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2000/08/04 第149回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第149回国会 労働委員会 第1号
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2000/08/04 第149回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第149回国会 労働委員会 第1号

#1
第149回国会 労働委員会 第1号
本国会召集日(平成十二年七月二十八日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。
   委員長 大石 正光君
   理事 棚橋 泰文君 理事 谷畑  孝君
   理事 宮腰 光寛君 理事 柳本 卓治君
   理事 鍵田 節哉君 理事 城島 正光君
   理事 河上 覃雄君 理事 塩田  晋君
      青山  丘君    甘利  明君
      臼井日出男君    梶山 弘志君
      瓦   力君    木村 太郎君
      田村 憲久君    竹下  亘君
      鳩山 邦夫君    宮澤 洋一君
      森  英介君    赤松 広隆君
      大島  敦君    加藤 公一君
      今田 保典君    伴野  豊君
      坂口  力君    大幡 基夫君
      大森  猛君    金子 哲夫君
      金子 恭之君
平成十二年八月四日(金曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 大石 正光君
   理事 棚橋 泰文君 理事 谷畑  孝君
   理事 宮腰 光寛君 理事 柳本 卓治君
   理事 鍵田 節哉君 理事 城島 正光君
   理事 河上 覃雄君 理事 塩田  晋君
      青山  丘君    甘利  明君
      臼井日出男君    梶山 弘志君
      木村 太郎君    倉田 雅年君
      田村 憲久君    竹下  亘君
      宮澤 洋一君    森  英介君
      赤松 広隆君    大島  敦君
      加藤 公一君    今田 保典君
      伴野  豊君    坂口  力君
      大幡 基夫君    大森  猛君
      金子 哲夫君    金子 恭之君
    …………………………………
   労働大臣         吉川 芳男君
   労働政務次官       釜本 邦茂君
   政府参考人
   (労働大臣官房政策調査部
   長)           松崎  朗君
   政府参考人
   (労働省労政局長)    澤田陽太郎君
   政府参考人
   (労働省労働基準局長)  野寺 康幸君
   政府参考人
   (労働省女性局長)    藤井 龍子君
   政府参考人
   (労働省職業安定局長)  渡邊  信君
   労働委員会専門員     渡辺 貞好君
    ―――――――――――――
委員の異動
八月二日
 辞任         補欠選任
  鳩山 邦夫君     倉田 雅年君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 労働関係の基本施策に関する件

    午前十時開議
     ――――◇―――――
#2
○大石委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 労働関係の基本施策に関する事項
 労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項
以上の両事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、会期中調査を進めたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
#4
○大石委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、吉川労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。吉川労働大臣。
#5
○吉川国務大臣 労働委員会の御審議に先立ち、委員長を初め委員各位にごあいさつ申し上げます。
 現在、我が国の雇用失業情勢は、六月の完全失業率が四・七%、有効求人倍率が〇・五九倍と、依然として厳しい状況にあります。しかしながら、新規求人は増加し、特に情報通信技術や介護関連の分野等においては、本年一月以降、前年に比べ二〇%以上増加しております。このような状況が続いていることから、雇用情勢には改善の動きが見られると考えております。
 私は、従来より安全、安心、安定を確保することの大切さを主張してまいりましたが、労働大臣として、働く人たちすべてが、安全で、安心して、安定して働くことのできる社会の実現に向けて邁進してまいります。このため、次の施策を積極的に推進してまいります。
 第一は、雇用失業情勢の改善の動きをより確かなものとすることであります。
 働く人たちすべてがIT革命の進展に十分対応できるよう、情報通信等の職業訓練の拡充強化に努めてまいります。
 また、ミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策の着実な実施に努め、三十五万人程度の雇用就業機会の増大の現実化を図ってまいります。
 そごうグループの経営破綻に関しましては、関連企業における失業の予防のため、雇用調整助成金の大型倒産等事業主として指定するなど、必要な対策を行っております。今後とも、産業、雇用の動向に十分留意し、雇用の安定のために、きめ細やかな対策を迅速に行うよう努めてまいります。
 第二は、働く人たちが、安全で、安心して働くことができる労働環境の整備であります。
 過労死の予防など、職場における安全と働く人たちの健康の確保に努めてまいります。
 また、労働時間の短縮を推進し、長期休暇制度の普及に取り組んでまいります。
 さらに、個別的労使紛争の増加に対応し、簡易迅速な紛争処理システムの整備について検討を進めてまいります。
 第三は、少子高齢化の進展に対応した高齢者の雇用対策や仕事と家庭の両立支援対策の推進であります。
 活力ある高齢社会を築くため、六十五歳までの雇用を確保できるよう定年の引き上げや継続雇用制度等の導入の促進を図るとともに、将来的には年齢にかかわりなく働き続けることのできる社会の実現に向けて検討を進めてまいります。
 また、育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境を整備するなど、働きながら安心して子供を産み育てることができるようにするための対策を充実してまいります。
 第四は、行政改革の推進であり、来年一月の厚生労働省の発足に向け、関係省庁との緊密な連携のもと、必要な準備に万全を期してまいります。
 労働問題に関する諸課題の解決には政労使の一致協力した取り組みが必要です。このため、良好な労使関係の維持発展、政労使の意思疎通の促進に努めてまいります。
 私は、労働行政を預かる者といたしまして、雇用の安定を初めとする諸課題の達成に全力を挙げて取り組む所存でありますので、大石委員長を初め委員各位の一層の御理解、御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#6
○大石委員長 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として労働大臣官房政策調査部長松崎朗君、労働省労政局長澤田陽太郎君、労働省労働基準局長野寺康幸君、労働省女性局長藤井龍子君及び労働省職業安定局長渡邊信君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○大石委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#8
○大石委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。棚橋泰文君。
#9
○棚橋委員 労働大臣を初め労働省の皆様方には、大変厳しい経済情勢の中、また雇用情勢の中で日夜奮闘されていらっしゃることにまずもって敬意を表させていただきまして、質問をさせていただきたいと思います。
 ただいま大臣のお話にもございましたように、景気は回復基調にあるとは言われるものの、依然として厳しい情勢のままでございます。まして雇用の問題は、仮に景気が回復したとしても景気の回復におくれてくることが一般的でございますので、雇用の問題そして失業問題は、これからがまさに正念場ではないかと思います。
 そこで、まず最初にお伺いをしたいのは、大臣に、現在の経済情勢そして雇用情勢、失業問題について、どのように御認識をされ、何よりもこれから大臣としてどのようなお取り組みをされる御所存であるのか、この点について御見解を承りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#10
○吉川国務大臣 お答え申し上げます。
 現下の雇用失業情勢につきましては、六月の有効求人倍率は〇・五九倍と前月より上昇したものの、完全失業率は四・七%と前月より上昇するなど、依然として厳しい状況にあるものと認識しております。しかしながら、景気の先行指数でありまする新規求人は増加し、特に情報通信技術や介護関連の分野においては、本年一月以降、前年に比べまして二〇%以上増加しております。このような状況が続いていることから、雇用情勢には改善の動きが見られると考えております。
 また、このため、労働省といたしましては、この傾向をさらに促進し、三十五万人程度の雇用就業機会の増大の現実化を図るために、ミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策の着実な実施に引き続き全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
#11
○棚橋委員 ありがとうございました。
 それでは、雇用の問題あるいは失業対策の問題について、具体的に幾つかお伺いをしたいと思います。
 失業の問題、特に失業率等を見てまいりますと、やはり大きな二つの段階があるのではないか。一つは学卒未就職者。そして、特に二十四歳以下の若年層における失業率が高いところでごさいます。もう一つは中高年でございまして、中高年は失業率の問題以上に有効求人倍率の低さ、あるいは一たん離職するとなかなか再就職が見つからない等々の問題を抱えているのではないかと思います。
 有効求人倍率の低い中高年の問題については次に伺わせていただきまして、まずお伺いをしたいのは、学卒未就職者。この方々の問題というのは、特に国の責務が非常に大きいと思うのですが、この点については労働省としてどういう御認識をされ、そしてまた今後どういう政策を考えていらっしゃるのか。それから、二十四歳以下の若年層については、どうしても失業率が高いままでございます。この要因あるいはこの点についてどのように今後考えていくか。この点について御見解をお伺いします。
#12
○渡邊政府参考人 学卒未就職あるいは若年者の離転職についての、失業問題についてのお尋ねでございます。
 まず、学卒の未就職の状態を見ますと、本年の春の卒業生の状況ですが、大卒では約三万人、短大卒では約二万人、高卒では約一万六千人の方が未就職者として現在就職活動を続けておられるというふうな状況になっております。この数は昨年よりも増大をしておるという状況でございます。
 また、若年の離転職の状況を見ますと、三年間でどのくらいの方が就職後離職されるかという統計をとっておりますけれども、この数字が大卒では三三・六%、短大等では四一・二%、高校では四八・一%と、例えば高卒では実に五割近い方が就職後三年の間に一たん就職した会社を離職されるというふうな状況になっておるわけでありますし、若年の失業率も十五歳から二十四歳では既に一〇%近いというふうなことで、大変悪い傾向ですが、欧米先進国並みの若年失業率ということを日本も迎えているわけであります。
 学卒の速やかな就職の問題、若年者の職場定着は大変大きい課題であるというふうに私どもも考えております。特に、学卒につきましては、昨今の大変厳しい経済状況を反映しまして、就職先自体が狭まってきているという大変大きい問題があります。このため、労働行政におきましては、集団面接会をいたしますとか求人開拓を一生懸命やるとか、そういったことで求人の確保に最大限努力しておりますが、一方、学生の意識の問題についても昨今いろいろと言われておりまして、先ほど申しましたような離転職の早さというようなことを考えてみましても、学生が十分な職業意識を持って適職選択をしているか、あるいは職業についているか、こういった問題もかなり大きい問題として昨今指摘をされているわけであります。
 こういった状況にかんがみまして、まず在学中からの職業意識の啓発に努めたいというふうに思っておりまして、これは本来大学あるいは高校などで進路指導の一環として取り組まれている事柄でありますが、労働省といたしましても、文部省と連携をいたしまして、今年度から、初めての試みですが、全国の公立私立を問わず高校一年生、二年生を対象として職業ガイダンスを労働行政の立場から行うという事業に着手いたしました。
 また、従来から大学におきましては文部、通産省と連携をいたしましてインターンシップの事業を始めておりますが、昨年度からは高校生につきましてもこのインターンシップの事業に支援ということを始めているところでございます。
 また、就職が決まらずに卒業された方につきましては、これも今年度初めてですが、大卒三千人、高卒三千人という枠を設けまして、無料で職業訓練を行うことにしておりまして、現在二千人近い方がこの訓練を既に受講中でございます。
 また、事業主の方がまず採用していただいて、その後訓練を行うという枠も一万人程度設けておりまして、こういったこともぜひ活用していただきたいということで考えているわけであります。
 いずれにしましても、若年者は確かに離職も多いんですけれども、再就職も求人倍率も高いということで、従来ややこの面における対策はまだ弱かったというふうに考えておりますが、我が国の失業率の相当の部分を若年失業者が占めているという状況にもかんがみまして、今後とも、未就職者の問題あるいは離転職に対する対応、こういったことについて大きい課題として受けとめて対応していきたいというふうに考えているところであります。
#13
○棚橋委員 ありがとうございました。
 特に、まず学卒未就職者について申し上げるならば、せっかく学校で学んで、そして社会で一生懸命自分の力を試したい、そういう夢を持った若い方々が、自分の能力ではどうしようもない段階で就職ができない、これは大変大きな問題ですし、この点についてはやはり国家の責任が大きいのではないかと思います。ですから、ぜひこの失業対策については最大限の御努力を今後とも払っていただきますことを、まずお願い申し上げます。
 と同時に、若年層全体については、今お話にございましたように、やはり職について長くやっていこうという意識が薄い方もふえております。もちろんこれは一概に否定すべき話ではなくて、いわゆるキャリアアップ型の転職を目指す方もいらっしゃるでしょうし、あるいは自分にふさわしい職業を選択していく過程におけるどうしてもやむを得ない事象というところもあると思います。しかしながら、一方で安易に離職されてまたそれを繰り返すというようなことになれば、これはやはり一つの大きな問題をはらむと思いますので、今お話にありましたような施策を中心に、さらに労働省としても政策の推進を進めていただきますことをお願い申し上げる次第でございます。
 次に、私は多分これが一番深刻な問題ではないかと思いますが、特に中高年の再就職あるいは中高年の失業問題についてお伺いをしたいと思います。
 確かに、完全失業率等でいうならば、若年層の方が中高年よりも一般に高いところが多うございますが、有効求人倍率あるいは一度離職したときに再就職できる可能性等を考えると、中高年の方の失業問題が今一番深刻ではないかと私は思います。先般のそごうグループの問題にしても、あらゆる社員さんあるいは関連の方々がお困りでしょうが、特に一家の世帯主である失業された方の問題というのは非常に深刻ではないかと私は思います。
 いろいろお話を伺っていると、私なりに中高年の再就職を阻んでいる要因を大きく二つ考えるならば、第一点はやはり再就職における年収の大幅ダウン、第二点はやはり職業能力の問題ではないかと思います。
 第一点の問題でいうならば、どうしても再就職をされる場合においては今までいただいていた年収に比べて大幅に年収がダウンするケースが多うございます。一方で、中高年の御世代というのは、決して自分がぜいたくをするために金がかかるわけではなくて、むしろその世代が一番お金がかかるのは、御承知のように一般的には住宅ローン、それから何よりも子供の教育費でございます。
 住宅ローンについてもまた考えていかなければいけないところがございますが、特に、例えば地方に住んでいらっしゃる方がお子さんを東京あるいは三大都市圏の大学に進ませる、そして下宿させる。そうすると、そのお子さんが多少アルバイトをしても、残念ながら相当な部分やはり仕送りをしなければいけない。そういったことを考えると、再就職はしたいけれども大きな年収ダウンでは再就職はとてもできないという、ある意味では悪循環のようなものがありまして、例えば大学における奨学金の問題等も含めて、関係省庁とやはり連携してこういった問題はとらえていく必要があるのではないかと思います。
 それからもう一点は、やはり職業能力の問題でして、例えば土木建設業で二十年間勤めた方がその会社の倒産に伴って新しい企業に移転する。それが例えば情報関係の会社で、そこでいきなり最初からばりばりやるというのは、正直言ってほとんど不可能に近いような状態でございます。
 労働省の方も、職業能力開発については、ここ数年、特に急ピッチでいろいろな制度を整備していただいておりますが、残念ながら一部においてはまだ十分な利用が進んでいないところもありますし、一方ではこれが再就職に必ずしも有効ではないという声も聞くところがございます。
 そこで、考えていかなければいけないのは、特に一番深刻な中高年の方々の再就職対策として、今言ったような年収ダウンの問題、そして何よりも職業能力開発をいかに応援していくか、こういった問題についても関係省庁と連携しながら急ピッチで進めていただかなければならないと思いますが、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。
#14
○釜本政務次官 お答えさせていただきます。
 中高年齢者については、一たん離職すると再就職が非常に困難な状況にありますので、国といたしましては、できる限り早期に就職することができるよう再就職を積極的に支援することとしております。
 具体的には、現在の労働市場における賃金や必要とされる能力についての理解を求めながらのきめ細かな職業相談、職業紹介、求人者に対する個別求人の年齢要件の緩和要請、離職を余儀なくされる中高年齢者が在職中から行う求職活動を支援する事業主への助成、またIT訓練を初めとした専修学校等への委託訓練の活用や、産官学の連携による新たな教育訓練コースの開発、実施等の措置を講じています。
 今後とも、このような対策を十分に活用して、中高年齢者の再就職の支援の強化に努めてまいりたいと考えております。
#15
○棚橋委員 ありがとうございました。
 最後に、今の中高年の方々の年収ダウンのことに関連いたしまして、一つ抜本的な問題について、やはり労働大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
 我が国は、ホワイトカラーを中心に、今までは賃金体系はいわゆる年功序列型賃金体系をとってまいりました。これはいろいろな御批判もございますが、一方で非常にわかりやすく、また労働者にとっては、若いころには比較的苦労するところはありますけれども、とはいえ生涯において収入が非常にわかりやすく、そしてまた生活設計が立てやすい賃金体系でございました。それが、御承知のように、世界的な大競争時代の中で、この体系を維持することが大変難しくなってきて、いわゆる能力給的な側面も含めた賃金体系に変わらざるを得ないようなことが言われております。
 しかし一方で、特にホワイトカラーを中心に一人一人の労働者の能力あるいは仕事の成果の評価というのは大変難しい問題がありまして、例えば、同じ四十代でありながら、なぜある人は年収六百万円であり、なぜある人は一千二百万円なのか。これがまだブルーカラーの世界であれば、比較的成果において見えるところがあるのかもしれませんが、事務職を中心とするホワイトカラーにおいては、どれだけの付加価値をつけたかという評価が非常に難しいと思いますし、今後、年功序列型賃金制度が崩れざるを得ないとしたら、その評価の点においていろいろな議論が巻き起こってくるのではないかと私は思っております。
 実は、賃金体系が変わっていくに当たっては、まず今言ったような評価の問題、それからその後で、今までは年功序列型賃金体系に基づいて生活、特に生涯生活を設計していた一人一人の労働者が、例えば一番資金的に必要な中高年の時期、お子さんが大体高校前後のころ、こういった時期にきちんとした必要な生活費を稼ぐことができるか等々、本質的な問題をはらんでいると思いますが、今回は、特に労働大臣にお伺いしたいのは、今申し上げた年功序列型賃金体系の崩壊の中で、客観的で能力をきちんと評価するような体制を組むためにどのような対策をとられるかということでございます。
 と申しますのは、今申し上げたように、同じ世代、同じ仕事をしているに当たっても、年収で例えば極端に言えば倍の開きがある。当然のことながら、年収が少ない方は不満に思うでしょうし、そして、なぜ自分の年収が同じ世代で同じ仕事をしているのにもかかわらず、彼に比べて少ないのかという不満が当然出てまいります。ホワイトカラーの仕事を中心にこういったものの評価というのは、どうしても最後は上司、同僚、部下等あるいは顧客の方を中心に主観的にならざるを得ない側面があります。
 しかし、こういった問題が主観的になされるということにやはり大きな疑念とそしてトラブルが発生する可能性がありまして、この点においては、そういったものの評価は少しでも客観的に、本人も含めて第三者が、例えばあなたは年収六百万円で、あなたは年収一千二百万円であるということを納得できるような、ある意味ではアカウンタビリティーに近いような制度が必要ではないかと思います。
 そこで、年功序列型賃金制度の崩壊を前提とする中で、特にそういったホワイトカラーの方々を中心に能力給をいかに客観的に評価するか、そしてそれについて労働省として、いかなる方向にこれを持っていき、いかなる政策を行われるおつもりがあるのか、この点について大臣の御意見を伺いまして、最後の質問とさせていただきたいと思います。
#16
○吉川国務大臣 年功賃金は、従来から長期雇用とともに我が国の雇用慣行として特徴的なものと言われてきておりまして、労使双方に長期的な経営、雇用の安定というメリットをもたらしてきたことも事実だと思うのでございます。最近は、高齢化の進展、産業構造や就業意識の変化等の経済社会の変化の中で、能力、実績主義的な賃金制度が導入されるなど、見直しの動きも見られるところであります。
 こうした中で、労働省といたしましても、労働者の自主的な取り組み等を通じて職業能力の開発、向上が図られるよう支援するとともに、労働者の職業能力が適正に評価される仕組みを整備すること等によりまして、働く人一人一人が意欲を持って働き、十分な能力を発揮できるような社会の実現に努めてまいりたいと考えているわけでございます。
 今ほどお話しの議員の考え方は、客観的な能力評価に基づく賃金の決定ができるようにすることが重要だというふうに受け取ったわけでございますが、そのことを完全に充足しているかどうかということについては、まだ大臣になって日も浅いものでございますから十分な御答弁ができませんけれども、今後、労働慣行としてやはり能力主義というものがだんだんに強まるものだというふうに思っております。
 ただ、それ以上のことにつきましては、当局の方から、今どのようなところまで進んでいるかということについて答弁をいたさせますので、よろしくお願いします。
#17
○渡邊政府参考人 今委員御指摘の問題は、私どもも大変大きい問題と思っていまして、今大臣申されましたように、年功序列的な処遇というものが日本の企業の発展に大変大きな役割を果たしたことも事実ですが、このグローバリズムの中で能力給というものが大変大きな脚光を浴びているというか、そういう大きな流れにあることは私どもも間違いないと思いますし、また、雇用の面から見ましても、再就職の際の賃金が、先ほど御指摘のように、極端に言いますと十万から二十万くらいダウンするという状況では、なかなか中高年の開かれた労働市場というのはできないというふうに思っていまして、雇用の面からも能力イコール賃金といった方向に進むことが望ましいのではないかと思いますが、いかんせん、賃金のあり方は労使の中で十分と議論される問題であろうかというふうに考えております。
#18
○棚橋委員 どうもありがとうございました。
 多難な時期でございますが、労働大臣初め労働省の皆様方が労働行政に今後とも邁進していただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#19
○大石委員長 城島正光君。
#20
○城島委員 おはようございます。民主党の城島でございます。
 持ち時間二十五分でございますので、きょうは、IT革命と雇用ということを中心に質疑をさせていただきたいというふうに思っておりますが、冒頭、けさの新聞各紙に出ておりましたけれども、労働組合、特に連合との会見というのですか、政労会見が中止というか今回もないということが報じられていたわけであります。この理由について、政府側の御見解をまず承りたいというふうに思います。
#21
○吉川国務大臣 連合との間については、いささか冷えた関係になっているというか、これについては多くを申し上げなくとも御理解いただけると思うのでございますが、これは私はいいことではないと思っています。それで、やはり当然あるべき姿は政労交渉が年に二度や三度ぐらいあるようでなければならぬと思うのでございます。
 就任して以来、私も表敬訪問をいたしましたし、また連合の会長さんからも我が省へ来ていただきましてお話をいただきまして、その節もやはりこの話も出ましたけれども、やはり物には順序がございまして、私自身が関連しておりまする産業労働懇話会ですか、そのこともまだ終わらない先に、一番トップの総理、官房長官を入れた会談をセットするということはなかなか至難と思いますので、ひとつ順序を踏んでやっていこうという気持ちであることを申し添えまして、このたびは残念ながらお断りさせていただいたわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
#22
○城島委員 百歩譲って、冷えた関係というのは、政党との関係であればある程度理解できるわけですけれども、やはり政府ですからね、国民のすべての面、生活含めて、それこそさっきありました安全、安定、安心ですか、そういう社会をつくっていく役割というのは政府にあるわけなので、どこかとは温かい関係でどこかとは冷えた関係というのは、政府のあり方というか基本姿勢としてはちょっと理解できませんね。
 ですから、政党間において距離が遠かったり近かったりする団体があるというのはよくわかるわけでありますけれども、やはり政府でありますし、また先ほど大臣そのものがおっしゃったじゃないですか、「労働問題に関する諸課題の解決には政労使の一致協力した取り組みが必要です。」全く矛盾した話ではないでしょうか、いかがでしょうか。
#23
○吉川国務大臣 私個人としましては、働く方々や労働組合の皆さんの意見をよく伺いながら行政を進めていくということについては今お話しのとおりでございますが、しかし、やはり会って豊かな実りがある会談をセットしたいということは私としても考えているところなのでございまして、将来ともに政労交渉がなくてもいいなんて、そんなことは申し上げているわけじゃございませんので、ひとつ時期が若干延びるにいたしましても十分な成果が得られるような客観情勢の中で事柄を進めていきたいというふうに思っていることを御理解願いたいと思います。
#24
○城島委員 要するに、その成果というのが何かという面において言いますと、今まさに大臣がおっしゃったような、そういう労働行政をやりたいというところに結びつくというのが成果でしょうから、そうすると、それは当然のことながら、それを成果にするためにも、それこそ世界的にも国際的にも最大の労働組合として認知されている、これだけすべての分野の産業で働く人たちを統合している組織でありますから、そこの意見を聞くというのは、働く人たち、雇用労働者、ある面でいうと六千万人、七千万人という人たちの意見を聞くことと同じですよね。そうすると、それはまさしく労働行政において最低必須というかな、欠くべからざるような対応だと思うのですよ。まさしく大臣おっしゃったように、実り多いものにするためにはどうしても避けて通れない、そういう会見だと私は思います。
 今回のサミットにおいても、G7各国の代表が来られますけれども、少なくともその国を代表するような労働組合と政府との会見がないというのは先進国と言えないのじゃないでしょうかね、今の時代においては。一般的に、どんなことがあっても、やはりそれだけ大きく組織されている労働組合と定期的に政府が意見交換する、仮に意見の違いがあっても、そういうことをするというのは、これは今や二十一世紀に入ろうとしている中で、二十世紀を終わろうとしている中で、百年昔の話じゃないですからね、そういうことが普通に行われる社会の姿というのが今や当たり前のことだというふうに思うのですよ。
 そういう面では、とにかく今回はそういうことになったようですけれども、一刻も早く当たり前の姿に、こんなことをやっていたら日本の社会が海外からばかにされるのですよ、まだそんな非民主的な国なのかということで。そういうことがないように、ぜひ大臣の就任中にそのめどが立つように御努力をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#25
○吉川国務大臣 先ほど答弁したことのまた繰り返しになるかもしれませんけれども、その政労交渉の前にぜひひとつ産業労働懇話会、これはもう二百二十二回もやっているのですね、大変な実績と伝統があるわけでございますから、まずこの点を立ち上げて、そして十分話し合いを持っていきたいというふうに思っておりますし、また、労働組合の代表は各省ともみんな要望事項は持ってきているのですよ。そして、事務次官等が対応させてもらって、労組の意のあるところは全部私も聞かしてもらっておりますので、決して糸が切れたようなもので何ら脈絡もないのだということはないことは、ひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
 私も自分の任期もこの年末までだろうと思っておりますから、十分これは効果が上がるように私は努力していきますので、ひとつ御理解いただきたいと思います。
#26
○城島委員 年末までにめどを立てたいという力強い御決意だと承りましたので、ぜひそういうことで御努力をいただきたいというふうに思います。
 それでは、IT革命と雇用の問題について御質問をさせていただきたいと思います。
 森内閣そのものがこのIT革命というものをこれからの経済の起爆剤ということに位置づけて相当大きな力を入れていただくということはやはり当然だと思いますし、今回のサミットの中でもこのIT革命がいろいろな場面で一つのテーマになったことは当然だろうというふうに思いますが、このIT革命、大変期待する部分もあると同時に、特に労働行政においては、少なくともIT革命が進行する過程においてはさまざまな問題を生じてくると思います。したがって、ある面では問題が生ずる幾つかの部分をしっかりと見据えながら労働行政をやっていく必要があるのじゃないかというふうに思うのですね。
 ITというものが経済活動にプラスになるというような点は、当然需要効果という面から見てそうでありましょうけれども、なかんずくIT革命が進行していく過程においては、雇用面においてはどちらかというとかなり厳しい状況が想定されるというふうに思っております。そういう面で、労働省として特にこういったIT革命の進行と雇用という面についてはどういう御認識をお持ちかを承りたいというふうに思います。
#27
○吉川国務大臣 IT革命が雇用に及ぼす影響といたしましては、企業の情報化投資による業務の効率化に伴い雇用削減が見られる一方で、IT関連ビジネスの成長により新たな雇用が生み出されることなど、雇用へのプラス効果も期待することができると思います。
 いずれにいたしましても、IT革命が雇用面に及ぼす影響について今後とも十分に留意した上で対応する必要があるというふうに認識しております。
#28
○城島委員 具体的に、今プラス面ということをおっしゃいましたけれども、それはそういう部分がもちろんあるわけですけれども、例えば産業面においてもプラスになる産業と、やはり雇用においてかなり厳しい産業も出てくるというふうに思うのです。また同時に、企業内においても、よく言われるように、IT革命が進行していったアメリカなんかを見ますと、特に日本において大きな問題になるのは、幾つかある中での一点目は、何といっても中間管理職ホワイトカラー層、ここが大きく今までの企業の運営からいうと不要になってくる可能性がある。
 先ほど棚橋委員もおっしゃっていましたけれども、アメリカの場合は労働の流動化という問題が日本よりハードルが低かった、それでも失業率が上がってきたということがあるわけでありまして、日本の場合は今まで企業の運営そのものがピラミッド形の中で、特にホワイトカラー中間管理職層というものが極めて大きな役割を果たすことによって、高品質、高生産性の企業体質をつくってきた核となってきたわけですね。
 ところが、IT革命によって今までよりは相対的にこの層が不要になってくる、いわゆる中抜き現象ですか、ということが言われているわけでありまして、この中間管理職層の問題というものがまず第一点目に、雇用面においては極めて大きな問題だというふうに思うわけでありますが、こうした、特に問題となる部分についてはいかがでしょうか。
#29
○渡邊政府参考人 ただいま御指摘のIT化、IT革命等あるいは経済のグローバル化等によりまして、産業構造もこれから大きく変化すると思われますし、また、職種別に見ましても、その従事者の構成に大変大きい変化があらわれるのではないかというふうに考えております。
 昨年の八月に第九次の雇用対策基本計画を閣議決定していただきましたが、その際に、いろいろとこれからの産業あるいは職種の伸びあるいは減というものを試算しておりまして、それによりますと、産業別に例えて言いますと、サービス業というものは今御指摘の情報通信分野あるいは医療とか介護等の分野におきまして増加する一方、製造業は既に一九九〇年をピークに減少に転じておりますが、こういった傾向は今後も続くであろうというふうに見通しております。
 職種別に見ましても、今おっしゃいました中間管理職あるいは管理職、こういった職種は減少し、あるいは技能工や製造業、建設業の作業者、こういった方も減少を続け、専門的、技術的職種等についてこれからふえるであろうというふうな見通しをしているところでありまして、この問題はこれからいわゆるミスマッチの増大というふうなことで大きい問題になってくるのではないかというふうに思っているわけであります。
 既に現在におきましても、事務的職種や管理的職種については、就職の希望者が多い一方で求人は大変少なくて、ここのところの失業率が高くなっているというふうな問題も実際に生じているわけでありまして、産業間あるいは職種間の移動、転換、こういったことについて十分対策を立てませんと、ミスマッチによる失業がさらに増大していくのではないかというふうに見ております。
#30
○城島委員 確かに、今おっしゃったように、企業の中における中抜き現象と同じように、産業全体においても、例えばいろいろな分野での卸業とか、あるいは場合によっては小売業を含めて、それがなくなるというわけではありませんが、IT革命の中で、川上から川下まで見ますと、中抜き現象というのが起こってくるだろう。また同時に、企業においても、よく言われるように、日本の企業の特質であった系列、そういったものがしっかりした中で生産性を上げてきたその系列ということにおいてもメスが入っていくだろうというようなことを考えると、このIT革命が進行する過程においては、それを本当に遂行していくとすれば、場合によってはアメリカ以上に高い失業率が想定されるのではないかというふうに思うのですが、この辺の見解、見通しというのはいかがなんでしょうか。
#31
○渡邊政府参考人 IT革命とこれが雇用に及ぼす影響について、まだ私どもも残念ながら十分に見通しを立てているということではございませんが、今いろいろと言われておりますように、Eコマース等の進展によって卸、小売等が相当な打撃を受けるのではないか、あるいは企業のトップと従業員とが直結していくような問題が起こるのではないかというふうなことがいろいろ指摘をされているわけでありまして、アメリカにおいても、IT化によって雇用が増大する一方で、当初においては雇用が減少するというふうな傾向が見られたところであります。まだ日本は本格的なIT化というのはこれからであろうかというふうに思いますが、そういった変化の中で、いろいろな波を伴いながら、伸びる産業と同時に、職種、産業によっては減少化するあるいは衰退をしていくということは十分考えられるのではないかというふうに思います。
 そういったことで、これから具体的な雇用への影響ということについては十分見通していく必要があると思いますが、私ども、必ずしもIT化というものが一直線に雇用の増大につながるものばかりであるというふうには見ていないところであります。
#32
○城島委員 したがって、場合によってはそういう大規模な失業あるいは倒産ということが今後もIT革命の進展とともに起こってくる可能性を逆に秘めているわけなんで、最終的な姿というか将来方向はそれでいいとしても、その間の備えに対して十分な配慮をしていくのは、これは労働行政がこのIT革命の中において果たさなければならない一番大きな役割じゃないかというふうに私は思っているのです。
 ですから、今ちょっと論議させていただいたようなホワイトカラー中間管理職層の問題とか、あるいは企業系列の問題から派生してくる失業者の問題ということだけではなくて、今までの働き方というものにおいても大きな変化をする。それが既にもう出てきているように、派遣労働あるいはパート労働の増大とか、あるいはテレワークと言われるような勤務形態とかということが当然ふえていくことは十分想定できるわけなんで、そうした新しい働き方、多様な働き方に対して、さまざまな面から労働行政というのはウオッチしていく必要があると思うのですね。安全衛生にしてもそうですし、労災の問題にしてもそうですし、トータルの労使関係においてこれまた非常に大きな、このIT革命が及ぼす影響が出てくるというふうに思うのですけれども、その辺についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
#33
○吉川国務大臣 産業構造の急激な変化や労働者の就業意識の多様化のもと、今後、労働移動の増加が見込まれている中で労働者の雇用の安定を確保するためには、労働者が現に雇用されている企業のみならず、広く産業一般で通用する職業能力の開発、向上ができる仕組みや職業能力を評価する制度が重要であると思います。
 このため、労働省といたしましては、労働力需給の状況等を踏まえまして、専修学校等とも連携して、多様な能力開発を可能とする体制の充実強化を図るとともに、ホワイトカラーを含め、労働者の職業能力を的確に評価できる制度の整備充実に努めてまいりたいと考えております。
#34
○城島委員 全般的なそういう労使関係での目配りということと同時に、今大臣が特にお触れになりましたし、先ほど棚橋委員の質問の中にもありましたけれども、職業能力開発というのが物すごく大きなポイントになると思うのですね。しかもそのことが、ある面では失業率が高まるのを防ぐという意味でも極めて重要になってくる。すなわち、もう労働の流動化というのは避けて通れないわけなんで、それをできるだけスムーズに行うための最大の問題はやはり職業能力の開発であるというふうに思うのですね。それを、どちらかというと、今まではこれも企業内で、今後も企業内の教育ということにおいても重要な役割を果たすとは思いますが、今まで以上に、これは社会的に対応していくということがどうしても大事ではないかなというふうに思います。
 しかも、また同時に、これも先ほど触れられましたけれども、この職業能力の社会的な評価基準というものを持たないと、この流動化に対してはなかなか対応できないのだろうと思います。しかし、先ほど一気に賃金というところで触れられましたけれども、賃金そのものと完璧にリンクするというのは当然なかなか難しい問題だと思いますが、少なくとも、労働力が移動できるような基準として、採用する側も、あるいは自分の能力を判定する側にとっても有効だと思われるのは、やはり社会的な評価基準というものが横断的に確立しているということが極めて大事だというふうに思うのですね。
 私、これは前の労働委員会の中でも指摘させていただいたと思いますけれども、こうした同じような労働力の移動、流動化というものを体験していたヨーロッパあたりはこの問題についてかなり積極的に取り組んできているし、それなりの成果も出しているようでありますので、このことは日本においてそういう面ではかなりおくれをとっているのではないかという認識を私は持っております。
 しかも、この問題こそ、やはり行政あたりが主導的にいろいろな面で働きかけをしていかない限りなかなか難しい問題だと思うので、もう一度、この職業能力の開発及び社会的な評価基準への取り組みについて御説明をいただければというふうに思います。
#35
○吉川国務大臣 テレワークや在宅就業といったITを活用した新しい働き方は、勤労者のゆとりある生活の実現や仕事と家庭の両立に資するものと考えられ、今後その数が増加するものと思っております。
 このため、労働省といたしましては、テレワーク導入マニュアルの作成、配布等を行うことにより、テレワークの適正な労務管理のもとでの普及を図っていくことにしていきたいと思います。
 また、雇用を前提としない在宅就業について、これにかかわる健全な市場の整備を図っております。あわせて、在宅就業のうち経済的に弱い立場にある在宅ワーカーについて、本年六月に、契約条件の明示、適正化のためのガイドラインを策定して周知徹底を図ることにいたしております。
 なお、多様な能力開発が可能となる体制の充実強化を図るとともに、ホワイトカラーを含め、労働者の職業能力を的確に評価できる制度の整備充実に努めてまいりたいと思っております。
#36
○城島委員 ぜひその点については、一点目の問題と同時に積極的に展開をしていただきたいと思います。
 以上で終わります。
#37
○大石委員長 大島敦君。
#38
○大島(敦)委員 民主党の大島です。
 今回初めて当選いたしまして、私の議員生活の一番最初の質問をこの労働委員会でさせていただくことを非常に光栄に考えております。
 先ほどの大臣あいさつの中の積極的に推進していく施策の中で、第三番目に、少子高齢化の進展に対応した高齢者の雇用対策、そして仕事と家庭の両立支援対策の推進を挙げていらっしゃいます。この仕事と家庭の両立支援対策の一つとして、ファミリー・サポート・センターが今労働省の施策の中でございますので、このことについて質問させていただきます。
 私の選挙区なんですけれども、埼玉第六区でございまして、東京から大体四十キロから五十キロ離れているところでございます。私、今四十三歳でございまして、四十代、三十代の方が、まずマンションあるいはちょっと無理をして一戸建てを買われる地域でございます。
 特にこの若い住民の大きな特徴というのは、まず一つが共働きということでございます。もう一つが埼玉都民であるということでございます。私もそうでしたけれども、大体朝七時ごろ電車に乗りまして、一時間半かけて東京に通う。そして七時から八時、九時ごろまで残業して、十時から十一時ぐらいの間に帰ってくる、そのような人たちが非常に多い地域であります。私も大体このような生活を送ってまいりました。特にこの世代というのは、住宅ローンを抱えて、子供を育てながらフルタイムで働く若い夫婦が非常に多い地域でございます。つまり、女性の社会進出の原動力となりました世代が多く住んでいるのが私の埼玉六区でございます。
 ということは、先ほど大臣から御指摘のございました子育てや介護支援策といった早急に解決しなければいけない労働政策や制度上の矛盾とか問題点が非常にあらわれやすい地域でございます。特にこのファミリー・サポート・センター事業について私がこれを初めて知ったときに、非常にいい制度だと思いました。大変すばらしい相互援助事業である、行政主導でもこんなこともできるんだということで、また地域の活性にもつながると思いまして、ぜひ普及促進のお手伝いをしたいと考えていたわけであります。
 ことしの六月十六日に発表になりました男女雇用機会均等対策基本方針案についての女性少年問題審議会からの答申の中にも、今後ファミリー・サポート・センターについては拡充を図るということになっていますが、大臣としては、これは省を挙げて今後ますます拡充に取り組むということと理解してよろしいでしょうか。
#39
○吉川国務大臣 お尋ねのファミリー・サポート・センター、私もこの質問を受けましたときに初めて聞いた言葉でございまして、まことにうかつでございましたけれども。
 聞いてみますと、これは今お話しのとおり、市町村が実施する地域における会員制の育児、介護の相互援助活動を国が補助する事業ということになっているわけでございまして、この事業は、仕事と育児、介護の両立支援対策の重要な柱として年々拡充していかなければならぬし、また、してきたところでございます。
 本年度は百二カ所で事業を実施することが予定されております。
#40
○大島(敦)委員 ありがとうございます。
 私の選挙区、私の生まれた北本市なんですけれども、これは人口七万人でございます。このファミリー・サポート・センター事業は五万人以上の市町村ということで、これは該当しているかと思うのですけれども、先日行われました労働省の説明会に北本市の副支部長が参加したところ、その要件として、まず百人、そして三百人の会員数が必要だということを言われました。副支部長あるいはこれを導入したいと思っている方たちが肩をがっくりさせて帰ってきてしまいまして、この三百人とか百人というのはあくまで規模の目安であって、この数字が自治体にとっては大きな縛りになっているのかなというところをお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
#41
○吉川国務大臣 昨年十二月に少子化対策推進基本方針の具体的な実施計画として策定された新エンゼルプランにおいては、子育てを支援するため、平成十六年度までにファミリー・サポート・センターを百八十カ所に拡大するということになっておるわけでございまして、委員もこのファミリー・サポート・センターというのは非常にいい制度だというふうに評価されておられますけれども、私も将来とも、これは大変いい制度をやってくれたというふうに言われるように、数の面でも施設の面でも内容の面でもよくしていきたいものだと思っております。
 国費を使うものでございまするから、一定の規模あるいは要件というものを皆さんにお願いするのもやむを得ないと思うのでございますが、ぜひひとつ、なるべく多くの住民がそれが利用できますように図っていかなければならぬと思っております。
#42
○大島(敦)委員 時間も非常に押し迫っておりまして、最後になるかと思うのですけれども、この事業について、当初導入するときの百人という規模が各地方公共団体では非常に大きなハードルになっておりまして、特に、その後五年間のうちに三百人まで会員を拡大しなければいけないというのも非常に大きなハードルになっております。
 このような制度導入のときには、最初の百人という縛りはあくまで目安でございまして、まずは導入してみるというのが必要だと思います。初めに条件ありきではなくて、まずは挑戦してみる、そして試してみる、そしてやってみるというのが非常に必要かと思います。その中で、皆さんが非常に使い勝手のいい仕組みに拡大していくことが必要だと思いますので、大臣、そのところ、この百人という縛りが、目安であって、自治体の要望というのを妨げないということをぜひお願いいたします。
 以上です。
#43
○吉川国務大臣 今ほど要望された問題につきましては、役所におきましても十分に柔軟に対応させてもらうということにしたいと思っております。
#44
○大島(敦)委員 まことにありがとうございました。
#45
○大石委員長 伴野豊君。
#46
○伴野委員 民主党の伴野豊でございます。
 私も大島委員と同じく一年生議員でございまして、本日がデビュー戦でございまして、まだ四股も十分踏み切れていない段階で大臣初め皆さん方の胸をおかりするということは大変恐縮でございますが、光栄に感じております。
 質問を二、三進めさせていただきたいと思います。
 まず、きょう御質問させていただきたいのは、昨今の報道についてでございます。本来、政治家同士の議論を促進するという意味では労働大臣にお答え願うべきかもしれませんが、報道の内容と解釈の問題かと思いますので担当局長にお伺いしたいのでございますが、その内容と申しますのは、八月三日付の朝日新聞でございます。もう皆様も御案内かと思いますが、「雇用助成金 廃止の方針」という大きな見出しが出ております。
 浅学非才の私が申し上げるまでもなく、情報というのは発信元と受け手というのがございまして、本来、例えばAという情報を発信したとすれば、それを受け手の方もちゃんとAと解釈してこそ情報発信として生きてくるものでございまして、Aと発信したものをA′と解釈されてみたり、あるいはBと解釈して進んでいったときに、気がついたときにはそんなはずではなかったというようなことが起こってはならないのではないか。そういった意味で、今回のこの報道につきまして、いろいろな事実の解釈の仕方あるいは確認のお話が入ってきております。
 ぜひとも、事務的な解釈で結構でございますので、担当局長の方から、この内容につきましての事実の正誤も含めまして、どうとらえるのが一番正しいのかということをお答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
#47
○渡邊政府参考人 昨日の朝日新聞でございますけれども、来年の六月で期限切れになります特定不況業種雇用安定法の見直しについての記事が掲載をされておりました。
 なかなか失業率が高い状況が続いておりますし、それから、先ほど来議論になっておりますように、産業構造の転換もこれからどんどん進んでいくと見込まれる、こういった中で、最も効果的な雇用対策をどういうふうに進めていったらいいのかということで、現在、助成の重点化あるいは効率化といった観点から、従来の助成策の見直し検討作業というものに、関係審議会であります中央職業安定審議会において着手をいただいたというのが現状でございます。
 そういった御議論の中で、業種ごとの対策が必要かどうか、見直しが必要ではないかといった議論も出ていることも承知をしておりますが、いずれにいたしましても、この雇用対策、雇用助成に関する議論は、これから審議会の中で本格的に公労使の議論をいただくという段階でございます。そういった中で、年内にも御検討いただければという段階でございまして、事務局といたしまして、これを廃止するとかもうやめるんだとか、そういったことを決定したということではございません。
#48
○伴野委員 いずれにしましても、勤労者の立場に立ったわかりやすい制度であるべきかと思いますので、ぜひともそういう方向で御議論等を進めていただければと思っております。
 続きまして、二つ目、三つ目につきましては、直接大臣の方から、個人的見解で結構でございますのでお答えいただければと思っております。
 その一点目でございますが、今の新聞報道等にも関連するのでございますが、先ほどの城島委員のお話にもございましたように、IT革命等々で今後ますます勤労者の流動化というのが進むのではないかと考えられます。日本的な雇用慣行等々につきましては先ほど棚橋委員の方からもお話があったかと思いますけれども、転職とか職をかえるということに対してのいわゆる社会的な抵抗あるいは個人的な気持ちの問題、まだまだいろいろあろうかと思います。
 そういった意味で、私自身も国鉄改革を現場で味わったという経験がございます。その中で一番感じましたのは、一つは、やはり転職をするときの受け皿のお話、さらにはその受け皿へ持っていくまでのいわゆる心のケアといいますか、場合によっては家族まで含んだ心のケアをきっちりしてあげることが、よりよい流動化を促進し、かつ勤労者の立場に立った転職というのが望めるのではないか、そんなふうに考えております。大臣のお考えをお聞かせ願えればと思います。
 いま一点は、これは続きで申しわけないのですが、また繰り返しになるかもしれませんが、先ほどの城島委員のお話にもございましたように、これもきのうの報道、それからけさの新聞報道でもございましたが、やはり政労会見の話でございます。
 確かに諸般の事情ということがあるわけなんでしょうが、このようなことが起こりますと一番困るのは、現場の一番弱い立場にいる勤労者のところに必ずそういうしわ寄せは来るもの、国鉄改革のときもそうでございました。やはり政府は中立であるべきであろうと思います。やはりお立場の強い方からお声がけをしていただくことが一番いいのではないか。
 そういった意味で、これも大臣の個人的見解で結構でございますので、いつごろ再開の見通しであるか、ぜひともそのあたりのところをお聞かせいただければ。
 二点、よろしくお願いいたします。
#49
○吉川国務大臣 まず第一点の、経済産業構造が大きく転換する中で、中長期的に雇用の安定を図りながら労働者が安心して働き続けることができる社会をつくっていく必要があるということは、言うまでもないと思うのでございます。このためには、御指摘のように、IT関連分野等における良好な雇用機会の創出を図るとともに、これら雇用増が見込まれる分野への円滑な労働移動が図られるようにすることが重要であると思います。
 また、労働省といたしましては、経済産業構造の変化に対応した雇用の安定のための支援策のあり方等につきまして、秋以降、関係審議会で御論議をいただきまして、その検討結果を踏まえつつ、必要な対策を講じてまいりたいと思っております。
 それから、第二番目の質問、例の連合との政労会見をいつやるのかというお話でございますけれども、この点については、先ほども申し上げましたように、私も、できるだけ早く正常な関係に戻しまして、その上で総理、官房長官がお出ましになるような場面をつくっていきたい、こう思っておるわけでございます。私一存ですべてができる問題ではないのでございまして、その辺はひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
 それから、強い方から声をかけるのが当たり前じゃないかという、これは社会一般ではそうかもしれませんけれども、この社会では、ミスマッチになってはこれはいかがかと思いますので、開いたら十分効果の上がるような仕組みにしたいものだと今思っておりますので、ひとつ期間の明示はいましばらくの御猶予を願いたいと思うのでございます。
#50
○伴野委員 できるだけ早く政労会見を再開していただきたいと思います。
 最後に、大臣の所信表明の中にもございましたように、過労死ということがございます。多分この何年か雇用状況が余りよくない状況が続くかと思います。労働大臣初め労働省の皆様方、そして我々委員は、多分激務の連続かと思います。我々も過労死の予防に努めたいと思っておりますので、大臣もどうぞ健康に留意されるよう御祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#51
○大石委員長 塩田晋君。
#52
○塩田委員 自由党の塩田晋でございます。
 大臣におかれましては、日夜労働行政の推進のために御努力をいただいておりますことを感謝申し上げます。
 ただ、先ほど御答弁の中で、任期が十二月までだからというお話がございましたけれども、これは謙遜的なお気持ちで言われたことであろうかと思いますけれども、単なる腰かけでなくして、あと数カ月で終わりだというようなことを考えられないで、もっと、労働行政はおれが責任持ってやるんだという意気込みで、来年の一月六日からの省庁再編成による発足になりましても、おれは労働厚生大臣をやるんだというぐらいの意気込みで、ひとつ胸を張って労働行政に取り組んでいただきたいということをまずお願いいたします。これについて、大臣、お考えを。
#53
○吉川国務大臣 ただいま大変私に対して好意のあふれる御質問をいただきましたけれども、私は、確かに十二月までと言ったのは少し言い過ぎたかなと内心反省しているところなんでございます。腰かけでないとか、あるいはお励ましをいただいたことについては、十分その気持ちでおりますことをここに表明いたしておきます。
#54
○塩田委員 雇用失業情勢が極めて厳しい中におきまして、雇用の拡大、失業者の減少を図るということがやはり労働省としては一番大きな課題であると思います。また、これは国民的な喫緊の重大事であると思っておりますが、この雇用の機会を拡大する、そしてまた失業を減少するということのために、ワークシェアリングという考え方はいかがなものかというふうに考えます。
 大臣も労働時間の短縮を推進するということをおっしゃいましたが、このワークシェアリングを推進する観点から、やはり労働時間短縮の一つの方法として割り増し賃金率のアップを図るということ。これも、世界各国の状況を見ますと、日本は非常に低い水準にあると思いますので、これを引き上げていくことは、労働時間の短縮、ひいてはワークシェアリングになるというふうに考えますが、いかがでございますか。
 これは非常に難しい問題でございまして、そう簡単にいくものではないと私も思っております。労使間での十分な話し合い、労使それぞれのお立場における理解がなければできないことでございますが、こういった問題につきましてどのようにお考えか、お伺いいたします。
#55
○釜本政務次官 お答えいたします。
 時間外労働の割り増し率については、平成十一年九月の中央労働基準審議会で、公労使一致して、平成十二年度に改めて実態を調査し、その結果を見た上でさらに検討することとされたところであります。労働省では、現在中小企業を含めた実態を調査しており、その結果を同審議会に提出し、その検討結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと思います。
 なお、法定の割り増し賃金率のあり方とは別に、雇用との関係での労働時間や賃金のあり方については、労使の話し合いを見守り、その合意を尊重してまいりたいと思っております。
#56
○塩田委員 次に、出産や結婚で一度離職した女性の育児終了後の再就職希望があるわけでございますが、このことは、ただ単に経済的理由からだけでなくして、自己実現といいますか、みずからの持てる力を発揮したい、そして生きがいを創造するといった気持ちがある。また、せっかくの労働力を意思と能力がありながら眠らせることのないようにということ。
 一方、将来的な問題ではありますけれども、少子高齢化に伴う労働力不足ということが長期的には考えられるわけでございますが、少子高齢化で、少子というのは二十年たてばこれが労働力の動きにあらわれてくるわけでございますから、さあ足らなくなったから大変だといっても、外国労働力に頼るか何かというのは議論がまた出てくると思いますけれども、やはり基本的には、日本の労働力人口がそんなに激変をしていっては大変な事態になるということも考えられますし、そういった観点も考えまして、将来的な労働力確保という観点からも、離職した女性の育児終了後の再雇用の義務づけをしてはどうかという考えがあるわけでございますが、そういった対策はできないものか、どのようにお考えかをお聞きいたしたいと思います。
 民間では既にK2制度といいまして、Kというのは帰ってこいという、二乗ですね、K2制度というのを提唱し、推進している企業もあるわけでございまして、同じような考え方でございますが、これを一般に法律で定めるような方向で検討をするべきではないかと思いますが、いかがお考えでございますか、お伺いいたします。
#57
○吉川国務大臣 育児等を理由として退職した人の再雇用を事業主に義務づけさせることにつきましては、事業主がどの労働者を雇い入れるかという点について幅広く自由が認められていること、また長期間離職した後の再雇用の処遇等には種々困難な面もあること等を考えれば、慎重に検討すべきものだと思っております。
 それから、育児等を理由にして退職された人の再就職の促進につきましては、育児・介護休業法に基づき、退職前の事業主に対しまして、募集または採用に当たっては再雇用について特別の配慮を行うよう指導に努めること、将来的に再就職を希望する人を登録し、再就職の準備に役立つ情報提供や自己啓発のための教育訓練に対する援助等を実施してまいりたいと思っております。
 今後とも、施策を積極的に展開し、育児等のために退職した人の再就職の促進に努めてまいりたいと思います。
 それから最後に、今委員からK2制度ということについてのお話がございましたけれども、この内容について今詳しく知解しておりませんので、先生の御意見を承ったことにさせてもらって、答弁はひとつお許し願いたいと思います。
#58
○塩田委員 ありがとうございました。
 いろいろな施策を行っておられることにつきましては了解するわけでございますが、先ほど申し上げましたのは、それを一歩進めて法制化するようなことを検討してはどうかということを申し上げたわけでございまして、これは検討事項として御要望を申し上げます。
 次に、定年退職した人について、やはり生きがいの創造、あるいは長期的には先ほど申し上げましたように労働力不足という状況があらわれるという見込みを入れまして、また高レベルの技術、技能を持った方々がおられるわけでございますから、定年退職後であっても労働の意思と能力、知識を持った方々の労働力の活用ということを考える立場からも、また本人の生きがいの観点からも、高齢化の進展の度合い等も勘案しながら、経済情勢等も見ながら、定年退職した方々で六十五歳、七十過ぎても働くのが生きがいだといった人、それで十分に能力が備わっている人、こういう人たちについての活用を考えるためにも、定年退職後のそういった人たちにつきまして、障害者の法定雇用率というのがありますね、そういう制度と同じような考え方で、一定率以上の雇用を義務づけるといったことが考えられないか、このように考えるわけでございまして、いかがでしょうか。大臣はこういう問題につきましてどのようにお考えか、お伺いをいたします。
#59
○吉川国務大臣 高齢者の問題につきましては、まあ自分が高齢者近くなってきたというつもりではございませんけれども、大臣にさせていただきましてから、これは十分意を用いるべき問題だというふうに役所の皆さんにも申し上げているわけでございますし、きょうも、読み上げさせていただきましたあいさつの中で、第三の柱といたしまして、少子高齢化の進展に対応した高齢者の雇用対策や仕事と家庭の両立支援体対策の推進を図っていきたいということも申し上げているわけでございまして、委員今述べられましたお気持ちは、十分私も意を体して、今後とも行政に反映していきたいと思っている次第でございますので、よろしくお願い申し上げます。
#60
○塩田委員 ありがとうございました。
 障害者の雇用対策での法制化をされているこの状況を見ながら、一定率、障害者につきましては官公庁二・一%、民間が一・八、そういった率を設定して、いろいろなペナルティー、ペナルティーと言ったら悪いですかね、拠出金を取ってやっている、そういう制度もあるわけでございますから、そういった制度を参考にしながら、ぜひとも法制化の方向でひとつ今から検討をしていただきたい、このように思いますので、要望いたしまして終わります。ありがとうございました。
#61
○大石委員長 大森猛君。
    〔委員長退席、鍵田委員長代理着席〕
#62
○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 先ほどの大臣の所信に関連して、今日の雇用失業情勢の認識の問題、それと、最悪の状態の雇用失業問題を引き起こしている効率第一のリストラ、それがどういう影響を及ぼしているのか。特に、最近も雪印乳業あるいは三菱自動車の六十数万台ものリコール隠しの問題、これらの問題の背景にやはりリストラがあったということが指摘をされているわけでありますけれども、これは大変重要な問題でもありますので後ほどゆっくり大臣の見解を伺うとしまして、ちょっと順番をかえまして、今緊急の問題についてまずお聞きをしたいと思います。
 大臣、この写真をぜひ見ていただきたいと思うんですが、よろしいですね、委員長。
#63
○鍵田委員長代理 はい。
#64
○大森委員 こういうコンテナのようなわずか五畳の部屋に二十人もの労働者が押し込められ、隔離され、丸一日、朝の八時半から夕方の五時半まで一切の仕事を奪われ、そして何もすることができないという状況なんですね。電気もない、水道もない、ガスもない隔離部屋、真夏の太陽が照りつければ蒸しぶろのようで、入室できない労働者は、そばに駐車している大型のパワーショベルのシャベルの中にいすを並べて座っているというような状況なんですね。
 これは北海道の運送会社小林運輸倉庫で引き起こされている問題であります。これは、組合つぶしをねらった会社側の脱退工作、偽装倒産、全員解雇などありとあらゆる不当労働行為が行われて、そういう中で、先月十三日に不当解雇撤回の判決が札幌地裁で出されて、労働者がその直後に会社に出勤したら、こういうような五畳のコンテナの部屋に二十人の労働者を押し込める、そういう仕打ちが待っていたわけであります。
 二十人もの大の男をわずか五畳ほどの隔離部屋に押し込めて、一切仕事も与えない、何もさせない。こんな人権じゅうりん、労働者いじめ、これはもう絶対に許されないことだと思うんです。いかなる理由があるにしろ、いかなる経過があるにしろ、こんなことは許されないということで、私はまず、大臣の率直な感想をお聞きしたいと思います。
#65
○吉川国務大臣 今、状況を御説明もいただきましたし、また写真も見せていただきましたけれども、確かに異常な状態であるということについてはよくわかりますけれども、何かその割には、にこやかな顔をして写真に写っているところを見ますと、それほど深刻でもないのかなというふうな気にもなりますし、大体、このことについてはもう法のもとになにをさせてもらっているわけでございますから、ここで余りコメントをすべき問題でもなかろうと思っているのですけれども、いかがなものでしょうか。
    〔鍵田委員長代理退席、委員長着席〕
#66
○大森委員 大臣、労働基準法というのは、人たるに値する生活を営む最低の基準を設けるということで、人間としての扱いをきちんと受けるというのが最大の前提であると思うんです。五畳の部屋に二十人の大の男が押し込められて、写真とかでは、当然それは労働者ですから楽天的な顔も出すでしょう、そういうことだけでそんなことをおっしゃってはいけない。これは直ちに是正されなければならないことだと思うんです。
 労働省として調査に入り、是正をさせるということをきちんと言明していただきたいと思います。
#67
○野寺政府参考人 今先生御指摘の小林運輸倉庫の問題でございますけれども、適正な労働条件の確保ということであろうかと思うのです。
 労働者十名から平成十二年五月に賃金不払いに係る申告がございました。所轄の労働基準監督署において現在調査、処理を行っているところでございます。今後、こういった労働基準関係法令上の問題が認められた場合は、その是正にまず努めてまいります。
 また、先生御指摘の、五畳のコンテナハウスに二十人が押し込められ隔離されているということでございますが、これにつきましては、その撤去について訴訟が現在提起されているということでございますので、そういう意味で、行政としてはとかくの関与は差し控えたいというふうに思っております。
#68
○大森委員 大臣も異常な事態ということはおっしゃったわけでありますから、厳正に対処していただきたいと重ねて要求をしておきたいと思います。
 次に、先ほども所信の中でありましたけれども、雇用問題の点からも、また労働者の安全あるいは安心という点からも、私ども、サービス残業を根絶する問題にこの間一貫して取り組んでまいりました。さきの国会では、サービス残業根絶法案、こういう法案も提出をしたわけでありますけれども、ことし二月二十一日の予算委員会の質問で、会社の労働時間管理責任があいまいにされている、このことがサービス残業蔓延の大きな要因ではないかという指摘をいたしまして、当時の牧野労働大臣は「御心配になるようなことがあちこちで行われているというのが実情であれば、さらに監督署を通じて、現在の実情は具体的にどうなのかということを再度調査させていただき、検討いたしたいと思います。」と答弁をされました。
 労働省はこれを受けて、この春、フレックスタイム制を導入している電機産業の事業場に対してサービス残業の実態について監督指導を行いました。牧野労働大臣の答弁に基づいて行われたものとして評価をするわけでありますけれども、その調査の概要について、幾つの事業場に対して行い、そのうち是正勧告がどれだけ、指導はどれだけ行ったか、端的に御報告をしていただきたいと思います。
#69
○野寺政府参考人 今般、電気機械器具製造業におきますフレックス制につきまして、これは自己申告制という形と組み合わされておりますので、そういった形をとっております主要企業二十二事業場につきまして立入調査を行ったわけでございます。
 二十二事業場のうち十三事業場におきまして何らかの意味で労働基準関係法令の違反が認められたという実績でございました。主な法令違反でございますけれども、労働時間を定めました労働基準法三十二条あるいは賃金台帳を定めております百八条、これらに関する違反がそれぞれ六件ということでございまして、大変多かったわけでございます。続きまして、割り増し賃金を定めております三十七条の違反が五件といった実態でございました。
 そういうことで、これにつきまして是正勧告をいたしたわけでございます。これにつきましては、それぞれ期限がございますので、その期限内に改善されるということを期待しているわけでございます。
#70
○大森委員 是正勧告を行ったのが十三事業場。指導をしたのが何事業場ですか。
#71
○野寺政府参考人 立入調査した事業場は全部で二十二事業場なのでございますけれども、そのうち法令違反が認められたのは、十三事業場です。また、労働時間管理等について指導を行った事業場が十四事業場で六三%強です。それから、是正勧告、指導の双方または一方を行った事業場が十六事業場、七二%という実績でございます。
#72
○大森委員 調査に入った事業場のうち七二%に対して是正勧告あるいは指導をしなくてはならないということは、本当に大変な実態であることが明らかになったと思うんです。監督指導結果の報告書はいただいておりますけれども、この中で「自己申告による労働時間の把握が適正に機能していない状況が見られる。」という記述があります。このことは大変重要な問題であると思います。
 私は、二月の予算委員会の質問で、サービス残業が蔓延している原因としてまさにこのこと、労働時間の自己申告制度及び使用者による賃金台帳の不実記載、虚偽記載を指摘して、こうしたことを明確に禁じていない法律の不備を正すよう求めたわけであります。
 そこでお聞きしますけれども、三十七条違反、これは残業したのに割り増し賃金を支払っていないということで是正勧告を行っておりますけれども、具体的にはその中身はどういうことだったでしょうか。
#73
○野寺政府参考人 結局、自己申告に基づきます労働時間が、出退勤の状況を示すデータ、例えばタイムカードですね、そういったものと相違しておりまして、その結果、実際の時間外労働よりも少ない賃金が払われているのではないか、こういうことでございました。
#74
○大森委員 つまり自己申告の残業時間が実際の労働時間ではなかったということなわけですが、なぜそういうことになったのでしょうか。この回答書の中でも指摘をされておりますけれども、それはどういうぐあいに指摘しているでしょうか。
#75
○野寺政府参考人 二つ主な理由があると思うのです。一つは、自己申告制度というものが、一定時間、つまり割り増し賃金も含めた賃金を払う予算そのものが既に決められている、したがってその中で働いていただく、こういう制度であるということ、それから、会社内の通達で時間外労働を削減すべしという趣旨の通達があるんですが、その通達の中で自己申告時間を一定時間内にとどめればいいという趣旨に解釈された可能性がある、こういった二つのことが主な理由ではないかというふうに思っております。
#76
○大森委員 報告書の中ではまだありますよ。一定の時間外労働時間を超えると賞与の減額がある、きちんと残業時間を申告するとボーナスが減らされる、こんなひどいことが行われていることが明らかになったわけですね。今言われた点、そして今私が追加した点、いずれも私どもがこれまで指摘をしてきたことであります。こうした事態を解消するためには、やはり自己申告制度に任せていてはだめだということがはっきりしたのではないかと思います。
 では、再発防止のためにどうするのかということで、使用者が労働者が働いた時間を正確に把握することが必要だということになるわけなんですが、そこで、労働省の方はこの調査を受けて日本電機工業会に指導文書を出したわけですね。その趣旨は、フレックスタイム制については、労働日ごとの始業、終業の時刻及び労働時間の長さを使用者が把握することが当然の前提となっており、こうした労働時間の把握を厳正に行い、それに基づき適正に賃金台帳の記入を行うこと、こういう指導をされたと思うわけなんですが、これは、労働時間の正確な把握のためには、例えばタイムカード、こういうものの利用を義務づけるというようなことを労働省としては考えておられるでしょうか。
#77
○野寺政府参考人 労働基準法上明文で規定しておりませんけれども、労働基準法上の諸条文を考える限り、事業主はまず労働時間管理を適正にするということは当然の前提として予想しているわけでございます。そういった前提に基づきまして、賃金台帳という形の中に時間外労働等も明確に記載するという規定になっているわけでございまして、こういったものを十分施行することによりまして、今先生御指摘のような問題は解消されるというふうに考えております。
#78
○大森委員 そういう答弁では、今度何のためそういう調査をやったのか、全くこれは生かされないことになると思うのですね。今度の調査の結果は、賃金台帳に記載されていた時間が実際の労働時間とは違っていたということが大きな問題であるわけですね。労働省の方も、今度の報告書の中で、労働日ごとの始業、終業の時刻及び労働時間の長さを使用者が把握することが当然の前提となっており、こうした労働時間の把握を厳正に行い、それに基づき適正に賃金台帳の記入を行うということを改めて明らかにしているわけですね。
 ですから、現行法のもとでこうしたことを使用者に強制できないということであれば、結局、現行法のままでは同じことが繰り返される。予定しているはずだと言っても、現実は労働省の期待には全く現場の職場はなっていないわけです。そこで、どうですか、その点は。
#79
○野寺政府参考人 繰り返しになりますけれども、賃金台帳は、これは法令で定めることでございまして、今申しました時間外労働の時間数等も記載することになっているわけでございます。
 先生御指摘のように、虚偽記載、これにうそを記載した、そのこと自身だけでは処罰の対象になりませんけれども、そういった誤ったあるいは間違った記載をしたものを監督官に提示するということになりますと、これは罰金の対象になるわけでございます。したがいまして、担保措置としては十分であるというふうに考えております。
#80
○大森委員 私は処罰のことを言っているわけじゃなくて、今回電機工業会にもお願いの文書を出したわけですが、実は、労働省としてこういうお願いの文書はこれが最初じゃないのですね。平成八年にも、当時、松原労働基準局長の名前で日本経営者団体連盟に出したわけですね。この中でも結局お願いしかしていないわけですよ。きちんと法律的に整備されておればその法律を守らせればいいわけなんですが、それが不備なために、サービス残業が行われることのないよう適正な労働時間管理を行うようお願いしますと繰り返しても、結局何ら改善が見られないわけであります。
 そこでお聞きしますけれども、労働省は今度どうやって実際の労働時間と違うんだということを発見したのでしょうか。
#81
○野寺政府参考人 それは、先ほどちょっと申し上げたのでございますけれども、タイムカード等の実際の事業所からの出退勤の時間を刻印したものと賃金台帳の記載が相違しているということが発見の端緒でございました。
#82
○大森委員 そうすると、タイムカードと相違していたということだけですか。
#83
○野寺政府参考人 もちろん労働者御本人等にもいろいろ聞いておりますし、会社の方にも聞いておりますが、基本的な証拠になったものは今申したとおりでございます。
#84
○大森委員 そうすると、適正な時間を把握する上でタイムカードが有力、これは当然のことですが、それを義務づける、法律的にそれをきちんと明確に位置づけるということが一つ必要だと思います。
 それともう一つは、この報告書の中で、それはおっしゃいませんでしたが、なぜ実際の労働時間との違いが発見されたか、これは巡回記録ですね、警備の方その他の巡回記録。こういうものをもとにしてしか違いが発見できなかった。これは本当に問題だと思うわけですね。今後ともこういう警備会社の巡回記録に頼らなくてはならないのかということになるわけですよ。いかがですか。
#85
○野寺政府参考人 先ほど申しましたとおり、事業主は、本来、賃金台帳に正しい記載をすべきことになっておりまして、それが罰則で担保されているということでございますので、この制度を厳格に適用することによりまして違反は防止できるというふうに考えております。
#86
○大森委員 平成八年のこういう通達以降も七割に及ぶところで是正勧告あるいは指導を要するような職場があったというのが現実なんです。ですから、そういう意味では法的な整備をきちんと……。正しく記入しているはずだと、はずでなかったということが明らかになったわけなんです。ですから、ここで一歩前に出なくてはならないと思うのです。
 労働大臣、そこで、先ほど紹介した、牧野労働大臣は、調査の上労働時間管理の法的義務を負わせる労働基準法の見直しについて検討を約束したわけでありますから、労働時間管理、正確な把握、その義務づけについて法的措置を講じるということで検討を始めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#87
○吉川国務大臣 使用者が労働者の始業、終業の時刻などを把握することにより労働時間を算定し、これが労働基準法の規定に違反しないようにすることは、もとより同法の予定するところであります。
 使用者が把握した労働日数、労働時間や時間外労働時間数については、労働基準法第百八条において、賃金計算の基礎となる事項の一つとして賃金台帳に記入することが使用者に義務づけられております。
 また、労働基準監督官に賃金台帳の提出を求められた場合に、使用者が時間外労働時間数について虚偽の記載をした賃金台帳を提出することは、労働基準法第百二十条第四項の規定により罰則の適用があります。
 このような法体系のもとで、厳正な監督指導を実施し労働基準法の履行を図ることにより労働時間の適正な把握を担保することが可能であると考えていますが、御指摘の答弁を踏まえ、現在、労働時間の実情を把握するための調査を行っているところでございます。
 以上、御報告いたします。
#88
○大森委員 先ほどの局長の答弁でも大臣の答弁でも、賃金台帳等に適正な時間が記載されているはずだ、そういうことが予定されていると言っても、現実には七割の職場でそういうことが全然やられていないということが明らかになっているわけですね。しかもこの報告書でも、これは単に今回の監督指導の対象とした事業場だけの問題にとどまらず、フレックスタイム制及び自己申告制を導入している広範囲の事業場において同様の問題を抱えておるということになっているわけですね。こうやって調査に入ったところで七割だと、さらに広範なところで七割同様にやられている。
 やはりサービス残業をなくせば九十万人の雇用を確保できるという研究団体の指摘が裏づけられたようなものだと思うわけですね。そこにこういうサービス残業が蔓延している最大の理由がある。今労働省が幾ら、予定している、正しく記載されているはずだと言っても、現実にはそれがやられていない。その最大のネックとなっているのが、例えばタイムカードですね、こういうものの設置が義務づけられていない、法的な欠陥にあるということは明らかだと思うんです。
 ですから、大臣、先ほどありましたように、調査の上検討するというさきの牧野労働大臣の御答弁であったわけでありますから、ぜひこの方向で御検討をいただきたいと思います。重ねて御答弁をお願いします。
#89
○野寺政府参考人 大臣からは先ほど御答弁申し上げたわけでございます。
 大臣の御答弁の中で、現在労働時間に関する調査を行っているという話がございましたが、この調査は今年中に終了するというふうに考えております。その結果を待ちまして、今大臣の御答弁にありましたようなことを考えてまいりたいというふうに考えております。
#90
○大森委員 サービス残業というのが、雇用の問題だけではなくて、お話にもありましたような過労死あるいは過労自殺、その大もとにもやはりこのサービス残業、時間の管理があいまいになっていると、これは最高裁でも指摘をされたところでありますけれども、そういう点でぜひ労働省が一歩前に踏み出した検討を行うよう、強く要求をしたいと思います。
 最後に、冒頭に申し上げましたリストラと安全の問題について大臣の見解をお聞きしたいと思います。
 先ほどの三菱自動車工業のリコール隠しの問題でも、三菱自動車については昨年末に一万人の人員削減計画、こういうものが発表され、リストラ促進のあの産業再生法、その適用も受けました。そして各新聞も、リストラのやり過ぎだというのがこのリコール隠しの背景にあるわけですね。私どもも三菱自動車で働く皆さんの直接の生の声も伺いましたけれども、例えば今回言われたブレーキホースの液漏れ、こういうのは信じられないような問題だということを言っているわけですね。現場の熟練労働者がリストラでいなくなったために起きたのではないか、こういう指摘もされているわけであります。
 この間の雪印の場合にも労基法違反あるいはさまざまなリストラが行われていたわけでありますけれども、これらの問題をめぐって各国のマスコミも、例えばイギリスのフィナンシャル・タイムズあるいは韓国の朝鮮日報、アメリカのロサンゼルス・タイムズと、リストラのやり過ぎがいわば品質の低下、安全問題、衛生問題の軽視、こういうことを引き起こしているんじゃないかという報道がされたり論評がされたり、さらには、ジェー・シー・オーの事故以降、日経連の奥田会長なども、HIIロケットやジェー・シー・オー事故あるいは山陽新幹線のコンクリートの落下事故等々、物づくり日本としての非常な危機感を感ずるということを述べて、その原因が、人員削減のしわ寄せというようなことを記者会見でわざわざおっしゃっているような状況なわけですね。
 ですから、リストラ、これはいろいろな面でいろいろな悪影響を及ぼしているわけでありますけれども、安全を確保する、これは労働者の安全、安心の問題であると同時に、国民全体の安全にもかかわる問題であると思うのです。
 そういう意味で、私は、労働大臣として、こうした効率第一のリストラが安全を脅かしている、そういう面から、今日の各職場におけるリストラについて、新たな解明あるいは検討を行うことが必要じゃないかということで大臣の見解をお聞きしたいと思います。
#91
○吉川国務大臣 今お話にもありました雪印における食中毒事件や三菱自動車のリコール隠しの事案が、いわゆるサービス残業やリストラと結びついているかどうかということについては、私自身、定かには承知しておりません。
 いずれにいたしましても、労働省といたしましては、適正な労働条件を確保した上で事業活動を行うことは当然のことと考えており、労働基準関係法令違反が認められる場合には、その是正に努めます。
#92
○大森委員 では、もう時間ですので終わりますが、承知していないということは、私は、大臣として極めて不見識、見識を欠く発言であると思います。
 これは例えば当日の新聞で「リストラしすぎ」という見出しで出ていますよ。安全忘れたリストラ、こういうことがあれば、労働大臣たる者、まずきちんと調べるべきじゃないですか。承知していない、それでリストラは必要だというような発言は、私はとても労働大臣としての発言とは思えません。このことを申し上げて、私は質問を終わりたいと思います。
#93
○大石委員長 金子哲夫君。
#94
○金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子哲夫でございます。
 私も初めての国会ということで初めての質問になりますけれども、初めてということもありますので、これまでの経過等を余り知らないままに質問する点もあると思いますけれども、労働行政全般にわたっての考え方についてお聞きをしたいと思います。
 私はまず最初に、先ほど幾人かの委員の皆さんの質問の中にもありましたけれども、IT革命ということが森総理の所信表明でも強く言われております。世界全体の趨勢の中でIT革命が進んでいく、また、これが非常に重要なことになっていくということは私もわかるわけでありますし、大臣もごあいさつの中でそのことをお話がございました。そういう意味では、このIT革命というものが、労働行政といいますか労働界全体、労働の側に与える影響というものについてぜひお聞きをしたいというふうに思っております。
 もう二十年前になりますけれども、私はデータ通信の仕事を十年ほどやっておりまして、現在のコンピューター関係の仕事というのは当時の予測を超えるスピードで進んでおりますので、必ずしもそのときのことがすべてに当てはまるとは思いませんけれども、当時ですら労働者にとって大変大きな影響が出たというふうに、私自身が仕事をしながらそういうことを感じたわけでありまして、ぜひその点についてお話をお聞きしたいと思います。
 とりわけ最近の状況というのは、二年、三年といいますか一年のスパンの中で、我々の生活の中に占める割合といいますか、その技術というものが急速に進んでいるわけでありますから、先ほどの答弁のような、現在その影響について調査をするというような段階をもう超えて、早急に手がけなければならない課題になっているというふうに私は考えておりますので、ぜひとも答弁をお願いします。
#95
○吉川国務大臣 IT革命が雇用に及ぼす影響といたしましては、企業の情報化投資による業務の効率化に伴い雇用削減が見込まれる一方で、IT関連ビジネスの成長により新たな雇用が生み出されていることなど、雇用へのプラスの効果も期待することができると思います。
 その際、職業能力に関するミスマッチの発生も懸念されるところでありますが、働く人すべてがIT化に対応できるようにすることを目指した対策の推進によりまして、こうしたミスマッチの解消を図ることが重要であると思います。
 具体的には、あらゆる職業分野の労働者がパソコン等の操作能力を向上させることができるよう、公共職業能力開発施設での訓練や専修学校等での委託訓練等により十分な教育訓練機会を確保するとともに、情報通信分野の求人の増加に対応する高度な人材育成のための訓練コースの開発、拡大について検討してまいりたい、こう思っております。
#96
○金子(哲)委員 今の答弁はそれはそういう答弁でしょうけれども、実は私は一つだけ指摘しておきたいのは、新たな情報産業の中に雇用が拡大されていくということを非常に強調されて皆さん一様に言われるわけでありますけれども、しかし、その雇用の中身というのは一体どういう状況かということをぜひ考えていただきたいと思うのです。
 私自身が仕事をして経験することでありますけれども、今も一生懸命私と同じ年齢で働いていらっしゃる皆さんもおられるわけで、そのことについては十分承知をしておりますけれども、残念ながら、実際上の問題として、情報産業の中で、とりわけソフト部門においての労働者の平均年齢というのは、私は三十代前半だというふうに思っております。三十代後半からその作業につくということは、困難とは言いませんけれども、適応性等々の問題が出てまいりますので、情報産業に一様に雇用が拡大をしていくところだけ強調されることなく、その点については、やはり現場における雇用の状況、労働者の年齢状況、そういったものを十分把握しながら労働行政においては対応しなければならないのではないかということを私は申し上げておきたいと思います。
 続いて、雇用の問題について幾つか御質問を申し上げたいと思います。
 私も選挙をしたわけでありますけれども、選挙前には、昨年は景気がプラスに転じたということが報道されております。しかし、選挙の中で有権者の皆さんと接してみても、景気の回復感というのは、実際には、地域へ出ても生活の中でもほとんど感じられていないのが今の状況であります。
 私どもは、雇用のない景気回復というのは、景気回復と言ってもそれは国民生活にとっての本当の意味の景気回復ではないということを常々申し上げております。残念なことに、六月の失業率もまた大変高い数字を示しておりまして、私自身としては、そういう意味で、この雇用問題をぜひ解決していくことによって消費の拡大も図っていく、そういったことこそ景気の回復につながるということを申し上げたいと思います。
 そして、雇用の問題になりますと、失業率また完全失業者、そういう数字でどうしてもあらわされるわけであります。もちろん今失業状態に置かれている皆さんの問題は当然でありますけれども、同時に大きな雇用不安の原因になっておりますのは、今働いていらっしゃる皆さんが、本当にこのままこの職場で働き続けることができるだろうか、このことが雇用不安のかなり大きな部分を占めているというふうに私は思っております。
 昨年来、大企業を中心にしてかなりの企業がリストラ計画を相次いで発表しておりまして、我々はマスコミを通じてそれを知るわけでありますけれども、トータルすれば十万人近い数になっておるわけであります。そして、日本の産業構造の関係でいえば、二次、下請、孫請、そういうところに必ずその影響が出るというふうに言われておりますから、十万という数はもっと大きな数になるというふうに思うわけであります。
 しかもその計画というのは、今景気がよくなっていると言われても、残念ながら、発表された時点では二〇〇三年とか二〇〇四年とか、二年先、三年先の将来にわたってまだリストラが進んでいくということをこの計画の中では言われているわけでありまして、もしこのままこのリストラ計画が実施されるということになれば、さらに、景気の回復どころか働く人たちにとっては大変大きな影響が出るというふうに私は考えております。
 その意味では、今、これらの企業のリストラ計画が発表されて既に一年以上たっている企業もあるわけでありますけれども、どれぐらい進展しているのだろうか、そういうことを把握されているかどうかということをまずお聞きしたいというふうに思います。
#97
○松崎政府参考人 労働省といたしましては、従来から、労働問題を中心にいたしまして、産業界との情報交換の場というのを設けております。そういった場におきまして、産業界の抱えております労働問題を中心とした課題、それから状況の把握といったものを行っております。
 また、新聞とかマスコミ等によりまして個別の情報といったものもございます。そういったもののうち、特に雇用に大きな影響を及ぼすおそれがあるようなものにつきましては、直ちに企業の人事担当の幹部に連絡をとりまして、その具体的な問題の状況、計画、それから雇用調整を含む場合にはその計画と内容、そういったものについて情報の収集というものに努めておるところでございます。
#98
○金子(哲)委員 今状況を聞いたわけですけれども、先ほど言いましたように、一番大事なことは、とりあえず失業者に対する対策も当然のことでありますけれども、これからの雇用不安というものをどうしても解消しなければならない。
 そして、商法の改正なども先般の国会で行われたわけでありますけれども、私は、これから、企業がただ景気が悪いとかそういう理由だけによって労働者が一方的に解雇されていく、リストラを受けていくというような状況をぜひストップさせなければならない。そういう意味では、やはりそういう企業の都合によったり組織の変更などを理由とした解雇が一方的に行われないような、解雇を制限する法律などというものをぜひ早急に制定をして、これ以上の雇用不安というものを拡大をさせていかない、そういう方向を目指すべきだというふうに考えておりますが、どのようにお考えでしょうか。
#99
○吉川国務大臣 解雇につきましては、その理由、態様等は多様であることから、いわゆる整理解雇の四要件や合理的な理由を必要とするという判例の考え方を踏まえて、具体的な事情に応じまして労使間で十分話し合っていただくべきものと考えております。また、一律に解雇を規制するような立法措置は適当ではないと思っております。
 労働省といたしましては、今後とも、解雇にかかわる判例等の考え方の周知を図ってまいりますとともに、解雇にかかわる労働者と使用者との間の個別紛争については、紛争当事者から申し出があれば、都道府県労働局長が適切な助言または指導を行ってまいりたいと思っております。
#100
○金子(哲)委員 時間もありますので、次に、今失業されている皆さんに対する対策の問題についてお聞きをしたいと思います。
 今失業者の皆さんの問題が大変重要な問題になっているということは先ほど来指摘されているとおりでありますが、とりわけ再雇用にかかわる問題であります。
 残念ながら求人倍率も非常に低いということで、非常に大変な状況になっているわけでありますけれども、私ども社民党は、先般の雇用保険の改正の際に、給付期間のさまざまな問題もありまして、さまざまな職業状況、労働状況の変化に対応した失業給付にかかわる訓練延長給付の拡充というものを提案してまいりましたけれども、これらについての現状の検討状況があればお答えをいただきたいと思います。
#101
○渡邊政府参考人 さきの通常国会で、雇用保険法の改正の審議の中でいろいろと御指摘をいただいております。
 この訓練延長給付の制度ですけれども、特に中高年の方を中心にしまして、再就職が難しい方には、公共職業安定所長が訓練の受講の指示をいたしますと、その期間は訓練を受けながら雇用保険の給付期間も延長されるということで、特に中高年の方の再就職について大変意義のある仕組みであろうというふうに思っております。
 そういうことで、公共の訓練のみではなかなか、量と質といいますか、受け入れに制限があるということから、民間の訓練機関への委託ということも積極的に行いながらこの訓練延長給付の制度を活用することとしておりまして、実績で申しますと、十年度は六万人でありましたところ、十一年度は十二万人に訓練対象者もふやしておりまして、今年度さらにこれをふやすこととしておることで量的にも拡大することにしておりますし、また、本年の五月に策定をいたしましたミスマッチ解消のための雇用対策におきましても、特にIT関連分野を中心にしまして訓練職種も拡大をしていく対策をとっているところでありまして、引き続きこの制度を活用しながら、特に中高年の離転職について万全を期していきたいと考えているところであります。
#102
○金子(哲)委員 ダブるような質問になると思いますけれども、一つは、私は、今おっしゃったとおり、IT関連関係もあって訓練内容等が非常に豊富化されているということをお聞きしておりますけれども、私も最近そういう訓練をお受けになった方のお話をお伺いいたしております。
 とりわけ中高年の皆さんの場合、率直に申し上げて、私自身もそうでありますが、私は、先ほど言いましたように、若いときに少しコンピューターに関連していたものですから少しの知識があるものですからあれですが、しかし実際上、四十代の後半から五十代に新たにそういう訓練を受けても、使うことはできるけれども、使いこなすという領域にまでは、期間的な問題もありまして、今の訓練の中でなかなかいかない。しかも、私がお話を聞いた方も、それはもう本当に血のにじむようなと言ったらあれですけれども、訓練所だけでなくて自宅に帰っても一生懸命訓練をして何とか適応して、新しい職業といいますか、新しい雇用の場につきたいという思いで本人も一生懸命されております。にもかかわらず、そこで受けた訓練の修了程度の能力で本当に新たに次の企業が雇用をしていくのだろうかということが、実際上の問題として、現実の問題として私はやはり厳然としてあるのではないかというふうに思うわけであります。
 そういう意味でいいますと、しかもまた、今までの仕事で自分の持っていた地位とかこれまでの経験からかなりかけ離れた仕事で訓練を受けるというのが今の状況でありますから、私は、要望でありますけれども、やはりそういう中高年、とりわけ中高年の対象者が多いわけでありますから、中高年の皆さんがこれまで蓄えてこられた力とかそういう人たちの経験とかそういったものが、よりその訓練を通じてさらに広がっていく、そしてそういう人たちが自信を持って新しい職場を選択できるような、そういう立場で優先的にそういう中高年対策というものをさらに進めていくような姿勢というものがこれから労働行政の中で鮮明になっていくことが大事ではないかというふうに思っておりますので、ぜひそういう方向について検討していただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
#103
○釜本政務次官 今お話にもございましたように、中高年齢者については有効求人倍率が依然として低い水準にある中、非常に厳しい雇用情勢が続いております。一たん離職しますと早期の再就職がなかなか困難な状況にあるということは、申すまでもないことであります。
 そういった中で、このたび労働省としましては、中高年齢者が変化に対応しつつ、その希望や適性に応じた職場に早期に再就職できるよう、IT訓練を初めとした専門学校等への委託訓練の活用や、産官学の連携による新たな教育訓練コースの開発等により、多様な能力開発を実施できる体制の充実強化を図っているところです。また、あわせて、きめ細かな職業相談、情報提供等を行い、再就職を積極的に支援してまいりたいと思っております。
#104
○金子(哲)委員 それでは今度は、今ちょうど概算要求の時期ということもありますので、私は、非常に具体的な問題でありますけれども、ぜひお願いをしたい点を要望させていただきたいと思います。
 といいますのは、通勤費に対する非課税扱いの問題でございます。これは労働省だけの問題ではありませんけれども、ぜひ取り上げていただきたいと思うのです。
 今、正規に雇用されている労働者については、月額十万円を限度にして非課税扱いとなっております。御承知のとおりだと思います。私も、この限度額を上げるときには、地域におりまして要望した一人であります。統廃合によりまして広域配転が行われて、新幹線通勤が自由にできるというようなこともありまして、通勤費がべらぼうに上がっていった時期がありまして、それが課税されるということで、このことを要望して、これが限度額を上げるということで実現したわけでありますけれども、非正規の労働者の場合には、通勤費が、別建てになっている会社もありますけれども、ほとんどのところが別建てにならずに給与の中に組み込まれている、そういうような実態があるわけであります。実際上は通勤はしているわけでありますから、給与から通勤費を捻出しているということになっております。
 率直に言いまして、なかなか低いベースでの給与で働くという中でなおかつ通勤費に対しても課税をされていくということがあるわけでありまして、ある組合の調査によりますと、こういう非正規労働者の年間の通勤費は、これはすべてではないかもわかりませんが、十万円程度ということが言われております。
 先ほど言いましたように、非正規労働者の場合には、給与総額、総体がそう高くないものですから課税の率というものも高くない、一割、一〇%の課税が最高ぐらいではないかというふうに思うわけでありますけれども、そうであれば、今の平均的な通勤費の十万円というものをもし課税対象から外しても、税収上はそう大きな影響はないだろうというふうに思うわけであります。もちろん、最終的には大蔵省で検討されることだと思うのでありますけれども、労働者の人たちの権利を守っていくという立場から、労働省としてぜひそういうことが実現するように取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。
#105
○吉川国務大臣 お尋ねの通勤手当の支給のことにつきましては、派遣労働者については六八・三%、パートタイム労働者につきましては七〇・二%の事業所で通勤手当が支給されております。派遣労働者やパートタイム労働者の多くは通勤費が給与と別建てになっていると聞いております。
 御指摘の通勤手当の税制上の取り扱いにつきましては、事業主が通常の賃金とは別に通勤手当を支払えば非課税措置が適用されるものであり、このことにつきましては派遣労働者等についても同様であります。一方、このような取り扱いをした場合には、通勤手当分が時間外割り増し賃金の算定基礎から除外される等の問題が生ずることもあり、事業主によりまして取り扱いが様々な状況になっております。
 なお、どのように賃金を支払うかということにつきましては、労使間で決定されるべき問題であると考えております。
#106
○金子(哲)委員 時間がほとんどありませんので、最後に二つだけお願いをして終わりにしたいと思います。
 一つは、先ほども問題になっておりましたけれども、政労の話し合いの問題であります。
 私は、この労働問題だけでなくて、現在のさまざまな政治状況というのは、非政府組織、NGOとかそういう団体と積極的に話し合いを持って政策を決定していったり、政治を進めていくというのが、世界的にはそうでありますし、日本もそういう方向に進んでいっていると思うわけであります。そういう意味で、当然のこととして、非政府の組織というのは政府側の意見とは対立することが多いわけでありまして、そういうことに対して、やはりより意見を聞くという積極的な立場で、この労働問題についても政労の会談というものができるだけ早く実施されるということを私は希望したいと思います。
 それから二つ目には、私も今回、失業問題を調査するときに、実は毎月の雇用状況を見ますと、雇用保険の受給者毎月百万人、そして完全失業者三百二十一万人、単純に計算しますと、二百二十一万人の方が何も受けられない状況で雇用、再就職の場を待っている、そうなります。いや、そうではないんだということもお話をお伺いしましたけれども。また、毎月十万人近くの人が雇用保険の給付が切れているわけであります。
 私は、雇用保険が切れた後の状態というものについて、やはりもうちょっと労働省、どういう状態に置かれているか、再就職がどれだけ進んでいるか、ぜひ調査をしていただいて、そういったことについてわかるような資料を次回の委員会等でお示しいただくように御努力をいただきたいというふうに思います。そのことを要望して、発言を終わりたいと思います。
#107
○大石委員長 金子恭之君。
#108
○金子(恭)委員 私は、21世紀クラブの金子恭之でございます。
 私も初当選後初めての質問になります。ふなれではございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 先ほどの大臣のごあいさつにありましたが、我が国の雇用情勢は、改善の動きが広がってきつつあるとはいえ、依然として厳しい状況の中、社会的にハンディを持たれた障害者の方々を取り巻く状況も一層厳しい状況にあると認識しております。私は障害者の方々の雇用促進対策について質問させていただきます。
 現在、民間企業、国、地方公共団体に法定雇用率を課し、身体障害者の方々または知的障害者の方々を雇用することを義務づけております。平成十年七月一日からは知的障害者の方々が算定基礎に加えられ、法定雇用率は民間企業で〇・二ポイント増の一・八%になり、企業の取り組みを促しております。
 そこで、昨年の集計結果を見てみますと、平均で実雇用率は一・四九%と、法定雇用率を達成しておりませんし、法定雇用率を達成していない企業は五五・三%となっております。その結果を見てみると、特に大企業ほど達成できない割合が高く、五十六人から九十九人規模の企業では五一%でありますが、千人以上の企業では実に七七%に上っております。企業規模が大きいほど達成率が低い理由とその向上対策について労働省としてどうお考えか、お伺いいたします。
#109
○渡邊政府参考人 ただいま規模別の障害者の雇用率の達成状況についてのお尋ねがございました。
 確かに、企業規模で見ますと、例えば一千人以上と最低の五十六人、常用労働者数五十六人以上で雇用率義務が発生いたしますが、そこを見ますと、かなりの差があるというふうなことになっております。特に中小企業の場合には、もちろん雇用率で課せられます採用の人数そのものが小さいということもありますし、地域に密着をいたしましていろいろと障害者の雇用についても理解があるということもあろうかと思います。
 ただ、大企業におきましても、制度の発足当初相当低かったものが、近年は景気の動向にかかわらず右肩上がりで一貫して雇用率をふやしておりまして、まだなお平均したところに若干足りませんけれども、大企業においても今相当の努力をしていただいているかと思います。大企業の未達成企業が確かに多いのですけれども、これも全然雇用していないということではなくて、あと何人か足りないというふうなことで、それが未達成企業ということで割合としては上がってくるわけでございます。
 私どもとしましては、特に大企業のこの障害者雇用に与える影響が大きいということにかんがみまして、できるだけ企業のトップに対しまして雇用を働きかけて、従来からそういうことをやっておりますが、今年度新たに、未達成率の高いといいますか、そういった中堅、大手企業を対象といたします雇用セミナーというものを開きまして、さらに理解を深めていきたいというふうなことを考えております。
#110
○金子(恭)委員 ありがとうございました。重要なことなので、引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、企業間の身体障害者の方々及び知的障害者の方々の雇用に伴う経済的負担の調整をし、雇用の促進等を図るため、障害者雇用納付金、調整金制度が設けられておりますけれども、納付金を納めた方が安上がりと考え、障害者雇用に積極的でない企業もまだ多くあると聞いております。そういう問題等もあり、この制度の効果が十分に発揮されているとは言えないのではないかという意見がありますが、労働省としてどうお考えか、お伺いいたします。
#111
○釜本政務次官 障害者雇用納付金や調整金の制度は、障害者雇用に伴う経済的な負担を調整するため、雇用率が未達成の企業から納付金を徴収し、雇用率を達成している企業に対して調整金、報奨金を支給する制度であります。この仕組みを通じて全体としての障害者雇用の水準を高めていこうとする制度であります。
 法定雇用率未達成の企業が障害者雇用納付金を納付したからといって、障害者の雇用義務を免れるものではありません。
 この障害者雇用納付金制度の厳正な運営や雇用率達成指導の強化等により、障害者の実雇用率は、納付金制度が発足した五十二年度の実雇用率一・〇九%から平成十一年度には一・四九%と上昇しているところであります。
 今後とも、障害者雇用納付金制度の運営や障害者雇用セミナー等の開催、雇用率達成指導の効果的な実施により、雇用率未達成企業が早期に法定雇用率を達成するよう指導してまいりたいと思っております。
#112
○金子(恭)委員 ありがとうございました。
 さて、次に、昨年から日経連に委託して実施されております障害者緊急雇用安定プロジェクトについてお伺いしたいと思います。
 これは、事業主が障害者の方々を対象として、自己の事業所において一カ月間の職場実習と三カ月間のトライアル雇用を実施することを奨励、支援するプロジェクトなんですけれども、職場実習、トライアル雇用を経て本採用になった方々も多数いらっしゃると聞いておりますし、かなりの実績が上がっているやに聞いております。
 また、新聞等によりますと、企業と障害者の方々双方にとってメリットがあり、今年度の予算枠を突破しそうな勢いで、最も成功した緊急雇用対策などと評価が高いようでございますけれども、この事業の実施状況を御説明いただきたい。
 それと、このような対策は今後も積極的に推進していくべきだと考えますが、労働大臣の御見解をお伺いいたします。
#113
○吉川国務大臣 ただいまの障害者緊急雇用安定プロジェクトは、障害者に対する職場実習、お話にもありましたように一カ月ですね、それからトライアル雇用、これは三カ月の雇用を内容とする事業であります。
 そして、この事業によりまして雇用に至った障害者は平成十二年八月二日現在で千二百六十五名に上っており、本事業は、事業主に対する障害者雇用のきっかけづくりとして有効であると認識しております。
 また、議員からこの事業の評価をいただきましたことに対して、大変うれしく思っている次第です。
#114
○金子(恭)委員 このように評価の高い、実効性のある事業でありますので、これからも大臣、積極的に推進していただきますようよろしくお願いいたします。
 次に、障害者雇用のためには、企業にとって職場環境整備のためにかなりの費用がかかるわけでございます。
 先ほど触れました障害者雇用納付金制度の運用の中で、職場環境整備のための各種の助成金があります。その中で、障害者の雇い入れ、雇用継続のために必要な施設設備の設置、整備費用の助成金、また、障害者の福祉増進を図るための施設の設備、整備費用の助成金がありますが、その活用状況と、本当にその助成金が有効に利用されているのか、その効果についてお伺いいたします。
#115
○渡邊政府参考人 障害者雇用納付金制度等によります雇い入れ助成等でございますが、平成十一年度の実績について申し上げますと、まず、障害者の雇い入れあるいは雇用継続のための施設設備の設置のための助成でございますが、十一年度は三億二千万円を支給しておりまして、雇用実績が三百九十五名でございます。
 また、障害者の福祉増進のための設備の改善等、これは余り出ませんで、十一年度は二百十一万円、障害者七名程度対象というようなことでございます。
 これらの助成金のほかに、重度の身体障害者を多数雇い入れた事業場への施設の設置または改善等の助成でございますが、十一年度では六億九千六百万円余、障害者は百七十一名対象でございました。
 以上、納付金制度ですが、これらのほかに、労働保険の特別会計から、採用後に労働災害によって障害を受けたというような方に対します施設の整備等の助成でございますが、十一年度、八千七百万円を支給しております。対象障害者六十三名ということになっておりまして、以上合計いたしますと、十一年度では、これらの助成措置によって、六百三十六名の方が助成の対象になったということでございます。
 まだまだ人数も少ないと思いますので、これからさらにこの充実を図る必要があろうかと思います。
#116
○金子(恭)委員 せっかくの助成金でございますので、有効にできるように頑張ってください。
 最後の質問になりますけれども、先ほどの助成金の一つでございますが、障害者の雇用に伴い必要となる介助その他の雇用安定に要する業務を行う者を置く費用の助成金の活用状況と効果についてお伺いいたします。
 また、事業主がこのような者を置くほか、公的機関がいわゆるジョブコーチ等を派遣して、障害者の定着や雇用安定のための指導に当たることの必要性についてどうお考えか、今後これをどんどん推進していくのか、そのお考えをお伺いいたします。
#117
○渡邊政府参考人 まず初めの、重度の身体障害者を雇い入れるあるいは現に雇用している方の雇用継続を図るために介助等を事業主が実施するというときの助成でございますが、その費用一部の助成は平成十一年度では四億九千二百万円でございまして、対象の重度の障害者の方は三千百四十三人ということになっております。
 また、職場適応、特に知的障害者あるいは精神障害者等、他の方との円滑なコミュニケーションがなかなか難しいという方についての職場適応を図りますための援助でございます。これはジョブコーチというふうに言っておりまして、アメリカではこれがかなり進んで、効果も発揮しているというふうな状況のようでございます。我が国でも、今年度初めてでございますが、パイロット的な事業といたしまして、神奈川県及び滋賀県におきまして、まだ現在二所ですが、このジョブコーチの制度を導入いたしまして、これを実施しておるという状況でございます。まだ二所ということで、初めて始めた事業ですが、来年度はさらにこれを拡大していきたいということで予算要求もしてまいりたいと思っております。
#118
○金子(恭)委員 ありがとうございました。
 障害者雇用の問題は、事業主の方々に障害者の方々に対する理解を深めていただきながら、事業主、障害者の方々双方に支援をしつつ進めていかなければならない難しい問題だと思っております。どうぞ労働省におかれましては、現在のいろいろな事業を検証しつつ、助成金等も検証しつつ、これまで以上に障害者雇用に取り組んでいただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#119
○大石委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十九分散会

ソース: 国立国会図書館
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