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1950/12/08 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 予算委員会 第10号
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1950/12/08 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 予算委員会 第10号

#1
第009回国会 予算委員会 第10号
昭和二十五年十二月八日(金曜日)
   午前十時三十二分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十五年度一般会計予算補正
 (第一号)(内閣提出・衆議院送
 付)
○昭和二十五年度特別会計予算補正
 (特第一号)(内閣提出・衆議院送
 付)
○昭和二十五年度政府関係機関予算補
 正(機第二号)(内閣提出・衆議院
 送付)
○昭和二十五年度予算の国民経済に及
 ぼす影響に関する調査の件(調査報
 告書に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○理事(藤野繁雄君) 予算委員会を開会いたします。
#3
○木村禧八郎君 厚生大臣に二つばかり御質問申上げたいのです。第一は今度の給與法改正におきましていわゆる調整号俸の切下げに当りまして、特に厚生大臣の御管轄であるこの医療関係の職員です。癩とか結核、精神病、そういうような非常に精神的にも肉体的にも非常に苦痛の伴うそういう医療に関係している職員の調整号俸が従来に比して、これまでに比して著しくまあ切下げられるわけなんです。この点につきまして恐らく厚生委員会でもそういう質疑応答があつたと思われるのでありますが、特に私は前にこの医療関係についてはですね、どうも国立病院、或いは国立の療養所ですか、そういうところについてはいいお医者さんがなかなか来にくいのです。いいお医者さんはみんなまあ民間に行つてしまうというこういうことをよく聞くのでございますが、それはやはりお医者さんの待遇がですね、特別職でないために十分にされてない。そういうところに先ず根本の問題があると思うのですが、それより先ず差迫つては今度の調整号俸のこの切下げにつきまして厚生大臣といたしましてですね、どういう交渉があつたのか、厚生大臣は御担当の厚生行政の立場からですね、これに対して切下げを防ぐと、こういうような御努力を拂われたのかどうか、これは私は重大な問題だと思うのです。この点について厚生大臣の御意見を伺いたいわけです。
#4
○国務大臣(黒川武雄君) お答えいたします。調整号俸の問題は、従来非常な努力苦心の結果できたことであるということは私は承知しておりますが、この度減率になりましたことについては実際私ども木村委員のおつしやる通り非常に特殊の関係にありますので、身を切られるような感じがいたしております。ただこの埋め合せにつきましては、職階制の制定の際に考慮することになつておるのでありまして、それで将来とも従来の特別の号俸について十分考慮して努力したいと思います。
#5
○木村禧八郎君 職階制を変える場合に考慮するということは具体的にはどういうことでありますか。又時期的にはどういうことなのでございますか。もう少し具体的に伺いたいのです。
#6
○国務大臣(黒川武雄君) 聞くところによりますと、今年中に職階制の制定がある。その際に十分に考慮してもらうようにこちらも努力するつもりであります。
#7
○木村禧八郎君 これは今年中と言いますと、いつ頃ですか、今年度ですか、本年中ですか。
   〔理事藤野繁雄君退席、委員長着席〕
#8
○国務大臣(黒川武雄君) 今年中と私は聞いております。十二月。
#9
○政府委員(河野一之君) 前々回の国会におきまして職階制に関する法律案が通りまして、新らしい見地から各公務員の職階というものがきまつて来まして、現在のものは一般俸給表と特別俸給表とございますが、必ずしもその間において職制の関係或いは勤務内容の関係で権衡がとれておらない、それを根本的に考え直そうということで、職階制の法律が通りまして、目下人事院においてこれを検討中である。今年度中に一応の案を得たい、できれば二十六年度からでありますが、或いは財源等の関係でその先に延びると、或いは二十七年度からになるかも知れないのでありますが、目下鋭意検討中であります。それで只今厚生大臣の申されましたことをちよつと補足して申上げるのでありますが、この前一昨日でありましたか、私の申上げたことにも関連いたすのでありますが、実は二千九百二十円ベースの当時におきましては、一般の職員は拘束四一・五時間、実働三六・五時間であつたのであります。当時国立病院におきましては拘束五十一時間、実働四十八時間ということで一応の給與体系がおのおの成立つておつたわけであります。六・三ベースになりますときにそのままの勤務時間を前提といたしまして、六・三ベースというものは施行されたし、でき上つたわけでありますし、実際それか施行されました二十四年の一月におきまして、一般公務員のほうはこの拘束四一・五時間というものが四十四時間に上つたわけであります。従いまして、一般職員のほうからいいますと、この俸給を勤務時間だけでいいますと上げにやならん、こういう実情があつたわけであります。併しこれは病院のみでなしに、ほかの職務一般関係のことでありますが、一応の既得権でありますので、これを全部勤務時間の関係で剥奪するということは適当ではありませんので、今回は二分の一程度残すことにいたしました。併しこの調整号俸ということ自体が甚だ考えて見れば不自然な話でありまして、一般の職員より特別のものが一号乃至二号、甚だしきに至つては、五号程度高いものがあるのでありますが、そういうものでなしに、むしろ勤務の内容に応じて特殊勤務手当、例えば病院なんかでいいますれば、特殊勤務手当、或いは伝染病のときなどは特別の救治手当、そういうもので考慮すべきではないかというのが一般の意見であります。今回としましては、そういう点について特にこの問題を切下げるというようなことをいたしておらないのであります。以上一応申上げます。
#10
○木村禧八郎君 只今主計局長から御説明承わりましたが、厚生大臣はやはり主計局長が御説明になつたような内容で了解されたわけでございますか。
#11
○国務大臣(黒川武雄君) その通りでございます。
#12
○木村禧八郎君 そうしますと、私は厚生大臣にはそういう立場でお認めになつたのですと、厚生行政の立場からこの医療の問題について御理解がないと断定せざるを得ないのであります。なぜならば、成るほど今河野主計局長の言われたことは、一般の職員について言われておることであつてこれは一心了解できます。併しその他の点についてもまだ不満がありますが、例えば盲聾唖学校の先生とか、そういう先生の調整号俸を切下げるということについても反対でありますけれども、問題を医療関係に限れば厚生大臣御承知かどうか存じませんが、すでに昭和二十三年三月十五日に国立病院、国立療養所職員の特殊勤務手当委員会というものができまして、そこで、これは厚生大臣の諮問委員会であります。そこでの答申があつたわけであります。その答申では調整号俸の比率がお医者さん、それから歯科医師、これが一〇〇%、それから看護婦、看護人が一〇〇%、それから病理細菌技術者、患者関係事務職員、レントゲン技術者、こういう人も一〇〇%、その他又歯科の技工とか消毒等々、それと清掃人、こういう人も一〇〇%、こういうふうに、まだ細かくございますが、等々となつているのです。或いは最低六〇%、こういうふうになつておる。更に又昭和二十三年十月八日、中央労働委員会会長の末弘嚴太郎氏から臨時人事委員会、厚生大臣、大蔵大臣、国会の厚生委員会に建議したその比率はやはり只今の厚生大臣の諮問委員会である先ほどの委員会が答申した比率と同じであります。更に又全日本国立療養労働組合の意見も同じであります。こういう世論が出ておるわけであります。厚生大臣の諮問機関としてそういう答申があつたわけです。厚生大臣はこういう答申を参考にされたかどうか。今度の医療関係の職員の調整号俸切下げに御賛成をされたときに、労働時間が、先ほどの拘束、実働の労働時間が一般の職員に接近して来たという点だけでそうお考えになつたというのでは、厚生行政としての立場からも御理解が全然なかつた、而もこういう答申があるのでございますから、これは私は非常に遺憾だと思います。そういう時間だけで考えるのは間違いである。厚生行政の……本当に厚生大臣もこれは恐らく同感だと思うのです。癩とか精神病、或いは肺結核、人の最もいやな、非常に精神的にも国体的にも苦痛の伴うそういう職務に献身的に、本当に私は犠牲的だと思う。尊いものだと思うのです。そういう所に働いておる人たちはそういう観点からなぜお考えにならなかつたか、これこそが厚生行政でなくてはならない。單に一般の人との時間差だけで考えるということは、私は厚生行政の立場を無視されたものと思う。なぜこの点から御努力されなかつたか。こういう答申があることを御存じなかつたのですか。
#13
○国務大臣(黒川武雄君) 答申につきましては承知いたしております。ただ一応この度の号俸の件につきましては承諾いたしたのでありますけれども、特別の考慮をするという閣僚間の了解事項がございましたので、それに信頼して、且つこれからは私の努力によりまして実際の收入において減ることのないように努力するように考えております。癩とか結核につきましては特に私は関心を持つておりますので、決してそれを冷淡に片付けたのではないことを申上げて置きます。
#14
○木村禧八郎君 そうすると実際の收入において減らないようにするということは、調整号俸の、今度の給與法改正において調整号俸が切下げられましたが、その切下げされない前の状態に復するようにお考えになる、こういうことなんですか。
#15
○国務大臣(黒川武雄君) その具体案につきましては厚生省におきましても或いは調査費の名目とか、いろいろの名目においてでもそういうふうにしたいと、こう考えるのであります。
#16
○木村禧八郎君 私はそれだけでは不足であると思うのです。先ほど厚生大臣は答申の内容を御存じだとお答えになりましたが、先ほど申上げますように、殆んど一〇〇%の調整の比率でありますが、ところが今度の調整号俸の切下げ前には最高一八%から最低五%になつております。答申案との開きは著しいものです。非常に微々たる程度しか反映されていない。而もそれが今度は一八%の人が一三%切下げられ、一五%の人が九%に切下げられ、一二%の人が七%に、五%の人が三%に切下げられておる、今度の政府案による給與法の改正によりますと……。これではその答申とますます遠ざかつてしまつた。むしろ今度の調整号俸の切下げ前よりも更に上にする努力をお拂いになるのが私は当然じやないかと思うのです。答申案通りには無理があるかも知れませんが、ほぼ答申に近いことが、これが輿論に近いことになるのです。それで只今のお話ですと、大体切下げ前にする程度のお考えのようですが、それでは足りないのじやないですか。御理解があるということは言えないと思うのですが、どうですか。
#17
○国務大臣(黒川武雄君) 私の性質上、或る程度できますという目標が立ちますれば、それ以下のことをお答えするような性質でございますから、そういうことになつたのでありますが、木村さんのおつしやる通り、それは又答申案の通りに実現するということはもとより私の考えでございます。
#18
○政府委員(河野一之君) 厚生大臣の申されましたことに附言して申上げますが、現在五級職の看護婦の本俸だけで三千五百六十五円もらつておるわけであります。これが調整号俸が二号上でありますので、普通のものでありますれば、三千五百六十五円のものが三千七百七十二円もらう、二号上でありますから二百円ほど多いわけであります。今度の号俸切下げで、ということは少し言葉が徹底いたしませんが、三千五百六十五円のものが普通でいえば四千四百五十円になる、それが四千四百五十円が、一般の職員がそういうふうに切替わるわけでありますが、それを元の通りの調整号俸で行けば四千七百五十円になる、これを四千六百円にするというのであります。一〇〇%というふうにおつしやることはよくわかりませんが、本俸が倍になるとかそういうふうな調整号俸ではないのでありまして、本来的に申上げますとこういうものは同じ勤続年数、或いは学歴等によりましても職務の内容が違う場合におきましては、むしろこれは特殊勤務手当の問題で解決すべき問題であつて、調整号俸の問題として解決するということはこの際としては適当ではないじやないか、というような考え方を持つておる次第であります。
#19
○木村禧八郎君 今後特殊勤務手当という形で考慮されるというその御意見については、そういうことについては私はやはり正しいと思う。併し今度の切下げについて今お話の五級一号ですね、そうしますと三千五百六十五円、これが四千二百二十三円に調整して、調整比率が一八%、こういうことになるのです。それが今度の改正によりますと一三%の調整になる、五%下がるとこういうことになるのじやないですか。
#20
○政府委員(河野一之君) 従来のあれで参りますと、これは一号違つておるものと二号違つておるものとございまするから、癩とか何とかいうところは二号違いますから三千五百六十五円のものは、普通のものが一般職のほうで行きますと、三千五百六十五円が三千七百七十二円に癩療養所の看護婦がなつておる、その通りに変つて行きます。これは割合をとりますとおつしやるように四千七百五十円になるかも知れません。
#21
○木村禧八郎君 結局結論ですが、先ほど河野主計局長のお話を聞きますと本年度というお話で、先ほど厚生大臣が本年十二月中以内というお話であつたのですが、それは今年度ということははつきりしたと思うのですが、やはり本年度なんですか、先ほど本年中と言われたようですけれども……。
#22
○国務大臣(黒川武雄君) 間違いです。本年度です。
#23
○木村禧八郎君 そこで本年度も、河野主計局長は研究中で或いは来年度になるかも知れない、こういうお話だつたのです。そこで我々のほうは今問題にしておるのは当面の問題を問題にしておる、将来については成るほど先ほど主計局長の言われたように特殊的な俸給にすべきだと、或いは又特別職的な給與にすべきだとこういうふうに私は思うのですが、当面として時間差だけでこの問題を扱われるのは余りにも技術的で、本当の厚生行政の立場をちつとも反映されていないと思うのですが、この点何とか厚生大臣一つもつと努力される必要があるのじやないですか。予算上どのくらいこれが来るものかどうか
#24
○政府委員(河野一之君) 大体政府職員全体として百七十万人のうち一般号俸の適用を受けますものが百十万人ほどあります。それからいわゆる調整号俸を受けますものが電通、郵政、これが大部分でありますが、大体六十万人程度、電通郵政合せて約四十四、五万人にもなりますから、若しこの調整号俸を元通りに直すといたしますと二十億程度の金が要ると思います。
#25
○木村禧八郎君 二十億円程度の財源がないわけじやないと思うのですが、財源の問題についてはいろいろこれは別に質疑をいたすごとにいたしまして、全体でどの程度なんですか。ですからどうか当面の問題として今後は私はこういう問題について厚生上やはり厚生大臣が厚生問題について本当に理解があるかないかのバロメーターになるようにも思われるので、これは本当に真剣な問題であると思いますので、一つ更に今当面の問題として御努力を願えるかどうか。
#26
○国務大臣(黒川武雄君) お言葉の通り、極力努力をいたします。
#27
○木村禧八郎君 もう一つ簡單に御質問を申上げたいと思うのでありますが……。
#28
○佐多忠隆君 今のにちよつと関連して、委員長……。
#29
○委員長(波多野鼎君) 佐多君。
#30
○佐多忠隆君 今のお話の二十億というのは三カ月で二十億ということですか、年間のなんですか。
#31
○政府委員(河野一之君) 年間でございます。
#32
○佐多忠隆君 それからそれを補うために特殊勤務手当等を考慮するというお話ですが、それは具体的な措置としてはいつ頃からどれくらいになる御予定ですか。
#33
○政府委員(河野一之君) この問題は人事院の所管でありまして、人事院におきましては職階制の問題と併せて御考究中なのであります。いずれ御成案を得ると思うのでありまして、その際におきましてはこれによつてやつて行くつもりでおります。
#34
○佐多忠隆君 そうすると、その職階制の改正というのは今年度中に行われるのでありますか。
#35
○政府委員(河野一之君) 先ほど申上げました通りでありまして、目下人事院におきまして一般公務員の全体につきまして各職種についてどの程度の格付をいたすべきものか御研究中であるわけであります。できるだけ本年度内ということでお急ぎになつておるようであります。どの程度進捗したか私はまだつまびらかにいたしておりません。
#36
○佐多忠隆君 そうすると、職階制の改正あればそれに伴つてそれに関連して特殊勤務手当の増額分だけは予算の補正の方法で更に考えるというふうに了解していいのですか
#37
○政府委員(河野一之君) 大体おつしやる通りでありますが、職階制というものにはこれは勿論経験年数学歴もございますし、これに職務の性質によつてどの程度の職階……これは勿論給與が伴うが……、ということがきまりますと同時に、又同じような職種の間におきましても非常に職務の性質、例えば危險の問題であるとか、或いはその他余り人の喜ばない職種、そういうふうなもので特殊勤務手当、或いは不健康地に勤務するとか、或いは学校の職員で多数の学級を持つ職員で、職階制と特殊勤務手当と交錯する分は職階制と特殊勤務手当と一緒にどうしても検討せられなければいけないが、従来特殊勤務手当というものを、余りこれはいろいろの関係で特殊勤務雪はできるだけ動かしたくなくて、調整号俸のほうでこれを加減しておられるというのが実情でありまして、従つて同じ学校を卒業して同じ勤続年数、学歴でありながら或る職種におきましては給與が高い、こういうことになつてそれが恩給にも響き、いろいろなトラブルがあります。従つてそういうような面は勿論職種の如何により給與も差別もありますが、そういつた面はむしろ特殊勤務手当で考えたらいいじやないかというのが一般的な考えでありまして、そういう趣旨の下で両方かみ合せて目下検討中でありまして、解決される場合におきましては両方一緒に解決せられるというふうに私は考えております。
#38
○佐多忠隆君 両方一緒に解決される場合に、これは人事院のほうに私たち改めて別にお願いしますが、今言つたような調整号俸を切下げられたものが、特殊勤務手当によつて完全に補完されるような待遇になることを切に希望しますし、厚生大臣、是非この点は全力をお盡し願いたいことと、もう一つはそれに関連して今大蔵当局のはつきりした言明があつたのでございますから、それに関連して若し経費の増加があれば補正予算なり何なりの形において確保して頂くように、ここで一つお約束を願いたい。
#39
○国務大臣(黒川武雄君) 極力努力いたします。
#40
○木村禧八郎君 河野主計局長に、先ほど癩療養所勤務の看護婦の五号一級、それが四千七百幾らと言いましたが、四千二百二十三円の間違いじやないですか。
#41
○政府委員(河野一之君) どういう御調査によりますか、二号俸上でありますから、もし二号調整をそのままいたしますと四千七百円になり、一号になりますと四千六百五十円になると私は思つておりますが、どういう御資料でありますか、一応拝見いたしまして……。
#42
○木村禧八郎君 こちらでは基本額三千五百六十五円に対して六号で六百五十八円の調整号俸、四千二百二十三円、こういうことになるのです。……それでは又あとでお伺いします。
 それから次に健康保険料の引上げの問題です。健康保険料の引上げられた根拠はどういうところにあるのですか。
#43
○政府委員(安田巖君) 健康保険の現状は、だんだん終戰後利用者が殖えて参りまして、私どもといたしまして受診率という言葉を使つておりますが、これが数倍に上つて来たのであります。昨年と比べましても大分上つて参りまして、健康保険経済の現状を申しますと、若し今のままで参りますと、二十五年度の年度末におきましても、大体十一億数千万円の赤字が出るような状況であります。そこでこの赤字をなくして行かなければ、給付のほうが円滑に参りませんので、何とかしたいと思いましていろいろ他の方法も考えて見ましたけれども、どういう方法をいたしますにいたしましても、現在のところでは被保険者にどうも影響が大きい。勿論私どもも料率を引上げますことは好んでおりませんけれども、他の方法に比べますれば、先ず千分の五くらいの料率の引上げは、被保険者としては一番影響が少いのじやないか、ということで料率を上げまして、その赤字を少くし、なお二十六年度におきましてはその引上げられた料率において大体保険経済のバランスがとれる、こういう見通しで上げた次第であります。
#44
○木村禧八郎君 赤字の多くなつた原因はどういうことですか。
#45
○政府委員(安田巖君) 赤字が出ました原因は、受診率が多くなりましたことであります。
#46
○木村禧八郎君 この保険料の納め工合はどうですか。
#47
○政府委員(安田巖君) 保険料の徴收の成績は、昨年が大体九割でございまして、一割が本年度に追い送られているのであります。今の赤字が十一億と申しましたのは、一応百パーセント徴收できるということで申上げたのでありまして、若し昨年通り本年度も九割ということになりますというと、本年度の年度末におきましては二十八億ばかりの赤字になつて来るわけであります。併しこれは全部が取れないのではございませんので、時期が多少遅れますけれども、二十六年度に歳入として繰越しまして、その年度で又取つて置く、こういうことでございます。
   〔委員長退席、理事羽生三七君委員長席に着く〕
#48
○木村禧八郎君 そうしますと、二十八億の赤字になる。九割とすると二十八億、取れた場合には十一億の赤字というものはどうなるのですか。
#49
○政府委員(安田巖君) 二十八億の中に十一億を入れての計算でございます。
#50
○木村禧八郎君 この料率引上げの場合に、取れない保險料ですね、それを見込んでやはり料率を改訂されたわけですか。
#51
○政府委員(安田巖君) 料率の引上げは徴収成績とは無関係でございますが、今のところでは昨年が九割で、それが本年度に追い送られて来たのでありますが、本年度の終りに大体九割くらいで、一割の滞納分が二十六年度に引継がれるのであります。そこで恐らく木村委員の御不審に思われるのは、二十八億が年度末の赤字になれば支拂いに困りませんかということを御懸念になるのじやないかと思います。この二十八億の中で若し千分の五だけ上げて頂きますと、即ちこれが二十四億ばかりでありまして、純粋なる赤字がそれで八億ぐらいになるのであります。二十四億の足りない分は、年度末におきましてほんのちよつと十日か二十日ぐらい支拂いが遅れるかと思いますけれども、私どもの計画では現に二十五年度におきまして国庫予備金の繰越使用を三十億お願いしておりますが、その三十億を借りまして、明年におきましてその使用を許して頂きますならば当面の支拂いには困つて来ないのじやないか、そういうことも計算に入れまして、これは料率を引上げたのであります。
#52
○木村禧八郎君 この十七億の赤字の原因ですが、どの方面の未納が多いのですか。徴收できないのはどの部分ですか。
#53
○政府委員(安田巖君) 一割の滞納につきましては相当大きい事業所得もございますけれども、やはり小さいところが多いのではないかと思つておりますが、今確かな資料は持合せておりません。
#54
○木村禧八郎君 それは資料はあとで頂きたいのですが、雇用者側が多いのか、そういうことなんです。或いは事業者側が多いのかということです。
#55
○政府委員(安田巖君) 保険料の納入は御承知と思いますけれども、給料の中から差引きまして、その負担は事業主が半分と雇用者が半分と、半分ずつ出すわけでありまして、従いまして納入の責任者は事業主になりまして、形の上では事業主が納めないということになります。事業主が自分が金があるのに納めないということになりますれば、我々といたしましても、いろいろ告発もいたしまして、嚴重にやつておりますが、今のところの実情を見ますと、遅拂いなんかがございまして、現に職工なんかにも抑えないがために保険料が入つて来ないというところも実際の問題であると思います。
#56
○木村禧八郎君 それではおかしいと思うのですが、事業主が働いておる使用人から取つた保険料を納めないために保険の給付が困難になつて、その尻ぬぐいに保険料の引上げという形で、これをカバーする。これは非常に矛盾してはいませんか。
#57
○政府委員(安田巖君) 最初申上げましたように、滞納分をカバーするために保険料の料率を上げたのではありません。滞納分につきましては、先ほど申上げましたように、一応入るものとして、純粋の赤字が十一億何がしになりますので、それをカバーするために千分の五を引上げた、こういうことです。
#58
○木村禧八郎君 併しながら若し二十八億の赤字、このうちから十一億引いて十七億が完全に取れれば、実際において給付が非常に楽になる。
#59
○政府委員(安田巖君) 給付は楽になりますけれども、とにかく保險経済のこの数字の上では、一応歳入歳出についてのバランスというものを合せる必要があるわけでございます。絶対的に赤字になるというものを、私共としては放つて置くわけに行かない、こういう趣旨でございます。
#60
○木村禧八郎君 それはそうですけれども、私はその厚生行政の上からいつて、こういうやり方がいいかどうかということですね。その保険料率の引上げをここでやつて、それは結果からいつてやはり先ほど言つたことになると思うのです。労働者から取つた保険料を事業主が何に使つているかわかりません。運転資金に使つているのか、税金に使つておるか知りませんが、そうしてそれを納めない、その犠牲が保險料の引上げに影響して来ていると私は思うのです。やはり来ていないとは言えないと思うのです。どうもこれは一つの手近な例として御質問しているのですが、どうもいろいろな政府の厚生行政のやり方は、だんだん具体的に検討しますと、そういう非常に非厚生的な面がたくさんあると思うのです。これは教育も一つの顕著な例、先ほどの医療の問題もそうです。昨日質問いたしました米価の引上げ、お米は、收入のある人はお米を食べろ、收人の少い人は麦を食べろ、そういうふうに食糧配給の価格体系を作る。全体としてそういうふうに非常に非厚生的な行政になつて来て、だんだん末端の行政を調べて行くとそうなつておるのです。この点はどうしても考慮されなければならんと思うのです。この点全然考慮する必要がない、そういうようにお考えですか。厚生大臣から一つ……。
#61
○政府委員(安田巖君) 大体保険のことだけにして頂きたいのですが……。
#62
○木村禧八郎君 よろしうございます。
#63
○政府委員(安田巖君) この保険の料率を上げまして、負担が殖えることは、勿論私どもも好まないところでありますが、併しこれをやりませんと、現在のところでは支拂いができなくなりまして、健康保険法の運用が非常に不円滑になつて行くという瀬戸際でございますので、一番影響の少い措置を選んだというようなことになつたのであります。で今のお話の保険料を納めない者がありましても、現在の制度から言いますと、保険料を納めないからといつてその者に給付を、反対給付としての給付をしないということは社会政策的に見ましても好まないことでありますので、一つ徴收のほうは極力手を盡しまして、差押等もどんどんやつておりますけれども、そういうふうに手を盡しまして、成るべく一〇〇%取る。それでも足りない分だけは今回のように千分の五ですが値上げをして行きたい。実はこれをやります前にもいろいろ他の方法を考えて見ましたのでありますが、結局この被保險者の利用がだんだん殖えて来たということが、主たる原因でありますので、今回はこれぐらいに一つお願いをいたしまして、更に又根本的な対策を引続いてやつて参りたいと思います。
#64
○木村禧八郎君 議論をしても時間が無駄ですから止めますが、社会保障制度の問題が非常に重要化しておる時期に反対のそれと逆行するような傾向が出て来るということは非常に遺憾です。殊に被傭者側から保険料を取つて、事業者のほうで納めないということは、相当これは問題だと思うのですね。それを運転資金に使つたり税金に使つたりされたのでは、納めるほうはそれは非常に割切れないと思うのですがね。この点は当局は十分考慮されたいと思うのです。
 それから厚生大臣に先ほどの全般的な考え方、これはもう私が大臣に御説明するまでもなく、大臣は相当進歩的な方だと思うのです。よく御理解があると思う。従つてこの民主国家における行政の目的、政治の目的というものは、結局厚生経済を確立することで、ウエルフエアということが一番大事だと思う。そのための社会保障制度であります。ところが吉田内閣のいろいろな政策面については、厚生としての度合、ウエルフエアの度合、これは私は逆行していると思うのです。いろいろな面において反民主的に、反厚生的だと思う。この点は十分お考え願いたいと思うのです。具体的の問題が出ているのでありますから……保険の問題、それから医療の問題、それから米価の問題、これは直接御担当じやないのですけれども、やはり大きな意味の厚生行政から言つて、米価の問題もやはり大きな問題であります。厚生の度合という面から、消費者米価のことも問題であります。そういう場合には閣議において厚生行政の面からも、御発言して主張されるべきだと思うのであります。こういう点について今後十分考え直して頂きたい。厚生省というのが本当は一番重大な使命があるのじやないかと思うのであります。厚生省が全体の勢力を引張つて行くくらいのあれじやなくちやいけないのじやないかと思う。イギリスの政策を見ましても、社会保障制度というものが全体の政策の中で非常にウエイトが大きいのですから、この点についての御所見なり御決意を承わつて置きたいと思うのであります。
#65
○国務大臣(黒川武雄君) 厚生行政の重要さは私も十分承知いたしております。ただ吉田内閣が逆行するような政策をとるとおつしやいましたが、現在の国家財政上止むなくやつておりますようなことで、私としましては厚生行政が、国政の中の最も重要な部門であるということは十分承知いたしておりますから、できるだけ皆様の御支援を頂きまして、予算におきましても、厚生行政に関する予算を十分に将来取れますように、一つ皆様も御考慮願いたいと思います。
#66
○木村禧八郎君 只今厚生大臣は、予算が窮屈だからということをおつしやいましたが、予算が窮屈だからこそ厚生の度合、厚生行政が必要なんです。ピグーが言つておりますね、富者の負担において貧者の犠牲がカバーされる度合が大きいほど厚生の度合が大きいのだ。ですから日本が敗戰して経済的に困れば困るほど、厚生を高めるためには、限られた予算の中で、そういう貧者なり困つている人のほうに予算なりいろいろな経済施策に多くウエイトをかけて行くのこそ厚生行政であると思う。そのほうが厚生であります。日本の予算が限られているから厚生行政は困難だというのはおかしいので、逆に、限られておるからこそ厚生行政が重要だと思うのですが、その点はお考え違いないようにお願いしたいと思うのです。
#67
○吉川末次郎君 厚生大臣に予算に関連してお聞きいたしたいのでありまするが、厚生省は医薬行政をお取扱いになつておるわけでありまして、直接間接に予算の全面に亘つて関連性があると思われるのでありますが、今厚生大臣が当面していらつしやいまする厚生行政の主要なる課題といたしましては、一つは社会保障制度の問題と、一つは新聞紙面を賑わしておりますところの医薬分業の問題であるかと考えるのであります。それで社会保障制度のことにつきましても多少意見もあり、又大臣にお尋ねしたいこともありますが、平素御親交を得ておりまする黒川さんに、過日もこの問題についていろいろ私の意見を申上げたことがありまして、本日は専らその一つでありまする医薬分業の問題につきまして再度御質問申上げたいと思うのであります。
 この医薬分業の問題は御承知のごとく非常に古い日本の医薬制度上の懸案でありまして、又国会におけるところの多年の政治、法律の問題で、立法府の問題になつて来ておるのでありまして、それは明治の初年に我が日本の国が旧来の草根、木皮の漢方の医薬を捨てまして、西洋の医薬を採用いたしまするや、西洋には医療を掌るものとして医者というものと、薬剤師というものが二つある。日本では、医者のことを薬師とも申しまして、当然に薬剤師と医者というものが分れていなかつたのでありますが、西洋ではどこの国でもそれが分れておるというので、西洋医学の輸入と共に、日本に従来なかつた医薬を分業いたしまして、医師のほかに薬剤師という一つの医薬技術の担当技術者を作らなければならないことになりまして、太政官の布告であるかと思いますが、議会によるところの法律以前の法律でありますが、薬品営業、並びに薬品取扱規則というものの中に、やはり西洋の文明諸国が採用いたしておりますところの医薬分業制度を原則的に規定いたしたのであります。併しながら薬剤師というものが日本にはなかつたのでありまするから、学校を建てまするや、帝国大学の中に、医学部の中に医師の養成機関でありますところの医学科を設け、薬剤師の養成機関でありますところの楽学科を作る。又地方に官立医学専門学校を作りまするや、金沢、長崎、或いは千葉その他の地方におきまして医学専門学校を建設いたしますや、帝国大学におけると同じように医師の養成機関といたしましては、医学科を作る、薬剤師の養成機関としては薬学科を設けて、一時も早く法律が規定いたしておりますところの西洋の文明諸国と同様に、医薬分葉制度を、その制度の上に実現するということを原則として参つたのであります。でありますから、先ほど申上げました薬品営業、並びに薬品取扱規則におきましても、例外的に、臨時的に、一時薬剤師がないのであるから、漢方医の制度において用いておつたところの医者が薬を患者に與えているということを例外的に許して来たのであります。併し薬品に関するところの法律は、その後若干たびたび変更されて、今日の薬事法になつておるのでありますが、その精神はずつと今日も伝承されておる。今日の薬事法におきましても同様に、調剤、及び薬品を交付するということは、これは薬剤師の当然の職業であつて、職務であつて、医師が投薬するということは例外的なものということは、明白に法律に規定されておるのであります。明治初年においてこそそういう制度を輸入いたしまして、薬剤師もなかつたことでありますから、例外的に臨時的にそういうことを規定して医師に兼業を許しておつたのでありますが、今日におきましては薬剤師の養成機関というものは非常に殖えまして、薬剤師の数も殖えまして、全国を通じて薬科大学、従来の薬学專門学校でありますが、それがいずれも大学になりまして、相当なる数の薬科大学が今日作られ、又東京の国立大学、京都の大学等にもそれぞれ従来のごとく薬学科がありまして、その数は今はつきり覚えておりませんけれども、十分文明諸国と同じように法律が所期いたしておりますところの医薬分業は、実施することができる時期に到達して来ておると思うのであります。厚生大臣も御承知のごとく、先にマツカーサー元帥の招聘によりまして、日本の医薬制度、殊に薬事行政を観察せしめるために、マツカーサー元帥が招聘いたしまして、米国の薬科大学の教授カリフオールニア大学の薬学科の部長、その他米国薬剤師協会の代表者を招聘しまして、日本の薬事制度を検討せしめた、そうしてそれらの視察団が帰国に際して、マツカーサー元帥に勧告いたしました勧告書の中には、一時も早く日本は野蠻国にのみ行われておるところの、医薬制度というものをば、文明国と同様に医薬分業制度にしなければならん。それは一年とか二年とか、或いは十年というような長い日を待つべきものではなく、即刻行うべきものであるという勧告書をマツカーサー元帥に提出いたしまして帰国したのであります。それでマツカーサー元帥は、GHQの公衆衛生の担当者でありますところの、お医者さんであるサムス准将を通じまして、厚生省に勧告書を送付して、その勧告書に基いて適当な処置を早急にとるべきことを、厚生省に言つて来ておるということは、もとより御承知のことであると思うのですが、それに応じて厚生省のほうでどういう手をお打ちになつたのか、私ははつきりと詳しいことは知りませんが、私が大体伝え聞いておりますところによりますと、早速厚生省のほうでは医師会の代表と、薬剤師会の代表と、歯科医師会の代表をお呼びになつて、この勧告書に基いて即刻医薬分業を実現することについて、いろいろ御相談になつたのでありますけれども、意が整わないで不調に終る結果になつた。なおその際サムス准将は、これら三団体の代表者に対して同様に医薬分業の実現を慫慂しておられたということを、大体文書等において私は拝見いたしておるのであります。そのサムス准将のその際の言葉の中にも、アメリカからやつて来た者が一番不思議に思うことに二つある。一つは医者が薬を売つておるということであり、一つは歯科医が器具を売つておるということであるというようなことを言つておるのでありまして、そうして先に申しましたアメリカの薬科大学の薬学科の部長、その他によるところの勧告書の実現を非常に慫慂せられておると思われるのであります。それで以て今日までそうした事理明白なる……文明諸国の、いずれもがこれを行なつて知りまするところの医薬分業制度が、日本においてそれが問題になつてから七十年の間、この議会におきましてもたびたびそれらに関する法律案が出たのでありますけれども、出る度ごとに多数を獲得することができないで、少数で否決されておるような結果を来たして参りましたということは、いろいろ原因があるだろうと思うのでありまするが、その原因として考えられますることの一つは、自然科学の内容というものをば議員その他一般の人が十分によく理解していない。即ち医学というものの内容としていることがどういうことであるか、薬学の内容としていることがどういうことであるか、大学において薬学科と医学科があるが、この薬学科は医学科と違つてどういうことを履修研究をしているのであるかというようなことがはつきりわかつておらんということが、一つの大きな原因になつて来たと思われるのでありまして、黒川厚生大臣は、その部下には薬務局をお持ちになり、又薬務局長には薬学博士の慶松一郎君等も就任いたしておられるのでありますから、十分そういうような素人が考えておりまするような自然科学的無智から解放されて、十分医学と薬学の差を知つて、西欧の文明諸国が薬剤師に必ず薬の取扱をさせ、調剤さしている、医薬分業を行なつているという理由は、自然科学的な面からも私は御了解になつておると思うのですが、それが一つであつたと思う。それからもう一つは、患者の負担が多くなつて高くなるのじやないかということが一般に言われて来たのでありますが、ところがこれがいろいろ調査されておる結果を見まするというと、患者の負担は決して高くならない。現在でも薬剤師会は、大体において医師会の薬価の半額の薬価でその調剤をしておるのでありますから、薬価の合理的な標準に基くならば、決して患者の負担は重くならないということが言われておるのであります。これは医薬行政は結局イギリスの労働党がやつておりまするように、医薬の国営に進むべきものだと思いまするが、絶えず成る程度の政府の統制が要るものだと思いますが、その統制を通じて薬価が高くなつて、患者の負担が決して現在以上に多くならないという処置は、厚生省当局の行政によつて、十分これは統制して行くことができると思うのであつて、これも私は心配する必要はないと思うのであります。
 又第三に今日までできなかつた理由の一つは、医者のほうが薬剤師に比べるというと数も多いし、非常に社会的な勢力を持つておる。そのために議員が医師の社会的勢力に牽制せられて極めて理不盡なところの医師の利己的な我慾、欧米諸国ではすべてそれが対等のものとして社会的にも待遇され、分業が行われて、それから大病院においてもすべて医者が薬の調剤をしたり薬を渡したりしているということはない。陸海軍においても、もうなくなりましたが、過去の陸海軍においても軍医というものと並んで薬剤官というものがあつて、何も軍医が調剤して兵隊に薬を渡していたのではないのでありますから、これは極めて事理明白なところなのであります。ところが今の自然科学的な無智と、薬価が高くなつて患者の負担が多くなるだろうということの一つの理由、これは專らその医師の立場、医師のほうから社会的に宣伝して来たことでありますが、それもそうでない。そうして第三の理由は、即ち残されているところは医師の社会的勢力がそういう自然科学的な無智を基本といたしまして、そうして自己の優越せる社会力によつて、そうした誤つた観念を国民の間に非常に拡がらして来た。そうしてその影響を議員が受けて来たということが今日までたびたび帝国議会等に提案された医薬分業案が否決されて来たところの私は理由であろうと思うのでありますが、今かようにしてGHQからのいろいろな慫慂もあつて、当然に多年の問題を今解決しなければならん時期に厚生省当局は迫られておると思うのでありますが、厚生大臣は先ず第一にこの医薬分業制度の実現ということについてどのようにお考えになつているか。医薬分業制度はGHQのマツカーサー元帥に提出されたところのアメリカ薬剤師協会の勧告書、或いはサムス准将の言つておられる通り又日本の薬事法が原則的に規定しているように正しいものである。一時も早く日本の社会に実現しなければならないものであるとお考えになつておられるかどうかということを先ず第一に承わりたい。
#68
○国務大臣(黒川武雄君) お答えいたします。医薬分業の問題は、今非常に注目を惹いておりますし、デリケートな問題でございますが、私の意見を只今申上げるわけには参りませんが、厚生省ではどういうことをやつておりますかということを申上げて置きたいと思います。只今厚生省には、臨時診療報酬調査会と、それから臨時医薬制度調査会の二つの調査会を設けております。その二つの調査会におきまして、医薬分業すべしという結論にまだ達しておりませんので、医薬分業すべしとなりましたならば、どういう方法にしてやるかということも医薬制度調査会の答申を得ることになつております。だんだん審議も進んでおりますので、早急に医薬分業問題も結果が出ることと私は存じておりますが、只今のところ私の意見だけは申述べないほうがよろしいかと存じます。
#69
○吉川末次郎君 自分の意見を述べることを控えるということ私は医薬行政を管掌していらつしやるところの主管大臣として甚だ責任逃れの言であると考えるのであります。法律で明らかに医薬分業というものが原則的に正しいものであるということを明白に法文に現わしておるのであります。又そういう原則に基いて日本の教育機関といたしましては、先ほど申しましたように、大学には医学科と並んで薬学科、医科大学と並んで薬科大学というものが多数建てられておるのであります。然るにそれを卒業いたしましたところの薬剤師というものは当然に自己が履修して来ましたところの専門的な学問というものをば社会のために使うことができない。その若干の者は製薬会社の技師になつたり、或いは県庁の衛生試験の技師のようなことをしておりまするが、大部分は自分が高等学校を出て、更に大学で四年間薬学というものを研究して、その上更に国家検定試験というものを受けて、そういう特殊の技術力を持ちながら、少しもその技術力を発揮することができないのでありますから、街で見まするというと、塵紙や歯磨を売つたり、焼いも屋のおやじと同じようなことをやつて、辛うじて生活を立てておるということが今日の状態であります。黒川さんも西洋においでになつて、当然私は御承知だろうと思うのでありますが、どこの国も医者が薬を売つておるようなところはないのであります。例えばドイツで申しますれば、ドイツの薬剤師、アポテーカーというものの地位は、非常に高い。外の国においてもそうであります。多くは街角にありまして、又薬局の設備も非常に立派なものであります。日本も薬局は医薬分業になりましたら、立派なものにしなければならんと思うのでありますが、化学実験室も持つております。又私が暫らくおりましたベルリンの丁度向い側のところに薬局がありましたが、西洋の薬剤師はすべて大学卒業生でありまして、ドクトルのタイトルを持つております。学士と言いますか、博士と言いますか、そういう学位を持ちまして、更に二三年間実習をしなければ薬剤士の免状は與えられないのであります。私の近所におりましたそのアポテーカーのごときはモーニング・コートを着ておりまして、処方箋を持つて調剤をお願いに行くにはお辞儀をしなければなかなかしてくれない。(笑声)こういうことはドイツの官僚主義で喜ぶべきことではありませんけれども、それほど見識のあるものでありまして、医師や或いは弁護士と同じような、完全なるこれは高等職業、レベラル・プロフエツシヨンであります。ところが日本の薬剤師は大学を卒業しましても焼いも屋のおやじや、八百屋のおやじと同じように、塵紙を売つたり、歯磨粉を売つたりして辛うじて暮しておるのであります。法律では明らかに薬剤師というものを設けて、西洋諸国におけると同じようなその技術力をば社会のために活用すべきことをば、又活用さすために教育しておるのでありますが、それが行われていない、行われていないのは全く先ほど申しましたような医者の利己的な我慾というものが、薬剤師が当然持つておるところの條件というものを收奪して、そうして我儘なことを世人の自然科学的無智に乗じて、横行しておるからなのであります。それを恐らくあなたは当然に解決するところの衝に置かれておるところの厚生大臣として黙認しておいでになるのである。それが正しいのであるか、それが悪いことなのであるかというようなことが、どうして厚生大臣として意見を発表することができないのでありますか、何のために厚生大臣があるのでありますか。
#70
○国務大臣(黒川武雄君) お答えいたしませんのは責任逃れを申しておるのではございませんので、お答えしないほうが只今の段階においては適当だと考えるからであります。なお御意見につきましては医薬分業の結論に達しますについて十分私は尊重いたしたいと思います。
#71
○吉川末次郎君 それでは私は更にお尋ねいたしたいと思いますが、先ほど申しましたところのGHQの公衆衛生の担当者でありまするところのサムス准将が言われたこととして、大体こういうことがその中の一節としてあるのであります。現在の薬事法により誇大な、且つ不正な効能を言いふらして国民より搾取を行う場合を防止する重要な処置がとられなければならない。このようにして現在の売薬屋の誇大広告を禁止しておりまして、薬業者にも一つの忠告を與えておるのでありますが、その半面に医師は薬を売るにあらずして、自己の専門の職能を活用することにより治療の向上を行い、薬剤師は出来合の売薬によるよりも、先ほどサムス准将が言つたような誇大広告によるような出来合の売薬によるよりも、医師の処方に基く調剤によるべきである。こういうことを言つておられます。又現在のこの医薬兼業制度ということは非常に遺憾なことである。そうして分業というものがそれぞれの専門の学問というものを研究するものであるから、先に申しましたように一時も早くこの分業が行われるようにしなければならんということを言つていられるのでありますが、あなたは然らばあなたのほうに回付されて来ておりまするところの先ほどの勧告書、及びこれらのサムス准将の医薬分業を即刻行うべしというところの言に対してどのようにお考えになつておるかということを、一つもう一度御答弁を願いたい。
#72
○国務大臣(黒川武雄君) 先ほど申されました臨時の調査会の設立に際しましてサムス准将が出席されまして言われた言葉は、秩序立てて漸次実行に移すべきであろうと思うが、調査会において十分審議して答申しろというお言葉でございました。私はそのお言葉に従つて調査会に対してその審議を命じ、そうして今調査会において検討中であります。
#73
○吉川末次郎君 サムス准将の言を黒川さんが解釈していらつしやるように私は解釈いたしておらんのでありますが、それについてはあえて問いませんが、先に申しましたところの薬剤師協会の勧告書についてはどのようにお考えになつておりますか。アメリカ薬剤師協会の一時も早く分離を行うべきものであるという言に対してはどのようにお考えになつておるか。又重ねて申上げますが、サムス准将は、アメリカから来た者が一番日本において驚くことは医者が薬を売つておることであるということを言つておるのでありますが、それについてどのようなお考えでありますか、それも併せて一つ御答弁を願いたいと思います。
#74
○国務大臣(黒川武雄君) 先ほど来申しておりますように、いま少しくその答弁をお待ち願いたいと私は存じます。
#75
○吉川末次郎君 甚だ不満足でありますが、そのことにつきましては私は黒川厚生大臣が本当に正しくものを考えることができる人であるならば、十分私の申上げたことを御了解願い得られておるものだろうと解釈いたしまして、然らば更に質問を進めたいと思うのでありますが、私が聞いておりまするところによりまするというと、厚生省では今申しました医薬分業実施のことを決定するために調査会を設けていらつしやることはあなたがおつしやつた通りであります。即ち臨時診療報酬調査会と臨時医薬制度調査会という二つの調査会を設けて、あなたがおつしやるように審議を進めていらつしやるということでありますが、その結論はまだ出ておらんわけであります。ところがその当初の八月の七日にあなたがこの臨時診療報酬調査会に諮問をおしになりました言葉の後半にこういうようなことが書いてある。追つて右基準は医薬分業実施の可否を判定するに必要なるものにつき取急ぎ、取急ぎです、取急ぎこれを答申されたい、取急ぎということがあるのでありますが、諮問に付されたのが八月の七日でありまして、今日すでにもう四カ月以上たつておるのであります。ところがまだその調査会からはあなたのおつしやるような答申書が出ていないのでありますが、いつまでものんべんだらりと放つて置くわけにはあなたの立場から行かないと思います。それでその結論はいつ頃出るお見込なのであるか、結論が出なくてものんべんだらりと三年でも五年でも十年でも放つたらかして置くおつもりであるか、それについての御答弁を願いたいと思います。
#76
○国務大臣(黒川武雄君) 八月にできましたときに、サムス准将も十分従来調査しておるのだから二、三カ月のうちには答申ができるであろう、又そうしてもらいたいというお言葉でありましたが、その後厚生省といたしましても非常に調査について督促をいたしております。大分進んでおりますから、私の希望ではせめて今月うちには答申を得たいと思いますが、遅くなりましても来年の一月中には答申が得られるものと存じております。
#77
○吉川末次郎君 来年の一月には答申書が出る見込であるというお考えのようでありまするが、私の知つておるところではあなたが二、三ケ月という猶予期間をサムス准将が言つたように言われておるようでありますが、私の承知いたしておるところでは二カ月以内、二カ月、即ち八月であるかち十月までに答申書が出なければならんというような向うの意思であつたように私は了承いたしておるのであります。即ち一カ月の相違でありますが、それは別の問題といたしまして、ともかくも非常に遅れておるのであります。それであなたは遅くも来年の一月、即ち来月中に出なければならんと言つていられますが、若しそれが一月中に出なかつたときにはあなたはどうおしになるか、伝え聞いておるところによりますというと、先ほど申しましたように日本医師会に従来のような利己的な立場から非常なそれについての遷延策を講じておるということを聞いておるのであります。なぜならば、医薬分業の問題が最近になつて大きく社会問題になつて来たのは、即ちその筋からの慫慂によるものである。ところが、講和会議も間近に迫つておるのであるから、アメリカ軍が撤退してしまつて、日本がいわゆる法規上の独立国になつてしまつたならば、その問題は雲散霧消してしまうのであるから、ともかくものんべんだらりとできるだけそういう調査会のようなものを長びかして置いて、これで恐らく講和会議が終了して日本が独立国になつたときには、元の通りになつてそんな問題はなくなつてしまうのだからということで、専ら戰術をその焦点に向けてやつておるということを聞いておるのでありまするが、そういうことと併せて、若し一月中にその答申書が出なかつたときにはどうするおつもりであるかということを御明答が願いたい。
#78
○国務大臣(黒川武雄君) 今おつしやいましたような事実は私は存じません。それから一月中と申しましたのは私の予定でありまして、それが或いは一月遅れるかも知れませんが、先ほどおつしやいましたように、のんべんだらりといつまでも引延ばすようなことを調査会がやりました場合には、又相当の考えを、或いは改めなくちやならんということを考えております。
#79
○吉川末次郎君 調査会が、医師会のそうした利己的な圧力によつて、あなたがおつしやるようなのんべんだらりとして延ばしておる手を今やつておるのでありますが、それが奏功するような結果を来たしたときには、何か別の方法を考えなければならんと言つていらつしやいますが、然らばその別の方法としてお考えになつておるのはどういうものであるか。即ち医薬分業が、欧米先進国におけると同様に、日本の医薬行政を合理化するということのためにどうしても必要である、これは法規がもう明らかに原則的に先ほど申したように認めておるのでありますから、しなければならんという立場をとるならば、而も一方において調査会が、あなたが所期していらつしやるようなことをば一定の期間内において履行しないということでありまするならば、当然に私は厚生省は、政府で医薬分業の法律案、即ち現在の薬事法その他の医薬に関するところの法令の改正案を国会に御提出するところの意思をお持ちになつておるか、又そういう用意をお持ちになつておるかということをお伺いいたしたいと思います。
#80
○国務大臣(黒川武雄君) 医薬分業につきましての吉川委員のお気持は、私は十分にわかつたと存じますが、先ほど来申上げます通り、医薬分業問題はいま暫らく御答弁をお待ち願いたいと思います。
#81
○吉川末次郎君 いま暫らくと、どうしてそういうようなあいまいな言葉で濁されるのか、私には厚生大臣として当面しておるところの最も重大なる厚生省の行政についてそうした御答弁をせられる真意が非常にわかりにくいのであります。同様に私は、過去におけるところの帝国議会の議員が医師会の社会力を恐れて不合理なる医薬制度を持続さして来たように、あなたも同様なる医師会の圧力を身に感じておいでになるためにそういうことをお言いになると思うのでありますが、その点はどうですか。
#82
○国務大臣(黒川武雄君) 厚生大臣の責任が重いから、医薬分業については暫らく御答弁をお待ち願いたいと申しておるのであります。医師会の圧力なんということは、私は全然感じておりません。
#83
○吉川末次郎君 私は質問はこれで打切りますが、私とあなたとは個人的にも親しいのでありますが、どうぞ社会保障制度を御実現願いたいと同様に、この合理的なる医薬分業制度を、厚生大臣としてあなたの御就任中に最も合理的な解決をばして下さることを希望いたしまして、これで質問を打切ります。
#84
○河崎ナツ君 厚生大臣に二つのことをお伺いしたいと思います。一つは保健婦のことでございますが、社会保障制度における医療につきまして非常に重きを置かれまして、殊に保健所を中心といたしましての、或いは療養所を中心といたしましての、結核の治療、結核の予防もございますが、性病もございますが、その治療と予防に重きを置き、保健所は保健所を中心といたしまして予防を実現するわけでございますが、そういうふうな意味におきましても、殊に今年度から来年度にかけまして、社会保障制度の中で先ずは医療のことを、殊に結核と性病につきましての治療と予防のことについて重きを置くというような厚生行政におきましての重点が見えて参りましたことを、私どもも喜んでおるものでございますが、そのことを考えますにつきましても、保健所におきましての仕事というものは非常に大事かと思うのでございますが、その保健所におきましての仕事、そういう使命を、結核だけの問題にいたしましても、そういう使命を実際に人々の間に実践すると申しましようか、実践部隊という言葉を使つておりますが、指導する人は誰かと申しますと、保健婦でございます。そのほかに保健婦は又、日本で外国と比べて非常に高い死亡率を持つております乳幼児、育児のことにつきましての指導をいたしましたり、又妊娠しております母性のいろいろ生活につきまして指導いたしましたり、従つてそういう栄養の指導、或いは食生活の指導、いわゆる今日の日本がいろいろ科学を取入れまして、製産機関におきまして世界の一連に繋つておるわけでありまするが、その生活の仕方というものは、非常に遅れておる。これは何と申しましてもアジア一連の国々の遅れておる問題でありまして、その遅れた非科学的な生活のうちに残つて、そこで妊娠をし、そこで育兒をし、そこで一家の人たちの生活を扱つておる女子、母性というものは、そういうふうなものを含めました生活の指導ということは、これは又予防におきましての大きな陰の面でございますが、そういうふうな面を一番各家庭に行つて使命を果しておりますのが保健婦でございますから、殊に先ほど木村さんのお話にもございましたように、厚生行政というものにおきまして、私はそれを政治のニユーフエースだと思つておりますので、今までの政治にはそういう面が実に考えられておらなかつた。その面におきまして、この保健所というものは非常に重要だと思つております。その保健所が今六百七十五個所ほど年年だんだん殖やされておりますが、そこに保健婦さんがおつて活動いたしておりますのでございますが、殊に来年からは保健所も殖えるわけでございますけれども、実際保健所に行つて見ますと、そういう大使命を果しておりますのにかかわらず、保健婦の方が少い。それはなぜか。まあ待遇も悪いのでありますが、来年からどんどん大きな結核と性病におきましてのこの問題を片付けますために保健所が一層使命を重く活動しなくちやならないときに、今おります保健婦さん、いろいろ町村とか学校にもついておりますのを総計して二万三千ほどの保健婦さんがおりますが、その保健婦さんを、来年から保健所が殖えますにつきましては、なかなか今でも足りないのでありますから、一層使命が重くなりますれば、保健婦さんというものは増さなければならん。あの定員につきまして先ず大臣にお伺いいたしたいことは、もつと来年は殖やさなければならんことでございますけれども、そういうようなことにつきまして、話は具体的な細かい保健婦さんの数になりまするけれども、この大きな来年からの厚生行政の非常な実際の果し手としての保健婦さんを考えましたときに、保健婦さんの数というものは非常に重大だと思うのでございますが、そういうことを増すことにつきましての、これは予算に関係して参りますけれども、そういうことにつままして一層御努力をなさつて頂く心がございましようか、先ずそのことをお伺いいたしたいと思います。
#85
○国務大臣(黒川武雄君) 保健婦は至るところ数が足りませんので、非常に困つておりますが、来年度は大いに努力いたしまして殖やしたいと思つております。
#86
○河崎ナツ君 それにつきまして今の数も殖やして頂かなければなりませんけれども、その保健婦さんが活動をするようにして上げなければならんと思うのであります。この頃各保健婦の報告を見ておりますと、いろいろ結核のほうに力を入れて、そうして集団検診とか、いろいろいたしております。その数が非常に多い。そういうことに大分保健所は力を入れたことは結構なことでございますけれども、もう一つ保健婦が村々に行つて保健指導をする、そういうふうの数の報告件数が全国の保健所から出ておるのを見ますと、割合に少いのです。ほかのほうと比べまして非常に少い。神奈川県はどういう理由か全国で一番著しいのを平生私が気を付けておりますけれども、神奈川県は去年頃から多くなつて来たようであります。又神奈川県の保健所のほうに随分聞いて見たこともございまするのですが、割合にほかの保健所のほうでは保健婦がそういう家庭訪問して指導するということにつきましても、だんだん力を入れておりまするようなことが少いのでございますが、それはなぜかと申しますと、私が考えて見ておりまして、実際保健所を見ましたときにいろいろ理由もございますのでございますけれども、もつと保健婦を働かせるようにするという一つの大きな理由といたしまして保健婦が二万三千おりますれば、その人たちがさつさと、そらと言つたら、それぞれ村々の各家庭に行けるようにしてやるということは、何で行くかということでございますけれども、つまりてくてくと歩いて行くわけですが、だからなかなかはかが行かない。あの人たちを早速さつさと行かれるようにしてやるということで、何でもないようでございまするけれども、言つて見ますと、その人たちがそらつと言つて足に使えます自転車というものはほんの数少いのです。今この間の委員会でも報告を伺つておりますと、各保健所には足が入用であるからして、少し自転車を百八十個所に百八十台、一つずつ準備するつもりであるというお言葉を当局から承わつておりましたが、それも結構でございますけれども、まあもつと保健婦さんが各家庭に行つて、そして、いろいろと働けるようなそのこまい自転車をあの保健婦さんにやつて下さいますと、準備してやつて下さいますと、山の中の村々の、私が方々に行つて見ましたところの深い部落をてくてく歩く。夏の暑いときでも冬の寒いときでもてくてく歩く。この間群馬県の山奥に行きましたけれども、今ならば一千米のあの高い榛名山の山かげの、あの村々も保健婦さんは行つている。ああいう所に行つている姿を見ますと、そこは皆若い女の人たちです。この女の人たちがてくてくと歩いてそうして村々を歩いて廻つておりますが、ああいう人たちが本当に保健婦の持つております、今日日本が背負つております大事な保健行政におきましての、大臣のお心持を各家庭に果しております。こういう保健婦さんの仕事のしよいように先ず来年は予算をお取り下さつて、是非あの人たちのために自転車をさつさともあいでなくして、それこそ一台ずつしてやつて頂きたいと思うものでございますが、是非そういうものにつきましての大臣の御努力をお願いしたいと思いますが、どういうお考えでいらつしやいましようか。お伺いさせて頂きたいと思います。
   〔理事羽生三七君退席、委員長着席〕
#87
○国務大臣(黒川武雄君) 保健婦の非常に骨を折つておられて、そうして喜ばれておりますこともよく承知いたしております。御承知の通りこの自転車等につきましても、是非整備するように努力いたしたいと思います。
#88
○河崎ナツ君 そのことはそのくらいにいたしまして、もう一つのほうの、私お伺いさせて頂きます。今日やはり厚生行政の一つの面を扱つております、殊に治療のほうを扱つております実践部隊員でありますところの看護婦さんのことにつきましてお伺いいたしたいのでございますが、看護婦さんは十五万人ほど全国にあつて、実際今仕事に従つておりますのが七万人で、その人が仕事をやつて、そうして治療におきます大きな部面を果しておるのでございますが、今厚生大臣も御承知だろうと思いますけれども、看護婦さんが一つの大きな問題にぶつかつております、全国の看護婦さんが問題にぶつかつております。それはどういう問題かと申しますと、看護婦制度の改正がございまして、甲乙二種に分れて、実際に変つた仕事をする。今厚生省にもその仕事につきましての審議会をお拵え下さいまして、御研究下さつていらつしやるようでございまして、又厚生委員会におきましても、この問題を中心にいたしまして小委員会を拵えて研究中でございますが、そのことと共に、もう一つ看護婦さんのぶつかつておりますのは、とにかく今日皆国家試験を受けて、一応今日甲種という程度の一つの看護婦さんの資格があれば、まあ受けなければならんことはないけれども、やはりこれからこういう試験を受けた者が一人前だとなりますならば、これは人情として受けたいということで、この間の、十一月十五日からか試験が始まつて、一万六千人ほど受けたいという人が受けて、さあいよいよとなりますと逡巡いたしまして、八千人ほど受けたそうでありますが、まだ報告は聞いておりませんけれども……それで受けることは結構でございまして、そういう機会に、又今日新らしいこの看護婦の技術というものは、いろいろ新らしい面もございますから、新らしい問題も知つて、そうして使命を十分果すということは結構なことでありますから、そういう機会に勉強することはいいのであります。そこまでは厚生省のおつしやる通りでいいのでありますけれども、実際の看護婦さんの様子を見ておりますと、看護婦さんは、何と申しましても実践の面の部隊長で、よその国なら三交替でやつております。ところが日本は、数の上も予算の面もうまく行かないそうでありまして、とにかく二交替に、本当の、殊にこの癩、それから結核の療養所、或いは精神病の療養所、ああいう国立の療養所、これは二百五十ほどあります。療養所の看護婦さんたちは、一層責任を持つて、そうして少数のかたがたで働いております。殊にああいう国立の療養所……、いろいろな療養所は、日本の前の軍関係の病院を引受けた事情もありまして、場所が非常に不便な片寄つたところにありまするそこにおります。そういうところでありますから、定員よりも看護婦さんは、待遇が悪いから少いのです。その少い看護婦さんが、一般の仕事をいたしておりまして、そうして今度は国家試験を受ける。受けるかたは、男の方ではない、女の方ですから……、それからそういう状態によつて受けさせるということにおきまして、もう実に方々の看護婦さんから、そういうことについて考えてくれろ……、どう考えてくれるかと言つたら、別に国家試験を受けないというのではないけれども、受けられるような、二階に上りなさいと言つたつて、梯子がないのに上れと言つても上れないのですが、上れるような順序を一つ考えて欲しいという声もございますけれども、私自身といたしましても、厚生省にも考えてやつて頂きたい。看護婦さんは……それはどういうことかと申しますと、そういう勤務の、激務の中でもありますから、何が出るかも知れませんから、どつから勉強していいか、問題がどこにあるかわからないのです。ですから、ああいう忙しいかたでありますから、適当に、何と申しましようか、厚生省の予算を見ても、看護婦さんの再教育もあります。あの再教育を受けるかたは、看護婦さんの中でも幹部のかたがたで、そのかたがたを中央にお集めになつて、再教育をなさつております。その看護婦のかたは少いのです。少い看護婦というのは、七万人でありますが、誰だつて受けたいと言う。受けさせてやつてもらいたいという意味におきまして適当な地域々々におきまして、まあ再教育と申しますか、講習会と申しますか、そういうものを国家が準備してやつて下さつて、それはお前たちは商売だからこれは受けるのが当り前だというようなものでありますけれども、働きながら受けるのでありますから、受けられますようにそういう講習会をやつて下すつて、そうすればいろいろな面からしますし、受ける自信もできる、無暗に心配しなくてもよろしい、そうして又適当に受けた講習の結果から或いはレポートを書いて認めるとか或いはそこで自信を得ますれば受けて行く、そこらのそういう梯子を厚生省が考えてやつて頂くということは、これは働く者に対しても非常に親切だと思いますし、お偉いお役人のかたがたは受けなくてもいいでしようが、受けるのは働くか弱い看護婦たちですから、一つあの人たちがこれに受けられるような自信がつきますように手ほどきと申しましようか、そういうものを厚生省の責任において考えてやつて頂きたい。看護婦さんの七万もの講習は大変だと言うかも知れませんけれども、看護婦さんの減耗率は二〇%ということに伺つておりますから、そうすると割合に数はそういつまでもしなくてもいいわけなんです。一万五千人ほど年にやめていらつしやるという……。
#89
○委員長(波多野鼎君) 河崎さんちよつと……。質問の要旨をはつきりさして頂きます。
#90
○河崎ナツ君 もうじきであります。そういうわけでこれからの看護婦さんはもう養成しましたあと国家試験を受けるのでありますから、今までの若い看護婦さんに対するこういう措置、結局それはそういう予算をお考え下さるということでありまして、いつまでもそれをしなくてもいいわけであります。ここ二、三年はそういう問題を一つ御親切に考えて上げて下さいますならば予算の面におきまして是非厚生大臣が強く一つ当局をお押し下さいまして、そういうふうな面におきましての予算のことを、今度の二十六年度に恐らく組んでおいでにならんと思うのでありますが、早急にそういう問題を考えて上げて下さいまして、と申しますのはこの問題は教員のほうにもございまして、教員の資格認定のときに文部省の責任におきまして資格認定の講習会がございまして、そうしてそれに参りますれば、何点あれば何單位で、何單位あれば資格を得るというようなことで、先生方が日曜とか或いは土曜とか或いは夏休というわけで行らつしやる。それでもなかなか急には行かないわけでありますから、教員組合のかたがたがお骨折りになりまして、そうしてもう少し急に三年間くらいというわけでなく、もう少し五年先の間で取れるように延ばしたということは、私は文部省のかたがた教員に対するこれは非常な人道主義的な思い遣りと思うのでありますが、厚生省のかたもこれを一つお考え下すつて、大臣がおわかり下すつたらほかのかたがたにそういうふうにやれというふうな一つお立場にお立ち下さいますように願いたいと思いますが、如何でございましようか。
#91
○国務大臣(黒川武雄君) 従来の経験のある、そうして技能のある看護婦のかたがたに対しましては、私は十分の敬意と同情を持つておりまして、試験等につきましても親心を示すように指示しております。なお講習等につきましても極力そういう便宜ができますように指導したいと存じております。
#92
○岩間正男君 関連して簡單にお伺いします。只今の河崎委員の質問に関連する問題でありますが、最近国立病院、殊にこの癩、それから結核、こういうところの病院の人たちの待遇問題が非常に問題になつている矢先、今度給與ベースの別表改訂の中で二号俸乃至三号俸引下げる。この問題が非常に問題になりまして、厚生委員会からも当委員会にそういうようなことをやらないようにというような申合せが到達していると思うのですが、これは言うまでもなく非常に、いわば特殊な余り希望者のない仕事だと思う。殊に看護婦さんのごときは癩患者のあの濃の出る繃帶の取替えまでしなくてはならない。こういう特殊な仕事であるので、それ故にこそ看護婦におきましては他の人とは問題にならない程度だと思うのでありますが、待遇改善の方向で何らか歩増をやつておる、こういうような現状だと思うのでありますが、今度の俸給改訂によつてそれが非常に惡くなる、こういうことになりますと、もうこういう希望者が非常に減つて行く。従つて能率も非常に下る。こういう点が大いに心配されるわけなんでありますが、厚生大臣としましては、これに対してどういうような考えを持つて対策を講ぜられておられるのか、この点を伺いたいと思います。
#93
○委員長(波多野鼎君) 岩間君に申上げますが、その問題は今朝大分討議されました。
#94
○岩間正男君 簡單にお願いします。
#95
○国務大臣(黒川武雄君) 只今の問題につきましては、先ほど来木村委員からの御質問に対しまして大蔵省の主計局長とともそれに十分にお答えいたしましたので速記録について御覽願います。
#96
○岩間正男君 私は非常にたくさんここにお聞きしたいことがあつたのでありますが、時間がないですからこれは又次の機会に譲ることにしまして、ただ一つ大蔵大臣の質問と関連してお伺いしたいのであります。これは私も研究もまだ十分できていないのだが、米と麦の問題であります。米と麦の栄養カロリーですが……。
#97
○委員長(波多野鼎君) ちよつと関連の範囲を逸脱しないようにして下さい。
#98
○岩間正男君 果して米を麦に替えて食べておつても栄養に差支えないであろうか。これは厚生省としてもどういう見解を持つておられますか。これは昨日の大蔵大臣の発言と関連して非常に重要な問題だと思いますが、これは大臣で若し何ならば事務官からでもお伺いしたい。
#99
○政府委員(三木行治君) お答えいたします。米と麦のカロリーの相違でございますが、御承知のように麦のほうがいささか表度が固いということは御存じの通りでございまして若干相違はございますけれども、これは代替の利用率、利用量というものから考えておりますので大差ないと考えてよろしいと思います。
#100
○岩間正男君 委員長。
#101
○委員長(波多野鼎君) 関連の範囲を逸脱しておりますから発言は許しません。
#102
○櫻内義雄君 私は簡單に一つの問題を厚生大臣にお聞きしたいのであります。それは第七国会におきまして質屋営業法というものが長年いろいろ論議せられましたが、成立いたしまして、そうして民営質屋がその基礎の下に営営と今営業しているのでありまするが、最近衆議院におきましてもそうでありますが、政府におきましても公営質屋の育成に御努力をされておると思うのであります。従来公営質屋と民営質屋とがございまして、そうして生活の困窮者のために普通の民営質屋では質草にならない物を取扱つて、これらのかたがたに便益を與えておつたという事実は、これは非常にそれらのかたがたに対して私は適切な施策であつたと思うのであります。この公営質屋につきまして厚生大臣はどういうお考えでおられるか。現在東京都におきましては、すでに二十五の公営質屋が設けられ、更に十個所ほど増加するということを聞いておるのでありますが、先ず第一に大臣の御方針を承わりたいと思います。
#103
○国務大臣(黒川武雄君) 公営質屋は非常に評判がいいようでございますし、又公衆のためにも非常に便利なものでございますから、大いに保護育成したいと存じております。来年度の予算におきましても相当額の予算を取り得る見込であります。
#104
○櫻内義雄君 確かに只今の大臣の御答弁の通り私もその趨勢を認めるものであります。東京都におきましても又神奈川県或いは大阪府におきましても、地方自治庁の慫慂もありまして盛んに増設をされておるのでありますが、ところでここでお聞きしなければならないことは民営質屋との関係であります。前提いたしましたように公営質屋と民営質屋というものは曾つてはそれぞれ得失があつたのであります。ところが現在この戰災後の状況から考えますと、この質屋を利用するところの人々がその質草につきまして大体同じような質草を持つておられる。もう少し詳しく申上げますならば、従来は簡笥の中に多量の衣服を持つておつた、そうして病人ができたらその衣服を持つて民営質屋にかけつけて借りたいというような状況から、今はその日その日の衣服をそういう場合に利用して質屋に行かなければならない。こういうことでありますから、従いまして一分でも安い金利の質屋へ行きたいというのが、これが利用者の心理であろうと思うのであります。現在、御承知のように公益質屋は三分の金利を取つておる。民営質屋は一割以内ということになつておるのであります。そういたしますと、公益質屋の方へ利用者が集中して行きますならば、民営質屋というものは成立たない、こういう場合に民営質展に対して大臣として今後公益質屋をどんどん殖やして行くとするならば、これらの一つの営業でありますこの営業が、政府の方針によつていろいろと大きな影響を受けるということになりますならば、従つてこの業者に対する対策も講じなければならないと思うのでありますが、この点の大臣の御見解を承わりたいと思います。
#105
○国務大臣(黒川武雄君) 公益質屋が必要であると同時に、又民営の質屋も必要なことは、私も昔十分身に泌みておることであります。その点は民営もともどもに栄えて行きますように努力したいと思います。
#106
○櫻内義雄君 大臣の折角のそのお言葉ではありますが、現存私が憂えておりますのは、公益質屋と民営質屋が並立して行かないということなんであります。而もこれは私がこの金融の上から考えて行きますならば、庶民金融としての質屋のあり方が重要である、又現在のような多数の生活困窮者があるということから考えましても、この質屋の育成ということが必要だというようなことから、大臣の御見解を承わつておるのでありますが、今二十五軒の、仮にこれか東京都の例でありますが、これが三十五軒になりましても、民間の質屋というものは千三百軒以上私はあると記憶しております。そういたしますと、従来の利用者は民営質屋に行つておつた。併しどうも一割以内の金利であつて、大体八分とか九分とか取られている。或いは一割も取られておる、こういうものが公益質屋のほうに殺到いたしますならば、公益質屋はその資金に事を欠くというようなことになつて参ります。併しながら一分でも安いほうがいいと、こういうことになつて来るのでありますから、大臣の御承知のようにこの並立して行く方法というものは考えられない。考えられないということになりますれば、従来のこの民営質屋というものを、これを大臣の御方針によつては活用できるのじやないか、公益質屋と同じようにとの民営質盤を取扱つて、そうして利用者の便益に供するということも一つの方法でありましよう。或いは政府がもつと積極的にこれらの民営質屋に補償金を出して、これをも買上げて、そうして公営質屋として業務を行わしめるということが考えられると思うのであります。これは民営質屋でありましても利用者の範囲から申しますならば、非常に公共性をすでに帯びて来ておると思うのであります。民営質屋が何故金利が高いかというならば、普通の営業としてそうして税金を拂い、或いは経費を支拂つておるという点にあるのでございまして、これらの点が解決されるならば何ら公益質屋と変らない金利で以て営業ができると思うのでありますが、その点に対する大臣の御見解を承わりたいと思います。
#107
○政府委員(木村忠二郎君) 只今お話がありました民営質屋の点でありますが、民営質屋につきましてこれが公営質屋になりたいという御希望がございますならば、これに対しまする相当な考慮をいたしてよろしいと考えております。これが公益質屋になりますれば御承知の通りに金利が低いというだけではございませんで、利子の取り方につきましても大分違つて来ますし、又草を流すという点につきましても従来の民営質屋というものとは全然違つたやり方をとつておるのであります。従いまして従来の民営質屋というものが簡單に公営質屋と同じような内容になることはちよつと困難が多いのじやないかというふうに考えます。我々としましては公営質屋につきまして援助、助長いたしておると申しましても現在の資金の程度、又現在の奨励の程度というもので以てそれが民営質屋に非常に影響を及ぼすということまでは現在やり得ないという状況でございまして、これにつきまして将来もう少しこれを拡充するというような状況になつて参つた場合におきまして、民営質屋に対する方法をどうするかということを考えなければならんというふうに考えておりますが、現在の段階におきましては民営質屋にそれほど大きく影響を與えるというところまでは政府におきましては対策を持つておりません。
#108
○櫻内義雄君 只今の御答弁でありましたが、先ほど大臣は、今後公益質屋を大いに拡充して行くという御見解を出されているのであります。私も又それが利用者のために結構なことであるという考えでありまして、こういう点から行きますならば、今の御答弁はちよつとおかしいのであります。当然その大臣の方針に基いて公益質屋を拡充して行くという方針が立つて行くならば現在東京の例で行くならば僅かに三十五軒で、民営質屋は千三百五十軒もあるというようなことであるならば、この民営質屋を利用して行く方法が考えられるのじやないかと思います。これは利用者の立場からいたしましても、庶民金融の上から見て大いに立派な質屋ができるということが望ましい。又一面におきましては現在の民営質屋としては、すでに公益質屋と民営質屋というものが並び立つて行かないのだということをだんだん感付いている状況に私はあると思うのであります。そういう場合におきましては、折角の政府の方針があるといたしますならば……御承知のように質屋というものは相当の施設が要るのです。そういう施設が要る際に、新らしく政府の資金を使つたり、或いは地方自治体の費用を使つて立てて行くよりも、この既設の施設を利用して行くとか、或いは民営質屋とよく話合つてこれらのものが生活困窮者の利用のできるような途を講じてやるということが、これが当面する質屋に対する政府の施策となつて行くのではないかと思うのであります。この点についての御答弁をお願いしたいと思います。
#109
○国務大臣(黒川武雄君) 民営質屋を公益質屋に直して行きますことは、その時と場所において必要な場合はそれで結構だと思います。ただ民営質屋を利用する人のいわゆる質草と、公益質屋を利用する人の質草は、自然異なつているかと存じておりますが、要するところは今櫻内委員の御趣旨の通りの気持を持つていることを申上げて置きます。
#110
○櫻内義雄君 大臣は先ほど若い頃に御利用なさつたような御口吻で御話があつたので、十分御承知のことと思うのでありますが、又現在の実情からいたしまして、私が申上げましたように、質草というものは民営質屋へも公益質屋へも同じような質草が持つて行かれていると私は思うのであります。そういうような状況にあるのでありまして、而もこの公益質屋の問題は、現在全国的な一つの傾向となつている。全国には約一万近い質屋があると思うのでありますが、これらの諸君が今後の政府の方針はどうであろうかという大きな関心を持つております。又私どもの立場からといたしますならば、庶民金融の上から見て適切なる質屋施策が行われることが望ましいとかように考えておる段階でございまするので、もう一段と大臣におかれましても又厚生省の当該の担当のかたがたにおかれましても、一つ御検討願いまして、この民営質屋と公営質屋の関係についての調節、或いはその民営質屋の利用、これは私は割合に簡單に行くんじやないかと思うのです。民営質屋が何も一割以内の利息を取つて三分の利息と競争するとかしないとかいうのではなくて、これは民営質屋が三分の利息でも成立つように政府が多少そこに気持を持つて指導して行きますならば、必ずそれはできると私はかように思うのであります。それから又本当に焼石に水程度の施策をして見てもつまらないのでありまして、初めに大臣が言われましたように、その必要性を認める以上におきましては、この両立しがたい質屋の業況を観取されまして、そうしてこれを一本化して大いに質屋業務というものが庶民金融に役立つように御努力をお願いしたいと思います。私の質問はこれで終ります。
#111
○委員長(波多野鼎君) 暫らく休憩いたしまして午後は一時半から再開することにいたします。
   午後零時三十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時四十八分開会
#112
○委員長(波多野鼎君) 午前に引続きまして予算委員会を再開いたします。午後二時三十分から総理が出席されまして、総理に対して総括的な質疑を行うことになつております。それまでの時間を個別的な質問に費すつもりであります。農林大臣が参つておられます。
#113
○下條恭兵君 農林大臣にお尋ねいたします。農林大臣は九月の中旬と思いますが、新潟県へ視察にお出でになつた節、丁度救農臨時国会を成規に手続を済ましたあとだつたのでありますが、興農臨時国会を開くと言つて米産県新潟県民は随喜の涙を流されたのでありますけれども、それがいつの間にか次のどこか遠くのほうへ行かれて取止めのふうになつて、又農民ががつかりした人があつたのでありますが、私は今日農林大臣にお尋ねしたい一点は、戰後御承知のように、協同組合が発達しました関係もありますが、同時に農村に畜産を導入するための一つの施策としまして、自家飼料を豊富にするために白米供出を農民のほうで懇請しており、私自身もたびたび農林省に陳情に伺つたりしまして、或る程度のことが実現しておつたのでありますが、ところが今年も又たびたび陳情に来まして、或る程度の委託搗精を割当てて頂いたのでありますけれども、これは農林大臣御承知と思いますが、実際できないような條件、やつても引合わないような條件になつておるために、折角陳情に来て割当ててもらつた委託搗精が今度は農村のほうで辞退しなきやならん、こういうような状況になつております。こういう点は大体根本方針として、将来もう絶対委託搗精をやらさん方針なのか、或いは在来の方針のようにできるだけ将来ともやつて行こうという考えでおられるか、その点を一つ。
#114
○国務大臣(廣川弘禪君) 家畜の飼料である大事な糠その他のことについてのお話でありますが、委託搗精はやはり将来ともやつて行きたいと考えますが、ただ保存の上において、白米でありますといたむ度数が強いものでありますから、その率を加減いたしておるようなわけであります。但し委託搗精いたしましても余り業者に迷惑をかけてはならんと考えておりますが、将来ともやる考えでおります。
#115
○下條恭兵君 それでは現在例えば玄米の間は農業倉庫で保管料をもらえるけれども、白米にしてしまうとそれで保管料がもらえないという問題とか、それから減耗率に対して、公団関係の精米所に対しては年間平均しまして三%か何かの減耗率を見込んでおられるにかかわらず、委託搗精に対しては減耗率を全然見てくれないというような問題とか、詳しいことを言うと時間がかかりますから省略いたしますけれども、そういう関係からどうしてもできないようになつておりまして、これは興農国会を開こうという親心を持つておられる農林大臣のおやりになることとしては、非常に農民のためを思つておられる言動と委託搗精の面に現われました実際の施策というものには食い違いがあるように思いますが、この食い違いは至急直しまして、今度もすぐ明日からでも採算も合つてそうして農村で冬季間の遊休労力を消化するというようなことにも役立つような方向に手を打つて頂けますかどうか、伺いたいと思います。
#116
○国務大臣(廣川弘禪君) 合わないような仕事を押しつけておるようなことがありますれば、よく調査の上、農民の喜ぶように検討いたしたいと思います。
#117
○下條恭兵君 その点は是非そうお願いしたいと思うのでありますが、そこでもう一つお願いしたいのは、私は白米供出に対しましては、私どもが昭和二十二年頃陳情いたしました時分は、輸送が不便だからなかなか困難だという理由が白米供出の隘路の一つだつたと思います。そのほか量の問題もありますけれども、これが大きな問題だつたと思うのですが、今日はすでに輸送の関係においては相当改善されていると思います。併し米は白米にしますと長い期間持たないのでありますから、この隘路はどうしても将来とも続くと思いますが、併し農林大臣が今畜産奨励や有畜農業を発展せしめる見地からこの白米供出をできるだけやろうという御方針であるならば、私は先ずその根本としまして米に対する容器の改良からしてかからんといつまでたつても單作地帯の農民の経済安定に役立つような程度にまで農村工業を発達させるとか、或いは畜産を発達させるとかということは困難だと思いますが、何か新らしく農林省としまして何百年続いたか知れないこの原始的な米の俵から新らしい容器に変えるというようなお気持はお持ちでございませんですか。
#118
○国務大臣(廣川弘禪君) これは我々のほうの農政局等におきましても非常に検討いたしておりますが、極く最近でありましたか、非常に持ちのいい器具が出ておるようであります。生産費はまだそう安くないようでありますが、非常にいろいろな種類があるようでありますが、推奬されている品物もありますので、さようなものを目下検討中であります。
#119
○下條恭兵君 先ずそういう点から一つ改善しまして、是非とも單作地帶の、或いは積雪寒冷地帶の冬季の労力を利用する意味からいたしましても、或いは農村の近代化のためにも重要なことと思うので、お考え願いたいと思うのでありますが、そこで私はもう一つ大臣にお伺いいたしたいのは、昨年はたしか新潟県だけでも七十万石、私全国の累計は知りませんが、委託搗精をさせて頂いたわけです。ところが今年はいろいろ非常に熱心に農協の諸君等が陳情に出て来られまして、而も遥かにその量より減つておつたのが、今方々辞退しているような形が、先ほど私が申上げますような理由でありますけれども、今から新潟県のみならず積雪寒冷地方は雪の時節になりまして、これからそういう仕事がやりたい時期であると思うのでありますが、本年は一体昨年の量よりももつと殖やしてやらせて頂けますか、それとも昨年と同じぐらいやらせて頂けますのでありますか、この点を一つ伺いたいと思います。
#120
○国務大臣(廣川弘禪君) 大体昨年同額ぐらいまでは持つて行きたいと、こう考えております。
#121
○下條恭兵君 大変頼もしい御答弁を頂いたので、新潟県のみならず米産地の農民諸君は非常に喜ぶと思いますから、是非そのように明日からでも実施して頂くように重ねてお願いいたしまして、私の質問を終ります。
#122
○藤野繁雄君 私は電柱敷地手当金についてお尋ねしたいと思うのであります。現在の電柱敷地の手当金は、明治二十三年に電信電話線建設法によつて定められたものであつて、一ヵ年一本について四銭の手当金を出す、但し所有者又はその権利者において手当金を望まないときにはこの限りではない。こういうふうなことになつておるし、昭和二十年の電柱敷地手当金支給に関する閣令によつて見ますると、一本につき一ヵ年十六銭の補給金を支拂う。要しまするのに、現在においては四銭の手当金と十六銭の補給金と、合せて二十銭となつているのであります。この二十銭の算出の基礎を先ずお尋ねしたいと思うのであります。
#123
○国務大臣(田村文吉君) この根拠が昭和二十年の年に四銭のものに十六銭の補助をつけるということになりましたそのままになつておりますので、当時はそのくらいのものでよかろうということで計算されてやつたものであると思います。
#124
○藤野繁雄君 ただ單に電柱を立てたために農作業をやる際において機械力、或いは畜力を利用する場合においては耕耘及び除草に非常に困難を感ずるのであります。又電線から落ちるところの雨露のために、その下にあるところの苗の発芽、或いは若いところの芽が非常に損害をこおむるのであります。又電線が雀の足場となつて鳥害を起すのであります。その他電柱を立てておるところ、及び周囲は栽培が困難である、栽培ができない、こういうふうな非常に電柱のために損害をこおむるのであります。であるからこれは現在のいろいろな物価の高騰、或いは地価の高くなつたこと、或いは税金が高くなつた、こういうふうなことを考えて見ますというと、相当値上げをしなくちやならないと、こういうふうに考えるのであります。又政府においても或る程度の値上げをしようという考えのようであるのでありますが、政府の値上げをしようと思つておられるところの金額はどのくらいの程度であるか、こういうふうなことをお尋ねしたいと思うのであります。
#125
○国務大臣(田村文吉君) 只今計算をいたしまして、計画を立てておりまするが、明年度から大体実施することにいたしたいと考えておりまして、これはいろいろ事情も異なる場合がありますので詳しくきめて参らなければなりませんが、大体平均いたしまして、一本について十五円見当を下らないようにいたしたいと、かような現在の計算でありまするが、なお收穫面等の計算も詳しくいたしまして、各種類によりまして決定するような運びにいたしたいと、かように考えております。
#126
○藤野繁雄君 現在の手当金及び補助金は支拂の手続が非常に厄介であるのであります。例えば二十銭の金を頂戴するのに対して、二円の收入印紙を貼つて請求しなくちやできない、こういうことであつてはもらうのが却つて損になるというふうな、現在の状況であります。こういうふうなことでありますから、この手当金を支給される場合においては積極的に簡單な方法を講ぜられなくちやできない、又請求しなくても政府みずからがあらかじめ或る一定の約束の下に定められたならば進んで支拂いをする、こういうふうにしなくちやできないとこう思うのでありますが、支拂手続その他についてどういうふうに考えておられるか。又現在そういうふうな理由で支拂いがしていないところの金額があつたらば、どのくらいの金額の支拂いができていない、又支拂いを要求していないという点で御説明をお願いしたいと思うのであります。
#127
○国務大臣(田村文吉君) 大変適切なお尋ねなんでありまするが、仰せの通り今までの一本二十銭、このような金額のものを一々請求して、そして金をもらうというような厄介なことをなさる方がないもんですから大部分の方はお取りにならないというのが実情であると思いますが、今後適正な料金をきめましたならば、今御意見もありましたようでありまするが、町村なら町村、字なら字、こういうところでとりまとめましてこちらのほうからまとめて差上げる、こういうような便法をいたすべきでないか、こういうふうに考えておりまするので、今後の立案にはそういう方針で進めて参りたいとかように考えております。なお今までの未拂の金額の取調べは後刻取調べまして申上げるようにいたしたいと存じます。
#128
○藤野繁雄君 政府の考えは一本について十五円くらいの見当であるとお話であるのでありますが、関東配電会社によつて調査したところによれば、最近関東配電では一本について一ヵ年三十円ぐらいに値上げをする準備中であるという話であるのであります。又十一月の二十九日に第三回の全国農業協同組合代表者会議の決議によつて見まするというと、一本一ヵ年について鉄塔が四百五十円、本柱が百五十円、支柱が百五十円、こういうふうな決議をして、これが地方の実情に応じておるというようなことになつておるのでありますが、この点に対する更に政府のお考えをお尋ねしたいと思うのであります。
#129
○国務大臣(田村文吉君) さようなことが考えられておるか存じませんが、最近のきめられてある状況では鉄道にも例がありまして、たしか五円ばかりであつたかと思いまするが、或いは私の思い違いか知りませんが、配電会社のほうが十円かどちらか、五円、十円くらいであつたかと考えております。詳しい御計算になりまするとさような計算も出るかも存じませんが、何分通信事業の国家的に非常な重要な点と、これが余りに高額に支拂いますということは電気通信の予算を全然壊わしてしまうようなことになりますので、その辺はよくかれこれ斟酌いたして適当なところにきめて行きたいと、こういうふうに考えております次第であります。
#130
○委員長(波多野鼎君) 暫らく休憩いたします。
   午後二時八分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時四十三分開会
#131
○委員長(波多野鼎君) 休憩前に引続き、予算委員会を開きます。総理大臣その他に対する総括的質疑を行います。
#132
○佐多忠隆君 最近新聞によつて詳しく報道され、又当院においても非常に問題になりました関西の騒擾事件でありますが、これは非常に或る意味では由々しい問題であると思うのであります。特に実際に起きたいろいろな事実から報ぜられたところによれば、それが或いは特に特定の分子の組織的な陰謀によるものであるというようなことも言われております。そういう特定な分子の組織的な陰謀によるものである限りは、これを徹底的に取締の対象にしなければならないことは勿論必要であるし、このためには警備力の機動的な組織的な運用をやらなければならないと思うのであります。この限りの問題においては逐次いろいろな手が打たれておるようでありますし、我々も一応そういう対策を今後見守つて行きたいと思うのですが、もつと重要な問題は、この事件の根底に潜んでいるところのものがあるんじやないか。それは客観的にこういう騒擾が一つの社会的な不安になりかねないような根底がなきにしもあらずと言わなければならないんじやないか。そこでこの根底に潜んでいるところの政治的な欠陥、或いは社会的な矛盾の解決、それに根本的な徹底的な対策を立てなければならないと思うのであります。それは取りも直さず一般庶民大衆の生活不安を除去することであり、特には今最も問題になつております特にこれから私詳しく御説明を関係大臣にお願いしたいと思つているところの国家並びに地方公務員の経済生活を安定させるという、そういう問題が緊急に解決をされなければならないと思うのであります。そこで特に総理にお尋ねしたいのは、こういう騒擾事件を契機として、これがいわゆる社会的な不安に発展しないためにどういう政治的な欠陥の除去、或いは社会的な矛盾の取除きに対して、具体的な而も緊急な対策をお考えになつているか、その点を先ず最初にお尋ねしたいのでございます。
#133
○国務大臣(吉田茂君) 神戸事件の真相については私も詳しいことは承知いたしておりませんが、併しいずれにしても法の命ずるところに従つて処罰をし、始末もする考えであります。詳しいことは法務総裁にお聞き願いたいと思います。
#134
○佐多忠隆君 その問題につきましては法務委員会その他においていろいろ質され、論じられておると思いますので、私はそのこと自体を、従つて又取締対策を聞いておるのであつて、それに関連をして一般庶民大衆の生活の不安を除くために、そういう人たちの生活の安定を図るために具体的な施策をどう進めようという方向でおやりになつておるか、その点を改めてお聞きしたい。
#135
○国務大臣(吉田茂君) いろいろ根底に横たわる問題とか、むずかしいお話でございますが、政府として特に現在起つている問題について取敢えず処置をする、それ以上のことは将来の発展によりまして善処いたします。
#136
○佐多忠隆君 併しこの問題は今突発した問題でなくて、これに類似した問題があちこちに起つております。こういういわゆる騒擾が社会的不安にならないためには、すでに前からそういつた対策が具体的に総合的に立てられていなければならないと思うのですが、私たちの見るところを以てすれば、それが殆んど考えられていない。従つて今度の関西の事件を契機にして、政府は早急に総合的な緊急対策をお立てになるべきだと思いますし、それに対して総理はどういうふうな態度を、或いはお心構えを持つておられるかということをお尋ねしているわけであります。
#137
○国務大臣(吉田茂君) 私の心構えは今申した通りであります。
#138
○佐多忠隆君 今申されたことは、取締に対しては遺憾なきを期している、それ以上の根底に潜むいろいろな問題については適当に善処するというお言葉でございますが、適当に善処するということではお答えになつておらないので、そこをもつと具体的にお示しを願いたいということをお尋ねしているわけであります。
#139
○国務大臣(吉田茂君) 私の答えを以て、答え以上にお答えをする考えはございません。只今の答えで以て御満足を願いたいと思う。
#140
○佐多忠隆君 私はそういうお答えでは満足できないのですが、一つ総理にお願いしたいのは、昨日に劣らずもう少しそういう点についてフランクにいろいろお気持をお述べ願いたいということを切にお願いをしたいと思う。そこで、それでは問題を変えまして、もつと具体的な問題として、その第一歩として公務員の給與改訂にに対して、今御承知の通りの案が出ておりますが、これに対しては非常に一般も、社会も面接の関係者は勿論のこと、一般社会もこれでは少し酷である。何とかならないものかということを非常に考えておるわけでありますが、これに対して総理はどういうふうにお考えになつているか。
#141
○国務大臣(吉田茂君) かねて私が申しております通り、給與は成るべく引上げたい、又引上げるために努力をいたしていたのでありますが、現存の財政状態においては、予算案に組んでいるところを以て最大限であり、差当り将来において余裕があれば無論値上げをすることについては何ら異存はありませんが、只今のところはこれを以て満足して頂くほかはないと考えております。
#142
○佐多忠隆君 人事院の見解によりますと、たびたび総裁が繰返しておりますように、現在の政府案では不満足であるということを頻りと言つておられる。その人事院の勧告を完全に実施する、即ち六千三百七円ベースを八千五十八円に引上げる。それから年末手当を一ヵ月分支給するというと、それはこの際は少くとも絶対に必要であると思うのでありますが、その点について総理は現在の財政状態からして、それが不可能だということをおつしやつている。その財政状態において可能であるか不可能であるかという計数的な問題、そのことについては後ほど大蔵大臣その他の方々にもう少し具体的に、詳細にお尋ねをいたすことにいたしたいと思いますが、一般的に、総括的に言つて、それに必要な財源のごときは、そんなに我々を以てすれば大したものではないし、殊にそれが生活不安の対策、生活安定のためであるというのならば、その程度のものは、現在の日本の財政状態では出ることがそれほどむずかしいんじやないんじやないか。現に政府は年末手当のごときは、一ヵ月分を出すことを一遍は決意されたと我々は承わつておる。従つてその財源のごときは、総理或いは総理が率いられる内閣が親身になつて国民大衆の生活の安定を守るんだということを、本当に真剣にお考えになるならば、さしてむずかしいことではないんじやないか、こういうふうに私たちは考えます。その点について総理はどういうふうにお考えになつているか。
#143
○国務大臣(吉田茂君) 政府がこの度の値上げをするに至つては真剣に考えて、ここに至つたのであつて、決して軽卒な考えで、真剣に考えていなかつたというのではないのであります。真剣に考えて、これ以上に差当りのところいたし方ない結論に達したのであります。
#144
○佐多忠隆君 真剣にお考え願いたいと言えば、真剣でなかつたのじやない真剣に考えたんだということでは、子供の喧嘩で何もお答えになつていないと思うのですが、総理は又例によつてこれ以上は答える意思がないということをおつしやるに違いないので、その点はもつと具体的に後ほど関係大臣と論議をいたすととにして、問題を次に持つて行きます。ただ私がここで率直な感じを申上げますと、そういうことに対して、もう少しく具体的にお心持なり何なりを示して頂かない限りは、親身にお考えになつていないのじやないかと、私はそう断定はいたしませんが、ただそういう疑念をはらすことができなかつたという気持だけを一応総理のお耳に入れて置きたいと思います。
 次の問題はグレーの最近の報告をめぐる問題でございますが、グレー報告において、御承知の通り今後のアメリカの極東政策、或いは世界的と言つてもよいかも知れませんが、経済政策を恐らく決定するであろうと言われておるところの、例のグレー報告、これによりますと総理が十分御承知の通りに、自由世界の経済力を強化するということを非常に大きな目標に掲げて、それのためには対外援助の増大をやる、それから未開発地域の開発に全力を盡す、同時にそれを通じて各国経済自立の促進をやるということを謳つておると思うのであります。そこでそれに関連して私は外務大臣、或いは総理大臣としての吉田総理にお聞きしたいことは、一体こういう報告の中にいろいろなことがまあ述べられておりますが、特に日本に対しては対日援助の問題が非常に具体的な形において述べられておるんですが、総理はアメリカの対日援助は今後どうなるというふうにお見通しになつておるか、これが第一点であります。
#145
○国務大臣(吉田茂君) これは将来は漸次減るということは必然の勢いであろうと思います。何となれば日本の復興は増進しつつある、又日本の経済は安定しつつあると、こう我々は考え、こう報告されておるのであります。又同時にアメリカにおける財政状態は漸次増税若しくはインフレのほうに傾いて進みつつあるので、アメリカの経済、如何に富んでおるアメリカの経済といえども、必ずしも愉快な状態ではないのであろうと思う。殊に財政の均衡等は不均衡を生じつつあるときでありますから、成るべく歳出は減らしたい。こう当局者は考えるのは当り前の話であります。従つて日本に対する対日援助に減る、こう我々は早く考うべきである、又長くよその国の援助によつて、又この資金によつて、日本の経済政策を立てて行くということは、日本国民の決して誇るべきところではないのであります。私は日本が長くこの対日援助でアメリカの援助のみに依頼しないように、そうして又減つてもそれに対しては下足を言わない、減つた結果どうするかということは更に考える、自主的に考えてこそ日本の面目が立つと思いますから、減ることに対しては私は苦情を言わないつもりであります。
#146
○佐多忠隆君 今お答えの程度はすでに去年或いは一昨年からいろいろと論議され、言われていて大体そういう方向であるし、日本国民としてもそういう心構えでなければならんということはたびたび言れたので、日本国民全体がそういうふうに考えておると思います。ただ問題はグレイ報告をめぐつてこの問題をもつと具体的に考えなければならない段階に来ておるので……それではもつと質問を具体的に申しますが、アメリカの対日援助は明年度どういうふうになると予測をされるか、これらの点について数字的ないろいろな問題は後ほど関係大臣にお尋ねしたいと思いますが、一般的な傾向なり判断を総理或いは外務大臣にお尋ねをしたい。
#147
○国務大臣(吉田茂君) グレイ報告なるものは、私はただ新聞によつて承知しただけの話であつて、その意味合については或いはその原文については承知いたしませんから、ここにそれを土台として申すわけには行きませんが、併し明年度にでもなればますます減るという見通しは当然である。さてどのくらい減るかというようなことは、これは私において見通しがつかないことでありますから、ただ減るということだけ我々は覚悟すべきであるということを申述べます。
#148
○佐多忠隆君 一般的に我々が今まで聞かされているところでは、一九五二年には日本に限らず西欧諸国その他に対しても、大体対外援助をば打切ろうという方針で来たと思うのですが、それがグレイ報告によると、対外援助の増大をやるのだということが、一方にはちやんと謳われておる。殊に昨日、一昨日のトルーマンとアトリーの会談を通じて、我々が新聞で承知していることは、準戰時態勢の一つとしてでもありましようが、生産力を増大するために更に協力態勢を推し進め、従つてそのためには対外援助を増大しなければならんという情勢にあるというようなことも述べられておると思うのですが、それらに関連をして今までの一般原則、又一九五二年で一般的に打切るという、この大体の方向が、どういうふうに変つて行くとお見通しになるかという問題であります。
#149
○国務大臣(吉田茂君) 只今申した通り、私はこの問題についてはアメリカ政府からして特に話を聞いたこともないのでございますから、新聞情報より以外にないのでありますから、従つてお答えするだけの資料を持つておりません。
#150
○佐多忠隆君 資料がないからお答えができないというお話でありますが、この問題は非常に重大な問題であり、而も来年度一体これがどうなるのか、今までの考え方だと一九五二年までは大体続くだろうというようなことでいろいろな計画が立てられていたと思うのでありますが、グレイ報告によれば、それがそうでない方向に行きかねないような状態になつているし、差当り来年度どうなるかということの見通しが非常に重要である。而も政府がお出しになつた今問題にしておりますところの補正予算は、十五ヵ月予算としてそれらのものの確たる見通しの上に立つて計画を立てているというようなお話でございますので、それらの関連する数字的な問題は後ほど関係大臣にお聞きするのですが、明年における一般的な傾向、一般的な態度をば総理としてはどういうふうに規定して今後の予算なり経済計画を立てることをおやりになつたか、その前提條件としてどうお考えになつたかということをもつと具体的にお話願いたい。
#151
○国務大臣(吉田茂君) 具体的、具体的とお話になりますが、アメリカ政府といえども来年六月以後の予算は今日においてはわかつておらないだろうと思います。六月以後になつて議会において議決して初めて決定するのであつて、それ以前においては我々に対しては勿論のことでありますが、国内においてもこれを見通しをするような材料はないであろうと思います。とにかく日本政府としては持つておるだけの資料によつて多分こうあろうと考えるたけの予算を見積つたわけであります。
#152
○佐多忠隆君 おつしやる通りアメリカでも決定というのは来年の五、六月頃でございましようか……すでに予算としては正月、来年初めには発表されるでありましようから、大体のところの傾向なり大体の数字は必ず持つていらつしやるのだろうし、それを前提にしてお立てになつておるのじやないかと思うので、これを非常にしつこく聞いておるのですが、若しそれに対する具体的なお答えがなければそれは後ほど関係大臣にお聞きしますが、もう一点お聞きしたいことは、総理がおつしやるように我々の気持、我々の理想としては明日からでも経済援助を断つて独立するということが我々の希望、我々の一つの態度でなければならんということについては私も総理と全く相一致するものでありまするが、総理はよくおつしやるように、それは一つの理想論であつて、今問題は来年にどういうふうになるか、来年切られたら困るというようなことになるのか、来年に切られたら切られたでそれでもいいというようなお考えなのかどうか、来年切られるかも知れんということをグレイは言つておるのだから、それに対しては一般的な態度としては我々は独立しなければならないから、自立しなければならないから、そういう心構えで中にお説教されるのはそれでいいと思いますが、総理の最も好まれる現実的な政治としては恐らく私は来年打切られたら困るだろうから、そういう意味においては適当な要請なり何なりを関係当局にさるべきじやないかと思うのでありますが、それらについてはどういうふうなお心構えであるのかということを具体的にもう一遍お聞きしたい。
#153
○国務大臣(吉田茂君) これは対日援助を打切られた場合でも外資導入によるべきものであろうと考えてその線に向つて努力いたしております。この外資導入もこれは相手方のあることでありまするから、いつどのくらいのものが入るということは言えませんが、外資導入のために政府は極力措置をいたしております。
#154
○佐多忠隆君 外資導入のお話で片付けようというようなおつもりでありますので、更にもう一遍そこの点をお聞きしなければならなくなるのですが、おつしやる通りに、近い将来において対日援助が打切られた場合には、それに関連して外資導入その他のことを別な問題としてお願いをしなければならんということは総理のおつしやる通りだと思うのですが、問題はもつと具体的に来年度そういう態度でいいのかどうか。総理は来年度から若しそうなつたらそういう態度で行くということをおきめになつておるのかどうかという点でございます。
#155
○国務大臣(吉田茂君) 只今申した通り、外資の導入はこれは相手方のあることでありますから、今日こういうふうになるであろうということは予測もできないので、成るべく外資導入が実現されるように努める、これ以上はお答えができません。
#156
○佐多忠隆君 どうも私のお尋ねしておることに対する答弁になつてないと思うのですけれども、まあその問題は一応譲りまして、警察予備隊の問題でございますが、警察予備隊はマツカーサー元帥の書簡によつて、ポツダム政令として警察予備隊令なるものが出されたのでありますが、このときにそれに関連して、それに必要な経費は債務償還費から移用すればいいというような書簡があつたために、それに則つて二百億の支出をば警察予備隊令を以てやられた。併しこの問題は財政の支出でございますので、非常に重要な問題であると思いますし、少くとも財政の支出である限りはこれを臨時国会の召集、その他によつて国会に諮つてきめるべきであると思うのでありますが、それをおやりにならずに政令でおやりになつたのは 国会の財政審議権を無視されておる、或いは軽視されておるものだと我々は考えざるを得ないのでありますが、総理はどういうふうにお考えでしようか。
#157
○国務大臣(池田勇人君) お話の通りに、大蔵省所管の国債費から内閣所管の警察予備隊のほうに移用いたしたわけであります。この移用ま財政法第三十三條にいう移用ではございませんポ政によりまして財政法以上のものとしてやつたのであります。而してなぜポ政によつてやつたかと、こう申しますと、あのとき国会を開いて頂くというわけには行かなかつたわけでありますから、ポ政によつたのであります。
#158
○佐多忠隆君 その問題についてはそれじやもう少し疑問がありますが、後ほど大蔵大臣と質疑をいたすことにしまして、更に総理大臣にお聞きしたいのですが、というのは今年度の補正予算の審議期間の問題でありますが、政府は我々が新聞その他を通じて見るところによりますと、今度の補正予算をおきめになるのに、内閣閣議だけでも大体九月中一ヵ月おかかりになつたと思います。更にその案を中心にしてドツジ氏の来朝を迎えて、十月七日にドツジ氏が参つて以来、十二月四日に至るまで殆んど二ヵ月の間、更にドツジ氏と折衝をして御審議になつた、今度の補正予算、勿論その背後には来年度予算がございましようが、それらを御審議なさるのに都合三カ月を要しておられる。ところが国会に対しては僅かに二週間しか審議期間がない。この二週間で衆参両院でこれを審議しろとおつしやる。そのためにこの補正予算の背後になつておるところの二十六年度予算を審議する時間もなければ会期も今日までに迫つておるのに、まだ一般的なこういう問題で御質問をしなければならないくらいに審議は非常に切詰められておる。こういうことがありかねないと思うから我々は臨時国会をもう少し早く開くべきだと言うていろいろ要求したにかかわらず、それに応じておられない。こういうことは国会の審議を或いは特に予算の審議を非常に軽視される結果ではないのか、この点に総理はどういうふうにお考えになつておりますか。
#159
○国務大臣(池田勇人君) お話の通り十月の初めに決定いたしました。そうして関係方面の研究を願つたのでありますが、関係方面におきまして非常な日数を要しまして予算或いは関係法案の提出がぎりぎり一ぱいで十一月二十四日に相成つたのであります。当初組みました予算は朝鮮事変を織込んでいなかつた予算でありますので、朝鮮事変の影響を十分検討する上におきまして我々のほうでも、又関係方面におきましてもそういう長い期間を要したのであります。
#160
○藤野繁雄君 私は最初に治安維持の問題についてお尋ねしたいと思うのであります。平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障することは国民の等しく念願するところであるのでありますが、最近は各地に計画的な突発事件が続発するために国民は不安を感じておるような状況であるのであります。総理大臣はこのような時局に際しては現在の国家地方警察、自治体警察の警察力、警察予備隊、海上保安庁の現在の状況で完全に治安の維持ができるとお考えであるかどうか、これをお尋ねしたいと思うのであります。
   〔委員長退席、理事野田卯一君委員長席に着く〕
#161
○国務大臣(吉田茂君) 現在の警察組織ができましてから二年余りになりますが、その間現在の組織でいいかどうか、治安に対する組織として現住の警察力その他がこれで結構であるかどうかということには我々も非常に疑問を持つております。又朝鮮事変等で以て事態が急変いたしたために、これに備えるために、又将来に備えるために警察予備隊を急に組織することになつたのであります。さて警察予備隊はともかくとして国家警察、自治体警察が今の組織でいいか、今の連絡がこれでいいかということについて我々も疑問を持つておるので、愼重に今研究いたさしております。遠からず成案ができましてから御相談いたしたいと思つております。
#162
○藤野繁雄君 治安維持に関するその他の問題は関係閣僚にお尋ねしたいと思うのであります。
 次は災害防止と復旧問題についてお尋ねしたいと思うのであります。国民は年々の災害に困つていてその災害というものの損害は非常に甚大であるのであります、現在のように災害が起つてからその対策を講ずるのみであつては徒らに溝の中に金を捨てると同様であるのであります。そこで災害を未然に防止するための根本的な法的、予算的措置を講ぜられるお考えがあるかどうか、これは最も急務であろうと思うのでありますが、首相の御意見を伺いたいと思うのであります。
#163
○国務大臣(周東英雄君) 御意見は御尤もでありまして、政府におきましても災害の予防並びに復旧等に関する予算は相当額増額して、近く二十六年度予算として提出する見込でございます。
#164
○藤野繁雄君 災害の防止と復旧とについては明年度予算は相当増額されたということでありますが、今年の実際によつて見ましてでも、予算が百億円であつて更に今度の予算で四十七億円を追加される、こういうふうなことで以て災害が起つて直ちに応急策を講ずることができないということが、災害復旧防止に非常に影響を及ぼすものと考えるのであります。従つて我が国のように災害の多いところでは、前以て災害があるものとして恒久的の施策として、たとえてみれば災害応急措置法というようなものを作つて、いつ如何なるとき災害が起つても万全の策を講じて置くべきものであると信ずるのでありますが、そういうふうな万全の策を講ぜられる考えがあるかどうか、総理大臣にお尋ねしたいと思うのであります。
#165
○国務大臣(周東英雄君) 災害防除法等の制定等に関しましては御意見もあります。よく研究いたしたいと思いますが、差当つて予算的措置としてお話のように既発の後にこれを復旧させるように、御意見のように予防的な措置として来年度予算におきましては、治山治水に関する費用、河川災害防止、ダムの確保等によつて先ず元を治めるべく考えております。
#166
○藤野繁雄君 災害に関してもその他のことについては関係大臣にお尋ねしたいと思うのであります。
 次は食糧政策の根本問題についてお尋ねしたいと思うのでありますが、この問題は非常に大きいものであるのでありますから、詳細に質問をしたいと思うのでありますけれど、時間の関係上要約して質問をし、残りはあとで関係大臣にお尋ねしたいと思うのであります。食糧の国内自給体制を整えるということは最も必要なことであつて、政府においてもその必要を認め閣議で決定せられ、順次計画を進められておるようであるのでありますが、その食糧増産のことと統制の撤廃ということについて如何なる方針であるか、これを先ずお尋ねしたいと思うのであります。
#167
○国務大臣(周東英雄君) お答えをいたします。日本の国情といたしまして食糧の自給度を向上して行くということに対する措置は最も必要であります。従いましてその方策といたしましては、土地の生産力を高めるための措置、又災害によつて田畑、基本施設を破壊されないようにする措置、又病虫害の駆除予防に関する措置、又技術員の農業技術の向上等を各般に亘つて措置いたしたいと考えております。統制の撤廃問題についての御意見でありますが、政府は基本原則としてはやはり農家に自由に作らせ、自由に販売することが根本であると考えます。これは統制前において、統制しようとする先に最も統制に反対したものは農家であり、又農業指導者であつたはずであります。併し必要があつて統制されましたが、今度その原則に立ち還るについては原則だけでは参りません。統制を外した後における国民生活全般に関する食糧政策として配給に混乱を来たさないよう、価格の調整措置、又は生産者並びに消費者に対する措置、又金融の問題、市場の問題等を併せ考えつつ、順次これを外して行くのが適当であると考えて措置をいたしております。
#168
○藤野繁雄君 食糧の自給体制を整えるためには米麦のみによらずして、従来のように甘藷、馬鈴薯というようなものも奨励して、更に進んでは畜産、水産というようなものも奨励いたしまして、国内の自給度を高めて行かなくちやできない。私は新鮮動乱の結果、政府が予定しているような食糧の輸入ができるというようなことは非常に困難な状態であるのではなかろうかと思うのであります。でありますから、いよいよ食糧が行詰つた場合において、過去における苦難を嘗めるよりも、この際においてやはり米、麦も甘藷、馬鈴薯についても、畜産、水産についても奨励をして行かなくちやできない。又甘藷、馬鈴薯な奨励をしたならば、相当の收量が増すのでありますから、食糧自給の体制を整えるには最も必要であると感ずるのであります。而してこの問題については第七国会において甘藷の貯蔵、利用、加工の高度化を図るために、積極的の措置を講ずる考えはないかということを総理大臣にお尋ねした際において、予算はないけれど運用によつて目的を達成するようにする。こういうふうな御答弁を得たのでありますが、今回の補正予算においてもその実現を見ていないということは、将来における食糧の危險を来たすというようなことになりはしないかと考えるのでありますが、この点についてお尋ねをしたいと思うのであります。
#169
○国務大臣(周東英雄君) お答えをいたします。食糧の自給度向上のために米麦のみに頼らずして、甘藷、馬鈴薯、畜産、水産等を考慮する必要があるのではないかという御意見は御尤もであります。私ども政府におきましては、総合食糧の計画ということを言つております。これは量の問題にあらずして質に還るということでありまして、当然澱粉食糧である米麦のみに頼ることなく、蛋白、脂肪の資源である水産、畜産の奨励の方向に持つて行くことが正しいと思います。又澱粉化したところのですというものについて考える必要がありますが、この点は我々政府のみの天降りの行き方でなく、このものを確保するという行き方に対しては、当然消費者大衆の食糧に対する嗜好等の変化を考えて行くことが必要であると思うのでありまして、そういう指導等をなすことが必要であります。根本においては米麦の偏重は考えておりません。
#170
○藤野繁雄君 政府の今年度の予算と来年度の計画とを考えて見まするというと、来年度においては本年度より輸入食糧が減少しておるということは、これは輸入食糧が困難であるというふうなことを認めて予算の編成をしたのではないかと思うのであります。又一方においては麦の値段は下げておる、麦は配給辞退が多いからというような説明があるのでありますが、予算書によつて見まするというと、輸入大麦が最初は三十五万トンであつたのが、四十八万トンに増しておるのであります。その増加は十三万トンになつておるのであります。配給辞退があるから麦の統制は外す、こういうことを申しておるのと、政府の実際に行なつておるところとは全く相反しておるのではなかろうかと思うのであります。この点について如何なる理由によつてこういうふうな減額になつたのか、輸入は計画通り実行ができるというお考えであるかどうか、その点をお伺いしたいと思うのであります。
#171
○国務大臣(池田勇人君) 主食の輸入は当初予算におきましては米換算三百四十万トンを計画いたしておつたのでありますが、予算執行の過程におきまして三百二十万トン程度が可能と考えられましてそういうふうに補正いたしたのであります。而して来年度におきましても同様三百二十万トンの輸入を計画しております。本年度並びに来年度におきましてこの三百二十万トンは輸入し得るものと考えておるのであります。而して麦の価格でございますが、麦の価格は下げてはいないのであります。来年度におきましても十キログラム麦は四百二十円、精麦は大麦が四百円という今の価格を続けて行く。片方で米の値段を上げておるのであります。
#172
○藤野繁雄君 その他の問題は関係閣僚にあとでお尋ねしたいと思うのであります。
 次は農業協同組合の育成強化問題であります。参議院の第七国会においては農業金融の疏通並びに農業協同組合の育成強化の決議をいたしまして、これに対して総理大臣は五月二日付で参議院議長に書面を送られて所信を明らかにされたのであります。総理大臣のこの所信によつて私などは農業金融の疏通も農業協同組合の育成強化も、法律化し、予算化すると考えておつたのでありますが、補正予算を見ますというと、私らの期待に副い得ないような状態であるということは誠に遺憾に堪えないのであります。この五月二日の総理大臣の書面の通りに、いつどんな法的手段を講じ、又予算的措置を講じられる考えであるか、これをお尋ねし、又昨日は参議院で興農政策推進に関する決議をしているのであります。この決議に対する総理大臣の所見を伺いたいと思うのであります。
#173
○国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。農業協同組合の育成強化につきましては我々の苦心いたしているところでありまして、本補正予算におきましても、農業団体への交付金並びに農業協同組合の運営強化によりまして、協同組合の育成強化を画策すると同時に、今の農業協同組合の実態を十分見極める必要がありますので、特に経費を七百万円計上いたしまして、農林省並びに大蔵省と協同組合の調査をいたしているのであります。農業会が農業協同組合に変りましたときの資産の状況等について、いま少しく詳細な調査を必要といたしますので検討を続けているのであります。而して農業経営の問題につきましては、農業手形等によりましてやつているのでありますが、来国会におきましては、もつと農林、水産金融を円滑にするために長期の資金を相当金額を入れ込む予定でおりますし、又短期の資金といたしましても、農林中金のほうに農林中金の金融債等を預金部で引受けまして、そうして資金の融通を一層よくしたいと計画しているのであります。
#174
○藤野繁雄君 農業協同組合の経営を合理化し、以て再建整備を促進することは、農業協同組合を育成強化し、延いては我が国の再建に貢献するところが多大であると信ずるのであります。かくのごとき理由によつて、総理大臣は農業協同組合の再建整備法というようなものを作つて、法律的に、又予算的に農業協同組合の育成強化を図られる考えがあるかどうか、これがさつきから申上げている五月二日の参議院議長に対する総理大臣の所信もそういうことではないかと考えますが、この点お伺いしたいと思うのであります。
#175
○国務大臣(池田勇人君) お話のような考え方で進んでいるのであります。従いまして農業協同組合の最近の事情の実態を十分見極める必要がありますので、今折角調査中であるのであります。その調査に基いて法律や適当な措置を講じたいと考えております。
#176
○藤野繁雄君 その他は関係大臣にお尋ねすることにいたしまして、私の質問を終ります。
#177
○木村禧八郎君 私は総理大臣に三つの質問をいたしたいと思います。その第一は治安対策について、昨日総理大臣に朝鮮事変の影響をどういうふうに考えるか、私の見方からすればこれは少し甘く考えていたのじやないか、こういう質問に対しまして、総理大臣は決してそうではない、相当真剣に考え、政治上経済上相当の影響があつたと申し、特に治安上については真剣に考えられている、こういう御答弁がございました。で経済上の影響、それを予算にどう織込んだかということにつきましては、これは関係大臣に御質問するとしまして、総理大臣に対しましては、それほど重大にお考えになつた治安の問題について、治安対策としてどういうことをおやりになつたか、又どういうことをおやりになるつもりか、その点について総理大臣にお伺いしたい。
#178
○国務大臣(大橋武夫君) 朝鮮事変の発生に伴いまして、国内の治安がこれによつて多少とも影響を受けるということはもとより当時から想像いたしておつたところであります。従いまして当時におきましても警察力の運用において十分に完全を期するという必要がある。特に国家地方警察並びに自治警察がかような際において十分に連絡提携いたしまして、その最大の能率を発揮いたすということが必要であると考えまして、現在の警察法の運用に当りまして、この点において十分に留意をいたし最大の能率を発揮するような措置をとりつつあるわけであります。又警察予備隊もこの朝鮮問題以後の新事態に対処し得る一つの治安上の措置であると考えているのであります。
#179
○木村禧八郎君 私は議事進行について委員長にお諮りしたいのですが、それは先ほど藤野委員も総理大臣にお尋ねしている。私も総理大臣に尋ねているのに総理大臣はお答えにならない。若し総理大臣が今後ずつと御答弁にならないというと、私は細かいことは関係大臣にお伺いしますけれども、非常に大切な朝鮮事変の動乱の影響について、総理が最も真剣に考えられたその治安の問題についてお伺いしているのですから、総理に御答弁を求めているわけです。それが大局的な御答弁なんですから総理に御答弁を煩わしたいと思うのです。
#180
○国務大臣(吉田茂君) 重大な問題でありますから、私よりも関係大臣のほうがあなたに対して御満足の行くような答弁ができると考えましたから、そのお答えについては、御質問に対しては主管大臣からお答えするわけであります。
#181
○木村禧八郎君 そういう意味でしたら了承いたします。それならば総理大臣が先にそういうふうにおつしやつて下さればよかつたのです。一応そうおつしやつてから関係大臣から御答弁があればよかつたのですが、私はその点そう解釈しなかつたものですから御答弁を煩わしたわけです。
 そこで只今大橋法務総裁からの御答弁では、治安対策としては二つ、一つは警察予備隊、もう一つは警察官、そういうほうの機能を充実させて行く、こういうことが主たる治安対策である。こういうふうに伺つたのですが、この朝鮮動乱の結果、治安に重大な問題が起るかも知れないという根本の原因がどういうところにあるとお考えですか。
#182
○国務大臣(大橋武夫君) 朝鮮問題に関連いたしまして、なぜ国内の治安において重大な問題が起るかという御質問でございますが、これはもとよりかような国際的な関係が国内において種種なる社会的な問題を発生し、これによりまして国内の治安上の問題が生じて来るとかように考えております。
#183
○木村禧八郎君 朝鮮動乱後における各種犯罪の傾向はどうでありますか。若し数字があればあとで結構ですから伺いたいのですが……。
#184
○国務大臣(大橋武夫君) 一般的な犯罪につきましては後ほど資料によつてお答えを申上げたいと存じます。
   〔理事野田卯一君退席、委員長着席〕
特に治安上注意すべき犯罪といたしましては、朝鮮動乱以後におきまして反占領軍的行為、或いはさような意図を以ていたしまする産業上、又は輸送上の妨害の行為、こうした行為によりまするいわゆる勅令三百十一号事犯というようなものが非常に殖えておりまするし、又先般関西その他において起りましたような集団的威力によりますところの犯罪等が相当増加いたしておるように、傾向として観取いたしております。
#185
○木村禧八郎君 そういう種類の犯罪を除外しまして、例えば毎日、新聞を賑わしておる、例えば強盗が銀行に押入つたとか、或いは又いろいろ泥棒が多くなつたとか、スリが多くなつたとか、主として生活の問題から来る治安の問題ですね、その傾向はどうなんですか。
#186
○国務大臣(大橋武夫君) これにつきましては後ほど資料によつてお答え申上げたいと存じております。
#187
○木村禧八郎君 それがどういう……朝鮮動乱後私は問題にしたいのは、相当物価が上つて来ておる、物価も上つて来てそうして生活水準が下つて来ておるのです。そういうためにいろいろ問題が起る。又或る特殊の産業においては非常に景気がよくて賃金を拂うけれども、跛行的に今度は中小業者のほうで特需でない、或いは又輸出産業でない方面で遅配とか、そういうものが起つていろいろなストライキ、その他が起る、こういうような私は治安を言つておるのですが、そういうものの傾向です。私は法務総裁が或る特殊の、さつきおつしやつたような治安に非常にエネルギーを費して、他方にそういう民生安定的な治安対策というものは看過されておるのじやないか、その点を一つ伺いたいのです。
#188
○国務大臣(大橋武夫君) 一般的な財産犯罪等において国民生活の窮迫等の傾向が見受られるかどうかという趣旨の御質問と考えるのでありますが、この点につきましては朝鮮動乱に関連いたしまして特異な傾向はないように存じます。
#189
○木村禧八郎君 それでは朝鮮動乱後特異な傾向はない。そうしますと朝鮮動乱以前においていわゆるデフレ的な傾向を呈して売れないものがたくさん出て、非常に失業者も出て、不景気であつた。そういう状態と余り変りはない、こういうふうに了解いたします。で、私は治安の一番根本の目標はどこにあるか。又治安の根本対策は一体どこにあるか。警察予備隊を殖やしたり、警察官を殖やしたりすることが治安の根本の対策であるかどうか。この点総理にお伺いしたいのです。治安の根本の大体の考え方です。
#190
○国務大臣(吉田茂君) 無論御質問は経済状態がよくなればという御質問だろうと思いますが、この朝鮮動乱というような外界において一種の騒動を生じて、その騒動が社会への利益に及ぼすような結果の一種の事態が生ずるようなこともあるのでありますから、それで朝鮮事変に対する処置については、私はこう考え、余りにどうも現在の動乱の影響を過大に考えられておるものではないか。これはあなたが言つたような問題になるかも知れませんが、私はむしろ余り神経過敏になり過ぎておるのではないか。今回の動乱の状態、これに対しては昨日も申上げたのでありまするが、平和的解決に努力をしておる現在において、何らかその間に適当な処置ができ得るであろうと私は確信いたすものであります。それでこの動乱の経過についてはもう少し暫らく見られないというと、こういう態様、様相を生じた、これはどういう根本の原因からというものか決断が、論断するのに少し早いのではないか。もう少し経過を見定めてお考えになるべきではないか。政府も又経過によく注意して適当な措置を講じたいと思つております。
#191
○木村禧八郎君 大体御趣旨はわかつたのですが、日本の治安についてこの間見えられたドツジさんが、アメリカの国会の公聽会において述べたものがあるのです。それをドツジさんの言つていることを聞きますと、私は日本人の識者に質問するのが常であつた、若し君がその局に当つたならば、政治的安定や、労働事情の安定や、持続的な経済的、民主的再建を確保するためにどうするかと質問する。その答えは必ず食糧と綿製品をもつと多く入手できるようにすることであつた。こういうことを言つているのです。で、要約すれば国内の政治的、経済的安定は実際上の実質賃金の効果的な増大と、不足品の闇値の引下げに存している、これが賃金増加要求の圧力に対抗し、賃金物価増大の悪循環を追拂う唯一の方法である。こういうふうに言つておりまして、経済的に見て、ドツジさんの考えはだんだん日本の治安対策をこう追詰めて行くと、労働階級の生活を安定させる。これはまあ抽象的に言えば何でもないことですが、それを更に追詰めて行くと、結局食糧の問題 それから衣料の問題、この二点に帰着する、こういう意見なんです。ところで具体的に、最近食糧につきましては、昨日大蔵大臣も御答弁がありましたが、米の値段を上げて、所得の高い人は米が食えるように、所得の少い人は麦を食うように、古来の食習慣に逆転させるのが今回の食糧、主食の価格の改訂の狙いである、こういうことを大蔵大臣は言つておられる。又綿製品につきましても最近動乱以後綿製品が一番騰貴しているのです。騰貴率が大きい。そうしますとドツジさんが言つた日本経済と治安の安定、その一番基本的なぎりぎりの二つの線がここで動揺しているのです。従つて政府は朝鮮動乱の影響による治安を確保しようとすれば、この方面に、食糧なら食糧の増配をやるとか、或いは食糧の価格を低くして、そうして食糧については皆が安心して食えるよう、又安いお米を皆食べられるように、或いは又衣料については綿製品を安く配給できるように、こういうふうな方向に進まなければならないと思うのですが、政府の政策は朝鮮動乱の影響を受けていると言いますけれども、逆に来ていると思うのです。政策は逆だと思うのです。そこで私はそれを問題にしているわけです。この点どういうふうにお考えですか。
#192
○国務大臣(吉田茂君) 私よりも主管大臣のほうが御満足になれるような御答弁ができると思いますから、主管大臣に答弁いたさせます。
#193
○国務大臣(周東英雄君) 木村さんの御質問は御尤もでありますが、政府も実はその線で行つておることは御承知だろうと思いますが、朝鮮動乱が始まりまする以前におきましては、大体に統計を御覧になるとわかりますように、実質賃金は去年からとつた政策が効を奏しまして、やや上つて参りました。名目賃金において上りました。物価の安定に伴つてやや上つて参りました。このことは私はお認めになると思います。そこで今総理がお話になりましたように、朝鮮事変以後急にこれが変つてどうにもごうにもならんというふうにお話がありましたが、今のところやや保合つております。恐らくは或る程度大月以前に比較しまして、実質賃金が下つておることは私どもも認めますが、まだ保合つておるかと思います。而して私どもの政策としても、動乱が始まりまして以後、直ちにとつた政策は一時食糧、闇米、実効価格が上りかけたことは御承知の通りでありますが、政府の手持を大都市に放出いたしまして、その処置を講じた結果、又朝鮮事変に対する見通しもちよつとあの当時立ちましたので、大体におきまして、食糧における価格はまだ横這いの状況であります。而して綿製品等、即ち繊維製品等が国民生活に最も重大な関係を持つという建前から朝鮮動乱後一時綿布は非常に高騰いたしました。これに対して政府として暴利取締のような措置をとりまして、やや今日保合つておる形であります。このことに関しましては、今後ともやはり食糧、繊維の増加、内需に関する供給力の最底を維持しつつこれに臨んで行きたいと考えておりますので、その点はあなたの考えと同じ措置をとつております。最後にここに米も今度上げるのじやないかという御質問ですが、これは生産者価格の引上げと同時に、特別な措置がとられない限りは上げるのは当然でありますが、これについてはたびたび申しておりますように、米価の値上りはできるだけ、消費者価格はまだきまつておりませんが、中間支出等を抑えて値上りを少くしようと目下努力しておりますが、仮に現在五百円前後といたしましても、その値上りが生計費に及ぼす割合と、減税等の生計費に及ぼす割合とで、或る程度まだ減税の部分が一・一%ほどぐらい余裕ができるのではないかと只今考えております。絶えずこの点については生計費、物価、米価等を見合せて処置をいたしたいと思います。
#194
○木村禧八郎君 細かい点を聞いておりますと、総理大臣に対する質問時間がなくなりますから、それはやめまして、要するに各委員会で検討して見ますと、吉田内閣のいろいろな政策、二十五年度補正予算に現われた性格、それが厚生的でない、いわゆるウエルフエア、ウエルフエアの見地から見ますと、そうでない。反対のほうへ行つておる。そう結論せざるを得ないのですが、これは関係大臣に又御質問いたしますとして、第二に総理大臣にお伺いしたいのは、財政の民主化の問題、これについては我々第一面の参議院になりましたときに総司令部のウイリアムズ氏に呼ばれ、特にドクター・リゾーという方ですが、我々にレクチユアしてくれた、それに日本の財政は軍需予算みたいなものがこの国会の審議を経ないで予算を使つた、それだから日本は軍国主義になつて来たのだ。これからは一銭一厘といえども国会の審議を経なければいけないのだ、こういう覚悟で君たち予算委員が審議すべきだ。かように言われたのです。我々それを守つて参りました。先ほど池田大蔵大臣は、この警察予備隊の費用は、国会を開こうと思つたが開けなかつたからああいうポ政令で出した、それならば、来年度の警察予備隊の費用は、これは予算に組んでお出しになるかと、この点お伺いしたいのです。
#195
○国務大臣(池田勇人君) 今年度におきまして、大蔵省所管から内閣所管に移しましたのはポ政令でやつたのでございます。マツカーサー元帥の指令であるのであります。来年度におきましては、国会に付議いたしまして、そうして皆さんの御審議を願う考えでございます。このことは当然のことと思つております。
#196
○木村禧八郎君 次にお伺いたしたいのは、この財政の民主化の点でありますが、財政法第二十七條に予算の公開性、早く予算を出して、国民皆がこれをよく検討して日本の経済がどうなる、財政がどうなつて行く、これを明らかにさせるために成るべく早く予算を国会に出させるというので、二十七條においてこの十二月中に来年度の予算を国会に出すのを通則とするとなつておりますが、二十六年度は今月中に国会に出されるというわけですか。
#197
○国務大臣(池田勇人君) 只今編成中でございまして、いつ出すかはつきり申上げるわけには参りませんが、できるだけ早い機会に出したいと思つております。
#198
○木村禧八郎君 できるだけ早い機会というのは二十七條の精神に従つてやる、こういうことでございますか。
#199
○国務大臣(池田勇人君) その精神に副つてやりたいと思つております。本年度の予算は御承知の通り大体閣議決定いたしましたのが十二月の二十四、五日だつたかと思います。国会の提案は休会明けの一月に出したいと思うのでありまするが、只今の考えといたしましては、成るべく財政法第二十七條の精神に副つて行きたいというつもりでおります。
#200
○木村禧八郎君 総理大臣に簡單なことですからここでお答え願いたいのですが、財政民主化については民主主義の一番重要な点であります。ところが本予算を審議する上に、先ほど佐多委員から御質問がありましたが、いつも追込まれる。それでこの中でこういう総理の御出席についてもいつでも時間をどうこう、それですぐ揉めるわけでして、自由に審議できない。こういう点について十分に御考慮願いたいということと、それから昨日、一昨日ですか大蔵大臣に二十六年度の予算を伺つたとき、午前中に伺つておるときに答弁せられないで、午後に簡單な答弁があつた、我々から見ると何となく予算については国民に知らせまい知らせまい、我々が追及すると知らすという態度、考え方は私は予算の民主化に反する、財政民主化に反する。やはり政府が進んで、むしろ進んで国民にこうなつておるのだというふうに予算は明らかにするように努力しなければいけないと思う。それこそが新らしい時代の財政のやり方だと思う。これまで占領下であり司令部との折衝もありますからいろいろ困難があるでしようが、その点は心がまえとしてそういうふうにこれから考えて行かなければいけない、画期的な財政法だと思うのですが、そういう心がまえの点について総理大臣から御答弁願いたいと思います。今後の問題もございます。
#201
○国務大臣(吉田茂君) 予算の民主化ということの精神については私も同感であります。成るべく御趣旨に副うようにいたしますから、さよう御承知を願います。
#202
○木村禧八郎君 もう一点あと簡單なんですが、併し簡單ですけれどもこれは自由党の内閣としては一番重大な問題だと思うのは、経済の運営のやり方、方式です。これまでいわゆる自由経済方式と言いますか、それでずつとやつて来たわけです。統制も外してやつて来たわけです。そうしていわゆる価格の自動作用によつて価格が自然需給関係によつてきまる。そうして儲かるものは儲け、儲からないものは潰れて行く、自由経済方式でやつて行くのがいい、池田大蔵大臣のいわゆる自然の法則によつて行くという考え方、これは中小企業の問題も起つて失言などもございましたが、朝鮮事変が起つて以後において日本の経済も世界の経済も根本的に変つて来ておる。非常な変り方です。佐多君からも先ほどアメリカ経済も変つて来た。総理大臣もそのことはお認めだ。今後今までのようないわゆる自由経済方式、これは根本問題です。こういう自由経済方式でやつて行かれるのかどうか、いわゆる優勝劣敗、強いもの勝ち、そういう形で経済を運営して行つていいかどうか、これはさつきの治安の問題とも関連しまして今後の経済民主化の一番大事な点は国民の生活安定、ウエルフエアを如何に高めるかということが根本の問題でありますので、自由経済方式はそれに反すると思う。世界の大勢にも反する。而も世界が国防経済態勢にだんだん入つて来て、政府も外国からものを輸入しなければならない段階に入つて来た。政府が又輸出を止めなければならない。それが国民の生活にいろいろな影響を及ぼし、従つて統制の問題、今までの官僚統制という意味ではありませんが、又計画性の問題、総合性の問題、佐多委員が言われたようなそういう方向において経済を運営して行かなければならない。即ち、もう吉田内閣、自由党の吉田内閣の使命はここで終つたのだ。朝鮮覇変動乱以後はそういう経済の運営の仕方、経済体制では駄目だ、ここで切替えの段階に入る。そういうふうに考えると思うのですが、その根本の、自由党の一番根本になつておる政策、自由経済方式、これについて総理はどういうふうにお考えか。今後もそういうようにずつとおやりになることがいいとお考えか、最後にこの点だけ御答弁願いたいと思います。
#203
○国務大臣(吉田茂君) 主管大臣からお答えいたします。
#204
○木村禧八郎君 これは自由党の総裁としてのあれもございますので……。
#205
○国務大臣(吉田茂君) 総裁より主管大臣のほうがはつきりしております。
#206
○国務大臣(周東英雄君) お答えいたします。今のお話なんですが、成るほど世界情勢が非常に重大なときにありますが、併し戦争の、と申しますか事変の当事国であるところの国との動き方と、又日本としてはそういう立場にないものの間にもおのずから違いはあると思うのです。併し私どもは今日貿易振興によつて国の自立経済なり、或いは国の経済をやつて行こうとする一面におきましては、相当に外からの輸入が必要であり、或る場合においては、今度やりましたように、必要があれば輸出制限をするということは起り得ると思います。併しながら、そのことが即ち直ちに自由経済とか統制経済とか何とかいうようなものに反するとか反しないということが私は間違いでありまして、国家の施策なるものは国の行き方、国のために、その国の環境、その国の事情に印して手が打たれるべきでありまして、原則としては我我は飽くまで個人の自由、個人の創意工夫を活かして行くことが原則であります。外の輸入に大きなウエイトを持つておる今日、大きく国の中において何を一番国民のために生産増強を図るかという総合的な計画はあるはずであります。そのことと各個人の創意工夫を制約して、国家的に非能率な統制をやることとはおのずから差別をつけて考えて行くべきものと私は考えます。
#207
○木村禧八郎君 私の時間が参りましたので、総理に対する私の質問はこれを以て打切ります。
#208
○櫻内義雄君 私は先ず初めに、この十二月十五日より実施をされます電気事業再編成令及び公共事業令の実施に当りまして、どうしても総理にお尋ねをして置かなければならないことがあるのでございます。それは言うまでもくこの一つの政令は、総理に宛てられましたところのマ書簡に発せられたということは我々もこの国会の審議を通じて承知をしておるのでございます。そこでこの政令を実施するに当りまして、マ書簡の内容がどういうものであつたかということは、この政令を実施するものにとりましては非常な重要な問題であると思うのであります。そこで今国会におきまして、衆議院においても、又参議院におきましても、この書簡の公開を総理にお願いをいたしておるのでありますが、参議院において、考慮をするというお約束だけで本日に至つておるのでございます。すでに今会期も残すところ数時間、或いは数十時間というこの段階におきまして、而もこの政令の実施を前にいたしまして、総理はどういうお考えを持つておられるのか。マ書簡は公開されないのか、こういうことでございます。恐らく総理としてはいろいろな御事情があつてなお考慮するという段階にあられるかも知れませんが、是非ともこの書簡の公開をして頂きたい。かように思うのでございますが、総理の御所見は如何でありましようか。
#209
○国務大臣(吉田茂君) この問題につきましては、政府は十分考慮いたしましたが、前例通り公開いたさない。前例もありますので、又公開しないのが例となつておりますので、マ書簡は公開いたしません。
#210
○櫻内義雄君 只今総理のお言葉で遂にこの政令の前提となりますマ書簡の公開はなさらないということになつたのは誠に残念であります。併しこの政令を円滑に又忠実に実施する上におきましては、総理大臣にお差支えのない範囲で私は是非聞かせて頂きたいことがございます。それはこの書簡が電気事業の再編成そのものについて触れておつたのかどうか、又或いは日本の電気事業に対して何らかの示唆が含まれておつたのかどうか、こういう点であります。又マ書簡の内容がこの政令の内容に立ち到つておつたのかどうか、ただ單純に政治的に政令を公布すべきであるという示唆勧告があつたのか、この点だけは是非お尋ねしたいのであります。
#211
○国務大臣(吉田茂君) この電気事業再編成の問題は、これは集中排除その他によりまして、政府として再編成をなすべき義務を持つておつたのであります。今しつかりした時は忘れましたけれども、たしか昨年の初め、第二次内閣であつたと思いますが、第三次内閣でありましたろう……昨年の春頃すでにポツダムといいますか、デイレクテイヴによつて処理をしようという話があつたのでありますが、併し政府としては成るべく法律によつてこの問題を処理したいというのでそのとき延ばして今日に至つたので、爾来、この前の国会まで長年の間数十ヵ月に亘つて、十五ヵ月に亘つて司令部との間に交渉を持ち、当局者としての研究をして、そうして結局結論に達したのが第七国会に出とた法案であります。故にマ書簡においては政令によつて断行してもらいたい、強行するがいい、断行するがいいという指令が来たので、これ以上は……内閣は内容は余り申したくありませんからこれを以てお答えといたします。
#212
○櫻内義雄君 私はその程度でもお聞きすれば……次にお尋ねすることがあるのであります。それは今回の政令、公共事業令の中にガス事業も含まれたということにつきましては、私は納得が行かないのでございます。これはどうして政令によつてこのガス事業を公共事業令の中にお入れになつたかどうかということであります。その公共事業令の中に書かれておりますところをひもといて見ますと、供給を豊富に且つ円滑にするという趣旨で、ガス事業をも加えられた、こう思うのでございますが、今回のこの政令については、国民等しく承知する通り、電気事業に関して確かにあれだけの混乱を繰返しておるならば、或いはこういう政令によつても止むを得ないというような一部の空気もございます。ですから私はその点については深く政府を追及しようとは思いませんけれども、この政令の中にガス事業をも含まれたということにつきましては、その御趣旨は奈辺にあつたのか、この点が私のお聞きしたいところなのであります。
#213
○政府委員(永山時雄君) お答えいたします。通産大臣只今欠席をいたしておりますので、便宜私からお答えをいたします。電力事業の再編成の問題につきましては、当初からガス事業もそれと同一の取扱を受けておりまして、従つて一口に電力事業の再編成ということを便宜申しておりますが、これは常にガス事業も含めた意味で従来から使用されておつたのでございまして、従つてこの度の政令におきましても同様な取扱をいたしました。かような次第であります。
#214
○櫻内義雄君 これは実は私は不可解に思うのであります。ガス事業の実態から考えましても、これが政令によつて公共事業令の中に盛込まなければならないということにつきましては、恐らくこの席上で私がその質問をしたことによつて国民が等しく不可解に思うところであろうと思うのであります。この点につきましては重ねてお尋ねをしたいのであります。
#215
○政府委員(永山時雄君) お答えいたします。只今お答え申上げました……(「事務上の問題じやない。」「最後にしろ。」「ひつこめ。」「大臣を出せ。」と呼ぶ者あり)
#216
○国務大臣(池田勇人君) 先ほど永山官房長から申上げましたように、当初から我々はガス事業も公益事業の一部として取扱つておつたのであります。従いまして第七国会に提案いたしましたものにも含まれているのでございます。一般国民は私は了承していると考えます。
#217
○櫻内義雄君 私はいろいろお尋ねしたいことがございますが、これは国民の良識の判断に待ちたいと思います。それから公共事業令の中にこういうことかございます。政令の二十條に「技術の主任者たる職員一人」とこうきめてあるのであります。ガスと電気の技術者が共通的に得られるかどうかというようなことをほんの一点を見つめましても公共事業令の中にこのガス事業を含めたということについては非常に不審を持たなければならん。当然これは事業会を発せられた後に必要があれば法律によつてその後に処置せられるのが適当であろうかと思うのであります。これは政府の非常な手落ちであると私は判断しているのであります。
 次にお尋ねいたしたいことは、これは減税の問題でございます。吉田内閣といたしましては減税を呼号して今日に至つた。併しながら吉田内閣の過去の治績をひもといて参りますならば、昭和二十四年度におきまして大幅な増税を行なつて未だ昭和二十三年度当時には戻つていないのであります。併しながらこれはいろいろな角度から眺めて見ますならば、議論の余地がございますので、余り追及はいたしません。併し減税というものが吉田内閣の方針としては国民の負担の軽減ということを狙つているのでございます。私もそれは大賛成でございます。併しその次に来るべきものをお考え願いたい。これは総理大臣にお願いもいたしたいし、又総理大臣の御抱負もお尋ねしたいのであります。それはどういうことか申上げますならば、減税はした、併し国民の気持がそれによつて徒らに消費に流れるということでありますならば、恐らく総理大臣の意図に反して行くと思うのであります。即ちこの際お尋ねしたいことは、減税によりまして国民生活の程度を引上げて行こうとするのか、それとも大蔵大臣の演説の中にありましたように、資本蓄積のほうに向けて行かれようとするのか、この点について、これは先ず前提としまして総理大臣の減税についての大きな御方針を聞き、その次に今お尋ねの点を大蔵大臣にお聞きしたいと思うのであります。
#218
○国務大臣(池田勇人君) 減税は吉田内閣の最も重要な基本方針の一つでありますが、今年度におきましても来年度におきましても深くいたす考えでいるのであります。できれば再来年度におきましても、又その次の年度におきましてもやりたいと思います。而して何の目的で減税をしたかと申しますと、それは人によつて違いまするが、非常に生活にお困りの方にとりましてこの減税が生活程度の引上げになります。それに又成る人にとりましてはこれが相当の部分が資本蓄積に向つて行くと思う。これは各個人の事情によつて違いますが、私としましては、又吉田内閣としましては生活程度を余り急激に上げないように、できれば資本蓄積のほうにたくさん持つて行つて頂きたい。これがお互いに皆様の生活程度を長い目で上げる意味になると、こう考えます。
#219
○櫻内義雄君 大臣の御方針は私も納得をするところでございます。ところでお尋ねしたいことは、今回の補正予算に盛込まれたところの減税はこれも議論がございます。この水増し財源等によつて減税が行われるのだということも言われておるのでありますが、このまま鵜呑みにいたしまして、六十三億余ございますが、これは国民所得の軽減の上から行きますると先ず大体三分であります。ところで六月に比較いたしまして十一月の日本銀行の調査によりますところの消費財物価は二〇%余と平均増加をいたしておるのであります。そういたしますると、大蔵大臣の言われたような御方針というものは生活程度の引上げにもならない。できるだけ貯蓄に振向けたといたしましても十一月の物価はすでに二〇%余も上つておるという、このことにつきましてはどういうお考えを持つておられるのでありましようか。
#220
○国務大臣(池田勇人君) 例を二、三ヵ月におとりになつては困るのでございます。消費者物価指数、即ち国民の生活に最も影響のあるCPIは昨年の七、八月頃は百四十であつたのが、今年の七、八月頃は百二十四乃至七になつておるのであります。非常に生活は楽になつたと言い得るのであります。而してお話のように、朝鮮事変から或る程度の物価高がある、殊に主食は上つて来るということになりまするから、それと兼ね合せまして減税その他の措置をとつたのであります。従いまして来年度の一月からは余ほどよくなつて来ると考えております。
#221
○櫻内義雄君 これも限られた時間でいろいろ議論いたしてもいたし方ないのであります。私は昭和二十五年度のこの予算編成後の状況について一応六月に比較して十一月の物価を上げたのでありまして、短かい期間であるというようなことは私には解せないのでございます。ところで次にお尋ねしたいことは、これは吉田総理は絶えず行政機構の整理を問題とされております。これは国民のひとしく希望するところでございまして、只今の減税の問題につきましても行政機構の改革が大幅にできますならばそれによつて大きな経費が生れて来ると考えるのでございます。我が国は申上げるまでもなく、カリフオルニアの一州にも過ぎないのに多数の大臣、多数の知事、そういうものを擁して、そうして国民の負担を過重にしているということは確かに総理大臣のおつしやる通り、考えなければならない点でございますが、さてそこで局面の問題としてお聞きしたいことは、吉田内閣が再度組閣せられまして以後ここに非常な奇現象を呈しているということを申さねばなりません。総理大臣は行政機構の改革に対して非常な熱意を持つておられるにもかかわらず、いわゆる委員会制度というものが吉田内閣の手の下に立案されて、そうして次々とこれが成立を見たのであります。例えば人事委員会、国家公安委員会、公正取引委員会、全国選挙管理委員会、公益事業委員会、文化財保護委員会、それから地方行政調査委員会議、外国為替管理委員会、統計委員会、電波監理委員会、証券取引委員会、運輸審議委員会、それから中央更生保護委員会等々、枚挙にいとまない委員会ができまして、而も皆様方が余り御関心を持つておらないのでありますが、国務大臣と同じ待遇を受けたいわば大臣のような委員長が五人も六人もできているというような事実があるのでございます。私は、これは吉田総理の御趣旨には全然反している問題ではないかと思うのでございます。吉田内閣におきましては、行政機構整理のために、廣川大臣が主管となりまして努力はなさつておられる。併しながらその半面に、私どもには了解に苦しむような委員会制度がどんどんとできて来るのであります。なぜ了解に苦しむかと申上げますならば、例えば今回の予算案審議に際しまして、人事院の総裁の立場においては、人事院は政府に勧告した、併しながらそれを取入れられなかつた、私は、総裁の立場上これは不満であるということを申しておられる。或いは地方財政委員会の委員長が見えまして、政府に対して勧告をしたのであるが、それは容れられなかつた、私は不満である、こう言つておるのでございます。若しこういうような委員会の勧告というものが尊重せられないというならば、無用の長物であります。徒らに国家の経費を使いまして、こういう委員会制度を設けて置く必要はないと考えるのでございます。更には私は、現在各省の行き方を考えて行きまするならば、経済安定本部であるとか、或いは物価庁、こういうようなものにつきましても、深く御検討を要するのじやないか、こういうことを私は考えるのでございますが、今後の行政整理の問題につきまして、総現大臣の御見解を承わりたいと思います。
#222
○国務大臣(吉田茂君) お尋ねは御尤もであります。私も同感であります。委員会の多くは法律の結果できておるのであつて、法律施行に伴つてできたものが多数であるのであつて、これは何とか整理いたしたいと思います。のみならず、官庁機構にしても、御指摘のようにダブつておるものもあり、又そのために行政の簡素化を妨げるものも多々あるように思われますから、それら全般について只今検討いたしております。成るべく簡素にし、そうして複雑化を避けるようにという方針で只今進んでおります。他日成案を得ましたら、御協賛を仰ぐつもりであります。
#223
○櫻内義雄君 総理大臣のお言葉で、私は心強く思うのでございます。総理大臣の御意図がそこにある。併しながら一面においてこういうような委員会制度が続々とできて来るというような事態については、どうぞ総理大臣自身が御関心を持つて、又御警戒心を持つて頂きたいと思うのでございます。さて與えられた時間が僅少でございますので、二、三更にお尋ねしたいと思うことがございます。それはマツカーサー元帥は声明におきまして、再三こういうことを申しております。日本国民は忠実にポツダム政令を実行して来た、現在講和が開かれないということは、それは君らの関係のない国際情勢によるのだと、再三の声明を出して私たちを慰めてくれておるのです。そこで考えますことは、我々はポツダム政令を、忠実に義務を実行したといたしますならば、而も占領軍の総司令官であるマ元帥がそれを認めておるとするならば、ここに私は強く世界に向つて要求しなければならない。特にこの吉田内閣総理大臣におきましては、それをやつて頂きたい。それはどういうことであるかと言うならば、当然講和を開いてもらうことを要望していいのです。この要望を果して総理大臣はなされたかどうか。総理大臣は、再三再四マ元帥との御会見をなさつておられる。恐らくその御要請をなさつておられると思うのでありますけれども、我我日本国民といたしまして、すでに敗戰五年を経過いたしまして、皆が講和を期待しておるこの際におきまして、総理大臣は、只今私がお尋ねした点についてどういうお考えがあるか、或いはどういうことを世界に向つて要望する機会があつたかということをお尋ねしたいのであります。
#224
○国務大臣(吉田茂君) 私がマツカーサー元帥にどういう要望をしたとか、或いは交渉をしたとかということは差控えたいのでありますが、私が要望するまでもなく、或いはそれ以前に、我我よりも、最も熱心に日本の早期講和を主張し、又盡力もせられておるのがマツカーサー元帥であります。この点はマツカーサー元帥の声明によつても明瞭にわかる通りに、マツカーサー元帥が我々以上に熱心に、又我々に代つて絶えずこの早期講和のために努力しておられる。私がここに如何なることをなしたかということを申上げるよりも、元帥が非常な努力をされておるということをここに申して置きます。
#225
○櫻内義雄君 総理のお言葉によりまして、マ元帥に対しては深く私は感謝の意を表するものであります。ところでこの感謝の意を表すると同時に、私はこの席上から、若し総理大臣がマ元帥にそういう要望をして頂けるものならお願いしたい。それは総理も再三申しておりますが、毎日々々が講和であるということを、曾つてこの参議院の本会議場でそういう意味合のことを言われたと記憶するのであります。そういたしますと、私としては内政問題につきましては、この段階に至つては大幅に自主権を與えてもらいたいという気がするのであります。御承知のように、この国会の審議にいたしましても、言うまでもなく一々が司令部との間の折衝を繰返しておる。そういうことが敗戰後すでに日本国民のポツダム宣言を忠実に履行したことを認めておるマ元帥の立場からするならば、そうして又講和を速かに行なつてやろうというそのマ元帥の熱意からいたしまするならば、内政問題くらいは、くらいはと言うと言葉が変でありますが、内政問題こそは、これは我々に自主権を與えてもらいたい、私どもが政府と国会とにおいて十分審議したならば、それによつて内政が運行されることを切に望んで止まないのでありますが、この点についての総理の御見解を承わりたいのであります。
#226
○国務大臣(吉田茂君) マ元帥の気持としては、成るべく内政には交渉したくない、その趣意で終始しておられるということは、ここに明らかに言明し得るところであります。併しながら同時に、講和條約ができ上らないまでは、又アメリカからして対日援助を得ている以上は、財政面において、又條約上の関係から言つて見ても、いわゆる独立自主と言いますか、総司令部の許可を得なくていい、或いは勧告を無視していいという立場におらないのである。故に成るべく早期講和によつて日本の独立を回復し、又内政上の自主権を回復することが必要であるということで、早期講和の成立を希望して止まないわけであります。
#227
○櫻内義雄君 最後にお尋ねしたいことがございます。それは只今の総理の御指摘のように、成るほど敗戰国民でありますから、最後には諦めの気持も起きて参ります。併し今回の予算の内容をずつとひもどいて参りますときに、こういうことを考えさせられるのであります。それは昨年度の予算におきましては、これは我々は苦い汁を吸つたのでありますけれども、極東委員会の内示案によりまして、本当につらい思いをしてあの厖大な予算を成立せしめて来たときに、野党側の反対にもかかわらず、自由党はこの通過に努力をせられて参つたのであります。これも止むを得ない、併しながらこうやつて敗戰後すでに五年もたつております上においては、予算の上におきましては、私はでき得る限り自主性というものが明らかになつてなければならないと、かように考えるのであります。でありますから細かい質問であつて誠に恐縮でありますけれども、例えばここに連合軍関係損失補償等に必要な経費として、一億二千四百一万円が計上されておるようなことは、私には了解に苦しむのであります。これは占領軍の演習のために損害をこおむつた人々に対して、その損失補償をするのであります。これは当然国民の税金負担によつて賄うべきものではなくて、何らか他の形において、特に朝鮮事変勃発後における情勢から考えますならば、これは占領軍自体の費用によつて支拂うべきものではないかと、かように考えるのであります。或いはここに終戰後收入の増加、支出のほうばかり申上げては何でございまするので、その收入の増加のほうを見ますと、ここに九十二億二千三百七十一万を計上されておるのであります。この内容については私はつまびらかにする機会を失したのでありますが、恐らくこの中に特別掃海事業による收入というのが入つておるのだろうと思います。若し入つてないといたしますならば、それは他のどこかに入つておるはずであります。これは新聞紙上にも一度伝わつたところでございます。こういう收入はこの内容については私はあえて申上げません。こういう收入が歳入の面に上つて来るということについても私は余り感心をしない。又予備隊ができましてそうして最初の国会であります。然るにこの補正予算の中には何ら予備隊の経費は含まれていない。でありますから予備隊の性格がややもいたしますと、国民の期待に反する点があるのでございます。この席上におきまして、増原長官の御説明を聞きましても、予備隊の武器はすべてこれは連合軍の貸與によつておる。或いは予備隊の訓練については装備は連合軍当局のいろいろな材料によつておるとかいうようなことでそういうことで、なかなか私はこの予備隊というものが日本国民の予備隊としての性格というものが付與されて来ておらんということを考えるのであります。或いはもう一点申上げますならば、外貨資金予算を見て参りますと相当溜つております。伝うるところによれば三億ドルくらいアメリカの銀行に無利息で預けられておるということも聞くのであります。これはアメリカの銀行の特質上当座がそれは無利息であるということはわかる。併しながらこれはただ單に当座に入れて置くということもおかしいのであります。こういうことを考えて参りまするならば、今回の予算の上におきまして私どもが速かに自立をしたい、日々が講和であるという総理大臣の下において、熱意を持つておるにもかかわらず、その膝元からそういう点が崩れて行くという点につきましては、私どもは誠に残念に思つておるのであります。この点につきましては何らかの御回答を願いたいと思います。以上を以ちまして私の質問を終ります。
#228
○国務大臣(池田勇人君) 一億九千万円の演習その他の災害に要しまする経費は、御承知の通り終戰処理費から出しておるのであります。而して、終戰処理費收入九十二億円というのは、朝鮮事変関係で終戰処理費で立替えて拂つておる分を、あとアメリカより補給して下さる、賠償してくれることになつておりますので、それで四十数億円が殖えて来ておるのであります。これは私は、適当な措置と考えておるのであります。次に外国為替特別会計に溜りました、ドル資金、或いはポンド資金を外国銀行に預けなければならないのは、日本の銀行の支店が、外地にない関係であるので、片一方では日本の為替銀行を外国に設けるので努力いたしております。御承知のごとく、商社を設け得ることになつておりますから、私はできるだけ早い機会に、日本の銀行の外国支店を設けたいとこう希望いたしておるのでありますが、何分にもドルの溜つたのは急激に最近溜つて来たのでありまして、相当の金額のうち、できるだけ定期預金のほうに廻しまして、有利子の預金を殖やしますように、努力したいと思います。
#229
○委員長(波多野鼎君) 暫らく休憩いたします。
   午後四時三十六分休憩
   ―――――・―――――
   午後六時九分開会
#230
○委員長(波多野鼎君) 休憩前に引続雪予算委員会を開きます。
 最初に御報告申上げて御承認を得たい件が一つございます。前国会から引続きまして、今国会も昭和二十五年度予算の国民経済に及ぼす影響に関する調査をいたすことになつておりましたが、会期が短かかつたことと、補正予算を審議しておりましたため十分調査することができなかつたのであります。併し会期も終了に近付いて参りましたので、一応議長宛に報告書を出すことになつております。で、この報告書の手続等に関しましては委員長に御一任下さることといたしたいと思いますが、御異議ございませんでしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#231
○委員長(波多野鼎君) 御異議ないものと認めてさよう取計らいます。
 次にこの報告書に対しまして御賛成の方の御署名をお願いいたします。
 多数意見者署名
   羽生 三七   東   隆
   深水 六郎   矢嶋 三義
   堀木 鎌三   若木 勝藏
   山田 節男   下條 恭兵
   中川 以良   野田 卯一
   伊達源一郎   藤野 繁雄
   岩崎正三郎   内村 清次
   河崎 ナツ   高橋龍太郎
   原  虎一   鈴木 強平
   深川タマヱ   菊田 七平
   木村禧八郎   長谷山行毅
   小野 義夫  池田宇右衞門
  ―――――――――――――
#232
○委員長(波多野鼎君) 休憩前に引続きまして総理以外に対しまする総括的な質疑を続行いたします。
#233
○佐多忠隆君 先ほどちよつとお尋ねしたのですが、警察予備隊令に関する問題であります。警察予備隊令によつて財政的な緊急の措置をお出しになつたのでありますが、これに対してはむしろ非常に重要な問題であるから、特に普通ポツダム政令によるものと違つて財政措置だという意味において、これは国会の財政審議に付して然るべきものであるからして臨時国会の召集をすべきであつたにかかわらず、それをやらなかつたのは不都合であり、国会の財政審議権を無視するものじやないかという御質問をいたしたのでありますが、それに対して大蔵大臣はその暇がなかつたからそういうことをやらなかつたのだというお答えでございました。併し果してそのときに暇がなかつたかどうかということは警察予備隊令の出た日附、その他から考えますと、必ずしもこれが出せなかつたというような時間のものではなかつたと思うのでありますが、これについてはいろいろ議論も長くなりますから一応留保して置きますが、仮に一歩を讓つてもそのときにそういう時間的な余裕がなかつたにしても、單に時間的な余裕がなかつたということの故ならば、それをたまたま今度補正予算をお出しになるのだがらその中で審議に付して然るべきだと思うのにかかわらず、何らそれをやつておられない。こういう態度こそは国会における財政審議権の軽視、無視ではないかと思うのですが、大蔵大臣にお答えを願いたいと思います。
#234
○国務大臣(池田勇人君) 御承知の通りマツカーサー元帥の指令に基いてやつたのでございます。で、指令の附則には二百億円を移用しろと、こうなつておりますので、私はその指令に従つてやつたわけでございます。
#235
○佐多忠隆君 指令には二百億円を使えということになつているというお話でございますが、私の見ましたマツカーサー元帥の政府への書簡には最後のところに「これらの機構拡充に要する経費は、国家予算一般会計の公債償還費のうちから計上さるべく、」ということが書いてあつて、幾らどういう形で出せという指令ではないと思うのであります。従つてこの指令に基いて恐らくポツダム政令において警察予備隊令、八月十日にお出しになつた警察予備隊令の附則の二項で、昭和二十五年度に限り内閣は一般会計予算における国債費の金額のうちで二百億円を警察予備隊に必要な経費に移用するというふうに御規定になつていると思うのでありますが、このことを私問題にしているのであつて、ただそこから出せということを書簡では言つているだけで、従つて私の考えるところによれば当然に財政審議に付せられて然るべき問題である。若し時間的余裕がなかつたというならば今度付せられて然るべきものだとこう私は考えるのですが、重ねてお答え願います。
#236
○国務大臣(池田勇人君) ポツダム政令の附則で二百億円出すということに相成つたのでございます。而して法律的には私はこれによりまして財政法の移用の規定の上に立つて予算措置がそれによつてなされる、こう解釈いたしておるのでございます。
#237
○佐多忠隆君 それによつてなされることがおかしいじやないかということを言つておるので、というのは、理由が時間的な余裕がなかつたからなんだということであり、この経費は性質的に予算の審議に付してはならないという性質のものではなくて、前から何遍もおつしやつておるように、昭和二十六年度予算の中にはこれの審議をするということにもなつておりますので、性質的に審議すべきものでないということも絶対にないのだと思うのです。そうだとすれば、補正予算を出すときにこれを審議に付せられて国民の審議の対象にされることこそ然るべきことだと思うのであります。
#238
○政府委員(河野一之君) 予備隊に関する経費につきましては、只今大臣が申上げました通り、ポツダム政令の附則に二百億円を移用すると謳つておるわけであります。この移用というのは予算実行上の問題でありまして、多少特例ではございますが、現在財政法の規定によりましてすでに有効に成立した予算を同一の部款の間で移用することができるという制度がございます。この移用は別に予算を新たに次の補正予算を出す場合において新たに審議を行うものではありませんので、予算の実行問題として解決せられておるわけでございます。従いましてこの問題も移用という制度であります予算の実行上の問題で、あえて国家の補正予算においてこれを予算の形式において御審議を頂くということをしないでもよいものと考えております。
#239
○佐多忠隆君 財政法上の移用の問題は改めて私は財政法をもう一遍見直して正確にしたいと思いますが、私の記憶が間違いでなければ、財政法上に言う移用は、或る範囲を限定されていたと思うのです。その限定をはみ出した使い方であるのではないですか。こういうふうに私は思うのですが……。
#240
○政府委員(河野一之君) 憲法は予算実行に関して何ら規定を設けておらないのであります。これは法律の規定によつておるわけであります。只今佐多さんが仰せになりましたような財政法に関する移用は、これは法律の規定によつて移用ができるわけでございます。今回は法律に代るべきポツダム政令によつて予算実行上の措置を講じたわけでございます。
#241
○佐多忠隆君 そうするとその法律に基いて範囲を限定しないで移用ができるというふうにお考えになるのでしようか。
#242
○政府委員(河野一之君) ポツダム政令は法律に代るべき命令でありまして、これは新憲法においても根拠のあるものであります。従つて法律に代るべき命令によつて財政法の特例を設けるということはできるものと考えております。
#243
○佐多忠隆君 それはお答えが違うので、先ほどは財政法を準用して移用したのだとおつしやつた。ところが今は財政法の特例を設けてこういう手段をとつたのだとおつしやるのだが、それは前後矛盾しておると思うのですが……。
#244
○政府委員(河野一之君) 私はそういうことを申上げておるのではないのであります。財政法にあります現行の移用という制度は同一の部款の間で移用ができる。併しながら移用というものは財政法のその面だけに限られるのではないのでありまして、財政法の特例で新らしい移用の制度を作つても何ら差支えないと考えるのです。過去の前例におきましても、貿易特別会計におきまして援助物資勘定と事業費勘定と分けます際におきましても、ポツダム政令を以て移用の措置を講じております。
#245
○佐多忠隆君 そうするとポツダム政令に基いて移用をやつたので、財政法上の措置としてやつたのじやないのだ。而もそのポツダム政令でやつて予算支出をするということは今までに許されているから、そういう前例に従つてやつたのだと、こういう御意見なんですか。
#246
○政府委員(河野一之君) 移用につきましては法律の規定が要るわけであります。法律に代るべきポツダム政令を以ちまして、予算実行上の措置である移用という措置をできるようにいたした。即ち法律に代るべき命令、即ち法律と同一の効力を有するものによつて、移用ということができるようになつた、こういうことであります。
#247
○佐多忠隆君 そうしますと法律によれば、移用はどの範囲においてもできるということなんでしようか。
#248
○政府委員(河野一之君) さようでございます。
#249
○佐多忠隆君 そうしますと、法律を離れて予算として別途審議する、而もその予算の審議には特別のいろいろな配慮が、憲法その他においてもなされていると思うのですが、この予算の審議を法律によつて侵すことができるという結果になると思いますが、それでいいのですか。
#250
○政府委員(河野一之君) そういうことではないのであります。予算の実行上の問題といたしまして、法律によつて予算を或る款から或る款、或いは或る項からこちらに持つて行くということが、法律によつてできるようになつておる。財政法も一種の法律でありまして、財政法の三十何條でありましたか、一つの款或いは一つの項から外のほうに移用ができる、こういうことを法律でできるようにいたしておるわけであります。法律に代るべきポツダム政令で当然それができるというふうに書いてございます。
#251
○佐多忠隆君 その法律で動かせる移用の範囲について、もう少しはつきりしないところがございますが、これはもう少し私のほうで研究をしてあとで御質問することにしまして、この問題は一応留保して次に移ります。
 先ず経済安定本部長官にお尋ねしたいと思いますが、政府は自立経済審議会をお作りになつて、新らしい事態に対処する自立経済計画をお立てになつていると思うのですが、この問題につきましてはすでに前々から片山内閣、或いは芦田内閣のときに、御承知の通り経済復興計画を立てなければならない必要性がやかましく叫ばれて、復興計画委員会において今の案ができたと思うのですが、それができたときにこれをどう処置するかという点で、吉田総理はそういうものは当てにならんからというのでお取上げにならずに紙屑の中にたたき込まれた運命を持つていると私記憶いたしております。それにもかかわらず、新たにもう一遍自立経済計画を立てなければならん必要性が生れて参つて、そうしてこの問題をお取上げになつたという点については、私特に只今周東安本長官の非常なお骨折りだつたと思つて、長官に対して非常に敬意を表するものでございますが、その自立経済はその名前の示す通りに、できるだけ早急に我が国の経済自立を達成することを目標としておると思うのですが、その場合に速成の時期をどういうふうに考えておられるか、或いは経済自立ということは一体何を意味するのか、その点を先ず大臣にお尋ねしたいと思います。
#252
○国務大臣(周東英雄君) お答えいたします。
 先ず最初に吉田内閣が先に前内閣当時に計画しておつた、五ヵ年計画というものを葬つてしまつたが、又今度やはりやるのじやないかというような意味の御質問でありましたが、吉田首相といたしましても決して将来に対する計画がなくてよいということを言つておつたのではなくて、前に立てられておつた案を考える時期においては、かなりまだ日本は経済の安定への道に至つておりませんので、その上国際情勢も関係してあのフアクターがかなり多い案をそのまま実行するのはどうかということで暫らく止めたと思います。然るに昨年以来とりました政府の政策で朝鮮事変前における形においては悪性インフレも或る程度終熄の道に乗りまして、経済の安定への出発点ができたのであります。ここに又国際関係におきましても一応来々年において援助資金等が打切られるということになつておりますので、この際安定しかけた経済の上に将来への自立の計画を立てるべく案を進めたのであります。これは今日どうしても援助資金がなくして自立経済を進めることが一番必要であり、この計画を立て得る時期になつたと考えて案を進めている次第であります。而して自立経済は何を主たる目標にするかというお尋ねでありますが、政府として計画し、審議いたしておりますのは一応来々年度の援助資金の打切られたる時期を目指して援助資金なくとも適当なる国民生活の水準を維持しつつ国際収支のバランスをとるということを自立経済の目標として一応今研究を進めている次第でございます
#253
○佐多忠隆君 お答えによりますと、昭和二十八年度を目途に援助を受けない形において国際收支の均衡を得て自立するということを目標にしているというお話でございますが、そういう対日援助から脱却するそういう意味で国際收支の均衡を得るという意味ならば、或る意味においては單なる国際收支の均衡だけであつて、その意味においてならば或る意味においてすでに昨今もう達成されているとすら言えるのではないかと思うのです。ただ單にそういうことを所期すべきではなくて、もつと根本的な国民の生活水準を引上げるということを目標にし、従つて又国民の完全雇用を達成する、達成するという言葉が悪ければ、それに近付けるといつた状態にしなくてそういう内容のものを……従つて更には経済の合理的循環といいますか産業の発展といいますか、そういうものを内部に持つたところの、従つてそういう意味においては規模を相当大きくしたところのものでなければならないと思うのですが、それを考えないならば、自立は割合に容易でもあり、そう苦労する必要はないのではないか。そういう生活水準の向上とか完全雇用とかいうことは、目標の中に一体どういうふうにお考えになつているのでありますか。
#254
○国務大臣(周東英雄君) 只今私はお答えを申したのでありますが、單に国際收支のバランスをとるということだけでなくて、適当なる国民生活の水準を維持しつつと今お答えを申上げておるということを御承知願いたい。そこで一応目標として来々年をどのくらいに生活水準を持つて行くかというと、これは大体七―一一年を一〇〇と考えての八九%、約九〇%くらいに引上げて持つて行きたいと考えております。今日七七・八、来年八〇くらい、こういうことを目途といたしております事柄は、当然にその裏付として、日本の生産工業その他が或る程度引上げられなければならんととは言うまでもないのであります。それによつて以て今あなたは完全雇用という言葉を使われましたが、その言葉のよしあしは別として、できるだけ雇用の何を拡大するということは中に入つていることは勿論であります。
#255
○佐多忠隆君 今長官のお答えによりますと、目標年度において九〇%足らず、戰前水準の九〇%足らずのところに持つて行けるというお話でありますが、我々が国際的な取りきめにおいて許されている限度は、大体において生活水準を戰前水準に返すということであつたと思うのです。それになぜ達成し得ないのか、特に、例えばこの制度その他の状態においては、敗戰国でありながら、大体において戰前水準に達しつつあるんじやないか。それとの対比においてもう少し戰前水準に達するという努力をなぜされないのかという点をお尋ねしたい。
#256
○国務大臣(周東英雄君) これは佐多さんの御質問とも思えないのでありまして、私どもは戦前の一〇〇に返すことができるならば非常に結構であります。だんだんと進め参るのでありまして、来々年の援助資金が打切られるときにおいて、どこまで最大限に行き得るかということを目標として今考えています。あと御質問があれば申上げますが、そのときにおける輸出入のバランスも、物価の変動によつて多少数字は違つて参ると思いますけれども、例えば来々年の状況において、輸出と輸入が総体十五、六億でバランスに持つて行くことを一つの目安とし、これをやるに対してどれだけ鉱工業関係の生産を上げて行くか、又それに対して必要な電気、鉄を持つて行くかということが今問題になつております。これは終局において私はまだ結論が出ておりません。今各部会々々においてそれぞれ今の目標を達成するためにはどう鉱工業生産を上げるか、これに対する現在の輸入がどういう形に進むかということを、先ず理想的に出しておる。それに対しましてもかなり自信があると私は思う。これには金の面、物の面等が問題でありまして、あなたの理想論として来々年からすぐ一〇〇に持つて行くためになぜやらんかということに対して、思うように原材料がどんどん入つて行くならば、もとよりそれは賛成であります。それをやるために電源の開発、その他必要なものが各部門においてもで奉るならば結構であります。私どもはただ單に机上の理想論だけはお互いにできにくい、避けて、でき得る限りの、実際上でき得る範囲を目途として今検討中であります。
#257
○佐多忠隆君 その問題はあとで、もつと貿易その他の問題に関連する、援助にも関連すると思いますので、もう少しあとに置いておきますが、今私は完全雇用に近付けるように努力をしておられるかどうかをお伺いしたのですが、完全雇用を完全に達成し得ないまでも、少くともそれに近付ける努力をしておるというようなお話でございますが、そうなると人口推算と言いますか、国民の産業配分をどうするか、雇用の限界をどういうふうに考えるか、という問題が、最も大きな問題となつて来ると思う。殊に御承知の通り、ここ一両年、安定計画が強硬に推進された結果、農村においては非常にたくさんの過剰人口を抱えていて、農村人口は激増を来たしておる。而も過剰人口の上に、非常な貧困な中に置かれておるというのが、昨今の実情であると思う。そこで私は、これはむしろ労働大臣にお尋ねしたほうがいいかと思いますが、そういう意味での雇用の計画、更には農村過剰人口を、どういうふうに都市産業に吸収しようとしておられるか、それの具体的の目処をどういうふうにつけておられるか、その点をお聞きしたいと思う。
#258
○国務大臣(周東英雄君) 今の御質問は、当然の話でありまして、私どもの審議会においてやつておりますものも、只今申上げましたような考え方で、二十八年度においての、例えば鉱工業生産について七―九を一〇〇として、大体一二六ぐらいの程度に上げたいと考えております。恐らく食糧関係においても、増産計画において一応の計画として、二十九年度になつて千二百万石くらい増産になることを考えておるのであります。各種の産業について、それぞれ計画をしております。従つて、その計画の下に、今過剰になつておる人口の問題を、産業配分としてどう持つて行くか、農村にどれだけ、特に又農村工業にどれだけ吸收し、繊維産業にどれだけ吸收し、鉱工業産業にどれだけ吸收するかを考えて推算しておるわけであります。
#259
○佐多忠隆君 どのくらいということを、大体どのくらいに見当しておられるのか、どのくらいに目処をつけておられるのか、ということをお聞きしておるわけであります。
#260
○国務大臣(周東英雄君) その点は、只今各部門ごとに検討をいたしております。まだ最終の結論が出ておりません。
#261
○佐多忠隆君 ではそこで次の問題に、それでは国際收支の均衡をどういう規模で考えておられるかという問題になるのですが、先ほどの長官のお答えですと、二十八年度完成年度に、大体十五、六億ドルを目処にやつておるというようなお話だつたと思うのです。それならば、そういうところを目処にして、そこから援助を落すということになるのかと思いますが、その規模を達成するまでの間に、一体対日援助額を各年度どういうふうにお見通しになつておるか。
#262
○国務大臣(周東英雄君) この点は応私どものほうの推算と申しますか、枠は考えておりますが、まあ何ぼ援助資金が来年来るかということはこちらから申上げる時期ではないと思います。
#263
○佐多忠隆君 その問題は来年度予算にも、見返資金の問題等にも直接関連して非常に重要なる問題でございますので、大体のお見通しをばお聞かせ願いたいと思います。
#264
○国務大臣(周東英雄君) グレーの報告等もありますが、私どもは来年はどうしたつても継続して頂きたい希望をしておりますが、額についてはここではつきり申上げることを差控えます。
#265
○佐多忠隆君 予算はそれらの関連において十五ヵ月予算として考えておるんだというお話であつて、大体の来年度の数字はお示し願つたはずでありますが、この問題に限つてそんなにお示しになれないのは何か理由があるのですか。
#266
○国務大臣(周東英雄君) まあ我々のほうから懇請するという立場において、一億乃至一億五千万ドルくらいの範囲を考えております。
#267
○佐多忠隆君 そうするともう一つその前に余りはつきりしませんのでお尋ねして置きますが、この対日援助額は一九五〇年五一年にアメリカの会計年度では、二億三千二百万ドルと記憶しておりますが、そうして対日援助見返資金を計算ざれたときにも、これで計算されたというふうに私記憶しているのですが、それがその後削減されたとかなんとかいうような新聞が出ておりまして、併し幾らになつたのか私たちにははつきりわからないのですが、これを政府はどういうふうにお考えになつているのですか。
#268
○国務大臣(周東英雄君) これは大体約五千万ドルほど減額されております。
#269
○佐多忠隆君 そうしますと二億三千二百万ドルから五千万ドル削減されて、一億八千万ドルになるという計算かと思いますが、その一億八千万ドルを基礎にして、見返資金の計画を改訂されておるのかどうか、その見返資金の改訂か今年度の予算に、従つて補正予算にどういうふうな現われ方をしているのか、この点をお聞きしたいと思います。
#270
○国務大臣(周東英雄君) 見返資金の状況につきましては、政府委員から説明をいたさせます。
#271
○政府委員(内田常雄君) 見返資金の二十五年度の予算におきましては、一九五一会計年度のアメリカ予算が五千万ドル削減されましたことは、御承知のように見返資金に円として積立てられるのは九ヵ月ぐらいズレて参るので、現実には今年の予算には殆んど影響はございません。なお実際から申しまして本年度は昨年度分よりは円の收入のズレが予算より若干多く入つて来る状況にもございますので、差引二十五年度としては円の積立てには大した影響はございません。
#272
○佐多忠隆君 そうしますと五千万ドル削減されて一億八千万ドルになつたが、今年は前からのズレで変える必要はないということですが、そうすると来年度の計画としてはこの削減された一億八千万ドルの中の、残りの分と来年度予定されている分とで対日援助見返資金ができるというふうに了解して置けばいいのですか。
#273
○政府委員(内田常雄君) 大体その通りでございます。
#274
○佐多忠隆君 それじや問題は次に移りますが、今の長官のお話ですと、五十一、五十二会計年度に一億五千万ドルのものと、或いは一億ドルぐらいのものというお話ですが、その次の年にはどれくらいになり、その次はどれくらいと見ておられるのか。
#275
○国務大臣(周東英雄君) 来々年についてはまだ見通しも、およその何は考えておりません。收支のバランス等を考えて大分変化する年であると考えておりますから具体的なまだ何しておりません。
#276
○佐多忠隆君 それにも非常にこの見通しの困難な時期であるにもかかわらじ、同時に又早急に見通しを立てて計画を立てる必要も非常に大きくなつて来ているのじやないかと思うのですが、従つてそれでは長官はその自立計画をいつ頃までに、大体の見通しをおつけになつて、従つてこの援助資金の減つて行く過程、或いは打切りの時期等々をいつ頃になつたら、はつきり見定めて我々にお示し願えまするか。
#277
○国務大臣(周東英雄君) いろいろの方面から資料を集め、見通しをつけて、でき得るならば大体来議会までには一応の案を出したいと考えております。
#278
○佐多忠隆君 そうすると先ほど長官のお話によりますと、雇用も成るべく殖やすような形において、従つて合理的な経済循環という問題も考えているというようなお話ですが、そうだとすると、将来日本の産業構成といいますか、そういうものを、例えば農業の地位をどういうふうに考えておられるか。或いは基礎産業としてどういうものをどういうふうな程度にお考えになつているのか。即ち日本の将来の産業構成をどういうふうにお考えになつているでしようか。
#279
○国務大臣(周東英雄君) その問題については只今部門別に考えておりますが、例えば電気等につきましては、現在におきましてもかなり不足をしていることは佐多さん御承知の通りであります。現在の三百七十四、五万キロワツトを五十三万キロワツト殖やす目標、又鉄鋼生産におきましては、二十八年度において四百二十万トンの計画、綿布等につきましては、現在よりも工場規模等におきましては大体現在四百万錘を五百六十万錘くらいに殖やして、そうして生産を上げるというこういうふうに考えておりますが、これは一割であります。又農業については先ほど申しましたように、でき得る限り国民の食糧について自給度を高めることを目標にして千二百万石程度の増産を米麦その他においてやる。農村農民というものについては、特にこれは産業の根本方策の重要な部門と考えておりまするが、できれば食糧の増産と並行して輸入の裏付をなすような工業生産原料というようなものも作り得るような形に土地の生産力を上げつつやりたいとかように考えております。
#280
○佐多忠隆君 電力或いは製鉄繊維等の問題が出たのですが、今最も問題になつている造船の問題はどういうふうにお考えになつているでしようか。
#281
○国務大臣(周東英雄君) これはやはり輸出入のバランスをとるためにおいて貿易外收入として大きな部門を占めておるものでありますから、外航船の建造については特に力を入れたいと思いますが、一応の目安としては、大体二十八年頃に百九十万総トンくらいを造るつもりで、年々三十万トン乃至三十五万トンくらいの船舶の建造を目標にいたしております。
#282
○佐多忠隆君 通産大臣はお見えになつておられますか。……農林大臣はお見えになつておりますか。
#283
○委員長(波多野鼎君) 農林政務次官は見えております。
#284
○佐多忠隆君 大臣のほうです。
#285
○木村禧八郎君 議事進行について……。先ほど理事会で本日及び明日の議事運営について取りきめをやりましたときに、委員長からのお話では、大体議運のほうで明日の三時頃か四時頃に大体上るようにという話もあつたので、三時か四時頃終りのほうからだんだんに日程を組んで議事を進める、こういうお話があつたのです。それで私は党へ帰りまして、議運の係の鈴木清一君に聞きましたら、議運ではそういう話は全然ない、而も議運がそういうことを言つても、予算委員会としては、独自にやるべきで、併しそれは委員長の個人のお考えも一向差支えないのでありますけれでも、私は事態が議運でそうなつたらば、これは仕方がないと、こういうふうに了承して党に帰つて話をしたわけです。ところが党のほうでは議運ではそういうことは全然ないと、若しかそうなるともう少しいろんな折衝の問題があるわけでしよう。今そうすると……。
#286
○委員長(波多野鼎君) それが議運へ渡した場合のことを考えたわけなんで、議運からそういう申出があつたとか、そういう意向を伝えて来たということは絶対にありません。これははつきり申上げて置きます。
#287
○木村禧八郎君 私はそういう話が正式の決議とか何とかじやなく、そういう話があつてというふうに私は聞いたんです。
#288
○委員長(波多野鼎君) そういうふうに議運へ持つて行つた場合に、本会議のことなども考えましてこういうふうにしたらどうだろうかということを、私の意見としてお諮りしたのです。
#289
○木村禧八郎君 これは今後のいろいろな折衝などに非常に影響がありまして、そういうふうにはつきりなると非常に差支えると思うのです。いろいろなあれにですね。もう一遍余り時間を取らせないで理事会を開いて頂けませんですか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)成るべく時間を取らないようにして……(「大事なことだ、異議なし」と呼ぶ者あり)
#290
○委員長(波多野鼎君) 暫らく休憩いたします。
   午後六時五十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後七時八分開会
#291
○委員長(波多野鼎君) 休憩前に引続いて予算委員会を開きます。
#292
○佐多忠隆君 今安本長官のお答えによりますと、造船の問題として年間の建造量が三、四十万トンで、最後は百九十万総トン保有ぐらいに持つて行きたいというようなお話だつたかと思いますが、この問題で一番問題になるのは資金の調達の問題じやないかと思うのですが、それに要する資金を大体完成年度までにどれくらいとお見込になつておるか。而もその資金をどういうふうにして調達されるかという点を通産大臣にお願いしたいと思います。
#293
○国務大臣(横尾龍君) 只今のにお答えいたします。実は私の所管外でありますので、或いは運輸省の所管でありまするが、ちよつとお答えをいたしかねます。悪しからず。
#294
○国務大臣(池田勇人君) 只今のところ造船資金、殊に外洋船につきましては、主として見返資金から出ておりますので、私からお答えいたしたいと思います。今年度におきましては、御承知の通り見返資金から百三十五億円を計画いたしております。これは全部使いたいと思います。そういたしますると、民間の資金がこれとパーでございますので、今年度も七十億円程度使うことに相成ると思います。来年度におきましては百億を切ることはございませんが、今年度より少し少くなるのではないかという見込でおるのであります。これにいたしましても、民間資金と五分々々になつております。再来年度におきましては見返資金の問題がはつきりいたしておりませんが、私は造船業並びに外貨獲得の意味におきましても、この造船ということは政府の非常な力を入れておるところでありまするから、エイド・フアンドがなくなりましても、見返資金或いは政府資金を活用いたしまして、造船資金に当てたいと考えております。これは外洋船を主としたものであります。併しながら近海航路の分については見返資金でなしに、一般の産業資金から出ることを期待しておるのであります。
#295
○佐多忠隆君 そういたしますと、今のお話ですと来年度からむしろ資金的には少くなるというようなお話だと思うのですが、年間建造量を三、四十万トンにし、完成年度で百九十万総トンを保有することにすれば、あとになるに従つて更に殖えて、建造数は殖えて行かなければならないのではないか。なお、鉄その他の値上りを考えますと、あとに行くほど資金は多くなると思うのですが、そういう情勢であるにかかわらず、資金のほうが少くなるということになれば、資金的な制約からこの計画が達成されないという結果になると思うのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
#296
○国務大臣(池田勇人君) 只今のお答えは見返資金を中心としたお答えであるのであります。見返資金がなくなりましたら、他の方法で調達するよりほかにいたし方がございません。そこで我々は資本の蓄積を叫んでおるわけでございます。
#297
○佐多忠隆君 今の大蔵大臣のお答えによりますと、来年は二十五年度より若干見返資金は少くなるであろう。併し見返資金と民間資金の間は五分々々だから全体としても、それだけ少くなるのじやないかというようなお答えと私は了解した、そういうふうに考えたるのですが、若しそれで今のお答えですと、見返資金は若干少くなるけれども、民間の資金は五分々々でなくてもつと調達が可能なんだ、民間の比率が高まつて行き得るのだというふうにお考えになつておるのかどうか。
#298
○国務大臣(池田勇人君) 民間の資金の比率が高まるとは、私は想像いたしておりません。見返資金を使うのは段段少くなつて行く覚悟をしなければなりません。併しそれで我慢できないというのでありまするから、資本の蓄積をして重要なる産業政策であるところの造船、或いは海運ということに力を入れなければならん。故に我々は資本の蓄積を早急にやつて行こう、こういうのであります。
#299
○佐多忠隆君 それはまあ民間の資金の比率が高まらなければ総量としては殖えないと思いますが、時間がありませんから、それらの問題にかかつていないで先に進めますが、今繊維の問題が出たのですが、これは安本長官にお尋ねしたいのですが、この繊維の問題は、輸出市場としてはどういう点をお考えになつておるのか。その場合に中国市場をばどういうふうにお考えになつておるか。更に最近の朝鮮動乱以後の、特に最近の情勢から考えて市場の見通しに対する見解はどのようなふうにお考えになるか。
#300
○国務大臣(周東英雄君) 朝鮮事変以後における状況に処しつつ、輸出市場等の確保については東南アジア、インド等も考えております。この点につきましては午前中どなたかの御質問にお答えいたしましたように、その方面における貿易の関係をお願いするためには、どうしてもポンド協定についての額を上げてもらうことが必要であるというので、長い間協定に対して折衝しておりましたが、漸くその点もできまして今年二十五年度から今まで五千万ポンドでありましたが、今度は九千七、八百万ポンドになり、輸出入両方合計いたしまして一億八千万ポンドになるわけであります。こういうことも結局スターリング地域における新市場の開拓ということを目指しておるわけであります。
#301
○佐多忠隆君 そうすると中国市場には余り期待をしておらないと思うのですが、昨日もこの問題は問題になつたのですが、中国市場向けの鉄の輸出を禁止されるというような状態にまで立至つておるのですが、一体この措置はアメリカが中共に対して経済封鎖をやる、それの一環として手伝つておるのだという意味において、こういう措置をとつておられるのかどうか。
#302
○国務大臣(周東英雄君) 中国向けの輸出についての禁止につきましては、これは国際情勢を反映して禁止の措置が出たのであります。併し今全部やめてしまうということでなくて、一つ一つについて再検討して行かんならんものであります。恐らくそのときに大体はものによつて殖えるものもありますが、先ほど私言い落しましたが、この禁止する内容を……、中国市場はどういう影響があるかというお話でありますが、今朝私は下條さんに対してお答えいたしましたが、輸出につきましても最近少し伸びておりますが、全体の輸出入計画に対して影響するほどの額でございません。大体今年は上半期は千七百万ドルくらいでありますが、極く少いのでして、輸入に関して恐らく今お話のように鉄鉱石、石炭、大豆というようなものが問題になつていると思うのでありますが、鉄鉱石については本年度において余り大した輸入が実はないのでございまして、鉄鉱石関係につきましての計画といたしましては、すでに鉄鉱石はほかのほうへ輸入の計画を振替えております。又粘結炭が問題であります。開らん炭、併しこれも今年の当初計画は百五十万トンくらいの計画でありましたが、上半期におきまして約四十万トンくらいしか入つておりません。従つて今度の禁止措置が出るより前にあらかじめ粘結炭等につきましても、アメリカ炭の輸入に振替えて計画を進めております。この点も急速に変化はないと思います。大豆が問題でありますが、これも最近かなり大豆の輸入に関しましてアメリカからガリオア以外に入れないのだというようなことからいたしまして、足元を附け込まれて香港経由等の大豆は非常な値上りをいたしております。これはとても採算が付かんのでありまするが、こういう問題につきましてもあらかじめ考慮をいたして、ガリオア以外のコンマーシヤル・ベースにおいて買付はどこまでも許すという形になつておりまして、アメリカの方面から輸入を展開すべく計画中でありますので、さしたる影響は起らないと考えております。
#303
○佐多忠隆君 中国市場に対するあれを全面的に禁止されたわけではないようなお話ですが、問題はアメリカの態度が、私たちが昨日、一昨日の新聞を通じて見ておるところでは、まだ必ずしも英米が経済的な封鎖によつて中共対策をやるということすらきまつてもいない。仮に英米がまあそういうふうにきめても、日本がどういう態度をとるかということはおのずから別箇で、更に問題は残りますが、そういうものがきまつていないときに、日本だけそれを先走つてあえてやらなければならない必要がどこにあるのか。そういう問題をやることによつて我々自身が最も避けたいと思つておるところの戰争へ巻き込まれる危險性があるのではないか、その点は政府はどういうふうにお考えになつておるか。
#304
○国務大臣(周東英雄君) これは、中華の問題につきましての戦争の関係とかいうようなことは、我々の関知するところではございません。我々はただ国際情勢に応じつつ、鉄その他につきましての鉄製品、或いは機械等の輸出に関しまして、輸出の許可制度を強化いたしただけであります。
#305
○佐多忠隆君 世界情勢に応じてとおつしやいますけれども、世界情勢に応じてああいうことをやる限りにおいては、国連協力の名の下に戰争への介入を誘発する危險性があると思うので、私たちはそれに対して非常に反対の意見を持つておりますが、この点はいろいろ長くなりますので問題を端折ります。それで最後に一点お聞きしたいのは、これまで自立計画をお尋ねしまして、いろいろな面においていろいろの数字をお示し願つて、大体の概要は捉えられたと思うのでありますが、問題は最初に私が提起したように、單に国際収支の均衡を図るということではなくして、我々の生活水準を引上げる。従つて又雇用の問題を最重点に考えなければならん、我々の産業自立計画はそこに主眼点が置かれなければならないと思うのでありますが、その点をお尋ねしたときだけは、その問題だけは少しも数字も何も明確にされていない。こういう点はこの計画が、そういうことを殆んど無視した單なる資本家の計画に過ぎないのだということを私痛感いたすわけでありますが、その点をどういうふうにお考えになつておるか。
#306
○国務大臣(周東英雄君) この点については先ほど申上げた通りでありまして、我々は自立経済の計画を立てるときにおいて、国民生活の水準を適当なところまで上げて行くということについて、而も上げることが他人の御厄介にならずに国際收支を合せてやるようにして引上げる。あなたは一〇〇%元に帰すとおつしやる。それは佐多さんよく御存じの通りのそれをやるために、どういう計画を立てなければならんかということを、私は実際の地に付いた計画を立てることが必要である。計数上一〇〇%に帰すということを二、三年の間にできれば是非そういたしたいと思いますが、私どもの地に付いた計画を立てるについて、一応対日援助を打切られたときに、他人の厄介にならずにやれる計画を進めております。その下において今の電気、鉱工業、繊維産業、農業というものについての一応の計画を立てつあるということを申上げて置きます。それで現在の体裁はつくろいませんが、ざつくばらんのことを申しますと結局は金の問題になります。ところで現在どうなつて行くかということで、各界を相互調整し、近く来国会までに御報告申上げたいと思つておるわけであります。それで今の考え方で行きますと、或る程度生活水準を上げて行く。而もそれによつて同時に雇用力の増大がなされて行くということであつて、だんだん失業をなくして行くということを、目標としておるのは当然なことであります。
#307
○佐多忠隆君 目標としているということは頻りに言つておられるけれども、それは現内閣の非常にお好きな空念仏であります。と言うのは生活水準の引上にしても非常に堅い考え方ではあるが、生活水準を所期の目的に達せられるところの努力において非常に欠けておるのではないか。更に雇用の計画にしても、ほかの問題においてはいろいろ数字を具体的にお並べになつて一応お示しになるにかかわらず、雇用の問題については何ら具体的な考慮が拂われていない。ほかの問題に比較して非常にその面が軽視されておる。ここに我々の考え方と非常に違つた、対蹠的な構想があるのだと思うのですが、これらの問題にかかわつておるひまがございませんので、次に移ります。
 次の問題は、大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、今まで各委員がいろいろお尋ねした結果、いろいろ断片的にお述べになつたことではありますけれども、大蔵大臣は一体ドツジ氏と数次に亘る会見をなさつた結果、朝鮮動乱後の世界情勢と睨み合せながら、今後の日本経済の方向というか、その傾向をどういうふうに判断するか。大蔵大臣はインフレ傾向がどうだということを頻りに言つておられますが、それらの点を具体的にどういうふうにお考えになつたか。それを先ずお聞きしたいと思います。
#308
○国務大臣(池田勇人君) 財政演説で申上げておりまするように、安定の度を加えまして、片一方では生産も殖え、輸出入も殖えて来る。よりよい経済が実現することを確信しております。
#309
○佐多忠隆君 それはこれまで朝鮮動乱その他を考慮に入れないで、ただ單に今までの傾向を言つておられるだけであつて、私がお尋ねしたいのは特に朝鮮動乱後どういうふうに日本経済が変つたというふうにお考えになるか。今度の補正予算においてこのようなインフレ的な危險をどういう点に御認めになつているのか。そのことを特に御聞きして置きたいのであります。
#310
○国務大臣(池田勇人君) 先ほども申上げた通りだんだん輸出も殖えるし、生産も殖えるし、よくなつて来る。こういうようにお答えしております。
#311
○佐多忠隆君 それならばインフレの危險も強調して、あのインベントリー・ファイナンス等々の無理なことをやる必要は毛頭ないと思うのでありますか、その点は……。
#312
○国務大臣(池田勇人君) 他の機会に申上げておりましたように、世界的の軍拡機運を反映いたしまして、物価も或る程度上つて参ります。これを外国の値上り以上にやつては困りますので、それを抑え、又輸出超過によつて通貨の殖えるということも又インフレの原因でありますので、インベントリー・ファイナンス、その他の施策を講じておるのであります。
#313
○佐多忠隆君 その点は、物価高の原因が外国にある限りは、それは止むを得ないのだというお話だと思つていいと思うのでありますが、そうだとするならばああいうインベントリー・ファイナンスみたような非常な無理な御計画をなさる必要は毛頭ないのじやないか。あの計画をやられることによつて、国際的な物価高の外に、日本を別な島として置いておこうという国内的な、而も通貨の施策による非常な無理な方法を強行しておられるのじやないか。
#314
○国務大臣(池田勇人君) 決して無理ではございません。この程度のものは最小限度の必要と考えておるのであります。昨年度におきましても貿易会計へ一般会計から四百億円繰入れたことは、御承知の通りであると思うのであります。今年の輸出の進行状況から申しまして、私は今年度百億円程度のインベントリー・フアイナンスは最小限度必要だと考えておるのであります。
#315
○佐多忠隆君 併し政府は、当初閣議で御きめになつた予算においては、それを何ら考慮に入れておらなかつたと思うのですが、急遽それを御入れになつた。私にはそれは非常な無理をあえてされたものだと、こういうふうにしか考えられないのですが、どうですか。
#316
○国務大臣(池田勇人君) これもたびたび申上げておりますように、朝鮮事変が起らぬことを……、朝鮮事変の影響を織込まずに予算を作つたのであります。朝鮮事変が起りまして、輸出が急激に増加いたしまして、輸出入の飛躍的増加に対処いたしまして、又各国の物価の状況等から考えまして、そして最近の情勢ではこの程度のインベントリー・フアイナンスが最小限度必要である。こう考えたのであります。
#317
○佐多忠隆君 朝鮮事変の影響を何故当初お考えにならなかつたかということは、しばしば各委員がお尋ねした点でございますが、大蔵大臣はそれは故意に見なかつたのだ、而もそれは時期的に不可能だつたから見なかつたのだということをおつしやるのですが、この補正予算がきまつたのは多分十月の初めだつたと思います。一応閣議でおきめになつたのが十月の初めだつたと思いますが、その頃までにはすでに大体の傾向なり方向はわかつていたはずじやないか。ドツジさんも来朝されて、第一声にそのことを特に強調したのであるから、アメリカから見ていてすらそれが一番キー・ポイントであるということが考えられるのですから、そのことにつきましては日本においてもつと痛切に考えられなければならない問題じやないか。殊に我々は前の臨時国会において、そのことを口をすつぱくしてやかましく、どういうふうになるのだ、傾向をどう見るのだということをいろいろ御尋ねしたにもかかわらず、政府はまだそれはわからないのだということで、殆んどこれという説明をなされなかつた。その態度を持続して行かれたが故に、わからないことになつたのであつて、これは大蔵大臣の、或いは内閣の非常に大きな責任じやないかと思います。そこでこれを考慮に入れて置かれなかつたがために、これをドツジ氏に指摘されて、急遽その問題をお考えになつた。そこでその問題を考えて、その問題をどう判定するかということに……、私は新聞を通じて知らされたところは、殆んど大部分の時間がその検討のうちに費されてしまつていて、本来の予算、二十六年度の予算なり、補正予算なりというものの具体的な審議にお入りになつたのは非常にあとになつて、予算の審議が非常に遅れた最大の原因はそこにあるし、従つてこれは政府の非常に重大な責任じやないかと私たちはこう思うのですが、大蔵大臣はどうお考えですか。
#318
○国務大臣(池田勇人君) そうお考えになるのはあなたのお考えでございますから、どうこう言うわけには行きませんが、御承知の通りに来年度の予算編成方針は七月の上旬にきめたのであります。佐多君も役人をしておられましたからおわかりと思いますが、各省より予算の要求が出ます。その基本をなす予算の編成方針をきめるのでありまして、そうしてそれをずつときめますのは二ヵ月くらいかかる。而も又閣議に出しまして最後の決定をするには二週間或いは三週間かかるのであります。この間に朝鮮事変をどういうふうに盛り込もうたつて、それは單なる目安で自信のあることはできない。そういうことを考えますと骨格予算がなかなかできにくい。だから一応あとから出ましたものは除けておいて、できたものに持つて行つて、あとから補正して行こう、こういうことでやつたのであります。私はこのほうが早く予算を編成する途だというのでやつたのであります。これが朝鮮事変の影響をはつきり予算に盛り込む方法だと、こういう考えでやつたのであります。
#319
○委員長(波多野鼎君) 佐多君、時間が参りましたからもうひとことで終りにして頂きます。
#320
○佐多忠隆君 これはまだ序論のところなんです。予算編成方針の大綱のところなんで……。それじや非常に重要な問題が一つ残つておりますので御願いいたしたいと思います。しばしば問題になるように、政府は給與改訂をあんなに各方面で、あれが不合理であるということが言われておりながら何ら変えようとなさらない。私この間お尋ねしたときに一体給與改訂を八千五十八円と六千三百七円の差額を全部見るとしたら経費が幾ら要るのだ。それから大蔵大臣がお答えになつた。人事院の勧告を現在に直して見ると八千四百幾らになる。そのところまでいわゆる人事院ベースを完全に実施した場合に、幾らの増加経費が要るのか。これを具体的な数字にしてお出し願いたいと言つておるのですが、これがまだ出ておりませんが、これはいつ出してくれるのですか。
#321
○国務大臣(池田勇人君) 政府委員のほうからお答え申上げたと思いますが、皆さんの前で申上げたいと思います。これは昨日の御質問のときに、一般会計並びに特別会計におきまして九十億ばかり増加する。こう申上げて置きましたが、正確な数字は来年度におきまして、これは賞與を除きまして俸給だけで九十六億七千八百四十三万六千円の増加でございます。今年度におきましてはこれ又賞與を除きまして二十二億三十五万五千四百十円、こう相成つております。
#322
○委員長(波多野鼎君) 佐多君、申合せの時間が参りましたから……。
#323
○佐多忠隆君 もう少しお願いします。
#324
○野田卯一君 議事進行について……。私は佐多君に先ほどの理事会の申合せが十分徹底していなかつたと思うのです。もう少し皆さんの全部にわかるように先ほどの理事会の申合せをここで委員長から皆さんにお伝え願いたい。どうも徹底していないように思いますから……。
#325
○委員長(波多野鼎君) それでは、理事会の申合せは各党派から理事のかたが出ておられますので、各理事を通じて皆さんにお伝え願うようにして置きましたが、徹底していない点があるかも知れないということでありますので、一応申上げますが、今日の総理に対する質問を除きましての総括質問は、大体代表質問者一人について一時間という申合せになつております。この点どうぞお含み置きをお願いいたしたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
   〔佐多忠隆君発言の許可を求む〕
#326
○委員長(波多野鼎君) 議事進行ですか。
#327
○佐多忠隆君 もう一点だけ私非常に、大事な問題がありますので、ちよつとお願いいたしたいと思います。
#328
○中川以良君 議事進行について……。会期も本日で終了いたしますので、特に一日延長せられておりまして、極めて貴重なる時間でございます。そこで先ほど理事会で以て只今お話のような御決定を見たのでありますから、各委員はこれを嚴守されるように、若しも嚴守されなければ委員長として一つ御裁断を願つて、議事の進行を予定通りお進めにならんことを切望いたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#329
○原虎一君 議事進行について……、今の理事会の御決定はわかりましたのですけれども、その中で私は一つ疑問がありますから御伺いいたしますが、各代表者の質問時間は一時間、この点はわかるのでありますが、そうしますと一時間やらない場合においては、三十分やつて三十分あとはやらない。こういう場合においては他の代表者に譲り得るのかどうか。残りの三十分を放棄してしまうのかどうか。例えば民主党の代表諸君と、自由党の代表諸君が時間は二時間あります。片方が一時間半やつて、片方が三十分やる。それでも二時間である。そういうことがなし得るかどうか。その点お伺いいたします。
#330
○委員長(波多野鼎君) そういう問題は理事会では決定いたしておりません。自由党のかたは代表質問はしないことになつております。
#331
○原虎一君 決定していなければ各会派の代表者が相談して、そうして委員長のほうへ通告すれば、大体質問する所要時間を五時間と見れば、五時間の範囲内で終ればいいのでありますから、そういうことはお互いの折衝でなし得るものと解釈いたしますが、そうならば佐多委員の質問は他の代表者のかたと話合つて、そこに十分なり二十分なり予定し得ると思います。こういう点が決定していないとすれば理事会を開くか、そうでなければ私が今解釈いたしますように代表者同士が話合つて、なし得るかどうか。したらいいのじやないか、こう思います。
#332
○池田宇右衞門君 只今原君からそう言われましたが、今委員長のお言葉によれば各党代表者が譲り合うということは決定してない、制限されておるというお話であります。従つて又各党代表者ということに相成りますならば、今原君から仰せのような、各派で時間を讓り合うということでなくて、おのおのの派に一時間なら一時間割当てたら、その各派は、その代表者が一時間なら一時間という時間を嚴守し、その代表のかたが三十分で済めば三十分は次の会派に廻す。理事会の申合せの趣旨がそこにあつたんだろうと思いまして、その点は原さんに了解して頂いて各党は一時間なら一時間というような、只今、うちの中川君からも申した通り、会期を一日延長して貴重な時間をおのおの有効に行使するという意味から、その方法が至当である。こういう方法を各委員にお諮りを頂きたいと、かように思う次第であります。
#333
○委員長(波多野鼎君) 今の池田君の御趣旨は、各派譲り合うことができる。そうして……。
#334
○池田宇右衞門君 いや各派に割当てられて、各派が一人ずつというのだから、一人ずつ各派で一時間やつて、他の派に譲り合わない……。
#335
○委員長(波多野鼎君) 原君の意見に反対なんですね。
#336
○池田宇右衞門君 そうです。
#337
○下條恭兵君 理事会で各派それぞれ一時間の持ち時間ときまつたというのでありますから、その点には私は異存は申上げませんけれども、今原委員からの御発言のように、理事会の決定にいささかそういう点で明確を欠くところがあつたと思いますし、又中川委員から会期が非常に切迫したと言つていますけれども、まだあと二十八時間くらいあると思うのであります。我々は曾つてたびたびきわどいところまで追い込まれたことがありますが、今日はまだ非常に時間があると思いますので、又この委員会におきまして、各大臣が出席しなかつたりしまして、そのために質疑が捗どらなかつた面が、私は相当あると思いますので、そういうことを私は今この場で議論しようとは思いません。併し修正の問題などもありますから、簡單にもう一ぺん理事会で、そのような例えば三十分で終つたら三十分は放棄するのか、或いは他の人に代つてやつてもらうことができるのかというようなことの若し申合せがなかつたなら進んでやつて頂いたほうが早途じやないかと思いますので……。
#338
○原虎一君 そういうことは常識できまつたことだと私は思います。なぜならば、本日各派が仮に三派ありまして、三派とも一時間とすれば三時間の質問時間というものはちやんと予定されておる。だから別に引延ばすのでもなければ何でもない。三時間各派の代表者が仮に三名であるとすれば三時間というものは質問時間にとるということの原則が、枠がきまつておる。その枠の範囲内において、或る派の人が一時間半、或る派の人が三十分やつたつて何が議事進行の邪魔になるか。私は池田君の言うことは余り……、ちやんと枠をきめて時間を予定して、目標をきめてやつておる範囲内において、お互いの間で譲り合うくらいのことは同僚の間で当然ではないか。それを理事会を開かなければきまらんというようなことはあり得ない。各派の代表者が了解の下にすれば決して理事会がきめたところの三時間の枠内での質問時間、これを延すことにはならないのであります。審議の妨害でも何でもありません。審議をより愼重にするために、私はこの予算をより愼重に審議するためにお互いの知識を絞つてやるのに何が不都合があるか。
#339
○佐多忠隆君 私は大体一時間くらいの目安でということで了承しておりましたので、今になつてすつとそう言われると困るのですが、まあいろいろなあれもありますから、一点だけ一つ質問を最後に許して頂きたいと思います。
#340
○池田宇右衞門君 議会にはおのおの慣例があつて、本会議においても、議院運営で各派が何分々々と割当てたときに、今の原君のように讓り合つたなんという慣例を私は見ておりません。恐らく理事会においてもそういうような趣旨のためにやつたんだから、その点は今下條君から理事会においてすつかりこれをきめ直せということの案が出ておりますが、若しそういうことであれば、それには賛成いたしますけれども、成るべく議会におけるところの、本会議の慣例を以て各派は各派で、その通り與えられたる時間において完了するのが議会の慣習ですから、この慣習を私は守りたいと思うのであります。
#341
○委員長(波多野鼎君) それでは暫らく休憩いたしまして、理事会を開いてもう一度討議いたします。
 ちよつと休憩いたします。
   午後七時四十五分休憩
   ―――――・―――――
   午後七時五十三分開会
#342
○委員長(波多野鼎君) 休憩前に引続いて予算委員会を開きます。只今問題となりました各派受持の一時間をそれぞれ相談の上で譲り合うことができるか、そういうふうにしたらどうかという御意見につきまして理事会を開きました結果、これは各派に割当てたものであるから、譲り合うということはしないがいい。それから又代表質問のかたもきまつておりまして、この人たちに譲られるかたがあるかということを調べましたが、ありません。そこで佐多君についてはもう一問質問をして頂いて、それで打切つてもらうということに理事会で決定いたしました。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#343
○佐多忠隆君 どうも発言を許して頂きまして有難うございます。それでは最後の一問をお願いしますが、先ほどから必要な資料を、書類にして出して頂きたいと言つているので、これを書類にしていつお出し願えるかということと、それから地方財政の問題は今度の補正予算において致命的な欠陥であり、最も我々が重大に考えなければならない点であると思うのですが、この問題に関連して内閣は委員会の要求にかかわる経費の見積りについて、その詳細を歳入蔵出予算に附記して国会に提出されているかどうか。この書類を国会に提出されているかどうかということをお尋ねしたい。特にこれを私がお尋ねするゆえんは、地方財政委員会設置法の第十五條第二項に、「内閣は、委員会の経費の見積を減額した場合においては、委員会の要求に係る経費の見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記して、これを国会に提出しなければならない。」となつておるのでありますが、この書類はお出しになつているかどうか。
#344
○国務大臣(池田勇人君) 地方財政委員会の意見書でございますから、予算に附記して出す必要はないと考えております。
#345
○佐多忠隆君 内閣はそれを附記して出さなければならないと書いてあるのですが、従つて私は大蔵省のほうからそれをお出しになる必要があるのだと思うのですが、その必要はないのですか。
#346
○国務大臣(池田勇人君) 先ほど答えた通りでございます。
#347
○藤野繁雄君 私は総理大臣に質問した関連事項で、まだ残つているのから始めたいと思うのであります。国家警察と自治体警察との間には、連絡が不十分の点があるから、最近における犯罪の捜査が思うように挙らないような状況になつておるのであります。こういうふうなことでは犯罪捜査の目的を達成することができないのでありますから、速かに改善せなくちやいけないと思うのであります。改善することについて何とか具体案があつたらば承わりたいと思うのであります。
#348
○国務大臣(大橋武夫君) 現在の警察法といたしましては、国家地方警察と自治体警察の間におきましては、その職責上におきまして相互に協力の義務を負うということに相成つておるのでありまして、この條項によりまして、相互にその管轄区域内において協力いたすことになつておるわけでありまする併しながら、今日までの実際の運用を顧みまするというと……
   〔委員長退席、理事岩間正男君委員長席に着く〕
従来内務省時代におきまして、一本に統制されておりましたる日本の警察が、国家警察と自治体警察とに分れました。而も自治体警察というものは、国家警察より独立いたしましたものとして、規定せられましたので、従来国家警察の統率の下に、仕事をいたしておりました自治警察が、その独立性というものを特にあらゆる事項において強調をいたして参るというような結果に相成つておつたのであります。併しながら国の警察力というものは、この両者を総合いたしまして、これを統一的に運用いたすところに最大の能力を発揮し得るわけでありますから、如何なる場合におきましても、この両者の協力ということは絶対欠くべからざることなんでございまするが、従来の沿革から見まして、中央集権的なものが地方分権的なものに切換えられましたるその反動と申しまするか、勢いと申しまするか、地方自治警察においてともすればその自主性を強調して行く、又国家地方警察の側におきましては、警察本来の性質上、これは全国的に統一ある運営をしたいというその点を主張いたしまして、むしろ旧来のような習慣を以て運用いたして行きたいという、こういう二つの相反した考え方が互いに反撥いたしまして、実際の運用において不必要なる摩擦と申しますか、反撥を生じておつたという事実があるのでございます。併しながら、御承知のごとく、現在の警察法はその制定以来極めて日なお浅く、これが運用につきましては従来の日本の警察制度と本質的に異なる面がありますので、なお両者の間において習熟せざるものがあると存ずるのでありまするが、これは私といたしましては、この両者がよく警察法の精神を理解し、新らしい地方分権的な、いわゆる民主化せる警察制度におきましても、国の治安確保のためには中央、地方相協力するところにその真の使命を達成し得るというゆえんを十分に了解をいたし、かような考えによつて運用をいたして行くようにいたしたいと存じておるのであります。自治警察といたしましては、自主独立の立場にあるわけでございまするが、併し運用上におきましてこの相互の連絡的な機関を、公的ではなく自主的に設けておりますので、これらの機関を通じまして、国警と地警との協力の機運並びにその協力の実効を挙げるように留意いたしておる次第であります。もとよりこの制度の根本ということにつきましては、なお将来の問題として研究をいたしておりまするが、差当り現行法の運用といたしましては、只今申上げましたような点を考慮いたしつつ実施いたしておる次第であります。
#349
○藤野繁雄君 最近の火災の状況を見て見ますというと、非常に火災が多い。而もその火災が公の建物の火災が多いように考えられるのであります。この公の建物の火災の原因はどこにあるか。又公の建物の火災の防止の方法はないのでありますか。この点をお尋ねいたしたいと思うのであります。
#350
○国務大臣(大橋武夫君) 只今お述べになりました通り、最近におきましても公共建物の火災が頻発いたしておることは誠に遺憾に存じておるのであります。而もこれが主として公共的な、而も学校その他の大きな建物において火災が発生いたしておるというような実状でございまして、これが原因について種々研究いたして見ますというと、これには二つの点において遺憾な点があるわけであります。第一は関係当事者の不注意という点でありまして、殊に消防機関といたしましては、消防機関に対しまして火災発生の際の連絡というものが非常に手遅れとなつておる。これが火災の大火となることに相当原因をなしておるという点が認められるのであります。
 第二には公共建物が予算その他の関係上……
   〔理事岩間正男君退席、委員長着席〕
耐火構造のものが終戦後におきましては特に建築されることが少くて、木造のものが多かつた。而も性質上その建物の規模が割合に大きい。こういう構造上の欠陥が原因をなしておつたこともあるわけであります。特に関係当事者の不注意という点でございまするが、消防当局及び消防機関におきましては常にこれらの当事者に対しては警告を発し、又予防に努めているような次第でございます。昨年東京におきまして八重洲口の停車場の建物が燒失いたしましたる際におきましても、特に消防庁当局といたしましては政府の閣議決定を求めまして、そうして防火責任者に対して警告を與え、政府といたしましてもこの閣議決定によりまして各省の建物管理者に対して警告をいたしておつたのであります。今回特に大きく伝えられましたのは京都駅の火災でございまするが、これにつきましても国家公安委員会より鉄道関係当局に対しましては嚴重なる警告を発している。即ち京都駅の火災におきましてはこれが消防署に報知せられましたのが実に出火後二十一分を経過しているのであります。而も消防署は京都駅から僅か二町余り離れたところに過ぎない。而してこれが報知せられましたのは駅の当局によるのではなく、京都駅を警邏しておりました巡査によつて報告をせられた。二十一分後でありましたので、すでに手が着けられなくなつてから消防が出動している。こういうような事情で、誠に重要なる又歴史ある建物を烏有に期したことは遺憾に存じているのでありまするが、今後におきましても官庁、学校等に対しましては消防の訓練を繰返し実施せしめますと共に、特に事故発生の際の報道等についても工夫をお願いいたしているような次第でございます。次に公共建物の構造上の問題でございまするが、最近漸く経済事情その他の関係から大きな建築物につきましては鉄筋、或いは鉄骨等の不燃の建物が建ち得るように相成つたのであります。去る十一月二十三日から施行せられましたる建築基準法によりますというと新築の公共建物につきましては、従来民間の建物は建築の監督をいたしておりましたが、官庁の建物に対しては、特に建築当局による監督の制度がなかつたのであります。これが新らしく設けられまして官庁建物といえども事前に建築監督機関の承認を受けなければ建てられない。こういうような制度に相成りましたので、今後防火措置について監督の上から改善せられる面もまあ相当あろうということを期待いたしている次第でございます。
#351
○藤野繁雄君 我が国は非常に風水害が多いのでありますが、現在消防法と水防法との両法律に水害の対策が書いてあるのであります。現在の風水害に対してはどの法律によつて対策を練つておられるのであるか。この点お伺いしたいのであります。
#352
○国務大臣(大橋武夫君) 災害に際しまして、これが予防といたしましてはもとより、治山治水その他の土木工事が必要でありまするが、一旦災害の危險が逼迫いたしましたる場合において、これを予防いたし、或いは堤防の決壊、その他によつて生じますところの損失をでき得る限り被害を局限いたすということのためには水防法によりまして、水防機関或いは水防団等が設けられてあるわけであります。併しながら今日の実情といたしましては、この水防団の団員として現実に出動いたしますものは消防団が多いのでございまして、この消防団員が主として水防の場合においても主体となつて活動をいたしておる。例えば堤防の決壊を予防する、或いは事後のいろいろな作業等に出動いたしておるというような実情と相成つておるのであります。従いまして消防当局といたしましては、消防団の訓練に当りましては、常に水害ということも念頭に置きまして、この水害に関しましては水防当局の水防管理機関と連絡をいたしまして、常に水防機関からの要請があれば出動できるというような実際上の訓練を怠らないというようにいたしておるわけであります。法規といたしましては、水害そのものに対しましては水防法によるわけでありまするが、併しながら震災その他の際におきまする火災の防止、或いは火災に対する活動、こういう面においてはこれは水防法の関係は勿論ございませんので、消防法によつて活動をいたすということに相成つております。どちらの場合におきましても関係機関、特に警察当局と十分に連絡をとり得るように平素から準備を進めるようにいたしておるわけであります。
#353
○藤野繁雄君 次は農業協同組合の問題についてお尋ねしたいと思うのであります。第七回国会で農業協同組合法の一部を改正する際においては、この法律を改正しても予算的措置がとられていないから、この法律は通過成立しても駄目ではないか。こういうふうなことを述べたところが、この法律を通過されたならば必ず次の国会には十分なる予算的措置を講ずるから法律を通過させるようにということであつたのであります。今回の補正予算を見まするというと、法律改正による予算といたしまして僅かに七百七十六万八千円組んでおるのであります。法律では各農業協同組合及び同連合会を毎年一回必ず検査しなければいけない。こういうふうなことを規定しておるのでありますから、このくらいの金額では法律の要求に応ずることができないのであります。又検査の結果不良なものがあつたらばその後の、事後指導をやらなければいけないのでありますが、この事後指導に対する予算がないのでありまする又今日農協の経営難に陷つておるのは適当な経営者がないのと、組合に対する組合員の教育の足らない結果である。でありますから組合員の教育もしなければいけない。こういうふうな状態であるのに、僅かに七百万円くらいでは法律通過の際の話と根本的に違つておる。こういうふうに考えるのでありますが、これだけの予算で法律が要請しておるところのものを実行できると農林大臣は考えておられるか、お尋ねしたいと思うのであります。
#354
○国務大臣(廣川弘禪君) 法律を制定する際に、予算がなくて困るのじやないかというお話で、来年からつけるということであつたというお話でありますが、この予算の額が少いことは御指摘の通りでありますが、あの予算によつて十分検査をいたしまして、そうして基礎を作りまして、それから当つて行きたい。こう考えておるのであります。
#355
○藤野繁雄君 どうも不十分でありますけれども時間の関係で、次に進みますが、今度の農協に対する財務処理基準によれば相当農協を指導督励せなくちやできないと思うのでありますが、一方のほうにおいて財務基準令を出し、一方のほうにおいてこの基準令を励行するのに必要な予算措置がないということは、この財務基準の実行が遅れるというようなことになつて、実行の遅れるのは一方のほうにおいては政府の責任である。こういうふうに考えるのであります。これに対する予算的措置の講ぜられなかつた理由はどこにあるか、伺いたいと思うのであります。
#356
○国務大臣(廣川弘禪君) 農協の強化をするために特定の基準を作つたのでありますが、これは飽くまで農協を強化するためであり、今までありましたような生産に事欠くようなことがあつてはなりませんので、さようなことにいたしたわけであります。さようにいたすと同時に自己資本の独立を図らしめ、さようにいたしまして、又我々のほうでとつておりますような見解を通じて検討いたしまして、そうしてこれを或る面におきまして我々は協同組合を更生せしめるようないわゆる法律的な基礎を持つたものを作る。こういうふうな考え方でございます。
#357
○藤野繁雄君 次は外国為替特別会計の繰入れ問題であるのでありますが、本年度の補正予算において外為特別会計に百億円の繰入れになつているのであります。
 二十六年度においてもこういうふうな繰込れをされる考えであるかどうか、又二十六年度において繰入れられるといたしましたならば、その金額はどのくらいを予定しておられるのであるか、お伺いしたいと思うのであります。
#358
○国務大臣(池田勇人君) 今年度の輸出入の見込を立てまして、百億円程度を繰入れることにいたしておるのであります。来年度におきましても只今のところ輸出入計画並びに外貨の收入等を考えまして只今計算いたしておりまするが、大体五百億程度になるのではないかと考えております。
#359
○藤野繁雄君 この繰入の必要なのは貿易の出超が増大するという予想に出ているものと思うのでありますが、輸入が政府の言うように順調に促進せられるということになればその必要はないのではないかと、こう考えられるのであります。この繰入のためにデフレを生ぜしめ、又政府の言うような資本の蓄積を阻害するような結果とならないかというようなことを心配しておるのでありますが、この点お伺いしたいのであります。
#360
○国務大臣(池田勇人君) 百億円の繰入の根拠でございますが、私の見るところでは第三四半期、第四四半期を通じまして輸出よりも輸入を相当多く見ておるのであります。正確な数字ではございませんが、輸入は六億七千八百万ドル、輸出は六億五千六百万ドルと二千万ドルばかりの輸入の増を見ておりまして、この輸入と申しますと語弊がございまするが、外貨の受取と外貨の支出とこうお考えになつて、そう見まして大体今までの溜り等がありますので、百億円の繰入を必要といたしたのであります。それで来年度におきまして今輸出入又は広く言えば外貨の收支を見て参りますと、大体相当に輸出超過になるのではないかという見込でおるのであります。これは輸入が殖えればそれだけいけないことになるのでありますが、なかなか困難な問題でありますが、正確な見通しをつけて予算を編成いたしたいと思います。
#361
○藤野繁雄君 次は平衡交付金の問題でありますが、地方財政委員会の委員長からは八十八億円の平衡交付金の増額の要求が出ておるのでありますが、これに対して大蔵大臣は十分なる検討をされたかどうか。又検討されたといたしましたならば、これを承認せられなかつた理由はどこにあるのか。お伺いしたいのであります。
#362
○国務大臣(池田勇人君) 先ず第一、国の財政の状況であるのであります。私はできるだけたくさんの繰入をいたしたいと努力いたしたのであります。当初におきましては九億円の見込であつたのでありますが、その後他の歳出を削つたり、いろいろな工夫をいたしまして三十五億円までに殖やし得たのであります。第二の理由は今年度の地方の歳入がどうなるかという見通しが私にはつかない。私は願わくば歳入歳出がこうなる。従つてこれだけ足りないのだということを出して頂ければ、非常によかつたと思うのでありますが、歳入の面につきましては私まだ確信がつきませんので、国の財改でできる限りの努力をして三十五億円にいたしたのであります。
#363
○藤野繁雄君 平衡交付金は、法律の性質上紐付きで出すことは困難であると思うのでありますが、大蔵省が当初考えておられた地方教職員に対する昨年度のボーナスの補助金はどうされたのであるか。この補助金は大蔵大臣が常に約束をしておられたのであるから、その約束はこれを予算に計上せないということだつたら、約束を果さないというようなことになるのですが、この問題について大蔵大臣の責任をお伺いしたいと思うのであります。
#364
○国務大臣(池田勇人君) 昨年の暮に出しました教職員に対しまする平均三千円の問題につきまして、大蔵大臣としてはこれを国庫の負担といたしますと約束はいたしておりません。併し私は平衡交付金施行前におきましては、或る程度の負担を組んで来ておつたので、私は七億二千七百万円を至急に出したいというので予算を内定したのであります。併しこれが関係方面との折衝でなくなりました。然らば約束はしていないけれども、大蔵大臣が考えたことをどういうふうな方法で実行するかという問題につきまして、検討を加えておつたのでありまするが、私は地方の財政状況を見まして、国が地方からもらう金が御承知の通りに今年度十八億円計上してあるのであります。これとの関係を一つ考慮いたして見たいと考えておるのであります。
#365
○藤野繁雄君 次は地方財政委員会の委員長から、災害復旧その他臨時事業費の増加のために百九十五億の新規財源を必要とするが、それについては地方債の発行額の増加により措置することが適当であると、こういうふうな意見書を出されておるのでありますが、大蔵大臣は十分にこれを検討されたかどうか。若し検討されたといたしましたならば起債の枠をどれだけ増加すればいいと考えておられるか。この点や伺いしたいのであります。
#366
○国務大臣(池田勇人君) 地方債の枠につきましては、当初今年度予算施行上三百億と計画いたしておるのでありまするが、公共事業費その他の使用がきまりますると、これは三百億では足りない。三百七十億を要するというので、私も折衝し、又関係官をして関係方面と話合いをしたのであります。私は三百七十億円を認められたと確信いたしまして、それで計画いたしましたところ、そのかたが代られまして、そういう話ではなかつたということで今日まで参つたのであります。而して私は今度の補正予算の折衝に当りましても、極力三百七十億円を主張し、而も又補正予算に伴いまする起債額の関係が五十億、合せまして四百二十億円を以て交渉したのでありますが、不幸にいたしまして三百七十億円しか認められないことになつたのであります。併しこのことは私は最後まで承諾はいたしません。然るところドツジ氏が帰られる日の午後、書簡として三百七十億円と、こう言つて来たのであります。万事窮しておるのでありますが、これが解決策といたしましてはいろいろな方法を考えております。例えば今まで地方公共団体は預金部でなしに、預金部以外の一般銀行から借りておる金が相当ある。それを私は預金部に肩替りする計画を立てまして、只今のところ二十億円肩替りいたしております。十月にその中の二十億円を肩替りする予定であつたのでありますが、この肩替りのときに預金部が肩替りすることにして、この三百七十億円以外でございますが、これを預金部が肩替りすることにして、肩替りされた銀行が別途に地方団体に出すことも一つの手ではないかと思いますが、こういうことをここで申上げますと又邪魔が入りますので、いろいろな手は私は極力地方公共団体の金融その他について支障を少くするように大蔵大臣としては今後とも努力を続けて行きたいと思います。
#367
○藤野繁雄君 平衡交付金の概算交付金の還付命令を出されておるのでありますが、地方団体は指定の期日内に還付ができる見込であるのでありますか。指定の期日までに還付ができないといたしましたならば、どのような措置をとられる考えであるか、この点をお伺いしたいのであります。
#368
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。平衡交付金の仮決定をいたしまして、還付をしなければならない公共団体もございますが、これをできるだけ地方団体の負担を軽くする意味におきまして、二分割ぐらいにして返して頂くということになつております。併し中には非常にむずかしくて返せない。こういうような公共団体もございますので、その点只今ほかの方面で何とかしたいということで、今折角財政委員会のほうでその方策を研究中でございます。
#369
○藤野繁雄君 還付の金額と地方団体に今回仮決定されたところの金額とは、各都道府県内でプールして、その差額を知事に交付されるというような話を聞いたのでありますが、果してそうであるかどうか。若しそういうふうなことであつたならば、一番困るのは知事ではなかろうかと思うのでありますが、この点お伺いしたいのであります。
#370
○国務大臣(岡野清豪君) 一万数百の公共団体を持つておりますので、いろいろの事情がございまして、その点には同情すべき点、同情しなくても税の收入を以て充てればでき得る面もございまして、概括的に申上げることはできませんけれども、地方公共団体の実情をよく精査しまして、そうして只今平衡交付金は仮決定でございまして、本当の決定は来年の一月になりますから、その一月までの間にかれこれ相融通し合つて、できるだけ公共団体の財政の不便を除くように努力しておる次第であります。
#371
○藤野繁雄君 次は農林金融についてお尋ねしたいと思うのでありますが、時間がないから簡單にお尋ねしたいと思うのであります。政府は農林漁業のうち長期資金として農林金融公庫を設立計画しておられたのであるが、その後これが中止になつたように考えられるのであります。農林漁業に長期資金の必要なことは申すまでもないのでありますが、農林大臣も、大蔵大臣も必要を感じられて、何とかこれを予算化し、法律化するというようなお考えのようであるのでありますが、現在までの進行状態、及び農林中央金庫との関係がどういうふうになつておるか。お伺いしたいと思うのであります。
#372
○国務大臣(廣川弘禪君) 農林関係に長期資金の必要なことは、これは御承知の通りでありまするので、我々といたしましては最初農林金融公庫の案を以て臨んでおつたのでありますが、いろいろ折衝の結果、特別会計にするということになつたのであります。本会計から二十億、それから見返資金から四十億、こういう金を入れて、そうして機関は農林中金を通じて出したい。こう考えておるような次第でございます。
#373
○藤野繁雄君 主食の統制が撤廃せられたならば、農業金融上に非常に影響を及ぼす、こう考えるのであります。農業手形のようなものも運用ができないような状態になりはしないかと心配しておるのであります。そういうふうな場合においては農業倉庫証券を元のように活用しなくちやできない。こういうようなことになりはせないかと考えておるのでありますが、主食の統制撤廃がされたと仮定いたしましたならば、その後の農業手形のような金融は何とか別な方法で考えておられるかどうか。この点お伺いしたいと思うのであります。
#374
○国務大臣(廣川弘禪君) 主食の統制撤廃後における金融問題ですが、只今あなたのおつしやるような構想を持つてやつております。
#375
○藤野繁雄君 次は毎度大蔵大臣にお尋ねしておるのでありますが、本年の七月二十八日のこの予算委員会で、大蔵大臣に、私は九州地方のように米の供出の遅れるところでは、二月まで農業手形の支拂いを延期するのが当然ではないかと、こういうふうな質問をいたしましたのに対して、大蔵大臣は供出の目的上、又農業手形の性質上、二月まで延ばすのが当り前だ。こういうふうな確答を得て喜んだのであります。然るに未だにその延ばすところの手続をとつていないように考えておるのでありますが、二月まで延ばされるような手続はいつとつてもらうのであるか。この点お伺いしたいと思うのであります。
#376
○国務大臣(池田勇人君) 前と考えは違つておりませんが、早急にいたしたいと思つております。
#377
○藤野繁雄君 次は農業共済事業についてお尋ねしたいと思うのであります。本年度の補正予算を見てみますると、農業共済保険の特別会計の繰入金が八億八千七百六十万七千円となつておるのであります。而もこれは昭和二十五年の麦についての金であるのであります。麦の収穫があつたのは五、六月の頃であるのであります。この五、六月にできたところの保険金を今頃予算化するというようなことであつては、農業保険の本来の目的に副わないような結果になつて来るのであります。又私の計算によつて見まするというと、この八億数千万円の金は各地方の共済連合会からの報告によれば、約一億円くらい不足するのじやなかろうかと思うのであります。そういたしますというと、各町村から上つて来たところのものに対して保険金を支拂われなくちやできないのであるが、一億円若し不足するということだつたらば、この下足の一億円はどういうふうに処置せられるのであるかどうか。次には本年の水稻に対しても異常発生があるのであります。又家畜に対しては牛の結核であるとか、流感であるとか、馬の伝貧であるとかというふうなものが次々に起つたために、水稻において二十五年度は二十億円、家畜においては二億円、これを合計して見まするというと、麦、米、家畜で二十三億円くらいの金が不足を来たしておるのであります。これは法の建前から速かに支拂わなくちやできないのでありますが、二十三億円の不足金は……、いや不足金じやない、二十三億円の再保険金の支拂金は、いつ予算化されるのであるか。お尋ねしたいと思うのであります。
#378
○国務大臣(廣川弘禪君) 共済組合の本年度補正予算に出した額が足りないように見受けられるということでありますが、我々といたしましては各地方から上つて来ましたものを総額にしてやつておるのでありまして、あとから又殖えるようなものも或いはあるのかも知れません。さような場合、足りない場合には改めて又出すように考慮いたしております。それからあとの二十三億の問題でありますが、これは大蔵省と目下折衝中でございます。
#379
○藤野繁雄君 家畜保険の問題について考えて見まするというと、家畜が死亡したならば速かに保険金が支拂われなくちやできないのであります。然るに家畜が死んでも保険金の支拂いができないような現在の状況であるのであります。家畜が現在においては次から次へ値上りをする状態であるのでありますから、現在のような支拂金が遅れるということであつたならば、保険加入の目的を達成しない。こういうふうな状況であるのでありますが、速かに支拂をされるような方法を講ぜられる考えであるかどうか。お尋ねしたいと思うのであります
#380
○国務大臣(廣川弘禪君) 家畜の保険の問題でありますが、これは先ほど申上げました通り、大蔵省と折衝いたしまして、成るべく早く出すようにいたしたいと思います。
#381
○藤野繁雄君 家畜の保険については、現在の状況から言えば異常発生についての規定がないのでありますが、異常発生のことを考慮せられる必要はないか。又そのためには家畜に関する衛生設備を完備いたしまして、異常発生を防除するということを考えなくちやできないと思うのでありますが、この点お伺いしたいと思うのであります。
#382
○国務大臣(廣川弘禪君) 家畜の病気、異常発生のことでありますが、これもあなたの御説のように来年度には予算を要求してそのように進めております。
#383
○藤野繁雄君 都道府県における農業共済組合連合会の状況を拝見して見まするというと、いろいろな点から計算いたしまして約二十二億四千万円ぐらいの不足をいたしておるのであります。而してこれは農家の不注意のために生じたのでなくて、いろいろの特別の事故によつてできたのでありますから、これは政府において予算的措置を講じなくちやできない、こういうふうに考えるのでありますが、この点についてお伺いしたいと思うのであります。
#384
○国務大臣(廣川弘禪君) 各府県の連合会の問題でありますが、これは家畜の死滅の問題、或いはその他の問題に関連しまして、要するにどうしてこれを補填して行くかということでありますが、この補填の方法、或いは又利子のほうを交付するか、そういうことについては目下検討中でございます。
#385
○藤野繁雄君 政府は本年の台風の対策として、農業共済再保険金の概算拂の処置を講ぜられたのであります。これは災害対策として適切な措置であつたと考えるのでありますが、この概算拂の金額が、どのくらい現在進行しておるのであるか、この点をお伺いしたいと思うのであります。
#386
○国務大臣(廣川弘禪君) 現在のところは、四府県拂つておりまして、まだ三府県残つておるような状態であります。
#387
○藤野繁雄君 次は農作物の病虫害の防除問題であるのであります。政府は麦の増産用の農薬購入費として、今回七千六百七十五万円の補正予算を要求しておられるのであります。然るに朝鮮動乱の結果薬は高くなるし、又農薬に利用しておつたところの薬は他に用途が多くなつて、入手が困難であるというような状態になつておるのであります。政府は価額が上つたところの現在においては、これだけの金では対策ができないと思うのでありますが、農薬の確保又価格の安定等について見通しがあつたらばお尋ねしたいと思うのであります。
#388
○国務大臣(廣川弘禪君) 病虫害対策の問題で、農薬等が手に入らなくなるのではないか、又価格が少な過ぎて困るのではないかというのでありますが、農薬等につきましては所管省と目下交渉しまして確信を得ておる次第であります。又金額につきましても来年度相当額要求いたしておるような次第であります。
#389
○藤野繁雄君 病虫害を防除することは国内の食糧自給度を増すために、最も必要なものであつて、外国食糧を入れるならばこれには相当多額の補給金を要しておるのであります。でありますから病虫害の防除によつて増産をするということであつたならば、食糧の輸入を減ずることができるのでありますから、この点については食糧を輸入する考えを以て、政府において防除対策を講ぜなくちやできないと思うのであります。而して現在においてはこの防除の行政機構がまちまちになつておる結果、その効果を現わすことができないのであります。そこで政府は食糧増産の重要性に鑑みて、農作物の病虫害の防除対策を講じたならば、食糧の自給に非常に効果があると考えて、先ずその行政措置として農林省の中に植物防疫部というようなものを設けて、食糧の増産に努められる考えがあるか、お伺いしたいと思うのであります。
#390
○国務大臣(廣川弘禪君) 非常に大事な問題でありまして、三百万くらい食いつぶされるという推定になつておりますので、農林省といたしましては今考えておりませんが、お話のようにいたしまして、そうしてこれを統合して力が発揮できるようにいたしたい。こう考えております。
#391
○藤野繁雄君 現在の植物防疫法によつて見ますというと、この植物防疫法は、新らしいところの病虫害が我が国に入つて来ないように、入つて来たならば速かにこれを防除するように、というような法律になつているのでありますが、私はこの法律を審議する場合においても、新らしいところの病虫害よりも、現在我が国には、主食であるところのものに対して「うんか」であるとか、二化めい虫であるとかいうような、主なる害虫がおつて、これで年々二百億乃至三百億も食いつぶしをやつておるのであるから、これらのものを防除するというようなことであつたならば、二百億乃至三百億の経費の節約ができるのでありますから、食糧の増産の意味において、丁度火災に消防があるような方法で、機動的に、又常設的に、防除ができるような態勢を整えて、而もそれには消防器具を設置しておくと同様に、器具の設備、或いは薬の設備をしなくちやならないと考えるのでありますが、この点についての御意見を拝聴いたしたいと思います。
#392
○国務大臣(廣川弘禪君) 御趣旨のようなことで、我々といたしましては、器具並びに薬を設備するために、来年度は予算を要求しておるようなわけであります。
#393
○藤野繁雄君 次は国民生活に最も重要であるところの食用塩の価格の問題であるのであります。食糧用の塩は、専売塩の約六〇%を占めておるのであります。而して食用塩は国民生活に必要な味噌、醤油、漬物、水産、畜産、パン、麺類加工品、これにはバター、チーズ、一般家庭用の配給塩、農産物加工用の農家配給塩、種籾等の消毒に要するところの塩、こういうふうなことで、国民生活には絶対的に欠くべからざるところのものであるのであります。この国民生活に直接に関係がある重大なる食用塩を見てみますというと、工業塩よりも非常に高い値段で売られておるのであります。若し万一食用塩の犠牲によつて工業塩が安く定められておるといたしましたならば、食用塩の価格は速かに是正せなくちやできないと思うのであります。今現在の状況を申上げて見まするというと、工業塩で見れば、輸入原価がトン当り四千円というものを三千円で売つているのであります。食用塩は同一のものを一万二千円で売つているのであります。而も食用原塩を粉砕したのみで粉碎塩として一万四千五百円で売つているのであります。又内地塩は約五千八百円で買うたところのものをトン当り一万八千円で売つていると、こういうふうに工業塩のほうは買うた額よりも安く、さなきだに直接関係がある食用塩については非常に高いところの価格で処理されておるのでありますが、この食用塩の価格を是正せられる考えはないか。こういうふうなことをお尋ねしたいと思うのであります。
#394
○国務大臣(池田勇人君) お話の通り、工業塩は非常に安く、食用塩は高くなつているわけであります。この点は従来から産業助成上、率は工業塩は食用塩の半分、或いはそれ以下になつておつた。而して最近のこの塩はトン十ドル前後で輸入できるようになつたのでありますが、御承知の通り昨年は非常に輸入価格が高くなつたのであります。非常に下落して参りましたので、一方では食用塩を下げる計画であります。実施期は来年の一月からの見込で計画を立てているのであります。而して工業塩のほうは御承知の通りに従来価格補給金を出しておるのをとつ拂つた関係上、これは上げる計画ではおりまするが、只今いつ頃から上げるかということにつきましては関係方面と折衝いたしております。遅くとも四月、早ければ一月から工業塩は引上げる、食用塩は一月から引下げる、こういう考えでおります。
#395
○藤野繁雄君 時間がないから最後に簡單にお尋ねしたいと思うのでありますが、朝鮮動乱の結果、朝鮮における窒素肥料が、工場が破壊されたために生産ができない。又アメリカからも窒素肥料の輸入が困難である、こういうふうなことが伝えられるのでありますが、肥料は食糧増産上非常に必要なものであるが、将来における我が国の肥料の需給関係、殊に外国の肥料が要らないか、又日本の肥料は海外に売出さなくちやできないか、その場合における国内の需給状況はどうか。こういうふうなことをお尋ねしたいと思います。
#396
○政府委員(首藤新八君) 肥料の問題についてのお尋ねでありますが、これは我が国の農業生産上最も必要な重大なものであるということについては私も同感であります。幸いにして硫安等につきましては年々生産額が増加し、最近においては百七、八十万トンの生産が上るようになつた。これにストツクなり何なりを加えまして、今年も来年も硫安に関する国内の自給生産量は、国内の農家に対して迷惑のかからんような数量的な措置はとれると考えております。なお将来に向つての問題といたしましては、でき得る限り増産いたし、東亜の市場における……今お尋ねの、曾つて出ておつた台湾、朝鮮等の市場に関する肥料の市場の確保は、是非やつて行くことが日本の自立経済達成上の必要な問題である、かように考えております。それに対する原材料の輸入価格等につきましては、万全の措置を講じて行きたいと思います。
#397
○委員長(波多野鼎君) 最後の質問にして下さい。
#398
○藤野繁雄君 さつき総理大臣に質問したのに対して、安本長官は答弁されなかつたのでありますが、第七国会で甘藷に対する貯蔵加工利用に対しては、予算はないけれども、現在の予算の範囲において、何とか処置するというようなことを総理大臣みずからが約束せられて……、この予算委員会で現在それが実行にならないという理由をお尋ねしたいと思うのであります。又将来においてこれを実行せられる考えであるかどうか。
#399
○国務大臣(廣川弘禪君) 政府委員をして答弁させます。
#400
○説明員(藤田巖君) 私からお答えいたします。「いも」の統制撤廃になりましたときに、我々としては「いも」がそのために非常に減産になつては相成らんということで、統制は外しましても「いも」の生産が増加し、ますます食糧自給の上に役立つようにいろいろいたしたい。かように考えておつたのであります。その後は併しながら幸いにもこれを外しました以後、「いも」の価格は比較的高くとまつておるのでありますが、我々といたしましては今後とも「いも」の増産については極力予算的並びにその他の指導によつて増産を図つて行きたい。かように考えております。
#401
○木村禧八郎君 大蔵大臣と安本長官に御質問申上げたいのですが、先ず大蔵大臣に御質問申上げます。ドツジ氏が参りましてですね、二ヵ月の長期に亘つて折衝されたわけですが、その結論をまあ得られたわけですが、ドツジさんはそれで帰つたのですが、ドツジさんの結論というものは、例えばシヤウプさんが参りまして、第二次税制勧告をやつたときに、政府はあれは一つの研究である。こういうふうにして参考意見とされたようですが、ドツジさんとの会談において到達した結論は、そういう参考的なものでありますかどうか。
#402
○国務大臣(池田勇人君) シヤウプ博士の第一次勧告は、GHQから総理大臣に向つて参りました。この線に沿つて行くようにというあれでございました。然るに第二次勧告はマーカツト少将より、私に参考として参つたのであります。趣きが大分違います。而してドツジ氏との折衝につきましては、これはどういうかつこうになるかわかりませんが、私としては大体のアウト・ラインは話をいたしておりますので、私のほうで作つてそうして向うからのOKをもらいたい、こういうかつこうにしようとして今行つておるのであります。
#403
○木村禧八郎君 そうしますと、ドツジさんとの会談において得た結論というものは、固まつたものじやなくて、コンクリートなものじやなくて、これから又そのアウト・ラインに基いて大蔵大臣が個々の問題について折衝されてOKをもらう、こういうことになるわけなんですか。
#404
○国務大臣(池田勇人君) ドツジ氏との話合いにつきまして大体の結論は出つつあるのでありまするが、私のところで今少しく検討したい。こういう考えでおります。
#405
○木村禧八郎君 これは日本経済新聞に出ておつたのですが、まあ新聞記事でありますからどの程度これが確実かどうかわかりませんが、十二月五日、ドツジさんがクリーブランド号で帰られるとき、日本経済の記者がインタービユしておりまして、こういう質問をしておるのですが、「今回講じた諸施策の実施が円滑に行くかどうかについて関心が寄せられているが、この点はどうか。」こういう記者の質問に対してドツジさんは「私の役割はプランを作ることにあつた、実施はうまく行くものと期待している。」こういうように答えておられるが、ドツジさんと大蔵大臣とのその二ヵ月に亘る折衝の結果は、一つのプランを作ることにあつたのですか、どうですか。
#406
○国務大臣(池田勇人君) 私はドツジ氏が新聞記者と会われたということは知りません。お会いになりますかと言つたら、多分会わずに自分のステートメントを出すつもりだと、こういう話でありました。その新聞記事につきまして、私はここでお答えするのは如何かと思います。
#407
○木村禧八郎君 新聞記事の内容の如何は別問題ですが、とにかくですね、これは新聞記者が個人でドツジさんに、クリーブランド号で帰るとき、船の中で会つたインタービユーになつておるのですが、これは本年の十二月五日の新聞に出ております。ですから問題は、その新聞記事が本当かどうかでなく、結論なんです。二ヵ月に亘るですね。大蔵大臣との折衝の結果が、これは非常に重大な問題だと思うのですが、我々非常に関心を持つておりますが、一つの結論に到達した。そうして金融債の問題、輸出銀行の問題等々出て来たわけです。新聞にいろいろあつた。我々は大体それではコンクリートのものだとこう思つておつたのですが、新聞を見ますと、何んだかそうではないようであつて、まだいろいろ折衝しなければコンクリートにならないというふうに、我々にはどうも見受けられますし、又ドツジ氏が帰られてから、もう明年度予算案は恐らく発表されるのではないかと思いましたが、大蔵大臣の所見を伺いますと、まだいろいろ具体的に折衝する余地が残されておる、こういうことに受け取れる。
   〔委員長退席、理事羽生三七君委員長席に着く〕
それで我々は今後の日本の経済の方向を見定める場合に、やはりドツジ氏と池田氏との会談を非常に重要視しておるわけでありまして、大体これがドツジ氏の考えによつてですね、日本の経済は動いて来ておるように思われますので、そういう点を重要視しておる。ところが大体そういう新聞のような結論に到達しておるように思われていた。ところが今後の折衝によつていろいろ変つて来ることになると、又方向も変る。そうしますると、又もつと大きく言えばドツジ・ラインによつて考えられたインフレの見通し、一応示された程度のインベントリー・フアイナンスにおいても、或る程度の超均衡予算で済むのか、或いは更に折衝の過程においては超均衡的な方向がもつと強くなるのか。この点我々判断に苦しむのですが、どういう関係になつておるのかしら……。
#408
○国務大臣(池田勇人君) 大体来年度の予算に対しまする構想につきましては、話は済んでおるところであります、大体のところ……。併し先ほども申上げましたように地方債の枠であるとか、或いは公共事業費の問題につきまして、私が最後の決心をいたす段階に至つておりません。而してまだ閣議決定を得るのには今少しく資料を集めて見たい。いろいろな問題があつてまだ発表の段階に至つていない。折衝というお話でございまするが、これは大きく考えられますと非常な大きい問題になるが、枠はできておるのでございます。
#409
○木村禧八郎君 例えばですね、日本輸出銀行の例ですが、先ほど大蔵委員会で内容を聞いたのですが、大体五年たつと貸付をやめて新らしく回收する段階に入る。こういうようなことになつておるようですが、これは折衝の過程においてそうなつたという銀行局長の説明でありましたが、政府は最初ドツジさんの考えでアウト・ラインはそういうように大体五年で新貸付をやめて回収段階に入る。こういうようにドツジさんと折衝されたのではないかと思うが、折衝の過程でそういうふうに五年になるというと非常に日本輸出銀行の性格も変つて来る、最初考えたのとですね、そういうようなことが今後又出て来るのじやないかというので、お伺いしたいのですが、その点を非常に我々としてはズレがあるように思うのですが、そういうことはないのですか。
#410
○国務大臣(池田勇人君) ドツジ氏と私との輸出銀行に対しまする話合いと、結果から見たものと違うのじやないかという御想像でございまするが、はつきり私とドツジ氏との間で何年間ということはいたしません。いろいろな事情でああいうふうな法案になつたのであります。その含みはここで申上げないほうが適当かと思います。
#411
○木村禧八郎君 次にお伺いしたいのですが、この減税の問題です。減税の問題についてお伺いしたいのですが、これはまあ本会議でもお伺いしたいのですが、大蔵大臣は收入が多くなれば税金が多くなるのは当り前だ、こういうふうに言つておられるのですが、例えば事実上は減じても……それは大蔵大臣の言われるのはいわゆる税法上の減税ということなんですが、我々が最初聞いたときには、最初政府が予定したのは予算上の減税七十億というように我々聞いておつた。又二十六年度においても予算上の七百五十億の減税、こういうように我々は聞いておつたのですが、最初はそうだつたのですか。
#412
○国務大臣(池田勇人君) そんなことは言つた覚えはありません。
#413
○木村禧八郎君 私はまあ新聞を見てそういうふうに思つたのですが、最初から税法上の減税ということを考えておられたのですか。
#414
○国務大臣(池田勇人君) 税法上の減税を考えるのが大蔵省伝統の精神でございます。而も各国ともこれによつております。
#415
○木村禧八郎君 それでは大蔵大臣は総理大臣も言つておられますが、日本の現段階においてはまだ税金の負担は相当重い。税金の負担に鑑みて減税をする。こういうことを言つておられるのですが、この税負担を軽減するという意味での減税なのか。單に税法上の減税というのは、これは税收の見積りを変えれば幾らでも数字が出て来るわけです。これは水掛論になつてしまうのです。従つて大蔵大臣はその税負担を軽減するための減税をおやりになろうとしておるのかどうか。
#416
○国務大臣(池田勇人君) 税負担を軽減する意味においての減税であります。
#417
○木村禧八郎君 それでは今度の給與所得者の所得税、この臨時特例法案による所得税負担の軽減額というものが、今度出された昭和二十五年度補正予算に伴う税制改正に関する要綱に示されております。大蔵省主税局の調でありますが、この場合毎月の給與の額四千円の人の現行源泉徴收税額は二百六十三円、そうしてこの税負担比率を計算して見ますと七%なんです。これが税負担の比率です。それから仮に今千円ベース・アツプになつたとして、仮に五千円になつたとする。五千円の人の改正税法におけるところの税金は三百五十三円です。この税の負担割合は七・六%に殖えるのです。この場合大蔵大臣はそれは千円給與が上つたから負担率が、負担率ですよ、税率じやないんです、負担率が殖えるのは当り前だ。こういうふうにおつしやるかも知れませんが、物価が上つて生計費が千円上る。そうした場合に基礎控除をそれに連れて引上げないことによつて生じた税額の増加というものは、これは増税ではないかと我々は思うのです。国民の求めている減税というのは單なる税法上の減税じやないのです。実質の減税を求めているのです。今回の税制改革によつて大蔵大臣は税法上の減税減税と言つておりますけれども、税の負担割合から見ますと明らかに殖えるのです。物価騰貴と基礎控除との関連を考えないで、税負担の軽減というものを考えたつてこれは無意味だと思うのです。大蔵大臣は税法上の減税というものは通則だと、こう言つておりますけれども、それはそれでいいとして、その結果として本当に国民の税負担割合が下るかどうか。これを見ますと負担割合は上るのです。この点大蔵大臣はどう考えておられるか。
#418
○国務大臣(池田勇人君) そんな計算はないと思います。負担割合というものは所得百円当り幾らということを我々は負担割合と言つております。減税すれば負担割合が変るのであります。而して物価が上つたために実質賃金が下るというような問題は税法上の問題ではございません。
#419
○木村禧八郎君 今私はそういうことを言つておる。%というものは百で或るものを割つたのが%、これが負担割合です。ですから四千円のときは百円に直せば七円、負担割合は七%、これは割合です。それが間違いということはない、これで考えるのが当り前だと思う。それでは大蔵大臣は税負担が重いというのはどういう意味ですか。やはり税負担の現状に鑑みて……、又総理大臣は税負担は現在重いと言つております。又減税しても重いと言つております。税負担の重い原因はどこにあるとお考えですか。
#420
○国務大臣(池田勇人君) 三十万円の人が五十万円になつたという場合におきまして、所得が殖えれば負担割合が殖えるのは当然のことであります。併し減税せざりせばよほど殖えるべきものが減つておるのでありますから、これを税法上の減税というのであります。
#421
○木村禧八郎君 今私が聞いておるのは、税金が重いというのはなぜ重いのですか。大蔵大臣も総理大臣も税金は重いと言つておる。総理大臣は減税してもまだ重いと言つております。その重い原因はどこにあるのですか。なぜ税負担は重いのでしよう。その原因をお伺いしたい。
#422
○国務大臣(池田勇人君) 所得の割合に対しまして税率が高かつたり、基礎控除が少な過ぎるのであります。
#423
○木村禧八郎君 今お答えになつた通りだと思います。税率が高過ぎる、基礎控除が少な過ぎる。特に物価騰貴の場合において基礎控除を変えなかつたら実質的には増税です。これを増税と考えないのはおかしいと思います。大蔵大臣は單に数字の魔術によつて減税ということを考えられるのでは国民は困ります。これはまあ人の判断に委せるといえば仕方がありませんけれども、我々はもつと国民をそういう意味では啓蒙しなくてはいけない。政府の今度の減税はこれは数字の魔術に過ぎない。これまでずつとなぜ税金が重くなつて来たかといえば、物価騰貴に比して基礎控除が上らんからなのです。成るほど基礎控除は少しずつ上りましたけれども、物価騰貴に比較して、生計費の騰貴に比較して基礎控除が少いからだんだんに生活費に食い込んで来て、それで税負担が重くなる。これが原因じやないかと思うのです。今大蔵大臣が答弁された通りです。ですからなぜそれを税負担が軽くなるようにお変えにならないか。今度の税制改正を見ましても、税率においてもつと下のほうに下げる、又基礎控除も三万円では私は少な過ぎると思うのです。物価騰貴を考えて、本当の国民の税負担を軽減するという場合には……。大蔵大臣はどうも税法上、税法上と言いますけれども、私は角度を変えてお伺いしますが、この前大蔵大臣にお伺いしましたら大蔵大臣は今度の予算の編成に当つては、先ず朝鮮動乱の影響を考えないで先ず減税を考えた。このくらい減税する。そのためにはどれだけ補助金を削つたらいいか。こういうふうにして先ず減税というものを考えて行つて、それで朝鮮動乱の影響を織込んで行く。ところがドツジさんが来たら百億インベントリー・フアイナンスをやらなければいかん。ドツジさんが来る前は七十億減税できるはずだつた。百億のインベントリー・フアイナンスをやらなければならなくなつて、そうして減税できる全額は六十四億、余り違わないです。私は大蔵大臣が今度ドツジさんが来てからの影響を織込んだ百億を、どこにしわ寄せしたかをお伺いしたい。
#424
○国務大臣(池田勇人君) 百億をどこにしわ寄せしたと、ちよつと……、予算というものはそういうものじやございません。百億をどの部分で削つてどうこう……、全体としてどこにしわ寄せをしたかということは言えない。
#425
○木村禧八郎君 それは大蔵大臣の逃げ口上で、ドツジさんが来る前に百億というインベントリー・フアイナンスは考えていなかつたのですね。ところがドツジさんが来てから百億、これはインベントリー・フアイナンスのほうに向ければ我々の税がそつちに行つちやう。若しそれがなかつたらそれだけ減税分になつた。実質的な減税分になつたはずだと思う。それでどなたかの質問に対して、大蔵大臣は、ドツジさんは減税なんかとんでもないと言つたと……。だけれども自分は減税をやる。こういうふうにおつしやいますけれども、ドツジさんは減税をやつちやいけない。ところが今の予算はドツジさん通りで大蔵大臣の面子を立てなければならないから、税法上の減税をして名目的に花を持たした。ところが実際は数字の魔術で、税法上の減税ということはこれは数字をいじくれば幾らでもできるので根拠がない。来年度の税法上七百億の減税においてもそういうことが言える。これは私は本当の減税じやないと思うのです。大蔵大臣はそういう考えで減税というものをしよつちゆうお考えになつておるのだつたら、これはとんでもないことだと思うのです。本当の税負担を軽減するという点から考えて頂かなければならないのですが、大蔵大臣はそういう点についてはいつも何か我々が質問しますと、それを突つ撥ねてしまえばそれでいいというような態度ですけれども、もう少し真剣に減税即ち税負担……、実際家計費における税負担の軽減、税をまけることによつて家計費の税負担が軽くなるというふうに、減税をお考えになるつもりはないかどうか。
#426
○国務大臣(池田勇人君) そういう考え方で行つておるのであります。早い話が酒も、今経過的ではつきり申上げられませんが、酒類も減税になつた。物品税も減税になつた。そうして所得税も来年の一月俸給をおもらいになるときには相当減税になる、事実が証明いたしますから暫らくお待ち願います。(笑声)
#427
○木村禧八郎君 これは水掛論になりますし、これはもう常識なんです。これは経済学のイロハです。物価が騰貴した、その割合において基礎控除を変えなければ増税になることは明らかなんです。これをいつでもごまかしておるのです。それでもう一つお伺いしたいのですが、税が重いということは税率がまだ安くない、基礎控除がまだ少いということを大蔵大臣は言われた。なぜ税率をもつと下げることができないか。なぜもつと基礎控除を上げることができないか。その原因をお伺いしたい。
#428
○国務大臣(池田勇人君) あなたのおつしやるように、国民所得或いは各人の所得の見込を水増しすればどんなにでもできるのでありますが、それでは歳入の確保はできません。而して私が二万五千円を三万円にしたり、扶養家族一万を一万五千円にするということは、やはり財政の收入支出、国民経済の状況を見てやつたのです。これは程度問題でございまして、我々は将来におきましても他の機会にも申上げましたように、できるだけ歳出を少くし、又国民所得をできるだけ多くするような方法によりまして、そうして減税をして行きたいと考えておるのであります。
#429
○木村禧八郎君 水増しというのは、むしろ私は大蔵大臣にそういうことを言いたい。いわゆる税法上の減税は水増し減税です。それこそ物価が騰貴すればそれで名目的な所得が殖えるのは当り前です。今度の国民所得の推定においても、成るほど生産の指数の増加も見込んでおるでしよう。併し物価騰貴の上昇による名目的な増收も入つておると思う。こういうようなのが水増しであつて、私はどうも税が重いというのは、やはり日本の今の現状で資本蓄積……、大蔵大臣は非常に今度の財政演説で強調されました資本蓄積の問題、この資本蓄積が非常に大きいからなかなか減税ができない、ここに一番の原因があるのではないかと思うのですが、この点どうですか。
#430
○国務大臣(池田勇人君) 木村さんの理論は今年の一月、二月にもそういう理論があつたと思うのです。減税であるというのを減税でないという……、併し昨年に比べまして、消費者物価指数は下つた、而も昨年の一万五千円の基礎控除を二万五千円にすると言つたときも議論になつた。併し消費者物価指数は下つた。来年においては消費者物価指数がどうなりますかは、はつきりいたしませんが、私は昨年の七、八月よりは高くならないということを期待いたしておるのであります。又できるだけそういうような方向で行こうと思うのであります。それから水増しの問題につきましても、本年度の補正予算でどこが水増しになつておるか。水増ししたというのがあればそれについて御意見を承わりたい。(笑声)
#431
○木村禧八郎君 二十五年度は何月から始まるのですか。二十五年度の始まりは何月ですか。
#432
○国務大臣(池田勇人君) 二十五年度の年度始まりは会計法できめておりますように四月であります。(笑声)
#433
○木村禧八郎君 そうしますと、ここに安本で出されておる経済月報で四月と九月のCPSを調べますと、四月の年度始まりと九月のCPSを調べますと生計支出が約千円ぐらい減つておるのです。千円以上減つております。これはなぜ減つたのでしようか。
#434
○国務大臣(池田勇人君) 私は昨年と今年とを比べて申上げておるのであります。四月以後のことを言つておるのではありません。而して今年度の減税予算を審議する場合におきましても、今の議論と同じようなことが言われたのであります。昨年度の平均のCPIは幾らになりますか、私は一三七、八と考えておる。併し今年度のCPIは、四月、五月は一二四ぐらい、そうして九月が一三〇になつております。今上りかけておりますが、平均といたしましては昨年度のCPIと今年度のCPIとをお比べになりましたら上つていない。而して基礎控除は昨年度一万五千円を二万五千円に、来年は三万円にしようと考えておるのであります。
#435
○木村禧八郎君 昨年度の平均のCPSで一万四千九十円、九月の家計支出価額が一万三千二百五十八円に下つておるのです。CPSのほうでお答え願いたいと思います。
#436
○国務大臣(池田勇人君) 私は国民の生活を考えます場合におきましてはCPSよりCPS、消費者物価指数のほうが適当であるという考えを持つております。そうして常にこれによつて話をいたしております。CPSは私はとらないことにいたしておるのであります。
#437
○木村禧八郎君 それではとらないことにしておるなら仕方がないと思います。議論が枝葉に流れましたが、私のお尋ねしておるのは、根本は国民は減税して欲しい。ところが減税がなかなかできないのは資本蓄積が余りに激し過ぎるから、今度はドツジさんが来ましてもインベントリー・フアイナンス、これも百億、来年度五百億と、こういうふうにいわゆる超均衡予算です。資本蓄積が多過ぎるから、国民所得に対してこれを比較しておる。そこに根本の原因があると思いますが、大蔵大臣はこれはどうお考えになりますか。
#438
○国務大臣(池田勇人君) 減税も必要でございます。資本蓄積も必要でございます。世界の情勢その他日本の国内事情から考えまして、私は減税もやり、資本蓄積もやつたほうがいいという考えの下に予算を編成しておるのであります。
#439
○木村禧八郎君 その御趣旨は非常によいことなんですが、実際は日本の今の現状を大蔵大臣はごまかしておるのです。この二十四年度の補正予算を見ても税法上の減税をやつておる。ドツジさんは減税はとんでもないというのは、ドツジさんは名目的な減税ならいい、併し実質的な減税はいけない。実質的な減税をやれば資本の蓄積に食い込むからいけないというので、併し予算上の減税ということを言つておつた大蔵大臣に対して、これは何かおみやげをやらなければ悪いじやないか、日本の大蔵大臣に対して気の毒だから税法上の減税を許してくれた。実質的な減税はやつてはいけない。それで予算上の減税と言つたのが税法上の減税に振り変つた。そうしなければ資本蓄積と矛盾すると思います。日本の現状で資本蓄積もやれば減税もやる、大蔵大臣の財政演説で二つの矛盾したことを言つておる。最初は税負担が重い、重い原因を考えると資本の蓄積である。第二には資本の蓄積を大いにやらなければならん、ますます増税しなければ資本の蓄積ができないのに今軽減しておる。まだ重いからもつと軽減しなければいかんと言つておる。実際に水増しでない、実際の税金と資本蓄積の関係ですね、これはなぜこんなに急いで……、一番最後に大蔵大臣も急速に資本蓄積をやることは非常に困難であると言つておる。国民生活水準と資本蓄積の調整の問題です。私は前から超均衡予算を組むということに対しては反対で、均衡予算でいいと思います。ところが今度ドツジさんのやり方はやはり超均衡予算である。来年度もやはり超均衡の「超」はとれないように思います。従つてこれから我々も戰争をしないのですから、我々は生活水準を徐々に上げて資本蓄積をやればいいと思います。ところがなぜ急速に資本蓄積をそんなに急いでやらなければならんのか、国民生活水準と資本蓄積のテンポを我々はもつと調整しなければならん。国民の今の生活は破綻しておる、いわゆる原始的な資本蓄積になつておる。中世紀の原始的な資本蓄積において如何に多くの農民や何かが犠牲になつたか御承知の通りであります。日本の今の現状はオリジナル・アキユミユレーシヨンと同じです。原始的蓄積と同じだと思います。だから税が非常に重い、この点の調整をどう考えるか、この点は非常に重大だと思います。これはどういうふうにお考えになりますか。
#440
○国務大臣(池田勇人君) 重大な問題でありますからとくと考慮して、片一方では減税をし、国民生活を楽にするようにいたしたのであります。而して又お話のような資本蓄積も重大でございますから、来年度におきましても資本蓄積の方途を講じようといたしておるのであります。
#441
○木村禧八郎君 ドツジさんが参りまして朝鮮動乱後の日本経済に及ぼす影響、これを考えてインフレの危險がある。こういうことを言つて、それを防止するためにいろいろ手を打つて行かれたことは御承知の通りと思いますが、日本にインフレの危險がある、又通貨がだんだん確かに季節的変動を除いても殖えつつありますが、今通貨が殖えたり何かしておる原因はどこにあるとお考えですか。
#442
○国務大臣(池田勇人君) 生産の増強やその他にあると思います。
#443
○木村禧八郎君 それが私はおかしいと思うのです。通貨の発行の原因は貿易にあると思うのです。ユーザンスの問題、輸出が非常に殖えたために貿易会計にあるんじやないですか。外為にある。それだからこそドツジさんは外為のインベントリーをやらせた。根本の原因は外為にあり、貿易にある。ユーザンスで輸出が非常に殖えた、そのための資金が出ております。国民のほうの消費インフレと申しますが、国民はちつともインフレを起してはおりません。ですから今のインフレというのは貿易インフレだと思う。貿易のほうから起つて来ているインフレである、そうお考えになりませんですか。
#444
○国務大臣(池田勇人君) 貿易の盛んになりますのは、生産の増強があるからでございます。そうして又通貨の膨脹は、勿論貿易にもありまするが、国内の販売機構その他の影響もあるから、いろいろなものが重なつて来ているのであります。
#445
○木村禧八郎君 私はそういうようなピント外れのインフレの見方では対策が変つて来ると思うのです。貿易のほうからインフレが起つて来るので、これは輸入をどんどん殖やすことによつてその貿易インフレもとまると思う。その対策は……それを今度は国民のほうが犠牲になつているのです。貿易インフレの犠牲になつて、そちらから通貨がどんどん出ていく、インフレになる。我々減税に廻してもらうはずであつた金が減税にならないで、インベントリーになる。貿易インフレを防ぐために国民が犠牲になつている、これは問題だと思う。ですからドツジさんの言うインフレというのは、貿易インフレです。消費インフレじやないのです。この点からインフレ対策は講じなくちや私はいけないと思う。それには輸入対策、この点をドツジさんに大蔵大臣は強調すべきだつたと思うのです。日本の今起つている、これから起ろうとしているのは消費インフレじやないのです。朝鮮動乱の影響をどういうふうに織り込んだか、大蔵大臣に聞きたいのはそれなんです。特需が出て来て輸出がどんどん殖えて行く、ユーザンスが殖えて来てそこから起つて来ているのです。これをどういうふうに織り込んだかを大蔵大臣ちつとも言わない。
   〔理事羽生三七君退席、委員長着席〕
 具体的にそう出て来ておる。このインフレを防止するには輸入を増大するよりしようがない。今のように外貨をあのように貯めてはいけない。ドツジさんになぜそこを強硬談判しなかつたのですか。ドツジさんに日本のインフレを防止するには、ここに原因があるのだから、どうしてもこの輸入のほうをしてくれなければならん。インベントリーという形でインフレを防止したのでは筋違いである。この点をどうして強調されなかつたかと思うのです。大蔵大臣の今の日本のインフレの見方というものは、私はそういうような漫然とした見方ではいけないと思う。インフレを防止するその原因、よつて起つて来るところ原因を突き詰めて、そこに適切な対策を講じなければいけないと思うのです。大蔵大臣は今のことは見解の相違だと言われればいたし方ありませんけれども、我々はインフレを防止して行かなければいけない。又ドツジさん流のインフレ防止によつて非常に大衆が犠牲になつておる。もつと調和が図られるようにしたい。それはやはり特需とか国防経済の一環として日本経済が利用されておるためにそうなるのだ。西ヨーツパでも、イギリスでもそうです。デイフエンス・エコノミーをやるには、アメリカさんもつとお金を貸して下さいと言うべきだ。その点が非常にこの朝鮮動乱の結果として国民生活の水準が下つて来た。これは西ヨーロツパでもそうです。国民生活水準の低下というものを防止するために、どれだけの努力を拂われたか、朝鮮動乱の影響によるインフレのしわを大衆に寄せておる。これは対策として筋違いと思うのです。大蔵大臣は今後こういう方向においてインフレ対策をお考えにならないかどうか、この点を伺いたい。
#446
○国務大臣(池田勇人君) 財政演説或いは他の機会におきまして、あなたのおつしやるようなことは、私はたびたび申しておるのであります。インベントリー・フアイナンスの問題につきましても、輸出が急激に伸びる。そうして輸入がそれに伴わない。併しこれが対策としまして、第三四半期、第四四半期におきましては輸出よりも輸入を多く、これは外貨の点におきまして、とにかく輸入外貨の支拂を多くしようということを先ほども申しておるのであります。いろいろな原因がございます。我々は来年の五百億円のインベントリー・フアイナンスにつきましても、どういうような方法でこれを計上しようかということを計画いたしておるのであります。そうしてこの五百億円の一般会計からの繰入れを計上いたしましても、極力輸入を図つて行くならば、これは別に問題はないのであります。これは本委員会が始まつてから、私はたびたび申しておることであります。
#447
○木村禧八郎君 もう一つお伺いしたいのですが、本年度の終戰処理費と、それからエイド・フアンドとの比較です。それから来年度の終戰処理費とエイド・フアンドとの比較はどういうふうになりましようか。どちらが多くなりますか。
#448
○国務大臣(池田勇人君) これは予算を御覧下さればわかると思います。本年度は、終戰処理費は一千九十億であつたかと思います。それからエイド・フアンドのほうは、ちよつと繰越しがございまするが、見返資金のほうの分で行きますと、千四、五百億……千三百億であつたかと思いますが、ドルで言いますと二億ドル余りになるのであります。来年度におきましては、終戰処理費は今年度より少しぐらい減ると計算いたしております。而してエイド・フアンドとしてのドルは、一九五一年から五二年のアメリカの予算に盛られるであろうという見通しを、私は一億ドルと想像しておるのであります。
#449
○木村禧八郎君 そうしますとこれは、アメリカのほうの予算の公聴会の記録では、一九五〇年、五一年度は二億七千万ドル、こういうふうに言われているのです。それはまあ減つたかどうか知りませんが二億七千万ドルとしまして、実はエイド・フアンドよりも終戰処理費のほうが多いのだ、だからアメリカは決して浪費をしているのじやない、節減しておるくらいです。ところが来年度になりますと、それが非常に明らかになつて、大蔵大臣は大体エイド・フアンドは一億ドルくらいと、こう言つておりますが、終戰処理費は千億幾らになるし、終戰処理費のほうが非常にまあ今度は大きくなつて来ると、こう思うのですが、そういう場合にアメリカが日本に援助をしておりながら、終戰処理費のほうが大きくなつて来るというと、どうもそこで援助が意味をなさなくなつて来るように思うのですが、特に又特需とか輸出が出て来るような傾向にあるので、この点バランスをとるか、やはり何とか終戰処理費についてエイド・フアンドとの関係を調整してもらうような御意思はないのですか。
#450
○国務大臣(池田勇人君) 我々は終戰処理費ができるだけ少いことを望み、又エイド・フアンドができるだけ多いことを望んでおるのであります。併しエイド・フアンドはできるだけ多くといつても、これは総理がこの席でお話になりましたように、これは漸減して来るという方向になつて来るのであります。私に関する限り、又吉田内閣に関する限り、終戰処理費がこれだけだから、エイド・フアンドはこれだけくれということは、私はできないと思います。
#451
○木村禧八郎君 私は国民の生活が強制的な資本蓄積の犠牲になつて余りにみじめであるために、又ドツジさんも、大体早く日本の国民の生活水準は戰前の九〇%くらいまで引上げたいということを言つておるのです。ところが朝鮮動乱の結果、七九%まで四月頃上つたのが、ずつと下つてしまつて、七〇%或いは七一%まで下つてしまつておるのです。それで、あとで安本長官にもお伺いがしたいのですが、こんなみじめな生活水準でいつまでも資本蓄積をされていたのじや、いつまでたつても日本の国民の生活改善ができない、この強行的な資本蓄積を総和する方法として、さつきのエイド・フアンドと終戰処理費との関係を調整する、或いは又今の日本のインフレが貿易インフレなのであつて、それをカバーするような方法を講じてもらうとか、こういう強行的な資本蓄積の圧迫を緩和する方法です、こういうことについて大蔵大臣としてお考えはないかどうか。財政演説の最後に、大蔵大臣が国民に資本蓄積に協力してくれということを言つておるのですけれども、今の生活では協力せよと言つても無理だと思うのであります。むしろ資本蓄積の圧迫から解放しつつ資本蓄積をする、こう思うのですが、そういう構想をお持ちになつていないのですか。
#452
○国務大臣(池田勇人君) 国民の生活水準を上げるということは、我々が常に念願いたしておるところであります。そういう意味におきまして減税をし、又長い眼で国民の所得を上げ、生活水準を上げる意味におきましても資本蓄積は必要だというので、減税と資本蓄積と両方の手段を講じて出るのであります。
#453
○木村禧八郎君 まあ途中でお伺いするのはおかしいのですが、資本蓄積ということは、今の日本の現状でどういうことなんですか、その具体的な意味です。
#454
○国務大臣(池田勇人君) 民間におきまして貯蓄すると同時に、政府におきましてもできるだけの節約をして、そうして生産方面に金を向けようとするのであります。
#455
○木村禧八郎君 政府資金を貯める、それから民間でも預金が殖える。こういうふうだと思いますが、インベントリーもその一つだと思いますが、預金部の金もそうでありますが、併しこれは資金の蓄積だと思うのであります。資本の蓄積じやないわけであります。資金の蓄積はどんどんできておるのであります。預金都でもそれを短期の食糧証券なんかに運用している、資金の蓄積で……。この資金の蓄積を現物の資本の蓄積にまでするものがなければならないのでありまして、ところが現実に資金をどんどん蓄積している。ところがこれを現物的な蓄積にしなければ本当の資本の蓄積と言えないと思うのですが、今のように食糧証券にまでどんどん運用しおつて、そういう形において政府資金が溜つているのは、これは本当の資本の蓄積と大蔵大臣はお考えでしようか。
#456
○国務大臣(池田勇人君) これは嚴格な意味におきまして、資金の蓄積と資本の蓄積とは分けて考えるのがいいかもわかりませんが、資金を蓄積し、その資金を活用いたしまして広い意味の資本蓄積に役立たせようとしているのであります。
#457
○木村禧八郎君 現在の政府のその資金の蓄積のやり方は、二つの方法をとつていると思うのです。この間も質問したのですが、この税金のほうで強制的に取るということと、それからシヤウプさんの税制改革で、高額所得者とか法人にうんと税金を下げてやつて、そつちのほうから蓄積をして行く。こういうやり方は非常に残酷な資本の蓄積のやり方じやないかと思うのですが、両方から強制的にやる場合には、大衆から税金を取り、任意的にやる場合には非常に所得のある法人とか、高額所得者をうんと減税し、そちらのほうで銀行預金にしたり、社債、株式を買わせたりして蓄積している。これなんかは非常に吉田内閣のそういう非大衆的な政策の性格をよく現わしていると思うが、こういうふうな資本の蓄積のし方は非常に残酷な、非公正な、非民主的なやり方じやないかと思うのですが、こういう点は大蔵大臣はこれでいいとお考えなんですか。
#458
○国務大臣(池田勇人君) 先の国会でお話申し上げましたように、法人のほうに軽減をいたしますのは、法人が個人と別個な独立の存在という意味において見られまして、個人の延長という考え方でいたしているのであります。而して法人につきまして、相当の減税措置を前にいたしました関係上、そういう関係では相当な資本の蓄積ができると思うのであります。而して個人につきましては、徐々に軽減をいたしまして、そうして生活を楽にするように考えておるのであります。今回の減税案につきましても、法人は据置きまして、個人のほうでやつて行こうと考えておるのであります。
#459
○木村禧八郎君 それは、まあこれまで日本ではドイツ流の税法をやつて来ましたけれども、シヤウプさんの英米法の税法に切替えたから、税制に切替えたからそうなつたのでありましようけれども、併し日本の実際に合わないと思うのです。なぜそういう点は実情に合わないとしてシヤウプさんにはつきりと進言しなかつたかどうか、余りに、殊に地方税なんかも極端過ぎると思う。今まで百万円ぐらい法人が納めておつたのが、二千四百円で済むということは、こんな馬鹿々々しいことはないと思う。而して特需景気でうんと儲けておるのに、そういうようなやり方は私は実情に副わないと思う。私はそういう法人税の改正と、まあ我々は政府に要求したいのですが、その点は今後やはり依然としてそういうやり方をしておつては私は実情に副わないと思う。併しこれは意見の相違になりますからやめますが、大蔵大臣に対して最後の問題として、この見返資金の問題ですが、来年度見返資金からインベントリー・フアイナンスの五百億、それから又二十四年度繰越し分があります。来年度は見返資金のいわゆるエイド・フアンドといいますか、短期的な運用になる見返資金はどのくらいに上るのですか。
#460
○国務大臣(池田勇人君) 法人に対しまする課税につきましては、もう十数年前から今のような制度がいいというのが相当叫ばれておつたのでありますが、收入その他の点から申しまして、なかなか変えられなかつたのでありますが、シヤウプ勧告があり、又今の現状から申しまして、英米流、特に英国流の税制がいいという考えの下に改正をいたしたのであります。而して次に見返資金からどれだけ短期証券に使うかという問題でありますが、これは只今計算をいたしております。私は前から申上げておりますように、昨年度は千四、五百億円の債務償還、本年度は大体千億円の債務償還をいたします。併し来年度は一般会計並びに見返資金におきまして債務償還は一切いたしません。これだけははつきり申上げられるのでありますが、見返資金の運用、短期証券へどれだけ、或いは私企業へどれだけということはまだはつきりきめておりません。
#461
○木村禧八郎君 エイド・フアンドが打切りになつた後の見返資金というのはどういうふうになるのですか。
#462
○国務大臣(池田勇人君) エイド・フアンドが打切られた場合におきましては、エイド・フアンドをこちらで換価しまして、見返金へ繰入れる金がなくなります。従いまして年度繰越しの分しか残らんことになるのであります。
#463
○木村禧八郎君 大蔵大臣に対する質問はそれで終りにしまして、次に安本長官にお尋ねしたいのですが、日本経済自立の問題なんですが、我々、まあ、新聞その他で見たのですからどの程度正確か知りませんが、安本では……内閣でも経済自立審議会というものが設けてありますが、相当作業も進んでおるように聞いております。大体それによりますと、本年度の生活水準を昭和九年―十一年の八〇%と大体見て、昭和二十八年度には、大体昭和九年―十一年の八七%に生活水準が上ると、こういう想定の下に作業をやつておるようですが、動乱の結果生活水準は相当下つたわけです。本年度八〇%に生活水準が上昇するということは、非常に困難だと思いますが、そうなると非常にこの作業が違つて来ると思うのですが、その点はどういうふうにお考えですか。
#464
○国務大臣(周東英雄君) 大体只今の御指摘の点を目標として只今考えておりますが、この来々年度の生活水準を八九%を目標としてやるにつきまして、目下電力とか、その他基礎産業についての作業をいたしております。これに対しましても、現在の段階から見まして、資金なり原材料の点について、細目に亘つて作業をいたしておりますので、確定的なものは、先ほどもお答えいたしましたように、来国会までには一つ最後のお話を申上げることができると、かように考えております。今お話の最近の朝鮮動乱でうんと下つたというお話でありますが、これは私どものほうでも、そうあなたのおつしやつたようには見ておりません。と申しますのは、今年の五、六月頃までは、むしろ生計費の額なんかは上つております。又物価が実効物価、闇物価等の方面から下落の情勢をとつておりまして、むしろ実質賃金等は上つて来ております。生計費も上つております。その点においてはよかつた。七月、八月以後において、成るほど或る程度物価は上りました。従つて実質賃金の割合も少し下つておりますけれども、今のお話のように、急激なまだあれになつておりませんから、今少しく作業を続けて見たいと思います。若しいろいろな点において状況が変つて参りますれば、おのずから計画が変つて参ると思うのであります。
#465
○木村禧八郎君 この作業で、援助資金がなくなる時期はいつ頃の想定になつておりますか。
#466
○国務大臣(周東英雄君) 大体当初の計画といたしましては、来々年度において援助資金が打切られるものと想定して計画を進めております。
#467
○木村禧八郎君 時間がありませんので、最後にお伺いしたいのですが、これは本会議でも一応お伺いしたのですが、さつきの資本の蓄積と関連があるのですが、安本長官の立場からは、この問題をどうお考えになるか。特に特需と輸入と国内の資本蓄積の問題です。これは非常に重要な問題だと私は思うのですが、具体的にこういう戰争に敗けて非常に全体として経済が窮迫しているときの資本の蓄積の仕方ですね、これは自立経済にとつても一番重要な問題かと思うのでありますが、このやり方ですが、これまでのやり方は非常に今度の給與体系にもよく現われているのですが、上に厚く下に薄いというような形、こういうやり方の資本蓄積が行われておると思うのです。これは今後そういう形でいつまでも私は資本蓄積が行かないのだと思うのですが、特に安本長官にお伺いしたいのは、これから自由経済、さつきも自由経済の問題を話したのですが、自由経済のようなやり方をやつて行くのでは、ますますさつきのような残酷な原始的に近い資本蓄積が強行される、勤労階級は事変前のようなみじめな生活に追いやられて、その犠牲において資本が蓄積されると、これは戰争前の状態に復することになると思います。池田大蔵大臣は昨日お米の例で言いましたけれども、これまでの昔のような食習慣に還るということ、価格体系も……金持が米が食えて、所得の少い人が麦を食う、お百姓さんも稗とか粟を食う、ということは言いませんけれどもこういうような意味に解されたのです。こういうふうな資本の蓄積の仕方は自由経済の方式ではますますそうなると思う。私は特に今後その点についてそういう資本の蓄積の面から自由経済方式というものはやめなければいけないと思う。やはり税法についてイギリス的と言いましたが、もつと総合的な計画的なそれで経済が乏しいのだからこそなおその税なり或いはその他の分配の問題、これをもつと公正にしなければいけないと思う。私は吉田内閣ぐらいこれまで分配の問題を疎かにされ、その分配が税制を通じても著しく不公平になつておると思う。シヤウプさんが参りまして先ず驚いたのは日本の合法的な脱税が如何に多いかということに驚いた。たくさんな合法的脱税を許しながらそうして高額所得者、大法人に減税をしている、そうして低額所得者に税金を重くする、こういうようなやり方です。この根本の考え方ですね、安本長官にお伺いしたいのです。今後そういうような残酷な資本蓄積のやり方では長続きしない。日本の再生産的な循環も、それではうまく行かないと思うのですが、時間がございませんので、その点安本長官にお伺いしたいのです。
#468
○国務大臣(周東英雄君) この点は大蔵大臣の考え方と違つておらないのでありまして、大蔵大臣の考えも同じと思いますが、私どもは将来に向つても今日とりつつある累進課税の問題で、高額所得者からは金を取つて、而して民間の鉱工業資本については民間の資本蓄積をみずからの手によつてやらせるということが一つの方法、而して農山漁村の農地改革等について過小農化せられたものについては、でき得る限り減税で行きますが、減税されたものが過小農形態の農業関係みずからの力で資本蓄積することは困難であろうと思います。そこでその問題については従来からとりつつある政府の資金によりまして、即ち公共事業費等によりまして、或いは荒廃する山林の維持保全、田畑の維持保全、土地の生産力増強のための土地改良という方面に国実資本が動いて行く、これは生産農家に減税いたしましてもみずかちの力で土地改良することはなかなか問題です。こういう問題においては、国が税金で取つた中からこれを資本蓄積に当てて行く、この行き方をとつて行くことは、私は正しいと考えております。
#469
○木村禧八郎君 時間がありませんからこれでやめます。
#470
○櫻内義雄君 文部大臣がちよつと見えないようですから、一、二事務的にお聞きしたいことがあるので、大蔵大臣にお尋ねいたします。大変恐縮です。これは事務的と申しましても、私どもにとりましては誠に重大な関心のあることなんでございます。それは先般資料として頂きましたが、昭和二十五年十月末現在の租税滞納の状況調によりますと、九百九十六億の滞納になつておる、そうして件数として七千百九十件という資料を拝見しているのでございます。今回の審議に際しまして、大蔵大臣は終始その吉田内閣としての減税を誇られたのであります。また成るほど数字の上におきましてはそれが表に出ております。ところで国民は負担の軽減、この減税ということは大いに期待しているところではありますけれども、さてそれよりも先にその現在徴収されるところの税金をどう納めようかと、或いは更生決定というのがまた行われるのじやないかというようなことを憂えているのであります。然るにこの十月末現在におきまして九百九十六億円からの滞納があるというこの状況に鑑みまして、大蔵大臣といたしまして今後の徴税方法としてはどういう方法で行かれるのでありましようか。多分に税務署の行過ぎが言われているこの際におきまして、大臣のこの方面の御方針を先ず伺いたいと思うのであります。
#471
○国務大臣(池田勇人君) 滞納はお話の通りに、九百九十億円ばかりあるのであります。これは昨年度におきましても相当に滞納がありまして、徴収に苦慮いたしているわけでありますが、滞納処分のやり方をどうするかということにつきましては、これはその内訳によりましてそれが酒造税であるか、物品税、或いは法人税、或いは個人の申告納税、或いは源泉課税、こういうものによつて余ほど変つて来るのであります。併し今の状態から由じまして九百億円余りの中におきましては、税務署の審査請求で又訂正しなければならんものも私は含まれていると考えているのであります。これを訂正しなくて納税者側におきまして金融の点において苦しい点もあると思います。一方では再調査をして確実な適正な金額を査定すると同時に、又他方では納税者と話合いまして成るべく金融の途がつくように、金融の途がつかないということであれば公売処分をする、そのときをいつにするか、これはいろいろ事情がありますが、適当な方法でやるよりほかに方法がないと考えております。
#472
○櫻内義雄君 私は連合軍当局から、而もシヤウプ博士なり、或いはドツジ公使のいろいろの勧告、誠にこれは日本国民として有難い点もあつたと思うのであります。併しながら日本の実情にそぐわない点につきましては、恐らく大蔵大臣も十分その点は熱意を以てお話になつたろうと思うのでありますが、これらの多額の滞納というものの原因を探求して参りまするときに徴税方法が違うのじやないか、例えば今回の税制改革によりまして国税は軽減されて地方税が殖えた、このことにつきましてはそれは方針でございますから私は別段ここで論議を、ずつとこの問題については論議をしようとするのではないのであります。従来国税で源泉課税であるとか、或いは配当所得につきましてこれも源泉課税であります。こういう源泉課税で取立てるほうが多かつたのであります。恐らくここにおいでになる方々が地方税が多額に賦課されて驚くように、溜めてかけられるということは日本国民の気性としてなかなか拂いにくい。現在までにこれだけの滞納があるといたしますならばこういう徴税の方法の変化によりまして更に滞納が殖えるのではないかということを私は恐れているのでございます。でありますからでき得るならばこの税金取立ての方法というものがやはり源泉課税中心主義で行くのではないかということを私は考えるのであります。この点についての大蔵大臣の御見解を承わりたいと思います。
#473
○国務大臣(池田勇人君) これは昔から比べますと、源泉課税の徴収の割合が非常に多くなつて来たのであります。そうして又源泉課税と似ておる、と申しまするか、源泉課税ではないのでございまするが、申告納税の方法を非常に強く採用いたして、これによりまして納税額が相当額に来ていると考えておるのであります。できるだけ納めやすいような方法で行くということは、これはもう租税原則でございますので、我々その方面に研究を進めておる次第でございます。
#474
○櫻内義雄君 この徴税のことにつきましては只今大蔵大臣が鋭意いろいろ研究をされておるということでございますが、どうぞこういうような多額の滞納が起きないように、又今回の税制改革によりまして更に滞納が殖えるのではないかということが恐れられるのでございまして、十分な御努力をお願いしたいと思うのであります。
 これから文部大臣が御用だというので文部大臣にいろいろとお尋ねしたいと思います。それは今回の総理大臣の施政方針の演説の中におきましていろいろと申しておりますけれども、私が聞きましたうちにおいてはこの点が最も重要であつたと思うのであります。それは申上げるまでもなく、国民の精神的方面の作興、即ち文教の振興の重要なること今日にしくものはないのであります。と申されて、そうして現下の民主的秩序を暴力を以て破壊せんとするものの行動は国民多数の容るるところとならず、その勢力も逐次減退衰退しつつあるのでありますが、一層この際教育に思いをいたし、健全なる国民思想の涵養に努めたいということを総理は強調せられておつたのであります。特にこの総理の施政方針演説を聞いておりましたときに我々はあの学校騒動というものがすぐ頭に浮んだのであります。総理がこうやつて声を大にして文教の振興を唱え、国民の精神作興を主張せられておるという、その一面におきましては学校におきましては相当矯激なる思想が蔓延いたしまして学生の行動を逸脱したところの騒擾事件を見るというようなことについては我々は誠に残念に思うのでございますが、これについての文部大臣の御見解を承わりたいと思うのであります。
#475
○国務大臣(天野貞祐君) 学生が自分の本来のあり方を逸脱して、そして政治的なことに関與しているということは私も非常に残念なことと思つております。その理由といたしましてはやはり何と申しても今の社会情勢というものがその根底にあると思つております。又この学制改革によりまして従来のようなちやんと秩序立つたものがまだ本当に建設されていない。一例を挙げて見ますというと、従来は学校でクラスというものがちやんとあつて、そのクラスで授業を受けたのですが、この頃は選択をさせるというようなことからして、クラスというものが十分に成立しないということ、併し必ずしもそれは悪いというのじやないでしようけれども、まだそういうものに慣れないとか、そういうような社会情勢と同時にこの学制改革というものがまだ十分に地についていないというような事情が一方にはある。それから又他方においては学生の経済生活が非常に悪い。で殊に頭がよくて勉強したいのだけれども自分は経済力がないためにアルバイトをしなければならんとか、いろいろなことが若い学生をして落ち着いて勉強をさせないというような事情がいろいろそこに、伏在していると思つております。殊に多数の学生などを入れて只今申すように級というものがはつきりしないために、教授と学生との関係が十分でないというようなそういういろいろな事情がここにあると思つております。然らばそれに対して私はどういうようにこれに対処するかと申せば、一方においては学生の生活を安定さしてやらうというそういう考えから育英資金の増額を図つて、学生は現に大学生でありますと四万人くらいの学生が奨学資金をもらう、又特にできる者には特別な奨学資金を貸與するのでございますが、貸與するというようなことによつて学生の生活を安定させる。そのほか又学生のアルバイトというようなことについても周旋をするとかいうような、そういう生活面ということを考えると同時に、又学校において従来とかく大学の教授というふうなものは何といつても大学は学問が中心でございますから、研究者という意識が強くて教育者という意識が乏しい、こういう傾きがございますから、学長を通じて教授諸君を励ましてそうしてただの研究者ではなくして、教育者なのであるということによつて学生に親しく教授ができるだけ接触してそうして学生を指導してもらう、そういうようなことを努めて学生が学問に親しむようにする。又とかく学制改革の結果として学生が十分勉強しないというふうがあります。これは非常に残念なことで、従つて学問の味わいというものは何も知らないのであります。知らないのでありますから、どうかこれを勉強させるように、そのためには試験というようなことを工夫をするとか、さまざまな工夫をして学生を勉強させるというような、生活の面と精神的指導の面とその両方の面からして学生を指導して学生本来のあり方に返そうと努力いたしておるわけであります。
#476
○櫻内義雄君 只今の文部大臣の御見解の中で私は若干不満足の点があるのでございます。それはどういうことであるかと申しますと、全部、只今のお言葉全部とは申しませんけれども、文部大臣の御見解では学生のほうの側に責任があるがごとくどうもとれる御口吻でございました。学生が生活に困つておる、環境が悪いというようなことを説き起されておるのでありますが、それは私は違うと思うのであります。生活に困つておる学生が営々と働いてそうして勉強するものは本当に私は真剣ではないかと思うのでございます。これは恐らく我々選挙を通じて出て来た者にとりましては選挙区から多数の子弟が東京に出たいと言つて来る、そうして千円、二千円の小遣を稼ぎながら勉強をしておる様を見ますときに、只今の文部大臣の御見解は大分違うのではないかと思うのであります。私は現在の文教振興の上から欠けることは先生方のほうにあるのじやないかと思うのであります。この変動期に際しまして先生方がしつかりした信念を持つて子弟を指導して行くというそんな気魄がないところに起きているのではないかと思うのであります。この点について大臣の御見解を承わりたいと思います。
#477
○国務大臣(天野貞祐君) 私は只今申されました先生の側にも責任があるということは私も認めます。でありますから先ほども申しましたように、先生がただの研究者ではなくして教育者であるという自覚を十分持つてそうして学生に接触して学生を十分に指導してもらいたいということを私は強調いたしております。ただ併し決して学生を責めるという意味では私の論はないのでございまして、今の社会の事情というもの、従つて生活一般が悪いというようなことが学生をしてどうしても落ち着いて勉強するという気分にしないものがこの社会にある、その点をできるだけ改良するように、例えば育英資金というようなこととか、学生学徒の援護会とかそういうことに力を注ごうという考えで、決してその教授のほうが十分だという論ではございません。
#478
○櫻内義雄君 どうも大臣の御見解には私は多少不満であります。いわゆる向学心というものは青年の燃ゆるがごとき気持の上にあるのであります。恐らく私どもが幼少を顧みまして勉強したいという気持はあつた、その勉強したいという気持を教員が指導して行かなければならない。先生が教育をするのであります。生徒のほうからどうのこうのということは、私はないと考えるのでありますが、これは大臣に強調いたしましても別段効果もないと思うのでありますが、話を換えまして、日本は独立国家として進んで行くために、経済自立ということにつきましては、あらゆる方面から唱えられて参りました。ところが独立国家としての最大の要素は何かと申上げますならば、それは国民の気持が独立国家としてどれだけの襟度を保てるかというところに帰して行くであろうと思うのでございます。そういう点からいたしますならば、ただに学生の教育ばかりではない、社会全般の教育指導について文部大臣が見織を広めて御指導にならなければならないと考えるのでございますが、この点についての大臣のお考えを承わりたいのであります。
#479
○国務大臣(天野貞祐君) 私は戰時中一般に全体主義というものが非常に支配して、そうして個人の自由というものを圧迫して、人格というような考えでさえもよくないというようなことを言つた、で、日本が、一体近代文明というものを持たないので、本当の意味の個人の自覚というものがないところになおさらそういうことをしたために、個人というものが全然圧迫されてしまつておつた、ところが戰後になるというと、今度は個人といつても、個人の我儘とか、個人の単なる利害とか、そういうことだけが強く主張されて、そうして個人が社会の一員であるとか国家の一員であるというような、そういう自覚が非常に乏しくなつて来ましたから、私は戰前或いは戰時には個人というものを強く主張しましたけれども、今日は却つて社会とか国家とかいうことを主張しなければならないという考えから、私は多くの人から反対を言われて、この席でも非常に私が非難を受けましたけれども、私は国旗を立てるとか、国歌を歌うとか、そういうようなことも国民的自覚を促す一つだと思つております。又来年度においては是非実現させたいと思う教科書を無償で以て小学校に配付することなども、子供というものが單なる親の私有物ではなくして、社会のもので、社会或いは公共からそういう教科書を無償で上げて、そうして子供を社会、国家のために育てるというような、そういうこととか、いろいろの講習とかいうようなもの、或いは校友会とか、さまざまの機会を通じて公共とか国家とかいう考えを私が育成いたそうと思うのは、日本人が本当に日本人としての自覚を持ち、独立国家としての用意をするという考えで、微力ながらそういうことに努めておる考えでございます。
#480
○櫻内義雄君 只今の大臣のおつしやつたことについては、私はわかりました。ところが私が更にお尋ねしたいことは、私の聞いておる点は、いわゆる成人教育なんです。満洲事変以来すでに二十年に亘るところの間、私どもは非常な精神的な動揺の中に育つて参りました。恐らく多くの大人たちが未だに迷つておるのではないかと思うのであります。この迷つておる大人たちに対していわゆる成人教育は文部大臣はどう考えるのかという点がお聞きいたしたいのであります。
#481
○国務大臣(天野貞祐君) 確かに仰せのように成人教育ということが非常に重大なことでございます。でありますからして公民館とか、或いは図書館とか、そういうものの充実とか、又映画とか、書籍とかいうような文化財を通じての教育とか、そういうことにも私どもはできるだけ力を注いで行こうと、私がこれはただ問題として提出したのでございますけれども、何か国民の道徳的基準になるようなものを編纂してみるのも一つの考えではなかろうかというようなのを考えたのもそういう趣旨からでございます。これは申上げるまでもないことと思いますが、何も忠孝とかいうような昔の教育勅語を復活しようという意味では少しもないので、人間が行動して行くのには何かそういう基準があることが都合がよい。今そういうものがない。これは知識階級などは必要はございませんけれども、一般の人には或いはそういうことが必要ではないかということを問題として提出して社会の声も聞き、又一面それを研究して行こうと思うのもすべてこの成人教育というようなことと関連しておることでございます。
#482
○櫻内義雄君 時間がありませんので他の話に移りたいと思いますが、文部大臣の言われる通り、公民館とか、図書館、或いは又角度を変えますならば、健全なるスポーツ、或いは映画によつての教養の向上ということはいろいろ考えられます。併しこれは考えだけでは駄目です。吉田内閣の予算の中におきましては確かにこの文教関係の費用というものは非常に虐待されておる、過小であります。文部大臣が只今おつしやつただけのいろいろな御構想があり、熱意があるとしますならば、今後の一つ予算におきまして文教振興を中心としたそれぞれの費用を計上して頂くことを切に望みたいのであります。どうも御用のところを恐縮でございました。次に農林大臣にいろいろお聞きしたいのであります。大臣がこの委員会にお出ましになつて一番困つておられたのは米価の問題であります。我々も米価審議会の答申を見まして、生産費は高く消費者価格は安くと誠に巧妙なる答申を見まして、我々もこれを解釈するのに困つておるのでございますが、ところで消費者価格のほうから考えて参りますならば、この中間経費の節減ということが一番農民も期待し、又消費者も期待する点であろうと思うのでございますが、農林大臣はこの中間経費についてどのようにお考えになつておるか、先ずこれをお聞きしたいのであります。
#483
○国務大臣(廣川弘禪君) 米価審議会の答申を尊重する意味におきまして、消費者価格を成るべく安くするために中間経費を節約することに努めておるのでございますが、第一はその運賃又精米その他の加工賃、倉庫代、そういつたようなあらゆる細かい点に亘りまして細かく計算してぎりぎりのところまで節約する考えでございます。
#484
○櫻内義雄君 次に承わりたいのは、農林大臣はこの農業政策につきまして、雄大なる構想を持つておられる。それは漸次統制を解除して自由販売に持つて行こうというそういう思想を持つておられるのでございますが、ところで明年度におきましては早場米の奨励金であるとか、或いは超過供出の奨励金であるとか、こういうようなものにつきましては現在どういうようなお考えを持つておられるでありましようか。
#485
○国務大臣(廣川弘禪君) 両方とも存続いたしたいと思つております。
#486
○櫻内義雄君 あなた方のお手によりまして農民から非常な反撥を受けましたところの食確法も、明年の三月を以てその期限が来るのでありますが、この法律に対してはどういうお考えを持つておられるでありましようか。
#487
○国務大臣(廣川弘禪君) 今度は我々といたしましては事後割当をすることになるのでありまして、それに関する対策を練つておるような次第でございます。
#488
○櫻内義雄君 大臣の自由販売、統制撤廃の方向と共に、最近におきまして特に強調せられておつたのは一割増産の問題でありますが、この一割増産につきましては現在までに具体的にどういう対策をおとりになり、そうしてどのような効果が挙つたかということをお聞きしたいのであります。
#489
○国務大臣(廣川弘禪君) 農作物には時期がございまするので、麦から始めて参つておるのでありますが、麦は来年度二千六百万石を目標として、これが増産に邁進する考えであります。又本年度の予算におきましてもそれに対する経費を要求し、来年度は又来年度で我々として必要な経費を要求いたしておるわけでございます。
#490
○櫻内義雄君 毎年々々非常な災害を農村はこうむるのであります。台風が参りまして一番大きな被害を受けるものはこれは農村であるということは言うまでもないことでありますが、私どもはこの際におきまして災害が起きたから、さてそれじや一つ国庫補助でももらいに来ようというようなことで、東京へ駈付けるところのあの町村長の方方を見るにつけまして、これは根本的な何か対策がなければならないと考えるのでありますが、災害復旧特別会計というようなものを設けて、大きな枠をとるようなお考えはないかどうか、この点をお聞きしたいのであります。
#491
○国務大臣(廣川弘禪君) あなたは非常に今農政問題としての一番の盲点をお衝きになられましたが、これにつきましては私は何か法律的の基礎をつけて、異常災害復旧なんとか法とかというようなことで、現在省内において構想を練つている最中でございます。
#492
○櫻内義雄君 折角お褒めにあずかつたついででございますので、構想の一部でもお聞かせ願いたいと思います。
#493
○国務大臣(廣川弘禪君) まだ世間に出すほど固まつておりません。省内で一応やつておりますから……。
#494
○櫻内義雄君 多分大臣も相当お疲れでおわせられるかも知れませんし、余り追及してもどうかと思いますので、次に移りたいと思うのであります。それは農村にとりまして大きな問題は肥料でございます。この肥料も池田大蔵大臣の補助金撤廃の政策のために、一躍本年度は七割までも値が上つて行つたというような最近のこの肥料の問題について、今後どういう方向を以て行くのか。例えば輸入肥料をどんどん入れれて行くのか、それとも国内肥料を増産して行くのか。国内肥料を増産するのであれば、それに対してはどういう対策を持つておられるのか。肥料の問題につきましては恐らく農民は骨身に泌みて高い肥料を買わされ、又買切れないので肥料なしで生産をして来た。恐らくその結果は増産ができない。増産ができたといたしますならば、それは農林大臣の一割増産の成果ではなくて、農民が粒々辛苦した結果、この時局を認識しての努力の結果ではないかとさえ私は考えるのでございますが、肥料についての対策を伺いたいのでございます。
#495
○国務大臣(廣川弘禪君) 肥料を増産する対策は我々のほうでなく、通産省、安本等にあるようでありますが、私たちの希望といたしましては農民に必要なだけの肥料をもらうようにしてもらいたいということを強硬に主張しているような次第であります。なお又少し値が上つて参つて来ているようでありますから、生産人の手許にある政府の肥料をここで早く叩き出してくれるようにということを頼んでおるようなわけであります。
#496
○櫻内義雄君 肥料の問題についてもう一つお聞きしたいのでありますが、政府においても肥料需給調整法の御用意があるというようなことを承わりましたが、この内容をお知らせ願えれば結構たと思います。
#497
○国務大臣(廣川弘禪君) これも農村といたしましては実に大事な問題でありますので検討中でありまする
#498
○櫻内義雄君 検討中の問題が多いので、(笑声)誠にこちらが恐縮する次第でありますが、(笑声)農村におきまして大きな関心事は金融問題であろうと思うのでありますが、農業協同組合が非常に内容が悪くて、大きな借金を持つているということは農林大臣は十分御承知であろうと思うのであります。そこでこの赤字を何とか救済してやらなければならんということが、農村に関心のある方々の意見であり、又私ども是非そうせねばならんと只今そう考えておるのでございますが、この赤字の解決の問題、又農村の金融について手軽な何か方法が農林大臣としては、御構想として持つておられないかどうかということをお聞きしたいのであります。
#499
○国務大臣(廣川弘禪君) 農村の中核体をなす協同組合に前の農業会から引受けた大きな借金のあることは非常に遺憾である。さようなことからいたしまして我々といたしましては、この協同組合を実際に監督、監督いたしまして、実際の数字を調べ上げてそれにこれに農中金なり、又その他の系統金融機関から金が十分流してもいいようなことになるかどうかを検討いたしまして、そうしてそれを実際に利子を補給するなり、或いは金融をつけたりするために、本年度は調査費を見ているようなわけであります。さようにいたしまして我々のほうでもそうですが、協同組合自身或いは十分自分の資金を増して行くようにこれを勧奨いたしておるようなわけであります。
#500
○櫻内義雄君 私どもは大臣が耳にタコができるほどお聞きの通り、今国会は救農国会として要求したのであります。大臣はこれに対して興農国会ということを言われた。これは確かに率直に申上げまして、大臣の表現のほうが私はよかつたと思う。積極性があつてよかつた。興農国会、非常に結構であります。ところが残念ながらこの国会において私は委員会を通じても、本会議場を通しましても確かにこの興農にふさわしいところの何ものもなかつたと思うのであります。大臣の御言葉によりますならば本国会の予算は十五ヵ月予算である、だから一つ来年を待つてくれということでありました。併し現在この朝鮮動乱を契機といたしまして、我々が最も関心を深めておる問題は食糧問題であります。朝鮮米が入つて来ない。又タイ米や仏印米のことを考えましても、これらの地区へも動乱の手が非常な勢いで伸びて来ておる。こういう段階でございますので、一日も速かに救農政策或いは大臣の言うところの興農政策をとらねばならぬということは、恐らく大臣もおわかりのことであろうと思うのであります。併しながら現在の農村を見てみます場合に、農村の実状というものは縮小再生産の過程にあるのではないか。成るほど税金は幾分緩和せられたようではありますけれども、その農村の実態に触れて行きますならば、農村の懐は楽ではない。それは只今指摘いたしましたような肥料の問題であるとか、或いは災害であるとかいうそういう影響を大きく受けまして決して楽ではないのであります。ですから私がこの際望みますことは、もつと大臣が言われた通りの積極性のあるところの農村対策を要望いたしまして、制限された時間でありますので、農林大臣への御質問はこれでやめます。お答えがあれば誠に有難うございます。
#501
○国務大臣(廣川弘禪君) 興農と言い、救農と言い、元は農民のために真の政治をやりたいということでありまして、いわゆる農村を振興させることは農村の生産物を適当な価格で買うということが第一に大事であります。その意味から行きましても、今度米価を画期的に上げたということは、その一事を以てもこの国会が興農国会であると私は考えております。
#502
○櫻内義雄君 どうも大臣と言合いをしても余り効果はないと思いますので、先へ進みたいと思います。私がお聞きいたしたいことは、大蔵大臣がいろいろと御意見を述べられましたが、ドツジさんとの折衝によりまして、見返資金或いは預金部資金の運用によつて長期資金がやや確保されつつあるのではないかというような傾向が見られるのでありますけれども、それはさて置きまして、最も考えさせられますことは、短期の資金の問題であります。この十二月になりまして中小企業者は、恐らくこの資金のために、悩んでおるのではないか、今から大晦日のような気持で、あつちこつち駈けずり廻つているのではないかということを想像するのでございますが、そこで一つ具体的な問題をお聞きしたいのでございます。今回政府におきましては、中小企業信用保険法というものを提案されまして、これは本日このどさくさに衆議院から廻つて来たのでありますが、いわゆる信用保証制度、これを政府でおやりになろうというのでございますが、この狙いは弱小中小企業の融資の困難を打開するためであるということはわかります。わかりますが、さてこれを検討して参りますると、大体その保証料というものが年三分取られるのであります。そういたしますと、仮に二百万円借入れができるといたしますと、六万円持つて行かれるのであります。私はこの三分というものは折角の中小企業育成のために、担保能力の少い企業者のために設けるとするならば、どうも高いのじやないかと思うのであります。現在東京都の信用保証協会におきまして三分の金利を取つて、そうしてやつておるのでございます。それは二百万も三百万も貸しております。併しどうも私はこれが高いと思えてならないのでございますが、この三分を設けられましたのはどういう根底があつて設けられたのか、それを先ずお聞きしたいのであります。
#503
○国務大臣(池田勇人君) 大体保険事故が発生する状態を見まして、一応三分程度取るのが至当ではないかという考えであつたのでありまするが、その後少し改めたと私は記憶しておりますが、どうなつておりますか……。
#504
○櫻内義雄君 百分の三以内ということになつておりますが、この以内ということについて相当含みがあると思いますので、今お尋ねをしておるわけであります。
#505
○国務大臣(池田勇人君) 初めは三分となつておつたわけでありまするが、以内と直つておれば結構であります。勿論以内でありまして、私はそんなに取る必要はないと考えております。
#506
○櫻内義雄君 今の大蔵大臣のお言葉を聞いて非常に心強く思うのであります。どうぞこの金利につきましてはでき得る限り安くこの中小企業信用保険法を設定されました趣旨に鑑みまして、お願いいたしたいのであります。そこでここに今回の特別会計の繰入れは五億ですかな、五億となつておりますね、これによりましてどの程度の貸付保証ができるでありましようか。どういうお見通しでございますか。
#507
○国務大臣(池田勇人君) 併し差向き三十五、六億ができると思います。而うして来年度におきましては更に十億を繰入れまして、そういたしますと全体で百数十億ができるのではないかと考えております。
#508
○櫻内義雄君 これはどなたか事務官の方にお聞きしたいのでありますが、この取扱は商工組合中央金庫で扱いますか。
#509
○国務大臣(池田勇人君) さようでございます。で、この貸付は一般の銀行並びに無盡会社等も入つておつたと記憶しておりまするが、そうして貸付けた後の問題につきましては商工中金がやることにいたしておるのであります。
#510
○櫻内義雄君 そこでこの運営の方法について承わりたいのであります。余り詳しくなつて恐縮なんでありますが、先ず銀行へ行つて融資の申込をする、そうすると、この融資の申込は商工中央金庫のほうへ持つて行つて、そうしてこれを一つ保証してくれという、こういうふうに二段のコースを迫るのでありましようか。私は若しそうであるといたしますならば、中小企業者が一日も早く金を借りたい、こう言うのに、さて銀行へ行つて痛めつけられた、こつちの中央金庫に行つて又痛めつけられたというような結果が生れて来るのじやないか。若しこの運用を誤りますならば、金網を二つ作つて而も金利を二分なり三分なりを取られるということになつて来ると思うのでありますが、この点についての御見解を承わりたいのであります。
#511
○国務大臣(池田勇人君) 貸付ごとに商工中金へ参りましては大変なことになりますので、包括的に各銀行に一応の割当をいたした。成るべく便利にする考えで研究を進めております。
#512
○櫻内義雄君 もう一度お尋ねしたいのでありますが、これは大事なんであります。それはどういうことであるかというと、銀行へ借りに行つた。そうしてそれは保険をつけるのだ。そうすると銀行とこれは組合との間においてその業務が行われる。そうなりますと、これはやつぱりその二重の過程を経なければならないのであります。そのために相当な時日も経過するのじやないか。例えば現在各地にありますところの信用保証協会はだんだん慣れて参りましたけれども、その出発当時の状況を見ますと、やはりそういう傾向があつたのであります。政府が折角よいこの御計画を立てられたのではありますけれども、恐らく今までのその官僚的な気風の上から行きますならば、この中小企業の信用保証ということが一層企業者を苦しめるような結果になりやしないかという点を恐れるのでありますが、この点につきましては、明確に何か簡易な方法を大蔵大臣が是非御指示願わなければならないと、かように考えるのであります。
#513
○国務大臣(池田勇人君) 尤もな御質問でございまして、その点は検討を加えております。私が今三十六億と申上げましたのも、実は十五億でありますというと、百四十五億ぐらいできることに相成るのであります。一応枠を拵えまして、各地方の状況を見まして、そうして各銀行、無盡会社に適当なる金額を分ける。その範囲内においては銀行独自の考えで行くようにいたしたいと思います。御承知の通り二割五分は銀行が自己負担、七割五分がこの保険になるのであります。その点は銀行におきましてやはり相手方と適当にやつて行けることと思います。いちいち商工中金に来るようなことになりますと、それはこの法が動かぬのですから、極く簡素に行くような方法を考えたいと思つております。
#514
○櫻内義雄君 大臣のその御趣旨は、是非各金融機関に徹底をして頂きまして、中小企業者の本当にためになるこの保証制度でありたいと思うのであります。
 次にお尋ねいたしたいのは、国民金融公庫の問題であります。今回政府出資が十億殖えたのでありますが、ところで私はこの国民金融公庫の運営の状況を検討いたして見ますと、一口十万円以下で、連帶の場合は百万円以下だ、とこうなつておるのであります。私はこの点が最も関心を持つ点でありますが、連帯の場合ということは現実におきましては、借りたいところの人が多くの人の名前を借りて来て申込むというような、たしかそういう状況になつておると思うのであります。併しながら国民金融公庫が何故多く利用されておるかというと、貸付期限が非常に長いということであります。生業資金として社会政策的な色彩を帶びておる、これは非常に結構なことである。国民金融公庫の運用の上におきまして非常なる特徴があるとかように考えておるのでありますが、併しこうやつて十億の政府出資を殖やし、又明年度におきましても更にその増額をするというこの段階におきましては、更に大蔵大臣に御検討を願いたいことは、この一口十万円以下というのをこれを枠を拡げるお考えはないかどうかということであります。
#515
○国務大臣(池田勇人君) これはたしか五万円であつたのを十万円に殖やしたと思うのであります。何分にも政府の出資といたしまする関係上、余り多くいたしますとたくさんの人に廻らん、こういう関係がありますので、只今のところ、検討は加えでもよろしいのでありますが、直ちに十万円を十五万円、或いは二十万円にする気持はございません。ただ私は一般会計からの出資のみによらずに何か預金部からの借入金等もできるようにして、そうして広く又多くという考えは持つておるのでありますが、十億円の枠の増加だけでは直ちに一人当りの制限額を殖やすということは困難ではないかと思います。ただ今の中小企業信用保険の担保の問題でお話申上げようと思つたのでありますが、この国民金融公庫の貸付は無担保でありますが、回牧状況が非常にいいわけであります。二%ぐらいかというと、さにあらず、殆んど一%にも足らんというような状況であります。従来の貸付金が相当回収になつております。将来の問題としては殖やしたいという気持を持つておりまするが、借入金ができないということになりますと、直ちに殖やすということは困難ではないかと思つております。
#516
○櫻内義雄君 大臣がおつしやるように国民金融公庫が庶民金融のために随分役立つておるということを私も十分知つておるのであります。それでありまするから、一層にこの金融公庫というものの運用の妙を得たいと思うのであります。現在借りに行く者が一番痛切に感じますことは、この一口十万円以下ということでございまして、ですから一つ五十万円欲しいということになりますと、五人が連帯して借りに行く。そうすると借りるほうの身にとりましては、五人の人に頭を下げなければならん。いろいろと遺物もしなければならない。手数もかかる、そうして結局五十万円借りて来るのです。又百万円借りたいという人は一生懸命足を運んで、十人の名前を組んで来る。併し借りる、実際は連帯で借りるということは、実は大体一人の企業者が借りておるという実態を掴んで頂きたいのであります。これは従来の中小企業に対する金融政策に相当な欠陷があつて、いわばいい意味のこれは盲点であつた、この国民金融公庫に飛んで行けば利息もかからない、貸付の期間も長いということで、そうして喜ばれて感謝されて、又それが回牧されて来ているというこの実情を掴んで頂きますならば、私はこの一口十万円以下というものは、もつと実態に即したものにするのが至当ではないかと、かように思うのでございまして、重ねてこれは是非お願いもございまするが、お尋ねしたいのであります。
#517
○国務大臣(池田勇人君) 十人連帯というのがお話のように悪用されるということになりますとこれは考えなければなりません。我々は昔の勧業銀行、或いは農工銀行のような気持でやつておるのであります。一人が足を運んで関係のない人の印をもらつて借りるということが多いとすればよほど考えなければならんと思うのであります。ただ問題は先ほど申上げましたように、広く庶民階級の生業資金としてやります場合におきましては、只今のところ直ちにこれをうんと増額するということは困難じやないかと思います。
#518
○櫻内義雄君 私は金融公庫の実態を私自身の見解を以て申上げておるのでありますが、実際はこの実情に即した公庫の運用が行われるのがいいと、それは確かにこの規則の上から見ますならば大臣の言うがごとく悪用されておると一言に言われてもそれはいたし方がない。是非運用の上からいつて而も喜ばれて回収もいいということになつて来ますならばこれはいい気持で、そうしてすつきりした借り方のできるように変えて行つてもらいたいというのが私の要望でございますが、これはこれ以上には大臣からお聞きしようとは思いません。
 さて次にお聞きしたい問題は、現在金利の問題が非常に言われるのであります。これは借りるほうは成るべく金利が安いのがいいのです。又預けるほうにしてみればうんと金利が高いほうがいいのであります。そういうことを考えて見ますときにこの金利の引下げと引上げの問題、どこに調和点を見出して行くかということは大事な点であろうかと思うのでありますが、大蔵大臣はどういうふうにお考えかお尋ねしたいと思います。
#519
○国務大臣(池田勇人君) 貸付金利はできるだけ安いほうがいいのであります。それから預入金利はこれはできるだけ高いほうがいいとは申しませんが、貯蓄奨励の意味から言えば或る程度高いほうがいい。併し問題点は金融機関が健全なる金融ができる程度の鞘を置かなければならんということもこれは必要なんであります。只今の状況といたしましては、これは貯蓄増強のために定期預金につきましては或る程度の引上げは適当であろうというので銀行方面に勧奨いたしております。又貸付金利はできるだけ低いがいい、まだまだ引下げ得るという考えを持つております。機会あるごとに引下げ方を勧奨しておる状況でございます。
#520
○櫻内義雄君 現在、これはちよつとお尋ねしたいのですが、金利の引上げは日銀政策委員会の何か指示か決定によるのでありますか。
#521
○国務大臣(池田勇人君) 日銀政策委員会において決定しまして、大蔵大臣の許可を受けることになつております。大蔵大臣が独自でやることはできないということになつております。
#522
○櫻内義雄君 この金利の引上げにつきましては是非こういうことをお考え願われないかと思うのであります。これは当然銀行の営業成績によつて来るのでありまして、私はその営業成績自体によりましては、各銀行ごとによりましてその金利の引上げを行われてもいいのじやないかと思うのでありますが、これはたしか現状におきましては、金利は一律の取扱をしておるように私は記憶するのでありますが、これは個個別々にやれるものかどうか、こういう点をお尋ねして見たいのであります。
#523
○国務大臣(池田勇人君) 一律にやられてもよいのでありますが、建前は別別にやつて差支えないのであります。
#524
○櫻内義雄君 そういたしますと、どうもこれは恐らく大臣が今国会におきまして強調した資本蓄積の問題にからみまして、是非その定期預金の引上げであるとか、或いはこの貸付金利の引下げにつきまして、具体的に速かに対策を立てて頂きたいと思うのでございます。
 次にお聞きしたい問題は、生命保險の問題であります。これも貯蓄のほうから見ますならば、相当考えて行かなければならない。たしか生命保険料につきましては戰前におきましては、課税所得から差引いておつたと思うのであります。或いは満期なり、死んで保險料が入りまして、これはその所得收入から控除をしてもらつておつたと思うのでありますが、これらについて大蔵大臣は今度生命保険についてどういうお考え方を持つておるのか、特に貯蓄奨励、資本蓄積という観点に立ちまして、大臣の御見解をお聞きしたいのであります。
#525
○国務大臣(池田勇人君) この生命保険の問題につきまして、課税上の問題は、保険料等の税額を所得から控除するやり方と、それから保險金を受取りの際相続税からそれの一定額を控除するという方法と二つあると思います。あとのほうの問題は外国におきましてもやつておるようであり、日本でもやつておつたのであります。これは相当私は可能性があると思いまするが、前の保険料を所得から控除するという制度は御承知の通り大正の終り頃から先般の税制までやつておつたのでありますが、私はこれは余りよくない、感心いたしません。そういう例は外国にもございませんし、今のように源泉徴収法をやります場合におきまして一定額を控除するというやり方は非常な手数になつて来るのであります。この問題は折角のお話でありますが、研究はいたしますが、なかなか困難である。相続税のほうは私はできるだけ早い機会に実施したいと思つております。
#526
○櫻内義雄君 誠に残念でありますが、すでに私の時間は来たようでありますので、最後にこれはこの委員会におきましてもいろいろ論議もあり、又質問もあつたのでありますが、やはり貯蓄奨励等にからんでお尋ねしたいのであります。それは定期預金や何かの源泉選択課税をおやりになるお考えがあるかないかということ、もう一つは、これはどうも司令部のほうの御意向があつたので、取止めにしてしまつたのでありますが、只今の源泉選択課税にからみまして無記名預金の問題でありますが、これは是非やつて頂くほうがよいのじやないか、これをやらなかつたために随分銀行から金が逃げ出して、そうしてそれが指輪になつたり、或いはその他の貴金属類になつたり、宝石類になつたりしたということを考えますときに、或いはいわゆる戦後のインフレ時における箪笥預金等のことを考えますならば、これは是非復活してもらわなければならない。又郵便貯金のほうにおきましても一人幾らまでという限度があるけれども、実はこれは何口もかけておつたというようなことであります。こういうことを杓子定規的に、これもいけない、あれもいけないということでありますならば、資本蓄積の妙味は発見できないと思うのであります。この点につきまして大臣の御見解を承わりたい。
#527
○国務大臣(池田勇人君) 源泉選択課税の廃止、無記名預金の廃止等は主として課税上の公平を期するために行われた措置であるのであります。併し今の資金を銀行その他適当な機関に集中するという意味から行きますと御承知のような考え方もあるのであります。私はなかなか困難な問題でございますが、一方では資金の蓄積、貯蓄の増強の必要性に鑑みまして検討いたしたいと思つております。
#528
○櫻内義雄君 これで最後でございます。かようにいろいろとこの短期金融問題にからみましてお尋ねして参りますときに、幾多検討の余地がある。又多くの施策が残つておるということが、ここに明らかになつたのであります。大蔵大臣も非常な熱意を以てこの戰後の金融財政問題に取組んでおられるのでございますけれども、私のような弱輩者から見ましても、まだまだ検討の余地があるということを考えますときに、吉田内閣におきまして、特に只今御指摘申上げましたような点についていろいろ御配慮のほどをお願いいたしまして、私の質問を終る次第であります。
#529
○委員長(波多野鼎君) 本日は十一時で散会の予定でありましたが、先ほどから政府側の申入で少し継続して頂きたいとの申入がありましたので、このまま暫らく休憩いたしまして、理事会を開いて相談したいと思います。それでは休憩いたします。
   午後十一時二分休憩
   ―――――・―――――
   午後十一時七分開会
#530
○委員長(波多野鼎君) 休憩前に引続き委員会を再開いたします。先ほどの政府の申込を理事会において相談しました結果、やはり予定通りこれを以て散会することにいたします。
   午後十一時八分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     波多野 鼎君
   理事
           石坂 豊一君
           野田 卯一君
           羽生 三七君
           伊達源一郎君
           藤野 繁雄君
           櫻内 義雄君
           東   隆君
           木村禧八郎君
           岩間 正男君
   委員
          池田宇右衞門君
           泉山 三六君
           大島 定古君
           小野 義夫君
           工藤 鐵男君
           中川 以良君
           長谷山行毅君
           一松 政二君
           平井 太郎君
           深水 六郎君
           安井  謙君
           山本 米治君
           岩崎正三郎君
           内村 清次君
           河崎 ナツ君
           佐多 忠隆君
           下條 恭兵君
           山田 節男君
           吉川末次郎君
           原  虎一君
           若木 勝藏君
           飯島連次郎君
           楠見 義男君
           高良 とみ君
           西郷吉之助君
           新谷寅三郎君
           高瀬荘太郎君
           高橋龍太郎君
           菊田 七平君
           鈴木 強平君
           中井 光次君
           深川タマヱ君
           堀木 鎌三君
           矢嶋 三義君
  国務大臣
   内閣総理大臣
   外 務 大 臣 吉田  茂君
   国 務 大 臣 大橋 武夫君
   大 蔵 大 臣 池田 勇人君
   文 部 大 臣 天野 貞祐君
   厚 生 大 臣 黒川 武雄君
   農 林 大 臣 廣川 弘禪君
   通商産業大臣  横尾  龍君
   郵 政 大 臣
   電気通信大臣  田村 文吉君
   国 務 大 臣 岡野 清豪君
   国 務 大 臣 周東 英雄君
  政府委員
   内閣官房長官  岡崎 勝男君
   内閣官房副長官 井上 清一君
   地方財政委員会
   事務局長    荻田  保君
   外務事務次官  太田 一郎君
   大蔵政務次官  西川甚五郎君
   大蔵大臣官房長 森永貞一郎君
   大蔵省主計局長 河野 一之君
   大蔵省主計局次
   長       東條 猛猪君
   大蔵省主税局長 平田敬一郎君
   文部省大学学術
   局長      稻田 清助君
   厚生省公衆衞生
   局長      三木 行治君
   厚生省医務局長 東 龍太郎君
   厚生省薬務局長 慶松 一郎君
   厚生省社会局長 木村忠二郎君
   厚生省保険局長 安田  巖君
   農林政務次官  島村 軍次君
   通商産業政務次
   官       首藤 新八君
   通商産業大臣官
   房長      永山 時雄君
   経済安定政務次
   官       小峯 柳多君
   経済安定本部総
   裁官房経済計画
   室長      佐々木義武君
   経済安定本部財
   政金融局長   内田 常雄君
   物価庁次長   熊田 克郎君
  説明員
   農林省農政局長 藤田  巖君
ソース: 国立国会図書館
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