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1950/12/09 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 予算委員会 第11号
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1950/12/09 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 予算委員会 第11号

#1
第009回国会 予算委員会 第11号
昭和二十五年十二月九日(土曜日)
   午前十時二十五分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十五年度一般会計予算補正
 (第一号)(内閣提出・衆議院送
 付)
○昭和二十五年度特別会計予算補正
 (特第一号)(内閣提出・衆議院送
 付)
○昭和二十五年度政府関係機関予算補
 正(機第二号)(内閣提出・衆議院
 送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(波多野鼎君) 只今より予算委員会を開きます。総理大臣は午前十一時出席の予定であります。それまで総理大臣を除く各大臣に対する総括的な質疑を続けたいと思います。
#3
○岩間正男君 先ず第一に他出蔵相にお伺いしたいのでありますが、それは十月の参議院の国政調査におきまして、我々予算委員会が政府の本年度の補正予算の原案を聞いたのでありますが、そのときの案と、このたび提出されれました案とでは非常に大きな食違いがあると思うのでありますけれども、先ずそのうちで、何といつても一番大きな食違いは、外為特別会計に対する百億のインベントリーの繰入れの問題であろうと思うのであります。それで最初政府が原案を立てる当初におきまして、一体この案というものはなかつたのでありますが、この外為に対する措置はどのようにしようとして原案では考えておられたのであるか、この点を承わりたいと思うのであります。
#4
○国務大臣(池田勇人君) たびたびこの席で申上げましたように、朝鮮事変が起りまして、輸出入の関係が従来よりもよほど変つて参りました。即ち輸出が急速に伸びて、又輸出以外の外貨の收入がありまして、この外貨を獲得いたしますための円資金が不足いたします。これを日銀からの借入等によるだけでは通貨の増発を来たす虞れがありますので、一部を一般会計から繰入れる必要があるというので、かくいたしたのであります。
#5
○岩間正男君 最初からそういうような予定ではなかつたと思うのでありますが、これは、ドツジ氏との交渉の結果、こういう形になつたと思うのでありますが、当初において大体このことはわかつておつたことと思うのであります。そのときどういうような処置をしようとして、あのような原案を立てられたかどういうことを私はお聞きしておるのであります。
#6
○国務大臣(池田勇人君) 外為資金の不足金を一般会計から繰入れることは、昨年度においてもやつたのであります。私の考えでは輸入が相当でき、輸出が予定通りの六億ドル余りと考えておつたのでありまするが、八月頃より非常に輸出が伸びて参りましたから、先ほどお答えしたような措置をとつたのであります。
#7
○岩間正男君 只今の説明では、どうもその後の起きた事態に対して説明を用意されたというふうにしか考えられないのであります。最初は別な方法によつてこれは金融措置をされるというような考えで進まれたというようなことは明らかだと思うのであります。その後ドツジ氏との会見交渉の結果、こういう大きな、全く予算の性格が一変するような措置がとられたのじやないか、この問題に対しましては、これは本院におけるところの、この予算委員会の公聴会におきましても、関係者の殆んど全部が、この日本の現在の情勢において、このような百億というような厖大な、補正予算の三分の一を占めるような大きなものを、ここで一般会計から繰入れることに対して、殆んど今度反対意見があつたのでありますが、この結果、これは非常に今度の補正予算に大変更が與えられていると思うのであります。結局そういうような結果と関連して、それでは次にお伺いするのでありますけれども、最初のやはり原案によりまするというと、税收の自然増を大体二十五億と見込んでおられたようでありますが、それが今度の予算におきましては、六十八億ということになつておるのでありますが、これはどういうような事情によるのであるか、説明願いたいと思うのであります。
#8
○国務大臣(池田勇人君) これは法人税並びに所得税のうち、源泉徴收のものが相当殖えて参りましたので、見積替をいたしたのであります。
#9
○岩間正男君 源泉徴收のうち非常に殖えた、その通りだと思うのでありますが、当初の予算におきましては、原案におきましては、百二十億で自然増が百二十億見積りであつたと思うのであります。
 それが二百五十六億というような、約二倍半にも達するような過大な見積りになつておるのでありますか、この間の事情はどういうことになつていますか、もう少し細かに説明願いたいと思うのであります。
#10
○国務大臣(池田勇人君) 六、七月頃は一体一ヶ月分が九十億以下であつたのでありまするが、九月になりますると、これが九十七、八億になりまして、十月になりますると、これが百七、八億、こういうふうな増加ぶりであるのであります。従いまして、この十月を基準といたしまして、今年度のあとの六ヶ月を見積るのと、七、八月を基準として児積るのとはかなりの遠いが出て来るのであります。やはり最近の情勢によつて見込んだほうが適当であると考えましたので、十月を基準として今年度の收入を、見込んだ次第であります。
#11
○岩間正男君 特需関係においては一部そういう傾向が考えられるのでありますが、一般におきましては、これはなかなかベースの改訂とか、そういうような事態が行われないのでありますが、非常にこれは過大な見積りというふうに考えられたのであるが、こういうふうな過大な見積りをせざるを得なくなつたというのは、結局今のこれはインベントリーとの関係において、当然これはそういう措置がなされたのだというふうに考えられるのでありますが、その点は如何ですか。
#12
○国務大臣(池田勇人君) 絶対にそういうことはございません。これは来年の四月になりましたら、岩間君の見積りがいいか、私の見積りがいいか、おわかりになつるだろうと思います。
#13
○岩間正男君 この点はもう少し我々において実情……。これは今の蔵相の答弁が果して正しいかどうかということは、いずれ明らかになることと想いますが、その結果どういうことが起つているかと言いますと、公務員手当は最初の原案におきましてはこれは一ケ言年末手当をさ出すと、こういうような案だつたと思うのでありますが、これが半ヶ月になつた。これはどういうところから、こういうような措置がなされたのであるか伺いたいと思うのであります。
#14
○国務大臣(池田勇人君) 当初は一ケ月出す予定であつたのであわつまするが、財源の関係で、これえが苦しくなつたのであります。それで年末手当の問題につきつましては、来年度におきましても、実は一ケ出せという人事院の勧告があつたのであります。これは来年度におきまして、来年度予算のやりくりが国難でありますので、来年度においては実は半ケ月、本年度は一ケ月、こういうふうに折衝したのであります。然るところ財源の問題もあり、又来年度との関係もございまして、半ケ月に相成つたのであります。
#15
○岩間正男君 当初はどういうふうに財源を見込んでおられたのでありますか、財源との関係と言われますが、財源のこういう点に変更が起つて、そういう処置をとらざるを得なくなつたのであるか、この点もう少し細かに説明願いたいと思います。
#16
○国務大臣(池田勇人君) 一ヶ月分予定した財源がどこへ行つたかというようなことは、これは予算全体としてやるので、半ヶ月分がどの歳出になるというわけには参りません。これは全体の問題でございます。或いは強いて言えばインベントリー・ファイナンスの関係で減る場合もありましよう、或いは又追加の歳出を見込んだものとか、国民金融公庫の問題とか、或いは輸出銀行の問題、或いは失業対策費の問題、各問題と関連する問題であります。
#17
○岩間正男君 いろいろ説明がありましたけれども、何といつてもその大きな原因はやはりインベントリー、これのほうに殆んどその財源が吸い上げられたという形になつているということは明らかだと思うのであります。今日では恐らくこれは労働者の誰でもが、なぜ最初に立てたそういうようなべース改訂の問題並びに年末手当の問題が非常に削減され、そうしてこの年末を控えて殆んど問題にならないような状態に追い込まれておる。この事態は最近のここ一週間ばかりの院外における大衆の行動が明らかに示しておるのであるのであります。而もその原因するところはどこにあるか、これは言うまでもなく、このインベントリーを強力な形で以て、まるで予算の性格を全面的に変えるような形で以てこの措置がなされたのであるということは、今日は院外の大衆諸君もはつきりこの事態を了解している実情じやないかと思うのであります。而もこのインベントリーそのものが果して現状において、日本の財政経済の現状において、それほど必要なものであるかどうか。そうして先ほども申しましたような、参議院におけるところの公聽会、衆議院におけるところの公聽会、こういうようなものを聞きましても、全くこれは意見の一致するところであります。而もこのインベントリーが非常に先に行つて予備費的な性格を持つている、こういう点が非常に考えられるのでありますが、この点はどういうふうに蔵相は考えられるのか。
#18
○国務大臣(池田勇人君) 予備費的な性格と、こう言われますると、各予算がそういうふうなことになるのであります。私は今年度の貿易関係を見まして、この程度の金を予算に計上することが適当であると考えたのであります。
#19
○岩間正男君 どうも大蔵大臣の考え方が非常に変つて、最初の原案がこういうような大きな修正になるということは、それをまるで全く自分が最初からそう信じこんでおつたような説明をしておられますけれども、果して蔵相は確信を持つてその点を説明されることができるのであるかどうか。事態が変つて止むを得ずそこに追込まれた。そうしてそういう買弁的な立場に立つて、まるでドツジさんの言うようなことを蔵相が言つているのであります。果して当初のお考えとそこに食違いがないのか。これは池田蔵相の良心から考えて見て、そういう点について食違いがないのであるということを、これは非常に重大な問題だと思うのですが、この点について伺いたい。
#20
○国務大臣(池田勇人君) 朝鮮事変後の状況を見まして、当初の考え方を変えて来たのでありまして、変えることが適当であると考えたのであります。
#21
○岩間正男君 この点は議論になりますから、これは繰返えそうとは思いませんけれども、併し先ほども申しましたように、このインベントリーそのものが国民の負担によつてなされておる。そうしてこの非常に生活苦の中から吸い上げられた税金、それが厖大なこのような形で予備費的な性格を持つた形で以て取上げられておる。而もそれによつて起つておるのは、このべース改訂並びに年末手当というものが非常に削減されている。そうして今日のような事態が起つているということは、その相関的な関係においてはつきり政府の従来もとりつつあつた政策でありますけれども、それが最も露骨な形で今度の補正予算の中に現われたということは、これは明らかな事実であろうというふうに考えるのであります。その次に伺いたいのは、何回も今まで蔵相に質問した問題でありますが、七億二千七百万円の義務教育費国庫負担法によりますところの過年度分負担の処置の問題であります。これについては是非この予算委員会が終るまでに、この処置について政府の態度を明らかにしてほしいということを再三要求したのでありますけれども、池田蔵相はこの処置を、もうすでに会期も余すところあと時間の問題になつておりますけれども、どういうふうな処置をされたか、伺いたいと思います。
#22
○国務大臣(池田勇人君) 昨日もちよつと他の委員の御質問に対しまして、お答えしたと思うのでありますが、私は今年度の予算で地方から政府に支拂つてもらう予定の十八億円の問題がありますので、それとかね合わせて考えたい。この問題は地方財政委員会の委員長と話合つて見たいと思つております。
#23
○岩間正男君 これは十八億というのは、政府が地方に貸しておるということになる金でございますか。それはいつのどういうふうな性格の金か明らかにして頂きたい。
#24
○国務大臣(池田勇人君) 今年度の予算に計上いたしております。その貸付の原因は、過年度におきまして、一時期に政府が地方に立替えておる金である、合計四十何億だつたかと思いまするが、昨年度十七億、本年度十八億円返してもらうということになつております。
#25
○岩間正男君 二・八ケ月分のあの負債ということになるのですか。
#26
○国務大臣(池田勇人君) さようでございます。
   〔委員長退席、理事石坂豊一君委員長席に着く〕
#27
○岩間正男君 この点ははつきりなんですか、見通しがあるのですか、つまり十八億の負債が本年度においてはつきりこれが返還できると、それとも相殺ができるというような見通しははつきりしておるのですか。
#28
○国務大臣(池田勇人君) 国の地方に対する債権でございます。で予算に計上いたしてあります。
#29
○岩間正男君 地方の財政の現状においてですね、これはしばしば問題になりますところの地方財政の非常に困難な状況、又一方におきましては、今度の平衡交付金に関連した還付金の問題、こういうような事態が起つております最中におきまして、このようなものと相殺するということは、ますますこれは地方財政に対して、これは窮迫を與える一つの原因を作ることになると思うのでありますが、この点は如何ですか。
#30
○国務大臣(池田勇人君) 地方財政のかたがたは、この理由を十分御存じであろうと思うのであります。
#31
○岩間正男君 次に政府の今の資金蓄積の問題について伺いたいと思うのでありますが、現在見返資金、これの使用状況について、これは大体今まで資料で伺つておるのでありますが、本年度の予定に対しまして、残額は幾ら残つておりますか。
#32
○国務大臣(池田勇人君) 資料でお上げしておると思いますが、残額と申しますと、公共事業費、或いは私企業費或いは経済再建費、この各費目についての残額でございますか。
#33
○岩間正男君 総額……。
#34
○国務大臣(池田勇人君) 今の各費目についての残額でございますか、或いは総額……。
#35
○岩間正男君 総額で結構です。
#36
○国務大臣(池田勇人君) その残額というのは、総額の残額というのは、どういう基準で申上げたらよろしいのですか。
#37
○岩間正男君 つまり全部行使した画と、それからまだ行使しない分……。
#38
○国務大臣(池田勇人君) 前年度の繰越、その他を入れてですか。
#39
○岩間正男君 全部……。
#40
○国務大臣(池田勇人君) 大体七百億ばかり残つておると思います。
#41
○岩間正男君 次に復金の回收状況はどうなつておりますか。
#42
○国務大臣(池田勇人君) 至極順調でございまして、本年度におきましては、一般会計に百八十億入れることに予算上なつておつたと思います。又来年度におきましては、百二十億円くらい一般会計へ入れる予定になつております。
#43
○岩間正男君 債務償還費がですね、これは全部債務償還が予定通り進行していないと思うのでありますが、この状況と、それからその原因について伺いたいと思います。
#44
○国務大臣(池田勇人君) 見返資金の債務償還ですが、一般会計、特別会計通じてですか。
#45
○岩間正男君 両方です。
#46
○国務大臣(池田勇人君) 見返資金から五百億の債務償還はまだ償還しておりません。一般会計その他特別会計を通じましての債務償還七百三、四十億円のうち、二百億余りはすでに債務償還いたしました。残り五百億のうち、二百四十大徳は警察予備隊或いは海上保安庁関係の経費に使う予定になつておりますので、その残りが二百五十億余りというものは、本年度内に債務償還する考えでおります。
#47
○岩間正男君 見返資金並びに復金からの回並びに債務償還費の最初の当初通り予定されてないいろいろな残があると思うのでありますが、こういうものが全部今後政府の大きなこれは資金というふうになると思うのであります。このような厖大な政府の資金蓄積が、現状におきまして、昨晩もこれは木村委員の質問があつたと思うのでありますが、これは減税が十分に行われない中で、何故このような厖大な資本蓄積がなされなければならないか、この点について政府当局の意向はしばしば表明されたところであります。併しこれと連関しまして、ここで我々の質問しなければならないのは、只今ここに米国下院におけるところのヴオルヒーズ前陸軍次官の証言、この証言によりますというと、このような一つの資金蓄積の状態は、アメリカの目的に合致するように、これらの資金は利用されることになつておる、こういうような証言がなされておりますけれども、果して政府の表明する意思と、そこに食違いがあると考えられるのでありますが、この点は如何ですか。
#48
○国務大臣(池田勇人君) ヴオルヒーズ氏がどういうふうに証言をされたか、全体を読んで見なければわかりませんが、今あなたのお話が、この資金蓄積はアメリカのためにやつてるのだ、こう答えられたとは私は想像いたしません。若しそれが言葉通りであつたと仮りにするならば、それは日本の経済安定政策は、アメリカの望むところであるというところから出たと、私は想像するのであります。この点は私はヴオルヒールズ氏も自分が国会で証言したこと、並びにドツジ氏の証言とのパンフレツトを、アメリカに着いて直ちにもらつたのでありますが、私はあなたが想像されておるようなことをヴオルヒーズ氏が言つたとは思いません。
#49
○岩間正男君 蔵相はそういうことを言つておられるのでありますけれども、果してこれらの資金ですね、殊に今見返資金におきましては、これは日本政府の自主性のある使用ができる状態になつておるのですか。
#50
○国務大臣(池田勇人君) 前からの問題でありまするが、日本政府だけで勝手に使うわけには行かぬということは、たびたび申上げておるのであります。これを使用いたします場合におきましては、司令部の承認を受けることに相成つておるのであります。
#51
○岩間正男君 そこで私は先程のヴオルヒーズ氏の証言とですね、現在使用されておるこの現状を考えて見るときに、誠にこれは、この形が適用するものがあるということを指摘せざるを得ないのであります。而も今度のこの電力再編に伴うところの見返資金の投資の問題でありますが、この性格が明らかに物語つておると思う。国会の審議によつてあの電力分断の法案が第七国会において否決された。そうしてそれが本国会に提出される。そのために政府も十全の準備をしておつたはずであります。然るにそれが突如として国会開会の壁頭に当つてポ政令によつてこれが行われる、こういう形になつておる。そうしてその原因は何であるか。問題はその原因のところにあるのでありますが、つまりそれはそのような措置をとらなければ、これに対して見返資金を投資しない、こういうような強力な、つまり電力再編成の措置と、それからこの見返資金の運用というものが裏腹の、一体の表裏をなしておるところの問題になつておる。この使用状況でもこれは明らかだと思うのでありますが、こういう点について、蔵相はこれを弁明される余地を持つておられますか。
#52
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の点がはつきりいたしませんが、電力再編成の問題は、御承知の通りに、集中排除という大きい方針の下に、従来から研究せられ、早くやらなければならなかつた問題であるのであります。而して集中排除のあの制度を我々が施行して行きます上におきましては、当然やらなければならない。而して又見返資金を出すにおいては、その集中排除の精神によつて分割せられた場合出すのが適当であると、こう向うが考えておつたと思うのであります。私はそれだけのことしか存じません。
#53
○岩間正男君 つまり電力再編をやらなければ、見返資金はこれは出さないと、こういう形で、而もその電力再編がこれは日本の国会の自主性で、そうして日本民族に非常に適当なように国会の意思によつてされるという形を選ぶことができなかつた。そこに非常に大きな連関があるのではありませんか。この点に対して最後にこれははつきり触れられないで、別の問題というふうに扱つておられますけれども、この点の今の答弁では満足できない。もう一度御答弁願いたい。
#54
○国務大臣(池田勇人君) 電力再編成の問題につきましては、いろんな議論がありましたが、私は前通産大臣を兼ねておりました時に、九分割案で閣議決定をし、向うの承認を得たのであります。今度の分も大体それと同じでございまして、我々としてはあの案は非常に結構だと思つております。ただこれを国会へ出さなかつたという問題につきましては、先ほど総理がお述べになつた通りであります。
#55
○岩間正男君 つまり日本人の自主性によつてこの再編成が十分に日本の実情に適合するというような形になされたときには、これは果してこの見返資金が、これは円滑に投資されたかどうかこういう点には非常に大きな疑問があると思うのであります。いずれにしましても、以上述べましたように、これらのこの厖大な資金の蓄積は日本人民の所得の中から蓄積されたものであります。
   〔理事石坂豊一君退席、委員長着席〕
 而もそれが日本人の自由にならない。殆んどこれは制約を受けている。こういうような誠にこれは自主性を失つた奴隷的な姿に追い込まれているのでありますけれども、この点について現在の政策に対しまして、我々は非常に疑問を持つものであります。その次に伺いたいのは、これは昨日の櫻内議員の質問の中にもあつたのでありますが、掃海作業の問題であります。朝鮮水域におきまして、機雷の掃海作業に日本人が従つておる。十月二十二日トレメインUP東京支局員の報道によりますと、米海軍のスポークスマンの言明によれば、国連軍に協力し、朝鮮水域で作業中の日本人による掃海作業隊はその一隻が沈没し、死亡十七、八名、行方不明一名の犠牲を出したために、二十日その作業を中止した、こういうことになつておるのであります。このような作業に対しまして、今度の予算を見ますと、確か收入におきまして三億九千一百万円、支出におきまして三億三千八百万円、こういうような予算が計上されておるのでありますが、こういうような予算的な措置をしなければならない義務が日本にあるのであるかどうか。つまり戦争に関連して、そうして掃海作業に日本の作業隊が出動する。そうしてその費用を我々の負担によつてこれをなすというような、そういう義務があるのであるかどうか、この点は一体どういうふうに考えられ、又どういうふうにしてこのような措置をとられたのであるか、伺いたいと思います。
#56
○政府委員(河野一之君) 朝鮮事変以後、日本の近海におき場まして、俘游機雷その他航行の障害物が非常に多くなりまして前から、終戰以来機雷その他の処一分につきまして、日米政府で海上保宏庁でやつておつたのでありまして、最近その状況が激しくなりました。日本政府の当該職員が連合軍側との契約によりまして、近海の掃海をやつてれられるわけであります。その收入につきましては、終戰処理費收人でなしに、一般の雑收入として、今若間さんのおつしやいましたような三億九千万円という收人を得ておるわけであります。
#57
○岩間正男君 これは戰争に介入するというような形にとられても仕方がな、いという面があると思うのでありますが、その点はどうなんですか。
#58
○政府委員(河野一之君) 戰勢に介入してれるわけではありませんので、軍側との契約によりまして、そういうような事業を実施しておるわけであります。
#59
○岩間正男君 その契約というのはどういうのですか。
#60
○政府委員(河野一之君) これは御承知のように、日本の近海において機雷が流れて参りますと、日本の航行船舶につきましても非常に障害があるわけであります。その関連する事業といたしまして、連合国側の依頼に基きまして、その收人を得て事業を実施しておるのであります。
#61
○岩間正男君 作業艇が沈没したのは、たしか蔚山沖と聞いておるのでありますが、これはそこまで出かけて行つて機雷の掃除をやる必要があるのでありましようか。今のお話では我々どうも合点できないのでありますが、どういうのですか。
#62
○政府委員(河野一之君) 日本近海でありますので、朝鮮海峡等におきまして、いろいろ作業をいたしております。蔚山まで行つておりますものがありますかどうか。その点につきましては、私はつまびらかにいたしておりません。
#63
○岩間正男君 多分朝鮮事変後、朝鮮との交通は、これは一応禁止されておる現状ではないのですか。従つて日本近海と言いましても、蔚山沖までこういうような機雷の掃除のために出かける必要があるかどうかということは非常に大きな問題だと思うのであります。この点如何ですか。
#64
○政府委員(河野一之君) 連合軍側との契約によりまして、一部そういつたものがあるかも存じませんが、建前としましては、契約によりましてその收入を得て職員も特別の手当をもらつて出ておるわけであります。その收入は一般の終戰処理関係ではございません。雑收入として特別に收人を得てやつておるわけであります。
#65
○岩間正男君 一部そういうことがあるかも知れないということを言われておるのでありますが、この一部が問題だと思うのです。こういうものについては、政府は情報をはつきりつかんでおられないのですか。いやしくもこれは政府として重大開心を持たなければならん。どういう契約内容か。それを我々は明らかにしていないのでありますが、今のお話によりますと、近海のそういう掃海作業に従事している、こういうことを言つておるのでありますが、一部にこういうようなことが起りますというと、これによつて戰争に介入したというようなことを世界の日から疑われるというような事態が発生したときに、日本政府としてこれは重大な責任問題だと思うのであります。これについて漠然と政府は頬かむりの態度をとつておるということになれば、私は実に由々しき問題だと思うのでありますが、どうでありますか。
#66
○国務大臣(池田勇人君) 機雷の発見その他につきましては、いわゆる船舶航行の必要上やるのであります。日本の陸地からどれだけ離れたところ以内というふうなことは私は適当でないと思いますので、最も船舶航行に障害のないような方法で行くのが適当だと思います。決して戰争に介入したというものではないと思います。
#67
○岩間正男君 先ほど申しましたように、朝鮮との交通は一時禁止されておると思うのですが、その点そうでございましようか。
#68
○国務大臣(池田勇人君) 朝鮮との交通が禁止されておるかどうかは存じませんが、機雷というものはずんずん流れて来るのでございますから、これを掃海することは、交通が禁止せられようか、せられまいが別問題でございます。
#69
○岩間正男君 どうもおかしいことです。この問題は蔚山沖で起つている問題なんです。それについてそこまで出かけて行く必要があるかどうか、この点政府は非常に怠慢だと言わなければならない。こういう実情につきましても、これは頬かむり的態度で知らないのか知つているのかわからない。而もこういう作業に対しまして、今度の補正予算で、これは国民の所得の中から出されておるというような形になるということは、これは非常に重大な問題であると思う。次に連関して一つ伺いたいのは、やはり漁場の補償の問題であります。つまりアメリカ海空軍の演習によりまして、全国十五カ所くらいの漁場が、或いは青森県の三沢、千葉県の片貝、神奈川県の辻堂、そのほかの漁場が最近非常に漁穫高が減つておる。それでこれに対して損害を受けているので、これに対するところのたしか地川角の損害補償の問題が大きく出ていると思うのです。我々の聞知するところによりますと、これは総額十旧億に対するところの損害補償が出されておると思うのでありますが、これに対しまして、政府は今度措置をされたようでありますが、この措置を一体どのように考えておりますか。これは日本政府が支出すべき筋合のものと考えられますか、どうですか。
#70
○政府委員(河野一之君) 連合国軍側の演習によりまして、事実上漁船の出動ができなくなつた。そういう関係におきまして、魚をとることができなくなつたという事情もございます。或いは又魚が少くなつて、そのためにとれなかつたのか、或いは水流の関係が変つたのかわかりませんのでありますが、一応そういうような分子も相当あると考えまして、この経費は終戰処理費から支出するようにいたしたのであります。御承知のように、今年の補正予算にも一億二千四百万円という金額が載つております。
#71
○岩間正男君 水流の関係などということを言われましたが、これは片貝あたりの実情を調べておられるのですか。そうしてそういうことを言つておられるのですか。それとも知つて知らんふりをしているのですか。
#72
○政府委員(河野一之君) 今回の補正予算に提出いたしました一億二千四百万円の金額は、過去二十年から昨年までの間における平均漁獲高を見まして、従来の平均の漁獲高に対してどの程度減つておるかということを見たのであります。併しこれは漁船の出動ができなかつたためによるものもありましようし、そのほかに最近いろいろ海流異変というようなこともございまして、「さんま」が南のほうに流れて来ないとか何とかいうことがありますが、実際はその辺は的確につかみ得ないのであります。併し連合国軍側の演習等によりまして影響する部面が多いと考えまして、御承知のような金額を終戰処理費から出したのであります。こういう次第でございます。
#73
○岩間正男君 海流の変化によつて若し漁獲が減つたならば、全国至るところの漁場に対してやらなければならない。ところが特に十五カ所だけ選んでいるのは、これは殆んどそういうやはり海空軍の演習地帶、こういうことになつている。而もこれは片貝あたりの実情を御存じかどうかということ私は伺つているのでありますけれども、これは対空砲火の演習とか、そうことで地元では、片貝においてはこういう問題が起つて、あすこの漁民の生活が成り立たない、殆んど全部生計が成り立たないということで、これに対するところの地元民のいろいろな反対運動が起つていることは政府も御存じだと思う。而もこれが終戰処理費とはどういう点で連関があるのでございますか。
#74
○政府委員(河野一之君) これは岩間さんも従来から御存じの通りに、連合国軍のいろいろな活動によりまして、日本の国民がいろいろ損害をこうむつたというような補償の制度は従来からあるわけであります。例えばジープやトラックに轢かれた場合も見舞金を出すとか、或いはいろいろな財産等の接收を受けたような場合において補償するとか、そういつたような運の連合国軍側の活動によりまして生じた損失は終戰処理費で補償する、こういう建前になつておりますので、従来の建前をそのまま踏襲したわけであります。
#75
○委員長(波多野鼎君) ちよつと御注意しますが、今総理が参りますから、次の総理への質問に移るように御用意下さい。
#76
○岩間正男君 そうですか。それじや間もなく終ります。終戰処理費と、それから今度の新らしい事態によつて起つたところの事態というものは、これは相当分けなくちやならないと思うのであります。か、この点は今これは議論をやつていてもしようがありませんから、次に移ります。そこでこれが我々の税金によつて支拂われる、而もこれが大体その要求額の六〇%程度ですか、どういうことになつているのですか。
#77
○政府委員(河野一之君) この要求額の六〇%でありますか、どうですか、これは只今審らかにいたしておりませんが、これ先ほどもたびたび申上げましたように、どの程度が連合国軍側の演習に基く漁穫高の減少であるか、なかなか判定しにくいわけであります。仮にそういう事態がありませんといたしましても、魚は水の中を動いておるわけでございますから、果してそのために船が出てもとれなかつたのか、或いはそうでなかつたのか、こういう点については過去の漁獲高というものを見まして、平均漁獲荷というものはどうであるかということをいろいろ勘案しました結果、この程度の金額が出ておる、こう考えた次第でありまして、決して要求額について、そのまま認めるとか何とかいう筋合のものでは必ずしもありますまい、こう考えております。
#78
○委員長(波多野鼎君) 岩間君、総理に対する質問を願います。
#79
○岩間正男君 今のことを聞きたいと思うのでありますが、当然これは我々の見解によりますと、ドルで支拂われなくちやならん性格のものである、こう考えるのでありますが、これが日本の税金の負担によつて、而もこういう損害が自分たちの出した税金によつて、これが支拂われておるということになりますと、非常に妙な形になつて来ると考えざるを得ないのであります。この点については、丁度総理も見えたようでありますから、一応蔵の分はこれで質問を打切ります。
  吉田総理に伺いたいと思うのでありますが、先ず第一に今度の平衡交付金の増額問題をめぐりまして、池田蔵相と岡野国務州との間に、これは見解の対立が明らかにされて来たのであります。殊に七億二千七百万円の義務教育費過年度負担分、こういう問題に対しましては、これは池田歳相は平衡交付金の中に入つておるのだ、こういうふうに考えるというようなことを本会議で述べられた。併し岡野国務相は、そういう事態はこれは平衡交付金の性格上あり得ないのだ、これは文部委員会あたりにおきましても、しばしば論議された問題であります。今度の八十八億の地財委の増額要求に見ましても、この点が大蔵省のとつておる態度と、それから地方自治庁のとつておる態度においては非常な違いがある。このようないわば意見の不統一、而もこの不統一によつて一番大きく犠牲をこうむりますのは、この適用を受ける面の地方公務員、この人たちが取りあえず今度のペース改訂の問題並びに年末手当の財源問題をめぐりまして、一番大きなこれは影響を受けると思うのであります。而も予算審議はあと十数時間後に迫つたのでありますけれども、こういう事態におきまして、このような大きな状態をはつきり解決しなければならん。今やそのような閣内の対立をそのままにして置くことはできないと思うのでありますが、最高責任者として吉田総理は、この問題をどのように解決するかということは、非常にこれは重要な事態になつておるのでありまして、総理は責任者の立場から、この問題に断を下されなければならないと思いますが、この点について、どういう御見解を持つておられるか承わりたいと思うのであります。
#80
○国務大臣(吉田茂君) 閣内におきまして、不統一も、対立もないのであります。細部は主管大臣がお答えいたします。
#81
○岩間正男君 併し事実は、先ほど私が指摘しましたような点につきまして、これは岡野国務相の意見と池田蔵相の意見は非常に対立しておつたのであります。このことは明らかにされた事実なんでありますが、ないと、こうおつしやいますけれども、今の事実、具体的にこれは御答弁願いたいと思います。
#82
○国務大臣(吉田茂君) 閣内において対立のないことは今申した通り、対立のないゆえんは、大蔵大臣が私に代つて御答弁する。
#83
○国務大臣(池田勇人君) 岡野国務大臣と平衡交付金その他につきまして考え方の違つたところはございません。ただ表現の仕方が同じようでなかつたということはあり得ましよう。(笑声)
#84
○岩間正男君 これはその辺からも笑い声が起つて参りましたけれども、この問題に関して、例えば文部委員会におきまして、三日も費やしてこの点を究明した者から見ると今の言葉はこれはどこの言葉であるかということを考えるわけであります。実にそういうような逃げ言葉では問題にならない。それでは改めて総理にお伺いいたしますが、この地財委から出されておりますところの八十八億の平衡交付金の増額、この問題は、全く現在起つておりますところの院外の大衆の生活の逼迫、殊にここ一週間ばかりの間に繰返されておりますところの何ともならないこの生活苦を、ここでどうか解決しなければならない。そのためには年末手当を増額して欲しい、ペースの改訂についても、最低人事院の勧告並にはこれを実現したいと、こういう要求が熾烈になされておるのでありますが、これに対して、吉田総理はどのような解決策を考えておられるか承わりたいと思うのであります。これは総理から一つ御答弁願いたいと思います。やはり総理に聞いておるのです。
#85
○委員長(波多野鼎君) 大蔵大臣から発言を求めておりますから、先ず……。
#86
○国務大臣(池田勇人君) 地方財政委員会より八十三億円の平衡交付金の増額の意見書が出ております。併し我々は国の財政状況、又地方の財政状況から申しまして、三十五億円程度で我慢して頂きたいということは、たびたび申上げでおるのであります。で、地方は今年度の決算見込がどうなるか、こういうことが第一の問題で場あろうと思うのであります。我々がペースの引上げをしたり、或いは半月分の給與を出しますのも、財政の切り盛りをしてやつておるのであります。地方がそれだけの金が要るということはわかりますけれども、或いは財源において、どういうふうな工夫が凝らされたか、又節約等がどの程度なされるか、こういう問題と関連するのでありまして、私は今国会におきましては、三十五億円の増額で止むを得ないということは、たびたび申上げておる次第であります。このことは総理も同じでございます。
#87
○岩間正男君 この問題については、これは地財委と大蔵省との間に随分まあ意見の対立があつたことと思います。又委員会におきましても、いろいろこれは論議された問題なのでありますが、殊に一方におきまして起債の枠が七十億も当初の目安よりは減つておる。こういう実情も非常に今後の地方財政に影響するところは多いと思う。そうしますというと、地方公務員におきましては、これは財源的措置がない。而も非常に税収が最初の見込よりも少い、とれない。そうして面もいろいろな災害その他におきまして需要が増加しておる。
   〔委員長退席、理事羽生三七君委員長席に着く〕
 こういう情勢にありましては、年末手当の支給並びにペース改訂については非常に大きな脅威を受け、不安を感じておるのが、これが今の地方公務員の実情であると思うのでありまするけれども。これについて蔵相は、総理も同じ考えを持つておられると言つておられますけれども、吉田総理はこういう昨今の時代にどのように対応すると考えておられるか、最高責任者として、これは誰でもが聞きたいと思いますので、総理に特にお伺いしたいと思うのであります。
#88
○国務大臣(吉田茂君) 最高責任者たる私の答弁は大蔵大臣の答弁、即ちそれが私の答弁であります。
#89
○岩間正男君 どうももたれ合いのようになつて甚だ頼りない、こういう感じを抱かざるを得ないのであります。恐らく最近の情勢を総理も見られたと思うのでありますけれども、こういう事態を、今のような御答弁でここのところをほうかぶりでお過しになるつもりであるかどうか、この点は如何ですか、このまま御答弁なさいませんか。
#90
○国務大臣(池田勇人君) 地方債の枠の問題をお聞きになりましたが、私といたしましては、極力殖やすように努力いたしております。今年度預金部からの融資は三百七十億円に予定いたしております。併しほかのやりかたでできるだけ地方の金融につきまして政府としては援助する考えでおるのであります。
#91
○岩間正男君 恐らく地方公務員諸君は、総理のこれに対するところの言葉を聞きたいと、こう私は考えるのでありますが、これに対して全く不誠意な御答弁しかなかつたようでありますから、この問題は一応これで打切ります。
 次に伺いたいのは、一昨日も質問をいたした問題でありますけれども、今度の中共輸出禁止の問題に関連して伺います。外電によりますと、米国の対中共輸出禁止は十二月三日から行われたと伝えられておるのでありますが、その折も折、日本におきましては、六日から通産省令を以て今度の処置をとられたのであります。そこにどうしても一連の関連があると、こういうふうに考えざるを得ないのでありまするが、これについて、そのような関連があるのであるかどうか、この点を吉田総理に伺いたいと思います。
#92
○国務大臣(吉田茂君) 関連はありません。日本政府独自の立場から、この処置をとつたのであります。
#93
○岩間正男君 政府の自主的な判断において、これをおやりになつたというのでありますね。このことは非常に重大だと思いますが、そうすればこれに対して吉田政府は当然全責任を負われることであろうと思うのであります。なぜこのような、一昨日も申上げましたように、日本の産業にとつて根本的な大きな影響を持ち、更にこれは国際的に見ますときには、日本の現在憲法によつて赴かれておる立場、この立場とはまるでかけ離れたような戰争に参加しておるところのその一つの証拠を示すような事態を、なぜこんなに緊急な事態において選ばれたのであるか、これは甚だ国民として疑問に思つておるところであろうと思います。こういう点について総理はどういうふうに一体考えておられるのであるか、この点伺いたいと思います。
#94
○国務大臣(吉田茂君) 政府の施策はことごとく日本政府の責任であります。故にこの責任に対しては、決して回避するものではないが、政府は信ずるところの処置をとつたので、これは一昨日でありますか、すでに答弁したところでありますから、重ねて繰返しいたしません。
#95
○岩間正男君 これは非常にこの問題につきましては、多くの関心を国民が寄せておるのでありますから、重ねてお伺いしたいと思うのであります。先ほど申しましたように、これだけの重大な関係を持つ問題であるならば、当然これは單に一通産省令でやると、こういう形になつておつて、形の上では問題は些々たることのようなことになつておりますけれども、問題はそこにあるのじやなくて、殊に大きな国際的な影響を持つところの問題であります。この問題を事前におきまして、当然これは国会に諮られる措置をとる、こういうことが非常に重要な問題じやないかと考えるのでありますが、総理はなぜそのような措置をおとりにならないのか、そうしてここで一方的にこのような重大措置を決定されたのでありますか、お伺いしたいと思います。
   〔理事羽生三七君退席、委員長着席〕
#96
○国務大臣(吉田茂君) 先ほど申した通り、政府は信ずるところに従つて措置したのであつて、国際関係は御心配は要らないと私はここに断言いたします。
#97
○岩間正男君 総理は何遍も怒つて答えられますけれども、私はこれは怒つて何遍もお聞きしなければならないということは、日本の民族の将来と実に重大な関係を持つておる、そうして又日本の憲法から考えましても、こういうような一つの措置、そうして明らかに戰争に対して介入するような関連を持つところの問題を、政府の信念と言われますけれども、如何なる信念によつてこれはこのような措置に出られておるのであるか、その信念なるものを伺いたいと思います。
#98
○国務大臣(周東英雄君) 私から代つてお答えいたしますが、御承知でもありましようが、外国貿易管理法の第五十一條の規定によりまして、政府は必要と認める場合においては措置ができることになつておりますから、御承知を願いたいと思います。面して問題といたしましては、現在の日本の経済状態、国際情勢から、必要と認めまして、この処置に出たのであります。
#99
○岩間正男君 私はそういうものの法令的な手続の問題を伺つておるのじやありません。そのことはお聞きしなくてもその通りだと思うのでありますが、そういう措置の中に含まれておる殊に東大な問題があるので、こういうような問題を決定するのには、少くともこれはもつと国民の世論を多く聞いて、その上によつて処置をきめられても遅くはないと、こういうふうに考えるのであります。然るにこういう事態が起りまして、突如としてこういうような措置に出られたということは、先ほどのアメリカにおけるところの今月三日のこういうやりかたと連関しまして、どうしてもこの一連の考えを考えざるを得ないと思うのでありますが、この点総理からは御答弁がないようでありますから、私はこの点にはもう触れまいと思います。併しこれによつて今後中国を含めて、全面講和の方向は総理もかねがねこういうことを望んでおると言われておるのでありますが、こういうことについてどういうような影響をもたらすか、こういうような点について総理は判断をされておるのでありますか、更には日本の中共貿易問題並びにこれは日本の講和問題、こういう問題との関連において、どういうような影響を持つか、その点をどういうふうに総理はお考えになつておるのでありますか。
#100
○国務大臣(吉田茂君) 先ほども申す通り、国際関係には影響がないと私は断言いたします。
#101
○岩間正男君 国際関係には影響ないというその国際関係というのは、どういうことなのですか。例えばこれによつて中国は何らの刺戟も受けないとか、これに対して不愉快も感じないとか、こういうことを指すのでありますか、そういうことも含まれておるのでありますか、伺いたい。
#102
○委員長(波多野鼎君) 総理は答弁いたさぬそうであります。
#103
○岩間正男君 答弁されないというのでありますから……、併しこれは答弁されるとか、するとか、好き嫌いの問題じやないと、こういうふうに私は考えます。恐らくこの問題については、今全国民が注目の的として、この問題を総理から伺いたいと考えておるんだと思うのです。而も日本の講和態勢は最近の情勢によりましては、非常にこれは全面講和というような方向を可能にする面が大きく出て来ておるのじやないかと思います。これは一昨日も申述べたところでありますが、中共の代表がこういうような全面講和に参加する用意があるということを率直に述べておられる点からも、これは明らかに窺うことができるのであります。然るに一体そういうような世界的な一つの方向のほうとまるで相反する方向におきまして、ここにまさに中国と絶縁するような危險を孕む問題の方向に態度を選ばれた、こういう点におきましては、全くこの吉田内閣の現在の政策そのものを我々はここで大きく問題にせざるを得ないと思うのであります。一体中国から離れて、そうして日本がこのアジアのブロツクの而もこういう地理的環境から考えますときに、果して日本の今後のこの民族の将来はあり得るかどうか、こういう点について十分の吉田総理は検討をされたのであるかどうか、これは多くを言う必要がない問題だと思うのですが、極めて明らかな問題と思います。而も日本は何らそのような措置を強いて選ぶ必要があるか、飽くまで平和を守り拔き、そうしてポツダム宣言によつて規定されたところのこの方式を飽くまでも守り抜くという堅い決意を以て進むならば、そういう必要は少しもないと思うのでありますけれども、而してそのような情勢が現在生まれつあるところの過程において、突如としてこのような途を吉田内閣は選んだ。これは明らかにむしろ全面講和という機運が非常に大きくなつて来たこの講和に対して、実はひそかに準備しておるところのこの單独講和の方向が危うくなる、従つてこれに対して全面講和のほうに水をぶつかけるというような結果を招来しておると思うのでありますが、この点は吉田内閣のこの措置に対しまして、非常に大きな関心を持たざるを得ないのであります。総理はこういう点について答弁なされないと、こういうふうに考えていられるようでありますけれども、こういう点について解明されなければ、これは日本の将来の見通し、こういうようなものが明らかにされないと思う。将来の見通しが明らかにされなくて、独断的な信念であるとか、そういうようなことで以て、この事態を隠すことはできないと思うのでありますから、どうしてもこの問題について総理から御答弁頂きたい。こういうふうに思うのであります。
#104
○委員長(波多野鼎君) 総理は答弁をいたさないそうであります。
#105
○岩間正男君 答弁ができないのですか、それともしないのでありますか、どつちですか。
#106
○国務大臣(吉田茂君) 答弁はできないのでありません。すでに前言を繰返して、こういつてこの問題をかれこれ申しても、あなたに満足の行く答弁ができないのみならず、若し私の答弁があなたの満足を得たならば、私は甚だ不満足に思います。
#107
○岩間正男君 一昨日の蒸し返しのようなことで大体おかしいと思う。私の個人の満足とか、何とかいうことでこの問題を聞いておるのじやない。私も国民の代表として聞いておる。これに対して総理は答えられないということは、非常にこれはおかしいと思うのでありますが、只今のお話によると、答えられないのではない、考えはあるのであるけれども、答えることはできないと。併し私は具体的に挙げておるのであります。これは日本の大陸と結び付いた一つのそういうような善隣友好の関係を樹立して、そうして、かの太平洋戰争によつてやつたところの、ああいうばかげた態勢を打破つて、新しい態勢を作り上げて行く、こういう考えでおるから、そのときはどうしてもこれは対中共の問題というものを大きく考えざるを得ないのでありますが、逆にそれをこの友好関係に水をかけるというような態度をとつておるのでありますから、これに対してなぜそういう態度をとつておるのでありますか、それが日本の将来に大きな影響はないのであるかどうか、こういうことを伺つておるので、この点については確か一回も吉田総理は答弁をされていないはずであります。併え考えが今おありであると、こういうお話でありますから、是非この考えを、若し私の顏を見たくなければ、そつちのほうを向いてでもいいから、是非その考えを述べて頂きたい。これは私の意見だと限定される必要はない。国会の言論はそういう性格を持つておる。
#108
○委員長(波多野鼎君) 総理は答弁いたさないそうであります。
#109
○岩間正男君 どうも国会の審議がこういうところから軽視されておるという具体的実例を私は認めざるを得ないのであります。それじやこの問題は時間の関係上これで打ち切りまして、もう一つ伺いたいのは外交白書の問題でありますが、外交白書と連関しまして、これは先国会においても私はしばしば総理に伺つたのでありますが、我我が外電の問題なり、そういうものを挙げますと、そういうものはどうも当てにならぬ、我々は知らぬ、世界の情勢については、情報についてはこれを十分に察知することができない態勢にあるので、我々はそういうものをよくつかんでいないのだ、これは日本の置かれている立場から止むを得ないのだということをしばしば繰返されております。そうしますと、このような不確実な基礎によつて、あの八月でありましたか、出された外交白書なるものは作られたのでありますかどうか、そう推定せざるを得ないのであります。この点は如何でありますか、この点について御答弁を頂きたい。
#110
○国務大臣(吉田茂君) この問題についてはしばしば繰返しておるものであつて、お答えは同じ問題でありますから、お答えは同じ答えをするよりほか仕方がない。いわゆる外交白書は世間或いはあなたがそう言うのであつて、我々は外交白書として出したのではないのであります。外務省としては種々の経過について、情報部が新聞の情報を集めて国民に事実を事実なりとして発表することが外務省情報部の務めなりとして、各種の海外の外国電報等を総合して出したのであつて、いわゆる外交白書とかそういう、或いは又私の外交方針を闡明するという意味で特に発表したのではないのであります。この事実はしばしば申しておるのである。
#111
○岩間正男君 私は外交白書とこれは名前はどうでもいいのでありますが、それと現在日本では情勢が十分にわからないということの関連を伺つておるのでありますから、この点に対しては総理が未だお答えがないのです。そうしますと、少くともこれは世界の情報を相当広く集めて、そうしてそれによつて確実であるというようなものを、これはあの外交白書なるものにこれは出されたと思う。而もそれは外務省で出されておるのでありますから、やはり責任のある、権威りあるものと考えざるを得なしのであります ところがいつでも総理は世界の情勢は十分に明らかにすることはできないということを、これは一方において述べておられると思うのです。そういう不確実な基礎によつて外交白書は出されたものだということを我々は推定せざるを得ない。若し不確実でないとすれば、一方的のこれは片耳であつて、一方だけは目をつぶつて、或いは耳を塞いで聞かない。ところで一方の事態については相当詳しくこれを探知しておる。こういう形が外交白書にはつきり現われていると思うのであります。而も私はなぜこの問題を問題にしたかと申しますと、実はこの日本の海外の情報、現在の世界の情勢がどうなつておるか、更に真相はどうであるか、このことを本当に知るということは、実は日本人において、日本におきましては、今日よりこの必要がある状態はないと、こういうふうに考える。なぜそうであるかと言いますと、これは我々はこの前あのばかげた戰争を遂行したのでありますが、そのときの情勢を考えますというと、これは世界の情勢に暗かつた。日本だけが世界に冠たる国であり、そうして実に優れたところの皇室を持つておる。そうして大東亜の盟主である。こういうような名目の下に八紘一宇というような、そういうものを掲げて独断の形においてこれをやつたのであります。つまりいわば世界の情勢を率直にその真相を聞き、そうして飽くまでもこれを究明するということをやらなかつた。その結果ここにばかげたところの今日の状態が捲き起されたのでありますから、これを戰争放棄によつて再び繰返さないというようなことを、はつきり決意した現段階におきましては、飽くまでも世界の情勢をこれは正しく探知する。虚心坦懐にあらゆる国に起つているところの情勢を知るということが実情じやないかと思うのでありますが、こういう点について総理はどのような努力をしておられるか、この点を伺いたいと思うのであります。
#112
○国務大臣(吉田茂君) 世界の情勢を成るべく国民に周知せしめたいと考えて、情報部が外国電報その他において研究したものを、事実を事実なりとして発表したのであります。国民をして世界の情勢を周知せしめる点においては我々は御同感でありますから、これのために努力いたしております。
#113
○岩間正男君 それならばもつと率直に、例えばソ連の情報のようなものについて、これは国民に紹介する必要があると考える。我々はあの白書によりますというと、全く一方的だ、実にそこで笑つておられる人がありますが、若しもこの前我々がどういうことを繰返したか考えて見るがいい。実に……。例えば太半洋戰争時代には、婦人雑誌のあのまくらのところにどういうことが書いである、アメリカ人は鬼である、そうして一人でも殺せ、例えばアメリカ人は血を吸う吸血鬼である。こういうことを書いて戰争に対する憎しみを跳発して、我々々戦争にかり立てたというのがあの真相ではなかつたかと思う。だからあの三浦半島から連合軍が上陸して参りますと、この東京あたりでは、家財道具をまとめて、殊に若い娘さんのいる人は逃げるというような、そういう情勢さえ起つたのであります。ところが連合軍が入つて来ますと、鬼でもない、吸血鬼でも一向ないようでありまして、まあ非常に日本の娘さんなんかは仲好くしているというような(笑声)ことも出て来ている。こういう事態であります。見ると聞くとは随分違いますが、このことが一体今日のソ連に対して繰返えされないと誰が一体今日保証することができるかどうか。だから私は総理にここで提案したいのでありますが、現在アメリカに対しては視察団がこれは毎月随分多くのかたが行かれて、一年間では何千人になつていると思うのでありますが、むしろ今日におきましては、ソ連に対してもそういうような視察の方向を平等に送つて見たらどうか。鉄のカーテンとか何とかいうことで封鎖して置く。これは見ない聞かないで以て、あとで実態を見たところが飛んでもないということでは話にならないと私は思う。そういう失敗を繰返したくないと思う。そういう態度をとることが最もいいのじやないかと思います。殊に今日例えばソ連はいろいろな不当なことがあるとか、或いは赤色帝国主義だとか、独裁であるとか、こういうような事態を言われる。若しも真相がそうであるならば、これを見させれば、成る秘そういう実態が持帰られまして、日本に実情が紹介されれば紹介されるほど、ますますこれはアメリカに対する親愛の情が持たれるから有利でありますから、そんなにも連合軍側においても拒否する必要はないと私は十分考えますが、総理はそのような措置をおとりになる考えがあるのであるかどうか。この点を伺いたい。
#114
○国務大臣(吉田茂君) ソ連に関する情報は誠に得にくいのであります。どうか共産党の方から率直に我々にお示しを願いたい。国民も非常に喜ぶであろうと思います。若し又ソ連に行ける人を送ることができれば、これも又御斡旋が願いたいが、今日そういう斡旋をする見込みはありません。
#115
○岩間正男君 共産党の問題でなくて、日本のこれは国民を代表するところの政府の問題なんだ。そういうような……。
#116
○委員長(波多野鼎君) 岩間君に注意しますが、時間が切れましたから、そこまでに願います。
#117
○岩間正男君 そういうような逃げ言葉みたいなことで我々は了承することはできないと思うのでありますが、くれぐれも申したいことは、あの太平洋戰争のあのばかげたことを二度と繰返さないことである。これは実態をあとで知つて、こういうことが本当であつたか、そうして真相はこうだつたのか、今まで帝国主義者どもが戰争を始めるときにどういうふうにするか。必らず敵対行為を煽つて、そうして敵を邪悪なもの、鬼である、蛇であるというような放送をして、そうして憎しみを煽ることによつて戦争にかり土てるというのが常習手段なのであります。こういうような実情が現在の日本のやりかた並びにあの外交白書の性格の中にはつきり、まる浮きに浮彫りに出されているのでありまして、こういう事態を考えますときに、我々はあのようなばかげた歴史的錯誤を再び繰返したくない。こういう点から総理に対しまして、以上のこれは提案を試みて見た次第であります。その他いろいろ問題はありますが、もう時間がございませんから、総理に対する質問はこの辺で打切ります。
#118
○堀木鎌三君 時間が制約されておりますのと、同時に総理大臣は御微恙中であるということに聞いておりますので、それを推して国会最終の日でありますとは言え、お出かけになりましたことに関しましては、私も国民の一人として深く敬意とお礼を申上げます。極く簡單に、突は各大臣と私との議論のやりとりをお聞き願つて、その上に立つての御判断を願いますと非常にいいと思うのでありますが、併しながらどうもスケジユールがそうも参りませんので、極く簡單に総理大臣に二、三の点だけ御意見を承わりたいと思うのであります。無論時によつていろいろと御意見が出ておりますので、又政策が出ておりますので、或いはその点について又再び繰返すことが御迷惑だという点もあるかと思いますが、簡單でございますから、お答えを願いたいと思います。総理大臣は、日本の経済の自立が講和の実体的な一つの前提條件であるということはしばしば申されておるのであります。本委員会におきまして、グレイ報告を見てない、だからグレイ報告がどういうものであるかについて責任を以て話することはできないということを言われますと同時に、又日本の、要するに対日援助自体をいつまでも期待することは無理である、成るべく世界の情勢から見るならば、早期に、一日も早く自立できる態勢が必要であるということを説いておられるのであります。又過般来朝されましたドツジ氏自身が帰米に先立ちまして声明を発したのは世間周知の事実であつて、私ども国民はどれもこれも一日も早く経済の自立を達成いたしたいという念願に燃えておるわけでありますが、その観点から何を現在一番国民が要求しておるかということを考えて見ますれば、一つはやはり輸入原材量の確保である、こう私は考える、又総理大臣も何よりも輸入原材量の確保、輸入の確保であるということをおつしやつておられるのであります。ところが余り細かいことは申しませんが、本年の上期におきますところの輸入実績は、実は昨年からローガン構想によつて輸入先行、何よりも輸入先行だ、輸出を振興しようとするならば、輸入を先行すべきものだという政策の下に行われましたにかかわらず、本年の上期の輸入実績は甚だ振つていないのであります。無論朝鮮事変なんかを予想したものはないと思いますが、すでにその前から、殊に本年の春頃からは世界的な軍拡状況に入つて参りまして、いわゆる御承知の通りに世界市場か売手市場から買手市場に変つて参つたことは事実であります。こういう観点から見ますると、私は実に残念でならないのであります。無論政府が輸入原材量の確保を図るために長期の契約の実施でありますとか、或いはユーザンス制の実施でありますとか、諸般の政策をおやりになつておることは事実である。又資金の割当も非常にお殖しになつて長期の契約の確保をされようとしておる、ただ時期的に見ますと、私が今挙げましたように、やはりこの世界の動きのスピードから見まして、如何にも施策がやはり遅いのではなかろうか、殊に昨日の夕刊を見ますると、外国為替特別会計につきまして、特段の御処置をなさるような事柄が見えておるわけであります。その輸出入計画を見ますると、安本長官がしばしば努力するとは言つておられるのでありますが、やはり未だに輸出が十四億ドルで輸入が十一億九十万ドルくらいを来年に予想されておる。これに大蔵大臣の半委員会におきます御説明の一億ドル或いは一億五千万ドルという対日援助を考えましても、なお輸入についてはつまり非常に何と申しまするか、やはり輸入のほうが多いくらいに持ち上げて参るのが然るべき御処置でなかろうか、こういうふうに考えるのであります。従いましてこの際に諸般の政策は輸入原材料の確保、その観点から見るところの日本の生産規模の拡大等を目標にしつ輸入原材料を諸般の政策を挙げてここに御集中なさる御意向はございませんでしようか、こういうことでございます。ただ輸入原材料の確保を優先的に考えるとおつしやることはもうわかり切つたことでございますが、もつともつと……。
   〔委員長退席、理事東隆君委員長席に潜く〕
 諸般の政策をこの点にお傾けになる必要があつたのではないか、これが第一点であります。時間の関係も考慮いたしますから、続けてお尋ねしてよろしゆうございますか、一応この程度で打切りましようか。
#119
○理事(東隆君) 続けていいのだそうです。
#120
○堀木鎌三君 第二段は、総理大臣に申上げたいと思いますのは、成るほど資本の蓄積ということは総理大臣も非常に強調せられるし、大蔵大臣も強調されておるのでありますが、どうも資本の蓄積の大切なのは、先ほど輸入原材料につきまして申上げたように、日本の生産の規模と拡大し、再生産過程に如何に効率的に有効に参るかという観点から和めらるべきものである。成るほど冗費節約とか、いろいろな施策を傾けられまして、資本の蓄積というものは実は相当できておる。併し一方を見ますと、民間におけるところの資本蓄積は実際におきましては、余りできていないのであります。むしろ民間の蓄積は少い。殆んど政府の資金的か蓄積資本に挙げて集中しておるということはお認めになつておると思うのであります。で、預金部資金におきまして、四百億円以上の実は余裕金を持つておられ、それから見返資金につきましても、相当多くの余裕資金を持つておられる。そのほか閉鎖機関におきましても、持つておられる、これらをかれこれ合せますと……。
   〔理事東隆君退席、委員長着席〕
 推定千或いは数十億に近いものとすら推定されるのであります。千億以上に及びますところの資本が実は短期の融資に使われたとか、産業と結び付かない形で使われておる。即ち日本の再生産過程に対して有効に使われていない。この点私は大蔵大臣も率直にお認めになつて、曾つて自分はこの点に一番主力を注ぐんだというお話があつたくらいであります。ところが今年度及び来年度の様子を見ましても、成るほど預金部資金百億を金融機関の債券引受に充当されまして、そうして諸般の政策をされる、或いは見返資金から中小企業金融にお出しになつたものが従来より多い、或いは民間私企業に多く割当てられる、いろいろな輸出入銀行に更に投資をせられるというような問題は、私どもも承知の上で、無論御努力のあとがそこに出ておると思うのでありますが、それにいたしましても、細かい点は大蔵大臣にお聞きいたしまするが、全体として千数十億の金が、いろいろな制約があるということも私考えての上で御質問いたしておるのでありますが、そうして御努力をなすつておることも見つ、なお且つ外国の援助が打切られ、日本の自立経済を確保するためには今のような性格よりも、もつともつと日本の再生産過程に有効に使われるように御処置になるべきである。殊に一例をとつて見ますると、見返資金のごときは本年になつて私企業に対しまして四百億の割当がありましたのが、僅か百二十億しか使われていないのであります。昨年に比べましても、見返資金の私企業に対するところの割当が非常に少い、局間においては自己の蓄積資本が足りませんだけに、これらの政府の統制下にありまするところの資金に対しまして、有効適切に使われることを早天の慈雨のことく待つておることも、これ事実でございます。そういう点から考えますると、もつともつと有効に直接に日本の産業と結び付いた形におきまして、従来より異なつた政策を強力に御準進になるお気持はございませんでしようか。それから第三段は、やはり私は民生の安定と申しますか、何と申しますか、やはり饑餓と困窮、少しこの言葉を今の日本国民に当てはめるのはひどすぎるというお考えがあるかも知れませんが、事実一方におきましては、特需景気その他がありますが、一方におきましては、非常に資金的に行詰り、或いは経営難に陷りまして、従事員の給與が拂えない。いわゆる遅欠配の状況は労働基準監督局における一番大きな関心事になつておるほどであります。そのほかそういうことを例を挙げましたら切りがございませんが、ともかくも国民の一面におきましては、相当何と申しまするか、罪なくして事実は社会の変転のために困窮な生活に陷つておるものがあるのであります。こういう饑餓と困窮を救うこと自身が平和な民主的な国家社会を建設して行く上において、最も緊要であるということから考えますと、この厚生の安定について更に十分な御施策があつて然るべきものだ、こう考えるのであります。以上三点につきまして、日本経済自立達成の緊急な要務はいろいろたくさんございますし、施策は一つ一つによつて皆繋がつてはおりまするが、この三つの点につきまして、私は切に総理大臣が強力に諸施策を挙げてここに推進されるようにお願いすると同時に、又希望いたす次第ですが、総理大臣の御所見は如何でございましようか、お答えを願いたいと思います。
#121
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。第一点の輸入振興のお尋ねでありますが、これは政府といたして最も心配いたしておる点であります。又輸入振興のために各般の処置をいたしておることは御承知の通りでありましようが、何分御指摘の通り今日朝鮮事変であるとか、或いは軍備拡張とかいうために各国が原料等の統制をいたしておるために、予期のことくに入らないことも重々御承知の通りの事実であります。でありますが、併しこの事態においてもなお且つ輸入の促進を図るために、或いは貿易の協定をするとか、或いは個別協定以外においても、なお原料、食糧等の輸入についてはあらゆる手段、又その余力のある国に向つて原料の輸入については極力諸係官において努力いたしております。今日まで輸入は御指摘の通り我々の希望通りに参らないので、輸入不振ということはこれは事実でありましようが、併し今後においてどうなるか、多少私は望みのないことはないように考えられます。併しこれは輸入ができてのちでありませんと、今日見込みで如何と申しても、変転窮まりない時代でありますからして、こうなるとか、ああなるとか、多少の見込みがあつてもその実現がどうかというようなことになりますと、必ず実現するというようなことも言われないような事態であります。併し政府としては、できるだけ輸入の促進については努力いたすつもりであり、国内の原料についても成るべくこれを利用するために努力をいたすつもりでありますから、暫らく措置の成績についてはお待ちを願いたいと思います。併し御趣意は甚だ賛成であります。できるだけの努力をいたすつもりでおります。その次に、政府の手持資金についてのお話でありますが、これは御指摘の通りであり、又従つて政府としても、成るべく政府の手持を有効適切に使うなり、放出することについては努力しております。これは関係大蔵大臣から詳細お聞きとりを願いたいと思います。次に民生の安定でありますが、これも無論なことであつて、政府としても努めなければならんことでありますが、今日何しろ大戦何ヵ年かののちに、又終戦後一時産業は停止せられた状態におきまして、民生に十分な施策を施すと申すか、政府が努力いたしたいと思つても、予算その他において制限されておるために、賃金引上その他の問題についても政府が希望することく参りませんが、併しこれも御指摘の通り、成るべく政府としてはその従来の欠点を補い、不安定の事態を救済することに努力いたすつもりであります。なお詳細のことは関係大臣から御答弁いたします。
#122
○堀木鎌三君 時間が制約されておりますから、他の大臣の御答弁はあとにして頂きたいと思います。
 総理大臣に続けてそれでは御質問申上げます。先ほど岩間委員から、人事院の国家公務員に対する給與ベースの改善につきまする勧告及び地方財政委員会から府県の財政の現状から見まして、殊に今般の政府の施策によりますところに伴いましての地方の負担であるから、是非増額してくれという要求でございますが、この二つの問題について、詳しくは又別に関係大臣にお聞きいたすのでありますが、併しともかくも人事院総裁が本国会において、どうも政府の今度の千円ベース・アップは、詳しく申しますと切りがございませんから止めますが、ともかくも不満である、特に二つの点について不満である。一つは今度の千円ベース・アップでは、従来考えておるとこの人事院のいわゆる生計費を基準にするところの給與所得が十分とは言いませんが、ともかくも満足されていない、更に従来の特別号俸によつておるものが、つまり特殊の職務に属しておるものが、従来の程度の他の職務との差ほど特別の待遇を受けておらないというような点を挙げて言われたのであります。で、従来平衡交付金に関しましては、地財委員会から御承知の通りの、何と申しますか、意見書も出ておる、これはお読みになつたろうと思うのであります。又全国の知事会議も熾烈にこの増額を要求しておる、又本国会におきましても、参議院といたしましては、全会一致、各党一致を以てこの問題が議決されておるのであります。で、人事院と言い或いは地方財政委員会と言い、共に総理大臣の所管されておるところのものである、私はこの委員会におきまして、双方のいろいろな御苦心のあるところを承わりまして、中には無論大蔵省の御主張になる分について頷き得ることもあるのであります。併し、いずれにいたしましても、これら両者がおのおの特殊の目的を以て、そうしてその使命遂行の上からいたしましたものは、十分尊重されなければならないと同時に、一方におきましては、大蔵大臣の言われるごとく、財政との均衡も図らなければならんことは事実であります。ただここで私特に総理大臣にこういう問題について御質問いたしますのは、総理大臣がこの問題をみずから御調整に当られまして、この予算案についてはともかくといたしましても、近い将来、できるだけ近い将来におきまして、これらの人事院なり、地方財政委員会の要求について十分にその実現方をお図りになり、極く近い将来において実現をお図りになるということが御必要なんではなかろうか。実は私の感じといたしましては、両方が実はつまらない事務的な、まだ折衝の余地、考慮の余地があるものまで未熟のまま出されたことは迷惑には感じておりますが、この人事院の給與、国家公務員の給與の待遇の改善或いは地方財政委員会の地方財政平衡交付金の増額或いは地方債の増額、無論地方債の増額につきましては、まだ地方財政委員会の要求するほどには大蔵大臣はお認めにならないが、ともかくも努力しようとせられておるのであります。併しいずれにいたしましても、この二つの問題はこのままの姿であつてはならないのでありまして、私は全体の行政の運用から見ましても、或いは何と申しまするか、大きく申しまして、政治のありかたというふうな点から考えましても、総理大臣におきまして、極く最近において御調整になるというお考えはございませんでしようか、その点を重ねてお伺いいたします。
#123
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。人事院の勧告或いは地方財政委員会の勧告或いは国会の決議は無論政府として尊重いたします。又御指摘の通り、これは財政経済の全局から考えて見て調整を図り、又考えなければならんことでありますから、政府としては全局から考えて、できるだけのことをいたしたつもりでおります。又将来において如何、これは勿論財政の余裕ができましたときには、先ず第一にこれを考えるべきところであろうことは異存はございません。のみならず公務員にしても、その手当等については十分與えることが即ち行政を刷新するゆえんであるということは、私もかねがね申しておるところでありまして、財政の余裕が付きますれば、勿論これを考えることについては躊躇いたしません。仔細のことは関係大臣からお答えいたします。
#124
○堀木鎌三君 残りが少くなつて、五分だと言われますが、実は私始めましてから時計を見ておりますが、あと七、八分は頂戴できるはずであります。実は総理大臣はできるだけのことはするとおつしやられますが、先ほども例に挙げましたように、実はできるだけのことがまだ本当に……、この過程の過程をずつと調べて見まして、両方の言い分を見ますると、できるだけの過程の努力が盡されていないのじやないか。是非その点は、これはもうくだくだと総理大臣に申上げましたが、できるだけのことができておりませんから、こういう御質問を申上げるので、是非今度は、甚だおこがましい話でありますが総理大臣みずからこの調整に至急お当りを願いたい。これを重ねてお願いを申上げるのであります。時間がございませんから、それでは五分だけ最後に申上げたいと思います。これは私の希望であり御答弁を願わなくてもいいかと思いますが、御親切でありましたら、一言御答弁を願いたい。
 どうも朝鮮事変が最近の事態は、非常に何と申しますか、いろいろな角度から国民はひとしく憂えておると私は思うのでありますが、ひとりこの限局された朝鮮事変のみならず、この朝鮮事変を契機といたしますと申しますか、そのバツクになつておりますところの世界情勢というものについては、私は国民ひとしく心配しておる、殊に最近の状態はそうだ、私は実は率直に申上げますが、英国のアトリー首相がこの朝鮮事変の新事態を見まするや、いきなりトルーマンと会談することを希望してアメリカに飛んだのであります。実に何と申しますか、胸のすくような行動である、アトリー首相のようにああいうふうにさばさばと時局に即応して自分の行動をすぐに実行するようなことが、或いは日本人だつたら違つた考え方が出るのではなかろうか、こういうふうに考えるのであります。併し無論吉田総理自身は、今の日本の国の現状から見ますると、いろいろ御制約の下においでになるのでありますから、無論外国に飛ぶとかいろいろなことはできないと思う、併しながら国民がひとしく心配しておる問題なのでございますから、無論総理大臣は外交のことは心配要らないというだけの御自信をお持ちになつておろうと思いますが、殊にこの時局がむつかしいことを知りつも、なおそうおつしやるのでありまするから、当然さもありなんと私も考えますが、この国民の声、国民の気持というものは、これはどうしてもやはり総理大臣としてお汲みとりになるべきである、こういうふうに私は考えるのであります。どうも私実は議員生活が浅いし、政治にはまだ生まれたての男でございますが、何故にこの日本の現状から見まして、国民と共に聞き、国民と共に憂えるというお姿を、もう少し率直にさばさばとお出しにならないのであろうか、一例を挙げて見ますると、いわゆる超党派外交として呼ばれておりますような事柄につきましても、どうも俺がイニシヤテイヴを持つておるのだ、幣原さんがお使いに行くのも一つのイニシヤテイヴだという、こういうお話もあつたことはあつたのでありまするけれども、どうして私はこんなに日本の偉い政治家たちは腰が重くて、さばさばと国民と共に、国民の気持に合つて御行動なさらないのであろうかと、こういうふうな気持がいたしたのであります。これはひとり私だけの気持ではなしに、国民の気持ではないかと、こういうふうに考えますので、甚だ僣越でありますが、どうか吉田総理自身もそういうふうな方向に、現在の政治の動き方は必ずしも満足すべき状態でないのでありまするから、是非これらにつきまして、特別の御考慮と御配慮があつて然るべきではなかろうかと、甚だ僣越ながら一言附加えさせて頂いたのであります。これを以て私は総理大臣に対する質疑を打切ります。最後の点について、御答弁下さる親切さがありましたならば、一言所見をお述べ願いたいと思います。
#125
○国務大臣(吉田茂君) 御意見の、私が給與引上げとか、交付金その他の調整にできるだけ将来努力するようにという御注意は謹しんで伺います。又最後の点につきましては、御答弁する十分なる親切心を持つておりまするから、一言附加えますが、今日の国際情勢、これは緊迫しておることは事実でありましよう。それ故に或いはフランスの内閣員がロンドンに行き、又イギリスの閣僚が首相初めワシトンに行つて、そうして数日滞在いたして、アメリカの大統領その他と懇談せられたこと、これによつても世界情勢の容易ならざることは察知せられるのでありまするが、併しこれが契機として、或いはその結果として、第三次戰争に行くかと、これはしばしば申すことでありますが、私は断じてそのことはないと思いますのは、そのことのないために、各国が、殊に米英仏等の内閣が努力をして、そうしてワシントンまでも行き、或いはロンドンまでも行くということで、和のために各国共非常な努力を拂つておるということは認められるのであります。又その他の国といえども、第三次世界戰争のごとき大事件を起して、人類の滅絶、文明の滅絶というようなことを惹き起す危險のあるような事件を軽々しく惹き起す、又その惹き起した責任をとることはないと思います。今日は第三次世界戰争のあとを受けて、世界各国共に平和の保持に努めておる次第でありまするから、容易に第三次世界戰争に行くことはないと私は確信いたします。又それを避けるために各国が非常に努力をいたしており、その非常な努力をなした結果として、平和は私は維持せられるものと確信いたします。従つて直ちに第三次戦争が起るというようなことは即断に過ぎやしないか。なおその第三次戰争を避けるために努力の余地があり、又余地があるが故に、各国の政治家が奮闘しておることと考えます。そかれら又目下追つておる朝鮮動乱をどうするか、見通し如何と始終聞かれるのでありますが、私はこれに対して余り日本国民が神経過ぎやしないか、又神経過ぎると考えられるような議論を軽々しくなすために、国民が一層おびえるということもありましようから、国会或いはその他政治を担当しておる諸君におかれて、対外国の情勢判断については非常に愼重な注意を以て言論をなすべきものであり、なさつてもらいたいと希望いたします。又私が何事も自分一人ぎめにしておるようなお話でありますが、私は決してそういうことはいたしておりません。始終私が申す通り、国会或いは日本の世論等において、政府が指導をするとか、或いは抑圧をするということは、曾つて一度も考えたことはないのであります。むしろこの民主政治の日本として、自由に発言をし、自由に研究をし、その意見を発表することが民主政治であり、その国民世論の帰趨によつて世論の赴くところを察して、政府は実施すべきものである。又政府として政府の所信なり、外務大臣の所信は、結論的に申すのではなくて、国民に参考の資料を與えることに我々としてとどむべきである。日本の議論をして、ああ行け、こう行けというような指導をしないことが民主政治であると私は考えておる。成るべく我々の承知したこと、研究したこと、或いは情報として聞いたことは公表して、そうして世論なり、政治家なり、或いは政党なりの参考に供することに努めておるわけであります。ただ私の感じと申しては、朝鮮動乱の異常な状態が生じて未だ一ケ月にもならざるのに、いろいろな判断をなす、占いをなすということは、これはよろしくないことであると思う。極く研究に研究をせられて、愼重な態度で政治家はこの朝鮮動乱の問題を取扱つて頂きたいものと私は希望いたします。親切にお答えをしたつもりでありますが、御満足が行かなければ又附加えたいと思います。
#126
○堀木鎌三君 もう時間はないから、実は附加えて頂きたいために質問はたくさんありますが、この程度で打ち切ります。
#127
○内村清次君 私は総理大臣に対しまして、日本政府の訓令によりまして、日本政府が責任を持つて借款いたしました在外公館等の借入金の返済に関する問題につきまして第一点。次には在外同胞の引揚促進に関しまして、次には官公職員の給與に対しまするマ書簡に対しましての政府の考え方につきまして、お尋ね申上げたいと思います。
 先ず第一の問題は、これはすでに参議院に設置せられております在外同胞引揚問題に関する特別委員会の代表といたしまして、千田委員が本会議において総理に質問いたしました。そのときの総理の御答弁によりますると、支拂いはするがというようなお言葉でありました。併しながら、具体的な方法、又はこの借款返済に対しまして、今各地に起つておりまする引揚者の窮迫した生活の状態から来るところのこの空気の状態に、どうしてもそぐわないというようなことに、昨日の特別委員会の空気が一致いたしまして、実は私はその意見も代表して本日質問する問題であります。勿論当時の状態を想起いたしましても、おわかりになりまするように、ソ連軍の北満侵入と同時に、又参戰というような事態におきまして、相当な北満人が当時南満へと押寄せて来た。これが大体中心であるし、或いは又朝鮮の問題もあるのでございましよう。或いは各地のその他南方地域の問題もそれには含まつておりまするが、大体といたしましては、満洲地区がこれは一番大きい、又そういう借款をしましたところの人たちは多いのでありまするが、こういう人たちが今日終戰後五ケ年になりまして何ら……。政府のほうにおきましては、すでに法律を制定いたしまして、その借款の借入金の整理準備審査委員会というのができておりまするが、すでに締切りがされましてから、五月の十八日にこれが締切になつておつたのでありまするが、件数は御承知のことく二十万件にも達しておる。そういうような件数に対しまして、現在委員会が発足いたしましてから、すでにもう一ケ年有半になつております。この間に大体確認をする、即ちあなたの確認証をお出しになるというような件数が一万三千件乃至一万五、六千件というような状態であつて、而もこの委員会におきましては、先般委員会において、この関係者を呼んで聞いたわけでありまするが、予算におきましても、僅かに七百万円ぐらいしか組んでいない。而も又本年度におきまして、二十六年度に要求いたしております点につきましても、約九百万円くらいしか要求していない。そういたしますと、昨年が一千万円ぐらいの組み方で七百万円、こういうような僅少な予算を以ちまして、そうしてまだそこにかかわつておりまするところの事務職員のかたがたが、僅かに七十人ぐらいでこれをやつておるという状態におきましては、今後二十万件に余るところのこういう即ち借入金の問題を処理いたしますのに対しまして、恐らく五年も、六年もかかりはしないかというような見通しであります。こういうような無責任なことで一体政府はよいのであるか。で、この点に対しまして、今少しく総理から具体的に、一体どういうふうな即ち支拂いの方法をするか。勿論この問題につきましては、先ず確認が第一でありまするが、その次にレートの題になつて来るでありましよう。レートに対しましては、これは当時の、即ち借款いたしましたところの金の現在の比率といものも確かに問題でありますが、いろいろな困難もありますが、それを何とか解決しなければならない。
 これこそ講和態勢を完了するところの素地であろうと私たちは存じておるのでありまするが、この問題につままして、どういうような御構想か持つていらつしやいますか。その点が第一点であります。第二点の引揚促進の問題につきましては、従来参議院におきましても、毎回特別委員会を作りまして、この引揚問題に対しましては、最も熱意を以ていたしております。政府も、今回の総理の施政方針演説にもありましたように、引揚者の問題に対しましても、促進を図つて行くという心持のあることは十分察しておりますが、さて特別委員会で、外務省の関係者を呼んで具体的な方法を聞きましても、何ら具体的な方法がないのでありまして、総括的に手を拱いて待つておるというような状態のように見受けております。この問題につきましては、すでに昨日の新聞にも発表してございますように、国民代表として、或いは又国会の代表という意味もあつたと存じまするが、先般中山委員長や或いはまた倭島及び齊藤の三氏がオブザーバーとして出ておりますが、すでに国連の第三委員会即ち人権に関する委員会は、六日に開会をされて、この問題を中心として討議がなされようといたしておる。こういうような際におきまして、政府はどういうような促進の方法をお考えになつておられるのであるか。こういう点を一つ御答弁を願いたいのであります。これはすでに中共地区におきましても、その後引揚者がだんだんと帰つておつたのでありますが、そういうかたがたのことを聞いて見ますと、まだ相当港のふちには残つておるということを聞いております。どうか一つこういうような事態にありまして、熱望しておりまする、又六たびも冬を更に異境の地にとどまらなければならないというような、こういう事態に対しまして、政府はどういう御処置をなさろうとしておるか、その点。それから第三の問題は、すでに補正予算の中にも現われまして、各委員のかたがたには、この問題の給與問題に対しましては、非常に熱心に御努力をされておりますから、内容の点は省略いたしますが、問題マッカーサー元帥の書簡が、二十三年の七に公務員に対するところの書簡が出ております。これは当時芦田内閣でありましたが、併しこの書簡に基いて総理の第一次内閣のときにおきまして、国家公務員法が制定されて、その書簡の内容が憲法第十五條の問題に、即ち引つくるめまして、公務員は国民全体の奉仕者であるという観点に立つております。全体の奉仕者であるならば、国民はその生活権を擁護しておらなければならん。政府も又擁護してやらなければならん。同時に又この擁護の面については、民間の給與ベースよりも高い給與ベースを與えて裏付けをしてやらなければならん。そうして国民全体の奉仕者としての襟度を保ち、国家に奉仕しなければならん。国見に奉仕しなければならんということが織込んで書簡の内容になつた。その後政府のとつております処置というものは、六三ベースにいたしましても、今回の引上げにいたしましても、人事院の線は尊重すると旨いながら、その実質においては未だ不十分であります。もの年末も近まつておる。こういう態勢を不平等な形に置いて、又は尊重すべき書簡の内容さえも十分尊重されないままに置いて、この公務員のかたがたや、或いは又地方教職員のかたがた、地方公務員のかたがたを越年させようとしておるのかどうか。この書簡内容の尊重の点につきましての政府のお考え方を、率直に申してどういうふうな処理を今とろうとしておるかどういう努力をとろうとしておるということを御発表願えれば甚だ結構であると思います。以上三点をお聞きいたします。
#128
○国務大臣(吉田茂君) 在外公館借入金の処理につきましては、本会議においてあなたの御質問に対して私の答弁いたしましたことで、その内容が複雑であるので遺憾なものがあるということを申して御了解を求めたのでありますが、なお私としては、この問題は実は終戰直後の外務大臣として初めから関係いたしておる点でよくわかつております。借入金によつてとにかく突然起つた在外同胞の引揚げが完了されたものであつて、政府としては決して等閑に附すべからざるものである。又早くいたしたいというように考えておつたのでありますが、説明いたしたような事態になりまして、心ならずも遅延いたしておる。たしかあの議場においての質問の翌日、私はわざわざ外務省に行つて、当局にこの問題は早く処理するようにと言つて督励をいたしたような次第で、決して等閑にいたしておるわけではございません。それから引揚促進については、これ又私が第一時吉田内閣と申しますか、或いは幣原内閣以来直接取扱つた問題で、頭を悩ましておる問題であります。併しながらこれは相手国のありますことがあつて、私は努力はいたしておりましたが、今なお中共、ソヴイエト地区において相当の数字が残つております。これに反してソヴイエトはもうすべて引揚げが完了したというような態度をとつておるので、誠に難澁するのでありますが、これは日本ばかりではありません。私の記憶によれば、フランスはなお二百万以上の引揚未了の者が残つておる。ドイツもまだ相当の人が残つておるという状態で、故に現在国連において問題を取上げて、そうしてこの問題について促進方を図つております。日本といたしましては、今日は外国関係がない、交渉の途を持たないものでありますから、主として連合国司令部に要請し、連合国司令部はいろいろ努力してくれましたが、方法が盡きて国連に要求して、国連が世界的輿論を動かして、この問題を促進するという状態になりつつあるようであります。その結果については暫らくお待ちを願いたいと思います。
 それから官公職員の給與については、先ほども申した通り財政の余裕が付けば、給與は成るべく上げる、できるだけ高く上げるということについては、政府は異論はないのであります。故に年々給與の問題は考え来たつておるので、将来といえども余裕が付けば無論人事院の勧告がなくとも、政府としては、進んで給與を上げたい、この考えについては、少しも変つておりません。一応お答えいたします。
#129
○委員長(波多野鼎君) 岩間さん各省大臣に対する総括質問をお願いします。
#130
○岩間正男君 時間が制限されておりますので簡單に伺います。先ず第一に、この特別調達庁関係の職員が、今度のベース・アップから漏れておる、こういう問題を聞いておるのでございますが、これはどういう措置をされるのであるか、この点関係省に伺いたいと思います。
#131
○政府委員(河野一之君) 特別調達庁の職員というのが漏れておるというのは私存じませんですが、進駐軍関係でございましようか。調達庁の職員もこれは一般公務員でありますから、一般と同じように給與改訂をいたすことになつております。
#132
○政府委員(堀井啓治君) 特庁職員につきましては、一般公務員の線に置いてありまして、只今のよう心御疑念はないと思います。ただ特庁が内接雇用しておりまする軍の関係につきましては、これは特別職でありまして、只今関係筋と協議中であります。
#133
○岩間正男君 それは協議はどうなりますか。三月からそれができないというふうに聞いておるのでありますが、それはどういう事情でそういうふうにたつておりますか。
#134
○政府委員(河野一之君) 進駐軍関係の特別職の職員の問題でありますが、これには二色ございまして、いわゆる系統で動く人ものと、そうでない一般の事務職員と両方あるわけであります。いわゆるLR即ちPWで動く関係は、PWが変りませんというと給與の引上げはない。一般職種別賃金でこれを支給することになつております。それからその他の一般事務職員につきましては、これは或る程度一般公務員との均衡を考えて実施いたさねばならんと存じますが、この点につきましては、特庁当局等と今協議しておる段階でございます。
#135
○岩間正男君 待遇が今までこういう状態に残されて窮迫しておるところに、一方にそういう改訂がまあ少しばかりであるが出て来ておる、こういう次第であるが、非常にそれは関係者にとつては大きな問題なのであつて、連関してこの問題を取扱つて早急に解決するというのが当然だと思うのでありますが、これに対してはどういうふうに考えられますか。
#136
○政府委員(河野一之君) 只今申しましたように、一般職種別賃金によりますのは、これの改訂がありますものは、これによつてやる筋合のものでありまして、これは一般の公務員の給與体系とは別のものでありまして、今一つのぼうにつきましては、これは従来この関係の職員は特殊の事情がありまして、一般公務員と多少違つた事情がありまするが、或る程度の均衡を考えまして善処いたさなければなるまい、かように考えております。その具体的の内容につきましては、目下検討中でございます。
#137
○岩間正男君 そういうものは実情から考えますと、全体的に総合されてやはりやられるのが実情に合う方向だと考える。それだけが一つの技術的な関係から遅れるということは、非常にやはり大きな問題であろうと思うので、早急にこれを解決することを切望するものでございます。次に法務総裁に伺いたいと思うのでございますが、それは過般の池上特飲街の問題が起つたことは御承知だと思う。あの特飲街の問題が起りまして、あの問題が大衆の輿輪によりまして、国会にもこの問題が反映されて、ああいうような解決、望ましい解決の方向に働いたのであります。併しその中で非常にここで問題にしなければならないのは、あの中に池上の警察署長の果した役割についてであります。それはどういうことであるかというと、あの特飲街の建築問題が起つた、それに対して反対運動が起つた、そうしてそれらの代表団が陳情に参りますけれども、そうするというと、これは警察署長は、そうした事態は心配する必要もないだろう、そういうことはむしろ赤の手先によつて踊らされておるのだと、そういうことはやる必要はないというので、逆に水をぶつかけておる、而もその間に急速にあの工事を進めておる、こういう事態が発生しておる。それで現在この署長は第二予備隊の隊長としての現在転任しております。この転任の時に五万円の金をこれはもらつておる。こういう事実が過般の或る婚姻の宴会におきまして、証人によつてはつきり陳情されておる。私は大橋法務総裁にお伺いしたいのは、大体ああいうような問題を、いわゆる民族の廃頽から本当に自分たちの子供を守ると、こういうようなものに対しまして行われたところの重大な問題に対しまして、いつでもそういうような大衆の一つの輿論が起るというと、これに対して赤の手先であるとか、何とかいうようなことによつて水をぶつかけるというのは、これは政府の方針であるのかどうか、或いは又そういう役割を来したところの署長、こういうようなものに対しまして、どういうような処置を考えておられるか、こういう点について伺いたいのであります。
#138
○国務大臣(大橋武夫君) 岩間君にお答え申上げます。料飲街の問題の際におきまする池上署長の行動というものについては、私まだ承知いたしておりません。併しながらああした場合におきまして、赤の手先となるなというようなことによりまして、その運動そのもの全体の価値を批判するというようなことは、私どもとしてはとらざるところであります。従いまして政府といたしまして、さようなる指導をいたしておる事実は全然ございません。次に池上署長の転任の問題でございまするが、これは政府と関係のない自治警察たる警視庁の措置でございまして、政府はこれに対しまして何ら関與をいたした事実はございません。
#139
○岩間正男君 そうしますと、政府の方針というようなものとこれは違反しておる、そういう問題が起つたときに、即ち共産党の煽動とか言つて、この大衆デモを潰すということは非常に正しくないということは今表現されたところであります。そういう方針に反してそういう行動を起しておる。これは地元民もこの点については非常に憤慨しておるのでありますが、そういうような者が現在第二予備隊長というようなものを勤めておる。而も遊戯のまぎわに明らかに五万円をもらつたという事実が出ておるのでありますが、これは自治体の問題であるかも知れませんか、法務総裁として関心を持たないでいられる問題ではないということは明らかだと思いますが、これに対してどういう見解を持たれるか、伺いたい。
#140
○国務大臣(大橋武夫君) 政府といたしましては、自治体警察の人事というものは自治体警察が新警察法によりてできましたところの趣旨に鑑みまして、これに対して関與いたす意思はございません。
#141
○岩間正男君 関與する意思がないと言つたつて、そういう問題が起り、政府の方針に反するが、自治体の枠内だからといつて直接これに関與するかどうかという問題ではないので、法務総裁としてどういう見解を持つておられるかということを、こういうことを伺つておるので、その見解はどうですか。
#142
○国務大臣(大橋武夫君) 法務総裁といたしましても、政府といたしましても、自治体の人事に関して批評がましいことを申上げる立場にはないと思います。
#143
○岩間正男君 非常に頼りない答弁で、法務総裁はそうすると自治体に何が起つても法務総裁の何ではないということであると確認してよろしうございますか、今の答弁から行くと、自治体警察にどういうことが起つても法務総裁はそれに対して見解を述べたり、そういうことはしない。こういうように確認してよろしうございますか。そういうことになりますね。
#144
○国務大臣(大橋武夫君) 私は自治警察権の独立性という新警察法の精神から考えまして、自治体警察の人事に関して批評をいたす意思はないということを申上げたわけであります。
#145
○岩間正男君 私は自治警察をどうしろ、こうしろということを言つておるのではなくて、これが與えておる社会的影響、そうしてそういう警察官の今果しておる役割とか、そういうものが実に反人民的であることを指摘して、これに対しての法務総裁としての見解を尋ねておるのでありますが、依然として人事に介入するということはないという言辞でありますから、では改めて聞きますが、これが現在警察予備隊長として就任した事実がある。そういうような過去の経歴を持つた人が警察予備隊長として就任しておる。それに対して法務総裁としてどういうふうに考えるか。それを伺いたい。
#146
○国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊においてこれを採用した事実はございません。第二予備隊というのは恐らく警視庁におきまする予備的な警察官のプールと申しますか、警察隊に入つたところの警察官を非常用に待機せしめるようになつております。これを予備隊と申しております。おそらくそこの隊長に警視総監として転任を命じたものであろうと存じます。
#147
○岩間正男君 予備隊というものがどうもいろいろあるのでわからないことになる。(笑声)何が何だかわからない。まあ、この問題は何度言つても、人事の問題で大橋総裁の見解を尋ねることはないので、あとに保留いたします。
 そこで天野文相に関連してお伺いしますが、この問題の背後には、これは非常に大きな社会問題を含んでおると思うのでありますが、実は現在の政府の政策を見ますというと、この特飲街を禁止するというような方向は、これは世論に非常に驚きまして、そういう方向をとられたのでありますが、現在の施策を見ますと、例えば現在において吉田内閣は競輪を、これは問題にはなりましたけれども、存続させておる。或いは又富籤、宝籤を発行させて、これを大きな地方財政の收入としておる。又東京の例でございますが、東京の大体、これは都市が大体年額百七十億、そのうちの遊興飲食税のごときは二十三億、約一〇%になつております。そうすると、逆に財源をそういうところに求めておる。だから余りこれは取締るのは痛し痒しという形が当然起つて来るのでありますが、これがこういう一つの政策、これが與えておるところの影響は非常にやはり現在の社会の道義廃頽、青少年の不良化の問題と大きく関連を持つと思うのでありますが、これに対して天野文相はどういうような処置を一体お考えになるか、どういうような見解をおとりになるのか、お伺いしたいと思います。
#148
○国務大臣(天野貞祐君) 競輪その他のああいう一種の賭博的なことは、私も岩間さんと同じように非常に悪いことだと思つております。だからして関係しておられる大臣初めその他のかたがたに、どうか早くあれをやめるようなふうに工夫して頂きたいということを、総理大臣にも、又その他のかたにも申上げております。
#149
○岩間正男君 天野文相が過般競輪廃止問題で閣議の中で奮闘されたということは、非常に国民が好感情を持つてこれを迎えておると思うのでありますが、なお非常に今の日本の政治の廃頽の一つの原因でもありまするところの、例えば當籤の問題とか、それから今の遊興飲食税に関近して特飲街の問題とか、こういうものに今後大いに努力をされる意向をお持ちであるかどうか、伺いたいと思います。
#150
○国務大臣(天野貞祐君) 私の力の及ぶ限りは努力いたす考えでございます。
#151
○岩間正男君 なお伺いますが、最近国連協力というような体制化でしようか、学校におきまして国連単の傷病兵の慰商品を作らせておると、こういう事態が発生しておるのでありますが、これについては日本の今の建前として、こういう戰争介入的な一つの面を持つておりますものに対して、どういうふうに文部省は考えておられるのでありますか。こういうものに対する対策ははつきりお考えになつておられるのであるか。その点を伺いたい。
#152
○国務大臣(天野貞祐君) 文部省としては、そのことについては全然聞いておりません。けれども首相が国連協力ということを言つておられる立場からすれば、差支えないことだと考えております。
#153
○岩間正男君 国連協力の内容が非常に今この委員会で問題になつておるところなのでありますけれども、そのために非常に学校が再びあの戰時動員時代のように、自分の本業のほうがむしろおろそかになる、そうしてそういうもののために非常に奨励されて、最近の日の丸や国歌の事件と同じような一つの傾向を持つと思うのでありますが、戰争協力の中で、あの太平洋戰争時代の日本の学徒、青少年たちが果させられた役割、あれは余りに痛々しかつたと思うのでありますが、それと同じような関連のものが現在相当奨励され、而もこれは單に奨励されているのではなくして、殆んど半強制的に近いような形で以てこういうものが行われておるというのが実情であります。これに対して文部省はどういうようなはつきりした対策を以て、こういう態勢に追込まれないように努力されるか、この点伺いたい。
#154
○国務大臣(天野貞祐君) 只今申しましたように、文部省はそれについて全、然聞いておりません。けれども、若し百これを強制するというようなことならば、私はよく処置します。
#155
○委員長(波多野鼎君) 暫らく休憩いたします。
   午後零時四十九分休憩
   ―――――・―――――
    午後二時二十四分開会
#156
○委員長(波多野鼎君) 休憩前に引続いて予算委員会を開きます。各省大臣に対する総括的質問を継続いたします。
#157
○堀木鎌三君 今朝ほど総理大臣に質疑をいたしましたわけですが、その際に大蔵大臣も御出席でございましたから、もう細かい前置的なことは拔きまして、端的に直接の問題について数学的に御質問申上げたいと思います。
   〔委員長退席、理事野田卯一君委員長席に着く〕
 今朝ほど総理大臣にも申上げましたように、成るほど非常な御努力によつて資本は……資本と申しますか、資金は、国家の統制下にありまするところの資金は相当持つておられる、こういう状況になつて参りましたが、一方民間のほうは運転資金、設備資金、殊に長期資金等の枯渇に悩んでおる、こういう状況が甚だしく現われて参つておるのであります。そのうちで特に取上げるべきものは、見返資金と預金部の運用資金の状況だと思うのであります。見返資金につきましては、昨二十四年の四月から本年九月までの使用の実績は約千二百五十億円で、それが債務償還、短期証券の買入れ、現金の積立となつておるのであります。千二百五十億円というものは見返資金の総額の六〇%に当つておるのであります。これに対比いたしまして、私企業関係に投資されましたものは三百四十億円、僅か一六%に過ぎない。今年は全然債務償還を行なつておられませんが、本年度私企業投資が更に昨年に比して非常に低下しておる。こういうふうに過ぎないものであつて、本年度においては全体の四〇%が短期証券、即ち食糧証券とか、外国為替証券の買入れ等に運用されておる。あとは積立金になつておる。こういうふうな状況であります。で預金音資金につきましても、本委員会に表が提出されたのでありまするが、そのうち六百二十九億の余裕金があるように認められるのであります。それに対しまして費途がきまりましたのは、ここで大蔵大臣の言われました三百五十億円、大蔵大臣はこれを三百七十億円までは考えておるのだと、こう言われるんであります。更に最近におきまして金融債の百億がきまつて参る。併し一方預金部のほうと見返資金の関係、従来見返資金から出されておりました二百七十億の公共企業に対しまするところのものが預金部のほうに振替わる、それだけ又見返資金に余裕が生じて参る、こういうようなことで、こういうようなものを考慮して見ますると、十月末で大体預金部は四百億くらいの余裕金をお持ちになつておると推定されるのであります。この趨勢は本年度末になると更に殖えて参るんじやなかろうか、こういうふうに考えられるのであります。そのほか閉鎖機関に約百億近い九十数億を出しておられる。こういうものをかれこれ拾い合わせて見ますると、約千二、三百億のものが政府の統制下にあるんだと、こういうことが言えると思うのであります。こういうふうに政府におきましては、非常に何と申しますか、一種の余裕金を相当持つておられる。私は日本産業を復興してその規模を拡大し、そうして再生産過程が急速に行われる。そうして自立経済が一日も早く達成されるということは、一にこの資金がそういう方法に使われるということが一番大切なことだ。これは実は私お聞きいたしております大蔵大臣も、全くそういう見地に立つておられるということはですね、曾つてこの委員会で説明されたんだと思うのでありますが、今申上げましたように、何と申しましても、これだけの余裕金を抱えておる。一方民間におきましては、運転資金についてすら困つておりますが、更に長期の設備資金は非常に困つている。更に国際貿易との関係から見ますれば、やはり設備の近代化でありますとか、造船でありますとか、電力でありますとか、石炭の基礎産業でありますとか、そういうものに対して非常に資金的な行詰りを来たしておる、こういう現状から見ますると、どうしてももう少し、もう少しどころでない、幾ら活発にこの点が、何と申しますか、この点の速度が非常に上つたにしても、遅過ぎるといつても早過ぎない、こういうふうに考えるのであります。私どもは恐らく民間の人は誰しもこの点を、何と申しますか、非常に切実に痛感しておる、こう考えますのに、今後の状況はどうだということに相成りますと、池田大蔵大臣の御努力にもかかわりませず、と申しますか、ここでのお話にもかかわりませず、先行きなかなか期待が持てない。特に見返資金につきましては、過般ドツジ氏との会見の結果は、公共事業投資はやめられるようになつて参つている。或いは住宅金融金庫に対するものも投資の対象から外される。こういうふうな情勢になつて参つては、成るほど大蔵大臣は重要産業に対して四十三億を考えられたのを六十億に殖やすとか、或いは中小企業に対して四半期別に従来に倍するものが出て参るとか、或いは輸出銀行に今回二十五億の出資をされたということに眼を蔽うものではございませんが、これだけの御施策では、如何にも一方において対日援助が打切られるだろうということが、今安本で御計画になつておる年度よりも早く打切られるだろう、その額も減つて参るであろう、すでに本年度において二億八千万ドルから五十万ドルが減つておる。又大蔵大臣は来年度はせいぜい一億乃至は一億五千万ドルと申されましたが、ともかく一億ドルぐらいには期待できるのではないかと言われるのでありますがともかくも安本の三ヵ年計画よりは早く打切られるだろうということだけは必至であり、ドツジ氏の声明におきましても、やはりそうだと思うのでありますが、いよいよ以て本資金が日本の産業復興と直接結び付いて、活発に有効に能率的に再生産過程に入ることが一番必要であつて、その点に対する御努力が如何になされても、なされ過ぎるということはないんじやなかろうかと思うのであります。この点に対する御所見を伺いたいと思います。
#158
○国務大臣(池田勇人君) 御質問の点が日本の財政、経済の中心になつておるのであります。私は以前より見返資金、預金部資金の活用につきまして、関係方面と話をして来たのであります。漸やく預金部資金等の使い方がはつきりして参つたのであります。で只今見返資金には四日現在では六百六十億、今朝は七百億と申しましたが、今日現在では多分七百億、これはまだはつきりきまつておりませんが、四日現在の六百六十億というのは正確の数字でございます。この六百六十億のうち四百数十億は食糧証券で持ち、二百億ばかりは現金になつておるのであります。見返資金の状況につきましては、御承知の通り、電気関係に百五十億円を支出するはずであつたのでありまするが、再編成が遅れましたために出ておりません。今年度はもう期間も少いので、大体百億円と予定いたしております。この十二月中に三、四十億出すべく今折衝を重ねております。又造船の百三十五億円につきましては、六次造船計画が遅れましたのと、又單価を含む問題で今折衝しておりますので、遅れておりますが、今年度内に残りの金額は殆んど出せるような方法で行きたいと考えております。私企業につきましても、殖やしまして六十億円、只今二十六億円出ておりますが、これ又再度申請をしておる問題であります。年内にも相当出るようなことにいたしたいと考えておるのであります。こういたしますると、二百億円程度の現金を持つておることを止むを得ないのでございまして、問題の食糧証券は、これは預金部の問題と併せてお答えいたたしいと思います。預金部のほうにおいても、四百数十億円の糧券と或いは預金を持つております。この百預金部の資金につきましては、大体今年度におきまして、二百億円の金融債を引受ける予定でございます。又来年度におきましては、四百億円程度にいたしたいと考えておるのであります。この二百億円の本年度の金融債引受は、御承知の通りに百億円銀行への預金がございます。昨年の暮に金融緩和のために出しました百億円がございます。これを年度内に回收いたしまして、即ち来年の三月までに回收いたしまして、回收と睨み合せて二百億円の金融債を引受けよう。そういたしますと、全国各銀行並びに無盡会社或いは特殊の信用組合に預けておるものが還つて参りまして、そうして、新たに長期と申しまするか、長期でもあり、又特殊金融でもあるほうに二百億円流れることに相成つて来るのであります。できるだけ政府の資金の活用に努力いたしておるのであります。それでもなお且つ糧券を持つておることがどうか、こういう問題であります。食糧証券を持ちますことは、従来主として日本銀行或いは市中銀行で持つておつたのでありますが、この糧券を預金部並びに見返資金が持たずに、これを直ちに面接投資にいたしますというと、見返資金が将来長く来るものならよろしいのでございますが、私の見通しでは来年度は一億ドルという予定でやつております。従いまして来年度の見返資金の総額は相当今年から繰越して置かないと困るという状態になると思うのであります。例えば来年度の見返資金が非常に少くなつても、造船もやつて行かなければなりませんし、水力発航もやつて行かなければなりません。そうして特にぱつと金を出しますと、なかなかその金が有効に使われないという点もあるのであります。かれこれ考えまして、私は見返資金の直接投資を造船に全部やつてしまい、預金部は産業投資に使つてしまいますと、日銀が糧券を持たなければならなくなつて来る。そうすると、日銀の通貨発行が非常に殖えて参るのであります。ですから日銀の貸出通貨の発行高等と睨み合せて、主として見返資金の手持資金で調節して行こという金融政策をとつておるのであります。御承知の通り今年度におきましては、かなりの引上げ超過になりますが、来年度においては見返、預金部を通じては撒布超過の予算にいたしたいということで検討を続けておる次第であります。
#159
○堀木鎌三君 大体方向として私は大蔵大臣が私と同じような立場であり、御努力はなすつていられることは認めるのでありますが、無論今お話になりましたように、一遍に金を出す、出せば責任が済むわけではない。かたがた民間の私企業に投資するのには、民間が自己資金において相当の資金を調達するだけの状態でなくてはならない。それだけの責任を負わなければならない。つまり目的の産業再建に有効に使われなければならないということが非常に大きな要素であるということは、私も十分考えるのであります。併しながらそれと同時に、政府のほうにおきましても、殊に今おつしやつたように、食糧証券をたくさんお抱きになつておる、それを衝いて金融、いわゆる兌換券発行との調整をするというふうなお考え方でものをやられると、実際において政府は強力な金融機関の中枢である日本の金融は、実際のところ日本銀行と大蔵大臣と両建ぐらいになつていると言つても差支えない。場合によりますれば、日銀のほうは全く商業的な、経済的な動きに応じなければならんが、政府がコントロールしておられますものは全く統制的な、そうして意図的な投資金融操作になる。こういうふうな点から考えましても、非常に御責任が重大である、こう考えるのであります。来年以降の見返資金の少くなるのと調子を合わせお考えになりますと同時に、一日も早く日本の産業が復興して参るように、拡大再生産に廻るように、能率的に時期的に早く見返資金が打切られるようであればあるだけに、金だけについてお考えにならないで、産業の助長発達と申しまするか、日本の自立経済達成のために、効率的に本資金の運用に御努力願いたいと思うのであります。第二にお尋ねいたしたいことは、今度の補正予算におきまして、御承知の通りに、外国為替特別会計に百億繰入れられたんであります。どうもこの点が政府の御説明によれば、外国貿易特別会計から当初五百億程度の繰入れを予定しておつたのですが、二百六十億となつたと、で、二百六十億程度に減りましたが、多くは日銀の外貨貸付制度の運用によりまして、六百七十七億の收入が期待されるので、差引き円不足千三十六億円に対しては百億純度繰入れで足りると思う、こういうふうに言われておるのであります。私はこの外為会計が、大蔵大臣は正確な数字をお挙げになりませんが、大体常識として、約三億五千万ドルぐらいを持つておるということは一般に考えられておるところであります。先ず第一にお聞きいたしたいことは、これがどうして生じて来たかということは、これはもう大蔵大臣自身もおつしやつていられますように、要するに輸出が朝鮮事変で延びたが、輸入がそれに即応して延びてないというところから、急速に溜つて来た金なんであります。で、この点については安本長官に過般お尋ねいたしまして、又今朝ほども総理大臣にお尋ねをいたしたい次第でありますが、総理大臣は率直にどうも最近においていろいろな政策をやつておるが、輸入が期待ほどできないのだと、これはこの間安本長官に私がお聞きした通りであります。最近の情勢は金があつても世界的な軍拡の影響を受けて入りにくくなつて参りました。又非常に価格も上つて来た。特殊なものについては非常に価格も世界的物価高で上つて来た。要するにこれもやはり速度の問題でありまして、政府のおやりになります施策が非常に緩慢であつて、無論朝鮮事変そのものを予期したものは誰もないでありましようが、あの前からこの世界的軍拡の徴候はあつて、世界市場がいわゆる売手市場から買手市場に廻つておつたことは確かである。又昨年の暮から民間貿易なるものが始まりまして、輸入光行ということがやかましく言われたことも確かなんであります。にもかかわりませず、実際の実績のあとを見ますると、実は逆に輸入が昨年より減つておる、昨年度より上期においては減つておる。以後殖えては参つておりますが、依然として輸出のほうが殖えておる、より殖えておるというふうな状況で、輸入にいろいろな力を注ぐけれども、なかなかできないということは実績が示しておるところであります。又今朝ほど総理大臣に対する御質問の中で挙げましたように、来年度のこの外国為替特別会計のいろいろな御計画を見ましても、やはり輸出と輸入とがそう大してない。これに貿易界の收支の関係等も加味いたしますると、非常にこれは依然として輸入が不振であるということは免れないのじやなかろうかということを考えます。それがために今年度に百億、来年度五百億というふうなものを御考慮になるのでありましようが、先ずこの点について、私は第一はどうしても政府の施薬が輸入にもつと力を注いでもらい、輸出銀行のお考え方、このお考え方も無論必要であると思うのです、プラント輸出については私必要だと思うのですが、もうそれよりも本当を言えば、日本の政策は挙げて輸入を確保するというふうに重点を指向されるべきであつて、その点について総理大臣も是非そうやりたいとおつしやつておるのでありますが、安本長官にこの前お聞きいたしましたが、更に本日この輸入を的確に、今私が申上げたように外国為替性別会計に円資金の不足を繰入れないようにするだけの御決心がありますかどうか、これを安本長官に先ずお聞きいたします。
#160
○理事(野田卯一君) 安本長官ちよつとお席を外しておりますが、大蔵大臣はおられます。
#161
○堀木鎌三君 安本長官お出でにならなければ、これは大蔵大臣にお聞きするのが無理かと思います。何となれば、来年も更に五百億を繰入れようとなすつておるのでありまするから、御無理だと思いますが、この点については、それではその問題をお預けにいたしまして、大蔵大臣にお聞きいたしたいのは、先ず前提においてそういう問題がございますが、併しこの百億を一般会計から補給しなくちやならないかどうか、この問題を第二段として大蔵大臣にお聞きしたいと思います。
#162
○国務大臣(池田勇人君) 一般会計から入れるほうが適当であると考えております。貿易資金につきましては、先ほども申上げましたように、昨年度は四百億円を一般会計から繰入れしておるのであります。これを殆んど漫然と日銀から借入金にするということは、私は今の日本の現状から申しまして、適当でないと考えたのであります。
#163
○堀木鎌三君 どうも大蔵大臣、初めの御答弁は非常に御親切なようでしたが、だんだん御本心らしく、簡單に適当であると考えますという言葉で以て御答弁になりますが、私ども聞きたいことは、何故適当だか、要するに私どもはこの点について、何も一般会計から繰入れなくてもいいんじやないかということを考えておるから、お答えを願うので、それに対して適当だと……。
   〔理事野田卯一君退席、委員長着席〕
 私が何故に適当でないということを君えて、こういう御質問をするかを、一、二例を挙げますから、それにあなたは経済的には非常な御知識があるのだから、更に詳しくお考えを申述べて頂きたいと、こう思うのであります。先ず第一に我々が考えますることは、大蔵大臣も言われておりますように、やはり国民負担の軽減を図るということを、一つの大きな題目とお考えになつておる。総理大臣も今朝ほど民生の安定が大切た。この点については減税その他についてお触れになりませんでしたが、確かにその点が必要である。大きな一般会計の負担の重荷を国民全体が背負つておることについては、減税をされようという御精神から言えば、無論それが多いとか、少いとか、いろいろ論議の余地はあると思うのであります。併し少くとむ政府の施策を遂行されるとして、幾分円資金の負担を軽減しようということをお考えになるならば、やはりできるならば一般会計からの繰入れをやめるというふうな考え方に、第一点としておなりになるべきじやなかろうか。それから第二点として考えられますことは、無論これがインフレ要因の一つの大きな原因であるというお考えから、一般会計から繰入れられたということは十分考えられることであります。併し私はその点について非常に何と申しますか、池田大蔵大臣はあつちを言えば経済はだんだん安定して来たと、こう言われるのであります。他方を言えばインフレの要因があるからと、こうおつしやるのであります。無論複雑な日本の経済情勢から、いろいろな要素は考えられることはあります。安定度が高まつて来たとは言え、そうでない部分もあるということもありましようが、そういう私は水かけ論に従つておるのではないのでありますが、併しながら日本の経済の安定度が高まつたことは確かであります。私不思議で堪えないのは、先ほど上げました政府の蓄積資本というものも、安定度が高まれば高まるほど、これは民間の資金に潤沢により多くお廻しにたるのが、これがまあ政策であるべきだ。あなたの言われるように、一昨年より本年が安定度が増して参りまするならば、昨年使つた以上に民間産業にその資本をお使いになつてもいいはずだ。殊に債務償還も同じような目的で考えられておる。債務償還は今年度五百億を見込まれたが、実際においてはそうお使いになる必要がなくなつて来る。忽然としてここに為替特別会計に対する百億というものが出て参つたのであります。私はここまでしてやらなければならないものか、一方から考えますと、日本の輸出、日本人が一生懸命働いて輸出が伸びた。そうしてここに命が溜つた。それは日本の兌換券と違いドルである。正貨準備が殖えたと同じようなものであります。ドルが殖えると円不足を又国民から取上げて行かなければならないやはり統制をされておるから、そういう思想が起るのでありますが、自由な経済の下でありましたら、このドル資金の殖えましたことは、やはり日本の富が殖えておる。それが正常な状態において、産業資金に結び付いて行くというふうな形が当然であるのでありますが、その点について先ず一点と二点をどういう理由で今度お考えになりましたか、その点を伺いたい。
#164
○国務大臣(池田勇人君) 私は外為資金を漫然と日本銀行からの借入によつて賄うということはよくないという理由でそういうことを言つたのであります。お話にもありました通りに、民生の安定は最も必要なことでございますので、私といたしましては、片一方で減税をやり、片一方で資本の蓄積をやりつつインフレを抑えておるのであります。今年は減税が六十三億円、インベントリー・ファイナンスのほうの、一般会計から特別会計に繰入れます百億円で変つておりますが、来年は七百億円の減税をやる。これはまだはつきりいたしませんが、今のところでは五百億円程度の減税をせざるを得ない状態ではないかと思うのであります。減税とそうしてインフレ要因を排除するために資本の蓄積をやつております。あなたは外貨が入つて来たのであるから、それに相当する通貨は殖えていいのじやないか、これは正貨準備を置いてやる昔のやりかたなら適当であるのであります。併し今は外貨によつて通貨を造成しようということはやつていないのであります。管理下の時代であるのであります。従つて不幸にして日本の経済はまだまだ稀薄な時代でございますので、そういつた通貨を殖やすというところに至つておりません。これは将来の問題は別でございますが、只今といたしましては、先ほど申上げたような結論になるのであります。
#165
○堀木鎌三君 そういうお答えが大体あるだろうということは予期しておつたのでありますが、それで実はここに昨日の新聞を持つて来たわけであります。今度外国為替資金特別会計にお変りになる。それに対してこういうことが項目の一つにあるのであります。「右繰入れにあたつて一般会計に資金がない時には、繰入のワク内で日銀から借入れまたは外為警券を発行できる」。又その次に輸出入計画輸出十四億ドル、輸入十二億五千万ドルというふうに一応立てるが、輸出が予定よりオーバーした時には、外貨出資金に見合う円資金を日銀から借りることができるようにする。現在でも円資金のこのドルと円の操作につきましては、現に先ほど上げましたように、日銀の貸付制度によりまして、多額の何と申しまするか、足らない分をドルで以て円と換えて操作できるようになすつた。なお百億の問題が計算されておるという状況でありますが、こういう今新聞を読みましたような方向におやりになるようでありましたならば、この点についても強いて一般会計からお繰入れになる必要はなかろうかということが第一点であります。それからもう一つは、第二点は、この新聞を見ますると、余裕金が四十億出て参ることになつております。年末に余裕金が四十億出て参ることになりますると、ともかくも百億の問題についても、やはりこの余裕金ができておることから考えるべきでなかろうかということが第二点でございます。それから第三点といたしましては、輸出銀行を今度創設されるに当りまして、仮にインフレ要因を御考慮になりまするならば、輸出銀行の場合にも一般会計から半額、見返資金特別会計から半額をお入れになつておるのであります。私はこの外為の場合に、先ず第一には申上げましたように、果してこれを繰入れなければならないかどうか、そうしてインフレを抑制するという政策に御期待になるか。経済が大蔵大臣の言われるように安定度が高まるほどますますインフレを抑圧する方向に向われる政策がとられておる、従来にも増して安定度が殖えると、殖えたに従つてそのインフレ要因抑圧のやりかたが殖えて来ておるという点から疑問を抱きますし、又普通の、大蔵大臣は今輸出銀行だけを挙げましたが、各種の場合に見返資金から半額、一般会計から半額、民間の産業資金も自己資金で半額、見返から半額というふうになすつていられるのでありますが、この点だけなぜ私は一般会計から全部それをとらなかつたか、この点がお問いしたのであります。
#166
○国務大臣(池田勇人君) お話の第一点の新聞記事は私は見ておりませんのでお答えできません。第二点の百億円の繰入れの中には、お話の通りに四十億円ばかり予備費がございます。これはやはり輸出入の状況等によりまして、その程度の予備費を見て置く必要があると考えておるのであります。第三点の輸出銀行等に一般会計から出資をするのはどうかという問題でございます。これは私は先ほど来申上げておりますように、できるだけ早い機会に、できるだけたくさん減税をいたしたいのであります。併しそれは今のような状態におきましては減税もやはり徐々にやつて行く、もう少し日本の経済或いは国際経済の見通しが付くまでは余り荒つぽいことはできないという考えで七百億円の減税をして、そうして他に余つた金は産業資金のほうへ廻して行こう、これがいわゆる安定政策の一環の考え方であるのであります。
#167
○堀木鎌三君 もう一度その点についてお答え願いたいのですが、大蔵大臣が一方において減税を図りつつ、一方において資本蓄積を図りたい、その資本蓄積が先ほども指摘いたしましたように資金蓄積になり勝ちであるという点なんであります。御苦労なさつておるところはよくわかるのであります。併し減税のほうは徐々におやりと思いますが、資本蓄積のほうは、毎年々々蓄積のほうは殖えて参つております。資本蓄積のほうは急激になさる、そうして減税はお延べなさるといつたほうがあなたの財政の実態に即した数字的な見当から見ると、そう断ぜざるを得ないのではないか、こう考えるのでございます。甚だ失礼な批評でございますがお答え願いましよう。
#168
○国務大臣(池田勇人君) 資本蓄積も急激にやる考えはございません 来年度におきましては、先ほど申上げましたように、来年度入つて来る金は来年度に使う。今年入つて来た分も来年度に一緒にして使うということは今の状態ではよくないと、こう考えておるのでありますが、昨年から相当の資本蓄積をいたしました。来年度としては大体収支ゼロという考えで行きたいと考えておるのであります。
#169
○堀木鎌三君 この点につきましては、数字的に私の申しましたことが正しいか、私が言い過ぎでありといたしましても、並行線としてはどちらが正しいかということは数字が示してくれると思うのであります。これ以上議論をいたすの如何かと思いますから、時間の関係上この程度でやめて置きたいと思います。第二に、この補正予算を通じまして問題になりましたことは、これはもう今朝ほど総理大臣にも申上げましたように、給與の問題とそして平衡交付金の問題であるということは、先ほど池田蔵相もお認めになつておるのであります。私はこの点については、もう非常に論議し盡されました観がございますので、趣く簡單に一、二の観点から大蔵大臣に質したいと思うのであります。池田大蔵大臣は公務員の給與待遇については常に関心を持つており、心配しておるところなんです。総理大臣も従事員諸君の給與待遇については常に心を砕いておつて、少しでもよくなることを希望しておるのだ、こういうふうなお話がありますのですが、共に無論事実上必要なことではありまするが、財政との見合せで以てものをきめて行きたい、こういうふうに直ちにそこに制限が入つて参るのであります。事実問題といたしまして、財政上の制約ということを抜きにした議論は私はできない、こういうふうに考えますが、その点について実は何と申しましようか、どうも私どもの見るところでは財政上の都合でものを考えて行く。残つたならば考えようというお考えのほうが実態に近いのではなかろうかという考え方にならざるを得ないのであります。今度の国家公務員の給與の引上げというものは、実はもう申上げるまでもなく、二十三年の七月の物価というものを基準にしてとられたのであります。無論暮の国会に諮りまして、そうして実施の運びに至つたことは事実でありますが、ともかくも二十三年の七月の物価、生計費等を基準にしておきめになつたことは確かである。これは池田大蔵大臣が数字をつかまえて非常に実質賃金が上つたじやないか、いつからいつまでは実質賃金が上つておる、生計費も実効価格から言えば生活も楽になつたはずであると言われる点について、その数字自身をとれば、これは確かだと思うのでありますが、こつちの数字をとれば、あつちの数字をおとりになるのでありますが、ともかくもやはりこの問題を正しく批判して参りますのには、二十三年七月の物価、生活費、一般民間賃金等を考慮しなければならないことは御承知の通りだと思うのでありますが、それでないと数字のとり方によりまして、どうとも議論が出て参るのであります。その関係から見ますると、今回の人事院の勧告は私は少いと言つても決して多くございません。と申しますのは、一般の民間の工業平均がすでに九千円台になつておると、こう考えれば、決して全体から見れば多くなくて、少いほうであるということが考えられるのであります。これに対しまして昨日のお話によりますと、給與財源として約九十億円でございましたか、新たに財源を必要とするのである、到底人事院の勧告に従つた給與というものが賄い切れぬのだというお話であつたのでありますが、これも先ほどのと比較いたしてみますと、外国為替特別会計については御考慮の余地がないでもない。併し資本の蓄積とインフレということに、まあ何と申しますか、場合によれば事寄せる、いや事実インフレ要因の一つと私も認めますが、そういう方面に百億の金が忽然として出て参るのであります。人事院の勧告にお従いになることはです。やはり大蔵大臣として新らしい行政運用上、かたがた労働者の権利を確立しよう、国家公務員についてその責任の重大性を考えると同時に、その生活を擁護しようということになりますと、九十六億の金が一般財政資金との調整の関係からできなくなつて参るということは、やはり先ほど言われました資本の蓄積と民政の安定という見地から見ますると、どうもバランスが成り立たない。やはりこの点について私どもは遺憾の意を表さなければならないと考えるのでありますが、ただ今朝ほどの総理大臣のお話によりまするというと、今後も財政の許す限り、すぐにできるだけ早い機会において常に改善を図るということは言われておるのでありますが、むしろ余り大蔵大臣が総理大臣にいろいろお教えにならないで、総理大臣が端的に答えるほうがいいのでありますが、どうもこの頃総理大臣も財政との調整ということをよくお使いになるようになつて参りましたが、大蔵大臣どうか私はここで取立てていろいろなことを、過去のことを申上げるつもりはございませんが、この点についてお考えのほどを端的にお述べになつて、国家公務員の給與、待遇の改善が成るほど民間に比して低いのである。一日も早く人事院の勧告の線に沿つて行きたいものであるというお考えにおなりになりませんか。この点を一つお聞きいたしたいと思います。
#170
○国務大臣(池田勇人君) 公務員の給與の問題につきましては、たびたび申上げた通りでございます。私はいろいろな事情を考えまして、少しではありまするが、この程度の引上より只今のところ止むを得ないと考えております。できますれば、人事院の勧告以上の給與にしたいという気持は人後に落ちないのであります。
#171
○堀木鎌三君 どうも又大蔵大臣らし御性格が出た答弁になつて参つたようでありますが、(笑声)まあともかくも国家公務員は無論人事院の勧告を不足として九千七百円が当然要求されるべきものであるということを考えておるようであります。で、併し事実その気持でなくて、こういう問題は現実的な問題である。結局今日今の生計がどうなるか、実際問題として大蔵大臣がお挙げになるような数字のところを取らなくても、その前から民間賃金は御承知の通りずつと上つて参つております。で国家公務員だけは二年間釘付けになつて来ておるのであります。物価指数は先ほどのように取れば、消費者物価指数が一三二になつております。で、今度の勧告が二七・七程度のものであります。こういうような点から見ますると、どうしても私は気持だけでなしに、計数に明るい大蔵大臣として、実際問題に対して数字をすぐ解答がおできになる大蔵大臣としてです。この点についてはもう少し御親切な、而も実際的な見通しになつたものを御答弁を願いたい。こう思うのでありますので、重ねて御質問申上げる次第であります。
#172
○国務大臣(池田勇人君) 各般の事情を勘案いたしまして、先ほど答えた通りに只今のところ十分ではございませんが、この程度で我慢して頂くより外ないと、こういう考えを持つておるのであります。
#173
○堀木鎌三君 少しくどいようでありますが、と同時に私のくどさは、大蔵大臣の御答弁の仕方がそうさせておるのだということになりますと、私の責任ではないかとも考えるのでありますが、(岩間正男君「その通り、それに間違なし」と述ぶ)ともかくここで今回は止むを得なかつたというお話になりますが、一体今後の資本蓄積のお見通しとこういう国家公務員その他の待遇給與の問題等について、資本蓄積のほうについては大体御見通しができておるわけでありますが、こちらのほうについては如何お考えになりますか、その点を来年度の計画等についても丁度資本蓄積についてお話のありましたようにお話が願えませんでしようか。
#174
○国務大臣(池田勇人君) 公務員の給與問題を考えます場合におきましても、私といたしましては中小企業或いは農家の状況も考えなければならないのであります。従いまして来年度におきましても、給與ベースと申しますか、公務員の給與は大体八千円程度に相成る、それを持続して行こう、これで予算を組んでおります。そこで年末におきましては半ヵ月分を出す予定で予算を組むつもりでおります。
#175
○堀木鎌三君 もう一点の観点は総理大臣にお聞きいたしました。それはいわゆる行政運用の面から、或いは政治の面から見まして、この問題をどう考えるかという点を今朝ほど総理大臣にお聞きいたしましたのでありますが、総理大臣もこの問題については特に考えるというお考えでありますから、大蔵大臣といたしましても同一のお考え方であろうと、こう考えますので、もう時間が少なくなつて参りましたから、この問題は一応お預けにいたしまして、次の問題に入りたい思うのですが、この国家公務員の給與の千円アップにおいて特に問題になりますことは、特別号俸の調整の問題であります。適用の問題であります。私はこの点はすでに場合によりますと、私ときどき国務の用務でこの席を外しておりましたので、或いは他の委員のかたに肯定的なお話をなすつたということも聞いておりますから、詳しく申上げませんが、今回の千円アップの例の給與体系の改善案は、人事院の案が従来の二級の一号に対しまして、七倍から七倍半までに引上げましたのに対して九倍まで上つておるかと思うのであります。無論上のほうの給與というものが他の民間における同等の責任と地位にある人の給與と比べて低いというので、上のほうに厚くされたという点はその一つの理由だと承わつておるのであります。この点も一応肯けるのであります。併し今度千円アップをされましたときに、先ほど申上げました特別号俸の人が切下げられておる。切下げられるということは正確な表現でないかも知れませんが、従来の他の職の人と比較して上つておる分が程度の差が少くなつて参つたという点があるのであります。私はこの問題を解決してから上の人に厚くされるというほうが本当の給與のきざみ方である。無論今おつしやつたように、あなたも御同情なすつたように国家公務員の給與待遇は必ずしも厚くない、薄い。否、事実は非常に薄いという点をお認めになる。今度の給與待遇を以てしてもそうだとお認めになるならば、この特別号俸の人を先ず満足させる、その上に上の人のいわゆる格差を成るべく民間のように、或いは責任と地位のようにしてやつて行くというふうになさるほうが順序段階が正しいのじやなかろうか。この点は特に大蔵大臣にお考えを願つて、人事院のほうの勧告を尊重されるというのでありますから、尊重なすつて是非御解決を願いたい。どうも人事院の勧告を尊重すると言いながら、私もこれはあなたにはひどい目に会つているので(笑声)、仲裁裁定を尊重すると称しながら、実は余り御尊重にならなかつた。今度も人事院の勧告を尊重するとおつしやつて……無論私は決してあなたを不誠意だとか何とか言うのではありません。あなたとしてのお立場から財政上できるだけ御協定なすつたことだろうということは考えますが、この一点だけは特に御考慮の余地はございませんか。特段の御配慮を願いたいと思うのでありますが、御所見は如何でありますか。
#176
○国務大臣(池田勇人君) 給與規定を改正いたします場合におきまして、官吏の上のほうを先に考えて特別号俸をあとにしたというわけのものではないのであります。これは一体として考えたのでございます。御承知の通り特別号俸はあの給與規定を制定いたします当時の実情から申しまして、一般のものよりも時間的に長く働くとか、仕事の性質によつて特別号俸を設ける必要がある、こういう問題から特別の待遇を與えておつたのであります。然るところ最近に至りつましては勤務時間なんかは一般と余り変らなくなりましたので、そういう点を考慮いたしまして、特別号俸を少し調整しようといたしたのであります。これは上の官吏を上げること、そのこととは一体をなして考えておるのであります。そうしてこれは今まで特別の扱いを持つておられた人は非常に損をするようになりまするが、その限度においては一般職員がよくなつたということが言えるのであります。私は公平の観念から只今御審議を願つておりますような規定がいいと思うのであります。併し実際問題といたしますると、今までの既得権と申しまするか、特別の待遇を與えられた人が一挙になくなつてしまうということはお気の毒の点もありますので、当初例えば三号上つているところはこれを二号にするとか、四号上つている人は二号にするとか、徐々にやつて行くような方法をとつたのでありますが、或る特殊のかたにつきましては全部なくなる場合がありますので、私は予算の状況を見まして、できるだけの特別号俸に対する考慮をいたしたいと考えております。
#177
○堀木鎌三君 非常に時間に制約されて参りましたので、この問題も詳しく申上げる時間がございません。併し、と同時に私がここでいろいろと内容について詳しく申上げまするよりは、人事院の方から詳しく申上げておる筈でありますし、又今大蔵大臣が実施の上において調整の余地ありというふうにお考えになつておるようでありまするから、私どももよくわかるのでありますが、予算は年算としても、実施に当つて相当調整されることが出て参るということはわかるのでありますが、できまするならば、そう言つては悪いのでありますが、ただ大蔵省のお筆先で御考慮にならないで、人事院と十分な連絡をとつて、この方面に対する財源もできるだけ御捻出になつて、そうして御解決になるような御努力を是非して頂きたい。重ねてお願いいたして置きます。
 時間がございませんので、もう一点どうしても触れなければならん問題があるのであります。それは、これもたびたび触れられた問題でありますから、要点だけ特に申上げたい。平衡交付金の実施の問題であります。平衡交付金につきまして、どうも私は大蔵省の事務的な査定というものと人事院の事務的な主張というものについて、私は必ずしも一方が全部正しいとは考えません。大蔵省の言い分にも相当理由のあるものがあるということは考えます。又大蔵大臣が大きな見地から地方の財政收入についての散漫なやり方、その他冗費の問題について指摘されることもわかるのであります。併しながら地方自治の実体を今後育成強化いたして参ります上において、今の地方財政の全体の枠がシヤウプ勧告よりもともかくも下廻つておるのであります。そういう点から見まして、今回やはり国家公務員の給與の待遇、或いは法令の改廃等に伴うところの地方の負担分、公役事業費、災害復旧費に伴うところの予算の増額等について三十五億と地方債五十億だけ殖やしたという点については、どうも私は足りないと思うのです。その点について大蔵大臣は地方債の増額については更にお考えになつておるようであります。併しやはり依然としてその額は少いのでありますが、御答弁の内容を見ますると、地方債の三百五十億に対して三百七十億、或いは四百二十億程度までいろいろな操作と相待ちまして、実質的に満足させられるのではないかという点も考えられるのでありますが、そのうちで私特にこの際にここでメンシヨンを申上げたいと思うのは、この年末手当、国家公務員と同じように半ヵ月分支給する財源でありますところの、四十五億だと記憶いたします。この四十五億を零になさつたのは、昨年出しておるのだから、新らしく増加経費として要求すべきものでないというお理窟もありますが、国家公務員についても昨年の年末は制度化されていない、そうして今年地方財政委員会からお出しになつた経緯から見ましても、この点はお考えになる必要がある経費でなかろうか、こういうふうに私は考えるのであります。そのほか二十四年度の補正予算、前年度の補正予算に編まるべきであつた義務教育費の国庫負担につきまして、法律論はいろいろあると思いますが、ともかくも七億三千万円は当然考慮なさるべき経費ではなかろうか、こういうふうに考えます。それと同時に地方の公務員につきまして号俸の調整がまだできていないので、その金額といたしまして四億九千万円の金は考えられなければならないのではなかろうか、こういうふうに考えるのであります。無論大蔵大臣の言われるように地方の財政について歳入見積りがなかなか現在においてできない状況だ、御査定上御苦心の存するところは十分分るのでありますが、これらの点につきまして、若しもそういう点はそういう方面で是正さるべきだ。かたがた若しも予算が財源ができまするならば、やはり大蔵大臣は御承知の通りに地方税は相当増徴されて国民が負担に苦んでおるのでありますから、その方面に財源を振り向けてやる、そういう歳入の増加経費の面からこの点について考えるということが一つのお考えの正しい方途ではなかろうか。財政の規模が非常に大きくなつておるならば別でありますが、ともかくもシヤウプ勧告より下廻つておる以上そういうふうなお考え方に向いて行かるベきでなかろうか……
#178
○委員長(波多野鼎君) 堀木さんに申上げますが、もう時間がございませんから、簡單にお願いいたします。
#179
○堀木鎌三君 この点について特段の是非御配慮が願いたい、こう考えるのでありますが、御所見は如何でありますか。
#180
○国務大臣(池田勇人君) この問題もたびたび申上げたので盡きると思いますが、特に一点私は申上げておきたいと思います。十二月に入りましてから租税收入は大体昨日までで二百九十億円でございます。そのうち十二月三日には百七十一億円一日に入つて参りました。これは何から出て来たかと申しますと、九月、十月の会社の決算期が非常によかつた、これを各会社は自分で申告納税いたしておるのであります。百七十一億円の十二月二日の租税收入は或いは昨日までの二百八十数億のうち法人関係の税が非常に多いことになつておるのであります。然るに地方税におきましては決定してから納めることになります関係上、非常に收入が遅れることになる。私は地方財政に非常に関心を持つておられる皆様がたがこの問題に十分御検討願いたいと思う。私は所管大臣でございますから大蔵省で出すというわけにいきません。こりを若し国税のように申告納税にしたならば、相当の金額は入つてくると私は想像し得るのであります。地方の財源につきましては、極力私も努力いたしておりまするが、地方自治体におきましても相当御努力願える余地があるのじやないかということを考えておるわけであります。次に、本年度の問題で、逆になりまするが地方関係職員のうち教員関係の号俸調整によります四億八千万円、この問題につきましては只今検討は加えておりまするが、にわかに賛成はできないと思います。又七億二千七百万円昨年度の分につきましては、先ほどの機会に申し上げましたように、政府としては考慮して行きたいという考えを持つております。その他何かございましたでしようか。
#181
○堀木鎌三君 年末手当の四十五億……。
#182
○国務大臣(池田勇人君) これは昨年も出しておられまするので、特に今年国から負担して出さなければならんことはないと考えております。
#183
○堀木鎌三君 私は質問はいたしませんが、安本長官がさつきお見えになつたと思いますが、来年外国為替特別会計が收支とんとんに少くとも持つて行くだけの、輸出入をとんとんに持つて行くだけの実績をお挙げになるお見通しがあるかどうかという点だけをお答え願いたい。
#184
○国務大臣(周東英雄君) 先ほどちよつと外に参つておりまして十分質問を聞いておりませんでしたから、今聞きましてお答えをいたしますが、聞違つておれば重ねてお尋ねを願います。来年度の輸出入のバランスを合せて、できるだけ輸入を種やして、輸出との間にバランスをとつて、とんとんにするように努力せよというお尋ねでございます。もとより私どももそのつもりで来年の輸出入計画を立てておるわけであります。これも今のところ検討中でありまして、確実にこれというわけではありませんが、一応まあ来年の輸出入関係が、輸出につきましては正常な輸出と申しますか、それは約十一億ドル前後になるのではないか。これには特需なり貿易外受取勘定合せてかれこれ十三、四億になろう。これに対して輸入につきましては大体十四億ドル近くということでありますので、一応のバランスは立てております。併しそのことは、若し輸入が思うように行かなければ受取り勘定が余計になつて、円資金関係についても予め考慮しなければなりませんし、逆に輸出が少くて輸入ばかり多くなりますと、支拂勘定が多くりなりますので、この点については只今いろいろな情勢を判断して検討中でございますが、大体辻褄を合せて行くように努力いたしております。
#185
○原虎一君 大蔵大臣並びに法務府の関係当局にお伺いいたしますが、緊急質問の事柄は至極小さいのであります。併しながら予算審議の上を考えますと、このまま不問に付すべきものではない。やはり我々はみずから作つた法律に基いてやはり行動しなければならない。昨日の佐多委員の質問の最後に、大蔵大臣に対しまして佐多委員から地方財政委員会設置法第十九條第二項に基いて、本年度の補正予算の歳入歳出の明細書を附して出さなければならぬのではないか、この質問に対しまして大蔵大臣は財政委員会の意見書でございますから、予算に附記して出す必要はないと考えております、という答弁であります。佐多君の質問は、法に基く政府の責任を法に基いて質したのでありますから、法に基いて御答弁あるべきでありますが、大蔵大臣は大臣の心臓で押切れるように思われて答弁されておるのであります。そこで私は先ず法の解釈よりか、大蔵大臣が、地方財政委員会の意見書でありますから、というこの意見書は我々の手に渡つているのかいないのか、どういう意見書が大蔵当局に財政委員会から出て来たのであるか、この点を先ずお伺いしたいと思います。
#186
○国務大臣(池田勇人君) 昨日お答え申上げましたのは、私は地方財政委員会から出ました書類は、地方財政委員会法第十三條の規定によつて来た書類と考えておるのであります。佐多君の御質問は平衡交付金法第六條第二項の規定によるものではないか、こういう御質問のようであります。平衡交付金法第六條第二項の規定によりますと、この勧告は予算に附記して出すことに相成つておるのであります。併し私のところに参りました書類は先ほど申上げますように、地方財政委員会法第十三條の規定によつて来たものと考えておりますので、予算に附記して出す必要はない、こういうふうに考えております。
#187
○原虎一君 大蔵大臣非常に誤解されておるようであります。佐多委員は明らかに地方財政委員会設置法第十五條第二項に基いてとこういうことを前提とし、その第二項を読上げておるのであります。即ち「内閣は、委員会の経費の見積を減額した場合においては、委員会の要求に係る経費の見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記して、これを国会に提出しなければならない。」とちやんとこの通りに読上げて大蔵大臣に質問しておるのでありますから、十三條であるとか、或いは地方財政法の何條かでもないのであります。明らかに第十五條の第二項に基いてと、こう質問しておるのでありますから、ほかのことを考えて御答弁されたとしますれば、これは大蔵大臣の答弁が間違つておる。この点をもう一遍明らかにしておきたいと思います。
#188
○国務大臣(大橋武夫君) 便宜私から原君にお答えを申上げます。地方財政委員会設置法の第十五條第二項は「内閣は、委員会の経費の見積を減額した場合においては、委員会の要求に係る経費の見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記して、これを国会に提出しなければならない。」こういう規定になつております。明らかにその通りでございます。それではそういう予算に附記すべきこの経費の見積の減額ということはどういうことであるかと申しますと、これは第十五條第一項の規定を受けたものでありまして、この第十五條によりますというと、「委員会は、毎会計年度の開始前に、」いいですか。この点です。「毎会計年度の開始前に、次の会計年度においてその必要とする経費の見積に関する書類を作成し、これを国の予算に計上されるように内閣総理大臣に提出しなければならない。」こういうことになつでおります。従いまして、この設置法の第十五條第二項は、これは当初予算編成に際しての規定でございまして、今回問題となつておりまするがごとき補正予算編成の際の規定ではない。つまりこれは年度開始前においてのみ適用がある規定であります。この点が第一のお答えであります。
 それからもう一つ、この地方財政委員会設置法第十五條第二項の解釈として御注意願つておきたい点は、この第十五條第二項には、委員会の経費の見積を減額した場合、そうしてその委員会の経費と申しますのは、委員会がその必要とする経費の見積、こういうことが同條第一項にございまして、この点の経費の見積の解釈といたしましては、委員会のいわゆる事務費に属しまする経費を指すと、こういうことに相成つておりまして、そこで平衡交付金のごとく委員会独自の事務費でなく、他の経費はこの規定によつて附記すべきものではない。こう解釈をいたしております。そこでそれでは平衡交付金関係について予算の附記は全然要らないのであるか。こうなりますと、この規定は、平衡交付金法第六條でございます。それは先ほど大蔵大臣から説明されました規定でございますが、この規定は第二項に、「翌年度における交付金の総額を算定し、」そうしてこれを政府に勧告しなければならない。これが交付金法の第六條でございまして、以下第六條の規定は、この翌年度における交付金の総額として、地方財政委員会から出て来ました勧告及び意見の内容となつております。この数字を予算編成に当つて変更いたしたる場合の規定でございます。従いましてこの規定も又当初予算編成の際の規定でございまして、今回の補正予算の編成に際しましては、適用がないものである。これらが関係規定に対する政府の解釈でございます。
#189
○原虎一君 今法務総裁の解釈は、我我の解釈と同一であります。従つて大蔵大臣の昨日の御答弁は、法を見ずして勝手に御答弁なさつておる。そこで法務府にお伺いしたいのは、成るほど法の表面解釈から行きますれば、今法務総裁の御答弁の通りで解釈が正しいと信ずるものでありますが、併しいやしくも補正予算を組みました場合において、地方財政委員会がみずから必要とする経費の見積額を要求して来た場合においては、政府みずからが法に基いてしなくてもいいと解釈いたしましても、予算委員会が必要といたしまして要求すれば、当然出さなければならん。なお審議のために親切に資料を提供するという熱意があれば、当然この立法の精神に基いてなさるべきである。私は、これが委員会の運営を円滑ならしめると思うのであります。先程の質問に帰つて来ますが、大蔵大臣は今法務総裁が答弁された解釈に基いて御答弁なさつておるならば、納得できるのでありますが、即ち佐多委員の質問に対しては、地方財政委員会の意見書でございますから、意見書だから予算に附記して出す必要がないといういい加減の答弁をしておる。これは正しく法を解釈した答弁と法務総裁は考えられるか。政治的の問題は法務総裁にお問いしませんが、少くとも委員会を円滑に、而も円満に進行しようという熱意がありますれば、こういう答弁で蹴飛ばすということはあり得ないと思います。そういう点が重要でありますし、この法律は今年五月三十日に実施されまして、初めてこの法律に基くところの質問を同僚佐多委員からされたのであります。法に基く質問は法に基いて答弁をされて、明確に法に基いて我々は動かなければならない。この意味から緊急質問をいたした次第であります。
#190
○国務大臣(池田勇人君) 地方財政平衡交付金問題につきまして八十三億が問題になつておりましたので、私は御質問があの八十三億円を要求されるものと考えまして答弁いたしたのであります。
#191
○原虎一君 よろしい。
#192
○委員長(波多野鼎君) 最後に委員長から一つ大蔵大臣に質問をいたします。今度のこの補正予算におきまして、いろいろの問題がありますが、そうしてその問題につきましてはこの委員会で各方面から討議されたのでありますが、その中で特に、又是非とも政府の善処を要望しなければならん問題が二つあると思います。この点につきまして簡單に御質問申上げますから、政府の善意に満ちた答弁を求めたいと思うのであります。
 第一の問題は、俸給の号俸調整に関する問題なんであります。御承知のように癩病だとか結核等の病院その他特殊の職務に従事しております職員の給與は、従来からその職務の性質に鑑みて、即ち人の嫌やがる仕事であるという点に鑑みまして、他の一般公務員の給與よりも若干高くしておつたのでありますが、今回の給與改訂におきまして、号俸調整という名の下に一般公務員と大差のない給與に引下げることになるのであります。これは何人も嫌がる、或いは特に心労を要するこれらの職務に従事する公務員に対しまして、重大な影響を與えるものと信ずるのであります。然事に他方においてこの号俸調整によつて節約される金額はと言えば、これは僅かに五億八千万円に過ぎない誠に九牛の一毛であります。而も失うところは図るべからざるものがあると信ずるのであります。本委員会におきましてこの点に関して数次の質疑応答が行われましたが、未だ明確にならない点がありますので。質問するのでありますが、即ち政府はかような特殊職務に従事する職員の給與につきまして、その特殊職務にふさわしい給與を確保するために、何らかの措置を講ずる必要があると思うが、政府の所見はどうでありましようか。
#193
○国務大臣(池田勇人君) 先ほども一部触れておりましたが、号俸調整によりまして、或る程度給與につきまして不利益の点のあるそのことにつきましては予算の施行上できるだけ努力をして、その減少を幾分なりとも少くいたしたいと政府は考えております。
#194
○委員長(波多野鼎君) 第二の点でありますが、これは義務教育費の過年度分の国庫負担の問題なんでありますが、政府は去る十月三日の閣議決定として作成しました二十五年度の補正案におきましては、重要事項の一つとしてこれを取上げて、義務教育費国庫負担金の不足分として七億二千七百万円を計上しておつたのであります。ところが今度正式に出された補正予算案におきましては、これが削除されておるのであります。本件につきましても各委員からしばしば質疑がなされておりますが、大蔵大臣の説明を聞きますと、これは政府として法規的に出さなきやならん義務のあるものではないけれども、地方としてすでに支拂済となつておる経費であるから、非常にお気の毒に思つておるので、できれば何とかして出したいと折角研究中であるという御答弁があつたのであります。地方財政の現況は御承知の通りの非常な窮迫状態に追い込まれております際でありますから、政府が言われる目下研究中というその問題解決の方針、研究されつある問題解決の方針、或いはその方向、これをお示しを願いたい。これさえお示し願えれば、地方財政当局のみならず教職員も一大安心を受けることであろうと思います。而もこれは政府から言えばささやかな、併し受ける方から言えば大きなクリスマス・プレゼントであろうと思う。この意味におきまして、大蔵大臣の善意に満ちた答弁を得たいと思います。
#195
○国務大臣(池田勇人君) お話の点尤もでございまして、私も初めから出したいというので進んでおつたのであります。委員長その他者様がたの御意見がございますので、私といたしましては、今年度政府の歳入予算に計上いたしておりまする地方からの債権回收十八億円と睨み合わして考えたいと思います。
#196
○羽生三七君 只今波多野委員長からの質問に対して大蔵大臣が御答弁せられたが、この五億八千万円の号俸調整費用、並びに七億二千万円の義務教育費国庫負担の過年度分の費目につきましては、これは今委員長がお話がありましたように、全体の予算の中から見れば九牛の一毛で、而もこれを若し大蔵大臣の今言明なさつたような形で処置して頂きますならば、この関係者の得られる利益は極めて大きいと考えております。而もこの関係者の諸君の気持の切々たるものを考え、又当委員会の各同僚議員の今日までの質疑の中に現れたるこの気持を御理解願えますならば、どうか今の大蔵大臣の御答弁が善処するということでなしに、本委員会の恐らく全議員のこれは要望であろうと存じますので、速記の上に残すように堅く公約あらんことを切に私は希望して全会にお諮りする次第であります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#197
○委員長(波多野鼎君) それではこれを以て暫く休憩いたします。
   午後三時五十六分休憩
   ―――――・―――――
   午後五時四十二分開会
#198
○委員長(波多野鼎君) 休憩前に引続いて予算委員会を開きます。
#199
○石坂豊一君 私は付託の各案に対して質疑を打切り、直ちに討論に入れられんことの動議を提出いたします。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#200
○藤野繁雄君 只今の動議に賛成いたします。
#201
○委員長(波多野鼎君) 只今の石坂君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#202
○委員長(波多野鼎君) 御異議ないものと認めまして、これを以て質疑を終了し、直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#203
○委員長(波多野鼎君) 御異議ないと認め、直ちに討論に入ります。討論の通告者、羽生君。
#204
○羽生三七君 只今議題となりました昭和二十五年度補正予算案につきまして、我々社会党は以下申述る理由によつて反対するものであります。
 先ず第一番に、この予算の性格についてでありますが、本予算は前年度並びに今年度通常予算に現われたと同様な超均衡予算の性格が依然として堅持されております。言うまでもなく我々はインフレ対策の必要を否定するものではなく、その必要性は政府よりもむしろ我々自身のほうが強くこれを認めるところでありますけれども、併し通貨の抑制に過度の地位を與えておる、この政策については多くの検討を要するものがあります。通貨が不必要に暴騰すればインフレを促進するのは当然でありますので、日本の経済規模との関連において通貨をどの程度に測定するかということは、これは非常にむずかしい問題でございますが、併し過度の通貨の抑制が日本の産業経済を萎靡沈滯せしめ、更に延いては勤労大衆の購売力を抑圧することになることは、これは私が申上るまでもなく当然のことでございます。その予算の方針が、この補正予算におきましても依然として堅持され、それは言うまでもなく御承知の一般会計からするところの外国為替特別会計の繰入れ百億を見ましても、このインヴエントリー・ファイナンスの考え方がそれをよく現わしていると考えております。私どもは今日政府自身が心配しておられるようなこのインフレ抑圧の対策を行う場合に、他の角度からもこれを考えることができると考えております。即ちこれは他の議員諸氏によつてしばしば指摘されましたごとく、インフレの要因かどこにあるかということは我々が十分考えなければならないところでありまして、このインフレの要因は特に昨日の木村委員の指摘のなかに明瞭にそれは現われております。私どもはむしろ適当な産業活動を刺激するような施策を行ないまして、その結果生産力を増大し、且つ雇用量を増大することによつて国民生活の安定をせなければならないと考えております。そういう意味の必要な施策に非常に欠けておる。これが第一番に本予算の非常な私は欠点であると考えております。特に朝鮮動乱を契機とするこの特需輸出並びに一般輸出、これらのものが、これもこの質疑の経過においてしばしば明らかにされたるごとく、日本の輸入は、この輸出に対して裏付としての輸入が十分伴つておりませんのであります。日本のような経済規模の極めて脆弱な国においては、一種のこれはハンガー・エキスポートの性格を持つていることはこれは私が指摘するまでもなく明瞭なことであります。そういう際におきまして必要なることは、そういう單純なる通貨の抑制だけでなしに、産業規模全体を拡大せしめるための必要なる処置をとらなければならない。然るに政府はそれならば自分たちはそのために産業経済機構を発展させるために資本の蓄積をやつている。こういう御説明をなさるかも知れません。ところがその資本蓄積というものが、これも閣僚議員によつてしばしば指摘されました通り、実質上には一方において大資本の専制を増大している。一方においては大衆の限りない窮乏を激化されている。或いは税制改革におきましても周知のことく、法人に対する過度の税率の引下げによりましてそのしわ寄せが一般勤労大衆場に行なわれているということは申上げるまでもなく明瞭でございます。これがこの予算の性格であります。或いは政府は税金の軽減によつてこれをカバーしている。国民生活の確保ということでカヴアーしている。或いは消費者の生計費指数をとるならば、これは昨年よりも低くなつているからこれによつて実質上その生活の裏付が行なわれている、こういうふうに御説明になるかも知れない。併し問題は消費者生計費指数をとる場合でありましても、若し政府の方々が銀座をお歩きになればわかります。恐らく大多数の勤労者は銀座の街を歩いてもそれを横目で睨んで通るだけでありまして、実際必要なものは、食料品を見ても、食料品は上つて行く、或いは地代が上がる、家賃が上ります、或いは地方税も上つて来る、或いは衣料が上がつております。つまり消費者の手の届かない物資は成る部面においては下つているでしよう。併し日常生活に欠くべからざるものは非常に上がつている。こういう場合に、我々が今度の補正予算を見ましたときに、政府はこれによつて実質上の勤労者の生活を守るために千円のベース・アップをしたと言われる、ところか実質上千円のベース・アップはこれらの事情によつて相殺されている。相殺されておるのみならず、この千円ベース・アップの場合に、先ほど委曲長から大蔵大臣に要望いたしましたような問題、例えば号俸の調整の問題、或いは地域給の関係問題、そういうような問題を見まして、やはり実質上必ずしも我々の言うところの六千三百七円ベースに対して八千五十八円ベースになつていない。
 こういう問題を見ましたときに、私は千円の増額によつて今日の勤労者大衆の生活がカバーできるとは考えられないのであります。而もこれは国家公務員に対してのみではない。地方公務員を見まするならば、地方公務員はしばしばやはりこれもこの委員会によつて明らかにされましたように、地方財政委員会の要望にも表されております通り、今日の地方自治体のこの困窮によりまして、或いは年末給與、或いはベース・アップを十分にできない。非常に財源のある自治体はこれを実行できるかも知れません。財源のないところは全然実行できない。従つて著しい地域的にアンバランスが起つております。政府が折角地方自治の第一歩を踏み出そうとしましても、この地域的に起るアンバランスによつて私は地方自治体を将来発展させるのに著しい障害を起すと思つている。或いはもう一度戻つて国家公務員法を見ましても、ベース・アップのほかに更に年末賞與、年末手当を一ケ月分期待しておりましたが、逐にこれは半額しか支給されない。こういう状態に置かれている。ところが一面におきましては、先ほど私が申しましたよりに、一方においては資本の蓄積と言いながら、それか国民的資本の蓄積ではなしに大資本の裏付が増大されている。而もその蓄積すらが名目上の蓄積でありまして、何ら実質上の日本の生産力の発展を期するような形で資本の蓄積は行われておらない。一部大銀行等の今日の資産状態或いはその利益状況を見まするならば、如何に不当に近いくらい過多な利益を上げているかということは、私が指摘するまでもなて明瞭なることであります。こういう状況のときに、政府は財源がないと言われる。財源がないことはない。私は確実に財源があると思つております。公務員のベース改訂に僅かに二十億か三十億のことに財源がないと言われる政府が、突如として僅か一日の間に前の予算編成方針を引つくり返しまして、百億のインヴエントリー・ファイナンスをやる。財源ができないという理由はない。一夜にして百億が生まれて来る。もとより私たちは或いは日本の資金操作上、或いは通貨の対策上いろいろな苦心があるということはよくわかります。併し私が先ほど申しましたことをもう一度繰返しますならば、單に通貨対策のみではなく、実質上日本の生産力を増強して、物資の供給力を高め、雇用力を増大し、国民の生活水準を高めるという形で、日本のインフレを抑圧し、同時に経済生活の安定を期することは不可能ではない。そういう建前から私どもはこの予算を見なければならないと思つております。併し私どもは單に野党の立場でこの予算がいけないと言つて反対するだけでは、これは議員としての職責を果すことができませんので、私どもとしては次のような修正意見を持つておるものであります。
 即ち地方財政平衡交付金におきましては、政府原案の三十五億に対しまして、四十五億の増額、これは地方公務員のベース・アップ八千五十八円に要する費用並びに本年度年末手当一ヵ月分に要する費用であります。これは年末手当か六千三百七円べースとして計算してあります。次に義務教育費国庫負担分の過年度分で、これを七億二千七百万円計上いたします。失業関係費といたしましては、政府は二十七億二千六百万円を計上いたしておりますが、我々は三十二億二千六百万円の計上をいたしておるわけであります。更に失業対策応急事業費といたしましては、政府原案の十五億に対して、我々は二十億の増額を考えております。更に郵政特別会計への繰入につきましては十二億八千二百万円の政府原案に対しまして十六億の歳出を予定いたしております。更に救農費、廣川農相のよく言われた興農費でも構いませんが、この救農費といたしまして二十四億を計上いたします。これは土地改良費並びに農協の育成費として予定しておるものでございます。更に国家公務員の給與改善に必要なる経費といたしまして、政府原案三十二億四千百万円に対しまして六十二億四千六百万円を考えております。
 これは八千五十八円ペースであります。更に年末手当六千三百七円ペースによる半ヵ月分、これを更に一ヵ月分といたしまして計算する場合に必要な三十二億七千八百万円を計上いたしております。次に同胞引揚費の減少といたしまして政府は二十一億五千三百万円を計上いたしておりまするが、私どもはこれを十八億五千三百万円と過少に見積つておるわけであります。更に国保或いは健保への繰入を政府は全然見込んでおりませんけれども、私どもは二十二億五千万円を見込んでおります。次に外国為替特別会計への一般会計からの繰入は日銀の借入によることにいたしましてこれを中止することにいたします。これによりまして、これに要する経費の総額は歳出として純増百十五億でありまして、これに必要なる財源といなしましては、私どもは昭和二十四年度剰余金の約半額九十七億を見込んでおるわけであります。政府はそれは昭和二十六年度、明年度予算の中にそれを組込んであるという説明をなさるかも知れませんが、それは政府自身の考えで、我々の関知することではありません。我々は現に補正予算を論議しているのであります。更に我々は歳出の不用額といたしまして、終戰処理費の收入の増加並びに専売益金の減少の見積額を変更することによりまして十八億、総計百十五億の歳入を得ることによりまして今回の補正予算を修正できると考えております。諸般の事情によりまして、正規の手続を以てこの修正案がこの委員会に提出できないことは誠に残念であります。残念でありますが、併し私どもは決して不可能ではない、できない理由は申上げなくてもすでに各議員の了承される通りでありますけれども、我々はこの修正が可能であると考えております。政府の方々が若し自動車でなく道を歩かれて、東京の街をテクで歩かれてみられますならば、シヨーウインドーの中に数十円、数万円もするようなクリスマスケーキが飾られておるかと思えば、或いは職がなくて寒さに震え浮浪しておる多くの人を見ることができると思います。或いは歳末を控えて半ヵ月分の年末手当で十分な年の瀬を越すことができるかどうかということは、恐らく今日の政府諸公は考えられないことかもしれませんけれども、恐らくこれは全国の、中央、地方を問わず多くの勤労大衆の切々たる要求であります。若し国会が真に全会一致職責を果そうとするならば、この目的の貫徹必ずしも不可能ではないと考えられるのでありますが、我々社会党といたしましては、これを修正意見として述べることしかできないことを誠に遺憾に考えるのであります。我々はこのような今述べましたような性格を持つ昭和二十五年度補正予算につきましては、以上の見地から反対するものでありますが、先ほど大蔵大臣が予算委員長に答えられました処置の問題につきましては、大蔵大臣の責任において十分、單なる善処というようなことではなしに、責任を以て処置されることを強く希望するわけであります。
 以上を以ちまして我々社会党は昭和二十五年度補正予算につきまして反対の意思を表明するものでございます。
#205
○委員長(波多野鼎君) 山本君。
#206
○山本米治君 只今議題に上つておりますところの昭和二十五年度補正予算案に対し、私は参議院の自由党を代表いたしまして、賛成の意見を表明するものでございます。
 御承知のように昭和二十四年度以来いわゆる均衡財政の強行と生産の増強とによりまして、さしものインフレーシヨンも全く終息いたし、我が国の経済が漸次安定の度を加えて参つたことは事実でございます。ところが実は財政計画内の調節弁がいささか利きすぎた節もございまして、昨年秋頃から本年の上期にかけましては、物価の下落、或いは滯貨の累増というような現象も見ておることも事実でございます。然るに去る六月二十五日の朝鮮動乱の勃発をきつかけといたしまして、内外の情勢は著しく変化いたし、いわゆる特需と輸出の増加とによりまして、滯貨がほぼ一掃したばかりではなく、新たなる生産の増強も要請されておるのであります。勿論これらの好影響はまだ我が国経済の全般に亘つておるわけではないし、他面今後解決を要するような問題が新たに提起されているところでありますが、ともかく昨年以来我が財界を蔽うておりましたところの陰欝なる空気が著しく緩和せられたということは事実でございます。思いがけない輸出の伸張によりまして、我が国の外貨保有高というものが漸次増加しておりますが、一体この輸出というものはそれ自身インフレ的な影響があるものであります。一方又海外物価高の輸入を通ずる影響も加わり、最近我が国内の物価が或る程度上昇しておることは御承知の通りであります。このような背景の下におきまして今後我が財政金融政策の基調は、政府の言葉を借用いたしますならば、一面において飽くまでもインフレ要因を排除しつつ、他面経済の自立再建のため特段の努力を傾注することにあり、即ち均衡予算の方針を堅持し、極力経費を節約し、租税負担の軽減を行うと共に、産業合理化の推進、輸出の振興等に必要な長期資金の疏通に思い切つた措置を講じ、又保有外貨の活用によつて輸入の促進に努め、以て経済の正常な姿を一日も早く確立することにあるのでありまして、これらの基本的抽象的考え方に関する限り、余り異論のないところと存ずるのであります。今回の補正予算案は、再び政府の説明を引用いたしますならば、右のような基本的な考え方に基いて、来年度の予算案と一体的な構想の下に編成せられたものでありまして、その主眼といたしますところは、第一に国民負担の現状に鑑みて能う限りの減税を行うこと。第二番に輸出の増進等に対処するため、外国為替特別会計の所要資金を一般会計から繰入れること。第三に当面緊要な産業資金の疏通を図るために必要な経費を計上すること。第四に災害復旧費、失業対策費、地方財政平衡交付金の増額等、この際必要止むを得ない使途を充てるための所要経費を計上すること。最後に国家公務員の給與の改善を図ること。等でありまして、その財源の主なものは、価格調整費の不用額、一般行政費の節約、租税の自然増収等であります。
 さて、個々の問題に立入る前に、私は一、二の一般問題を述べてみたいと思うのでありますが、その第一は、予算の規模という問題であります。今国会の予算審議におきましては、この種の論議が意外に少なかつたのでありますけれども、私が今敢えてこの問題をここに持ち出すゆえんのものは いやしくも予算論議においてはやはりこの種の角度からの観察が是非必要であるということが一つ、そうしてこの観点からするときに、今回の補正予算はその規模が小さいことにおいて誠に好ましいというふうに思うからであります。即ち今回補正の規模は、歳出入共に三十一億七千万円でありまして、これを当初予算の六千六百十四億に加えますと、六千六百四十五億円であります。最近の国民所得見積額三兆二千六百五十億円に対しましては、二〇・三%となるのであります。そしてこれを前年度の同様の比率二五・七%に比べますと、五・四%と大幅な減縮であります。一体併し終戰後数字さえ列べれば科学的な議論だというような風潮が私から見れは滑稽なほど強いのであります。私はこの点について強い批判を持つておるのでありますが、只今申上げました数字もほんの一応の参考というに止まり、それ以上の何ものでもありません。何となれば、予算の数字というものははつきりしておりますけれども、国民所得の推計などは、殊に日本の現状においてはかなり杜撰なのでありまして、やり方次第ですぐに何千億円と違つて来るのであります。従つて私は国民所得と予算との比率が、前年に対して何%下つたというようなことは、ほんの参考に申上げるのでありますが、ただここではつきり申上げ得ることは、本年の補正予算額は昨年のそれに比しまして十分の一以下であります。そうして当初予算と合せました予算総額におきましても、昨年に比し、国民所得は何ほどか増加しておるにかかわらず実にかなり小さくなつておる。そうしてこういう状況は、今時の日本として誠に望ましいと思うのであります。
 次に、予算は一つの統一体でありまして、歳出、歳入というものが不可分の関係にありますばかりでなく、歳出側、歳入側のおのおのの項目というものがみんな関連がありますから、部分部分を対象にしてばらばらに議論するということは余り意味がないのであります。然るに批判というものは、ともすれば個々の項目をクローズ・アップして、そうして行われ勝ちでありますので、結局煎じ詰めて見ると、税金はできるだけ減らせ、歳出はあれもこれも殖やせ、こういう議論に陥り勝ちであります。誠に今日の敗戰日本といたしましては、やりたいこと、やらねばならんことは山ほどあるのでありますが、一方財源がないという苦しい事情にあるのでありまして、この間の調和をどうするか、これこそ本当の問題だと思うのであります。この点から見まして今回の補正予算案は勿論八方美人であり得るはずはないのでありますが、そうして多少の無理のあのことも存じておるのでありますけれども、全体としてまあまあ妥当な調和ではないか、こういうふうに思う次第であります。
 もう一つ最後に、これは必ずしも予算の問題に限らないのでありますが、占領下日本の特殊事情の下においては、或る客観的な制約があることは嚴然たる事実であります。この事実を奇貨として、これに籍にし、或いは便乗するようなことがあるとするならば、その態度は極力排撃すべきものでありますけれども、それと同時にこの事実を知りながら知らん顔をして攻撃することも、これ又何かほかに狙いがあるかも知れませんが、余りに感心のできない卑怯な態度と言わねばならんと思うのであります。これらの事実を考慮しつ、今回の補正予算案を通覧いたしますると、勿論個々の点では全部満足すべきものではありませんけれども、大局的に見て賛意を表すべきものではないかと思うのであります。
 さて個々の項目について一々議論をしておる時間の余裕がございませんが、現政府は、かねて減税を最重要政策の一つとして極力推進して参りました。今回の補正予算においても一部その実現を見ておることは、我々の最も同感とするところであります。
 次に、外国為替特別会計に対するインヴエントリー・ファイナンスの問題は、かなり批判の多かつた一点からでありまして、折角来年度から一般会計の債務債還がなくなると思つたのに、又々インヴェントリー・ファイナンスで以て、超均衡予算、デフレ財政となるのじやないかというような講論がありましたが、私は今回の制度は勿論運用の如何にもよりますが、インフレを抑えるだけで、あえてデフレにはならない、この点債務償還の場合とよほど違うと考えておるのであります。然るに若し外国為替特別会計の資金不足を一般会計から繰入れずに、日銀借受金によつて補填するといたしますならば、インフレを助長することば理論上明らかであります。現に歴史的に見ましても、第一世界大戦中及び戰後日本の輸出は非常に伸張いたしました。或る意味で今日に似た情勢になつたのでありますが、その当時外国為替制度は今日と勿論違つておりました。要するにインフレ抑制の見地から輸出代金の支拂資金の供給は当初もつぱら日本銀行が為替を買入れることによつて行なつておりましたのを、後には政府が買入れることに改めたのであります。併し一体輸入さえ円滑に行われるならば、外為特別会計の円資金不足の問題は起らない、即ちインヴエントリー・ファイナンスの必要は全然消滅してしまうのであります。この立場から見ましても、政府の輸入促進策が格別強く要請せられるわけであります。
 次に、政府出資による日本輸出銀行の設立とか、中小企業の信用保險制度の創設、国民金融公庫に対する出資金の増加というようなものは、金額において必ずしも十分ではありませんけれども、ともかく産業資金の円滑化に対する政府の積極政策の現われであります。災害関係、失業関係、生活保護関係等の経費も、不十分というよりはむしろ必要最小限度でありましようけれども、ともかくそれぞれ計上されておるのであります。地方財政平衡交付金の問題は、恐らく今次補正予算の山でありまして、この点につきましては、案件の審議中、地方財政委員会委員長から参議院議長に対しまして意見書提出もあり、我々といたしましても地方財政が特にシヤウプ改革によるところの転換期に際しまして非常に苦しいということ、従つて今次補正予算案に計上されておりますところの三十五億というのでは不十分であるということは十分に認めておるのであります。尤も地方財政の現状に関しましては資料が足りない、資料不足だということが一つの盲点となつておるのでありまして、地方によりましては真に苦しい、同時に地方によりましては多少の弾力性もあるというような状況に見受けられるのであります。地方財政も苦難の折から地方財政のやり方にも一大工夫を要すべきものがありますけれども、それはそれとして、目先この数字では著しく困難と認められるのであります。なおこの問題は言うまでもなく地方債の起債の枠とも密接な関連があるのでありますが、これ又極めて不十分であります。そこで我々は過日地方財政問題に関する共同院議を成立せしめまして、政府の善処方を要望しておる次第であります。近く何らかの措置が講ぜられるのを期待しておるわけであります。
 公務員の給與改善問題は、何分にも日本人口の七分の一前後を占める人々の生活に直結する問題でありますので、或る意味では最も世上の注目を引いたのであります。ここでは詳しい数字は申上げませんけれども、政府は人事院勧告を尊重すると申しながら、財源の関係から遂にこれをそのまま実現することはできなかつたのでありまして、この点が公務員諸君の不満の存ずるところであります。申すまでもなく、高賃金、完金雇用といとうのが我々の理想でありますけれども、敗戰日本の経済基盤は到底これを許さないのであります。行政整理を徹底的に断行して、給與は又思切つて引上げるということが方向としては正しいのかも知れませんけれども、このやり方ば又別の面で別の問題を提起することになりまして、正常化したとは言え、なお異常性の強い我が国では、到底かかるやり方に徹底するわけに行かないのであります。そうしますと、結局給與引上の程度につきましてはつい薄いこと、不十分ということになり勝ちとなりまして、久しく待遇改善を希望しておられました公務員諸君には誠に同情を禁じ得ないのでありますが、今少し財政の事情の許すまで我慢してもらうよりほかないと、こういうふうに考えておるのであります。以上申述べましたように、今次補正予算案は決して積極的な意味で満足すべきものではありません。併しながら何分にも複雑且つ困難なる現在の諸事情を考慮しますときに、まあまあトレラブルではないか、こういう意味におきまして賛意を表するものであります。誠に今日この事情の下において誰にも喜ばれるというような予算が何びとにも組めるはずがないのであります。これを逆説的に申しますならば、今日の日本では何びとにも喜ばれないような予算がまあ丁度恰好だと言わなければならんのであります。我々は一日も早く国力を増進し、生産力を増強し、皆の真に喜ぶような予算、即ち負担を極く軽くして、そしていろいろな事業をたくさんやつてもらいたい、こういう予算の編成せられる日を待望しつつ、差当りにおきましては、十分満足ではないけれども、只今議題に上つておりますところの二十五年度の補正予算案に賛成するものであります。(「耐乏予算」と呼ぶ者あり)
#207
○委員長(波多野鼎君) 東君。
#208
○東隆君 私は第一クラブの者として、只今上程をされております二十五年度の補正予算案に対して反対の意を表するものであります。第一クラブは無所属議員と農民協同党の議員とを以て構成されておるものでありますが、議員総会を開催いたしまして、強くこの案に対して反対をすることを決めて、私に反対をすることを命じておるのであります。
 第一点として私は資本の蓄積の問題について申しますが、この点に対して政府は国の資本の蓄積については、單に貨幣をリザーヴすることによつて国家資本の蓄積と考えておるように説明をされておるのであります。又民間資本の蓄積は法人税の減税によつてこれをやろう、こういうような説明が行われておるのでありますが、我々の資本蓄積というのは、国民の福祉を増進することになるために、国家的な資本はこれは当然出家の投資として行われて行くものでなければならんと考えますと同時に、民間の資本の蓄積等に対しましても、法人税の減額によてとこれをなすというようなことはこれは一般国民の側から考えましたときに、決して妥当のものではないと考えるのであります。最近の政府が説明をされておるところから考えますと、財政的な資金のうちの大部分は、中金、或いはその他中小企業家の協同組合を通して融通をされるものを除いた以外のものは、殆んど大きな企業家や資本家の企業に投資をされる。即ち国の財政的な資本が大きな企業家に援助をされるという形で以て行われているような状態が非常に多いのであります。この点はこれは先ほども申上げましたように、決して正しい政治のあり方でもありませんし、又金融経済のあり方でもないと思うのであります。自立主義経済の出発点から考えたら、国家というものはできるだけ国民に対して干渉、保護はしないことが、これが恐らく始まりの考えであつたろうと思いますが、今の政府の到達しておるところから考えますと、これは明らかに大きな大企業家や、資本家の方に国家的な援助を與えるような姿にこれは変つて来ておるのであります。この考え方の下に立つておるところのやり方、これは私は決して賛成をすべきことでないと思う。特に預金部の資金のようなものの中味を考えますと、これは零細な国民の貯蓄、貯金であります。小さな児童が少しばかりもらつた小遣いや、そういうようなものを貯蓄をして、そうして集つたもの、或いは簡易保險、そんなようなものによつて蓄積をされたところの資本、これが預金部の資金の大宗をなしておるものと私は考えるのでありますが、それが大きな資本家の方面に融通をされて、そうして一般庶民の方面にそれが融通されない、そういうような形が出て来るのはこれは決して正しいことでないと、こう考えるのであります。この立場からも、私は資本の蓄積というようなこの一点から考えてみても、私はこの予算案の編成の根本にあるところの考え方に対して反対をせざるを得ないのであります。
 次に、地方財政委員会は地方債の枠の拡大を要請をしておるのでありますが、この問題に対しまして、五十億の増加を認めておるに過ぎないのであります。今年の春以来の災害だけ考えてみましても、非常に大きな災害が起つ、ております。ジエーン、キジアの両台風はこれはつい先頃のことでありますが、地方が債の枠の拡大によつて災害補給金、これは十五万円以上のものは政府が金額助成することになつておるのでありますが、それに該当しないところの十五万円以下の破壊をされたところの堤防や、その他橋梁、道路、いろいろなものがあるのでありますが、そういうようなものが長い戦争のためにいためつけられたところの地方においてはどうしてもそれを修理することができないのであります。ほころびを直すに一針直せば十針にも相当すると、こういうような諺がありますが、それをやることができないのであります。災害に兢々としておるところの地方のものが、私は未然に防ぐために熱烈なる希望を持つて地方債の枠を拡げよと要望しておるのに対してたつた五十億の地方債を増加したところの政府のやり口に対しては、私はこの冷酷な態度に対してはどうしても賛成するわけには参らんのであります。こういう姿がたくさん出ておるのであります。私は今春のあの災害関係のことを九月に長野県に行つて見たのでありますが、そのときに小さな破壊ではありますけれども、多数のものが川の堤防その他にたくさん出ておるのであります。一度雨が参りますと、これは当然大きな災害になることは分り切つておるのであります。それがそのままに放置されておるのであります。それは何かと申しますと、十五―円以下のものは自分の所で以てやらんければならん。ところがそういうようなものはたくさんあるので、非常にたくさんの金がかかる、地元ではそれを出すことができないのであります。そういうような状態でありますから、もう一度雨が降つて、そうして大きくなつて、国の助成をもらおうと、こういうような考え方をしておるかのように思われるような節もあるのであります。悲しいこれが私は現実だろうと思うのであります。どうしても災害復旧の費用に対して惜しみなく国は出すと同時に、熱烈なる地方の要望の起債の枠を拡げるべきである。こう私は考えるのであります。フランスのシャール・ジードという人はこれからの時代の民主的な大衆的な組織は、労働組合と協同組合と共済保険組合の、この三つである。こういうことを述べておるのであります。労働組合号は産業の民主化をやり、協同組合は生活の向上その他を考えておるのでありますが、又共済保険組合はこれは消極的ではありますけれども、救貧制度を確立するところのものであります。この大衆的な組合団体、これを通して初めて民主主義の世界ができると、こう私どもは考えておるのでありますが、政治というものは、私はこの三つの組織を十全に大きく活かすことによつて初めて立派なものにな“る、こう考えております。予算の面においてもこの三つを重視しなければ本当のものにはならんと思うのであります。
 そこで産業の民主化とは多少は離れておりますけれども、今回の公務員の給與の問題に関しましても、これは人事院がその調査能力を十分に発揚いたしまして、長い間かかつて、そうして科学的に調べ上げて出したところの原案に対して、政府はそれを予算の関係から出すことができないといつてこれを蹴つているのであります。併し先ほど申上げましたように、本当の官庁の民主化をやり、又産業の民主化をやるために、私はどうしてもこの正しい科学的な計算の下に立つたところのものを取りげてやらんければならんにかかわらずそれに相反したところのものをやり、而も非常に上に厚く下に薄く、又非常に困難な仕事をやつている人に対して與えられておつた既得権の剥奪であり、簡單な算術平均のような形で以て給與をしようとしているのであります。これに対して我々は本当に反対をしなければならんと、こう考えておるものであります。
 その次に中小企業者に対して金融の途を開くとか、或いは農民に対して資金を融通するとか、こういうような説明があるのでありますが、この説明のうち、私どもはどういうことを考えなければならんかと申しますと、今政府が言われておるところの中小企業家、資金を融通するところの中小企業家というものは、これは決して、一般庶民大衆を代表しているところの中小企業家ではないのであります。特大の産業の次に位する大きな会社のものに対して言つておる言葉でありまして、百万円の借入れをするところのものではなしくて、一万や二万ぐらいの金の欲しいところの者がたくさんあるわけであります。そういうような中小階級を代表するところの要請にこたえるところの金融の措置では私はないと思うのであります。この要請を完成するためにはどういうような形をとらんければならんかとこう言えば、私は中小企業家の協同組合、これを助長発達をさしてそうしてこれを通して資金の融通の途を開き産業をやらせ、生活の安定をさせることを考えなければならんのであります。この意味における予算が盛られることによつて初めて正しいところの民主的な予算ができるのでありまして、大きなものに対して融通の途を開くということは、これは銀行その他を十分に利用するところの階層なんであります。それらに融通をして、そうして大部分の小さなものに融通をしないような、そういう形にでき上つているところの予算案、そういうものに私は賛意を表することができないのであります。
 その次に私は、救貧制度の問題を通して、共済保険関係のことでありますが、健康保険組合のことに対しまして、別な法案においては料率を上げて、そうしてこれを解決しよう、こういうような考え方をやつておるようでありますけれども、正しくこれは明らかに社会保障的な考え方から言えば逆行をしたところのものでありまして、これは決して正しいものではないのであります。
 減税ということを盛んに言われておりますが、これも又各自だけの減税でありまして、この名目だけの減税によつて、農家について考えて見ましても、補給金が廃止されたところの肥料代は非常に高いものになつて、農家の財布から考えて見れば、減税は地方税の増額と相待つて、肥料代その他の嵩みによつて非常に大きな影響を受けておるのであります。財布は同じでありまして農家に対する圧迫は非常に大きい。これは一つの例でありますが、名目的な減税を掲げても、私は何らそこに国民の生活安定に資するところはない。それはただ單に甘辞を弄して国民を欺いておると、こう言うより外にないと考えるのであります。
 私は今回の臨時国会が興農議会、或いは救農議会というような名前で以て早期に開催をされるようになつておつたのが非常に遅れて、今日に至つております。予算の審議は非常に困難な形において行われて行つておるのでありまして、我々修正案その他について考えたのでありますけれども、これを十分に活かすことができず、そうして遂にこの討論にまで立至つているのであります。この十全な審議をさせないところの原因を作つたところの態度、そういうようなことを考えてみましたときに、この二十五年度の補正予算の成立ちから現在までに至る間におけるところのいろいろな過程において大きな反対をすべきところの理由がたくさんあるのであります。それらを十分に申上げて、そうして皆様の御了解を得る時間はありませんけれども、かくのごとく遅く開催をし、かくのごとく短い期間で、かくのごとく不誠意になされたところのこの予算案の審議そのものを通しても、私は賛成をすることはできないのであります。
 以上を以ちまして反対の理由といたします。
#209
○委員長(波多野鼎君) 暫く休憩いたします。今本会議で地方公務員法案が上程されておりまして、記名投票に入るところでありますから、暫く休憩いたします。
   午後六時三十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後七時零分開会
#210
○委員長(波多野鼎君) 予算委員会を再開いたします。
 休憩前に引続いて討論を続行いたします。伊達君。
#211
○伊達源一郎君 緑風会を代表して意見を述べます。
 緑風会は、昭和二十五年度補正予算案については重要な諸点につき多くの不満を持つておるのでありますが、諸般の情勢を考えて、又その成立が緊急を要する事情を考えてこれに賛成いたします。
 審議の道程において最も論議の焦点となつた重要な問題は、平衡交付金の増額、外国為替特別会計への繰入金、食糧増産その他農業関係予算の増額、号俸調整等、諸給與の改善等に関する問題でありましたが、これについての政府の説明は我々を十分満足せしめな
 いものであつたのであります。よつて政府はこれらの重要な問題につき更に十分検討を加え、次の国会において適当な措置を講じ、善処されるよう強く要望して賛成いたします。
#212
○委員長(波多野鼎君) 木村君。
#213
○木村禧八郎君 私は労働者農民党を代表いたしまして、二十五年度補正予算案に反対するものであります。
 反対理由の第一は、これまでの審議において明らかになりました通り、この補正予算参はいわゆる十五カ月予算として二十六年度予算と一環の下に編成されたのでございますが、その最も重要な二十六年度予算がわからないままに、象のしつぽみたいなものを審議しつ経過したのでありますが、池田大蔵大臣は大体の極めて大まかな輪郭を示しましたが、この補正予算を我々が、又野党が修正するに当りまして、この補正予算が二十六年度の予算と一貫して組まれておるということにつきまして、非常にその修正に困難を感じたのでありまして、例えば予備費において財源を見出す、それは来年度において使われるだろう。その他財源をこの補正において、補正を修正しようと思つて見付ける場合において、二十六年度予算と関連しておるのでありまして、従いまして内容的にも関連していますし、又予算編成の前提となりました米価とか、或いは税制、或いは給與ベース、こういうものも二十六年度予算の前提になつておるのでありまして、我々が二十六年度予算の内容がわからないで審議したということは非常に遺憾でありまして、十分な審議を盡せなかつた。又これは新らしい予算の組み方でありまして、占領下における新らしい予算の組み方で、ドツジさんが来てから十五カ月予算ということを言われたのですから、十五カ月予算である以上、二十六年度予算がわからないで、先ほど自由党の山本君が予算規模云々と言われましたけれども、予算規模自体も本当はわからないのです。そういう意味で二十六年度予算がはつきりわからないまま経過してしまつた。こんなことで我々はこの補正予算の意味、これがどういうふうに一―三月から来年度にかけて影響を持つかということについてわからないのです。このようだ予算に対して我々は国民に代つて責任を以て承認することができない。これが反対理由の第一であります。
 第二の反対理由は、この補正予算の内容が著しく非民主的な内容を持つておるということであります。この補正予算の基礎になつておる最も重要な項目は米価とそれから税制改革、給與ベース、この三つだろうと思うのです。政府はこの補正予算を組むに当りまして、朝鮮動乱の影響を、又その推移を見てこれに織り込む必要があつたので国会召集が遅れた、こういうことを言つております。
 そこで我々はこの予算の基礎になつた米価、税金、絵皿ベースに朝鮮動乱の影響をどういうふうに織り込んだかということを我々は審議の過程において追求いたしました結果、判明いたしましたことは、驚くべき事実を発見したのであります。それはこの予算の内容が著しく非民主的だ、第一に米価にりきましては池田大蔵大臣は消費者米価をだんだん国際水準に引上げると共に、米と麦の比価が従来余り接近し過ぎて経済の実情にそぐわぬ点があつたので、その点を是正する方針がとられたということを説明書に述べておりますが、この内容を我々が聞いたところが、池田大蔵大臣は、所得の多いものは米を食べるようにして、所得の少いものは麦を食べるようにして、古来の食習慣に逆転するのだ。これが消費者米価を、特にお米のほうの値段を上げて麦を据えおいたその意味であるということを言われた。即ち上に厚く下に薄い、こういう自由党の政策を遺憾なくここで発揮しておると思うのであります。お米は一升十一円上るのであります。消費者米価は十一円上るのであります。我々は生産者米価には反対でありませんが、このお米の値上りを税金で政府はカバーして行くと言いますけれども、税金を抑えない人はどうする。日傭労働者みたいな人はどうする。これは減税によつてカバーできないのであります。更に又僅かしか税金を納めてない人はどうする。減税によつてお米の値上りの負担増加をカバーできないのであります。自由党の政策というものは皆こうなんです。経済的弱者の犠牲によつて大資本を養護するというのが自由党の性格である。朝鮮動乱の影響を通じてこういう米価改訂を行なつておる。これがこの予算の最も重要な基礎になつておる米価の改訂の内容であります。
 第三に、もう一つの予算を編成するに当つて、重要な基礎になつたのは税金であります。この税制改革につきましては、本会議におきましても討論いたしますから省略いたしますが、この税制改革は一―三月の臨時的処置でありますけれども、これをこのまま二十六年度に持つて行くのであるということを主税局長も大蔵大臣も言つておるのです。こういう税制改革を我々が認めたら、二十六年度における税制改革について我々は拘束される危險があるのでありますが、而もその税制改革の内容はどうであるか。これも徒らに上に厚く下に薄い税制改革の内容なのであります。特に朝鮮動乱の影響としては法人などは著しく儲かつておる。この法人税では自然増収を極めて少く見積つてある。更に又政府が実質上の減税の代りに税制上の減税を以てしておる。ドツジさんか来てから百億のインヴイントリー・ファイナンスを一般会計から繰入れざるを得なくなりましたので、これをごまかすために政府が自然増収というものを見込んで、これであたかも減税の辻褄が合つたように言つております。先ほど自由党の山本氏から数字というものは何でも数字を挙げれば科学的なことく錯覚を起して論じているということもありましたが、予算というものは数字なのであります。数字をのけてどこに予算があるか。(「そうだ」と呼ぶものあり)而も数字の魔術は使いようなので、数字自体が悪いのではなくて数字の使い方、先ほど山本氏は国民所得はこれはわからないのだ、いい加減なものなのだ、現在の日本の調査ではそういういい加減な国民所得に基いて自然増収というものを政府は計上しておる、自由党の、人みずからこれを認めている、こういうような税制改革になつているのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、笑声)従いまして、この予算の編成の基礎になつているところのこの第二の重要な税制改革において著しく非民主的であります。税金はもつと取るべきところから取る。而も今度の一応低額者所得のほうに軽減を図つたと見せて、五十何万円から百万円までに五五%の税率軽減を行なつているのであります。こういうような高額所得者或いは大法人、たくさん儲けておる方面に税金をまける、そうして大衆には税金を余りまけない、こういうのが今度の税制改革であります。これがこの二十五年度補正予算の編成の基礎になつた第二の点であります。やはり上に厚く下に薄い。
 第三の予算編成の基礎になつた給與ベースはどうでありましようか。これもしに厚く下に薄い。これを検討した結果すでに非常に論議がかわされましたけれども、人事院の現在の改正前の高給者と、それから低額所得者との開きがたしか七・〇一倍だと思います。ところが人事院の勧告によればこれが七・二三倍と記憶いたしております。ところが政府の改正案によりますとそれが八倍以上になることになる、開きが……。従つて上に厚く下に薄いということが論議の重大な点になつたことはすでに周知の通りでありまして、而も調整号俸、これを削減した。最も重大な問題は精神的にも肉体的にも最も気の毒な癩病患者、或いは精神病患者、或いは肺結核、そういう人を看護するお医者さんとか或いは看護婦とかそういう人の調整号俸を削減して行くのです。こういうふうな非公正的な内容を持つた給與ベースの改訂なのであります。そのように補正予算の編成の基礎になつたこの三つの点、米価、税金、給與この三つとも上に厚く下に薄いところの内容を持つた最も非民主的な、民主国家にふさわしくない、それと逆行するような内容であります。こういう形ではこれから国民大衆の生活がますます窮迫して来る。お金持というものは資本蓄積をやるでありましよう。これに対して政府はどういう措置を講じようとしておるのか。吉田総理大臣に伺いましたら、朝鮮動乱の影響として政府が最も真劍に考えたのは治安であるということなのです。それでは治安対策として何がある。治安対策に二つあります。一つはいろいろな武器その他を以て、権力を以て抑え付けることが一つの治安対策であります。もう一つは国民生活を安定さしてそうして国民に十分な食糧と衣料を與えてそうして治安が乱れないようにすること、厚生的な政策、これが治安対策であります。ところが政府はそうでなくて、この二十五年度補正予算の基礎になつた米価、税金、給與を通じて上に厚く下に薄い、そういう政策を、
   〔委員長退席、理事藤野繁雄君委員長席に着く〕
朝鮮動乱の影響を通じて行うから、そうすれば大衆が困る、職業安定所に押しかけるのであります。そういうことをする場合に武器その他国家権力を以て抑える、二百億の予算を以て警察予備隊その他いろいろなそういう治安の装備を強化して……、これこそが自由党の政策を最も現わしている。朝鮮動乱の影響を二十五年度補正予算に織込んだと言いましたけれども、成るほどこれまで我々が論じたような形において織込んだ、一方において上に厚く下に薄い経済政策によつて資本の蓄積を行ないつ、それによつて窮乏した大衆がいろいろ治安の問題を起す、それを権力或いは武器その他の圧力を加えて鎮圧をする、これが治安であります。著しくこの内容は非民主的であると思うのですが、これが我々がこの予算案に反対せざるを得ないところの第二点であります。
 更にこの予算に反対せざるを得ない弟三点は、資本蓄積のやり方です。我我は資本蓄積に反対するものではないのであります。この予算の審議の過程において政府は資本金の蓄積と資本の蓄積、これを区別しているようでありますが、実際には資本が蓄積されて現物資本の蓄積になつていないという憾みがありますが、最近資本の蓄積というと何かもう全く神聖なものであるように皆考えておりますが、問題はこの資本の蓄積を如何にして行うかというところにあるのです。ところが大衆を犠牲にして高額所得者、大法人、そういう人たちの方面に著しく滅税をして非常に儲けさして、そういう形において大衆を犠牲にして昔の原始的な蓄積のような形において大衆の窮乏の上において行う資本蓄積ということは最も非民主的な資本蓄積の方法であります。これこそが今の自由党内閣の性格を最もよく現わした資本蓄積の方法でありまして、こういう資本蓄積のやり力を反映させるこの二十五年度補正予算にどうしても我々反対せざるを得ないのであります。
 更に地方財政につきましては、すでに他の委員から非常に遺憾の意を表されましたから私はここで繰り返しません。ただ私がどうしてもここで反対理由の一つとして一挙げなければならないのは、折角公聴会の制度を設けながら、公聽会の意見を殆んど反映しようとしていないのであります。我々公聽会を聞きまして非常にいい意見を聞きます。税率の改正、或いは米価の問題、既いは地方財政の民主化、いろいろ聞きますが、現在では、公聽会制度は附属物か飾り物みたいになつておりまして、如何にも政治が局主化されたるがごとく擬装する一つの手段、飾り物に使われているような状態であります。これは公聽会に臨まれた公述人自身が言つております。こういう形の公聴会では困ると、こういうことを言つておつたのであります。
   〔理事藤野繁雄君退席、委員長着席〕
 これは輿論をこの予算の中に反映していない証拠であると思うのです。
 以上私はこの二十五年度補正予算に対する反対の論旨を述べましたが、最後に私は強調したいことはドイツの話でありますが、スタウデインガーという人が「道徳の経済基礎」という本を書いております。波多野委員長が翻訳されたものもございますが、その中でこういうことを言つております。ドイツの農民が自分の馬を苦痛に堪えないほど殿つて、馬があばれ出して来た。この馬は役に立たないといつて屠殺場に連れて行つた。こういう話があるということを書いております。私は吉田内閣の政治はこれであろうと思うのです。大衆に堪えられない重税を課し、又大衆が困難なような米価の設定の仕方を行い、給與べース、年末手当においても大衆を安定させないような形において給與改訂を行つて、それで大衆に不安が現れますと、椛棒或いはその他の武器、権力を以てこれを押え付ける。最初に殴つたのは政府であります。そうして大衆があばれ出すとこれを弾圧する。その中でスタウデインガーはこう言つております。いろいろな暴力や何かはこれまでの歴史を見ると、往々にして民衆の側に責任があるよりも、むしろ多くの場合支配者にその責任があるということを率直に言つたのはアレキサンダー大王であるということをスタウデインガーという人は言つております。政府は徒らに国民に対してばかり責任を負わせる。治安の根本の原因はどこにあるか。これは経済政策が公正の度合を欠いておる。非民主的である。具体的に申しますれば、米価でも貸金でも、税金の設定の仕方でも給與ベースでも、具体的に我我は指摘することができるのであります。これをやめない以上は治安は回復しない。そうして二百億も予備隊のほうに使つて、一体どこの治安を治めようとしているのか。これだけの費用があつたならば、それを以て給與ベースのほうに充て、或いは米価をもつと安くするほうに向けたならば、武力を用いずしても、又武器を用いずしても治安は安無し得る筈であります。全く逆の政治をやつておるのです。こういうような内容を持つておる補正予算に我々は賛成できない。
 更に最後に私は申上げたいのであります。先ほど自由党の山本氏は、社会党の羽生氏が補正予算に反対討論を行なつた場合に、具体的な提案を行なつて、我々もまあ啓発されたのでありますけれども、これに対して占領下であるからできないようなことを羅列してやるのはおかしい、こういう非難をされたことであります。我々は議員としてです。他の党派のかたの意見は尊重します。そういうような誹誇はするものではないと思います。徒らにみずから卑下して占領下であるからいたし方ないというのは、それならば政府が作つた予算はむしろそれ以上修正されないと言うならば、何のために国会があるのか。そういうような非民主的な主張が出て来るのは、やはり大資本の番犬、大資本のお先棒を担ぐようなそういう自由党の性格を現している。(「その漁り」「そうです」「ノーノー」と呼ぶ者あり)もつとゼントルマンシツプな、もつと紳士的な表現において非難されるのは結構でありますが、占領下であるからできない相談のことを主張するのは間違つておる。そういう非難の仕方は日本民族の自主性とプライドをみずから傷つけるようなものです。(「そうだ」と呼ぶ者あり)こういうことに対して私は反対せざるを得ないのであります。
 以上の意見を申述べまして、二十五年度補正予算に対する反対意見といたす次第であります。
#214
○山本米治君 委員長、まだ僕は時間が残つておると思いますが……。(「必要なし」と呼ぶ者あり)
#215
○委員長(波多野鼎君) 岩間君。
#216
○岩間正男君 私は日本共産党を代表して、昭和二十五年度補正予算案に反対するものでありまする
 そもそもこの予算案は日本政府が決めたものでないということは明らかである。池田大蔵大臣はこの予算案が全く自分の考えと一致しているかのことくふるまつているのであるが、実はドツジ氏の指金に一々左右されて、遂に政府原案を大幅に修正し、当初の吉田内閣の構想は跡方もないほど粉砕されてしまつておるではないか。それだけではない。ドツジ氏との折衝に手間取り、補正予算は国会開会に間に合わず、ガリ版刷りで出さなければならなかつた。こういう状態が全くこの間の事情を物語つているものであります。又十五カ月予算などという大きなことを言つておりますが、二十六年度予算の大綱すら十分に国会に示すことができなかつたのであります。これは如何に吉田内閣が自主性を放棄し、帝国主義者の召使になり下つておるかということを如実に示しておるものであります。これによつてたたでさえ人民の利益を無視した予算案は全くひどいものになつておるのであります。先ず公務員の給與ベースは労働者の要求とは遙かに遠いのみか、人事院勧告をすら無規しておるのが実情であります。地方公務員には何らの保障も與えず、教員の既得権はこれを剥奪し、失業対策も、ジエーン、キジア等の災害復旧費も、減税もすべて全く人民の切実な要求は踏、みにじられておるのであります。そのことは未だ層てないほど時間の制限の下に行われた本委員会の審議における各閣僚の答弁の中にも如実に現われております。池田蔵相は給與ベースにつきまして、下の者より上の者に厚くするのは当り前だ、まだ足りないぐらいだと言い、又食糧の価格問題につきましては、貧乏人は麦を食え、金持は高い米を食つたらよい、まるで徳川時代の圧政者の言うようなことを平気で放言しておる。いわゆる池田放言第三号を放つておるのであります。(笑声)又廣川農林大臣は、米価審議会の答申案は労貸を高く見積り過ぎる、農村は失業者が多てなつておるから、労賃はもつと安くしてもよいというようなことを言うております。これらはいずれもふだんから肚の中で思つておる本音を正直に出したものであります。本年三月に、中小企業の五人や十人死んでも構わないと言つたかの有名な第一号を放ちました(笑声)あの池田放言と全く軌を一にするものであることをこれはここで断定することができる。
 このように人民の利益を臆面もなく踏みにじりながら、一方ではドツジ氏の強力な指示によつて、外国為替特別会計へ百億の繰入れを行なつておるではないか。(「街頭演説のようだな」と呼ぶ者あり)本委員会、公聴会にお旧いて各公述人は口を揃えて、このようなインヴエントリー・ファイナンスは必要でない、もつと国民生活の向上と産業復興のために金を廻せと真剣な叫びを挙げておるのであります。又本国会においても人事、地方行政、厚生、郵政、文部の各委員会はことごとくこの予算の反人民的内容に反対し、與、野党満場一致でそれぞれ修正すべきことを決議しておるのであります。
 以上のように、この予算は日本の人民大衆から全く浮き上つたものであるばかりでなく、国会からも浮いております。一体誰のために、誰が作つた予算であるかを明確に暴露しておると言わなければなりません。池田大蔵大臣は口を開けば、この予算には朝鮮動乱の影響を織り込んだということを言つておりますが、朝鮮内戦干渉後急速に破綻が深刻化した人民の生活には何らの顧慮も拂つていないのであります。これを各項目別に具体的に検討すれば次のようであります。
  先ず第一に給與はどうか。朝鮮内戦後労働者の実質賃金は却つて低下し、一日十二時間以上の労働強化を強いられております。とりわけ公務員の給與は二年間六千三百七円ベースに据置かれ、政府は屡次にわたる人事院勧告を無規して来た。公務員の政治活動は全面的に禁止され、職制の圧迫によつて自由に職場から便所へも行かれないというような現状に置かれて、生活は全く崩壊しておる。これに対しまして、官公庁労働者が九千七百円ベースと年末手当三カ月分という要求を掲げて闘争に立ち上つたのは、みずからの生活を防衛する極めて当然の措置と言わなければならないのであります。吉田内閣はこの内輪極まる切実な要求に一顧も與えないのみか、八月の人事院勧告八千五十八円ベースをも蹂躪して、一方的に給與をきめてしまつたのであります。この内容は先ほどからしばしば繰返されましたように、上に厚く下に薄い独善的なものであるのみか、地域給を引下げておる。一方米価を初めとして、諸物価の高騰を考えますときに、下級公務員の実質賃金はむしろぐつと低下しておると言わなければならないのであります。税務職員、教員、癩、結核療養所職員、気象台職員等のいわゆる特別号俸の既得権は又こういうような情勢の中において剥奪されたのであります。年末手当は最初政府ですから一カ月分を予定していたのに、ドツジ氏の指金で半月分に削減された、その原因が天降り的なインヴエントリー・ファイナンスにあることは今日如何なる労働者といえどもこれを了解しておるのであります。併しこれらのベース・アップ及び年末手当の再三十六億のうちその四分の一の三十三億円は勤労所得税としてこれははね返つて逆に収奪される形になつておるのであります。
 第二に、地方公務員と地方財政について述べたいと思うのでありますが、これはどうなつておるか。地方公務員には何らの財政的保証もない。そこべもつて参りまして政治活動の禁止、基本的人権を剥奪するところの地方公務員法のみが與えられようとしておるのであります。これはパンを與えずこき使われるところの奴隷に等しい状態に追込んでおるのであります。地財委は八十八億の平衡交付金を要求し、又衆参両院の地方行政、委員会は満場一致でこれを支持し、特に参議院は院議で以てこれを決定したにもかかわらず、これが完全に蹂躙されて、岡野国務相のごときはみずからの責任を回遊し、池田蔵相と地財委のメツセンジヤー・ボーイという形に落ぶれておる状態であります。これは地方財政法第二條の違反であると言わなければならない。これによつて地方財政の危機はいよいよ激化し、地方税の收奪はますますひどくなつておるのであります。又義務教育行政面では義務教育国庫負担法の既得権は全く廃絶され、天野文相の君が代と日の丸が復活の徴候を兆しております。
 第三に失業、生活保護対策についてはどうか。特需景気の声をよそにして失業者はますます最近増加しており、本年八月の政府統計によつても完全失業者は五十五万人に達しております。この予算では十五万人しか救済できないような内容になつておる。而もこれすら朝鮮内戦によりまして肉弾としてかりたてられるというような、そういう意図を持つていないということを誰が保証することができるか。生活困窮者はますます増大し、政府統計によつても本年八月には生活保護法の適用対象者は二百万人に達し、更に昨年に比べまして平均百六十万人を遥かに上廻つておるのであります。この予算では主食の値上りに対応する経費が増額されておるだけでありまして、実質的には何ら救済になつていないのであります。
 第四に、農業の方面においてはどうか、興農国会の看板はどこへ行つたのか、いわゆる廣川朗報によるところの食糧増産費、公共事業費、農林漁業金融公庫、その他主食の一句増配、こういうようなその場限りの公約は一体どこに飛んでしまつたのであるか。この予算のどこを探して見ても興農のコの字もないというのが実情でございます。米価は農村には失業者が多く労賃が安いからという理由で、お手盛りの米価審議会の五千八百円案をすら無税しまして五千五百二十九円、これを押し付けようとしておるのであります。資材、肥料の値上り、地方税の増額によりまして農民の手取りは物凄く減少しつつあるのであります。麦の増産費は農林省要求の五億に対し僅か一億四千万円に削られておるのであります。又歳入を捻出するために食糧輸入補給金百三十四億円を削減して、輸入関税を免除し、農村を外国食糧の押し付け輸入のプールと化してしまうことは明らかであります。一割増産の名の下に農民の植民地労働を強化し、輸入食糧と相待つて戰時備蓄を行い、これらの負担を消費者大衆に転嫁せしめんとしておるのであります。農民にやつたことと言えば、農協、農業共済組合の赤字十四億円を穴埋めしたことだけである。政府は4H運動とか運動とか3C運動とかいつてアメリカ的生活様式を押し付け、次三男対策の名の下にこれを集団訓練して日本軍隊再建の基礎を作らうとたくらんでおります。
 第五に、中小企業はどうか。軍需産業によつて独占資本は二十割、三十割はおろか二百七十割というようなべらぼうな利潤を挙げておるのに対しまして、中小企業の零落破産はいよいよ深刻化しておるのであります。特に中小企業の金融難は深刻の度をますます深めておる、例えば繊維関係においては業者手持の商業手形の五〇%が銀行で割引いてもろうことができない、景気がいいといわれている福井の機業においてさえも貿易手形が割引いてもらえないで輸出向き繊維製糸を闇に流しておる状態であります。これに反し十月十一日で七百億円程度の政府資金撒布超過があり、この莫大な金は軍需生産をやつている独占企業に全く集中しておるのであります。又製品安、原料高の傾向はいよいよ深まり、金詰り、重税と相待つて中小企業の経営は全く破綻しておるのであります。これに対し中小企業信用保険五億は焼石に蚊の涙を落すに等しいようなものであります。そればかりではなく、これは銀行資本の救済であり、中小企業を軍需産業の下請化せんとするものであることは明らかであります。
 第六に、税金はどうか。現在一千億に上る滞納があるが、これはすべて政府の売国政策の結果である。国税庁の調査によつても申告所得税の滞納の原因の九〇%は全く金詰りと不公平な課税によるものであることは明らかであります。これに対し差押えは十月末まで百十万七千件、三百四十八億円に達している。年末から来年にかけて地方税を合せて四千億円の徴税が行われることは明らかであります。補正予算の減税は当初七十億と言われたのに六十三億に減り、自然増は二十五億から六十八億に殖え、全く欺瞞的なものであります。併し購買力は減つていることは煙草益金が八十億の減税を見ているのを見ても明らかである。池田蔵相は米価が上つても減税で差引き一%の生計費減となると言つておるが、僅か一%でなんで減税と言えるか。而も朝鮮内乱後諸物価は三割から二倍も騰貴している。こういうような負担は却つて増加するのであります。勤労所得税は自然増二百五十六億、改正税法上の減税五十六億、差引二百億円の却て増税となつております。農民、中小企業はそれぞれ一八%、二五%の水増増税が押し付けられるのに反し、一方特需で儲ける法人には昨年同様の自然地百八十六億しか見込んでいない。ドツジ声明が資本蓄積にならぬ減税はするなと言つておるが、これは今回の吉田内閣のいわゆる減税政策を一貫しておるところの方針と言わなければならない。
 第七に、災害はどうなつておるか。国土は挙げて――――され、―――――――――となつているため国土は荒廃し、災害はいよいよ増加した。ジエーン、キジア両台風の被害に対する復旧工事費は政府説明によつても一千三十八億円に上つております。原案では五十二億円の災害復旧費を計上したが、これすら四十七億に削られ、そのうち災害復旧費は二十六億円しかない。
 以上のように、吉田内閣はすべて人民の要望を蹂躙し、その理由として財源がないと言つておる。併しその乏しい財源をはたいて外国為替特別会計へ百億円も繰入れているのは何故であるか、誰の命令でこれをやつておるか。池田蔵相はインフレの防止とか、ドルが殖えて円資金が不足するからと言つておるが、公聴会の公述人はみんなこのようないわゆるインヴエトリー・ファイナンスは現下の日本の財政にとつて全く実情にそぐわないものであると言つている。第一池田蔵相は日本人の血と汗の結晶である外貨が幾らあるのか、どう使われるのかさえ答えることができぬではないか。インヴエントリー・ファイナンスはこれは要するに予備費であり、一旦緊急の際に支出できるところの帝国主義者のポケツト・マネーであるということができ得るのであります。又朝鮮水域の掃海業務に――――を動員し、その費用を――――から支出している。一体これは―――――に対する義務なのであるかどうか。第三次大戦の協力費なのであるかどうか。而も外電によればこの作戦によつて―――の多数が死亡したことが伝えられているのであります。又アメリカ陸海軍の戦時演習によつて全国十五カ所の漁場が損害を受け、漁民は生活の糧を失つているのであります。地元では被害補償十五億円を要求しております。これは当然軍当局からドルで支払わるべきところのものであると考えられるにかかわらず、日本人民の税金から一億二千万円支出されているのであります。このように外国の軍隊が当然支払わるべき経費を日本人民の負担にしていることは驚くべき――――――――――――であると言わざるを得ないのであります。併し以上のことは補正予算書の数字に現れたものに過ぎないので、これは氷山の一角であろということができます。舞台裏では恐るべき崩壊が進行しております。陰謀が企まれているのであります。即ち日本経済の唯一の活路である中共貿易は、このたびの通産省令のいわゆる国連協力措置によつて外国帝国主義者の戰争目的のために殆んど全面的に禁止され、日本の製鉄業に必要な粘結炭も鉄鉱石も入らず、四百万トン計画などと大きなことを言つても、その基底からこの計画は崩れようとしているのであります。これが他の産業に波及し、日本経済が全く破滅することは明らかなことであります。すでに政府は自由経済の看板を下して、鉄鋼を中心とする再統制をやらざるを得ない実情に追い込まれているのであります。吉田内閣は輸出銀行によつて活路を開こうとしておりますが、これは外国帝国者のために重要な戦略物資を買い叩かれ、アジア諸民族弾圧のための軍需資材輸出に奉仕するものであります。これは我か日本が新たに――戦争にみずから進んでお先棒を担ぐような結果になることは明らかであります。一方肝賢の輸入は少しも進まず、政府は生産計画の大棚な変更を余儀なくされております。更に政府の手許には見返資金、預金部資金、復金回収金等一千億円以上が残されており、債務償還費は一般、特別両会計合わせまして七百五十億円の未支出を残しているのであります。これらは日本人民の所得から積立てられた備蓄であるにもかかわらず、日本政府の自由に使えない金になつている。米国下院の歳出委員会におけるヴオルヒーズ前陸軍次官の証言によれば、これはアメリカの目的に合致するように利用されることになつているのであります。事実電力は再編成が済まなければびた一文も出ず、遂にポツダム政令によつて分断が強行されることになつたことは明らかであります。見返資金の十月末余裕金は五百八十億円に達し、その運用は少しも進まない、最も順調に出ているのは連合軍軍人の住宅建設であり、……
#217
○委員長(波多野鼎君) 岩間君に申上げますが、約束の時間が来ました。
#218
○岩間正男君 八十億の予算に対しまして六十一億すでに支出されているのであります。時間が参りましたので、もつともうと申述べたいことがあるのでありますが、これは本会議に譲りまして、以上申述べました日本民族の苦悩を端的に表わしているこの予算に対しまして、日本共産党は日本民族の独立と平和のために、日本人民の名において断固反対するものであります。
#219
○委員長(波多野鼎君) 只今の岩間君の発言中、不穏当な個所があつたかと思いますので、後刻速記録を調べて善処いたしたいと思います。なおこの際政府側から発言を求められております。
#220
○国務大臣(池田勇人君) 岩間君のお言葉の中に嘘の点がありますので、訂正をお願いいたしたいと思います。掃海費は一応運輸省の予算で出しておりますが、後からドルでもらつております。従いまして日本国民の税金で掃海費は出しておりません。
#221
○委員長(波多野鼎君) 櫻内義雄君
#222
○櫻内義雄君 私は民主党を代表いたしまして、只今本委員会の議題となつておりますところの昭和二十五年度予算補正に関する諸案件につきまして、これに反対の意思表示をするものでございます。(拍手)その最初に申上げたいことはこの補正案が国会に上程されましたときに、吉田総理大臣は本会議の席上におきましてこのようなことを申しております。それは野党側一致を以ちまして速かに臨時国会を開いてもらいたいということを再三要請しておつたことに対しての答えでありますが、それは朝鮮事変の内外に対する影響の重大性に鑑みて、その結果を見定めてこの予算案を提出するのだと申されているのであります。又池田大蔵大臣はその財政方針の演説の中におきまして、今回の補正予算はいわゆる十五カ月予算の一環としてのものであるというように、かように申されているのでございます。然るに皆様がた十分に御存じのように、朝鮮事変の動向というものはこの補正予算の提出せられたときは全く事態が変転しているのでございます。さような意味合におきまして、この予算を検討して行きますときに、更に我我といたしまして十分検討する必要もある。又国民に対しまして、私どもの立場からいたしまするならば、もつと積極的な意図を含むところの補正が行なわれるべきであると、かように考えるのでございます。成るけど大蔵大臣の申されますように、この朝鮮動乱によりまして滯貨はなくなりました。又特需景気によつて潤うております。併しながら我々の見解を以ていたしますならば、この特需景気というものは国内需要の停滞を来し、民需や平和産業の圧迫をしておるのではないかと考えさせられるのであります。政府の御提出になりましたその資料の中で特需景気の状況が報告せられております。本年の七月より十一月に至る間に一億五千四百一万ドルの特需があつたということでございまして、この内容を検討して参りまするならば、金属製品、機械、こういうものにつきましては、五千百七十八万ドル、繊維、食糧、木材、化学製品等につきましては四千三百五十二万ドル、貿易外の收入といたしまして五千四百七十一万ドルとなつておるのでございます。この特需景気の実態を皆さん方に掴んで頂きたいのでございます。我々は繊維や食糧、木材の上におきまして四千三百五十二万ドルという思いがけないことに需要を来して参つたのであります。即ちこれが民需や平和産業の圧迫となつて現われているという事実は蔽うべくもないのでございます。然るが故に私どもはこういう事情を打開するところの補正予算を望んで止まないのでございまして、かかる意味合からいたしまして、この委員会或いは本会議における慎重な審議の中から次のような財源を我々は認めるのであります。例えば昭和二十四年度の剰余金が百九十六億円ございます。この中の約半分の九十八億円程度は今回の補正予算で使用してもいいのではないか、或いは政府はこの補正予算の中におきまして、専売益金は六十八億円余の減少をすると見ておるのでございますが、我々はそれほどには減少しない、丁度酒税を引下げて、それが相当な収人を上げるという政府の御見解と同じように、現在の特需の状況からいたしまして、只今におきましては、煙草の收入が多少減少はしておりましようけれども、我々といたしましては、五十億円程度のものではないか、即ち十九億円ぐらいはここに浮いて来るのではないかと考えるのでございます。委員会或いは本会議を通じてに最も問題となりましたインヴエントリー・ファイナンスの問題でございます。一般会計より外為特別会計への百億円の繰入れにつきましては、私どもはやはりこれは日銀の貸付を以て行うべきではないかという見解に到達いたしております。かかる意味合からいたしますならば、ここにも百億円という財源を見出すことができるのでございます。又前国会以来多々問題となりましたところの債務償還費は約二百五十二億円程度は残つておると思うのでございます。これらの財源を見出すことができるといたしますならば、先ず第一に、我々がこの国会を要求する際におきまして、救農画会を開けと言つた、災害に悩んでおるところの、又過重なる負担に悩んでおる昨年以来の税金、或いは農村の不景気によるところの借金に苦しんでおるところのこれらの農村を救済して行かなければならない。特に朝鮮動乱の現段階におきましては、食糧の増産こそ最も緊要なることでございます。政府みずからが一割増産を提唱いたしておりますけれども、その見るべきものがないのでございまして、私どもはかかる見解の上から考えますに、少くともこの際百億円程度の農村振興費を出してもらいたい。成るほどこの機会にかかる多額の支出をするということにつきましては、いろいろと御議論もございましよう。併し農林大臣はこの委員会において明らかに答えております。我々は興農である、救農のような消極的なものではない、興農だ、十五カ月予算を通じて見てもらうならば、必ずそのことがわかるであろうと言われておるのであります。そういうことを考えますときに、この際こそは速かに積極的に農村振興を行うべきであつて、我々が指摘いたしました財源がある以上におきましては、土地改良について五十億円くらいの支出をしてもらいたい、農協の補助費として三十億円くらい出してもらいたい、或いは農業科学の技術等、その他の農村振興のために二十億円くらいは出してもらいたいというのが、私どもの気持なのでございます。
 次に申上げたいことは、人事院というものが厳然としてここにあるのでございます。そうして人事院は政府に対して再三勧告をいたしておりまして、今回の予算の編成に際しましても、政府も八千五十八円のこの勧告を如何にして取入れるかという努力をなさつて参つたのでございますが、併しながら不幸にいたしまして、遂に八千円ベースであり、又年末の給與は半ケ月ということに決定いてされましたけれども、我々は人事院というものの存在を認める以上におきましては、この勧告を尊重いたしまして、八千五十八円のベースにいたしたい。又年末の手当については一カ月分を給與してもらいたいとしうことを主張するものでございます。
 次に申上げたいことは、平衡交付金の問題でございます。これ又地方財政委員会というものがありまして、政府はこの方面の意見を尊重すべき立場にあるのでございます。而も衆参両院一致いたしまして、地財委の主張いたしますところの八十八億円は認めるべきであるという見解に立つておりますので、是非平衡交付金三十五億円は八十八億円に増額して頂きたいと考えるも場のでございます。
 次に申上げたいことは、総理大臣の施政方針は僅かに十分以内のものであ
 つたと思うのでございますが、その中で特に強調せられております問題は、文教の振興であり、健全なる国民の精神の涵養であつた、その短い中でこれを主張されておるのであります。現下の我が国の事情からいたしまして、独立国家としての我々国民の気構えを作る上におきまして、これは確かに重要なる問題であると考えるのでございます。併しながら総理大臣の施政方針演説にもかかわらず、この予算の中には何ら文教振興費について補正せられておらないのでございまして、我々の見解を以ていたしますならば、六三制の経費を増額いたしまして、少しでも文教の振興に充てたい、そのために十八億円ぐらいの支出をお願いいたしたいと考えるものでございます。
 かように申上げて参りますときに、現在特需景気とは申しましても、一方に多くの失業者が出ております。又社会保障制度についての勧告も行われているというこの事実を眺めますときに、現在国民健康保険におきまして非常に赤字がある、百五十億円からの赤字があるということでございまして少しでもこれをカバーして行きたい、社会保障制度の確立の一歩として、その対策を立てたいと考えておるものでございまして、これにつきましては、三十三億円ほど我々は考えたのでございます。このようにしていろいろ積極的な意図を持つて今回の補正を行なつてもらいたいというのが私どもの考え方でございまして、特にこの際指摘いたしたいことは、大蔵大臣は今回の補正予算を通じまして六十八億の減税ができた、明年度は更に一層の減税をす刷るのであると、かように申しておるのでございます。確かに総額の上におきましてはその程度の減税が行われております。併し考えて見まするに、この朝鮮事変を契機といたしまして、物価が非常な上昇を途げておりまして、六月に比較いたしまして、十一月現在において、日銀消費財物価においては二〇%余と増加をいたしておるのでございます。この六十八億の減税は、個々の人の所有に対しては僅かに三分の影響しかないのでございまして、成るほど国民負担の軽減の必要はございましようけれども、この物価騰貴とのアンバランスを考えて行かなければならないのでございます。
 又次には長期資金につきまして幾多論議がせられまして、そのために預金部資金であるとか、或いは見返資金の運用について相当な変更を加え、政府におきましても積極的な意図を拝見するのでございますけれども、なお預金部資金におきましては、翌年度べの繰越しが、四百五十二億円も計画されておる。その中で長期資金として使えるものは二百三十六億円もある。見返資金につきましてはいろいろと申されておりますけれども十一月二十二日現在千五百八十一億円の見返資金の中から僅かに三百八十七億円しか使われておりません。或いは昨日も指摘いたしたところでございますが、外貨予算の中で私は三億ドルをアメリカにただ預金してあるではないかと申しましたが、更に調べて見ますと、四億四千万ドルに及ぶところの多額の資金がアメリカの銀行に預けられておるということが明らかになつておるのであります。こういたしますと、折角長期資金の運用を唱えておりますけれども実際の運用の面からいたしますならば、なおなお余裕があるということを認めなければなりません。我々はこのようなあらゆる角度から検討いたしました結果、本予算案について反対の意思を表示するものでございますが、この予算案の編成に当り、又今回の審議の過程におきまして、我々が身にしみて感じましたことは、日本政府は余りにも占領政策に頼りすぎているのではないか。成るほどシヤウプ博士、ドツジ公使が、幾多のよき勧告を與えて呉れましたけれども、併し政府の熱意如何によりましては、国民各階層に対しまして、只今私が指摘しましたような積極的な意図を持つことによりましては、各階層の努力の焦点というものが明らかになつて行くと思うのであります。而もマツカーサー元帥が指摘しておりますように、講和を目捷に控えておる我々といたしましては、吉田総理にもつと気魄を持つてもらいたい。我々はポツダム宣言を忠実に履行をいたしました以上においては、世界に向つて堂々と講和を要求する権利を持つておると思うのであります。(拍手)こういう気魄を持たたければならない。予算の上におきまして、積極性を持つてもらいたい。かかる見解に立ちまして、この予算案に対しまして誠に残念ながら反対の意思を表するものであります。(拍手)
#223
○委員長(波多野鼎君) 以上を以て討論の通告者は全部終了いたしました。他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#224
○委員長(波多野鼎君) 御異議ないものと認めます。それでは討論を終局したものと認めて、これより採決に入ります。昭和二十五年度一般会計予算補正(第1号)、昭和二十五年度特別会計予算補正(特第1号)、昭和二十五年度政府関係機関予算補正(機第2号)について採決をいたします。右の三案に御賛成の方の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#225
○委員長(波多野鼎君) 総員は委員長を除きまして四十三名であります。そのうち起立者は二十三名であります。よつて賛成者は多数であります。(拍手)よつて右三案は可決せられました。
 なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によりまして、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、これは委員長におきまして、三案の内容、本委員会における質疑応答の要旨討論の要旨、及び表決の結果を報告することにして御承認を願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#226
○委員長(波多野鼎君) 御異議ないと認めます。
 次に、本院規則第七十二條により、委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の署名を附することになつておりますから、三案に賛成せられた方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
   池田宇右衞門  泉山 三六
    大島 定吉  工藤 鐵男
    中川 以良  長谷山行毅
    一松 政二  平井 太郎
    小野 義夫  深水 六郎
    安井  謙  山本 米治
    石坂 豊一  野田 卯一
    伊達源一郎  藤野 繁雄
    前田  穰  高橋能太郎
    高瀬荘太郎  新谷寅三郎
    西郷吉之助  楠見 義男
    飯島連次郎
#227
○委員長(波多野鼎君) 御署名漏れはございませんか……。ないものと認めます。
 これを以て散会いたします。
   午後八時九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     波多野 鼎君
   理事
           石坂 豊一君
           野田 卯一君
           羽生 三七君
           伊達源一郎君
           藤野 繁雄君
           櫻内 義雄君
           東   隆君
           木村禧八郎君
           岩間 正男君
   委員
          池田宇右衞門君
           泉山 三六君
           大島 定吉君
           小野 義夫君
           工藤 鐵男君
           中川 以良君
           長谷山行毅君
           一松 政二君
           平井 太郎君
           深水 六郎君
           安井  謙君
           山本 米治君
           岩崎正三郎君
           内村 清次君
           河崎 ナツ君
           佐多 忠隆君
           下條 恭兵君
           山田 節男君
           吉川末次郎君
           原  虎一君
           若木 勝藏君
           飯島連次郎君
           楠見 義男君
           西郷吉之助君
           新谷寅三郎君
           高瀬荘太郎君
           高橋龍太郎君
           前田  穰君
           菊田 七平君
           鈴木 強平君
           中井 光次君
           深川タマヱ君
           堀木 鎌三君
           矢嶋 三義君
  国務大臣
   内閣総理大臣
   外 務 大 臣 吉田  茂君
   国 務 大 臣 大橋 武夫君
   大 蔵 大 臣 池田 勇人君
   文 部 大 臣 天野 貞祐君
   農 林 大 臣 廣川 弘禪君
   郵 政 大 臣
   電気通信大臣  田村 文吉君
   労 働 大 臣 保利  茂君
   建 設 大 臣 増田甲子七君
   国 務 大 臣 岡野 清豪君
   国 務 大 臣 周東 英雄君
   国 務 大 臣 林  讓治君
  政府委員
   内閣官房長官  岡崎 勝男君
   内閣官房副長官 井上 清一君
   地方財政委員会
   事務局長    荻田  保君
   特別調達庁次長 堀井 啓治君
   法制意見長官  佐藤 達夫君
   外務政務次官  草葉 隆圓君
   外務事務次官  太田 一郎君
   大蔵政務次官  西川甚五郎君
   大蔵大臣官房長 森永貞一郎君
   大蔵省主計次長 東條 猛猪君
   大蔵省主税局長 平田敬一郎君
   文部省大学学術
   局長      稻田 清助君
   農林政務次官  島村 軍次君
   食糧庁長官   安孫子藤吉君
   労働事務次官  寺本 広作君
   労働省労政局長 賀來才二郎君
   労働省職業安定
   局長      齋藤 邦吉君
   経済安定本部総
   裁官房長    平井富三郎君
   経済安定政務次
   官       小峯 柳多君
   経済安定本部財
   政金融局長   内田 常雄君
ソース: 国立国会図書館
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