてきたところでございます。
#128
○田英夫君 もう一つ、これは予算委員会で同僚委員から出た質問でお答えが出ているようですけれども、重ねてお聞きしたいのは、北朝鮮を国家としてまず承認をする、その上に立って国交正常化交渉を進めていく、つまり国家として承認するということによって事実上外交関係を始めるという、そういう中で諸懸案も話し合う場ができるじゃないかということにもつながるわけですが、この考え方は、実は、お名前は申しませんが、外務省のかつてのトップクラスの外交官が同じ主張をしておられます。このことについては外務大臣はどうお考えですか。
#129
○国務大臣(河野洋平君) 国交正常化交渉を行うわけですから、先方の体制というものをきちんと認めるということは重要なことだと思います。先方の体制を認めないと言って交渉をするということはできないだろうと私は思います。したがって、先方の体制はきちんと認める必要があるだろうと思います。
 ただし、私の申し上げていることは、国家を承認するということとは少し意味を異にいたします。国家を承認するかしないかについては、正常化交渉がもう少し進んで、議論が進んで、固まりができてから考えるべきことであって、今から国家を承認するかしないかということを、国家を承認するということを言う場面ではないだろうと思っております。
#130
○田英夫君 私は、これは国家として承認するということを念頭に置きながら交渉するということは一つの方法だと思っております。
 それから、このことはこの委員会でもたびたび言ってきたことですが、ロシアとの平和条約交渉の場合も同じようなことが言えると思いますが、前提条件をつけて、それが解決しなければ本交渉が成立しないというやり方はいかがなものかと。
 かつてソ連時代、ゴルバチョフ時代ですが、ヤコブレフさんというゴルバチョフ大統領の右腕と言われた人が私に、日本の外務省のやり方はおかしいと。部屋に入って交渉しましょうというときに、その部屋の入り口に大きな石を置いて中に入れないようにする。石があることは事実なんだから、その石を部屋の中に置いて、それを見ながら、この石をどうやってどけましょうかという話をするのが本当じゃないだろうかということを言われたことがあります。北朝鮮との交渉の場合のミサイルとか拉致問題ということも一つの石だと思いますが、私は非常に示唆に富んだ発言だと今も思っております。
 急な質問で申しわけありませんでしたが、次は九州・沖縄サミットについてですが、先ほどの外務大臣のごあいさつの中でも、特に先般開催された九州・沖縄サミットでは、活発で実り多い意見交換を行い、沖縄の地より明るく力強い平和のメッセージを発信することができましたとあるんですけれども、どうも私はそう思わない。どの部分が沖縄から出た平和のメッセージなのか、教えていただきたいと思います。
#131
○国務大臣(河野洋平君) 九州・沖縄サミットの評価をする場合に、非常に狭い意味であのサミットにおける議論とサミットにおける声明について評価をするという評価の仕方と、少なくとも沖縄でやって、沖縄に先進国の首脳が来られて沖縄の実情も見た、あるいは日本の文化の多様性にも触れられた、そういうことからくる意味というものと二つあるんだろうと思います。
 ただ、少なくとも私が先ほど述べましたごあいさつで申しましたことは、サミットにおける議論、そしてその議論の結果、世界に発信をしたあの文章というものに意味がありますということを申し上げたわけでございます。あれ以外にも、二国間会談もございましたし、それから各国の首脳が沖縄の中で県民と触れ合ったというものもございましたが。
 沖縄サミットで、やはりもう何回も言われておりますように、あらかじめここで議論をすべき問題は三つに整理をして、アジェンダを三つに整理をしまして、恐らく二十一世紀世界が変わっていく、経済的にあるいは社会的に変わっていくとすれば、それはITによって変わってくるだろう、あるいは変化のかぎはIT革命が持っているだろうということをまず考えて、このIT革命、ITというかぎを使って新たな繁栄をお互いが享受しようじゃないかと。そのITを使う場合に、現在あるデジタルデバイドの溝は先進国ができるだけ埋める努力をしていきましょうということが一つありました。
 それからもう一つは、二十一世紀という新しい時代は明るい時代かもしれないけれども、今までなかった不安な問題もある。例えば食品の安全の問題があったり、あるいは疾病、エイズであるとかそうした感染症の問題もある、あるいは国際的な犯罪もあるかもしれない。そういう心配事にどう対応するか、そしてその心配をなくするための作業に我々は取りかかりますよと。
 そして三つ目は、世界の平和のために紛争予防というものをやろうと。できるだけ紛争予防というものを充実させていこうということがあったわけですが、これは、その部分は宮崎の外相会議で議論をして、その宮崎の外相会議の議論をそのままサミットの場へ御提言をして、そこでさらにサミット首脳の方々の御議論があったわけです。
 紛争予防というのは実はなかなか難しくて、まだまだ何年も続けて議論をしていかなければならない問題ではありますけれども、現在紛争が起きそうな予感がするといいますか、あるいは紛争が起きそうな状況になりつつある、例えばアフリカでありますとかその他の地域についてはそれぞれのケースごとにいろいろ議論もいたしましたし、あるいはその紛争を未然に防ぐ、あるいは紛争をできるだけ小規模のうちに火を消すための作業はどういうことをしたらいいかという議論をして、これによって平和というものが維持される、あるいは紛争予防というものを一つの文化としてとらえて、これを新しい時代にみんなでこの文化を育てようと、そういうメッセージを出したということだとお考えをいただきたいと思います。
#132
○田英夫君 極論をしますと、私は今度の沖縄サミットを拝見しながらといいますか、見ながら、もうG8という形のサミットは要らないんじゃないかという印象を持ったんですね。
 これから二十一世紀、人類はどうして生きていくのか、どうしたらいいのか、何が一番大事なのかということを議論するのは全く私も賛成でありますし、いわゆる先進国が集まって話をする必要がないとは言いませんけれども、今度のような形でいいだろうか。IT革命のことも、これからの人類の重要な問題であることはもう否定できないわけですけれども、それを人類全体がいい形で享受できるような、そういう方向に持っていくためにはどうしたらいいかという議論でなくちゃいかぬと。
 グローバリゼーションというのがもうマスコミを含めて善であるという前提の上に立って物事が議論されているのではないかと思います。今度のG8でもそういう感じがいたします。しかし、そうじゃない、これはグローバリゼーションは悪がむしろ多いぞという視点に立ってということになると、G8ではなくて、むしろ発展途上国、貧困に苦しんでいる人たち、そういう人たち、数から言えばそれは非常に多いわけですから、これから二十一世紀はそういう人たちをどう救っていくのか、富んでいる方は少し我慢しても貧しい人たちをみんなが助けていこうという感覚にならなければいけないんじゃないだろうか。
 今ヨーロッパはそういう感覚がまさっていると思います。アメリカはそうじゃない。まさにグローバリゼーションという哲学の中で世界を支配しようとしている。世界をそう持っていこうとしている。こういうところに来ている中で、あのG8がそういう議論を避けてやったのが今度の結果じゃないかなという気がして仕方がありません。
 確かに発展途上国の代表のような形で南アフリカの大統領や数人を呼ばれましたけれども、これは結構なことだとは思うけれども、あれでお茶を濁してしまうと言うと失礼だけれども、発展途上国の声を聞いたということにはならない。
 そういう意味で、今の私の意見に対して外務大臣、どう思われますか。
#133
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘をすべてそのとおりですとはちょっと私の立場から言いにくいわけですけれども、G8のメンバーが非G8の声を聞かなければならないということで合意をしたことは、前進といいますか変化だろうと思います。
 G8だけで相談をしてもなかなか的を得た議論というものは出てこないかもしれない、やはり非G8の意見を聞こうと。さらばといって百カ国も呼ぶわけにいかないので、そこでおいでいただいたのはG77の代表者、それから非同盟の代表者、それに、これは小渕さんの非常に強いお気持ちもあってASEANの代表者もどうしても呼ぼうということで呼んで、おいでをいただいたわけです。G77なり非同盟は多少ダブりはありますけれども、そうしたことを考えると、百カ国に近い人たちの組織のトップの方のお話は聞かせていただいたわけですが、こういうことは、これが定例化していくかどうかはわかりません。次の、来年はイタリーでございますから、イタリーがそういうことをやるかどうかはわかりませんが、少なくとも我々はああいうことをやってよかったなという感じはしております。
 さらに、NGOの意見をどう聞くかとか、いろんなまだ問題はあると思います。まだいろいろ考えなければならないことは幾つかあるなという感じはしております。
 それからもう一つは、国連は二〇〇一年に、文明対話の年というふうに位置づけて国際社会の中にある文明の対話をやろうということを言っておられるわけですが、やはり本当は世界の首脳が集まって文明論みたいなことを一遍やられるというのは一つの非常に意味のあることではないかと。
 ただし、これはもう大いに私もそういう主張をしたんですけれども、周りも心配をしまして、もしそんなことをしたらもうほとんど収拾のつかない議論になる可能性があるということも、全くこれは茶飲み話程度ですが、ございました。私はもう収拾なんかつかなくてもいいからお互いに文明論をわあっと言ってみたらどうだということも実は自分の頭の中では考えておりましたが、やはり一つ一つ積み上げることも大事でございまして、さっき申し上げた紛争予防なんかは来年のイタリーでもやはりこの続きはやってもらえるものというふうに思っております。
#134
○田英夫君 まさにあと半年足らずでもう二十一世紀ですから、二十一世紀というのはどういう世紀にすべきかということ。
 二十世紀というのは、ちょうど私などはその大半を生き抜いてきた人間ですが、便利とか発展とか開発とか、そういうことが本当にある意味ではプラスだったと思います。子供のときにおふくろから、将来はテレビジョンというものができて世界じゅうのことがこの居間で見られるようになるんだそうだよという話を聞いていたら、今やもう全くそれが常識になっている。しかし、それが本当に人類にとっていいのかどうかということを、さっきのグローバリゼーションの問題に関連をして本当に考えます。
 二十一世紀というのは、便利とか開発じゃいけないんだ、IT革命はセーブしても、もっと人間がみんなで心豊かになるということを考えるべきじゃないか。それにはG8のサミットじゃ答えは出てこないんじゃないかという気がします。
 きょうはTMDのことを防衛庁長官と議論をしたかったんですけれども、時間がなくなってしまいました。終わります。
 ありがとうございました。
#135
○田村秀昭君 私は自由党でございますので、自由党は、重要な安全保障政策の一つとして防衛庁の国防省への昇格を強く主張しております。
 国家としての基本を整えるという意味からも、特に冷戦後、PKO、国際協力、邦人救出、政府専用機の運航、大規模災害の救助等、省であるのが当然という時代になってきているわけです。国際関係上も、安全保障なくして平和なし、抑止なくして対話ないという国際常識でございますので、国防省にして国際関係上も高い信頼度を得られるのではないかというふうに考えております。
 技術的には、防衛庁長官は、内閣法によって、主任の大臣ではないので、所管の法律、政令の制定、廃案、自衛隊の重要な活動、派遣等に当たって閣議の開催を求める閣議請求権を持っておりません。したがいまして、緊急事態には対処できないような事態が起こり得る。そういう状況でありますので、予算の請求権も防衛庁長官の名前では出せないというような状態で二十一世紀を迎えるということは、甚だ私は国家の基本として、その基本を整える意味からも国防省への昇格を強く主張する次第であります。
 長官もきょうのごあいさつで若干述べられておりますが、防衛庁長官の御決意を承りたいと思います。
#136
○国務大臣(虎島和夫君) ただいま防衛庁の省昇格と申しますか、移行について大変御理解のあるお話を賜りまして、力強く存じておるところでございます。
 私としては、きょうごあいさつで申し上げましたとおりの所見を持っておるわけでありますが、御承知のように、このことは一応法律ができまして、その後いろいろ御議論があることも承知いたしておりますが、これは行革会議最終報告にありますとおりに、政治の場で議論すべき問題という位置づけをいただいておるわけであります。
 国の防衛の重要性が増大しておりまして、国防を専らつかさどる主任の大臣を置き対応させるべき時期であると、私もそう思っております。しかしながら、国防組織を省とすることは、国家として基本を整え、国民の生命、財産を守り、国の平和と独立の確保を全うすることにつながると思っておりますけれども、いずれにしてもこれは政治の場での議論が活発に行われ、深められていくことを期待するという現状であることを御理解いただき、今後ともよろしく御協力をお願い申し上げます。
#137
○田村秀昭君 防衛庁長官は政治の場での議論ということもおっしゃっておられますが、国民の生命、財産を守り抜くという決意のもとに、長官御自身の強い御決意で省昇格に邁進されるように期待いたします。
 次に、外務大臣にお尋ねいたします。
 本日の外務大臣のごあいさつの中で、先般開催された九州・沖縄サミットでは、活発で実り多い意見交換を行い、沖縄の地より明るく力強い平和のメッセージを発信することができましたとおっしゃっておられますが、ちょっと自画自賛過ぎるんではないだろうかというふうに私は思っております。二十一世紀を展望する平和サミットとしたいという強い念願もあってその時期と舞台を整えたわけですが、平和に対する歴史感覚を持った深い政治的討議を議長国としてリードしたとは私は考えられない。
 先ほども申しましたように、安全保障なくして平和なし、抑止なくして対話なし。平和と安定に向けての協調と将来像を政治主導で各国が分かち合うことが何よりも重要だったはずであります。
 朝鮮半島を議題としながらも、北朝鮮のミサイルや拉致問題がいかに日本国民にとって重要なのかを理解させることもしませんでした。台湾の目と鼻にありながら、中国・台湾問題にも触れていない。NMDの問題についても、各国さまざまの意見があるのを知りながら何の具体的前進のための努力もされなかったというようなことで、私は我が国自身に明確な外交安全保障政策の理念、方針がないからじゃないかというふうに思うんです。
 なぜ今東北アジアで不透明、不鮮明な要件があるにもかかわらず、そこを避けて、議論されなかったのか、そこのところが私はよく理解できない。何となく相手の嫌がることは言わない、仲よく、お人よし日本というような感じを、お祭りみたいな感じで終始したんではないだろうかと私は考えているんです。
 ただ、警察、自衛隊等の綿密な警備によって事故が起きなかったということは非常に労を多としなきゃいけないんじゃないか、それは大成功だったんじゃないかというふうに思いますが、日本が当面するいろいろな国益に関する話について議論を議長国として避けて通ったと、そういう感じがして、先ほどの外務大臣のごあいさつのこの文章はちょっといかがなものかなと。自分で自分を納得させるには結構かもしれませんが、ちょっと国民をばかにしているんじゃないかなというふうに私は思うんですが、もし間違っておったら御指導をいただきたいと思います。
#138
○国務大臣(河野洋平君) 御指導いただいてありがとうございます。
 確かに、沖縄サミットは、警備をしてくださった皆さんの御努力、一番の私にとってありがたかったのは地元沖縄県民の皆さんの大変な御協力、こうしたことがあって初めて沖縄サミットは事故もなく行うことができたという点はもう議員のおっしゃるとおりだと思います。
 議論の中身について申しますと、これはいささか考え方がいろいろございまして、と申しますのは、先進国首脳会議は特定の国の国益を論ずる場所ではないのでございます。むしろ国際社会全体を視野に置いて議論がなされる。しかも、今回の場合には物によってはかなり中長期の話をするということもございました。
 地域情勢、まさに安全保障にかかわる地域情勢について言えば、先進国の首脳が集まって、今国際社会をずっと見渡して、やはり一番問題なのは例えば中東問題であろう、中東和平がいよいよ最後の場面に来ていると。この中東和平についてどうするか。これは一つの八人の合意、みんながそうだと、これは一番問題だと。これはだれしも異論のないところだと思います。あるいはコソボを初めとするバルカンの問題も今極めて重要な問題だと。これもみんなそのとおりだということでございました。それからアフリカ、これはもう最近のアフリカの内乱と申しますか、アフリカにおきますさまざまなトラブル、これはもう本当に頭の痛い問題で、これについても議論をしよう、それはそうだと。これらはいずれも世界の首脳が考えてみて今議論をしなければならない問題なのでございます。
 例えば、ロシアのチェチェンの問題をテーマに議論をしようと言っても、これは合意ができませんでした。ロシアは、全然こんなことは心配事ではないと。これはただ単に我々がテロリストたちを、言葉はちょっと悪い言葉で申しわけありませんが、テロリストたちを退治しようと思ってやっていることであって、国際社会の皆さんがとやかく言う話ではありませんよと。国際社会の中には人道的な問題があると言って指摘をした国もありますけれども、これはそういう問題ではありません。これは合意がございませんでした。
 私どもは、これは私どもというのは、まず宮崎の外相会議で、私出席をしておりましたので、私どもは、アジアの問題はぜひ議論をして地域情勢の中に入れてもらいたいと。どこが問題かと。朝鮮半島の動きは極めて最近刮目して見るに値する、この問題はぜひ議題にしてもらいたいと。さらにもう一つ言えば、インドネシアと東ティモール、この地域の問題について議論をしてもらいたいと。それもそうだなというところまででございまして、それ以外の問題について今世界の首脳が、あそこが危ない、あそこの問題を急いでことし議論をしなければならないという問題意識の中に入ってきていないんです。
 そうしたことを我々としても考えて議論をしませんと、それは中東和平の問題、バルカンの問題、アフリカの問題、こういった問題に比べると、それはもちろん一つ一つのトラブル、一つ一つの状況というものはそれぞれ隣接国にとっては大きな問題であることは間違いありませんけれども、すべてそういうわけにいかないということもあるわけでございまして、私どもは、地域情勢の中で議論をしたのは、そうした各国の何といいますか認識の一致というものがあって初めてそれが議論になったと。
 そして、サミットの場では、その中からさらに森総理が非常に強く提案をされて、朝鮮半島問題については特別声明という形で別途出すべきだという議長国としての非常に強い提案があってこれは特別声明になったということが状況でございますので、その点はぜひ御理解をいただきたいと思っております。
#139
○田村秀昭君 時間がありませんので、また外務大臣のお話を承りたいと思いますが、一つ戦時中、南方特別留学生制度というのがございまして、御承知だと思うんですが、アジアの人たちを日本に呼んで東大と陸軍士官学校と宮崎の農学校で教育をした、勉強をした。それで、その人たちが戦後、各国に帰って指導者になり独立をかち得たという事実があります。李登輝さんなんかもそうだし、ノンチックというマレーシアの上院議員なんかもそうです。
 それで、ぜひODAで日本の大学等に、向こうの発電所やダムをつくるのもいいですけれども、物じゃなくて人づくりの制度を外務省でお考えいただけたらありがたいと思いますので、これはもう時間がありませんので、質問通告もちょっとおくれておりますので、外務大臣にぜひお願いしておきたい。
 それで、これはイギリスが行っている、オックスフォードとかああいう大学で優秀な人をそういう制度的なシステムで、やっぱりすばらしいイギリス人よりもあなたは立派なイギリス人であるというようなお墨つきをつけるとみんな人間というのはその国が好きになるということもございますので、ぜひ人づくりの留学生制度をODAで行っていただけないだろうかということをお願いして、私の質問を終わります。
#140
○国務大臣(河野洋平君) 大変私どもにとりましてもうれしい御提案でございまして、ぜひその御提案は実現をさせてまいりたいと思っております。
 留学生制度が、つまり人づくり、人材育成というものは非常に重要だというふうに私どもも認識をいたしておりますので、今の御趣旨を生かしたいと思っております。
#141
○佐藤道夫君 私からは、御列席の委員各位は多分もうお忘れになっているんだろうと思いますけれども、私一人が忘れない問題、NECの水増し請求問題について防衛庁にお伺いしたいと思います。
 実は、一昨年から昨年にかけて防衛庁は納入業者の水増し請求問題で大揺れに揺れたと。身内の高級幹部からも逮捕、起訴される者が出てきた。こういうさなかに、最大手の納入業者であるNECがみずから出頭してきた。自首してきたんでしょう、我が社もやっておりましたと。五年間で五十億ぐらいと。その手口は、二重帳簿をつくる、あるいはまた人件費のかさ上げをする、こういうことでやっておりました、まことに申しわけないと。
 この水増し請求というのは、私、再三言っておるんですけれども、明らかにこれ詐欺罪であります。百万円しか請求する資格がないのに、権限がないのに、いろんな帳簿を操作したり書類を操作したりして二百万を請求すれば差額の百万円は詐欺罪と、こういうことになるわけでありまして、この場合、ねらわれたのは国家の財産でありますから、税金泥棒と言われても仕方のないような犯行で、極めて重大、悪質と、こう言っていいわけでありまして、それが五年間で五十億と。
 防衛庁は早速調査に入ったが、この結論がなかなか出てこない。一体何をしているんだと、これ私だけじゃなしにほかの委員の方々も防衛庁に、当委員会が開かれるたびに尋ねておりましたけれども、当時の防衛庁長官は、何しろうちの職員は帳簿がわからない、工数計算もできない、情けない限りであると。外部の公認会計士の先生などを頼んで解明にも当たっておるが、しかし、いずれにしろ速やかに結論を出して委員会に報告いたしたい、こういうことをはっきり言っておりましたが、そう言っても、何カ月もたってもなかなからちが明かない。
 一体どうしたのかと、こう思っておりましたら、去年の十二月になりまして突然防衛庁は記者会見をして、実は調査が終わりまして、五年の五十億ということじゃなしに十年余りで二百八十億ぐらい、その金利を合わせると三百十六億か何かになる、これはNECが返納いたしましたので、ある意味では一件落着、これでおしまいということでNECの取引停止処分も解除いたしましたと。こういうことでありまして、私、これ大変憤慨いたしたわけであります。
 国会に報告をいたしますということは、国会に報告をして、国会の意向もある程度しんしゃくいたしまして最終処分を決めるということでありましょう。それを何か国会を飛ばしてしまって、一方的に発表してこれでおしまいと、こんなことが許されるのだろうかなと思いまして、一体これでいいのかと言いましたら、三月ぐらいになって正式にこの委員会に報告がなされましたが、そのころ何か国会はたしか立て込んでおりまして、この問題について詳しく議論をする時間的な余裕もなかったように思っておりまして、つい延び延びとなって、私が今ここでこの問題を取り上げているということであります。
 私が最初にお聞きしたいのは、NEC側の調査に対する協力態度です。
 これは、論ずるまでもなく、みずから自首してきたわけでありまするから、今さら証拠隠滅をするとか黙秘権を行使するとか、そんなことはないと思います。防衛庁の調査に対して進んでいろんなことをそれぞれのポストに応じて、下の者は帳簿の説明をする、中間管理者は中間管理者としての当時の気持ちを説明する、上の者は上の者ということで、防衛庁の調査には極めてスムーズであったと、こう思いますけれども、そう理解してよろしいですか。
#142
○政務次官(鈴木正孝君) 今お尋ねございました過払い問題でございますけれども、御案内のように防衛庁は、平成十年の十一月から十一年の十二月にかけまして、日本電気の自己申告を受けまして、同社の防衛事業関連部門に対して過払い額の算定のための特別調査を実施いたしました。
 その結果、先ほどお話のございましたような、日本電気の防衛関連部門におきまして多年にわたって工数を水増しした見積もり資料を防衛庁へ提出したと。こういうようなことのほかに、同社の決算書に連結する正規の原価元表とは別個に原価監査に用いる虚偽の原価元表を作成したり、これはいわゆる二重帳簿ということなんでしょうか、あるいは正規の原価元表の工数を操作するなどして過大な代金の支払いを受けていたことが判明したということでございます。
 その調査の過程、承知する限りにおきましては支障なく行われたというようなことでもございますので、それなりの誠実な態度で臨んでいただいたと、このように思っておりますが、いずれにしましても、こういう事案が発生した大きな問題、それは日本電気内部に、契約企業は信義に従って契約を誠実に履行していただく義務を負っているということ、あるいはその提出する資料は真実のものでなければならないと、これは当然のことなのでございますが、こういうことについての認識が欠如していたのではないかという、その辺の問題があったというように承知をしております。
#143
○佐藤道夫君 お言葉ですけれども、過払いというのは払い過ぎたということでありまするから、それは第一容疑者は防衛庁だと、こういうことになってしまいますよ。なぜ率直に、水増し請求があって、知らないで払ったというふうな言い方をなさらないのか。大変おかしいと思います。
 いずれにしろ、防衛庁は知らないで払い続けてきたということになるんでしょうけれども、見抜けなかったんでしょうか、率直に言いまして、こういう不正な請求について、その点はいかがでしょうか。
#144
○政務次官(鈴木正孝君) 先ほどのお話を御答弁したわけでございますけれども、契約企業との間で契約が信義誠実に従って行われるというのは当然のことでございますので、真実の資料が提出されていなかったというようなこと、本来ならば、おっしゃるように防衛庁側において早期にそういう事態が回避できるように発見をしてそれなりの指摘ができるということが一番望ましいわけでございますが、結果的にはそうはいかなかったと、こういうことでございます。
#145
○佐藤道夫君 そういうことまで見抜けないとしますと、果たしてこの国の安全が守れるのかどうか、多分に私も疑問に感じますけれども、まあそれは冗談というふうに理解してください。
 私が一番知りたいのは、これは組織ぐるみの犯罪であることは明らかなんですけれども、一体どの段階までの了承を得てこういうことが多年にわたって行われてきたのかということなのでありまして、末端の社員がこんなことを自分の一存でやるわけは一切ありませんから、課長級なのか。課長級だってやらない。部長級の一存でまたこういうこともやらない。やっぱり役員の指示を受けてこういうことが多年にわたって行われてきたと考えるのが当たり前のことなんですけれども、そういうこともやはり調査をする上からは極めて重要な問題だと思いますので、部長級、役員級についてどの範囲までそういう調査をなさったのか、教えていただければと思います。
 そしてまた、NECの回答はどうだったのか。そんなものは末端の者がやったんだ、我々偉い者は知らなかったんだと、こう言っているのか、我々も実は知っておってそれをやらせていたんですよというのか、どちらなんですか。
#146
○政務次官(鈴木正孝君) 防衛庁といたしましては、日本電気から本件につきまして、いつだれがどのようにして始めたかというような点について確定することは困難というような、そういう説明を受けております。
 日本電気の幹部の責任につきまして防衛庁としては申し上げる立場には必ずしもあるわけではございませんけれども、平成十年の秋の事案発覚以来、会長、社長の辞任のほか、幹部の人事異動等も行われ、不祥事再発防止のための経営監査本部も社内に設置されるというような対策が講じられたというような、そういうことを承知しているということでございます。
#147
○佐藤道夫君 再発防止というお言葉を使われましたが、再発防止にとって一番肝心なことは、事犯の全貌を明らかにしまして、とらせるべき責任は申しわけないけれどもとらせるということだろうと思います。その辺をごまかしてしまったのでは、また同じようなことが続けて起きてくるというおそれもあるわけでありまして、先ほど聞きましたら、極めて協力的であったということなんですけれども、その責任問題になってきますと、どうして追及ができなかったというんでしょうか。
 これだけのことを一体だれの考えでいつごろから始めて、それが順次以後の役員たちあるいは社長、会長に引き継がれてきたのか、それぐらいのことは聞くのは必要なことでありましょう。何も遠慮することではないと思いますけれども、いかがなんですか。
#148
○政務次官(鈴木正孝君) 今、繰り返しの御答弁になって大変恐縮ではございますけれども、具体的にいつだれがどのような形でこういうことを始めたかということについて、日本電気側から、確定することは難しいというそういう趣旨の説明を受けているということで、私どももそのように承知しているという、そういうことでございます。
#149
○佐藤道夫君 防衛庁の次官や防衛局長あるいは調達本部長が向こうの社長や会長を呼んで、一体なぜこんなことが起きたんですか、あなた方これをとめようとしなかったんですかとか、そういう質問は当然なさったと思いますよ、それぞれの立場立場に応じまして。
 それをやっていないとすれば、防衛庁自身にこの事犯の全貌を明らかにする気がないんだと、それしか言いようがない。やっぱり問題はどこにあったのかということをお互い協力し合って探り合って、そしてその結果を理解し合って、二度とないようにしましょうよと言って初めて再発防止ということが行われるわけですけれども、一切そういうことをやっていない。
 何で防衛庁はNECにそんなに遠慮するんですか。社長や会長を呼んで、場合によったら長官が直接お会いして、本当に君困るじゃないか、二度とあってはならないんだ、なぜこんなことになったのか説明してくれよと言うことは当たり前のことだと私は思うんですけれども、いかがなんでしょうか、そういうことをやったのか、やらないのか。
#150
○政務次官(鈴木正孝君) 会社の幹部を呼びまして、防衛庁側で、先ほどお話ししたような、いつ、どういう形で、だれが始めたのかということを問いただした結果、先ほどお話ししたような回答といいましょうか、いつ、だれが、どこで、どのような形で始めたかということについて確定することは困難だと、そういう回答があった、このように承知をしております。
#151
○佐藤道夫君 役員たちは、じゃ、我々は知らぬのだ、こんなものは課長や部長が勝手にやったことだと、こういう弁解だったんでしょうか、しからば。
#152
○政務次官(鈴木正孝君) 繰り返しで大変恐縮でございますけれども、今確認をしている限りにおきまして、会社の担当の責任者にこのような事態が発生したことについてどのような経過をたどってこうなったのかということを聞いたところ、先ほどの御答弁のような回答があったと、こういうことでございます。
#153
○佐藤道夫君 しからば、NECの幹部というのは実に卑劣な人間たちだと、こういうふうに断定してもいいと思いますよ。何かこれだけの三百億というふうな水増し請求を下の者の責任に押しつけちゃって、我々は知らぬのだ、これから注意しますよと、そんなことを言っておるんでしょうかね、大変不思議としか言いようがない。
 それで、雪印の問題を考えてみると面白いんですけれども、ああいう問題が起きますと、日本の企業は記者会見をいたしまして、会長、社長、お歴々が席に並びまして、そして深々と頭を下げて、もう本当に申しわけない、二度といたしません、反省いたします、再発も防止するため頑張っておりますということを皆誓約するんです。
 NECは全然顔が見えてこないんですね。一切この問題で社長が会見すると聞いたこともありませんし、三百何十億ですよ、それだけの被害を国家に与えておいて、ふん、返せばいいんだと。それだけのことなんでしょうか。
 これも前に言ったことがあるんですけれども、子供が泥棒をする、親がとがめる、しかる。子供は、なに、じゃ返せばいいんだろうということを言う。そこで親が真剣にしかり飛ばして、そんな問題ではないんだ、返せばいいで済む問題じゃないんだと、それで済むなら警察は要らないという言葉もまたありますけれども。
 いずれにしろ、真剣に反省させる、する。そのためにはやっぱりああいうセレモニーも必要だと私は思うんですけれども、NECの幹部が一切表に出てこないのは一体何だろうか。やっぱり自分たちは全然知らなかったんだ、一種の被害者なんだ、悪いのは下の連中だ、こういうふうに考えてそういうことを言っているんでしょうか、いかがでしょうか。
#154
○政務次官(鈴木正孝君) 防衛庁から先ほど御答弁したような状況の照会等をやったわけでございますが、日本電気から防衛庁の請求額の全額を国庫に納入するということ、そしてまた同社の幹部が調達実施本部の幹部に謝罪をしているというようなこと等を含めまして、あと社内での不祥事の再発防止のための対策も講じているというようなことを含めまして、同社として非を認め反省しているものというように承知をしております。
#155
○佐藤道夫君 その反省をする、非を認める、それは国民の前でやることにおいて意味があるのでありまして、密室で防衛庁の幹部に申しわけないと頭を下げてみたって国民は全然理解できないわけですから、国民の前できちっと、雪印の社長連中がああやって謝っておるでしょう、ああいう態度をなぜNECがとれないのか不思議としか言いようがないわけであります。
 それはそうと、これもまた前にもお聞きしたことがあるんですけれども、なぜ刑事告訴をしなかったのか。犯罪があると知った場合には公務員は告発、告訴をする義務があるわけです。法律において課せられているわけです。二百何十億という膨大な税金を盗まれた。それについて告訴をしないというのは全然理解できない。やっぱり日ごろお世話になっている会社だからそこまでやるのはどうかと、そんな考えがあったんでしょうか。
 それは大変おかしいことで、やっぱりこういう問題は司直の手にゆだねて、司直が判断をして、これだけ反省をしておる、被害も弁償しておる、じゃもう処罰には値しない、そういうことを司直が決めるなら、それはそれでわかるんですけれども、一行政官庁が、そう言ってはなんですけれども、一大臣がこんなものは処罰する必要はないなんて判断する資格はないんですからね。それも私は不思議でしようがない。
 別に厳重に処罰してくれという意味じゃなくて、司直の手で解明すべき点は解明して、責任をとらせるべきは司直に考えてもらう、それが告訴、告発の制度ですから、それを利用しないということは、やっぱりNECと不思議なつながりがあるとしか言いようがないんですけれども、いかがでしょうか。
#156
○政務次官(鈴木正孝君) この辺につきましても委員からたびたび御指摘をいただいているというようなことでもございますが、刑法二百四十六条詐欺罪に関しまして、これはもう先生御専門でございますからよく御案内のとおり、実行行為者その者を処罰するということでありまして、その者の属する法人または法人の代表者を罰する両罰規定が存在をしていない。要するに個々の従業員等に係る犯罪ということでございます。
 防衛庁の調査は過大請求額の算定を目的としたものでございまして、その過程で不特定多数の従業員等が工数を水増しした資料を提出して、防衛庁が結果として過大な支払いをしたことを把握したということでございます。
 個々の従業員等について、国から過大な支払いを受けることを意図し、または認容した上で工数を水増ししていたか否か、それらの者同士が不法な利益を得ることについてどのような形で意思を通じていたかなどについて明確な犯罪事実を把握しているというようなことでもございません。
 防衛庁として、あるいは行政機関として告発ということになる以上、明確な犯罪事実に基づいて行うということが相当ではないかと考えておりまして、明確に犯罪事実を把握していない状況での告発ということは適切ではないというように考えているところでございます。これはかねてより委員にお話ししているところでもございます。
#157
○佐藤道夫君 犯罪の理論とか告訴、告発の目的なんかをあなたから別に説明されなくても私十分承知しております。
 いずれにしろその辺は、ですから警察や検察の判断することなんで、犯罪があるという疑いを持った場合には告訴をするというだけのことなんで、末端の社員と社長が共犯かどうかということもまたこれ検察、警察の判断することですから、とりあえずこれだけの犯罪がありました、捜査はどうぞということでお任せするのが告訴、告発の制度なわけですよ。それをやらないからおかしいということを言っているわけであります。
 最後になりますけれども、NECから自民党に対して過去何年にもわたって年間五千万ぐらいの政治献金が行われておる。私、これ前にも取り上げまして、前の長官に、少なくともこういう問題を起こした企業から、大政党、政権を担っている自民党が献金を受け取るということは大変問題である、三年か五年か期間を切って献金を受けることを拒否したらどうか、そしてNECが反省したら改めて考えると。
 何か、献金を受けているから、じゃ刑事告訴もしないのか、あんなことをやり放題にやらせておいて、その会社から献金はもらっている、一体自民党という政党は何なんだと、国民は皆そう思うでしょう。だれも思わないかもしれませんけれども、私はそう思っていますよ。なぜ献金についてきちっとした対応を示さないのか。
 前の長官は、すぐ持ち帰りまして本部にそれを伝達いたしましてということを言っておりましたが、それはそれでそれっきりなんですね。本部に伝達したら本部は何と言ったのか。やっぱりもらっておけ、五千万は大変な金だ、返す必要はないと、こう言ったのか。
 その辺のところをもし引き継ぎがあるならばお聞かせ願いたいと思いますし、今からでも遅くはないので、新しい長官がこの問題を取り上げて、一体NECから継続的に献金を受けていることをどう考えるんだろうか、みんなで議論をしてみようやということぐらい新しい二十一世紀の政党のあり方を考える上からも私は必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#158
○国務大臣(虎島和夫君) いろいろとこれには過去にいきさつがあり、先生からまた厳しい御指摘をいただいたということも、この通告を受けた後で報告をいただいております。
 政務次官もいろいろその間勉強しまして、私ととにかく一緒に一カ月前この職についたばかりでありますが、私から見れば、よく調査をして、よく懇切丁寧な答弁をしていただいたと、こう思っておりますが、いずれにしても政治献金問題は我々防衛庁がかかわる話ではありませんので、これはもうそちらの方の、何といいますか、防衛庁長官としてコメントする立場にはないということだけはひとつ御理解いただきたいと思います。
 それから、実は防衛庁で今取り組んでおる大きな問題があるわけですが、これはやっぱり事故を徹底してなくそうということで、それは、一つはやっぱり訓練等々で起こす人身事故というのをもう絶滅を期してやろうじゃないかと。もっと幅の広い検討、研究もして、せっかく国を守ろうとしてきた人方が犠牲で亡くなるということについてはきちっとした対応、分析もやろうと。それで、今人事局を通じてやっているわけです。
 事故のもう一つには、今おっしゃったような、そういうようなこともあり得るわけです。したがって、運用に対するそういう事故等についても、御指摘をよく体しまして、今言った事故の絶滅という範疇の中でさらに取り上げていきたいと思います。
 告訴、告発等のこともございましたけれども、私も法律知識はありませんけれども、役所としては過去にも検討したけれども非常に難しい面もあるということの説明を受けましたので、そうかなという認識を持っておりますが、いずれにしても、防衛庁内における事故絶滅、人身事故から運用上に関する事故撲滅、その中でしっかり検討、勉強していきますので、趣旨を体してどうかひとつ御理解いただきたいと思うわけであります。
#159
○佐藤道夫君 終わります。
#160
○委員長(矢野哲朗君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#161
○委員長(矢野哲朗君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 外交、防衛等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#162
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#163
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#164
○委員長(矢野哲朗君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#165
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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