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1950/11/27 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 本会議 第4号
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1950/11/27 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 本会議 第4号

#1
第009回国会 本会議 第4号
昭和二十五年十一月二十七日(月曜日)
   午後一時二十五分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第四号
  昭和二十五年十一月二十七日
   午前十時 開議
 第一 国務大臣の演説に関する件
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国務大臣の演説に関する件。
 吉田内閣総理大臣及び池田大蔵大臣から発言を求められております。これより順次発言を許します。吉田内閣総理大臣。
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(吉田茂君) 本日ここに提出の本年度補正予算案その他に関し所見を述べる機会を得ましたことを欣快に存じます。
 最近、外電は頻りに対日講和の近きにあるを報じ、米国を中心として関係諸国の間に予備交渉が進められつつある趣きでありますが、これは長い間講和を待ち望んで来た我が国民にとつて誠に喜びに堪えないところであります。一日も速かに、一国とでも多く講和をいたしたいと熱望しおる我が国民として、平和国家、民主国家としての日本の再建に更に一段の努力を傾注いたすべき秋であると信ずるのであります。
 この機会に、政府はスウエーデン皇帝グスタフ五世陛下の崩御に対し、深く哀悼の意を表するものであります。スウエーデン国は戦時中我が国の利益代表国として在外邦人に対し多大の好意と庇護を寄せられたのであります。のみならず戰後も依然変らざる好意を寄せられることは誠に感謝に堪えないところであります。新国王グスタフ・アドルフ陛下は先年現皇后陛下と共に、我が国を訪問され、京都、奈良の我が国に保存せられる東洋文化につき非常な興味を持たれ、我が国に対して深き理解を有せられる方であります。私は陛下の御即位に対し謹んで慶祝の意を表すると共に、日瑞の関係が陛下の御即位によつて一層親善を加えることを信じて疑わないのであります一(拍手)先頃予期せざる朝鮮事変の勃発を見たることは誠に遺憾のことであります。これは我が国民にも多大の衝動を與えたのでありまするが、我々は又韓国国民に対し誠に同情に堪えざるものがございます。幸いにして国連軍の適切果断の処置により事変の終熄が図られつつあることは、誠に喜ばしいところであります。又マッカーサー元帥みずから陣頭に立つて全軍を指揮し、北鮮の戰鬪も直ちに終結せられんとする状況であることを承知いたして、誠に喜びに堪えないのであります。これにより朝鮮全土の速かなる平和の回復の近きにあることを私は疑わないのであります。東亜、延いて世界平和のために一日も早く安定が回復することを希望して止まないのであります。(拍手)
 政府がここに提出の昭和二十五年度補正予算の大綱を申述べますれば、先ず我が国の経済の自立性を確立するために、価格調整費は当初予算よりも更に大幅に減額を行うと共に、災害復旧費、失業対策費等にそれぞれ相当額を計上することにいたしました。
 公務員の給與については、政府は財源や経済全般への影響の関係につき研究中のところ、今や経済状態も著しく安定の度を加え、又財源にも若干余裕を生じましたので、この際、公務員の給與改善につき考慮いたすことになりました。(拍手)政府としては今後引続き行政機構の簡素化、定員の減少に努め、以て冗費の節約を一層徹底して行いたいと考えるのであります。(拍手)
 尚、政府は、先般大幅な税制改革を行い、国民の租税の負担の軽減を図つたのでありまするが、今尚その負担は相当に重いと考えるのであります。今後一層の減税を加えたいと考えておるのであります。
 以上は本年度補正予算の大網でありまするが、国民の精神的方面の作興即ち文教の振興の重要なことは今日に如くものはないのであります。最近民主的秩序を暴力を以て破壊せんとする者の行動は国民多数の容れるところとならず、その勢力も逐次衰退しつつあるのでありまするが、一層この際教育に思いをいたして健全なる国民思想の涵養を図るべきであると深く信ずるのであります。(拍手)
 先に国家公務員法が公布せられましたが、ここに地方自治の直接の担当者である地方公務員に対し、地方公務員法案を提出いたすことにいたしましたのであります。又これによつて、中央、地方を通じ民主国家に相当する公務員制度の完成を期せんとするものであります。
 政府は昨年二月、公職資格訴願審査委員会を設置いたしまして、爾来、同委員会は熱心且つ愼重に(「分らん分らん」と呼ぶ者あり)審査を進めて参りました結果、一万有余名に対する特免を発表することを得たのであります。これらの人々は今後我が国の自立再建に貢献し得る人であると私は信じて疑わないのであります。(「戰争に役立つ」と呼ぶ者あり)
 我が国の経済の安定復興のために、貿易の振興の必要はますます痛感せられるのでありまするが、現在までに二十四の通商協定が成立し、在外事務所の増置、邦人の海外渡航の機会の増加、その他通商振興のための諸問題が漸次解決しつつあるのであります。特に最近輸出が飛躍的に増進をいたしておりますることは、我が国貿易の前途のために誠に慶賀に堪えないのであります。政府は更に貿易に伴う資金の円滑なる供給を確保するため輸出銀行を設置する所存であります。又輸出振興の基盤として、我が国中小企業の占める重要性は政府のつとに認めるところであります。特にその金融についてはすでに見返資金の枠を拡げる等の措置をとつたのであります。
 電気事業再編成法案は、前々国会において不幸にして成立することができなかつたのでありまするが、本問題は集中排除法に基き一日も速かにこれを実現する義務があるのであります。又我が国の電源、殊に水力発電の開発により、電力の供給を豊富ならしめることの必要は申すまでもないところであります。かかる事情の下において政府は今般電気事業再編成令及び公共事業令をポツダム政令を以て公布するの止むなきに至つたのであります。
 災害対策は我が国再建のため最も重要な問題の一つでありまして、政府としては、これについては最大限の努力を拂つておるのであります。即ち既定公共事業費及び予備費を支出する外、今回の補正予算にも相当額を計上いたしまして、すでに発生した災害の復旧と災害防止の応急工事の迅速な施行に努めると共に、今後は治山治水費の増額等により、その根本対策を強力に推進し、(「毎年同じだ」と呼ぶ者あり)併せて農業の振興及び食糧自給度の向上を期したいと考えておるのであります。(拍手)
 最後に在外同胞の引揚につきましては、従来政府は懸命の努力を傾けておつたのでありまするが、総司令部当局の多大なる理解と不断の好意により、近く国連総会において正式に討議せられることになつており、すでに我が国よりも国民の代表が非公式に招聘せられ、渡米いたしております。本問題が国際正義によりやがて解決せられることを確信いたします。(拍手)
#5
○議長(佐藤尚武君) 池田大蔵大臣。
   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(池田勇人君) 昭和二十五年度補正予算案の説明を中心といたしまして、政府の財政金融政策の大網を申述べたいと存じます。
 我が国の経済が国民諸君の絶大な努力によりまして次第に安定の度を加え、今日では、終戰直後の極度に疲弊した姿から回復いたしまして、経済再建への道を順調に進みつつありますことは、誠に喜びに堪えないところであります。
 去る六月の朝鮮動乱の勃発を契機といたしまして、世界的に軍需資材等の需要は急速に増大しつつあり、この影響を受けまして、本年七月以降、我が国の経済も活況を呈し、輸出といわゆる特需の増加は、従来の滞貨を一掃したばかりでなく、新たな生産の増強をも要請しております。この輸出の伸長等に伴い、我が国の外貨保有高は最近逐次増加して参つたのでありますが、他面、海外の物価高の直接の影響も加わりまして、国内物価は或る程度の上昇を示しております。
 このような状態に対処する今後の財政金融政策の基調は、この機会を捉えまして、一面において、飽くまでもインフレの要因を排除しつつ、他面、経済の自立再建の達成のために、特段の努力を傾注することにあるのであります。即ち均衡予算の方針を堅持し、極力経費を節約し、租税負担の軽減を行うとともに、産業合理化の推進、輸出の振興等に必要な長期資金の疏通に思い切つた措置を講じ、又保有外貨の活用によりまして輸入の促進に努め、以て経済の正常な姿を一日も早く確立しなければならないのであります。(拍手)
 今回の補正予算案は、このような基本的な考え方に基きまして、目下編成中の来年度予算案と一体的な構想の下に編成されたのであります。その主眼といたしますところは、先づ第一に、国民の負担の現状に鑑みまして能う限りの減税を行うことであります。第二に、輸出の増進等に対処するために、外国為賛特別会計の所要資金を一般会計から繰入れることであります。第三に、当面緊要な産業資金の疏通を図るために必要な経費を計上することであります。第四に、災害復旧費失業対策費、地方財政平衡交付金の増額等、この際必要止むを得ない使途に充てるための所要の経費を計上することであります。最後に、国家公務員の給與の改善を図ることでありまして、その財源の主なるものは、価格調整費の不用額、一般行政費の節約、租税の自然増收等であります。
 今回の補正によりまして、昭和二十五年度一般会計予算総額は歳入歳出とも六千六百四十五億円余となるのでありまして、歳入のうち、租税及び印紙收入は四千四百五十億円余であります。
 次に、補正予算案の内容の主なるものにつきまして説明いたします。先ず歳出は、価格調整費におきまして二百六十億円を減少することといたしました。御承知のように、価格調整費を削減いたしまして企業の自主性を高め、我が国経済の自立性を確立することは、政府の一貫した方針でありまして、本年度当初予算におきましても前年度のほぼ半額に止めたのでありますが、その後、輸入食糧等の海外価格の値下り、銑鉄や肥料の国内価格の引上げ等によりまして、この不用額を生ずるに至つたのであります。尚、来年度におきましては、価格調整費は輸入食糧に対するものだけに限定され、その額も比較的少額に止まる見込であります。
 次に、外国為替特別会計への繰入れとして百億円を計上いたしました。前にも申述べましたように、わが国の輸出貿易は相当目ざましい伸長を示しており、今後も引続き活況が予想されるのであります。これに伴つて我が国の外貨保有高は相当増加いたしますので、外国為替特別会計において、これら外貨の保有に必要な資金に不足を生ずるのでありまするが、この不足を日本銀行からの借入等の措置によつて賄いますことは、インフレーションの原因ともなる虞れがありますので、今回はこれを一般会計からの繰入に待つこととした次第であります。
 次に、日本輸出銀行の設立、中小企業信用保険制度の新設、国民金融公庫に対しまする出費の増加に必要な経費を計上いたしました。この点については後に申述べたいと存じます。正次に、災害の復旧については政府は特に意を用いた次第でありまして、公共施設の復旧のため四十一億円、その他、災害救助、文化財、農作物の災害対策等につきましても、相当多額を計上いたしたのであります。他に既定予算の流用をも含めますと、災害関係経費は五十億円以上を増加することとなるのであります。尚、失業対策につきましては、今後公共事業費の積極的活用によりまして、相当数の失業者を吸收できると考えるのでありまするが、別途失業対策応急事業費十五億円、失業保険費十二億円余を増加計上することといたしました。
 最後に、国家公務員の給與改善のために所要の経費を計上したのであります。国家公務員の給與改訂につきましては、政府は、経済安定に及ぼす影響、財源の関係等を考慮して、今日までその実施の時期について慎重に配慮して来たのでありまするが、我が国の経済状態も漸く安定し、財源的にも余裕を生じましたので、この際、人事院勧告の趣旨を尊重し、来年一月から月額平均一千円程度の給與の引上と、若干の年末手当の支給を行うことといたしました。尚、地方財政の現状に鑑みまして、地方財政平衡交付金を三十五億円増額することといたしましたが、これは地方公務員の給與、改善財源にも充当されるだろうと存じます。(「幾らだ」「はつきり言え」と呼ぶ者あり)
 次に歳入について説明いたします。政府は、先般、国税、地方税を通ずる税制の改革を行い、租税負担の軽減を図つたのでありまするが、国民の租税負担は尚相当に重いのでありまして、できるだけ速かにこれが軽減を行うことは刻下の急務であり、又現内閣の一貫した方針であるのであります。(拍手)従いまして、政府はこの際、前にも申述べましたように、更に一層の減税を行うこととし、別途必要な法律案を提出することといたしました。(「だますな」と呼ぶ者あり)今回の減税は、所得税を中心とし、酒税、物品税等についても相当の軽減を図つておるのでありまして、酒税につきましては十二月から、その他は来年一月から実施の予定であります。この措置によりまする本年度の減税額は約六十四億円でありまするが、来年度の減税額は七百億円に達する見込であり、本年度において実施いたしました減税に加えて、国民の租税負担はここ一両年前に比較いたしまして著しく軽減することになるのであります。(拍手)尚、現在予定せられておりまする米価引上げの生計費への影響は、この減税によりまして吸收し得る見込であります。
 次に金融問題について一言いたします。現下の金融施策の最も重要な課題は、国際経済の動きに対応いたしまして、我が国の経済が規模を拡大し、その活動が活溌化して参りましたこの機会を逸せず、この際、産業の合理化を一段と促進して、経済の基盤の充実を図るため、資金の円滑適切な供給を確保することであります。なかんずく長期資金の疏通が急務であるのであります。このためには、見返資金、預金部資金等、政府部門に蓄積されました資金の再放出が特に強く要望されるのであります。又中小企業の我が国において占める地位の重要性に鑑みまして、中小企業金融につきましても何らかの積極的な方途を講ずることが肝要であります。
 政府は、先般来これら諸般の問題につきまして鋭意検討努力を重ねて参つたのでありまするが、今般次のような各種の措置が具体化される運びに至つたのであります。その第一は、日本輸出銀行の設立でありまして、本年度内に一般会計及び見返資金特別会計からそれぞれ二十五億円、来年度においてそれぞれ五十億円、合計百五十億円を出資することといたしまして、従来生産設備等、その製造から代金決済までに長期の資金を必要とするものの輸出につきましては、とかく金融の円滑を欠き、海外からの引合にも応じ難い状態であつたのでありまするが、この日本輸出銀行の設立によりまして、今後生産設備の輸出が大いに促進され、これに伴い、関係産業の発達も期待されるのであります。その第二は、従来その運用が国債と地方債に限られておりました預金部資金を金融債にも運用することにしたことであります。この結果、預金部資金の積極的活用が可能となり、長期資金の供給にも寄與するところが大きいと存じます。その第三は、重要産業の合理化促進のための見返資金の活用であります。この点につきましては、先に取敢えず一般私企業に対する貸付を十七億円増加することに決定したのでありますが、この外、更に具体策を検討中でありまして、近く実現の運びに至るものと信じます。その第四は、中小企業金融について各般の措置をとつたことであります。先ず中小企業に対しまする見返資金の貸付は、従来一・四半期ごとに三億円でありましたのを、三倍の九億円に増加いたしました。又中小企業信用保険制度を新設いたしまして、一般会計より、本年度五億円、来年度十億円を支出し、更に国民金融公庫に対しまする政府の出資を、本年度十億円、来年度二十億円増加することにいたしたのであります。これらの措置によりまして、中小企業金融も一段と円滑に行われることと信ずるのであります。
 最後に資本蓄積の問題について一言いたします。我が国の経済が再建への道を順調に進んでおりますことは冒頭にも申述べた通りでありまするが、復興と自立とは一日にして成るものではありません。殊に長期に亘る戰争と戰後の窮乏とによりまして蓄積資本を消耗し、産業設備の老朽化を余儀なくせられました我が国が、その立ち遅れた産業設備を更新近代化して、各国と競争して参りますためには、今後莫大な資本の蓄積を必要とするのであります。従来その不足は米国の対日援助によつて補われて来たのでありまするが、その援助が決して長く期待し得るものでないことを考えますると、資本の蓄積こそ最大の急務であると信じます。政府はこの目的のために、つとに法人税の軽減、資産再評価の実施、公共事業の拡大等の措置を講じて来たのでありまするが、尚、今後預金金利の引上げを勧奨し、又証券市場の育成に努め、その他諸般の政策の実行に当つては常にこの点に考慮を拂う所存であります。国土資源に恵まれない我が国の経済が、その必要とする資本のすべてを蓄積することは至難の事業でありまして適当な外資の導入が是非とも必要であるのでありまするが、この際、最も必要なことは我々みずからの努力であります。即ちおのおの企業が、又国民の一人々々が、我が国経済の置かれております地位を十分認識いたしまして、最近の特殊事情によりまする好景気に楽観することなく、奢侈と冗費を排して将来に備え、資本の蓄積と貯蓄の増加に邁進することであります。(「誰が奢侈をしている」「どうしてできるか」と呼ぶ者あり)このことは企業と国民みずからをインフレーションの再発から守るためにも、又外資導入の前提である国際信用の確立を図る上におきましても絶対に必要なことであります。この点につきまして国民諸君の絶大なる御協力を期待して止まないのであります。
 以上今回の補正予算につきまして御説明申上げました。何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。(拍手、「賛成」と呼ぶ者あり)
#7
○議長(佐藤尚武君) 只今の国務大臣の演説に対し質疑の通告がございますが、この質疑は明日に讓りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。参事に報告いたさせます。
   〔海保参事朗読〕
本日議員中村正雄君外十七名から委員会審査省略の要求書を附して左の議案を提出した。
 国会審議権尊重に関する決議案
     ―――――・―――――
#9
○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、国会審議権尊重に関する決議案(中村正雄君外十七名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。本決議案につきましては中村正雄君外十七名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。境野清雄君。
   〔境野清雄君登壇、拍手、「しつかりやれよ」と呼ぶ者あり〕
#12
○境野清雄君 只今上程いたされました国会審議権尊重に関する決議案につきまして、発議者を代表いたしまして提案理由の説明を申上げます。先ず決議案を朗読申上げます。
  国会審議権尊重に関する決議案
  政府は電力再編成に当り、本国会開会の劈頭、突如としてポツダム政令によるの措置をとつた。
  かくのごとき国民経済に重大なる関係を有する案件について、政府が徒らに事態を遷延紛糾せしめ、この挙に出でざるを得なかつたことは、民主主義の基盤たる国会の審議権を無視し、議会政治に暗影を投ずるものであつて、甚だ遺憾である。政府が再びかかる措置を繰返さないことを強く要望する。
  右決議する。
   (拍手)
 本決議案は自由党を除く各派の賛同を得ましてここに上程される運びに至つたのであります。去る二十四日、電気事業再編成がポツダム宣言受諾に伴う政令によりまして措置されることが発表され、我々は愕然としてその真意那辺にあるやを捕捉するに苦しむと共に、かくのごときことが終戰五年を経て尚且つ行われることは甚だ遺憾に堪えないのであります。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)
 本電気事業が過度の集中排除法に基いて再検討されましたのは実に二十三年でありまして、爾来の官民挙げてこの問題の研究審議を重ね、第七国会においては政府提案として法律案の提出を見たのであります。かかる経過をとりましたことも、首相の言うごとく、電気事業が国家産業の基幹として、その影響するところ多く、且つ電源の確保開発が緊急を要することは贅言を待たないところであります。爾来半歳有余これを放任しておつたということは、全く政府の一方的責任であり、(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)これが今回突如としてポツダム政令によるということは、我々の到底納得でき得ないものなのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)国利民福に影響するところが大であればあるほど、国民を代表する国会の審議を盡すべきではないでしようか。(「その通り」と呼ぶ者あり。)特に本臨時国会は来月八日までの会期でありまして、本ポツダム政令の施行期日は来月十五日とするならば、何故に国会を避けるべき実?的理由があるでしようか。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)而もマツカーサー書簡は未だ公表されておらないというのであります。首相の説明によりますれば、マツカーサー書簡において、ポツダム政令を唯一の方法としてサジエストしたものでないことが明らかになつたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)ポツダム政令を選んだことは政府の責任にあることもこれ又明らかになつたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)
 ここにおきまして我々は国会審議権擁護と尊重を政府に要望するところの決議案を出すに至つたのであります。我々が終戰後五年間、占領下に営営として民主主義確立のため努力して参り、世界の各国が認めて、すでに講和の機運も十分に熟するに至つたのであります。然るに今日ここに憲政の常道に反し、国会開会中突如としてポツダム政令を出して、国会の審議権を無視し、基くところはマッカーサー書簡にあり、書簡については公表するところなく、政府ひとり知ればよいという態度は、甚だ遺憾の措置と言わざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ考あり、拍手)首相は口を開けば民主主義国家の実体を備うることが講和の前提と言いながら、みずからこれに反する政治をなし、果してその責任を盡すものと言い得べきか疑わざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)
 よろしく本決議案の趣旨に従い、今後その過誤を改め、再び国会の審議権を無視することなく、憲政の常道確立に努力せられんことを強く要望するものであります(「やめろやめろ」と呼ぶ者あり、拍手)
 以上を以ちまして上程理由の説明を申上げます。(拍手)
#13
○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
   〔「自由党どうした、起たんか、どうした」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本決議案は可決せられました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五十九分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、日程第一 国務大臣の演説に関する件
 一、国会審議権尊重に関する決議案
ソース: 国立国会図書館
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