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2000/08/09 第149回国会 参議院 参議院会議録情報 第149回国会 法務委員会 第1号
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2000/08/09 第149回国会 参議院

参議院会議録情報 第149回国会 法務委員会 第1号

#1
第149回国会 法務委員会 第1号
平成十二年八月九日(水曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         風間  昶君
    理 事         北岡 秀二君
    理 事         国井 正幸君
    理 事         竹村 泰子君
    理 事         魚住裕一郎君
                阿部 正俊君
                岩崎 純三君
                岡野  裕君
                竹山  裕君
                服部三男雄君
                松田 岩夫君
                吉川 芳男君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                角田 義一君
                橋本  敦君
                福島 瑞穂君
                平野 貞夫君
                斎藤 十朗君
                菅野 久光君
                中村 敦夫君
    ─────────────
   委員の異動
 八月九日
    辞任         補欠選任   
     小川 敏夫君     小林  元君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         風間  昶君
    理 事
                北岡 秀二君
                国井 正幸君
                江田 五月君
                竹村 泰子君
                魚住裕一郎君
    委 員
                阿部 正俊君
                岩崎 純三君
                岡野  裕君
                竹山  裕君
                服部三男雄君
                松田 岩夫君
                小川 敏夫君
                小林  元君
                角田 義一君
                橋本  敦君
                福島 瑞穂君
                平野 貞夫君
                中村 敦夫君
   国務大臣
       法務大臣     保岡 興治君
   政務次官
       法務政務次官   上田  勇君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       総務審議官    吉村 博人君
       警察庁長官官房
       審議官      上田 正文君
       警察庁刑事局刑
       事企画課長    縄田  修君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  房村 精一君
       法務省民事局長  細川  清君
       法務省刑事局長  古田 佑紀君
       法務省矯正局長  鶴田 六郎君
       法務省人権擁護
       局長       横山 匡輝君
       法務省入国管理
       局長       町田 幸雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (法務行政の諸施策に関する件)
 (少年法改正と少年審判の在り方に関する件)
 (司法制度改革に関する件)
 (マスメディアによる人権侵害の救済に関する
 件)
 (出入国管理体制の整備に関する件)
 (中尾元建設大臣の受託収賄事件に関する件)
 (通信傍受法の施行と運用に関する件)
 (死刑制度存廃に関する件)
 (警察からの個人情報流出に関する件)
○通信傍受法の廃止に関する請願(第一号外三七
 件)
○選択的夫婦別姓制の法制化に関する請願(第四
 一号外一件)
○夫婦別姓選択制の法制化に関する請願(第四二
 号)
○選択的夫婦別姓の導入など民法改正に関する請
 願(第四三号外一件)
○継続調査要求に関する件
○理事の辞任及び補欠選任の件

    ─────────────
#2
○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、法務及び司法行政等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(風間昶君) この際、保岡法務大臣及び上田法務政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。法務大臣保岡興治君。
#5
○国務大臣(保岡興治君) このたび法務大臣に就任いたしました保岡興治でございます。
 内外に重要な問題が山積しておりますこの時期に法務行政を担当することになり、その職責の重大さを痛感しております。
 急激な社会変革の時代にあって、国民のニーズに的確にこたえ、社会が直面する種々の困難な問題を迅速かつ的確に解決するために、法務、司法が重要な役割を果たすことが求められております。この時期において、私は、国民にわかりやすい法務行政を実現し、国民の期待と負託にこたえてまいりたいと考えております。
 委員長を初め委員の皆様方からより一層の御指導、御支援を賜りまして、法務大臣の重責を果たしてまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
#6
○委員長(風間昶君) 法務政務次官上田勇君。
#7
○政務次官(上田勇君) このたび法務政務次官に就任いたしました上田勇でございます。
 時局柄大任でございますが、保岡法務大臣のもとに、よき補佐役として時代の要請にかなった法務行政の推進のために誠心誠意努力してまいりたいと考えております。
 委員長を初め委員の皆様方の御指導、御支援をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#8
○委員長(風間昶君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に警察庁長官官房総務審議官吉村博人君、警察庁長官官房審議官上田正文君、警察庁刑事局刑事企画課長縄田修君、法務大臣官房司法法制調査部長房村精一君、法務省民事局長細川清君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省矯正局長鶴田六郎君、法務省人権擁護局長横山匡輝君及び法務省入国管理局長町田幸雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#10
○委員長(風間昶君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題といたします。
 法務行政の諸施策について、保岡法務大臣から説明を聴取いたします。保岡法務大臣。
#11
○国務大臣(保岡興治君) それでは、当面する法務行政の重要施策について御説明いたします。
 委員長を初め委員の皆様の御指導、御支援をいただきたいと存じます。
 改めて申すまでもなく、法務行政の基本的使命は法秩序の維持と国民の権利の保全を通して国民生活の安定向上を図ることであり、この使命を果たすことは国民が安全にかつ安心して暮らせる平穏な社会を築くために欠くことができないところであります。今、社会は二十一世紀を間近にし、大きな変革期にありますが、この時代に法務行政が国民のニーズに的確にこたえ、その使命をよりよく果たすためには、改めて国民の視点に立って必要な改革を進めていくことが求められています。
 私は、こうした認識のもとに、急激に変化していく時代の要請を踏まえつつ、国民の期待にこたえられる法務行政の実現に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 さて、当面の重要施策について申し述べますと、第一は司法制度改革であります。
 司法は、近代国家の基本である法の支配を現実のものとする役割を担う国民生活にとって極めて重要な基盤となるべきものでありますが、社会の急激な変化、とりわけ事後監視・救済型への転換の中で司法の役割はより一層重要なものになると考えられ、来るべき新たな時代に向けて司法機能の充実強化を図っていくことが不可欠となっております。
 司法制度改革は、本内閣が課題として掲げる日本新生に向けての取り組みの大きな柱であり、私としては、司法制度を所管する法務省の責任者として、内閣に設置された司法制度改革審議会の審議に最大限協力をしてまいるとともに、時代の変化に即応し、国民のニーズにこたえられる司法制度を速やかに実現できるよう、司法の機能の質的、量的な拡充に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 第二は、民事、刑事の基本法の見直しについてであります。
 まず、民事法の整備につきましては、現下の最大の課題である経済構造改革を支える一環として倒産法制の全面的な見直しがあります。その第一として、昨年、民事再生法が成立し、新たな再建型手続が構築されましたが、昨今の厳しい経済情勢にかんがみ、さらにサラリーマンや小規模事業主などの個人債務者についての再生手続及び経済活動の国際化に対応するための国際倒産法制を整備する必要があるため、次期国会にはこれらの関係法案を提出したいと考えております。
 他方、刑事法の分野においては、特に少年による凶悪犯罪が社会の耳目を集めている状況であり、極めて憂慮すべき事態であります。少年非行対策につきましては、社会を挙げて取り組んでいく必要がある重要な課題であると認識しており、衆議院法務委員会における少年非行対策に関する決議を初めとする幅広い御論議や御意見を踏まえつつ、そのあり方について早急に検討してまいりたいと考えております。
 第三は、治安の確保及び法秩序の維持についてであります。
 最近における我が国の犯罪情勢を見ますと、刑法犯の認知件数が増加傾向にあり、とりわけ組織的犯罪は平穏な市民生活に対して看過しがたい脅威を及ぼしていることが見逃せません。
 このような情勢を踏まえ、いわゆる組織的犯罪対策三法等の適正かつ効果的な運用を図るとともに、さきの九州・沖縄サミットのコミュニケでも確認されたように、国連国際組織犯罪条約等の本年中の採択を目指して今後ともG8各国と協力するなど、犯罪に対する国際社会の取り組みに引き続き貢献し、我が国の治安を脅かす各種犯罪に対して引き続き厳正に対処し、法秩序の維持に万全を期してまいりたいと考えております。
 また、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づき、三年間の観察処分に付されているオウム真理教に対しましては、公安調査庁において、本年二月以降、教団施設への立入検査の実施等を行っておりますが、同教団は依然として麻原彰晃こと松本智津夫を絶対とする教義を維持しつつ活動を活発化させており、今後もその活動実態を明らかにすべく鋭意調査分析を行ってまいりたいと考えております。
 第四は、人権擁護行政の今後のあり方についてであります。
 これにつきましては、人権擁護推進審議会において平成九年以来熱心な審議がされておりますが、昨年七月にいただいた人権啓発を総合的かつ効果的に推進するための諸施策についての提言を最大限尊重し、人権啓発に関する施策の一層の充実を図り、国民に人権尊重の思想が広く浸透していくよう努めてまいるとともに、今後、同審議会において議論が行われている人権が侵害された場合における被害者救済制度のあり方等についての調査審議の結果も踏まえ、人権の世紀と言われる二十一世紀にふさわしい被害者救済制度の確立のための具体的施策を策定してまいりたいと考えております。
 第五は、出入国管理行政の充実強化についてであります。
 出入国管理行政が果たすべき役割は国際化の著しい進展に伴いますます大きくなっておりますが、私は、この三月に策定された第二次出入国管理基本計画を踏まえ、我が国社会が必要とする外国人労働者の円滑な受け入れ、研修・技能実習制度の整備拡充、学術・文化・青少年交流の推進などを行ってまいりたいと考えております。
 他方、我が国には約二十五万人の不法残留者に加え、集団密航等により潜在する不法入国者も存在し、そのほとんどが不法就労活動に従事しているものと推定されるほか、これらの者の一部によって引き起こされる犯罪も増加するなど、我が国社会にさまざまな悪影響が及んでいることから、今後とも入管体制の強化は不可欠であり、これら不法滞在外国人については、関係省庁と緊密な連携により積極的な取り締まりを推進し、その着実な減少を図っていく所存であります。
 このほか、犯罪者の矯正処遇における少年を含めた個々の被収容者の特性、犯罪傾向に応じた適切な処遇や計画的かつ効果的な矯正教育の推進、外国人受刑者の円滑な社会復帰等を目的とする受刑者移送制度の実施に必要な国内法整備のための準備作業、保護司活動の充実強化と更生保護施設の基盤整備などによる保護観察の一層の充実強化、コンピューターネットワークにより登記情報を提供する制度及び商業登記に基づく電子認証制度の運用などのIT社会の基盤整備を図るための施策の推進、国等が関与する訴訟の迅速化の実現及び情報公開法の施行に伴う関係訴訟への対応を含めた訟務事務の強化、民事法律扶助法の制定を受けての法律扶助制度の一層の整備の検討などが当面の大きな課題であります。
 このように、法務行政には取り組むべき課題が山積しておりますが、我が国の社会の変革、とりわけ規制緩和を含めた行政改革が進む中にあって、司法を代表とする社会的なセーフティーネットの重要性を忘れてはならないことを最後に強調したいのであります。安全で公正な法秩序を維持するための検察を初めとし、この分野で多くを担う法務行政においては、情報技術などによる事務の効率化を行うべきことは当然ではありますが、最後によるべきところは人であり、各種業務における人的体制の充実にはとりわけ力を入れてまいりたいと考えております。
 この課題の多い時期に当たり、委員長を初め委員の皆様の一層の御理解と御指導を賜りまして、法務大臣としての重責を果たしていくことが私の使命と考えております。上田総括政務次官とともに全力を尽くす所存でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
#12
○委員長(風間昶君) 以上で法務行政の諸施策についての説明聴取は終わりました。
 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#13
○国井正幸君 自由民主党の国井正幸でございます。
 第二次森内閣が発足をいたしまして、本院の法務委員会が初めて本日開催されるわけでございまして、保岡法務大臣並びに上田総括政務次官の御就任を心からお喜び申し上げたいと思います。
 特に保岡法務大臣におかれましては、弁護士であられますと同時に、自由民主党の司法制度調査会の会長等をこれまでお務めいただいて、満を持しての法務大臣の御就任ということでございまして、いろいろその取り組むべき課題あるいは決意等についてもお持ちだろうというふうに拝察をいたしております。
 そこで、先ほど大臣の重要施策等についての御説明にもあったわけでございますが、司法制度の改革、これが国民からも今強く求められておるところでございまして、この方向性あるいはその課題等を含めて大臣の御決意のほどをひとつお聞かせいただきたい、このように思っております。よろしくお願いします。
#14
○国務大臣(保岡興治君) 国井先生に就任に対する期待をいただきまして心から感謝を申し上げると同時に、またその職責の重大性を改めて心にとめさせていただきたいと思います。
 法務行政の重要施策については今御説明申し上げたとおりで、その中でも司法制度改革に対しては述べたところでございますけれども、司法というものは近代国家の基本である法の支配というものを現実のものとする役割を担っておって、国民の権利の実現を図るとともに、国民の基本的人権を擁護し、安全な国民生活を維持するなど、国民生活にとって極めて重要なものでございます。
 二十一世紀の我が国社会においては、社会の複雑多様化、国際化等に加えて、規制緩和等の改革によって事前規制型から事後チェック型に移行するなど、社会のさまざまな変化に伴って司法の役割はより一層重要なものになってまいっていると考えられます。
 昨年七月、内閣に設置された司法制度改革審議会において、司法制度の改革と基盤の整備に関して必要な基本的な施策について国民的見地から二年間の調査審議が行われておりまして、有識者からの意見聴取、各委員及び法曹三者の意見表明などを経て、昨年の十二月には審議すべき論点整理が行われ、現在、本年中に見込まれる中間取りまとめ、これは秋に行われると聞いておりますが、そこへ向けて示された論点項目についての具体的な審議が鋭意進められていると伺っております。
 法務省としても、司法制度を所管する省庁として今後ともこの審議会の審議に最大限協力してまいるとともに、司法機能を充実強化し、国民が利用しやすく社会の法的ニーズに的確にこたえることのできる司法制度を構築するため、同審議会の審議状況等も踏まえつつ、積極的、適宜適切な方策を講じて、来るべき新しい時代の要請にこたえてまいりたいと考えております。
#15
○国井正幸君 ぜひ国民の期待にこたえて適宜適切にこの司法制度改革に取り組んでいっていただきたい、私どもも与党の一員として全力でお支えを申し上げたい、このように思っております。
 ところで、ことし六月までの刑法犯が戦後初めて百万件を超したということが警察庁の調べでわかったそうでございまして、大変憂慮しております。前年に比べて十二万件余ふえている、こういうことが言われております。
 その中で、わけても少年が関与した犯罪、特に凶悪犯罪、殺人とか強盗、放火あるいは強姦、こういうふうな凶悪犯罪がふえているというふうに言われておるわけでございます。さらに、その中でも覚せい剤の乱用が低年齢化をしている、こういうふうなことも言われているわけであります。
 きょう警察庁にもおいでをいただいていると思いますが、いわゆる少年が関与した犯罪、これらについて概要を手短に御説明いただければと、このように思っています。
#16
○政府参考人(上田正文君) 本年上半期における刑法犯少年の検挙人員は五万九千七百二十一名でありまして、前年同期に比べまして四千九百十人、七・六%の減少であります。この減少の理由は、窃盗犯の検挙人員が四千六百二十四名減少したこと等が主たる理由であります。しかしながら、今おっしゃいましたように、凶悪犯につきましては、殺人や強盗の検挙人員が一千六十三人と、前年同期に比べて二・〇%の増加をしております。また、四年連続して上半期で千人を超える高水準で推移をしております。とりわけ、本年に入りましてからは社会を震撼させる特異重大事件が相次いでおります。
 さらに、少年に係る覚せい剤事犯につきましては、本年の上半期の検挙人員は六百九名でございまして、これも前年同期に比べ百八十九名、四五%の増加であります。特に中学生や高校生が増加をしておりまして、予断を許さない厳しい状況にある、こう考えております。
 以上です。
#17
○国井正幸君 大変憂慮すべき事態にあるというふうに考えます。
 こうした凶悪犯に対して、抑止効果を含めて厳罰をもって対処すべきではないのか、こういう意見も数多く寄せられております。刑事処分の対象年齢を引き下げるべきだという議論もあります。さらに、少年審判のあり方についても抜本的に見直すべきではないのか、こういう意見もあります。
 さきの国会に少年法の改正が提案をされたわけでありますが、衆議院の解散に伴って目下廃案という状況になっておりますけれども、今後この少年法の改正について改めてどのような方向で取り組んでいこうとしているのか、法務省のお考えをお聞かせいただきたい、このように思います。
#18
○国務大臣(保岡興治君) 先生が今御指摘されましたように、衆議院解散前の国会で御審議いただきました少年法等の一部を改正する法律案は残念ながら廃案になりましたけれども、少年非行の状況にかんがみて、この法案が目的としておりました事実認定を一層適正化するということ、それから被害者に対する配慮を実現することという内容でございましたが、これは一層重要な課題になってきていると思います。
 また、衆議院法務委員会において、年齢問題、先生が今お挙げになりました刑事処分年齢の問題も含めて、少年に関する処遇のあり方など法的措置を含む広い視野から真剣な検討が必要だという少年非行対策に関する決議もなされておりますので、法務省としても、この決議を初め、種々の御意見を踏まえつつ、少年法のあり方について重要な課題として早急に検討してまいりたいと考えております。
 今、与党においても、次に召集される臨時国会にはぜひ法案を提出したい、場合によっては議員立法というような考え方も漏れ聞いておりますが、要は国民が求めるというか、国民がそういう少年法があればいいなと思ういい内容を求めていろいろと今後真剣な検討に努めてまいりたいと思います。
#19
○国井正幸君 特に少年審判等でいろいろそのあり方について問題も提起されておりまして、現在は一人の裁判官でもって判断をしなくてはならない、審判するというふうなことになっておりますが、これは裁判所の現場からも、私どもが聞く範囲では、やはり一人でもっていろんな精神的な状況とか環境とか含めて審判をしていくという上では、その事件にもよりますが、できれば合議制を導入した方がいいのではないかというふうな御意見もあるやに聞いています。
 それから、やはり検察官がきちっと立証するという意味で関与した方がいいのではないか。検察官が立証していくということ、それから弁護士がきちっとついてその被疑者の立場で弁護をしていくということ、そして裁判官がその結果を公正に認定をしていくということ、これらを早く実現すべきだ、こういうふうな意見も数多く寄せられているわけであります。
 そのほか、いわゆる観護措置期間の延長とか、あるいは先ほど申し上げましたように刑事処分対象年齢の引き下げとかいろいろあるんですが、全体をセットという考え方ももちろんあるのでありますけれども、全体的な整備をするというのはもちろん必要だというふうに私は思っておるわけでありますが、しかしその中でも、これだけはやっていかなくちゃならぬというもので合意ができるものについては早急に合意をしていくということが私は必要なのではないか、こういうふうに思っておるわけでありますが、その辺のお考えはいかがでしょうか。
#20
○国務大臣(保岡興治君) 今、先生が意見として各方面から出ているということで言われた裁定合議制の導入ですが、少年審判は単独でございますので、やはり事実認定に多角的な検討がなされるというためには、一定の事件には合議制がとれるような仕組みが必要でありましょうし、また裁判官と少年とが対峙的な関係になることを避けたり、あるいは事実認定についてまたいろいろな角度から検討するという意味でも、検察官の立ち会い、あるいは少年のためには弁護士である付添人が関与した審理の導入ということも十分必要だと存じます。
 また、観護措置期間というものも、最近複雑化して、いろいろ動機が不明であったり精神的ないろいろな障害などが原因でないかというような鑑定が非常に必要な事案があったり、やはり観護措置期間というものはきちっとある一定期間延長して必要な期間を求める必要がないかというようなこと、また検察官に抗告権を認めて上級審の判断を加えるというようなことなど、いろいろ事実の認定を適正にするために必要とされる制度改正が前国会で廃案になった少年法の内容になっているわけでございます。
 これは、少年に犯した犯罪の事実をしっかりと認識をさせ、責任感を促す、責任のあり方を促すということだけでなくて、社会のためにも事実の認定をしっかりして、少年犯罪の防止その他に資するようにすることが適当で、山形マット死事件など同じ審判手続の中で、先に不処分になった者の共犯の処分、事実認定と、そしてまたその処分を不服として上級審が判断した審判の事実とがそごを来したりして、やはり今申し上げたような事実認定についてさらに適正化する措置が必要だということで今般の改正の流れになっているものと承知しております。
#21
○国井正幸君 限られた時間でありますので、この辺にさせていただきたいと思いますが、この少年法については、どういう形で出すにしろ、ぜひ改正をすべきというふうに私も考えます。改めてまた法案審議でこの問題について鋭意審査をさせていただきたい、このように思います。
 ありがとうございました。
#22
○江田五月君 保岡法務大臣、まずは御就任を心からお祝い申し上げます。
 私は、一九六六年から六八年、司法研修所で研修を受けました二十期でございまして、保岡さんはその一年前から二年間、十九期で研修を受けておられまして重なりますが、ちょうど重なったときの、たしか実務修習、検察修習で御一緒だったですね。東京地方検察庁の大部屋で、十九期と二十期ですから私どもは後輩ですが、十九期の皆さんのことを仰ぎ見ておって、その中に保岡さんがおられた。懐かしく思い出しております。たしか、共産党の簑輪さんも一緒だったですね、簑輪さんは十九期だったと思いますが。
 そんなことで、私たち民主党は、総選挙後の第二次森内閣を、どうも相変わらずの派閥順送りで滞貨一掃、不適材不適所内閣、来年一月の省庁再編までのつなぎ内閣だなどと大変批判をしておるわけですが、私は保岡法務大臣だけは例外、まさに適材適所、殊に二十一世紀の日本の国の形を決める重要な要素である司法制度改革の最も重要な時期に、長年この問題に中心的に取り組んでこられた保岡さんの法務大臣御就任は本当にすばらしいと思っております。来年一月の省庁再編までのつなぎなどと言わずにもっと長く、これは保岡さんに申し上げてもいけない、森さんに言わなきゃならぬのでしょうが、やっていただきたいと思っております。
 実は民主党の方ではネクストキャビネットというものを制度化いたしまして、私が司法ネクスト大臣ということで、どうもそんな名前も面映ゆいんですが、保岡大臣のカウンターパートということになっておりまして、きょうは私の保岡大臣への、最初のこちらとしては大臣対決という思いの質問をさせていただきたいと思いますが、時間も限られております。
 本来なら、今もお話がありました少年犯罪、少年法改正問題とか、あるいはさっきの大臣の所信の説明の中にございました人権侵害救済システムについての人権擁護推進審議会での議論の方向性とか、きょうは残念ながら請願採択にならないようですが、いろいろ請願が寄せられている通信傍受法廃止に関することであるとか、あるいは選択的夫婦別姓制導入に係る民法の改正の問題であるとか、きょうのごあいさつの中ではどうも出入国管理の関係では厳正にという、厳しい取り締まりということが強くなっているような書きぶりですが、その方向もありますが、同時に日本が国際的に開かれていくために外国人も一緒に住めるような、そういう行政はどう進めていくべきかとか、いろんな議論をしなきゃなりませんが、きょうのところはひとつそういうことは後に回して、司法制度改革一本に絞って議論したいと思います。
 ただ、その前に一つだけ、一番最近のホットニュースについてお伺いしておきたいんです。
 保岡大臣は八月十五日の靖国神社への公式参拝について、これは閣議後の会見なんでしょうか、公式に参拝されると、そういう意見を述べられたということですが、私も戦没者に対して弔意を表すること、これは大切なことだ、またそのための適切な施設があることが望ましい、そのこともそうだと思うし、これを十分みんなで検討しなきゃならぬということはそう思います。
 しかし、今の靖国神社というのがさまざまな角度から、そのような政府の閣僚が公式に戦没者に弔意を表する機関としてふさわしいのか、これが実は問題になっていて、森総理ほか多くの閣僚の皆さんがちゅうちょされているということなんですが、そのあたり、ほかの閣僚の皆さん、総理大臣も含めちゅうちょされているということを保岡さんはどうお感じですか。
#23
○国務大臣(保岡興治君) ネクストキャビネットの民主党の法務大臣である江田五月先生と、こうやって委員会を通じて意見の交換ができることを大変意義深く、またありがたいと思っております。検察修習で実務修習を御一緒したことも懐かしい思い出でございます。友情にもとらないように頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今お尋ねの点については、私は、確かに森総理初め公式参拝を慎重に考えている閣僚の皆様方は、近隣諸国とかに対する配慮、あるいはまた憲法二十条の、国は宗教活動を一切行ってはならないということとの関係で慎重にされているものとは思います。
 しかし、私はやはり閣僚として平和を祈念する機会をしっかり持ちたいと。それは、さきの大戦で犠牲になられたとうとい戦死者などに対して哀悼の意を表する一番重要なときだと考えておりまして、八月十五日の記念すべき日に祭られている皆様方のところに伺って、いろいろ国家が宗教的活動を行ってはならないという配慮などから方式が決まっておりますので、そういう方式にのっとってお参りをしてまいりたい、こう考えておるところでございます。
#24
○江田五月君 私は、靖国神社というのは、幾ら理屈をこねてみてもそれはへ理屈で、宗教的施設であって、そこへ参拝することは宗教的な行為になるし、また靖国神社に合祀されている仕方がやはり近隣諸国の神経を逆なですることになっておる。慎重に考えなきゃならぬ。しかし、慎重に考えてと言うだけでなくて、みんなで戦没者に哀悼の意を表する、そういうやり方は何がふさわしいのか、本当に知恵を絞らなきゃならぬという気持ちでおります。ひとつそこは、そういう意見もよく御理解いただくようにお願いをしておきたいと思います。
 さて、今年二月十八日、日本弁護士連合会などの主催で司法改革・東京ミーティング、「裁判が変わる 日本が変わる わが国司法改革のゆくえ」というタイトルのパネルディスカッションが開かれました。政治家としては、保岡大臣と私の二人がパネリストとして参加をいたしました。その結果がこういうパンフレットになってできております。
 私は、これは保岡大臣も同じ印象をお持ちになったかと思うんですが、会場へ行ってみまして、有楽町のよみうりホールですが、有楽町駅の改札口からホールまでずっと人の行列でつながったんですね。驚きました。定員が千五百名のホールが人であふれ、立ち見も出て、入れなくて帰られた人も大勢おられる。しかも、二千五百用意した資料が全部なくなって資料ももらえずに帰られた、そういう人が大勢おられると。
 また、ディスカッションの中でも、私は初めは弁護士事務所の皆さんが事務員の人を動員したのかと思ったんですね。ところが、どうも拍手の出方なんかを見るとそうじゃないことは明らかですよね、弁護士に対する批判にも拍手をと、こうなるわけですから。
 やはり今この盛況ぶり、単に社会のニーズの変化に対応する司法だとか、国際化への対応だとか、そういうものを超えて、何か国民の中に我が国の司法のあり方あるいは司法改革というものへの熱い思いというものがあるんだと。今の司法に対するあるいは怨嗟の声かもしれません、弁護士制度も含めて。しかし、それを変えたいという思い、こういう国民、市民の皆さんの司法改革への思いというものを大臣はどう受けとめておられますか。また、それを受けての保岡大臣の司法制度改革への決意、これを改めてお聞きしたいと思います。
#25
○国務大臣(保岡興治君) 先ほど国井先生からも同趣旨の御質問をちょうだいして、一応きちっとしたお答えを申し上げたつもりでございますが、端的に江田先生のお話にお答えしますと、この間のよみうりホールでの日弁連主催のあの会は、私もすばらしい会だったと思います。国民の中にああいう司法制度について強い関心、高い期待があるということは、私も大変心強く感じております。
 私自身、今、江田先生が御指摘のように、党にあって二年余り前から司法制度改革の会の責任者をしてまいりまして、法曹三者に御出席をいただきまして、そして各方面からも意見もちょうだいして、二次にわたって報告書も取りまとめてまいったものでございます。
 司法制度改革については一生懸命全力を尽くしたいと思っておりますが、とにかく立法改革という意味で国会改革や政治改革が進んで、政界再編も怒濤のように始まって今日に至っております。また、行政改革についても、中央省庁の再編や地方分権、その他改革の理念に沿った措置がとられつつありますが、三権のもう一つである司法権、これは行革審の最終答申にも、この国の形を整えるためには司法の再構築が不可欠である、行政改革の最終結論は司法改革である、行政が担っていた事前チェック型の国家から事後チェック、事後救済型の司法を一つの社会の重要な基盤とする転換であると。
 したがって、行政から司法に役割が振りかわっていく部分が非常に多い。このことは、世界がボーダーレス化していわゆる国際化が進んで、世界が知恵と工夫、そういったものを競い合う競争社会になって、それに地球の将来の繁栄を求めよう、あるいは高度化、成熟化を求めようという流れにあって、我が国もまたそれに沿った対応が必要で、自己責任と透明なルールの社会、法の支配という民主国家としての最終の理念に至るということでございます。そういった意味での司法制度の基盤を質、量とも充実強化して、国民の求める、時代が求める司法改革というものが二十一世紀の日本の国家を建設していく上での大きなテーマであり、必要な点については各方面からも意見がどんどん出てきている、そしてまた、司法改革審も設置されて鋭意審議も進んでいる、そういう状況を踏まえて、法務大臣として適切に対応してまいりたいと思っております。
#26
○江田五月君 今の御決意は、それはそれとして私は高く評価をしたいと思います。
 ただ、大臣、ぜひ考えていただきたいのは、そのような言葉が本当に国民、市民に響くかということなんですね、胸にどう響くかと。今、本当に国民の皆さんが司法制度、弁護士含めどうしてあんなに敷居が高いのか、どうして自分たちにわからない言葉でやっているのか、裁判へ行ったって何が行われるかわけがわからぬ、判決は一体いつになるのかなど、そういういらいらした思いを持っているわけです。そのいらいらした思いが、司法制度改革のパネルディスカッション、普通の人だったら、行ったってどうせちんぷんかんぷん、わけがわからぬと足が遠のくようなディスカッションにたくさんの人が押しかけるという現象が出てきているわけですね。
 もう一つ、これは日弁連が多分中心になってやっておられる司法制度改革審議会に対する署名運動がありまして、六項目で結構わかりいいんですね。司法関連予算を大幅に増額してくれと。公設法律事務所など、だれでも気軽に弁護士に相談できるようにしてくれと。それから、行政の不正や怠慢を正せるように行政事件訴訟法などを改正してくれと。あと、官僚裁判官制度をやめて法曹一元制度、法曹一元という言葉自体はちょっと難しいですが、これを実現してくれと。陪審、参審など、とにかく市民が参加できる制度にしてくれと。あとは、お金がなくても裁判ができるように民事、刑事制度を整えてくれと。もちろん、ここに書いてある文章は今私が言ったのよりはもうちょっと難しい言葉で書いてありますが、比較的簡単な言葉で書いてある六項目、この署名が随分集まってきておって、きのう段階で何と百三十六万七千二百十八人の署名が集まっていると。
 こういうこともやっぱり今、先ほども申し上げた国民の中に司法というものに対するもどかしさ、怒り、何とかしろという思い、こういうものがあると。保岡大臣、これはあなたに対する絶好の応援団じゃありませんか。どう思われますか。
#27
○国務大臣(保岡興治君) 先ほどもお話ししたように、国民が時代の変化あるいは社会の変化というものの中で司法へのニーズを求めて、非常にいろいろな問題を抱えていろいろ苦しんでいる。そういった中から知恵と工夫をきちっと生み出して、そして政治がリーダーシップをとってそれを制度化して、新しい二十一世紀の司法を描いていくということだろうと思います。
 そういった意味で、そういう国民のエネルギーというもの、新しい二十一世紀の司法の全体像、国家、社会の中の位置づけというものが国民に本当にわかりやすく、私たちの問題を解決してくれる期待される司法というはっきりした絵が描けてくれば、また国民みんなで力を合わせて新しい司法をつくっていくエネルギーに変わっていくと私は思いますので、先生が言われたような応援団ではないかという趣旨はそういうふうに受けとめております。
#28
○江田五月君 繰り返すようですが、今までですと裁判なんというのはお上がやること、昔なら天皇の名でやること、庶民がいろいろ遅いだの言葉が難しいだの、そんな文句を言うようなのも恐れ多い、こういう感じだったんだろうと思います。
 しかし、それがだんだんそうじゃなくなって、司法というのも実は国民主権の中での国の営みなんで、自分たちの方が主人公なんだぞと。裁判官は威張るんじゃないよと、悪い言葉で言いますと、そういう思いさえあるような時期になってきた。だから私はここで、司法というのも国民主権の一つの営みなんだと、そういう方向に大きく改革をするチャンスだというように考えております。ぜひそういうことで、一緒に単なる妥協点を探るとかではなくて、心合わせまでやりながら司法改革をしたいと思っております。
 今年五月十八日に、保岡大臣が会長を務められていた自由民主党司法制度調査会が「二十一世紀の司法の確かな一歩 国民と世界から信頼される司法を目指して」という報告書を発表されましたね。私たち民主党も、ちょっとおくれましたが、七月十二日に「市民が主役の司法へ 新・民主主義確立の時代の司法改革」という文書を党の機関決定を経て私の名前で発表いたしました。
 保岡大臣たちが大変な努力をされた自民党の報告書と私たち民主党の改革案には共通する内容も非常に多く含まれていると私は思っております。違いもありますが、共通する部分も非常に多い。
 保岡さん、民主党の文書は読んでいただいていると思いますが、御感想はいかがでしょうか。
#29
○国務大臣(保岡興治君) 民主党の御提言については興味深く拝見させていただきました。示唆に富む内容でございまして、精力的に取りまとめに当たられたと伺っている江田委員長に対しても心からの敬意を表する次第でございます。
 各党を初め国民の各界各層において、それぞれの立場から司法制度改革について検討されまして、その主張を公にされていることは、本当に国民的基盤に立った議論を可能にするという点で大いに意義があると思っております。
 骨太には、司法のあり方の基本というところはみんなほとんど変わりがないんだということを、私はいろんな意見を伺いながら、江田先生がまとめられた民主党の案も含めて、非常にその点は一致していると思っております。
 したがって、先生が言われるように手を携えて、ともに共通の認識や理念のもとに、具体的な施策については大いに論議を深めながら国民の求める司法を実現したいと思っております。
#30
○江田五月君 二月十八日のディスカッションで、保岡大臣は、最終的には江田さんや各党と協議して国会で法律という形で制度をつくります、我々は国民の代表ですから、骨太にこの国の形、その中での司法のあるべき姿をきちんと方向づけようと、また縦割りですから官僚にできっこない。官僚制度というのは縦割りだからという意味ですね。だから、政治がやはりリーダーシップをとる、しかし現状に苦しむ国民の知恵と工夫から政策を立案して政治が主導しようというのが我々が努力しているポイントですと。あるいは、司法は影が薄かったんです、しかしこれからは審議会と一緒になって、江田さんたちみんなと一緒になって、皆さんの知恵と工夫を将来の日本に結びつけるように頑張りますと。このような発言をされておられる。
 私の名前を言ってくれたからという意味じゃなくて、その部分は除いても結構ですが、どれもすばらしい発言だと思いますが、これは就任されても変わっておられませんね。
#31
○国務大臣(保岡興治君) 今、江田先生が述べられたそのときの私の発言は心を込めてお話ししたつもりでございまして、先ほどから述べておりますこともそのことを踏まえてのことでございまして、全くそのつもりで大臣になってからも対応したいと考えております。
#32
○江田五月君 各論に入ります。
 自民党の報告書と民主党の改革案でまず文句なく一致しているのは、法曹人口の増加あるいは司法関係職員の増員、司法予算の充実、法律扶助制度の拡充、裁判外紛争処理制度、いわゆるADR、オルタナティブ・ディスピュート・リゾリューションの充実、隣接専門職種の活用などで、私どもの案には行政書士がちょっと抜けておりましたが、これは加えるつもりでおりますけれども、こういうことなど、たくさんあります。
 まず、法曹人口の増加について、これは中坊さんは例えば六万人体制とか、私たち民主党は十年で五万人、もちろんこれは法曹養成制度を変えてから十年ですが、十年で五万人、さらに将来は十万人体制。自民党はフランス並みと言うんですが、人口換算で六万人ぐらいになるんでしょうかね。
 保岡大臣、現在のお立場で法曹人口増加についてはどのようにお考えになりますか。
#33
○国務大臣(保岡興治君) 二十一世紀のあるべき司法の根幹は、何といっても司法を支える人的基盤の整備の質、量の強化にあって、これなくしては新しい司法の姿は描けない、基本中の基本だと思っております。
 そこで、質の点については、いわゆるロースクール、法科大学院構想を司法制度改革審議会でも鋭意検討していただいているようでございます。
 一方、法曹の量の問題でございます。これについては、今、先生が各方面からの意見として述べられたいろんな御意見があるところでございます。そしてまた、民主党の御意見についても先ほどまとめられた提言の中にあることは承知しておりますが、例えば司法改革審で毎年三千人法曹を輩出できるようにしようではないかということでほぼ意見の一致を見たというふうに漏れ聞いたところでございます。
 そういうことを前提にしますと、やはり法曹の質を確保し、法曹養成制度との関係あるいは司法修習をどうするか、その受け入れの体制、その他もろもろの問題が現実的にはその前提となってまいりますので、そういう前提条件を一つ一つクリアしながら我々の目的とする法曹人口の量の確保ということを調和させて、できるだけ早く量の拡大をしてしかるべき法曹人口を得なければならないと思っております。具体的な目標については、今後、司法制度改革審議会の審議なども踏まえ、いろいろ御議論のあるところもまた参考にして答えを得ていくべきだと考えております。
#34
○江田五月君 大臣になられますといろいろ慎重に御発言をしなきゃならぬというのはよくわかりますので余り突っ込みませんが、やっぱり質と量、量がふえるだけで質が悪ければだめよと、それは当たり前の話で、しかし質が幾らよくたって量がなかったらだめよと、これも当たり前の話で、それの調和をとって、そして各方面、養成のロースクールがどこまで整ってきたか、研修の期間はどういうふうになっているか、そういうことをちゃんと全体を見ながらというのは当たり前の話なんですね。
 それを言っているだけでは先ほどの国民のいらいらは解けないので、やっぱり何かこういうものというはっきり見えるものを、例えば十年後には五万人にするとか、そういうことをもう明確に打ち出してやる、それも一つの手法だと私は思うんですよ。そうでないと、今の大臣のお話はわかりますよ、お気持ちはわかりますが、そこを一歩踏み出すことを国民が今求めているんだという気がしますが、重ねてちょっと伺います。どうですか。
#35
○国務大臣(保岡興治君) 具体的な一歩ということでございますが、秋には司法改革審で中間報告の取りまとめもあります。それに対してパブリックコメントを求めるということになっておりますし、来年の七月には最終答申も出るかに伺っております。その中で、お互いがいろいろ今まで思いを込めて、絶対必要だと思える司法改革の中心課題について、先生が今思われているようなある程度具体的な骨太のきちっとした答えが出てくるものと私も期待して、今後、改革審の審議のあり方に御協力をしていきたいと思っております。
#36
○江田五月君 今の法曹の量をどおんとふやしていく、これは五万人か六万人か、あるいはそれが十年か五年か、いろいろそれはあると思います。しかし、そういう方向をしっかり見据えて、目標はここなんですよということをしっかり見据えて、そのことについては大臣のお立場もあるからぱっと言うわけにはいかないとしても、同じ思いを持っているんだということはお互い確認をしながらやっていければいいなと思っておるんです。
 次に、やっぱり今回の司法制度改革の最大のポイントは、裁判官をどう養成していくのか。研修所を終わってすぐ裁判官になって、判事補ですが、大学も優秀な者は三年ぐらいで通って、そして大学を卒業したらすぐ二年の研修で、後はもう判事補制度の中でずっと育ってというのではなかなかすばらしい裁判官が育ちにくいという感じを私は強く持っております。
 一人一人の裁判官のだれがどうということは全く思いません。皆それぞれまじめに一生懸命やっている、体をすり減らしてやっている、心もすり減らしてやっている、そういう裁判官の皆さんの御努力、これに文句を言っているわけでは全くありません。しかし、国民から見ると、今の裁判官はこれでいいのかという思いはやっぱりあるんですよ。やっぱり人を裁く人、どんな人でもそうですが、特に人を裁く人というのは人の中で育つんじゃないですか。一定の限られた裁判官という世界の中だけではなかなか育ちにくい。
 そこで法曹、今の弁護士を中心とした量の拡大に伴って、そういうものを基盤としながら、私は、やはり十年なら十年弁護士をやって、市民の中で育ってみんなから尊敬も集める、信頼も受ける、そういう人から裁判官というものを任用していく法曹一元という制度が我が国のあるべき裁判官の制度としてどうしても必要だと。これはそっちに向けて実現の努力を一歩一歩現実に進めていかなきゃならぬときが来ていると思いますが、いかがですか。
#37
○国務大臣(保岡興治君) 社会がどんどん進んでいく中で、社会の実情あるいは時代の変化という中で出てくる司法のニーズというものに的確にこたえる、その基本はやはり優秀な裁判官に支えられる司法だと思います。優秀な裁判官は、もちろん法律の知識に精通しているということもありますが、今申し上げた時代の変化や国民のニーズを的確に把握できる、その本質を見きわめる能力のある、多様な経験を積み、広い視野と高い見識を備えた者を裁判官に登用する工夫が必要だと私も考えます。
#38
○江田五月君 物をなかなか言いにくいところであろうということはよくわかります。今の御答弁、基本的には法曹一元制度はその実現を目指していくべき望ましい制度である、こういう趣旨だと理解をしたいと思います。
 司法への国民、市民の参加でもう一つの論点となっている陪審制ですが、自民党の報告書はどうも消極的なようです。二月十八日のディスカッションのときに、保岡大臣は、民事については別として、刑事については裁判官の裁判を受けたいという人の権利を保障することも重要ですから、選択制を前提に陪審の導入の検討も重要で、陪審での事実関係は市民の常識で御判断いただく。陪審では国民がそこに参加して、責任を持って社会のこと、犯罪のことを考えることがとても大切ですと。裁判官はそういうのをずっと眺めていて、世の中の市民がどう判断するのかを学ぶ機会にもなるので非常にいい仕組みではないかと思っておりますと。
 言葉で述べているところですから、文章を後で読みますと、ちょっとはっきりしないところはありますが、しかし基本的には陪審というのはいいというふうにおっしゃっている。これもすばらしい発言だと思いますが、改めてここでその発言はそのとおりでよろしいですね。
#39
○国務大臣(保岡興治君) 日弁連の東京ミーティングの際の私の発言は、今、江田先生がおっしゃったとおりでございますけれども、陪審制については、今私が考えていることも一つの利点としてある、最も国民参加が直接行われる制度だと存じます。他方で、陪審制度についてはいろんな議論があることも事実でございまして、陪審による裁判に対する国民の信頼の確保とか、陪審員としての責務を担うことについての国民の理解や負担など、いろんな観点から検討をしなければならないと思います。
 そういった意味で、例えば私たちの自由民主党における調査会の報告が多少慎重な結論になっておるがという御指摘がございましたが、確かに我が党の中には、私の考え方というものもありますが、また他の、慎重にすべきという意見もあって、これからよく検討していこう、司法改革審の議論もいろいろ見ていこう、そういうことで、今後検討していく課題になっていると思います。
 個人的に私が考えていることと、大臣としては改革審等の結論を踏まえて、いろんな御議論を踏まえて答えを求めていく。参審制に対して自民党もかなり積極的な提言を行っております。私としては、そういう一歩を通じて司法参加を求めていく具体的な歩みをすることも大切かと思っております。
#40
○江田五月君 時間が参りました。
 そのほか、例えば行政訴訟の改革であるとか、あるいは犯罪被害者、先国会でちょっとやりましたが、あれでいいか、十分かとか、いろいろあります。最高裁のジェンダーインバランスのこともちょっと伺いたかったんですが、保岡大臣、二月十八日におっしゃった、政治がリーダーシップを持って現状に苦しむ国民の知恵と工夫から改革を立案し、みんなで一緒に司法改革をやろうという政治のリーダーシップ、これをぜひ発揮していただくようにお願いし、私どももだめなときはもちろんだめと当然言いますが、すばらしいものについては一緒にやっていくことを表明して、私の質問といたします。
#41
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 ただいま大臣から御説明がありました重要施策について、二点ほどお話を承りたいと思います。
 一つは、人権擁護行政に関してでありますが、七月二十八日ですか、人権擁護推進審議会における論点整理についてということで、「今後論議すべき論点の整理」、そういうものが発表になりました。その中で、いろんな人権侵害の態様、問題類型また事象、さらに現行の救済システム、その実効性に関する問題点あるいは必要な救済に関する論点項目というような形でまとめられているところでございますが、特に近来、プライバシーという問題が大きく取り上げられているところでございまして、メディアによる人権侵害というものにつきまして、この論点の整理ではどのようなことが指摘されているのか、ちょっとかいつまんで当局から御説明いただけますか。
#42
○政府参考人(横山匡輝君) 人権擁護推進審議会におきましては、ただいま委員御指摘のとおり、先月二十八日に今後の論議すべき論点の整理を終えて、これを公表いたしました。これは人権が侵害された場合の被害者救済制度の基本的あり方に関するものでございます。
 この論点整理の中で、マスメディアによる人権侵害に対する被害者の救済措置についてもこれを論点として取り上げておりまして、具体的には次のような取り上げ方をしております。「救済をマスメディア各社による自主規制に委ねるべきか、自主的な第三者機関の設置を促すことや、一定の事案を人権救済機関による救済の対象とすることについても検討すべきか。」といった形で論点として取り上げられております。
#43
○魚住裕一郎君 これは自主規制、第三者機関あるいは人権救済機関というような形で述べられているわけですが、一方で、先般、政府において個人情報保護基本法制に関する大綱案というものが中間整理ですが出され、それに対して、日本新聞協会あるいは民放連を初めその加盟の三百十四社の方々が、八月四日ですか、内閣官房長官に対して報道は対象外にしてほしいと、この個人情報保護に関しては、そういう申し入れがなされたところであります。
 表現の自由、報道の自由の問題と個人情報の保護、さらにはプライバシーの問題というのは非常に悩ましい問題であるわけでありますが、今、論点の整理の中で指摘されたこと、私は、本来はこれは個人的なことなんだから個人が、私人がイニシアチブをとって活用できる制度というものをつくるべきではないか。
 そんな中で、アメリカの法制度といいますか、にあります懲罰的な損害賠償というものをこのメディアと個人のプライバシーの調整においては非常に活用されてしかるべきだというふうに思うところでございますが、この点につきまして、法務大臣、このメディアとプライバシー保護あるいは名誉毀損の問題、これについて懲罰的な損害賠償というものをどのようにお考えになっているか、ちょっとお聞きしたいと思います。
 懲罰的損害賠償というと、例えばたばこ会社に対して、損害をこうむったからといって、ひどい、ひどいというかすごい事例もあります。一千四百億ドルぐらいの懲罰的損害賠償をもらいたいとか、あるいは石油事故を起こした石油会社に対して五十億ドルぐらいの損害賠償を請求するとか、そういうような極端な事例がすぐ思いつくんですが、そうではなくして、私人の名誉毀損とかいう問題についてはまさに事後的であり、かつ抑止も働くのではないかというような、調整の制度としては非常に私はいいのではないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
#44
○国務大臣(保岡興治君) かねて魚住先生がこの問題について非常に熱心に考えておられるということを承っているところでございますが、確かにマスメディアにある人権侵害というものもさきに論点整理をいたしました人権擁護推進審議会の一つの柱にもなっているテーマで、また人権というものはマスメディアも例外とすることなく、民事、刑事できちっと権利が保護され、国民の生活というものの中にプライバシーとか個人の名誉が大切にされる風土というものをつくっていくことが極めて重要だと思っております。
 そういう中にあって、人権侵害の被害者による民事上の損害賠償請求において、制裁的要素を加味した懲罰的な損害賠償の制度を採用するかどうかという今御指摘の問題については、加害者に対する制裁の制度としての刑事責任と損害の補てんを目的とする民事責任との区別というものを混同することにならないかということや、加害者に制裁を加えることによって被害者が損害の範囲を超えて利益を得るのは合理的であるのかどうかということ、あるいは乱訴のおそれが出てこないかなどという、また非常に重要な問題も含まれているかと存じます。
 司法制度改革審議会においてもこの問題が取り上げられているところでございますが、このような制度の導入につきましては、司法制度改革審議会の検討の状況も見ながら慎重に考えていかなければならないと存じております。
 ただ、こういったマスメディアによる人権侵害の多くは慰謝料でカバーされるべきものかと存じますが、適切な慰謝料の算定ということは社会の変化、ニーズ、こういったものを受けとめる上で重要なテーマというか課題を担っていると思います。
 そういう点で、今後ともいろいろ制度のあり方などに工夫がされていくことが私は大切ではないかと存じております。
#45
○魚住裕一郎君 ぜひ御検討をいただきたいと思います。
 インターネットで懲罰的損害賠償についてサーフィンしておりましたら、小林節慶応大学教授の御意見というものも載っておりまして、小林教授も賛成だと。
 要するに、今の深刻な報道被害のダメージを考えた場合、うそでも何でも書いてもうけた方が得だ、痛くもかゆくもないほどの賠償金で済んでしまうというのが現実の姿だと。要するに、報道の自由の乱用を防ぎ、不公正な社会状況を改革するために、アメリカの場合のように名誉毀損の加害者に対して民事訴訟で巨額な懲罰的損害賠償を科すことは私は賛成ですというような意見を述べておられたところでございます。
 私も報道の自由の大切なことはもちろん重々承知しているところでありますが、その調整としてこの制度もあってもいいのではないかなと思いますので、私も一生懸命またさらに取り組んでいきたいというふうに思います。
 それから二点目ですが、出入国管理行政についての御指摘がありました。
 入管体制の強化は不可欠であるという御認識でございますが、先ほど国井先生からも刑法犯が最悪の百十万件になったよという御指摘がありました。その新聞記事の中で、特殊な工具でかぎをあけるピッキングによる空き巣が五倍近くになっている、しかもそれが中国人など外国人窃盗グループの可能性が高いというような指摘があります。
 恐らく、不法入国者あるいは不法滞在者、そういうようなことなんだろうというふうに思いますが、この入国管理の関係で、不法滞在者の今までの推移と、それから現在の状況というものをお聞かせいただきたいと思います。
#46
○政務次官(上田勇君) 不法滞在者の推移と現状についての御質問でございますが、まず不法残留者の総数は平成十二年一月一日現在約二十五万二千人でございます。平成五年に最高の二十九万九千人に達した後、年々少しずつ減っている傾向にはあるものの、依然として極めて高い水準で推移しているというふうに認識しております。
 今申し上げましたのは適法な方法で入国をした不法残留者の総数でありますが、これに加えて船舶による密航等も後を絶たず、その数の正確な推定というのは困難でありますけれども、入国管理局の摘発した者に占める密航者の割合等から推定しますと約三万人に上るのではないかというふうに考えられております。特に問題なのは、不法滞在外国人の一部が組織化し悪質な犯罪を敢行するなど、我が国社会の安全上ますます大きな脅威になっているということでございます。
 なお、平成十一年中に不法入国や不法残留等によりまして退去強制手続をとった外国人の数は約五万五千人でございます。その八四%に当たる約四万六千人は不法就労活動に従事していたものと認められるところでございます。
#47
○魚住裕一郎君 この不法滞在者に対する摘発体制なんですけれども、それをお聞きしたいと思います。
 ことしの頭に法務委員会として島根県、広島県の方に視察に行ったんですが、そこで聞いた話も、要するに突然大量の不法入国者が入ってきて、それで司法通訳まで含めて大変な状況なんだと、検察官も少ないしというようなお話でございました。
 恐らく、この入国の摘発体制でも、人間がいっぱいいるところだけじゃなくして、人間が余りいないところにもどんどん入ってくるわけで、全国、海岸線が広い中大変な体制になるんだろうというふうに思うんですが、現状はどういうふうな状況になっておるんでしょうか、人的、物的な体制は。
#48
○政務次官(上田勇君) 今、委員からも御指摘がありましたように、非常に重要な影響を我が国社会に与えているというふうに認識をしておりまして、入国管理局といたしましても、とりわけブローカー組織などの介在する悪質事案を中心に積極的な摘発を行ったり、また全国の地方入国管理局における一斉摘発等を実施するなどの取り組みをこれまでしてきたところでございます。
 しかし、今、委員からも御指摘がありましたように、膨大な数の不法滞在者に対しまして、その摘発等に当たります入国警備官の数というのは全国でわずか九百九十八人と限られているわけでございます。そうした人的な不足の中で、多数寄せられている民間からの不法滞在者に関する情報提供などにも必ずしも十分に対応することができないなどの問題が生じているのも事実でございます。
 今後とも、関係省庁と緊密な連絡を保ちながら、引き続き積極的な取り締まりを実施するとともに、今、委員からも御指摘がありました、またこれまでもいろいろと御指摘をいただいていますように、取り締まりの人的、物的体制の整備についても十分努力していきたいというふうに考えているところでございます。
#49
○魚住裕一郎君 今のお話ですと、要するに日本全体で千人に満たない入国警備官の体制でやっているというお話になるわけでありますが、何十万というか、三十万とかそういうふうな数字が出ている、あるいは三万というようなお話もありましたけれども、本当に間に合うのかなというような、そしてまた一方で公務員の定員を削減していこうというような流れの中でこの入国警備体制というのが維持できるんだろうかというちょっと危惧を抱くところでございますが、この入管体制の強化につきまして、大臣の所見はいかがでしょうか。
#50
○国務大臣(保岡興治君) 今日、政治、経済、社会等のさまざまな側面からどんどん国際化が進んでおるということで、我が国と諸外国との間の人的交流はますます盛んになっております。来日外国人の数は昨年過去最高を記録して、それに伴って出入国管理行政関係業務も同様に著しい増加傾向を示しているところでございます。また、外国人の在留目的の多様化に伴って業務の複雑困難化も顕著となっております。
 他方、近隣諸国から我が国に来て主として不法就労に従事する膨大な数の不法滞在者、これは上田政務次官からも今御説明申し上げたとおり、国民生活に与える影響は看過できない状況にまでなっておると。これは単なる在留管理の問題を超えて、治安の悪化の問題という側面も顕著になってきておる。こういったますます深刻の度を強めている諸問題に対応するために最優先に対応すべき課題と心得ておりますので、またいろいろ先生に御助力をいただければと思います。
 そこで、このような現状に適切に対応するための人的体制の充実強化、特に不法滞在者の違反調査、摘発、収容、護送及び送還等の退去強制業務の人的体制の充実強化は中でも重点を置かなければならないと思っておりまして、その実現に向けて最大限努力していくつもりでございますが、とにかく国際化がどんどん進むと。これは港が整備されたり、いろいろ道路が整備されたり、経済が拡大したりして、どんどん外国人が日本に入ってくる。こういった状況に、先生も御指摘のような人員体制ではどうしても追いつかない。
 これが行政のいわゆる国家公務員の定数管理の枠の中で処理されるという、司法の人的基盤の強化もそうであります。こういった入管体制の整備、その他人権、法務省の業務のニーズは、冒頭にも申し上げましたとおり人で支えているものでございますから、こういった行政のスリム化ということも非常に大事で、司法ももちろん効率化を図らなければなりませんが、行政にかわって司法が新しい時代のニーズを背負う面を行政改革の最終答申でも指摘しておりますし、さらに法務省にはこういったいろいろな時代の変化を受けた人の強化という側面を非常に抱えておりますので、先ほども申し上げたとおり、これは国会挙げてこの新しい日本の姿、形の中での、司法の強化という中での人的体制の整備については御理解、御協力を賜りたいと思っておるところでございます。
#51
○魚住裕一郎君 そこで、この間新聞を見ていましたら、成田の飛行場で入国管理局から日本への上陸を拒否されたチュニジア人のことが出ておりました。「警備員が暴行、六百ドル奪った」というような大見出しなんですが、識者の弁として「外国人の警備を民間に委託したとしても、入管行政の一環である以上、国家行為の代行にほかならない。」と、大変な問題だというようなコメントが載っているものがありました。
 入管当局も少ない人員の中で一生懸命やっているわけでありますが、これは非常に外国人の人権侵害じゃないかというふうに読める新聞記事になっておりました、八月四日付の新聞でございましたけれども。また、テレビでも一部報道されたようですが、これは実態はどういうふうになっているのか、かいつまんで御説明をいただきたいと思います。
#52
○政府参考人(町田幸雄君) 報道されましたチュニジア人二名につきましては、成田空港において入国目的に疑いがあったために本邦からの退去命令を受けたわけでございます。このような場合、確立されました国際慣行及び国際民間航空条約に基づきまして、入管法は上陸拒否された外国人につきましては乗せてきた運送業者の責任でその外国人を出国させるということになっております。そこで、その外国人二名は本邦まで搭乗してきた航空会社に引き渡されましたが、直ちに出国便がなかったものですから、上陸防止施設において出国するまでとどまるということになったわけでございます。
 ところで、問題の暴行等と言われているものは、その二名が航空会社の委託を受けました民間警備会社の事務室内におきまして同社の社員により暴行されたと言われるものでありまして、入管とは直接の関係はないわけでございます。
 ただ、私どもから見ましても、我が国の表玄関である成田空港で、しかもこういうようなことが起こったということでは問題だと思いまして、航空会社及び警備会社に対してどうなっているのかというようなことで事情聴取等をしましたが、私どもの質問に対してはそのような事実はないということでありました。
 また、民間警備会社から奪われたんだという警備料の関係につきましては、航空会社、警備会社とその外国人との関係の問題でございまして、当局はこれについては一切関係しておらず、その詳細については承知いたしておりません。
#53
○魚住裕一郎君 これで終わります。
    ─────────────
#54
○委員長(風間昶君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、小川敏夫君が委員を辞任され、その補欠として小林元君が選任されました。
    ─────────────
#55
○橋本敦君 まず、今、検察庁が鋭意捜査を進めております中尾元建設大臣の受託収賄事件について質問をしたいと思います。
 この事件は、建設大臣ともあろう立場にある人が関係の公共事業受注をめぐって請託を受け、若築建設に対する有利な計らいを頼まれてわいろを受け取ったというまことにゆゆしき事件でありますが、そのわいろの金額は、既に起訴されている分で三千万円、今捜査中でやがて捜査を遂げて起訴間違いないと思いますが、それが三千万円、合計こうした金額が六千万円という額に上っていることは、刑事局長、間違いありませんか。
#56
○政府参考人(古田佑紀君) 既に起訴いたしました事実に係る金額及び現在捜査中の金額について、いずれも委員御指摘のとおりでございます。
#57
○橋本敦君 今、捜査中の金額について、そのわいろの受領した場所が、一つは大臣室であり一つは公用車の中であるという事実も明らかにされておりますが、これも間違いありませんね。
#58
○政府参考人(古田佑紀君) ただいまお尋ねのありました授受の場所等につきましては、これは現在捜査中でございまして、その詳細を申し上げることは御勘弁いただきたいと思います。
#59
○橋本敦君 詳細ではない。事実そういうことは現に報道されているし、国民公知の事実になっているからはっきりしてもらいたい、こういうことですよ。詳細、細かく言っているんじゃないですよ。大臣室であるいは公用車の中でそういう受託収賄の行為が行われた、これはもうはっきりしていいんじゃないですか。
#60
○政府参考人(古田佑紀君) 恐縮でございますが、犯行場所につきましては、これは現在捜査中の事件の内容にかかわることで、まことに恐縮でございますけれども、その場所を明らかにすることは御勘弁いただきたいと考えております。
#61
○橋本敦君 金額を言って、なぜそれが言えないんですか。
#62
○政府参考人(古田佑紀君) 受託収賄で、当然ながらこれはお金の授受というのがもちろん根本的な構成要件の部分でございますので、この点につきましてはそういう容疑であるということを御説明申し上げている次第でございます。
#63
○橋本敦君 国会に対して、こういう重大な事件が起こったときに、検察庁は証拠に基づいて捜査中であるけれども、多くの国民がそういう事実を報道されている中で事実をはっきり知りたいと、こう考えながらこの事件を注目しているときに、可能な限り私は明確にすべきだと思いますよ。
 法務大臣に伺いますが、いずれこれは公訴事実として明らかになるでしょう。また、裁判所の冒頭陳述でも、証拠によって明らかにすることとして検察が明らかにするでしょう。いやしくも大臣たる者が大臣室や公用車の中でわいろを受け取ったという事実がもし本当だとすれば、こんな許しがたいことはないと思いますが、法務大臣として、法秩序を守る立場からどうお考えですか。
#64
○国務大臣(保岡興治君) 政治倫理にかかわることでございますが、一政治家として申し上げれば、こういうような腐敗行為一般について我々政治家はこういうことがないように厳しく身を持さなければならないと思いますし、またこういった事案が再び起こらないように、いろいろなみずからの律するところ、そして必要があれば、またそれは国会での御議論でありますが、法的措置をとるなどいろいろな対応をして、こういうことが起こらないようにすることが肝要かと存じております。
#65
○橋本敦君 大臣のお話は、それは一般的にそうおっしゃることはわかりますが、大臣室だとか公用車でわいろの受け渡しがなされたというこんなことが事実だとしたら、国民の政治に対する信頼というのはもう本当に失われるでしょう。そんなことはあり得べからざることだ、もし仮にそういうことが事実だとすれば許しがたいことだ、そうお考えになりませんかと、こう聞いているんです。
#66
○国務大臣(保岡興治君) 具体的な事案に関することでございますから、今この責任者である私が仮定の事実を前提として意見を述べることは差し控えさせていただきたいと思いますが、わいろの授受の場所について明確にせよ、国民が知りたいんだと、こういう御指摘でございますけれども、それは先ほど刑事局長が答弁したとおり、犯罪構成において非常に犯情その他に重要なものであることは先生も今御指摘されたとおりでございまして、公判の準備あるいは捜査の遂行に支障がないように万全を期したいと存じますので、ここでの発言は差し控えさせていただきたいと存じます。
#67
○橋本敦君 仮にそうだとすれば本当にあってはならない重大な問題だという御認識、これは大臣もお持ちだと思いますから、私はもうこれ以上聞きません、当たり前なことですからね。
 そこで、わいろを大臣に渡すというのは、全然面識もなく何の知り合いもないのにお渡しをする、またもらう、そんなことは起こり得るわけはないんですよ。だから、このわいろ事件が発生したいきさつについて、背景について、経過についてそれなりに必要な捜査を遂げるのは私は当然だと思うんですね。
 そこで、刑事局長に伺いますが、まず中尾建設大臣と若築建設が面識を持つきっかけになったのは、これは何といっても九六年に行われました墨田区向島の料亭波むら、ここで建設大臣就任披露パーティーが行われた、これが最初のきっかけだというように私は見ておりますが、こういう経過について調べておりますか。
#68
○政府参考人(古田佑紀君) ただいまお尋ねの件に関しましては、事件の具体的な捜査内容にかかわることでございますのでお答えは差し控えたいと存じますが、いずれにいたしましても検察におきましては事件の処理、解明に必要な捜査を尽くし、立証に必要な範囲でいずれ公判で明らかになると考えております。
#69
○橋本敦君 だから、今の指摘によっても、公判に必要な範囲で犯罪の背景となる事実といったものは、全面的に解明する必要がある限り当然検察庁は解明すべきですよね。
 私どもの調査によりますと、九六年五月、二十二日にこの波むらという料亭で大臣就任披露パーティーの名目で行われたときに、若築建設の幹部が行っているわけですよ。そして、九六年のこの五月、さらに続いて七月四日にも波むらでまた行われています。ここには有力な政治家、建設省の幹部、例えば藤井建設事務次官、これは問題になっておりますが、こういう方が行っている。それから同時に、共犯として起訴されているフジ・インターナショナル社長の福本邦雄、これも出席をしている。そして、その席に多くの関係の建設省役人やその他の会社、いろんな人が出ておりますが、その中にまさに贈賄側の若築建設の会長を務めておりました、石橋産業の社長でもある石橋浩、それからこの石橋浩の義兄と言われる林雅三、若築建設の相談役、これも出席をしている。こういう事実が私どもの調査で明らかですが、こういった事実はありましたか。刑事局長、知っていますか。
#70
○政府参考人(古田佑紀君) たびたび同じお答えをして申しわけございませんけれども、いずれの点につきましても現在捜査中の事件の内容の詳細にかかわることでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
#71
○橋本敦君 こういった犯行の動機、経過について必要な範囲で捜査は当然遂げられていますから、私が指摘したような問題については全然捜査していないんじゃなくて、現在、大事な捜査の中の問題として捜査をしているという意味に受け取っていいんですか、今の答弁は。
#72
○政府参考人(古田佑紀君) 一般論として申し上げますと、委員御指摘のとおり、犯罪の動機等につきましては当然ながら捜査の対象となるわけでございまして、犯罪の解明に必要な限度での捜査は尽くしているものと承知しております。
#73
○橋本敦君 当然捜査すべきですね。
 そこで、刑事局長、今私の手元にこういう分厚い陳述書というのがあるんですが、これは今お話をした若築建設の石橋氏の義兄に当たる相談役の林雅三氏の署名もありますが、平成十年に陳述書ということで非常に詳しい事件の経過がいろいろ出されている。検察庁、この陳述書は御存じでしょうか。
#74
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘の件につきましては、検察庁でいかなる資料を入手しているか等に関するものでございまして、捜査の内容にかかわることでございますので、この時点では答弁を差し控えたいと存じます。
#75
○橋本敦君 非常に大事なことが書かれていますから、ぜひ厳重にこの点についても捜査をしてもらいたい。
 この陳述書によりますと、この中でまず第一にこう言っています。「許永中の大型構想話や交際範囲のこと」、こういう項目があるんです。そこで林雅三氏はこう言っています。九八年七月のころですが、「その頃二回、私と石橋は、許永中のセッティングで、大物政治家や一流企業の関係者の会合(料亭での宴会)に出席しました」、こう言っているんですね。「許永中のセッティングで」と、こう言っている。これは非常に重要なことですね。
 そして、この同じ陳述書の中でさらに続いて、「平成八年四月下旬、私は、許永中に、帝国ホテルの許の事務所に呼ばれ、「石橋さんには本当に一流の財界人になってもらいたい。ワシの人脈もフルに活用してもらい、政界の先生方や一流の財界トップとも、それなりの付き合いをしてもらうようになる。」などという話をされ、「ここに資金を用意した。この金をワシの指示に従って、有効な軍資金として使って欲しい」と言われました。私は、びっくりしましたが、すぐに、石橋にその旨を伝え、その資金を許の配下の者と石橋産業に持って行きました。」、こう陳述しているんです。これは重要な事実ですよ。そして、報道されている、多く言われているところによれば、許永中はこの金は十億円用意したと、こう言っているんですね。
 これはまさに今お話をした中尾建設大臣と若築建設が近づきになる、そして自民党の大物政治家である、もう亡くなられた総理経験者も含む大物政治家である方たちも含めて、そういう会合に若築を引っぱり出してやる、そのセッティングを許永中がやった、こういうことですよ。そして、まさに受託収賄、それの資金となる十億円の金もこれは許永中が用意した、こういう重大な事実がこの陳述書からも報道からも出てくるわけですね。
 そこで伺いますが、検察庁が今調べ、あなたが間違いないと言われた既に起訴されている分、今捜査中の分、受託収賄のわいろの金額六千万円、これは許永中が用意して石橋に渡した十億円のうちの一部がこれに使われた、こう見るのが当然だと思いますが、検察庁の捜査ではそこまで捜査をしていると思いますけれども、どうなんですか。
#76
○政府参考人(古田佑紀君) 現在捜査中の事件についての内容そのものにかかわることでございますので、答弁は差し控えたいと存じますが、一般論といたしまして、わいろ罪等におきましてはその提供をされたわいろの原資がどこかというような点については当然捜査を尽くすものでございます。
#77
○橋本敦君 今、刑事局長がおっしゃったように、わいろの原資がどこかというのは当然検察として捜査を遂げる対象になる重大な問題ですから、だから当然のこととして私はその点の捜査を遂げているはずだし遂げるべきだ、そこに許永中との関係が浮かび上がってくる重大な問題がある、こう言っているんです。
 許永中といえば、御存じのようにイトマン事件の被告であり、被告中に逃亡し、そしてフィクサーとして数々の政治家との関係を仲持ちして黒幕として暗躍してきた、こういう人物でしょう。そういう人物とのかかわりで中尾建設大臣がこういう受託収賄事件を起こしたというのは、単に受託収賄事件というその刑事事件だけじゃなくて、まさに日本の政治の問題として、こういうフィクサーの暗躍を許し、そしてそれがまさに政治を汚す、こういうことになってよいのかという大問題ですよ。
 だから、この問題については、その背景、経過を含め、今私が指摘をした許永中を含む背後関係を含め、必要な限り検察として明らかにすべきことは徹底的に明らかにして、うみを出し切るという決意でこの事件については徹底的に捜査をやってもらいたい。法務大臣の御見解、いかがですか。
#78
○国務大臣(保岡興治君) 先ほどから申し上げているとおり、具体的な事件については発言を控えさせていただきたいと存じますが、一般論としていえば、いかなる事案に対しても検察においては不偏不党、厳正公正に対処するものといたしておりますし、その姿勢で今の事案についても対応しているものと信頼をして見守っておるところでございます。
#79
○橋本敦君 それでは、その検察の厳正な捜査の結果を待ってまた議論をさせていただきたいと思います。
 あと、私の時間はもう二分少々しかありませんので、予定した盗聴法の質問が残念ながら十分できませんが、最後にこの点について伺っておきます。
 いよいよ八月十五日から施行されることになりまして、警察庁の規則、法務省の訓令、通達、そういったものが出てまいりました。出てまいりましたが、一口で言って、犯罪に関連がない通信が傍受をされた、それが消去される、こういう手続ですが、この規則、通達を読んでも、客観的にそれが確実に消去されるという担保と保証というのはどこにもないんじゃないか、客観的にそれが確実に消去されたということを証明できる、そういったシステムはないんじゃないかということを私は厳しく見ておるんですが、法務省、この点はいかがですか。
#80
○政府参考人(古田佑紀君) もちろん御指摘のような通信につきましては、これは消去義務があるわけで、当然それに従うものとは考えているわけでございますが、客観的にというお尋ねでございますので若干御説明いたしますと、今回調達いたしました電話の傍受に使う機器でございますが、これにはすべて記録、消去についてのログが別途保存されるようになっておりまして、これは簡単に変えることは到底できないようになっております。したがいまして、そのログを見ればいつ何を消去したか、記録したかというのが一目瞭然になるようになっておりまして、事後的に十分検証ができる状況になっております。
#81
○橋本敦君 私が言うのは、盗聴された人が見るわけにいかない、国民が見るわけにいかない、そういう意味の客観的なサーベイランスシステムというのは、これはあり得ないでしょうと。答えだけでいいです。当たり前でしょう。
#82
○政府参考人(古田佑紀君) 一般的には、いろんなプライバシー等にかかわることですので、そういう形でのチェックというのは難しい問題はございますが、刑事裁判なりそういう手続の中でのチェックというのは、それは当然考えられるわけでございます。
#83
○橋本敦君 ないんですよね。
 最後に聞きますが、警察について、最近の事件では、一九九八年十二月に神奈川県警で警察官が証拠品のフィルムを持ち出してそれに写っていた女子大生を脅迫したとか、さらには警視庁大井警察署の警察官が警察内部でコンピューター管理している前科前歴情報を興信所経営者に流していたとか、あるいは神奈川県警の戸塚で個人の犯歴、車のナンバーの情報を民間会社に渡したとか、愛知県の熱田警察署でも犯歴情報を民間調査会社に漏らしたとか、静岡でも同じような事件があるんですよ。
 だから、こういう事件があるものですから、そういった国民のプライバシーあるいは犯罪に関係のない情報が傍受をされても、それが消されたという保証がない上に、それが流出をする、悪用されるという危険性は避けがたいんです。
 警察官の一連のこういった事実があったことは警察庁も認めますね。そして、こういう事実がある以上、私は盗聴法というのは廃案以外にはないと考えておりますが、最後に、こういった事実があったことを、事実間違いないと思いますが、答弁を求めて終わります。
#84
○政府参考人(縄田修君) 委員御指摘の諸般の事案がありましたことにつきましては、私どもも重く受けとめておるところでございます。
 今、御案内のとおり、刷新会議の提言も受けながら、さまざまな部分につきまして警察としても国民の信頼の確保に向けて精いっぱい努力をしておるところでございます。
 通信傍受法の運用につきましても、これは通信傍受という捜査手法自体が国民のまさに通信の秘密あるいはプライバシーにかかわるものでありますので、これを乱用することなく厳格に運用していくということが極めて重要なことだと認識をいたしております。
 そういう意味合いでは、法律あるいは規則でかなり厳しい規制がなされておりますが、さらに近々通達も発出する予定であります。そういった意味で、信を問われないように非常に細かな規定を設けることにいたしております。それによりまして、それぞれの部分で責任を持たせる者をはっきりさせ、かつ幹部のチェックが何度かにわたってなされる、さらには当庁においても節目節目で指導してまいりたい、そのようなことで厳正に対処してまいりたい、このように存じております。
#85
○橋本敦君 終わります。
#86
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 まず、政務次官にお聞きいたします。
 死刑及び代替手段についてどのように考えていらっしゃるか、検討されているかについて教えてください。
#87
○政務次官(上田勇君) 死刑の問題につきまして、これまで福島委員もいろいろな場面で取り上げられ、人道的な立場からその廃止に向けて運動をされているということは私も十分承知しているところでございますが、個人的な見解を申し上げれば、裁判等の適正な手続を通じても人間の判断によって人の命を奪うといったことについては、やはりいろいろと疑問に思わざるを得ない点があるというふうに考えております。
 しかし、現行制度のもとでは死刑が重大犯罪については定められているところでございますし、同時に、世論調査等を行いましても依然として国民の多く、しかもここにある世論調査の結果といたしましても八割近くの国民が死刑存続について賛成という立場であり、またこの数値が調査始まって以来増加傾向にあるというようなことも、国民世論という意味では非常に重要なことであるというふうに思います。
 そういう意味で、すぐに結論の出る話ではありませんが、国民各位の御理解もいただきながら、ぜひ私個人としてもこの問題をいろいろと勉強し、また検討させていただきたいというふうに考えておるところでございます。
#88
○福島瑞穂君 政務次官から踏み込んだ見解を言っていただきまして、ありがとうございます。
 では、法務大臣、法務大臣の見解をお聞かせください。あるいは検討されていらっしゃるでしょうか。
#89
○国務大臣(保岡興治君) 私としては、死刑制度の存廃についてはいろんな議論が行われており、また極刑である厳粛な刑でございますから、そういう議論が行われることも当然だと存じております。
 しかしながら、やはり死刑制度の存廃ということはそれぞれの国において決めるべきことであり、またその中で国民の感情、犯罪情勢、刑事政策というような観点から慎重に検討すべきことであって、私は、我が国における国民世論、あるいは凶悪犯罪が多発していること、国民がそれについて非常に憂慮をして社会の重大な問題になっていることなどを考え合わせると、今ある現行の死刑制度の存在はやむを得ないものと存じております。
#90
○福島瑞穂君 先ほど世論調査の話がありましたが、世論調査における死刑の設問項目はどんどん変わっております。一番新しいものはこういう設問です。「死刑制度に関して、このような意見がありますが、あなたはどちらの意見に賛成ですか。  (ア)どんな場合でも死刑は廃止すべきである  (イ)場合によっては死刑もやむを得ない」。
 なぜこういう設問になるのか。死刑は廃止すべき、あるいは死刑は存置すべきならわかります。しかし、死刑廃止の設問は「どんな場合でも死刑は廃止すべき」となっていて、死刑もやむを得ないという言い方は「場合によっては死刑もやむを得ない」と。
 私は世論調査の設問項目自身にバイアスがあると考えますが、いかがでしょうか。法務大臣、お願いします。
#91
○国務大臣(保岡興治君) 私としては、死刑の存廃論議というものが、あらゆる犯罪についていかなる場合でも死刑を全面的に廃止する、そういう意見があるわけです。そういう究極の御意見についても、しっかりした国民の意識を把握するためには、今申し上げたような設問の設定は決して不適切ではないと存じます。
#92
○福島瑞穂君 いいえ、そうしますと、どんな場合でも死刑は廃止すべきというのにマルをする人は少なくなって、場合によっては死刑もやむを得ないという方向に、廃止した方がいいかもしれないがと思う人もこちらに賛成と言うかもしれません。
 御存じのとおり、世論調査における死刑に関する設問は変遷をしております。この設問の仕方は極めて問題であると考えますので、次回は再考の上とっていただくようにお願いいたします。
 また、現在さまざまな面で終身刑の問題について検討が進んでおります。各政党の勉強会もありますので、法務省、ぜひ代替手段についても考えていただくように、あるいは運用面についても考慮していただくようにということをお願いします。
 次に、警察からの情報流出の問題についてお聞きをいたします。
 手元に内部告発文、そしてその受注記録の全部があります。告発文はこうなっております。
  この元・警察官は、警視庁退職直後から調査業を始め、警察データを入手できることを最大の武器に調査業界でのし上がり、平成十年十二月には自ら代表取締役社長を務める「警察OB専門調査機関(株)東京シークレット調査会」なる調査会社を設立しています。
  会社設立後も、この経営者と親交の深い複数の現職警察官によってなかば公然と警察データの漏洩が続けられ、「警察データの入手が可能」なことが、(株)東京シークレット調査会の業界における信用と、安定した収入源につながっています。
  中には、アナウンサーやタレントの住所を調べてほしいという依頼も数多く受注しており、その場合、警察が管理する運転免許登録データから、登録されている本籍と住所を検索しています。この本籍や住所の情報が一部の写真週刊誌記者に渡り、この情報をもとに不正に戸籍を調べられたり自宅を張り込まれたりしてスクープへとつながってきました。警察官によって洩らされた個人情報によって、何人ものタレントやアナウンサーがプライバシーを侵害されているのです。
と、こういうことが書かれております。
 この受注記録に出ている名前も、例えば浜崎あゆみさんやキムタク、福山雅治さん、別所哲也さん、いろんな方が挙げられております。そして、驚いたことは、そのデータが極めて多彩だということです。
 まず、警察にお聞きを申し上げます。
 例えば風営法の許可についてのデータというのはデータベース化されておりますか。
#93
○政府参考人(吉村博人君) お答え申し上げます。
 風営法の許可関係で具体的にどういうイメージのデータかということが、ちょっと突然のお尋ねでございますのでわかりかねますが、今回議論になっておりますのは、警察でしか保有管理していない情報があるいはあるのではないかということが問題になっておりますので、その漏えいがあったかということにつきまして現在調査を進めているということでございます。
#94
○福島瑞穂君 私がお聞きしているのは、警察におけるデータベースの情報の中身です。
 そうしたら、サラ金からの借り入れ状況調書、これはデータベース化されていますか。
#95
○政府参考人(吉村博人君) 私の承知している限りでは、そういうデータはないと承知をしております。
#96
○福島瑞穂君 車両番号、これはデータベース化されていますか。
#97
○政府参考人(吉村博人君) それもはっきりは申し上げられませんが、恐らく運輸省の方で車両番号についてはデータをお持ちであろうと思います。
#98
○福島瑞穂君 犯歴、前歴、逮捕歴などもデータベース化されていますか。
#99
○政府参考人(吉村博人君) 犯歴等につきましては、犯罪捜査上必要でありますので、一定の範囲でデータを保有しているところでございます。
#100
○福島瑞穂君 前歴はどうですか。
#101
○政府参考人(吉村博人君) 前歴も同様にデータとして保管をしております。
#102
○福島瑞穂君 渡航歴はいかがですか。
#103
○政府参考人(吉村博人君) あくまで少年時代に少年補導を受けたというようなことについてはあるいは残っているかもしれませんが、いわゆる素行歴というものはございません。
#104
○福島瑞穂君 済みません。渡航歴はいかがですか。
#105
○政府参考人(吉村博人君) 恐らくないと承知をしております。
#106
○福島瑞穂君 外登法はどうですか。ごめんなさい、外登証ですね。
#107
○政府参考人(吉村博人君) 外登法違反をした場合等の犯歴としては残っていると承知をしておりますが、外登証ですか。
#108
○福島瑞穂君 はい。
#109
○政府参考人(吉村博人君) それはないと思います。
#110
○福島瑞穂君 この受注記録を見ますと、例えば携帯電話番号あるいは電話の番号から持ち主の特定がされているんですが、そういうことは可能ですか。
#111
○政府参考人(吉村博人君) 一般的に申し上げまして、捜査上必要な場合には、当該電話番号をだれが所有していらっしゃるのかということを捜査関係事項照会でNTT等に照会いたしましてデータを警察が入手するということは一般論としてはあると思います。
#112
○福島瑞穂君 驚くほどたくさんのデータが引き出され、しかも一日でデータが出ていることも多いんですね。
 この中に、例えば思想、信条にかかわることもあります。右翼かどうか。暴力団員かどうか、左翼かどうか。例えばある人物に関しては、回答、「活動歴はないがプロレタリア独裁主義の影響を受けた人物である。党員に非(?)す」というふうなのが載っております。こういうふうに思想、信条にかかわることも出ております。こういうことはデータベース化されているんでしょうか。
#113
○政府参考人(吉村博人君) 一般的に申しまして、警察活動は犯罪の予防及び捜査を行う責務を有しているわけでありますので、ただいまいろいろなお尋ねがあるわけでありますが、私が今答弁しておりますのは、詳細に質問通知がなされておりませんので、あるいは不正確な部分もあろうかと思います。
 各種の資料を整備しているのは事実でございますけれども、いわゆる思想面での、それに特化した形でのデータ等は整備をしていないというふうに承知をしております。
#114
○福島瑞穂君 この中に雇用保険の加入状況などの調査もあるんですが、そういうことはデータベース化していますか。
#115
○政府参考人(吉村博人君) 恐らく持っていないと思います。
#116
○福島瑞穂君 戸籍、住民票はどうですか。
#117
○政府参考人(吉村博人君) ちょっと質問の意味がわかりかねますが。
#118
○福島瑞穂君 私たちは、裁判で調書が出てくるときに、必ず同一性かどうかということで本人の戸籍あるいは住民票が捜査記録の中についておりますけれども、要するに警察が戸籍、住民票をフリーハンドで調べられるかどうかという点です。
#119
○政府参考人(吉村博人君) 恐らく、ある事件捜査をやって、ある人物を検察庁に送致をするときに、当該人物の人定にかかわることとして法務省に照会を求めて、それが文書として添付をされているという実態はあろうかと思います。
#120
○福島瑞穂君 驚くことに、この受注記録やいろんな記録を見ますと、盗聴に対する依頼はとても高くて、ほかのは数万円の場合がありますが、盗聴に対する依頼は百万円程度と大変高いんですね。こういうこともお互いに受注し合って仕事をしているということがあると思います。
 そして、この取締役は念が入ったことに元神奈川県警のOBなんですけれども、彼自身はそこで交通違反切符の偽造の問題がありますけれども、現在それはどうなっているか、今お答えできますか。
#121
○政府参考人(吉村博人君) お尋ねの人物は露木という人にかかわることだろうと思いますが、この人間は昭和六十二年に神奈川県警に採用になりまして、ことしの一月に自己都合で退職をしております。
 同人につきましては、相模原南警察署で交通違反取り締まりに従事中の昨年十月と十二月の二度にわたりまして、事実と異なる交通反則切符を作成、告知をいたしました。そのことが、同人がことし一月に退職をしました後、ことしの五月二十四日に裁判所において違反者が反則金を納付をしなかったために取り調べが行われました。その際、その違反者の供述により発覚をしたものでありまして、その後、神奈川県警において捜査を行いまして、ことしの七月五日に同人、露木氏でありますが、露木氏を虚偽有印公文書作成、同行使容疑で横浜地方検察庁に書類送致をしたものであります。
 なお、本件は、ことしの一月に本人が退職をしておりますので、同人に対しては懲戒処分はなされていないとの報告を受けております。
#122
○福島瑞穂君 この情報流出に関しては、警察が関与しなければできない、例えば通常は民間人が照会できない軽自動車のナンバーなども全部流出して調べられております。
 しかも、この経営者、社員は警察OBで、協力者と思われる警察官の名前も出ております。そして、この記事を取材した記者のもとに、古賀一馬さん、元警視庁巡査部長、興信所社長から電話があって、その記事はとめられないのか、ほかのネタを提供するからというのがあったようです。
 つまり、現職と退職をした警官が一体となって警察の中にある情報を売り買いし金もうけをしているということが言えると思うのですが、いかがですか。
#123
○政府参考人(吉村博人君) 先ほども申し上げましたように、警察でしか保有管理していない情報あるいはほかの機関も保有している情報、いろいろあろうかと思いますが、警察でしか保有管理していない情報が何らかの形で漏えいをした、漏えいをしてそれが興信所に伝わったといたしますと、極めて問題であろうと思います。
 したがいまして、現在、警視庁におきまして幅広く各種の調査を行っているところでございますが、今後の調査で刑罰法令に触れる事実が判明いたしましたら、当然、速やかに捜査部門による厳正な捜査が行われるというふうに承知をしているところでございます。
#124
○福島瑞穂君 この興信所のパンフレットは、刑事警察の第一線で活躍し、刑事、民事に精通した警視庁OBグループが活躍するというふうに書いてあります。現職とOBがこのように持っている権力をとことん使ってプライバシーを多額で人に売っている、それによってすさまじいことが起きているということについて警察はきちっと考えていただきたい、調査結果をこれについて出していただきたいというふうに思います。
 今回、非常に印象的なのは、例えばタレントの人や有名な人の情報が売り買いされていることです。盗聴法が成立する前に私たちは大変懸念を表明しました。例えばある政治家にガールフレンドがいるとか、ある政治家が離婚寸前あるいは多額の借金があるなんという情報は一番おもしろい情報なわけです。
 そうしますと、それが電話で話される。つまり、今このデータベースにくっついている情報プラス電話番号により持ち主がわかるわけですし、それを盗聴すれば盗聴データがくっつく。盗聴データはデジタル化されるということがはっきりしておりますから、だれかがそれを金もうけに使おうというふうにすれば全部流出していく。貴重な情報が流出していくということがはっきりしております。金もうけにも使われるということがはっきりしているわけです。
 それで、法務大臣にお伺いいたします。
 八月十五日に盗聴法が施行される予定です。衆参の民主、社民、共産あわせて、この法案についての廃止法案を私どもは提出しております。これだけ不祥事が出て、貴重な情報がデータベース化されているところで、現職あるいはOBが情報を売り買いし金もうけしているという実態が明らかになった今、この盗聴法の施行は見送るべきだというふうに考えますが、いかがですか。
#125
○国務大臣(保岡興治君) 警察によりさまざまな個人情報が流出してそれが不祥事につながっておるということについては、極めて遺憾なことだと存じますし、政府としても、そういうことについては的確に対応して、そういうことが決して起こらないような防止策を講じなければならないことは当然であると存じております。
 ただ、今それと関連させて通信傍受法の廃止について意見を問われましたけれども、私は、組織的な犯罪をめぐる現下の国内外の厳しい状況、これは昨年の当委員会でもいろいろ御議論があって指摘されたところと存じますけれども、これに適切に対処するために必要不可欠な法整備が必要であるということはまた異論のないところだと私は存じます。そういった組織的な犯罪と戦う上で極めて重要なものだと認識をしております。
 ただ、通信傍受の適正確保のために、法律上極めて厳格な要件、手続を設けるなどして種々の措置がとられている上、警察においては、国家公安委員会規則において傍受の実施や傍受記録等の管理の適正を図るための事項が定められているほか、警察庁において都道府県警察に対して必要な指導を行うものと承知しておりまして、当然、警察においては法律の定める要件と手続を厳守した適正な運用を行うものと考えております。
 したがって、私としては、通信傍受法の廃止はすべきではない、適当ではないと考えています。
#126
○福島瑞穂君 現在おもしろい情報あるいは貴重な情報が流出する、売り買いされる、金もうけとして使われるということがはっきりしていますし、これが全然改善をされていないということも明らかです。ですから、盗聴法が施行された以降、必ずや大問題が起きるだろうというふうに思います。
 大臣としては御英断で盗聴法を廃止してくださるように述べて、私の質問を終わります。
#127
○平野貞夫君 大臣の法務行政重要施策説明の中から何点かを拾い上げて質問をさせていただきたいと思います。
 ただいまも問題になりましたいわゆる組織的犯罪対策三法、これにつきまして、御説明では「適正かつ効果的な運用を図る」ということをお述べになりましたが、ちょうど一年前のきょうあたりは当参議院法務委員会は大もめにもめていたころでございまして、私はそのころ与党でございましたので、成立推進派のいわば非常に積極的な方でございました。
 率直に言いまして、今考えてみますと、野党の先生方の御指摘された問題というのは、やっぱり耳を傾けなければならない問題は幾つかあったと思います。特に携帯電話なんかの関係で非常に政府側が答弁に窮して、まだ整備されていない問題など、そういったものが幾つか残っておりましたのですが、完璧にこの法律が施行できるという御自信をお持ちでございましょうか。大臣にその自信のほどをひとつ。
#128
○国務大臣(保岡興治君) 今、平野先生御指摘のように、通信傍受法というのは組織犯罪上不可欠の法整備であるという前提がございますが、一方、個人のプライバシーあるいは報道の自由その他、秘匿すべき情報についての尊重ということがございますので、その点を十分踏まえて、このたび大臣訓令、通達等も出しましてその運用の適正化を図ることに全力を挙げているところでございます。
 国会の御議論も踏まえて、それが的確に行われるように今後も対処してまいるつもりでございますが、先生御指摘の携帯電話のいろいろな傍受の問題点についても、その後いろいろ工夫をいたしましてそれなりの有効な解決を図っているところではございます。
 まだまだ足らざる点もあろうかと思いますが、今後その的確な傍受の方法その他、また人権擁護の観点からの対策については十分尽くしてまいりたいと存じておるところでございます。
#129
○平野貞夫君 通信傍受法等が成立して一月もたたなかったと思うんですが、神奈川県警本部の不祥事件が出て、それを契機に全国の警察の問題、不祥事が噴き出たわけでございますが、一月ないし二月それがおくれていたら、あの法律というのは私は成立していなかったと思います。
 そんなこともございまして、昔からの友人からは、おまえのやっている政治行動は大体は了解できるけれども、あれに賛成して積極的にその成立を推進したことだけは許せぬと言う人も結構おるわけでございまして、私は自分の主張は正しいんだということを申し上げているんですが、正直言いまして、世の中厳しいです。
 そこで、大臣に私はお願いがあります。別に個人的なことで申し上げるわけじゃないんですけれども、今も各先生から新しい問題点が指摘されているわけでございますが、この施行に当たって、普通はそういうことはしないでしょうけれども、法務大臣ないし国家公安委員長、お二人でも結構でございますが、廃止法案が両院に出されているわけですが、要するに懸念されているようなことはない、こういうことについてはこういう整備をしている、そういう談話みたいなものを特別にこの法律の施行に当たってお出しになっていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
#130
○国務大臣(保岡興治君) この通信傍受法の適正な執行ということについては、国民の理解というものが非常に大切かと存じます。したがって、いろんな機会をとらえて通信傍受法の意義、それからその際プライバシー等その他守るべき個人情報にどのように配慮しているかということについてはできるだけ明確な形でPRをさせていただきたいと存じます。
#131
○平野貞夫君 ぜひ健全な国民の皆さんが安心できるような一つの方法をとっていただきたいと思います。
 次に、大臣の説明を聞いておりまして、大臣が特別に言葉を厳しく表現された問題に、「刑事法の分野においては、特に少年による凶悪犯罪が社会の耳目を集めている状況であり、極めて憂慮すべき事態であります。」と、「極めて憂慮すべき」という非常に厳しい言葉を使われておるんですが、最近の少年による凶悪犯罪の原因を大臣はどのようにお考えでございましょうか。
#132
○国務大臣(保岡興治君) 最近の少年による凶悪犯罪の原因といっても、これはいろいろな要素があろうかと思います。
 社会全体の変化の中で、家庭や地域などの教育力の低下がよく言われておりますし、また社会全体の規範意識といいましょうか、他人へ対する配慮、他の幸せがあって初めてみずからの幸せも生まれてくるというような規範の根本に属するようなことについて社会全体の力が衰えてきていないか。したがって、犯罪の発生についての免疫力というものが落ちてきていないか。あるいはまた、いろいろ社会の変化の中で、テレビやコンピューター、そういったIT化、情報化の中で少年たちの意識が非常に大きく変化して、空想社会、あるいはその中で出てくるいろんなことについて現実と空想の世界との区別というようなことがはっきりできるような教育が行われているのか。いろいろな要素があると存じます。
 そういう観点から、少年非行についての再発防止については総合的な対策が必要だと存じますけれども、先ほども申し上げたとおり、法的な側面でいえば少年法の見直しというものが喫緊の課題だと考えているところでございます。
#133
○平野貞夫君 よくわかりました。
 少年法の改正についても私は積極的推進、野党でございますが推進論でございますので、いずれまたこれから大臣と議論をすることがあろうと思います。
 そこで、今、大臣のお話を伺っていて感じたことなんですが、私は一言で言えば大人に原因があるんじゃないかと思うんです。我々に原因があるんじゃないかと思います、この少年犯罪の原因は。それで、大人といってもいろいろあるわけでございますが、特に我々国会議員、政治家の立場で考えますと、やはり政治家の姿勢にも相当遠因、その背景があるんじゃないかと思います。
 こじつけだと言われたら困るんですが、最近の政治家の個人個人のありようの問題、これがやはり非常に社会をおかしくしている原因の一つではないかというふうに私も反省して考えているわけでございますが、大臣の説明の中に「司法は、近代国家の基本である法の支配を現実のものとする役割を担う」云々という言葉がございます。この法の支配というものの本当の意味が我が国の社会で貫徹しているかどうかという問題、これが私は政治家の姿勢の問題だというふうに言いたいわけでございます。
 すなわち、法の支配というものを、ある法律の何条の規定の支配を受けているとか受けていないとかいう次元でなくて、法の根本精神なり制度のありようという哲学に我々がコントロールされるというのが近代国家の法の支配だと思うんです。
 例えば、個人的なことを申し上げて恐縮ですが、森総理大臣がかつて後援会の機関誌に何百万という広告費をもらって載っけた。私も国会で指摘したことがあるんですが、これはやっぱり政治資金規正法とか公職選挙法の脱法行為、いわゆる何々規定に明確に違反して犯罪を構成するかどうかという問題とは別に、制度の精神に明らかに反していると思っているんです。それから、最近では中川官房長官が休眠の政治団体をトンネルにして政治資金を集めたという報道がなされておるんですが、これなんかもやっぱりそういう法の支配の本質に私は反したものだと思うんです。
 ですから、どうも日本の法学教育の悪さというか、あるいは日本人の法意識といいますか、日本人の精神構造にも原因があるかもわかりませんが、大臣が近代国家の基本である法の支配と言う限りはぜひそういう点についてお考えを深めていただきたいと思いますが、いかがなお考えでしょうか。
#134
○国務大臣(保岡興治君) 日本の憲法の最初は十七条憲法と言われますが、その第一条に和をもってとうとしとなすということがあって、実質的にみんなが仲よく平和で平穏な社会を築くためには、話し合いというのか、そういった協調ということが日本の文化の一つの特色になっていると存じます。
 そういう中で、いわゆる西洋的な規範意識と我が国の規範意識とは司法的な文化も違うところがあると思いますが、これだけ国際化が進んで経済が一つになって動いていくような、しかも規模も大きく、また情報技術の進展によって新しい問題も含んで広がっていく状況を見ますと、やはり我が国のそういった国民の意識改革、文化の一部の修正、いい点は残さなければいけないけれども、一部の点については初等中等教育からしっかりして、社会の規範意識というものが道徳、倫理も含めて先生の言われる法の実現という意味での法の趣旨をしっかり体現してそれを受けとめることができる、こういうことも含めて司法改革というのが大きなテーマになっておりますが、私は、司法改革の根幹は国民の意識あるいは文化の一部修正がなければ二十一世紀の日本の真の社会秩序の維持は確立できないというふうに思っておるところでございます。
#135
○平野貞夫君 わかりました。
 そこで、先ほど魚住先生からマスメディアによる人権侵害の問題が出されたんですが、私はなかなか鋭い指摘をなさっていると思うんです。ちょっと状況が違うんですが、今の法の支配の問題と関連させて、私が体験しました報道の自由とマスメディアによる人権侵害、私は被害者の方でございますが、その問題をちょっと御紹介して、果たして我が国は近代民主主義が行われているかということに私は非常に疑問を持っていますので、大臣の感想をお聞きしたいんです。
 実は選挙中の六月二十三日、TBS、六チャンネルで幹事長クラスによる総選挙に臨む各党の態度という番組がございました。午後十時から約一時間収録して、野球放送なんかの関係で放映は午前零時からやりました。私が幹事長の代理で出席しまして、VTRが始まる前に担当者から、基本的には生中継と一緒です、物理的に発言の矛盾があるところは調整しますという前提で始めた収録でございます。
 そこで、固有名詞は申し上げませんが、ある場面で与党の幹事長が私の個人攻撃を突然してきたわけでございます。何百万人という人が恐らくテレビを見ていたと思いますが、その中で、平成五年に小沢一郎さんや私が自民党を飛び出して新生党をつくって細川連立政権をつくってから政治が悪くなった、ずっと世の中が悪くなったのはおまえらのせいだという趣旨でございました。そして、私については、小沢一郎さんの近くにいてそうなったと。政治を悪くしたのはあなただと、おまえだと、こういう指摘を受けたわけでございます。
 それで、私は当然反論をしました、それに。どういう反論をしたかといいますと、保岡先生もあのときは一緒に政治改革をやろうということで私は大変御指導を受けたわけですが、我々は日本のこの廃退する政治をよくするために、再生するために改革運動をやったんだ、そして七年たったんだと。それで、我々のやったことが正しかったか誤っていたかということは二十六日の投票を見ればわかるということを言ったら、私の発言した反論の部分はすぽっとカットされて放映されたんです。
 それはTBSの判断だと思います。変な圧力は多分なかったと思います。どういうふうにTBSの責任者が感じたか、これはわかりませんけれども、そういう経験をしました。
 私の反論は私たちのグループなり私にとっては命にかわる反論でございます。それをそういう形で言論が封じられるということ、これは私は日本のテレビのあり方、それから報道のあり方の根源、そして日本のデモクラシーの根源にかかわることだと。次の日によっぽど言おうと思ったんですが、選挙の最終日でとても言う間がなくてきょうまで温めていたんですが、そういう体験をしております。
 これは私は本当は人権擁護局に相談して訴えようかとも思っている問題なんですが、我が国は一見平和で一見民主主義でやっているような社会ですけれども、根っこは決してそうでないということを私は言いたいんですが、大臣、御感想をちょっと。
#136
○国務大臣(保岡興治君) その番組は私ちょっと拝見していませんので、その発言の詳細は先生のお話をもって伺う以外ないのでございますけれども、そのときの議論の内容は政治的な議論ですから、そのことの当否については、私も信念を持って政治改革をやってきて、しかしいろいろ批判された向きもございますので、いろんな意見が世の中にはあるとは思います。
 ただ、マスメディアを通じて人権侵害が行われるということは、それが強大な力を持っている、しかも影響力も持っているということを考えると、魚住先生からも御指摘があったように、その力の差というもの、あるいは影響力の大きさというものを考えた救済手段というものがないと個人のプライバシーや名誉をしっかり守ることができないんじゃないか。そして、そういうプライバシーや個人の名誉というものが尊重されない国は決していい社会ではないということも事実でございますし、安心して平和に仲よくやっていくためにはそういう配慮というものが制度的にもきちっと整っているということが大事だと思うので、今後、人権擁護推進審議会の論点にも上がっておりますし、我々も国会の御論議も踏まえて、先生の御意見などをまたこれから承りながら適切な対応をしていけるように努力をしたいと思います。
#137
○平野貞夫君 あと若干時間がありますので、刑事局長に一点だけお聞きしたいと思います。
 先ほども橋本先生からお話がありましたように、許永中事件、それから中尾元建設大臣の事件、それから福本邦雄さんの事件、いずれも今国民がどういう展開になろうかと凝視している事件ですが、これは八月に入って特捜の方たちも本当に暑い中頑張られていると思いますけれども、まだまだこれから山があるのか、かなり長い期間もかかっていますのでもうぼつぼつ収れんする時期なのか、一体どのくらいの規模で特捜はその事件の捜査に臨んでいるのか、そういったことについてお答えいただければと思います。
#138
○政府参考人(古田佑紀君) 特捜部の検察官の激務に対する御理解のお言葉をいただきまして、ありがとうございます。
 ただ、まことに申しわけございませんが、事件の捜査をどういうふうに進めるか、どういうことについて犯罪の嫌疑を認めて捜査をするかというようなことにつきましては、これは捜査機関の判断、捜査の内容にかかわることでございます。したがいまして、それについてのお答えは御勘弁いただきたいんですが、いずれにいたしましても検察当局といたしましては、法律あるいは証拠に照らしまして刑事事件として取り上げるべきもの、これがもしあればこれについては厳正かつ適切に対処するということでございます。
#139
○平野貞夫君 結構です。
#140
○中村敦夫君 通信傍受法、いわゆる盗聴法について質問いたします。
 これは昨年の夏大変激しい議論があった法律でございまして、反対の理由としては、やはり通信の秘密を侵してはならないという基本的な憲法の問題に抵触するということ、あるいはプライバシーの侵害になるんだという原則、これに反するからだめだというような反対の理由、あるいはこれができるといろんなところに派生して悪影響を与える、ジャーナリズムを縛ることにもなるだろうし、また乱用されれば政界の中の謀略戦に使われてしまう、政治が非常に陰険なものになってしまうというような指摘、またこれを乱用することによって警察犯罪がさらに増加するだろうというような警告等々、たくさんの反対理由がございました。
 私もそうした部分を大変重視しましたけれども、さらにもう一つ、この法案自体のでき方が昔懐かしい電話盗聴を基本にしてつくられているので、とても現代のようなコンピューター通信の新しい情報時代に適用できないんじゃないか、法文自身が合わない部分がたくさんあったわけです。それに対して多くの質問をしましたが、法務省もそこの具体的な想定というところまでは進んでいなかったようで、混乱の極致のような議論になってしまったという経験がございます。
 そして、強引にこれが強行採決されたわけですけれども、しかし実際に応用する段で、電話盗聴の部分というのはそれほどもう難しい問題ではないんですが、コンピューター通信の場合にはどうやって運用していくかということが今度は必要になってくるわけです。
 法律はともかくとして、その施行規則というものが必要ですが、これは国家公安委員会規則ということになって出てきています。しかし、これを読んでも、電子メールの盗聴ということを想定しているような部分がほとんどないんです。相変わらず電話盗聴というものを想定したような施行規則になっているわけです。
 これはまずいんですね。実際にどういうふうにしてやるのかわからないまま法律が動き出してしまうということでは混乱します。ある程度の準備というものはなさっているに違いないと思いますので、電子メールの盗聴手順というものを規則に照らして具体的に、しかし簡潔に説明していただきたいんです。
#141
○政府参考人(縄田修君) 電子メールの傍受手続につきましては、通信傍受法及び通信傍受規則相まって規定してございます。
 電子メールにつきましては、通信傍受法十三条二項に外国語等の通信につきましての規定がございます。「その内容を即時に復元することができない方法を用いた通信であって」というふうに法の十三条二項に規定されております。これは外国語等の通信、あるいは暗号であるとか電子メールであるとかファクスの通信であるとか、そういったものを規定しておるものと、このように理解をいたしております。したがいまして、その通信につきましては、その全部を傍受した上で該当性判断を行うというふうに法律上規定されております。そういった意味で、こういった中に電子メールの傍受についても想定されておるというふうに理解をいたしております。
 通信傍受規則におきましては、電子メールを復元して該当性判断を行い、傍受記録を作成する手続について規定しております。例えば傍受規則の十三条一項におきましては、該当性判断のための閲覧、これは電子メールを復元して、それを閲覧して該当性判断をせざるを得ないわけでありますけれども、その閲覧等は必要最小限度の範囲で行うようにしなければならないことというふうに定めております。
 また、同条二項におきましては、できる限り立会人の前でその該当性の判断を行い、また傍受記録も作成をするというようなことも定めてございます。
 また、通信傍受規則十五条におきましては傍受の原記録媒体への署名等について規定してございますし、十六条におきましては傍受記録用の複製の作成等につきましても規定をしてございます。
 通達におきましてはさらに詳細、細かい段取りにつきまして定める予定にしておるところでございます。
#142
○中村敦夫君 コンピューター通信でメールとかあるいはファクスの方で、これはスポット傍受というのは物理的に不可能なわけですよね。「必要最小限度の範囲で」というふうに十三条にも書いてありますけれども、この最小化措置というのは具体的にはどうやってやるんですか。
#143
○政府参考人(縄田修君) 少し繰り返しになるかもしれませんが、先ほど申しました通信傍受規則の十三条におきまして最小化をしなければならないと定めてございます。
 これにつきましては、復元されたものを閲覧する、これはまず冒頭の部分から見る、それによってまず判断をする、さらにその判断がつかないときはもう少し見るかと。判断がついた時点で傍受を終了する、その時点で傍受すべき通信でないということになれば全部消去する、そういう形で傍受記録をつくる、こういう形になろうかと思います。
#144
○中村敦夫君 それでは、確認をしておきたいんですけれども、昨年の夏の議論の中で、捜査機関がプロバイダーの協力を得てメールサーバーの監視が可能な専用回線を警察署など捜査機関の施設に引き込むような工事をするということはやらないというふうに法務省の見解が出たと思うんです。要するに、サーバーのあるところでやるということだったと思いますが、それに間違いはございませんか。これからもその見解に変更はありませんか。
#145
○政府参考人(縄田修君) 通信事業者の監視する施設の中で行うというのは、それを原則とし、またそれを厳格に守るというのはそのとおりでございます。
 ただ、プロバイダー業者の場合、非常に場所が狭隘であるということになれば、それに続くといいますか接続しているような一部の部屋において傍受することはあるかもしれませんけれども、警察署において傍受するというようなことは断じてありようがないというふうに考えております。
#146
○中村敦夫君 その確認をいただいたのは、実は今アメリカのFBIがやっているシステムにカーニボというシステムがございます。これはFBI自身がそういうふうに自称しているわけですから公知のものなんですが、これはどういうことかといいますと、プロバイダーのサーバーから警察の施設、外部の方へ線を引き込んで、そして捜査対象になる人物が関係しているそこでの情報を一括して一回FBIの方へ持ってきてしまう、そこから個別に捜査対象の人物の情報を引き出すというやり方なんです。
 これは大分問題が違ってくるわけですね。サーバーのところで捜査対象の人物だけの情報を引き出すのであれば日本の今の見解と同じなんですが、そうではないわけです。一たん外部へ全情報を持ってきてしまいますから、捜査対象の人物と関係ないすべての情報、ほかの人たちの情報が全部行ってしまうわけですよ。当然そこから捜査対象の人物の情報だけを引き出すというふうに言っているわけですね。しかし、それはもう担保されないわけですよ。正しくそれが施行されるかどうかということは全く担保されないということで、これがわかって、今アメリカの司法界も各界の分野も大騒ぎになっているわけです。こういうシステムをカーニボというわけです。これは食肉動物という意味なんです、カーニバルは謝肉祭ですけれども。
 これは何を指しているのか。FBIの意思というものがわかりませんが、食肉ということですから、本当に肉の部分も食っちまうぞというイメージがすごく強いわけです。そして、肉の部分といったら何だろう。それは麻薬だとか、そういうことじゃないでしょうね。もっとおいしいものがある。ということは、ほかの部分、重要な産業の情報とか、あるいは権力者にまつわる情報とか、それをFBIが自由にできるんだという、そういう一つの恐怖感というものがつきまとうわけで、今そのことに関して大議論になっているわけです。これはアメリカの司法省も今や調査中で、議会もこれを取り上げているというのが現状なんですけれども、こういうシステムはもう絶対にとらないということなのか、カーニボという。
 これは機器の問題もあります。そういうことができる機器があるということですから、こうしたものの採用というのを将来日本の警察が考えているかどうか、あるいは絶対にやらないのかどうか、これをやれば合法なのか違法なのかということについて見解をいただきたいんです。
#147
○政府参考人(縄田修君) 電子メールの傍受につきましては、通信傍受法三条第一項の規定によりまして、傍受令状に記載された発信元または発信先を識別するための番号または符号によって特定されなければならないというふうに定められております。
 今、御指摘のカーニボというものがいかなるものか、ちょっと私も詳細細かく承知しておりませんので、なかなか答弁しづらいところもございますが、今、委員御説明のようなことになりますと、いわゆるメールアドレス等によって特定された電子メールを傍受するということにもしならないとすれば、これは法律上極めていかがなものかと考えております。そういう意味合いでは、電子メールを全部集めて、その中で全く任意に勝手に捜査機関がそれを選択してこれを傍受するということは通信傍受法のらち外の話であろうかというふうに理解をいたしております。
#148
○中村敦夫君 いや、私は精神的なことを聞いているんじゃなくて、これはシステムなんですよ、カーニボというのは。
 ですから、さっき聞いたように、警察まで回線を引っ張ってきてやるということはないといったことの確認の問題でもあるわけですけれども、ただそのシステムがFBIが実際にやっているわけですから、そういう機械あるいは技術というものがあるんですが、そういうものに興味を持って検討するということはないのかどうかということを伺っているわけです。
#149
○政府参考人(縄田修君) 傍受の場所につきましては、通信事業者の監視する場所というふうに法令でも一応定められております。したがって、警察署内で聞くということは、成立時の答弁でもるるなされておったと思いますし、当然なし得ないものだと考えております。
 それから、今申し上げたような形での傍受というのは、先ほども少し申し上げましたが、やはり今の傍受法には反するのではないかと。私が先ほど御説明申し上げたような前提であれば法令に反するのではないか、したがって警察ではそのようなことを考えようがない、考えるつもりもさらさらないというふうに申し上げたい、こういうふうに思います。
#150
○中村敦夫君 建前は清く正しく美しくという話だと思いますが、建前が実際にできないという現実があるというので、いろんな問題が出てきているわけですよね。
 先ほども平野議員が指摘されたように、盗聴法が成立して以降いろいろな警察の問題が出てきた。神奈川県警の問題、新潟県警その他ほかの県警の問題、随分出てきまして、最近では犯罪データが流出する、受刑者リストが流出するという、もう信じられないようなことがどんどん起こってきて、一挙に国民の警察に対する信頼感というものが崩れたわけですね。
 この法律を推進する人たちの口実は二つありました。それは、反対者に向かって、おまえたちは警察を信頼できないのかという論調でしたね。もう一つは、麻薬取り締まりのためには不可欠なんだということだったですね。麻薬のことに関しては、盗聴法を既に使っている国々のデータや現実から見て、全く直接的にそれが効果を生んでいるものではないということでしたし、警察の信頼ということに関してはもう御承知のとおりのありさまになってしまいました。
 そうしますと、推進派がどうしてもこれが必要だと言った二つの理由というものが吹っ飛んでしまっている、そういう段階。そしてまた、コンピューター通信の具体的な、これからどんどん機器も発達し、システムも変わっていく中で、この法律では多分処し切れないいろいろな矛盾が出てくる。そして、その矛盾はただ人権侵害とかそういう問題を超えて、これから発達しなきゃならないIT産業に対して大きなダメージを与えていくんじゃないか、そういう要素というのが非常に高いと。ですから、この法律、たとえこうしたたぐいの法律が必要だとしても、この法文でもってやっていくというのはナンセンスであるというふうな思いが私にはあるわけです。
 しかしながら、福島議員も、ちょうどいいんだから、よく落ちついて考えて、八月十五日の施行前に一たん廃止してみてはどうかという意見がございましたが、法務大臣にお聞きしようと思っておりましたけれども、もう既に答えが出てしまっていますので、しかしながらこれは大変になる、大変な混乱が起きるということを警告して、私の質問を終わりたいと思います。
#151
○委員長(風間昶君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#152
○委員長(風間昶君) これより請願の審査を行います。
 第一号通信傍受法の廃止に関する請願外四十二件を議題といたします。
 今国会中本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の資料のとおりでございます。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、いずれも保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#153
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
    ─────────────
#154
○委員長(風間昶君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#155
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#156
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#157
○委員長(風間昶君) この際、理事の辞任についてお諮りいたします。
 竹村泰子君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#158
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#159
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に江田五月君を指名いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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