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2000/08/01 第149回国会 参議院 参議院会議録情報 第149回国会 本会議 第2号
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2000/08/01 第149回国会 参議院

参議院会議録情報 第149回国会 本会議 第2号

#1
第149回国会 本会議 第2号
平成十二年八月一日(火曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成十二年八月一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る七月二十八日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。角田義一君。
   〔角田義一君登壇、拍手〕
#4
○角田義一君 私は、民主党・新緑風会を代表し、総理並びに関係閣僚にお尋ねいたします。
 まず、災害対策についてお尋ねいたします。
 伊豆諸島では、この間、一月以上に及ぶ火山活動や群発地震、さらには台風三号の直撃と相次ぐ自然災害により、極めて甚大な被害を受けております。
 質問に先立ち、神津島において地震による土砂崩れでお亡くなりになった方並びにその御遺族に対し心から哀悼の意を表します。また、今なお続く地震・火山活動により、大きな被害をこうむられておられる被災地の皆さんに対し心からお見舞いを申し上げます。
 民主党は、去る七月十五日に現地調査団を派遣し、被災地の方々の生の声を聞いてまいりました。
 現地では、生活の糧である観光や農業、漁業で大打撃を受け、しかも、いつ終わるともしれぬ地震や火山活動に、復旧活動も思うように進まぬまま眠れぬ日々を過ごしておられます。このような被災地の方々の不安な思いを少しでも解消するためにも、早急に同地域の激甚災害指定を行い、政府としてその対策に万全を期すという姿勢を示すべきであります。
 また、被災地の方々の心のケア、避難所における衛生管理やプライバシー保護対策に万全を期すとともに、村外避難を希望される方々への避難用住宅としての公共住宅の活用など、最大限の支援を行うべきであります。同時に、被災地域の方々に明るい展望を指し示すためにも、観光などの基幹産業の復興対策や住宅支援対策を従来の制度の枠にとらわれることなく大胆に打ち出すべきであります。
 民主党は、さきの通常国会で、被災者支援制度のさらなる拡充を盛り込んだ被災者生活再建支援法と災害弔慰金支給法の改正案を提出しました。また、被災者の住宅再建支援についても、現在、法案化を検討しているところであります。
 災害対策は、とかく公共関連の災害復旧事業が中心になりがちでありますが、阪神・淡路大震災やさきの有珠山噴火災害の経験から、個別の被災者対策の不十分さが各方面から指摘されているところであります。政府としても、この際、災害支援制度の抜本改革を図るべきではないでしょうか。総理の考えをぜひお聞かせください。
 次に、森内閣の政治姿勢について伺います。
 さきの衆議院選挙とその結果は、政治の現状に対し国民がいかに大きな不信と不満を感じているか明らかにしました。見えない景気の先行きと財政の破綻、そして迫りくる少子高齢化社会への不安など、政治が解決をしなければならない問題が山積しているにもかかわらず、総選挙の投票率は六二・四九%と、過去二番目の低い水準でありました。これは、現状の政治が十分に機能せず、信頼を失っているからにほかなりません。その根源は、国民と乖離している森政権、そしてそれを支える自公保三党連立政権であることは言うまでもありません。
 今回の選挙により、自公保三党連立政権の議員数は、過半数を維持したものの、選挙前勢力から大幅な後退をいたしました。なかんずく、連立政権の中軸である自由民主党の議席数が最も減少したのは、その総裁である森総理自身に対する国民の不信のあらわれと言わざるを得ません。
 国民が森総理に不信任を突きつけたのは、その総理としての資質、そしてそれを体現する言動にあることは明白であります。
 森総理は、党幹事長も含め党役員時代以来、さまざまな暴言を吐き、そのたびに弁明、釈明をしてきました。しかし、一国のリーダーとなってからも、その軽率かつ不用意、しかも常識では考えられない発言を平然と繰り返してきたのであります。世界的に有名になった神の国発言、そして総選挙期間中での低投票率を願う有権者寝てくれ発言など、あきれるばかりであります。
 民主主義国家の政治家、総理大臣としてのあるまじき発言に国民が驚き、あきれ、その総理としての資質に疑問を投ずるのは当然であると言わなければなりません。しかも、それらの発言を批判的に報道したマスコミに対し、質問を拒否するという全く児戯に類する行動をとるに至っては、民主主義下の政治家としての資格を問われざるを得ないではありませんか。今次の総選挙により、国民から突きつけられた不信任に対し総理はどのように考えておられるか、その反省を含め伺います。
 我々は、総選挙の結果を踏まえ、政治に対する国民の不信と不満を払拭しなければなりません。しかし、残念なことにそれらに輪をかける事件が起こっております。中尾元建設大臣による受託収賄事件であります。
 公共事業の発注に依存する公共事業者と政治家との間の多額の金銭授受は、まさに利益誘導型の公共投資政策の最大の汚点であります。現在、公共事業はおよそ毎年度、国、地方を合わせて五十兆円にも及んでおります。国民の血と汗の結晶が、政治献金の多寡によってばらまかれ、利益誘導型政治が横行することを私どもは許すわけにはまいりません。
 報道によれば、中尾元建設大臣は、みずからわいろを積極的に要求し、その受けた資金提供は約八千万円にも及び、そのうちの一部は、事もあろうに白昼堂々と当時の建設大臣室で直接受け渡しが行われるという前代未聞の破廉恥な事件であります。加えて、当時の事務次官を初め建設省の多数の幹部が中尾元建設大臣とともに贈賄側の招待の宴席に出席していることは、建設省当局と公共事業業界との癒着を示す一例であって、断じて許されるものではありません。
 中尾元建設大臣にかかわる受託収賄事件については、徹底的な捜査を要求するとともに、建設省内部において当該事件の究明がいかなる機関によりどのような手法で公正、厳正に行われたか、その結果、関係する次官以下幹部の法的、道義的な責任も含めいかなる処分が行われたか、建設大臣は明らかにされたい。
 同時に、これに関連し、中尾元建設大臣と贈賄会社の仲介役として裏社会のフィクサーが登場し、十億円もの資金が特定の政治家に流れた疑惑があると報道されています。もし、仮にこれが事実とすれば、政治への国民の信頼は地に落ちかねません。この資金の流れを解明し、受け取った政治家の氏名を公表するなどの厳しい措置を講ずべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 リクルート事件以来、政治資金規正法の改正を初め、政治と金との透明化が図られてきたものの、残念ながら十分に実効を上げずに今日に至りました。民意の反映という言葉を隠れみのに、特定の個人や企業、団体の利益のために政治的地位を利用し、その対価として金を受け取ることは絶対に否定されなければなりません。我々があっせん利得罪の制定を求めること自体、その意味で現在の日本の政治の実情を反映するもので、我々は恥じなければならないものであります。
 しかし、政界浄化のためには制定せざるを得ないのです。にもかかわらず、民主党を初めとした野党が国会に提出している法案、すなわち国会議員などによる公共事業などへの口きき、あっせんを行った者に対して、その収賄に対して罰則を科する法案について、自民党を初め与党は全く成立に協力する姿勢を見せていない。このことに対して私は強い憤りを感ずるのであります。
 与党は慎重な検討を理由に今国会に法案を提案しない方針と聞いておりますが、それでは到底国民の理解は得られないでしょう。森総理の見解を伺います。
 現在は与党にくみしている公明党も、昨年は同様の法案の提出に参画されたのです。しかるに、今では自民党の先延ばし方針に同調し、結果としては国民に対する背信行為に加担していると言えるのではないでしょうか。公明党を代表して入閣している続総務庁長官に国民に対する釈明を求めます。
 かつて自由党は入札干渉罪法案を提出しましたが、当時自由党に所属していた保守党議員はその志を放棄したのですか。特に、保守党を代表して入閣し、中でも建設大臣という渦中のポストについた扇大臣の責任は重いと言わざるを得ません。自民党の先延ばし方針に同調し、結果として国民に対する背信行為に加担をしている現状をどう国民に説明するのですか。所信を承りたい。
 次に、久世公堯金融再生委員長の更迭についてお尋ねいたします。
 久世公堯金融再生委員長の三菱信託銀行からのいわゆる利益提供、事務所の家賃、行員の派遣、顧問料など、その総額は二億三千万円の巨額に上っております。
 三菱信託銀行は、早期健全化法のもとで、優先株二千億円、劣後債一千億円、合計三千億円の資本注入を受けております。国民の税金によって支援を受けているわけであります。さらに、旧安定化法のもとでも五百億円の永久劣後債の資本注入を受けておるのであります。
 久世氏については、その後、大京から一億円の資金提供を受けた疑惑や霊友会からの二億数千万円の借財疑惑など、金銭にまつわる不明朗な疑惑が指摘されております。
 私が特に問題といたしたいのは、総理は、三菱信託銀行からの同氏に対する利益提供を閣僚任命前に事前に承知しており、その件については法的に問題がないという見解をとった上で任命されたと聞いております。さらに、同氏を任命するに際し、今私が申し上げた三菱信託銀行に三千五百億円の資本注入、すなわち税金からの支援がなされていることを承知しておられたか、さらに、大京からの一億円の資金提供についてもすべて承知の上で任命したとすれば、総理の任命権者としての責任は重大であります。
 金融機関の生殺与奪の権限を握るいわゆる金融再生委員会の長が特定の金融機関から二億数千万円に上る利益提供を受けてきたとすれば、そのことだけで金融再生委員長としての適性を欠くというのが国民の健全な常識であります。そういう感覚を全く失い、問題なしとして同氏を委員長に任命した鈍感さ、そのこと自体が大問題であり、総理としての政治責任は重大であります。
 総理は、昨日の衆議院本会議における我が党の鳩山代表に対する答弁の中で、適材適所により任命したと言われました。現に資本注入を受けている金融機関からかつて巨額の利益提供を受けていた人物がなぜ適材なんですか。また、金融にはど素人だと言っている人物がなぜ適所なんですか。任命した総理として資質を改めて問われるわけですが、弁明の余地がありますか。総理の所信を承りたい。
 ところで、久世氏への利益提供問題で図らずも露呈したことでありますが、政権政党である自民党の金権体質がここで改めて問われなければならないと私は思います。
 比例名簿の高順位を獲得するために関係業界に名簿の提出を求め、それを党員とし、その党費を特定の業者に負担させるという構造が今回の事件で明るみになりました。まさに政官財癒着の実態が図らずも暴露されたのであります。このような状況で、果たして政権政党として国民の信頼を得ることができるのでしょうか。総理の見解を伺います。
 サミットについて伺います。
 今回の九州・沖縄サミットが初の地方開催であり、無事に閉幕に至ったことはともに喜びたいと思います。地元の皆さんを初め、サミットにかかわった方々の御尽力と御労苦に対して心から敬意を表します。
 サミットは無事に終わりました。しかし、首脳同士が率直に意見交換したというよりも、対立する問題を回避する姿勢や官僚が周到に事前調整したレールを走るだけだったといったサミットの儀式化、官僚化が一層進んだサミットであったとも言われております。政府が目玉と位置づけたIT革命に伴うデジタルディバイドの問題でも、各国に協力を求めながら、結局、日本だけが今後五年間に百五十億ドルを拠出する約束をしただけであります。
 約八百億円という巨費を投じ、日本だけがお祭り騒ぎをした九州・沖縄サミット、本当に本来の意義と成果をおさめたのか。疑問を抱いている多くの国民に対し森総理は何と説明されるか、伺いたい。
 首脳討議では、米国の本土ミサイル防衛網計画、いわゆるNMDや、今後のアジア情勢を左右し我が国の安全保障に欠かせない中台問題、台湾海峡問題等について全く議論がなかったと言われています。それは何ゆえでありますか。
 特にNMDに関しては、ロシアが反対、ドイツ、フランス、カナダも批判的であります。各国が重大な関心を持ち、その推移によっては深刻な軍拡につながりかねないNMD問題であればこそ、我が国の立場をはっきりさせた上で首脳間の討議に供し、議論をリードすべきではなかったのか。NMDに対する政府の基本姿勢を含め、お答え願いたい。
 ところで、稲嶺沖縄県知事は、クリントン大統領が平和の礎で演説した際、大統領と並んで歩いたほんのわずかな時間をとらえて、米軍基地が沖縄県民の重い負担になっていること、人権上の観点から日米地位協定の改定が必要なこと、末端の米兵まで綱紀粛正を徹底させてほしいこと、そして基地の固定化を防ぐために普天間飛行場の代替施設に期限を求めていることなど、沖縄の切実な願いを直接大統領にぶつけたのであります。もちろん、これによって基地問題がすぐに解決するわけではありませんが、大統領に率直に具体的に問題を提起した事実が重要であります。
 一方、森総理はどうであったか。総理自身の表現によれば、日米首脳会談で、沖縄県民の多年の希望につき自分も努力したいしあなたも努力してほしいと申し上げた、そういうことでありますが、稲嶺知事が県内移設の条件とした普天間代替施設の十五年の使用期限や民間との共用化の問題に直接言及しなかったのは何ゆえでありますか。本土復帰後初めて米国の大統領が沖縄を訪れたのに、森総理は基地問題で手をこまねいていた。稲嶺知事の方がよっぽど立派な対米交渉をしたと言われても仕方ないではありませんか。
 森総理、なぜあなたはこの機会を巧みにとらえて、沖縄の痛み、沖縄の心を直接クリントン大統領に訴えなかったのか、お答え願います。
 これとは対照的に、いわゆる思いやり予算については約三十三億円の減額を日米首脳会談で確認しましたが、この額は平成十二年度の負担総額二千七百五十五億円のわずか一・二%にしかすぎません。昭和五十三年、当時の円高とドル安、そして米国の財政悪化を理由に思いやりの精神でこの制度が発足しました。
 しかし、今日、日米の財政状況は全く逆転し、我が国が未曾有の財政危機に陥っているのに、どうして依然として我が国が負担をし続けなければならないのか。国民のだれもが抱く素朴な疑問であります。
 今こそ政府は、日米地位協定第二十四条に規定された経費分担の原理原則に立ち返り、思いやり予算を総検証して、合理性のない不必要なものは削減する姿勢を貫き対米再交渉を求めるべきだと思いますが、総理の見解を求めます。
 多くの負担と犠牲を強いられている沖縄の現状については、皆様既に御承知であります。たび重なる米海兵隊員による不祥事は、沖縄県民のみならず日本国民の駐留米軍に対する不信感をいやが上でも増すものであります。さまざまな取り組みにもかかわらず同種事件の続発がやまない背景には、日米両国政府が現状に安住し、具体的な改定作業や再発防止策の策定を怠ってきたことにも原因があると考えます。
 民主党は、日米安保体制を我が国の重要な柱であるとすることについて人後に落ちるものではありませんけれども、このような事件の再発が沖縄県民初め日本国民の駐留米軍への不信感を増すことを憂慮します。
 既に民主党は、日米地位協定の見直し案を発表し、政府にも申し入れを行っておりますが、寡聞にして、政府が犯罪防止も含めた日米地位協定の改定作業に着手したという話は聞いておりません。
 今後、日米地位協定の見直しに着手するおつもりがあるかどうか、明確な御答弁を願います。
 さて、韓国と朝鮮民主主義人民共和国との歴史的な南北首脳会談の成功を受けて、冷戦構造最後の遺物と言われて久しい朝鮮半島情勢も大きく動き始めました。分断から半世紀の間、不信と対立の増幅を繰り返してきた南北関係にようやく終止符が打たれ、地域の緊張緩和につながることが期待されております。
 また、去る七月二十六日は、バンコクで初の日朝外相会談が開かれ、延期されたままの日朝国交正常化交渉を八月二十一日から東京で開催することを合意するなど、北朝鮮との関係改善に向けた我が国の取り組みも新たな局面を迎えようとしております。
 こうした歴史の転換を逃すことなく、我が国としても関係改善のための三つの課題である過去の清算問題、国際問題としての核・ミサイル問題、そして拉致問題を含む人道的立場について、相互信頼の基礎に立って誠意を持って交渉に臨むべきは当然であります。
 私は、森総理が直接、金正日総書記と接触するぐらいの積極果敢な外交があってしかるべきであるとさえ思っております。いずれにせよ、これから朝鮮半島を含む北東アジアの平和と安定の構築に向けていかなる貢献をしていくおつもりか、お伺いします。
 特に、総理にお尋ね申し上げたいのは、日朝間の過去を清算する問題は、相手が謝罪と補償を求めている以上、当方としてもこれに真っ正面から取り組む勇気が必要と思います。補償は、新たな国民負担をも求めることになりかねず、国民の理解を得ることが極めて重要だと私は考えます。日本が道義を重んずる国家であることを内外に明確に示すことは、そのこと自体日本の国益にとっても極めて重要なことだと考えます。日朝国交回復に臨む総理の政治哲学をお伺いしたい。
 次に、経済問題について伺います。
 まず、景気動向でありますが、政府の各種資料によれば、我が国経済はようやく最悪期を脱し、企業収益が徐々に回復するほか、設備投資にも情報関連を中心に回復の動きが見られるようになったとされております。しかし、これらの回復は企業の厳しいリストラの結果であり、労働者の犠牲によるものもあります。しかも、政府の不十分な雇用政策、年金、医療など社会保障構造改革の先送りなどから、国民の雇用不安、将来不安は全く解消しておらず、国民の財布のひもは依然緩んでおりません。
 今後の景気のかぎは、消費の動向と消費を左右する将来不安を払拭できるかどうかの一点に絞られていると言っても過言ではありません。総理、果たして今年度じゅうに民需中心の回復軌道は定着するのですか。お伺いします。
 現下の我が国経済が抱えておる最大の課題の一つに雇用失業問題があります。景気回復の背後で、企業は工場閉鎖、人員削減など強力にリストラを進めてきた結果、失業率は四%台後半に張りつき、失業者数も今日なお三百万人と過去最悪の水準が続いております。今後も銀行、ゼネコンを中心に数千人規模の人員削減計画を決めている企業も多く、サラリーマンの多くは失業の不安を抱えながら日々の生活を送っておるのが実態であります。
 我々民主党は、雇用対策の主眼を雇用の維持と労働移動の促進の二本柱とし、そのために労働者保護法の制定を求めると同時に、能力開発バウチャー制の導入や職業紹介の民間開放を推進するほか、特に中高年齢層や若年層の雇用機会確保のため、採用募集時における年齢差別の禁止を法制化するよう求めております。こうした一連の諸政策を一日も早く実現することが雇用問題への対応には不可欠ではないでしょうか。総理の答弁を求めます。
 経済が低迷を続けておる大きな要因は、不良債権が大きな足かせとなっていることであります。今回のそごう問題は、政府が不良債権問題への対応を先送りしてきたツケが顕在化したものであります。長銀売却の段階で厳格に行うべき資産査定をごまかし、新生銀行にそごうを初めとする不良債権を紛れ込ませたために、税金を使って多額の引当金を積んだ上、さらに瑕疵担保特約をつけざるを得なかったのでしょう。
 瑕疵担保特約は、譲渡後三年以内に貸出債権の価値が二割以上目減りすれば預金保険機構が簿価で買い取るという内容であり、政府は、新生銀行のみならず、日債銀の売買契約にもこの瑕疵担保特約を入れております。政府は損失分担、いわゆるロスシェアリングの考え方が金融再生法上規定されていないとの理由から、悪評の高い瑕疵担保特約を入れた形で長銀を売却してしまいました。
 しかし、昨年来我が党の議員が、ロスシェアリングの考え方を含めた形で法を改正するなり契約でその考えを導入することを再三当院の委員会における審議で提言したにもかかわらず、なぜ法改正に取り組まなかったのですか。総理大臣及び金融再生委員長の答弁を求めます。
 そもそも、再生法に定義されていなくても、私人間の契約である譲渡契約にロスシェアリングの考え方そのものを盛り込むことはできたはずであります。なぜそうしなかったのですか。総理大臣及び金融再生委員長の答弁を求めます。
 日債銀の譲渡については、譲渡契約の締結が一カ月延びたわけですから、この間に資産の厳密な査定を再度行い、本当に善意で健全な借り手のみを残すことで瑕疵担保特約を結ばない形での契約にすることを改めて強く求め、契約の再交渉をすべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
 そごうは一転して民事再生法による処理となりました。これは、政府が税金投入によって事実上民間企業の救済を認めたことに対し国民の怒りが爆発し、法的処理に移らざるを得なくなったものであります。しかも、その過程で与党幹部が一民間企業の判断に政治介入を行うという、およそあり得べからざることが行われました。この間、総理は、最高責任者であるにもかかわらず、この問題について与党に対応を丸投げするという前代未聞の責任逃れの態度に終始してきたのであります。
 そごう問題をめぐる総理の責任逃れと与党による民間への過度の政治介入という政府・与党の失態は、国民の目線から見ておよそ看過できるものではありません。この際、総理の責任ある答弁を求めます。
 次に、財政問題について伺います。
 我が国財政の現状は、連立政権の財政規律なきばらまき予算が積み上がり、国債残高はわずか三年で百兆円も増加し、国と地方の借金は六百四十五兆円、国内総生産の約一・三倍にも膨らんでおります。ことしの経済白書では、我が国の財政赤字は継続不可能な状況に立ち至っていると指摘し、今までの財政運営が失敗であったことを間接的に認めております。財政赤字を垂れ流しにしてきた政府の政策の失敗について、総理、反省はありますか。お答えいただきたい。
 六月初めの与党政策責任者会議で早々と公共事業等予備費配分の大枠が決定され、先月二十五日には閣議で正式に公共事業等予備費全額の配分が決定されました。新年度に入ってわずか三、四カ月で、しかも、政府みずからが景気改善を言いながら、なぜ昨年度より二カ月も早く公共事業等予備費の支出を決めたのですか。
 宮澤大蔵大臣は五月の時点で、九月に発表されることし四月―六月期のGDPを見て公共事業等予備費の使用を検討すると述べていたにもかかわらず、公共事業等予備費の支出を駆け込み的に決定したのは選挙目的以外の何物でもなく、財政紊乱そのもので、このような政府・与党の財政の私物化を我々は許すわけにはまいりません。
 政府・与党の中には、さきの通常国会が終わる前から補正予算編成を求める声が上がっておりました。私たちは、近年のこのような補正予算の常態化、補正を前提とした当初予算編成は財政法に違反し、財政規律を著しく損なうものであると厳しく批判してまいりました。
 そこで、総理に単刀直入にお伺いします。
 総理としては、今年度予算の補正を行おうと考えているのかどうか。考えているとすれば、それはどのような理由で、何を財源として、どの程度の規模の補正を行うのか。簡潔にお答えください。
 ヨーロッパ諸国では、EU通貨統合に向け財政赤字を縮減してまいりました。マーストリヒト条約では財政赤字の対国内総生産比を三%以下にすることとされ、この比率が約一〇%の我が国に当てはめれば、国だけで見ても国債発行額を半分以下に抑制することが必要であります。また、EU諸国ではさまざまな財政赤字削減策が行われてきましたけれども、共通して言えることは、政府みずからが行財政改革により、厳しい歳出削減を行ったことであります。
 我々民主党は、公共事業費の三割削減や社会保障構造改革、道州制の導入などを含む財政健全化十カ年プランの作成を提唱しております。政府としても、一刻も早く財政構造改革の具体案を提示すべきではありませんか。総理の見解を伺います。
 税制調査会答申について伺います。
 その第一は、税制改革と財政健全化の関係についてどのような見通しを持つべきかという点であります。
 答申は、全体として消費税率引き上げを通じた財政再建をにおわせるような記述になっておりますが、現在やるべきことは、言うまでもなく歳出の徹底的な見直し、むだな歳出の削減など歳出面からの財政構造改革であり、そのことなくして消費税を財政赤字の穴埋めのために安易に増税することは到底国民の理解を得られるものではないと私は考えます。総理としては、近い将来に財政再建のために消費税率を引き上げるという考えをお持ちなのかどうか、明確に答弁していただきたい。
 次に、地方税財源の充実確保という課題であります。
 答申は、現在の危機的な財政状況のもとでは国、地方の財源配分のあり方の見直しは現実的でないと切って捨てるような記述になっております。しかし、国から地方への補助金等のあり方の見直しと同時に抜本的な税源移譲を行うことによってこそ、これまでのような国の補助金を通じたむだな公共事業のばらまき等の歳出増圧力に歯どめをかけることが可能になるのではないでしょうか。総理としては、いつ、どのような形で地方税財源の充実確保、国から地方への財源移譲について具体的に検討を行うつもりか、御答弁願います。
 第三に、我々はさきの総選挙で、現下の厳しい財政状況を踏まえ、国民一人一人が広く薄く負担を分かち合う社会をつくることこそ必要と考え、あえて課税最低限の引き下げを提案しました。与党は、選挙期間中、低所得者に対する増税だと我々の提案を非難してきました。課税最低限引き下げなど増税はしないと言って政府はきたんです。
 しかし、税調答申では、政府・与党の方針とは百八十度違う政策が提案されました。政府は税調答申を全く無視するつもりですか。それとも、選挙期間中に我々を批判した不明を恥じて、みずからの発言をほごにして、答申に盛られた方向を是とするのですか。明確な答弁を求めます。
 次に、六月下旬に発生し、大阪を中心に一万五千人以上もの被害者が出た雪印乳業大阪工場の製品による集団食中毒について、政府の見解をお尋ねします。
 この事件は、雪印というトップメーカーによるずさんな衛生管理が原因であり、その企業責任が厳しく問われることは言うまでもありません。再発防止の観点から幾つか政府の考えを伺いたいと思います。
 四年前、全国的に猛威を振るった病原性大腸菌O157による集団食中毒問題も多数の被害者を出したのは記憶に新しいところでありますけれども、そのときの教訓が果たして生かされているのかどうか。
 今回の問題は、厚生省が、地域を中心にした保健所間のネットワークを生かして情報を整理、分析し、国民にいち早く情報を伝えていれば、被害がこれほどまでに拡大しなかったのではないかと思われることであります。具体的には、実に十七時間も国民には情報が開示されなかったのであります。せめて保健所が製造の自粛や回収を指示した段階でその事実だけでも公表していれば、被害の拡大は防げたはずであります。
 こうした危機管理における情報開示について、政府として対応策を講ずべきだと考えますが、厚生大臣の所見を伺います。
 次に、食品衛生法に規定されている総合衛生管理製造過程、いわゆるHACCPについてお尋ねします。
 HACCPは、企業による自主管理が建前の仕組みであります。その仕組みが厚生大臣によって承認されれば、あとは企業が自主的に衛生管理に万全を期し、食品の安全性を確保することになっております。国民・消費者にとっては、食品の表示として「HACCP厚生大臣承認」とあれば、それだけで何か国がお墨つきを与えたかのような印象を受けますし、安全面でもそれなりの信頼を置く目安になるはずであります。
 ところが、このHACCPは、相当に複雑な製造工程であり、厚生省の担当者でもチェックするのに困難をきわめるとも言われております。そうすると、一体だれが安全性なり工程のチェックがきちんとできるんでしょうか、疑わしくなります。
 今回の事件を通じて、行政による食品メーカーに対する監視・検査体制の不備が指摘されております。私は、国民の食生活の安全を確保するために、この監視や検査を有効に行わなくてはならないと考えますが、それには、企業に対し事前に通知を行った上での定期的な検査をするのではなく、抜き打ち検査を行って緊張感を持って作業に当たってもらうことが重要だと思いますけれども、厚生大臣の見解を伺いたい。
 危機管理意識の欠如した雪印乳業製品によるこの食中毒によって、同社の全国の契約販売店三千二百四十店のうち、零細な五百七十店が休廃業に追い込まれたとされております。これに対する補償をどのように雪印に指導するのか。また、原材料を提供している全国の酪農家からの生乳の処理が他メーカーへの振りかえを含めて迅速適切に行われたのか、農水省と協力して厚生省がいかに対応したか、お伺いします。
 最後に、雪印乳業の二十工場のうち十工場に対して、七月二十五日、安全宣言を出したそうでありますが、消費者、スーパーマーケットなどの不信感解消のために、どんな手順と方策を踏まえて安全宣言を出したのか、厚生大臣に伺います。
 最後に、総理の政権担当に臨む決意について承りたい。
 所信表明の最後に「国民とともに歩み、国民から信頼される政府を信条として、改革の先には大いなる飛躍があることを信じ、一日一日、全身全霊を込めて国政に取り組んでまいります。」と述べておられます。至極当然のことだと私は思います。
 橋本龍太郎元総理、志半ばで倒れられた小渕前総理、そして森現総理、この三総理はいずれも一九三七年、昭和十二年の生まれであります。天の配剤により戦地に赴くことはなかったものの、戦争の悲惨さをそれなりに体験し、戦後の食糧難や貧しさから立ち直る過程を体験した貴重な世代であります。まことに個人的なことで恐縮でございますが、私も総理と同年であります。そこにおられる河野外務大臣も同じであります。私どもは歴史に対して責任を負わねばならぬ世代ではないでしょうか。三代続いた同年の総理は歴史の評価にたえ得る足跡を残す責務があると私は考えます。日朝国交回復の実現や財政再建などはまさに命をかけて取り組まなければならぬ課題ではないでしょうか。残念ながら、総理の所信表明演説からはそのような気迫を感じることができなかったのは私だけでございましょうか。
 どうか、総理になったのが天命とおっしゃるなら、改めて政権担当の気概、気迫があるのかお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(森喜朗君) 本日の答弁に先立ちまして、まずもって神津島の地震により亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに、不安で不自由な生活を余儀なくされている方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。
 被災者支援制度についてお尋ねがありました。
 政府といたしましては、今回の有珠山や伊豆諸島の災害におきましても、速やかな復旧・復興に向けて、地元自治体と密接に連携を図りながら、政府を挙げて全力で対処してきたところでございます。また、被災者の方々に対しましても、被災者生活支援制度等の円滑かつ適切な運用を図るなど、その支援に万全を期してまいります。
 さきの総選挙の結果と私の政治姿勢についてのお尋ねがございました。
 このたびの総選挙では、自公保三党は政権の枠組みを明示して選挙に臨みました。そして、景気回復、サミットの成功、そして日本新生に向けた構造改革の必要性を国民の皆様に訴えてまいりました。その結果、与党三党で絶対安定過半数の議席を得ることができ、国民の皆様から連立政権に対する信任をいただいたものと受けとめております。
 しかし、一方で国民の皆様の厳しい評価があるのも事実であり、これに謙虚に耳を傾け、その要請にこたえてまいりたいと思います。
 私の目指す日本新生は、我が国経済社会全体の構造改革であります。新生日本の建設にはさまざまな困難や痛みを伴いますが、私は、国民とともに歩み、国民から信頼される政府を信条として、解決を先送りせずに課題に取り組み、答えを出していくことで国民の皆様の負託にこたえていく覚悟でございます。
 中尾元建設大臣の逮捕に関連してお尋ねがございましたが、私自身、今回の事件については極めて遺憾に思っております。国民の税金によって賄われる公共事業の執行については厳正に行わなければならないのは当然であり、かりそめにも国民の疑惑を招くようなことがあってはならないということは言うまでもありません。また、政治家の倫理が強く求められている中で、まず一人一人の政治家がみずからの襟を正していくことが大前提であると考えております。
 本件につきましては、司直の手にゆだねられておりますが、私としても、徹底的な捜査により真相究明が行われるべきものと考えており、重大な関心を持って見守ってまいりたいと考えております。
 あっせん利得罪の法制化について御質問をいただきました。
 私としては、かかる法制については、その目的について吟味をした上で、解釈次第で適用範囲が変わることのないよう犯罪の構成要件を明確にする必要があると考えており、少なくともこの点につき十分に論議する必要があるものと考えております。
 この問題につきましては、与党三党間においてプロジェクトチームが発足し法制化に向けた協議が行われているところでございまして、まずは各党各会派の間において十分に御議論をいただくことが基本であると考えます。政府としましては、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 久世氏を任命した責任についてのお尋ねでありますが、新内閣の発足に当たっては、日本新生プランの実現のために適した方はだれかということを第一に考え、幅広い経験と実行力のある方を適材適所に配置するという観点から大臣を任命いたしたところであります。結果として辞任をせざるを得ないような大臣を任命したということはまことに残念であり、遺憾であると考えております。また、深く反省するとともに、国民の皆様に率直におわびを申し上げたいと思います。
 今後、金融システムの安定化、我が国経済を自律的回復軌道に乗せていく諸施策、そして日本新生プランの実現など、現在取り組んでいる諸課題に対し、内閣としてこれらに一致結束して全力を挙げて取り組んでいくことによって、その責任を果たしていきたいと考えております。
 比例名簿の作成に関連してお尋ねがございました。
 自由民主党では、比例名簿を作成するに当たり、党員の獲得数だけではなくて、党活動への貢献度など総合的に勘案をしているものと承知をいたしております。政党としてみずからの政策を国民に訴え、理解を得ることによって党員を拡大するよう努力することは当然の活動であると考えております。
 なお、私ども自由民主党にとりましては、名簿登載資格基準を、厳正に基準をつくって、そしてそれを公表して、そしてそれぞれ我が党に対する候補者の調整をするということを、厳しくこれに当たっておることも申し添えておきます。
 サミットについて厳しい御意見がございました。
 二十世紀最後の節目の年のサミットとして、世界の直面するさまざまな課題に対してG8がいかに取り組み、また二十一世紀を平和と希望の世紀にするために何をなすべきか、首脳間で活発に実り多い意見交換を行いました。その結果、沖縄IT憲章や朝鮮半島情勢についての声明、G8コミュニケ等を発表し、沖縄から明るく力強いメッセージを出すことができました。世界の直面する重要問題につきG8首脳が率直で忌憚のない意見交換を行い、かつ指針を提示するというサミット本来の目的は十分達成されたと考えております。
 なお、サミットの開催経費についてでありますが、今回のサミットは我が国にとって初めての地方開催となり、かつ首脳会合、外相会合及び蔵相会合もそれぞれ別の場所で行われていたために通信インフラや道路等関連施設の整備費、警備費用、準備段階を含めた移動の費用等が必要になったことであり、このような予算額となったものであります。
 G8サミットでの議論についてのお尋ねでありますが、G8サミットでは、現在の国際情勢にかんがみ、G8として共通の関心を有するテーマについて議論を行います。その結果、今次首脳会合では御指摘の諸点はいずれの国からも取り上げられなかったものであります。
 また、米国の国家ミサイル防衛、NMD計画につきましては、米国政府において検討中であるとの前提で申し上げれば、米国が近年の弾道ミサイルの拡散を自国の安全保障に対する深刻な脅威ととらえ、これに対処するために外交努力を行うとともにNMD計画を検討していることについては、我が国としても理解しているところであります。
 我が国としては、本件に関する米ロ間の協議が調うことを期待するとともに、本件が軍備管理、軍縮分野を含む国際安全保障環境の向上に資する形で扱われていくことを望んでおります。
 日米首脳会談についてのお尋ねがありました。
 日米首脳会談においては、普天間飛行場の代替施設に係る使用期限の要請については、私からクリントン大統領に対して取り上げたところであります。なお、代替施設の軍民共用につきましては、既に閣僚レベルでの会談において、米側は軍民共用の考え方を支持する用意がある旨述べております。
 また、私からクリントン大統領に対しましては、日米首脳会談において、米軍施設・区域の集中する沖縄県民の負担は極めて大きい旨述べたのに加え、その他の機会におきましても、沖縄の人々に対する気持ちを大事にお持ちいただきたい、沖縄県民の多年の希望につき、自分も努力するが大統領もぜひ一緒に努力してほしいと申し上げたところであります。
 在日米軍駐留経費負担についてのお尋ねでありますが、政府としては、本件経費負担が日米安保体制の円滑かつ効果的な運用にとり重要な役割を果たしていること及び同経費負担の一定の節約・合理化が必要であることを十分念頭に置きつつ米側とも協議を行った上、今回の節約・合理化策を含む内容としたものでありまして、決定は適切なものであると考えております。
 米兵による一連の事件への対策と日米地位協定についてのお尋ねがありました。
 政府は、米軍による一連の事件を深刻に受けとめ、累次にわたり米側に対し強い遺憾の意を表明し、目に見える実効的な綱紀粛正策を強く求めました。この問題につきましては、七月二十二日の日米首脳会談でも取り上げたところでありますが、政府は、今後このような事件が繰り返されないように綱紀粛正の徹底を米側に引き続き促していく所存であります。
 また、日米地位協定につきましては、これまでも運用の改善に取り組んできたとおり、特にSACO最終報告に盛り込まれた九項目の運用改善措置についてはすべて実施に移しております。今後とも、昨年末に行った閣議決定にあるとおり、地位協定の運用改善については誠意を持って取り組み、必要な改善に努めてまいります。
 日朝関係に関するお尋ねでありますが、政府としては、韓米と緊密に連携しつつ、八月二十一日から行われます次回日朝国交正常化交渉を初めとする日朝間の対話に真剣に取り組む考えであり、そうすることが先般の日朝外相会談の共同発表を実施することにもなると思います。このように日朝間の対話を深めること自体、北東アジアの平和と安定に資すると認識いたしておりますが、政府としては、これに加え、ASEAN地域フォーラム等の機会を通じて域内各国との二国間、多国間の対話を促進し、もってこの地域の平和と安定に寄与したい考えであります。
 日朝国交正常化交渉についてのお尋ねでありますが、政府としては、八月下旬に開催予定の国交正常化交渉において、韓米と緊密な連携のもと、北東アジアの平和と安定に資するような形で第二次大戦後の不正常な関係を正すように努めていく考えであります。また、御指摘のありましたいわゆる過去の清算の問題につきましても、国交正常化交渉の中で真剣に議論をしていく考えでございます。
 今後の景気動向についてのお尋ねでありますが、政府・与党が大胆かつ迅速に取り組んできた広範な政策の効果もあり、我が国経済は緩やかな改善を続けております。ただし、雇用面や個人消費など、まだ厳しい状況を脱しておりません。
 今般、公共事業等予備費の使用の決定をしたところでありますが、引き続き景気回復に軸足を置いた経済・財政運営を行い、景気を自律的回復軌道に乗せていくよう全力を挙げつつ我が国経済の動向等を注意深く見ながら適切に対応してまいります。
 雇用対策についてのお尋ねでありますが、現在、政府においては雇用の創出、安定、ミスマッチの解消を重点とした対策に積極的に取り組んでおります。
 御指摘がありました企業組織の再編に伴う労働者保護法については、今後、立法上の措置を講ずることを含め、研究会を設けて検討することといたしております。
 また、能力開発バウチャーについては、労働者が自主性に基づいて職業能力開発を行えるよう教育訓練給付の拡充及び活用促進を図っているところであります。
 職業紹介については、原則としてすべての職業について民間職業紹介機関においても職業紹介事業を行えるようにしたところであります。
 採用募集における年齢差別については、職業安定機関においてその緩和について従来から指導を行っておりますが、禁止の法制化については、今日の状況では、環境整備や社会的な合意ができていないと考えます。
 金融再生法の改正についてのお尋ねでありますが、当時は、できるだけ早期に長銀の譲渡を実現することが、金融再生法のもとで我が国の金融の機能の安定と再生を図るためにも最も適当であるとの認識のもとに譲渡交渉を行っていた最中であり、時間を要する可能性のある金融再生法の改正は、当時の状況としては現実的な選択肢とはなり得なかったことを御理解いただきたいと思います。
 ロスシェアリングの考え方は、金融再生法に提示されていなくても契約に盛り込むことができたのではないかとのお尋ねがありました。
 ロスシェアリングについては、住専法には明文の規定があったにもかかわらず金融再生法に明文の規定がないことから、金融再生委員会においては、金融再生法上そうした契約を結ぶことは困難と考えたものと承知をいたしております。
 日債銀の譲渡問題についてのお尋ねでありますが、本件については当該譲渡契約には瑕疵担保条項が含まれており、その瑕疵担保条項をめぐり各方面からさまざまな御意見があること、譲渡予定先のソフトバンクグループの意向も踏まえ、今国会における御議論や国民の意見に十分耳を傾けるとともに、その理解を深めていただくために一カ月譲渡予定日を延長する決定がされたところでありまして、十分な説明が行われ議論が尽くされることを期待いたしております。
 いわゆるそごう問題にかかわる私の対応についてのお尋ねがありました。
 本問題については、国民の皆さんからの御批判もあり、また与党との関係などにおいては説明不足の感も否めなかったので、私としては亀井政調会長に検討をお願いいたしたものであります。その後、亀井政調会長のアドバイスもあり、近時における同社を取り巻く環境の大きな変化を踏まえ、またモラルハザードに対する世の中の厳しい批判も考慮の上、自主的な経営判断として再建計画を断念し、七月十二日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請したものと承知をいたしております。
 なお、金融再生委員会は、当時の状況において苦渋の判断を行ったものと考えております。
 これまでの財政運営についてのお尋ねがありました。
 政府は、これまで景気を本格的な回復軌道に乗せていくため積極的な財政運営を行ってまいりましたが、我が国経済は、こうした政策運営の効果により平成十一年度の実質経済成長率が三年ぶりにプラスになるなど、明るい兆しが見え始めております。
 他方、財政構造改革につきましては、こうした我が国の景気回復を一層確かなものにした上で、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制や社会保障のあり方、中央と地方との関係まで視野に入れて取り組んでまいりたいと存じます。
 公共事業等予備費と今年度予算の補正についてのお尋ねがございました。
 現在の景気について見ると、緩やかな改善を続けているものの、個人消費については依然として力強さが伴わず、雇用情勢も厳しい局面が続いております。政府としては、このような現下の経済動向を踏まえ、今般、公共事業等予備費を使用し、公共事業関係費等を追加することによって引き続き景気の下支えに万全を期すこととしたところでございます。
 また、補正予算につきましては、例えば四―六月期QEなどの今後の経済の推移をよく見て、必要があれば適時適切に対処していきたいと考えております。
 財政の構造改革についてのお尋ねがありました。
 財政についても、その効率化、質的改善が必要なことは言うまでもありません。そのため私は、十三年度予算編成において、新世紀のスタートにふさわしい予算編成を行うべく日本新生特別枠を創設するとともに、公共事業全体を抜本的に見直し、省庁統合等による施策の融合化と効率化を進めてまいる所存であります。
 そして、明るい兆しの見えてきた我が国の景気回復を一層確かなものとした上で、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制や社会保障のあり方、中央と地方との関係まで視野に入れた財政構造改革に取り組んでまいりたい、このように考えております。
 財政再建のための消費税率の引き上げについてのお尋ねがございました。
 財政構造改革については、明るい兆しの見えてきた我が国の景気回復を一層確かなものとした上で、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制や社会保障のあり方、中央と地方との関係まで視野に入れた取り組みをいたしてまいりたいと存じております。
 消費税率の問題を含む将来の税制のあり方については、今後の少子高齢化の進展など経済社会の構造変化や財政状況等を踏まえ、国民的な議論によって検討されるべき課題でありますが、いずれにしても、歳出面のむだはないか等については十分見直しを行うなど、国民の理解を得ることなしに増税を行うことは適当でないと考えております。
 地方税財源の充実確保についてのお尋ねがありました。
 地方分権の進展に伴い地方税の充実確保を図る重要性が高まっており、地方公共団体が自立的な行財政運営が行えるよう、国と地方の役割分担も踏まえつつ、国、地方を通ずる行財政制度のあり方を見直すとともに、国と地方の税源配分のあり方について検討することが必要であると考えております。
 今後、景気が本格的な回復軌道に乗った段階において、国、地方を通ずる財政構造改革の議論の一環として取り組んでまいりたいと考えております。
 課税最低限についてのお尋ねがありました。
 個人所得課税の課税最低限について、政府としては、現在これを引き下げるというような具体的な考えを持っているわけではございません。政府税制調査会の中期答申においても、課税最低限の引き下げを具体的に提言しているものではなく、今後の個人所得課税のあり方を検討する上で国民的な論議が必要である旨の問題提起を行っているものと承知をいたしております。
 最後に、政権を担当する決意についてお尋ねがありました。
 角田議員御指摘のとおり、私どもは議員も含めて幼少のころ戦争を体験し、戦後の混乱から復興、その後の目覚ましい経済成長とともに人生を歩んできた世代であります。二十一世紀を目前に控え、若い世代の方々が将来に確固たる展望が持てるように、当面する課題に懸命に取り組むことは私たち世代に課せられた責務であります。
 私は、二十一世紀の新生日本が輝かしいものとなりますように全身全霊を込めて努力していく覚悟であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(扇千景君) 角田議員から私に対して二つの御質問をいただきました。
 まず第一は、中尾元建設大臣の件に関してでございます。
 かつて建設大臣の要職にあった方が逮捕、起訴されるということは本当に残念でございますし、遺憾に存じております。
 また、事件の究明に関しましては今後の捜査にゆだねざるを得ないと考えておりますけれども、建設省におきましても、若築建設の受注実績、また建設省OBの同社への再就職依頼等、それらについて調査を行い、その情報を私は公開してきたところでございます。これまでのところ、建設省の業務の執行に関して不適切なことが行われたという事実は現段階では認められておりません。
 また、会食に出席した建設省の幹部から私に対して上申書の提出も受けました。そこで、私自身も直接説明を聞いた結果、現在までのところ特に他に問題があるとは考えておりませんけれども、平成八年の五月及び七月の会食に出席した当時の建設省の三役に対し、今後はより厳重な、あるいはより慎重な行動をし、かかることのないよう文書による厳重注意を行ったところでございます。
 二つ目は、角田議員御指摘のように、我々は平成十年六月、第百四十二回国会に国会議員等の入札干渉罪法案を提出いたしました。その実現への志はいささかも変わっておりません。
 現在、この問題については、与党三党で政治浄化に関するプロジェクトチームを設置し、秋の臨時国会での法制化の実現を期して精力的に協議を重ねていると聞いております。保守党の代表が当時の入札干渉罪法案の提案者であった野田幹事長自身であることから明らかなように、三党協議を通じて同案の実現に一歩でも近づくよう全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 このたび、野党が政治浄化を図る目的で法案を提出されたことは、法制上の問題は別としましても、一つの見識として評価するところでございます。しかし、その野党案に同調しないから志を放棄した、自民党の先延ばし方針に同調している、国民への背信行為に加担しているという批判は、当たらないどころか、余りにも独善的であり、公党を冒涜するも甚だしいと言わざるを得ません。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣続訓弘君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(続訓弘君) 角田議員の代表質問にお答え申し上げます。
 国会議員の地位利用収賄罪の処罰に関する法律案につきましてお尋ねがございました。
 政治腐敗の根絶は、私ども公明党の原点でございます。これに対し断固厳しく対応することは申し上げるまでもございません。
 政治が襟を正す意味でも、きちんと対応し、実効性ある内容にすべきであり、公明党がかつて皆様方と御一緒に提出した法案につきましても、さらに検討する必要があると考えます。早急に結論を出し、立法化できるよう、与党三党の政治浄化に関するプロジェクトチームでも協議中と伺っており、検討結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣相沢英之君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(相沢英之君) 金融再生法の改正についてのお尋ねでありますが、長銀の譲渡交渉におきまして何らかの二次ロス対策が必要不可欠と判断し、金融再生法の枠内でも可能なものとして、通常の売買契約にも適用される民商法上の瑕疵担保責任の法理を用いた瑕疵担保特約を設けたところであります。
 先ほども総理が述べられましたとおり、当時はできるだけ早期に長銀の譲渡を実現することが金融再生法のもとで我が国の金融の機能の安定と再生を図るためには最も必要であるとの認識のもとに譲渡交渉を行っていた最中であり、時間を要する可能性のある金融再生法の改正は、当時の状況としては現実的な選択肢とはなり得なかったことを御理解いただきたいと思うのでございます。
 それから、ロスシェアリングの考え方を私人間の契約である譲渡契約に盛り込めなかったのかとのお尋ねがございました。
 これも先ほど総理から御答弁がありましたとおりでありますが、当委員会としては、ロスシェアリングについては、住専法には明文の規定がございましたが、金融再生法に明文の規定がありませんでしたので、金融再生法上そうした契約を結ぶことは困難と考えたところでございます。(拍手)
   〔国務大臣津島雄二君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(津島雄二君) 角田議員の雪印乳業食中毒問題に関します御質問にお答えを申し上げます。
 まず、食中毒事故の情報開示と対策のあり方についてでありますが、食中毒事故の発生時におきましては正確な危害事実の把握に基づいて迅速な情報の提供が要請されるところでございます。
 今回の事故に当たりまして、厚生省といたしましては、大阪市保健所の回収命令発出とともに七月初旬に対策本部を設置して本件の処理に当たったところでございますが、回収命令が発出されました後、いち早く担当官を現地に派遣しております。
 一方、大阪市におきましては、六月二十九日に本事件の発生を公表しましたが、大阪工場の低脂肪乳は既に数十万本が市場に出回っており、大阪市が前日の二十八日時点で確認した三件の報告では、全体としての危険性について行政側としては結論が出せなかった難しいケースであったと理解をしております。
 なお、製造者側においても自己の製造管理に照らしてより迅速な対応ができなかったかも問題点として残りましょう。
 厚生省といたしましては、都道府県に対して今後とも迅速な対応を行うよう指導をしていくこととしております。
 次に、HACCPと関連をいたしまして、食品メーカーに対する監視、検査についてのお尋ねでありますが、事前通知をするか抜き打ちで実施するかについてはその目的により適切に判断するよう都道府県等を指導し、より効率的な監視、指導が行われるよう努めてまいりたいと存じます。
 次に、休廃業をいたしました契約販売店に対しては、農林水産省が雪印乳業に対し実態の把握や販売店の経営継続に必要な措置を講ずるよう強く指導していると承知いたしております。
 また、生乳の処理については、農林水産省の指導のもと、生産者団体と乳業メーカーの連携により、雪印乳業から他の乳業メーカーへの配乳変更が円滑に行われていると承知しております。
 厚生省としては、雪印乳業から他メーカーへ振りかえられた生乳の処理について、衛生管理の徹底を図るよう各都道府県等に対して監視、指導の強化を通知するなど、農林水産省とも連携をとりつつ飲用乳全体に対する消費者の信頼性確保のため努めてきたところでございます。
 最後に、雪印乳業の安全宣言までの手順でありますが、二十カ所の乳処理施設について直接厚生省担当官による現地調査を行い、その結果について専門家による評価をした上で安全性の確認をしているところであります。七月二十五日までに雪印乳業の十カ所の施設について現地調査及び専門家による評価が終了し、いずれの施設についても操業の再開に問題がないことが確認されたところであります。残り十カ所の施設につきましては、昨日までに現地調査を終了いたしましたので、本日及び明日の両日に開催される専門評価会議におきまして評価を行うこととしております。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(斎藤十朗君) 陣内孝雄君。
   〔陣内孝雄君登壇、拍手〕
#11
○陣内孝雄君 私は、森総理の所信表明演説に対し、自由民主党・保守党を代表して質問をいたします。
 質問の前に、伊豆諸島や有珠山の被災地の住民の方々に対し心からお見舞い申し上げます。
 まず、質問の初めに、つい一週間前に全世界が大きな期待を寄せる中で開かれた九州・沖縄サミットについて触れたいと存じます。
 恵まれた自然、豊かな伝統文化、明るい光があふれる中、多くの国の人々が訪れ交流する沖縄。そこは五十五年前、砲火が飛び交う海であり、焦土と化した島だったのであります。この沖縄の地は、二十世紀の光と影に深く思いをいたし、来世紀の平和と繁栄の誓いを全世界へ向け発信するに最もふさわしい場所であります。
 サミット沖縄開催の意義もまさにここにあり、議長として森総理は、小渕前総理の遺志を受け継がれ、国際平和貢献のための国連の改革を初め、地域紛争の予防、特に焦点の朝鮮半島に関し特別声明を出され、さらに人類ひとしく繁栄の恩恵を受けるため、その原動力となるIT推進の沖縄憲章等を実現されました。世界の安定や経済の繁栄に希望を与える大きな成果であります。
 また、主要国初め開発途上国の首脳や国際機関やNGO関係者等多くの人々の意見を聞かれ、重要課題の取りまとめに反映するよう努められました。サミットにアジアの声を反映させたい、沖縄を世界に発信することに成果を上げ得たこのたびのサミットは、二十五年のサミットの歴史の中で特筆すべきことであります。
 さらに、人間尊重の新世紀を方向づけるにふさわしく、感染症、薬物や地球温暖化防止対策等、心の安寧を図る諸課題の積極的な取り組みに内外の高い評価を得られました。福岡に始まり、宮崎、沖縄へと続いた九州・沖縄サミットを成功のうちに終えられたことにお喜び申し上げ、沖縄県民初め多くのサミット関係者の御尽力に深く感謝の意を表します。
 いよいよ二十一世紀の扉を開くときがやってきますが、国際情勢は依然、政治・軍事面で不安定な要素が多く、アジアの情勢や中東の和平にはいまだなお厳しい状況があります。また、IT革命の進展、加速するグローバル化の中で新たなひずみを生む懸念が増してまいります。
 サミットを主導された森総理として、まずサミットの意義、評価等改めて総括していただくとともに、それを踏まえつつ世界の中の日本のありようをいかに考えられるか、国家の目標と社会の進路をお聞かせください。
 国政に対し全国民の審判を問う総選挙が六月二十五日に実施され、新たな政治勢力地図が確定され、与党三党は絶対安定多数を上回る二百七十一議席を確保いたしました。
 今回の総選挙の最大の争点は、我が国の火急重大な課題、すなわち景気の回復、サミットの成功、教育改革等を責任を持って担う連立政権として、自公保の連立か、それとも民主党を中心とする野党連合か、どちらを選択するかでありました。
 与党三党は五月には基本政策を合意し、五つの不安、すなわち平和、福祉、教育、経済、治安の不安を解消し、新生日本の実現、東西文化を融合し、豊かで安全な日本をつくることを与党の統一公約として国民の信を問うたのであります。
 野党各党からは明確な政権構想が示されず、憲法観自体が水と油のように相入れず、責任を持って連立政権時代の国政を担うことのできないことが露呈された中での政権選択の選挙でありました。
 我が自民党の選挙結果については、都市部における議席減少等を重く謙虚に受けとめなければなりませんが、全般的に見ると、政権与党の中軸として、景気回復、危機管理初め、激動の事態に懸命に取り組んできた実績が国民に評価されたものと確信いたしております。
 したがって、森総理は、我が国の二十一世紀への展望を切り開くための日本新生、構造改革に果断に取り組み、総選挙で明らかになった国民の意思、要望を真摯に政策に反映し、国民の信頼をより大きなものにするよう最大限努めていかなければなりません。
 森総理御自身は、このような総選挙の結果をどのように受けとめ、今後の政治、政局運営に取り組まれるのか、御所見をお聞かせ願います。
 総選挙後は、圧倒的な支持の首班指名を得て再任され、本格政権、第二次森内閣をスタートして、差し迫った大課題でありましたサミットの議長の大任を果たされたことは、内外からの信頼をより高めたものとして大いに多とするところであります。
 サミットの重責を果たされた今日、総理が掲げられた日本新生プラン、さらに五つの新生に示された緊要な政策課題、諸改革をどのように迅速的確に実現されていくか、その御決意をお伺いいたします。
 与党においても、総選挙後、直ちに三党の党首間で連立政権協議を行い、総選挙において統一公約として示した基本政策を果敢に実行する決意を確認いたしました。なかんずく、野党の一部が選挙中、課税最低限の引き下げ等の増税の主張を行って国民に不安を与えたこと等を踏まえて、与党は、安易な増税に向かうのではなく、行財政改革が重要であるとの認識のもとに三党の幹事長、政調・政審会長を中心とする新たな改革推進機関を早急に設置することで合意し、目下、優先テーマを定めて取り組んでいます。
 景気の回復なくして財政の再建はあり得ません。財政再建は、景気が本格的に回復したことを確認した上で真剣に取り組むべき重要な課題であり、今の経済状況では二兎を追うべきではありません。まして、安易に増税を求めることはいまだ回復基調の弱い民間需要の足を引っ張ることは火を見るより明らかであります。
 増税論議をする前に、中央省庁の再編の中で、政府はまず公務員定数の削減、地方支分部局の統合、特殊法人の整理など行財政の改革、規制緩和を徹底して行うことを明確にし、税制については増税まずありきではなく、地方財源の確立も含め、税の体系、全体の見直しを行うことの必要性について明言すべきと存じます。
 総理は行財政改革の進め方、特に税制についてどのようにお考えか、明確にお答えいただきたいと存じます。
 我が国の景気動向は、総合的、効果的な景気対策によって三年ぶりにプラス成長に転換できました。情報関連産業が牽引役となり、企業収益の改善、設備投資の増加が進み、七月の月例経済報告において事実上の景気回復宣言ととらえる向きもあるようであります。他方、雇用情勢はなお厳しく、耳にする中小企業初め地方の声はまだ景気回復の実感が薄いようであり、政府は引き続き景気動向に細心の注意を注ぎ、適切な政策運営が重要だと考えます。
 それだけに、先般の大手百貨店そごうが破綻し、法的な自主再建となった事態の影響がどう出てくるか心配であります。一万社以上に上るそごうとの取引先が果たして大丈夫なのか、不良債権を多く抱えた企業への波及はどうか。今回のそごうの問題については株式市場でも不安材料となっております。ようやく上り調子になった景気の足を引っ張ることのないよう、政府に万全な対応が望まれます。
 このような状況のもとで、ゼロ金利政策の解除については、雇用、所得環境等を見きわめてとりわけ慎重に判断する必要があります。
 総理は、景気の現状をどう認識され、そごう問題がどう波及するのか、それを食いとめるための方策などにいかに対処されるのか、お考えをお示し願います。
 また、預金保険機構と新生銀行との瑕疵担保特約の妥当性やモラルハザードが問題になっていますが、このような特約は二年前に成立した金融再生法において二次損失の処理対策を想定していなかったためのやむを得ない妥当な措置であります。今後の対応としては、選択肢の一つとして金融再生法の改正も検討する必要があります。さらに、そごうの前会長の破綻を招いた経営の責任、私財提供やメーンバンクの融資責任等について今後徹底的に追及せねばなりません。
 今後、モラルハザードを招かないための対応、特にそごう等の経営者に対する徹底的な責任追及、金融再生法に二次損失対策を盛り込む等の見直し検討について、総理の所見をお伺いします。
 サミットでも要請がありましたが、景気を民需主導に切りかえて自律回復軌道に乗せることが森内閣の最優先課題であり、まだまだ手を緩めるわけにはいきません。そのためには、まず本年度の成長率の目標の一%を達成することであり、四月から六月のGDPの動きいかんによっては、秋に腰折れとならないようさらなる財政面の追加手当てが必要となります。十三年度は、その上で、本格的景気回復、二%台の成長を目指すことになりましょう。その場合、経済新生を図る各般にわたる構造改革を加速する政策を積極的に打ち出さねばなりません。
 そこで、公共事業の重要性について申し上げます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 地方偏重とかばらまきとかいろいろな指摘もありますが、公共投資本来の持つ重要な役割は、将来にわたる豊かな国民生活と活力あふれる経済社会活動を実現するために必要な社会的基盤の整備、すなわち生活構造改革への投資であることを認識し、その上で、雇用や需要創出の乗数効果が高く、景気下支えの効果も果たしていることをあわせて正しく評価すべきときだと考えます。
 我が国は、自然災害が多発し、しかも先進諸国に比して交通・運輸基盤などの社会資本整備が大幅に立ちおくれております。その整備水準の向上なくして将来の国際競争力を備えた持続的な経済新生は困難であります。
 また、社会資本の整備は、独自の豊かな地方分権社会を築き上げる受け皿整備のための地域課題として全国から熱望されている緊要な政策でもあります。そして、総理の目指される心豊かな美しい国家は、何よりも美しい国土基盤の上に形成されていくものと考えています。
 このような公共投資の重要な役割を踏まえつつ、その推進に当たって国民の不満のないように、都市と地方の共存共栄の観点に立って、コストの削減、透明性の向上、適正な事業評価の徹底を進めていかなければなりません。
 総理は、財政首脳会議で日本新生特別枠初め都市新生への重点的な予算配分等を目指して来年度の予算シーリングを検討されております。来年一月の中央省庁再編に先駆け、予算編成に向け、総理の政治指導力が高まることに大きな期待を寄せております。
 来年度の予算編成に向けて、具体的に従来のやり方をどのように変えようとされるのか、公共事業のあり方についてどのようにお考えなのか、総理の方針をお聞かせ願います。
 IT振興などを中心に、都市、高齢化、環境など、急ぐものは本年度の補正予算で検討されるお考えがあるのかどうか、大蔵大臣にお伺いします。
 総理は、また、産業新生会議、IT戦略会議を立て続けに設けられ、産業育成、規制緩和、IT推進法等、構造改革実行を主眼とした取り組みを始められているようであり、所信表明でこのような対策を強調されていることに意を強くいたしております。
 さらに、都市新生会議の構想も伝えられており、国民の七割が都市に住むと言われる今日、都市の人々が何を求めているのか、真剣に対策を考えるときであります。その際に、都市と地方を対立軸としてとらえるのではなく、都市と地方が経済、社会、文化、自然などあらゆる分野で共生していく中でこそ、資源節約的、環境保全的な二十一世紀型とも言うべき文明の創造を可能にし、ともどもに真に豊かな暮らしが成り立つという視点に立つ必要があります。
 構造政策、都市の新生等、いずれも一朝一夕で達成できるものではなく、目標を明確にし、アクションプログラムに沿って具体的に実行せねばなりません。
 その中で、情報技術を起爆剤として活用し、IT革命を加速させるよう創意ある取り組みが重要になってまいりました。
 先般、日米規制緩和協議の焦点となってきたNTTの回線接続料金引き下げ問題が決着し、IT時代へ大きな第一歩を踏み出しました。これを機に、新たなNTT改革がさらに必要となりましょう。そこで私は、改革の一環として放出する政府所有のNTT株を新たな財源として積極的に活用し、総理の言われる日本型IT社会実現のためにインパクトのある事業の支援に知恵を絞ることが重要であると考えます。
 例えば、インターネットの通信料金を速やかに全国一律・定額制で大幅に引き下げるための新社会資本の全国的緊急整備の展開と、IT革命の担い手を早急に育成するための技術習得、研修助成にこの新財源を充てることが考えられます。このような新しい思い切ったIT対策により若者や求職者に大きな希望を与え、未来性のある分野に挑戦するインセンティブにもなります。都市の情報発信機能を高め、都市の魅力を大きく増加できます。
 また、IT分野を中心に時代を先取りした構造改革の実現のために、専用回線敷設に伴う利用者負担の軽減など、民間の創意、活力を発揮するよう思い切った政策展開や規制緩和、法的整備も欠かせません。
 新たな産業革命と目されるIT革命の推進の具体的進め方についてお考えをお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、サミットの具体的な成果、今後の取り組みについて幾つか質問いたしたいと思います。
 IT憲章により世界経済、社会の新たな進展、可能性を切り開くためには、我が国の国内対策のみならず、国際的なルールづくりやデジタルディバイドの解消のための支援等、今後の具体的な取り組みに積極的に取り組まねばなりません。
 とりわけ我が国は百五十億ドルの拠出によりITの人材育成支援等を計画されていますが、資金援助だけでなく、さきに指摘したようにIT専門家を国内で計画的に養成して、技術協力のために派遣することも検討すべきであります。
 IT憲章を実効あらしめる取り組み、新たなルールづくり、技術協力等について総理に方針をお伺いいたします。
 また、南北朝鮮の歴史的な対話を歓迎し、一層の緊張緩和努力、ミサイル発射凍結の継続を要請する朝鮮半島に関する特別声明が、森総理のイニシアチブのもとでまとめられました。
 特にその中で、安全保障、不拡散、人道及び人権の諸問題をめぐる国際的な懸念に対して北朝鮮に建設的な対応を促したことは、拉致疑惑問題の解明を強く望む我が国の意向を適切に反映したものであります。
 問題は、今後の日朝交渉で拉致疑惑等、最大懸案問題に誠意ある姿勢、前進の兆しが見られるかどうかであります。米の追加支援を検討されているようでありますが、その辺の見きわめが肝心であります。
 先日、初の外相会談で八月二十一日から東京で日朝交渉を開くことを合意しましたが、日朝交渉への対処方針をお答え願います。
 クリントン大統領は、真っ先に沖縄の最後の激戦地、摩文仁の丘に平和の礎を訪れ、心こもった慰霊をされた後、一番大きな悲劇をこうむった沖縄の犠牲は二度と繰り返さぬ、沖縄における私たちの足跡を減らすため努力すると決意を強調され、感銘を受けました。
 日米首脳会談では、沖縄米軍基地の整理、縮小に努力することを確認し、クリントン大統領は、最近起きた米軍兵士の一連の不祥事に対し謝罪される等誠意を示され、日本と米国、特に沖縄県民との相互理解が深まったことは大変喜ばしいことであります。
 このような信頼関係を基礎に、今後は、普天間基地の移設を初めとする基地の整理、縮小について沖縄県の理解と協力を得つつ、米国と緊密な協議を積み重ねていかなければなりません。
 クリントン大統領との会談を受けて、普天間飛行場移設等基地問題や一年間延長された規制緩和協議について、どのような取り組みをされるのか、伺います。
 さらに、サミットや首脳会談を通じ、国連改革、米本土ミサイル防衛、WTO貿易交渉、遺伝子組みかえ食品の輸入規制の問題等、多くの重要課題について突っ込んだ協議やいろいろな応酬があったようであります。それを受けた今後の対応、特に長年の念願である日本の国連安保常任理事国入りへの取り組みやWTO交渉における我が国のスタンス、食料安全保障を踏まえた対応についてお聞かせ願います。
 また、プーチン・ロシア大統領の九月の訪日を控えた最近、北方領土の国境画定と切り離して平和条約を考えなければいけないという趣旨の自民党幹部の発言があります。これは、今まで積み上げてきた交渉から見て、大きな方針転換と受け取られかねません。総理はいかがお考えなのか、お聞かせ願います。
 教育の荒廃や青少年犯罪の凶悪化については、社会全体の変化の中でその原因を根源的に考えるときではないかと痛感しております。
 昭和三十年代に始まった高度成長時代の過程で過疎化、過密化に伴う地域社会の崩壊が始まり、その後の全国的な都市化と核家族化の進展は子供たちの安住の場を学校だけへと狭めていったのではないでしょうか。祖父母との関係が疎遠になり、父親が企業戦士となって父性の役割が希薄となった結果、しつけや情操教育が学校教育に大きくゆだねられる格好となっていったと思います。
 ところが、学校は受験戦争に巻き込まれ、知識偏重で、他人の痛みを感じ取る徳育教育が軽んじられ、一番大切なみずから考える力を養う場とならず、いじめや学級崩壊、不登校が増加してきたのではないでしょうか。
 他人を尊重しないひずんだ個の考え方の横行を今こそ正し、個人の尊重の重要さと同時に周囲の人々や地域コミュニティーという公のために役立つ倫理観と使命感を取り戻す教育改革が必要だと考えます。
 荒れる子供緊急対策として文部省は、親にマニュアルを示し、カウンセラーを増員し、子ども悩み一一〇番を設ける等いろいろ検討されておられるようで、それはそれで必要なことですが、情操教育、人間形成教育等についてこれから根本的に見直さねばなりません。それには、ボランティア活動への参加、水田など仕事現場での体験教育、ふるさとの歴史や文化の学習に地域の人材を教師として活用したり、地域社会でも教育や少年の健全育成に責任を分かつ仕組みをつくることが重要ではないでしょうか。
 教育改革国民会議の論議を踏まえて総理は教育改革にいかなる方針で臨まれるのか、所信表明で述べられている教育基本法の見直しについてどのようなお考えをお持ちか、例えば家庭や地域社会の責任、役割をどのように見直しに反映されるおつもりか、見解をお聞かせ願います。
 最近の少年犯罪の多発はまことにゆゆしき事態であります。特に、十四歳から十七歳までの少年は全人口の五%弱を占めますが、殺人等の凶悪犯罪事件の約一九%がこの年齢層の少年によって引き起こされております。
 このような想像を絶する少年犯罪に対処するには、自分の犯した罪を認識させることから更生が始まることを十分に踏まえ、罪を犯せば罰せられるという法規範をきちんと持たせ、犯罪抑止機能を強化せねばなりません。このため、少年法の基本理念を踏まえつつ、刑事処分年齢の特例の廃止を含む法改正を早急に行い、重大事件等には厳しい姿勢で臨み、処遇段階では被害者の悲しみや怒りに真摯に向き合ってもらう必要があると考えます。
 少年法の改正等について、総理の不退転の決意をお伺いしたいと存じます。
 他方、青少年の健全育成を図る対策の推進も必要であり、私ども参議院自由民主党では、青少年を有害な社会環境から守るための基本法の議員立法を準備いたしております。
 次に、社会保障改革についてであります。
 国民の将来に対するさまざまな不安の中で、少子高齢化を展望して、社会保障面に関する心配がとりわけ高いと思われます。年金問題、医療費負担の増加、介護保険の整備充実などの問題を国民の理解、納得を得つつ改革を進めていくには、個別に対応するその場しのぎの政策ではなく、社会保障の総合的な視点からの改革が必要であります。社会保障構造の在り方について考える有識者会議は、総合的な改革を目指したものと期待しております。
 総理は、この有識者会議での議論を踏まえて社会保障改革を進めるお考えと存じますが、財政事情が厳しさを増す状況だけに、特に財政の立て直しと社会保障改革のあり方をどのように認識され、全体的に推進されるお考えか、お伺いします。
 国民の意識も、社会保険方式が維持されつつ、応分の費用負担の必要性を理解する方向へ進みつつあるように見受けられます。基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一へ引き上げを前倒しして実施することについて要望がありますが、一方、高齢者医療の改革が先送りされたことについては、医療財政の圧迫を懸念する意見も出ております。国民すべてが納得する改革は容易ではありませんが、社会保障改革は二十一世紀の日本新生のためにもぜひ実現せねばなりません。総理のお心構えを伺います。
 最近は人の命や健康にかかわる医療や飲食物製造の事故が続き、国民に不安を与えています。業者や監督官庁の再発防止対策を強く要請します。
 締めくくりに当たり、ぜひ触れなければならない問題があります。
 発注工事の業者選定をめぐる汚職事件で、元建設大臣が逮捕、起訴されましたことは、国民の政治への信頼を失墜させるものとしてまことに遺憾であります。国会議員はあくまでも国民全体に対する奉仕者であって、特定の者を不当に利する行為を行ってはならないことは、議員個々人が守るべき政治倫理の要諦であります。しかしながら現実に起きるこのような不祥事の再発を防止し、政界を浄化することは極めて大切なことであります。このため、政治活動と政治資金のあり方等について徹底的に検討し、実効性ある法的な措置を国会で真剣に審議していかなければなりません。与党三党で目下プロジェクトチームを設け、成案を得るべく鋭意検討してまいります。
 また、先日の閣僚辞任につきましては、我々同僚議員として国民に対する責任を重く受けとめ、今後批判を招かないよう努めてまいります。
 今後、秋に予定される臨時国会においては、社会不安をなくすための少年法、警察法の改正や、国民の生活に密接に関連する健康保険法の改正等重要な案件がメジロ押しであります。議員みずからの姿勢を正し、総選挙を通じて明らかになった国民の要望等を政策に反映するよう政府・与党一体となって取り組み、連立政権の実績を積み上げるべく最大限努力していかねばなりません。
 このような中で、我々参議院の与党は過半数を上回ることわずかという現実を踏まえ、常に緊密な連携のもと、気を引き締めて森内閣を支えていきます。総理は、日本新生に向け、信ずるところ、英断を持って強い指導力を発揮されるよう、御決意を伺って、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(森喜朗君) サミットの意義と評価につきましてお尋ねをいただきましたが、小渕前総理の万感の思いを込めて決定をされました九州・沖縄サミットでは、二十一世紀において一層の繁栄、心の安寧、世界の安定を実現するために何をなすべきかにつき、活発で実り多い議論が得られました。その結果、G8コミュニケ、沖縄IT憲章、朝鮮半島情勢に関する声明などが採択され、沖縄の地から二十一世紀に向けた明るく力強い平和へのメッセージを発信することができ、極めて有意義なサミットであったと考えております。
 国家の目標と社会の進路についてお尋ねがありました。
 我が国は、さきの大戦以来、平和主義を掲げ、驚異的な経済成長をなし遂げ、豊かな国民生活を実現してまいりました。しかし、国際化や情報化の進展により、これまでの体制の中には時代の求めにこたえられない面が目立つようになってまいりました。直面する課題に果敢に取り組むとともに、世界の平和と繁栄に積極的に貢献することにより、平和国家としての信頼を堅持し、経済、科学技術の面で世界の中核的役割を果たし、そして国民が心豊かに生きる、そういう国をつくっていかなければなりません。
 私は、二十一世紀の日本が、安心して夢を持って暮らせる国家、心の豊かな美しい国家、世界から信頼される国家となるよう目指してまいりたいと考えております。
 さきの総選挙の結果と今後の政治運営についてのお尋ねがありました。
 このたびの総選挙では、自公保三党は政権の枠組みを明示して選挙に臨み、景気回復、サミットの成功、そして日本新生に向けた構造改革の必要性を国民の皆さんに訴えました。その結果、与党三党で絶対安定過半数の議席を得ることができ、国民の皆様から連立政権に対する信任をいただいたものと受けとめております。しかし一方で、国民の皆様の厳しい評価があるのも事実であり、これに謙虚に耳を傾け、その要請にこたえてまいりたいと思います。
 私の目指す日本新生は、我が国経済社会全体の構造改革であります。新生日本の建設にはさまざまな困難や痛みを伴いますが、私は、国民とともに歩み、国民から信頼される政府を信条として、解決を先送りせずに課題に取り組み、答えを出していくことで国民の皆様の負託にこたえていく覚悟であります。
 日本新生の実現に向けた取り組み姿勢についての御質問がありました。
 私の目指す日本新生は、我が国経済社会全体の構造改革であり、その取り組みに当たっては、これまでの仕組みや慣行を根本から見直していくこと、痛みを伴う改革であっても大胆に実施すること、情報通信技術の革新などにおくれないようスピード感を持って対応することが大切であると考えております。
 今般、社会保障と教育改革の有識者会議に加え、新たに産業新生会議とIT戦略会議を設け、活発な御議論をいただいているところでありますが、私は、有識者会議などにより国民の英知を結集するとともに、政策の実現には政治の強力なリーダーシップが必要であると考えております。現内閣は、二十一世紀への確固たる展望を持てるよう準備する使命を与えられております。私みずからリーダーシップを発揮するとともに、内閣一丸となって二十一世紀の日本新生に向けて全力で取り組んでいく決意であります。
 行政改革に関するお尋ねがありました。
 行政改革は、日本新生の実現のためにも、必ずやなし遂げなければならない最重要課題の一つであると認識をいたしております。
 国家公務員の定員につきましては、さきに閣議決定をされました新たな定員削減計画に沿って、十年二五%削減の目標のもと、定員削減を着実に実施してまいります。
 地方支分部局については、昨年閣議決定されました国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画に基づき整理合理化を進めているところでありまして、今後、引き続き検討を行うことといたしております。
 特殊法人につきましては、従来、累次の閣議決定等に基づき整理合理化を進めてきているところであり、今後ともその不断の見直しを行うことといたしております。
 いずれにいたしましても、私としては今後さらなる行政改革に政府・与党一丸となって果断に取り組んでまいる所存であります。
 今後の税制のあり方についてお尋ねがありました。
 税制については、これまでも少子高齢化の進展や国際化などの経済社会の構造変化等に対応して、税制全般にわたる見直しを進めてきたところであります。
 今後の税制のあり方については、公平、中立、簡素といった租税の基本原則等に基づきながら、今後の少子高齢化の進展など経済社会の構造変化や国、地方の財政状況等を踏まえ、国民的な議論によって検討されるべき課題でありますが、いずれにしても、歳出面のむだはないか等について十分見直しを行うなど、国民の理解を得ることなしに増税を行うことは適切でないと考えております。
 景気の現状とそごう問題に対するお尋ねでありましたが、我が国経済は、厳しい状況をなお脱しておりませんが、緩やかな改善が続いております。各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響に加え、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが徐々に強まっております。
 一方、我が国経済はバブル期に起因するいわゆる過剰債務等の課題を克服しながら本格的な回復軌道に乗せていく中途過程にあり、さまざまなリスクを注視しながら経済運営を進めていかなければならないと考えております。
 また、そごうの関連企業への影響を最小限にとどめることは極めて重要であり、関連中小企業に対する融資や信用保証等に関する特別の措置や雇用面への影響を軽減するために措置を講じたところであります。
 今後とも、こうした問題に最大限の注意を払い適切に対応しつつ、我が国経済を一刻も早く自律的回復軌道に乗せていくよう全力を尽くしてまいります。
 そごう等の経営者責任と金融再生法の見直し問題についてのお尋ねでありますが、まず、そごう等については、その自主的な経営判断により民事再生法の適用申請等が行われたところであり、今後、こうした法的処理の枠組みの中で経営者の責任も明らかにされるものと考えております。
 企業の再建はあくまでも自己責任が原則であり、公的資金を用いた破綻処理の過程で債権放棄は安易に認められるべきではないとの認識のもと、関係各方面や国民に十分な説明をしつつ、適切な対応を図っていかなければならないと考えております。
 また、金融再生法の見直し問題については、現在、与党において検討を進めているものと承知しており、まずは連立与党の中で十分な御議論が行われるものと考えております。
 十三年度予算編成についてのお尋ねがありました。
 十三年度予算編成につきましては、景気を本格的な回復軌道に乗せるとの考え方を維持しつつ、省庁ごとの縦割りが優先する予算配分がもたらす財政の硬直化を打破し、財政の効率化と質的改善を図るため、財政首脳会議を発足させ、私みずからリーダーシップを発揮する新しい方法で行うことといたしております。
 具体的には、新たに総額七千億円の日本新生特別枠を創設し、私みずからが優先度の仕分けを行い、日本新生プランの実現に資する施策を推進することといたしております。さらに、この特別枠の枠内にとどまらず、公共事業全体を抜本的に見直す工夫をいたしております。さらには、省庁統合等による施策の合理化と効率化の効果を予算面でも実行すべく取り組んでまいります。
 公共事業のあり方についてのお尋ねでありましたが、社会資本の改善は豊かな生活や活力ある経済社会の基盤となるものであり、今後ともその着実な整備が重要であると考えております。また、これまでの経済対策においても公共投資は有効な下支え効果を発揮してきたと認識いたしております。
 その推進に当たっては、新規採択時の評価や実施中の事業についての再評価を実施し、その結果に応じ、事業の中止、休止等を行うとともに、事後評価の試行にも着手したところであります。さらには、評価結果等の国民への公表や公共工事のコスト縮減を実施してきているところでありますが、今後とも事業評価制度の確立など公共事業の透明性、効率性の確保により一層の努力を傾注してまいります。
 IT革命の推進の進め方についてのお尋ねでありますが、IT革命は新生経済の起爆剤であるとともに、社会生活そのものを大きく、しかも短期的に変えるものと考えております。IT革命の恩恵を子供からお年寄りまで享受できるような日本型IT社会を実現するため、IT戦略会議での御議論を踏まえつつ、私自身がリーダーシップを発揮し、変革への果敢な挑戦とそのスピードを大切にして取り組んでまいります。
 具体的には、実施スケジュールを明確にした日本独自のIT国家戦略の策定、電子商取引促進のための規制改革、電子政府の推進等に内閣を挙げて取り組み、成案が得られたものから逐次実現してまいります。
 IT憲章では、ITの利益を全世界的に広めるための取り組みとして、G8の作業部会を設立することといたしました。我が国は議長国としてこの過程に積極的にかかわってまいりましたが、今後は、作業部会への参画を通じ、途上国への具体的な取り組み策を探求したいと思います。また、我が国は国際的なデジタルディバイド解消のため包括的協力策を発表したところであり、今後、技術協力を含む途上国支援にも努めていく所存であります。
 ITに関するルールづくりにつきましては、これまでもOECDやWTO等の諸国際機関においてさまざまな取り組みがなされてきておりまして、我が国としても、今後ともこれらの活動に積極的に取り組む考えであります。
 日朝交渉についてのお尋ねでありますが、先月二十六日、史上初の日朝外相会談が行われ、その結果、八月下旬に国交正常化交渉本会談を開催することとなりました。政府としては、韓米と緊密に連携しつつ、北東アジアの平和と安定に資する形で第二次大戦後の不正常な関係を正すよう努めるとの方針のもと、国交正常化交渉に粘り強く取り組んでいく考えです。同時に、議員御指摘の問題も含め、日朝間の諸懸案の解決に向けて全力を傾ける考えであります。
 先般の日米首脳会談を受けた今後の取り組みについてのお尋ねでありましたが、米軍施設・区域が集中することによる沖縄の問題につきましては、日米首脳会談で一致したとおり、引き続き日米間で協力し、SACO最終報告の着実な実施に取り組み、沖縄県民の方々の御負担の軽減に努めてまいります。さらに、普天間飛行場の移設につきましては、私からクリントン大統領に申し上げましたとおり、今後、米国と協力しつつ基本計画の策定を進めてまいります。
 また、規制緩和につきましては、私からクリントン大統領に対し、日米間で行われている規制緩和対話を一年継続することに同意する旨お伝えしたところであります。いずれにせよ、所信表明演説で申し上げましたとおり、私は国際的に開かれ、自己責任原則と市場原理に立つ、自由で公正な経済社会への変革を目指して規制改革を引き続き推進してまいります。
 安保理改革についてのお尋ねでありますが、サミットコミュニケにおいて安保理を含む国連改革が不可欠であることにつきG8として初めて共通の認識を示せたことは、改革の機運を高めたい上で大きな成果であったと考えます。今後は、国連ミレニアム・サミット及びミレニアム総会を契機として安保理改革の議論が前進するよう一層の努力を行う考えであります。
 WTO交渉に関するお尋ねでありますが、我が国としては、多角的貿易体制の強化のため、すべての加盟国の幅広い関心にこたえ得る新ラウンドを年内にも立ち上げるべく、他のWTO加盟国とともに協力を強化していく考えであります。また、我が国は、農業の多面的機能や食糧安全保障の重要性への配慮等を積極的に主張してまいりたいと考えております。
 日ロ平和条約交渉についてのお尋ねでありますが、沖縄でのプーチン大統領との会談では、九月の大統領の訪日の際に、平和条約問題を含め、両国関係全体について率直かつ信頼関係に基づいた議論を行うことで一致いたしました。問題は容易なものではありませんが、北方領土問題を解決して平和条約を締結するという一貫した方針のもとで全力を尽くしていく考えであります。
 教育改革についてのお尋ねでありますが、私は、命を大切にし、他人を思いやる心など、創造性豊かな立派な人間をはぐくむ教育を推進することが心豊かで美しい国家の礎になると考えており、体育、徳育、知育のバランスのとれた全人教育を重視すべきだと考えております。
 また、教育基本法については、制定以来半世紀を経ており、抜本的に見直す必要があると考えております。
 今後、教育改革国民会議において、例えば我が国の文化や伝統を尊重する気持ちを養う観点や生涯学習時代を迎える観点、あるいは教育において家庭や地域が果たすべき役割といった観点を初め、さまざまな観点から幅広く議論を深めていただきたいと考えております。
 深刻化する少年犯罪に対処するためには犯罪抑止機能を強化しなければならないとの御意見を述べられた上で、少年法改正に関しての御質問をいただきました。
 この問題については、衆議院法務委員会においても、年齢問題、少年に関する処遇のあり方等を含め、立法措置を含む広い視野から真剣な検討をすべきとの決議がなされているところであり、この決議を真摯に受けとめ、種々の御意見を踏まえつつ、少年法のあり方について、重要な課題として早急に検討してまいりたいと考えております。
 財政の立て直しと社会保障改革についてのお尋ねがありました。
 財政について、その効率化と質的改善が必要なことは言うまでもありません。また、社会保障については、国民の新たなニーズにも的確に対応しつつ、経済と調和がとれ、将来世代の負担が過重なものとならないよう、制度の効率化、合理化を進めることが必要であります。
 このために、さきに設置されました社会保障構造の在り方について考える有識者会議の議論も踏まえ、実際に費用を負担し給付を受ける国民の立場に立って、医療、介護、年金などの社会保障全般について横断的、総合的な観点から見直しを図ってまいりたいと考えております。
 社会保障改革に向けての心構えについてのお尋ねもありましたが、我が国の将来に対する不安を解消するためには、国民生活のセーフティーネットである社会保障を再構築し、国民の信頼を揺るぎないものとすることをぜひとも実現しなければならない課題であると考えております。
 最後に、今後の政治運営の決意についてお尋ねがありました。
 陣内議員の御指摘のとおり、国民生活に密接に関連する課題が数多くある中で、国会議員みずからの姿勢を正し、国民の要望を政策に反映するよう、政府・与党一体となって取り組み、実績を上げていくことが不可欠であります。
 私といたしましても、強いリーダーシップを発揮し、全力を挙げて日本新生に向けて取り組んでいく決意でありますので、引き続き御協力をお願い申し上げる次第でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(宮澤喜一君) ITの振興、環境、高齢化あるいは都市基盤整備等々の分野についての予算化について御質問でございましたが、御指摘の御趣旨は基本的に私も賛成でございます。
 先般、公共事業等予備費の配分をいたしたところでございますが、その中で、ただいまおっしゃいました分野に属します情報通信基盤の整備、環境、公共空間等のバリアフリー化、社会保障、教育研究基盤の整備、都市機能の向上等々の経費がほぼ二千億円でございます。全体五千億円でございますが、災害を除きましてほとんど配分をいたしましたので、その中で二千億円を御指摘のような分野に配分をいたしました。
 また、十三年度の予算編成につきましてはただいま検討をいたしておりますが、先ほど総理の言われました公共、非公共を通じての総額七千億円の日本新生特別枠につきましては、先ほどお話しの四分野を中心に、人材育成、福祉・介護分野、科学技術、新産業創造等々、二十一世紀における我が国経済社会の新生に特に資する分野に特段の予算配分をこの枠の中で行いたいと考えております。
 そこで、御指摘の補正予算でございますが、四―六月期のQEなど、今後の経済の推移をよく見て考えたいと思っておりますけれども、仮に補正予算の編成を考えます場合には、御指摘のような二十一世紀を展望した事項に重点を置いてやってまいりたいと考えております。(拍手)
#14
○副議長(菅野久光君) これにて午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ─────・─────
   午後一時十六分開議
#15
○議長(斎藤十朗君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。浜四津敏子君。
   〔浜四津敏子君登壇、拍手〕
#16
○浜四津敏子君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました森総理の九州・沖縄サミットの報告及び所信演説を中心に質問をいたします。
 初めに、今も連日激しい地震に見舞われ、深刻な被害を受けておられる伊豆諸島の皆様に心からのお見舞いとお悔やみを申し上げます。また、北海道有珠山噴火で被災され、御苦労しておられる皆様に重ねてお見舞い申し上げます。
 私どもは、連立与党が連携して、公共事業等予備費による災害復旧等の被災地復興や、公明党としても街頭募金等被災者支援に総力を挙げてまいりましたが、総理にも万全の対策をとられるよう改めて要請いたします。
 去る七月二十三日、九州・沖縄サミットが無事成功裏に終了いたしました。二〇〇〇年という歴史の節目に開かれた今回のサミットは、G8の首脳が一堂に会して、戦争と暴力の二十世紀を締めくくり、平和と繁栄の二十一世紀を切り開くという深い意義の込められたサミットでありました。
 何よりも、今回のサミットが沖縄の地で開かれたことに大きな意義があったと思います。
 沖縄は、さきの大戦で多くのとうとい命が犠牲となった最大の激戦地でありました。戦後も基地の島として現在に至りました。しかし、沖縄ははるか昔から最も平和と文化を大事にしてきた地として知られてまいりました。それは、例えばイチャリバチョーデー、行き会えば皆兄弟、チムグリサ、人の痛みに我が胸が痛む、ヌチドゥタカラ、命こそ宝などの言葉にあらわされる開かれた温かい心がつくり出してきた歴史でした。
 サミット開催に当たりクリントン大統領は、糸満市の平和の礎を訪れ、スピーチをされましたが、この平和の礎には、日本人戦没者だけでなく、一万数千人に上る米軍兵士の戦死者の名前も刻まれています。凄惨な地上戦で沖縄自身二十三万人もの犠牲者を出したにもかかわらず、かつての敵国の兵士の死をも悼み、これほど多くの名を刻んだ碑は世界でも例を見ないと言われております。そこには、被害者としての恨みや憎しみを残し、伝えようとするのではなく、戦争そのものを憎み、平和を築こうとの強い思いがあります。こうした沖縄の人々の心と思いが世界へ向けての何よりの平和のメッセージとなったのではないでしょうか。
 さまざまな形でサミット成功に努力してくださった沖縄県民の皆様に感謝申し上げ、また、深い思いで沖縄サミットを決断された故小渕前総理、そして議長としての大任を果たされた森総理に敬意を表するとともに、この沖縄からの平和のメッセージを今後どのように具体化されるのか、総理の御決意を伺います。(拍手)
 次に、二十一世紀の繁栄のかぎと言われるIT革命について伺います。
 インターネット普及率は、日本は世界で十三番目でかなりおくれをとっておりますが、それでも利用者は今や二千七百万人に上っています。近いうちにインターネットの操作は電話と同じように簡単になり、子供たちから高齢者まで幅広く急激に普及すると予測されています。必要な情報や各種サービスが家にいて手に入り、また品物を買うことができるなど、生活者の立場からも非常に有益で便利な反面、多くの課題もあります。
 昨年、インターネットで毒物を購入し自殺を図る事件が起きました。インターネットで遊んでいた小学生が突然画面にあらわれた過激なポルノ画面にショックを受けたとの報告もありました。また、少年事件の実名報道や写真掲載は禁止されていますが、インターネットにはその日のうちに実名と顔写真が載り、あっという間に全国に知れ渡ります。間違った情報や名誉毀損、プライバシー侵害の情報流出やソフトウエアの違法コピーなどの著作権侵害の問題も起きており、今後さらにふえるものと危惧されています。
 情報化社会の安全性と信頼性の確保及び権利保護、子供の健全育成などの面から早急な対応と法整備が求められます。こうした課題にどのように取り組まれるのか、お尋ねします。
 さらに、情報格差の拡大は、国と国のみならず、人と人との間に埋めがたい不平等、不公平をもたらします。その解消のためには、学校のインターネット接続の拡大や社会人教育などIT対応型の教育推進を並行して行うことが必要と考えますが、御見解を伺います。
 アメリカでは、IT革命の成功が現在までの九年連続の景気拡大をもたらし、その結果、国の経常赤字は黒字に転換したと言われています。しかし、忘れてならないのは、単にIT革命の成功だけでなく、それとともに徹底した規制緩和と構造改革をなし遂げたことがアメリカの好景気を生み、財政赤字を解決した点であります。大手術のような厳しい構造改革を断行して初めて経済社会全体の活力を回復した例は、アメリカだけでなく、かつてのイギリスを初め多くの欧州の国々でも経験したところであります。
 日本経済は危機的状況を脱したものの、まだ安定的回復に至っておらず、ここ一、二年が分水嶺とも言われております。すべての分野の改革の速度を速めなければなりません。改革の道筋をタイムスケジュールで明示すべき段階に入っております。諸外国の先例に学び、経済構造改革、社会保障改革、公共事業改革、行財政改革などを引くことなくなし遂げる勇気と決断を今政治は持たねばならないと思います。そうすることによって初めて、日本病を克服することができ、多くの国民が抱える将来への不安を払拭し、国内外からの信頼を得ることができるものと確信いたします。そして、それが今このときに政治に携わる者すべての責任であると思います。
 森総理、私たち公明党は、この改革を断固やり抜いて日本を再生させるとの思いを共通にする限り、しっかり支えるつもりでおりますが、ぜひ総理の改革への決意を再確認させていただきたく、お伺いいたします。
 また、規制緩和についてですが、情報通信、医療・福祉分野を中心に経済的規制は早期に原則撤廃すべきであります。それによりコストが高い日本社会の構造が変わり、国民生活にもプラスとなり、生産性も高めることができることになります。さらに、官から民への思い切った構造改革として、行政サービスの民間委託、PFIの推進に加え、今回、与党三党で大方の同意を見た特殊法人を五年後に原則全廃することにも踏み込むことが必要であります。お考えを伺います。
 さらに、中央から地方への構造改革もスピードを加速しなければなりません。公共事業のうち、国の補助事業については段階的に廃止し、財源も地方に移譲して地方単独事業とすべきであります。また、深刻な地方財政の再建のためには、徹底した歳出削減とともに、地方交付税の抜本的見直し及び地方自治体の合併、再編も急務です。これらの点につき総理の御見解を伺います。
 また、公共事業のむだをなくすための行政評価制度が来年一月から実施されます。これをより実効性あるものとするために、公明党は行政評価法の制定を強く主張してまいりました。総務庁長官に再度その見通しと決意をお伺いいたします。
 国民の最大の関心事の一つである財政再建は、これら構造改革と密接不可分の問題であり、すべての改革をなし遂げることによって必ず道が開けてまいります。短期間のうちに構造改革ができれば、景気も潜在成長力である二%達成が可能との試算があります。この成長率二%達成が一つの指標となりましょう。
 そこで、公明党は、財政再建のタイムスケジュールを次のように考えております。構造改革を図りつつ、二〇〇一年までに安定的な景気回復を図り、二〇〇二年の通常国会で財政構造改革基本法を制定し、二〇〇三年から本格的にスタートするというものであります。
 本格的景気回復と財政再建の道筋について、総理にお考えを伺います。
 続いて、社会保障改革についてお尋ねします。
 医療、年金、介護について一番多く寄せられる声は、これから先国民はどれだけ負担して、どれだけのサービスが受けられるのか、それがわからないので不安だという御意見です。全くそのとおりで、恐らくほとんどの人が同じ不安を持っておられることと思います。
 医療、年金、介護、それぞれが縦割りでばらばらの制度でなく、社会保障全体のトータルのシステムとして、その将来像、全体像を明確な責任ある青写真として国民に示し、不安を安心に変えることが今日の政治に課せられております。
 公明党は、一案として社会保障基金機構の創設を提案しています。これは一言で言うと、ばらばらの各保険制度を一元化して、国民負担も軽減しようとするものであります。
 ともあれ、政府は、早急に政府一体となってトータルの社会保障の将来像、全体像を示すべきと考えますが、総理の御意見をお伺いいたします。
 次に、あっせん利得罪の法制化についてお伺いします。
 受託収賄の疑いで元建設大臣が逮捕されるなど、政治家の不祥事が後を絶たないことは言語道断で、まことに義憤やる方ない思いであります。こうした汚職事件が起きる背景には、口ききの見返りに報酬を求めるのは当然という癒着構造がいまだにあります。
 公明党は、クリーンな政治実現を目指し、政治家個人への企業・団体献金の禁止など政界浄化に総力で取り組んできましたが、さらに政治腐敗の温床であるこのような利益誘導型の政治を根絶するため、口ききの見返りに利益を得ることを禁止するあっせん利得罪の法制化を急ぐべきであると考えています。
 公明党は、現在、昨年五月に野党共同提案で提出した法律案を参考にしながら、さらに実効性のある内容とするための検討を急いでおり、新たに設置された与党プロジェクトチームにおいても精力的に協議を進めているところであります。
 森総理はあっせん利得罪法制化についてどのようにお考えか、お聞かせください。
 次に、教育改革について伺います。
 総理の私的諮問機関である教育改革国民会議に教育現場から委員として参加しておられる中学校教師の河上亮一氏は、新聞のインタビューに答えてこう語っておられます。子供は非常にひ弱で、わがままで、頑固になり、社会的自立が難しい子が出てきている、決定的な問題は大人になる力をつけないで卒業していくこと、身の回りのことができず、つらいことがあると参ってしまう、そして傷つきやすい、社会的自立の困難な子供たちが大量に世に出ていることが一番の問題だと言われました。
 日本の家庭と地域社会と学校のいずこにも子供を育てる基軸がなくなっているということです。まずは、自立できる力、力強く生きる力、善悪を自分で判断する力を身につけさせるにはどうしたらよいかが改革のポイントになりましょう。
 兵庫県の全中学校では九八年から職業体験学習が実施されています。トライやる・ウイークと呼ばれています。それは、中学二年生に一週間にわたり地元の協力を得て、希望する職業体験やボランティア活動を経験させるものです。生徒たちは、スーパー、町工場、レストラン、建築現場、福祉施設、警察、病院などで生き生きと働いたそうであります。その結果、それまで不登校がちであった生徒の実に七割以上が学校に再び登校する意欲を見せ始めたとのことであります。
 全国各地でこうした真剣な試みがなされていますが、奉仕活動や職業体験、そして地域の人たちとの触れ合いの中から、子供たちは教室での勉強からは得られない大切なものを学び取っているようです。それぞれの地元に合った取り組みを後押しするため、総合学習の拡大とカリキュラムの自由化を進めるべきと考えます。文部大臣の御意見を伺います。
 次に、教育基本法改正について伺います。
 現在の教育の荒廃をもたらした原因をどう考えるかにより、教育基本法改正の視点が異なってまいります。
 日本は敗戦という未曾有の体験を経て、それまでの封建的道徳を捨て民主主義社会へとシステムを変えましたが、それとともに人間として当たり前のモラルをも捨ててしまったように見えます。
 戦後五十年もの間、我が国は子供たちに善悪の判断の基準となるモラル教育を怠ってきました。これほどの長い年月、モラル教育をしなかった国は例を見ないとまで言われています。そして、ひたすら経済大国目指して汗を流し、競争に明け暮れ、いつの間にか、物は豊かでも人を思いやることさえできない自分中心の心の貧しさ、子供たちの心の荒廃、文化の荒廃、目を覆うばかりの社会の腐敗を生み出しました。モラルなき国となった姿であります。
 本来の個人主義は、良心の裏づけと責任と当たり前のモラルを伴ってこそ成立するものでありますが、それが良心も責任もモラルもなき利己主義と混同され、誤解されてきた結果であります。
 今私たちに必要なのは、当然のことながら、かつての封建的道徳の復活ではなく、真の意味での人間教育によるモラルの確立であり、人間性の回復であると思います。したがって、初めに教育基本法改正ありきではなく、この原点に立った議論をすべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 戦後、ひたすら目指してきた経済大国の目標を達成した後、日本は次なる目標を喪失したままこの二十年間漂流してきたと言われます。そして、実はそれこそが日本病の病根であると言う人もいます。この国を希望あふれ、明るくするものは何かを考えると、それは真に誇りの持てる次なる国家目標であると私は思います。そして、その目標とは平和と共生に貢献する日本であると考えます。あるいは人間主義国家日本、人道国家日本と言いかえることもできましょう。
 人に人格という格があるように国にも格があります。知識や富や地位だけで人格者とは言わないように、高い精神性を持たない国は、いかに経済・技術大国となっても国際的な尊敬と信頼を得ることはできないでしょう。
 時代が、戦争から平和へ、暴力から対話へ、競争から共生へと流れを変えつつある中で、日本はその先頭に立って、世界に貢献すべき国、またそれができる国であると私は思います。
 それは、もちろん経済を否定する意味ではありません。むしろ経済そのものも、自社の利益のみを追求していく時代は終わろうとしています。経済も社会貢献や環境保護、世界への貢献を模索し始め、また、これからはそういう企業が生き残ると言われております。
 紆余曲折があったとしても、根本にしっかりこの目標を据え、世界の平和と人類の繁栄、幸福、共生に貢献する日本を目指して進むとき、初めて私たちは日本人であることに誇りを持つことができるのではないでしょうか。いい社会にしよう、人間らしい社会にしようとの思いが少しずつでも広がっていけば、やがて大きな流れとなり、国の姿を変えていくと確信いたします。
 政治こそがまずその一歩を踏み出そうではありませんか。そして、その精神を体現した政治は、必ず多くの人々の信頼を得るところとなり、世界の人々に対しても説得力を持つことになりましょう。それがこの国の未来に明るい希望と活力をもたらすことになると私は確信いたします。
 このことは、総理が掲げられた新生日本と同じ方向を向いているものと考えておりますが、二十一世紀の日本の目標についての総理のお考えを伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(森喜朗君) 有珠山、伊豆諸島の災害についてのお尋ねがございました。
 まず、有珠山の災害につきましては、私自身、神崎代表、扇党首とともに現地を視察いたしまして、被災者の方々や地元自治体の方々から御意見や御要望をお聞きしたところでございます。
 政府としましては、これまで、公共事業等予備費を活用し、早期の災害復旧に努めるとともに、被災者の皆様の生活再建等も講じてきたところであります。今後、地元自治体がまとめられる復興計画について、国としてできる限りの支援をしてまいりたいと思います。
 伊豆諸島の災害につきましては、引き続き監視活動を注意深く続け、住民の方々の安全確保に万全を期するとともに、速やかな復旧・復興に向けて、地元自治体と密接に連携を図りながら、政府を挙げて全力で取り組んでまいります。
 サミットにおける平和のメッセージについてお尋ねがありました。
 小渕前総理が万感の思いを込めてその開催を決定された九州・沖縄サミットにおいては、すべての人々がより一層の繁栄を享受し、より深い心の安寧を得、より安定した世界に生きられるよう、我々は何をなすべきかを議論いたしました。そして、議員御指摘のとおり、沖縄の地から明るく力強い平和へのメッセージを出すことができました。
 私といたしましても、このようなメッセージを出した議長として、平和を願う沖縄を含む全世界の方々の期待にこたえるべく、世界の平和と安定の実現を目指し、紛争の予防のための包括的取り組みを行い、軍縮、不拡散の努力を一層強化するなど、引き続き最大限の努力を行う考えでございます。
 なお、浜四津議員からお話がございましたように、クリントン大統領が平和の礎の行事に参加をされて、その後、会議場の万国津梁館にお入りになりました。そして、シラク大統領を初め我々首脳としばらくの間立ち話でございましたが懇談をいたしました。そのときクリントン大統領は大変感激的な面持ちで、知事さんを初め地元の女子高校生のお話やらあるいは遺族会の代表の皆さんのお話を聞いてこられたままを皆さんに話しておられました。そのときのクリントン大統領の目は本当に心なしか潤んでおられました。そして、G8の首脳国のみんなが、戦争がいかに無意味なものであって、二十一世紀は本当に戦争をなくする、そういう時代にしなければいけないねということをみんなで語り合っていました。
 私は、クリントン大統領が沖縄の地理を踏まえてそうしたお話を各首脳にされていること、またG8首脳国の皆さんがそういうお話をされていること、その状況をそばにおりながら、改めて小渕さんが沖縄で、そして日本の国民が沖縄でこのサミットを開いた意義というものを改めてそこで、私は本当に感激的な場面に遭遇いたしました。改めて沖縄のこのサミットが本当にそういう意味で日本の歴史の上において大きな役割を果たし得たのではないかということを御報告申し上げておきたいと思います。(拍手)
 情報化社会の安全性と信頼性の確保等についてのお尋ねでありますが、日本型IT社会の実現のため内閣を挙げてIT革命の推進に取り組んでおり、御指摘の情報化社会の安全性や信頼性の確保等の課題はIT関連施策の中でも重要なものと認識をしております。
 これまでも、不正アクセス行為の禁止等に関する法律の制定、インターネット接続事業者のガイドラインによる自主規制の促進、違法、有害な情報からの青少年を保護するための新たな技術に関する研究開発等の施策を行ってきておりますが、引き続き、個人情報保護対策、情報セキュリティー対策等の課題について私が本部長を務めるIT戦略本部を中心として取り組んでまいります。
 情報格差の解消についてのお尋ねでありますが、そのためには、コンピューター、インターネット等の普及、情報通信インフラの整備なども含め、さまざまな取り組みとともに、ITに対応した教育の推進が重要であることは御指摘のとおりであります。
 このため、ミレニアムプロジェクトにより、平成十三年度までにすべての公立小中高等学校等がインターネットに接続できるようにすることとしているほか、学校へのコンピューター整備や教員の研修を進めてまいります。
 また、社会人については、生涯学習の観点から、各種施設において情報化に対応した学習機会の充実に努めているところであります。
 今後とも、児童生徒、社会人を対象として教育の情報化を推進し、情報格差の防止、解消に努めてまいります。
 改革への決意についてお尋ねがありました。
 浜四津議員は、すべての分野の改革の速度を速め、そして改革をなし遂げる勇気を持つことの必要性を御指摘されましたが、その点、私も全く同感であります。
 私が目指す日本新生は、我が国経済社会全体の構造改革であり、新生日本の建設にはさまざまな困難や痛みを伴いますが、私は国民とともに歩み、国民から信頼される政府を信条に、解決を先送りせず課題に取り組み、答えを出していくことで国民の皆様の負託にこたえていく決意であります。
 引き続き、日本新生への改革に向けて御協力をお願い申し上げます。
 規制改革、行政のスリム化等についてお尋ねがありました。
 規制改革については、経済的規制は原則自由、社会的規制は必要最小限との原則のもとに、規制の撤廃、緩和の着実な実施に努めているところでありますが、さらに徹底した改革を進めるため、新たな規制改革推進三カ年計画の策定を進めております。
 また、行政サービスの民間委託については、国がみずから実施する必要性に乏しく、民間に委託して実施する方が効率的であるものについて、今後も可能な限り推進してまいります。
 PFIについては、昨年制定されましたPFI法及び本年三月に策定した基本方針に基づき、関係省庁の連携のもとにPFI事業の積極的推進に努めてまいります。
 特殊法人等の改革については、今後とも行政改革における重要課題の一つとして取り組んでまいります。
 国庫補助事業についてのお尋ねがありました。
 補助事業等につきましては、第二次地方分権推進計画等に沿って国の役割を重点化しつつ、国と地方の役割分担の明確化を図り、真に必要なものに限定する等、その整理合理化を進めてまいりたいと考えております。
 また、地方財政再建についてもお尋ねがありました。
 地方財政の再建のためには、まずは景気を本格的な回復軌道に乗せることにより地方一般財源の収入増を図り、あわせて行財政の簡素効率化等を推進すること等により歳入歳出のギャップを抑制することが必要であります。
 その上で、景気の状況を見きわめつつ、地方団体がより自主的、自立的な行財政運営が行われるよう、国と地方の役割分担のあり方を踏まえながら、地方税、地方交付税等を含め、地方財政全般について幅広くしっかりとした検討を行い、その財政基盤の充実強化を図ってまいりたいと考えております。
 さらに、地方自治体の合併、再編につきましては、平成十二年度予算において市町村合併推進補助金を確保するなど幅広い支援措置を講じており、合併特例法の期限である平成十七年三月までに十分な成果が上げられるよう、今までよりもピッチを上げて市町村合併を総合的に支援してまいりたいと考えております。
 景気回復と財政再建の道筋についてのお尋ねがありました。
 財政についても、その効率化、質的改善が必要なことは言うまでもありません。そのため、私は、十三年度予算編成において新世紀のスタートにふさわしい予算編成を行うべく、日本新生特別枠を創設するとともに、公共事業全体を抜本的に見直し、省庁統合等による施策の融合化と効率化を進めてまいる所存であります。
 そして、明るい兆しが見えてきた我が国の景気回復を一層確かなものとした上で、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制や社会保障のあり方、中央と地方との関係まで視野に入れた財政構造改革に取り組んでまいる決意であります。
 社会保障の将来像、全体像についてのお尋ねがありましたが、社会保障については、急速に少子高齢化が進行する中で生涯を安心して暮らせる社会を築くため、制度相互の整合性、連携等を図りつつ、安定的で効率的な制度を構築することが必要と考えております。
 このため、さきに設置されております社会保障構造の在り方について考える有識者会議の議論も踏まえて、浜四津議員も御指摘のとおり、実際に費用を負担し給付を受ける国民の立場に立って、医療、介護、年金などの制度全般について横断的、総合的な観点から見直しをしてまいりたいと考えております。
 あっせん利得罪の法制化について御質問をいただきました。
 この問題につきましては、議員御指摘のとおり、与党プロジェクトチームにおいて法制化に向けた協議が行われているところであり、私としても、議員同様、十分に議論がなされ、ぜひともまとめていただきたいと考えております。政府といたしましても、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 教育基本法についてのお尋ねでありますが、私としては、教育基本法は制定以来半世紀を経ており抜本的に見直しが必要であると考えておりますが、見直しに当たって十分な議論が必要なことは言うまでもありません。なぜモラル教育ができなかったのか、現場も含めて私は議論すべきことだと思います。
 今後、教育改革国民会議において、例えば我が国の文化や伝統を尊重する気持ちを養う観点や生涯学習時代を迎える観点、あるいは教育において家庭や地域が果たすべき役割といった観点を初め、さまざまな観点から幅広く議論を深めていただき、命を大切にし他人を思いやる心など、創造性豊かな立派な人間をはぐくむ教育を推進してまいりたいと考えております。
 最後に、二十一世紀の日本の目標についての御質問がありました。
 浜四津議員は、経済大国を達成した後の目標として、我が国は世界の平和と人類の繁栄、幸福、共生に貢献する日本を目指して進むべきであるとのお考えを示されました。
 我が国は、戦後、驚異的な経済成長をなし遂げてまいりましたが、物の豊かさを追い求める余り、心の問題が軽視されてきた面があることは否定できません。
 我が国は、経済、科学技術の面で世界の中核的役割を果たすとともに、世界の平和と繁栄に積極的に貢献することにより平和国家としての信頼を堅持し、そして国民が心豊かに生きる、そういう国をつくっていかなければなりません。
 私は、二十一世紀の日本が安心して夢を持って暮らせる国家、心の豊かな美しい国家、世界から信頼される国家となるよう目指してまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣続訓弘君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(続訓弘君) 浜四津議員の代表質問にお答え申し上げます。
 私に対する御質問は、公明党が強く制定を求めてきた行政評価法の見通しと決意いかんとの質問でございました。
 これまで、衆参両院の附帯決議を踏まえつつ、行政評価法につきまして検討の前倒しに努めてきたところでございます。
 この問題につきましては、去る七月の十四日、森総理から私に行政評価法の早期制定について直接御指示がございました。さらに、与党行財政改革推進協議会におきましても行政評価システムの速やかな導入が検討課題となっているところでございます。
 総務庁といたしましては、昨日、政策評価に関する標準的ガイドラインの案を策定、公表したところでございますが、こうした状況を踏まえて、法制化についての検討を一層加速してまいる所存でございます。
 このため、早急に政策評価制度の法制化のための万全の検討体制を整備することとし、本日、事務当局に指示したところでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣大島理森君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(大島理森君) 浜四津議員にお答え申し上げます。
 私は大臣就任以来、今の子供たちにいわゆる孤の世界、それは個人ではなくて孤立の孤の世界が広がり、社会性が欠如しているのではないかと、こう思って訴えてまいりました。議員のおっしゃることと全く同感するものがございます。
 したがって、ボランティア体験やあるいは職業体験などの体験学習を行うことは、まさに豊かな人間性、社会性を培い、自立する子供たちを育てる、そういう意味で大変必要なことだと思っておりますし、私たちは生きる力をはぐくむ、そういう観点でそういう体験学習に一層力を入れていかなきゃならぬ、このように思っております。
 議員がおっしゃるように、カリキュラムの完全な自由化というのはなかなか難しいかもしれません。しかし、総合学習という視点でそのことを充実させることによって、いわば自主的に判断していく、あるいはまたそれぞれの積極的な体験活動をしていく、そういうことを文部省としても積極的に進めていかなきゃならぬと思っております。
 今後、教育改革の過程の中にあって、議員の御指摘の点をいろいろと検討しながら、まさに自立できる子供たち、社会性を身につける子供たちを育てていくために頑張ってまいりたいと思います。(拍手)
    ─────────────
#20
○議長(斎藤十朗君) 山下芳生君。
   〔山下芳生君登壇、拍手〕
#21
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、森総理に質問をいたします。
 久世前金融再生委員長が辞任をいたしました。しかし、これで一件落着ではありません。総理は、久世参議院議員が三菱信託銀行から巨額の利益供与を受けるなど特別の癒着関係にあったことを事前に知っていながら、それを問題なしとして、事もあろうに金融行政の責任者に据えました。総理、この判断自体は今でも間違っていないと言うのですか。
 また、久世参議院議員は、記者会見において、参議院比例区選挙で名簿の順位が当選ラインに入るために、霊友会などに協力を求めて自民党の党員を大量に確保し、その党費として一億円をマンション業者大京から自民党に支払ってもらったと述べています。総理、これは事実ですか。また、事実とすれば、大京からの一億円は自民党本部に入ったのですか。そして自民党本部としてこれをどう処理したのですか。説明を求めます。
 また、報道されている霊友会からの二億五千万円についても自民党本部に入ったのかどうか、あわせて説明を求めます。
 これらが事実なら、自民党は特定の企業や団体から党費を名目にやみの政治献金を受けていたことになります。また、特定の企業や団体との癒着が深く、巨額の党費を企業頼みで集めれば議員になれる党ということになります。
 政治のあり方が問われている今、自民党総裁として真相を究明し、国民の前に明らかにするのは当然ではありませんか。
 次に、景気問題について伺います。
 総理は、所信表明の中で我が国経済に明るい兆しが見えてきたと述べました。しかし、この評価は国民の実感とはほど遠いものであります。失業率は依然として過去最悪、全国で三百万人を超える方々が職を失い苦しんでいます。大阪城公園には、仕事も住まいも失い、テントで暮らす人が五百人を超えています。また、親の失業など経済的理由で中途退学せざるを得ない高校生がふえています。国民をこんな状態に置きながら、我が国経済に明るい兆しとはよくも言えたものであります。
 景気回復のかぎがGDPの六割を占める個人消費が元気づくかどうか、これにあることは今では政府からも異論は出ません。ところが、政府は個人消費を回復させる具体策は何一つ示さず、例えば日銀などは、企業収益というダムの水位が上がっているから、そのうち働く者の所得に流れ出してくるだろうという無責任な見通しを振りまいています。総理もこれと同じ見通しですか。
 問題は、企業収益というダムの水位がどうやって上がったかであります。
 民間機関の調査では、一年半の間に企業のリストラによる労働者所得の削減は五兆円に上っています。また、九〇年代から今日までの超低金利政策で三十兆円もの利子所得が国民から銀行に吸い上げられました。つまり、労働者、国民の所得を奪い、流れを逆流させてため込んだ収益であります。こんなやり方で大企業、大銀行の水位が幾ら上がっても、働く者の所得にそれが流れ出してくるはずはないではありませんか。こんなごまかしの議論で国民の暮らしの厳しい現実から目をそらすことは絶対に許されません。
 個人消費の回復を図るために、次の二点は避けられないと思います。
 第一は、深刻な雇用不安を解消するために政府が打つべき手を打ちきることであります。その点で政府が昨年掲げた七十万人の雇用増、この政策の効果がどうだったのか、検証が求められています。
 例えば、緊急雇用創出特別奨励金、これで二十万人雇用をふやす目標でしたが、実績は二千百四十人です。また、新規・成長分野雇用創出特別奨励金、十五万人目標で実績は二千三百三十七人です。マスコミからも、七十万人雇用増、かけ声倒れと指摘がされました。総理は、政府の雇用対策が効果を発揮していない原因をどう分析し、どう改善するおつもりですか。
 政府の雇用対策が効果を発揮しない原因ははっきりしております。大もとにある企業のリストラ、人減らしを野放しにしたままだからであります。ヨーロッパでは、企業の一方的な解雇、リストラを規制する法律がありますが、日本でも雇用を守る法制度をつくるべきであります。日本共産党は、この国会に引き続き解雇規制法案を提出いたしました。労使間の話し合いに任せるなどという無責任な態度を改めて、真剣な検討を求めるものであります。
 また、労働時間を短縮し、新たに雇用を拡大すること、とりわけサービス残業を根絶することも急務であります。
 最近、労働省が行った電機産業における実態調査では、実に七割の事業所に是正勧告、指導がされるなど、日本の職場にサービス残業が蔓延し、健康破壊も進行していることが明らかになりました。フランスでは、政府が進めた労働時間短縮政策が功を奏し、この間着実に失業が減り、雇用がふえております。日本でも、サービス残業をなくせば九十万人雇用がふえるという報告もあります。雇用をふやす効果が証明済みのこの対策に今こそ踏み出すことを求めたいと思います。
 第二は、老後の不安を取り除くことであります。
 国民の八割が老後に不安を感じ、そのことが消費を冷え込ませる要因ともなっています。それが単に心理面だけでないことも見る必要があります。
 可処分所得、実際に使うことができる所得が何に使われたのか。二十年前と比べると、教育費が一・五六倍、医療・社会保障費が一・七七倍にもなっているのに、消費支出は一・一〇倍とほとんど伸びず横ばい状態であります。高い教育費、医療費、社会保障費が家計を圧迫し、個人消費が犠牲になっているわけであります。
 総理、この現実をどう認識するのですか。社会保障と教育予算の拡充はこの点からも急務であります。
 次に、消費税の問題について質問をいたします。
 七月十四日、政府税制調査会は中期答申を出しましたが、そこには、一つ、消費税率引き上げ、二つ、所得税の課税最低限の引き下げ、三つ、中小企業に重くのしかかる法人事業税の一律外形標準課税化、四つ、上は減税、下は増税という相続税の改定という四つの増税の方向が示されました。総理は、この答申について、結論的には大賛成と述べましたが、これらの方向を全部進めるつもりですか。明確にしていただきたい。
 中でも、消費税率引き上げは重大であります。消費税を導入した竹下元総理は、当時、消費税に対する幾つかの懸念を挙げました。その中には、例えば逆進的な税体系となり、所得再分配機能を弱めるのではないかとか、所得税のかからない人たちに過重な負担を強いることになるのではないかなど、消費税の本質が述べられていました。この消費税の本質、所得の少ない人ほど負担が重くなるという弱い者いじめの本質は、今も何ら変わっておりません。
 近年、我が国においても所得格差が広がり、一部の富裕層への富の集中が懸念されています。このようなときにこそ、税制は所得格差の拡大を正し、富を再分配する機能を発揮しなければなりません。逆進性の強い消費税導入とその税率引き上げや所得税の累進性の緩和などによって、今、税制が所得を再分配する機能は著しく弱まっております。
 総理、税制の大改革を図るのであれば、税制のこの機能の回復こそ優先課題とすべきではありませんか。それに逆行する消費税率のさらなる引き上げは絶対に避けるべきではありませんか。答弁を求めます。
 そごうの処理に巨額の税金を投入することに国民の怒りが広がっています。政府・与党は、世論の前に、当初の債権放棄、借金の棒引きによる救済という計画を変更しました。しかし、形は民事再生法による法的処理に変わりましたが、そごうの不始末の穴埋めに巨額の税金が投入されることに何の変わりもありません。多くの国民の疑問は、一百貨店のためになぜ税金投入かということであります。
 総理、今回の処理によって投入される税金の額は当初の計画の九百七十億円よりふえるとされていますが、一体幾ら国民の税金が投入されるのですか。また、そごうの乱脈経営に国民は一体何の責任があるというのですか。明確な答弁を求めます。
 今回の問題の根本には、破綻銀行の処理は銀行業界の共同責任でという従来のルールを崩し、穴があいたら税金でという七十兆円の銀行支援の枠組みをつくったことがあります。私は、この枠組みが今や日本の社会全体にモラルの崩壊を蔓延させていることを厳しく指摘したい。
 第一に、政府のモラルの崩壊であります。
 そごうの処理をめぐって焦点になっているのが、旧長銀の譲渡先との関係で、追加損失が出たら国が引き取って税金で見てやるという瑕疵担保特約であります。まともな政府だったら絶対にこんな契約はいたしません。現にアメリカでは、追加損失が出ても一定の割合で受け皿銀行にかぶらせるというルールがあります。そうしなければ、受け皿銀行の側に債権を回収しようというまじめな意欲がわかず、かえって損失が大きくなるからであります。金融再生法など七十兆円の枠組みが、政府にどうせ最後は税金だという安易な姿勢を生み、こんな無責任な特約が結ばれました。まさに行政のモラルの崩壊ではありませんか。
 第二に、銀行業界のモラルの崩壊であります。
 銀行に対する税金投入の最大の口実は金融システムの安定ということでありました。そして、金融システムが安定すれば中小企業に対する貸し渋りも解消するとされ、そのために七兆円の公的資金が投入されました。しかし、貸し渋りは解消されるどころか、中小企業向け融資は逆に十兆円も減っています。その一方で、銀行から多額の資金が日栄などの悪徳商工ローンに回り、銀行に貸し渋られた十数万もの中小企業が犠牲となりました。まさに道義なき金融システムではありませんか。
 第三に、産業界のモラルの崩壊であります。
 今、バブル期の乱脈経営のツケにあえぐゼネコン初め産業界から、銀行に対する債権放棄、借金棒引き要請が相次いでいます。公的資金を投入された大手十七の銀行は、こうした要請にこたえて、この二年間で既に三兆円もの債権放棄を行いました。民間機関の調査では九二年三件、九四年五件と一けただった銀行の債権放棄が、九九年には六十件に達しています。銀行への税金投入の仕組みが、それならおこぼれをこちらにもよこせとばかりに、産業界の借金棒引き要請を一気に加速させました。借りたお金は何年かかっても必ず返す、この当たり前のモラルが産業界から消えつつあります。
 まさに、政府、銀行業界、産業界、三位一体のモラルハザードが進んでいます。アメリカでは、銀行の破綻処理に税金は一切使わず、銀行業界の自己責任、自己負担の原則で問題を解決するルールを確立しています。今こそ政治の責任で日本社会にモラルを復権させるべきであります。そのためにも、穴があいたら税金でという銀行への七十兆円の税金投入の枠組みそのものを見直し、廃止すべきではありませんか。総理の答弁を求めるものであります。
 中尾栄一元建設大臣が大臣在任中に若築建設から、公共事業で便宜を図ってほしい、建設官僚を天下りさせてほしいという請託を受け、その見返りに六千万円のわいろを受け取った疑いで逮捕されました。公共事業のあり方が厳しく問われる中、公共事業を食い物にする政権与党の腐敗の実態が明らかとなりました。
 国民の多くは、中尾事件は氷山の一角にすぎないと見ています。ゼネコンが政権党に献金し、公共事業の大盤振る舞いを要求する。政権党は予算編成でそれにこたえ、選挙になれば下請まで動員して企業ぐるみの応援をさせる。まさに公共事業を票も金もに利用する癒着の構造を断ち切ることは政治の緊急課題であります。
 中尾事件を検察任せにせず、国会みずからが政治的、道義的責任を明らかにするため真相を徹底的に究明することは当然であります。そのことを前提に、二点提案をいたします。
 第一は、野党が共同で提案しているあっせん利得処罰法案を速やかに成立させることであります。国会議員が陳情を受けて公務員に仕事をさせ、かわりに報酬を受け取る、これを禁止するのは中尾事件を受けた国会の最小限の責任であります。
 自民党内に政治活動の手足を縛るとこれを先送りする議論があると聞きますが、一体何を心配するのですか。私たちも国会議員が国民の要望にこたえるために力を尽くすことは当然だと考えています。ただ、報酬を受け取ることを禁止しようと言っているんです。政治活動が報酬目当てでないのなら心配することは何もないはずであります。
 国民の期待にこたえ、今国会で直ちに法案を成立させようではありませんか。総理の答弁を求めます。
 第二に、腐敗の大もとにある企業・団体献金の禁止も急務であります。企業献金は、本来、見返りがなければ株主への背任、見返りがあればわいろという性格を持ちます。実際、ゼネコン各社は、昨年夏に三億七千万円、ことしの総選挙前に業界団体として三億円など、恒常的に自民党に献金をしております。これは確かな見返りがあるからにほかなりません。
 腐敗の温床となっている企業・団体献金はきっぱり禁止すべきではありませんか。答弁を求めます。
 こうした改革を進めた上で、公共事業のあり方についても一言触れたいと思います。
 日本共産党は、国民の要望の強い社会保障、暮らし優先の公共事業はもっと積極的に行うべきという立場であります。そのためにも、目的もなければ採算の見通しもない、自然環境も守れない、ただゼネコンを喜ばせるだけのむだな大型公共事業はやめよという立場であります。
 選挙中、与党の幹部は、むだな事業の見直しは進めている、この二年間で百三十九もの事業をやめさせたなどと盛んに宣伝しました。しかし、建設省、運輸省、農水省など六つの省庁が全国で計画、実施している事業数は八千を超えております。中止になったのはそのわずか一%程度にすぎません。
 本気でむだな事業をなくすには、九五年度から二〇〇七年度までの十三年間に総額六百三十兆円の公共投資を行うという公共投資基本計画に基づく総額先にありきの方式をやめることであります。そうでなければ今後も毎年五十兆円という公共事業を続けることになります。ここに指一本触れないというならどうしようもありません。この際、公共投資基本計画そのものを再検討すべきではありませんか。それができないなら、やはりあなた方は公共事業を食い物にしているとの批判は免れないでしょう。欧米並みの民主的な事業評価制度の確立とあわせて真剣な検討の開始を求めるものであります。
 雪印大阪工場の食中毒事件は、一万四千人を超える発症者を出し、戦後最大の食中毒事故となりました。丸二日間、製品回収も公表もせず被害を拡大したこと、余りにずさんな衛生管理だったことなど、雪印の企業責任が第一に問われることは言うまでもありません。同時に、この工場を高度な自主衛生管理がされている施設、HACCP施設と承認し太鼓判を押していた政府・厚生省の責任も免れません。
 なぜこうなったのか。根底にあるのが政府の規制緩和政策であります。九五年に食品衛生法が改悪され、HACCP承認施設では企業の食品衛生管理者の設置義務もなくなり、保健所の監視も企業の検査記録をただ書面で見るだけになりました。HACCP承認施設は衛生管理がすぐれているという神話が生まれているとの指摘もあります。消費者の安全よりも効率を優先する規制緩和万能論から一日も早く脱却をすべきではありませんか。総理の見解を求めます。
 もう一つは労働条件の問題であります。
 雪印の労働者の家族の方から、深夜に及ぶ残業の連続、過酷な労働で起こるべくして起こった事故と感じるとの投書がありました。実際、雪印は九四年以降千人近い人減らしを行っております。むやみなリストラが消費者の命と健康を守ることを後回しにしています。原因究明と再発防止に当たっては、この労働条件にまで踏み込んだものにする必要があると思いますが、いかがですか。
 最後に、外交問題について伺います。
 総理は、九州・沖縄サミットの大きな成果を強調しました。しかし、今度のサミットほど内外に失望を広げたサミットはありません。
 まず、沖縄の基地の問題であります。
 総理は、クリントン大統領の演説を聞いて、日米関係の大切さを改めて認識した、沖縄の人々への思いが伝わってきたと絶賛しました。これにはだれもが驚きました。クリントン大統領の演説というのは、沖縄は日米同盟の維持のために死活的役割を果たしてきたというものであり、沖縄県民に向かって基地の恒久化を受け入れるよう迫ったものであります。総理はこの演説のどこに沖縄県民への思いがあるというのですか。そこにあるのは基地のない平和で豊かな島をという沖縄の人々の悲願を無残に踏みにじる態度ではありませんか。
 総理がそういう感覚だから、名護の新基地の十五年の使用権原の問題も全く進展がありませんでした。ただ、基地のたらい回しを取り決めたSACO合意の推進を確認しただけであります。地元の琉球新報の社説は、肩透かしを食ったというのが大方の県民の見方、浮き彫りになったのは日本政府、森首相の弱腰、サミットが終わっても何も変わらない、依然として巨大な基地が存在し続けると痛烈に批判をしました。
 総理、一体あなたは何のために沖縄でサミットを開いたのですか。改めて総理の真意を問うものであります。
 もう一つ、日本外交の立場を失っているのが核兵器問題での対応であります。
 二十一世紀を目前にして、核兵器の脅威から解放された新しい時代を切り開くことは急務であります。ところが、サミット宣言には核兵器廃絶に向けたメッセージは一言もありません。世界で最初の被爆体験を持つ国の総理として、またサミットの議長として、なぜこの問題を提起しなかったのですか。
 これまで政府は、国際政治の舞台において繰り返し核兵器の究極的廃絶を主張してきました。そして、非同盟諸国などによる期限を切った核兵器廃絶や核兵器の使用禁止の主張に対し、それが核兵器国と非核兵器国の対立を助長し核軍縮の進展を妨げるおそれがあるなどとして、これに反対する態度をとってきました。
 しかし、ことし五月の核不拡散条約再検討会議では、全会一致で採択された最終文書に、核兵器廃絶への核兵器国の明確な約束が合意されております。これは、核兵器の究極的廃絶の主張が、実際は、その課題を永久に先送りし棚上げする主張として、国際政治で明確に否定されたことを意味します。
 政府は、今もなお、核兵器の廃絶は究極的な課題であり、期限を切った廃絶や使用禁止の主張は対立を助長し核軍縮を妨げると考えているのですか。そうでないなら、これまでの態度を改めて、来月開かれる国連ミレニアム・サミットにおいて、被爆国政府の責務として、期限を切った核兵器の廃絶、使用禁止を堂々と提案すべきではありませんか。明確な答弁を求めるものであります。
 終わりに、二十一世紀を前に、この国の政治のありようが問われており、根本的転換が求められております。国民が主人公という立党の精神を受け継ぎ、政治の改革に果敢に挑む決意を述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(森喜朗君) 冒頭、久世氏の任命についてのお尋ねをいただきました。
 三菱信託銀行関連及び霊友会関連の問題については、金融再生委員長に任命するに当たって、過去の報道で指摘された点につき調査を行いましたが、既にきちんとされている過去の問題であり、現在は問題がないとの説明であり、そのように承知をしたものであります。
 大京関連の問題については、任命時において必ずしも十分に承知していたわけではありませんでしたが、その後、久世氏本人は、大京関連の資金については、久世氏個人に支払われたものではなく、政治資金規正法上の問題ではないと御説明されていると承知をいたしております。
 私としましては、新内閣の発足に当たりまして、日本新生プランの実現のため、適材適所の観点から大臣を任命いたしたところであります。結果として辞任をせざるを得ないような大臣を任命したということはまことに残念であり、遺憾であると考えており、また、深く反省するとともに、国民の皆様に率直におわびを申し上げたいと思います。
 今後、金融システムの安定化、我が国経済を自律的回復軌道に乗せていく諸施策、そして日本新生プランの実現など、現在取り組んでいる諸課題に対し、内閣としてこれらに一致結束して全力を挙げて取り組んでいくことにより、その責任を果たしていきたいと考えております。
 久世氏に関し、大京関連の資金の使途、さらには大京及び霊友会関連の資金が自民党本部に入ったかどうかについてお尋ねがありました。
 久世氏個人に関連する事柄であり、現時点でお尋ねの具体的事実関係について承知しているわけではないことを御理解いただきたいと思います。
 雇用者所得の見通しに対するお尋ねがありました。
 現在、企業収益は大幅に改善しておりますが、雇用者所得は、現在の企業収益のほか、その見通し、労働需給の見通し、雇用者数の動向などに影響されるものと考えられます。
 企業のバランスシート調整が進む中、雇用情勢は依然として厳しいものの、改善の動きも見られるところであり、景気回復に伴い雇用者所得は緩やかに増加するものと見込んでおります。
 七十万人の雇用就業機会の増大を掲げた緊急雇用対策についてのお尋ねでありますが、各地方公共団体の創意工夫に基づき緊急に雇用就業機会の創出を図る事業については、約三十万人の雇用創出が見込まれるなど成果を上げているところであります。
 一方で、御指摘の二つの奨励金については、企業の採用意欲が乏しかったこともあり、その活用が不十分な面があります。このため、利用者への周知等を強力に推進するとともに、本年五月に策定したミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策において制度の利用の促進を図るための抜本的な拡充を行ったところであります。
 政府としては、今後ともこれら各種施策を積極的に推進することにより雇用不安の解消に全力で取り組んでまいります。
 解雇の規制についてのお尋ねでありますが、解雇については、いわゆる整理解雇の四要件や合理的な理由を必要とするという裁判例の考え方を踏まえ、具体的な実情に応じ労使間で十分に話し合われるべきものであると考えており、一律に解雇を規制することは適切ではないと考えております。
 雇用を拡大するためにサービス残業を根絶すべきではないかとのお尋ねでありますが、サービス残業は労働基準法違反であり、政府としては、労働基準法及び時間外労働の限度基準の趣旨の徹底を図るとともに、的確な指導を行い、その解消に努めてまいります。
 なお、サービス残業をなくすことによる雇用効果については、民間の調査研究機関において今後のさらなる研究が必要としたものがある段階にとどまっているものと承知をいたしております。
 個人消費の回復を図るためには老後の不安定を取り除くことが必要であり、国民の暮らしと社会保障を予算の主役に転換することは景気対策としても急務ではないかというお尋ねでありますが、我が国経済は、雇用面や個人消費など、なお厳しい状況を脱していないが、政府・与党が大胆かつ迅速に取り組んできた広範な政策の効果もあり、我が国経済は緩やかな改善を続けております。
 こうした中で、国民の暮らしの安定化を目指して、引き続き景気回復に軸足を置いた経済・財政運営を行い、景気を自律的回復軌道に乗せていくよう全力を挙げつつ、我が国経済の動向等を注意深く見ながら適切に対応してまいります。また、経済構造改革に迅速かつ大胆に取り組んでまいります。
 財政面では、少子高齢化等が進展する中で、財政の効率化と質的向上を図るとの観点から、十三年度予算編成においては、日本新生特別枠及び生活関連等公共事業重点化枠を設けることを初めとして、予算の重点的、効率的な配分に全力を挙げてまいります。
 政府税制調査会の答申についてのお尋ねがございました。
 今回のいわゆる中期答申は、御指摘のような増税を提言しているものではなく、今後の税制論議への国民の参加と選択が重要であるとの考え方に立って、その際に必要となる判断材料を幅広く提供されたものと受けとめております。
 今後の税制のあり方等については、公平、中立、簡素といった租税の基本原則等に基づきながら、今後の少子高齢化の進展など、経済社会構造の変化や財政状況等を踏まえ、国民的な議論によって検討されるべき課題でありますが、いずれにしましても、歳出面のむだはないか等について十分見直しを行うなど、国民の理解を得ることなしに増税を行うことは適切ではないと考えております。今回の答申も基本的にはこのような考え方に立っているものと受けとめております。
 税制の所得再分配機能と消費税率の問題についてのお尋ねがありました。
 税制の所得再分配機能は今後も重要でありますが、所得再分配のあり方については、税制のみならず、社会保障給付などの歳出を含めた財政全体を見て議論する必要があります。
 消費税率を含む今後の税制に関しては、少子高齢化の進展など経済社会の構造変化や財政状況等も踏まえ、所得課税、消費課税、資産課税等それぞれの機能や役割を勘案しながら、二十一世紀の経済社会にふさわしい税体系のあり方について国民的な議論が必要と考えております。
 いわゆるそごう問題に関し、民事再生法により処理が行われる場合の国民負担についてのお尋ねでありますが、当該国民負担の額は、今後、民事再生法のもとで策定される再生計画の内容にもよるため、現時点で申し上げることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
 いずれにせよ、こうした国民負担は、預金等を全額保護するとの方針のもと、我が国における金融の機能に極めて重大な障害が生ずることを回避するために、金融再生法に基づき、破綻した長銀を国有化した上、円滑に譲渡するために必要な費用であることを御理解いただきたいと考えます。
 なお、そごうの旧経営者の責任については、今後、民事再生法の枠組みの中に明らかにされるものと考えております。
 瑕疵担保特約についてのお尋ねでありますが、瑕疵担保条項は、現行金融再生法の枠内で、長銀の速やかな譲渡や国民負担抑制の観点から、民商法の法理を用い、交渉の過程で盛り込まれたものであります。
 仮にこの瑕疵担保条項がなければ、譲渡候補先が見出せず、国民負担が相当程度増加することが見込まれたことから、やむを得ないものがあるというのが金融再生委員会の判断であると考えております。
 公的資金による資本増強による貸し渋り解消への効果についてのお尋ねでありますが、公的資金による資本増強は、金融システムの安定化を通じ、金融の円滑化等経済活動に好影響をもたらしたものと考えております。
 早期健全化法により資本増強を行った主要行の平成十一年度の中小企業向け貸出状況については、年間の増加額である約三兆円の増加目標を上回る約四兆三千億となり、これら各行の中小企業向け貸し出しについては着実に増加しているものと承知をいたしております。
 銀行に対する公的資金投入についてのお尋ねでありますが、金融システムは、しばしば経済の動脈に例えられるとおり、経済の基盤をなすものであり、その安定は我が国経済が景気回復軌道に復帰するためには必要不可欠なものであり、このような観点から、金融機関の破綻処理や早期健全化のために公的資金での対応をお願いしているところであります。
 あっせん利得処罰法案についての御質問をいただきました。
 私としては、かかる法制については、その目的について吟味した上で、解釈次第で適用範囲が変わることのないよう犯罪等の構成要件を明確にする必要があると考えており、少なくともこの点につき十分に論議する必要があるものと考えております。
 繰り返しになりますが、この問題については、まず各党各会派の間において十分に御議論いただくことが基本であり、政府といたしましては、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 企業・団体献金の禁止について御質問がありました。
 私は、政治資金制度は政党本位、政策本位の政治を目指すという政治改革の理念に沿ったものであるべきと考えており、こうした政治改革の理念を踏まえ、既に本年から政治家個人に対する企業・団体献金が禁止されたところであります。
 一方で、政党に対する企業・団体献金につきましては、最高裁の判例でも、企業は、憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を持つことは認められており、これをおよそ悪と決めつける論拠は乏しいと考えております。
 政治資金のあり方については各党各会派で御議論をいただく問題でありますが、私としては、政治資金は民主主義に必要なコストであり、何よりも国民の疑惑を招かないよう政治資金の透明性の確保が大切であると考えております。
 公共事業についてのお尋ねがございました。
 我が国の社会資本は、これまで着実に整備が進められてきた結果、その整備水準は近年向上してきました。しかしながら、なお立ちおくれている部門が残されており、経済力に見合った豊かさが実感されない要因の一つとなっております。このような状況において、本格的な少子高齢社会の到来を間近に控え、国民が真に豊かさを実感できる社会を実現するためには、人口構成を考えると、現在のうちに社会資本整備を促進していくことが必要であり、今後とも公共投資基本計画に沿って社会資本を適切に整備していく必要があるものと考えております。
 公共事業の事業評価制度につきましては、既に新規事業採択時の評価や実施中の事業について再評価を実施するとともに、事後評価の試行にも着手しており、今後ともこれらの改善を図りながら事業評価制度の確立に努めてまいります。
 食品衛生のHACCP制度についてのお尋ねでありますが、この制度は、製造者みずからが定めた製造工程を自主的に管理することにより、より高度な安全性を確保しようとするシステムであります。また、承認を受けた施設であっても保健所の監視から免れることなく、承認前及び承認後も書類審査のみならず施設に対する調査や監視、指導を実施しているところであり、今後とも適切な衛生管理が図られるように努めてまいります。
 雪印乳業食中毒事件の原因究明及び再発防止についてのお尋ねでありますが、本事件の原因究明に当たっては、大阪市において、雪印乳業大阪工場における食品や施設の検査のほか、衛生管理の実施体制についても調査を行っているところであります。関係省庁間の連携を図りつつ、調査の中で問題があれば、再発防止の観点から指導してまいりたいと考えております。
 クリントン大統領の演説についてのお尋ねですが、クリントン大統領は、平和の礎において、沖縄の米軍基地問題に関し、沖縄に米軍施設・区域が集中していることに触れ、沖縄の方々の御懸念を理解しようと努めており、SACO最終報告の実現のために努力し続けることを再確認し、沖縄における米軍の足跡を減らすために引き続きできるだけの努力をする、我々はよき隣人としての責任を真剣に受けとめており、この責任を全うできないことなど米国人としては受け入れられないとの内容を述べたと承知をいたしております。このようなクリントン大統領の演説は、沖縄県民への思いが込められた非常に意義深いものであったと考えます。
 サミットの沖縄での開催についてお尋ねがありました。
 小渕前総理が万感の思いを込めて決定された九州・沖縄サミットでは、沖縄の地から二十一世紀に向けての明るく力強い平和へのメッセージを発信することができたと考えております。
 米軍施設・区域が集中する沖縄の問題については、サミットという多国間の場では議論されませんでしたが、日米首脳会談で取り上げたことに加え、その他の機会においても、私から、クリントン大統領に対し、沖縄の人々に対する気持ちを大事にお持ちいただきたい、沖縄県民の多年の希望につき、自分も努力するが大統領もぜひ一緒に努力してほしいと申し上げたところであります。
 サミット宣言における核兵器廃絶に向けたメッセージについてのお尋ねでありますが、G8首脳コミュニケでは、核兵器の全面的廃絶に対する核兵器国の明確な約束を含む先般の核兵器不拡散条約運用検討会議の結論を実施する決意である旨、明確に述べております。
 我が国としては、このコミュニケを踏まえ、今後とも、核兵器のない世界を一日も早く実現すべく、CTBTの早期発効等、今次会議で得られた結論を実施するため、外交努力を一層努力してまいりたいと考えております。
 期限つき核廃絶、使用禁止についてのお尋ねでありますが、あらかじめ期限を付して核廃絶を実現しようとする考え方は、その時点での国際安全保障環境がどのような状況になっているかを顧みることのない非現実的なものであり、実際にはこれを主張する人々の意図に反し、いたずらに核兵器国と非核兵器国との対立を助長しかねず、結局は核軍縮に関する話し合いの進展を妨げるおそれがあると考えます。
 我が国がこれまで提出してきた究極的核廃絶決議は、核兵器国に究極的とはいえ核廃絶を認めさせた点では画期的なものであり、今回のNPT運用検討会議において核廃絶に向けた明確な約束を導き、その歴史的役割を果たしたものと自負いたしております。
 我が国は、核兵器のない世界を一日も早く実現すべく、国連ミレニアム総会において新たな核軍縮決議案を提出すべく検討いたしており、この分野において引き続き積極的な役割を果たす所存であります。(拍手)
    ─────────────
#23
○議長(斎藤十朗君) 谷本巍君。
   〔谷本巍君登壇、拍手〕
#24
○谷本巍君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、森総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 まず、沖縄サミット関連について伺います。
 今回のサミットで私たちが抱いた率直な感想は、議長としての森総理が、沖縄で開催されるサミットを通じて沖縄県民や国民、さらには世界に向けて何を発信されようとしたのか、さっぱりわからなかったということであります。
 私たちは、この二十世紀最後に開かれたサミットに対して、二十一世紀は沖縄サミットから始まったと歴史的にも評価されるような成果を期待しておりました。しかし、期待は裏切られました。発展途上国も含め、全世界が直面しているさまざまな課題に対して解決のための展望を示し、その中で先進国が果たすべき役割を世界に向けて堂々とアピールする、そのことがなぜできなかったのでありましょうか。重要な課題はすべて先送りであります。
 しかも、このサミットには、外国の一部メディアから批判の声が出るほど、八百億円を超す巨額の費用が支出されていたのであります。サミットやサミットのあり方について総理はどのようにお考えでしょうか。認識を伺います。
 また、クリントン大統領との首脳会談においては、沖縄県民の最大の関心事である基地の整理・縮小問題や普天間飛行場の代替施設の十五年使用期限設定については何ら前進が見られませんでした。
 一体総理は何をされていたのかと不信の念を禁じ得ません。総理はクリントン大統領とどのような会話をされたのでありましょうか。この際明らかにしていただきたいのであります。
 さらに、今回のサミットでは安全性と生態系への影響が懸念される遺伝子組みかえ食品も大きなテーマの一つでした。欧州各国は遺伝子組みかえ食品の安全性に疑問を持ち、NGOや消費者団体などが参加する国際的なパネルの設置を要求したにもかかわらず、遺伝子組みかえ食品を推進するアメリカの強い抵抗でパネル設置は先送りにされてしまいました。
 この問題について総理はどのように認識し、どのようなイニシアチブを発揮されたのでしょうか。欧州各国と連帯してアメリカの主張を翻意させることはできなかったのでありましょうか。明確な答弁を求めます。
 次に、総理の日本新生プランについて伺いたいと存じます。
 総理は新生プランの柱に経済の新生など四つの柱を掲げております。特に経済に関して言えば、官民一体のIT革命と弱肉強食の市場原理ばかりを強調し、新生プランの谷間にある農業や中小企業、商店など弱者に自己責任の原則を押しつけ、国民に痛みや困難を強いるだけで何ら具体的な施策を示しておりません。その原理原則は、社会保障、教育、政府にまで及んでおります。すなわち、欲しがりません勝つまではという、いつか来た道を思い起こさせるような施策ばかりなのであります。
 来年度の予算は二十一世紀最初の予算であります。予算の内容や予算編成のあり方を大胆に改革するチャンスであります。森総理が政治主導を強調し、経済の新生、社会保障の新生を図るというのであれば、庶民の生活実感にこたえるための生活再建新生プランとすべきであります。
 大事なことは、国民に痛みを一方的に押しつけるのではなく、将来不安を解消し、生活の質の向上に直結する社会保障や雇用、教育、環境保全などを優先する予算編成を実現することであります。
 また、住宅ローンを抱えてリストラされたサラリーマンなどの自己破産が急増しておりますが、自己破産をせずに生活が再建できるよう、個人債務者の民事再生手続や、商店や農家など個人事業者を対象とした小規模個人再生手続の法制を急ぐべきであります。法務大臣の答弁を求めます。
 さらに、巨額の財政赤字対策については、国民の納得と公正な負担を前提とした改革を来年度予算から実施すべきであります。
 有名無実化した公債政策に幕を引き、凍結中ではありますが、財政構造改革法に盛られた理念の一層の明確化を図る観点から、単年度当たりの公債発行額を対GDPの一定割合にとどめるといった規定に一本化すべきであります。その第一歩として、来年度予算の国債発行額は大幅に引き下げていくことを強く政府に求めます。総理の見解を伺います。
 また、消費者契約法について伺います。
 消費者契約法が来年四月から施行されます。契約の取り消し権や条項の無効を主張できる権利を消費者に与え、多発する契約トラブルや被害を抑えることがこの法律のねらいであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 しかし、最近では、厳しい財政事情から消費者行政を縮小する自治体が多く見受けられるようになりました。法律施行までに早急にやらなければならないことは、契約トラブルを迅速に解決する受け皿づくりであります。身近な相談先となる各地の消費生活センターについては、自治体任せとするのではなく、国としても積極的な支援を行うべきであります。
 社民党は、国会審議の際、この受け皿の必要性をただし、政府からも前向きな答弁を受けました。とりわけ、全国の消費生活センターを結ぶPIO―NET、すなわち全国消費生活情報ネットワークの拡充やコンピューター入力費補助といったことについては緊急の課題であります。概算要求のこの時期、国の責任を果たす意味からも、PIO―NET拡充の予算措置を図るよう検討すべきであります。総理と経済企画庁長官の所見を伺います。
 次に、教育の新生について伺います。
 総理は、悪質な少年犯罪の続発や不登校、学級崩壊などが深刻化していることから、教育基本法の改正や少年法の改正の必要性を強調されていますが、少年犯罪や学級崩壊にしましても、家庭や地域の崩壊を初めとした現代社会のありようにこそ問題の本質があるのであります。あえて教育基本法や少年法を改正する必要がどこにあるのか、極めて疑問であります。抽象的表現ではなく、総理の具体的考え方をお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、公共事業のあり方と関連し、中海の本庄工区干拓について伺います。
 平成八年三月、島根県知事から政府に対し全面干拓を進めたいとの要請があったのは自社さ三党連立政権のときでありました。社民党と新党さきがけは自然環境保全と漁業振興を重視する立場からこれに強く反対をしました。
 その結果、農林水産省が三年間かけて調査検討を行うことになり、本年三月に全面干拓、部分干拓、干拓中止の三論併記の報告書がまとめられたのであります。政府は、島根県の意見を尊重しながら最終判断は国が行うとしてきました。
 こうした中で、最近、澄田島根県知事は、財政状況や公共事業に対する環境問題等からの批判と世論の変化を受け、全面干拓を撤回し、事業凍結の意向を固めました。
 現在、中海、宍道湖の水質悪化が進行し、危機的状況にあります。干拓堤防により汽水湖特有の水質浄化システムが失われ、生態系が危機に瀕しているからであります。
 この際、現状凍結は中海、宍道湖の死を待つに等しいことから、政府に対して、干拓事業を中止するとともに、干拓堤防を開削し、中浦水門操作も含めた水質改善を行うよう要求します。また、それとともに、湖を利用した地域経済の確立を進めるべきであります。総理の御所見をお聞かせください。
 続いて、そごう問題と金融行政について伺います。
 我が党は、今回のそごうの処理に当たっては断じて容認しがたい事態が展開されたことをまず厳しく指摘をしておきたいと存じます。
 そごうが民事再生法を選択したことにより、地域経済や雇用問題などに大きな影響が及ぶことが懸念されます。転職のあっせんを初めとする雇用対策や緊急融資制度など、迅速かつ実効ある施策に万全を期す必要があります。政府がどのような具体策を講じようとしているのか、総理にお伺いいたします。
 さらに、久世金融再生委員長が特定の金融機関等から多額の利益提供を受け、また、大京側から自民党党員費の肩がわりと見られる一億円を受け取っていたことが明らかになりました。七月三十日、久世委員長が辞任をされたのは当然のことであります。
 国民はこの間、大蔵省と金融機関の癒着、政治家と金融機関の癒着の関係をこれでもかこれでもかというくらい幾度となく見せつけられてまいりました。
 しかも、越智元金融再生委員長が金融機関の検査に手心を加えると発言して辞任をしたのはこの二月でありました。九八年十二月に金融再生委員会が発足して以来、委員長のポストには四名の方が就任されておりますが、そのうち二名が辞任をするという大失態の繰り返しであります。
 独立性と公平性が最も要求される金融再生委員会のトップと金融機関の癒着によって、国民の金融行政に対する信頼はさらに大きく揺らいでおります。
 利益供与という事実を知りながら、それでも金融再生委員長に任命した森総理の責任は極めて重大だと言わなければなりません。大京から受け取った一億円の使途にいたしましても国民の前に明らかにすべきであります。総理御自身、どのような責任をとられようとしているのか、明確な答弁をいただきたいのであります。
 次に、あっせん利得の禁止について質問いたします。
 今回の中尾元建設大臣の逮捕を機に、公共事業をめぐる政治家と官僚、ゼネコン、やみ勢力のつながりを明らかにすることはもとより、政治家のあっせん利得の禁止が必須の要件であります。先送りはやめて、あっせん利得行為禁止の実現についての総理の決断を強く求めます。
 また、来年一月からスタートする新しい省庁が癒着を引きずることのないよう、行政府に参画する政治家について厳格なる行動規範を定める必要があります。総理の見解を求めます。
 次に、雪印乳業による中毒事件について伺います。
 水よりはるかに高いはずの牛乳が、水並み価格の目玉商品として扱われてまいりました。それでも、酪農家は神経をすり減らすように安全な生乳生産に励んでまいりましたが、雪印というトップ企業は加工乳生産の工程で中毒事件を起こす原因をつくりました。その現場社員は相次ぐリストラと長時間労働にあったという事実から見ても、社員もまた犠牲者であったと言ってよいのであります。
 しかしまた、同時に問題にされなければならないのは、経済の原則からすればまさしく異常に安い水並み牛乳がどうして実現されたかにあります。それは、量販店による大量仕入れを手段とした買いたたきによるものでありました。つまり、弱肉強食型の市場原理の徹底が中毒事件を引き起こす重要な背景をなしていたと言ってよいのであります。
 また、衛生管理を行う行政にも問題点はありました。抜き打ち検査、臨時検査等は例外的にしか行われず、担当職員も少ないといった例がその一つであります。市場原理万能論と結合された小さい政府論が、やるべきこともやらぬ手抜き行政であってよいとするなら、それは国民を欺くものであります。
 安全確保の行政指導体制の確立とともに、公正な価格決定システムづくりが進められていかなければなりません。それは、安全性の確保とともに、酪農家や小売店の生存にもかかわっております。総理はどうお考えか、お聞かせいただきたいのであります。
 最後に、林業問題と森林基本法制定について伺います。
 平成七、八年の調査で、山崩れを起こしやすい山地災害危険地区数は全国で何と二十二万二千地区とされております。最近では、集中豪雨が起きると決まって洪水や土砂崩れなどが発生するようになりました。間伐などによる山の手入れが不十分なためであります。その背景には、山村の崩壊と外材輸入の圧力があります。ということは、政治が招いた帰結と言ってよいのであります。
 森林の持つ機能を高度に発展させ、国土の保全、環境の保全を図るためには、森林整備を一層促進する必要があります。そのためには、私有、公有、国有の枠を超えて、森林を国民共有の財産として位置づけることが重要であります。また、流域管理システムを生かしながら、都道府県による公的管理を強めていくことが必要です。とりわけ、三百万ヘクタールに上る所有者不在の森林、放棄林は公的管理のもとに置くとともに、そのための財源確保措置を講ずべきであります。公共事業の配分の見直しやグリーン税の創設などが考えられますが、総理、いかがでありましょうか。
 また、公共施設への地域材活用の義務づけや木質を中心としたバイオマスエネルギーの開発促進、パルプ原料、住宅建設などに税制や財政措置を思い切って講ずべきではないでしょうか。総理の見解をお聞かせください。
 循環型社会の形成を展望して、再生可能な資源としての森林と林業、木材産業について、百年、二百年先を見据えた骨太な基本政策を打ち立てるべき時期に来ております。
 現行の森林法と林業基本法を見直し、それを一体化した森林基本法の制定が必要であります。総理と農林水産大臣のお考えを伺い、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(森喜朗君) サミットについて厳しい御意見がありました。
 二十世紀最後の節目の年のサミットとして、世界の直面するさまざまな課題に対しG8がいかに取り組み、また二十一世紀を平和と希望の世紀にするために何をなすべきか、首脳間で活発で実りの多い意見交換を行いました。
 その結果、沖縄IT憲章や朝鮮半島情勢についての声明、G8コミュニケ等を発表し、沖縄から明るい力強いメッセージを出すことができました。世界の直面する重要問題につき、G8首脳が率直で忌憚のない意見交換を行い、かつ指針を提示するというサミット本来の目的は十分達成されたと考えております。
 なお、サミットの開催経費についてでありますが、今回のサミットは我が国にとって初めての地方開催であり、かつ首脳会合、外相会合及び蔵相会合もそれぞれ別の場所で行われたため、通信インフラや道路等関連施設の整備費、警備費用、準備段階を含めた移動の費用等が必要になったこともあり、このような予算額となったものであります。
 先般の日米首脳会談についてのお尋ねがありました。
 米軍施設・区域が集中することによる沖縄の問題につきましては、沖縄県民の方々の御負担を軽減するため、引き続き日米協力してSACO最終報告の着実な実施に取り組むことで一致をいたしました。
 さらに、私から、代替施設に関する使用期限の要請については、既に貴国政府との話し合いの中で数回にわたり取り上げられているところであり、今後、国際情勢の変化に対応して、同飛行場の代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき貴国政府と協議していくこととしたい、我が国としては、国際情勢の肯定的変化のための外交努力を積み重ねていく考えであり、右についても貴国と協力していきたいと述べました。
 これに対し、クリントン大統領からは、在沖縄米軍を含む在日米軍の兵力構成等の軍事態勢についてはSACOの最終報告及び一九九六年の日米安保共同宣言を踏まえ、日本側と緊密に協議をしていきたい旨の言及があったところであります。
 遺伝子組みかえ食品につきましては、今次サミットにおいて種々議論の結果、NGOや消費者団体などを含む幅広い国際的コンセンサスを構築するための道筋を示すことができ、議長国として所期の目的は達成したと考えております。
 我が国としては、今後とも、欧州、米国を含む関係国間での議論を深めつつ、また、関係国間との緊密な協力を通じてこの問題に取り組んでいく考えであります。
 日本新生プランについてお尋ねがありました。
 この構想では、着実な景気回復と時代を先取りした経済構造改革の推進に加え、安心して暮らせる高齢化社会に向けた改革、真の自由と規律をモットーとする教育改革の推進を柱としているところであり、これらの諸改革を通じて国民の生活実感にこたえていく所存であります。
 具体的には、日本新生プランの実現に向けて、十三年度予算編成におきましては日本新生特別枠を創設し、環境、高齢化及び都市基盤整備を中心に新産業創造の観点を踏まえた人材育成や福祉・介護分野、科学技術等、二十一世紀における我が国経済社会の新生に特に資する施策に特段の予算配分を行い、さらに生活関連等公共事業重点化枠においても予算配分の重点化を図っていく所存であります。
 財政構造改革についてのお尋ねがありました。
 財政について、その効率化、質的改善が必要なことは言うまでもありません。そのため私は、十三年度予算編成において、新世紀のスタートにふさわしい予算編成を行うべく、日本新生特別枠を創設するとともに、公共事業全体を抜本的に見直し、省庁統合等により施策の融合化と効率化を進めてまいる所存であります。
 そして、明るい兆しの見えてきた我が国の景気回復を一層確かなものとした上で、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制や社会保障のあり方、中央と地方との関係まで視野に入れて財政構造改革に取り組んでまいる所存であります。
 消費者契約法施行に当たっての施策についてのお尋ねでありますが、同法は消費者契約に係る紛争の公正かつ円滑な解決に資する民事ルールであり、来年四月の施行に向け、この実効性確保が重要な課題となっております。このため、国としても、PIO―NETの充実など、地方消費者行政の適切な支援に努めてまいりたいと考えております。
 教育基本法についてのお尋ねですが、教育基本法は制定以来半世紀を経ており、抜本的に見直す必要があると考えております。今後、教育改革国民会議において、例えば我が国の文化や伝統を尊重する気持ちを養う観点や生涯学習時代を迎える観点、あるいは教育において家庭や地域が果たすべき役割といった観点を初め、さまざまな観点から幅広く議論を深めていただき、命を大切にし、他人を思いやる心など、創造性豊かな立派な人間をはぐくむ教育を推進してまいりたいと考えております。
 また、少年法の改正についてお尋ねがありました。
 この問題につきましては、少年の健全育成を推進するとともに、悪質な少年犯罪を防止するための方策として、事実認定手続の一層の適正化や被害者に対する配慮とともに、いわゆる年齢問題等につきましても、種々の御意見を踏まえ、重要な課題として早急に検討してまいりたいと考えております。
 次に、中海干拓事業本庄工区の取り扱いについてでありますが、本庄工区検討委員会の報告書提出を受け、現在、農林水産省が島根県と協議を重ねており、その結果を踏まえ判断を行うべきものと考えております。
 また、堤防の開削、中浦水門の操作や湖を利用した地域経済の確立については、本庄工区の取り扱いが決まった後に必要があれば検討されるべき事項と考えております。
 そごうの処理に係る雇用問題等についてのお尋ねですが、既に閉鎖した店舗の離職者についての再就職のあっせんを図るとともに、大型倒産等事業主としてそごうグループ各社を指定し、雇用調整助成金により関連企業の従業員の雇用の安定を図ることといたしました。
 また、関連中小企業の連鎖倒産の防止等のため、政府系中小企業金融機関や信用保証協会による別枠での融資、保証等を実施いたしております。
 今後策定される再生計画も注視しつつ、そごうグループの雇用対策等について万全を期してまいりたいと考えております。
 久世氏の任命についてのお尋ねをいただきました。
 三菱信託銀行関連及び霊友会関連の問題については、金融再生委員長に任命するに当たって過去の報道で指摘された点につき調査を行いましたが、既にきちんとされている過去の問題であり、現在は問題がないとの説明であり、そのように承知したものであります。
 大京関連の問題については、任命時においては必ずしも十分に承知していたわけではありませんでしたが、その後、久世氏本人は、大京関連の資金については久世氏個人に支払われたものではなく、政治資金規正法上の問題ではないと御説明されていると承知をいたしております。
 いずれにせよ、久世氏個人に関連する事柄であり、現時点で具体的事実関係について承知しているわけではないことを御理解いただきたいと思います。
 私としては、新内閣の発足に当たっては、日本新生プラン実現のため適材適所の観点から大臣を任命いたしたところであります。結果として辞任をせざるを得ないような大臣を任命したということはまことに残念であり、遺憾であると考えており、また、深く反省するとともに、国民の皆様に率直におわびを申し上げたいと思います。
 今後、金融システムの安定化、我が国経済を自律的回復軌道に乗せていく諸施策、そして日本新生プランの実現など、現在取り組んでいる諸課題に対し、内閣としてこれらに一致結束して全力を挙げて取り組んでいくことにより、その責任を果たしていきたいと考えております。
 あっせん利得の禁止について御質問をいただきました。
 政治倫理の確立を図るための法的措置につきましては、野党が共同して既に法案を提出されているところでありますが、行政府に参画する政治家についてはより厳格な行動の規範を定めるべきだという議員御指摘の論点も含め、さまざまな御意見もあることから、私としては、与党三党間においても法制化に向けた協議が行われているところであり、各党各会派の間において十分に御議論いただくことが基本であると考えております。政府といたしましては、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 食品の安全対策についてのお尋ねでありますが、都道府県等による監視、指導に加え、国としても総合衛生管理製造過程の承認審査や承認後の監視、指導などについてその強化を図ってまいることといたしております。
 また、価格形成につきましては、当事者間で決められるものでありますが、価格動向など有意義な情報を当事者が入手できるようにしていくことが望ましいと考えております。
 森林の整備についてのお尋ねでありますが、森林は国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全等多様な機能を有しております。
 近年、こうした機能に対する国民の要請は一層高まっており、このような要請に対応し、流域を単位とした森林の整備を推進していくことが重要と認識いたしております。このような認識のもと、適正な予算編成に努めてまいります。
 森林の公的管理の財源としてグリーン税を創設すべきとのお尋ねがありました。
 グリーン税の具体的な内容は承知しておりませんが、国民に新たな税負担を求めることについては、まず、その目的や、だれに負担を求めるか等について十分な議論がなされ、国民の幅広い理解と納得が得られることが重要であります。また、一般に税収の使途を特定する場合には、その妥当性を常に吟味する必要があります。このようなことから、御指摘について慎重な検討が必要であると考えております。
 公共施設への地域材利用の促進や木質発電などについてのお尋ねでありますが、林業の活性化、森林の適切な管理を図る上での木材利用推進の重要性にかんがみ、公共施設への地域材の利用促進や住宅分野、エネルギー利用など幅広い分野における利用促進に向けた施策を実施してまいる所存であります。
 なお、公共施設への地域材の義務づけにつきましては、実行可能性の面から困難な面があると考えております。
 最後に、林業基本法等についてのお尋ねでありますが、林業基本法等の見直しにつきましては、林業政策の基本的な考え方を木材生産を主体としたものから森林の多様な機能の持続的発揮を主体としたものに転換することとして、現在新たな基本法案等の作成に向け検討を急いでいるところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣保岡興治君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(保岡興治君) 谷本議員にお答え申し上げます。
 個人債務者が利用しやすい再生手続の創設についてお尋ねがございました。
 個人債務者の倒産件数が激増している今日の社会状況のもとで、御指摘のような手続を整備することは重要な課題であると認識をいたしております。
 そこで、住宅ローンなどの負担に苦しむサラリーマンのみならず、小規模零細な商店や農家などの個人事業者を含めた個人債務者が利用しやすい再生手続の創設について特に緊急に整備する必要があるとの判断から、鋭意検討作業を進めており、次期国会に関係法案を提出したいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(堺屋太一君) 消費者契約法の施行に当たっての施策についてお尋ねがございました。
 消費者契約法の実効性を確保する見地より、引き続き地方の消費者行政を一層支援していきたいと考えております。このため、PIO―NETには、入力経費やPIO―NETの末端の設置費及び増設費など引き続き充実を図ってまいりたいと考えています。また、国民生活センターにおける研修の実施、相談業務に関する情報提供等による消費生活相談員への支援などを通じて、各地の消費生活センターに対して適切な支援に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣谷洋一君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(谷洋一君) ただいま議員の方から森林・林業に関する御質問をいただきました。衆参本会議の代表質問におきまして林業の質問というのは本当に数少ないわけでございまして、まことにありがとうございました。
 先ほど森総理の方から子細にわたりまして御報告がございましたので、私は農林水産省の立場におきまして御説明申し上げたいと思います。
 ただいま新しい林業基本法をつくるべく審議会を開きまして、各業界の方、団体の方、また学者の先生方等々、いろいろと意見を聴取して審議会を開いておるわけでございますけれども、それにつきまして、やはり今の日本というのは非常に山林所有者が自信を失っております。山林は資産的価値がないと、こうはっきり断言される山の所有者が多いわけでございまして、まことに残念な思いであります。
 しかしながら、緑の保全ということにつきましては、国土の保全あるいは水資源の涵養あるいは大気の浄化等々から考えましても、世界を通じ、日本を通じて全国民がその価値を知っておるわけでございます。そういうことを考えますと、これからの林業というものに対する我々の考え方をはっきりさせまして、そして国民に浸透させることが必要かと思っております。
 そこで、農林水産省といたしましては、審議会をつくって審議をしておりまして、政策面では、本年中にこれを取りまとめて来年には何とか国会に早く出せるようなことを考えていきたいと思っております。
 そういうことでございますので、皆さん方の御賛同をいただき、強力なバックのもとにこの林業政策を打ち立てることをやりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
    ─────────────
#29
○副議長(菅野久光君) 円より子君。
   〔円より子君登壇、拍手〕
#30
○円より子君 私は、民主党・新緑風会を代表し、森総理の所信表明演説に対し、男女共同参画社会の実現、金融・経済政策、そして指導者のあるべき姿について質問いたします。
 まず、男女共同参画社会の実現をテーマに伺います。
 沖縄サミットの直前、米兵による少女わいせつ事件が起きました。そのとき総理は、政府がどうこう言う問題じゃないと言われたそうです。また、ヒラリー夫人を初め各国のファーストレディーがサミットに参加しないことについて、夫人が来られないからといって会議が開けないわけではない、ついてきてもらってホテルでぼけっとしてもらっても困るからと発言されたそうです。こうした発言は、女性べっ視を世界に発信なさっていることになりはしないでしょうか。総理は、女性の尊厳、役割、そして女性への暴力についてどのような認識をお持ちなのか、御披露いただきたいと思います。
 さて、我が国の合計特殊出生率は今一・三四の低さに至っています。一九八九年の一・五七ショック以来、政府も経済界も慌てに慌てて少子化対策なるものを打ってまいりましたが、いずれも効果がなく、年々出生率は下がり続けております。総理は、少子化の原因をどうとらえられているのか、また、少子化への対応として、保育所問題だけでなく、住宅政策、周辺環境、通勤環境等の整備を早急に推進なさるおつもりはあるのか、あわせてお伺いしたいと思います。
 七月二十一日、奈良地裁で、交通事故死した女子中学生の逸失利益について、初めて男女合わせた全労働者の平均賃金をもとにした判決が言い渡されました。これまで男女で命の計算に差別があったことを総理は御存じでしょうか。総理は命に男女差があるのを当然と思われますか。一生の間に得る平均賃金で男女の逸失利益に差をつけるのが当然というなら、無報酬の労働に価値はないのでしょうか。女性たちをさまざまな制度を設けて延々と無報酬労働に閉じ込めてきたのは政府ではなかったでしょうか。無報酬労働の評価、奈良地裁の判決、逸失利益の男女差について総理のお考えを伺います。
 ことし二月時点で総務庁統計局が行った労働力調査では、女性の正社員比率は五三・六%にまで落ち込んでいます。男性の八八・三%に比べ非正規雇用で働く女性がいかに多いか。それについても総理の御見解を伺います。
 不況は女性により厳しく影響しています。再び女性と男性の賃金格差が広がる懸念があり、それによって奈良地裁の判決が覆されるかもしれません。きのうはまた、大阪地裁で住友電工の男女差別訴訟の判決が出ましたが、残念ながら、男女別採用は憲法の趣旨に違反するとされながら、当時の社会状況では違法とは言えないとの判決が出ました。これでは過去に差別的採用をされた女性の救済は一切なされません。女性は男性の補助という状況がいつまでたっても変わらない限り、互いに支え合う思いやりのある共生社会は生まれないと私は思います。総理の御見解を伺います。
 女性は結婚によって九七%以上が夫の姓に変わります。そして、出産、育児、また夫の転勤で退職を余儀なくされ、人生を細切れにされます。子育てを終えてやっと再就職しようとしても、ずっと年齢制限の壁が立ちはだかり、採用試験すら受けられない現実がありました。
 昨今、働き盛りの男性の失業がふえ、年齢制限によって再就職が阻まれる人も多くなりました。それでやっと社会でも年齢差別見直しの動きが出てきましたが、性別だけでなく年齢で差別される社会はおかしいとは思われないでしょうか。年齢差別禁止法を制定するべきではないかと思います。
 子供を育てやすい社会、年齢を重ねてもいつでも仕切り直しのできる社会づくりのためにも、差別を生む制度を見直し、男女共同参画社会の実現が必要です。そのための施策について具体的に伺いたいと思います。
 さて次に、金融・経済政策に対する総理の御見解を伺います。
 中高年の自殺者は相変わらず多く、特に働き盛りの男性の自殺は最高の九八年以上に増加しています。自殺まではしなくとも、その何千倍の人たちが血を吐く思いで中小企業の資金繰りに追われ、社員とその家族のために闘っています。リストラに遭い、失業に苦しむ人たちも後を絶ちません。こうした国民の実感では、景気の底打ち、プラス成長の順調な経済という政府見解のような状況にはとてもありません。
 不動産等の資産は買いたたかれ、長年取引のあったメーンバンクからも商売の運転資金が借りられず、高金利のノンバンクから借入するしかない。そしてその金利返済に追われているといった無間地獄が我が国の現実なのです。明るい兆しが見えてきたとおっしゃる総理は、余りにも表面的、楽観的にしか我が国の現状を見ておられないのではないでしょうか。
 銀行は、これまで国民や企業から預金を集めてはその預金に対して正常な金利を払い、その利払いのためにお金を借りたいという個人や企業に、信用創造を行いながら潤沢に資金を供給してきました。ところが今の銀行は、超低金利のため金利をほとんど預金者に支払わず、幾ら預金を集めても資本がふえなければ貸し付けもふやせないという状況で、銀行全体の貸し出しも減少し続け、経済全体のデフレ感を強め、結局は取引先の不良債権をもたらす結果となっているのです。
 自己資本規制の関係では、リスクのないとされている国債の保有量を増加させておりますが、実は、日銀が公定歩合を正常な水準に直そうとすると、連動して長期金利も上がり、国債の価格が下がるという避けがたいリスクを抱えております。日本の現在の超低金利政策を正常な金利水準まで戻そうとすると、不良債権の処理で体力をすり減らしている銀行の貸し出し能力が、国債等の債券の時価評価による損失の発生で、さらに低下することになりかねません。
 既に我が国の国債の発行残高は約三百六十四兆円で、利払い負担も巨大です。それなのに、本年度は二十三兆四千六百億円もの赤字国債を既に発行しようとしています。この大量の赤字国債を市中消化しようとすると、どうしても国債の実質的な金利は上がらざるを得ないんです。金利が上がると、手持ち資産としての国債の価値が下がるために、大量に国債を保有していればいるほど、それが個人であれ銀行であれ損が大きく出ることになります。
 問題企業の法的整理が予想外に増加することは、銀行の償却負担の増加を呼び、保有株式の売却を促し、株式相場は下落、含み益の減少となります。また、銀行の不良債権が金融再生法を通して国家財政にリンクしているとの認識があることに加え、国債需給の悪化、つまり財政負担の増加は我が国に対する信認の低下につながり、その結果、日本の国債は格下げとなり、金利は上昇、銀行のバランスシートの劣化、そして株式相場だけでなく債券相場まで下がるということになるんです。
 今回のそごう問題は、興銀の保有株式の売却や外人売りを引き起こしました。そして、今この株式相場が下落しているわけで、まさに私が今言いました図式どおりの怖い展開を見せております。この点について皆さん政治家や、そして総理が認識なさっているのかどうか、総理の御見解を伺いたいと思います。
 一体今、金融機関や生保、ノンバンク等の不良債権処理はどこまで進んでいるのでしょうか。あと幾ら残っているのか、これからどれだけふえる見込みなのか、国民は真の実態を知らされる権利があります。総理は実態を把握なさっておられますか。従来はまるで大したことはないかのように発表されてきましたが、今度こそ隠し立てをせず、納得のいく数字をお出しいただきたいと存じます。
 九八年以降に確保された金融再生のための七十兆円という公的資金の枠がまだ残っておりますので、とりあえず金融危機が去ったかのような錯覚が、また誤解が今政治の世界にあると思います。しかし、これが不足するのは自明の理で、これを見込みどおり使い切ってしまった後はどうなるのか、重大な懸念は尽きません。また、ペイオフ延期と同じように議論もなく、国会で何の審議もせず公的資金枠をさらに追加なさるおつもりか、このことについても御見解を伺います。
 いずれにしても、不良債権問題が企業活動の悪化の原因となって、低成長をもたらし、年金財政などの破綻を来し、国民の間の将来不安をはびこらせることとなって、消費も萎縮する、そして、これがまた不良債権の処理をますます困難にするという悪循環が続いております。
 長期間の日本経済停滞の最大原因はまさに、バブル崩壊後の不良債権の処理を先送りし、公的資金を場当たり的に投入したこと、この先送り姿勢と国力の逐次投入姿勢が需要の萎縮を生んだことにあります。このことを総理は認識しておられないのではないでしょうか。
 異常な低金利政策によって数十兆円もの金が家計部門から銀行や企業に所得移転され、そのお金で今不良債権が処理されていることを、また、低金利政策は年金財政にもひずみをもたらしていることを国民は理解しております。その明確な責任の所在を国民は求めているのです。
 だからこそ不良債権がいまだ大量に残り、金融システムが弱いままでは、企業にとっても国民にとっても将来の不確実性はなくならず、総理が所信表明で述べられたような自律的な経済回復は決してないのだということを肝に銘じていただきたいのです。原点に立ち返って金融問題を根本から片づけることこそ、総理が命をかけておやりになるべき最大のことではないでしょうか。
 最後に、指導者のあるべき姿について伺います。
 これは教育の根本につながることです。今国民が求めているのは強いリーダーではありません。日本の国民に必要なのは、精神論でごまかさず、私たちが直面している危機の実態を国民の前にさらけ出す勇気と覚悟のある、うそを言わないリーダーです。
 ところが、政界だけでなく経済界、産業界にも甘えが蔓延しています。ゼネコン、デパート、銀行、保険会社などのトップに見るだらしなさは目に余るものがあり、さらに行政当局にも当事者能力のないことが国民に明らかとなりました。日本の責任者たちはここまで自己決定能力も自己責任能力もなくなったのか。日本の教育は間違っていたのでしょうか。
 しかし、目を背けてはいけない重要なことがあります。国民は、バブル崩壊によって一千兆円を超える資産を失いました。これは、実は人々の個々の能力を超えてしまう重大な事態が起きたということなのです。そして、その後の政府の失政によって国民は塗炭の苦しみを味わうことになりましたが、これから私たちは、数十年かかるとも、人知及ばざる事態の復興に官民挙げてかからなければなりません。
 その前に、このバブル、つまり狂騒と悲嘆の十年は何だったのか。そして、デフレと連鎖倒産、リストラのあらしからいまだ抜け出す道も見出せない現在とは何なのか。個々の能力を超えている我が国のこの事態を分析し、総括し、国民に報告する義務が総理にはあります。これが今総理のなさるべき緊急の、そして最重要課題ではないでしょうか。
 ところが総理は、この総選挙の最中、国の借金は国民の財産という趣旨の発言をなさいました。健全な財政時ならば借金を財産と言えますが、今の状況でそのように言うことは問題の本質と政府の無責任さを国民の目からそらす言動ではないでしょうか。
 人知を超える事態が起きたからといって、責任を転嫁したり倫理観の欠如する態度を許していいということではありません。原則を放棄するかのようなこのような発言を一国の総理が平気でなさる、これはこの国のたがが完全に緩んでしまっている証左でなくて何なのでしょう。総理みずからモラルハザードを起こしている国に救いはありません。総理の御説明を求めます。
 人々は今、政治を冷ややかに見詰め、何も期待せず、個々のライフスタイルに沿う生き方を模索しているように見えます。しかし、幾ら貯蓄に励んでも、リストラされ、貯金は目減りします。私の周りでも、失業後仕事が見つからず、子供が大学をやめて働き、親を支えているケースが多くなっています。
 老後のためにとバリアフリーのマンションを購入しても、車いすで電車やバスに乗って買い物に行くこともできない。近くの商店街はなくなり、移動手段のない高齢者には郊外まで買い物に行くのは至難のわざです。
 都心のビルの豪勢さに比べ学校の校舎、トイレの汚さ、農漁村のむだな公共設備に比べ都市景観のみすぼらしさ、我が国のこのアンバランスはこの国全体のライフスタイルが欠如しているからにほかなりません。国が年金や医療、介護といった社会保障の安心だけでなく、暮らしやすい環境と町づくりを含めた基本のライフスタイルを提示し、それに沿って税のあり方、つまり国民の負担も議論してくれることを国民は望んでいるのです。
 中学生の意識調査では、責任のある仕事より楽な仕事につきたいと考える子供がふえています。責任ある地位の人々の無責任さを日々見せつけられていれば責任という言葉も変質してしまうでしょう。大人の閉塞感はそのまま子供たちの閉塞感でもあります。こうした子供たちへの教育の根本である大人の社会を総理はどう立て直すおつもりなのか。
 警察の信頼は地に落ち、刷新会議なるものをつくっても、外部監察の導入を避け、公安委員会の独立性確保もできないようでは国民の信頼回復は全く難しいのではないでしょうか。こんな警察に八月十五日から施行の盗聴法をゆだねていいものでしょうか。盗聴法はぜひ廃止すべきだと思います。少年法も厳罰化するだけで少年の犯罪を食いとめられると思うのは安易過ぎます。私たち政治に携わる者がまず襟を正し、責任をとる姿勢を見せることが肝要ではないでしょうか。
 教育問題を道徳だけで切り取り、日の丸・君が代を強制しても、教育基本法や少年法の改正に頼っても、人の教育はできるものではありません。モラルモラルとおっしゃっても、モラルハザードを起こしているのは大人社会ではありませんか。なぜ今教育基本法の改正なのか。教育基本法の改正よりも先にやるべきことはたくさんあります。精神論だけで人を動かそうとすべきではないでしょう。
 未来は未来にあるわけでなく、未来は現在にあります。つまり、現状に対する正しい認識こそ唯一の解決への糸口であり、それのみが未来への扉となること、そのためにもマネー敗戦とも言える今の金融経済に果断に対応する必要がありますが、総理の所信表明には危機意識もなければ国民に訴える力もありませんでした。
 昭和三十年代に愛飲されたたばこに新生というものがありました。昭和三十五年には五百三十億本という、ピースやゴールデンバット、光などとはけた違いの売れ行きを見せていましたが、昭和五十年には十分の一に落ち込み、平成十年には二億本になっております。
 時代のニーズに合わなくなって市場から退場していった新生というたばこと同じ言葉、死語同然の言葉を二十九回も繰り返し使って国民に働きかけようとする総理の無神経さに驚きました。
 この国を本当に立ち直らせるお気持ちがあるなら、キーワード一つにも文体にも気を使い、新鮮で力強い言葉を探し出す努力をなさるべきではなかったのか。(発言する者多し)
#31
○副議長(菅野久光君) 円君、簡単に願います。
#32
○円より子君(続) もし所信表明演説が官僚のつくった作文であったなら官僚も、そして手直しされた総理も、国民に訴えかける言葉の選び方について余りにも鈍感であり、これは総理の閣僚人事にも政策決定にもつながることであり、このことが株の暴落を生み、国民の元気をなくす源なのだということを指摘し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(森喜朗君) 女性の尊厳や女性への暴力についてのお尋ねがございました。
 その前に、私の発言が女性をべっ視しているかのように聞こえるがという御指摘でございます。あえてお答えをするのもどうかと思いますが……(「答弁しないでいいよ」と呼ぶ者あり)私の名誉にかかわることでもありますから申し上げておきますが、最初の例は、いずれもいわゆるぶら下がりという短い時間の間で歩きながら記者さんとのやりとりを報道されたものでありまして、米兵を刑事事件としてどうするのかというそういう質問でありましたので、もう日本の司法手続にもなっているから、三権分立の観点からは政府がどうこう言う問題ではない、こういうふうに答えたわけであります。
 それから、サミットに対する御夫人の問題でありますが、首脳の御夫人が少ないから沖縄のサミットが無視をされたのではないかというようなそういう御質問でありましたので、そもそもサミットというのは御夫人が参加されるものではないので、御一緒においでになる御夫人について別途のスケジュールをつけてあげないと、それぞれお一人でいられるというのは心もとないでしょうからそういう日程をつくるんです、したがって御夫人が参加されないからといってサミットが開けないというものではないんじゃないでしょうか、こうお答えを申し上げたわけでございます。
 男女共同参画社会は、個人が尊重される品格ある社会であり、その実現のために克服すべき課題は多方面にわたっておりますが、中でも女性に対する暴力の問題は、女性の尊厳を傷つけるものであり、決してあってはならないと考えており、私はきのうの男女共同参画審議会総会においてもその旨を発言したところであります。
 少子化対策についてのお尋ねでありますが、少子化の主な要因は晩婚化の進行などによる未婚率の上昇であり、その背景には結婚に関する意識の変化や仕事と子育ての両立の負担感の増大などがあると考えております。
 このため、昨年末に策定した少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランに沿って、保育や雇用に関する施策とともに、良質な住宅や居住環境の整備、通勤混雑の緩和などを含めた総合的な少子化対策を推進してまいりたいと考えております。
 無報酬労働についてのお尋ねがありました。
 家事、育児、介護等のいわゆる無償労働は女性がその大部分を担っているところでありますが、これについては数量的に十分に把握されておらず、そのことが女性の担う役割への過小評価等につながっております。このため、男女共同参画二〇〇〇年プランに沿って無償労働の数量的把握の推進に努めております。
 奈良地裁の判決についてお尋ねがありました。
 個別の判決についてのコメントは差し控えさせていただきます。
 また、逸失利益の男女差についてもお尋ねがありましたが、裁判における男女の逸失利益の扱いにつきましては、男女共同参画社会の実現という観点から注目しているところであります。
 非正規雇用で働く女性についてのお尋ねですが、女性の就労意欲が高まる一方、女性が育児などの家族的責任を多く背負っている現状においては、仕事との両立を図りやすい働き方として、パートタイム労働など非正規雇用で働く女性が多いものと承知をいたしております。女性の能力発揮を促進する上で、その働き方に応じた適正な処遇、労働条件が確保されることが重要な課題だと考えます。
 不況が女性により厳しく影響を与えるとの御認識のもと、互いに支え合う思いやりのある社会についての御提言がありました。
 性別による固定的な役割分担意識をなくし、男女が社会の対等な構成員としてあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に利益を享受することができる男女共同参画社会は、互いに支え合う思いやりのある社会であり、その形成は経済構造の変化の中で女性に不利な影響が出ないようにするためにも重要であると考えております。
 年齢差別の禁止についてお尋ねがありました。
 年齢差別の禁止法は将来的な検討課題であると考えておりますが、今日の状況においては判定のための環境整備や社会的合意ができていないと考えております。
 また、男女共同参画社会の実現に向けた施策についてのお尋ねがありましたが、安心して子供を産み、育てやすい社会、高齢者が生き生きと暮らせる社会づくりのためにも、男女共同参画基本計画の策定など、今後とも施策の充実に努めてまいりたいと考えます。
 不良債権を抱えた銀行の状況についてのお尋ねですが、株式相場、債券相場の動向等、経済諸情勢の変化が銀行の経営に与える影響について一概に申し上げることは困難でありますが、全国銀行の平成十一年度決算では、経常利益がトータルで三年ぶりに黒字に転じ、当期利益も同様に五年ぶりに黒字に転じたといった状況にあり、また、不良債権処理についても十分な進展が見られており、銀行の財務状況は着実に改善しているものと考えております。
 金融機関等の不良債権処理についてのお尋ねですが、不良債権の処理額は全国銀行ベースで平成四年度以降累計で約六十六兆円に達しております。また、関連ノンバンク等を含めた連結ベースでのリスク管理債権は、平成十二年三月期で、預金取扱金融機関について約四十二兆五千億円、生損保について約一兆八千億円となっております。
 不良債権は個別債務者の業況等に応じ今後も随時発生するものであり、その見込み額を申し上げることは困難でありますが、いずれにせよ金融機関等において引き続き適切な償却・引き当てが行われることが重要であると考えます。
 七十兆円の公的資金枠についてお尋ねですが、政府保証枠や預金保険機構に交付する国債につきましては、金融再生法や早期健全化法等の法的枠組みにのっとり、我が国金融システムに対する内外の不安を払拭するとの観点から措置されたものであります。
 これについて、今後どの程度の額が必要となるかは必ずしも予測しがたい点もございますが、金融システムをより確固たるものにするため、今後とも法的枠組みにより適切に対処してまいる所存であります。
 金融問題への取り組み姿勢についてのお尋ねですが、金融システムは経済全体のいわば動脈であり、我が国経済の再生と活性化のためには、不良債権問題を早期に解決し、金融機能の安定及び早期健全化を図ることが不可欠であります。
 政府としましては、今後とも、金融機能早期健全化法に基づく資本増強制度を積極的に活用することも念頭に置き、金融機関の不良債権処理が適切に行われ、より強固な金融システムが構築されるよう万全を期してまいります。
 バブル崩壊についてお尋ねがございました。
 バブル崩壊に伴って長期的に景気が低迷し、経済白書において分析しているように、日本経済は設備、雇用、債務のいわゆる三つの過剰という問題を抱えるに至りました。しかし、政策効果などにより景気は下げどまり、三つの過剰にもそれぞれ改善が見られております。
 現在、景気は厳しい状況をなお脱しておりませんが、緩やかな改善が続き、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが徐々に強まっております。
 国債発行の意義についてのお尋ねがありました。
 我が国経済は、緩やかな改善を続けているものの、雇用面や個人消費などなお厳しい状況を脱しておりません。こうした厳しい経済状況の中で、政府はこれまで景気を本格的な回復軌道に乗せていくために積極的な財政運営を行ってきました。
 この結果、我が国財政は、平成十二年度末における国債発行残高が三百六十四兆円にも達する見込みであります。発行した国債の償還を行うのは当然なことでありますが、財政構造改革については、政府としては、景気回復を一層確かなものとした上で、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制や社会保障のあり方、中央と地方との関係までを視野に入れて取り組んでまいります。
 警察の刷新及び通信傍受法についての御質問がありました。
 警察刷新につきましては、公安委員会は警察の政治的中立と民主的管理の確保のために設置された独立の行政委員会であり、公安委員会が第三者機関的な監察的機能を果たすことにより、実効ある監察の確保が図られるものと考えております。
 また、通信傍受法は、組織的な犯罪をめぐる現下の国内外の厳しい状況にかんがみ、これに適切に対処するために必要不可欠な法整備を図ったもので、組織的な犯罪と戦う上で極めて重要なものであり、また通信傍受の適正確保のため法律上極めて厳格な要件が規定されており、当然適正な運用が行われるものと考えております。したがいまして、これを廃止するのは適当でなく、その必要もないと考えております。
 教育基本法についてのお尋ねですが、教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、命を大切にし他人を思いやる心など、創造性豊かな立派な人間をはぐくむ教育を実現するためには、制定以来半世紀を経た教育基本法の抜本的な見直しなど、教育の根本にさかのぼった改革を進めていく必要があると考えております。
 このため、今後、教育改革国民会議において、例えば我が国の文化や伝統を尊重する気持ちを養う観点や生涯学習時代を迎える観点、あるいは教育において家庭や地域が果たすべき役割といった観点を初め、さまざまな観点から幅広く議論を深めていただきたいと考えております。
 なお、学校における国旗・国歌の指導は、児童生徒にその意義を理解させ、これを尊重する態度を育てるために行っているものであります。(拍手)
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#34
○副議長(菅野久光君) 星野朋市君。
   〔星野朋市君登壇、拍手〕
#35
○星野朋市君 私は、自由民主党・保守党を代表して、森内閣総理大臣の所信表明に対し、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
 質問に先立ち、さきの有珠山の噴火以来、長期にわたって避難を余儀なくされている方々、また伊豆諸島における噴火、それに続く地震や大雨で不自由な生活を強いられている方々に対し、心よりお見舞いを申し上げると同時に、政府一体となって万全の対策を講じるよう要望いたします。
 さて、九州・沖縄サミットが県民各位の御協力のもと、先日、無事閉幕いたしました。小渕前総理の沖縄に対する熱い思いを引き継ぎ、森総理には議長としての大役を果たされ、大変御苦労さまでございました。
 今回のサミットG8首脳宣言の前文には次のように記してあります。
 二十世紀の最後の四半世紀の間、世界経済はかつてない水準の繁栄を遂げ、冷戦は終えんし、グローバリゼーションは次第に共同体という共通の認識を生み出した。新しい世紀に移行するに際して、我々は今なお残っている紛争や貧困などの問題に取り組むべく引き続きリーダーシップと責任を果たし、新しい課題が持ち上がるたびに真剣に取り組むつもりである。我々は、情報技術、ITや生命科学といった分野の新しい技術によってつくられた機会を果敢につかまなければならない。我々は、すべての人に対するグローバリゼーションによる利益を最大化するために創造的であり続ける一方で、グローバリゼーションに関連した懸念を認識しなければならない。我々は、あらゆる取り組みにおいて、二十一世紀のより明るい世界のための礎として、我々の基本的な原則と価値を強化しなければならない等々ございます。
 これらの理念は、まさにそのまま二十一世紀の我が国のあるべき姿、進むべき道であると言っても差し支えないのではないでしょうか。
 また、アメリカ大統領として本土復帰以来初めて沖縄の地を踏んだクリントン大統領は、平和の礎の前で、平和の礎は沖縄戦の記憶をとどめるために建設され、すべての人々の悲しみの象徴であります。我々は、二度と同じ過ちを繰り返してはいけないという共通の責任を負っているのです。我々は、沖縄における戦争の足跡を減らす努力をし、よき隣人としての責任を誠実に果たすつもりでありますとの意思を直接県民に語りかけました。
 これらのことからも、私は、二十一世紀の世界像を語り合うサミットの場として沖縄が最適の場であったと高く評価しております。
 改めて、九州・沖縄サミットの意義と成果について総理にお伺いをいたします。
 次に、経済、金融の問題であります。
 我々は、あらゆる分野での構造改革を円滑に進めるため、我が国経済を民需主導による実質二%台の自律的回復軌道に乗せるよう強く主張してまいりました。構造改革には当然デフレ効果が伴うので、構造改革を円滑に進めるためには、財政や金利政策で経済を下支えし、国民の生活不安をなくすことが不可欠であります。安易な財政再建論は経済を再び萎縮させ、むしろ構造改革をおくらせる結果となります。九〇年代半ばの失敗を二度と繰り返してはならないのであります。
 根本は我が国経済の現状をどう見るかであります。四半期ごとのQEは単なるフローの世界であり、それによって政策判断を行うことは根本的に間違っていると思います。問題はストック、いわば我が国の経済の体質、体力の問題であり、バブル崩壊により一挙に千三百兆円もの資産を失った結果、膨大な不良債権を抱え機能不全に陥った金融システムにあります。金融機関に体力がないから、本来整理縮小すべき企業等も連鎖倒産の危険性からつぶすにつぶせない現状にあります。
 金融機関の早期健全化法による公的資金の投入で、不良債権の処理もかなり進み、今や最終段階を迎えるに至っていると思います。しかし、不良債権の処理が終わるまでは、安易な財政再建論に惑わされることなく、積極的経済政策を堅持し、経済再建に全力を傾注すべきであります。総理の御所見をお伺いいたします。
 これらに関連し、そごう問題について質問をいたします。
 このたび百貨店そごうは、債権放棄という私的整理ではなく、民事再生法による法的整理の道を選ぶことを自主的に判断いたしました。そごうが自主再建を断念したのは、債権放棄により、国民から税金による私企業救済だとの強い反発が沸き起こり、それによる客離れで売り上げが急落し、再建計画を見直さざるを得なくなったためであります。
 法的整理の方が、連鎖倒産の可能性や従業員のリストラなどにより、結果として国民の負担がふえることになったとしても、市場における公平かつ透明な企業整理の原則を明確にしたことは、法治国家として当然のことであると私は思います。総理の御見解を求めます。
 次に、社会保障制度についてお尋ねをいたします。
 受益と負担をリンクさせることによってモラルハザードを防ぐという我が国の社会保障制度は、少子高齢化社会の急速な進展により、給付の急増に保険料の引き上げが追いつかなくなってきており、このままでは、給付水準の大幅引き下げか、保険料の大幅引き上げかのどちらかが避けられず、国民の深刻な不安につながっております。
 また現在、年金、医療、介護には多大の国庫負担がなされており、この国庫負担が社会保険の受益と負担の関係を崩しているだけではなく、国の財政赤字そのものになっているのであります。まさに財政構造改革と社会保障制度改革は一体不可分なのであります。
 したがって、消費税の使途を基礎年金、高齢者医療、介護という基礎的な社会保障に限定する福祉目的税化を真剣に検討していただくよう提案をいたします。総理の御見解をお示しください。
 次に、教育改革についてお尋ねをいたします。
 私はかねてよりこれからの社会におけるボランティアの重要性について指摘してまいりました。例えば、学校教育のカリキュラムの中にボランティアの時間を設けるべきだと思います。核家族化が進む中で、ボランティアによりお年寄りと少年少女が触れ合い、お互いが人を思いやり、人生の歩みを自然と学ぶ道が開けることもあるのです。また、ボランティアが介護問題などこれから負担の重くなる問題を解決してくれるものと確信しております。
 アメリカが大学入試や会社の採用に当たってボランティアの時間をかなり考慮に入れているとか、南米の某国ではアマゾンの無医村でのインターンのボランティアを義務づけていることなどはそのよい例ではないでしょうか。
 今回、教育改革国民会議がこのような提案をしているのは、まことに時宜を得た提案であると思います。
 また、総理は所信の中で、「命を大切にし、他人を思いやる心、奉仕の精神、日本の文化、伝統を尊重し、国や地域を愛する気持ちをはぐくみ、二十一世紀の日本を支える子供たちが創造性豊かな立派な人間として成長することこそが、心の豊かな美しい国家の礎と言えるのではないでしょうか。」とおっしゃっていますが、現行の教育基本法は世界的に普遍性のある抽象的な徳目を並べただけで、共同体としての不可欠な民族、歴史、伝統、家族などの要素がどちらかといえば軽んじられております。これも今日の教育崩壊の大きな要因の一つであります。
 日本人としての自覚と誇りを取り戻し、二十一世紀への日本の発展の基礎を築くため、教育基本法の見直しを行うべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 最後に、政治倫理の問題について伺います。
 中尾元建設大臣の受託収賄事件は、政治に対する国民の信頼を失わせる恥ずべき行為であり、断じて許されません。再びかかる事件が起こってしまったことを我々政治家は深く反省し、襟を正すべきであると思います。
 政治倫理の確立を図るため、我々はかつて入札干渉罪法案を提出いたしました。それは、対象を公の入札に絞り、国、地方を問わず、政治家は入札に関して一切の口ききを禁止し、それによって業界や企業は政治家を利用してビジネスをするやり方をやめ、自己努力によるフェアな競争をすること、これによって正々堂々、公明正大な政治の実現と業界の健全な発展を目指したものであります。
 この案を踏まえつつ、与党三党でよりよき案をまとめ、政治の一層の浄化と民主政治の健全な発展を図っていくべきだと考えますが、これは扇建設大臣の御見解を伺いたいと思います。
 我々与党三党は、森内閣が掲げる日本新生プランを全面的にバックアップし、これからも改革の先頭に立つことの決意を申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(森喜朗君) サミットの意義と成果についてのお尋ねでありますが、小渕前総理が万感の思いを込めて決定された九州・沖縄サミットでは、二十一世紀において一層の繁栄、心の安寧、世界の安定を実現するために何をすべきか活発で実り多い議論が行われました。その結果、G8コミュニケ、沖縄IT憲章、朝鮮半島情勢に関する声明などが採択され、沖縄の地から二十一世紀に向けて明るく力強い平和へのメッセージを発信することができました。
 なお、サミットの機会に沖縄を訪問されたクリントン大統領が、平和の礎という沖縄の歴史の重みを伝える場所で演説を行ったことも非常に意義深いことであったと考えております。
 不良債権の処理が終わるまでは経済再建を優先すべきではないかというお尋ねでありますが、政府・与党が大胆かつ迅速に取り組んできた広範な政策の効果もあり、我が国経済は緩やかな改善を続けております。ただし、雇用面や個人消費などはなお厳しい状況を脱しておりません。
 今般、公共事業等予備費の使用を決定したところでありますが、引き続き景気回復に軸足を置いた経済・財政運営を行い、景気を自律的回復軌道に乗せていくように全力を挙げつつ、我が国経済の動向等を注意深く見ながら適切に対応してまいります。また、経済構造改革に迅速かつ大胆に取り組んでまいります。
 財政構造改革につきましては、明るい兆しの見えてきた我が国の景気回復を一層確かなものとした上で、財政面にとどまらず、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制や社会保障のあり方、中央と地方との関係まで視野に入れて取り組んでまいります。
 いわゆるそごう問題についてでありますが、そごうについては、その自主的な経営判断により民事再生法の適用申請が行われたところであり、今後こうした法的処理の枠組みの中で手続が進んでいくものと考えております。
 企業の再建はあくまでも自己責任が原則であり、公的資金を用いた破綻処理の過程で債権放棄は安易に認められるべきではないとの認識のもと、関係各方面や国民に十分な説明をしつつ適切な対応を図っていかなければならないと考えております。
 消費税の福祉目的税化についてのお尋ねでありますが、急速に少子高齢化が進行する中で、国民が生涯を安心して暮らせる社会を築いていくことは大きな課題の一つであり、給付と負担のバランスを確保しつつ、持続的、安定的で効率的な社会保障制度を構築していくことが必要であると考えております。
 なお、消費税の福祉目的税化を含め、将来の税制、財政のあり方については、今後、少子高齢化の進展など、経済社会の構造変化や財政状況等を踏まえつつ、国民的な議論によって検討されるべき課題であると考えております。
 教育基本法についてのお尋ねでありますが、教育基本法は制定以来半世紀を経ており、抜本的に見直す必要があると考えております。
 今後、教育改革国民会議において、例えば我が国の文化や伝統を尊重する気持ちを養う観点や生涯学習時代を迎える観点、あるいは教育において家庭や地域が果たすべき役割といった観点を初め、さまざまな観点から幅広く議論を深めていただき、命を大切にし、他人を思いやる心など、創造性豊かな立派な人間をはぐくむ教育を推進してまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣扇千景君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(扇千景君) 星野議員から私に、入札干渉罪に関しての御質問がございました。
 御指摘のように、我々は平成十年六月、第百四十二回国会に、国会議員等の入札干渉罪法案を提出いたしました。その内容は、公の入札を対象としまして、国、地方を問わず政治家は入札に関して一切の口ききを禁止することにより、国民の血税で賄われます公共事業の公正性、透明性を確保し、国民から信頼される政治を築くというものであります。
 現在、与党三党では政治浄化に関するプロジェクトチームが設置されまして、秋の臨時国会に向け精力的に作業が進められていると聞いております。私といたしましても、この入札干渉罪法案を踏まえつつ、与党三党の協議を通じ、よりよき案がまとまることを期待いたしております。
 大事なことは、政治倫理の確立という民主政治の基本にかかわる問題については、党利党略的な立場を離れ、我々政治家皆が知恵を出し合い、よりよい解決策を見出していきたいと念じております。(拍手)
#38
○副議長(菅野久光君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十四分散会
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ソース: 国立国会図書館
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